説明

拡散防止膜の形成方法及び半導体装置の製造方法

【課題】 拡散防止膜の形成方法及び半導体装置の製造方法に関し、閾値調整元素の拡散等による閾値電圧の変動の防止と製造工程の簡素化を両立する。
【解決手段】 Siを含有しない高誘電率酸化膜に窒素を導入したのち第1加熱処理を行う工程と、前記窒素を導入したSiを含有しない高誘電率酸化膜の上にSi含有半導体層を堆積させる工程と、第2加熱処理によって前記Si含有半導体層中のSiを前記窒素を導入したSiを含有しない高誘電率酸化膜中に拡散する工程とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は拡散防止膜の形成方法及び半導体装置の製造方法に関し、例えば、高誘電率膜に対して不所望な元素の拡散を防止する機能を付与する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、シリコンを含む酸化物層、特に、高誘電率膜を形成する場合、基材となる酸化物中に含まれる酸素以外の単一あるいは複数のHf等の元素とシリコンを同時に酸化雰囲気中で層として堆積し、堆積と同時に酸化を行うことで形成している。或いは、堆積後に酸化雰囲気中で加熱を行い酸化することも広く行われている。また、酸化物層中に窒素を導入する場合でも、シリコンを既に膜中に混入した後に、窒素を導入することが広く一般的に行われている。
【0003】
この様な酸化膜の形成方法は、CMOSFETの製造工程において、PMOS/NMOS領域毎に別の特性を有するHigh−kゲート絶縁膜をその上に設けたキャップ積層構造などを用いて異なる元素を拡散する手法として提案されている(例えば、非特許文献1乃至非特許文献3参照)。
【0004】
しかし、これらの提案においては、具体的にPMOS/NMOS別の特性を有するHigh−kゲート絶縁膜からなるCMOS構造を製造するプロセス手順について詳細は説明されていない。
【0005】
また、High−k膜中にキャップ積層構造を用いてHigh−k膜を構成している元素と異なる元素を拡散し、このHigh−k膜をゲート絶縁膜に用いてMOSFETのVthを制御することも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、PMOS/NMOS別の特性を有するHigh−kゲート絶縁膜からなるCMOS構造を製造するプロセス手順として、下記の一連の工程を含むプロセスが提案されている(例えば、非特許文献4参照)。
a.最初にMOSFETのチャネル領域となるシリコン基板表面全面にシリコン酸化膜(必要に応じて窒素を混入する場合もある)を形成する。
b.その次に、全面に堆積したLa層のNMOS領域のみをフォトリソグラフィプロセスを用いてマスクして、その他の領域のLa層を除去する。
c.その後、全面にHigh−k膜を堆積したのち、全面にAl層を堆積し、PMOS領域のみをフォトリソグラフィプロセスを用いてマスクして、その他の領域のAl層を除去する。
【0007】
また、PMOS/NMOS別の特性を有するHigh−kゲート絶縁膜からなるCMOS構造を製造するプロセス手順として、次の一連の工程を含むプロセスが報告されている(例えば、非特許文献5参照)。
a.最初にMOSFETのチャネル領域となるシリコン基板表面全面にシリコン酸化膜(必要に応じて窒素を混入する場合もある)を形成する。
b.その次にHigh−k膜を全面に堆積し、次に全面にAl(La)層を堆積し、さらにエッチングマスクおよび元素拡散抑制層であるTiN膜を堆積する。
c.次いで、フォトリソグラフィおよびエッチングプロセスを用いてPMOS(NMOS)領域のみAl(La)層以上の構造を残す。
d.次に、全面にLa(Al)層を堆積し加熱を行い、NMOS領域のHigh−k中にはLa元素を拡散し、PMOS領域のHigh−k中にはAl元素を拡散させる。
【0008】
ここでのTiN層の上部に堆積された層に含まれる元素がTiN層の下部のHigh−k膜中に拡散することは、TiN層の存在により抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−324594号公報
【0010】
【非特許文献1】H. S. Jung et al.,VLSI Symp. (2006)
【非特許文献2】V. S. Chang et al.,IEDM (2007)
【非特許文献3】N. Mise et al.,IEDM (2007)
【非特許文献4】T. Schram et al., VLSI symp.(2008)
【非特許文献5】H. Shinohara et al., SSDM (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述の一般的に用いられている手法により形成されたHigh-k膜であるシリコンを含んだ酸化窒化物層では、この酸化物層と接したキャップ層に含まれる元素が、加熱処理によりこの酸化窒化物層中を拡散し、逆側の界面に到達してしまう。その結果、この逆側の界面或いはこの逆側に接する界面絶縁膜の物理特性を変化させてしまうという問題が発生する。
【0012】
また、上記の非特許文献4の提案によるプロセス手順では、まずフォトリソグラフィプロセスが2回必要であること、またそれに伴い2種類(反転)の露光マスクが必要になり、工数と製造費用の増加の問題が発生するという問題がある。また、NMOS領域のAl層を除去する際のエッチング工程の物理的、化学的作用により、その下のHigh−k膜が損傷を受け、リーク電流密度や信頼性等の物理特性の劣化が発生するという問題も生じる。
【0013】
また、上記の非特許文献4の提案によるプロセス手順では、フォトリソグラフィプロセスが1回で済むため露光マスクも1種類で済み、工数と製造費用の増加は防ぐことができる。しかし、TiN層の元素拡散抑制は完全なものでなく、TiN層上部の形成された層に含まれる元素はTiN層中を拡散し、TiN層の下のHigh−k層に到達してMOSFETの閾値制御特性や誘電率等の物理的特性を変化させる問題が生じる。
【0014】
さらに、非特許文献4或いは非特許文献5の場合には、High−k膜の下層に配される界面絶縁膜はPMOS/NMOS共通である。したがって、High−k膜の下層に配される界面絶縁膜が窒素を含むオキシナイトライド膜である場合には、PMOSのNBTI(Negative Bias Temperature In−stability)という信頼性の劣化が大きくなるという問題が生じる。
【0015】
一方、High−k膜の下層に配される界面絶縁膜を窒素を含まない酸化膜とした場合には、NMOSにおいて、ゲート絶縁膜の絶縁破壊寿命が短くなるという問題が生じる。
【0016】
したがって、本発明は、閾値調整元素の拡散等による閾値電圧の変動の防止と製造工程の簡素化を両立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
開示する一観点からは、Siを含有しない高誘電率酸化膜に窒素を導入したのち第1加熱処理を行う工程と、前記窒素を導入したSiを含有しない高誘電率酸化膜の上にSi含有半導体層を堆積させる工程と、第2加熱処理によって前記Si含有半導体層中のSiを、前記窒素を導入したSiを含有しない高誘電率酸化膜中に拡散する工程とを有することを特徴とする拡散防止膜の形成方法が提供される。
【0018】
また、開示する別の観点からは、半導体基板に一導電型ウエル領域と反対導電型ウエル領域を形成する工程と、前記半導体基板の表面に第1の界面絶縁膜を形成する工程と、前記第1の界面絶縁膜上に反対導電型閾値調整元素含有酸化膜を形成する工程と、前記反対導電型閾値調整元素含有酸化膜上にSiを含有しない第1の高誘電率酸化膜を形成する工程と、前記Siを含有しない第1の高誘電率酸化膜に窒素を導入したのち第1加熱処理を行う工程と、前記窒素を導入したSiを含有しない第1の高誘電率酸化膜の上にSi含有半導体層を形成する工程と、第2加熱処理によって前記Si含有半導体層中のSiを、前記窒素を導入したSiを含有しない第1の高誘電率酸化膜中に拡散して第1の高誘電率酸化窒化膜を形成する工程と、前記反対導電型ウエル領域上の積層構造を選択的に除去して反対導電型ウエル領域の表面を露出させる工程と、前記露出した反対導電型ウエル領域の表面に第2の界面絶縁膜を形成する工程と、全面にSiを含有しない第2の高誘電率酸化膜を形成する工程と、前記Siを含有しない第2の高誘電率酸化膜上に一導電型閾値調整元素含有酸化膜を形成する工程と、第3加熱処理により、前記一導電型閾値調整元素含有酸化膜中の一導電型閾値調整元素を前記Siを含有しない第2の高誘電率酸化膜中に拡散して第3の高誘電率酸化膜を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0019】
また、開示するさらに別の観点からは、半導体基板に一導電型ウエル領域と反対導電型ウエル領域を形成する工程と、前記半導体基板の表面に界面絶縁膜を形成する工程と、前記一導電型ウエル領域上の界面絶縁膜上に選択的に反対導電型閾値調整元素含有酸化膜を形成する工程と、全面にSiを含有しない高誘電率酸化膜を形成する工程と、前記Siを含有しない高誘電率酸化膜に窒素を導入したのち第1加熱処理を行い、前記一導電型ウエル領域上の前記Siを含有しない高誘電率酸化膜中に窒素と前記反対導電型閾値調整元素含有酸化膜中の反対導電型閾値調整元素を拡散して第1の高誘電率酸化窒化膜を形成するとともに、前記反対導電型ウエル領域上の前記Siを含有しない高誘電率酸化膜中に窒素を拡散して第2の高誘電率酸化窒化膜を形成する工程と、前記一導電型ウエル領域上の前記第1の高誘電率酸化窒化膜上にSi含有半導体層を選択的に形成する工程と、第2加熱処理によって前記Si含有半導体層中のSiを、前記第1の高誘電率酸化窒化膜中に拡散する工程と、全面に一導電型閾値調整元素含有酸化膜を形成する工程と、第3加熱処理により、前記一導電型閾値調整元素含有酸化膜中の一導電型閾値調整元素を前記反対導電型ウエル領域上の第2の高誘電率酸化窒化膜中に拡散する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0020】
開示の拡散防止膜の形成方法及び半導体装置の製造方法によれば、閾値調整元素の拡散等による閾値電圧の変動の防止と製造工程の簡素化を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態の半導体装置の製造工程の途中までの説明図である。
【図2】本発明の実施の形態の半導体装置の製造工程の図1以降の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態の要部フロー図である。
【図4】本発明の実施の形態の作用効果の説明図である。
【図5】Si堆積工程を省略した場合のSIMS結果とVfb変化の説明図である。
【図6】窒化工程、Si堆積工程後の加熱工程を省略した場合のSIMS結果とVfb変化の説明図である。
【図7】窒化工程を省略した場合のSIMS結果とVfb変化の説明図である。
【図8】HfSiOを窒化してHfSiON膜を形成した場合のSIMS結果の説明図である。
【図9】本発明の実施の形態の第1の適用例の途中までの説明図である。
【図10】本発明の実施の形態の第1の適用例の図9以降の説明図である。
【図11】本発明の実施の形態の第2の適用例の途中までの説明図である。
【図12】本発明の実施の形態の第2の適用例の図11以降の説明図である。
【図13】本発明の実施例1の半導体装置の製造工程の途中までの説明図である。
【図14】本発明の実施例1の半導体装置の製造工程の図13以降の途中までの説明図である。
【図15】本発明の実施例1の半導体装置の製造工程の図14以降の説明図である。
【図16】本発明の実施例2の半導体装置の製造工程の途中までの説明図である。
【図17】本発明の実施例2の半導体装置の製造工程の図16以降の途中までの説明図である。
【図18】本発明の実施例2の半導体装置の製造工程の図17以降の説明図である。
【図19】本発明の実施例3の半導体装置の製造工程の途中までの説明図である。
【図20】本発明の実施例3の半導体装置の製造工程の図19以降の途中までの説明図である。
【図21】本発明の実施例3の半導体装置の製造工程の図20以降の説明図である。
【図22】本発明の実施例4の半導体装置の製造工程の途中までの説明図である。
【図23】本発明の実施例4の半導体装置の製造工程の図22以降の途中までの説明図である。
【図24】本発明の実施例4の半導体装置の製造工程の図23以降の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、図1乃至図12を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1及び図2は、本発明の実施の形態の半導体装置の製造工程の説明図である。まず、図1(a)に示すように、半導体基板1上に界面絶縁膜2を形成したのち、その上にSiを含有しない高誘電率酸化膜3を形成する。この場合の界面絶縁膜2は熱酸化膜或いは熱酸化膜を窒化した酸化窒化膜である。また、Siを含まない高誘電率酸化膜3は、SiOより誘電率が高く、Hf、Zr,Alのいずれかを含む酸化膜であり、典型的にはHfO膜である。
【0023】
次いで、図1(b)に示すように、Siを含有しない高誘電率酸化膜3に窒素4を導入する。窒素の導入はアンモニアガスなどの窒化性ガス中で加熱処理するか、窒素プラズマ中に膜を曝すことにより行う。
【0024】
次いで、図1(c)に示すように、窒素雰囲気等の不活性雰囲気中で加熱処理を行って、窒素を拡散させて高誘電率酸化窒化膜5を形成する。次いで、図1(d)に示すように、Si含有半導体層6を堆積する。Si含有半導体層は典型的には多結晶シリコン層であるが、原料や製造工程に由来するHやC等が微量に含有されていても良い。
【0025】
次いで、図2(e)に示すように、窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気中で加熱処理を行ってSiを拡散して拡散防止膜となるSiを含む高誘電率酸化窒化膜7とする。次いで、図2(f)示すように、拡散阻止対象元素を含む酸化膜8を堆積させる。拡散阻止対象元素は目的とする工程により異なるが、典型的にはMOSFETの閾値Vthを調整する元素であり、n-MOSFETの場合はLa,Y,Mgであり、p-MOSFETの場合はAl,Tiである。
【0026】
次いで、図2(g)に示すように、窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気中で加熱処理を行なう。この時、拡散阻止対象元素はSiを含む高誘電率酸化窒化膜7中に一部拡散してSi及び拡散阻止対象元素を含む高誘電率酸化窒化膜9となる。但し、後述するように、Siを含む高誘電率酸化窒化膜7は拡散阻止機能があるので、拡散阻止対象元素が界面絶縁膜に達することはない。
【0027】
図3は上記の工程を纏めた本発明の実施の形態の要部フロー図である。
a.まず、Siを含まない高誘電率酸化膜(HfO膜)を堆積する。
b.次いで、Siを含まない高誘電率酸化膜に窒素を導入する。
c.次いで、加熱処理により酸化窒化膜(HfON膜)を形成する。
d.次いで、Si含有半導体層を堆積する。
e.次いで、加熱処理を行い拡散防止膜として機能するSi含有酸化窒化膜(HfSiON膜)を形成する。
f.次いで、拡散阻止対象元素を含む酸化膜を堆積させる。
g.次いで、加熱処理によって、拡散阻止対象元素を含む酸化膜中の拡散阻止対象元素を拡散させる。
【0028】
次に、図4乃至図8を参照して本発明の実施の形態の作用効果を説明する。図4は本発明の実施の形態の作用効果の説明図であり、図4(a)はSIMS結果であり、また、図4(b)はVfb変化の説明図である。なお、ここでは、界面絶縁膜2がSiON膜であり、ゲート電極がTiN膜であり、拡散阻止対象元素がLaの場合を示している。
【0029】
図4(a)に示すように、拡散阻止対象元素がLaはSiON界面まで達していなことが確認された。その結果、図4(b)に示すように、Vfbは、HfOの場合のVfbからほとんど変化していなことが確認された。したがって、本発明の実施の形態のプロセスで形成したSiを含む高誘電率酸化窒化膜7に拡散阻止機能があることが確認された。
【0030】
図5は、比較のためにSi堆積工程を省略した場合のSIMS結果とVfb変化の説明図であり、図5(a)はSIMS結果であり、また、図5(b)はVfb変化の説明図である。図5(a)に示すように、Si堆積工程を省略した場合には、LaがSiON膜中に拡散していることが確認された。その結果、Vfbは、HfOの場合のVfbから大幅に変化することが確認された。
【0031】
図6は、比較のために窒化工程、Si堆積工程後の加熱工程を省略した場合のSIMS結果とVfb変化の説明図であり、図6(a)はSIMS結果であり、また、図6(b)はVfb変化の説明図である。図6(a)に示すように、窒化工程、Si堆積工程後の加熱工程を省略した場合には、LaがSiON界面に達していることが確認された。その結果、Vfbは、HfOの場合のVfbから多少抑制されるものの大きく変化することが確認された。
【0032】
図7は、比較のために窒化工程を省略した場合のSIMS結果とVfb変化の説明図であり、図7(a)はSIMS結果であり、また、図7(b)はVfb変化の説明図である。図7(a)に示すように、窒化工程を省略した場合には、LaがSiON界面に達していることが確認された。その結果、Vfbは、HfOの場合のVfbから多少抑制されるものの大きく変化することが確認された。
【0033】
図8は、比較のためにHfSiO膜を窒化してHfSiON膜を形成した場合のSIMS結果説明図である。図8に示すように、HfO膜にSiを拡散せずに成膜したHfSiO膜を窒化してHfSiON膜を形成した場合には、LaがSiON膜中に拡散していることが確認された。
【0034】
以上の結果からは、拡散防止機能は単に膜の組成だけではなく、プロセスに大きく影響されることが確認された、即ち、高誘電率酸化膜に窒素を導入する工程と、加熱処理により窒素を拡散する工程と、シリコン層を堆積させた後に熱処理によりSiを拡散してSiを含有する高誘電率酸化窒化膜とする工程が重要であることがわかる。
【0035】
次に、図9及び図10を参照して、本発明の実施の形態の第1の適用例を説明する。まず、図9(a)に示すように、半導体基板11に素子分離領域12を形成したのち、一導電型不純物及び反対導電型不純物を導入したのち活性化して、一導電型ウエル領域13及び反対導電型ウエル領域14を形成する。
【0036】
次いで、図9(b)に示すように、半導体基板11の表面に厚さが0.3nm〜1.5nm、例えば、0.9nmの界面絶縁膜15を形成する。この界面絶縁膜15は酸素雰囲気中加熱による熱酸化膜でも良いし、酸素以外のオゾン他の酸化ガスを使うことも可能であり、またプラズマプロセスを用いた酸化を行うことも可能である。
【0037】
或いは、必要に応じて、窒化雰囲気中で加熱するか、窒素プラズマ中に熱酸化膜を曝したのち、再度酸化雰囲気あるいは不活性ガス中で加熱処理を行って酸化窒化膜にしても良い。或いは、酸化窒化雰囲気中加熱し、直接酸窒化膜を形成することも可能である。
【0038】
次いで、界面絶縁膜15上に高誘電率酸化膜17中に拡散することで反対導電型MOSFETの適した閾値が得られる反対導電型閾値調整元素を含む閾値調整元素含有膜16を0.1nm〜2nm、例えば、0.5nmの厚さに形成する。n型閾値調整元素は、La,Y,Mgであり、p型閾値調整元素はAl,Tiである。なお、成膜方法は、スパッタ法、ALD法或いはCVD法を用いる。
【0039】
次いで、閾値調整元素含有酸化膜16上に0.1nm〜3nm、例えば、1.5nmのSiを含まない高誘電率酸化膜17を堆積する。このSiを含まない高誘電率酸化膜17は、Hf,Zr,Laを含む酸化膜であり、典型的にはHfO膜である。なお、成膜方法は、スパッタ法、ALD法或いはCVD法を用いる。
【0040】
次いで、図9(b)に示すように、Siを含まない高誘電率酸化膜17に窒素18を導入する。窒素の導入はアンモニアガスなどの窒化性ガス中で加熱処理するか、窒素プラズマ中に膜を曝すことにより行う。アンモニアガス中の加熱であれば、200℃〜800℃の温度で、0.1分〜60分の時間で行う。プラズマ窒素中の曝露であれば、プラズマ励起パワーにもよるが、1秒〜180秒の時間で行う。プラズマ窒化の場合は、同時に、100℃〜500℃の加熱を行うこともできる。
【0041】
なお、Siを含まない高誘電率酸化膜17中の窒素の量は、Siを含まない高誘電率酸化膜17中の酸素以外の元素の総和の数Mに対してN/(N+M)の比で、1%〜30%、例えば、15%に相当するものとする。
【0042】
次いで、図9(c)に示すように、窒素等の不活性ガス雰囲気中で、700℃〜1100℃の温度で、1秒〜60秒間、加熱処理することによって、窒素を全体に拡散して閾値調整元素含有高誘電率酸化窒化膜19とする。
【0043】
次いで、図9(d)に示すように、スパッタ法やCVD法を用いて、閾値調整元素含有高誘電率酸化窒化膜19上に厚さが0.1nm〜2nm、例えば、0.6nmのSi含有半導体層20を堆積させる。この場合の、Si含有半導体層20は典型的には多結晶シリコン層であり、原料や製造工程に由来するHやC等が微量に含有されていても良い。
【0044】
次いで、図10(e)に示すように、窒素等の不活性ガス雰囲気中で、700℃〜1100℃の温度で、1秒〜60秒間、加熱処理することによって、Siを全体に拡散して拡散阻止能力のある閾値調整高誘電率膜21とする。
【0045】
次いで、図10(f)に示すように、フォトリソグラフィプロセス技術を用いて反対導電型ウエル領域14上に堆積した積層膜を選択的に除去する。この時、フォトリソグラフィ技術により形成した感光レジスト膜をエッチングマスクと使用する他、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、炭素膜などの膜に感光レジスト膜のパターンを転写し、これをハードマスクとしてエッチングしても良い。この場合は、エッチングプロセス完了後に、レジストマスクの除去とともに、ハードマスク除去工程を行う。エッチングは、エッチング溶液によるプロセス、またエッチングガスを用いたRIE(Reactive Dry Etching)プロセスで行うことができる。
【0046】
次いで、図10(g)に示すように、露出した反対導電型ウエル領域14の表面に厚さが0.3nm〜1.5nm、例えば、0.9nmの界面絶縁膜22を形成する。界面絶縁膜22は、例えば酸素雰囲気中加熱による熱酸化膜である。熱酸化プロセスでは、酸素以外のオゾン他の酸化ガスを使うことも可能であり、またプラズマプロセスを用いた酸化を行うことも可能である。さらに、必要に応じて窒化して酸化窒化膜としても良い。
【0047】
次いで、全面に0.1nm〜3nm、例えば、1.5nmのSiを含まない高誘電率酸化膜23を堆積する。このSiを含まない高誘電率酸化膜23も、Hf,Zr,Laを含む酸化膜であり、典型的にはHfO膜である。なお、成膜方法は、スパッタ法、ALD法或いはCVD法を用いる。必要に応じて、Siを含まない高誘電率酸化膜23に窒素を導入したのち加熱処理して窒化する。
【0048】
次いで、Siを含まない高誘電率酸化膜23上に、高誘電率酸化膜23中に拡散したときに、一導電型MOSFETの閾値を所望の値とする一導電型閾値調整元素を含有する閾値調整元素含酸化膜24を0.1nm〜2nm、例えば、0.5nmの厚さに堆積する。
【0049】
次いで、図10(h)に示すように、窒素等の不活性ガス雰囲気中で、700℃〜1100℃の温度で、1秒〜60秒間、加熱処理することによって、一導電型閾値調整元素を全体に拡散して閾値調整高誘電率膜25とする。この時、閾値調整高誘電率膜21は、拡散阻止能力を有しているので、界面絶縁膜15に一導電型閾値調整元素が達することはない。
【0050】
このように、本発明の実施の形態の第1の適用例においては、フォトリソグラフィ工程が1回であり、またそれに使用する露光マスクが1枚で済み、さらに、High−k膜上に配した膜のエッチングを伴わないため、High−k膜の損傷が発生しない。以上により、高性能で信頼性の高いメタル/High−kゲート構造CMOSFETを備える半導体装置の低コスト化が可能になる。なお、以上の説明では、半導体基板を例にして述べたが、勿論、SOI基板等を用いることも可能である。
【0051】
次に、図11及び図12を参照して、本発明の実施の形態の第2の適用例を説明する。まず、図11(a)に示すように、半導体基板11に素子分離領域12を形成したのち、一導電型不純物及び反対導電型不純物を導入したのち活性化して、一導電型ウエル領域13及び反対導電型ウエル領域14を形成する。
【0052】
次いで、図11(b)に示すように、半導体基板11の表面に厚さが0.3nm〜1.5nm、例えば、0.9nmの界面絶縁膜15を形成する。この界面絶縁膜15は酸素雰囲気中加熱による熱酸化膜でも良いし、酸素以外のオゾン他の酸化ガスを使うことも可能であり、またプラズマプロセスを用いた酸化を行うことも可能である。
【0053】
或いは、必要に応じて、窒化雰囲気中で加熱するか、窒素プラズマ中に熱酸化膜を曝したのち、再度酸化雰囲気あるいは不活性ガス中で加熱処理を行って酸化窒化膜にしても良い。或いは、酸化窒化雰囲気中加熱し、直接酸窒化膜を形成することも可能である。
【0054】
次いで、界面絶縁膜15上に高誘電率酸化膜17中に拡散することで反対導電型MOSFETの適した閾値が得られる元素を含む閾値調整元素含有膜16を0.1nm〜2nm、例えば、0.5nmの厚さに形成する。n型閾値調整元素は、La,Y,Mgであり、p型閾値調整元素はAl,Tiである。なお、成膜方法は、スパッタ法、ALD法或いはCVD法を用いる。
【0055】
次いで、フォトリソグラフィプロセス技術を用いて反対導電型ウエル領域14上に堆積した閾値調整元素含有膜16を選択的に除去する。この時、フォトリソグラフィ技術により形成した感光レジスト膜をエッチングマスクと使用する他、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、炭素膜などの膜に感光レジスト膜のパターンを転写し、これをハードマスクとしてエッチングしても良い。この場合は、エッチングプロセス完了後に、レジストマスクの除去とともに、ハードマスク除去工程を行う。エッチングは、エッチング溶液によるプロセス、またエッチングガスを用いたRIEプロセスで行うことができる。
【0056】
次いで、図11(b)に示すように、全面に0.1nm〜3nm、例えば、1.5nmのSiを含まない高誘電率酸化膜17を堆積する。このSiを含まない高誘電率酸化膜17は、Hf,Zr,Laを含む酸化膜であり、典型的にはHfO膜である。なお、成膜方法は、スパッタ法、ALD法或いはCVD法を用いる。
【0057】
次いで、図11(c)に示すように、Siを含まない高誘電率酸化膜17に窒素18を導入する。窒素の導入はアンモニアガスなどの窒化性ガス中で加熱処理するか、窒素プラズマ中に膜を曝すことにより行う。アンモニアガス中の加熱であれば、200℃〜800℃の温度で、0.1分〜60分の時間で行う。プラズマ窒素中の曝露であれば、プラズマ励起パワーにもよるが、1秒〜180秒の時間で行う。プラズマ窒化の場合は、同時に、100℃〜500℃の加熱を行うこともできる。
【0058】
なお、Siを含まない高誘電率酸化膜17中の窒素の量は、Siを含まない高誘電率酸化膜17中の酸素以外の元素の総和の数Mに対してN/(N+M)の比で、1%〜30%、例えば、15%に相当するものとする。
【0059】
次いで、図11(d)に示すように、窒素等の不活性ガス雰囲気中で、700℃〜1100℃の温度で、1秒〜60秒間、加熱処理することによって、窒素を全体に拡散して閾値調整元素含有高誘電率酸化窒化膜19とする。なお、この時、反対導電型ウエル領域14上に堆積したSiを含まない高誘電率酸化膜17には閾値調整元素を含まない高誘電率酸化窒化膜26となる。
【0060】
次いで、図12(e)に示すように、スパッタ法やCVD法を用いて、全面に厚さが0.1nm〜2nm、例えば、0.6nmのSi含有半導体層20を堆積させる。この場合の、Si含有半導体層20は典型的には多結晶シリコン層であり、原料や製造工程に由来するHやC等が微量に含有されていても良い。次いで、閾値調整元素含有膜16のフォトリソグラフィ工程で用いた露光マスクを用いたフォトリソグラフィ工程により、反対導電型ウエル領域14上に堆積したSi含有半導体層20を選択的に除去する。
【0061】
次いで、図12(f)に示すように、窒素等の不活性ガス雰囲気中で、700℃〜1100℃の温度で、1秒〜60秒間、加熱処理することによって、Siを全体に拡散して拡散阻止能力のある閾値調整高誘電率膜21とする。
【0062】
次いで、図12(g)に示すように、全面に高誘電率酸化窒化膜26中に拡散したときに、一導電型MOSFETの閾値を所望の値とする一導電型閾値調整元素を含有する閾値調整元素含酸化膜24を0.1nm〜2nm、例えば、0.5nmの厚さに堆積する。
【0063】
次いで、図12(h)に示すように、窒素等の不活性ガス雰囲気中で、700℃〜1100℃の温度で、1秒〜60秒間、加熱処理することによって、一導電型閾値調整元素を全体に拡散して閾値調整高誘電率膜27とする。この時、閾値調整高誘電率膜21は、拡散阻止能力を有しているので、界面絶縁膜15に一導電型閾値調整元素が達することはない。
【0064】
このように、本発明の実施の形態の第2の適用例においては、フォトリソグラフィ工程は2回となるが、それに使用する露光マスクが1枚で済み、また、High−k膜の成膜工程が1回で済むことになる。以上により、高性能で信頼性の高いメタル/High−kゲート構造CMOSFETを備える半導体装置の低コスト化が可能になる。
なお、以上の説明では、半導体基板を例にして述べたが、勿論、SOI基板等を用いることも可能である。
【実施例1】
【0065】
以上を前提として、次に、図13乃至図15を参照して、本発明の実施例1のCMOSFETの製造工程を説明する。まず、図13(a)に示すように、シリコン基板41に素子分離領域42を形成したのち、n−MOSFET形成領域に例えば、Bを拡散するとともに、p−MOSFET形成領域に例えば、Asをイオン注入する。次いで、加熱処理によって活性化することによってp型ウエル領域43及びn型ウエル領域44を形成する。
【0066】
次いで、酸素雰囲気中で加熱することによって厚さが、0.3nm〜1.5nm、例えば、0.9nmの熱酸化膜45を形成する。次いで、スパッタ法を用いてp型閾値調整元素となるAlを含むAl膜46を、0.1nm〜2nm、例えば、0.5nmの厚さに堆積させたのち、HfO膜47をCVD法により0.1nm〜3nm、例えば、1.5nmの厚さに堆積させる。
【0067】
次いで、図13(b)に示すように、窒素プラズマ48中にHfO膜47を1秒〜180秒間曝すことによりHfO膜47中に窒素を導入する。HfO膜47中の窒素の量Nは、HfO膜47中のHf元素の総数Mに対してN/(N+M)の比で、1〜30%、例えば、15%相当するものとする。
【0068】
次いで、図13(c)に示すように、窒素雰囲気中で700℃〜1100℃の温度において、1秒〜60秒間の熱処理を行うことによって、N原子をHfO膜47中に拡散させる。この時、Al膜46中のAlがHfO膜47中に拡散されて、HfAlON膜49となり、閾値を最適化する。
【0069】
次いで、図13(d)に示すように、スパッタ法により、厚さが、0.1nm〜2nm、例えば、0.6nmの多結晶シリコン膜50を堆積させる。次いで、図14(e)に示すように、窒素雰囲気中で700℃〜1100℃の温度において、1秒〜60秒間の熱処理を行うことによって、Si原子をHfAlON膜49中に拡散させてHfSiAlON膜51にする。
【0070】
次いで、図14(f)に示すように、フォトリソグラフィプロセス技術を用いてn型ウエル領域44上にレジストマスク52を形成し、レジストマスク52をマスクとしてp型ウエル領域43上に形成した積層膜をエッチングにより除去する。
【0071】
次いで、図14(g)に示すように、全面に酸素雰囲気中で加熱することによって厚さが、0.3nm〜1.5nm、例えば、0.9nmの熱酸化膜を形成する。次いで、窒素プラズマ中に熱酸化膜を曝してSiON膜53とする。次いで、CVD法を用いてHfO膜54を0.1nm〜3nm、例えば、1.5nmの厚さに堆積させたのち、n型閾値調整元素となるLaを含むLa膜55を、スパッタ法により0.1nm〜2nm、例えば、0.5nmの厚さに堆積させる。
【0072】
次いで、図14(h)に示すように、窒素雰囲気中で700℃〜1100℃の温度において、1秒〜60秒間の熱処理を行うことによって、La膜55中のLaをHfO膜54中に拡散してHfLaO膜56として、閾値を最適化する。この時、HfSiAlON膜51上に堆積しているLa膜55中のLaは熱酸化膜45の近傍まで拡散することはない。
【0073】
次いで、図15(i)に示すように、スパッタ法を用いて厚さが1nm〜50nmのTiN膜57を堆積させたのち、CVD法を用いて厚さが10nm〜50nmの多結晶シリコン膜58を堆積させる。
【0074】
次いで、図15(j)に示すように、フォトリソグラフィプロセス技術を用いて積層膜をエッチングして、ゲート電極59,60を形成する。
【0075】
以降は、図15(k)に示すように、通常のプロセスにより、まず、SiN膜からなる第1サイドウォールスペーサ61を形成したのち、p型ウエル領域43にAsを注入してn型エクステンション領域62を形成する。一方、n型ウエル領域44にはBを注入してp型エクステンション領域63を形成する。
【0076】
次いで、SiO膜からなる第2サイドウォールスペーサ64をp型ウエル領域43にPを注入してn型ソース・ドレイン領域65を形成する。一方、n型ウエル領域44にはBを注入してp型ソース・ドレイン領域66を形成する。
【0077】
次いで、全面にCo膜を堆積させたのち、熱処理することによって、ゲート電極59,60の頂部とn型ソース・ドレイン領域65及びp型ソース・ドレイン領域66の表面にCoシリサイド電極67〜70を形成する。次いで、未反応のCo膜を除去する。
【0078】
次いで、SiN膜からなる第1層間絶縁膜71及びSiO膜からなる第2層間絶縁膜72を形成したのち、Coシリサイド電極67,68に達するコンタクトホールを形成する。次いで、コンタクトホールをTaNバリア膜を介してWで埋め込むことによってプラグ73〜76を形成する。以降は図示を省略するが、必要とするだけの多層配線構造を形成することによってCMOSFETの基本構造が完成する。
【0079】
本発明の実施例1においては、p-MOSFET側のゲート絶縁膜を構成するHigh−k膜に窒素を拡散させたのちに、Siを拡散しているので、n-MOSFETの閾値を最適化する際に、Laがp-MOSFET側に不所望に拡散することがない。
【0080】
また、フォトリソグラフィ工程が1回、またそれに使用する露光マスクが1枚で済み、また、High−k膜上に配した膜のエッチングを伴わないため、High−k膜の損傷が発生しない。以上により、高性能で信頼性の高いメタル/High−kゲート構造CMOSFETを備える半導体装置の低コスト化が可能になる。
【実施例2】
【0081】
次に、図16乃至図18を参照して本発明の実施例2の半導体装置の製造工程を説明するが、この実施例2は、実施例1におけるp−MOSFETの絶縁膜の形成工程とn−MOSFETの絶縁膜の形成工程の順序を逆にしたものである。
【0082】
まず、図16(a)に示すように、シリコン基板41に素子分離領域42を形成したのち、n-MOSFET形成領域に例えば、Bを拡散するとともに、p−MOSFET形成領域に例えば、Asをイオン注入する。次いで、加熱処理によって活性化することによってp型ウエル領域43及びn型ウエル領域44を形成する。
【0083】
次いで、酸素雰囲気中で加熱することによって厚さが、0.3nm〜1.5nm、例えば、0.9nmの熱酸化膜を形成したのち、窒素プラズマ中に熱酸化膜を晒すことによって、SiON膜53を形成する。次いで、スパッタ法を用いてn型閾値調整元素となるLaを含むLa膜55を、0.1nm〜2nm、例えば、0.5nmの厚さに堆積させたのち、HfO膜47をCVD法により0.1nm〜3nm、例えば、1.5nmの厚さに堆積させる。
【0084】
次いで、図16(b)に示すように、窒素プラズマ48中にHfO膜47を1秒〜180秒間曝すことによりHfO膜47中に窒素を導入する。HfO膜47中の窒素の量Nは、HfO膜47中のHf元素の総数Mに対してN/(N+M)の比で、1〜30%、例えば、15%相当するものとする。
【0085】
次いで、図16(c)に示すように、窒素雰囲気中で700℃〜1100℃の温度において、1秒〜60秒間の熱処理を行うことによって、N原子をHfO膜47中に拡散させる。この時、La膜55中のLaがHfO膜47中に拡散されて、HfLaON膜77となり、閾値を最適化する。
【0086】
次いで、図16(d)に示すように、スパッタ法により、厚さが、0.1nm〜2nm、例えば、0.6nmの多結晶シリコン膜50を堆積させる。次いで、図17(e)に示すように、窒素雰囲気中で700℃〜1100℃の温度において、1秒〜60秒間の熱処理を行うことによって、Si原子をHfLaON膜77中に拡散させてHfSiLaON膜78にする。
【0087】
次いで、図17(f)に示すように、フォトリソグラフィプロセス技術を用いてp型ウエル領域43上にレジストマスク52を形成し、レジストマスク52をマスクとしてn型ウエル領域44上に形成した積層膜をエッチングにより除去する。
【0088】
次いで、図17(g)に示すように、全面に酸素雰囲気中で加熱することによって厚さが、0.3nm〜1.5nm、例えば、0.9nmの熱酸化膜45を形成する。次いで、CVD法を用いてHfO膜54を0.1nm〜3nm、例えば、1.5nmの厚さに堆積させたのち、p型閾値調整元素となるAlを含むAl膜46を、スパッタ法により0.1nm〜2nm、例えば、0.5nmの厚さに堆積させる。
【0089】
次いで、図17(h)に示すように、窒素雰囲気中で700℃〜1100℃の温度において、1秒〜60秒間の熱処理を行うことによって、Al膜46中のAlをHfO膜54中に拡散してHfAlO膜79として、閾値を最適化する。この時、HfSiLaON膜78上に堆積しているAl膜46中のAlはSiON膜53の近傍まで拡散することはない。
【0090】
次いで、図18(i)に示すように、スパッタ法を用いて厚さが1nm〜50nmのTiN膜57を堆積させたのち、CVD法を用いて厚さが10nm〜50nmの多結晶シリコン膜58を堆積させる。
【0091】
次いで、図18(j)に示すように、フォトリソグラフィプロセス技術を用いて積層膜をエッチングして、ゲート電極59,60を形成する。
【0092】
以降は、図18(k)に示すように、通常のプロセスにより、まず、SiN膜からなる第1サイドウォールスペーサ61を形成したのち、p型ウエル領域43にAsを注入してn型エクステンション領域62を形成する。一方、n型ウエル領域44にはBを注入してp型エクステンション領域63を形成する。
【0093】
次いで、SiO膜からなる第2サイドウォールスペーサ64をp型ウエル領域43にPを注入してn型ソース・ドレイン領域65を形成する。一方、n型ウエル領域44にはBを注入してp型ソース・ドレイン領域66を形成する。
【0094】
次いで、全面にCo膜を堆積させたのち、熱処理することによって、ゲート電極59,60の頂部とn型ソース・ドレイン領域65及びp型ソース・ドレイン領域66の表面にCoシリサイド電極67〜70を形成する。次いで、未反応のCo膜を除去する。
【0095】
次いで、SiN膜からなる第1層間絶縁膜71及びSiO膜からなる第2層間絶縁膜72を形成したのち、Coシリサイド電極67,68に達するコンタクトホールを形成する。次いで、コンタクトホールをTaNバリア膜を介してWで埋め込むことによってプラグ73〜76を形成する。以降は図示を省略するが、必要とするだけの多層配線構造を形成することによってCMOSFETの基本構造が完成する。
【0096】
本発明の実施例2においては、n-MOSFET側のゲート絶縁膜を構成するHigh−k膜に窒素を拡散させたのちに、Siを拡散しているので、p-MOSFETの閾値を最適化する際に、Alがn-MOSFET側に不所望に拡散することがない。
【0097】
また、上記の実施例1と同様に、フォトリソグラフィ工程が1回、またそれに使用する露光マスクが1枚で済み、また、High−k膜上に配した膜のエッチングを伴わないため、High−k膜の損傷が発生しない。以上により、高性能で信頼性の高いメタル/High−kゲート構造CMOSFETを備える半導体装置の低コスト化が可能になる。
【実施例3】
【0098】
次に、図19乃至図21を参照して、本発明の実施例3のCMOSFETの製造工程を説明する。まず、図19(a)に示すように、シリコン基板41に素子分離領域42を形成したのち、n−MOSFET形成領域に例えば、Bを拡散するとともに、p−MOSFET形成領域に例えば、Asをイオン注入する。次いで、加熱処理によって活性化することによってp型ウエル領域43及びn型ウエル領域44を形成する。
【0099】
次いで、酸素雰囲気中で加熱することによって厚さが、0.3nm〜1.5nm、例えば、0.9nmの熱酸化膜45を形成する。次いで、スパッタ法を用いてp型閾値調整元素となるAlを含むAl膜46を、0.1nm〜2nm、例えば、0.5nmの厚さに堆積させたのち、レジストマスク(図示は省略)を用いてp型ウエル領域43上のAl膜46を選択的に除去する。次いで、再び、CVD法を用いて全面にHfO膜47を0.1nm〜3nm、例えば、1.5nmの厚さに堆積させる。
【0100】
次いで、図19(b)に示すように、窒素プラズマ48中にHfO膜47を1秒〜180秒間曝すことによりHfO膜47中に窒素を導入する。HfO膜47中の窒素の量Nは、HfO膜47中のHf元素の総数Mに対してN/(N+M)の比で、1〜30%、例えば、15%相当するものとする。
【0101】
次いで、図19(c)に示すように、窒素雰囲気中で700℃〜1100℃の温度において、1秒〜60秒間の熱処理を行うことによって、N原子をHfO膜47中に拡散させてHfON膜80とする。この時、n型ウエル領域44側では、Al膜46中のAlが同時にHfO膜47中に拡散されて、HfAlON膜49となり、閾値を最適化する。
【0102】
次いで、図19(d)に示すように、スパッタ法により、厚さが、0.1nm〜2nm、例えば、0.6nmの多結晶シリコン膜50を堆積させる。次いで、Al膜46を選択エッチした工程に用いた露光マスクを用いてレジストマスク(図示は省略)を形成し、このレジストマスクを用いてp型ウエル領域43側に堆積した多結晶シリコン膜50を選択的に除去する。
【0103】
次いで、図20(e)に示すように、窒素雰囲気中で700℃〜1100℃の温度において、1秒〜60秒間の熱処理を行うことによって、Si原子をHfAlON膜49中に拡散させてHfSiAlON膜51にする。この時、p型ウエル領域43側には多結晶シリコン層50が存在しないので、HfON膜80中にSiが拡散されることはない。
【0104】
次いで、図20(f)に示すように、スパッタ法を用いて全面にn型閾値調整元素となるLaを含むLa膜55を、0.1nm〜2nm、例えば、0.5nmの厚さに堆積させる。
【0105】
次いで、図20(g)に示すように、窒素雰囲気中で700℃〜1100℃の温度において、1秒〜60秒間の熱処理を行うことによって、La膜55中のLaをHfON膜80中に拡散してHfLaON膜81として、閾値を最適化する。この時、n型ウエル領域44側のHfSiAlON膜51上に堆積しているLa膜55中のLaは熱酸化膜45の近傍まで拡散することはない。
【0106】
次いで、酸溶液、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、過酸化水素水などの1つまたは、これら複数の混合液を用いたエッチングによりn型ウエル領域44側のHfSiAlON膜51上に堆積しているLa膜55を選択的に除去して表面を平坦化する。
【0107】
次いで、図21(i)に示すように、スパッタ法を用いて厚さが1nm〜50nmのTiN膜57を堆積させたのち、CVD法を用いて厚さが10nm〜50nmの多結晶シリコン膜58を堆積させる。
【0108】
次いで、図21(j)に示すように、フォトリソグラフィプロセス技術を用いて積層膜をエッチングして、ゲート電極59,60を形成する。
【0109】
以降は、図21(k)に示すように、通常のプロセスにより、まず、SiN膜からなる第1サイドウォールスペーサ61を形成したのち、p型ウエル領域43にAsを注入してn型エクステンション領域62を形成する。一方、n型ウエル領域44にはBを注入してp型エクステンション領域63を形成する。
【0110】
次いで、SiO膜からなる第2サイドウォールスペーサ64をp型ウエル領域43にPを注入してn型ソース・ドレイン領域65を形成する。一方、n型ウエル領域44にはBを注入してp型ソース・ドレイン領域66を形成する。
【0111】
次いで、全面にCo膜を堆積させたのち、熱処理することによって、ゲート電極59,60の頂部とn型ソース・ドレイン領域65及びp型ソース・ドレイン領域66の表面にCoシリサイド電極67〜70を形成する。次いで、未反応のCo膜を除去する。
【0112】
次いで、SiN膜からなる第1層間絶縁膜71及びSiO膜からなる第2層間絶縁膜72を形成したのち、Coシリサイド電極67,68に達するコンタクトホールを形成する。次いで、コンタクトホールをTaNバリア膜を介してWで埋め込むことによってプラグ73〜76を形成する。以降は図示を省略するが、必要とするだけの多層配線構造を形成することによってCMOSFETの基本構造が完成する。
【0113】
本発明の実施例3においては、実施例1と同様に、p-MOSFET側のゲート絶縁膜を構成するHigh−k膜に窒素を拡散させたのちに、Siを拡散しているので、n-MOSFETの閾値を最適化する際に、Laがp-MOSFET側に不所望に拡散することがない。
【0114】
また、フォトリソグラフィ工程は2回となるが、それに使用する露光マスクが1枚で済み、また、High−k膜の成膜工程が1回で済むことになる。以上により、高性能で信頼性の高いメタル/High−kゲート構造CMOSFETを備える半導体装置の低コスト化が可能になる。
【実施例4】
【0115】
次に、図22乃至図24を参照して本発明の実施例4の半導体装置の製造工程を説明するが、この実施例4は、実施例3におけるp−MOSFETの絶縁膜の形成工程とn−MOSFETの絶縁膜の形成工程の順序を逆にしたものである。
【0116】
まず、図22(a)に示すように、シリコン基板41に素子分離領域42を形成したのち、n−MOSFET形成領域に例えば、Bを拡散するとともに、p−MOSFET形成領域に例えば、Asをイオン注入する。次いで、加熱処理によって活性化することによってp型ウエル領域43及びn型ウエル領域44を形成する。
【0117】
次いで、酸素雰囲気中で加熱することによって厚さが、0.3nm〜1.5nm、例えば、0.9nmの熱酸化膜45を形成する。次いで、スパッタ法を用いてn型閾値調整元素となるLaを含むLa膜54を、0.1nm〜2nm、例えば、0.5nmの厚さに堆積させたのち、レジストマスク(図示は省略)を用いてn型ウエル領域44上のLa膜54を選択的に除去する。次いで、再び、CVD法を用いて全面にHfO膜47を0.1nm〜3nm、例えば、1.5nmの厚さに堆積させる。
【0118】
次いで、図22(b)に示すように、窒素プラズマ48中にHfO膜47を1秒〜180秒間曝すことによりHfO膜47中に窒素を導入する。HfO膜47中の窒素の量Nは、HfO膜47中のHf元素の総数Mに対してN/(N+M)の比で、1〜30%、例えば、15%相当するものとする。
【0119】
次いで、図22(c)に示すように、窒素雰囲気中で700℃〜1100℃の温度において、1秒〜60秒間の熱処理を行うことによって、N原子をHfO膜47中に拡散させてHfON膜80とする。この時、p型ウエル領域43側では、La膜54中のLaが同時にHfO膜47中に拡散されて、HfLaON膜82となり、閾値を最適化する。
【0120】
次いで、図22(d)に示すように、スパッタ法により、厚さが、0.1nm〜2nm、例えば、0.6nmの多結晶シリコン膜50を堆積させる。次いで、La膜54を選択エッチした工程に用いた露光マスクを用いてレジストマスク(図示は省略)を形成し、このレジストマスクを用いてn型ウエル領域44側に堆積した多結晶シリコン膜50を選択的に除去する。
【0121】
次いで、図23(e)に示すように、窒素雰囲気中で700℃〜1100℃の温度において、1秒〜60秒間の熱処理を行うことによって、Si原子をHfLaON膜82中に拡散させてHfSiLaON膜83にする。この時、n型ウエル領域44側には多結晶シリコン層50が存在しないので、HfON膜80中にSiが拡散されることはない。
【0122】
次いで、図23(f)に示すように、スパッタ法を用いて全面にp型閾値調整元素となるAlを含むAl膜46を、0.1nm〜2nm、例えば、0.5nmの厚さに堆積させる。
【0123】
次いで、図23(g)に示すように、窒素雰囲気中で700℃〜1100℃の温度において、1秒〜60秒間の熱処理を行うことによって、Al膜46中のAlをHfON膜80中に拡散してHfAlON膜84として、閾値を最適化する。この時、p型ウエル領域43側のHfSiAlON膜83上に堆積しているAl膜46中のAlは熱酸化膜45の近傍まで拡散することはない。
【0124】
次いで、酸溶液、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、過酸化水素水などの1つまたは、これら複数の混合液を用いたエッチングによりp型ウエル領域43側のHfSiLaON膜83上に堆積しているAl膜46を選択的に除去して表面を平坦化する。
【0125】
次いで、図24(i)に示すように、スパッタ法を用いて厚さが1nm〜50nmのTiN膜57を堆積させたのち、CVD法を用いて厚さが10nm〜50nmの多結晶シリコン膜58を堆積させる。
【0126】
次いで、図24(j)に示すように、フォトリソグラフィプロセス技術を用いて積層膜をエッチングして、ゲート電極59,60を形成する。
【0127】
以降は、図24(k)に示すように、通常のプロセスにより、まず、SiN膜からなる第1サイドウォールスペーサ61を形成したのち、p型ウエル領域43にAsを注入してn型エクステンション領域62を形成する。一方、n型ウエル領域44にはBを注入してp型エクステンション領域63を形成する。
【0128】
次いで、SiO膜からなる第2サイドウォールスペーサ64をp型ウエル領域43にPを注入してn型ソース・ドレイン領域65を形成する。一方、n型ウエル領域44にはBを注入してp型ソース・ドレイン領域66を形成する。
【0129】
次いで、全面にCo膜を堆積させたのち、熱処理することによって、ゲート電極59,60の頂部とn型ソース・ドレイン領域65及びp型ソース・ドレイン領域66の表面にCoシリサイド電極67〜70を形成する。次いで、未反応のCo膜を除去する。
【0130】
次いで、SiN膜からなる第1層間絶縁膜71及びSiO膜からなる第2層間絶縁膜72を形成したのち、Coシリサイド電極67,68に達するコンタクトホールを形成する。次いで、コンタクトホールをTaNバリア膜を介してWで埋め込むことによってプラグ73〜76を形成する。以降は図示を省略するが、必要とするだけの多層配線構造を形成することによってCMOSFETの基本構造が完成する。
【0131】
本発明の実施例4においては、実施例2と同様に、n-MOSFET側のゲート絶縁膜を構成するHigh−k膜に窒素を拡散させたのちに、Siを拡散しているので、p-MOSFETの閾値を最適化する際に、Alがn-MOSFET側に不所望に拡散することがない。
【0132】
また、実施例3と同様に、フォトリソグラフィ工程は2回となるが、それに使用する露光マスクが1枚で済み、また、High−k膜の成膜工程が1回で済むことになる。以上により、高性能で信頼性の高いメタル/High−kゲート構造CMOSFETを備える半導体装置の低コスト化が可能になる。
【0133】
(付記1) Siを含有しない高誘電率酸化膜に窒素を導入したのち第1加熱処理を行う工程と、前記窒素を導入したSiを含有しない高誘電率酸化膜の上にSi含有半導体層を堆積させる工程と、第2加熱処理によって前記Si含有半導体層中のSiを、前記窒素を導入したSiを含有しない高誘電率酸化膜中に拡散する工程とを有することを特徴とする拡散防止膜の形成方法。
(付記2) 半導体基板に一導電型ウエル領域と反対導電型ウエル領域を形成する工程と、前記半導体基板の表面に第1の界面絶縁膜を形成する工程と、前記第1の界面絶縁膜上に反対導電型閾値調整元素含有酸化膜を形成する工程と、前記反対導電型閾値調整元素含有酸化膜上にSiを含有しない第1の高誘電率酸化膜を形成する工程と、前記Siを含有しない第1の高誘電率酸化膜に窒素を導入したのち第1加熱処理を行う工程と、前記窒素を導入したSiを含有しない第1の高誘電率酸化膜の上にSi含有半導体層を形成する工程と、第2加熱処理によって前記Si含有半導体層中のSiを、前記窒素を導入したSiを含有しない第1の高誘電率酸化膜中に拡散して第1の高誘電率酸化窒化膜を形成する工程と、前記反対導電型ウエル領域上の積層構造を選択的に除去して反対導電型ウエル領域の表面を露出させる工程と、前記露出した反対導電型ウエル領域の表面に第2の界面絶縁膜を形成する工程と、全面にSiを含有しない第2の高誘電率酸化膜を形成する工程と、前記Siを含有しない第2の高誘電率酸化膜上に一導電型閾値調整元素含有酸化膜を形成する工程と、第3加熱処理により、前記一導電型閾値調整元素含有酸化膜中の一導電型閾値調整元素を前記Siを含有しない第2の高誘電率酸化膜中に拡散して第3の高誘電率酸化膜を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記3) 前記反対導電型がn型である場合、前記反対導電型ウエル領域の表面に設ける第2の界面絶縁膜が窒素を含まない酸化膜であり、前記一導電型がp型である場合、前記一導電型ウエル領域の表面に設ける第2の界面絶縁膜が窒素を含む酸化膜であることを特徴とする付記3に記載の半導体装置の製造方法。
(付記4) 半導体基板に一導電型ウエル領域と反対導電型ウエル領域を形成する工程と、前記半導体基板の表面に界面絶縁膜を形成する工程と、前記一導電型ウエル領域上の界面絶縁膜上に選択的に反対導電型閾値調整元素含有酸化膜を形成する工程と、全面にSiを含有しない高誘電率酸化膜を形成する工程と、前記Siを含有しない高誘電率酸化膜に窒素を導入したのち第1加熱処理を行い、前記一導電型ウエル領域上の前記Siを含有しない高誘電率酸化膜中に窒素と前記反対導電型閾値調整元素含有酸化膜中の反対導電型閾値調整元素を拡散して第1の高誘電率酸化窒化膜を形成するとともに、前記反対導電型ウエル領域上の前記Siを含有しない高誘電率酸化膜中に窒素を拡散して第2の高誘電率酸化窒化膜を形成する工程と、前記一導電型ウエル領域上の前記第1の高誘電率酸化窒化膜上にSi含有半導体層を選択的に形成する工程と、第2加熱処理によってSi含有半導体層中のSiを前記第1の高誘電率酸化窒化膜中に拡散する工程と、全面に一導電型閾値調整元素含有酸化膜を形成する工程と、第3加熱処理により、前記一導電型閾値調整元素含有酸化膜中の一導電型閾値調整元素を前記反対導電型ウエル領域上の第2の高誘電率酸化窒化膜中に拡散する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記5) 前記一導電型閾値調整元素含有酸化膜中の一導電型閾値調整元素を前記反対導電型ウエル領域上の第2の高誘電率酸化窒化膜中に拡散する工程の後、前記一導電型ウエル領域上の前記一導電型閾値調整元素含有酸化膜を選択的に除去する工程を有することを特徴とする付記4に記載の半導体装置の製造方法。
(付記6) 前記Siを含有しない第1及び第2の高誘電率酸化膜が、少なくともHfを含む酸化膜であることを特徴とする付記2乃至付記のいずれか1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記7) 前記一導電型がn型である場合、前記一導電型閾値調整元素が、La,Y,Mgのいずれかであることを特徴とする付記2乃至付記6のいずれか1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記8) 前記一導電型がp型である場合、前記一導電型閾値調整元素が、AlまたはTiであることを特徴とする付記2乃至付記6のいずれか1に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0134】
1 半導体基板
2 界面絶縁膜
3 Siを含有しない高誘電率酸化膜
4 窒素
5 高誘電率酸化窒化膜
6 Si含有半導体層
7 Siを含む高誘電率酸化窒化膜
8 拡散防止対象元素を含む酸化膜
9 Si及び拡散対象元素を含む高誘電率酸化窒化膜
11 半導体基板
12 素子分離領域
13 一導電型ウエル領域
14 反対導電型ウエル領域
15 界面絶縁膜
16 閾値調整元素含有酸化膜
17 高誘電率酸化膜
18 窒素
19 閾値調整元素含有高誘電率酸化窒化膜
20 Si含有半導体層
21 閾値調整高誘電率膜
22 界面絶縁膜
23 高誘電率酸化膜
24 閾値調整元素含有酸化膜
25 閾値調整高誘電率膜
26 高誘電率酸化窒化膜
27 閾値調整高誘電率膜
41 シリコン基板
42 素子分離領域
43 p型ウエル領域
44 n型ウエル領域
45 熱酸化膜
46 Al
47 HfO
48 窒素プラズマ
49 HfAlON膜
50 多結晶シリコン膜
51 HfSiAlON膜
52 レジストマスク
53 SiON膜
54 HfO
55 La
56 HfLaO膜
57 TiN膜
58 多結晶シリコン膜
59,60 ゲート電極
61 第1サイドウォールスペーサ
62 n型エクステンション領域
63 p型エクステンション領域
64 第2サイドウォールスペーサ
65 n型ソース・ドレイン領域
66 p型ソース・ドレイン領域
67〜70 Coシリサイド電極
71 第1層間絶縁膜
72 第2層間絶縁膜
73〜76 プラグ
77 HfLaON膜
78 HfSiLaON膜
79 HfAlO膜
80 HfON膜
81 HfLaON膜
82 HfLaON膜
83 HfSiLaON膜
84 HfAlON膜



【特許請求の範囲】
【請求項1】
Siを含有しない高誘電率酸化膜に窒素を導入したのち第1加熱処理を行う工程と、
前記窒素を導入したSiを含有しない高誘電率酸化膜の上にSi含有半導体層を堆積させる工程と、
第2加熱処理によって前記Si含有半導体層中のSiを、前記窒素を導入したSiを含有しない高誘電率酸化膜中に拡散する工程と
を有することを特徴とする拡散防止膜の形成方法。
【請求項2】
半導体基板に一導電型ウエル領域と反対導電型ウエル領域を形成する工程と、
前記半導体基板の表面に第1の界面絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の界面絶縁膜上に反対導電型閾値調整元素含有酸化膜を形成する工程と、
前記反対導電型閾値調整元素含有酸化膜上にSiを含有しない第1の高誘電率酸化膜を形成する工程と、
前記Siを含有しない第1の高誘電率酸化膜に窒素を導入したのち第1加熱処理を行う工程と、
前記窒素を導入したSiを含有しない第1の高誘電率酸化膜の上にSi含有半導体層を形成する工程と、
第2加熱処理によって前記Si含有半導体層中のSiを、前記窒素を導入したSiを含有しない高誘電率酸化膜中に拡散して第1の高誘電率酸化窒化膜を形成する工程と、
前記反対導電型ウエル領域上の積層構造を選択的に除去して反対導電型ウエル領域の表面を露出させる工程と、
前記露出した反対導電型ウエル領域の表面に第2の界面絶縁膜を形成する工程と、
全面にSiを含有しない第2の高誘電率酸化膜を形成する工程と、
前記Siを含有しない第2の高誘電率酸化膜上に一導電型閾値調整元素含有酸化膜を形成する工程と、
第2加熱処理により、前記一導電型閾値調整元素含有酸化膜中の一導電型閾値調整元素を前記Siを含有しない第2の高誘電率酸化膜中に拡散して第3の高誘電率酸化膜を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記反対導電型がn型である場合、前記反対導電型ウエル領域の表面に設ける第2の界面絶縁膜が窒素を含まない酸化膜であり、前記一導電型がp型である場合、前記一導電型ウエル領域の表面に設ける第2の界面絶縁膜が窒素を含む酸化膜であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
半導体基板に一導電型ウエル領域と反対導電型ウエル領域を形成する工程と、
前記半導体基板の表面に界面絶縁膜を形成する工程と、
前記一導電型ウエル領域上の界面絶縁膜上に選択的に反対導電型閾値調整元素含有酸化膜を形成する工程と、
全面にSiを含有しない高誘電率酸化膜を形成する工程と、
前記Siを含有しない高誘電率酸化膜に窒素を導入したのち第1加熱処理を行い、前記一導電型ウエル領域上の前記Siを含有しない高誘電率酸化膜中に窒素と前記反対導電型閾値調整元素含有酸化膜中の反対導電型閾値調整元素を拡散して第1の高誘電率酸化窒化膜を形成するとともに、前記反対導電型ウエル領域上の前記Siを含有しない高誘電率酸化膜中に窒素を拡散して第2の高誘電率酸化窒化膜を形成する工程と、
前記一導電型ウエル領域上の前記第1の高誘電率酸化窒化膜上にSi含有半導体層を選択的に形成する工程と、
第2加熱処理によって前記Si含有半導体層中のSiを前記第1の高誘電率酸化窒化膜中に拡散する工程と、
全面に一導電型閾値調整元素含有酸化膜を形成する工程と、
第3加熱処理により、前記一導電型閾値調整元素含有酸化膜中の一導電型閾値調整元素を前記反対導電型ウエル領域上の第2の高誘電率酸化窒化膜中に拡散する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記一導電型閾値調整元素含有酸化膜中の一導電型閾値調整元素を前記反対導電型ウエル領域上の第2の高誘電率酸化窒化膜中に拡散する工程の後に、前記一導電型ウエル領域上の前記一導電型閾値調整元素含有酸化膜を選択的に除去する工程を有することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−43823(P2012−43823A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180782(P2010−180782)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】