散乱計測定の改良システムおよび応用
【課題】回折構造体の測定パラメータモデルを利用する分光散乱システムおよび方法を提供する。
【解決手段】モデルの固有値を事前計算し、記憶し、ある共通の特性をもつ他の構造体に対して後に再利用する。1つ以上のパラメータの値を求めるために用いられる散乱データは、下敷フィルム特性に対して感度が低くなる波長におけるデータだけに制限することが可能である。代表的な構造体をスラブ200’(i)のスタックにスライスし、各スラブの近似を行うため四角形ブロック210,212,214,216,218のアレイを作成することによって三次元グレーティングに対するモデルを構築することが可能となる。
【解決手段】モデルの固有値を事前計算し、記憶し、ある共通の特性をもつ他の構造体に対して後に再利用する。1つ以上のパラメータの値を求めるために用いられる散乱データは、下敷フィルム特性に対して感度が低くなる波長におけるデータだけに制限することが可能である。代表的な構造体をスラブ200’(i)のスタックにスライスし、各スラブの近似を行うため四角形ブロック210,212,214,216,218のアレイを作成することによって三次元グレーティングに対するモデルを構築することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して散乱計に関するものである。特に回折構造体の測定パラメータモデルを利用する分光散乱システムおよび方法に関し、さらに、サンプル処理への応用に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ電子デバイスの集積化および高速化がすすむにつれ、回路構造体の寸法サイズの縮小、およびプロファイルのエッジをさらに鋭くするための改善が行われている。現時点の当該技術におけるこのような装置には相当数の処理工程が必要である。各処理工程においては、サブミクロンの線幅の正確な測定やパターンウェーハ上のエッチング構造体のプロファイルを詳細にしたものがますます重要になってきている。さらに、ウェハ工程の監視やフォトリソグラフィにおける焦点−露出制御のような閉ループ制御の必要性も増えてきている。
【0003】
特に、散乱測定法のような回折に基づいた分析技術はマイクロエレクトロニクス測定学の応用に極めて適している。なぜなら、これらの技術が限界寸法走査型電子顕微鏡(CD−SEM)に比べ非破壊的であり、十分に正確であり、再現性があり、迅速、簡単、安価であるからである。
【0004】
散乱測定法は、構造体から散乱した光を角度分解して測定し特性を決定するものである。断続的な構造体の場合、入射光は、散乱したり、異なる次数に回折したりする。入射角θi に対してm次の回折次数の角度位置θr は、次に示すグレーティングの式で求める。
sinθi +sinθr =m(λ/d) (1)
ここで、λは入射光の波長であり、dは回折構造体の周期である。分光散乱測定法では、グレーティングパラメータの測定で使用可能な様々な透過光を用いて上記のような測定を行う。
【0005】
構造体から回折した光のパターンまたはスペクトルは、構造体自体の寸法を特定するための“指紋”または“署名”として利用できる。周期のほかに、さらに詳しい寸法、例えば、幅や限界寸法(CD)、段の高さ(H)、線の形状、側壁の角度(SWA)、他の変数などを以下構造体のパラメータと呼ぶことにするが、これらも分散パターンを分析することによって測定することができる。
【0006】
散乱測定法では、構造体を回折する回折モデルすなわちグレーティングをまず構築する。上述した様々なグレーティングパラメータについてパラメータ化を行い、所定の範囲にわたって各パラメータが変化できるように母数空間を定義する。次に、オフラインの参照テーブルを測定前に構築しておく。参照テーブルはライブラリとも呼ばれ、CD、高さ、壁角度などのパラメータに関し各寸法を変数とした多次元的なテーブルである。典型として、テーブルにはスペクトルを集めたものが含まれる。各スペクトルは、測定回折を行ったときの特定のパラメータの値に対応する反射率または透過率を波長あるいは照射角に対してプロットしたものである。試料スペクトルを測定した後、スペクトルすべてを参照テーブルと比較して最も合うものを見つけ、次に、一つ以上のパラメータのそれぞれに対し最もよくあう値を見つけて値を決定する。
【0007】
参照テーブルは多次元的であって、多数のパラメータを様々な範囲にわたって網羅しておく必要がある。最終的に得られるものは多次元サンプリング格子であり、格子上の各点は何百というデータポイントを含んだスペクトルである。このようなテーブルは、計算に非常に時間がかかり、精緻化が困難である。リアルタイムの測定中に何らかのパラメータがサンプリング格子から外れてしまったり、従属変数のいずれかが、参照テーブルを構築する上で使用したものと異なっていたりすると、テーブルが役に立たなくなり、再構築の必要が生じ、時間がかかってしまう。このような欠点はCD測定の統合システムの価値を極めて低くするものとなるので、このシステムにおける主たる課題はプロセスから測定結果までの時間的な遅延を減らすことである。
【0008】
したがって、測定データから回折構造体の重要なパラメータを抽出するための改良技術の提供が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,608,526号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「任意プロファイルの回折グレーティング、深度、透過性に対する多層モデル法 (Multilayer Model Method for Diffraction Gratings of Arbitary Profile, Depth, and Permativity) 」リーフェン・リー (Liefeng Li) 、J.Opt.Soc.Am.A.、Vol.10、No.12、1993年12月、2581〜2591ページ
【発明の概要】
【0011】
上述したように、従来の散乱測定法において用いられてきた多次元参照テーブルは、計算に非常に時間がかかり、精緻化が困難である。本発明は、測定される回折構造体の知識を利用すれば処理遅延を相当に減らすことができるという認識に基づいたものである。したがって、パラメータの値あるいはその範囲が概略的にわかるようにすれば、パラメータの値の完全または最大限に可能な範囲にわたりデータポイントすべてを含むフルサイズの参照テーブルを使用する必要がなくなる。このような場合、まずはパラメータの値の「最良の推測」をしておき、「最良の推測」の近隣範囲内で回折構造体からの測定データを利用して最適推定プロセスが実行できるようになる。したがって、本方法は、最初に出しておいた一連の初期推測パラメータの値を含んだ限定されたパラメータの値の範囲においてのみ演算することを含むものである。従来の方法ではパラメータの可能な値すべてにわたるデータポイントを含んだ参照テーブルを使用していたが、本方法の値の範囲は、従来の範囲よりも小さいものとなる。
【0012】
好ましくは、最適な推定では非線形回帰またはシュミレーテッド・アニーリング法を使用する。一実施形態では、一連の初期推測値は次の通りに求める。まず、異なる波長での回折に関わるデータ群が複数ある粗ライブラリを構築する。ここでは、最大限に可能な相対的に広範囲の値をカバーするよう対応するパラメータの値群を推測しながらデータ群を生成する。次に、回折構造体を測定できるようになり、ここでは測定データをライブラリと比較し、一連の初期推測パラメータの値を求める。
【0013】
回折構造体からの測定データと固有値の計算を含むモデルによって提供されるデータとを照合するプロセスの迅速化を図るために、固有値を格納して、様々な回折構造体に対し照合を実行するごとに固有値の再計算が行われてはならないようにすることで、上記処理を単純化でき、処理をさらに早く行うことができる。このとき固有値を用いて、回折構造体の一つ以上のパラメータでの値をこの構造体の測定データから獲得する。別の実施形態では、固有値の参照テーブルも予め算出し、固有値参照テーブルから補間しながら、必要とされる範囲内のいずれの固有値も計算しておくことができる。これにより、信頼性を高めつつ固有値の計算がさらに容易に早くできるようになるので、費やされる時間が最も長くロバスト性が最も低かったモデリングの部分を改善できる。
【0014】
回折構造体は高頻度で測定され、一つ以上の材料層のスタックの下および/またはその上に位置するので、このような層による測定への影響が、電磁放射線を構造体に照射して測定を行うときにこの測定自体に出てしまう。したがって、電磁放射の多色ビームを照射して、複数の波長でビームの回折の対応するデータを検出することによって構造体の測定を行う場合、構造体のデータを測定する波長を一つ以上の層の特性に応じて選択できる。一例では、一つ以上の層の特性による影響を測定があまり受けないように波長を選択する。このようなやり方をすれば、同様の構造体の測定は、周辺の別の層による影響を受けにくくなる。
【0015】
電磁放射の多色ビームおよび複数の波長でのビームの対応するデータの検出を利用して構造体の測定を実行するとき、他の範囲に比べてある一波長の範囲で測定データが著しく変化する可能性がある。したがって、さらに正確なスペクトルのサンプリング表示を提供するために、一つ以上のパラメータにおける様々な波長にわたる変化に対するデータの感度に応じて波長全体にわたるデータサンプルの密度を選択することができる。
【0016】
三次元回折構造体のモデルを作るのに際し、構造体部分に似た三次元の外形を参照面に平行な平面群に沿って切り取ってスラブのパイルを得ると、構造体のモデルを提供できる。参照面に平行な平面群に沿って並べて四角形ブロックのアレイを形成すれば各スラブを近似することが可能である。各アレイに対してマルチモーダル解析などの解析を行えば一次元の解を求めることができ、隣接ブロックの解を照合してアレイに関する二次元の解を見出せる。次に、アレイの二次元の解から外形に関する三次元の解を出すことができる。
【0017】
上述の特徴のいずれか一つ以上に従った測定を電磁放射の多色ビームを回折構造体に照射することによって行い、構造体からデータを検出する場合、測定データには構造体照射の回折の強度または偏光状態の変化を含むことが好ましい。
【0018】
いくつかのサンプルでは、グレーティングのラインパターンでわずかに変化する形にライン粗さが見られることがある。照射ビームをグレーティングラインに向けて実質的にラインに垂直な入射面に照射する。このとき供給される照射は既知の偏光状態である。ライン群による回折によって生じる偏光状態の変化を測定することでライン粗さの測定を得る。好ましくは、入射光は、S−またはP−偏光に直線的に偏光され、直交偏光係数はライン粗さを示すものとして回折される照射線から測定できる。
【0019】
上述の技術のどの一つを使っても、回折構造体の一つ以上のパラメータの値を求めることができる。このような値をリソグラフィーおよび/またはエッチングプロセスを制御するステッパおよび/またはエッチング装置のようなサンプル処理機械に供給して、一つ以上のパラメータで発見されるいずれの誤りも補正することができる。ステッパおよび/またはエッチング装置は、回折構造体の一つ以上のパラメータを求めるためのシステムを備える一体型単一ツールを形成することもできるし、それぞれ別個の機器として形成することもできる。
【0020】
上述したいずれの技術も、コンピュータや、その他の情報機器またはデジタルデバイスに取り込まれたソフトウェアコンポーネントによって実行可能である。このようなことが可能な場合、そのときは、コンピュータ、機器、またはデバイスによって上述の技術を実行し、回折構造体からの測定データを利用して一つ以上のパラメータの値(単数または複数)の見出しを支援できる。ソフトウェアコンポーネントは決まった媒体から取り込んだり、インターネットやほかのタイプのコンピュータネットワークなどの通信媒体を通じてアクセスしたりすることができる。
【0021】
散乱測定法における限界寸法もしくは他のパラメータを求めるためのモデルとしてフルサイズの多次元参照テーブルを構築する代わりに、パラメータの「最良の推測」値を用いて回帰法もしくはその他の最適な推定法を実施する。時間を節約するため、モデルの固有値を事前計算し、記憶し、ある共通の特性をもつ他の構造体に対して後に再利用する。1つ以上のパラメータの値を求めるために用いられる散乱データは、下敷フィルム特性に対して感度が低くなる波長におけるデータだけに制限することが可能である。代表的な構造体をスラブのスタックにスライスし、各スラブの近似を行うために四角形ブロックのアレイを作成することによって三次元グレーティングに対するモデルを構築することが可能となる。各ブロックに対する一次元境界値問題の解決が可能であり、さらに進んでスラブの二次元解を求めることができる。スラブに対する二次元解から三次元解を求めることができ、三次元グレーティングの解析効率が得られる。このモデルを使って散乱測定法における回折構造体の1つ以上のパラメータを求めることが可能である。表面のライン粗さは、ライングレーティングに対して垂直な入射面に偏光入射ビームを向け、直交偏波係数を測定することで測定が可能である。リソグラフィーまたはエッチングプロセスの調整を行うため、1つ以上のパラメータの値をさらにステッパまたはエッチング装置に供給する。
【0022】
本願では、記載を簡単にするために、同一コンポーネントには同じ参照番号を付与している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】本発明の例示に有用な分光散乱計の概略図である。
【図1B】本発明の例示に有用な二次元のグレーティングの断面図である。
【図2】本発明の一局面を例示するための最適な推定法を例示する流れ図である。
【図3】本発明の例示に有用な広い粗ライブラリおよび小さいローカルライブラリの概略図である。
【図4】本発明を例示するための限界寸法(CD)およびシステムのノイズに対するスペクトルの感度を例示するシリコン上レジスト・グレーティングの反射率スペクトルのグラフ式プロットである。
【図5】本発明を例示するための回折グレーティングと、グレーティング上のトップフィルム積層体と、グレーティングの下にあるボトムフィルム積層体とを含むサンプルにおいてS−マトリクスを増やす方法を例示するフローチャートである。
【図6】本発明の例示に有用なグレーティングの一部を近似するマルチスラブモデルの概略図である。
【図7】様々な波長光に対するポリシリコンの表皮厚さのグラフ式プロットである。
【図8】波長に対する回折の反射率スペクトルのグラフ式プロットで、様々な波長にわたるスペクトル感度を例示するものである。
【図9】本発明を例示するための三次元回折構造体の一部を近似するモデルの構成を例示する流れ図である。
【図10】図9のモデルの楕円形または円形の円筒を近似するための四角形ブロックのアレイを示す概略図である。
【図11】ライン粗さの測定方法を例示するための測定ビームの入射面に対する二次元のグレーティングの斜視図である。
【図12】本発明を例示するためのステッパとエッチング装置と散乱計とを含むウェハ処理装置を例示する概略ブロック図であって、散乱計からの回折構造体および/または関連する構造体からのパラメータ情報は、ステッパおよび/またはエッチング装置において製造プロセスを制御するために用いられる。
【図13】本発明の局面を具体化できるような代表的なサンプル論理デバイスを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
後述する多くのアルゴリズムおよび方法は、回折構造体で生じる回折の反射あるいは透過強度に関して記載されたものであるが、(例えば、偏光パラメータや波長の機能など)多様な波長にわたる偏光状態の変化に関する情報を含むデータに対し同様の技術およびアルゴリズムを用いることができるのは明らかである。このため、構造体で生じる回折の反射あるいは透過強度と、構造体の回折によって生じる偏光状態の変化の両方を測定可能な機器を使用することは有利となる。図1Aを参照して適切なシステムについて次に記載する。
【0025】
図1Aは、本発明の好ましい実施形態を例示するための分光散乱計システムの概略図である。図1Aに示されているように、反射あるいは透過の強度あるいは回折の偏光状態の変化を測定するために利用できるシステム10がある。図1Aに示されているように、半導体ウェハ11はシリコン基板12を備え、その上に構造体16を備えることができ、その上にフォトレジストパターンおよび/またはオーバーフィルムスタックを含むことができる。フィルムは少なくとも部分的に光透過性であり、所定のフィルム厚および屈折率を有する。(nおよびkはそれぞれ実際および仮想のコンポーネントの率を示す)。
【0026】
XYZステージ14はXY横方向へのウェハ移動に用いられる。ステージ14はウェハ11の高さzの調節に用いてもよい。偏光を無作為に選びウェハ照射用の均一な光源を提供できる光ファイバケーブル24を通じて白色光源22のような広帯域線源から光を供給する。好ましくは、光源22は少なくとも180から800nmまでの範囲の波長を有する電磁放射線を供給する。照射線はファイバ24から出てくると、絞りと焦点レンズまたは鏡(図示せず)とを含み得る発光器を通過する。出射してくる光ビームを絞りによって構造体16の狭い部分の像を結像させる。発光器26からの出射光を偏光器28によって偏光し、構造体16を照射するためのサンプリングビーム30を生成する。
【0027】
サンプリングビーム30からの照射線が、構造体16によって反射され、分析器32を通過して分光計34に到達すると、反射された照射線の様々なスペクトルコンポーネント、例えば、線源22のスペクトル中のコンポーネントを検出し、構造体の署名を得る。操作の一方法(分光測光法)では、次に、構造体16の一つ以上のパラメータの値を、反射強度を用い後述するやり方で求める。同様の目的で、照射ビーム30の反対側の構造体16側に分光計34を設け、代わりに構造体16を透過する照射線の強度を測定するように、システム10を変形することもできる。このような反射あるいは透過強度のコンポーネントをコンピュータ40に提供する。あるいは、構造体16によって反射された光はレンズ54で集められて、ビームスプリッタ52を通過し、分光計60に到達する。スペクトルコンポーネントを様々な測定波長で検出し、このコンポーネントを表す信号をコンピュータ40に供給する。構造体16によって反射される光は、上述したように発光器26を介して光源22から供給してもよいし、別の配置で別の光学コンポーネントを介して供給してもよい。したがって、このような配置では、レンズ23が光源22からの照射線を集めてビームスプリッタ52に送り、そこで入射ビームを反射させ、一部を焦点レンズ54に向け、照射線の焦点を構造体16に合わせる。構造体16によって反射された光はレンズ54で集められて、ビームスプリッタ52を通過し、分光計60に到達する。
【0028】
構造体の回折によって生じる偏光状態の変化の測定に用いられる別の方法(分光偏光解析法)でシステム10を操作する場合、複数の波長、例えば、線源22のスペクトル中の波長、において構造体16からの回折線を分光計34が検出した際に偏光器28もしくは検光子30のいずれかを(偏光器と検光子間に相対的回転動作をおこすため)回転させる。ここにおける回転は技術的に既知の方法によりコンピュータ40により制御される。検出された様々な波長における回折強度はコンピュータ40に入力され、技術的に既知の方法により、当該強度から様々な波長における偏光状態データの変化が求められる。例えば、本願明細書内に参考文献として取り入れられている米国特許第5,608,526号(特許文献1)を参照されたい。
【0029】
図1Bは、基板12上の構造体16の断面図であり、同構造体においては、本発明を例示するために、構造体上のフィルムスタック16aと構造体下のフィルムスタック16c間に設けた回折構造体16bと入射電磁ビーム30とを示している。ここに示すように、電磁放射の入射ビーム30は、空気とフィルムスタック16a間の境界と、同スタック内にある境界とにまずぶつかる。次に、フィルムスタック16aを透過するビーム30からの照射光の一部がグレーティング構造体16bで回折される。ビーム30からの照射光の少なくとも一部はグレーティング下のフィルムスタック16cに到達し、スタック16cに関連する境界によって反射されるか、もしくは境界を透過する。全光反射率は、グレーティングと当該グレーティング上および/または下のフィルムスタックの両方の影響を受ける。フィルムとグレーティング間における多重反射によりおこる多層干渉により、反射スペクトルに複雑なパターンが生じ、これを用いることで構造体のパラメータを測定することができる。上述したように、反射あるいは回折されないビーム30からの照射線の一部は基板12中で透過される。図1Bに示すように、グレーティング16bは高さがH、限界寸法CDと側壁角度(SWA)が図中に示す値をもつ。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態を例示するためのグレーティング構造体16bの1つ以上のパラメータを求めるための方法を示す流れ図である。上述したように、従来の方法では、パラメータ空間は、CD、H、SWAといった各パラメータが当該パラメータに対する精度上の要求事項で求められる増分量においてとり得るあらゆる値のように幅広い範囲の値で変化できるようにすることで構成される。予測回折強度はその後、パラメータの値の各データ群に基づいて計算され、多次元参照テーブルが作成される。構造体16bからの様々な波長における回折強度はその後、図1Aに示すような分光光度計を用いて測定される。測定された回折強度はその後、参照テーブルのスペクトルと照合され、最もよく合うものが見出される。上述したように、参照テーブルの作成は、パラメータに対して多数の値をカバーすることになるため、時間がかかる厄介な作業である。また、テーブルとの照合作業もテーブルが大きいという点で、時間がかかる。
【0031】
本発明の一局面としては、1つ以上のパラメータの値を、多次元参照テーブルで行う代わりに最適推定プロセスによって求めるというものがある。したがって、1つ以上のパラメータの近似値が既知の場合、この値を最適推定プロセスの開始点として、あるいはグレーティング構造体の1つ以上の「最良の推測」値として用いることができる。したがって、多数の波長における推定回折強度データ群はグレーティング構造体の1つ以上の「最良の推測」値により計算される。その後、測定された強度を用いて、推定強度データ群の近似値内で最適推定プロセスを実行し、1つ以上のパラメータの第2の値を得る。一実施形態として、最適推定プロセスにおいて非線形回帰法またはシュミレーテッド・アニーリング法を実行する。上記プロセスは多次元参照テーブルを用いた従来プロセスよりもはるかに早い。
【0032】
場合によっては、1つ以上のパラメータの近似値があらかじめわかっていないことがある。このような場合、スペクトルの粗ライブラリを次のように作成してもよい。パラメータの値はそれぞれがとりうる最大範囲にわたって変動可能であり、その後回折モデル112を用いて、このパラメータの値に基づいて多数の波長における推定回折強度スペクトルが計算される。測定された回折強度はその後、粗ライブラリのスペクトルと照合され、2進法推定プロセスの開始点として用いる「最良の推測」スペクトルを得る。しかし、従来法とは異なり、粗ライブラリの作成は最適推定プロセスの開始点を求めるためだけが目的であるため、ライブラリの分解能は粗いものでよく、従来法とは異なり、推定の精度がライブラリの分解能だけに依存するわけではない。
【0033】
上述したプロセスを図2に示す。まず、ブロック102に示すCD、H、SWA、その他のパラメータのような1つ以上のパラメータの値に対応するデータ群を推定して各スペクトルを計算し、多数の波長にわたる回折強度のスペクトルに対する粗ライブラリを作成する。構造体からの回折強度がその後ブロック104に示すように測定される。測定されたデータ106はその後ブロック108に示すライブラリ102のスペクトルと照合され、最適推定値を求める。その後、この最適推定値を「最良の推測」値として、また非線形回帰法(ブロック110)といった最適推定プロセスの開始点として用いる。その後、回折モデル112を用いて当初のパラメータの「最良の推測」値群の近傍の範囲内でパラメータの値群の値を変動させることによって非線形回帰プロセスを実行し、測定されたデータによりよく合った「最良の推測」である第2の値のデータ群(114)が得られる。このプロセスは測定データに対してうまくフィットするようになるまで複数回適用して繰り返す必要があることもある。この第2の値のデータ群に対応する1つ以上のパラメータの値により、その後、構造体16bの寸法が得られる。
【0034】
図2を参照しながら上述したプロセスにおいて、推定もしくは測定されたデータにはグレーティング構造体からの回折強度が含まれる。回折強度の推定もしくは測定を行う代わりに、偏光状態の変化を測定および推定することによって1つ以上のパラメータの値を求めることも可能である。この場合、スペクトル分光計60(もしくは偏光器28あるいは検光子32を回転させない分光計34)を用いて回折強度を測定する代わりに、図1AのSE偏光器34を代わりに用いて回折の偏光状態の変化を測定して図2に示す測定データ106を求める。その後、回折モデルを改造し、1つ以上のパラメータの様々な値のデータ群の変動に伴う多数の波長にわたる偏光状態における推定変化のスペクトルを求め、粗ライブラリ102を得る。
【0035】
偏光状態データの変化を用いて1つ以上のパラメータの値を求める方法については、上述したように、反射あるいは透過強度データに関する状況と同じく、偏光状態の変化に関して「最良の推測」があらかじめわかっている場合にはスペクトル102の粗ライブラリを作成する必要はまったくない。そのため、「最良の推測」値を求めるために測定データと粗ライブラリ102のスペクトルと比較するというステップを無視することができる。
【0036】
図3は、回折構造体の1つ以上のパラメータの値を求めるための他の方法を例示した概略図である。高分解能の多次元参照テーブルを構築する代わりに、上述したように、粗ライブラリ102を初めに作成してもよい。図2に示すように、測定データ106はその後、粗ライブラリ102のスペクトルと照合され最適フィット108が求められる。これは図3でサイトの1つとして例示されている。ある状況においては、測定データ106にフィットするスペクトルが1つ以上あることもあり、この場合には、図3に示すnサイトといった複数のサイトである。ここでnは正の整数である。その後、小さい詳細ローカルライブラリあるいは参照テーブルを各サイトに対して作成する。ここでパラメータは各サイトの近傍の小さな範囲内で変動が可能とする。測定データはその後、小さい詳細ローカルライブラリのスペクトルと照合され、最適推定値が求められる。
【0037】
例えば、二分割法といった標準的な探索アルゴリズムを各ローカルボックスに適用し、ローカルな照合をさらに効率よく行うようにすることもできる。この場合、ローカルボックスの全ての点があらかじめ計算されるわけではなく、探索パスに沿った点だけが計算されるため、計算量が少なくなる。
【0038】
出願人は、図4に示すように回折強度あるいは偏光状態の変化といった測定データがある照射波長において他の波長に比べてより感度が高くなるということを見出した。図1Aに示すシステム10におけるノイズといった、システムのノイズも図4に例示するように波長に関係しうる。そのため、回折強度あるいは偏光状態の変化の感度が最も高くなる波長におけるデータを用いて上述したプロセスあるいは方法を行うことが望ましい。また、システムのノイズが低いあるいは最小となる波長におけるデータを用いて上述したプロセスあるいは方法を行うことが望ましい。図4に示す例において、410、525、570nm近傍の波長におけるモデル回折データを用いて測定および計算を行うが、580nmより大きな波長での回折強度データは避けるようにすることも考えられる。
【0039】
二次元回折グレーティングの解析において、任意のプロファイルに近似させるため薄いグレーティング層のスタックを実行するのが便利である。例として、「任意プロファイルの回折グレーティング、深度、透過性に対する多層モデル法 (Multilayer Model Method for Diffraction Gratings of Arbitary Profile, Depth, and Permativity) 」リーフェン・リー (Liefeng Li) 、J.Opt.Soc.Am.A.、Vol.10、No.12、1993年12月、2581〜2591ページ(非特許文献1)を参照されたい。電磁放射ビームとグレーティング間の相互作用についてはマルチモーダル法あるいは厳密な結合波解析法といった方法を用いてモデル化がなされる。これらの方法には固有値の計算が含まれている。しかしながら、本発明前に提案された方法全てにおいて、固有値はグレーティングのパラメータが決まる毎に始めから計算しなおす。固有値の計算は時間がかかるわずらわしい作業であるため、提案された方法も同様に時間がかかりわずらわしい。
【0040】
本発明の他の局面は、様々な測定された回折グレーティングはわずかな点で異なるだけの場合が多いため、同じグレーティングの部位について得られた固有値といったデータをその後の参照と再利用のために記憶しておくことによって計算時間と労力の節約ができるという認識に基づいたものである。
【0041】
固有値の参照テーブルについても事前に計算がなされるようにしてもよく、それによりある範囲内にある固有値は固有値参照テーブルから補間法で計算される。線形あるいは3次スプラインといった標準的な補間ルーチンのいずれかを固有値補間に用いてもよい。これにより固有値の計算を容易に、すばやく、また高い信頼性で行うことができるようになる。
【0042】
記憶とその後の再利用を含むアルゴリズムや、参照テーブルの事前計算やその後の補間を含む他のアルゴリズムを次に示すようにS−マトリクスを用いて行ってもよい。
【0043】
これを図5および図6に例示する。図1Bおよび図5を参照しながら、S−マトリクス伝搬をまず底部フィルムスタック16c(ブロック150)で実施する。その後スタックあるいはスラブのパイルを含む多層モデルを用いてグレーティングS−マトリクスの計算を行う。これを図6でより明確に示す。図6に示すように、図1Bのグレーティング線部の左側160については4つのスラブ162a、162b、162c、162dにより形が近似される。S−マトリクスは4つのスラブそれぞれに対して計算される。その後、全グレーティングS−マトリクス(ブロック152)をスラブに対するS−マトリクスから計算する。その後、最上部フィルムスタック16a(ブロック154)に対してS−マトリクスを求める。
【0044】
本発明の1つの局面は、参照テーブルを構築するためにモデル化された多数の様々な回折グレーティングについて、プロファイルが異なっていても、グレーティングの底部については本質的に同じであるということを出願人が見出したことに基づいている。このような場合、スタックあるいはパイル162における底部スラブのS−マトリクス値は、最上部の多数のスラブが異なっていても全てのグレーティングに対して同じと考えられる。このような場合、1つの回折グレーティングに対してS−マトリクスの計算を行った後に全てのスラブに対するS−マトリクス値を記憶しておくことは有用であるため、他の異なるグレーティング構造体をモデル化するために用いるスラブに対してS−マトリクスデータを再利用でき、再計算が不要になる。これにより時間と労力の節約ができる。そのため図6に示すように、左側160のグレーティング構造体の変更後、様々な構造体のモデル化が行われ、他の様々な多層モデルをスラブとともに構築する。この様々なグレーティング構造体における底部の2つのスラブが側面160に対してはスラブ162a、162bが同じで、最上部の多数のスラブがスラブ162c、162dと異なるということも起こり得る。このような場合、左側160のグレーティングのモデル化ですでに得られたスラブ162a、162bに対するS−マトリクス値を他の異なる構造体に対して再利用してもよい。
【0045】
したがって、上述したように、パイル162の底部あるいはその近辺における1つ以上のスラブのS−マトリクス値を記憶することは有用である。新たな構造体において、そのパラメータが対象となる場合、その構造体が最上部におけるスラブのいくつかだけが既にモデル化されたものと異なるといった場合、必要な作業は、パイル162の最上部における1つ以上のスラブの寸法を変えて、その新たな異なるグレーティング構造体の近似を行い、他の回折構造体における1つ以上のパラメータの値を得るためパイル底部あるいはその近辺におけるスラブのいくつかの記憶されたS−マトリクスを再利用するというものである。
【0046】
回折構造体が単物質で構成されている場合もあれば、様々な材料の層で構成されている場合もある。上述した多層モデルは構造体における同一あるいは異なる種類の物質に対するものである。物質を考慮する方法については、技術的に既知のものであり、ここでは述べない。
【0047】
使用されたモデルが厳密な結合波解析モデルである場合、これにより固有関数も計算される。この固有関数についても固有値とともに記憶し、他の回折構造体のモデル化と解析に用いる。
【0048】
スラブ162のパイルのモデル化に加えて、使用したモデルには底部フィルムスタック(ブロック150)や最上部フィルムスタック(ブロック154)を通したS−マトリクスの伝搬を含む場合もある。モデル化の行われる他の回折構造体が同様の底部フィルムスタック16cの上部あるいは同様のフィルムスタック16aの下部にある場合、フィルムスタックに対するこのようなS−マトリクス値をそのような他の異なるグレーティング構造体の測定で再利用することにより、これらのマトリックスは再計算する必要がなくなる。これにより時間と労力が節約できる。そのため、本発明の他の局面としては、底部および最上部フィルムスタックに対するS−マトリクス値についても同様の底部および最上部フィルムスタックに関して異なる回折構造体の1つ以上のパラメータの値を求めるために用いるよう記憶させるというものがある。ここで明らかなように、底部および最上部フィルムスタックに対するS−マトリクスはそれぞれ別個に用いられるため、他の回折構造体に対する計算は最上部あるいは底部のフィルムスタックS−マトリクスに対するものだけとなるが、その両方ではない。
【0049】
図1Bに示すように、グレーティング構造体16bはフィルムスタックの下あるいは上にある。半導体ウェハにおいて、これらのフィルムスタックの光学的特性はウェハ内において、もしくは同一の回折グレーティングを持つ別個のウェハ間において変わりうる。こういった場合、フィルムスタックの光学的特性の変化に対する感度が低くなる波長で得られたデータだけを処理することが望ましい。この方法により、変化が計算に与える影響が小さくなるため、計算が単純化される。これについては、例えば、ポリシリコンの浸透厚さに対して波長をグラフ上にプロットした図7に示されている。図7に示すように、ポリシリコンは紫外線領域から約380nmの波長において実質的に不透明になっている。そのため、解析される偏光状態データの強度あるいは変化がこの波長範囲におけるもののみであった場合、最上部あるいは底部フィルムスタックの光学特性の変化が測定に与える影響は実質的に無視できる。
【0050】
下敷フィルムが不透明でない場合においても、全構造体からみて反射率に与える影響は、多層干渉により特定の波長において無視可能である。この波長において、スペクトルはフィルムスタック変動に対して不感度となるが、グレーティングパラメータに対しては感度を保つ。そのため、フィルムスタックの変動を無視しながら、グレーティングパラメータの測定を行うためこれらの波長における反射率を用いることができる。
【0051】
強度あるいは偏光状態の変化は、特定の波長における1つ以上のパラメータの値の変化に対する波長の関数として他の波長におけるものよりも感度が高い。本発明の他の局面としては、データが波長の関数として鋭いピークや谷を示すような波長における強度あるいは偏光状態の変化のデータ点密度を高めることにより、結果データで示されるスペクトル署名はさらに正確になる。これを特定の回折構造体の波長に対して回折強度をグラフ上にプロットしたものを図8に示す。そのため、図8でわかるとおり、波長に対する回折強度の変化は、例えば、182から188の波長領域のように特定の波長で滑らかなものになっている。しかし、184から186の波長領域のようにわずかな波長の変化に対して回折強度が急速に変化する他の領域もある。こういった領域ではカーブの形状をより正確に示すためデータサンプルの密度を上げることが望ましく、これによりその後の処理やカーブフィッティングあるいはデータ照合においてより精度のよい結果が得られる。
【0052】
三次元グレーティング
半導体の製造において、三次元の回折構造体となっている場合もよくある。この構造は下敷フィルムスタックの上(最上部フィルムスタックの下の場合もある)に二次元ヒル配置を含んでいる。構造体200はグレーティングの1期間を例示している。
【0053】
構造体200を一部に含む三次元グレーティングをモデル化するため、グレーティングにおいて入射波と反射波を含むグレーティング外の平面波と合致する擬似周期解を求める。この解を求めるため、1周期内の三次元構造体200を考慮する。この方法において、全構造体200は円筒あるいはスラブのパイルにより近似がなされる。
【0054】
各スラブに対する解をまず求める。この解は断面における擬似周期境界値問題の水平二次元解に垂直伝搬平面波を掛けたものである。y方向におけるここでの境界条件を図10に示す。これは次の式でも求めることができる。
ここで、E(x,ym+1 )はx,ym+1 における電場を示す。y0 ,ym+1 は次に記載および図10においてブロック210〜218として例示されているスラブの近似のための四角形ブロックのアレイの最初と最後の境界を示す。mはアレイ内における四角形ブロックの数を示す。k0yはy方向における波数を示す。dy はy方向における周期を示す。
【0055】
図9に示すように、円錐形構造体200は基準面202上にある。構造帯200のモデルは、平面202に平行な面に沿った三次元グレーティングの構造体200のような典型的な部位に似た三次元外形をカットして、スライス200(i)のような多数のスライスを得ることにより得られる。ここでiは1からpまでの値をとり、pは正の整数である。それから、各スライスを円筒状スラブで形状を近似させ構造体200’を得る。このモデル化については図9の矢印204で示している。例示を目的として、構造体200’では5つの円筒のみが描かれている。構造体200の形状が円錐形でない場合、5つのスラブ200’(1)、…200’(5)は円筒ではないが、楕円やその他の形状の断面に当てはめることが可能である。一般的に、構造体200は、複数のスラブのパイルを含む形状200’により近似がなされる。ここにおいて、各スラブは円筒、楕円筒あるいはその他の適当な形状に当てはめる。iが1からpまで変化する場合において、形状200’の各スラブ200’(i)に対しては、四角形ブロックのアレイを構築し、図10に示すスラブの形状を近似する。図10に示すように、形状が実質的に楕円形である特定のスラブについては、5つの四角形ブロック210,212,214,216,218のアレイにより近似(矢印224)がなされる。
【0056】
上述したように、二次元解を求めるためには、200’(i)といった各スラブは四角形ブロックのアレイにより近似がなされる。図10の実施形態において、スラブ200’(i)は5つの四角形ブロック210〜218で近似がなされている。5つのブロック210〜218のそれぞれに対する一次元境界値問題は技術的に既知の方法で求める。隣接するブロック210〜218の一次元解はその後照合され、四角形ブロックの一次元解と波数ky でy方向に伝搬する平面波との積となるスラブ200’(i)に対する二次元解を構築する。ky の正しい値についてその後探索を行い、二次元解をy方向における擬似周期境界条件に合致させる。この方法で求めた二次元解は二次元固有関数である。各スラブに対して求めた二次元解はその後、外形200’外の平面波と照合され、外形200’に対する三次元解を構築する。全グレーティングに対する三次元解をその後求め、これにより反射波と透過波の両方に対する回折効率が得られる。この三次元解をデータベースに記憶し、三次元回折構造体の1つ以上のパラメータに関する値を求める上で有用なデータソースとしてもよい。
【0057】
図11は、測定ビームの入射面に対する二次元グレーティングの斜視図であり、ライン粗さの測定システムを例示している。半導体ウェハの処理方法により、ウェハ表面におけるライン粗さが製造工程に起因する場合がある。ライン粗さは直線形からの二次元グレーティングの変位である。本発明の他の局面は、ラインが反射光の偏光に与える影響を測定することにより、ライン粗さの測定が得られるという観察結果に基づくものである。これを図11に示す。この概念を例示するために、ウェハ表面300には二次元グレーティング302のアレイがある。照射ビーム304は、グレーティング線302と好ましくは実質的に直交する入射面306内のグレーティング302に入射する。ビーム304は、偏光され、既知の偏光状態をもつ。グレーティング302により回折される光はその後、上述した分光偏光解析装置34あるいはその他の適当な機器(例えば、分光器を組み合わせた偏光器)を用いて検出を行い、グレーティング302で生じるビーム304の偏光状態の変化を測定する。このようにして測定された偏光状態の変化はグレーティング302の特性を示す。
【0058】
一実施形態において、ビーム304は入射面306方向に直線的に偏光される(P−偏光)あるいは面306に対して実質的に直交する方向に直線的に偏光される(S−偏光)。その後、分光偏光解析装置34を用いてライン粗さの測定として直交偏波係数の測定を行う。すなわち、ビーム304がS−偏光すれば、照射ビーム304の強度に対するP−偏光要素の比率により直交偏波係数が得られる反射光のP−偏光要素の強度を分光偏光解析装置で測定する。ビーム304がP−偏光すれば、照射ビーム304の強度に対するS−偏光要素の比率により直交偏波係数が得られる反射光のS−偏光要素の強度を分光偏光解析装置で測定する。ライン粗さがなければ、これらの係数はゼロとなる。
【0059】
図12は、本発明の他の局面を例示するための一元散乱計、フォトリソグラフステッパ、エッチング装置の概略ブロック図である。フォトレジストといった材料層がステッパ手段350により半導体ウェハ表面に形成され、ここでフォトレジストがウェハ上にグレーティング構造体を形成する。グレーティング構造体のCD、H、SWA、その他パラメータのうちの1つ以上についてその後、図1Aのシステム10を用いて測定され、フォトレジストパターンの1つ以上のパラメータの値を求めたい場合は、上述した技術の1つ以上を用いる。コンピュータ40からの値はその後ステッパ350にフィードバックされ、ここでこの情報を用いてステッパ350でのフォトリソグラフ工程の変更を行って誤りを補正する。半導体工程において、ウェハ上にフォトレジスト層が形成された後、エッチング装置手段360等によりエッチング工程が実施される。フォトレジスト層はその後既知の技術によって取り除かれ、ウェハ上の半導体材料でできたグレーティング構造体について、システム10を用いて再び測定を行ってもよい。上述した技術のうち1つ以上を用いて測定された値をエッチング装置に提供し、システム10を用いて見出された誤りを補正するため、エッチングパラメータのいずれか1つを変更することも可能である。当然ながら、システム10において1つ以上の上述した技術により得られた結果はステッパおよびエッチング装置の両方、もしくはそれらの両方ではなくいずれか1つにおいて用いることも可能である。ステッパ350および/またはエッチング装置360は回折構造体の1つ以上のパラメータを求めるためにシステム10とともに一体化された単一ツールを構成するか、もしくはそこから機器を切り離すことも可能である。
【0060】
ソフトウェアアップグレード
図1Aに示すシステムを用いた本発明については上述したとおりである。図1Aのシステムにおいて様々な光学的コンポーネントを用いてサンプルからの測定データを得る一方、他の工程の多くがコンピュータ40によって実行される。このように、半導体製造業者といった製造業者が現在使用している多くのシステムに対して、システムで用いられているコンピュータが上述した技術を実行する能力をもたない場合もある。したがって、本発明の他の局面は、これらのコンピュータにおけるソフトウェアのアップグレードが可能であり、そのためコンピュータ40が上述した様々な機能のうちの1つ以上が実行可能となるということを想定したものである。そのため、本発明の他の局面は、上述した機能を実行するためのコンピュータ40にインストールされるソフトウェアコンポーネントに関するものである。図1Aのシステム10の光学的コンポーネントと連係するこれらの機能によって、上に概略を示した様々な利点をもった結果が得られる。ソフトウェアあるいはプログラムは様々な方法によってコンピュータ40にインストールされる。
【0061】
本技術において理解されるように、本発明のソフトウェアコンポーネントは、適切に構成されたコンピュータデバイスが本発明にしたがって実行するよう本コンピュータデバイスにインストールされた際の論理命令および/またはデータを含む固定メディアプログラムコンポーネントにおいて具現化される。本技術において理解されるように、固定メディアプログラムは固定メディアにのせてユーザに届けられ、ユーザのコンピュータにインストールされるか、もしくはプログラムコンポーネントをダウンロードできるよう通信媒体を通してユーザがアクセスできるよう遠隔サーバにおくことも可能である。このように本発明の他の局面は、通信を行うこと、あるいは通信を行わせること、ユーザのデバイスにダウンロードした際にコンポーネントが上述した機能の1つ以上を実行可能できるような、ユーザに対するプログラムコンポーネント等を含むものである。
【0062】
図13は、メディア417および/またはネットワークポート419から命令を読み取ることのできる論理デバイスとして理解しうる情報デバイス(もしくはデジタルデバイス)を示す。デバイス40はその後、これらの命令を用いて、本技術において理解されるように、サーバあるいはクライエント論理に対して本発明の局面を具現化するよう指示をだす。本発明を具現化する論理デバイスの1つの形としては、CPU404、光学入力デバイス409と411、ディスクドライブ415および光学モニタ405を含む40で示すようなコンピュータシステムがある。このようなシステムのプログラムを組むために固定メディア417を用いる。これにはディスク型光学または磁気メディア、磁気テープ、固体メモリといったものがある。本発明の1つ以上の局面は、その全てあるいは一部がこの固定メディア上に記録されたソフトウェアとして具現化される。通信ポート419は、上述した機能のいずれか1つ以上を実行するため、このようなシステムのプログラムを組むために用いられる命令を初めに受信するために用いることも可能であり、インターネットやその他のコンピュータネットワークといった通信用接続のいずれかのタイプであってもよい。この命令あるいはプログラムは直接ユーザのデバイスに伝えられる、あるいはユーザのデバイスを通してアクセス可能なインターネット上のウェブサイト等の形でネットワーク上に置かれる。ユーザが利用可能なプログラあるいはソフトウェアコンポーネントの構築方法は既知の技術であり、ここでは述べない。
【0063】
本発明はまた、アプリケーション用特定集積回路(ASIC)あるいはプログラム可能な論理デバイス(PLD)の回路構成においてその全てあるいは一部が具現化される。この場合、本発明は、ここで記載したような動作を行うASICあるいはPLDを構築するために用いることの可能なコンピュータが理解可能な記述言語において具現化される。
【0064】
本発明は様々な具現化によって上記のように記述したが、本発明の適用範囲から逸脱しない範囲内における変更や改造を行うことも可能であり、本発明は添付の請求の範囲およびそれに相当するものによってのみ定義がなされることを理解すべきである。ここで述べた全ての参考文献はそのままで含まれるものとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して散乱計に関するものである。特に回折構造体の測定パラメータモデルを利用する分光散乱システムおよび方法に関し、さらに、サンプル処理への応用に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ電子デバイスの集積化および高速化がすすむにつれ、回路構造体の寸法サイズの縮小、およびプロファイルのエッジをさらに鋭くするための改善が行われている。現時点の当該技術におけるこのような装置には相当数の処理工程が必要である。各処理工程においては、サブミクロンの線幅の正確な測定やパターンウェーハ上のエッチング構造体のプロファイルを詳細にしたものがますます重要になってきている。さらに、ウェハ工程の監視やフォトリソグラフィにおける焦点−露出制御のような閉ループ制御の必要性も増えてきている。
【0003】
特に、散乱測定法のような回折に基づいた分析技術はマイクロエレクトロニクス測定学の応用に極めて適している。なぜなら、これらの技術が限界寸法走査型電子顕微鏡(CD−SEM)に比べ非破壊的であり、十分に正確であり、再現性があり、迅速、簡単、安価であるからである。
【0004】
散乱測定法は、構造体から散乱した光を角度分解して測定し特性を決定するものである。断続的な構造体の場合、入射光は、散乱したり、異なる次数に回折したりする。入射角θi に対してm次の回折次数の角度位置θr は、次に示すグレーティングの式で求める。
sinθi +sinθr =m(λ/d) (1)
ここで、λは入射光の波長であり、dは回折構造体の周期である。分光散乱測定法では、グレーティングパラメータの測定で使用可能な様々な透過光を用いて上記のような測定を行う。
【0005】
構造体から回折した光のパターンまたはスペクトルは、構造体自体の寸法を特定するための“指紋”または“署名”として利用できる。周期のほかに、さらに詳しい寸法、例えば、幅や限界寸法(CD)、段の高さ(H)、線の形状、側壁の角度(SWA)、他の変数などを以下構造体のパラメータと呼ぶことにするが、これらも分散パターンを分析することによって測定することができる。
【0006】
散乱測定法では、構造体を回折する回折モデルすなわちグレーティングをまず構築する。上述した様々なグレーティングパラメータについてパラメータ化を行い、所定の範囲にわたって各パラメータが変化できるように母数空間を定義する。次に、オフラインの参照テーブルを測定前に構築しておく。参照テーブルはライブラリとも呼ばれ、CD、高さ、壁角度などのパラメータに関し各寸法を変数とした多次元的なテーブルである。典型として、テーブルにはスペクトルを集めたものが含まれる。各スペクトルは、測定回折を行ったときの特定のパラメータの値に対応する反射率または透過率を波長あるいは照射角に対してプロットしたものである。試料スペクトルを測定した後、スペクトルすべてを参照テーブルと比較して最も合うものを見つけ、次に、一つ以上のパラメータのそれぞれに対し最もよくあう値を見つけて値を決定する。
【0007】
参照テーブルは多次元的であって、多数のパラメータを様々な範囲にわたって網羅しておく必要がある。最終的に得られるものは多次元サンプリング格子であり、格子上の各点は何百というデータポイントを含んだスペクトルである。このようなテーブルは、計算に非常に時間がかかり、精緻化が困難である。リアルタイムの測定中に何らかのパラメータがサンプリング格子から外れてしまったり、従属変数のいずれかが、参照テーブルを構築する上で使用したものと異なっていたりすると、テーブルが役に立たなくなり、再構築の必要が生じ、時間がかかってしまう。このような欠点はCD測定の統合システムの価値を極めて低くするものとなるので、このシステムにおける主たる課題はプロセスから測定結果までの時間的な遅延を減らすことである。
【0008】
したがって、測定データから回折構造体の重要なパラメータを抽出するための改良技術の提供が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,608,526号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「任意プロファイルの回折グレーティング、深度、透過性に対する多層モデル法 (Multilayer Model Method for Diffraction Gratings of Arbitary Profile, Depth, and Permativity) 」リーフェン・リー (Liefeng Li) 、J.Opt.Soc.Am.A.、Vol.10、No.12、1993年12月、2581〜2591ページ
【発明の概要】
【0011】
上述したように、従来の散乱測定法において用いられてきた多次元参照テーブルは、計算に非常に時間がかかり、精緻化が困難である。本発明は、測定される回折構造体の知識を利用すれば処理遅延を相当に減らすことができるという認識に基づいたものである。したがって、パラメータの値あるいはその範囲が概略的にわかるようにすれば、パラメータの値の完全または最大限に可能な範囲にわたりデータポイントすべてを含むフルサイズの参照テーブルを使用する必要がなくなる。このような場合、まずはパラメータの値の「最良の推測」をしておき、「最良の推測」の近隣範囲内で回折構造体からの測定データを利用して最適推定プロセスが実行できるようになる。したがって、本方法は、最初に出しておいた一連の初期推測パラメータの値を含んだ限定されたパラメータの値の範囲においてのみ演算することを含むものである。従来の方法ではパラメータの可能な値すべてにわたるデータポイントを含んだ参照テーブルを使用していたが、本方法の値の範囲は、従来の範囲よりも小さいものとなる。
【0012】
好ましくは、最適な推定では非線形回帰またはシュミレーテッド・アニーリング法を使用する。一実施形態では、一連の初期推測値は次の通りに求める。まず、異なる波長での回折に関わるデータ群が複数ある粗ライブラリを構築する。ここでは、最大限に可能な相対的に広範囲の値をカバーするよう対応するパラメータの値群を推測しながらデータ群を生成する。次に、回折構造体を測定できるようになり、ここでは測定データをライブラリと比較し、一連の初期推測パラメータの値を求める。
【0013】
回折構造体からの測定データと固有値の計算を含むモデルによって提供されるデータとを照合するプロセスの迅速化を図るために、固有値を格納して、様々な回折構造体に対し照合を実行するごとに固有値の再計算が行われてはならないようにすることで、上記処理を単純化でき、処理をさらに早く行うことができる。このとき固有値を用いて、回折構造体の一つ以上のパラメータでの値をこの構造体の測定データから獲得する。別の実施形態では、固有値の参照テーブルも予め算出し、固有値参照テーブルから補間しながら、必要とされる範囲内のいずれの固有値も計算しておくことができる。これにより、信頼性を高めつつ固有値の計算がさらに容易に早くできるようになるので、費やされる時間が最も長くロバスト性が最も低かったモデリングの部分を改善できる。
【0014】
回折構造体は高頻度で測定され、一つ以上の材料層のスタックの下および/またはその上に位置するので、このような層による測定への影響が、電磁放射線を構造体に照射して測定を行うときにこの測定自体に出てしまう。したがって、電磁放射の多色ビームを照射して、複数の波長でビームの回折の対応するデータを検出することによって構造体の測定を行う場合、構造体のデータを測定する波長を一つ以上の層の特性に応じて選択できる。一例では、一つ以上の層の特性による影響を測定があまり受けないように波長を選択する。このようなやり方をすれば、同様の構造体の測定は、周辺の別の層による影響を受けにくくなる。
【0015】
電磁放射の多色ビームおよび複数の波長でのビームの対応するデータの検出を利用して構造体の測定を実行するとき、他の範囲に比べてある一波長の範囲で測定データが著しく変化する可能性がある。したがって、さらに正確なスペクトルのサンプリング表示を提供するために、一つ以上のパラメータにおける様々な波長にわたる変化に対するデータの感度に応じて波長全体にわたるデータサンプルの密度を選択することができる。
【0016】
三次元回折構造体のモデルを作るのに際し、構造体部分に似た三次元の外形を参照面に平行な平面群に沿って切り取ってスラブのパイルを得ると、構造体のモデルを提供できる。参照面に平行な平面群に沿って並べて四角形ブロックのアレイを形成すれば各スラブを近似することが可能である。各アレイに対してマルチモーダル解析などの解析を行えば一次元の解を求めることができ、隣接ブロックの解を照合してアレイに関する二次元の解を見出せる。次に、アレイの二次元の解から外形に関する三次元の解を出すことができる。
【0017】
上述の特徴のいずれか一つ以上に従った測定を電磁放射の多色ビームを回折構造体に照射することによって行い、構造体からデータを検出する場合、測定データには構造体照射の回折の強度または偏光状態の変化を含むことが好ましい。
【0018】
いくつかのサンプルでは、グレーティングのラインパターンでわずかに変化する形にライン粗さが見られることがある。照射ビームをグレーティングラインに向けて実質的にラインに垂直な入射面に照射する。このとき供給される照射は既知の偏光状態である。ライン群による回折によって生じる偏光状態の変化を測定することでライン粗さの測定を得る。好ましくは、入射光は、S−またはP−偏光に直線的に偏光され、直交偏光係数はライン粗さを示すものとして回折される照射線から測定できる。
【0019】
上述の技術のどの一つを使っても、回折構造体の一つ以上のパラメータの値を求めることができる。このような値をリソグラフィーおよび/またはエッチングプロセスを制御するステッパおよび/またはエッチング装置のようなサンプル処理機械に供給して、一つ以上のパラメータで発見されるいずれの誤りも補正することができる。ステッパおよび/またはエッチング装置は、回折構造体の一つ以上のパラメータを求めるためのシステムを備える一体型単一ツールを形成することもできるし、それぞれ別個の機器として形成することもできる。
【0020】
上述したいずれの技術も、コンピュータや、その他の情報機器またはデジタルデバイスに取り込まれたソフトウェアコンポーネントによって実行可能である。このようなことが可能な場合、そのときは、コンピュータ、機器、またはデバイスによって上述の技術を実行し、回折構造体からの測定データを利用して一つ以上のパラメータの値(単数または複数)の見出しを支援できる。ソフトウェアコンポーネントは決まった媒体から取り込んだり、インターネットやほかのタイプのコンピュータネットワークなどの通信媒体を通じてアクセスしたりすることができる。
【0021】
散乱測定法における限界寸法もしくは他のパラメータを求めるためのモデルとしてフルサイズの多次元参照テーブルを構築する代わりに、パラメータの「最良の推測」値を用いて回帰法もしくはその他の最適な推定法を実施する。時間を節約するため、モデルの固有値を事前計算し、記憶し、ある共通の特性をもつ他の構造体に対して後に再利用する。1つ以上のパラメータの値を求めるために用いられる散乱データは、下敷フィルム特性に対して感度が低くなる波長におけるデータだけに制限することが可能である。代表的な構造体をスラブのスタックにスライスし、各スラブの近似を行うために四角形ブロックのアレイを作成することによって三次元グレーティングに対するモデルを構築することが可能となる。各ブロックに対する一次元境界値問題の解決が可能であり、さらに進んでスラブの二次元解を求めることができる。スラブに対する二次元解から三次元解を求めることができ、三次元グレーティングの解析効率が得られる。このモデルを使って散乱測定法における回折構造体の1つ以上のパラメータを求めることが可能である。表面のライン粗さは、ライングレーティングに対して垂直な入射面に偏光入射ビームを向け、直交偏波係数を測定することで測定が可能である。リソグラフィーまたはエッチングプロセスの調整を行うため、1つ以上のパラメータの値をさらにステッパまたはエッチング装置に供給する。
【0022】
本願では、記載を簡単にするために、同一コンポーネントには同じ参照番号を付与している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】本発明の例示に有用な分光散乱計の概略図である。
【図1B】本発明の例示に有用な二次元のグレーティングの断面図である。
【図2】本発明の一局面を例示するための最適な推定法を例示する流れ図である。
【図3】本発明の例示に有用な広い粗ライブラリおよび小さいローカルライブラリの概略図である。
【図4】本発明を例示するための限界寸法(CD)およびシステムのノイズに対するスペクトルの感度を例示するシリコン上レジスト・グレーティングの反射率スペクトルのグラフ式プロットである。
【図5】本発明を例示するための回折グレーティングと、グレーティング上のトップフィルム積層体と、グレーティングの下にあるボトムフィルム積層体とを含むサンプルにおいてS−マトリクスを増やす方法を例示するフローチャートである。
【図6】本発明の例示に有用なグレーティングの一部を近似するマルチスラブモデルの概略図である。
【図7】様々な波長光に対するポリシリコンの表皮厚さのグラフ式プロットである。
【図8】波長に対する回折の反射率スペクトルのグラフ式プロットで、様々な波長にわたるスペクトル感度を例示するものである。
【図9】本発明を例示するための三次元回折構造体の一部を近似するモデルの構成を例示する流れ図である。
【図10】図9のモデルの楕円形または円形の円筒を近似するための四角形ブロックのアレイを示す概略図である。
【図11】ライン粗さの測定方法を例示するための測定ビームの入射面に対する二次元のグレーティングの斜視図である。
【図12】本発明を例示するためのステッパとエッチング装置と散乱計とを含むウェハ処理装置を例示する概略ブロック図であって、散乱計からの回折構造体および/または関連する構造体からのパラメータ情報は、ステッパおよび/またはエッチング装置において製造プロセスを制御するために用いられる。
【図13】本発明の局面を具体化できるような代表的なサンプル論理デバイスを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
後述する多くのアルゴリズムおよび方法は、回折構造体で生じる回折の反射あるいは透過強度に関して記載されたものであるが、(例えば、偏光パラメータや波長の機能など)多様な波長にわたる偏光状態の変化に関する情報を含むデータに対し同様の技術およびアルゴリズムを用いることができるのは明らかである。このため、構造体で生じる回折の反射あるいは透過強度と、構造体の回折によって生じる偏光状態の変化の両方を測定可能な機器を使用することは有利となる。図1Aを参照して適切なシステムについて次に記載する。
【0025】
図1Aは、本発明の好ましい実施形態を例示するための分光散乱計システムの概略図である。図1Aに示されているように、反射あるいは透過の強度あるいは回折の偏光状態の変化を測定するために利用できるシステム10がある。図1Aに示されているように、半導体ウェハ11はシリコン基板12を備え、その上に構造体16を備えることができ、その上にフォトレジストパターンおよび/またはオーバーフィルムスタックを含むことができる。フィルムは少なくとも部分的に光透過性であり、所定のフィルム厚および屈折率を有する。(nおよびkはそれぞれ実際および仮想のコンポーネントの率を示す)。
【0026】
XYZステージ14はXY横方向へのウェハ移動に用いられる。ステージ14はウェハ11の高さzの調節に用いてもよい。偏光を無作為に選びウェハ照射用の均一な光源を提供できる光ファイバケーブル24を通じて白色光源22のような広帯域線源から光を供給する。好ましくは、光源22は少なくとも180から800nmまでの範囲の波長を有する電磁放射線を供給する。照射線はファイバ24から出てくると、絞りと焦点レンズまたは鏡(図示せず)とを含み得る発光器を通過する。出射してくる光ビームを絞りによって構造体16の狭い部分の像を結像させる。発光器26からの出射光を偏光器28によって偏光し、構造体16を照射するためのサンプリングビーム30を生成する。
【0027】
サンプリングビーム30からの照射線が、構造体16によって反射され、分析器32を通過して分光計34に到達すると、反射された照射線の様々なスペクトルコンポーネント、例えば、線源22のスペクトル中のコンポーネントを検出し、構造体の署名を得る。操作の一方法(分光測光法)では、次に、構造体16の一つ以上のパラメータの値を、反射強度を用い後述するやり方で求める。同様の目的で、照射ビーム30の反対側の構造体16側に分光計34を設け、代わりに構造体16を透過する照射線の強度を測定するように、システム10を変形することもできる。このような反射あるいは透過強度のコンポーネントをコンピュータ40に提供する。あるいは、構造体16によって反射された光はレンズ54で集められて、ビームスプリッタ52を通過し、分光計60に到達する。スペクトルコンポーネントを様々な測定波長で検出し、このコンポーネントを表す信号をコンピュータ40に供給する。構造体16によって反射される光は、上述したように発光器26を介して光源22から供給してもよいし、別の配置で別の光学コンポーネントを介して供給してもよい。したがって、このような配置では、レンズ23が光源22からの照射線を集めてビームスプリッタ52に送り、そこで入射ビームを反射させ、一部を焦点レンズ54に向け、照射線の焦点を構造体16に合わせる。構造体16によって反射された光はレンズ54で集められて、ビームスプリッタ52を通過し、分光計60に到達する。
【0028】
構造体の回折によって生じる偏光状態の変化の測定に用いられる別の方法(分光偏光解析法)でシステム10を操作する場合、複数の波長、例えば、線源22のスペクトル中の波長、において構造体16からの回折線を分光計34が検出した際に偏光器28もしくは検光子30のいずれかを(偏光器と検光子間に相対的回転動作をおこすため)回転させる。ここにおける回転は技術的に既知の方法によりコンピュータ40により制御される。検出された様々な波長における回折強度はコンピュータ40に入力され、技術的に既知の方法により、当該強度から様々な波長における偏光状態データの変化が求められる。例えば、本願明細書内に参考文献として取り入れられている米国特許第5,608,526号(特許文献1)を参照されたい。
【0029】
図1Bは、基板12上の構造体16の断面図であり、同構造体においては、本発明を例示するために、構造体上のフィルムスタック16aと構造体下のフィルムスタック16c間に設けた回折構造体16bと入射電磁ビーム30とを示している。ここに示すように、電磁放射の入射ビーム30は、空気とフィルムスタック16a間の境界と、同スタック内にある境界とにまずぶつかる。次に、フィルムスタック16aを透過するビーム30からの照射光の一部がグレーティング構造体16bで回折される。ビーム30からの照射光の少なくとも一部はグレーティング下のフィルムスタック16cに到達し、スタック16cに関連する境界によって反射されるか、もしくは境界を透過する。全光反射率は、グレーティングと当該グレーティング上および/または下のフィルムスタックの両方の影響を受ける。フィルムとグレーティング間における多重反射によりおこる多層干渉により、反射スペクトルに複雑なパターンが生じ、これを用いることで構造体のパラメータを測定することができる。上述したように、反射あるいは回折されないビーム30からの照射線の一部は基板12中で透過される。図1Bに示すように、グレーティング16bは高さがH、限界寸法CDと側壁角度(SWA)が図中に示す値をもつ。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態を例示するためのグレーティング構造体16bの1つ以上のパラメータを求めるための方法を示す流れ図である。上述したように、従来の方法では、パラメータ空間は、CD、H、SWAといった各パラメータが当該パラメータに対する精度上の要求事項で求められる増分量においてとり得るあらゆる値のように幅広い範囲の値で変化できるようにすることで構成される。予測回折強度はその後、パラメータの値の各データ群に基づいて計算され、多次元参照テーブルが作成される。構造体16bからの様々な波長における回折強度はその後、図1Aに示すような分光光度計を用いて測定される。測定された回折強度はその後、参照テーブルのスペクトルと照合され、最もよく合うものが見出される。上述したように、参照テーブルの作成は、パラメータに対して多数の値をカバーすることになるため、時間がかかる厄介な作業である。また、テーブルとの照合作業もテーブルが大きいという点で、時間がかかる。
【0031】
本発明の一局面としては、1つ以上のパラメータの値を、多次元参照テーブルで行う代わりに最適推定プロセスによって求めるというものがある。したがって、1つ以上のパラメータの近似値が既知の場合、この値を最適推定プロセスの開始点として、あるいはグレーティング構造体の1つ以上の「最良の推測」値として用いることができる。したがって、多数の波長における推定回折強度データ群はグレーティング構造体の1つ以上の「最良の推測」値により計算される。その後、測定された強度を用いて、推定強度データ群の近似値内で最適推定プロセスを実行し、1つ以上のパラメータの第2の値を得る。一実施形態として、最適推定プロセスにおいて非線形回帰法またはシュミレーテッド・アニーリング法を実行する。上記プロセスは多次元参照テーブルを用いた従来プロセスよりもはるかに早い。
【0032】
場合によっては、1つ以上のパラメータの近似値があらかじめわかっていないことがある。このような場合、スペクトルの粗ライブラリを次のように作成してもよい。パラメータの値はそれぞれがとりうる最大範囲にわたって変動可能であり、その後回折モデル112を用いて、このパラメータの値に基づいて多数の波長における推定回折強度スペクトルが計算される。測定された回折強度はその後、粗ライブラリのスペクトルと照合され、2進法推定プロセスの開始点として用いる「最良の推測」スペクトルを得る。しかし、従来法とは異なり、粗ライブラリの作成は最適推定プロセスの開始点を求めるためだけが目的であるため、ライブラリの分解能は粗いものでよく、従来法とは異なり、推定の精度がライブラリの分解能だけに依存するわけではない。
【0033】
上述したプロセスを図2に示す。まず、ブロック102に示すCD、H、SWA、その他のパラメータのような1つ以上のパラメータの値に対応するデータ群を推定して各スペクトルを計算し、多数の波長にわたる回折強度のスペクトルに対する粗ライブラリを作成する。構造体からの回折強度がその後ブロック104に示すように測定される。測定されたデータ106はその後ブロック108に示すライブラリ102のスペクトルと照合され、最適推定値を求める。その後、この最適推定値を「最良の推測」値として、また非線形回帰法(ブロック110)といった最適推定プロセスの開始点として用いる。その後、回折モデル112を用いて当初のパラメータの「最良の推測」値群の近傍の範囲内でパラメータの値群の値を変動させることによって非線形回帰プロセスを実行し、測定されたデータによりよく合った「最良の推測」である第2の値のデータ群(114)が得られる。このプロセスは測定データに対してうまくフィットするようになるまで複数回適用して繰り返す必要があることもある。この第2の値のデータ群に対応する1つ以上のパラメータの値により、その後、構造体16bの寸法が得られる。
【0034】
図2を参照しながら上述したプロセスにおいて、推定もしくは測定されたデータにはグレーティング構造体からの回折強度が含まれる。回折強度の推定もしくは測定を行う代わりに、偏光状態の変化を測定および推定することによって1つ以上のパラメータの値を求めることも可能である。この場合、スペクトル分光計60(もしくは偏光器28あるいは検光子32を回転させない分光計34)を用いて回折強度を測定する代わりに、図1AのSE偏光器34を代わりに用いて回折の偏光状態の変化を測定して図2に示す測定データ106を求める。その後、回折モデルを改造し、1つ以上のパラメータの様々な値のデータ群の変動に伴う多数の波長にわたる偏光状態における推定変化のスペクトルを求め、粗ライブラリ102を得る。
【0035】
偏光状態データの変化を用いて1つ以上のパラメータの値を求める方法については、上述したように、反射あるいは透過強度データに関する状況と同じく、偏光状態の変化に関して「最良の推測」があらかじめわかっている場合にはスペクトル102の粗ライブラリを作成する必要はまったくない。そのため、「最良の推測」値を求めるために測定データと粗ライブラリ102のスペクトルと比較するというステップを無視することができる。
【0036】
図3は、回折構造体の1つ以上のパラメータの値を求めるための他の方法を例示した概略図である。高分解能の多次元参照テーブルを構築する代わりに、上述したように、粗ライブラリ102を初めに作成してもよい。図2に示すように、測定データ106はその後、粗ライブラリ102のスペクトルと照合され最適フィット108が求められる。これは図3でサイトの1つとして例示されている。ある状況においては、測定データ106にフィットするスペクトルが1つ以上あることもあり、この場合には、図3に示すnサイトといった複数のサイトである。ここでnは正の整数である。その後、小さい詳細ローカルライブラリあるいは参照テーブルを各サイトに対して作成する。ここでパラメータは各サイトの近傍の小さな範囲内で変動が可能とする。測定データはその後、小さい詳細ローカルライブラリのスペクトルと照合され、最適推定値が求められる。
【0037】
例えば、二分割法といった標準的な探索アルゴリズムを各ローカルボックスに適用し、ローカルな照合をさらに効率よく行うようにすることもできる。この場合、ローカルボックスの全ての点があらかじめ計算されるわけではなく、探索パスに沿った点だけが計算されるため、計算量が少なくなる。
【0038】
出願人は、図4に示すように回折強度あるいは偏光状態の変化といった測定データがある照射波長において他の波長に比べてより感度が高くなるということを見出した。図1Aに示すシステム10におけるノイズといった、システムのノイズも図4に例示するように波長に関係しうる。そのため、回折強度あるいは偏光状態の変化の感度が最も高くなる波長におけるデータを用いて上述したプロセスあるいは方法を行うことが望ましい。また、システムのノイズが低いあるいは最小となる波長におけるデータを用いて上述したプロセスあるいは方法を行うことが望ましい。図4に示す例において、410、525、570nm近傍の波長におけるモデル回折データを用いて測定および計算を行うが、580nmより大きな波長での回折強度データは避けるようにすることも考えられる。
【0039】
二次元回折グレーティングの解析において、任意のプロファイルに近似させるため薄いグレーティング層のスタックを実行するのが便利である。例として、「任意プロファイルの回折グレーティング、深度、透過性に対する多層モデル法 (Multilayer Model Method for Diffraction Gratings of Arbitary Profile, Depth, and Permativity) 」リーフェン・リー (Liefeng Li) 、J.Opt.Soc.Am.A.、Vol.10、No.12、1993年12月、2581〜2591ページ(非特許文献1)を参照されたい。電磁放射ビームとグレーティング間の相互作用についてはマルチモーダル法あるいは厳密な結合波解析法といった方法を用いてモデル化がなされる。これらの方法には固有値の計算が含まれている。しかしながら、本発明前に提案された方法全てにおいて、固有値はグレーティングのパラメータが決まる毎に始めから計算しなおす。固有値の計算は時間がかかるわずらわしい作業であるため、提案された方法も同様に時間がかかりわずらわしい。
【0040】
本発明の他の局面は、様々な測定された回折グレーティングはわずかな点で異なるだけの場合が多いため、同じグレーティングの部位について得られた固有値といったデータをその後の参照と再利用のために記憶しておくことによって計算時間と労力の節約ができるという認識に基づいたものである。
【0041】
固有値の参照テーブルについても事前に計算がなされるようにしてもよく、それによりある範囲内にある固有値は固有値参照テーブルから補間法で計算される。線形あるいは3次スプラインといった標準的な補間ルーチンのいずれかを固有値補間に用いてもよい。これにより固有値の計算を容易に、すばやく、また高い信頼性で行うことができるようになる。
【0042】
記憶とその後の再利用を含むアルゴリズムや、参照テーブルの事前計算やその後の補間を含む他のアルゴリズムを次に示すようにS−マトリクスを用いて行ってもよい。
【0043】
これを図5および図6に例示する。図1Bおよび図5を参照しながら、S−マトリクス伝搬をまず底部フィルムスタック16c(ブロック150)で実施する。その後スタックあるいはスラブのパイルを含む多層モデルを用いてグレーティングS−マトリクスの計算を行う。これを図6でより明確に示す。図6に示すように、図1Bのグレーティング線部の左側160については4つのスラブ162a、162b、162c、162dにより形が近似される。S−マトリクスは4つのスラブそれぞれに対して計算される。その後、全グレーティングS−マトリクス(ブロック152)をスラブに対するS−マトリクスから計算する。その後、最上部フィルムスタック16a(ブロック154)に対してS−マトリクスを求める。
【0044】
本発明の1つの局面は、参照テーブルを構築するためにモデル化された多数の様々な回折グレーティングについて、プロファイルが異なっていても、グレーティングの底部については本質的に同じであるということを出願人が見出したことに基づいている。このような場合、スタックあるいはパイル162における底部スラブのS−マトリクス値は、最上部の多数のスラブが異なっていても全てのグレーティングに対して同じと考えられる。このような場合、1つの回折グレーティングに対してS−マトリクスの計算を行った後に全てのスラブに対するS−マトリクス値を記憶しておくことは有用であるため、他の異なるグレーティング構造体をモデル化するために用いるスラブに対してS−マトリクスデータを再利用でき、再計算が不要になる。これにより時間と労力の節約ができる。そのため図6に示すように、左側160のグレーティング構造体の変更後、様々な構造体のモデル化が行われ、他の様々な多層モデルをスラブとともに構築する。この様々なグレーティング構造体における底部の2つのスラブが側面160に対してはスラブ162a、162bが同じで、最上部の多数のスラブがスラブ162c、162dと異なるということも起こり得る。このような場合、左側160のグレーティングのモデル化ですでに得られたスラブ162a、162bに対するS−マトリクス値を他の異なる構造体に対して再利用してもよい。
【0045】
したがって、上述したように、パイル162の底部あるいはその近辺における1つ以上のスラブのS−マトリクス値を記憶することは有用である。新たな構造体において、そのパラメータが対象となる場合、その構造体が最上部におけるスラブのいくつかだけが既にモデル化されたものと異なるといった場合、必要な作業は、パイル162の最上部における1つ以上のスラブの寸法を変えて、その新たな異なるグレーティング構造体の近似を行い、他の回折構造体における1つ以上のパラメータの値を得るためパイル底部あるいはその近辺におけるスラブのいくつかの記憶されたS−マトリクスを再利用するというものである。
【0046】
回折構造体が単物質で構成されている場合もあれば、様々な材料の層で構成されている場合もある。上述した多層モデルは構造体における同一あるいは異なる種類の物質に対するものである。物質を考慮する方法については、技術的に既知のものであり、ここでは述べない。
【0047】
使用されたモデルが厳密な結合波解析モデルである場合、これにより固有関数も計算される。この固有関数についても固有値とともに記憶し、他の回折構造体のモデル化と解析に用いる。
【0048】
スラブ162のパイルのモデル化に加えて、使用したモデルには底部フィルムスタック(ブロック150)や最上部フィルムスタック(ブロック154)を通したS−マトリクスの伝搬を含む場合もある。モデル化の行われる他の回折構造体が同様の底部フィルムスタック16cの上部あるいは同様のフィルムスタック16aの下部にある場合、フィルムスタックに対するこのようなS−マトリクス値をそのような他の異なるグレーティング構造体の測定で再利用することにより、これらのマトリックスは再計算する必要がなくなる。これにより時間と労力が節約できる。そのため、本発明の他の局面としては、底部および最上部フィルムスタックに対するS−マトリクス値についても同様の底部および最上部フィルムスタックに関して異なる回折構造体の1つ以上のパラメータの値を求めるために用いるよう記憶させるというものがある。ここで明らかなように、底部および最上部フィルムスタックに対するS−マトリクスはそれぞれ別個に用いられるため、他の回折構造体に対する計算は最上部あるいは底部のフィルムスタックS−マトリクスに対するものだけとなるが、その両方ではない。
【0049】
図1Bに示すように、グレーティング構造体16bはフィルムスタックの下あるいは上にある。半導体ウェハにおいて、これらのフィルムスタックの光学的特性はウェハ内において、もしくは同一の回折グレーティングを持つ別個のウェハ間において変わりうる。こういった場合、フィルムスタックの光学的特性の変化に対する感度が低くなる波長で得られたデータだけを処理することが望ましい。この方法により、変化が計算に与える影響が小さくなるため、計算が単純化される。これについては、例えば、ポリシリコンの浸透厚さに対して波長をグラフ上にプロットした図7に示されている。図7に示すように、ポリシリコンは紫外線領域から約380nmの波長において実質的に不透明になっている。そのため、解析される偏光状態データの強度あるいは変化がこの波長範囲におけるもののみであった場合、最上部あるいは底部フィルムスタックの光学特性の変化が測定に与える影響は実質的に無視できる。
【0050】
下敷フィルムが不透明でない場合においても、全構造体からみて反射率に与える影響は、多層干渉により特定の波長において無視可能である。この波長において、スペクトルはフィルムスタック変動に対して不感度となるが、グレーティングパラメータに対しては感度を保つ。そのため、フィルムスタックの変動を無視しながら、グレーティングパラメータの測定を行うためこれらの波長における反射率を用いることができる。
【0051】
強度あるいは偏光状態の変化は、特定の波長における1つ以上のパラメータの値の変化に対する波長の関数として他の波長におけるものよりも感度が高い。本発明の他の局面としては、データが波長の関数として鋭いピークや谷を示すような波長における強度あるいは偏光状態の変化のデータ点密度を高めることにより、結果データで示されるスペクトル署名はさらに正確になる。これを特定の回折構造体の波長に対して回折強度をグラフ上にプロットしたものを図8に示す。そのため、図8でわかるとおり、波長に対する回折強度の変化は、例えば、182から188の波長領域のように特定の波長で滑らかなものになっている。しかし、184から186の波長領域のようにわずかな波長の変化に対して回折強度が急速に変化する他の領域もある。こういった領域ではカーブの形状をより正確に示すためデータサンプルの密度を上げることが望ましく、これによりその後の処理やカーブフィッティングあるいはデータ照合においてより精度のよい結果が得られる。
【0052】
三次元グレーティング
半導体の製造において、三次元の回折構造体となっている場合もよくある。この構造は下敷フィルムスタックの上(最上部フィルムスタックの下の場合もある)に二次元ヒル配置を含んでいる。構造体200はグレーティングの1期間を例示している。
【0053】
構造体200を一部に含む三次元グレーティングをモデル化するため、グレーティングにおいて入射波と反射波を含むグレーティング外の平面波と合致する擬似周期解を求める。この解を求めるため、1周期内の三次元構造体200を考慮する。この方法において、全構造体200は円筒あるいはスラブのパイルにより近似がなされる。
【0054】
各スラブに対する解をまず求める。この解は断面における擬似周期境界値問題の水平二次元解に垂直伝搬平面波を掛けたものである。y方向におけるここでの境界条件を図10に示す。これは次の式でも求めることができる。
ここで、E(x,ym+1 )はx,ym+1 における電場を示す。y0 ,ym+1 は次に記載および図10においてブロック210〜218として例示されているスラブの近似のための四角形ブロックのアレイの最初と最後の境界を示す。mはアレイ内における四角形ブロックの数を示す。k0yはy方向における波数を示す。dy はy方向における周期を示す。
【0055】
図9に示すように、円錐形構造体200は基準面202上にある。構造帯200のモデルは、平面202に平行な面に沿った三次元グレーティングの構造体200のような典型的な部位に似た三次元外形をカットして、スライス200(i)のような多数のスライスを得ることにより得られる。ここでiは1からpまでの値をとり、pは正の整数である。それから、各スライスを円筒状スラブで形状を近似させ構造体200’を得る。このモデル化については図9の矢印204で示している。例示を目的として、構造体200’では5つの円筒のみが描かれている。構造体200の形状が円錐形でない場合、5つのスラブ200’(1)、…200’(5)は円筒ではないが、楕円やその他の形状の断面に当てはめることが可能である。一般的に、構造体200は、複数のスラブのパイルを含む形状200’により近似がなされる。ここにおいて、各スラブは円筒、楕円筒あるいはその他の適当な形状に当てはめる。iが1からpまで変化する場合において、形状200’の各スラブ200’(i)に対しては、四角形ブロックのアレイを構築し、図10に示すスラブの形状を近似する。図10に示すように、形状が実質的に楕円形である特定のスラブについては、5つの四角形ブロック210,212,214,216,218のアレイにより近似(矢印224)がなされる。
【0056】
上述したように、二次元解を求めるためには、200’(i)といった各スラブは四角形ブロックのアレイにより近似がなされる。図10の実施形態において、スラブ200’(i)は5つの四角形ブロック210〜218で近似がなされている。5つのブロック210〜218のそれぞれに対する一次元境界値問題は技術的に既知の方法で求める。隣接するブロック210〜218の一次元解はその後照合され、四角形ブロックの一次元解と波数ky でy方向に伝搬する平面波との積となるスラブ200’(i)に対する二次元解を構築する。ky の正しい値についてその後探索を行い、二次元解をy方向における擬似周期境界条件に合致させる。この方法で求めた二次元解は二次元固有関数である。各スラブに対して求めた二次元解はその後、外形200’外の平面波と照合され、外形200’に対する三次元解を構築する。全グレーティングに対する三次元解をその後求め、これにより反射波と透過波の両方に対する回折効率が得られる。この三次元解をデータベースに記憶し、三次元回折構造体の1つ以上のパラメータに関する値を求める上で有用なデータソースとしてもよい。
【0057】
図11は、測定ビームの入射面に対する二次元グレーティングの斜視図であり、ライン粗さの測定システムを例示している。半導体ウェハの処理方法により、ウェハ表面におけるライン粗さが製造工程に起因する場合がある。ライン粗さは直線形からの二次元グレーティングの変位である。本発明の他の局面は、ラインが反射光の偏光に与える影響を測定することにより、ライン粗さの測定が得られるという観察結果に基づくものである。これを図11に示す。この概念を例示するために、ウェハ表面300には二次元グレーティング302のアレイがある。照射ビーム304は、グレーティング線302と好ましくは実質的に直交する入射面306内のグレーティング302に入射する。ビーム304は、偏光され、既知の偏光状態をもつ。グレーティング302により回折される光はその後、上述した分光偏光解析装置34あるいはその他の適当な機器(例えば、分光器を組み合わせた偏光器)を用いて検出を行い、グレーティング302で生じるビーム304の偏光状態の変化を測定する。このようにして測定された偏光状態の変化はグレーティング302の特性を示す。
【0058】
一実施形態において、ビーム304は入射面306方向に直線的に偏光される(P−偏光)あるいは面306に対して実質的に直交する方向に直線的に偏光される(S−偏光)。その後、分光偏光解析装置34を用いてライン粗さの測定として直交偏波係数の測定を行う。すなわち、ビーム304がS−偏光すれば、照射ビーム304の強度に対するP−偏光要素の比率により直交偏波係数が得られる反射光のP−偏光要素の強度を分光偏光解析装置で測定する。ビーム304がP−偏光すれば、照射ビーム304の強度に対するS−偏光要素の比率により直交偏波係数が得られる反射光のS−偏光要素の強度を分光偏光解析装置で測定する。ライン粗さがなければ、これらの係数はゼロとなる。
【0059】
図12は、本発明の他の局面を例示するための一元散乱計、フォトリソグラフステッパ、エッチング装置の概略ブロック図である。フォトレジストといった材料層がステッパ手段350により半導体ウェハ表面に形成され、ここでフォトレジストがウェハ上にグレーティング構造体を形成する。グレーティング構造体のCD、H、SWA、その他パラメータのうちの1つ以上についてその後、図1Aのシステム10を用いて測定され、フォトレジストパターンの1つ以上のパラメータの値を求めたい場合は、上述した技術の1つ以上を用いる。コンピュータ40からの値はその後ステッパ350にフィードバックされ、ここでこの情報を用いてステッパ350でのフォトリソグラフ工程の変更を行って誤りを補正する。半導体工程において、ウェハ上にフォトレジスト層が形成された後、エッチング装置手段360等によりエッチング工程が実施される。フォトレジスト層はその後既知の技術によって取り除かれ、ウェハ上の半導体材料でできたグレーティング構造体について、システム10を用いて再び測定を行ってもよい。上述した技術のうち1つ以上を用いて測定された値をエッチング装置に提供し、システム10を用いて見出された誤りを補正するため、エッチングパラメータのいずれか1つを変更することも可能である。当然ながら、システム10において1つ以上の上述した技術により得られた結果はステッパおよびエッチング装置の両方、もしくはそれらの両方ではなくいずれか1つにおいて用いることも可能である。ステッパ350および/またはエッチング装置360は回折構造体の1つ以上のパラメータを求めるためにシステム10とともに一体化された単一ツールを構成するか、もしくはそこから機器を切り離すことも可能である。
【0060】
ソフトウェアアップグレード
図1Aに示すシステムを用いた本発明については上述したとおりである。図1Aのシステムにおいて様々な光学的コンポーネントを用いてサンプルからの測定データを得る一方、他の工程の多くがコンピュータ40によって実行される。このように、半導体製造業者といった製造業者が現在使用している多くのシステムに対して、システムで用いられているコンピュータが上述した技術を実行する能力をもたない場合もある。したがって、本発明の他の局面は、これらのコンピュータにおけるソフトウェアのアップグレードが可能であり、そのためコンピュータ40が上述した様々な機能のうちの1つ以上が実行可能となるということを想定したものである。そのため、本発明の他の局面は、上述した機能を実行するためのコンピュータ40にインストールされるソフトウェアコンポーネントに関するものである。図1Aのシステム10の光学的コンポーネントと連係するこれらの機能によって、上に概略を示した様々な利点をもった結果が得られる。ソフトウェアあるいはプログラムは様々な方法によってコンピュータ40にインストールされる。
【0061】
本技術において理解されるように、本発明のソフトウェアコンポーネントは、適切に構成されたコンピュータデバイスが本発明にしたがって実行するよう本コンピュータデバイスにインストールされた際の論理命令および/またはデータを含む固定メディアプログラムコンポーネントにおいて具現化される。本技術において理解されるように、固定メディアプログラムは固定メディアにのせてユーザに届けられ、ユーザのコンピュータにインストールされるか、もしくはプログラムコンポーネントをダウンロードできるよう通信媒体を通してユーザがアクセスできるよう遠隔サーバにおくことも可能である。このように本発明の他の局面は、通信を行うこと、あるいは通信を行わせること、ユーザのデバイスにダウンロードした際にコンポーネントが上述した機能の1つ以上を実行可能できるような、ユーザに対するプログラムコンポーネント等を含むものである。
【0062】
図13は、メディア417および/またはネットワークポート419から命令を読み取ることのできる論理デバイスとして理解しうる情報デバイス(もしくはデジタルデバイス)を示す。デバイス40はその後、これらの命令を用いて、本技術において理解されるように、サーバあるいはクライエント論理に対して本発明の局面を具現化するよう指示をだす。本発明を具現化する論理デバイスの1つの形としては、CPU404、光学入力デバイス409と411、ディスクドライブ415および光学モニタ405を含む40で示すようなコンピュータシステムがある。このようなシステムのプログラムを組むために固定メディア417を用いる。これにはディスク型光学または磁気メディア、磁気テープ、固体メモリといったものがある。本発明の1つ以上の局面は、その全てあるいは一部がこの固定メディア上に記録されたソフトウェアとして具現化される。通信ポート419は、上述した機能のいずれか1つ以上を実行するため、このようなシステムのプログラムを組むために用いられる命令を初めに受信するために用いることも可能であり、インターネットやその他のコンピュータネットワークといった通信用接続のいずれかのタイプであってもよい。この命令あるいはプログラムは直接ユーザのデバイスに伝えられる、あるいはユーザのデバイスを通してアクセス可能なインターネット上のウェブサイト等の形でネットワーク上に置かれる。ユーザが利用可能なプログラあるいはソフトウェアコンポーネントの構築方法は既知の技術であり、ここでは述べない。
【0063】
本発明はまた、アプリケーション用特定集積回路(ASIC)あるいはプログラム可能な論理デバイス(PLD)の回路構成においてその全てあるいは一部が具現化される。この場合、本発明は、ここで記載したような動作を行うASICあるいはPLDを構築するために用いることの可能なコンピュータが理解可能な記述言語において具現化される。
【0064】
本発明は様々な具現化によって上記のように記述したが、本発明の適用範囲から逸脱しない範囲内における変更や改造を行うことも可能であり、本発明は添付の請求の範囲およびそれに相当するものによってのみ定義がなされることを理解すべきである。ここで述べた全ての参考文献はそのままで含まれるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の層の上もしくは下にある回折構造体の1つ以上のパラメータの複数の値を求める方法であって、電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの多数の波長における前記ビーム回折の対応する強度もしくは偏光状態の変化を検出することで測定を行う方法において、
前記構造体からの回折の測定された強度もしくは偏光状態の変化を得るために構造体の測定を行うステップと、
前記1つ以上のパラメータの値の1つ以上の群に対応する波長における回折強度もしくは偏光状態の変化データの1つ以上の群を提供するステップであって、前記1つ以上の群における強度もしくは偏光状態の変化データの波長が1つ以上の層の特性関数として選定されるステップと、
測定された強度もしくは偏光状態の変化および強度もしくは偏光状態の変化データの1つ以上の群から回折構造体の1つ以上のパラメータの値を抽出するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
1つ以上の群における強度もしくは偏光状態の変化データの前記波長が、1つ以上の層の特性の前記抽出に与える影響が少なくなるよう選定される方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、
1つ以上の群における強度もしくは偏光状態の変化データの前記波長が、1つ以上の層が前記波長に対して実質的に不透明となるよう選定される方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、
1つ以上の下敷層がフィルタリングのなされた強度もしくは偏光状態の変化データの波長において実質的に不透明となるよう強度もしくは偏光状態の変化データにフィルタリングを行うステップをさらに含む方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、
前記方法を製造パラメータの制御で使用でき、求めた前記値を製造機器に供給するステップをさらに含む方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、
前記方法を半導体製造パラメータの制御で使用でき、求めた前記値をステッパおよび/またはエッチング装置に供給するステップをさらに含む方法。
【請求項7】
回折構造体の1つ以上のパラメータの複数の値を求める方法であって、電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの多数の波長における前記ビーム回折の対応する強度もしくは偏光状態の変化を検出することで測定を行う方法において、
前記構造体からの回折の測定された強度もしくは偏光状態の変化を得るために構造体の測定を行うステップと、
前記1つ以上のパラメータの値の1つ以上の群に対応する波長における回折強度もしくは偏光状態の変化データの1つ以上の群を提供するステップであって、前記1つ以上の群の波長において提供される強度もしくは偏光状態の変化データの密度が波長の変化に対する強度もしくは偏光状態の変化データの感度関数として選定されるステップと、
測定された強度もしくは偏光状態の変化および強度もしくは偏光状態の変化データの1つ以上の群から回折構造体の1つ以上のパラメータの値を抽出するステップと、
を含む方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、
強度もしくは偏光状態の変化データで、このようなデータが波長の変化に対してより感度が高くなるような波長においてより高密度となるようにしたものである方法。
【請求項9】
請求項7記載の方法において、
前記方法を製造パラメータの制御で使用でき、求めた前記値を製造機器に供給するステップをさらに含む方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、
前記方法を半導体製造パラメータの制御で使用でき、求めた前記値をステッパおよび/またはエッチング装置に供給するステップをさらに含む方法。
【請求項11】
1つ以上の層の上もしくは下にある回折構造体の1つ以上のパラメータの複数の値を求める装置であって、電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの多数の波長における前記ビーム回折の対応する強度もしくは偏光状態の変化を検出することで測定を行う装置において、
前記構造体からの回折の測定された強度もしくは偏光状態の変化を得るために構造体の測定を行うシステムと、
前記1つ以上のパラメータの値の1つ以上の群に対応する波長における回折強度もしくは偏光状態の変化データの1つ以上の群を提供し、前記1つ以上の群における強度もしくは偏光状態の変化データの波長が1つ以上の層の特性関数として選定され、測定された強度もしくは偏光状態の変化および強度もしくは偏光状態の変化データの1つ以上の群から回折構造体の1つ以上のパラメータの値を抽出するプロセッサと、
を備える装置。
【請求項12】
請求項11記載の装置において、
1つ以上の群における強度もしくは偏光状態の変化データの前記波長が、1つ以上の層の特性の前記抽出に与える影響が少なくなるよう選定される装置。
【請求項13】
請求項12記載の装置において、
1つ以上の群における強度もしくは偏光状態の変化データの前記波長が、1つ以上の層が前記波長に対して実質的に不透明となるよう選定される装置。
【請求項14】
請求項13記載の装置において、
前記プロセッサが、1つ以上の下敷層がフィルタリングのなされた強度もしくは偏光状態の変化データの波長において実質的に不透明となるよう強度もしくは偏光状態の変化データにフィルタリングを行う装置。
【請求項15】
回折構造体の1つ以上のパラメータの複数の値を求める装置であって、電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの多数の波長における前記ビーム回折の対応する強度もしくは偏光状態の変化を検出することで測定を行う装置において、
前記構造体からの回折の測定された強度もしくは偏光状態の変化を得るために構造体の測定を行うシステムと、
前記1つ以上のパラメータの値の1つ以上の群に対応する波長における回折強度もしくは偏光状態の変化データの1つ以上の群を提供し、前記1つ以上の群において提供される強度もしくは偏光状態の変化データの密度を波長の変化に対する強度もしくは偏光状態の変化データの感度関数として選定し、測定された強度もしくは偏光状態の変化および強度もしくは偏光状態の変化データの1つ以上の群から回折構造体の1つ以上のパラメータの値を抽出するプロセッサと、
を備える装置。
【請求項16】
請求項15記載の装置において、
強度もしくは偏光状態の変化データで、このようなデータが波長の変化に対してより感度が高くなるような波長においてより高密度となるようにしたものである装置。
【請求項17】
三次元回折構造体の1つ以上のパラメータに関連する複数の値を求める装置であって、電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの多数の波長における前記ビーム回折の対応する強度もしくは偏光状態の変化を検出することで測定を行う装置において、
前記構造体からの回折の測定された強度もしくは偏光状態の変化を得るために構造体の測定を行うシステムと、
前記波長における回折強度もしくは偏光状態の変化データ群のライブラリを供給し、各群が前記1つ以上のパラメータの値群に対応し、前記ライブラリがマルチモーダルプロセスによって得られるデータソースと、
三次元回折構造体の1つ以上のパラメータに関連する値を求めるために測定された強度もしくは偏光状態の変化を前記ライブラリと比較するプロセッサと、
を備える装置。
【請求項18】
サンプルの回折構造体の1つ以上のパラメータの複数の値を求めて用いる装置であって、電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの前記ビームの対応する回折データを検出することで測定を行う装置において、
前記構造体からの測定された回折データを得るために構造体の測定を行うシステムと、
1つ以上のパラメータの値群を得るために前記測定されたデータを用いるプロセッサと、
1つ以上の処理パラメータに応じてサンプルの処理を行い、値群に応じて1つ以上の前記処理パラメータを変化させる機器と、
を備える装置。
【請求項19】
請求項18記載の装置において、
前記機器が、ステッパおよび/またはエッチング装置を備える装置。
【請求項20】
請求項18記載の装置において、
前記データが、強度もしくは偏光状態の変化情報を含む装置。
【請求項21】
請求項18記載の装置において、
前記データが、多数の波長におけるデータ点を含む装置。
【請求項22】
サンプルの回折構造体の1つ以上のパラメータの複数の値を求めて用いる方法であって、電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの前記ビームの対応する回折データを検出することで測定を行う方法において、
前記構造体からの測定された回折データを得るために構造体の測定を行うステップと、
1つ以上のパラメータの値群を得るために前記測定されたデータを用いるステップと、
1つ以上の処理パラメータに応じてサンプルの処理を行うステップであって、値群に応じて1つ以上の前記処理パラメータを変化させるステップと、
を含む方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法において、
前記処理を行うステップが、ステッパおよび/またはエッチング装置を用いる方法。
【請求項24】
基準面上にある三次元回折構造体の1つ以上のパラメータに関連する複数の値を求める上で有用なデータソースを構築する方法であって、電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの多数の波長における前記ビーム回折の対応する強度もしくは偏光状態の変化を検出することで測定を行う方法において、
複数のスラブのパイルを得るために前記基準面に平行な面に沿って構造体の代表的な部位に類似した三次元外形をカットすることにより構造体のモデルを提供するステップと、
そのようなスラブの近似を行うために各スラブに対して四角形ブロックの対応するアレイを構築するステップであって、前記アレイが基準面に平行な面に沿って配置されるステップと、
前記各アレイに対して一次元解を求めるためにそのようなアレイにおける各ブロックのマルチモーダル解析を行い、そのようなアレイに対する二次元解を求めるためにそのようなアレイの隣接するブロックの解と照合させるステップと、
前記パイル内のスラブに対するアレイの二次元解からその外形に対する三次元解を得るステップと、
を含む方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、
前記得るステップが、構造体からの透過および反射照射の回折効率を計算するステップを含む方法。
【請求項26】
請求項24記載の方法において、
前記三次元回折構造体が基準面上にヒルの二次元アレイを含み、前記カットすることが円筒のパイルを得るために前記外形をカットする方法。
【請求項27】
請求項24記載の方法において、
前記方法を製造パラメータの制御で使用でき、求めた前記値を製造機器に供給するステップをさらに含む方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、
前記方法を半導体製造パラメータの制御で使用でき、求めた前記値をステッパおよび/またはエッチング装置に供給するステップをさらに含む方法。
【請求項29】
基準面上にある回折構造体の1つ以上のパラメータの複数の値を求める上で有用なデータソースを提供する方法を実行するコンピュータにより実行可能な命令プログラムを具現化するコンピュータ読み取り可能記憶装置であって、構造体からの測定された強度もしくは偏光状態の変化を得るために電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの多数の波長における前記ビーム回折の対応する強度もしくは偏光状態の変化を検出することで測定を行うコンピュータ読み取り可能記憶装置において、前記方法が、
複数のスラブのパイルを得るために前記基準面に平行な面に沿って構造体の代表的な部位に類似した三次元外形をカットすることにより構造体のモデルを提供するステップと、
そのようなスラブの近似を行うために各スラブに対して四角形ブロックの対応するアレイを構築するステップであって、前記アレイが基準面に平行な面に沿って配置されるステップと、
前記各アレイに対して一次元解を求めるためにそのようなアレイにおける各ブロックのマルチモーダル解析を行い、そのようなアレイに対する二次元解を求めるためにそのようなアレイの隣接するブロックの解と照合させるステップと、
前記パイル内のスラブに対するアレイの二次元解からその外形に対する三次元解を得るステップと、
を含む装置。
【請求項30】
請求項29記載の装置において、
前記得るステップが、構造体からの透過および反射照射の回折効率を計算するステップを含む装置。
【請求項31】
請求項29記載の装置において、
前記三次元回折構造体が基準面上にヒルの二次元アレイを含み、前記カットすることが円筒のパイルを得るために前記外形をカットする装置。
【請求項32】
基準面上にある回折構造体の1つ以上のパラメータの複数の値を求めるためのプロセスを実行するコンピュータにより実行可能な命令プログラムを送信する方法であって、構造体からの測定された強度もしくは偏光状態の変化を得るために電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの多数の波長における前記ビーム回折の対応する強度もしくは偏光状態の変化を検出することで測定を行う方法において、
命令プログラムをクライエントデバイスに送信し、これによりクライエントデバイスがそのようなプログラムによって次のプロセスを実行することを可能せしめるステップと、
複数のスラブのパイルを得るために前記基準面に平行な面に沿って構造体の代表的な部位に類似した三次元外形をカットすることにより構造体のモデルを提供するステップと、
そのようなスラブの近似を行うために各スラブに対して四角形ブロックの対応するアレイを構築し、前記アレイが基準面に平行な面に沿って配置されるステップと、
前記各アレイに対して一次元解を求めるためにそのようなアレイにおける各ブロックのマルチモーダル解析を行い、そのようなアレイに対する二次元解を求めるためにそのようなアレイの隣接するブロックの解と照合させるステップと、
前記パイル内のスラブに対するアレイの二次元解からその外形に対する三次元解を得るステップと、
を含む方法。
【請求項33】
請求項32記載の方法において、
前記得るステップが、構造体からの透過および反射照射の回折効率を計算するステップを含む方法。
【請求項34】
請求項32記載の方法において、
前記三次元回折構造体が基準面上にヒルの二次元アレイを含み、前記カットすることが円筒のパイルを得るために前記外形をカットする方法。
【請求項1】
1つ以上の層の上もしくは下にある回折構造体の1つ以上のパラメータの複数の値を求める方法であって、電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの多数の波長における前記ビーム回折の対応する強度もしくは偏光状態の変化を検出することで測定を行う方法において、
前記構造体からの回折の測定された強度もしくは偏光状態の変化を得るために構造体の測定を行うステップと、
前記1つ以上のパラメータの値の1つ以上の群に対応する波長における回折強度もしくは偏光状態の変化データの1つ以上の群を提供するステップであって、前記1つ以上の群における強度もしくは偏光状態の変化データの波長が1つ以上の層の特性関数として選定されるステップと、
測定された強度もしくは偏光状態の変化および強度もしくは偏光状態の変化データの1つ以上の群から回折構造体の1つ以上のパラメータの値を抽出するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
1つ以上の群における強度もしくは偏光状態の変化データの前記波長が、1つ以上の層の特性の前記抽出に与える影響が少なくなるよう選定される方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、
1つ以上の群における強度もしくは偏光状態の変化データの前記波長が、1つ以上の層が前記波長に対して実質的に不透明となるよう選定される方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、
1つ以上の下敷層がフィルタリングのなされた強度もしくは偏光状態の変化データの波長において実質的に不透明となるよう強度もしくは偏光状態の変化データにフィルタリングを行うステップをさらに含む方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、
前記方法を製造パラメータの制御で使用でき、求めた前記値を製造機器に供給するステップをさらに含む方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、
前記方法を半導体製造パラメータの制御で使用でき、求めた前記値をステッパおよび/またはエッチング装置に供給するステップをさらに含む方法。
【請求項7】
回折構造体の1つ以上のパラメータの複数の値を求める方法であって、電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの多数の波長における前記ビーム回折の対応する強度もしくは偏光状態の変化を検出することで測定を行う方法において、
前記構造体からの回折の測定された強度もしくは偏光状態の変化を得るために構造体の測定を行うステップと、
前記1つ以上のパラメータの値の1つ以上の群に対応する波長における回折強度もしくは偏光状態の変化データの1つ以上の群を提供するステップであって、前記1つ以上の群の波長において提供される強度もしくは偏光状態の変化データの密度が波長の変化に対する強度もしくは偏光状態の変化データの感度関数として選定されるステップと、
測定された強度もしくは偏光状態の変化および強度もしくは偏光状態の変化データの1つ以上の群から回折構造体の1つ以上のパラメータの値を抽出するステップと、
を含む方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、
強度もしくは偏光状態の変化データで、このようなデータが波長の変化に対してより感度が高くなるような波長においてより高密度となるようにしたものである方法。
【請求項9】
請求項7記載の方法において、
前記方法を製造パラメータの制御で使用でき、求めた前記値を製造機器に供給するステップをさらに含む方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、
前記方法を半導体製造パラメータの制御で使用でき、求めた前記値をステッパおよび/またはエッチング装置に供給するステップをさらに含む方法。
【請求項11】
1つ以上の層の上もしくは下にある回折構造体の1つ以上のパラメータの複数の値を求める装置であって、電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの多数の波長における前記ビーム回折の対応する強度もしくは偏光状態の変化を検出することで測定を行う装置において、
前記構造体からの回折の測定された強度もしくは偏光状態の変化を得るために構造体の測定を行うシステムと、
前記1つ以上のパラメータの値の1つ以上の群に対応する波長における回折強度もしくは偏光状態の変化データの1つ以上の群を提供し、前記1つ以上の群における強度もしくは偏光状態の変化データの波長が1つ以上の層の特性関数として選定され、測定された強度もしくは偏光状態の変化および強度もしくは偏光状態の変化データの1つ以上の群から回折構造体の1つ以上のパラメータの値を抽出するプロセッサと、
を備える装置。
【請求項12】
請求項11記載の装置において、
1つ以上の群における強度もしくは偏光状態の変化データの前記波長が、1つ以上の層の特性の前記抽出に与える影響が少なくなるよう選定される装置。
【請求項13】
請求項12記載の装置において、
1つ以上の群における強度もしくは偏光状態の変化データの前記波長が、1つ以上の層が前記波長に対して実質的に不透明となるよう選定される装置。
【請求項14】
請求項13記載の装置において、
前記プロセッサが、1つ以上の下敷層がフィルタリングのなされた強度もしくは偏光状態の変化データの波長において実質的に不透明となるよう強度もしくは偏光状態の変化データにフィルタリングを行う装置。
【請求項15】
回折構造体の1つ以上のパラメータの複数の値を求める装置であって、電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの多数の波長における前記ビーム回折の対応する強度もしくは偏光状態の変化を検出することで測定を行う装置において、
前記構造体からの回折の測定された強度もしくは偏光状態の変化を得るために構造体の測定を行うシステムと、
前記1つ以上のパラメータの値の1つ以上の群に対応する波長における回折強度もしくは偏光状態の変化データの1つ以上の群を提供し、前記1つ以上の群において提供される強度もしくは偏光状態の変化データの密度を波長の変化に対する強度もしくは偏光状態の変化データの感度関数として選定し、測定された強度もしくは偏光状態の変化および強度もしくは偏光状態の変化データの1つ以上の群から回折構造体の1つ以上のパラメータの値を抽出するプロセッサと、
を備える装置。
【請求項16】
請求項15記載の装置において、
強度もしくは偏光状態の変化データで、このようなデータが波長の変化に対してより感度が高くなるような波長においてより高密度となるようにしたものである装置。
【請求項17】
三次元回折構造体の1つ以上のパラメータに関連する複数の値を求める装置であって、電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの多数の波長における前記ビーム回折の対応する強度もしくは偏光状態の変化を検出することで測定を行う装置において、
前記構造体からの回折の測定された強度もしくは偏光状態の変化を得るために構造体の測定を行うシステムと、
前記波長における回折強度もしくは偏光状態の変化データ群のライブラリを供給し、各群が前記1つ以上のパラメータの値群に対応し、前記ライブラリがマルチモーダルプロセスによって得られるデータソースと、
三次元回折構造体の1つ以上のパラメータに関連する値を求めるために測定された強度もしくは偏光状態の変化を前記ライブラリと比較するプロセッサと、
を備える装置。
【請求項18】
サンプルの回折構造体の1つ以上のパラメータの複数の値を求めて用いる装置であって、電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの前記ビームの対応する回折データを検出することで測定を行う装置において、
前記構造体からの測定された回折データを得るために構造体の測定を行うシステムと、
1つ以上のパラメータの値群を得るために前記測定されたデータを用いるプロセッサと、
1つ以上の処理パラメータに応じてサンプルの処理を行い、値群に応じて1つ以上の前記処理パラメータを変化させる機器と、
を備える装置。
【請求項19】
請求項18記載の装置において、
前記機器が、ステッパおよび/またはエッチング装置を備える装置。
【請求項20】
請求項18記載の装置において、
前記データが、強度もしくは偏光状態の変化情報を含む装置。
【請求項21】
請求項18記載の装置において、
前記データが、多数の波長におけるデータ点を含む装置。
【請求項22】
サンプルの回折構造体の1つ以上のパラメータの複数の値を求めて用いる方法であって、電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの前記ビームの対応する回折データを検出することで測定を行う方法において、
前記構造体からの測定された回折データを得るために構造体の測定を行うステップと、
1つ以上のパラメータの値群を得るために前記測定されたデータを用いるステップと、
1つ以上の処理パラメータに応じてサンプルの処理を行うステップであって、値群に応じて1つ以上の前記処理パラメータを変化させるステップと、
を含む方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法において、
前記処理を行うステップが、ステッパおよび/またはエッチング装置を用いる方法。
【請求項24】
基準面上にある三次元回折構造体の1つ以上のパラメータに関連する複数の値を求める上で有用なデータソースを構築する方法であって、電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの多数の波長における前記ビーム回折の対応する強度もしくは偏光状態の変化を検出することで測定を行う方法において、
複数のスラブのパイルを得るために前記基準面に平行な面に沿って構造体の代表的な部位に類似した三次元外形をカットすることにより構造体のモデルを提供するステップと、
そのようなスラブの近似を行うために各スラブに対して四角形ブロックの対応するアレイを構築するステップであって、前記アレイが基準面に平行な面に沿って配置されるステップと、
前記各アレイに対して一次元解を求めるためにそのようなアレイにおける各ブロックのマルチモーダル解析を行い、そのようなアレイに対する二次元解を求めるためにそのようなアレイの隣接するブロックの解と照合させるステップと、
前記パイル内のスラブに対するアレイの二次元解からその外形に対する三次元解を得るステップと、
を含む方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、
前記得るステップが、構造体からの透過および反射照射の回折効率を計算するステップを含む方法。
【請求項26】
請求項24記載の方法において、
前記三次元回折構造体が基準面上にヒルの二次元アレイを含み、前記カットすることが円筒のパイルを得るために前記外形をカットする方法。
【請求項27】
請求項24記載の方法において、
前記方法を製造パラメータの制御で使用でき、求めた前記値を製造機器に供給するステップをさらに含む方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、
前記方法を半導体製造パラメータの制御で使用でき、求めた前記値をステッパおよび/またはエッチング装置に供給するステップをさらに含む方法。
【請求項29】
基準面上にある回折構造体の1つ以上のパラメータの複数の値を求める上で有用なデータソースを提供する方法を実行するコンピュータにより実行可能な命令プログラムを具現化するコンピュータ読み取り可能記憶装置であって、構造体からの測定された強度もしくは偏光状態の変化を得るために電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの多数の波長における前記ビーム回折の対応する強度もしくは偏光状態の変化を検出することで測定を行うコンピュータ読み取り可能記憶装置において、前記方法が、
複数のスラブのパイルを得るために前記基準面に平行な面に沿って構造体の代表的な部位に類似した三次元外形をカットすることにより構造体のモデルを提供するステップと、
そのようなスラブの近似を行うために各スラブに対して四角形ブロックの対応するアレイを構築するステップであって、前記アレイが基準面に平行な面に沿って配置されるステップと、
前記各アレイに対して一次元解を求めるためにそのようなアレイにおける各ブロックのマルチモーダル解析を行い、そのようなアレイに対する二次元解を求めるためにそのようなアレイの隣接するブロックの解と照合させるステップと、
前記パイル内のスラブに対するアレイの二次元解からその外形に対する三次元解を得るステップと、
を含む装置。
【請求項30】
請求項29記載の装置において、
前記得るステップが、構造体からの透過および反射照射の回折効率を計算するステップを含む装置。
【請求項31】
請求項29記載の装置において、
前記三次元回折構造体が基準面上にヒルの二次元アレイを含み、前記カットすることが円筒のパイルを得るために前記外形をカットする装置。
【請求項32】
基準面上にある回折構造体の1つ以上のパラメータの複数の値を求めるためのプロセスを実行するコンピュータにより実行可能な命令プログラムを送信する方法であって、構造体からの測定された強度もしくは偏光状態の変化を得るために電磁放射の多色ビームを前記回折構造体に向けて照射し、前記構造体からの多数の波長における前記ビーム回折の対応する強度もしくは偏光状態の変化を検出することで測定を行う方法において、
命令プログラムをクライエントデバイスに送信し、これによりクライエントデバイスがそのようなプログラムによって次のプロセスを実行することを可能せしめるステップと、
複数のスラブのパイルを得るために前記基準面に平行な面に沿って構造体の代表的な部位に類似した三次元外形をカットすることにより構造体のモデルを提供するステップと、
そのようなスラブの近似を行うために各スラブに対して四角形ブロックの対応するアレイを構築し、前記アレイが基準面に平行な面に沿って配置されるステップと、
前記各アレイに対して一次元解を求めるためにそのようなアレイにおける各ブロックのマルチモーダル解析を行い、そのようなアレイに対する二次元解を求めるためにそのようなアレイの隣接するブロックの解と照合させるステップと、
前記パイル内のスラブに対するアレイの二次元解からその外形に対する三次元解を得るステップと、
を含む方法。
【請求項33】
請求項32記載の方法において、
前記得るステップが、構造体からの透過および反射照射の回折効率を計算するステップを含む方法。
【請求項34】
請求項32記載の方法において、
前記三次元回折構造体が基準面上にヒルの二次元アレイを含み、前記カットすることが円筒のパイルを得るために前記外形をカットする方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1B】
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【図3】
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【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−185164(P2012−185164A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−71165(P2012−71165)
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【分割の表示】特願2002−530618(P2002−530618)の分割
【原出願日】平成13年9月26日(2001.9.26)
【出願人】(500049141)ケーエルエー−テンカー コーポレイション (126)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【分割の表示】特願2002−530618(P2002−530618)の分割
【原出願日】平成13年9月26日(2001.9.26)
【出願人】(500049141)ケーエルエー−テンカー コーポレイション (126)
【Fターム(参考)】
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