説明

検査装置

【課題】検査装置による検査結果の確認を容易にして当該確認作業に要する時間を低減させると共に、検査装置の構成を簡素化する。
【解決手段】1台のCCDカメラ6を用い、検査のための三次元計測用の撮像と、テクスチャデータを得るための二次元撮像用の撮像を行う。三次元計測用の撮像を用いた三次元演算手段28による計測値に基づき、クリームハンダの三次元形状を示す三次元モデルデータを、三次元データ格納手段30に格納する。一方、二次元実画像のデータ(テクスチャデータ)を、二次元データ格納手段31に格納する。このとき両データは同一座標系で表現されており、当該座標系を維持したまま、制御手段7からの制御信号によりマッピング手段32が二次元実画像のデータを三次元モデルデータにマッピングし、制御手段7は、表示手段27の表示画面に濃淡情報を有する三次元画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の電極パターン上に印刷されたクリームハンダの印刷状態又はハンダバンプの状態を検査するための検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリント基板上に電子部品を実装する場合、まずプリント基板上に配設された所定の電極パターン上にクリームハンダが印刷される。次に、該クリームハンダの粘性に基づいてプリント基板上に電子部品が仮止めされる。その後、前記プリント基板がリフロー炉へ導かれ、所定のリフロー工程を経ることでハンダ付けが行われる。
【0003】
このような工程の途中にはハンダ検査装置が組み込まれ、電子部品の仮止めに先立ち、印刷ずれ、印刷にじみ、印刷かすれ等、クリームハンダの印刷状態が検査されている。かかる検査では、画像処理技術が用いられ、電極パターン上のクリームハンダの体積値、面積値、高さなどの情報が取得される。
【0004】
そして、例えばプリント基板上におけるクリームハンダの印刷不良箇所を特定したり、また例えば印刷不良の判定が妥当か否かを判断したりするために、ハンダ検査装置による検査結果を確認するという作業がなされている。
【0005】
ところが、検査結果を数値やグラフで表す場合、瞬時にクリームハンダの形状をイメージすることが困難であり、確認作業に時間を要する結果となる。
【0006】
そこで、これを解決するための手法として、印刷状態を示す画像として検査結果を表示することが考えられる。例えば、選択した部位について三次元画像の拡大表示を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−287627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したハンダ検査装置による検査結果から三次元モデルを作成し、印刷状態を三次元画像として表示することは有効な手段ではあるが、例えばワイヤーフレームなどによる表示では、クリームハンダの質感などが表現できず、印刷状態を瞬時に把握することが困難な場合がある。その結果、確認作業に時間を要する結果となる。また、質感などを表現しようとした場合、印刷状態を三次元画像として表示するための画像処理が複雑になり、検査装置の構成が複雑になるおそれがある。
【0008】
なお、この課題は、ハンダバンプの検査を行う場合にも該当するものである。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、検査装置による検査結果の確認を容易にして当該確認作業に要する時間を低減させると共に、検査装置の構成を簡素化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0011】
手段1.計測対象物に対し、三次元計測用の光を照射する三次元計測用照射手段と、
前記計測対象物に対し、二次元撮像用の光を照射する二次元撮像用照射手段と、
前記三次元計測用照射手段からの照射光に基づき三次元計測のための撮像を行うと共に、前記二次元撮像用照射手段からの照射光に基づき前記計測対象物の上からの撮像を行う撮像手段と、
前記撮像手段による三次元計測のための撮像に基づき、前記計測対象物の三次元計測を行う三次元演算手段と、
前記三次元演算手段による計測値に基づき、前記計測対象物を検査する検査手段と、
前記三次元演算手段による計測値に基づく前記計測対象物の三次元形状を示す三次元データに対して前記計測対象物の二次元実画像を示す二次元データがマッピングされたマッピングデータに基づき、濃淡情報を有する前記計測対象物の三次元画像を、表示手段の表示画面に表示可能な表示制御手段と
を備えていることを特徴とする検査装置。
【0012】
手段1に記載の検査装置では、三次元計測用照射手段が計測対象物に対し三次元計測用の光を照射し、撮像手段が、この照射光に基づき撮像を行う。この撮像に基づき、三次元演算手段が計測対象物の三次元計測を行い、検査手段にて、計測対象物が検査される。なお、計測対象物は、プリント基板上に印刷されたクリームハンダであることが考えられる。あるいは、ハンダバンプであることが考えられる。また、三次元計測には、位相シフト法、光切断法、空間コード法、合焦法等の任意の計測法を採用することが考えられる。以下の手段でも同様とする。
【0013】
ここで特に、手段1では、二次元撮像用照射手段が計測対象物に対し二次元撮像用の光を照射し、上述の撮像手段が、この照射光に基づき計測対象物の上からの撮像を行う。なお、ここでいう「上」とは、基板の検査面に相対する方向を便宜上「上」と表現しているもので、高さ関係として、基板よりも高い位置に撮像手段があることを限定するものではない。以下の手段でも同様である。
【0014】
そして、計測対象物の三次元形状を示す三次元データに対して当該計測対象物の二次元実画像を示す二次元データがマッピングされたマッピングデータに基づき、表示制御手段によって、濃淡情報を有する計測対象物の三次元画像が、表示手段の表示画面に表示可能となっている。
【0015】
マッピングとは形状の表面属性を変化させるために使用される技法であり、二次元実画像を示す二次元データ(テクスチャデータ)をマッピングして表示(レンダリング)することにより、計測対象物の濃淡を表現することができ、三次元画像の質感、現実感を増加させることができる。したがって、例えばワイヤーフレームなどによる表示とは異なり、計測対象物の質感や現実感が増加する。
【0016】
その結果、計測対象物の形状を瞬時に把握することが容易となり、確認作業に要する時間を著しく軽減させることができる。
【0017】
しかも、単一の撮像手段を用いて構成されているため、すなわち、三次元計測用の撮像と二次元撮像用の撮像とが同一の(共通の)撮像手段によって行われるため、検査装置に複数の撮像機構を設ける構成と比べ、撮像機構の簡素化を図ることができる。また、単一の(共通の)撮像手段を用いれば、撮像による画像データを同一座標系で取り扱うことが可能になり、特にマッピングに際して、座標変換などの処理が不要となるため、制御内容の著しい簡素化を図ることができる。
【0018】
結果として、検査装置の構成を簡素化することが可能となる。
【0019】
なお、マッピングは、例えばピクセル単位で行うことが考えられる。また、マッピングされたマッピングデータにおいて、高さが急激に変化している部分があると、2次元データでは隣り合う位置に対応していた色情報が高さ方向に離れた位置に対して関連付けられることがある。その場合は、例えば周囲の色情報や光源位置による補間処理などを施すことが考えられる。これにより三次元画像として表示した場合、高さ変化で切り立った部分等になめらかな(例えばグラデーションのかかった)色の変化を表現することができる。
【0020】
また、表示手段は、検査装置自身が備えていてもよいし、あるいは、検査装置の外部に設けられていてもよい。
【0021】
さらにまた、三次元画像を回転させて任意方向から見られる構成とすれば、計測対象物の形状の把握はさらに容易になる可能性が高い。そこで、「前記表示制御手段は、前記マッピングデータに基づき、任意方向から見た三次元画像を表示可能に構成されていること」としてもよい。以下の手段でも同様である。
【0022】
手段2.計測対象物に対し、三次元計測用の光を照射する三次元計測用照射手段と、
前記計測対象物に対し、二次元撮像用の光を照射する二次元撮像用照射手段と、
前記三次元計測用照射手段からの照射光に基づき三次元計測のための撮像を行うと共に、前記二次元撮像用照射手段からの照射光に基づき前記計測対象物の上からの撮像を行う撮像手段と、
前記撮像手段による三次元計測のための撮像に基づき、前記計測対象物の三次元計測を行う三次元演算手段と、
前記三次元演算手段による計測値に基づき、前記計測対象物を検査する検査手段と、
前記三次元演算手段による計測値に基づく前記計測対象物の三次元形状を示す三次元データに対し、前記計測対象物の二次元実画像を示す二次元データをマッピングするマッピング手段と、
表示画面を有する表示手段と、
前記マッピング手段にてマッピングされたマッピングデータに基づき、濃淡情報を有する前記計測対象物の三次元画像を、表示手段の表示画面に表示する表示制御手段と
を備えていることを特徴とする検査装置。
【0023】
手段2に記載の検査装置は、手段1に記載の検査装置とほぼ同様の構成を有し、同様の効果を発揮する。すなわち、マッピングによって、例えばワイヤーフレームなどによる表示とは異なり、計測対象物の濃淡を表現することができ、計測対象物の質感や現実感が増加するため、計測対象物の形状を瞬時に把握することが容易となり、その結果、確認作業に要する時間を著しく軽減させることができる。
【0024】
しかも、単一の(共通の)撮像手段を用いて構成されているため、検査装置に複数の撮像機構を設ける構成と比べ、撮像機構の簡素化を図ることができると共に、撮像による画像データを同一座標系で取り扱うことが可能になり、特にマッピングに際して、座標変換などの処理が不要となるため、制御内容の著しい簡素化を図ることができる。結果として、検査装置の構成を簡素化することが可能となる。
【0025】
特に手段2によれば、マッピング手段によって、三次元演算手段による計測値に基づく計測対象物の三次元形状を示す三次元データに対し、計測対象物の二次元実画像を示す二次元データがマッピングされる。例えばマッピング処理をマッピング手段としての専用のハードウェアによって実現するようにすれば、マッピング処理の高速化、及び、マッピング処理の独立による画像処理の簡素化が図られる。
【0026】
なお、表示手段は、例えばCRTや液晶の表示画面を有するディスプレイ装置として具現化される。以下の手段でも同様である。
【0027】
手段3.計測対象物に対し、三次元計測用の光を照射する三次元計測用照射手段と、
前記計測対象物に対し、二次元撮像用の光を照射する二次元撮像用照射手段と、
前記三次元計測用照射手段からの照射光に基づき三次元計測のための撮像を行うと共に、前記二次元撮像用照射手段からの照射光に基づき前記計測対象物の上からの撮像を行う撮像手段と、
前記撮像手段による三次元計測のための撮像に基づき、前記計測対象物の三次元計測を行う三次元演算手段と、
前記三次元演算手段による計測値に基づき、前記計測対象物を検査する検査手段と、
前記三次元演算手段による計測値に基づき、前記計測対象物の三次元形状を特定可能な三次元データを格納するための三次元データ格納手段と、
前記撮像手段による撮像に基づき、前記計測対象物の二次元実画像を、二次元データとして格納するための二次元データ格納手段と、
前記三次元データ格納手段に格納された三次元データに対し、前記二次元データ格納手段に格納された二次元データをマッピングするマッピング手段と、
表示画面を有する表示手段と、
前記マッピング手段にてマッピングされたマッピングデータに基づき、濃淡情報を有する前記計測対象物の三次元画像を、前記表示手段の表示画面に表示する表示制御手段と
を備えていることを特徴とする検査装置。
【0028】
手段3に記載の検査装置においても、上述した構成と同様、三次元計測用照射手段が計測対象物に対し三次元計測用の光を照射し、撮像手段が、照射光に基づき撮像を行う。この撮像に基づき、三次元演算手段が計測対象物の三次元計測を行い、検査手段にて、計測対象物が検査される。
【0029】
このような基本構成に加え、検査装置はさらに、三次元データ格納手段、二次元撮像用照射手段、二次元データ格納手段、マッピング手段、表示手段、及び、表示制御手段を具備してなる。
【0030】
三次元データ格納手段は、計測対象物の三次元形状を特定可能な三次元データを格納するためのものである。この三次元データは、三次元演算手段による計測値に基づいて格納される。
【0031】
このような三次元データを格納する構成に加え、手段3では、二次元データを格納する構成を備えている。すなわち、二次元撮像用照射手段が計測対象物に対し二次元撮像用の光を照射し、撮像手段が、この照射光に基づき計測対象物の上からの撮像を行う。この撮像手段による撮像に基づき、計測対象物の二次元実画像が、二次元データとして、二次元データ格納手段に格納される。
【0032】
そして、マッピング手段が三次元データ格納手段に格納された三次元データに対し二次元データ格納手段に格納された二次元データをマッピングし、このマッピングデータに基づき、表示制御手段によって、濃淡情報を有する計測対象物の三次元画像が、表示手段の表示画面に表示可能となっている。
【0033】
したがって、手段3においても、上述した構成と同様、マッピング手段によるマッピングによって、例えばワイヤーフレームなどによる表示とは異なり、計測対象物の濃淡を表現することができ、計測対象物の質感や現実感が増加するため、計測対象物の形状を瞬時に把握することが容易となり、その結果、確認作業に要する時間を著しく軽減させることができる。
【0034】
しかも、単一の(共通の)撮像手段を用いて構成されているため、検査装置に複数の撮像機構を設ける構成と比べ、撮像機構の簡素化を図ることができると共に、撮像による画像データを同一座標系で取り扱うことが可能になり、特にマッピングに際して、座標変換などの処理が不要となるため、制御内容の著しい簡素化を図ることができる。結果として、検査装置の構成を簡素化することが可能となる。
【0035】
加えて、三次元データ格納手段及び二次元データ格納手段にデータを格納(蓄積)しているため、過去になされた検査結果をいつでも確認することができるというメリットも有する。
【0036】
手段4.手段3に記載の検査装置において、
前記検査手段にて不良判定がなされた計測対象物についてのみ、前記二次元データを前記二次元データ格納手段に格納すると共に、前記三次元データを前記三次元データ格納手段に格納するよう構成されていることを特徴とする検査装置。
【0037】
手段4によれば、検査手段にて不良判定がなされた計測対象物についてのみ、二次元データが二次元データ格納手段に格納され、三次元データが三次元データ格納手段に格納される。つまり、手段4では、検査手段にて不良判定された計測対象物についてのみ、濃淡情報を有する三次元画像が表示可能となっているのである。これは、検査結果の確認が必要となるのは不良判定がなされた場合に多い、という技術思想に基づくものである。結果として、二次元データ格納手段及び三次元データ格納手段の記憶容量が膨大化するという事態を回避することができる。
【0038】
手段5.手段1乃至4のいずれかに記載の検査装置において、
前記撮像手段による撮像に基づく前記計測対象物の二次元実画像を示す二次元データは、カラー画像データとなっていることを特徴とする検査装置。
【0039】
手段5によれば、二次元撮像用照射手段からの照射光に基づく計測対象物の二次元実画像を示す二次元データがカラー画像データとなっているため、表示される計測対象物の三次元画像は、二次元実画像に忠実な情報を有するものとなる。したがって、計測対象物の質感、現実感をより増加させることができ、計測対象物の形状を瞬時に把握することが容易となり、その結果、確認作業に要する時間を著しく軽減させることができる。
【0040】
手段6.手段5に記載の検査装置において、
前記二次元撮像用照射手段は、前記二次元撮像用の光として白色光を照射するよう構成されていることを特徴とする検査装置。
【0041】
手段6によれば、二次元撮像用照射手段によって白色光が照射され、上記カラー画像データとしての二次元データが取得される。このようなカラー画像データがマッピングされるため、計測対象物の質感、現実感をより増加させることができ、計測対象物の形状を瞬時に把握することが容易となり、その結果、確認作業に要する時間を著しく軽減させることができる。
【0042】
なお、計測対象物の濃淡が表現できれば、計測対象物の形状の把握を比較的容易に行うことができる。かかる意味においては、二次元撮像用照射手段によって、例えば赤色光などの単色光を照射するようにしてもよいし、赤色と青色などの複数の波長の光を照射するようにしてもよいし、赤色と紫外などの複数の波長の光を照射するようにしてもよい。ただし、よりリアルな画像表示を行うという観点からは、上述のように白色光を用いてカラー画像を得ることが望ましい。
【0043】
手段7.手段1乃至6のいずれかに記載の検査装置において、
前記三次元計測用照射手段による照射と前記二次元撮像用照射手段による照射とを切り替えると共に、当該照射手段の切り替えに合わせて、前記撮像手段による撮像に基づく処理を切り替える切替手段を備えていることを特徴とする検査装置。
【0044】
手段7では、切替手段によって、三次元計測用照射手段による照射と二次元撮像用照射手段による照射とが切り替えられると共に、当該照射手段の切り替えに合わせて、撮像手段による撮像に基づく処理が切り替えられる。このような切替手段を設ければ、例えば撮像手段による撮像が三次元計測用のものか二次元実画像なのかを判断して後処理を行う構成と比べ、当該判断処理が必要なくなるという点において、撮像後のデータ処理が簡単になる。
【0045】
手段8.手段1乃至7のいずれかに記載の検査装置において、
前記撮像手段は、前記三次元計測のための撮像及び前記計測対象物の撮像を、当該各撮像に基づく両データが同一座標系で表現されるように行うことを特徴とする検査装置。
【0046】
手段8では、撮像手段によって、三次元計測のための撮像及び計測対象物の撮像が、当該各撮像に基づく両データが同一座標系で表現されるように行われる。例えば、相対位置や倍率など、座標系に関する撮像条件を一致させて行うという具合である。このようにすれば撮像当初から画像データが同一座標系で表現されることになり、例えば三次元データ及び二次元データの導出などに際し、座標変換などの処理が不要となる。したがって、制御内容の著しい簡素化・処理の高速化を図ることができる。
【0047】
手段9.手段1乃至8のいずれかに記載の検査装置において、
前記三次元データ及び前記二次元データは、同一座標系において表現されており、少なくとも前記マッピングデータの導出まで、当該座標系が維持されるよう構成されていることを特徴とする検査装置。
【0048】
手段9によれば、少なくともマッピングデータの導出まで三次元データ及び二次元データが表現される座標系が維持されるため、マッピングにおいて座標変換などの処理が不要となり、制御内容の著しい簡素化・処理の高速化を図ることができる。
【0049】
手段10.手段1乃至9のいずれかに記載の検査装置において、
前記検査手段による検査結果を格納するための検査結果格納手段を備え、
前記表示制御手段は、さらに、前記検査結果格納手段に格納された検査結果を前記表示手段の表示画面に表示可能に構成されていることを特徴とする検査装置。
【0050】
手段10では、さらに、表示制御手段によって、検査結果格納手段に格納された検査結果が表示手段の表示画面に表示可能となっている。ここで検査結果には、良/不良の判定結果及び、判定のための三次元計測結果が含まれる。このようにすれば、計測対象物の形状を例えば計測値等としても把握できるため、検査装置による検査結果の確認が容易になり、当該確認作業に要する時間を低減させることができる。
【0051】
手段11.手段1乃至10のいずれかに記載の検査装置において、
少なくとも前記三次元計測用照射手段、前記撮像手段、前記三次元演算手段、及び前記検査手段を備える検査ユニットと、
前記検査ユニットとは別体として構成され、少なくとも前記表示制御手段を備える結果確認ユニットとを具備してなることを特徴とする検査装置。
【0052】
手段11では、検査装置が、少なくとも三次元計測用照射手段、撮像手段、三次元演算手段、及び検査手段を備える検査ユニットと、検査ユニットとは別体として構成され、少なくとも表示制御手段を備える結果確認ユニットとを具備してなる。この場合、他の手段については、検査ユニットが備えていてもよいし、結果確認ユニットが備えていてもよいし、あるいは、これらのユニットとは別のユニットが備えていてもよい。そして、検査ユニットと結果確認ユニットとは、例えばネットワークを介して接続される。このように検査機能と結果確認機能とを別ユニットで実現することにより、結果の確認が、検査場所から離れた場所で可能となる。また、結果の確認には検査とは別の制御装置を使用することにより、検査に支障を来さない構成、すなわち検査と並行して検査結果を確認可能な構成とすることができる。もちろん、検査ユニット及び結果確認ユニットの両方が表示制御手段を備える構成としてもよい。この場合、検査ユニットにおいても結果の確認が可能となる。
【0053】
手段12.手段1乃至11のいずれかに記載の検査装置において、
情報を入力するための入力手段を備え、
前記表示制御手段は、選択対象となる前記計測対象物を特定するための特定情報を前記表示手段に表示可能となっており、前記入力手段を介し前記特定情報により前記計測対象物が選択されると、前記濃淡情報を有する前記計測対象物の三次元画像を表示するよう構成されていることを特徴とする検査装置。
【0054】
手段12によれば、選択対象となる計測対象物を特定するための特定情報を表示手段に表示可能となっており、入力手段を介し特定情報により計測対象物が選択されると、濃淡情報を有する計測対象物の三次元画像が表示される。例えば、計測対象物がプリント基板上の電極パターンに印刷されたクリームハンダである場合、特定情報としては、クリームハンダの印刷されたパッドの情報であることが考えられる。このように計測対象物を表示手段の表示に基づいて選択できるようにすれば、表示対象の計測対象物の選択が容易になる。
【0055】
なお、計測対象物を特定するための特定情報として、計測対象物そのものの情報を表示することも考えられる。
【0056】
手段13.手段12に記載の検査装置において、
前記表示制御手段は、基板上の電極パターンに合わせて設定される設定枠を表示可能となっており、前記入力手段を介して前記設定枠が選択されると、当該設定枠内に存在する前記計測対象物の特定情報を前記表示手段に表示するよう構成されていることを特徴とする検査装置。
【0057】
上述したように計測対象物をプリント基板上のクリームハンダとした場合、基板上には、クリームハンダの印刷された膨大な数のパッドが存在する。この点、手段13によれば、基板上の電極パターンに合わせて設定される設定枠を表示可能となっており、入力手段を介して設定枠が選択されると、当該設定枠内に存在する計測対象物の特定情報が表示手段に表示される。したがって、計測対象物の数が膨大な数である場合にも、当該計測対象物の選択が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0059】
図1に示すように、検査装置1は、基台2を備えているとともに、基台2上には、X軸移動機構3及びY軸移動機構4が設けられている。Y軸移動機構4上には、レール10が配設されており、該レール10上に基板としてのプリント基板Kが載置されるようになっている。そして、X軸移動機構3及びY軸移動機構4が作動することで、プリント基板KがX軸方向及びY軸方向に移動するようになっている。
【0060】
検査装置1はまた、三次元計測用照射手段5と、「撮像手段」としてのCCDカメラ(本実施形態ではカラーカメラ)6と、CCDカメラ6に対し電気的に接続された制御手段7とを備えている。三次元計測用照射手段5は、クリームハンダの三次元計測に際し、プリント基板Kの表面に対し斜め上方から所定の光パターンを照射するように構成されている。CCDカメラ6は、プリント基板Kの真上に配置され、プリント基板K上の前記光パターンの照射された部分を撮像可能となっている。
【0061】
そして、制御手段7では、CCDカメラ6にて撮像されたプリント基板Kの画像データ(三次元計測用照射手段5からの光パターンに基づく撮像)に基づき画像処理が行われ、最初に二次元計測(主として面積計測)が行われるようになっている。その後、その二次元計測された各種値に基づいて、クリームハンダに関する検査が行われる。次に三次元計測方法によって、クリームハンダの三次元計測(主として高さ計測及び体積計測)が行われるようになっている。その後、その三次元計測された各種値に基づいて、クリームハンダに関する検査が行われる。したがって、制御手段7が「検査手段」に相当する。なお、ここでは詳細な説明は行わないが、本実施形態における三次元計測に際しては、位相シフト法、光切断法、空間コード法、合焦法等、任意の計測方法が適宜採用される。
【0062】
また、本実施形態においては、検査とは直接的に関係なく、CCDカメラ6にてプリント基板Kが真上から撮像される。ここで撮像されるイメージが「二次元実画像」に相当する。二次元実画像を得るための構成として、図1に示すように、二次元撮像用照射手段11を備えている。二次元撮像用照射手段11は、リングライトで構成されている。つまり、二次元実画像を得るにあたっては、二次元撮像用照射手段11から照射される光に基づいてプリント基板K(クリームハンダ)をCCDカメラ6にて撮像するのである。二次元撮像用照射手段11から照射される光の波長は特に限定されないが、本実施形態では、白色光が照射される。これによって、二次元実画像はカラー画像データとして取得されることになる。
【0063】
次に、制御手段7を中心とする検査装置1の電気的構成について説明する。
【0064】
図2に示すように、検査装置1は、CCDカメラ6の撮像タイミング等を制御して撮像を実行する撮像制御手段21、三次元計測用照射手段5及び二次元撮像用照射手段11を制御する照射制御手段22、検査のための撮像と二次元実画像取得のための撮像とを切り替える切替手段23、X軸移動機構3を制御するX軸移動制御手段24、及び、Y軸移動機構4を制御するY軸移動制御手段25を備えている。
【0065】
ここで、制御手段7は、切替手段23を介して、照射制御手段22に接続されている。また、切替手段23は、制御手段7からの制御信号に基づき、採用する照射手段5,11を切り替える。照射制御手段22は、制御手段7から切替手段23を介して送出される制御信号に基づき、照射の実行制御を行う。
【0066】
さらに、制御手段7は、切替手段23を介して、撮像制御手段21に接続されている。撮像制御手段21は、前記制御手段7から切替手段23を介して送出される制御信号に基づき、CCDカメラ6による撮像の実行制御を行う。ここで切替手段23は、制御手段7からの制御信号に基づき、採用する照射手段5,11に合わせて、撮像制御手段21から出力される画像データの送出先を切り替える。
【0067】
さらにまた、制御手段7はX軸移動制御手段24及びY軸移動制御手段25に接続されており、これらX軸移動制御手段24及びY軸移動制御手段25は、制御手段7からの制御信号に基づき、前記X軸移動機構3及びY軸移動機構4を適宜駆動制御する。これによって、プリント基板KがX軸方向、Y軸方向へと適宜移動させられる。
【0068】
また、検査装置1は、キーボードやマウス、あるいは、タッチパネルで構成される入力手段26、CRTや液晶などの表示画面を有する表示手段27、三次元計測等の検査のための撮像に基づいてクリームハンダの高さや体積の計測を行う三次元演算手段28、検査結果を格納するための検査結果格納手段29、三次元計測から得られるプリント基板Kの三次元データを格納するための三次元データ格納手段30、プリント基板Kの二次元データ(テクスチャデータ)を格納するための二次元データ格納手段31、二次元データを三次元データにマッピングするための専用ハードウェアとして構成されたマッピング手段32、及び、外部装置へ三次元データ及び二次元データを転送可能な転送手段33を備えている。なお、これら各手段26〜33は、制御手段7に対し電気的に接続されている。
【0069】
次に、上記のように構成されてなる検査装置1における作用を、制御手段7によって行われる制御内容を中心として説明する。
【0070】
制御手段7は、切替手段23を介して照射制御手段22を制御し、検査のための撮像を行う場合には、三次元計測用照射手段5によりプリント基板Kに対し所定の光パターンを照射する。また、二次元実画像を得るための撮像を行う場合には、二次元撮像用照射手段11によりプリント基板Kに対し撮像用の光を照射する。これと共に、制御手段7は、切替手段23を介して撮像制御手段21を制御し、検査のための撮像にあたっては、CCDカメラ6からの画像データを、三次元演算手段28に取り込む。また、二次元実画像を得るための撮像にあたっては、CCDカメラ6からの画像データを、二次元データ格納手段31に取り込む。なお、制御手段7は、X軸移動制御手段24及びY軸移動制御手段25を介して、前記X軸移動機構3及びY軸移動機構4を適宜駆動制御する。これにより、プリント基板Kの所定領域が順次撮像されることになる。
【0071】
制御手段7は、上述したように、検査のための撮像に基づき、最初に二次元計測(主として面積計測)を行い、その二次元計測した各種値に基づいて、クリームハンダに関する検査を行う。また、三次元計測方法によって、クリームハンダの三次元計測(主として高さ計測及び体積計測)を行い、その三次元計測された各種値に基づいて、クリームハンダに関する検査を行う。ここで三次元計測のための演算処理を行うのが、上記三次元演算手段28である。そして、二次元計測及び三次元計測の各種値が基準値を満たしていない場合には、不良品との判定がなされる。不良品判定されたプリント基板Kは、例えば図示しない排出機構によって排出される。
【0072】
本実施形態では、良/不良の判定に関係なく、制御手段7は、検査結果を検査結果格納手段29に格納する。また、本実施形態において、三次元演算手段28による計測値に基づき、クリームハンダの三次元形状を示す三次元モデルデータが、三次元データ格納手段30に格納される。三次元モデルデータは、形状を直接的に示すCADデータ等である。もちろん、形状を特定可能な三次元データであればよい。一方、二次元実画像のデータは、マッピング手段32によって三次元モデルデータにマッピングされるテクスチャデータであり、フルカラーのデータ(例えばビットマップ形式のデータ)である。この二次元画像のデータは、上述したように、二次元データ格納手段31に格納される。ここで、三次元モデルデータ及び二次元データは、同一のCCDカメラ6による撮像に基づくものであり、同一座標系で表現されている。この座標系は、後述する表示処理においても、維持されるようになっている。
【0073】
そして、三次元データ格納手段30及び二次元データ格納手段31に格納されたデータに基づき、制御手段7は、表示処理を実行可能となっている。そこで次に、表示処理について、図3のフローチャート及び、図4、図5、図6の説明図に基づき、説明する。この表示処理は、表示手段27の表示画面に表示される「計測」ボタンが選択操作されることで繰り返し実行されるものである。「計測」ボタンの選択操作は、入力手段26を介してなされるが、例えばマウス等のポインティングデバイスで選択操作されたり、あるいは、表示手段27と一体に構成されたタッチパネルで選択操作されたりする構成として実現される。
【0074】
最初のステップ(以下、ステップを単に記号Sで示す)100において、プリント基板Kの画像を表示する。具体的には図4に示すように、ウインドウWL1を表示する。このウインドウWL1は複数に分割された小ウインドウWS1,WS2,WS3からなる。そして、左上の小ウインドウWS1に、予め用意されたプリント基板Kの画像(プリント基板画像)KGを表示する。当該画像KGは、CCDカメラ6で撮像されたものとしてもよいし、別の撮像機構によって撮像されたものとしてもよい。そして制御手段7は、プリント基板Kの電極パターンに合わせて設定枠41を表示する。上述したCCDカメラ6による撮像は、この設定枠41の単位で行われる。なお、図4では、電極パターンを省略し、また、設定枠41についても模式的に示している。
【0075】
続くS110では、設定枠41が選択されたか否かを判断する。設定枠41の選択は、入力手段26を介してなされるが、上述した「計測」ボタンの選択操作と同様、例えばマウス等のポインティングデバイスで選択操作されたり、あるいは、例えば表示手段27と一体に構成されたタッチパネルで選択操作されたりする構成が考えられる。以下、表示画面上での選択操作については同様とする。ここで設定枠41が選択されたと判断された場合(S110:YES)、S120にて、設定枠41に対応する画像を表示する。例えば、図4に示すように、記号aで示す設定枠41が選択された場合、小ウインドウWS1の下方の小ウインドウWS2に、設定枠41に対応する二次元画像が表示される。この二次元画像は、二次元データ格納手段31に格納された二次元データに基づいて表示される。この画像には、複数のパッド部分42が含まれているものとして説明を続ける。その後、S130へ移行する。一方、設定枠41が選択されていないと判断された場合(S110:NO)、S120の処理を実行せず、S130へ移行する。
【0076】
S130では、小ウインドウWS2に表示されているパッド部分42が選択されたか否かを判断する。ここでパッド部分42が選択されたと判断された場合(S130:YES)、S140にて、選択されたパッド部分42の画像を拡大表示し、その後、S150へ移行する。図4に示す例においては、記号bで示すパッド部分42が選択されており、右側の小ウインドウWS3に、パッド部分42の拡大画像G2が表示されている。拡大画像G2において、パッド部分42の内部には、印刷されたクリームハンダ43が示されている。この拡大画像G2は、二次元データ格納手段31に格納された二次元データに基づく画像を拡大表示したものであり、カラー平面画像である。一方、パッド部分42が選択されていないと判断された場合(S130:NO)、S140の処理を実行せず、S150へ移行する。
【0077】
S150では、小ウインドウWS3に表示されている拡大画像G2が選択されたか否かを判断する。ここで拡大画像G2が選択されたと判断された場合(S150:YES)、S160へ移行する。一方、拡大画像G2が選択されていないと判断された場合(S150:NO)、以降の処理を実行せず、本表示処理を終了する。
【0078】
S160では、マッピング処理を行う。この処理は、制御手段7からの制御信号に基づき、マッピング手段32によってなされるものである。本実施形態では、三次元データ格納手段30に格納された三次元データに対し、二次元データ格納手段31に格納された二次元データをマッピングする。具体的には、高さ情報を有する三次元データに対し、ピクセル単位で、二次元データの有するピクセル毎の色情報を付加していく。これを模式的に画像で示せば、例えば図5の上部に示すような二次元実画像において、中央部分の領域CR1、その外側の領域CR2、さらに外側の領域CR3がそれぞれ、所定の色を有している場合、図5の下部に示すような三次元画像の領域AR1に領域CR1の色が、領域AR2に領域CR2の色が、そして、領域AR3に領域CR3の色が貼り付けられる。
【0079】
続くS170では、三次元表示を行う。この処理は、表示手段27の表示画面に、上記S160にてマッピング処理された三次元データであるマッピングデータに基づき、クリームハンダの三次元画像G3を表示するものである。図5に示した例で言えば、図6に示すように、ウインドウWL2に、3つの領域AR1,AR2,AR3が二次元データの色情報にて塗り分けられた三次元画像が表示される。この三次元画像G3が「濃淡情報を有する計測対象物の三次元画像」に相当する。ここでは図が煩雑になることを避けるため、領域毎に塗り分けられる様子を示したが、実際にはピクセル単位で色情報が付加される。
【0080】
なお、このような表示処理を実行する制御手段7が「表示制御手段」に相当する。
【0081】
以上詳述したように、本実施形態によれば、良/不良の判定に関係なく、三次元演算手段28による計測値に基づき、クリームハンダの三次元形状を示す三次元モデルデータが、三次元データ格納手段30に格納される。一方、上述したように二次元実画像のデータは、テクスチャデータとして二次元データ格納手段31に格納される。そして、図6に示すように、ウインドウWL2に、二次元データをマッピングしたマッピングデータに基づく三次元画像G3が表示される(図3中のS170)。
【0082】
このように二次元実画像を示す二次元データ(テクスチャデータ)をマッピングして表示(レンダリング)することにより(S160,S170)、クリームハンダの濃淡を表現することができ、三次元画像G3の質感、現実感を増加させることができる。したがって、例えば単なるワイヤーフレームなどによる表示とは異なり、表示されるクリームハンダの質感や現実感が飛躍的に増加する。これによって、クリームハンダの形状を瞬時に把握することが容易となり、その結果、確認作業に要する時間を著しく軽減させることができる。
【0083】
しかも、本実施形態では1台のCCDカメラ6を用いて構成されているため、すなわち、三次元計測用の撮像と二次元撮像用の撮像とが同一の(共通の)CCDカメラ6によって行われるため、検査装置1に複数の撮像機構を設ける構成と比べ、撮像機構の簡素化を図ることができる。また、1台のCCDカメラ6を用いて、三次元モデルデータと二次元データとを同一座標系で取り扱っており、さらに、S160のマッピング処理、S170の三次元画像表示においても、この座標系が維持されるようになっている。したがって、座標変換などの処理が不要となり、処理の高速化及び制御内容の著しい簡素化を図ることができる。また、これによって、検査装置1の構成を簡素化することが可能となる。
【0084】
なお、三次元データ格納手段30及び二次元データ格納手段31にデータを格納(蓄積)しているため、過去になされた検査結果をいつでも確認することができるというメリットも有する。
【0085】
また、本実施形態では、制御装置7に電気的に接続された切替手段23を具備しており、切替手段23は、制御手段7からの制御信号に基づき、採用する照射手段5,11を切り替えると共に、照射手段5,11に合わせて、撮像制御手段21から出力される画像データの送出先を切り替える。その結果、CCDカメラ6による撮像が検査用の撮像なのか二次元実画像なのかを判断して後処理を行う構成と比べ、当該判断処理が必要なくなるという点において、撮像後のデータ処理が簡単になる。
【0086】
さらにまた、本実施形態では、マッピング処理を実行するマッピング手段32が、専用のハードウェアとして構成されているため、マッピング処理の高速化、及び、マッピング処理の独立による画像処理の簡素化が図られる。
【0087】
また、本実施形態では、二次元撮像用照射手段11によって白色光が照射され、CCDカメラ6をカラーカメラとしているため、クリームハンダの二次元実画像を示す二次元データは、カラー画像データとなっている。そして、このようなカラー画像データがマッピングされるため、クリームハンダの質感、現実感をより増加させることができ、この点でも、確認作業に要する時間の軽減に寄与する。
【0088】
さらにまた、本実施形態では、表示手段27において小ウインドウWS1に表示される設定枠41を、入力手段26を介して選択することによって(図3中のS110:YES)、設定枠41内に存在するパッド部分42が、小ウインドウWS2に表示される(S120)。そして、入力手段26を介してこのバッド部分42を選択することによって拡大画像G2が表示され(S130:YES,S140)、この拡大画像G2を選択することによって(S150:YES)、図6に示したようなクリームハンダの三次元画像G3が表示される(S160,S170)。これによって、プリント基板K上のパッド(クリームハンダ)の数が膨大である場合であっても、クリームハンダの選択が容易になる。
【0089】
尚、上述した実施の形態の記載内容に限定されることなく、例えば次のように実施してもよい。
【0090】
(a)上記実施形態では、特に検査結果(良/不良の判定結果、三次元計測結果など)の表示手段27を介した表示については述べていないが、例えば図4中に二点鎖線で示す領域R1や図6中に二点鎖線で示す領域R2等に、検査結果を表示するようにしてもよい。このようにすれば、クリームハンダの形状を例えば計測値等としても把握できるため、検査装置1による検査結果の確認が容易になり、当該確認作業に要する時間を低減させることができる。なお、クリームハンダの形状の把握という観点からは、三次元画像G3と共に表示することが望ましい(図6参照)。
【0091】
(b)上記実施形態では良/不良の判定に関係なく三次元データ及び二次元データを格納していたが、不良判定されたクリームハンダについての二次元データ(二次元実画像データ)及び三次元データ(三次元モデルデータ)を格納するようにしてもよい。このようにすれば、二次元データ格納手段31及び三次元データ格納手段30の記憶容量が膨大化するという事態を回避することができる。
【0092】
(c)上記実施形態では転送手段33を具備する構成について述べた。この転送手段33を用い、二次元データ格納手段31及び三次元データ格納手段30に格納されたデータを外部装置へ転送し、上述の表示処理(図3参照)を当該外部装置にて実行する構成としてもよい。検査装置1と外部装置とは例えばLAN等によって接続することが考えられる。このようにすれば、検査結果の確認が、検査場所から離れた場所で可能となる。また、外部装置の制御装置にて表示処理を実行するようにすれば、検査装置1による検査と並行して検査結果を確認することができる。なお、この場合、検査装置1が「検査ユニット」に相当し、外部装置が「結果確認ユニット」に相当し、検査装置1及び外部装置が「検査装置」を構成する。そして、外部装置の制御装置が「表示制御手段」に相当する。もちろん、検査装置1の制御手段7と外部装置の制御装置との両方で表示処理を実行可能な構成とすることもできる。
【0093】
(d)上記実施形態では、三次元計測のための画像や二次元実画像を得るにあたり、クリームハンダを真上から撮像しているが、斜め上方から撮像してもよい。三次元計測においては、(三次元計測用照射手段により)斜め上方から照明し真上から撮像する方法、真上から照明し斜め上方から撮像する方法、あるいは、斜め上方から照明し斜め上方から撮像する方法などがあるが、三次元計測可能な位置関係であれば(斜め上方を含み上方であれば)よい。二次元実画像を得るにあたっても、同様に、二次元実画像が得られる位置関係にあれば(斜め上方を含み上方であれば)それでよい。ただし、三次元計測のための撮像と二次元実画像を得るための撮像を、基板(あるいはクリームハンダ)との位置関係および光学系の倍率を一致させて行うことにより、三次元計測のための画像と二次元実画像とを座標を一致させて取得することができるので(相互に一致させるための処理を省略することができるため)、後の処理が簡素化される。また、真上から撮像することにより、影などによって極端に輝度の低い部分が生じにくくなるとともに、画角の影響によるひずみが最も少なくなり、ひずみを補正する処理を省略することができ、後の処理が簡素化される。さらにまた、真上から撮像すれば、ピントが視野全体にわたって合いやすくなることから、検査精度が向上する。
【0094】
(e)上記実施形態では二次元撮像用照射手段11が白色光を照射する構成であったが、クリームハンダの濃淡が表現できれば、クリームハンダの形状の把握は容易になる。とすれば、二次元撮像用照射手段11によって、例えば赤色光などの単色光を照射するようにしてもよい。ただし、よりリアルな三次元画像を表示するという観点からは、上述のように白色光を用いてカラー画像を得ることが望ましい。
【0095】
(f)上記実施形態ではプリント基板Kに印刷されるクリームハンダを計測対象物としているが、ハンダによる突起であるハンダバンプを計測対象物として実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】実施形態における検査装置を模式的に示す概略斜視図である。
【図2】検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】表示処理を示すフローチャートである。
【図4】表示処理による表示画面を例示する説明図である。
【図5】マッピング処理された三次元画像を例示する説明図である。
【図6】表示処理による表示画面を例示する説明図である。
【符号の説明】
【0097】
1…検査装置、5…三次元計測用照射手段、6…撮像手段としてのCCDカメラ、7…検査手段及び表示制御手段としての制御手段、11…二次元撮像用照射手段、23…切替手段、26…入力手段、27…表示手段、28…三次元演算手段、29…検査結果格納手段、30…三次元データ格納手段、31…二次元データ格納手段、32…マッピング手段、33…転送手段、41…設定枠、42…パッド部分、43…クリームハンダ(画像)、G3…三次元画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象物に対し、三次元計測用の光を照射する三次元計測用照射手段と、
前記計測対象物に対し、二次元撮像用の光を照射する二次元撮像用照射手段と、
前記三次元計測用照射手段からの照射光に基づき三次元計測のための撮像を行うと共に、前記二次元撮像用照射手段からの照射光に基づき前記計測対象物の上からの撮像を行う撮像手段と、
前記撮像手段による三次元計測のための撮像に基づき、前記計測対象物の三次元計測を行う三次元演算手段と、
前記三次元演算手段による計測値に基づき、前記計測対象物を検査する検査手段と、
前記三次元演算手段による計測値に基づく前記計測対象物の三次元形状を示す三次元データに対して前記計測対象物の二次元実画像を示す二次元データがマッピングされたマッピングデータに基づき、濃淡情報を有する前記計測対象物の三次元画像を、表示手段の表示画面に表示可能な表示制御手段と
を備えていることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
計測対象物に対し、三次元計測用の光を照射する三次元計測用照射手段と、
前記計測対象物に対し、二次元撮像用の光を照射する二次元撮像用照射手段と、
前記三次元計測用照射手段からの照射光に基づき三次元計測のための撮像を行うと共に、前記二次元撮像用照射手段からの照射光に基づき前記計測対象物の上からの撮像を行う撮像手段と、
前記撮像手段による三次元計測のための撮像に基づき、前記計測対象物の三次元計測を行う三次元演算手段と、
前記三次元演算手段による計測値に基づき、前記計測対象物を検査する検査手段と、
前記三次元演算手段による計測値に基づく前記計測対象物の三次元形状を示す三次元データに対し、前記計測対象物の二次元実画像を示す二次元データをマッピングするマッピング手段と、
表示画面を有する表示手段と、
前記マッピング手段にてマッピングされたマッピングデータに基づき、濃淡情報を有する前記計測対象物の三次元画像を、表示手段の表示画面に表示する表示制御手段と
を備えていることを特徴とする検査装置。
【請求項3】
計測対象物に対し、三次元計測用の光を照射する三次元計測用照射手段と、
前記計測対象物に対し、二次元撮像用の光を照射する二次元撮像用照射手段と、
前記三次元計測用照射手段からの照射光に基づき三次元計測のための撮像を行うと共に、前記二次元撮像用照射手段からの照射光に基づき前記計測対象物の上からの撮像を行う撮像手段と、
前記撮像手段による三次元計測のための撮像に基づき、前記計測対象物の三次元計測を行う三次元演算手段と、
前記三次元演算手段による計測値に基づき、前記計測対象物を検査する検査手段と、
前記三次元演算手段による計測値に基づき、前記計測対象物の三次元形状を特定可能な三次元データを格納するための三次元データ格納手段と、
前記撮像手段による撮像に基づき、前記計測対象物の二次元実画像を、二次元データとして格納するための二次元データ格納手段と、
前記三次元データ格納手段に格納された三次元データに対し、前記二次元データ格納手段に格納された二次元データをマッピングするマッピング手段と、
表示画面を有する表示手段と、
前記マッピング手段にてマッピングされたマッピングデータに基づき、濃淡情報を有する前記計測対象物の三次元画像を、前記表示手段の表示画面に表示する表示制御手段と
を備えていることを特徴とする検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検査装置において、
前記検査手段にて不良判定がなされた計測対象物についてのみ、前記二次元データを前記二次元データ格納手段に格納すると共に、前記三次元データを前記三次元データ格納手段に格納するよう構成されていることを特徴とする検査装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の検査装置において、
前記撮像手段による撮像に基づく前記計測対象物の二次元実画像を示す二次元データは、カラー画像データとなっていることを特徴とする検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の検査装置において、
前記二次元撮像用照射手段は、前記二次元撮像用の光として白色光を照射するよう構成されていることを特徴とする検査装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の検査装置において、
前記三次元計測用照射手段による照射と前記二次元撮像用照射手段による照射とを切り替えると共に、当該照射手段の切り替えに合わせて、前記撮像手段による撮像に基づく処理を切り替える切替手段を備えていることを特徴とする検査装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の検査装置において、
前記撮像手段は、前記三次元計測のための撮像及び前記計測対象物の撮像を、当該各撮像に基づく両データが同一座標系で表現されるように行うことを特徴とする検査装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の検査装置において、
前記三次元データ及び前記二次元データは、同一座標系において表現されており、少なくとも前記マッピングデータの導出まで、当該座標系が維持されるよう構成されていることを特徴とする検査装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の検査装置において、
前記検査手段による検査結果を格納するための検査結果格納手段を備え、
前記表示制御手段は、さらに、前記検査結果格納手段に格納された検査結果を前記表示手段の表示画面に表示可能に構成されていることを特徴とする検査装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の検査装置において、
少なくとも前記三次元計測用照射手段、前記撮像手段、前記三次元演算手段、及び前記検査手段を備える検査ユニットと、
前記検査ユニットとは別体として構成され、少なくとも前記表示制御手段を備える結果確認ユニットとを具備してなることを特徴とする検査装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の検査装置において、
情報を入力するための入力手段を備え、
前記表示制御手段は、選択対象となる前記計測対象物を特定するための特定情報を前記表示手段に表示可能となっており、前記入力手段を介し前記特定情報により前記計測対象物が選択されると、前記濃淡情報を有する前記計測対象物の三次元画像を表示するよう構成されていることを特徴とする検査装置。
【請求項13】
請求項12に記載の検査装置において、
前記表示制御手段は、基板上の電極パターンに合わせて設定される設定枠を表示可能となっており、前記入力手段を介して前記設定枠が選択されると、当該設定枠内に存在する前記計測対象物の特定情報を前記表示手段に表示するよう構成されていることを特徴とする検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−284215(P2006−284215A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−101044(P2005−101044)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】