説明

画像処理装置

【課題】ウエハの中心位置及び回転位置(回転角)を正確に計測し位置ずれを確認することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】トランスファチャンバ4の外側からに設置され、トランスファチャンバ4に設けられたビューポートを介してウエハ3の少なくとも輪郭線(エッジ部)を含む画像を撮像する1つの撮像カメラ2と、撮像カメラ2で撮像された画像から抽出したウエハのエッジ位置データを用いて、ウエハ3の輪郭を示す関係式を求め、この関係式に基づいてウエハ3の位置を計測する計測部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、真空チャンバ内の半導体ウエハの中心位置や回転角を計測する画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体ウエハ(以下、単にウエハと呼ぶ)上に形成した膜の特性ばらつきを低減するため、半導体製造装置の真空チャンバ内における、ウエハの中心位置及びオリフラ部やノッチ部等を基準部としたウエハの回転位置(回転角)の再現性の向上が強く求められている。
【0003】
例えば、スパッタ装置のような半導体製造装置の真空チャンバ内には、ウエハの膜を形成しない裏面側にスパッタ粒子が回り込むのを防ぐため、ウエハの膜を形成する側の外縁を覆うようにシールドが設けられている。このシールドは、近年の生産効率の向上等の要望から半導体チップのとれ数を上げるため、ウエハ外縁を覆う部分が低面積化される傾向にある。このようにシールドのウエハ外縁を覆う部分が低面積化された場合、ウエハの中心位置を正確に配置しないと、シールドとウエハの間に隙間ができてスパッタ粒子がウエハ裏面側に回り込んで品質劣化の要因となったり、反対にウエハの本来膜を形成すべき部分がシールドに隠れて生産効率が低下する可能性がある。
【0004】
また、CVD(Chemical Vapor Deposition)のように真空チャンバ内で加熱したウエハ上に反応ガスを導入して膜形成を行う半導体製造装置では、ウエハの膜形成面を均一に加熱しないと、膜形成面内で処理ムラが生じて膜特性が劣化する。この処理ムラをなくすには、真空チャンバ内でウエハの中心位置を常に適正な位置に配置して、均一加熱がなされるウエハと加熱ヒータとの位置関係が正確に再現できなければならない。
【0005】
このように、半導体製造装置の真空チャンバ内におけるウエハの中心位置及びオリフラ部やノッチ部等を基準としたウエハの回転位置の精度は、ウエハから製造される半導体チップの品質に大きな影響を与える。このため、従来から半導体製造装置の真空チャンバ内でウエハ位置を計測して位置補正を行う技術が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、画像処理によって真空チャンバ内の反応系の位置を計測する画像処理装置を設けた気相成長装置が開示されている。この気相成長装置では、ウエハを各外表面に取り付けた基板保持構造体である多角錐形のサセプタを、釣鐘状のリアクタ内でその中心軸と同軸に回転させつつ加熱して反応ガスを導入することで、ウエハ上に膜を形成する。また、この気相成長装置には、真空チャンバ内の反応系の位置を計測しその位置矯正を行う手段として、画像撮像手段、画像処理手段及び押圧位置ずれ矯正手段が設けられている。
【0007】
画像撮像手段は、サセプタの頂部を視野内に収める撮像手段であり、リアクタの頂部に形成されたビューポートを介してリアクタの外側に設けられる。画像処理手段は、画像撮像手段で撮像されたサセプタ頂部の画像を用いて、サセプタの頂部の中心とリアクタの中心軸との距離(サセプタの位置ずれ)を算出する。押圧型位置ずれ矯正手段は、画像処理手段で算出された位置ずれを無くすようにサセプタを押圧して位置を矯正する。これら手段によってサセプタの位置ずれを矯正することで、特許文献1の気相成長装置では、リアクタ内壁とサセプタ外表面との間で反応ガスの流速分布が一様になり、ウエハ上の膜特性のばらつきを減少させることができる。
【0008】
また、特許文献2は、ウエハの外周上の複数点を撮像した画像を画像処理することで、ウエハ位置を決定する位置決め方法を開示している。具体的には、ウエハのノッチ部若しくはオリエンテーションフラット(以下、オリフラと呼ぶ)部を含むウエハの複数箇所に2次元画像処理装置の観察視野を設定する。これら観察視野内にそれぞれ接触方式のプリアライメント機構(大まかな位置決めを行う機構)の基準ピンとの接触位置に対応する仮想位置とを設定し、各観察視野内のウエハの計測点の上記仮想位置からの位置ずれ量により、ウエハのX方向へのオフセット、Y方向へのオフセット、及び回転位置の誤差を求める。
【0009】
例えば、2次元画像処理装置による計測点を、ウエハのノッチ部に1箇所、それ以外の外周部に2箇所設定し、これら3箇所の計測点でウエハの位置を検出することによって、ウエハの回転位置、及び2次元的な位置を特定することができる。一方、2次元画像処理装置による計測点を、ウエハのオリフラ部に2箇所、それ以外の外周部に1箇所設定し、これら3箇所の計測点でウエハの位置を検出することで、ウエハの回転位置、及び2次元的な位置を特定することができる。
【0010】
さらに、特許文献3に開示される位置ずれ検出装置は、ウエハのノッチ部及びオリフラ部を除くエッジ位置を検出するように配置された3つの輪郭検出センサと、3つの輪郭検出センサの各検出値に基づいてウエハの中心位置と基準原点との間のずれ量を求めるずれ量演算部とを備える。特許文献3の位置ずれ検出装置では、3つの輪郭検出センサでウエハの輪郭上の3点の位置を捉えることで、ウエハの製造誤差や熱伸縮の影響を受けずに、ウエハの位置ずれの有無及び位置ずれ量を求めることができる。
【0011】
【特許文献1】特開平8−264461号公報
【特許文献2】特開平9−186061号公報
【特許文献3】特開2002−43394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1では、リアクタの頂部に設けたビューポートを介してサセプタの頂部を撮像するが、リアクタ内で実行する処理によってはビューポートの窓材に反応物が付着して撮像不能となる可能性がある。また、リアクタにビューポートを設ける構成では、外乱光の影響を受け易い処理を行うことができない。
【0013】
近年では、特許文献1のように複数枚のウエハをリアクタで一度に処理する、いわゆるバッチ式の半導体製造装置の他に、枚葉式搬送の半導体製造装置が普及している。この枚葉式搬送の半導体製造装置は、ウエハに膜形成処理等を行うプロセスチャンバと、ウエハ搬送用のロボットアームが設けられたトランスファチャンバとを備えており、ロボットアームでトランスファチャンバからプロセスチャンバにウエハを一枚ずつ搬送して処理が行われる。
【0014】
トランスファチャンバのロボットアームによるウエハ搬送精度は、プロセスチャンバ内でのウエハの中心位置や回転位置の精度に強く影響する。このため、枚葉式搬送の半導体製造装置では、ロボットアームで搬送したウエハの中心位置や回転位置を計測して位置ずれを検査補正できることが必要である。しかしながら、特許文献1では、サセプタの頂部の画像のみを利用することから、枚葉式搬送の半導体製造装置に直接適用できない。
【0015】
また、特許文献2では、ウエハのノッチ部又はオリエンテーションフラット部及びこの他の外周部の計測点をそれぞれ撮像してウエハの位置を計測するので、枚葉式搬送の半導体製造装置にも適用可能である。しかしながら、ウエハのノッチ部又はオリエンテーションフラット部及びその他の外周部の計測点を撮像するには、これら計測点を含む観察視野を与える、複数のビューポートか大口径のビューポートが必要である。
【0016】
さらに、特許文献3の位置ずれ検出装置では、ウエハの輪郭上の3点を検出するための3つの輪郭検出センサが必要である。また、ウエハのノッチ部やオリエンテーションフラット部を除いた輪郭上の点を検出することから、ウエハの輪郭上に欠け等があった場合、ウエハの輪郭を正確に検出することができず、計測結果の中心位置が大きくずれる可能性がある。
【0017】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ウエハを一枚ずつ搬送する枚葉式搬送の半導体製造装置において、ウエハの中心位置及び回転位置(回転角)を正確に計測し位置ずれを確認することができる画像処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明に係る画像処理装置は、次の真空処理装置に対して用いるものであり、真空処理装置は、処理対象物に対する処理を行う処理チャンバと、処理対象物の搬送機構を有し処理チャンバに処理対象物を搬入搬出する搬送用真空チャンバとを備えるものである。この真空処理装置の処理対象物の位置を計測するために用いる画像処理装置において、搬送用真空チャンバの外側に設置され、搬送用真空チャンバに設けられたビューポートを介して処理対象物の少なくとも輪郭線を含む画像を撮像する1つの撮像カメラと、撮像カメラで撮像された画像から抽出した処理対象物の輪郭位置データを用いて、処理対象物の輪郭を示す関係式を求め、この関係式に基づいて処理対象物の位置を計測する計測手段とを備えるものである。
【0019】
この発明に係る画像処理装置は、処理チャンバの位置に搬送された処理対象物の少なくとも輪郭線を含む画像を撮像する撮像カメラを備え、計測手段が、撮像カメラで撮像された処理チャンバの位置に搬送された処理対象物の画像から抽出した処理対象物の輪郭位置データを用いて、処理対象物の輪郭を示す関係式を求め、この関係式に基づいて処理対象物の位置を計測するものである。
【0020】
この発明に係る画像処理装置は、処理チャンバへの搬入前及び処理チャンバからの搬出後の搬送用真空チャンバ内の同一位置で計測手段が計測した処理対象物の各位置計測結果を比較して位置ずれを検査する位置ずれ検査手段を備えるものである。
【0021】
この発明に係る画像処理装置は、位置ずれ検査手段が、真空処理装置に設けられたアライナ装置で位置合わせされた処理対象物の位置情報と計測手段による処理対象物の位置計測結果とを比較して位置ずれを検査するものである。
【0022】
この発明に係る画像処理装置は、真空処理装置に設けられた搬送機構の動作を制御する制御装置に対し、搬送機構の動作補正用データとして、計測手段による処理対象物の位置計測結果又は位置ずれ検査手段による位置ずれ検査結果を送信する通信制御手段を備えるものである。
【0023】
この発明に係る画像処理装置は、処理対象物が外周上に基準部が形成された円盤形状を有しており、計測手段が、撮像カメラで撮像された画像から抽出した処理対象物の輪郭位置データを用いて、処理対象物の輪郭円を示す関係式を求める円推定手段と、円推定手段で求めた関係式に基づいて、処理対象物の中心位置を算出する中心位置計測手段と、中心位置計測手段で求めた中心位置及び基準部を通る第1の基準線と、中心位置及び所定の基準位置を通る第2の基準線とのなす角を、処理対象物の回転位置として算出する回転角計測手段とを備えるものである。
【0024】
この発明に係る画像処理装置は、計測手段が、処理対象物の輪郭線の一部を含む画像から抽出した輪郭位置データを用いて、処理対象物の輪郭全体を近似した関係式を求め、この関係式に基づいて処理対象物の位置を計測するものである。
【0025】
この発明に係る画像処理装置は、計測手段が、処理対象物の輪郭全体を含む画像から抽出した輪郭位置データを用いて、処理対象物の輪郭を示す関係式を求め、この関係式に基づいて処理対象物の位置を計測するものである。
【0026】
この発明に係る画像処理装置は、処理対象物の裏面側から照明を与える透過照明手段を備え、計測手段が、撮像カメラによって透過照明手段から照明を与えられた処理対象物の表面側から撮像された画像を用いて、処理対象物の位置を計測するものである。
【0027】
この発明に係る画像処理装置は、処理対象物の表面側から照明を与える透過照明手段を備え、計測手段が、撮像カメラによって透過照明手段から照明を与えられた処理対象物の裏面側から撮像された画像を用いて、処理対象物の位置を計測するものである。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、搬送用真空チャンバの外側に設置され、搬送用真空チャンバに設けられたビューポートを介して処理対象物の少なくとも輪郭線を含む画像を撮像する1つの撮像カメラと、撮像カメラで撮像された画像から抽出した処理対象物の輪郭位置データを用いて、処理対象物の輪郭を示す関係式を求め、この関係式に基づいて処理対象物の位置を計測する計測手段とを備えるので、ウエハの位置を正確に計測し位置ずれを確認することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による画像処理装置及びこれを利用した半導体製造装置の構成を概略的に示す図であり、トランスファチャンバ4を上方から透かしてその内部構成を記載している。図1に示すように、実施の形態1による画像処理装置1は、枚葉式搬送の半導体製造装置において、ウエハ3の中心位置及びオリフラ部やノッチ部を基準としたウエハ3の回転位置(回転角)を計測する。この半導体製造装置は、トランスファチャンバ(搬送用真空チャンバ)4、プロセスチャンバ(処理チャンバ)5、ロード・アンロード装置6及び制御装置8を備える。
【0030】
トランスファチャンバ4には、ウエハ3搬送用のロボットアーム(搬送機構)9が内部に設けられており、ロボットアーム9を用いてプロセスチャンバ5へのウエハ3の出し入れ、ロード・アンロード装置6との間でのウエハ3の受け渡しが行われる。また、トランスファチャンバ4の上部及び下部には、ビューポートが設けられている。
【0031】
図1の例では、トランスファチャンバ4の上部に設けたビューポートを介したトランスファチャンバ4の外側に撮像カメラ2が取り付けられる。また、トランスファチャンバ4の下部に設けたビューポートを介したトランスファチャンバ4の外側には、図2で後述する透過照明が取り付けられる。この透過照明は、撮像カメラ2の視野a内に位置するウエハ3の外周の一部を、下部のビューポートを介して真下から照らすことができる。これにより、撮像カメラ2は、真下から透過照明で照らされたウエハ3の外周の一部を、上部のビューポートを介して真上から撮像可能である。なお、図1は、トランスファチャンバ4において、撮像カメラ2と透過照明を各プロセスチャンバ5とロード・アンロード装置6に対応して設けた場合を示している。これにより、各撮像カメラ2は、視野aでウエハ3を撮像することができる。
【0032】
プロセスチャンバ5は、スパッタ、PVD(Physical Vapor Deposition)、エッチャ、CVD等の真空処理の種類ごとに設けられ、トランスファチャンバ4から搬入したウエハ3に対して真空処理が実行される。また、プロセスチャンバ5には、外乱光を避ける等の理由からビューポートは設けられていない。なお、トランスファチャンバ4及びプロセスチャンバ5は、不図示の排気系によって内部が真空状態となっている。
【0033】
ロード・アンロード装置6は、トランスファチャンバ4との間でウエハ3の受け渡しを行う装置であって、ウエハアライナ(アライナ装置)7、及びウエハ3の搬送用のロボットアーム(搬送機構)10を備える。ウエハアライナ7は、ウエハ3のエッジ部分を検出するエッジセンサやウエハ3の回転方向を調整する回転保持部を有し、オリフラ部やノッチ部を基準としたウエハ3の回転位置(回転角)や、ウエハ3の中心位置を適正な位置にアライニング(位置合わせ)する。制御装置8は、画像処理装置1の計測結果に応じて、ロボットアーム9,10によるウエハ3の搬送動作を制御する。
【0034】
図2は、図1中の画像処理装置の構成を示すブロック図である。図2において、画像処理装置1は、画像データ取得部12、記憶部13、計測部(計測手段)14、通信制御部(通信制御手段)19及び位置ずれ検査部(位置ずれ検査手段)20を備える。画像データ取得部12は、撮像カメラ2との間におけるインタフェースとして機能する構成要素であり、撮像カメラ2で撮像された画像データを取得する。記憶部13は、画像データ取得部12により取得された画像データを格納する。
【0035】
計測部14は、撮像カメラ2で撮像されたウエハ3の画像データを用いて、ウエハ3の中心位置及び回転位置(回転角)を計測する構成要素であり、画像切り出し部15、円推定部(円推定手段)16、中心位置計測部(中心位置計測手段)17及び回転角計測部(回転角計測手段)18を備える。画像切り出し部15は、撮像カメラ2で撮像された画像データからウエハ3の位置計測に必要な画像を切り出す。例えば、図1に示す視野a内で撮像された画像であれば、撮像画像からウエハ3の外周の一部を含む画像が切り出され、図6や図9で後述するウエハ3の全体を撮像した画像であれば、撮像画像からウエハ3の外周円を含む画像が切り出される。
【0036】
円推定部16は、画像切り出し部15により切り出された位置計測用の画像を用いて、ウエハ3の外周(輪郭)に対応する円を示す関係式を求める。中心位置計測部17は、円推定部16で求められたウエハ3の外周に対応する円を示す関係式を用いて、ウエハ3の中心位置を計測する。回転角計測部18は、上記位置計測用の画像から特定したウエハ3の外周上のノッチ部又はオリフラ部、円推定部16で求められた円を示す関係式、及び中心位置計測部17で計測されたウエハ3の中心位置を用いて、ノッチ部又はオリフラ部を基準としたウエハ3の回転位置(回転角)を計測する。
【0037】
通信制御部19は、制御装置8との間におけるインタフェースとして機能する構成要素であり、計測部14によるウエハ3の位置計測結果や、位置ずれ検査部20で求められたウエハ3の位置ずれ量を送信する。位置ずれ検査部20は、計測部14によるウエハ3の位置計測結果について、ウエハアライナ7でアライニングされたウエハ3の位置からの位置ずれを検査する。
【0038】
なお、上述した画像データ取得部12、記憶部13、計測部14、通信制御部19及び位置ずれ検査部20は、画像処理装置1に搭載されたCPUに本発明の趣旨に従う画像処理用プログラムを実行させてその動作を制御することにより、ソフトウエアとハードウエアとが協働した具体的な手段として実現することができる。
【0039】
次に動作について説明する。
先ず、ロード・アンロード装置6は、制御装置8の制御の下、ロボットアーム10を用いて、例えばウエハ保持棚(不図示)からウエハ3を取り出し、ウエハアライナ7に搬送する。ウエハアライナ7では、エッジセンサを用いてウエハ3のオリフラ部又はノッチ部を検出し、これを基準としたウエハ3の回転位置(回転角)及びウエハ3の中心位置を適正な位置にアライニングする。この後、ロボットアーム10を用いて、ウエハアライナ7からトランスファチャンバ4へウエハ3を搬送する。実施の形態1による画像処理装置1では、トランスファチャンバ4において、以下のようなウエハ3の位置計測を実行する。
【0040】
(1)トランスファチャンバ4におけるウエハ3の位置計測
(1−1)ウエハ外周の一部を撮像した画像を用いる場合
図3は、トランスファチャンバにおけるウエハ位置計測例を説明するための図であり、図1と同様にトランスファチャンバ4を上方から透かしてその内部構成を記載している。また、図4は、図3中のトランスファチャンバの側面図であり、トランスファチャンバ4の内部構成を示すために側壁を透かして記載している。図4に示すように、撮像カメラ2は、ビューポート4aを介したトランスファチャンバ4の外側に取り付ける。また、透過照明11aは、ビューポート4bを介したトランスファチャンバ4の外側に取り付ける。なお、図3及び図4において、図1で示した構成要素に対応するものには同一符号を付している。
【0041】
先ず、トランスファチャンバ4内でロボットアーム9によってウエハ3を搬送し、ウエハ3の外周の一部を撮像カメラ2の視野aに入れる。なお、視野a内にウエハ3の外周の一部を入れた際、ノッチ部又はオリフラ部若しくはその他の外周上の基準点が視野a内に入るようにウエハ3の回転位置を予め設定しておく。
【0042】
次に、不図示の照明用電源を起動して透過照明11aを点灯し、撮像カメラ2の視野a内に位置するウエハ3の外周の一部に対して、下部のビューポート4bを介した真下から照明を与える。この後、撮像カメラ2によって、透過照明11aで照らされたウエハ3の外周の一部を、上部のビューポート4aを介した真上から撮像する。
【0043】
画像処理装置1の画像データ取得部12は、ウエハ3の外周の一部(ウエハ3の輪郭線の一部)を撮像した画像データを撮像カメラ2から取得して記憶部13に格納する。計測部14の画像切り出し部15は、記憶部13から上記画像データを取り込み、この画像データからウエハ3の位置計測に必要な画像を切り出す。ここでは、視野aで撮像された画像からウエハ3の外周の一部を含む部分画像が切り出される。
【0044】
図5は、ウエハ外周の一部の画像を用いた位置計測を説明するための図であり、図5(a)はウエハ3外周の一部のエッジ画像を示しており、図5(b)は図5(a)中のエッジ画像を用いたウエハ3の回転位置の計測処理を示している。透過照明11aを用いることにより、視野aでの画像は、図5(a)に示すように透過照明11aの照明を遮る部分が黒く影となり、透過照明11aの照明を通す部分が白く浮かび上がって、ウエハ3外周のエッジ部分が強調された画像となる。
【0045】
これにより、反射照明のようにウエハ3の材料やウエハ3に形成した回路パターンの影響を受けてエッジ部が不鮮明になることがなく、安定した位置計測を行うことができる。画像切り出し部15では、視野aで撮像された画像から、図5(a)に示すようなウエハ3外周の一部を含む画像21aを取り出し、円推定部16に出力する。図5の例では、ウエハ3の外周上のノッチ部22が画像21aに撮像されているものとする。
【0046】
図6は、実施の形態1の画像処理装置によるウエハの位置計測処理の流れを示すフローチャートであり、この図に沿ってウエハの位置計測の詳細を説明する。
先ず、円推定部16は、画像切り出し部15から画像21aを入力すると、画像21aを画素の列ごとに走査してエッジ位置を抽出する(ステップST1)。
【0047】
次に、円推定部16は、得られたエッジ位置のデータを用いて最小二乗法などの近似計算を行い、トランスファチャンバ4のウエハ搬送面に設定した2次元座標系において、ウエハ3の輪郭全体を近似する円を求める(ステップST2)。この後、円推定部16は、各エッジ位置データと近似円とのずれを求め、ずれ量の最大値が所定値以下であるか否かを判定する(ステップST3)。このとき、ずれ量の最大値が所定値よりも大きい場合、ステップST1に戻って、上述の処理を繰り返す。
【0048】
なお、ウエハ3のエッジ位置から近似円を求めるためには、最低3つのエッジ位置が必要である。特許文献3では、3つの輪郭検出センサを用いて3つのエッジ位置を検出してウエハの外周に対応する円を推定している。これに対して、円推定部16は、画像21aに含まれるエッジ部(輪郭線)を構成する全てのエッジ位置を用いて近似円を求めることができる。
【0049】
例えば、横方向の画素数が1280個のデジタルカメラを撮像カメラ2として用い、エッジ画像21aで1280個の画素からなるエッジ部が抽出されていた場合を考える。この場合であっても、特許文献3の方法では、3つのエッジ位置を用いるので1つの円のみが求められる。これに対して、円推定部16は、1280個のエッジ座標から3つのエッジ位置をそれぞれ抽出して最大426個の円を求めることができる。
【0050】
円推定部16は、エッジ位置データと近似円とのずれ量が最も小さい近似円が求められるまで、ステップST1からステップST3までの処理を繰り返すことにより、ウエハ3の外周に対応する円として最も信頼性の高い円を1つ推定することができる。このようにして求められたウエハ3の外周に対応する円に関する情報は、円推定部16から中心位置計測部17及び回転角計測部18に送られる。
【0051】
中心位置計測部17では、図6(b)に示すように、ウエハ3の外周に対応する円の式からウエハ3の中心位置a1の座標を算出する。ウエハ3の中心位置a1の座標データは、中心位置計測部17から回転角計測部18、通信制御部19及び位置ずれ検査部20へ送られる。
【0052】
一方、回転角計測部18では、ステップST1で求められた多数のエッジ位置データと近似円とを対比し、画像21aに含まれるエッジ部からノッチ部(基準部)22の位置を求める(ステップST4)。例えば、円推定部16から入力したウエハ3の外周に対応する近似円に沿って、画像21aに含まれるウエハ3のエッジ部を走査し、エッジ部から外れる部分、例えばくぼんだ部分をノッチ部22として抽出する。
【0053】
続いて、回転角計測部18は、円推定部16から入力したウエハ3の近似円の式を用いて、ウエハ3の中心位置a1及びエッジ上の領域A内にあるノッチ部22を通る基準線b1と、ウエハ3の中心位置a1及び所定の基準位置を通る所定の基準線b2とのなす角θを、ウエハ3の回転角θ(所定の基準位置に対するノッチ部22を基準としたウエハ3の回転位置)として算出する(ステップST5)。
【0054】
このようにして求められたウエハ3の回転角θは、計測部14によるウエハ3の位置計測結果として回転角計測部18から通信制御部19及び位置ずれ検査部20へ送られる。通信制御部19では、中心位置計測部17から取得したウエハ3の中心位置に関する情報と回転角計測部18から取得したウエハ3の回転位置に関する情報を、計測部14によるウエハ3の位置計測結果として制御装置8へ送信する。
【0055】
制御装置8には、例えば適正なウエハ位置が予め登録されており、この適正なウエハ位置と計測部14によるウエハ3の位置計測結果とを比較して、ウエハ3に位置ずれがあるか否かを判定する。ここで、ウエハ3に位置ずれがある場合、制御装置8は、ロボットアーム9(若しくはロボットアーム10)を制御してウエハ3の中心位置を補正するか、ウエハアライナ7に戻して回転位置を含めた位置をアライニングする。
【0056】
なお、上記説明では、プロセスチャンバ5に搬入する前のウエハ3について位置計測を行う場合を示したが、プロセスチャンバ5に搬入する前及びプロセスチャンバ5から搬出した後のトランスファチャンバ4の同一位置でウエハ3の中心位置及び回転位置を計測するようにしてもよい。この場合、位置ずれ検査部20が、プロセスチャンバ5へのウエハ3の搬入前及び搬出後のウエハ位置の計測結果を計測部14から取得して両者を比較し、位置ずれを検査する。この位置ずれが大きい場合、プロセスチャンバ4内でのウエハ3の中心位置が適正な場所になかった可能性、つまりウエハ3の処理ムラ等が発生した可能性がある。このため、上記位置ずれが大きかった場合、画像処理装置1から警報を制御装置8へ送信するようにしてもよい。
【0057】
この検査結果(位置ずれ量等)を補正用データとして制御装置8へ送信することにより、プロセスチャンバ5へのウエハ3の搬入前及び搬出後における位置ずれを補正することができる。このように真空処理の前後でウエハ3の位置を計測して位置ずれを補正することで、同一のウエハ3に対して位置の再現性よく各種真空処理を続けて実行できる。
【0058】
(1−2)ウエハ全体を撮像した画像を用いる場合
トランスファチャンバ4において、撮像カメラ2の視野にウエハ3の全体を収めることができる大口径のビューポートを取り付けることが寸法上可能であれば、以下のような計測処理を行ってもよい。
図7は、トランスファチャンバにおけるウエハ位置計測の他の例を説明するための図であり、図1と同様にトランスファチャンバ4を上方から透かしてその内部構成を記載している。また、図8は、図7中のトランスファチャンバの側面図であり、トランスファチャンバ4の内部構成を示すために側壁を透かして記載している。なお、図7及び図8において、図1で示した構成要素に対応するものには、同一符号を付している。
【0059】
図8に示すように、ビューポート4cは、トランスファチャンバ4の上部に設けられ、ビューポート4dは、トランスファチャンバ4の下部に設けられる。撮像カメラ2は、ビューポート4cを介したトランスファチャンバ4の外側に取り付け、透過照明11bは、ビューポート4dを介したトランスファチャンバ4の外側に取り付ける。
【0060】
ビューポート4cの位置までウエハ3が搬送されると、撮像カメラ2の視野bにウエハ3の全体が収まる。また、透過照明11bは、図4に示した透過照明11aよりも大面積の照明であり、ビューポート4dを介して撮像カメラ2の視野bに位置するウエハ3の全体を真下から照らすことができる。これにより、撮像カメラ2は、真下から透過照明11bで照らされたウエハ3の全体を、ビューポート4cを介して真上から撮像可能である。
【0061】
画像データ取得部12は、ウエハ3の全体を撮像した画像データを撮像カメラ2から取得して記憶部13に格納する。画像切り出し部15は、記憶部13から上記画像データを取り込み、この画像データからウエハ3の位置計測に必要な画像を切り出す。ここでは、視野bで撮像された画像からウエハ3の全外周を含む画像が切り出される。
【0062】
図9は、ウエハ全体の画像を用いた位置計測を説明するための図であり、図9(a)はウエハ3全体の画像を示しており、図9(b)は図9(a)中の画像を用いたウエハ3の回転位置の計測処理を示している。透過照明11bを用いることにより、視野bでの画像は、図9(a)に示すように透過照明11bの照明を遮る部分が黒く影となり、透過照明11bの照明を通す部分が白く浮かび上がって、ウエハ3外周が強調された画像となる。これにより、反射照明のようにウエハ3の材料やウエハ3に形成した回路パターンの影響を受けてエッジ部が不鮮明になることがなく、安定した位置計測を行うことができる。
【0063】
画像切り出し部15は、視野bで撮像された画像から、図9(a)に示すようなウエハ3全体の画像21bを取り出し、円推定部16に出力する。円推定部16では、画像切り出し部15から画像21bを入力すると、画像21bを画素の列ごとに走査してウエハ3の輪郭全体のエッジ位置を抽出する。
【0064】
次に、円推定部16は、得られたエッジ位置のデータを用いて最小二乗法などの近似計算を行い、トランスファチャンバ4のウエハ搬送面に設定した2次元座標系において、ウエハ3の輪郭全体に対応する近似円を求める。このようにして求められたウエハ3の外周に対応する円に関する情報は、円推定部16から中心位置計測部17及び回転角計測部18に送られる。
【0065】
中心位置計測部17では、図9(b)に示すようにウエハ3の外周に対応する近似円の式からウエハ3の中心位置a2の座標を算出する。ウエハ3の中心位置a2の座標データは、中心位置計測部17から回転角計測部18、通信制御部19及び位置ずれ検査部20へ送られる。
【0066】
一方、回転角計測部18では、画像21bから抽出した多数のエッジ位置データと近似円とを対比し、画像21bからノッチ部22の位置を求める。例えば、円推定部16から入力したウエハ3の外周に対応する近似円に沿って、画像21bに含まれるウエハ3のエッジ部を走査し、エッジ部から外れる部分、例えばくぼんだ部分をノッチ部22として抽出する。
【0067】
続いて、回転角計測部18は、ウエハ3の中心位置a2及びエッジ上の領域b内にあるノッチ部22を通る基準線c1と、ウエハ3の中心位置a2及び所定の基準位置を通る所定の基準線c2とのなす角θを、ウエハ3の回転角θ(所定の基準位置に対するノッチ部22を基準としたウエハ3の回転位置)として算出する。このようにして求められたウエハ3の回転角θは、回転角計測部18から通信制御部19及び位置ずれ検査部20へ送られる。
【0068】
通信制御部19は、中心位置計測部17から取得したウエハ3の中心位置に関する情報と回転角計測部18から取得したウエハ3の回転位置に関する情報を、計測部14による計測結果として制御装置8へ送信する。
【0069】
制御装置8には、例えば適正なウエハ位置が予め登録されており、この適正なウエハ位置と計測部14の計測結果とを照合して、ウエハ3に位置ずれがあるか否かを判定する。ここで、ウエハ3に位置ずれがある場合、制御装置8は、ロボットアーム9(若しくはロボットアーム10)を制御してウエハ3の中心位置を補正するか、ウエハアライナ7に戻して回転位置を含めた位置をアライニングする。
【0070】
なお、ウエハ全体を撮像した画像を用いた計測においても、プロセスチャンバ5に搬入する前及びプロセスチャンバ5から搬出した後のトランスファチャンバ4の同一位置でウエハ3の中心位置及び回転位置を計測するようにしてもよい。この場合、位置ずれ検査部20が、プロセスチャンバ5へのウエハ3の搬入前及び搬出後のウエハ位置の計測結果を計測部14から取得して両者を比較し、位置ずれを検査する。この位置ずれが大きい場合、プロセスチャンバ4内でのウエハ3の中心位置が適正な場所になかった可能性、つまりウエハ3の処理ムラ等が発生した可能性がある。このため、上記位置ずれが大きかった場合、画像処理装置1から警報を制御装置8へ送信するようにしてもよい。
【0071】
この検査結果(位置ずれ量等)を補正用データとして制御装置8へ送信することにより、プロセスチャンバ5へのウエハ3の搬入前及び搬出後における位置ずれを補正することができる。このように真空処理の前後でウエハ3の位置を計測して位置ずれを補正することで、同一のウエハ3に対して位置の再現性よく各種真空処理を続けて実行できる。
【0072】
また、上記(1)では、回転位置を求める基準としてノッチ部22を求める場合を示したが、オリフラ部を検出してウエハ3の回転位置を求めるようにしてもよい。
【0073】
(2)ウエハアライナ7で位置補正したウエハ3の搬送過程での位置ずれ検査
先ず、位置ずれ検査部20は、ロード・アンロード装置6でウエハアライナ7によってアライニングされたウエハ3の中心位置及び回転位置(回転角)を取得し、上記(1)で述べたようにしてトランスファチャンバ4内で計測部14により計測されたウエハ3の中心位置及び回転位置(回転角)を取得する。この後、位置ずれ検査部20は、ウエハアライナ7でアライニングされたウエハ3の位置と計測部14による計測結果とを比較し、ウエハアライナ7でアライニングされたウエハ3の位置から計測部14による計測結果がどれだけ位置ずれしているかを判定する。
【0074】
ここで、計測部14による計測結果がウエハアライナ7によってアライニングされたウエハ3の位置と一致しない場合、位置ずれ検査部20は、トランスファチャンバ4におけるウエハ搬送過程で位置ずれが生じたものと判定し、その位置ずれ量を算出する。この位置ずれ量の算出結果は、位置ずれ検査部20から通信制御部19を介して制御装置8へ送信される。
【0075】
制御装置8では、画像処理装置1から位置ずれ量の算出結果を受信すると、この位置ずれがなくなるように、ロボットアーム9(若しくはロボットアーム10)を制御してウエハ3の中心位置を補正するか、ウエハアライナ7に戻して回転位置を含めた位置をアライニングする。このようにすることで、ウエハ3の搬送過程での位置ずれを補正することができる。
【0076】
(3)プロセスチャンバの搬送位置でのウエハ位置計測
ウエハ上の膜形成処理等の真空処理が行われるプロセスチャンバ5にビューポートを設けた場合、プロセスチャンバ5の内部で実行される真空処理によってはビューポートの窓材に処理材が付着したり、ビューポートを介して内部に入射される外乱光により真空処理の結果が影響を受ける場合がある。このため、プロセスチャンバ5にビューポートを設けない構成が趨勢となっている。一方、トランスファチャンバ4からプロセスチャンバ5にウエハ3を搬送するまでの間に位置ずれが生じるかどうかを確認することは、ウエハ3の位置再現性を向上させる上でも重要である。
【0077】
そこで、プロセスチャンバ5を組み上げる前の段階で、実施の形態1による画像処理装置1を用いて、トランスファチャンバ4のロボットアーム9でウエハ3をプロセスチャンバ5の位置に搬送し、この位置でウエハ3の位置計測を行い、プロセスチャンバ5にウエハ3を搬送するまでに位置ずれが生じたか否かを確認する。
【0078】
図10は、プロセスチャンバの搬送位置でのウエハ位置計測を説明するための図であり、図1と同様にトランスファチャンバ4を上方から透かしてその内部構成を記載している。なお、図10において、図1で示した構成要素に対応するものには同一符号を付している。図10に示す例では、プロセスチャンバ5の側壁となる筒状構造部のみをトランスファチャンバ4に接続し、この筒状構造部に対してプロセスチャンバ5内の上部構成が取り付けられる蓋状のフランジと下部構成が取り付けられる底板状のフランジとを取り付ける前の段階でウエハ3の位置計測を行う。
【0079】
撮像カメラ2aは、上記蓋状のフランジを取り付けるプロセスチャンバ5の筒状構造部の上部の開口側に配置し、透過照明は、上記底板状のフランジを取り付ける上記筒状構造部の下部の開口に配置する。プロセスチャンバ5の筒状構造部の開口はビューポートと比較して大口径であるので、撮像カメラ2aに対してウエハ3の全体を収めることができる視野cを与えることができる。
【0080】
図10に示すように、ロボットアーム9を用いて、上述した組み上げ前のプロセスチャンバ5にウエハ3を搬送する。この搬送位置で、撮像カメラ2aの視野cにウエハ3の全体が収まる。この後、上記(1−2)で説明した処理と同様の手順で、ウエハ3の全体を撮像した画像を用いて位置計測を行う。このようにして求められた位置計測結果は、画像処理装置1から制御装置8へ送られる。これにより、ロボットアーム9の搬送精度を検査することができる。
【0081】
このように、上記(1)で示したトランスファチャンバ4での位置計測結果とともに、プロセスチャンバ5に搬送した段階での位置計測結果を用いて、ウエハ3が適正な位置に搬送されているかを確認し、位置ずれが大きい場合、搬送系(例えば、ロボットアーム)の不具合を修正することで、半導体製造装置における搬送系で安定した位置精度のウエハ搬送を実現することができ、この半導体製造装置を用いて製造した半導体の品質向上を図ることができる。
【0082】
以上のように、この実施の形態1によれば、トランスファチャンバ4の外側に設置され、トランスファチャンバ4に設けられたビューポート4aを介してウエハ3の少なくとも輪郭線(エッジ部)を含む画像を撮像する1つの撮像カメラ2と、撮像カメラ2で撮像された画像から抽出したウエハのエッジ位置データを用いて、ウエハ3の輪郭を示す関係式を求め、この関係式に基づいてウエハ3の位置を計測する計測部14とを備えたので、ウエハ3の中心位置及び回転位置(回転角)等を正確に計測し位置ずれを確認することができる。
【0083】
また、この実施の形態1によれば、プロセスチャンバ5の位置に搬送されたウエハ3の少なくとも輪郭線(エッジ部)を含む画像を撮像する撮像カメラ2aを備え、計測部14が、撮像カメラ2aで撮像されたプロセスチャンバ5の位置に搬送されたウエハ3の画像から抽出したエッジ位置データを用いて、ウエハ3の輪郭を示す関係式を求め、この関係式に基づいてウエハ3の位置を計測するので、トランスファチャンバ4からプロセスチャンバ5にウエハ3を搬送するまでの間に位置ずれが生じるかどうかを確認することができる。
【0084】
さらに、この実施の形態1によれば、プロセスチャンバ5への搬入前及びプロセスチャンバ5からの搬出後のトランスファチャンバ4内の同一位置で計測部14が計測したウエハ3の各位置計測結果を比較して位置ずれを検査する位置ずれ検査部20を備えるので、プロセスチャンバ5への搬入前及びプロセスチャンバ5からの搬出後で位置ずれが生じたか否かを確認することができる。
【0085】
さらに、この実施の形態1によれば、位置ずれ検査部20が、ウエハアライナ7で位置合わせされたウエハ3の位置情報と計測部14によるウエハ3の位置計測結果とを比較して位置ずれを検査するので、ウエハアライナ7で予め位置合わせされたウエハ3の位置からのずれを補正することができる。
【0086】
さらに、この実施の形態1によれば、ロボットアーム9,10の動作を制御する制御装置8に対し、ロボットアーム9,10の動作補正用データとして、計測部14による処理対象物の位置計測結果又は位置ずれ検査部20による位置ずれ検査結果を送信する通信制御部19を備えるので、ウエハ3の搬送過程での位置ずれを補正することができる。
【0087】
さらに、この実施の形態1によれば、計測部14が、撮像カメラ2で撮像された画像から抽出したウエハ3の輪郭位置データを用いて、ウエハ3の輪郭円を示す関係式を求める円推定部16と、円推定部16で求めた関係式に基づいて、ウエハ3の中心位置を算出する中心位置計測部17と、中心位置計測部17で求めた中心位置及びノッチ部22を通る第1の基準線と、中心位置及び所定の基準位置を通る第2の基準線とのなす角を、ウエハ3の回転位置として算出する回転角計測部18とを備えたので、ウエハ3の中心位置及び回転位置(回転角)等を正確に計測することができる。
【0088】
さらに、この実施の形態1によれば、計測部14が、ウエハ3の輪郭線の一部を含む画像から抽出したエッジ(輪郭)位置データを用いて、ウエハ3の輪郭全体を近似した関係式を求め、この関係式に基づいてウエハ3の位置を計測するので、エッジ部(輪郭線)を構成する全てのエッジ位置を用いて近似円が求められ、ウエハ3の外周に対応する円として信頼性の高い円を推定することができる。
【0089】
さらに、この実施の形態1によれば、計測部14が、ウエハ3の全体を含む画像から抽出したエッジ位置データを用いて、ウエハ3の輪郭を示す関係式を求め、この関係式に基づいて処理対象物の位置を計測するので、ウエハ3の外周に対応する円として信頼性の高い円を推定することができる。
【0090】
さらに、この実施の形態1によれば、ウエハ3の裏面側(若しくは表面側)から照明を与える透過照明11を備え、計測部14が、撮像カメラ2によって透過照明11から照明を与えられたウエハ3の表面側(若しくは裏面側)から撮像された画像を用いて、ウエハ3の位置を計測するので、ウエハ3の材料やウエハ3に形成した回路パターンの影響を受けてエッジ部が不鮮明になることがなく、安定した位置計測を行うことができる。
【0091】
なお、上記実施の形態1では、ウエハアライナ7を有する半導体製造装置を例に挙げて説明したが、ロボットアーム9で調整可能な範囲内での位置精度が許容される場合は、画像処理装置1による計測結果に基づいてウエハ3を所望の位置を補正することができるので、位置ずれ検査部20の他、ウエハアライナ7を省略することもできる。
【0092】
また、上記実施の形態1では、トランスファチャンバ4の上部に設けたビューポート側に撮像カメラ2を取り付け、トランスファチャンバ4の下部に設けたビューポート側に透過照明11を取り付けた構成について説明したが、トランスファチャンバ4の下部のビューポート側に撮像カメラ2を取り付け、トランスファチャンバ4の上部のビューポート側に透過照明11を取り付けた構成であってもよい。
【0093】
さらに、上記実施の形態1では、本発明を枚葉式搬送の半導体製造装置に適用した場合を示したが、枚葉式搬送の真空処理装置であれば適用可能であり、位置計測の対象及びその形状も半導体ウエハに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】この発明の実施の形態1による画像処理装置及びこれを利用した半導体製造装置を概略的に示す図である。
【図2】図1中の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】トランスファチャンバにおけるウエハ位置計測例を説明するための図である。
【図4】図3中のトランスファチャンバの側面図である。
【図5】ウエハ外周の一部の画像を用いた位置計測を説明するための図である。
【図6】実施の形態1の画像処理装置によるウエハの位置計測処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】トランスファチャンバにおけるウエハ位置計測の他の例を説明するための図である。
【図8】図7中のトランスファチャンバの側面図である。
【図9】ウエハ全体の画像を用いた位置計測を説明するための図である。
【図10】プロセスチャンバの搬送位置でのウエハ位置計測を説明するための図である。
【符号の説明】
【0095】
1 画像処理装置、2,2a 撮像カメラ、3 ウエハ(処理対象物)、4 トランスファチャンバ(搬送用真空チャンバ)、4a,4b,4c,4d ビューポート、5 プロセスチャンバ(処理チャンバ)、6 ロード・アンロード装置、7 ウエハアライナ(アライナ装置)、8 制御装置、9,10 ロボットアーム(搬送機構)、11,11a,11b 透過照明(透過照明手段)、12 画像データ取得部、13 記憶部、14 計測部(計測手段)、15 画像切り出し部、16 円推定部(円推定手段)、17 中心位置計測部(中心位置計測手段)、18 回転角計測部(回転角計測手段)、19 通信制御部(通信制御手段)、20 位置ずれ検査部(位置ずれ検査手段)、21a,21b 画像、22 ノッチ部(基準部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空処理装置は、処理対象物に対する処理を行う処理チャンバと、前記処理対象物の搬送機構を有し前記処理チャンバに前記処理対象物を搬入搬出する搬送用真空チャンバとを備えるものであり、この真空処理装置の前記処理対象物の位置を計測するために用いる画像処理装置において、
搬送用真空チャンバの外側に設置され、前記搬送用真空チャンバに設けられたビューポートを介して前記処理対象物の少なくとも輪郭線を含む画像を撮像する1つの撮像カメラと、
前記撮像カメラで撮像された画像から抽出した処理対象物の輪郭位置データを用いて、前記処理対象物の輪郭を示す関係式を求め、この関係式に基づいて前記処理対象物の位置を計測する計測手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
処理チャンバの位置に搬送された処理対象物の少なくとも輪郭線を含む画像を撮像する撮像カメラを備え、
計測手段は、前記撮像カメラで撮像された処理チャンバの位置に搬送された処理対象物の画像から抽出した処理対象物の輪郭位置データを用いて、前記処理対象物の輪郭を示す関係式を求め、この関係式に基づいて前記処理対象物の位置を計測することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
処理チャンバへの搬入前及び前記処理チャンバからの搬出後の搬送用真空チャンバ内の同一位置で計測手段が計測した処理対象物の各位置計測結果を比較して位置ずれを検査する位置ずれ検査手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
位置ずれ検査手段は、真空処理装置に設けられたアライナ装置で位置合わせされた処理対象物の位置情報と計測手段による前記処理対象物の位置計測結果とを比較して位置ずれを検査することを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
真空処理装置に設けられた搬送機構の動作を制御する制御装置に対し、搬送機構の動作補正用データとして、計測手段による処理対象物の位置計測結果又は位置ずれ検査手段による位置ずれ検査結果を送信する通信制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項6】
処理対象物は、外周上に基準部が形成された円盤形状を有しており、
計測手段は、
撮像カメラで撮像された画像から抽出した処理対象物の輪郭位置データを用いて、前記処理対象物の輪郭円を示す関係式を求める円推定手段と、
前記円推定手段で求めた関係式に基づいて、前記処理対象物の中心位置を算出する中心位置計測手段と、
前記中心位置計測手段で求めた中心位置及び前記基準部を通る第1の基準線と、前記中心位置及び所定の基準位置を通る第2の基準線とのなす角を、前記処理対象物の回転位置として算出する回転角計測手段とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項7】
計測手段は、処理対象物の輪郭線の一部を含む画像から抽出した輪郭位置データを用いて、前記処理対象物の輪郭全体を近似した関係式を求め、この関係式に基づいて前記処理対象物の位置を計測することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項8】
計測手段は、処理対象物の輪郭全体を含む画像から抽出した輪郭位置データを用いて、前記処理対象物の輪郭を示す関係式を求め、この関係式に基づいて前記処理対象物の位置を計測することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項9】
処理対象物の裏面側から照明を与える透過照明手段を備え、
計測手段は、撮像カメラによって前記透過照明手段から照明を与えられた前記処理対象物の表面側から撮像された画像を用いて、前記処理対象物の位置を計測することを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項10】
処理対象物の表面側から照明を与える透過照明手段を備え、
計測手段は、撮像カメラによって前記透過照明手段から照明を与えられた前記処理対象物の裏面側から撮像された画像を用いて、前記処理対象物の位置を計測することを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−88184(P2009−88184A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255039(P2007−255039)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】