説明

移動体装置、露光装置及び露光方法、並びにデバイス製造方法

【課題】移動体の位置情報を高精度で計測する。
【解決手段】 露光ステーション200では、ウエハを保持するステージWFS1の位置情報は、計測アーム71Aを含む第1の微動ステージ位置計測系により計測され、計測ステーション300では、ウエハを保持するステージWFS2の位置情報は、計測アーム71Bを含む第2の微動ステージ位置計測系により計測される。露光装置100は、ステージWFS2が計測ステーション300から露光ステーション200へ搬送される際、このステージWFS2の位置情報を計測可能な第3の微動ステージ計測系を有する。第3の微動ステージ計測系は、複数のYヘッド96,97を含むエンコーダシステムとレーザ干渉計76a〜76dを含むレーザ干渉計システムとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体装置、露光装置及び露光方法、並びにデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、所定の二次元平面に平行な面に沿って移動可能な移動体を含む移動体装置、該移動体装置を備え、エネルギビームで物体を露光する露光装置及び該露光装置で実行される露光方法、並びに前記露光装置又は露光方法を用いるデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子(集積回路等)、液晶表示素子等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、主として、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが用いられている。
【0003】
この種の露光装置では、一般的に、パターンが転写・形成されるウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、ウエハと総称する)を保持して2次元移動するウエハステージの位置が、レーザ干渉計を用いて計測されていた。しかし、近年の半導体素子の高集積化に伴うパターンの微細化により、さらに高精度なウエハステージの位置制御性能が要求されるようになり、その結果、レーザ干渉計のビーム路上の雰囲気の温度変化、及び/又は温度勾配の影響で発生する空気揺らぎに起因する計測値の短期的な変動が、無視できなくなってきた。
【0004】
かかる不都合を改善するものとして、レーザ干渉計と同程度以上の計測分解能を有するエンコーダを、ウエハステージの位置計測装置として採用した露光装置に係る発明が、種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかるに、特許文献1などに開示される液浸露光装置では、液体が蒸発する際の気加熱などの影響によりウエハステージ(ウエハステージ上面に設けられていたグレーティング)が変形するおそれがあるなど、未だ改善すべき点があった。
【0005】
かかる不都合を改善するものとして、例えば、特許文献2には、第5の実施形態として、光透過部材で構成されたウエハステージの上面にグレーティングを設け、ウエハステージの下方に配置されたエンコーダ本体から計測ビームをウエハステージに入射させてグレーティングに照射し、グレーティングで発生する回折光を受光することによって、グレーティングの周期方向に関するウエハステージの変位を計測するエンコーダシステムを備えた露光装置が開示されている。この装置では、グレーティングは、カバーガラスで覆われているので、気化熱などの影響は受け難く、高精度なウエハステージの位置計測が可能である。
【0006】
しかしながら、露光装置の種類によっては(例えば、特許文献3に開示されるようなデュアルステージ構造を採用した露光装置では)、エンコーダシステムの計測可能範囲外でウエハステージに保持されるウエハに所定の処理(例えば、ウエハのアライメント計測)を行った後、エンコーダシステムの計測範囲内(例えば、露光位置)にウエハステージを移動させる必要がある。従って、より広範囲でウエハステージの位置情報を高精度に計測することが可能なシステムの開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2007/097379号
【特許文献2】国際公開第2008/038752号
【特許文献3】米国特許第7,161,659号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、所定の二次元平面に沿って移動可能な移動体と;前記移動体に配置された前記二次元平面に実質的に平行な第1計測面に少なくとも1本の第1計測ビームを下方から照射し、前記第1計測ビームの前記第1計測面からの光を受光して、前記移動体が前記二次元平面内の所定範囲内を移動する際に、該移動体の前記第1軸に平行な方向及び前記第2軸に平行な方向に関する位置情報を計測する第1計測系と;前記二次元平面内の前記所定範囲外で、前記移動体の少なくとも前記第1軸に平行な方向に関する位置情報を計測する第2計測系と;前記第1計測系及び前記第2計測系の少なくとも一方の計測情報に基づいて前記移動体の位置を制御する制御系と;を備える第1の移動体装置が、提供される。
【0009】
これによれば、二次元平面内の所定範囲内を移動する移動体の位置情報は、移動体に配置された二次元平面に実質的に平行な第1計測面に第1計測ビームを下方から照射する第1計測系により計測される。従って、上記2次元平面内の所定範囲内では、移動体の位置情報を高精度に計測することが可能である。また、2次元平面内の前記所定範囲外における移動体の少なくとも前記第1軸に平行な方向に関する位置情報は、第2計測系により計測される。さらに、制御系により、第1計測系及び第2計測系の少なくとも一方の計測情報に基づいて移動体の位置が制御される。従って、制御系は、第1及び/又は第2計測系の計測情報に基づいて、2次元平面内の広い範囲で移動体の位置を確実に制御できる。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、互いに直交する第1軸及び第2軸を含む二次元平面内の第1範囲内で移動する第1支持部材と;前記二次元平面内の前記第1範囲の前記第1軸に平行な方向の一側に位置する第2範囲内で移動する第2支持部材と;前記第1範囲と前記第2範囲との境界付近に配置された保持部材と;前記第1支持部材と前記第2支持部材とに、少なくとも前記二次元平面に平行な面内で相対移動可能に支持される移動体と;前記第1支持部材に支持されている前記移動体に配置された前記二次元平面に実質的に平行な第1計測面に少なくとも1本の第1計測ビームを下方から照射し、該第1計測ビームの前記第1計測面からの光を受光して、該移動体の前記第1軸に平行な方向及び前記第2軸に平行な方向に関する位置情報を計測する第1計測系と;前記移動体が、前記保持部材を介して前記第1支持部材と前記第2支持部材との間で受け渡される際に、前記移動体の前記保持部材上での位置情報を計測する第2計測系と;を備える第2の移動体装置が、提供される。
【0011】
これによれば、第1支持部材に支持されている移動体の位置情報は、移動体に配置された二次元平面に実質的に平行な第1計測面に第1計測ビームを下方から照射する第1計測系により計測される。従って、第1支持部材に支持されている移動体の位置情報を、高精度に計測可能である。また、移動体が、前記保持部材を介して前記第1支持部材と第2支持部材との間で受け渡される際に、移動体の保持部材上での位置情報が、第2計測系により計測される。従って、第1及び/又は第2計測系の計測情報に基づいて、2次元平面に平行な面内の広い範囲で移動体の位置情報を計測することが可能になる。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、エネルギビームの照射によって物体にパターンを形成する露光装置であって、前記物体が前記移動体上に載置される、本発明の第1、第2の移動体装置のいずれかと;前記移動体上に載置された前記物体に前記エネルギビームを照射するパターニング装置と;を備える第1の露光装置が、提供される。これによれば、本発明の第1、第2の移動体装置のいずれかを備えているので、物体にパターンを高精度に形成することが可能となる。
【0013】
本発明の第4の態様によれば、エネルギビームで物体を露光する露光装置であって、前記エネルギビームによる前記物体の露光が行われる露光ステーションを含む第1範囲内で移動可能な第1支持部材と;前記物体のアライメント情報の計測が行われる計測ステーションを含む第2範囲内で移動可能な第2支持部材と;前記物体を保持するとともに、前記第1、第2支持部材のそれぞれによって移動可能に支持される移動体と;前記第1支持部材に支持される前記移動体の位置情報を計測する第1計測系と;前記第2支持部材に支持される前記移動体の位置情報を計測する第2計測系と;前記第1、第2支持部材の一方から他方への前記移動体の受渡時にその位置情報を計測する第3計測系と;を備える第2の露光装置が、提供される。
【0014】
これによれば、第1支持部材に支持され、エネルギビームによる物体の露光が行われる露光ステーションを含む第1範囲内で、物体を保持して移動する移動体の位置情報は、第1計測系により計測される。また、第2支持部材され、物体のアライメント情報の計測が行われる計測ステーションを含む第2範囲内で、物体を保持して移動する移動体の位置情報は、第2計測系により計測される。さらに、第1、第2支持部材の一方から他方への移動体の受渡時にその位置情報は、第3計測系により計測される。従って、第1、第2、及び第3計測系の計測情報に基づいて、露光ステーション及び計測ステーションを含む広い範囲で移動体の位置情報を計測することが可能になる。
【0015】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第1、第2の露光装置のいずれかを用いて物体を露光することと;露光された物体を現像することと;を含むデバイス製造方法が提供される。
【0016】
本発明の第6の態様によれば、エネルギビームで物体を露光する露光方法であって、前記エネルギビームによる前記物体の露光が行われる露光ステーションを含む第1範囲内で、前記物体を保持する移動体を支持する第1支持部材を移動させ、該第1支持部材に支持される前記移動体の位置情報を第1計測系により計測することと;前記物体のアライメント情報の計測が行われる計測ステーションを含む第2範囲内で、前記物体を保持する移動体を支持する第2支持部材を移動させ、該第2支持部材に支持される前記移動体の位置情報を第2計測系により計測することと;前記第1、第2支持部材の一方から他方への前記移動体の受渡時にその位置情報を第3計測系により計測することと;を含む露光方法が、提供される。
【0017】
これによれば、第1、第2、及び第3計測系の計測情報に基づいて、露光ステーション及び計測ステーションを含む広い範囲で移動体の位置情報を計測することが可能になる。
【0018】
本発明の第7の態様によれば、本発明の露光方法を用いて物体を露光することと;
露光された前記物体を現像することと;を含むデバイス製造方法が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一実施形態の露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2(A)は、図1の露光装置が備えるウエハステージを示す−Y方向から見た側面図、図2(B)は、ウエハステージを示す平面図である。
【図3】図1の露光装置が備える主制御装置の入出力関係を説明するためのブロック図である。
【図4】図1の露光装置が備えるアライメント系と投影ユニットPUとの配置を、ウエハステージとともに示す平面図である。
【図5】図1の露光装置が備える補助ステージについて説明するための図である。
【図6】粗動ステージの分離構造について説明するための図である。
【図7】微動ステージ駆動系を構成する磁石ユニット及びコイルユニットの配置を示す平面図である。
【図8】図8(A)は、微動ステージ駆動系を構成する磁石ユニット及びコイルユニットの配置を示す−Y方向から見た側面図、図8(B)は、微動ステージ駆動系を構成する磁石ユニット及びコイルユニットの配置を示す+X方向から見た側面図である。
【図9】図9(A)は、微動ステージをY軸方向に駆動する際の駆動原理を説明するための図、図9(B)は、微動ステージをZ軸方向に駆動する際の駆動原理を説明するための図、図9(C)は、微動ステージをX軸方向に駆動する際の駆動原理を説明するための図である。
【図10】図10(A)は、微動ステージを粗動ステージに対してZ軸回りに回転させる際の動作を説明するための図、図10(B)は、微動ステージを粗動ステージに対してY軸回りに回転させる際の動作を説明するための図、図10(C)は、微動ステージを粗動ステージに対してX軸回りに回転させる際の動作を説明するための図である。
【図11】微動ステージの中央部を+Z方向に撓ませる際の動作を説明するための図である。
【図12】図12(A)は、補助ステージを−Y方向から見た図、図12(B)は、補助ステージを+X方向から見た図、図12(C)は、補助ステージを+Z方向から見た図である。
【図13】アライメント装置を示す斜視図である。
【図14】図14(A)は、計測アームの先端部を示す斜視図、図14(B)は、計測アームの先端部を+Z方向から見た図である。
【図15】図15(A)は、Xヘッド77xの概略構成を示す図、図15(B)は、Xヘッド77x、Yヘッド77ya、77ybそれぞれの計測アーム内での配置を説明するための図である。
【図16】ヘッドユニット98A、98B、及び4つのレーザ干渉計76a〜76dの配置を説明するための図である。
【図17】微動ステージ位置計測系70Dを構成するレーザ干渉計の配置を説明するための図である。
【図18】図18(A)は、スキャン露光時のウエハの駆動方法を説明するための図、図18(B)は、ステッピング時のウエハの駆動方法を説明するための図である。
【図19】図19(A)〜図19(D)は、微動ステージWFS1、WFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図(その1)である。
【図20】補助ステージの待機位置を示す図である。
【図21】微動ステージとブレードとの間で行われる液浸空間(液体Lq)の受け渡しについて説明するための図(その1)である。
【図22】微動ステージとブレードとの間で行われる液浸空間(液体Lq)の受け渡しについて説明するための図(その2)である。
【図23】微動ステージとブレードとの間で行われる液浸空間(液体Lq)の受け渡しについて説明するための図(その3)である。
【図24】図24(A)〜図24(F)は、微動ステージWFS1、WFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図(その2)である。
【図25】図25(A)及び図25(B)は、微動ステージとブレードとの間で行われる液浸空間(液体Lq)の受け渡しに際しての補助ステージの動きを説明するための図(その1)である。
【図26】微動ステージとブレードとの間で行われる液浸空間(液体Lq)の受け渡しに際しての補助ステージの動きを説明するための図(その2)である。
【図27】微動ステージWFS1、WFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図であり、図19(A)に示される露光装置を上方から見た図である。
【図28】微動ステージWFS1、WFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図であり、図19(B)に示される露光装置を上方から見た図である。
【図29】微動ステージWFS1、WFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図であり、図19(C)に示される露光装置を上方から見た図である。
【図30】微動ステージWFS1、WFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図であり、図19(D)に示される露光装置を上方から見た図である。
【図31】微動ステージWFS1、WFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図であり、図24(A)に示される露光装置を上方から見た図である。
【図32】微動ステージWFS1、WFS2を用いて行われる並行処理について説明するための図であり、図24(B)に示される露光装置を上方から見た図である。
【図33】変形例に係る露光装置の、計測ステーションとウエハ交換エリアを示す平面図である。
【図34】図34(A)及び図34(B)は、変形例に係る露光装置で行われる、ウエハ交換エリアにおける粗動ステージWCS2に支持された微動ステージを用いて行われる処理について説明するための図(その1)である。
【図35】図35(A)及び図35(B)は、変形例に係る露光装置で行われる、ウエハ交換エリアにおける粗動ステージWCS2に支持された微動ステージを用いて行われる処理について説明するための図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図32に基づいて説明する。
【0021】
図1には、一実施形態の露光装置100の構成が概略的に示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。後述するように、本実施形態では、投影光学系PLが設けられており、以下においては、この投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向、これに直交する面内でレチクルとウエハとが相対走査される方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
【0022】
露光装置100は、図1に示されるように、ベース盤12上の−Y側端部近傍に配置された露光ステーション(露光処理部)200、ベース盤12上の+Y側端部近傍に配置された計測ステーション(計測処理部)300、2つのウエハステージWST1,WST2、リレーステージDRST、及びこれらの制御系等を、備えている。ここで、ベース盤12は、床面上に防振機構(図示省略)によってほぼ水平に(XY平面に平行に)支持されている。ベース盤12は、平板状の外形を有する部材から成り、その上面は平坦度が非常に高く仕上げられ、上述の3つのステージWST1,WST2,DRSTの移動の際のガイド面とされている。なお、図1において、露光ステーション200には、ウエハステージWST1が位置しており、ウエハステージWST1(より詳細には微動ステージWFS1)上にウエハWが保持されている。また、計測ステーション300には、ウエハステージWST2が位置しており、ウエハステージWST2(より詳細には微動ステージWFS2)上に別のウエハWが保持されている。
【0023】
露光ステーション200は、照明系10、レチクルステージRST、投影ユニットPU及び局所液浸装置8等を備えている。
【0024】
照明系10は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、光源と、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、及びレチクルブラインド等(いずれも不図示)を有する照明光学系と、を含む。照明系10は、レチクルブラインド(マスキングシステムとも呼ばれる)で規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを、照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとして、一例として、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。
【0025】
レチクルステージRST上には、そのパターン面(図1における下面)に回路パターンなどが形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11(図1では不図示、図3参照)によって、XY平面内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(図1における紙面内左右方向であるY軸方向)に所定の走査速度で駆動可能となっている。
【0026】
レチクルステージRSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)13によって、レチクルステージRSTに固定された移動鏡15(実際には、Y軸方向に直交する反射面を有するY移動鏡(あるいは、レトロリフレクタ)とX軸方向に直交する反射面を有するX移動鏡とが設けられている)を介して、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計13の計測値は、主制御装置20(図1では不図示、図3参照)に送られる。なお、例えば米国特許出願公開第2007/0288121号明細書などに開示されているように、エンコーダシステムによってレチクルステージRSTの位置情報を計測しても良い。
【0027】
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、不図示の支持部材によって水平に支持されたメインフレーム(メトロロジーフレームとも呼ばれる)BDによってその外周部に設けられたフランジ部FLGを介して支持されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に保持された投影光学系PLと、を含む。投影光学系PLとしては、例えば、Z軸方向と平行な光軸AXに沿って配列される複数の光学素子(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられる。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍又は1/8倍など)を有する。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルR上の照明領域IARが照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PL(投影ユニットPU)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、投影光学系PLの第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布されたウエハW上で前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルステージRSTと微動ステージWFS1(又は微動ステージWFS2)との同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系10、及び投影光学系PLによってウエハW上にレチクルRのパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。本実施形態では、メインフレームBDが、それぞれ防振機構を介して設置面(床面など)に配置される複数(例えば3つ又は4つ)の支持部材によってほぼ水平に支持されている。なお、その防振機構は各支持部材とメインフレームBDとの間に配置しても良い。また、例えば国際公開第2006/038952号に開示されているように、投影ユニットPUの上方に配置される不図示のメインフレーム部材、あるいはレチクルベースなどに対してメインフレームBD(投影ユニットPU)を吊り下げ支持しても良い。
【0028】
局所液浸装置8は、本実施形態の露光装置100が、液浸方式の露光を行うことに対応して設けられている。局所液浸装置8は、液体供給装置5、液体回収装置6(いずれも図1では不図示、図3参照)、及びノズルユニット32等を含む。ノズルユニット32は、図1に示されるように、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子、ここではレンズ(以下、「先端レンズ」ともいう)191を保持する鏡筒40の下端部周囲を取り囲むように、不図示の支持部材を介して、投影ユニットPU等を支持するメインフレームBDに吊り下げ支持されている。ノズルユニット32は、液体Lqの供給口及び回収口と、ウエハWが対向して配置され、かつ回収口が設けられる下面と、液体供給管31A及び液体回収管31B(いずれも図1では不図示、図4参照)とそれぞれ接続される供給流路及び回収流路とを備えている。液体供給管31Aには、その一端が液体供給装置5(図1では不図示、図3参照)に接続された不図示の供給管の他端が接続されており、液体回収管31Bには、その一端が液体回収装置6(図1では不図示、図3参照)に接続された不図示の回収管の他端が接続されている。本実施形態では、主制御装置20が液体供給装置5(図3参照)を制御して、液体供給管31A及びノズルユニット32を介して先端レンズ191とウエハWとの間に液体を供給するとともに、液体回収装置6(図3参照)を制御して、ノズルユニット32及び液体回収管31Bを介して先端レンズ191とウエハWとの間から液体を回収する。このとき、主制御装置20は、供給される液体の量と回収される液体の量とが常に等しくなるように、液体供給装置5と液体回収装置6を制御する。従って、先端レンズ191とウエハWとの間には、一定量の液体Lq(図1参照)が常に入れ替わって保持される。本実施形態では、上記の液体として、ArFエキシマレーザ光(波長193nmの光)が透過する純水を用いるものとする。なお、ArFエキシマレーザ光に対する純水の屈折率nは、ほぼ1.44であり、純水の中では、照明光ILの波長は、193nm×1/n=約134nmに短波長化される。
【0029】
この他、露光ステーション200には、メインフレームBDから支持部材72Aを介してほぼ片持ち状態で支持された(一端部近傍が支持された)計測アーム71Aを含む微動ステージ位置計測系70Aが設けられている。ただし、微動ステージ位置計測系70Aについては、説明の便宜上、後述する微動ステージについての説明の後に、説明する。
【0030】
計測ステーション300は、メインフレームBDに設けられたアライメント装置99と、メインフレームBDから支持部材72Bを介して片持ち状態で支持された(一端部近傍が支持された)計測アーム71Bを含み、前述の微動ステージ位置計測系70Aとは、左右対称であるが同様に構成された微動ステージ位置計測系70Bと、が設けられている。
【0031】
アライメント装置99は、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示されているように、図4に示される5つのアライメント系AL1、AL21〜AL24を含む。詳述すると、図4に示されるように、投影ユニットPUの中心(投影光学系PLの光軸AX、本実施形態では前述の露光領域IAの中心とも一致)を通りかつY軸と平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LV上で、光軸AXから−Y側に所定距離隔てた位置に、検出中心が位置する状態でプライマリアライメント系AL1が配置されている。プライマリアライメント系AL1を挟んで、X軸方向の一側と他側には、基準軸LVに関してほぼ対称に検出中心が配置されるセカンダリアライメント系AL21,AL22と、AL23,AL24とがそれぞれ設けられている。すなわち、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24はその検出中心がX軸方向に沿って配置されている。なお、図1では、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24及びこれらを保持する保持装置(スライダ)を含んでアライメント装置99として示されている。なお、アライメント装置99の具体的な構成等については更に後述する。
【0032】
ウエハステージWST1は、図1及び図2(A)等からわかるように、その底面に設けられた複数の非接触軸受、例えばエアベアリング94によりベース盤12の上に浮上支持され、粗動ステージ駆動系51A(図3参照)により、XY二次元方向に駆動される粗動ステージWCS1と、粗動ステージWCS1に非接触状態で支持され、粗動ステージWCS1に対して相対移動可能な微動ステージWFS1とを有している。微動ステージWFS1は、微動ステージ駆動系52A(図3参照)によって粗動ステージWCS1に対してX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θx方向、θy方向及びθz方向(以下、6自由度方向、又は6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)と記述する)に駆動される。
【0033】
ウエハステージWST2は、ウエハステージWST1と同様、その底面に設けられた複数の非接触軸受(例えばエアベアリング(図示省略))によりベース盤12の上に浮上支持され、粗動ステージ駆動系51B(図3参照)により、XY二次元方向に駆動される粗動ステージWCS2と、粗動ステージWCS2に非接触状態で支持され、粗動ステージWCS2に対して相対移動可能な微動ステージWFS2とを有している。微動ステージWFS2は、微動ステージ駆動系52B(図3参照)によって粗動ステージWCS2に対して6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)に駆動される。
【0034】
ウエハステージWST1(粗動ステージWCS1)のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報も含む)は、ウエハステージ位置計測系16Aによって計測される。また、露光ステーション200にある粗動ステージWCS1に支持された微動ステージWFS1(又は後述する微動ステージWFS2)の6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)の位置情報は微動ステージ位置計測系70A(図3参照)によって計測される。
【0035】
ウエハステージWST2(粗動ステージWCS2)のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報も含む)は、ウエハステージ位置計測系16B(図3参照)によって計測される。また、計測ステーション300にある粗動ステージWCS2に支持された微動ステージWFS2(又は微動ステージWFS1)の6自由度方向の位置情報は微動ステージ位置計測系70B(図3参照)によって計測される。
【0036】
また、露光ステーション200及び計測ステーション300の外部、すなわち微動ステージ位置計測系70A及び微動ステージ位置計測系70Bの計測範囲外では、微動ステージWFS1、WFS2の位置情報は、微動ステージ位置計測系70C(図3参照)によって計測される。ウエハステージ位置計測系16A、16B、及び微動ステージ位置計測系70A、70B、70Cの計測結果(計測情報)は、粗動ステージWCS1、微動ステージWFS1、粗動ステージWCS2及び微動ステージWFS2の位置制御のため、主制御装置20(図3参照)に供給される。
【0037】
リレーステージDRSTは、粗動ステージWCS1,WCS2と同様、その底面に設けられた複数の非接触軸受(例えばエアベアリング(図示省略))によりベース盤12の上に浮上支持され、リレーステージ駆動系53(図3参照)により、XY二次元方向に駆動可能になっている。
【0038】
リレーステージDRSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報も含む)は、例えば干渉計及び/又はエンコーダなどを含む不図示の位置計測系によって計測される。位置計測系の計測結果は、リレーステージDRSTの位置制御のため、主制御装置20に供給される。
【0039】
さらに、本実施形態の露光装置100は、図1では図示が省略されているが、図5に示されるように、投影ユニットPUの近傍に、ブレードBLを有する補助ステージASTを備えている。補助ステージASTは、図5からもわかるように、その底面に設けられた複数の非接触軸受(例えばエアベアリング(図示省略))によりベース盤12の上に浮上支持され、補助ステージ駆動系58(図5では不図示、図3参照)によって、XY2次元方向に駆動される。
【0040】
上記各種計測系を含み、ステージ系の構成各部の構成等については、後に詳述する。
【0041】
この他、本実施形態の露光装置100には、投影ユニットPUの近傍に、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されるものと同様の構成の斜入射方式の多点焦点位置検出系(以下、多点AF系と略述する)AF(図1では不図示、図3参照)が設けられている。多点AF系AFの検出信号は、不図示のAF信号処理系を介して主制御装置20に供給される(図3参照)。主制御装置20は、多点AF系AFの検出信号に基づいて、多点AF系AFの複数の検出点それぞれにおけるウエハW表面のZ軸方向の位置情報(面位置情報)を検出し、その検出結果に基づいて走査露光中のウエハWのいわゆるフォーカス・レベリング制御を実行する。なお、アライメント装置99(アライメント系AL1、AL2〜AL2)の近傍に多点AF系を設けて、ウエハアライメント(EGA)時にウエハW表面の面位置情報(凹凸情報)を事前に取得し、露光時には、その面位置情報と、後述する微動ステージ位置計測系70Aの一部を構成するレーザ干渉計システム75(図3参照)の計測値とを用いて、ウエハWのいわゆるフォーカス・レベリング制御を実行することとしても良い。この場合、投影ユニットPUの近傍に多点AF系を設けなくても良い。なお、レーザ干渉計システム75ではなく、微動ステージ位置計測系70Aを構成する後述のエンコーダシステム73の計測値を、フォーカス・レベリング制御で用いても良い。
【0042】
また、レチクルステージRSTの上方には、例えば米国特許第5,646,413号明細書などに詳細に開示されるように、CCD等の撮像素子を有し、露光波長の光(本実施形態では照明光IL)をアライメント用照明光とする画像処理方式の一対のレチクルアライメント系RA,RA(図1においてはレチクルアライメント系RA2は、レチクルアライメント系RAの紙面奥側に隠れている。)が配置されている。一対のレチクルアライメント系RA,RAは、投影光学系PLの直下に微動ステージWFS1(又はWFS2)上の後述する計測プレートが位置する状態で、主制御装置20により、レチクルRに形成された一対のレチクルアライメントマーク(図示省略)の投影像と対応する計測プレート上の一対の第1基準マークとを投影光学系PLを介して検出することで、投影光学系PLによるレチクルRのパターンの投影領域の中心と計測プレート上の基準位置、すなわち一対の第1基準マークの中心との位置関係を検出するために用いられる。レチクルアライメント系RA,RAの検出信号は、不図示の信号処理系を介して主制御装置20に供給される(図3参照)。なお、レチクルアライメント系RA,RAは設けなくても良い。この場合、例えば米国特許出願公開第2002/0041377号明細書などに開示されるように、微動ステージWFSに光透過部(受光部)が設けられる検出系を搭載して、レチクルアライメントマークの投影像を検出することが好ましい。
【0043】
図3には、露光装置100の制御系を中心的に構成し、構成各部を統括制御する主制御装置20の入出力関係を示すブロック図が示されている。主制御装置20は、ワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等を含み、前述の局所液浸装置8、粗動ステージ駆動系51A,51B、微動ステージ駆動系52A,52B、及びリレーステージ駆動系53など、露光装置100の構成各部を統括制御する。
【0044】
ここで、ステージ系の各部の構成等について詳述する。まず、ウエハステージWST1,WST2について説明する。本実施形態では、ウエハステージWST1とウエハステージWST2とは、その駆動系、位置計測系などを含み、全く同様に構成されている。従って、以下では、代表的にウエハステージWST1を取り上げて説明する。
【0045】
粗動ステージWCS1は、図2(A)及び図2(B)に示されるように、平面視で(+Z方向から見て)X軸方向を長手方向とする長方形板状の粗動スライダ部91と、粗動スライダ部91の長手方向の一端部と他端部の上面にYZ平面に平行な状態でそれぞれ固定され、かつY軸方向を長手方向とする長方形板状の一対の側壁部92a,92bと、側壁部92a,92bそれぞれの上面に固定された一対の固定子部93a、93bと、を備えている。粗動ステージWCS1は、全体として、上面のX軸方向中央部及びY軸方向の両側面が開口した高さの低い箱形の形状を有している。すなわち、粗動ステージWCS1には、その内部にY軸方向に貫通した空間部が形成されている。側壁部92a,92bの互いに対向する面(内側面)には、鏡面加工が施され、反射面が形成されている。なお、反射面を形成する代わりに、平面ミラーからなる反射鏡を固定しても良い。
【0046】
粗動ステージWCS1は、図6に示されるように、粗動スライダ部91の長手方向の中央の分離線を境として、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとの2つの部分に分離可能に構成されている。従って、粗動スライダ部91は、第1部分WCS1aの一部を構成する第1スライダ部91aと、第2部分WCS1bの一部を構成する第2スライダ部91bとから構成されている。
【0047】
ベース盤12の内部には、図1に示されるように、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数のコイル14を含む、コイルユニットが収容されている。
【0048】
コイルユニットに対応して、粗動ステージWCS1の底面、すなわち第1スライダ部91a、第2スライダ部91bの底面には、図2(A)に示されるように、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数の永久磁石18から成る磁石ユニットが設けられている。磁石ユニットは、ベース盤12のコイルユニットと共に、例えば米国特許第5,196,745号明細書などに開示されるローレンツ電磁力駆動方式の平面モータから成る粗動ステージ駆動系51Aa、51Ab(図3参照)を、それぞれ構成している。コイルユニットを構成する各コイル14に供給される電流の大きさ及び方向は、主制御装置20によって制御される(図3参照)。
【0049】
第1、第2スライダ部91b、91bそれぞれの底面には、上記磁石ユニットの周囲に複数のエアベアリング94が固定されている。粗動ステージWCS1の第1部分WCS1a及び第2部分WCS1bは、それぞれエアベアリング94によって、ベース盤12の上方に所定のクリアランス、例えば数μm程度のクリアランスを介して浮上支持され、粗動ステージ駆動系51Aa、51Abによって、X軸方向、Y軸方向及びθz方向に駆動される。
【0050】
通常は、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとは、一体化して不図示のロック機構を介してロックされている。すなわち、通常は、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとは、一体的に動作する。そこで、以下では、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bが一体化して成る粗動ステージWCS1を駆動する平面モータから成る駆動系を、粗動ステージ駆動系51Aと呼ぶ(図3参照)。
【0051】
なお、粗動ステージ駆動系51Aとしては、ローレンツ電磁力駆動方式の平面モータに限らず、例えば可変磁気抵抗駆動方式の平面モータを用いることもできる。この他、粗動ステージ駆動系51Aを、磁気浮上型の平面モータによって構成しても良い。この場合、粗動スライダ部91の底面にエアベアリングを設けなくても良くなる。
【0052】
一対の固定子部93a、93bそれぞれは、外形が板状の部材から成り、その内部に微動ステージWFS1(又はWFS2)を駆動するための複数のコイルから成るコイルユニットCUa、CUbが収容されている。コイルユニットCUa、CUbを構成する各コイルに供給される電流の大きさ及び方向は、主制御装置20によって制御される。コイルユニットCUa、CUbの構成については、さらに後述する。ここで、微動ステージWFS1と微動ステージWFS2とは、全く同様に構成され、同様にして、粗動ステージWCS1に非接触で支持され、駆動されるが、以下では、微動ステージWFS1を代表的に取り上げて説明する。
【0053】
一対の固定子部93a,93bそれぞれは、図2(A)及び図2(B)に示されるように、Y軸方向を長手方向とする矩形板状の形状を有する。固定子部93aは、+X側の端部が側壁部92a上面に固定され、固定子部93bは、−X側の端部が側壁部92b上面に固定されている。
【0054】
微動ステージWFS1は、図2(A)及び図2(B)に示されるように、平面視でX軸方向を長手方向とする八角形板状の部材から成る本体部81と、本体部81の長手方向の一端部と他端部にそれぞれ固定された一対の可動子部82a、82bと、を備えている。
【0055】
本体部81は、その内部を後述するエンコーダシステムの計測ビーム(レーザ光)が進行可能とする必要があることから、光が透過可能な透明な素材で形成されている。また、本体部81は、その内部におけるレーザ光に対する空気揺らぎの影響を低減するため、中実に形成されている(内部に空間を有しない)。なお、透明な素材は、低熱膨張率であることが好ましく、本実施形態では一例として合成石英(ガラス)などが用いられる。なお、本体部81は、その全体が透明な素材で構成されていても良いが、エンコーダシステムの計測ビームが透過する部分のみが透明な素材で構成されていても良く、この計測ビームが透過する部分のみが中実に形成されていても良い。
【0056】
微動ステージWFS1の本体部81(より正確には、後述するカバーガラス)の上面中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。本実施形態では、例えば環状の凸部(リム部)内に、ウエハWを支持する複数の支持部(ピン部材)が形成される、いわゆるピンチャック方式のウエハホルダが用いられ、一面(表面)がウエハ載置面となるウエハホルダの他面(裏面)側に後述するグレーティングRGなどが設けられる。なお、ウエハホルダは、微動ステージWFS1と一体に形成されていても良いし、本体部81に対して、例えば静電チャック機構あるいはクランプ機構等を介して、又は接着等により固定されていても良い。前者では、グレーティングRGは微動ステージWFS1の裏面側に設けられることになる。
【0057】
さらに、本体部81の上面には、ウエハホルダ(ウエハWの載置領域)の外側に、図2(A)及び図2(B)に示されるように、ウエハW(ウエハホルダ)よりも一回り大きな円形の開口が中央に形成され、かつ本体部81に対応する八角形状の外形(輪郭)を有するプレート(撥液板)83が取り付けられている。プレート83は、低熱膨張率の材料、例えばガラス又はセラミックス(ショット社のゼロデュア(商品名)、AlあるいはTiCなど)から成り、その表面には、撥液処理が施されている。具体的には、例えばフッ素樹脂材料、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂材料、アクリル系樹脂材料あるいはシリコン系樹脂材料などにより撥液膜が形成されている。プレート83は、その表面の全部(あるいは一部)がウエハWの表面と同一面となるように本体部81の上面に固定されている。また、プレート83の−Y側端部には、図2(B)に示されるように、その表面がプレート83の表面と、すなわちウエハWの表面とほぼ同一面となる状態でX軸方向に細長い長方形の計測プレート86が設置されている。計測プレート86の表面には、前述した一対のレチクルアライメント系RA,RAそれぞれにより検出される一対の第1基準マークと、プライマリアライメント系AL1により検出される第2基準マークとが少なくとも形成されている(第1及び第2基準マークはいずれも図示省略)。なお、プレート83を本体部81に取り付ける代わりに、例えばウエハホルダを微動ステージWFS1と一体に形成し、微動ステージWFS1の、ウエハホルダを囲む周囲領域(プレート83と同一の領域(計測プレート86の表面を含んでも良い)の上面に撥液化処理を施して、撥液面を形成しても良い。
【0058】
図2(A)に示されるように、本体部81の上面には、2次元グレーティング(以下、単にグレーティングと呼ぶ)RGが水平(ウエハW表面と平行)に配置されている。グレーティングRGは、透明な素材から成る本体部81の上面に、固定(あるいは形成)されている。グレーティングRGは、X軸方向を周期方向とする反射型回折格子(X回折格子)と、Y軸方向を周期方向とする反射型回折格子(Y回折格子)と、を含む。本実施形態では、本体部81上で2次元グレーティングが固定あるいは形成される領域(以下、形成領域)は、一例として、ウエハWよりも一回り大きな円形となっている。
【0059】
グレーティングRGは、保護部材、例えばカバーガラス84によって覆われて、保護されている。本実施形態では、カバーガラス84の上面に、ウエハホルダを吸着保持する前述の保持機構(静電チャック機構など)が設けられている。なお、本実施形態では、カバーガラス84は、本体部81の上面のほぼ全面を覆うように設けられているが、グレーティングRGを含む本体部81の上面の一部のみを覆うように設けても良い。また、保護部材(カバーガラス84)は、本体部81と同一の素材によって形成しても良いが、これに限らず、保護部材を、例えば金属、セラミックスで形成しても良い。また、グレーティングRGを保護するのに十分な厚みを要するため板状の保護部材が望ましいが、素材に応じて薄膜状の保護部材を用いても良い。
【0060】
なお、グレーティングRGの形成領域のうち、ウエハホルダの周囲にはみ出す領域に対応するカバーガラス84の一面には、グレーティングRGに照射されるエンコーダシステムの計測ビームがカバーガラス84を透過しないように、すなわち、ウエハホルダ裏面の領域の内外で計測ビームの強度が大きく変動しないように、例えばその形成領域を覆う反射部材(例えば薄膜など)を設けることが望ましい。
【0061】
この他、一面にグレーティングRGが固定又は形成される透明板の他面をウエハホルダの裏面に接触又は近接して配置し、かつその透明板の一面側に保護部材(カバーガラス84)を設ける、あるいは、保護部材(カバーガラス84)を設けずに、グレーティングRGが固定又は形成される透明板の一面をウエハホルダの裏面に接触又は近接して配置しても良い。特に前者では、透明板の代わりにセラミックスなどの不透明な部材にグレーティングRGを固定又は形成しても良いし、あるいは、ウエハホルダの裏面にグレーティングRGを固定又は形成しても良い。あるいは、従来の微動ステージにウエハホルダとグレーティングRGを保持するだけでも良い。また、ウエハホルダを、中実のガラス部材によって形成し、該ガラス部材の上面(ウエハ載置面)にグレーティングRGを配置しても良い。
【0062】
本体部81は、図2(A)からもわかるように、長手方向の一端部と他端部との下端部に外側に突出した張り出し部が形成された全体として八角形板状部材から成り、その底面の、グレーティングRGに対向する部分に凹部が形成されている。本体部81は、グレーティングRGが配置された中央の領域は、その厚さが実質的に均一な板状に形成されている。
【0063】
本体部81の+X側、−X側の張り出し部それぞれの上面には、断面凸形状のスペーサ85a、85bが、それぞれの凸部89a、89bを、外側に向けてY軸方向に延設されている。
【0064】
可動子部82aは、図2(A)及び図2(B)に示されるように、Y軸方向寸法(長さ)及びX軸方向寸法(幅)が、共に固定子部93aよりも短い(半分程度の)2枚の平面視矩形状の板状部材82a、82aを含む。これら2枚の板状部材82a、82aは、本体部81の長手方向の+X側の端部に対し、前述したスペーサ85aの凸部89aを介して、Z軸方向(上下)に所定の距離だけ離間した状態でともにXY平面に平行に固定されている。この場合、板状部材82aは、スペーサ85aと本体部81の+X側の張り出し部とによって、その−X側端部が挟持されている。2枚の板状部材82a、82aの間には、粗動ステージWCS1の固定子部93aの−X側の端部が非接触で挿入されている。板状部材82a、82aの内部には、後述する磁石ユニットMUa、MUaが、設けられている。
【0065】
可動子部82bは、スペーサ85bにZ軸方向(上下)に所定の間隔が維持された2枚の板状部材82b、82bを含み、可動子部82aと左右対称ではあるが同様に構成されている。2枚の板状部材82b、82bの間には、粗動ステージWCSの固定子部93bの+X側の端部が非接触で挿入されている。板状部材82b、82bの内部には、磁石ユニットMUa、MUaと同様に構成された磁石ユニットMUb、MUbが、設けられている。
【0066】
ここで、前述したように、粗動ステージWCS1は、Y軸方向に両側面が開口しているので、微動ステージWFS1を粗動ステージWCS1に装着する際には、板状部材82a、82a、及び82b、82b間に固定子部93a、93bそれぞれ位置するように、微動ステージのWFS1のZ軸方向の位置決めを行い、この後に微動ステージWFS1をY軸方向に移動(スライド)させれば良い。
【0067】
また、図2(B)に示されるように、プレート83の上面におけるX軸方向(図2(B)における紙面内左右方向)の一側と他側の領域それぞれには、Yスケール87Y1,87Y2が固定されている。Yスケール87Y1,87Y2それぞれは、例えばX軸方向を長手方向とする格子線が所定ピッチでY軸に平行な方向(Y軸方向)に沿って配置される、Y軸方向を周期方向とする反射型の格子(例えば1次元回折格子)によって構成されている。
【0068】
Yスケール87Y1,87Y2は、例えば薄板状のガラスに上記回折格子の目盛りを、例えば138nm〜4μmの間のピッチ、例えば1μmピッチで刻んで作成されている。これらスケールの表面は、液体Lqに対して撥液化処理されている。なお、図2(B)では、図示の便宜上から、格子のピッチは、実際のピッチに比べて格段に広く図示されている。その他の図においても同様である。なお、Yスケール87Y1,87Y2に用いられる回折格子の種類は、機械的に溝等が形成されたもののみならず、例えば、感光性樹脂に干渉縞を焼き付けて作成したものであっても良い。また、回折格子を保護するために、撥水性を備えた低熱膨張率のガラス板で、その表面がウエハの表面と同じ高さ(面位置)になるようにして回折格子をカバーしても良い。
【0069】
なお、Yスケール87Y1,87Y2の長手方向の一端部近傍には、後述するエンコーダヘッドとYスケール87Y1,87Y2間の相対位置を決めるための、位置出しパターン(図示省略)がそれぞれ形成されている。この位置出しパターンは、例えば反射率の異なる格子線から構成され、この位置出しパターン上をエンコーダヘッドが走査すると、エンコーダの出力信号の強度が変化する。そこで、予め閾値を定めておき、出力信号の強度がその閾値を超える位置を検出する。この検出された位置を基準に、エンコーダヘッドと各Yスケール間の相対位置を設定する。
【0070】
また、図2(B)に示されるように、プレート83の4隅部に形成された傾斜面(XY平面に対して垂直な面であって、X軸及びY軸に対して傾斜した面)には、それぞれ鏡面加工が施され、後述するレーザ干渉計システム79(図3参照)のための、反射面88a,88b,88c,88dが形成されている。なお、上記反射面を形成する代わりに、平面ミラーからなる移動鏡をプレート83に取り付けても良い。
【0071】
また、図2(B)に示されるように、微動ステージWFS1(及び微動ステージWFS2)の本体部81の−Y側の側面には、鏡面加工が施され、後述する微動ステージ位置計測系70D(図3参照)のための、反射面61が形成されている。なお、反射面61を形成する代わりに、平面ミラーからなる移動鏡を本体部81に取り付けても良い。また、微動ステージWFS1(及び微動ステージWFS2)の本体部81の反射面61を挟んだ2つの側面(傾斜面)には、後述する微動ステージ位置計測系70Dのための、平面ミラーからなる移動鏡63a、63bがそれぞれ固定されている。移動鏡63a、63bの反射面は、それぞれXY平面に垂直であり、且つXZ平面に対して例えば45°の角度を成している。
【0072】
次に、微動ステージWFS1を粗動ステージWCS1に対して相対的に駆動するための微動ステージ駆動系52Aの構成について説明する。
【0073】
微動ステージ駆動系52Aは、前述した可動子部82aが有する一対の磁石ユニットMUa、MUaと、固定子部93aが有するコイルユニットCUaと、可動子部82bが有する一対の磁石ユニットMUb、MUbと、固定子部93bが有するコイルユニットCUbと、を含む。
【0074】
これをさらに詳述する。図7及び図8(A)並びに図8(B)からわかるように、固定子部93aの内部における−X側の端部には、複数(ここでは、12個)の平面視長方形状のYZコイル(以下、適宜「コイル」と略述する)55、57が、Y軸方向に等間隔でそれぞれ配置された2列のコイル列が、X軸方向に所定間隔を隔てて配置されている。YZコイル55は、上下方向(Z軸方向)に重ねて配置された平面視長方形状の上部巻線55aと、下部巻線55bと、を有する。また、固定子部93aの内部であって、上述した2列のコイル列の間には、Y軸方向を長手方向とする細長い平面視長方形状の一つのXコイル(以下、適宜「コイル」と略述する)56が、配置されている。この場合、2列のコイル列と、Xコイル56とは、X軸方向に関して等間隔で配置されている。2列のコイル列と、Xコイル56とを含んで、コイルユニットCUaが構成されている。
【0075】
なお、以下では、図7〜図9(C)を用いて、一対の固定子部93a、93bのうち、一方の固定子部93a、及びこの固定子部93aに支持される可動子部82aについて説明するが、他方(−X側)の固定子部93b及び可動子部82bは、これらと同様に構成され、同様に機能する。従って、コイルユニットCUb、磁石ユニットMUb,MUbは、コイルユニットCUa、磁石ユニットMUa,MUaと同様に構成されている。
【0076】
微動ステージWFS1の可動子部82aの一部を構成する+Z側の板状部材82aの内部には、図7及び図8(A)並びに図8(B)を参照するとわかるように、X軸方向を長手方向とする平面視長方形の複数(ここでは10個)の永久磁石65a、67aが、Y軸方向に等間隔で配置された2列の磁石列が、X軸方向に所定間隔を隔てて配置されている。2列の磁石列それぞれは、コイル55、57に対向して配置されている。
【0077】
複数の永久磁石65aは、図8(B)に示されるように、上面側(+Z側)がN極で下面側(−Z側)がS極である永久磁石と、上面側(+Z側)がS極で下面側(−Z側)がN極である永久磁石とが、Y軸方向に交互に配列されている。複数の永久磁石67aから成る磁石列は、複数の永久磁石65aから成る磁石列と同様に構成されている。
【0078】
また、板状部材82aの内部であって、上述の2列の磁石列の間には、X軸方向に離間して配置されたY軸方向を長手方向とする一対(2つ)の永久磁石66a、66aが、コイル56に対向して配置されている。図8(A)に示されるように、永久磁石66aは、上面側(+Z側)がN極で下面側(−Z側)がS極となっており、永久磁石66aは、上面側(+Z側)がS極で下面側(−Z側)がN極となっている。
【0079】
上述した複数の永久磁石65a、67a及び66a、66aによって、磁石ユニットMUaが構成されている。
【0080】
−Z側の板状部材82aの内部にも、図8(A)に示されるように、上述した+Z側の板状部材82aと同様の配置で、永久磁石65b、66b、66b、67bが配置されている。これらの永久磁石65b、66b、66b、67bによって、磁石ユニットMUaが構成されている。なお、−Z側の板状部材82a内の永久磁石65b、66b、66b、67bは、図7では、磁石65a、66a、66a、67aに対して、紙面奥側に重なって配置されている。
【0081】
ここで、微動ステージ駆動系52Aでは、図8(B)に示されるように、Y軸方向に隣接して配置された複数の永久磁石(図8(B)において、Y軸方向に沿って順に永久磁石65a〜65aとする)は、隣接する2つの永久磁石65a及び65aそれぞれが、YZコイル55の巻線部に対向したとき、これらに隣接する永久磁石65aが、上述のYZコイル55に隣接するYZコイル55の巻線部に対向しないように(コイル中央の中空部、又はコイルが巻き付けられたコア、例えば鉄芯に対向するように)、複数の永久磁石65及び複数のYZコイル55のY軸方向に関する位置関係(それぞれの間隔)が設定されている。なお、図8(B)に示されるように、永久磁石65a及び65aそれぞれは、YZコイル55に隣接するYZコイル55の巻線部に対向する。永久磁石65b、67a、67bのY軸方向に関する間隔も、同様になっている(図8(B)参照)。
【0082】
従って、微動ステージ駆動系52Aでは、一例として図8(B)に示される状態で、図9(A)に示されるように、コイル55,55の上部巻線及び下部巻線それぞれに、+Z方向から見て右回りの電流が供給されると、コイル55,55には−Y方向の力(ローレンツ力)が作用し、その反作用として、永久磁石65a、65bそれぞれには、+Y方向の力が作用する。これらの力の作用により、微動ステージWFS1は、粗動ステージWCS1に対して+Y方向に移動する。上記の場合とは逆に、コイル55,55に、それぞれ+Z方向から見て左回りの電流が供給されると、微動ステージWFS1は、粗動ステージWCS1に対して−Y方向に移動する。
【0083】
コイル57に電流を供給することにより、永久磁石67(67a,67b)との間で電磁相互作用が行われ、微動ステージWFS1をY軸方向に駆動することができる。主制御装置20は、各コイルに供給する電流を制御することによって、微動ステージWFS1のY軸方向の位置を制御する。
【0084】
また、微動ステージ駆動系52Aでは、一例として図8(B)に示される状態で、図9(B)に示されように、コイル55の上部巻線に+Z方向から見て左回りの電流、下部巻線に+Z方向から見て右回りの電流がそれぞれ供給されると、コイル55と永久磁石65aとの間に吸引力、コイル55と永久磁石65Bとの間に反発力(斥力)がそれぞれ発生し、微動ステージWFS1は、これらの吸引力及び反発力によって粗動ステージWCS1に対して下方(−Z方向)、すなわち降下する方向に移動する。上記の場合とは逆向きの電流が、コイル55の上部巻線及び下部巻線のそれぞれに供給されると、微動ステージWFS1は、粗動ステージWCS1に対して上方(+Z方向)、すなわち上昇する方向に移動する。主制御装置20は、各コイルに供給する電流を制御することによって、浮上状態の微動ステージWFS1のZ軸方向の位置を制御する。
【0085】
また、図8(A)に示される状態で、図9(C)に示されるように、コイル56に+Z方向から見て右回りの電流が供給されると、コイル56に+X方向の力が作用し、その反作用として永久磁石66a、66a及び66b,66bそれぞれには、−X方向の力が作用し、微動ステージWFS1は、粗動ステージWCS1に対して−X方向に移動する。また、上記の場合とは逆に、コイル56に+Z方向から見て左回りの電流が供給されると、永久磁石66a、66a及び66b,66bには、+X方向の力が作用し、微動ステージWFS1は、粗動ステージWCS1に対して+X方向に移動する。主制御装置20は、各コイルに供給する電流を制御することによって、微動ステージWFS1のX軸方向の位置を制御する。
【0086】
上述の説明から明らかなように、本実施形態では、主制御装置20は、Y軸方向に配列された複数のYZコイル55、57に対して、一つおきに電流を供給することによって、微動ステージWFS1をY軸方向に駆動する。また、これと併せて、主制御装置20は、YZコイル55、57のうち、微動ステージWFS1のY軸方向への駆動に使用していないコイルに電流を供給することによって、Y軸方向への駆動力とは別に、Z軸方向への駆動力を発生させ、微動ステージWFS1を粗動ステージWCS1から浮上させる。そして、主制御装置20は、微動ステージWFS1のY軸方向の位置に応じて、電流供給対象のコイルを順次切り替えることによって、微動ステージWFS1の粗動ステージWCS1に対する浮上状態、すなわち非接触状態を維持しつつ、微動ステージWFS1をY軸方向に駆動する。また、主制御装置20は、微動ステージWFS1を粗動ステージWCS1から浮上させた状態で、Y軸方向と併せて独立にX軸方向にも駆動可能である。
【0087】
また、主制御装置20は、例えば図10(A)に示されるように、微動ステージWFS1の+X側の可動子部82aと−X側の可動子部82bとに、互いに異なる大きさのY軸方向の駆動力(推力)を作用させることによって(図10(A)の黒塗り矢印参照)、微動ステージWFS1をZ軸回りに回転(θz回転)させることができる(図10(A)の白抜き矢印参照)。なお、図10(A)とは反対に、+X側の可動子部82aに作用させる駆動力を−X側よりも大きくすることで、微動ステージWFS1をZ軸に対して左回りに回転させることができる。
【0088】
また、主制御装置20は、図10(B)に示されるように、微動ステージWFS1の+X側の可動子部82aと−X側の可動子部82bとに、互いに異なる浮上力(図10(B)の黒塗り矢印参照)を作用させることによって、微動ステージWFSをY軸回りに回転(θy駆動)させること(図10(B)の白抜き矢印参照)ができる。なお、図10(B)とは反対に、+X側の可動子部82aに作用させる浮上力を−X側よりも大きくすることで、微動ステージWFS1をY軸に対して左回りに回転させることができる。
【0089】
さらに、主制御装置20は、例えば図10(C)に示されるように、微動ステージWFS1の可動子部82a、82bそれぞれにおいて、Y軸方向の+側と−側とに、互いに異なる浮上力(図10(C)の黒塗り矢印参照)を作用させることによって、微動ステージWFS1をX軸回りに回転(θx駆動)させること(図10(C)の白抜き矢印参照)ができる。なお、図10(C)とは反対に、可動子部82a(及び82b)の−Y側の部分に作用させる浮上力を+Y側の部分に作用させる浮上力よりも小さくすることで、微動ステージWFS1をX軸に対して左回りに回転させることができる。
【0090】
以上の説明からわかるように、本実施形態では、微動ステージ駆動系52Aにより、微動ステージWFS1を、粗動ステージWCS1に対して非接触状態で浮上支持するとともに、粗動ステージWCS1に対して、非接触で6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)へ駆動することができるようになっている。
【0091】
また、本実施形態では、主制御装置20は、微動ステージWFS1に浮上力を作用させる際、固定子部93a内に配置された2列のコイル55、57(図7参照)に互いに反対方向の電流を供給することによって、例えば図11に示されるように、可動子部82aに対して、浮上力(図11の黒塗り矢印参照)と同時にY軸回りの回転力(図11の白抜き矢印参照)を作用させることができる。また、主制御装置20は、一対の可動子部82a、82bそれぞれに、互いに反対の方向のY軸回りの回転力を作用させることによって、微動ステージWFS1の中央部を+Z方向又は−Z方向に撓ませることができる(図11のハッチング付き矢印参照)。従って、図11に示されるように、微動ステージWFS1の中央部を+Z方向に撓ませることによって、ウエハW及び本体部81の自重に起因する微動ステージWFS1(本体部81)のX軸方向の中間部分の撓みを打ち消して、ウエハW表面のXY平面(水平面)に対する平行度を確保できる。これにより、ウエハWが大径化して微動ステージWFS1が大型化した時などに、特に効果を発揮する。
【0092】
また、ウエハWが自重等により変形すると、照明光ILの照射領域(露光領域IA)内において、微動ステージWFS1上に載置されたウエハWの表面が、投影光学系PLの焦点深度の範囲内に入らなくなるおそれもある。そこで、主制御装置20が、上述した微動ステージWFS1のX軸方向に関する中央部を+Z方向に撓ませる場合と同様に、一対の可動子部82a、82bそれぞれに、互いに反対の方向のY軸回りの回転力を作用させることによって、ウエハWがほぼ平坦になるように変形され、露光領域IA内でウエハWの表面が投影光学系PLの焦点深度の範囲内に入るようにすることもできる。なお、図11には、微動ステージWFS1を+Z方向に(凸形状に)撓ませる例が示されているが、コイルに対する電流の向きを制御することによって、これとは反対の方向に(凹形状に)微動ステージWFS1を撓ませることも可能である。
【0093】
なお、自重撓み補正及び/又はフォーカス・レベリング制御のためだけでなく、ウエハのショット領域内の所定点が露光領域IAを横切る間に、焦点深度の範囲内でその所定点のZ軸方向の位置を変化させて実質的に焦点深度を増大させる超解像技術を採用する場合にも、微動ステージWFS1(及びこれに保持されたウエハW)をY軸に垂直な面(XZ面)内で凹形状又は凸形状に変形させる手法を適用することができる。
【0094】
前述の如く、微動ステージWFS2は、上述した微動ステージWFS1と全く同様に構成されており、微動ステージWFS1に代えて、粗動ステージWCS1に非接触で支持させることができる。この場合、粗動ステージWCS1と、粗動ステージWCS1によって支持された微動ステージWFS2とによって、ウエハステージWST1が構成され、微動ステージWFS2が備える一対の可動子部(各一対の磁石ユニットMUa、MUa及びMUb、MUb)と粗動ステージWCS1の一対の固定子部93a、93b(コイルユニットCUa、CUb)とによって、微動ステージ駆動系52Aが構成される。そして、この微動ステージ駆動系52Aによって、微動ステージWFS2が、粗動ステージWCS1に対して、非接触で6自由度方向に駆動される。
【0095】
また、微動ステージWFS2、WFS1は、それぞれ粗動ステージWCS2に非接触で支持させることができ、粗動ステージWCS2と、粗動ステージWCS2によって支持された微動ステージWFS2又はWFS1とによってウエハステージWST2が構成される。この場合、微動ステージWFS2又はWFS1が備える一対の可動子部(各一対の磁石ユニットMUa、MUa及びMUb、MUb)と粗動ステージWCS2の一対の固定子部93a、93b(コイルユニットCUa、CUb)とによって、微動ステージ駆動系52B(図3参照)が構成される。そして、この微動ステージ駆動系52Bによって、微動ステージWFS2又はWFS1が、粗動ステージWCS2に対して、非接触で6自由度方向に駆動される。
【0096】
図1に戻り、リレーステージDRSTは、粗動ステージWCS1,WCS2と同様(ただし、第1部分と第2部分とに分離できるようには構成されていない)に構成されたステージ本体44と、ステージ本体44の内部に設けられた搬送装置46(図3参照)とを備えている。従って、ステージ本体44は、粗動ステージWCS1,WCS2と同様に、微動ステージWFS1又はWFS2を非接触で支持(保持)できるようになっており、リレーステージDRSTに支持された微動ステージは、微動ステージ駆動系52C(図3参照)によってリレーステージDRSTに対して6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)に駆動可能である。ただし、微動ステージは、リレーステージDRSTに対して少なくともY軸方向にスライド可能であれば良い。
【0097】
搬送装置46は、リレーステージDRSTのステージ本体44のX軸方向の両側壁に沿ってY軸方向に所定ストロークで往復移動可能でかつZ軸方向に関しても所定ストロークで上下動可能な搬送部材本体と、微動ステージWFS1又はWFS2を保持して搬送部材本体に対してY軸方向に相対移動可能な移動部材とを含む搬送部材48と、搬送部材48を構成する搬送部材本体及び移動部材を個別に駆動可能な搬送部材駆動系54(図3参照)とを備えている。搬送部材駆動系54は、搬送部材本体及び移動部材それぞれのY軸方向の位置を計測する不図示のセンサ(例えばエンコーダ)の計測値に基づいて、搬送部材本体及び移動部材を個別に駆動する。
【0098】
ここで、本実施形態の露光装置100では、主制御装置20は、粗動ステージWCS1、WCS2相互間で、微動ステージWFS1,WFS2の受け渡しをリレーステージDRSTを介して行う。粗動ステージWCS1、WCS2相互間での微動ステージWFS1,WFS2の受け渡しとは、具体的には、例えば粗動ステージWCS1に微動ステージWFS1が支持され、且つ粗動ステージWCS2に微動ステージWFS2が支持された第1の状態(図1参照)から、粗動ステージWCS1に微動ステージWFS2が支持され、且つ粗動ステージWCS2に微動ステージWFS1が支持された第2の状態へ切り替えたり、これとは逆に、第2の状態から第1の状態に切り替えたりすることを意味する。
【0099】
本実施形態の露光装置100では、ウエハWに対するステップ・アンド・スキャン方式の露光動作時、及びアライメント装置99を用いたウエハWのアライメント計測時には、微動ステージWFS1、WFS2それぞれのXY平面内の位置情報(θz方向の位置情報を含む)は、主制御装置20により、微動ステージ位置計測系70A、70Bのエンコーダシステム73(図3参照)を用いて計測される。微動ステージWFS1、WFS2それぞれの位置情報は、主制御装置20に送られ、主制御装置20は、この位置情報に基づいて微動ステージWFS1、WFS2それぞれの位置を制御する。
【0100】
これに対し、微動ステージWFS1(又はWFS2)が、粗動ステージWCS2からリレーステージDRSTを介して粗動ステージWCS1に受け渡される際には、微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置情報は、主制御装置20により、エンコーダシステム78及びレーザ干渉計システム79を含む微動ステージ位置計測系70C(図3参照)を用いて計測される。微動ステージ位置計測系70Cの具体的な構成については、後述する。
【0101】
また、微動ステージWFS1(又はWFS2)が、粗動ステージWCS1からリレーステージDRSTを介して粗動ステージWCS2に受け渡される際には、微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置情報は、主制御装置20により、主としてレーザ干渉計システムを含む微動ステージ位置計測系70D(図3参照)を用いて計測される。微動ステージ位置計測系70Dの具体的な構成については、後述する。
【0102】
また、微動ステージWFS1、WFS2の相互受け渡しを行う際の粗動ステージWCS1、WCS2のXY平面内の位置情報は、主制御装置20により、ウエハステージ位置計測系16A、16B(図1及び図3参照)を用いて計測される。ウエハステージ位置計測系16A、16Bは、図1に示されるように、粗動ステージWCS1、WCS2それぞれの側面に鏡面加工により形成された反射面に測長ビームを照射して粗動ステージWCS1、WCS2のXY平面内の位置情報を計測するレーザ干渉計を含んでいる。なお、図1では図示が省略されているが、実際には、粗動ステージWCS1、WCS2それぞれには、Y軸に垂直なY反射面とX軸に垂直なX反射面とが形成され、これに対応して、レーザ干渉計もX反射面、Y反射面にそれぞれ測長ビームを照射するX干渉計、Y干渉計が設けられている。なお、ウエハステージ位置計測系16A、16Bでは、例えばY干渉計は複数の測長軸を有し、各測長軸の出力に基づいて、粗動ステージWCS1、WCS2のθz方向の位置情報(回転情報)をも計測できる。なお、粗動ステージWCS1、WCS2のXY平面内での位置情報は、上述のウエハステージ位置計測系16A、16Bに代えて、その他の計測装置、例えばエンコーダシステムによって計測しても良い。この場合、例えばベース盤12の上面に2次元スケールを配置し、粗動ステージWCS1の底面にエンコーダヘッドを設けることができる。
【0103】
次に、補助ステージASTについて説明する。図12(A)、図12(B)及び図12(C)には、補助ステージASTの側面図(−Y方向から見た図)、正面図(+X方向から見た図)、及び平面図(+Z方向から見た図)が、それぞれ示されている。これら図12(A)〜図12(C)に示されるように、補助ステージASTは、平面視で(+Z方向から見て)X軸方向を長手方向とする長方形板状のスライダ部60と、スライダ部60上面の−X側の端部にYZ平面に平行な状態で固定された矩形板状部材から成る支持部62と、該支持部62に片持ち支持された矩形のプレートから成るブレードBLとを備えている。
【0104】
スライダ部60の底面には、不図示ではあるが、ベース盤12のコイルユニットと共に、ローレンツ電磁力駆動方式の平面モータから成る補助ステージ駆動系58(図3参照)を構成する、複数の永久磁石から成る磁石ユニットが設けられている。スライダ部60の底面には、上記磁石ユニットの周囲に複数のエアベアリング(不図示)が固定されている。補助ステージASTは、前述のエアベアリングによって、ベース盤12上に所定のクリアランス、例えば数μm程度のクリアランスを介して浮上支持され、補助ステージ駆動系58によって、X軸方向及びY軸方向に駆動される。
【0105】
通常は、補助ステージASTは、図20に示されるように、計測アーム71Aの−X側に所定距離以上離れた待機位置に待機している。補助ステージASTの一部をブレードBLが構成しているので、補助ステージASTをXY平面内で駆動すれば、ブレードBLがXY平面内で駆動される。すなわち、補助ステージ駆動系58は、ブレードBLをX軸方向及びY軸方向に駆動するブレード駆動系を兼ねている。
【0106】
ブレードBLは、図12(A)及び図12(B)からわかるように、その+Y側端部が支持部62の外部に所定量突出する状態で、−X側端部が支持部62の上面に固定されている。
【0107】
本実施形態において、ブレードBLの上面は、液体Lqに対して撥液性である。ブレードBLは、例えばステンレス等の金属製の基材と、その基材の表面に形成された撥液性材料の膜とを含む。撥液性材料は、例えばPFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)、PTFE(Poly tetra fluoro ethylene)、テフロン(登録商標)等を含む。なお、膜を形成する材料が、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂でも良い。また、ブレードBL全体が、PFA、PTFE、テフロン(登録商標)、アクリル系樹脂、及びシリコン系樹脂の少なくとも一つで形成されても良い。本実施形態において、液体Lqに対するブレードBLの上面の接触角は、例えば90度以上である。
【0108】
補助ステージASTは、計測アーム71Aに対して−X側から係合可能で、その係合状態では、ブレードBLが計測アーム71Aの真上に位置する。また、ブレードBLは、粗動ステージWCS1に支持されている微動ステージWFS1(又はWFS2)に−Y側から接触又は数300μm程度のクリアランスを介して近接可能であり、その接触又は近接状態で微動ステージWFS1(又はWFS2)の上面とともに、見かけ上一体のフルフラットな面を形成する(例えば図21参照)。ブレードBL(補助ステージAST)は、主制御装置20により、補助ステージ駆動系58を介して駆動され、微動ステージWFS1(又はWFS2)との間で液浸空間(液体Lq)の受け渡しを行う。なお、ブレードBLと微動ステージWFS1(又はWFS2)との間の液浸空間(液体Lq)の受け渡しについてはさらに後述する。
【0109】
次に、図1に示されるアライメント装置99の具体的な構成等について、図13に基づいて説明する。
【0110】
図13には、メインフレームBDが一部破断された状態で、アライメント装置99が斜視図にて示されている。アライメント装置99は、上述したように、プライマリアライメント系AL1と、4本のセカンダリアライメント系AL21、AL22、AL23、AL24と、を備えている。プライマリアライメント系AL1に対して+X側に配置される一対のセカンダリアライメント系AL21、AL22と、−X側に配置される一対のセカンダリアライメント系AL23、AL24とは、プライマリアライメント系AL1を中心として左右対称な構成となっている。また、セカンダリアライメント系AL21〜AL24は、例えば国際公開第2008/056735号(対応米国特許出願公開第2009/0233234号明細書)などに開示されているように、後述のスライダ及び駆動機構などを含む駆動システムによって独立に移動可能となっている。
【0111】
プライマリアライメント系AL1は、支持部材202を介して、メインフレームBDの下面にて吊り下げ支持されている。プライマリアライメント系AL1としては、例えば、ウエハ上のレジストを感光させないブロードバンドな検出光束を対象マークに照射し、その対象マークからの反射光により受光面に結像された対象マークの像と不図示の指標(各アライメント系内に設けられた指標板上の指標パターン)の像とを撮像素子(CCD等)を用いて撮像し、それらの撮像信号を出力する画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。このプライマリアライメント系AL1からの撮像信号は、主制御装置20に供給されるようになっている(図3参照)。
【0112】
セカンダリアライメント系AL21、AL22の上面にはそれぞれスライダSL1、SL2が固定されている。スライダSL1、SL2の+Z側には、メインフレームBDの下面に固定されたFIA定盤302が設けられている。また、セカンダリアライメント系AL23、AL24の上面にはそれぞれスライダSL3、SL4が固定されている。スライダSL3、SL4の+Z側には、メインフレームBDの下面に固定されたFIA定盤102が設けられている。
【0113】
セカンダリアライメント系AL24は、プライマリアライメント系AL1と同様、FIA系であって、内部にレンズ等の光学部材が設けられた略L字状の鏡筒109を含む。鏡筒109のY軸方向に延びる部分における上面(+Z側の面)には、前述したスライダSL4が固定されており、このスライダSL4は前述のFIA定盤102に対向して設けられている。
【0114】
FIA定盤102は、磁性体かつ低熱膨張率の部材(例えば、インバ等)から成り、その一部(+Y側の端部近傍)に複数の電機子コイルを含む電機子ユニットが設けられている。電機子ユニットは、一例として、2つのY駆動用コイルと、一対のX駆動用コイル群とを含む。また、FIA定盤102の内部には、液体流路(不図示)が形成されており、該流路内を流れる冷却用液体により、FIA定盤102が所定温度に温調(冷却)されている。
【0115】
スライダSL4は、スライダ本体、該スライダ本体に設けられた複数の気体静圧軸受、複数の永久磁石、及び磁極ユニットを含む。気体静圧軸受としては、FIA定盤102内の気体流路を介して気体が供給される、いわゆるグランド給気型の気体静圧軸受が用いられている。複数の永久磁石は、前述した磁性体から成るFIA定盤102と対向し、複数の永久磁石とFIA定盤102との間には、磁気的吸引力が常時作用している。従って、複数の気体静圧軸受に気体を供給しない間は、磁気的吸引力により、スライダSL4が、FIA定盤102の下面に最接近(接触)する。複数の気体静圧軸受に気体を供給すると、気体の静圧により、FIA定盤102とスライダSL4との間に斥力が発生する。磁気的吸引力と気体の静圧とのバランスにより、スライダSL4はその上面とFIA定盤102の下面との間に所定のクリアランスが形成された状態で維持(保持)される。以下においては、前者を「着地状態」と呼び、後者を「浮上状態」と呼ぶものとする。
【0116】
磁極ユニットは、前述の電機子ユニットに対応して設けられており、本実施形態では、磁極ユニットと電機子ユニット(2つのY駆動用コイルと、一対のX駆動用コイル群)との間の電磁相互作用によって、スライダSL4にX軸方向の駆動力及びY軸方向の駆動力、並びにZ軸回りの回転(θz)方向の駆動力を作用させることができる。なお、以下においては、上記磁極ユニットと電機子ユニットとにより構成される駆動機構(アクチュエータ)を、「アライメント系モータ」と呼ぶものとする。
【0117】
セカンダリアライメント系AL24の+X側に配置されたセカンダリアライメント系AL23は、上述したセカンダリアライメント系AL24と同様に構成され、スライダSL3もスライダSL4とほぼ同様に構成されている。また、スライダSL3とFIA定盤102との間には、前述と同様の駆動機構(アライメント系モータ)が設けられている。
【0118】
主制御装置20は、セカンダリアライメント系AL24、及びAL23を駆動する(位置調整する)際、前述した気体静圧軸受に対して気体を供給することにより、スライダSL4、SL3とFIA定盤102との間に所定のクリアランスを形成することでスライダSL4、SL3を上記浮上状態とする。そして、主制御装置20は、該浮上状態を維持した状態で、不図示の計測装置の計測値に基づいて、各アライメント系モータを構成する電機子ユニットに供給する電流を制御することにより、スライダSL4(セカンダリアライメント系AL24)、スライダSL3(セカンダリアライメント系AL2)をX軸、Y軸及びθz方向に微小駆動する。
【0119】
図13に戻り、セカンダリアライメント系AL21,AL22は、上述したセカンダリアライメント系AL23,AL24と同様の構成であり、スライダSL2は、上述したスライダSL3と左右対称の構成を有し、スライダSL1は、上述したスライダSL4と左右対称の構成を有している。また、FIA定盤302の構成は、上述したFIA定盤102と左右対称の構成を有している。
【0120】
次に、露光ステーション200にある粗動ステージWCS1に移動可能に保持される(ウエハステージWST1を構成する)微動ステージWFS1又はWFS2の位置情報の計測に用いられる微動ステージ位置計測系70A(図3参照)の構成について説明する。ここでは、微動ステージ位置計測系70Aが微動ステージWFS1の位置情報を計測する場合について説明する。
【0121】
微動ステージ位置計測系70Aは、図1に示されるように、ウエハステージWST1が投影光学系PLの下方に配置された状態で、粗動ステージWCS1の内部に設けられた空間部内に挿入されるアーム部材(計測アーム71A)を備えている。計測アーム71Aは、露光装置100のメインフレームBDに支持部72Aを介して片持ち状態で支持(一端部近傍を支持)されている。なお、アーム部材(計測部材)は、ウエハステージの移動の妨げにならない構成を採用する場合には、片持ち支持に限らず、その長手方向の両端部で支持されても良い。また、アーム部材は、前述したグレーティングRG(XY平面と実質的に平行なその配置面)よりも下方(−Z側)に配置されていれば良く、例えばベース盤12の上面よりも下方に配置しても良い。さらに、アーム部材はメインフレームBDに支持されるものとしたが、例えば防振機構を介して設置面(床面など)に設けても良い。この場合、メインフレームBDとアーム部材との相対的な位置関係を計測する計測装置を設けることが好ましい。アーム部材は、メトロロジーアームあるいは計測用部材などとも呼ぶことができる。
【0122】
計測アーム71Aは、Y軸方向を長手方向とする、幅方向(X軸方向)よりも高さ方向(Z軸方向)の寸法が大きい縦長の長方形断面を有する四角柱状(すなわち直方体状)の部材であり、光を透過する同一の素材、例えばガラス部材が複数貼り合わされて形成されている。計測アーム71Aは、後述するエンコーダヘッド(光学系)が収容される部分を除き、中実に形成されている。計測アーム71Aは、前述したようにウエハステージWST1が投影光学系PLの下方に配置された状態では、先端部が粗動ステージWCS1の空間部内に挿入され、図1に示されるように、その上面が微動ステージWFS1の下面(より正確には、本体部81(図1では不図示、図2(A)等参照)の下面)に対向している。計測アーム71Aの上面は、微動ステージWFS1の下面との間に所定のクリアランス、例えば数mm程度のクリアランスが形成された状態で、微動ステージWFS1下面とほぼ平行に配置される。なお、計測アーム71Aの上面と微動ステージWFSの下面との間のクリアランスは、数mm以上でも以下でも良い。
【0123】
微動ステージ位置計測系70Aは、図3に示されるように、微動ステージWFS1のX軸方向、Y軸方向、及びθz方向の位置を計測するエンコーダシステム73と、微動ステージWFS1のZ軸方向、θx方向及びθy方向の位置を計測するレーザ干渉計システム75とを備えている。エンコーダシステム73は、微動ステージWFS1のX軸方向の位置を計測するXリニアエンコーダ73x、微動ステージWFS1のY軸方向の位置を計測する一対のYリニアエンコーダ73ya、73yb(以下、適宜これらを併せてYリニアエンコーダ73yとも呼ぶ)を含む。エンコーダシステム73では、例えば米国特許第7,238,931号明細書、及び国際公開第2007/083758号(対応する米国特許出願公開第2007/288,121号明細書)などに開示されるエンコーダヘッド(以下、適宜ヘッドと略述する)と同様の構成の回折干渉型のヘッドが用いられている。ただし、本実施形態では、ヘッドは、後述するように光源及び受光系(光検出器を含む)が、計測アーム71Aの外部に配置され、光学系のみが計測アーム71Aの内部に、すなわちグレーティングRGに対向して配置されている。以下、特に必要な場合を除いて、計測アーム71Aの内部に配置された光学系をヘッドと呼ぶ。
【0124】
図14(A)には、計測アーム71Aの先端部が斜視図にて示されており、図14(B)には、計測アーム71Aの先端部の上面を+Z方向から見た平面図が示されている。エンコーダシステム73は、微動ステージWFS1のX軸方向の位置を1つのXヘッド77x(図15(A)及び図15(B)参照)で計測し、Y軸方向の位置を一対のYヘッド77ya、77yb(図15(B)参照)で計測する。すなわち、グレーティングRGのX回折格子を用いて微動ステージWFS1のX軸方向の位置を計測するXヘッド77xによって、前述のXリニアエンコーダ73xが構成され、グレーティングRGのY回折格子を用いて微動ステージWFS1のY軸方向の位置を計測する一対のYヘッド77ya、77ybによって、一対のYリニアエンコーダ73ya、73ybが構成されている。
【0125】
図14(A)及び図14(B)に示されるように、Xヘッド77xは、計測アーム71AのY軸方向のセンターラインCLから等距離にある、X軸に平行な直線LX上の2点(図14(B)の白丸参照)から、グレーティングRG上に計測ビームLBx、LBx(図14(A)中に実線で示されている)を照射する。計測ビームLBx、LBxは、グレーティングRG上の同一の照射点に照射される(図15(A)参照)。計測ビームLBx、LBxの照射点、すなわちXヘッド77xの検出点(図14(B)中の符号DP参照)は、ウエハWに照射される照明光ILの照射領域(露光領域)IAの中心である露光位置に一致している(図1参照)。なお、計測ビームLBx、LBxは、実際には、本体部81と空気層との境界面などで屈折するが、図15(A)等では、簡略化して図示されている。
【0126】
図15(B)に示されるように、一対のYヘッド77ya、77ybそれぞれは、計測アーム71Aの前述のセンターラインCLの+X側、−X側に配置されている。Yヘッド77yaは、図14(A)及び図14(B)に示されるように、Y軸に平行な直線LYa上に配置され、直線LXからの距離が等しい2点(図14(B)の白丸参照)から、グレーティングRG上の共通の照射点に図14(A)においてそれぞれ破線で示される計測ビームLBya,LByaを照射する。計測ビームLBya,LByaの照射点、すなわちYヘッド77yaの検出点が、図14(B)に符号DPyaで示されている。
【0127】
Yヘッド77ybは、Yヘッド77yaと同様に、計測アーム71AのセンターラインCLから直線LYaと同一距離離れたY軸に平行な直線LYb上に配置され、直線LXからの距離が等しい2点(図14(B)の白丸参照)から、計測ビームLByb,LBybを、グレーティングRG上の共通の照射点DPybに照射する。図14(B)に示されるように、計測ビームLBya,LBya及び計測ビームLByb,LBybそれぞれの検出点DPya、DPybは、X軸に平行な直線LX上に配置される。ここで、主制御装置20では、微動ステージWFS1のY軸方向の位置は、2つのYヘッド77ya、77ybの計測値の平均に基づいて決定する。従って、本実施形態では、微動ステージWFS1のY軸方向の位置は、検出点DPya、DPybの中点を実質的な計測点として計測される。そして、Yヘッド77ya、77ybによる検出点DPya、DPybの中点は、計測ビームLBx,LBXのグレーティングRG上の照射点DPと一致する。すなわち、本実施形態では、微動ステージWFS1のX軸方向及びY軸方向の位置情報の計測に関して、共通の検出点を有し、この検出点は、ウエハWに照射される照明光ILの照射領域(露光領域)IAの中心である露光位置に一致する。従って、本実施形態では、主制御装置20は、エンコーダシステム73を用いることで、微動ステージWFS1上に載置されたウエハWの所定のショット領域にレチクルRのパターンを転写する際、微動ステージWFS1のXY平面内の位置情報の計測を、常に露光位置の直下(微動ステージWFS1の裏面側)で行うことができる。また、主制御装置20は、微動ステージWFSのY軸方向の位置をそれぞれ計測する、X軸方向に離間して配置された一対のYヘッド77ya、77ybの計測値の差に基づいて、微動ステージWFSのθz方向の回転量を計測する。
【0128】
ここで、エンコーダシステム73を構成する3つのヘッド77x、77ya、77ybの構成について説明する。図15(A)には、3つのヘッド77x、77ya、77ybを代表して、Xヘッド77xの概略構成が示されている。また、図15(B)には、Xヘッド77x、Yヘッド77ya、77ybそれぞれの計測アーム71A内での配置が示されている。
【0129】
図15(A)に示されるように、Xヘッド77xは、その分離面がYZ平面と平行である偏光ビームスプリッタPBS、一対の反射ミラーR1a,R1b、レンズL2a,L2b、四分の一波長板(以下、λ/4板と表記する)WP1a,WP1b、反射ミラーR2a,R2b、及び反射ミラーR3a,R3b等を有し、これらの光学素子が所定の位置関係で配置されている。Yヘッド77ya、77ybも同様の構成の光学系を有している。Xヘッド77x、Yヘッド77ya、77ybそれぞれは、図15(A)及び図15(B)に示されるように、ユニット化されて計測アーム71Aの内部に固定されている。
【0130】
図15(B)に示されるように、Xヘッド77x(Xリニアエンコーダ73x)では、計測アーム71Aの−Y側の端部の上面(又はその上方)に設けられた光源LDxから−Z方向にレーザビームLBxが射出され、計測アーム71Aの一部にXY平面に対して45°の角度で斜設された反射面RPを介してY軸方向に平行にその光路が折り曲げられる。このレーザビームLBxは、計測アーム71の内部の中実な部分を、計測アーム71Aの長手方向(Y軸方向)に平行に進行し、図15(A)に示される反射ミラーR3aに達する。そして、レーザビームLBxは、反射ミラーR3aによりその光路が折り曲げられて、偏光ビームスプリッタPBSに入射する。レーザビームLBxは、偏光ビームスプリッタPBSで偏光分離されて2つの計測ビームLBx1,LBx2となる。偏光ビームスプリッタPBSを透過した計測ビームLBx1は反射ミラーR1aを介して微動ステージWFS1に形成されたグレーティングRGに到達し、偏光ビームスプリッタPBSで反射された計測ビームLBx2は反射ミラーR1bを介してグレーティングRGに到達する。なお、ここで「偏光分離」とは、入射ビームをP偏光成分とS偏光成分に分離することを意味する。
【0131】
計測ビームLBx1,LBx2の照射によってグレーティングRGから発生する所定次数の回折ビーム、例えば1次回折ビームそれぞれは、レンズL2a,L2bを介して、λ/4板WP1a,WP1bにより円偏光に変換された後、反射ミラーR2a,R2bにより反射されて再度λ/4板WP1a,WP1bを通り、往路と同じ光路を逆方向に辿って偏光ビームスプリッタPBSに達する。
【0132】
偏光ビームスプリッタPBSに達した2つの1次回折ビームは、各々その偏光方向が元の方向に対して90度回転している。このため、先に偏光ビームスプリッタPBSを透過した計測ビームLBx1の1次回折ビームは、偏光ビームスプリッタPBSで反射される。先に偏光ビームスプリッタPBSで反射された計測ビームLBx2の1次回折ビームは、偏光ビームスプリッタPBSを透過する。それにより、計測ビームLBx,LBxそれぞれの1次回折ビームは同軸上に合成ビームLBx12として合成される。合成ビームLBx12は、反射ミラーR3bでその光路が、Y軸に平行に折り曲げられて、計測アーム71Aの内部をY軸に平行に進行し、前述の反射面RPを介して、図15(B)に示される、計測アーム71の−Y側の端部の上面(又はその上方)に設けられたX受光系74xに送光される。
【0133】
X受光系74xでは、合成ビームLBx12として合成された計測ビームLBx1,LBx2の1次回折ビームが不図示の偏光子(検光子)によって偏光方向が揃えられ、相互に干渉して干渉光となり、この干渉光が不図示の光検出器によって検出され、干渉光の強度に応じた電気信号に変換される。ここで、微動ステージWFS1が計測方向(この場合、X軸方向)に移動すると、2つのビーム間の位相差が変化して干渉光の強度が変化する。この干渉光の強度の変化は、微動ステージWFS1のX軸方向に関する位置情報として主制御装置20(図3参照)に供給される。
【0134】
図15(B)に示されるように、Yヘッド77ya、77ybには、それぞれの光源LDya、LDybから射出され、前述の反射面RPで光路が90°折り曲げられたY軸に平行なレーザビームLBya、LBybが入射し、前述と同様にして、Yヘッド77ya、77ybから、偏向ビームスプリッタで偏向分離された計測ビームそれぞれのグレーティングRG(のY回折格子)による1次回折ビームの合成ビームLBya12、LByb12が、それぞれ出力され、Y受光系74ya、74ybに戻される。ここで、光源LDya、LDybから射出されるレーザビームLBya、LBybとY受光系74ya、74ybに戻される合成ビームLBya12、LByb12とは、図15(B)における紙面垂直方向に重なる光路をそれぞれ通る。また、上述のように、光源から照射されるレーザビームLBya、LBybとY受光系74ya、74ybに戻される合成ビームLBya12、LByb12とが、Z軸方向に離れた平行な光路を通るように、Yヘッド77ya、77ybでは、それぞれの内部で光路が適宜折り曲げられている(図示省略)。
【0135】
レーザ干渉計システム75は、図14(A)に示されるように、3本の測長ビームLBz、LBz、LBzを計測アーム71の先端部から、微動ステージWFSの下面に入射させる。レーザ干渉計システム75は、これら3本の測長ビームLBz、LBz、LBzそれぞれを照射する3つのレーザ干渉計75a〜75c(図3参照)を備えている。
【0136】
レーザ干渉計システム75では、3本の測長ビームLBz、LBz、LBzは、図14(A)及び図14(B)に示されるように、計測アーム71Aの上面上の同一直線上に無い3点それぞれから、Z軸に平行に射出される。ここで、3本の測長ビームLBz、LBz、LBzは、図14(B)に示されるように、その重心が、照射領域(露光領域)IAの中心である露光位置に一致する、二等辺三角形(又は正三角形)の各頂点の位置から、それぞれ照射される。この場合、測長ビームLBzの射出点(照射点)はセンターラインCL上に位置し、残りの測長ビームLBz、LBzの射出点(照射点)は、センターラインCLから等距離にある。本実施形態では、主制御装置20は、レーザ干渉計システム75を用いて、微動ステージWFS1のZ軸方向の位置、θx方向及びθy方向の回転量の情報を計測する。なお、レーザ干渉計75a〜75cは、計測アーム71Aの−Y側の端部の上面(又はその上方)に設けられている。レーザ干渉計75a〜75cから−Z方向に射出された測長ビームLBz、LBz、LBzは、前述の反射面RPを介して計測アーム71内をY軸方向に沿って進行し、その光路がそれぞれ折り曲げられて、上述の3点から射出される。
【0137】
本実施形態では、微動ステージWFS1の下面に、エンコーダシステム73からの各計測ビームを透過させ、レーザ干渉計システム75からの各測長ビームの透過を阻止する、波長選択フィルタ(図示省略)が設けられている。この場合、波長選択フィルタは、レーザ干渉計システム75からの各測長ビームの反射面をも兼ねる。波長選択フィルタは、波長選択性を有する薄膜などが用いられ、本実施形態では、例えば透明板(本体部81)の一面に設けられ、グレーティングRGはその一面に対してウエハホルダ側に配置される。
【0138】
以上の説明からわかるように、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Aのエンコーダシステム73及びレーザ干渉計システム75を用いることで、微動ステージWFS1の6自由度方向の位置を計測することができる。この場合、エンコーダシステム73では、計測ビームの空気中での光路長が極短くかつほぼ等しいため、空気揺らぎの影響が殆ど無視できる。従って、エンコーダシステム73により、微動ステージWFS1のXY平面内の位置情報(θz方向も含む)を高精度に計測できる。また、エンコーダシステム73によるX軸方向、及びY軸方向の実質的なグレーティング上の検出点、及びレーザ干渉計システム75によるZ軸方向の微動ステージWFS下面上の検出点は、それぞれ露光領域IAの中心(露光位置)に一致するので、いわゆるアッベ誤差の発生が実質的に無視できる程度に抑制される。従って、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Aを用いることで、アッベ誤差なく、微動ステージWFS1のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置を高精度に計測できる。また、粗動ステージWCS1が投影ユニットPUの下方にあり、粗動ステージWCS1に微動ステージWFS2が移動可能に支持されている場合には、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Aを用いることで、微動ステージWFS2の6自由度方向の位置を計測することができ、特に、微動ステージWFS2のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置については、アッベ誤差なく、高精度に計測できる。
【0139】
また、計測ステーション300が備える微動ステージ位置計測系70Bは、図1に示されるように、微動ステージ位置計測系70Aと左右対称であるが、同様に構成されている。従って、微動ステージ位置計測系70Bが備える計測アーム71Bは、Y軸方向を長手方向とし、その+Y側の端部近傍が、支持部材72Bを介してメインフレームBDからほぼ片持ち支持されている。
【0140】
粗動ステージWCS2がアライメント装置99の下方にあり、粗動ステージWCS2に微動ステージWFS2又はWFS1が移動可能に支持されている場合には、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Bを用いることで、微動ステージWFS2又はWFS1の6自由度方向の位置を計測することができ、特に、微動ステージWFS2又はWFS1のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置については、アッベ誤差なく、高精度に計測できる。
【0141】
次に、微動ステージWFS1、WFS2が計測ステーション300に配置された粗動ステージWCS2から露光ステーション200に配置された粗動ステージWCS1に受け渡される際に、その位置情報の計測に用いられる微動ステージ位置計測系70C(図3参照)の構成等について説明する。図3に示されるように、微動ステージ位置計測系70Cは、エンコーダシステム78及びレーザ干渉計システム79を含む。図16には、露光装置100を上方(+Z方向)から見た図が一部省略して示されている。エンコーダシステム78(図3参照)は、図16に示されるように、露光ステーション200と計測ステーション300との間に架設されたY軸方向に延びる一対のヘッドユニット98A、98Bを有している。ヘッドユニット98A、98Bは、図16等では図面の錯綜を避ける観点から図示が省略されているが、実際には、支持部材を介して、前述したメインフレームBDに吊り下げ状態で固定されている。
【0142】
なお、図16に示される状態において、微動ステージWFS1(ウエハステージWST1)は、微動ステージ位置計測系70Aの+Y方向に関する計測限界位置に位置している。すなわち、図16に示される状態から、微動ステージWFS1がさらに+Y方向に移動すると、計測アーム71Aから射出される計測ビームLBx、LBx,LBya,LBya,LByb,LByb(図14(A)参照)の照射点が、微動ステージWFS1に配置されたグレーティングRGから外れるとともに、測長ビームLBz、LBz、LBz(図14(A)参照)が微動ステージWFSの裏面(反射面)から外れ、微動ステージ位置計測系70Aによるによる微動ステージWFS1の位置計測が不可能になる。また、図16において、微動ステージWFS2(ウエハステージWST2)は、微動ステージ位置計測系70Bの−Y方向に関する計測限界位置に位置している。すなわち、図16に示される状態から、微動ステージWFS2がさらに−Y方向に移動すると、上記の場合と同様に、微動ステージ位置計測系70Bによる微動ステージWFS2の位置計測が不可能になる。
【0143】
ヘッドユニット98A、98Bは、図16に示されるように、基準軸LVの+X側、−X側に、基準軸LVに関して対称に配置されている。ヘッドユニット98A、98Bそれぞれは、Y軸方向に関して間隔WDでかつ基準軸LVに関して対称に配置された複数(ここでは11個)のYヘッド96i、97j(i,j=1〜11)を備えている。以下では、必要に応じて、Yヘッド96j、97iを、それぞれ、Yヘッド96、97とも記述する。
【0144】
ヘッドユニット98Aとヘッドユニット98BとのX軸方向に関する間隔は、微動ステージWFS1、WFS2それぞれに配置された2つのYスケール87Y、87YのX軸方向に関する間隔とほぼ一致しており、ヘッドユニット98A、98Bは、図16に示される微動ステージWFS1、WFS2の中心が基準軸LVに一致した位置(以下、センタリング位置と呼ぶ)では、Yスケール87Y、87Yにそれぞれ対向する。ヘッドユニット98A、98Bを構成する各Yヘッド96,97と、Yスケール87Y、87YとのZ軸方向の間隔は、数mm程度に設定されている。
【0145】
ヘッドユニット98Aは、前述のYスケール87Yを用いて、微動ステージWFS1、WFS2それぞれのY軸方向の位置(Y位置)を計測する多眼(ここでは、11眼)のYリニアエンコーダ(以下、適宜「Yエンコーダ」又は「エンコーダ」と略述する)を構成する。同様に、ヘッドユニット98Bは、前述のYスケール87Y2を用いて、微動ステージWFS1、WFS2それぞれのY軸方向の位置を計測する多眼(ここでは、11眼)のYエンコーダを構成する。
【0146】
ここでヘッドユニット98A、98Bそれぞれが備える、隣接するYヘッド96、97(より詳細には隣接するYヘッド96、97から照射される計測ビームのYスケール上での照射点)の間隔WDは、前述のYスケール87Y1、87Y2のY軸方向の長さの半分以下に設定されている。従って、微動ステージWFS1、WFS2がY軸方向に直進移動する際には、ヘッドユニット98Aを構成する11個のYヘッド96〜9611のうち、2つのヘッド(場合により3つのヘッド)がYスケール87Yに対向し、ヘッドユニット98Bを構成する11個のYヘッド97〜9711のうち、2つのヘッド(場合により3つのヘッド)がYスケール87Yに対向する。なお、各11個のYヘッド96、97のうち、−Y側の端部に位置する各2つのYヘッド96,96、97,97は、それぞれ微動ステージ位置計測系70Aの計測可能範囲内(露光ステーション200内)に配置され、+Y側の端部に位置する各2つのYヘッド9610,9611、9710,9711は、それぞれ微動ステージ位置計測系70Bの計測可能範囲内(計測ステーション300内)に配置されている。従って、図16に示されるように、微動ステージWFS1が微動ステージ位置計測系70Aの+Y方向に関する計測限界位置に位置する状態で、各2つのYヘッド96,96、97,97は、微動ステージWFS1のYスケール87Y、87Yに、それぞれ対向し、微動ステージWFS2が微動ステージ位置計測系70Bの−Y方向に関する計測限界位置に位置する状態で、各2つのYヘッド9610,9611、9710,9711は、微動ステージWFS2のYスケール87Y、87Yに、それぞれ対向する。すなわち、本実施形態の微動ステージ位置計測系70Cは、その計測可能範囲の一部が、微動ステージ位置計測系70A、70Bそれぞれの計測可能範囲の一部と重複している。
【0147】
上述したエンコーダシステム78、すなわちヘッドユニット98A及びヘッドユニット98B(によってそれぞれ構成されるYエンコーダ)は、例えば0.1nm程度の分解能で、微動ステージWFS1、WFS2のY軸方向の位置座標を計測し、その計測値を主制御装置20に供給する。主制御装置20は、ヘッドユニット98A、ヘッドユニット98Bの計測値に基づいて、ウエハステージWST1、WST2のY軸方向の位置、及びθz方向の回転を制御する。
【0148】
また、ヘッドユニット98A、ヘッドユニット98Bを構成する各Yヘッド96,97は、Yスケール87Y、87YのZ軸方向の位置情報、すなわち微動ステージWFS1(又はWFS2)のZ軸方向の位置情報をも計測可能である。ここでは、各Yヘッド96,97は、一例として計測ビームのYスケール87Y、87Yからの反射光(回折光)の強度変化に基づいて、微動ステージWFS1(又はWFS2)のZ軸方向の位置情報を計測するものとする。本実施形態のエンコーダシステム78では、ヘッドユニット98Aの少なくとも2個のYヘッド96と、ヘッドユニット98Bの少なくとも2個のYヘッド97とが、Yスケール87Y,87Yそれぞれに対向し、ウエハ表面のZ軸方向の位置情報を4箇所で計測して、その計測値を主制御装置20に供給する。主制御装置20は、これら複数のYヘッドの計測値に基づいて、微動ステージWFS1,WFS2のZ軸方向の位置、及びθx、θy方向の回転を制御する。なお、微動ステージWFS1,WFS2のZ軸方向に関する位置情報の計測手段は、これに限らず、例えば各Yヘッド9
6,97の近傍に、Yヘッド96,97とは別にZヘッドをそれぞれ(すなわち22個)配置して、これらのZヘッドによって、微動ステージWFS1、WFS2のZ軸方向の位置、及びθx、θy方向の回転を制御しても良い。Zヘッドとしては、例えば、CDドライブ装置などで用いられる光ピックアップと同様の光学式の変位センサのヘッドを用いることができる。
【0149】
次に、微動ステージ位置計測系70Cを構成するレーザ干渉計システム79(図3参照)の構成等について説明する。レーザ干渉計システム79は、図16に示されるように、露光ステーション200よりも−Y側に配置された一対のレーザ干渉計76a、76bと、計測ステーション300よりも+Y側に配置された一対のレーザ干渉計76c、76dとを有している。一対のレーザ干渉計76a、76bは、基準軸LVの+X側、−X側に、基準軸LVに対して対称に配置されており、それぞれY軸に平行な測長ビームB1,B2を微動ステージWFS1(又はWFS2)の反射面88d、88cに照射する。測長ビームB1,B2それぞれは、反射面88d、88cを介して、例えばメインフレームBD(図1参照)に固定された固定鏡47A,47Bで反射される。レーザ干渉計76a、76bは、これらの反射光を受光して、測長ビームB1,B2それぞれの光路長を計測する。主制御装置20は、その計測結果を用いて、微動ステージWFS1(又はWFS2)のX軸方向の位置を算出する。また、一対のレーザ干渉計76c、76dは、基準軸LVの+X側、−X側に、基準軸LVに対して対称に配置されており、それぞれY軸に平行な測長ビームB3,B4を微動ステージWFS2(又はWFS1)の反射面88b、88aに照射する。測長ビームB3,B4それぞれは、反射面88b、88aを介して、例えばメインフレームBDに固定された固定鏡47C,47Dで反射される。レーザ干渉計76c、76dは、これらの反射光を受光して、測長ビームB3,B4それぞれの光路長を計測する。主制御装置20は、その計測結果を用いて、微動ステージWFS2(又はWFS1)のX軸方向の位置を算出する。
【0150】
次に、微動ステージWFS1、WFS2が粗動ステージWCS1から粗動ステージWCS2に受け渡される際に、そのXY平面内の位置情報(θz方向の位置情報も含む)の計測に用いられる微動ステージ位置計測系70D(図3参照)の構成等について説明する。
【0151】
図17には、露光装置100を上方(+Z方向)から見た図が一部省略して示されている。なお、図17では、2つの微動ステージのうちの一方(ここでは微動ステージWFS2)、及び前述の微動ステージ位置計測系70Cを構成するレーザ干渉計76a及び76bの図示が省略されている。
【0152】
微動ステージ位置計測系70Dは、図17に示される、一対のYレーザ干渉計69Ya、69Ybと、一対のXレーザ干渉計69Xa、69Xbとを含む。Yレーザ干渉計69YaとXレーザ干渉計69Xaとは、前述のレーザ干渉計76a(図17では図示省略。図16参照)より下方(−Z側)にそれぞれ配置されている。Yレーザ干渉計69YbとXレーザ干渉計69Xbとは、前述のレーザ干渉計76b(図17では図示省略。図16参照)より下方(−Z側)にそれぞれ配置されている。ここで、Yレーザ干渉計69Ya、69Ybと、Xレーザ干渉計69Xa、69Xbとは、ほぼ同一のXY平面上にそれぞれの測長ビーム(後述する)の光路が配置されている。
【0153】
Yレーザ干渉計69Ya、69Ybは、基準軸LVの+X側、−X側に、基準軸LVに対して対称に配置されており、それぞれY軸に平行な測長ビームBya,Bybを微動ステージWFS1(又はWFS2)の反射面61に照射し、その反射光を受光して、測長ビームBya,Bybそれぞれの光路長を計測する。主制御装置20は、その計測結果を用いて、微動ステージWFS1(又はWFS2)のY軸方向及びθz方向の位置を算出する。
【0154】
また、Xレーザ干渉計69Xa、69Xbは、Yレーザ干渉計69Ya、69Ybの+X側、−X側に、それぞれ基準軸LVに対して対称に配置されており、それぞれY軸に平行な測長ビームBxa,Bxbを微動ステージWFS1(又はWFS2)の移動鏡63a、63bに照射する。ここで、微動ステージWFS1、WFS2は、粗動ステージWCS1からリレーステージDRSTを介して粗動ステージWCS2に受け渡される際には、後述するように粗動ステージWCS1、リレーステージDRST及び粗動ステージWCS2それぞれの内部に形成される空間部内を移動するようになっている(図24(A)〜図24(D)参照)。その際、移動鏡63a、63bで反射された測長ビームBxa,Bxbそれぞれは、粗動ステージWCS1、リレーステージDRST、粗動ステージWCS2それぞれの側壁部92a、92bの互いに対向する側面(内側面)に形成された反射面で反射される。Xレーザ干渉計69Xa、69Xbは、それらの測長ビームBxa,Bxbの反射光を、微動ステージWFS1(又はWFS2)の移動鏡63a、63bをそれぞれ介して受光し、測長ビームBxa,Bxbそれぞれの光路長を計測する。主制御装置20は、その計測結果を用いて、微動ステージWFS1(又はWFS2)のX軸方向の位置を算出する。なお、本実施形態では、2本の測長ビームBxa、Bxbの光路長を用いて微動ステージWFS1(又はWFS2)のX軸方向の位置を算出するが、これに限らず、例えば測長ビームBxaと測長ビームByaとの光路長の差を用いて微動ステージWFS1(又はWFS2)のX軸方向の位置を算出しても良い。この場合、Xレーザ干渉計は1つでも良い。
【0155】
上述のようにして構成された本実施形態の露光装置100では、デバイスの製造に際し、露光ステーション200にある粗動ステージWCS1に保持された一方の微動ステージ(ここでは、一例としてWFS1であるものとする)に保持されたウエハWに対して、ステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われ、そのウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンがそれぞれ転写される。このステップ・アンド・スキャン方式の露光動作は、主制御装置20により、事前に行われた、ウエハアライメントの結果(例えばエンハンスト・グローバル・アライメント(EGA)により得られるウエハW上の各ショット領域の配列座標を第2基準マークを基準とする座標に変換した情報)、及びレチクルアライメントの結果等に基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)へ微動ステージWFS1が移動されるショット間移動動作と、レチクルRに形成されたパターンを走査露光方式で各ショット領域に転写する走査露光動作と、を繰り返すことにより、行われる。なお、上記の露光動作は、先端レンズ191とウエハWとの間に液体Lqを保持した状態で、すなわち液浸露光により行われる。また、+Y側に位置するショット領域から−Y側に位置するショット領域の順で行われる。なお、EGAについては、例えば米国特許第4,780,617号明細書などに詳細に開示されている。
【0156】
本実施形態の露光装置100では、上述の一連の露光動作中、主制御装置20により、微動ステージ位置計測系70Aを用いて、微動ステージWFS1(ウエハW)の位置が計測され、この計測結果に基づいてウエハWの位置が制御される。
【0157】
なお、上述の走査露光動作時は、ウエハWをY軸方向に高加速度で走査する必要があるが、本実施形態の露光装置100では、主制御装置20は、走査露光動作時には、図18(A)に示されように、原則的に粗動ステージWCS1を駆動せず、微動ステージWFS1のみをY軸方向に(必要に応じて他の5自由度方向にも併せて)駆動する(図18(A)の黒塗り矢印参照)ことで、ウエハWをY軸方向に走査する。これは、粗動ステージWCS1を駆動する場合に比べ、微動ステージWFS1のみを動かす方が駆動対象の重量が軽い分、高加速度でウエハWを駆動できて有利だからである。また、前述のように、微動ステージ位置計測系70Aは、その位置計測精度がウエハステージ位置計測系16Aよりも高いので、走査露光時には微動ステージWFS1を駆動した方が有利である。なお、この走査露光時には、微動ステージWFS1の駆動による反力(図18(A)の白抜き矢印参照)の作用により、粗動ステージWCS1が微動ステージWFS1と反対側に駆動される。すなわち、粗動ステージWCS1がカウンタマスとして機能し、ウエハステージWST1の全体から成る系の運動量が保存され、重心移動が生じないので、微動ステージWFS1の走査駆動によってベース盤12に偏加重が作用するなどの不都合が生じることがない。
【0158】
一方、X軸方向にショット間移動(ステッピング)動作を行う際には、微動ステージWFS1のX軸方向への移動可能量が少ないことから、主制御装置20は、図18(B)に示されるように、粗動ステージWCS1をX軸方向に駆動することによって、ウエハWをX軸方向に移動させる。
【0159】
上述した一方の微動ステージWFS1上のウエハWに対する露光と並行して、他方の微動ステージWFS2上では、ウエハ交換、ウエハアライメント等が行われる。ウエハ交換は、微動ステージWFS2を支持する粗動ステージWCS2が、計測ステーション300近傍のウエハ交換領域にあるときに、不図示のウエハ搬送系によって、露光済みのウエハWが微動ステージWFS2上からアンロードされるとともに、新たなウエハWが微動ステージWFS2上へロードされることで行われる。ここで、ウエハ交換位置では、微動ステージWFS2のウエハホルダ(図示省略)とウエハWの裏面とにより形成される減圧室(減圧空間)が、不図示の排気管路及び配管を介してバキュームポンプに接続されており、このバキュームポンプを主制御装置20が作動させることにより、減圧室内の気体が排気管路及び配管を介して外部に排気され、減圧室内が負圧となって、ウエハホルダによるウエハWの吸着が開始される。そして、減圧室内が所定の圧力(負圧)となったとき、主制御装置20によりバキュームポンプが停止される。バキュームポンプが停止されると、不図示のチェック弁の作用により、排気管路は閉じられる。従って、減圧室の減圧状態が維持され、減圧室の気体を真空吸引するためのチューブなどを微動ステージWFS2に接続しなくても、ウエハWがウエハホルダに保持される。このため、微動ステージWFS2を、粗動ステージから分離して支障なく搬送することができる。
【0160】
ウエハアライメントに際し、主制御装置20は、まず、プライマリアライメント系AL1の直下に微動ステージWFS2上の計測プレート86を位置決めすべく、微動ステージWFS2を駆動し、プライマリアライメント系AL1を用いて、第2基準マークを検出する。そして、主制御装置20は、例えば、国際公開第2007/097379号(対応米国特許出願公開第2008/0088843号明細書)などに開示されるように、ウエハステージWST2を例えば−Y方向に移動させ、その移動経路上における複数箇所にウエハステージWSTを位置決めし、位置決めの都度、アライメント系AL1,AL22,AL23の少なくとも1つを用いてアライメントショット領域(サンプルショット領域)におけるアライメントマークの位置情報を、計測する(求める)。例えば、4回の位置決めを行う場合を考えると、主制御装置20は、例えば1回目の位置決め時に、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて、3箇所のサンプルショット領域におけるアライメントマーク(以下、サンプルマークとも呼ぶ)を、2回目の位置決め時にアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いてウエハW上の5つのサンプルマークを、3回目の位置決め時にアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて5つのサンプルマークを、4回目の位置決め時に、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて3つのサンプルマークを、それぞれ検出する。これにより、合計16箇所のアライメントショット領域におけるアライメントマークの位置情報を、16箇所のアライメントマークを単一のアライメント系で順次計測する場合などに比べて、格段に短時間で得ることができる。この場合において、上記のウエハステージWST2の移動動作と連動して、アライメント系AL1,AL22,AL23はそれぞれ、検出領域(例えば、検出光の照射領域に相当)内に順次配置されるY軸方向に沿って配列された複数のアライメントマーク(サンプルマーク)を検出する。このため、上記のアライメントマークの計測に際して、ウエハステージWSTをX軸方向に移動させる必要が無い。
【0161】
本実施形態では、主制御装置20は、第2基準マークの検出を含み、ウエハアライメントの際には、計測アーム71Bを含む微動ステージ位置計測系70Bを用いてウエハアライメント時における粗動ステージWCS2に支持された微動ステージWFS2のXY平面内の位置計測を行う。ただし、これに限らず、ウエハアライメント時の微動ステージWFS2の移動を粗動ステージWCS2と一体で行う場合には、前述したウエハステージ位置計測系16Bを介してウエハWの位置を計測しながらウエハアライメントを行っても良い。また、計測ステーション300と露光ステーション200とが離間しているので、ウエハアライメント時と露光時とでは、微動ステージWFS2の位置は、異なる座標系上で管理される。そこで、主制御装置20は、ウエハアライメントの結果得られたウエハW上の各ショット領域の配列座標を、第2基準マークを基準とする配列座標に変換する。
【0162】
このようにして微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するウエハアライメントが終了するが、このときは未だ、露光ステーション200において微動ステージWFS1に保持されたウエハWに対する露光が続行されている。図19(A)及び図27には、このウエハWに対するウエハアライメントが終了した段階の、粗動ステージWCS1、WCS2及びリレーステージDRSTの位置関係が示されている。
【0163】
主制御装置20は、粗動ステージ駆動系51Bを介してウエハステージWST2を図19(B)及び図28中の白抜き矢印で示されるように、−Y方向に所定距離駆動し、所定の待機位置(例えば、投影光学系PLの光軸AXとプライマリアライメント系AL1の検出中心との中央位置にほぼ一致)に静止しているリレーステージDRSTに接触又は500μm程度隔てて近接させる。ここで、主制御装置20は、ウエハステージWST2をリレーステージDRSTに向けて移動させる際、微動ステージ位置計測系70B(計測アーム70B)の−Y方向に関する計測限界位置(図16に示される位置)で、ウエハステージWST2の位置情報を計測する計測系を、微動ステージ位置計測系70Bから微動ステージ位置計測系70Cに切り替える。ここで、計測されるウエハステージWST2の位置(位置計測値)を連続的につなぐために、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Bの計測値を用いて微動ステージ位置計測系70Cの計測値をリセットする。すなわち、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Bの計測値に微動ステージ位置計測系70Cの計測値が一致するように、微動ステージ位置計測系70Cに含まれるエンコーダシステム78を構成するエンコーダヘッド(Yヘッド)96、97及びレーザ干渉計システム79を構成するレーザ干渉計76c、76dのそれぞれの計測値をリセットする。以降、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Cの計測値(図28では、Yヘッド9610,9611,9710,9711及びレーザ干渉計76c、76dの計測値)に基づいてウエハステージWST2の位置(情報)を計測しつつ、ウエハステージWST2を−Y方向に移動させる。なお、この際、主制御装置20は、ウエハステージWST2の位置をウエハステージ位置計測系16Bの計測値に基づいて制御しても良い。
【0164】
ここで、上記の計測系の切替は、上記計測限界位置でのみ行われるものでなく、その計測限界位置の手前で(計測対象の移動体が計測限界位置に達する前に)行うことも可能である。この場合に2つの計測系でオーバーラップする計測範囲内で計測値のつなぎ(対応付け)を行っても良い。
【0165】
次に、主制御装置20は、微動ステージ駆動系52B,52CのY駆動コイルに流れる電流を制御して、ローレンツ力により微動ステージWFS2を、図19(C)及び図29中の黒塗り矢印で示されるように、微動ステージ位置計測系70Cの計測値(図29では、Yヘッド96,96,97,97及びレーザ干渉計76c、76d)に基づいて微動ステージWFS2の位置情報を計測しつつ−Y方向に駆動し、粗動ステージWCS2からリレーステージDRSTへ微動ステージWFS2を移載する。図19(D)及び図30には、リレーステージDRSTへの微動ステージWFS2の移載が終了した状態が示されている。
【0166】
主制御装置20は、図19(D)及び図30に示される位置にリレーステージDRST及び粗動ステージWCS2を待機させた状態で、微動ステージWFS1上のウエハWに対する露光が終了するのを待つ。
【0167】
図21には、露光が終了した直後のウエハステージWST1の状態が示されている。
【0168】
主制御装置20は、露光終了に先立って、図25(A)の白抜き矢印で示されるように、補助ステージ駆動系58(図3参照)を介して図20に示される待機位置から補助ステージAST(ブレードBL)を、+X方向に所定量駆動する。これにより、図25(A)に示されるように、ブレードBLの先端が計測アーム71Aの上方に位置する。そして、主制御装置20は、この状態で、露光が終了するのを待つ。
【0169】
そして、露光が終了すると、主制御装置20は、補助ステージ駆動系58を介して補助ステージAST(ブレードBL)を+X方向及び+Y方向に駆動し、ブレードBLを、図21及び図25(B)に示されるように、微動ステージWFS1にY軸方向に関して接触又は300μm程度のクリアランスを介して近接させる。すなわち、主制御装置20は、ブレードBLと微動ステージWFS1とをスクラム状態の設定を開始する。その後、主制御装置20は、補助ステージAST(ブレードBL)をさらに+X方向に駆動する。そして、ブレードBLの中心が計測アーム71Aの中心と一致する状態になると、図22及び図26示されるように、ブレードBLと微動ステージWFS1とのスクラム状態を維持しつつ、ウエハステージWST1と一体で補助ステージAST(ブレードBL)を+Y方向に駆動する(図22及び図26の白抜き矢印参照)。これにより、先端レンズ191との間に保持されていた液体Lqで形成される液浸空間が、微動ステージWFS1からブレードBLに渡される。図22には、液体Lqで形成される液浸空間が微動ステージWFS1からブレードBLに渡される直前の状態が示されている。この図22の状態では、先端レンズ191と、微動ステージWFS1及びブレードBLとの間に、液体Lqが保持されている。なお、ブレードBLと微動ステージWFS1とを近接させて駆動する場合、液体Lqの漏出が防止あるいは抑制されるようにブレードBLと微動ステージWFS1とのギャップ(クリアランス)を設定することが好ましい。ここで、近接は、ブレードBLと微動ステージWFS1とのギャップ(クリアランス)が零の場合、すなわち両者が接触する場合をも含む。
【0170】
そして、微動ステージWFS1からブレードBLへの液浸空間の受け渡しが終了すると、図23に示されるように、微動ステージWFS1を保持する粗動ステージWCS1が、前述の待機位置で微動ステージWFS2を保持して、粗動ステージWCS2と近接した状態で待機しているリレーステージDRSTに、接触又は500μm程度のクリアランスを介して近接する。この微動ステージWFS1を保持する粗動ステージWCS1が、+Y方向に移動している途中の段階で、主制御装置20は、搬送部材駆動系54を介して搬送装置46の搬送部材48を粗動ステージWCS1の空間部内に挿入している。なお、ウエハステージWST1をリレーステージDRSTに向けて移動させる際、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70A(計測アーム70A)の+Y方向に関する計測限界位置(図16に示される位置)で、ウエハステージWST1の位置情報を計測する計測系を、微動ステージ位置計測系70Aから微動ステージ位置計測系70Cに切り替える。ここで、計測されるウエハステージWST1の位置(位置計測値)を連続的につなぐために、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Aの計測値を用いて微動ステージ位置計測系70Cの計測値をリセットする。すなわち、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Aの計測値に微動ステージ位置計測系70Cの計測値が一致するように、微動ステージ位置計測系70Cに含まれるエンコーダシステム78を構成するエンコーダヘッド(Yヘッド)96、97及びレーザ干渉計システム79を構成するレーザ干渉計76a、76bのそれぞれの計測値をリセットする。以降、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Cの計測値(図16では、Yヘッド96,96,97,97及びレーザ干渉計76a、76bの計測値)に基づいてウエハステージWST1の位置(情報)を計測しつつ、ウエハステージWST1を+Y方向に移動させる。なお、この際、主制御装置20は、ウエハステージWST1の位置をウエハステージ位置計測系16Aの計測値に基づいて制御しても良い。なお、上記計測系の切替は、上記計測限界位置でのみ行われるものでなく、その計測限界位置の手前で行うことも可能である。また、この場合に2つの計測系でオーバーラップする計測範囲内で計測値のつなぎ(対応付け)を行っても良い。
【0171】
そして、微動ステージWFS1を保持する粗動ステージWCS1が、リレーステージDRSTに接触又は近接した時点で、主制御装置20は、搬送部材48を上方に駆動して、下方から微動ステージWFS1を支持させる。
【0172】
そして、この状態で、主制御装置20は、不図示のロック機構を解除し、図31に示されるように、粗動ステージWCS1を、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとに分離する(図31中の白抜き矢印参照)。これにより、微動ステージWFS1が粗動ステージWCS1から離脱可能となる。そこで、主制御装置20は、図24(A)中に白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS1を支持している搬送部材48をXY平面に垂直に下方(−Z方向に)に駆動する。これにより、微動ステージ位置計測系70Dを構成するYレーザ干渉計69Ya、69Yb及びXレーザ干渉計69Xa、69Xbからの測長ビームBya,Byb及びBxa,Bxbが微動ステージWFS1の反射面61、移動鏡63a、63bにそれぞれ当たるようになる。そこで、主制御装置20は、搬送部材48の移動部材に支持された微動ステージWFS1のXY平面内の位置情報を計測する計測系を、微動ステージ位置計測系70Cから微動ステージ位置計測系70Dに切り替える。ここで、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Cの計測値を用いて微動ステージ位置計測系70Dの計測値をリセットして、計測されるウエハステージWST1の位置位置計測値)の連続性を保障する。
【0173】
そして、主制御装置20は、粗動ステージWCS1の、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとを合体後、不図示のロック機構をロックする。
【0174】
ここで、図31に示される、微動ステージWFS1が粗動ステージWCS1の内部に収容され、且つ微動ステージWFS2がリレーステージDRSTに支持された状態では、主制御装置20は、露光ステーション200側のレーザ干渉計76a、76bを用いて微動ステージWFS2のX軸方向に関する位置情報を計測することも、計測ステーション300側のレーザ干渉計76c、76dを用いて微動ステージWFS2のX軸方向に関する位置情報を計測することも可能となっている。換言すれば、本実施形態では、微動ステージWFS2(又はWFS1)がリレーステージDRSTに支持された状態で、微動ステージWFS2(又はWFS1)のX軸方向の位置計測に用いるレーザ干渉計の切り替えを行うことが可能となるように、固定鏡47A〜47Dの反射面の大きさ(長さ)、配置が設定されている。そこで、主制御装置20は、図31に示される、微動ステージWFS2がリレーステージDRSTに支持された状態(待機状態)で、微動ステージWFS1が下方に駆動されると、これに応じて微動ステージWFS2のX軸方向に関する位置情報を計測する計測系を、レーザ干渉計76c、76dからレーザ干渉計76a、76bに切り替える。なお、微動ステージの他の5自由度方向の位置情報は、引き続きエンコーダシステム78を用いて計測される。このように、本実施形態のレーザ干渉計システム79は、使用するレーザ干渉計を、微動ステージWFS2の位置に応じて、微動ステージWFS2の移動方向後方に配置されたレーザ干渉計76c、76dから、WFS2の移動方向前方に配置されたレーザ干渉計76a、76bに切り替える構成であるので、各固定鏡47A〜47Dを小型化できる。
【0175】
次に、主制御装置20は、微動ステージWFS1を下方から支持する搬送部材48をリレーステージDRSTのステージ本体44の内部に移動させる。図24(B)及び図32には、搬送部材48の移動が行われている状態が示されている。このときの微動ステージWFS1のXY平面内の位置情報(θz方向の位置情報も含む)は、前述した微動ステージ位置計測系70Dによって計測される(図17参照)。
【0176】
また、主制御装置20は、搬送部材48の移動と並行して、微動ステージ位置計測系70Cの計測値(図32では、Yヘッド96,96,97,97(又はYヘッド96,96,97,97)及びレーザ干渉計76a、76bの計測値)に基づいて、微動ステージ駆動系52C,52AのYZコイルに流れる電流を制御して、ローレンツ力により微動ステージWFS2を、図24(B)及び図32中の黒塗り矢印で示されるように、−Y方向に駆動し、微動ステージWFS2をリレーステージDRSTから粗動ステージWCS1に移載(スライド移動)する。
【0177】
また、主制御装置20は、微動ステージWFS1がリレーステージDRSTの空間に完全に収容されるように、搬送部材48の搬送部材本体をリレーステージDRSTの空間に収容後、微動ステージWFS1を保持している移動部材を搬送部材本体上で+Y方向に移動させる(図24(C)及び図32中の白抜き矢印参照)。
【0178】
次に、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Cの計測値に基づいて、微動ステージWFS2を保持した粗動ステージWCS1を、−Y方向に移動させて、ブレードBLから微動ステージWFS2に、先端レンズ191との間で保持されている液浸空間を渡す。この液浸空間(液体Lq)の受け渡しは、前述した微動ステージWFS1からブレードBLへの液浸領域の受け渡しと逆の手順で行われる。なお、この際、主制御装置20は、ウエハステージ位置計測系16Aの計測値に基づいて粗動ステージWCS1を、−Y方向に移動させても良い。
【0179】
また、主制御装置20は、微動ステージWFS2を保持した粗動ステージWCS1を−Y方向に駆動する際、微動ステージ位置計測系70A(計測アーム70A)の+Y方向に関する計測限界位置(図16に示される位置)で、微動ステージWFS2(ウエハステージWST1)の位置情報を計測する計測系を、微動ステージ位置計測系70Cから微動ステージ位置計測系70Aに切り替える。ここで、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Cの計測値を用いて微動ステージ位置計測系70A(を構成するエンコーダ73x、73ya、73yb及びレーザ干渉計75a、75b、75c)の計測値をリセットして、計測される微動ステージWFS2の位置(位置計測値)の連続性を保障する。そして、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Aの計測値に基づいてウエハステージWST2に保持されたウエハWの位置情報を計測しつつ、ウエハステージWST1(粗動ステージWCS1及び微動ステージWFS2)を−Y方向に駆動する。なお、上記計測系の切替は、上記計測限界位置でのみ行われるものでなく、その計測限界位置の手前で行うことも可能である。また、この場合に2つの計測系でオーバーラップする計測範囲内で計測値のつなぎ(対応付け)を行っても良い。
【0180】
そして、主制御装置20は、露光開始に先立って、前述の一対のレチクルアライメント系RA1,RA2、及び微動ステージWFSの計測プレート86上の一対の第1基準マークなどを用いて、通常のスキャニング・ステッパと同様の手順(例えば、米国特許第5,646,413号明細書などに開示される手順)で、レチクルアライメントを行う。図24(D)には、レチクルアライメント中の微動ステージWFS2が、これを保持する粗動ステージWCS1とともに示されている。そして、主制御装置20は、レチクルアライメントの結果と、ウエハアライメントの結果(ウエハW上の各ショット領域の第2基準マークを基準とする配列座標)とに基づいて、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作を行い、ウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンをそれぞれ転写する。この露光は、図24(E)及び図24(F)からも明らかなように、レチクルアライメント後、微動ステージWFS2を一端−Y側に戻し、ウエハW上の+Y側のショット領域から−Y側のショット領域の順で行われる。
【0181】
上記の液浸空間の受け渡し、レチクルアライメント及び露光と並行して、以下のような動作が行われている。
【0182】
すなわち、主制御装置20は、図24(D)に示されるように、微動ステージ位置計測系70D及びウエハステージ位置計測系16Bの計測値に基づいて、微動ステージWFS1を保持している搬送部材48を粗動ステージWCS2の空間内に移動させる。このとき、主制御装置20は、搬送部材48の移動とともに、微動ステージWFS1を保持している移動部材を搬送部材本体上で+Y方向に移動させる。
【0183】
次に、主制御装置20は、不図示のロック機構を解除し、粗動ステージWCS2を、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとに分離するとともに、図24(E)中の白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS1を保持している搬送部材48をXY平面に垂直に上方(+Z方向)に駆動し、微動ステージWFS1を、微動ステージWFS1が備える一対の可動子部が、粗動ステージWCS2の一対の固定子部に係合可能となる高さに位置決めする。この移動により、微動ステージ位置計測系70Dを構成するYレーザ干渉計69Ya、69Yb及びXレーザ干渉計69Xa、69Xbからの測長ビームBya,Byb及びBxa,Bxbが微動ステージWFS1に当たらなくなる。そこで、主制御装置20は、微動ステージWFS1のXY平面内の位置情報を計測する計測系を、微動ステージ位置計測系70Dから微動ステージ位置計測系70Cに切り替える。このとき、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Dの計測値を用いて微動ステージ位置計測系70Cの計測値をリセットして、計測される微動ステージWFS1の位置(位置計測値)の連続性を保障する。
【0184】
そして、主制御装置20は、粗動ステージWCS2の第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとを合体させる。これにより、露光済みのウエハWを保持する微動ステージWFS1が、粗動ステージWCS2に支持される。そこで、主制御装置20は、不図示のロック機構をロックする。
【0185】
次に、主制御装置20は、微動ステージWFS1を支持している粗動ステージWCS2を、図24(F)の白抜き矢印で示されるように+Y方向に駆動し、計測ステーション300に移動させる。
【0186】
その後、主制御装置20によって、微動ステージWFS1上では、ウエハ交換、第2基準マークの検出、ウエハアライメント等が、前述と同様の手順で行われる。この場合も、ウエハ交換位置で、微動ステージWFS1のウエハホルダ(図示省略)とウエハWの裏面とにより形成される減圧室内の気体がバキュームポンプによって、外部に排気され、減圧室内が負圧となって、ウエハホルダによりウエハWが吸着される。そして、不図示のチェック弁の作用により、上記減圧室の減圧状態が維持され、減圧室の気体を真空吸引するためのチューブなどを微動ステージWFS1に接続しなくても、ウエハWがウエハホルダに保持される。このため、微動ステージWFS1を、粗動ステージから分離して支障なく搬送することができる。
【0187】
そして、主制御装置20は、ウエハアライメントの結果得られたウエハW上の各ショット領域の配列座標を、第2基準マークを基準とする配列座標に変換する。この場合も、微動ステージ位置計測系70Bを用いて、アライメントの際の微動ステージWFS1の位置計測が行われる。
【0188】
このようにして微動ステージWFS1に保持されたウエハWに対するウエハアライメントが終了するが、このときは未だ、露光ステーション200において微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対する露光が続行されている。
【0189】
そして、主制御装置20は、前述と同様にして、微動ステージWFS1をリレーステージDRSTへ移載する。主制御装置20は、リレーステージDRST及び粗動ステージWCS2を前述の待機位置で待機させた状態で、微動ステージWFS2上のウエハWに対する露光が終了するのを待つ。
【0190】
以降、同様の処理が、微動ステージWFS1、WFS2を交互に用いて繰り返し行われ、複数枚のウエハWに対する露光処理が連続して行われる。
【0191】
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置100によると、露光ステーション200において、粗動ステージWCS1に相対移動可能に保持された微動ステージWFS1(又はWFS2)上に載置されたウエハWがレチクルR及び投影光学系PLを介して露光光ILで露光される。この際、粗動ステージWCS1に移動可能に保持されている微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置情報は、主制御装置20により、微動ステージWFS1(又はWFS2)に配置されたグレーティングRGに対向して配置された計測アーム71Aを有する微動ステージ位置計測系70Aのエンコーダシステム73を用いて計測される。この場合、粗動ステージWCS1には、その内部に空間部が形成され、微動ステージ位置計測系70Aの各ヘッドは、この空間部内に配置されているので、微動ステージWFS1(又はWFS2)と微動ステージ位置計測系70Aの各ヘッドとの間には、空間が存在するのみである。従って、各ヘッドを微動ステージWFS1(又はWFS2)(グレーティングRG)に近接して配置することができ、これにより、微動ステージ位置計測系70Aによる微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置情報の高精度な計測が可能になる。また、この結果、主制御装置20による粗動ステージ駆動系51A及び/又は微動ステージ駆動系52Aを介した微動ステージWFS1(又はWFS2)の高精度な駆動が可能になる。
【0192】
また、この場合、計測アーム71Aから射出される、微動ステージ位置計測系70Aを構成するエンコーダシステム73、レーザ干渉計システム75の各ヘッドの計測ビームのグレーティングRG上の照射点は、ウエハWに照射される露光光ILの照射領域(露光領域)IAの中心(露光位置)に一致している。従って、主制御装置20は、いわゆるアッベ誤差の影響を受けることなく、微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置情報を高精度に計測することができる。また、計測アーム71AをグレーティングRGの直下に配置することによって、エンコーダシステム73Aの各ヘッドの計測ビームの大気中の光路長を極短くできるので、空気揺らぎの影響が低減され、この点においても、微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置情報を高精度に計測することができる。
【0193】
また、本実施形態では、計測ステーション300には、微動ステージ位置計測系70Aと左右対称に構成された微動ステージ位置計測系70Bが設けられている。そして、計測ステーション300において、粗動ステージWCS2に保持された微動ステージWFS2(又はWFS1)上のウエハWに対するウエハアライメントがアライメント系AL1、AL21〜AL24などによって行われる際、粗動ステージWCS2に移動可能に保持されている微動ステージWFS2(又はWFS1)のXY平面内の位置情報が、微動ステージ位置計測系70Bによって高精度に計測される。この結果、主制御装置20による粗動ステージ駆動系51B及び/又は微動ステージ駆動系52Bを介した微動ステージWFS2(又はWFS1)の高精度な駆動が可能になる。
【0194】
また、本実施形態では、露光ステーション200側の計測アーム71Aと計測ステーション300側の計測アーム71Bとは、互いの自由端と固定端とが反対向きに設定されているので、それらの計測アーム71A,71Bに邪魔されることなく、粗動ステージWCS1を計測ステーション300に(より正確には、リレーステージDRSTに)近づけることができるとともに、粗動ステージWCS2を露光ステーション200に(より正確には、リレーステージDRSTに)近づけることができる。
【0195】
また、本実施形態によると、露光前のウエハを保持する微動ステージWFS2(又はWFS1)の粗動ステージWCS2からリレーステージDRSTへの受け渡し及びリレーステージDRSTから粗動ステージWCS1への受け渡しは、粗動ステージWCS2、リレーステージDRST、及び粗動ステージWCS1の上端面(一対の固定子部93a、93bを含むXY平面に平行な面(第1面))に沿って微動ステージWFS2(又はWFS1)を、スライド移動させることで行われる。また、露光済みのウエハを保持する微動ステージWFS1(又はWFS2)の粗動ステージWCS1からリレーステージDRSTへの受け渡し及びリレーステージDRSTから粗動ステージWCS2への受け渡しは、第1面の−Z側に位置する、粗動ステージWCS1、リレーステージDRST、及び粗動ステージWCS2の内部の空間内で微動ステージWFS1(又はWFS2)を移動させることで行われる。従って、粗動ステージWCS1とリレーステージDRSTとの間、及び粗動ステージWCS2リレーステージDRSTとの間における、ウエハの受け渡しを、装置のフットプリントの増加を極力抑制して、実現することが可能になる。
【0196】
また、本実施形態では、リレーステージDRSTは、XY平面内で移動可能な構成であるにもかかわらず、前述の一連の並行処理動作の説明から明らかなように、実際のシーケンスでは、前述した待機位置に待機したままである。この点においても、装置のフットプリントの増加が抑制されている。
【0197】
また、本実施形態の露光装置100によると、微動ステージ位置計測系70A、70Bの計測可能範囲外であっても、微動ステージ位置計測系70Cによって微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置情報が高精度に計測される。微動ステージ位置計測系70Aと微動ステージ位置計測系70Cとは、その計測可能範囲が一部重複し、且つ微動ステージ位置計測系70Bと微動ステージ位置計測系70Cとは、その計測可能範囲が一部重複しているので(図16参照)、微動ステージWFS1(又はWFS2)が計測ステーション300から露光ステーション200に移動する際、これら3つの微動ステージ位置計測系70A,70B,70Cを用いることで、微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置情報を切れ目なく計測することができる。
【0198】
また、微動ステージ位置計測系70Cは、微動ステージWFS1(又はWFS2)に配置されたYスケール87Y1,87Y2に数ミリ程度のクリアランスで対向して配置された複数のYヘッド96,97を含むエンコーダシステム78によって微動ステージWFS1(又はWFS2)の5自由度方向の位置情報を計測するので、微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置を高精度に計測できる。
【0199】
また、本実施形態の露光装置100によると、微動ステージWFS1(又はWFS2)が、露光ステーション200からリレーステージDRSTを介して計測ステーション300に移載される際、その移載される微動ステージWFS1(又はWFS2)が、搬送部材48の移動部材に支持されて、粗動ステージWCS1、リレーステージDRST、及び粗動ステージWCS2の内部で−Y方向に移動する。この移動中の微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置情報が、微動ステージ位置計測系70Dによって計測される。
【0200】
従って、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70A,70B,70C、及び70Dの出力に基づいて、XY平面内の広い範囲で微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置情報を計測することが可能になる。
【0201】
また、本実施形態の露光装置によると、主制御装置20により、粗動ステージ駆動系51Aを介して粗動ステージWCS1の第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとがそれぞれ駆動され、該第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとが分離すると、分離前の粗動ステージWCS1によって保持されていた微動ステージWFS1(又はWFS2)を、露光済みのウエハWを保持したまま、粗動ステージWCS1から容易に離脱させることができる。すなわち、微動ステージWFS1と一体でウエハWを粗動ステージWCS1から容易に離脱させることができる。
【0202】
この場合において、本実施形態では、粗動ステージWCS1の内部の空間部内に先端部が位置する片持ち支持状態の計測アーム71Aの固定端から自由端に向かう方向(+Y方向)に粗動ステージWCS1と一体で微動ステージWFS1(又はWFS2)を移動させた後、粗動ステージWCS1を第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとに分離させて、露光済みのウエハWを保持した微動ステージWFS1(又はWFS2)を、粗動ステージWCS1から容易に離脱させるので、その離脱の際に、計測アーム71Aに邪魔されることなく、露光済みのウエハWを保持した微動ステージWFS1(又はWFS2)を、粗動ステージWCS1から離脱させることができる。
【0203】
また、露光済みのウエハWを保持した微動ステージWFS1(又はWFS2)が粗動ステージWCS1から離脱した後、露光前のウエハWを保持する別の微動ステージWFS2(又はWFS1)を、粗動ステージWCS1に保持させる。従って、露光済みのウエハWを保持する微動ステージWFS1(又はWFS2)と、露光前のウエハWを保持する別の微動ステージWFS2(又はWFS1)とを、それぞれウエハWを保持したままの状態で、粗動ステージWCS1から離脱、又は粗動ステージWCS1に保持させることが可能になる。
【0204】
また、主制御装置20により、搬送部材駆動系54を介して搬送部材48が駆動され、露光済みのウエハWを保持したまま粗動ステージWCS1から離脱した微動ステージWFS1(又はWFS2)をリレーステージDRSTの内部空間に収納される。
【0205】
また、主制御装置20により、粗動ステージ駆動系51Bを介して粗動ステージWCS2の第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとが分離された状態で、搬送部材駆動系54を介して搬送部材48が駆動され、露光済みのウエハWを保持した微動ステージWFS1(又はWFS2)が所定高さに位置決めされる。そして、主制御装置20により、粗動ステージ駆動系51Bを介して粗動ステージWCS2の第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとが一体化されることで、露光済みのウエハWを保持した微動ステージWFS1(又はWFS2)を、リレーステージDRSTから粗動ステージWCS2に受け渡すことができる。
【0206】
さらに、主制御装置20により、露光前のウエハWを保持する微動ステージWFS2(又はWFS1)が、微動ステージ駆動系52B,52Cを介して粗動ステージWCS2からリレーステージDRSTへ、さらには微動ステージ駆動系52C,52Aを介してリレーステージDRSTから粗動ステージWCS1へ、移載される。
【0207】
従って、本実施形態の露光装置100によると、ウエハWが大型化しても、特に支障なく、微動ステージWFS1又はWFS2と一体でウエハWを、粗動ステージWCS1、リレーステージDRST、及び粗動ステージWCS2の3者間で、受け渡すことができる。
【0208】
また、ブレードBL(補助ステージAST)は、微動ステージWFS1(又はWFS2)が先端レンズ191(投影光学系PL)との間で液体Lqを保持しているとき、Y軸方向に関して微動ステージWFS1(又はWFS2)に接触又は300μm程度のクリアランスを介して近接するスクラム状態となり、該スクラム状態を維持して微動ステージWFS1(又はWFS2)と共にY軸方向に沿って計測アーム71Aの固定端側から自由端側に移動し、その移動後に先端レンズ191(投影光学系PL)との間で液体Lqを保持する。このため、計測アーム71Aに邪魔されることなく、先端レンズ191(投影光学系PL)との間に保持される液体Lq(該液体Lqによって形成される液浸空間)を、微動ステージWFS1(又はWFS2)からブレードBLに受け渡すことが可能となる。
【0209】
また、本実施形態の露光装置100によると、微動ステージWFS1(又はWFS2)を精度良く駆動することができるので、この微動ステージWFS1(又はWFS2)に載置されたウエハWをレチクルステージRST(レチクルR)に同期して精度良く駆動し、走査露光により、レチクルRのパターンをウエハW上に精度良く転写することが可能になる。また、本実施形態の露光装置100では、露光ステーション200において、微動ステージWFS1(又はWFS2)上に載置されたウエハWに対する露光動作を行うのと並行して、計測ステーション300において、微動ステージWFS2(又はWFS1)上のウエハ交換、及びそのウエハWに対するアライメント計測などを行うことができるので、ウエハ交換、アライメント計測、露光の各処理をシーケンシャルに行う場合に比べて、スループットの向上が可能である。
【0210】
なお、上記実施形態では、微動ステージWFS1(又はWFS2)のプレート83の上面に配置されたYスケール87Y1,87Y2を、エンコーダシステム78(微動ステージ位置計測系70C)の一部を構成するヘッドユニット98A、98Bのそれぞれに属するYヘッド96,97の計測対象とする場合について説明したが、これに限らず、微動ステージ位置計測系70A,70Bの一部を構成するXヘッド77x、Yヘッド77ya、77ybの計測対象であるグレーティングRGを、Yヘッド96,97の計測対象として兼用することも可能である。この場合には、Yスケール87Y1,87Y2は不要である。また、この場合には、グレーティングRGを微動ステージWFS1(又はWFS2)の本体部81の上面のほぼ全域に渡って形成すると良い。この場合、グレーティングRGには、Yヘッド96,97からの計測ビームが、プレート83及びカバーガラス84(図2(A)及び図2(B)参照)を介して上方(+Z側)から照射され、また、微動ステージ位置計測系70A、70Bそれぞれの一部を構成するXヘッド77x、Yヘッド77ya、77ybからの計測ビームが、下方(−Z側)から照射されることとなる。この場合において、Yヘッド96,97に計測に支障があるような場合には、プレート83上面の前述のYスケール87Y1,87Y2の配置領域に対応する領域を含む部分領域については撥液膜を形成しないこととしても良い。
【0211】
上記実施形態では、粗動ステージWCS2と粗動ステージWCS1との間で、リレーステージDRSTを介して、微動ステージWFS1、WFS2の交換が行われる際の、微動ステージWFS1、WFS2の移動範囲について、エンコーダシステム78(ヘッドユニット98A、98B、Yヘッド96,97)が配置された場合について説明した。しかし、これに限らず、例えば、次の変形例のように、さらに別の個所に、エンコーダシステム78と同様のエンコーダシステムを設けても良い。
【0212】
《変形例》
図33には、変形例に係る露光装置の、計測ステーション300とその+Y側に位置するウエハ交換エリア(アンローディングポジションUP及びローディングポジションLPを含む)とが、平面図にて示されている。図33からわかるように、ウエハ交換エリアの+X側及び−X側に、基準軸LVに対して対称な配置で、微動ステージWFS1(又はWFS2)からウエハがアンロードされる アンローディングポジションUP、及び微動ステージWFS1(又はWFS2)上にウエハがロードされるローディングポジションLPが、それぞれ配置されている。
【0213】
微動ステージWFS1(又はWFS2)には、グレーティングRGが、本体部81の上面のほぼ全域に渡って形成されている。
【0214】
計測ステーション300と、アンローディングポジションUP及びローディングポジションLPとの間に、エンコーダシステム73、78とは別のエンコーダシステム(以下、第3のエンコーダシステムと呼ぶ)が備えるヘッドユニット98Cが設置されている。ヘッドユニット98Cは、支持部材を介して、メインフレームBDに吊り下げ固定されている。
【0215】
ヘッドユニット98Cは、X軸方向に等間隔で配列された複数(ここでは15個)の2次元エンコーダヘッド(以下、2Dヘッドと略述する)95(k=1〜15)を備えている。ここで、2Dヘッドとは、X軸方向及びY軸方向の2方向を計測方向とするエンコーダヘッドである。以下では、必要に応じて、2Dヘッド95を2Dヘッド95とも表記する。2Dヘッド95の配列間隔は、次のa.及びb.の条件を満足するように定められている。
【0216】
a.微動ステージWFS1(又はWFS2)が、アンローディングポジションUPとローディングポジションLPとの間を移動する際に、常に、微動ステージWFS1(又はWFS2)上のウエハ載置領域の+X側及び−X側のグレーティングRGの領域に、各1つの2Dヘッド95が対向可能である。
b.微動ステージWFS1(又はWFS2)が、アンローディングポジションUPとローディングポジションLPとの間の移動の途中で、隣接する2つの2Dヘッド95間でつなぎ処理(計測される位置(位置計測値)の連続性を保障するための処理)を行うべき位置に、あるときには、その隣接する2つの2Dヘッドが、ウエハ載置領域の+X側又は−X側のグレーティングRGの領域に、同時に対向可能である。
【0217】
なお、各2Dヘッド95は、グレーティングRGの上方、数mm程度の位置に固定されている。
【0218】
2Dヘッド95のそれぞれは、プレート83及びカバーガラス84(図2(A)及び図2(B)参照)を介して上方(+Z側)から計測ビームをグレーティングRGに照射し、グレーティングRGのX回折格子及びY回折格子からそれぞれ発生する回折光を受光して、グレーティングRG(すなわち微動ステージWFS1(又はWFS2))のXY位置を計測する。前述のように、第3のエンコーダシステムでは、少なくとも2つの2Dヘッド95がグレーティングRGに対向する。従って、ヘッドユニット98Cは、グレーティングRGを用いて、微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置(θz位置を含む)を計測する多眼(ここでは、15眼)の2次元エンコーダシステムを構成する。
【0219】
第3のエンコーダシステムは、例えば0.1nm程度の分解能で、微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置を計測し、その位置情報(計測値)を主制御装置20に供給する。主制御装置20は、供給された位置情報(計測値)に基づいて、微動ステージWFS1(又はWFS2)(ウエハステージWST2)をウエハ交換エリア内で駆動する。
【0220】
なお、この変形例では、エンコーダシステム78(微動ステージ位置計測系70C)を構成する2つのヘッドユニット98A、98Bには、前述の各11個のYヘッド96i、97j(i,j=1〜11)に加えて、さらに各4つのYヘッド96i、97j(i,j=12〜15)が属している。Yヘッド96i、97j(i,j=12〜15)は、それぞれ、Yヘッド9611、9711の+Y側に、間隔WDで、Y軸に平行に配置されている。これにより、エンコーダシステム78(微動ステージ位置計測系70C)の計測可能範囲が、ウエハ交換エリアまで拡張されている。
【0221】
次に、この変形例に係る露光装置で行われる、ウエハ交換エリアにおける粗動ステージWCS2に支持された微動ステージWFS1を用いて行われる処理について、図34(A)〜図35(B)に基づいて、説明する。
【0222】
図34(A)には、露光が終了したウエハを保持する微動ステージWFS1を保持して計測ステーション300に戻る粗動ステージWCS2(ウエハステージWST2)が示されている。この図34(A)の状態に先立って、粗動ステージWCS2と粗動ステージWCS1との間で、微動ステージWFS1と、ウエハアライメントが終了したウエハを保持する微動ステージWFS2との交換が行われている。この図34(A)の状態は、図24(F)に示された状態に対応する。すなわち、微動ステージWFS1を保持する粗動ステージWCS2は、主制御装置20により、微動ステージ位置計測系70Cで計測される位置情報に基づいて、図34(A)中に黒塗り矢印で示されるように、+Y方向に駆動されている。
【0223】
次いで、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Cからの微動ステージWFS1の位置情報(計測値)に基づいて、微動ステージWFS1を保持する粗動ステージWCS2(ウエハステージWST2)をさらに+Y方向に駆動し、計測ステーション300を通過して、ウエハ交換エリアまで移動させる。
【0224】
図34(B)には、ウエハステージWST2が、微動ステージ位置計測系70C(2つのヘッドユニット98A、98B)の+Y側の計測限界位置に位置している状態が示されている。ここで、計測限界位置では、微動ステージ位置計測系70Cのヘッドユニット98Aに属するYヘッド9614,9615、及びヘッドユニット98Bに属するYヘッド9714,9715が、微動ステージWFS1のウエハ載置領域の+X側、及び−X側のグレーティングRGの領域に、対向している。この時、ヘッドユニット98Cに属する2Dヘッド95及び9511も、ウエハ載置領域の+X側、及び−X側のグレーティングRGの領域に、対向している。そこで、主制御装置20は、微動ステージWFS1の位置情報を計測する計測系を、微動ステージ位置計測系70Cから第3のエンコーダシステムに切り替える。
【0225】
ここで、主制御装置20は、計測されるウエハステージWST2の位置(位置計測値)を連続的につなぐために、微動ステージ位置計測系70Cの計測値を用いて第3のエンコーダシステムの計測値をリセットする。すなわち、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Cの計測値に第3のエンコーダシステムの計測値が一致するように、2Dヘッド95及び9511の計測値をリセットする。
【0226】
計測系の切り替え後、主制御装置20は、第3のエンコーダシステムで計測される微動ステージWFS1の位置情報に基づいて、図35(A)中に黒塗り矢印で示されるように、ウエハステージWST2を+Y方向にさらに駆動した後、+X方向に駆動する。これにより、微動ステージWFS1は、図35(A)に示されるように、アンローディングポジションUPに位置決めされる。このときの微動ステージWFS1の+X方向への移動により、2Dヘッド95〜95が、順次、ウエハ載置領域の+X側のグレーティングRGの領域に対向し、2Dヘッド9511〜95が、順次、ウエハ載置領域の−X側のグレーティングRGの領域に対向する。そして、不図示のアンロードアームにより、微動ステージWFS1上からウエハWがアンロードされる。
【0227】
ウエハWのアンロード後、主制御装置20は、図35(B)中に黒塗り矢印で示されるように、ウエハステージWST2(微動ステージWFS1)を−X方向に駆動する。これにより、微動ステージWFS1は、図35(B)に示されるように、ローディングポジションLPに位置決めされる。このときの微動ステージWFS1の−X方向への移動により、2Dヘッド95〜9510が、順次、ウエハ載置領域の+X側のグレーティングRGの領域に対向し、2Dヘッド95〜9515が、順次、ウエハ載置領域の−X側のグレーティングRGの領域に対向する。そして、不図示のロードアームにより、微動ステージWFS1上に新たなウエハW’がロードされる。
【0228】
ウエハW’のロード後、主制御装置20は、図35(B)中に白抜き矢印で示されるように、ウエハステージWST2(微動ステージWFS1)を+X方向に駆動した後、基準軸LV上を−Y方向に駆動する。これにより、ウエハステージWST2(微動ステージWFS1)は、図34(B)に示される微動ステージ位置計測系70Cの計測可能範囲内に移動される。ここで、主制御装置20は、ウエハステージWST2の位置情報を計測する計測系を、第3のエンコーダシステムから微動ステージ位置計測系70Cに切り替える。
【0229】
ここで、主制御装置20は、計測されるウエハステージWST2の位置(位置計測値)を連続的につなぐために、第3のエンコーダシステムの計測値に微動ステージ位置計測系70Cの計測値が一致するように、Yヘッド9614,9615及び9714,9715の計測値をリセットする。
【0230】
計測系の切り替え後、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Cで計測される微動ステージWFS1の位置情報(計測値)に基づいて、ウエハステージWST2を計測ステーション300内に移動させ、先と同様に、ウエハW’に対するウエハアライメント等を行う。
【0231】
なお、上記実施形態では、微動ステージ位置計測系70Dを、以下の理由により、干渉計システムによって構成した。すなわち、微動ステージ位置計測系70Dは、露光が終了したウエハを保持する一方の微動ステージを、ウエハ交換のため、一方の粗動ステージWCS1から他方の粗動ステージWCS2に移載する際の、その一方の微動ステージの位置情報を計測するためのものであるから、あまり高い精度は要求されないので、仮に空気ゆらぎの影響を受けることがあっても特に支障はないからである。
【0232】
なお、微動ステージWFS1(又はWFS2)が、粗動ステージWCS2から(リレーステージDRSTを介して)粗動ステージWCS1に受け渡される際に、微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置情報の計測に用いられる微動ステージ位置計測系70C、及び微動ステージWFS1(又はWFS2)が、粗動ステージWCS1から(リレーステージDRSTを介して)粗動ステージWCS2に受け渡される際に、微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置情報の計測に用いられる微動ステージ位置計測系70Dの構成は、上記実施形態の構成に限られるものではない。例えば、微動ステージ位置計測系70Cは、エンコーダシステム78及びレーザ干渉計システム79の両者を具備する必要はなく、いずれか一方のみでも良い。また、微動ステージ位置計測系70C及び70Dの構成は任意で構わない。例えば、これらの位置計測系を、微動ステージの上面側からその裏面側に配置されるグレーティングに計測ビームを照射する計測系(エンコーダに限られない)を用いても良い。この場合、入替動作範囲をカバーする範囲だけ微動ステージの一部に、計測ビームが透過する透明部又は開口部を設けても良い。また、微動ステージ位置計測系70C及び70Dを構成する各計測装置は、上方又は側方でなく、下方から計測ビームを微動ステージ(の計測面又は反射面)に照射して位置計測を行っても良い。
【0233】
なお、上記実施形態では、ブレードBL(可動部材)が、XY平面内で移動する補助ステージASTに設けられた場合を説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。すなわち、可動部材は、保持部材(上記実施形態では微動ステージがこれに相当)が光学部材(上記実施形態では先端レンズ191がこれに相当)との間で液体Lqを保持しているとき、Y軸方向に関して保持部材に所定距離(例えば300μm)以内に近接(接触する場合を含む)し、該近接状態(前述のスクラム状態)を維持して保持部材と共にY軸方向に沿って移動(上記実施形態では計測アーム71Aの固定端側から自由端側に移動)し、その移動後に光学部材との間で液体Lqを保持することができれば、その構成は問わない。従って、ロボットアームその他の駆動装置により駆動される可動ブレードなどであっても良い。
【0234】
なお、上記実施形態では、図24(A)〜図24(C)を用いて、露光済のウエハWを保持する微動ステージWFS1を先にリレーステージDRSTの搬送部材48に受渡し、その後でリレーステージDRSTに保持された微動ステージWFS2をスライドさせて粗動ステージWCS1で保持することとした。しかし、これに限らず、微動ステージWFS2を先にリレーステージDRSTの搬送部材48に受渡し、その後で粗動ステージWCS1に保持された微動ステージWFS1をスライドさせてリレーステージDRSTで保持しても良い。
【0235】
また、上記実施形態では、微動ステージWFS1、WFS2を、粗動ステージWCS1、WCS2間で入れ替えるために、リレーステージDRSTに対して粗動ステージWCS1、WCS2をそれぞれ近接させる場合、リレーステージDRSTと粗動ステージWCS1、WCS2とのギャップ(クリアランス)を300μm程度に設定するものとしたが、このギャップは、例えばブレードBLと微動ステージWFS1とを近接させて駆動する場合などのように狭く設定する必要はない。この場合、リレーステージDRSTと粗動ステージとの間での微動ステージの移動時に微動ステージが大きく傾かない(要はリニアモータの固定子と可動子とが接触しない)範囲で、リレーステージDRSTと粗動ステージとを離しても良い。すなわち、リレーステージDRSTと粗動ステージWCS1、WCS2とのギャップは、300μm程度に限らず、極端に大きくしても良い。
【0236】
また、上記実施形態では、粗動ステージWCS1,WCS2に加えて、リレーステージDRSTを備える場合について説明したが、リレーステージは、必ずしも設けなくても良い。この場合には、例えば粗動ステージWCS1と粗動ステージWCS2との間で微動ステージの受け渡しを行う必要があるが、このためには、その受け渡しを実現するための中継部材を追加する必要がある。例えば、粗動ステージWCS1の移動範囲と粗動ステージWCS2の移動範囲との間に、一時的に微動ステージを保持させるための保持部材を設置しても良いし、あるいは例えばロボットアームなどで粗動ステージWCS1,WCS2に対して、微動ステージを受け渡すこととしても良い。保持部材としては、通常時は、床面から上方に突出しないようにベース盤12の内部に収まっており、粗動ステージWCS1、WCS2が2つの部分に分離した際に上昇して微動ステージを支持し、支持したまま下降する上下動可能なテーブルなどを用いることができる。この他、粗動ステージWCS1、WCS2の粗動スライダ部91にY軸方向に細長い切り欠きが形成されている場合には、軸部が床面から上方に突出した上下動可能なテーブルなどを用いることもできる。いずれにしても保持部材は、その微動ステージを支持する部分が、少なくとも一方向に可動で、微動ステージを支持した状態で、粗動ステージWCS1、WCS2間で微動ステージが直接受け渡される際、その妨げとならない構造であれば良い。いずれにしても、微動ステージが粗動ステージWCS1、WCS2のいずれにも支持されていないとき、その中継部材に保持されている微動ステージのXY平面内の位置情報を、計測する計測系(干渉計システムに限られない)を設ける必要がある。この他、例えば粗動ステージWCS1に対して微動ステージを渡し、粗動ステージWCS1から微動ステージを受け取って不図示の外部搬送系に渡す搬送機構を、粗動ステージWCS2に設けても良い。この場合、外部搬送系によってウエハを保持する微動ステージを粗動ステージWCS2に対して装着するようにすれば良い。なお、リレーステージを設けない場合には、その分装置のフットプリントを小さくすることができる。
【0237】
なお、上記実施形態では、粗動ステージWCS1、WCS2が、第1部分と第2部分とに分離可能でかつ第1部分と第2部分とが係合可能である場合について説明したが、これに限らず、第1部分と第2部分とは、物理的には常時離れていても、相互に接近及び離間可能で、離間した際には、保持部材(上記実施形態の微動ステージ)を離脱可能で、接近した際には、保持部材を支持可能であれば良い。
【0238】
なお、上記実施形態では、微動ステージ位置計測系70A,70Bが、全体が例えばガラスによって形成され、内部を光が進行可能な計測アーム71A,71Bを備える場合を説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、計測アームは、少なくとも前述の各レーザビームが進行する部分が、光を透過可能な中実な部材によって形成されていれば良く、その他の部分は、例えば光を透過させない部材であっても良いし、中空構造であっても良い。また、例えば計測アームとしては、グレーティングに対向する部分から計測ビームを照射できれば、例えば計測アームの先端部に光源や光検出器等を内蔵していても良い。この場合、計測アームの内部にエンコーダの計測ビームを進行させる必要は無い。
【0239】
また、計測アームは、各レーザビームが進行する部分(ビーム光路部分)が中空などでも良い。あるいは、エンコーダシステムとして、格子干渉型のエンコーダシステムを採用する場合には、回折格子が形成される光学部材を、セラミックス又はインバーなどの低熱膨張性のアームに設けるだけでも良い。これは、特にエンコーダシステムでは、空気揺らぎの影響を極力受けないように、ビームが分離している空間が極めて狭く(短く)なっているからである。さらに、この場合、温度制御した気体を、微動ステージ(ウエハホルダ)とアームとの間(及びビーム光路)に供給して温度安定化を図っても良い。さらに、計測アームは、その形状は特に問わない。
【0240】
なお、上記実施形態では、計測アーム71A,71Bは同じメインフレームBDに設けられているが、これに限らず、異なる支持部材に設けても良い。例えば投影系(投影ユニットPU)アライメント系(アライメント装置99)とを別々の支持装置で支持し、投影系の支持装置に計測アーム71Aを、アライメント系の支持装置に計測アーム71Bを設けても良い。
【0241】
なお、上記実施形態では、計測アーム71A,71BがメインフレームBDに一体的に固定されているので、内部応力(熱応力を含む)によって計測アーム71A,71Bにねじれ等が発生し、計測アーム71A,71BとメインフレームBDとの相対位置が変化する可能性がある。そこで、かかる場合の対策として、計測アーム71A,71Bの位置(メインフレームBDに対する相対位置、又は基準位置に対する位置の変化)を計測し、アクチュエータ等で計測アーム71A,71Bの位置を微調整する、あるいは、測定結果を補正するなどしても良い。
【0242】
また、上記実施形態では、計測アーム71A,71BとメインフレームBDとが一体である場合について説明したが、これに限らず、計測アーム71A,71BとメインフレームBDとが、分離されていても良い。この場合、メインフレームBD(あるいは基準位置)に対する計測アーム71A,71Bの位置(あるいは変位)を計測する計測装置(例えばエンコーダ及び/又は干渉計など)と、計測アーム71A,71Bの位置を調整するアクチュエータ等とを設け、主制御装置20その他の制御装置が、計測装置の計測結果に基づいて、メインフレームBD(及び投影光学系PL)と、計測アーム71A,71Bとの位置関係を、所定の関係(例えば一定)に維持することとすれば良い。
【0243】
また、計測アーム71A,71Bに、光学的な手法により計測アーム71A,71Bの変動を計測する計測システム(センサ)、温度センサ、圧力センサ、振動計測用の加速度センサ等を設けても良い。あるいは、計測アーム71A,71Bの変動を測定する歪みセンサ(歪みゲージ)、又は変位センサ等を設けても良い。そして、これらのセンサで求めた値を使って、微動ステージ位置計測系70A及び/又はウエハステージ位置計測系68A、又は微動ステージ位置計測系70B及び/又はウエハステージ位置計測系68Bで得られた位置情報を補正するようにしても良い。
【0244】
また、上記実施形態では、計測アーム71A(又は71B)が、メインフレームBDから1つの支持部材72A(又は72B)を介して片持ち状態で支持された場合について説明したが、これに限らず、例えば、X軸方向に離れた2本の吊り下げ部材を含むU字状の吊り下げ部を介して計測アーム71A(又は71B)をメインフレームBDから吊り下げ支持しても良い。この場合、2本の吊り下げ部材の間を微動ステージが移動できるように、その2本の吊り下げ部材の間隔を設定することが望ましい。
【0245】
また、微動ステージ位置計測系70A,70Bは、必ずしも、計測アームを備えている必要はなく、粗動ステージWCS1,WCS2の空間部内にグレーティングRGに対向して配置され、該グレーティングRGに少なくとも1本の計測ビームを照射し、該計測ビームのグレーティングRGからの回折光を受光するヘッドを有し、該ヘッドの出力に基づいて微動ステージWFSの少なくともXY平面内の位置情報を計測できれば足りる。
【0246】
また、上記実施形態では、エンコーダシステム73が、Xヘッドと一対のYヘッドを備える場合について例示したが、これに限らず、上述の変形例の第3のエンコーダシステムと同様に、2次元ヘッド(2Dヘッド)を、例えば1つ又は2つ設けても良い。2Dヘッドを2つ設ける場合には、それらの検出点がグレーティング上で露光位置を中心として、X軸方向に同一距離離れた2点になるようにしても良い。
【0247】
なお、微動ステージ位置計測系70Aは、レーザ干渉計システム75を備えることなく、エンコーダシステム73のみで微動ステージの6自由度方向に関する位置情報を計測できるようにしても良い。この場合、例えばX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方とZ軸方向に関する位置情報を計測可能なエンコーダを用いることができる。例えば、2次元のグレーティングRG上の同一直線上に無い3つの計測点に、X軸方向とZ軸方向に関する位置情報を計測可能なエンコーダと、Y軸方向とZ軸方向に関する位置情報を計測可能なエンコーダとを含む合計3つのエンコーダから計測ビームを照射し、グレーティングRGからのそれぞれの戻り光を受光することで、グレーティングRGが設けられた移動体の6自由度方向の位置情報を計測することとすることができる。また、エンコーダシステム73の構成は上記実施形態に限られないで任意で構わない。
【0248】
なお、上記実施形態では、微動ステージの上面、すなわちウエハに対向する面にグレーティングが配置されているものとしたが、これに限らず、グレーティングは、ウエハを保持するウエハホルダに形成されていても良い。この場合、露光中にウエハホルダが膨張したり、微動ステージに対する装着位置がずれたりした場合であっても、これに追従してウエハホルダ(ウエハ)の位置を計測することができる。また、グレーティングは、微動ステージの下面に配置されていても良く、この場合、エンコーダヘッドから照射される計測ビームが微動ステージの内部を進行しないので、微動ステージを光が透過可能な中実部材とする必要がなく、微動ステージを中空構造にして内部に配管、配線等を配置することができ、微動ステージを軽量化できる。
【0249】
なお、上記実施形態では、計測アーム71A,71Bの内部を進行させて計測ビームを微動ステージのグレーティングRGに下方から照射するエンコーダシステムを用いるものとしたが、これに限らず、計測アームにエンコーダヘッドの光学系(ビームスプリッタ等)を設け、その光学系と光源とを光ファイバで接続し、その光ファイバを介して光源からレーザ光を光学系に伝送する、及び/又は光学系と受光部とを光ファイバで接続し、その光ファイバによりグレーティングRGからの戻り光を光学系から受光部に伝送するエンコーダシステムを用いても良い。
【0250】
また、微動ステージを粗動ステージに対して駆動する駆動機構は、上記実施形態で説明したものに限られない。例えば実施形態では、微動ステージをY軸方向に駆動するコイルが微動ステージをZ軸方向に駆動するコイルとしても機能したが、これに限らず微動ステージをY軸方向に駆動するアクチュエータ(リニアモータ)と、微動ステージをZ軸方向に駆動する、すなわち微動ステージを浮上させるアクチュエータとを、それぞれ独立して設けても良い。この場合、微動ステージに常に一定の浮上力を作用させることができるので、微動ステージのZ軸方向の位置が安定する。なお、上記実施形態では、微動ステージが備える可動子部82a,82bが側面視でU字状である場合について説明したが、微動ステージを駆動するリニアモータが備える可動子部は勿論、固定子部もU字状である必要はない。
【0251】
なお、上記実施形態では、微動ステージWFS1,WFS2は、ローレンツ力(電磁力)の作用により粗動ステージWCS1又WCS2に非接触支持されたが、これに限らず、例えば微動ステージWFS1,WFS2に真空予圧空気静圧軸受等を設けて、粗動ステージWCS1又WCS2に対して浮上支持しても良い。また、上記実施形態では、微動ステージWFS1,WFS2は、全6自由度方向に駆動可能であったが、これに限らず少なくともXY平面に平行な二次元平面内を移動できれば良い。また、微動ステージ駆動系52A,52Bは、上述したムービングマグネット式のものに限らず、ムービングコイル式のものであっても良い。さらに微動ステージWFS1,WFS2は、粗動ステージWCS1又はWCS2に接触支持されていても良い。従って、微動ステージWFS1,WFS2を粗動ステージWCS1又はWCS2に対して駆動する微動ステージ駆動系は、例えばロータリモータとボールねじ(又は送りねじ)とを組み合わせたものであっても良い。
【0252】
なお、ウエハステージWSTの移動範囲全域でその位置計測が可能となるように微動ステージ位置計測系を構成しても良い。この場合にはウエハステージ位置計測系16が不要になる。また、上記実施形態において、ベース盤12をウエハステージの駆動力の反力の作用により移動可能なカウンタマスとしても良い。この場合、粗動ステージをカウンタマスとして使用してもしなくても良いし、粗動ステージを上記実施形態と同様にカウンタマスとして使用するときでも粗動ステージを軽量化することができる。
【0253】
なお、上記実施形態の露光装置で用いられるウエハは、450mmウエハに限られものでなく、それよりサイズの小さいウエハ(300mmウエハなど)でも良い。
【0254】
なお、上記実施形態では、露光装置が液浸型の露光装置である場合について説明したが、これに限られるものではなく、液体(水)を介さずにウエハWの露光を行うドライタイプの露光装置にも本発明は好適に適用することができる。
【0255】
また、上記実施形態の露光装置は、2つの微動ステージWFS1,WFS2を用いる場合を説明したが、これに限らず、1つの微動ステージを計測ステーション300と露光ステーション200との間で往復移動させる構成でも良い。この場合、微動ステージを常に露光処理及びアライメント計測が行われる2次元平面と同一平面上で駆動されるので、微動ステージが露光ステーション200から計測ステーション300に搬送される際も、上記実施形態と同様に、微動ステージの位置情報は、微動ステージ位置計測系70Cを用いて計測される。
【0256】
また、微動ステージ位置計測系70Cを構成するエンコーダシステムの構成は、上記実施形態で説明したものに限られない。例えばエンコーダシステムは、微動ステージに配置されたエンコーダヘッドから、メインフレームBDに固定されY軸方向に延設されたスケールに計測ビームを照射し、このスケールからの光に基づいて、微動ステージの位置情報を計測する構成でも良い。
【0257】
なお、上記実施形態では、スキャニング・ステッパに本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に本発明を適用しても良い。ステッパなどであっても、露光対象の物体が搭載されたステージの位置をエンコーダで計測することにより、干渉計を用いてこのステージの位置を計測する場合と異なり、空気揺らぎに起因する位置計測誤差の発生を殆ど零にすることができ、エンコーダの計測値に基づいて、ステージを高精度に位置決めすることが可能になり、結果的に高精度なレチクルパターンの物体上への転写が可能になる。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置にも本発明は適用することができる。
【0258】
また、上記実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、この投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。
【0259】
また、照明光ILは、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)に限らず、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。例えば米国特許第7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
【0260】
また、上記実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を用いるEUV露光装置に本発明を適用することができる。その他、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、本発明は適用できる。
【0261】
また、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。かかる可変成形マスクを用いる場合には、ウエハ又はガラスプレート等が搭載されるステージが、可変成形マスクに対して走査されるので、このステージの位置をエンコーダシステム及びレーザ干渉計システムを用いて計測することで、上記実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0262】
また、例えば国際公開第2001/035168号に開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
【0263】
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを、投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
【0264】
なお、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものでなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど他の物体でも良い。
【0265】
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0266】
なお、本発明の移動体装置は、露光装置に限らず、その他の基板の処理装置(例えば、レーザリペア装置、基板検査装置その他)、あるいはその他の精密機械における試料の位置決め装置、ワイヤーボンディング装置等の移動ステージを備えた装置にも広く適用できる。
【0267】
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置(パターン形成装置)及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0268】
以上説明したように、本発明の移動体装置は、移動体を駆動するのに適している。また、本発明の露光装置及び露光方法は、エネルギビームを物体上に照射して物体上にパターンを形成するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、電子デバイスを製造するのに適している。
【符号の説明】
【0269】
10…照明系、20…主制御装置、32…液浸ユニット、46…搬送装置、48…搬送部材、51A,51B…粗動ステージ駆動系、52A,52B,52C…微動ステージ駆動系、53…リレーステージ駆動系、54…搬送部材駆動系、93a,93b…固定子部、70A,70B,70C,70D…微動ステージ位置計測系、71A,71B…計測アーム、82a,82b…可動子部、77x…Xヘッド、77ya,77yb…Yヘッド、100…露光装置、191…先端レンズ、200…露光ステーション、300…計測ステーション、IL…照明光、AST…補助ステージ、BL…ブレード、R…レチクル、RST…レチクルステージ、WST1,WST2…ウエハステージ、WCS1,WCS2…粗動ステージ、WCS1a…第1部分、WCS1b…第2部分、WFS1,WFS2…微動ステージ、DRST…リレーステージ、PL…投影光学系、W…ウエハ、RG…グレーティング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する第1軸及び第2軸を含む二次元平面に沿って移動可能な移動体と;
前記移動体に配置された前記二次元平面に実質的に平行な第1計測面に少なくとも1本の第1計測ビームを下方から照射し、該第1計測ビームの前記第1計測面からの光を受光して、前記移動体が前記二次元平面内の所定範囲内を移動する際に、該移動体の前記第1軸に平行な方向及び前記第2軸に平行な方向に関する位置情報を計測する第1計測系と;
前記二次元平面内の前記所定範囲外で、前記移動体の少なくとも前記第1軸に平行な方向に関する位置情報を計測する第2計測系と;
前記第1計測系及び前記第2計測系の少なくとも一方の計測情報に基づいて前記移動体の位置を制御する制御系と;を備える移動体装置。
【請求項2】
前記第1計測系は、前記第1計測面に少なくとも1本の第1計測ビームを下方から照射し、該第1計測ビームの前記第1計測面からの光を受光するヘッド部を有し、前記第1軸に平行な方向に延びるアーム部材を有する請求項1に記載の移動体装置。
【請求項3】
少なくとも前記移動体が前記所定範囲内を移動する際に該移動体を支持する第1支持部材と、前記移動体を前記所定範囲外で支持する第2支持部材と、をさらに備え、
前記第1及び第2支持部材は、相互間で、前記第1軸に平行な方向に沿って前記移動体の受け渡しを行い、
前記第2計測系は、前記移動体が前記第1支持部材から第2支持部材に受け渡される際、又は前記第2支持部材から第1支持部材に受け渡される際の位置情報を計測する請求項1又は2に記載の移動体装置。
【請求項4】
前記第1支持部材は、前記2次元平面に沿って移動可能に設けられ、
前記移動体は、前記第1支持部材に対し相対移動可能に支持される請求項3に記載の移動体装置。
【請求項5】
前記第2計測系は、前記第1計測面に少なくとも1本の第2計測ビームを上方から照射する計測部材を含み、前記第2計測ビームの前記第1計測面からの光を受光して前記移動体の前記位置情報を計測する請求項1〜4のいずれか一項に記載の移動体装置。
【請求項6】
前記第1計測面には、少なくとも前記第1軸に平行な方向を周期方向とするグレーティングが形成され、
前記計測部材は、前記グレーティングからの回折光を受光して前記移動体の前記第1軸に平行な方向の位置情報を計測する請求項5に記載の移動体装置。
【請求項7】
前記計測部材は、前記第1軸に平行な方向に沿って所定間隔で複数配置される請求項5又は6に記載の移動体装置。
【請求項8】
前記複数の計測部材は、一部が前記所定範囲内に配置される請求項7に記載の移動体装置。
【請求項9】
前記第2計測系は、前記二次元平面に実質的に平行な第2計測面に少なくとも1本の第2計測ビームを照射する計測部材を含み、前記第2計測ビームの前記第2計測面からの光を受光して前記移動体の位置情報を計測する請求項1〜4のいずれか一項に記載の移動体装置。
【請求項10】
前記第2計測面には、前記第1軸に平行な方向を周期方向とするグレーティングが形成され、
前記第2計測系は、前記グレーティングからの回折光を受光して前記移動体の前記第1軸に平行な方向の位置情報を計測するヘッドを含む請求項9に記載の移動体装置。
【請求項11】
前記第2計測面は、前記移動体に設けられ、
前記計測部材は、前記第1軸に平行な方向に沿って所定間隔で複数配置される請求項9又は10に記載の移動体装置。
【請求項12】
前記複数の計測部材は、一部が前記所定範囲内に配置される請求項11に記載の移動体装置。
【請求項13】
前記複数の計測部材の間隔は、前記第2計測面の前記第1軸に平行な方向に沿った長さの半分以下である請求項11又は12のいずれか一項に記載の移動体装置。
【請求項14】
前記第2計測系は、前記第2軸に平行な方向に沿って離間した複数箇所で前記移動体の少なくとも前記第1軸に平行な方向に関する位置情報を計測する請求項1〜13のいずれか一項に記載の移動体装置。
【請求項15】
前記第2計測系は、前記移動体の前記二次元平面に直交する第3軸に平行な方向の位置情報をさらに計測する請求項1〜14のいずれか一項に記載の移動体装置。
【請求項16】
前記第2計測系は、同一の計測部材を用いて前記移動体の前記第1軸及び第3軸に平行な方向の位置情報を計測する請求項15に記載の移動体装置。
【請求項17】
前記第1計測面には、前記第1軸及び第2軸に平行な方向をそれぞれ周期方向とする2次元グレーティングが形成され、
前記第1計測系は、前記2次元グレーティングからの回折光を受光して前記移動体の位置情報を計測する請求項1〜16のいずれか一項に記載の移動体装置。
【請求項18】
前記第2計測系は、前記移動体に設けられた反射面に測長ビームを照射するとともに、該反射面からの反射光を受光して、前記移動体の前記二次元平面内の少なくとも前記第2軸に平行な方向に関する位置情報を計測する干渉計システムを含む請求項1〜17のいずれか一項に記載の移動体装置。
【請求項19】
前記反射面は、前記二次元平面に垂直、且つ前記第1軸に対して傾斜して配置され、
前記第2計測系は、前記第1軸に平行に前記測長ビームを照射する請求項18に記載の移動体装置。
【請求項20】
前記反射面は、前記第1軸に関して対称に配置された第1及び第2反射面を含み、
前記第2計測系は、前記第1及び第2反射面それぞれに測長ビームを照射する請求項19に記載の移動体装置。
【請求項21】
前記制御系は、前記第1計測系及び前記第2計測系の一方から他方に切り換えて使用する際に、一方の計測値に基づいて他方の計測値をリセットする請求項1〜20のいずれか一項に記載の移動体装置。
【請求項22】
互いに直交する第1軸及び第2軸を含む二次元平面内の第1範囲内で移動する第1支持部材と;
前記二次元平面内の前記第1範囲の前記第1軸に平行な方向の一側に位置する第2範囲内で移動する第2支持部材と;
前記第1範囲と前記第2範囲との境界付近に配置された保持部材と;
前記第1支持部材と前記第2支持部材とに、少なくとも前記二次元平面に平行な面内で相対移動可能に支持される移動体と;
前記第1支持部材に支持されている前記移動体に配置された前記二次元平面に実質的に平行な第1計測面に少なくとも1本の第1計測ビームを下方から照射し、該第1計測ビームの前記第1計測面からの光を受光して、該移動体の前記第1軸に平行な方向及び前記第2軸に平行な方向に関する位置情報を計測する第1計測系と;
前記移動体が、前記保持部材を介して前記第1支持部材と前記第2支持部材との間で受け渡される際に、前記移動体の前記保持部材上での位置情報を計測する第2計測系と;を備える移動体装置。
【請求項23】
前記第2計測系は、前記移動体に設けられた反射面に測長ビームを照射するとともに、該反射面からの反射光を受光して、前記移動体の前記二次元平面内の少なくとも前記第2軸に平行な方向に関する位置情報を計測する干渉計システムを含む請求項22に記載の移動体装置。
【請求項24】
前記反射面は、前記二次元平面に垂直、且つ前記第1軸に対して傾斜して配置され、
前記第2計測系は、前記第1軸に平行に前記測長ビームを照射する請求項23に記載の移動体装置。
【請求項25】
前記反射面は、前記第1軸に関して対称に配置された第1及び第2反射面を含み、
前記第2計測系は、前記第1及び第2反射面それぞれに測長ビームを照射する請求項24に記載の移動体装置。
【請求項26】
前記第2計測系は、前記二次元平面に垂直な方向の第1位置を含む前記二次元平面内における前記移動体の位置情報を計測し、
前記第1位置とは異なる前記二次元平面に垂直な方向の第2位置を含む、前記移動体が前記第1支持部材と前記第2支持部材とによって相対移動可能に支持された前記面内で前記第1支持部材と前記第2支持部材との間で前記保持部材を介して移動する前記移動体の位置情報を計測する第3計測系をさらに備える請求項22〜25のいずれか一項に記載の移動体装置。
【請求項27】
エネルギビームの照射によって物体にパターンを形成する露光装置であって、
前記物体が前記移動体上に載置される、請求項1〜26のいずれか一項に記載の移動体装置と;
前記移動体上に載置された前記物体に前記エネルギビームを照射するパターニング装置と;を備える露光装置。
【請求項28】
前記第1計測ビームの照射点の中心である前記第1計測系の計測中心は、前記物体に照射される前記エネルギビームの照射領域の中心である露光位置に一致する請求項27に記載の露光装置。
【請求項29】
エネルギビームで物体を露光する露光装置であって、
前記エネルギビームによる前記物体の露光が行われる露光ステーションを含む第1範囲内で移動可能な第1支持部材と;
前記物体のアライメント情報の計測が行われる計測ステーションを含む第2範囲内で移動可能な第2支持部材と;
前記物体を保持するとともに、前記第1、第2支持部材のそれぞれによって移動可能に支持される移動体と;
前記第1支持部材に支持される前記移動体の位置情報を計測する第1計測系と;
前記第2支持部材に支持される前記移動体の位置情報を計測する第2計測系と;
前記第1、第2支持部材の一方から他方への前記移動体の受渡時にその位置情報を計測する第3計測系と;を備える露光装置。
【請求項30】
前記第1計測系は、前記第1支持部材に支持される前記移動体の下方に配置される計測用部材に少なくとも一部が設けられ、前記移動体の計測面に計測ビームを照射して前記移動体の位置情報を計測する請求項29に記載の露光装置。
【請求項31】
前記物体が移動される所定平面において、前記第1計測系の前記計測ビームの照射位置は、前記エネルギビームの照射領域内に設定される請求項30に記載の露光装置。
【請求項32】
前記計測用部材は、前記エネルギビームを射出する光学系の支持部材に設けられる請求項30又は31に記載の露光装置。
【請求項33】
前記第3計測系は、前記移動体に対して上方及び/又は側方から位置情報を計測する請求項29〜32のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項34】
前記第2計測系は、前記第2支持部材に支持される前記移動体の下方に配置される計測用部材に少なくとも一部が設けられ、前記移動体の計測面に計測ビームを照射して前記移動体の位置情報を計測する請求項29〜33のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項35】
前記アライメント情報を検出する検出系をさらに備え、前記所定平面において、前記第2計測系の前記計測ビームの照射位置は、前記検出系の検出領域内に設定される請求項34に記載の露光装置。
【請求項36】
前記計測用部材は、前記検出系の支持部材に設けられる請求項35に記載の露光装置。
【請求項37】
前記第1、第2計測系のうち少なくとも第1計測系はエンコーダシステムを含み、前記移動体は前記計測面にグレーティングが形成される請求項29〜36のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項38】
前記第1、第2支持部材の一方から他方への前記移動体の受渡時に前記移動体を支持する可動の保持部材をさらに備える請求項29〜37のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項39】
前記第1、第2支持部材の一方に支持される移動体を前記保持部材に移動するとともに、前記第1、第2支持部材を接近させて前記第1、第2支持部材の他方に支持される移動体を前記一方の支持部材に移動する制御装置と;を備える請求項38に記載の露光装置。
【請求項40】
請求項27〜39のいずれか一項に記載の露光装置を用いて物体を露光することと;
前記露光された物体を現像することと;を含むデバイス製造方法。
【請求項41】
エネルギビームで物体を露光する露光方法であって、
前記エネルギビームによる前記物体の露光が行われる露光ステーションを含む第1範囲内で、前記物体を保持する移動体を支持する第1支持部材を移動させ、該第1支持部材に支持される前記移動体の位置情報を第1計測系により計測することと;
前記物体のアライメント情報の計測が行われる計測ステーションを含む第2範囲内で、前記物体を保持する移動体を支持する第2支持部材を移動させ、該第2支持部材に支持される前記移動体の位置情報を第2計測系により計測することと;
前記第1、第2支持部材の一方から他方への前記移動体の受渡時にその位置情報を第3計測系により計測することと;を含む露光方法。
【請求項42】
前記第1支持部材に支持される前記移動体の下方に配置される計測用部材に少なくとも一部が設けられた前記第1計測系から前記移動体の計測面に計測ビームを照射して、前記移動体の位置情報を計測する請求項41に記載の露光方法。
【請求項43】
前記物体が移動される所定平面において、前記第1計測系の前記計測ビームの照射位置は、前記エネルギビームの照射領域内に設定される請求項42に記載の露光方法。
【請求項44】
前記計測用部材は、前記エネルギビームを射出する光学系の支持部材に設けられる請求項42又は43に記載の露光方法。
【請求項45】
前記第3計測系は、前記移動体に対して上方及び/又は側方から位置情報を計測する請求項41〜44のいずれか一項に記載の露光方法。
【請求項46】
前記第2支持部材に支持される前記移動体の下方に配置される計測用部材に少なくとも一部が設けられた前記第2計測系から前記移動体の計測面に計測ビームを照射して、前記移動体の位置情報を計測する請求項41〜45のいずれか一項に記載の露光方法。
【請求項47】
前記所定平面において、前記第2計測系の前記計測ビームの照射位置は、前記アライメント情報を検出する検出系の検出領域内に設定される請求項46に記載の露光方法。
【請求項48】
前記計測用部材は、前記検出系の支持部材に設けられる請求項47に記載の露光方法。
【請求項49】
前記第1、第2計測系のうち少なくとも第1計測系はエンコーダシステムを含み、前記移動体は前記計測面にグレーティングが形成される請求項41〜48のいずれか一項に記載の露光方法。
【請求項50】
前記第1、第2支持部材の一方から他方への前記移動体の受渡時に可動の保持部材により前記移動体を支持する請求項41〜49のいずれか一項に記載の露光方法。
【請求項51】
前記第1、第2支持部材の一方に支持される移動体を前記保持部材に移動するとともに、前記第1、第2支持部材を接近させて前記第1、第2支持部材の他方に支持される移動体を前記一方の支持部材に移動する請求項50に記載の露光方法。
【請求項52】
請求項41〜51のいずれか一項に記載の露光方法を用いて物体を露光することと;
露光された前記物体を現像することと;を含むデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2011−3874(P2011−3874A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287340(P2009−287340)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】