説明

製膜装置、製膜方法、パターニング方法、光学装置の製造方法、および電子装置の製造方法

【課題】 微細なパターンの形成の精度を向上させることが可能な製膜装置を得る。
【解決手段】 基体160上に第1の化学種を吐出する第1のノズル102aと、基体160上に第2の化学種を吐出する第2のノズル102bと、第1の化学種を貯留する材料貯留室101aと反応活性種を発生させる反応活性種発生部103a、第2の化学種を貯留する材料貯留室101bと反応活性種を発生させる反応活性種発生部103bを備え、第1のノズル102aと第2のノズル102bは、吐出された第1の化学種の流れと第2の化学種の流れが交差するように設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製膜装置、製膜方法、パターニング方法、光学装置の製造方法、および電子装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トランジスタ等の電子装置の製造において、微細なパターンを形成する方法としては、インクジェット法、マスクパターニングによる方法等が知られている。しかし、インクジェット法の場合、高いパターニング精度を得るには吐出される液滴を微小化する必要があるが、液滴の微小化には今のところ限界がある。また、マスクパターニング法は、マスクの大面積化によりマスクの撓みが発生するため、特に大面積基板のパターニングは困難となる傾向にある。
【0003】
特許文献1には、所定の真空度に調整可能な真空チャンバーと、材料供給源に接続されかつ真空チャンバーに取り付けられて、該真空チャンバー内に材料供給源からの材料を供給するノズルと、真空チャンバー内に設けられて基体を保持固定する基体ステージと、ノズル及び基体ステージのうち少なくともいずれか一方を移動させる移動機構とを備え、移動機構によりノズルと基体との相対的な位置を制御可能な膜形成装置が開示されている。これにより、基体の所望の位置に膜を選択的に形成することができる。また、ノズルと基体との距離を制御することにより、膜を形成する領域の面積を適宜設定することができる。
【0004】
【特許文献1】WO2003/026359号公報
【非特許文献1】YUAN TSEH LEE,"MOLECULAR BEAM STUDIES OF ELEMENTARY CHEMICAL PROCESSES",Nobel lecture,8 December,1986,p.320-354
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一形態は、製膜装置、製膜方法、パターニング方法、光学装置の製造方法、および電子装置の製造方法において、より微細なパターンの形成に効果を奏する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の製膜装置は、第1の化学種を吐出する第1のノズルと、第2の化学種を吐出する第2のノズルとを備える。
これにより、複数のノズルから異なる化学種を吐出することにより異なる化学種からなる膜を形成することが可能となる。
また、前記第1の化学種と前記第2の化学種とが化学反応を起こす場合、前記第1の化学種または前記第2の化学種と単離することなしに、当該化学反応により生じた生成物の膜を形成することができる。前記第1の化学種及び前記第2の化学種を第3の化学種と反応させることも可能であり、前記第1の化学種及び前記第2の化学種をそれぞれ異なる化学種と反応させてもよい。すなわち、所望の膜に応じて、化学種を適宜組み合わせることにより、同時に異なる組成を有する膜を形成することができる。
【0007】
さらに、望ましくは前記第1のノズルから吐出された前記第1の化学種の流れの少なくとも1部と前記第2のノズルから吐出された前記第2の化学種の流れの少なくとも1部とが重なるように、前記第1のノズルと前記第2のノズルとが設置される。
これにより、第1の化学種の流れと第2の化学種の流れの重なり部分で反応が誘起されるので、各化学種の流れの断面積よりも微小な膜を形成することができる。
【0008】
さらに、前記第1の化学種を発生させる第1の化学種発生部を含み、前記第1の化学種発生部は、前記第1の化学種として反応活性種を発生させる。
ここで、反応活性種とは、例えば重合等により同種同士で反応する化学種、あるいは他の化学種と化学反応する化学種であり、具体的には、例えばラジカル、イオンラジカル、イオン、または低原子価化学種等である。
【0009】
反応活性種を発生させる手段としては、例えば電磁波の照射を行う方法がある。前記電磁波としては、例えば、ミリ波、サブミリ波、マイクロ波、赤外光、可視光、紫外光、真空紫外光、X線等のいわゆる、電波、光、X線に代表される種々の波長を有する電磁波を、前記第1の化学種または前記第1の化学種の前駆体に応じて適宜用いることができる。
例えば、前記電磁波として、マイクロ波やラジオ波等を前記第1の化学種の前駆体に照射することにより発生したプラズマを利用して前記第1の化学種を発生させてもよい。
また、前記電磁波として光を用いてもよい。例えば上記の第1の化学種発生部に光学窓や光ファイバを利用して光を導入してもよいし、直接光源を設けてもよい。
【0010】
また、上記の第1の化学種発生部に加熱部を設け、加熱により反応活性種を発生させてもよい。
【0011】
また、チャンバーを備え、前記第1および第2のノズルは前記チャンバー内に設置され、前記チャンバー内の圧力は1.3×10-1Pa以下に設定可能であることが望ましい。これにより、吐出されにくい化学種も容易に吐出することができる。
【0012】
また、上記第1および第2の化学種の流れはフリージェットあるいは超音速分子噴流状態とすることが望ましい。フリージェットを発生させることにより、分子の振動や回転等のエネルギー準位を最低状態にすることができるので、化学種あるいは反応活性種からの副反応を抑制することができる。
【0013】
本発明の製膜方法は、第1のノズルから吐出された第1の化学種の流れの少なくとも1部と、第2のノズルから吐出された第2の化学種の流れの少なくとも1部とを重ならせることにより、前記第1の化学種と前記第2の化学種との化学反応を誘起し、前記化学反応により生じた生成物の膜を基体上に形成する。
これにより、第1の化学種の流れと第2の化学種の流れの重なり部分で反応が誘起されるので、各化学種の流れの断面積よりも微小な膜を形成することができる。
【0014】
また、上記第1および第2の化学種の少なくとも一方は、反応活性種であることが望ましい。
ここで、反応活性種とは、重合等により同種同士で反応する化学種、あるいは他の化学種と化学反応する化学種であり、具体的には、例えばラジカル、イオンラジカル、イオン、または低原子価化学種等である。
【0015】
反応活性種を発生させる手段としては、例えば電磁波の照射を行う方法がある。前記電磁波としては、例えば、ミリ波、サブミリ波、マイクロ波、赤外光、可視光、紫外光、真空紫外光、X線等のいわゆる、電波、光、X線に代表される種々の波長を有する電磁波を、前記第1の化学種または前記第1の化学種の前駆体に応じて適宜用いることができる。
例えば、前記電磁波として、マイクロ波やラジオ波等を前記第1の化学種の前駆体に照射することにより発生したプラズマを利用して前記第1の化学種を発生させてもよい。
また、前記電磁波として光を用いてもよい。例えば上記の第1の化学種発生部に光学窓や光ファイバを利用して光を導入してもよいし、直接光源を設けてもよい。
また、前記反応活性種は熱を与えることにより発生させてもよい。
【0016】
また、前記基体は、最表面に前記第1および第2の化学種のいずれとも反応しない材料からなる下地膜を含んでいることが好ましい。
これにより、第1の化学種の流れと第2の化学種の流れの重なり部分以外の領域での化学反応を抑制することができる。
【0017】
また、上記第1および第2の化学種の流れはフリージェットであることが望ましい。これにより分子の振動や回転等のエネルギー準位を最低状態にすることができるので、化学種あるいは反応活性種からの副反応を抑制することができる。
【0018】
前記第1のノズルからの前記第1の化学種の吐出と前記第2のノズルからの前記第2の化学種の吐出とは、1.3×10-1Pa以下の圧力に調整されたチャンバー内で行われるのが望ましい。これにより、吐出されにくい化学種も容易に吐出することができる。
【0019】
本発明の製膜方法は、LEDアレイ、TFT、センサー等、及びこれらを備えた光学装置および電子装置の製造、さらにはコンビナトリアルプロセスにも有用なものである。ここで光学装置とは、例えば、液晶素子、電気泳動粒子が分散した分散媒体を有する電気泳動素子、EL素子等を備えた装置である。また、電子装置とは、例えばICカード、携帯電話、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、リア型またはフロント型のプロジェクター、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示板、宣伝広告用ディスプレイ等が含まれる。
【0020】
本発明のパターニング方法は、第1のノズルから吐出された第1の化学種の流れの少なくとも1部と、第2のノズルから吐出された第2の化学種の流れの少なくとも1部とを重ならせることにより、前記第1の化学種と前記第2の化学種との化学反応を誘起し、前記化学反応により生じた生成物の膜のパターンを形成する。
これにより、第1の化学種の流れと第2の化学種の流れの重なり部分で反応が誘起されるので、各化学種の流れの断面積よりも微小な膜を形成することができる。
【0021】
また、前記第1および第2の化学種の少なくとも一方は反応活性種であることが望ましい。
ここで、反応活性種とは、例えば重合等により同種同士で反応する化学種、あるいは他の化学種と化学反応する化学種であり、具体的には、例えばラジカル、イオンラジカル、イオン、または低原子価化学種等である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は、本発明による製膜装置100の構成を示す図である。
図に示すように、製膜装置100は、材料貯留室101a,101b、ノズル102a,102b、加熱部(第1および第2の化学種発生部)103a,103b、チャンバー104、キャリアガス供給源105、基体ステージ106を備えている。
ノズル102a,102bと基体ステージ106はチャンバー104内に設置されている。チャンバー104は配管108を介して真空装置150に接続されており、チャンバー104内の真空度を調整することができる。
【0023】
材料貯留室101a,101bには、ノズル102a,102bから吐出される化学種あるいはノズル102a,102bから吐出される化学種の前駆体が貯留されている。
加熱部103a,103bは、それぞれ材料貯留室101a,101bとノズル102a,102bの間に設けられており、加熱機構が備えられている。加熱部103は材料貯留室101から供給された材料を前駆体として加熱により反応活性種を発生させる。
反応活性種とは、重合等により同種の化学種同士で反応する化学種、あるいは他の化学種と化学反応する化学種であり、具体的には、例えばラジカル、イオンラジカル、イオン、または低原子価化学種等である。
【0024】
加熱部103の加熱機構は、用いる材料の沸点や融点等の物理的な性質や反応様式等の化学的な性質や、発生させる化学種の種類等、発生させる化学種の必要量等を考慮して選択され、例えば、熱盤ヒータ、ラジアントチューブヒータ、シース(パイプ)ヒータ、プラグヒータ、フランジヒータ、フィン付ヒータ、カートリッジヒータ、マイクロヒータ、鋳込みヒータ、ハンドヒータ、プレートヒータ、ブロックヒータ、石英管ヒータ、シリコンラバーヒータ、リボンヒータ、カーボンヒータ、Ni−Cr発熱体、Fe−Cr発熱体、SiC発熱体等の加熱装置や、高周波あるいはマイクロ波等の電磁波発生器付きの加熱装置を用いることもできる。また、加熱部103に酸素、塩素、あるいはフッ素等の反応性ガスやアルゴン、ヘリウム、あるいは窒素等の不活性ガス等のガスを適宜導入してもよい。また、化学種の発生を促進、あるいは発生効率や反応温度の調整をするために触媒等を加熱部103内に備えてもよい。
【0025】
なお、加熱部103a,bを設ける代わりに、電磁波を利用して反応活性種を発生させてもよい。電磁波として光を用いた場合は、材料貯留室101a,101bとノズル102a,102bを繋ぐ流路上に光学窓を設け、光により反応活性種を発生させるようにしてもよい。また、光学窓を設ける代わりに光ファイバー等の光源を用いて光を導入するようにしてもよい。
或いは、マイクロ波、ラジオ波等の電磁波の照射機構を設け、マイクロ波、ラジオ波等の照射により生成したプラズマの状態を利用して反応活性種を発生させるようにしてもよい。
【0026】
ノズル102a,102bは、加熱部103から供給される反応活性種を吐出し、フリージェットを発生させる。ノズル102aとノズル102bは、それぞれが噴出するフリージェットの少なくとも1部が重なるように配置されている。
ノズル102a,102bの吐出機構は、例えばメカニカルシャッターによる機構や、さらには帯電制御型、加圧振動型といった連続方式による機構、電気機械変換式(いわゆるピエゾタイプ)、電気熱変換方式、静電吸引方式といったオンデマンド方式による機構等が採用可能である。
【0027】
ノズル102a,bから吐出される反応活性種のチャンバー104内での状態は、温度や真空度、吐出量、吐出の時間間隔等の種々の条件を適宜調整することにより設定できる。
反応活性種の副反応を抑制したい場合は、チャンバー104内に吐出された反応活性種がいわゆる超音速分子噴流あるいはフリージェットとなるようにして、反応活性種の内部振動や回転等のエネルギー準位を最低状態とすることにより、反応活性種の副反応を抑制できる。
反応活性種の化学反応に活性化エネルギーが必要な場合は、反応活性種の内部振動や回転等のエネルギー準位が当該化学反応の活性化エネルギーに対応するレベル以上になるようにすれば当該化学反応を生起させることが可能である。
【0028】
キャリアガス供給源105は、主にヘリウム、アルゴン、窒素などの不活性ガスをキャリアガスとして供給するが、適宜、酸素やハロゲンガス等の反応性のガスの供給源としても利用可能である
【0029】
なお、材料貯留室101aまたは材料貯留室101bにノズル102aあるいは102bから吐出される化学種自体を貯留する場合には、材料貯留室101aまたは材料貯留室101b自体を化学種発生部として利用してもよい。
さらに加熱部103a,103b等の手段を設けることにより、高沸点の化学種の気化がより容易となる。
【0030】
次に、製膜装置100の動作について説明する。
ここでは、TFT(Thin Film Transistor)の製造におけるガラス基板上へのシリコン半導体膜の製膜を例に挙げて説明する。材料貯留室101aには、ケイ素の低原子価化学種であるシリレン(SiH2)の前駆体が貯留されている。シリレンの前駆体としては、例えば図2(A)〜図2(B)に示すケイ素化合物があげられる。また、材料貯留室101bには、シラン(SiH4)が貯留されている。
なお、図2(C)または図2(D)に示すケイ素化合物を用いる場合には、波長200nm程度の光により反応活性種等の化学種を発生させることが好ましい。
【0031】
材料貯留室101a,b内の前駆体は、キャリアガス供給源105から供給されるキャリアガスにのって、それぞれ加熱部103a,bに供給される。
加熱部103a,bでは、加熱機構により前駆体に熱が与えられ、前駆体から反応活性種を発生させる。ここでは、反応活性種として加熱部103aではシリレン(SiH2)が発生する。一方、材料貯留室101bに貯留されているシラン(SiH4)はそのまま利用できるため、加熱部103bにおける加熱は必要ない。
【0032】
加熱部103a,bから供給されたシリレンおよびシランはキャリアガスに搬送され、それぞれノズル102a、ノズル102bから、フリージェットの状態で吐出される。
【0033】
ここで、チャンバー104内の圧力は10-3torr(1.33322×10-1Pa)以下、より好ましくは10-5torr(1.33322×10-3Pa)以下の高真空雰囲気に調整されていることが好ましい。真空雰囲気を10-3torr以下にすれば、吐出されにくい材料も容易に吐出することができる。また、10-5torr以下にすれば、さらに多くの種類の材料を吐出可能にできるとともに、吐出される材料が気化されて分子線状になりやすい。よって、チャンバー104内を高真空にすれば、フリージェットが発生しやすくなる。
吐出されたフリージェットは、基体ステージ106上に固定された基体160上に配置される。
【0034】
基体160はガラス基板であるが、シリレンとシランが吐出される表面に、予め窒化シリコン膜(SiN)を形成しておく。これは通常のガラス基板では最表面にOH基が剥き出しになっているためシリレンがOH基と反応し、シリレンとシランが重なり合う部分以外の領域で化学反応が起こってしまうのを抑制するためである。
窒化シリコン膜はCVDにより形成することができる。具体的には、水素系キャリアガスにシラン(SiH4)とアンモニア(NH3)を適量比率混合して導入し、加熱触媒体による触媒反応または熱分解反応により発生したラジカル、イオン等の堆積種をガラス基板上に堆積させることにより製膜する。
なお、シリレンとの反応性を有しないものとして、ポリエチレン、ポリスチレン等の有機材料も利用でき、これらをガラス基板上に下地層として設けてもよい。
【0035】
図3(A)は、ノズル102a,bから基体160上に吐出されるフリージェットの状態を示す模式図である。図に示すように、ノズル102a,bから基体160上に噴射されるフリージェットの断面はそれぞれ一定の領域を占める。ノズル102a,bは、互いに吐出するフリージェットが基体160上で重なるように配置されている。
また、ノズル102a,bを図3(B)に示すような配置で設置してもよい。
【0036】
基体160上では、この重複領域において図4に示すようなシリレンとシランの重合反応が誘起される。この結果、基体160上の重複領域及びその近傍にシリコン半導体膜が形成される。重複領域は各々のフリージェットの断面よりも小さな領域にできるため、フリージェットの断面積よりも微小な膜を形成することができる。
【0037】
図5は、TFTを製造する工程を示す図である。図5(A)に示すように、ガラス基板51上に、上記の方法によりシリコン半導体膜52が形成される。さらに、図5(B)に示すように、シリコン半導体膜52上に所定のケイ素化合物によるCVDによってSiO2を堆積し、ゲート絶縁膜53を形成する。さらに、図5(C)に示すように、ゲート絶縁膜53上に、ゲート電極54を形成する。その後は、公知のトランジスタの作製工程を施すことにより、TFTを得ることができる。
【0038】
なお、ここではTFTの製造におけるシリコン半導体膜の製膜を例に挙げたが、本発明の製膜装置は、絶縁体、半導体、良導体、あるいは超電導体等の種々の膜の形成に対して適用可能である。
さらに、本発明の製膜装置はコンビナトリアルプロセスにも有効である。即ち、基体上の複数の領域に異なる製膜条件により形成した複数の膜を形成することができる。例えば、キャリアガスや反応性ガスの圧力やチャンバーの減圧度等の条件を調整することによって、1度に製膜条件の異なる複数の膜を形成することができる。
【0039】
さらに、本発明の製膜装置に用いる化学種または化学種の前駆体の組み合わせの好適な例としては、他にも例えばジアルキル亜鉛(ZnR2)と酸素(O2)の組み合わせがある。ジアルキル亜鉛(ZnR2)と酸素(O2)の化合により、重複領域にZnOが形成され、例えば、LEDアレイにおける発光層を形成することができる。
また、トリメチルガリウム(Me3Ga)とアンモニア(NH3)を用いると、重複領域にガリウムナイトライド(GaN)が形成される。
【0040】
また、材料貯留室101a,b(または加熱部103a,b)とノズル102a,bは、一体化して図6に示すような装置としてもよい。図6(A)は装置の斜視図、図6(B)はノズルの配置とノズルから基体上に吐出されるフリージェットの状態を示す図である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による製膜装置の構成を示す図である。
【図2】図2(A)〜図2(D)は、シリレンの前駆体となるケイ素化合物の例である。
【図3】図3(A)、図3(B)は、ノズルの配置とノズルから基体上に吐出されるフリージェットの状態を示す模式図である。
【図4】シリレンとシランの重合反応を説明する図である。
【図5】図5(A)〜図5(C)は、TFTを製造する工程を示す図である。
【図6】図6(A)、図6(B)は、本発明による製膜装置の化学種発生部とノズルを一体化した構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
100 製膜装置、101a,b 材料貯留室、102a,b ノズル、103a,b 反応活性種発生部、104 チャンバー、105 キャリアガス供給源、106 基体ステージ、108 配管、150 真空装置、160 基体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の化学種を吐出する第1のノズルと、
第2の化学種を吐出する第2のノズルと、を備えた製膜装置。
【請求項2】
請求項1に記載の製膜装置において、
前記第1のノズルから吐出された前記第1の化学種の流れの少なくとも1部と前記第2のノズルから吐出された前記第2の化学種の流れの少なくとも1部とが重なるように、前記第1のノズルと前記第2のノズルとが設置されたことを特徴とする製膜装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の製膜装置において、
さらに前記第1の化学種を発生させる第1の化学種発生部を含み、
前記第1の化学種発生部は、前記第1の化学種として反応活性種を発生させることを特徴とする製膜装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の製膜装置において、
前記第1の化学種発生部において、電磁波の照射が可能であることを特徴とする製膜装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の製膜装置において、
前記第1の化学種発生部に加熱部が設けられていることを特徴とする製膜装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の製膜装置において、
チャンバーを備え、
前記第1および第2のノズルは前記チャンバー内に設置され、
前記チャンバー内の圧力は1.3×10-1Pa以下に設定可能であることを特徴とする製膜装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の製膜装置において、
前記第1および第2の化学種の流れはフリージェットであることを特徴とする製膜装置。
【請求項8】
第1のノズルから吐出された第1の化学種の流れの少なくとも1部と、第2のノズルから吐出された第2の化学種の流れの少なくとも1部とを重ならせることにより、前記第1の化学種と前記第2の化学種との化学反応を誘起し、前記化学反応により生じた生成物の膜を基体上に形成する製膜方法。
【請求項9】
請求項8に記載の製膜方法において、
前記第1および第2の化学種の少なくとも一方は反応活性種であることを特徴とする製膜方法。
【請求項10】
請求項9に記載の製膜方法において、
前記反応活性種は電磁波の照射により発生させることを特徴とする製膜方法。
【請求項11】
請求項9に記載の製膜方法において、
前記反応活性種は熱を与えることにより発生させることを特徴とする製膜方法。
【請求項12】
請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の製膜方法において、
前記基体は、最表面に前記第1および第2の化学種のいずれとも反応しない材料からなる下地膜を含んでいることを特徴とする製膜方法。
【請求項13】
請求項8から請求項12のいずれか1項に記載の製膜方法において、
前記第1および第2の化学種の流れはフリージェットであることを特徴とする製膜方法。
【請求項14】
請求項8から請求項13のいずれか1項に記載の製膜方法において、
前記第1のノズルからの前記第1の化学種の吐出と前記第2のノズルからの前記第2の化学種の吐出とは、1.3×10-1Pa以下の圧力に調整されたチャンバー内で行われることを特徴とする製膜方法。
【請求項15】
第1のノズルから吐出された第1の化学種の流れの少なくとも1部と、第2のノズルから吐出された第2の化学種の流れの少なくとも1部とを重ならせることにより、前記第1の化学種と前記第2の化学種との化学反応を誘起し、前記化学反応により生じた生成物の膜のパターンを形成するパターニング方法。
【請求項16】
請求項15に記載のパターニング方法において、
前記第1および第2の化学種の少なくとも一方は反応活性種であることを特徴とするパターニング方法。
【請求項17】
請求項8から請求項14のいずれか1項に記載の製膜方法を使用する光学装置の製造方法。
【請求項18】
請求項8から請求項14のいずれか1項に記載の製膜方法を使用する電子装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−46080(P2007−46080A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−229521(P2005−229521)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】