説明

車両速度制御装置および同装置における目標速度設定方法ならびにプログラム

【課題】マップマッチングなどの自車両位置誤差補正による急激な目標速度値の変化を予め考慮して誤差のない状態での目標速度値よりも事前に速度変化を与え、速度の急変、目標地点の超過を防ぎ、安全で快適なドライビングが行えるようにする。
【解決手段】車両速度制御装置(目標速度計算部15)は、誤差を含む可能性のある地図情報および位置測位手段が与える現在位置情報から得られる目標速度値に、誤差がどの程度含まれているかを示す位置誤差確率を推定演算し(現在位置誤差推定部13)、かつ、人間の感性モデル(人間感性モデルDB14)から搭乗者が不快に感じない速度制御パターンを生成して、車両の現在位置から目的地に至る経路での速度制御目標値を、速度制御コントローラ16の要求精度に従う許容誤差範囲から計算し、制御する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報と車両の現在位置情報とを用いて目標速度値を算出し、速度制御部に供給して制御対象区間における前記車両の速度制御を行う、車両速度制御装置および同装置における目標速度設定方法ならびにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地図情報とGPS(Global Positioning System)などの位置測位手段を用い、所定の区域で車両の速度制御を行う車両速度制御装置が多数提案されている。
例えば、カーナビゲーションシステムを用い、経路の状態に応じて車両の目標状態を決定する走行支援装置(例えば、特許文献1参照)、GPSと嗜好車速から目標上下限速度を決定してACC(Automatic Cruising Control)制御を行う車両速度制御装置等が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
一方、車両が適当な速度を判断して自動で速度制御を行う場合、搭乗者にとってその乗り心地が良くなくてはならない。
このため、運転者の加速度の特性を通常運転時に計測しておき、所定の速度になるまで加減速を行う場合に、運転者の特性に合わせた加減速度で制御を行う車両速度制御装置(例えば、特許文献3参照)、ビーコン等のインフラストラクチャを用い、ある地点における目標速度値から加速時間を決定し、加速度を連続的に変化させて速度変化を滑らかにする車両速度制御装置(例えば、特許文献4参照)が提案されている。
【0004】
また、入力された運転指向と運転技量に基づき車両の減速目標速度を求め、車両に作用するように制御する減速制御装置(例えば、特許文献5参照)、運転者に違和感のない自動制動制御を達成するために、車両の実際の減速度が追従制御される目標となる最終要求減速度変化パターンを経路毎に記憶し、学習して同じ経路に接近したとき、学習したパターンに基づき自動制動制御を行う自動制動制御装置(例えば、特許文献6参照)も知られている。
【特許文献1】特開2005−178704号公報(段落「0012」〜段落「0018」、図3)
【特許文献2】特開2003−80970号公報(段落「0004」〜段落「0006」、図1)
【特許文献3】特開平8−268109号公報(段落「0006」〜段落「0013」、図1)
【特許文献4】特開平10−100737号公報(段落「0005」〜段落「0008」、図1)
【特許文献5】特開2005−297855号公報(段落「0008」〜段落「0011」、図1)
【特許文献6】特開2005−297621号公報(段落「0007」〜段落「0032」、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、地図情報および位置測位手段を用いて車両の速度制御を行う場合、地図情報および位置測位手段から得られる自車両位置の座標には誤差が含まれているため、目標となる速度制御地点の座標を正確に特定することは難しい。
また、自車両の現在位置座標を取得する場合、地図情報と車両の走行軌跡などの位置情報をマップマッチングして現在位置座標を補正する必要があり、その際、現在位置座標が跳躍する現象が起こる。地図情報および位置測位手段から目標速度値を生成する車両速度制御装置では、誤差の蓄積による制御目標地点の超過や、マップマッチングなどの自車両位置誤差補正に基づく現在位置座標の跳躍により目標速度値が急変する可能性があり、急変した場合に搭乗者に不快感を与える。また、進行方向前方にマップマッチングが行われると制御目標地点を超過する可能性があり、超過した場合、利用者に大きな不便を与える。
【0006】
本発明は前記した事情に基づいてなされたものであり、マップマッチング等、自車両位置誤差補正による急激な目標速度値の変化を予め考慮し、誤差のない状態での目標速度値よりも事前に速度変化を与えることで、速度の急変、あるいは目標地点の超過を防ぎ、快適なドライビングが行うことのできる、車両速度制御装置および同装置における目標速度設定方法ならびにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するために、本発明の車両速度制御装置は、地図情報に含まれる、車両の現在位置近傍もしくは制御対象区間の属性を示すエリア特性情報に基づき、車両の位置誤差確率分布を生成出力する現在位置誤差推定部と、前記位置誤差確率分布と、変速開始地点から目標地点までの距離に応じて運転者に違和感を与えない加速度もしくは加速度の勾配があらかじめ登録されたデータとに基づき、車両の速度変化が連続曲線となるように目標地点までの目標速度値を地点毎に計算する目標速度計算部と、駆動トルクを制御して車両の速度を制御する速度制御部とを備える構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マップマッチングなどの自車両位置誤差補正による急激な目標速度値の変化を予め考慮して誤差のない状態での目標速度値よりも事前に速度変化を与えることができ、このことにより、速度の急変、目標地点の超過を防ぎ、快適なドライビングが行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置の内部構成の一例を示すブロック図である。
図1の本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置は、カーナビゲーションシステム、あるいは専用端末装置に実装され、具体的には、地図情報DB11と、現在位置取得部12と、現在位置誤差推定部13と、人間感性モデルDB14と、目標速度計算部15と、速度制御部16と、ユーザインタフェース(UI)部17とで構成される。ここで、DBとはデータベースを示す。
【0010】
地図情報DB11は、図2に示すデータ構造を持つ。図2において、「ノード総数」は、地図内に含まれる座標を持つ点の総数である。このノードは、道路形状を示し、それぞれにノード番号が割り当てられている。「ノードX座標」および「ノードY座標」は各ノードの座標を示し、X座標は経度、Y座標は緯度をそれぞれ示す。
また、本発明により付加される「エリア特性情報」は、現在位置誤差推定部13によって使用されるデータであり、自車両位置、もしくは制御対象区間の属性を示す情報であり、市町村、丁目の境界のノード番号も持つ。ここで、制御対象区間とは、経路探索が行われるときに、目的地に到着するまで事前に長期的に決定される区間であり、「エリア特性情報」が持つ、制御対象区間に含まれるノードのノード番号により規定される。「エリア特性情報」は、具体的には、エリアに複数ある固定計測点で誤差が発生する確率の平均値から生成されるパターンである。ここで、計算され、生成されたパターンは、後記するA、B、C、…、のように、一定の値を持ってランク付けされる。また、エリアの分割基準は、市町村、丁目の境界近隣のノードで区切られる。また、エリア内における各ノードのエリア特性情報は等しいものとする。
【0011】
また、「絶対座標固定計測点ノード」は、路上のビーコンや自車両のカメラなどから自車両の絶対位置座標が判るノード点である。「絶対座標固定計測点ノードX座標」は、該当ノードの経度を表し、「絶対座標固定計測点ノードY座標」は、該当ノードの緯度を表す。また、「目標位置座標」は、地図上の停止線や横断歩道、標識など絶対座標との整合を取るための目標となる標的の座標である。
そして、「ノード間リンク長」は、隣接する2つのノード間の距離をメートル(m)単位で表しており、また、「ノード間リンク幅」も同じく道幅をm単位で表している。「ノード間リンク数」はその道の車線数であり、実際にノードが割り当てられ、リンクも設定されている。車線数の増減する地点のノードではどの車線が増減したのかがわかる様に車線で統一した番号を割り当てている。「ノード間リンク情報」は、前記した「ノード間リンク数」が割り当てられているノードに対して右折専用、左折専用、直進専用、右折直進用、左折直進用のいずれかを割り当てる。また、「ノード間リンク速度」は、隣接する各ノードが結ぶリンクの制限速度値を持つ。
【0012】
現在位置取得部12は、衛星により自分の緯度経度を取得するGPS、決められた位置に設置され位置を示す電波を常に発射するビーコン、地図とGPSの組み合わせによる推測航法などにより自車両位置の現在位置座標を特定する。
推測航法は、“新井・鷲尾著「ナビゲーションシステム」山海堂、2001年7月、ISBN: 4381087984”に開示された方法であり、自車両の車速パルスとジャイロにより相対位置を検出し、地図と組み合わせることで絶対位置座標を推測する手法である。
現在位置取得部12にて得られた現在位置座標は、目標速度計算部15および現在位置誤差推定部13に送られ、現在位置誤差推定部13では、その現在位置座標を基に、地図情報DB11から該当する区間のエリア特性情報を取得する。
【0013】
人間感性モデルDB14は、例えば、図3に示すデータ構造を持つ。すなわち、人間感性モデルDB14は、「感性係数テーブル」と、「最大加速度」と、「加速度の勾配の最大値」の各データ項目から成る。
ここで、「感性係数テーブル」とは、例えば、図4に示されるように、地図情報DB11が持つ、エリア特性情報のランク(A〜D…)と、目標点までの距離(L0〜L3…)にて選び出すことが可能な感性係数ηi(i=1,2,…)をマトリクス形式で格納したテーブルである。なお、感性係数ηi(i=1,2,…)は、以下の演算式(1)で示される無次元の値であり、この感性係数ηi(i=1,2,…)よりも低い値であれば人間は不快に感じないという指標である。
感性係数 = 関数(目標点までの距離,速度,加速度,加速度の勾配)…(1)
【0014】
「感性係数テーブル」は、演算式(1)により事前に計算された感性係数ηをマトリクス状に表わしたテーブルである。また、目標地点までの距離(L0〜L3…)は一定距離ごとに区切られ、それぞれをL0[m],L1[m],…と表記している。また、「最大加速度」は、事前の実験により決められた人間が不快を感じない最大の加速度を示し、同様に、「加速度の勾配の最大値」は、人間が不快を感じない最大の加速度の勾配値を規定している。このように加速度を用いるのは、人間は、急加速や急減速といった加速度の急変により不快を感じることが多いからである。
ここで、「最大加速度」と、「加速度の勾配の最大値」、および「感性係数」ηi(i=1,2,…)の対応付けは事前に実験にて得られた既定値を用いることとする。
【0015】
目標速度計算部15は、決められた座標位置で目標となる速度となるように、目標地点までの車両の速度を座標点毎に決定する。決められた座標位置までの各座標点での速度は、各シチュエーションにより既定の速度が変化し始める座標点から決められた座標点までの距離に応じて、人間感性モデルDB14により決められた最大加速度、もしくは加速度の勾配の最大値以下となり、かつ、その変化が連続曲線となるように決定する。
なお、前記した変化が連続的に変わる方法については公知であり、その詳細は、例えば、特許文献4に開示されている。また、目標速度計算部15は、現在位置誤差推定部13から目標速度補正指令を受け取ると目標速度値を再計算する。目標速度計算部15の内部構成、および計算アルゴリズムについては後記する。
【0016】
速度制御部16は、車両の現在の速度を検知して、目標の速度となるように駆動トルクを制御するコントローラである。図5にその装置構成を車両制御に適用した一例を示す。“金井著、「ビークル」、コロナ社、2003年12月12日、ISBN:4339033634”に開示されているように、ACCシステムはその一つの例であり、以下、この種速度制御部16をACCシステムにならい、速度制御コントローラ16と称して説明を継続する。
図5に示される速度制御コントローラ16は、目標車間距離生成部161と、車間距離コントローラ162と、車速コントローラ163とで構成される。速度制御コントローラ16では、自車両10に搭載される車速センサ8、レーダ・カメラ9などによって検知される車速や車間距離・相対速度のデータから、目標車間距離生成部161にて前方車両との目標車間距離を計算し、車間距離コントローラ162にて目標車間距離を保つ目標速度値を計算して、車速コントローラ163で車速をコントロールする。なお、車速コントローラ163は、受信した速度値に基づき駆動トルクを制御することで速度を制御する。
【0017】
前記した速度制御コントーラ16は、レーダ・カメラ9等、目標までの距離が判る範囲であれば車両の速度を制御することが可能であり、この範囲が、速度制御コントローラ16の要求位置精度となる。また、速度制御コントローラ16は、速度指令値(目標速度)を送信する装置が複数ある場合、その優先度は事前に決定されており、その優先度に従い目標速度値を決定している。
【0018】
現在位置誤差推定部13は、図6のブロック図に内部構成を機能展開して示してあり、この現在位置誤差推定部13は、ハードウェア的には、記憶装置と演算装置で構成される。
現在位置誤差推定部13の構成を機能的に大別すれば、図6に示されるように、地図情報取得部131と、固定計測点位置誤差確率分布DB132と、位置誤差確率分布取得部133と、誤差確率分布補間部134と、誤差確率分布補間パターンDB135と、車両情報誤差確率分布補正部136とで構成される。
【0019】
地図情報取得部131を介して地図情報DB11から取り込まれる、エリア特性情報と現在位置近傍の固定計測点とから成る現在位置エリア情報は、ビーコンなどのインフラストラクチャから得られる絶対座標位置や、地図情報DB11が持つ目標位置座標での目標物の絶対座標位置といった絶対座標位置が計測できるノード番号である。
ここで、固定計測点ノードは少なくとも2点あるものとし、当該ノード間にあるノード番号も現在位置エリア情報として持つ。
【0020】
また、固定計測点位置誤差確率分布DB132は、例えば、図7に示すデータ構造を持ち、各固定計測点ノード間の位置誤差確率分布のパターンを複数記憶している。
図7中、「総固定計測点ノード数」には、絶対座標固定計測点の総数が記録され、「固定地点ノード番号」には、絶対座標固定計測点のノード番号が記録されている。また、「確率分布」には、固定地点ノード番号順にそれぞれの位置誤差確率分布が、誤差、確率、のそれぞれを示す数値列により記録されている。
【0021】
図8に誤差確率分布補間パターンDB135のデータ構造の一例を示す。ここで示されるエリア遷移補間パターンテーブルは、図9に示すテーブル構造を持ち、縦軸には現在のノードのエリア特性(ランクA〜D…)、横軸には次ノードのエリア特性(ランクA〜D…)が示され、2軸が交わったパターンI〜IV…がエリア遷移する際の誤差確率分布を補間するためのパターンとなる。
なお、エリア特性が変わらない場合には前記したパターンは生成されない。
【0022】
ここで、補間パターンは、例えば、図10に示されるような曲線で示され、それぞれの曲線には、パターンI、パターンII、…のように番号が割り当てられている、各補間パターンの曲線の横軸は確率分布の誤差の大きさ、縦軸は補間係数を示す。なお、実際のデータの保存は数値列で表されている。また、曲線は、ケースに応じて複数用意される。
一方、誤差確率分布補間部134は、地図情報取得部131を介して取得される現在位置エリア特性情報、現在位置近傍の固定計測点情報、位置誤差確率分布取得部133を介して取得される固定計測点位置誤差確率分布DB132の情報、そして、誤差確率分布補間パターンDB135から取得される位置誤差確率分布の補間パターンに基づき、補間すべきノードの確率分布を補間するための計算を行う。
【0023】
補間された確率分布パターンの生成アルゴリズムが、図11にフローチャートで示されている。
以下、図11に示すフローチャートを参照しながら、現在位置誤差推定部13の動作について説明する。
【0024】
現在位置誤差推定部13は、まず、地図情報取得部131を介し、現在位置エリア情報(エリア特性情報と現在位置近傍の固定計測点情報)から現在位置近傍の2点の固定計測点ノードのノード番号を取得し(ステップS111)、また、位置誤差確率分布取得部133は、固定計測点位置誤差確率分布DB132から、ステップS111で得られた現在位置近傍の2点の固定計測点ノードの確率分布を取得する(ステップS112)。地図情報取得部131はまた、ステップS111で得られた現在位置近傍の2点の固定計測点ノード間にあるエリア特性情報を取得する(ステップS113)。
【0025】
次に、誤差確率分布補間部134は、ステップS112で得られた2点の固定計測点ノードの確率分布を端として、ステップS113で得られた各ノードの確率分布を固定計測点ノードの確率分布の線形補間として算出する(ステップS114)。ここで、線形補間する場合のパラメータは、固定計測点ノードから各ノードまでのリンク長とする。誤差確率分布補間部134は、さらに、ステップS113で得られた各ノードのエリア特性情報から、誤差確率分布補間パターンDB135に格納されたエリア遷移補間パターンテーブルの各ノードのエリア遷移パターンを決定する(ステップS115)。
【0026】
続いて、誤差確率分布補間部134は、補間確率分布を求めるノードを選択する(ステップS116)。次に、選択されたノードの、ステップS114およびステップS115で得られた線形補間された確率分布とエリア遷移パターンを乗算し(ステップS117)、選択したノードの補間確率分布として決定する(ステップS118)。
誤差確率分布補間部134は、次に、現在位置近傍の制御対象エリアとなる全てのノードにおいて確率分布が得られたか否かを判定し(ステップS119)、全てのノードの確率分布が得られていない場合はステップS116の処理に戻り、更に別のノードを選択し、制御対象エリアの全てのノードについて確率分布が取得され、補間されていれば、現在位置誤差推定部13による補間された確率分布パターンの生成処理を終了する。ここで得られた各ノードの確率分布は、車両情報誤差確率分布補正部136に供給される。
【0027】
図6に戻り、車両情報誤差確率分布補正部136は、自車両10が搭載する車両センサ(車速センサ8、レーダ・カメラ9)の持つ誤差の確率、と目標地点までの予定道路形状から、誤差確率分布補間部134から転送された誤差確率分布情報を補正する。但し、ここでの車両センサの誤差は道路形状のみに依存するものとする。
なお、自車両が搭載する車両センサを、センサ1、センサ2、…、センサnとし,目標地点までの各ノード間で起こる可能性のある車両センサによる誤差の大きさの確率分布は以下の演算式(2)で示される。
【0028】
【数1】

【0029】
車両情報誤差確率分布補正部136は、ここで計算される車両センサ誤差確率分布と、誤差確率分布補間部134により出力される各ノードでの確率分布とを乗算した誤差確率分布を新規誤差確率分布情報として記録する。そして、新規誤差確率分布は、目標速度補正指令として目標速度計算部15に出力される。
但し、確率分布を求めた隣接するノード間の確率分布は常に手前のノードでの確率分布と等しいものとする。
【0030】
図12は、目標速度計算部15の内部構成を機能展開して示したブロック図であり、ハードウェア的には、記憶装置と演算装置で構成される。
目標速度計算部15の構成を機能的に大別すれば、関数演算部151と、許容誤差速度算出部152と、応答曲線生成部153と、速度記憶部154と、目標速度誤差幅更新部155と、新規目標速度値曲線生成部156と、目標速度値出力部157と、目標速度値曲線学習記憶部158とで構成される。
【0031】
関数演算部151は、位置誤差がない状態で、現在位置から目標地点までの目標速度をノード毎に算出して目標速度値曲線を生成する機能を持ち、目標速度補正指令がある場合は、許容誤差速度算出部152へ、目標速度補正指令がない場合は、速度制御コントローラ16へ出力する機能を持つ。また、許容誤差速度算出部152は、速度制御コントローラ16の要求精度を満足する限界目標速度値曲線における許容誤差地点での速度値と、目標地点での目標速度値との差から許容誤差速度を算出する機能を持つ。
応答曲線生成部153は、各ノードにおける位置誤差確率分布を入力して、変速開始地点から目標地点まで所定の振幅を持つ応答目標速度値曲線を生成し、目標速度誤差幅として、速度記憶部154ならびに目標速度誤差幅更新部155へ出力する機能を持つ。
【0032】
目標速度誤差幅更新部155は、位置誤差確率分布−速度誤差幅変換部1551と、速度誤差幅比較部1552とから成り、位置誤差確率分布−速度誤差幅変換部1551で、位置誤差確率分布を所定の演算式に基づき前後方向に誤差を持つ速度誤差幅に変換し、また、速度誤差幅比較部1552で、各ノードにおける目標速度誤差幅が速度誤差幅内に収まるか否かを判定し、収まる場合は各ノードの目標速度誤差幅を、収まらない場合は速度誤差幅の最大値もしくは最小値を用いて各ノードにおける目標速度誤差幅を更新して新規目標速度値曲線生成部156へ出力する機能を持つ。
新規目標速度値曲線生成部156は、各ノードの更新された速度誤差幅における各前方誤差幅の極値を通る新規の目標速度値曲線を生成し、変速開始地点を前方にシフトする機能を持ち、また、目標速度値出力部157は、新規目標速度値曲線生成部156により出力される新規目標速度値曲線に対し、人間感性モデルDB14を参照し、対象となるノードにおける目標速度値を補正し、当該補正された新規の目標速度値曲線を速度制御コントローラ16に出力する機能を持つ。
【0033】
なお、このとき、人間感性モデルDB14には、変速開始地点(既定の速度が変化を始める座標地点)から目標地点(決められた座標地点)までの距離に応じて運転者に違和感を与えない加速度もしくは加速度の勾配に関するデータの他に、隣接する2つのノード間の距離を示す「ノード間リンク長」、道路幅を示す「ノード間リンク幅」、前記道路の車線数を示す「ノード間リンク数」、前記ノード間リンク数が割り当てられているノードに対して割り当てられる右左折や直進に関する情報を示す「ノード間リンク情報」、隣接する各ノードが結ぶリンクの制限速度値を示す「ノード間リンク速度」等に関するデータがあらかじめ登録され、記憶されているものとする。
また、目標速度値曲線学習記憶部158は、運転者が車両走行を重ねる都度、現在位置から目標地点までの目標速度をノード毎に算出して生成される新規目標速度値曲線をその経路毎に記憶し、以後、自車両の同経路への接近が検出されたとき、該当する目標速度値曲線に従う目標速度を速度制御コントローラ16へ出力する機能を持つ。
【0034】
図13は、目標速度補正アルゴリズムを示すフローチャートであり、前記した目標速度計算部15は、現在位置誤差推定部13から目標速度補正指令を受信したときにこのフローチャートに従い目標速度補正処理を実行する。
以下、図13に示すフローチャートを参照しながら、図12に示す目標速度計算部15の動作について詳細に説明する。
【0035】
動作説明に先立ち、本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置を搭載した速度制御系について、図14に示すブロック線図を参照しながら簡単に説明する。
図14に示すブロック線図は、入力を現在位置情報とし、出力を速度指令値(目標速度)とする速度制御系を示している。ここに示される速度制御系は、車両速度制御装置142により出力される速度指令値に従って車両143の速度を変化させ、時間経過により発生する位置の変化を現在位置取得部144において検出し、現在位置を車両速度制御装置142の入力にフィードバックしており、位置情報を車両速度制御装置142が受信する前に、位置誤差確率分布141に従う外乱が速度制御系に入力される(+される)システムにモデル化することができる。
【0036】
但し、本発明の車両速度制御装置142は、図14に示されるように、フィードバックを用いた速度制御系に組み込まれるが、誤差を考慮した目標速度値を決定した後の現在位置の変化による再計算は行わない。また、本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置142は、速度制御系に含まれる誤差を考慮して目標速度値を決定することで、その変速開始地点を、誤差を考慮せずに決定した目標速度値の変速開始地点よりも前方にシフトすることができる。以下にその詳細を説明する。
【0037】
前記した変速開始地点を決定するために、目標速度計算部15は、誤差を考慮していない目標速度値から誤差を考慮した目標速度値に補正する必要がある。この目標速度補正アルゴリズムについて、前記のモデル化した速度制御系を引用して説明する。
関数演算部151では、既に、誤差(外乱)が無い状態での目標速度値が計算されており(ステップS131)、地点毎に計算された目標速度値が、例えば、図15に示すような目標速度値曲線であったとする。
図15では、縦軸が目標速度値、横軸が車両位置を示す。また、太線151が計算された目標速度値曲線、位置152が変速開始点、位置153が目標地点となり、目標地点153における速度が最終目標速度値となる。この目標速度値の関数は、以下に示す演算式(3)で表現される。以後、ν()はステップS131で決定された目標速度値曲線の関数を表しており、括弧内はその関数の変数を表している。
目標速度値 = ν(位置座標) …(3)
【0038】
次に、目標速度計算部15は、目標速度補正指令の有無を確認する(ステップS132)。ここで、目標速度補正指令がある場合は、ステップS133の処理に進むが、指令がない場合は、ステップS131で計算された目標速度値を速度制御コントローラ16へ出力する。目標速度補正指令がある場合、許容誤差速度算出部152は、速度制御コントローラ16の要求精度分の速度余裕を見積もる(ステップS133)。
具体的に、許容誤差速度算出部152は、図16に示されるように、ステップS131で算出された目標速度値曲線161の許容誤差地点162での速度値163を求め、その速度値163と最終的な目標速度値164との差を速度余裕とする。この速度余裕は、以下に示す演算式(4)によって表現される。
速度余裕=ν(許容誤差位置)−最終目標速度値 …(4)
【0039】
次に、応答曲線生成部153は、現在位置誤差推定部13によって出力される各ノードでの位置誤差確率分布を、図14に示す速度制御系の外乱141として入力し、速度制御系の応答曲線を生成する(ステップS134)。図17に、位置誤差確率分布情報が外乱として入力された場合の応答曲線の一例が示されている。
図17に示す応答曲線によれば、ステップS131で求まっていた目標速度値曲線(細線)171の場合、ある確率分布を図14に示す速度制御系に入力すれば、その応答は、振幅を持った曲線(太線)172で表される。この応答曲線に対し、応答曲線生成部153は、各ノードでの目標速度値を速度記憶部154に記憶させる(ステップS135)。
【0040】
続いて、目標速度誤差幅更新部155は、図18に示されるように、各ノードでの速度誤差幅185を決定する(ステップS136)。ここで、各ノードでの目標速度値の誤差幅185は位置誤差確率によるものであり、ステップS131で決定済みの目標速度値曲線181において、あるノードの目標速度値182は前後方向に誤差を持つ。その誤差の前後方向の最大値を、最大前方誤差、最大後方誤差とそれぞれ呼ぶこととする。
そして、ステップS131で決定済みの目標速度値曲線181において、最大前方誤差地点での目標速度値183、最大後方誤差地点での目標速度値184の間を目標速度値の誤差幅185とする。
【0041】
これを演算式で表せば、減速の場合、以下の演算式(5)のように、その最大値と最小値が決まり、加速の場合、以下の演算式(6)のようにその最大値と最小値が決まる。
ノードn : 最大目標速度値=ν(ノードn位置座標―最大後方誤差)
最小目標速度値=ν(ノードn位置座標+最大前方誤差) …(5)
ノードn : 最大目標速度値=ν(ノードn位置座標+最大前方誤差)
最小目標速度値=ν(ノードn位置座標―最大後方誤差) …(6)
【0042】
従って、図19に示されるように、演算式(3)で示される関数が、位置が進むにつれ、ある速度値に収束すれば、目標速度値の振幅もある速度値に収束する。速度誤差幅192は、目標速度値更新部155(位置誤差確率分布−速度誤差幅変換部1551)が、各ノードにおける位置誤差の確率分布を、前記した演算式(5)(6)を用いて速度誤差に変換し、その最大値と最小値を求めることにより決定される。
そして、速度誤差幅比較部1552が、速度誤差幅(最大値、最小値)と、先に速度記憶部154に記録してある各ノードにおける目標速度値とを比較し、その目標速度値191が速度誤差幅内に収まる場合は、各ノードの速度誤差幅192を採用して新規目標速度値曲線生成部156へ出力する。また、図19に示される速度値193や速度値194のように、速度記憶部154に記録された各ノードにおける目標速度値191がこの速度誤差幅192内に収まらない場合は、先に演算した速度誤差幅192の最大値もしくは最小値を、速度記憶部154に記録された目標速度値に更新する。
【0043】
このように目標速度値を更新することにより、図20に示されるような新しい速度誤差幅202が決定する。この速度誤差幅202は、ステップS131で計算済みの曲線に対する速度誤差幅であるため、ステップS131で計算済みの曲線はこの幅に包含され、速度記憶部154に記録された目標速度値201も包含される。
【0044】
次に、新規目標速度値曲線生成部156は、図21に示されるように、ステップS136で決定した各ノードにおける速度誤差幅の前方誤差方向の極値を通る目標速度値曲線211を生成する(ステップS137)。
ここで、前方誤差方向の極値とは、前方誤差を考慮して得られる目標速度値の極値のことで、減速の場合は各ノードの最小目標速度値、加速の場合は各ノードの最大目標速度値に相当する。全ての極値を通り、曲率が小さくなる、加速度の勾配が抑えられる方法として、目標速度値曲線211は、3次スプライン補間を用いて決定することとする。この3次スプライン補間は、各点の値からその間の曲線を補間する手法であり、例えば、“高橋大輔著、「理工系の基礎数学8:数値計算」、岩波書店発行、1996年2月16日、ISBN: 4-00-007978-6”に開示されている。
【0045】
前記により作成された目標速度値曲線211は、加速度の勾配を最小とし、また、ステップS131で計算済みの目標速度値曲線212の変速開始点よりも手前(前方にシフト)で変速を開始する。
最後に、目標速度値出力部157は、新規目標速度値曲線生成部156により生成された速度値曲線に対し、人間感性モデルDB14を参照して人間感性に合わない箇所の有無を判定し、対象となるノードでの目標速度値を修正する(ステップS138)。
例えば、ステップS137で図21に示す目標速度値の一部分213が人間感性モデルと合わないと判定された場合、図22に示されるように、人間感性モデルを考慮した新規目標速度値曲線221のように補正する。但し、新規目標速度値曲線221は、ステップS137で新規目標速度値曲線生成部156により生成される目標速度値曲線222と同じか、もしくは事前に速度変化をもたらすように決定される。この時、新規目標速度値曲線221は、必ずしもステップS136で決定した速度誤差幅に含まれる必要は無い。新規目標速度値曲線221の作成は、前記同様、スプライン補間を用いる。
【0046】
以上により決定される目標速度値は、速度制御コントローラ16に供給され、速度制御コントローラ16は、車両の現在の速度を検知して、目標速度値となるように駆動トルクを制御する。
なお、目標速度値曲線学習記憶部158は、運転者が車両走行を重ねる都度、現在位置から目標地点までの目標速度をノード毎に算出して生成される新規目標速度値曲線(目標速度値出力部157出力)をその経路毎に記憶し、以後、車両の同経路への接近が検出されたときに、該当する目標速度値曲線に従う目標速度を速度制御コントローラ16へ出力する。この目標速度値曲線の学習については、特許文献6に詳細に開示されている。また、UI部17は、車両の現在位置が測位されなかった場合、目標速度計算部15による目標速度の出力を無効とし、速度制御が不能であることを、カーナビゲーションシステムの表示モニタに表示、あるいは音声出力してユーザに通知する。
【0047】
(目標速度値計算例1)
次に、目標地点までの目標速度値計算例について、いくつか例示して説明する。まず、一時停止線において一時停止を行う場合の処理から説明する。このとき、本発明の車両速度制御装置142を搭載する車両は、図5に示される速度制御コントローラ16を備え、レーダ・カメラ9など一時停止線を正確に検出する機能を持ち、この機能は、速度制御コントローラ16の許容誤差範囲をカバーできるものとする。また、車両には、地図情報DB11および現在位置取得部12としてのカーナビゲーションシステムが搭載されており、速度制御コントローラ16は、本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置142からの目標速度指令より、一時停止線の位置を検出して得られる情報を元にACCなどで生成される速度指令を優先するものとする。
【0048】
本発明の車両速度制御装置142による経路探索から一時停止線の検出、停止位置までの目標速度値の計算および速度制御コントローラ16への目標速度指令の出力は、図23にフローチャートで示す流れに従い行なわれる。
図23のフローチートにおいて、カーナビゲーションシステムは、計算を開始するにあたり、既に経路探索処理を終えており、自車の走行経路は一意に決まっているものとする(ステップS231“Yes”)。また、自車の走行予定経路上にある、一時停止線の地点ノード番号を地図情報DB11から取得し(ステップS232)、また、同時に、現在位置取得部12で自車位置を取得する(ステップS233)。なお、今回は、ステップS231で経路を検索しているため、ステップ234で示される現在位置・目標地点の確定判定は不要となる。
【0049】
次に、カーナビゲーションシステムは、ステップS232とS233で取得した地図情報、自車位置情報から、自車が地図情報の持つ道路上にあるか否かを判定する(ステップS235)。ここでは、道路上に自車位置がある(マップマッチング可)と判定されたものとして、次のステップS236の処理に進む。
そして、現在位置取得部12は、自車位置と制御目標地点となる一時停止線までのノードの数、座標、エリア特性、固定計測点ノードの座標、一時停止線の座標、ノード間のリンク長、ノード間リンク速度に関する情報を地図情報DB11から取得し、それらの情報を目標速度計算部15へ出力する(ステップS236)。
【0050】
これら情報を受信した目標速度計算部15は、各ノード間のエリア特性と、該当ノードから目標点までの距離、および過去数秒間の自車速度時系列を人間感性モデルDB14へ出力する(ステップS237)。そして、目標速度計算部15は、入力される目標点までの距離と自車両速度の時系列とを用いて、自車両の加速度、および加速度の勾配を算出し、得られる各ノード間のエリア特性と目標点までの距離から一意に決まる感性係数を決定する。
ここで、加速度、加速度の勾配は、前記した演算式(1)の関数を逆算することによって得られ、前記により一意に決まる感性係数よりは小さく、かつ、最も近い値とする。そして、目標速度計算部15は、各ノードの感性係数から計算した加速度、加速度の勾配、およびノード間リンク速度より、一時停止線のノードまでの各ノードの目標速度値曲線を計算する(ステップS237)。
【0051】
前記のように目標速度値曲線が計算されれば、現在位置誤差推定部13は、図11に示す補間確率分布の生成処理の流れと同様の手順を実行する(ステップS238)。
すなわち、現在位置誤差推定部132は、地図情報DB11から一時停止線までのノードの数、座標、エリア特性、固定計測点ノードの座標、一時停止線の座標、ノード間リンク長を取得する。そして、現在位置誤差推定部13内では、まず誤差確率分布補間部64が、現在位置エリア情報、近傍の固定計測点の情報を取得する。そして、現在位置エリア情報から各ノード間のエリア特性を誤差確率分布補間パターンDB62に送り、誤差確率分布補間パターンDB135は、各ノードの誤差確率分布の補間パターンを返す。同時に、誤差確率分布補間部134は、エリア内の隣接する固定計測点ノードの位置誤差確率分布を固定計測点位置誤差確率分布DB132から取得して、ある2つの固定計測点ノード間にある各ノードの誤差確率分布を誤差確率分布補間部134で計算し、制御対象エリアの誤差確率分布として目標速度計算部15へ出力する。
【0052】
続いて、目標速度計算部15は、図13に示す目標速度値の補正処理の流れと同様の処理を行う(ステップS239)。
すなわち、補正指令を受けた目標速度計算部15は、速度制御コントローラ16の要求精度から、一時停止線からの許容誤差地点(図16の162)を割り出し、事前に計算してある目標速度値曲線161の許容誤差地点の目標速度163を速度余裕として内部のメモリ(不図示)に記憶する。また、各ノードにおける誤差確率分布を自車両が持つ速度制御系に入力した場合の各ノードの予測速度(図17の172)を記憶する。
ここでは、一時停止であるために車両は減速することから、各ノードの予測速度(図18の182)と速度誤差幅185とから各ノードでの最小目標速度値183を求める。続いて、各ノードの最小目標速度値183を、3次スプライン補間を用いることによってつなぎ、各ノード間の加速度および加速度の勾配について人間感性モデルDB14を参照する。そこで、人間感性モデルDB14を参照して選ばれた感性係数により求められる加速度、加速度の勾配よりも大きい、もしくは、加速度、加速度の勾配の最大範囲内に適合しないノード間(図21の213)があれば、該当ノードの目標速度値211を削除して2次スプライン補間を行い、新規目標速度値曲線(図22の221)を作成する(ステップS240)。
【0053】
そして、新しく決定した目標速度値は、速度制御コントローラ16へ送られ(ステップS241)、図5に示す流れで速度制御コントローラ16が目標値に追従するように速度を制御する。
【0054】
(目標速度値計算例2)
次に、時速50Km巡航中の車両が、スクールゾーン入り口にて時速30Kmへ減速を行うケースを例示したときの処理の流れについて説明する。このとき、ナビゲーションシステムによる経路探索は行っていないものとする。
なお、この場合も前記した一時停止の場合と同様、本発明の車両速度制御装置142を搭載する車両は、図5に示される速度制御コントローラ16を備え、レーダ・カメラ9などスクールゾーン入り口を正確に検出する機能を持ち、この機能は、速度制御コントローラ16の許容誤差範囲をカバーできるものとする。また、車両には、地図情報DB11および現在位置取得部12としてのカーナビゲーションシステムが搭載されており、速度制御コントローラ16は、本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置142からの目標速度指令より、スクールゾーン入り口の位置を検出して得られる情報を元にACCなどで生成される速度指令を優先するものとする。
【0055】
経路探索からスクールゾーン入り口の検出、停止位置までの目標速度値の計算、および速度制御コントローラ16への目標速度補正指令は、前記した例と同様、図23のフローチャートに示す流れで制御される。
ここでは、カーナビゲーションシステムは、本発明の車両速度制御装置142による目標速度値の計算が始まる前に経路探索を行っていないものとする(ステップS231“No”)。このとき、現在位置取得部12は、自車両の走行予定経路上にあるスクールゾーン入り口のある地点ノード番号を地図情報DB11から取得し(ステップS232)、同時に、自車両位置を取得しているものとする(ステップS233)。
【0056】
ここでは、ステップS231で経路検索を行っていないため、カーナビゲーションシステムは、ステップS234で現在車両位置がどの道路上にあるかを一意に決定するか否かを判定し、ここでは一意に決定できる(マップマッチ可)としてステップS235の処理に進む。
次に、カーナビゲーションシステムは、ステップS232、S233で取得した地図情報、自車位置情報から、自車が地図情報の持つ道路上にあることを判定する(ステップS235)。ここでは,道路上に自車位置があると判定されたとして、次のステップS236の処理に進む。
【0057】
現在位置取得部12は、自車位置と制御目標地点となるスクールゾーン入り口までのノードの数、座標、エリア特性205、固定計測点ノードの座標、スクールゾーン入り口の座標、ノード間のリンク長、ノード間リンク速度のそれぞれを、地図情報DB11から取得する(ステップS236)。それらの情報は目標速度計算部15へ送られる。
続いて、目標速度計算部15は、各ノード間のエリア特性と該当ノードから目標地点までの距離、および過去数秒間の自車両速度時系列を人間感性モデルDB14に送る(ステップS238)。このことにより、目標速度計算部15は、送られた目標点までの距離および自車速度の時系列を用いて、自車両の加速度、および加速度の勾配を算出する。その後、得られた各ノード間のエリア特性と目標点までの距離から一意に決まる感性係数を決定する。
ここで、加速度、加速度の勾配は、前記した演算式(1)の関数を逆算することによって得られ、前記により一意に決まる感性係数よりは小さく、かつ、最も近い値とする。そして、目標速度計算部15は、各ノードの感性係数から計算した加速度、加速度の勾配、およびノード間リンク速度より一時停止線のノードまでの各ノードの目標速度値曲線を計算する(ステップS227)。
【0058】
目標速度値曲線が計算されれば現在位置誤差推定部13は、ステップ238の処理に進むことができる。ここでは図12に示す補間確率分布の生成処理と同様の手順を実行する。すなわち、現在位置誤差推定部13は、地図情報DB11から、スクールゾーン入り口までのノードの数、座標、エリア特性、固定計測点ノードの座標、スクールゾーン入り口の座標、ノード間リンク長を取得する。
現在位置誤差推定部13内では、まず、誤差確率分布補間部134が、現在位置エリア情報、近傍の固定計測点の情報を取得する。そして、現在位置エリア情報に基づく各ノード間のエリア特性を誤差確率分布補間パターンDB135に入力することで、誤差確率分布補間パターンDB135から、各ノードにおける誤差確率分布の補間パターンを取得する。誤差確率分布補間部134は、また、エリア内の隣接する固定計測点ノードの位置誤差確率分布を固定計測点位置誤差確率分布DB132から取得し、ある2つの固定計測点ノード間にある各ノードの誤差確率分布を計算し、制御対象区間(現在位置から目標地点まで)の誤差確率分布として目標速度補正指令を目標速度計算部15に出力する。
【0059】
次に、目標速度計算部15は、図13にフローチャートで示す目標速度値の補正処理と同様の流れを実行する(ステップS239)。
すなわち、速度補正指令を受けた目標速度計算部15は、速度制御コントローラ16の要求精度から、スクールゾーン入り口からの許容誤差地点(図16の162)を割り出し、事前に計算してある目標速度値曲線161の許容誤差地点の目標速度163を速度余裕として記憶する。そして、各ノードにおける誤差確率分布を自車両の持つ速度制御系に入力した場合の各ノードの予測速度(図7の172)を記憶する。
【0060】
ここでは、スクールゾーン入り口までに車両は減速することから、各ノードの予測速度(図18の182)と速度誤差幅185とから各ノードでの最小目標速度値183を求める。そして、各ノードの最小目標速度値183を、3次スプライン補間を用いてつなぎ、各ノード間の加速度および加速度の勾配を取得するために人間感性モデルDB14を参照する。そこで、人間感性モデルDB14に適合しないノード間(図21の213)があれば、該当ノードの目標速度値211を削除し、2次スプライン補間を行って新規目標速度値(図22の221)を作成する(ステップS240)。
そして、新しく作成された目標速度値は、速度制御コントローラ16へ送られ(ステップS241)、図5に示す流れで速度制御コントローラ16が目標値に追従するように速度制御が実行される。
【0061】
(目標速度値計算例3)
次に、人間感性モデルDB14が、現在自車両が走行している地域の最大速度を事前に備えていることを想定して説明する。
経路探索からスクールゾーン入り口の検出、停止位置までの目標速度値の計算、および速度制御コントローラ16への目標速度指令は、前記同様、図23にフローチャートで示す流れにより実行される。
【0062】
ここで、カーナビゲーションシステムは、目標速度値の計算が始まる前に経路探索を行っていないものとする(ステップS231“No”)。また、現在位置取得部12は、自車両の走行予定経路上にあるスクールゾーン入り口のある地点ノード番号を地図情報DB11から取得し(ステップS232)、同時に、自車両位置を取得するものとする(ステップS233)。そして、ステップS231で経路検索をしていないため、カーナビゲーションシステムは、現在車両位置がどの道路上にあるかを一意に決定できるか否かを判別し(ステップS234)、ここでは一意に決定できる(マップマッチ可)としてステップS235の処理へ進む.
【0063】
次に、カーナビゲーションシステムは、ステップS232、ステップS233において取得した地図情報と自車両位置情報から自車両が地図情報の持つ道路上にあるか否かを判定する(マップマッチング)。ここでは、道路上に自車両が位置付けられたとして次のステップS236の処理に進む.
ステップS236では、現在位置取得部12は、自車両位置と制御目標地点となるスクールゾーン入り口までのノードの数、座標、エリア特性、固定計測点ノードの座標、スクールゾーン入り口の座標、ノード間のリンク長、ノード間リンク速度のそれぞれを、地図情報DB11から取得し、それらの情報を目標速度計算部15へ出力する。
【0064】
一方、目標速度計算部15は、各ノード間のエリア特性と該当ノードから目標地点までの距離、および過去数秒間の自車速度時系列を、人間感性モデルDB14に出力する。目標速度計算部15は、また、人間感性モデルを参照(送られた目標地点までの距離、および自車両速度の時系列に基づく)することにより、自車両の加速度、および加速度の勾配を算出する。その後、得られた各ノード間のエリア特性と目標点までの距離から一意に決まる感性係数を決定する。ここで、加速度、加速度の勾配は、前記した演算式(1)の関数を逆算することによって得られ、前記により一意に決まる感性係数よりは小さく、かつ、最も近い値とする。
次に、目標速度計算部15は、各ノードの感性係数から計算した加速度、加速度の勾配、およびノード間リンク速度から一時停止線のノードに至る各ノード地点での目標速度値(目標速度値曲線)を計算する(ステップS237)。
【0065】
目標速度値曲線が計算されれば、目標速度計算部15は、各ノード情報、座標、エリア特性、固定計測点ノード、目標地点の情報を現在位置誤差推定部13へ出力し(ステップS238)、このことにより、現在位置誤差推定部13は、図11に示す補間確率分布の生成処理と同様の手順を実行することができる。
すなわち、現在位置誤差推定部13は、地図情報DB11からスクールゾーン入り口までのノードの数、座標、エリア特性、固定計測点ノードの座標、スクールゾーン入り口の座標、ノード間リンク長を取得する。そして、誤差確率分布補間部134が、現在位置エリア情報と、近傍の固定計測点の情報とを取得する。次に、誤差確率分布補間部134は、現在位置エリア情報から得られる各ノード間のエリア特性情報を、誤差確率分布補間パターンDB132に送り、このことにより、誤差確率分布補間パターンDB132は、各ノードの誤差確率分布の補間パターンを出力する。このとき、誤差確率分布補間部134は、エリア内の隣接する固定計測点ノードの位置誤差確率分布を、固定計測点位置誤差確率分布DB132から取得し、ある2つの固定計測点ノード間にある各ノードの誤差確率分布を計算し、制御対象区間の誤差確率分布として目標速度計算部15に出力する(ステップS239)。
【0066】
そして、補正指令を受けた目標速度計算部15は、速度制御コントローラ16の要求精度から、スクールゾーン入り口からの許容誤差地点(図16の162)を割り出し、事前に計算してある目標速度値曲線161の許容誤差地点の目標速度163を速度余裕として記憶する。そして、各ノードにおける誤差確率分布を自車両が持つ速度制御系に入力した場合の各ノードの予測速度(図17の172)を記憶する。ここでは、スクールゾーン入り口までに車両は減速することから、各ノードの予測速度172と速度誤差幅(図18の185)から各ノードでの最小目標速度値183を求める。
次に、目標速度計算部14は、各ノードの最小目標速度値183を、3次スプライン補間を用いてつなぎ、各ノード間の加速度および加速度の勾配について人間感性モデルDB14を参照して計算する。ここで、目標速度計算部15は、人間感性モデルDB14が持つ、車両の走行しているエリアの最大速度に適合しないノード間(図21の213)があれば、当該ノードの目標速度値211を削除する。そして、そのノードの目標速度値を、人間感性モデルDB14が持つ、車両の走行しているエリアの最大速度として、再度、人間感性モデルDB14を参照する。そして、人間感性モデルDB14から得られる、加速度、加速度の勾配より小さいか否かを調べ、仮に、大きい場合、そのノードを削除して2次スプライン補間を行い、新規目標速度値曲線(図22の221)を作成する(ステップS240)。
【0067】
そして新しく決定される目標速度値は、速度制御コントローラ16へ送られ(ステップS241)、速度制御コントローラ16は、図5に示す流れに従い、目標速度値に追従するように車両速度を制御する。
なお、人間感性モデルDB14に最大速度を記録しておくことは、例えば、子供がよく遊んでいる、飛び出す、道幅が狭い等、事前に該当する道路が危険である等の理由から、速度を通常以上に抑えたほうがいい場合、人間感性モデルDB14を参照して計算される速度より、記録していた速度が小である場合に、計算が不要になることから、性能的に好ましい。
【0068】
(例外処理)
最後に、本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置が、目標速度値の計算、および計算により得られる目標速度値の送信を行なわない場合の処理について以下に説明する。すなわち、現在位置取得部12により得られる車両の現在位置が地図情報にない道路上であったり、もしくは、自車両位置のいる場所が道路上にないと判断された場合である。
【0069】
経路探索から目標地点の検出、停止位置までの目標速度値の計算、および速度制御コントローラ16への目標速度補正指令の出力は、図23にフローチャートで示す流れに従い実行される。
まず、カーナビゲーションシステムは、本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置の計算が始まる前に経路探索を終えており、自車両の走行経路は一意に決まっているものとする(ステップS231)。また、現在位置取得部12は、自車両の走行予定経路上にある一時停止線のある地点ノード番号を地図情報DB11から取得し(ステップS232)、同時に、自車両位置を取得している(ステップS233)。なお、ここでは、ステップS231で既に経路検索を終了しているため、ステップS234に示す現在位置・目標地点の確定判定は不要である。
【0070】
次に、カーナビゲーションシステムは、ステップS235において、先に取得した地図情報、自車両位置情報から、自車両が地図情報の持つ道路上にあるか否かを判定する。ここで、道路上に自車両位置がマッピングされていないと判定されると、次のステップS236以降の処理は飛ばし、当該目標地点での目標速度値計算は行わない。従って、本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置は、図23に示す目標速度値計算処理を終了し、そのことを、UI部17を介してナビゲーションシステムの画面、もしくは音声で、ドライバに自動速度制御を行わないことを通知する。
【0071】
次に、経路探索が行われておらず、狭角Y字路などで、車両が現在走行中の道路の候補が複数有り、あるいは目標地点までの距離が不確かな場合について説明する。
経路探索から目標地点の検出、停止位置までの目標速度値の計算、および速度制御コントローラ16への目標速度補正指令は、図23にフローチャートで示す流れで行なわれる。
まず、カーナビゲーションシステムは、本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置の計算が始まる前に経路探索を終えており、自車両の走行経路は一意に決まっているものとする(ステップS231“Yes”)。また、現在位置取得部12は、自車両の走行予定経路上にある一時停止線のある地点ノード番号を地図情報DB11から取得し(ステップS232)、同時に、自車両位置を取得している(ステップS233)。
【0072】
ここでは、ステップS231で経路探索を行っていないため、カーナビゲーションシステムは、ステップS234の処理に進む。ここでは、ステップS234の処理において、現在の自車両位置情報と地図情報から現在位置の候補が複数あり、かつ、どの候補も同程度の存在可能性があるものとするため、カーナビゲーションシステムは、目標地点までの距離を計算することはできない。このため、本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置は、目標速度値の計算処理を終了し、そのことを、UI部17を介してドライバに通知する。
但し、速度制御コントローラ16内で複数個の目標速度値があれば、速度制御コントローラ16内でどの目標値を選ぶかを決定し、目標速度計算部15からの目標速度値が必ずしも速度制御コントローラ16で実行されるとは限らない。
【0073】
速度制御コントローラ16が、目標速度計算部15からの目標速度値を選ばない場合の例としては、前方に車両が割り入った場合、ドライバが、アクセルやブレーキに何らかの操作を行った場合、カメラやセンサなどにより進行方向に障害物、人、動物等が発見された場合、本装置発明の車両速度制御装置から目標速度補正指令が送られていない場合、速度制御コントローラ16自体が作動していない場合等が考えられる。
【0074】
以上説明のように本発明は、例えば、図1に示す車両速度制御装置(目標速度計算部15)が、誤差を含む可能性のある地図情報、および位置測位によって与えられる現在位置情報から得られる目標速度値に、誤差がどの程度含まれているかを示す位置誤差確率を推定演算し(現在位置誤差推定部13)、かつ、人間感性モデル(人間感性モデルDB14)を参照して搭乗者が不快に感じない速度制御パターンを生成し、車両の現在位置から目的地に至る経路での速度制御目標値を、速度制御部16の要求精度に従う許容誤差範囲から計算し、速度制御を行う構成としたものである。
このことにより、マップマッチングなどの自車両位置誤差補正による急激な目標速度値の変化を予め考慮して誤差のない状態での目標速度値よりも事前に速度変化を与えることができ、従って、速度の急変、目標地点の超過を防ぎ、安全で快適なドライビングが行えるようになる。
【0075】
なお、前記した本発明実施形態によれば、衛星により自分の緯度経度を取得するGPSを用いて位置測位を行うシステムを例示したが、カメラやセンサーなど、ある地点の現在位置座標を正確に判断できる機能を車両に持ち、同センサーから得られた情報を現在位置情報として現在位置取得部12に送り、その地点で計測された誤差を用いて固定計測点ノードの誤差確率分布を再計算するシステムに用いても同様の効果が得られる。
また、前記した本実施形態によれば、速度誤差幅を決定する際に、誤差確率分布を自車両の速度制御系に外乱として入力した応答を参照して決定したが、この過程は省き、各ノードの誤差確率分布をそのまま速度誤差に換算して目標速度値誤差幅を決定することも可能である。
【0076】
また、感性係数は、“王他「乗り心地向上を目的とする自動車運転支援システム」電気学会論文誌D122巻7号、平成14年”によれば、以下に示す演算式(7)によって定義されており、これを採用し、前記した演算式(1)の代替として用いても同様の効果が得られる。
感性係数 ≧ 定数 + 係数×減速度(負の加速度)+ 係数×加速度 +
係数×(負の加速度の勾配) + 係数×(正の加速度の勾配)…(7)
【0077】
また、前記した本発明実施形態によれば、地図情報DB11と、現在位置取得部12とは独立したブロックとして説明したが、カーナビゲーションシステムのように、独立した二つのブロックを併せ持つ機能をもつ装置で代用しても良い。このとき、地図情報DB11と現在位置取得部12は直接ネットワークでつながれ、その他のブロックとは、新しいインターフェース、もしくはナビゲーションシステムから車両へ繋がるECU(電子制御ユニット)を介して情報を送受信する。
また、地図情報DB11と現在位置取得部12は車載ではなく、インフラストラクチャから通信される情報を用いても良い。このとき、座標を受け渡しするネットワークは無線である。また、前記した本発明実施形態によれば、人間感性モデルDB14は、専用の記憶装置(ストレージ)に記憶されるものとして説明したが、地図情報DB11や現在位置誤差推定部13に含まれても良い。この場合、人間感性モデルDB14を含むストレージは、直接ネットワークで繋がれ、その他は車内ネットワーク(ECUを繋ぐLAN)を通じて繋がっている。
【0078】
同様に、地図情報DB11、現在位置誤差推定部13内の固定計測点位置誤差確率分布DB132や誤差確率分布補間パターンDB135と人間感性モデルDB14の内、複数のデータベースが同一のストレージ内に有っても良い。この場合、同一ストレージ内に存在するブロックは、直接ネットワークで繋がれ、その他のブロックとは車内ネットワークを通じてつながる。
また現在位置誤差推定部13と、人間感性モデルDB14と、目標速度計算部15の内の少なくとも一つが速度制御コントローラ16に含まれていてもよい。このとき、速度制御コントローラ16内に含まれるブロックは、それぞれ直接ネットワークによって繋がれ、その他のブロックとは速度制御コントローラ16が繋がっている車内ネットワークを通じて繋がることになる。
【0079】
また、目標速度計算部15に人間感性モデルDB14が含まれていても良い。この場合、人間感性モデルDB14と目標速度計算部15は直接ネットワークで繋がれ、その他のブロックとは、目標速度計算部15の繋がる車内ネットワークを通じて繋がっている。
また、前記した本発明実施形態によれば、人間感性モデルは、演算式(1)で示される関数によりその感性係数を決定するものとして説明したが、他の変数を用いることもある。例えば、地図情報DB11中のノード間リンク幅やノード間リンク数、ノード間リンク情報、ノード間リンク速度3が付加される変数が該当する。この場合、感性係数は、以下の演算式(8)〜(22)によって示される関数となる。
【0080】
感性係数 = 関数(目標点までの距離,速度,加速度,加速度の勾配,
ノード間リンク幅) …(8)
感性係数 = 関数(目標点までの距離,速度,加速度,加速度の勾配,
ノード間リンク数) …(9)
感性係数 = 関数(目標点までの距離,速度,加速度,加速度の勾配,
ノード間リンク情報) …(10)
感性係数 = 関数(目標点までの距離,速度,加速度,加速度の勾配,
ノード間リンク速度) …(11)
感性係数 = 関数(目標点までの距離,速度,加速度,加速度の勾配,
ノード間リンク幅,ノード間リンク数) …(12)
感性係数 = 関数(目標点までの距離,速度,加速度,加速度の勾配,
ノード間リンク幅,ノード間リンク情報) …(13)
感性係数 = 関数(目標点までの距離,速度,加速度,加速度の勾配,
ノード間リンク幅,ノード間リンク速度) …(14)
感性係数 = 関数(目標点までの距離,速度,加速度,加速度の勾配,
ノード間リンク数,ノード間リンク情報) …(15)
感性係数 = 関数(目標点までの距離,速度,加速度,加速度の勾配,
ノード間リンク数,ノード間リンク速度) …(16)
感性係数 = 関数(目標点までの距離,速度,加速度,加速度の勾配,
ノード間リンク情報,ノード間リンク速度) …(17)
感性係数 = 関数(目標点までの距離,速度,加速度,加速度の勾配,
ノード間リンク幅,ノード間リンク数,ノード間リンク情報)
…(18)
感性係数 = 関数(目標点までの距離,速度,加速度,加速度の勾配,
ノード間リンク幅,ノード間リンク数,ノード間リンク速度)
…(19)
感性係数 = 関数(目標点までの距離,速度,加速度,加速度の勾配,
ノード間リンク幅,ノード間リンク情報,ノード間リンク速度)
…(20)
感性係数 = 関数(目標点までの距離,速度,加速度,加速度の勾配,
ノード間リンク数,ノード間リンク情報,ノード間リンク速度)
…(21)
感性係数 = 関数(目標点までの距離,速度,加速度,加速度の勾配,
ノード間リンク幅,ノード間リンク数,ノード間リンク情報,ノード間
リンク速度) …(22)
【0081】
なお、感性係数が演算式(8)〜(22)のように表される場合、人間感性モデルDB14は、地図情報DB11と直接繋がり、エリア情報を、地図情報DB11から直接取得することになる。
また、演算式(8)〜(22)で表される感性係数を決定する関数は、線形、もしくは予めニューラルネットで学習した値とする。ニューラルネットの学習は、“栗谷川幸代,景山一郎、「人間・自動車・環境系における精神負担評価モデルの構築に関する研究」、日本大学生産工学部研究報告A、2003年6月、第36巻第1号”に開示されるように、予め実験により不快さの指標となる生体信号を計測して、その関数を導く方法である。また、ノード間リンク速度は、ノード間リンク幅が小さい場合には、その道路の制限速度よりも予め低く設定される.
【0082】
また、演算式(1)や、演算式(8)〜(22)で示される感性係数は、例えば、特開2005−211229号公報、特開平7−96767号公報に開示されているように、その日の体調を計測する体調計測手段を車両内に設置することで、運転手の体調から感性係数を数段階の割合で変化させることが出来る。
例えば、体調を、“快調”、“通常”、“不調”、“非常に不調”の4段階で診断できる体調計測手段を用いたとする。それぞれの体調での感性係数の変化割合を、“快調”時は1.2倍、“通常”時は1.0倍、“不調”時は0.7倍、“非常に不調”時は0.4倍とすることを事前に決めておくと、車両内に設置された体調計測手段は、その情報を人間感性モデルDB14へ送り、そのときに得られる感性係数テーブルは、感性係数の全値に対して体調に応じた割合を乗じた値を当日の感性係数とする.
【0083】
また、速度制御コントローラ16から人間感性モデルDB14が情報を受け取ることができるようにすれば、感性係数テーブルの目標点までの距離は、速度制御コントローラ16内の、レーダ・カメラ9(図5)から得られる車間距離や、目標車間距離生成部161の出力情報である目標車間距離に置き換えることができる。同様に、地図情報DB11から人間感性モデルDB14が情報を受け取ること出来るようにすれば、エリア特性のランクは、地図情報DB11から得られるノード間リンク幅やノード間リンク数、ノード間リンク速度に置き換えることができる。
【0084】
また、地図情報DB11内のエリア特性情報における制御対象区間のノード番号は、制御対象区間のノードが全体のノードの半数以上を占める場合、制御対象となる区間外のノード番号を持ち、また、制御対象区間のノードが全体のノードの半数より少ない場合、制御対象となる区間のノード番号を持っているものとする。
【0085】
なお、本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置は、専用のハードウェアにより実現される他に、その機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するものであってもよい。なお、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク等の記録媒体の他に、インターネット等の通信媒体を介してプログラムが転送される場合のように、プログラムを動的に保持するもの、あるいは、そのときのサーバが持つ揮発性メモリのように一定時間プログラムを保持するものも含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置の概略内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用される地図情報DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図3】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用される人間感性モデルDBのデータ構造の一例を示す図である。
【図4】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用される感性係数テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用される速度制御コントローラの内部構成の一例を示すブロック図である。
【図6】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置の現在位置誤差推定部の内部構成を示すブロック図である。
【図7】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用される固定計測点位置誤差確率分布DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図8】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用される誤差確率分布補間パターンDBのデータ構造の一例を示す図である。
【図9】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用されるエリア遷移補間パターンテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図10】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用されるエリア遷移補間パターンのデータ構造の一例を示す図である。
【図11】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用される補間確率分布の生成処理手順をフローチャートで示した図である。
【図12】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置の目標速度計算部の内部構成を示すブロック図である。
【図13】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用される目標速度値の補正処理手順をフーチャートで示した図である。
【図14】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用される速度制御系のブロック線図モデルである。
【図15】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用される位置誤差のない場合の目標速度値曲線の一例を示す図である。
【図16】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用されるコントローラ要求精度を満たすための速度余裕の導出を説明するために引用した目標速度値曲線の一例である。
【図17】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用される誤差確率分布が外乱として入力されたときの応答曲線の一例を示す図である。
【図18】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用される速度誤差幅の決定方法を説明するために引用した目標速度値曲線の一例である。
【図19】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用される各ノードにおける速度誤差幅の比較を説明するために引用した目標速度値曲線の一例である。
【図20】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用される各ノードにおける速度誤差幅の確定の仕方を説明するために引用した目標速度値曲線の一例である。
【図21】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用される速度誤差幅から新規目標速度値曲線の形成の仕方を説明するために引用した目標速度値曲線の一例である。
【図22】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用される新規目標速度値曲線の決定の仕方を説明するために引用した目標速度値曲線の一例である。
【図23】本発明実施形態にかかわる車両速度制御装置において使用される目標地点までの目標速度値計算の仕方をフローチャートで示した図である。
【符号の説明】
【0087】
11…地図情報DB
12…現在位置取得部
13…現在位置誤差推定部
14…人間感性モデルDB
15…目標速度計算部
16…速度制御部(速度制御コントローラ)
17…ユーザインタフェース(UI)部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報と車両の現在位置情報とを用いて目標速度値を算出し、速度制御部に供給して制御対象区間における前記車両の速度制御を行う車両速度制御装置であって、
前記地図情報に含まれる、前記車両の現在位置近傍もしくは前記制御対象区間の属性を示すエリア特性情報に基づき、前記車両の位置誤差確率分布を目標速度補正指令として生成出力する現在位置誤差推定部と、
前記現在位置誤差推定部から目標速度補正指令を受信し、前記位置誤差確率分布と、変速開始地点から目標地点までの距離に応じて運転者に違和感を与えない加速度もしくは加速度の勾配があらかじめ登録されたデータとに基づき、前記車両の速度変化が連続曲線となるように前記目標地点までの目標速度値を地点毎に計算する目標速度計算部と、
前記車両の速度を検知し、前記目標速度値となるように駆動トルクを制御して前記車両の速度を制御する前記速度制御部と、
を備えたことを特徴とする車両速度制御装置。
【請求項2】
前記変速開始地点から目標地点までの距離に応じて運転者に違和感を与えない加速度もしくは加速度の勾配の他に、隣接する2つのノード間の距離を示すノード間リンク長、道路幅を示すノード間リンク幅、前記道路の車線数を示すノード間リンク数、前記ノード間リンク数が割り当てられているノードに対して割り当てられる右左折や直進に関する情報を示すノード間リンク情報、隣接する各ノードが結ぶリンクの制限速度値を示すノード間リンク速度のうちの、少なくとも一つがあらかじめ格納され、前記目標速度計算部によって参照される人間感性モデル記憶部、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両速度制御装置。
【請求項3】
前記車両の現在位置情報が取得できなかったとき、前記速度制御部による制御が不能であることを外部に通知するユーザインタフェース部、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両速度制御装置。
【請求項4】
前記現在位置誤差推定部は、
固定計測点位置誤差確率分布記憶部から、固定計測点ノード毎にあらかじめ登録されている位置誤差確率分布を取得する位置誤差確率分布取得部と、
前記地図情報から、前記車両の現在位置近傍もしくは制御対象区間の少なくとも2点の固定計測点ノード間の前記エリア特性情報を取得する地図情報取得部と、
前記位置誤差確率分布を、現在位置するノードの前記エリア特性情報と、次に位置するノードのエリア特性情報によって決まる、誤差確率分布補間パターン記憶部にあらかじめ定義され登録されたエリア遷移補間パターンにより補間演算し、前記車両の現在位置誤差情報を目標速度補正指令とともに出力する誤差確率分布補間部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両速度制御装置。
【請求項5】
前記現在位置誤差推定部は、
前記車両に搭載される車両センサについて、前記目標地点までのノード間で起こり得る誤差の大きさの確率分布を算出し、前記確率分布と、前記誤差確率分布補間部により補間された各ノードにおける誤差確率分布とを乗算して得られる新規誤差確率分布を目標速度補正指令とともに前記目標速度計算部に出力する車両情報誤差確率分布補正部と、
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の車両速度制御装置。
【請求項6】
前記目標速度計算部は、
前記位置誤差がない状態で、前記現在位置から目標地点までの目標速度をノード毎に算出して目標速度値曲線を生成する関数演算部と、
前記現在位置誤差推定部から前記目標速度補正指令を受信したとき、前記速度制御部の要求精度を満足する限界目標速度値曲線における許容誤差地点での速度値と、前記目標地点での目標速度値との差から許容誤差速度を算出する許容誤差速度算出部と、
入力を現在位置、出力を目標速度値とし、前記目標速度値に基づき前記車両の速度を変化させ、時間経過による前記現在位置の変化を検出し、前記変化を前記現在位置にフィードバックさせる車両速度制御系に対し、前記現在位置誤差推定部から出力される前記各ノードにおける位置誤差確率分布を入力して、前記変速開始地点から目標地点まで所定の振幅を持つ応答目標速度値曲線を生成出力する応答曲線生成部と、
前記位置誤差確率分布を所定の演算式により前後方向に誤差を持つ速度誤差幅に変換し、前記各ノードにおける目標速度誤差幅が、前記速度誤差幅内に収まる場合は前記各ノードの目標速度誤差幅を、収まらない場合は前記速度誤差幅の最大値もしくは最小値を用いて前記各ノードにおける目標速度誤差幅を更新する目標速度誤差幅更新部と、
前記各ノードの更新された目標速度誤差幅における各前方誤差幅の極値を通る新規の目標速度値曲線を地点毎に算出し、前記変速開始地点を前方にシフトした新規の目標速度値曲線を生成する新規目標速度値曲線生成部と、
前記新規の目標速度値曲線に対し、前記人間感性モデル記憶部を参照し、対象となるノードにおける目標速度値を補正し、前記補正された新規の目標速度値曲線を前記速度制御部に出力する目標速度値出力部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両速度制御装置。
【請求項7】
前記目標速度計算部は、
運転者が車両走行を重ねる都度、前記現在位置から目標地点までの目標速度をノード毎に算出して生成される前記新規目標速度値曲線をその経路毎に記憶し、以後、前記車両の同経路への接近が検出されたとき、該当する目標速度値曲線に従う目標速度を前記速度制御部へ出力する目標速度値曲線学習記憶部、
を更に備えたことを特徴とする請求項6に記載の車両速度制御装置。
【請求項8】
少なくとも、記憶装置と演算装置とから成り、地図情報と車両の現在地情報とを用いて各地点における目標速度値を計算し、速度制御部に供給して速度制御区間における前記車両の速度制御を行う車両速度制御装置の目標速度設定方法であって、
前記車両速度制御装置は、
前記地図情報に含まれる、前記車両の現在位置近傍もしくは制御対象区間の属性を示すエリア特性情報に基づき、前記演算装置により前記車両の位置誤差確率分布を生成出力する現在位置誤差推定ステップと、
前記記憶装置から、前記位置誤差確率分布、および変速開始地点から目標地点までの距離に応じて運転者に違和感を与えない加速度もしくは加速度の勾配があらかじめ登録されたデータを読み出し、前記演算装置により、前記車両の速度変化が連続曲線となるように前記目標地点までの目標速度値を地点毎に計算する目標速度計算ステップと、
を有することを特徴とする車両速度制御装置における目標速度設定方法。
【請求項9】
前記現在位置誤差推定ステップは、
前記記憶装置に格納された固定計測点位置誤差確率分布データベースから、固定計測点ノード毎にあらかじめ登録されている位置誤差確率分布を取得するステップと、
前記記憶装置に格納された地図情報から、前記車両の現在位置近傍における少なくとも2点の固定計測点ノード間における前記エリア特性情報を取得するステップと、
前記位置誤差確率分布を、現在位置するノードの前記エリア特性情報と、次に位置するノードのエリア特性情報によって決まるエリア遷移補間パターンにより補間し、前記車両の現在位置の誤差を演算するステップと、
前記車両に搭載される車両センサについて、前記目標位置までのノード間で起こり得る誤差の大きさの確率分布を求め、当該確率分布と、前記補間された各ノードにおける誤差確率分布とを乗算して得られる誤差確率分布を前記目標速度値として目標速度補正指令とともに出力するステップと、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の車両速度制御装置における目標速度設定方法。
【請求項10】
前記目標速度計算ステップは、
前記位置誤差がない状態で、前記現在位置から目標地点までの目標速度をノード毎に算出して目標速度値曲線を生成するステップと、
前記目標速度補正指令を受信したとき、前記速度制御部の要求精度を満足する限界目標速度値曲線における許容誤差地点での速度値と、前記目標地点での目標速度値との差から許容誤差速度を算出するステップと、
入力を現在位置、出力を目標速度とし、前記目標速度に基づき前記車両の速度を変化させ、時間経過による前記現在位置の変化を検出して当該変化を前記現在位置にフィードバックさせる車両速度制御系に対し、前記各ノードにおける位置誤差確率分布を入力して、変速開始地点から目標地点まで所定の振幅を持つ応答目標速度値曲線を生成するステップと、
前記位置誤差確率分布を所定の演算式により前後方向に誤差を持つ速度誤差幅に変換し、前記各ノードにおける目標速度誤差幅が、前記速度誤差幅内に収まる場合は前記各ノードの目標速度誤差幅を、収まらない場合は前記速度誤差幅の最大値もしくは最小値を用いて前記各ノードにおける目標速度誤差幅を更新するステップと、
前記各ノードの更新された速度誤差幅における各前方誤差幅の極値を通る新規の目標速度値曲線を生成し、前記変速開始地点を前方にシフトするステップと、
前記新規の目標速度値曲線に対し、前記変速開始地点からも目標地点までの距離に応じて運転者に違和感を与えない加速度もしくは加速度の勾配があらかじめ登録された人間感性モデル記憶部を参照して対象となるノードにおける目標速度値を補正し、前記補正された新規の目標速度値曲線を前記速度制御部に出力するステップと、
を含むことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の車両速度制御装置における目標速度設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−203860(P2007−203860A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−24389(P2006−24389)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】