金属配線形成方法及びアクティブマトリクス基板の製造方法
【課題】下地層に対する導電層の密着性を向上させる。
【解決手段】基板P上に下地層F1を形成する工程と、金属微粒子及び分散安定剤を含む溶液を下地層F1上に塗布する工程と、塗布した溶液を加熱処理して導電層F2を形成する工程とを有する。塗布した溶液中の下地層F1との界面近傍における分散安定剤の量に基づいて、加熱処理を開始するまでの時間を設定する。
【解決手段】基板P上に下地層F1を形成する工程と、金属微粒子及び分散安定剤を含む溶液を下地層F1上に塗布する工程と、塗布した溶液を加熱処理して導電層F2を形成する工程とを有する。塗布した溶液中の下地層F1との界面近傍における分散安定剤の量に基づいて、加熱処理を開始するまでの時間を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属配線形成方法及びアクティブマトリクス基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ノートパソコン、携帯電話などの携帯機器の普及に伴い、薄くて軽量な液晶表示装置等が幅広く用いられている。この種の液晶表示装置等は、上基板及び下基板間に液晶層を挟持したものとなっている。
前記下基板(アクティブマトリックス基板)の一例を、図18に示す。同図に示すように、下基板1は、ガラス基板2と、このガラス基板2上に互いに交差するように配線されたゲート走査電極3及びソース電極4と、同じくガラス基板2上に配線されたドレイン電極5と、このドレイン電極5に接続された画素電極(ITO)6と、ゲート走査電極3とソース電極4との間に介在された絶縁層7と、薄膜半導体からなるTFT(Thin Film Transistor)8とを備えて構成されている。
【0003】
上記下基板1における各金属配線の形成においては、例えば、特許文献1に示されるように、ドライプロセスとフォトリソエッチングを組み合わせた工程を複数回繰り返す手法が用いられている。
ところが、この技術では、ドライプロセスとフォトリソエッチングを組み合わせた処理を複数回行っているので、材料費や管理費がかさみやすく、また歩留まりも上げにくいという問題がある。
【0004】
そこで、近年、電子装置の製造過程に用いられる塗布技術として、液体吐出方式の利用が拡大する傾向にある。液体吐出方式による塗布技術は、一般に、基板と液体吐出ヘッドとを相対的に移動させながら、液体吐出ヘッドに設けられた複数のノズルから液状体を液滴として吐出し、その液滴を基板上に繰り返し付着させて塗布膜を形成するものであり、液状体の消費に無駄が少なく、任意のパターンをフォトリソグラフィーなどの手段を用いず直接塗布することが出来るといった利点を有する。
例えば、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4などには、パターン形成用材料を含んだ機能液を液滴吐出ヘッドから基板上に吐出することにより、パターン形成面に材料を配置(塗布)して半導体集積回路などの微細な配線パターンを形成する技術が開示されている。
【特許文献1】特許第3261699号公報
【特許文献2】特開平11−274671号公報
【特許文献3】特開2000−216330号公報
【特許文献4】特開2003−317610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
例えばガラス基板上に液滴吐出法により銀ナノインクを塗布して銀の導電層を形成する場合、銀はガラスへの密着性が低いため、それを改善する目的で導電層とガラス基板との間に酸化マンガン等の下地層を設けている。
ところが、銀ナノインクの塗布から焼成までの時間を管理せず、一定時間放置した後に焼成した場合、酸化マンガンとの界面の銀にボイドが生じてしまい、密着性が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、下地層に対する導電層の密着性を向上させる金属配線形成方法及びアクティブマトリクス基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の金属配線形成方法は、基板上に下地層を形成する工程と、金属微粒子及び分散安定剤を含む溶液を前記下地層上に塗布する工程と、塗布した前記溶液を加熱処理して導電層を形成する工程とを有する金属配線形成方法であって、前記塗布した溶液中の前記下地層との界面近傍における前記分散安定剤の量に基づいて、前記加熱処理を開始するまでの時間を設定することを特徴とするものである。
【0008】
溶液を加熱処理することにより、分散安定剤が金属微粒子から離脱し、金属微粒子どうしが凝集して粒成長が開始される。ここで、金属微粒子が粒成長を開始する前に下地層と接していると、金属微粒子が下地層に入り込んでアンカー効果により導電層の密着性が高まる。ところが、下地層との界面近傍において残留する分散安定剤の量が多い場合には、分散安定剤の存在により金属微粒子は下地層に入り込む前に粒成長してしまい、下地層に入り込めなくなる。金属微粒子は表面張力が高いため、下地層に対する接触角も大きくなり、その結果、下地層との界面にボイド(空隙部)が生じて密着性が低下してしまう。この分散安定剤は、溶液を下地層上に塗布してからの時間に応じて、下地層との界面近傍における量が増加する。
そこで、本発明の金属配線形成方法では、下地層との界面近傍における分散安定剤が所定量を超える前に加熱処理を開始することにより、金属微粒子を下地層に入り込ませて、導電層の密着性を高めることが可能になる。
【0009】
導電層を形成する金属微粒子としては、Au、Ag、Ni、Al、ITO、Pd、Bi、Cu、Mnまたはこれらの混合物を用いることができる。
【0010】
また、本発明では、下地層形成材料を含む液状体を前記基板上に塗布する工程と、前記液状体が部分結晶化状態となる温度で加熱する工程とを有する手順を好適に採用できる。
これにより、本発明では、下地層中に導電層形成材料である金属微粒子が入り込むため、アンカー効果が得られて導電層の密着性を向上させることが可能になる。
【0011】
さらに、本発明では、前記加熱処理を窒素雰囲気下で行う手順を好適に採用できる。
これにより、本発明では、例えば金属微粒子として銀を用いた場合に、酸素のある環境で加熱した際に粒成長する銀の成長を抑制することが可能になる。
【0012】
一方、本発明のアクティブマトリクス基板の製造方法は、基板上にゲート配線を形成する第1の工程と、前記ゲート配線上にゲート絶縁膜を形成する第2の工程と、前記ゲート絶縁膜を介して半導体層を積層する第3の工程と、前記ゲート絶縁層の上にソース電極及びドレイン電極及び画素電極を形成する第4の工程とを有し、前記第1の工程は、基板上に下地層を形成する工程と、金属微粒子及び分散安定剤を含む溶液を前記下地層上に塗布する工程と、塗布した前記溶液を加熱処理して前記ゲート配線を形成する工程とを含み、前記塗布した溶液中の前記下地層との界面近傍における前記分散安定剤の量に基づいて、前記加熱処理を開始するまでの時間を設定することを特徴とするものである。
【0013】
従って、本発明のアクティブマトリクス基板の製造方法では、ゲート配線の密着性が向上して、高品質のアクティブマトリクス基板を得ることが可能になる。
【0014】
金属微粒子としては、Au、Ag、Ni、Al、ITO、Pd、Bi、Cu、Mnまたはこれらの混合物を用いることができる。
【0015】
また、本発明では、下地層形成材料を含む液状体を前記基板上に塗布する工程と、前記液状体が部分結晶化状態となる温度で加熱する工程とを有する手順を好適に採用できる。
これにより、本発明では、下地層中に金属微粒子が入り込むため、アンカー効果が得られてゲート配線の密着性を向上させることが可能になる。
【0016】
さらに、本発明では、前記加熱処理を窒素雰囲気下で行う手順を好適に採用できる。
これにより、本発明では、例えば金属微粒子として銀を用いた場合に、酸素のある環境で加熱した際に粒成長する銀の成長を抑制することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の金属配線形成方法の実施の形態を、図1ないし図17を参照して説明する。まず、本発明に係る金属配線形成方法で形成される金属配線を有するアクティブマトリクス基板について説明する。
【0018】
<アクティブマトリクス基板>
図1は、本発明に係るアクティブマトリクス基板の一部を拡大した図である。
アクティブマトリクス基板(デバイス)20上は、格子状に配線されたゲート配線40とソース配線42とを備える。すなわち、複数のゲート配線40がX方向に延びるように形成され、ソース配線42がY方向に延びるように形成されている。
また、ゲート配線40には、ゲート配線40の一部としてゲート配線40よりも幅狭のゲート電極41が接続され、ゲート電極41上に絶縁層を介してTFT(スイッチング素子)30が配置される。一方、ソース配線42には、ソース電極43が接続され、ソース電極43の一端は、TFT30に接続する。
【0019】
そして、ゲート配線40とソース配線42に囲まれた領域には、画素電極45が配置され、ドレイン電極44を介してTFT30に接続する。
また、アクティブマトリクス基板20上には、ゲート配線40と略平行するように、容量線46が配線される。容量線46は、画素電極45及びソース配線42の下層に絶縁層を介して配置される。
なお、これらゲート配線40、ゲート電極41、ソース配線42、容量線46は、本発明に係る金属配線形成方法により形成されるものであり、同一の面上に形成される。
【0020】
図2は、アクティブマトリクス基板20の等価回路図であって、液晶表示装置に用いた場合である。
アクティブマトリクス基板20を液晶表示装置に用いた場合には、画像表示領域には複数の画素100aがマトリクス状に構成される。これらの画素100aの各々には、画素スイッチング用のTFT30が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するソース配線42が図1に示したソース電極43を介してTFT30のソースに電気的に接続されている。ソース配線42に供給する画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のソース配線42同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
また、TFT30のゲートには、ゲート配線40が図1に示したゲート電極41を介して電気的に接続されている。そして、所定のタイミングで、ゲート配線40にパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。
【0021】
画素電極45は、TFT30のドレインにドレイン電極44を介して電気的に接続されている。そして、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオン状態とすることにより、ソース配線42から供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極45を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、図16に示す対向基板120の対向電極121との間で一定期間保持される。
【0022】
なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、容量線46によって、画素電極45と対向電極121との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量48が付加されている。例えば、画素電極45の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量48により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い液晶表示装置(電気光学装置)100を実現することができる。
【0023】
<液滴吐出装置>
次に、上述したアクティブマトリクス基板20の製造に用いられる液滴吐出装置について図3及び図4を参照して説明する。
図3に示すように、液滴吐出装置(インクジェット装置)IJは、液滴吐出ヘッドから基板Pに対して液滴を吐出(滴下)するものであって、液滴吐出ヘッド301と、X方向駆動軸304と、Y方向ガイド軸305と、制御装置CONTと、ステージ307と、クリーニング機構308と、基台309と、ヒータ315とを備えている。ステージ307は、この液滴吐出装置IJによりインク(液体材料、液状体)を設けられる基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0024】
液滴吐出ヘッド301は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とY軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド301の下面にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド301の吐出ノズルからは、ステージ307に支持されている基板Pに対して、導電性微粒子を含むインクが吐出される。
【0025】
X方向駆動軸304には、X方向駆動モータ302が接続されている。X方向駆動モータ302はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからX方向の駆動信号が供給されると、X方向駆動軸304を回転させる。X方向駆動軸304が回転すると、液滴吐出ヘッド301はX軸方向に移動する。
Y方向ガイド軸305は、基台309に対して動かないように固定されている。ステージ307は、Y方向駆動モータ303を備えている。Y方向駆動モータ303はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY方向の駆動信号が供給されると、ステージ307をY方向に移動する。
【0026】
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド301に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X方向駆動モータ302に液滴吐出ヘッド301のX方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y方向駆動モータ303にステージ307のY方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構308は、液滴吐出ヘッド301をクリーニングするものである。クリーニング機構308には、図示しないY方向の駆動モータが備えられている。このY方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y方向ガイド軸305に沿って移動する。クリーニング機構308の移動も制御装置CONTにより制御される。
ヒータ315は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ315の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
【0027】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド301と基板Pを支持するステージ307とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、X方向を走査方向、X方向と直交するY方向を非走査方向とする。
したがって、液滴吐出ヘッド301の吐出ノズルは、非走査方向であるY方向に一定間隔で並んで設けられている。なお、図3では、液滴吐出ヘッド301は、基板Pの進行方向に対し直角に配置されているが、液滴吐出ヘッド301の角度を調整し、基板Pの進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、液滴吐出ヘッド301の角度を調整することで、ノズル間のピッチを調節することが出来る。また、基板Pとノズル面との距離を任意に調節することが出来るようにしてもよい。
【0028】
図4は、液滴吐出ヘッド301の断面図である。
液滴吐出ヘッド301には、液体材料(配線用インク等)を収容する液体室321に隣接してピエゾ素子322が設置されている。液体室321には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系323を介して液体材料が供給される。
ピエゾ素子322は駆動回路324に接続されており、この駆動回路324を介してピエゾ素子322に電圧を印加し、ピエゾ素子322を変形させることにより、液体室321が変形し、ノズル325から液体材料が吐出される。
この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み速度が制御される。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0029】
なお、液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御してノズルから吐出させるものである。
また、加圧振動方式は、材料に例えば30kg/cm2程度の超高圧を印加してノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進してノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散してノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出してノズルから吐出させるものである。
【0030】
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。なお、液滴吐出法により吐出される液状材料(流動体)の一滴の量は、例えば1〜300ナノグラムである。
【0031】
また、液滴として吐出される溶液に含まれる導電性微粒子(金属微粒子)としては、例えば、Au、Ag、Ni、Al、ITO、Pd、Bi、Cu、Mnまたはこれらの混合物が用いられる。これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。
【0032】
導電性微粒子の粒径は1nm以上0.1μm以下であることが好ましい。0.1μmより大きいと、後述する液滴吐出ヘッドのノズルに目詰まりが生じるおそれがある。また、1nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
【0033】
また、導電性微粒子が接触して凝集を起こすことを防ぐために、分散安定剤が添加される。分散安定剤としては、例えば、アルキルアミン等のアミン化合物が用いられる。この分散安定剤は、金属微粒子表面から離脱した後、最終的には、分散溶媒とともに、蒸散することが可能であることが必要であり、少なくとも、沸点が300℃を超えない範囲、通常、250℃以下の範囲となるものが好ましい。例えば、アルキルアミンとして、そのアルキル基は、C8〜C18の範囲に選択され、アルキル鎖の末端にアミノ基を有するものが用いられる。例えば、前記C8〜C18の範囲のアルキルアミンは、熱的な安定性もあり、また、室温付近での蒸気圧もさほど高くなく、室温等で保管する際、含有率を所望の範囲に維持・制御することが容易であるなど、ハンドリング性の面から好適に用いられる。
【0034】
分散媒(溶液)としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0035】
導電性微粒子の分散液の表面張力は、例えば0.02N/m以上0.07N/m以下の範囲内であることが好ましい。インクジェット法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0036】
分散液の粘度は、例えば1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。
インクジェット法を用いて液体材料を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となる。
【0037】
<アクティブマトリクス基板の製造方法>
次に、本発明に係る金属配線形成方法を含むアクティブマトリクス基板20の製造方法について図を参照して説明する。
アクティブマトリクス基板20は、基板P上に格子パターンの配線を形成する第1工程と、積層部35を形成する第2工程と、画素電極45等を形成する第3工程により製造される。
以下、各工程毎に詳細に説明する。
【0038】
(第1工程:配線形成)
図5、図6及び図7は、第1工程である配線形成工程(金属配線形成工程)を説明する図である。なお、図5(b)及び図7(b)は、それぞれ図5(a)、図7(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
ゲート配線40やソース配線42等の格子パターンの配線が形成される基板Pとしては、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、金属板など各種の材料を用いることができる。また、これら各種の素材基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜などが下地層として形成されたものも含む。
【0039】
そして、まず、図5に示すように、ここでは無アルカリガラスから成る基板P上に、絶縁性の有機樹脂からなるバンク51が形成される。バンクは、後述する配線用インクを基板Pの所定位置に配置するためのものである。
具体的には、図5(a)に示すように、洗浄した基板Pの上面に、格子パターンの配線の形成位置に対応した複数の開口部52,53,54,55を有するバンク51をフォトリソグラフィ法に基づいて形成する。
バンク51の材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂などの高分子材料が用いられる。
【0040】
次に、バンク間におけるバンク形成時のレジスト(有機物)残渣を除去するために、基板Pに対して残渣処理を施す。
残渣処理としては、紫外線を照射することにより残渣処理を行う紫外線(UV)照射処理や大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするO2プラズマ処理等を選択できるが、ここではO2プラズマ処理を実施する。
具体的には、基板Pに対しプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射することで行う。O2プラズマ処理の条件としては、例えばプラズマパワーが50〜1000W、酸素ガス流量が50〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板Pの板搬送速度が0.5〜10mm/sec、基板温度が70〜90℃とされる。
なお、基板Pがガラス基板の場合、その表面は配線パターン形成材料に対して親液性を有しているが、本実施の形態のように残渣処理のためにO2プラズマ処理や紫外線照射処理を施すことで、基板表面の親液性を高めることができる。
【0041】
次に、バンク51には、開口部52,53,54,55内に配線パターン用インクを良好に配置させるために、撥液性処理を施される。撥液性処理として、CF4プラズマ処理等(フッ素成分を有するガスを用いたプラズマ処理)を施す。
このような撥液化処理を行うことにより、バンク51にはこれを構成する樹脂中にフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。なお、上述した親液化処理としてのO2プラズマ処理は、バンク51の形成前に行ってもよいが、O2プラズマによる前処理がなされると、バンク51がフッ素化(撥液化)されやすいという性質があるため、バンク51を形成した後にO2プラズマ処理することが好ましい。
なお、バンク51に対する撥液化処理により、先に親液化処理した基板P表面に対し多少は影響があるものの、特に基板Pがガラス等からなる場合には、撥液化処理によるフッ素基の導入が起こりにくいため、基板Pはその親液性、すなわち濡れ性が実質上損なわれることはない。
また、バンク51については、もともと撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成することにより、その撥液処理を省略するようにしてもよい。
【0042】
このバンク51により形成される開口部52,53,54,55は、ゲート配線40やソース配線42等の格子パターンの配線に対応している。すなわち、バンク51の開口部52,53,54,55に配線用金属材料を配置することにより、ゲート配線40やソース配線42等の格子パターンの配線が形成される。
具体的には、X方向に延びるように形成された開口部52,53は、ゲート配線40、容量線46の形成位置に対応する。そして、ゲート配線40の形成位置に対応する開口部52には、ゲート電極41の形成位置に対応する開口部54が接続している。また、Y方向に延びるように形成された開口部55は、ソース配線42の形成位置に対応する。なお、Y方向に延びる開口部55は、X方向に延びる開口部52,53と交差しないように、交差部56において分断されるように形成される。
【0043】
そして、上述した液滴吐出装置IJによって、導電性微粒子を含む配線用インクを開口部52,53,54,55内に吐出・配置することにより、基板P上にゲート配線40やソース配線42等からなる格子パターンの配線を形成する。
配線用インクは、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液や有機銀化合物や酸化銀ナノ粒子を溶媒(分散媒)に分散した溶液からなるものである。本実施形態では導電性微粒子として銀ナノ粒子を用い、分散安定剤としてアミノ化合物を用いた分散液を使用する。
【0044】
本実施形態では、ゲート配線40、ゲート電極41、ソース配線42、容量線46を図7(b)に示すように(図7(b)ではソース配線42のみ図示)三層構造で配線パターンを形成する。
具体的には、本実施形態では、ゲート配線40、ゲート電極41、ソース配線42、容量線46は下層から、マンガン層(下地層)F1、銀層(導電層)F2、ニッケル層(保護層)F3の三層で構成される。
このように成膜された配線においては、マンガン層F1は下地層として銀層F2の密着性向上に作用し、ニッケル層F3は保護膜として作用する。この保護膜は、銀や銅等からなる導電性膜の(エレクトロ)マイグレーション現象等を抑制するための薄膜として作用するものである。
【0045】
なお、以下の説明では、ゲート電極41及びソース配線42を成膜する場合について説明する。
上述した開口部54、55にマンガン層F1を形成するためには、まず有機系の分散媒に導電性微粒子としてマンガン(Mn)を分散させた機能液(液状体)の液滴を液滴吐出ヘッド301により開口部54、55の所定位置に配置する。機能液の液滴を開口部54、55に配置するときには、開口部54、55の上方より液滴吐出ヘッド301を使って液滴を開口部54、55に吐出する。
【0046】
基板Pに配線用インクを吐出した後には、分散媒(有機分)の除去のため、必要に応じて乾燥処理、焼成処理を行う。このような乾燥・焼成処理により、導電性微粒子間の電気的接触が確保され、導電性膜に変換される。
乾燥処理としては、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。この乾燥処理は、主に膜厚のムラを低減させるために行うものであり、例えば100℃で5分間加熱する。
【0047】
焼成処理及の処理温度としては、分散媒の沸点(蒸気圧)、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング剤の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。例えば、有機物からなるコーティング剤を除去するために、180〜215℃、より好ましくは200℃で30分以上加熱するが、220℃以上で加熱した場合にはほぼ結晶化状態となるが、本実施形態の焼成処理条件では、マンガン層F1を部分結晶化状態(未硬化状態)とすることができる。
これにより、図6(a)に示すように、開口部54、55に部分結晶化状態でマンガン層F1が0.01〜0.5μm程度の厚さで成膜される。
【0048】
次に、銀層F2を形成するために、有機系の分散媒に導電性微粒子として銀(Ag)のナノ粒子を分散させた機能液の液滴を、マンガン層F1が形成された開口部54、55内に配置する。この機能液には、銀のナノ粒子の他に、例えばアミノ化合物の分散安定剤が添加されて分散されている。
そして、マンガン層F1上に塗布配置された機能液に対しては、分散媒及び分散安定剤の除去のため、乾燥処理、焼成処理を行う。
【0049】
ここで、マンガン層F1上に塗布された機能液に含まれる銀微粒子は、マンガン層F1の未結晶化領域に入り込むことで、焼成後の銀層F2がアンカー効果によりマンガン層F1に対する密着性が高まることになる。一方、塗布された機能液に含まれる分散安定剤は、加熱処理により分散媒とともに除去されるが、塗布後に加熱処理が開始されるまでの時間にマンガン層F1との界面近傍において付着する量が増加し、マンガン層F1を覆うため、上記銀微粒子がマンガン層F1に入り込むことが阻害される。さらに、その間に銀微粒子は、粒成長して粒径が大きくなることで、マンガン層F1に入り込むことができなくなってしまう。金属膜は表面張力が高いため、下地層であるマンガン層F1に対する接触角も大きくなり、その結果、マンガン層F1との界面にボイド(空隙部)が生じて密着性が低下してしまう。
【0050】
そこで、本実施形態では、マンガン層F1上に機能液を塗布した後に、マンガン層F1との界面近傍において付着する分散安定剤の量が所定量以上に増加する前に加熱処理を開始する。
具体的には、実験結果から、上記の銀微粒子及び分散安定剤を含む機能液を常温(約23℃)でマンガン層F1上に塗布した後に10分を超えて加熱処理を開始した場合には、銀層F2のマンガン層F1との界面近傍にボイドが生じて密着性が低下したため、マンガン層F1上に機能液を塗布した後、10分以内に加熱処理を開始する。
なお、上記と同様に実験を行ったところ、マンガン層F1上に機能液を塗布した後、5分以内に加熱処理を開始することで、密着性をより高めることができた。
【0051】
銀微粒子及び分散安定剤を含む機能液に対する焼成処理としては、大気雰囲気下で約220℃、30分で焼成して分散媒(及び分散安定剤)を除去した後に、窒素雰囲気下で約300℃、30分で本焼成を行う。銀は、酸素のある環境で加熱すると粒子が成長する性質を有するが、本実施形態では窒素雰囲気下で本焼成を行うため粒成長が抑制される。
この焼成処理より、図6(b)に示すように、マンガン層F1上に積層状態で配置される銀層F2が成膜される。
【0052】
続いて、ニッケル層F3を形成するために、有機系の分散媒に導電性微粒子としてニッケルを分散させた機能液の液滴を銀層F2上に配置する。そして、配置された機能液に対しては、分散媒の除去のため、乾燥処理、焼成処理を行う。
この処理としては、まず乾燥むらを防止するために大気雰囲気下で約70℃、10分で乾燥処理した後に、大気雰囲気下で約220℃、30分で焼成して分散媒(有機分)を除去した後に、窒素雰囲気下で約300℃、30分で本焼成を行う。
この乾燥・焼成処理より、図7(b)に示すように、銀層F2上に積層状態で配置されるニッケル層F3が保護層47として成膜され、ゲート電極41及びソース配線42が形成される。
【0053】
このように、本実施形態の金属配線形成方法では、マンガン層F1との界面近傍における分散安定剤の量に基づき、銀層F2を成膜する際の加熱処理開始時間を設定しているので、付着する分散安定剤に阻害されることなく、銀ナノ粒子がマンガン層F1の未結晶化領域に入り込み、アンカー効果によりマンガン層F1に対する銀層F2の密着性を高めることが可能になる。
加えて、本実施形態では、マンガン層F1を未結晶化状態(未硬化状態)で成膜し、この状態のマンガン層F1上に銀層形成用の機能液を塗布するので、より高いアンカー効果を得ることが可能になり、マンガン層F1に対する銀層F2の密着性を一層高めることができる。
【0054】
また、本実施形態では、窒素雰囲気下での加熱処理も実施しているため、粒成長が起きやすい酸素雰囲気での焼成を最小に抑え、粒成長に伴って銀層F2(ひいてはゲート電極41やソース配線42)の平坦性が低下することを抑制できる。
【0055】
(第2工程:積層部形成)
図8〜図11は、第2工程である積層部形成工程を説明する図である。なお、図8(b)〜図11(b)は、それぞれ図8(a)〜図11(a)におけるA−A’線に沿う断面図であり、図9(c)〜図11(c)は、それぞれ図9(a)〜図11(a)におけるB−B’線に沿う断面図である。
【0056】
第2工程では、バンク51及び格子パターンの配線からなる層上の所定位置に絶縁膜31と半導体膜(コンタクト層33,活性層32)からなる積層部35を形成する。
より詳細には、まず、プラズマCVD法により、基板P上の全面に対して、絶縁膜31、活性層32、コンタクト層33の連続成膜を行う。具体的には、絶縁膜31として窒化シリコン膜、活性層32としてアモルファスシリコン膜、コンタクト層33としてn+型シリコン膜を原料ガスやプラズマ条件を変化させることにより連続して形成する。
【0057】
次いで、図9に示すように、フォトリソグラフィ法を用いて、所定位置にレジスト58(58a〜58c)を配置する。所定位置とは、図9(a)に示すように、ゲート配線40とソース配線42の交差部56上(レジスト58a)、ゲート電極41上(レジスト58c)、及び容量線46上(レジスト58b)である。
なお、交差部56上に配置するレジスト58aと容量線46上に配置するレジスト58bとは、接触しなように離間して配置形成される。また、ゲート電極41上に配置するレジスト58cには、ハーフ露光を行うことにより、図9(b)に示すように、溝59を形成する。
【0058】
次いで、基板Pの全面に対してエッチング処理を施して、レジスト58(58a〜58c)をマスクとして、コンタクト層33及び活性層32を除去する。更に、エッチング処理を施して、絶縁膜31を除去する。
これにより、図10に示すように、レジスト58(58a〜58c)を配置した所定位置以外の領域から、コンタクト層33、活性層32、絶縁膜31が取り除かれる。一方、レジスト58が配置された所定位置には、絶縁膜31と半導体膜(コンタクト層33,活性層32)からなる積層部35が形成される。
【0059】
なお、ゲート電極41上に形成される積層部35では、レジスト58cにハーフ露光を行って溝59を形成しておいたので、エッチング前に再度現像することにより溝が貫通する。図10(b)示すように、溝59に対応するコンタクト層33が除去され、2つに分断された状態に形成される。これにより、ゲート電極41上に活性層32及びコンタクト層33からなるスイッチング素子としてTFT30が形成される。
【0060】
そして、図11に示すように、コンタクト層33を保護する保護膜60として窒化シリコン膜を基板Pの全面に成膜する。
このようにして、積層部35の形成が完了する。
【0061】
(第3工程)
図12〜図14は、第3工程である画素電極45等の形成工程を説明する図である。なお、図12(b)〜図14(b)は、それぞれ図12(a)〜図14(a)におけるA−A’線に沿う断面図であり、図12(c)〜図14(c)は、それぞれ図12(a)〜図14(a)におけるB−B’線に沿う断面図である。
【0062】
第3工程では、ソース電極43、ドレイン電極44、導電層49及び画素電極45を形成する。
ソース電極43、ドレイン電極44、導電層49及び画素電極45はいずれも、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)等の透光性材料によって形成することができる。また、これらの電極等の形成には、第1工程と同様に、液滴吐出法が用いられる。
【0063】
まず、ゲート配線40及びソース配線42等を覆うようにバンク61をフォトリソグラフィ法に基づいて形成する。すなわち、図12に示すように、略格子状のバンク61が形成される。なお、ソース配線42とゲート配線40、及びソース配線42容量線46との交差部56には、開口部62が形成される。
また、開口部62は、図12(b)に示すように、ゲート電極41上に形成した積層部35(TFT30)の一部が露出するように形成される。すなわち、バンク61が積層部35(TFT30)をX方向に2分割するように形成される。
バンク61の材料としては、例えば、バンク51と同様に、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂などの高分子材料が用いられる。また、バンク51と同様に、撥液性処理を施される。
【0064】
バンク61により形成される開口部62は、分断されたソース配線42を連結する導電層49又はソース電極43の形成位置に対応している。また、バンク61により取り囲まれた領域は、画素電極45及びドレイン電極44の形成位置に対応している。すなわち、バンク61の開口部62内及びバンク61により取り囲まれた領域に透明導電性材料を配置することにより、分断されたソース配線42を連結する導電層49、ソース電極43、ドレイン電極44、画素電極45が形成される。なお、開口部62には、透明導電性材料以外の導電性材料を配置してもよい。
【0065】
次いで、基板Pの全面に成膜した保護膜60をバンク61をマスクとしてエッチング処理により除去する。これにより、図13に示すように、バンク61が配置されていない領域上に成膜した保護層60は、取り除かれる。なお、格子パターンの配線上に形成した金属保護膜47も取り除かれる。
【0066】
次いで、前述した液滴吐出装置IJによって、透明導電性材料をバンク61の開口部62内及びバンク61により取り囲まれた領域内に吐出・配置する。透明導電性材料は、ITOの導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液である。
【0067】
そして、基板Pに透明導電性材料を吐出した後には、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理、焼成処理を行う。乾燥・焼成処理により、導電性微粒子間の電気的接触が確保され、導電性膜に変換される。
【0068】
このようにして、基板P上には、図14に示すように、分断されたソース配線42を連結する導電層49、ソース電極43、ドレイン電極44、画素電極45が形成され、アクティブマトリクス基板20が製造される。
なお、本実施形態においては、バンク61の開口部62内及びバンク61により取り囲まれた領域内に吐出・配置する材料を透明導電材料としたが、接続抵抗を重視する場合には、分断されたソース配線42を連結する導電層49、ソース電極43には、銀や銅のような導電材料を使うこともできる。
また、本実施形態においては、透明導電性材料を液滴吐出法により配置する方法について説明したが、スパッタ処理とエッチング処理を行うことにより配置してもよい。この場合には、バンク61は不要となる。
【0069】
以上のように、本実施形態では、上記金属配線形成方法によって、優れた密着性及び平坦性をもって形成されたゲート電極41上に配置され、ゲート電極41の平坦度が転写されるTFT30に対しても品質及び平坦度を向上させることができる。特にボトムゲート構造のTFT30においては、チャンネル部のアモルファスシリコン膜の活性層32で、電子が絶縁膜31との界面側を流れるため、活性層32の平坦度が低く電子の移動距離が長くなると、電子の流れを阻害することになる。従って、活性層32の下地となるゲート電極41の平坦度を向上させることにより、活性層32が平滑化して電子の流れが円滑になることで、TFT30の特性(電界効果モビリティー)を向上させることができる。
【0070】
<電気光学装置>
次に、アクティブマトリクス基板20を用いた電気光学装置の一例である液晶表示装置100について説明する。
図15は、液晶表示装置100を対向基板側から見た平面図であり、図16は、図15のH−H’線に沿う断面図である。
なお、以下の説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0071】
図15及び図16において、液晶表示装置(電気光学装置)100は、アクティブマトリクス基板20を含むTFTアレイ基板110と対向基板120とが光硬化性の封止材であるシール材152によって貼り合わされ、このシール材152によって区画された領域内に液晶150が封入、保持されている。シール材152は、基板面内の領域において閉ざされた枠状に形成されてなり、液晶注入口を備えず、封止材にて封止された痕跡がない構成となっている。
【0072】
シール材152の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り153が形成されている。シール材152の外側の領域には、データ線駆動回路201及び実装端子202がTFTアレイ基板110の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板110の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。また、対向基板120のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板110と対向基板120との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
【0073】
なお、データ線駆動回路201及び走査線駆動回路204をTFTアレイ基板110の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板110の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。
また、液晶表示装置100においては、使用する液晶150の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、C−TN法、VA方式、IPS方式モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。
また、液晶表示装置100をカラー表示用として構成する場合には、対向基板120において、TFTアレイ基板110の後述する各画素電極に対向する領域に、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
【0074】
また、アクティブマトリクス基板20を用いた電気光学装置としては、例えば、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置に応用が可能である。
有機EL表示装置は、蛍光性の無機および有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して励起させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが再結合する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。
そして、TFT30を有するアクティブマトリクス基板20上に、有機EL表示素子に用いられる蛍光性材料のうち、赤、緑および青色の各発光色を呈する材料すなわち発光層形成材料及び正孔注入/電子輸送層を形成する材料をインクとし、各々をパターニングすることで、自発光フルカラー有機EL表示装置を製造することができる。
【0075】
さらに、アクティブマトリクス基板20は、PDP(プラズマディスプレイパネル)や、基板上に形成された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用する表面伝導型電子放出素子等にも適用可能である。
【0076】
<電子機器>
次に、本発明の電子機器の具体例について説明する。
図17(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図17(a)において、600は携帯電話本体を示し、601は上記実施形態の液晶表示装置100を備えた表示部を示している。
図17(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図17(b)において、700は情報処理装置、701はキーボードなどの入力部、703は情報処理本体、702は上記実施形態の液晶表示装置100を備えた表示部を示している。
図17(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図17(c)において、800は時計本体を示し、801は上記実施形態の液晶表示装置100を備えた表示部を示している。
このように、図17(a)〜(c)に示す電子機器は、上記実施形態の液晶表示装置100を備えたものであるので、TFTの特性が向上しており、高い品質や性能が得られる。
また、テレビやモニター等の大型液晶パネルにおいても本実施形態を用いることができる。
【0077】
なお、本実施形態の電子機器は液晶表示装置100を備えるものとしたが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。
【0078】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0079】
例えば、上記実施形態では、金属微粒子として銀微粒子を用いる構成としたが、これ以外にも、上述したAu、Ni、Al、ITO、Pd、Biまたはこれらの混合物を用いる構成としてもよい。同様に、分散安定剤としては、アミノ化合物に限定されるものではなく、他の有機物を用いる構成としてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、アクティブマトリクス基板のうち、ゲート配線40、ゲート電極41、ソース配線42、容量線46を本発明に係る金属配線形成方法で成膜するものとして説明したが、これ以外にも、ソース電極やドレイン電極、画素電極を成膜する際にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】アクティブマトリクス基板の一部拡大図である。
【図2】アクティブマトリクス基板の等価回路図である。
【図3】液滴吐出装置の概略斜視図である。
【図4】液滴吐出ヘッドの断面図である。
【図5】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図6】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図7】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図8】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図9】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図10】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図11】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図12】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図13】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図14】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図15】液晶表示装置を対向基板の側から見た平面図である。
【図16】液晶表示装置の断面図である。
【図17】電子機器の具体例を示す図である。
【図18】従来のアクティブマトリクス基板を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
F1…マンガン層(下地層)、 F2…銀層(導電層)、 F3…ニッケル層(保護層)、 IJ…液滴吐出装置(インクジェット装置)、 P…基板、 40…ゲート配線(金属配線)、 41…ゲート電極(金属配線)、 42…ソース配線(金属配線)、 46…容量線(金属配線)、 100…液晶表示装置(電気光学装置)、 600…携帯電話本体(電子機器)、 700…情報処理装置(電子機器)、 800…時計本体(電子機器)
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属配線形成方法及びアクティブマトリクス基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ノートパソコン、携帯電話などの携帯機器の普及に伴い、薄くて軽量な液晶表示装置等が幅広く用いられている。この種の液晶表示装置等は、上基板及び下基板間に液晶層を挟持したものとなっている。
前記下基板(アクティブマトリックス基板)の一例を、図18に示す。同図に示すように、下基板1は、ガラス基板2と、このガラス基板2上に互いに交差するように配線されたゲート走査電極3及びソース電極4と、同じくガラス基板2上に配線されたドレイン電極5と、このドレイン電極5に接続された画素電極(ITO)6と、ゲート走査電極3とソース電極4との間に介在された絶縁層7と、薄膜半導体からなるTFT(Thin Film Transistor)8とを備えて構成されている。
【0003】
上記下基板1における各金属配線の形成においては、例えば、特許文献1に示されるように、ドライプロセスとフォトリソエッチングを組み合わせた工程を複数回繰り返す手法が用いられている。
ところが、この技術では、ドライプロセスとフォトリソエッチングを組み合わせた処理を複数回行っているので、材料費や管理費がかさみやすく、また歩留まりも上げにくいという問題がある。
【0004】
そこで、近年、電子装置の製造過程に用いられる塗布技術として、液体吐出方式の利用が拡大する傾向にある。液体吐出方式による塗布技術は、一般に、基板と液体吐出ヘッドとを相対的に移動させながら、液体吐出ヘッドに設けられた複数のノズルから液状体を液滴として吐出し、その液滴を基板上に繰り返し付着させて塗布膜を形成するものであり、液状体の消費に無駄が少なく、任意のパターンをフォトリソグラフィーなどの手段を用いず直接塗布することが出来るといった利点を有する。
例えば、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4などには、パターン形成用材料を含んだ機能液を液滴吐出ヘッドから基板上に吐出することにより、パターン形成面に材料を配置(塗布)して半導体集積回路などの微細な配線パターンを形成する技術が開示されている。
【特許文献1】特許第3261699号公報
【特許文献2】特開平11−274671号公報
【特許文献3】特開2000−216330号公報
【特許文献4】特開2003−317610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
例えばガラス基板上に液滴吐出法により銀ナノインクを塗布して銀の導電層を形成する場合、銀はガラスへの密着性が低いため、それを改善する目的で導電層とガラス基板との間に酸化マンガン等の下地層を設けている。
ところが、銀ナノインクの塗布から焼成までの時間を管理せず、一定時間放置した後に焼成した場合、酸化マンガンとの界面の銀にボイドが生じてしまい、密着性が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、下地層に対する導電層の密着性を向上させる金属配線形成方法及びアクティブマトリクス基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の金属配線形成方法は、基板上に下地層を形成する工程と、金属微粒子及び分散安定剤を含む溶液を前記下地層上に塗布する工程と、塗布した前記溶液を加熱処理して導電層を形成する工程とを有する金属配線形成方法であって、前記塗布した溶液中の前記下地層との界面近傍における前記分散安定剤の量に基づいて、前記加熱処理を開始するまでの時間を設定することを特徴とするものである。
【0008】
溶液を加熱処理することにより、分散安定剤が金属微粒子から離脱し、金属微粒子どうしが凝集して粒成長が開始される。ここで、金属微粒子が粒成長を開始する前に下地層と接していると、金属微粒子が下地層に入り込んでアンカー効果により導電層の密着性が高まる。ところが、下地層との界面近傍において残留する分散安定剤の量が多い場合には、分散安定剤の存在により金属微粒子は下地層に入り込む前に粒成長してしまい、下地層に入り込めなくなる。金属微粒子は表面張力が高いため、下地層に対する接触角も大きくなり、その結果、下地層との界面にボイド(空隙部)が生じて密着性が低下してしまう。この分散安定剤は、溶液を下地層上に塗布してからの時間に応じて、下地層との界面近傍における量が増加する。
そこで、本発明の金属配線形成方法では、下地層との界面近傍における分散安定剤が所定量を超える前に加熱処理を開始することにより、金属微粒子を下地層に入り込ませて、導電層の密着性を高めることが可能になる。
【0009】
導電層を形成する金属微粒子としては、Au、Ag、Ni、Al、ITO、Pd、Bi、Cu、Mnまたはこれらの混合物を用いることができる。
【0010】
また、本発明では、下地層形成材料を含む液状体を前記基板上に塗布する工程と、前記液状体が部分結晶化状態となる温度で加熱する工程とを有する手順を好適に採用できる。
これにより、本発明では、下地層中に導電層形成材料である金属微粒子が入り込むため、アンカー効果が得られて導電層の密着性を向上させることが可能になる。
【0011】
さらに、本発明では、前記加熱処理を窒素雰囲気下で行う手順を好適に採用できる。
これにより、本発明では、例えば金属微粒子として銀を用いた場合に、酸素のある環境で加熱した際に粒成長する銀の成長を抑制することが可能になる。
【0012】
一方、本発明のアクティブマトリクス基板の製造方法は、基板上にゲート配線を形成する第1の工程と、前記ゲート配線上にゲート絶縁膜を形成する第2の工程と、前記ゲート絶縁膜を介して半導体層を積層する第3の工程と、前記ゲート絶縁層の上にソース電極及びドレイン電極及び画素電極を形成する第4の工程とを有し、前記第1の工程は、基板上に下地層を形成する工程と、金属微粒子及び分散安定剤を含む溶液を前記下地層上に塗布する工程と、塗布した前記溶液を加熱処理して前記ゲート配線を形成する工程とを含み、前記塗布した溶液中の前記下地層との界面近傍における前記分散安定剤の量に基づいて、前記加熱処理を開始するまでの時間を設定することを特徴とするものである。
【0013】
従って、本発明のアクティブマトリクス基板の製造方法では、ゲート配線の密着性が向上して、高品質のアクティブマトリクス基板を得ることが可能になる。
【0014】
金属微粒子としては、Au、Ag、Ni、Al、ITO、Pd、Bi、Cu、Mnまたはこれらの混合物を用いることができる。
【0015】
また、本発明では、下地層形成材料を含む液状体を前記基板上に塗布する工程と、前記液状体が部分結晶化状態となる温度で加熱する工程とを有する手順を好適に採用できる。
これにより、本発明では、下地層中に金属微粒子が入り込むため、アンカー効果が得られてゲート配線の密着性を向上させることが可能になる。
【0016】
さらに、本発明では、前記加熱処理を窒素雰囲気下で行う手順を好適に採用できる。
これにより、本発明では、例えば金属微粒子として銀を用いた場合に、酸素のある環境で加熱した際に粒成長する銀の成長を抑制することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の金属配線形成方法の実施の形態を、図1ないし図17を参照して説明する。まず、本発明に係る金属配線形成方法で形成される金属配線を有するアクティブマトリクス基板について説明する。
【0018】
<アクティブマトリクス基板>
図1は、本発明に係るアクティブマトリクス基板の一部を拡大した図である。
アクティブマトリクス基板(デバイス)20上は、格子状に配線されたゲート配線40とソース配線42とを備える。すなわち、複数のゲート配線40がX方向に延びるように形成され、ソース配線42がY方向に延びるように形成されている。
また、ゲート配線40には、ゲート配線40の一部としてゲート配線40よりも幅狭のゲート電極41が接続され、ゲート電極41上に絶縁層を介してTFT(スイッチング素子)30が配置される。一方、ソース配線42には、ソース電極43が接続され、ソース電極43の一端は、TFT30に接続する。
【0019】
そして、ゲート配線40とソース配線42に囲まれた領域には、画素電極45が配置され、ドレイン電極44を介してTFT30に接続する。
また、アクティブマトリクス基板20上には、ゲート配線40と略平行するように、容量線46が配線される。容量線46は、画素電極45及びソース配線42の下層に絶縁層を介して配置される。
なお、これらゲート配線40、ゲート電極41、ソース配線42、容量線46は、本発明に係る金属配線形成方法により形成されるものであり、同一の面上に形成される。
【0020】
図2は、アクティブマトリクス基板20の等価回路図であって、液晶表示装置に用いた場合である。
アクティブマトリクス基板20を液晶表示装置に用いた場合には、画像表示領域には複数の画素100aがマトリクス状に構成される。これらの画素100aの各々には、画素スイッチング用のTFT30が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するソース配線42が図1に示したソース電極43を介してTFT30のソースに電気的に接続されている。ソース配線42に供給する画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のソース配線42同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
また、TFT30のゲートには、ゲート配線40が図1に示したゲート電極41を介して電気的に接続されている。そして、所定のタイミングで、ゲート配線40にパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。
【0021】
画素電極45は、TFT30のドレインにドレイン電極44を介して電気的に接続されている。そして、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオン状態とすることにより、ソース配線42から供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極45を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、図16に示す対向基板120の対向電極121との間で一定期間保持される。
【0022】
なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、容量線46によって、画素電極45と対向電極121との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量48が付加されている。例えば、画素電極45の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量48により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い液晶表示装置(電気光学装置)100を実現することができる。
【0023】
<液滴吐出装置>
次に、上述したアクティブマトリクス基板20の製造に用いられる液滴吐出装置について図3及び図4を参照して説明する。
図3に示すように、液滴吐出装置(インクジェット装置)IJは、液滴吐出ヘッドから基板Pに対して液滴を吐出(滴下)するものであって、液滴吐出ヘッド301と、X方向駆動軸304と、Y方向ガイド軸305と、制御装置CONTと、ステージ307と、クリーニング機構308と、基台309と、ヒータ315とを備えている。ステージ307は、この液滴吐出装置IJによりインク(液体材料、液状体)を設けられる基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0024】
液滴吐出ヘッド301は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とY軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド301の下面にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド301の吐出ノズルからは、ステージ307に支持されている基板Pに対して、導電性微粒子を含むインクが吐出される。
【0025】
X方向駆動軸304には、X方向駆動モータ302が接続されている。X方向駆動モータ302はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからX方向の駆動信号が供給されると、X方向駆動軸304を回転させる。X方向駆動軸304が回転すると、液滴吐出ヘッド301はX軸方向に移動する。
Y方向ガイド軸305は、基台309に対して動かないように固定されている。ステージ307は、Y方向駆動モータ303を備えている。Y方向駆動モータ303はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY方向の駆動信号が供給されると、ステージ307をY方向に移動する。
【0026】
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド301に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X方向駆動モータ302に液滴吐出ヘッド301のX方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y方向駆動モータ303にステージ307のY方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構308は、液滴吐出ヘッド301をクリーニングするものである。クリーニング機構308には、図示しないY方向の駆動モータが備えられている。このY方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y方向ガイド軸305に沿って移動する。クリーニング機構308の移動も制御装置CONTにより制御される。
ヒータ315は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ315の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
【0027】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド301と基板Pを支持するステージ307とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、X方向を走査方向、X方向と直交するY方向を非走査方向とする。
したがって、液滴吐出ヘッド301の吐出ノズルは、非走査方向であるY方向に一定間隔で並んで設けられている。なお、図3では、液滴吐出ヘッド301は、基板Pの進行方向に対し直角に配置されているが、液滴吐出ヘッド301の角度を調整し、基板Pの進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、液滴吐出ヘッド301の角度を調整することで、ノズル間のピッチを調節することが出来る。また、基板Pとノズル面との距離を任意に調節することが出来るようにしてもよい。
【0028】
図4は、液滴吐出ヘッド301の断面図である。
液滴吐出ヘッド301には、液体材料(配線用インク等)を収容する液体室321に隣接してピエゾ素子322が設置されている。液体室321には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系323を介して液体材料が供給される。
ピエゾ素子322は駆動回路324に接続されており、この駆動回路324を介してピエゾ素子322に電圧を印加し、ピエゾ素子322を変形させることにより、液体室321が変形し、ノズル325から液体材料が吐出される。
この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み速度が制御される。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0029】
なお、液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御してノズルから吐出させるものである。
また、加圧振動方式は、材料に例えば30kg/cm2程度の超高圧を印加してノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進してノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散してノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出してノズルから吐出させるものである。
【0030】
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。なお、液滴吐出法により吐出される液状材料(流動体)の一滴の量は、例えば1〜300ナノグラムである。
【0031】
また、液滴として吐出される溶液に含まれる導電性微粒子(金属微粒子)としては、例えば、Au、Ag、Ni、Al、ITO、Pd、Bi、Cu、Mnまたはこれらの混合物が用いられる。これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。
【0032】
導電性微粒子の粒径は1nm以上0.1μm以下であることが好ましい。0.1μmより大きいと、後述する液滴吐出ヘッドのノズルに目詰まりが生じるおそれがある。また、1nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
【0033】
また、導電性微粒子が接触して凝集を起こすことを防ぐために、分散安定剤が添加される。分散安定剤としては、例えば、アルキルアミン等のアミン化合物が用いられる。この分散安定剤は、金属微粒子表面から離脱した後、最終的には、分散溶媒とともに、蒸散することが可能であることが必要であり、少なくとも、沸点が300℃を超えない範囲、通常、250℃以下の範囲となるものが好ましい。例えば、アルキルアミンとして、そのアルキル基は、C8〜C18の範囲に選択され、アルキル鎖の末端にアミノ基を有するものが用いられる。例えば、前記C8〜C18の範囲のアルキルアミンは、熱的な安定性もあり、また、室温付近での蒸気圧もさほど高くなく、室温等で保管する際、含有率を所望の範囲に維持・制御することが容易であるなど、ハンドリング性の面から好適に用いられる。
【0034】
分散媒(溶液)としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0035】
導電性微粒子の分散液の表面張力は、例えば0.02N/m以上0.07N/m以下の範囲内であることが好ましい。インクジェット法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0036】
分散液の粘度は、例えば1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。
インクジェット法を用いて液体材料を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となる。
【0037】
<アクティブマトリクス基板の製造方法>
次に、本発明に係る金属配線形成方法を含むアクティブマトリクス基板20の製造方法について図を参照して説明する。
アクティブマトリクス基板20は、基板P上に格子パターンの配線を形成する第1工程と、積層部35を形成する第2工程と、画素電極45等を形成する第3工程により製造される。
以下、各工程毎に詳細に説明する。
【0038】
(第1工程:配線形成)
図5、図6及び図7は、第1工程である配線形成工程(金属配線形成工程)を説明する図である。なお、図5(b)及び図7(b)は、それぞれ図5(a)、図7(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
ゲート配線40やソース配線42等の格子パターンの配線が形成される基板Pとしては、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、金属板など各種の材料を用いることができる。また、これら各種の素材基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜などが下地層として形成されたものも含む。
【0039】
そして、まず、図5に示すように、ここでは無アルカリガラスから成る基板P上に、絶縁性の有機樹脂からなるバンク51が形成される。バンクは、後述する配線用インクを基板Pの所定位置に配置するためのものである。
具体的には、図5(a)に示すように、洗浄した基板Pの上面に、格子パターンの配線の形成位置に対応した複数の開口部52,53,54,55を有するバンク51をフォトリソグラフィ法に基づいて形成する。
バンク51の材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂などの高分子材料が用いられる。
【0040】
次に、バンク間におけるバンク形成時のレジスト(有機物)残渣を除去するために、基板Pに対して残渣処理を施す。
残渣処理としては、紫外線を照射することにより残渣処理を行う紫外線(UV)照射処理や大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするO2プラズマ処理等を選択できるが、ここではO2プラズマ処理を実施する。
具体的には、基板Pに対しプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射することで行う。O2プラズマ処理の条件としては、例えばプラズマパワーが50〜1000W、酸素ガス流量が50〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板Pの板搬送速度が0.5〜10mm/sec、基板温度が70〜90℃とされる。
なお、基板Pがガラス基板の場合、その表面は配線パターン形成材料に対して親液性を有しているが、本実施の形態のように残渣処理のためにO2プラズマ処理や紫外線照射処理を施すことで、基板表面の親液性を高めることができる。
【0041】
次に、バンク51には、開口部52,53,54,55内に配線パターン用インクを良好に配置させるために、撥液性処理を施される。撥液性処理として、CF4プラズマ処理等(フッ素成分を有するガスを用いたプラズマ処理)を施す。
このような撥液化処理を行うことにより、バンク51にはこれを構成する樹脂中にフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。なお、上述した親液化処理としてのO2プラズマ処理は、バンク51の形成前に行ってもよいが、O2プラズマによる前処理がなされると、バンク51がフッ素化(撥液化)されやすいという性質があるため、バンク51を形成した後にO2プラズマ処理することが好ましい。
なお、バンク51に対する撥液化処理により、先に親液化処理した基板P表面に対し多少は影響があるものの、特に基板Pがガラス等からなる場合には、撥液化処理によるフッ素基の導入が起こりにくいため、基板Pはその親液性、すなわち濡れ性が実質上損なわれることはない。
また、バンク51については、もともと撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成することにより、その撥液処理を省略するようにしてもよい。
【0042】
このバンク51により形成される開口部52,53,54,55は、ゲート配線40やソース配線42等の格子パターンの配線に対応している。すなわち、バンク51の開口部52,53,54,55に配線用金属材料を配置することにより、ゲート配線40やソース配線42等の格子パターンの配線が形成される。
具体的には、X方向に延びるように形成された開口部52,53は、ゲート配線40、容量線46の形成位置に対応する。そして、ゲート配線40の形成位置に対応する開口部52には、ゲート電極41の形成位置に対応する開口部54が接続している。また、Y方向に延びるように形成された開口部55は、ソース配線42の形成位置に対応する。なお、Y方向に延びる開口部55は、X方向に延びる開口部52,53と交差しないように、交差部56において分断されるように形成される。
【0043】
そして、上述した液滴吐出装置IJによって、導電性微粒子を含む配線用インクを開口部52,53,54,55内に吐出・配置することにより、基板P上にゲート配線40やソース配線42等からなる格子パターンの配線を形成する。
配線用インクは、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液や有機銀化合物や酸化銀ナノ粒子を溶媒(分散媒)に分散した溶液からなるものである。本実施形態では導電性微粒子として銀ナノ粒子を用い、分散安定剤としてアミノ化合物を用いた分散液を使用する。
【0044】
本実施形態では、ゲート配線40、ゲート電極41、ソース配線42、容量線46を図7(b)に示すように(図7(b)ではソース配線42のみ図示)三層構造で配線パターンを形成する。
具体的には、本実施形態では、ゲート配線40、ゲート電極41、ソース配線42、容量線46は下層から、マンガン層(下地層)F1、銀層(導電層)F2、ニッケル層(保護層)F3の三層で構成される。
このように成膜された配線においては、マンガン層F1は下地層として銀層F2の密着性向上に作用し、ニッケル層F3は保護膜として作用する。この保護膜は、銀や銅等からなる導電性膜の(エレクトロ)マイグレーション現象等を抑制するための薄膜として作用するものである。
【0045】
なお、以下の説明では、ゲート電極41及びソース配線42を成膜する場合について説明する。
上述した開口部54、55にマンガン層F1を形成するためには、まず有機系の分散媒に導電性微粒子としてマンガン(Mn)を分散させた機能液(液状体)の液滴を液滴吐出ヘッド301により開口部54、55の所定位置に配置する。機能液の液滴を開口部54、55に配置するときには、開口部54、55の上方より液滴吐出ヘッド301を使って液滴を開口部54、55に吐出する。
【0046】
基板Pに配線用インクを吐出した後には、分散媒(有機分)の除去のため、必要に応じて乾燥処理、焼成処理を行う。このような乾燥・焼成処理により、導電性微粒子間の電気的接触が確保され、導電性膜に変換される。
乾燥処理としては、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。この乾燥処理は、主に膜厚のムラを低減させるために行うものであり、例えば100℃で5分間加熱する。
【0047】
焼成処理及の処理温度としては、分散媒の沸点(蒸気圧)、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング剤の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。例えば、有機物からなるコーティング剤を除去するために、180〜215℃、より好ましくは200℃で30分以上加熱するが、220℃以上で加熱した場合にはほぼ結晶化状態となるが、本実施形態の焼成処理条件では、マンガン層F1を部分結晶化状態(未硬化状態)とすることができる。
これにより、図6(a)に示すように、開口部54、55に部分結晶化状態でマンガン層F1が0.01〜0.5μm程度の厚さで成膜される。
【0048】
次に、銀層F2を形成するために、有機系の分散媒に導電性微粒子として銀(Ag)のナノ粒子を分散させた機能液の液滴を、マンガン層F1が形成された開口部54、55内に配置する。この機能液には、銀のナノ粒子の他に、例えばアミノ化合物の分散安定剤が添加されて分散されている。
そして、マンガン層F1上に塗布配置された機能液に対しては、分散媒及び分散安定剤の除去のため、乾燥処理、焼成処理を行う。
【0049】
ここで、マンガン層F1上に塗布された機能液に含まれる銀微粒子は、マンガン層F1の未結晶化領域に入り込むことで、焼成後の銀層F2がアンカー効果によりマンガン層F1に対する密着性が高まることになる。一方、塗布された機能液に含まれる分散安定剤は、加熱処理により分散媒とともに除去されるが、塗布後に加熱処理が開始されるまでの時間にマンガン層F1との界面近傍において付着する量が増加し、マンガン層F1を覆うため、上記銀微粒子がマンガン層F1に入り込むことが阻害される。さらに、その間に銀微粒子は、粒成長して粒径が大きくなることで、マンガン層F1に入り込むことができなくなってしまう。金属膜は表面張力が高いため、下地層であるマンガン層F1に対する接触角も大きくなり、その結果、マンガン層F1との界面にボイド(空隙部)が生じて密着性が低下してしまう。
【0050】
そこで、本実施形態では、マンガン層F1上に機能液を塗布した後に、マンガン層F1との界面近傍において付着する分散安定剤の量が所定量以上に増加する前に加熱処理を開始する。
具体的には、実験結果から、上記の銀微粒子及び分散安定剤を含む機能液を常温(約23℃)でマンガン層F1上に塗布した後に10分を超えて加熱処理を開始した場合には、銀層F2のマンガン層F1との界面近傍にボイドが生じて密着性が低下したため、マンガン層F1上に機能液を塗布した後、10分以内に加熱処理を開始する。
なお、上記と同様に実験を行ったところ、マンガン層F1上に機能液を塗布した後、5分以内に加熱処理を開始することで、密着性をより高めることができた。
【0051】
銀微粒子及び分散安定剤を含む機能液に対する焼成処理としては、大気雰囲気下で約220℃、30分で焼成して分散媒(及び分散安定剤)を除去した後に、窒素雰囲気下で約300℃、30分で本焼成を行う。銀は、酸素のある環境で加熱すると粒子が成長する性質を有するが、本実施形態では窒素雰囲気下で本焼成を行うため粒成長が抑制される。
この焼成処理より、図6(b)に示すように、マンガン層F1上に積層状態で配置される銀層F2が成膜される。
【0052】
続いて、ニッケル層F3を形成するために、有機系の分散媒に導電性微粒子としてニッケルを分散させた機能液の液滴を銀層F2上に配置する。そして、配置された機能液に対しては、分散媒の除去のため、乾燥処理、焼成処理を行う。
この処理としては、まず乾燥むらを防止するために大気雰囲気下で約70℃、10分で乾燥処理した後に、大気雰囲気下で約220℃、30分で焼成して分散媒(有機分)を除去した後に、窒素雰囲気下で約300℃、30分で本焼成を行う。
この乾燥・焼成処理より、図7(b)に示すように、銀層F2上に積層状態で配置されるニッケル層F3が保護層47として成膜され、ゲート電極41及びソース配線42が形成される。
【0053】
このように、本実施形態の金属配線形成方法では、マンガン層F1との界面近傍における分散安定剤の量に基づき、銀層F2を成膜する際の加熱処理開始時間を設定しているので、付着する分散安定剤に阻害されることなく、銀ナノ粒子がマンガン層F1の未結晶化領域に入り込み、アンカー効果によりマンガン層F1に対する銀層F2の密着性を高めることが可能になる。
加えて、本実施形態では、マンガン層F1を未結晶化状態(未硬化状態)で成膜し、この状態のマンガン層F1上に銀層形成用の機能液を塗布するので、より高いアンカー効果を得ることが可能になり、マンガン層F1に対する銀層F2の密着性を一層高めることができる。
【0054】
また、本実施形態では、窒素雰囲気下での加熱処理も実施しているため、粒成長が起きやすい酸素雰囲気での焼成を最小に抑え、粒成長に伴って銀層F2(ひいてはゲート電極41やソース配線42)の平坦性が低下することを抑制できる。
【0055】
(第2工程:積層部形成)
図8〜図11は、第2工程である積層部形成工程を説明する図である。なお、図8(b)〜図11(b)は、それぞれ図8(a)〜図11(a)におけるA−A’線に沿う断面図であり、図9(c)〜図11(c)は、それぞれ図9(a)〜図11(a)におけるB−B’線に沿う断面図である。
【0056】
第2工程では、バンク51及び格子パターンの配線からなる層上の所定位置に絶縁膜31と半導体膜(コンタクト層33,活性層32)からなる積層部35を形成する。
より詳細には、まず、プラズマCVD法により、基板P上の全面に対して、絶縁膜31、活性層32、コンタクト層33の連続成膜を行う。具体的には、絶縁膜31として窒化シリコン膜、活性層32としてアモルファスシリコン膜、コンタクト層33としてn+型シリコン膜を原料ガスやプラズマ条件を変化させることにより連続して形成する。
【0057】
次いで、図9に示すように、フォトリソグラフィ法を用いて、所定位置にレジスト58(58a〜58c)を配置する。所定位置とは、図9(a)に示すように、ゲート配線40とソース配線42の交差部56上(レジスト58a)、ゲート電極41上(レジスト58c)、及び容量線46上(レジスト58b)である。
なお、交差部56上に配置するレジスト58aと容量線46上に配置するレジスト58bとは、接触しなように離間して配置形成される。また、ゲート電極41上に配置するレジスト58cには、ハーフ露光を行うことにより、図9(b)に示すように、溝59を形成する。
【0058】
次いで、基板Pの全面に対してエッチング処理を施して、レジスト58(58a〜58c)をマスクとして、コンタクト層33及び活性層32を除去する。更に、エッチング処理を施して、絶縁膜31を除去する。
これにより、図10に示すように、レジスト58(58a〜58c)を配置した所定位置以外の領域から、コンタクト層33、活性層32、絶縁膜31が取り除かれる。一方、レジスト58が配置された所定位置には、絶縁膜31と半導体膜(コンタクト層33,活性層32)からなる積層部35が形成される。
【0059】
なお、ゲート電極41上に形成される積層部35では、レジスト58cにハーフ露光を行って溝59を形成しておいたので、エッチング前に再度現像することにより溝が貫通する。図10(b)示すように、溝59に対応するコンタクト層33が除去され、2つに分断された状態に形成される。これにより、ゲート電極41上に活性層32及びコンタクト層33からなるスイッチング素子としてTFT30が形成される。
【0060】
そして、図11に示すように、コンタクト層33を保護する保護膜60として窒化シリコン膜を基板Pの全面に成膜する。
このようにして、積層部35の形成が完了する。
【0061】
(第3工程)
図12〜図14は、第3工程である画素電極45等の形成工程を説明する図である。なお、図12(b)〜図14(b)は、それぞれ図12(a)〜図14(a)におけるA−A’線に沿う断面図であり、図12(c)〜図14(c)は、それぞれ図12(a)〜図14(a)におけるB−B’線に沿う断面図である。
【0062】
第3工程では、ソース電極43、ドレイン電極44、導電層49及び画素電極45を形成する。
ソース電極43、ドレイン電極44、導電層49及び画素電極45はいずれも、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)等の透光性材料によって形成することができる。また、これらの電極等の形成には、第1工程と同様に、液滴吐出法が用いられる。
【0063】
まず、ゲート配線40及びソース配線42等を覆うようにバンク61をフォトリソグラフィ法に基づいて形成する。すなわち、図12に示すように、略格子状のバンク61が形成される。なお、ソース配線42とゲート配線40、及びソース配線42容量線46との交差部56には、開口部62が形成される。
また、開口部62は、図12(b)に示すように、ゲート電極41上に形成した積層部35(TFT30)の一部が露出するように形成される。すなわち、バンク61が積層部35(TFT30)をX方向に2分割するように形成される。
バンク61の材料としては、例えば、バンク51と同様に、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂などの高分子材料が用いられる。また、バンク51と同様に、撥液性処理を施される。
【0064】
バンク61により形成される開口部62は、分断されたソース配線42を連結する導電層49又はソース電極43の形成位置に対応している。また、バンク61により取り囲まれた領域は、画素電極45及びドレイン電極44の形成位置に対応している。すなわち、バンク61の開口部62内及びバンク61により取り囲まれた領域に透明導電性材料を配置することにより、分断されたソース配線42を連結する導電層49、ソース電極43、ドレイン電極44、画素電極45が形成される。なお、開口部62には、透明導電性材料以外の導電性材料を配置してもよい。
【0065】
次いで、基板Pの全面に成膜した保護膜60をバンク61をマスクとしてエッチング処理により除去する。これにより、図13に示すように、バンク61が配置されていない領域上に成膜した保護層60は、取り除かれる。なお、格子パターンの配線上に形成した金属保護膜47も取り除かれる。
【0066】
次いで、前述した液滴吐出装置IJによって、透明導電性材料をバンク61の開口部62内及びバンク61により取り囲まれた領域内に吐出・配置する。透明導電性材料は、ITOの導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液である。
【0067】
そして、基板Pに透明導電性材料を吐出した後には、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理、焼成処理を行う。乾燥・焼成処理により、導電性微粒子間の電気的接触が確保され、導電性膜に変換される。
【0068】
このようにして、基板P上には、図14に示すように、分断されたソース配線42を連結する導電層49、ソース電極43、ドレイン電極44、画素電極45が形成され、アクティブマトリクス基板20が製造される。
なお、本実施形態においては、バンク61の開口部62内及びバンク61により取り囲まれた領域内に吐出・配置する材料を透明導電材料としたが、接続抵抗を重視する場合には、分断されたソース配線42を連結する導電層49、ソース電極43には、銀や銅のような導電材料を使うこともできる。
また、本実施形態においては、透明導電性材料を液滴吐出法により配置する方法について説明したが、スパッタ処理とエッチング処理を行うことにより配置してもよい。この場合には、バンク61は不要となる。
【0069】
以上のように、本実施形態では、上記金属配線形成方法によって、優れた密着性及び平坦性をもって形成されたゲート電極41上に配置され、ゲート電極41の平坦度が転写されるTFT30に対しても品質及び平坦度を向上させることができる。特にボトムゲート構造のTFT30においては、チャンネル部のアモルファスシリコン膜の活性層32で、電子が絶縁膜31との界面側を流れるため、活性層32の平坦度が低く電子の移動距離が長くなると、電子の流れを阻害することになる。従って、活性層32の下地となるゲート電極41の平坦度を向上させることにより、活性層32が平滑化して電子の流れが円滑になることで、TFT30の特性(電界効果モビリティー)を向上させることができる。
【0070】
<電気光学装置>
次に、アクティブマトリクス基板20を用いた電気光学装置の一例である液晶表示装置100について説明する。
図15は、液晶表示装置100を対向基板側から見た平面図であり、図16は、図15のH−H’線に沿う断面図である。
なお、以下の説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0071】
図15及び図16において、液晶表示装置(電気光学装置)100は、アクティブマトリクス基板20を含むTFTアレイ基板110と対向基板120とが光硬化性の封止材であるシール材152によって貼り合わされ、このシール材152によって区画された領域内に液晶150が封入、保持されている。シール材152は、基板面内の領域において閉ざされた枠状に形成されてなり、液晶注入口を備えず、封止材にて封止された痕跡がない構成となっている。
【0072】
シール材152の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り153が形成されている。シール材152の外側の領域には、データ線駆動回路201及び実装端子202がTFTアレイ基板110の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板110の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。また、対向基板120のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板110と対向基板120との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
【0073】
なお、データ線駆動回路201及び走査線駆動回路204をTFTアレイ基板110の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板110の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。
また、液晶表示装置100においては、使用する液晶150の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、C−TN法、VA方式、IPS方式モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。
また、液晶表示装置100をカラー表示用として構成する場合には、対向基板120において、TFTアレイ基板110の後述する各画素電極に対向する領域に、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
【0074】
また、アクティブマトリクス基板20を用いた電気光学装置としては、例えば、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置に応用が可能である。
有機EL表示装置は、蛍光性の無機および有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して励起させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが再結合する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。
そして、TFT30を有するアクティブマトリクス基板20上に、有機EL表示素子に用いられる蛍光性材料のうち、赤、緑および青色の各発光色を呈する材料すなわち発光層形成材料及び正孔注入/電子輸送層を形成する材料をインクとし、各々をパターニングすることで、自発光フルカラー有機EL表示装置を製造することができる。
【0075】
さらに、アクティブマトリクス基板20は、PDP(プラズマディスプレイパネル)や、基板上に形成された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用する表面伝導型電子放出素子等にも適用可能である。
【0076】
<電子機器>
次に、本発明の電子機器の具体例について説明する。
図17(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図17(a)において、600は携帯電話本体を示し、601は上記実施形態の液晶表示装置100を備えた表示部を示している。
図17(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図17(b)において、700は情報処理装置、701はキーボードなどの入力部、703は情報処理本体、702は上記実施形態の液晶表示装置100を備えた表示部を示している。
図17(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図17(c)において、800は時計本体を示し、801は上記実施形態の液晶表示装置100を備えた表示部を示している。
このように、図17(a)〜(c)に示す電子機器は、上記実施形態の液晶表示装置100を備えたものであるので、TFTの特性が向上しており、高い品質や性能が得られる。
また、テレビやモニター等の大型液晶パネルにおいても本実施形態を用いることができる。
【0077】
なお、本実施形態の電子機器は液晶表示装置100を備えるものとしたが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。
【0078】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0079】
例えば、上記実施形態では、金属微粒子として銀微粒子を用いる構成としたが、これ以外にも、上述したAu、Ni、Al、ITO、Pd、Biまたはこれらの混合物を用いる構成としてもよい。同様に、分散安定剤としては、アミノ化合物に限定されるものではなく、他の有機物を用いる構成としてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、アクティブマトリクス基板のうち、ゲート配線40、ゲート電極41、ソース配線42、容量線46を本発明に係る金属配線形成方法で成膜するものとして説明したが、これ以外にも、ソース電極やドレイン電極、画素電極を成膜する際にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】アクティブマトリクス基板の一部拡大図である。
【図2】アクティブマトリクス基板の等価回路図である。
【図3】液滴吐出装置の概略斜視図である。
【図4】液滴吐出ヘッドの断面図である。
【図5】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図6】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図7】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図8】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図9】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図10】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図11】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図12】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図13】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図14】アクティブマトリクス基板を製造する手順を示す図である。
【図15】液晶表示装置を対向基板の側から見た平面図である。
【図16】液晶表示装置の断面図である。
【図17】電子機器の具体例を示す図である。
【図18】従来のアクティブマトリクス基板を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
F1…マンガン層(下地層)、 F2…銀層(導電層)、 F3…ニッケル層(保護層)、 IJ…液滴吐出装置(インクジェット装置)、 P…基板、 40…ゲート配線(金属配線)、 41…ゲート電極(金属配線)、 42…ソース配線(金属配線)、 46…容量線(金属配線)、 100…液晶表示装置(電気光学装置)、 600…携帯電話本体(電子機器)、 700…情報処理装置(電子機器)、 800…時計本体(電子機器)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に下地層を形成する工程と、金属微粒子及び分散安定剤を含む溶液を前記下地層上に塗布する工程と、塗布した前記溶液を加熱処理して導電層を形成する工程とを有する金属配線形成方法であって、
前記塗布した溶液中の前記下地層との界面近傍における前記分散安定剤の量に基づいて、前記加熱処理を開始するまでの時間を設定することを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項2】
請求項1記載の金属配線形成方法において、
前記金属微粒子は、Au、Ag、Ni、Al、ITO、Pd、Bi、Cu、Mnまたはこれらの混合物であることを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の金属配線形成方法において、
下地層形成材料を含む液状体を前記基板上に塗布する工程と、
前記液状体が部分結晶化状態となる温度で加熱する工程とを有することを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の金属配線形成方法において、
前記加熱処理を窒素雰囲気下で行うことを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項5】
アクティブマトリクス基板の製造方法において、
基板上にゲート配線を形成する第1の工程と、
前記ゲート配線上にゲート絶縁膜を形成する第2の工程と、
前記ゲート絶縁膜を介して半導体層を積層する第3の工程と、
前記ゲート絶縁層の上にソース電極及びドレイン電極及び画素電極を形成する第4の工程とを有し、
前記第1の工程は、基板上に下地層を形成する工程と、金属微粒子及び分散安定剤を含む溶液を前記下地層上に塗布する工程と、塗布した前記溶液を加熱処理して前記ゲート配線を形成する工程とを含み、
前記塗布した溶液中の前記下地層との界面近傍における前記分散安定剤の量に基づいて、前記加熱処理を開始するまでの時間を設定することを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載のアクティブマトリクス基板の製造方法において、
前記金属微粒子は、Au、Ag、Ni、Al、ITO、Pd、Bi、Cu、Mnまたはこれらの混合物であることを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項7】
請求項5または6記載のアクティブマトリクス基板の製造方法において、
下地層形成材料を含む液状体を前記基板上に塗布する工程と、
前記液状体が部分結晶化状態となる温度で加熱する工程とを有することを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項8】
請求項5から7のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法において、
前記加熱処理を窒素雰囲気下で行うことを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項1】
基板上に下地層を形成する工程と、金属微粒子及び分散安定剤を含む溶液を前記下地層上に塗布する工程と、塗布した前記溶液を加熱処理して導電層を形成する工程とを有する金属配線形成方法であって、
前記塗布した溶液中の前記下地層との界面近傍における前記分散安定剤の量に基づいて、前記加熱処理を開始するまでの時間を設定することを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項2】
請求項1記載の金属配線形成方法において、
前記金属微粒子は、Au、Ag、Ni、Al、ITO、Pd、Bi、Cu、Mnまたはこれらの混合物であることを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の金属配線形成方法において、
下地層形成材料を含む液状体を前記基板上に塗布する工程と、
前記液状体が部分結晶化状態となる温度で加熱する工程とを有することを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の金属配線形成方法において、
前記加熱処理を窒素雰囲気下で行うことを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項5】
アクティブマトリクス基板の製造方法において、
基板上にゲート配線を形成する第1の工程と、
前記ゲート配線上にゲート絶縁膜を形成する第2の工程と、
前記ゲート絶縁膜を介して半導体層を積層する第3の工程と、
前記ゲート絶縁層の上にソース電極及びドレイン電極及び画素電極を形成する第4の工程とを有し、
前記第1の工程は、基板上に下地層を形成する工程と、金属微粒子及び分散安定剤を含む溶液を前記下地層上に塗布する工程と、塗布した前記溶液を加熱処理して前記ゲート配線を形成する工程とを含み、
前記塗布した溶液中の前記下地層との界面近傍における前記分散安定剤の量に基づいて、前記加熱処理を開始するまでの時間を設定することを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載のアクティブマトリクス基板の製造方法において、
前記金属微粒子は、Au、Ag、Ni、Al、ITO、Pd、Bi、Cu、Mnまたはこれらの混合物であることを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項7】
請求項5または6記載のアクティブマトリクス基板の製造方法において、
下地層形成材料を含む液状体を前記基板上に塗布する工程と、
前記液状体が部分結晶化状態となる温度で加熱する工程とを有することを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項8】
請求項5から7のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法において、
前記加熱処理を窒素雰囲気下で行うことを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−281416(P2007−281416A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318701(P2006−318701)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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