金属配線構造の形成方法
【課題】平坦かつ薄いバリア膜またはRu膜をダマシン構造で形成する。
【解決手段】金属配線構造を形成する方法は、(i)露出した配線層及び露出した絶縁層を含む多層構造を反応空間内に与える工程と、(ii)還元雰囲気中で、絶縁層の少なくとも露出面上に-NH2または>NHターミナルを導入する工程と、(iii)反応空間へ還元剤を導入し、その後反応空間をパージする工程と、(iv)反応空間へハロゲン化金属化合物を導入し、その後反応空間をパージする工程と、(v) N及びHを含むガスを導入し、その後反応空間をパージする工程と、(vi)金属含有バリア層を製造するべく工程(iii)から(v)を連続して繰り返す工程と、(vii)金属含有バリア層上に金属膜を形成する工程と、を含む。
【解決手段】金属配線構造を形成する方法は、(i)露出した配線層及び露出した絶縁層を含む多層構造を反応空間内に与える工程と、(ii)還元雰囲気中で、絶縁層の少なくとも露出面上に-NH2または>NHターミナルを導入する工程と、(iii)反応空間へ還元剤を導入し、その後反応空間をパージする工程と、(iv)反応空間へハロゲン化金属化合物を導入し、その後反応空間をパージする工程と、(v) N及びHを含むガスを導入し、その後反応空間をパージする工程と、(vi)金属含有バリア層を製造するべく工程(iii)から(v)を連続して繰り返す工程と、(vii)金属含有バリア層上に金属膜を形成する工程と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年10月7日に出願した米国特許出願第11/245,908号の部分継続出願であり、当該出願はここに参考文献として組み込む。
【0002】
本発明は微細半導体デバイスを製造する際に好適に使用される金属配線構造を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体デバイスの配線層の形成において、信号の伝送遅延を防止するために、配線間の絶縁層として低誘電率の絶縁膜を使用するとともに、配線として抵抗の小さいCu及び他の金属が使用されている。Cu配線構造を形成する際、一般的方法は、ボトム層のCu配線上に層間絶縁膜を形成し、その後、この絶縁層内に下部層及び、上部層において配線パターンとなるトレンチ、並びに上部層と接続するコンタクトビアを形成し、ダマシン構造を製造する。この場合、トップ層で配線パターンとなるCu膜を絶縁膜上に直接形成することは、Cuに絶縁層内への拡散を生じさせ、デバイス特性に影響を及ぼす。したがって、Cu拡散を防止するために、Cu膜と絶縁層との間に金属バリア層が形成される。
【0004】
この金属バリア膜は、スパッタ法、CVD法及びALDなどさまざまな方法により形成される。バリア膜を形成するのに使用される材料として、TiN、TaN及びWNが含まれる。半導体デバイスがより微細化するに従い、良好なステップカバレッジをもたらすCVD膜がバリア膜として採用され、ALD膜はごく最近採用されてきた。これらの膜を形成するのに使用される材料として、TiCl4、TaF5、WF6及び他のハロゲン化合物が含まれ、一方窒化膜を形成するのにNH3及び他のガスが使用される。PVDに比べCVD及びALDによれば、材料ガスとの化学反応のため層間膜がダメージをより受けやすくなる。多くの場合、CVD及びALDは十分な密着性を与えない。また、CVDまたはALDにより形成されたバリア膜はCu膜と良好な密着性を必ずしも与えない。これらの理由から、密着性を改善するための手段として、CVDまたはALD形成バリア膜とCuとの間にTaまたはRuを挿入することが提案された。
【0005】
国際公開公報WO03/056612は、Ru膜が層間膜上に直接形成される構造とともに、プラズマALDによりRu膜がバリア層膜上に形成される構造を開示する。ここで、Cu膜はCVDまたは電気めっきによりRu膜上に形成される。
【0006】
米国特許第6,759,325号は、SiO2膜より低い特定の誘電率を有する層間絶縁膜として与えられる多孔質SiOC膜上に、ALDを使って金属バリアが形成される際、ALD形成バリア膜が気孔を通じてSiOC膜へ拡散しないようにするための方法を開示する。
【特許文献1】米国特許第6,759,325号
【0007】
この方法は、表面層付近の気孔をシールし、その後ALDを使って金属バリアを形成するために、層間絶縁膜の表面全体に導体膜を形成するようPVDまたはCVDを使用する方法を与える。
【0008】
JAP Vol. 95, No.1, pp.381-388(2004)は、ALD-WNC膜を形成するための方法を開示する。特定的に、ICPプラズマ装置またはTCPプラズマ装置が、酸素及び窒素を含む混合ガスにより、低誘電率面をプラズマ処理するのに使用され、その後WF6、TEB及びNH3ガスがひとつずつ導入される。この処理が繰り返されると、タングステンが低誘電率膜中に拡散することなく平坦なWNC膜が形成される。ここで、表面の酸素及び窒素の存在が均一なWNC膜を形成する際に有効であると主張されている。酸素の含量は99から20%の範囲である。SiOCにより構成される低誘電率の絶縁膜は多孔質膜であり、その気孔サイズは形成方法に応じて変化する。上記プラズマ処理は形成されたWNC膜が絶縁膜中に浸透するのを防止すると報告されている。
【0009】
電極としてRu膜を使用するキャパシタの形成において、Ru膜の平坦性は非常に重要である。キャパシタの場合、極端に薄い絶縁膜が電極上に形成されなければならない。Ru膜が非常に粗い面であれば、絶縁膜の電気的特性は簡単に劣化する。特開2003-168738は、キャパシタを形成する際、ボトム電極としてRu膜の直下に金属バリアを形成する方法を開示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した国際公開WO03/056612において、Ru膜がプラズマALDによりバリア層膜上に形成されるところの構造、及びRu膜が層間膜上に直接形成されるところの構造が開示されている。しかし、原子層蒸着により層間絶縁膜上に直接薄いRu膜を形成するのは困難である。一般に誘電率を低く維持するために多孔質絶縁膜が使用されるため、絶縁層上に平坦な薄膜を形成することは特に困難である。一方、Ru膜が層間絶縁膜上に与えられるバリア層の頂上に形成されれば、均一なRu膜を形成するのは比較的簡単である。しかし、この場合、バリア膜自身の平坦性がRu膜に影響を与え、バリア膜は低誘電率の多孔質膜上に均一に形成されない。これらの理由から、均一なRu膜の形成は困難であった。薄いバリア膜を形成する試みは不連続な膜を生じさせ、膜厚の増加によっても表面粗さは改善されないであろう。
【0011】
本発明は上記問題に鑑みて為されたものである。ひとつの実施例において、本発明の目的は、平坦なバリア層を形成することである。他の実施例において、本発明の目的は薄く、連続で、平坦なバリア層またはRu膜を形成することである。さらに他の実施例において、本発明の目的は、平坦で、薄いバリア膜またはRu膜をダマシン構造において形成することである。さらに他の実施例において、本発明の目的は、平坦なバリア膜の頂上に形成されるRu電極により構成されたキャパシタを製造することである。さらに他の実施例において、本発明の目的はRu膜以外の金属膜に適用することである。
【0012】
本発明はさまざまな実施例における上記目的のひとつまたはそれ以上を達成するものである。しかし、本発明は上記目的に制限されず、実施例において、本発明はそれらの目的以外の効果を示すものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ひとつの態様において、本発明は、金属含有バリア層を含む金属配線構造を形成するべく、該金属含有バリア層を製造するための方法を与え、当該方法は、(i)反応空間内に露出した配線層及び露出した絶縁層を含む多層構造を与える工程と、(ii)還元雰囲気で絶縁層の少なくとも露出面上に、Nを含むターミナル、典型的に-NH2または>NHターミナルのようなN及びHを含むターミナルを導入する工程と、(iii) 導入したターミナルを還元するべく反応空間に還元剤を導入し、その後反応空間をパージする工程と、(iv)導入した還元剤を置換するべく反応空間に金属ハロゲン化合物を導入し、その後反応空間をパージする工程と、(v) N含有ターミナル、典型的にN及びH含有ターミナルを与えるべく、導入された金属ハロゲン化合物により形成された面に、N含有ガス、典型的にN及びH含有ガスを導入し、その後反応空間をパージする工程と、から成る。当該方法は、さらに、(vi)金属含有バリア層を形成するべく工程(iii)から(v)を連続して繰り返す工程と、(vii)金属含有バリア層上に金属膜を形成する工程であって、該金属膜は配線層を構成する金属以外の金属から成るところの工程とを含む。
【0014】
上記態様は、これに限定されないが、以下の実施例を含む。
【0015】
当該方法はさらに、工程(ii)の前に、配線層の露出面上に形成された酸化膜を還元するべく反応空間へH2含有還元ガスのプラズマまたはラジカルを導入する工程を含んでもよい。工程(ii)は励起したNH3、励起したNH2、若しくは励起したN2/H2またはN2/H2を含むプラズマまたはラジカルにより、配線層の露出面及び絶縁層の露出面を処理する工程から成る。
【0016】
工程(ii)は、励起したNH3、励起したNH2または励起したN2/H2を含むプラズマまたはラジカルにより、配線層の露出面及び絶縁層の露出面を処理する工程から成ることもできる。
【0017】
工程(ii)は、N2の分圧が5%から50%であるようなN2及びH2を含むガスから誘導された励起したN2/H2を含むプラズマまたはラジカルを使用してもよい。上記において、絶縁層はSiOCにより構成されてもよい。
【0018】
絶縁層は、炭化シリコン、Nドープ炭化シリコン、窒化シリコン、酸化シリコン、Cドープ酸化シリコン、及び有機シリコンから作られた絶縁材料から構成される集合から選択された材料により構成される。
【0019】
工程(iii)から(v)は原子層蒸着を実行する。
【0020】
工程(iii)の還元剤は、ジボラン、アルキルボラン、ジシラン、モノシラン、及びアルキルシランから成る集合から選択される。
【0021】
工程(iv)のハロゲン化金属は、W、Ta及びTiから成る集合から選択された金属を含む。
【0022】
工程(V)のN及びHを含むガスはNH3である。
【0023】
金属含有バリア層は、少なくとも金属、炭素及び窒素により構成される。
【0024】
金属膜はRu膜またはTa膜である。
【0025】
工程(vii)は、(a)Ruソースガスを導入する工程と、(b)反応空間をパージする工程と、(c)H及びNを含むガスを導入する工程と、(d)反応空間をパージする工程と、(e)工程(a)から(d)を繰り返す工程と、から成る。H及びNを含むガスはNH3またはN2及びH2の混合ガスである。該ガスはプラズマにより励起されてもよい。
【0026】
工程(iii)から(vi)及び工程(vii)は、それぞれの反応空間内で実行され、真空を壊すことなく連続して実行される。
【0027】
当該方法はさらに、金属膜上に銅層を形成する工程を含む。上記において、工程(ii)、工程(iii)から(vi)、工程(vii)及び銅層を形成する工程は、それぞれの反応空間内で実行され、真空を壊すことなく連続して実行される。
【0028】
工程(iii)は還元剤により-NH2または>NHを還元するために実行され、それにより、-NH-Aまたは>N-Aが与えられ、ここでAは還元剤から誘導される。工程(iv)はAをハロゲン化金属化合物と置換するために実行され、それにより、-NH-Mまたは>N-Mが与えられ、ここでMはハロゲン化金属化合物から誘導される。工程(v)はM内のハロゲンを-NH2または>NHと置換するために実行され、それにより、-NH-M’-Trまたは>N-M’-Trが与えられ、ここでM’はMから誘導され、Trは-NH2または>NHである。
【0029】
配線層は銅から成る。
【0030】
他の態様において、本発明は、キャパシタを製造するための方法を与え、当該方法は、(I)第1の態様にしたがって、金属配線構造を形成する工程であって、金属膜は下部電極として機能するところの工程と、(II)金属配線構造上に薄い絶縁膜を形成する工程と、(III)薄い絶縁膜上に上部電極を形成する工程と、から成る。
【0031】
さらに他の態様において、本発明は、金属含有バリア層を含む金属配線構造を形成するための方法を与え、該金属含有バリア層を製造する方法は、(i)露出配線層及び露出絶縁層を含む多層構造を与える工程と、(ii)還元雰囲気中で少なくとも絶縁層の露出面上に-NH2または>NHを導入する工程と、(iii)-NH-Aまたは>N-Aを与えるべく還元剤により-NH2または>NHを還元する工程であって、ここでAは還元剤から誘導されるところの工程と、(iv)-NH-Mまたは>N-Mを与えるべくAをハロゲン化金属化合物と置換する工程であって、ここでMはハロゲン化金属化合物から誘導されるところの工程と、(v) -NH-M’-Trまたは>N-M’-Trを与えるべくM中のハロゲンを-NH2または>NHと置換する工程であって、ここでM’はMから誘導され、Trは-NH2または>NHであるところの工程と、から成る。当該方法は、さらに、(vi)金属含有バリア層を製造するために工程(iii)から(v)を繰り返す工程と、(vii)金属含有バリア層上に金属膜を形成する工程であって、該金属膜は配線層を構成する金属以外の金属から成るところの工程とを含む。
【0032】
さらに他の態様において、本発明は金属含有バリア層を含む多層構造を形成するための方法を与え、金属含有バリア層を製造するための方法は、(i)反応空間内に絶縁層を与える工程と、(ii)還元雰囲気で絶縁層の少なくとも露出面上に-NH2または>NHターミナルを導入する工程と、(iii)反応空間へ還元剤を導入し、その後反応空間をパージする工程と、(iv)反応空間にハロゲン化金属化合物を導入し、その後反応空間をパージする工程と、(v)N及びHを含むガスを導入し、その後反応空間をパージする工程とから成る。当該方法は、さらに、(vi)金属含有バリア層を製造するべく工程(iii)から(v)を繰り返す工程と、(vii)金属含有バリア層上に金属膜を形成する工程とを含む。
【0033】
他の態様において、上記方法のいずれかにおいて、絶縁層は多孔質であり気孔を有し、その方法はさらに、工程(ii)の前に、(a)絶縁層の少なくとも露出面上に気孔をブロックするための気孔シール層を形成する工程と、(b)配線層の露出面上に形成された気孔シール層の一部を除去する工程であって、N及びHを含むターミナルが導入されるところの工程(ii)の絶縁層の露出面が気孔シール層の面及び配線層の露出面から成るところの工程とを含む。さらに気孔シール層を使用することにより、厚さが薄くても連続かつ優れたバリア性質を有するバリア層が形成され、平坦面を有する微細構造のRu膜のような金属膜が効果的に形成され、それにより、Cuメッキまたは化学的機械的研磨(CMP)の間でも配線層の分離が生じず平坦なCu配線を形成することが可能になる。
【0034】
上記すべての態様及び実施例において。ひとつの実施例で使用された構成要件は、置換が困難であるかまたは逆効果でなければ、他の実施例において相互に交換してあるいは付加して使用可能である。
【0035】
発明及び従来技術に対する利点を要約するために、本発明のある目的及び利点が説明された。もちろん、これらの目的または利点のすべてが本発明の特定の実施例に従って必ずしも達成されないことが理解されよう。よって、本発明はここに教示または示唆されるような他の目的または利点を必ずしも達成することなく、ここに教示されるような利点または利点の集合を達成または最適化する方法で実施または実行され得ることは当業者の知るところである。
【0036】
本発明の他の態様、特徴及び利点は以下の好適実施例の詳細な説明から明らかと成る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明は好適実施例及び図面を参照して説明される。しかし、好適実施例及び図面は本発明を限定するものではない。また、実施例に適応されるセオリー及びメカニズムが説明される。しかし、そのセオリー及びメカニズムもまた本発明を限定するものではない。
【0038】
上で説明したように、国際公開WO03/056612は、プラズマALDによりバリア層膜上にRu膜が形成されるところの構造、及び層間膜上に直接Ru膜が形成されるところの構造を開示している。しかし、層間絶縁膜上にRu膜を直接形成すると、平坦な膜を形成するのが困難であるという問題が生じる。Ru膜を層間膜上に直接形成するために、ボトム層配線に結合されたトレンチに露出したボトム層配線の表面の酸化を防止するために、Ruは還元雰囲気中で形成されなければならない。しかし、NH3またはH2が使用される際、膜厚が5nmまたはそれ以下なら絶縁膜上に平坦で連続な膜を形成するのは困難である。ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(Ru(EtCp)2)及びNH3プラズマが交互に供給されるところのプラズマALD法によりRuが形成される。本発明の発明者による研究の結果、還元雰囲気中でSiO2膜上に形成される8nmのRu膜の表面粗さはRMSで1.8nmまたはそれ以上であった。参考までに、所望のRMS厚さは0.3nmまたはそれ以下の約0.2nmである。高速な微細エレメントを製造するために、層間膜の特定の誘電率は好ましくは3またはそれ以下、より好ましくは2.5またはそれ以下であり、そのためには低密度の多孔質膜を使用する必要がある。これは、絶縁膜上に平坦かつ均一なRu膜を形成するのをより困難にする。
【0039】
一方、バリア膜上にRuが形成される場合、バリア膜自身の平坦性がRu膜に影響を及ぼす。このため、多くの場合、従来の方法を使って層間絶縁膜上に均一で平坦なバリア層を形成するのが困難であった。SiOC等により構成された多孔質膜は低誘電率及び低密度を有するため、多孔質膜上に均一なバリア膜を形成するのは特に困難である。これらにより、膜厚が5nmまたはそれ以下、または3nmまたはそれ以下の薄いバリア層は連続的に形成されず、バリア膜の頂上にRu膜を形成することにより粗さは改善されないことがわかった。
【0040】
銅の電気めっき層を直接形成するためのシード層としてRu膜が使用される場合、Ru膜の厚さ及び粗さは銅の形成の容易性及び形態に影響を及ぼす。Ru膜が平坦であれば、銅は電気めっき処理で高速に形成され、低抵抗の銅層が形成される。平坦なRu膜を得るために、低誘電率の多孔質絶縁膜上にバリア層が平坦に真下に形成されるような方法を識別することが重要である。バリア膜及びRu膜が減少した厚さで連続かつ平坦に形成される限り、トップ及びボトム配線を接続するビア全体にわたってバリア層が薄く維持され、銅が占める体積は増加し、それがビア抵抗を減少させる。銅めっき層がRu膜上に直接形成されれば、均一な導体層が達成でき、これにより均一な銅めっきの形成が可能になる。
【0041】
同じように、平坦なRu電極を層間膜上に形成するのは、Ru電極を有するキャパシタの形成の点で困難である。平坦なバリア膜が形成され、その後Ru膜が頂上に形成されれば、キャパシタの薄い絶縁膜が平坦なRu膜上に形成可能であり、それはキャパシタの長期間の信頼性を劇的に改善する。
【0042】
還元雰囲気中で層間絶縁膜上に平坦なRu膜を形成することの困難性に鑑みて、本発明は、ひとつの実施例において、平坦なバリア層の形成後に平坦なRu膜を形成する方法を与える。小さいアモルファス結晶グレインにより構成される薄膜は、タングステン、炭素及び窒素により構成される薄い三元合金膜(以下、WNC膜という)を使って形成され、その膜はWF6、NH3及びTEB、B2H6、SiH4、Si2H6または他のボロン及び/またはシリコン化合物ガスを交互に供給することにより形成される。本発明は、配線構造内の層間絶縁膜上にWNC膜を形成し、その後還元ガスを使って原子層蒸着法によってWNC膜の頂上にRu膜を形成するための方法を与える。本願発明者らは、SiO2、TEOS及びSiOC膜上にWNC膜を形成する試験を行い、SiO2膜または低誘電率のSiOC膜上に均一、平坦かつ連続の膜を形成することは前処理なしでは困難であることを発見した。特に、ダマシン構造内で層間絶縁膜の露出面上にRu膜が形成される際、ボトム層の銅配線がビアの底に露出し、それがJAP Vol.95, Number 1 pp.381-388 (2004)に開示されるような酸素を使ったプラズマ処理を実行不能にしている。これにより還元雰囲気中での前処理が必要となる。
【0043】
ひとつの実施例において、本発明は、ライニング層として平坦、連続かつ極端に薄い金属バリア膜を形成するための方法を与え、ここで、金属バリア膜は、少なくとも金属、窒素及び炭素を含む金属炭素窒化膜であり、デュアルダマシン銅配線構造の銅配線パターンを構成するトレンチ及びコンタクトビアの表面全体にわたって、銅拡散バリア層を形成する原子層蒸着法によって形成される。本発明はまた、上記した金属バリア膜の頂上に平坦なRu膜を形成し、その後デュアルダマシン金属配線構造を作成するべく銅配線パターンを形成するための方法を与える。B2H6及び他のアルキルボロン化合物、SiH4、Si2H6及び他のアルキルシリコン化合物、ハロゲン化金属分子、及びNH結合を含むNH3ガスのような還元ガスを使用する金属窒化膜の形成において、前もって表面にNH結合またはNH2結合を形成することにより、還元剤吸着工程において上記還元剤の吸着が容易になる。吸着した還元剤はハロゲン化金属化合物と容易に反応することができる。したがって、NH3ガス等が新たに導入される際、還元剤は再び吸着する。
【0044】
上記金属窒化膜の形成前に、NH3ガスを単独で供給すると、層間絶縁膜であるSiO2またはSiOC膜の表面に還元剤の好ましい吸着を達成することができない点に注意すべきである。このため、本発明のひとつの実施例において、処理は、高密度で-NHまたは-NH2結合を生成するために、高周波プラズマにより活性化されたNH3プラズマ、N2/H2プラズマ、またはN2H2プラズマガスを使用する。デュアルダマシン構造において、トップ層配線及びボトム層配線を接続するビアはボトム層の配線が露出するようにして形成される。したがって、酸化雰囲気中で上記処理を実行することは好ましくなく、その代わり還元雰囲気中で実行されるのが好ましい。
【0045】
図1(a)から(d)は半導体エレメントの配線構造を示す断面略示図であり、本発明のひとつの実施例に従うデュアルダマシン銅配線構造を形成する処理を説明するものである。特定的に、これらの図面はALD法を使って金属バリア膜でデュアルダマシン構造内のトレンチ及びコンタクトビアの表面全体をライニング処理し、その後Ru膜及び銅層を形成する処理を説明している。
【0046】
図1(a)は、金属バリア層の形成前のデュアルダマシン構造を表す。絶縁拡散バリア15は導体配線層14上に形成され、ボトム絶縁層12が絶縁拡散バリア15の頂上に形成され、エッチングストップ層19がボトム絶縁層12上に形成される。頂上絶縁層10はエッチングストップ層19の頂上に形成される。エッチングストップ層19は所望の配線パターンのトレンチ16を形成するのに使用される。トレンチ16はエッチングマスク層9のレベルでエッチングされ、2つの絶縁層(10,12)の間に形成される。エッチングストップ層19はパターニングされ、頂上絶縁層10の形成前にエッチングされ、トレンチ16の底から伸張するコンタクトビアの所望の水平方向寸法を明確に画定するハードマスクを構成する。ハードマスクを構成するエッチングストップ層19がエッチングされる領域において、トレンチ16の底から下部導体配線層14へ繋がるコンタクトビア20が開いている。符号21は平坦化工程において化学的機械的研磨が終了した層を示す。
【0047】
図1(b)は本発明のひとつの実施例における前処理を示す。この処理は、コンタクトビア20の底において銅配線表面上に形成された酸化物を除去する工程と、例えば、800WのRF出力で30秒間H2/Heガスを導入し、その後300WのRF出力で60秒間H2/H2/N2混合ガスを導入することにより、ダマシン構造内に露出した層間絶縁膜(12,10)の表面を前処理する工程とから成る。この処理は、ダマシン構造内の層間絶縁膜の表面を-NH及び-NH2結合により終端させる。この終端はNH3ガスを使った単純な加熱処理のみで達成するのは困難である。しかし、NH3が高周波を使って活性化されれば、プラズマ活性化H2/H2/N2混合ガスが使用される場合のようにNH及びNH2結合を使って表面を終端可能である。
【0048】
SiO2、SiOCまたはSiO等の表面に導入すべきアミノ基に関して、表面の原子に関するNの配位数が1ならば、3配位原子であるNが表面の原子と結合し、-NH2ターミナルが表面に形成される。配位数が2ならば、a>NHターミナルが表面に形成される。言い換えれば、本発明のひとつの実施例において所望される表面ターミナル構造は、-NH2または>NHである。以下で説明するように、TEBガス及び他の還元ガスが、図4に示されるように-NH2結合または>NH結合内のHと置換した形式で吸着されると考えられ、よって-NH2または>NHの表面上での存在が必要である。例えば、Si-NH-SiまたはSiONHOSiの場合において、>NHが生じる。図1(b)において、-NHxの “x”は1または2である。
【0049】
本発明のひとつの実施例において、アミノ基が、低誘電率膜の表面だけでなく、ビアの底の金属配線層の表面にも導入される。
【0050】
本発明のひとつの実施例において使用される低誘電率膜(絶縁膜ともいう)は、適用される配線構造がダマシンであるか否かと無関係に、SiO2、SiOC、SiC、SiNまたはFSG膜等である。所望の誘電率は約3またはそれ以下、より好ましくは約2.5またはそれ以下である。特定的に、Aurora ULKTM膜及びAurora ELKTM膜(ASMにより製造された標準膜)のようなSiOC膜が好適に使用される。
【0051】
次世代デバイスで広く使用される、SiOC低誘電率膜が図1(a)に示される絶縁膜(10,12)として適応されれば、アルキル基であるメチル基の鎖のようなSiOC膜中の側鎖を含む炭素はNH3ガスの高周波プラズマによりエッチングされ、結果的にSiOC膜中のCH3、C2H5及び他のアルキル基が失われる。これはときどきコンタクトビア20の形状を樽状に変形させる。高周波プラズマによる絶縁膜(10,12)へのダメージが疑われる場合、H2/He/N2ガスの高周波プラズマを使用することによりSiOC膜に対する負の効果を減少させることが可能である。ひとつの実施例において、H2/He/N2中の窒素の分圧は5から50%、より好ましくは10から30%である。RF出力周波数に関して、13.56MHz(通常2MHzまたはそれ以上、しかし60MHzを超えない)に調節可能である。Heに加え、Ar及び他の不活性ガスも使用可能である。ひとつの実施例において、処理条件は以下のように設定される。
【0052】
表面1へのアミノ基導入条件
H2流量(sccm):20から100(好ましくは30から50)
He流量(sccm):500から1000(好ましくは700から900)
N2流量(sccm):50から500(好ましくは100から300)
圧力(Pa):100から1000(好ましくは500から1000)
RF電力(W):30から300(好ましくは50から200)
温度(℃):150から350(好ましくは250から300)
時間(秒):10から60(好ましくは20から40)
表面2へのアミノ基導入条件
NH3流量(sccm):100から1000(好ましくは200から400)
Ar流量(sccm):500から2000(好ましくは800から1000)
圧力(Pa):100から1000(好ましくは300から500)
RF電力(W):30から300(好ましくは50から200)
温度(℃):150から350(好ましくは250から300)
時間(秒):10から60(好ましくは20から40)
【0053】
上記説明において、プラズマは、例えば、シャワーヘッドと基板が載置される加熱ステージとの間に印加される13.56kHzの高周波RF波により生成される平行平板型プラズマをいう。言い換えれば、基板はプラズマ生成雰囲気中に存在する。したがって、この処理はイオン活性種のような、プラズマ中で生成される短命の活性種により影響される。一方、基板から離れたところで遠隔プラズマ装置を使ってプラズマが生成される方法が存在し、活性分子中で寿命の長い中性分子が基板まで移送され、表面処理に使用される。これはラジカル処理と呼ばれる。言い換えれば、ラジカルとは電子が安定な通常(接地)状態に比べ電子励起状態における分子をいう。ラジカルはイオンではないが、それは活性化され反応性がある。本発明のひとつの実施例において、プラズマ及びラジカルは相互に交替して使用可能である。当業者は対応するプラズマ生成条件から適当なラジカル生成条件を決定することが可能である。
【0054】
上記処理において、アミノ基はプラズマを通じて表面に導入される。プラズマを使用せずに加熱によりアミノ基を導入するのは困難である。例えば、アミノ基の導入はNH3の供給によってのみ達成するのは困難である。しかし、表面へのアミノ基の導入は、N2H2ガス(ヒドラジン)等が使用されれば、プラズマ無しでも可能である。ひとつの実施例において、ヒドラジンを使った処理条件が以下のように設定される。全流量に対するヒドラジンの分圧は好適には10と50%の間である。
【0055】
表面3へのアミノ基導入条件
N2H2流量(sccm):10から300(好ましくは30から100)
Ar流量(sccm):500から2000(好ましくは500から1000)
圧力(Pa):130から1300(好ましくは300から800)
温度(℃):200から400(好ましくは250から300)
時間(秒):20から80(好ましくは30から60)
【0056】
上記したように、アミノ基の導入はNH3プラズマ、NH2プラズマ、N2/H2プラズマ、N2/Ar/H2プラズマ、またはN2H2、その他(プラズマの代わりにラジカルが使用されてもよい)によって実行される。
【0057】
アミノ基が十分に導入された否かは、WNC膜のような生成バリア膜のステップカバレッジから決定される(表面が平坦でなければステップカバレッジが悪いことを示しており、それは前処理が不十分であることを示している)。導入されたアミノ基の量は表面におけるバリア膜の1cm2あたりの原子量を分析することにより決定される。原子量が小さければ、十分なアミノ基が形成されておらず、一方、原子量の飽和は十分な前処理を示す。上記処理条件は例に過ぎず、特定の値は、前処理で使用される装置の性能及び他の特性に応じて変化する。使用する装置にしたがって最適条件が選択される。
【0058】
図1(c)により示される工程において、TEB(トリエチルボロン)ガスまたは他の還元ガスが導入され、その後不活性ガスによりパージされ、その後WF6ガスまたは他のハロゲン化金属が導入され、その後不活性ガスによりパージされ、その後NH3ガスまたは他のハロゲン置換窒化ガスが導入され、その後不活性ガスによりパージされる。この導入及びパージを繰り返すことにより、平坦なWNC膜または金属原子を含む他のバリア膜(金属バリア膜とも呼ぶ)22がダマシン構造の表面上に形成される。バリア膜はときどき導体膜と呼ばれるが、この用語は絶縁膜との違いを強調する場合に限定して使用される。バリア膜は常に電気的に導電性であるとは限らない。
【0059】
還元ガスに関して、B2H6、アルキルボロン化合物、SiH4、Si2H6またはアルキルシリコン化合物がTEBの代わりに使用される。ハロゲン化金属に関して、TaF6またはTiCl4がWF6の代わりに使用される。結果として、WNC膜の代わりに、TaN、TaCN、WN、TiNまたはTiCN膜のような金属原子を含むバリア膜が形成される。
【0060】
ひとつの実施例において、バリア膜を形成するための条件は以下のように設定される。
【0061】
TEB還元ガス流量(sccm):100から1000(好ましくは200から500)
時間(秒):1から5(好ましくは1から2)
パージガス流量(sccm):1000から3000(好ましくは2000から3000)
WF6金属前駆体流量(sccm):100から500(好ましくは300から500)
時間(秒):0.1から0.5(好ましくは0.1から0.2)
パージガス流量(sccm):1000から3000(好ましくは2000から3000)
NH3窒化ガス流量(sccm):300から1000(好ましくは300から500)
時間(秒):0.5から5(好ましくは1から2)
パージガス流量(sccm):1000から3000(好ましくは2000から3000)
温度(℃):300から500
圧力(Pa):100から500(好ましくは100から200)
繰返し回数:5から300(好ましくは20から100)
【0062】
パージガスとして、Ar、Heまたは他のガスが使用される。圧力は一定である必要はなく、ガスの種類及びパージ条件に従い適当な設定が選択可能である。
【0063】
上記したように、バリア膜が形成される面がアミノ基により終端される。還元ガス、ハロゲン化金属、ハロゲン置換窒化ガスを導入する処理を繰り返すことにより、平坦で均一なバリア膜が形成される。米国特許第6,759,325号は、ダマシン配線構造を形成するトレンチ及びビアの内側面にWF6を吸着させ、その後TEBまたは他の還元ガスを使って表面を還元する方法を開示する。しかし、ハロゲン化金属前駆体の導入は層間絶縁膜にダメージを与え、または膜内への浸透を生じさせる。
【0064】
ひとつの実施例において、バリア膜の厚さは1から5nm、好ましくは2から4nmの範囲に調節される。
【0065】
図1(d)に示された工程において、Ru膜のような第2金属膜23が、プラズマALDまたは他の方法を使って、WNC膜のようなバリア膜22の頂上に形成される。ここで、第2金属膜は前処理後に形成された金属バリア膜の頂上に形成される。この膜はRu、Taまたは配線に使用される銅膜と良好な接着性を与える他の材料から成り、いわゆる粘着層または接着層として作用する。言い換えれば、この膜は銅配線と銅拡散バリアとして機能する導体膜との間でサンドイッチされ、両者の間の接着性を改善する。
【0066】
Ru-ALDは、ビス(エチルシクロペンタジエチル)ルテニウム(Ru(EtCp)2)及びNH3プラズマが交互に供給されるところのプラズマALD法により形成される。Ru膜は還元雰囲気中で形成されるため、WNC膜22を酸化することなくラミネート構造が作成される。
【0067】
Ru(EtCp)2は第2金属膜を形成するための金属ガスのオプションだけではない。例えば、Ru(EtCp)2の誘導体、Ru(Cp)2(ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム)またはその誘導体、あるいはRu(iPrCp)2(ビス(i-プロピル-シクロペンタジエニル)ルテニウム)が使用されてもよい。第2金属膜がRuの代わりにTaにより構成されてもよい。Taが使用されれば、TIMATA(ターシャリー−アミルイミド−トリ(ジメチルアミノ)チタニウム)またはTBTDET(トリス−ジエチルアミノ−t−ブチルイミノタンタル)が使用される。NH3プラズマに加え、ハロゲン置換により目標の金属を窒化することができるNH2プラズマ、N2/H2プラズマ、N2/Ar/H2プラズマ、N2H2等を使用することも可能である(プラズマの代わりにラジカルを使ってもよい)。
【0068】
ひとつの実施例において、第2金属膜を形成するための条件が以下のように設定される。
【0069】
金属前駆体流量(sccm):100から500(好ましくは300から500)
時間(秒):0.5から3(好ましくは0.5から1)
圧力(Pa):200から500(好ましくは300から500)
パージガス流量(sccm):1000から3000(好ましくは2000から3000)
NH3ハロゲン置換窒化ガス流量(sccm):200から1000(好ましくは300から500)
RF電力(W):100から1000(好ましくは500から800)
時間(秒):0.5から5(好ましくは1から2)
圧力(Pa):100から400(好ましくは100から200)
パージガス流量(sccm):1000から3000(好ましくは2000から3000)
温度(℃):200から400(好ましくは300から400)
繰返し回数:5から300(好ましくは20から100)
【0070】
パージガスとして、Ar、Heまたは他のガスが使用可能である。圧力は一定である必要はなく、ガスの種類及びパージ条件に従い適当な設定が選択される。
【0071】
ひとつの実施例において、第2金属膜の厚さは1から10nmの範囲、好ましくは1から3nmの範囲に調節される。
【0072】
上記処理は真空で連続して実行されるのが好ましい。図2(a)及び(b)は図1(a)から(d)に示された本発明のひとつの実施例に従う処理フローチャートである。これらのフローチャートは図1(a)及び(b)に示されていない前処理を説明している。特定的に、図1(b)は表面へのアミノ基の導入を説明していたが、ひとつの実施例において、表面にアミノ基が導入される前に、金属配線層の表面に形成された酸化膜が還元される。酸化膜のこの還元は、アミノ基が表面に導入されるのと同時に実行されるか(図2(a))、または別々の作業として実行されてもよい(図2(b))。図1(b)で説明されたように、表面にアミノ基を導入するための条件は図2(b)に示される第2前処理に適用される。言い換えれば、図2(a)に示されるフローチャートにより、銅酸化膜は、前処理(アミノ基の表面への導入)と同じ処理条件のもとで還元される(すなわち、還元及び前処理が同時に達成される)。一方、図2(b)に示されるフローチャートにおいて、還元は第1前処理で実行され、アミノ基は第2前処理で導入され、この分離は、より広範囲でのそれぞれの条件の選択をもたらす。他に2つのフローチャートの差は、図2(b)に示されるフローチャートの第2前処理条件のもとで銅酸化膜は常に還元されるわけではないが、図2(a)に示されるフローチャートの条件のもとで銅酸化膜は常に還元されるという点にある。言い換えれば、図2(a)の前処理は図2(b)の第2前処理と同一であるが、両者は同一である必要はない。
【0073】
銅酸化膜の必要な還元レベルは、デバイスのビア抵抗を物理的に測定することにより決定される。測定したビア抵抗が特定の値を満足するか否かは銅表面の状態に依存する。銅表面がそれほど酸化されていなければ、わずかな還元で十分である。表面がひどく酸化されていれば、高出力の還元処理が必要である。言い換えれば、表面へのアミノ基の導入前に銅表面の状態に従って適当な条件が選択可能である。強力な還元処理が必要なら、図2(b)に示されるフローチャートが好ましい。
【0074】
図2(a)に示される実施例において、絶縁膜は半導体エレメント基板の金属配線領域に形成され、その後デュアルダマシン構造を構成するトレンチ及びコンタクトビアが上記絶縁膜内に形成される。次に、デュアルダマシン構造を構成するトレンチ及びコンタクトビアの表面全体に、還元雰囲気中で、アミド結合または-NH2若しくは-NH結合を形成するために、前処理が実行される。この時、コンタクトビアと接続されたボトム層内の銅配線の表面を酸化することなく、デュアルダマシン構造を構成するトレンチ及びコンタクトビアの表面全体にアミド結合または-NH2若しくは-NH結合が形成される(膜の酸化の程度に応じて、酸化が抑制されるだけでなく酸化膜も還元される)。NH3プラズマに加えて、上記処理は、例えば、NH2プラズマ、N2/H2プラズマまたはN2/Ar/H2プラズマにより実行されてもよい(プラズマの代わりにラジカルが使用されてもよい)。銅酸化膜は還元されなければならないため、図2(b)で示された第2前処理の条件よりRF電力は高い。
【0075】
ひとつの実施例において、ワンステップ前処理条件は以下のように設定される。
【0076】
N2流量(sccm):100から500(好ましくは200から300)
H2流量(sccm):10から50(好ましくは20から40)
He流量(sccm):500から1000(好ましくは700から900)
圧力(Pa):300から1000(好ましくは400から500)
RF電力(W):500から1000(好ましくは700から900)
温度(℃):100から350(好ましくは150から300)
時間(秒):10から60(好ましくは20から40)
【0077】
他の実施例において、ワンステップ前処理条件は以下のように設定される。
【0078】
NH3流量(sccm):100から1000(好ましくは200から500)
Ar流量(sccm):500から1000(好ましくは700から900)
He流量(sccm):500から1000(好ましくは500から700)
圧力(Pa):100から500(好ましくは300から500)
RF電力(W):300から1000(好ましくは500から800)
温度(℃):100から300(好ましくは150から300)
時間(秒):10から60(好ましくは20から40)
【0079】
次に、金属窒化膜または金属炭素窒化膜で構成されたバリア膜が形成される。この工程において、還元ガスが供給されその後パージされ、その後ハロゲン化金属分子が供給されその後パージされ、その後成分元素として窒素原子及び水素原子を含むアミノ基導入ガスが導入されその後パージされる。その後、上記還元ガス、ハロゲン化金属分子及びハロゲン置換窒化ガスの導入及びパージを繰り返すことにより、少なくとも適応可能な金属及び窒素を含む薄膜(バリア膜)が形成される。次の工程において、銅膜との良好な接着性を与える金属膜が、還元雰囲気中で原子層蒸着法によりバリア膜の頂上に形成される。その後、このRu膜上に銅膜が形成される。銅膜は物理的蒸着法、化学的蒸着法、または電気めっきにより形成可能である。図3は、本発明のひとつの実施例に従って形成された配線パターンの状態を示す断面略示図であり、ここで、Ruが形成され、銅配線が形成され、その後不必要な銅膜及び/またはバリア膜を除去するための平坦化処理が為され銅配線パターン24が形成される。
【0080】
図2(b)に示される実施例において、2つの前処理は連続して実行され、ここで、第1の前処理はデュアルダマシン構造のボトム配線層の表面の銅酸化膜を還元する工程から成り、第2の前処理はデュアルダマシン構造の層間絶縁膜の表面にアミド結合または-NH2若しくは-NH結合を形成する工程から成る。これらの工程は同時に実行されるが、上記したように、それぞれの工程の目的に適した異なる処理条件の下で別々の2つの工程で実行することも可能である。この場合、第2の前処理において銅酸化膜を還元する必要はなく、よってNH3プラズマ、NH2プラズマ、N2/H2プラズマまたはN2/Ar/H2プラズマに加えてN2H2(ヒドラジン)も使用可能である(プラズマの代わりにラジカルを使ってもよい)。第2の前処理用の条件は、図1(b)で説明したように表面にアミノ基を導入するための条件と同一である。
【0081】
ひとつの実施例において、第1の前処理条件は以下のように設定される。
【0082】
N2流量(sccm):0
H2流量(sccm):10から100(好ましくは30から50)
He流量(sccm):500から1000(好ましくは700から900)
圧力(Pa):100から1000(好ましくは400から600)
RF電力(W):500から1000(好ましくは700から900)
温度(℃):150から350(好ましくは250から350)
時間(秒):10から60(好ましくは20から40)
【0083】
上記したように、第2の前処理条件は図1(b)で説明したように表面にアミノ基を導入するための条件と同一である。
【0084】
例えば、銅酸化膜を簡単に還元するよう第1の前処理工程で出力800Wの高周波プラズマを生成するべくH2/Heガスを使用すること、及び第2の前処理工程で出力300Wの高周波プラズマを生成するべくH2/He/N2ガスを使用することが可能である。次に、金属炭素窒化膜により構成されるバリア膜を形成するために、デュアルダマシン構造の前処理されたトレンチ及びコンタクトビアの表面全体に還元ガスが供給される。その後、還元ガスがパージされ、その後ハロゲン化金属分子が供給されその後パージされ、その後成分元素として窒素原子及び水素原子を含むハロゲン置換窒化ガスが導入されその後パージされる。上記した還元ガス、ハロゲン化金属分子及びハロゲン置換窒化ガスの導入及びパージを繰り返すことにより、少なくとも適用可能な金属及び窒素を含む薄膜が形成される。この工程及び続く工程は図2(a)に示したフローチャートと同様である。
【0085】
図2(a)のフローチャートにおいて、前処理工程は一定の処理条件で実行される。しかし、処理条件は連続的に変更されてもよい。例えば、前処理を実行するのに、最初に高周波プラズマによりH2/Heガスを活性化し、窒素量が増加するに従い、RF出力を800Wから300Wまでまたは800Wから100Wまで連続的に変化させることも可能である。この目的は、ビアの底のボトム層配線の表面上の銅配線の還元と同時に、デュアルダマシン構造のトレンチ及びコンタクトビアの表面全体をより効率的かつ迅速に前処理することである。
【0086】
図4(a)から(e)は、本発明のひとつの実施例に従う、ALDによりWNC膜形成前の前処理のモデルメカニズムを示す。このモデルはひとつのメカニズムを表しているに過ぎず、本発明はこのモデルに限定されない。本発明のいくつかの実施例はこのメカニズムの説明と無関係に実行可能である。このメカニズムの説明は過度に簡略化されている点に注意すべきである。
【0087】
図4(a)はSiO2膜の表面状態を示す。通常、SiO2膜の表面は-OHまたは-O-により終端される。図4(b)は、NH3プラズマ、またはN2/H2ガスを含む還元プラズマによる処理後の表面を示す。プラズマ活性化NH3またはN2/H2ガスは、それがSiO2膜の表面層上に-NHまたは-NH2結合を形成するところのポイントで極端に活性状態になる。同じことが、絶縁膜がSiOC膜等により構成される場合に発生する。表面は約400℃のNH3ガスへ曝すことにより単純に終端されないが、プラズマ処理、ラジカル処理、ヒドラジン処理または最適なRF出力で実行される他の処理を通じてのみ終端が達成される。
【0088】
図4(c)は前処理により生成されたNH/NH2結合へTEB(トリエチルボロン)を導入した後の状態を示す。TEBはSiO2面またはSiOC面をカバーするようNH/NH2結合により容易に吸着される。
【0089】
図4(d)はTEBを十分にパージした後にWF6を導入した後の状態を示す。SiOC等により構成される多孔質膜の主に表面付近に吸着したTEBとWF6が選択的に反応するに従い、SiOC膜内のWF6の拡散が抑制される。反応はほぼ表面全体で生じ、W-C結合が形成される。
【0090】
図4(e)は不活性ガスを使ってWF6ガスを十分にパージした後にNH3ガスを導入した後の状態を示す。NH3ガスは残ったW-F結合をW-N結合に簡単に置換する。結果として、W-N/W-C結合により構成されたWNC膜が形成される。この工程を繰り返すことにより、SiO2またはSiOC膜上に平坦なWNC膜を簡単に形成できる。
【0091】
図5(c)は本発明のひとつの実施例に従う処理装置の例を示す構造図である。この装置は異なる処理を扱うためにクラスター構造を有する。図5(a)及び(b)は本発明のひとつの実施例に従う処理のフローチャートを示す。点線で囲まれる工程は図5(c)に示された装置で処理される。
【0092】
図5(a)は図2(a)に示されるワンステップの前処理フローチャートに対応する。例えば、基板は、大気圧ロボット101によりカセットボックス100からロードロックチャンバ102へ移送され、その後基板は中心プラットフォーム103上に与えられる中心ハンドラー103により前処理モジュール104へ移送され、N2/H2/Heガスを使ったプラズマ処理に基づく前処理を施される。その後、前処理された基板は真空でWNC-ALDモジュール105に移送され、WNC-ALD処理を施され、その後さらに真空でRu-ALDモジュール106に移送されRu-ALD膜が形成される。
【0093】
図5(b)は図2(b)に示されるツーステップ前処理に対応し、ツーステップ前処理工程がどのように組み合わされるかの例を与える。両前処理工程は図5(c)に示される前処理モジュール104内で実行され、その後WNC膜及びRu膜が図5(a)に示されるのと同様の処理で形成される。Ru膜は大気中で容易に酸化されないので、PVD、CVDまたは電気めっきを使って銅層を形成する前に、大気中へRu被覆基板を戻すことは可能である。
【0094】
Ru膜が極端に薄く作成されるか、または1nmまたはそれ以下の厚さの連続または不連続なRu膜上に銅膜が形成されれば、真空中で連続的に銅を形成することが必要になる。図6(a)及び(b)は真空でのこの連続処理のフローチャートを示し、図6(c)はこれらの処理フローチャートを実行するクラスター装置を示す。この装置は、銅処理モジュール107が真空移送チャンパ内にインストールされている点を除いて図5(c)に示されたものと同じである。銅膜は物理的蒸着(PVD)または化学的蒸着(CVD)により、あるいは電気めっき装置と結合することにより形成される。
【0095】
原子層蒸着法を実行するモジュールに関して、本発明のいくつかの実施例は、ここに参考文献として組み込む、本願出願人に譲渡された米国特許出願第10/824,798、10/901,825及び10/960,600号に開示された装置を使用する。
【0096】
本発明は、半導体キャパシタエレメントに使用する電極の形成にも応用できる。キャパシタエレメントで使用する絶縁膜は、Ta2O5、HfO2、Al2O3及び高誘電率の金属酸化物から成る。Ruにより構成される金属電極が使用される場合、Ruが簡単に酸化されずかつRuO2は導電性であるため、容量は減少しない。これによりRuはキャパシタ電極の材料として有効である。しかし、Ru電極の表面粗さが大きければ、厚さが5nmまたはそれ以下の極端に薄い絶縁膜のために電極は絶縁破壊を受けやすくなり、それは実用的な信頼性に係る問題となる。本発明のひとつの実施例において、平坦な金属バリア膜を形成し、その後還元雰囲気中でプラズマALDを実行することにより頂上にRu膜を形成することで、絶縁破壊を受けにくいキャパシタが形成される。
【0097】
図7(a)から(d)は、本発明に係る方法に従う、キャパシタ形成処理を示す。図1(a)から(d)に示される方法に基づいてキャパシタのボトム電極としてRu/WNC膜が形成された後、図7(a)から(c)に示されるようなALD(原子層蒸着)法によりハフニウムジエチルアミド及びNH3ガスを使ってRu膜23の頂上にHfO2(24)が形成される。次に、トップ電極としてCu膜25が形成される。その後、表面の不要な材料がCMPにより平坦化され、キャパシタ26が形成される。
【0098】
本発明がキャパシタ電極に応用される場合、Taは容易に酸化されるため、ボトム電極にはTa膜の代わりにRu膜を使用するのが好ましい。
【0099】
上記したように、本発明のひとつの実施例は低誘電率膜上に平坦なバリア膜の形成をもたらす。結果として、バリア効果は薄膜で達成可能であり、均一なRu膜も形成される。こうして形成されたラミネート膜構造を使用することにより、ビア構造中の銅の体積は増加し、膜と銅との間の接着性の改善により低抵抗の高信頼性配線構造を形成することが可能となる。また、本発明のひとつの実施例において、還元雰囲気中で前処理が実行される。これにより、ビアの底の銅表面が酸化されることなく還元され、ビア抵抗の増加の問題を排除する。SiOCまたは低誘電率の他の絶縁膜が使用されれば、ビアの底の銅表面上の酸化物を還元する工程は、低誘電率の絶縁膜の表面を前処理する工程から分離され、その結果、SiOC膜表面をエッチングしなくとも、またはWNCのSiOC膜への拡散を許すことなく、平坦なWNC膜が続くバリア膜形成工程で形成される。
【0100】
ラミネート膜構造上に直接銅をめっきする場合、金属炭素窒化バリア膜が均一に形成されることにより頂上に形成されるRu膜も非常に均一であることと、膜抵抗がWNC膜の抵抗の約20分の1であることから、低抵抗の銅めっきが均一に適用される。結果として、表面粗さにより生じるボイド及び他の欠陥の生成は抑制される。Ru膜が極端に平坦かつ連続であるため、膜構造が外気に曝されたときにもその下のWNC膜の酸化が防止される。Ru膜自身は酸化されにくいので、膜構造が大気に曝された後でも通常のPVD銅シード層、CVD銅シード層、銅めっき層等が形成される。
【0101】
キャパシタ電極の形成に本発明が使用されれば、本発明は従来の金属電極の粗さレベルに比べ驚くほど平坦なRu膜を形成する。このRu膜上に数nmの極端に薄い絶縁膜が形成されたとしても、生成された膜構造は、表面粗さの結果として電場強度の集中により生じるリーク電流の増加をさらに防止し、その結果信頼性の非常に高いキャパシタを作成することができる。このキャパシタは動的ランダムアクセスメモリ、論理-メモリ混合デバイス、または論理デバイスに使用される。
【0102】
上記いずれかの方法において、絶縁層は多孔質であり気孔を有してもよく、当該方法は、さらに、(以下に説明する気孔シール層の表面及び配線層の露出面から成る少なくとも絶縁層の露出面に-NH2または>NHターミナルを導入する工程の前に)(a)絶縁層の露出面上に気孔をブロックするための気孔シール層を形成する工程と、(b)配線層の露出面上に形成された気孔シール層の一部を除去する工程とを含む。気孔シール層を使用することにより、たとえ薄くとも連続かつ優れたバリア効果を有するWNC層のようなバリア層が形成され、平坦な表面を有する微細構造のRu膜のような金属膜がその上に効果的に形成され、それにより、例えば、無電解銅蒸着(ECD)または化学機械的研磨(CMP)あるいはPVD銅処理のような他の後続処理の最中でも、Ru/WNC層の分離が発生することなく、平坦な銅配線を形成することが可能になる。気孔シール層を使用することにより、その上に形成されるWNC層はより大きな化学的及び/または機械的耐性を有し、Ru/WNC層は平坦化処理中に分離に対しより大きい耐性を示し、及び/またはCMPで使用されるスラリーによるエッチングまたはCMPでの洗浄処理によるエッチングに対してより大きい耐性を示す。
【0103】
ひとつの実施例において、上記処理は以下の方法により実行され、当該方法は、
(I)露出した配線層(例えば、ビア/トレンチのボトム)及び露出した絶縁層(例えば、ビア/トレンチの側壁)を含む少なくともひとつのビア/トレンチを有する多層構造を反応空間内に与える工程であって、前記絶縁層は多孔質であり気孔を有するところの工程と、
(I’)絶縁層の少なくとも露出面上に気孔をブロックするための気孔シール層を形成する工程と、
(I’’)配線層の露出面上に形成された気孔シール層の一部を除去する工程と、
(II)還元雰囲気中で絶縁層の少なくとも露出面上に-NH2または>NHターミナルのようなN含有ターミナルを導入する工程と、
(III)導入したターミナルを還元するために反応空間へ還元剤を導入し、その後反応空間をパージする工程と、
(IV)導入した還元剤を置換するために反応空間へハロゲン化金属化合物を導入する工程と、
(V)導入したハロゲン化金属により形成された表面上にN含有ターミナルを与えるべくN含有ガスを導入し、その後反応空間をパージする工程と、
(VI)金属含有バリア層を形成するべく工程(III)から(V)を連続して繰り返す工程と、
(VII)金属含有バリア層上に金属膜を形成する工程であって、該金属膜は配線層を構成する金属以外の金属から成るところの工程と、
(VIII)金属膜の上の銅でビア/トレンチを充填する工程と、
(IX)相互接続銅配線を形成するべく、トレンチの上方の余分な銅層を化学的機械的研磨(CMP)により平坦化する工程と、
から成る。
【0104】
上記処理は図14に示される。すなわち、気孔シール層を形成する工程は、基本的に図2(a)及び(b)にそれぞれ対応する2つの処理(a)及び(b)に共通する。上記した処理(a)及び(b)は、気孔シール層が形成されたか否かにより実行される。処理(a)及び(b)の前に、配線層を露出するために、気孔シール層がビア/トレンチのボトムから除去される。その場合、気孔シール層は導電性ではない。
【0105】
ひとつの実施例において、気孔シール層が、SiC、SiOC、窒化シリコン、アモルファスカーボン、及びSiO2から成る集合から選択される材料により構成される。気孔シール層は厚さ5〜100Å(例えば、10〜50Å)で形成され、ビア/トレンチのボトムを覆う部分及び平坦面部分が、例えばドライエッチングにより除去される。気孔シール層は、ここに参考文献として組み込む米国特許第6,759,325号または第6,482,733号に開示される気孔シール層である。気孔シール層は、気孔を充填または塞ぐ(例えば、気孔の深さの3倍にすぎない)ことにより絶縁層の露出面上の気孔をブロックするためのものであり、ここでブロックは絶縁層の上面で優先的に実行される。
【0106】
図15(a)から(d)は、処理中の半導体エレメントの配線構造を示す断面略示図であり、本発明のひとつの実施例に従うデュアルダマシン銅配線構造を形成する処理へ気孔シール層を適用した説明を与える。図15(a)は図1(a)に対応する。図15(b)は、エッチングストップ層(19,21)で覆われた平坦面、絶縁層(16,20)の露出面である側壁、及び配線層14の露出面であるボトムを含むビア/トレンチ上に気孔シール層301を形成する工程を示す。気孔シール層は、自己制限型及び自己帰還型処理であるCVDまたはALD(原子層蒸着)により形成される。その後、イオンエッチング(例えば、アルゴンイオンエッチング)のようなドライエッチングにより平坦面及びボトムから気孔シール層が除去され、その結果、もっぱら側壁(302,303)の気孔シール層が図15(c)に示されるように残る。NHxターミナルを導入する工程は図1(c)と同じである。図15(d)は図1(d)に対応し、ここでWNC膜22及びRu膜23は連続して形成される。
【0107】
図16(a)から(d)は処理中の半導体エレメントの配線構造を示す断面略示図であり、本発明のひとつの実施例に従う図15(a)から(d)に示される処理に続く処理を説明するものである。図16(a)は図15(d)と同じである。図16(b)は銅304でビア/トレンチを充填する工程を示す。図16(c)において、ビア/トレンチの上方の余分な銅層はCMPにより除去される。図16(d)において、エレメントの表面はさらにCMPにより平坦化され、その結果WNC膜22及びRu膜23は頂上面から除去され、それにより相互接続銅配線305が形成される。
【0108】
例えば、気孔シール層がSiCから構成される場合、実施例に従う気孔シール層を形成するためのプラズマCVD条件は以下のように設定される。
【0109】
テトラメチルシラン(TMS)流量(sccm):100から300(好ましくは200から300)
He流量(sccm):100から10000(好ましくは100から5000)
H2流量(sccm):10から5000(好ましくは10から3000)
圧力(Pa):300から1000(好ましくは300から600)
第1RF電力(W):100から500(好ましくは300から500)
第2RF電力(W):10から100(好ましくは50から100)
基板温度(℃):200から400(好ましくは250から350)
蒸着速度(nm/min):2から10
【0110】
上記において、第1RF電力は13MHzから30MHzの周波数を有し、第2RF電力は300kHzから450kHzの周波数を有する。第2RF電力は第1RF電力より低い。上記条件に従い、SiC膜の厚さは、約2nmから約10nm、好ましくは約2nmから5nmで形成される。
【0111】
気孔シール層がSiCにより構成される場合、他の実施例に従う気孔シール層を形成するための条件は以下のように設定される。
【0112】
テトラメチルシラン流量(sccm):0から300
He流量(sccm):100から10000(好ましくは100から5000)
H2流量(sccm):0から1000(好ましくは200から1000)
圧力(Pa):300から1000(好ましくは300から600)
第1RF電力(W):100から500(好ましくは300から500)
第2RF電力(W):10から100(好ましくは50から100)
基板温度(℃):200から400(好ましくは250から350)
【0113】
上記において、膜が蒸着されるに従いテトラメチルシランの流量が300sccmから0sccmに減少されれば、蒸着されたSiC膜は微細構造を有する表面層を有することができる。
【0114】
気孔シール層としてSiCのプラズマCVDの上記2つの方法は例であり、修正が可能である。例えば、ジビニルジメチルシラン、トリメチルシラン等がテトラメチルシランの代わりに使用されても良い。ハロゲンの替わりにメタンが使用されてもよく、ヘリウムの替わりにアルゴンが使用されても良い。
【0115】
条件が特定されない本説明において、当業者は、ルーチン試験の問題として、本説明を考慮して、この条件を容易に最適化することが可能である。
【0116】
実施例1
この例は、半導体エレメントを作成するべく、デュアルダマシン構造のトレンチ及びコンタクトビアの表面全体を、銅バリア膜となる金属膜でライニング処理するものである。特定的に、処理は、デュアルダマシン構造のトレンチ16及びコンタクトビア20の表面全体を前処理する工程と、金属バリア膜としてタングステン炭素窒化WNC膜を形成する工程と、Ru膜を形成する工程に関連し、それぞれ図1(b)、(c)及び(d)に対応する。これらの工程は図5(a)または(b)に示されるフローチャートに対応し、図1(b)、(c)及び(d)に対応する工程は図5(c)に示される構造を有する装置を使って実行される。図1(a)の断面略示図に示される構造の半導体基板は図5(c)に示されるような、大気圧ロボット101によりカセットボックス100からロードロックチャンバ102へ移送された。チャンバが真空状態に排気された後、中心プラットフォーム103に与えられた中心ハンドラーにより、基板はロードロックチャンバ102から前処理モジュール104へ移送された。表1及び2は、上記処理における前処理モジュール内で実行されるワンステップ前処理工程をリストしたものである。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
前処理モジュール104は13.56MHzのRF高周波を導入することにより平行平板プラズマを印加することができる。
【0119】
表3及び表4は上記処理において実行されたツーステップ前処理のレシピをリストしたものである。
【0120】
【表3】
【0121】
【表4】
これらの工程で使用されたガスは、H2/He/N2混合ガスであり、それは特定の圧力及びRF電力が30秒間印加された。処理時間は約20秒から60秒の範囲で調節可能である。前処理方法に関して、図5(b)の処理フローチャートに示されるように、2つの前処理工程が連続して実行され、ここで前処理1はコンタクトビア20のボトムの銅配線14の表面上に形成された酸化膜を還元する工程からなり、前処理2はデュアルダマシン構造のトレンチ16及びコンタクトビア20の表面全体にNH-NH2結合を形成する工程からなる。
【0122】
表1及び表2に示される前処理において、コンタクトビア20のボトムの銅配線14の表面上に形成された酸化物を還元する工程、及びデュアルダマシン構造のトレンチ16及びコンタクトビア20の表面全体にNH-NH2結合を形成する工程が同時に実行された。各工程は500Paの真空レベル及び800WのRF出力で60秒間実行された。
【0123】
表3は前処理1及び前処理2に対する最適条件を示す。前処理1はH2及びHeを含む混合ガスを使って、500Paの真空レベル及び500WのRF出力で30秒間実行された。前処理2は20sccmのN2を添加した後、同じ混合ガスを使って、800Paの真空レベル及び300WのRF出力で30秒間実行された。表4はRF出力が100Wに変更されたことを除いて、前処理2と同じ条件を示す。これらの前処理はデュアルダマシン構造のトレンチ16及びコンタクトビア20の表面全体に図4(b)に示す構造を形成する。前処理1及び2は常に設定されたように実行される必要はない。例えば、銅酸化膜を還元する必要がなければ、前処理1を実行することなく前処理2のみが実行されてもよい(以下で説明する図8は前処理2にのみ基づく処理を示す)。
【0124】
その後、基板WNC-ALDモジュール105に移送され、そこでWNC膜が基板上に形成された。表5はこの工程でのWNC-ALD形成条件をリストしたものである。
【0125】
【表5】
表5に示されるように、TEB(トリエチルボロン)は表4に示される特定の処理条件のもとで2秒間供給された。この工程において、図4(c)に示された構造が表面上に形成された。続くパージ処理において、大量のアルゴンガスを使ってWNC-ALDモジュール105からTEBがパージされ、その後WF6ガスが0.2秒間供給された。これにより図4(d)に示されるようなW-C結合が形成された。次に、Arガスを使ってWNC-ALDモジュール104からWF6ガスがパージされ、その後NH3ガスが0.5秒間供給された。これにより図4(e)に示されるようなNH/NH2結合が形成された。次に、Arガスを使ってWNC-ALDモジュール105からNH3ガスがパージされる。これらの導入及びパージを繰り返すことにより、平坦なWNC膜が形成された。
【0126】
実施例1−1
図8(a)及び(b)は、プラズマCVDにより形成されたSiOC膜201(日本エー・エス・エム株式会社によるAurora ULKTM膜)上に、前処理後、WNC-ALD膜が形成されるところの、トレンチ構造の断面画像を示す。表3及び4に示される前処理2が実行され、その後上記したWNC-ALD形成法を使ってWNC膜が形成された。図8(a)は100WのRF電力で形成された、極めて均一かつ平坦なWNC膜202を示す。図8(b)は300WのRF電力で形成された同様に均一かつ平坦なWNC膜203を示す。
【0127】
実施例1−2
図9(a)及び(b)は、表3に示された前処理1及び2の条件が別々に実行された場合に、プラズマCVD膜201(日本エー・エス・エム株式会社によるAurora ULKTM膜)の膜状態を示す。図9(a)はN2/He混合ガスを使ってプラズマ処理が実行された前処理後の状態を示す。トレンチのTEM断面画像によって示されるように、WNC-ALD膜204は側面が連続ではなく平坦でもない。前処理1の目的は、銅酸化膜を還元することであり、この画像は低誘電率膜の表面にアミノ基を導入する際に、単独の前処置が常に有効ではないことを示している。一方、図9(b)はH2/H2/N2混合ガスを使った前処理2を実行した後の状態を示す。ここに示されるように、WNC-ALD膜205はトレンチの側面でも連続かつ平坦である。ここで銅酸化膜を還元する必要がないので、前処理1は省略できる。表1に示す前処理条件のもとでも同じ形状が得られた。また、この実施例で説明したようなプラズマCVDにより形成されるSiOC膜(日本エー・エス・エム株式会社によるAurora ULKTM膜)ばかりでなく、SiO2、Si3N4、SiC及びTEOSを使ったプラズマCVDにより形成される金属膜にも同じ効果が確認された。
【0128】
実施例1−3
上記実施例で示された前処理の効果は、表2に示されるようなNH3ガスが高周波プラズマ状態で印加された場合にも達成可能であり、その場合には極めて平坦なALD-WNC膜が形成される。しかし、図1(a)に示されるデュアルダマシン構造の層間絶縁膜(10,12)としてSiOCまたは他の低誘電率膜が使用されれば、アルキル基であるメチル基の連鎖のようなSiOC膜中の炭素含有側鎖がダメージを受け、結果として膜が収縮する。この問題を防止するために、NH3を含むプラズマガスが本発明に従うデュアルダマシン構造のトレンチ及びコンタクトビアの表面全体を前処理するのに使用される。SiOC膜の場合、SiOC膜に対するダメージは、H2/He/N2混合ガスが使用された場合より小さいことがわかった。
【0129】
表6は、2つの異なる混合ガス、N2/He及びH2/He/N2がプラズマCVDにより形成されたSiOC膜(日本エー・エス・エム株式会社によるAurora ULKTM膜)と組み合わせて使用された場合のプラズマ処理の効果を比較したものである。
【0130】
【表6】
表6に示されるように、N2を添加することにより、SiOC膜厚の収縮率が4.68%から3%またはそれ以下に減少した。9.6%から48%の範囲で窒素の分圧を変化させることにより測定値を評価した場合、約20%の分圧で収縮が小さくなることがわかった。これは、窒素の分圧が約10から30%の範囲で好適に調節可能であることを示唆するものである。また結果は高周波プラズマ出力に大きく依存して変化した。特定的に、300Wの高周波プラズマ出力での収縮率は500Wでの収縮率より小さく、100Wでの収縮率はさらに小さいこともわかった。
【0131】
実施例1−4
図10(a)及び(b)は、ALD-WNC膜により構成されるSiOC膜(日本エー・エス・エム株式会社によるULK膜)に対する前処理の潜伏時間の依存性を示す。共に表3に示された処理条件に従い、前処理2のみが実行された状態(図10(a))及び前処理1のみが実行された状態(図10(b))のもとで、依存性がチェックされた。
【0132】
潜伏サイクルの意味を以下で説明する。原子層蒸着法のもとで、1回のサイクルは1回のガス流サイクルから成る。例えば、WNC膜の場合、1回のサイクルはTEB、WF6及びNH3ガスをひとつずつ供給しかつパージする工程からなる。通常、1回のサイクルで約0.08nmの膜が形成される。しかし、表面状態に応じて、膜形成はサイクルが20回繰り返されるまで開始されない。これは初期表面を表す。この遅延のひとつの理由は、TEBのSiO2への吸着が遅いことである。潜伏サイクルは処理時間、または膜形成開始前に必要な、原子層蒸着の場合のサイクル回数をいう。本発明の場合のように表面がNH2またはNHにより終端される場合、TEBが素早く吸着され、膜形成がすぐに開始される。結果として、潜伏サイクルが減少する。これは図10に示されている。以下で説明するように、前処理により、膜形成は、3から4サイクルの後に開始されるが、通常状態ではガスは膜形成開始前に平均27.6サイクルで導入されなければならない。ULK膜は気孔を有するため、本発明により膜形成が実際にすぐに開始されていると考えられる。
【0133】
図10(a)は、300WのN2/H2/HeガスプラズマによりASM ULK膜が前処理された場合、潜伏サイクルは3.4回であることを示し、これは膜がULK膜表面に簡単に形成されることを意味している。一方、図10(b)は800WのH2/Heガスを使って銅表面の酸化膜が還元される条件で、潜伏サイクルは減少することを示唆している。この場合、WNC膜がULK膜の気孔内に浸透するため、ULK膜表面への膜形成はすぐには開始されない。したがって、銅表面を還元するように設計された前処理はプラズマCVDにより形成されたエー・エス・エム社製SiOC膜により構成されるULK膜への拡散を防止できないばかりか、ULK膜上への平坦なWNC膜の形成も不可能である。ULK膜へのWNC拡散を防止すると同時にULK膜上に平坦はWNC膜を形成するために、前処理用の最適なプラズマ処理条件が選択されなければならない。言い換えれば、銅表面を効果的に還元する処理(前処理1)は、WNC形成の潜伏サイクルを短くせず、前処理2の条件は、銅表面還元には効果的ではないが、WNC形成の潜伏サイクルを短くする(すなわち、前処理2の条件は平坦なWNC膜を形成するのに有効である)。
【0134】
実施例1−5
さらに、ひとつの実施例における本発明の目的は、図1(b)に示されるように、平坦に形成されたWNC膜22上にRu膜を形成することにより、平坦なRu膜23を形成することである。WNC膜22は容易に酸化されるため、Ru膜は還元雰囲気中で形成されなければならない。表7はRu-ALD膜を形成するための処理条件をリストしたものである。この処理はビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(Ru(EtCp)2)及びNH3プラズマが交互に供給されるところのプラズマALD法に基づいている。これらの処理条件は還元雰囲気中でRu膜を形成するのに使用される。
【0135】
【表7】
図11(a)から(d)は、原子間力顕微鏡を使った膜構造の微小粗さの測定結果を示し、該膜構造は、この実施例の方法に従いTEOSを使ったプラズマCVDによりSiO2膜が形成され、その後SiO2膜が表2に示される高周波NH3ガスにより前処理され、その後WNC-ALD膜及びRu-ALD膜が層状に形成されたものである。図11(a)に示された構造において、ALD-WNC膜のみが表2に示された処理後に形成された。図11(b)から(d)は表7に示されるRu-ALD膜処理をぞれぞれ、100回、200回、300回繰り返すことにより形成されたラミネート構造の表面粗さを示す。図11(a)に示す構造は0.355nmのRMS粗さを有し、頂上に形成されたRu膜の粗さはほぼ同じレベルのRMS粗さを有する。300サイクル以上で形成されたRu膜は0.28nmのRMS粗さを生じるので、Ru膜も同じ平坦性で形成されることが分かる。
【0136】
図12(a)及び(b)は膜構造の表面粗さの観測結果を示し、ここで、Ru膜は、TEOSを使ったプラズマCVD法により形成されたSiO2膜上に、表7に示された処理条件を使って直接(WNC膜なしで)形成されたものである。RMSは1.827nmであり、それはこの実施例の方法により形成された膜の粗さレベルの約6倍であった。
【0137】
この実施例は、低誘電率膜へのダメージを最小化する条件とともに、デュアルダマシン構造のトレンチ及びコンタクトビアの表面全体に銅バリア膜のような平坦なWNC膜を形成するための処理条件を説明する。この例で与えられる方法は、形成されたRu膜の粗さを所望の平坦レベルに維持するように示されたものである。
【0138】
実施例2
この実施例は、デュアルダマシン構造のトレンチ及びコンタクトビアの表面全体にわたって、銅バリア膜となる金属でライニング処理し、半導体エレメントを形成する方法を説明する。
【0139】
特定的に、処理は、デュアルダマシン構造のトレンチ16及びコンタクトビア20の表面全体を前処理する工程、金属バリア膜としてタングステン炭素窒化WNC膜を形成する工程、Ru膜を形成する工程に関し、それぞれ図1(b)、(c)及び(d)に対応する。これらの工程は図5(a)または(b)に示されるフローチャートに対応し、図1(b)、(c)及び(d)に対応する工程は図5(c)に示される構造を有する装置を使って実行される。図1(a)の断面図に示される構造を有する半導体基板は、図5(c)に示される大気圧ロボット101によりカセットボックス100からロードロックチャンバ102へ移送される。チャンバが真空状態に排気された後、基板は、中心プラットフォーム103に与えられた中心ハンドラーによりロードロックチャンバ102から前処理モジュール104へ移送される。表1は前処理モジュールでの処理条件のリストである。前処理モジュール104は13.56MHzの高周波RFを導入することにより平行平板プラズマを印加することができる。図5(a)に対応する工程で使用されたガスは表1のH2/He/N2混合ガスであり、それは特定の圧力でRF電力を60秒間印加された。60秒の前処理期間中に高周波電力またはガス流量を連続的に変化させることにより、前処理をより効率的に実行することが可能である。図13はこの実施例で使用される処理条件を示すタイミングチャートである。最初の30秒間、H2/He混合ガスのみが、800WのRF電力で導入された。30秒後、RF電力は300Wに減少され、同時にN2ガスが0から200sccmまで連続的に流量を変化させて導入された。
【0140】
その後、基板はWNCモジュール105へ移送され、そこでWNC膜が基板上に形成される。表5はこの工程で使用されるWNC-ALD形成条件をリストしたものである。表5に示されるように、TEB(トリエチルボロン)は表5に示される一定の処理条件のもとで2秒間供給された。この工程において、図4(c)に示される構造が表面に形成された。続くパージ処理において、TEBは大量のアルゴンガスを使ってWNC-ALDモジュール105からパージされ、その後WF6ガスが0.2秒間供給された。これにより図4(d)に示されるようなW-C結合が形成された。次に、WF6ガスがアルゴンガスを使ってWNC-ALDモジュール105からパージされ、その後NH3ガスが0.5秒間供給された。これにより、図4(e)に示されるようなNH/NH2結合が形成された。次に、NH3ガスがアルゴンガスを使ってWNC-ALDモジュール105からパージされた。これらの導入及びパージを繰り返すことにより、平坦なWNC膜が形成された。
【0141】
また、この実施例の目的は、図1(d)に示すように、平坦に形成されたWNC膜22上にRu膜を形成することにより平坦なRu膜23を形成することである。WNC膜22は容易に酸化されるため、Ru膜は還元雰囲気中で形成されなければならない。表6はRu-ALD膜を形成するための処理条件をリストしたものである。この処理は、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(Ru(EtCp)2)及びNH3プラズマが交互に供給されるところのプラズマALD法に基づくものである。これらの処理条件は還元雰囲気中でRu膜を形成するのに使用される。
【0142】
この実施例は、デュアルダマシン構造のトレンチ及びコンタクトビアの表面全体に、銅バリア膜として、平坦なWNC膜を形成するための処理条件を説明する。特定的に、高周波プラズマ出力及びガス条件は、前処理工程において連続的に変更された。この例で与えられる方法は、形成されたRu膜の粗さを所望の平坦レベルに維持するために示されたものである。
【0143】
実施例3
この実施例は、本発明が半導体キャパシタエレメントの製造で使用される電極形成にどのように応用できるかを示す。図7(a)は、デュアルダマシン構造による配線間にキャパシタが形成されるところの半導体エレメントの例を示す。表3に示される前処理の後、表5に示される条件のもとでALD-WNC膜が形成された。厚さ3nmの膜が形成されると、表7に示される処理を使って厚さ2nmのRu-ALD膜23が形成された。Ru-ALD膜の頂上に、厚さ3から5nmのHfO2膜24が、ハフニウムジエチルアミド(Hf(NEt2)4)及びオゾンを使って、原子層蒸着法により形成された。その後、トップ電極26として厚さ50nmのCVD-TiN膜が形成された。上記膜により構成されたラミネート構造を処理することにより、所望のキャパシタが形成される。Ru表面の粗さが極端に小さいため、形成されたキャパシタは欠陥密度が小さくかつ絶縁破壊に対して極めて長期間の信頼性を有する。
【0144】
この方法は、この実施例で説明したデュアルダマシン構造を使用しないラミネート型キャパシタまたはトレンチ型キャパシタにも応用できる。いずれの場合にも、前処理を行い、ALD-WNC膜を形成し、その後本発明に従い頂上にRu膜を形成することにより、高信頼の非常に薄いキャパシタ膜構造が形成され、それがボトム電極を与える。
【0145】
実施例4
この実施例において、実施例1でNHxターミナルが導入される前に、気孔シール層が形成された。気孔シール層の形成後に、実施例1で説明した処理が繰り返された。
【0146】
すなわち、デュアルダマシン処理により、図15(a)に示されるようなビア/トレンチ構造が形成された。Eagle(商標)シリーズのプラズマCVD装置を使って気孔シール膜としてSiC膜が形成された。条件は以下の通りである。
【0147】
【表8】
蒸着されたSiC膜は、トレンチ16の低-k層10の露出側面、及びビア14の低-k層12の露出側面を被覆し、気孔シール層として機能する。SiC膜は厚さが4nmで誘電率が4.0であった。SiC膜の厚さはエッチングストップ層21の頂上での厚さであった。気孔シール層がある程度まで気孔中に浸透しているため(そのステップカバレッジ特性に依存して大きく変化はしないが)、トレンチ16での低-k層10の露出側面の厚さまたはビア20での低-k層12の露出側面の厚さを決定するのは困難である。低-k層の露出面での気孔シール層の厚さは、好適には、2から5nmである。また、ビア/トレンチのボトム(すなわち、配線層14の露出面)での厚さは、ステップカバレッジ特性に依存して、エッチングストップ層21の頂上での厚さと異なる。
【0148】
図15(b)に示されるように気孔シール層301を形成した後、気孔シール層は、配線層14の露出面、エッチングストップ層19のステップ部分、及び低-k層10の頂上面を含む平坦面からシール層部分を除去するべくイオンエッチングに曝された。上記中で、特に、配線層14の露出面上の部分は図15(c)に示されるように完全に除去された。NHxターミナルは図15(c)に示されるように露出したすべての面に導入され、そこでNHxターミナルは残りの面と同様に気孔シール面の表面にも効果的に導入された。残りの処理は実施例1と同じであった。図16(a)から(d)に示されるように、銅相互接続線305はCMPにより製造される。
【0149】
CMPの間、Cu線の分離は観測されず、これは通常の銅線抵抗を与えることにより明らかとなった。気孔シール層の蒸着、前処理、及びWNC蒸着の組み合わせにより、極めて平坦かつ微細なRu膜が形成され、それにより平坦かつ信頼できる銅線が形成される。
【0150】
本発明は、上記実施例に限定されず、以下に説明する実施例も含む。
【0151】
1)半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、半導体エレメント基板上の金属配線領域に絶縁膜を形成する工程と、デュアルダマシン処理を使って絶縁膜に所望の配線パターンでトレンチを形成し、その後トレンチのボトムのボトム層で金属配線を露出させ、頂上の金属配線と電気的に接続するように配線を構成するダマシン構造を形成する工程と、還元雰囲気中で絶縁層の少なくとも表面にアミノ基-NH2または-NH結合を形成する工程と、還元ガスを供給し、該還元ガスをパージし、ハロゲン化金属分子を導入し、該ハロゲン化金属分子をパージし、成分原子として窒素原子及び水素原子を含むハロゲン置換窒化ガスを導入し、該ハロゲン置換窒化ガスをパージし、その後還元ガス、ハロゲン化金属分子及びハロゲン置換窒化ガスの導入及びパージを繰返し、少なくとも適用可能な金属及び窒素を含む導体薄膜を形成する工程と、該導体薄膜の頂上に第2の金属膜を形成する工程とから成る。
【0152】
2)項目1)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、還元ガスは、ジボラン、アルキルボラン、ジシラン、モノシラン及びアルキルシランから選択される化合物である、ところの方法。
【0153】
3)項目1)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、ハロゲン化金属分子を構成する金属は、W、TaまたはTiのいずれかである、ところの方法。
【0154】
4)項目1)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、成分原子として窒素原子及び水素原子を含むガスはNH3である、ところの方法。
【0155】
5)項目1)から4)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、コンタクトビアの内側面に-NH2または-NH結合を形成する工程は、高周波により活性化された少なくとも窒素ガス及び水素ガスを含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【0156】
6)項目5)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、窒素ガスの分圧は10から30%の範囲である、ところの方法。
【0157】
7)項目1)から4)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、コンタクトビアの内側面に-NH2または-NH結合を形成する工程は、高周波により活性化された少なくともNH3を含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【0158】
8)項目1)から4)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、トレンチのボトムで露出したボトム層金属面上に形成された酸化物を還元することができるH2含有還元ガスを高周波により活性化する工程の後に、コンタクトビアの内側面に-NH2または-NH結合を形成する工程は高周波により活性化された少なくとも窒素ガス及び水素ガスを含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【0159】
9)項目8)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、窒素の分圧は10から30%の範囲である、ところの方法。
【0160】
10)項目1)から4)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、トレンチのボトムで露出したボトム層金属面上に形成された酸化物を還元することができるH2含有還元ガスを高周波により活性化する工程の後に、コンタクトビアの内側面に-NH2または-NH結合を形成する工程は高周波により活性化された少なくともNH3を含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【0161】
11)項目1)から4)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、絶縁膜は、SiO2、SiOC、SiC、窒化シリコン及び炭素膜のひとつまたはそれ以上により構成される、ところの方法。
【0162】
12)項目1)から11)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、導体膜は、W、TaまたはTiのいずれか、及び少なくとも窒素から成る、ところの方法。
【0163】
13)項目1)から11)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、導体膜は、少なくともW、TaまたはTiのいずれか、窒素及び炭素を含む、ところの方法。
【0164】
14)項目1)から13)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、第2金属膜はRuまたはTa膜である、ところの方法。
【0165】
15)項目14)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、Ru膜はRu材料ガスの供給及びパージ、及び、第1反応ガスの供給及びパージを繰り返すことにより形成される、ところの方法。
【0166】
16)項目15)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、第1反応ガスは水素及び窒素の少なくとも混合ガスを含む、ところの方法。
【0167】
17)項目15)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、第1反応ガスは少なくともアンモニアを含む、ところの方法。
【0168】
18)項目15)から17)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、第1反応ガスを含むガスは高周波プラズマにより活性化される、ところの方法。
【0169】
19)項目13)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、TaまたはRu膜はPVD法により形成される、ところの方法。
【0170】
20)項目1)から19)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、銅は第2金属膜上に形成される、ところの方法。
【0171】
21)項目20)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、銅はPVD法、CVD法、電気めっき、または無電解めっきにより形成される、ところの方法。
【0172】
22)項目1)から21)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、さらに、還元雰囲気中で絶縁層の表面にアミド結合または-NH2若しくは-NH結合を形成する工程と、還元ガスを供給し、該還元ガスをパージし、ハロゲン化金属分子を供給し、該ハロゲン化金属分子をパージし、成分原子として窒素原子及び水素原子を含むアミノ基導入ガスを導入し、該アミノ基導入ガスをパージし、還元ガス、ハロゲン化金属分子及びハロゲン置換窒化ガスの導入及びパージを繰返し、少なくとも適応可能な金属及び窒素を含む導体薄膜を形成する工程と、第2金属膜を形成する工程と、を含み、これらすべての工程は真空中で連続して実行されるところの方法。
【0173】
23)項目22)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、第2金属膜上に銅を形成する工程も真空中で連続して実行される、ところの方法。
【0174】
24)半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、半導体エレメント基板上に形成された絶縁層の表面上にアミド結合または-NH2若しくは-NH結合を形成する工程の後に、第1還元ガスを導入し、該第1還元ガスをパージし、ハロゲン化金属分子を供給し、該ハロゲン化金属分子をパージし、成分原子としてN原子及びH原子を含む第2還元ガスを導入し、該第2還元ガスをパージし、第1還元ガス、ハロゲン化金属分子及び第2還元ガスの導入及びパージを繰返し、少なくとも適用可能な金属及び窒素を含む導体薄膜を形成する工程と、導体膜の頂上にRu膜を形成しボトム電極を形成する工程と、ボトム電極上に極めて薄い絶縁膜を形成する工程と、トップ電極を形成する工程と、から成る。
【0175】
25)項目24)に記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、第1還元ガスは、ジボラン、アルキルボラン、ジシラン、モノシラン及びアルキルシランから選択される化合物である、ところの方法。
【0176】
26)項目24)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、金属はW、TaまたはTiのいずれかであるハロゲン化金属分子から成る、ところの方法。
【0177】
27)項目24)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、成分原子として窒素原子及び水素原子を含む第2還元ガスはNH3である、ところの方法。
【0178】
28)項目24)から27)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、コンタクトビアの内側面に-NH2または-NH結合を形成する工程は、高周波により活性化された少なくとも窒素ガス及び水素ガスを含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【0179】
29)項目24)から27)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、コンタクトビアの内側面に-NH2または-NH結合を形成する工程は、高周波により活性化された少なくともNH3ガスを含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【0180】
30)項目24)から27)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、高周波によりH2含有還元ガスを活性化する工程または同等のラジカル工程の後に、コンタクトビアの内側面に-NH2または-NH結合を形成する工程は、高周波により活性化された少なくとも窒素ガス及び水素ガスを含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【0181】
31)項目24)から27)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、高周波によりH2含有還元ガスを活性化する工程または同等のラジカル工程の後に、コンタクトビアの内側面に-NH2または-NH結合を形成する工程は、高周波により活性化された少なくともNH3ガスを含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【0182】
32)項目21)から31)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、絶縁膜は、SiO2、SiOC、SiC、窒化シリコン及び炭素膜のひとつまたはそれ以上により構成される、ところの方法。
【0183】
33)項目24)から32)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、導体膜は、W、TaまたはTiのいずれかから成る、ところの方法。
【0184】
34)項目24)から32)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、導体膜は、W、Ta、またはTiのいずれか及び少なくとも窒素から成る、ところの方法。
【0185】
35)項目24)から32)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、導体膜は、少なくともW、Ta、またはTiのいずれか、並びに窒素及び炭素から成る、ところの方法。
【0186】
36)項目24)に記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、Ru膜は、Ru材料ガスの供給及びパージ、及び還元ガスの供給及びパージを繰り返すことにより形成される、ところの方法。
【0187】
37)項目36)に記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、還元ガスは、水素及び窒素の少なくとも混合ガスを含む、ところの方法。
【0188】
38)項目36)に記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、還元ガスは少なくともアンモニウムを含む、ところの方法。
【0189】
39)項目36)から38)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、還元ガスを含むガスは高周波プラズマにより活性化される、ところの方法。
【0190】
40)項目1)から項目39)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であり、絶縁層が多孔質であり気孔を有するところの方法であって、さらに、工程(ii)の前に、(a)絶縁層の露出面上の気孔をブロックするための気孔シール層を形成する工程と、(b)配線層の露出面上に形成された気孔シール層の一部を除去する工程であって、工程(ii)においてその上にN及びHを含むターミナルが導入される絶縁層の露出面は、気孔シール層の表面及び配線層の露出面から成る、ところの工程とを含む。
【0191】
41)項目40)に記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、気孔シール層は、SiC、SiOC、窒化シリコン、アモルファスカーボン、及びSiO2から成るグループから選択される材料により構成される、ところの方法。
【0192】
42)項目41)に記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、絶縁層の露出面は少なくともひとつのトレンチを形成し、配線層の露出面はトレンチのボトムに形成される、ところの方法。
【0193】
本発明の思想から離れることなく、さまざまな修正が可能であることは当業者の知るところである。したがって、本発明の形式は例示に過ぎず、本発明の態様を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】図1(a)から(d)は、半導体エレメントの配線構造を示す断面略示図であり、本発明のひとつの実施例に従うデュアルダマシン銅配線を形成する処理を説明するために与えられている。特に、これらの図面はデュアルダマシン構造内(図1(a))のトレンチ及びコンタクトビアの表面全体に-NHx(x=1,2)を導入し(図1(b))、ALD法を使って金属バリア膜のライニングを形成し(図1(c))、Ru膜を形成し(図1(d))、その後銅層を形成する処理を説明する。
【図2】図2(a)及び(b)は、本発明のひとつの実施例に従う処理フローチャートを示す。図2(a)は1つの前処理を有する処理を示し、図2(b)は2つの前処理を有する処理を示す。
【図3】図3は、本発明のひとつの実施例に従い形成されたデュアルダマシン銅配線構造を示す断面略示図である。
【図4】図4(a)から(e)は、前処理及び原子層蒸着が使用された、本発明のひとつの実施例に従うWNC膜形成メカニズムのモデルを図示したものである。図4(a)は絶縁膜の表面状態を示し、図4(b)は-NH2基の導入後の状態を示す。図4(c)は、TEBの導入後の状態を示し、図4(d)はWF6の導入後の状態を示す。図4(e)は-NH2基の導入後の状態を示す。
【図5】図5(a)から(c)は、本発明のひとつの実施例に従う配線形成方法を示す処理フローチャートであり、図5(c)は製造装置の構造を略示したものである。(銅形成工程は真空下で連続して実行されない。)
【図6】図6(a)から(c)は、本発明のひとつの実施例に従う配線形成方法を示す処理フローチャートであり、図6(c)は製造装置の構造を略示したものである。(銅形成工程は真空下で連続して実行されない。)
【図7】図7(a)から(d)は、本発明のひとつの実施例に従う配線形成方法が容量電極を形成するのにどのように適応されるかを示す断面略示図である。
【図8】図8(a)及び(b)は、透過電子顕微鏡により撮られた断面画像を与え、プラズマCVDにより形成されたSiOC膜(日本エー・エス・エム株式会社によるAurora ULK膜)上に、本発明のひとつの実施例に従い与えられる前処理及びALD-WNC膜形成後の状態を示す。
【図9】図9(a)及び(b)は、透過電子顕微鏡により撮られた断面画像を与え、プラズマCVDにより形成されたSiOC膜(日本エー・エス・エム株式会社によるAurora ULK膜)上に、本発明のひとつの実施例に従って(表2に示された条件で)別々に与えられる前処理1及び前処理2後の状態を示す。
【図10】図10(a)及び(b)は、ALD-WNC膜により構成されたSiOC膜(日本エー・エス・エム株式会社によるULK膜)に対するWNC膜厚のサイクルカウント依存性と関連した、前処理での潜伏時間の依存性の例を示すグラフを与える。
【図11】図11(a)から(d)は、本発明のひとつの実施例に従い前処理されたSiO2膜上に形成されたWNC膜(図11(a))及びWNC膜上に形成されたRu膜(図11(b)から(d))の原子間力顕微鏡による表面粗さの評価結果を与える。
【図12】図12(a)は還元雰囲気中で原子層蒸着法を使ってSiO2膜上に形成されたRu膜の略示図であり、図12(b)は原子間力顕微鏡による表面粗さの評価結果を与える。
【図13】図13は、本発明のひとつの実施例に従う前処理条件の一例での、RF出力の変化とガス流量を示すタイミングチャートである。
【図14】図14は、本発明のひとつの実施例に従い、気孔シール層が形成され、その後ひとつの前処理を有する処理または2つの前処理を有する処理が実行されるところの処理フローチャートを与える。
【図15】図15(a)から(d)は、半導体エレメントの配線構造を示す断面略示図であり、本発明のひとつの実施例に従いデュアルダマシン銅配線構造を形成する処理への気孔シール層の適用を説明するために与えられたものである。
【図16】図16(a)から(d)は、半導体エレメントの配線構造を示す断面略示図であり、本発明のひとつの実施例に従う図15(a)から(d)に示された処理に続く処理を説明するために与えられたものである。
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年10月7日に出願した米国特許出願第11/245,908号の部分継続出願であり、当該出願はここに参考文献として組み込む。
【0002】
本発明は微細半導体デバイスを製造する際に好適に使用される金属配線構造を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体デバイスの配線層の形成において、信号の伝送遅延を防止するために、配線間の絶縁層として低誘電率の絶縁膜を使用するとともに、配線として抵抗の小さいCu及び他の金属が使用されている。Cu配線構造を形成する際、一般的方法は、ボトム層のCu配線上に層間絶縁膜を形成し、その後、この絶縁層内に下部層及び、上部層において配線パターンとなるトレンチ、並びに上部層と接続するコンタクトビアを形成し、ダマシン構造を製造する。この場合、トップ層で配線パターンとなるCu膜を絶縁膜上に直接形成することは、Cuに絶縁層内への拡散を生じさせ、デバイス特性に影響を及ぼす。したがって、Cu拡散を防止するために、Cu膜と絶縁層との間に金属バリア層が形成される。
【0004】
この金属バリア膜は、スパッタ法、CVD法及びALDなどさまざまな方法により形成される。バリア膜を形成するのに使用される材料として、TiN、TaN及びWNが含まれる。半導体デバイスがより微細化するに従い、良好なステップカバレッジをもたらすCVD膜がバリア膜として採用され、ALD膜はごく最近採用されてきた。これらの膜を形成するのに使用される材料として、TiCl4、TaF5、WF6及び他のハロゲン化合物が含まれ、一方窒化膜を形成するのにNH3及び他のガスが使用される。PVDに比べCVD及びALDによれば、材料ガスとの化学反応のため層間膜がダメージをより受けやすくなる。多くの場合、CVD及びALDは十分な密着性を与えない。また、CVDまたはALDにより形成されたバリア膜はCu膜と良好な密着性を必ずしも与えない。これらの理由から、密着性を改善するための手段として、CVDまたはALD形成バリア膜とCuとの間にTaまたはRuを挿入することが提案された。
【0005】
国際公開公報WO03/056612は、Ru膜が層間膜上に直接形成される構造とともに、プラズマALDによりRu膜がバリア層膜上に形成される構造を開示する。ここで、Cu膜はCVDまたは電気めっきによりRu膜上に形成される。
【0006】
米国特許第6,759,325号は、SiO2膜より低い特定の誘電率を有する層間絶縁膜として与えられる多孔質SiOC膜上に、ALDを使って金属バリアが形成される際、ALD形成バリア膜が気孔を通じてSiOC膜へ拡散しないようにするための方法を開示する。
【特許文献1】米国特許第6,759,325号
【0007】
この方法は、表面層付近の気孔をシールし、その後ALDを使って金属バリアを形成するために、層間絶縁膜の表面全体に導体膜を形成するようPVDまたはCVDを使用する方法を与える。
【0008】
JAP Vol. 95, No.1, pp.381-388(2004)は、ALD-WNC膜を形成するための方法を開示する。特定的に、ICPプラズマ装置またはTCPプラズマ装置が、酸素及び窒素を含む混合ガスにより、低誘電率面をプラズマ処理するのに使用され、その後WF6、TEB及びNH3ガスがひとつずつ導入される。この処理が繰り返されると、タングステンが低誘電率膜中に拡散することなく平坦なWNC膜が形成される。ここで、表面の酸素及び窒素の存在が均一なWNC膜を形成する際に有効であると主張されている。酸素の含量は99から20%の範囲である。SiOCにより構成される低誘電率の絶縁膜は多孔質膜であり、その気孔サイズは形成方法に応じて変化する。上記プラズマ処理は形成されたWNC膜が絶縁膜中に浸透するのを防止すると報告されている。
【0009】
電極としてRu膜を使用するキャパシタの形成において、Ru膜の平坦性は非常に重要である。キャパシタの場合、極端に薄い絶縁膜が電極上に形成されなければならない。Ru膜が非常に粗い面であれば、絶縁膜の電気的特性は簡単に劣化する。特開2003-168738は、キャパシタを形成する際、ボトム電極としてRu膜の直下に金属バリアを形成する方法を開示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した国際公開WO03/056612において、Ru膜がプラズマALDによりバリア層膜上に形成されるところの構造、及びRu膜が層間膜上に直接形成されるところの構造が開示されている。しかし、原子層蒸着により層間絶縁膜上に直接薄いRu膜を形成するのは困難である。一般に誘電率を低く維持するために多孔質絶縁膜が使用されるため、絶縁層上に平坦な薄膜を形成することは特に困難である。一方、Ru膜が層間絶縁膜上に与えられるバリア層の頂上に形成されれば、均一なRu膜を形成するのは比較的簡単である。しかし、この場合、バリア膜自身の平坦性がRu膜に影響を与え、バリア膜は低誘電率の多孔質膜上に均一に形成されない。これらの理由から、均一なRu膜の形成は困難であった。薄いバリア膜を形成する試みは不連続な膜を生じさせ、膜厚の増加によっても表面粗さは改善されないであろう。
【0011】
本発明は上記問題に鑑みて為されたものである。ひとつの実施例において、本発明の目的は、平坦なバリア層を形成することである。他の実施例において、本発明の目的は薄く、連続で、平坦なバリア層またはRu膜を形成することである。さらに他の実施例において、本発明の目的は、平坦で、薄いバリア膜またはRu膜をダマシン構造において形成することである。さらに他の実施例において、本発明の目的は、平坦なバリア膜の頂上に形成されるRu電極により構成されたキャパシタを製造することである。さらに他の実施例において、本発明の目的はRu膜以外の金属膜に適用することである。
【0012】
本発明はさまざまな実施例における上記目的のひとつまたはそれ以上を達成するものである。しかし、本発明は上記目的に制限されず、実施例において、本発明はそれらの目的以外の効果を示すものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ひとつの態様において、本発明は、金属含有バリア層を含む金属配線構造を形成するべく、該金属含有バリア層を製造するための方法を与え、当該方法は、(i)反応空間内に露出した配線層及び露出した絶縁層を含む多層構造を与える工程と、(ii)還元雰囲気で絶縁層の少なくとも露出面上に、Nを含むターミナル、典型的に-NH2または>NHターミナルのようなN及びHを含むターミナルを導入する工程と、(iii) 導入したターミナルを還元するべく反応空間に還元剤を導入し、その後反応空間をパージする工程と、(iv)導入した還元剤を置換するべく反応空間に金属ハロゲン化合物を導入し、その後反応空間をパージする工程と、(v) N含有ターミナル、典型的にN及びH含有ターミナルを与えるべく、導入された金属ハロゲン化合物により形成された面に、N含有ガス、典型的にN及びH含有ガスを導入し、その後反応空間をパージする工程と、から成る。当該方法は、さらに、(vi)金属含有バリア層を形成するべく工程(iii)から(v)を連続して繰り返す工程と、(vii)金属含有バリア層上に金属膜を形成する工程であって、該金属膜は配線層を構成する金属以外の金属から成るところの工程とを含む。
【0014】
上記態様は、これに限定されないが、以下の実施例を含む。
【0015】
当該方法はさらに、工程(ii)の前に、配線層の露出面上に形成された酸化膜を還元するべく反応空間へH2含有還元ガスのプラズマまたはラジカルを導入する工程を含んでもよい。工程(ii)は励起したNH3、励起したNH2、若しくは励起したN2/H2またはN2/H2を含むプラズマまたはラジカルにより、配線層の露出面及び絶縁層の露出面を処理する工程から成る。
【0016】
工程(ii)は、励起したNH3、励起したNH2または励起したN2/H2を含むプラズマまたはラジカルにより、配線層の露出面及び絶縁層の露出面を処理する工程から成ることもできる。
【0017】
工程(ii)は、N2の分圧が5%から50%であるようなN2及びH2を含むガスから誘導された励起したN2/H2を含むプラズマまたはラジカルを使用してもよい。上記において、絶縁層はSiOCにより構成されてもよい。
【0018】
絶縁層は、炭化シリコン、Nドープ炭化シリコン、窒化シリコン、酸化シリコン、Cドープ酸化シリコン、及び有機シリコンから作られた絶縁材料から構成される集合から選択された材料により構成される。
【0019】
工程(iii)から(v)は原子層蒸着を実行する。
【0020】
工程(iii)の還元剤は、ジボラン、アルキルボラン、ジシラン、モノシラン、及びアルキルシランから成る集合から選択される。
【0021】
工程(iv)のハロゲン化金属は、W、Ta及びTiから成る集合から選択された金属を含む。
【0022】
工程(V)のN及びHを含むガスはNH3である。
【0023】
金属含有バリア層は、少なくとも金属、炭素及び窒素により構成される。
【0024】
金属膜はRu膜またはTa膜である。
【0025】
工程(vii)は、(a)Ruソースガスを導入する工程と、(b)反応空間をパージする工程と、(c)H及びNを含むガスを導入する工程と、(d)反応空間をパージする工程と、(e)工程(a)から(d)を繰り返す工程と、から成る。H及びNを含むガスはNH3またはN2及びH2の混合ガスである。該ガスはプラズマにより励起されてもよい。
【0026】
工程(iii)から(vi)及び工程(vii)は、それぞれの反応空間内で実行され、真空を壊すことなく連続して実行される。
【0027】
当該方法はさらに、金属膜上に銅層を形成する工程を含む。上記において、工程(ii)、工程(iii)から(vi)、工程(vii)及び銅層を形成する工程は、それぞれの反応空間内で実行され、真空を壊すことなく連続して実行される。
【0028】
工程(iii)は還元剤により-NH2または>NHを還元するために実行され、それにより、-NH-Aまたは>N-Aが与えられ、ここでAは還元剤から誘導される。工程(iv)はAをハロゲン化金属化合物と置換するために実行され、それにより、-NH-Mまたは>N-Mが与えられ、ここでMはハロゲン化金属化合物から誘導される。工程(v)はM内のハロゲンを-NH2または>NHと置換するために実行され、それにより、-NH-M’-Trまたは>N-M’-Trが与えられ、ここでM’はMから誘導され、Trは-NH2または>NHである。
【0029】
配線層は銅から成る。
【0030】
他の態様において、本発明は、キャパシタを製造するための方法を与え、当該方法は、(I)第1の態様にしたがって、金属配線構造を形成する工程であって、金属膜は下部電極として機能するところの工程と、(II)金属配線構造上に薄い絶縁膜を形成する工程と、(III)薄い絶縁膜上に上部電極を形成する工程と、から成る。
【0031】
さらに他の態様において、本発明は、金属含有バリア層を含む金属配線構造を形成するための方法を与え、該金属含有バリア層を製造する方法は、(i)露出配線層及び露出絶縁層を含む多層構造を与える工程と、(ii)還元雰囲気中で少なくとも絶縁層の露出面上に-NH2または>NHを導入する工程と、(iii)-NH-Aまたは>N-Aを与えるべく還元剤により-NH2または>NHを還元する工程であって、ここでAは還元剤から誘導されるところの工程と、(iv)-NH-Mまたは>N-Mを与えるべくAをハロゲン化金属化合物と置換する工程であって、ここでMはハロゲン化金属化合物から誘導されるところの工程と、(v) -NH-M’-Trまたは>N-M’-Trを与えるべくM中のハロゲンを-NH2または>NHと置換する工程であって、ここでM’はMから誘導され、Trは-NH2または>NHであるところの工程と、から成る。当該方法は、さらに、(vi)金属含有バリア層を製造するために工程(iii)から(v)を繰り返す工程と、(vii)金属含有バリア層上に金属膜を形成する工程であって、該金属膜は配線層を構成する金属以外の金属から成るところの工程とを含む。
【0032】
さらに他の態様において、本発明は金属含有バリア層を含む多層構造を形成するための方法を与え、金属含有バリア層を製造するための方法は、(i)反応空間内に絶縁層を与える工程と、(ii)還元雰囲気で絶縁層の少なくとも露出面上に-NH2または>NHターミナルを導入する工程と、(iii)反応空間へ還元剤を導入し、その後反応空間をパージする工程と、(iv)反応空間にハロゲン化金属化合物を導入し、その後反応空間をパージする工程と、(v)N及びHを含むガスを導入し、その後反応空間をパージする工程とから成る。当該方法は、さらに、(vi)金属含有バリア層を製造するべく工程(iii)から(v)を繰り返す工程と、(vii)金属含有バリア層上に金属膜を形成する工程とを含む。
【0033】
他の態様において、上記方法のいずれかにおいて、絶縁層は多孔質であり気孔を有し、その方法はさらに、工程(ii)の前に、(a)絶縁層の少なくとも露出面上に気孔をブロックするための気孔シール層を形成する工程と、(b)配線層の露出面上に形成された気孔シール層の一部を除去する工程であって、N及びHを含むターミナルが導入されるところの工程(ii)の絶縁層の露出面が気孔シール層の面及び配線層の露出面から成るところの工程とを含む。さらに気孔シール層を使用することにより、厚さが薄くても連続かつ優れたバリア性質を有するバリア層が形成され、平坦面を有する微細構造のRu膜のような金属膜が効果的に形成され、それにより、Cuメッキまたは化学的機械的研磨(CMP)の間でも配線層の分離が生じず平坦なCu配線を形成することが可能になる。
【0034】
上記すべての態様及び実施例において。ひとつの実施例で使用された構成要件は、置換が困難であるかまたは逆効果でなければ、他の実施例において相互に交換してあるいは付加して使用可能である。
【0035】
発明及び従来技術に対する利点を要約するために、本発明のある目的及び利点が説明された。もちろん、これらの目的または利点のすべてが本発明の特定の実施例に従って必ずしも達成されないことが理解されよう。よって、本発明はここに教示または示唆されるような他の目的または利点を必ずしも達成することなく、ここに教示されるような利点または利点の集合を達成または最適化する方法で実施または実行され得ることは当業者の知るところである。
【0036】
本発明の他の態様、特徴及び利点は以下の好適実施例の詳細な説明から明らかと成る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明は好適実施例及び図面を参照して説明される。しかし、好適実施例及び図面は本発明を限定するものではない。また、実施例に適応されるセオリー及びメカニズムが説明される。しかし、そのセオリー及びメカニズムもまた本発明を限定するものではない。
【0038】
上で説明したように、国際公開WO03/056612は、プラズマALDによりバリア層膜上にRu膜が形成されるところの構造、及び層間膜上に直接Ru膜が形成されるところの構造を開示している。しかし、層間絶縁膜上にRu膜を直接形成すると、平坦な膜を形成するのが困難であるという問題が生じる。Ru膜を層間膜上に直接形成するために、ボトム層配線に結合されたトレンチに露出したボトム層配線の表面の酸化を防止するために、Ruは還元雰囲気中で形成されなければならない。しかし、NH3またはH2が使用される際、膜厚が5nmまたはそれ以下なら絶縁膜上に平坦で連続な膜を形成するのは困難である。ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(Ru(EtCp)2)及びNH3プラズマが交互に供給されるところのプラズマALD法によりRuが形成される。本発明の発明者による研究の結果、還元雰囲気中でSiO2膜上に形成される8nmのRu膜の表面粗さはRMSで1.8nmまたはそれ以上であった。参考までに、所望のRMS厚さは0.3nmまたはそれ以下の約0.2nmである。高速な微細エレメントを製造するために、層間膜の特定の誘電率は好ましくは3またはそれ以下、より好ましくは2.5またはそれ以下であり、そのためには低密度の多孔質膜を使用する必要がある。これは、絶縁膜上に平坦かつ均一なRu膜を形成するのをより困難にする。
【0039】
一方、バリア膜上にRuが形成される場合、バリア膜自身の平坦性がRu膜に影響を及ぼす。このため、多くの場合、従来の方法を使って層間絶縁膜上に均一で平坦なバリア層を形成するのが困難であった。SiOC等により構成された多孔質膜は低誘電率及び低密度を有するため、多孔質膜上に均一なバリア膜を形成するのは特に困難である。これらにより、膜厚が5nmまたはそれ以下、または3nmまたはそれ以下の薄いバリア層は連続的に形成されず、バリア膜の頂上にRu膜を形成することにより粗さは改善されないことがわかった。
【0040】
銅の電気めっき層を直接形成するためのシード層としてRu膜が使用される場合、Ru膜の厚さ及び粗さは銅の形成の容易性及び形態に影響を及ぼす。Ru膜が平坦であれば、銅は電気めっき処理で高速に形成され、低抵抗の銅層が形成される。平坦なRu膜を得るために、低誘電率の多孔質絶縁膜上にバリア層が平坦に真下に形成されるような方法を識別することが重要である。バリア膜及びRu膜が減少した厚さで連続かつ平坦に形成される限り、トップ及びボトム配線を接続するビア全体にわたってバリア層が薄く維持され、銅が占める体積は増加し、それがビア抵抗を減少させる。銅めっき層がRu膜上に直接形成されれば、均一な導体層が達成でき、これにより均一な銅めっきの形成が可能になる。
【0041】
同じように、平坦なRu電極を層間膜上に形成するのは、Ru電極を有するキャパシタの形成の点で困難である。平坦なバリア膜が形成され、その後Ru膜が頂上に形成されれば、キャパシタの薄い絶縁膜が平坦なRu膜上に形成可能であり、それはキャパシタの長期間の信頼性を劇的に改善する。
【0042】
還元雰囲気中で層間絶縁膜上に平坦なRu膜を形成することの困難性に鑑みて、本発明は、ひとつの実施例において、平坦なバリア層の形成後に平坦なRu膜を形成する方法を与える。小さいアモルファス結晶グレインにより構成される薄膜は、タングステン、炭素及び窒素により構成される薄い三元合金膜(以下、WNC膜という)を使って形成され、その膜はWF6、NH3及びTEB、B2H6、SiH4、Si2H6または他のボロン及び/またはシリコン化合物ガスを交互に供給することにより形成される。本発明は、配線構造内の層間絶縁膜上にWNC膜を形成し、その後還元ガスを使って原子層蒸着法によってWNC膜の頂上にRu膜を形成するための方法を与える。本願発明者らは、SiO2、TEOS及びSiOC膜上にWNC膜を形成する試験を行い、SiO2膜または低誘電率のSiOC膜上に均一、平坦かつ連続の膜を形成することは前処理なしでは困難であることを発見した。特に、ダマシン構造内で層間絶縁膜の露出面上にRu膜が形成される際、ボトム層の銅配線がビアの底に露出し、それがJAP Vol.95, Number 1 pp.381-388 (2004)に開示されるような酸素を使ったプラズマ処理を実行不能にしている。これにより還元雰囲気中での前処理が必要となる。
【0043】
ひとつの実施例において、本発明は、ライニング層として平坦、連続かつ極端に薄い金属バリア膜を形成するための方法を与え、ここで、金属バリア膜は、少なくとも金属、窒素及び炭素を含む金属炭素窒化膜であり、デュアルダマシン銅配線構造の銅配線パターンを構成するトレンチ及びコンタクトビアの表面全体にわたって、銅拡散バリア層を形成する原子層蒸着法によって形成される。本発明はまた、上記した金属バリア膜の頂上に平坦なRu膜を形成し、その後デュアルダマシン金属配線構造を作成するべく銅配線パターンを形成するための方法を与える。B2H6及び他のアルキルボロン化合物、SiH4、Si2H6及び他のアルキルシリコン化合物、ハロゲン化金属分子、及びNH結合を含むNH3ガスのような還元ガスを使用する金属窒化膜の形成において、前もって表面にNH結合またはNH2結合を形成することにより、還元剤吸着工程において上記還元剤の吸着が容易になる。吸着した還元剤はハロゲン化金属化合物と容易に反応することができる。したがって、NH3ガス等が新たに導入される際、還元剤は再び吸着する。
【0044】
上記金属窒化膜の形成前に、NH3ガスを単独で供給すると、層間絶縁膜であるSiO2またはSiOC膜の表面に還元剤の好ましい吸着を達成することができない点に注意すべきである。このため、本発明のひとつの実施例において、処理は、高密度で-NHまたは-NH2結合を生成するために、高周波プラズマにより活性化されたNH3プラズマ、N2/H2プラズマ、またはN2H2プラズマガスを使用する。デュアルダマシン構造において、トップ層配線及びボトム層配線を接続するビアはボトム層の配線が露出するようにして形成される。したがって、酸化雰囲気中で上記処理を実行することは好ましくなく、その代わり還元雰囲気中で実行されるのが好ましい。
【0045】
図1(a)から(d)は半導体エレメントの配線構造を示す断面略示図であり、本発明のひとつの実施例に従うデュアルダマシン銅配線構造を形成する処理を説明するものである。特定的に、これらの図面はALD法を使って金属バリア膜でデュアルダマシン構造内のトレンチ及びコンタクトビアの表面全体をライニング処理し、その後Ru膜及び銅層を形成する処理を説明している。
【0046】
図1(a)は、金属バリア層の形成前のデュアルダマシン構造を表す。絶縁拡散バリア15は導体配線層14上に形成され、ボトム絶縁層12が絶縁拡散バリア15の頂上に形成され、エッチングストップ層19がボトム絶縁層12上に形成される。頂上絶縁層10はエッチングストップ層19の頂上に形成される。エッチングストップ層19は所望の配線パターンのトレンチ16を形成するのに使用される。トレンチ16はエッチングマスク層9のレベルでエッチングされ、2つの絶縁層(10,12)の間に形成される。エッチングストップ層19はパターニングされ、頂上絶縁層10の形成前にエッチングされ、トレンチ16の底から伸張するコンタクトビアの所望の水平方向寸法を明確に画定するハードマスクを構成する。ハードマスクを構成するエッチングストップ層19がエッチングされる領域において、トレンチ16の底から下部導体配線層14へ繋がるコンタクトビア20が開いている。符号21は平坦化工程において化学的機械的研磨が終了した層を示す。
【0047】
図1(b)は本発明のひとつの実施例における前処理を示す。この処理は、コンタクトビア20の底において銅配線表面上に形成された酸化物を除去する工程と、例えば、800WのRF出力で30秒間H2/Heガスを導入し、その後300WのRF出力で60秒間H2/H2/N2混合ガスを導入することにより、ダマシン構造内に露出した層間絶縁膜(12,10)の表面を前処理する工程とから成る。この処理は、ダマシン構造内の層間絶縁膜の表面を-NH及び-NH2結合により終端させる。この終端はNH3ガスを使った単純な加熱処理のみで達成するのは困難である。しかし、NH3が高周波を使って活性化されれば、プラズマ活性化H2/H2/N2混合ガスが使用される場合のようにNH及びNH2結合を使って表面を終端可能である。
【0048】
SiO2、SiOCまたはSiO等の表面に導入すべきアミノ基に関して、表面の原子に関するNの配位数が1ならば、3配位原子であるNが表面の原子と結合し、-NH2ターミナルが表面に形成される。配位数が2ならば、a>NHターミナルが表面に形成される。言い換えれば、本発明のひとつの実施例において所望される表面ターミナル構造は、-NH2または>NHである。以下で説明するように、TEBガス及び他の還元ガスが、図4に示されるように-NH2結合または>NH結合内のHと置換した形式で吸着されると考えられ、よって-NH2または>NHの表面上での存在が必要である。例えば、Si-NH-SiまたはSiONHOSiの場合において、>NHが生じる。図1(b)において、-NHxの “x”は1または2である。
【0049】
本発明のひとつの実施例において、アミノ基が、低誘電率膜の表面だけでなく、ビアの底の金属配線層の表面にも導入される。
【0050】
本発明のひとつの実施例において使用される低誘電率膜(絶縁膜ともいう)は、適用される配線構造がダマシンであるか否かと無関係に、SiO2、SiOC、SiC、SiNまたはFSG膜等である。所望の誘電率は約3またはそれ以下、より好ましくは約2.5またはそれ以下である。特定的に、Aurora ULKTM膜及びAurora ELKTM膜(ASMにより製造された標準膜)のようなSiOC膜が好適に使用される。
【0051】
次世代デバイスで広く使用される、SiOC低誘電率膜が図1(a)に示される絶縁膜(10,12)として適応されれば、アルキル基であるメチル基の鎖のようなSiOC膜中の側鎖を含む炭素はNH3ガスの高周波プラズマによりエッチングされ、結果的にSiOC膜中のCH3、C2H5及び他のアルキル基が失われる。これはときどきコンタクトビア20の形状を樽状に変形させる。高周波プラズマによる絶縁膜(10,12)へのダメージが疑われる場合、H2/He/N2ガスの高周波プラズマを使用することによりSiOC膜に対する負の効果を減少させることが可能である。ひとつの実施例において、H2/He/N2中の窒素の分圧は5から50%、より好ましくは10から30%である。RF出力周波数に関して、13.56MHz(通常2MHzまたはそれ以上、しかし60MHzを超えない)に調節可能である。Heに加え、Ar及び他の不活性ガスも使用可能である。ひとつの実施例において、処理条件は以下のように設定される。
【0052】
表面1へのアミノ基導入条件
H2流量(sccm):20から100(好ましくは30から50)
He流量(sccm):500から1000(好ましくは700から900)
N2流量(sccm):50から500(好ましくは100から300)
圧力(Pa):100から1000(好ましくは500から1000)
RF電力(W):30から300(好ましくは50から200)
温度(℃):150から350(好ましくは250から300)
時間(秒):10から60(好ましくは20から40)
表面2へのアミノ基導入条件
NH3流量(sccm):100から1000(好ましくは200から400)
Ar流量(sccm):500から2000(好ましくは800から1000)
圧力(Pa):100から1000(好ましくは300から500)
RF電力(W):30から300(好ましくは50から200)
温度(℃):150から350(好ましくは250から300)
時間(秒):10から60(好ましくは20から40)
【0053】
上記説明において、プラズマは、例えば、シャワーヘッドと基板が載置される加熱ステージとの間に印加される13.56kHzの高周波RF波により生成される平行平板型プラズマをいう。言い換えれば、基板はプラズマ生成雰囲気中に存在する。したがって、この処理はイオン活性種のような、プラズマ中で生成される短命の活性種により影響される。一方、基板から離れたところで遠隔プラズマ装置を使ってプラズマが生成される方法が存在し、活性分子中で寿命の長い中性分子が基板まで移送され、表面処理に使用される。これはラジカル処理と呼ばれる。言い換えれば、ラジカルとは電子が安定な通常(接地)状態に比べ電子励起状態における分子をいう。ラジカルはイオンではないが、それは活性化され反応性がある。本発明のひとつの実施例において、プラズマ及びラジカルは相互に交替して使用可能である。当業者は対応するプラズマ生成条件から適当なラジカル生成条件を決定することが可能である。
【0054】
上記処理において、アミノ基はプラズマを通じて表面に導入される。プラズマを使用せずに加熱によりアミノ基を導入するのは困難である。例えば、アミノ基の導入はNH3の供給によってのみ達成するのは困難である。しかし、表面へのアミノ基の導入は、N2H2ガス(ヒドラジン)等が使用されれば、プラズマ無しでも可能である。ひとつの実施例において、ヒドラジンを使った処理条件が以下のように設定される。全流量に対するヒドラジンの分圧は好適には10と50%の間である。
【0055】
表面3へのアミノ基導入条件
N2H2流量(sccm):10から300(好ましくは30から100)
Ar流量(sccm):500から2000(好ましくは500から1000)
圧力(Pa):130から1300(好ましくは300から800)
温度(℃):200から400(好ましくは250から300)
時間(秒):20から80(好ましくは30から60)
【0056】
上記したように、アミノ基の導入はNH3プラズマ、NH2プラズマ、N2/H2プラズマ、N2/Ar/H2プラズマ、またはN2H2、その他(プラズマの代わりにラジカルが使用されてもよい)によって実行される。
【0057】
アミノ基が十分に導入された否かは、WNC膜のような生成バリア膜のステップカバレッジから決定される(表面が平坦でなければステップカバレッジが悪いことを示しており、それは前処理が不十分であることを示している)。導入されたアミノ基の量は表面におけるバリア膜の1cm2あたりの原子量を分析することにより決定される。原子量が小さければ、十分なアミノ基が形成されておらず、一方、原子量の飽和は十分な前処理を示す。上記処理条件は例に過ぎず、特定の値は、前処理で使用される装置の性能及び他の特性に応じて変化する。使用する装置にしたがって最適条件が選択される。
【0058】
図1(c)により示される工程において、TEB(トリエチルボロン)ガスまたは他の還元ガスが導入され、その後不活性ガスによりパージされ、その後WF6ガスまたは他のハロゲン化金属が導入され、その後不活性ガスによりパージされ、その後NH3ガスまたは他のハロゲン置換窒化ガスが導入され、その後不活性ガスによりパージされる。この導入及びパージを繰り返すことにより、平坦なWNC膜または金属原子を含む他のバリア膜(金属バリア膜とも呼ぶ)22がダマシン構造の表面上に形成される。バリア膜はときどき導体膜と呼ばれるが、この用語は絶縁膜との違いを強調する場合に限定して使用される。バリア膜は常に電気的に導電性であるとは限らない。
【0059】
還元ガスに関して、B2H6、アルキルボロン化合物、SiH4、Si2H6またはアルキルシリコン化合物がTEBの代わりに使用される。ハロゲン化金属に関して、TaF6またはTiCl4がWF6の代わりに使用される。結果として、WNC膜の代わりに、TaN、TaCN、WN、TiNまたはTiCN膜のような金属原子を含むバリア膜が形成される。
【0060】
ひとつの実施例において、バリア膜を形成するための条件は以下のように設定される。
【0061】
TEB還元ガス流量(sccm):100から1000(好ましくは200から500)
時間(秒):1から5(好ましくは1から2)
パージガス流量(sccm):1000から3000(好ましくは2000から3000)
WF6金属前駆体流量(sccm):100から500(好ましくは300から500)
時間(秒):0.1から0.5(好ましくは0.1から0.2)
パージガス流量(sccm):1000から3000(好ましくは2000から3000)
NH3窒化ガス流量(sccm):300から1000(好ましくは300から500)
時間(秒):0.5から5(好ましくは1から2)
パージガス流量(sccm):1000から3000(好ましくは2000から3000)
温度(℃):300から500
圧力(Pa):100から500(好ましくは100から200)
繰返し回数:5から300(好ましくは20から100)
【0062】
パージガスとして、Ar、Heまたは他のガスが使用される。圧力は一定である必要はなく、ガスの種類及びパージ条件に従い適当な設定が選択可能である。
【0063】
上記したように、バリア膜が形成される面がアミノ基により終端される。還元ガス、ハロゲン化金属、ハロゲン置換窒化ガスを導入する処理を繰り返すことにより、平坦で均一なバリア膜が形成される。米国特許第6,759,325号は、ダマシン配線構造を形成するトレンチ及びビアの内側面にWF6を吸着させ、その後TEBまたは他の還元ガスを使って表面を還元する方法を開示する。しかし、ハロゲン化金属前駆体の導入は層間絶縁膜にダメージを与え、または膜内への浸透を生じさせる。
【0064】
ひとつの実施例において、バリア膜の厚さは1から5nm、好ましくは2から4nmの範囲に調節される。
【0065】
図1(d)に示された工程において、Ru膜のような第2金属膜23が、プラズマALDまたは他の方法を使って、WNC膜のようなバリア膜22の頂上に形成される。ここで、第2金属膜は前処理後に形成された金属バリア膜の頂上に形成される。この膜はRu、Taまたは配線に使用される銅膜と良好な接着性を与える他の材料から成り、いわゆる粘着層または接着層として作用する。言い換えれば、この膜は銅配線と銅拡散バリアとして機能する導体膜との間でサンドイッチされ、両者の間の接着性を改善する。
【0066】
Ru-ALDは、ビス(エチルシクロペンタジエチル)ルテニウム(Ru(EtCp)2)及びNH3プラズマが交互に供給されるところのプラズマALD法により形成される。Ru膜は還元雰囲気中で形成されるため、WNC膜22を酸化することなくラミネート構造が作成される。
【0067】
Ru(EtCp)2は第2金属膜を形成するための金属ガスのオプションだけではない。例えば、Ru(EtCp)2の誘導体、Ru(Cp)2(ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム)またはその誘導体、あるいはRu(iPrCp)2(ビス(i-プロピル-シクロペンタジエニル)ルテニウム)が使用されてもよい。第2金属膜がRuの代わりにTaにより構成されてもよい。Taが使用されれば、TIMATA(ターシャリー−アミルイミド−トリ(ジメチルアミノ)チタニウム)またはTBTDET(トリス−ジエチルアミノ−t−ブチルイミノタンタル)が使用される。NH3プラズマに加え、ハロゲン置換により目標の金属を窒化することができるNH2プラズマ、N2/H2プラズマ、N2/Ar/H2プラズマ、N2H2等を使用することも可能である(プラズマの代わりにラジカルを使ってもよい)。
【0068】
ひとつの実施例において、第2金属膜を形成するための条件が以下のように設定される。
【0069】
金属前駆体流量(sccm):100から500(好ましくは300から500)
時間(秒):0.5から3(好ましくは0.5から1)
圧力(Pa):200から500(好ましくは300から500)
パージガス流量(sccm):1000から3000(好ましくは2000から3000)
NH3ハロゲン置換窒化ガス流量(sccm):200から1000(好ましくは300から500)
RF電力(W):100から1000(好ましくは500から800)
時間(秒):0.5から5(好ましくは1から2)
圧力(Pa):100から400(好ましくは100から200)
パージガス流量(sccm):1000から3000(好ましくは2000から3000)
温度(℃):200から400(好ましくは300から400)
繰返し回数:5から300(好ましくは20から100)
【0070】
パージガスとして、Ar、Heまたは他のガスが使用可能である。圧力は一定である必要はなく、ガスの種類及びパージ条件に従い適当な設定が選択される。
【0071】
ひとつの実施例において、第2金属膜の厚さは1から10nmの範囲、好ましくは1から3nmの範囲に調節される。
【0072】
上記処理は真空で連続して実行されるのが好ましい。図2(a)及び(b)は図1(a)から(d)に示された本発明のひとつの実施例に従う処理フローチャートである。これらのフローチャートは図1(a)及び(b)に示されていない前処理を説明している。特定的に、図1(b)は表面へのアミノ基の導入を説明していたが、ひとつの実施例において、表面にアミノ基が導入される前に、金属配線層の表面に形成された酸化膜が還元される。酸化膜のこの還元は、アミノ基が表面に導入されるのと同時に実行されるか(図2(a))、または別々の作業として実行されてもよい(図2(b))。図1(b)で説明されたように、表面にアミノ基を導入するための条件は図2(b)に示される第2前処理に適用される。言い換えれば、図2(a)に示されるフローチャートにより、銅酸化膜は、前処理(アミノ基の表面への導入)と同じ処理条件のもとで還元される(すなわち、還元及び前処理が同時に達成される)。一方、図2(b)に示されるフローチャートにおいて、還元は第1前処理で実行され、アミノ基は第2前処理で導入され、この分離は、より広範囲でのそれぞれの条件の選択をもたらす。他に2つのフローチャートの差は、図2(b)に示されるフローチャートの第2前処理条件のもとで銅酸化膜は常に還元されるわけではないが、図2(a)に示されるフローチャートの条件のもとで銅酸化膜は常に還元されるという点にある。言い換えれば、図2(a)の前処理は図2(b)の第2前処理と同一であるが、両者は同一である必要はない。
【0073】
銅酸化膜の必要な還元レベルは、デバイスのビア抵抗を物理的に測定することにより決定される。測定したビア抵抗が特定の値を満足するか否かは銅表面の状態に依存する。銅表面がそれほど酸化されていなければ、わずかな還元で十分である。表面がひどく酸化されていれば、高出力の還元処理が必要である。言い換えれば、表面へのアミノ基の導入前に銅表面の状態に従って適当な条件が選択可能である。強力な還元処理が必要なら、図2(b)に示されるフローチャートが好ましい。
【0074】
図2(a)に示される実施例において、絶縁膜は半導体エレメント基板の金属配線領域に形成され、その後デュアルダマシン構造を構成するトレンチ及びコンタクトビアが上記絶縁膜内に形成される。次に、デュアルダマシン構造を構成するトレンチ及びコンタクトビアの表面全体に、還元雰囲気中で、アミド結合または-NH2若しくは-NH結合を形成するために、前処理が実行される。この時、コンタクトビアと接続されたボトム層内の銅配線の表面を酸化することなく、デュアルダマシン構造を構成するトレンチ及びコンタクトビアの表面全体にアミド結合または-NH2若しくは-NH結合が形成される(膜の酸化の程度に応じて、酸化が抑制されるだけでなく酸化膜も還元される)。NH3プラズマに加えて、上記処理は、例えば、NH2プラズマ、N2/H2プラズマまたはN2/Ar/H2プラズマにより実行されてもよい(プラズマの代わりにラジカルが使用されてもよい)。銅酸化膜は還元されなければならないため、図2(b)で示された第2前処理の条件よりRF電力は高い。
【0075】
ひとつの実施例において、ワンステップ前処理条件は以下のように設定される。
【0076】
N2流量(sccm):100から500(好ましくは200から300)
H2流量(sccm):10から50(好ましくは20から40)
He流量(sccm):500から1000(好ましくは700から900)
圧力(Pa):300から1000(好ましくは400から500)
RF電力(W):500から1000(好ましくは700から900)
温度(℃):100から350(好ましくは150から300)
時間(秒):10から60(好ましくは20から40)
【0077】
他の実施例において、ワンステップ前処理条件は以下のように設定される。
【0078】
NH3流量(sccm):100から1000(好ましくは200から500)
Ar流量(sccm):500から1000(好ましくは700から900)
He流量(sccm):500から1000(好ましくは500から700)
圧力(Pa):100から500(好ましくは300から500)
RF電力(W):300から1000(好ましくは500から800)
温度(℃):100から300(好ましくは150から300)
時間(秒):10から60(好ましくは20から40)
【0079】
次に、金属窒化膜または金属炭素窒化膜で構成されたバリア膜が形成される。この工程において、還元ガスが供給されその後パージされ、その後ハロゲン化金属分子が供給されその後パージされ、その後成分元素として窒素原子及び水素原子を含むアミノ基導入ガスが導入されその後パージされる。その後、上記還元ガス、ハロゲン化金属分子及びハロゲン置換窒化ガスの導入及びパージを繰り返すことにより、少なくとも適応可能な金属及び窒素を含む薄膜(バリア膜)が形成される。次の工程において、銅膜との良好な接着性を与える金属膜が、還元雰囲気中で原子層蒸着法によりバリア膜の頂上に形成される。その後、このRu膜上に銅膜が形成される。銅膜は物理的蒸着法、化学的蒸着法、または電気めっきにより形成可能である。図3は、本発明のひとつの実施例に従って形成された配線パターンの状態を示す断面略示図であり、ここで、Ruが形成され、銅配線が形成され、その後不必要な銅膜及び/またはバリア膜を除去するための平坦化処理が為され銅配線パターン24が形成される。
【0080】
図2(b)に示される実施例において、2つの前処理は連続して実行され、ここで、第1の前処理はデュアルダマシン構造のボトム配線層の表面の銅酸化膜を還元する工程から成り、第2の前処理はデュアルダマシン構造の層間絶縁膜の表面にアミド結合または-NH2若しくは-NH結合を形成する工程から成る。これらの工程は同時に実行されるが、上記したように、それぞれの工程の目的に適した異なる処理条件の下で別々の2つの工程で実行することも可能である。この場合、第2の前処理において銅酸化膜を還元する必要はなく、よってNH3プラズマ、NH2プラズマ、N2/H2プラズマまたはN2/Ar/H2プラズマに加えてN2H2(ヒドラジン)も使用可能である(プラズマの代わりにラジカルを使ってもよい)。第2の前処理用の条件は、図1(b)で説明したように表面にアミノ基を導入するための条件と同一である。
【0081】
ひとつの実施例において、第1の前処理条件は以下のように設定される。
【0082】
N2流量(sccm):0
H2流量(sccm):10から100(好ましくは30から50)
He流量(sccm):500から1000(好ましくは700から900)
圧力(Pa):100から1000(好ましくは400から600)
RF電力(W):500から1000(好ましくは700から900)
温度(℃):150から350(好ましくは250から350)
時間(秒):10から60(好ましくは20から40)
【0083】
上記したように、第2の前処理条件は図1(b)で説明したように表面にアミノ基を導入するための条件と同一である。
【0084】
例えば、銅酸化膜を簡単に還元するよう第1の前処理工程で出力800Wの高周波プラズマを生成するべくH2/Heガスを使用すること、及び第2の前処理工程で出力300Wの高周波プラズマを生成するべくH2/He/N2ガスを使用することが可能である。次に、金属炭素窒化膜により構成されるバリア膜を形成するために、デュアルダマシン構造の前処理されたトレンチ及びコンタクトビアの表面全体に還元ガスが供給される。その後、還元ガスがパージされ、その後ハロゲン化金属分子が供給されその後パージされ、その後成分元素として窒素原子及び水素原子を含むハロゲン置換窒化ガスが導入されその後パージされる。上記した還元ガス、ハロゲン化金属分子及びハロゲン置換窒化ガスの導入及びパージを繰り返すことにより、少なくとも適用可能な金属及び窒素を含む薄膜が形成される。この工程及び続く工程は図2(a)に示したフローチャートと同様である。
【0085】
図2(a)のフローチャートにおいて、前処理工程は一定の処理条件で実行される。しかし、処理条件は連続的に変更されてもよい。例えば、前処理を実行するのに、最初に高周波プラズマによりH2/Heガスを活性化し、窒素量が増加するに従い、RF出力を800Wから300Wまでまたは800Wから100Wまで連続的に変化させることも可能である。この目的は、ビアの底のボトム層配線の表面上の銅配線の還元と同時に、デュアルダマシン構造のトレンチ及びコンタクトビアの表面全体をより効率的かつ迅速に前処理することである。
【0086】
図4(a)から(e)は、本発明のひとつの実施例に従う、ALDによりWNC膜形成前の前処理のモデルメカニズムを示す。このモデルはひとつのメカニズムを表しているに過ぎず、本発明はこのモデルに限定されない。本発明のいくつかの実施例はこのメカニズムの説明と無関係に実行可能である。このメカニズムの説明は過度に簡略化されている点に注意すべきである。
【0087】
図4(a)はSiO2膜の表面状態を示す。通常、SiO2膜の表面は-OHまたは-O-により終端される。図4(b)は、NH3プラズマ、またはN2/H2ガスを含む還元プラズマによる処理後の表面を示す。プラズマ活性化NH3またはN2/H2ガスは、それがSiO2膜の表面層上に-NHまたは-NH2結合を形成するところのポイントで極端に活性状態になる。同じことが、絶縁膜がSiOC膜等により構成される場合に発生する。表面は約400℃のNH3ガスへ曝すことにより単純に終端されないが、プラズマ処理、ラジカル処理、ヒドラジン処理または最適なRF出力で実行される他の処理を通じてのみ終端が達成される。
【0088】
図4(c)は前処理により生成されたNH/NH2結合へTEB(トリエチルボロン)を導入した後の状態を示す。TEBはSiO2面またはSiOC面をカバーするようNH/NH2結合により容易に吸着される。
【0089】
図4(d)はTEBを十分にパージした後にWF6を導入した後の状態を示す。SiOC等により構成される多孔質膜の主に表面付近に吸着したTEBとWF6が選択的に反応するに従い、SiOC膜内のWF6の拡散が抑制される。反応はほぼ表面全体で生じ、W-C結合が形成される。
【0090】
図4(e)は不活性ガスを使ってWF6ガスを十分にパージした後にNH3ガスを導入した後の状態を示す。NH3ガスは残ったW-F結合をW-N結合に簡単に置換する。結果として、W-N/W-C結合により構成されたWNC膜が形成される。この工程を繰り返すことにより、SiO2またはSiOC膜上に平坦なWNC膜を簡単に形成できる。
【0091】
図5(c)は本発明のひとつの実施例に従う処理装置の例を示す構造図である。この装置は異なる処理を扱うためにクラスター構造を有する。図5(a)及び(b)は本発明のひとつの実施例に従う処理のフローチャートを示す。点線で囲まれる工程は図5(c)に示された装置で処理される。
【0092】
図5(a)は図2(a)に示されるワンステップの前処理フローチャートに対応する。例えば、基板は、大気圧ロボット101によりカセットボックス100からロードロックチャンバ102へ移送され、その後基板は中心プラットフォーム103上に与えられる中心ハンドラー103により前処理モジュール104へ移送され、N2/H2/Heガスを使ったプラズマ処理に基づく前処理を施される。その後、前処理された基板は真空でWNC-ALDモジュール105に移送され、WNC-ALD処理を施され、その後さらに真空でRu-ALDモジュール106に移送されRu-ALD膜が形成される。
【0093】
図5(b)は図2(b)に示されるツーステップ前処理に対応し、ツーステップ前処理工程がどのように組み合わされるかの例を与える。両前処理工程は図5(c)に示される前処理モジュール104内で実行され、その後WNC膜及びRu膜が図5(a)に示されるのと同様の処理で形成される。Ru膜は大気中で容易に酸化されないので、PVD、CVDまたは電気めっきを使って銅層を形成する前に、大気中へRu被覆基板を戻すことは可能である。
【0094】
Ru膜が極端に薄く作成されるか、または1nmまたはそれ以下の厚さの連続または不連続なRu膜上に銅膜が形成されれば、真空中で連続的に銅を形成することが必要になる。図6(a)及び(b)は真空でのこの連続処理のフローチャートを示し、図6(c)はこれらの処理フローチャートを実行するクラスター装置を示す。この装置は、銅処理モジュール107が真空移送チャンパ内にインストールされている点を除いて図5(c)に示されたものと同じである。銅膜は物理的蒸着(PVD)または化学的蒸着(CVD)により、あるいは電気めっき装置と結合することにより形成される。
【0095】
原子層蒸着法を実行するモジュールに関して、本発明のいくつかの実施例は、ここに参考文献として組み込む、本願出願人に譲渡された米国特許出願第10/824,798、10/901,825及び10/960,600号に開示された装置を使用する。
【0096】
本発明は、半導体キャパシタエレメントに使用する電極の形成にも応用できる。キャパシタエレメントで使用する絶縁膜は、Ta2O5、HfO2、Al2O3及び高誘電率の金属酸化物から成る。Ruにより構成される金属電極が使用される場合、Ruが簡単に酸化されずかつRuO2は導電性であるため、容量は減少しない。これによりRuはキャパシタ電極の材料として有効である。しかし、Ru電極の表面粗さが大きければ、厚さが5nmまたはそれ以下の極端に薄い絶縁膜のために電極は絶縁破壊を受けやすくなり、それは実用的な信頼性に係る問題となる。本発明のひとつの実施例において、平坦な金属バリア膜を形成し、その後還元雰囲気中でプラズマALDを実行することにより頂上にRu膜を形成することで、絶縁破壊を受けにくいキャパシタが形成される。
【0097】
図7(a)から(d)は、本発明に係る方法に従う、キャパシタ形成処理を示す。図1(a)から(d)に示される方法に基づいてキャパシタのボトム電極としてRu/WNC膜が形成された後、図7(a)から(c)に示されるようなALD(原子層蒸着)法によりハフニウムジエチルアミド及びNH3ガスを使ってRu膜23の頂上にHfO2(24)が形成される。次に、トップ電極としてCu膜25が形成される。その後、表面の不要な材料がCMPにより平坦化され、キャパシタ26が形成される。
【0098】
本発明がキャパシタ電極に応用される場合、Taは容易に酸化されるため、ボトム電極にはTa膜の代わりにRu膜を使用するのが好ましい。
【0099】
上記したように、本発明のひとつの実施例は低誘電率膜上に平坦なバリア膜の形成をもたらす。結果として、バリア効果は薄膜で達成可能であり、均一なRu膜も形成される。こうして形成されたラミネート膜構造を使用することにより、ビア構造中の銅の体積は増加し、膜と銅との間の接着性の改善により低抵抗の高信頼性配線構造を形成することが可能となる。また、本発明のひとつの実施例において、還元雰囲気中で前処理が実行される。これにより、ビアの底の銅表面が酸化されることなく還元され、ビア抵抗の増加の問題を排除する。SiOCまたは低誘電率の他の絶縁膜が使用されれば、ビアの底の銅表面上の酸化物を還元する工程は、低誘電率の絶縁膜の表面を前処理する工程から分離され、その結果、SiOC膜表面をエッチングしなくとも、またはWNCのSiOC膜への拡散を許すことなく、平坦なWNC膜が続くバリア膜形成工程で形成される。
【0100】
ラミネート膜構造上に直接銅をめっきする場合、金属炭素窒化バリア膜が均一に形成されることにより頂上に形成されるRu膜も非常に均一であることと、膜抵抗がWNC膜の抵抗の約20分の1であることから、低抵抗の銅めっきが均一に適用される。結果として、表面粗さにより生じるボイド及び他の欠陥の生成は抑制される。Ru膜が極端に平坦かつ連続であるため、膜構造が外気に曝されたときにもその下のWNC膜の酸化が防止される。Ru膜自身は酸化されにくいので、膜構造が大気に曝された後でも通常のPVD銅シード層、CVD銅シード層、銅めっき層等が形成される。
【0101】
キャパシタ電極の形成に本発明が使用されれば、本発明は従来の金属電極の粗さレベルに比べ驚くほど平坦なRu膜を形成する。このRu膜上に数nmの極端に薄い絶縁膜が形成されたとしても、生成された膜構造は、表面粗さの結果として電場強度の集中により生じるリーク電流の増加をさらに防止し、その結果信頼性の非常に高いキャパシタを作成することができる。このキャパシタは動的ランダムアクセスメモリ、論理-メモリ混合デバイス、または論理デバイスに使用される。
【0102】
上記いずれかの方法において、絶縁層は多孔質であり気孔を有してもよく、当該方法は、さらに、(以下に説明する気孔シール層の表面及び配線層の露出面から成る少なくとも絶縁層の露出面に-NH2または>NHターミナルを導入する工程の前に)(a)絶縁層の露出面上に気孔をブロックするための気孔シール層を形成する工程と、(b)配線層の露出面上に形成された気孔シール層の一部を除去する工程とを含む。気孔シール層を使用することにより、たとえ薄くとも連続かつ優れたバリア効果を有するWNC層のようなバリア層が形成され、平坦な表面を有する微細構造のRu膜のような金属膜がその上に効果的に形成され、それにより、例えば、無電解銅蒸着(ECD)または化学機械的研磨(CMP)あるいはPVD銅処理のような他の後続処理の最中でも、Ru/WNC層の分離が発生することなく、平坦な銅配線を形成することが可能になる。気孔シール層を使用することにより、その上に形成されるWNC層はより大きな化学的及び/または機械的耐性を有し、Ru/WNC層は平坦化処理中に分離に対しより大きい耐性を示し、及び/またはCMPで使用されるスラリーによるエッチングまたはCMPでの洗浄処理によるエッチングに対してより大きい耐性を示す。
【0103】
ひとつの実施例において、上記処理は以下の方法により実行され、当該方法は、
(I)露出した配線層(例えば、ビア/トレンチのボトム)及び露出した絶縁層(例えば、ビア/トレンチの側壁)を含む少なくともひとつのビア/トレンチを有する多層構造を反応空間内に与える工程であって、前記絶縁層は多孔質であり気孔を有するところの工程と、
(I’)絶縁層の少なくとも露出面上に気孔をブロックするための気孔シール層を形成する工程と、
(I’’)配線層の露出面上に形成された気孔シール層の一部を除去する工程と、
(II)還元雰囲気中で絶縁層の少なくとも露出面上に-NH2または>NHターミナルのようなN含有ターミナルを導入する工程と、
(III)導入したターミナルを還元するために反応空間へ還元剤を導入し、その後反応空間をパージする工程と、
(IV)導入した還元剤を置換するために反応空間へハロゲン化金属化合物を導入する工程と、
(V)導入したハロゲン化金属により形成された表面上にN含有ターミナルを与えるべくN含有ガスを導入し、その後反応空間をパージする工程と、
(VI)金属含有バリア層を形成するべく工程(III)から(V)を連続して繰り返す工程と、
(VII)金属含有バリア層上に金属膜を形成する工程であって、該金属膜は配線層を構成する金属以外の金属から成るところの工程と、
(VIII)金属膜の上の銅でビア/トレンチを充填する工程と、
(IX)相互接続銅配線を形成するべく、トレンチの上方の余分な銅層を化学的機械的研磨(CMP)により平坦化する工程と、
から成る。
【0104】
上記処理は図14に示される。すなわち、気孔シール層を形成する工程は、基本的に図2(a)及び(b)にそれぞれ対応する2つの処理(a)及び(b)に共通する。上記した処理(a)及び(b)は、気孔シール層が形成されたか否かにより実行される。処理(a)及び(b)の前に、配線層を露出するために、気孔シール層がビア/トレンチのボトムから除去される。その場合、気孔シール層は導電性ではない。
【0105】
ひとつの実施例において、気孔シール層が、SiC、SiOC、窒化シリコン、アモルファスカーボン、及びSiO2から成る集合から選択される材料により構成される。気孔シール層は厚さ5〜100Å(例えば、10〜50Å)で形成され、ビア/トレンチのボトムを覆う部分及び平坦面部分が、例えばドライエッチングにより除去される。気孔シール層は、ここに参考文献として組み込む米国特許第6,759,325号または第6,482,733号に開示される気孔シール層である。気孔シール層は、気孔を充填または塞ぐ(例えば、気孔の深さの3倍にすぎない)ことにより絶縁層の露出面上の気孔をブロックするためのものであり、ここでブロックは絶縁層の上面で優先的に実行される。
【0106】
図15(a)から(d)は、処理中の半導体エレメントの配線構造を示す断面略示図であり、本発明のひとつの実施例に従うデュアルダマシン銅配線構造を形成する処理へ気孔シール層を適用した説明を与える。図15(a)は図1(a)に対応する。図15(b)は、エッチングストップ層(19,21)で覆われた平坦面、絶縁層(16,20)の露出面である側壁、及び配線層14の露出面であるボトムを含むビア/トレンチ上に気孔シール層301を形成する工程を示す。気孔シール層は、自己制限型及び自己帰還型処理であるCVDまたはALD(原子層蒸着)により形成される。その後、イオンエッチング(例えば、アルゴンイオンエッチング)のようなドライエッチングにより平坦面及びボトムから気孔シール層が除去され、その結果、もっぱら側壁(302,303)の気孔シール層が図15(c)に示されるように残る。NHxターミナルを導入する工程は図1(c)と同じである。図15(d)は図1(d)に対応し、ここでWNC膜22及びRu膜23は連続して形成される。
【0107】
図16(a)から(d)は処理中の半導体エレメントの配線構造を示す断面略示図であり、本発明のひとつの実施例に従う図15(a)から(d)に示される処理に続く処理を説明するものである。図16(a)は図15(d)と同じである。図16(b)は銅304でビア/トレンチを充填する工程を示す。図16(c)において、ビア/トレンチの上方の余分な銅層はCMPにより除去される。図16(d)において、エレメントの表面はさらにCMPにより平坦化され、その結果WNC膜22及びRu膜23は頂上面から除去され、それにより相互接続銅配線305が形成される。
【0108】
例えば、気孔シール層がSiCから構成される場合、実施例に従う気孔シール層を形成するためのプラズマCVD条件は以下のように設定される。
【0109】
テトラメチルシラン(TMS)流量(sccm):100から300(好ましくは200から300)
He流量(sccm):100から10000(好ましくは100から5000)
H2流量(sccm):10から5000(好ましくは10から3000)
圧力(Pa):300から1000(好ましくは300から600)
第1RF電力(W):100から500(好ましくは300から500)
第2RF電力(W):10から100(好ましくは50から100)
基板温度(℃):200から400(好ましくは250から350)
蒸着速度(nm/min):2から10
【0110】
上記において、第1RF電力は13MHzから30MHzの周波数を有し、第2RF電力は300kHzから450kHzの周波数を有する。第2RF電力は第1RF電力より低い。上記条件に従い、SiC膜の厚さは、約2nmから約10nm、好ましくは約2nmから5nmで形成される。
【0111】
気孔シール層がSiCにより構成される場合、他の実施例に従う気孔シール層を形成するための条件は以下のように設定される。
【0112】
テトラメチルシラン流量(sccm):0から300
He流量(sccm):100から10000(好ましくは100から5000)
H2流量(sccm):0から1000(好ましくは200から1000)
圧力(Pa):300から1000(好ましくは300から600)
第1RF電力(W):100から500(好ましくは300から500)
第2RF電力(W):10から100(好ましくは50から100)
基板温度(℃):200から400(好ましくは250から350)
【0113】
上記において、膜が蒸着されるに従いテトラメチルシランの流量が300sccmから0sccmに減少されれば、蒸着されたSiC膜は微細構造を有する表面層を有することができる。
【0114】
気孔シール層としてSiCのプラズマCVDの上記2つの方法は例であり、修正が可能である。例えば、ジビニルジメチルシラン、トリメチルシラン等がテトラメチルシランの代わりに使用されても良い。ハロゲンの替わりにメタンが使用されてもよく、ヘリウムの替わりにアルゴンが使用されても良い。
【0115】
条件が特定されない本説明において、当業者は、ルーチン試験の問題として、本説明を考慮して、この条件を容易に最適化することが可能である。
【0116】
実施例1
この例は、半導体エレメントを作成するべく、デュアルダマシン構造のトレンチ及びコンタクトビアの表面全体を、銅バリア膜となる金属膜でライニング処理するものである。特定的に、処理は、デュアルダマシン構造のトレンチ16及びコンタクトビア20の表面全体を前処理する工程と、金属バリア膜としてタングステン炭素窒化WNC膜を形成する工程と、Ru膜を形成する工程に関連し、それぞれ図1(b)、(c)及び(d)に対応する。これらの工程は図5(a)または(b)に示されるフローチャートに対応し、図1(b)、(c)及び(d)に対応する工程は図5(c)に示される構造を有する装置を使って実行される。図1(a)の断面略示図に示される構造の半導体基板は図5(c)に示されるような、大気圧ロボット101によりカセットボックス100からロードロックチャンバ102へ移送された。チャンバが真空状態に排気された後、中心プラットフォーム103に与えられた中心ハンドラーにより、基板はロードロックチャンバ102から前処理モジュール104へ移送された。表1及び2は、上記処理における前処理モジュール内で実行されるワンステップ前処理工程をリストしたものである。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
前処理モジュール104は13.56MHzのRF高周波を導入することにより平行平板プラズマを印加することができる。
【0119】
表3及び表4は上記処理において実行されたツーステップ前処理のレシピをリストしたものである。
【0120】
【表3】
【0121】
【表4】
これらの工程で使用されたガスは、H2/He/N2混合ガスであり、それは特定の圧力及びRF電力が30秒間印加された。処理時間は約20秒から60秒の範囲で調節可能である。前処理方法に関して、図5(b)の処理フローチャートに示されるように、2つの前処理工程が連続して実行され、ここで前処理1はコンタクトビア20のボトムの銅配線14の表面上に形成された酸化膜を還元する工程からなり、前処理2はデュアルダマシン構造のトレンチ16及びコンタクトビア20の表面全体にNH-NH2結合を形成する工程からなる。
【0122】
表1及び表2に示される前処理において、コンタクトビア20のボトムの銅配線14の表面上に形成された酸化物を還元する工程、及びデュアルダマシン構造のトレンチ16及びコンタクトビア20の表面全体にNH-NH2結合を形成する工程が同時に実行された。各工程は500Paの真空レベル及び800WのRF出力で60秒間実行された。
【0123】
表3は前処理1及び前処理2に対する最適条件を示す。前処理1はH2及びHeを含む混合ガスを使って、500Paの真空レベル及び500WのRF出力で30秒間実行された。前処理2は20sccmのN2を添加した後、同じ混合ガスを使って、800Paの真空レベル及び300WのRF出力で30秒間実行された。表4はRF出力が100Wに変更されたことを除いて、前処理2と同じ条件を示す。これらの前処理はデュアルダマシン構造のトレンチ16及びコンタクトビア20の表面全体に図4(b)に示す構造を形成する。前処理1及び2は常に設定されたように実行される必要はない。例えば、銅酸化膜を還元する必要がなければ、前処理1を実行することなく前処理2のみが実行されてもよい(以下で説明する図8は前処理2にのみ基づく処理を示す)。
【0124】
その後、基板WNC-ALDモジュール105に移送され、そこでWNC膜が基板上に形成された。表5はこの工程でのWNC-ALD形成条件をリストしたものである。
【0125】
【表5】
表5に示されるように、TEB(トリエチルボロン)は表4に示される特定の処理条件のもとで2秒間供給された。この工程において、図4(c)に示された構造が表面上に形成された。続くパージ処理において、大量のアルゴンガスを使ってWNC-ALDモジュール105からTEBがパージされ、その後WF6ガスが0.2秒間供給された。これにより図4(d)に示されるようなW-C結合が形成された。次に、Arガスを使ってWNC-ALDモジュール104からWF6ガスがパージされ、その後NH3ガスが0.5秒間供給された。これにより図4(e)に示されるようなNH/NH2結合が形成された。次に、Arガスを使ってWNC-ALDモジュール105からNH3ガスがパージされる。これらの導入及びパージを繰り返すことにより、平坦なWNC膜が形成された。
【0126】
実施例1−1
図8(a)及び(b)は、プラズマCVDにより形成されたSiOC膜201(日本エー・エス・エム株式会社によるAurora ULKTM膜)上に、前処理後、WNC-ALD膜が形成されるところの、トレンチ構造の断面画像を示す。表3及び4に示される前処理2が実行され、その後上記したWNC-ALD形成法を使ってWNC膜が形成された。図8(a)は100WのRF電力で形成された、極めて均一かつ平坦なWNC膜202を示す。図8(b)は300WのRF電力で形成された同様に均一かつ平坦なWNC膜203を示す。
【0127】
実施例1−2
図9(a)及び(b)は、表3に示された前処理1及び2の条件が別々に実行された場合に、プラズマCVD膜201(日本エー・エス・エム株式会社によるAurora ULKTM膜)の膜状態を示す。図9(a)はN2/He混合ガスを使ってプラズマ処理が実行された前処理後の状態を示す。トレンチのTEM断面画像によって示されるように、WNC-ALD膜204は側面が連続ではなく平坦でもない。前処理1の目的は、銅酸化膜を還元することであり、この画像は低誘電率膜の表面にアミノ基を導入する際に、単独の前処置が常に有効ではないことを示している。一方、図9(b)はH2/H2/N2混合ガスを使った前処理2を実行した後の状態を示す。ここに示されるように、WNC-ALD膜205はトレンチの側面でも連続かつ平坦である。ここで銅酸化膜を還元する必要がないので、前処理1は省略できる。表1に示す前処理条件のもとでも同じ形状が得られた。また、この実施例で説明したようなプラズマCVDにより形成されるSiOC膜(日本エー・エス・エム株式会社によるAurora ULKTM膜)ばかりでなく、SiO2、Si3N4、SiC及びTEOSを使ったプラズマCVDにより形成される金属膜にも同じ効果が確認された。
【0128】
実施例1−3
上記実施例で示された前処理の効果は、表2に示されるようなNH3ガスが高周波プラズマ状態で印加された場合にも達成可能であり、その場合には極めて平坦なALD-WNC膜が形成される。しかし、図1(a)に示されるデュアルダマシン構造の層間絶縁膜(10,12)としてSiOCまたは他の低誘電率膜が使用されれば、アルキル基であるメチル基の連鎖のようなSiOC膜中の炭素含有側鎖がダメージを受け、結果として膜が収縮する。この問題を防止するために、NH3を含むプラズマガスが本発明に従うデュアルダマシン構造のトレンチ及びコンタクトビアの表面全体を前処理するのに使用される。SiOC膜の場合、SiOC膜に対するダメージは、H2/He/N2混合ガスが使用された場合より小さいことがわかった。
【0129】
表6は、2つの異なる混合ガス、N2/He及びH2/He/N2がプラズマCVDにより形成されたSiOC膜(日本エー・エス・エム株式会社によるAurora ULKTM膜)と組み合わせて使用された場合のプラズマ処理の効果を比較したものである。
【0130】
【表6】
表6に示されるように、N2を添加することにより、SiOC膜厚の収縮率が4.68%から3%またはそれ以下に減少した。9.6%から48%の範囲で窒素の分圧を変化させることにより測定値を評価した場合、約20%の分圧で収縮が小さくなることがわかった。これは、窒素の分圧が約10から30%の範囲で好適に調節可能であることを示唆するものである。また結果は高周波プラズマ出力に大きく依存して変化した。特定的に、300Wの高周波プラズマ出力での収縮率は500Wでの収縮率より小さく、100Wでの収縮率はさらに小さいこともわかった。
【0131】
実施例1−4
図10(a)及び(b)は、ALD-WNC膜により構成されるSiOC膜(日本エー・エス・エム株式会社によるULK膜)に対する前処理の潜伏時間の依存性を示す。共に表3に示された処理条件に従い、前処理2のみが実行された状態(図10(a))及び前処理1のみが実行された状態(図10(b))のもとで、依存性がチェックされた。
【0132】
潜伏サイクルの意味を以下で説明する。原子層蒸着法のもとで、1回のサイクルは1回のガス流サイクルから成る。例えば、WNC膜の場合、1回のサイクルはTEB、WF6及びNH3ガスをひとつずつ供給しかつパージする工程からなる。通常、1回のサイクルで約0.08nmの膜が形成される。しかし、表面状態に応じて、膜形成はサイクルが20回繰り返されるまで開始されない。これは初期表面を表す。この遅延のひとつの理由は、TEBのSiO2への吸着が遅いことである。潜伏サイクルは処理時間、または膜形成開始前に必要な、原子層蒸着の場合のサイクル回数をいう。本発明の場合のように表面がNH2またはNHにより終端される場合、TEBが素早く吸着され、膜形成がすぐに開始される。結果として、潜伏サイクルが減少する。これは図10に示されている。以下で説明するように、前処理により、膜形成は、3から4サイクルの後に開始されるが、通常状態ではガスは膜形成開始前に平均27.6サイクルで導入されなければならない。ULK膜は気孔を有するため、本発明により膜形成が実際にすぐに開始されていると考えられる。
【0133】
図10(a)は、300WのN2/H2/HeガスプラズマによりASM ULK膜が前処理された場合、潜伏サイクルは3.4回であることを示し、これは膜がULK膜表面に簡単に形成されることを意味している。一方、図10(b)は800WのH2/Heガスを使って銅表面の酸化膜が還元される条件で、潜伏サイクルは減少することを示唆している。この場合、WNC膜がULK膜の気孔内に浸透するため、ULK膜表面への膜形成はすぐには開始されない。したがって、銅表面を還元するように設計された前処理はプラズマCVDにより形成されたエー・エス・エム社製SiOC膜により構成されるULK膜への拡散を防止できないばかりか、ULK膜上への平坦なWNC膜の形成も不可能である。ULK膜へのWNC拡散を防止すると同時にULK膜上に平坦はWNC膜を形成するために、前処理用の最適なプラズマ処理条件が選択されなければならない。言い換えれば、銅表面を効果的に還元する処理(前処理1)は、WNC形成の潜伏サイクルを短くせず、前処理2の条件は、銅表面還元には効果的ではないが、WNC形成の潜伏サイクルを短くする(すなわち、前処理2の条件は平坦なWNC膜を形成するのに有効である)。
【0134】
実施例1−5
さらに、ひとつの実施例における本発明の目的は、図1(b)に示されるように、平坦に形成されたWNC膜22上にRu膜を形成することにより、平坦なRu膜23を形成することである。WNC膜22は容易に酸化されるため、Ru膜は還元雰囲気中で形成されなければならない。表7はRu-ALD膜を形成するための処理条件をリストしたものである。この処理はビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(Ru(EtCp)2)及びNH3プラズマが交互に供給されるところのプラズマALD法に基づいている。これらの処理条件は還元雰囲気中でRu膜を形成するのに使用される。
【0135】
【表7】
図11(a)から(d)は、原子間力顕微鏡を使った膜構造の微小粗さの測定結果を示し、該膜構造は、この実施例の方法に従いTEOSを使ったプラズマCVDによりSiO2膜が形成され、その後SiO2膜が表2に示される高周波NH3ガスにより前処理され、その後WNC-ALD膜及びRu-ALD膜が層状に形成されたものである。図11(a)に示された構造において、ALD-WNC膜のみが表2に示された処理後に形成された。図11(b)から(d)は表7に示されるRu-ALD膜処理をぞれぞれ、100回、200回、300回繰り返すことにより形成されたラミネート構造の表面粗さを示す。図11(a)に示す構造は0.355nmのRMS粗さを有し、頂上に形成されたRu膜の粗さはほぼ同じレベルのRMS粗さを有する。300サイクル以上で形成されたRu膜は0.28nmのRMS粗さを生じるので、Ru膜も同じ平坦性で形成されることが分かる。
【0136】
図12(a)及び(b)は膜構造の表面粗さの観測結果を示し、ここで、Ru膜は、TEOSを使ったプラズマCVD法により形成されたSiO2膜上に、表7に示された処理条件を使って直接(WNC膜なしで)形成されたものである。RMSは1.827nmであり、それはこの実施例の方法により形成された膜の粗さレベルの約6倍であった。
【0137】
この実施例は、低誘電率膜へのダメージを最小化する条件とともに、デュアルダマシン構造のトレンチ及びコンタクトビアの表面全体に銅バリア膜のような平坦なWNC膜を形成するための処理条件を説明する。この例で与えられる方法は、形成されたRu膜の粗さを所望の平坦レベルに維持するように示されたものである。
【0138】
実施例2
この実施例は、デュアルダマシン構造のトレンチ及びコンタクトビアの表面全体にわたって、銅バリア膜となる金属でライニング処理し、半導体エレメントを形成する方法を説明する。
【0139】
特定的に、処理は、デュアルダマシン構造のトレンチ16及びコンタクトビア20の表面全体を前処理する工程、金属バリア膜としてタングステン炭素窒化WNC膜を形成する工程、Ru膜を形成する工程に関し、それぞれ図1(b)、(c)及び(d)に対応する。これらの工程は図5(a)または(b)に示されるフローチャートに対応し、図1(b)、(c)及び(d)に対応する工程は図5(c)に示される構造を有する装置を使って実行される。図1(a)の断面図に示される構造を有する半導体基板は、図5(c)に示される大気圧ロボット101によりカセットボックス100からロードロックチャンバ102へ移送される。チャンバが真空状態に排気された後、基板は、中心プラットフォーム103に与えられた中心ハンドラーによりロードロックチャンバ102から前処理モジュール104へ移送される。表1は前処理モジュールでの処理条件のリストである。前処理モジュール104は13.56MHzの高周波RFを導入することにより平行平板プラズマを印加することができる。図5(a)に対応する工程で使用されたガスは表1のH2/He/N2混合ガスであり、それは特定の圧力でRF電力を60秒間印加された。60秒の前処理期間中に高周波電力またはガス流量を連続的に変化させることにより、前処理をより効率的に実行することが可能である。図13はこの実施例で使用される処理条件を示すタイミングチャートである。最初の30秒間、H2/He混合ガスのみが、800WのRF電力で導入された。30秒後、RF電力は300Wに減少され、同時にN2ガスが0から200sccmまで連続的に流量を変化させて導入された。
【0140】
その後、基板はWNCモジュール105へ移送され、そこでWNC膜が基板上に形成される。表5はこの工程で使用されるWNC-ALD形成条件をリストしたものである。表5に示されるように、TEB(トリエチルボロン)は表5に示される一定の処理条件のもとで2秒間供給された。この工程において、図4(c)に示される構造が表面に形成された。続くパージ処理において、TEBは大量のアルゴンガスを使ってWNC-ALDモジュール105からパージされ、その後WF6ガスが0.2秒間供給された。これにより図4(d)に示されるようなW-C結合が形成された。次に、WF6ガスがアルゴンガスを使ってWNC-ALDモジュール105からパージされ、その後NH3ガスが0.5秒間供給された。これにより、図4(e)に示されるようなNH/NH2結合が形成された。次に、NH3ガスがアルゴンガスを使ってWNC-ALDモジュール105からパージされた。これらの導入及びパージを繰り返すことにより、平坦なWNC膜が形成された。
【0141】
また、この実施例の目的は、図1(d)に示すように、平坦に形成されたWNC膜22上にRu膜を形成することにより平坦なRu膜23を形成することである。WNC膜22は容易に酸化されるため、Ru膜は還元雰囲気中で形成されなければならない。表6はRu-ALD膜を形成するための処理条件をリストしたものである。この処理は、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(Ru(EtCp)2)及びNH3プラズマが交互に供給されるところのプラズマALD法に基づくものである。これらの処理条件は還元雰囲気中でRu膜を形成するのに使用される。
【0142】
この実施例は、デュアルダマシン構造のトレンチ及びコンタクトビアの表面全体に、銅バリア膜として、平坦なWNC膜を形成するための処理条件を説明する。特定的に、高周波プラズマ出力及びガス条件は、前処理工程において連続的に変更された。この例で与えられる方法は、形成されたRu膜の粗さを所望の平坦レベルに維持するために示されたものである。
【0143】
実施例3
この実施例は、本発明が半導体キャパシタエレメントの製造で使用される電極形成にどのように応用できるかを示す。図7(a)は、デュアルダマシン構造による配線間にキャパシタが形成されるところの半導体エレメントの例を示す。表3に示される前処理の後、表5に示される条件のもとでALD-WNC膜が形成された。厚さ3nmの膜が形成されると、表7に示される処理を使って厚さ2nmのRu-ALD膜23が形成された。Ru-ALD膜の頂上に、厚さ3から5nmのHfO2膜24が、ハフニウムジエチルアミド(Hf(NEt2)4)及びオゾンを使って、原子層蒸着法により形成された。その後、トップ電極26として厚さ50nmのCVD-TiN膜が形成された。上記膜により構成されたラミネート構造を処理することにより、所望のキャパシタが形成される。Ru表面の粗さが極端に小さいため、形成されたキャパシタは欠陥密度が小さくかつ絶縁破壊に対して極めて長期間の信頼性を有する。
【0144】
この方法は、この実施例で説明したデュアルダマシン構造を使用しないラミネート型キャパシタまたはトレンチ型キャパシタにも応用できる。いずれの場合にも、前処理を行い、ALD-WNC膜を形成し、その後本発明に従い頂上にRu膜を形成することにより、高信頼の非常に薄いキャパシタ膜構造が形成され、それがボトム電極を与える。
【0145】
実施例4
この実施例において、実施例1でNHxターミナルが導入される前に、気孔シール層が形成された。気孔シール層の形成後に、実施例1で説明した処理が繰り返された。
【0146】
すなわち、デュアルダマシン処理により、図15(a)に示されるようなビア/トレンチ構造が形成された。Eagle(商標)シリーズのプラズマCVD装置を使って気孔シール膜としてSiC膜が形成された。条件は以下の通りである。
【0147】
【表8】
蒸着されたSiC膜は、トレンチ16の低-k層10の露出側面、及びビア14の低-k層12の露出側面を被覆し、気孔シール層として機能する。SiC膜は厚さが4nmで誘電率が4.0であった。SiC膜の厚さはエッチングストップ層21の頂上での厚さであった。気孔シール層がある程度まで気孔中に浸透しているため(そのステップカバレッジ特性に依存して大きく変化はしないが)、トレンチ16での低-k層10の露出側面の厚さまたはビア20での低-k層12の露出側面の厚さを決定するのは困難である。低-k層の露出面での気孔シール層の厚さは、好適には、2から5nmである。また、ビア/トレンチのボトム(すなわち、配線層14の露出面)での厚さは、ステップカバレッジ特性に依存して、エッチングストップ層21の頂上での厚さと異なる。
【0148】
図15(b)に示されるように気孔シール層301を形成した後、気孔シール層は、配線層14の露出面、エッチングストップ層19のステップ部分、及び低-k層10の頂上面を含む平坦面からシール層部分を除去するべくイオンエッチングに曝された。上記中で、特に、配線層14の露出面上の部分は図15(c)に示されるように完全に除去された。NHxターミナルは図15(c)に示されるように露出したすべての面に導入され、そこでNHxターミナルは残りの面と同様に気孔シール面の表面にも効果的に導入された。残りの処理は実施例1と同じであった。図16(a)から(d)に示されるように、銅相互接続線305はCMPにより製造される。
【0149】
CMPの間、Cu線の分離は観測されず、これは通常の銅線抵抗を与えることにより明らかとなった。気孔シール層の蒸着、前処理、及びWNC蒸着の組み合わせにより、極めて平坦かつ微細なRu膜が形成され、それにより平坦かつ信頼できる銅線が形成される。
【0150】
本発明は、上記実施例に限定されず、以下に説明する実施例も含む。
【0151】
1)半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、半導体エレメント基板上の金属配線領域に絶縁膜を形成する工程と、デュアルダマシン処理を使って絶縁膜に所望の配線パターンでトレンチを形成し、その後トレンチのボトムのボトム層で金属配線を露出させ、頂上の金属配線と電気的に接続するように配線を構成するダマシン構造を形成する工程と、還元雰囲気中で絶縁層の少なくとも表面にアミノ基-NH2または-NH結合を形成する工程と、還元ガスを供給し、該還元ガスをパージし、ハロゲン化金属分子を導入し、該ハロゲン化金属分子をパージし、成分原子として窒素原子及び水素原子を含むハロゲン置換窒化ガスを導入し、該ハロゲン置換窒化ガスをパージし、その後還元ガス、ハロゲン化金属分子及びハロゲン置換窒化ガスの導入及びパージを繰返し、少なくとも適用可能な金属及び窒素を含む導体薄膜を形成する工程と、該導体薄膜の頂上に第2の金属膜を形成する工程とから成る。
【0152】
2)項目1)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、還元ガスは、ジボラン、アルキルボラン、ジシラン、モノシラン及びアルキルシランから選択される化合物である、ところの方法。
【0153】
3)項目1)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、ハロゲン化金属分子を構成する金属は、W、TaまたはTiのいずれかである、ところの方法。
【0154】
4)項目1)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、成分原子として窒素原子及び水素原子を含むガスはNH3である、ところの方法。
【0155】
5)項目1)から4)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、コンタクトビアの内側面に-NH2または-NH結合を形成する工程は、高周波により活性化された少なくとも窒素ガス及び水素ガスを含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【0156】
6)項目5)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、窒素ガスの分圧は10から30%の範囲である、ところの方法。
【0157】
7)項目1)から4)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、コンタクトビアの内側面に-NH2または-NH結合を形成する工程は、高周波により活性化された少なくともNH3を含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【0158】
8)項目1)から4)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、トレンチのボトムで露出したボトム層金属面上に形成された酸化物を還元することができるH2含有還元ガスを高周波により活性化する工程の後に、コンタクトビアの内側面に-NH2または-NH結合を形成する工程は高周波により活性化された少なくとも窒素ガス及び水素ガスを含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【0159】
9)項目8)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、窒素の分圧は10から30%の範囲である、ところの方法。
【0160】
10)項目1)から4)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、トレンチのボトムで露出したボトム層金属面上に形成された酸化物を還元することができるH2含有還元ガスを高周波により活性化する工程の後に、コンタクトビアの内側面に-NH2または-NH結合を形成する工程は高周波により活性化された少なくともNH3を含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【0161】
11)項目1)から4)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、絶縁膜は、SiO2、SiOC、SiC、窒化シリコン及び炭素膜のひとつまたはそれ以上により構成される、ところの方法。
【0162】
12)項目1)から11)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、導体膜は、W、TaまたはTiのいずれか、及び少なくとも窒素から成る、ところの方法。
【0163】
13)項目1)から11)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、導体膜は、少なくともW、TaまたはTiのいずれか、窒素及び炭素を含む、ところの方法。
【0164】
14)項目1)から13)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、第2金属膜はRuまたはTa膜である、ところの方法。
【0165】
15)項目14)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、Ru膜はRu材料ガスの供給及びパージ、及び、第1反応ガスの供給及びパージを繰り返すことにより形成される、ところの方法。
【0166】
16)項目15)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、第1反応ガスは水素及び窒素の少なくとも混合ガスを含む、ところの方法。
【0167】
17)項目15)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、第1反応ガスは少なくともアンモニアを含む、ところの方法。
【0168】
18)項目15)から17)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、第1反応ガスを含むガスは高周波プラズマにより活性化される、ところの方法。
【0169】
19)項目13)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、TaまたはRu膜はPVD法により形成される、ところの方法。
【0170】
20)項目1)から19)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、銅は第2金属膜上に形成される、ところの方法。
【0171】
21)項目20)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、銅はPVD法、CVD法、電気めっき、または無電解めっきにより形成される、ところの方法。
【0172】
22)項目1)から21)のいずれかに記載の金属配線構造を形成するための方法であって、さらに、還元雰囲気中で絶縁層の表面にアミド結合または-NH2若しくは-NH結合を形成する工程と、還元ガスを供給し、該還元ガスをパージし、ハロゲン化金属分子を供給し、該ハロゲン化金属分子をパージし、成分原子として窒素原子及び水素原子を含むアミノ基導入ガスを導入し、該アミノ基導入ガスをパージし、還元ガス、ハロゲン化金属分子及びハロゲン置換窒化ガスの導入及びパージを繰返し、少なくとも適応可能な金属及び窒素を含む導体薄膜を形成する工程と、第2金属膜を形成する工程と、を含み、これらすべての工程は真空中で連続して実行されるところの方法。
【0173】
23)項目22)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、第2金属膜上に銅を形成する工程も真空中で連続して実行される、ところの方法。
【0174】
24)半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、半導体エレメント基板上に形成された絶縁層の表面上にアミド結合または-NH2若しくは-NH結合を形成する工程の後に、第1還元ガスを導入し、該第1還元ガスをパージし、ハロゲン化金属分子を供給し、該ハロゲン化金属分子をパージし、成分原子としてN原子及びH原子を含む第2還元ガスを導入し、該第2還元ガスをパージし、第1還元ガス、ハロゲン化金属分子及び第2還元ガスの導入及びパージを繰返し、少なくとも適用可能な金属及び窒素を含む導体薄膜を形成する工程と、導体膜の頂上にRu膜を形成しボトム電極を形成する工程と、ボトム電極上に極めて薄い絶縁膜を形成する工程と、トップ電極を形成する工程と、から成る。
【0175】
25)項目24)に記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、第1還元ガスは、ジボラン、アルキルボラン、ジシラン、モノシラン及びアルキルシランから選択される化合物である、ところの方法。
【0176】
26)項目24)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、金属はW、TaまたはTiのいずれかであるハロゲン化金属分子から成る、ところの方法。
【0177】
27)項目24)に記載の金属配線構造を形成するための方法であって、成分原子として窒素原子及び水素原子を含む第2還元ガスはNH3である、ところの方法。
【0178】
28)項目24)から27)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、コンタクトビアの内側面に-NH2または-NH結合を形成する工程は、高周波により活性化された少なくとも窒素ガス及び水素ガスを含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【0179】
29)項目24)から27)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、コンタクトビアの内側面に-NH2または-NH結合を形成する工程は、高周波により活性化された少なくともNH3ガスを含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【0180】
30)項目24)から27)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、高周波によりH2含有還元ガスを活性化する工程または同等のラジカル工程の後に、コンタクトビアの内側面に-NH2または-NH結合を形成する工程は、高周波により活性化された少なくとも窒素ガス及び水素ガスを含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【0181】
31)項目24)から27)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、高周波によりH2含有還元ガスを活性化する工程または同等のラジカル工程の後に、コンタクトビアの内側面に-NH2または-NH結合を形成する工程は、高周波により活性化された少なくともNH3ガスを含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【0182】
32)項目21)から31)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、絶縁膜は、SiO2、SiOC、SiC、窒化シリコン及び炭素膜のひとつまたはそれ以上により構成される、ところの方法。
【0183】
33)項目24)から32)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、導体膜は、W、TaまたはTiのいずれかから成る、ところの方法。
【0184】
34)項目24)から32)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、導体膜は、W、Ta、またはTiのいずれか及び少なくとも窒素から成る、ところの方法。
【0185】
35)項目24)から32)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、導体膜は、少なくともW、Ta、またはTiのいずれか、並びに窒素及び炭素から成る、ところの方法。
【0186】
36)項目24)に記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、Ru膜は、Ru材料ガスの供給及びパージ、及び還元ガスの供給及びパージを繰り返すことにより形成される、ところの方法。
【0187】
37)項目36)に記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、還元ガスは、水素及び窒素の少なくとも混合ガスを含む、ところの方法。
【0188】
38)項目36)に記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、還元ガスは少なくともアンモニウムを含む、ところの方法。
【0189】
39)項目36)から38)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、還元ガスを含むガスは高周波プラズマにより活性化される、ところの方法。
【0190】
40)項目1)から項目39)のいずれかに記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であり、絶縁層が多孔質であり気孔を有するところの方法であって、さらに、工程(ii)の前に、(a)絶縁層の露出面上の気孔をブロックするための気孔シール層を形成する工程と、(b)配線層の露出面上に形成された気孔シール層の一部を除去する工程であって、工程(ii)においてその上にN及びHを含むターミナルが導入される絶縁層の露出面は、気孔シール層の表面及び配線層の露出面から成る、ところの工程とを含む。
【0191】
41)項目40)に記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、気孔シール層は、SiC、SiOC、窒化シリコン、アモルファスカーボン、及びSiO2から成るグループから選択される材料により構成される、ところの方法。
【0192】
42)項目41)に記載の半導体エレメント上に金属配線構造を形成するための方法であって、絶縁層の露出面は少なくともひとつのトレンチを形成し、配線層の露出面はトレンチのボトムに形成される、ところの方法。
【0193】
本発明の思想から離れることなく、さまざまな修正が可能であることは当業者の知るところである。したがって、本発明の形式は例示に過ぎず、本発明の態様を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】図1(a)から(d)は、半導体エレメントの配線構造を示す断面略示図であり、本発明のひとつの実施例に従うデュアルダマシン銅配線を形成する処理を説明するために与えられている。特に、これらの図面はデュアルダマシン構造内(図1(a))のトレンチ及びコンタクトビアの表面全体に-NHx(x=1,2)を導入し(図1(b))、ALD法を使って金属バリア膜のライニングを形成し(図1(c))、Ru膜を形成し(図1(d))、その後銅層を形成する処理を説明する。
【図2】図2(a)及び(b)は、本発明のひとつの実施例に従う処理フローチャートを示す。図2(a)は1つの前処理を有する処理を示し、図2(b)は2つの前処理を有する処理を示す。
【図3】図3は、本発明のひとつの実施例に従い形成されたデュアルダマシン銅配線構造を示す断面略示図である。
【図4】図4(a)から(e)は、前処理及び原子層蒸着が使用された、本発明のひとつの実施例に従うWNC膜形成メカニズムのモデルを図示したものである。図4(a)は絶縁膜の表面状態を示し、図4(b)は-NH2基の導入後の状態を示す。図4(c)は、TEBの導入後の状態を示し、図4(d)はWF6の導入後の状態を示す。図4(e)は-NH2基の導入後の状態を示す。
【図5】図5(a)から(c)は、本発明のひとつの実施例に従う配線形成方法を示す処理フローチャートであり、図5(c)は製造装置の構造を略示したものである。(銅形成工程は真空下で連続して実行されない。)
【図6】図6(a)から(c)は、本発明のひとつの実施例に従う配線形成方法を示す処理フローチャートであり、図6(c)は製造装置の構造を略示したものである。(銅形成工程は真空下で連続して実行されない。)
【図7】図7(a)から(d)は、本発明のひとつの実施例に従う配線形成方法が容量電極を形成するのにどのように適応されるかを示す断面略示図である。
【図8】図8(a)及び(b)は、透過電子顕微鏡により撮られた断面画像を与え、プラズマCVDにより形成されたSiOC膜(日本エー・エス・エム株式会社によるAurora ULK膜)上に、本発明のひとつの実施例に従い与えられる前処理及びALD-WNC膜形成後の状態を示す。
【図9】図9(a)及び(b)は、透過電子顕微鏡により撮られた断面画像を与え、プラズマCVDにより形成されたSiOC膜(日本エー・エス・エム株式会社によるAurora ULK膜)上に、本発明のひとつの実施例に従って(表2に示された条件で)別々に与えられる前処理1及び前処理2後の状態を示す。
【図10】図10(a)及び(b)は、ALD-WNC膜により構成されたSiOC膜(日本エー・エス・エム株式会社によるULK膜)に対するWNC膜厚のサイクルカウント依存性と関連した、前処理での潜伏時間の依存性の例を示すグラフを与える。
【図11】図11(a)から(d)は、本発明のひとつの実施例に従い前処理されたSiO2膜上に形成されたWNC膜(図11(a))及びWNC膜上に形成されたRu膜(図11(b)から(d))の原子間力顕微鏡による表面粗さの評価結果を与える。
【図12】図12(a)は還元雰囲気中で原子層蒸着法を使ってSiO2膜上に形成されたRu膜の略示図であり、図12(b)は原子間力顕微鏡による表面粗さの評価結果を与える。
【図13】図13は、本発明のひとつの実施例に従う前処理条件の一例での、RF出力の変化とガス流量を示すタイミングチャートである。
【図14】図14は、本発明のひとつの実施例に従い、気孔シール層が形成され、その後ひとつの前処理を有する処理または2つの前処理を有する処理が実行されるところの処理フローチャートを与える。
【図15】図15(a)から(d)は、半導体エレメントの配線構造を示す断面略示図であり、本発明のひとつの実施例に従いデュアルダマシン銅配線構造を形成する処理への気孔シール層の適用を説明するために与えられたものである。
【図16】図16(a)から(d)は、半導体エレメントの配線構造を示す断面略示図であり、本発明のひとつの実施例に従う図15(a)から(d)に示された処理に続く処理を説明するために与えられたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属含有バリア層を含む金属配線構造を形成するべく、金属含有バリア層を製造するための方法であって、
(i)露出した配線層及び露出した絶縁層を含む多層構造を反応空間内に与える工程と、
(ii)還元雰囲気中で、絶縁層の少なくとも露出面上にNを含むターミナルを導入する工程と、
(iii)導入したターミナルを還元するよう反応空間へ還元剤を導入し、その後反応空間をパージする工程と、
(iv)導入した還元剤を置換するべく反応空間へハロゲン化金属化合物を導入し、その後反応空間をパージする工程と、
(v)導入したハロゲン化金属により形成されたN含有ターミナルを表面に与えるべくN含有ガスを導入し、その後反応空間をパージする工程と、
から成る方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、工程(ii)において、N含有ターミナルは-NH2または>NHターミナルである、ところの方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
(vi)金属含有バリア層を製造するべく工程(iii)から工程(v)を連続して繰り返す工程と、
(vii)金属含有バリア層上に金属膜を形成する工程であって、前記金属膜は配線層を構成する金属以外の金属から成るところの工程と、
を含む方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、さらに、工程(ii)の前に、配線層の露出面上に形成された酸化膜を還元するべく、H2を含む還元ガスのプラズマまたはラジカルを反応空間へ導入する工程を含む方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、工程(ii)は、配線層の露出面及び絶縁層の露出面を、励起したNH3、励起したNH2、または励起したN2/H2若しくはN2H2を含むプラズマまたはラジカルにより処理する工程から成る、ところの方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、工程(ii)は、配線層の露出面及び絶縁層の露出面を、励起したNH3、励起したNH2、または励起したN2/H2を含むプラズマまたはラジカルにより処理する工程から成る、ところの方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、工程(ii)は、N2の分圧が5%〜50%であるところのN2及びH2を含むガスから誘導された励起N2/H2を含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、絶縁層はSiOCにより構成される、ところの方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、絶縁層は、シリコンカーバイド、Nドープシリコンカーバイド、窒化シリコン、酸化シリコン、Cドープ酸化シリコン、及び有機シリコンで作られた絶縁材料から成るグループから選択される材料により構成される、ところの方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、工程(iii)から(v)は原子層蒸着を実行する、ところの方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、工程(iii)の還元剤は、ジボラン、アルキルボラン、ジシラン、モノシラン、及びアルキルシランから成るグループから選択される、ところの方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、工程(iv)のハロゲン化金属は、W、Ta及びTiから成るグループから選択された金属を含む、ところの方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、工程(v)のN及びHを含むガスはNH3である、ところの方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、金属含有バリア層は少なくとも金属、炭素及び窒素により構成される、ところの方法。
【請求項15】
請求項3に記載の方法であって、金属膜はRu膜またはTa膜である、ところの方法。
【請求項16】
請求項3に記載の方法であって、工程(vii)は、
(a)Ruソースガスを導入する工程と、
(b)反応空間をパージする工程と、
(c)H及びNを含むガスを導入する工程と、
(d)反応空間をパージする工程と、
(e)工程(a)から(d)を繰り返す工程と、
から成る、ところの方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、H及びNを含むガスはNH3またはN2及びH2の混合ガスである、ところの方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、ガスはプラズマにより励起される、ところの方法。
【請求項19】
請求項3に記載の方法であって、さらに、(viii)金属膜上に銅層を形成する工程を含む方法。
【請求項20】
請求項3に記載の方法であって、工程(ii)、工程(iii)から(vi)及び工程(vii)は、それぞれの反応空間内で実行され、真空を損なうことなく連続して実行される、ところの方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、工程(ii)、工程(iii)から(vi)、工程(vii)及び工程(viii)は、それぞれの反応空間内で実行され、真空を損なうことなく連続して実行される、ところの方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法であって、工程(iii)は、還元剤により-NH2または>NHを還元するよう実行され、それにより-NH-Aまたは>N-Aが与えられ、ここでAは還元剤から誘導される、ところの方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、工程(iv)はAをハロゲン化金属化合物と置換するよう実行され、それにより-NH-Mまたは>N-Mが与えられ、ここでMはハロゲン化金属化合物から誘導される、ところの方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、工程(v)は-NH2または>NHをM中のハロゲンと置換するよう実行され、それにより-NH-M’-Trまたは>N-M’-Trが与えられ、ここでM’はMから誘導され、Trは-NH2または>NHである、ところの方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法であって、配線層は銅から作られている、ところの方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法であって、絶縁層は多孔質で気孔を有し、さらに、工程(ii)の前に、
絶縁層の少なくとも露出面上の気孔をブロックするよう気孔シール層を形成する工程と、
配線層の露出面上に形成された気孔シール層の一部を除去する工程であって、工程(ii)においてその上にNを含むターミナルが導入される絶縁層の露出面が気孔シール層の表面及び配線層の露出面から成る、ところの工程と、
を含む方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、気孔シール層は、SiC、SiOC、窒化シリコン、アモルファスカーボン及びSiO2から成るグループから選択される材料により構成される、ところの方法。
【請求項28】
請求項26に記載の方法であって、絶縁層の露出面は少なくともひとつのトレンチを形成し、配線層の露出面はトレンチのボトムに形成される、ところの方法。
【請求項29】
請求項19に記載の方法であり、絶縁層が多孔質であり気孔を有するところの方法であって、さらに、工程(ii)の前に、
絶縁層の少なくとも露出面上に気孔をブロックする気孔シール層を形成する工程と、
配線層の露出面上に形成された気孔シール層の一部を除去する工程であって、工程(ii)においてその上にNを含むターミナルが導入される絶縁層の露出面が気孔シール層の表面及び配線層の露出面から成り、ここで、絶縁層の露出面は少なくともひとつのトレンチを形成し、配線層の露出面はトレンチのボトムで形成される、ところの工程を含み、
当該方法はさらに、工程(viii)に続いて、金属膜で被覆されたトレンチ内に充填された相互接続銅線を形成するべく化学的機械的研磨(CMP)により銅層を平坦化する工程を含む、方法。
【請求項30】
キャパシタを製造するための方法であって、
請求項1に記載の金属配線構造を形成する工程であって、金属膜は下部電極として機能するところの工程と、
金属配線構造上に絶縁薄膜を形成する工程と、
絶縁薄膜上に上部電極を形成する工程と、
から成る方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、金属膜はRu膜である、ところの方法。
【請求項32】
金属含有バリア層を含む金属配線構造を形成するべく、金属含有バリア層を製造するための方法であって、
(i)露出した配線層及び露出した絶縁層を含む多層構造を与える工程と、
(ii)還元雰囲気中で、絶縁層の少なくとも露出面上に-NH2または>NHを導入する工程と、
(iii)-NH-Aまたは>N-Aを与えるべく還元剤により-NH2または>NHを還元する工程であって、ここでAは還元剤から誘導されるところの工程と、
(iv) -NH-Mまたは>N-Mを与えるべく、ハロゲン化金属化合物をAと置換する工程であって、Mはハロゲン化金属化合物から誘導されるところの工程と、
(v) -NH-M’-Trまたは>N-M’-Trを与えるべく、-NH2または>NHをM内のハロゲンと置換する工程であって、M’はMから誘導され、Trは-NH2または>NHであるところの工程と、
から成る方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法であって、さらに、
(vi)金属含有バリア層を製造するべく工程(iii)から工程(v)を繰り返す工程と、
(vii)金属含有バリア層上に金属膜を形成する工程であって、前記金属膜は配線層を構成する金属以外の金属から成るところの工程と、
を含む方法。
【請求項34】
請求項32に記載の方法であり、絶縁層は多孔質で気孔を有するところの方法であって、さらに、工程(ii)の前に、
絶縁層の少なくとも露出面上の気孔をブロックするべく気孔シール層を形成する工程と、
配線層の露出面上に形成された気孔シール層の一部を除去する工程であって、工程(ii)においてその上に-NH2または>NHが与えられる絶縁層の露出面は、気孔シール層の表面及び配線層の露出面から成るところの工程と、
を含む方法。
【請求項35】
金属含有バリア層を含む多層構造を形成するべく、金属含有バリア層を製造するための方法であって、
(i)絶縁層を反応空間内に与える工程と、
(ii)還元雰囲気中で、絶縁層の少なくとも露出面上に、-NH2または>NHターミナルを導入する工程と、
(iii)還元剤を反応空間へ導入し、その後反応空間をパージする工程と、
(iv)ハロゲン化金属化合物を反応空間へ導入し、その後反応空間をパージする工程と、
(v)N及びHを含むガスを導入し、その後反応空間をパージする工程と、
から成る方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、さらに、
(vi)金属含有バリア層を製造するべく、工程(iii)から(v)を連続して繰り返す工程と、
(vii)金属含有バリア層上に金属膜を形成する工程と、
を含む方法。
【請求項37】
請求項35に記載の方法であり、絶縁層は多孔質で気孔を有するところの方法であって、さらに、工程(ii)の前に、
絶縁層の少なくとも露出面上の気孔をブロックするよう気孔シール層を形成する工程と、
配線層の露出面上に形成された気孔シール層の一部を除去する工程であって、工程(ii)においてその上に-NH2または>NHターミナルが導入される絶縁層の露出面は、気孔シール層の表面及び配線層の露出面から成る、ところの工程と、
を含む方法。
【請求項1】
金属含有バリア層を含む金属配線構造を形成するべく、金属含有バリア層を製造するための方法であって、
(i)露出した配線層及び露出した絶縁層を含む多層構造を反応空間内に与える工程と、
(ii)還元雰囲気中で、絶縁層の少なくとも露出面上にNを含むターミナルを導入する工程と、
(iii)導入したターミナルを還元するよう反応空間へ還元剤を導入し、その後反応空間をパージする工程と、
(iv)導入した還元剤を置換するべく反応空間へハロゲン化金属化合物を導入し、その後反応空間をパージする工程と、
(v)導入したハロゲン化金属により形成されたN含有ターミナルを表面に与えるべくN含有ガスを導入し、その後反応空間をパージする工程と、
から成る方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、工程(ii)において、N含有ターミナルは-NH2または>NHターミナルである、ところの方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
(vi)金属含有バリア層を製造するべく工程(iii)から工程(v)を連続して繰り返す工程と、
(vii)金属含有バリア層上に金属膜を形成する工程であって、前記金属膜は配線層を構成する金属以外の金属から成るところの工程と、
を含む方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、さらに、工程(ii)の前に、配線層の露出面上に形成された酸化膜を還元するべく、H2を含む還元ガスのプラズマまたはラジカルを反応空間へ導入する工程を含む方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、工程(ii)は、配線層の露出面及び絶縁層の露出面を、励起したNH3、励起したNH2、または励起したN2/H2若しくはN2H2を含むプラズマまたはラジカルにより処理する工程から成る、ところの方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、工程(ii)は、配線層の露出面及び絶縁層の露出面を、励起したNH3、励起したNH2、または励起したN2/H2を含むプラズマまたはラジカルにより処理する工程から成る、ところの方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、工程(ii)は、N2の分圧が5%〜50%であるところのN2及びH2を含むガスから誘導された励起N2/H2を含むプラズマまたはラジカルを使用する、ところの方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、絶縁層はSiOCにより構成される、ところの方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、絶縁層は、シリコンカーバイド、Nドープシリコンカーバイド、窒化シリコン、酸化シリコン、Cドープ酸化シリコン、及び有機シリコンで作られた絶縁材料から成るグループから選択される材料により構成される、ところの方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、工程(iii)から(v)は原子層蒸着を実行する、ところの方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、工程(iii)の還元剤は、ジボラン、アルキルボラン、ジシラン、モノシラン、及びアルキルシランから成るグループから選択される、ところの方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、工程(iv)のハロゲン化金属は、W、Ta及びTiから成るグループから選択された金属を含む、ところの方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、工程(v)のN及びHを含むガスはNH3である、ところの方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、金属含有バリア層は少なくとも金属、炭素及び窒素により構成される、ところの方法。
【請求項15】
請求項3に記載の方法であって、金属膜はRu膜またはTa膜である、ところの方法。
【請求項16】
請求項3に記載の方法であって、工程(vii)は、
(a)Ruソースガスを導入する工程と、
(b)反応空間をパージする工程と、
(c)H及びNを含むガスを導入する工程と、
(d)反応空間をパージする工程と、
(e)工程(a)から(d)を繰り返す工程と、
から成る、ところの方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、H及びNを含むガスはNH3またはN2及びH2の混合ガスである、ところの方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、ガスはプラズマにより励起される、ところの方法。
【請求項19】
請求項3に記載の方法であって、さらに、(viii)金属膜上に銅層を形成する工程を含む方法。
【請求項20】
請求項3に記載の方法であって、工程(ii)、工程(iii)から(vi)及び工程(vii)は、それぞれの反応空間内で実行され、真空を損なうことなく連続して実行される、ところの方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、工程(ii)、工程(iii)から(vi)、工程(vii)及び工程(viii)は、それぞれの反応空間内で実行され、真空を損なうことなく連続して実行される、ところの方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法であって、工程(iii)は、還元剤により-NH2または>NHを還元するよう実行され、それにより-NH-Aまたは>N-Aが与えられ、ここでAは還元剤から誘導される、ところの方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、工程(iv)はAをハロゲン化金属化合物と置換するよう実行され、それにより-NH-Mまたは>N-Mが与えられ、ここでMはハロゲン化金属化合物から誘導される、ところの方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、工程(v)は-NH2または>NHをM中のハロゲンと置換するよう実行され、それにより-NH-M’-Trまたは>N-M’-Trが与えられ、ここでM’はMから誘導され、Trは-NH2または>NHである、ところの方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法であって、配線層は銅から作られている、ところの方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法であって、絶縁層は多孔質で気孔を有し、さらに、工程(ii)の前に、
絶縁層の少なくとも露出面上の気孔をブロックするよう気孔シール層を形成する工程と、
配線層の露出面上に形成された気孔シール層の一部を除去する工程であって、工程(ii)においてその上にNを含むターミナルが導入される絶縁層の露出面が気孔シール層の表面及び配線層の露出面から成る、ところの工程と、
を含む方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、気孔シール層は、SiC、SiOC、窒化シリコン、アモルファスカーボン及びSiO2から成るグループから選択される材料により構成される、ところの方法。
【請求項28】
請求項26に記載の方法であって、絶縁層の露出面は少なくともひとつのトレンチを形成し、配線層の露出面はトレンチのボトムに形成される、ところの方法。
【請求項29】
請求項19に記載の方法であり、絶縁層が多孔質であり気孔を有するところの方法であって、さらに、工程(ii)の前に、
絶縁層の少なくとも露出面上に気孔をブロックする気孔シール層を形成する工程と、
配線層の露出面上に形成された気孔シール層の一部を除去する工程であって、工程(ii)においてその上にNを含むターミナルが導入される絶縁層の露出面が気孔シール層の表面及び配線層の露出面から成り、ここで、絶縁層の露出面は少なくともひとつのトレンチを形成し、配線層の露出面はトレンチのボトムで形成される、ところの工程を含み、
当該方法はさらに、工程(viii)に続いて、金属膜で被覆されたトレンチ内に充填された相互接続銅線を形成するべく化学的機械的研磨(CMP)により銅層を平坦化する工程を含む、方法。
【請求項30】
キャパシタを製造するための方法であって、
請求項1に記載の金属配線構造を形成する工程であって、金属膜は下部電極として機能するところの工程と、
金属配線構造上に絶縁薄膜を形成する工程と、
絶縁薄膜上に上部電極を形成する工程と、
から成る方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、金属膜はRu膜である、ところの方法。
【請求項32】
金属含有バリア層を含む金属配線構造を形成するべく、金属含有バリア層を製造するための方法であって、
(i)露出した配線層及び露出した絶縁層を含む多層構造を与える工程と、
(ii)還元雰囲気中で、絶縁層の少なくとも露出面上に-NH2または>NHを導入する工程と、
(iii)-NH-Aまたは>N-Aを与えるべく還元剤により-NH2または>NHを還元する工程であって、ここでAは還元剤から誘導されるところの工程と、
(iv) -NH-Mまたは>N-Mを与えるべく、ハロゲン化金属化合物をAと置換する工程であって、Mはハロゲン化金属化合物から誘導されるところの工程と、
(v) -NH-M’-Trまたは>N-M’-Trを与えるべく、-NH2または>NHをM内のハロゲンと置換する工程であって、M’はMから誘導され、Trは-NH2または>NHであるところの工程と、
から成る方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法であって、さらに、
(vi)金属含有バリア層を製造するべく工程(iii)から工程(v)を繰り返す工程と、
(vii)金属含有バリア層上に金属膜を形成する工程であって、前記金属膜は配線層を構成する金属以外の金属から成るところの工程と、
を含む方法。
【請求項34】
請求項32に記載の方法であり、絶縁層は多孔質で気孔を有するところの方法であって、さらに、工程(ii)の前に、
絶縁層の少なくとも露出面上の気孔をブロックするべく気孔シール層を形成する工程と、
配線層の露出面上に形成された気孔シール層の一部を除去する工程であって、工程(ii)においてその上に-NH2または>NHが与えられる絶縁層の露出面は、気孔シール層の表面及び配線層の露出面から成るところの工程と、
を含む方法。
【請求項35】
金属含有バリア層を含む多層構造を形成するべく、金属含有バリア層を製造するための方法であって、
(i)絶縁層を反応空間内に与える工程と、
(ii)還元雰囲気中で、絶縁層の少なくとも露出面上に、-NH2または>NHターミナルを導入する工程と、
(iii)還元剤を反応空間へ導入し、その後反応空間をパージする工程と、
(iv)ハロゲン化金属化合物を反応空間へ導入し、その後反応空間をパージする工程と、
(v)N及びHを含むガスを導入し、その後反応空間をパージする工程と、
から成る方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、さらに、
(vi)金属含有バリア層を製造するべく、工程(iii)から(v)を連続して繰り返す工程と、
(vii)金属含有バリア層上に金属膜を形成する工程と、
を含む方法。
【請求項37】
請求項35に記載の方法であり、絶縁層は多孔質で気孔を有するところの方法であって、さらに、工程(ii)の前に、
絶縁層の少なくとも露出面上の気孔をブロックするよう気孔シール層を形成する工程と、
配線層の露出面上に形成された気孔シール層の一部を除去する工程であって、工程(ii)においてその上に-NH2または>NHターミナルが導入される絶縁層の露出面は、気孔シール層の表面及び配線層の露出面から成る、ところの工程と、
を含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−103950(P2007−103950A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−273586(P2006−273586)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(000227973)日本エー・エス・エム株式会社 (68)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273586(P2006−273586)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(000227973)日本エー・エス・エム株式会社 (68)
【Fターム(参考)】
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