説明

エンジンの排気浄化制御装置及びこれを用いたハイブリッド車両の排気浄化制御装置

【課題】パラレル式ハイブリッド車両に適用して、DPFやバッテリに悪影響を及ぼすことなくDPFの再生効率を向上する。
【解決手段】DPFの再生時に、車両走行に必要な駆動力に応じて設定されたエンジン出力を満足させると共に、排気浄化装置に流入する排気が常にパティキュレートの酸化に必要な温度以上となる気筒と、排気浄化装置に流入する排気の酸素濃度を高める気筒を設定するように、エンジンの気筒毎の燃焼状態を制御するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気浄化制御装置に関し、特に、排気浄化装置で捕集されたパティキュレートの酸化除去による排気浄化装置の再生技術に関する。また、この排気浄化制御装置を使用するハイブリッド車両の排気浄化制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン、特にディーゼルエンジンでは、排気通路に、排気に含まれるパティキュレートを捕集するためのパティキュレートフィルタ(以下、DPFとする)を備えた排気浄化装置を配設する場合がある。DPFは、パティキュレートの堆積量が増大すると目詰まりしてフィルタ機能が低下するため、パティキュレートの堆積量がある程度に達したところで捕集したパティキュレートを燃焼させてDPFを再生させる再生処理が必要である。このDPF再生処理は、一般的に高負荷運転状態でディーゼルエンジンを連続運転して排気温度を上昇させる方法が取られている。この場合、パティキュレートの燃焼速度には限界があるため、ある程度の燃焼時間を確保する必要がある。
【0003】
このようなDPF再生処理を必要とするディーゼルエンジンと電動機を組み合わせて走行するハイブリッド車両における従来のDPF再生技術として、特許文献1,2等に記載されたものがある。
【0004】
ハイブリッド車両では、ディーゼルエンジンにより発電機を駆動してバッテリを充電するが、充電量が所定の下限値以下となったときに充電を開始し、充電量が所定の上限値に達すると充電を終了するようにしている。その際に、DPFの再生要求があるときには、前記充電下限値を通常運転時よりも低下させるか、或いは前記充電上限値を通常運転時よりも高めてバッテリの充電時間を延長する。これにより、DPF再生時の高負荷運転状態でディーゼルエンジンを連続運転しても、発電機の発電電力をバッテリと電動機で吸収することでDPFの再生に必要な時間を確保する。また、DPFの再生要求があるときには、発電機から電動機への電力供給を抑制しバッテリから電動機への電力供給を促進してバッテリの放電を促進することで、バッテリの充電開始時期を早めてDPFの再生処理を早期に開始する構成が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、DPF再生時の高負荷運転中にDPFが再生可能な温度状態にあれば、一時的にエンジンの負荷を低下して酸素濃度を高め、DPFに捕集したパティキュレートの酸化を促進して再生の効率を高め、再生に要する高負荷連続運転時間を短縮してDPF再生に要するエネルギー(燃料消費)を減少させる構成が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−242721号公報
【特許文献2】特開2002−303175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記特許文献1に記載の技術は、車両走行のための要求駆動力を全て電動機が負担するシリーズ式ハイブリッド車両の場合であれば、ディーゼルエンジンによる発電機の駆動制御を行うことで、バッテリの残容量(又は充電状態)(SOC:State of Charge)を柔軟に制御することが可能であるため適用し易い。
【0007】
しかし、車両走行に必要な駆動力をディーゼルエンジンと電動機(以下、モータジェネレータ:MG)を併用して負担しシリーズ式ハイブリッド車両よりも大きな車両駆動力が得られるパラレル式ハイブリッド車両の場合には、要求駆動力に応じてモータジェネレータとディーゼルエンジンの何れか一方か、又は、要求駆動力をモータジェネレータだけの出力で負担できない場合にはディーゼルエンジンとモータジェネレータを併用して駆動力制御が行われるため、SOCを柔軟に制御することが困難である。このために、DPF再生のために早期にSOCを所定のレベルに低下させようとしても低下させることができない。従って、SOCが所定のレベルに低下してバッテリの充電が可能になるまでに、モータジェネレータによる運転頻度が少なくてディーゼルエンジンによる運転の頻度が多くなるような車両運転状態が生じた場合には、DPFへのパティキュレートの堆積量が過大になる虞れがある。このような状態に至ってDPFの再生が開始されてDPFに堆積したパティキュレートの酸化燃焼が開始されると、発熱量が過大となりDPFに悪影響を及ぼす虞れがある。
【0008】
また、前記特許文献2に記載の技術も、高負荷運転から一時的に負荷を低下させてエンジンに急激な負荷変動を発生させるため、要求駆動力を全て電動機が負担するシリーズ式ハイブリッド車両であれば適用し易いが、エンジン負荷の低下は発電能力の低下を意味するため、要求駆動力が大きくてバッテリのSOCが低い状態ではこのような制御を行えない場合もある。
【0009】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、エンジンとモータジェネレータの少なくとも一方の出力で車両の駆動力を発生させて車両を走行させるパラレル式ハイブリッド車両に適用した場合でも、DPFやバッテリに悪影響を及ぼすことなく、効率良くDPFの再生が可能なエンジンの排気浄化制御装置を提供することを目的とする。また、ハイブリッド車両の排気浄化制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため、本発明は、複数気筒からなるエンジンの排気通路に設けられ、排気中のガス成分を浄化すると共に、パティキュレートを捕集して排気を浄化する排気浄化装置を備え、捕集されたパティキュレートを酸化除去して排気浄化装置の再生を行うエンジンの排気浄化制御装置であって、前記排気浄化装置に捕集されたパティキュレートの堆積状況に基づいてパティキュレートの酸化除去の要否を判断する再生要否判断手段と、車両走行に必要な駆動力を検出する要求駆動力検出手段と、該要求駆動力検出手段によって検出された要求駆動力に応じて必要なエンジン出力を設定するエンジン出力設定手段と、前記再生要否判断手段によって再生要と判断されて排気浄化装置の再生を開始するときに、前記エンジン出力設定手段で設定されたエンジン出力に応じて、エンジンの気筒毎の空気過剰率及び燃料噴射量のうち少なくとも1つに差を設定して気筒毎に燃焼状態を制御する気筒毎燃焼制御手段と、を備えて構成したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の排気浄化制御装置における再生要否判断手段と、要求駆動力検出手段と、エンジン出力設定手段と、気筒毎燃焼制御手段とを備え、エンジンとモータジェネレータの少なくとも一方の出力で車両の駆動力を発生させて車両を走行させるハイブリッド車両の排気浄化制御装置であって、前記モータジェネレータによる車両駆動時に当該モータジェネレータへ電力を供給すると共に、前記モータジェネレータの発電電力を充電可能なバッテリと、該バッテリの残容量を検出する残容量検出手段と、前記要求駆動力検出手段によって検出された要求駆動力と前記残容量検出手段によって検出されたバッテリ残容量とに基づいて、エンジンの運転要否を判断する運転要否判断手段と、前記運転要否判断手段によってエンジンの運転が必要と判断され、前記再生要否判断手段によって排気浄化装置の再生が必要と判断されて排気浄化装置の再生を開始するときに、前記要求駆動力検出手段によって検出された要求駆動力と、前記エンジン出力設定手段によって設定されたエンジン出力と、前記残容量検出手段によって検出されたバッテリ残容量とに基づいて、前記気筒毎燃焼制御手段によりエンジンの気筒毎の燃焼状態を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、排気浄化装置に捕集されたパティキュレートの堆積状況に基づいてパティキュレートの酸化除去が必要と判断して排気浄化装置の再生を開始するときに、要求駆動力に応じて設定されたエンジン出力に応じて、エンジンの気筒毎の空気過剰率及び燃料噴射量のうち少なくとも1つに差を設定してエンジンの気筒毎に燃焼状態を制御するので、排気浄化装置に流入する排気が常にパティキュレートの酸化に必要な温度以上となる気筒と、排気浄化装置に流入する排気の酸素濃度を高める気筒を設定するように気筒毎の燃焼状態を制御することにより、ハイブリッド車両、特にパラレル式ハイブリッド車両に適用した場合でも、DPFを再生するときに、エンジンの各気筒を全て高負荷で連続運転させることなくDPFの再生を効率よく行えるようになる。
【0013】
請求項10の発明によれば、パラレル式のハイブリッド車両において、エンジンの運転が必要と判断され、排気浄化装置の再生が必要と判断され排気浄化装置の再生を開始するときに、車両走行に必要な要求駆動力、設定されたエンジン出力及びバッテリ残容量に基づいて気筒毎燃焼制御手段によってエンジンの気筒毎の燃焼状態を制御するので、排気浄化装置に流入する排気が常にパティキュレートの酸化に必要な温度以上となる気筒と、排気浄化装置に流入する排気の酸素濃度を高める気筒を設定するように気筒毎の燃焼状態を制御することにより、パラレル式ハイブリッド車両でDPFを再生するときに、DPFの再生を効率よく行えるようになる。また、DPFの再生を行う際にはモータジェネレータの駆動力やエンジンの駆動力が小さく設定できるので分担制御が比較的容易に行え、DPF再生や排気ガスの浄化のためにディーゼルエンジンを連続的に運転した場合でも、バッテリが過充電或いは過放電となって充放電機能にダメージを与えることがなく、DPFの再生や排気浄化性能が向上でき、システムが簡素にできてコスト増加を抑えることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して更に詳しく説明する。
【0015】
図1は、本発明のディーゼルエンジンの排気浄化制御装置の一実施形態を示すシステム構成図であり、ハイブリッド車両システム、特にパラレル方式のハイブリッド車両(Parallel Hybrid Electric Vehicle、以下「P−HEV」という)に適用した場合を示す図である。
【0016】
図1において、本実施形態のハイブリッド車両は、複数気筒(本実施形態は4気筒)からなるディーゼルエンジン(以下、エンジンとする)1と車両駆動用モータと発電用ジェネレータを兼ねたモータジェネレータMG2の動力で走行する。前記エンジン1の出力は、発電用としてもう1つのモータジェネレータMG1へ伝達され、また、車両走行用としてモータジェネレータMG1の回転軸、例えば電磁クラッチ付きCVT等の動力伝達機構52、モータジェネレータMG2の回転軸及びディファレンシャルギヤ54を介して駆動輪55a、55bに伝達される。そして、車両の減速回生時には2つのモータジェネレータMG1,MG2をジェネレータとして有効に使い、車両制動力を電気エネルギーに変換して回収してバッテリ50を充電する。
【0017】
エンジン1の発電用と車両走行用との出力配分は、ハイブリット用コントロールユニット40で制御する。また、このハイブリット用コントロールユニット40は、バッテリ50からモータジェネレータMG2への電力の供給及び減速回生時のモータジェネレータMG1,MG2からバッテリ50への回生電力の回収を制御している。
【0018】
ハイブリット用コントロールユニット40は、車両の走行及び停止情報をモニターするために、アクセルペダルの踏み込み量に比例したアクセルセンサ41の出力信号L、スタートキー42のAcc位置及びON位置に対応した信号STA、シフトレバーポジションセンサ43の信号SFT、ブレーキ作動スイッチ44の信号BR、車速センサ45の信号V、バッテリ残容量センサ46の信号SOC等を入力して、エンジン1の始動及び出力分担の各要否を判定し、エンジン用コントロールユニット30に始動指令及び出力分担指令を発する。その指令に従って、エンジン用コントロールユニット30がエンジン1の運転点を設定すると共に、始動、停止及び出力の各制御を行う。
【0019】
エンジン1は、排気通路3にエンジン1の排気を浄化する排気浄化装置20を備える。排気浄化装置20は、NOxトラップ触媒(Lean NOx Trap Catalyst:以下、LNTとする)21とDPF22を内蔵する。
【0020】
前記LNT21は、流入する排気の空燃比がリーンであるときにNOxを吸収し、流入する排気の酸素濃度が低下するとNOxを放出・還元浄化するNOx吸着触媒であって、HCやCO等の酸化機能も併せ持っており、Pt、Pd、Rh等の貴金属及びNOx吸着剤としてBa、Mg、Cs等を使用している。また、触媒活性を高めるための加熱手段としての電気ヒータを備える電気加熱式触媒(以下、EHCとする)の構成を採用している。
【0021】
前記DPF22は、排気中のパティキュレートを濾過して捕集する。また、DPF再生処理における捕集したパティキュレートの燃焼除去やHC、CO等のガス成分の酸化機能を高めるために、Pt、Pd等を主成分とした酸化触媒を担持させている。
【0022】
排気浄化装置20内のLNT21の出口部とDPF22の入口部との間には、温度センサ35が設けられており、エンジン1の停止時にはLNT21の温度を、エンジン1の運転中には排気温度を、それぞれT1として検出する。また、エンジン1の所定気筒の出口部には温度センサ37が設けられており、エンジン1の運転中には排気温度をT2として検出する。また、排気浄化装置20内のDPF22の出口部には、酸素濃度O2を検出する酸素濃度センサ36が設けられている。
【0023】
排気通路3には、過給機のタービン3aが配置され、その上流側から分岐したEGR通路4にはEGR弁5が設けられている。このEGR弁5はステッピングモータ(図示せず)で駆動され、排気の一部を吸気通路2の吸気管2dに還流する。吸気通路2は、上流からエアクリーナ2a、過給機のコンプレッサ2b、インタークーラ2c、アクチュエータ(例えばステッピングモータ式)6によって開閉駆動する吸気絞り弁7及び吸気管2dを備える。
【0024】
24は、エンジン始動補助用のグロープラグであり、各気筒の燃焼室に臨んで設けられている。また、エンジン1の暖機促進のためにエンジン1の冷却水系路中に臨むように電気加熱式のブロックヒータ70が設けられている。
【0025】
燃料供給系は、ディーゼルエンジン用燃料(軽油)を貯留する燃料タンク60、燃料を燃料噴射装置10へ供給するための燃料供給通路16及び燃料噴射装置10からのリターン燃料(スピル燃料)を燃料タンク60に戻すための燃料戻り通路19を備える。
【0026】
前記燃料噴射装置10は、公知のコモンレール式の燃料噴射装置であって、サプライポンプ11、コモンレール(蓄圧室)14及び気筒毎に設けられる燃料噴射弁15を備える。サプライポンプ11で加圧した燃料は燃料供給通路12を介してコモンレール14に一旦高圧の状態で蓄えられた後、各気筒の燃料噴射弁15に分配される。コモンレール14の圧力は圧力制御弁13で制御する。即ち、圧力制御弁13はエンジン用コントロールユニット30からのデューティ信号に応じてオーバーフロー通路17の流路面積を変えることで、コモンレール14への燃料吐出量を調整してコモンレール14の圧力を制御する。また、コモンレール14の圧力を制御するため、サプライポンプ11から吐出された燃料の一部は、途中に一方向弁18を有するオーバーフロー通路17を介して燃料供給通路16に戻される。
【0027】
前記燃料噴射弁15は、エンジン用コントロールユニット30からのON−OFF信号によって燃焼室への燃料供給通路を開閉する電子式の噴射弁であって、ON信号によって燃料を燃焼室に噴射し、OFF信号によって噴射を停止する。燃料噴射量は、燃料噴射弁15へのON信号が長いほど多くなるが、後述するようにコモンレール14の燃料圧力によっても変化する。
【0028】
エンジン用コントロールユニット30は、水温センサ31の信号Tw、エンジン回転速度とクランク角度検出用のクランク角センサ32の信号Ne、カム角センサ33の気筒判別信号Cyl、コモンレール圧力を検出する圧力センサ34の信号PCR、前述の各温度センサ35,37の信号T1,T2及び酸素濃度センサ36の信号O2をそれぞれ入力する。尚、エンジン用コントロールユニット30の具体的な制御については後述する。
【0029】
本実施形態の排気浄化制御装置は、ハイブリット用コントロールユニット40及びエンジン用コントロールユニット30によって制御する。かかる制御について図18〜図31のフローチャートに基づいて説明する。
【0030】
図18は、本実施形態のハイブリッドシステムのメイン制御ルーチンを示し、図19〜図31は、ハイブリット用コントロールユニット40からの指令によって、エンジン用コントロールユニット30によって行われるディーゼルエンジン1の出力制御及び本実施形態の排気浄化制御に関するサブルーチンを示す。尚、後述するように、エンジン用コントロールユニット30が、再生要否判定手段、エンジン出力設定手段及び気筒毎燃焼制御手段の機能を備えている。
【0031】
図18のハイブリッドシステムのメイン制御ルーチンにおいて、ステップ100で、アクセルセンサ41の信号L、スタートキー42の信号STA、シフトレバーポジションセンサ43の信号SFT、ブレーキ作動スイッチ44の信号BR、車速センサ45の信号V及びバッテリ残容量センサ46の信号SOCを読み込み、更に、水温センサ31の信号Tw、クランク角センサ32の信号Ne、カム角センサ33の信号Cyl、コモンレール圧力を検出する圧力センサ34の信号PCR、温度センサ35,37の各信号T1,T2、酸素濃度センサ36の信号O2を読み込んでステップ200に進む。
【0032】
ステップ200では、図5〜12に示すようにアクセルセンサ41の信号Lに基づいて運転者のアクセルペダルの踏み込み量に応じた車両走行のための必要な駆動力Prun(=モータ出力Pm+エンジン出力Peで、図中のポイントa―eのライン)、即ち、運転者がアクセル操作によって求めている車両走行に必要な駆動力(要求駆動力)を後述する図19の要求駆動力算出ルーチンに従って算出し、ステップ220に進む。
【0033】
ステップ220では、後述のDPF再生時期判定によってDPF22の再生が必要か否かを判定し、判定がYesであってDPF22の再生処理を行う場合はステップ1300に進み、判定がNoであってDPF22の再生処理を行わない場合はステップ300に進む。
【0034】
ステップ300では、ステップ200で算出した要求駆動力Prun、車両速度V、バッテリ残容量SOC、触媒活性温度Tex1等を基準にして後述する図20の通常運転モード判定ルーチンに従って通常運転モードを判定する。ここで、前記通常運転モードは、図3,図5,図6に示すように基本的に以下のMode0〜4の5つのパターンに分かれている。ここで、図3は通常運転(DPF再生不要)におけるバッテリの残容量SOC、浄化装置温度及び運転モードとの関係を纏めた表を示した図であり、図5は浄化装置温度がLNT活性温度である第1所定温度Tex1以上の場合の通常運転時での駆動力制御の特性図であり、図6は浄化装置温度がLNT活性温度である第1所定温度Tex1未満の場合の通常運転時での駆動力制御の特性図である。
<減速回生モード:Mode0>
バッテリ50の残容量SOCが充電上限閾値SOC2(例えばフル充電の80%程度であってバッテリの過充電を防ぐための閾値)未満(SOC<SOC2)であってバッテリ50が過充電状態にならないことを条件に、減速時にモータジェネレータMG1,MG2をジェネレータとして動作させ、減速時の運動エネルギーを電力として回収してバッテリ50を充電する。
<モータ走行モード:Mode1>
基本的にモータ走行モードは、図17に示すように、エンジン走行では負荷が低くて排気温度T1(浄化装置温度に相当する)が触媒活性温度である第1所定温度Tex1以上を得られない触媒低活性領域Aであって、バッテリ50の残容量SOCが、安定してバッテリの定格電力を供給できる所定値SOC1を上回っていること条件として、モータジェネレータMG2の出力Pmで走行する。そして、温度センサ35の検出する排気温度T1が前記第1所定温度Tex1以上の場合には、エンジン出力下限設定値をbとして図5の[1](a―bの範囲)をモータ走行する。
【0035】
尚、低エンジン温度等の条件において、前記排気温度T1が第1所定温度Tex1未満の場合には、エンジン出力下限設定値をb→b’に増加するが、このときに、バッテリ50の残容量SOCが充電上限閾値SOC2以上(SOC≧SOC2)であれば、モータジェネレータMG2の出力上限値をb→b’に増加し図6に示すように[1](a―bの範囲)に加えて図中の[1]’(b―b’の範囲)もモータ走行とする(図3中の余剰電力処理(2))。これにより、エンジン出力下限設定値をb→b’に増加して生じた余剰出力による発電分を消費し、バッテリ50の充放電バランスを適正に管理する。このため、モータジェネレータMG2は、最大出力b’のものを適用し、通常は標準定格出力をbに設定して余裕を持たせて使用する。
<エンジン走行モード:Mode2>
エンジン走行モードは、バッテリ50の残容量SOCが、所定値SOC1を上回っていて充電が不要の場合に、エンジン1の出力Peだけで走行する。この場合、図17に示すように、エンジン運転(負荷と回転数の設定)は、排気温度T1が第1所定温度Tex1以上となる高い触媒活性が得られる触媒高活性領域B及びCで行い、この領域の中には熱効率が良好な最良燃費領域Eを含むようにする。そして、排気温度T1が第1所定温度Tex1以上の場合には、エンジン出力下限設定値をbとして図5の[2](b―dの範囲)をモータ走行する。また、前述したように低エンジン温度等の条件において、排気温度T1が前記第1所定温度Tex1未満の場合には、エンジン出力下限設定値をb→b’に増加して図6の[2]’(b’―dの範囲)をエンジン走行とする。
<エンジン出力分割モード:Mode3>
基本的には、エンジン出力分割は、バッテリ50の残容量SOCが所定値SOC1以下の場合に、エンジン1を運転してその出力を車両走行と発電のために分割する。この場合も、エンジン運転中にLNT21の活性状態が得られるよう、排気温度T1が第1所定温度Tex1以上の場合は、エンジン出力下限設定値bで図5の[2](b―dの範囲)で要求駆動力Prunよりも高い出力でエンジンを運転し、エンジン出力Peと要求駆動力Prunとの差分(=Pe−Prun)のエンジン出力でモータジェネレータMG1を駆動して発電しバッテリ50に充電する。前述と同様、低エンジン温度条件等において、エンジン出力下限設定値をb→b’に増加する場合は、図6の[2]’(b’―dの範囲)で要求駆動力Prunよりも高い出力でエンジン1を運転し、エンジン出力Peと要求駆動力Prunとの差分を発電に充てる。尚、バッテリ50の残容量SOCがSOC1<SOC<SOC2の状態にあり、エンジン出力下限設定値をb→b’に増加した状態では、図6の[1]’(b―b’の範囲)をエンジン出力分割モードとして、エンジンPe(=b’)と要求駆動力Prunとの差分をバッテリ50の充電に充てる(図3中の余剰電力処理(1))。
<モータアシストモード:Mode4>
図5と図6の[3](d―eの範囲)の駆動力範囲がモータアシストモードである。つまり、エンジン1の最大出力は図17にも示すようにポイントdであってエンジン1からそれ以上の動力を供給することはできない。従って、エンジン1をポイントdで運転し、ポイントdから図5及び図6に示す車両走行最大駆動力であるポイントe(Prun max.)までの差分をモータジェネレータMG2の出力(標準定格出力b)で補う。尚、モータジェネレータMG2によるアシストはこれに限らず、エンジン1を図5の[2](b―dの範囲)又は図6の[2]’(b’―dの範囲)で運転してモータジェネレータMG2を併用しても構わない。
【0036】
以上でステップ300の通常運転モード判定の説明、エンジンの運転領域と車両走行に必要な駆動力範囲とそのエンジン各運転ポイントとの関係についての説明を終えるが、説明した中で、基本的にモータ走行モード(Mode1)では動力伝達機構52は切り離されている。
【0037】
一方、ステップ220の判定がYesであってステップ1300に進んだ場合、バッテリ残容量SOCを基準にして後述する図28のDPF再生運転モード判定ルーチンに従ってDPF再生運転モードを判定する。DPF再生運転モードは、図4及び図7〜12に示すように基本的に以下のDPF再生Mode1〜3の3つのパターン(通常電力処理、余剰電力処理(1)及び(2))に分かれている。ここで、図4はDPF再生時におけるバッテリの残容量SOC、浄化装置温度(又は所定気筒出口温度)及び運転モードとの関係を纏めた表を示した図である。また、図7〜図12は浄化装置温度(又は所定気筒出口温度)とバッテリ残容量SOCの条件が異なる場合のDPF再生時での駆動力制御の特性図であり、図7及び図8はバッテリ残容量SOCが、安定して電力を供給できる所定値SOC1以下の場合(SOC≦SOC1)、図9及び図10はバッテリ残容量SOCが所定値SOC1を上回っていて充電上限閾値SOC2(例えばフル充電の80%程度であってバッテリの過充電を防ぐための閾値)未満の場合(SOC1<SOC<SOC2)、図11及び図12はバッテリ残容量SOCが充電上限閾値SOC2以上の場合(SOC≧SOC2)を示している。
<通常電力処理モード:DPF再生Mode1>
通常電力処理モードは、バッテリ50の残容量SOCが所定値SOC1以下の場合に、エンジン1を運転してその出力Peを車両走行と発電のために分割する。
【0038】
本発明では、DPF再生時に気筒毎にエンジン1の燃焼を制御し、図17に示すように、所定気筒からDPF22に流入する排気の温度T1(又は所定気筒の出口排気温度T2)として、触媒活性温度Tex1より高くDPF22に堆積したパティキュレートを酸化燃焼除去してDPF22を再生できる第2所定温度Tex2(又は第3所定温度Tex3)が得られるように所定気筒の負荷(燃料噴射)をDPF再生領域Cに設定する。
【0039】
そして、DPF22の流入排気温度T1(又は所定気筒の出口排気温度T2)が前記第2所定温度Tex1(又は第3所定温度Tex3)以上の場合は、図7に示すようにエンジン1の気筒平均出力下限設定値bに設定し、同図の[2](b―dの範囲)で駆動力Prunよりも高い平均出力が得られるようにエンジン1を運転し、エンジン出力Peと要求駆動力Prunとの差分を発電に充て、モータジェネレータMG1で発電してバッテリ50を充電する。また、低エンジン温度条件等において、DPF22の流入排気温度T1(又は所定気筒の出口排気温度T2)が前記第2所定温度Tex1(又は第3所定温度Tex3)未満の場合は、図8に示すようにエンジンの気筒平均出力下限設定値をb→b’に増加し、同図の[2](b’―dの範囲)で駆動力Prunよりも高いエンジン出力Peが得られるようにエンジン1を運転しその差分でモータジェネレータMG1を駆動して発電しバッテリ50を充電する。
【0040】
ここで、気筒毎にディーゼルエンジン1の燃焼を制御する場合のエンジンの気筒平均出力は、実施例ではポイントb(又はb’)からポイントdの範囲で出力制御するが、要は、所定気筒からDPF22に流入する排気温度T1(又は所定気筒の出口排気温度T2)がDPF22に堆積したパティキュレートを酸化燃焼除去してDPF22を再生できる第2所定温度Tex2(又は第3所定温度Tex3)が得られるように所定気筒の負荷(燃料噴射量)を領域Cに設定し、他の気筒は負荷(燃料噴射量)を減じて酸素リッチな排気をDPF22に流入させるのである。
【0041】
かかる気筒毎の燃焼制御について、図13〜図16に示すように、気筒平均出力下限設定値bを増加させなくても第2所定温度Tex2(又は第3所定温度Tex3)が得られる場合を、4気筒エンジンの例で説明する。
[1気筒おきに負荷を増減させる場合の例]
図13に示すように、気筒平均出力をbポイント(=(1/3)×dポイント)とする場合は、1番、4番気筒の出力をcポイントに制御し、2番、3番気筒を噴射停止制御する。また、気筒平均出力をcポイント(=(2/3)×dポイント)とする場合は、1番、4番気筒の出力をdポイントに制御し、2番、3番気筒の出力をbポイントに制御する。
[2気筒をグループ化して負荷を増減させる場合の例]
図14に示すように、気筒平均出力をbポイント(=(1/3)×dポイント)とする場合は、1番、3番気筒の出力をcポイントに制御し、2番、4番気筒を噴射停止制御する。また、気筒平均出力をcポイント(=(2/3)×dポイント)とする場合は、1番、3番気筒の出力をdポイントに制御し、2番、4番気筒の出力をbポイントに制御する。
[3気筒をグループ化して負荷を増減させる場合の例]
図15に示すように、気筒平均出力をbポイントとcポイントの中間(=(1/2)×dポイント)とする場合は、2番気筒を噴射停止制御し、1番、3番、4番気筒の出力をcポイントに制御する。また、気筒平均出力をcポイント(=(2/3)×dポイント)とする場合は、2番気筒を噴射停止制御し、1番、3番、4番気筒の出力を(8/9)×dポイントに制御する。
[全気筒の負荷を異ならせて制御する場合の例]
図16に示すように、気筒平均出力をcポイント(=(2/3)×dポイント)とする場合、1番(dポイント)>4番((5/6)×dポイント)>2番((1/2)×dポイント)>3番((1/3)×dポイント)のように制御する。
【0042】
尚、気筒平均出力がエンジン最大出力ポイントdの場合は、図13〜図16に示すように全ての気筒を最大出力ポイントdとして気筒毎燃焼制御は停止する。
【0043】
尚、図7及び図8の[3](d―eの範囲)は、通常運転モードのモータアシストモード(Mode4)と同じであり、エンジン1をポイントdで運転し、ポイントdから車両走行最大駆動力のポイントe(Prun max)迄の要求駆動力Prunとエンジン出力Pe(=d)の差分をモータジェネレータMG2の出力で補う。
<余剰電力処理(1):DPF再生Mode2>
バッテリ50の残容量SOCが、第1の所定値SOC1を上回っていて充電上限閾値SOC2未満の場合であって、エンジン1の気筒平均出力下限設定値がb(又はb’)の状態で、要求駆動力Prunがポイントb(又はb’)未満の場合に、エンジン出力Pe(=b又はb’)と要求駆動力Prunとの差分を発電に充て、モータジェネレータMG1で発電してバッテリ50に充電する(図4中の余剰電力処理(1))。
【0044】
尚、要求駆動力Prunがポイントb(又はb’)以上の場合は、エンジン1の出力Peだけで走行する。即ち、図9に示すようにDPF22の流入排気温度T1(又は所定気筒の出口排気温度T2)が前記第2所定温度Tex1(又は第3所定温度Tex3)以上で、エンジン1の気筒平均出力下限設定値がbの状態では、同図の[2](b−dの範囲)をエンジン走行する。また、低エンジン温度等の条件で、図10に示すようにDPF22の流入排気温度T1(又は所定気筒の出口排気温度T2)が前記第2所定温度Tex1(又は第3所定温度Tex3)未満で、エンジン1の気筒平均出力下限設定値をb→b’に増加する場合は、同図の[2](b’−dの範囲)をエンジン走行する。
【0045】
図9及び図10の[3](d−e)の範囲は、前述のDPF再生モードMode1と同様に、通常運転モードのモータアシストモード(Mode4)と同じである。
<余剰電力処理(2):DPF再生Mode3>
バッテリ50の残容量SOCが、充電上限閾値SOC2以上の場合であっても、DPF22の再生中であれば再生が終了するまではエンジン1を継続運転してDPF22の再生を完了させる。この場合、図4、図11、図12に示すように、DPF再生Mode1、2と同様に、エンジン1の気筒平均出力下限設定値がb(又はb’)の状態で、要求駆動力Prunがポイントb(又はb’)を下回る場合には、エンジン出力Peと要求駆動力Prunとの差分を発電に充て、モータジェネレータMG1で発電してバッテリ50に充電する。しかし、バッテリ50の残容量SOCが充電上限閾値SOC2以上であるために、バッテリ50の充放電バランスを適正にして過充電となるのを防ぐため、余剰出力による発電分を早く消費する必要がある。このため、図11及び図12に[2]で示すように、要求駆動力Prunが、ポイントb(又はb’)以上であって気筒平均出力下限設定値b(又はb’)とモータ最大出力b(出力幅=図11及び図12のa―b)の合計値d(又はf)ポイント以下の場合に、要求駆動力Prunと気筒平均出力下限設定値b(又はb’)との差分をモータ出力で走行する。要求駆動力Prunが、気筒平均出力下限設定値b(又はb’)と前記モータ最大出力bの合計値d(又はf)ポイントを上回る場合には、モータ最大出力bとして余剰出力による発電分を消費しつつ最大駆動力ポイントeまでエンジン出力を増加して要求駆動力Prunを満たす(図4中の余剰電力処理(2))。
【0046】
尚、後述する図28のDPF再生運転モード判定ルーチンにおいて、DPF再生Mode3と判定すると回生発電停止指令を発生するが、この場合を図4において余剰発電処理(2)’としてある。
【0047】
再び図18に戻る。
【0048】
ステップ300で通常運転モードの判定を行った後、ステップ400に進み、算出した要求駆動力Prunと判定走行モードとに基づいて、通常運転モードにおけるモータジェネレータMG2とエンジン1の分担出力(PmとPe)を算出した後、ステップ500に進む。
【0049】
また、ステップ1300でDPF再生運転モードの判定を行った後、ステップ1400に進み、算出した要求駆動力Prunと判定走行モードとに基づいて、DPF再生運転モードにおけるモータジェネレータMG2とエンジン1の分担出力(PmとPe)を算出した後、ステップ500に進む。
【0050】
ステップ500では、エンジン1を運転する必要があるか否かを判定する。この判定がNoであってエンジン運転が不要な場合(通常運転モードのモータ走行モード(Mode1)及び減速回生モード(Mode0))は、ステップ800に進んでエンジン1の停止時制御を行う。即ち、ハイブリット用コントロールユニット40はエンジン用コントロールユニット30に停止指令を発し、その停止指令に従ってエンジン用コントロールユニット30はエンジン1の停止時制御を行う。
【0051】
ステップ500の判定がYesであってエンジン1を運転する必要がある場合(通常運転モードのエンジン走行モード(Mode2)、エンジン出力分割モード(Mode3)、モータアシストモード(Mode4)及びDPF再生運転モードのMode1、2、3)は、ステップ600に進む。
【0052】
ステップ600では、エンジン1を既に始動しているか否かを判定する。この判定がYesであってエンジン1が運転中の場合、即ち、既にハイブリット用コントロールユニット40からエンジン用コントロールユニット30に出力指令を発信済であって、その指令に従ってエンジン用コントロールユニット30がエンジン1の出力制御を行っている場合はステップ900に進む。
【0053】
ステップ900では、前記ステップ400で算出したエンジン分担出力Peを得るためのエンジン1の出力制御を実行する。
【0054】
一方、前記ステップ600の判定がNoであってエンジン1をまだ始動していない場合は、ステップ700に進んでエンジンの始動時制御を行う。即ち、ハイブリット用コントロールユニット40はエンジン用コントロールユニット30に始動指令を発し、この始動指令に従ってエンジン用コントロールユニット30はエンジン1の始動時制御を行う。
【0055】
前記ステップ900のエンジン出力制御、ステップ700のエンジン始動時制御又はステップ800のエンジン停止時制御を行った後、ステップ1000に進む。
【0056】
ステップ1000では、ハイブリット用コントロールユニット40が運転モードに基づいてモータジェネレータMG1或いはMG2の発電制御を行う。
【0057】
次にステップ1100で、走行モードに基づいてステップ400やステップ1400で算出したモータ駆動力Pmに応じてモータジェネレータMG2を駆動制御する。
【0058】
最後にステップ1200に進み、走行モード及び車両速度V等に基づいて動力伝達機構52の変速比制御やON−OFF制御を行う。
【0059】
図19は、前述のステップ200の要求駆動力Prun算出についてのサブルーチンを示すフローチャートである。
【0060】
図19において、ステップ201では、スタートキー42の信号STAがONになっているかを判定し、ステップ202ではシフトレバーポジションセンサ43の信号SFTがDrive位置(ON)になっているかを判定し、ステップ203ではブレーキ作動スイッチ44の信号BRがOFF(ブレーキ解除状態)になっているかを判定し、ステップ201〜203の判定が全てYesであれば車両が走行可能な状態であるので、ステップ210で、運転者のアクセルペダルの踏み込み量に応じたアクセルセンサ41の信号Lに基づき予め定めたテーブルデータから車両走行に必要な駆動力Prun、即ち、運転者が求めている要求駆動力Prunを検索してリターンとなる。
【0061】
一方、前記ステップ201、202、203の判定のいずれかがNoであって車両が走行可能な状態でない場合は、ステップ204に進んで車両走行に必要な操作を停止(モータジェネレータMG1とMG2駆動停止、動力伝達機構52の切り離し、エンジン1停止)して図18の基本制御ルーチンのリターンに戻る。
【0062】
図20は、前述のステップ300の通常運転モード判定についてのサブルーチンを示すフローチャートである。
【0063】
図20において、ステップ310で車両が走行している(車速V>0)かを判定し、Noであって車両が停止していればステップ317に進む。
【0064】
ステップ317では、要求駆動力Prunが0より大(Prun>a(図5,6のポイントa))かを判定し、Noであって要求駆動力Prun=0で車両が停止していれば図19のステップ204に進んで車両走行に必要な操作を停止する。
【0065】
ステップ310の判定がYesであって車両が走行している場合、及び、ステップ317の判定がYesであって要求駆動力Prun>aである場合にはステップ311に進む。
【0066】
ステップ311では、要求駆動力Prunが図5,6のポイントd未満かを判定し、Noであればステップ318に進みモータアシストモード(Mode4)と判定してリターンとなり、Yesであって要求駆動力Prunがポイントd未満の場合はステップ312に進む。
【0067】
ステップ312では、バッテリ50の残容量SOCが、所定値SOC1を上回っているかを判定し、判定がNoの場合には車両走行に支障をきたす前にバッテリ50を充電するため、ステップ319に進みエンジン出力分割モード(Mode3)と判定してリターンとなり、判定がYesであってバッテリ50の残容量SOC>SOC1の場合にはステップ313に進む。
【0068】
ステップ313では、要求駆動力Prunが図6のポイントb’を上回るかを判定し、Yesであれば低エンジン温度等の条件であってもエンジン走行モード(Mode2)に該当するため、ステップ320に進みエンジン走行モード(Mode2)と判定してリターンとなり、Noであって要求駆動力Prunがポイントb’以下の場合はステップ314に進む。
【0069】
ステップ314では、要求駆動力Prunがポイントbを上回るかを判定し、Yesであればステップ315に進み、後述するモータ出力増加指令(エンジン出力下限設定値bをb’に増加して生じた余剰出力による発電分を、モータ出力上限標準設定値をb→b’に増加して消費させる)がONになっているかを判定する。ステップ315の判定がNoであってモータ出力増加指令がOFFである場合(後述するようにバッテリ50の残容量SOCが充電上限閾値SOC2を下回っており、モータ上限出力を増加してエンジン余剰出力による発電分を消費する必要がない場合)には、エンジン走行モード(Mode2)に該当するのでステップ320に進む。ステップ315の判定がYesであってモータ出力増加指令がONである場合には、要求駆動力Prunがポイントb−b’の範囲においてモータ走行モード(Mode1)に該当するため、ステップ321に進みモータ走行モード(Mode1)と判定してリターンとなる。
【0070】
一方、ステップ314の判定がNoであって要求駆動力Prunがbポイント以下の場合はステップ316に進み、要求駆動力Prunが0より大(Prun>a)かを判定する。判定がYesで要求駆動力Prun>aの場合はモータ走行モード(Mode1)と判断してステップ321に進み、判定がNoの場合、即ち車両は走行しているが要求駆動力Prun=0(運転者がアクセルペダルを踏み込んでいない場合)である場合は、ステップ322に進んで減速回生モード(Mode0)と判定してリターンとなる。
【0071】
図21は、前述のステップ400で行われる通常運転モードのモータジェネレータとエンジンの分担出力算出についてのサブルーチンを示すフローチャートである。
【0072】
図21において、ステップ410でモータアシストモード(Mode4)であるかを判定し、Yesであればステップ415に進み、Noであればステップ411に進む。
【0073】
ステップ415では、エンジン出力Peをエンジン1の最大出力dに設定(Pe=d)し、モータジェネレータMG2の分担出力Pmを要求駆動力Prunとエンジン出力dとの差分(Pm=Prun−d)に設定してリターンとなる。
【0074】
ステップ411では、エンジン出力分割モード(Mode3)であるかを判定し、Yesであればステップ416に進み、Noであればステップ412に進む。
【0075】
ステップ416では、要求駆動力Prunに発電分のエンジン出力ΔPeを加えたエンジン出力Pe(Pe=Prun+ΔPe)がエンジン1の最大出力dを上回るかを判定し、Yesの場合はステップ417に進み、エンジン1の出力を最大出力dに設定(Pe=d)してリターンとなる。一方、ステップ416の判定がNoであればステップ418に進み、エンジン1の出力Peを要求駆動力Prunに発電分のエンジン出力ΔPeを加えた出力に設定(Pe=Prun+ΔPe)してリターンとなる。
【0076】
尚、発電分の出力ΔPeは固定値であっても良いし、要求駆動力Prunに応じて可変としても良いが、低エンジン温度条件等であっても触媒活性温度である第1所定温度Tex1以上が得られるように、要求駆動力Prunに発電分のエンジン出力ΔPeを加えた時のエンジン出力Peが低エンジン温度条件の場合のエンジン出力下限設定値b’以上(Pe=Prun+ΔPe≧b’)になるように設定する。
【0077】
ステップ412では、エンジン走行モード(Mode2)であるかを判定し、Yesであればステップ419に進み、Noであればステップ413に進む。
【0078】
ステップ419では、排気温度(又はLNT21の温度)T1が前記第1所定温度Tex1を上回っているかを判定し、Yesであればエンジン1の出力Peを増加させる必要がないためステップ425に進み、エンジン1の出力Peを要求駆動力Prunに設定(Pe=Prun)してリターンとなる。
【0079】
ステップ419の判定がNoであって排気温度(又はLNT21の温度)T1が第1所定温度Tex1以下である場合は、ステップ420に進み、要求駆動力Prunがポイントb’以上かを判定し、Yesであれば低エンジン温度等の条件であっても第1所定温度Tex1を得ることができるため、ステップ425に進み、エンジン1の出力Peを要求駆動力Prunに設定する。
【0080】
ステップ420の判定がNoであって要求駆動力Prunがポイントb’未満であればステップ421に進み、エンジン1の出力Peをポイントb’に増加させる(Pe=b’)。
【0081】
次に、ステップ422に進み増加させたエンジン出力Pe(=b’)と要求駆動力Prunとの間に生じた余剰出力(=b’−Prun)をモータジェネレータMG1による発電に充ててステップ423に進む。
【0082】
ステップ423では、バッテリ50の残容量SOCが充電上限閾値であるSOC2未満かを判定し、YesであればモータジェネレータMG2の出力上限値をb→b’に増加してエンジン余剰出力による発電分を消費する必要がないのでリターンとなる。判定がNoであってバッテリ残容量SOCがSOC2以上の場合は、ステップ424に進み、モータジェネレータMG2の出力上限値をb→b’に増加してエンジン余剰出力による発電分を消費して過充電を防ぐためにモータ出力Pmの増加指令をONにしてステップ415に進む。
【0083】
ステップ415では、更に過充電防止のために回生発電停止指令を出してリターンとなる。
【0084】
ステップ412で、エンジン走行モード(Mode2)でないと判定された場合はステップ413に進み、モータ走行モード(Mode1)であるかを判定し、Yesであればステップ426に進み、Noであればステップ414に進む。
【0085】
ステップ426では、ステップ424におけるモータジェネレータMG2の出力増加指令がONになっているかを判定し、Yesであればステップ429に進み、要求駆動力Prunに基づいてモータジェネレータMG2の出力をポイントaから増加した出力上限値b’までの間に設定してステップ414に進む。
【0086】
一方、ステップ426の判定がNoである場合には、ステップ427に進む。
【0087】
ステップ414では、エンジン余剰出力による発電分が消費されたかの確認を行うためにバッテリ50の残容量SOCが充電上限閾値SOC2を下回っているかを判定し、判定がNoであればステップ415に進み、前述したように過充電防止のために回生発電停止指令を出力する。一方、判定がYesであってバッテリ50の残容量SOCが充電上限閾値SOC2を下回っていて適正量であればステップ427に進む。
【0088】
ステップ427では、モータジェネレータMG2の出力増加指令をOFFにすると共に、要求駆動力Prunに基づいてモータの出力Pmをポイントaから通常の出力上限値bまでの間に設定してステップ428に進み、回生発電を実行する許可を与えた後、リターンとなる。
【0089】
図22は、図18のステップ700のエンジン始動時制御についてのサブルーチンを示すフローチャートである。尚、エンジンの始動時制御は、図2に示すようにバッテリ50の残容量SOCのレベルに応じたグロープラグ24、LNT21のヒータ(ここではEHCとする)、ブロックヒータ70の通電制御を含み、残容量SOCのレベルに応じて充放電を適正に管理しながら、最も効率よくエンジンを始動させることを目的にしている。
【0090】
このため、図2に示すように、バッテリ50の残容量SOCが、安定して電力を供給できる所定値SOC1以下の場合は、エンジン1の始動に最低限必要なグロープラグ24の通電制御だけを行い、残容量SOCが所定値SOC1を上回り充電上限閾値SOC2未満の範囲であれば、グロープラグ24の通電制御に加え、エンジン始動時の排気浄化性能を高めるためEHCの通電制御を行う。EHCの通電制御は、DPF22の再生が必要なければガス成分の浄化に必要な第1所定温度Tex1を得ることを目標に行い、DPF22の再生が必要であればDPF22の再生に必要な第2所定温度Tex2を得ることを目標に行う。そして、残容量SOCが充電上限閾値SOC2以上であれば、更にバッテリ50の過充電を防ぐための余剰電力消費とエンジン1の始動性向上のため冷却水加熱用のブロックヒータ70の通電制御を行う。
【0091】
図22のエンジン始動時制御ルーチンにおいて、ステップ710でバッテリ50の残容量SOCが所定値SOC1を上回っているかを判定し、Noであればステップ713に進んでブロックヒータ70をOFFにし、次にステップ714に進んでEHCをOFFにしてステップ740に進む。
【0092】
ステップ710の判定がYesであって残容量SOC>SOC1である場合には、ステップ711に進んで残容量SOCが充電上限閾値SOC2未満かを判定し、判定がYesであれば、ステップ712に進んでブロックヒータ70をOFFにしてステップ730に進む。
【0093】
ステップ711の判定がNoであって残容量SOCが充電上限閾値SOC2以上である場合は、ステップ720に進んでブロックヒータ70の通電制御を行い、ステップ730に進む。
【0094】
ステップ730では、DPF22の再生の要否に応じたEHCの通電制御を行う。
【0095】
ステップ740では、グロープラグ24の通電制御を行ってステップ741に進む。
【0096】
ステップ741では、EHCが所定の加熱段階(LNT21の温度又は排気温度T1によって判定し、DPF22の再生要否に応じて前述のように目標値を変える)に到達したかを判定し、判定がNoであればリターンとなり、判定がYesであって所定の加熱段階に到達している場合は、ステップ742に進んでグロープラグ24が所定の加熱段階(一般的に加熱時間又はグロープラグ温度によって判定する)に到達したかを判定し、Noであればリターンとなる。
【0097】
ステップ742の判定がYes、即ち、EHCとグロープラグ24の両方が所定の加熱段階に到達した場合は、ステップ750に進んでエンジン1の始動操作を行う。この操作は、まず、モータジェネレータMG1によりエンジン1のモータリングを開始する。次いでエンジン1のモータリング回転速度が極短時間で所定の安定レベルに到達したら、サプライポンプ11の圧力制御弁13及び燃料噴射弁15を駆動し、始動に見合った燃料を供給して完爆に至らす。
【0098】
図23は、図22のステプ720のブロックヒータ通電制御についてのサブルーチンを示すフローチャートである。
【0099】
図23において、ステップ721では、エンジン1が所定の暖機状態に到達したかを判定するため、エンジン冷却水温度Twが所定温度Tw1を上回ったかを判定し、判定がYesであれば、ステップ722に進んで冷却水の加熱を停止すべくブロックヒータ70への通電を停止してリターンとなり、判定がNoであって所定の暖機状態に到達していなければ、ステップ723に進んでブロックヒータ70へ通電を行ってリターンとなる。
【0100】
図24は、図22のステプ730のEHC通電制御についてのサブルーチンを示すフローチャートである。
【0101】
図24において、ステップ731でDPF22再生中であるかを判定し、Noであればステップ732に進んで、排気温度(又はLNT21の温度)T1が触媒活性温度である第1所定温度Tex1を上回っているかを判定し、判定がYesであればステップ733に進んでEHCの通電を停止してリターンとなり、判定がNoであればステップ734に進んでEHCの通電を行ってリターンとなる。
【0102】
一方、ステップ731の判定がYesであってDPF22再生中であれば、ステップ735に進んで、排気温度(又はLNT21の温度)T1がDPF22の再生温度である第2所定温度Tex2を上回っているかを判定し、判定がYesであればステップ736に進んでEHCの通電を停止してリターンとなり、判定がNoであれば、ステップ737に進んでEHCの通電を行ってリターンとなる。
【0103】
図25は、図22のステプ740のグロープラグ通電制御についてのサブルーチンを示すフローチャートである。
【0104】
図25において、ステップ741でグロープラグ温度(例えばグロープラグの電流によって求めることができる)Tglowが噴射燃料の着火に必要な所定温度Tglow1を上回っているかを判定し、判定がYesであればステップ742に進んでグロープラグ24への通電を停止してリターンとなり、判定がNoであればステップ743に進んでグロープラグ24へ通電してグロープラグ24の加熱を行ってリターンとなる。
【0105】
図26は、図18のステップ800のエンジン停止時制御についてのサブルーチンを示すフローチャートである。
【0106】
図26において、ステップ810では、サプライポンプ11の圧力制御弁13及び燃料噴射弁15をOFFにして燃料供給を停止し、EGR弁5及び吸気絞り弁7を閉にしてEGRも停止する。
【0107】
ステップ811では、グロープラグ24、EHC及びブロックヒータ70への通電を停止してリターンとなる。
【0108】
図27は、ハイブリット用コントロールユニット40からエンジン用コントロールユニット30に対して出力分担指令が発せられた場合に、エンジン用コントロールユニット30によって行われる図18のステップ900のエンジン出力制御についてのサブルーチンを示すフローチャートである。
【0109】
図27において、ステップ910では、エンジン運転中であり始動補助の必要がないため、グロープラグ24への通電を停止してステップ911に進む。
【0110】
ステップ911では、バッテリ50の残容量SOCが所定値SOC1を上回っているかを判定し、Noである場合にはバッテリ50の安定電力供給を優先するため、ステップ920に進んでブロックヒータ70への通電を停止してステップ730に進む。
【0111】
ステップ911の判定がYesであってバッテリ50の残容量SOC>SOC1の場合にはステップ720に進み、エンジン1が既に運転中であることから図23のブロックヒータ70への通電制御を行いステップ730に進む。
【0112】
ステップ730では、触媒を早期活性するために図24のEHCの通電制御を行ってステップ1600に進む。
【0113】
ステップ1600では、所定のテーブルデータを検索して、図18のステップ400及びステップ1400で算出したエンジン分担出力Peを得るために必要なエンジン回転速度Ne及び燃料噴射量Qmain(平均又は#1〜4の気筒毎)の目標値を求める。このテーブルデータは、例えばエンジン分担出力Peをパラメータとして設定したものであり、予めエンジン用コントロールユニット30のROMに記憶してある。
【0114】
ステップ930では、コモンレール圧力制御や燃料噴射弁の駆動制御を行い、エンジン出力制御のための燃料噴射制御を行う。
【0115】
ここで、コモンレール圧力制御は、例えばエンジン回転速度Ne及び燃料噴射量Qmain(DPF再生時の気筒毎燃焼制御を行う場合には気筒平均又は最大気筒噴射量)をパラメータとして、エンジン用コントロールユニット30のROMに予め記憶してある所定のマップを検索して、コモンレール14の目標基準圧力PCR0と、この目標基準圧力PCR0を得るための圧力制御弁13の基準制御信号Duty0とを求め、目標基準圧力PCR0と実際のコモンレール圧力PCRとの差に基づいて基準制御信号Duty0を補正し、補正した制御信号Dutyで圧力制御弁13を駆動することによって目標基準圧力PCR0を得る。
【0116】
また、燃料噴射弁の駆動制御は、例えば燃料噴射量Qmain(平均又は#1〜4の気筒毎)及びコモンレール圧力PCRをパラメータとして、エンジン用コントロールユニット30のROMに予め記憶してある所定のマップを検索して燃料噴射期間Mperiod(平均又は#1〜4の気筒毎)を求める。この燃料噴射期間Mperiodは、燃料噴射量Qmainが同じならばコモンレール圧力PCRが高いほど短くなり、コモンレール圧力PCRが同じならば燃料噴射量Qmainが多いほど長くなる。次に、エンジン回転速度Ne及び燃料噴射量Qmain(平均又は#1〜4の気筒毎)をパラメータとして、エンジン用コントロールユニット30のROMに予め記憶してある所定のマップを検索して燃料噴射開始時期Mstart(平均又は#1〜4の気筒毎)を求め、冷却水温度Tw等に基づいた補正を加える。これは、冷却水温Twが低いほどエンジン燃焼室の温度も低くなり、着火開始時期が相対的に遅れることになるので、HC、CO、パティキュレート(特にSOF)の排出量を増加させないためには、前記燃料噴射開始時期Mstartを進角補正して燃焼開始時期を一定に保つためである。そして、クランク角センサ32の信号Ne(エンジン回転速度とクランク角度)及びカム角センサ33の気筒判別信号Cylに基づいて、前記燃料噴射開始時期Mstartと前記燃料噴射期間Mperiodで噴射すべき気筒の燃料噴射弁15を開弁駆動して、燃料噴射量Qmainを供給する。
【0117】
ステップ930で燃料噴射制御を行った後、ステップ931に進み、LNT21の再生指令が発生しているかを判定する。判定がYesであってLNT21の再生が必要である場合は、ステップ970に進み、LNT21の再生燃焼制御を実行し、ステップ936に進んでLNT21の再生処理が終了した(例えば所定時間経過)かを判定し、この判定がNoであればリターンとなり、判定がYesであれば、ステップ937に進んで触媒再生終了操作(例えば再生指令フラグOFF、再生時間カウンタのリセット)を行いリターンとなる。
【0118】
ここで、LNT21の再生燃焼制御は、短時間、排気空燃比をリッチ化して排気温度を上昇させることによって吸着したNOxを放出・還元することである。一般的にディーゼルエンジンの場合には、エンジン回転速度Ne及び燃料噴射量Qmain或いはLNT21の出口部の酸素濃度O2に基づいて、EGRの強化(EGRの増加と吸気絞りの強化)やポスト噴射(排気空燃比をリッチ化して排気温度を上昇させるために、主噴射とは別に各気筒の膨張行程又は排気行程で行う燃料噴射)を単独又は併用して実施することで可能であるが、排気空燃比のリッチ化によってエンジン出力Peの変動が生じる場合には、図18のステップ400及びステップ1400で算出したエンジン分担出力Peを得るために必要なエンジン回転速度Ne及び燃料噴射量Qmainを補正することで対応する。
【0119】
ステップ931の判定がNoであってLNT21の再生指令がない場合は、ステップ932に進んでDPF22の再生指令が発生しているかを判定する。判定がNoであって再生が必要なければステップ940に進んで、LNT21の再生時期判定を行う。ここで、LNT21の再生時期判定は、例えばエンジン回転速度Ne及び燃料噴射量Qmainをパラメータとして予めコントロールユニット30のROMに記憶してある所定のデータ等から、LNT21の単位時間当たりのNOx吸着量を検索し、単位時間当たりに同期した所定時間間隔でNOx吸着量を積算し、積算したNOx吸着量がLNT21の所定吸着限界量を超えているかを判定することによって、LNT21の再生時期を判定することが可能である。
【0120】
ステップ940でLNT21の再生時期判定を行った後、ステップ950に進んでDPF22の再生時期判定を行う。ここで、DPF22の再生時期判定は、例えばエンジン回転速度Ne及び燃料噴射量Qmainをパラメータとして予めコントロールユニット30のROMに記憶してある所定のデータ等から、単位時間当たりのDPF22のパティキュレート捕集量(堆積量)を検索し、単位時間当たりに同期した所定時間間隔でパティキュレート捕集量を積算し、積算したパティキュレート捕集量がDPF22の所定捕集限界量を超えているかを判定することによって、DPF22の再生時期を判定することが可能である。
【0121】
ステップ950でDPF22の再生時期判定を行った後、ステップ960に進んでエンジン1の通常のリーン燃焼制御を行いリターンとなる。ここで、エンジン1のリーン燃焼制御は、例えばエンジン回転速度Ne及び燃料噴射量Qmainをパラメータとしてコントロールユニット30のROMに予め記憶してある所定のマップを検索して、目標EGRデータ(EGR弁5と吸気絞り弁7の駆動信号)を求め、冷却水温度Twに基づいてEGRを補正し(例えば冷却水温が低いときにはEGRを減量補正する)、EGR弁5及び吸気絞り弁7をそれぞれの補正した駆動信号に基づいて駆動制御する。
【0122】
ステップ932の判定がYesであってDPF22の再生が必要である場合は、ステップ933に進み、DPF22の再生燃焼制御(気筒毎燃焼制御)を実行し、ステップ934に進んでDPF22の再生処理が終了した(例えば所定時間経過)かを判定する。
【0123】
ステップ934の判定がNoであってDPF22の再生が終了していない場合はリターンとなり、判定がYesであって再生が終了した場合はステップ935に進んで、再生終了操作(例えば再生指令フラグOFF、再生時間カウンタのリセット、再生準備終了フラグOFF)を行いリターンとなる。
【0124】
図28は、図18のステップ1300のDPF再生運転モード判定についてのサブルーチンを示すフローチャートである。
【0125】
図28において、ステップ1310では、バッテリ50の残容量SOCが所定値SOC1以下のレベルであるかを判定し、Yesであって所定値SOC1以下の場合はステップ1370に進み、DPF再生Mode1と判定してステップ1360に進む。
【0126】
一方、ステップ1310の判定がNoであって、バッテリ50の残容量SOC>SOC1の場合にはステップ1320に進む。
【0127】
ステップ1320では、バッテリ50の残容量SOCがバッテリの過充電を防ぐための充電上限閾値であるSOC2以上であるかを判定し、判定がNoであって充電上限閾値SOC2未満の場合はステップ1350に進み、DPF再生Mode2と判定してステップ1360に進む。そして、ステップ1360で通常の回生発電を実行する許可を与えた後、リターンとなる。
【0128】
一方、ステップ1320の判定がYesであってSOC≧SOC2の場合はステップ1330に進み、DPF再生Mode3と判定してステップ1340に進み、回生発電の停止指令を与えた後、リターンとなる。
【0129】
尚、一度DPF再生運転モード判定が行われた場合でもルーチンが繰り返されると、車両の駆動パターンによって所定値SOC1以下のレベルであったバッテリ50の残容量SOCが所定値SOC1を上回る場合があり、この場合、ステップ1310の判定はNoとなる。
【0130】
図29は、図18のステップ1400で行われるDPF再生運転モードのモータジェネレータとエンジンの分担出力算出についてのサブルーチンを示すフローチャートである。尚、このルーチンではエンジン出力は気筒平均出力とする。
【0131】
図29において、ステップ1410でDPF再生Mode1であるかを判定し、YesであってDPF再生Mode1であればステップ1412に進み、Noであればステップ1411に進む。
【0132】
ステップ1412では、要求駆動力Prunがエンジン1の最大出力d以上であるかを判定し、Yesであればステップ1422に進み、Noであればステップ1413に進む。
【0133】
ステップ1422では、エンジン出力Peをエンジン1の最大出力dに設定し、モータジェネレータMG2の分担出力Pmを要求駆動力Prunとエンジン1の最大出力dとの差分(Pm=Prun−d)に設定してリターンとなる。
【0134】
ステップ1413では、要求駆動力Prunに発電分のエンジン出力ΔPeを加えたエンジン出力Pe(Pe=Prun+ΔPe)が、DPF再生に必要な第2所定温度Tex2(又は第3所定温度Tex3)を得るための出力下限設定値bを下回るかを判定し、Yesであって出力下限設定値bを下回る場合はステップ1418に進み、エンジン1の出力Peを出力下限設定値bに設定(Pe=b)してステップ1419に進む。
【0135】
ステップ1419では、所定気筒の出口排気温度T2がDPF再生に必要な第3所定温度Tex3を上回っているかを判定し、Yesであればステップ1421に進む。Noであればステップ1420に進んで、エンジン1の出力Peを出力下限設定値bからb’に増加(Pe=b’)してDPF22が再生できる第3所定温度Tex3(又は第2の所定温度Tex2)を得るようにし、ステップ1421に進む。尚、ステップ1419において、排気温度T1と第2所定温度Tex2を比較してもよい。
【0136】
一方、ステップ1413の判定がNoであって、要求駆動力Prunに発電分のエンジン出力ΔPeを加えたエンジン出力Pe(Pe=Prun+ΔPe)が、出力下限設定値b以上であればステップ1414に進む。
【0137】
ステップ1414では、要求駆動力Prunに発電分のエンジン出力ΔPeを加えた値(Pe=Prun+ΔPe)が、増加された出力下限設定値b’を下回るかを判定し、Yesであればステップ1415に進む。Noであればステップ1417に進み、エンジン1の出力Peを要求駆動力Prunに発電分のエンジン出力ΔPeを加えた値に設定(Pe=Prun+ΔPe)してステップ1421に進む。
【0138】
ステップ1415では、エンジン1の出力Peを要求駆動力Prunに発電分のエンジン出力ΔPeを加えた値に設定(Pe=Prun+ΔPe)し、ステップ1416に進んで、所定気筒の出口排気温度T2がDPFを再生するための第3所定温度Tex3を上回っているかを判定し、Yesであればステップ1421に進み、Noであればステップ1420に進む。ここで、ステップ1416において、排気温度T1と第2所定温度Tex2を比較してもよい。
【0139】
尚、前述したように、発電分の出力ΔPeは固定値であっても良いし、要求駆動力Prunに応じて可変としても良い。
【0140】
そして、ステップ1421では、エンジン出力Peと要求駆動力Prunとの間に生じた余剰出力(Pe−Prun)をモータジェネレータMG1による発電に充ててリターンとなる。
【0141】
ステップ1410の判定がNoであってDPF再生Mode1でない場合はステップ1411に進み、DPF再生Mode2であるかを判定し、Noであればステップ1500に進んでDPF再生Mode3と判定して、駆動力制御パターン変更制御を行う。
【0142】
一方、ステップ1411の判定がYesであってDPF再生Mode2であればステップ1423に進み、要求駆動力Prunがエンジン1の最大出力d以上であるかを判定し、Yesであればステップ1433に進み、Noであればステップ1424に進む。
【0143】
ステップ1433では、エンジン出力Peをエンジン1の最大出力dに設定し、モータジェネレータMG2の分担出力Pmを要求駆動力Prunとエンジン1の最大出力dとの差分(Pm=Prun−d)に設定してリターンとなる。
【0144】
ステップ1424では、要求駆動力Prunが、出力下限設定値bを下回るかを判定し、Yesであって出力下限設定値bを下回る場合はステップ1429に進み、エンジン1の出力Peを出力下限設定値bに設定(Pe=b)してステップ1430に進む。
【0145】
ステップ1430では、所定気筒の出口排気温度T2がDPFを再生するための第3所定温度Tex3を上回っているかを判定し、Yesであればステップ1432に進む。Noであればステップ1431に進んで、エンジン1の出力Peを出力下限設定値bからb’に増加(Pe=b’)してDPF22を再生できる第3所定温度Tex3(又は第2の所定温度Tex2)を得るようにしてステップ1432に進む。尚、ステップ1430において、排気温度T1と第2所定温度Tex2を比較してもよい。
【0146】
ステップ1432では、エンジン出力Peと要求駆動力Prunとの間に生じた余剰出力(Pe−Prun)をモータジェネレータMG1による発電に充ててリターンとなる。
【0147】
一方、ステップ1424の判定がNoであって、要求駆動力Prunが、出力下限設定値b以上であればステップ1425に進む。
【0148】
ステップ1425では、要求駆動力Prunが、増加された出力下限設定値b’を下回るかを判定し、Yesであればステップ1426に進む。Noであればステップ1428に進み、エンジン1の出力Peを要求駆動力に設定(Pe=Prun)してリターンとなる。
【0149】
ステップ1426では、エンジン1の出力Peを要求駆動力に設定(Pe=Prun)し、ステップ1427に進んで所定気筒の出口排気温度T2がDPFを再生するための第3所定温度Tex3を上回っているかを判定し、Yesであればリターンとなるが、Noであればステップ1431に進む。尚、ステップ1427において、排気温度T1と第2所定温度Tex2を比較してもよい。
【0150】
図30は、図29のステップ1500で行われるDPF再生Mode3の駆動力制御パターン変更制御についてのサブルーチンを示すフローチャートである。
【0151】
図30において、ステップ1510では、要求駆動力Prunが、出力下限設定値bを下回るかを判定し、Yesであって出力下限設定値bを下回る場合はステップ1515に進み、エンジン1の出力Peを出力下限設定値bに設定(Pe=b)してステップ1516に進む。
【0152】
ステップ1516では、所定気筒の出口排気温度T2がDPFを再生するための第3所定温度Tex3を上回っているかを判定し、Yesであればステップ1518に進む。Noであればステップ1517に進んで、エンジン1の出力Peを出力下限設定値bからb’に増加(Pe=b’)して第3所定温度Tex3(又は第2所定温度Tex2)を得るようにしてステップ1518に進む。尚、ステップ1516において、排気温度T1と第2所定温度Tex2を比較してもよい。
【0153】
ステップ1518では、エンジン出力Peと要求駆動力Prunとの間に生じた余剰出力(Pe−Prun)をモータジェネレータMG1による発電に充ててリターンとなる。
【0154】
一方、ステップ1510の判定がNoであって、要求駆動力Prunが出力下限設定値b以上であればステップ1511に進む。
【0155】
ステップ1511では、要求駆動力Prunが、出力下限設定値bにモータジェネレータMG2の通常最大駆動力Pm max(=出力幅=図11又は図12のa―b)を加えた値を上回るかを判定し、Noであればステップ1519に進み、エンジン1の出力Peを出力下限設定値bに設定(Pe=b)し、モータジェネレータMG2のモータ駆動力を要求駆動力Prunとエンジン出力Pe(=出力下限設定値b)の差分に設定(Pm=Prun−b)してステップ1520に進む。
【0156】
ステップ1520では、所定気筒の出口排気温度T2がDPFを再生するための第3所定温度Tex3を上回っているかを判定し、YesであればリターンとなるがNoであればステップ1521に進み、DPF22を再生できる第3所定温度Tex3(又は第2所定温度Tex2)を得るために、エンジン1の出力Peを出力下限設定値bからb’に増加(Pe=b’)して、モータジェネレータMG2のモータ駆動力を要求駆動力Prunと増加したエンジン出力Pe(=出力下限設定値b’)の差分に設定(Pm=Prun−b’)してリターンとなる。尚、ステップ1520において、排気温度T1と第2所定温度Tex2を比較してもよい。
【0157】
一方、ステップ1511の判定がYesであって要求駆動力Prunが、出力下限設定値bにモータジェネレータMG2の最大駆動力Pm maxを加えた値を上回る場合はステップ1512に進み、エンジン1の出力Peを出力下限設定値bに要求駆動力Prunの不足分(ΔPe=Prun−Pm max−b)を加えた値(Pe=b+ΔPe)に設定し、モータジェネレータMG2の駆動力を通常最大駆動力Pm maxに設定してステップ1513に進む。
【0158】
ステップ1513では、所定気筒の出口排気温度T2がDPFを再生するための第3所定温度Tex3を上回るかを判定し、Yesであればリターンとなるが、Noであればステップ1514に進み、DPF22を再生できる第3所定温度Tex3(又は第2所定温度Tex2)を得るためにエンジン1の出力を出力下限設定値bからb’に増加(Pe=b’)して、要求駆動力(Prun)の不足分(ΔPe=Prun−Pm max−b’)を加え値(Pe=b’+ΔPe)に設定し、モータジェネレータMG2の駆動力を最大駆動力Pm maxに設定してリターンとなる。尚、ステップ1513において、排気温度T1と第2所定温度Tex2を比較してもよい。
【0159】
図31は、図27のステップ1600で行われる通常時の燃焼制御及びDPF再生時の気筒毎燃焼制御(DPF再生Mode1、DPF再生Mode2、DPF再生Mode3)を行うために必要なエンジン回転速度Ne及び燃料噴射量Qmain(平均又は#1〜4の気筒毎)の目標値を算出するためのサブルーチンを示すフローチャートである。
【0160】
図31において、ステップ1610では、DPF22の再生指令が発生しているかを判定し、Noであって再生が必要なければステップ1640に進んで所定のテーブルデータを検索し、各気筒同一制御の通常の燃料噴射制御を実施するための主燃料噴射量Qmainとその燃料噴射時期ITmainを求めてリターンとなる。
【0161】
一方、ステップ1610の判定がYesであってDPF22の再生が必要である場合は、ステップ1620に進んで気筒毎に設定された所定のテーブルデータを検索し、気筒毎燃料噴射制御を実施するための各気筒#1〜#4の主燃料噴射量Qmainとその燃料噴射時期ITmainを求める。
【0162】
そして、ステップ1630で同様に所定のテーブルデータを検索し、DPF再生時の気筒毎燃料噴射制御を実施するための各気筒#1〜#4のポスト燃料噴射量Qpostとその燃料噴射時期ITpostを求めてリターンとなる。
【0163】
尚、気筒毎燃料噴射制御における主燃料噴射量Qmain及びポスト燃料噴射量Qpostとそれらの燃料噴射時期ITmain、ITpostの設定は、図13〜図16の制御パターンに応じて各気筒毎に行ったり、グループ毎に行ったりすればよい。
【0164】
また、DPF再生時の気筒毎燃焼制御を行う場合、燃料噴射量の代わりに気筒毎の空気過剰率を設定して行うようにしてもよく、また、気筒毎の燃料噴射量及び空気過剰率両方を設定するようにしてもよい。
【0165】
以上説明したように本実施形態によれば、DPF22を有する排気浄化装置20を備えたディーゼルエンジンを用いたハイブリッド車両、特にパラレル式ハイブリッド車両において、DPF22を再生する必要がある場合には、気筒毎にディーゼルエンジンの燃焼を制御するようにして排気浄化装置20に流入する排気が常にパティキュレートの酸化に必要な温度以上となる気筒と、排気浄化装置20に流入する排気の酸素濃度を高める気筒を設定するようにした。この結果、ディーゼルエンジンの各気筒を全て高負荷で連続運転させなくてもDPFの再生を効率よく行うことができる。
【0166】
また、DPF22の再生を行う際にはモータジェネレータMG2の駆動力又はエンジン1の駆動力が小さく設定できるので分担制御が比較的容易に行え、DPF再生や排気ガスの浄化のためにディーゼルエンジン1を連続的に運転した場合でも、バッテリ50が過充電或いは過放電となって充放電機能にダメージを与えることがなく、システムが簡素にできてコスト増加を抑えることが可能な排気浄化制御装置及びハイブリッド車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明の排気浄化制御装置及びハイブリッド車両の排気浄化制御装置の一実施形態を示すシステム構成図
【図2】エンジン停止時の始動時制御におけるバッテリ残容量とグロープラグ、EHC及びブロックヒータの各通電制御の関係を表した表を示す図
【図3】通常運転時のバッテリ残容量、NOxトラップ触媒温度及び運転モードとの関係を表した表を示す図
【図4】DPF再生時のバッテリ残容量、DPF温度及び運転モードとの関係を表した表を示す図
【図5】NOxトラップ触媒が活性温度以上の時の通常運転時の駆動力制御特性を示す図
【図6】NOxトラップ触媒が活性温度未満の時の通常運転時の駆動力制御特性を示す図
【図7】DPFが再生温度以上でバッテリ残容量SOCがSOC≦SOC1の時のDPF再生時の駆動力制御特性を示す図
【図8】DPFが再生温度未満でバッテリ残容量SOCがSOC≦SOC1の時のDPF再生時の駆動力制御特性を示す図
【図9】DPFが再生温度以上でバッテリ残容量SOCがSOC1<SOC<SOC2の時のDPF再生時の駆動力制御特性を示す図
【図10】DPFが再生温度未満でバッテリ残容量SOCがSOC1<SOC<SOC2の時のDPF再生時の駆動力制御特性を示す図
【図11】DPFが再生温度以上でバッテリ残容量SOCがSOC≧SOC2の時のDPF再生時の駆動力制御特性を示す図
【図12】DPFが再生温度未満でバッテリ残容量SOCがSOC≧SOC2の時のDPF再生時の駆動力制御特性を示す図
【図13】4気筒エンジンを1気筒おきに負荷を増減制御する場合の気筒毎燃焼制御の例を示す図
【図14】4気筒エンジンを2気筒づつグループ化して負荷を増減制御する場合の気筒毎燃焼制御の例を示す図
【図15】4気筒エンジンを3気筒グループ化して負荷を増減制御する場合の気筒毎燃焼制御の例を示す図
【図16】4気筒エンジンを各気筒の負荷を異ならせて制御する場合の気筒毎燃焼制御の例を示す図
【図17】排気温度と運転領域との関係を示す図
【図18】図1に示す本実施形態のハイブリッドシステムのメイン制御ルーチンを示すフローチャート
【図19】要求駆動力算出ルーチンを示すフローチャート
【図20】通常運転モード判定ルーチンを示すフローチャート
【図21】通常運転モード分担出力算出ルーチンを示すフローチャート
【図22】エンジン始動時制御ルーチンを示すフローチャート
【図23】ブロックヒータ通電制御ルーチンを示すフローチャート
【図24】EHC通電制御ルーチンを示すフローチャート
【図25】グロープラグ通電制御ルーチンを示すフローチャート
【図26】エンジン停止時制御ルーチンを示すフローチャート
【図27】エンジン出力制御ルーチンを示すフローチャート
【図28】DPF再生運転モード判定ルーチンを示すフローチャート
【図29】DPF再生運転モード分担出力算出ルーチンを示すフローチャート
【図30】DPF再生Mode3における駆動力制御パターン変更ルーチンを示すフローチャート
【図31】燃焼制御目標値算出ルーチンを示すフローチャート
【符号の説明】
【0168】
1 ディーゼルエンジン
3 排気通路
10 燃料噴射装置
20 排気浄化装置
21 NOxトラップ触媒(EHC)
22 DPF
24 グロープラグ
30 エンジン用コントロールユニット
40 ハイブリット用コントロールユニット
50 バッテリ
52 動力伝達機構
54 ディファレンシャルギヤ
55 駆動輪
70 ブロックヒータ
MG1、MG2 モータジェネレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数気筒からなるエンジンの排気通路に設けられ、排気中のガス成分を浄化すると共に、パティキュレートを捕集して排気を浄化する排気浄化装置を備え、捕集されたパティキュレートを酸化除去して排気浄化装置の再生を行うエンジンの排気浄化制御装置であって、
前記排気浄化装置に捕集されたパティキュレートの堆積状況に基づいてパティキュレートの酸化除去の要否を判断する再生要否判断手段と、
車両走行に必要な駆動力を検出する要求駆動力検出手段と、
該要求駆動力検出手段によって検出された要求駆動力に応じて必要なエンジン出力を設定するエンジン出力設定手段と、
前記再生要否判断手段によって再生要と判断されて排気浄化装置の再生を開始するときに、前記エンジン出力設定手段で設定されたエンジン出力に応じて、エンジンの気筒毎の空気過剰率及び燃料噴射量のうち少なくとも1つに差を設定して気筒毎に燃焼状態を制御する気筒毎燃焼制御手段と、
を備えて構成したことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
【請求項2】
前記再生要否判断手段によって再生要と判断されて排気浄化装置の再生を開始するときに、少なくとも1つの気筒から前記排気浄化装置に流入する排気の温度が、再生開始から完了までパティキュレートの酸化除去に必要な温度を上回るように、前記気筒毎燃焼制御手段によりエンジンの気筒毎に燃焼状態を制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気浄化制御装置。
【請求項3】
前記排気浄化装置に流入する排気の温度がパティキュレート酸化除去に必要な温度か否かを、エンジン気筒出口、排気浄化装置入口及び排気浄化装置出口の各排気温度のうち少なくとも1つに基づいて検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの排気浄化制御装置。
【請求項4】
前記気筒毎燃焼制御手段によって気筒毎に燃焼状態を制御する場合に、少なくとも1つの気筒において、エンジン出力発生のために実施する主燃料噴射の後のポスト噴射及び主燃料噴射時期の遅延制御のうち少なくとも1つを実施することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジンの排気浄化制御装置。
【請求項5】
前記気筒毎燃焼制御手段によって気筒毎に燃焼状態を制御する場合に、前記エンジン出力手段によって設定されたエンジン出力が低下するほど、気筒毎の前記空気過剰率及び燃料噴射量のうち少なくとも1つの差を拡大することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のエンジンの排気浄化制御装置。
【請求項6】
前記気筒毎燃焼制御手段によって気筒毎に燃焼状態を制御する場合に、1気筒おきに燃焼状態を設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のエンジンの排気浄化制御装置。
【請求項7】
前記気筒毎燃焼制御手段によって気筒毎に燃焼状態を制御する場合に、2気筒以上をグループ化して燃焼状態を設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のエンジンの排気浄化制御装置。
【請求項8】
前記気筒毎燃焼制御手段によって気筒毎に燃焼状態を制御する場合に、全ての気筒の燃焼状態の設定が異なることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のエンジンの排気浄化制御装置。
【請求項9】
前記気筒毎燃焼制御手段によって気筒毎に燃焼状態を制御する場合に、少なくとも1つの気筒の燃料噴射を停止することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載のエンジンの排気浄化制御装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の排気浄化制御装置における再生要否判断手段と、要求駆動力検出手段と、エンジン出力設定手段と、気筒毎燃焼制御手段とを備え、エンジンとモータジェネレータの少なくとも一方の出力で車両の駆動力を発生させて車両を走行させるハイブリッド車両の排気浄化制御装置であって、
前記モータジェネレータによる車両駆動時に当該モータジェネレータへ電力を供給すると共に、前記モータジェネレータの発電電力を充電可能なバッテリと、
該バッテリの残容量を検出する残容量検出手段と、
前記要求駆動力検出手段によって検出された要求駆動力と前記残容量検出手段によって検出されたバッテリ残容量とに基づいて、エンジンの運転要否を判断する運転要否判断手段と、
前記運転要否判断手段によってエンジンの運転が必要と判断され、前記再生要否判断手段によって排気浄化装置の再生が必要と判断されて排気浄化装置の再生を開始するときに、前記要求駆動力検出手段によって検出された要求駆動力と、前記エンジン出力設定手段によって設定されたエンジン出力と、前記残容量検出手段によって検出されたバッテリ残容量とに基づいて、前記気筒毎燃焼制御手段によりエンジンの気筒毎の燃焼状態を制御することを特徴とするハイブリッド車両の排気浄化制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2009−36183(P2009−36183A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203585(P2007−203585)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】