説明

ダイアモンド基板上炭化珪素並びに関連するデバイス及び方法

【課題】ワイドバンドギャップ材料内に、接合温度低下、動作中の高電力密度化、及び定格電力密度における信頼性向上を達成する高電力デバイスを形成する。
【解決手段】SiC層10にSiO層を形成し、次いで、熱伝導率を高めるためにダイアモンド層11を形成する。そして、SiC層10の厚さを低減し、ダイアモンド層11及びSiC層10の向きを逆にしてダイアモンド11を基板とする。次いで、SiC層10上に、バッファ層16、ヘテロ構造層14及び15を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧、高温、及び高周波の用途に適した材料で形成した半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体に精通している者には周知であろうが、シリコン(Si)及びガリウム砒素(GaAs)というような材料には、低電力及び(Siの場合には)低周波の用途に向けた半導体材料において広い応用分野があることが分かっている。これらの半導体材料は、しかしながら、そのバンドギャップが比較的狭いこと(例えば、室温においてSiでは1.12eV、そしてGaAsでは1.42)、及びブレークダウン電圧が比較的低いことのために、高電力高周波用途には望ましい程には普及していない。
【0003】
したがって、高電力、高温及び高周波用途における関心は、炭化珪素(室温においてアルファSiCでは2.996eV)及び第III族窒化物(例えば、室温において窒化ガリウムでは3.36eV)のような、バンドギャップが広い半導体材料に移っている。これらの材料の方が、ガリウム砒素及びシリコンと比較すると、電界ブレークダウン強度が高く、電子飽和速度も高い。
【0004】
第III族窒化物半導体は、それらのバンドギャップ特性が広く直接的であるために、ソラー・ブラインド光検出器(solar blind photodetector)、青色発光及びレーザ・ダイオード、並びに高温及び光電力電子部品を含む多くの用途の候補になっている。窒化ガリウム−窒化アルミニウム・ガリウム(GaN/AlGaN)ヘテロ構造は、高電力及び高温において動作する高移動度トランジスタにおけるその潜在的用途のために、特別な関心が寄せられている。
【0005】
他の便益に加えて、窒化ガリウム・トランジスタは、理論的に、又は実際に、ガリウム砒素と比較して、数倍高い電力密度を発揮することができる。このように電力密度が高い程、小さいチップでも同じ電力量を扱うことが可能となり、このためにチップ・サイズが縮小し、ウェハ当たりのチップ数が増大し、したがってチップ当たりのコストが低下する好機が得られる。あるいは、同様の大きさにすれば、デバイスが扱うことができる電力が増大し、サイズ縮小という利点を得ることができ、これは望ましい又は必要なことである。
【0006】
高周波、光電力デバイスの駆動力の一例として、セルラ電話機器は、半導体の巨大市場と急速になりつつあり、パーソナル・コンピュータの市場でさえも凌駕する潜在的な可能性もある。この増大が、更に高機能化及び高性能をもたらすために、基礎インフラストラクチャに対して対応する需要を駆り立てている。予期される変化には、例えば、900MHz〜2.1GHzを含む更に高い周波数への、適したスペクトル空間を得るために使用する周波数が増々高くなることが含まれる。このように信号の周波数が高くなるに連れて、これに応じて必要となる電力レベルも高くなる。
【0007】
特に関心のある高周波光電力デバイスは、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、及び変調ドープ電界効果トランジスタ(MODFET)、又はヘテロ接合電界効果トランジスタ(HFET)のような、関連デバイスである。これらのデバイスは、多くの状況下において、動作上の利点をもたらす。何故なら、二次元電子ガス(2DEG)が、バンドギャップ・エネルギが異なる2つの異なる半導体材料のヘテロ接合において形成され、バンドギャップが小さい材料の方が高い電子親和性を有しているからである。2DEGは、ドープされていない、バンドギャップが小さい方の材料における蓄積層であり、平方センチメートル(cm−2)当たり約1012〜1013キャリア程度の非常に高い面電子濃度を含有することができる。加えて、ドープされている、バンドギャップが高い方の材料において発生する電子が2DEGに転移し、イオン化不純物散乱の減少により、高い電子移動度が可能となる。代表的な第III族窒化物HEMTでは、二次元電子が図は、窒化ガリウム/窒化アルミニウム・ガリウムヘテロ構造の界面上に位置する。
【0008】
この高電子濃度及び高キャリア移動度の組み合わせにより、HEMTは、高周波用途では金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)に対して、非常に大きなトランスコンダクタンス、及び強大な性能上の便益を備えている。窒化ガリウム/窒化アルミニウム・ガリウム(GaN/AlGaaN)材料系で製作した高電子移動度トランジスタは、その独特な材料特性の組み合わせのために、大量のRF電力を発生する潜在的可能性を有する。その材料特性には、前述の高ブレークダウン電界、広いバンドギャップ、大きな伝導帯オフセット、及び高い飽和電子ドリフト速度が含まれる。
【0009】
この分野における最近の開発について、米国特許第6,586,781号、第6,548,333号、及び第6,316,793号、並びに米国公開特許出願第20020167023号及び第20030102482号に記述されている。とは言え、これらに限られるのではない。その各々の内容は、ここで引用したことにより、その全体が本願にも含まれているものとする。関連する刊行物には、Pribble et al., Applications of SiC MESFET and GaN HEMTs in Power Amplifier Design(電力増幅器設計におけるSiC MESFET及びGaN HEMTの応用), International Microwave Symposium Digest, 30:1819-1822(2002)が含まれる。
【0010】
この種の高電力半導体デバイスは、マイクロ波帯において動作し、RF通信ネットワーク及びレーダ用途において用いられ、先に注記したように、セルラ電話基地局送信機の複雑性、したがってコストを著しく低減する潜在的可能性を提供する。高電力マイクロ波半導体デバイスの他の潜在的可能性のある用途には、従来の電子レンジにおいて比較的コストがかかるチューブ(tube)及び変圧器との置換、衛星送信機の長寿命化、及び個人通信システム基地局送信機の効率向上が含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらのデバイスの出力電力及び動作周波数が改善し続けるに連れて、デバイス、更に多デバイス・チップ及び回路から発生する熱量も対応して増加し続ける。加えて、このようなデバイスの設計の目標及び市場から生ずる目的には、このような電子構成部品の継続的な小型化及び軽量化が含まれる。したがって、封入密度は、上昇しており、また今後も上昇するであろう。その結果、過剰な熱を排出するか、又は動作中のデバイスに対する熱の影響をそれ以外の方法で緩和するために、何らかの対策を含ませる必要がある。
【0012】
過剰な熱は、様々な問題を引き起こす可能性がある。温度が高い程導電性が低下する一方、最高周波数及び最大電力双方が減少する。また、温度が高い程、トンネリング及び漏れが増大し、デバイスの性能が低下し、劣化及びデバイスの故障が加速する。前向きな言い方をすれば、熱管理が改善されると、定格のデバイス寿命中に、動作周波数の上昇及び電力密度の上昇を実現することができる。
【0013】
結晶成長に関する様々な利用のために、第III族窒化物のバルク(即ち、適度に大きなサイズ)単結晶は、実用的な目的では利用できない。したがって、第III族窒化物は、通例、他のバルク基板材料、最も一般的にはサファイア(Al)及び炭化珪素(SiC)上に形成される。サファイアは、比較的安価であり広く入手可能であるが、熱伝導率に乏しく、したがって高電力動作には適していない。加えて、デバイスによっては、導電性基板が好ましい場合もあるが、サファイアは、ドープによって導電性とすることができない。
【0014】
炭化珪素は、サファイアよりも熱伝導性が高く、第III族窒化物との格子一致度が高く(したがって、エピ層の品質向上を促進する)、ドープによって導電性とすることができるが、遥かに高価でもある。更に、炭化珪素上GaN/AlGaN HEMTの設計及び実証において進展もあるが(<i>例えば</i>、先に引用した特許及び公開出願)、所望の定めた性能パラメータにおいて信頼性に一貫性がないために、相変わらず商用の開発は捗っていない。
【0015】
したがって、高周波光電力半導体に基づくマイクロ波デバイスの継続的な改良が必要となっている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一態様において、本発明は、ワイドバンドギャップ材料内に、接合温度低下、動作中の高電力密度化、及び定めた電力密度における信頼性向上を達成する高電力デバイスを形成する方法である。この態様では、本発明は、ダイアモンドの層を炭化珪素ウェハに添加して、得られる複合ウェハの熱伝導率を高め、その後、炭化珪素上におけるエピタキシャル成長を支持するためにその十分な厚さを保持しつつ、複合ウェハの炭化珪素部分の厚さを削減し、複合ウェハの炭化珪素面を、その上におけるエピタキシャル成長のために、準備し、第III族窒化物ヘテロ構造を、ウェハの準備した炭化珪素面に添加することを含む。
【0017】
別の態様では、本発明は、接合温度低下、動作中の高電力密度化、及び定めた電力密度における信頼性向上をもたらす高電力、ワイドバンドギャップ・デバイスである。この態様において、本発明は、炭化珪素よりも熱伝導率が高いヒート・シンクを設けるためのダイアモンド基板と、ダイアモンド基板上にあり、ワイドバンドギャップ材料構造のために、ダイアモンドの結晶格子一致度よりも高い支持結晶格子一致度を備えるための単結晶炭化珪素層と、単結晶炭化珪素層上にあり、デバイス特性を備えるための第III族窒化物ヘテロ構造とを備えている。
【0018】
更に別の態様では、本発明は、ワイドバンドギャップ高電子移動度トランジスタ(HEMT)であり、等価量の炭化珪素よりも高い熱伝導率のヒート・シンクを設けるダイアモンド基板と、ダイアモンド基板上にあり、第III族窒化物エピ層(「エピタキシャル層」及び「エピ層」は、ここでは相互交換可能に用いる)に好ましい結晶成長表面を設けるための、半絶縁炭化珪素単結晶層と、炭化珪素基板上にある、第1の第III族窒化物の第1エピタキシャル層と、第1エピタキシャル層上にあり、第1エピ層と共にヘテロ接合を形成する、異なる第III族窒化物の第2エピタキシャル層であって、第2エピ層の第III族窒化物が、第1エピ層の第1の第III族窒化物よりも広いバンドギャップを有し、第1及び第2エピ層の界面において、第1エピ層内に二次元電子ガス(2DEG)を発生する、第2エピタキシャル層と、第2エピタキシャル第III族窒化物層に対する各ソース、ゲート、及びドレイン・コンタクトであって、ソース及びドレイン間に電流の流れを発生し、ゲートに印加する電圧によって制御する、ソース、ゲート、及びドレイン・コンタクトとを備えている。
【0019】
更に別の態様では、本発明は、半導体デバイスのウェハ先駆体であり、直径が少なくとも2インチの単結晶炭化珪素の基板と、炭化珪素基板の第1面上にあるダイアモンドの層と、第III族窒化物エピ層又は活性構造の成長のために準備された第2面とを備えている。
【0020】
更に別の態様では、本発明は、半導体レーザであり、ダイアモンド基板と、ダイアモンド基板上にある短毛一生炭化珪素層と、炭化珪素層上にある少なくとも1つの第1クラッディング層と、活性部分上にある第2クラッディング層とを備えている。
本発明の前述の及びその他の目的及び利点、並びにこれらを遂行する方法は、添付図面に関連付けた、以下に続く詳細な説明に基づくことにより、一層明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の方法を示す一連の工程の模式断面図である。
【図2】本発明によるデバイス構造の断面模式図である。
【図3】本発明による他のデバイスの他の断面図である。
【図4】本発明によるウェハ先駆体の断面図である。
【図5】本発明によるレーザ構造の主要部分の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この中に記載する本発明の利点は、互いに排他的でなく、必ずしも累積的(cumulative)でもないことは理解されるであろう。つまり、接合温度を低下させることによって、所与の定格の信頼性において電力密度上昇を達成することができ、あるいは既に得られている定格の電力密度において信頼性を向上することができ、あるいは、これらの(及びその他の)作用効果の何らかの組み合わせを達成することができる。
【0023】
第1実施形態では、本発明は、バンドギャップが広い材料内に高電力デバイスを形成する方法であり、接合温度の低下、動作中における電力密度の上昇、及び定格電力密度における信頼性向上をもたらす。本方法を図1に模式的に示す。図1は、分割図(A)〜(E)を含む。図1は、炭化珪素ウェハ10を示す。好適な実施形態では、デバイス構造には最も有用であるように、炭化珪素ウェハ即ち基板10は単結晶層であり、第III族窒化物エピタキシャル層、及び本発明の主要目的の1つである、結果的に得られるデバイスにとって非常に適した基板を提供する。「ウェハ」という用語は、ここでは広義な意味で用い、一般的な形状及びサイズには限定されないものとする。
【0024】
図1(C)は、本発明の方法における、炭化珪素基板10にダイアモンド層11を追加する工程を示している。ダイアモンド部分11は、得られる複合ウェハの熱伝導率を高める。何故なら、ダイアモンドの伝導率(センチメートル、ケルビン当たり20ワット(W/cm−K))が炭化珪素のそれ(4.9W/cm−K)の約4倍であるからである。好適な実施形態では、炭化珪素ウェハを、ダイアモンドの堆積(デポジット)のために、化学機械研磨工程(CMP)によって準備する。これによって、成長するダイアモンドの表面形態を改善するのを促進することができ、SiCのC面上において行うことが最も好ましい。
【0025】
図1(D)は、前に続いて実行される工程を示し、ここでは全体的に12で示す。これは、複合ウェハの炭化珪素部分の厚さを削減する工程である。炭化珪素上においてエピタキシャル成長を支持するために十分な厚さの炭化珪素を保持しつつ、炭化珪素の所望の格子一致特性も保持する。好ましくは、厚さを可能な限り削減する、即ち、最少としつつ、窒化物エピ層に対する所望の格子一致を得るのに十分な厚さを残しておく。当技術分野における関連(「一般的」)技術者であれば理解されるであろうが、炭化珪素の格子定数は、必ずしも第III族窒化物のそれらと同一でないものの、ダイアモンドのそれらよりは近い。言い方を変えると、そして先に注記したように、大きなサイズの第III族窒化物単結晶基板は、現在、実用上の観点からは入手できない。したがって、他の何らかの材料を基板として用いるのが通例であり、多くの理由のために炭化珪素が好ましく、実際格子定数一致の観点から、ダイアモンドよりも相応しい。したがって、炭化珪素上における第III族窒化物エピタキシャル層の成長に精通している者であれば、格子定数が完全に一致している必要はなく、好ましくは、所望の高品質単結晶の成長を促進するのに十分な程度に近ければよいことを認めるであろう。
【0026】
図1(B)は、炭化珪素部分の厚さを削減する方法の1つを示す。好適な実施形態では、炭化珪素基板10には、炭化珪素内の所定の深さのところに酸素を打ち込み、点線13で示すように、二酸化シリコン(SiO)の層を形成する。この方法では、図1(C)に関して既に説明したように、ダイアモンド層11を次に追加する。ダイアモンドを堆積した後、炭化珪素部分10の厚さを、二酸化シリコン層において炭化珪素を分離することによって削減する。この結果、図13に示す構造が得られる。この技法は、「SIMOX」(「酸素打ち込みによる分離」)とも呼ばれ、打ち込んだ酸素からのSiOの生成を更に促進するための加熱工程を含むことができる。
【0027】
あるいは、炭化珪素部分の厚さを削減する工程は、もっと以前から存在するラッピング工程及び研磨工程で構成することができる。しかしながら、当業者には認められようが、SiC削減工程(又は複数の工程)は、残りのデバイス製造工程との一貫性がなければならない。したがって、得られるデバイスのダイアモンド層の目的を損なう又は無にするような過剰に激しい機械的工程は、避けることが好ましい。
【0028】
他の元素又はイオン(例えば、H+)によるイオン打ち込みを用い、次いで打ち込んだ材料において分離することは、当技術分野では増々周知となりつつあり、「スマート・カット」プロセスと呼ばれている。これは、最初絶縁物上シリコン材料を得るために開発された。この技術に関する背景の情報源は、Moriceau et al., "New Layer Transfers Obtained by the Smart Cut Process" (スマート・カット・プロセスによって得られる新しい層転移)、Journal Of Electronic Materials, Vol. 32, No. 8, pages 829-835 (2003)、及びCellar et al., "Frontiers of Silicon-on-Insulator"(絶縁物上シリコンの最先端)、 Journal of Applied Physics, Vol. 93, No. 9, pages 4955ff(2003)によって明記されている最新の論述により、入手可能である。尚、これらの参考文献は、限定の目的ではなく例示のためであることは、理解されるであろう。
【0029】
あるいは、分離は、熱応力(サーマルストレス)技法を用いて実行することもでき、その場合、打ち込みが行われた後にダイアモンド成長が行われたウェハを、打ち込まれた部分においてウェハを分離するのに十分なレートではあるが、ウェハが粉砕する冷却レート未満で冷却する。この分離は、所望又は必要に応じて、ダイアモンド成長工程の間に実行することができる。
【0030】
好適な実施形態では、ダイアモンド層を炭化珪素ウェハの炭素面に添加し、エピタキシャル成長のために複合ウェハ12の炭化珪素面を準備する工程の間シリコン面を保存し、続いて、準備したウェハの炭化珪素面に第III族窒化物ヘテロ構造を添加する工程を行う。このように、ヘテロ構造を複合ウェハのシリコン面に添加する。この工程を図1(E)に示す。図1(E)では、ダイアモンド部11及び厚さ削減炭化珪素10の向きを図1(D)及び(E)間において逆にして、ダイアモンド11が基板となり、その上に炭化珪素10の層が位置するようにしている。また、図1(E)は、2つの異なる第III族窒化物で形成したヘテロ構造を示しており、その最上部を14で示し、下位部分を15で示す。また、図1は、殆どの実施形態において、バッファ層16が炭化珪素層10とヘテロ構造層14及び15との間に含まれることも示す。排他的ではなく典型的な例として、ヘテロ構造層は、窒化アルミニウム・ガリウム(最上層14)及び窒化ガリウム(中間層15)で形成されており、バッファ層16には窒化アルミニウムを選択している。適切なバッファ層、ヘテロ構造、成長方法、及びその他の関連情報は、例えば、先に記した特許、及び米国特許第5,393,993号、第5,210,051号、及び第5,523,589号に明記されている。これらの全ては、ここで引用したことにより、全体が本願にも含まれているものとする。
【0031】
しかしながら、付加的な考慮点として、バッファ(用いる場合)及びヘテロ構造層を生成するために用いる種々のCVDソース・ガス及び機器は、ダイアモンドと適合するように選択してしかるべきである。言い方を変えると、ソース・ガス、機器、及び関連品目は、ダイアモンドとの望ましくないあらゆる反応や効果を避けるように選択すべきである。
【0032】
望ましければ、ダイアモンドは、その絶縁特性を高めるために、アニールすることができる。アニーリングは、第III族窒化物エピ層の成長の前に炉又はダイアモンド堆積チャンバ内において、又はエピ層の成長の前にエピ層反応器において、又はエピ層の成長中に行うことができる。アンモニア(NH)、水素(H)及び窒素(N)をアニールの間周囲ガスとして用いると、結果が改善されることが観察されている。このような改善の理由は、未だ確定されておらず、このため、発明者は、この点に関するいずれの特定の理論にも束縛されることを望むものではない。
【0033】
実施形態の中には、ダイアモンド層を炭化珪素に接合することができるものもあり、これらの技法は当技術分野において一般的に周知である。端的に要約すれば、接合は、通例、所望の材料を互いに接触して配置しつつ圧力及び熱を加えることからなる。更に好ましい実施形態では、しかしながら、化学蒸着によってダイアモンドを炭化珪素上に堆積する。ダイアモンドの化学蒸着は、近年増々広範囲において産業上の利用が可能となっており、機器は、例えば、カリフォルニア州、Santa ClaraのP1 Diamond Inc.、又はデラウェア州、WilmingtonのDelaware Diamond Knives (「DDK」)のような製造元から入手可能である。ダイアモンドはその熱特性に関して利点があり、そして炭化珪素は結晶格子が一致するので、ダイアモンドは多結晶形態で堆積することができる。単結晶ダイアモンドの方がいくらか熱管理に関して利点が得られるが、全ての単結晶と同様、一般に多結晶材料よりも生産が困難又は複雑である。このため、多結晶ダイアモンドの使用の方が、実用にはいくらか便利である。当業者にはよく理解されているであろうが、ダイアモンドの化学蒸着を生成するには、水素及び炭化水素ガスの混合物を熱又は電気エネルギによって堆積反応器において付勢する。エネルギ、原材料、及び関連するパラメータは、全て、適した様式又は望ましい様式で調節することができる。例えば、www.p1diamond/com及びwww.ddk.comを参照のこと。可能であればいつでも、等方的に純粋なダイアモンド(即ち全12C)も、約1パーセントの13Cを含有する自然発生同位体分布よりも好ましい。
【0034】
更に、ダイアモンド/SiC界面は、熱抵抗が最少でなければならず、したがって、接合のようなプロセスを用いる場合、ダイアモンドとSiCとの間の空隙は最少に抑えるか、又は根絶しなければならない。
【0035】
ダイアモンドを堆積する厚さは、添加するヘテロ接合を支持するのに十分でありつつ、機能的利点がもはや得られないのに材料を追加することを回避する程度にする。言い方を変えると、一旦個々のウェハ又はデバイスに対して必要又は望ましい熱特性及び機械的支持が得られる十分な量のダイアモンドが含まれたならば、単にそれ以上ダイアモンドを添加しても、それ以上の便益や機能的利点は得られない。好適な実施形態では、適切なダイアモンド層の厚さは、本発明が特に適している種類であるヘテロ構造第III族窒化物デバイスでは、約100〜300ミクロン(B5m)の間である。
【0036】
しかしながら、デバイスは通例、多工程プロセスにおいて製造されるので、本発明は、更に、特性が互いに異なる2層(以上)のダイアモンド(又は、1つがダイアモンド層、そして別の1つが第2材料層)を堆積することを含む可能性がある。追加層(又は複数の層)を付加する目的は、製造の目的のために、後に除去することができる追加の(一時的であっても)層を有しながら、最終デバイスに対する熱伝導特性を有するものを供給するためである。このため、この態様では、本方法は、半絶縁炭化珪素上に反絶縁ダイアモンドの層を堆積し、高周波デバイスのための半絶縁基板を提供する。その後、ダイアモンド(又はその他の材料)の第2層を、半絶縁層上に堆積し、ウェハ処理の間、機械的安定性を高める。機械的安定性のために添加する追加部分は、必ずしも半絶縁である必要ではない。何故なら、この態様では、本方法は、更に、第2ダイアモンド(又は他の材料)層を有するウェハを処理し(例えば、いずれかの適した又は汎用の工程)、その後デバイスが完成したときに第2層の一部(又は全部)を除去することを含むからである。例えば、第2層は、ヘテロ接合デバイスを得るための処理及び多数のエピタキシャル成長工程の間に機械的安定性を与えるために添加することができるが、ウェハ又はデバイスを貫通するビア・ホールを開口する工程の前に第2層を除去することができる。
【0037】
また、堆積された第2層は、相補的な目的のために選択された別の材料を含むこともできる。例えば、他の方法工程や結果的に生じるデバイス動作を特に妨害しないことを条件に、安価な材料を選択することができる。あるいは、除去がより容易に行われるように、例えば、二酸化シリコン、窒化シリコン、多結晶窒化アルミニウム、又は炭化珪素のような材料を選択することができる。
【0038】
ダイアモンド層を配すると、本方法は、次に、複合ウェハの反対側の炭化珪素面を、その上におけるエピタキシャル成長のために準備し、次いで第III族窒化物エピ層、及び通例ヘテロ接合を含む数枚の層を、準備した面(ダイアモンドをC面上に堆積した場合、Si面)に添加することを含む。好ましくは、SiC面は、別のCMP工程によって準備する。
【0039】
図2及び図3は、本発明を好適に組み込んだデバイスを示す。可能な限り、対応する要素には、図1におけると同一の参照番号を図2及び図3においても付すこととする。図2は、全体的に20で示す、高電力、高周波、ワイドバンドギャップ・デバイスを示し、動作中における接合温度低下及び電力密度上昇、並びに、定格電力密度における信頼性向上が得られる。この態様では、本発明は、炭化珪素よりも熱伝導率が高いヒート・シンクを設けるためのダイアモンド基板11を備えており、これによって、同等量のSiCよりも多くの熱を排除する。ダイアモンドの格子一致よりも優れている、ワイドバンドギャップ材料構造との結晶格子を一致させるために、単結晶炭化珪素層10がダイアモンド基板11上にある。デバイス特性を得るために、括弧21で示す第III族窒化物ヘテロ構造が、単結晶炭化珪素層上にある。また、図2は、好ましくは、本発明の構造の中に組み込まれる窒化アルミニウム・バッファ層16も示す。したがって、層が互いに「重なっている」と言う場合、この表現は、直接接触している層、及び間に中間層を有して互いに重なり合っている層の双方を包含するものとする。
【0040】
図1(E)と同様に、ヘテロ構造21は、窒化アルミニウム・ガリウム層14及び窒化ガリウム層15というような、2つの異なる第III族窒化物層で形成されている、その最も基本的な形態を有している。しかしながら、図2及び図3は模式的表示であり、所望又は必要に応じて、二重ヘテロ接合、バリアHEMT、多数の量子ウェル(MQW)、及び超格子構造を含む、更に複雑な構造を組み込むこともできることは、当業者には理解されるであろう。同様に、単数形の「層」を用いて第III族窒化物デバイスの一部を記述する場合、製造及び動作の双方の目的上、このようなデバイスに共通して含まれる多数の層を含み得ることも理解されるであろう。
【0041】
加えて、第III族窒化物に精通している者は、AlGaNのような三元化合物は、AlGa1−xNと表現する方が記述的であり(0<x<1)、アルミニウム及びガリウムのそれぞれの分子率(x及び1−xで表す)を調節すると、所望の又は必要な特性が得られる。三元第III族窒化物も同様に、例えば、InAlGa1−x−yNと表現することができる。ここで0<x+y<1である。これらの材料の任意のもので形成した層、接合、及びデバイスであっても、本発明が提供する利点を利用することができる。これらの式は、より広い範囲の可能性を表現することである場合、「以上」フォーマット(0≦x≦1)で書くことができる。例えば、AlGax−1N(0≦x≦1)は、xの値に依存するAlN又はAlGaNを表すことができる。
【0042】
好適な実施形態では、ダイアモンド構造11は、多結晶とすることができる。これは、一般に、製造の複雑さや要求が少なくて済み、したがって製造効率向上及び製造コスト削減を促進するからである。
【0043】
多数の高周波デバイスが半絶縁基板を必要とするので、このような実施形態では、炭化珪素層10は、半絶縁性であり、全体的特性に応じて必要であれば、ダイアモンド基板11も半絶縁性にしてもよい。半絶縁炭化珪素の性質及び使用については、本願と同じ譲受人に譲渡された米国特許第6,218,680号、第6,403,982号、第6,396,080号、第6,639,247号、及び第6,507,046号に、一例として(限定ではなく)明記されており、その各々の内容は、ここで引用したことにより、その全体が本願にも含まれるものとする。
【0044】
炭化珪素は、通例、3C、4H、6H、及び15Rポリタイプの炭化珪素から選択したポリタイプを有するが、それは、これらが最も広く入手可能であり、電子デバイスに適しているからである。適した基板は、NC、DurhamのCree, Inc.(www.cree.com)から市販されている。
【0045】
オーミック・コンタクト24及び26並びにショットキ・コンタクト25をヘテロ構造21(図2)に添加することにより、電界効果トランジスタを生産することができる。即ち、ヘテロ構造21を形成するエピタキシャル層の組成及びドーピングを制御することにより、高周波高電子移動度トランジスタ(HEMT)を生産することができる。
【0046】
デバイス20のダイアモンド基板11は高熱伝導性を備えているので、このデバイスは高熱伝導性材料内に(即ち、これと共に又は隣接して)封入することができるという利点がある。ここで用いる場合、「パッケージ」という用語は、上位の回路又は最終使用デバイス内に組み込む目的のために、個々の半導体デバイスを収容する容器又は構造を指すという、その通常の意味で用いられる。実際、デバイスの熱膨張は、ダイアモンドの熱膨張率によって支配されているので、パッケージは、更に、ダイアモンドを含むか、又はダイアモンドで形成することもできる。これは、熱膨張において一致し損ねた材料からの応力を最小限に抑えるか又は排除し、そしてデバイスの熱伝導性を利用するために、望ましい又は必要な場合がある。
【0047】
これに関して、HEMT及び関連デバイスのチャネルは、動作の間、特にゲート領域において最も熱を発生することが多い。このため、本発明は、チャネルからの熱を拡散すること、そしてヒート・シンクとして作用することの双方において、特に有益である。
【0048】
図3は、全体的に30と付番した高電子移動度トランジスタ(HEMT)をより詳細に示している。トランジスタ30は、先に論じたように、ヒート・シンク(又は拡散部)を設けるために、ダイアモンド基板11で形成されている。炭化珪素10の半絶縁層が、第III族窒化物エピ層に好ましい結晶成長表面を設けるために、ダイアモンド基板11上にある。バッファ層16は、窒化アルミニウムのような別の第III族窒化物で形成するのが通例であるか又は好ましく、該バッファ層16は、炭化珪素層10上にあり、炭化珪素からヘテロ構造への結晶遷移を行わせる。ヘテロ構造は、バッファ層16上の第1エピタキシャル層15と、エピ層15及び31間にヘテロ接合を形成するための、第1エピタキシャル層15上において括弧31で示す第2エピタキシャル層(又は複数の層)で形成されている。この実施形態では、第2エピ層31の第III族窒化物は、第1エピ層15の第1の第III族窒化物よりもバンドギャップが広く、第1及び第2エピ層15並びに31の界面において、第1エピ層内に二次元電子ガス(2DEG)を発生する。それぞれのソース34、ゲート35、及びドレイン36のコンタクトは、ソース34とドレイン36間における電子の流れを与え、ゲート・コンタクト35に印加される電圧によって制御される。
【0049】
ある実施形態では、第1エピタキシャル層15は窒化ガリウムから成り、第2エピタキシャル層31は窒化アルミニウム・ガリウムから成る。更に好ましくは、窒化ガリウム層15はドープされておらず、窒化アルミニウム・ガリウム層31は、ドープされたn型の、例えば、シリコン(Si)である。図3に更に示すように、第2エピタキシャル層31は、2層のそして好ましくは3層の窒化アルミニウム・ガリウムを含み、3層はそれぞれ、40、41、及び42で示されている。このように、更に好ましい実施形態では、第2エピタキシャル層31は、窒化アルミニウム・ガリウムのドープ層41、及び窒化アルミニウム・ガリウムの非ドープ層40から成り、非ドープ層40が窒化ガリウムの非ドープ層15に隣接している。更に別の実施形態では、AlGaNの別の非ドープ層42が、ドープAlGaN層41の上に設けられている。この構造は、米国特許第6,583,454号に明記及び説明されている。この特許は、本願と同じ譲受人に譲渡されており、ここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。窒化ガリウム層とドープ窒化アルミニウム・ガリウム層との間において窒化アルミニウム・ガリウムの非ドープ層を用いることを、変調ドープ・ヘテロ構造と呼び、窒化アルミニウム・ガリウムにおけるドーパントを非ドープ窒化ガリウム層から物理的に分離することによって、二次元電子ガスにおける電子の移動度を高める。
【0050】
米国特許第6,583,454号に明記されているように、トランジスタ30は、層15及び31によって形成されたヘテロ構造上にパシベーション層43を含ませると、一層効率的に動作することも知られている。更に「454特許」において明記されているように、パシベーション材料は、付随する保護特性を有するのであれば、二酸化シリコン(SiO)又は窒化シリコン(Si)とすることができる。
【0051】
先に本願にも含まれるものとした米国公開特許第20020167023号に明記されているように、トランジスタは、得られるデバイスにおけるゲート・リーケージを低減するために、バリア層を組み込むこと、又は所望の目的のために他の層(例えば、p型材料に対する接触の性能を向上させる層)を組み込むことができるが、これらは全て本願の利点を利用しつつ実現される。
【0052】
図2に示した実施形態と同様、図3のトランジスタ30は、潜在的にダイアモンド又はダイアモンド含有パッケージを含む、高熱伝導性材料に封入することができる。
【0053】
ここでは高電子移動度トランジスタに関して特定的に論じたが、本発明は、熱管理の改善によって利便が得られる他のデバイスにおいても、利便を提供する。このようなその他のデバイスにはレーザが含まれ、その1つを図5において模式的に45で示す。半導体レーザの一般的な理論及び動作は、当技術分野における適宜の(「通常の」)技術者には周知であり、ここでは、レーザが、それぞれのクラッド層47及び50によって包囲された活性層46で形成されていること以外、詳しく論ずる必要はない。クラッド層の材料の性質、特に、そのバンドギャップ及び屈折率は、活性層がクラッド層間にポテンシャル・ウェルを形成するように選択することが好ましい。加えて、クラッド層47及び50の屈折率は、共振の目的のために光が活性層内に閉じ込められたままでいることを促進することが好ましい。前述の実施形態におけると同様に、ダイアモンド基板を11で示し、炭化珪素層を10で示し、必要に応じてしかるべきバッファ層16を含ませる。一般に、レーザ及び発光ダイオード(LED)は、多数の量子ウェルや超格子構造というような、更に複雑な構造を含む可能性が一層高くなるが、しかし必ずしもそのように限られるのではない。
【0054】
図4は、本発明によるウェハ先駆体の模式図である。ウェハ先駆体は、全体的に52で示されており、この中に含まれているのは、炭化珪素内に大きな単結晶基板ウェハ、即ち、直径2インチ、3インチ、又は100mm(又は同等の計量サイズ)のものが利用可能となると、本発明の方法を用いて、ここに記載したヒート・シンクの目的のために、このサイズのダイアモンド層が得られるという、以前では得られなかった利便性が同様にもたらされるからである。これに関して、本発明は、直径が少なくとも2インチの単結晶炭化珪素53の基板である。ダイアモンド54の層が、炭化珪素基板53の一方の面上にあり、55で示す第III族窒化物活性構造が、ウェハ53の反対側の面上にある。基板の炭化珪素ウェハ53の直径は、好ましくは、少なくとも約2インチ(5センチメートル(cm))、更に好ましくは少なくとも3インチ(7.5cm)、そして最も好ましくは、少なくとも4インチ(10cm)である。本発明の他の実施形態に関して明記したように、第III族窒化物活性構造55は、少なくとも1つのヘテロ構造を含み、ウェハ先駆体52も、炭化珪素基板間、及び基板とヘテロ構造55との間に、しかるべきバッファ層を含むことができる。簡素化の目的のため、バッファ層は図4には別々に示されていない。先述した実施形態におけると同様、炭化珪素は、炭化珪素の3C、4H、6H、及び15Rポリタイプから成る群から選択したポリタイプを有することができる。
【0055】
最も好ましい実施形態では、ウェハは、炭化珪素基板上に複数の個々の活性構造を含む。
【0056】
ここでは、ダイアモンドをヒート・シンク材料として、そして炭化珪素を基板材料として用いることに関して本発明について主に説明した。しかしながら、本発明は更に広義な観点においても理解することができ、その場合、熱伝導率が更に高い材料の層を、第III族窒化物との結晶格子一致度が高く熱伝導率が低い材料と共に用いることにより、複合ウェハを生産する。この態様では、熱伝導率が高い材料は、窒化硼素(BN)、特に立体窒化硼素(「cBN」)のような金属及び半導体を含むことができ、一方、更に好ましい結晶基板材料は、シリコン、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化アルミニウム・ガリウム、酸化マグネシウム(MgO)、アルミン酸マグネシウム(MgAl)、没食子酸リチウム(LiGaO)、アルミン酸リチウム(LiAlO)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミン酸ニッケル(NiAl)、及びサファイアから成る群から選択することができる。なお、AlGaNが一層好ましい。前述の実施形態におけると同様、基板ウェアの一部として存在する材料の熱伝導率が高い程、結果的に得られる複合ウェハの熱伝導率が高くなる。
【0057】
立体窒化硼素(「cBN」)は、半絶縁性にすることができ、本発明の目的のためにダイアモンドと同様に処理できることに利便性があると考えられる。窒化硼素も、炭化珪素より熱伝導率が高い(13W/cm−K)。
【0058】
レーザやLEDのようなデバイスでは、金属のヒート・シンクが、反射及び光抽出の目的で役立つことができる。適した候補の金属は、Ni、Cr、Mn、W、Pt、及びこれらの金属の関連合金を含むことができる。ダイアモンドのヒート・シンクに関して先に注記したように、これらの金属又は合金の任意の1又は複数の使用は、得られるデバイスの全体的な製造、構造、及び動作と一貫性がなければならない。
【0059】
前述の実施形態におけると同様、このような複合ウェハにおいてデバイスを形成する方法は、複合ウェハの熱伝導率が低い部分の厚さを削減しつつ、所望のエピタキシャル成長をサポートするために、熱伝導率が低い部分に十分な厚さを保持することを含む。熱伝導率が低い表面もエピタキシャル成長のために準備し、その後、しかるべき第III族窒化物エピ層、及び通例ではヘテロ構造を、ウェハの熱伝導率が低い部分の準備面に添加する。
【0060】
図面及び明細書において、本発明の好適な実施形態を明記し、特定的な用語を用いたが、これらは包括的かつ記述的意味で用いたのであり、限定を目的とするのではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲において規定されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイドバンドギャップのデバイスであって、
ダイアモンド基板と、
前記ダイアモンド基板上に配置されたバッファ層と、
前記バッファ層上に配置された第1の層と、
前記第1の層上に配置されて、該第1の層とヘテロ構造を形成する第2の層と
を含んでいることを特徴とするワイドバンドギャップ・デバイス。
【請求項2】
請求項1記載のワイドバンドギャップ・デバイスにおいて、前記バッファ層は窒化アルミニウムで構成されていることを特徴とするワイドバンドギャップ・デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2記載のワイドバンドギャップ・デバイスにおいて、前記第1の層は窒化ガリウムで構成されていることを特徴とするワイドバンドギャップ・デバイス。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載のワイドバンドギャップ・デバイスにおいて、前記第2の層は窒化アルミニウム・ガリウムで構成されていることを特徴とするワイドバンドギャップ・デバイス。
【請求項5】
ワイドバンドギャップ高電子移動度トランジスタ(HEMT)であって、
第1の熱伝導率を有し、かつ相互に異なる特性を有する2つの層からなる基板と、
前記基板上にあり、前記第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する第1の層と、
前記第1の層上にある第1の第III族窒化物層と、
前記第1の第III族窒化物層上にあり、前記第1の第III族窒化物層との間でヘテロ接合を形成する第2の第III族窒化物層と、
前記第2の第III族窒化物層上のソース・コンタクト、ゲート・コンタクト、及びドレイン・コンタクトと、
を備えていることを特徴とするワイドバンドギャップ高電子移動度トランジスタ。
【請求項6】
請求項5記載のHEMTにおいて、前記第1の第III族窒化物層は、窒化ガリウムから成り、前記第2の第III族窒化物層は、窒化アルミニウム・ガリウムからなることを特徴とするHEMT。
【請求項7】
請求項6記載のHEMTにおいて、前記窒化ガリウムの層は非ドープされており、前記窒化アルミニウム・ガリウムの層はn−ドープされていることを特徴とするHEMT。
【請求項8】
請求項5記載のHEMTにおいて、前記第1の第III族窒化物層は、窒化ガリウム層から成り、前記第2の第III族窒化物層は、ドープされた窒化アルミニウム・ガリウム層と、非ドープの窒化アルミニウム層とから成り、前記非ドープの窒化アルミニウム層が前記窒化ガリウム層に隣接していることを特徴とするHEMT。
【請求項9】
請求項5記載のHEMTにおいて、前記第1の第III族窒化物層は、窒化ガリウムから成り、前記第2の第III族窒化物層は、窒化アルミニウム・ガリウム層と、非ドープの窒化アルミニウム層とから成り、前記非ドープの窒化アルミニウム層が前記窒化ガリウムの層に隣接していることを特徴とするHEMT。
【請求項10】
請求項5記載のHEMTにおいて、該HEMTは、高熱伝導率材料で封入されていることを特徴とするHEMT。
【請求項11】
請求項10記載のHEMTにおいて、前記高熱伝導率伝導材料はダイアモンドであることを特徴とするHEMT。
【請求項12】
請求項5記載のHEMTにおいて、該HEMTは更に、前記HEMTに対する機械的支持を付加するために、前記基板に機械的基板を備えていることを特徴とするHEMT。
【請求項13】
請求項5記載のHEMTにおいて、前記第1の層は、前記基板に固着されていることを特徴とするHEMT。
【請求項14】
請求項5記載のHEMTにおいて、前記基板はダイアモンド基板であり、前記第1の層は単結晶炭化珪素層であることを特徴とするHEMT。
【請求項15】
請求項14記載のHEMTにおいて、前記ダイアモンド基板は、互いに特性が異なる少なくとも2つの離散ダイアモンド層で形成されていることを特徴とするHEMT。
【請求項16】
ワイドバンドギャップ高電子移動度トランジスタ(HEMT)であって、
第1の熱伝導率を有する基板と、
前記基板上にあり、前記第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する第1の層と、
前記第1の層上にあり、窒化ガリウム層からなる第1の第III族窒化物層と、
前記第1の第III族窒化物層上にあり、前記第1の第III族窒化物層との間でヘテロ接合を形成する第2の第III族窒化物層であって、窒化アルミニウム・ガリウム層と前記窒化ガリウム層に隣接している非ドープ窒化アルミニウム層とからなる第2の第III族窒化物層と、
前記第2の第III族窒化物層上のソース・コンタクト、ゲート・コンタクト、及びドレイン・コンタクトと
を備えていることを特徴とするワイドバンドギャップ高電子移動度トランジスタ。
【請求項17】
請求項16記載のHEMTにおいて、前記窒化ガリウム層はドープされておらず、前記窒化アルミニウム・ガリウム層はn−ドープされていることを特徴とするHEMT。
【請求項18】
請求項16記載のHEMTにおいて、該HEMTは、高熱伝導率材料で封入されていることを特徴とするHEMT。
【請求項19】
請求項17記載のHEMTにおいて、前記高熱伝導率材料はダイアモンドであることを特徴とするHEMT。
【請求項20】
請求項16記載のHEMTにおいて、該HEMTは更に、前記HEMTに対する機械的支持を付加するために、前記基板に機械的基板を備えていることを特徴とするHEMT。
【請求項21】
請求項16記載のHEMTにおいて、前記基板は、互いに特性が異なる少なくとも2つの層で形成されていることを特徴とするHEMT。
【請求項22】
請求項16記載のHEMTにおいて、前記第1の層は、前記基板に固着されていることを特徴とするHEMT。
【請求項23】
請求項16記載のHEMTにおいて、前記基板はダイアモンド基板であり、前記第1の層は単結晶炭化珪素層であることを特徴とするHEMT。
【請求項24】
請求項23記載のHEMTにおいて、前記ダイアモンド基板は、互いに特性が異なる少なくとも2つの離散ダイアモンド層で形成されていることを特徴とするHEMT。
【請求項25】
ワイドバンドギャップ高電子移動度トランジスタ(HEMT)であって、
第1の熱伝導率を有し、互いに異なる特性を有する少なくとも2つの層からなる基板と、
前記基板上にあり、前記第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する第1の層と、
前記第1の層上にある窒化ガリウム層と、
前記窒化ガリウム層上にあり、該窒化ガリウム層との間でヘテロ接合を形成する窒化アルミニウム・ガリウム層と、
前記窒化アルミニウム層上のソース・コンタクト、ゲート・コンタクト、及びドレイン・コンタクトと
を備えており、前記窒化アルミニウム・ガリウム層は、ドープされた窒化アルミニウム・ガリウム層と非ドープの窒化アルミニウム・ガリウム層とを含み、該非ドープの窒化アルミニウム・ガリウム層は、前記窒化ガリウム層に隣接しており、前記ソース・コンタクト、ゲート・コンタクト、及びドレイン・コンタクトは、前記ドープされた窒化アルミニウム・ガリウム層に接触していることを特徴とするワイドバンドギャップ高電子移動度トランジスタ。
【請求項26】
請求項25記載のHEMTにおいて、前記窒化ガリウム層は非ドープであり、前記ドープされた窒化ガリウム層はn−ドープであることを特徴とするHEMT。
【請求項27】
請求項25記載のHEMTにおいて、該HEMTはさらに、前記ヘテロ接合の上にパシベーション層を備えていることを特徴とするHEMT。
【請求項28】
請求項27記載のHEMTにおいて、該HEMTは、高熱伝導率材料で封入されていることを特徴とするHEMT。
【請求項29】
請求項28記載のHEMTにおいて、前記高熱伝導率材料はダイアモンドであることを特徴とするHEMT。
【請求項30】
請求項25記載のHEMTにおいて、該HEMTはさらに、前記第1の層と前記窒化ガリウム層との間に第III族窒化物からなるバッファ層を備えていることを特徴とするHEMT。
【請求項31】
請求項30記載のHEMTにおいて、前記第III族窒化物からなるバッファ層は、窒化アルミニウムからなることを特徴とするHEMT。
【請求項32】
請求項25記載のHEMTにおいて、前記基板はダイアモンド基板であり、前記第1の層は単結晶炭化珪素層であることを特徴とするHEMT。
【請求項33】
請求項32記載のHEMTにおいて、前記基板は、互いに特性が異なる少なくとも2つの層で形成されていることを特徴とするHEMT。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−238861(P2012−238861A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−148508(P2012−148508)
【出願日】平成24年7月2日(2012.7.2)
【分割の表示】特願2006−551378(P2006−551378)の分割
【原出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】