パターン形成方法、薄膜トランジスタ、及び電子機器
【課題】 より緻密でかつ密着性の良い拡散防止層を形成し、拡散防止層を構成する金属元素が他の層に拡散することを防止したパターン形成方法、電子デバイス、及び電子機器を提供する。
【解決手段】 基板P上に隔壁30を形成する隔壁形成工程と、隔壁30に囲まれたパターン形成領域30aにめっき核26を含有した導電材料80aを配置する導電材料配置工程と、パターン形成領域30aに配置した導電材料80aを焼成して導電層80を形成する導電層形成工程と、導電材料80a上に、無電解めっき法によりめっき核26を触媒として拡散防止層82を形成する拡散防止層形成工程と、を有する。
【解決手段】 基板P上に隔壁30を形成する隔壁形成工程と、隔壁30に囲まれたパターン形成領域30aにめっき核26を含有した導電材料80aを配置する導電材料配置工程と、パターン形成領域30aに配置した導電材料80aを焼成して導電層80を形成する導電層形成工程と、導電材料80a上に、無電解めっき法によりめっき核26を触媒として拡散防止層82を形成する拡散防止層形成工程と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成方法、薄膜トランジスタ、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置等の電気光学装置に使われるスイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT)を製造する際、電極又は配線等を形成する工程においてフォトリソグラフィ法が用いられている。このフォトリソグラフィ法は、予めスパッタ法、めっき、もしくはCVD法等の成膜法によりベタ状の薄膜を形成する工程と、この薄膜上にレジストとよばれる感光材を塗布する工程と、レジストを露光、現像する工程と、得られたレジストパターンに応じて導電膜をエッチングする工程と、によって機能薄膜の電極又は配線パターンを形成するものである。この一連のフォトリソグラフィ法を利用した機能薄膜の形成、パターンニングは、成膜処理及びエッチング処理時に真空装置等の大掛かりな設備と複雑な工程を必要とし、また材料使用効率が数%程度とそのほとんどを廃棄せざるを得ず、製造コストが高いのみならず、生産性も低い。
【0003】
そこで、液体吐出ヘッドから液体材料を液滴状に吐出する液滴吐出法(いわゆるインクジェット法)を用いて、基板上に電極パターン又は配線パターン(膜パターン)を形成する方法が広く利用されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この方法では、形成する薄膜パターンに応じたバンクを形成し、このバンクに囲まれる領域内に金属微粒子等を分散させたインクを吐出した後、乾燥又は焼成することで薄膜パターンを形成する。この方法によれば、従来の複雑な成膜処理、フォトリソグラフィ、及びエッチング工程が不要となり、プロセスが大幅に簡単なものになると共に、原材料の使用量が少なく、生産性の向上を図れるといったメリットがある。
【特許文献1】特開平11−274671号公報
【特許文献2】特開2000−216330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上述した液滴吐出法を採用して、ボトムゲート型の薄膜トランジスタの電極等を形成する方法が提案されている。ここで、薄膜トランジスタは、金属材料からなるゲート電極と、このゲート電極上にゲート絶縁膜を介して半導体層が積層された構造となっている。このとき、積層構造を形成する際に行われる加熱処理によって、ゲート電極を構成する材料の一部の金属元素がゲート絶縁膜中に拡散するおそれがある。これにより、ゲート絶縁膜の絶縁性が低下して、電流のリークが発生し、薄膜トランジスタが動作不良となってしまうという問題があった。そこで、ゲート電極を拡散防止層で覆うことにより、金属元素の拡散を防止する方法が提案されている。この拡散防止層も上述した液滴吐出法により形成することができる。
【0005】
しかしながら、拡散防止層を構成する材料、例えばNi,Ti,Co,Ta等は高融点である。一方、パターンとなる領域を囲むバンクの融点は拡散防止層を構成する材料よりも低い。例えば、拡散防止層を構成する材料の融点は700℃であり、隔壁の融点は300℃である。そのため、拡散防止層を形成する際には、バンクの融点以下の温度で加熱処理を施す必要がある。そこで、上記Ni等の材料を微粒子化することにより融点降下を図る方法が提案されているが、この方法だけではゲート電極上に拡散防止層を融着させることが困難であった。そのため、金属微粒子(導電性微粒子)を焼成して形成された拡散防止層内には微小な空孔が生じ、この微小空孔により緻密な拡散防止層を得ることが難しくなる。このような緻密性に欠けた拡散防止層は、ゲート絶縁膜中への金属元素の拡散を十分に防止することができず、絶縁性の低下によりリーク電流を発生させる要因となっていた。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、より緻密でかつ密着性の良い拡散防止層を形成し、拡散防止層を構成する金属元素が他の層に拡散することを防止したパターン形成方法、電子デバイス、及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程と、前記隔壁に囲まれたパターン形成領域にめっき核を含有した導電材料を配置する導電材料配置工程と、前記パターン形成領域に配置した前記導電材料を焼成して導電層を形成する導電層形成工程と、前記導電層上に、無電解めっき法により前記めっき核を触媒として拡散防止層を形成する拡散防止層形成工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
この方法によれば、隔壁に配置する導電材料はめっき核を含有するため、かかる基板を無電解めっき処理すると、導電材料に含有するめっき核が触媒(シード層)として機能し、導電材料上にのみ選択的にめっきが析出する。また、無電解めっき法により、拡散防止層を形成するため、隔壁の融点以下の温度で、緻密で密着性の良い拡散防止層を形成することができる。これにより、導電層を構成する元素材料が他の層へ拡散することを防止することができる。さらに、導電材料中にめっき核を含有させるため、別途導電層上に拡散防止材料を析出させるための触媒処理工程を設ける必要がなくなり、全体の工程数を削減することができ、低コスト化を図ることができる。
【0009】
また本発明のパターン形成方法は、導電材料配置工程において前記めっき核にPdを用いることも好ましい。
【0010】
この方法によれば、めっき核にPd(パラジウム)を用いることで、導電層上にNi等の金属を選択的に析出させることが可能となる。
【0011】
また本発明のパターン形成方法は、導電材料配置工程において、前記導電材料を液滴吐出法又はディスペンサー法により配置することも好ましい。
【0012】
この方法によれば、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を削減することができ、プロセスが大幅に簡略化される。また、導電層上に選択的にめっき核を配置することで、材料の使用量を削減でき、生産性の向上を図ることができる。
【0013】
本発明の薄膜トランジスタは、基板上に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極上に絶縁膜を介して対向配置された半導体層とを備え、前記ゲート電極と前記半導体層との間には、上記パターン形成方法により形成された拡散防止層が設けられたことを特徴とする。
【0014】
本発明の薄膜トランジスタは、半導体層よりも下層にゲート電極が形成されており、ボトムゲート型の薄膜トランジスタ構造となっている。
この構成によれば、ゲート電極上には上述した方法により形成された緻密で密着性の良い拡散防止層が形成される。これにより、加熱処理によりゲート電極の金属材料が、ゲート電極上に形成される絶縁膜に拡散することを防止することができる。従って、絶縁膜の絶縁性の低下によるリーク電流の発生を回避することができ、動作信頼性に優れた薄膜トランジスタを得ることができる。
【0015】
また本発明の薄膜トランジスタは、前記半導体層上に接続されたソース電極とドレイン電極とを備え、前記ソース電極の上層及び前記ドレイン電極の上層の少なくともいずれかには先に記載の本発明に係るパターン形成方法により形成された拡散防止層が設けられていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、ソース電極及び/又はドレイン電極の上層及び/又は下層に拡散防止層が形成されるため、ソース電極等の金属材料が、上層等に形成される絶縁膜に拡散することを防止することができる。従って、絶縁膜の絶縁性の低下によるリーク電流の発生を回避することができ、動作信頼性に優れた薄膜トランジスタを得ることができる。
【0017】
本発明の電子機器は、上記薄膜トランジスタを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、優れた信頼性を具備し、かつ安価に提供可能な電子機器が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。
以下の説明においては、ボトムゲート型の薄膜トランジスタを備えたTFTアレイ基板の製造方法について説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0019】
[液滴吐出装置]
まず、ゲート電極80、及び拡散防止層82等を形成の際に用いられる液滴吐出装置について説明する。図1(a)は、本実施形態で用いる液滴吐出装置IJの概略構成を示す斜視図である。
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド301と、X軸方向駆動軸304と、Y軸方向ガイド軸305と、制御装置CONTと、ステージ307と、クリーニング機構308と、基台309と、ヒータ315とを備えている。
ステージ307は、この液滴吐出装置IJによりインク(液体材料)を設けられる基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0020】
液滴吐出ヘッド301は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とY軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド301の下面にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド301の吐出ノズルからは、ステージ307に支持されている基板Pに対して、上述した導電性微粒子を含むインクが吐出される。
【0021】
X軸方向駆動軸304には、X軸方向駆動モータ302が接続されている。X軸方向駆動モータ302はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸304を回転させる。X軸方向駆動軸304が回転すると、液滴吐出ヘッド301はX軸方向に移動する。
Y軸方向ガイド軸305は、基台309に対して動かないように固定されている。ステージ307は、Y軸方向駆動モータ303を備えている。Y軸方向駆動モータ303はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ307をY軸方向に移動する。
【0022】
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド301に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ302に液滴吐出ヘッド301のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ303にステージ307のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構308は、液滴吐出ヘッド301をクリーニングするものである。クリーニング機構308には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸305に沿って移動する。クリーニング機構308の移動も制御装置CONTにより制御される。
ヒータ315は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ315の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
【0023】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド301と基板Pを支持するステージ307とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、X軸方向を走査方向、X軸方向と直交するY軸方向を非走査方向とする。従って、液滴吐出ヘッド301の吐出ノズルは、非走査方向であるY軸方向に一定間隔で並んで設けられている。なお、図1(a)では、液滴吐出ヘッド301は、基板Pの進行方向に対し直角に配置されているが、液滴吐出ヘッド301の角度を調整し、基板Pの進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、液滴吐出ヘッド301の角度を調整することで、ノズル間のピッチを調節することができる。また、基板Pとノズル面との距離を任意に調節できるようにしてもよい。
【0024】
図1(b)は、ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための液滴吐出ヘッドの概略構成図である。
図1(b)において、液体材料(インク;機能液)を収容する液体室321に隣接してピエゾ素子322が設置されている。液体室321には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系323を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子322は駆動回路324に接続されており、この駆動回路324を介してピエゾ素子322に電圧を印加し、ピエゾ素子322を変形させて液体室321を弾性変形させる。そして、この弾性変形時の内容積の変化によってノズル325から液体材料が吐出されるようになっている。
この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み量を制御することができる。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み速度を制御することができる。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0025】
[TFTアレイ基板の製造方法]
以下、図2から図5を参照してTFTアレイ基板の各製造工程について説明する。
図2から図5は、本実施形態の製造方法における一連の工程を示す断面工程図である。なお、図3〜図5においては、ゲート電極に含有するPd核26を省略して図示する。
本実施形態の製造方法は、ガラス基板上にバンクを形成し、このバンクに囲まれた領域に液滴吐出装置IJを用いた液滴吐出法により電極パターン及び配線パターンを形成することで薄膜トランジスタを作製し、TFTアレイ基板を製造する方法である。
【0026】
<ゲート電極形成工程>
まず、図2の各図に示すように、基体となるガラス基板P上を用意し、その一面側にバンク30を形成した後、バンク30に設けた開口部30aに対し所定のインクを滴下することで、開口部30a内にゲート電極80(導電層)を形成する。このゲート電極形成工程は、バンク形成工程と、撥液化処理工程と、ゲート電極形成工程と、焼成工程と、を含むものとなっている。
【0027】
(バンク形成工程)
まず、ゲート電極80(及び走査線18a)をガラス基板上に所定パターンで形成するために、図2(a)に示すように、ガラス基板P上にゲート電極80に対応した所定パターンの開口部30aを有するバンク30を形成する。バンク30は、基板面を平面的に区画する仕切部材であり、このバンクの形成にはフォトリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法を用いることができる。例えば、フォトリソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、ガラス基板P上に形成するバンクの高さに合わせてアクリル樹脂等の有機系感光性材料を塗布して感光性材料層を形成する。そして、形成したいバンク形状に合わせて感光性材料層に対して紫外線を照射することで、ゲート電極用の開口部30aを備えたバンク30を形成する。また、バンク30は、ポリシラザン、ポリシロキサン、又はポリシラン骨格を有する感光性材料から形成される無機膜であってもよい。
【0028】
(撥液化処理工程)
次に、バンク30に対し撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)を採用することができる。CF4プラズマ処理の条件は、例えばプラズマパワーが50kW〜1000kW、4フッ化メタンガス流量が50ml/min〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板搬送速度が0.5mm/sec〜1020mm/sec、基板温度が70℃〜90℃である。なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることもできる。
このような撥液化処理を行うことにより、バンク30には、これを構成する樹脂中にフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。
【0029】
また、上記撥液化処理に先立って、開口部30aの底面に露出されたガラス基板Pの表面を清浄化する目的で、O2プラズマを用いたアッシング処理やUV(紫外線)照射処理を行っておくことが好ましい。この処理を行うことで、ガラス基板P表面のバンクの残渣を除去することができ、撥液化処理後のバンク30の接触角と当該基板表面の接触角との差を大きくすることができ、後段の工程で開口部30a内に配される液滴を正確に開口部30aの内側に閉じ込めることができる。また、バンク30がアクリル樹脂やポリイミド樹脂からなるものである場合、CF4プラズマ処理に先立ってバンク30をO2プラズマに曝しておくと、よりフッ素化(撥液化)されやすくなるという性質があるので、バンク30をこれらの樹脂材料で形成している場合には、CF4プラズマ処理に先立ってO2アッシング処理を施すことが好ましい。
【0030】
上記O2アッシング処理は、具体的には、ガラス基板Pに対しプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射することで行う。処理条件としては、例えばプラズマパワーが50W〜1000W、酸素ガス流量が50ml/min〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板Pの板搬送速度が0.510mm/sec〜10mm/sec、基板温度が70℃〜90℃である。
【0031】
なお、バンク30に対する撥液化処理(CF4プラズマ処理)により、先に行われた残渣処理により親液化された基板P表面に対し多少は影響があるものの、特に基板Pがガラス等からなる場合には、撥液化処理によるフッ素基の導入が起こりにくいため、基板Pの親液性、すなわち濡れ性が実質上損なわれることはない。また、バンク30については、撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成することにより、その撥液処理を省略するようにしてもよい。
【0032】
(ゲート電極形成工程)
次に、図2(b)に示すように、バンク30に囲まれた開口部30a(ゲート電極形成領域)に、液滴吐出装置IJの液滴吐出ヘッド301からゲート電極形成用インク80aを滴下する。このとき、バンク30の表面には撥液性が付与されており、開口部30aの底面部の基板表面には親液性が付与されているので、吐出された液滴の一部がバンク30に載っても、バンク表面で弾かれて開口部30a内に滑り込むようになっている。
【0033】
ここで、本実施形態に係る製造方法で用いられる、液滴吐出ヘッド301からの吐出に好適なゲート電極形成用インク80a(液体材料)について説明する。
本実施形態のゲート電極形成用インク80aは、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液もしくはその前駆体に、さらにPd粒子(めっき核)を混入させたものが用いられる。
【0034】
ここで、導電性微粒子として、例えばAu、Ag、Cu、Pd、NbおよびNi等を含有する金属微粒子の他、これらの前駆体、合金、酸化物、並びに導電性ポリマーやインジウム錫酸化物等の微粒子などが用いられる。これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。導電性微粒子の粒径は1nm〜0.1μm程度であることが好ましい。0.1μmより大きいと、後述する液体吐出ヘッド301のノズルに目詰まりが生じるおそれがあるだけでなく、得られる膜の緻密性が悪化する可能性がある。また、1nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
【0035】
分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
なお、本実施形態においては、Ag(銀)の導電性微粒子をジエチレングリコールジエチルエーテルの溶媒(分散媒)に溶解させたゲート電極形成用インク80aが用いられる。
【0036】
上記導電性微粒子の分散液の表面張力は0.02N/m〜0.07N/mの範囲内であることが好ましい。インクジェット法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0037】
上記分散液の粘度は1mPa・s〜50mPa・sであることが好ましい。インクジェット法を用いて液体材料を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となるだけでなく、液滴の吐出量が減少する。
【0038】
ゲート電極形成用インク80aに含有させるPd粒子は、後述する無電解めっき処理により拡散防止層を析出させるための触媒金属もしくは触媒金属を形成する前駆体を選択的に吸着する物質として機能するものである。なお、上述したPd粒子の他に、SnCl2又はPdCl2(Pdイオン)や、PdCl2,硝酸パラジウム及び酢酸パラジウムのようなPd塩や、SnPdコロイド分散液、ポリビニルアルコール(PVA)又はポリビニルピロリドン(PVP)等の水溶性重合体で保持されたPdゾル等を好適に用いることができる。
【0039】
次いで、電極形成用インクからなる液滴を吐出した後、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理を行う。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。本実施形態では、例えば180℃で60分間程度の加熱を行う。この加熱は窒素ガス雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
【0040】
また、この乾燥処理は、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザ、アルゴンレーザ、炭酸ガスレーザ、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W〜5000Wの範囲のものが用いられるが、本実施形態では100W〜1000Wの範囲で十分である。この中間乾燥工程を行うことにより、図2(c)に示すように、固体のゲート電極80が形成される。
【0041】
(焼成工程)
吐出工程後の乾燥膜は、微粒子間の電気的接触を向上させるために、分散媒を完全に除去する必要がある。また、液中での分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤が導電性微粒子の表面にコーティングされている場合には、このコーティング剤も除去する必要がある。そのため、吐出工程後のガラス基板Pには熱処理及び/又は光処理が施される。
【0042】
この熱処理及び/又は光処理は通常大気中で行われるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング剤の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定されるが、係る構成でも、ゲート電極80が先に挙げた材料を用いて形成されているので、250℃以下の焼成温度とすることができる。ただし本工程では、ガラス基板P上に半導体層は設けられていないので、バンク30の耐熱温度の範囲内で焼成温度を高めることができ、例えば250℃以上、あるいは300℃程度の焼成温度とすることでさらに良好な導電性を具備した金属配線を形成することができる。なお、焼成工程後のゲート電極80の膜厚は500nm〜1500nm程度とすることが好ましい。
【0043】
<拡散防止層形成工程>
次に、ゲート電極80上に拡散防止層82(バリアメタル)を無電解めっき処理により形成する。
まず、ゲート電極80表面に付着した有機物等をオゾン処理、プラズマアッシング処理により除去する。次に、有機物を除去したゲート電極80表面にオゾン水処理等により親液性を付与する。
【0044】
次に、図2(d)に示すように、無電解めっき処理によりゲート電極80上に拡散防止層82を形成する。具体的には、ゲート電極80上にPd核が形成されたガラス基板PをNiの導電性微粒子が分散されると共に還元剤が溶解されためっき浴に所定時間浸漬させる。ここで、ゲート電極80中には、めっき核としてのPd金属が含有されており、ゲート電極中には金属Pdが均一に分散された状態となっている。そのため、ゲート電極表面に露出、及びゲート電極の上層に埋没されるPd核が後述する無電解めっき処理時に触媒としての機能を果たす。そのため、ゲート電極80上のPd核26を核として、次亜燐酸ナトリウムの還元剤により溶液中に溶解しているNi金属イオンがNi金属に還元され、ゲート電極80上にNi金属が析出する。このとき、Ni金属はバンク30の高さまで析出成長させる。これにより、図2(d)に示すように、バンク30に区画されたゲート電極80上に選択的にNiからなる拡散防止層82が形成される。なお、還元剤としては、上述した他に、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤、酒石酸ナトリウムカリウム等の錯化剤を配合して調製した市販品を用いることができる。
【0045】
また、拡散防止層82の膜厚は、20nm〜400nm程度とすることが好ましい。拡散防止層82の膜厚が20nm未満では、ゲート電極80から後述するゲート絶縁膜83への金属元素の拡散を十分に防止することができず、400nmを超える膜厚では、ゲート電極80(及び走査線18a)の抵抗が上昇するため好ましくない。
【0046】
なお、上記各工程では、Agからなるゲート電極80と、Niからなる拡散防止層82とを形成しているが、ゲート電極80は、Ag以外の金属、例えばCuやAl、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であっても構わない。また、拡散防止層82は、Ni以外のTiやW、Mn、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であっても構わない。
【0047】
本実施形態において、拡散防止のための拡散防止層82をゲート電極80上に形成する方法として、上述したように、ゲート電極80上に液滴吐出法により選択的にめっき核吸着膜20を形成し、このめっき核吸着膜20にPd核26を吸着させた後、Pd核26を触媒としてゲート電極80上に無電解めっき処理により選択的に拡散防止材料を付着させて、拡散防止層82を形成している。この拡散防止層82の形成方法は、以下に説明するソース電極及びドレイン電極の下層及び上層に形成される拡散防止層82にも適用される。
【0048】
<ゲート絶縁膜形成工程>
次に、図3(a)に示すように、ゲート電極80上に窒化珪素からなるゲート絶縁膜83を形成する。このゲート絶縁膜83は、例えばプラズマCVD法により全面成膜した後、フォトリソグラフィ法により適宜パターニングすることで形成することができる。CVD工程において用いる原料ガスとしては、モノシランと一酸化二窒素との混合ガスや、TEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC2H5)4)と酸素、ジシランとアンモニア等が好適で、形成するゲート絶縁膜83の膜厚は150nm〜400nm程度である。
【0049】
<半導体層形成工程>
次に、図3(a)に示すように、ゲート絶縁膜83上に半導体層33を形成する。この半導体層33は、ゲート絶縁膜83を形成したガラス基板Pの全面に、150nm〜250nm程度の膜厚のアモルファスシリコン膜と、膜厚50nm〜100nm程度のN+シリコン膜とをプラズマCVD法等により積層形成し、フォトリソグラフィ法により所定形状にパターニングすることで得られる。アモルファスシリコン膜の形成工程で用いる原料ガスとしては、ジシランやモノシランが好適である。続くN+シリコン膜の形成工程では、上記アモルファスシリコン膜の形成で用いた成膜装置に、N+シリコン層形成用の原料ガスを導入して成膜を行うことができる。
【0050】
その後、上記アモルファスシリコン膜及びN+シリコン膜を、フォトリソグラフィ法により図3(a)に示す形状にパターニングすることで、ゲート絶縁膜83上に所定平面形状のアモルファスシリコン層84とN+シリコン層85とが積層された半導体層33が得られる。パターニングに際しては、N+シリコン膜の表面に、図示の半導体層33の側断面形状と同様の略凹形のレジストを選択配置し、係るレジストをマスクにしてエッチングを行う。このようなパターニング法によりゲート電極80と平面的に重なる領域にてN+シリコン層85が選択的に除去されて2つの領域に分割され、これらのN+シリコン層85,85が、それぞれソースコンタクト領域及びドレインコンタクト領域を形成する。
【0051】
<電極形成工程>
次に、半導体層33が形成されたガラス基板P上に、ソース電極34及びドレイン電極35を形成する。この電極形成工程は、バンク形成工程と、撥液化工程と、第1拡散防止層形成工程と、電極膜形成工程と、第2拡散防止層形成工程と、焼成工程と、を含むものである。
【0052】
(バンク形成工程)
アモルファスシリコン層84、N+シリコン層85を形成した後、図3(b)に示すように、ソース電極及びドレイン電極のパターンに対応した開口部を有するバンクをガラス基板P上に形成する。バンクは上述したように、フォトリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法により形成することができる。
【0053】
ここでは、2種類のバンク、つまり第1バンク部31bと第2バンク部31aとを形成するものとしているが、まず第1バンク部31bは、図3(b)に示すように、アモルファスシリコン層84及びN+シリコン層上であって、アモルファスシリコン層84の略中央部に位置するように紫外線照射による感光を行う。すなわち、この第1バンク部31bは、後段の工程で形成するソース電極とドレイン電極とを平面的に区画する仕切部材として形成される。一方、第2バンク部31aは、図3(b)に示すように、アモルファスシリコン層84の外側の領域に、アモルファスシリコン層84を取り囲むように形成する。なお、本実施形態において、第1バンク部31bと第2バンク部31aとに区画された図3(b)中左側の領域をソース電極形成領域34aと称し、図3(b)中右側の領域をドレイン電極形成領域35aと称する。
【0054】
また、各バンク部31a、31b間におけるバンク形成時のレジスト(有機物)残渣を除去するために、残渣処理を施すことが好ましい。この残渣処理としては、紫外線を照射することにより残渣処理を行うUV照射処理や大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするO2アッシング処理等を選択できるが、ここではO2アッシング処理を実施する。アッシング処理の条件は、先のバンク30のパターニング時に用いた条件と同等の条件でよい。
【0055】
(撥液化処理工程)
次に、上述した方法と同様の方法により、各バンク部31a、31bに対し、プラズマ処理法等により撥液化処理を行い、バンク部31a、31b表面に撥液性を付与する。
【0056】
(第1拡散防止材料配置工程)
次に、図3(c)に示すように、第1バンク部31bと第2バンク部31aとに囲まれた領域に第1拡散防止層61を形成する。なお、上述した拡散防止層82の無電解めっき法による形成方法は、導電層中に触媒となるPd金属を添加するため、導電層(ソース電極、ドレイン電極)の下方側に形成する場合には適用することが困難である。そこで、本実施形態では、ソース電極及びドレイン電極の下層に形成する拡散防止層82は上記無電解めっき法ではなく液滴吐出法により形成する。
【0057】
まず、第1バンク部31bと第2バンク部31aに囲まれたソース電極形成領域34a及びドレイン電極形成領域35a内に付着した有機物等をプラズマアッシング処理等により除去する。次に、有機物を除去したソース電極形成領域34a及びドレイン電極形成領域35aをオゾン水処理等により親水化する。
【0058】
次に、第1拡散防止層形成用インクを液滴吐出装置IJによりバンク30の開口部30aに配置する。第1拡散防止層形成用インクとしては、Ni(ニッケル)等の導電性微粒子を水及びジエタノールアミン等の溶媒(分散媒)に分散させたものが用いられる。このとき、バンク30の表面には撥液性が付与されており、開口部30aの底面部の基板表面には親液性が付与されているので、吐出された液滴の一部がバンク30に載っても、バンク表面で弾かれて開口部30a内に滑り込むようになっている。
【0059】
(乾燥工程)
次に、インク82a中の溶媒の除去するため、塗布したインクを必要に応じてホットプレート等により乾燥処理をする。本実施形態では、例えば180℃加熱を60分間程度行う。この加熱はN2雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
【0060】
(焼成工程)
次に、微粒子間の電気的接触をよくするために分散媒を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤がコーティングされている場合には、このコーティング剤も除去する必要がある。そのため、乾燥工程後の基板に熱処理及び/又は光処理を施す。
このようにして、図3(c)に示すように、ソース電極形成領域34a及びドレイン電極形成領域35aのそれぞれに第1拡散防止層61をゲート絶縁膜83とN+シリコン層85とに跨って形成する。
【0061】
(電極膜形成工程)
次に、図4(a)に示すように、液滴吐出装置IJにより、電極(ソース電極及びドレイン電極)形成用のインクを上記第1拡散防止層61上に塗布する。ソース電極及びドレイン電極形成用インクには、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液、もしくはその前駆体に、さらにPd粒子(めっき核)が混入されたものが用いられる。なお、めっき核としてはPd粒子に限定されることはなく、上述したように、SnCl2又はPdCl2を分散媒に分散させたコロイド水溶液等を上記インクに添加しても良い。
【0062】
この電極膜工程では、液滴吐出ヘッドから電極膜形成用のインクを液滴にして吐出し、その液滴を基板P上の第1バンク部31b、第2バンク部31aに囲まれたソース電極形成領域34a及びドレイン電極形成領域35aに配置する。このとき、バンク部31a,31bの表面には撥液性が付与されているため、吐出された液滴の一部がバンク部31a、31b上に載っても、バンク表面が撥液性となっていることによりバンク部31a、31bの表面で弾かれ、滴下されたインクは上記領域34a,35aに流れ落ちる。
【0063】
なお、この電極膜形成工程に先立って、先に形成されている第1拡散防止層61の表面に、上記インクの濡れ性を改善するための中間層を形成してもよい。この中間層としては、例えばMn等を用いることができ、その成膜に際しては液滴吐出法を用いることができる。
【0064】
(乾燥工程)
液滴を吐出した後、分散媒の除去のため、必要に応じて上述した方法と同様の方法により乾燥処理をする。この中間乾燥工程を行うことにより、図4(a)に示すように、拡散防止61,61上のそれぞれにソース電極34とドレイン電極35とが形成される。
【0065】
(焼成工程)
次に、吐出工程後のソース電極34及びドレイン電極35の微粒子間の電気的接触をよくするために、熱処理及び/又は光処理により分散媒を完全に除去する。
【0066】
(第2拡散防止層形成工程)
次に、図4(b)に示すように、第1バンク部31bと第2バンク部31aとに囲まれたソース電極34及びドレイン電極35上に第2拡散防止層68,68を形成する。なお、第2拡散防止層は、導電層(ソース電極及びドレイン電極)の上層に形成するため、ゲート電極80上に形成した拡散防止層61と同様の方法により形成することができる。
【0067】
まず、第1バンク部31bと第2バンク部31aに囲まれたソース電極34及びドレイン電極35上に付着した有機物等をプラズマアッシング処理等により除去する。次に、有機物を除去したゲート電極80表面をオゾン水処理等により親水化する。
【0068】
次に、無電解めっき処理によりソース電極34及びドレイン電極35上に拡散防止層68を形成する。具体的には、ソース電極34及びドレイン電極35上にPd核が形成されたガラス基板PをNiの導電性微粒子が分散されると共に還元剤が溶解されためっき浴に所定時間浸漬させる。すると、ソース電極34及びドレイン電極35上のPd核26を核として、次亜燐酸ナトリウムの還元剤により溶液中に溶解しているNi金属イオンがNi金属に還元され、ソース電極34及びドレイン電極35上にNi金属が析出する。このとき、バンク30の高さまでNi金属を析出成長させる。これにより、第1バンク部31bと第2バンク部31aに区画されたソース電極34及びドレイン電極35上に選択的にNiからなる第2拡散防止層68,68が形成される。
【0069】
なお、本実施形態において第1拡散防止層61及び第2拡散防止層68の膜厚は、それぞれ20nm〜400nm程度とすることが好ましい。また、ソース電極34及びドレイン電極35の膜厚は、500nm〜1500nm程度とすることが好ましい。第1拡散防止層61の膜厚が20nm未満では、ソース電極34及びドレイン電極35から半導体層33への金属元素の拡散を十分に防止することができず、400nmを超える膜厚では、ソース電極34(及びデータ線16)、ドレイン電極35の抵抗が上昇するため好ましくない。また、第2拡散防止層68の膜厚が20nm未満では、ソース電極34及びドレイン電極35から後述するバンク31c(図4(b)参照)及び液晶層への金属元素の拡散を十分に防止することができず、400nmを超える膜厚では、ソース電極34、ドレイン電極35の抵抗が上昇するため好ましくない。
【0070】
また、上記各工程では、ソース電極34及びドレイン電極35はAgから形成しているが、例えばCuやAl、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であっても構わない。さらに、第1拡散防止層61及び第2拡散防止層68はNiから形成しているが、TiやW、Mn、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であっても構わない。
【0071】
<バンク除去工程>
次に、図4(c)に示すように、ガラス基板P上に形成されている第1バンク部31bと第2バンク部31aとを選択除去する。この除去工程では、プラズマアッシングやオゾンアッシング等のアッシング処理によりバンク部31a、31bを除去する。プラズマアッシングは、プラズマ化した酸素ガス等のガスとバンクとを反応させ、バンクを気化させて除去する方法である。また、オゾンアッシングは、オゾン(O3)を分解して活性酸素とし、活性酸素とバンクとを反応させることでバンクを気化させて除去する方法である。このバンク除去工程により、図4(c)に示すように、ガラス基板P上に形成された薄膜トランジスタ(TFT)60を得ることができる。
【0072】
<画素電極形成工程>
次に、TFT60が形成されたガラス基板P上に、画素電極19を形成する。この画素電極形成工程は、バンク形成工程と、撥液化処理工程と、液体材料配置工程と、焼成工程と、を有する。
【0073】
(バンク形成工程)
次に、図5(a)に示すように、基板P上の所定位置に画素電極19を形成するためのバンク31cを形成する。このバンク31cは、TFT60を部分的に覆って形成され、平面的には各画素電極19を取り囲む略格子状に形成される。バンク31cの形成はフォトリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法で行うことができる。例えば、フォトリソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、形成するバンク31cの高さに合わせてアクリル樹脂等を主体とする有機系感光性材料を塗布して感光性材料層を形成し、その後バンク形状に合わせて感光性材料層に対して紫外線を照射する。
ここでは、TFT60の構成部材のうち、ドレイン電極35が、バンク31cに囲まれる領域内に突出するようにバンク31cをパターン形成する。またこのバンク31cのパターニングにおいて、基板P上に既設のドレイン電極35の表面部分には第2拡散防止層68が形成されているので、エッチング液がソース電極34及びドレイン電極35に進入してこれらを侵食するのを防止することができる。また、バンク31cは、上述したように、ポリシラザン、ポリシロキサン、又はポリシラン骨格を有する感光性材料から形成される無機膜であってもよい。
【0074】
なお、バンク31cに囲まれる領域におけるバンク形成時のレジスト(有機物)残渣を除去するために、上述した方法と同様の方法により、UV照射処理及びO2アッシング処理等の残渣処理を施すことが好ましい。
【0075】
(撥液化処理工程)
続いて、バンク31cに対し撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。撥液化処理としては、先に述べた撥液化処理と同様の処理方法を用いることができる。
なお、バンク31cに対する撥液化処理により、先に行われた残渣処理により親液化されたゲート絶縁膜83の表面に多少は影響があるものの、ゲート絶縁膜83には撥液化処理によるフッ素基の導入が起こりにくいため、その親液性(濡れ性)を損なうことはない。また、バンク31cを、撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成している場合には撥液処理を省略することができる。
【0076】
(液体材料配置形成工程)
次に、液滴吐出装置IJによる液滴吐出法を用いて、画素電極を形成するためのインク(液体材料)をバンク31cに囲まれた領域に塗布する。ここでは、ITO、IZO、FTO等の透光性導電材料の微粒子を溶媒(分散媒)に分散させたインクを吐出する。上記透光性導電材料の前駆体や金属有機化合物を含むインクを用いてもよい。
【0077】
(乾燥工程)
次いで、電極形成用インクからなる液滴を吐出した後、分散媒の除去のため、上述した方法と同様の方法により必要に応じて乾燥処理をする。この中間乾燥工程を行うことにより、図5(b)に示すように、所望の画素電極19が形成される。
【0078】
(焼成工程)
吐出工程後の乾燥膜は、微粒子間の電気的接触をよくするために、分散媒を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤がコーティングされている場合には、このコーティング剤も除去する必要がある。そのため、吐出工程後の基板には熱処理及び/又は光処理が施される。
【0079】
以上の工程により、吐出工程後の乾燥膜は微粒子間の電気的接触が確保され、導電性膜に変換される結果、基板P上に画素電極19が形成され、薄膜トランジスタ60を具備したTFTアレイ基板を製造することができる。
【0080】
なお、各実施形態で示した薄膜トランジスタの製造方法は、薄膜トランジスタを具備した各種電気光学装置の製造方法に適用することができる。例えば、液晶装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置等の薄膜トランジスタを形成する際に採用するのが好適である。
【0081】
本実施形態によれば、バンク30に配置するゲート電極形成用インク80aはPd核26を含有するため、かかる基板Pを無電解めっき処理すると、ゲート電極形成用インク80aに含有するPd核26が触媒(シード層)として機能し、ゲート電極80上にのみ選択的にめっき析出する。また、無電解めっき法により拡散防止層82を形成するため、バンク30の融点以下の温度で、緻密で密着性の良い拡散防止層82を形成することができる。これにより、ゲート電極80を構成する元素材料が他の層へ拡散することを防止することができる。さらに、ゲート電極形成用インク80a中にめっき核を含有させるため、別途ゲート電極80上に拡散防止材料を析出させるための触媒処理工程を設ける必要がなくなり、全体の工程数を削減することができ、低コスト化を図ることができる。
【0082】
この方法によれば、触媒となるめっき核にPdを用いることで、ゲート電極80上にNi等の金属を選択的に析出させることが可能となる。
【0083】
この方法によれば、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を削減することができ、プロセスが大幅に簡略化される。また、ゲート電極80上に選択的にめっき核を配置することで、材料の使用量を削減でき、生産性の向上を図ることができる。
【0084】
<液晶表示装置>
図6は、上述した方法により形成された薄膜トランジスタ60を有するTFTアレイ基板を備えた液晶表示装置100を示す等価回路図である。
本実施の形態の液晶表示装置において、画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットには、画素電極19と当該画素電極19を制御するためのスイッチング素子であるTFT60とがそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線(電極配線)16が当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線16に書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線16に対してグループ毎に供給される。また、走査線(電極配線)18aがTFT60のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線18aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極19はTFT60のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT60を一定期間だけオンすることにより、データ線16から供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0085】
画素電極19を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。そして、この印加される電圧レベルに応じて液晶の分子集合の配向や秩序が変化するのを利用して光を変調し、任意の階調表示を可能にしている。また各ドットには、液晶に書き込まれた画像信号がリークするのを防止するために、画素電極19と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。符号18bはこの蓄積容量70の一側の電極に接続された容量線である。
【0086】
次に、図7は、液晶表示装置100の全体構成図である。
液晶表示装置100は、TFTアレイ基板10と、対向基板25とが、平面視略矩形枠状のシール材52を介して貼り合わされた構成を備えており、前記両基板10,25の間に挟持された液晶が、シール材52によって前記基板間に封入されたものとなっている。なお、図7では、対向基板25の外周端が、シール材52の外周端に平面視で一致するように表示している。
【0087】
シール材52の内側の領域には、遮光性材料からなる遮光膜(周辺見切り)53が矩形枠状に形成されている。シール材52の外側の周辺回路領域には、データ線駆動回路201と実装端子202とがTFTアレイ基板10の一辺に沿って配設されており、この一辺と隣接する2辺に沿ってそれぞれ走査線駆動回路104,104が設けられている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、前記走査線駆動回路104,104間を接続する複数の配線105が形成されている。また、対向基板25の角部には、TFTアレイ基板10と対向基板25との間で電気的導通をとるための複数の基板間導通材106が配設されている。
【0088】
次に、図8は、液晶表示装置100の画素構成を示す平面構成図である。
図8に示すように、液晶表示装置100の表示領域には、複数の走査線18aが図示左右方向に延在しており、これらの走査線に交差する方向に複数のデータ線16が延在している。図8において、走査線18aとデータ線16とに囲まれた平面視矩形状の領域がドット領域である。1つのドット領域に対応して3原色のうち1色のカラーフィルタが形成され、図示した3つのドット領域で3色の着色部22R,22G,22Bを有する1つの画素領域を形成している。これらの着色部22R,22G,22Bは、液晶表示装置100の表示領域内に周期的に配列されている。
【0089】
図8に示す各ドット領域内には、ITO(インジウム錫酸化物)等の透光性の導電膜からなる平面視略矩形状の画素電極19が設けられており、画素電極19と、走査線18a、データ線16との間に、TFT60が介挿されている。TFT60は、半導体層33と、半導体層33の下層側(基板側)に設けられたゲート電極80と、半導体層33の上層側に設けられたソース電極34と、ドレイン電極35とを備えて構成されている。半導体層33とゲート電極80とが対向する領域には、TFT30のチャネル領域が形成されており、その両側の半導体層には、ソース領域、及びドレイン領域が形成されている。
【0090】
ゲート電極80は、走査線18aの一部をデータ線16の延在方向に分岐して形成されており、その先端部において、半導体層33と図示略の絶縁膜(ゲート絶縁膜)を介して紙面垂直方向に対向している。ソース電極34は、データ線16の一部を走査線18aの延在方向に分岐して形成されており、半導体層33(ソース領域)と電気的に接続されている。ドレイン電極35の一端(図示左端)側は、前記半導体層33(ドレイン領域)と電気的に接続されており、ドレイン電極35の他端(図示右端)側は画素電極19と電気的に接続されている。
上記構成のもとTFT60は、走査線18aを介して入力されるゲート信号により所定期間だけオン状態とされることで、データ線16を介して供給される画像信号を、所定のタイミングで液晶に対して書き込むスイッチング素子として機能するようになっている。
【0091】
図9は、図8のB−B’線に沿う液晶表示装置100を構成するTFTアレイ基板10の断面構成図である。
同図に示す断面構造をみると、ガラス基板P上には、一部が開口されたバンク30が形成され、このバンク30の開口部にAg,Cu,Al等の金属材料からなるゲート電極80が埋設されている。そして、ゲート電極80上には、拡散防止層と、無機レジスト層とが積層されている。拡散防止層は、Ni,Ti,W,Mn等から選ばれる1種又は2種以上の金属材料からなり、ゲート電極80の全面を覆うように形成されている。これにより、ゲート電極80の金属材料の他層への拡散を防止することができるようになっている。
【0092】
バンク30上には、酸化シリコンや窒化シリコン等からなるゲート絶縁膜83が形成されており、このゲート絶縁膜83上であってゲート電極80と平面的に重なる位置に半導体層33が形成されている。半導体層33は、アモルファスシリコン層84と、このアモルファスシリコン層84上に積層されたN+シリコン層85とからなる。N+シリコン層85は、アモルファスシリコン層84上で平面的に離間された2つの部位に分割されており、一方(図示左側)のN+シリコン層85は、ゲート絶縁膜83上と当該N+シリコン層85上とに跨って形成されたソース電極34と電気的に接続され、他方のN+シリコン層85は、ゲート絶縁膜83上と当該N+シリコン層85とに跨って形成されたドレイン電極35と電気的に接続されている。
【0093】
ソース電極34及びドレイン電極35のそれぞれの下層及び上層には、拡散防止層が形成されている。これらの拡散防止層は、ソース電極34及びドレイン電極35を覆うように形成され、ソース電極34及びドレイン電極35の金属材料の上側及び下側の層(絶縁層)への拡散を防止するようになっている。拡散防止層の材料等については、上述した拡散防止層と同様である。
【0094】
ドレイン電極35の一部表面と、ソース電極34とを覆うように、バンク31cが形成されている。このバンク31cは、実際には、図8に示した各画素電極19に対応する開口部を具備した平面視略格子状を成してガラス基板P上に形成されており、液晶表示装置の製造時に、液相法を用いて画素電極19をパターン形成するための仕切部材として用いられるものである。画素電極19は、図9に示すように、絶縁膜31cから図示右側へ突出しているドレイン電極35の上面及び側面と当接するように形成され、ドレイン電極35と電気的に接続されている。
【0095】
本実施形態によれば、ゲート電極80上には上述した方法により形成された緻密で密着性の良い拡散防止層82が形成される。これにより、加熱処理によりゲート電極80の金属材料が、ゲート電極80上に形成されるゲート絶縁膜83に拡散することを防止することができる。
同様に、ソース電極34及びドレイン電極35の下層の第1拡散防止層61及び上層の第2拡散防止層68が形成されるため、ソース電極34等の金属材料が、下層に形成されるゲート絶縁膜83、及び上層に形成されるバンク31cに拡散することを防止することができる。従って、ゲート絶縁膜83の絶縁性の低下によるリーク電流の発生を回避することができ、動作信頼性に優れたTFT60を得ることができる。
【0096】
(電子機器)
図10は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。
この図に示す携帯電話1300は、本発明の液晶表示装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
上記各実施の形態の電気光学装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、映像モニタ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができる。
本実施形態によれば、上述した動作信頼性に優れたTFTを有する液晶表示装置を備えているため、優れた信頼性を具備し、かつ安価に提供可能な電子機器を得ることができる。
【0097】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
上記実施形態では拡散防止層をNi金属により形成したがこれに限定されることはなく、その他の金属を用いることも可能である。例えば、Ti,TiN,TiSi2,Ta,TaN,W,WN,WSi2,Co,CoSi2,及びMnのいずれかの単体、又はこれらの合金からなる導電性微粒子を用いて拡散防止層を形成することも好ましい。
【0098】
また、上記実施形態では、導電材料等を配置するために液滴吐出装置IJを用いた液滴吐出法を採用しているが、その他の方法として、例えば図11に示すようなCapコート法を採用することもできる。Capコート法は毛細管現象を利用した成膜法で、塗布液70にスリット71を差し込み、その状態で塗布液面を上昇させるとスリット71の上端に液盛72が生成される。この液盛72に対して基板Pを接触させ、所定方向に基板Pを平行移動させることにより、塗布液70を基板P面に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】(a)は液滴吐出装置の一例を示す図、(b)は吐出ヘッドの概略図。
【図2】薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面工程図。
【図3】薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面工程図。
【図4】薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面工程図。
【図5】薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面工程図。
【図6】実施形態に係る液晶表示装置の等価回路図。
【図7】同、全体構成を示す平面図。
【図8】同、1画素領域を示す平面構成図。
【図9】同、TFTアレイ基板の部分断面構成図。
【図10】電子機器の一例を示す斜視構成図。
【図11】Capコート法を説明するための概略断面図。
【符号の説明】
【0100】
26…Pd核(めっき核)、 30…バンク、 80…ゲート電極(導電層)、 80a…ゲート電極形成用インク(導電材料)、 82…拡散防止層(バリアメタル)、 P…基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成方法、薄膜トランジスタ、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置等の電気光学装置に使われるスイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT)を製造する際、電極又は配線等を形成する工程においてフォトリソグラフィ法が用いられている。このフォトリソグラフィ法は、予めスパッタ法、めっき、もしくはCVD法等の成膜法によりベタ状の薄膜を形成する工程と、この薄膜上にレジストとよばれる感光材を塗布する工程と、レジストを露光、現像する工程と、得られたレジストパターンに応じて導電膜をエッチングする工程と、によって機能薄膜の電極又は配線パターンを形成するものである。この一連のフォトリソグラフィ法を利用した機能薄膜の形成、パターンニングは、成膜処理及びエッチング処理時に真空装置等の大掛かりな設備と複雑な工程を必要とし、また材料使用効率が数%程度とそのほとんどを廃棄せざるを得ず、製造コストが高いのみならず、生産性も低い。
【0003】
そこで、液体吐出ヘッドから液体材料を液滴状に吐出する液滴吐出法(いわゆるインクジェット法)を用いて、基板上に電極パターン又は配線パターン(膜パターン)を形成する方法が広く利用されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この方法では、形成する薄膜パターンに応じたバンクを形成し、このバンクに囲まれる領域内に金属微粒子等を分散させたインクを吐出した後、乾燥又は焼成することで薄膜パターンを形成する。この方法によれば、従来の複雑な成膜処理、フォトリソグラフィ、及びエッチング工程が不要となり、プロセスが大幅に簡単なものになると共に、原材料の使用量が少なく、生産性の向上を図れるといったメリットがある。
【特許文献1】特開平11−274671号公報
【特許文献2】特開2000−216330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上述した液滴吐出法を採用して、ボトムゲート型の薄膜トランジスタの電極等を形成する方法が提案されている。ここで、薄膜トランジスタは、金属材料からなるゲート電極と、このゲート電極上にゲート絶縁膜を介して半導体層が積層された構造となっている。このとき、積層構造を形成する際に行われる加熱処理によって、ゲート電極を構成する材料の一部の金属元素がゲート絶縁膜中に拡散するおそれがある。これにより、ゲート絶縁膜の絶縁性が低下して、電流のリークが発生し、薄膜トランジスタが動作不良となってしまうという問題があった。そこで、ゲート電極を拡散防止層で覆うことにより、金属元素の拡散を防止する方法が提案されている。この拡散防止層も上述した液滴吐出法により形成することができる。
【0005】
しかしながら、拡散防止層を構成する材料、例えばNi,Ti,Co,Ta等は高融点である。一方、パターンとなる領域を囲むバンクの融点は拡散防止層を構成する材料よりも低い。例えば、拡散防止層を構成する材料の融点は700℃であり、隔壁の融点は300℃である。そのため、拡散防止層を形成する際には、バンクの融点以下の温度で加熱処理を施す必要がある。そこで、上記Ni等の材料を微粒子化することにより融点降下を図る方法が提案されているが、この方法だけではゲート電極上に拡散防止層を融着させることが困難であった。そのため、金属微粒子(導電性微粒子)を焼成して形成された拡散防止層内には微小な空孔が生じ、この微小空孔により緻密な拡散防止層を得ることが難しくなる。このような緻密性に欠けた拡散防止層は、ゲート絶縁膜中への金属元素の拡散を十分に防止することができず、絶縁性の低下によりリーク電流を発生させる要因となっていた。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、より緻密でかつ密着性の良い拡散防止層を形成し、拡散防止層を構成する金属元素が他の層に拡散することを防止したパターン形成方法、電子デバイス、及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程と、前記隔壁に囲まれたパターン形成領域にめっき核を含有した導電材料を配置する導電材料配置工程と、前記パターン形成領域に配置した前記導電材料を焼成して導電層を形成する導電層形成工程と、前記導電層上に、無電解めっき法により前記めっき核を触媒として拡散防止層を形成する拡散防止層形成工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
この方法によれば、隔壁に配置する導電材料はめっき核を含有するため、かかる基板を無電解めっき処理すると、導電材料に含有するめっき核が触媒(シード層)として機能し、導電材料上にのみ選択的にめっきが析出する。また、無電解めっき法により、拡散防止層を形成するため、隔壁の融点以下の温度で、緻密で密着性の良い拡散防止層を形成することができる。これにより、導電層を構成する元素材料が他の層へ拡散することを防止することができる。さらに、導電材料中にめっき核を含有させるため、別途導電層上に拡散防止材料を析出させるための触媒処理工程を設ける必要がなくなり、全体の工程数を削減することができ、低コスト化を図ることができる。
【0009】
また本発明のパターン形成方法は、導電材料配置工程において前記めっき核にPdを用いることも好ましい。
【0010】
この方法によれば、めっき核にPd(パラジウム)を用いることで、導電層上にNi等の金属を選択的に析出させることが可能となる。
【0011】
また本発明のパターン形成方法は、導電材料配置工程において、前記導電材料を液滴吐出法又はディスペンサー法により配置することも好ましい。
【0012】
この方法によれば、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を削減することができ、プロセスが大幅に簡略化される。また、導電層上に選択的にめっき核を配置することで、材料の使用量を削減でき、生産性の向上を図ることができる。
【0013】
本発明の薄膜トランジスタは、基板上に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極上に絶縁膜を介して対向配置された半導体層とを備え、前記ゲート電極と前記半導体層との間には、上記パターン形成方法により形成された拡散防止層が設けられたことを特徴とする。
【0014】
本発明の薄膜トランジスタは、半導体層よりも下層にゲート電極が形成されており、ボトムゲート型の薄膜トランジスタ構造となっている。
この構成によれば、ゲート電極上には上述した方法により形成された緻密で密着性の良い拡散防止層が形成される。これにより、加熱処理によりゲート電極の金属材料が、ゲート電極上に形成される絶縁膜に拡散することを防止することができる。従って、絶縁膜の絶縁性の低下によるリーク電流の発生を回避することができ、動作信頼性に優れた薄膜トランジスタを得ることができる。
【0015】
また本発明の薄膜トランジスタは、前記半導体層上に接続されたソース電極とドレイン電極とを備え、前記ソース電極の上層及び前記ドレイン電極の上層の少なくともいずれかには先に記載の本発明に係るパターン形成方法により形成された拡散防止層が設けられていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、ソース電極及び/又はドレイン電極の上層及び/又は下層に拡散防止層が形成されるため、ソース電極等の金属材料が、上層等に形成される絶縁膜に拡散することを防止することができる。従って、絶縁膜の絶縁性の低下によるリーク電流の発生を回避することができ、動作信頼性に優れた薄膜トランジスタを得ることができる。
【0017】
本発明の電子機器は、上記薄膜トランジスタを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、優れた信頼性を具備し、かつ安価に提供可能な電子機器が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。
以下の説明においては、ボトムゲート型の薄膜トランジスタを備えたTFTアレイ基板の製造方法について説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0019】
[液滴吐出装置]
まず、ゲート電極80、及び拡散防止層82等を形成の際に用いられる液滴吐出装置について説明する。図1(a)は、本実施形態で用いる液滴吐出装置IJの概略構成を示す斜視図である。
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド301と、X軸方向駆動軸304と、Y軸方向ガイド軸305と、制御装置CONTと、ステージ307と、クリーニング機構308と、基台309と、ヒータ315とを備えている。
ステージ307は、この液滴吐出装置IJによりインク(液体材料)を設けられる基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0020】
液滴吐出ヘッド301は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とY軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド301の下面にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド301の吐出ノズルからは、ステージ307に支持されている基板Pに対して、上述した導電性微粒子を含むインクが吐出される。
【0021】
X軸方向駆動軸304には、X軸方向駆動モータ302が接続されている。X軸方向駆動モータ302はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸304を回転させる。X軸方向駆動軸304が回転すると、液滴吐出ヘッド301はX軸方向に移動する。
Y軸方向ガイド軸305は、基台309に対して動かないように固定されている。ステージ307は、Y軸方向駆動モータ303を備えている。Y軸方向駆動モータ303はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ307をY軸方向に移動する。
【0022】
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド301に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ302に液滴吐出ヘッド301のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ303にステージ307のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構308は、液滴吐出ヘッド301をクリーニングするものである。クリーニング機構308には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸305に沿って移動する。クリーニング機構308の移動も制御装置CONTにより制御される。
ヒータ315は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ315の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
【0023】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド301と基板Pを支持するステージ307とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、X軸方向を走査方向、X軸方向と直交するY軸方向を非走査方向とする。従って、液滴吐出ヘッド301の吐出ノズルは、非走査方向であるY軸方向に一定間隔で並んで設けられている。なお、図1(a)では、液滴吐出ヘッド301は、基板Pの進行方向に対し直角に配置されているが、液滴吐出ヘッド301の角度を調整し、基板Pの進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、液滴吐出ヘッド301の角度を調整することで、ノズル間のピッチを調節することができる。また、基板Pとノズル面との距離を任意に調節できるようにしてもよい。
【0024】
図1(b)は、ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための液滴吐出ヘッドの概略構成図である。
図1(b)において、液体材料(インク;機能液)を収容する液体室321に隣接してピエゾ素子322が設置されている。液体室321には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系323を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子322は駆動回路324に接続されており、この駆動回路324を介してピエゾ素子322に電圧を印加し、ピエゾ素子322を変形させて液体室321を弾性変形させる。そして、この弾性変形時の内容積の変化によってノズル325から液体材料が吐出されるようになっている。
この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み量を制御することができる。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み速度を制御することができる。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0025】
[TFTアレイ基板の製造方法]
以下、図2から図5を参照してTFTアレイ基板の各製造工程について説明する。
図2から図5は、本実施形態の製造方法における一連の工程を示す断面工程図である。なお、図3〜図5においては、ゲート電極に含有するPd核26を省略して図示する。
本実施形態の製造方法は、ガラス基板上にバンクを形成し、このバンクに囲まれた領域に液滴吐出装置IJを用いた液滴吐出法により電極パターン及び配線パターンを形成することで薄膜トランジスタを作製し、TFTアレイ基板を製造する方法である。
【0026】
<ゲート電極形成工程>
まず、図2の各図に示すように、基体となるガラス基板P上を用意し、その一面側にバンク30を形成した後、バンク30に設けた開口部30aに対し所定のインクを滴下することで、開口部30a内にゲート電極80(導電層)を形成する。このゲート電極形成工程は、バンク形成工程と、撥液化処理工程と、ゲート電極形成工程と、焼成工程と、を含むものとなっている。
【0027】
(バンク形成工程)
まず、ゲート電極80(及び走査線18a)をガラス基板上に所定パターンで形成するために、図2(a)に示すように、ガラス基板P上にゲート電極80に対応した所定パターンの開口部30aを有するバンク30を形成する。バンク30は、基板面を平面的に区画する仕切部材であり、このバンクの形成にはフォトリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法を用いることができる。例えば、フォトリソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、ガラス基板P上に形成するバンクの高さに合わせてアクリル樹脂等の有機系感光性材料を塗布して感光性材料層を形成する。そして、形成したいバンク形状に合わせて感光性材料層に対して紫外線を照射することで、ゲート電極用の開口部30aを備えたバンク30を形成する。また、バンク30は、ポリシラザン、ポリシロキサン、又はポリシラン骨格を有する感光性材料から形成される無機膜であってもよい。
【0028】
(撥液化処理工程)
次に、バンク30に対し撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)を採用することができる。CF4プラズマ処理の条件は、例えばプラズマパワーが50kW〜1000kW、4フッ化メタンガス流量が50ml/min〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板搬送速度が0.5mm/sec〜1020mm/sec、基板温度が70℃〜90℃である。なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることもできる。
このような撥液化処理を行うことにより、バンク30には、これを構成する樹脂中にフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。
【0029】
また、上記撥液化処理に先立って、開口部30aの底面に露出されたガラス基板Pの表面を清浄化する目的で、O2プラズマを用いたアッシング処理やUV(紫外線)照射処理を行っておくことが好ましい。この処理を行うことで、ガラス基板P表面のバンクの残渣を除去することができ、撥液化処理後のバンク30の接触角と当該基板表面の接触角との差を大きくすることができ、後段の工程で開口部30a内に配される液滴を正確に開口部30aの内側に閉じ込めることができる。また、バンク30がアクリル樹脂やポリイミド樹脂からなるものである場合、CF4プラズマ処理に先立ってバンク30をO2プラズマに曝しておくと、よりフッ素化(撥液化)されやすくなるという性質があるので、バンク30をこれらの樹脂材料で形成している場合には、CF4プラズマ処理に先立ってO2アッシング処理を施すことが好ましい。
【0030】
上記O2アッシング処理は、具体的には、ガラス基板Pに対しプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射することで行う。処理条件としては、例えばプラズマパワーが50W〜1000W、酸素ガス流量が50ml/min〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板Pの板搬送速度が0.510mm/sec〜10mm/sec、基板温度が70℃〜90℃である。
【0031】
なお、バンク30に対する撥液化処理(CF4プラズマ処理)により、先に行われた残渣処理により親液化された基板P表面に対し多少は影響があるものの、特に基板Pがガラス等からなる場合には、撥液化処理によるフッ素基の導入が起こりにくいため、基板Pの親液性、すなわち濡れ性が実質上損なわれることはない。また、バンク30については、撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成することにより、その撥液処理を省略するようにしてもよい。
【0032】
(ゲート電極形成工程)
次に、図2(b)に示すように、バンク30に囲まれた開口部30a(ゲート電極形成領域)に、液滴吐出装置IJの液滴吐出ヘッド301からゲート電極形成用インク80aを滴下する。このとき、バンク30の表面には撥液性が付与されており、開口部30aの底面部の基板表面には親液性が付与されているので、吐出された液滴の一部がバンク30に載っても、バンク表面で弾かれて開口部30a内に滑り込むようになっている。
【0033】
ここで、本実施形態に係る製造方法で用いられる、液滴吐出ヘッド301からの吐出に好適なゲート電極形成用インク80a(液体材料)について説明する。
本実施形態のゲート電極形成用インク80aは、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液もしくはその前駆体に、さらにPd粒子(めっき核)を混入させたものが用いられる。
【0034】
ここで、導電性微粒子として、例えばAu、Ag、Cu、Pd、NbおよびNi等を含有する金属微粒子の他、これらの前駆体、合金、酸化物、並びに導電性ポリマーやインジウム錫酸化物等の微粒子などが用いられる。これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。導電性微粒子の粒径は1nm〜0.1μm程度であることが好ましい。0.1μmより大きいと、後述する液体吐出ヘッド301のノズルに目詰まりが生じるおそれがあるだけでなく、得られる膜の緻密性が悪化する可能性がある。また、1nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
【0035】
分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
なお、本実施形態においては、Ag(銀)の導電性微粒子をジエチレングリコールジエチルエーテルの溶媒(分散媒)に溶解させたゲート電極形成用インク80aが用いられる。
【0036】
上記導電性微粒子の分散液の表面張力は0.02N/m〜0.07N/mの範囲内であることが好ましい。インクジェット法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0037】
上記分散液の粘度は1mPa・s〜50mPa・sであることが好ましい。インクジェット法を用いて液体材料を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となるだけでなく、液滴の吐出量が減少する。
【0038】
ゲート電極形成用インク80aに含有させるPd粒子は、後述する無電解めっき処理により拡散防止層を析出させるための触媒金属もしくは触媒金属を形成する前駆体を選択的に吸着する物質として機能するものである。なお、上述したPd粒子の他に、SnCl2又はPdCl2(Pdイオン)や、PdCl2,硝酸パラジウム及び酢酸パラジウムのようなPd塩や、SnPdコロイド分散液、ポリビニルアルコール(PVA)又はポリビニルピロリドン(PVP)等の水溶性重合体で保持されたPdゾル等を好適に用いることができる。
【0039】
次いで、電極形成用インクからなる液滴を吐出した後、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理を行う。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。本実施形態では、例えば180℃で60分間程度の加熱を行う。この加熱は窒素ガス雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
【0040】
また、この乾燥処理は、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザ、アルゴンレーザ、炭酸ガスレーザ、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W〜5000Wの範囲のものが用いられるが、本実施形態では100W〜1000Wの範囲で十分である。この中間乾燥工程を行うことにより、図2(c)に示すように、固体のゲート電極80が形成される。
【0041】
(焼成工程)
吐出工程後の乾燥膜は、微粒子間の電気的接触を向上させるために、分散媒を完全に除去する必要がある。また、液中での分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤が導電性微粒子の表面にコーティングされている場合には、このコーティング剤も除去する必要がある。そのため、吐出工程後のガラス基板Pには熱処理及び/又は光処理が施される。
【0042】
この熱処理及び/又は光処理は通常大気中で行われるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング剤の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定されるが、係る構成でも、ゲート電極80が先に挙げた材料を用いて形成されているので、250℃以下の焼成温度とすることができる。ただし本工程では、ガラス基板P上に半導体層は設けられていないので、バンク30の耐熱温度の範囲内で焼成温度を高めることができ、例えば250℃以上、あるいは300℃程度の焼成温度とすることでさらに良好な導電性を具備した金属配線を形成することができる。なお、焼成工程後のゲート電極80の膜厚は500nm〜1500nm程度とすることが好ましい。
【0043】
<拡散防止層形成工程>
次に、ゲート電極80上に拡散防止層82(バリアメタル)を無電解めっき処理により形成する。
まず、ゲート電極80表面に付着した有機物等をオゾン処理、プラズマアッシング処理により除去する。次に、有機物を除去したゲート電極80表面にオゾン水処理等により親液性を付与する。
【0044】
次に、図2(d)に示すように、無電解めっき処理によりゲート電極80上に拡散防止層82を形成する。具体的には、ゲート電極80上にPd核が形成されたガラス基板PをNiの導電性微粒子が分散されると共に還元剤が溶解されためっき浴に所定時間浸漬させる。ここで、ゲート電極80中には、めっき核としてのPd金属が含有されており、ゲート電極中には金属Pdが均一に分散された状態となっている。そのため、ゲート電極表面に露出、及びゲート電極の上層に埋没されるPd核が後述する無電解めっき処理時に触媒としての機能を果たす。そのため、ゲート電極80上のPd核26を核として、次亜燐酸ナトリウムの還元剤により溶液中に溶解しているNi金属イオンがNi金属に還元され、ゲート電極80上にNi金属が析出する。このとき、Ni金属はバンク30の高さまで析出成長させる。これにより、図2(d)に示すように、バンク30に区画されたゲート電極80上に選択的にNiからなる拡散防止層82が形成される。なお、還元剤としては、上述した他に、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤、酒石酸ナトリウムカリウム等の錯化剤を配合して調製した市販品を用いることができる。
【0045】
また、拡散防止層82の膜厚は、20nm〜400nm程度とすることが好ましい。拡散防止層82の膜厚が20nm未満では、ゲート電極80から後述するゲート絶縁膜83への金属元素の拡散を十分に防止することができず、400nmを超える膜厚では、ゲート電極80(及び走査線18a)の抵抗が上昇するため好ましくない。
【0046】
なお、上記各工程では、Agからなるゲート電極80と、Niからなる拡散防止層82とを形成しているが、ゲート電極80は、Ag以外の金属、例えばCuやAl、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であっても構わない。また、拡散防止層82は、Ni以外のTiやW、Mn、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であっても構わない。
【0047】
本実施形態において、拡散防止のための拡散防止層82をゲート電極80上に形成する方法として、上述したように、ゲート電極80上に液滴吐出法により選択的にめっき核吸着膜20を形成し、このめっき核吸着膜20にPd核26を吸着させた後、Pd核26を触媒としてゲート電極80上に無電解めっき処理により選択的に拡散防止材料を付着させて、拡散防止層82を形成している。この拡散防止層82の形成方法は、以下に説明するソース電極及びドレイン電極の下層及び上層に形成される拡散防止層82にも適用される。
【0048】
<ゲート絶縁膜形成工程>
次に、図3(a)に示すように、ゲート電極80上に窒化珪素からなるゲート絶縁膜83を形成する。このゲート絶縁膜83は、例えばプラズマCVD法により全面成膜した後、フォトリソグラフィ法により適宜パターニングすることで形成することができる。CVD工程において用いる原料ガスとしては、モノシランと一酸化二窒素との混合ガスや、TEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC2H5)4)と酸素、ジシランとアンモニア等が好適で、形成するゲート絶縁膜83の膜厚は150nm〜400nm程度である。
【0049】
<半導体層形成工程>
次に、図3(a)に示すように、ゲート絶縁膜83上に半導体層33を形成する。この半導体層33は、ゲート絶縁膜83を形成したガラス基板Pの全面に、150nm〜250nm程度の膜厚のアモルファスシリコン膜と、膜厚50nm〜100nm程度のN+シリコン膜とをプラズマCVD法等により積層形成し、フォトリソグラフィ法により所定形状にパターニングすることで得られる。アモルファスシリコン膜の形成工程で用いる原料ガスとしては、ジシランやモノシランが好適である。続くN+シリコン膜の形成工程では、上記アモルファスシリコン膜の形成で用いた成膜装置に、N+シリコン層形成用の原料ガスを導入して成膜を行うことができる。
【0050】
その後、上記アモルファスシリコン膜及びN+シリコン膜を、フォトリソグラフィ法により図3(a)に示す形状にパターニングすることで、ゲート絶縁膜83上に所定平面形状のアモルファスシリコン層84とN+シリコン層85とが積層された半導体層33が得られる。パターニングに際しては、N+シリコン膜の表面に、図示の半導体層33の側断面形状と同様の略凹形のレジストを選択配置し、係るレジストをマスクにしてエッチングを行う。このようなパターニング法によりゲート電極80と平面的に重なる領域にてN+シリコン層85が選択的に除去されて2つの領域に分割され、これらのN+シリコン層85,85が、それぞれソースコンタクト領域及びドレインコンタクト領域を形成する。
【0051】
<電極形成工程>
次に、半導体層33が形成されたガラス基板P上に、ソース電極34及びドレイン電極35を形成する。この電極形成工程は、バンク形成工程と、撥液化工程と、第1拡散防止層形成工程と、電極膜形成工程と、第2拡散防止層形成工程と、焼成工程と、を含むものである。
【0052】
(バンク形成工程)
アモルファスシリコン層84、N+シリコン層85を形成した後、図3(b)に示すように、ソース電極及びドレイン電極のパターンに対応した開口部を有するバンクをガラス基板P上に形成する。バンクは上述したように、フォトリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法により形成することができる。
【0053】
ここでは、2種類のバンク、つまり第1バンク部31bと第2バンク部31aとを形成するものとしているが、まず第1バンク部31bは、図3(b)に示すように、アモルファスシリコン層84及びN+シリコン層上であって、アモルファスシリコン層84の略中央部に位置するように紫外線照射による感光を行う。すなわち、この第1バンク部31bは、後段の工程で形成するソース電極とドレイン電極とを平面的に区画する仕切部材として形成される。一方、第2バンク部31aは、図3(b)に示すように、アモルファスシリコン層84の外側の領域に、アモルファスシリコン層84を取り囲むように形成する。なお、本実施形態において、第1バンク部31bと第2バンク部31aとに区画された図3(b)中左側の領域をソース電極形成領域34aと称し、図3(b)中右側の領域をドレイン電極形成領域35aと称する。
【0054】
また、各バンク部31a、31b間におけるバンク形成時のレジスト(有機物)残渣を除去するために、残渣処理を施すことが好ましい。この残渣処理としては、紫外線を照射することにより残渣処理を行うUV照射処理や大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするO2アッシング処理等を選択できるが、ここではO2アッシング処理を実施する。アッシング処理の条件は、先のバンク30のパターニング時に用いた条件と同等の条件でよい。
【0055】
(撥液化処理工程)
次に、上述した方法と同様の方法により、各バンク部31a、31bに対し、プラズマ処理法等により撥液化処理を行い、バンク部31a、31b表面に撥液性を付与する。
【0056】
(第1拡散防止材料配置工程)
次に、図3(c)に示すように、第1バンク部31bと第2バンク部31aとに囲まれた領域に第1拡散防止層61を形成する。なお、上述した拡散防止層82の無電解めっき法による形成方法は、導電層中に触媒となるPd金属を添加するため、導電層(ソース電極、ドレイン電極)の下方側に形成する場合には適用することが困難である。そこで、本実施形態では、ソース電極及びドレイン電極の下層に形成する拡散防止層82は上記無電解めっき法ではなく液滴吐出法により形成する。
【0057】
まず、第1バンク部31bと第2バンク部31aに囲まれたソース電極形成領域34a及びドレイン電極形成領域35a内に付着した有機物等をプラズマアッシング処理等により除去する。次に、有機物を除去したソース電極形成領域34a及びドレイン電極形成領域35aをオゾン水処理等により親水化する。
【0058】
次に、第1拡散防止層形成用インクを液滴吐出装置IJによりバンク30の開口部30aに配置する。第1拡散防止層形成用インクとしては、Ni(ニッケル)等の導電性微粒子を水及びジエタノールアミン等の溶媒(分散媒)に分散させたものが用いられる。このとき、バンク30の表面には撥液性が付与されており、開口部30aの底面部の基板表面には親液性が付与されているので、吐出された液滴の一部がバンク30に載っても、バンク表面で弾かれて開口部30a内に滑り込むようになっている。
【0059】
(乾燥工程)
次に、インク82a中の溶媒の除去するため、塗布したインクを必要に応じてホットプレート等により乾燥処理をする。本実施形態では、例えば180℃加熱を60分間程度行う。この加熱はN2雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
【0060】
(焼成工程)
次に、微粒子間の電気的接触をよくするために分散媒を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤がコーティングされている場合には、このコーティング剤も除去する必要がある。そのため、乾燥工程後の基板に熱処理及び/又は光処理を施す。
このようにして、図3(c)に示すように、ソース電極形成領域34a及びドレイン電極形成領域35aのそれぞれに第1拡散防止層61をゲート絶縁膜83とN+シリコン層85とに跨って形成する。
【0061】
(電極膜形成工程)
次に、図4(a)に示すように、液滴吐出装置IJにより、電極(ソース電極及びドレイン電極)形成用のインクを上記第1拡散防止層61上に塗布する。ソース電極及びドレイン電極形成用インクには、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液、もしくはその前駆体に、さらにPd粒子(めっき核)が混入されたものが用いられる。なお、めっき核としてはPd粒子に限定されることはなく、上述したように、SnCl2又はPdCl2を分散媒に分散させたコロイド水溶液等を上記インクに添加しても良い。
【0062】
この電極膜工程では、液滴吐出ヘッドから電極膜形成用のインクを液滴にして吐出し、その液滴を基板P上の第1バンク部31b、第2バンク部31aに囲まれたソース電極形成領域34a及びドレイン電極形成領域35aに配置する。このとき、バンク部31a,31bの表面には撥液性が付与されているため、吐出された液滴の一部がバンク部31a、31b上に載っても、バンク表面が撥液性となっていることによりバンク部31a、31bの表面で弾かれ、滴下されたインクは上記領域34a,35aに流れ落ちる。
【0063】
なお、この電極膜形成工程に先立って、先に形成されている第1拡散防止層61の表面に、上記インクの濡れ性を改善するための中間層を形成してもよい。この中間層としては、例えばMn等を用いることができ、その成膜に際しては液滴吐出法を用いることができる。
【0064】
(乾燥工程)
液滴を吐出した後、分散媒の除去のため、必要に応じて上述した方法と同様の方法により乾燥処理をする。この中間乾燥工程を行うことにより、図4(a)に示すように、拡散防止61,61上のそれぞれにソース電極34とドレイン電極35とが形成される。
【0065】
(焼成工程)
次に、吐出工程後のソース電極34及びドレイン電極35の微粒子間の電気的接触をよくするために、熱処理及び/又は光処理により分散媒を完全に除去する。
【0066】
(第2拡散防止層形成工程)
次に、図4(b)に示すように、第1バンク部31bと第2バンク部31aとに囲まれたソース電極34及びドレイン電極35上に第2拡散防止層68,68を形成する。なお、第2拡散防止層は、導電層(ソース電極及びドレイン電極)の上層に形成するため、ゲート電極80上に形成した拡散防止層61と同様の方法により形成することができる。
【0067】
まず、第1バンク部31bと第2バンク部31aに囲まれたソース電極34及びドレイン電極35上に付着した有機物等をプラズマアッシング処理等により除去する。次に、有機物を除去したゲート電極80表面をオゾン水処理等により親水化する。
【0068】
次に、無電解めっき処理によりソース電極34及びドレイン電極35上に拡散防止層68を形成する。具体的には、ソース電極34及びドレイン電極35上にPd核が形成されたガラス基板PをNiの導電性微粒子が分散されると共に還元剤が溶解されためっき浴に所定時間浸漬させる。すると、ソース電極34及びドレイン電極35上のPd核26を核として、次亜燐酸ナトリウムの還元剤により溶液中に溶解しているNi金属イオンがNi金属に還元され、ソース電極34及びドレイン電極35上にNi金属が析出する。このとき、バンク30の高さまでNi金属を析出成長させる。これにより、第1バンク部31bと第2バンク部31aに区画されたソース電極34及びドレイン電極35上に選択的にNiからなる第2拡散防止層68,68が形成される。
【0069】
なお、本実施形態において第1拡散防止層61及び第2拡散防止層68の膜厚は、それぞれ20nm〜400nm程度とすることが好ましい。また、ソース電極34及びドレイン電極35の膜厚は、500nm〜1500nm程度とすることが好ましい。第1拡散防止層61の膜厚が20nm未満では、ソース電極34及びドレイン電極35から半導体層33への金属元素の拡散を十分に防止することができず、400nmを超える膜厚では、ソース電極34(及びデータ線16)、ドレイン電極35の抵抗が上昇するため好ましくない。また、第2拡散防止層68の膜厚が20nm未満では、ソース電極34及びドレイン電極35から後述するバンク31c(図4(b)参照)及び液晶層への金属元素の拡散を十分に防止することができず、400nmを超える膜厚では、ソース電極34、ドレイン電極35の抵抗が上昇するため好ましくない。
【0070】
また、上記各工程では、ソース電極34及びドレイン電極35はAgから形成しているが、例えばCuやAl、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であっても構わない。さらに、第1拡散防止層61及び第2拡散防止層68はNiから形成しているが、TiやW、Mn、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であっても構わない。
【0071】
<バンク除去工程>
次に、図4(c)に示すように、ガラス基板P上に形成されている第1バンク部31bと第2バンク部31aとを選択除去する。この除去工程では、プラズマアッシングやオゾンアッシング等のアッシング処理によりバンク部31a、31bを除去する。プラズマアッシングは、プラズマ化した酸素ガス等のガスとバンクとを反応させ、バンクを気化させて除去する方法である。また、オゾンアッシングは、オゾン(O3)を分解して活性酸素とし、活性酸素とバンクとを反応させることでバンクを気化させて除去する方法である。このバンク除去工程により、図4(c)に示すように、ガラス基板P上に形成された薄膜トランジスタ(TFT)60を得ることができる。
【0072】
<画素電極形成工程>
次に、TFT60が形成されたガラス基板P上に、画素電極19を形成する。この画素電極形成工程は、バンク形成工程と、撥液化処理工程と、液体材料配置工程と、焼成工程と、を有する。
【0073】
(バンク形成工程)
次に、図5(a)に示すように、基板P上の所定位置に画素電極19を形成するためのバンク31cを形成する。このバンク31cは、TFT60を部分的に覆って形成され、平面的には各画素電極19を取り囲む略格子状に形成される。バンク31cの形成はフォトリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法で行うことができる。例えば、フォトリソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、形成するバンク31cの高さに合わせてアクリル樹脂等を主体とする有機系感光性材料を塗布して感光性材料層を形成し、その後バンク形状に合わせて感光性材料層に対して紫外線を照射する。
ここでは、TFT60の構成部材のうち、ドレイン電極35が、バンク31cに囲まれる領域内に突出するようにバンク31cをパターン形成する。またこのバンク31cのパターニングにおいて、基板P上に既設のドレイン電極35の表面部分には第2拡散防止層68が形成されているので、エッチング液がソース電極34及びドレイン電極35に進入してこれらを侵食するのを防止することができる。また、バンク31cは、上述したように、ポリシラザン、ポリシロキサン、又はポリシラン骨格を有する感光性材料から形成される無機膜であってもよい。
【0074】
なお、バンク31cに囲まれる領域におけるバンク形成時のレジスト(有機物)残渣を除去するために、上述した方法と同様の方法により、UV照射処理及びO2アッシング処理等の残渣処理を施すことが好ましい。
【0075】
(撥液化処理工程)
続いて、バンク31cに対し撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。撥液化処理としては、先に述べた撥液化処理と同様の処理方法を用いることができる。
なお、バンク31cに対する撥液化処理により、先に行われた残渣処理により親液化されたゲート絶縁膜83の表面に多少は影響があるものの、ゲート絶縁膜83には撥液化処理によるフッ素基の導入が起こりにくいため、その親液性(濡れ性)を損なうことはない。また、バンク31cを、撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成している場合には撥液処理を省略することができる。
【0076】
(液体材料配置形成工程)
次に、液滴吐出装置IJによる液滴吐出法を用いて、画素電極を形成するためのインク(液体材料)をバンク31cに囲まれた領域に塗布する。ここでは、ITO、IZO、FTO等の透光性導電材料の微粒子を溶媒(分散媒)に分散させたインクを吐出する。上記透光性導電材料の前駆体や金属有機化合物を含むインクを用いてもよい。
【0077】
(乾燥工程)
次いで、電極形成用インクからなる液滴を吐出した後、分散媒の除去のため、上述した方法と同様の方法により必要に応じて乾燥処理をする。この中間乾燥工程を行うことにより、図5(b)に示すように、所望の画素電極19が形成される。
【0078】
(焼成工程)
吐出工程後の乾燥膜は、微粒子間の電気的接触をよくするために、分散媒を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤がコーティングされている場合には、このコーティング剤も除去する必要がある。そのため、吐出工程後の基板には熱処理及び/又は光処理が施される。
【0079】
以上の工程により、吐出工程後の乾燥膜は微粒子間の電気的接触が確保され、導電性膜に変換される結果、基板P上に画素電極19が形成され、薄膜トランジスタ60を具備したTFTアレイ基板を製造することができる。
【0080】
なお、各実施形態で示した薄膜トランジスタの製造方法は、薄膜トランジスタを具備した各種電気光学装置の製造方法に適用することができる。例えば、液晶装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置等の薄膜トランジスタを形成する際に採用するのが好適である。
【0081】
本実施形態によれば、バンク30に配置するゲート電極形成用インク80aはPd核26を含有するため、かかる基板Pを無電解めっき処理すると、ゲート電極形成用インク80aに含有するPd核26が触媒(シード層)として機能し、ゲート電極80上にのみ選択的にめっき析出する。また、無電解めっき法により拡散防止層82を形成するため、バンク30の融点以下の温度で、緻密で密着性の良い拡散防止層82を形成することができる。これにより、ゲート電極80を構成する元素材料が他の層へ拡散することを防止することができる。さらに、ゲート電極形成用インク80a中にめっき核を含有させるため、別途ゲート電極80上に拡散防止材料を析出させるための触媒処理工程を設ける必要がなくなり、全体の工程数を削減することができ、低コスト化を図ることができる。
【0082】
この方法によれば、触媒となるめっき核にPdを用いることで、ゲート電極80上にNi等の金属を選択的に析出させることが可能となる。
【0083】
この方法によれば、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を削減することができ、プロセスが大幅に簡略化される。また、ゲート電極80上に選択的にめっき核を配置することで、材料の使用量を削減でき、生産性の向上を図ることができる。
【0084】
<液晶表示装置>
図6は、上述した方法により形成された薄膜トランジスタ60を有するTFTアレイ基板を備えた液晶表示装置100を示す等価回路図である。
本実施の形態の液晶表示装置において、画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットには、画素電極19と当該画素電極19を制御するためのスイッチング素子であるTFT60とがそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線(電極配線)16が当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線16に書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線16に対してグループ毎に供給される。また、走査線(電極配線)18aがTFT60のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線18aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極19はTFT60のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT60を一定期間だけオンすることにより、データ線16から供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0085】
画素電極19を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。そして、この印加される電圧レベルに応じて液晶の分子集合の配向や秩序が変化するのを利用して光を変調し、任意の階調表示を可能にしている。また各ドットには、液晶に書き込まれた画像信号がリークするのを防止するために、画素電極19と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。符号18bはこの蓄積容量70の一側の電極に接続された容量線である。
【0086】
次に、図7は、液晶表示装置100の全体構成図である。
液晶表示装置100は、TFTアレイ基板10と、対向基板25とが、平面視略矩形枠状のシール材52を介して貼り合わされた構成を備えており、前記両基板10,25の間に挟持された液晶が、シール材52によって前記基板間に封入されたものとなっている。なお、図7では、対向基板25の外周端が、シール材52の外周端に平面視で一致するように表示している。
【0087】
シール材52の内側の領域には、遮光性材料からなる遮光膜(周辺見切り)53が矩形枠状に形成されている。シール材52の外側の周辺回路領域には、データ線駆動回路201と実装端子202とがTFTアレイ基板10の一辺に沿って配設されており、この一辺と隣接する2辺に沿ってそれぞれ走査線駆動回路104,104が設けられている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、前記走査線駆動回路104,104間を接続する複数の配線105が形成されている。また、対向基板25の角部には、TFTアレイ基板10と対向基板25との間で電気的導通をとるための複数の基板間導通材106が配設されている。
【0088】
次に、図8は、液晶表示装置100の画素構成を示す平面構成図である。
図8に示すように、液晶表示装置100の表示領域には、複数の走査線18aが図示左右方向に延在しており、これらの走査線に交差する方向に複数のデータ線16が延在している。図8において、走査線18aとデータ線16とに囲まれた平面視矩形状の領域がドット領域である。1つのドット領域に対応して3原色のうち1色のカラーフィルタが形成され、図示した3つのドット領域で3色の着色部22R,22G,22Bを有する1つの画素領域を形成している。これらの着色部22R,22G,22Bは、液晶表示装置100の表示領域内に周期的に配列されている。
【0089】
図8に示す各ドット領域内には、ITO(インジウム錫酸化物)等の透光性の導電膜からなる平面視略矩形状の画素電極19が設けられており、画素電極19と、走査線18a、データ線16との間に、TFT60が介挿されている。TFT60は、半導体層33と、半導体層33の下層側(基板側)に設けられたゲート電極80と、半導体層33の上層側に設けられたソース電極34と、ドレイン電極35とを備えて構成されている。半導体層33とゲート電極80とが対向する領域には、TFT30のチャネル領域が形成されており、その両側の半導体層には、ソース領域、及びドレイン領域が形成されている。
【0090】
ゲート電極80は、走査線18aの一部をデータ線16の延在方向に分岐して形成されており、その先端部において、半導体層33と図示略の絶縁膜(ゲート絶縁膜)を介して紙面垂直方向に対向している。ソース電極34は、データ線16の一部を走査線18aの延在方向に分岐して形成されており、半導体層33(ソース領域)と電気的に接続されている。ドレイン電極35の一端(図示左端)側は、前記半導体層33(ドレイン領域)と電気的に接続されており、ドレイン電極35の他端(図示右端)側は画素電極19と電気的に接続されている。
上記構成のもとTFT60は、走査線18aを介して入力されるゲート信号により所定期間だけオン状態とされることで、データ線16を介して供給される画像信号を、所定のタイミングで液晶に対して書き込むスイッチング素子として機能するようになっている。
【0091】
図9は、図8のB−B’線に沿う液晶表示装置100を構成するTFTアレイ基板10の断面構成図である。
同図に示す断面構造をみると、ガラス基板P上には、一部が開口されたバンク30が形成され、このバンク30の開口部にAg,Cu,Al等の金属材料からなるゲート電極80が埋設されている。そして、ゲート電極80上には、拡散防止層と、無機レジスト層とが積層されている。拡散防止層は、Ni,Ti,W,Mn等から選ばれる1種又は2種以上の金属材料からなり、ゲート電極80の全面を覆うように形成されている。これにより、ゲート電極80の金属材料の他層への拡散を防止することができるようになっている。
【0092】
バンク30上には、酸化シリコンや窒化シリコン等からなるゲート絶縁膜83が形成されており、このゲート絶縁膜83上であってゲート電極80と平面的に重なる位置に半導体層33が形成されている。半導体層33は、アモルファスシリコン層84と、このアモルファスシリコン層84上に積層されたN+シリコン層85とからなる。N+シリコン層85は、アモルファスシリコン層84上で平面的に離間された2つの部位に分割されており、一方(図示左側)のN+シリコン層85は、ゲート絶縁膜83上と当該N+シリコン層85上とに跨って形成されたソース電極34と電気的に接続され、他方のN+シリコン層85は、ゲート絶縁膜83上と当該N+シリコン層85とに跨って形成されたドレイン電極35と電気的に接続されている。
【0093】
ソース電極34及びドレイン電極35のそれぞれの下層及び上層には、拡散防止層が形成されている。これらの拡散防止層は、ソース電極34及びドレイン電極35を覆うように形成され、ソース電極34及びドレイン電極35の金属材料の上側及び下側の層(絶縁層)への拡散を防止するようになっている。拡散防止層の材料等については、上述した拡散防止層と同様である。
【0094】
ドレイン電極35の一部表面と、ソース電極34とを覆うように、バンク31cが形成されている。このバンク31cは、実際には、図8に示した各画素電極19に対応する開口部を具備した平面視略格子状を成してガラス基板P上に形成されており、液晶表示装置の製造時に、液相法を用いて画素電極19をパターン形成するための仕切部材として用いられるものである。画素電極19は、図9に示すように、絶縁膜31cから図示右側へ突出しているドレイン電極35の上面及び側面と当接するように形成され、ドレイン電極35と電気的に接続されている。
【0095】
本実施形態によれば、ゲート電極80上には上述した方法により形成された緻密で密着性の良い拡散防止層82が形成される。これにより、加熱処理によりゲート電極80の金属材料が、ゲート電極80上に形成されるゲート絶縁膜83に拡散することを防止することができる。
同様に、ソース電極34及びドレイン電極35の下層の第1拡散防止層61及び上層の第2拡散防止層68が形成されるため、ソース電極34等の金属材料が、下層に形成されるゲート絶縁膜83、及び上層に形成されるバンク31cに拡散することを防止することができる。従って、ゲート絶縁膜83の絶縁性の低下によるリーク電流の発生を回避することができ、動作信頼性に優れたTFT60を得ることができる。
【0096】
(電子機器)
図10は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。
この図に示す携帯電話1300は、本発明の液晶表示装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
上記各実施の形態の電気光学装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、映像モニタ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができる。
本実施形態によれば、上述した動作信頼性に優れたTFTを有する液晶表示装置を備えているため、優れた信頼性を具備し、かつ安価に提供可能な電子機器を得ることができる。
【0097】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
上記実施形態では拡散防止層をNi金属により形成したがこれに限定されることはなく、その他の金属を用いることも可能である。例えば、Ti,TiN,TiSi2,Ta,TaN,W,WN,WSi2,Co,CoSi2,及びMnのいずれかの単体、又はこれらの合金からなる導電性微粒子を用いて拡散防止層を形成することも好ましい。
【0098】
また、上記実施形態では、導電材料等を配置するために液滴吐出装置IJを用いた液滴吐出法を採用しているが、その他の方法として、例えば図11に示すようなCapコート法を採用することもできる。Capコート法は毛細管現象を利用した成膜法で、塗布液70にスリット71を差し込み、その状態で塗布液面を上昇させるとスリット71の上端に液盛72が生成される。この液盛72に対して基板Pを接触させ、所定方向に基板Pを平行移動させることにより、塗布液70を基板P面に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】(a)は液滴吐出装置の一例を示す図、(b)は吐出ヘッドの概略図。
【図2】薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面工程図。
【図3】薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面工程図。
【図4】薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面工程図。
【図5】薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面工程図。
【図6】実施形態に係る液晶表示装置の等価回路図。
【図7】同、全体構成を示す平面図。
【図8】同、1画素領域を示す平面構成図。
【図9】同、TFTアレイ基板の部分断面構成図。
【図10】電子機器の一例を示す斜視構成図。
【図11】Capコート法を説明するための概略断面図。
【符号の説明】
【0100】
26…Pd核(めっき核)、 30…バンク、 80…ゲート電極(導電層)、 80a…ゲート電極形成用インク(導電材料)、 82…拡散防止層(バリアメタル)、 P…基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程と、
前記隔壁に囲まれたパターン形成領域にめっき核を含有した導電材料を配置する導電材料配置工程と、
前記パターン形成領域に配置した前記導電材料を焼成して導電層を形成する導電層形成工程と、
前記導電層上に、無電解めっき法により前記めっき核を触媒として拡散防止層を形成する拡散防止層形成工程と、
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記導電材料配置工程において、
前記めっき核にPdを用いることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記導電材料配置工程において、
前記導電材料を液滴吐出法又はディスペンサー法により配置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
基板上に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極上に絶縁膜を介して対向配置された半導体層とを備え、
前記ゲート電極と前記半導体層との間には、前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のパターン形成方法により形成された拡散防止層が設けられたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記半導体層上に接続されたソース電極とドレイン電極とを備え、
前記ソース電極の上層及び前記ドレイン電極の上層の少なくともいずれかには請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のパターン形成方法により形成された拡散防止層が設けられたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の前記薄膜トランジスタを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程と、
前記隔壁に囲まれたパターン形成領域にめっき核を含有した導電材料を配置する導電材料配置工程と、
前記パターン形成領域に配置した前記導電材料を焼成して導電層を形成する導電層形成工程と、
前記導電層上に、無電解めっき法により前記めっき核を触媒として拡散防止層を形成する拡散防止層形成工程と、
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記導電材料配置工程において、
前記めっき核にPdを用いることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記導電材料配置工程において、
前記導電材料を液滴吐出法又はディスペンサー法により配置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
基板上に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極上に絶縁膜を介して対向配置された半導体層とを備え、
前記ゲート電極と前記半導体層との間には、前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のパターン形成方法により形成された拡散防止層が設けられたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記半導体層上に接続されたソース電極とドレイン電極とを備え、
前記ソース電極の上層及び前記ドレイン電極の上層の少なくともいずれかには請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のパターン形成方法により形成された拡散防止層が設けられたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の前記薄膜トランジスタを備えたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−115743(P2007−115743A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302781(P2005−302781)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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