説明

不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法

【課題】寄生容量を低減化,カップリング容量比を向上し、書き込み/消去電圧を低圧化できる。
【解決手段】pウェル領域2と、n+領域5と6間のウェル領域に跨ってゲート絶縁膜12を介して形成された選択ゲート電極(SG)と、n+領域6と接するドレイン電極Dとからなる選択トランジスタと、n+領域1と、n+領域5と電気的に接続し、n+領域1と離間するn+領域4と、n+領域1の上のトンネル絶縁膜8と、n+領域1からn+領域4の上面に跨って形成されたゲート絶縁膜12と、ゲート絶縁膜よりも厚い選択絶縁膜10と、トンネル絶縁膜,ゲート絶縁膜,および選択絶縁膜上のフローティングゲート電極(FG)と、選択絶縁膜上に形成され、FGと側方で対向して形成されたコントロールゲート電極(CG)とからなるメモリトランジスタと、選択絶縁膜を挟んでFGと対向するフローティングのn+領域1が形成される不揮発性半導体記憶装置および製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法に関し、特に、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)を絶縁層を介して対向させた単層ポリシリコンゲート不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的書き換え可能なプログラマブル・リード・オンリ・メモリ(EEPROM:Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)の基本構造はフロトックス(FLOTOX:Floating gate tunnel oxide)型と呼ばれるもので、スタックド・ゲート積層型メモリセルトランジスタとこれに直列接続された選択トランジスタとからなる。EEPROMには、ゲート間絶縁膜を間に挟み、ポリシリコンを2層に重ねてフローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)を構成する積層型の2層ポリシリコンゲートEEPROMと、1層のポリシリコンとn型半導体領域とでフローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)を構成する単層ポリシリコンゲートEEPROMがある。
【0003】
図18は、従来の2層ポリシリコンゲート構造を有する不揮発性半導体記憶装置の動作説明図であって、電子の注入(消去)動作を説明する模式的断面構造図を示す。
【0004】
図19は、従来の2層ポリシリコンゲート構造を有する不揮発性半導体記憶装置の動作説明図であって、電子の放出(書き込み)動作を説明する模式的断面構造図を示す。
【0005】
図20は、従来の単層ポリシリコンゲート構造を有する不揮発性半導体記憶装置の動作説明図であって、電子の注入(消去)動作を説明する模式的斜視図を示す。
【0006】
図21は、従来の単層ポリシリコンゲート構造を有する不揮発性半導体記憶装置の動作説明図であって、電子の放出(書き込み)動作を説明する模式的斜視図を示す。
【0007】
図22は、従来の単層ポリシリコンゲート構造を有する不揮発性半導体記憶装置において、コントロールゲート電極(CG)、フローティングゲート電極(FG)及びバックゲート電極BG間に生じるキャパシタを説明する模式的断面構造図を示す。
【0008】
従来の2層ポリシリコンゲート構造を有する不揮発性半導体記憶装置の構成は、図18乃至図19に示すように、或いは従来の単層ポリシリコンゲート構造を有する不揮発性半導体記憶装置の構成は、図20乃至図22に示すように、n型エピタキシャル基板の上に接するpウェル領域が形成されており、pウェル領域の内側の選択トランジスタの形成領域において半導体基板の上面に露出するn型ドレイン領域、n型ソース領域が形成され、n型ドレイン領域の上にはドレイン電極Dが低抵抗(オーミック)接続されている。
また、同様に、pウェル領域の内側のメモリセルトランジスタの形成領域において半導体基板の上面に露出するn型ドレイン領域、n型ソース領域が形成され、n型ソース領域の上にはソース電極Sが低抵抗(オーミック)接続されている。
【0009】
また、同様に、pウェル領域の内側の半導体基板の上面に露出するp+型半導体領域が形成され、その上にはバックゲート電極BGが低抵抗(オーミック)接続されている。
【0010】
ここで、従来の2層ポリシリコンゲート構造を有する不揮発性半導体記憶装置の構成では、図18乃至図19に示すように、ソース電極Sとドレイン電極Dとの間にフローティングゲート電極(FG)が設けられており、フローティングゲート電極(FG)の下に絶縁膜を介して半導体基板の上面に露出するように設けられたn型半導体領域が形成されている。
【0011】
また、従来の単層ポリシリコンゲート構造を有する不揮発性半導体記憶装置の構成は、図20乃至図22に示すように、n型半導体領域はコントロールゲート電極(CG)として機能する。
【0012】
図18乃至図22に示すように、各半導体領域と電極が接続される所を除き、半導体基板の上面に絶縁膜が形成されており、フローティングゲート電極(FG)の側方には局部的に厚く形成されたLOCOS絶縁膜を有する。ここで、図22に示すように、コントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)との間で生じるキャパシタをキャパシタC1、フローティングゲート電極(FG)と後述のトンネルゲート酸化膜の下のn型半導体領域との間で生じるキャパシタをキャパシタC2とする。
【0013】
図18乃至図21に示すように、従来のEEPROMは、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)間のキャパシタを利用し、フローティングゲート電極(FG)へのファウラーノルトハイムトンネリングによる電子の注入/放出により、データの消去/書き込みのモードを切換える。
【0014】
メモリセルトランジスタの消去(電子注入)動作を行う場合、図18および図20に示すように、選択トランジスタの選択ゲート電極(SG)をハイ(H)とし、ドレイン電極Dをロー(L)とし、メモリセルトランジスタのコントロールゲート電極(CG)に所望の高電圧HVを印加し、選択トランジスタをオンさせる。メモリセルトランジスタのドレイン電極Dがロー(L)なので、メモリセルトランジスタのフローティングゲート電極(FG)とドレイン電極Dとの間の局所的に絶縁膜が薄くなった部分(トンネル絶縁膜)に高電圧がかかる。この時、ドレイン電極Dからフローティングゲート電極(FG)にトンネル効果によって電子が注入されて、メモリセルトランジスタのフローティングゲート電極(FG)に電荷がたまる。その結果、メモリセルトランジスタの閾値電圧が上がる。
【0015】
一方、メモリセルトランジスタの書き込み(電子放出)動作を行う場合、図19および図21に示すように、メモリセルトランジスタのコントロールゲート電極(CG)を接地電位0Vとして選択トランジスタの選択ゲート電極(SG)をハイ(H)とし、ドレイン電極Dに高電圧HVを印加する。すると、メモリセルトランジスタのフローティングゲート電極(FG)とドレイン電極Dとの間のトンネル絶縁膜に高電圧がかかる。この時、メモリセルトランジスタのフローティングゲート電極(FG)からドレイン電極Dにトンネル効果によって電子が引き抜かれる。その結果、メモリセルトランジスタの閾値電圧が下がる。
【0016】
従来の単層ポリシリコンゲート構造を有する不揮発性半導体記憶装置は、図20乃至図22に示すように、メモリセルトランジスタのみに注目すると、メモリセルトランジスタのコントロールゲート電極(CG)がn+拡散層で形成されており、その上に絶縁膜を介して形成されたフローティングゲート電極(FG)(ポリシリコン)との間のキャパシタC1(カップリングキャパシタ)でメモリセルトランジスタのフローティングゲート電極(FG)にある程度の電位を与え、トンネル絶縁膜を介して電荷の注入/放出を行う。これにより、メモリセルトランジスタのフローティングゲート電極(FG)のしきい値電圧を変化させることができ、電子注入時には消去の動作、電子放出時には書き込みの動作を行うことができる。
【0017】
このトンネルキャパシタンスの絶縁膜厚は通常のMOSFETのゲート絶縁膜厚に等しく、選択絶縁膜厚と比較して十分に薄い。n+拡散層で形成されるメモリセルトランジスタのコントロールゲート電極(CG)には、書き込み/消去を行うために十分な高電圧を印加することになる。
【0018】
一方、不揮発性半導体記憶装置において、書き込み電圧を低減でき、大容量で高速化を図る構造が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1においては、フローティングゲート電極(FG)およびその両側に位置する一対のコントロールゲート電極(CG)によって1個のメモリセルが構成され、隣り合う複数のメモリセルは、その間に位置するコントロールゲート電極(CG)を共有し、フローティングゲート電極(FG)とその両側の一対のコントロールゲート電極(CG)とのキャパシティブキャパシタによりフローティングゲー電極(FG)が駆動される。
【0019】
単層ポリシリコンゲート型EEPROMの主な問題点としては、以下の通りである。
【0020】
まず、動作電圧に対してゲート絶縁膜厚が十分ではなく、電圧を低く抑えるためには面積を広くとる必要がある。また、コントロールゲート電極(CG)が拡散層側にあるため、書き込み/消去動作時の寄生動作が懸念される。また、寄生電流は温度に対して影響を受けやすい。また、アブノーマル動作時における絶縁膜の信頼性が低い。
【特許文献1】特開2005−101066号公報(第6−7頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ここで、EEROMに消去(電子注入)動作を行なう時、コントロールゲート電極(CG)に印加される高電圧(EEPROMに印加する電圧)を低くすることが望ましいが、EEPROMの閾値電圧をあげるため、フローティングゲート電極(FG)は所定の電圧値にする必要がある。つまり、コントロールゲート電極(CG)に印加される電圧に対してフローティングゲート電極(FG)に分圧される電圧をより大きくする必要がある。コントロールゲート電極(CG)に印加される電圧に対してフローティングゲート電極(FG)に印加される電圧をより大きくするためには、図22で示すように、コントロールゲート電極(CG)とドレイン電極D間にC1とC2が直列接続しているため、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)との間で生じるキャパシタ(C1)をより大きくする必要があり、ドレイン電極Dとフローティングゲート電極(FG)との間で生じるキャパシタ(C2)よりもフローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)との間で生じるキャパシタ(C1)の方が大きくなるように設計される。
【0022】
一方、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)との間で生じるキャパシタ(C1)を大きくするためには、
キャパシタC=ε×面積S/距離d
の関係式から、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)との対向する面積Sが大きく、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)との間の絶縁膜の厚みdが短いことが望ましい。
【0023】
一般的に、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)との間の絶縁膜の厚みdは図22で示すように選択(LOCOS)絶縁膜よりも十分に薄く、ゲート絶縁膜と同様の薄さに形成されることが多い。しかし、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)との間の絶縁膜を薄くすると、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)との間の耐圧が低下する。
【0024】
そこで、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)との間の絶縁膜をある程度の厚みとした場合、コントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)の対向する面積を広くする必要がある。その結果、EEPROMの半導体素子面積の増大を招く。フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)との間の耐圧と半導体素子面積の間には、トレードオフ関係が成立する。
【0025】
また、EEPROMに消去(電子注入)動作を行なう際、コントロールゲート電極(CG)に高電圧を印加するが、コントロールゲート電極(CG)が半導体基体内部に存在するため、コントロールゲート電極(CG)に高電圧を印加すると、n+拡散層とpウェル領域との界面が逆バイアスとなる。このため、図22に示すように、n+拡散層とpウェル領域との界面で寄生容量C3が生じ、コントロールゲート電極(CG)からpウェル領域へ寄生容量C3による寄生電流(漏れ電流)が流れる。この寄生電流はEEPROMの周囲温度に対して影響を受けやすく、EEPROMの信頼性の面で懸念される。
【0026】
また、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)(n+拡散層)との間の絶縁膜をあまり薄くしすぎると、この絶縁膜の厚みに製造バラツキなどで局部的に特に薄い領域が生じたりすることがある。書き込みのためコントロールゲート電極(CG)に印加される電圧としてある電圧以上の立ち上がりピーク電圧を有する電圧が微小時間的にでも印加されると、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)との間の絶縁膜が破壊されることがある。つまり、上記ような構造は、アブノーマル時の信頼性が低い構造となっている。
【0027】
本発明の目的は、比較的簡単な単層ポリシリコンゲート構造で、寄生容量を大幅に低減することができ、カップリングキャパシタが向上し、書き込み/消去の電圧を低電圧化でき、高耐圧で素子サイズの縮小化が可能であり、拡散構造による制限がない,不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記目的を達成するための本発明の請求項1に記載の不揮発性半導体装置は、第1導電型を有する半導体基板と、前記半導体基板の上面に露出するように前記半導体基板の内側に形成され、第1導電型と異なる第2導電型を有する第1半導体領域と、前記半導体基板の上面に露出するように前記半導体基板の内側に形成され、前記半導体基板上に第2導電型を有し、前記第1半導体領域と離間して形成された第2半導体領域と、前記第1半導体領域と前記第2半導体領域との間の前記半導体基板の上面に跨って形成され、第1絶縁膜を介して形成された選択ゲート電極と、前記第2半導体領域と低抵抗接続する第1電極とからなる選択トランジスタ部と、前記半導体基板の上面に露出するように前記半導体基板の内側に形成され、第2導電型を有する第3半導体領域と、前記半導体基板の上面に露出するように前記半導体基板の内側に形成され、前記半導体基板上に第2導電型を有し、前記第1半導体領域および前記第3半導体領域と離間して形成された第4半導体領域と、前記第3半導体領域の上に局所的にトンネル効果を生じることができる厚みの第2絶縁膜と、前記第3半導体領域から前記第4半導体領域の上面に跨って前記第2絶縁膜の形成された領域を除く領域に形成され、前記第2絶縁膜よりも厚い第3絶縁膜と、前記第3絶縁膜における前記第2絶縁膜と異なる側に形成され、前記半導体基板の上面に前記第3絶縁膜よりも厚い第4絶縁膜と、前記第2絶縁膜から前記第3絶縁膜そして前記第4絶縁膜の上へと形成された第2電極と、前記第4絶縁膜の上に形成され、前記第2電極と側方で対向して形成された第3電極とからなるメモリトランジスタ部とを備えることを特徴とする。
【0029】
本発明の請求項2に記載の不揮発性半導体装置は、請求項1に記載の不揮発性半導体装置において、前記第4絶縁膜を挟んで前記第2電極と対向する前記半導体基板の上面に露出するように前記半導体基板の内側に形成された第2導電型の第5半導体領域が形成されていることを特徴とする。
【0030】
本発明の請求項3に記載の不揮発性半導体装置は、請求項1または2に記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記第2電極と前記第3電極との間の前記第4絶縁膜上に誘電率の高い材料の層を有することを特徴とする。
【0031】
本発明の請求項4に記載の不揮発性半導体装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記第1絶縁膜と前記第3絶縁膜は一体で形成されていることを特徴とする。
【0032】
本発明の請求項5に記載の不揮発性半導体装置は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記第3半導体領域と前記第5半導体領域と前記第1半導体領域の内、すくなくとも2つ以上が連続して形成されていることを特徴とする。
【0033】
本発明の請求項6に記載の不揮発性半導体装置は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記第1乃至第4絶縁膜はシリコン酸化膜であることを特徴とする。
【0034】
本発明の請求項7に記載の不揮発性半導体装置は、請求項3に記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記誘電率の高い材料の層は、Si34膜、SiON膜、SiOxy膜、Ta25膜、TiO2膜、HfO2膜、HfON膜、HfOxy膜のいずれかまたはこれらの多層膜を備えることを特徴とする。
【0035】
本発明の請求項8に記載の不揮発性半導体装置の製造方法は、n層を準備する工程と、前記n層に対して、pウェル領域を形成する工程と、前記pウェル領域に対して、n+領域を形成する工程と、前記pウェル領域の表面を選択酸化し、選択絶縁膜を形成する工程と、前記pウェル領域の表面を熱酸化し、ゲート絶縁膜を形成する工程と、前記n+領域の所定の領域上の前記ゲート絶縁膜を除去し、トンネル絶縁膜を形成する工程と、デバイスウェハ全面にポリシリコン層を形成する工程と、前記ポリシリコン層を選択的にエッチングにより除去し、前記選択絶縁膜上にコントロールゲートポリシリコン層を形成し、前記選択絶縁膜上、前記ゲート絶縁膜上、および前記トンネル絶縁膜上にフローティングゲートポリシリコン層を形成し、前記選択絶縁膜上および前記ゲート絶縁膜上に選択ゲートポリシリコン層を形成する工程と、前記pウェル領域に対するコンタクト形成領域となるp+領域を形成する工程と、選択トランジスタのソース領域およびドレイン領域となり、メモリセルトランジスタのソース領域およびドレイン領域となるn+領域を形成する工程と、デバイスウェハ全面に保護膜を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0036】
本発明の請求項9に記載の不揮発性半導体装置の製造方法は、請求項8に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法において、前記n層は、エピタキシャル成長層からなることを特徴とする。
【0037】
本発明の請求項10に記載の不揮発性半導体装置の製造方法は請求項8に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法において、前記n層は、n型半導体基板からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、比較的簡単な単層ポリシリコンゲート構造で、寄生容量を大幅に低減することができ、カップリングキャパシタが向上し、書き込み/消去の電圧を低電圧化でき、高耐圧で素子サイズの縮小化が可能であり、拡散構造による制限がない,不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0040】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0041】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の模式的斜視図を示す。
【0042】
本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、図1に示すように、第1導電型を有する半導体基板(pウェル領域2)と、半導体基板の上面に露出するように半導体基板の内側に形成され、第1導電型と異なる第2導電型を有する第1半導体領域(n+領域5)と、半導体基板の上面に露出するように半導体基板の内側に形成され、半導体基板上に第2導電型を有し、第1半導体領域(n+領域5)と離間して形成された第2半導体領域(n+領域6)と、第1半導体領域(n+領域5)と第2半導体領域(n+領域6)との間の半導体基板の上面に跨って形成され、第1絶縁膜(12)を介して形成された選択ゲート電極(SG)と、第2半導体領域(n+領域6)と低抵抗接続する第1電極(ドレイン電極D)とからなる選択トランジスタ部を備える。
【0043】
また、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、図1に示すように、半導体基板(pウェル領域2)の上面に露出するように半導体基板の内側に形成され、第2導電型を有する第3半導体領域(n+領域1)と、半導体基板の上面に露出するように半導体基板の内側に形成され、半導体基板上に第2導電型を有し、第1半導体領域(n+領域5)および第3半導体領域(n+領域1)と離間して形成された第4半導体領域(n+領域4)と、第3半導体領域(n+領域1)の上に局所的にトンネル効果を生じることができる厚みの第2絶縁膜(トンネル絶縁膜8)と、第3半導体領域(n+領域1)から第4半導体領域(n+領域4)の上面に跨って第2絶縁膜(トンネル絶縁膜8)の形成された領域を除く領域に形成され、第2絶縁膜(トンネル絶縁膜8)よりも厚い第3絶縁膜と、第3絶縁膜における第2絶縁膜(トンネル絶縁膜8)と異なる側に隣接し、半導体基板の上面に第3絶縁膜よりも厚い第4絶縁膜10と、第2絶縁膜(トンネル絶縁膜8)と第3絶縁膜と第4絶縁膜10の上に形成された第2電極(FG)と、第4絶縁膜(選択絶縁膜10)上に形成され、第2電極(FG)と側方で対向して形成された第3電極(CG)とからなるメモリトランジスタ部とを備える。
【0044】
ここで、第1絶縁膜と第3絶縁膜を、連続して形成されたゲート絶縁膜として形成してもよい。また、第1半導体領域、第3半導体領域、第5半導体領域の内、すくなくとも2つ以上が連続的に形成され、一つの領域に形成されていてもよい。例えば、第3半導体領域と第5半導体領域でn+領域1を形成してもよい。
【0045】
本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、図1に示すように、第4絶縁膜10を挟んで第2電極(FG)と対向する半導体基板の上面に露出するように半導体基板の内側に形成された、フローティングの第2導電型の第5半導体領域(n+領域1)が形成されていることが望ましい。
【0046】
また、第4半導体領域(n+領域4)は、ソース電極(図示せず)と接続され、半導体基板の上面に露出するように、半導体基板の内側に形成され、第1導電型を有する第5半導体領域(p+領域3)には、バックゲート電極(BG)が形成されている。
【0047】
また、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、図1に示すように、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)との間の第4絶縁膜10上に誘電率の高い材料を有することが望ましい。例えば、誘電率の高い材料としては、例えば、Si34膜、SiON膜、SiOxy膜、Ta25膜、TiO2膜、HfO2膜、HfON膜、HfOxy膜のいずれかあるいはこれらの多層膜などを適用することができる。
これらの膜の形成においては、化学的気層堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法などを用いることができる。
【0048】
また、誘電率の高い材料を不揮発性半導体記憶装置の上面を覆うように形成することによって、保護膜としての機能も兼ねることができる。
【0049】
また、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、図1に示すように、第1乃至第4絶縁膜はシリコン酸化膜などで形成することができる。
【0050】
(回路構成と動作波形)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の模式的回路構成図を示す。また、図3は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作波形の模式図を示す。
【0051】
図2に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の1つのメモリセルの回路構成は、選択ゲート電極(SG)からなるゲート端子Gsを有する選択トランジスタと、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)からなるゲート端子Gcを有するメモリセルトランジスタが、直列接続された構成を有する。
【0052】
図3に示すように、消去(電子注入)動作時においては、選択トランジスタのゲート端子GsにVGsのパルス電圧を印加し、同時にメモリセルトランジスタのゲート端子GcにVGcのパルス電圧を印加する。この動作によって、選択トランジスタはオン状態となり、メモリセルトランジスタのソース・ドレイン間は同電位となる。メモリセルトランジスタのコントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)間のキャパシタ分割によって、VGsのパルス電圧の分配された電圧がフローティングゲート電極(FG)に印加されて、ドレイン電極Dおよび同電位のバックゲート電極(BG)に接続された基板側から電子がフローティングゲート電極(FG)に注入され、メモリセルトランジスタの閾値Vthは上昇し、消去動作が行なわれる。
【0053】
次に、パルス電圧VGcおよびパルス電圧VGsを、図3に示すように0Vとしても、フローティングゲート電極(FG)内に電子が保持されて、消去状態が維持される。図3に示すように、メモリセルトランジスタの閾値Vthは、上昇された状態が維持されている。
【0054】
次に、選択トランジスタのゲート端子GsにVGsのパルス電圧を印加して、選択トランジスタをオンさせた状態で、ソース電極Sを開放状態にして、同時にドレイン電極Dにパルス電圧VDを印加すると、フローティングゲート電極(FG)内に保持されていた電子がドレイン電極D側に吐き出されて、書き込み(電子放出)動作が行なわれる。図3に示すように、メモリセルトランジスタの閾値Vthは、低減される。
【0055】
(キャパシタ等価回路)
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置において、コントロールゲート電極(CG)、フローティングゲート電極(FG)及び接地電位GND間のキャパシタ等価回路の模式的構成図を示す。
【0056】
キャパシタCAは、コントロールゲート電極(CG)−フローティングゲート電極(FG)間のキャパシタであり、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)を絶縁層を介して対向させた単層ポリシリコンゲート間のキャパシタである。
【0057】
キャパシタCBは、フローティングゲート電極(FG)−フローティングのn+領域1間のキャパシタであり、フローティングゲート電極(FG)のポリシリコンとフローティング状態のn+領域1間の寄生容量である。
【0058】
キャパシタCCは、フローティングのn+領域1と接地電位GND間のキャパシタであり、フローティングの第3半導体領域(n+領域1)と接地電位にある半導体基板(pウェル領域2)間の接合キャパシタである。
【0059】
キャパシタCDは、トンネル絶縁膜8のキャパシタである。
【0060】
図4に示すように、コントロールゲート電極(CG)と接地電位GND間に印加する電圧Vを一定とした時、フローティングゲート電極(FG)に加わる電圧は、CA・V/{CA+CB・CC/(CB+CC)+CD}となる。ここで、キャパシタCAとキャパシタCDは一定であるので、キャパシタCBとキャパシタCCの寄生容量を考慮することで、フローティングゲート電極(FG)に印加される電圧を高くすることができる。したがって、従来の構造であるキャパシタCBのみ存在する場合より、フローティングの第5半導体領域(n+領域1)を設けることで、寄生容量を低減することが可能となる。尚、フローティングの第5半導体領域(n+領域1)は、フローティングゲート電極(FG)の下側に配置される。
【0061】
本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成においては、第4絶縁膜10の上に形成されたフローティングゲート電極(FG)の下にフローティングの第3半導体領域(n+領域1)が形成されている。メモリセルトランジスタに対して消去(電子注入)動作時、EEPROMには選択トランジスタの選択ゲート電極(SG)をハイ(H)とし、ドレイン電極Dをロー(L)とし、メモリセルトランジスタのコントロールゲート電極(CG)に所望の高電圧(HV)を印加し、選択トランジスタをオンさせる。この時、フローティングの第5半導体領域(n+領域)1と半導体基板(pウェル領域)2との界面には空乏層が生じ、接合キャパシタCCが発生する。コントロールゲート電極(CG)とpウェル領域2との間では、キャパシタCA と “キャパシタCBとキャパシタCCの直列接続とキャパシタCDとの並列接続”からなるキャパシタが直列に接続されている。
【0062】
よって、n+領域1を設け、第5半導体領域(n+領域)1と半導体基板(pウェル領域)2との間のキャパシタCCを介在することによって、フローティングゲート電極(FG)と半導体基板(pウェル領域)2との間のキャパシタCB・CC/(CB+CC)を低減することができ、容量カップリング比を向上することができる。つまり、フローティングゲート電極(FG)の分配された電位を上げることができるので、書き込み/消去のコントロールゲート電極(CG)/ドレイン電極Dに印加する電圧を低減することができる。
【0063】
(平面パターン構成)
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の模式的平面パターン構成図を示す。 図5は、図1を上面から見た平面パターンに対応し、コントロールゲート電極(CG)、フローティングゲート電極(FG)、及び選択ゲート電極(SG)のいずれも、単層のポリシリコンによって形成されている。コントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)は鍵つめ型(ラダー型)に接近して配置され、間隔約500nm程度に形成されている。
【0064】
また、図6は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置において、図5に対応した各半導体領域に着目した模式的平面パターン構成図(半導体基板2の上面に露出する各半導体領域の模式的平面パターン構成図)を示す。フローティングのn+領域1は、フローティングゲート電極(FG)の下側に配置される。
【0065】
本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成は、図1,図5乃至図6に示すように、コントロールゲート電極(CG)が第4絶縁膜10の上に形成されており、コントロールゲート電極(CG)の側面と対向するように選択絶縁膜10の上にコントロールゲート電極(CG)とカップリングキャパシタ(接合容量)CAを得るためのフローティングゲート電極(FG)が形成されている点に特徴を有する。
【0066】
なお、コントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)も共に不純物を添加した導電性を有するポリシリコンで形成されている。例えば、コントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)の厚みは約300nm程度であり、コントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)間の間隔は約500nm程度である。
【0067】
本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成は、単層のポリシリコンゲート構造を備えることから、従来の単層ポリシリコンゲート構造のようにコントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)との間のゲート間絶縁膜の厚み(例えば250Å程度)を考慮する必要がなく、コントロールゲート電極(CG)が第4絶縁膜10の上に形成できるため、コントロールゲート電極(CG)と半導体基板2との耐圧を向上することができる。
【0068】
本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成においては、コントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)とのカップリングキャパシタはシリコン絶縁膜を介する縦方向ではなく、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)のポリシリコン間の横方向となる。上方から見て、図5に示すように、コントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)を互いに鍵つめ型(ラダー型)に配置して、チップサイズを大きくすることなく、コントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)との対向する面積を容易に増加させることができる。
【0069】
つまり、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成においては、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)のパターンを変更することで、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)との間で生じるカップリングキャパシタ(キャパシタCA)を容易に大きくすることができる。その結果、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)との間の耐圧とチップ面積のトレードオフ関係を克服し、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)間の高耐圧を微細化されたチップ面積と共に実現することができる。
【0070】
本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成においては、コントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)との対向する面積を容易に増加させることができるので、コントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)との距離を従来の2層ポリシリコンゲート構造のEEPROMに比べて容易に十分広くすることができる。すなわち、従来の2層ポリシリコンゲート構造のEEPROMの場合、ゲート間絶縁膜の厚み程度であるのに対して、コントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)との距離をゲート間絶縁膜の厚み程度よりも十分に広く設定することができる。
【0071】
従って、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成においては、コントロールゲート電極(CG)と半導体基板2との耐圧を向上することができる点と合わせて、高耐圧で動作させることができ、書き込み時に入力電圧値以上の立ち上がりピーク電圧を有する電圧が印加されても、安定して動作することができる。以上から、高耐圧化、またはチップ面積を小さくすることができる。
【0072】
また、コントロールゲート電極(CG)が各半導体領域(1〜6)及びフローティングゲート電極(FG)と接しておらず、絶縁されているため、寄生動作を生じないため、寄生効果を考慮する必要がない。
【0073】
さらに、アブノーマル動作時に対しても従来構造よりも、サージ電圧、サージ電流に対する耐量、dV/dt耐量、di/dt耐量などが高くなり、信頼性が向上する。
【0074】
また、コントロールゲート電極(CG)−フローティングゲート電極(FG)間、コントロールゲート電極(CG)−バックゲート電極BG(半導体領域3)間の耐圧が十分高いため、EEPROM動作の高耐圧化が可能である。また、高耐圧化により素子面積の縮小化も可能である。
【0075】
(製造方法)
本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法においては、単層ポリシリコンゲートプロセスにおいて、第4絶縁膜4上にコントロールゲート電極(CG)を作成する点に特徴を有する。
【0076】
図7乃至図16は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の一工程を説明する模式的断面構造図を示す。図7乃至図16を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を以下に説明する。
【0077】
(a)まず、図7に示すように、n型不純物が添加された半導体基体7に対して、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの原子のイオン注入および熱処理工程若しくは拡散工程によって、pウェル領域2を形成する。尚、半導体基体7の不純物密度は、例えば約1013〜1017cm-3程度であり、pウェル領域2の不純物密度は、例えば約1013〜1017cm-3程度である。また、半導体基体7は必ずしもエピタキシャル成長によって形成される必要はなく、例えば、p型半導体基板に対して、リン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)などの原子のイオン注入および熱処理工程若しくは拡散工程によって、nウェル拡散領域として形成されていてもよい。
【0078】
(b)次に、図8に示すように、pウェル領域2に対して、リン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)などの原子のイオン注入および熱処理工程若しくは拡散工程によって、第3および第5半導体領域となるn+領域1を形成する。n+領域1の不純物密度は、例えば約1018〜1021cm-3程度であり、拡散深さは、例えば約0.2〜0.5μm程度である。
【0079】
(c)次に、図9に示すように、pウェル領域2の表面を選択酸化し、選択絶縁膜10を形成する。この場合の選択酸化工程は、例えば、シリコンの局所酸化(LOCOS:Local Oxidation of Silicon)技術を用いることができる。
【0080】
(d)次に、図10に示すように、pウェル領域2の表面を熱酸化し、所定の厚さのゲート絶縁膜12を形成する。ゲート絶縁膜12の厚さとしては、選択絶縁膜10よりも薄く、例えば約10nm〜200nm、より好ましくは約10nm〜50nm程度である。
【0081】
(e)次に、図11に示すように、n+領域1の所定の領域上のゲート絶縁膜12をエッチングにより除去し、トンネル絶縁膜8を熱酸化工程などによって形成する。トンネル絶縁膜8の厚さは、トンネル電流が導通可能な程度の厚さであれば良く、例えば、約1.2nm〜20nm、より好ましくは約1.2nm〜10nm程度である。
【0082】
(f)次に、図12に示すように、デバイスウェハ全面にポリシリコン層を形成する。ノンドープのポリシリコン層を堆積後、不純物添加により導電性を持たせても良いし、予めドープトポリシリコンを形成しても良い。ポリシリコン層14の厚さは、例えば約100nm〜800nm程度であり、望ましくは、400nm〜600nm程度である。
【0083】
(g)次に、図13に示すように、ポリシリコン層14を選択的にエッチングにより除去し、所定の部分にコントロールゲート電極(CG)、フローティングゲート電極(FG)、選択ゲート電極(SG)を残す。選択絶縁膜10上に形成されるコントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)間の対向部分において、コントロールゲート電極(CG)―フローティングゲート電極(FG)間のキャパシタCA領域が形成される。
【0084】
(h)次に、図14に示すように、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの原子のイオン注入および熱処理工程若しくは拡散工程によって、p+領域3を形成する。p+領域3は、pウェル領域2に対するコンタクト形成領域となる領域であり、バックゲート電極BGのコンタクトが形成される領域となる。
【0085】
(i)次に、図15に示すように、リン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)などの原子のイオン注入および熱処理工程若しくは拡散工程によって、n+領域4,5,6を形成する。n+領域5および6は、選択トランジスタのソース領域およびドレイン領域となり、n+領域4および5は、メモリセルトランジスタのソース領域およびドレイン領域となる。
【0086】
(j)次に、図16に示すように、デバイスウェハ全面に保護膜16を形成する。
【0087】
引き続き、コントロールゲート電極(CG)、フローティングゲート電極(FG)、選択ゲート電極(SG)およびバックゲート電極(BG)の電極配線の製造工程が継続されるが、これらの工程は、通常の配線形成工程と同様であるため、説明を省略する。
【0088】
本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法によれば、コントロールゲート電極(CG)を形成する際に、フローティングゲート電極(FG)、選択ゲート電極(SG)の少なくとも1つと同時に形成することができるので、製造が容易である。
【0089】
また、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法によれば、保護膜16をコントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)との間にも入り込ませ、保護膜16の材料を前記誘電率の高い材料で形成することで、保護膜16、誘電膜、層間膜としての機能を持ち、これらの機能を有する膜として容易に形成することができる。
【0090】
(変形例)
図17(a)乃至(c)は、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の模式的平面パターン構成図であって、図17(a)は、コントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)がラダ―形状に配置される例、図17(b)は、コントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)が螺旋状構造に配置される例、図17(c)は、コントロールゲート電極(CG)のパターン内にフローティングゲート電極(FG)が配置される囲み型構造の例をそれぞれ示している。図17(a)は、図5の変形例であって、コントロールゲート電極(CG)、フローティングゲート電極(FG)のフィンガーの長さが長く形成され、その分だけキャパシタCAを増加した構成を表している。図17(a)乃至(c)の構造は、コントロールゲート電極(CG)とコントロールゲート電極(CG)に対向して配置されるフローティングゲート電極(FG)の選択絶縁膜10上における配置パターンを主として表したものである。デバイス活性領域における選択ゲート電極(SG)、バックゲート電極(BG)、フローティングゲート電極(FG)の配置パターンについては、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置と同様に、形成することができる。
【0091】
本発明の第1の実施の形態およびその変形例に係る不揮発性半導体記憶装置においては、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)間に、ゲート絶縁膜より遙かに厚い絶縁膜を介在させることができるため、耐圧が高く、従来構造での仕様電圧〜高圧まで自由に動作電圧を可変することができる。さらに、本発明の第1の実施の形態およびその変形例に係る不揮発性半導体記憶装置においては、高電圧で使用する場合は、素子サイズを縮小化することも可能である。
【0092】
また、本発明の第1の実施の形態およびその変形例に係る不揮発性半導体記憶装置においては、コントロールゲート電極(CG)がポリシリコンにより形成可能になったため、選択絶縁膜10上であればどこでもコントロールゲート電極(CG)を配置することができるため、拡散構造による制限がない。
【0093】
また、本発明の第1の実施の形態およびその変形例に係る不揮発性半導体記憶装置においては、フローティングゲート電極(FG)のポリシリコン下の拡散層にフローティングのn+領域1を設けることで、コントロールゲート電極(CG)、フローティングゲート電極(FG)の配置箇所に制限はできるが、寄生容量を大幅に低減することができる。これにより、容量カップリング比が向上し、書き込み/消去の電圧をさらに低減化し、抑制することができる。
【0094】
本発明の第1の実施の形態およびその変形例に係る不揮発性半導体記憶装置によれば、比較的簡単な単層ポリシリコンゲート構造で、寄生容量を大幅に低減することができ、容量キャパシタ比が向上し、書き込み/消去の電圧を低電圧化でき、高耐圧で素子サイズの縮小化が可能であり、拡散構造による制限がない,不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法を提供することができる。
【0095】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1の実施の形態及びその変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものでないと理解すべきである。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0096】
上記のように、本発明の第1の実施の形態及びその変形例に係る半導体装置においては、シリコン材料を適用する場合を例として述べたが、材料としてはシリコンに限定されるものではなく、シリコンカーバイド、窒化ガリウム系半導体、GaAs系半導体、InP系半導体なども適用可能である。
【0097】
また、本発明の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置において、選択トランジスタのデバイス構造は、横型に限らず縦型に形成しても良い。さらに、電界効果トランジスタのゲート構造として、MOS型に限定されず、MIS(Metal Insulator Semiconductor)型、接合型、ヘテロ接合ゲート型、2次元電子ガス(2DEG:Two Dimensional Electron Gas)構造を備えていても良い。
【0098】
また、本発明の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置において、フローティングゲート電極(FG)とコントロールゲート電極(CG)との間に空気よりも誘電率の高い誘電膜を挟んでも良い。また、各半導体領域の導電型は逆でも良い。
【0099】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の模式的斜視図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の模式的回路構成図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作波形の模式図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置において、コントロールゲート電極(CG)、フローティングゲート電極(FG)及び接地電位GND間のキャパシタ等価回路の模式的構成図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の模式的平面パターン構成図。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置において、各半導体領域に着目した模式的平面パターン構成図。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の一工程を説明する模式的断面構造図。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の一工程を説明する模式的断面構造図。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の一工程を説明する模式的断面構造図。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の一工程を説明する模式的断面構造図。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の一工程を説明する模式的断面構造図。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の一工程を説明する模式的断面構造図。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の一工程を説明する模式的断面構造図。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の一工程を説明する模式的断面構造図。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の一工程を説明する模式的断面構造図。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の一工程を説明する模式的断面構造図。
【図17】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の模式的平面パターン構成図であって、(a)コントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)が櫛の歯状に配置される例、(b)コントロールゲート電極(CG)とフローティングゲート電極(FG)が渦巻き状に配置される例、(c)コントロールゲート電極(CG)のパターン内にフローティングゲート電極(FG)が配置される例。
【図18】従来の2層ポリシリコンゲート構造を有する不揮発性半導体記憶装置の動作説明図であって、電子の注入(消去)動作を説明する模式的断面構造図。
【図19】従来の2層ポリシリコンゲート構造を有する不揮発性半導体記憶装置の動作説明図であって、電子の放出(書き込み)動作を説明する模式的断面構造図。
【図20】従来の単層ポリシリコンゲート構造を有する不揮発性半導体記憶装置の動作説明図であって、電子の注入(消去)動作を説明する模式的斜視図。
【図21】従来の単層ポリシリコンゲート構造を有する不揮発性半導体記憶装置の動作説明図であって、電子の放出(書き込み)動作を説明する模式的斜視図。
【図22】従来の単層ポリシリコンゲート構造を有する不揮発性半導体記憶装置において、コントロールゲート電極(CG)、フローティングゲート電極(FG)及びバックゲート電極BG間のキャパシタを説明するの模式的断面構造図。
【符号の説明】
【0101】
1…n+領域(第3および第5半導体領域)
2…pウェル領域(半導体基板)
3…p+領域
4…n+領域(第4半導体領域)
5…n+領域(第1半導体領域)
6…n+領域(第2半導体領域)
7…半導体基体
8…トンネル絶縁膜(第2絶縁膜)
10…選択絶縁膜(第4絶縁膜)
12…ゲート絶縁膜(第1および第3絶縁膜)
14…ポリシリコン層
16…保護膜
FG…フローティングゲート電極(第2電極)
CG…コントロールゲート電極(第3電極)
SG…選択ゲート電極
BG…バックゲート電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型を有する半導体基板と、
前記半導体基板の上面に露出するように前記半導体基板の内側に形成され、第1導電型と異なる第2導電型を有する第1半導体領域と、
前記半導体基板の上面に露出するように前記半導体基板の内側に形成され、前記半導体基板上に第2導電型を有し、前記第1半導体領域と離間して形成された第2半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域との間の前記半導体基板の上面に跨って形成され、第1絶縁膜を介して形成された選択ゲート電極と、
前記第2半導体領域と低抵抗接続する第1電極とからなる選択トランジスタ部と、
前記半導体基板の上面に露出するように前記半導体基板の内側に形成され、第2導電型を有する第3半導体領域と、
前記半導体基板の上面に露出するように前記半導体基板の内側に形成され、前記半導体基板上に第2導電型を有し、前記第1半導体領域および前記第3半導体領域と離間して形成された第4半導体領域と、
前記第3半導体領域の上に局所的にトンネル効果を生じることができる厚みの第2絶縁膜と、
前記第3半導体領域から前記第4半導体領域の上面に跨って前記第2絶縁膜の形成された領域を除く領域に形成され、前記第2絶縁膜よりも厚い第3絶縁膜と、
前記第3絶縁膜における前記第2絶縁膜と異なる側に形成され、前記半導体基板の上面に前記第3絶縁膜よりも厚い第4絶縁膜と、
前記第2絶縁膜から前記第3絶縁膜そして前記第4絶縁膜の上へと形成された第2電極と、
前記第4絶縁膜の上に形成され、前記第2電極と側方で対向して形成された第3電極とからなるメモリトランジスタ部
とを備えることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第4絶縁膜を挟んで前記第2電極と対向する前記半導体基板の上面に露出するように前記半導体基板の内側に形成された第2導電型の第5半導体領域が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2電極と前記第3電極との間の前記第4絶縁膜上に誘電率の高い材料の層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1絶縁膜と前記第3絶縁膜は一体で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第3半導体領域と前記第5半導体領域と前記第1半導体領域の内、すくなくとも2つ以上が連続して形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1乃至第4絶縁膜はシリコン酸化膜であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項7】
前記誘電率の高い材料の層は、Si34膜、SiON膜、SiOxy膜、Ta25膜、TiO2膜、HfO2膜、HfON膜、HfOxy膜のいずれかまたはこれらの多層膜を備えることを特徴とする請求項3に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項8】
n層を準備する工程と、
前記n層に対して、pウェル領域を形成する工程と、
前記pウェル領域に対して、n+領域を形成する工程と、
前記pウェル領域の表面を選択酸化し、選択絶縁膜を形成する工程と、
前記pウェル領域の表面を熱酸化し、ゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記n+領域の所定の領域上の前記ゲート絶縁膜を除去し、トンネル絶縁膜を形成する工程と、
デバイスウェハ全面にポリシリコン層を形成する工程と、
前記ポリシリコン層を選択的にエッチングにより除去し、前記選択絶縁膜上にコントロールゲートポリシリコン層を形成し、前記選択絶縁膜上、前記ゲート絶縁膜上、および前記トンネル絶縁膜上にフローティングゲートポリシリコン層を形成し、前記選択絶縁膜上および前記ゲート絶縁膜上に選択ゲートポリシリコン層を形成する工程と、
前記pウェル領域に対するコンタクト形成領域となるp+領域を形成する工程と、
選択トランジスタのソース領域およびドレイン領域となり、メモリセルトランジスタのソース領域およびドレイン領域となるn+領域を形成する工程と、
デバイスウェハ全面に保護膜を形成する工程と
を有することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項9】
前記n層は、エピタキシャル成長層からなることを特徴とする請求項8に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項10】
前記n層は、n型半導体基板からなることを特徴とする請求項8に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−305819(P2008−305819A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148811(P2007−148811)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】