説明

内燃機関の制御装置

【課題】この発明は、内燃機関の制御装置に関し、排気弁の高温時に排気弁を効果的に冷却することを目的とする。
【解決手段】本発明の内燃機関の制御装置は、内燃機関10の排気通路14に設けられた触媒と、内燃機関10のモータリング時に吸気弁36および排気弁38を共に閉状態に保持する弁制御手段と、内燃機関の所定部位の温度を測定または推定する温度取得手段と、上記モータリング時に上記温度取得手段により測定または推定された温度が所定値以上であった場合には、吸気弁36を一時的に開状態に保持することにより、新気を気筒内に繰り返し出入りさせて排気弁38を冷却する排気弁冷却手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許3209046号公報には、内燃機関と電動機(回転電機)とが機械的に連結されたハイブリッド車において、内燃機関の運転を停止して電動機のみで走行するとき、つまり内燃機関がモータリング状態となるときに、内燃機関の引きずり損失を軽減するため、吸気弁を閉状態に、排気弁を開状態にそれぞれ固定することにより、内燃機関のポンプロスを低減するようにしたシステムが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特許3209046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内燃機関が高回転高負荷で運転されると、排気弁は高温となる。上記従来のシステムにおいて、排気弁が高温のときに内燃機関の運転が停止されると、新気が気筒内に吸入されないので、排気弁の温度がなかなか下がらない。そして、排気弁の温度が下がらないうちに内燃機関の運転が再開された場合には、高温の排気弁がノッキングを誘発し易いという問題がある。
【0005】
上記の事情は、電動機のみで走行するときに内燃機関の回転を停止可能なタイプのハイブリッド車でも同様である。
【0006】
更に、内燃機関のみを駆動源とする通常の車両においても、排気浄化触媒の劣化を抑制するべく、減速時の燃料カット中に吸気弁あるいは排気弁を閉状態で停止させる制御を行う車両の場合には、燃料カット中に排気弁の温度が下がりにくいので、上記と同様の問題がある。
【0007】
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、排気弁の高温時に排気弁を効果的に冷却することのできる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の制御装置であって、
内燃機関のモータリング時に吸気弁および排気弁を共に閉状態に保持する弁制御手段と、
前記内燃機関の所定部位の温度を測定または推定する温度取得手段と、
前記モータリング時に前記温度取得手段により測定または推定された温度が所定値以上であった場合には、前記吸気弁を一時的に開状態に保持することにより、新気を気筒内に繰り返し出入りさせて前記排気弁を冷却する排気弁冷却手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記排気弁冷却手段は、前記吸気弁を一時的に開状態に保持した後、前記吸気弁を上死点付近で閉じることを特徴とする。
【0010】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記モータリング時は、エンジンブレーキ時であり、
前記排気弁冷却手段が前記吸気弁を一時的に開状態に保持しているときの前記吸気弁のリフト量を、エンジンブレーキ要求度に応じて制御するエンジンブレーキ制御手段を更に備えることを特徴とする。
【0011】
また、第4の発明は、内燃機関の制御装置であって、
内燃機関と電動機とのハイブリッドシステムであって、前記電動機を運転し前記内燃機関を燃焼停止する場合に前記内燃機関の回転を停止可能なハイブリッドシステムと、
前記内燃機関の所定部位の温度を測定または推定する温度取得手段と、
前記内燃機関の燃焼停止時に、前記温度取得手段により測定または推定された温度が所定値以上であった場合には、気筒内に閉じ込めた空気が膨張するように、吸気弁、排気弁およびピストンの動きを制御することにより、気筒内空気が膨張する際の温度低下を利用して前記排気弁を冷却する排気弁冷却手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
また、第5の発明は、第4の発明において、
前記排気弁冷却手段は、
前記排気弁を閉状態に保持する排気弁制御手段と、
前記吸気弁を一旦開き、上死点付近で閉じた後に閉状態に保持する吸気弁制御手段と、
前記吸気弁が上死点付近で閉じた後に、前記ピストンを下死点付近へ移動させた状態で所定時間保持するピストン位置制御手段と、
を含むことを特徴とする。
【0013】
また、第6の発明は、第5の発明において、
前記排気弁冷却手段は、前記吸気弁制御手段および前記ピストン位置制御手段による制御動作を、所定の時間間隔を空けて、複数サイクル繰り返し実行することを特徴とする。
【0014】
また、第7の発明は、第1乃至第6の発明の何れかにおいて、
前記所定部位は、前記排気弁であることを特徴とする。
【0015】
また、第8の発明は、第1乃至第7の発明の何れかにおいて、
前記内燃機関の排気通路に触媒を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、内燃機関のモータリング時に排気通路への新気の漏出を確実に防止することができるとともに、モータリング時に測定または推定された所定部位の温度が所定値以上であった場合には、吸気弁を一時的に開状態に保持することにより、新気を気筒内に繰り返し出入りさせて排気弁を冷却することができる。このため、排気弁が高温である場合に、排気通路への新気の漏出を防止しつつ、排気弁の温度を効果的に低下させることができる。その結果、内燃機関の燃焼が再開された後、排気弁によってノッキングが誘発されることを確実に防止することができる。
【0017】
第2の発明によれば、排気弁冷却時に、吸気弁を一時的に開状態に保持した後、吸気弁を上死点付近で閉じることができる。これにより、次に吸気弁が開いたときに高圧の空気が筒内から吸気マニホールドに噴き戻されることを確実に防止することができるので、異音や振動の発生を防止することができる。
【0018】
第3の発明によれば、エンジンブレーキ時に排気弁を冷却する場合において、吸気弁を一時的に開状態に保持しているときの吸気弁のリフト量を、エンジンブレーキ要求度に応じて制御することができる。これにより、運転者の期待に沿ったエンジンブレーキ力を発生することができ、優れたドライバビリティが得られる。
【0019】
第4の発明によれば、ハイブリッドシステムにおける内燃機関の燃焼停止時に、測定または推定された所定部位の温度が所定値以上であった場合には、気筒内に閉じ込めた空気が膨張するように、吸気弁、排気弁およびピストンの動きを制御することにより、気筒内空気が膨張する際の温度低下を利用して排気弁を冷却することができる。このため、排気弁が高温である場合に、排気通路への新気の漏出を防止しつつ、排気弁の温度を効果的に低下させることができる。その結果、内燃機関の燃焼が再開された後、排気弁によってノッキングが誘発されることを確実に防止することができる。特に、第4の発明によれば、筒内空気温度を外気温より大幅に低い温度とすることができるので、排気弁を高い効率で冷却することができる。
【0020】
第5の発明によれば、排気弁を冷却する際、排気弁を閉状態に保持するとともに、吸気弁を一旦開き、上死点付近で閉じた後に閉状態に保持しつつ、ピストンを下死点付近へ移動させた状態でピストン位置を所定時間保持することができる。これにより、筒内空気の膨張による温度低下をより高い効率で利用して、排気弁の温度を迅速に低下させることができる。
【0021】
第6の発明によれば、排気弁冷却時の制御動作を、所定の時間間隔を空けて、複数サイクル繰り返し実行することができる。これにより、排気弁の温度を十分に低下させることができる。
【0022】
第7の発明によれば、排気弁の温度を推定または検出し、その推定または検出された排気弁温度が所定温度以上である場合に、排気弁冷却のための制御を実行することができる。第7の発明によれば、排気弁そのものの温度に応じて、排気弁冷却制御の実行の要否を判断することができるので、排気弁冷却制御を過不足なく実行することができる。
【0023】
第8の発明によれば、内燃機関のモータリング時に新気が排気通路に流れて触媒に流入することを確実に防止することができる。このため、触媒の劣化を確実に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0025】
実施の形態1.
[システム構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を示す図である。図1に示すシステムは、内燃機関10を備えている。内燃機関10は、車両に搭載されているものとする。本実施形態の内燃機関10は、直列4気筒型のものであり、図1には、そのうちの一つの気筒の断面が表されている。
【0026】
内燃機関10には、吸気通路12および排気通路14が連通している。吸気通路12は、上流側の端部にエアフィルタ16を備えている。エアフィルタ16の下流側には、吸気通路12を流れる空気量を検出するエアフロメータ20が配置されている。
【0027】
エアフロメータ20の下流側には、スロットル弁22が設けられている。スロットル弁22の近傍には、スロットル開度TAを検出するスロットルポジションセンサ24が配置されている。スロットル弁22の下流には、サージタンク28が設けられている。サージタンク28の下流では、吸気通路12が気筒数に分割されて各気筒と接続されている。
【0028】
内燃機関10の各気筒には、燃焼室内(筒内)に燃料を噴射する燃料インジェクタ30が設けられている。なお、燃料インジェクタ30は、吸気ポートに燃料を噴射するように配置されていても良い。一方、排気通路14の途中には、排気ガスを浄化するための触媒32が設置されている。
【0029】
また、各気筒には、吸気弁36および排気弁38が備えられている。そして、内燃機関10は、吸気弁36を駆動する吸気可変動弁装置48と、排気弁38を駆動する排気可変動弁装置50とを備えている。
【0030】
また、各気筒には、燃焼室内の混合気に点火するための点火プラグ(図示せず)が設けられている。更に、筒内には、その内部を往復運動するピストン44が設けられている。
【0031】
本実施形態のシステムは、更に、ECU(Electronic Control Unit)40を備えている。ECU40には、上述した各種センサに加え、クランク軸の回転角を検出するクランク角センサ70や、上述した燃料インジェクタ30、吸気可変動弁装置48、排気可変動弁装置50などの各アクチュエータが接続されている。
【0032】
図2は、図1に示すシステムが備える吸気可変動弁装置48の構成を示す図である。以下、この図を参照して、吸気可変動弁装置48について更に説明する。
【0033】
図2に示すように、内燃機関10は、1気筒当たり2つの吸気弁36を備えている。そして、内燃機関10は、前述したように4つの気筒(#1〜#4)を備えており、#1→#3→#4→#2の順で燃焼が行われる。吸気可変動弁装置48は、2つの装置、すなわち吸気可変動弁装置48Aと吸気可変動弁装置48Bとで構成されている。吸気可変動弁装置48Aは#2気筒および#3気筒の吸気弁36を駆動し、吸気可変動弁装置48Bは#1気筒および#4気筒の吸気弁36を駆動する。
【0034】
吸気可変動弁装置48Aは、モータ54Aと、モータ54Aの回転運動を伝達するギヤ列56Aと、吸気弁36をリフトさせるカム62を有するカムシャフト58Aとを備えている。同様に、吸気可変動弁装置48Bは、モータ54Bと、ギヤ列56Bと、カムシャフト58Bとを備えている。
【0035】
モータ54A,54Bは、それぞれ、回転速度および回転角度の制御が可能なサーボモータである。このモータ54A,54Bとしては、例えばDCブラシレスモータ等が好ましく用いられる。このモータ54A,54Bには、その回転位置(回転角度)を検出するためのレゾルバ、ロータリーエンコーダ等の回転角検出センサが内蔵されている。ECU40は、その回転角検出センサにより検出されるモータ54A,54Bの回転速度および回転角度が目標値に一致するように、モータ54A,54Bの作動をフィードバック制御する。
【0036】
カムシャフト58Aは、#2,#3気筒の吸気弁36の上部に配置されている。このカムシャフト58Aは、中空状をなしている。一方、カムシャフト58Bは、2つに分割された状態で、#1,#4気筒の吸気弁36の上部に配置されている。2つに分割されたカムシャフト58Bは、カムシャフト58Aの中空部に挿通された連結軸を介して連結され、一体となって回転するように構成されている。カムシャフト58A,58Bには、それぞれ、カム駆動ギヤ60A,60Bが設置されている。
【0037】
ギヤ列56Aは、モータ54Aの出力軸に取り付けられたモータギヤ64Aの回転を、中間ギヤ66Aを介してカム駆動ギヤ60Aに伝達することにより、カムシャフト58Aを回転させる。同様に、ギヤ列56Bは、モータ54Bの出力軸に取り付けられたモータギヤ64Bの回転をカム駆動ギヤ60に伝達することにより、カムシャフト58Bを回転させる。
【0038】
図3は、カム62によって吸気弁36が駆動される様子を示す模式図である。カム62は、吸気弁36の弁軸端に設置されたタペット68と対向している。吸気弁36は、図示しないバルブスプリングにより、カム62側に付勢されている。カム62のベース円部分62bがタペット68と対向しているときには、バルブスプリングの付勢力により、吸気ポートに形成された弁座に吸気弁36が密着し、吸気弁36は閉状態となる。一方、カム62のノーズ62a付近がタペット68と対向してタペット68を押し下げると、吸気弁36がリフトし、開状態となる。
【0039】
また、図3(A)および図3(B)は、カム62の2つの駆動モードを示している。図3(A)は、カム62を一方向に回転させる正転駆動モードである。図3(B)は、カム62を揺動運動させる揺動駆動モードである。揺動駆動モードでは、吸気弁36が最大リフトに達する前にカム62を逆回転させることにより、吸気弁36を閉じる。
【0040】
このような吸気可変動弁装置48では、モータ54A,54Bの回転速度および回転角度をクランク角度との関係において制御することにより、各気筒の吸気弁36の開時期および閉時期を任意の時期に制御することができる。更に、揺動駆動モードの場合には、カム62が揺動角度を制御することにより、吸気弁36の最大リフト量を任意に制御することもできる。
【0041】
このため、吸気可変動弁装置48によれば、運転状態に応じた最適な作用角およびリフト量で吸気弁36を駆動することが可能となる。図4は、内燃機関10の機関回転数および負荷(トルク)と、カム62の駆動モードとの関係を示す模式図である。図4に示すように、カム62の駆動モードは、機関回転数と負荷とに関連付けて使い分けられる。基本的に低回転域では揺動駆動モードが選択され、高回転域では正転駆動モードが選択される。そして、低回転域では吸気弁36の作用角およびリフト量を少なくし、高回転域では吸気弁36の作用角およびリフト量を大きくする。これにより、機関回転数と負荷に応じた最適な空気量を気筒内に送ることが可能となる。
【0042】
また、吸気可変動弁装置48によれば、モータ54A,54Bの回転を停止させて、カムシャフト58A,58Bの回転を停止させることにより、各気筒の吸気弁36の作動を停止(休止)させることができる。
【0043】
図5は、カムシャフト58Aに設けられた2つのカム62を示す図である。図5に示すように、カムシャフト58Aには、#2気筒の吸気弁36を駆動するためのカム62と、#3気筒の吸気弁36を駆動するためのカム62とが、180°の角度位置だけ離間して設けられている。このため、#2気筒用のカム62のノーズ62aと#3気筒用のカム62のノーズ62aとを結ぶ直線がタペット68の上面にほぼ平行になった状態でカムシャフト58Aの回転を停止させると、#2気筒の吸気弁36と#3気筒の吸気弁36とを共に閉じた状態で停止させることができる。
【0044】
一方、カムシャフト58Bにも、図示を省略するが、#1気筒の吸気弁36を駆動するためのカム62と、#4気筒の吸気弁36を駆動するためのカム62とが、180°の角度位置だけ離間して設けられている。このため、#1気筒用のカム62のノーズ62aと#4気筒用のカム62のノーズ62aとを結ぶ直線がタペット68の上面にほぼ平行になった状態でカムシャフト58Bの回転を停止させると、#1気筒の吸気弁36と#4気筒の吸気弁36とを共に閉じた状態で停止させることができる。従って、吸気可変動弁装置48によれば、全気筒の吸気弁36を閉状態で停止させることができる。
【0045】
以上、吸気可変動弁装置48について説明したが、排気可変動弁装置50も、吸気可変動弁装置48とほぼ同様の構成となっている。このため、排気可変動弁装置50については、詳細な図示および説明を省略する。また、排気可変動弁装置50によれば、吸気可変動弁装置48の場合と同様にして、全気筒の排気弁38を閉状態で停止させることができる。
【0046】
[実施の形態1の特徴]
(燃料カット時の吸排気弁停止制御)
本実施形態のシステムでは、エンジンブレーキ時、つまり内燃機関10の減速時、燃料インジェクタ30からの燃料噴射を停止する燃料カットを実行する。燃料カットの実行中、吸気弁36および排気弁38を通常通り作動させた場合には、新気(空気)がそのまま排気通路14に流通する。触媒32には、高温時に空気に触れると、劣化が進むという性質がある。このため、燃料カット時に吸気弁36および排気弁38を通常通り作動させると、触媒32に新気が流入して、触媒32が劣化し易いという問題がある。
【0047】
そこで、本実施形態では、燃料カット時、吸気弁36および排気弁38の双方を閉状態で停止するように、吸気可変動弁装置48および排気可変動弁装置50の作動を制御することとした。これにより、燃料カット時に吸気弁36および排気弁38が共に閉状態に保持されるので、排気通路14に新気が流れることを防止することができる。このため、触媒32の劣化を十分に抑制することができる。
【0048】
特に、本実施形態では、燃料カット時に吸気弁36および排気弁38の双方を閉状態に保持するので、触媒32に新気が流れることを確実に防止することができる。すなわち、吸気弁36および排気弁38の一方しか閉状態に保持せず、他方の作動を停止しなかった場合には、排気通路14への新気の漏出を完全に防止することは困難である。これに対し、本実施形態では、燃料カット時に吸気弁36および排気弁38の双方を閉状態に保持するので、排気通路14への新気の漏出を極めて確実に防止することができる。よって、触媒32の劣化を確実に抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、燃料カット時に、スロットル弁22を閉じることなく、排気通路14への新気の漏出を防止することができる。このため、気筒内に大きな負圧が作用することがないので、オイル上がりやオイル下がりの発生を確実に防止することができる。よって、内燃機関10のオイル消費量が増加することもない。
【0050】
(燃料カット中の排気弁冷却制御)
内燃機関10が高回転高負荷で運転されると、排気弁38は高温となる。排気弁38が高温であると、ノッキングが誘発され易い。本実施形態では、上述したように、燃料カット中、吸気弁36および排気弁38を閉状態に保持するので、排気弁38が新気に接触することがなく、排気弁38が冷却されにくい。このため、排気弁38が高温だった場合、燃料カットから復帰して燃料噴射を再開したときに、ノッキングが発生し易い。
【0051】
上記のようなノッキングの発生を防止するため、本実施形態では、燃料カット中、排気弁38が高温であると推定される場合には、吸気弁36を一時的に開状態に保持して新気を気筒内に繰り返し出入りさせることにより排気弁38を冷却する排気弁冷却制御を実施することとした。
【0052】
図6は、本実施形態における排気弁冷却制御実行時の内燃機関10を模式的に示す図である。図6に示すように、排気弁冷却制御の実行時には、吸気弁36が一時的に開状態に保持されるので、ピストン44の昇降に伴い、吸気通路12内の新気が気筒内に繰り返し入ったり出たりする。その結果、排気弁38が新気によって効率良く冷却され、排気弁38の温度を迅速に低下させることができる。このため、燃料カットから復帰して燃料噴射を再開したときに、排気弁38によってノッキングが誘発されることを確実に防止することができる。
【0053】
また、排気弁冷却制御の実行時、排気弁38は常に閉状態に保持されるので、吸気弁36を一時的に開いても、排気通路14への新気の漏出は十分に防止することができる。また、排気弁38が高温であると推定される場合に限って排気弁冷却制御を実行するので、排気通路14への新気の漏出は最小限に抑えることができる。このようなことから、本実施形態によれば、触媒32の劣化を確実に抑制することができる。
【0054】
図7は、本実施形態における排気弁冷却制御実行時の各気筒の吸気弁36の開弁期間を示す図である。図7に示すように、本実施形態では、排気弁冷却制御の実行時、内燃機関10の各気筒のそれぞれについて、吸気弁36を一時的に開状態に保持する。よって、各気筒の排気弁38をバラツキなく冷却することができる。
【0055】
また、図7に示す例では、爆発順序と同じく#1→#3→#4→#2の順に各気筒の排気弁冷却制御を実施している。ただし、吸気可変動弁装置48の構造上、カムシャフト58Bを共用する#1気筒および#4気筒の吸気弁36を同時に開くことはできないので、#1気筒の吸気弁36が閉じた後に、#4気筒の吸気弁36を開くようにしている。同様に、カムシャフト58Aを共用する#3気筒および#2気筒の吸気弁36を同時に開くことはできないので、#3気筒の吸気弁36が閉じた後に#2気筒の吸気弁36を開くようにしている。なお、図7に示すように、#1または#4気筒の吸気弁36と、#3または#2気筒の吸気弁36とを同時に開くことは可能である。
【0056】
また、図7に示す排気弁冷却制御では、各気筒の吸気弁36をクランク角で720°の期間に渡って開状態に保持しているが、この期間は更に長くてもよい。
【0057】
また、図7に示す排気弁冷却制御では、一時的に開状態に保持した吸気弁36を閉じるとき、上死点(TDC)付近で吸気弁36を閉じることとしている。これにより、次に吸気弁36が開いたとき(通常運転に戻ったとき)に高圧の空気が筒内から吸気マニホールド(吸気通路12)に噴き戻されることを確実に防止することができる。
【0058】
一方、本実施形態と異なり、排気弁冷却制御において吸気弁36を通常時のように下死点(BDC)付近で閉じることとすると、排気弁38が閉状態に保持されているので、筒内に閉じ込められた空気が繰り返し圧縮され、次に吸気弁36が開いたときに高圧の空気が筒内から吸気マニホールドに噴き戻される。その際に、異音や振動が発生するおそれがある。
【0059】
[実施の形態1における具体的処理]
図8は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU40が実行するルーチンのフローチャートである。なお、本ルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行されるものとする。
【0060】
図8に示すルーチンによれば、アクセルペダルがOFFされた場合、燃料カットを実行するとともに、吸気弁36および排気弁38を共に閉状態で停止させる弁停止制御が実行される(ステップ100)。
【0061】
続いて、内燃機関10の運転履歴から、排気弁38の温度を推定する処理が実行される(ステップ102)。具体的には、過去所定時間内における燃料噴射量、アクセル開度、機関回転数NEなどの履歴に基づき、予め記憶された所定の算出方法に従って、排気弁38の推定温度が算出される。
【0062】
次いで、上記ステップ102で算出された排気弁38の温度が基準値以上であるか否かが判別される(ステップ104)。その判別の結果、排気弁38の温度が基準値を超えていない場合には、排気弁38がノッキングを誘発するおそれはないと判断できる。そこで、この場合には、排気弁冷却制御を実行することなく、そのまま今回のルーチンの処理が終了される。
【0063】
一方、上記ステップ104において、排気弁38の温度が基準値以上であると判別された場合には、排気弁38がノッキングを誘発するおそれがあると判断できる。そこで、この場合には、排気弁38の温度を低下させるべく、排気弁冷却制御が実行される(ステップ106)。この排気弁冷却制御の内容は、既述した通りであるので、ここではその説明を省略する。
【0064】
続いて、弁停止制御が未だ継続しているか否かが判別される(ステップ108)。その判別の結果、弁停止制御が継続している場合には、上記ステップ102以下の処理が再度実行される。この場合、ステップ102では、排気弁冷却制御の実行回数なども考慮して、排気弁38の推定温度が再度算出される。
【0065】
以上のようにして、図8に示すルーチンの処理によれば、排気弁38の温度が基準値未満に下がるまで、排気弁冷却制御を繰り返し実行することができる。このため、燃料カットから復帰して燃料噴射が再開された後、排気弁38がノッキングを誘発することを確実に防止することができる。
【0066】
ところで、排気弁冷却制御の実行時は、一時的に開状態に保持している吸気弁36のリフト量に応じて、エンジンブレーキの強さが変化する。つまり、吸気弁36のリフト量が小さいほど、吸気弁36付近の通気抵抗が大きくなり、ポンピングロスが増大するので、エンジンブレーキが強く作用する。そこで、本実施形態では、運転者からのエンジンブレーキ要求度に応じて、その要求度が高い場合ほど、排気弁冷却制御実行時の吸気弁36のリフト量を小さくするように制御するようにしてもよい。これにより、運転者の期待に沿ったエンジンブレーキ力を発生することができ、優れたドライバビリティが得られる。なお、エンジンブレーキ要求度は、変速機のシフト位置などに基づいて判断することができる。
【0067】
なお、上述した実施の形態1では、排気弁38の温度を運転履歴から推定するようにしているが、温度センサによって排気弁38の温度を検出するようにしてもよい。また、排気弁38の以外の部位であって、排気弁38の温度と相関を有する部位の温度を推定または検出し、その温度に基づいて排気弁冷却制御の実行の必要性を判断するようにしてもよい。
【0068】
また、上述した実施の形態1では、内燃機関10の減速燃料カット時に排気弁冷却制御を実施する場合について説明したが、本発明では、減速燃料カット時以外でも、内燃機関10がモータリング状態となる状況であれば、同様の排気弁冷却制御を実施することができる。例えば、内燃機関10と機械的に連結された電動機を有するハイブリッド車両において、内燃機関10の運転を停止して電動機のみで走行する際の内燃機関10のモータリング時に、排気弁冷却制御を実施するようにしてもよい。
【0069】
また、上述した実施の形態1における可変動弁装置は、カムシャフトをモータで駆動する構成であったが、本発明における可変動弁装置は、これに限定されるものではなく、例えば他に、電磁駆動弁を用いた構成とすることもできる。
【0070】
また、上述した実施の形態1においては、ECU40が、上記ステップ100の処理を実行することにより前記第1の発明における「弁制御手段」が、上記ステップ102の処理を実行することにより前記第1の発明における「温度取得手段」が、上記ステップ106の処理を実行することにより前記第1の発明における「排気弁冷却手段」が、排気弁冷却制御時の吸気弁36のリフト量をエンジンブレーキ要求度に応じて制御することにより前記第3の発明における「エンジンブレーキ制御手段」が、それぞれ実現されている。
【0071】
実施の形態2.
次に、図9を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を簡略化または省略する。
【0072】
[システム構成の説明]
図9は、本発明の実施の形態2のシステム構成を説明するための図である。なお、図9において、図1に示す構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略または簡略化する。
【0073】
図9に示す本実施形態のシステムは、内燃機関10の出力と第1モータジェネレータ80の出力とを組み合わせて車両のドライブシャフト82を駆動可能なハイブリッドシステムである。このハイブリッドシステムは、前述した図1に示すシステムに加えて、第1モータジェネレータ80と、動力分配統合機構84と、第2モータジェネレータ86と、インバータ88と、バッテリ90とを更に備えている。
【0074】
第1モータジェネレータ80および第2モータジェネレータ86は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されている。動力分配統合機構84は、遊星歯車機構で構成されている。動力分配統合機構84のサンギアは第2モータジェネレータ86と連結されている。動力分配統合機構84のプラネタリーキャリアは、内燃機関10のクランク軸と連結されている。動力分配統合機構84のリングギアは、第1モータジェネレータ80と連結されているとともに、トランスファー92を介して、車両のドライブシャフト82にも連結されている。
【0075】
内燃機関10の運転時、内燃機関10の動力は、動力分配統合機構84により二つに分割され、ドライブシャフト82と第2モータジェネレータ86とにそれぞれ伝達される。また、ドライブシャフト82には、第1モータジェネレータ80の動力も伝達される。
【0076】
本ハイブリッドシステムにおいては、内燃機関10により第2モータジェネレータ86を駆動して発電し、その発電された電力をインバータ88を介してバッテリ90に充電することができる。また、バッテリ90に蓄えられた電気エネルギーを、インバータ88を介して第1モータジェネレータ80に供給することにより、第1モータジェネレータ80を電動機として作動させることができる。また、第2モータジェネレータ86で発電された電力を、インバータ88を介して第1モータジェネレータ80に供給することによって、第1モータジェネレータ80を電動機として作動させることもできる。更に、車両の減速時には、ドライブシャフト82から伝わる動力によって第1モータジェネレータ80を発電機として作動させ、その発電された電力をインバータ88を介してバッテリ90に充電することにより、制動エネルギーを回収することができる。
【0077】
本ハイブリッドシステムでは、内燃機関10の燃焼を停止させ、第1モータジェネレータ80の動力のみで走行することが可能である。そして、走行中に内燃機関10の燃焼を停止する場合、内燃機関10の回転を停止することも可能である。また、内燃機関10を再始動する際には、第2モータジェネレータ86を電動機として作動させることによって内燃機関10をクランキングし、始動させることができる。
【0078】
[実施の形態2の特徴]
本実施形態のシステムでは、車両のアクセルがOFFされた場合、内燃機関10の燃焼が停止され、内燃機関10の回転が停止する。本実施形態では、この内燃機関10の停止中に、排気弁38の温度が基準値以上であった場合には、第2モータジェネレータ86を電動機として作動させて内燃機関10をモータリングしながら、吸気弁36および排気弁38を実施の形態1と同様に制御して、同様の排気弁冷却制御を実施する。これにより、内燃機関10の再始動後、排気弁38によってノッキングが誘発されることを確実に防止することができる。
【0079】
本実施の形態2は、上記の点以外は実施の形態1と同様であるので、ここではこれ以上の説明を省略する。
【0080】
実施の形態3.
次に、図10および図11を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、前述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を簡略化または省略する。
【0081】
本実施形態のシステム構成は、前述した実施の形態2のハイブリッドシステムと同様であるものとする。本実施形態では、実施の形態2と同様に、車両のアクセルがOFFされた場合、内燃機関10の燃焼が停止され、内燃機関10の回転が停止する。そして、この内燃機関10の停止中に、排気弁38の温度が基準値以上であった場合には、以下に説明するような排気弁冷却制御を実行する。
【0082】
図10は、本実施形態における排気弁冷却制御実行時の内燃機関10を模式的に示す図である。本実施形態の排気弁冷却制御では、吸気弁36を一旦開いて気筒内の空気を排出した後、図10に示すように、吸気弁36および排気弁38を共に閉じた状態でピストン44を上死点から下死点に移動させる。これにより、気筒内に閉じ込めた空気を断熱膨張させる。
【0083】
このようにして筒内の空気を断熱膨張させると、空気の温度は大きく低下する。例えば、内燃機関10の圧縮比をε=12.5とし、筒内空気の初期温度20℃とした場合には、断熱膨張後の筒内空気温度は、理論上、−166℃となる。このように、本実施形態では、筒内空気温度を外気温より大幅に低い温度とすることができるので、排気弁38を高い効率で冷却することができる。
【0084】
図11は、本実施形態における排気弁冷却制御実行時の各気筒の吸気弁36の開弁期間を示す図である。以下、同図を参照して、本実施形態の排気弁冷却制御について更に詳細に説明する。本実施形態の排気弁冷却制御において、ECU40は、第2モータジェネレータ86の回転角度を制御することにより、各気筒のピストン44の位置を制御する。
【0085】
排気弁冷却制御の実行中、排気弁38は常に閉状態に保持される。一方、図11に示すように、まず#1気筒の吸気弁36が一旦開かれ、#1および#4気筒のピストン44が上死点付近に来たタイミングで、#1気筒の吸気弁36が閉じられる。これにより、#1気筒内の空気のほとんどは吸気通路12に排出され、#1気筒内には大気圧下で燃焼室容積相当の体積となる量の空気が残存するのみとなる。続いて、#4気筒の吸気弁36が一旦開かれた後、クランク軸が1回転し、#1および#4気筒のピストン44が再び上死点付近に来たタイミングで、#4気筒の吸気弁36が閉じられる。これにより、#4気筒内の空気のほとんどは吸気通路12に排出され、#1気筒内には大気圧下で燃焼室容積相当の体積となる量の空気が残存するのみとなる。なお、クランク軸が上記のように1回転する間、#1気筒内の空気は、一旦膨張した後に圧縮され、元の状態に戻る。
【0086】
以上のようにして、#1および#4気筒内の空気の多くが吸気通路12へ排出され、#1および#4気筒内には僅かな量の空気が残存する。この状態から、#1および#4気筒のピストン44を下死点付近に移動させることによって両気筒内の空気を断熱膨張させた後、クランク軸の回転を停止して、所定時間保持する。この間に、膨張によって低温になった筒内空気により、#1および#4気筒の排気弁38が冷却される。
【0087】
なお、筒内空気が断熱膨張によって大きく負圧になった状態でピストン44を停止していると、各部の隙間から気筒内へガスが漏れて、筒内の負圧が例えば10〜15秒程度で低下する。このため、上記所定時間、つまり断熱膨張後にピストン44を下死点付近に保持する時間は、例えば数秒程度であるのが適切である。
【0088】
上記所定時間の経過後、図11に示すように、#2および#3気筒についても同様に排気弁冷却制御が実行され、#2および#3気筒の排気弁38が冷却される。
【0089】
本実施形態の排気弁冷却制御では、図11に示す動作を1サイクルとして、このサイクルを必要に応じて複数サイクル繰り返し実行してもよい。
【0090】
以上説明したように、本実施形態の排気弁冷却制御によれば、筒内空気温度を外気温より大幅に低い温度とすることができるので、排気弁38を高い効率で冷却することができる。このため、内燃機関10の再始動後に排気弁38がノッキングを誘発することを確実に防止することができる。また、排気弁冷却制御の実行中、排気弁38は常に閉状態に保持されるので、新気が触媒32に流れることを確実に防止することができる。このため、触媒32の劣化を確実に抑制することができる。
【0091】
更に、本実施形態では、上述したように、2気筒ずつをまとめて排気弁38の冷却を行うことができ、効率が良い。また、本実施形態によれば、吸気系(吸気通路12)の周辺も同時に冷却される。このため、内燃機関10の再始動後、吸入空気を冷却することができるので、充填効率を向上することができる。
【0092】
なお、上述した実施の形態3においては、ECU40が、上述したような排気弁冷却制御を実行することにより前記第4の発明における「排気弁冷却手段」が、排気弁冷却制御実行時に排気弁38を閉状態に保持することにより前記第5の発明における「排気弁制御手段」が、吸気弁36を図11に示すように制御することにより前記第5の発明における「吸気弁制御手段」が、第2モータジェネレータ86の回転角度を制御することによって各気筒のピストン44の位置を制御することにより前記第5の発明における「ピストン位置手段」が、それぞれ実現されている。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施の形態1のシステム構成を示す図である。
【図2】実施の形態1のシステムが備える吸気可変動弁装置の構成を示す図である。
【図3】カムによって吸気弁が駆動される様子を示す模式図である。
【図4】内燃機関の機関回転数、出力トルクと、カムの駆動モードとの関係を示す模式図である。
【図5】カムシャフトに設けられた2種類のカムを示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1における排気弁冷却制御実行時の内燃機関を模式的に示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1における排気弁冷却制御実行時の各気筒の吸気弁の開弁期間を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2のシステム構成を説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態3における排気弁冷却制御実行時の内燃機関を模式的に示す図であるである。
【図11】本発明の実施の形態3における排気弁冷却制御実行時の各気筒の吸気弁の開弁期間を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
10 内燃機関
20 エアフロメータ
30 燃料インジェクタ
36 吸気弁
38 排気弁
40 ECU
48 吸気可変動弁装置
50 排気可変動弁装置
54A,54B モータ
56A,56B ギヤ列
58A,58B カムシャフト
62 カム
62a ノーズ
62b ベース円部分
80 第1モータジェネレータ
82 ドライブシャフト
84 動力分配統合機構
86 第2モータジェネレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のモータリング時に吸気弁および排気弁を共に閉状態に保持する弁制御手段と、
前記内燃機関の所定部位の温度を測定または推定する温度取得手段と、
前記モータリング時に前記温度取得手段により測定または推定された温度が所定値以上であった場合には、前記吸気弁を一時的に開状態に保持することにより、新気を気筒内に繰り返し出入りさせて前記排気弁を冷却する排気弁冷却手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記排気弁冷却手段は、前記吸気弁を一時的に開状態に保持した後、前記吸気弁を上死点付近で閉じることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記モータリング時は、エンジンブレーキ時であり、
前記排気弁冷却手段が前記吸気弁を一時的に開状態に保持しているときの前記吸気弁のリフト量を、エンジンブレーキ要求度に応じて制御するエンジンブレーキ制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
内燃機関と電動機とのハイブリッドシステムであって、前記電動機を運転し前記内燃機関を燃焼停止する場合に前記内燃機関の回転を停止可能なハイブリッドシステムと、
前記内燃機関の所定部位の温度を測定または推定する温度取得手段と、
前記内燃機関の燃焼停止時に、前記温度取得手段により測定または推定された温度が所定値以上であった場合には、気筒内に閉じ込めた空気が膨張するように、吸気弁、排気弁およびピストンの動きを制御することにより、気筒内空気が膨張する際の温度低下を利用して前記排気弁を冷却する排気弁冷却手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記排気弁冷却手段は、
前記排気弁を閉状態に保持する排気弁制御手段と、
前記吸気弁を一旦開き、上死点付近で閉じた後に閉状態に保持する吸気弁制御手段と、
前記吸気弁が上死点付近で閉じた後に、前記ピストンを下死点付近へ移動させた状態で所定時間保持するピストン位置制御手段と、
を含むことを特徴とする請求項4記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記排気弁冷却手段は、前記吸気弁制御手段および前記ピストン位置制御手段による制御動作を、所定の時間間隔を空けて、複数サイクル繰り返し実行することを特徴とする請求項5記載の内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記所定部位は、前記排気弁であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。
【請求項8】
前記内燃機関の排気通路に触媒を備えることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−215303(P2008−215303A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57439(P2007−57439)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】