説明

化学気相成長チャンバ用の温度制御されたパージゲート弁

【課題】本発明は、第III族−N(窒素)化合物半導体ウエハを製造するために、特にGaNウエハを製造するために最適化された方法及び装置に関する。
【解決手段】
具体的には、この方法は、化学気相成長(CVD)反応器内の隔離弁取付具上の不要な材料の形成を実質的に防止することに関する。特に、本発明は、システムで使用される隔離弁上のGaCl3及び反応副生成物の堆積/凝縮を抑制する装置及び方法と、1つの反応物質としてのある量の気体状第III族前駆体と別の反応物質としてのある量の気体状第V族成分とを反応チャンバ内で反応させることによって、単結晶第III−V族半導体材料を形成する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された本発明は、化学気相成長(CVD)反応器内の隔離弁取付け具の表面に、不要な材料が形成されることを実質的に防止する方法を含む。好ましい実施形態では、本発明は、隔離弁の表面のGaCl3及び反応副生成物の堆積/凝縮を制限する装置及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
第III−V族化合物は、光学部品(特に、短波長LED及びレーザ)及び電子部品(特に、高温/高出力トランジスタ)を製作するために有用及び重要な半導体材料である。しかしながら、これらの第III−V族化合物の商業的開発は、これらの物質のバルク単結晶基板を直接成長させることが実際に不可能であるという理由により妨げられてきた。したがって、これらの材料のほとんどは、ヘテロエピタキシャルCVDプロセスによって製造されるので、その商業的開発も、第III−V族化合物の低欠陥密度の単結晶層を成長させる実用的なエピタキシャル基板が不十分であるという理由により妨げられてきた。
【0003】
第III族窒化物の場合、ヘテロエピタキシャル成長材料の品質を改善するためのある最新の手法は、非常に厚い層を成長させることである。厚い層の下部には過剰な欠陥密度が存在する可能性があるが、それにも関わらず、その上部は適切な欠陥密度を有することができることが発見されている。しかしながら、厚い層の成長には、現在、水素化物(ハロゲン化物)気相エピタキシ(HVPE)によってのみ実現可能な成長速度が必要である。HVPEプロセスは、CVD反応器内で実施され、腐食性塩素化合物を含む前駆体ガスを使用し、前駆体ガス同士の所望の反応を促進するように著しく高い内部温度で、基板を用いて実施される。
【0004】
しかしながら、全ての内部反応器要素を高い反応/堆積温度に維持しなければならないわけではなく、そのようにすることが望ましいわけでもない。例えば、CVD反応器チャンバの壁は、反応器の壁面での望ましくない標的材料の堆積を抑制するように、より低い温度で維持することができる。また、反応器内のある要素、例えばOリング、封止材、及びガスケットなどは、より高い温度によって損傷を受ける可能性のあるポリマー材料で作製されることが多いので、より低い温度で維持すべきである。
【0005】
一方、内部要素が低すぎる温度にあることも望ましくない。例えば前駆体ガス又は反応生成物は、より低い温度の内部要素の表面で凝縮する可能性がある。また、より低い温度の内部要素は、反応器内に存在するガス同士で、錯体形成などの望ましくない相互作用を引き起こす可能性がある。そのような作用は、内部要素に損傷を与える可能性があり、成長中の半導体ウエハの汚染を引き起こす可能性がある。
【0006】
ある構成要素は、反応器チャンバの内部にさらされる可能性があると共に、温度感受性材料、例えばポリマー封止材を含む可能性があり、そのような構成要素は、より高い温度及びより低い温度という両方の相反する要件にさらされる可能性がある。多くの商用CVD反応器内に存在するそのような構成要素(相反する温度要件を有する)の例は、ゲート弁(又はロードロックもしくは移送ドアなど)である。そのような商用反応器は、反応器チャンバの内部と移送チャンバ(又はロードチャンバもしくは移送チャンバなど)として知られる中間環境との間のウエハの自動移送を特徴とすることが多い。そのような自動移送手段は、通常、開いたときにウエハ移送と自動ウエハ移送デバイスとに適応し、閉じたときにチャンバ内部を外部から密封する自動ゲート弁を含む。
【0007】
簡単に言うと、閉じたときに、ゲート弁の少なくとも1つの面は、反応器チャンバの内部にさらされ、さらされた面の温度は、説明した不要な凝縮/反応を抑制するように十分に高くなければならない。また、閉じたときに、ゲート弁の面は、反応器の外面と封止状態を形成すべきであり、この付近の温度は、封止材料、例えばガスケット、Oリングなどへの損傷を抑制するように十分に低くなければならない。封止材料へのどの熱損傷も、修理せずに何千回も開閉することができるように十分に低いことが好ましい。
【0008】
GaNのHVPE成長の特定の場合において、ゲート弁(又は隔離弁)アセンブリは、GaCl3、NH3、HCl、N2、H2、及びArを含めたプロセスガスと、NH4Clを含めた反応生成物及び副生成物とにさらされる可能性がある。これらの中で、より問題があるのは、前駆体ガスGaCl3及び反応生成物NH4Clである。GaCl3は腐食性であり、
【0009】
【数1】

【0010】
よりも低い温度で、表面上で凝縮する可能性がある。NH4Clは、150℃未満の反応器チャンバの内部の任意の面で凝縮する可能性がある。さらに、限られた数の封止材料しか腐食性塩素含有ガスに対して十分な耐性を持たず、これらは一般に、
【0011】
【数2】

【0012】
を超える温度に耐えることができない。
【0013】
従来技術は、反応器要素を腐食性材料から保護し、より冷却された反応器要素上での凝縮を防ぐと主張する方法について述べている。例えば、特許文献1は、リセス形成されたプレチャンバ、即ち反応器に対して開放されているが、プレチャンバ内に注入される不活性パージガス流によってプロセスガスを比較的含まない状態で保持されているリセス形成されたプレチャンバ内に配置することによって、反応器内の内部要素を保護することを教示している。しかしながら、プレチャンバを含むそのような配置構成は、一般に厳格なサイズ制限を有する大量生産装置にとって厄介なものになる。また、特許文献2は、2ゾーン高温壁反応器についても教示している。前駆体生成ゾーンでは、温度が850℃程度であるのに対し、成長ゾーンでは、温度は1050℃程度である。しかしながら、高温壁反応器は、高温壁面での窒化物の堆積によって頻繁にチャンバのクリーニングをする必要があるので、大量生産プロセスには不適切である。また、自動ゲート弁を封止する問題については、ここでは対処されていない。特許文献3は、例示的な従来技術のゲート弁を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6071375号明細書
【特許文献2】米国特許第6086673号明細書
【特許文献3】米国特許第5156521号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】B.J.Duke et al. Inorg.Chem. 30 (1991) 4225
【非特許文献2】Barman, 2003, Gallium Trichloride, SYNLETT, 2003, no.15, p.2440-2441
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従来技術は、半導体材料の大量生産、特に第III族窒化物及びGaN材料の大量生産での使用に適切なCVDチャンバの封止方法及びゲート弁装置が不十分である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、半導体材料を製造するのに十分な条件下で、1つの反応物質としてのある量の気体状第III族前駆体と別の反応物質としてのある量の気体状第V族成分とを反応チャンバ内で反応させ、これらの反応物質を反応チャンバ内の所定位置で反応するように導入する一方で、これらの反応物質の少なくとも1種を所定位置に向けることを補助するために1種又は複数のパージガス流を注入することによって、単結晶性の第III−V族半導体材料を形成する方法に関する。気体状第III族前駆体を、少なくとも50gの第III族元素/時の質量流で、少なくとも48時間にわたり、連続的に供給する。
【0018】
第III族前駆体及び第V族成分は、1つ又は複数の基板に隣接し、かつ基板の上方にある所定位置で反応して、その表面に単結晶半導体材料が堆積するように制御された手法で反応チャンバ内に導入される。反応チャンバは、一般に水平矩形チャンバとして構成され、方法はさらに、反応物質が基板に隣接し、かつ基板の上方にある所定位置に達するまで反応しないようにチャンバの異なる部分を通して反応物質を導入するステップを備える。
【0019】
より具体的には、反応チャンバは、床、天井、1対の側壁、開放入口、及び開放出口を含むことができ、方法はさらに、チャンバの床を通して1つの反応物質を導入するステップを含む一方で、その他の反応物質を所定位置に向けて、基板上に単結晶材料を効率的に堆積するために、1種又は複数のパージガス流を組み合わせて入口を通してその他の反応物質を導入するステップを備える。1つの反応物質を、チャンバの床のスロットを通して導入することができるとき、その他の反応物質を、入口から又は入口付近から導入することができ、これはさらに、パージガス流が通過してチャンバ内に入り、その他の反応物質を所定位置に少なくとも向ける、反応チャンバ入口内にゲート弁を設けるステップを備える。チャンバの床を通して導入される反応物質は、好ましくは気体状第III族前駆体であり、入口を通して導入されるその他の反応物質は、好ましくは第V族成分であり、このとき複数のパージガス流は、この第III族前駆体を所定位置に向けることを補助するために供給される。
【0020】
反応チャンバは、一般に石英で作製され、ゲート弁は金属で作製され、方法は、さらに、ゲート弁と反応器との間にOリングを設けるステップと、動作中にOリングが劣化しないようにゲート弁を冷却するステップとを備える。また反応物質は、好ましくは、反応チャンバ内で流れる水平層流として、及びゲート弁の個別の開口を通して導入される複数のガス流として供給される。このため、開口は、他の部分の面の間隔より大きい中心部にある開口間の間隔でゲート弁の面に間隔を空けて有利に設けられる。
【0021】
気体状第V族成分が窒素含有成分である場合、気体状第III前駆体の窒素含有成分量よりもかなり多くの量を有し、その結果、単結晶第III族窒化物が提供される。第III族前駆体は、ガリウム、アルミニウム、又はインジウムとすることができ、窒素含有成分は、窒素ガスのプラズマ活性化によって発生したアンモニア又は窒素イオンもしくはラジカルなどの窒素含有ガスである。
【0022】
本発明は、単結晶第III−V族半導体材料を製造するシステムにも関する。このシステムは、1つの反応物質として使用される第III族前駆体の供給源と、別の反応物質として使用される第V族成分の供給源と、第III族前駆体及び第V族成分を受容して単結晶第III−V族半導体材料を形成するために十分な条件下で反応させる反応チャンバと、反応物質を反応チャンバ内に導入して、これらを所定位置で接触及び反応させ、1種又は複数のパージガス流を反応チャンバ内に注入して反応物質の少なくとも1種を所定位置に向けることを補助する開口とを含む。
【0023】
反応チャンバは、一般に、水平矩形チャンバとして構成され、反応物質を導入する開口は、チャンバの種々の部分に位置決められ、これらが基板に隣接し、かつ基板の上方にある所定位置で接触するまで反応しないようにする。また、上述のように、反応チャンバは、床、天井、1対の側壁、開放入口、開放出口、1つの反応物質進入開口も含み、1つの反応物質進入開口は、床に水平スロットを備え、反応チャンバ内に反応物質を導入し、このスロットは、反応物質を導入し、この反応物質を所定位置に向けて別の反応物質と反応するように構成及び寸法決めされている。
【0024】
システムはさらに、単結晶半導体材料を上部に堆積している1つ又は複数の基板を保持する回転可能な支持体を備え、開口によって、制御された手法で反応チャンバ内に反応物質を導入することが可能になるが、基板及び支持体は、基板上での単結晶半導体材料の形成及び堆積を促進するように反応物質進入開口に関して構成及び寸法決めされ、位置決められている。その他の反応物質に対する進入開口は、注入ノズルを含み、少なくとも1つのその他の開口は、反応チャンバ内に1種又は複数のパージガス流を導入する通路を備え、その他の反応物質を所定位置に向けて、基板上に単結晶材料を効率的に形成する。
【0025】
好ましい実施形態では、入口に関連付けられたゲート弁が設けられ、その他の反応物質を所定位置に向けて基板上に単結晶材料を効率的に形成する手法でパージガス流を導入する。チャンバの床を通して導入された反応物質は、好ましくは気体状第III族前駆体であり、入口を通して導入されるその他の反応物質は、好ましくは第V族成分であり、このときゲート弁は、複数の開口を含み、反応チャンバ内にパージガス流を導入して第III族前駆体を所定位置に向けることを補助する。
【0026】
システムは、典型的には反応物質を水平層流として反応チャンバに供給し、このとき複数のパージガス流は、ゲート弁の個別の開口を通して進入する。これは、開口を他の部分の面の間隔より大きい中心部にある開口間の間隔でゲート弁の面に間隔を空けて設けることによって、実現されることができる。反応チャンバが石英で作製され、ゲート弁が金属で作製されるとき、ゲート弁と反応器との間に位置付けられたOリングを、封止接続を提供するために含むことができる。また、ゲート弁を、パージガス流によって冷却することができ、動作中にOリングが劣化しないようにする。
【0027】
本発明は、半導体材料を製造するのに十分な条件下で反応チャンバ内で、1つの反応物質としてのある量の気体状第III族前駆体と別の反応物質としてのある量の気体状第V族成分とを反応することによって、さらに、反応物質の少なくとも1種を所定位置に向けることを補助するために1種又は複数のパージガス流を注入することによって、単結晶第III−V族半導体材料を形成する方法にも関する。ここで、これらの反応物質は、反応チャンバに導入されて、これらは1つ又は複数の基板に隣接し、かつ基板の上方にある反応チャンバの所定位置で反応して表面に半導体材料を堆積する。特に、この方法は、気体状第III族前駆体を、少なくとも50gの第III族元素/時の質量流で、少なくとも48時間にわたり継続的に供給する。
【0028】
より具体的には、本発明は、反応チャンバの入口ポートを封止するために閉鎖可能であり、及び入口ポートを通して反応チャンバの内部と外部との間で材料の移送が可能になるように開放可能であるゲート弁の複数の開口を通して、パージガス流を注入する。閉じたときのゲート弁と反応チャンバとの間の封止材に隣接したゲート弁の部分は、動作中に封止材が熱劣化しないように十分に冷却することができ、例えば、ゲート弁に伝導的に結合した通路に冷却流体を通すことによって、冷却することができる。さらに、閉じたときに反応チャンバの内部にさらされたゲート弁の部分を、閉じたときのゲート弁と反応チャンバとの間の封止材が熱劣化しないように加熱を抑制しつつ、反応器内のガスの凝縮及び/又はガス同士の不要な反応を避けるために、十分に加熱することができる。ゲート弁は、ゲート弁の内部への1つ又は複数の通路に加熱流体を通すことによって、加熱することができる。例示的な温度は、第III族前駆体の凝縮温度及び第III−V族反応生成物の昇華温度のいずれか又は両方よりも高い。
【0029】
本発明は、CVD反応チャンバに有用なゲート弁アセンブリにも関し、このアセンブリは、閉鎖可能であって、反応チャンバ内への材料移送ポートを封止し、及び開放可能であって、この移送ポートを通した材料の移送を可能にし、ゲート弁の温度を反応チャンバ動作中に選択範囲内に維持する温度制御器を含んでいる。
【0030】
より具体的には、温度制御器は、ゲート弁外部の放射加熱要素もしくはゲート弁内部の通路などの1つ又は複数の加熱要素を含むことができ、閉じたときに反応チャンバの内部にさらされたゲート弁の部分を十分に加熱し、反応器内でのガスの凝縮及び/又はガス同士の不要な反応を避ける。ゲート弁アセンブリが、閉じたゲート弁と反応チャンバとの間に封止材を含むとき、温度制御器は、ゲート弁に伝導的に結合された冷却流体用の1つ又は複数の通路などの別の1つ又は複数の冷却要素も含むことが好ましく、封止材に隣接したゲート弁の部分を十分冷却して、動作中に封止材が熱劣化することを回避する。
【0031】
ゲート弁は、動作中に、反応チャンバ内にガス流を注入するように構成された複数の開口を設けることも好ましい。これらの開口は、中心部分の開口間の間隔がその他の部分での開口の間隔よりも大きくなるように間隔を空けることができ、又は開口間の間隔が実質的に均一になるように間隔を空けることができる。
【0032】
本発明は、単結晶第III−V半導体材料を製造するシステムにも関する。本発明のシステムは、1つの反応物質として使用される第III族前駆体の供給源と、別の反応物質として使用される第V族成分の供給源と、第III−V族半導体材料を形成するために十分な条件下で第III族前駆体及び第V族成分を受容してそれらを反応させる反応チャンバとを含む。反応チャンバは、表面に半導体材料を堆積するために、反応物質が1つ又は複数の基板に隣接し、かつ基板の上方にある反応チャンバ内の所定位置で接触及び反応するように、反応チャンバ内に反応物質を導入する開口と、1種又は複数のパージガス流を注入する開口と、半導体材料が反応器の内部と外部との間を移送することができる取り付けポートとを有することが好ましい。また、システムは、ゲート弁と反応器との間の封止材で取り付けポートを封止するゲート弁アセンブリを有し、反応器内のガスの凝縮及び/又はガス同士の不要な反応と、さらに封止材の熱劣化との両方を回避するようにゲート弁の温度を制御する温度制御器を含むことが好ましい。
【0033】
システムのゲート弁は、複数の開口を設けることが好ましく、1つの反応物質が所定位置に少なくとも部分的に向ける方法で、パージガス流が内部を通って反応チャンバ内に注入される。また、温度制御器は、1つ又は複数の加熱要素を有することが好ましく、閉じたときに反応チャンバの内部にさらされるゲート弁の部分を十分に加熱し、反応器内でのガスの凝縮及び/又はガス同士の不要な反応を回避する。温度制御器は、動作中に封止材が熱劣化することを回避するために、封止材に隣接したゲート弁の部分を十分冷却する1つ又は複数の冷却要素と、ゲート弁の温度を感知し、温度制御器へのフィードバックを行う1つ又は複数の要素とを有することが好ましい。
【0034】
反応チャンバは、反応物質が水平層流として反応チャンバに進入するように配置構成される。反応チャンバは、任意選択でさらに、床、天井、1対の側壁、開放入口、開放出口、反応物質進入開口の一つとで構成され、その反応物質進入開口は、その反応物質を反応チャンバ内に導入するための床の水平スロットであり、このスロットは、反応物質を導入するように、及び反応物質を所定位置に向けて別の反応物質と反応するように構成及び寸法決めされている。
【0035】
本発明の要素の別の態様及び詳細及び代替の組合せが、添付図面及び下記の詳細な説明から明らかにされることになり、これらも本発明の範囲内に包含される。
【0036】
本発明は、本発明の好ましい実施形態の下記の詳細な説明、本発明の特定の実施形態の例示的な実施例、及び添付される図を参照することによって、より完全に理解することができる。
【0037】
同じ参照番号は、種々の図において表される同じ構造を指すために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のシステムを概略的に示す図である。
【図2A】好ましいGaCl3供給源を示す図である。
【図2B】好ましいGaCl3供給源を示す図である。
【図2C】好ましいGaCl3供給源を示す図である。
【図3A】好ましい反応チャンバを示す図である。
【図3B】好ましい反応チャンバを示す図である。
【図3C】好ましい反応チャンバを示す図である。
【図4】好ましい移送/反応チャンバの組合せを概略的に示す図である。
【図5】好ましい入口マニホールド構造を概略的に示す図である。
【図6】代替の反応ガス入口の配置構成を概略的に示す図である。
【図7A】ゲート弁の好ましい実施形態を示す図である。
【図7B】ゲート弁の好ましい実施形態を示す図である。
【図8A】ゲート弁のさらに好ましい実施形態を示す図である。
【図8B】ゲート弁のさらに好ましい実施形態を示す図である。
【図8C】ゲート弁のさらに好ましい実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、これまで不可能だった第III−V族化合物半導体ウエハの高成長速度及び大量生産のための装置及び方法を提供する。装置は、何週間又は何カ月もの間、メンテナンスのために生産を中断する必要のない持続的な生産が可能である。装置は、少なくともウエハ(又はウエハのバッチ)を1時間から4時間ごとに製造することができる高速大量処理生産が可能である。そのように製造された第III−V族化合物半導体ウエハは、さらなるエピタキシャル堆積及びその他の半導体材料の適用例に用いられる基板用の光学及び電子部品の製作に適している。
【0040】
好ましい実施形態において、装置及び方法は特に、GaN窒化物ウエハの製造を対象とし、そのような実施形態が、後に続く説明のほとんどの焦点となっている。この焦点は、単なる簡略化を目的とし、本発明を限定すると解釈すべきではない。好ましい実施形態は、その他の第III族窒化物、例えば窒化アルミニウム、窒化インジウム、及び混合型窒化アルミニウム/ガリウム/インジウムのウエハの製造に、また、第III族リン化物及びヒ化物のウエハの製造に、容易に適応できることが理解されよう。したがって、第III−V族化合物半導体のいずれかの半導体ウエハの製造は、本発明の範囲内にある。
【0041】
本発明は特に、Siのエピタキシャル堆積用として既に市販されている装置に修正を加えることによって特定の実施形態を実現することができるので、費用効果のあるものにすることができる。それによって、シリコン技術で十分に開発された大量生産に関する態様を維持することができる一方で、GaNエピタキシーに特に重要な要素及び特徴に焦点を当てることができる。また、本発明の装置は、重要な負荷サイクルを有するように設計され、大量生産が可能となる。また、本発明は、実際には堆積されず、それ故に反応チャンバ装置から排出されるGaを回収及び再生することによって、高価なGaの使用に際して事実上100%の効率をもたらし、このとき、限られた中断時間しか必要としない。また、本発明の方法及び装置は、Ga前駆体の経済的な使用を含む。
【0042】
本発明は、周知の低熱質量サセプタ(基板ホルダ)、及び温度制御された反応器の壁によるランプ加熱の使用を含む。ランプ加熱の使用によって、熱エネルギーを主にサセプタに結合させることが可能になり、反応器の壁を加熱しない。ランプ加熱システムは、ランプに対して非常に速い出力変化を可能にする制御システムを備える。ランプ加熱システムに結合された低熱質量サセプタは、上昇及び下降の両方での非常に速い温度変化を可能にする。温度上昇速度は、2〜10度/秒の範囲内であり、好ましくは4〜7度/秒程度である。
【0043】
本発明は、特定の温度に制御される反応器の壁を含み、不要な気相反応を最小限に抑え、及び壁面への堆積を妨げる。壁面への堆積が少ないことにより、成長速度、応力、及びその他の適切な成長パラメータの現場モニタリングを容易に用いることが可能になる。
【0044】
本発明は、第III族前駆体の1つ又は複数の外部供給源を含む。第III族前駆体の流れは、電子質量流制御器によって直接制御される。外部第III族供給源のサイズには、実用上制約がない。第III族供給源容器は、50から100から300kgの範囲内にすることができ、いくつかの供給源容器は、中断時間がない状態で容器同士の切換えを可能にするためにマニホールド化することができる。GaNの堆積の場合、Ga前駆体はGaCl3である。このGa供給源は、GaCl3が十分に低い粘度状態にあるときに、通常の物理的手段、例えば液体GaCl3中へのキャリアガスのバブリングによってGaCl3の十分な蒸発速度をもたらすことができること、及びGaCl3がそのような十分に低い粘度及び状態を100から130℃の範囲の好ましい温度で示すことの観察及び発見に基づく。
【0045】
本発明は、低粘度状態で、一定温度及び圧力でGaCl3を維持する装置と、制御された量のガスを液体GaCl3内に流動し、GaCl3の蒸気を反応器に運搬する装置とを含む。この装置は、1枚の直径200mm基板上で又はサセプタに適合する任意の枚数のより小さいウエハ上で、100から400μm/hの範囲内のGaN堆積速度をもたらすGaCl3の高質量流(200から400g/hの範囲内)を持続することができる。GaCl3容器からの運搬システムは、特定の温度プロファイルで維持され、GaCl3の凝縮を妨げる。
【0046】
本発明は、堆積ゾーンまで第III族及び第V族のガスを別々に保持する入口マニホールド構造も含み、堆積ゾーン内で高い気相均一性を実現することによって、反応チャンバ内に入って基板を支持するサセプタを横断するプロセスガスの均一な流れを実現する方法も提供する。プロセスガス流は、流速が均一になるように(したがって、非乱流)、及び化学組成が均一になるように(したがって、均一なIII/V比)設計される。好ましい実施形態において、これは、第III族及び第V族のガス用の別の1次入口ポートを設けることによって実現され、反応器の幅の端から端までガスの均一な分布を提供し、高い均一性を実現する。好ましい実施形態では、マニホールド及びポート構造は、流体力学の原理に従ってガス流をモデル化することにより、設計及び改良される。
【0047】
本発明は、第III族又は第V族の入口のいずれか又は両方にエネルギーを加えることにより、これらの前駆体の反応効率を高める方法も含む。好ましい実施形態において、これは、ダイマー形態の第III族前駆体Ga2Cl6からモノマーGaCl3に熱分解する方法を含むことができる。別の好ましい実施形態では、これは、熱分解又はプラズマによってアンモニア前駆体を分解する方法を含むことができる。
【0048】
本発明は、全てが完全にコンピュータ制御され、全成長プログラムと連係された、完全自動カセット間取り付け、個別の冷却ステージ、ロードロック、非接触ウエハ処理器を含む自動化ウエハ処理用装置も含む。
【0049】
本発明は、反応器の入口及び出口フランジと、排出システムと、低圧及び高温で動作することのできる特別に設計された圧力調節弁との温度制御も含む。これらの領域での温度制御は、早すぎる気相反応を防止し、GaNと同様に様々な反応副生成物の堆積を最小限に抑える。主な反応副生成物は、NH4Clである。反応器の下流の全排出温度は、NH4Clを凝縮しないように制御される。
【0050】
本発明は、反応器チャンバの内部と外部との間でのウエハの移送が可能になるように開き、反応器チャンバの内部を外部から封止するために閉じるゲート弁も含む。ゲート弁は、好ましい実施形態において、複数の入口ポートを含むことが好ましく、複数の入口ポートは、弁材料及び反応器の側壁表面での堆積を制御して減少させるように不活性ガスを進入させ、及びガスの再循環を減少させ反応器内でのガスの滞留時間を短縮するために使用される。好ましくは、ゲート弁の少なくとも封止面は、温度制御される。
【0051】
本発明の追加の態様及び詳細は、1回の成長操作中に1枚又は複数のウエハを保持することができるサセプタと、厚くする成長操作の間に基板がサセプタに付着しないように設計されたサセプタとの使用を含む。
【0052】
本発明は、特定の金属ハロゲン化化合物が、ある独自の化学的性質を有するという発見、及びこれらの性質に照らして設計された装置に結合したときに、その組合せを使用して、これまで実現できなかった高スループット、高動作時間、及び低コストの第III−V族化合物半導体の厚い層を、特に窒化ガリウムの厚い層を、大量生産に特徴的な手法により堆積することができるという発見に基づく。
【0053】
本発明では、「大量生産」(又は「HVM」)は、高スループット、高い前駆体効率、及び高い装置利用によって特徴付けられる。スループットは、処理することができるウエハ/時の枚数を意味する。前駆体効率とは、システムに投入される材料の大部分が生成物になり、廃棄されないことを意味する。材料、方法、及び構造に関連した多数の変数があるが、HVM堆積速度は、少なくとも48時間にわたって1時間当たり50gの第III族元素(ガリウムなど)から、少なくとも100時間にわたって1時間当たり100gの第III族元素、少なくとも1週間にわたって1時間当たり200gの第III族元素、少なくとも1カ月にわたって1時間当たり300から400g程度の第III族元素に及ぶ。典型的な供給源容量は、1個の容器内及び高いHVMで、5Kgから60Kgに及ぶことができ、多数の容器を順次動作させることができる。これは、シリコン製造で得られたものと同様の第III−V族材料スループットを提供することができる。
【0054】
装置利用率は、24時間などの所与の時間と比較した、基板が反応器内にある時間の割合を意味する。HVMでは、時間のほとんどが、設定、較正、クリーニング、又はメンテナンスとは対照的に生成物を生成するために費やされる。これらの尺度に関する定量的範囲は、成熟したシリコン半導体処理技術に利用可能である。第III−V族材料のHVMに関する装置利用率は、約75から85%程度であり、これはシリコンエピタキシャル堆積装置の場合と同様である。
【0055】
反応器利用率は、基板上の材料の成長が反応器内で生ずる期間である。従来のHVPE反応器の場合、この値は40から45%程度であり、一方、本明細書に開示されるようなHVM反応器の場合には、この値は65から70%程度である。
【0056】
成長利用率は、反応器内でのオーバーヘッド時間であり、基板が内部に供給された後に成長が反応器内で生ずる時間を意味する。従来のHVPE反応器では、この値は65から70%程度であり、一方、本明細書に開示されるようなHVM反応器では、この値は、約95%から100%近くであり、即ち、シリコン製造プロセスの場合に近い。
【0057】
本発明は、大量生産を妨げる現行のHVPE技術に対する主な制約に対処する。これは、現行HVPEの原位置供給源の生成を外部供給源に置き換え、現行HVPEの高熱質量の高温壁反応器を温度制御された壁面を有する低熱質量反応器に置き換えることによって行われる。外部供給源の使用により、前駆体充填の際に生産を停止する必要がなくなり、装置効率が大幅に上昇する。さらに、前駆体の質量流速は、電子質量流制御器によって直接制御され、その結果、成長プロセスの制御が改善され、収率が改善される。温度制御された壁面を有する低熱質量反応器は、成長中及びメンテナンス中の両方で、加熱及び冷却に要する時間を大幅に短縮する。基板を素早く加熱及び冷却することができるので、現行のHVPE高温壁面システムでは実用上不可能なマルチ温度プロセスの使用も可能になる。壁面温度を制御する能力により、気相反応を低減させ、壁面への堆積がほぼ完全に排除される。壁面への堆積の排除によって、クリーニングの間の時間が大幅に延び、その結果、高い反応器利用率が得られる。
【0058】
本発明は、ある金属ハロゲン化化合物を、第III−V族化合物半導体のHVPE堆積用の外部供給源として使用することができ、また本発明で詳述される特定の運搬装置と連結させて十分に高い質量流速をもたらし、それによって広い面積上に高い堆積速度を実現し維持することができるという事実に基づく。特に、融解した場合、GaCl3は十分に低い粘度状態にあり、その結果、通常の物理的手段、例えば液体GaCl3中にキャリアガスをバブリングすることが可能になり、GaCl3の十分な蒸発速度を提供することができ、GaCl3は約130℃程度の範囲内の温度で十分に低い粘度状態を示す。さらに本発明は、約400℃よりも低い温度で液相及び気相であるGaCl3が、実際にはダイマーであるという事実に基づく。ダイマーの化学式は、(GaCl32又はGa2Cl6と書くことができる。
【0059】
Ga2Cl6の他に、関連あるクロロガランもGa前駆体として使用することができる。これらの化合物は、Ga2Cl6に類似しているが、Hが、1つ又は複数のCl原子の代わりになる。例えばモノクロロガランは、H原子によって置換される2個の架橋Cl原子を有する。以下に示されるように、末端Ga結合原子も、Hによって置換することができる(この化合物のシス形及びトランス形があることに留意されたい)。非特許文献1によれば、ダイマーの安定性は、Cl置換当たり1〜2kcal/molだけ末端Ga−x結合の塩素化が増加するにつれて低下し、架橋H原子に対する各Cl置換ごとに、6〜8kcal/molだけ増大する。このように、置換されたCl原子の数が減少するほど、所与の温度でのモノマーの割合が低下すると考えられる。
【0060】
【化1】

【0061】
In及びAl含有化合物の成長を、実質的に類似する装置によって実現することができるが、これらの供給源が液体状態で容易に維持されないという制約がある。InCl3は583℃で融解する。GaCl3に関して説明された本発明を、583℃よりも高い温度で動作するように修正することができるが、これは、実用的に全く困難である。代替の手法は、InCl3を、その融点よりも低い温度であって、そのときの蒸気圧は、許容可能な堆積速度を実現するために十分な温度に加熱される。
【0062】
AlCl3は、178℃で昇華し、190℃及び2.5気圧で融解する。GaCl3に関して説明された本発明を、大気圧よりも高い圧力及びAlCl3の融点よりも高い温度で動作するように修正することができる。さらに、十分に高い蒸気圧を実現するように融点よりも低い温度に加熱するInCl3に関して既に説明された代替の手法も、効果があることになる。AlCl3は、低温の液相中及び気相中でダイマー(AlCl32も形成する。
【0063】
本発明の別の主な構成要素は、低熱質量反応器である。温度制御された壁面を有する低熱質量反応器は、成長中及びメンテナンス中の両方で、加熱及び冷却に要する時間を大幅に短縮する。基板を素早く加熱及び冷却することができるので、現行のHVPE高温壁面システムでは実用上不可能なマルチ温度プロセスの使用も可能になる。壁面温度を制御する能力により、気相反応を低減させ、壁面への堆積がほぼ完全に排除される。壁面への堆積の排除によって、クリーニングの間の時間が大幅に延び、その結果、高い反応器利用率が得られる。
【0064】
低熱質量は、伝統的に低温壁面システムと呼ばれるものを使用することによって実現されるが、本発明では、壁面温度は特定の温度に制御される。現行の高温壁面システムは、炉内に閉じ込めることによって加熱される。新しいシステムでは、基板ホルダ及び基板のみが加熱される。これを実現するための、ランプ加熱、誘導加熱、又は抵抗加熱を含めた多くの方法がある。一実施形態では、システムは、石英から構成された反応器チャンバとグラファイトで構成された基板加熱器とからなる。グラファイトは、石英反応器の外側で、ランプにより加熱される。石英反応器の壁面は、様々な方法を使用して制御することができる。ほとんどの場合、壁面温度制御システムは、様々な部位で壁面温度を測定する1つ又は複数の方法からなり、壁面領域への冷却又は加熱入力を調節するフィードバックシステムと組み合わせられ、事前設定弁で温度を維持する。別の実施形態では、壁面温度は、冷却のために反応器壁面の外部に空気を吹き付けるファンによって制御される。壁面温度は、常に一定である必要はなく、温度制御器は、温度を変化させて、成長中及びメンテナンス中に改善された性能を実現するようにプログラミングすることができる。
【0065】
以下の説明の焦点は、主に窒化ガリウム(GaN)ウエハを製造する好ましい実施形態にあてられるが、説明される装置及び方法は、当業者によって、本発明の範囲内にある第III−V族化合物半導体のいずれかのウエハの生産にも容易に適合されることが理解されよう。したがって、そのような装置は本発明の範囲内にある。見出しは、単なる明確化のために全体を通して使用され、限定を意図するものではない。
【0066】
本発明は、構成及び動作するために経済的なGaNウエハを大量生産する装置も提供する。本発明の好ましい実施形態を、シリコン(Si)エピタキシー用に設計され、市販されている既存のVPE装置を適応/修正することによって、経済的に実現/構成することができる。本発明を実施するために、ゼロからGaN堆積装置の全ての構成要素を設計及び構成するという費用及び時間がかかるプロセスに取り組むことを必ずしも必要としない。代わりに、本発明の持続的な高スループットGaN堆積装置は、既存のSi処理生産実証済み装置に、目標とされ限定された修正を加えることによって、より迅速かつ経済的に実現/構成することができる。しかしながら、そのような修正された既存の装置と共に、本発明は、新規な構成も包含する。
【0067】
したがって、以下の説明は、まず、GaN生成用に既存のSi装置に組み込まれる一般に好ましい特徴を対象とする。Si処理から保ち続けることのできる特徴は、当技術分野で周知であるので詳細に説明しない。種々の実施形態では、説明される特徴の種々の1つを実施することができ、本発明は、これらの特徴の全てが実施された実施形態に限定するものではない。しかしながら、より高いレベルの持続型高スループット生産では、これらの特徴全てのほとんどが有利であり、カセット間取り付け、ロードロック及び他の1つが冷却している間に高速取り付け及び取り外し及びウエハ処理を可能にする別の冷却ステージを備えた完全自動化ウエハ処理を含む。ロードロックは、雰囲気に対する反応器の不要な露出を排除して、酸素及びウエハ蒸気の導入を最小限に抑え、実行前のパージ/ベーク時間を大幅に短縮する。さらに、自動化処理は、ウエハの手動処理よりも収率損失及びウエハ破損を減少させる。ある場合には、ベルヌーイ棒を使用してウエハを処理し、そのため900℃程度に高い温度で高温取り付け及び取り外しを実施し、長い冷却時間を節約することが可能になる。
【0068】
本発明の好ましい特徴の一般的な実施形態を、まず一般的なVPEシステムに関して説明する。これらの一般的な実施形態を、特定の市販されているSiエピタキシー装置にどのように普通に適応するかが、明らかにされよう。次いで以下の説明は、本発明の特定の好ましい実施形態と、ASM America,Inc.(Phoenix,AZ)から入手可能なEPSILON(登録商標)シリーズの単一ウエハエピタキシャル反応器の1つを基にしたその好ましい特徴を対象とする。しかしながら、本発明は、この特定の好ましい実施形態に限定されないことが明らかである。別の例として、本発明を、CENTURA(登録商標)シリーズのAMAT(Santa Clara,CA)に容易に適応することができる。
【0069】
本発明の装置及び方法の好ましい実施形態(GaNウエハを製造するための)について、図1を参照しながら概略的に説明する。次いで特に好ましい実施形態について、図2〜5を参照しながらより詳細に説明する。一般に、本発明の装置は、基板上にエピタキシャルGaN層を大量生産するために、及び構成及び操作の経済性のために、設計及び寸法決めされる。
【0070】
本発明の一般的実施形態
便宜上及びこれに限定することなく、図1を参照しながら、本発明を、3つの基本的サブシステム、即ち、プロセスガス(又は液体)を供給するためのサブシステム1、反応チャンバを含むサブシステム3、及び無駄を低減するためのサブシステム5に関して、概略的に説明する。
【0071】
上述のように、HVMは、本明細書に説明される一般的特徴を含むシステムの様々な物理的特徴の組合せの特性である。
【0072】
1.GaCl3の外部供給源
第1のサブシステムの構造、プロセスガスサブシステム、特にガリウム化合物蒸気供給源は、本発明の重要な特徴である。周知のGaN VPEプロセスについて、次に簡単に説明する。GaV VPEエピタキシーは、窒素(N)及びガリウム(Ga)を含有する前駆体ガスから(及び任意選択で、混合窒化物を形成するために、1種又は複数のその他の第III族金属含有ガス、及び任意選択で、特定の電子伝導率をもたらす1種又は複数のドーパント)、加熱された基板の表面に直接GaNを合成するステップを含む。Ga含有ガスは、通常、一塩化ガリウム(GaCl)又は三塩化ガリウム(GaCl3)、あるいはガリウム−有機化合物、例えばトリ−エチル−ガリウム(TEG)又はトリ−メチル−ガリウム(TMG)である。第1のケースでは、このプロセスをHVPE(ハロゲン化物蒸気エピタキシー)と呼び、第2のケースでは、MOVPE(有機金属蒸気圧エピタキシー)と呼ぶ。
【0073】
GaClの化学的性質(高温でのみ安定)により、GaCl蒸気は、反応容器内のその場所で、例えば液体Gaが入っているボート上にHClを通すことによって合成する必要がある。これとは対照的に、GaCl3は、周囲条件(水分が存在しない)で安定な固体であり、これは一般に、それぞれが約100g程度で密封された石英アンプルに入れられて供給される。TMG及びTEGは、揮発性の液体である。N含有ガスは、通常はアンモニア(NH3)であり、半導体品質のNH3が標準的なシリンダで入手可能である。
【0074】
代替として、例えばNイオン又はラジカルを含有するプラズマ活性化N2を、N含有ガスとして使用することができる。分子N2は、高いプロセス温度であっても、GaCl3又はGaClに対して実質的に非反応性である。窒素ラジカルは、当技術分野で周知の手法によって、一般には窒素分子が分裂するようにエネルギーを与えることによって、調製することができる。例えば、窒素ラインにRF源を付加することによって、電磁誘導プラズマを発生する。この形態で動作させる場合、反応器内の圧力は、通常低下する。
【0075】
周知のVPEプロセスの中で、MOCVD及びGaCl HVPEは、第III族窒化物層の持続的な大量生産にそれほど望ましくないことがわかっている。第1に、MOCVDは、その実現可能な堆積速度が、HVPEプロセスによって実現可能な堆積速度の5%未満であるので、10umよりも厚い被膜を成長させるためにそれほど望ましくない。例えばHVPE堆積速度は、100〜1000μ/時又はそれ以上の範囲内にすることができるが、MOCVD速度は、典型的には10μ/時未満である。第2に、GaCl HVPEは、HClとの反応によってGaClを形成するために、液体Gaの供給を反応チャンバ内で存在させる必要があるので、それほど望ましくない。そのような液体Gaの供給を、HClとの反応性を保持した形で、大量生産に十分な形で維持することは、困難であることがわかっている。
【0076】
したがって、本発明の装置は主に、大量生産のためのGaCl3 HVPEを対象とする。任意選択で、例えばバッファ層などを堆積するためにMOCVDを提供することもできる。しかしながら、大量生産のためのGaCl3 HVPEの使用では、十分な時間にわたって中断することなく(反応チャンバ内でのウエハの取り付け/取り外しを除く)維持することができる十分な流量を実現するGaCl3蒸気の供給源が必要である。好まし
くは、平均持続堆積速度は、1時間当たりのGaNが100から1000μm/時の範囲内であり、その結果、1枚程度のウエハ(又は多数のウエハの1バッチ分)は、さらに厚いGaN層に関して1又は2時間以下の堆積時間を要することになる。そのような好ましい堆積速度の実現には、供給源が、GaCl3蒸気の質量流を約250又は300g/時程度で提供する必要がある(200mmの円形の、300μmの厚いGaN層は、Gaを約56g程度含むが、GaCl3は、Gaが約40重量%である)。さらに、そのような流量は、供給源を再充填/提供するために必要とされる製造中断が、好ましくは最長でも1週間に1回、又はより好ましくは少なくとも2から4週間ごとに1回になるように、十分な所要時間にわたって維持することができる。したがって、流量は、少なくとも50枚のウエハ(又は多数のウエハの複数バッチ分)に関して維持できることが好ましく、少なくとも100、又は150、又は200、又は250から300枚のウエハ、あるいは数バッチ分又はそれ以上に関して維持できることが好ましい。そのような供給源は、従来技術では知られていない。
【0077】
本発明の装置は、好ましい流量及び所要時間を実現するために、課題を克服したGaCl3供給源を提供する。好ましい流量の実現は、過去において、GaCl3のある物理的性質によって妨げられていた。第1に、周囲条件でGaCl3は固体であり、蒸気は昇華によってのみ形成することができる。しかしながら、GaCl3昇華速度は、好ましい質量流量で蒸気を供給するために不適切であると判断されている。第2に、GaCl3は約78℃で融解し、次いで蒸気は、液体表面からの蒸発によって形成することができる。しかしながら、蒸発速度は、好ましい質量流をもたらすのに不適切であることもわかっている。さらに、蒸発速度を上昇させるための典型的な物理的手段、例えば撹拌及びバブリングなどは、GaCl3液体が比較的粘性であることが知られているので、蒸発速度を十分に上昇させない。
【0078】
必要なことは、十分に低い粘度の液体GaCl3の形態であり、約120℃程度、特に約130℃程度又はそれ以上で開始すると、GaCl3は、例えば水の場合と同様の粘度を有するような、より低い粘度状態を示すことが、観察及び発見されている。さらに、この低粘度状態では、通常の物理的手段は、好ましい質量流量が得られるように十分にGaCl3蒸発速度を効果的に上昇させることが可能であることが、観察及び発見されている。
【0079】
したがって、本発明のGaCl3供給源は、約130℃程度に制御された温度T1を有する液体GaCl3のリザーバを維持し、蒸発速度を高める物理的手段を提供する。そのような物理的手段は、液体の撹拌、液体の噴霧、液体上にキャリアガスを素早く流すこと、液体中へのキャリアガスのバブリング、及び超音波による液体の分散などを含むことができる。特に、約130℃でより低い粘度状態の液体GaCl3を通した、技術分野で周知の配置構成にかかるHe、N2、又はH2、又はArなどの不活性キャリアガスのバブリングは、GaCl3の好ましい質量流量をもたらすことが可能であることが発見されている。GaCl3供給源の好ましい構成は、リザーバの外側の加熱要素を使用してより良い温度制御を実現するために、その体積に比例して全表面積が増大している。例えば、例示されるGaCl3供給源は、高さが直径よりも著しく大きい円筒状である。GaCl3の場合、これは、少なくとも48時間にわたる期間では、1時間当たり120g程度、少なくとも100時間にわたる期間では、1時間当たり250gまで、少なくとも1週間にわたる期間では、1時間当たり500gまで、少なくとも1カ月にわたる期間では、1時間当たり750から1000g程度までと考えられる。
【0080】
さらに、好ましい流量及び所要時間が可能なGaCl3供給源は、個々の100gアンプルに供給されたGaCl3に頼ることはできない。そのような量は、中断のないわずか15から45分間の堆積に十分と考えられる。したがって、本発明のGaCl3供給源の別の態様は、大容量のGaCl3である。本発明の高スループットという目標を達成するために、GaCl3源の再充填に費やされる時間が制限されることが好ましい。しかしながら、再充填は、大気中の水分と容易に反応するというGaCl3の傾向によって、より複雑になる。GaCl3の充填、供給源、及びGaCl3の供給ラインは、ウエハ生産の前には水分を含んではならない。様々な実施形態のスループットの目標に依存して、本発明は、GaCl3を少なくとも約25kg、又は少なくとも約35kg、又は少なくとも約50から70kgを保持することが可能な供給源を含む(上限は、反応チャンバに近接している供給源を位置決めするという利点に鑑み、サイズ及び重量の要件によって決定される)。好ましい実施形態では、GaCl3供給源は、約50から100kgの間、好ましくは約60から70kgの間のGaCl3を保持することができる。GaCl3供給源の容量には、その構成及び使用のロジスティックスを除き、実際の上限はないことが理解されよう。さらに、多数のGaCl3供給源を、マニホールドを通してセットアップすることができ、反応器の停止時間がない状態で1つの供給源から別の供給源に切り替えることが可能になる。次いで空の供給源を取り出すことができ、一方で反応器が動作して、新たな十分な供給源に置き換えられる。
【0081】
本発明のGaCl3供給源のその他の態様は、供給源と反応チャンバとの間の供給ラインの慎重な温度制御である。GaCl3供給ラインと、これに関連する質量流量センサ、及び制御器などの温度は、供給ラインなどでのGaCl3蒸気の凝縮を防止するために、好ましくは供給源からの出口でのT2から、反応チャンバ入口33でのT3まで徐々に上昇する。しかしながら、反応チャンバ入口での温度は、例えば、ガスケット及びOリングに関する石英反応チャンバを密閉するように、供給ライン及びチャンバ入口で使用される封止材料(及びその他の材料)を損傷させる可能性があるほど高くあってはならない。現在、Cl露出に耐性があり、半導体産業への通常の商業的用途に利用可能な封止材料は、一般に、約160℃よりも高い温度に耐えることができない。したがって、本発明は、GaCl3供給ラインの温度の感知、次いで必要に応じた供給ラインの加熱又は冷却(一般に、供給ラインの温度を「制御」する)を含み、供給ラインの温度がこの供給ラインに沿って、好ましくは約130℃である供給源から好ましくは最大で約145から155℃程度(又は、Oリングもしくはその他の封止材料の高温耐性よりも安全な状態で低いその他の温度)である反応チャンバ入口まで上昇する(又は少なくとも低下しないように)。必要な温度制御をより良く実現するために、供給源装置と反応チャンバ入口との間の供給ラインの長さを短くすべきであり、好ましくは約1ft.、又は2ft.、又は3ft.である。GaCl3供給源に対する圧力は、圧力制御システム17によって制御される。
【0082】
本発明のGaCl3供給源のその他の態様は、チャンバ内へのGaCl3流束の精密な制御である。バブラーの実施形態では、供給源からのGaCl3流束は、GaCl3の温度、GaCl3に対する圧力、及びGaCl3を通してバブリングされたガスの流れに依存する。GaCl3の質量流束を、原則として、これらのパラメータのいずれかによって制御することができる一方で、好ましい実施形態は、制御器21でキャリアガスの流れを変化させることによって、質量流束を制御することである。Piezocor等71などの日常的に利用可能なガス組成センサを用いて、反応チャンバへの、例えば秒当たりのグラム数で表される実際のGaCl3質量流束の追加の制御を提供することができる。さらに、GaCl3供給源に対する圧力を、バブラーの出口に配置された圧力制御システム17によって制御することができる。圧力制御システム、例えば背圧調節器では、供給源容器内の過圧を制御することが可能である。制御されたバブラーの温度及びキャリアガスの流量を組み合わせた容器圧力の制御は、前駆体流量の改善された決定を促進させる。任意選択で、容器は絶縁外側部も含む。
【0083】
GaCl3供給源、GaCl3供給ライン、及びGaCl3と接触している入口マニホールド構造に使用される材料は、耐塩素性であることが望ましい。金属成分の場合、Hastelloyなどのニッケルベースの合金、タンタル、又はタンタルベースの合金が好ましい。金属成分に関するさらなる耐腐食性を、保護耐腐食性コーティングにより提供することができる。そのようなコーティングは、シリコンカーバイド、窒化ホウ素、窒化アルミニウムを含むことができ、好ましい実施形態では、金属成分に、溶融石英層又は結合非晶質シリコン層をコーティングすることができ、例えばSiltek(登録商標)及びSilcosteel(登録商標)(Restek Corporationから市販されている)は、酸化環境に対して高い耐腐食性をもたらすことが実証されている。非金属成分の場合、耐塩素性ポリマー材料(炭素又はシリコンポリマー)が好ましい。
【0084】
上記事項に鑑み、好ましい量のGaCl3を保持することが可能な好ましいGaCl3供給源を、本明細書では「連続的に」動作すると呼ぶが、これは適切な実施形態において、引用される持続時間で望ましい量の運搬を中断することなく、供給源がその含有するGaCl3を運搬することができるからである。しかしながら、特定の実施形態では、反応チャンバ(又は本発明のシステムのその他の構成要素)は、そのように構成され又は構成されることができ、又はあるプロセスの詳細が実施され、その結果、断続的なチャンバのメンテナンス、例えばクリーニングなどが必要であることを理解すべきである。対照的に、GaCl3供給源は、第III−V族生成物の大量生産が促進されるような連続的な手法で所望の量の前駆体を供給するように構成及び寸法決めされる。このように、供給源は、固体前駆体の補充を停止し又はその他の方法で中断することなく、これらの量を供給することが可能である。
【0085】
これは、単一のリザーバに十分に多量の固体前駆体を供給することによって、又は1つにマニホールド化された多数のリザーバを設けることによって、実現することができる。当然のことながら、当業者なら、マニホールド化システムにおいて、1つのリザーバを動作して気体状前駆体を提供することができ、一方で1つ又は複数のその他のリザーバに、固体前駆体材料を補充するということ、及び反応器の動作に何の影響も及ぼさないのでこのシステムは連続的システムであり続けるということを理解するであろう。そのような実施形態において、GaCl3供給源は、この供給源が完全に機能しない間、再充填、開放、補充、又はその他の手順を行うことなく、その含有するGaCl3を運搬することができるので、本明細書では連続的に動作するとも呼ばれる。言い換えれば、供給源は、単独でGaN堆積を中断する必要がない。
【0086】
また、説明したように、好ましいGaCl3供給源は、GaCl3を単一のリザーバに含有することができる。また、好ましい供給源は、GaCl3蒸気を多数のリザーバから順次又は並行して運搬することができるようにマニホールド化された出口を有する多数のリザーバ(即ち、2、5、10個など)を含むことができる。下記において、どちらの実施形態も、しばしば単一供給源と呼ばれる。好ましい実施形態では、本発明の装置は、第III族有機金属化合物の供給源を提供することもでき、MOCVDプロセスを実施することができる。例えば、MOCVDを使用いて、例えば薄いGaN又はAlNバッファ層、薄い中間層、及び混合金属窒化物層などを堆積することができる。追加のプロセスガスを、当技術分野で周知のように、通常通りに供給することができる。
【0087】
第V族前駆体は、1種又は複数の第V族原子を含有するガスである。そのようなガスの例には、NH3、AsH3、及びPH3が含まれる。GaNの成長では、典型的な成長温度でNの十分な組込みを行うことができるので、NH3が典型的に使用される。アンモニア及びその他のN前駆体は、外部供給源である。例えば半導体級NH3は、様々なサイズのシリンダ19で容易に入手可能であり、キャリアガス72は、やはり様々なサイズの容器に低温液体として又は気体として入手可能である。これらの気体の流束は、質量流制御器21などによって通常通りに制御することができる。代替の実施形態では、本発明の装置
は、その他の第III族塩化物の供給源も提供することができる。
【0088】
2.反応器の幾何形状
次に、高い経済性を実現するために、反応器サブシステムは、市販の反応器システムを好ましく応用したものである。本発明での適用及び使用に好ましい利用可能な反応器は、次に説明される特徴のほとんど又は全てをそのまま含む。これらの特徴は、本明細書に開示される修正及び強化により、GaN層のHVMに有用であることが判定されている。以下の説明は、主に、既存の装置を適応させた実施形態を対象とするが、反応器及び反応器システムは、これから説明される特徴を含むように専用のものにすることができる。本発明は、既存の装置の再設計及び修正と、新しい装置の設計及び製作の両方を含む。本発明は、結果的に得られる装置も含む。
【0089】
一般に、好ましい反応チャンバは、水平プロセスガス流を有し、垂直寸法が小さく水平寸法が大きなほぼボックス状又は半球状の構成に成形されている。水平反応チャンバのある特徴は、非生産的反応時間を制限し、及び品質の良いGaNウエハのHVMを実現するために重要である。
【0090】
3.低熱質量サセプタ及びランプ加熱
まず、新しいウエハを導入した後の温度上昇に費やされる時間、及び堆積を実行した後の温度低下に費やされる時間は、生産的ではなく、制限される又は最小限に抑えられるべきである。したがって、好ましい反応器及び加熱装置も、より低い熱質量を有し(即ち、熱を素早く吸収する能力)、熱質量が低くなるほどより好ましい。そのような好ましい反応器は、赤外線(IR)加熱ランプで加熱され、赤外線透過壁を有する。図1は、石英で作製され、下部縦方向IRランプ27及び上部横方向IRランプ29により加熱される反応器25を示す。石英は、十分にIR透過性であり、十分にCl耐性があり、十分に耐火性であるので、好ましいチャンバ壁材料である。
【0091】
4.チャンバ壁及びフランジでの閉ループ温度制御
反応チャンバ内部をクリーニングするのに費やされる時間も生産的ではなく、この時間を制限し又は最小限に抑えるべきである。GaN堆積プロセス中、前駆体、生成物、又は副生成物が、内壁に堆積し又は凝縮する可能性がある。そのような堆積又は凝縮は、一般に、前駆体及び副生成物が凝縮しないよう十分に高く、しかしながら壁面でのGaNの形成及び堆積が防止されるよう十分に低い中間温度に冷却することでチャンバ壁の温度を制御することにより、著しく制限し又は低減させることができる。GaCl3 HVPEプロセスに使用される前駆体は、約70から80℃よりも低い温度で凝縮し、主な副生成物のNH4Clは、約140℃よりも低い温度でしか凝縮せず、GaNは、約500℃よりも高い温度で形成及び堆積し始める。チャンバ壁は、好ましくは前駆体及び副生成物の凝縮を著しく制限するために十分高いことがわかっている200℃と、チャンバ壁でのGaN堆積を著しく制限するために十分低いことがわかっている500℃との間の温度T5に制御される。チャンバ壁に好ましい温度範囲は、250から350℃である。
【0092】
好ましい範囲への温度制御は、一般に、チャンバ壁の冷却することを必要とする。IR透過性であるが、チャンバ壁は、それにも関わらず、高温サセプタからの熱伝達によってある程度まで加熱される。図1は、好ましい冷却配置構成を示し、反応チャンバ25が完全又は部分シュラウド37に収容されており、冷却空気はシュラウドを通って反応チャンバの外側上方及び周りに誘導される。壁温度を、赤外線高温測定によって測定することができ、それに応じて冷却空気流を調節することができる。例えば、1枚(又は複数)の多重速度又は可変速度ファンを設けて、チャンバ壁温度に対して感受性のあるセンサによって制御することができる。
【0093】
5.ロードロック、カセット間
ウエハ取り付け及び取り外し時間も生産的ではない。この時間は、39で概略的に示される自動装置によって、通常通り制限されることができる。当技術分野で周知のように、この装置はウエハを収納することができ、ウエハを反応チャンバに取り付けることができ、ウエハを反応チャンバから取り外しすることができ、一般には、外部ホルダと反応チャンバ内のサセプタとの間で、例えば移送棒を使用する、例えばウエハを移動させるロボットアームなどを備える。ウエハの移送中、反応チャンバは、中間ウエハ移送チャンバによって周囲への露出から切り離すことができる。例えば、移送チャンバと外部との間の制御可能なドアは、取り付け及び取り外しを可能にし、次いで周囲への露出に対して移送チャンバを密閉することができる。フラッシング及び調製の後、移送チャンバと反応器との間の別の制御可能なドアを開放して、サセプタ上にウエハを配置し又は除去することが可能になる。また、そのようなシステムは、酸素、水分、又は雰囲気中のその他の汚染物質に対する反応器内側の露出も防止し、ウエハを取り付け及び取り外しする前のパージ時間を短縮する。汚染を引き起こさずに高温ウエハの取扱いを可能にすることによって、非生産的時間を短縮するので、石英ベルヌーイ移送棒を使用することが好ましい。
【0094】
6.個別の注入
矢印31の方向で入口マニホールド33から出口マニホールド35までのプロセスガス流制御は、高品質のGaN層を堆積するために重要である。この流れは、プロセスガスに関する下記の好ましい特徴を含む。まず、ガリウム含有ガス、例えばGaCl3と、窒素含有ガス、例えばNH3は、個別の入口を通して反応器内に進入することが好ましい。これらのガスを、反応チャンバの外側で混合するべきではなく、その理由は、そのような混合が、不要な反応をもたらす可能性があり、例えば、後続のGaN堆積を妨げるGaCl3及びNH3分子の複合体が形成されるからである。
【0095】
次いで個別の進入の後、GaCl3及びNH3の流れを調整して、ガスがサセプタに対して空間的にも時間的にも均一な組成を有するようにすることが好ましい。III/V比は、任意の特定の時間に、好ましくは約5%未満だけ、より好ましくは約3%又は2%又は1%未満だけ、サセプタ(及び支持された1枚又は複数のウエハ)の面上で変化すべきことがわかっている。また、III/V比は、サセプタの面の全ての部分に対して時間的に、同様に実質的に均一であるべきである。したがって、GaCl3及びNH3の速度プロファイルは、両方のガスが共に反応チャンバの端から端まで横方向に広がり、その結果、サセプタに到達したときに、両方のガスが反応器チャンバの端から端まで、好ましくはサセプタの少なくとも端から端まで均一な非乱流を有することを示すべきである。
【0096】
最後に、流れは、プロセスガスの1種又は複数が変則的に高濃度で蓄積される可能性のある変則的に低流量の再循環ゾーン又は領域を有するべきではない。低ガス流の局在化領域、又はガス停滞の局在化領域でさえ、最も良く回避される。
【0097】
好ましいプロセスガス流は、新しい又は既存の反応チャンバの入口マニホールドの、慎重な設計又は再設計によって実現される。本明細書で使用される「入口マニホールド」という用語は、プロセス及びキャリアガスを反応チャンバ内に誘導する構造であって、一体化した構造又は2つ以上の物理的に個別のユニットを含む構造を指す。
【0098】
下記の一般的特徴を有するように設計及び製作された入口マニホールドは、好ましいプロセスガス流を実現することがわかっている。しかしながら、ほとんどの実施形態では、提案された入口マニホールド設計によって製造された、選択された反応チャンバに入るガス流は、当技術分野で周知の流体動的モデル化ソフトウェアパッケージを使用してモデル化されることに有利である。提案された設計は、それによって繰り返し改善することがで
き、実際に製作する前に高い均一性を実現する。
【0099】
まず、反応チャンバ内へのプロセスガスの進入は、チャンバの幅の一部、ほとんど、又は全ての端から端まで分布することに有利であることがわかっている。例えば、ガスが進入することのできる多数のガス入口ポート又は1つもしくは複数のスロットを、チャンバの幅の端から端まで横方向に分布することができる。窒素又は水素などのキャリアガスを導入して、GaCl3及びNH3ガスを反応器に通してサセプタ上方の所望の反応部位に誘導することを補助することができる。さらに、入口ポート付近の擬似堆積を防止することは、実際の入口ポートを加熱されたサセプタに対して間をおいて配置して、約400〜500℃よりも高い加熱がされないことに有利である。代替として、入口ポートを冷却することができ、又はその付近でプロセスガスが混合しないように間をおいて配置することができる。
【0100】
次に、GaCl3及びNH3入口の特定の構成によってもたらされたガス流特性は、改善することができ、又は動的に「調整」できることがわかっている。サセプタに影響を及ぼす又は、例えばサセプタの下から生じ、GaCl3及びNH3流と混合する2次パージガス流を使用して、組成及び速度の均一性を増す、又は反応器構成要素上での堆積を防止することができる。例えば、GaCl3及びNH3流が異なる入口から反応チャンバに進入する実施形態では、GaCl3のいくらかの上流で反応チャンバに進入するパージガス流を提供することが有利であることがわかっており、NH3は、意図される堆積ゾーン上方にプロセスガスを閉じ込め、意図しない堆積から反応器の側壁を遮断するように流れる。この目的で、より多くの量のキャリアガスを、チャンバ付近で側方に導入し、より少ない量を、チャンバの中心に導入することに有利である。
【0101】
また、好ましい入口マニホールドは、少なくともプロセスガス流の1種の動的調節をもたらし、その結果、動作中に観察された不均一性を改善することができる。例えば、プロセスガス用の入口を、2つ又はそれ以上の流れに分割することができ、個々の流れ制御弁を、各流れの流動を独立に調節するように設けることができる。好ましい実施形態では、GaCl3入口は、独立して制御可能な相対的流れを有する5つの流れに配列される。
【0102】
好ましい入口マニホールドの別の態様は、温度制御を含む。それによって、入口マニホールド温度T3を制御することができ、例えばGaCl3などの前駆体の凝縮を防止し、及び、例えばガスケット又はOリング材料などの温度感受性材料への損傷を防止する。論じたように、GaCl3入口ポートは、GaCl3供給ラインで到達した最高温度以上の温度であるべきであり、好ましくは約110℃程度から約150℃程度の上昇である。入口マニホールドに、特に石英反応器チャンバに対してマニホールドを密封するために使用できるガスケット材料又はOリング材料などの市販の耐塩素性密封材料は、約160℃程度よりも高い温度で劣化し始める。より高い温度で使用可能なシリコンo−リングなどの耐塩素性密封材料は、可能な場合に使用することができ、その場合は、入口マニホールドの温度上限を上昇させることができる。
【0103】
したがって、入口マニホールド温度T3は、温度を周囲から上昇させるように熱を供給することによって、又は高温反応チャンバ及び非常に高温のサセプタから伝達された熱を除去することによって、約155から170℃程度の範囲内に維持するように制御すべきである。好ましい実施形態では、入口マニホールドは、温度センサ及び温度制御流体用チャネルを含む。例えば、155から170℃の温度を、温度制御されたGALDEN(商標)流体を循環することによって実現することができる。その他の周知の流体を、その他の温度範囲に関して使用することができる。流体チャネルは、好ましくは、入口マニホールドの温度感知部分近く、例えばGaCl3入口ポート及び密封Oリング近くを流れる。チャネルの配列を、当技術分野で周知のソフトウェアパッケージを使用する熱モデル化に
鑑みて、より精密に選択することができる。
【0104】
固体又は液体又は蒸気相にあるか否かに関わらず、GaCl3分子は、主にGa2Cl6ダイマー形態で存在することが知られている。その形態は、実際に800℃まで非常に安定であり、気相ラマン分光法によって裏付けられた熱力学計算によれば、300℃では、気相の90%超がダイマー分子からなり、700℃では、ダイマーの99%以下が、GaCl3モノマーに分解することが確認されている。
【0105】
150℃以下の温度に保持される金属注入ポートを通してダイマー分子が注入されるにつれて、ダイマーの分解は、1000℃よりも高い温度にある高温サセプタに接触したときだけ生ずるようになる。サセプタ上方のガスの速度又はその滞留時間に応じて、分解することになるダイマーの部分は、ウエハ上の高い成長速度を持続させるには小さすぎる場合がある。GaN分解プロセスは、全ての塩素が除去されて吸着されたGa原子が得られるまで、GaCl3の吸着及びそのGaClx(x<3)への更なる分解を通して進行する。したがって、モノマー形態のGaCl3から操作することが望ましい。本発明の好ましい実施形態は、サセプタ領域の上流に位置する反応チャンバの下の石英管を通して、ダイマーを導入する。この石英管は、断面が楕円形の漏斗を通して反応チャンバに接続する。エネルギーは、ダイマーが漏斗内に供給されて、ダイマーをモノマーに分解する。好ましい実施形態は、石英管及び漏斗が高流束のIR放射線を受け取るように位置付けられ成形されたIRランプからのIR放射線を使用する。この実施形態では、漏斗領域がIR吸収材料で満たされ、放射線出力は、IR吸収材料が600℃以上、又はより好ましくは700℃以上の温度になるように調節される。ダイマー形態のGaCl3が石英注入器に注入され、高温漏斗ゾーンを通過するにつれ、ダイマーは、モノマーに分解されるようになり、サセプタのすぐ上流にある反応チャンバに注入されるようになる。好ましくは、反応器へのGaCl3の注入点とサセプタとの間の領域は、800℃よりも高い温度で維持され、ダイマーの再形成を防止する。好ましい実施形態は、漏斗と、700℃よりも高い温度、好ましくは800℃よりも高い温度を維持するためにIR加熱ランプによって加熱されたサセプタとの間で、SiC板を使用することである。
【0106】
7.サセプタ及びマルチウエハサセプタ
サセプタ及びその取付けは、当技術分野で一般に周知の標準的な構成のものである。例えば、シリコンカーバイド又は窒化シリコンでコーティングされたグラファイト、あるいは代替として、耐熱金属又は合金を含むことができる。サセプタは、シャフト上での回転のために取り付けられることが好ましい。GaN堆積中、サセプタ温度T4は、約1000から1100℃(又はそれ以上)にすることができ、周知の温度制御回路によって制御される石英IRランプにより維持される。サセプタ直下にデッドゾーンを形成しないようにするために、サセプタの取付けは、パージガスの注入するために提供することが好ましい。この注入は、加熱されたサセプタ及び加熱することもできる(直接又は間接的に)隣接する構成要素の下面での不要な堆積を制限し又は最小限に抑えることができるので、やはり有利である。サセプタは、1枚又は複数の基板を保持するように構成することができる。
【0107】
8.加熱排出管
反応チャンバの出口マニホールド35は、反応チャンバから排出ライン41を通って廃棄物低減システム5に至る排出ガスの自由で遮るもののない流れを提供する。排出システムは、ポンプ(42)、及びこれに関連した圧力制御システム(圧力制御弁(44)、圧力計(46)、及びこれに関連した減圧下で動作させる制御装置)を含むこともできる。出口マニホールド排出ライン及び圧力制御装置(使用する場合)は、有利に温度制御され、反応生成物の凝縮を制限する。排出ガス及び反応生成物は、典型的にはキャリアガス;未反応プロセスガス、GaCl3及びNH3;主にNH4Cl、NH4GaCl4、HCl、及びH2である反応副生成物を含む。上述のように、約130℃程度よりも高い温度は、GaCl3の凝集を防止するために必要とされる。NH4Clは、約140℃程度よりも低い温度で粉末状材料に凝縮し、出口マニホールド及び廃棄システムは、この温度よりも高い温度に保たれるべきである。その一方で、密封材料の劣化を防止するために、出口マニホールド温度が約170℃程度を超えるべきでない。
【0108】
したがって、出口マニホールド温度T6は、入口マニホールド温度制御に使用するものと同様の温度制御手段によって(任意選択の熱モデル化を含む)、約155から170℃程度の範囲内に維持されることが好ましい。最高排出ライン温度T7は、封止材に関して許容される最高温度によって制限され、好ましくは約155から170℃の範囲内である。
【0109】
9.廃棄物管理
次に廃棄物低減サブシステム5について検討すると、好ましい低減システムは、反応チャンバから排出された廃棄物ガリウム化合物を回収することによって、本発明の経済的な操作を補助することができる。本発明の一実施形態は、1カ月の持続的な大量生産中に、30kg、又は60kg、又はそれ以上(廃棄物約50%と想定される)を排出することができる。現在のGa価格では、この廃棄物Gaを回収し、GaCl3前駆体に再生することが経済的であり、それによって、約90から100%のGa効率を効果的に実現することが経済的である。
【0110】
図1は、ガリウムの回収を行い、市販の製品から容易に適合させることのできる廃棄物低減サブシステム5の好ましい実施形態も概略的に示す。反応チャンバ25から排出された流れは、例えば便利なように約155から170℃又はそれ以上の温度範囲で、排出生成物の凝縮を制限するようにT7に温度制御された排出ライン41内を通過し、次いでバーナーユニット43に入る。バーナーユニットは、排出ガスを、例えばH2/O2燃焼を含む高温燃焼ゾーン45に通すことによって、排出ガスを酸化する。次いで酸化した排出流を管47に通し、向流水スクラバーユニット49に入れ、そこで、水流51に対して逆行するように移動する。この水流は、酸化した排出流から実質的に全ての水溶性及び粒子状成分を除去する。次いで洗浄された排出ガスが、システム57から放出される。
【0111】
可溶性及び粒子状材料を含む水流は、セパレータ59に移動し、粒子状成分、特に粒子状酸化ガリウム(例えば、Ga23)が、水溶性成分、主に溶解したNH4Cl及びHClから61で分離される。分離は、スクリーニング、濾過、遠心分離、及び凝集など、周知の技法によって得ることができる。本発明の一実施形態は、操作するそれぞれの月の最中に、60kg、又は120kgまで、又はそれ以上の粒子状Ga23を生成することができる。粒子状酸化ガリウムガレートが収集され、Gaが有利に回収され、例えば周知の化学技法によってGaCl3に再生される。非特許文献2を参照されたい。水溶性成分を、システムから通す。
【0112】
10.ゲート弁
ゲート弁は、移送チャンバの内部であることが多い反応器チャンバの内部を、外部から封止する。ゲート弁及び反応器チャンバの取り付けポートは、ゲート弁が開いているときに自動ウエハ移送デバイスが反応器チャンバと移送チャンバとの間で自由にウエハを移送することができるように寸法決めされ構成されていることが好ましい。ゲート弁が閉じているときは、反応器チャンバの反対側の面と協働して、反応器チャンバの内部を封止する。下記において、本発明のゲート弁を一般的に説明し、その後、図7A〜B及び8A〜Cに照らしてより詳細に説明する。本発明の反応器システムにおける本発明のゲート弁の配置構成は、図4及び6に照らして後続のセクションに示す。
【0113】
本発明のゲート弁は、1個又は複数のガスポートと、1個又は複数の温度制御メカニズムとを含むことが好ましい。また、ゲート弁もしくは反応器アセンブリの対向する面、又はその両方は、反応器チャンバの内部と外部との間の堅固な封止を実際に実現及び完了するように配置された封止材料を含む。
【0114】
ガスポートを考えると、1つ又は複数のガスポートが好ましくは設けられ、選択されたガスの1種又は複数種(通常は1種)が、封止された反応器チャンバ内に進入するように配置され、即ち、ガスポートは、反応器内部にさらされるゲート弁の面を横断して(同様の意味で、露出面)配置される。この配置構成は、露出面の端から端までガスポートを均等に又は不均等に配置するパターンを含むことができる。例えば、不均等な配置構成では、露出面の中心に向かってポートを集中することができ、又は露出面の1つの側面もしくは両方の側面に向かって集中することができ、又はその他の不均等な配置構成にすることができる。ポートのパターンは、正方格子、長方格子、六方格子、単一の列、及び多数の列を含むことができる。
【0115】
好ましい実施形態では、ポートは、ゲート弁の露出面の端から端まで延びる1つ又は複数の平行な列(同様の意味で、正方形又は長方形のパターン)に配置される。ポートを、露出面の端から端まで均一に分布することができ、又は露出面の側面に集中することができる。ガス(好ましくは1種又は複数の比較的不活性なガス)は、反応器チャンバの側壁での不要な堆積を減少するために、反応器チャンバ内のガス再循環を減少するために、及び反応器チャンバ内の前駆体及び生成物ガスの滞留時間を短縮するために、ポートを通して進入することができる。さらに、ポートを通して進入したガスは、ゲート弁の露出面と反応器チャンバ内のプロセスガスとの接触を制限(保護)するように働くことができる(即ち、ガスは露出面のシールドとして働く)。
【0116】
温度制御メカニズムを考えると、ゲート弁の温度制御は、下記の理由により本発明の利点である。第1に、反応器チャンバにさらされるゲート弁の部分(同様の意味で、露出面)を、十分高い温度で維持することが好ましく、その結果、反応器内のガスが露出面上で凝縮せず、及び露出面と接触することによって不要な反応又は錯体形成が反応器内のガス中で誘発しない。第2に、反応器の進入アセンブリの部分に対応して物理的に対向し、封止を形成するゲート弁の部分(同様の意味で、ゲート弁の封止部分及び反応器アセンブリの封止部分)は、十分低い温度で維持されることが好ましく、その結果、ユニットの補助要素、例えばOリング、封止材、ガスケットなどへの熱損傷を抑制又は防止する。また、露出面の温度は、堆積/反応温度よりも低いままであるべきであるが、これは実際に、常にそうである。
【0117】
高及び低温度閾値は、反応器チャンバ内で実行される特定のプロセスに依存する。GaNのHVPE成長の場合、重要な温度閾値には、液体形態への
【0118】
【数3】

【0119】
以下の、反応前駆体GaCl3の凝縮温度、固体形態への(即ち、昇華の逆)
【0120】
【数4】

【0121】
以下の反応生成物NH4Clの凝縮温度、及び
【0122】
【数5】

【0123】
以下の現在利用可能な耐塩素封止材料の安全動作温度が含まれる(ここで、
【0124】
【数6】

【0125】
は、約又はおよそといった一般的な意味を有する、本明細書で使用される一般的な数学記号である)。
【0126】
好ましいゲート弁アセンブリ(例えば、ゲート弁と温度制御メカニズムとの組合せ)は、ゲート弁の露出面の温度を上昇することが可能であり、及び封止部分の温度を低下することが可能な両方のメカニズムを含む。しかしながら、更なる実施形態は、温度上昇メカニズムのみ、又は温度低下メカニズムのみを含むことができ、あるいはどちらも含まない。更なる実施形態は、どちらかのタイプの多数のメカニズムを含むことができる。また、温度制御メカニズムは、ゲート弁と一体化することができ、又は反応器の封止部分と一体化する(又は密接に隣接する)ことができ、又はゲート弁もしくは反応器の外部であるが関連付けることができ、又はそのような配置構成の組合せにすることができる。下記において、好ましいが、非限定的な温度制御メカニズムについて説明する。しかしながら、本発明は、説明されたもの以外の温度メカニズムを含むことができる。
【0127】
ゲート弁の露出面を、ゲート弁の本体からの伝導によって加熱することができ、抵抗加熱、誘導加熱、放射加熱、高温気/液加熱などを含むがこれらに限定されない、当業者に周知のいくつかの温度制御デバイスによって加熱することができる。ある好ましい実施形態では、ゲート弁の本体(それによって、露出面でもある)を、フィラメントランプ又は固体デバイスあるいはこれらの組合せを含む放射加熱要素(例えば、赤外線要素)によって加熱及び制御することができる。放射加熱要素は、反応器チャンバ内で高温及び腐食環境にあるので、反応器チャンバの外部(例えば、移送チャンバ内)に配置されることが好ましい。放射IR加熱要素を、ゲート弁に近接しているトランスファチャンバ内に配置することができ、ユニットに特別に向けられた加熱を供給し、その結果、露出面が十分高い温度となり、凝縮を防止する。
【0128】
代替の好ましい実施形態では、ゲート弁アセンブリの露出面の温度を、ゲート弁の本体を通した加熱流体、例えば高温ガスの循環によって上昇及び制御することができる。加熱ガスは、通路を通してゲート弁の本体の通路に流入し、次いで流出して再使用又は廃棄されるように配置することができる。さらに、通路内の加熱ガスを、ゲート弁の露出面にある複数のポートのいくつか又は全てに通すことができる。内部ガス通路を、露出面近くに配置することが好ましく、取付具の本体を通して循環している加熱ガスがユニットに熱を与え、露出面の温度を所望のレベルに上昇して不要な反応器堆積物の蓄積を抑制する。
【0129】
ゲート弁の封止部分は、例えば、冷却ガス又は冷却液を含めた冷却流体を循環することによって、直接又は間接的に冷却することができる。ある好ましい実施形態では、冷却流体を、反応器の封止部分の内部で、及び封止材料の付近、又はゲート弁の封止部分に付近で、循環することができる。代替として、冷却流体を、ゲート弁の封止部分に近接した通路において、ゲート弁の本体内で循環することができる。別の好ましい実施形態では、冷却ガスを、ゲート弁内の通路で循環することができる。代替として、冷却ガスの流れを、移送チャンバのポートからゲート弁の本体に向かって送り出すことができる。次いでゲート弁の封止部分を、移送チャンバ内にさらされた本体からの伝導によって冷却する。例えば周囲ガスは、移送チャンバから除去し、冷却し、次いで移送チャンバに再導入し、ゲート弁に向かって送り出すことができる。
【0130】
様々な実施形態において、ゲート弁アセンブリは、露出面の温度を上昇する1つ又は複数の温度制御デバイスだけを、あるいは封止面の温度を低下する1つ又は複数の温度制御デバイスだけを、あるいは両方のタイプの温度制御デバイスの1つ又は複数を含むことができる。有利な組合せには、露出面の温度を上昇する温度制御デバイスと共に、封止面の温度を低下する温度制御デバイスが含まれる。例えば、露出面の温度を、ゲート弁本体の通路を通して高温ガスを循環することにより(ゲート弁ポートから出て反応器内に入る)、上昇することができ、封止面の温度を、低温流体を循環することにより(例えば、反応器又はゲート弁の封止部分)、低下することができる。別の例示的な組合せは、ゲート弁本体の通路を通して加熱ガスを循環するが、加熱ガスの温度を制御することを含み、その結果、露出面の温度は十分高いが、封止部分の温度は、その熱損傷閾値よりも高く上昇しない。
【0131】
ゲート弁アセンブリは、1つ又は複数の熱電対を含むことが好ましく、加熱及び/又は冷却メカニズムを調節することができるフィードバックを行い、ゲート弁の露出面の温度を十分高く維持し、及び封止部分の温度を十分低く維持する。熱電対は、移送チャンバ内及び反応器チャンバ内でも、ゲート弁アセンブリの内部及び周囲に位置付けることができる。
【0132】
図7Aは、典型的なCVDシステム内の本発明のゲート弁の例示的な配置構成を概略的に示す。この図は、反応器チャンバ713に隣接した移送チャンバ703と、移送チャンバ及び反応器チャンバの両方に結合している反応器チャンバの背面板アセンブリ725と、材料の移送が可能になるように寸法決めされた2つのチャンバの間の取り付けポートとを示している。ガス、しばしば前駆体ガスは、チャンバ間の取り付けポートに向かう開口として示されているポート715を通して、反応器内に導入することができる。図5及び6を参照して論じた適用のように、反応器チャンバは石英壁を含むことが多く、低温壁状態で動作する。
【0133】
チャンバ間の取り付けポートを、ゲート弁702によって封止する。ゲート弁は、本明細書では閉位置にあることが示されており、その開位置は、破線705によって示されている。通路719、すなわち移送開口は、ゲート弁が開いているときは位置719’と見なし、この位置では、反応器取り付けポートと並んでおり、その結果、材料を何の支障もなくこの移送開口に通し、次いで取り付けポートに通して移送することができるようになる。それによって、ゲート弁は、チャンバ間の材料移送を妨害しなくなる。ゲート弁を開閉するために、多くのメカニズムを用いることができ、本明細書には、ゲート弁をピボット711の周りに回転させる一般的なメカニズム704が示されている。
【0134】
例示されるように、ゲート弁は、ガスが内部を通って反応器チャンバに進入することができる内部通路及び複数のポート707も備えることが好ましい。
【0135】
好ましくは、ゲート弁の封止部分と反応器チャンバの封止部分との接触によって形成された封止材を、ガスケット及びOリングなどとして形成された封止材料によって完成して増強し、対向する封止部分同士の間に配置する。そのような封止材料は、一般に、封止材717−1及び717−2として示される。GaNのHVPE製造の場合、封止材料は、塩素化合物と、閾値
【0136】
【数7】

【0137】
までの温度(そのような封止材料が利用可能である場合には、それよりも高い温度)との両方に耐性があることが好ましい。
【0138】
図7Bは、ゲート弁702の断面を例示する。ゲート弁ピボットシャフトは、開口711を通して延びることができる。移送開口709は、説明される材料移送をもたらす。ゲート弁は、弁表面の複数のポート707に繋がる内部プレナム用ガス通路707を含む。リセス部717−1及び717−2は、ゲート弁の露出面を取り囲むOリングを保持するためのものである。Oリングを、面板アセンブリ725によって保持することもできる。
【0139】
図7Aは、いくつかのゲート弁温度制御メカニズムも例示する。ゲート弁、即ちゲート弁の露出面を、例示的な加熱ランプ701によって、例えばIR加熱ランプによって加熱することができる。吸収力のあるコーティングを、ゲート弁の背面部分に配置することができる。代替として、2個以上の加熱ランプを使用することができ、ゲート弁の周囲で異なる部位に配置することができ、又は多数の部位に配置することができる。ゲート弁の露出面を、弁本体内部のガス通路707内に高温ガスを通すことにより、加熱することもできる。好ましくは、加熱ガスの一部又は全ては、露出面のポート707を通して反応器チャンバ内に入る。
【0140】
封止材料717−1及び717−2は、ゲート弁702の封止部分と反応器面板アセンブリ725の封止部分との間に配置される。これらの材料を、ゲート弁内又は面板アセンブリ内(又は両方の内部)に冷却流体を循環することによって、冷却することができる。本明細書では、冷却流体通路721−1及び721−2は、封止材料717−1及び717−2に隣接した面板アセンブリ内に示されている。これらの冷却メカニズムは、主に、封止材料近くのゲート弁及び面板の領域を冷却することが好ましい。冷却メカニズムは、封止材料が予測される温度に耐え得る場合は省略することが好ましく、又は全く必要ではない。
【0141】
完全にするために、封止材料719−1及び719−2によって完全にされ増強される、反応器チャンバ713と面板アセンブリ725との間の封止も示されている。これらの後者の封止材料を、必要に応じて通路723−1及び723−2で冷却流体を循環することにより、高い反応器温度から保護することができる。
【0142】
熱電対(図示せず)を、ゲート弁の内部及び周り、及び反応器アセンブリの隣接部分に配置することができ、加熱及び/又は冷却デバイスを調製することができるフィードバックを行う。好ましくは、そのような温度フィードバックは、露出面の温度を反映し、その結果、この露出面の温度を十分高く維持することができる。また、封止材料の温度も反映し、封止面の温度を十分低く維持することができる。
【0143】
本発明は、露出面にガスを放出する複数の放出ポートと、ガス、特に加熱ガスを受容する1つ又は複数の入口ポートと、入口及び排出ポートを接続する内部通路とを有するゲート弁の実施形態を含む。図8A〜Cは、3つのゲート弁の実施形態を例示し、それぞれが、これらのポートを異なる数及び配置構成で有している。例示される3つの実施形態は、限定するものではなく、本発明は、その他の数及び配置構成を含む。3つの例示されるゲート弁全てに共通する要素には、ピボット開口及びシャフト828、移送開口821−1、825−2、及び825−3、Oリング封止材829−1、829−2、及び829−3が含まれる。
【0144】
まず、放出ポートについて考えると、図8Aは、ゲート弁の露出面の両方の側方の表面に向かうにつれて数多く配置され、及び露出面の中心付近ではより少ない数で配置された1列の放出ポート821−1を有するゲート弁を示している。図8Bは、3つの平行な列に並べられ、全露出面の端から端まで一定の数で生ずる排出ポートの規則的な長方形の配置構成を有するゲート弁を例示する。図8Cは、図8Bの配置構成の変形例を示し、余分な放出ポートが露出面の側方縁部の領域に配置されているが、これは図8Bにおいて入口ポートによって表されたものである。
【0145】
入口ポートについて考えると、ゲート弁構成は、ガスを反応器チャンバの面板アセンブリの通路からゲート弁内の通路に循環することができる場合、単純化される。ゲート弁を閉じると、面板アセンブリの1つ又は複数の通路の開口は、ゲート弁の1つ又は複数の対応する通路の開口と一致することができる。これらの通路間の接合部を、Oリングなどによって封止することができる。図8A及び8Cは、ゲート弁の封止部分の両側方縁部に配置され、Oリング821−1及び821−3の外側に配置された2つのポート827−1及び827−2をそれぞれ有するゲート弁を例示する。Oリングの外側にあると、これらの通路封止材の間から逃げる全てのガスが、移送チャンバ内に逃げて行く。図8Bは、ゲート弁の封止部分の両側方縁部に配置されるが、Oリング821−1の内部に配置された2つのポート827−2を有するゲート弁を例示する。このOリングの内側にあると、入口通路封止材の間から逃げる全てのガスが、反応器チャンバ内に逃げて行く。
【0146】
本発明の好ましい特定の実施形態
次に、上記にて概略的に説明した本発明の特に好ましい実施形態について説明する。この実施形態は、ASM America,Inc.製のEPSILON(登録商標)シリーズ、単一ウエハエピタキシャル反応器の修正及び適応に基づく。したがって、下記の特徴の多くは、この好ましい特定の実施形態に特有のものである。しかしながら、これらの特徴を、限定するものではない。その他の特定の実施形態は、その他の入手可能なエピタキシャル反応器の修正及び適応を基にすることができ、本発明の範囲内である。
【0147】
図2A〜Cは、50から75kgのGaCl3を保持することができ、それを約130から150℃程度までの制御温度で液体として維持することができるリザーバ103と、ライン内でのGaCl3の凝縮を制限又は防止しながら反応器チャンバにGaCl3の制御された質量流を提供する、供給ライン、弁、及び制御器を有する供給アセンブリ105とを含むGaCl3運搬システム101の態様を例示する。リザーバは、液体GaCl3の蒸発を高める内部手段を含む。好ましい実施形態では、これらは、当技術分野で周知のバブラー装置を含み、代替の実施形態では、これらは、GaCl3液体を物理的に撹拌し、液体を噴霧し、液体の超音波分散などを行う手段を含むことができる。任意選択で、供給ライン(又は運搬ライン)は、キャリアガス及び第III族前駆体を運ぶ内部ラインと、内部に封入されたラインの内側であるが内部ラインの外側に環状空間を提供する、内部に封入された同軸ラインとを有する同軸部分を含む。環状空間は、加熱媒体を含有することができる。
【0148】
図2Cは、従来のプロセスガス制御キャビネット137に隣接して位置決めされたキャビネット135内の運搬システム101の例示的な配置構成を例示する。GaCl3供給ラインの長さを制限するために、キャビネット135は、反応チャンバにも隣接して位置決めされており、ここではキャビネット137に隠れている。プロセスガス制御キャビネット137は、例えば、ガス制御パネル139と、第III族有機金属化合物などの追加のプロセスガス又は液体用の分離部分141〜147を含む。
【0149】
図2Bは、好ましい供給アセンブリ105をより詳細に示す。弁107及び109は、キャリアガスをリザーバ103に導き、次いで内部バブラーを通してリザーバに入れ、次いで蒸発したGaCl3蒸気と共にリザーバから出すラインを制御する。これらは、メンテナンスなどのためにリザーバを切り離すことができる。弁110は、容器システムの出口及び入口弁の上方でのシステムのパージを促進する。特に、凝縮がおそらくピッグテール要素111、112で生ずる可能性があるので、弁110は、これらの領域をパージするために有用である。バブラーの制御された温度及びキャリアガスの流量と併せた容器圧力の制御は、前駆体流量の改善された決定を促進する。弁110の付加により、成長モードではないときに非腐食性キャリアガスで完全運搬システムをパージすることが可能になり、それによって、腐食環境へのシステムの露出が低減し、その結果、装置の寿命が改善される。アセンブリは、供給ライン内を通る様々な態様の流れを制御する弁111〜121も含む。またアセンブリは、圧力制御器及び変換器129も含み、GaCl3容器に対して一定の圧力を維持する。質量流制御器131も提供され、GaCl3容器へのキャリアガスの精密な流れを提供する。これらは、制御及び較正されたGaCl3質量流を反応チャンバに供給するように作用する。圧力調節器125及び127も含む。供給ライン、弁、及び制御器を含む供給ラインアセンブリは、クラムシェル形の多数のアルミニウム加熱ブロックに封入され、各部品を封入する。アルミニウムブロックは、供給ライン部品の温度を制御する温度センサも含有し、リザーバの出口から反応チャンバの入口まで温度が上昇する(又は、少なくとも低下しない)。ガス加熱器は、入口ガスをGaCl3供給源に、好ましくは少なくとも110℃の温度に加熱するように設けられる。
【0150】
任意選択で、キャリアガスから水分を5ppb以下にまで除去することが可能な精製器が、キャリアガス入口ラインに配置され、さらにキャリアガスフィルタが、キャリアガス精製器の下流にある。キャリアガスは、任意選択で、正弦状の湾曲部、例えばピッグテール112を用いて設定することができ、キャリアガス加熱器に近接した広い熱交換面積を提供する。
【0151】
図3A及び3Bは、反応チャンバ201の好ましい実施形態の上面図を例示する。この反応チャンバは、石英壁を有し、一般に、幅が広く高さの低い細長い長方形ボックス構造として成形される。いくつかの石英リッジ203が、チャンバ壁の端から端まで横に橋渡しして、特にチャンバが真空中で動作するときに、この壁を支持する。反応チャンバは、冷却空気を仕向けるシュラウド内に封入され、サセプタの場合よりも実質的に低い温度にチャンバ壁を制御することができるようにする。このシュラウドは、一般に、これらの図に示されるように開放することのできるスーツケース状の配置構成を有し、反応チャンバを露出する。この図には、シュラウドの長い側面205及び上面207が示されている。サセプタ215(この図面には示されていない)は、反応器内に位置決めされている。サセプタは、2列の平行なランプに配置される石英ランプによって加熱される。上部ランプ列209はシュラウドの上面に示されており、下部列は、反応チャンバの下に隠れている。入口マニホールドの部分は図示されている。
【0152】
図3Cは、特定の好ましい反応チャンバ301の縦断面を例示するが、強化リブ203は省略されている。この図には、上部石英壁303、底部石英壁305、及び1つの石英側壁307が例示されている。石英フランジ313は、入口マニホールド構造への反応チャンバの入口端部を封止し、石英フランジ309は、出口マニホールド構造への反応チャンバの出口端部を封止する。ポート315は、プロセスガス、及びキャリアガスなどの進入をもたらし、ポート311は、排出ガスの出口を提供する。サセプタは、一般に、半円開口319内に位置決めされ、その結果、その最上面が石英シェルフ317の上面と同一平面上になる。それによって、実質的に滑らかな面が、入口マニホールド構造から進入するプロセスガスに対して提供され、その結果、これらのガスは、サセプタ下で乱流にならず又はそれることなくサセプタの上面を横断するようになる。円筒状石英管321は、その周りでサセプタが回転することのできるサセプタ支持シャフトを提供する。有利にはキャリアガスを、この管を通して注入することができ、サセプタ下である体積をパージして、プロセスガスが蓄積する可能性のあるデッドゾーンを遮る。特に、加熱されたサセプタ下でのGaCl3の蓄積は制限される。
【0153】
入口マニホールド構造は、ポート315及びスリット状ポート329の両方を通してプロセスガスを供給する。ガスは、石英管323を通してポート329に到達し、この管は、扁平漏斗325に開放されており、ガスは横に広がることが可能になり(反応チャンバ内のプロセスガス流に対して横方向)、この漏斗は、シェルフ317に横に配列されたスロットを通して、反応チャンバの基部へと開放している。
【0154】
図6を参照すると、漏斗には、シリコンカーバイドのビーズ607が密集して充填されており、扁平漏斗の上面のシリコンカーバイドインサート327は、スリット状ポート329を提供し、漏斗325から反応チャンバにGaCl3を進入させる。2個のIRスポットランプ601及びそれらのリフレクタ光学部品が、漏斗の各面上に位置付けられている。熱電対605を含有する石英シース603は、スポットランプ出力の閉ループ制御を可能にするために、石英管323の底部を通ってSiCビーズの中央の漏斗の高さの中央付近まで挿入され、SiCビーズを約800℃の温度に維持する。好ましくは、GaCl3はポート329を通して導入され、NH3はポート315を通して導入される。代替として、GaCl3は、ポート315を通して導入することができ、NH3は、ポート329を通して導入することができる。代替として、RF電界を、管323の下部で当技術分野で周知のように生成することができ、その結果、NH3をイオン又はラジカルの生成によって活性化することができる。代替として、NH3の一部又は全てをN2によって置き換えることができ、これはRF電界によって同様に活性化されることになる。SiC拡張板335を、スリットポート329とサセプタの縁部との間に配置する。このSiC拡張板は、主加熱ランプによって加熱され、ダイマーがスリット状ポート329とサセプタとの間の気相中で改質されないことを確実にする。SiC拡張板の温度は、700℃よりも高くすべきであり、好ましくは800℃よりも高い。
【0155】
図4は、反応チャンバアセンブリ403と結合されたウエハ移送チャンバ401アセンブリを備える特定の好ましい反応/移送チャンバアセンブリの対角線での破断図を例示する。先に図2及び3で特定された構造を、この図では同じ参照番号により特定する。例示的な移送チャンバ401は、ロボットアーム、ベルヌーイ棒、及び基板をシステムの外側から反応チャンバ内に移送し、反応チャンバから元の外側に戻すその他の手段(図示せず)を収容する。その他の設計の移送チャンバを、本発明では使用することができる。
【0156】
反応チャンバアセンブリは、シュラウド405内に取り付けられた反応チャンバ301を含む。この図には、シュラウドの底部壁面407及び奥の壁面205の一部が示されている。シュラウドは、反応チャンバに冷却空気を伝達する働きをして、制御された壁面温度を維持する。ある反応チャンバ構造は、既に説明された、底部壁面305、側壁307、出口マニホールドに対するフランジ309、シェルフ317、サセプタ215、及びサセプタの支持並びに任意選択のパージガス流のための円筒管321を含む。サセプタは、丸みの付いたプレート409の円形開口319内で回転し、そのプレートはサセプタに横方向の安定性を与え、シェルフ317、SiC拡張板335、及びスリット状ポート329と同一平面にある。これらの部品の平面性は、ガス入口からサセプタへの滑らかなガス流を確実にする。出口マニホールド構造は、指示された方向で反応チャンバから排気ライン419に排出ガスを伝達するプレナム407を含む。出口マニホールド及び反応チャンバのフランジ309は、例えば、耐温度性及び耐塩素性材料で作製されたガスケット又はOリング(図示せず)と共に封止される。
【0157】
入口マニホールド構造(この用語が本明細書で使用されるように)は、破線ボックス411内に示されている。以下に示すプレナム211は、耐温度性及び耐塩素性材料で作製されたガスケット又はOリング(図4では図示されないが、図5ではOリング503)などで、反応チャンバの前面フランジに封止される。移送チャンバと反応チャンバとの間のゲート弁413は、時計回り(下向き)に回転して、2つのチャンバ間の通路を開放し、反時計回り(上向き)に回転して、2つのチャンバ間の通路を閉鎖して封止する。ゲート弁を、例えばガスケット又はOリングを用いて、面板415に対して封止することができる。Oリングに好ましい材料は、その他のOリングに関して既に述べたものと同じである。ゲート弁は、上述のガス進入用ポートを提供することも好ましい。好ましくは、このゲート弁は、本発明の上述のゲート弁の実施形態である。前述のような下部ガス入口の構造は、連絡石英管323、扁平漏斗325、及びスリット状ポート329を含む。
【0158】
図5は、特定の好ましい入口マニホールド構造と、反応チャンバアセンブリにおけるその配置構成の詳細を例示する。図2及び3で既に特定された構造は、この図において同じ参照番号で特定する。まず、周りを囲む反応チャンバアセンブリについて検討すると、シュラウド405及び反応チャンバ301を含む反応チャンバアセンブリ403が左側にあり、一方、移送チャンバ構造401が右側にある。サセプタ215及びサセプタ安定板409は、反応チャンバの内側にある。反応チャンバの石英フランジ313は、シュラウド405の拡張部501によって、プレナム構造211に対して押し込まれる。反応チャンバフランジ及びプレナム構造は、ポート315の両側に断面で示されるOリングガスケット503によって封止される。
【0159】
次に、GaCl3(好ましくは、しかしながら任意選択で、代わりにNH3)のスリット状ポート329内を通る入口構造について検討する。これは、石英管323と、縦方向に扁平であるが横方向に拡張された漏斗325とからなり、反応チャンバの底部壁面のかなりの部分が端から端まで開放される。小さなビーズ、又は小さな管、又は任意の形の多孔質IR吸収材料が、漏斗325を満たす。インサート327は、漏斗の上部開口に適合し、サセプタとスリット状ポートとの間の空間を覆う拡張板335によってサセプタに向かって角度が付けられたスリット状ポート329を含む。動作中、GaCl3(及び任意選択のキャリアガス)は、供給管内を上向きに移動し、漏斗内で横方向に広がり、スリットによって反応チャンバ内及びサセプタ内に向けられる。それによって、GaCl3は、反応チャンバの幅の端から端まで実質的に均一な層流で、ポート329からサセプタ215に向かって移動する。
【0160】
次に、ポート315内を通る入口構造について検討すると、これらの構造は、プレナム構造211、面板415、及びゲート弁413を含む。NH3(好ましくは、しかしながら任意選択で、代わりにGaCl3)蒸気が、供給ライン517を通してプレナム構造に導入され、いくつかの垂直間519を通して反応チャンバに向かって下向きに移動する。次いでNH3蒸気が垂直管から出て行き、又は任意選択で各垂直管が並んで一群の分散ポートを形成するその分散ポート内を通り、プレナムのリップ511の周りを通過する。それによって、NH3蒸気は、反応チャンバの幅の端から端まで実質的に均一な層流で、サセプタに向かって移動する。各垂直管を通る流れは、全てを外側から調節可能な個別の弁機構509によって制御される。プレナムは、温度制御流体、例えば温度制御されたGALDEN(商標)流体を導く管も含み、NH3が内部を通過するプレナム構造を上述の温度範囲内で維持して、Oリング503に隣接するプレナム構造を、Oリングに使用される封止材料に関する動作範囲内で維持する。説明されるように、Oリングに関する好ましい材料は、その他のOリングに関して既に述べたものと同じである。温度制御管505は、Oリング503に隣接して示されている(対応する管は、ポート315の下にも示されている)。典型的な動作では、この管は、Oリングを冷却する働きをして、その動作範囲内に保持する。
【0161】
ゲート弁413は、有利には本発明の上述のゲート弁の実施形態である。このゲート弁は、いくつかのガス入口ポート515を含み、それと共に反応及び移送チャンバを切り離すように働く。これは、ポート315を通して、移送チャンバと反応チャンバとの間のウエハ及び基板に対して制御された接触をもたらすように開放及び閉鎖される。Oリング507によって面板415に封止される閉位置が示されている。好ましい実施形態では、ガス入口ポート515を使用して、パージガス、例えばN2を注入する。そのサイズ及び間隔は、この場合はゲート弁(及び反応チャンバ)の縁部付近でより密集し、ゲート弁(及び反応チャンバ)の中心部分ではよりまばらであり、サセプタの端から端まで流動し、チャンバの側壁に沿ってパージガスのカーテンを構築するときに、プロセスガスの組成及び速度の均一性を改善するように設計され、GaCl3ガスがサセプタの真下から流れることを妨げ、その部位に不要なGaN堆積を生じることを避ける。
【0162】
ゲート弁413の露出面の温度は、加熱されたパージガスを供給することによって上昇させることができる。例えば、加熱されたN2を、ゲート弁413の内部の通路に循環し、次いでゲート弁の露出面のポート515を通して外に出すことができる。ゲート弁413及び反応器部材415の封止部分の温度は、通路505の冷却流体循環によって下げることができる。しかしながら、この冷却流体は、主に反応器とプレナムとの間のOリング503を冷却し、伝導によって、ゲート弁413と部材415との間のOリング507を二次的に冷却することができる。任意選択で、部材415内の冷却流体用の追加の通路によって、Oリング507のさらなる冷却を必要に応じて行うことができる。好ましくは、熱電対(図示せず)をゲート弁の上又は周りに配置することができ、加熱及び冷却メカニズムを制御することができる。
【0163】
一般に、高品質エピタキシャル層の堆積では、入口マニホールド及びポート構造は、実質的に層流(したがって、非乱流)であって速度及び組成が実質的に均一であるプロセスガス流を供給するように協働する。実質的に層状及び均一な流れは、サセプタまで及びサセプタ上に縦方向に延びるべきであり、反応チャンバの端から端まで横方向に延びる(又は、サセプタの表面を少なくとも横断する)べきである。好ましくは、反応チャンバ内のプロセスガス流は、少なくとも5%、より好ましくは2%又は1%まで、チャンバの端から端まで速度及び組成が均一である。組成の均一性は、III/V比(即ち、GaCl3/NH3比)の均一性を意味する。これは、第1に、反応チャンバを通る既にほぼ均一なプロセスガス流が得られるようにプロセスガス入口ポートを設計することによって、第2に、ほぼ均一な流れをますます均一にさせるようにキャリアガスの選択的注入を設計することによって実現される。サセプタから下流の流れの制御は、それほど重要ではない。
【0164】
特に好ましい実施形態のガス流動力学の数値モデル化は、好ましいプロセスガス入口ポート構成を決定し、実質的に均一な流れが生成される。全プロセスガス流量に関する指針は、意図される持続的高スループット操作に必要とされる選択されたGaN堆積条件及び速度に従って確立される。次に、これらの全体的な流動指針の中で、インサート327及びスリット329は、反応チャンバ内へのモデル化されたGaCl3流が反応チャンバの端から端まで実質的に均一になるように設計されている。また、意図されるGaCl3流のモデル化は、NH3蒸気がリップ511の周りに生じて反応チャンバに入った後に、この流れも反応チャンバの端から端まで実質的に均一になることを示している。さらに、弁509は、操作中に生じ得る不均一性を改善するように制御することができる。
【0165】
さらに、数値モデル化によって導かれるように、二次的なキャリアガス入口を付加して、一次プロセスガス流の均一性を増大する。例えば、特定の好ましい実施形態では、ゲート弁413の面とリップ511との間(即ち、面板415により取り囲まれた領域)に高濃度のGaCl3蒸気が蓄積されることを防止することによって、ゲート弁413を通るパージガスの供給が改善をもたらすことが見出されている。また、反応チャンバの縁部でより多くのキャリアガス流を供給するように、及び中心でより少ないパージガス流を供給するように入口を配列することは、サセプタでの流れの組成及び速度の均一性も改善し、サセプタの表面上方に反応性ガスをより良く維持することも見出されている。
【0166】
実施例
次に、本発明を、標準的な又は従来のHVPEシステムと比較して、本発明にかかる第III−V族材料のHVMを実施した場合にもたらされる利点及び予期せぬ利益について例示する。この比較の前に及び前置きとして、従来のHVPEシステムを、その要部についてまず手短に説明する。
【0167】
従来のHVPEシステムは、通常は石英で製作された高温壁面環状炉からなる。第III族前駆体は、液体の形をとる第III族金属を保持したボート上にHClを流すことによって、反応器内の原位置で形成される。第V族前駆体は、外部貯蔵部から、例えば圧力シリンダから供給される。従来のHVPEは、ヒ化物、リン化物、及び窒化物半導体の成長に使用されてきた。GaNを成長させる場合、第III族供給源は、典型的には石英ボート内の溶融Gaであり(これとHClとが反応してGaClを形成する)、第V族供給源は、通常はアンモニアガスである。
【0168】
より詳細には、石英管を、垂直に又は水平に向けることができる。周りを取り囲む炉は、通常、少なくとも2つの温度ゾーンを備えた抵抗タイプのものであり、その1つは、第III族金属をその融点よりも高い温度に維持するためのものであり、他は、基板/ウエハをエピタキシャル成長させるのに十分高い温度に維持するためのものである。液体第III族金属用ボート、基板/ウエハホルダ、及びガス入口を含む第III族金属供給源装置は、石英炉管の一端に配置及び配列され、他方の端部は、反応副生成物を排出する働きをする。この装置全て(又は少なくとも、炉管に入るもの)は、石英で製作されなければならず、ステンレス鋼を使用することはできない。ほとんどの反応器は、大気圧で1回に1枚のウエハしか処理できない。多数のウエハを、反応器内に並べなければならず、その結果、均一な堆積を実現するために、全てのウエハの表面がガス流に沿って真っ直ぐ並ぶ。
【0169】
ウエハは、まずウエハを基板支持体上に配置し、次いで基板支持体を石英炉管の高温ゾーンに位置決めすることによって、取り付けられる。ウエハは、支持体を炉から取り出し、次いでウエハを支持体から持ち上げることによって取り外しされる。基板支持体を位置決めするメカニズム、例えばプッシュ/プルロッドも、完全成長温度にさらされるので、石英で作製されなければならない。支持されたウエハ、基板支持体、及び位置決めするメカニズムは、熱損傷、例えばウエハ及び/又は基板支持体の亀裂が生じないように、よく注意して、通常は高温反応器管内に位置決めしなければならない。また、反応器管そのものは、ウエハの取り付け及び取り外し中に空気にさらすことができる。
【0170】
そのような従来のHVPE反応器は、いくつかの理由で、本発明のHVM法及びシステムで可能な持続的大量生産を行うことができない。1つの理由は、本発明の反応器は、著しく低い熱質量を有することができるので、従来のHVPE反応器よりも少ない非生産的加熱及び冷却時間しか必要としないことである。本発明の反応器では、サセプタ(基板/ウエハ支持体)しか加熱する必要がなく、素早く動作するIRランプによって加熱される。したがって、加熱及び冷却は、素早く行うことができる。しかしながら、従来のHVPE反応器では、抵抗炉は、数時間から数十時間までの長期にわたる加熱及び(特に)冷却時間を必要とする可能性がある。そのような長期にわたる加熱及び冷却時間中、このシステムはアイドリング状態であり、ウエハの生産、反応器のクリーニング、及びシステムのメンテナンスなどを、遅延しなければならない。さらに、熱損傷の危険性にも関わらず、ウエハは通常、動作温度付近にあるときに、反応器内に配置され、及び反応器から取り出され、さらなる加熱及び冷却遅延を回避する。これらの目的で、本発明のシステム及び方法は、従来のHVPEシステムで実現することができるよりも、高いスループットを実現することができる。
【0171】
従来のHVPEシステムのスループットを制限する別の理由は、そのようなシステムが、本発明の反応器で行われるよりもかなり多くの反応器クリーニングが必要になることである。従来のHVPE反応器の全ての内部部品は、外部抵抗炉によって加熱されるので、第III−V族材料は、望ましい基板上での成長だけでなく、反応器の内側全体で成長する可能性がある。そのような不要な堆積を、反応器から頻繁に除去しなければならず、さもないと、ウエハを汚染する塵及び破片が形成される可能性がある。クリーニングには、反応器が非生産的な時間を要する。
【0172】
また、第III族前駆体は非効率的に使用され、ほとんどが反応器の内部に堆積し、ごく一部が望み通りに基板ウエハ上に堆積し、再使用のために再生され得る反応器排出管内にはほとんど又は全く生じない。第V族前駆体も非効率的に使用され、過剰分が未使用のHClと反応して、反応ゾーン下流の低温領域上に堆積する可能性のある塩化物(NH4Cl)を形成する可能性がある。そのような塩化物の堆積物も、反応器から除去しなければならない。
【0173】
これとは対照的に、本発明の反応器は、温度制御された壁面を有し、その結果、第III−V族材料の不要な成長がほとんど又は全く生じない。本発明の反応器は、非生産的なクリーニング及びメンテナンスをより短縮することができ、又は頻繁に行う必要がなく、あるいはその両方を実現することができるので、より生産的にすることができる。これらの理由で、やはり本発明のシステム及び方法は、従来のHVPEシステムで実現することができるよりも、高いスループットを実現することができる。
【0174】
従来のHVPEシステムのスループットが限定される別の理由は、従来の内部Ga供給源が、本発明の外部Ga供給源でなされるよりも(Ga前駆体GaCl3が再充填される)かなり頻繁に、再充填(液体Ga又はその他の第III族金属による)を必要とするからである。本発明の外部供給源は、約200gm/時以上に至る最高持続速度で、速度及び組成の両方を制御することができるGa前駆体の流れを運搬する。外部供給源の容量は、反応器の幾何形状によって制限されないので、何日も又は何週間もの持続生産を行うのに十分なものにすることができる。例えば外部供給源は、最大何十キログラムものGa、例えば約60kgのGaを貯蔵することができ、多数の供給源は、本質的に非限定的な持続生産において順次動作することができる。
【0175】
従来のHVPEシステムにおいて、Ga供給源は、厳密に限定された容量を有する。供給源は、反応器の内側に適合しなければならず、反応器そのものと同じかそれ以下の長さになる可能性があり、従来の供給源に対する上限は、Gaが5kg未満と考えられる。例えばGaが3kgの場合、液体Gaが4cmの深さに充填された約7×7×20cmのボートが必要とされる。そのような大きなGaボートの開示は、これまで当技術分野において見出されていない。さらに、供給源の速度及び組成は、HClを通し、反応器内のGa供給源ボートの液体Ga上に流すことによって、Ga前駆体(GaCl)が原位置で形成されるので、十分に制御することができない。この反応効率は、反応器の幾何形状及び正確なプロセス条件、例えば供給源ゾーンの温度に依存し、60%から90%超の様々な効率の値が報告されている。さらに、Gaのレベルが低下するにつれて、及びGa供給源が時を経るにつれて、堆積ゾーンへのGaClの流束は、一定のプロセス条件であっても変化する可能性がある。やはりこれらの理由で、本発明のシステム及び方法は、従来のHVPEシステムで実現することができるよりも、高いスループットを実現することができる。
【0176】
従来のHVPEシステムのスループットが限定される別の理由は、これまで、その構成が規格化されていないからであり、実際にそのようなシステムは、特定ユーザのために個別に設計及び製作されることが多い。規格化の欠如は、例えば遅く、複雑なメンテナンスの原因となる。このようなシステムは、しばしば、取り扱うのが困難な複雑で脆弱な石英部品を含む可能性があるので、そのような反応器は、分解及び再組立てするのに時間がかかる。特に、第III族供給源ゾーンは、HCl用の個別の石英入口、このHCl入口に隣接して位置決めされた石英ボート、第V族前駆体(第III族前駆体とは別に保持されなければならない)用の個別の石英入口、及びキャリアガス用に可能な追加の石英入口を含んでいるので、複雑になっている。これとは対照的に、本発明のシステム及び方法は、効率的な操作及びメンテナンスのために最適化され、及び市販の部品を含んでいるSi処理に関して周知の試験済み及び規格化された設計のかなりの部分に適応するものである。例えば、特定の好ましい実施形態は、ゲート弁及び第III族前駆体プレナムを備えた第III族供給源ゾーンと、部分的に金属で製作された入口ポートとを含む。ゲート弁は、開閉するのに短い時間しか必要とせず、第III族前駆体プレナム及び入口ポートは、脆弱性がかなり少ない。やはりこれらの理由で、本発明のシステム及び方法は、従来のHVPEシステムで実現することができるよりも、高いスループットを実現することができる。
【0177】
本発明のシステムと従来のHVPEシステムとを区別する質的な設計の選択により、エピタキシャル成長の効率、反応器の利用及びウエハ生産速度、及び前駆体の利用効率に、驚くべき量的な利益がもたらされる。これらの驚くべき量的利益について、直径100mmの1枚の基板を取り扱うように設計され、直径約20cm及び長さ約200cmの反応器管を含んだ従来のHVPEシステムと、本発明に対応するシステムと比較する表1、2、及び3のデータを使用して、以下に検討する。
【0178】
まず、実現可能なエピタキシャル成長効率について検討すると、表1のデータは、本発明のHVMシステムを、従来のHVPEシステムよりもかなり効率的にすることができることを実証している。
【0179】
【表1】

【0180】
エピタキシャル成長効率は、実際のエピタキシャル成長時間と反応器の取り付け/取り外し時間との合計に対する実際のエピタキシャル成長時間の比によって表すことができる。HVMシステム及び本発明の方法は、従来のHVPEシステムでできるよりも著しく速く取り付け/取り外しすることができ、したがって、より高いエピタキシャル成長効率を実現できることがわかる。実際の操作では、本発明の外部Ga供給源によって、従来のシステムで可能な時間よりもかなり長い時間にわたって持続的動作が可能になることも予測される。
【0181】
従来のHVPEシステムでは、操作間で反応器が堆積温度付近で維持されるので、熱損傷が回避されるように十分に遅い速度で、基板を反応器から引き出し又は反応器に押し入れなければならない。基板ホルダと反応器入口との間の距離が約80cmであり、熱損傷を回避するための引張り速度が2cm/分以下であると仮定すると、反応器から基板を引き出し、及び反応器に基板を押し入れるのに約40分が必要である。さらに、基板及びウエハを反応器内に位置決めすると、熱安定化、反応器パージ、及びプロセスガスの設定のために最長10分が必要となる可能性がある(ロードロックがある場合、パージ及びガス設定には、それぞれ5分間を必要とする可能性があり、ロードロックがない場合、設定は、さらに長くなる可能性がある)。このように、全ロード/アンロード時間は約90分であり、又は連続生産において52分である(時々、2つの連続した操作の間で等しく共用される可能性がある場合)。
【0182】
これとは対照的に、本発明のHVMシステムでは、ウエハを、熱損傷の危険性のないより低い温度で素早く取り付け/取り外しすることができ、したがって、長いウエハ位置決め時間がなくなる。その低熱質量及びIRランプ加熱により、本発明のHVMシステム及び方法で使用される反応器(特に、そのような反応器内のサセプタ及びウエハ)を、より高い堆積温度とより低い取り付け/取り外し温度との間で素早く再生することができる。したがって、本発明のHVMシステム及び方法は、従来のHVPE反応器で可能であるよりもかなり短い取り付け/取り外し時間を実現する。
【0183】
取り付けた後、従来のHVPEシステムで使用されたGa前駆体供給源が適切な質量流量の前駆体を維持することができると仮定すると、従来のシステム及び本発明のシステムの実際のエピタキシャル成長時間は、ほぼ同じ長さである。しかしながら、本発明のHVMシステム及び方法で使用されたGa前駆体供給源は、従来のHVPEシステムで使用されたGa前駆体供給源よりも著しい利点を有することが予測され、したがって、実際の操作では、本発明のシステム及び方法が、表1に示された効率よりもさらに高い相対エピタキシャル成長効率を実現することになる。
【0184】
例えば、初期期間中に適切な質量流が可能であるとしても、従来のGa供給源は、長時間にわたって適切な質量流を持続することができそうもない。従来のHVPEシステムは、HClガスを液体形態の金属ガリウム上に通すことによって、反応器へ原位置でGa前駆体を生成する。このプロセスの効率は、反応器の幾何形状及びプロセス条件に強く依存しているので(例えば、約60%から約90%超がGa温度に依存する)、Ga前駆体(GaCl)の実際の質量流も変わることになる。さらに、Gaのレベルが低下するにつれて、及びGa供給源が時を経るにつれて、Ga前駆体の流束は、一定のプロセス条件(例えば、一定の温度及び入力HCl流束)であっても変化する可能性がある。さらに、従来のGa供給源(特に、液体Gaボート)は、反応器内になければならず、したがって、その容量は、反応器の幾何形状によって制約を受ける。従来のHVPEシステムにおいて合理的に可能と考えられる(及び当技術分野で周知の事実として開示されていると考えられない)最大のボートは、約3から5kg程度以下を保持することができ、そのサイズが約7×7×20cmであり、及び液体Gaが4cmの深さに充填されると考えられる。
【0185】
これとは対照的に、本発明のHVMシステム及び方法は、長時間にわたって持続させることができるGaが最大200gm/時以上(300um/時を超えた成長速度を支持するのに十分である)で、一定の変化しないGa前駆体流を供給することができる外部Ga供給源を用いる。第1に、この供給源は、Ga質量流束をエピタキシャル成長中に測定及び制御することができるような手法で、GaCl3蒸気を供給することができる。第2に、この外部Ga供給源は、Ga前駆体が、何十キログラムもの前駆体を保持するリザーバから供給されるので、持続的な中断なしの操作が可能である。さらに、多数のリザーバを、効果的な非限定的操作のために順次作動することができる。
【0186】
まとめると、相対エピタキシャル成長効率は、ウエハが反応器内にあってその間に実際の成長が生ずる時間の割合によって定義される反応器利用率(R.U.)と要約することができる。従来のHVPEシステムは、約65%以下のR.U.を実現することができるが、一方で、本発明のHVMシステム及び方法は、約95%又はそれ以上のR.U.を実現することがわかる。本発明のHVMシステム及び方法は、実際の操作において、さらにより高い相対エピタキシャル成長効率を実現することになることが予測される。
【0187】
次に、まず実現可能な反応器利用率及びウエハ生産速度について検討すると、表2のデータは、本発明のHVMシステムを従来のHVPEシステムよりも効率的にできることを実証している。
【0188】
【表2】

【0189】
反応器は、クリーニング及び予防的メンテナンスのために定期的に製造を中止しなければならない。本発明のHVMシステム及び方法は、素早くクリーニングしメンテナンスすることができるので、従来のHVPEシステムでできるよりも高い反応器利用率及びウエハ生産速度を実現することができる。
【0190】
操作中、材料は、反応器内の望ましくない部位で、例えば反応器壁面及びその他の内部反応器部品上に成長し、これらの材料の過剰な成長は、ウエハ汚染などの問題を引き起こす可能性がある。クリーニングは、これらの不要な材料を除去するのに必要とされ、反応器を分解することのない原位置で、又は反応器を分解した後の原位置外で行うことができる。原位置クリーニングは、HClで不要な堆積物をエッチングすることによって行われることが多い。何回かの原位置エッチング又はクリーニングの後は、より徹底した原位置外クリーニングが有利である。
【0191】
本発明のHVMシステムは、従来のHVPEシステムよりもかなり短い原位置クリーニング時間しか必要としない。本発明の反応器は、制御されたより低い温度の壁面を有し、その結果、ウエハ製造中にその表面に材料がほとんど堆積しない。これとは対照的に、従来のHVPE反応器は、より高い堆積温度で動作し、その結果、ウエハ及び基板上に成長する量と同じ量の材料が、反応器壁面及び内部反応器部品上に成長する。表2は、1.5mm以下の不要なGaNを、反応器壁面及び内部反応器部品上に堆積することが可能であると仮定したシナリオを示す。
【0192】
従来のHVPEシステムでは、原位置クリーニングは、1.5mmの不要なGaNを反応器内部で成長する5回の操作ごとに(1回の操作当たり300um)必要とされる。これとは対照的に、本発明の反応器の原位置クリーニングも5回の操作ごとに行う場合、反応器内部にはGaNがわずかな量(例えば、従来のHVPEシステムで成長する量の20%以下)しか成長しない(事実、本発明のHVMシステムの原位置クリーニングは、無理なく15回の操作ごとにだけ遅延されることがある)。したがって、従来のHVPE反応器の原位置クリーニング時間は、本発明のHVM反応器の原位置クリーニング時間よりも、少なくとも5倍(及び最長15倍)長い。
【0193】
また、本発明のHVMシステムは、従来のHVPEシステムよりもかなり少ない原位置外クリーニング時間しか必要としない。まず、これらのHVMシステムは、原位置外クリーニングの前及び後にそれぞれ実行しなければならない著しく短い冷却/加熱時間を有する。また、それらの分解/クリーニング/再組立て時間は、Si処理システムで周知の短い時間と同等であり、それは本発明のHVMシステム及び方法が、Si処理で既に周知の市販の設計及び部品を含んでいるからである。Si処理システムから組み込まれた設計及び部品には、高速作動反応器ゲート、カセット間取り付けによる完全自動化ウエハ取扱い、高温取り付け/取り外しを実行する能力、個別の冷却ステージ、原位置成長速度モニタリング、及び反応器が雰囲気に露出されるのを防止するロードロックが含まれる。
【0194】
また、既に説明したように、従来のHVPEシステムで使用されたGa前駆体供給源、即ちGaボートは、一定の前駆体流を維持するために、及びそれらの限定された容量の理由から、定期的に再充填しなければならない。クリーニング中に行うことができるこの前駆体再充填は、これら従来のシステムのクリーニング時間をさらに長くする。これとは対照的に、本発明のHVMシステム及び方法の外部Ga供給源は、長期間にわたってほとんど又は全く中断することなく、動作することができる。
【0195】
まとめると、反応器のメンテナンス時間は、別のR.U.及びウエハ生産速度によって要約することができる。この第2のR.U.は、ウエハが反応器内にある時間と、ウエハが反応器内にある時間及びクリーニング/メンテナンス時間の合計との比を表す。従来のHVPEシステムは、約60%以下のR.U.を実現することができるが、一方で、本発明のHMVシステム及び方法は、約75%以上のR.U.を実現することがわかる。
【0196】
相対システム効率は、生産されたウエハの枚数を、これらのウエハを生産するのに必要な全時間で割ることによって導き出すことができるウエハ生産速度によって表すことができる。ウエハ生産操作、原位置クリーニング、及び原位置外クリーニング、速度の完全サイクルは、15回の実行を含むので(表1及び2の仮定による)、これらの速度は、15を、15枚のウエハを生産するための全時間(取り付け/取り外し時間、原位置クリーニング時間、原位置クリーニング時間、メンテナンス時間、及び供給源再充填時間を含む)で割ることによって、決定される。15枚のウエハを生産(実行)するのに必要とされる本発明のHVMシステム及び方法の全時間は、従来のHVPEシステムによって必要とされる全時間よりもかなり短いことがわかる。したがって、本発明のシステム及び方法は、従来技術に優る約2倍のスループットの改善を実現する。上記にて論じたように、より大きなスループットの改善が、実際の動作中に予測される。
【0197】
最後に、比較の前駆体効率について検討すると、本発明のHVMシステム及び方法は、従来のHVPEシステムよりも効率的に、前駆体を、特にGa前駆体を利用する。これを、表3のデータによって例示する。
【0198】
【表3】

【0199】
【表4】

【0200】
Ga利用率は、表3において、まず、15cmウエハに適した従来のHVPEシステムが約14slpm(分当たりの標準リットル数)のアンモニアを使用すると予測することができると見なすことによって決定される。V/III比が30であり、Ga前駆体からGaNへの変換率が95%であると仮定すると、従来のシステムは、約1.8gm/分のGaを使用すると予測されることができる。したがって、200um/時でGaNを300um成長させるのに十分な90分の操作では、約151gmのGaを必要とする。15cmウエハ上には、300um層内に約31gmのGaがあるので、従来のHVPE反応器のGa効率は、約21%(=31/151)である。残りの120gm(151−31)のほとんどは、反応器の内側に堆積されるので、再生及び再使用はほとんど不可能である。反応器から排出されたGaの再生及び再使用がなされても、従来のHVPE反応器のGa効率は、約25%以下であることが予測される。
【0201】
これとは対照的に、HVMシステム及び方法は、より少ないアンモニア流(例えば、10slpm)を使用すると予測されることができ、したがって、より少ないGa流及びより少ない全Gaが、15cmウエハに必要とされる(例えば、114gm)。したがって、本発明のHVMシステム及び方法は、再生及び再使用なしで27%のGa効率を実現することができ、反応器から排出されたGaの再生及び再使用を行った場合は、おそらく最大80%又はそれ以上のGa効率を実現することができる。さらに、残りの83gm(=114−31)は反応器の内側にほとんど堆積しないので、この未使用のGaのほとんどは、反応器排出間に現れ、それを再生及び再使用に利用することができる。排出Gaを再生及び再使用すると、本発明のHVMシステム及び方法のGa効率が80%以上に到達できることが予測される。
【0202】
上述の本発明の好ましい実施形態は、これらの実施形態が本発明のいくつかの好ましい態様の例示であるので、本発明の範囲を限定するものではない。任意の均等な実施形態は、本発明の範囲内にあるものとする。実際に、説明されている要素の代替の有用な組合せなど、本明細書に図示され説明されているものに加えた本発明の様々な修正例は、後続の説明から、当業者により明らかにされよう。そのような修正例も、添付される特許請求の範囲内に包含されるものとする。下記において(及び本出願の全体において)、見出し及び凡例は、明確化及び便宜上のためにのみ使用される。
【0203】
複数の参考文献が本明細書に引用されており、その開示全体は、あらゆる目的のために参照することによりその全体が本明細書に組み込まれている。さらに、上記にてどのように特徴付けられたか否かに関わらず、引用されたどの参考文献の開示全体も、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載された主題の発明に対する先行技術とは見なされない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶第III−V族半導体材料を形成する方法であって、
半導体材料を製造するために十分な条件下で、1つの反応物質としてのある量の気体状第III族前駆体と別の反応物質としてのある量の気体状第V族成分とを反応チャンバ内で反応させるステップと、
前記反応物質が、1つ又は複数の基板に隣接し、かつ前記基板の上方にある前記反応チャンバ内の所定位置で反応して、その表面に前記半導体材料が堆積するように前記反応物質を導入するステップと、
前記反応チャンバの入口ポートを封止するように閉鎖可能なゲート弁であって、前記入口ポートを通して前記反応チャンバの内部と外部との間で材料の移送が可能になるように開放可能な前記ゲート弁の複数の開口を通して、前記反応物質の少なくとも1種が所定位置に向かうことを補助するために1種又は複数のパージガス流を注入するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記気体状第III族前駆体は、少なくとも50gの第III族元素/時の質量流で、少なくとも48時間にわたり、連続的に供給されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
動作中に封止材の熱劣化を避けるために、閉じたときの前記ゲート弁と前記反応チャンバとの間の前記封止材に隣接する前記ゲート弁の部分の温度を十分に制御するステップをさらに備えることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記ゲート弁は、前記ゲート弁と伝導的に結合している通路に熱交換流体を通すことにより、温度制御されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記反応チャンバ内のガスの凝縮及び/又はガス同士の不要な反応を避けるために、閉鎖したときに前記反応チャンバの内部にさらされた前記ゲート弁の部分を十分に加熱するステップをさらに備えることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記ゲート弁は、前記ゲート弁の内部の1つ又は複数の通路に加熱流体を通すことによって加熱されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記ゲート弁は、前記さらされた部分の温度が前記第III族前駆体の凝縮温度及び第III−V族反応の生成物の昇華温度のいずれか又は両方よりも高くなるように十分に加熱されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
CVD反応チャンバの入口ポートを可逆的に封止するために使用されるように構成されたゲート弁アセンブリであって、
前記入口ポートを封止するために閉鎖可能であり、前記入口ポートを通して前記反応チャンバの内部と外部との間で材料を移送することを可能にするように開放可能なゲート弁であって、前記ゲート弁は、動作中の前記反応チャンバ内にガス流を注入するための複数の開口を備える、ゲート弁と、
前記反応チャンバの動作中に、ゲート弁温度を選択された温度範囲内に維持する温度制御器と
を備えることを特徴とするゲート弁アセンブリ。
【請求項9】
前記温度制御器は、前記反応チャンバ内のガスの凝縮及び/又はガス同士の不要な反応を避けるために、閉じたときに前記反応チャンバの内部にさらされた前記ゲート弁の部分を十分加熱する1つ又は複数の加熱要素をさらに備えることを特徴とする請求項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記加熱要素は、前記ゲート弁の外部にある放射加熱要素と、前記ゲート弁の内部にある加熱流体用の通路との1つ又は複数を備えることを特徴とする請求項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
閉じた前記ゲート弁と前記反応チャンバとの間に封止材をさらに備え、温度制御器は、動作中に前記封止材の熱劣化を避けるために、前記封止材に隣接した前記ゲート弁の部分を十分冷却する1つ又は複数の冷却要素をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記冷却要素は、前記ゲート弁に伝導的に結合されている冷却流体用の1つ又は複数の通路を備えることを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記開口は、中心部分の前記開口同士の間隔が、その他の部分の前記開口同士の間隔よりも大きくなるように間隔を空けて配置されていることを特徴とする請求項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記開口は、前記開口同士が実質的に均一な間隔を空けて配置されていることを特徴とする請求項に記載のアセンブリ。
【請求項15】
単結晶第III−V族半導体材料を製造するシステムであって、
1つの反応物質として使用される第III族前駆体の供給源と、
別の反応物質として使用される第V族成分の供給源と、
前記第III族前駆体及び前記第V族成分を受容して、第III−V族半導体材料を形成するために十分な条件下で互いに反応させる反応チャンバであって、
1つ又は複数の基板に隣接し、かつ前記基板の上方にある前記反応チャンバの所定位置で前記反応物質が接触及び反応して、その表面に半導体材料が堆積するように反応チャンバ内へ前記反応物質を導入する開口と、
1種又は複数のパージガス流を注入する開口と、
前記半導体材料を前記反応チャンバの内部と外部との間で移送することができる取り付けポートと
を有する前記反応チャンバと、
前記取り付けポートを封止するゲート弁アセンブリであって、
前記取り付けポートを封止するために閉鎖可能であり、前記取り付けポートを通して前記反応チャンバの内部と外部との間で材料を移送することを可能にするように開放可能なゲート弁であって、前記ゲート弁は、1つの反応物質が前記所定位置に少なくとも部分的に送り出されるように、前記パージガス流が前記反応チャンバ内に注入される複数の開口を備える、ゲート弁と、
前記ゲート弁と前記反応チャンバとの間にある封止材と、
前記反応チャンバ内のガスの凝縮及び/又はガス同士の不要な反応並びに前記封止材の熱劣化も共に回避するように前記ゲート弁の温度を制御する温度制御器と
を備える前記ゲート弁アセンブリと
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項16】
前記温度制御器は、前記反応チャンバ内のガスの凝縮及び/又はガス同士の不要な反応を避けるために、閉じたときに前記反応チャンバの内部にさらされた前記ゲート弁の部分が十分加熱されるように1つ又は複数の加熱要素をさらに備えることを特徴とする請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
閉じた前記ゲート弁と前記反応チャンバとの間に封止材をさらに備え、前記温度制御器は、動作中に前記封止材の熱劣化を避けるために、前記封止材に隣接した前記ゲート弁の部分を十分冷却する1つ又は複数の冷却要素をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記温度制御器は、前記ゲート弁の温度を感知する及び前記温度制御器にフィードバックを行う1つ又は複数の要素をさらに備えることを特徴とする請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記反応物質は、水平層流で前記反応チャンバに進入することを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記反応チャンバは、床、天井、1対の側壁、開放入口、開放出口及び1つの反応物質進入開口を含み、
前記1つの反応物質進入開口は、前記反応物質を前記反応チャンバ内に導入するために床に水平スロットを含み、
前記水平スロットは、前記反応物質を導入するように、及び前記反応物質を所定位置に送り出して別の反応物質と反応させるように構成及び寸法決めされていることを特徴とする請求項15に記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公開番号】特開2012−186478(P2012−186478A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−85686(P2012−85686)
【出願日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【分割の表示】特願2009−538462(P2009−538462)の分割
【原出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(507088071)ソイテック (93)
【Fターム(参考)】