説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】 メモリ部とロジック部とを含む半導体装置において、容量素子の上部の領域において、導電プラグの終端面における段差の発生を抑制する。
【解決手段】 シリコン基板101にメモリ部104とロジック部102とが混載された半導体装置100は、メモリ部104からロジック部102にわたってシリコン基板101上に設けられた絶縁層と、ロジック部102において層間絶縁膜103および層間絶縁膜119に埋設された複数の第二配線接続プラグ109と、メモリ部104において層間絶縁膜103中に埋設された容量素子115と、メモリ部104の容量素子115が設けられた領域よりも上部の領域において層間絶縁膜103および層間絶縁膜119中に埋設されるとともに、容量素子115と絶縁されたダミープラグ121と、を含む。複数の第二配線接続プラグ109およびダミープラグ121は、層間絶縁膜119の上面で終端する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特にメモリ部とロジック部とが混載された半導体装置およびその製造方法に関する。
【0002】
メモリ素子を含む半導体装置として、従来、特許文献1に記載のものがある。同文献には、DRAMとロジックの混載デバイスにおいて、DRAMの上部キャパシタ電極形成後のCMPの際に、DRAM領域とロジック領域とで基板からの高さに差が生じていることが記載されている。また、この現象は、DRAM領域にはセルプレート(上部キャパシタ電極)が存在するが、ロジック領域には上部キャパシタ電極が存在しないためであるとされている。さらに、同文献によれば、DRAM領域とロジック領域の基板からの高さの差により、DRAM領域のメモリセルの中心部と端部において、メモリセル上の絶縁膜の厚さに差が生じるため、CMP研磨の制御が困難となったり、上部キャパシタ電極が露出してしまうという問題があるとされている。
【0003】
この問題に対し、同文献よれば、上部キャパシタ電極を必要とするDRAM領域だけでなく、ロジック領域にもセルパターンを形成することによって、DRAM領域とロジック領域の段差を解消できるとされている。また、上部キャパシタ電極層上に、CMPのストッパとして機能させる絶縁膜を設けることが記載されている。この場合、DRAMとロジック領域のメモリセル上の層間絶縁膜に膜厚差が生じるが、メモリセルの端部の上部キャパシタ電極の露出を防ぐために、絶縁膜をCMP研磨のストッパとして機能させるとされている。
【特許文献1】特開2003−31690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、本発明者が鋭意検討したところ、素子の微細化に伴い、以下に説明する従来認識されていなかった新たな現象が顕在化してきた。すなわち、メモリ部とロジック部とが混載された半導体装置の第一配線層を形成する際に、第一配線層を構成する層間絶縁膜の露光時の露光マージン不足が生じたり、第一配線を構成するCu膜の研磨残りが生じたりすることがあった。このような不具合が生じると、第一配線の形成不良による製造歩留まりが低下する懸念があった。
【0005】
そこで、本発明者は、こうした不具合の原因についてさらに検討を行った。その結果、ロジック部のコンタクトプラグの寸法、特にコンタクト間の間隔が非常に小さくなるにつれて、コンタクトプラグ形成時に、ロジック部にエロージョンが生じることが見出された。コンタクトプラグ形成時のエロージョンは、従来認識されておらず、第一配線に接続されるコンタクトプラグの狭ピッチ化により、初めて顕在化した現象である。
【0006】
また、本発明者は、こうしたエロージョンが、メモリ部とロジック部とのデータ率差が大きい領域で顕著となることを見出した。具体的には、通常、コンタクトプラグを形成する際には、タングステン(W)をCVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより埋め込む。その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)によりウェーハ上のWを除去する。ここで、メモリ部とロジック部とが混載された素子においては、メモリ部において、容量素子の上部の領域にはコンタクトがほとんど存在しないため、ロジック部とメモリ部とのコンタクトのデータ率は大きく異なる。このため、ロジック部にコンタクトプラグを形成する際に、コンタクトプラグとなるW膜のCMP工程で生じるエロージョンが顕著となる。特に、チップ上のSRAM部のようにコンタクトが非常に密に形成される領域においては、エロージョンが顕著に発生する。
【0007】
ロジック部にエロージョンが発生すると、DRAM部のようにコンタクトが粗に形成されるメモリ部とロジック部との間に、段差が生じる。こうした段差が生じると、第一配線の形成不良時に、上述した不具合が生じることがあった。こうした不具合は、半導体装置の製造安定性の低下や製造歩留まりの低下を招く原因となるため、これを解決する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、以上の知見を踏まえ、メモリ部とロジック部との間で生じる段差を効果的に抑制すべく鋭意検討を行い、本発明に至った。
【0009】
本発明によれば、
半導体基板にメモリ部とロジック部とが混載された半導体装置であって、
前記メモリ部から前記ロジック部にわたって前記半導体基板上に設けられた絶縁層と、
前記ロジック部において前記絶縁層中に埋設された複数の導電プラグと、
前記メモリ部において前記絶縁層中に埋設された容量素子と、
前記メモリ部の前記容量素子が設けられた領域よりも上部の領域において前記絶縁層中に埋設されるとともに、前記容量素子と絶縁されたダミー導電膜と、
を含み、
前記複数の導電プラグと前記ダミー導電膜とが、前記絶縁層の上面で終端する半導体装置が提供される。
【0010】
本発明において、ダミー導電膜は、メモリ部において容量素子の上部の空間に設けられる。ダミー導電膜は、絶縁層中に埋設された膜であり、絶縁層の上面の高さを調節するために設けられる。ダミー導電膜は、下面において容量素子から絶縁されていればよく、上面においては、絶縁層上に設けられた配線等の導電部材に接続されていてもよいし、上部絶縁膜に被覆されて絶縁されていてもよい。ダミー導電膜が下面において容量素子から絶縁された構成とすることにより、ダミー導電膜と容量素子の電極とが短絡しないようにすることができる。
【0011】
本発明の半導体装置においては、メモリ部の容量素子が設けられた領域よりも上部の領域において、絶縁層中にダミー導電膜が埋設されている。そして、ロジック部に設けられた複数の導電プラグと、メモリ部に設けられたダミー導電膜が、いずれも、絶縁層の上面で終端する構成となっている。このようなダミー導電膜をメモリ部に設けることにより、絶縁層の上面におけるメモリ部のデータ率とロジック部のデータ率との差を低減することができる。
【0012】
従来の半導体装置においては、メモリ部において容量素子が設けられた領域の上部の領域は、データ率が低い領域であった。このため、ロジック部に設けられた複数の導電プラグの形成時に、絶縁層の上面にエロージョンが生じ、メモリ部とロジック部との間に段差が生じることがあった。これに対し、本発明によれば、容量素子が設けられた領域の上部の領域にダミー導電膜が設けられるため、絶縁層の上面におけるデータ率を増加させて、ロジック部のデータ率との差を減少することができる。よって、複数の導電プラグが、絶縁層の上面に密に配置された場合にも、たとえば絶縁層の上部に配線を形成する際の露光マージン不足や、配線となる導電膜のCMPにおける残存物の発生を抑制することができる。したがって、本発明によれば、ロジック部におけるエロージョンを抑制し、メモリ部とロジック部との間で絶縁層の上面に段差が生じることを抑制することができる。このため、本発明の半導体装置は、高い製造歩留まりが実現可能な構成となっている。
【0013】
なお、本明細書において、データ率とは、絶縁層において金属膜の占める面積割合をいう。本発明において、たとえば、前記メモリ部における前記ダミー導電膜の占有面積が、前記ロジック部における前記導電プラグの専有面積と略等しい構成とすることができる。また、本発明において、前記メモリ部における前記ダミー導電膜のデータ率を1%以上10%以下とする。こうすれば、メモリ部とロジック部との間で絶縁層の上面に段差が生じることをさらに確実に抑制できる。
【0014】
また、本発明において、絶縁層は、単層であってもよいし、複数の絶縁膜が積層された層であってもよい。また、本発明において、導電プラグは、一つのプラグからなる構成であってもよいし、複数のプラグが電気的に接続された構成であってもよい。
【0015】
本発明において、前記メモリ部がビット線をさらに含み、容量素子が前記ビット線の上部に設けられた構成とすることができる。容量素子が前記ビット線の上部に設けられたCOB(Capacitor Over Bitline)構造の場合、容量素子の上部の領域にビット線接続プラグが設けられないため、CUB(Capacitor under Bitline)構造の場合に比べて、容量素子の上部の領域におけるデータ率がさらに小さくなる。このため、絶縁層の上面におけるメモリ部とロジック部とデータ率差がさらに大きくなり、導電プラグの狭ピッチ化によりロジック部の絶縁層の上面においてエロージョンが顕著となる。このため、メモリ部とロジック部との間の段差がさらに顕著となる。本発明によれば、メモリ部にダミー導電膜が設けられるため、このようなCOB構造を採用した場合にも、メモリ部とロジック部との間で絶縁層の上面に段差が生じることを抑制できる。このため、絶縁層の上層の製造安定性に優れた構成とすることができる。
【0016】
また、本発明によれば、
メモリ部とロジック部とを含む半導体装置の製造方法であって、
半導体基板の素子形成面の上部に容量素子を形成する工程と、
容量素子を形成する前記工程の後、前記半導体基板の上部に、前記メモリ部の形成領域から前記ロジック部の形成領域にわたるとともに、前記容量素子の上面を被覆する絶縁層を形成する工程と、
絶縁層を形成する前記工程の後、前記ロジック部の所定の領域と前記メモリ部の所定の領域とにおいて前記絶縁層を選択的に除去して前記ロジック部および前記メモリ部にそれぞれ第一凹部および第二凹部を形成し、前記第一凹部と前記第二凹部とを埋め込むように導電膜を形成し、前記第一凹部の外部および前記第二凹部の外部に形成された前記導電膜を除去することにより、前記ロジック部と前記メモリ部に、それぞれ、導電プラグとダミー導電膜とを同時に形成する工程と、
を含み、
導電プラグとダミー導電膜とを同時に形成する前記工程において、前記第二凹部の底面を前記容量素子の上面から離隔する半導体装置の製造方法が提供される。
【0017】
本発明によれば、ロジック部とメモリ部に、それぞれ、導電プラグとダミー導電膜とを同時に形成することにより、ロジック部において、導電プラグの形成領域の上面におけるエロージョンの発生を抑制し、メモリ部とロジック部とで絶縁層の上面の段差を低減することができる。このため、絶縁層の上層の形成不良を抑制し、製造安定性を向上させることができる。
【0018】
なお、これらの各構成の任意の組み合わせや、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた本発明の態様として有効である。
【0019】
たとえば、本発明において、前記メモリ部がDRAMセルを含んで構成されてもよい。こうすることにより、容量素子の構成を簡素化することができるので、メモリ部の設計の自由度をより一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、メモリ部とロジック部とを含む半導体装置において、容量素子よりも上部の領域において、導電プラグの終端面における段差の発生を抑制する技術が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0022】
(第一の実施形態)
図1は、本実施形態に係る半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。また、図2は、図1に示した半導体装置100の構成を示す平面図である。
図1に示した半導体装置100は、半導体基板(シリコン基板101)にメモリ部104とロジック部102とが混載された半導体装置である。ロジック部102は、メモリ部104の周辺回路を含んでいてもよい。
半導体装置100は、メモリ部104からロジック部102にわたってシリコン基板101上に設けられた絶縁層(層間絶縁膜103、層間絶縁膜119)と、ロジック部102において層間絶縁膜103および層間絶縁膜119に埋設された複数の導電プラグ(第二配線接続プラグ109)と、メモリ部104において層間絶縁膜103中に埋設された容量素子115と、メモリ部104の容量素子115が設けられた領域よりも上部の領域において層間絶縁膜103および層間絶縁膜119中に埋設されるとともに、容量素子115と絶縁されたダミー導電膜(ダミープラグ121)と、を含む。
ダミープラグ121は、層間絶縁膜103から層間絶縁膜119にわたって設けられ、層間絶縁膜119を貫通し、その上面で終端している。ダミープラグ121は、層間絶縁膜119の上面の高さを調節する膜である。具体的には、ダミープラグ121は、ロジック部102とメモリ部104との間の層間絶縁膜119の高低差を調整する。ダミープラグ121は、層間絶縁膜119の上面に段差が生じることを抑制し、当該上面をメモリ部104からロジック部102にわたって平坦化する機能を有する。
複数の第二配線接続プラグ109およびダミープラグ121は、層間絶縁膜119の上面で終端する。さらに、ダミープラグ121と第二配線接続プラグ109とが同一材料により構成されるとともに、ダミープラグ121の上面と第二配線接続プラグ109の上面とが略同一水準にて終端する。つまり、複数の第二配線接続プラグとダミープラグ121とは、同層に設けられ、これらの上面が略同一水準に位置する。
ここで、第二配線接続プラグ109の上面とダミープラグ121の上面とが略同一水準に位置するとは、第一配線層123形成時の露光マージン不足や、第一配線125および第一配線127となる導電膜のCMPにおける残存物の発生といった形成不良が抑制できる程度にメモリ部104とロジック部102との間の段差が小さい構成をいう。
容量素子115はDRAMセルである。容量素子115とダミープラグ121との間に絶縁膜(SiN膜117)が設けられている。ダミープラグ121は、メモリ部104において、容量素子115の形成領域の上部の領域にSiN膜117を介して設けられている。SiN膜117は、ダミープラグ121形成時のエッチングストッパとして機能する。
容量素子115は、下部電極135と、上部電極139と、下部電極135と上部電極139との間に設けられた容量膜137と、を含む。
メモリ部104は、ビット線113をさらに含み、容量素子115がビット線113の上部に設けられている。
また、ロジック部102は、第二配線接続プラグ109の上面に接して設けられた配線(第一配線125)をさらに含み、ダミープラグ121の材料と、第一配線125の材料とが異なる。具体的には、ダミープラグ121および第二配線接続プラグ109が、タングステン含有金属を含み、第一配線125が銅含有金属を含む。
【0023】
以下、半導体装置100の構成をさらに詳細に説明する。
半導体装置100は、シリコン基板101、層間絶縁膜103、層間絶縁膜119および第一配線層123がこの順に積層された構成である。半導体装置100は、ロジック部102およびメモリ部104を有し、層間絶縁膜103、層間絶縁膜119および第一配線層123はロジック部102からメモリ部104にわたって形成されている。各層を構成する層間絶縁膜の材料は同じであっても異なっていてもよい。
【0024】
ロジック部102およびメモリ部104において、シリコン基板101にそれぞれトランジスタ(不図示)が設けられている。ロジック部102およびメモリ部104に設けられたトランジスタは、それぞれ、シリコン基板101の上部に設けられた第一ゲート電極105および第二ゲート電極111を含む。
【0025】
また、ロジック部102およびメモリ部104において、第一配線層123中にはそれぞれ第一配線125および第一配線127が埋設されている。
【0026】
ロジック部102には、複数の配線接続プラグと第一配線層123とが設けられている。
各配線接続プラグは、トランジスタの拡散層(不図示)と第一配線125とを接続する。図1の例では、配線接続プラグは、第一配線接続プラグ107および第二配線接続プラグ109から構成される。第一配線接続プラグ107は、トランジスタの拡散層(不図示)に接して設けられ、層間絶縁膜103中に埋設されている。第二配線接続プラグ109は層間絶縁膜103から層間絶縁膜119にわたって設けられ、第一配線接続プラグ107の上面および第一配線125の下面に接している。
【0027】
メモリ部104は、トランジスタ(不図示)、容量接続プラグ129、容量素子115、SiN膜117、ダミープラグ121および第一配線127を含む。
容量素子115は、層間絶縁膜103中に埋設されている。各容量素子115は、下部電極135、容量膜137および上部電極139がこの順に積層された構成である。本実施形態および本明細書の以降の実施形態においては、メモリ部104に複数の容量素子115が設けられ、上部電極139が、複数の容量素子115に共通する導電膜となっている。容量素子115の下部電極135の下面は、第二配線接続プラグ109の下面と同一水準に位置する。
【0028】
SiN膜117は、上部電極139の上面に接して設けられて、上部電極139を被覆する。メモリ部104に設けられたトランジスタの拡散層(不図示)と容量素子115の下部電極135とは、容量接続プラグ129により接続されている。容量接続プラグ129は、第一配線接続プラグ107と同層に設けられており、これらは同一水準に形成された導電プラグである。
【0029】
ダミープラグ121は、ロジック部102において第二配線接続プラグ109が密に配置された場合にも、ロジック部102において層間絶縁膜119の上面にエロージョンが生じることを抑制し、層間絶縁膜119上面の段差を低減する機能を有する。こうした機能を発揮させるためには、容量素子115の上部に、層間絶縁膜119の上面で終端するダミープラグ121を少なくとも一つ設ければよい。ダミープラグ121を少なくとも一つ設けることにより、層間絶縁膜119の上面におけるロジック部102とメモリ部104とのデータ率差を小さくすることができる。
【0030】
さらに、層間絶縁膜119の上面におけるロジック部102とメモリ部104とのデータ率差をより一層小さくする観点では、層間絶縁膜119の上面におけるロジック部102のデータ率を予め算出し、算出されたデータ率に近づけるように、メモリ部104にダミープラグ121を配置することが好ましく、さらに、これらのデータ率を略等しくすることが好ましい。つまり、メモリ部104におけるダミープラグ121の占有面積を、ロジック部102における第二配線接続プラグ109の専有面積と略等しい構成とするとよい。たとえば、ロジック部102において、層間絶縁膜119の上面のデータ率が5%である場合、メモリ部104における層間絶縁膜119の上面のデータ率が5±2%となるように、ダミープラグ121を設けることができる。また、メモリ部104におけるダミープラグ121のデータ率を1%以上10%以下とする。
【0031】
また、ダミープラグ121は、層間絶縁膜119上面のエロージョンの抑制効果を奏することができればその平面形状や平面配置に特に制限はなく、たとえば、ホール形状、矩形状、ライン状等とすることができる。さらに具体的には、図3(a)〜図3(c)に示した平面形状および平面配置とすることができる。図3(a)および図3(b)は、複数の円柱状のダミープラグ121を設ける例である。図3(a)は、正方格子状にダミープラグ121を配置した例である。図3(b)は、千鳥格子状にダミープラグ121を配置した例である。ダミープラグ121を円柱状とすることにより、第二配線接続プラグ109との同一工程においてさらに容易にダミープラグ121を形成することができる。また、図3(c)は、複数のストライプ状のダミープラグ121を互いに平行に配置した例である。図3(c)の配置により、メモリ部104のデータ率をさらに確実に高めることができるため、ロジック部102のデータ率が高い場合にも、層間絶縁膜119上面で段差が生じることを抑制できる。
【0032】
また、断面図におけるダミープラグ121の径(幅)は、たとえば、第二配線接続プラグ109の径と略等しいか、第二配線接続プラグ109の径よりも大きい構成とする。図1に示した場合のように、ダミープラグ121の径(幅)を第二配線接続プラグ109の径よりも大きくすることにより、必要最低限の数のダミープラグ121を用いて層間絶縁膜119上面の段差を効果的に抑制することができる。ダミープラグ121の数を減らすことにより、ダミープラグ121の上層の構造の自由度を増すことができる。また、フォトリソグラフィー工程におけるパターン形成不良を防ぐことができる。
【0033】
また、図1においては、複数のダミープラグ121がいずれも第一配線127の直下に接して設けられている場合を示したが、ダミープラグ121を介して第一配線127が短絡しない構成であれば、第一配線127とダミープラグ121との位置関係は図1に示した構成には限られない。また、第一配線127と第一配線127との間にダミープラグ121が配置され、第一配線127、ダミープラグ121および上部電極139が互いに絶縁された構成とすることもできる。
【0034】
次に、半導体装置100の製造方法を説明する。これは、メモリ部104とロジック部102とを含む半導体装置の製造方法であって、以下の工程を含む。
(i)シリコン基板101の素子形成面の上部に容量素子115を形成する工程、
(ii)容量素子115を形成する工程の後、シリコン基板101の上部に、メモリ部104の形成領域からロジック部102の形成領域にわたるとともに、容量素子115の上面を被覆する層間絶縁膜103および層間絶縁膜119を形成する工程、および
(iii)これらの絶縁層を形成する工程の後、ロジック部102の所定の領域とメモリ部104の所定の領域とにおいて層間絶縁膜103および層間絶縁膜119を選択的に除去してロジック部102およびメモリ部104にそれぞれ第一凹部および第二凹部を形成し、第一凹部と第二凹部とを埋め込むように導電膜を形成し、第一凹部の外部および第二凹部の外部に形成された導電膜を除去することにより、ロジック部102とメモリ部104に、それぞれ、第二配線接続プラグ109とダミープラグ121とを同時に形成する工程、
を含む。
(iii)の第二配線接続プラグ109とダミープラグ121とを同時に形成する工程においては、第二凹部の底面を容量素子115の上面から離隔する。また、(ii)の第二配線接続プラグ109とダミープラグ121とを同時に形成する工程は、SiN膜117の上面に接してダミープラグ121を形成する工程を含む。
半導体装置100の製造方法は、さらに、
(iv)第二配線接続プラグ109とダミープラグ121とを同時に形成する工程の前に、メモリ部104において、容量素子115の上部にSiN膜117を形成する工程、および
(v)ロジック部102において第二配線接続プラグ109に接続される第一配線125を形成するとともに、メモリ部104において第一配線127を形成する工程、
をさらに含む。半導体装置100の場合、(v)の工程でメモリ部104に、ダミーコンタクトプラグ121に接続される第一配線127を形成する。
【0035】
図4(a)〜図4(c)、図5(a)〜図5(c)および図6は、半導体装置100の製造工程を示す断面図である。以下、これらの図面を参照して半導体装置100の製造工程をさらに具体的に説明する。
まず、図4(a)に示したように、シリコン基板101の所定の領域に拡散層(不図示)、第一ゲート電極105および第二ゲート電極111等を形成し、ロジック部102のトランジスタ(不図示)およびメモリ部104のメモリ素子(DRAM)を構成するトランジスタを形成する。第一ゲート電極105および第二ゲート電極111の材料は、たとえば多結晶シリコンとする。次に、シリコン基板101の上面全面に層間絶縁膜151および層間絶縁膜153をこの順に形成する。層間絶縁膜153の所定の領域を選択的に除去して溝状の凹部を形成する。溝状の凹部を埋め込むように、ビット線113形成用の導電膜としてたとえばTiN膜等のバリアメタル膜とW膜とを順次成膜し、凹部の外部に形成された導電膜を除去することにより、層間絶縁膜153中に埋設されたビット線113を形成する。ビット線113は、層間絶縁膜151上にTiNとWをスパッタし、周知のフォトリソグラフィーとドライエッチングにより形成してもよい。
【0036】
そして、層間絶縁膜153上に接して層間絶縁膜155を成膜し、ロジック部102およびメモリ部104の所定の領域に、層間絶縁膜155、層間絶縁膜153および層間絶縁膜151を貫通する柱状の凹部を形成する。凹部の底部からは、ロジック部102およびメモリ部104に形成されたトランジスタの拡散層がそれぞれ露出する。柱状の凹部を埋め込むように第一配線接続プラグ107および容量接続プラグ129の形成用の導電膜として、バリアメタル膜およびW膜を順次成膜し、凹部の外部に形成された導電膜を除去することにより、同一材料からなる複数の第一配線接続プラグ107と複数の容量接続プラグ129とを同一水準に同時に形成し、これらを同層に形成する。
【0037】
つづいて、層間絶縁膜155の上面全面に層間絶縁膜157を成膜し、各容量接続プラグ129の上部の領域を選択的に除去して柱状の凹部を形成し、層間絶縁膜157の上面全面に、下部電極135を構成する導電膜としてたとえばTiN膜を形成する。そして、層間絶縁膜157の上面全面にレジスト膜(不図示)を形成し、パターニングする。このとき、凹部の内部の領域にレジスト膜を選択的に残存させるように露光条件を設定する。そして、レジスト膜をマスクとするTiN膜の全面エッチバックにより、凹部の内壁以外の領域に形成されたTiN膜を除去し、各容量素子115を構成する複数の下部電極135を得る(図4(b))。
【0038】
次いで、層間絶縁膜157の上面全面に、容量膜137をなす絶縁膜と、上部電極139をなすTiN膜およびW膜とを順次形成する(図4(c))。容量膜137は、下部電極135の露出面を覆い、凹部の一部を埋めるように形成される。容量膜137の材料として、たとえば、SiNが用いられる。また、HfO2、ZrO2等の高誘電率膜(high−k膜)の材料を用いてもよい。容量膜137は、たとえばCVD法やALD(原子層堆積)法等により成膜される。また、容量膜137の膜厚は、容量素子115の容量に応じて適宜設定することができるが、たとえば1nm以上100nm以下とすることができる。さらに、上部電極139の上面全面に、プラズマCVD法によりSiN膜117を成膜した後、容量素子115の形成領域以外の領域に形成されているSiN膜117、上部電極139および下部電極135を選択的に除去し、上部電極139を共通にする複数のシリンダ型の容量素子115を得る(図5(a))。容量素子115において、上部電極139は、凹部に充填されるとともに、複数の容量素子115について連続一体に形成されている。
【0039】
そして、層間絶縁膜157の上面全面に層間絶縁膜159をなすSiO2膜を形成する。このとき、メモリ部104にのみ容量素子115およびSiN膜117が設けられているため、メモリ部104とロジック部102との間に段差131が生じる(図5(b))。この段差131は、層間絶縁膜159のCMP(化学機械研磨)により、上層の形成に影響しない程度の高さに低減することができる(図5(c))。なお、層間絶縁膜151、層間絶縁膜153、層間絶縁膜155、層間絶縁膜157および層間絶縁膜159の積層体が、図1における層間絶縁膜103に対応する。層間絶縁膜103を構成する各絶縁膜の材料は、たとえばSiO2とすることができる。また、各層間絶縁膜として、低誘電率層間絶縁膜を形成してもよい。具体的には、ラダー構造を有するSiO2膜を塗布法により成膜することができる。または、SiOC膜をプラズマCVD法により成膜し、低誘電率層間絶縁膜の上面にSiO2膜を成膜して、積層膜を形成してもよい。
【0040】
その後、層間絶縁膜159の上面全面に、層間絶縁膜119をなすSiO2膜を形成する(図5(c))。そして、ロジック部102およびメモリ部104の所定の領域を選択的に除去し、柱状の凹部を形成する。このとき、ロジック部102においては、層間絶縁膜119、層間絶縁膜159および層間絶縁膜157を貫通する凹部が形成される。この凹部の底面から、第一配線接続プラグ107が露出する。一方、メモリ部104には、SiN膜117が形成されているため、凹部はSiN膜117の上面で終端する。そして、層間絶縁膜119の上面全面に、第二配線接続プラグ109およびダミープラグ121をなす導電膜として、バリアメタル膜およびW膜を順次形成し、凹部の外部に形成された導電膜をCMPにより除去する。
【0041】
ここで、本実施形態では、メモリ部104にも凹部が設けられているため、層間絶縁膜119の上面におけるロジック部102とメモリ部104とのデータ率差が小さい。このため、上記CMPにおいて、ロジック部102とメモリ部104に段差が生じることを抑制できる。よって、層間絶縁膜119の上面の平坦性を充分に確保し、上面が略同一水準に位置する複数の第二配線接続プラグ109と複数のダミープラグ121とが同一工程により同時に形成される(図6)。
【0042】
そして、層間絶縁膜119の上面全面に第一配線層123を形成し、第一配線層123中の所定の領域に、第二配線接続プラグ109に接続される第一配線125およびダミープラグ121に接続される第一配線127を同時に形成する。以上の手順により、図1に示した半導体装置100が得られる。
【0043】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
半導体装置100においては、容量素子115の上部にダミープラグ121が設けられている。そして、ダミープラグ121および複数の第二配線接続プラグ109は、層間絶縁膜119の上面で終端する。さらに、ダミープラグ121と第二配線接続プラグ109とが同一材料により構成されるとともに、ダミープラグ121の上面と第二配線接続プラグ109の上面とが略同一水準にて終端する。このようにメモリ部104にも層間絶縁膜119の上面で終端するダミープラグ121を設けることにより、ロジック部102およびメモリ部104における層間絶縁膜119の上面のデータ率の差を小さくすることができる。
【0044】
よって、第二配線接続プラグ109が狭ピッチ化された場合にも、第二配線接続プラグ109の形成時のCMP工程で、ロジック部102において層間絶縁膜119の上面においてエロージョンが発生することを抑制できる。このため、半導体基板101と第一配線層123との間に設けられた層間絶縁膜119の上面に段差が生じることを抑制できる。本発明者の検討によれば、第二配線接続プラグ109の間隔がたとえば90nm以下の構成では、層間絶縁膜119の上面におけるエロージョンの影響が顕著となるが、このような構成の場合にも、ダミープラグ121を設けることにより、層間絶縁膜119上面における段差の発生を効果的に抑制することができる。このため、たとえば、第一配線露光時の露光マージンを向上させたり、第一配線125および第一配線127を構成するCu膜の研磨残りを防止したりすることができる。よって、層間絶縁膜119の上層に形成される第一配線層123中の配線の形成時に不具合が生じることを抑制し、製造歩留まりを向上させることができる。
【0045】
また、ビット線113の上部に容量素子115が配置されたCOB型の混載DRAMデバイスにおいては、容量素子115の上部までビットコンタクトプラグが延びる構成となっていないため、特に、容量素子115上部の領域におけるデータ率差が大きくなる。本実施形態によれば、COB構造を採用する場合にも、ダミープラグ121を設けることにより、層間絶縁膜119上面の段差を低減することができる。このため、たとえば、第一配線露光時の露光マージンを向上させたり、第一配線125および第一配線127を構成するCu膜の研磨残りを防止したりすることができる。よって、COB型の混載DRAMデバイスにおいても、第一配線層123の形成時に生じる不具合を抑制し、製造歩留まりを向上させることができる。
【0046】
以下、ダミープラグ121を有しない半導体装置と本実施形態の半導体装置100とを比較してさらに説明する。
図15は、ダミープラグ121を有しない半導体装置の構成を示す断面図である。また、図16(a)〜図16(c)は、図15に示した半導体装置200の製造工程を示す断面図である。
【0047】
半導体装置200では、図1に示した半導体装置100において、ダミープラグ121、SiN膜117および層間絶縁膜119を有しない構成となっている。また、第一配線接続プラグ207と第一配線225とを接続する第二配線接続プラグ233が層間絶縁膜203の上面で終端しており、層間絶縁膜203のロジック部202とメモリ部204との間で、層間絶縁膜203の上面に段差が生じている。このため、第一配線層223に段差が生じている。
【0048】
半導体装置200は、以下の手順により製造される。
まず、図16(a)に示したように、シリコン基板201の所定の領域に拡散層(不図示)、第一ゲート電極205および第二ゲート電極211等を形成し、ロジック部202のトランジスタ(不図示)およびメモリ部204のメモリ素子(DRAM)を構成するトランジスタを形成する。次に、シリコン基板201の上面全面に層間絶縁膜251および層間絶縁膜253をこの順に形成する。層間絶縁膜253の所定の領域を選択的に除去して溝状の凹部を形成する。溝状の凹部を埋め込むように、ビット線213形成用の導電膜としてたとえばバリアメタル膜およびW膜を順次成膜し、凹部の外部に形成された導電膜を除去することにより、層間絶縁膜253中に埋設されたビット線213を形成する。ビット線213は、層間絶縁膜251上にTiNとWをスパッタし、周知のフォトリソグラフィーとドライエッチングにより形成してもよい。
【0049】
そして、層間絶縁膜253上に接して層間絶縁膜255を成膜し、ロジック部202およびメモリ部204の所定の領域に、層間絶縁膜255、層間絶縁膜253および層間絶縁膜251を貫通する柱状の凹部を形成する。凹部の底部からは、ロジック部202およびメモリ部204に形成されたトランジスタの拡散層がそれぞれ露出する。柱状の凹部を埋め込むように第一配線接続プラグ207および容量接続プラグ229の形成用の導電膜として、バリアメタル膜およびW膜を順次成膜し、凹部の外部に形成された導電膜を除去することにより、同一材料からなる複数の第一配線接続プラグ207と複数の容量接続プラグ229とを同一水準に同時に形成する。
【0050】
つづいて、層間絶縁膜255の上面全面に層間絶縁膜257を成膜し、各容量接続プラグ229の上部の領域を選択的に除去し柱状の凹部を形成し、層間絶縁膜257の上面全面に、下部電極235を構成する導電膜としてたとえばTiN膜を形成する。そして、層間絶縁膜257の上面全面にレジスト膜(不図示)を形成し、レジスト膜をパターニングする。このとき、所定の条件で露光することにより、凹部の内部の領域にレジスト膜を選択的に残存させる。そして、レジスト膜をマスクとするTiN膜の全面エッチバックにより、凹部の内壁以外の領域に形成されたTiN膜を除去し、各容量素子215を構成する複数の下部電極235を得る。
【0051】
次いで、層間絶縁膜257の上面全面に、容量膜237をなす絶縁膜と、上部電極239をなすTiN膜およびW膜とを順次形成する。容量膜237は、下部電極235の露出面を覆い、凹部の一部を埋めるように形成される。容量素子215の形成領域以外の領域に形成されている上部電極239および下部電極235を選択的に除去し、上部電極239を共通にする複数のシリンダ型の容量素子215を得る(図16(a))。容量素子215において、上部電極239は、凹部に充填されるとともに、複数の容量素子215について連続一体に形成されている。
【0052】
そして、層間絶縁膜257の上面全面に層間絶縁膜259をなすSiO2膜を形成する。このとき、メモリ部204にのみ容量素子215が設けられているため、メモリ部204とロジック部202との間に段差231が生じるが、この段差231は、層間絶縁膜259のCMP(化学機械研磨)により、上層の形成に影響しない程度の高さに低減することができる(図16(b))。なお、層間絶縁膜251、層間絶縁膜253、層間絶縁膜255、層間絶縁膜257および層間絶縁膜259の積層体が、図15における層間絶縁膜203に対応する。
【0053】
さらに、ロジック部202の所定の領域を選択的に除去し、層間絶縁膜259および層間絶縁膜257を貫通する柱状の凹部を形成する。この凹部の底面から、第一配線接続プラグ207が露出する。そして、層間絶縁膜259の上面全面に、第二配線接続プラグ233をなす導電膜として、バリアメタル膜およびW膜を順次形成し、凹部の外部に形成された導電膜をCMPにより除去する。このCMPにおいて、第二配線接続プラグ233の狭ピッチ化によるエロージョンが生じ、層間絶縁膜259の上面におけるロジック部202とメモリ部204との段差231の高低差が顕著になる図16(c))。
【0054】
その後、層間絶縁膜259の上面全面に第一配線層223を形成し、第一配線層223中の所定の領域に、第二配線接続プラグ233に接続される第一配線225および第一配線227を同時に形成する。以上の手順により、図16に示した半導体装置200が得られる。この手順の場合、層間絶縁膜259の上面に形成される段差231の影響が無視できず、第一配線層223中の配線の形成不良が生じることがある。たとえば、第一配線層223中の配線の露光マージン不足や、第一配線をなすCu膜のCMP研磨の制御におけるCu残りが生じる場合があった。
【0055】
これに対し、半導体装置100においては、容量素子115の上部にダミープラグ121を設け、ロジック部102とメモリ部104における層間絶縁膜119の上面のデータ率をそろえることにより、第二配線接続プラグ109の狭ピッチ化によりメモリ部104における層間絶縁膜119の上面にエロージョンが生じる場合にも、ロジック部102とメモリ部104における層間絶縁膜119の上面の段差を抑制することができる。
【0056】
なお、半導体装置100および以降の実施形態においては、容量素子115の形成後、層間絶縁膜157の上面に層間絶縁膜159を設け、その上に層間絶縁膜119を形成する場合を例に説明したが(図5(b))、層間絶縁膜119および層間絶縁膜159のうち、いずれか一方の形成を省略してもよい。たとえば、層間絶縁膜159を設けない場合、容量素子115の形成後、層間絶縁膜157の上面に層間絶縁膜119を形成する。このとき、層間絶縁膜119のCMPにより、上層の形成不良を生じない程度に層間絶縁膜119の上面を平坦化する。そして、図6を参照して前述した方法を用いて第二配線接続プラグ109およびダミープラグ121を同時に形成することができる。この場合にも、層間絶縁膜119の上面に段差が生じることを抑制できる。
【0057】
また、容量素子115の上部にダミープラグ121を配置する場合、上部電極139とダミープラグ121とが直接接触すると、これらが導通して短絡したり、容量素子115と第一配線125との寄生容量が増加したりするという新たな課題が生じる可能性がある。
【0058】
そこで、本実施形態においては、上部電極139の上面をSiN膜117からなるハードマスクで被覆することにより、上部電極139とダミープラグ121とを確実に絶縁する。また、上部電極139の被覆膜の材料をSiNとし、層間絶縁膜103(層間絶縁膜157)の材料をSiO2とすることにより、上部電極139の被覆膜をダミープラグ121形成時にエッチングストッパとして用いることができるため、ダミープラグ121と上部電極139との導通をさらに確実に抑制できる。
【0059】
なお、本実施形態において、上部電極139と第一配線127とを接続する導電プラグの配置は、以下のようにすることができる。図7は、半導体装置100の構成の別の例を示す断面図である。
【0060】
図1においては、上部電極139の上面全面にSiN膜117を設ける構成を例示したが、図7に示したように、メモリ部104の端部近傍において、上部電極139がSiN膜117に被覆されていない露出部を設け、当該露出部に、第一配線127と上部電極139とを接続する導電性の上部電極接続プラグ141を設けてもよい。上部電極接続プラグ141は、上部電極139の上面から側面にわたって上部電極139に接している。このようにすれば、上部電極139と上層とを確実に接続することができる。また、容量素子115形成領域の周縁近傍に選択的に上部電極接続プラグ141を配置することができるため、メモリ部104内部における容量素子115の集積度を充分に確保することができる。
【0061】
図8(a)および図8(b)は、上部電極接続プラグ141の平面配置の例を示す平面図である。図8(a)は、メモリ部104および上部電極139の形成領域の平面形状が矩形であって、その四隅に上部電極接続プラグ141を配置した構成である。また、図8(b)は、上部電極139形成領域の周縁近傍に所定の間隔で上部電極接続プラグ141を配置した構成である。図8(b)に示した構成とすることにより、複数の容量素子115と第一配線127とをさらに確実に接続することができる。
【0062】
以下の実施形態においては、第一の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0063】
(第二の実施形態)
図9は、本実施形態の半導体装置の構成を示す断面図である。半導体装置110は、図1に示した半導体装置100のSiN膜117に代えて、容量素子115から離隔して設けられたSiN膜118を含む。
また、半導体装置110は、SiN膜117と離隔して設けられるとともに、下面において上部電極139と接続する導電性の上部電極接続プラグ143(図12)をさらに含む。
【0064】
半導体装置110は、以下の手順で製造される。図10(a)〜図10(c)および図11は、半導体装置110の製造工程を示す断面図である。
まず、図4(a)〜図4(c)を参照して前述した手順を用いて、上部電極139の形成までを行う(図4(c))。そして、容量素子115の形成領域以外の領域に形成された上部電極139および容量膜137を選択的に除去して、上部電極139を共通の部材とする複数の容量素子115を形成する。そして、層間絶縁膜157の上面全面に層間絶縁膜159を形成する(図10(a))。このとき、メモリ部104にのみ容量素子115が設けられているため、メモリ部104とロジック部102との間に段差131が生じる。この段差131は、層間絶縁膜159のCMP(化学機械研磨)により、上層の形成に影響しない程度の高さに低減することができる(図10(b))。
【0065】
次に、メモリ部104の所定の領域以外において、層間絶縁膜159の上面全面にSiN膜118を形成する(図10(b))。そして、層間絶縁膜159の上面全面に層間絶縁膜119を形成する(図10(c))。そして、ロジック部102およびメモリ部104の所定の領域を選択的に除去し、柱状の凹部を形成する。このとき、ロジック部102においては、層間絶縁膜119、層間絶縁膜159および層間絶縁膜157を貫通する凹部が形成される。この凹部の底面から、第一配線接続プラグ107が露出する。一方、メモリ部104には、SiN膜118が形成されているため、凹部はSiN膜118の上面で終端する。
【0066】
続いて、層間絶縁膜119の上面全面に、第二配線接続プラグ109およびダミープラグ121をなす導電膜として、バリアメタル膜およびW膜を順次形成し、凹部の外部に形成された導電膜をCMPにより除去する。このCMPにおいて、メモリ部104にも凹部が設けられているため、層間絶縁膜119の上面におけるロジック部102とメモリ部104とのデータ率差が小さい。このため、CMP後の層間絶縁膜119の上面の平坦性が充分に確保され、ロジック部102とメモリ部104に段差が生じることが抑制される。これにより、上面が略同一水準に位置する複数の第二配線接続プラグ109と複数のダミープラグ121とが同一工程により同時に形成される(図11)。
【0067】
そして、層間絶縁膜119の上面全面に第一配線層123を形成し、第一配線層123中の所定の領域に、第二配線接続プラグ109に接続される第一配線125およびダミープラグ121に接続される第一配線127を同時に形成する。以上の手順により、図9に示した半導体装置110が得られる。
【0068】
本実施形態によれば、第一の実施形態の効果に加えて、さらに以下の効果が得られる。すなわち、エッチングストッパとして機能するSiN膜118を、上部電極139から離隔して設けることにより、層間絶縁膜119と上部電極139との間に生じる寄生容量をより一層確実に低減することができる。また、以下に述べるように、上部電極139と第一配線127とを接続する上部電極接続プラグ(図12)の製造プロセスを簡素化するとともに、上部電極接続プラグの配置の自由度を高めることができる。
【0069】
図12は、半導体装置110の構成の別の例を示す断面図である。
図12においては、上部電極139のロジック部側端部よりもメモリ部104の内側でSiN膜118が終端している。そして、SiN膜118の形成領域において、第一配線127と上部電極139とを接続する導電性の上部電極接続プラグ143が設けられる。図12の構成によれば、上部電極接続プラグ143の下面全面が上部電極139の上面に接しているため、図7に示した構成に比べて、上部電極接続プラグ143形成時の凹部のオーバーエッチングを抑制することができる。このため、上部電極接続プラグ143の製造安定性にさらに優れた構成とすることができる。また、上部電極接続プラグ143と上部電極139との接続安定性もさらに向上させることができる。
【0070】
また、上部電極接続プラグ143の平面配置は、たとえば、上部電極接続プラグ141について図8(a)および図8(b)を参照して前述した態様とすることができる。また、図13に示す構成とすることもできる。図13は、上部電極接続プラグ141の平面配置の例を示す平面図である。図13においては、矩形のメモリ部形成領域の四隅が耳状に張り出した張出部145が設けられており、張出部145に上部電極接続プラグ143が配置されている。このような構成とすることにより、矩形の領域における容量素子115の集積度をさらに向上させることができる。
【0071】
なお、以上の実施形態で参照した図1および図9においては、容量素子115とビット線113との高さ方向の位置関係を示すため、これらを同一断面内に模式的に示したが、メモリ部104における各部材の平面配置は、図14に示すようにすることもできる。図14は、メモリ部104の平面配置を示す図である。図14に示した平面構造においては、隣接する二つのメモリ用トランジスタが、ビット線113に接続されるビット線接続プラグ163を共通に用いる構成となっている。
【0072】
具体的には、シリコン基板101の素子形成面に、複数の拡散層161が互いに平行に配置されている。拡散層161は、ビット線113の延在方向および第二ゲート電極111の延在方向に平行でない方向に延在している。一つのフィールドの拡散層161は、一直線上に一列に配置された3つの導電プラグとして、容量接続プラグ129、ビット線接続プラグ163および容量接続プラグ129がこの順に配置されている。容量接続プラグ129は、拡散層161と容量素子115の下部電極(不図示)とを接続する。また、ビット線接続プラグ163は、拡散層161とビット線113とを接続する。
【0073】
また、隣接する導電プラグ間に、2つの第二ゲート電極111(ワード線)が設けられている。第二ゲート電極111(ワード線)は、隣接する複数の拡散層161にわたって延在している。直線状に延在する複数の第二ゲート電極111(ワード線)が互いに平行に設けられている。また、直線状に延在する複数のビット線113が互いに平行に設けられている。第二ゲート電極111とビット線113とは互いに直交している。
【0074】
図14に示した平面配置を採用することにより、ビット線113の上部に容量素子115が設けられるCOB構造の場合にも、各部材を適切な間隔で配置するとともに、容量素子115の面内の集積度を充分に確保することができる。
【0075】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0076】
たとえば、以上においては、ロジック部102に層間絶縁膜103から層間絶縁膜119にわたる第二配線接続プラグ109を形成する場合を例に説明したが、第二配線接続プラグ109が複数の導電プラグから構成されていてもよい。この場合にも、層間絶縁膜119の上面にて終端する導電プラグをダミープラグ121と同時に形成することにより、層間絶縁膜119の上面におけるエロージョンを抑制することができる。また、第二配線接続プラグ109を複数の導電プラグから構成することにより、個々の導電プラグのアスペクト比を小さくすることができるため、導電プラグの製造安定性をさらに向上させることができる。
【0077】
また、以上の実施形態において、容量膜137の材料として、Hf、Zr、Al、La、Y、またはTaのうち一または二以上の金属元素を含む酸化物またはシリケートとすることができる。
【0078】
また、バリアメタル膜としては、上述したTiN膜以外にも、たとえばTi、Ta等の高融点金属を含む膜を用いることができる。たとえば、Ti、WN、Ta、TaN等が例示される。また、TaNおよびTaが積層したタンタル系バリアメタルとしてもよい。バリアメタル膜は、スパッタリング法、CVD等の方法によって形成することができる。
【0079】
また、エッチングストッパ膜としては、上述したSiN膜117およびSiN膜118以外にも種々のものを用いることができる。たとえばSiCNまたはSiON等の窒素を含む材料を用いることができる。
【0080】
また、メモリ部104の周辺領域にビット線113を延長してもよい。たとえば、ロジック部102の回路部材としてビット線113を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本実施形態に係る半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】図1の半導体装置の構成を示す平面図である。
【図3】本実施形態の半導体装置のダミープラグの平面配置を示す図である。
【図4】図1の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図5】図1の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図6】図1の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図7】本実施形態に係る半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図8】本実施形態の半導体装置の上部電極接続プラグの平面配置を示す図である。
【図9】本実施形態に係る半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図10】図10の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図11】図10の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図12】本実施形態に係る半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図13】本実施形態の半導体装置の上部電極接続プラグの平面配置を示す図である。
【図14】本実施形態に係る半導体装置のメモリ部の構成を示す平面図である。
【図15】半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図16】図15の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0082】
100 半導体装置
101 シリコン基板
102 ロジック部
103 層間絶縁膜
104 メモリ部
105 第一ゲート電極
107 第一配線接続プラグ
109 第二配線接続プラグ
110 半導体装置
111 第二ゲート電極
113 ビット線
115 容量素子
117 SiN膜
118 SiN膜
119 層間絶縁膜
121 ダミープラグ
123 第一配線層
125 第一配線
127 第一配線
129 容量接続プラグ
131 段差
135 下部電極
137 容量膜
139 上部電極
141 上部電極接続プラグ
143 上部電極接続プラグ
145 張出部
151 層間絶縁膜
153 層間絶縁膜
155 層間絶縁膜
157 層間絶縁膜
159 層間絶縁膜
161 拡散層
163 ビット線接続プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板にメモリ部とロジック部とが混載された半導体装置であって、
前記メモリ部から前記ロジック部にわたって前記半導体基板上に設けられた絶縁層と、
前記ロジック部において前記絶縁層中に埋設された複数の導電プラグと、
前記メモリ部において前記絶縁層中に埋設された容量素子と、
前記メモリ部の前記容量素子が設けられた領域よりも上部の領域において前記絶縁層中に埋設されるとともに、前記容量素子と絶縁されたダミー導電膜と、
を含み、
前記複数の導電プラグと前記ダミー導電膜とが、前記絶縁層の上面で終端する半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記容量素子と前記ダミー導電膜との間に絶縁膜が設けられた半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、前記絶縁膜が前記容量素子から離隔して設けられた半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記容量素子が、下部電極と、上部電極と、前記下部電極と前記上部電極との間に設けられた容量膜と、を含み、
前記絶縁膜から離隔して設けられるとともに、下面において前記上部電極と接続する導電性の上部電極接続プラグをさらに含む半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載の半導体装置において、
前記ダミー導電膜と前記導電プラグとが同一材料により構成されるとともに、前記ダミー導電膜の上面と前記導電プラグの上面とが略同一水準にて終端する半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかに記載の半導体装置において、
前記ロジック部が、前記導電プラグの上面に接して設けられた配線をさらに含み、
前記ダミー導電膜の材料と、前記配線の材料とが異なる半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかに記載の半導体装置において、
前記メモリ部がビット線をさらに含み、前記容量素子が前記ビット線の上部に設けられた半導体装置。
【請求項8】
メモリ部とロジック部とを含む半導体装置の製造方法であって、
半導体基板の素子形成面の上部に容量素子を形成する工程と、
容量素子を形成する前記工程の後、前記半導体基板の上部に、前記メモリ部の形成領域から前記ロジック部の形成領域にわたるとともに、前記容量素子の上面を被覆する絶縁層を形成する工程と、
絶縁層を形成する前記工程の後、前記ロジック部の所定の領域と前記メモリ部の所定の領域とにおいて前記絶縁層を選択的に除去して前記ロジック部および前記メモリ部にそれぞれ第一凹部および第二凹部を形成し、前記第一凹部と前記第二凹部とを埋め込むように導電膜を形成し、前記第一凹部の外部および前記第二凹部の外部に形成された前記導電膜を除去することにより、前記ロジック部と前記メモリ部に、それぞれ、導電プラグとダミー導電膜とを同時に形成する工程と、
を含み、
導電プラグとダミー導電膜とを同時に形成する前記工程において、前記第二凹部の底面を前記容量素子の上面から離隔する半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
導電プラグとダミー導電膜とを同時に形成する前記工程の前に、前記メモリ部において、前記容量素子の上部に絶縁膜を形成する工程をさらに含み、
導電プラグとダミー導電膜とを同時に形成する前記工程が、前記絶縁膜の上面に接して前記ダミー導電膜を形成する工程を含む半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−49016(P2007−49016A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233225(P2005−233225)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】