説明

半導体装置の製造方法及び半導体装置

【課題】用途に応じてゲート幅を設計変更することが可能なフィン型FETを含む半導体装置及びその製造方法を実現する。
【解決手段】半導体基板11上面に、第1高さを有するフィン12aと、第1高さよりも低い第2高さを有するフィン12bとを形成する工程と、フィン12a及び12bそれぞれの上面及び側面にシリコン酸化膜を形成する工程と、シリコン酸化膜上に導電性を有するポリシリコン膜を形成する工程と、シリコン酸化膜及びポリシリコン膜をパターニングすることで、フィン12a及び12bそれぞれの上面から側面にかけてゲート絶縁膜15及びゲート電極16を形成する工程と、フィン12a及び12bそれぞれにおけるゲート電極16下を挟む2つの領域に一対の拡散領域14を形成する工程とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関し、特にフィン型FET(Field Effect Transistor:以下、FETと言う)を備えた半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、FETなどのようなトランジスタの集積密度を上げるための技術として、以下の特許文献1から7に示されるようなフィン型FETが提案された。このフィン型FETは、半導体基板から突出したフィン状の半導体層と、これの一方の側面から対向する他方の側面にかけて跨ぐように形成されたゲート電極とを有する。このような構造を有するフィン型FETでは、フィン状に突出した半導体層の上面だけでなく側面も駆動領域とすることが可能である。このため、フィン型FETは、平面型のFETに比べ、所望の駆動能力を小さい面積で得ることが可能である。
【0003】
また、フィン型FETでは、フィン状に突出した半導体層を薄くすることで、フィン型FETの動作時に、ゲート電極に囲まれた半導体層が完全に空乏化するように構成することが可能となる。
【0004】
以上のことから、フィン型FETは駆動能力が大きく且つ高集積されたトランジスタを形成する際に有効な技術であると言える。
【特許文献1】特開2005−217418号公報
【特許文献2】特開2003−163356号公報
【特許文献3】特開2004−88101号公報
【特許文献4】特開2004−214413号公報
【特許文献5】米国特許第6413802号公報
【特許文献6】特開2005−268782号公報
【特許文献7】特開2006−93215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術によるフィン型FETでは、ゲート長を用途に応じて設計変更できるものの、ゲート幅を用途に応じて設計変更することは出来なかった。これはフィン状に突出した半導体層の高さが一義的に決定されているためである。
【0006】
このような構造的な要因による素子設計の制限は、既存の設計回路にフィン型FETを適用する場合や素子寸法バリエーションが多様な回路を設計する場合に大きな弊害となってしまうと言う問題が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明による半導体装置の製造方法は、半導体基板上面に、第1高さを有する第1突起部と、第1高さよりも低い第2高さを有する第2突起部とを形成する工程と、第1及び第2突起部それぞれの上面及び側面に第1絶縁膜を形成する工程と、第1絶縁膜上に導電体膜を形成する工程と、第1絶縁膜及び導電体膜をパターニングすることで、第1及び第2突起部それぞれの上面から側面にかけてゲート絶縁膜及びゲート電極を形成する工程と、第1及び第2突起部それぞれにおけるゲート電極下を挟む2つの領域に一対の拡散領域を形成する工程とを有して構成される。
【0008】
また、本発明による半導体装置は、半導体基板と、半導体基板に形成され、第1高さを有する第1突起部と、第1突起部の上面から側面にかけて形成された第1ゲート絶縁膜と、第1ゲート絶縁膜上に形成された第2ゲート電極と、第1突起部における第1ゲート電極下を挟む2つの領域に形成された一対の第1拡散領域と、半導体基板に形成され、第1高さよりも低い第2高さを有する第2突起部と、第2突起部の上面から側面にかけて形成された第2ゲート絶縁膜と、第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ゲート電極と、第2突起部における第2ゲート電極下を挟む2つの領域に形成された一対の第2拡散領域とを有して構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、用途に応じてゲート幅を設計変更することが可能なフィン型FETを含む半導体装置の製造方法及び半導体装置を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の説明において、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。また、各図では、構成の明瞭化のため、断面におけるハッチングの一部が省略されている。さらに、後述において例示する数値は、本発明の好適な例に過ぎず、従って、本発明は例示された数値に限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
まず、本発明による実施例1について図面を用いて詳細に説明する。図1(a)は、本実施例による半導体装置1の概略構成を示す上視図である。図1(b)は、図1(a)におけるA−A断面図である。図1(c)は、図1(a)におけるB−B断面図である。なお、本実施例では、フィン型FETが形成された半導体装置1を例に挙げて説明する。
【0012】
・概略構成
図1(a)から図1(c)に示すように、本実施例による半導体装置1は、半導体基板11と、半導体基板11に形成され、第1高さを有するフィン12a(第1突起部)と、フィン12a(第1突起部)の上面から側面にかけて形成されたゲート絶縁膜15(第1ゲート絶縁膜)と、ゲート絶縁膜15(第1ゲート絶縁膜)上に形成されたゲート電極16(第2ゲート電極)と、フィン12a(第1突起部)におけるゲート電極16(第1ゲート電極)下を挟む2つの領域に形成された一対の拡散領域14(第1拡散領域)と、半導体基板11に形成され、第1高さよりも低い第2高さを有するフィン12b(第2突起部)と、フィン12b(第2突起部)の上面から側面にかけて形成されたゲート絶縁膜15(第2ゲート絶縁膜)と、ゲート絶縁膜15(第2ゲート絶縁膜)上に形成されたゲート電極16(第2ゲート電極)と、フィン12b(第2突起部)におけるゲート電極16(第2ゲート電極)下を挟む2つの領域に形成された一対の拡散領域14(第2拡散領域)とを有して構成される。各フィン12a及び12bに形成された一対の拡散領域14は、ソース・ドレインである。
【0013】
また、図1(a)に示すように、各拡散領域14は、ビアコンタクト18に電気的に接続されており、このビアコンタクト18を介して図示しない配線等に電気的に接続されている。なお、図面の明瞭化のため、図1(b)及び図1(c)ではビアコンタクト18を省略している。
【0014】
・製造方法
次に、以上のような構成を有する半導体装置1の製造方法を、以下に図面を用いて詳細に説明する。図2(a)から図2(c)並びに図3(a)及び図3(b)は、本実施例による半導体装置1の製造方法を示すプロセス図である。
【0015】
本製造方法では、まず、例えばシリコン製のバルク基板である半導体基板11を準備する。次に、例えばLOCOS(Local Oxidation of Silicon)法やSTI(Shallow Trench Isolation)法などを用いることで、半導体基板11における一方の面(以下、この面を上面とする)に素子分離絶縁膜(図示せず)を形成する。これにより、半導体基板11の上面が、素子分離絶縁膜により複数の素子形成領域に区画される。なお、素子分離絶縁膜が形成された領域を、素子分離領域とも言う。
【0016】
次に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いることで、半導体基板11上に酸化シリコン(SiO)を堆積する。この際、形成されるシリコン酸化膜の膜厚は、例えば5000〜10000Å程度とすることができる。続いて、例えば既存のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いることで、半導体基板11上のシリコン酸化膜をパターニングする。この結果、半導体基板11の上面上であって、後述する工程においてフィン12a及び12Bが形成される領域上にシリコン酸化膜101が形成される。
【0017】
次に、シリコン酸化膜101をマスクとして用いつつ、半導体基板11を所定の深さまでエッチングすることで、図2(a)に示すように、半導体基板11の上層部分をフィン12a及び12Bに加工する。フィン12a及び12Bの高さは、例えば1500Å程度とすることができる。なお、半導体基板11の彫り込みには、例えばRIE(反応性イオンエッチング)等のような基板表面に対して略垂直に彫り込むことが可能であって、且つ、シリコン酸化膜101に対して十分な選択比を得ることが可能なエッチング技術を用いることが好ましい。
【0018】
次に、マスクとして用いたシリコン酸化膜101を例えば既存のエッチング技術を用いて除去する。続いて、例えば既存のイオン注入技術を用いることで、フィン12a及び12Bに所定の不純物イオン(例えばボロンイオンなど)を注入する。この工程により、図2(b)に示すように、フィン12a及び12Bそれぞれに、しきい値電圧が調整されたボディ領域13が形成される。ボディ領域13の不純物濃度は、例えば1〜3×1018/cm程度とすることができる。なお、この工程では、不純物イオンがフィン12a及び12B以外の半導体基板11上層に注入されても良い。ただし、フィン12a及び12B以外の半導体基板11への不純物イオンの注入が好ましくない場合は、この部分にホトレジストやシリコン酸化膜などのマスクを形成しておくことが好ましい。また、この工程では、半導体基板11が載置されるターンテーブルを不純物イオンの照射方向に対して傾斜させた状態で、回転させながら所定の不純物イオンを注入する技術(いわゆる斜めインプラ)を用いても良い。これにより、フィン12a及び12Bに略均一に不純物イオンを注入することが可能となる。なお、ボディ領域13の膜厚は100Å以下程度である。
【0019】
次に、例えばCVD法を用いることで、半導体基板11上面全体にフィン12a及び12Bを埋没させる程度のシリコン酸化膜102を形成する。続いて、例えば既存のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いることで、フィン12B上面を露出させる開口102aをシリコン酸化膜102に形成する。続いて、開口102aから露出しているフィン12Bをエッチングすることで、フィン12Bを所定の高さまでエッチングする。
これにより、図2(c)に示すように、フィン12aよりも高さの低いフィン12bが形成される。エッチング後のフィン12Bの高さは、例えば500Å程度とすることができる。なお、このエッチングは、例えばドライエッチングであってもウェットエッチングであっても良い。
【0020】
このように、本実施例によるフィンは、バルク基板である半導体基板11の上層を削り込むことで形成されている。また、フィン毎の高さの差は、低くしたいフィン(本実施例ではフィン12B)をエッチングにより削ることで形成されている。
【0021】
次に、マスクとして用いたシリコン酸化膜102を例えば既存のエッチング技術を用いて除去する。続いて、フィン12a及び12bが形成された半導体基板11上面を熱酸化することで、膜厚が例えば100Å程度のシリコン酸化膜を形成する。続いて、例えば既存のCVD法を用いることで、形成したシリコン酸化膜上に導電性を有するポリシリコン膜を形成する。続いて、例えば既存のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いることで、このポリシリコン膜及びシリコン酸化膜を順次パターニングする。これにより、図3(a)に示すように、半導体基板11上にフィン12a及び12bを横断するゲート電極16及びゲート絶縁膜15が形成される。なお、ゲート電極16の上視形状は図1(a)に示す通りである。
【0022】
次に、例えば既存のフォトリソグラフィ技術を用いることで、半導体基板11上面においてフィン12a及び12bが形成されていない領域を覆う領域にホトレジストR1を形成する。続いて、ホトレジストR1及びゲート電極16をマスクとして用いつつ、例えば既存のイオン注入技術を用いて所定の不純物イオン(例えばリンイオン)をフィン12a及び12bに注入することで、図3(b)に示すように、ゲート電極16下のボディ領域13を挟む一対の拡散領域14が、フィン12a及び12bそれぞれに形成される。拡散領域14の不純物濃度は、例えば1×1021/cm程度とすることができる。なお、この工程では、斜めインプラを用いて所定の不純物イオンを各フィン12a及び12bの所定の領域に注入しても良い。
【0023】
その後、ホトレジストR1を除去した後、図示しない層間絶縁膜や配線層(ビアコンタクト18を含む)を形成することで、図1(a)から図1(c)に示すような構造を有する半導体装置1が形成される。
【0024】
以上で説明したように、本実施例による半導体装置1の製造方法は、半導体基板11上面に、第1高さを有するフィン12a(第1突起部)と、第1高さよりも低い第2高さを有するフィン12b(第2突起部)とを形成する工程と、フィン12a及び12b(第1及び第2突起部)それぞれの上面及び側面にシリコン酸化膜(第1絶縁膜)を形成する工程と、シリコン酸化膜(第1絶縁膜)上に導電性を有するポリシリコン膜(導電体膜)を形成する工程と、シリコン酸化膜(第1絶縁膜)及びポリシリコン膜(導電体膜)をパターニングすることで、フィン12a及び12b(第1及び第2突起部)それぞれの上面から側面にかけてゲート絶縁膜15及びゲート電極16を形成する工程と、フィン12a及び12b(第1及び第2突起部)それぞれにおけるゲート電極16下を挟む2つの領域に一対の拡散領域14を形成する工程とを有して構成される。なお、ゲート絶縁膜15及びゲート電極16の膜厚は、いずれも100Å以下程度である。
【0025】
また、以上の工程において、フィン12a及び12b(第1及び第2突起部)を形成する工程は、半導体基板11上面をエッチングにより彫り込むことで第1高さを有するフィン12a(第1突起部)及びフィン12B(第3突起部)を形成する工程と、フィン12B(第3突起部)を上面からエッチングすることで、フィン12B(第3突起部)を第2高さを有するフィン12b(第2突起部)に加工する工程とを含む。
【0026】
以上の構成を有することにより、本実施例では、高さの異なる2種類以上のフィンを形成することが可能となる。これにより、電流電圧特性など、トランジスタ特性の異なる複数種類のフィン型FETを同一基板上に形成することが可能となる。例えばフィンの高さを他よりも高くした場合(本実施例におけるフィン12aに相当)、これを用いたフィン型FETの実効ゲート幅が大きくなる。この結果、このフィン型FETに比較的大きな電流値のトランジスタ特性を持たせることが可能となる。一方、例えばフィンの高さを他よりも低くした場合(本実施例におけるフィン12bに相当)、これを用いたフィン型FETの実効ゲート幅が小さくなる。この結果、このフィン型FETに比較的小さな電流値のトランジスタ特性を持たせることが可能となる。
【0027】
また、本実施例では、各フィン型FETのゲート幅をフィンの高さのバリエーションによって制御することが可能である。このため、トランジスタ特性の異なる複数種類のフィン型FETを同一基板上に形成する場合でも、各フィン型FET間で素子形成領域の2次元的なパターンレイアウトを共通化することが可能となる。すなわち、トランジスタ特性の異なるフィン型FETで同様の素子形成領域の2次元的なパターンレイアウトを使用することが可能となる。この結果、回路を設計する際の作図負荷を大幅に低減することが可能となる。
【0028】
このように、本実施例によれば、フィンの高さによって制限されるゲート幅を用途に応じて設計変更することが可能となり、結果、既存の設計回路にフィン型FETを適用することや、フィン型FETを用いて素子寸法バリエーションが多様な回路を設計することが可能となる。
【0029】
なお、本実施例では、半導体基板1としてバルク基板を用いたが、本発明はこれに限定されず、SOI(Silicon On Insulator)基板やSOS(Silicon On Sapphire)基板など、種々の基板を用いることができる。
【0030】
また、本実施例では、個々のフィン型FETに含まれるソース/ドレイン(拡散領域14)が同一層において電気的に分離されているが、本発明はこれに限定されず、例えば複数のフィン型FETにおけるソース/ドレインが同一層で共通化されていてもよい。
【0031】
また、本実施例では、拡散領域14上にビアコンタクト18を直接接続した構造となっているが、本発明はこれに限定されず、拡散領域14からパッドを引き出し、これにビアコンタクト18を接続するように構成しても良い。
【0032】
さらに、本実施例では、フィンが2種類の異なる高さを有する場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されず、3種類以上の異なる高さを有していてもよい。
【実施例2】
【0033】
次に、本発明の実施例2について図面を用いて詳細に説明する。尚、以下の説明において、実施例1と同様の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
また、特記しない構成に関しては実施例1と同様である。図4(a)は、本実施例による半導体装置2の概略構成を示す上視図である。図4(b)は、図4(a)におけるC−C断面図である。図4(c)は、図4(a)におけるD−D断面図である。なお、本実施例では、実施例1と同様に、フィン型FETが形成された半導体装置2を例に挙げて説明する。
【0034】
・概略構成
図4(a)から図4(c)に示すように、本実施例による半導体装置2は、支持基板21aと埋込み酸化膜21bとシリコン薄膜21c(第2半導体膜)とを有するSOI基板21(半導体基板)と、SOI基板21(半導体基板)におけるシリコン薄膜21c(第2半導体膜)に形成され、第1高さを有するフィン22a(第1突起部)と、フィン22a(第1突起部)の上面から側面にかけて形成されたゲート絶縁膜15(第1ゲート絶縁膜)と、ゲート絶縁膜15(第1ゲート絶縁膜)上に形成されたゲート電極16(第2ゲート電極)と、フィン22a(第1突起部)におけるゲート電極16(第1ゲート電極)下を挟む2つの領域に形成された一対の拡散領域14(第1拡散領域)と、SOI基板21(半導体基板)におけるシリコン薄膜21c(第2半導体膜)に形成され、第1高さよりも低い第2高さを有するフィン22b(第2突起部)と、フィン22b(第2突起部)の上面から側面にかけて形成されたゲート絶縁膜15(第2ゲート絶縁膜)と、ゲート絶縁膜15(第2ゲート絶縁膜)上に形成されたゲート電極16(第2ゲート電極)と、フィン22b(第2突起部)におけるゲート電極16(第2ゲート電極)下を挟む2つの領域に形成された一対の拡散領域14(第2拡散領域)とを有して構成される。各フィン22a及び22bに形成された一対の拡散領域14は、ソース・ドレインである。
【0035】
すなわち、本実施例による半導体装置2は、実施例1による半導体装置1と同様の構成において、半導体基板11がSOI基板21へ、フィン12a及び12bがフィン22a及び22bへ、それぞれ置き換えられている。
【0036】
また、図4(a)に示すように、各拡散領域14は、実施例1と同様に、ビアコンタクト18に電気的に接続されており、このビアコンタクト18を介して図示しない配線等に電気的に接続されている。なお、図面の明瞭化のため、図4(b)及び図4(c)ではビアコンタクト18を省略している。
【0037】
・製造方法
次に、以上のような構成を有する半導体装置2の製造方法を、以下に図面を用いて詳細に説明する。図5(a)及び図5(b)並びに図6(a)及び図6(b)は、本実施例による半導体装置2の製造方法を示すプロセス図である。なお、ゲート絶縁膜15、ゲート電極16、拡散領域14、及び、図示しない層間絶縁膜や配線層(ビアコンタクト18を含む)を形成する工程は、実施例1において図3(a)及び図3(b)を用いて説明した工程と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0038】
本製造方法では、まず、SOI基板21を準備する。SOI基板21におけるシリコン薄膜21cの膜厚は、例えば500Å程度とすることができる。次に、例えばLOCOS(Local Oxidation of Silicon)法やSTI(Shallow Trench Isolation)法などを用いることで、シリコン薄膜21c上面に素子分離絶縁膜(図示せず)を形成する。これにより、シリコン薄膜21cが、素子分離絶縁膜により複数の素子形成領域に区画される。なお、素子分離絶縁膜が形成された領域を、素子分離領域とも言う。
【0039】
次に、例えば既存のフォトリソグラフィ技術を用いることで、シリコン薄膜21c上にホトレジストR11を形成するする。ホトレジストR11は、SOI基板21の上面上であって、後述する工程においてフィン22A及び22bが形成される領域上に形成される。
【0040】
次に、ホトレジストR11をマスクとして用いつつ、シリコン薄膜21cを埋込み酸化膜21bが露出するまでエッチングすることで、図5(a)に示すように、埋込み酸化膜21b上にフィン22A(第3突起部)及びフィン22bを形成する。フィン22A及び22bの高さは、例えば500Å程度とすることができる。なお、シリコン薄膜21cの彫り込みには、例えばRIE等のような基板表面に対して略垂直に彫り込むことが可能であって、且つ、シリコン酸化膜である埋込み酸化膜21bに対して十分な選択比を得ることが可能なエッチング技術を用いることが好ましい。
【0041】
次に、マスクとして用いたホトレジストR11を除去する。続いて、例えば既存のイオン注入技術を用いることで、フィン22A及び22bに所定の不純物イオン(例えばボロンイオンなど)を注入する。この工程により、図5(b)に示すように、フィン22A及び22bそれぞれに、しきい値電圧が調整されたボディ領域13が形成される。ボディ領域13の不純物濃度は、例えば1〜3×1018/cm程度とすることができる。
【0042】
次に、例えばCVD法を用いることで、SOI基板21上面全体にフィン22A及び22bを埋没させ且つフィン22A及び22b上面から所望する膜厚を有するシリコン酸化膜201を形成する。なお、所望する膜厚とは、フィン22A上に形成するシリコン膜(後述するフィン22Cに相当)と同程度の膜厚である。続いて、例えば既存のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いることで、図6(a)に示すように、フィン22A上面を露出させる開口201aをシリコン酸化膜201に形成する。なお、シリコン酸化膜201の彫り込みには、例えばRIE等のような基板表面に対して略垂直に彫り込むことが可能であって、且つ、シリコン膜であるフィン22Aに対して十分な選択比を得ることが可能なエッチング技術を用いることが好ましい。
【0043】
次に、開口201aから露出しているフィン22Aをシード層として用いることで、フィン22A上にシリコンをエピタキシャル成長させる。これにより、フィン22A上にフィン22C(第1半導体膜)が形成され、この結果、フィン22bよりも高いフィン22aが形成される。フィン22Cの膜厚は、例えば1000Å程度とすることができる。
【0044】
なお、フィン22Cの形成には、フィン22Aを種としたエピタキシャル成長技術を用いたが、本発明はこれに限定されず、例えばCVD法を用いて開口201a内にシリコンを堆積させることでも形成することができる。なお、この場合、シリコン酸化膜201上に形成されたシリコン膜は、例えばエッチバック又はCMP(Chemical and Mechanical Polishing)にて除去される。また、フィン22A上に形成されたフィン22Cは、シリコン酸化膜201を除去した後、例えばレーザアニールにより改質されることで、フィン22Aと単結晶化される。
【0045】
このように、本実施例によるフィン毎の高さの差は、SOI基板21におけるシリコン薄膜21cを削り込むことで形成されたフィン(本実施例ではフィン22Aに相当)に、複数の層(本実施例では1層)のシリコン膜(本実施例ではフィン22Cに相当)を積層することで形成されている。
【0046】
次に、シリコン酸化膜201を残したまま、例えば既存のイオン注入技術を用いることで、新たに形成したフィン22Cに所定の不純物イオン(例えばボロンイオンなど)を注入する。この工程により、図6(b)に示すように、フィン22Cに、しきい値電圧が調整されたボディ領域13が形成され、この結果、フィン22Aとフィン22Cとが電気的に接続される。ボディ領域13の不純物濃度は、例えば1〜3×1018/cm程度とすることができる。
【0047】
以降、実施例1と同様に、マスクとして用いたシリコン酸化膜201を除去し、次いで、ゲート絶縁膜15、ゲート電極16、拡散領域14、及び、図示しない層間絶縁膜や配線層(ビアコンタクト18を含む)を形成することで、図4(a)から図4(c)に示すような構造を有する半導体装置2が形成される。
【0048】
以上で説明したように、本実施例による半導体装置2の製造方法は、SOI基板21(半導体基板)におけるシリコン薄膜21c上面に、第1高さを有するフィン22a(第1突起部)と、第1高さよりも低い第2高さを有するフィン22b(第2突起部)とを形成する工程と、フィン22a及び22b(第1及び第2突起部)それぞれの上面及び側面にシリコン酸化膜(第1絶縁膜)を形成する工程と、シリコン酸化膜(第1絶縁膜)上に導電性を有するポリシリコン膜(導電体膜)を形成する工程と、シリコン酸化膜(第1絶縁膜)及びポリシリコン膜(導電体膜)をパターニングすることで、フィン22a及び22b(第1及び第2突起部)それぞれの上面から側面にかけてゲート絶縁膜15及びゲート電極16を形成する工程と、フィン22a及び22b(第1及び第2突起部)それぞれにおけるゲート電極16下を挟む2つの領域に一対の拡散領域14を形成する工程とを有して構成される。
【0049】
また、以上の工程において、フィン22a及び22b(第1及び第2突起部)を形成する工程は、SOI基板21(半導体基板)におけるシリコン薄膜21c上面をエッチングにより彫り込むことで第2高さを有するフィン22b(第2突起部)及びフィン22A(第3突起部)を形成する工程と、フィン22A(第3突起部)上面からの膜厚が第1高さと前記第2高さとの差よりも大きいシリコン酸化膜201(第2絶縁膜)をSOI基板21(半導体基板)上面に形成する工程と、シリコン酸化膜201(第2絶縁膜)にフィン22A(第3突起部)上面を露出させる開口201aを形成する工程と、第1高さと第2高さとの差に等しい膜厚を有するフィン22C(第1半導体膜)を開口201a内に形成することでフィン22a(第1突起部)を形成する工程と、シリコン酸化膜201(第2絶縁膜)を除去する工程とを含む。
【0050】
以上の構成を有することにより、本実施例では、高さの異なる2種類以上のフィンを形成することが可能となる。これにより、電流電圧特性など、トランジスタ特性の異なる複数種類のフィン型FETを同一基板上に形成することが可能となる。例えばフィンの高さを他よりも高くした場合(本実施例におけるフィン22aに相当)、これを用いたフィン型FETの実効ゲート幅が大きくなる。この結果、このフィン型FETに比較的大きな電流値のトランジスタ特性を持たせることが可能となる。一方、例えばフィンの高さを他よりも低くした場合(本実施例におけるフィン22bに相当)、これを用いたフィン型FETの実効ゲート幅が小さくなる。この結果、このフィン型FETに比較的小さな電流値のトランジスタ特性を持たせることが可能となる。
【0051】
また、本実施例では、各フィン型FETのゲート幅をフィンの高さのバリエーションによって制御することが可能である。このため、トランジスタ特性の異なる複数種類のフィン型FETを同一基板上に形成する場合でも、各フィン型FET間で素子形成領域の2次元的なパターンレイアウトを共通化することが可能となる。すなわち、トランジスタ特性の異なるフィン型FETで同様の素子形成領域の2次元的なパターンレイアウトを使用することが可能となる。この結果、回路を設計する際の作図負荷を大幅に低減することが可能となる。
【0052】
このように、本実施例によれば、フィンの高さによって制限されるゲート幅を用途に応じて設計変更することが可能となり、結果、既存の設計回路にフィン型FETを適用することや、フィン型FETを用いて素子寸法バリエーションが多様な回路を設計することが可能となる。
【0053】
なお、本実施例では、半導体基板2としてSOI基板を用いたが、本発明はこれに限定されず、半導体製のバルク基板やSOS基板など、種々の基板を用いることができる。
【0054】
また、本実施例では、個々のフィン型FETに含まれるソース/ドレイン(拡散領域14)が同一層において電気的に分離されているが、本発明はこれに限定されず、例えば複数のフィン型FETにおけるソース/ドレインが同一層で共通化されていてもよい。
【0055】
また、本実施例では、拡散領域14上にビアコンタクト18を直接接続した構造となっているが、本発明はこれに限定されず、拡散領域14からパッドを引き出し、これにビアコンタクト18を接続するように構成しても良い。
【0056】
さらに、本実施例では、フィンが2種類の異なる高さを有する場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されず、3種類以上の異なる高さを有していてもよい。さらにまた、本実施例では、SOI基板21におけるシリコン薄膜21cを彫り込むことで形成されたフィン22A上に一層の半導体膜(フィン22C)を形成した場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されず、複数層の半導体膜を形成しても良い。
【0057】
また、上記実施例1及び2は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】(a)は本発明の実施例1による半導体装置1の概略構成を示す上視図であり、(b)は(a)におけるA−A断面図であり、(c)は(a)におけるB−B断面図である。
【図2】本発明の実施例1による半導体装置1の製造方法を示すプロセス図である(1)。
【図3】本発明の実施例1による半導体装置1の製造方法を示すプロセス図である(2)。
【図4】(a)は本発明の実施例2による半導体装置2の概略構成を示す上視図であり、(b)は(a)におけるC−C断面図であり、(c)は(a)におけるD−D断面図である。
【図5】本発明の実施例2による半導体装置2の製造方法を示すプロセス図である(1)。
【図6】本発明の実施例2による半導体装置2の製造方法を示すプロセス図である(2)。
【符号の説明】
【0059】
1、2 半導体装置
11 半導体基板
12B、12a、12b、22A、22C、22a、22b フィン
13 ボディ領域
14 拡散領域
15 ゲート絶縁膜
16 ゲート電極
18 ビアコンタクト
21 SOI基板
21a 支持基板
21b 埋込み酸化膜
21c シリコン薄膜
101、102、201 シリコン酸化膜
102a、201a 開口
R1、R11 ホトレジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上面に、第1高さを有する第1突起部と、前記第1高さよりも低い第2高さを有する第2突起部とを形成する工程と、
前記第1及び第2突起部それぞれの上面及び側面に第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜上に導電体膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜及び前記導電体膜をパターニングすることで、前記第1及び第2突起部それぞれの上面から側面にかけてゲート絶縁膜及びゲート電極を形成する工程と、
前記第1及び第2突起部それぞれにおける前記ゲート電極下を挟む2つの領域に一対の拡散領域を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1及び第2突起部を形成する工程は、前記半導体基板上面をエッチングにより彫り込むことで前記第1高さを有する前記第1突起部及び第3突起部を形成する工程と、前記第3突起部を上面からエッチングすることで、当該第3突起部を前記第2高さを有する前記第2突起部に加工する工程とを含むことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1及び第2突起部を形成する工程は、前記半導体基板上面をエッチングにより彫り込むことで前記第2高さを有する前記第2突起部及び第3突起部を形成する工程と、前記第3突起部上面からの膜厚が前記第1高さと前記第2高さとの差よりも大きい第2絶縁膜を前記半導体基板上面に形成する工程と、前記第2絶縁膜に前記第3突起部上面を露出させる開口を形成する工程と、前記第1高さと前記第2高さとの差に等しい膜厚を有する第1半導体膜を前記開口内に形成することで前記第1突起部を形成する工程と、前記第2絶縁膜を除去する工程とを含むことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記開口内に前記第1半導体膜を形成する工程は、前記開口底部に露出した前記第3突起部を種として前記第1半導体膜をエピタキシャル成長させることを特徴とする請求項3記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記開口内に前記第1半導体膜を形成する工程は、前記第2絶縁膜上及び前記開口内に半導体物を堆積する工程と、前記第2絶縁膜上に形成された第1半導体膜を除去する工程とを含むことを特徴とする請求項3記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記半導体基板はバルク基板であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記半導体基板は、支持基板と、当該支持基板上の酸化膜と、当該酸化膜上の第2半導体膜とを含むSOI基板であり、
前記第1及び第2突起部の少なくとも一部は、前記第2半導体膜を彫り込むことで形成されることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
半導体基板と、
前記半導体基板に形成され、第1高さを有する第1突起部と、
前記第1突起部の上面から側面にかけて形成された第1ゲート絶縁膜と、
前記第1ゲート絶縁膜上に形成された第2ゲート電極と、
前記第1突起部における前記第1ゲート電極下を挟む2つの領域に形成された一対の第1拡散領域と、
前記半導体基板に形成され、前記第1高さよりも低い第2高さを有する第2突起部と、
前記第2突起部の上面から側面にかけて形成された第2ゲート絶縁膜と、
前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ゲート電極と、
前記第2突起部における前記第2ゲート電極下を挟む2つの領域に形成された一対の第2拡散領域と
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
前記第1突起部は、前記半導体基板に形成され、前記第1高さを有する第3突起部と、当該該3突起部上に形成された一層以上の半導体膜とを含むことを特徴とする請求項8記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−124423(P2008−124423A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134732(P2007−134732)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】