説明

半導体装置の製造方法

【課題】Geを含有する半導体基板に効果的な洗浄方法が適用された半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】Geを含有する半導体基板を、HClガス、HBrガスまたはHIガスの少なくとも一種を含むハロゲン化ガスで洗浄処理を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。Geを含有する半導体基板を、75℃以上110℃以下のHCl溶液で洗浄処理を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。例えば、MISFETのゲート絶縁膜の前処理、ソース・ドレイン電極形成の前処理、コンタクトの金属プラグ形成の前処理に適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、Geを含有する半導体基板に効果的な洗浄処理が適用された半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MISFETの性能向上は、これまで微細化によって達成されてきた。しかし、微細化が限界に近づきつつあり、微細化以外のMISFETの性能向上技術が検討されている。その一例としてSiよりも、電子やホールの移動度が高いSi基板以外の基板、例えばSiGe基板やGe基板等のGeを含有する半導体基板を用いる事が検討されている。
【0003】
これらGeを含有する基板における問題点の一つに、素子作成時に必須の洗浄処理である前処理技術が確立していないことが挙げられる。Si酸化物とGe酸化物の物性が異なるため、Si素子の前処理をそのままGe素子の前処理に流用することができない。酸化物の物性が異なる一例として、SiOがHF溶液でしかエッチングできないのと対照的に、Ge基板上のGe酸化物は、HF溶液以外のハロゲン酸溶液、すなわちHCl溶液、HBr溶液、HI溶液でエッチングできることが挙げられる(非特許文献1)。
【0004】
また、溶液以外の前処理方法としては、通常のSiプロセスで用いられている気相前処理、例えばVapor HF処理がGeを含有する半導体基板の前処理においてもGe酸化物除去において有効であることが報告されている(非特許文献2)。基板表面の初期酸化物は有機物や金属元素等、様々な汚染物質を含む。このため、前処理プロセス時に再付着することの無いよう効果的に基板表面から除去される必要がある。更に前処理されたGe基板は、空気中の湿気や酸素によって容易に酸化されてしまうことも報告されている(非特許文献3)。
【非特許文献1】Onsia,B.,et al.,“A Study of the Influence of Typical Wet Chemical Treatments on the germanium Wafer Surface”,Diffus.Defect Data B, Solid State Phenom.(2005) 103−104, 27
【非特許文献2】Chui,C.O.,et al.,“Germanium MOS Capacitors Incorporating Ultrathin High−k Gate Dielectric”, IEEE Electron Device Lett.(2002) 23, 473
【非特許文献3】Sakuraba,M., et al.,“H−terminatationon Ge(100) and Si(100) by diluted HF dipping and by annealing in H2”,Electrochemical Society Proceedings(1998) 97−35, 213
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、Geを含有する半導体基板に効果的な洗浄処理が適用された半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の半導体装置の製造方法は、Geを含有する半導体基板を、HClガス、HBrガスまたはHIガスの少なくとも一種を含むハロゲン化ガスで洗浄処理を行うことを特徴とする。
【0007】
ここで第1の態様において、前記半導体基板の温度が、前記洗浄処理で形成されるGeのハロゲン化物またはGeの水素化ハロゲン化物の沸点以上であることが望ましい。
【0008】
ここで第1の態様において、前記半導体基板の温度がHOの沸点以上であることが望ましい。
【0009】
ここで第1の態様において、前記洗浄処理中または前記洗浄処理後に、前記半導体基板表面にシリル化剤を供給し、前記シリル化剤を供給した後に、前記半導体基板表面を酸化することが望ましい。
【0010】
また、本発明の第2の態様の半導体装置の製造方法は、Geを含有する半導体基板を、75℃以上110℃以下のHCl溶液で洗浄処理を行うことを特徴とする。
【0011】
ここで第2の態様において、前記HCl溶液が、83℃以上110℃以下であることが望ましい。
【0012】
ここで第2の態様において、前記洗浄処理後に、前記洗浄処理と同一槽内で、メッキ法により前記半導体基板上に金属膜を形成することが望ましい。
【0013】
ここで第2の態様において、前記HCl溶液がアルコールを含有することが望ましい。
【0014】
ここで第2の態様において、前記HCl溶液が硫化物溶液を含有することが望ましい。
【0015】
ここで第1および2の態様において、前記洗浄処理後にアルコールによるリンス処理を行うことが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、Geを含有する半導体基板に効果的な洗浄処理が適用された半導体装置の製造方法を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の半導体装置の製造方法は、Geを含有する半導体基板を、HClガス、HBrガスまたはHIガスの少なくとも一種を含むハロゲン化ガスで洗浄処理を行うものである。まず、Ge基板上にゲート絶縁膜を形成する際の前処理として、HClガスによる洗浄処理を行う場合を例に説明する。
【0019】
図2は、本実施の形態の製造方法を示す工程断面図である。まず、図2(a)に示すように、Ge基板10上にリソグラフィー法、RIE法、CVD法等の公知のプロセス技術を用いて、SiOで埋め込まれた素子分離領域22を形成する。Ge基板10上のGeが表面に露出している領域、いわゆる活性領域には、Ge酸化物膜24が、例えば0.1〜1nm程度自然酸化膜として形成されている。通常、このGe酸化物膜24は、GeO(Ge dioxide)、GeO(Ge monoxide)またはこれらの混合物である。
【0020】
次に、図2(b)に示すように、公知の気相エッチング装置において、HClガスでGe基板10を前処理する。この前処理により、このGe酸化物膜24がエッチングされ、活性領域のGe基板10表面が露出する。ここで、HClガスは、HFガスやHF溶液と異なり、SiOをエッチングしない。したがって、この処理により、Ge酸化物膜24が、素子分離領域22のSiOに対して選択的に除去されることになる。
【0021】
図3は、前処理で用いられる気相エッチング装置の一例を示す概念図である。HCl溶液を入れた溶液槽12から、N等の不活性ガスによるバブリングでHClガスを発生させる。そして、発生させたHClガスを、Ge基板10をその内部に載置したチャンバ14内に導入する。このHClガスによりGe基板10上のGe酸化物膜がエッチングされる。
【0022】
ここでGe酸化物膜24がエッチングされてGe基板10表面を再酸化しないために、HClガスは水を含まないことが望ましい。このような処理は、例えば、チャンバ14とチャンバ12の間に、HClガスを脱水することを目的とした装置、簡便には乾燥剤を介在させることにより乾燥したHClガスをGe基板10前処理チャンバ14に導入することで実現できる。
【0023】
次に、図2(c)に示すように前処理したGe基板10上にゲート絶縁膜26を形成する。ゲート絶縁膜26は、例えば公知のALD(Atomic Layer Deposition)装置にて、高誘電体膜であるHfOを約3nm程度堆積することで形成が可能である。前処理を行う装置からゲート絶縁膜26を形成する装置への搬送は、Ge基板10表面の酸化を防止するため、乾燥したNガスやArガス等の不活性ガスで封止された搬送BOX(環境BOX)を利用することが望ましい。また、Ge基板10表面の酸化を防止するため、前処理終了から、ゲート絶縁膜26形成までの時間は極力短くすることが望ましい。
【0024】
次に、図2(d)に示すように、公知のプロセス技術を用いて、ゲート絶縁膜26上に例えば金属のゲート電極28を形成する。このようにして、Ge基板10にMISデバイスが形成される。
【0025】
本実施の形態の製造方法によれば、Ge基板上のGe酸化物を効果的にエッチングできる。特に、GeOのみならず、GeOも効果的に除去可能である。このため、Ge基板とゲート絶縁膜界面のGe酸化物の介在を抑制したMISデバイスの製造が可能になる。したがって、Ge基板上に高誘電率膜を有するMISキャパシタを形成する場合、比較的誘電率の低いGe酸化物層が介在することが抑制できる。よって、高いキャパシタンスを有するMISキャパシタを形成することが可能となる。
【0026】
HF溶液でGe酸化物をエッチングする場合、例えば20重量%以上程度の高濃度のHF溶液が必要となる。本実施の形態によれば、素子分離領域のSiOがエッチングされ問題となる。また、前処理により、SiOがエッチングされないことから、素子分離領域のSiO膜の後退が生じない。したがって、基板上に上層配線等の形成時に問題になる不要な下地段差の形成や、絶縁膜の膜厚の薄膜化に伴う素子分離耐圧の劣化等を回避することが可能となる。
【0027】
ここでは、前処理のガスとして、HClガスを用いる場合について説明したが、HClガス、HBrガスまたはHIガスの少なくとも一種を含むハロゲン化ガスを適用することが可能である。また、Ge基板に限らず、Geを含有する半導体基板であれば、例えばSiGe基板にも適用することが可能である。
【0028】
次に、本実施の形態の作用・効果についてさらに詳細に説明する。一般に、常温近傍での酸化は水と酸素の2条件が揃った場合に起きる。逆に言えば水、若しくは酸素のどちらか一方が欠けた場合は酸化されないことになる。このため、酸化の必要条件である水を含む溶液処理よりも水を含まないガスによる気相処理はGe基板の酸化抑制に効果があるであろうことに発明者は着目した。
【0029】
Ge酸化物はSi酸化物と異なり、多形(polymorph)である。GeO(Ge dioxide)以外にGeO(Ge monoxide)も比較的安定に存在することが知られている。これらGeOおよびGeOの気相ハロゲン酸によるエッチング可能性を、Gibbs free energyを用いて熱力学的観点からGe酸化物の安定性を調べることで検討した。図4はGe酸化物の安定性を検討した結果を示す図である。
【0030】
下記の(式1)はXがハロゲン元素F、Cl、Br若しくはIを表し、(g)は気相(gas)状態であることを表し、(式1)〜(式3)の右辺のGibbs free energyΔG(右辺)から左辺のGibbs free energyΔG(左辺)を引いたものをΔFとし図4に示している。
SiO+4HX(g)=SiX+2HO ・・・ (式1)
GeO+4HX(g)=GeX+2HO ・・・ (式2)
GeO+4HX(g)=GeX+H+HO ・・・ (式3)
【0031】
図4のΔFが0より小さい場合は、反応が熱力学的に起こりうることを表し、ΔFが0より大きい場合は、反応が熱力学的に起こり得ないことを表している。この結果よりまず、SiOはHF以外の気相ハロゲン酸にエッチングされないことが確認される。但しSiOのHIによるエッチングはデータが無かったために計算されていない。
【0032】
次に、Ge酸化物はGeO、GeO共に全ての気相ハロゲン酸にエッチングされ得ることが熱力学的に予想されることが、本計算結果により始めて明らかとなった。このGe酸化物のエッチング可能性に関する結果はSi酸化物の結果からは全く予想されないものである。また、(式1)〜(式3)の左辺のHXは全て気相で計算されていることを注記しておく。気相のHXにおける上記(式1)〜(式3)の計算例および実験例(vapor HF除く)は報告が無い。
【0033】
また、Ge酸化物の除去は、上記(式2)(式3)以外にも、下記のようなGeの水素化ハロゲン化物(ここでは、GeHXの場合)が生成される反応によっても生ずることが予想される。
2GeO+6HX(g)=2GeHX+2HO+O ・・・ (式4)
GeO+3HX(g)=GeHX+HO ・・・ (式5)
【0034】
図1は、Ge酸化物のHClガスによるエッチング結果を示す図である。XPS(X−ray photoelectron spectroscopy)で、HClガスによる処理前後でのGe基板上のGe酸化物量を評価している。XPS測定条件は単色化されたAl KαをX線源としてTOA(take off angle)が15deg、つまり試料の水平方向との成す角が15度の条件で測定している。測定試料は洗浄処理時のGe基板の基板温度をパラメータとし、処理時間は5分としたものである。各スペクトルは、Ge3dの基板由来のGe−Ge結合のピークを29.3eVとしてX線照射時に試料が帯電する影響を補正している。図1より、HClガス洗浄処理によりGe基板の表面にあるGe酸化物が除去されていることが分かる。
【0035】
また、90℃以上の処理は70℃以下の処理と比較して顕著にGe酸化物量が減少しているのが確認される。これは、下記のように、GeHClおよびGeClの沸点75℃および83℃を境としているため、Ge酸化物のエッチングにより生成されたGeの水素化ハロゲン化物およびGeのハロゲン化物が効果的に除去されるためと考えられる。
【0036】
例えば、ハロゲン化ガスがHClガスである場合の上記(式2)は下記(式6)となる。
GeO+4HCl(g)=GeCl+2HO ・・・ (式6)
ここで、半導体基板の温度が、GeClの沸点である83℃以上になると、エッチングの反応性生成物であるGeClが半導体基板表面からガスとして除去される。したがって、(式4)の左辺から右辺への反応が促進されることになり、半導体基板表面のGe酸化物の反応が一層促進されることになる。(式3)のGeOの場合も同様である。
【0037】
同様に、ハロゲン化ガスがHClガスである場合の上記(式4)は下記(式7)となる。
2GeO+6HCl(g)=2GeHCl+2HO+O ・・・ (式7)
ここで、半導体基板の温度が、GeHClの沸点である75℃以上になると、エッチングの反応性生成物であるGeHClが半導体基板表面からガスとして除去される。したがって、(式7)の左辺から右辺への反応が促進されることになり、半導体基板表面のGe酸化物の反応が一層促進されることになる。(式5)のGeOの場合も同様である。
【0038】
よって、本実施の形態において、Geを含有する半導体基板の温度が、洗浄処理で形成されるGeのハロゲン化物、または、Geの水素化ハロゲン化物(hydrohalides, GeH4−y, X=Cl, Br, I, y=1,2,3)の沸点以上であることが望ましいことが分かる。すなわち、洗浄処理される半導体基板の温度が、上記(式2)および(式3)の右辺におけるハロゲン化物GeXまたは上記(式4)(式5)の右辺における水素化ハロゲン化物GeHX3, GeH, GeHXの沸点以上であることが望ましい。そして、Geを含有する半導体基板の温度が、Geのハロゲン化物、および、Geの水素化ハロゲン化物双方の沸点以上であることが、さらに望ましい。
【0039】
ハロゲン化ガスがHBrガス、HIガスである場合、反応で生ずるハロゲン化物は、それぞれGeBrと、GeIとである。ここでGeBrの沸点は186℃、GeBrの沸点は400℃である。したがって、ハロゲン化ガスがHBrガス、HIガスである場合は、半導体基板の温度がそれぞれ、186℃以上、400℃以上であることが望ましい。
【0040】
また、本実施の形態において、半導体基板の温度がHOの沸点以上であることが好ましい。HOの沸点は、圧力等の条件により変化するが、常圧の場合は100℃である。上記の(式2)、(式3)、(式4)、(式5)から明らかなように、ハロゲン化ガスでGe酸化物をエッチング除去する場合、反応生成物としてHOが生ずる。したがって、半導体基板の温度をHOの沸点以上とすることによって、反応生成物であるHOが系から除去される。これにより、左辺から右辺への反応が進み、Ge酸化物の除去が一層促進されることになる。また、基板表面にHOが存在することによるGe基板の再酸化も抑制される。
【0041】
ここではゲート絶縁膜形成の前処理として、ハロゲン化ガスによる洗浄処理を適用する例について説明したが、本実施の形態のハロゲン化ガスによる洗浄処理の適用はこの前処理への適用に限られるものではない。例えば、MISFETのソース・ドレイン電極として、金属膜と半導体基板を反応させてジャーマナイド層やシリコンジャーマナイド層を形成する際の、金属膜形成の前処理としても有効である。Ge酸化物を前処理により効果的に除去することにより、半導体基板と、ジャーマナイド層やシリコンジャーマナイド層の間の接触抵抗を低減することが可能となる。
【0042】
また、例えば半導体装置の金属配線と、Geを含有する半導体基板とのコンタクトを形成する際の、コンタクトホール開孔後処理あるいは、コンタクトプラグを形成する金属膜堆積の前処理に適用することも有効である。この場合も、Ge酸化物を前処理により効果的に除去することにより、金属配線と半導体基板とのコンタクト抵抗を低減することが可能となる。
【0043】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の半導体装置の製造方法は、Geを含有する半導体基板の洗浄処理中または洗浄処理後に、半導体基板表面にシリル化剤を供給し、シリル化剤を供給した後に、半導体基板表面を酸化することを特徴とする以外は第1の実施の形態と同様である。したがって、第1の実施の形態と重複する内容については、記載を省略する。
【0044】
ここでは、Ge基板上にゲート絶縁膜を形成する際の前処理としての洗浄処理中に、HClガスと同時に、半導体基板表面にシリル化剤としてMeSiNHSiMe(HMDS)を供給する場合を例に説明する。
【0045】
図5は、本実施の形態の製造方法を示す工程断面図である。まず、図5(a)に示すように、SiOで埋め込まれた素子分離領域22を形成する。Ge基板10上のGeが表面に露出している領域、いわゆる活性領域には、Ge酸化物膜24が、例えば0.1〜1nm程度自然酸化膜として形成されている。
【0046】
次に、図5(b)に示すように、公知の気相エッチング装置において、水を含まないHClガスおよびHMDSを同時に供給し、Ge基板10を前処理する。この前処理により、Ge酸化物膜24がエッチングされ、活性領域のGe基板10表面が露出する。そして、露出したGe基板10表面のGeがClで終端される。Clで終端されたGeは、HClガスと同時に供給されるHMDSにより、R(シリル基)−Si−Oで終端され、シリル基終端層30がGe基板10表面に形成される。
【0047】
図6は、この前処理で用いられる気相エッチング装置の一例を示す概念図である。HCl溶液を入れた溶液槽12とHMDSを入れた第2の溶液槽16から、それぞれ、N等の不活性ガスによるバブリングでHClガスおよびHMDSのガスを発生させる。そして、発生させたHClガスを、Ge基板10をその内部に載置したチャンバ14内に導入する。このHClガスによりGe基板10上のGe酸化物膜がエッチングされるとともに、シリル基終端層30がGe基板10表面に形成される。
【0048】
次に、図5(c)に示すように、例えば、公知のプラズマ酸化プロセスにより、シリル基終端層30において、Siに結合しているR基を酸化する。これによりR基を離脱させ、Ge基板10表面にSi酸化物膜32が形成される。プラズマ酸化プロセス以外の酸化プロセスを適用しても構わない。
【0049】
次に、図5(d)に示すようにSi酸化物膜32上に高誘電体膜34を形成する。高誘電体膜34は、例えば公知のALD(Atomic Layer Deposition)装置にて、HfOを約3nm程度堆積することで形成が可能である。
【0050】
次に、図5(e)に示すように、公知のプロセス技術を用いて、高誘電体膜34上に例えば金属のゲート電極28を形成する。このようにして、Ge基板10にMISデバイスが形成される。
【0051】
本実施の形態の製造方法によれば、第1の実施の形態と同様に、比較的誘電率の低いGe酸化物層が介在することが抑制できる。よって、高いキャパシタンスを有するMISキャパシタを形成することが可能となる。
【0052】
また、HMDSもSiOをエッチングしないことから、第1の実施の形態同様に処理により、素子分離領域のSiO膜の後退が生じない。したがって、基板上に上層配線等の形成で問題になる不要な下地段差の形成や、絶縁膜の膜厚の薄膜化に伴う素子分離耐圧の劣化等を回避することが可能となる。
【0053】
さらに、本実施の形態によれば、Ge基板10と高誘電体膜34との間に、均一性の高いSi酸化物膜32が形成される。したがって、Ge基板10に直接高誘電体膜34を形成した場合に生ずる、界面準位に起因する特性劣化が抑制されたMISデバイスを提供できるという利点がある。
【0054】
ここでは、HClガスとHMDSを同時に供給する前処理を例に説明した。プロセス時間を短縮する観点からはHClガスによる前処理においてHMDSを同時供給することが望ましい。しかし、先にHClガスによる前処理を行った後に、HMDSを供給する方法を選択することも可能である。
【0055】
また、シリル化剤としては、後に、Ge基板表面のGe−O−Si結合を切ることなくSi−R結合を切り離す観点から、R基(シリル基)の小さいシリル化剤が有効である。これは、R基が小さいほど、SiとR基の平均解離エネルギーが小さくなるためである。例えば、Si(CH、Si(Cの平均解離エネルギーは、それぞれ317、356(D/kJ/mol)である。R基の解離容易性の観点からは、R基の小さいHMDSが特に有効である。また、HMDSは半導体装置の製造方法においてリソグラフィー工程におけるレジスト密着性向上処理にも使用されており、半導体装置の製造プロセスとの親和性も高く望ましい。ただし、立体障害、水素結合の度合いによってR基の大きなシリル化剤も有効に作用し得る。
【0056】
シリル化剤はHMDSに限られることはない。例えば、MeSiCl(KA−31),O=C−(NHSiMe(BTSU),CFC−(OSiMe)=(NSiMe)(BSTFA),MeSiOSOCF(TMST),EtSiCl(TESC),t−BuMeSiCl(TBMS),Cl(i−Pr)SiOSi(i−Pr)Cl(CIPS)等を適用することも考えられる。
【0057】
図7は、本実施の形態の変形例の工程フロー図である。この変形例においては、HClガスとHMDSによる処理の後に、熱処理またはプラズマ処理を行う。そして、その後にさらにHMDSを供給する処理を行う。そして、これらの工程を繰り返した後に、酸化処理を行い、Si酸化物膜をGe基板上に形成する。
【0058】
この変形例のように、熱処理またはプラズマ処理を行うことで、直前のHMDSによる処理で形成されたSi−R結合を切断し、R基による立体障害を取り除く。その後、次のHMDS処理でR−Si−O結合を追加形成する。この処理を繰り返すことで、より効果的に均一なシリル化終端層を形成することが可能となる。結果的により均一性の高い
Si酸化物膜をGe基板上に形成することが可能となる。
【0059】
そして、2回目以降のHMDS処理においても、同時にHClガスを供給することが望ましい。HClガスを供給することで、熱処理あるいはプラズマ処理によって生じたGe酸化物を除去することが可能となるからである。
【0060】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態の半導体装置の製造方法は、ハロゲンガスによる前処理と、続く絶縁膜や金属膜の成膜とを同一の装置内で行うこと以外は、第1および第2の実施の形態と同様である。したがって、第1および第2の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0061】
図8は、本実施の形態の半導体装置の製造方法で用いられる製造装置の一例を示す概念図である。例えば前処理用のHClガスと、ALD法においてHfOゲート絶縁膜のソースガスとなるHfClをチャンバ40内に供給可能に構成されている。このように、Cl系、HCl系ガスに対する耐性を有するチャンバ40内にGe基板10を載置し、まずHClガスを流して、Ge基板10表面のGe酸化物膜を除去する。その状態で、酸化性の雰囲気にGe基板10を暴露することなくソースガスであるHfClを流し、再酸化によるGe酸化物の形成を回避しつつHfOゲート絶縁膜を堆積する。
【0062】
本実施の形態によれば、Ge基板10とその表面のゲート絶縁膜との間に介在するGe酸化物を最小限に抑制することが可能である。したがって、高いキャパシタンスを有するMISキャパシタの実現が可能となる。
【0063】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態の半導体装置の製造方法は、Geを含有する半導体基板を、75℃以上110℃以下のHCl溶液で洗浄処理を行うものである。まず、Ge基板上にゲート絶縁膜を形成する際の前処理として、HClをHOで希釈したHCl溶液による洗浄処理を行う場合を例に説明する。
【0064】
図9は、本実施の形態の製造方法を示す工程断面図である。まず、図9(a)に示すように、Ge基板10上にリソグラフィー法、RIE法、CVD法等の公知のプロセス技術を用いて、SiOで埋め込まれた素子分離領域22を形成する。Ge基板10上のGeが表面に露出している領域、いわゆる活性領域には、Ge酸化物膜24が、例えば0.1〜1nm程度自然酸化膜として形成されている。通常、このGe酸化物膜24は、GeOまたはGeOである。
【0065】
次に、図9(b)に示すように、公知のウェットエッチング装置において、75℃以上110℃以下のHCl溶液でGe基板10を前処理する。この前処理により、Ge酸化物膜24がエッチングされ、活性領域のGe基板10表面が露出する。ここで、HCl溶液は、HFガスやHF溶液と異なり、SiOをエッチングしない。したがって、この処理により、Ge酸化物膜24が、素子分離領域22のSiOに対して選択的に除去されることになる。
【0066】
次に、図9(c)に示すように前処理したGe基板10上にゲート絶縁膜26を形成する。ゲート絶縁膜26は、例えば公知のALD(Atomic Layer Deposition)装置にて、高誘電体膜であるHfOを約3nm程度堆積することで形成が可能である。前処理を行う装置からゲート絶縁膜26を形成する装置への搬送は、Ge基板10表面の酸化を防止するため、乾燥したNガスやArガス等の不活性ガスで封止された搬送BOX(環境BOX)を利用することが望ましい。また、Ge基板10表面の酸化を防止するため、前処理終了から、ゲート絶縁膜26形成までの時間は極力短くすることが望ましい。
【0067】
次に、図9(d)に示すように、公知のプロセス技術を用いて、ゲート絶縁膜26上に例えば金属のゲート電極28を形成する。このようにして、Ge基板10にMISデバイスが形成される。
【0068】
本実施の形態において、HCl溶液によるGe酸化物のエッチングは下記(式8)、(式9)、(式10)、(式11)によって表される。
GeO+4HCl=GeCl+2HO ・・・ (式8)
GeO+4HCl=GeCl+H+HO ・・・ (式9)
2GeO+6HCl=2GeHCl+2HO+O ・・・ (式10)
GeO+3HCl=GeHCl+HO ・・・ (式11)
【0069】
本実施の形態において、HCl溶液の温度を75℃以上とする。この場合(式10)(式11)の右辺の反応生成物であるGeHClの沸点が75℃であるため、生成したGeHClが半導体基板表面からガスとして除去される。このため、左辺から右辺への反応が促進されることになり、半導体基板表面のGe酸化物の反応が一層促進されることになる。
【0070】
本実施の形態において、HCl溶液の温度を110℃以下とするのは、HClとHOの共沸温度が約110℃であるため、この温度以上のHClとHOとのHCl溶液が存在しえないためである。
【0071】
また、本実施の形態において、HCl溶液の温度を83℃以上とすることが望ましい。この場合(式8)(式9)の右辺の反応生成物であるGeClの沸点が83℃であるため、生成したGeClが半導体基板表面からガスとして除去される。このため、左辺から右辺への反応が一層促進されることになり、半導体基板表面のGe酸化物の反応がより一層促進されることになるからである。
【0072】
本実施の形態の製造方法によれば、第1の実施の形態同様、Ge基板上のGe酸化物を効果的にエッチングできる。このため、Ge基板とゲート絶縁膜界面のGe酸化物の介在を抑制したMISデバイスの製造が可能になる。したがって、Ge基板上に高誘電率膜を有するMISキャパシタを形成する場合、比較的誘電率の低いGe酸化物層が介在することが抑制できる。よって、高いキャパシタンスを有するMISキャパシタを形成することが可能となる。
【0073】
また、前処理により、SiOがエッチングされないことから、素子分離領域のSiO膜の後退が生じない。したがって、基板上に上層配線等の形成時に問題になる不要な下地段差の形成や、絶縁膜の膜厚の薄膜化に伴う素子分離耐圧の劣化等を回避することが可能となる。
【0074】
図10は、Ge酸化物のHCl溶液によるエッチング結果を示す図である。XPS(X−ray photoelectron spectroscopy)で、HCl溶液による処理前後でのGe基板上のGe酸化物量を評価している。XPS測定条件は単色化されたAl KαをX線源としてTOA(take off angle)が15deg、つまり試料の水平方向との成す角が15度の条件で測定している。
【0075】
測定試料はHCl溶液温度が20、50、95、110℃と異なる4試料、処理時間は全て5分。各スペクトルは、Ge3dの基板由来のGe−Ge結合のピークを29.3eVとしてX線照射時に試料が帯電する影響を補正している。
【0076】
図10より、気相HCl処理により33eV近傍のGe−Oのピークが消滅していることからGe基板の表面にあるGe酸化物の内、GeOが除去されていることが分かる。また、温度が高くなるとともにGe−Oのピークも減少している。このように、本実施の形態においては、GeOも効果的にエッチング除去されていることが明らかである。
【0077】
また、特に110℃熱処理試料では上記反応式(式6)のHOもガスとしてGe基板表面から除去されるため、HOによる基板酸化が抑制され95℃試料よりもGe酸化物残り量が少なかったと考えられる。このような基板酸化抑制効果は、HOの沸点である100℃以上で、HOとHClの共沸温度である110℃以下の間で顕著となる。HCl溶液が共沸する場合のHCl濃度および温度は20%および110℃であり、濃度が20%でない場合はHClもしくは水が沸騰により蒸発し20%となり110℃で共沸する。例えば20%より薄いHCl溶液の場合、100℃以上で水が沸騰し濃度が上昇し110℃で共沸する。よって、HCl溶液の温度が100℃以上であることがより望ましい。
【0078】
本実施の形態において、HCl溶液がアルコールを含有することが望ましい。HCl溶液中にHO(水)が存在する場合、HOはGeCl等の雰囲気中のハロゲン化物と反応してGe酸化物を形成しGe基板上でパーティクルを発生する可能性がある。このため、水の少なくとも一部をCHOH等のアルコールで置換し、アルコールと親和性が良いGeCl等のハロゲン化物やHOを効果的に除去するとよい。HClを水で希釈する代わりにアルコールを溶媒とし、水を含まない系で洗浄処理すれば、より効果的である。
【0079】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態の半導体装置の製造方法は、HCL溶液によりGeを含有する半導体基板を洗浄処理した後に、洗浄処理と同一槽内でメッキ法により半導体基板上に金属膜を形成する製造方法である。ここでは、Ge基板上に形成されるMISFETのソース・ドレイン電極として、金属膜と半導体基板を反応させてジャーマナイド層を形成する際の、金属膜堆積の前処理としてHClをHOで希釈したHCl溶液による洗浄処理を行う場合を例に説明する。
【0080】
図11は、本実施の形態の製造方法を示す工程断面図である。まず、図11(a)に示すように、Ge基板10上に、SiOで埋め込まれた素子分離領域22を形成する。そして、Ge基板10上にゲート絶縁膜26を介して、例えば金属のゲート電極28が形成されている。そして、ゲート電極28は例えばシリコン窒化膜46によって覆われている。Ge基板10上のGeが表面に露出している領域、いわゆるソース・ドレイン領域には、Ge酸化物膜24が、例えば0.1〜1nm程度自然酸化膜として形成されている。通常、このGe酸化物膜24は、GeOまたはGeOである。
【0081】
次に、図11(b)に示すように、公知のメッキ装置において、75℃以上110℃以下のHCl溶液でGe基板10を前処理する。この前処理により、このGe酸化物膜24がエッチングされ、活性領域のGe基板10表面が露出する。ここで、HCl溶液は、HFガスやHF溶液と異なり、SiOをエッチングしない。したがって、この処理により、このGe酸化物膜24が、素子分離領域22のSiOに対して選択的に除去されることになる。
【0082】
次に、前処理を行ったメッキ装置の同一槽内において、HClをメッキ液として、例えばNi(ニッケル)をメッキ法によりGe基板10上に形成する。Niは標準電極電位が−0.257Vであり、水素の0.000Vよりも小さいためHCl等の酸溶液中でイオンとして存在する。そのため、メッキ法にてGe基板10上にNiを金属膜42として形成することが可能である。
【0083】
ここで、HClをメッキ液として用いることで、前処理と金属膜42形成を1つのプロセス処理として行うことも可能になる。また、前処理と金属膜42形成のメッキ処理とで異なる液温が要求される場合には、それぞれの処理温度を変えて連続したシークエンスで行えばよい。なお、メッキ法は無電解メッキまたは電解メッキいずれの手法をとるものであっても構わない。メッキ液としてHClを用いることがプロセス簡略化の観点からは望ましいが、前処理後にGe基板10が酸化性雰囲気に暴露しないようにしてメッキ液を他の溶液に置換することも可能である。
【0084】
次に、図11(c)に示すように、例えば、250〜600℃程度の温度で熱処理を行いNiの金属膜42と、ソース・ドレイン領域のGe基板10とを反応させる。これによりNiGe(ニッケルジャーマナイド)層44をソース・ドレイン領域に形成する。
【0085】
その後、図11(d)に示すように、未反応のNiの金属膜42を、例えば硫酸と過酸化水素水の混合溶液で選択的に除去する。このようにして、ソース・ドレイン電極にNiGe層44を備えるGe基板10上のMISFETが形成される。
【0086】
本実施の形態によれば、Ge酸化物を前処理により効果的に除去するとともに、前処理を行ったのと同一槽内においてメッキ法により金属膜を形成する。したがって、Ge基板表面が金属膜形成前に酸化性の雰囲気に暴露されることはない。したがって、Ge基板表面の再酸化も生じにくい。よって、Ge基板と、ジャーマナイド層との間の接触抵抗を低減することが可能となる。このようにして、Ge基板によりキャリアのチャネル移動度が向上するとともに、ソース・ドレイン電極の寄生抵抗も低減した高性能なMISFETが実現される。
【0087】
なお、ここではソース・ドレイン電極領域に形成する金属膜としてNiを例に説明したが、必ずしもNiに限られることなく、AlやLi、K、Ca、Na、Mg、Zn、Fe、Sn、Pb等を適用することが可能である。
【0088】
また、ここではGe基板を例に説明したが、Geを含有する半導体基板であればその他の半導体基板に本実施の形態を適用することが可能である。また、ソース・ドレイン電極の形成に限らず、例えば、コンタクトの金属プラグを製造する前処理と金属膜形成の処理にも適用することが可能である。
【0089】
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態の半導体装置の製造方法は、HCl溶液が硫化物溶液を含有すること以外は、第4の実施の形態と同様である。したがって、重複する内容については記載を省略する。
【0090】
具体的には(NHS溶液とHCl溶液の混合液でGe基板を表面処理し、Ge基板表面上のGe酸化物をHClでエッチングし、(NHSでGe−S結合をGe基板表面に形成する。ここで、HCl溶液と(NHS溶液を別々の処理槽に入れHCl溶液処理後に続けて(NHS溶液処理することでも構わない。
【0091】
Geを含む半導体基板において、Ge−S結合がゲート絶縁膜と半導体基板との界面に存在すると、MIS特性が向上する。本実施の形態によれば、界面のGeOを除去し、Ge−S結合を界面に存在させることで、MIS特性の向上効果が得られる。
【0092】
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態の半導体装置の製造方法は、HCl溶液もしくはHClガスでGe基板表面を処理した後、アルコールでリンス処理すること以外は、第1〜第6の実施の形態と同様である。したがって、重複する内容については記載を省略する。
【0093】
図12(a)および(b)は110℃のHCl溶液処理後のリンス液の種類依存性、つまり純水(HO)、エタノール(ethanol)、およびイソプロピルアルコール(IPA)後のGe酸化物量を評価したXPS Ge3dスペクトルである。リンス処理時間はそれぞれ10分である。通常の純水リンスと比較してアルコール(エタノールおよびイソプロピルアルコール)リンスした場合の方が、Ge酸化物残り量が少ない。これは純水の誘電率が80と大きいのに対してエタノールおよびイソプロピルアルコールの誘電率がそれぞれ24,18と小さいためリンスの際にGe基板が再酸化され難いためと考えられる。
【0094】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。上記、実施の形態はあくまで、例として挙げられているだけであり、本発明を限定するものではない。また、実施の形態の説明においては、半導体装置の製造方法等で、本発明の説明に直接必要としない部分等については記載を省略した。しかし、必要とされる半導体装置の製造方法等に関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0095】
例えば、実施の形態においては、半導体基板の材料が主にGe(ゲルマニウム)である場合について記述したが、本発明をその他のGeを含有する半導体基板、例えば、SixGe1−x(0≦x<1)を材料とする半導体基板についても適用することが可能である。
【0096】
そして、SiGe基板においてGe濃度が85%以上の半導体基板に適用することが望ましい。これはGe濃度が85%以上でバンドギャップ幅の狭小化が生じ、Ge基板を半導体基板に適用する場合のSi基板に対する優位性が顕著になるからである。
【0097】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体装置の製造方法は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物の範囲によって定義されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】第1の実施の形態のGe酸化物のHClガスによるエッチング結果を示す図。
【図2】第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図3】第1の実施の形態の気相エッチング装置の一例を示す概念図。
【図4】Ge酸化物の安定性を検討した結果を示す図。
【図5】第2の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図6】第2の実施の形態の気相エッチング装置の一例を示す概念図。
【図7】第2の実施の形態の変形例の工程フロー図。
【図8】第3の実施の形態の製造装置の一例を示す概念図。
【図9】第4の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図10】第4の実施の形態のGe酸化物のHCl溶液によるエッチング結果を示す図。
【図11】第5の実施の形態の半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図12】第7の実施の形態のアルコールリンスによるGe基板の再酸化抑制結果を示す図。
【符号の説明】
【0099】
10 Ge基板
12 溶液槽
14 チャンバ
16 第2の溶液槽
22 素子分離領域
24 Ge酸化物膜
26 ゲート絶縁膜
28 ゲート電極
30 シリル基終端層
32 Si酸化物膜
34 高誘電体膜
40 チャンバ
42 金属膜
44 NiGe層
46 シリコン窒化膜




【特許請求の範囲】
【請求項1】
Geを含有する半導体基板を、HClガス、HBrガスまたはHIガスの少なくとも一種を含むハロゲン化ガスで洗浄処理を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記半導体基板の温度が、前記洗浄処理で形成されるGeのハロゲン化物またはGeの水素化ハロゲン化物の沸点以上であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記半導体基板の温度がHOの沸点以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記洗浄処理中または前記洗浄処理後に、前記半導体基板表面にシリル化剤を供給し、前記シリル化剤を供給した後に、前記半導体基板表面を酸化することを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
Geを含有する半導体基板を、75℃以上110℃以下のHCl溶液で洗浄処理を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記HCl溶液が、83℃以上110℃以下であることを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記洗浄処理後に、前記洗浄処理と同一槽内で、メッキ法により前記半導体基板上に金属膜を形成することを特徴とする請求項5または請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記HCl溶液がアルコールを含有することを特徴とする請求項5ないし請求項7いずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記HCl溶液が硫化物溶液を含有することを特徴とする請求項5ないし請求項8いずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記洗浄処理後にアルコールによるリンス処理を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項9いずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−45254(P2010−45254A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209113(P2008−209113)
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】