説明

半導体装置の製造方法

【課題】製造工程時間の増加を抑制して、微細なラインアンドスペースパターンを形成可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】被加工材であるシリコン酸化膜23上に、パターニングされた芯材31aとなるアンドープ多結晶シリコン膜31を形成する工程と、アンドープ多結晶シリコン膜31をスリミングして芯材31aとする工程と、芯材31aの側面及び上面、並びにシリコン酸化膜23の上面を被うように、シリコン酸化膜23と同じシリコン酸化膜にボロンが導入されたBドープ多結晶シリコン膜34を形成する工程と、芯材31a及びシリコン酸化膜23の上面のBドープ多結晶シリコン膜34を除去し、芯材31aの側面にBドープ多結晶シリコン膜34からなる側壁マスク膜34aを形成する工程と、芯材31aを除去する工程と、側壁マスク膜34aをマスクとしてシリコン酸化膜23をエッチング加工する工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子の微細化に伴い、リソグラフィの解像限界(限界露光線幅)未満の寸法を有するパターンを形成する方法が求められている。その1つの方法として、ダミーパターン(芯材)の側面に側壁パターン(側壁マスク)を形成し、その側壁マスクをマスクとして被加工膜のエッチングを行う方法が知られている。
【0003】
この方法によれば、側壁マスクの形成後に、ウェット処理により側壁マスク間の芯材を除去し、側壁マスクにより構成される微細なマスクを形成する。しかし、側壁マスクや芯材中に発生する応力等により、側壁マスクが傾いてマスクパターンの精度が劣化するおそれがある。
【0004】
そこで、芯材の上面および側面を覆うようにアモルファス材料からなる被覆膜を形成し、被覆膜を芯材の側面に位置する部分を残して除去し、芯材の側壁に側壁マスクを形成し、側壁マスクを結晶化させた後、芯材を除去する半導体装置の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。側壁マスクを結晶化することにより、圧縮応力を内包する側壁マスクを形成することになり、側壁マスクの傾斜変形を抑え、微細なラインアンドスペースパターンを含むパターンを精度良く形成可能とする。
【0005】
しかし、開示された半導体装置の製造方法は、アモルファス材料を結晶化する高温における改質の工程が必要であり、製造工程が長くなるという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−278039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、製造工程時間の増加を抑制して、微細なラインアンドスペースパターンを形成可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、被加工材上に、芯材となる第1の膜を選択的に形成する工程と、前記芯材の側面及び上面、並びに前記被加工材の上面を被うように、前記第1の膜と同じ材料の膜に異なる量の不純物が導入された第2の膜を形成する工程と、前記芯材及び前記被加工材の上面の前記第2の膜を除去し、前記芯材の側面に前記第2の膜からなる側壁マスク膜を形成する工程と、前記芯材を選択的に除去する工程と、前記芯材を選択的に除去した後、前記側壁マスク膜をマスクとして前記被加工材をエッチング加工する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、製造工程時間の増加を抑制して、微細なラインアンドスペースパターンを形成可能な半導体装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構造を模式的に示す図で、図1(a)はメモリセル領域の平面図、図1(b)は図1(a)のA−A線に沿ったメモリセル領域の断面図。
【図2】本発明第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図3】本発明第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図4】本発明第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図5】本発明第1の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図6】本発明第2の実施形態に係る半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図7】本発明第2の実施形態に係る半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図8】本発明第2の実施形態に係る半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図では、同一の構成要素には同一の符号を付す。
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について、図1乃至図4を参照しながら説明する。
【0013】
図1に示すように、半導体装置1は、NAND型フラッシュメモリ装置の例である。図1(a)に示すように、半導体装置1は、周知のように、メモリセルトランジスタ4が、所定間隔でマトリクス状に配置されるメモリセル領域を有している。
【0014】
メモリセル領域において、図1(a)の紙面左右方向に伸びた素子領域6が紙面上下方向に帯状に並列している。所定の幅の素子領域6は、所定の幅の素子分離領域7で分離されている。この素子領域6上方(紙面垂直上方)には、ビット線(図示略)が紙面左右方向に配設され、また紙面上下方向に伸びたワード線8が並列して配設されている。メモリセルトランジスタ4のゲート電極(後述のゲート電極12)は、素子領域6とワード線8の交差部にそれぞれ配置されている。
【0015】
図1(a)、(b)に示すように、メモリセルトランジスタ4は紙面左右方向に直列接続されている。素子領域6と選択ゲート線9の交差部で、直列接続されたメモリセルトランジスタ4の端部には選択ゲートトランジスタ5のゲート電極(図示略)が配置される。直列接続されたメモリセルトランジスタ4及び選択ゲートトランジスタ5は、隣接するもの同士が半導体基板10中に形成されたソース・ドレイン拡散領域(図示略)を共有する。
【0016】
図1(b)に示すように、半導体装置1は、半導体基板10の素子領域7の表面に、トンネル絶縁膜(またはゲート絶縁膜)としてのシリコン酸化膜11を介して、ゲート電極12が形成されている。ゲート電極12は、シリコン酸化膜11側から順に、浮遊ゲート電極膜としての多結晶シリコン膜13、電極間絶縁膜としてのONO(Oxide-Nitride-Oxide)膜14、制御ゲート電極膜としての多結晶シリコン膜15、多結晶シリコンをシリサイド化して形成した、例えば、コバルト(Co)シリサイドからなるシリサイド膜16が積層されている。
【0017】
ゲート電極12の側面及びゲート電極12間のシリコン酸化膜11の上には側壁絶縁膜17が配設され、側壁絶縁膜17の間に層間絶縁膜18が配設され、ゲート電極12及び層間絶縁膜18の上には、シリコン窒化膜からなるバリア膜19が配設されている。図1(b)に示される側壁絶縁膜17、層間絶縁膜18、及びバリア膜19は、図1(a)では省略されている。
【0018】
次に、半導体装置1のゲート電極12の製造工程の内、ラインアンドスペースパターンとしてのゲート電極12の製造方法について説明する。ゲート電極12は、露光技術の解像度の限界よりも微細なピッチを有するラインアンドスペースパターンで構成される。
【0019】
図2に示すように、シリコンからなる半導体基板10に、熱酸化法によりシリコン酸化膜11を形成する。シリコン酸化膜11の上に、LPCVD(Low pressure Chemical Vapor Deposition)法にて、リン(P)をドープした多結晶シリコン膜13を形成し、多結晶シリコン膜13の上に、シリコン酸化膜−シリコン窒化膜−シリコン酸化膜からなるONO膜14を形成し、ONO膜14の上に、リンをドープした多結晶シリコン膜15を形成する。多結晶シリコン膜15の上に、シリコン窒化膜21を形成し、シリコン窒化膜21の上に、露光技術の解像度の限界よりも微細なピッチを有するように加工される被加工膜としてのシリコン酸化膜23を堆積する。
【0020】
図3(a)に示すように、LPCVD法にて、シリコン酸化膜23の上に、第1の膜である不純物をドープしない(以下、アンドープとも言う)多結晶シリコン膜31を形成する。アンドープ多結晶シリコン膜31は後述の芯材31aとなる。多結晶シリコン膜31の上に、シリコン窒化膜32を形成する。
【0021】
図3(b)に示すように、シリコン窒化膜32の上に、パターニングされたフォトレジスト膜33を形成する。フォトレジスト膜33は、リソグラフィ技術を用いて、露光技術の解像限界またはそれに近い幅と間隔を有する所定のピッチで、パターニングされる。なお、シリコン窒化膜32とフォトレジスト膜33との間に、反射防止膜が形成されてもよい。
【0022】
図3(c)に示すように、フォトレジスト膜33をマスクとして、RIE(Reactive Ion Etching)法により、シリコン窒化膜32をエッチングする。次に、フォトレジスト膜33を除去した後、パターニングされたシリコン窒化膜32をマスクとして、多結晶シリコン膜31をエッチングする。エッチングされた多結晶シリコン膜31は、幅と隣接する最近接面の間隔がほぼ同じである。
【0023】
図3(d)に示すように、シリコン窒化膜32を薬液にて除去した後、多結晶シリコン膜31はスリミングされる。多結晶シリコン膜31のスリミングは、ウェットエッチング、ドライエッチング、またはウェットエッチングとドライエッチングの組み合わせにより行われる。例えば、多結晶シリコン膜31の幅はスリミング前の半分、間隔は1.5倍となる。スリミング後の多結晶シリコン膜31は、幅の3倍の間隔を置いてシリコン酸化膜23上に選択的に林立する芯材31aとなる。なお、ここではシリコン窒化膜32をマスクとして、多結晶シリコン膜31をエッチングした後、スリミングにより解像限界未満のパターンとしたが、スリミングは、シリコン窒化膜32またはフォトレジスト膜33に対して行ってもよく、この場合は解像限界未満の幅で形成されたシリコン窒化膜32のパターンを多結晶シリコン膜31に寸法変換なく転写すればよい。
【0024】
図4(a)に示すように、LPCVD法にて、芯材31aの上面及び側面、並びにシリコン酸化膜23の上面をコンフォーマルに被うように、ボロン(B)をドープした多結晶シリコン膜34を形成する。多結晶シリコン膜34の膜厚は、この後のエッチング工程で多少失われることを予測して、芯材31aの幅より少し大きく形成される。
【0025】
図4(b)に示すように、RIE法により、芯材31aの側面に位置する多結晶シリコン膜34を残し、他の多結晶シリコン膜34を除去して、側壁マスク膜34aを形成する。
【0026】
図4(c)に示すように、コリンを含む薬液を用いて、芯材31aを選択的に除去することにより、シリコン酸化膜23の上に、側壁マスク膜34aを残置させる。コリンを含む薬液は、ボロンをドープした多結晶シリコン膜(34)に対して、アンドープの多結晶シリコン膜(31)を選択的にエッチングすることが可能である。なお、コリンを含む薬液は、ボロンをドープした多結晶シリコン膜(34)に対して、リンをドープした多結晶シリコン膜を選択的にエッチングすることが可能なので、アンドープの多結晶シリコン膜31をリンをドープした多結晶シリコン膜で置き換えることは可能である。
【0027】
図4(d)に示すように、ウェットエッチングまたはドライエッチングにより、側壁マスク膜34aをマスクとして、被加工膜であるシリコン酸化膜23をエッチングする。その結果、加工されたシリコン酸化膜23を得る。この後、加工されたシリコン酸化膜23をマスクとして、下地のシリコン窒化膜21の加工、更に半導体装置1のゲート電極12の一部をなす積層膜の加工を、周知の方法によって行うことが可能である。
【0028】
上述したように、芯材31aがアンドープの多結晶シリコン膜31で形成され、側壁マスク膜34aがボロンをドープした多結晶シリコン膜34で形成され、コリンを含む薬液のエッチング選択比を利用して、所望のパターンを側壁マスク膜34aに形成することが可能である。側壁マスク膜34aのパターンは、リソグラフィ技術により形成された多結晶シリコン膜31のパターンに比較して、より微細である。
【0029】
芯材31a及び側壁マスク膜34aは、不純物のドープ量に差がある他は、同じ多結晶シリコンを材料としている。従って、芯材31a及び側壁マスク膜34aは、物理的な性質がよく似ており、互いに接触して形成されても、境界に発生する応力は抑制されたものとなる。つまり、側壁マスク膜34aの間の芯材31aを除去しても、側壁マスク膜34aが応力によって傾くということは抑制される。その結果、側壁マスク膜34aが半導体基板10の表面に対して、ほぼ垂直に形成できるので、下地にあるゲート電極12は、幅及び間隔共に、片寄ることなく加工されて、特性の安定した半導体装置1となる。
【0030】
また、特許文献1等にあるように、応力を低減するために、アモルファス材料を結晶化する高温での改質の工程を経る必要がないので、半導体装置1の製造において改質のための工程は不要となる。
【0031】
本発明の第1の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法について、図5を参照しながら説明する。第1の実施形態とは、芯材に表面が窒化されたアンドープの多結晶シリコン膜を用いている点が異なる。なお、第1の実施形態と同一構成部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0032】
図5に示すように、第1の実施形態の図3(d)に示す芯材31aと比較すると、本変形例の芯材35は、アンドープの多結晶シリコン膜36の表面にシリコン窒化膜37が形成されている。
【0033】
製造方法を第1の実施形態と比較しながら説明する。図3(d)に示す芯材31aの形成まで、第1の実施形態と同様に進める。この後、芯材31aの表面を、例えば、プラズマ窒化させ、膜厚0.5〜3nm程度のシリコン窒化膜37を形成する。芯材31aと同じ材質のアンドープの多結晶シリコン膜36を中心に、表面がシリコン窒化膜37からなる芯材35となる。シリコン窒化膜37は、この後形成するボロンをドープした多結晶シリコン膜34のボロンの拡散を抑える拡散防止膜である。ボロンの拡散を抑える上で、シリコン窒化膜37の膜厚は、0.5nm以上であればよい。なお、このとき、シリコン酸化膜23の露出面も同様に窒化され、シリコン酸窒化膜(図示略)となる。
【0034】
この後、第1の実施形態の図4(a)〜図4(d)に示す製造工程と同様に、製造工程を進めることが可能である。ただし、図4(c)に示すコリンを含む薬液処理の前に、芯材35の上面のシリコン窒化膜37を除去する工程を入れ、更に芯材35の多結晶シリコン膜36を除去した後、シリコン窒化膜37を除去する工程を入れる。その結果、シリコン酸化膜23の上に、第1の実施形態と同様の側壁マスク膜34aを形成することが可能である。
【0035】
本変形例の半導体装置の製造工程では、芯材35と側壁マスク膜34aとの間で不純物(B)の拡散が抑制され、コリンを含む薬液は、より確実にエッチング選択比を発揮可能である。つまり、側壁マスク膜34aのパターンは、ボロン拡散による境界部の曖昧さが排除され、寸法ばらつきを抑制することが可能である。シリコン窒化膜37の膜厚は、3nm以下程度に薄く形成されるので、芯材35と側壁マスク膜34aとに共通な多結晶シリコンの物理的な性質の類似性に支配されて、境界に発生する応力は抑制されたものとなる。高温での改質の工程ほどの工程時間の増加を行うことなく、本変形例の半導体装置は、第1の実施形態が有する効果を同様に有している。
【0036】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について、図6乃至図8を参照しながら説明する。第1の実施形態とは、芯材と側壁マスク膜が不純物量の異なるシリコン酸化膜である点が異なる。なお、第1の実施形態と同一構成部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0037】
図6に示すように、芯材と側壁マスク膜にシリコン酸化膜を使用するために、第1の実施形態とは異なり、露光技術の解像度の限界よりも微細なピッチを有するように加工される被加工膜としてのシリコン酸化膜23の上に、シリコン窒化膜25が追加して成膜されている。
【0038】
図7(a)に示すように、CVD法にて、シリコン窒化膜25の上に、第1の膜であるTEOS(Tetraethoxysilane)系のアンドープのシリコン酸化膜41を形成する。
【0039】
図7(b)に示すように、シリコン酸化膜41の上に、パターニングされたフォトレジスト膜42を形成する。フォトレジスト膜42は、リソグラフィ技術を用いて、露光技術の解像限界またはそれに近い幅と間隔を有する所定のピッチで、パターニングされる。なお、シリコン酸化膜41とフォトレジスト膜42との間に、反射防止膜が形成されてもよい。
【0040】
図7(c)に示すように、フォトレジスト膜42をマスクとして、RIE(Reactive Ion Etching)法により、シリコン酸化膜41がエッチングされ、この後フォトレジスト膜42は除去される。シリコン酸化膜41は、幅と隣接する最近接面の間隔がほぼ同じである。
【0041】
図7(d)に示すように、シリコン酸化膜41はスリミングされる。シリコン酸化膜41のスリミングは、ウェットエッチング、ドライエッチング、またはウェットエッチングとドライエッチングの組み合わせにより行われる。例えば、シリコン酸化膜41の幅はスリミング前の半分、間隔は1.5倍となる。スリミング後のシリコン酸化膜41は、幅の3倍の間隔を置いてシリコン窒化膜25上に選択的に林立する芯材41aを形成することになる。なお、第1の実施形態と同様に、スリミングはフォトレジスト膜42に対して行われてもよい。
【0042】
図8(a)に示すように、LPCVD法にて、芯材41aの上面及び側面、並びにシリコン窒化膜25の上面をコンフォーマルに被うように、ボロン(B)をドープしたシリコン酸化膜(BSG、Borosilicate Glass)43を形成する。Bドープシリコン酸化膜43の膜厚は、この後のエッチング工程で多少失われることを予測して、芯材41aの幅より少し厚く形成される。
【0043】
図8(b)に示すように、RIE法により、芯材41aの側面に位置するBドープシリコン酸化膜43を残して、他のBドープシリコン酸化膜43を除去して、側壁マスク膜43aを形成する。
【0044】
図8(c)に示すように、フッ酸(HF)を薬液としたフッ酸蒸気(VPC(Vapor Phase Cleaning)法)を用いて、芯材41aを選択的に除去することにより、シリコン窒化膜25の上に、側壁マスク膜43aを残置させる。フッ酸蒸気は、ボロンをドープしたシリコン酸化膜(43)に対して、アンドープのシリコン酸化膜(41)を選択的にエッチングすることが可能である。なお、フッ酸蒸気は、リンをドープしたシリコン酸化膜に対して、アンドープのシリコン酸化膜(41)を選択的にエッチングすることが可能なので、Bドープシリコン酸化膜43をリンをドープしたシリコン酸化膜(PSG)で置き換えることは可能である。同様に、Bドープシリコン酸化膜43をボロン及びリンをドープしたシリコン酸化膜(BPSG)で置き換えることは可能である。
【0045】
図8(d)に示すように、ドライエッチングにより、側壁マスク膜43aをマスクとして、シリコン窒化膜25をエッチングする。次に、シリコン窒化膜25をマスクとして、シリコン酸化膜23をエッチングする。その結果、図4(d)に示す第1の実施形態と同様に、加工されたシリコン酸化膜23を得る。この後、加工されたシリコン酸化膜23をマスクとして、下地のシリコン窒化膜21の加工、更にゲート電極12の一部をなす積層膜の加工を、周知の方法によって行うことが可能である。
【0046】
上述したように、芯材41aがアンドープのシリコン酸化膜41で形成され、側壁マスク膜43aがボロンをドープしたシリコン酸化膜43で形成され、VPC法のエッチング選択比を利用して、所望のパターンを側壁マスク膜43aに形成することが可能である。側壁マスク膜43aのパターンは、リソグラフィ技術により形成されたアンドープシリコン酸化膜41のパターンに比較して、より微細である。
【0047】
芯材41a及び側壁マスク膜43aは、不純物のドープ量に差がある他は、同じシリコン酸化膜を材料としている。従って、芯材41a及び側壁マスク膜43aは、物理的な性質がよく似ており、互いに接触して形成されても、境界に発生する応力は抑制されたものとなる。つまり、側壁マスク膜43aの間の芯材41aを除去しても、側壁マスク膜43aが応力によって傾くということは抑制される。その結果、第2の実施形態の半導体装置は、第1の実施形態の半導体装置1が有する効果を同様に有している。
【0048】
また、第1の実施形態の変形例と同様に、第2の実施形態においても、芯材の表面が窒化され、表面にシリコン酸窒化膜またはシリコン窒化膜を有するアンドープのシリコン酸化膜を芯材として使用することは可能である。
【0049】
本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々、変形して実施することができる。
【0050】
例えば、実施形態では、被加工膜がメモリセル部のゲート電極を形成するマスク膜である場合の例を示したが、被加工膜が素子分離領域を形成するためのマスク膜である場合でもよいし、その他の微細化が必要な被加工膜であることは可能である。また、半導体装置は、NAND型フラッシュメモリ装置の例を示したが、他の種類のメモリ装置でもよいし、ロジックLSI装置でもよいし、また、メモリとロジックとが混載された半導体装置でもよい。
【0051】
以下の付記に記載されているような構成が考えられる。
(付記1) 被加工材上に、芯材となる第1の膜を選択的に形成する工程と、前記芯材の側面及び上面、並びに前記被加工材の上面を被うように、前記第1の膜と同じ材料の膜に異なる量の不純物が導入された第2の膜を形成する工程と、前記芯材及び前記被加工材の上面の前記第2の膜を除去し、前記芯材の側面に前記第2の膜からなる側壁マスク膜を形成する工程と、前記芯材を選択的に除去する工程と、前記芯材を選択的に除去した後、前記側壁マスク膜をマスクとして前記被加工材をエッチング加工する工程とを備える半導体装置の製造方法。
【0052】
(付記2) 前記第1の膜は多結晶シリコン膜、前記不純物はボロンである付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0053】
(付記3) 前記第1の膜はシリコン酸化膜、前記不純物はボロンまたはリンである付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0054】
(付記4) 前記不純物の導入は、前記第1または第2の膜がCVDにより堆積されるときに行われる付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0055】
1 半導体装置
4 メモリセルトランジスタ
5 選択ゲートトランジスタ
6 素子領域
7 素子分離領域
8 ワード線
9 選択ゲート線
10 半導体基板
11、23 シリコン酸化膜
12 ゲート電極
13、15 多結晶シリコン膜
14 ONO膜
16 シリサイド膜
17 側壁絶縁膜
18 層間絶縁膜
19 バリア膜
21、25、32、37 シリコン窒化膜
31、36 アンドープ多結晶シリコン膜
31a、35、41a 芯材
33、42 レジスト
34 Bドープ多結晶シリコン膜
34a、43a 側壁マスク膜
41 アンドープシリコン酸化膜
43 Bドープシリコン酸化膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工材上に、芯材となる第1の膜を選択的に形成する工程と、
前記芯材の側面及び上面、並びに前記被加工材の上面を被うように、前記第1の膜と同じ材料の膜に異なる量の不純物が導入された第2の膜を形成する工程と、
前記芯材及び前記被加工材の上面の前記第2の膜を除去し、前記芯材の側面に前記第2の膜からなる側壁マスク膜を形成する工程と、
前記芯材を選択的に除去する工程と、
前記芯材を選択的に除去した後、前記側壁マスク膜をマスクとして前記被加工材をエッチング加工する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記芯材の表面は、窒化されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1の膜はアンドープの多結晶シリコン膜またはリンドープの多結晶シリコン膜、前記第2の膜はボロンドープの多結晶シリコン膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の膜はアンドープのシリコン酸化膜、前記第2の膜はボロンドープのシリコン酸化膜またはリンドープのシリコン酸化膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記芯材を選択的に除去する工程は、前記第2の膜に対して前記第1の膜を選択的にエッチングする薬液を用いて行われることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−192776(P2011−192776A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57219(P2010−57219)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】