説明

半導体装置及びその作製方法

【課題】大量生産が可能で、従来のガラス基板や単結晶シリコン基板とは異なり、低コストでかつ非常に厚さの薄い薄膜集積回路、及び該薄膜集積回路を用いた薄膜集積回路装置又はICチップの構造、プロセスを提供することを目的としている。
【解決手段】シリコン基板の一表面上に第1の絶縁膜を形成し、前記第1の絶縁膜上に少なくとも2つ以上の薄膜集積回路を有する層を形成し、前記薄膜集積回路を有する層を覆うように樹脂層を形成し、前記樹脂層を覆うようにフィルムを形成し、前記シリコン基板の前記薄膜集積回路を有する層を形成した一表面の裏面を研削し、前記シリコン基板の研削した面を研磨する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリやマイクロプロセッサ(中央演算部、CPU)などを有し、紙のように薄くフレキシブルな薄膜集積回路を搭載した半導体装置の作製方法、該薄膜集積回路及びアンテナからなり、主として人間、動植物、商品、紙幣等を識別するためのカード、タグ、ラベル等に利用される非接触型薄膜集積回路装置の作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、データを送受信することが可能な半導体装置の開発が盛んに進められており、このような半導体装置は、ICチップ、RFタグ、無線タグ、電子タグ、無線プロセッサ、無線メモリ等と呼ばれる。現在実用化されている半導体装置(以下ICチップとも示す)は、単結晶シリコン基板を用いたものが主流であるが、シート型、カード型等の製品形態で使われることが多い。そのため、薄型形状や可撓性を有することが要求され、基材裏面を研削および研磨することによって半導体素子を薄型化する手法がとられている。
【0003】
集積回路が形成された単結晶シリコン基板の裏面研磨は、砥石による研削の後に遊離砥粒を用いた仕上げ研磨が一般的で、酸やアルカリによるエッチングを併用する場合もある。最終的な基材厚は鏡面研磨状態で、100μm以下とされ、十分な可撓性を得るには50μm以下が必要とされる。より薄く研磨することで更に薄型の製品へ展開が可能となり、生産技術が競われている。
【0004】
研削研磨によって薄型化された素子は、外部アンテナと接合し、フィルムや樹脂で封止してカードやタグ等薄型の製品を作製する。素子上に直接アンテナを形成した内蔵アンテナ型では、直接フィルムや樹脂で封止し、同様な製品を作製することができる。この様にICチップは最終形態を薄型とすることや可撓性をもたせることで応用を限定することなく、様々な用途に用いることが可能となっている。
【0005】
下記特許文献1には従来のICカードを研磨する工程について記載されている。
【0006】
単結晶シリコン基板上の集積回路だけでなく、ガラス基板等の絶縁基板上に作製した非単結晶シリコン薄膜トランジスタ回路でも同様に、基材の研削研磨によって薄型の半導体素子を作製することが可能である。非単結晶シリコン薄膜トランジスタは安価な大面積ガラス基板上に作製することができ、単結晶シリコンウエハを用いた半導体素子よりも生産コストを大幅に抑えることができる。
【特許文献1】特開平3−87299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ガラス基板を基材に用いて薄型の素子を作製する場合には、形状、及び工程等に様々な制約が生じる。基材として用いられるガラス基板としては製造コストを抑えるために、フュージョン法によって製造される無研磨基板が一般的である。また、フロート法で製造されるガラス基板では研磨が必須であるが、コストを抑制するため片面しか研磨されていない。そのため、ガラス基板の両面もしくは片面には数μm乃至数十μmのうねりがあるため、研磨では100μm以下の薄型加工では基板面内に板厚のばらつきが生じてしまい、素子の歩留まりを低下させてしまうといった問題がある。
【0008】
一方、両面を研磨した基板を用いれば板厚のばらつきは生じにくい。しかし、大判のガラス基板にあわせた大型の装置の準備や大型の基板を均一性良く研磨することは困難であるため、小型の単結晶シリコン基板や石英基板を用いる工程に対する低コストが実現できないといった問題がある。
【0009】
同様に小さい基板を両面研磨して用いたとしても、製品の取り数が減少するため、コストが高くなる傾向がある。また、角形基板は回転摩擦機構を有する研削研磨装置には不向きであり、角欠けや割れが発生し易い等の問題もある。すなわち、回転摩擦機構には単結晶基板の様に対称性のよい丸形の基板が望ましいが、ガラス基板を丸形加工するだけでもコストが高くなる傾向がある。
【0010】
従って、基材厚を100μm以下とするガラス基板上の非単結晶シリコン薄膜トランジスタ素子を低コスト、及び高歩留まりで作製することは非常に困難である。そのため、安価なガラス基板を基材に用いた薄型素子の製品展開はできず、現状も高価な単結晶シリコン基板を基材とした薄型素子が製品展開され、市場の拡大が阻害されている。
【0011】
更に、ガラス基板を用いる場合はその融点が律速となるため、通常600℃以下の低温プロセスで作製される。例えば、電界効果型ポリシリコン薄膜トランジスタでは、活性層となるポリシリコン層の結晶化や活性化、ゲート酸化膜の形成等高温が有利となるプロセスにおいて温度が制限され、単結晶シリコン基板や石英基板を用いて作製した電界効果型トランジスタよりも、電気特性が劣ってしまうといった問題があった。
【0012】
本発明は、この様な状況に鑑みて成されたものであり、大量生産が可能で、従来のガラス基板や単結晶シリコン基板とは異なり、低コストでかつ非常に板厚の薄い薄膜集積回路、及び該薄膜集積回路を用いた薄膜集積回路装置又はICチップの構造、プロセスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、高耐熱、かつ高平面度を有する半導体基板上に絶縁膜を介して形成された非単結晶シリコン薄膜トランジスタを有する半導体装置及びその作製方法に関するものであり、当該半導体基板は単結晶もしくは多結晶材料から構成されている。本発明において、前記半導体基板は非単結晶シリコン薄膜トランジスタの半導体領域とは絶縁膜を介して電気的に絶縁されており、半導体基板材料の相状態および電気的性質が非単結晶シリコン薄膜トランジスタの半導体領域とは同一でないことを特徴としている。
【0014】
本発明の一は、シリコン基板の一表面上に第1の絶縁膜を形成し、第1の絶縁膜上に薄膜集積回路を有する層を形成し、薄膜集積回路を有する層を覆うようにフィルムを形成し、シリコン基板の薄膜集積回路を有する層を形成した一表面の裏面を研削し、シリコン基板の研削した面を研磨することを特徴とする。
【0015】
本発明の一は、シリコン基板の一表面上に第1の絶縁膜を形成し、第1の絶縁膜上に少なくとも2つの薄膜集積回路を有する層を形成し、薄膜集積回路を有する層を覆うように樹脂層を形成し、樹脂層を覆うようにフィルムを形成し、シリコン基板の薄膜集積回路を有する層を形成した一表面の裏面を研削し、シリコン基板の研削した面を研磨し、フィルムは切断しないようにシリコン基板と第1の絶縁膜と薄膜集積回路を有する層と樹脂層とを切断して、シリコン基板と第1の絶縁膜と薄膜集積回路を有する層と樹脂層とが積層された積層体を少なくとも2つ形成し、積層体の間に隙間が形成されるようにフィルムを延伸させ、フィルムから積層体を分離し、積層体の一方の面を第1の基体に接着させ、積層体の他方の面を第2の基体に接着させることを特徴とする。
【0016】
また、フィルムから積層体を分離する工程において、フィルムに光を照射し、ピックアップ手段(ロボットアーム、搬送機器、ピンセットなど)を用いてフィルム上の積層体を取り出し、積層体の一方の面を第1の基体に接着させるためにピックアップ手段を用いて積層体を第1の基体上に設けることを特徴とする。
【0017】
本発明の一は、フィルムから積層体を分離させ、積層体の一方の面を第1の基体に接着させる工程において、フィルムに光を照射し、積層体の一方の面を覆うように第1の基体を設け、第1の基体を加熱することにより積層体の一方の面を第1の基体に接着させ、積層体が接着した第1の基体とフィルムとを分離することを特徴とする。
【0018】
また、樹脂層はフィルムであることを特徴とする。
【0019】
本発明の一は、シリコン基板の一表面上に第1の絶縁膜を形成し、第1の絶縁膜上に第2の絶縁膜と第3の絶縁膜を有した薄膜集積回路を少なくとも2つ有する層を形成し、薄膜集積回路を有する層を覆うように樹脂層を形成し、樹脂層を覆うようにフィルムを形成し、シリコン基板の薄膜集積回路を有する層を形成した一表面の裏面を研削し、シリコン基板の研削した面を研磨し、フィルムは切断しないようにシリコン基板と第1の絶縁膜と薄膜集積回路が有する第2の絶縁膜と第3の絶縁膜とを切断して、シリコン基板と第1の絶縁膜と薄膜集積回路を有する層とが積層された積層体を少なくとも2つ形成し、積層体の間に隙間が形成されるようにフィルムを延伸させ、フィルムから積層体を分離し、積層体の一方の面を第1の基体に接着させ、積層体の他方の面を第2の基体に接着させることを特徴とする。
【0020】
また、シリコン基板の薄膜集積回路を有する層を形成した一表面の裏面を研削する際、シリコン基板の厚さを100μm以下にすることを特徴とする。
【0021】
また、シリコン基板の研削した面を研磨する際、シリコン基板の厚さを1μm以上20μm以下にすることを特徴とする。
【0022】
また、シリコン基板は多結晶シリコン基板であることを特徴とする。
【0023】
また、シリコン基板は単結晶シリコン基板であることを特徴とする。
【0024】
本発明の一は、第1の基体と第2の基体の間に、シリコン基板と、シリコン基板上に形成された絶縁膜と、絶縁膜上に設けられた薄膜集積回路と、薄膜集積回路を覆う樹脂層とを有し、第1の基体はシリコン基板に接し、第2の基体は樹脂層に接し、シリコン基板の厚さは1μm以上20μm以下であることを特徴とする。
【0025】
本発明の一は、第1の基体と第2の基体の間に、シリコン基板と、シリコン基板上に形成された絶縁膜と、絶縁膜上に設けられた薄膜集積回路とを有し、第1の基体はシリコン基板に接し、第2の基体は薄膜集積回路に接し、シリコン基板の厚さは1μm以上20μm以下であることを特徴とする。
【0026】
また、本発明の半導体装置はICチップであることを特徴とする半導体装置。
【0027】
すなわち、前記半導体基板と非単結晶シリコン層は同一のものではなく、基材上に積層状態で付加されている。すなわち、前記半導体基板の相状態や電気的性質の違いに対して非単結晶シリコン薄膜トランジスタの電気特性は依存性を示すことはなく、該半導体基板は積層したデバイスに対して支持体としてのみに位置付けされる。
【0028】
この支持体として用いる基板は、絶縁体や導体であっても同様に非単結晶シリコン薄膜トランジスタを形成することができる。しかしながら、基板に導体を用いると電波を反射し、電波を電力変換するRFタグ用のICチップでは用途の方向性の制限が生じてしまう。一方の絶縁体基板では、その問題はないが静電気が生じやすく、静電破壊にて素子の信頼性を低下させてしまう。従って、基材として用いる基板は電気抵抗において半導体と定義される材料が最も良好である。
【0029】
前記半導体基板としては、シリコン材料を用いることが望ましく、特に多結晶基板が安価で有効である。この多結晶材料は主として太陽電池等に用いられているが、面内で結晶方位が異なることや結晶欠陥や結晶粒界が存在することから直接集積回路を作製するには適していない。また、平面研磨を行えば単結晶基板と同等の平面度を得ることができ、単結晶基板上に作製した素子と同様に研削研磨により薄型の素子を作製することができる。
【0030】
多結晶基板だけでなく、単結晶基板も用いることができる。ただし、集積回路作製工程に用いられるシリコン単結晶基板は高価であり、支持体として用いるにはコストが高くなってしまう。そのため使用する単結晶基板は、抵抗値異常や不純物量異常、塵数異常、裏面のキズ、結晶欠陥の発生等集積回路製造工程に用いると不良品となる可能性がある基板に限られる。これらの単結晶基板は、基板製造業者にとっては規格外の製品であり、工程確認のダミーウエハ用途として安価に供給されている。また、多結晶基板や規格外の単結晶基板の研磨品は、8インチφや12インチφ等の大きさの制限はあるが、同サイズのガラス基板研磨品よりも実質的に安価であり、低コストを実現できる。
【0031】
更にシリコン材料の融点は1410℃であり、ガラス基板では不可能であった1000℃前後の高温プロセスを用いることができる。高温プロセスにより、ポリシリコン薄膜トランジスタでは活性層の結晶粒径の増大や熱酸化によるゲート酸化膜の形成が可能となり、石英基板と同等以上で単結晶シリコン基板に次ぐ電気特性を示す素子を得ることができる。
【0032】
これらの半導体基板上に作製した非単結晶薄膜トランジスタ素子をICチップ等の薄型の素子に仕上げるために、研削および研磨の手法を用いる。角形のガラス基板では角欠けや割れが発生し易かったが、丸形の多結晶基板や単結晶基板ではその問題は低減され、歩留まりが向上する。
【0033】
また、シリコン材料はガラス基板よりも靱性が高く、より薄く研磨することに適している。特に多結晶基板では単結晶基板で見られる様な基板を縦断するような劈開は起こらず、強度も併せ持つ。また高平面度に研磨したシリコン材料は無研磨のガラス基板とは異なり、面内のうねりがサブミクロンの範囲であるため、高歩留まりでより薄く研磨することができる。
【発明の効果】
【0034】
この様に本発明を用いて作製したシリコン材料上の薄膜トランジスタは、材料コストが安価で、高温プロセスが使用できることにより電気特性が向上し、基材が絶縁体でないことから静電耐圧の高い素子を作製することができる。また、ガラス基板では困難であった100μm以下の薄型化が容易であり、20μm以下であっても高強度の薄型素子形成が高歩留まりなICチップの作製が可能となる。以上により、薄型で応用範囲の広いICチップを安価で供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。また、それぞれの実施形態を組み合わせて用いることが可能である。
【0036】
(実施の形態1)
本発明を用いた薄膜集積回路装置及びその作製方法について、図1〜図3を参照して説明する。まず、支持基板としてシリコンウエハからなる基板10を用意し、熱処理や成膜手法、例えば高密度プラズマ処理装置、スパッタリング装置、プラズマCVD装置、減圧CVD装置等で第1の絶縁膜9を形成する(図1(A)参照)。なお、高密度プラズマ処理装置を用いてシリコン基板の表面を直接処理することが好ましい。この第1の絶縁膜9はシリコンの酸化膜、窒化膜、酸窒化膜を用いて形成する。なお、支持基板となるシリコンウエハには、表面を鏡面研磨した多結晶基板および、単結晶基板を用いることが好ましい。ここで単結晶基板を用いる場合は、抵抗値異常や不純物量異常、塵数異常、裏面のキズ、結晶欠陥の発生等で集積回路の作製には不都合の生じる規格外品を用いることができる。
【0037】
また、第1の絶縁膜9を形成するために用いる高密度プラズマ処理装置とは、マイクロ波で励起され、電子温度が1.5eV以下(好ましくは0.5〜1.5eV)、イオンエネルギーが5eV以下、電子密度が1.0×1011cm−3〜1.0×1013cm−3程度である高密度プラズマ処理装置である。プラズマの生成はラジアルスロットアンテナを用いたマイクロ波励起のプラズマ処理装置を用いることができる。このとき、窒素(N)、またはアンモニア(NH)、亜酸化窒素(NO)などの窒化物気体と希ガスの混合ガス導入すると、シリコン基板の表面を窒化することができる。また、酸素(O)、水素(H)と希ガスの混合ガスを導入すると、シリコン基板表面に酸化膜を形成することができる。ここでは、希ガスとしてアルゴンガス(Ar)を用いる。この高密度プラズマ処理装置を用いることによって、プラズマダメージが非常に少なく緻密な膜を作製することができる。また、低温処理(代表的には250〜550℃)のでプラズマ処理を行っても十分にプラズマ酸化処理を行うことができる。なお、プラズマを形成するための周波数はマイクロ波(2.45GHz)を用いている。また、プラズマの電位は5V以下と低電位であり、原料分子の過剰解離を抑制することができる。
【0038】
また、この工程によって形成された窒化膜には、高密度プラズマ処理に用いた希ガスが含まれている。ここでは、Arガスを用いているためArが含有されている。
【0039】
続いて、一表面に第1の絶縁膜9を形成した基板10の上に、複数の薄膜集積回路を有する層11を形成する(図1(A)参照)。この複数の薄膜集積回路を有する層11は、少なくとも、絶縁膜と、複数の素子を構成する半導体層や導電層を含む。また、アンテナ機能を内蔵する場合には、さらにアンテナとなる導電層も含む。具体的には、下地膜として機能するウエハ上に形成した第1の絶縁膜上に設けられた複数の素子と、複数の素子を覆う第2の絶縁膜と、第2の絶縁膜に接し複数の素子に接続する第1の導電層と、第1の導電層を覆う第3の絶縁膜があり、アンテナを内蔵する場合には、第3の絶縁膜に接しアンテナとして機能する第2の導電層と、第2の導電層を覆う第4の絶縁膜とを含む。さらに詳しい構成については、実施の形態4において後述する。また、アンテナ機能を内蔵せず、後で貼り付ける構成については実施の形態5において後述する。なお、本明細書において複数とは少なくとも2つ以上であることを示す。
【0040】
次に、複数の薄膜集積回路を有する層11を覆うように第1のフィルムまたは樹脂層12を設ける。第1のフィルムまたは樹脂層12は複数の薄膜集積回路を有する層11の保護を目的としたものである。
【0041】
次に、第1のフィルムまたは樹脂層12を覆うように第2のフィルム13を設ける。第2のフィルム13は、塩化ビニル樹脂、シリコン樹脂、ポリオレフィン樹脂等からなり、引っ張ると、延伸する性質を有する。そのため、第2のフィルム13は、エキスパンドフィルムとも呼ばれる。また、第2のフィルム13は、通常の状態ではその接着力が強く、光を照射するとその接着力が弱くなる性質を有することが好ましく、具体的には、紫外光を照射するとその接着力が弱くなるUVテープを用いるとよい。
【0042】
次に、研削手段14により、基板10の一表面と反対の表面を研削する(図1(B)参照)。この研削工程により、基板10はおおよそ薄膜化される。好適には、基板10の厚さが100μm以下となるまで研削する。一般的に、この研削工程では、基板10が固定された治具と研削手段14の一方又は両方を回転させることで、基板10の表面を研削する。研削手段14とは、例えば、砥石に相当する。
【0043】
次に、研磨手段16により、研削した基板10の表面を研磨する(図1(C)参照)。この研磨工程により、研削加工後の基板10の凹凸は消え、基板10はさらに薄膜化される。好適には、基板10の厚さが1μm以上20μm以下、さらに好適には1μm以上5μm以下となるまで研磨する。この研磨工程も上記の研削工程と同様に、基板10が固定された治具と研磨手段16の一方又は両方を回転させることで、基板10の表面を研磨する。研磨手段16とは、例えば、研磨布に相当する。また、研磨布とともに遊離砥粒15を用いてもよい。本実施の形態において用いる遊離砥粒は、約1μm程度のものを用いればよい。その後、図示しないが、研削、研磨工程により生じたごみを除去するために、必要に応じて洗浄を行う。
【0044】
続いて、切断手段17により基板10と第1の絶縁膜9と複数の薄膜集積回路を有する層11と第1のフィルムまたは樹脂層12とを切断する。複数の薄膜集積回路を有する層11は、複数の薄膜集積回路の各々が分離されるように、薄膜集積回路同士の境界線(薄膜集積回路の間)を切断される。また、複数の薄膜集積回路を有する層11に設けられた素子は切断せず、複数の薄膜集積回路を有する層11に設けられた絶縁膜を切断する。そのため、切断工程を経ると複数の薄膜集積回路18が形成される。
【0045】
そして、基板10と第1の絶縁膜9と薄膜集積回路18と第1のフィルムまたは樹脂層12とが積層された積層体としてICチップ19が複数形成される(図1(D)参照)。なお、切断手段17とは、ダイサー、レーザー、ワイヤソー等に相当する。また、この工程では、第2のフィルム13は切断しない。なお、切断に用いるレーザーは切断処理が可能なレーザーであれば、どのようなものを用いてもよい。
【0046】
次に、ICチップ19の間に隙間が形成されるように、第2のフィルム13を延伸させる(図2(A)参照)。この際、ICチップ19の間の隙間を均等にするために、面方向に均等に引っ張るとよい。続いて、第2のフィルム13に光を照射する。第2のフィルム13がUVテープの場合は紫外光を照射する。そうすると、第2のフィルム13の接着力が弱くなり、第2のフィルム13とICチップ19の間の密着性が小さくなる。そして、物理的手段により、ICチップ19を第2のフィルム13から分離することができる状態になる。
【0047】
なお、上記の工程では、第2のフィルム13を延伸させる工程の後に、第2のフィルム13に光を照射する工程を行っているが、本発明はこの順番に制約されない。第2のフィルム13に光を照射する工程の後に、第2のフィルム13を延伸させる工程を行ってもよい。
【0048】
続いての工程には2通りの方法があり、まず1つ目の方法について説明する。
【0049】
1つ目の方法では、まず第2のフィルム13からICチップ19を分離するために、ピックアップ手段21により、ICチップ19を取り出す。次に、ICチップ19の一方の面を第1の基体20に接着させるために、ピックアップ手段21により、ICチップ19を第1の基体20上に設置する(図2(B)参照)。
【0050】
続いて、ICチップ19の他方の面を第2の基体22に接着させる(図2(B)参照)。この工程は、ラミネート装置を用いて行うものであり、ラミネート装置は、第2の基体22が巻き付いた供給ロール24と、加熱手段と加圧手段の一方又は両方を有する可撓性を有するシート若しくはフィルム状の基部に、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を主成分として含む接着層が設けられた基体を巻いてあるロール23とを有する。そして、ロール23と、供給ロール24とが順次回転することで、ICチップ19に対して可撓性を有するシート若しくはフィルム状の基部に、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を主成分として含む接着層が設けられた基体により熱圧着及び封止処理を連続的に行う。具体的には、ロール23により、ICチップ19の他方の面を第2の基体22に接着させると共に、加熱処理又は加圧処理の一方又は両方を行って、ICチップ19を第1の基体20と第2の基体22により封止する。
【0051】
ここで、上記の熱圧着及び封止処理についてより詳しく説明する。ロール23と供給ロール24は、順次回転しており、供給ロール24は、ロール23に第2の基体22を供給する。また、複数のICチップ19が設けられた第1の基体20は、搬送手段27により順次搬送されている。熱圧着及び封止処理とは、ICチップ19が接着された第1の基体20が、ロール23と搬送手段27との間を通過する際、ロール23と搬送手段27により、ICチップ19と第1の基体20と第2の基体22に加圧処理と加熱処理の一方又は両方が行われる処理に相当する。熱圧着及び封止処理が行われると、ICチップ19は、第1の基体20と第2の基体22により封止される。なお、搬送手段27は、ベルトコンベア、複数のローラー又はロボットアーム等に相当する。また、ロール23と搬送手段27により加熱処理が行われる場合、ロール23は、電熱線のヒータ又はオイル等に相当する加熱手段を有している。
【0052】
続いて、切断手段26により、第1の基体20と第2の基体22を切断する(図2(C)参照)。そうすると、第1の基体20と第2の基体22により封止されたICチップ19が完成する。
【0053】
次に、2つ目の方法について説明する。
【0054】
まず、ICチップ19の一方の面を覆うように、第1の基体20を設ける(図3(A)参照)。次に、加熱手段25により、第1の基体20を加熱することにより、ICチップ19の一方の面を第1の基体20に接着させる。続いて、第2のフィルム13からICチップ19を分離するために、ICチップ19が接着した第1の基体20と第2のフィルム13とを分離する(図3(B)参照)。
【0055】
次に、ICチップ19の他方の面を、第2の基体22に接着させて、ICチップ19を第1の基体20と第2の基体22により封止する(図3(C)参照)。続いて、第1の基体20と第2の基体22を切断する。この工程は、上記の1つ目の方法と同様な切断手段(図示せず)を用いる。
【0056】
なお、上記の2つ目の方法では、第2のフィルム13に光を照射してから、ICチップ19の一方の面を覆うように、第1の基体20を設けている(図3(A)参照)。しかしながら、本発明はこの順番に制約されず、ICチップ19の一方の面を覆うように、第1の基体20を設け、第1の基体20を加熱した後に、第2のフィルム13に光を照射してもよい。
【0057】
また、上記の工程では、基板10の研削工程(図1(B)参照)と研磨工程(図1(C)参照)が終了した後に、基板10の切断工程(図1(D)参照)を行っているが、本発明はこの順番に制約されない。すなわち、基板10の切断工程を行った後に、基板10の研削工程と研磨工程を行ってもよい。
【0058】
上記工程を経て完成するICチップ19の厚さは薄く、軽量であることを特徴とする。また、薄いために、ICチップ19を物品に実装してもデザイン性を低下させるないことを特徴とする。
【0059】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について図4〜図6を参照して説明する。
【0060】
まず基板30の一表面に、絶縁膜32を形成し、絶縁膜32上に複数の薄膜集積回路を有する層31を形成する(図4(A)参照)。なお、基板30はシリコンウエハ、例えば多結晶シリコン基板、単結晶基板に相当する。また、複数の薄膜集積回路を有する層31は、少なくとも複数の絶縁膜と、複数の素子を構成する半導体層や導電層とを含む。
【0061】
次に、複数の薄膜集積回路を有する層31を覆うようにフィルム33を設ける。フィルム33は、塩化ビニル樹脂、シリコン樹脂、ポリオレフィン樹脂等からなり、引っ張ると、延伸する性質を有するものを用いる。そのため、フィルム33は、エキスパンドフィルムとも呼ばれる。また、フィルム33は、通常の状態ではその接着力が強く、光を照射するとその接着力が弱くなる性質を有するものが好ましく、具体的には、紫外光を照射するとその接着力が弱くなるUVテープを用いるとよい。なお、本形態では上記の実施の形態1とは異なり、保護用フィルムや樹脂層は形成しない。
【0062】
次に、研削手段14により、基板30の絶縁膜32が形成された一表面と反対の表面を研削する(図4(B)参照)。好適には、基板30の厚さが100μm以下となるまで研削する。
【0063】
次に、研磨布等の研磨手段16により、研削した基板30の表面を研磨する(図4(C)参照)。また、この工程において遊離砥粒15を用いてもよい。本実施の形態において用いる遊離砥粒は、約1μm程度のものを用いればよい。好適には、基板30の厚さが1μm以上20μm以下、さらに好適には1μm以上5μm以下となるまで研磨する。
【0064】
次に、切断手段17により基板30と絶縁膜32と複数の薄膜集積回路を有する層31とを切断する。複数の薄膜集積回路を有する層31は、複数の薄膜集積回路の各々が分離されるように、それぞれの薄膜集積回路の境界線を切断される。また、複数の薄膜集積回路を有する層31に設けられた素子は切断せず、複数の薄膜集積回路を有する層31に設けられた絶縁膜を切断する。その結果、切断工程の後では複数の薄膜集積回路38が形成される。つまり、基板30と絶縁膜32と薄膜集積回路38とフィルム33とが積層されたICチップ39が複数形成される(図4(D)参照)。なお、この工程ではフィルム33は切断しない。
【0065】
次に、ICチップ39の間に隙間が形成されるように、フィルム33を延伸させる(図5(A)参照)。この際、ICチップ39の間の隙間を均等にするために、面方向に均等に引っ張るとよい。
【0066】
以下の工程は3通りの方法があり、まず一つ目の方法として、フィルム33が接着テープの場合について説明する。この場合、まず切断手段17により、ICチップ39が分離されるように、フィルム33を切断する(図5(B)参照)。
【0067】
続いて、ピックアップ手段21により、フィルム33が接着した状態のICチップ39をピックアップする。続いて、ピックアップ手段21を移動させて、フィルム33が接着したICチップ39を第1のテープ40の凹部に設置する(図5(C)参照)。
【0068】
次に、第1のテープ40に接するように第2のテープ41を設ける(図5(D)参照)。ICチップ39を使用するときは、第1のテープ40から第2のテープ41を剥がして、ICチップ39を取り出して使用する。
【0069】
二つ目の方法として、フィルム33がUVテープの場合について説明する。この場合、フィルム33を延伸させた後、当該フィルム33をロール状にしたり、シート状にしたりしてそのまま出荷することができる(図6(A)参照)。
【0070】
そして、ICチップ39を使用するときは、フィルム33に選択的に紫外光を照射する。そうすると、フィルム33とICチップ39の間の密着性が小さくなり、物理的手段により、ICチップ39をフィルム33から分離することができる状態になる。次に、ピックアップ手段等の分離手段により、フィルム33からICチップ39を完全に分離して使用する。
【0071】
最後に、ICチップのピックアップ以降の工程をテープ梱包しない場合について示す。この方法では、ICチップをピックアップした後、トレイ42の上にマス目状に再配置する(図6(B)参照)。そして、ICチップを使用するときは、トレイ42から取り出して使用すればよい。
【0072】
なお、上記の工程では、基板30の研削工程(図4(B)参照)と研磨工程(図4(C)参照)が終了した後、基板30の切断工程(図4(D)参照)を行っているが、本発明はこの順番に制約されない。基板30の切断工程を行った後に、基板30の研削工程と研磨工程を行ってもよい。
【0073】
上記工程を経て完成するICチップ39の厚さは薄く、軽量であることを特徴とする。さらにICチップ39は薄いため、物品に実装してもデザイン性を低下させることがないことを特徴とする。
【0074】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3について図7〜図9を参照して説明する。本実施の形態では、上記の実施の形態1の工程において、フレーム(キャリア治具)を用いたときの動作について説明する。
【0075】
まず上述したように、基板10上に絶縁膜9を形成し、絶縁膜9上に複数の薄膜集積回路を有する層11を形成する。次に、複数の薄膜集積回路を有する層11を覆うように第1のフィルムまたは樹脂層12を貼る。続いて、第1のフィルムまたは樹脂層12を覆うように第2のフィルム13を貼る。この工程は、フレーム51に貼られた第2のフィルム13上に、第1のフィルムまたは樹脂層12と複数の薄膜集積回路を有する層11と、基板10との積層体52を設置することにより行う(図7(A)の断面図と図7(B)の斜視図参照)。
【0076】
次に、第2のフィルム13の一表面に接するようにポーラスチャック53を設置する(図8(A)参照)。ポーラスチャック53とは、多孔質真空チャック機構のことである。
【0077】
続いて、フレーム51の一表面よりも、基板10の一表面の方が高くなるように、ポーラスチャック53を加工する。そして、ポーラスチャック53が加工された状態を維持し、基板10を固定する(図8(B)参照)。
【0078】
その後、研削手段14により、基板10を研削する。続いて、研磨布等の研磨手段16により、基板10を研磨する。なおここでも遊離砥粒15等も用いてもよい(図8(C)参照)。なお、本実施の形態において用いる遊離砥粒は、約1μm程度のものを用いればよい。
【0079】
ここで次の工程に移る際、研削、研磨工程により基板10の厚さが薄くなっているため、基板10がたわまないように搬送する必要がある。そこで、基板10と重なるようにアーム54を設置し、アーム54とフレーム51とを一緒に搬送する(図9参照)。
【0080】
その後の工程は、フレーム51から積層体52を剥がした後に行ってもよいし、フレーム51上に積層体52を設置した状態で行ってもよい。
【0081】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4について図1、図2及び図10〜図13、図19〜図20を参照して説明する。本実施の形態では、絶縁表面を有する基板10の一表面に形成する、複数の薄膜集積回路を有する層11の構成(アンテナを内蔵したICチップの構成)について、図面を参照して説明する。
【0082】
基板10上に下地膜となる第1の絶縁膜9を形成する(図19(A)参照)。第1の絶縁膜9は、窒化酸化珪素と酸化窒化珪素の積層膜、酸化窒化珪素と窒化酸化珪素と酸化窒化珪素の積層膜、又は、酸化珪素と窒化酸化珪素と酸化窒化珪素の積層膜などからなる。
【0083】
次に第1の絶縁膜9上に、複数の素子を形成する。ここで複数の素子とは、例えば薄膜トランジスタ、容量素子、抵抗素子、ダイオード等から複数選択された素子に相当する。ここで、素子の作製方法について説明する。まず、第1の絶縁膜9上に、非晶質半導体膜704(例えば、非晶質珪素を主成分とする膜)を形成する(図19(B)参照)。非晶質半導体膜704は、スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等により、25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで形成する。続いて、非晶質半導体膜704をレーザー結晶化法、RTAまたはファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とレーザー結晶化法を組み合わせた方法等により結晶化して、結晶質半導体膜を形成する。その後、得られた結晶質半導体膜を所望の形状にエッチングして、結晶質半導体膜706〜709を形成する(図19(C))。なお、第1の絶縁膜9及び非晶質半導体膜704は、大気に曝さずに連続して形成することもできる。
【0084】
結晶質半導体膜706〜709の作製工程の一例を以下に簡単に説明する。非晶質半導体膜を結晶化する方法としては、レーザー結晶化法、RTAまたはファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とレーザー結晶化法とを組み合わせた方法等が挙げられる。また、他の結晶化の方法として、DCバイアスを印加して熱プラズマを発生させ、当該熱プラズマを半導体膜に作用させることにより結晶化を行ってもよい。
【0085】
本実施の形態では、プラズマCVD法を用いて、膜厚40〜300nmの非晶質半導体膜を形成し、加熱処理により結晶化された結晶質半導体膜706〜709を形成する。加熱処理としては、レーザー加熱炉、レーザー照射、若しくはレーザー光の代わりにランプから発する光の照射(以下、ランプアニールと表記する)、又はこれらを組み合わせて用いることができる。
【0086】
レーザー照射を用いる場合、連続発振型のレーザービーム(CWレーザービーム)やパルス発振型のレーザービーム(パルスレーザービーム)を用いることができる。使用可能なレーザービームとしては、Arレーザー、Krレーザー、エキシマレーザーなどの気体レーザー、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO、もしくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種もしくは複数種添加されているものを媒質とするレーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Ti:サファイアレーザー、銅蒸気レーザー、金蒸気レーザーのうち、一種または複数種から発振されるものを用いることができる。このようなレーザービームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4高調波のレーザービームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVOレーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このときレーザーのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm程度(好ましくは0.1〜10MW/cm)が必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度として照射する。
【0087】
なお、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザー、Arイオンレーザー、Ti:サファイアレーザーは、それぞれ連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザービームを発振させると、半導体膜がレーザーによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザーを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。
【0088】
媒質としてセラミック(多結晶)を用いると、短時間かつ低コストで自由な形状に媒質を形成することが可能である。単結晶を用いる場合、通常、直径数mm、長さ数十mmの円柱状の媒質が用いられているが、セラミックを用いる場合はさらに大きいものを作ることが可能である。
【0089】
発光に直接寄与する媒質中のNd、Ybなどのドーパントの濃度は、単結晶中でも多結晶中でも大きく変えることは困難なため、ドーパントの濃度を増加させることによるレーザーの出力向上にはある程度限界がある。しかしながら、セラミックの場合、単結晶と比較して媒質の大きさを著しく大きくすることができるため大幅な出力向上が期待できる。
【0090】
さらに、セラミックの場合では、平行六面体形状や直方体形状の媒質を容易に形成することが可能である。このような形状の媒質を用いて、発振光を媒質の内部でジグザグに進行させると、発振光路を長くとることができる。そのため、増幅が大きくなり、大出力で発振させることが可能になる。また、このような形状の媒質から射出されるレーザービームは射出時の断面形状が四角形状であるため、丸状のビームと比較すると、線状ビームに整形するのに有利である。このように射出されたレーザービームを、光学系を用いて整形することによって、短辺の長さ1mm以下、長辺の長さ数mm〜数mの線状ビームを容易に得ることが可能となる。また、励起光を媒質に均一に照射することにより、線状ビームは長辺方向にエネルギー分布の均一なものとなる。
【0091】
この線状ビームを半導体膜に照射することによって、半導体膜の全面をより均一にアニールすることが可能になる。線状ビームの両端まで均一なアニールが必要な場合は、その両端にスリットを配置し、エネルギーの減衰部を遮光するなどの工夫をすればよい。
【0092】
このようにして得られた強度が均一な線状ビームを用いて半導体膜をアニールし、この半導体膜を用いて半導体装置を作製すると、その半導体装置の特性を、良好かつ均一なものとすることができる。
【0093】
結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法として、具体的な方法の一例を挙げる。結晶化を助長する金属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体膜上に保持させた後、非晶質半導体膜に脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、4時間)を行って結晶質半導体膜を形成する。その後、必要に応じてレーザー光を照射し、結晶質半導体膜706〜709を形成すればよい。
【0094】
結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法は、低温且つ短時間で非晶質半導体膜の結晶化が可能となるうえ、結晶の方向が揃うという利点がある一方、金属元素が結晶質半導体膜に残存するためにオフ電流が上昇し、特性が安定しないという欠点がある。そこで、結晶質半導体膜上に、ゲッタリングサイトとして機能する非晶質半導体膜を形成するとよい。ゲッタリングサイトとなる非晶質半導体膜には、リンやアルゴンの不純物元素を含有させる必要があるため、好適には、アルゴンを高濃度に含有させることが可能なスパッタ法で形成するとよい。その後、加熱処理(RTA法やファーネスアニール炉を用いた熱アニール等)を行って、非晶質半導体膜中に金属元素を拡散させ、続いて、当該金属元素を含む非晶質半導体膜を除去する。このようなゲッタリングプロセスを行うことにより、結晶質半導体膜中の金属元素の含有量を低減または除去することができる。
【0095】
次に、結晶質半導体膜706〜709を覆うゲート絶縁膜705を形成する。ゲート絶縁膜705は、プラズマCVD法やスパッタ法により、珪素の酸化物または珪素の窒化物を含む膜を、単層または積層して形成する。具体的には、酸化珪素を含む膜、酸化窒化珪素を含む膜、窒化酸化珪素を含む膜を、単層構造として形成するか、当該これらの膜を適宜積層して形成する。また、結晶質半導体膜706〜709に対して、酸素、窒素、または酸素及び窒素を含む雰囲気中で、上述した高密度プラズマ処理を行うことにより、結晶質半導体膜706〜709の表面を酸化または窒化して、ゲート絶縁膜を形成してもよい。高密度プラズマ処理により形成されたゲート絶縁膜は、CVD法やスパッタ法等により形成された膜と比較して膜厚や膜質などの均一性に優れ、且つ緻密な膜を形成することができる。酸素を含む雰囲気としては、酸素(O)もしくは一酸化二窒素(NO)と、希ガスとの混合ガス、または、酸素(O)もしくは一酸化二窒素(NO)と、希ガスと、水素(H)との混合ガスを用いることができる。また、窒素を含む雰囲気としては、窒素(N)もしくはアンモニア(NH)と、希ガスとの混合ガス、または、窒素(N)もしくはアンモニア(NH)と、希ガスと、水素(H)との混合ガスを用いることができる。
【0096】
次に、ゲート絶縁膜705上に、第1の導電層と第2の導電層とを積層して形成する。第1の導電層は、プラズマCVD法やスパッタリング法により、20〜100nmの厚さで形成する。第2の導電層は、100〜400nmの厚さで形成する。第1の導電層と第2の導電層は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された元素またはこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成する。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素に代表される半導体材料により形成することもできる。第1の導電層と第2の導電層の組み合わせの例としては、窒化タンタル(TaN)膜とタングステン(W)膜、窒化タングステン(WN)膜とタングステン膜、窒化モリブデン(MoN)膜とモリブデン(Mo)膜等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、第1の導電層と第2の導電層を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、第1の導電層と第2の導電層による2層構造ではなく、単層構造としてもよいし、3層構造とすることもできる。3層構造にする場合は、基板側から順にモリブデン膜、アルミニウム膜、モリブデン膜を積層した構造、またはチタン膜、アルミニウム膜、チタン膜を順に積層した構造を採用することが好ましい。
【0097】
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスクを形成し、ゲート電極とゲート線を形成するためのエッチング処理を行って、ゲート電極として機能する導電層716〜719、721〜724(以下、ゲート電極ともよぶ。)を形成する。
【0098】
次に、フォトリソグラフィ法により、レジストからなるマスクを形成した後、結晶質半導体膜706、708に、イオンドープ法またはイオン注入法により、N型を付与する不純物元素を低濃度に添加する。このようにして、N型不純物領域711、713及びチャネル形成領域780、782が形成される。N型を付与する不純物元素は、15族に属する元素を用いればよく、例えばリン(P)、砒素(As)を用いる。
【0099】
次に、フォトリソグラフィ法によりレジストからなるマスクを形成して、結晶質半導体膜707及び709に、P型を付与する不純物元素を添加して、P型不純物領域712及び714とチャネル形成領域781及び783を形成する。P型を付与する不純物元素は、例えばボロン(B)を用いる。なお、N型不純物領域711、713及びP型不純物領域712、714を形成する順番は、本実施の形態のようにN型不純物領域711、713を形成した後にP型不純物領域712、714を形成してもよいし、P型不純物領域712、714を形成した後にN型不純物領域711、713を形成してもよい。
【0100】
次に、ゲート絶縁膜705と導電層716〜719、721〜724を覆うように、絶縁膜を形成する。絶縁膜は、プラズマCVD法やスパッタ法により、珪素、珪素の酸化物、または珪素の窒化物など無機材料からなる膜や、有機樹脂などの有機材料からなる膜を、単層または積層して形成する。次に、絶縁膜を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、導電層716〜719、721〜724の側面に接する絶縁膜(サイドウォールともよばれる)739〜742を形成する(図20(A))。また、絶縁膜739〜742の作製と同時に、ゲート絶縁膜705がエッチングされて形成された絶縁膜734〜737を形成する。絶縁膜739〜742は、後にLDD(Lightly Doped drain)領域を形成する際のドーピング用のマスクとして用いる。
【0101】
次に、フォトリソグラフィ法により形成したレジストからなるマスクと、絶縁膜739〜742をマスクとして用いて、結晶質半導体膜706、708にN型を付与する不純物元素を添加して、第1のN型不純物領域(LDD領域ともよぶ)727、729と、第2のN型不純物領域726、728とを形成する。第1のN型不純物領域727、729が含む不純物元素の濃度は、第2のN型不純物領域726、728の不純物元素の濃度よりも低い。上記工程を経て、N型の薄膜トランジスタ62、64と、P型の薄膜トランジスタ63、65が完成する。
【0102】
なお、LDD領域を形成するためには、ゲート電極を2層以上の積層構造として、当該ゲート電極に異方性エッチング等のエッチングを行って、当該ゲート電極を構成する下層の導電層をマスクとして用いる手法と、サイドウォールの絶縁膜をマスクとして用いる手法がある。前者の手法を採用して形成された薄膜トランジスタは、ゲート絶縁膜を介してLDD領域をゲート電極と重ねて配置させた構造となっているが、この構造は、ゲート電極の異方性エッチング等のエッチングを利用するために、LDD領域の幅を制御することが難しく、エッチング工程が良好に行われなければ、LDD領域を形成することが出来ない場合がある。一方、後者のサイドウォールの絶縁膜をマスクとして用いる手法は、前者の手法と比較すると、LDD領域の幅の制御が容易であり、また、LDD領域を確実に形成することができる。
【0103】
なお、露出されたN型不純物領域726、728及びP型不純物領域785、730の表面に形成された自然酸化膜を除去した後、金属膜を用いてシリサイド領域をそれぞれ適宜形成してもよい。金属膜としては、ニッケル膜、チタン膜、コバルト膜、白金膜、もしくはこれら元素のうち少なくとも2種類を含む合金でなる膜等を使用することができる。より具体的には、金属膜として例えばニッケル膜を用い、室温の下、成膜電力500W〜1kWでニッケル膜をスパッタ法により成膜した後、加熱処理によってシリサイド領域を形成する。加熱処理はRTAやファーネスアニール等を用いることができる。このとき、金属膜の膜厚、加熱温度、加熱時間を制御することにより、N型不純物領域726、728及びP型不純物領域785、730の表面のみをシリサイド領域にすることもできるし、全面をシリサイド領域とすることもできる。最後に、未反応のニッケルを除去する。例えば、HCl:HNO:HO=3:2:1からなるエッチング溶液を用いて未反応のニッケルを除去する。
【0104】
なお、本実施の形態では、薄膜トランジスタ62〜65をトップゲート型とした例を説明したが、それぞれボトムゲート型の薄膜トランジスタとしてもよいことはいうまでもない。また、薄膜トランジスタ62〜65のチャネル形成領域が、各々一つ形成されるシングルゲート構造について説明したが、チャネル形成領域が二つ形成されるダブルゲート構造または三つ形成されるトリプルゲート構造であってもよい。あるいは、チャネル形成領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極を有するデュアルゲート型やその他の構造としてもよい。
【0105】
また、薄膜トランジスタ62〜65を構成する半導体膜の構造は、それぞれ本実施の形態で説明した構成以外のものとしてもよく、例えば不純物領域(ソース領域、ドレイン領域、LDD領域を含む)をそれぞれ形成してもよいし、Pチャネル型、Nチャネル型またはCMOS回路を形成してもよい。また、半導体膜の上方または下方に設けられるゲート電極の側面と接するように絶縁膜(サイドウォール)を形成してもよい。
【0106】
上記工程を経て、N型の薄膜トランジスタ62、64と、P型の薄膜トランジスタ63、65を完成させた後、半導体膜の結晶性の回復や半導体膜に添加された不純物元素の活性化を目的とする加熱処理を行ってもよい。また、好ましくは加熱処理を行った後、露出されているゲート絶縁膜705に対して水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことにより、当該ゲート絶縁膜705の表面に水素を含有させるようにしてもよい。これは、後の半導体膜の水素化の工程を行う際に、この水素を利用することができるためである。または、基板に対して350〜450℃の加熱をしながら水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことで、半導体膜の水素化を行うことができる。なお、水素を含む雰囲気としては、水素(H)またはアンモニア(NH)と、希ガス(例えば、アルゴン(Ar))とを混合したガスを用いることができる。水素を含む雰囲気として、アンモニア(NH)と希ガス(例えば、アルゴン(Ar))との混合ガスを用いた場合、ゲート絶縁膜705表面の水素化と同時に表面を窒化することもできる。
【0107】
次に、薄膜トランジスタ62〜65を覆うように、絶縁膜を単層または積層して形成する。薄膜トランジスタ62〜65を覆う絶縁膜は、SOG法、液滴吐出法等により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ、シロキサン等の有機材料等により、単層または積層で形成する。本明細書においてシロキサンとは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。また、置換基として、フルオロ基を用いてもよいし、少なくとも水素を含む有機基及びフルオロ基を用いてもよい。なお、本明細書では薄膜トランジスタ62〜65を覆う絶縁膜が単層構造の第2の絶縁膜66を用い、窒化珪素膜または酸素を含む窒化珪素膜を用いて形成する(図20(B)参照)。このとき、好ましくは窒化珪素膜または酸素を含む窒化珪素膜に対して水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことにより、当該窒化珪素膜または当該酸素を含む窒化珪素膜の表面に水素を含有させるようにする。これは、後の半導体膜の水素化の工程を行う際に、この水素を利用することができるためである。または、基板に対して350〜450℃の加熱をしながら水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことで、半導体膜の水素化を行うことができる。なお、水素を含む雰囲気としては、水素(H)またはアンモニア(NH)と、希ガス(例えば、アルゴン(Ar))とを混合したガスを用いることができる。水素を含む雰囲気として、アンモニア(NH)と希ガス(例えば、アルゴン(Ar))との混合ガスを用いた場合、ゲート絶縁膜705表面の水素化と同時に表面を窒化することもできる。
【0108】
なお、第2の絶縁膜66を形成する前に、半導体膜の結晶性の回復や半導体膜に添加された不純物元素の活性化、半導体膜の水素化を目的とした加熱処理を行うとよい。加熱処理には、熱アニール、レーザーニール法、またはRTA法などを適用するとよい。例えば、不純物元素の活性化を目的とする場合、500℃以上の熱アニールを行えばよい。また、半導体膜の水素化を目的とする場合、350〜450℃の熱アニールを行えばよい。
【0109】
次に、フォトリソグラフィ法により第2の絶縁膜66をエッチングして、N型不純物領域726、728及びP型不純物領域785、730を露出させるコンタクトホールを形成する。続いて、コンタクトホールを充填するように、導電層を形成し、当該導電層をパターン加工して、ソースまたはドレイン配線として機能する導電層71〜76を形成する。
【0110】
導電層71〜76は、プラズマCVD法やスパッタリング法により、アルミニウム(Al)を主成分とする導電層を用いて形成する。アルミニウムを主成分とする導電層とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、または、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方または両方を含む合金材料に相当する。アルミニウムを主成分とする導電層は、一般に耐熱性に難点があるため、アルミニウムを主成分とする導電層の上下をバリア膜で挟み込む構成とすることが好ましい。バリア膜とは、アルミニウムを主成分とする導電層のヒロック抑制や、耐熱性を高める機能を有するものを指し、このような機能を有する材料としては、クロム、タンタル、タングステン、モリブデン、チタン、シリコン、ニッケルまたはこれらの窒化物からなるものが挙げられる。導電層71〜76の構造の一例として、基板側から順にチタン膜、アルミニウム膜、チタン膜を順に積層する構造が挙げられる。チタン膜は、還元性の高い元素であるため、結晶質半導体膜上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体膜と良好なコンタクトをとることができる。また、結晶質半導体膜とアルミニウム膜との間に形成されるチタン膜に対して、窒素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行い、表面を窒化することが好ましい。高密度プラズマ処理の条件として、プラズマの電子密度は1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度は0.5eV以上1.5eV以下である。また、窒素を含む雰囲気としては、NもしくはNHと、希ガスとの混合ガス、または、NもしくはNHと、希ガスと、Hとの混合ガスを用いればよい。チタン膜の表面を窒化することにより、後の加熱処理の工程などでチタンとアルミニウムが合金化することを防ぎ、チタン膜を突き破って結晶質半導体膜中にアルミニウムが拡散することを防止することができる。なお、ここではアルミニウム膜をチタン膜で挟み込む例について説明したが、チタン膜に変えてクロム膜、タングステン膜などを用いた場合にも同じことが言える。さらに好ましくは、マルチチャンバー装置を用いて、チタン膜の成膜、チタン膜表面の窒化処理、アルミニウム膜の成膜、チタン膜の成膜を大気に曝すことなく連続して行う。
【0111】
次に、導電層71〜76を覆うように、第3の絶縁膜67を形成する(図20(C))。第3の絶縁膜67は、SOG法、液滴吐出法等を用いて、無機材料または有機材料により、単層または積層で形成する。本実施の形態では、第3の絶縁膜67を0.75μm以上3μm以下の厚さに形成する。
【0112】
次に、フォトリソグラフィ法により第3の絶縁膜67をエッチングして、導電層71〜76を露出させるコンタクトホールを形成する。続いて、第3の絶縁膜67上にコンタクトホールを充填するように導電層77〜80を形成する。導電層を形成する方法としては、CVD法、スパッタ法、メッキ法、または蒸着法により導電層を形成してもよく、導電層として、Au、Ag、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、Baのいずれか一またはこれらの合金もしくは化合物を用いることができる。また、導電性を持たせたSi、Ge等の化合物を用いることもできる。この導電層77〜80がアンテナとして機能する。
【0113】
以上の工程を経て、素子が完成される。
【0114】
次に、アンテナとして機能する導電層77〜80を覆うように、SOG法、液滴吐出法等により第4の絶縁膜68を形成する(図10)。以上の工程を経て薄膜集積回路を有する層11が形成される。
【0115】
次に、複数の薄膜集積回路を有する層11を覆うように第1のフィルムまたは樹脂層12を貼る。続いて、第1のフィルムまたは樹脂層12上に第2のフィルム13を貼る(図10、図1(A)参照)。次に、基板10を研削、研磨する(図11、図1(B)(C)参照)。
【0116】
続いて、切断手段17により、一表面に第1の絶縁膜9を形成した基板10と、複数の薄膜集積回路を有する層11と、第1のフィルムまたは樹脂層12とを切断して、開口部81を形成する(図11、図1(D)参照)。より詳しくは、基板10と、第1の絶縁膜9と、複数の薄膜集積回路を有する層11が有する絶縁膜66、67、68と、第1のフィルムまたは樹脂層12を切断して開口部81を形成する。このとき、複数の薄膜集積回路を有する層11が有する素子は切断しない。
【0117】
上記の切断工程を経ると、複数の薄膜集積回路18が形成される。また、一表面に第1の絶縁膜9が形成された基板10と薄膜集積回路18と第1のフィルムまたは樹脂層12が積層された積層体としてICチップ19が複数形成される。
【0118】
続いて行う工程は、上記の実施の形態1に示した通りであり、以下にその詳細を説明する。
【0119】
ICチップ19を複数形成した後、ICチップ19の間に隙間が形成されるように、第2のフィルム13を延伸させる(図12(A)、図2(A)参照)。続いて、ICチップ19の一方の面と第2のフィルム13との密着性を低減させるため、第2のフィルム13に光を照射する。次に、第2のフィルム13から、ICチップ19を分離し、ICチップ19の一方の面を第1の基体20に接着させる(図12(B)、図2(A)(B)参照)。続いて、ICチップ19の他方の面を第2の基体22に接着させる(図13、図2(B)(C)参照)。次に、第1の基体20と第2の基体22が密着した部分を、切断手段26により切断する。そうすると、第1の基体20と第2の基体22により封止されたICチップ19が完成する。
【0120】
(実施の形態5)
本実施の形態では、ICチップを完成させた後に別の基板上に形成したアンテナとICチップとを電気的に接続する半導体装置の構成について説明する。
【0121】
図14(A)に、本実施の形態におけるの半導体装置の作製工程における断面図を示す。図14(A)では一表面に第1の絶縁膜9が形成された基板10上に、Nチャネル型の薄膜トランジスタ62、Pチャネル型薄膜トランジスタ63及び導電層71〜73が設けられ、配線を覆うように第3の絶縁膜67が形成され、絶縁膜67に形成されたコンタクトホールを介してNチャネル型の薄膜トランジスタ62に電気的に接続された配線90が設けられている。ここまでの工程は、配線90を形成する点以外は図10に示す絶縁膜67にコンタクトホールを形成するまでの工程と同様であるため、説明を省略する。
【0122】
次に、接着剤93をNチャネル型の薄膜トランジスタ62に電気的に接続された配線90を覆うように絶縁膜67上に塗布し、接着剤93によってカバー材92を絶縁膜67に貼り合わす(図14(B)参照)。
【0123】
カバー材92には、アンテナ91が予め形成されている。そして本実施の形態では、接着剤93に異方導電性樹脂を用いることで、アンテナ91と配線90とが電気的に接続されている。
【0124】
異方導電性樹脂は、樹脂中に導電材料を分散させた材料である。樹脂として、例えばエポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの熱硬化性を有するもの、ポリエチレン系、ポリプロピレン系などの熱可塑性を有するもの、シロキサン系樹脂などを用いることができる。また導電材料として、例えばポリスチレン、エポキシなどのプラスチック製の粒子にNi、Auなどをめっきしたもの、Ni、Au、Ag、はんだなどの金属粒子、粒子状または繊維状のカーボン、繊維状のNiにAuをめっきしたものなどを用いることができる。導電材料のサイズは、アンテナ91と配線90のピッチに合わせて決めることが望ましい。
【0125】
またアンテナ91と配線90の間において、異方導電性樹脂に超音波を加えながら圧着させても良いし、紫外線の照射で硬化させながら圧着させても良い。
【0126】
なお本実施の形態では、異方導電性樹脂を用いた接着剤93でアンテナ91と配線90とを電気的に接続する例を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。接着剤93の代わりに、異方導電性フィルムを用い、該異方導電性フィルムを圧着することで、アンテナ91と配線90とを電気的に接続してもよい。
【実施例1】
【0127】
本発明により作製される薄膜集積回路は、複数の素子と、アンテナとして機能する導電層とを有するもの、あるいは複数の素子によって形成され、他のアンテナ媒体と接合する電極を有するものに相当する。ここで複数の素子とは、例えば薄膜トランジスタ、容量素子、抵抗素子、ダイオード等に相当する。
【0128】
ICチップ(半導体装置、RFタグ、無線タグ、電子タグ、無線プロセッサ、無線メモリ等)に含まれる薄膜集積回路210は非接触でデータを交信する機能を有しており、当該薄膜集積回路210は様々な回路を構成する複数の素子を含んでいる。例えば、薄膜集積回路210は電源回路211、クロック発生回路212、データ復調/変調回路213、制御回路214、インターフェイス回路215、メモリ216、データバス217を有している。また、アンテナ内蔵型のICチップ(RFタグ、無線タグ、電子タグ、無線プロセッサ、無線メモリ等)を構成する場合には、アンテナ(アンテナコイルともよぶ)218等も有している(図15参照)。
【0129】
電源回路211は、アンテナ218、もしくは外付けされたアンテナ91から入力された交流信号を基に、上記の各回路に供給する各種電源を生成する回路である。クロック発生回路212は、アンテナ218及びアンテナ91から入力された交流信号を基に、上記の各回路に供給する各種クロックを生成する回路である。データ復調/変調回路(復調回路と変調回路を含む回路)213は、リーダライタ219と交信するデータを復調/変調する機能を有する。制御回路214は、例えば、中央処理ユニット(CPU、Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ(MPU、MicroProcessor Unit)等に相当し、他の回路を制御する機能を有する。アンテナ218は、電磁波の送受信を行う機能を有する。リーダライタ219は、薄膜集積回路との交信、制御及びそのデータに関する処理を制御する。
【0130】
また、アンテナ218、もしくは外付けされたアンテナ91は、電磁波を交流の電気信号に変換する機能を有する。また、アンテナ218及びアンテナ91は、データ復調/変調回路213により、負荷変調が加えられる。アンテナ218及びアンテナ91が変化させた交流の電気信号は、電源回路211、クロック発生回路212、データ復調/変調回路213等に供給される。
【0131】
なお、薄膜集積回路が構成する回路は上記構成に制約されず、例えば、電源電圧のリミッタ回路や暗号処理専用ハードウエアといった他の構成要素を追加した構成であってもよい。
【0132】
なお本実施例は、上記の実施の形態1〜5と自由に組み合わせることができる。
【実施例2】
【0133】
本発明により作製される、薄膜集積回路を含むICチップ(RFタグ、無線タグ、電子タグ、無線プロセッサ、無線メモリ等)296の用途は広範にわたるが、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図16(A)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図16(B)参照)、記録媒体(DVDソフトやビデオテープ等、図16(C)参照)、乗物類(自転車等、図16(D)参照)、身の回り品(鞄や眼鏡等、図16(E)参照)、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に設けて使用することができる。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(単にテレビ、テレビ受像機、テレビジョン受像機とも呼ぶ)及び携帯電話等を指す。
【0134】
なお、薄膜集積回路、薄膜集積回路を含むICチップ(RFタグ、無線タグ、電子タグ、無線プロセッサ、無線メモリ等)は、物品の表面に貼ったり、物品に埋め込んだりして、物品に固定される。例えば、本なら紙に埋め込んだり、有機樹脂からなるパッケージなら当該有機樹脂に埋め込んだりして、本やパッケージに固定される。紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類等に薄膜集積回路、薄膜集積回路を含むICチップ(RFタグ、無線タグ、電子タグ、無線プロセッサ、無線メモリ等)を設けることにより、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に薄膜集積回路、薄膜集積回路を含むICチップ(RFタグ、無線タグ、電子タグ、無線プロセッサ、無線メモリ等)を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステム等の効率化を図ることができる。乗物類に薄膜集積回路、薄膜集積回路を含むICチップ(RFタグ、無線タグ、電子タグ、無線プロセッサ、無線メモリ等)を設けることにより、偽造や盗難を防止することができる。
【0135】
また、薄膜集積回路を含むICチップ(RFタグ、無線タグ、電子タグ、無線プロセッサ、無線メモリ等)を、物の管理や流通のシステムに応用することで、システムの高機能化を図ることができる。例えば、表示部294を含む携帯端末の側面にリーダライタ295を設けて、物品297の側面に薄膜集積回路を含むICチップ(RFタグ、無線タグ、電子タグ、無線プロセッサ、無線メモリ等)296を設ける場合が挙げられる(図17(A)参照)。この場合、リーダライタ295に薄膜集積回路を含むICチップ(RFタグ、無線タグ、電子タグ、無線プロセッサ、無線メモリ等)296をかざすと、表示部294に物品297の原材料や原産地、流通過程の履歴等の情報が表示されるシステムになっている。また、別の例として、ベルトコンベアの脇にリーダライタ295を設ける場合が挙げられる(図17(B)参照)。この場合、物品297の検品を簡単に行うことができる。
【0136】
なお本実施例は、上記の実施の形態1〜5、実施例1と自由に組み合わせることができる。
【実施例3】
【0137】
多くの場合において、ICチップは、第1のフィルムまたは樹脂層と第2のフィルムの間に薄膜集積回路のみが設けられている。一方、本発明は第1のフィルムまたは樹脂層と第2のフィルムの間に基板と薄膜集積回路が設けられていることを特徴とする。上記特徴により、有害な気体の侵入、水の侵入、不純物元素の侵入を抑制することができる。従って、薄膜集積回路の劣化や破壊を抑制し、信頼性を向上させたICチップを提供することができる。
【0138】
また、本発明のICチップに含まれる含む基板の厚さは、好適には50μm以下、より好適には1μm以上20μm以下、さらに好適には1μm以上5μm以下であることを特徴とする。研削工程と研磨工程を行って基板を上記のような厚さにすることにより、フレキシブル性をもたせたICチップを提供することができる。
【0139】
第1のフィルムまたは樹脂層12、第2のフィルム13、第1の基体20、第2の基体22、フィルム33、第1のテープ40、第2のテープ41の各々は、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニル、エチレンビニルアセテート、ウレタン、ポリエチレンテレフタラート等の材料や、繊維質の材料からなる紙等に相当する。このような、フィルム、基体及びテープの表面は、二酸化珪素(シリカ)や酸化アルミニウム(アルミナ)でコーティングされていてもよい。コーティングにより、高温で高湿度の環境下においても防水性を保つことができる。また、その表面や内側の接着剤との界面は、インジウム錫酸化物等の導電性材料によりコーティングされていてもよい。また、コーティングした材料が帯電を防止するため、薄膜集積回路を静電気から保護することができる。同様な効果をもたらす方法として前記フィルム材料にカーボンブラックや界面活性剤を練り込むことも有効である。また、その表面は、炭素を主成分とする薄膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)によりコーティングされていてもよい。このコーティングにより強度が増し、薄膜集積回路の破壊を抑制することができる。また、その表面には、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂系接着剤等の接着剤を塗布した接着面を有していてもよい。また、第1のフィルムまたは樹脂層12、第2のフィルム13、第1の基体20、第2の基体22、フィルム33、第1のテープ40、第2のテープ41の各々は、透光性を有していてもよい。なお、第1のフィルムまたは樹脂層12、第2のフィルム13及びフィルム33等のフィルムと、第1の基体20と第2の基体22等の基体、第1のテープ40や第2のテープ41等のテープの各々は、構成される材料が同じである。従って、基体やテープはフィルムに相当する。
【0140】
本発明は、研磨手段16により、研削した基板10の表面を研磨する工程を含む(図1(C)参照)。研磨後の基板10の厚さは、特に制約されないが、好適には50μm以下、より好適には1μm以上20μm以下、さらに好適には1μm以上5μm以下とする。なお、研磨後の基板10の厚さは、研磨後のICチップの強度、研磨工程に必要な時間、切断工程に必要な時間、ICチップの用途等を考慮して、適宜決めればよい。
【0141】
例えば、研磨工程の時間を短くすることにより生産性を向上させる場合は、研磨後の基板10の厚さは50μm程度にするとよい。また、ICチップを薄い物品に貼り付けたり、埋め込んだりする場合、研磨後の基板10の厚さは1μm以上20μm以下、さらに好適には1μm以上5μm以下とするとよい。また、切断工程に必要な時間を短くすることにより生産性を向上させる場合には、研磨後の基板10の厚さは、1μm以上20μm以下、さらに好適には1μm以上5μm以下とするとよい。
【0142】
本発明は、基板の一方の面上に、薄膜集積回路を形成する工程を含むが、薄膜集積回路の構成は、ICチップの用途によって異なる。例えば、電磁波を送受信する機能をもたせたICチップを形成する場合、薄膜集積回路として、複数の素子(薄膜トランジスタ、容量素子、抵抗素子等)と、アンテナとして機能する導電層を形成する。また、データを記憶する機能をもたせたICチップを形成する場合、薄膜集積回路として、記憶素子とその記憶素子を制御する複数の素子(薄膜トランジスタ、容量素子、抵抗素子等)を形成する。また、回路を制御する機能や信号を生成する機能等をもたせたICチップ(例えば、CPU、信号生成回路等)を形成する場合、薄膜集積回路として、複数の素子(薄膜トランジスタ、容量素子、抵抗素子等)を形成する。
【0143】
なお本実施例は、上記の実施の形態1〜5、実施例1及び実施例2と自由に組み合わせることができる。
【実施例4】
【0144】
本実施例では、流動体が充填された容器をメーカーから販売店等に配布する際の管理システムについて、図18を用いて説明する。
【0145】
図18に示す流動体が充填された容器の管理システムは、供給器501、及び流動体が充填された容器502を有する。供給器501には、容器から流動体を導入する導入管503、流動体を外部へ供給する供給口504、導入管から導入された流動体が供給口への移動を制御する第1のバルブ505、第1のバルブから供給口へ流動体の移動を制御する第2のバルブ506、ICチップに格納された情報を読み取るリーダライタ507、リーダライタから発信された信号により第1のバルブを制御する制御部508が設けられている。
【0146】
容器502には、上記実施の形態及び実施例で示すICチップ509が設けられている。ICチップ509には、容器502に充填された流動体の製造年月日、製造元、材料等の情報が格納されている。また、当該情報はメーカーの管理センター511で管理されている。なお、ICチップ509には、バッテリーを設けてもよい。バッテリーを設けることにより、ICチップが自発的にリーダライタに情報を送信することが可能である。また、ICチップ509は検出部を有してもよい。検出部で検知した流動体に関する情報を、リーダライタ及びインターフェイスを経て、メーカーの管理センターへ発信することが可能である。
【0147】
容器502としては、金属、プラスチック、セラミック等で構成される。
【0148】
容器502に充填された流動体の代表的としては、飲料水、温泉、生活用水等の液体、プロパンガス、天然ガス、水素ガス、酸素ガス、窒素ガス等の気体、ペースト、アイスクリーム、スープ等のゲル状の流動体があげられる。なお、プロパンガス、天然ガス、水素ガス、酸素ガス、窒素ガス等の気体を容器502に充填する場合、容器502としてはボンベを用いることが好ましい。
【0149】
容器502を供給器501に接続すると、供給器501のリーダライタ507が容器502のICチップ509に格納されている情報を読み取る。次に、インターフェイス512を介して、リーダライタが読み取った情報をメーカーの管理センター511へ発信する。なお、インターフェイス512は、ICチップ509に格納されている情報を外部に発信すると共に、管理センター511からの信号を受信するための端末側情報送受信手段であり、インターネットや電話回線等を用いることができる。
【0150】
インターフェイス512から発信された流動体の情報を、メーカーの管理センター511のサーバ513に送る。管理センターのサーバ513で、流動体の情報、具体的には、使用期限、賞味期限、製造元、材料を判断する。ICチップ509に検出部が設けられている場合、上記流動体の情報に加え、流動体の鮮度、温度等の様々な情報を受信することができる。ここで、容器の出荷リスト514や使用済み容器のリスト515を元に、流動体の使用期限、賞味期限や、製造元、供給器501と容器502の選択の整合性を判断し、流動体の供給の可否を判断する。なお、メーカーの管理センター511では、容器の出荷リスト514や使用済み容器のリスト515をサーバ513に格納している。
【0151】
次に、管理センター511から供給器501に、流動体の供給の可否の判断結果を送信する。供給器501のリーダライタ507で管理センターからの送信結果を受信する。流動体の供給を可とした場合、供給器の制御部508に信号が送られ、第1のバルブ505が開状態となる。店員により第2のバルブ506を開状態とすることで、供給口504から流動体を外部へ供給することができる。第1のバルブ505は自動制御できるものが好ましく、電磁弁で構成することができる。第2のバルブ506は手動制御又は自動制御できるものが好ましく、手動弁又は自動弁で構成することができる。なお、第2のバルブ506が自動制御できるものとしては、店員が操作するスイッチに接続された電磁弁で開閉を制御する。
【0152】
このようなシステムにより、メーカーが販売店での流動体の消費量を把握することができる。このため、流動体が充填された容器の発送管理を自動的に行うことが可能であり、販売店及びメーカーでの発受注文の工程が簡易化される。
【0153】
また、ICチップ509に格納された情報により、第1のバルブ505の開閉を制御するため、流動体の供給を自動的に制御することが可能となる。このため、使用期限や賞味期限が過ぎた流動体、保存状況が悪く変性した流動体等を購入者に提供することを防止することが可能である。
【0154】
また、ICチップ509に格納された情報により、容器502及び容器に充填された流動体が自社の製品かどうかを識別することが可能である。よって、他社の同類の流動体を自社の供給器に繋げて供給することを防止することが可能である。
【0155】
本発明を用いて作製したICチップを本実施例に用いることにより、有害な気体の侵入、水の侵入、不純物元素の侵入を抑制することができる。従って、薄膜集積回路の劣化や破壊を抑制し、信頼性を向上させたICチップを提供することができる。なお本実施例は、上記の実施の形態1〜5及び実施例1〜実施例3と自由に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明のICチップの作製方法を説明する図(実施の形態1)。
【図2】本発明のICチップの作製方法を説明する図(実施の形態1)。
【図3】本発明のICチップの作製方法を説明する図(実施の形態1)。
【図4】本発明のICチップの作製方法を説明する図(実施の形態2)。
【図5】本発明のICチップの作製方法を説明する図(実施の形態2)。
【図6】本発明のICチップの作製方法を説明する図(実施の形態2)。
【図7】本発明のICチップの作製方法を説明する図(実施の形態3)。
【図8】本発明のICチップの作製方法を説明する図(実施の形態3)。
【図9】本発明のICチップの作製方法を説明する図(実施の形態3)。
【図10】本発明のICチップの作製方法を説明する図(実施の形態4)。
【図11】本発明のICチップの作製方法を説明する図(実施の形態4)。
【図12】本発明のICチップの作製方法を説明する図(実施の形態4)。
【図13】本発明のICチップの作製方法を説明する図(実施の形態4)。
【図14】本発明のICチップの作製方法を説明する図(実施の形態5)。
【図15】ICチップの構成を説明する図(実施例1)。
【図16】ICチップの使用形態について説明する図(実施例2)。
【図17】ICチップの使用形態について説明する図(実施例2)。
【図18】本発明のICチップの応用例を説明する図(実施例4)。
【図19】本発明のICチップの作製方法を説明する図(実施の形態4)。
【図20】本発明のICチップの作製方法を説明する図(実施の形態4)。
【符号の説明】
【0157】
9 絶縁膜
10 基板
11 薄膜集積回路を有する層
12 第1のフィルムまたは樹脂層
13 第2のフィルム
14 研削手段
15 遊離砥粒
16 研磨手段
17 切断手段
18 薄膜集積回路
19 ICチップ
20 第1の基体
21 ピックアップ手段
22 第2の基体
23 ロール
24 供給ロール
25 加熱手段
26 切断手段
30 基板
31 薄膜集積回路を有する層
32 絶縁膜
33 フィルム
38 薄膜集積回路
39 ICチップ
40 第1のテープ
41 第2のテープ
51 フレーム
52 積層体
53 ポーラスチャック
54 アーム
62 薄膜トランジスタ
63 薄膜トランジスタ
64 薄膜トランジスタ
65 薄膜トランジスタ
66 絶縁膜
67 絶縁膜
68 絶縁膜
71 導電層
72 導電層
73 導電層
74 導電層
75 導電層
76 導電層
77 導電層
78 導電層
79 導電層
80 導電層
81 開口部
90 配線
91 アンテナ
210 薄膜集積回路
211 電源回路
212 クロック発生回路
213 データ復調/変調回路
214 制御回路
215 インターフェイス回路
216 メモリ
217 データバス
218 アンテナ
219 リーダライタ
294 表示部
295 リーダライタ
296 薄膜集積回路を含むICチップ
297 物品
501 供給器
502 容器
503 導入管
504 供給口
505 バルブ
506 バルブ
507 リーダライタ
508 制御部
509 ICチップ
511 管理センター
512 インターフェイス
513 サーバ
514 出荷リスト
515 リスト
704 非晶質半導体膜
705 絶縁膜
706 半導体膜
707 半導体膜
708 半導体膜
709 半導体膜
711 N型不純物領域
712 P型不純物領域
716 導電層
726 N型不純物領域
727 N型不純物領域
734 絶縁膜
739 絶縁膜
780 チャネル形成領域
781 チャネル形成領域
785 P型不純物領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板の一表面上に第1の絶縁膜を形成し、
前記第1の絶縁膜上に薄膜集積回路を有する層を形成し、
前記薄膜集積回路を有する層を覆うようにフィルムを形成し、
前記シリコン基板の前記薄膜集積回路を有する層を形成した一表面の裏面を研削し、
前記シリコン基板の研削した面を研磨することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項2】
シリコン基板の一表面上に第1の絶縁膜を形成し、
前記第1の絶縁膜上に少なくとも2つの薄膜集積回路を有する層を形成し、
前記薄膜集積回路を有する層を覆うように樹脂層を形成し、
前記樹脂層を覆うようにフィルムを形成し、
前記シリコン基板の前記薄膜集積回路を有する層を形成した一表面の裏面を研削し、
前記シリコン基板の研削した面を研磨し、
前記フィルムは切断しないように前記シリコン基板と前記第1の絶縁膜と前記薄膜集積回路を有する層と前記樹脂層とを切断して、前記シリコン基板と前記第1の絶縁膜と前記薄膜集積回路を有する層と前記樹脂層とが積層された積層体を少なくとも2つ形成し、
前記積層体の間に隙間が形成されるように前記フィルムを延伸させ、
前記フィルムから前記積層体を分離し、
前記積層体の一方の面を第1の基体に接着させ、
前記積層体の他方の面を第2の基体に接着させることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記フィルムから前記積層体を分離する工程において、
前記フィルムに光を照射し、ピックアップ手段を用いて前記フィルム上の前記積層体を取り出し、前記積層体の一方の面を前記第1の基体に接着させるために前記ピックアップ手段を用いて前記積層体を前記第1の基体上に設けることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、前記フィルムから前記積層体を分離させ、前記積層体の一方の面を前記第1の基体に接着させる工程において、
前記フィルムに光を照射し、前記積層体の一方の面を覆うように前記第1の基体を設け、前記第1の基体を加熱することにより前記積層体の一方の面を前記第1の基体に接着させ、前記積層体が接着した前記第1の基体と前記フィルムとを分離することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、前記樹脂層はフィルムであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項6】
シリコン基板の一表面上に第1の絶縁膜を形成し、
前記第1の絶縁膜上に第2の絶縁膜と第3の絶縁膜を有した薄膜集積回路を少なくとも2つ有する層を形成し、
前記薄膜集積回路を有する層を覆うように樹脂層を形成し、
前記樹脂層を覆うようにフィルムを形成し、
前記シリコン基板の前記薄膜集積回路を有する層を形成した一表面の裏面を研削し、
前記シリコン基板の研削した面を研磨し、
前記フィルムは切断しないように前記シリコン基板と前記第1の絶縁膜と前記薄膜集積回路が有する前記第2の絶縁膜と前記第3の絶縁膜とを切断して、前記シリコン基板と前記第1の絶縁膜と前記薄膜集積回路を有する層とが積層された積層体を少なくとも2つ形成し、
前記積層体の間に隙間が形成されるように前記フィルムを延伸させ、
前記フィルムから前記積層体を分離し、
前記積層体の一方の面を第1の基体に接着させ、
前記積層体の他方の面を第2の基体に接着させることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、前記シリコン基板の前記薄膜集積回路を有する層を形成した一表面の裏面を研削する際、前記シリコン基板の厚さを100μm以下にすることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項において、前記シリコン基板の研削した面を研磨する際、前記シリコン基板の厚さを1μm以上20μm以下にすることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、前記シリコン基板は多結晶シリコン基板であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項において、前記シリコン基板は単結晶シリコン基板であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項11】
第1の基体と第2の基体の間に、シリコン基板と、前記シリコン基板上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に設けられた薄膜集積回路と、前記薄膜集積回路を覆う樹脂層とを有し、
前記第1の基体は前記シリコン基板に接し、
前記第2の基体は前記樹脂層に接し、
前記シリコン基板の厚さは1μm以上20μm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項11において、前記樹脂層はフィルムであることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
第1の基体と第2の基体の間に、シリコン基板と、前記シリコン基板上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に設けられた薄膜集積回路とを有し、
前記第1の基体は前記シリコン基板に接し、
前記第2の基体は前記薄膜集積回路に接し、
前記シリコン基板の厚さは1μm以上20μm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項11乃至請求13のいずれか一項において、前記シリコン基板は多結晶シリコン基板であることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項11乃至請求項14のいずれか一項において、前記シリコン基板は単結晶シリコン基板であることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項11乃至15のいずれか一項において、前記半導体装置はICチップであることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−13106(P2007−13106A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132065(P2006−132065)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】