説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】異なるチャネル長のトランジスタを有し、かつ、コンタクト抵抗の増加およびオン電流の減少を防止できる半導体装置の提供。
【解決手段】ピラートランジスタTr1と、前記ピラートランジスタTr1の下部拡散層7aへ信号または電源を供給するとともに、ポリシリコン層10aからの固相拡散し、下部拡散層7aを形成することにより、前記ピラートランジスタTr1のチャネル長d1を厚みにより制御する前記ポリシリコン層10aと、を具備してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高集積化・高性能化に伴い、3次元構造のトランジスタの検討がなされている。3次元構造のトランジスタとして、例えば、縦型MOSトランジスタ(ピラートランジスタ)が開発されている。
このようなピラートランジスタとしては、シリコン柱と、シリコン柱の上部および下部にそれぞれ設けられた不純物拡散層と、シリコン柱を囲むゲート絶縁膜およびゲート電極を有するものが一般的に知られている。しかし、上記構造のピラートランジスタでは、半導体装置の設計の自由度が不十分であった。
【0003】
このような問題を解決する方法として、半導体基板上に異なる高さの複数のシリコン柱を形成することにより、チャネル長の異なる複数のピラートランジスタを設けた例が知られている(特許文献1)。この例によれば、半導体装置の設計の自由度を上げることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-141110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の半導体装置はシリコン柱の高さが不均一になる結果、各シリコン柱上部の不純物拡散層(上部拡散層)上に接続されるコンタクトプラグの長さが不均一となる。特にチャネル長の短いピラートランジスタに接続されるコンタクトプラグの長さが長くなるため、コンタクト抵抗が高くなり、オン電流が減少するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体装置は、ピラートランジスタと、前記ピラートランジスタの下部拡散層へ信号または電源を供給するとともに、前記ピラートランジスタのチャネル長を厚みにより制御するポリシリコン層と、を具備してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成の半導体装置によれば、ピラートランジスタのチャネル長を厚みにより制御するポリシリコン層が設けられていることにより、同一の半導体装置内に、シリコン柱の高さが同じで、かつ、チャネル長の異なるピラートランジスタを混在させることができる。そのため、各上部拡散層上に接続されるコンタクトプラグの長さが均一となり、各コンタクトプラグのコンタクト抵抗が均一となる。また、ポリシリコン層の厚みによりピラートランジスタのチャネル長を容易に調整できるため、半導体装置の設計の自由度が向上する。
以上により、チャネル長の異なる複数のピラートランジスタが同一半導体装置内に形成されていても、各ピラートランジスタに接続されるコンタクトプラグのコンタクト抵抗の増加およびオン電流の減少を防止できる。また、コンタクト抵抗の増加を防ぐことにより、チャネル長の異なるピラートランジスタを有する半導体装置の微細化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の半導体装置を示す断面模式図である。
【図2】図2は、本発明の半導体装置を示す平面模式図である。
【図3】図3は、図1のB−B‘線における断面模式図である。
【図4】図4は、本発明の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図5】図5は、本発明の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図6】図6は、本発明の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図7】図7は、本発明の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図8】図8は、本発明の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図9】図9は、本発明の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図10】図10は、本発明の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図11】図11は、本発明の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図12】図12は、本発明の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図13】図13は、本発明の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図14】図14は、本発明の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図15】図15は、本発明の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図16】図16は、本発明の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図17】図17は、本発明の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図18】図18は、本発明の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図19】図19は、本発明の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施形態である半導体装置100の一例について、図1〜3を用いて説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される原料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
図1〜3は、本発明の実施形態である半導体装置100の一例を説明する図であって、
図1は図2のA−A’線における断面模式図であり、図2は半導体装置100を示す平面模式図であり、図3は、図1のB−B‘線における断面模式図である。以下、各構成について詳細を説明する。
【0010】
本発明の実施形態である半導体装置100は、半導体基板1と、第一のシリコン柱(第一のチャネル用シリコン柱)4bを有する第一のピラートランジスタTr1と、第二のシリコン柱(第二のチャネル用シリコン柱)4cを有する第二のピラートランジスタTr2と、第三のシリコン柱4aおよび第四のシリコン柱4dと、コンタクトプラグ(第一のコンタクトプラグ22〜第六のコンタクトプラグ27)と、から概略構成されている。
【0011】
<半導体基板1>
図1に示すように、半導体基板1の一面側には第一の導電型の第一の活性領域41および第二の活性領域42が形成されており、各活性領域41、42は、浅型素子分離領域30によって区画されている。また、半導体基板1としては、所定の濃度のP型不純物を含有するシリコン(Si)などを用いることができる。
【0012】
<第一のピラートランジスタTr1>
図1に示すように、第一のピラートランジスタTr1は、半導体基板1の第一の活性領域41上(一面側)に形成されており、第一のシリコン柱4bと下部拡散層7aと上部拡散層7bと第一のゲート電極12aから概略構成されている。
【0013】
第一のシリコン柱4bは、後述する第二のシリコン柱4cと同じ高さで形成されている。また、第一の活性領域41上には、ポリシリコン層10aが第一のシリコン柱4bの基端側を埋めるように形成されている。これにより、第一のシリコン柱4bの上部がポリシリコン層10aから突出している。また、第一のシリコン柱4bのうちポリシリコン層10aから突出した部分、および、ポリシリコン層10a上面には、第一のシリコン酸化膜5が形成されている。また、第一のシリコン酸化膜5のうち第一のシリコン柱4b側面に形成された部分はゲート絶縁膜として機能する。
【0014】
第一の導電型の下部拡散層7aは、半導体基板1の平坦部1bの第一の活性領域41表面、および、第一のシリコン柱4bの基端側側面のポリシリコン層10aに覆われた部分に形成されている。また、下部拡散層7aの上端7cは、ポリシリコン層10a上面10bと同じ高さとなっている。また、下部拡散層7aは、第一のピラートランジスタTr1のソース領域またはドレイン領域のどちらか一方として機能する。また、下部拡散層7aは、n型不純物の拡散により形成されている。
【0015】
また、第一の導電型の上部拡散層7bは、第一のシリコン柱4b上部に形成されている。また、上部拡散層7bは、第一のピラートランジスタTr1のソース領域またはドレイン領域のいずれか他方として機能する。また、上部拡散層7bは、下部拡散層7aと同様にn型不純物の拡散により形成されている。また、第一のシリコン柱4bのうち、下部拡散層7aの上端7cと上部拡散層7bとの間の部分が、第一のピラートランジスタTr1のチャネル領域となる部分に相当する。
【0016】
また、第一のゲート電極12aは、第一のシリコン酸化膜5を介して、第一のシリコン柱4b側面を覆うように形成されている。また、ポリシリコン層10aと第一のゲート電極12aは、ポリシリコン層10a上の第一のシリコン酸化膜5により絶縁されている。
【0017】
また、ポリシリコン層10aと第一のゲート電極12aとの間(オーバーラップ部e)に形成されている第一のシリコン酸化膜5は、後述する第二の活性領域42の半導体基板1上の第一のシリコン酸化膜5よりも厚く形成されていることが好ましい。
【0018】
このような構成により、第一のピラートランジスタTr1のチャネル長(d)は、下部拡散層7aの上端7cから、上部拡散層7bまでの距離となる。
【0019】
<第二のピラートランジスタTr2>
第二のピラートランジスタTr2は半導体基板1の第二の活性領域42上(一面側)に形成されており、第二のシリコン柱4cと下部拡散層7aと上部拡散層7bと第二のゲート電極12bから概略構成されている。
【0020】
第二のシリコン柱4cは第一のシリコン柱4bと同じ高さで形成されている。また、第一のシリコン酸化膜5が、第二のシリコン柱4c側面および第二の活性領域42の半導体基板1表面に形成されている。また、第一のシリコン酸化膜5のうち第二のシリコン柱4c側面に形成された部分はゲート絶縁膜として機能する。
【0021】
第一の導電型の下部拡散層7aは、半導体基板1の平坦部1bの第二の活性領域42表面に形成されている。この下部拡散層7aは、第二のピラートランジスタTr2のソース領域またはドレイン領域のどちらか一方として機能する。
【0022】
また、第一の導電型の上部拡散層7bは、第二のシリコン柱4c上部に形成されている。また、上部拡散層7bは、第二のピラートランジスタTr2のソース領域またはドレイン領域のいずれか他方として機能する。また、上部拡散層7bは、下部拡散層7aと同様にn型不純物の拡散により形成されている。また、第二のシリコン柱4cのうち、下部拡散層7aの上面7dと上部拡散層7bとの間の部分が、第二のピラートランジスタTr2のチャネル領域となる部分に相当する。
【0023】
また、第二のゲート電極12bは、第一のシリコン酸化膜5を介して、第二のシリコン柱4c側面を覆うように形成されている。また、第二の活性領域42の半導体基板1表面と第二のゲート電極12bは、半導体基板1上の第一のシリコン酸化膜5により絶縁されている。
【0024】
このような構成により、第二のピラートランジスタTr2のチャネル長(d)は、下部拡散層7a上面7dから、上部拡散層7bまでの距離となる。このため、第二のピラートランジスタTr2のチャネル長(d)は、第一のピラートランジスタTr1のチャネル長(d)よりも、上面7dと上端7cの高さの差(ポリシリコン層10aの厚み)の分だけ長く構成されている。
【0025】
<第三のシリコン柱4a、第四のシリコン柱4d>
第一の活性領域41には第三のシリコン柱4aが形成されており、第二の活性領域42には第四のシリコン柱4dが形成されている。
【0026】
第三のシリコン柱4aは第一のチャネル用シリコン4bに隣接して形成されている。また、ポリシリコン層10aが第三のシリコン柱4aの基端側を埋めるように形成されている。これにより、第三のシリコン柱4aの上部がポリシリコン層10aから突出している。また、第三のシリコン柱4aのポリシリコン層10aから突出した部分は第一のシリコン酸化膜5により覆われている。また、下部拡散層7aは、第三のシリコン柱4aの基端側側面のポリシリコン層10aに覆われた部分に形成されている。また、第三のシリコン柱4a側面は、第一のシリコン酸化膜5を介して第一のゲート電極12aにより覆われている。また、第二のシリコン酸化膜2とシリコン窒化膜3が、第三のシリコン柱4a上部に積層されている。
【0027】
第四のシリコン柱4dは第二のシリコン柱4cに隣接して形成されている。また、第四のシリコン柱4dの側面は第一のシリコン酸化膜5により覆われている。また、下部拡散層7aは、第四のシリコン柱4dの基端側の半導体基板1表面に形成されている。また、第四のシリコン柱4d側面は、第一のシリコン酸化膜5を介して第二のゲート電極12bにより覆われている。また、第二のシリコン酸化膜2とシリコン窒化膜3が第四のシリコン柱4dの上部に積層されている。
【0028】
また、半導体基板1上の第一のシリコン酸化膜5、第一のゲート電極12aおよび第二のゲート電極12bは、第一層間絶縁膜13により覆われている。また、第一の活性領域41上の第一層間絶縁膜13と、第二の活性領域42上の第一層間絶縁膜13とは互いに離間しており、浅型素子分離領域30と第二のシリコン酸化膜2とシリコン窒化膜3により区画されている。
【0029】
<コンタクトプラグ22〜27>
コンタクトプラグ22〜27は導電体からなり、材質は特に限定されない。また、コンタクトプラグ22〜27はそれぞれ、第一層間絶縁膜13に設けられたコンタクトプラグ用孔部(第一の開口部15、第二の開口部17、第三の開口部16a、第四の開口部16b、第五の開口部23a、第六の開口部26a)に埋め込まれた構成となっている。
【0030】
第一のコンタクトプラグ22は、第一層間絶縁膜13および第一のゲート電極12aを貫通し、第一のピラートランジスタTr1の上部拡散層7bに接続されている。
また、第一のコンタクトプラグ22の側面は、たとえば窒化シリコンからなるバリア層29および第二のシリコン酸化膜2により覆われている。これにより、第一のコンタクトプラグ22と第一のゲート電極12aとの間の絶縁性は、バリア層29および第二のシリコン酸化膜2により確保されている。
【0031】
第二のコンタクトプラグ23は第一層間絶縁膜13および第二のゲート電極12bを貫通し、第二のピラートランジスタTr2の上部拡散層7bに接続されている。なお、第一のシリコン柱4bと第二のシリコン柱4cは同じ高さで形成されているため、第一のピラートランジスタTr1の上部拡散層7bと第二のピラートランジスタTr2の上部拡散層7bは同じ高さの位置に形成されている。そのため、第二のコンタクトプラグ23は、第一のコンタクトプラグ22と同じ長さで形成されている。
また、第二のコンタクトプラグ23の側面はバリア層29および第二のシリコン酸化膜2により覆われている。このような構成により、第二のコンタクトプラグ23と第二のゲート電極12bとの間の絶縁性は、バリア層29および第二のシリコン酸化膜2により確保されている。
【0032】
第三のコンタクトプラグ24は、第一の活性領域41の第一層間絶縁膜13を貫通し、第三のシリコン柱4aの近傍において第一のゲート電極12aに接続されている。第三のコンタクトプラグ24は、第三のシリコン柱4aに隣接して形成されているが、第三のシリコン柱4a上部の第二のシリコン酸化膜2とシリコン窒化膜3により、第三のコンタクトプラグ24と第三のシリコン柱4aとの間の絶縁性が確保されている。
【0033】
第四のコンタクトプラグ25は、第二の活性領域42の第一層間絶縁膜13を貫通し、第四のシリコン柱4dの近傍において第二のゲート電極12bに接続されている。第四のコンタクトプラグ25は、第四のシリコン柱4dに隣接して形成されているが、第四のシリコン柱4d上部の第二のシリコン酸化膜2とシリコン窒化膜3により、第四のコンタクトプラグ25と第四のシリコン柱4dとの間の絶縁性が確保されている。
【0034】
第五のコンタクトプラグ26は、第一の活性領域41の第一層間絶縁膜13および第一のシリコン酸化膜5を貫通し、ポリシリコン層10aに接続されている。
【0035】
第六のコンタクトプラグ27は、第二の活性領域42の第一層間絶縁膜13および第一のシリコン酸化膜5を貫通し、第二の活性領域42の下部拡散層7aに接続されている。なお、第五のコンタクトプラグ26はポリシリコン層10aに接続しているため、ポリシリコン層10aの厚みの分だけ、第六のコンタクトプラグ27よりも短く形成されている。
【0036】
次いで、図2と図3により、半導体装置100の第一のピラートランジスタTr1および第二のピラートランジスタTr2、コンタクトプラグ(第一のコンタクトプラグ22〜第六のコンタクトプラグ27)の配置を詳細に説明する。
【0037】
図2に示すように、半導体装置100は、平面視したときに、平面視形状円形のコンタクトプラグ(第一のコンタクトプラグ22〜第六のコンタクトプラグ27)が第一層間絶縁膜13に直列に配列される。なお、コンタクトプラグ(第一のコンタクトプラグ22〜第六のコンタクトプラグ27)の平面視形状は円形に限られず、他の形状であっても構わない。
【0038】
図3は図1のB−B‘線における断面図である。なお、ここでは図1で説明した構成要素を平面視した時の位置関係を以下に説明する。
第一の活性領域41上の第一層間絶縁膜13内には、第二の活性領域42側から順に、第一のシリコン柱4b、第三のシリコン柱4a、第五のコンタクトプラグ26が形成されている。また、第一のシリコン柱4b側面の第一のゲート電極12aと、第三のシリコン柱4a側面の第一のゲート電極12aは互いに接続している。
【0039】
同様に、第二の活性領域42上の第一層間絶縁膜13内には、第一の活性領域41側から順に、第二のシリコン柱4c、第四のシリコン柱4d、第六のコンタクトプラグ27が形成されている。また、第二のシリコン柱4c側面の第二のゲート電極12bと、第四のシリコン柱4d側面の第二のゲート電極12bは互いに接続している。
【0040】
また、第一の活性領域41上の第一層間絶縁膜13側面と、第二の活性領域42上の第一層間絶縁膜13側面は、ゲート用残留電極12cにより覆われている。
【0041】
本実施形態における半導体装置100は、第一のシリコン柱4bと第二のシリコン柱4cが同じ高さで形成されているため、第一のピラートランジスタTr1の上部拡散層7bと、第二のピラートランジスタTr2の上部拡散層7bは同じ高さの位置に形成されている。また、第一のシリコン柱4bの基端側側面のポリシリコン層10aに覆われた部分に下部拡散層7aが形成されていることにより、第一のピラートランジスタTr1の下部拡散層7aの上端7cはポリシリコン層10aの上面10bと同じ高さとなる。そのため、第一のピラートランジスタTr1のチャネル長(d)は、上端7cから、上部拡散層7bまでの距離となる。
【0042】
それに対し、第二のピラートランジスタTr2のチャネル長(d)は、第二のピラートランジスタTr2の下部拡散層7aの上面7dから、上部拡散層7bまでの距離となる。そのため、第一のピラートランジスタTr1のチャネル長dは、第二のピラートランジスタTr2のチャネル長dよりも、ポリシリコン層10aの厚みの分だけ短くなる。このような構成とすることにより、第一のピラートランジスタTr1のチャネル長(d)を、ポリシリコン層10aの厚みにより容易に調整することができる。そのため、第一のピラートランジスタTr1のチャネル長(d)と第二のピラートランジスタTr2のチャネル長(d)の差を容易に調整することができる。そのため、半導体装置100の設計の自由度を向上することができる。
【0043】
また、第一のピラートランジスタTr1の上部拡散層7bと、第二のピラートランジスタTr2の上部拡散層7bは同じ高さで形成されているため、第一のピラートランジスタTr1の上部拡散層7bに接続する第一のコンタクトプラグ22と、第二のピラートランジスタTr2の上部拡散層7bに接続する第二のコンタクトプラグ23は同じ長さで形成される。そのため、第一のコンタクトプラグ22と第二のコンタクトプラグ23のコンタクト抵抗は均一となり、オン電流の減少を防止することができる。
本実施形態の半導体装置100によれば、チャネル長の異なる複数のピラートランジスタを同一の半導体基板1上に形成しても、コンタクト抵抗の増加やオン電流の減少を防ぐことができる。そのため、半導体装置100の微細化、低消費電力化を実現することができる。
【0044】
また、ポリシリコン層10aと第一のゲート電極12aとの間(オーバーラップ部e)に形成されている第一のシリコン酸化膜5は、第二の活性領域42の半導体基板1上の第一のシリコン酸化膜5よりも厚く形成されている。これにより、第二の活性領域42の半導体基板1上に形成された第一のシリコン酸化膜5と、ポリシリコン層10a上に形成された第一のシリコン酸化膜5の膜質の差を抑えることができる。
【0045】
また、第二のシリコン酸化膜2とシリコン窒化膜3が第三のシリコン柱4a上部および第四のシリコン柱4d上部に積層されていることにより、第三のシリコン柱4aと第三のコンタクトプラグ24との間の絶縁性、および、第四のシリコン柱4dと第四のコンタクトプラ25との間の絶縁性を確保することができる。
【0046】
また、第一のコンタクトプラグ22側面と第二のコンタクトプラグ23側面が、バリア層29および第二のシリコン酸化膜2により覆われていることにより、第一のコンタクトプラグ22と第一のゲート電極12aとの間の絶縁性、および、第二のコンタクトプラグ23と第二のゲート電極12bとの間の絶縁性が確保される。このため、第一のコンタクトプラグ22から、第一のピラートランジスタTr1の上部拡散層7bに安定して電位が供給され、第一のピラートランジスタTr1の特性を安定化することができる。同様に、第二のコンタクトプラグ23から第二のピラートランジスタTr2の上部拡散層7bに安定して電位が供給されるため、第二のピラートランジスタTr2の特性を安定化することができる。
【0047】
また、第五のコンタクトプラグ26がポリシリコン層10aに接続されることにより、第五のコンタクトプラグ26からの信号または電源を、ポリシリコン層10aを介して第一の活性領域41の下部拡散層7aに供給することができる。また、第五のコンタクトプラグ26は、ポリシリコン層10aの厚みの分、第六のコンタクトプラグ27よりも短く形成されるため、第五のコンタクトプラグ26のコンタクト抵抗増加が防がれる。
【0048】
次に、本発明の実施形態である半導体装置100の製造方法について説明する。
本発明の実施形態である半導体装置100の製造方法は、半導体基板1に浅型素子分離領域30を形成する工程と、シリコン柱(4a、4b、4c、4d)を複数形成する工程と、ポリシリコン層10aを形成する工程と、第一のシリコン酸化膜5を形成する工程と、下部拡散層7aを形成する工程と、第一のゲート電極12aおよび第二のゲート電極12bを形成する工程と、第一層間絶縁膜13および第三のシリコン酸化膜14形成する工程と、上部拡散層7bを形成する工程と、コンタクトプラグ(第一のコンタクトプラグ22〜第六のコンタクトプラグ27)を形成する工程と、から概略構成されている。以下、各工程について詳細を説明する。
【0049】
まず、図4に示すように半導体基板1に浅型素子分離領域30を形成する。はじめに、シリコンからなる半導体基板1に不純物を導入することにより、p型ウエル層からなる活性領域を形成する。次いで、半導体基板1に浅溝素子分離領域30を形成する。これにより、前記活性領域は、第一の導電型の第一の活性領域41および第二の活性領域42に区画される。
次いで熱酸化法により、半導体基板1の一面1aを覆うようにたとえば膜厚5nmの第二のシリコン酸化膜2を形成する。次いで、CVD法により、第二のシリコン酸化膜2を覆うように、たとえば膜厚120nmのシリコン窒化膜3を形成する。次いで、シリコン窒化膜3を覆うようにレジスト18を形成し、フォトリソグラフィー技術によりパターニングする。
【0050】
次いで、図5に示すように、同じ高さの複数の第三のシリコン柱4a、第一のシリコン柱(第一のチャネル用シリコン柱)4b、第二のシリコン柱(第二のチャネル用シリコン柱)4cおよび第四のシリコン柱4dを形成する。
まず、レジスト18をマスクとして、シリコン窒化膜3と第二のシリコン酸化膜2をパターニングする。次いで、シリコン窒化膜3と第二のシリコン酸化膜2をハードマスクとして半導体基板1をエッチングする。これにより、第一の活性領域41に第三のシリコン柱4aおよび第一のシリコン柱4bが形成され、第二の活性領域42に第二のシリコン柱4cおよび第四のシリコン柱4dが形成される。このうち、第一のシリコン柱4bは、後述する第一のピラートランジスタTr1のピラー部となる。また、第二のシリコン柱4cは、第二のピラートランジスタTr2のピラー部となる。
【0051】
ここで、エッチングにより露出された半導体基板1の一面を平坦部1bとする。この後、レジスト18を除去することにより、上部に第二のシリコン酸化膜2およびシリコン窒化膜3が積層されたシリコン柱(4a、4b、4c、4d)が形成される。
【0052】
次いで、一部のチャネル用シリコン柱の基端側を埋めるようにポリシリコン層10aを形成する。ここでは、たとえば第一のシリコン柱4bの基端側にポリシリコン層10aを形成する。
まず、シリコン柱(4a、4b、4c、4d)を埋設し、かつ、半導体基板1の平坦部1b上およびシリコン窒化膜3上を覆うように、酸化シリコンからなる犠牲用絶縁膜8を形成する。次いでCMP法により、シリコン窒化膜3が露出するまで犠牲用絶縁膜8の表面を研磨する。次いで、第一の活性領域41の犠牲用絶縁膜8をエッチングにより除去する。これにより、図6に示すように、第一の活性領域41の平坦部1b上、第三のシリコン柱4aおよび第一のシリコン柱4bは露出した状態となり、第二の活性領域42の平坦部1b上、第二のシリコン柱4cおよび第四のシリコン柱4dは犠牲用絶縁膜8により覆われた状態となる。
【0053】
次いで、図7に示すように、第三のシリコン柱4aおよび第一のシリコン柱4bを埋設し、かつ、第一の活性領域41の平坦部1b上および犠牲用絶縁膜8上を覆うように、ノンドープのポリシリコン膜10を形成する。
次いでCMP法により、犠牲用絶縁膜8の表面が露出するまでポリシリコン膜10の表面を研磨する。
【0054】
次いで、図8に示すようにポリシリコン膜10をエッチバックする。このとき、第一の活性領域41の平坦部1b上にポリシリコン膜10が任意の厚さだけ残存するよう、適宜エッチングの条件を設定する。また、このエッチバックにより犠牲用絶縁膜8上のポリシリコンを全て除去する。以上により、第一の活性領域41の平坦部1b上を覆い、かつ、第三のシリコン柱4aおよび第一のシリコン柱4bの基端側を埋めるポリシリコン層10aが形成される。これにより、第一のシリコン柱4bの上部がポリシリコン層10aから突出した構成となる。
この後、犠牲用絶縁膜8を除去することにより、第二の活性領域42の半導体基板1表面、第二のシリコン柱4cおよび第四のシリコン柱4dを露出させる。
【0055】
次いで、図9に示すように、第一のシリコン酸化膜5を形成する。まず、CVD法により、半導体基板1表面およびポリシリコン層10a表面を覆うように酸化シリコン(SiO)からなる熱酸化膜を形成する。これにより、第二の活性領域42の半導体基板1表面、ポリシリコン層10a表面、第三のシリコン柱4aおよび第一のシリコン柱4bのポリシリコン層10aから突出した部分の側面、第二のシリコン柱4cおよび第四のシリコン柱4dの側面を覆う第一のシリコン酸化膜5が形成される。このうち、第一のシリコン柱4b側面に形成された第一のシリコン酸化膜5と、第二のシリコン柱4c側面に形成された第一のシリコン酸化膜5は、ゲート絶縁膜として機能する。
【0056】
この後、酸化処理によりポリシリコン層10a表面の第一のシリコン酸化膜5を更に酸化して、第二の活性領域42の半導体基板1表面の第一のシリコン酸化膜5よりも厚く形成することが好ましい。
【0057】
次に、図10に示すように、下部拡散層7aを形成する。まず、第一の活性領域41のポリシリコン層10aと第二の活性領域42の半導体基板1の平面部1bに、同時にリン等のn型不純物を注入する。
次いで熱処理を行い、半導体基板1の平面部1b、および、第三のシリコン柱4aと第一のシリコン柱4bのうちポリシリコン層10aに覆われた部分に第一の導電型の下部拡散層7aを形成する。これにより、第一のシリコン柱4bの下部拡散層7aの上端7cは、ポリシリコン層10aの上面10bと同じ高さとなる。
【0058】
次いで、図11に示すように第一のゲート電極12aおよび第二のゲート電極12bを形成する。まず、CVD法により、第一のシリコン酸化膜5を介して第三のシリコン柱4a、第一のシリコン柱4b、第二のシリコン柱4cおよび第四のシリコン柱4dの側面を覆うように、たとえば多結晶シリコンからなるゲート電極材を堆積させる。
これにより、第三のシリコン柱4aおよび第一のシリコン柱4bの側面を覆う第一のゲート電極12aと、第二のシリコン柱4cおよび第四のシリコン柱4dの側面を覆う第二のゲート電極12bが形成される。また、第一のシリコン柱4b側面の第一のゲート電極12aと、第三のシリコン柱4a側面の第一のゲート電極12aは、互いに接続した構成となる。また、第二のシリコン柱4c側面の第二のゲート電極12bと、第四のシリコン柱4d側面の第二のゲート電極12bも、互いに接続した構成となる。
【0059】
次いで、図12に示すように第一層間絶縁膜13および第三のシリコン酸化膜14を形成する。まず、高密度プラズマCVD法により、第一のシリコン酸化膜5、第一のゲート電極12a、第二のゲート電極12bおよびシリコン窒化膜3を覆うように第一層間絶縁膜13を堆積する。次いで、CMP法により、シリコン窒化膜3が露出するまで第一層間絶縁膜13表面を研磨する。
【0060】
次いで、プラズマCVD法により、第一層間絶縁膜13およびシリコン窒化膜3を覆うように第三のシリコン酸化膜14を形成する。次いでフォトリソグラフィーとドライエッチングにより、第一のシリコン柱4b上の第三のシリコン酸化膜14と、第二のシリコン柱4c上の第三のシリコン酸化膜14とを除去する。これにより第三のシリコン酸化膜14を開口する第一の開口部15および第二の開口部17が形成され、第一のシリコン柱4b上のシリコン窒化膜3および第二のシリコン柱4c上のシリコン窒化膜3上面が露出する。
【0061】
次いで、図13に示すように、第三のシリコン酸化膜14をマスクにドライエッチングを行い、第一のシリコン柱4b上のシリコン窒化膜3および第二のシリコン柱4c上のシリコン窒化膜3を除去する。これにより、第一の開口部15および第二の開口部17内に第二のシリコン酸化膜2が露出する。
【0062】
次に、図13に示すように、第一のシリコン柱4b上部および第二のシリコン柱4c上部に、第二のシリコン酸化膜2を介してn型不純物を注入する。次いで熱処理を行ってn型不純物を拡散させ、第一のシリコン柱4b上部および第二のシリコン柱4c上部に第一の導電型の上部拡散層7bを形成する。以上により、第一のピラートランジスタTr1および第二のピラートランジスタTr2が形成される。
また、第一のピラートランジスタTr1の上部拡散層7bは、第一のピラートランジスタTr1のソース領域またはドレイン領域のいずれか他方として機能する。また、第二のピラートランジスタTr2の上部拡散層7bは、第二のピラートランジスタTr2のソース領域またはドレイン領域のいずれか他方として機能する。
また、第二のシリコン柱4cは第一のシリコン柱4bと同じ高さであるため、第一のピラートランジスタTr1の上部拡散層7bと第二のピラートランジスタTr2の上部拡散層7bの位置は同じ高さとなる。
【0063】
また、第一のシリコン柱4bのうち、下部拡散層7aの上端7cと上部拡散層7bとの間の部分は、第一のピラートランジスタTr1のチャネル領域となる部分に相当する。そのため、第一のピラートランジスタTr1のチャネル長(d)は、上端7cから上部拡散層7bまでの距離となる。
また、第二のシリコン柱4cのうち、下部拡散層7aの上面7dと上部拡散層7bとの間の部分は、第二のピラートランジスタTr2のチャネル領域となる部分に相当する。そのため、第二のピラートランジスタTr2のチャネル長(d)は、上端7cから、上部拡散層7bまでの距離となる。このため、第一のピラートランジスタTr1のチャネル長(d)は、第二のピラートランジスタTr2のチャネル長(d)よりも、上端7cと上面7dの高さの差(ポリシリコン層10aの厚み)の分だけ短く構成される。
【0064】
次いで、図14に示すように、バリア層29を形成する。はじめに、第三のシリコン酸化膜14、第一の開口部15内壁、第二の開口部17内壁を覆うようにシリコン窒化膜を形成する。次いで、エッチングにより、第一の開口部15底部に第一のシリコン柱4b上部を露出させるとともに、第二の開口部17底部に第二のシリコン柱4c上部を露出させる。
【0065】
このエッチングにより、第一の開口部15内壁側面および第二の開口部17内壁側面を覆うように残留した筒状のシリコン窒化膜からなるバリア層29が形成される。また、バリア層29の下部には第二のシリコン酸化膜2が残留する。これにより、第一の開口部15内壁側面および第二の開口部17内壁側面は第二のシリコン酸化膜2とバリア層29により覆われた構成となる。
【0066】
次いで、図15に示すように第四のシリコン酸化膜16を形成する。まず、ドライエッチングにより第三のシリコン酸化膜14を除去する。次いでCVD法により、第一層間絶縁膜13上面を覆い、かつ、第一の開口部15および第二の開口部17内を充填するように、シリコン酸化膜からなる第四のシリコン酸化膜16を形成する。次いで、フォトリソグラフィーとドライエッチングにより、第三のシリコン柱4a上のシリコン窒化膜3の一部および第一層間絶縁膜13の一部を露出させる第三の開口部16aと、第四のシリコン柱4d上のシリコン窒化膜3の一部および第一層間絶縁膜13の一部を露出させる第四の開口部16bを形成する。
【0067】
次いで、図16に示すように第四のシリコン酸化膜16をマスクにドライエッチングを行い、第三の開口部16aから露出する第一層間絶縁膜13と、第四の開口部16bから露出する第一層間絶縁膜13を除去する。これにより、第一のゲート電極12aを露出する第三の開口部16aと、第二のゲート電極12bを露出する第四の開口部16bが形成される。
【0068】
次いで、図17に示すように、第二層間絶縁膜21を形成する。まず、ドライエッチングにより第四のシリコン酸化膜16を除去する。次いでCVD法により、第一層間絶縁膜13上面を覆い、かつ、第一の開口部15および第二の開口部17内を充填するように、シリコン酸化膜からなる第二層間絶縁膜21を形成する。次いで、フォトリソグラフィーとドライエッチングにより、第一の活性領域41上の第一層間絶縁膜13の一部を露出させる第五の開口部23aと、第二の活性領域42上の第一層間絶縁膜13を露出させる第六の開口部26aを形成する。
【0069】
次いで、図18に示すように、第二層間絶縁膜21をマスクにして第一層間絶縁膜13および第一のシリコン酸化膜5をエッチングする。これにより、第一の活性領域41のポリシリコン層10aを露出する第五の開口部23aと、第二の活性領域42の半導体基板1を露出する第六の開口部26aが形成される。
【0070】
次いで、図19に示すように、コンタクトプラグ(第一のコンタクトプラグ22〜第六のコンタクトプラグ27)を形成する。まず、ドライエッチングにより第二層間絶縁膜21を除去する。次に、第一の開口部15、第二の開口部17、第三の開口部16a、第四の開口部16b、第五の開口部23aおよび第六の開口部26aを充填するように、TiN/Ti等のバリア膜とタングステン(W)を積層した堆積膜を形成する。次いで、CMP法を用いて、第一層間絶縁膜13が露出するまで、第一層間絶縁膜13上の堆積膜を研磨する。
【0071】
これにより、第一のピラートランジスタTr1の上部拡散層7bに接続する第一のコンタクトプラグ22、第二のピラートランジスタTr2の上部拡散層7bに接続する第二のコンタクトプラグ23、第三のシリコン柱4aの近傍において第一のゲート電極12aに接続する第三のコンタクトプラグ24、第四のシリコン柱4dの近傍において第二のゲート電極12bに接続する第四のコンタクトプラグ25、ポリシリコン層10aを介して第一の活性領域41の下部拡散層7aに接続する第五のコンタクトプラグ26、および、第二の活性領域42の下部拡散層7aに接続する第六のコンタクトプラグ27が形成される。
【0072】
このとき、第一のピラートランジスタTr1の上部拡散層7bと第二のピラートランジスタTr2の上部拡散層7bの位置は同じ高さで形成されているため、第一のコンタクトプラグ22と第二のコンタクトプラグ23は同じ長さとなる。
【0073】
また、第一のコンタクトプラグ22側面と第二のコンタクトプラグ23側面は、バリア層29と第二のシリコン酸化膜2で覆われている。そのため、第一のコンタクトプラグ22と第一のゲート電極12aとの間の絶縁性、および、第二のコンタクトプラグ23と第二のゲート電極12bとの間の絶縁性は、バリア層29および第二のシリコン酸化膜2により確保されている。また、第三のシリコン柱4a上部の第二のシリコン酸化膜2とシリコン窒化膜3により、第三のコンタクトプラグ24と第三のシリコン柱4aとの間の絶縁性は確保されている。また、第四のシリコン柱4d上部の第二のシリコン酸化膜2とシリコン窒化膜3により、第四のコンタクトプラグ25と第四のシリコン柱4dとの間の絶縁性は確保されている。
【0074】
本実施形態の半導体装置100の製造方法によれば、同じ高さの第一のシリコン柱4bと第二のシリコン柱4cを形成した後に、第一のシリコン柱4bの基端側を埋めるようにポリシリコン層10aを形成する。この後、ポリシリコン層10aと第二のシリコン柱4c基端側の半導体基板1に同時に不純物を注入することにより、第一のシリコン柱4bのポリシリコン層10aに覆われた部分と、第二のシリコン柱4c基端側の半導体基板1に、同時に下部拡散層7aを形成することができる。このため、同一の工程で高さの位置が異なる下部拡散層7aを形成することができ、半導体装置100の製造工程を簡略化することが可能となる。
【0075】
また、ポリシリコン層10aに不純物を注入することにより、第一のピラートランジスタTr1の下部拡散層7a上端を、ポリシリコン層10a上面と同じ高さとすることができる。また、第一のシリコン柱4bと第二のシリコン柱4cを同じ高さで形成するため、第一のピラートランジスタTr1の上部拡散層7bと第二のピラートランジスタTr2の上部拡散層7bを同じ高さの位置に形成することができる。このため、第一のピラートランジスタTr1のチャネル長(d)と第二のピラートランジスタTr2のチャネル長(d)を、ポリシリコン層10aの厚みにより容易に調整することができる。そのため、半導体装置100の設計の自由度を向上することができる。
【0076】
また、第一のピラートランジスタTr1の上部拡散層7bと、第二のピラートランジスタTr2の上部拡散層7bを同じ高さの位置に形成することにより、第一のコンタクトプラグ22と、第二のコンタクトプラグ23を同じ長さで形成することができる。そのため、第一のコンタクトプラグ22と第二のコンタクトプラグ23のコンタクト抵抗を均一とすることができ、オン電流の減少を防止できる。
以上により、チャネル長の異なる複数のピラートランジスタを同一の半導体基板1上に形成しても、コンタクト抵抗の増加やオン電流の減少を防ぐことができる。そのため、半導体装置100の微細化、低消費電力化を実現することができる。
【0077】
また、第五のコンタクトプラグ26をポリシリコン層10aに接続させることにより、第五のコンタクトプラグ26からの信号または電源を、ポリシリコン層10aを介して第一の活性領域41の下部拡散層7aに供給することができる。また、第五のコンタクトプラグ26を第六のコンタクトプラグ27よりも短く形成することができるため、第五のコンタクトプラグ26のコンタクト抵抗増加を防ぐことができる。
【0078】
また、ポリシリコン層10aと第一のゲート電極12aとの間(オーバーラップ部e)の第一のシリコン酸化膜5を更に酸化することにより、オーバーラップ部eの第一のシリコン酸化膜5は、第二の活性領域42の半導体基板1上の第一のシリコン酸化膜5よりも厚く形成される。これにより、オーバーラップ部e上の第一のシリコン酸化膜5の膜質を改善することができる。
【0079】
また、第三のシリコン柱4a上部および第四のシリコン柱4d上部に、第二のシリコン酸化膜2とシリコン窒化膜3を積層することにより、第三のシリコン柱4aと第三のコンタクトプラグ24との間の絶縁性、および、第四のシリコン柱4dと第四のコンタクトプラ25との間の絶縁性を確保することができる。
【0080】
また、ポリシリコン層10aの材料としてポリシリコンを用いることにより、シリコン柱(4a、4b、4c、4d)上を速やかに覆うことができる。このため、半導体装置100の製造工程のスループットを高く保つことができる。
【0081】
また、第一のコンタクトプラグ22側面と第二のコンタクトプラグ23側面を、バリア層29および第二のシリコン酸化膜2により覆うことにより、第一のコンタクトプラグ22と第一のゲート電極12aとの間の絶縁性、および、第二のコンタクトプラグ23と第二のゲート電極12bとの間の絶縁性を確保することができる。このため、第一のコンタクトプラグ22から、第一のピラートランジスタTr1の上部拡散層7bに安定して電位を供給することができる。そのため、第一のピラートランジスタTr1の特性を安定化することができる。同様に、第二のコンタクトプラグ23から第二のピラートランジスタTr2の上部拡散層7bに安定して電位を供給することができる。そのため、第二のピラートランジスタTr2の特性を安定化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、ピラートランジスタを備えた半導体装置およびその製造方法に関するものであって、半導体装置を製造・利用する産業において利用可能性がある。
【符号の説明】
【0083】
1…半導体基板、4a…第三のシリコン柱、4b…第一のシリコン柱、4c…第二のシリコン柱、4d…第四のシリコン柱、5…第一のシリコン酸化膜、7a…下部拡散層、7b…上部拡散層、7c…上端、7d…上面、8…犠牲用絶縁膜、10…ポリシリコン膜、10a…ポリシリコン層、10b…上面、12a…第一のゲート電極、12b…第二のゲート電極、13…第一層間絶縁膜、22…第一のコンタクトプラグ、23…第二のコンタクトプラグ、27a…第六の開口部、24…第三のコンタクトプラグ、25…第四のコンタクトプラグ、26…第五のコンタクトプラグ、27…第六のコンタクトプラグ、30…浅型素子分離領域、41…第一の活性領域、42…第二の活性領域、100…半導体装置、Tr1…第一のピラートランジスタ、Tr2…第二のピラートランジスタ、d…第一のピラートランジスタのチャネル長、d…第二のピラートランジスタのチャネル長、e…オーバーラップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピラートランジスタと、
前記ピラートランジスタの下部拡散層へ信号または電源を供給するとともに、前記ピラートランジスタのチャネル長を厚みにより制御するポリシリコン層と、を具備してなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ピラートランジスタの基端側を埋めるように形成された前記ポリシリコン層と、
前記ピラートランジスタの前記ポリシリコン層で覆われた領域に形成された前記下部拡散層と、を具備してなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
半導体基板の第一の活性領域に形成された、前記ピラートランジスタである第一のピラートランジスタと、
前記半導体基板の第二の活性領域に形成された第二のピラートランジスタと、
前記第一のピラートランジスタの基端側および前記第一の活性領域の前記半導体基板表面を覆うように形成された前記ポリシリコン層と、を具備し、
前記第一の活性領域に形成された前記下部拡散層が前記第一のピラートランジスタのソース領域またはドレイン領域のどちらか一方であり、
前記第二の活性領域の前記半導体基板表面に形成された前記下部拡散層が前記第二のピラートランジスタのソース領域またはドレイン領域のどちらか一方であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第一のピラートランジスタのピラー部となる第一のチャネル用シリコン柱側面を覆う第一のゲート電極と、
前記第二のピラートランジスタのピラー部となる第二のチャネル用シリコン柱側面を覆う第二のゲート電極と、を具備してなることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第一のピラートランジスタに接続する第一のコンタクトプラグと、
前記第二のピラートランジスタに接続する第二のコンタクトプラグと、を具備してなることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第一のゲート電極に接続する第三のコンタクトプラグと、
前記第二のゲート電極に接続する第四のコンタクトプラグと、を具備してなることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ポリシリコン層に接続し、前記ポリシリコン層を介して前記下部拡散層に信号または電源を供給する第五のコンタクトプラグを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ポリシリコン層と前記第一のゲート電極とのオーバーラップ部に形成されたシリコン酸化膜の膜厚が、前記第二の活性領域の前記半導体基板表面に形成された前記シリコン酸化膜よりも厚いことを特徴とする請求項4乃至7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
半導体基板に、ピラートランジスタのピラー部となるチャネル用シリコン柱を複数形成する工程と、
一部の前記チャネル用シリコン柱の基端側に、前記ピラートランジスタの下部拡散層へ信号または電源を供給するとともに、前記ピラートランジスタのチャネル長を厚みにより制御するポリシリコン層を形成する工程と、を具備してなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体基板の第一の活性領域および第二の活性領域に、第一のチャネル用シリコン柱、第二のチャネル用シリコン柱をそれぞれ形成する工程と、
前記第一のチャネル用シリコン柱の基端側を埋めるようにポリシリコン層を形成する工程と、
前記半導体基板表面および前記第一のチャネル用シリコン柱の前記ポリシリコン層で覆われた領域に前記下部拡散層を形成する工程と、
前記第一のチャネル用シリコン柱上面および前記第二のチャネル用シリコン柱上面に上部拡散層を形成する工程と、
前記上部拡散層にそれぞれ接続するコンタクトプラグを形成する工程と、を具備してなることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記ポリシリコン層を形成する工程が、
前記半導体基板を覆い、かつ、前記第一のチャネル用シリコン柱および前記第二のチャネル用シリコン柱を埋めるように犠牲用絶縁膜を形成する工程と、
前記第二の活性領域の前記犠牲用絶縁膜を除去した後、前記第一のチャネル用シリコン柱を埋めるようにノンドープのポリシリコンを形成する工程と、
前記犠牲用絶縁膜が露出するまで前記ポリシリコンの表面をCMP法により研磨する工程と、
前記ポリシリコンをエッチバックする工程と、を具備してなることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記ポリシリコン層と前記第二の活性領域の前記半導体基板表面に同時に不純物を導入することにより、前記第一のチャネル用シリコン柱の前記ポリシリコン層で覆われた領域および前記半導体基板表面に前記下部拡散層を形成することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記下部拡散層を形成する工程と前記上部拡散層を形成する工程との間に、前記第一のチャネル用シリコン柱側面を覆う第一のゲート電極および前記第二のチャネル用シリコン柱側面を覆う第二のゲート電極を順次形成することを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記ポリシリコン層を形成する工程の後と前記下部拡散層を形成する工程との間に、前記ポリシリコン層および前記第二の活性領域の前記半導体基板を覆うようにシリコン酸化膜を形成する工程と
前記ポリシリコン層を覆う前記シリコン酸化膜を酸化することにより、前記ポリシリコン層表面を覆う前記シリコン酸化膜を前記第二の活性領域の前記シリコン酸化膜よりも厚く形成することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−4510(P2012−4510A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140985(P2010−140985)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】