説明

半導体装置

【課題】メモリセルが備えるキャパシタの電荷リークを抑制することができ、且つ、キャパシタの有効面積を増大させると共にその容量値のばらつきを抑制する。
【解決手段】SOI層3には分離トレンチ40が形成されており、その中には分離絶縁膜4が形成される。分離絶縁膜4には、分離トレンチ40の内壁を露出する開口部41が形成されており、当該開口部41は絶縁層2にまで達している。キャパシタ102の下部電極(不純物拡散層24)並びに誘電体層21は、開口部41に露出した分離トレンチ40の内壁に延在し、上部電極22の少なくとも一部は開口部41に埋め込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関するものであり、特に、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)など、キャパシタを有する半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体記憶装置として、MOS(Metal-Oxide Semiconductor)トランジスタと、当該MOSトランジスタのソース/ドレイン領域に接続した不純物拡散層を下部電極とするキャパシタとにより構成されるDRAMセルが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1のDRAMセルにおいては、半導体基板の上面に配置された分離絶縁膜(フィールド絶縁膜)の上部には、半導体基板の側壁部分が露出されるリセス(キャビティ)が形成される。そしてDRAMセルのキャパシタを、リセス内に露出した上記側壁部分にまで延在する立体構造にすることによって、キャパシタの有効面積を増やして容量の増大を図っている。
【0003】
【特許文献1】特表2004−527901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなDRAMセルにおいて、キャパシタが形成されるリセスを深さは、従来、分離トレンチの深さの半分程度であった。即ち、当該リセスの下に所定の厚さ(50〜200nm程度)の分離絶縁膜を残存させていた。リセスを深くするほどキャパシタの有効面積は大きくできるが、それを深くし過ぎると、分離絶縁膜が薄くなるために当該分離絶縁膜の下(すなわち隣接セルとの間)に寄生MOSトランジスタが形成されてしまい、分離機能が損なわれてしまう。隣接するセル間に寄生MOSトランジスタが形成されると、それを介しての電荷リークが生じDRAMセルの信頼性が低下してしまう。そのため、リセスの深さは制限されており、キャパシタの容量増大にも限界があった。
【0005】
また上記のDRAMセル構造では、キャパシタの容量値がリセスの深さに依存するため、リセス形成時にその深さがばらつくとキャパシタの容量値にばらつきが生じ、DRAMセルの信頼性の低下を招いてしまう。
【0006】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、DRAMセルなどキャパシタを備える半導体装置において、キャパシタの電荷リークを抑制し、且つ、キャパシタの有効面積を増大させると共にその容量値のばらつきを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体装置は、支持基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された半導体層と、前記半導体層に形成されたトレンチと、前記半導体層において前記トレンチにより規定される活性領域と、前記トレンチ内に形成された分離絶縁膜と、前記活性領域に形成された不純物拡散層である第1電極、前記不純物拡散層の表面に形成された誘電体層、および前記誘電体層上に形成された第2電極から成るキャパシタとを備える半導体装置であって、前記キャパシタの形成領域において、前記トレンチは、前記絶縁層にまで達し、前記第2電極は、前記トレンチ内に埋め込まれ、前記絶縁層にまで達しているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、分離絶縁膜に形成された開口部が絶縁層にまで達し、キャパシタが絶縁層にまで達するように形成されるので、キャパシタの有効面積が大きくなる。つまり、形成面積を大きくすることなくキャパシタの容量を大きくできる。また、開口部の下では半導体層が除去されているので、当該開口部の下に寄生MOSトランジスタが形成されることはない。従って、キャパシタの電荷リークを防止できる。さらに、キャパシタの面積は半導体層の厚さで決まり、開口部の深さには依存しないので、容量値のばらつきが抑制される。例えば当該キャパシタをDRAMセルに適用することにより、セル形成面積の縮小化、並びに信頼性の向上に寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<実施の形態1>
図1(a)は一般的なDRAMセルの回路図である。DRAMセル100は、データの書き込み、リフレッシュ、読み出し等を行うトランスファゲートであるPチャネル型のMOSトランジスタ101と、データに応じた電荷を蓄積するキャパシタ102とにより構成される。MOSトランジスタ101のゲート端子はワード線WLに接続し、またソース/ドレイン端子の一方はビット線BLに接続し他方はキャパシタ102の片方の端子に接続する。キャパシタ102のもう片方の端子は所定の電源に接続される。
【0010】
また近年、DRAMセルとして、1ビット当たりに2つのDRAMセル100が使用されるツインセル方式のDRAMセル(以下単に「ツインセル」と称することもある)が注目されている(図1(b))。図1(b)の如く、1つのツインセル200は、ワード線WLを共通にする2つのDRAMセル100により構成される。そしてそれら2つのDRAMセル100は、互いに相補的なデータ信号の読み出しおよび書き込みを行うよう動作する。即ち、ツインセル200が接続する一対のビット線BL0,BL1には、互いに相補的なデータ信号が入出力される。ツインセル200によれば、読み出し信号の振幅を図1(a)の通常のDRAMセル100(以下「シングルセル」と称することもある)の2倍にできると共に、2つのDRAMセル100が相補的な動作を行うことによってノイズがキャンセルされるので、高速動作が可能になる。
【0011】
ツインセルを構成する2つのシングルセルとしては汎用のものを用いればよいため、ツインセルのDRAMは、シングルセルのDRAMと同様の製造プロセスで形成可能である。またツインセルのDRAMは、SRAMよりも高い集積度を達成できるため、高いコストパフォーマンスが期待できる。以下に説明する本発明は、シングルセルおよびツインセルのいずれのDRAMにも適応可能であるが、説明の簡単のため、以下の説明では主にシングルセルのDRAMとして説明する。
【0012】
図2および図3(a),(b)は、実施の形態1に係る半導体記憶装置の構成を示す図である。より具体的には、図2は当該半導体記憶装置が有するDRAMセルアレイの上面図であり、図3(a),(b)は、それぞれ図2のA−A線、B−B線に沿った断面図である。これらの図において同一の要素には同一符号を付している。
【0013】
図3(a)は、ビット線BLの延在方向(図2のA−A線方向)に隣接する2つのDRAMセルの断面を示している。即ち図3(a)には、MOSトランジスタ101とキャパシタ102とから成るDRAMセル100が2つ示されている。また 図3(b)は、ワード線WL(後述するゲート電極12に相当)の延在方向に隣接するDRAMセルの間の素子分離領域の断面を示している。
【0014】
なお、ツインセルの場合は、ペアとなるDRAMセル100に対応するワード線に同一の信号を供給する必要があるので、例えば図2のレイアウトであれば、ワード線WL(ゲート電極12)の延在方向に隣接するDRAMセル同士をペアにするとよい。
【0015】
図3(a)の如く、本実施の形態に係るDRAMセル100は、シリコン製の支持基板1、絶縁層2、SOI(Silicon-On-Insulator)層3から成るいわゆるSOI基板に形成される。SOI層3には分離トレンチ40が形成され、分離トレンチ40内には分離絶縁膜4が形成される。この分離トレンチ40(分離絶縁膜4)は、DRAMセル領域以外の周辺回路領域(不図示)にも形成され、各半導体素子が形成される活性領域5を規定している。分離絶縁膜4は例えば高密度プラズマ(HDP:High Density Plasma)酸化膜が用いられる。
【0016】
DRAMセル100のMOSトランジスタ101は、N型のSOI層3上面に形成されたゲート酸化膜11、その上に形成されたポリシリコンのゲート電極12、該ゲート電極12の側面に形成されたサイドウォール13、SOI層3の上面部のゲート電極12両脇に形成されたP型の不純物拡散層であるソース/ドレイン領域14,15により構成される。ソース/ドレイン領域14は、ビット線BLへ接続するコンタクト16(以下「ビット線コンタクト16」)に接続する。図3(a)のように、ビット線コンタクト16は、その両サイドのDRAMセル100により共有されている。必要に応じて、ゲート電極12、ソース/ドレイン領域14,15の上部には、それぞれシリサイド層を形成してもよい。
【0017】
一方、DRAMセル100のキャパシタ102は、SOI層3に形成されたP型の不純物拡散層24である下部電極(以下「下部拡散層24」と称す)と、当該下部拡散層24の表面に形成された誘電体層21、および誘電体層21上に形成された上部電極22から構成される。必要に応じて、上部電極22の上部にはシリサイド層を形成してもよい。下部拡散層24は、MOSトランジスタ101のソース/ドレイン領域15に接続している。つまり、下部拡散層24は、図1の回路のキャパシタ102におけるMOSトランジスタ101に接続する側の電極(ストレージノード)として機能している。なお、図示は省略しているが、図3(a)の外側にも同図と同様のDRAMセル100が形成されており、上部電極22はその両サイドのDRAMセル100により共有されている。
【0018】
本実施の形態では図3(a),(b)に示すように、分離絶縁膜4における上部電極22の下に開口部41が設けられる。この開口部41は、分離トレンチ40の内壁(活性領域5の側壁)を露出すると共に、SOI層3を貫通してその下の絶縁層2にまで達している。なお、図3(a)の断面においては、分離トレンチ40の全体が開口部41に相当するため、分離絶縁膜4は完全に除去されている。
【0019】
各DRAMセル100において、キャパシタ102の誘電体層21および下部拡散層24は、SOI層3の上面から分離トレンチ40の内壁(開口部41の内壁)にかけて延在し、上部電極22の一部は開口部41内に埋め込まれる。この構成により、SOI層3の上面と共に分離トレンチ40の側壁もキャパシタ102の有効面積として寄与するようになり、その容量値は増加する。
【0020】
また開口部41は、図3(b)のようにゲート電極12の延在方向に隣接するDRAMセル100の間においても上部電極22の下に形成され、分離トレンチ40の内壁(図3(b)では不図示、図2において符号50で示す)を露出している。また図3(a)に示した下部拡散層24および誘電体層21は当該内壁50側にも形成される。従って、キャパシタ102の有効面積に内壁50も寄与することとなり、キャパシタ102の容量はさらに増加する。
【0021】
特に本実施の形態では、開口部41はSOI層3の下の絶縁層2にまで達しているので、図3(a)のように、誘電体層21、下部拡散層24および上部電極22(即ちキャパシタ102)を、絶縁層2にまで達するように形成でき、キャパシタ102の有効面積を大きくすることができる。つまり、形成面積を大きくすることなく、キャパシタ102の容量を大きくできるため、結果としてDRAMセルの縮小化に寄与できる。
【0022】
また上部電極22の底が絶縁層2に達していることにより、当該上部電極22の下(即ち上部電極22を挟んで隣接するセル間)に寄生MOSトランジスタが形成されることはない。従って、隣接セル間での電荷リークを防止でき、セル間の良好な分離特性を得ることができ、DRAMセル100の信頼性が向上される。
【0023】
開口部41はSOI層3を貫通しているため、当該開口部41内に露出する分離トレンチ40の内壁(即ち活性領域5の側面)の面積はSOI層3の厚さで決まり、開口部41の深さには依存しない。従って、SOI層3の厚さが均一であれば、キャパシタ102の有効面積はほぼ一定になり、その容量値のばらつきが抑制される。
【0024】
このように本実施の形態によれば、形成面積を抑えつつ、大容量且つ安定した容量値を有するDRAMを得ることができる。先に述べたように、本発明はツインセル方式のDRAMに対しても適用可能である。ツインセル方式のDRAMは、1ビットあたり2個のシングルセルが必要であるため比較的大きな形成面積を要するが、本発明の適用により形成面積の増大が抑制できる。
【0025】
次に、本実施の形態に係る半導記憶体装置の製造方法について説明する。図4〜図12は、当該製造方法を説明するための工程図である。各図(a)は、図3(a)に示した断面に対応し、各図(b)は図3(b)に示した断面に対応する。
【0026】
まず、支持基板1、絶縁層2およびSOI層3から成るSOI基板を用意し、SOI層3上にシリコン酸化膜51、シリコン窒化膜52を順次形成する。さらにその上に、分離トレンチ40のパターンに開口されたレジストパターン53を形成する(図4(a),(b))。そしてレジストパターン53をマスクにしてシリコン窒化膜52、シリコン酸化膜51並びにSOI層3をエッチングして、絶縁層2にまで達する分離トレンチ40を形成する(図5(a),(b))。つまり、このとき形成する分離トレンチ40の深さは、SOI層3の厚さ以上である(例えば200nm〜400nm程度)。
【0027】
その後、分離トレンチ40の内壁を酸化して20nm程度のシリコン酸化膜を形成した後に、HDP酸化膜を全面に堆積して分離トレンチ40を埋め、CMPにより余剰なHDP酸化膜を除去することで分離トレンチ40内に分離絶縁膜4を形成する(図6(a),(b))。その後、ウェットエッチングによりシリコン窒化膜52、シリコン酸化膜51も除去する。
【0028】
次いで、開口部41のパターンに開口されたレジストパターン54を形成する。そして当該レジストパターン54をマスクにする異方性ドライエッチングにより、分離絶縁膜4を選択的に除去することで、絶縁層2にまで達する開口部41を形成する(図7(a),(b))。なお、図7(a)の断面ではレジストパターン54の開口の幅が分離トレンチ40の幅よりも広いが、このエッチング工程では、分離絶縁膜4とSOI層3との間での高い選択性が得られるエッチング手法を用いることにより、分離絶縁膜4のみが選択的に除去され、SOI層3の上面は殆ど除去されないようにしている。
【0029】
続いて上記のレジストパターン54をマスクにして硼素イオン等のP型イオンを注入することで、下部拡散層24を形成する(図8(a),(b))。このときP型イオンが開口部41に露出した分離トレンチ40の内壁部分にも注入されるようにする。
【0030】
レジストパターン54を除去した後、開口部41内を含むSOI層3の表面を酸化して2nm程度のシリコン酸化膜55を形成し、さらに全面に100nm〜200nm程度のポリシリコン膜56を形成する(図9(a),(b))。次いでポリシリコン膜56上に電極パターンのレジストパターン57を形成し(図10(a),(b))、それをマスクにするドライエッチングによりシリコン酸化膜55およびポリシリコン膜56をパターニングする。それにより、ゲート酸化膜11およびゲート電極12、並びに、誘電体層21および上部電極22が形成される(図11(a),(b))。
【0031】
そして、イオン注入によりゲート電極12の両脇にLDD(Lightly Doped Drain)層を形成し、全面にシリコン窒化膜を堆積してエッチバックすることでゲート電極12および上部電極22の側面にそれぞれサイドウォール13,23を形成した後、さらにイオン注入を行いソース/ドレイン領域14,15形成する(図12(a),(b))。それにより、MOSトランジスタ101およびキャパシタ102から成るDRAMセル100が形成される。このとき必要に応じて、ゲート電極12、ソース/ドレイン領域14,15、上部電極22の上面にシリサイド層を形成してもよい。
【0032】
その後は常法により、シリコン酸化膜を堆積して層間絶縁膜6を形成し、その中にビット線コンタクト16を形成し、当該層間絶縁膜6の上にビット線BLを配設する。またこのとき同時に、ゲート電極12をメタルのワード線WLに接続するためのワード線コンタクトや、上部電極22上に接続するコンタクト(セルプレートコンタクト)等も形成する。以上の工程により、図3(a),(b)に示した半導体記憶装置が形成される。
【0033】
<実施の形態2>
図13(a),(b)は、実施の形態2に係る半導体記憶装置の構成を示す図であり、それぞれ図2に示したDRAMセルアレイのA−A線、B−B線に沿った断面に対応している。また図13(a),(b)においては、図3(a),(b)と同様の機能を有するの要素には同一符号を付してあるので、それらの詳細な説明は省略する。
【0034】
実施の形態2に係る半導体記憶装置では、図13(a),(b)の如く、開口部41はSOI層3を貫通し、絶縁層2の内部まで入り込んでいる。当該開口部41は図13(a)の断面において、絶縁層2の内部で横方向に幅が広くなっており、SOI層3の底面の一部(図13(a)において符号58で示す)を露出している。そして、下部拡散層24および誘電体層21は、当該底面58にも延在するように形成されている。
【0035】
本実施の形態によれば、開口部41がSOI層3の底面58を露出するように絶縁層2内に入り込んでおり、誘電体層21、下部拡散層24および上部電極22(即ちキャパシタ102)が底面58にまで延在するため、底面58もキャパシタ102の有効面積に寄与することとなり、実施の形態1よりもさらにキャパシタ102の容量が増大するという効果が得られる。従って、DRAMセル100の形成面積をさらに縮小することができるようになる。
【0036】
また、上部電極22の底が絶縁層2の内に入り込んでいるので、当該上部電極22の下(隣接するセルとの間)に寄生MOSトランジスタが形成されることはない。よって実施の形態1と同様に、隣接セル間での電荷リークを防止でき、セル間の良好な分離特性を得ることができる。さらに実施の形態1と同様に、キャパシタ102の有効面積は開口部41の深さには依存しないので、容量値のばらつきが抑制される。従って、DRAMセル100の信頼性が向上される。
【0037】
なお、図13(a),(b)の例では、開口部41は絶縁層2をも貫通して支持基板1にまで達している。そのため、開口部41に埋め込まれる上部電極22もまた支持基板1に達する。上部電極22がシリコンの支持基板1に電気的に接続してしまうと、支持基板1を通してのリーク電流などの不具合が懸念されるが、支持基板1における上部電極22との境界部分に酸化膜61が形成されているため、両者は電気的に分離されている。但し、本実施の形態において開口部41は必ずしも支持基板1にまで達する必要はなく、当然その場合は酸化膜61は無くてもよい。
【0038】
本実施の形態に係る半導記憶体装置の製造方法について説明する。図14〜図19は、当該製造方法を説明するための工程図である。これらにおいて、各図(a)は図13(a)に示した断面に対応し、各図(b)は図13(b)に示した断面に対応する。
【0039】
まず、実施の形態1と同様にして、SOI層3に絶縁層2にまで達する分離トレンチ40を形成し、その中に分離絶縁膜4を形成する(図6(a),(b))。そして開口部41のパターンに開口されたレジストパターン54を形成し、当該レジストパターン54をマスクにする異方性ドライエッチングにより、分離絶縁膜4に、絶縁層2にまで達する開口部41を形成する(図7(a),(b))。
【0040】
本実施の形態では、その後さらに絶縁層2をエッチングして、開口部41をさらに深くする。但しこの工程では、SOI層3に対して分離絶縁膜4のみを選択的に除去できる等方性ウェットエッチングを用いる。従って、当該エッチング工程では、開口部41に露出したSOI層3の側面(活性領域5の側面)はエッチングされず、且つ、開口部41は底が掘り下げられるだけでなく横方向にも広がる。その結果、図14(a)のようにSOI層3が開口部41内にオーバーハングするようになる。即ち、開口部41内に絶縁層2の底面58が露出するようになる。またこの例では、開口部41の底には支持基板1の上面が露出してしまう。
【0041】
続いて上記のレジストパターン54をマスクにして硼素イオン等のP型イオンを注入することで、下部拡散層24を形成する(図15(a),(b))。このとき、下部拡散層24が開口部41に露出した分離トレンチ40の内壁部分だけでなく底面58にまで延在するように深く形成する。
【0042】
レジストパターン54を除去した後、底面58を含むSOI層3の表面を酸化してシリコン酸化膜55を形成する。このとき、開口部41の底に露出した支持基板1の表面も酸化し、酸化膜61が形成される。その後、開口部41内を含む全面にポリシリコン膜56を形成する(図16(a),(b))。このとき、開口部41内にはSOI層3がオーバーハングしているため、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法などカバレッジ性に優れた手法を用いることにより、ポリシリコン膜56内の底面58近傍におけるボイドの発生を防ぐことが望ましい。
【0043】
そして電極パターンのレジストパターン57を形成し(図17(a),(b))、それをマスクにするドライエッチングにより、シリコン酸化膜55およびポリシリコン膜56をパターニングして、ゲート酸化膜11およびゲート電極12、並びに、誘電体層21および上部電極22を形成する(図18(a),(b))。
【0044】
その後は、実施の形態1と同様に、サイドウォール13,23およびソース/ドレイン領域14,15形成することで、MOSトランジスタ101およびキャパシタ102から成るDRAMセル100が形成される(図19(a),(b))。そして、層間絶縁膜6、ビット線コンタクト16、ビット線BL等を形成することにより、図13(a),(b)に示した本実施の形態に係る半導体記憶装置が形成される。
【0045】
<実施の形態3>
図20(a),(b)は、実施の形態3に係る半導体記憶装置の構成を示す図であり、それぞれ図2のA−A線、B−B線に沿った断面に対応している。また、図20(a),(b)においても、図3(a),(b)と同様の機能を有するの要素には同一符号を付してあるので、それらの詳細な説明は省略する。
【0046】
図20(a),(b)の如く、実施の形態3に係る半導体記憶装置では、実施の形態1と同様に開口部41はSOI層3を貫通し、絶縁層2に達している。但し図20(b)の如く、開口部41が形成された領域以外では分離絶縁膜4は絶縁層2にまで達しておらず、分離絶縁膜4と絶縁層2との間にSOI層3が残存している。即ち、本実施の形態では、ワード線WL(ゲート電極12)の延在方向に隣接するセル同士の間の分離絶縁膜4は、いわゆる「部分分離(PTI:Partial Trench Isolation)」となっている。
【0047】
本実施の形態によれば、隣接するセル間の分離絶縁膜4が部分分離であるため、分離絶縁膜4の下に残存するSOI層3を介してセルの電位(ボディ電位)を設定することが可能になる。そのため、セルレイアウトの自由度が増し、デバイスの電気的特性をより良好にすることができるようになる。
【0048】
また本実施の形態においても、キャパシタ102が形成される開口部41がSOI層3の下の絶縁層2にまで達しているので、実施の形態1と同様の効果が得られる。即ち、キャパシタ102の形成面積を大きくせずに容量を増加できるため、DRAMセルの縮小化に寄与できる。また上部電極22の下に寄生MOSトランジスタが形成されることが無く、電荷リークを防止できる。さらにキャパシタ102の有効面積が開口部41の深さに依存しないため、容量値のばらつきが抑制される。
【0049】
つまり本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果に加え、さらに電気的特性に優れたDRAMセルを得ることができるという効果が得られる。
【0050】
なお本実施の形態では、図20(b)のように上部電極22が分離絶縁膜4の下のSOI層3に接する構造となるが、SOI層3における上部電極22との境界部分には誘電体層21が延在するため、両者は電気的に分離される。また開口部41は、絶縁層2にまで達しているため、いわゆる「完全分離(FTI:Full Trench Isolation)」として機能している。即ち、本実施の形態に係るDRAMセルは、分離トレンチ40が部分分離となる領域と完全分離となる領域との両方を備える「ハイブリッドトレンチ分離(HTI:Hybrid trench isolation)構造」を有している。
【0051】
本実施の形態に係る半導記憶体装置の製造方法について説明する。図21〜図30は、当該製造方法を説明するための工程図である。これらにおいて、各図(a)は図20(a)に示した断面に対応し、各図(b)は図20(b)に示した断面に対応する。
【0052】
まず、実施の形態1と同様にSOI層3上にシリコン酸化膜51、シリコン窒化膜52を順次形成し、その上に分離トレンチ40のパターンに開口されたレジストパターン53を形成する(図4(a),(b))。そしてレジストパターン53をマスクにしてシリコン窒化膜52、シリコン酸化膜51並びにSOI層3をエッチングすることで分離トレンチ40を形成する。但しこの工程では、分離トレンチ40が絶縁層2に達する前にエッチングを停止させ、図21(a),(b)のように分離トレンチ40の底部にSOI層3を残存させる。つまり、このとき形成する分離トレンチ40の深さは、SOI層3の厚さ未満である(例えば、SOI層3が200nm〜400nm程度であれば、この工程後の分離トレンチ40の深さは50〜150nm程度とする)。
【0053】
そして、分離トレンチ40内における部分分離とする領域に、レジストパターン63を埋め込む。本実施の形態のDRAMセルにおいては、図20(a),(b)に示したように、キャパシタ102が形成される開口部41の領域が完全分離となり、それ以外の領域が部分分離となるので、図22(a),(b)のように、開口部41の形成領域が開口されたレジストパターン63を分離トレンチ40内に形成する。
【0054】
その後、シリコン窒化膜52およびレジストパターン63をマスクにして再びSOI層3をエッチングすることで、分離トレンチ40をさらに掘り下げて絶縁層2に到達させる(図23(a),(b))。
【0055】
レジストパターン63を除去し、分離トレンチ40の内壁を酸化して20nm程度のシリコン酸化膜を形成した後に、HDP酸化膜を全面に堆積して分離トレンチ40を埋め、CMPにより余剰なHDP酸化膜を除去することで分離トレンチ40内に分離絶縁膜4を形成する(図24(a),(b))。その後、ウェットエッチングによりシリコン窒化膜52、シリコン酸化膜51も除去する。
【0056】
そしてSOI層3上に開口部41のパターンに開口されたレジストパターン54を形成し、当該レジストパターン54をマスクにする異方性ドライエッチングにより、絶縁層2にまで達する開口部41を形成する(図25(a),(b))。続いて、当該レジストパターン54をマスクにして硼素イオン等のP型イオンを注入することで、下部拡散層24を形成する(図26(a),(b))。
【0057】
レジストパターン54を除去した後、開口部41内壁を含むSOI層3の表面を酸化してシリコン酸化膜55を形成する。その後、全面にポリシリコン膜56を形成し(図27(a),(b))、その上に電極パターンのレジストパターン57を形成する(図28(a),(b))。そして当該レジストパターン57をマスクにするドライエッチングにより、シリコン酸化膜55およびポリシリコン膜56をパターニングし、ゲート酸化膜11およびゲート電極12、並びに、誘電体層21および上部電極22を形成する(図29(a),(b))。
【0058】
その後は、実施の形態1と同様に、サイドウォール13,23およびソース/ドレイン領域14,15形成することで、MOSトランジスタ101およびキャパシタ102から成るDRAMセル100が形成される(図30(a),(b))。そして、層間絶縁膜6、ビット線コンタクト16、ビット線BL等を形成することにより、図20(a),(b)に示した本実施の形態に係る半導体記憶装置が形成される。
【0059】
本実施の形態では分離トレンチ40において、部分分離と完全分離との使い分けが可能である。先に述べたように、分離トレンチ40はDRAMセル領域以外の周辺回路領域(不図示)にも形成されるが、本実施の形態によればその周辺回路領域の分離トレンチ40においても、完全分離および部分分離を使い分けることができる。即ち、図22(a),(b)で説明した工程において、周辺回路領域における部分分離としたい領域にもレジストパターン63を形成すればよい。
【0060】
つまり本実施の形態によれば、周辺回路領域においても、ボディ電位を部分分離の下のSOI層3を介して設定することが可能になるので、回路のレイアウトの自由度が増すと共に、デバイスの電気的特性をより良好にすることができるようになるという効果が得られる。
【0061】
なお、本実施の形態においては、図20(a),(b)に示したように、開口部41が絶縁層2の上面にまで達した構造を示したが、実施の形態2を適用することも可能である。即ち、開口部41内にSOI層3の底面の一部を露出するように、開口部41を絶縁層2の内部に入り込むように形成し、キャパシタ102を当該底面にまで延在させてもよい。それにより、実施の形態3に係るキャパシタ102の有効面積をさらに大きくすることができる。その場合は、上述した本実施の形態の製造方法における図25(a),(b)で説明した工程の後に、開口部41の底の絶縁層2を等方性ウェットエッチングにより除去すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】一般的なDRAMセルの回路図である。
【図2】実施の形態1に係るDRAMセルアレイの上面図である。
【図3】実施の形態1に係る半導体記憶装置が備えるDRAMセルの断面図である。
【図4】実施の形態1に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図5】実施の形態1に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図6】実施の形態1に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図7】実施の形態1に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図8】実施の形態1に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図9】実施の形態1に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図10】実施の形態1に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図11】実施の形態1に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図12】実施の形態1に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図13】実施の形態2に係る半導体記憶装置が備えるDRAMセルの断面図である。
【図14】実施の形態2に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図15】実施の形態2に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図16】実施の形態2に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図17】実施の形態2に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図18】実施の形態2に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図19】実施の形態2に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図20】実施の形態3に係る半導体記憶装置が備えるDRAMセルの断面図である。
【図21】実施の形態3に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図22】実施の形態3に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図23】実施の形態3に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図24】実施の形態3に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図25】実施の形態3に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図26】実施の形態3に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図27】実施の形態3に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図28】実施の形態3に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図29】実施の形態3に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図30】実施の形態3に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
【0063】
1 支持基板、2 絶縁層、3 SOI層、4 分離絶縁膜、5 活性領域、6 層間絶縁膜、11 ゲート酸化膜、12 ゲート電極、13 サイドウォール、14,15 ソース/ドレイン領域、16 ビット線コンタクト16、21 誘電体層、22 上部電極、23 サイドウォール、24 下部拡散層、40 分離トレンチ、41 開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された半導体層と、
前記半導体層に形成されたトレンチと、
前記半導体層において前記トレンチにより規定される活性領域と、
前記トレンチ内に形成された分離絶縁膜と、
前記活性領域に形成された不純物拡散層である第1電極、前記不純物拡散層の表面に形成された誘電体層、および前記誘電体層上に形成された第2電極から成るキャパシタと
を備える半導体装置であって、
前記キャパシタの形成領域において、前記トレンチは、前記絶縁層にまで達し、
前記第2電極は、前記トレンチ内に埋め込まれ、前記絶縁層にまで達している
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記不純物拡散層および前記誘電体層は、前記活性領域の上面から前記トレンチの内壁にかけて延在し、
前記第2電極の一部が、前記活性領域上の前記誘電体層上に延在する
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の半導体装置であって、
前記第2電極の一部は、前記半導体層の底面の一部の下に入り込んでおり、
前記不純物拡散層および前記誘電体層は、前記半導体層の底面の一部にも延在している
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか記載の半導体装置であって、
前記分離絶縁膜と前記絶縁層との間に、前記半導体層を有している
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか記載の半導体装置であって、
前記活性領域に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極の両脇に形成された第1導電型の不純物拡散層とを有するMOSトランジスタをさらに備え、
前記MOSトランジスタの前記第1導電型の前記不純物拡散層は、前記第1電極である前記第1導電型の前記不純物拡散層に電気的に接続し、
前記MOSトランジスタは、前記キャパシタと共にメモリセルを構成している
ことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2006−344714(P2006−344714A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167939(P2005−167939)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】