説明

画像認識カメラのキャリブレーション方法、部品接合方法、部品接合装置および校正用マスク

【課題】簡単な構成で、画像認識カメラのキャリブレーションを精度良く行うことができる画像認識カメラのキャリブレーション方法を提供する。
【解決手段】基準マークMa,Maを形成した透光性の校正用マスク31を用い、画像認識カメラ6により、上昇待機位置S2に移動した校正用マスク31の基準マークMa,Maを位置認識する第1マーク認識工程と、第1マーク認識工程の後に、校正用マスク31を降下させワークテーブル4にセットするマスクセット工程と、マスクセット工程の後に、画像認識カメラ6により校正用マスク31の基準マークMa,Maを、位置認識する第2マーク認識工程と、第1マーク認識工程および第2マーク認識工程においてそれぞれ位置認識した2つの認識結果に基づいて、校正データを取得する校正データ取得工程と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合に先立ち、上昇待機位置にある接合部品とセットされた被接合部品との間に臨んで、接合部品と被接合部品とを位置認識する上下2眼の鏡筒を有する画像認識カメラのキャリブレーション方法、部品接合方法、部品接合装置および校正用マスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の上下2視野の画像認識カメラ(上方に臨むチップ用カメラと下方に臨む基板用カメラとを一体化したもの)のキャリブレーション方法を実施する部品接合装置(チップボンディング装置)として、ボンディングツール(保持ヘッド)と隣接してZ軸テーブル(昇降機構)に搭載されたマーク用テーブル(校正用マスク)を用いたものが知られている(特許文献1参照)。このキャリブレーション方法は、Z軸テーブルにより上昇した上昇待機位置(上昇位置)におけるマーク用テーブルのキャリブレーション用基準マーク(基準マーク)を、チップ用カメラで下方から画像認識し、その後、Z軸テーブルにより降下した接合位置(降下位置)におけるキャリブレーション用基準マークを、基板用カメラで上方から画像認識し、これらの認識結果に基づいてキャリブレーションを行うものである。
この場合、画像認識カメラは、退避位置、半導体チップ(接合部品)および回路基板(被接合部品)のアライメントマークを認識するボンディング位置、および退避位置とボンティング位置との間に位置し、ワーク用テーブルのキャリブレーション用基準マークを認識するキャリブレーション位置との間で、移動可能に構成されている。
【特許文献1】特開平9−8104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようなチップボンディング装置では、マーク用テーブルを上下方向で所定の位置に位置調整するための昇降装置が必要となり、また、Z軸テーブルのブラケットに、昇降装置を支持する領域を、セットされた回路基板の直上から外して設ける必要がある。そのため、チップボンディング装置が大型で且つ構成が複雑になってしまうという問題があった。また、アライメントにおけるアライメントマークの認識位置(以下、アライメント位置)と、キャリブレーションにおけるキャリブレーション用基準マークの認識位置(以下、キャリブレーション位置)とが大きく離れているため、認識ずれが生じ、キャリブレーションを精度良く行うことができないという問題があった。例えば、画像認識カメラを移動する水平移動機構の移動軸が傾いている場合、移動軸方向における認識位置の違いから認識ずれが生じてしまう。また、移動軸方向における位置の違いにより、水平移動機構にかかる画像認識カメラの荷重(曲げモーメント)の相違が生じるため、水平移動機構の撓み量に差が生まれ、結果、認識ずれが生じてしまう。
【0004】
本発明は、簡単な構成で、画像認識カメラのキャリブレーションを精度良く行うことができる画像認識カメラのキャリブレーション方法、部品接合方法、部品接合装置および校正用マスクを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像認識カメラのキャリブレーション方法は、保持ヘッドに保持した接合部品を、保持ヘッドを介して昇降させる昇降機構により、ワークテーブルにセットした被接合部品に対し、接合部品を重ね合せて接合する部品接合装置に設けられ、接合に先立ち、上昇待機位置にある接合部品とセットされた被接合部品との間に臨んで、接合部品の接合位置決め基準と被接合部品の被接合位置決め基準とを位置認識する上下2眼の鏡筒を有する画像認識カメラのキャリブレーション方法であって、基準マークを形成した透光性の校正用マスクを用い、所定の位置に移動した画像認識カメラにより、保持ヘッドに保持され上昇待機位置に移動した校正用マスクの基準マークを、上側の鏡筒を介して位置認識する第1マーク認識工程と、第1マーク認識工程の後に、校正用マスクを、昇降機構により降下させワークテーブルにセットするマスクセット工程と、マスクセット工程の後に、画像認識カメラにより、校正用マスクの基準マークを、下側の鏡筒を介して位置認識する第2マーク認識工程と、第1マーク認識工程および前記第2マーク認識工程においてそれぞれ位置認識した2つの認識結果に基づいて、校正データを取得する校正データ取得工程と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、基準マークを形成した透光性の校正用マスクの基準マークを、保持ヘッドに保持させて上昇待機位置に移動した状態と、ワークテーブルにセットされた状態とで上下鏡筒にて位置認識し、当該2つの認識結果から校正データを取得する(キャリブレーション)ことにより、画像認識カメラのアライメント位置とキャリブレーション位置とを同一にすることができる。そのため、アライメントにおける位置認識と、キャリブレーションにおける位置認識とを同一条件で行うことができ、画像認識カメラのキャリブレーションを精度良く行うことができる。また、校正用マスクを用いるだけで、特段の機構(例えば、上記の昇降装置)を必要とせず、キャリブレーションを簡単な構成で行うことができる。
【0007】
この場合、校正用マスクは、接合部品と被接合部品とを合せた厚さと、同一の厚さを有していることが好ましい。
【0008】
この構成によれば、校正用マスクの厚さと、接合部品と被接合部品とを合せた厚さとが同一であることで、校正用マスクを上昇待機位置からワークテーブルへのセット位置まで移動する移動量と、接合部品を上昇待機位置から接合位置まで移動する移動量とが同一になる。そのため、画像認識カメラ自身の認識ずれに加え、昇降移動による認識ずれ(昇降機構における移動軸の傾きによる認識ずれおよび画像認識カメラの光軸の傾きによる認識ずれ)をキャリブレーションすることができ、キャリブレーションを更に精度良く行うことができる。
【0009】
この場合、接合位置決め基準は、接合部品の下面に形成されており、校正用マスクは、接合部品の厚さと同一の厚さを有する上マスクと、被接合部品の厚さと同一の厚さを有する下マスクとを重合してなり、基準マークは、上マスクと下マスクとの境界面に形成されていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、上昇待機位置に位置する校正用マスクの基準マークの高さ(上下方向の位置)と、上昇待機位置に位置する接合部品の接合位置決め基準の高さがと一致すると共に、セット位置に位置する校正用マスクの基準マークの高さと、接合位置に位置する接合部品の接合位置決め基準の高さとが一致する。これにより、基準マークと接合位置決め基準とを同一条件にすることができ、キャリブレーションを更に精度良く行うことができる。また、当該校正用マスクを簡単な構成にすることができる。なお、「基準マークは、上マスクと下マスクの境界面に形成されている」と表記したが、具体的には、基準マークは、上マスクの下面および下マスクの上面のいずれか一方に形成されている。
【0011】
本発明の部品接合方法は、上記の画像認識カメラのキャリブレーション方法と、校正データ取得工程の後、保持ヘッドに接合部品を保持させると共に、ワークテーブルにセットされた校正用マスクに代えて被接合部品をセットする部品セット工程と、保持ヘッドに保持され上昇待機位置にある接合部品と、ワークテーブルにセットされた被接合部品と、の間に臨ませた画像認識カメラにより、接合部品の接合位置決め基準および被接合部品の被接合位置決め基準を位置認識する基準認識工程と、位置認識工程による認識結果に基づいて、接合位置決め基準と被接合位置決め基準との位置ずれデータを取得し、位置ずれデータに校正データを加味して位置ずれ量を算出するずれ量算出工程と、算出した位置ずれ量に基づいて、接合部品と被接合部品との相互の位置補正を行う位置補正工程と、位置補正工程の後、接合部品を被接合部品に対し重ね合せて接合する接合工程と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、キャリブレーションを精度良く行うことができるキャリブレーション方法を用いることで、接合処理を精度良く行うことができる。
【0013】
本発明の部品接合装置は、上記の部品接合方法を実施する部品接合装置であって、接合部品を保持する保持ヘッドと、保持ヘッドを介して、接合部品を昇降させると共に接合部品を被接合部品に接合する昇降機構と、被接合部品がセットされるワークテーブルと、上昇待機位置にある接合部品とセットされた被接合部品との間に臨んで、接合部品と被接合部品とを位置認識する上下2眼の鏡筒を有する画像認識カメラと、画像認識カメラを水平方向に移動させる水平移動機構と、水平面内において、接合部品に対し被接合部品を相対的に移動させて、位置補正を行う補正手段と、昇降機構、水平移動機構、画像認識カメラおよび補正手段を制御すると共に、各工程を実施する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、キャリブレーションを精度良く行うことができ、接合処理を精度良く行うことができる部品接合装置を提供することができる。なお、補正手段は、被接合部材を固定とし、接合部品を移動させて位置補正するものでもよいし、逆に接合部材を固定とし、被接合部品を移動させて位置補正するものでもよい。
【0015】
この場合、ワークテーブルは、テーブル本体と、テーブル本体にセットされた被接合部品および校正用マスクをテーブル本体に吸着する吸着機構と、を備えたことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、セットされた被接合部品を吸着した状態で接合することができ、精度良く接合処理を行うことができると共に、セットされた校正用マスクを吸着した状態でキャリブレーションを行うことができ、精度良くキャリブレーションを行うことができる。
【0017】
この場合、保持ヘッドには、ヒータおよび紫外線ランプのいずれかが組み込まれており、制御手段は、接合部品を被接合部品に重ね合せた状態で、ヒータおよび紫外線ランプのいずれかを駆動し、接合部品を被接合部品に接合することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、保持ヘッドのヒータおよび紫外線ランプを駆動することで、接合部品と被接合部品との接合にかかる、熱圧着もしくは紫外線圧着を容易に行うことができる。
【0019】
この場合、補正手段は、被接合部品を、X軸方向に移動させるX軸テーブル、Y軸方向に移動させるY軸テーブルおよびθ方向に移動させるθテーブルから成り、ワークテーブルは、θテーブルに搭載されていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、位置補正を精度良く行うことができると共に、補正手段を簡単な構成にすることができる。
【0021】
本発明の校正用マスクは、上記の画像認識カメラのキャリブレーション方法に用いる校正用マスクであって、接合部品の厚さと同一の厚さを有する上マスクと被接合部品の厚さと同一の厚さを有する下マスクとを重合してなり、基準マークは、上マスクと下マスクとの境界面に形成されていることを特徴とする。
【0022】
接合部品の接合位置決め基準は、一般的に接合部品の下面に形成されている。
上記の構成によれば、基準マークを上マスクと下マスクの境界面に形成することのより、上昇待機位置に位置する校正用マスクの基準マークの高さ(上下方向の位置)と、上昇待機位置に位置する接合部品の接合位置決め基準の高さがと一致すると共に、セット位置に位置する校正用マスクの基準マークの高さと、接合位置に位置する接合部品の接合位置決め基準の高さとが一致する。これにより、基準マークと接合位置決め基準とを同一条件にすることができ、キャリブレーションを更に精度良く行うことができる。また、当該校正用マスクを簡単な構成にすることができる。なお、「基準マークは、上マスクと下マスクの境界面に形成されている」と表記したが、具体的には、基準マークは、上マスクの下面および下マスクの上面のいずれか一方に形成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の画像認識カメラのキャリブレーション方法を適用した部品接合装置について説明する。この部品接合装置は、小型の液晶パネルに、異方性導電フィルム(AFC)を介してフレキシブル基板(FPC)を熱圧着により接合するものである。具体的には、液晶パネルおよびAFC付のフレキシブル基板をプリアライメントされた状態で給材し、装置上で両者をアライメントした後、液晶パネルの端子部に、フレキシブル基板のAFC付の端子部を重ねて熱圧着するものである。なお、説明を容易にするため以降の説明では、接合部品であるフレキシブル基板を接合ワーク、被接合部品である液晶パネルを被接合ワークと表示し、いずれも板状の部材として図示するものとする。
【0024】
ここで、部品接合装置1を説明する前に、接合ワークAおよび被接合ワークBについて、簡単に説明する。図2に示すように、接合ワークAの下面には、相互に離間して一対の接合位置決め基準Aa,Aaがマーキングされている(同図(a)参照)。一方、被接合ワークBの上面には、一対の接合位置決め基準Aa,Aaに対応する一対の被接合位置決め基準Ba,Baがマーキングされている(同図(d)参照)。これら位置決め基準Aa,Baを画像認識し、位置決め基準Aa,Baを重ね合わせるように接合することで、接合ワークAおよび被接合ワークBの接合処理が行われる。
【0025】
図1に示すように、部品接合装置1は、接合ワークAを吸着保持する保持ヘッド2と、保持ヘッド2を昇降させる昇降機構3と、被接合ワークBがセットされるワークテーブル4と、ワークテーブル4が搭載されたXYθテーブル(補正手段)5と、側方から装置の軸線上(保持ヘッド2および昇降機構3と同軸線上)に臨み、上下2視野で離間状態の接合ワークAおよび被接合ワークBを撮像する一対の画像認識カメラ6(同図では一方のみ図示)と、一対の画像認識カメラ6を軸線上に進退自在に臨ませる進退動機構(水平移動機構)7と、これら構成装置を統括制御する制御装置(制御手段)8と、を備えている。
【0026】
保持ヘッド2はいわゆる吸着ヘッドであり、図示では省略したが、ヒータおよびばねを内蔵している。保持ヘッド2は、吸着した接合ワークAを被接合ワークBに熱圧着するが、ばねにより圧着力が維持され、ヒータにより熱接合が行われる。昇降機構3は、保持ヘッド2を支持し、保持ヘッド2介して接合ワークAを接合位置S1と上昇待機位置S2との間で昇降させる。接合位置S1に移動した接合ワークAは、被接合ワークBに押圧された状態で熱圧着される。また、詳細は後述するが接合ワークAが上昇待機位置S2に移動した状態で、画像認識カメラ6が軸線上に側方から臨むようになっている。なお、紫外線圧着を行う場合には、ヒータに代えて紫外線ランプを内蔵する。このような保持ヘッド2を有することにより、接合ワークAと被接合ワークBとの接合にかかる、熱圧着もしくは紫外線圧着を容易に行うことができる。
【0027】
ワークテーブル4はいわゆる吸着テーブルであり、被接合ワークBがセットされるテーブル本体15と、テーブル本体15に組み込まれ、セットされた被接合ワークBをテーブル本体15に吸着する吸着機構16と、を備えている。吸着機構16は、テーブル本体15上にマトリクス状に配置形成された複数の吸着孔26と、複数の吸着孔26が連通するバッファ部27と、バッファ部27から側方に延び、バッファ部27と外部を連通する連通孔28と、連通孔28に接続され、吸着孔26、バッファ部27および連通孔28を介して、被接合ワークBに吸引負圧をかける吸引設備29と、により構成されている。なお、吸引設備29は、工場内の真空設備や真空ポンプであることが好ましい。
【0028】
XYθテーブル5は、ワークテーブル4を搭載すると共に、ワークテーブル4にセットした被接合ワークBを水平面内において微小角度回転させるθテーブル11と、θテーブル11を支持すると共に、ワークテーブル4およびθテーブル11を介して、被接合ワークBを水平面内のY軸方向に移動させるY軸テーブル12と、Y軸テーブル12を支持すると共に、ワークテーブル4、θテーブル11およびY軸テーブル12を介して、被接合ワークBを水平面内のX軸方向に移動させるX軸テーブル13と、を備えている。すなわち、θテーブル11、Y軸テーブル12およびX軸テーブル13により、被接合ワークBの水平面内のXYθ方向における位置調整(アライメント)を行うことができる。このようなXYθテーブル5を用いることにより、位置補正を精度良く行うことができると共に、補正手段を簡単な構成にすることができる。
【0029】
各画像認識カメラ6は、いわゆる同一光軸の上下2視野カメラであり、離間状態の接合ワークAと被接合ワークBの間に臨み、接合ワークAの下面を画像認識すると共に、被接合ワークBの上面を画像認識するものである。図3に示すように、各画像認識カメラ6は、表裏面に位置する(上下2眼の)上鏡筒(鏡筒)21および下鏡筒(鏡筒)22と、一対の鏡筒21,22に対応した一対のCCDカメラ23,23と、一対の鏡筒21,22から入射した入射光を一対のCCDカメラ23,23にそれぞれ導く一対の光学系24,24と、を備えている。上鏡筒21と下鏡筒22とは光軸が同一となるように配設されており、一方のCCDカメラ23は、一方の光学系24および上鏡筒21を介して、接合ワークAの下面(の1つの接合位置決め基準Aa)を画像認識し、他方のCCDカメラ23は、他方の光学系24および下鏡筒22を介して、被接合ワークBの上面(の1つの被接合位置決め基準Ba)を画像認識する。すなわち、接合位置決め基準Aaと被接合位置決め基準Baとを同一光軸上で位置認識する。また、一方の画像認識カメラ6により、対応する一方の各位置決め基準Aa,Baを画像認識し、他方の画像認識カメラ6により、対応する他方の各位置決め基準Aa,Baを画像認識する。
【0030】
なお、本実施形態においては、制御装置8による画像認識を容易にするために、一対の鏡筒21,22に対し一対のCCDカメラ23,23により撮像を行うような構成となっているが、一対の鏡筒21,22に対し、1つのCCDカメラ23で撮像を行うようにしても良い。また、CCDカメラ23に代えてCMOSカメラを用いたものであってもよい。さらに、上鏡筒21および下鏡筒22の光軸が同一でなく、オフセットしていてもよい。この場合、オフセットを加味して位置認識を行う。
【0031】
図1に示すように、進退動機構7は、一対の画像認識カメラ6を、上記した軸線上となる撮像位置T1と、退避位置T2との間でX軸方向に水平移動自在に構成されている。昇降機構3により、接合ワークAを上昇待機位置S2に上昇された状態で、進退動機構7により、画像認識カメラ6を、撮像位置T1に移動させ、接合ワークAおよび被接合ワークBの位置決め基準Aa,Baが撮像される。なお、詳細は後述するが、キャリブレーションを行う際も、この撮像位置T1において、校正用マスク31の基準マークMa,Maを撮像する。
【0032】
制御装置8は、特に図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等により主要部が構成され、画像認識カメラ6の他、保持ヘッド2、昇降機構3、ワークテーブル4(吸着機構16)、θテーブル11、Y軸テーブル12、X軸テーブル13および進退動機構7の駆動を制御する。また、アライメントに際し、一対の画像認識カメラ6(の一対のCCDカメラ23,23)による認識結果から、接合ワークAと被接合ワークBとの相互の位置ずれ量を算出すると共に、キャリブレーションに際し、各画像認識カメラ6(の一対のCCDカメラ23,23)による認識結果から、各画像認識カメラ6の認識ずれ量(校正データ)を算出する。
【0033】
次に、校正用マスク31を用いたキャリブレーション方法について説明する。図2(c)および図4に示すように、校正用マスク31は、石英ガラス等で構成された透明な(透光性を有する)上マスク31aおよび下マスク31bを重合して形成されている。校正用マスク31は、キャリブレーションに際し、保持ヘッド2に保持されるため、上マスク31aは、その上面に保持ヘッド2により吸着される吸着面を有すると共に、接合ワークAの厚さと同一の厚さを有している。一方、キャリブレーションに際し、ワークテーブル4にセットされるため、下マスク31bは、セット面を有すると共に、被接合ワークBの厚さと同一の厚さを有している。なお、下マスク31bのセット面は、ワークテーブル4(テーブル本体15)に対する被接合ワークBのセット面と同一の接触面形状を有していることが好ましい。これにより、被接合ワークBに対応した吸着機構16により適切に校正用マスク31を吸着することができる。
【0034】
上マスク31aの下面(上マスク31aと下マスク31bとの境界面)には、接合ワークAの一対の接合位置決め基準Aa,Aaに対応して基準マークMa,Maが配置されている。すなわち、保持ヘッド2に保持された校正用マスク31の一対の基準マークMa,Maと、保持ヘッド2に保持された接合位置決め基準Aa,Aaとが、水平面内で同一位置になるように配置されている。そのため、画像認識カメラ6による接合位置決め基準Aa,Aaの認識位置(撮像位置T1)と同一の位置で、基準マークMa,Maを認識することができる。
【0035】
図5は、画像認識カメラ6のキャリブレーション動作について示した説明図である。キャリブレーション動作は、上記したように、接合ワークAに代わり校正用マスク31が保持ヘッド2に保持されている状態(すなわち、接合ワークAがセットされていない状態)にて行う。加えて、被接合ワークBがセットされておらず、保持ヘッド2を介して校正用マスク31が上昇待機位置S2に位置している(図5(a))。
【0036】
まず、進退動機構7により、一対の画像認識カメラ6を撮像位置T1に移動し、上昇待機位置S2に位置する校正用マスク31の一対の基準マークMa,Maに臨ませる(図5(b))。その後、一対の画像認識カメラ6の各上鏡筒21により、下方から一対の基準マークMa,Maをそれぞれ撮像する。これにより、上昇待機位置S2における一対の基準マークMa,Maの位置が画像認識(位置認識)される。
【0037】
次に、進退動機構7により、一対の画像認識カメラ6を一旦退避位置T2に移動した後、昇降機構3により、保持ヘッド2を介して校正用マスク31を接合位置S1に移動させる(降下させる)。これにより、校正用マスク31がワークテーブル4に吸着セットされる(図5(c))。その後、保持ヘッド2の校正用マスク31に対する吸着を解除し、昇降機構3により、保持ヘッド2を上昇待機位置S2に退避させる(図5(d))。
【0038】
保持ヘッド2を退避させたら、再度、一対の画像認識カメラ6を撮像位置T1に移動し、セットされた校正用マスク31の一対の基準マークMa,Maに臨ませる(図5(e))。その後、今度は、一対の画像認識カメラ6の各下鏡筒22により、上方から一対の基準マークMa,Maをそれぞれ撮像する。これにより、セットされた状態の一対の基準マークMa,Maの位置が画像認識(位置認識)される。
【0039】
その後、制御装置8は、各画像認識カメラ6によって撮像された各2の画像認識結果に基づいて、各画像認識カメラ6の校正データを取得する。例えば、上昇待機位置S2における基準マークMaの位置が(X,Y)=(1,1)であり、セット状態の基準マークMaの位置が(X,Y)=(1,−1)である場合、位置ずれ量は、(X,Y)=(1−1,1−(−1))=(0,2)となる。この位置ずれ量が校正データとなる。
【0040】
このようなキャリブレーション方法を用いることにより、画像認識カメラ6のアライメント位置とキャリブレーション位置とを、同一にすることができる。そのため、アライメントにおける位置認識と、キャリブレーションにおける位置認識とを同一条件で行うことができ、画像認識カメラ6のキャリブレーションを精度良く行うことができる。また、校正用マスク31を用いるだけで、特段の機構を必要とせず、キャリブレーションを簡単な構成で行うことができる。
【0041】
さらに、校正用マスク31が、接合ワークAと被接合ワークBとを合せた厚さと、同一の厚さを有していることにより、校正用マスク31を、上昇待機位置S2からワークテーブル4へのセット位置まで移動する移動量と、接合ワークAを、上昇待機位置S2から接合位置S1まで移動する移動量とが同一になる。そのため、画像認識カメラ6自身の認識ずれに加え、昇降移動による認識ずれ(昇降機構3における移動軸の傾きによる認識ずれおよび画像認識カメラ6の光軸の傾きによる認識ずれ)をキャリブレーションすることができ、キャリブレーションを更に精度良く行うことができる。また、当該校正用マスク31を簡単な構成にすることができる。
【0042】
またさらに、接合位置決め基準Aa,Aaが接合ワークAの下面に形成されているのに対し、基準マークMa,Maが、接合ワークAと同一の厚さを有する上マスク31aと、被接合ワークBと同一の厚さを有する下マスク31bとの境界面に形成されていることにより、上昇待機位置S2に位置する校正用マスク31の基準マークMa,Maの高さ(上下方向の位置)と、上昇待機位置S2に位置する接合ワークAの接合位置決め基準Aa,Aaの高さがと一致すると共に、セット位置に位置する校正用マスク31の基準マークMa,Maの高さと、接合位置S1に位置する接合ワークAの接合位置決め基準Aa,Aaの高さとが一致する。これにより、基準マークMa,Maと接合位置決め基準Aa,Aaとを同一条件にすることができ、キャリブレーションを更に精度良く行うことができる。また、当該校正用マスク31を簡単な構成にすることができる。
【0043】
次に、図6を参照して、一対の画像認識カメラ6のキャリブレーション後における、接合ワークAと被接合ワークBとのアライメント動作および接合動作について説明する。なお、保持ヘッド2が上昇待機位置S2に位置している状態にて動作を開始する。
【0044】
まず、接合ワークAを保持ヘッド2に保持させると共に、校正用マスク31に代えて、被接合ワークBをワークテーブル4にセットする(図6(a))。
【0045】
次に、進退動機構7により、一対の画像認識カメラ6を撮像位置T1に移動し、一対の画像認識カメラ6を、接合ワークAの一対の接合位置決め基準Aa, Aaおよび被接合ワークBの一対の被接合位置決め基準Ba,Baに臨ませる(図6(b))。その後、一対の画像認識カメラ6の各上鏡筒21により、一対の接合位置決め基準Aa,Aaをそれぞれ撮像すると共に、一対の画像認識カメラ6の各下鏡筒22により、一対の被接合位置決め基準Ba,Baをそれぞれ撮像する。これにより、一対の接合位置決め基準Aa,Aaの位置と、一対の被接合位置決め基準Ba,Baの位置が画像認識される。
【0046】
その後、制御装置8は、一対の接合位置決め基準Aa,Aaの画像認識結果および一対の被接合位置決め基準Ba,Baの画像認識結果に基づいて、位置ずれデータを取得し、当該位置ずれデータに校正データを加味して位置ずれ量を算出する。例えば、接合位置決め基準Aaの位置が(X,Y)=(2,1)である場合、上記の校正データ(X,Y)=(0,−2)を加味し、(X,Y)=(2−0,1−2)=(2,−1)を接合位置決め基準Aaの位置とする(以下、これを校正接合位置決め基準と表記する)。これを両接合位置決め基準Aa,Aaに対して行った後、一対の校正接合位置決め基準と、一対の被接合位置決め基準Ba,Baとの位置ずれ量を算出する。
【0047】
すなわち、一対の校正接合位置決め基準の線分と、一対の被接合位置決め基準Ba,Baの線分との角度ずれ(Δθ)を算出し、一対の校正接合位置決め基準の中点と、一対の被接合位置決め基準Ba,Baの中点とのXY方向の位置ずれ(ΔX,ΔY)を算出する。この校正接合位置決め基準と被接合位置決め基準Ba,Baとの位置ずれ量(ΔX,ΔY, Δθ)が、そのまま、被接合ワークBの接合ワークAに対する位置ずれ量となる。
【0048】
次に、進退動機構7により一対の画像認識カメラ6を退避位置T2に退避させた後(図6(c))、算出した被接合ワークBの接合ワークAに対する位置ずれ量に基づいて、XYθテーブル5により、ワークテーブル4上の被接合ワークBを位置補正(アライメント)する。位置補正が終了したら、昇降機構3により、保持ヘッド2を介して接合ワークAを降下させ、被接合ワークBに接合ワークAを重ね合せて押圧接触させて、また、内蔵するヒータにより熱圧着する(図6(d))。これにより、接合ワークAが被接合ワークBに接合される。
【0049】
このように、一対の画像認識カメラ6のキャリブレーションを精度良く行うことができるキャリブレーション方法を用いて接合処理を行うことにより、接合処理を精度良く行うことができる。なお、上記の一対の画像認識カメラ6のキャリブレーションは、接合処理の都度行ってもよいし、一定数に一回、周期的に行うようにしてよい。また、同様に上記のアライメントも接合処理の都度行ってもよいし、一定数に一回、行うようにしてよい。
【0050】
また、吸着機構16を有するワークテーブル4を用いることで、セットされた被接合ワークBを吸着した状態で接合することができ、精度良く接合処理を行うことができると共に、セットされた校正用マスク31を吸着した状態でキャリブレーションを行うことができ、精度良くキャリブレーションを行うことができる。
【0051】
次に、図7を参照して、校正用マスク31の変形例について説明する。なお、これらの変形例は、キャリブレーションの精度を高めるため、昇降機構3により接合位置S1に移動された校正用マスク31が、その位置(上下方向の位置)でワークテーブル4にセットされるように、且つ、上昇待機位置S2および接合位置S1において、保持ヘッド2に保持された校正用マスク31の基準マークMa,Maの高さが、接合ワークAの接合位置決め基準Aa,Aaの高さと同一となるように構成されている。
【0052】
図7(a)に示すように、第1変形例の校正用マスク31は、下面に基準マークMa,Maを有する上マスク31aと、セット時に上マスク31aを下側から支持すると共に、被接合ワークBの厚さと同一の高さを有する1以上の脚部材32,32とを接合して形成されている。なお、1以上の脚部材32,32は、透明な部材で構成しても、不透明な部材で構成してもよいが、不透明な部材で構成する場合には、基準マークMa,Maの位置を避けて配設する必要がある。
【0053】
図7(b)に示すように、第2変形例の校正用マスク31は、上面に基準マークMa,Maを有する下マスク31bと、保持ヘッド2に吸着保持されて下マスク31bを上側から支持すると共に、接合ワークAの厚さと同一の高さを有する1以上の支持部材33,33とを接合して形成されている。なお、1以上の支持部材33,33は、脚部材32と同様、透明な部材で構成しても、不透明な部材で構成してもよいが、不透明な部材で構成する場合には、基準マークMa,Maの位置を避けて配設する必要がある。
【0054】
図7(c)に示すように、第3変更例の校正用マスク31は、下面もしくは上面に基準マークMa,Maを形成し、比較的薄く形成された薄型マスク34と、水平方向で基準マークMa,Maを避けた位置に配設されると共に、不透明な部材で構成された一対の支持部材33,33と、水平方向で基準マークMa,Maを避けた位置に配設されると共に、不透明な部材で構成された一対の脚部材32,32と、を接合して形成されている。支持部材33,33の高さおよび脚部材32,32の高さにより、薄型マスク34の基準マークMa,Maの高さが、接合位置決め基準Aa,Aaの高さと同一となるように調整されている。この場合、薄型マスク34によってキャリブレーションを行うことができるため、校正用マスク31を通過して画像認識する際の屈折による認識ずれを軽減することができる。また、屈折による影響を緩和すべく、薄型マスク34に代えて、境界面に基準マークMa,Maが形成されると共に、同一の厚さを有する2枚のガラス板を重合して形成してもよい。
【0055】
なお、上記実施形態および第1ないし第3変形例では、昇降機構3により接合位置S1に移動された校正用マスク31が、その位置でワークテーブル4にセットされるよう、校正用マスク31を改良したものであるが、校正用マスク31を、下面に基準マークMa,Maが形成された単なる板状のガラスマスクとし、別の改良において上記条件を満たすようにしてよい。例えば、図8(a)に示すように、被接合ワークBをセットした状態において、上記キャリブレーションを行っても良い。これにより、接合位置S1にある校正用マスク31は、被接合ワークBを介してワークテーブル4にセットされることになる。なお、被接合ワークBに代わり、支持台や昇降台を用いてもよい。
【0056】
また、上記条件を満たすために、図8(b)に示すように、XYθテーブル5にワークテーブル4を昇降するZ軸テーブル51を搭載し、且つキャリブレーションに際しワークテーブル4を上昇させ、接合位置S1にある校正用マスク31を受け取るようにしても良い。かかる場合、予め設定された高さ(被接合ワークBの厚さ分)だけ上昇させて校正用マスク31を受け取るようにしても良いし、校正用マスク31の下面の高さ(もしくは基準マークMa,Maの高さ)を検出する検出センサを設け、検出した校正用マスク31の高さに基づいて校正用マスク31を受け取るようにしても良い。なお、ワークテーブル4全体を昇降させるものを例示したが、ワークテーブル4(テーブル本体15)の表面の一部のみ、突出させて校正用マスク31を受け取る構成にしても良い。
【0057】
これらのように、昇降機構3により接合位置S1に移動された校正用マスク31が、その位置でワークテーブル4にセットされるよう構成することで、上記実施形態と同様、校正用マスク31を上昇待機位置S2からセット位置まで移動する移動量と、接合ワークAを上昇待機位置S2から接合位置S1まで移動する移動量とが同一になり、キャリブレーションを更に精度良く行うことができる。
【0058】
また、上昇待機位置S2および接合位置S1において、保持ヘッド2に保持された校正用マスク31の基準マークMa,Maの高さが、保持ヘッド2に保持された接合ワークAの接合位置決め基準Aa,Aaの高さと同一となるように構成されていることにより、上記実施形態と同様、基準マークMa,Maと接合位置決め基準Aa,Aaとを同一条件にすることができ、キャリブレーションを更に精度良く行うことができる。
【0059】
なお、これらの効果を有しないが、上昇待機位置S2において基準マークMa,Maを位置認識し、昇降機構3により降下させてセットしたセット位置において基準マークMa,Maを位置認識してキャリブレーションを行う構成であれば、上昇待機位置S2および接合位置S1において、保持された校正用マスク31の基準マークMa,Maの高さが、保持された接合ワークAの接合位置決め基準Aa,Aaの高さと同一とならない構成であっても良い。例えば、厚さが接合ワークAおよび被接合ワークBを合わせた厚さと同一の校正用マスク31において、上マスク31aの厚さと下マスク31bの厚さを同一にし、且つ基準マークMa,Maを上下マスク31a,31bの境界面(上マスク31aの下面もしくは下マスク31bの上面)に形成した構成にすることで、画像認識カメラ6の位置認識における上下マスク31a,31bの屈折の影響を緩和するようにしても良い。
【0060】
また、昇降機構3により接合位置S1に移動された校正用マスク31が、その位置でワークテーブル4にセットされる構成でなくても良い。例えば、構成を簡単にするため、校正用マスク31を上記した単なる板状のガラスマスクとし、キャリブレーションに際し、昇降機構3により、校正用マスク31を接合位置S1から更に降下させて、ワークテーブル4にセットするような構成にしても良い。
【0061】
以上のような構成によれば、画像認識カメラ6のアライメント位置とキャリブレーション位置とを同一にすることができる。そのため、アライメントにおける位置認識と、キャリブレーションにおける位置認識とを同一条件で行うことができ、画像認識カメラ6のキャリブレーションを精度良く行うことができる。また、校正用マスク31を用いるだけで、特段の機構を必要とせず、キャリブレーションを簡単な構成で行うことができる。
【0062】
なお、本実施形態では、フレキシブル基板と液晶パネルとの位置決めを例に説明したが、本願発明は、ICチップと回路基板との位置決め(マウント)、インクジェットヘッドとキャリッジとの位置決め等に、適用できることはいうまでもない。したがって、熱圧着に限らず、紫外線硬化接着剤を用いた紫外線接合やはんだ接合等にも適用可能である。
【0063】
また、本実施形態においては、被接合ワークB側を移動させて、接合に係る位置補正(アライメント)を行ったが、接合ワークA側を移動させるものであっても良いし、被接合ワークB側および接合ワークA側を共に移動させるものであっても良い(例えば、接合ワークA側がθ方向補正を行い、被接合ワークB側がXY方向補正を行う構成)。
【0064】
さらに、本実施形態においては、保持ヘッド2として、接合ワークAおよび校正用マスク31を吸着保持するものを例示したが、それに限るものではない。例えば、保持ヘッド2として、接合ワークAおよび校正用マスク31をチャッキング(把持)することで保持するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施形態に係る部品接合装置の全体模式図である。
【図2】接合ワークの裏面図(a)、被接合ワーク(b)の平面図および校正用マスクの平面図(c)である。
【図3】画像認識カメラを模式的に示した斜視図である。
【図4】校正用マスクを模式的に示した斜視図である。
【図5】部品接合装置におけるキャリブレーション動作を示す説明図である。
【図6】部品接合装置におけるアライメント動作および接合動作を示す説明図である。
【図7】校正用マスクの変形例を模式的に示した斜視図である。
【図8】部品接合装置の変形例を模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0066】
1:部品接合装置、 2:保持ヘッド、 3:昇降機構、 4:ワークテーブル、 5:XYθテーブル、 6:画像認識カメラ、 7:進退動機構、 8:制御装置、 11:θテーブル、 12:Y軸テーブル、 13:X軸テーブル、 15:テーブル本体、 16:吸着機構、 21:上鏡筒、 22:下鏡筒、 31:校正用マスク、 31a:上マスク、 31b:下マスク、 A:接合ワーク、 Aa:接合位置決め基準、 B:被接合ワーク、 Ba:被接合位置決め基準、 Ma:基準マーク、 S2:上昇待機位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持ヘッドに保持した接合部品を、前記保持ヘッドを介して昇降させる昇降機構により、ワークテーブルにセットした被接合部品に対し、前記接合部品を重ね合せて接合する部品接合装置に設けられ、
前記接合に先立ち、上昇待機位置にある前記接合部品とセットされた前記被接合部品との間に臨んで、前記接合部品の接合位置決め基準と前記被接合部品の被接合位置決め基準とを位置認識する上下2眼の鏡筒を有する画像認識カメラのキャリブレーション方法であって、
基準マークを形成した透光性の校正用マスクを用い、
所定の位置に移動した前記画像認識カメラにより、前記保持ヘッドに保持され前記上昇待機位置に移動した前記校正用マスクの前記基準マークを、上側の前記鏡筒を介して位置認識する第1マーク認識工程と、
前記第1マーク認識工程の後に、前記校正用マスクを、前記昇降機構により降下させ前記ワークテーブルにセットするマスクセット工程と、
前記マスクセット工程の後に、前記画像認識カメラにより、前記校正用マスクの前記基準マークを、下側の前記鏡筒を介して位置認識する第2マーク認識工程と、
前記第1マーク認識工程および前記第2マーク認識工程においてそれぞれ位置認識した2つの認識結果に基づいて、校正データを取得する校正データ取得工程と、を備えたことを特徴とする画像認識カメラのキャリブレーション方法。
【請求項2】
前記校正用マスクは、前記接合部品と前記被接合部品とを合せた厚さと、同一の厚さを有していることを特徴とする請求項1に記載の画像認識カメラのキャリブレーション方法。
【請求項3】
前記接合位置決め基準は、前記接合部品の下面に形成されており、
前記校正用マスクは、前記接合部品の厚さと同一の厚さを有する上マスクと、
前記被接合部品の厚さと同一の厚さを有する下マスクとを重合してなり、
前記基準マークは、前記上マスクと前記下マスクとの境界面に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の画像認識カメラのキャリブレーション方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の画像認識カメラのキャリブレーション方法と、
前記校正データ取得工程の後、前記保持ヘッドに前記接合部品を保持させると共に、前記ワークテーブルにセットされた前記校正用マスクに代えて前記被接合部品をセットする部品セット工程と、
前記保持ヘッドに保持され前記上昇待機位置にある前記接合部品と、前記ワークテーブルにセットされた前記被接合部品と、の間に臨ませた前記画像認識カメラにより、前記接合部品の前記接合位置決め基準および前記被接合部品の前記被接合位置決め基準を位置認識する基準認識工程と、
前記位置認識工程による認識結果に基づいて、前記接合位置決め基準と前記被接合位置決め基準との位置ずれデータを取得し、前記位置ずれデータに前記校正データを加味して位置ずれ量を算出するずれ量算出工程と、
算出した位置ずれ量に基づいて、前記接合部品と前記被接合部品との相互の位置補正を行う位置補正工程と、
前記位置補正工程の後、前記接合部品を前記被接合部品に対し重ね合せて接合する接合工程と、を備えたことを特徴とする部品接合方法。
【請求項5】
請求項4に記載の部品接合方法を実施する部品接合装置であって、
前記接合部品を保持する前記保持ヘッドと、
前記保持ヘッドを介して、前記接合部品を昇降させると共に前記接合部品を前記被接合部品に接合する前記昇降機構と、
前記被接合部品がセットされる前記ワークテーブルと、
前記上昇待機位置にある前記接合部品とセットされた前記被接合部品との間に臨んで、前記接合部品と前記被接合部品とを位置認識する前記上下2眼の鏡筒を有する前記画像認識カメラと、
前記画像認識カメラを水平方向に移動させる水平移動機構と、
水平面内において、前記接合部品に対し前記被接合部品を相対的に移動させて、位置補正を行う補正手段と、
前記昇降機構、前記水平移動機構、前記画像認識カメラおよび前記補正手段を制御すると共に、前記各工程を実施する制御手段と、を備えたことを特徴とする部品接合装置。
【請求項6】
前記ワークテーブルは、テーブル本体と、
前記テーブル本体にセットされた前記被接合部品および前記校正用マスクを前記テーブル本体に吸着する吸着機構と、を備えたことを特徴とする請求項5に記載の部品接合装置。
【請求項7】
前記保持ヘッドには、ヒータおよび紫外線ランプのいずれかが組み込まれており、
前記制御手段は、前記接合部品を前記被接合部品に重ね合せた状態で、ヒータおよび紫外線ランプのいずれかを駆動し、前記接合部品を前記被接合部品に接合することを特徴とする請求項5または6に記載の部品接合装置。
【請求項8】
前記補正手段は、前記被接合部品を、X軸方向に移動させるX軸テーブル、Y軸方向に移動させるY軸テーブルおよびθ方向に移動させるθテーブルから成り、
前記ワークテーブルは、前記θテーブルに搭載されていることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の部品接合装置。
【請求項9】
請求項1に記載の画像認識カメラのキャリブレーション方法に用いる校正用マスクであって、
前記接合部品の厚さと同一の厚さを有する上マスクと、
前記被接合部品の厚さと同一の厚さを有する下マスクとを重合してなり、
前記基準マークは、前記上マスクと前記下マスクとの境界面に形成されていることを特徴とする校正用マスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−130028(P2009−130028A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301597(P2007−301597)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】