説明

表示装置の製造方法

【課題】表示品質の優れた表示装置を生産性よく製造することができる表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る表示装置の製造方法は、TFT108を備える基板100を有する表示装置に関する方法である。まず、TFT108を備える基板100上にスルーホール11を有する平坦化膜10を成膜する。次に、スルーホール11を介してTFT108のドレイン部と接続され、画素電極の少なくとも一部となる透明導電膜12を成膜する。そして、透明導電膜12を成膜後、TFT108を備える基板100に対してプラズマによる第1の表面処理を行う。さらに、プラズマによる第1の表面処理後、反射膜13を成膜する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルの表示方式は透過型、反射型、半透過型に大別できる。透過型はバックライトと呼ばれる光源を点灯し、液晶表示パネルを通過した光で表示を行う表示方式である。このため、暗所での視認性は高いが、明所での視認性は低い。一方、反射型は液晶表示パネルに入射した光を反射させて表示を行う表示方式である。このため、明所での視認性は高いが暗所での視認性が低い。透過型と反射型の機能を合わせ持つ、いわゆる半透過型は、周囲の明るさに合わせて表示モードを切り替えることで、常に視認性の高い表示が得られる。そのため、半透過型液晶表示パネルは、携帯機器や移動体機器用のディスプレイとして広く用いられている。このような半透過型液晶表示パネルは、特許文献1及び2に開示されている。
【0003】
また、液晶表示装置の低消費電力化のためには、液晶表示パネルの画素部の有効表示面積を大きくすること、すなわち画素の開口率を向上させることが有効である。高開口率の液晶表示パネルを得るために、薄膜トランジスタ(TFT)を形成した後に、これらを覆うように平坦化膜を設け、最上層に画素電極を形成する。この平坦化膜には、透明樹脂の有機膜などが用いられる。
【0004】
平坦化膜を用いた半透過液晶表示デバイスを製造する工程は、TFTの形成後に層間絶縁膜を成膜し、平坦化膜を形成する。その後、平坦化膜をマスクとして、層間絶縁膜をエッチングする。そして、TFTのドレイン電極と画素電極の電気的接続を形成するスルーホール(コンタクトホール)を形成する。ここで、層間絶縁膜とは、例えばSiN(シリコンナイトライド)である。
【0005】
異物除去の為、透明導電膜の成膜前に水を用いた洗浄を行う。そして、非結晶材料の透明導電膜、例えばアモルファスITO(インジウムティンオキサイド)を成膜する。次に、フォトレジストをマスクとして、透明電極のパターニングを行い、フォトレジストを除去する。その後、加熱処理(アニール)により透明電極を結晶化し、画素の透過領域を形成する。
【0006】
異物除去の為、反射膜の成膜前に水を用いた洗浄を行い、密着力強化用の金属材料、例えばCrを成膜する。そして、その上層に反射電極、例えばAlを成膜する。次に、フォトレジストをマスクとして、反射電極のパターニングを行い、フォトレジストを除去し、画素の反射領域を形成する。
【特許文献1】特開2003−140191号公報
【特許文献2】特開2003−207774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
平坦化膜を用いた半透過液晶表示デバイスを製造する工程において、透明電極形成後から反射膜成膜前の間に成膜前処理として洗浄を行っている。この洗浄において、表面の有機汚染を除去する手法としてUV処理を行う場合、UV処理時の基板温度の上昇による平坦化膜の着色が発生する。また、UV処理により平坦化膜の分解物が再付着し、再有機汚染も発生する。さらに、UV処理により、平坦化膜である有機膜の膜質が変化する。このことで、反射膜成膜時の脱ガスが増加し、反射電極の膜質が劣化する等の課題があり、適用が非常に困難である。
【0008】
一方、UV処理を行わない場合は、結晶化の加熱処理時に付着した有機汚染や保管時に付着した有機汚染を除去しきれない為、反射電極の剥れが発生する等の課題もある。従って、密着力の高いメタルを反射電極の下層に形成する必要がある。しかし、このように反射電極の下層に密着力強化用のメタルを形成すると、成膜・エッチングでの処理能力の減少や、密着力強化用メタルの膜質変動により反射率が変動する等の問題がある。
【0009】
さらに、反射電極にピンホール等の膜欠損がある場合、Al−ITOの現像腐食の問題が生じる。これは、現像液が電解液として作用し、反射電極を構成するAlと透明電極を構成するITOとの間で電池反応が起こることによる。この電池反応によって、ITO膜が還元され、膜質の劣化(黒化)が発生する。
【0010】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、表示品質の優れた表示装置を生産性よく製造することができる表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る表示装置の製造方法は、トランジスタを備える基板を有する表示装置であって、前記トランジスタを備える前記基板上にスルーホールを有する平坦化膜を形成する工程と、前記スルーホールを介して前記トランジスタのドレイン部と接続され、画素電極の少なくとも一部となる第1の導電膜を成膜する工程と、前記第1の導電膜を成膜後、前記トランジスタを備える前記基板に対してプラズマによる第1の表面処理を行う工程と、前記プラズマによる第1の表面処理後、第2の導電膜を成膜する工程とを備える方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、表示品質の優れた表示装置を生産性よく製造することができる表示装置の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
まず、いくつかの実施の形態を説明する前に、表示装置について図1を用いて説明する。図1は、本発明にかかる表示装置に用いられる基板の構成を示す平面図である。本発明にかかる表示装置は、液晶表示装置や有機EL表示装置等の平面型表示装置(フラットパネルディスプレイ)である。
【0014】
本発明にかかる表示装置は、基板100を有している。基板100は、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)アレイ基板などの配線基板である。基板100には、表示領域101と表示領域101を囲むように設けられた額縁領域102とが設けられている。この表示領域101には、複数のゲート信号線(走査信号配線)1と複数のソース信号線(表示信号配線)2とが形成されている。複数のゲート信号線1は平行に設けられている。同様に、複数のソース信号線2は平行に設けられている。ゲート信号線1と、ソース信号線2とは、互いに交差するように形成されている。ゲート信号線1とソース信号線2とは直交している。そして、隣接するゲート信号線1とソース信号線2とで囲まれた領域が画素105となる。従って、基板100では、画素105がマトリクス状に配列される。
【0015】
さらに、基板100の額縁領域102には、走査信号駆動回路103と表示信号駆動回路104とが設けられている。ゲート信号線1は、表示領域101から額縁領域102まで延設されている。そして、ゲート信号線1は、基板100の端部で、走査信号駆動回路103に接続される。ソース信号線2も同様に表示領域101から額縁領域102まで延設されている。そして、ソース信号線2は、基板100の端部で、表示信号駆動回路104と接続される。走査信号駆動回路103の近傍には、外部配線106が接続されている。また、表示信号駆動回路104の近傍には、外部配線107が接続されている。外部配線106、107は、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)などの配線基板である。
【0016】
外部配線106、107を介して走査信号駆動回路103、及び表示信号駆動回路104に外部からの各種信号が供給される。走査信号駆動回路103は外部からの制御信号に基づいて、ゲート信号(走査信号)をゲート信号線1に供給する。このゲート信号によって、ゲート信号線1が順次選択されていく。表示信号駆動回路104は外部からの制御信号や、表示データに基づいて表示信号をソース信号線2に供給する。これにより、表示データに応じた表示電圧を各画素105に供給することができる。なお、走査信号駆動回路103と表示信号駆動回路104は、基板100上に配置される構成に限られるものではない。例えば、TCP(Tape Carrier Package)により駆動回路を接続してもよい。
【0017】
画素105内には、少なくとも1つのTFT108が形成されている。TFT108はソース信号線2とゲート信号線1の交差点近傍に配置される。例えば、このTFT108が画素電極に表示電圧を供給する。スイッチング素子であるTFT108のゲート電極はゲート信号線1に接続され、ゲート端子から入力される信号によってTFT108のONとOFFを制御している。TFT108のソース電極はソース信号線2に接続されている。ゲート電極に電圧を印加するとソース信号線2から電流が流れるようになる。これにより、ソース信号線2から、TFT108のドレイン電極に接続された画素電極に表示電圧が印加される。そして、画素電極と、対向電極との間に、表示電圧に応じた電界が生じる。
【0018】
さらに、液晶表示装置の場合、基板100には、対向基板が対向して配置されている。対向基板は、例えばカラーフィルタ基板であり、視認側に配置される。対向基板には、カラーフィルタ、ブラックマトリクス(BM)、対向電極、及び配向膜等が形成されている。なお、例えば、IPS方式の液晶表示装置の場合、対向電極は、基板100側に配置される。そして、基板100と対向基板との間に液晶層が挟持される。すなわち、基板100と対向基板との間には液晶が注入されている。さらに、基板100と対向基板との外側の面には、偏光板、及び位相差板等などが設けられる。また、液晶表示パネルの反視認側には、バックライトユニット等が配設される。
【0019】
画素電極と対向電極との間の電界によって、液晶が駆動される。すなわち、基板間の液晶の配向方向が変化する。これにより、液晶層を通過する光の偏光状態が変化する。すなわち、偏光板を通過して直線偏光となった光は液晶層によって、偏光状態が変化する。具体的には、バックライトユニットからの光及び外部から入射した外光は、偏光板によって直線偏光になる。そして、この直線偏光が液晶層を通過することによって、偏光状態が変化する。
【0020】
従って、偏光状態によって、対向基板側の偏光板を通過する光量が変化する。すなわち、バックライトユニットから液晶表示パネルを透過する透過光のうち、視認側の偏光板を通過する光の光量が変化する。液晶の配向方向は、印加される表示電圧によって変化する。従って、表示電圧を制御することによって、視認側の偏光板を通過する光量を変化させることができる。すなわち、画素毎に表示電圧を変えることによって、所望の画像を表示することができる。
【0021】
次に、共通の工程であるTFT108の製造工程について、図2の製造フローを用いて説明する。ここでは、TFT108の一例として、a−Siの逆スタガ型について説明する。なお、ここではチャネルエッチを用いる。また、以下に説明する工程により、図4(a)に示す基板100のTFT108が形成される。
【0022】
最初に、ゲート信号線1、ゲート電極1a、ゲート端子、及び蓄積容量電極3を形成する。スパッタなどでガラスなどの透明基板4上に金属薄膜を形成する。そして、この金属薄膜上に光感光性樹脂であるレジストをスピンコートによって塗布し、塗布したレジストを露光・現像する写真製版工程を行う。その後、エッチングによってパターニングをすることでゲート信号線1、ゲート電極1a、ゲート端子、及び蓄積容量電極3を形成する(ステップS1)。この工程により金属薄膜のパターンが透明基板4上に形成される。
【0023】
その次に、プラズマCVD等の各種CVD法でゲート絶縁膜5、半導体薄膜6、オーミックコンタクト膜7を連続して成膜し、写真製版工程、エッチング工程を通して半導体薄膜6及びオーミックコンタクト膜7を同一パターンに形成する(ステップS2〜S4)。ゲート絶縁膜5はSiNやSiO等である。半導体薄膜6としては、例えばアモルファスシリコン(a−Si)、ポリシリコン(p−Si)が用いられる。オーミックコンタクト膜7は、n型半導体であり、a−Siあるいはp−Siにリン(P)等を微量にドーピングしたna−Si膜、np−Si膜が用いられる。
【0024】
その後、スパッタなどでソース信号線2の材料となる金属膜8を成膜し、写真製版工程、エッチング工程を実施する。これにより、ソース信号線2、ソース電極2a、ドレイン電極2b、ソース端子を形成する(ステップS5)。ソース信号線2、ソース電極2a、及びドレイン電極2bのパターンをマスクとして、オーミックコンタクト膜7をエッチングで除去する。このプロセスによりTFT108のオーミックコンタクト膜7の中央部が除去され、半導体薄膜6が露出することになる。その後、フォトレジストパターンを除去する。このようにして、ソース信号線2、ソース電極2a、ドレイン電極2b、ソース端子のパターンが形成される。
【0025】
その後、プラズマCVD等の各種CVD法でSiN、SiO等あるいはそれらの混合物及び積層物からなる絶縁膜で形成した層間絶縁膜9を形成する(ステップS6)。層間絶縁膜9がTFT108を保護するための保護膜となる。これらの一連の工程を経ることで図4(a)のTFT108部が形成される。
【0026】
このように基板100上には、ソース信号線2、ソース電極2a、ドレイン電極2b、ソース端子を形成する金属膜8が設けられている。そして、基板100上には、ゲート信号線1及びソース信号線2がそれぞれ交差するように形成される。ゲート信号線1は、マトリクス状に形成されたTFT108を制御するゲート信号を供給し、ソース信号線2はマトリクス状に形成されたTFT108にデータ信号を供給する。また、TFT108、ゲート信号線1及びソース信号線2を覆うように層間絶縁膜9が形成されている。
【0027】
なお、ここではバックチャネルエッチを用いて、製造しているが、エッチストッパ等の別の方法を用いてもよい。また、p−Siのトップゲート型の構造としてもよい。このような構成にした場合でも、後述する表示装置の製造方法の実施の形態において、同様の方法を用いることができ、同様の効果を得ることができる。
実施の形態1.
【0028】
本実施の形態にかかる半透過型液晶表示装置の製造方法について、図3及び図4を用いて説明する。図3は本実施の形態に係る製造フローであり、図2の後の工程が示されている。図4は本実施の形態にかかるTFT108を有する基板100の工程断面図である。
【0029】
まず、図2に示す工程によって形成されたTFT108を有する基板100上に、ゲート信号線1、ソース信号線2、TFT108等の凹凸を減ずる平坦化膜10を形成する(ステップS11)。また、ドレイン電極2b上の平坦化膜10の一部が除去され、層間絶縁膜9が露出している。また、後述する工程で反射電極が形成され、反射領域となる箇所には、平坦化膜10に凹凸が形成されている。したがって、後に形成される反射電極は断面形状に凹凸を有し、反射領域では外光がランダムな方向に反射され、光が拡散する。つまり、反射モードでも表示品位の高い液晶表示装置が得られる。ここで、平坦化膜10は、例えばアクリル材料が主成分の膜である。また、ポリイミドやエポキシなどの樹脂材料を主成分とする膜でも良く、さらには有機材料ではなくガラス材等の無機材料でも良い。また、本実施の形態では感光性の有機膜を塗布し、露光・現像を行うことによって、平坦化膜10をパターニングしているが、平坦化膜10に非感光性材料を用い、フォトレジストとエッチングによってパターニングしても良い。これにより、図4(a)に示す構造となる。
【0030】
次に、平坦化膜10をマスクとして層間絶縁膜9をエッチングし、画素電極とTFT108のドレイン電極2bとを接続するためのスルーホール11を形成する(ステップS12)。これにより、図4(b)に示す構造となる。そして、第1の導電膜の成膜に先立って、水洗処理による表面洗浄処理を行う(ステップS13)。すなわち、スルーホール11が形成された平坦化膜10の表面を純水を用いて洗浄する。
【0031】
その後、画素電極の一部を形成する第1の導電膜をスパッタ、蒸着、塗布、CVD、印刷法、ゾルゲル法等の手法で成膜する。本実施の形態では、透過領域を形成するために第1の導電膜として、透明導電膜12を用いている。透明導電膜12に、非結晶材料の透明導電膜12、例えばアモルファスITOを用いても良い。また、透明導電材料であれば、他の合金系でも良い。さらには加熱処理を行わない観点で、成膜時より結晶化している結晶化ITO等や、300℃以下の加熱では結晶化しないIZO等を用いても良い。この透明導電膜12は、上記の材料の積層、あるいは混合層からなる透明導電層でも良い。そして、写真製版工程、エッチング工程を経て、透明電極を形成する(ステップS14)。透明電極はスルーホール11を介して、ドレイン電極2bと導通がとられている。このように、透明導電膜12を用いて画素電極の透過領域にあたる透明電極を形成し、TFT108のドレイン電極2bと接続する。
【0032】
そして、透明電極形成後に加熱処理(アニール)を行うことで透明電極のアモルファスITOを結晶化ITOに変化させる(ステップS15)。つまり、ステップS14で用いたレジスト剥離後、透明電極を結晶化させるために、アニールを行っている。また、アニール処理は、レジスト剥離時に平坦化膜10に浸透した成分を除去する為の脱気処理として用いても良い。もちろんアニール以外の方法を脱気処理として用いても良い。しかし、加熱処理あるいは脱気処理としてアニールを行うことで、基板100表面に有機汚染が生じる。この有機汚染を除去するために、第2の導電膜の成膜に先立って、基板100をプラズマガス雰囲気中に曝し、基板100表面をプラズマ処理により洗浄する(ステップS16)。すなわち、アニール後にプラズマによる第1の表面処理であるプラズマ処理を行う。これにより、基板100表面全体がプラズマに曝される。ここでは、透明導電膜12をパターニングするためのレジストを除去した状態でプラズマ処理を行っている。従って、透明導電膜12上、平坦化膜10上、その他の部分の汚染物質が除去される。
【0033】
その後、画素電極の一部を形成する第2の導電膜をスパッタ、蒸着、塗布、CVD、印刷法、ゾルゲル法等の手法で成膜する。本実施の形態では、反射領域を形成するために第2の導電膜として反射膜13を用いている。そして、写真製版工程、エッチング工程を経て、反射電極を形成する(ステップS17)。反射電極は、平坦化膜10の凹凸の上に形成される。また、反射膜13は透明導電膜12の上に直接形成されている。これにより反射膜13と透明導電膜12とが接続される。このように、反射膜13を用いて画素電極の反射領域にあたる反射電極を形成することにより、図4(c)に示す構造になる。ここで、反射膜13は例えばAl合金である。また、反射膜13にはAg合金等の反射率の高い金属を用いても良い。さらには、液晶の焼きつきを防止する目的で反射電極の上層に、例えば5nm(=50Å)のアモルファスITO等の薄い透明膜を形成しても良い。
【0034】
なお、基板100の表面には、配向膜(図示せず)が形成されている。これらの工程を経ることにより、表示品質の優れた表示装置を生産性よく製造することができる。
【0035】
図5はステップS16のプラズマ処理で用いられるプラズマ処理装置の構成を示す図である。プラズマ処理装置には、2つの対向する平行電極14と、平行電極14の下方に基板搬送用コロ15が設けられている。また、プラズマガス16のプロセスガス17として、平行電極14中にNとOをそれぞれ6.76×10Pa・m/sec(=400slm)、1.69×10−1 Pa・m/sec(=100sccm)で流し、出力2kWでプラズマガス16を発生させる。さらに、発生させたプラズマガス16は、平行電極14の一方向から流出される。そして、基板搬送用コロ15の上に基板100を載せて、基板搬送用コロ15を回転させることで、平行電極14の下を基板100が通過する。基板100の搬送はプラズマガス16の流出部の下方3mmの位置で行い、基板100が通過することで基板100を順次プラズマ雰囲気に曝す。このように、プラズマを発生させる場所と、プラズマ処理を行う場所が異なる。そして、プラズマ処理を行う場所に搬送された基板100へ平行電極14間で発生させたプラズマガス16を導出する間接方法(リモートプラズマ)を用いている。これは、大気中で行っているが、減圧下で行ってもよい。
【0036】
図6はステップS16のプラズマ処理で用いられるプラズマ処理装置の変形例を示す図である。プラズマ処理装置には、2つの対向する平行電極14が設けられており、平行電極14間にプラズマガス16が発生し、平行電極14間の空間がプラズマ処理部となる。そして、プラズマ処理部に基板100を通過させるために基板搬送用コロ15が設けられている。基板搬送用コロ15の上に基板100を載せて、基板搬送用コロ15を回転させる。これにより、平行電極14間を基板100が通過する。このことで、基板100がプラズマガス16に曝されて、表面処理が行われる。つまり、図6のプラズマ処理装置では、基板を直接プラズマ内へ輸送する直接方法(ダイレクトプラズマ)を用いている。これは、大気中で行っているが、減圧下で行ってもよい。
【0037】
プラズマガス16とは、電離によって生じた荷電粒子を含む気体のことであり、従来UVによって表面処理を行っていた代わりに、本実施の形態ではプラズマ処理を用いて有機汚染を除去している。本実施の形態では、プラズマガス16のプロセスガス17にNとOの混合ガスを用いたが、Nガスの変わりにAr、He等の不活性ガスを、Oガスの代わりにCと反応するF系等のガスや、さらにはNガスや不活性ガスを単独で用いても良い。
【0038】
また、本実施の形態では反射膜13の成膜前の洗浄はプラズマ処理のみを用いているが、図7及び8に示すように、異物除去の観点で水を用いた洗浄を付加しても良い。図7、図8はそれぞれ本実施の形態の変形例1、変形例2の製造フローを示す図である。図7ではステップS25のアニール処理後に、アニール処理による有機物汚染を除去するためにステップS26でプラズマ処理(プラズマによる第1の表面処理)を行っている。さらに、異物除去を行うために、ステップS27で水による洗浄を行っている。また、図8では、ステップS35のアニール処理後に、異物除去のためにステップS36で水洗を行う。その後に、ステップS35のアニール処理による有機物汚染を除去するために、ステップS37でプラズマ処理(プラズマによる第1の表面処理)を行っている。このようにプラズマ処理と水による洗浄はどちらを先に行っても良い。
【0039】
また、本実施の形態では画素電極とTFT108のドレイン電極2bとを接続するためのスルーホール11の形成を、平坦化膜10をマスクとしてエッチングしている。なお、スルーホール11の形成は、図9に示すように、平坦化膜10の形成に先立って、フォトマスクを用いて層間絶縁膜9をエッチングして行っても良い。図9は本実施の形態の変形例3の製造フローを示す図である。ここでは、まずステップS41で層間絶縁膜9をエッチングしてスルーホール11を形成してから、ステップS42で平坦化膜10を成膜している。
【0040】
また、本実施の形態では透明導電膜12の成膜前の洗浄は、水を用いた洗浄処理によって、異物除去を行っている。平坦化膜10と透明電極の密着力向上とスルーホール11部の有機汚染除去の観点で、図10に示すように、反射電極形成前に行うプラズマ処理と同様の処理を行っても良い。図10は本実施の形態の変形例4の製造フローを示す図である。ここではステップS52でスルーホール11を形成した後に、ステップS53でプラズマ処理(プラズマによる第2の表面処理)により有機汚染の洗浄を行ってから、ステップS54で水洗により異物除去を行っている。また、透明導電膜12の成膜前の処理に有機アルカリを用いた洗浄を行っても良い。なお、この場合は平坦化膜10中に湿潤した有機成分を除去し、プラズマガス16による表面処理(プラズマによる第2の表面処理)を行うことが望ましい。
【0041】
上記のように、様々な製造フローが可能であり、これらの方法を用いても図3に示す製造フローと同様の効果が得られる。なお、変形例1から4において、図3に示した工程と共通の工程については、説明を省略した。
【0042】
図11は従来の表示装置の基板100の構成の断面図である。プラズマによる第1の表面処理を行わないと、有機汚染が除去しきれない為、反射電極の剥れが発生してしまう。このため、図11では密着力向上用導電体18を反射電極の下層に形成している。また、プラズマ処理の代わりにUV処理を用いる方法もあるが、UV処理時の基板温度の上昇による平坦化膜10の着色の発生や反射膜13成膜時の脱ガス増加による反射電極の膜質劣化の発生等の問題点がある。
【0043】
本実施の形態によれば、反射膜13の成膜に先立って基板100をプラズマ雰囲気中に曝し洗浄している。これにより、基板100上の有機汚染を除去している。よって、密着力の低いAl合金を直接、基板100上に成膜することが可能となる。すなわち、プラズマによる第1の表面処理によって、ITOとAl合金との密着性を向上できる。その結果、成膜装置・エッチング装置の稼働率が向上し生産能力を上げることができる。また、プラズマによる第1の表面処理の表面改質により反射電極の密着力が向上し膜剥れ等の欠陥を防止すると共に、反射電極の膜質が向上する。これにより、反射電極形成時の薬液のしみ込みを防止する効果が向上し、現像での透明電極ダメージを防止できる。このため、歩留まりを向上することができる。
実施の形態2.
【0044】
本実施の形態にかかる自発光タイプの表示装置の製造方法について、図12及び図13を用いて説明する。ここでは、自発光タイプの表示装置の一例として、トップエミッションタイプの有機EL表示装置について説明する。図12は本実施の形態に係る製造フローである。図13は本実施の形態にかかるTFT108を有する基板100の工程断面図である。実施の形態1と共通の工程については、同様の処理がなされるため、説明を省略する。
【0045】
まず、図2に示す工程によって形成されたTFT108を有する基板100上に、ゲート信号線1、ソース信号線2、TFT108等の凹凸を減ずる平坦化膜10を形成する(ステップS61)。ドレイン電極2b上の平坦化膜10の一部は除去され、層間絶縁膜9が露出している。また、平坦化膜10には実施の形態1とは異なり、凹凸は形成されていない。なお、凹凸の有無以外に関しては、本実施の形態の平坦化膜10は実施の形態1と同様である。次に、平坦化膜10をマスクとして層間絶縁膜9をエッチングし、画素電極とTFT108のドレイン電極2bとを接続するためのスルーホール11を形成する(ステップS62)。そして、第1の導電膜の成膜に先立って、水洗処理による表面洗浄処理を行う(ステップS63)。すなわち、スルーホール11が形成された平坦化膜10の表面を純水を用いて洗浄する。
【0046】
その後、画素電極の一部を形成する第1の導電膜をスパッタ、蒸着、塗布、CVD、印刷法、ゾルゲル法等の手法で成膜する。本実施の形態では、第1の導電膜には反射膜13を用いる。この反射膜13は、例えばAl合金である。また、Ag合金等の反射率の高い金属を用いても良い。さらには、仕事関数を向上する目的で画素電極の上層に例えば5nm(=50Å)のITO等の薄い透明膜を形成しても良い。そして、写真製版工程、エッチング工程を経て、画素電極を形成する(ステップS64)。画素電極はスルーホール11を介して、ドレイン電極2bと導通がとられている。本実施の形態では、画素電極がアノード電極として作用する。これにより、図13(a)に示す構造となる。
【0047】
次に、隔壁19の形成に先立って、基板100をプラズマガス雰囲気中に曝し、基板100表面をプラズマ処理により洗浄する(ステップS65)。すなわち、パターニングされた画素電極表面に対して、プラズマによる第1の表面処理を行う。その後、ポリイミド材料を主成分とする有機膜を用いて画素間に隔壁(分離膜)19を形成する(ステップS66)。ここで、本実施の形態の隔壁19はポリイミド材料を主成分としている。また、アクリルやエポキシなどの樹脂材料を主成分とする膜でも良く、さらには有機材料ではなくガラス材等の無機材料でも良い。また、本実施の形態では隔壁19となる感光性の有機膜を塗布し、露光・現像することによって、隔壁19をパターニングしているが、非感光性材料の有機膜を用い、フォトレジストとエッチングによってパターニングしても良い。これにより、図13(b)に示す構造となる。
【0048】
また、隔壁19は、隣接画素との色分離のためと、アノード電極とカソード電極との短絡を防ぐために用いている。具体的には、後述する有機層の発光層形成時に、隣接画素まで発光層が形成されないように隔壁19によって、色分離を行っている。また、画素電極エッジでの有機層カバレッジ不良を隔壁によって防ぐことで、短絡を防止している。ここで、本実施の形態では、隔壁19の形状は順テーパ状である。これは、隔壁19端部でアノード電極とカソード電極とが短絡しないようにするためである。また、短絡してしまう理由は、アノード電極とカソード電極との間に形成される有機層が薄いためである。
【0049】
これらの工程を経ることにより、表示品質の優れた表示装置を生産性よく製造することができる。
【0050】
次に、反射膜13上に有機層を形成する(ステップS67)。有機層は正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを構成要素とすることが多い。ただし、これとは異なる層構成を有する場合もある。このそれぞれの層をスプレー塗布、蒸着、インクジェットによる印刷などを用いて順次積層する。
【0051】
次に、カソード電極として第2の導電膜を成膜する(ステップS68)。第2の導電膜としてはITO等を用いる。また、第2の導電膜として、実施の形態1の透明導電膜12と同様の材料を用いることもできる。そして、第2の導電膜をスパッタや蒸着などによって、基板100全面に成膜する。
【0052】
次に、基板100と封止基板とを貼り合わせて、有機EL素子を封止する(ステップS69)。有機EL素子は空気中の水分等により劣化するので、封止基板を用いて封止する。封止基板としては、ガラス基板等が使用され、基板100と同様のものを用いることができる。また、基板100と封止基板とは、感光性エポキシ樹脂等の接着材によって貼り合わされる。これにより、基板100と封止基板との間の空間は、接着材により封止される。以上の工程により、有機EL表示装置が完成する。
【0053】
画素のアノード電極とカソード電極との間に電流を供給することによって、アノード電極からは正孔が、カソード電極からは電子がそれぞれ有機層に注入されて再結合する。その際に生ずるエネルギーにより有機層内の有機発光性化合物の分子が励起される。励起された分子は基底状態に失活し、その過程において有機層が発光する。そして、有機層から発光された光は、全方位拡散され、反射膜13によってカソード電極側に出射する。つまり、カソード電極側が視認側となる。各画素が駆動回路からの信号に従って有機発光層の発光量を制御することによって、表示領域は画像表示を行う。
【0054】
ここで、画素電極をアノード電極とするか、カソード電極とするかは、光学的な設計により代わる。また、封止基板の代わりに、SiN等の積層膜によって形成される封止層を用いることもできる。
【0055】
また、本実施の形態では画素電極とTFT108のドレイン電極2bとを接続するためのスルーホール11の形成を、平坦化膜10をマスクとしてエッチングしている。スルーホール11の形成は、平坦化膜10の形成に先立って、フォトマスクを用いて層間絶縁膜9をエッチングして行っても良い。これは、実施の形態1の変形例3の製造フロー(図9)と同様である。
【0056】
また、本実施の形態では画素電極の成膜前の洗浄は水を用いた洗浄処理による異物除去を行っている。平坦化膜10と画素電極の密着力向上とスルーホール11部の有機汚染除去の観点で、隔壁19形成前に行うプラズマ処理と同様の処理を行っても良い。つまり、プラズマによる第2の表面処理を行っても良い。これは、実施の形態1の変形例4の製造フロー(図10)と同様である。
【0057】
また、本実施の形態では、隔壁19形成前の洗浄はプラズマ処理のみを用いているが、異物除去の観点で水を用いた洗浄を付加しても良い。プラズマ処理と水による洗浄はどちらを先に行っても良い。これは、実施の形態1の変形例1(図7)及び変形例2(図8)の製造フローと同様である。
【0058】
また、隔壁19形成後に、隔壁19形成時のスカム等の除去の観点で、画素電極形成後に行うプラズマによる第1の表面処理と同等のプラズマによる第3の表面処理を行っても良い。
【0059】
なお、プラズマ処理装置及びプラズマガスのプロセスガスは、実施の形態1と同様である。
【0060】
本実施の形態では、隔壁19形成に先立って基板100をプラズマガス雰囲気中に曝し洗浄している。これにより、基板100上の有機汚染を除去し、隔壁19材料と画素電極の密着力を向上できる。その結果、隔壁19のエッジでの隔壁19浮きを防止し、非点灯画素の発生が防止できる。
実施の形態3.
【0061】
本実施の形態にかかる表示装置は実施の形態1と同様に半透過型液晶表示装置である。本実施の形態にかかる半透過型液晶表示装置の製造方法について、図14を用いて説明する。図14は本実施の形態に係る製造フローである。実施の形態1と共通の工程については、同様の処理がなされるため、説明を省略する。
【0062】
まず、図2に示す工程によって形成されたTFT108を有する基板100上に、ゲート信号線1、ソース信号線2、TFT108等の凹凸を減ずる平坦化膜10を形成する(ステップS71)。ドレイン電極2b上の平坦化膜10の一部は除去され、層間絶縁膜9が露出している。なお、本実施の形態の平坦化膜10は実施の形態1と同様である。次に、平坦化膜10をマスクとして層間絶縁膜9をエッチングし、画素電極とTFT108のドレイン電極2bとを接続するためのスルーホール11を形成する(ステップS72)。そして、第1の導電膜の成膜に先立って、水洗処理による表面洗浄処理を行う(ステップS73)。すなわち、スルーホール11が形成された平坦化膜10の表面を純水を用いて洗浄する。
【0063】
その後、画素電極の一部を形成する第1の導電膜をスパッタ、蒸着、塗布、CVD、印刷法、ゾルゲル法等の手法で成膜する(ステップS74)。本実施の形態では、透過領域を形成するために第1の導電膜として透明導電膜12を用いている。なお、本実施の形態の透明導電膜12は実施の形態1と同様である。次に、第2の導電膜の成膜に先立って、基板100をプラズマガス雰囲気中に曝し、基板100表面のプラズマ(洗浄)処理を行う(ステップS75)。これは、プラズマによる第1の表面処理である。その後、画素電極を形成する第2の導電膜をスパッタ、蒸着、塗布、CVD、印刷法、ゾルゲル法等の手法で成膜する(ステップS76)。本実施の形態では、画素電極の反射領域を形成するために第2の導電膜として反射膜13を用いている。なお、本実施の形態の反射膜13は実施の形態1と同様である。
【0064】
これらの工程を経ることにより、表示品質の優れた表示装置を生産性よく製造することができる。
【0065】
反射膜13の成膜後に透明導電膜12と反射膜13とを両方除去するレジストパターンを用いて、写真製版工程、エッチング工程を経て、透明導電膜12と反射膜13とをパターニングする。次に、反射膜13のみを除去するレジストパターンを用いて、写真製版工程、エッチング工程を経て、反射膜13をパターニングする。すなわち、反射膜13が形成されている領域が反射領域であり、反射膜13が除去され、透明導電膜12のみが形成されている領域が透過領域である。これにより、透明電極と反射電極とからなる画素電極を形成する(ステップS77)。このように本実施の形態では、プラズマ処理及び反射膜13の成膜後に、透明導電膜12及び反射膜13のパターニングをして、画素電極を形成している。そして、加熱処理(アニール)を行うことで、透明電極のアモルファスITOを結晶化ITOに変化させる(ステップS78)。
【0066】
また、本実施の形態では画素電極とTFT108のドレイン電極2bとを接続するためのスルーホール11の形成を、平坦化膜10をマスクとしてエッチングしている。スルーホール11の形成は、平坦化膜10の形成に先立って、フォトマスクを用いて層間絶縁膜9をエッチングして行っても良い。これは、実施の形態1の製造フローの変形例3(図9)と同様である。
【0067】
また、本実施の形態では透明導電膜12の成膜前の洗浄は、水を用いた洗浄処理によって、異物除去を行っている。平坦化膜10と透明導電膜12の密着力向上とスルーホール11部の有機汚染除去の観点で、反射膜13の成膜前に行うプラズマ処理と同様の処理を行っても良い。つまり、プラズマによる第2の表面処理を行っても良い。これは、実施の形態1の製造フローの変形例4(図10)と同様である。また、透明導電膜12の成膜前の処理に有機アルカリを用いた洗浄を行っても良い。なお、この場合は平坦化膜10中に湿潤した有機成分を除去し、プラズマガス16による表面処理(プラズマによる第2の表面処理)を行うことが望ましい。
【0068】
また、本実施の形態では反射膜13の成膜前の洗浄はプラズマ処理のみを用いているが、異物除去の観点で水を用いた洗浄を付加しても良い。プラズマ処理と水による洗浄はどちらを先に行っても良い。これは、実施の形態1の製造フローの変形例1(図7)及び変形例2(図8)と同様である。
【0069】
なお、プラズマ処理方法及びプラズマガス16のプロセスガス17は、実施の形態1と同様である。
【0070】
本実施の形態では、反射膜13の成膜後、画素電極を形成するために、2回露光を行っている。すなわち、透明導電膜12と反射膜13とを両方除去するレジストパターンと、反射膜13のみを除去するレジストパターンとを用いている。このレジストパターンは、ハーフトーンマスクやグレートーンマスクを用いて1回のフォトレジスト工程にてパターニングを行っても良い。ハーフトーンマスク及びグレートーンマスクは、多階調マスクの一種である。グレートーンマスクは、露光機の解像度以下のスリットを作り、そのスリット部が光の一部を遮り、中間露光を実現する。一方、ハーフトーンマスクは半透過の膜を利用し、中間露光を行う。いずれも、1回の露光で露光部分、中間露光部分、未露光部分の3つの露光レベルを表現し、現像後に2種類の厚さのレジスト(感光剤)を形成できる。このレジストの厚さの違いを利用して少ない回数で基板100にパターン転写することができるため、生産効率アップを実現する。
【0071】
本実施の形態では、有機膜である平坦化膜10の上に透明導電膜12が成膜されているので、透明導電膜12中に有機物が取り込まれる場合がある。そこで、本実施の形態では、反射膜13の成膜に先立って基板100をプラズマ雰囲気中に曝し洗浄している。これにより、基板100上の有機汚染を除去することができる。また、プラズマによる第1の表面処理を行うことで、透明導電膜12を形成するITOの表面の接触角が低下する。従って、ITO表面が改質されることにより、上から成膜される反射膜13との密着力が強化される効果がある。よって、密着力の低いAl合金を直接、基板100上に成膜することが可能となる。すなわち、プラズマによる第1の表面処理によって、ITOとAl合金との密着性を向上できる。その結果、成膜装置・エッチング装置の稼働率が向上し生産能力を上げることができる。また、プラズマによる第1の表面処理の表面改質により反射電極の密着力が向上し膜剥れ等の欠陥を防止すると共に、反射電極の膜質が向上する。これにより、反射電極形成時の薬液のしみ込みを防止する効果が向上し、現像での透明電極ダメージを防止できる。このため、歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明におけるTFTアレイ基板の構成を示す平面図である。
【図2】本発明におけるTFTの製造フローを示す図である。
【図3】実施の形態1における製造フローを示す図である。
【図4】実施の形態1における基板の製造工程を示す断面図である。
【図5】実施の形態1におけるプラズマ処理装置の構成を示す図である。
【図6】実施の形態1におけるプラズマ処理装置の変形例である。
【図7】実施の形態1における変形例1の製造フローを示す図である。
【図8】実施の形態1における変形例2の製造フローを示す図である。
【図9】実施の形態1における変形例3の製造フローを示す図である。
【図10】実施の形態1における変形例4の製造フローを示す図である。
【図11】従来の基板の構成の断面図である。
【図12】実施の形態2における製造フローを示す図である。
【図13】実施の形態2における基板の製造工程を示す断面図である。
【図14】実施の形態3における製造フローを示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 ゲート信号線、1a ゲート電極、2 ソース信号線、2a ソース電極、
2b ドレイン電極、3 蓄積容量電極、4 透明基板、5 ゲート絶縁膜、
6 半導体薄膜、7 オーミックコンタクト膜、8 金属膜、9 層間絶縁膜、
10 平坦化膜、11 スルーホール、12 透明導電膜、13 反射膜、
14 平行電極、15 基板搬送用コロ、16 プラズマガス、17 プロセスガス、
18 密着力向上用導電体、19 隔壁、
100 基板、101 表示領域、102 額縁領域、103 走査信号駆動回路、
104 表示信号駆動回路、105 画素、106 外部配線、107 外部配線、
108 TFT

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタを備える基板を有する表示装置であって、
前記トランジスタを備える前記基板上にスルーホールを有する平坦化膜を形成する工程と、
前記スルーホールを介して前記トランジスタのドレイン部と接続され、画素電極の少なくとも一部となる第1の導電膜を成膜する工程と、
前記第1の導電膜を成膜後、前記トランジスタを備える前記基板に対してプラズマによる第1の表面処理を行う工程と、
前記プラズマによる第1の表面処理後、第2の導電膜を成膜する工程とを備える表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の導電膜が透明導電膜であり、前記第2の導電膜を成膜する工程後、前記第1の導電膜及び前記第2の導電膜をパターニングする工程を備える請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1の導電膜が透明導電膜であり、前記透明導電膜のパターニングするためのレジストを剥離した後、前記プラズマによる第1の表面処理を行う工程を備える請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記透明導電膜をパターニングするためのレジストを剥離した後、前記プラズマによる第1の表面処理前に、加熱処理あるいは脱気処理を行う工程を備える請求項3に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記透明導電膜をパターニングするためのレジストを剥離した後、加熱処理あるいは脱気処理を行う工程を備える請求項2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1の導電膜を成膜する工程では、非結晶材料の透明導電膜を用いる請求項1乃至5のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
トランジスタを備える基板を有する表示装置であって、
前記トランジスタを備える前記基板上にスルーホールを有する平坦化膜を形成する工程と、
前記スルーホールを介して前記トランジスタのドレイン部と接続され、画素電極の少なくとも一部となる第1の導電膜を成膜する工程と、
前記第1の導電膜を成膜後、前記トランジスタを備える前記基板に対してプラズマによる第1の表面処理を行う工程と、
前記プラズマによる第1の表面処理後、画素間に配置される隔壁を形成する工程とを備える表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記平坦化膜に有機膜を用いる請求項1乃至7のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記プラズマによる第1の表面処理では、プラズマのプロセスガスが酸素を含有する請求項1乃至8のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記プラズマによる第1の表面処理を、プラズマを生成させる電極間を前記基板が通過することにより行う請求項1乃至9のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記プラズマによる第1の表面処理では、対向する電極間でプラズマを発生させて、プラズマを前記基板上へ導出する請求項1乃至9のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記プラズマによる第1の表面処理を大気中あるいは減圧下で行う請求項1乃至11のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記スルーホールを有する平坦化膜を形成する工程後、前記第1の導電膜を成膜する工程前にプラズマによる第2の表面処理を行う工程を備える請求項1乃至12のいずれかに記載の表示装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−28018(P2008−28018A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−196788(P2006−196788)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】