説明

車両用運転支援装置

【課題】先行車を追従する車間距離制御モードにおいて、自車速を制御する際のエンジン出力変動を抑制し、安定した車速制御性を得る。
【解決手段】
エンジン1に供給する吸入空気量を可変するスロットル弁4と、吸入空気量を過給するターボ過給機5と、スロットル弁4とターボ過給機5とによりエンジン出力Tを制御して、自車速Sjを先行車との車間距離に基づいて設定した目標車速Soに収束させるエンジンECU21とを備え、エンジンECU21は、自車を先行車に追従走行させる車間距離制御モード時にターボ過給機5による過給動作を制限し、スロットル弁4の開度制御により自車速Sjを目標車速Soに収束させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車速を自動制御しているときは、吸入空気過給手段による過給動作を制限する車両用運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自車の速度を自動制御して、運転者の運転操作にかかる負担を軽減する車両用運転支援装置が種々提案されている。この種の車両用運転支援装置としては、自車と先行車との車間距離を一定に保持した状態で走行する車間距離制御(先行車追従)モードと自車を予め設定した車速で定速走行させる定速制御モードとを併用する場合が多い。
【0003】
車間距離制御モードは、ミリ波レーダ、赤外線レーザレーダ、ステレオカメラや単眼カメラ等の前方認識センサによって自車と先行車との車間距離を計測し、当該車間距離を予め設定した目標車間距離に収束するようにエンジン出力(トルク)を制御する。又、定速制御モードは、自車前方に先行車が存在しない場合、車速センサで検出した車速を予め設定した目標車速に収束するようにエンジン出力を制御するものである。
【0004】
エンジン出力は、スロットル弁とアクセルペダルとを機械的に連設するリンク機構の中途に介装したアクチュエータ、或いはスロットル弁を直接開閉動作させる電子制御スロットル(ETC:Electric Throttle Control)により、運転者のアクセルペダル操作に代行してスロットル開度を調整して行う。
【0005】
ところで、自然吸気エンジンでは、スロットル開度とエンジン回転数とに対し、エンジン出力がほぼ線形性を有しているため、このスロットル開度とエンジン回転数とに基づいてエンジン出力を容易に設定することができる。
【0006】
このようなエンジン出力を制御して目標車速に収束させる技術の中には、自然吸気エンジンを備えた車両のみならず過吸機付エンジンのエンジン出力を制御する技術も提案されている。
【0007】
例えば特許文献1(特開平7−150990号公報)には、目標車速と自車の車速との偏差量と、エンジン回転数とに基づいて、ターボ過給機の過給圧を制御する過給圧制御弁、及びスロットル弁の開度量をマップ参照により設定して車速制御を行う技術が開示されている。
【0008】
すなわち、同文献に開示されている技術では、アクセルペダルの踏み込み量が0〜50%の間においては、ターボ過給機の過給圧を一定とし、スロットル開度をアクセルペダルの踏込み量にほぼ比例した動作として車速制御を行い、又、アクセルペダルの踏込み量が50%を越えたときは、スロットル開度を一定とし、ターボ過給機にて発生させる過給圧をアクセルペダルの踏込み量に応じて上昇させることで車速制御を行う。
【特許文献1】特開平7−150990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、過給機付エンジンでは、スロットル開度に対するエンジンの出力特性が強い非線形の特性になり安定した車速制御性を得ることが困難となる問題がある。
【0010】
又、上述した特許文献1に開示されている技術では、車速制御を行うに際しターボ過給機の過給圧をアクセルペダルの踏込み量に応じて可変に設定する構成であるため、例えばターボ過給機の過給動作量の遷移過程において、ターボ過給機の機械的遅れや、過給圧の上昇遅れ等の影響でエンジン出力が変動し易く、安定した車速制御性を得ることが困難となる問題がある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑み、車速を自動制御する際のエンジン出力変動を抑制し、安定した車速制御を得ることのできる車両用運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため本発明は、エンジンに供給する吸入空気の量を可変する空気量可変手段と、前記吸入空気を過給する吸入空気過給手段と、前記空気量可変手段と前記吸入空気過給手段とによりエンジン出力を制御して、自車の車速を予め設定された目標車速或いは先行車との車間距離に基づいて設定した目標車速に収束させる車速制御を行う車速制御手段とを備える車両用運転支援装置において、前記車速制御手段は、前記車速制御を実行する際には、前記車速制御の非実行時に対して前記吸入空気過給手段による過給動作を制限し、前記空気量可変手段により前記吸入空気量を可変させて前記自車の車速を前記目標車速に収束させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車速制御を行うに際し、車速制御の非実行時に対して、吸入空気過給手段による過給動作を制限し、空気量可変手段主導による吸入空気量の可変動作で自車の車速を目標車速に収束させるようにしたので、エンジン出力変動が抑制され、安定した車速制御性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の一形態を説明する。図1にエンジン制御系を中心とする車両用運転支援装置の概略図を示す。
【0015】
同図の符号1はターボ過給機付エンジン(以下単に「エンジン」と称する)であり、このエンジン1の吸気側に吸気管2が連通され、排気側に排気管3が連通されている。
【0016】
吸気管2の中途に、空気量可変手段としてのスロットル弁4が介装され、その更に上流側に、吸入空気過給手段としてのターボ過給機5を構成するコンプレッサ5aが介装されている。尚、図示しないが吸気管2の吸気取り入れ口にはエアクリーナが介装されている。
【0017】
又、スロットル弁4がスロットルアクチュエータ6に連設されている。スロットル弁4は、アクセルペダル(図示せず)にスロットルワイヤ、及びリンク機構を介して連設されている機械式スロットル弁、或いはアクセルペダルとは機械的に連設されていない電子制御スロットル弁の何れであっても良い。スロットル弁4が機械リンク式スロットル弁の場合、スロットルアクチュエータ6は、スロットルワイヤを牽引してスロットル弁を開閉動作させる。又、スロットル弁4が電子制御スロットル弁の場合、スロットルアクチュエータ6は、ステップモータ或いはサーボモータ等のスロットルモータであり、このスロットルモータによりスロットル弁4を直接開閉動作させる。
【0018】
一方、排気管3の中途にターボ過給機5のタービン5bが介装され、更に、その下流にマフラ(図示せず)が介装されている。又、排気管3には、タービン5b上流から分岐して、タービン5b下流に合流する排気バイパス通路7が設けられている。この排気バイパス通路7に、排気バイパス通路7を流れる排気流を制御可能な排気バイパスバルブ8が介装されている。この排気バイパスバルブ8は、排気バイパスバルブ8に連設するデューティソレノイド又はステッピングモータ等の過給圧制御アクチュエータ9にて開閉動作される。
【0019】
更に、スロットル弁4には、このスロットル弁4のスロットル開度θthを検出する、ポテンショメータ等で構成されたスロットル開度センサ10が配設されており、又、吸気管2のスロットル弁4下流に、このスロットル弁4下流の圧力(吸気管圧力)を絶対圧で検出する圧力センサ11が連通されている。
【0020】
この各センサ10,11はエンジン1の運転状態を制御するエンジン制御ユニット(エンジンECU)21の入力側に接続されている。このエンジンECU21には、上述した各センサ10,11以外に、車速を検出する車速センサ12、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ13等、エンジン1の運転状態を検出するセンサ類が接続されている。
【0021】
エンジンECU21は、ROM,RAM等のメモリ及びCPUを有するマイクロコンピュータ等のコンピュータで構成されており、入力された各センサ類の信号に基づき空燃比制御、点火時期制御等の通常のエンジン制御を実行すると共に、過給圧制御アクチュエータ9に駆動信号を出力し、排気バイパスバルブ8を開閉動作させてターボ過給機5の過給圧を制御する。
【0022】
又、エンジンECU21と車間制御演算部22とがバスラインを介して接続されている。車間制御演算部22は、前方認識センサ23からの信号に基づいて自車前方に先行車が存在するか否かを調べ、存在している場合は、自車と先行車との車間距離を計測すると共に、先行車の速度(以下、「先行車速」と称する)Smを推定し、この車間距離データ、先行車速データを前方認識データとして、エンジンECU21へ出力する。尚、前方認識センサ23は、ミリ波レーダ、赤外線レーザレーダ、ステレオカメラや単眼カメラのうちの少なくとも1つを備えて構成されている。
【0023】
又、エンジンECU21には、運転者が希望する巡航速度をセットする定速走行スイッチ14が接続されている。定速走行スイッチ14により巡航速度がセットされると、エンジンECU21では定速制御モードを実行する。定速走行モードでは、セットされた巡航速度を目標車速Soとして設定し、車速センサ12で検出した自車の車速(以下、「自車速」と称する)Sjとに基づき、自車速Sjが目標車速Soに収束するようにスロットルアクチュエータ6に対して駆動信号を出力し、スロットル弁4の開度をフィードバック制御して、自車を巡航状態で走行させる。その際、車間制御演算部22で先行車が検出され、且つ、先行車速Smが自車速Sj以下と判定された場合、先行車に対し所定車間距離を開けた状態で追従走行する車間距離制御モードへ自動的に切換えられる。
【0024】
走行状態が定速制御モードから車間距離制御モードへ切換えられると、エンジンECU21は、車間制御演算部22で求めた自車と先行車との車間距離及び、先行車速Sm又は自車速Sjとに基づき適切な車間距離の目標値(目標車間距離)を設定する。そして、車間距離が目標車間距離になるように、スロットルアクチュエータ6に駆動信号を出力し、スロットル弁4の開度をフィードバック制御する。又、ターボ過給機5の過給圧を調整する排気バイパスバルブ8を駆動させる過給圧制御アクチュエータ9に対して過給圧を制限する信号を出力し、排気バイパスバルブ8を開放、或いは閉弁を制限して、ターボ過給機5の過給動作を停止、或いは制限する。
【0025】
定速走行スイッチ14をONすることで、エンジンECU21で実行される車速制御は、具体的には図2〜図4に示すフローチャートに従って処理される。
【0026】
エンジン始動後、定速走行スイッチ14がONされると、図2に示す制御モード設定ルーチンが実行される。このルーチンでは、先ず、ステップS1で、車間制御演算部22で求めた前方認識データを読込み、ステップS2で、前方認識データに基づき自車前方に先行車が検出されている否かを調べる。
【0027】
そして、先行車が検出されているときは、ステップS3へ進み、又、先行車が検出されていないときはステップS5へ分岐する。
【0028】
ステップS3へ進むと、自車速Sjと先行車速Smとを比較し、Sj>Smの先行車速Smが自車速Sjよりも速いときは、ステップS5へ分岐し、Sj≦Smの自車速Sjが先行車速Smよりも速いときは、ステップS4へ進む。
【0029】
ステップS4では、車間距離制御モードを実行してルーチンを抜ける。一方、ステップS5では、定速制御モードを実行してルーチンを抜ける。定速制御モードは、定速走行スイッチ14で設定した巡航速度を目標車速Soとして設定し、自車速Sjが目標車速Soに収束するように、スロットル弁4の開度θth、及び排気バイパスバルブ8の開度をフィードバック制御する。スロットル弁4の開度制御によりスロットル弁4を通過する吸入空気量が可変され、更に、排気バイパスバルブ8の開度制御によりターボ過給機5の過給圧が可変されて、所望のエンジン出力が発生する。
【0030】
又、ステップS4で実行される車間距離制御モードは、図3に示す車間距離制御サブルーチンに従って処理される。このサブルーチンでは、先ず、ステップS11で過給圧制御が実行される。この過給圧制御は、図4に示す過給圧制御サブルーチンに従って処理される。
【0031】
ここで、図3に示す車間距離制御サブルーチンの説明を中断し、図4に示す過給圧制御サブルーチンについて説明する。
【0032】
このサブルーチンでは、先ず、ステップS21で、エンジン出力(トルク)Tと設定値Toとを比較し、エンジン出力Tが大きいか否かを調べる。エンジン出力Tは、例えばスロットル開度θthと、エンジン回転数センサ13で検出したエンジン回転数Neとに基づきマップ参照等して求める。設定値Toは、自然吸気のみではエンジン出力が不足気味となる領域を設定するもので、予め実験などから求めて設定されている。
【0033】
そして、T<Toのエンジン出力Tが「不足気味」と判定されたときはステップS22へ進み、又、T≧Toのエンジン出力Tが「余裕あり」と判定されたときはステップS23へ進む。
【0034】
ステップS22へ進むと、ターボ過給機5の目標過給圧Poを車間距離制御用過給圧Psで固定する(Po←Ps)。この車間距離制御用過給圧Psは車間距離制御モード時の最大過給圧を制限し、過給圧を一定圧とするもので、予め実験等から求めた固定値である。
【0035】
車間距離制御モードにおいて、T>Toのエンジン出力Tが「不足気味」と判定されるときは、加速運転や登坂走行等、大きなエンジン出力Tが要求される状態であり、このような状態では、ターボ過給機5を低過給圧状態で動作させることで、エンジン1の出力不足を補い、良好な車間距離制御性を得る。
【0036】
その際、ターボ過給機5の過給圧を、例えばスロットル開度θthとエンジン回転数とに基づいて可変制御すると、ターボ過給機5の応答遅れ等の影響により、エンジン出力Tに変動が生じ易くなる。そのため、本形態では、エンジン出力Tが「不足気味」のときは、ターボ過給機5を圧力一定の低圧で過給動作させてエンジン1の出力不足を補うと共に、その過給圧を一定とし、スロットル開度θthの変化に対するエンジン出力の変動を抑制する。
【0037】
その結果、後述するようにスロットル開度主導でエンジン出力Tを制御することができ、ターボ過給機5の応答遅れ等の出力変動要因の影響が受け難くなり、車間距離制御において良好な応答性、及び走行安定性を得ることができる。
【0038】
次いで、ステップS24へ進み、圧力センサ11で検出した吸気管圧力Pと目標過給圧Poとに基づき、過給圧制御アクチュエータ9に対して駆動信号を出力し、吸気管圧力Pが目標過給圧Poに収束するように排気バイパスバルブ8の開度をフィードバック制御する。
【0039】
次いで、ステップS25へ進み、過給フラグFtをセットして(Ft←1)、ルーチンを抜ける。
【0040】
一方、ステップS21で、T≦Toのエンジン出力Tが「余裕あり」と判定されてステップS23へ進むと、過給フラグFtの値を参照する。この過給フラグFtは、エンジン出力Tが「余裕あり」の状態から「不足気味」の状態に移行した最初のルーチンか否かを調べるもので、初期値は0であり、上述したステップS25でセットされ、ステップS28でクリアされる。
【0041】
そして、過給フラグがセットされておりエンジン出力Tが「余裕あり」の状態から「不足気味」の状態に移行した最初のルーチンと判定されたときは、ステップS26へ進む。一方、過給フラグがクリアされており、前回のルーチン実行時もエンジン出力Tが「余裕あり」の状態であったと判定したときは、ステップS27へ進む。
【0042】
ステップS26へ進むと、過給圧制御アクチュエータ9に対し、排気バイパスバルブ8を段階的に開放する制御信号を出力し、ターボ過給機5の過給動作をスムーズに停止させた後、ステップS28へ進み、過給フラグFtをクリアしてルーチンを抜ける。尚、この場合、スロットル開度θthの変化から減速走行と判定したときは、排気バイパスバルブ8を急開させ、ターボ過給機5の過給圧を急激に低下させて、過給動作を急停止させるようにしても良い。減速走行時に過給動作を急停止させても走行安定性に大きな影響を及ぼすことはなく、逆に、過給動作を急停止させることで確実に減速させることができ、良好な追従性を得ることができる。
【0043】
又、ステップS23からステップS27へ進むと、過給圧制御アクチュエータ9に対し、排気バイパスバルブ8を開放させる駆動信号を出力し、ターボ過給機5の過給停止状態を維持してルーチンを抜ける。
【0044】
エンジン出力Tが「余裕あり」のときは、ターボ過給機5の過給動作を停止し、後述するスロットル開度主導でエンジン出力Tが制御される。エンジン出力Tが「余裕あり」のときは、平坦路走行等、エンジン出力Tが大きく変動することのない巡航状態であるため、ターボ過給機5の過給動作を停止させても、エンジン1が出力不足となることはない。そのため、このような状況では、ターボ過給機5の過給動作を停止させ、エンジン出力Tは、スロットル弁4の開度、すなわちスロットル開度主導で制御する。その結果、ターボ過給機5の応答遅れ等のエンジン出力Tの変動要因の影響が受け難くなり、車間距離制御において良好な応答性、及び走行安定性を得ることができる。
【0045】
そして、図3に示す車間距離制御サブルーチンのステップS12へ進むと、車間制御演算部22で求めた、自車と先行車との車間距離及び、先行車速Sm又は自車速Sjとに基づき目標車間距離を設定し、この目標車間距離に基づいて現在の最適な目標車速Soを設定する。
【0046】
次いで、ステップS13へ進み、目標車速Soと自車速Sjとを比較し、自車速Sjが目標車速So以下と判定されたときは(Sj≦So)、ステップS14へ進み、スロットル開度θthを、このスロットル開度θthに設定開度Δθを加算した値で更新し(θth←θth+Δθ)、ステップS16へ進み、スロットル開度θthに対応する駆動信号をスロットルアクチュエータ6へ出力しルーチンを抜ける。
【0047】
一方、ステップS13で、自車速Sjが目標車速Soを越えていると判定したときは(Sj>So)、ステップS15へ進み、スロットル開度θthを、このスロットル開度θthから設定開度Δθを減算した値で更新し(θth←θth−Δθ)、ステップS16へ進み、スロットル開度θthに対応する駆動信号をスロットルアクチュエータ6へ出力しルーチンを抜ける。
【0048】
その結果、自車速Sjが目標車速So以下のときは(Sj≦So)、スロットル弁4が設定開度Δθずつ段階的に開弁されて増速され、又、自車速Sjが目標車速Soを越えているときは(Sj>So)は、スロットル弁4が設定開度Δθずつ段階的に閉弁されて微減速され、一定の車間距離を保持するように制御される。
【0049】
このように、先行車に追従走行する車間距離制御モードでは、エンジン出力(トルク)Tに余裕があるときは、ターボ過給機5の過給動作を停止させ、スロットル開度主導にてエンジン出力Tを制御し、又、エンジン出力Tが不足気味のときは、ターボ過給機5を圧力一定の低圧に制限された状態で過給動作させ、エンジン出力Tはスロットル開度主導で制御するようにしたので、図5に細線で示すスロットル開度θthが比較的小さく、エンジン出力Tに余裕のある状態、及び、太線で示すスロットル開度θthが比較的大きく、エンジン出力Tが不足気味となり易い状態の何れにおいても、同図(b)にハッチングで示すような、ターボ過給機5の応答遅れ等の影響によってエンジン出力Tにばらつき(変動)が生じ易くなる領域が減少する。その結果、車間距離制御において良好な応答性、及び走行安定性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】エンジン制御系を中心とする車両用運転支援装置の概略図
【図2】制御モード設定ルーチンを示すフローチャート
【図3】車間距離制御サブルーチンを示すフローチャート
【図4】過給圧制御サブルーチンを示すフローチャート
【図5】(a)は車間距離制御モード時のスロットル開度の変化を示すタイムチャート、(b)はスロットル開度主導で制御されるエンジン出力の変化を示すタイムチャート
【符号の説明】
【0051】
1…エンジン、4…スロットル弁、5…ターボ過給機、5a…コンプレッサ、5b…タービン、6…スロットルアクチュエータ、7…排気バイパス通路、8…排気バイパスバルブ、9…過給圧制御アクチュエータ、10…スロットル開度センサ、11…圧力センサ、12…車速センサ、13…エンジン回転数センサ、14…定速走行スイッチ、21…エンジンECU、22…車間制御演算部、23…前方認識センサ、Ne…エンジン回転数、P…吸気管圧力、Po…目標過給圧、Ps…車間距離制御用過給圧、Sj…自車速、Sm…先行車速、So…目標車速、T…エンジン出力、To…設定値、θo…エンジン出力判定用スロットル開度、θth…スロットル開度、Δθ…設定開度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに供給する吸入空気の量を可変する空気量可変手段と、
前記吸入空気を過給する吸入空気過給手段と、
前記空気量可変手段と前記吸入空気過給手段とによりエンジン出力を制御して、自車の車速を予め設定された目標車速或いは先行車との車間距離に基づいて設定した目標車速に収束させる車速制御を行う車速制御手段と
を備える車両用運転支援装置において、
前記車速制御手段は、前記車速制御を実行する際には、前記車速制御の非実行時に対して前記吸入空気過給手段による過給動作を制限し、前記空気量可変手段により前記吸入空気量を可変させて前記自車の車速を前記目標車速に収束させる
ことを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項2】
前記車速制御手段は、前記エンジン出力が前記設定値よりも高いときは、前記吸入空気過給手段の過給動作を停止させる
ことを特徴とする請求項1記載の車両用運転支援装置。
【請求項3】
前記車速制御手段は、前記エンジン出力が設定値よりも低いときは、前記吸入空気過給手段に一定の過給圧を発生させる
ことを特徴とする請求項1記載の車両用運転支援装置。
【請求項4】
前記車速制御手段は、前記エンジン出力が前記設定値より高い状態から低い状態へ移行したときは、前記吸入空気過給手段によって発生する過給圧を段階的に低下させる
ことを特徴とする請求項1記載の車両用運転支援装置。
【請求項5】
前記車速制御手段は、走行状態が減速運転のときは前記過給圧を急速に低下させる
ことを特徴とする請求項1記載の車両用運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−315639(P2006−315639A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143137(P2005−143137)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】