運転支援装置、運転支援方法および運転支援プログラム
【課題】自動で減速を行うための制御を実施している過程にて当該自動制御を中止した場合であっても安定した走行を行わせること。
【解決手段】自車両の制御状態が自動制御に設定されている場合に、前記自車両の減速量を制御して前記自車両の車速を所定の目標車速まで減速させ、前記減速量を所定の基準に対応した変化量で変化させて前記自動制御から前記手動制御へ移行させる。
【解決手段】自車両の制御状態が自動制御に設定されている場合に、前記自車両の減速量を制御して前記自車両の車速を所定の目標車速まで減速させ、前記減速量を所定の基準に対応した変化量で変化させて前記自動制御から前記手動制御へ移行させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転を支援する運転支援装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の制動力を制御する装置として、目標減速度を超えない範囲で目標減速度に最も近い減速度が得られる変速段に切り替え、当該変速段におけるエンジンブレーキを利用しながら当該エンジンブレーキによる減速では不足する減速度をブレーキで補って減速する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3858952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自動で減速を行うための制御を実施している過程にて当該自動制御を中止した場合であっても安定した走行を行わせるための技術の提供が望まれていた。
すなわち、従来の技術においては、ブレーキを自動制御することによってエンジンブレーキを補助して自車両の減速度を目標減速度としているが、利用者によっては減速の過程で自動制御の中止を望む場合もある。自動制御を中止するとブレーキペダルの操作に応じた制動力が作用することになるため、自動制御の中止後に単に自動制御を解除するのみでは自動制御の中止に伴って自車両に作用する減速度が急変し、運転者は違和感を覚える。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、自動で減速を行うための制御を実施している過程にて当該自動制御を中止した場合であっても安定した走行を行わせるための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するため、本発明においては、自動制御によって自車両の減速量を制御して減速させている過程において制御状態が自動制御から手動制御に切り替わった場合に、減速量を所定の基準に対応した変化量で変化させて自動制御から手動制御へ移行させる。すなわち、自動制御の中止後に単に自動制御を解除して急激に手動制御に切り替えるのではなく、徐々に自動制御から手動制御へ移行する。この結果、自動制御を解除するにあたり、減速量の急変を抑制するための緩衝時間を費やして手動制御に移行することができ、自動制御を中止した直後における自車両の不安定化を抑制することが可能である。
【0005】
ここで、減速制御手段においては、制御状態が自動制御に設定されている場合に自車両の減速量を制御して自車両を減速させることができればよい。すなわち、ブレーキペダルの操作によらずに自車両を自動で減速させる構成であればよい。従って、自車両を減速させるための減速部、例えば、駆動源の回転数の調整装置(スロットル等)やブレーキ,変速機を制御して自車両を減速させることができれば良い。また、自車両を減速させるための構成としては、例えば、基準のパラメータに対するフィードバック制御によって減速を行う構成等を採用可能である。
【0006】
さらに、自動制御解除手段においては、制御状態が自動制御から手動制御に切り替わった場合に、減速量を所定の基準に対応した変化量で変化させて自動制御から手動制御へ移行させることによって減速量の急変を抑制することができればよい。制御状態の切り替えは、自動制御と手動制御とを設定するために設けられた専用のUIやスイッチ等によって行っても良いし、他のスイッチや装置を流用して制御状態の切り替えを認識しても良い。例えば、自動変速機搭載車のセレクトレバーにおいては、予め決められた規定(車速やトルク,エンジン回転数,スロットル開度等)に従った自動変速を許可する自動制御状態(Dモード)と利用者自身のセレクトレバーの操作に従った変速を許可する手動制御状態(Mモード)とを選択可能であることが多い。そこで、当該セレクトレバーによる切り替えによって制御状態の切り替えを認識しても良い。
【0007】
なお、手動制御は自車両に搭載された操作部に対する操作に応じて車両の各部が駆動される設定であり、例えば、ブレーキペダルの操作量に応じて減速量が変動し、セレクトレバーの操作によって変速比の設定が変更され、アクセルペダルの操作量に応じてスロットル開度が変動する状態である。自動制御は車両の各部が自動で駆動される設定であり、減速制御,変速制御,スロットル開度調整等が自動で行われる設定である。むろん、操作部は手によって操作する構成に限らず、足や音声等によって操作しても良い。
【0008】
また、減速量を所定の基準に対応した変化量で変化させて自動制御から手動制御へ移行させるためには、自動制御にて発生されていた減速量と手動制御における操作内容に応じた減速量との差が徐々に解消し、利用者が感じるショックを抑制することができればよい。すなわち、自動制御のみによって制御する状態から手動制御のみによって制御する状態へ、所定の緩衝時間を費やして移行することができればよい。従って、予め決められた一定の緩衝時間を費やして自動制御から手動制御に移行しても良いし、車速やトルク,道路状態,周囲の環境等に応じて異なる長さの緩衝時間を費やして自動制御から手動制御に移行しても良い。なお、所定の基準は、減速量の急変を抑制するための変化量を定義可能な基準であればよく、種々の指標を採用可能である。例えば、自動制御から手動制御へ移行するまでの前記緩衝時間を所定の基準とし、当該緩衝時間内で減速量が線形あるいは非線形に変化するよう調整すれば、基準に対応した変化量で自動制御から手動制御へ移行させることができる。
【0009】
さらに、所定区間に到達する前に自車両を減速させる過程において、自車両が所定区間を走行した後の加速に適した加速変速比に設定させるための制御を行っても良い。すなわち、所定区間を走行する際の目標車速を取得し、自車両を当該目標車速よりも大きい車速に加速させるための加速変速比を取得する。そして、自車両が所定区間の開始地点に到達する前に自車両における変速比を加速変速比に設定する。この構成によれば、所定区間に到達する前に、変速比が自車両を目標車速よりも大きい車速に加速するために適した加速変速比となっており、所定区間を走行した後の加速段階でスムーズに加速することが可能である。
【0010】
ここで、車速情報取得手段は、自車両の前方における所定区間について、当該所定区間を走行する際の目標車速を取得することができればよく、車速を示す情報を直接的に取得しても良いし、間接的に取得しても良い。前者としては、予め設定された所定区間に対して予め目標車速を対応付けておき、当該所定区間に対応付けられた目標車速を取得する構成を採用可能である。後者としては、所定区間やその前後の道路を示す情報に基づいて目標車速を決定する構成を採用可能である。
【0011】
また、自車両を目標車速とするための構成としては、例えば、基準のパラメータに対するフィードバック制御によって減速を行う構成等を採用可能である。なお、基準のパラメータは、自車両の車速を目標車速とする際に基準となる指標であれば良く、自車両の現在位置から所定区間の開始地点までの距離内で自車両の現在車速を目標車速とするために必要な減速度や車速の推移等をこれらの基準のパラメータとすることができる。
【0012】
さらに、所定区間は当該区間の手前で自車両を減速させて目標車速にするとともに、目標車速で所定区間を走行した後に自車両を加速させることが好ましい区間であれば良く、カーブ区間や所定形状の勾配のある区間であっても良い。さらに、目標車速は当該所定区間を走行する際の好ましい車速であり、予め設定されればよい。例えば、カーブ区間においては、カーブ区間における一定半径の区間を一定の速度で走行することが好ましいため、当該一定の速度を目標車速とする構成を採用可能である。また、勾配のある道路において勾配を含む区間を所定区間とする場合には、下り勾配の開始地点までに当該下り勾配の区間を走行するために好ましい目標車速まで減速することとして目標車速を定義する構成を採用可能である。
【0013】
加速変速比取得手段は、所定区間を走行した後に自車両を目標車速よりも大きい車速に加速させるための変速比を取得することができれば良く、少なくとも、目標車速よりもさらに加速を行うことが可能な変速比を取得することができればよい。例えば、目標車速から当該目標車速より大きい特定の車速に加速させることが可能な変速比や、駆動源の回転数が特定の値であるときに目標車速よりも大きい車速で走行させることが可能な変速比を取得することができればよい。すなわち、これらの変速比を加速変速比とし、所定区間の走行を完了する前に当該加速変速比としておくことにより、所定区間の走行後の加速段階で変速比を変更することなく加速可能であればよい。この結果、所定区間を走行後に自車両をスムーズに加速させることが可能になる。なお、変速比は、少なくとも、目標車速よりも大きい車速に加速させるために必要十分な変速比であればよいが、加速をよりスムーズにするための変速比を予め決定しても良い。例えば、加速開始時点でのスロットル開閉操作や自車両駆動源の回転数等のパラメータを推定し、当該推定に基づいて最も効率的に加速が可能な変速比等を選択可能である。
【0014】
変速比制御手段は、所定区間の開始地点に到達する前に前記自車両の変速比を前記加速変速比に設定させることができればよい。すなわち、所定区間の開始地点に到達する前に自車両の変速比を加速に適した加速変速比に設定すると、所定区間より手前の道路を走行している自車両において、通常は、より大きい変速比に変更される。このため、変速比を加速変速比とすることで所定区間に到達する前の減速を補助することが可能である。また、所定区間到達以降では加速変速比を変更せず維持すれば、所定区間における走行を安定させることができる。なお、変速比の設定は自車両に搭載された変速部(例えば、トルクコンバータ付き変速機)に対して実施することができれば良い。すなわち、当該変速部に対する変速比の指示によって変速比を設定し、当該指示に基づいて変速部が指示通りの変速比に切り替えることができればよい。
【0015】
さらに、自動制御を徐々に手動制御に移行させる構成の例として、ブレーキによる減速量の単位時間当たりの変化量を所定の変化量以下に抑制する構成を採用しても良い。この構成によれば、自動制御から手動制御への移行に際してブレーキによる減速量の急変が抑制される。なお、減速量は、自車両に作用する制動力を評価するためのパラメータであれば良く、トルク,減速度,エンジン出力等に基づいて評価することが可能である。なお、この構成においては所定の基準が単位時間であり、単位時間当たりの変化量が所定の基準に対応した変化量となる。
【0016】
さらに、自動制御を徐々に手動制御に移行させる構成の例として、自動制御によるブレーキの自動制御量と手動制御によるブレーキの手動制御量とを取得し、ブレーキの制御量を自動制御量から手動制御量に変化させる構成としても良い。すなわち、ブレーキの自動制御量と手動制御量との差分を徐々に解消するように制御する構成としても良い。この構成によれば、ブレーキによる減速量の急変を抑制する処理を容易に実施することができる。
【0017】
さらに、本発明のように自動制御から手動制御に切り替わった場合に、緩衝時間を費やして自動制御を解除する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のような運転支援装置、プログラム、方法は、単独の運転支援装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような運転支援装置を備えたナビゲーション装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、運転支援装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)運転支援処理:
(2−1)車両減速処理:
(2−2)減速開始判定処理:
(2−3)減速制御処理:
(2−4)車速制限処理:
(2−5)変速比選択処理:
(2−6)変速比取得処理:
(2−7)制御終了処理:
(3)他の実施形態:
【0019】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明にかかる運転支援装置を含むナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記録媒体30とを備えており、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラム21を実施可能であり、当該ナビゲーションプログラム21はその機能の一つとして加速区間における加速に適した変速比を設定して減速区間にて減速を実行させる機能を備えている。
【0020】
本実施形態における車両(ナビゲーション装置10が搭載された車両)は、ナビゲーションプログラム21による機能を実現するためにGPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43と変速部44とセレクトレバー44aと制動部45とスロットル制御部46とを備えており、これらの各部と制御部20とが協働することによってナビゲーションプログラム21による機能を実現する。
【0021】
GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための情報を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の現在位置を取得する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車両の速度を取得する。ジャイロセンサ43は、自車両の向きに対応した信号を出力する。制御部20は図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、自車両の走行方向を取得する。車速センサ42およびジャイロセンサ43は、GPS受信部41の出力信号から特定される自車両の現在位置を補正するなどのために利用される。また、自車両の現在位置は、当該自車両の走行軌跡に基づいて適宜補正される。なお、車両の動作を示す情報を取得するための構成は、ほかにも種々の構成を採用可能であり、自車両の現在位置をセンサやカメラによって特定する構成や、GPSからの信号や地図上での車両の軌跡,車車間通信,路車間通信等によって自車両動作情報を取得する構成等を採用可能である。
【0022】
変速部44は、前進について計6速、後進について計1速等の複数の変速段を有する有段のトルクコンバータを備えており、各変速段に対応した変速比で回転数を調整しながらエンジンの駆動力を自車両の車輪に伝達することができる。制御部20は図示しないインタフェースを介して変速段を切り替えるための制御信号を出力し、変速部44は当該制御信号を取得して変速段を切り替えることが可能である。また、セレクトレバー44aは、変速部における変速の制御状態を指示するレバーであり、駐車時のPレンジ、後進時のRレンジ、ニュートラルギアとなるNレンジを設定可能である。
【0023】
さらに、セレクトレバー44aによって、前進時における変速段および減速の制御状態を自動制御あるいは手動制御に設定可能である。すなわち、エンジン回転数やスロットル開度等に変速比を対応付けた図示しないマップに従って自車両の変速段を切り替えるとともに所定の減速量となるようにブレーキによる減速量を自動で制御するDモードとセレクトレバー44aの操作に従って変速段を切り替えるとともにブレーキによる減速量がブレーキペダルの操作量に応じた値となるMモードとを選択可能である。セレクトレバー44aにおける設定内容は変速部44および制御部20に受け渡され、変速部44においては設定内容に応じた変速段の切り替えが行われ、制御部20においては設定内容に応じて変速部44における変速段を切り替えるための制御信号を出力する。なお、本実施形態においては、前進1速〜前進6速のように変速段がハイギアになるにつれて変速比が小さくなるように構成されている。
【0024】
制動部45は、自車両の車輪に搭載されたブレーキによる減速の程度を調整するホイールシリンダの圧力を制御する装置を含み、制御部20はセレクトレバー44aによって自動制御が選択されているときに制動部45に対して制御信号を出力してホイールシリンダの圧力を調整させることが可能である。従って、制御部20が当該制動部45に対して制御信号を出力してホイールシリンダの圧力を増加させると、ブレーキによる減速量が増加し、自車両が減速される。
【0025】
スロットル制御部46は、自車両に搭載されたエンジンに供給する空気の量を調整するためのスロットルバルブを制御する装置を含み、制御部20は当該スロットル制御部46に対して制御信号を出力してスロットルバルブの開度を調整することが可能である。従って、制御部20が当該スロットル制御部46に対して制御信号を出力して吸気量を増加させると、エンジンの回転数が増加する。なお、制御部20はセレクトレバー44aによる設定を示す情報を取得し、また、変速部44およびスロットル制御部46に対する制御指示を行う構成であるため、当該制御部20においては変速部44によって設定された現在の変速比Snとスロットル制御部46によって設定された現在のスロットル開度Thを取得することができる。
【0026】
制御部20は、ナビゲーションプログラム21を実行することにより、GPS受信部41の出力情報や後述する地図情報等に基づいて車両の経路探索等を行い、図示しない表示部やスピーカーを介して経路案内等を行う。また、このとき、変速部44における変速比の設定と制動部45およびスロットル制御部46を利用した加減速制御を実施するため、ナビゲーションプログラム21は車速情報取得部21aと加速変速比取得部21c(必要加速量取得部21bを含む)と変速比制御部21dと減速制御部21eと自動制御解除部21fと加速制御部21gとを備えている。
【0027】
また、記録媒体30には、ナビゲーションプログラム21による案内を実施するため地図情報30aが記憶されている。地図情報30aは、車両が走行する道路上に設定されたノードを示すノードデータ,ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点データ,ノード同士の連結を示すリンクデータ,道路やその周辺に存在する地物を示すデータ等を含み、自車両の現在位置の特定や目的地への案内等に利用される。
【0028】
本実施形態においては、カーブ区間(一定半径の区間)に到達する前に減速制御を行うように構成されており、カーブ区間およびその前後の道路を示す情報が地図情報30aに含まれている。図2は、カーブ区間Zrの例を示す図であり、自車両Cが細い一点鎖線で示すカーブ区間Zrに向けて走行している状態を示している。本実施形態においては、カーブ区間Zrの開始地点Rsに相当するノードデータに当該カーブ区間Zrの開始地点Rsであることを示す情報が対応付けられ、カーブ区間Zrの終了地点Reに相当するノードデータに当該カーブ区間Zrの終了地点Reであることを示す情報が対応付けられている。また、当該開始地点Rsと終了地点Reとの間の道路形状を示す形状補間データはカーブ区間Zrの円弧上の位置を示すデータであり、当該形状補間データに基づいてカーブ区間Zrにおける一定の半径Rおよび当該半径Rの区間を一定の車速で走行する際の車速(目標車速V0)を特定することができる。本実施形態においては、カーブ区間Zrの開始地点Rsと終了地点Reとその間の形状補間点を示す情報をカーブ区間情報30a1と呼ぶ。
【0029】
また、上述のカーブ区間Zrの開始地点より前の区間においては、当該カーブ区間Zrに到達する前に減速を行うための減速区間Zd(図2にて細い破線で示す区間、例えば、クロソイド区間)が設定されており、本実施形態においては、減速区間Zdの開始地点Caに相当するノードデータに当該減速区間Zdの開始地点Caであることを示す情報が対応付けられている。なお、本実施形態において、減速区間Zdの終了地点はカーブ区間Zrの開始地点Rsと一致し、減速区間Zdの開始地点Caと終了地点Rsとの間の形状は形状補間データによって示される。また、減速区間Zdの開始地点Caと終了地点Rsとの位置を示す情報に基づいて減速区間Zdの距離L0を特定することができる。本実施形態においては、減速区間Zdの開始地点Caと終了地点Rsと、それらの間の道路形状を示す形状補間データを示す情報を減速区間情報30a2と呼ぶ。
【0030】
さらに、上述のカーブ区間Zr以降の区間においては、当該カーブ区間Zrを走行した後の所定地点(加速区間Zaの終了地点Ce)に向けて加速を行うための加速区間Za(図2にて二点鎖線で示す区間、例えば、クロソイド区間)が設定されており、本実施形態においては、加速区間Zaの終了地点Ceに相当するノードデータに当該加速区間Zaの終了地点Ceであることを示す情報が対応付けられている。なお、本実施形態において、加速区間Zaの開始地点はカーブ区間Zrの終了地点Reと一致し、加速区間Zaの開始地点Reと終了地点Ceとの間の形状は形状補間データによって示される。
【0031】
また、加速区間Zaの開始地点Reと終了地点Ceとの位置を示す情報に基づいて加速区間Zaの距離L1を特定することができる。また、加速区間Zaの終了地点Ceに相当するノードデータには、その地点における制限車速が対応付けられており、当該制限車速は本実施形態において加速区間を走行後の推奨車速V1となる。さらに、後述の加速制御を行うために加速区間Zaの開始地点Reにおけるスロットル開度Th1が予め決められており、加速区間Zaの終了地点Ceに相当するノードデータに当該スロットル開度Th1を示す情報が対応付けられている。本実施形態においては、加速区間Zaの開始地点Reと終了地点Ceと、それらの間の道路形状を示す形状補間データと推奨車速V1とスロットル開度Th1を示す情報を加速区間情報30a3と呼ぶ。
【0032】
車速情報取得部21aは、カーブ区間Zrを走行する際の目標車速V0とカーブ区間Zrを走行後の推奨車速V1とを取得するモジュールであり、地図情報30aを参照してこれらの車速情報を特定する。すなわち、制御部20は車速情報取得部21aの処理によりカーブ区間情報30a1を参照してカーブ区間Zrの半径Rを特定し、当該半径Rの区間を一定の車速で走行するための車速を取得して目標車速V0とする。例えば、予め設定された横加速度Gt(例えば、0.2G)にて一定車速で走行するための車速(Gt・R)1/2を目標車速V0として取得する。また、加速区間情報30a3を参照して推奨車速V1を取得する。
【0033】
必要加速量取得部21bは、自車両を目標車速V0から推奨車速V1に加速させるための必要加速量を取得するためのモジュールであり、制御部20は必要加速量取得部21bの処理により加速区間情報30a3に基づいて加速区間の距離L1を特定し、当該距離L1にて目標車速V0から推奨車速V1に加速させるための必要加速度aを取得する。すなわち、加速区間Zaの開始地点Reと終了地点Ceとその間の形状補間点との位置を示す情報から道路形状に沿った開始地点Reと終了地点Ceとの間の長さを距離L1として取得する。そして、当該距離L1にて目標車速V0を推奨車速V1とするための必要加速度aを、例えば、等加速度運動を想定し、a=(V12−V02)/(2L1)などとして取得する。
【0034】
加速変速比取得部21cは、必要加速度aで自車両を走行させるための変速比である加速変速比Sa(Saは1〜6(上述の前進1速〜6速に対応)のいずれか)を取得するモジュールであり、制御部20は加速変速比取得部21cの処理により加速区間情報30a3を参照してスロットル開度Th1を取得し、当該スロットル開度Th1と必要加速度aと目標車速V0とに基づいて変速比を決定する。本実施形態においては、自車両における車速が目標車速V0であり、スロットル開度Th1に対応するエンジン回転数で走行している状態において、必要加速度aを発生させることが可能な変速比のうち、最も燃料消費量が少なくなる変速比を加速変速比Saとする。
【0035】
この構成によれば、効率的に燃料を使用して自車両を目標車速V0から推奨車速V1へ加速させることができる。なお、ここで、変速比の選択は、例えば、エンジン回転数やスロットル開度Th1に対応付けられた燃料消費量マップを予め用意し、当該燃料消費量マップに基づいて実施する構成等を採用可能である。また、ここではスロットル開度Th1に対応したエンジン回転数を想定したが、むろん、当該回転数を統計値等に基づいて決定しても良い。
【0036】
変速比制御部21dは、自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsに到達する前に自車両の変速比を加速変速比Saに設定させるモジュールであり、セレクトレバー44aにおいて自動制御が設定されている場合に、制御部20は変速比制御部21dの処理により、後述する処理手順に従った所定のタイミングで変速比を加速変速比Saとするための制御信号を変速部44に出力する。変速部44は、当該制御信号に応じて変速比を加速変速比Saに切り替える。
【0037】
減速制御部21eは、自車両がカーブ区間Zrに到達する前に自車両の車速が目標車速V0になるように減速させるモジュールであり、セレクトレバー44aにおいて自動制御が設定されている場合に、制御部20は減速制御部21eの処理により、カーブ区間Zrの開始地点Rsにおいて車速が目標車速V0となるようにフィードバック制御を行う。すなわち、目標車速V0を取得するとともに減速区間情報30a2を参照して自車両の現在位置と終了地点Rsとその間の形状補間点との位置を示す情報から道路形状に沿った自車両の現在位置と終了地点Rsとの間の長さを距離Lcとして取得する。
【0038】
そして、当該距離Lcにて自車両の現在車速Vcを目標車速V0とするための必要減速度Gr(自車両の進行方向を正とした場合の負の加速度)を、例えば、等加速度運動を想定し、Gr=(V02−Vc2)/(2Lc)などとして取得する。さらに、本実施形態においては、必要減速度Grを逐次取得しており、当該必要減速度Grが予め決められた閾値(後述するLimG_hあるいはLimG_L)を超えたときに減速制御を開始する。すなわち、変速部44によって設定されている現在の変速比Snおよびスロットル制御部46によって調整された現在のスロットル開度Thでのエンジン回転数に基づいてエンジンブレーキによる減速度Geを取得する。そして、制御部20は、必要減速度Grと当該減速度Geとの差分(Gr−Ge)に相当する減速度をブレーキによって発生させるための制御信号を制動部45に出力する。この結果、制動部45においては、必要減速度Grと当該減速度Geとの差分(Gr−Ge)を補うようにブレーキを作用させる。
【0039】
なお、本実施形態においては、減速区間Zdにて減速動作を行っている最中に変速比を加速変速比Saに切り替える。このとき、通常は変速比の切り替えによってよりトルクが大きい変速比となる。このため、変速比を加速変速比Saとすることでカーブ区間に到達する前の減速を補助することが可能である。
【0040】
さらに、本実施形態において制御部20は減速制御部21eの処理によりセレクトレバー44aにおいて自動制御が設定されている場合にブレーキおよび変速比の自動制御を行うが、制御状態が自動制御から手動制御に切り替わった場合、制御部20は自動制御解除部21fの処理によりブレーキの自動制御を徐々に解除して手動制御に移行する。
【0041】
自動制御解除部21fは、自動制御(Dモード)から手動制御(Mモード)に切り替わったときに減速制御部21eによる自動制御を解除するためのモジュールである。すなわち、制御部20は、自動制御解除部21fの処理により、セレクトレバー44aにおける設定が自動制御から手動制御に切り替わったと判別したか否かを判別し、手動制御に切り替わったと判別したときには、減速制御部21eによる自動制御を徐々に終了させ、徐々に手動制御に移行させるための処理を行う。
【0042】
本実施形態において、制御部20は、ブレーキによる減速度の単位時間当たりの変化量を所定の変化量以下に抑制して自動制御から手動制御に移行する。より具体的には、車速に応じて制動部45によるブレーキの制御量(例えば、ホイールシリンダの圧力)と自車両の減速度との関係を予め特定しておく。また、自動制御によるブレーキの自動制御量(セレクトレバー44aによる制御状態の切り替え直前における制御量)と手動制御によるブレーキの手動制御量(ブレーキペダルの操作量に応じたブレーキの制御量)とを取得する。なお、本実施形態においては所定の基準が単位時間であり、単位時間当たりの変化量が所定の基準に対応した変化量となる。
【0043】
そして、制御部20は、制動部45に対して制御信号を出力し、ブレーキの制御量を自動制御量から手動制御量に変化させてブレーキの自動制御量と手動制御量との差分を徐々に解消するように制御する。本実施形態においては、このために、自動制御量による減速度と手動制御量による減速度を取得し、上述のブレーキと自車両の減速度との関係に基づいて、単位時間当たりに減速度が所定量だけ変化するように(例えば、0.1G/秒)自動制御量を変化させる。そして、変化後の自動制御量と手動制御量とが一致した時点で自動制御を終了する。以上の構成によれば、自動制御の中止後に急激に手動制御に切り替えられることはなく、徐々に自動制御から手動制御へ移行する。この結果、自動制御を解除するにあたり、減速量の急変を抑制するための緩衝時間を費やして手動制御に移行することができ、自動制御を中止した直後における自車両の不安定化を抑制することが可能である。
【0044】
さらに、加速制御部21gは、自車両がカーブ区間Zrを走行した後の加速を制御するためのモジュールであり、セレクトレバー44aにおいて自動制御が設定されている場合に、制御部20は加速制御部21gの処理により、カーブ区間Zrの終了地点Reから距離L1の間の加速区間Zaにおいて、車速を目標車速V0から推奨車速V1にするようにスロットル開度Thを制御する。すなわち、変速比を加速変速比Saに維持した状態で、スロットル制御部46に制御信号を出力してスロットル開度をTh1に設定し、その後、必要加速度aにて加速が行われるように適宜スロットル開度を調整する。
【0045】
以上の構成によれば、自動制御状態において、自車両にて減速区間Zdを走行している段階で加速変速比Saに設定するため、加速区間Zaを走行する段階では推奨車速V1に加速するために適した加速変速比Saとなっており、当該加速区間Zaにてスムーズに加速することが可能である。また、必要減速度Grに最も近い減速度が得られる変速比を選択して減速を行うと、エンジンブレーキによる減速度を有効に活用して減速することが可能であるが、当該エンジンブレーキを有効に機能させることに起因して変速時に車両に与えるショックは比較的大きくなる。しかし、本発明においては減速時の減速度ではなく加速時の必要加速度aに着目して加速変速比Saを決定しているため、変速時に車両に与えるショックを比較的小さく抑えることができる。
【0046】
(2)運転支援処理:
次に、以上の構成においてナビゲーション装置10が実施する運転支援処理を説明する。ナビゲーション装置10によってナビゲーションプログラム21が実行され、セレクトレバー44aにて自動制御に設定されているとき、当該ナビゲーションプログラム21が備える各部は図3に示す処理を実行する。本実施形態においては、減速制御に関して3種類の異なる制御の状態(減速制御状態DSと呼ぶ)を設け、変速比制御に関して3種類の異なる制御の状態(変速比制御状態GSと呼ぶ)を設けており、制御部20は減速制御状態DS,変速比制御状態GSを特定するための変数を"0"に初期化する(ステップS100)。なお、本実施形態において、車速の制御を実施しない状態がDS=0,車速を目標車速V0に減速させる状態がDS=1,カーブ区間において車速を維持する状態がDS=2である。また、変速比の制御を行わない状態がGS=0,変速比の算出処理を行う状態がGS=1,変速比の切り替え処理を行う状態がGS=2である。
【0047】
減速制御状態DS,変速比制御状態GSを初期化すると、制御部20は、自車両の前方に存在するカーブ区間の情報を取得する(ステップS110)。すなわち、制御部20は、GPS受信部41等の出力信号に基づいて自車両の現在位置を特定し、地図情報30aを参照して当該現在位置の前方の所定範囲にカーブ区間が存在するか否かを判定する。そして、カーブ区間が存在する場合には、そのカーブ区間に関するカーブ区間情報30a1,減速区間情報30a2,加速区間情報30a3を取得する。さらに、制御部20は、車両減速処理(ステップS120)、変速比選択処理(ステップS130)を実行し、図示しないイグニションスイッチの出力信号を取得してイグニションがオフにされたか否かを判定する(ステップS140)。そして、イグニションがオフにされたと判別されるまでステップS110以降の処理を繰り返す。
【0048】
(2−1)車両減速処理:
図4は、ステップS120における車両減速処理を示すフローチャートである。同図4に示す車両減速処理において、制御部20は自動制御解除部21fの処理によりセレクトレバー44aから信号を取得し、当該セレクトレバー44aにて手動制御に設定されているか否かを判別する(ステップS200)。すなわち、図3に示す処理はセレクトレバー44aにて自動制御に設定されているときに実行されるため、図4のステップS200にて手動制御に設定されていると判別されたときには、自動制御から手動制御に切り替わったとみなす。
【0049】
そして、ステップS200にて手動制御に設定されていると判別されたとき、制御部20は自動制御解除部21fの処理により、「減速制御状態DSが"1"あるいは"2"」であるか否かを判別し(ステップS205)、ステップS205にて「減速制御状態DSが"1"あるいは"2"」であると判別されたときには制御終了処理を実行する(ステップS210)。ステップS205にて「減速制御状態DSが"1"あるいは"2"」であると判別されないときには、ステップS210をスキップする。
【0050】
一方、ステップS200にて手動制御に設定されていると判別されないとき、制御部20は減速制御部21eの処理により、減速制御状態DSが"0"であるか否か(ステップS215)、"1"であるか否か(ステップS225)、"2"であるか否か(ステップS235)を判別する。そして、ステップS215にてDS=0であると判別されたときには減速開始判定処理(ステップS220)、ステップS225にてDS=1であると判別されたときには減速制御処理(ステップS230)、ステップS235にてDS=2であると判別されたときには車速制限処理(ステップS240)を実行する。他の判別結果であった場合およびステップS210,S220,S230,S240を実施した後には、図3に復帰して処理を繰り返す。
【0051】
(2−2)減速開始判定処理:
図5は、ステップS220における減速開始判定処理を示すフローチャートである。当該減速開始判定処理においては、予め決められた条件に基づいて減速制御状態DSを"1"あるいは"2"にするための処理を行う。このためにまず制御部20は、減速制御部21eの処理により、自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsから所定距離の位置に到達したか否かを判別する(ステップS300)。すなわち、制御部20は、GPS受信部41等の出力信号に基づいて自車両の現在位置を取得し、カーブ区間情報30a1を参照してカーブ区間Zrの開始地点Rsの位置を取得し、自車両の現在位置が開始地点Rsの位置よりも所定距離だけ(カーブ区間Zrと逆側)であるか否かを判別する。ステップS300にて、カーブ区間Zrの開始地点Rsから所定距離の位置に到達したと判別されないときには、ステップS305以降の処理をスキップして図4に示す処理に復帰する。
【0052】
ステップS300にて、自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsから所定距離の位置に到達したと判別されたとき、制御部20は、車速情報取得部21aおよび減速制御部21eの処理により、カーブ区間Zrの開始地点Rsにて自車両の車速を目標車速V0とするための必要減速度Grを取得する(ステップS305)。すなわち、制御部20は、カーブ区間情報30a1に基づいてカーブ区間Zrの半径Rを特定するとともに当該半径Rのカーブを一定速度で走行する際の車速を目標車速V0として取得する。また、GPS受信部41等の出力信号に基づいて特定される自車両の現在位置と、減速区間情報30a2に基づいて特定される減速区間Zdの終了地点Rs(カーブ区間の開始地点)と、現在位置と終了地点Rsとの間の形状補間点の位置を示す情報から上述の距離Lcを取得する。そして、車速センサ42の出力情報に基づいて現在車速Vcを特定し、Gr=(V02−Vc2)/(2Lc)として必要減速度Grを取得する。
【0053】
次に、制御部20は、スロットルバルブが開状態(アクセルオン状態)であるか否かを判別する(ステップS310)。すなわち、制御部20は減速制御部21eの処理により、現在のスロットル開度Thを取得し、スロットルバルブが閉じられていない開状態であるか否かを判別する。ステップS310にてスロットルバルブが開状態であると判別されない(アクセルオフ状態)とき、制御部20は減速制御部21eの処理により、必要減速度Grが閾値LimG_L以上であるか否かを判別する(ステップS315)。また、ステップS310にてスロットルバルブが開状態であると判別された(アクセルオン状態)とき、制御部20は減速制御部21eの処理により、必要減速度Grが閾値LimG_h以上であるか否かを判別する(ステップS320)。
【0054】
ステップS315,S320にて、必要減速度Grがそれぞれの閾値以上であると判別されたとき、制御部20は減速制御部21eの処理により、減速制御状態DSを"1"に設定する(ステップS325,S330)。すなわち、自車両が減速することなくカーブ区間Zrに近づくとき、自車両がカーブ区間Zrに近づくにつれて車速を目標車速V0にするための必要減速度Grが大きくなり、いずれかのタイミングで必要減速度Grが閾値を超えるので、閾値を超えた後に減速制御を実施するように減速制御状態DSを"1"に設定する。なお、本実施形態においては、スロットルバルブの状態によって減速を開始すべきタイミングが異なると見なし、スロットルバルブが開状態であるときと閉状態であるときの閾値LimG_h,LimG_Lを異なる値とし、LimG_h>LimG_Lと設定してある。
【0055】
一方、ステップS315,S320にて、必要減速度Grがそれぞれの閾値以上であると判別されないとき、制御部20は減速制御部21eの処理により、自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsに到達したか否かを判別する(ステップS335)。すなわち、GPS受信部41等の出力信号に基づいて自車両の現在位置を取得し、減速区間情報30a2を参照してカーブ区間Zrの開始地点Rsの位置を取得し、自車両の現在位置が開始地点Rsの位置よりもカーブ区間Zr寄りであるか否かを判別する。ステップS335にて自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsに到達したと判別されたときには減速制御状態DSを"2"に設定する。すなわち、必要減速度Grが閾値を超えることなくカーブ区間Zrに到達したときには、減速制御状態DSを"2"とする(ステップS340)。ステップS335にて自車両が減速区間Zdの終了地点Rsに到達したと判別されないときには図4に示す処理に復帰する。
【0056】
(2−3)減速制御処理:
図6は、ステップS230における減速制御処理を示すフローチャートである。当該減速制御処理においては、自車両を減速させて目標車速V0とするための処理を行う。このためにまず制御部20は、減速制御部21eの処理により、カーブ区間Zrの開始地点Rs(減速区間Zdの終了地点)に到達したか否かを判別する(ステップS400)。すなわち、制御部20は、GPS受信部41等の出力信号に基づいて自車両の現在位置を取得し、カーブ区間情報30a1を参照してカーブ区間Zrの開始地点Rsの位置を取得し、自車両の現在位置が開始地点Rsの位置よりもカーブ区間Zr寄りであるか否かを判別する。
【0057】
ステップS400にて、自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsに到達したと判別されないときに、制御部20は、車速情報取得部21aおよび減速制御部21eの処理により、カーブ区間Zrの開始地点Rsにて自車両の車速を目標車速V0とするための必要減速度Grを取得する(ステップS405)。当該処理は、上述のステップS305と同様である。
【0058】
そして、制御部20は、エンジンブレーキおよび制動部によって必要減速度Grを発生させる(ステップS410)。すなわち、制御部20は、減速制御部21eの処理により、現在の変速比Snおよび現在のスロットル開度Thを取得し、当該変速比Snおよびスロットル開度Thでのエンジン回転数に基づいてエンジンブレーキによる減速度Geを取得する。そして、制御部20は、(Gr−Ge)に相当する減速度をブレーキによって発生させるための制御信号を制動部45に出力する。
【0059】
この結果、制動部45においては、必要減速度Grと当該減速度Geとの差分(Gr−Ge)を補うようにブレーキを作用させ、自車両における減速度が必要減速度Grとなる。必要減速度Grは、上述のように、距離Lcにて自車両の現在車速Vcを目標車速V0とするための必要減速度であるため、以上の制御を繰り返すことにより、自車両の車速を目標車速V0に収束させることができる。なお、以上の減速制御における変速比は必要減速度Grではなく必要加速度aに基づいて決定され、自車両の変速比は後述する処理によって減速区間Zd内のいずれかの地点で加速変速比Saに切り替えられる。
【0060】
ステップS400にて自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsに到達したと判別されたとき、制御部20は減速制御状態DSを"2"に設定する(ステップS415)。すなわち、カーブ区間Zrに到達したときには、減速ではなく車速を維持する処理を行うために減速制御状態DSを"2"とする。なお、ステップS410,S415の後に図4に示す処理に復帰する。
【0061】
(2−4)車速制限処理:
図7は、ステップS240における車速制限処理を示すフローチャートである。当該車速制限処理においては、自車両の車速を目標車速V0に維持するための処理を行う。このためにまず制御部20は、減速制御部21eの処理により、カーブ区間Zrの終了地点Re(加速区間Zaの開始地点)に到達したか否かを判別する(ステップS500)。すなわち、制御部20は、GPS受信部41等の出力信号に基づいて自車両の現在位置を取得し、カーブ区間情報30a1を参照してカーブ区間Zrの終了地点Reの位置を取得し、自車両の現在位置が終了地点Reの位置よりも加速区間Za寄りであるか否かを判別する。
【0062】
ステップS500にて、自車両がカーブ区間Zrの終了地点Reに到達したと判別されないときに、制御部20は、減速制御部21eの処理により車速センサ42の出力情報に基づいて現在車速Vcを特定し、現在車速Vcが閾値V0を超えているか否かを判別する(ステップS505)。ステップS505にて現在車速Vcが閾値V0を超えていると判別されたとき、制御部20は、エンジンブレーキおよび制動部によって必要減速度Grを発生させる(ステップS510)。当該ステップS510の処理は上述のステップS410と同様である。
【0063】
一方、ステップS500にて自車両がカーブ区間Zrの終了地点Reに到達したと判別されたとき、減速制御を終了させるため、制御部20は減速制御状態DSを"0"に設定する(ステップS515)。そして、ステップS510,S515の後、およびステップS505にて現在車速Vcが閾値V0を超えていると判別されないときには図4に示す処理に復帰する。
【0064】
(2−5)変速比選択処理:
図8は、ステップS130における変速比選択処理を示すフローチャートである。当該変速比選択処理においては、変速比制御状態GSを特定し,加速変速比Saを取得し、変速比の設定を行うための処理を実行する。当該変速比選択処理において、制御部20は、変速比制御状態GSが"0"であるか否か(ステップS600)、"1"であるか否か(ステップS615)を判別する。そして、ステップS600にてGS=0であると判別されたときには、変速比制御状態GSを"1"に設定するための処理(ステップS605,S610)を実行し、ステップS615にてGS=1であると判別されたときには変速比取得処理(ステップS620)を実行する。
【0065】
なお、ステップS605において、制御部20は、減速制御部21eの処理により、自車両の現在位置が減速区間Zdの開始地点Caまで所定距離以内の位置であるか否かを判別する。そして、ステップS605にて、自車両の現在位置が減速区間Zdの開始地点Caまで所定距離以内の位置であると判別されないときには、ステップS610をスキップして図3に示す処理に復帰する。一方、自車両の現在位置が減速区間Zdの開始地点Caまで所定距離以内の位置であると判別されたときには、変速比制御状態GSを"1"に設定する。すなわち、減速区間Zdにて加速変速比Saを取得するための状態であるGS=1に設定する。
【0066】
ステップS620の変速比取得処理は後に詳述するが、当該変速比取得処理においては、変速比に対応した変速段を示す変数Nに加速変速比Saに対応した変速段を示す値を代入し、変速比制御状態GSを"2"にするための処理を行う。図8において、ステップS600にてGS=0であると判別されず、ステップS615にてGS=1であると判別されないとき、すなわち、変速比制御状態GSが"2"であるとき、制御部20は、変速比制御部21dの処理により、変数Nに対応した変速比で走行するように設定を行う(ステップS630)。ここで、変数Nには加速変速比Saに対応した変速段を示す値が代入されており、制御部20は、変速部44に制御信号を出力し、変数Nが示す変速段に変速させる。
【0067】
次に、制御部20は、変速比制御部21dの処理により、変速比を加速変速比Saに設定した状態を維持するか否かの判定を行う。すなわち、加速区間Zaの終了地点Ceに到達したか否かを判別し(ステップS635)、操舵角が所定角以内であるか否かを判別し(ステップS640)、現在車速が所定値以下であるか否かを判別する(ステップS645)。また、ステップS635にて終了地点Ceに到達したと判別されたとき、ステップS640にて操舵角が所定角以内であると判別されたとき、ステップS645にて現在車速が所定値以下であると判別されたとき、制御部20は変速比制御状態GSを"0"に設定する(ステップS650)。一方、これら以外の場合にはステップS650をスキップする。
【0068】
なお、本実施形態においては、変速比制御状態GSが"0"になると、変速比を加速変速比Saに設定した状態を解除し、運転者の操作に応じた変速を実施することが可能になる。また、ステップS635において制御部20は、GPS受信部41等の出力信号に基づいて自車両の現在位置を取得し、加速区間情報30a3を参照して加速区間Zaの終了地点Ceの位置を取得し、自車両の現在位置が終了地点Ceの位置以降であるか否かを判別する。従って、自車両が終了地点Ceを通過する以前においては自車両の状態が加速変速比Saに設定した状態で加速を行って良い状態であると見なし、自車両が終了地点Ceを通過すると運転者の操作に応じた変速比を設定可能にする。
【0069】
さらに、ステップS640において制御部20は、図示しない舵角センサの出力情報を取得し、当該出力情報に基づいて操舵角を特定する。そして、当該操舵角と予め決められた所定角とを比較することによって操舵角が所定角以内であるか否かを判定する。なお、ここでは、操舵角が所定角以内であるときには加速変速比Saに設定した状態で加速を行って良い状態であると見なし、操舵角が所定角以内でないときには運転者の操作に応じた変速比を設定可能にする。
【0070】
さらに、ステップS645において制御部20は、車速センサ42の出力情報に基づいて自車両の現在車速を特定し、当該現在車速が所定値以下であるか否かを判定する。ここでは、現在車速が所定値以下であるときに加速変速比Saに設定した状態で加速を行って良い状態であると見なし、現在車速が所定値以下でないときには運転者の操作に応じた変速比を設定可能にする。
【0071】
(2−6)変速比取得処理:
図9は、ステップS620における変速比取得処理を示すフローチャートである。当該変速比取得処理においては、加速変速比Saに対応した変速段をNに代入し、当該加速変速比Saに対応した変速段に切り替えるための状態(GS=2)に設定するための処理を行う。
【0072】
当該変速比取得処理において、制御部20は、加速変速比Saに対応する変速段をNに代入する(ステップS700)。すなわち、制御部20は、車速情報取得部21a,必要加速量取得部21b,加速変速比取得部21cの処理により加速変速比Saを算出する。具体的には、制御部20が車速情報取得部21aの処理によりカーブ区間の半径Rに基づいて目標車速V0を特定し、加速区間情報30a3を参照して推奨車速V1を取得する。
【0073】
さらに制御部20は必要加速量取得部21bの処理により、加速区間情報30a3に基づいて加速区間の距離L1を特定し、必要加速度a=(V12−V02)/(2L1)を取得する。さらに、制御部20は、加速変速比取得部21cの処理により、加速区間情報30a3を参照して加速区間Zaの開始地点Reにおけるスロットル開度Th1を取得し、必要加速度aと目標車速V0とに基づいて変速比を決定する。本実施形態においては、自車両の車速が目標車速V0かつスロットル開度Th1であるときに各変速比において出力されるトルクTr1〜Tr6(1〜6は変速比に対応)と、必要加速度aに対応したトルクTraとを比較する。
【0074】
このため、まず、必要加速度aに対応したトルクTraを、例えば、加速度×車重×タイヤ半径/ディファレンシャルギア比などとして取得する。一方、目標車速V0において各変速比にて実現されるエンジン回転数(rpm)を、例えば、目標車速V0×1000/3600/(2π×タイヤ半径)×ディファレンシャルギア比×60×変速比×トルクコンバータスリップ比などとして取得する。この結果、変速比1〜6(変速段6〜1)に対応した目標車速V0でのエンジン回転数Re1〜Re6が取得される。さらに、各エンジン回転数Re1〜Re6かつスロットル開度Th1にて出力可能なトルクTr1〜Tr6を取得する。当該トルクTr1〜Tr6は、例えば、変速比毎にスロットル開度Th1およびエンジン回転数とトルクとを対応付けたトルク特性マップに基づいて各エンジン回転数Re1〜Re6に対応するトルクTr1〜Tr6を取得してもよい。
【0075】
以上のようにして必要加速度aに対応したトルクTraと、各変速比において出力されるトルクTr1〜Tr6を取得すると、トルクTraを超える変速比の中で最も燃料消費量が少なくなる変速比を選択して加速変速比Saとする。この結果、必要加速度aにて加速を行ったときに自車両の車速を推奨車速V1とすることが可能な変速比であって、最も燃料消費量が少なくなる変速比が加速変速比Saとなる。加速変速比Saが得られたら、当該加速変速比Saに対応した変速段を示す値を変数Nに代入する。
【0076】
さらに、制御部20は、ステップS710以降にて、車両の走行安定性の低下を防止するタイミングで変速比制御状態GSを"2"に設定して変速比を設定するための処理を行う。この処理において、制御部20は、自車両の変速段を加速変速比Saに対応した変速段に設定したときに、当該自車両に作用する減速力Fadを算出する(ステップS710)。ここで、減速力Fadは加速変速比Saに対応した変速段において現在車速かつ現在のエンジン回転数で走行する際に自車両に作用する減速力(自車両の後方に向けた力)を示している。当該減速力Fadは、例えば、上述のトルクTr1〜Tr6の算出と同様にして加速変速比Saに対応した変速段に対応するトルクを取得し、当該トルクと車重等に基づいて当該減速力Fadを算出すればよい。
【0077】
さらに、制御部20は自車両にスリップを生じさせる力を評価するための処理を行う。このためにまず、制御部20は、変速比制御部21dの処理により、2秒先の地点における曲率γを取得する(ステップS715)。すなわち、制御部20は、自車両の現在車速にて2秒間走行したときの地点を推定し、当該地点に最も近い少なくとも3点の形状補間点あるいはノードを取得し、少なくとも3点の形状補間点あるいはノードに基づいて当該地点における曲率γを取得する。さらに、制御部20は、前記2秒先の地点における路面の摩擦係数μを取得する(ステップS720)。当該路面の摩擦係数μは、予め特定されていれば良く、予め計測した摩擦係数を地図情報30aに記録しておいても良いし、天候等に基づいて推測して路面の摩擦係数を決定しても良いし、プローブ情報を利用して摩擦係数を決定しても良い。
【0078】
次に、制御部20は変速比制御部21dの処理により、自車両にスリップを生じさせる力を評価するための閾値LimFadを取得する(ステップS725)。本実施形態において閾値LimFadは((μ・W・S)2−Fc(γ)2)1/2で表され、Wは自車両の重量、Sは0より大きく1以下の係数、Fc(γ)は曲率γを走行しているときに自車両に作用する横方向の力を示す関数である。なお、重量W、係数S、関数Fc(γ)は予め記録媒体30に記録されており、制御部20は、記録媒体30を参照してこれらの情報を取得して閾値LimFadを算出する。また、閾値LimFadは、2秒先の地点における摩擦係数μを含むため、2秒先の地点に関する閾値である。
【0079】
図11は、減速力Fadと閾値LimFadを説明するための説明図である。同図11においては、矢印Fwに向かって走行する自車両Cと当該自車両Cに作用する摩擦力μ・Wの大きさを実線の円で示している。同図11において、自車両Cに作用する力(横方向の力Fc(γ)と減速力との合力)を示すベクトルの先端が実線の円を超える場合に自車両Cにてスリップが生じる。すなわち、摩擦力μ・Wを横方向の力Fc(γ)と車両後方に向けた減速力とに分力すれば、当該減速力をスリップが生じる限界の減速力とみなすことができる。
【0080】
そこで、本実施形態においては、摩擦力μ・Wに対して一定のマージンを与え、摩擦力μ・Wに1以下の係数Sを乗じた値μ・W・Sを横方向の力Fc(γ)に基づいて車両後方に向けた力に分力して得られた値を閾値LimFadとしている。すなわち、図11に例示するように、減速力Fadを示すベクトルの先端が、ベクトルμ・W・Sの分力ベクトルの先端に相当する位置Pよりも円の外周に近い場合に自車両Cの走行安定性が低下するとみなす。
【0081】
このため、制御部20は減速力Fadが閾値LimFadよりも大きいか否かを判別し(ステップS730)、減速力Fadが閾値LimFadよりも大きいと判別されないときには、制御部20は、2秒先の地点がカーブ区間Zrの開始地点Rsを超えたか否かを判別し(ステップS735)、開始地点Rsを超えたと判別されない場合には、図8に示す処理に復帰する。一方、ステップS730にて減速力Fadが閾値LimFadよりも大きいと判別されたとき、または、ステップS735にて自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsを超えたと判別されたときには、変速比の設定を行わせるために変速比制御状態GSを"2"に設定する(ステップS740)。
【0082】
従って、ステップS730を経て変速比制御状態GSが"2"となり、さらに、ステップS615の判別を経てステップS630にて変速比を設定する処理が行われると、自車両に作用する力が自車両にスリップを生じさせる力となる以前に変速比が加速変速比Saに設定されることになる。従って、変速比を加速変速比Saに設定することによって自車両にスリップが生じないように変速比を設定することができ、変速が車両の挙動に与える影響を抑えながら変速比を設定することが可能である。なお、ここでは、自車両の前方において自車両に作用する力がスリップを生じさせる力となるか否かを評価することができれば良く、上述のように現在時点から所定の時間間隔だけ後の時点における力を評価する構成の他、現在位置から所定の距離だけ前方の位置での力を評価する構成を採用しても良い。ステップS715,S735における「2秒」は一例であり、変速比制御部21dが変速部44に、変速比を加速変速比Saとするための制御信号を出力してから、当該制御信号に応じて変速部44による変速比の切り替えが完了するまでに要する時間より大きい値が設定されていればよい。例えば、ステップS735においては、開始地点Rsに自車両が到達する前に変速比を加速変速比Saに切り替えることができる時間であればよい。むろん、現在時点から所定の時間間隔だけ後の時点における力を評価するために、上述のように現在位置から所定の距離だけ前方の位置での力を採用したときには、現在位置にて変速のための処理を開始してから変速が完了するまでの距離より大きい距離を所定の距離とする構成を採用可能である。
【0083】
以上の処理によれば、例えば、図2に太い破線の矢印で示すように、減速区間Zdの手前を6速で走行している自車両Cがカーブ区間Zrに接近すると、減速制御がなされて減速区間Zdの終了地点Rsまでに目標車速V0とされる。当該減速区間Zdにおいては、変速比取得処理において加速変速比Saが算出される。また、当該変速比取得処理においては自車両Cより2秒先の道路の曲率γを取得しており、当該γが大きくなって減速力Fadが閾値LimFadを超えた段階で減速制御状態GSが"2"に設定されるので、加速変速比Saが例えば、3速の変速段に対応する変速比であれば、ステップS630の処理により変速段が3速となる。従って、図2にて太い一点鎖線で示すように、これ以後の減速区間Zd、カーブ区間Zr、加速区間Zaにおいて変速段は3速に維持され、加速区間Zaにて加速を開始したときにスムーズに加速を行うことができる。
【0084】
(2−7)制御終了処理:
図10は、ステップS210における制御終了処理を示すフローチャートである。当該制御終了処理においては、自動制御を徐々に手動制御に移行させるための処理を行う。このためにまず制御部20は、自動制御解除部21fの処理により、減速制御状態DSを"0"に設定し(ステップS800)、図示しない表示部やスピーカーに制御信号を出力して自動制御が終了する旨の案内を行わせる(ステップS810)。そして、制御部20は、自動制御解除部21fの処理により、自動制御を徐々に解除する(ステップS820)。すなわち、制御部20は、上述のように、ブレーキの自動制御量による減速度と手動制御量による減速度とを取得し、単位時間当たりの減速度の変化量が所定量となるように自動制御量を変化させる。そして、変化後の自動制御量と手動制御量とが一致した時点で自動制御を終了し、図4に示す処理に復帰する。
【0085】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、自動制御から手動制御に切り替わった場合に、緩衝時間を費やして自動制御を解除する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、目標車速はカーブ区間Zrの半径Rから算出したが、むろん、予め各カーブ区間に対して目標車速を対応付けておき、当該対応付けられた目標車速を取得しても良い。さらに、本発明の適用対象はカーブ区間に限定されず、勾配のある道路に対して本発明を適用しても良い。例えば、勾配を含む区間を勾配区間として定義し、当該勾配区間に自車両が到達するときの目標車速と勾配区間を走行後の推奨車速を定義すれば、上述の構成と同様にして必要加速量を特定し、加速変速比を取得して勾配区間の前の段階で予め加速変速比としておく構成とすることができる。なお、この構成において目標車速は、下り勾配の開始地点までに当該下り勾配の区間を走行するために好ましい車速に減速する際の車速として定義することが可能である。
【0086】
さらに、本発明は、必要加速量に対応した変速比を取得する構成に限定されることはなく、目標車速より大きい車速に加速することが可能な変速比を決定することができる限りにおいて種々の構成を採用可能である。例えば、カーブ区間等の所定区間を走行した後のスロットル開閉操作に対応した駆動源(エンジンやモータ)の回転数を予め学習しておき、自車両にて所定区間を走行した後に当該学習した回転数にて駆動源を回転させ、目標車速からより大きい車速に加速するための加速変速比を特定する構成等を採用可能である。すなわち、推奨車速が特定されていない場合であっても、所定区間を走行後に自車両の車速を目標車速よりも大きい車速に加速させることができる限りにおいて、種々の構成を採用可能である。
【0087】
さらに、加速変速比は、少なくとも、目標車速よりも大きい車速に加速させるために必要十分な変速比であればよいが、加速をよりスムーズにするための変速比を予め決定しても良い。例えば、加速開始時点でのスロットル開閉操作や自車両駆動源の回転数等のパラメータを推定し、当該推定に基づいて最も効率的に加速が可能な変速比等を選択可能である。また、減速制御に際しては、上述のように減速度に基づいてフィードバック制御を行うほか、車速に基づいてフィードバック制御を行う構成を採用しても良い。
【0088】
さらに、必要加速量は車速を目標車速から推奨車速にするために自車両にて出力されるエネルギーを評価するためのパラメータであればよく、上述の必要加速度aに限定されない。例えば、トルク,エンジン出力等を採用可能である。さらに、上述の実施形態においては、減速区間Zdおよび加速区間Zaをクロソイド区間としたが、むろん、これらの区間はそれぞれが減速のための区間および加速のための区間として予め決められていれば良く、クロソイド区間より短くても良いし長くても良い。さらに、クロソイド区間でなくても良く、例えば、カーブ区間が連続する際にあるカーブ区間と次のカーブ区間との間の所定区間を加速区間としても良い。さらに、加速変速比への変速は所定区間に到達する前に実施されれば良く、所定区間の開始地点あるいは終了地点で変速を行っても良いし、必要減速度Grが閾値LimG_h,LimG_Lを超えたときに変速を行っても良く、種々の構成を採用可能である。
【0089】
また、上述の実施形態においては、必要減速度Grが閾値LimG_h,LimG_Lを超えたときに減速制御を行うように構成したが、むろん、他の構成、例えば、減速区間Zdの開始地点Caを通過した後に減速を開始する構成としても良い。また、車速制限処理においては、現在車速Vcが閾値V0を超えているときに減速を行う構成としたが、現在車速Vcが閾値V0を下回るときに加速を行う構成であっても良い。さらに、上述の実施形態においては、必要加速度aに対応したトルクTraを超える出力が可能な変速比の中で最も燃料消費量の少ない変速比を選択して加速変速比Saとしていたが、他の思想に基づいて加速変速比を決定しても良い。例えば、必要加速度aに対応したトルクTraと、各変速比において出力されるトルクTr1〜Tr6を取得し、トルクTraを超える変速比の中で最も小さな変速比を加速変速比Saとしてもよい。
【0090】
すなわち、変速比を維持しながら必要加速度aにて加速を行ったときに自車両の車速を推奨車速V1とすることが可能な変速比であって、スロットル開度Th1に対応するエンジン回転数を低下させて出力側に伝達する際の当該回転数の低下度合いが最も小さい変速比を加速変速比Saとする。この構成によれば、エンジンの回転数をできるだけ上昇させずに自車両を目標車速V0から推奨車速V1へ加速させることができ、効率的に加速を行うことが可能である。なお、ここではスロットル開度Th1に対応したエンジン回転数を想定したが、むろん、当該回転数を統計値等に基づいて決定しても良い。
【0091】
さらに、手動制御から自動制御に切り替えられたことを判別するための機器はセレクトレバー44aに限定されず、自動制御と手動制御とを設定するために設けられた専用のUIやスイッチ等であっても良い。
【0092】
さらに、自動制御から手動制御へ徐々に移行するためには、自動制御にて発生されていた減速量と手動制御における操作内容に応じた減速量との差が解消する時間間隔を調整し、利用者が感じるショックを抑制することができればよい。すなわち、自動制御によって制御する状態から手動制御によって制御する状態へ、所定の緩衝時間を費やして移行することができればよい。従って、予め決められた一定の緩衝時間を費やして自動制御から手動制御に移行しても良いし、車速やトルク,道路状態,周囲の環境,運転者の設定等に応じて異なる長さの緩衝時間を費やして自動制御から手動制御に移行しても良い。なお、この構成においては、緩衝時間が所定の基準である。すなわち、当該緩衝時間内で減速量が線形あるいは非線形に変化するよう調整すれば、基準に対応した変化量で自動制御から手動制御へ移行させることができる。
【0093】
さらに、自動制御や手動制御によって制御される減速量は、自車両に作用する減速量を評価するためのパラメータであれば良く、減速度の他、トルク等に基づいて評価することが可能である。つまり、トルクの単位時間当たりの変化量が所定の変化量以下となるようにブレーキの制御量を移行させる。さらに、上述の実施形態は、カーブ区間等の所定区間に到達する前に、当該所定区間走行後の加速に適した加速変速比に設定させる構成において、自動制御から手動制御に切り替わったときの制御移行に本発明を適用していたが、他の構成に本発明を適用しても良い。例えば、自動制御状態において、カーブ区間等の所定区間に到達する前に当該所定区間を走行する際の目標車速まで減速させる制御を自動で行う構成において、自動制御から手動制御に切り替わったときに自動制御から手動制御へ徐々に移行する構成であっても良い。
【0094】
さらに、スロットル制御部46における制御量を自動制御にて調整する構成において、スロットル開度の制御を自動制御から手動制御へ徐々に移行する構成としても良い。すなわち、制動部45によって自動で減速を行う構成、変速部44によって自動で減速を行う構成、スロットル制御部46によって自動で減速を行う構成のいずれに対して本発明を適用しても良いし、変速部44,制動部45,スロットル制御部46の組み合わせによって自動で減速を行う構成のいずれに対して本発明を適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】運転支援装置を含むナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】カーブ区間の例を示す図である。
【図3】運転支援処理のフローチャートである。
【図4】車両減速処理のフローチャートである。
【図5】減速開始判定処理のフローチャートである。
【図6】減速制御処理のフローチャートである。
【図7】車速制限処理のフローチャートである。
【図8】変速比選択処理のフローチャートである。
【図9】変速比取得処理のフローチャートである。
【図10】制御終了処理のフローチャートである。
【図11】車両に作用する力を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0096】
10…ナビゲーション装置、20…制御部、21…ナビゲーションプログラム、21a…車速情報取得部、21b…必要加速量取得部、21c…加速変速比取得部、21d…変速比制御部、21e…減速制御部、21f…自動制御解除部、21g…加速制御部、30…記録媒体、30a…地図情報、30a1…カーブ区間情報、30a2…減速区間情報、30a3…加速区間情報、41…受信部、42…車速センサ、43…ジャイロセンサ、44…変速部、44a…セレクトレバー、45…制動部、46…スロットル制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転を支援する運転支援装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の制動力を制御する装置として、目標減速度を超えない範囲で目標減速度に最も近い減速度が得られる変速段に切り替え、当該変速段におけるエンジンブレーキを利用しながら当該エンジンブレーキによる減速では不足する減速度をブレーキで補って減速する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3858952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自動で減速を行うための制御を実施している過程にて当該自動制御を中止した場合であっても安定した走行を行わせるための技術の提供が望まれていた。
すなわち、従来の技術においては、ブレーキを自動制御することによってエンジンブレーキを補助して自車両の減速度を目標減速度としているが、利用者によっては減速の過程で自動制御の中止を望む場合もある。自動制御を中止するとブレーキペダルの操作に応じた制動力が作用することになるため、自動制御の中止後に単に自動制御を解除するのみでは自動制御の中止に伴って自車両に作用する減速度が急変し、運転者は違和感を覚える。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、自動で減速を行うための制御を実施している過程にて当該自動制御を中止した場合であっても安定した走行を行わせるための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するため、本発明においては、自動制御によって自車両の減速量を制御して減速させている過程において制御状態が自動制御から手動制御に切り替わった場合に、減速量を所定の基準に対応した変化量で変化させて自動制御から手動制御へ移行させる。すなわち、自動制御の中止後に単に自動制御を解除して急激に手動制御に切り替えるのではなく、徐々に自動制御から手動制御へ移行する。この結果、自動制御を解除するにあたり、減速量の急変を抑制するための緩衝時間を費やして手動制御に移行することができ、自動制御を中止した直後における自車両の不安定化を抑制することが可能である。
【0005】
ここで、減速制御手段においては、制御状態が自動制御に設定されている場合に自車両の減速量を制御して自車両を減速させることができればよい。すなわち、ブレーキペダルの操作によらずに自車両を自動で減速させる構成であればよい。従って、自車両を減速させるための減速部、例えば、駆動源の回転数の調整装置(スロットル等)やブレーキ,変速機を制御して自車両を減速させることができれば良い。また、自車両を減速させるための構成としては、例えば、基準のパラメータに対するフィードバック制御によって減速を行う構成等を採用可能である。
【0006】
さらに、自動制御解除手段においては、制御状態が自動制御から手動制御に切り替わった場合に、減速量を所定の基準に対応した変化量で変化させて自動制御から手動制御へ移行させることによって減速量の急変を抑制することができればよい。制御状態の切り替えは、自動制御と手動制御とを設定するために設けられた専用のUIやスイッチ等によって行っても良いし、他のスイッチや装置を流用して制御状態の切り替えを認識しても良い。例えば、自動変速機搭載車のセレクトレバーにおいては、予め決められた規定(車速やトルク,エンジン回転数,スロットル開度等)に従った自動変速を許可する自動制御状態(Dモード)と利用者自身のセレクトレバーの操作に従った変速を許可する手動制御状態(Mモード)とを選択可能であることが多い。そこで、当該セレクトレバーによる切り替えによって制御状態の切り替えを認識しても良い。
【0007】
なお、手動制御は自車両に搭載された操作部に対する操作に応じて車両の各部が駆動される設定であり、例えば、ブレーキペダルの操作量に応じて減速量が変動し、セレクトレバーの操作によって変速比の設定が変更され、アクセルペダルの操作量に応じてスロットル開度が変動する状態である。自動制御は車両の各部が自動で駆動される設定であり、減速制御,変速制御,スロットル開度調整等が自動で行われる設定である。むろん、操作部は手によって操作する構成に限らず、足や音声等によって操作しても良い。
【0008】
また、減速量を所定の基準に対応した変化量で変化させて自動制御から手動制御へ移行させるためには、自動制御にて発生されていた減速量と手動制御における操作内容に応じた減速量との差が徐々に解消し、利用者が感じるショックを抑制することができればよい。すなわち、自動制御のみによって制御する状態から手動制御のみによって制御する状態へ、所定の緩衝時間を費やして移行することができればよい。従って、予め決められた一定の緩衝時間を費やして自動制御から手動制御に移行しても良いし、車速やトルク,道路状態,周囲の環境等に応じて異なる長さの緩衝時間を費やして自動制御から手動制御に移行しても良い。なお、所定の基準は、減速量の急変を抑制するための変化量を定義可能な基準であればよく、種々の指標を採用可能である。例えば、自動制御から手動制御へ移行するまでの前記緩衝時間を所定の基準とし、当該緩衝時間内で減速量が線形あるいは非線形に変化するよう調整すれば、基準に対応した変化量で自動制御から手動制御へ移行させることができる。
【0009】
さらに、所定区間に到達する前に自車両を減速させる過程において、自車両が所定区間を走行した後の加速に適した加速変速比に設定させるための制御を行っても良い。すなわち、所定区間を走行する際の目標車速を取得し、自車両を当該目標車速よりも大きい車速に加速させるための加速変速比を取得する。そして、自車両が所定区間の開始地点に到達する前に自車両における変速比を加速変速比に設定する。この構成によれば、所定区間に到達する前に、変速比が自車両を目標車速よりも大きい車速に加速するために適した加速変速比となっており、所定区間を走行した後の加速段階でスムーズに加速することが可能である。
【0010】
ここで、車速情報取得手段は、自車両の前方における所定区間について、当該所定区間を走行する際の目標車速を取得することができればよく、車速を示す情報を直接的に取得しても良いし、間接的に取得しても良い。前者としては、予め設定された所定区間に対して予め目標車速を対応付けておき、当該所定区間に対応付けられた目標車速を取得する構成を採用可能である。後者としては、所定区間やその前後の道路を示す情報に基づいて目標車速を決定する構成を採用可能である。
【0011】
また、自車両を目標車速とするための構成としては、例えば、基準のパラメータに対するフィードバック制御によって減速を行う構成等を採用可能である。なお、基準のパラメータは、自車両の車速を目標車速とする際に基準となる指標であれば良く、自車両の現在位置から所定区間の開始地点までの距離内で自車両の現在車速を目標車速とするために必要な減速度や車速の推移等をこれらの基準のパラメータとすることができる。
【0012】
さらに、所定区間は当該区間の手前で自車両を減速させて目標車速にするとともに、目標車速で所定区間を走行した後に自車両を加速させることが好ましい区間であれば良く、カーブ区間や所定形状の勾配のある区間であっても良い。さらに、目標車速は当該所定区間を走行する際の好ましい車速であり、予め設定されればよい。例えば、カーブ区間においては、カーブ区間における一定半径の区間を一定の速度で走行することが好ましいため、当該一定の速度を目標車速とする構成を採用可能である。また、勾配のある道路において勾配を含む区間を所定区間とする場合には、下り勾配の開始地点までに当該下り勾配の区間を走行するために好ましい目標車速まで減速することとして目標車速を定義する構成を採用可能である。
【0013】
加速変速比取得手段は、所定区間を走行した後に自車両を目標車速よりも大きい車速に加速させるための変速比を取得することができれば良く、少なくとも、目標車速よりもさらに加速を行うことが可能な変速比を取得することができればよい。例えば、目標車速から当該目標車速より大きい特定の車速に加速させることが可能な変速比や、駆動源の回転数が特定の値であるときに目標車速よりも大きい車速で走行させることが可能な変速比を取得することができればよい。すなわち、これらの変速比を加速変速比とし、所定区間の走行を完了する前に当該加速変速比としておくことにより、所定区間の走行後の加速段階で変速比を変更することなく加速可能であればよい。この結果、所定区間を走行後に自車両をスムーズに加速させることが可能になる。なお、変速比は、少なくとも、目標車速よりも大きい車速に加速させるために必要十分な変速比であればよいが、加速をよりスムーズにするための変速比を予め決定しても良い。例えば、加速開始時点でのスロットル開閉操作や自車両駆動源の回転数等のパラメータを推定し、当該推定に基づいて最も効率的に加速が可能な変速比等を選択可能である。
【0014】
変速比制御手段は、所定区間の開始地点に到達する前に前記自車両の変速比を前記加速変速比に設定させることができればよい。すなわち、所定区間の開始地点に到達する前に自車両の変速比を加速に適した加速変速比に設定すると、所定区間より手前の道路を走行している自車両において、通常は、より大きい変速比に変更される。このため、変速比を加速変速比とすることで所定区間に到達する前の減速を補助することが可能である。また、所定区間到達以降では加速変速比を変更せず維持すれば、所定区間における走行を安定させることができる。なお、変速比の設定は自車両に搭載された変速部(例えば、トルクコンバータ付き変速機)に対して実施することができれば良い。すなわち、当該変速部に対する変速比の指示によって変速比を設定し、当該指示に基づいて変速部が指示通りの変速比に切り替えることができればよい。
【0015】
さらに、自動制御を徐々に手動制御に移行させる構成の例として、ブレーキによる減速量の単位時間当たりの変化量を所定の変化量以下に抑制する構成を採用しても良い。この構成によれば、自動制御から手動制御への移行に際してブレーキによる減速量の急変が抑制される。なお、減速量は、自車両に作用する制動力を評価するためのパラメータであれば良く、トルク,減速度,エンジン出力等に基づいて評価することが可能である。なお、この構成においては所定の基準が単位時間であり、単位時間当たりの変化量が所定の基準に対応した変化量となる。
【0016】
さらに、自動制御を徐々に手動制御に移行させる構成の例として、自動制御によるブレーキの自動制御量と手動制御によるブレーキの手動制御量とを取得し、ブレーキの制御量を自動制御量から手動制御量に変化させる構成としても良い。すなわち、ブレーキの自動制御量と手動制御量との差分を徐々に解消するように制御する構成としても良い。この構成によれば、ブレーキによる減速量の急変を抑制する処理を容易に実施することができる。
【0017】
さらに、本発明のように自動制御から手動制御に切り替わった場合に、緩衝時間を費やして自動制御を解除する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のような運転支援装置、プログラム、方法は、単独の運転支援装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような運転支援装置を備えたナビゲーション装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、運転支援装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)運転支援処理:
(2−1)車両減速処理:
(2−2)減速開始判定処理:
(2−3)減速制御処理:
(2−4)車速制限処理:
(2−5)変速比選択処理:
(2−6)変速比取得処理:
(2−7)制御終了処理:
(3)他の実施形態:
【0019】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明にかかる運転支援装置を含むナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記録媒体30とを備えており、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラム21を実施可能であり、当該ナビゲーションプログラム21はその機能の一つとして加速区間における加速に適した変速比を設定して減速区間にて減速を実行させる機能を備えている。
【0020】
本実施形態における車両(ナビゲーション装置10が搭載された車両)は、ナビゲーションプログラム21による機能を実現するためにGPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43と変速部44とセレクトレバー44aと制動部45とスロットル制御部46とを備えており、これらの各部と制御部20とが協働することによってナビゲーションプログラム21による機能を実現する。
【0021】
GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための情報を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の現在位置を取得する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車両の速度を取得する。ジャイロセンサ43は、自車両の向きに対応した信号を出力する。制御部20は図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、自車両の走行方向を取得する。車速センサ42およびジャイロセンサ43は、GPS受信部41の出力信号から特定される自車両の現在位置を補正するなどのために利用される。また、自車両の現在位置は、当該自車両の走行軌跡に基づいて適宜補正される。なお、車両の動作を示す情報を取得するための構成は、ほかにも種々の構成を採用可能であり、自車両の現在位置をセンサやカメラによって特定する構成や、GPSからの信号や地図上での車両の軌跡,車車間通信,路車間通信等によって自車両動作情報を取得する構成等を採用可能である。
【0022】
変速部44は、前進について計6速、後進について計1速等の複数の変速段を有する有段のトルクコンバータを備えており、各変速段に対応した変速比で回転数を調整しながらエンジンの駆動力を自車両の車輪に伝達することができる。制御部20は図示しないインタフェースを介して変速段を切り替えるための制御信号を出力し、変速部44は当該制御信号を取得して変速段を切り替えることが可能である。また、セレクトレバー44aは、変速部における変速の制御状態を指示するレバーであり、駐車時のPレンジ、後進時のRレンジ、ニュートラルギアとなるNレンジを設定可能である。
【0023】
さらに、セレクトレバー44aによって、前進時における変速段および減速の制御状態を自動制御あるいは手動制御に設定可能である。すなわち、エンジン回転数やスロットル開度等に変速比を対応付けた図示しないマップに従って自車両の変速段を切り替えるとともに所定の減速量となるようにブレーキによる減速量を自動で制御するDモードとセレクトレバー44aの操作に従って変速段を切り替えるとともにブレーキによる減速量がブレーキペダルの操作量に応じた値となるMモードとを選択可能である。セレクトレバー44aにおける設定内容は変速部44および制御部20に受け渡され、変速部44においては設定内容に応じた変速段の切り替えが行われ、制御部20においては設定内容に応じて変速部44における変速段を切り替えるための制御信号を出力する。なお、本実施形態においては、前進1速〜前進6速のように変速段がハイギアになるにつれて変速比が小さくなるように構成されている。
【0024】
制動部45は、自車両の車輪に搭載されたブレーキによる減速の程度を調整するホイールシリンダの圧力を制御する装置を含み、制御部20はセレクトレバー44aによって自動制御が選択されているときに制動部45に対して制御信号を出力してホイールシリンダの圧力を調整させることが可能である。従って、制御部20が当該制動部45に対して制御信号を出力してホイールシリンダの圧力を増加させると、ブレーキによる減速量が増加し、自車両が減速される。
【0025】
スロットル制御部46は、自車両に搭載されたエンジンに供給する空気の量を調整するためのスロットルバルブを制御する装置を含み、制御部20は当該スロットル制御部46に対して制御信号を出力してスロットルバルブの開度を調整することが可能である。従って、制御部20が当該スロットル制御部46に対して制御信号を出力して吸気量を増加させると、エンジンの回転数が増加する。なお、制御部20はセレクトレバー44aによる設定を示す情報を取得し、また、変速部44およびスロットル制御部46に対する制御指示を行う構成であるため、当該制御部20においては変速部44によって設定された現在の変速比Snとスロットル制御部46によって設定された現在のスロットル開度Thを取得することができる。
【0026】
制御部20は、ナビゲーションプログラム21を実行することにより、GPS受信部41の出力情報や後述する地図情報等に基づいて車両の経路探索等を行い、図示しない表示部やスピーカーを介して経路案内等を行う。また、このとき、変速部44における変速比の設定と制動部45およびスロットル制御部46を利用した加減速制御を実施するため、ナビゲーションプログラム21は車速情報取得部21aと加速変速比取得部21c(必要加速量取得部21bを含む)と変速比制御部21dと減速制御部21eと自動制御解除部21fと加速制御部21gとを備えている。
【0027】
また、記録媒体30には、ナビゲーションプログラム21による案内を実施するため地図情報30aが記憶されている。地図情報30aは、車両が走行する道路上に設定されたノードを示すノードデータ,ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点データ,ノード同士の連結を示すリンクデータ,道路やその周辺に存在する地物を示すデータ等を含み、自車両の現在位置の特定や目的地への案内等に利用される。
【0028】
本実施形態においては、カーブ区間(一定半径の区間)に到達する前に減速制御を行うように構成されており、カーブ区間およびその前後の道路を示す情報が地図情報30aに含まれている。図2は、カーブ区間Zrの例を示す図であり、自車両Cが細い一点鎖線で示すカーブ区間Zrに向けて走行している状態を示している。本実施形態においては、カーブ区間Zrの開始地点Rsに相当するノードデータに当該カーブ区間Zrの開始地点Rsであることを示す情報が対応付けられ、カーブ区間Zrの終了地点Reに相当するノードデータに当該カーブ区間Zrの終了地点Reであることを示す情報が対応付けられている。また、当該開始地点Rsと終了地点Reとの間の道路形状を示す形状補間データはカーブ区間Zrの円弧上の位置を示すデータであり、当該形状補間データに基づいてカーブ区間Zrにおける一定の半径Rおよび当該半径Rの区間を一定の車速で走行する際の車速(目標車速V0)を特定することができる。本実施形態においては、カーブ区間Zrの開始地点Rsと終了地点Reとその間の形状補間点を示す情報をカーブ区間情報30a1と呼ぶ。
【0029】
また、上述のカーブ区間Zrの開始地点より前の区間においては、当該カーブ区間Zrに到達する前に減速を行うための減速区間Zd(図2にて細い破線で示す区間、例えば、クロソイド区間)が設定されており、本実施形態においては、減速区間Zdの開始地点Caに相当するノードデータに当該減速区間Zdの開始地点Caであることを示す情報が対応付けられている。なお、本実施形態において、減速区間Zdの終了地点はカーブ区間Zrの開始地点Rsと一致し、減速区間Zdの開始地点Caと終了地点Rsとの間の形状は形状補間データによって示される。また、減速区間Zdの開始地点Caと終了地点Rsとの位置を示す情報に基づいて減速区間Zdの距離L0を特定することができる。本実施形態においては、減速区間Zdの開始地点Caと終了地点Rsと、それらの間の道路形状を示す形状補間データを示す情報を減速区間情報30a2と呼ぶ。
【0030】
さらに、上述のカーブ区間Zr以降の区間においては、当該カーブ区間Zrを走行した後の所定地点(加速区間Zaの終了地点Ce)に向けて加速を行うための加速区間Za(図2にて二点鎖線で示す区間、例えば、クロソイド区間)が設定されており、本実施形態においては、加速区間Zaの終了地点Ceに相当するノードデータに当該加速区間Zaの終了地点Ceであることを示す情報が対応付けられている。なお、本実施形態において、加速区間Zaの開始地点はカーブ区間Zrの終了地点Reと一致し、加速区間Zaの開始地点Reと終了地点Ceとの間の形状は形状補間データによって示される。
【0031】
また、加速区間Zaの開始地点Reと終了地点Ceとの位置を示す情報に基づいて加速区間Zaの距離L1を特定することができる。また、加速区間Zaの終了地点Ceに相当するノードデータには、その地点における制限車速が対応付けられており、当該制限車速は本実施形態において加速区間を走行後の推奨車速V1となる。さらに、後述の加速制御を行うために加速区間Zaの開始地点Reにおけるスロットル開度Th1が予め決められており、加速区間Zaの終了地点Ceに相当するノードデータに当該スロットル開度Th1を示す情報が対応付けられている。本実施形態においては、加速区間Zaの開始地点Reと終了地点Ceと、それらの間の道路形状を示す形状補間データと推奨車速V1とスロットル開度Th1を示す情報を加速区間情報30a3と呼ぶ。
【0032】
車速情報取得部21aは、カーブ区間Zrを走行する際の目標車速V0とカーブ区間Zrを走行後の推奨車速V1とを取得するモジュールであり、地図情報30aを参照してこれらの車速情報を特定する。すなわち、制御部20は車速情報取得部21aの処理によりカーブ区間情報30a1を参照してカーブ区間Zrの半径Rを特定し、当該半径Rの区間を一定の車速で走行するための車速を取得して目標車速V0とする。例えば、予め設定された横加速度Gt(例えば、0.2G)にて一定車速で走行するための車速(Gt・R)1/2を目標車速V0として取得する。また、加速区間情報30a3を参照して推奨車速V1を取得する。
【0033】
必要加速量取得部21bは、自車両を目標車速V0から推奨車速V1に加速させるための必要加速量を取得するためのモジュールであり、制御部20は必要加速量取得部21bの処理により加速区間情報30a3に基づいて加速区間の距離L1を特定し、当該距離L1にて目標車速V0から推奨車速V1に加速させるための必要加速度aを取得する。すなわち、加速区間Zaの開始地点Reと終了地点Ceとその間の形状補間点との位置を示す情報から道路形状に沿った開始地点Reと終了地点Ceとの間の長さを距離L1として取得する。そして、当該距離L1にて目標車速V0を推奨車速V1とするための必要加速度aを、例えば、等加速度運動を想定し、a=(V12−V02)/(2L1)などとして取得する。
【0034】
加速変速比取得部21cは、必要加速度aで自車両を走行させるための変速比である加速変速比Sa(Saは1〜6(上述の前進1速〜6速に対応)のいずれか)を取得するモジュールであり、制御部20は加速変速比取得部21cの処理により加速区間情報30a3を参照してスロットル開度Th1を取得し、当該スロットル開度Th1と必要加速度aと目標車速V0とに基づいて変速比を決定する。本実施形態においては、自車両における車速が目標車速V0であり、スロットル開度Th1に対応するエンジン回転数で走行している状態において、必要加速度aを発生させることが可能な変速比のうち、最も燃料消費量が少なくなる変速比を加速変速比Saとする。
【0035】
この構成によれば、効率的に燃料を使用して自車両を目標車速V0から推奨車速V1へ加速させることができる。なお、ここで、変速比の選択は、例えば、エンジン回転数やスロットル開度Th1に対応付けられた燃料消費量マップを予め用意し、当該燃料消費量マップに基づいて実施する構成等を採用可能である。また、ここではスロットル開度Th1に対応したエンジン回転数を想定したが、むろん、当該回転数を統計値等に基づいて決定しても良い。
【0036】
変速比制御部21dは、自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsに到達する前に自車両の変速比を加速変速比Saに設定させるモジュールであり、セレクトレバー44aにおいて自動制御が設定されている場合に、制御部20は変速比制御部21dの処理により、後述する処理手順に従った所定のタイミングで変速比を加速変速比Saとするための制御信号を変速部44に出力する。変速部44は、当該制御信号に応じて変速比を加速変速比Saに切り替える。
【0037】
減速制御部21eは、自車両がカーブ区間Zrに到達する前に自車両の車速が目標車速V0になるように減速させるモジュールであり、セレクトレバー44aにおいて自動制御が設定されている場合に、制御部20は減速制御部21eの処理により、カーブ区間Zrの開始地点Rsにおいて車速が目標車速V0となるようにフィードバック制御を行う。すなわち、目標車速V0を取得するとともに減速区間情報30a2を参照して自車両の現在位置と終了地点Rsとその間の形状補間点との位置を示す情報から道路形状に沿った自車両の現在位置と終了地点Rsとの間の長さを距離Lcとして取得する。
【0038】
そして、当該距離Lcにて自車両の現在車速Vcを目標車速V0とするための必要減速度Gr(自車両の進行方向を正とした場合の負の加速度)を、例えば、等加速度運動を想定し、Gr=(V02−Vc2)/(2Lc)などとして取得する。さらに、本実施形態においては、必要減速度Grを逐次取得しており、当該必要減速度Grが予め決められた閾値(後述するLimG_hあるいはLimG_L)を超えたときに減速制御を開始する。すなわち、変速部44によって設定されている現在の変速比Snおよびスロットル制御部46によって調整された現在のスロットル開度Thでのエンジン回転数に基づいてエンジンブレーキによる減速度Geを取得する。そして、制御部20は、必要減速度Grと当該減速度Geとの差分(Gr−Ge)に相当する減速度をブレーキによって発生させるための制御信号を制動部45に出力する。この結果、制動部45においては、必要減速度Grと当該減速度Geとの差分(Gr−Ge)を補うようにブレーキを作用させる。
【0039】
なお、本実施形態においては、減速区間Zdにて減速動作を行っている最中に変速比を加速変速比Saに切り替える。このとき、通常は変速比の切り替えによってよりトルクが大きい変速比となる。このため、変速比を加速変速比Saとすることでカーブ区間に到達する前の減速を補助することが可能である。
【0040】
さらに、本実施形態において制御部20は減速制御部21eの処理によりセレクトレバー44aにおいて自動制御が設定されている場合にブレーキおよび変速比の自動制御を行うが、制御状態が自動制御から手動制御に切り替わった場合、制御部20は自動制御解除部21fの処理によりブレーキの自動制御を徐々に解除して手動制御に移行する。
【0041】
自動制御解除部21fは、自動制御(Dモード)から手動制御(Mモード)に切り替わったときに減速制御部21eによる自動制御を解除するためのモジュールである。すなわち、制御部20は、自動制御解除部21fの処理により、セレクトレバー44aにおける設定が自動制御から手動制御に切り替わったと判別したか否かを判別し、手動制御に切り替わったと判別したときには、減速制御部21eによる自動制御を徐々に終了させ、徐々に手動制御に移行させるための処理を行う。
【0042】
本実施形態において、制御部20は、ブレーキによる減速度の単位時間当たりの変化量を所定の変化量以下に抑制して自動制御から手動制御に移行する。より具体的には、車速に応じて制動部45によるブレーキの制御量(例えば、ホイールシリンダの圧力)と自車両の減速度との関係を予め特定しておく。また、自動制御によるブレーキの自動制御量(セレクトレバー44aによる制御状態の切り替え直前における制御量)と手動制御によるブレーキの手動制御量(ブレーキペダルの操作量に応じたブレーキの制御量)とを取得する。なお、本実施形態においては所定の基準が単位時間であり、単位時間当たりの変化量が所定の基準に対応した変化量となる。
【0043】
そして、制御部20は、制動部45に対して制御信号を出力し、ブレーキの制御量を自動制御量から手動制御量に変化させてブレーキの自動制御量と手動制御量との差分を徐々に解消するように制御する。本実施形態においては、このために、自動制御量による減速度と手動制御量による減速度を取得し、上述のブレーキと自車両の減速度との関係に基づいて、単位時間当たりに減速度が所定量だけ変化するように(例えば、0.1G/秒)自動制御量を変化させる。そして、変化後の自動制御量と手動制御量とが一致した時点で自動制御を終了する。以上の構成によれば、自動制御の中止後に急激に手動制御に切り替えられることはなく、徐々に自動制御から手動制御へ移行する。この結果、自動制御を解除するにあたり、減速量の急変を抑制するための緩衝時間を費やして手動制御に移行することができ、自動制御を中止した直後における自車両の不安定化を抑制することが可能である。
【0044】
さらに、加速制御部21gは、自車両がカーブ区間Zrを走行した後の加速を制御するためのモジュールであり、セレクトレバー44aにおいて自動制御が設定されている場合に、制御部20は加速制御部21gの処理により、カーブ区間Zrの終了地点Reから距離L1の間の加速区間Zaにおいて、車速を目標車速V0から推奨車速V1にするようにスロットル開度Thを制御する。すなわち、変速比を加速変速比Saに維持した状態で、スロットル制御部46に制御信号を出力してスロットル開度をTh1に設定し、その後、必要加速度aにて加速が行われるように適宜スロットル開度を調整する。
【0045】
以上の構成によれば、自動制御状態において、自車両にて減速区間Zdを走行している段階で加速変速比Saに設定するため、加速区間Zaを走行する段階では推奨車速V1に加速するために適した加速変速比Saとなっており、当該加速区間Zaにてスムーズに加速することが可能である。また、必要減速度Grに最も近い減速度が得られる変速比を選択して減速を行うと、エンジンブレーキによる減速度を有効に活用して減速することが可能であるが、当該エンジンブレーキを有効に機能させることに起因して変速時に車両に与えるショックは比較的大きくなる。しかし、本発明においては減速時の減速度ではなく加速時の必要加速度aに着目して加速変速比Saを決定しているため、変速時に車両に与えるショックを比較的小さく抑えることができる。
【0046】
(2)運転支援処理:
次に、以上の構成においてナビゲーション装置10が実施する運転支援処理を説明する。ナビゲーション装置10によってナビゲーションプログラム21が実行され、セレクトレバー44aにて自動制御に設定されているとき、当該ナビゲーションプログラム21が備える各部は図3に示す処理を実行する。本実施形態においては、減速制御に関して3種類の異なる制御の状態(減速制御状態DSと呼ぶ)を設け、変速比制御に関して3種類の異なる制御の状態(変速比制御状態GSと呼ぶ)を設けており、制御部20は減速制御状態DS,変速比制御状態GSを特定するための変数を"0"に初期化する(ステップS100)。なお、本実施形態において、車速の制御を実施しない状態がDS=0,車速を目標車速V0に減速させる状態がDS=1,カーブ区間において車速を維持する状態がDS=2である。また、変速比の制御を行わない状態がGS=0,変速比の算出処理を行う状態がGS=1,変速比の切り替え処理を行う状態がGS=2である。
【0047】
減速制御状態DS,変速比制御状態GSを初期化すると、制御部20は、自車両の前方に存在するカーブ区間の情報を取得する(ステップS110)。すなわち、制御部20は、GPS受信部41等の出力信号に基づいて自車両の現在位置を特定し、地図情報30aを参照して当該現在位置の前方の所定範囲にカーブ区間が存在するか否かを判定する。そして、カーブ区間が存在する場合には、そのカーブ区間に関するカーブ区間情報30a1,減速区間情報30a2,加速区間情報30a3を取得する。さらに、制御部20は、車両減速処理(ステップS120)、変速比選択処理(ステップS130)を実行し、図示しないイグニションスイッチの出力信号を取得してイグニションがオフにされたか否かを判定する(ステップS140)。そして、イグニションがオフにされたと判別されるまでステップS110以降の処理を繰り返す。
【0048】
(2−1)車両減速処理:
図4は、ステップS120における車両減速処理を示すフローチャートである。同図4に示す車両減速処理において、制御部20は自動制御解除部21fの処理によりセレクトレバー44aから信号を取得し、当該セレクトレバー44aにて手動制御に設定されているか否かを判別する(ステップS200)。すなわち、図3に示す処理はセレクトレバー44aにて自動制御に設定されているときに実行されるため、図4のステップS200にて手動制御に設定されていると判別されたときには、自動制御から手動制御に切り替わったとみなす。
【0049】
そして、ステップS200にて手動制御に設定されていると判別されたとき、制御部20は自動制御解除部21fの処理により、「減速制御状態DSが"1"あるいは"2"」であるか否かを判別し(ステップS205)、ステップS205にて「減速制御状態DSが"1"あるいは"2"」であると判別されたときには制御終了処理を実行する(ステップS210)。ステップS205にて「減速制御状態DSが"1"あるいは"2"」であると判別されないときには、ステップS210をスキップする。
【0050】
一方、ステップS200にて手動制御に設定されていると判別されないとき、制御部20は減速制御部21eの処理により、減速制御状態DSが"0"であるか否か(ステップS215)、"1"であるか否か(ステップS225)、"2"であるか否か(ステップS235)を判別する。そして、ステップS215にてDS=0であると判別されたときには減速開始判定処理(ステップS220)、ステップS225にてDS=1であると判別されたときには減速制御処理(ステップS230)、ステップS235にてDS=2であると判別されたときには車速制限処理(ステップS240)を実行する。他の判別結果であった場合およびステップS210,S220,S230,S240を実施した後には、図3に復帰して処理を繰り返す。
【0051】
(2−2)減速開始判定処理:
図5は、ステップS220における減速開始判定処理を示すフローチャートである。当該減速開始判定処理においては、予め決められた条件に基づいて減速制御状態DSを"1"あるいは"2"にするための処理を行う。このためにまず制御部20は、減速制御部21eの処理により、自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsから所定距離の位置に到達したか否かを判別する(ステップS300)。すなわち、制御部20は、GPS受信部41等の出力信号に基づいて自車両の現在位置を取得し、カーブ区間情報30a1を参照してカーブ区間Zrの開始地点Rsの位置を取得し、自車両の現在位置が開始地点Rsの位置よりも所定距離だけ(カーブ区間Zrと逆側)であるか否かを判別する。ステップS300にて、カーブ区間Zrの開始地点Rsから所定距離の位置に到達したと判別されないときには、ステップS305以降の処理をスキップして図4に示す処理に復帰する。
【0052】
ステップS300にて、自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsから所定距離の位置に到達したと判別されたとき、制御部20は、車速情報取得部21aおよび減速制御部21eの処理により、カーブ区間Zrの開始地点Rsにて自車両の車速を目標車速V0とするための必要減速度Grを取得する(ステップS305)。すなわち、制御部20は、カーブ区間情報30a1に基づいてカーブ区間Zrの半径Rを特定するとともに当該半径Rのカーブを一定速度で走行する際の車速を目標車速V0として取得する。また、GPS受信部41等の出力信号に基づいて特定される自車両の現在位置と、減速区間情報30a2に基づいて特定される減速区間Zdの終了地点Rs(カーブ区間の開始地点)と、現在位置と終了地点Rsとの間の形状補間点の位置を示す情報から上述の距離Lcを取得する。そして、車速センサ42の出力情報に基づいて現在車速Vcを特定し、Gr=(V02−Vc2)/(2Lc)として必要減速度Grを取得する。
【0053】
次に、制御部20は、スロットルバルブが開状態(アクセルオン状態)であるか否かを判別する(ステップS310)。すなわち、制御部20は減速制御部21eの処理により、現在のスロットル開度Thを取得し、スロットルバルブが閉じられていない開状態であるか否かを判別する。ステップS310にてスロットルバルブが開状態であると判別されない(アクセルオフ状態)とき、制御部20は減速制御部21eの処理により、必要減速度Grが閾値LimG_L以上であるか否かを判別する(ステップS315)。また、ステップS310にてスロットルバルブが開状態であると判別された(アクセルオン状態)とき、制御部20は減速制御部21eの処理により、必要減速度Grが閾値LimG_h以上であるか否かを判別する(ステップS320)。
【0054】
ステップS315,S320にて、必要減速度Grがそれぞれの閾値以上であると判別されたとき、制御部20は減速制御部21eの処理により、減速制御状態DSを"1"に設定する(ステップS325,S330)。すなわち、自車両が減速することなくカーブ区間Zrに近づくとき、自車両がカーブ区間Zrに近づくにつれて車速を目標車速V0にするための必要減速度Grが大きくなり、いずれかのタイミングで必要減速度Grが閾値を超えるので、閾値を超えた後に減速制御を実施するように減速制御状態DSを"1"に設定する。なお、本実施形態においては、スロットルバルブの状態によって減速を開始すべきタイミングが異なると見なし、スロットルバルブが開状態であるときと閉状態であるときの閾値LimG_h,LimG_Lを異なる値とし、LimG_h>LimG_Lと設定してある。
【0055】
一方、ステップS315,S320にて、必要減速度Grがそれぞれの閾値以上であると判別されないとき、制御部20は減速制御部21eの処理により、自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsに到達したか否かを判別する(ステップS335)。すなわち、GPS受信部41等の出力信号に基づいて自車両の現在位置を取得し、減速区間情報30a2を参照してカーブ区間Zrの開始地点Rsの位置を取得し、自車両の現在位置が開始地点Rsの位置よりもカーブ区間Zr寄りであるか否かを判別する。ステップS335にて自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsに到達したと判別されたときには減速制御状態DSを"2"に設定する。すなわち、必要減速度Grが閾値を超えることなくカーブ区間Zrに到達したときには、減速制御状態DSを"2"とする(ステップS340)。ステップS335にて自車両が減速区間Zdの終了地点Rsに到達したと判別されないときには図4に示す処理に復帰する。
【0056】
(2−3)減速制御処理:
図6は、ステップS230における減速制御処理を示すフローチャートである。当該減速制御処理においては、自車両を減速させて目標車速V0とするための処理を行う。このためにまず制御部20は、減速制御部21eの処理により、カーブ区間Zrの開始地点Rs(減速区間Zdの終了地点)に到達したか否かを判別する(ステップS400)。すなわち、制御部20は、GPS受信部41等の出力信号に基づいて自車両の現在位置を取得し、カーブ区間情報30a1を参照してカーブ区間Zrの開始地点Rsの位置を取得し、自車両の現在位置が開始地点Rsの位置よりもカーブ区間Zr寄りであるか否かを判別する。
【0057】
ステップS400にて、自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsに到達したと判別されないときに、制御部20は、車速情報取得部21aおよび減速制御部21eの処理により、カーブ区間Zrの開始地点Rsにて自車両の車速を目標車速V0とするための必要減速度Grを取得する(ステップS405)。当該処理は、上述のステップS305と同様である。
【0058】
そして、制御部20は、エンジンブレーキおよび制動部によって必要減速度Grを発生させる(ステップS410)。すなわち、制御部20は、減速制御部21eの処理により、現在の変速比Snおよび現在のスロットル開度Thを取得し、当該変速比Snおよびスロットル開度Thでのエンジン回転数に基づいてエンジンブレーキによる減速度Geを取得する。そして、制御部20は、(Gr−Ge)に相当する減速度をブレーキによって発生させるための制御信号を制動部45に出力する。
【0059】
この結果、制動部45においては、必要減速度Grと当該減速度Geとの差分(Gr−Ge)を補うようにブレーキを作用させ、自車両における減速度が必要減速度Grとなる。必要減速度Grは、上述のように、距離Lcにて自車両の現在車速Vcを目標車速V0とするための必要減速度であるため、以上の制御を繰り返すことにより、自車両の車速を目標車速V0に収束させることができる。なお、以上の減速制御における変速比は必要減速度Grではなく必要加速度aに基づいて決定され、自車両の変速比は後述する処理によって減速区間Zd内のいずれかの地点で加速変速比Saに切り替えられる。
【0060】
ステップS400にて自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsに到達したと判別されたとき、制御部20は減速制御状態DSを"2"に設定する(ステップS415)。すなわち、カーブ区間Zrに到達したときには、減速ではなく車速を維持する処理を行うために減速制御状態DSを"2"とする。なお、ステップS410,S415の後に図4に示す処理に復帰する。
【0061】
(2−4)車速制限処理:
図7は、ステップS240における車速制限処理を示すフローチャートである。当該車速制限処理においては、自車両の車速を目標車速V0に維持するための処理を行う。このためにまず制御部20は、減速制御部21eの処理により、カーブ区間Zrの終了地点Re(加速区間Zaの開始地点)に到達したか否かを判別する(ステップS500)。すなわち、制御部20は、GPS受信部41等の出力信号に基づいて自車両の現在位置を取得し、カーブ区間情報30a1を参照してカーブ区間Zrの終了地点Reの位置を取得し、自車両の現在位置が終了地点Reの位置よりも加速区間Za寄りであるか否かを判別する。
【0062】
ステップS500にて、自車両がカーブ区間Zrの終了地点Reに到達したと判別されないときに、制御部20は、減速制御部21eの処理により車速センサ42の出力情報に基づいて現在車速Vcを特定し、現在車速Vcが閾値V0を超えているか否かを判別する(ステップS505)。ステップS505にて現在車速Vcが閾値V0を超えていると判別されたとき、制御部20は、エンジンブレーキおよび制動部によって必要減速度Grを発生させる(ステップS510)。当該ステップS510の処理は上述のステップS410と同様である。
【0063】
一方、ステップS500にて自車両がカーブ区間Zrの終了地点Reに到達したと判別されたとき、減速制御を終了させるため、制御部20は減速制御状態DSを"0"に設定する(ステップS515)。そして、ステップS510,S515の後、およびステップS505にて現在車速Vcが閾値V0を超えていると判別されないときには図4に示す処理に復帰する。
【0064】
(2−5)変速比選択処理:
図8は、ステップS130における変速比選択処理を示すフローチャートである。当該変速比選択処理においては、変速比制御状態GSを特定し,加速変速比Saを取得し、変速比の設定を行うための処理を実行する。当該変速比選択処理において、制御部20は、変速比制御状態GSが"0"であるか否か(ステップS600)、"1"であるか否か(ステップS615)を判別する。そして、ステップS600にてGS=0であると判別されたときには、変速比制御状態GSを"1"に設定するための処理(ステップS605,S610)を実行し、ステップS615にてGS=1であると判別されたときには変速比取得処理(ステップS620)を実行する。
【0065】
なお、ステップS605において、制御部20は、減速制御部21eの処理により、自車両の現在位置が減速区間Zdの開始地点Caまで所定距離以内の位置であるか否かを判別する。そして、ステップS605にて、自車両の現在位置が減速区間Zdの開始地点Caまで所定距離以内の位置であると判別されないときには、ステップS610をスキップして図3に示す処理に復帰する。一方、自車両の現在位置が減速区間Zdの開始地点Caまで所定距離以内の位置であると判別されたときには、変速比制御状態GSを"1"に設定する。すなわち、減速区間Zdにて加速変速比Saを取得するための状態であるGS=1に設定する。
【0066】
ステップS620の変速比取得処理は後に詳述するが、当該変速比取得処理においては、変速比に対応した変速段を示す変数Nに加速変速比Saに対応した変速段を示す値を代入し、変速比制御状態GSを"2"にするための処理を行う。図8において、ステップS600にてGS=0であると判別されず、ステップS615にてGS=1であると判別されないとき、すなわち、変速比制御状態GSが"2"であるとき、制御部20は、変速比制御部21dの処理により、変数Nに対応した変速比で走行するように設定を行う(ステップS630)。ここで、変数Nには加速変速比Saに対応した変速段を示す値が代入されており、制御部20は、変速部44に制御信号を出力し、変数Nが示す変速段に変速させる。
【0067】
次に、制御部20は、変速比制御部21dの処理により、変速比を加速変速比Saに設定した状態を維持するか否かの判定を行う。すなわち、加速区間Zaの終了地点Ceに到達したか否かを判別し(ステップS635)、操舵角が所定角以内であるか否かを判別し(ステップS640)、現在車速が所定値以下であるか否かを判別する(ステップS645)。また、ステップS635にて終了地点Ceに到達したと判別されたとき、ステップS640にて操舵角が所定角以内であると判別されたとき、ステップS645にて現在車速が所定値以下であると判別されたとき、制御部20は変速比制御状態GSを"0"に設定する(ステップS650)。一方、これら以外の場合にはステップS650をスキップする。
【0068】
なお、本実施形態においては、変速比制御状態GSが"0"になると、変速比を加速変速比Saに設定した状態を解除し、運転者の操作に応じた変速を実施することが可能になる。また、ステップS635において制御部20は、GPS受信部41等の出力信号に基づいて自車両の現在位置を取得し、加速区間情報30a3を参照して加速区間Zaの終了地点Ceの位置を取得し、自車両の現在位置が終了地点Ceの位置以降であるか否かを判別する。従って、自車両が終了地点Ceを通過する以前においては自車両の状態が加速変速比Saに設定した状態で加速を行って良い状態であると見なし、自車両が終了地点Ceを通過すると運転者の操作に応じた変速比を設定可能にする。
【0069】
さらに、ステップS640において制御部20は、図示しない舵角センサの出力情報を取得し、当該出力情報に基づいて操舵角を特定する。そして、当該操舵角と予め決められた所定角とを比較することによって操舵角が所定角以内であるか否かを判定する。なお、ここでは、操舵角が所定角以内であるときには加速変速比Saに設定した状態で加速を行って良い状態であると見なし、操舵角が所定角以内でないときには運転者の操作に応じた変速比を設定可能にする。
【0070】
さらに、ステップS645において制御部20は、車速センサ42の出力情報に基づいて自車両の現在車速を特定し、当該現在車速が所定値以下であるか否かを判定する。ここでは、現在車速が所定値以下であるときに加速変速比Saに設定した状態で加速を行って良い状態であると見なし、現在車速が所定値以下でないときには運転者の操作に応じた変速比を設定可能にする。
【0071】
(2−6)変速比取得処理:
図9は、ステップS620における変速比取得処理を示すフローチャートである。当該変速比取得処理においては、加速変速比Saに対応した変速段をNに代入し、当該加速変速比Saに対応した変速段に切り替えるための状態(GS=2)に設定するための処理を行う。
【0072】
当該変速比取得処理において、制御部20は、加速変速比Saに対応する変速段をNに代入する(ステップS700)。すなわち、制御部20は、車速情報取得部21a,必要加速量取得部21b,加速変速比取得部21cの処理により加速変速比Saを算出する。具体的には、制御部20が車速情報取得部21aの処理によりカーブ区間の半径Rに基づいて目標車速V0を特定し、加速区間情報30a3を参照して推奨車速V1を取得する。
【0073】
さらに制御部20は必要加速量取得部21bの処理により、加速区間情報30a3に基づいて加速区間の距離L1を特定し、必要加速度a=(V12−V02)/(2L1)を取得する。さらに、制御部20は、加速変速比取得部21cの処理により、加速区間情報30a3を参照して加速区間Zaの開始地点Reにおけるスロットル開度Th1を取得し、必要加速度aと目標車速V0とに基づいて変速比を決定する。本実施形態においては、自車両の車速が目標車速V0かつスロットル開度Th1であるときに各変速比において出力されるトルクTr1〜Tr6(1〜6は変速比に対応)と、必要加速度aに対応したトルクTraとを比較する。
【0074】
このため、まず、必要加速度aに対応したトルクTraを、例えば、加速度×車重×タイヤ半径/ディファレンシャルギア比などとして取得する。一方、目標車速V0において各変速比にて実現されるエンジン回転数(rpm)を、例えば、目標車速V0×1000/3600/(2π×タイヤ半径)×ディファレンシャルギア比×60×変速比×トルクコンバータスリップ比などとして取得する。この結果、変速比1〜6(変速段6〜1)に対応した目標車速V0でのエンジン回転数Re1〜Re6が取得される。さらに、各エンジン回転数Re1〜Re6かつスロットル開度Th1にて出力可能なトルクTr1〜Tr6を取得する。当該トルクTr1〜Tr6は、例えば、変速比毎にスロットル開度Th1およびエンジン回転数とトルクとを対応付けたトルク特性マップに基づいて各エンジン回転数Re1〜Re6に対応するトルクTr1〜Tr6を取得してもよい。
【0075】
以上のようにして必要加速度aに対応したトルクTraと、各変速比において出力されるトルクTr1〜Tr6を取得すると、トルクTraを超える変速比の中で最も燃料消費量が少なくなる変速比を選択して加速変速比Saとする。この結果、必要加速度aにて加速を行ったときに自車両の車速を推奨車速V1とすることが可能な変速比であって、最も燃料消費量が少なくなる変速比が加速変速比Saとなる。加速変速比Saが得られたら、当該加速変速比Saに対応した変速段を示す値を変数Nに代入する。
【0076】
さらに、制御部20は、ステップS710以降にて、車両の走行安定性の低下を防止するタイミングで変速比制御状態GSを"2"に設定して変速比を設定するための処理を行う。この処理において、制御部20は、自車両の変速段を加速変速比Saに対応した変速段に設定したときに、当該自車両に作用する減速力Fadを算出する(ステップS710)。ここで、減速力Fadは加速変速比Saに対応した変速段において現在車速かつ現在のエンジン回転数で走行する際に自車両に作用する減速力(自車両の後方に向けた力)を示している。当該減速力Fadは、例えば、上述のトルクTr1〜Tr6の算出と同様にして加速変速比Saに対応した変速段に対応するトルクを取得し、当該トルクと車重等に基づいて当該減速力Fadを算出すればよい。
【0077】
さらに、制御部20は自車両にスリップを生じさせる力を評価するための処理を行う。このためにまず、制御部20は、変速比制御部21dの処理により、2秒先の地点における曲率γを取得する(ステップS715)。すなわち、制御部20は、自車両の現在車速にて2秒間走行したときの地点を推定し、当該地点に最も近い少なくとも3点の形状補間点あるいはノードを取得し、少なくとも3点の形状補間点あるいはノードに基づいて当該地点における曲率γを取得する。さらに、制御部20は、前記2秒先の地点における路面の摩擦係数μを取得する(ステップS720)。当該路面の摩擦係数μは、予め特定されていれば良く、予め計測した摩擦係数を地図情報30aに記録しておいても良いし、天候等に基づいて推測して路面の摩擦係数を決定しても良いし、プローブ情報を利用して摩擦係数を決定しても良い。
【0078】
次に、制御部20は変速比制御部21dの処理により、自車両にスリップを生じさせる力を評価するための閾値LimFadを取得する(ステップS725)。本実施形態において閾値LimFadは((μ・W・S)2−Fc(γ)2)1/2で表され、Wは自車両の重量、Sは0より大きく1以下の係数、Fc(γ)は曲率γを走行しているときに自車両に作用する横方向の力を示す関数である。なお、重量W、係数S、関数Fc(γ)は予め記録媒体30に記録されており、制御部20は、記録媒体30を参照してこれらの情報を取得して閾値LimFadを算出する。また、閾値LimFadは、2秒先の地点における摩擦係数μを含むため、2秒先の地点に関する閾値である。
【0079】
図11は、減速力Fadと閾値LimFadを説明するための説明図である。同図11においては、矢印Fwに向かって走行する自車両Cと当該自車両Cに作用する摩擦力μ・Wの大きさを実線の円で示している。同図11において、自車両Cに作用する力(横方向の力Fc(γ)と減速力との合力)を示すベクトルの先端が実線の円を超える場合に自車両Cにてスリップが生じる。すなわち、摩擦力μ・Wを横方向の力Fc(γ)と車両後方に向けた減速力とに分力すれば、当該減速力をスリップが生じる限界の減速力とみなすことができる。
【0080】
そこで、本実施形態においては、摩擦力μ・Wに対して一定のマージンを与え、摩擦力μ・Wに1以下の係数Sを乗じた値μ・W・Sを横方向の力Fc(γ)に基づいて車両後方に向けた力に分力して得られた値を閾値LimFadとしている。すなわち、図11に例示するように、減速力Fadを示すベクトルの先端が、ベクトルμ・W・Sの分力ベクトルの先端に相当する位置Pよりも円の外周に近い場合に自車両Cの走行安定性が低下するとみなす。
【0081】
このため、制御部20は減速力Fadが閾値LimFadよりも大きいか否かを判別し(ステップS730)、減速力Fadが閾値LimFadよりも大きいと判別されないときには、制御部20は、2秒先の地点がカーブ区間Zrの開始地点Rsを超えたか否かを判別し(ステップS735)、開始地点Rsを超えたと判別されない場合には、図8に示す処理に復帰する。一方、ステップS730にて減速力Fadが閾値LimFadよりも大きいと判別されたとき、または、ステップS735にて自車両がカーブ区間Zrの開始地点Rsを超えたと判別されたときには、変速比の設定を行わせるために変速比制御状態GSを"2"に設定する(ステップS740)。
【0082】
従って、ステップS730を経て変速比制御状態GSが"2"となり、さらに、ステップS615の判別を経てステップS630にて変速比を設定する処理が行われると、自車両に作用する力が自車両にスリップを生じさせる力となる以前に変速比が加速変速比Saに設定されることになる。従って、変速比を加速変速比Saに設定することによって自車両にスリップが生じないように変速比を設定することができ、変速が車両の挙動に与える影響を抑えながら変速比を設定することが可能である。なお、ここでは、自車両の前方において自車両に作用する力がスリップを生じさせる力となるか否かを評価することができれば良く、上述のように現在時点から所定の時間間隔だけ後の時点における力を評価する構成の他、現在位置から所定の距離だけ前方の位置での力を評価する構成を採用しても良い。ステップS715,S735における「2秒」は一例であり、変速比制御部21dが変速部44に、変速比を加速変速比Saとするための制御信号を出力してから、当該制御信号に応じて変速部44による変速比の切り替えが完了するまでに要する時間より大きい値が設定されていればよい。例えば、ステップS735においては、開始地点Rsに自車両が到達する前に変速比を加速変速比Saに切り替えることができる時間であればよい。むろん、現在時点から所定の時間間隔だけ後の時点における力を評価するために、上述のように現在位置から所定の距離だけ前方の位置での力を採用したときには、現在位置にて変速のための処理を開始してから変速が完了するまでの距離より大きい距離を所定の距離とする構成を採用可能である。
【0083】
以上の処理によれば、例えば、図2に太い破線の矢印で示すように、減速区間Zdの手前を6速で走行している自車両Cがカーブ区間Zrに接近すると、減速制御がなされて減速区間Zdの終了地点Rsまでに目標車速V0とされる。当該減速区間Zdにおいては、変速比取得処理において加速変速比Saが算出される。また、当該変速比取得処理においては自車両Cより2秒先の道路の曲率γを取得しており、当該γが大きくなって減速力Fadが閾値LimFadを超えた段階で減速制御状態GSが"2"に設定されるので、加速変速比Saが例えば、3速の変速段に対応する変速比であれば、ステップS630の処理により変速段が3速となる。従って、図2にて太い一点鎖線で示すように、これ以後の減速区間Zd、カーブ区間Zr、加速区間Zaにおいて変速段は3速に維持され、加速区間Zaにて加速を開始したときにスムーズに加速を行うことができる。
【0084】
(2−7)制御終了処理:
図10は、ステップS210における制御終了処理を示すフローチャートである。当該制御終了処理においては、自動制御を徐々に手動制御に移行させるための処理を行う。このためにまず制御部20は、自動制御解除部21fの処理により、減速制御状態DSを"0"に設定し(ステップS800)、図示しない表示部やスピーカーに制御信号を出力して自動制御が終了する旨の案内を行わせる(ステップS810)。そして、制御部20は、自動制御解除部21fの処理により、自動制御を徐々に解除する(ステップS820)。すなわち、制御部20は、上述のように、ブレーキの自動制御量による減速度と手動制御量による減速度とを取得し、単位時間当たりの減速度の変化量が所定量となるように自動制御量を変化させる。そして、変化後の自動制御量と手動制御量とが一致した時点で自動制御を終了し、図4に示す処理に復帰する。
【0085】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、自動制御から手動制御に切り替わった場合に、緩衝時間を費やして自動制御を解除する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、目標車速はカーブ区間Zrの半径Rから算出したが、むろん、予め各カーブ区間に対して目標車速を対応付けておき、当該対応付けられた目標車速を取得しても良い。さらに、本発明の適用対象はカーブ区間に限定されず、勾配のある道路に対して本発明を適用しても良い。例えば、勾配を含む区間を勾配区間として定義し、当該勾配区間に自車両が到達するときの目標車速と勾配区間を走行後の推奨車速を定義すれば、上述の構成と同様にして必要加速量を特定し、加速変速比を取得して勾配区間の前の段階で予め加速変速比としておく構成とすることができる。なお、この構成において目標車速は、下り勾配の開始地点までに当該下り勾配の区間を走行するために好ましい車速に減速する際の車速として定義することが可能である。
【0086】
さらに、本発明は、必要加速量に対応した変速比を取得する構成に限定されることはなく、目標車速より大きい車速に加速することが可能な変速比を決定することができる限りにおいて種々の構成を採用可能である。例えば、カーブ区間等の所定区間を走行した後のスロットル開閉操作に対応した駆動源(エンジンやモータ)の回転数を予め学習しておき、自車両にて所定区間を走行した後に当該学習した回転数にて駆動源を回転させ、目標車速からより大きい車速に加速するための加速変速比を特定する構成等を採用可能である。すなわち、推奨車速が特定されていない場合であっても、所定区間を走行後に自車両の車速を目標車速よりも大きい車速に加速させることができる限りにおいて、種々の構成を採用可能である。
【0087】
さらに、加速変速比は、少なくとも、目標車速よりも大きい車速に加速させるために必要十分な変速比であればよいが、加速をよりスムーズにするための変速比を予め決定しても良い。例えば、加速開始時点でのスロットル開閉操作や自車両駆動源の回転数等のパラメータを推定し、当該推定に基づいて最も効率的に加速が可能な変速比等を選択可能である。また、減速制御に際しては、上述のように減速度に基づいてフィードバック制御を行うほか、車速に基づいてフィードバック制御を行う構成を採用しても良い。
【0088】
さらに、必要加速量は車速を目標車速から推奨車速にするために自車両にて出力されるエネルギーを評価するためのパラメータであればよく、上述の必要加速度aに限定されない。例えば、トルク,エンジン出力等を採用可能である。さらに、上述の実施形態においては、減速区間Zdおよび加速区間Zaをクロソイド区間としたが、むろん、これらの区間はそれぞれが減速のための区間および加速のための区間として予め決められていれば良く、クロソイド区間より短くても良いし長くても良い。さらに、クロソイド区間でなくても良く、例えば、カーブ区間が連続する際にあるカーブ区間と次のカーブ区間との間の所定区間を加速区間としても良い。さらに、加速変速比への変速は所定区間に到達する前に実施されれば良く、所定区間の開始地点あるいは終了地点で変速を行っても良いし、必要減速度Grが閾値LimG_h,LimG_Lを超えたときに変速を行っても良く、種々の構成を採用可能である。
【0089】
また、上述の実施形態においては、必要減速度Grが閾値LimG_h,LimG_Lを超えたときに減速制御を行うように構成したが、むろん、他の構成、例えば、減速区間Zdの開始地点Caを通過した後に減速を開始する構成としても良い。また、車速制限処理においては、現在車速Vcが閾値V0を超えているときに減速を行う構成としたが、現在車速Vcが閾値V0を下回るときに加速を行う構成であっても良い。さらに、上述の実施形態においては、必要加速度aに対応したトルクTraを超える出力が可能な変速比の中で最も燃料消費量の少ない変速比を選択して加速変速比Saとしていたが、他の思想に基づいて加速変速比を決定しても良い。例えば、必要加速度aに対応したトルクTraと、各変速比において出力されるトルクTr1〜Tr6を取得し、トルクTraを超える変速比の中で最も小さな変速比を加速変速比Saとしてもよい。
【0090】
すなわち、変速比を維持しながら必要加速度aにて加速を行ったときに自車両の車速を推奨車速V1とすることが可能な変速比であって、スロットル開度Th1に対応するエンジン回転数を低下させて出力側に伝達する際の当該回転数の低下度合いが最も小さい変速比を加速変速比Saとする。この構成によれば、エンジンの回転数をできるだけ上昇させずに自車両を目標車速V0から推奨車速V1へ加速させることができ、効率的に加速を行うことが可能である。なお、ここではスロットル開度Th1に対応したエンジン回転数を想定したが、むろん、当該回転数を統計値等に基づいて決定しても良い。
【0091】
さらに、手動制御から自動制御に切り替えられたことを判別するための機器はセレクトレバー44aに限定されず、自動制御と手動制御とを設定するために設けられた専用のUIやスイッチ等であっても良い。
【0092】
さらに、自動制御から手動制御へ徐々に移行するためには、自動制御にて発生されていた減速量と手動制御における操作内容に応じた減速量との差が解消する時間間隔を調整し、利用者が感じるショックを抑制することができればよい。すなわち、自動制御によって制御する状態から手動制御によって制御する状態へ、所定の緩衝時間を費やして移行することができればよい。従って、予め決められた一定の緩衝時間を費やして自動制御から手動制御に移行しても良いし、車速やトルク,道路状態,周囲の環境,運転者の設定等に応じて異なる長さの緩衝時間を費やして自動制御から手動制御に移行しても良い。なお、この構成においては、緩衝時間が所定の基準である。すなわち、当該緩衝時間内で減速量が線形あるいは非線形に変化するよう調整すれば、基準に対応した変化量で自動制御から手動制御へ移行させることができる。
【0093】
さらに、自動制御や手動制御によって制御される減速量は、自車両に作用する減速量を評価するためのパラメータであれば良く、減速度の他、トルク等に基づいて評価することが可能である。つまり、トルクの単位時間当たりの変化量が所定の変化量以下となるようにブレーキの制御量を移行させる。さらに、上述の実施形態は、カーブ区間等の所定区間に到達する前に、当該所定区間走行後の加速に適した加速変速比に設定させる構成において、自動制御から手動制御に切り替わったときの制御移行に本発明を適用していたが、他の構成に本発明を適用しても良い。例えば、自動制御状態において、カーブ区間等の所定区間に到達する前に当該所定区間を走行する際の目標車速まで減速させる制御を自動で行う構成において、自動制御から手動制御に切り替わったときに自動制御から手動制御へ徐々に移行する構成であっても良い。
【0094】
さらに、スロットル制御部46における制御量を自動制御にて調整する構成において、スロットル開度の制御を自動制御から手動制御へ徐々に移行する構成としても良い。すなわち、制動部45によって自動で減速を行う構成、変速部44によって自動で減速を行う構成、スロットル制御部46によって自動で減速を行う構成のいずれに対して本発明を適用しても良いし、変速部44,制動部45,スロットル制御部46の組み合わせによって自動で減速を行う構成のいずれに対して本発明を適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】運転支援装置を含むナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】カーブ区間の例を示す図である。
【図3】運転支援処理のフローチャートである。
【図4】車両減速処理のフローチャートである。
【図5】減速開始判定処理のフローチャートである。
【図6】減速制御処理のフローチャートである。
【図7】車速制限処理のフローチャートである。
【図8】変速比選択処理のフローチャートである。
【図9】変速比取得処理のフローチャートである。
【図10】制御終了処理のフローチャートである。
【図11】車両に作用する力を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0096】
10…ナビゲーション装置、20…制御部、21…ナビゲーションプログラム、21a…車速情報取得部、21b…必要加速量取得部、21c…加速変速比取得部、21d…変速比制御部、21e…減速制御部、21f…自動制御解除部、21g…加速制御部、30…記録媒体、30a…地図情報、30a1…カーブ区間情報、30a2…減速区間情報、30a3…加速区間情報、41…受信部、42…車速センサ、43…ジャイロセンサ、44…変速部、44a…セレクトレバー、45…制動部、46…スロットル制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の制御状態が自動制御に設定されている場合に、前記自車両の減速量を制御して前記自車両を減速させる減速制御手段と、
前記制御状態が前記自動制御から手動制御に切り替わった場合に、前記減速量を所定の基準に対応した変化量で変化させて前記自動制御から前記手動制御へ移行させる自動制御解除手段と、
を備える運転支援装置。
【請求項2】
前記自車両の前方の所定区間を走行する際の目標車速を取得する車速情報取得手段と、
前記所定区間を走行した後に前記自車両を前記目標車速よりも大きい車速に加速させるための変速比である加速変速比を取得する加速変速比取得手段と、
前記所定区間の開始地点に到達する前に前記自車両の変速比を前記加速変速比に設定させる変速比制御手段と、を備え、
前記減速制御手段は、前記制御状態が自動制御に設定されている場合に、前記所定区間の開始地点に到達する前に前記自車両の車速を前記目標車速まで減速させる、
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記自動制御解除手段は、前記自車両のブレーキによる前記減速量の単位時間当たりの変化量を所定の変化量以下に抑制して前記移行を行う、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記自動制御解除手段は、前記制御状態が前記自動制御から前記手動制御に切り替わったときの前記自動制御による前記自車両のブレーキの自動制御量と、運転者による制動操作に応じた前記ブレーキの手動制御量とを取得し、前記ブレーキの制御量を前記自動制御量から前記手動制御量に変化させて前記移行を行う、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の運転支援装置。
【請求項5】
自車両の制御状態が自動制御に設定されている場合に、前記自車両の減速量を制御して前記自車両の車速を所定の目標車速まで減速させる減速制御工程と、
前記制御状態が前記自動制御から手動制御に切り替わった場合に、前記減速量を所定の基準に対応した変化量で変化させて前記自動制御から前記手動制御へ移行させる自動制御解除工程と、
を含む運転支援方法。
【請求項6】
自車両の制御状態が自動制御に設定されている場合に、前記自車両の減速量を制御して前記自車両の車速を所定の目標車速まで減速させる減速制御機能と、
前記制御状態が前記自動制御から手動制御に切り替わった場合に、前記減速量を所定の基準に対応した変化量で変化させて前記自動制御から前記手動制御へ移行させる自動制御解除機能と、
をコンピュータに実現させる運転支援プログラム。
【請求項1】
自車両の制御状態が自動制御に設定されている場合に、前記自車両の減速量を制御して前記自車両を減速させる減速制御手段と、
前記制御状態が前記自動制御から手動制御に切り替わった場合に、前記減速量を所定の基準に対応した変化量で変化させて前記自動制御から前記手動制御へ移行させる自動制御解除手段と、
を備える運転支援装置。
【請求項2】
前記自車両の前方の所定区間を走行する際の目標車速を取得する車速情報取得手段と、
前記所定区間を走行した後に前記自車両を前記目標車速よりも大きい車速に加速させるための変速比である加速変速比を取得する加速変速比取得手段と、
前記所定区間の開始地点に到達する前に前記自車両の変速比を前記加速変速比に設定させる変速比制御手段と、を備え、
前記減速制御手段は、前記制御状態が自動制御に設定されている場合に、前記所定区間の開始地点に到達する前に前記自車両の車速を前記目標車速まで減速させる、
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記自動制御解除手段は、前記自車両のブレーキによる前記減速量の単位時間当たりの変化量を所定の変化量以下に抑制して前記移行を行う、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記自動制御解除手段は、前記制御状態が前記自動制御から前記手動制御に切り替わったときの前記自動制御による前記自車両のブレーキの自動制御量と、運転者による制動操作に応じた前記ブレーキの手動制御量とを取得し、前記ブレーキの制御量を前記自動制御量から前記手動制御量に変化させて前記移行を行う、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の運転支援装置。
【請求項5】
自車両の制御状態が自動制御に設定されている場合に、前記自車両の減速量を制御して前記自車両の車速を所定の目標車速まで減速させる減速制御工程と、
前記制御状態が前記自動制御から手動制御に切り替わった場合に、前記減速量を所定の基準に対応した変化量で変化させて前記自動制御から前記手動制御へ移行させる自動制御解除工程と、
を含む運転支援方法。
【請求項6】
自車両の制御状態が自動制御に設定されている場合に、前記自車両の減速量を制御して前記自車両の車速を所定の目標車速まで減速させる減速制御機能と、
前記制御状態が前記自動制御から手動制御に切り替わった場合に、前記減速量を所定の基準に対応した変化量で変化させて前記自動制御から前記手動制御へ移行させる自動制御解除機能と、
をコンピュータに実現させる運転支援プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−12852(P2010−12852A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173116(P2008−173116)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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