電気光学表示装置およびその製造方法
【課題】TFT構造部の製造工程を簡略化するとともに、ソース・ドレイン電極の材質を限定せずとも、TFTチャネル部となる半導体層の膜厚を正確に制御することで、表示ムラを防止した電気光学表示装置を提供する。
【解決手段】活性領域層AR上から、画素電極30の下方の透明絶縁性基板1の上方にかけて延在するようにドレイン電極26が配設されている。ソース電極24およびソース配線25は、その端面が半導体膜6の何れの端面よりも後退した位置となるように配設され、活性領域層AR上のドレイン電極26の端面も、半導体膜6のほぼ平行な関係にある端面よりも後退した位置となるように配設されている。
【解決手段】活性領域層AR上から、画素電極30の下方の透明絶縁性基板1の上方にかけて延在するようにドレイン電極26が配設されている。ソース電極24およびソース配線25は、その端面が半導体膜6の何れの端面よりも後退した位置となるように配設され、活性領域層AR上のドレイン電極26の端面も、半導体膜6のほぼ平行な関係にある端面よりも後退した位置となるように配設されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気光学表示装置およびその製造方法に関し、特に、薄膜トランジスタ(TFT)をスイッチング素子として備えたアクティブマトリックス型の電気光学表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学素子として液晶や有機EL(エレクトロルミネッセンス)を用いた電気光学表示装置には、基板上に薄膜トランジスタ等のスイッチング素子をアレイ状に設けて各表示画素に独立した映像信号を印加するアクティブマトリックス型のTFTアレイ基板が広く用いられるようになっている。
【0003】
このような電気光学表示装置の生産性を向上させるためには、TFTアレイ基板の製造工程数を削減することが必要であり、例えば特許文献1には、図54〜図63を用いて、写真製版工程数を削減する技術が開示されており、TFTアレイ基板を5回の写真製版工程で製造する方法が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献1の図58、59に示すTFTのソース・ドレイン電極とチャネル部の製造工程において、ソース・ドレイン電極となるTi(チタン)等の金属膜を成膜した後に、写真製版工程を用いてレジストをパターニングし、HF+H2Oの組成のエッチング液を用いたウエットエッチングを行って、Ti膜と半導体層のオーミックコンタクト(n+のアモルファスシリコン(a−Si))膜をエッチングしてソース・ドレイン電極とチャネル部を形成するプロセスが開示されている。
【0005】
しかしながら、この場合は、まず第1のエッチング工程として厚さ約300nmのTi膜を除去した後、連続した第2のエッチング工程として厚さ約20nmのオーミックコンタクト膜が除去される。
【0006】
通常、第1のエッチング工程では、Ti膜が一通り除去された後にエッチング残りを防ぐ目的で、さらにオーバーエッチングが行われる。オーバーエッチングの時間は、エッチング残りの厚さのばらつきを考慮して、エッチングの基板面内分布に基づいてエッチング速度の最も遅い領域がエッチングされた時間を起点として決定される。
【0007】
この場合、第2のエッチング工程は、Ti膜が完全に除去された時点から始まるので、Ti膜のエッチング速度分布によってエッチング時間にバラツキが生じることになる。この第2のエッチング工程の時間のバラツキは、TFTチャネル部となるa−Si膜の膜厚のバラツキの原因となる。このバラツキはTFTのオンオフ特性のバラツキとなり、表示ムラ等の不良を生じさせる可能性を有している。
【0008】
また、上記プロセスにおいて、Ti膜とオーミックコンタクト膜(n+のa−Si膜)を、ウエットエッチングではなく、ガスを用いたドライエッチングにより除去することも考えられる。しかしながら、Ti膜の一般的なドライエッチングガスであるCl2(塩素)ガスを用いたドライエッチングでは、n+のa−Si膜のエッチング速度はTi膜とほぼ同等であるので、上述したTFTチャネル部となるa−Si膜の膜厚の制御が難しく、バラツキの問題は発生してしまう。
【0009】
このような問題を解決する方法として、ソース・ドレイン電極を、a−Si膜とエッチング選択性の取れる金属膜で形成する方法が考えられる。例えば、Cr(クロム)膜あるいはMo(モリブデン)膜を成膜した後に写真製版工程を用いてレジストをパターニングし、第1のエッチング工程として例えばCr膜の場合は硝酸セリウムアンモニウム+硝酸系の組成のエッチング液を、Mo膜の場合は、リン酸+硝酸+酢酸系の組成のエッチング液を用いてウエットエッチングを行い、Cr膜あるいはMo膜をパターニングしてソース・ドレイン電極を形成する。このウエットエッチング工程ではオーミックコンタクト膜(n+のa−Si膜)はエッチングされることはない。
【0010】
次に、第2のエッチング工程としてCl2ガス、またはCF4(あるいはSF6)+O2ガスを用いたドライエッチング法によりオーミックコンタクト膜(n+のa−Si膜)をエッチングしてTFTのチャネル部を露出させる。この場合、チャネル部のa−Si膜の膜厚のバラツキの制御は、第2のエッチング工程のプロセスのみで制御することが可能である。
【0011】
しかしながら、このような方法では、ソース・ドレイン電極として用いる金属膜の種類や、加工プロセスが著しく制限されてしまうという問題がある。
【0012】
例えばソース・ドレイン電極を精度良く微細な加工を行いたいときに、ウエットエッチング法よりも加工精度に優れるドライエッチング法を適用しようとすると、例えばCr膜の場合には公知のCl2ガスを、Mo膜の場合には公知の弗素系ガス(CF4あるいはSF6)を用いたドライエッチングが一般的なプロセスであるが、この場合はn+のa−Si膜のエッチング速度はCr膜やMo膜とほぼ同等であるので、上述のTi膜の場合と同様の問題を生じてしまう。
【0013】
また、ソース・ドレイン電極を、a−Si膜とエッチング選択性の取れる金属膜で形成する場合には、金属膜がCr膜、Mo膜あるいはAl(アルミニウム)膜に限られてしまうので、例えば、電気抵抗や耐熱性や耐食性等の要求に対して、金属膜を最適化したい場合にはその選択幅が非常に狭くなるため、電気光学表示装置として充分な特性が得られないという問題もあった。
【0014】
一方、特許文献2には、ソース・ドレイン層の半導体層を形成する際のレジストパターンにおいて、予め半導体層のチャネル形成部分上のレジスト膜厚が薄くなるようにしておき、ドライエッチングガスに酸素ガスを混合したドライエッチング法を用いてソース・ドレイン層となる半導体膜(a−Si膜)をエッチングすると同時に、上記膜厚の薄い部分のレジストをアッシング効果によってエッチングすることによって、時間差を設けてチャネル部となるn+のa−Si膜をエッチングする方法が開示されている。
【0015】
しかしながらこのような方法では、数百mm×数百mmに及ぶ広い領域の半導体膜をエッチングしながら、同時に数μm〜十数μmという非常に狭い領域のレジストのアッシングと、その下層のn+のa−Si膜をエッチングすることになるので、チャネル部となるa−Si膜の膜厚の制御が難しく、バラツキの問題は発生してしまう。
【0016】
さらに、この後にソース・ドレイン電極を形成するので、a−Si膜とのエッチング選択性を有する金属膜材料を使用せざるを得ず、ソース・ドレイン電極の材料の選択幅が非常に狭くなるという問題点は依然として残る。
【0017】
【特許文献1】特開平8−50308号公報
【特許文献2】特開平10−163174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
以上説明したように、特許文献1に開示の技術では、TFTチャネル部となるa−Si膜の膜厚にバラツキが生じ、それがTFTのオンオフ特性のバラツキとなって、表示ムラ等の不良を生じさせる可能性があった。
【0019】
また、ソース・ドレイン電極を、a−Si膜とエッチング選択性の取れる金属膜で形成する方法を採る場合には、ソース・ドレイン電極として用いる金属膜の種類や、加工プロセスが著しく制限されてしまうという問題があった。
【0020】
また、特許文献2に開示の技術では、ソース・ドレイン層の半導体パターンを形成する際のレジストパターンにおいて、予め半導体パターンのチャネル形成部分上のレジスト膜厚が薄くなるようにしておき、ドライエッチングガスに酸素ガスを混合したドライエッチング法を用いてソース・ドレイン層となる半導体膜(a−Si膜)をエッチングすると同時に、上記膜厚の薄い部分のレジストをアッシング効果によってエッチングすることになるが、数百mm×数百mmに及ぶ広い領域の半導体膜のエッチングと、数μm〜十数μmという非常に狭い領域のレジストのアッシングと、その下層のn+のa−Si膜のエッチングとを同時に行うことになるので、チャネル部となるa−Si膜の膜厚の制御が難しく、膜厚にバラツキが生じるという問題があった。
【0021】
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、アクティブマトリックス型の電気光学表示装置において、ゲート電極、ゲート絶縁膜、チャネル部、ソース・ドレイン層およびソース・ドレイン電極で構成されるTFT構造部の製造工程を簡略化するとともに、ソース・ドレイン電極の材質を限定せずとも、TFTチャネル部となる半導体層の膜厚を正確に制御し、そのバラツキを抑えてTFT特性のバラツキに起因する表示ムラを防止した電気光学表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明に係る請求項1記載の電気光学表示装置によれば、絶縁性基板と、前記絶縁性基板上にアレイ状に配設され、薄膜トランジスタが電気的に接続された画素電極を有する複数の表示画素と、前記薄膜トランジスタを順次的に走査選択するゲート配線と、前記画素電極に電気信号を与えるソース配線とを有し、前記ゲート配線と前記ソース配線とが平面視的に直交してマトリックス状をなすアクティブマトリックス基板を備えた電気光学表示装置であって、前記薄膜トランジスタは、前記ソース配線の下層に配設された半導体膜から分岐した活性領域層と、前記活性領域層上に間隔を開けて選択的に配設されたソース電極およびドレイン電極とを有し、前記活性領域層上において、少なくとも前記ソース電極は、その端面位置が前記活性領域層のいずれの端面位置よりも所定距離以上後退した位置となるように配設され、前記ドレイン電極は、前記活性領域層上から画素表示領域の前記絶縁性基板の上方にかけて延在するように配設され、前記画素表示領域における前記ドレイン電極の下層には前記活性領域層を有していない。
【0023】
本発明に係る請求項3記載の電気光学表示装置の製造方法によれば、絶縁性基板と、前記絶縁性基板上にアレイ状に配設され、薄膜トランジスタが電気的に接続された画素電極を有する複数の表示画素と、前記薄膜トランジスタを順次的に走査選択するゲート配線と、前記画素電極に電気信号を与えるソース配線とを有し、前記ゲート配線と前記ソース配線とが平面視的に直交してマトリックス状をなすアクティブマトリックス基板を備えた電気光学表示装置の製造方法であって、前記絶縁性基板上に第1の導電性薄膜を成膜した後に第1回目の写真製版を行って前記ゲート配線をパターニングする工程(a)と、前記ゲート配線の上方に、半導体膜およびオーミックコンタクト膜を順に成膜した後、第2回目の写真製版を行って、前記半導体膜および前記オーミックコンタクト膜をパターニングして、前記ソース配線の下層膜を形成するとともに、前記半導体膜から分岐した活性領域層を形成する工程(b)と、前記工程(b)の後に、前記絶縁性基板上の全面に渡って第2の導電性薄膜を成膜した後、前記第2の導電性薄膜をパターニングする工程(c)とを備え、前記工程(c)は、第3回目の写真製版を行って前記第2の導電性薄膜上に、前記下層膜上および前記活性領域層上から画素表示領域の前記絶縁性基板の上方にかけて延在するとともに、前記薄膜トランジスタのチャネル部に対応するチャネル対応部が、他の部分よりも薄くなった第1のレジストパターンを形成する工程(c−1)と、前記第1のレジストパターンに覆われない前記第2の導電性薄膜をエッチングにより除去する工程(c−2)と、前記工程(c−2)の後に、前記第1のレジストパターンをアッシングして薄膜化するとともに、前記チャネル対応部を除去して開口部となった第2のレジストパターンを形成する工程(c−3)と、前記第2のレジストパターンの前記開口部を介して、前記チャネル部に対応する前記第2の導電性薄膜および前記オーミックコンタクト膜を順次エッチングにより除去するとともに、前記第2のレジストパターンで覆われない前記第2の導電性薄膜および前記オーミックコンタクト膜を順次エッチングにより除去することで、前記活性領域層上に間隔を開けてソース電極およびドレイン電極をパターニングするとともに、前記ソース配線をパターニングする工程(c−4)とを有している。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る請求項1記載の電気光学表示装置によれば、前記活性領域層上において、少なくとも前記ソース電極は、その端面位置が前記活性領域層のいずれの端面位置よりも所定距離以上後退した位置となるように配設されるので、ソース電極およびドレイン電極のパターニング時に、これらを構成する物質が活性領域層の端面に導電性物質として再付着した場合でも、これら導電性物質によってソース電極とドレイン電極とが電気的に導通することを防止できる。また、画素表示領域におけるドレイン電極の下層には活性領域層を有していないので、画素表示領域にバックライト光が照射される透過型液晶表示装置に本発明を適用する場合には、活性領域層に光が照射されることがないので、光励起による電流の発生を抑えることができるので、薄膜トランジスタのオフ特性を劣化を防止することが可能となる。
【0025】
本発明に係る請求項3記載の電気光学表示装置の製造方法によれば、第2の導電性薄膜をパターニングする工程(c)において、第3回目の写真製版によって第1のレジストパターンを形成し、まず、第1のレジストパターンに覆われない第2の導電性薄膜の不要部分をエッチングで除去し、その後、第1のレジストパターンをアッシングして第2のレジストパターンを形成し、第2のレジストパターンの開口部を介して、チャネル部に対応する第2の導電性薄膜およびオーミックコンタクト膜を順次エッチングにより除去するとともに、第2のレジストパターンで覆われない第2の導電性薄膜およびオーミックコンタクト膜を順次エッチングにより除去することで、活性領域層上にソース電極およびドレイン電極をパターニングするとともに、ソース配線をパターニングするので、薄膜トランジスタを3回の写真製版工程で形成可能であり、製造工程を簡略化できる。また、第1のレジストパターンをアッシングして薄膜化するとともに、チャネル対応部を除去して開口部となった第2のレジストパターンを形成するので、第2のレジストパターンは、第1のレジストパターンよりも平面方向の大きさも小さくなり、当該第2のレジストパターンを用いたエッチングにより、少なくともソース電極は、その端面位置が活性領域層のいずれの端面位置よりも所定距離以上後退した位置となるように配設することができるので、第2の導電性薄膜およびオーミックコンタクト膜のドライエッチング時に、これらを構成する物質がエッチング面に導電性物質として再付着した場合でも、これら導電性物質によってソース電極とドレイン電極とが電気的に導通することを防止できる。また、第2のレジストパターンの開口部を介して、チャネル部に対応する第2の導電性薄膜およびオーミックコンタクト膜を順次エッチングにより除去するので、第2の導電性薄膜を、半導体膜およびオーミックコンタクト膜とエッチング選択性の取れない金属膜で形成する場合、あるいはエッチング選択性のないエッチングプロセスを使用する場合でも、第2の導電性薄膜およびオーミックコンタクト膜を制御性良く除去することができ、薄膜トランジスタのチャネル部を構成する半導体膜の膜厚を正確に制御し、かつそのバラツキを抑えることができるので、薄膜トランジスタ特性のバラツキに起因する表示装置の表示ムラを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
<A.実施の形態1>
<A−1.装置構成>
本発明に係る実施の形態1の電気光学表示装置として、TFTをスイッチング素子として用いた透過型液晶表示装置のTFTアクティブマトリックス基板100の平面構成を図1に、また、図1におけるA−O−A’線での断面構成を図2に示す。
【0027】
図1は、TFTアクティブマトリックス基板100上の画素の1つを示す平面図であり、TFTアクティブマトリックス基板100上には、このような画素がマトリックス状に複数配設されている。
【0028】
図1に示すように、ガラス基板などの透明絶縁性基板1上に、その一部がゲート電極2を構成するゲート配線4が配設されている。ゲート配線4は、透明絶縁性基板1上において一方向に直線的に延在するように配設されており、ここではその方向をX方向と呼称し、平面内においてX方向に直交する方向をY方向を呼称する。
【0029】
また、ゲート配線4と間隔を開けてゲート配線4に平行するように延在する補助容量電極3が配設され、ゲート配線4と補助容量電極3とによって画素電極30のY方向の大きさが規定される。
【0030】
補助容量電極3は、蓄積容量電極とも呼称され、各画素ごとに接続されるTFTがオフになった後もTFTから与えられた駆動電圧を保持するキャパシタを構成する電極であり、ゲート電極2とは独立した構成を採っている。なお、補助容量電極3は、容量を増やすために、画素電極30のY方向に沿った2つの端縁部の下方において、Y方向に延在する補助容量電極31を含んでいる。
【0031】
また、ゲート配線4および補助容量電極3の上方において、両者に直交するように直線状の半導体積層膜SLが設けられている。半導体積層膜SLは、半導体膜6の上にオーミックコンタクト膜7が積層されており、半導体積層膜SLは、Y方向に延在するように間隔を開けて複数配設され、隣り合う半導体積層膜SLによって画素電極30のX方向の大きさが規定される。なお、半導体積層膜SLは補助容量電極31の上方には重ならないように配設されている。
【0032】
半導体積層膜SLは、ゲート配線4との交差部において分岐し、ゲート配線4に沿って延在する部分を有するように設けられており、そのうちの半導体膜6の部分がTFTの活性領域層ARを構成する。
【0033】
また、半導体積層膜SLの上部には半導体積層膜SLに沿って直線状のソース配線25が設けられている。ソース配線25は、半導体積層膜SLと同様にゲート配線4との交差部において分岐し、ゲート配線4に沿って延在する部分を有しており、当該部分がTFTのソース電極24を構成する。なお、ソース電極24の下層にはオーミックコンタクト膜7が存在している。
【0034】
また、活性領域層AR上から、画素電極30の下方の透明絶縁性基板1の上方にかけて延在するようにドレイン電極26が配設されている。ドレイン電極26は、画素電極30のX方向に沿った端縁部の下方において、X方向に延在する部分も有している。
【0035】
ソース電極24およびソース配線25は、その端面が半導体膜6の何れの端面よりも後退した位置となるように配設され、活性領域層AR上のドレイン電極26の端面も、半導体膜6のほぼ平行な関係にある端面よりも後退した位置となるように配設されている。なお、上記においてほぼ平行としたのは、ドレイン電極26の端面が、必ずしも半導体膜6の端面と平行になるようにパターニングされるとは限らず、ドレイン電極26の端面が半導体膜6の端面に対して傾斜するように形成される場合もあることを想定してのことである。なお、ソース電極24およびソース配線25の端面においても同様の現象が起きることがある。
【0036】
なお、活性領域層AR上において、ソース電極24とドレイン電極26とは間隔を開けて設けられており、両者の間の半導体膜6がTFTチャネル部27となる。また、ドレイン電極26のTFTチャネル部27と平行する位置には、画素電極30に達する画素ドレインコンタクトホール29が設けられている。
【0037】
次に、TFTアクティブマトリックス基板100の断面構成を図2を用いて説明する。
図2に示すように、透明絶縁性基板1上にゲート電極2(ゲート配線4)および補助容量電極3が配設され、ゲート電極2(ゲート配線4)上および補助容量電極3上を含めて、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第1の絶縁膜5が配設されている。なお、第1の絶縁膜5はゲート電極2の直上の部分においてはゲート絶縁膜として機能する。
【0038】
第1の絶縁膜5上には半導体膜6が配設され、半導体膜6上にはオーミックコンタクト膜7が配設されている。なお、半導体膜6においてTFTチャネル部27となる部分には、オーミックコンタクト膜7は配設されていない。
【0039】
また、オーミックコンタクト膜7の上部にはソース配線25が配設されるが、活性領域層ARにおけるオーミックコンタクト膜7の上部は、TFTチャネル部27を間に挟んで、ソース電極24が配設される部分と、ドレイン電極26が配設される部分とに分かれている。
【0040】
なお、ドレイン電極26は、オーミックコンタクト膜7の上部から半導体膜6の側面および第1の絶縁膜5の上部にかけて延在している。
【0041】
そして、ソース配線25、ソース電極24およびドレイン電極26上を含めて、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第2の絶縁膜28が配設され、第2の絶縁膜28上には画素電極30が配設されている。
【0042】
画素電極30は、第2の絶縁膜28を貫通してドレイン電極26上に達する画素ドレインコンタクトホール29内にも埋め込まれ、画素電極30とドレイン電極26とが電気的に接続されている。
【0043】
図3は、マトリックス状に配設された複数の画素を表す平面図であり、Y方向において隣り合う画素のゲート配線4と補助容量電極3とは重なり合わないように間隔を開けて配設されている。
【0044】
<A−2.製造方法>
次に、製造工程を順に示す断面図である図4〜図14を用いて、TFTアクティブマトリックス基板100の製造方法について説明する。なお、図4〜図14に示す断面は、図1におけるA−O−A’線での断面に対応する。また、図15〜図19には、各工程における平面図を示している。
【0045】
まず、図4に示す工程において、ガラス基板などの透明絶縁性基板1上に第1の金属薄膜(図示せず)を成膜した後に、第1回目の写真製版工程を経て、少なくともゲート電極2、補助容量電極3、およびゲート配線4をパターニングする。
【0046】
ここで、第1の金属薄膜としては電気的比抵抗値の低いAl(アルミニウム)やMo(モリブデン)あるいはこれらを主成分とする合金を用いることが好ましい。
【0047】
第1の金属薄膜としてMoを用いる場合の好適な製造方法としては、アルゴン(Ar)ガスを用いた公知のスパッタリング法により、Mo膜を200nmの厚さで成膜する。
【0048】
この場合のスパッタリング条件は、DCマグネトロンスパッタリング方式を使用し、成膜パワー密度3W/cm2、Arガス流量40sccmとする。
【0049】
なお、上述した第1回目の写真製版工程では、フォトレジストパターンを形成し、六弗化硫黄(SF6)ガス+酸素(O2)ガスの混合ガスを用いた公知のドライエッチング法によりMo膜をエッチングする。このときのMo膜のエッチング速度は約200nm/分とする。
【0050】
その後、フォトレジストパターンを除去してゲート電極2、補助容量電極3、およびゲート配線4を得る。
【0051】
図15には、透明絶縁性基板1上に形成されたゲート電極2、補助容量電極3およびゲート配線4の平面図を示す。
【0052】
次に、図5に示す工程において、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第1の絶縁膜5を形成して、ゲート電極2(ゲート配線4)および補助容量電極3を覆った後、第1の絶縁膜5上に半導体膜6を成膜し、さらにその上にオーミックコンタクト膜7を成膜する。
【0053】
その後、第2回目の写真製版工程を経て、半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7をパターニングする。このとき、直線状の半導体積層膜SLとともに、TFTが形成される活性領域層ARも規定される。
【0054】
また、半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7のパターニングに際しては、後に画素電極30(図2)が形成される画素表示領域には半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7が延在しないようにパターニングを行う。
【0055】
半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7の好適な製造方法としては化学的気相成長(CVD)法を使用し、窒化シリコン膜(SiNx:xは正数)を約400nmの厚さに形成して第1の絶縁膜5とし、アモルファスシリコン(a−Si)膜を約150nmの厚さに形成して半導体膜6とし、リン(P)を不純物として添加したn+のアモルファスシリコン(n+のa−Si)膜を約50nmの厚さに形成してオーミックコンタクト膜7とする。
【0056】
なお、上述した第2回目の写真製版工程では、フォトレジストパターンを形成し、六弗化硫黄(SF6)ガス+塩素(HCl)ガス+ヘリウム(He)の混合ガスを用いた公知のドライエッチング法により、半導体膜6(a−Si膜)およびオーミックコンタクト膜7(n+のa−Si膜)をエッチングする。このときのエッチングレートは約300nm/分とする。
【0057】
その後、フォトレジストパターンを除去して、直線状の半導体積層膜SLを得るとともに、活性領域層ARを得る。図16には、ゲート電極2、ゲート配線4および補助容量電極3上に一部重なるように半導体積層膜SLおよび活性領域層ARが形成された平面図を示す。
【0058】
半導体膜6は、基本的には活性領域層ARを構成するために設けるものであるが、後に形成されるソース配線の形成領域に合わせて直線状の半導体積層膜SLの構成要素としても使用することで、ソース配線の冗長配線として利用することができ、ソース配線が断線したような場合でも電気信号の途絶を防止することが可能である。
【0059】
次に、図6に示す工程において、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第2の金属薄膜8を成膜する。
【0060】
ここで、第2の金属薄膜8としてMoを用いる場合の好適な製造方法としては、Arガスを用いた公知のスパッタリング法により、Mo膜を200nmの厚さで成膜する。
【0061】
この場合のスパッタリング条件は、DCマグネトロンスパッタリング方式を使用し、成膜パワー密度3W/cm2、Arガス流量40sccmとする。
【0062】
次に、図7〜図9に示す工程において、第2の金属薄膜8上全体を覆うようにフォトレジスト9を形成し、第3回目の写真製版工程を経て、フォトレジスト9のパターニングを行う。
【0063】
まず、図7に示す工程において、ノボラック樹脂系のポジ型フォトレジスト9をスピンコータにより約1.6μmの厚さで塗布し、120℃で約90秒のプリベークを行った後に、フォトマスクR10を用いて第1の露光を行う。
【0064】
フォトマスクR10は、露光光13を完全に透過する透過領域12と露光光13を完全に遮光する遮光領域11とを有するような構成とし、第1の露光によって、まずフォトレジスト9には完全に露光される露光領域15と、全く露光されない非露光領域14とを形成する。
【0065】
次に、図8に示す工程において、フォトマスクR16を用いて第2の露光を行う。フォトマスクR16は、TFTのチャネル部に対応する領域のみが露光光を透過する透過領域17となっており、これ以外の領域では露光光を全く透過しない遮光領域16となっている。
【0066】
そして、第2の露光においては、フォトレジスト9を完全に露光するのではなく、露光した部分が、現像後に薄い膜厚で残存するように、第1の露光の約20〜40%の強度の露光光18で露光を行う、いわゆるハーフ露光であり、フォトレジスト9にはハーフ露光領域19が形成される。
【0067】
以上のようにフォトレジスト9に対して二段階露光を行った後、有機アルカリ系の現像液で現像を行い、120℃で約180秒のポストベークを行うことで、図9に示すようにTFTのチャネル部に対応する第1の厚さ部分20(チャネル対応部)と、この第1の厚さ部分20よりも厚い第2の厚さ部分21と、第2の厚さ部分21よりも厚い第3の厚さ部分22の少なくとも3種類以上の異なる膜厚を有するフォトレジストパターンRP1が形成される。
【0068】
なお、各部分での厚さの一例は、第1の厚さ部分20の膜厚が約0.4μm、第2の厚さ部分21の膜厚が約1.4μm、第3の厚さ部分22の膜厚が約1.6μm(または1.6μm以上)である。
【0069】
なお、第2の厚さ部分21は、半導体積層膜SL上および活性領域層AR上に形成され、第3の厚さ部分22は、後に画素電極30(図2)が形成される領域上に形成される。
【0070】
次に、図10に示す工程において、フォトレジストパターンRP1をマスクとして、第2の金属薄膜8のエッチングを行う。ここでは、SF6ガス+O2ガスの混合ガスを用いた公知のドライエッチング法を用いてエッチングを行った。
【0071】
図17には、半導体積層膜SL上および活性領域層AR上から後に画素電極30(図2)が形成される領域上にかけて第2の金属薄膜8が形成された平面図を示す。なお、図17ではフォトレジストパターンRP1については記載を省略しているが、第2の金属薄膜8の上部にフォトレジストパターンRP1が存在することは言うまでもない。
【0072】
次に、図11に示す工程において、酸素プラズマを用いた公知のレジストアッシングにより、フォトレジストパターンRP1の第1の厚さ部分20を除去し、第2の厚さ部分21および第3の厚さ部分22については残存させるようにフォトレジストパターンRP1を全体的に薄くすることで、TFTのチャネル部27(図2)に対応する部分が開口部23となったフォトレジストパターンRP2を形成する。
【0073】
このとき、全体の薄膜化に伴って図11に示すようにフォトレジストパターンRP2の平面方向の大きさ(外形)がフォトレジストパターンRP1よりも一回り小さくなるようにレジストアッシングの条件を設定する。
【0074】
次に、図12に示す工程において、フォトレジストパターンRP2の開口部23を介して、第2の金属薄膜8、オーミックコンタクト膜7を順次エッチングにより除去する。
【0075】
ここで、これらの膜の好適なエッチング方法としては、SF6ガス+O2ガスの混合ガスを用いた公知のドライエッチング法を使用し、エッチングレートは何れの膜においても200〜300nm/分とする。このように、第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7の何れも、同じエッチングレートで除去することで、これらの膜をほぼ一様に一括してエッチングすることができる。
【0076】
なお、エッチングによりパターニングされた第2の金属薄膜8は、半導体積層膜SL上ではソース配線25となり、活性領域層AR上ではソース電極24およびドレイン電極26となる。なお、ドレイン電極26は活性領域層AR上から後に画素電極30(図2)が形成される領域上にかけて延在するようにパターニングされる。
【0077】
その後、フォトレジストパターンRP2を除去することで、図13に示されるように、半導体積層膜SL上にはソース配線25が配設され、活性領域層AR上にはソース電極24およびドレイン電極26が配設されることになる。ソース電極24とドレイン電極26との間には半導体膜6が露出した領域となり、当該領域がTFTのチャネル部27となる。
【0078】
なお、フォトレジストパターンRP2は、フォトレジストパターンRP1に比べて外形が一回り小さくなっているので、ソース電極24、ソース配線25およびドレイン電極26を形成する第2の金属薄膜8とオーミックコンタクト膜7の外形は、下層の半導体膜6の外形よりも小さくなり、上方から見ると、ソース配線25およびソース電極24の端面が半導体膜6の何れの端面よりも後退した位置となるように配設され、活性領域層AR上のドレイン電極26の端面も、半導体膜6のほぼ平行な関係にある端面よりも後退した位置となるように配設されている。なお、上記においてほぼ平行としたのは、ドレイン電極26の端面が、必ずしも半導体膜6の端面と平行になるようにパターニングされるとは限らず、ドレイン電極26の端面が半導体膜6の端面に対して傾斜するように形成される場合もあることを想定してのことである。なお、ソース電極24およびソース配線25の端面においても同様の現象が起きることがある。
【0079】
図18には、ソース配線25、ソース電極24およびドレイン電極26の平面図を示す。図18に示すように、ソース電極24はソース配線25から分岐して活性領域層AR上に延在する直線状の形状を有し、ドレイン電極26は、ゲート配線4に沿って延在する直線状の部分を有している。
【0080】
なお上記においては、第2の金属薄膜8としてMo膜を用い、弗素系ガス(SF6+O2混合ガス)を用いたドライエッチング法でエッチングするプロセスを説明したが、金属薄膜材料やエッチングプロセスはこれらに限定されるものではなく、例えば第2の金属薄膜8としてTiを用い、フッ酸+硝酸系のエッチング液を用いてエッチングする方法を採っても良い。
【0081】
次に、図14に示す工程において、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第2の絶縁膜28を形成した後、4回目の写真製版工程で、後に画素電極30(図2)が形成される領域において、少なくともドレイン電極26の表面に達する画素ドレインコンタクトホール29を形成する。
【0082】
より具体的には、化学的気相成長(CVD)法を使用し、窒化シリコン膜(SiNx:xは正数)を約300nmの厚さに形成して第2の絶縁膜28とした後に、上記第4回目の写真製版工程において、画素ドレインコンタクトホール29が形成される部分が開口部となったフォトレジストパターンを形成し、弗素系ガスを用いた公知のドライエッチング法で第2の絶縁膜28のエッチングを行って、ドレイン電極26の表面に達する画素ドレインコンタクトホール29を形成する。
【0083】
図19には、ドレイン電極26上に画素ドレインコンタクトホール29が形成された状態を平面図で示しているが、第2の絶縁膜28については便宜的に記載を省略している。
【0084】
最後に、透明絶縁性基板1上全体を覆うように透明導電性薄膜を成膜した後、第5回目の写真製版工程で、画素ドレインコンタクトホール29を介して下層のドレイン電極26と電気的に接続される画素電極30を形成することで、図2に示されるような断面構成を有するTFTアクティブマトリックス基板100を得ることができる。
【0085】
より具体的には、Arガスを用いた公知のスパッタリング法により、酸化インジウム(In2O3)と酸化スズ(SnO2)とを混合したITO膜を100nmの厚さに成膜した後に、上記第5回目の写真製版工程において、画素電極30が形成される部分がフォトレジストで覆われたフォトレジストパターンを形成し、塩酸+硝酸を含む溶液を用いた公知のウエットエッチングにより、露出したITO膜を除去することで、画素電極30を形成する。
【0086】
<A−3.特徴的作用効果>
以上説明した本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板100においては、ソース配線25、ソース電極24およびドレイン電極26の形成に際しては、まず、不要な部分の第2の金属薄膜8をフォトレジストパターンRP1を用いて除去した後に、フォトレジストパターンRP1をアッシングして薄膜化したフォトレジストパターンRP2を使用してソース配線25、ソース電極24およびドレイン電極26をパターニングするとともにTFTチャネル部をパターニングするので、ゲート電極2、ゲート絶縁膜5、活性領域層AR、ソース電極24およびドレイン電極26で構成されるTFT構造部を3回の写真製版工程で形成可能であり、製造工程を簡略化できる。
【0087】
また、フォトレジストパターンRP1を用いて、比較的広い面積に渡る第2の金属薄膜8の不要な部分を除去し、フォトレジストパターンRP2の開口部23を介して第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7を順次エッチングにより除去してTFTチャネル部27を形成する。
【0088】
このため、第2の金属薄膜8を、a−Si膜である半導体膜6およびn+のa−Si膜であるオーミックコンタクト膜7とエッチング選択性の取れない金属膜で形成する場合、あるいはエッチング選択性のないエッチングプロセスを使用する場合でも、第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7を制御性良く除去することができ、TFTチャネル部27を構成する半導体膜6の膜厚を正確に制御し、かつそのバラツキを抑えることができるので、TFT特性のバラツキに起因する液晶表示装置の表示ムラを防止することができる。なお、これは半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7にアモルファスのSi膜を用いる場合に限定されず、多結晶シリコンを用いる場合でも同様の効果を得ることができる。
【0089】
なお、フォトレジストパターンRP1の形成に際しては、ハーフ露光を行うことで、レジスト材を完全に除去しない領域を形成することができ、当該領域をTFTのチャネル部に対応する領域とすることで、アッシングにより当該部分を除去し、他の部分については薄膜化させるに止めて、フォトレジストパターンRP2の平面方向の大きさ(外形)をフォトレジストパターンRP1よりも一回り小さくすることができる。
【0090】
また、フォトレジストパターンRP2を用いたエッチングにより、ソース電極24、ソース配線25およびドレイン電極26を形成する第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7の外形を、半導体膜パターン6の外形よりも小さくすることで、上方から見た場合にソース配線25およびソース電極24の端面が半導体膜6の何れの端面よりも後退した位置となるように配設され、活性領域層AR上のドレイン電極26の端面も、半導体膜6のほぼ平行な関係にある端面よりも後退した位置となるように配設することができるので、第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7のドライエッチング時に、これらを構成する物質がエッチング面に導電性物質として再付着した場合でも、導電性物質によってソース電極24とドレイン電極26とが電気的に導通することを防止できる。なお、上記においてほぼ平行としたのは、ドレイン電極26の端面が、必ずしも半導体膜6の端面と平行になるようにパターニングされるとは限らず、ドレイン電極26の端面が半導体膜6の端面に対して傾斜するように形成される場合もあることを想定してのことである。なお、ソース電極24およびソース配線25の端面においても同様の現象が起きることがある。
【0091】
この効果について図20および図21を用いてさらに説明する。
図20および図21は。活性領域層ARを含むTFT構造部の構成を示す斜視図であり、図20においては導電性再付着物が形成されていない状態を示し、図21においては導電性再付着物CRが形成された状態を示している。
【0092】
図21に示すように、第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7のドライエッチング時に生成される導電性再付着物CRは、主として半導体膜6の端縁部に堆積され、半導体膜6の主面上での堆積領域は、半導体膜6の端面からの長さで0.2μm程度の幅を有し、半導体膜6端縁部に沿って堆積している。なお、上述した0.2μmは平均値であり、実際には0.1μm程度から最大で0.3μm程度である。
【0093】
なお、半導体膜6の厚さは約150nm(0.15μm)であり、半導体膜6の端面はほぼ全面的に導電性再付着物CRで覆われている。
【0094】
半導体膜6の端縁部にこのような導電性再付着物CRが堆積した場合、ソース電極24、ドレイン電極26およびそれらの下層のオーミックコンタクト膜7が、半導体膜6の端面近傍位置まで延在していると、導電性再付着物CRが電流リークパスとなってソース電極24とドレイン電極26とが電気的に導通し、TFTのオフ時のリーク電流が大きくなるという可能性がある。
【0095】
しかし、本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板100においては、フォトレジストパターンRP2の端面位置が平面方向で、フォトレジストパターンRP1の対応する端面より0.3μm以上後退するように上記アッシング条件を設定し、当該フォトレジストパターンRP2を用いて、第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7をパターニングするので、ソース電極24、ソース配線25、ドレイン電極26およびそれらの下層のオーミックコンタクト膜7の外形は、半導体膜6の外形よりも小さくできる。
【0096】
そのため、図21に示すように半導体膜6の端縁部に導電性再付着物CRが堆積された場合でも、ソース電極24、ドレイン電極26およびそれらの下層のオーミックコンタクト膜7が、導電性再付着物CRに接触することが防止され、導電性再付着物CRが電流リークパスとなってソース電極24とドレイン電極26とが電気的に導通することを防止できる。
【0097】
なお、先に説明したように、フォトレジストパターンRP1の第1の厚さ部分20の膜厚を約0.4μmとしたが、これはハーフ露光による制御性を考慮した値であると同時に、上述したフォトレジストパターンRP2の端面の後退距離を考慮した値である。
【0098】
すなわち、第1の厚さ部分20は酸素プラズマを用いたアッシングにより完全に除去されるが、このアッシングに際して、ほぼ等方的に、かつ、どの場所でもほぼ同じアッシング速度となるように条件を設定することで、フォトレジストパターンRP2の端面においても約0.4μmアッシングされ、その結果、フォトレジストパターンRP2の端面がフォトレジストパターンRP1よりも約0.4μm後退することになる。この値は、導電性再付着物CRの最大幅0.3μmよりも大きいので、導電性再付着物CRによる電流リークパスの形成を確実に防ぐことができる。
【0099】
このように、等方的なアッシングを行うことで、第1の厚さ部分20の厚さによって、フォトレジストパターンRP2の端面の後退距離を設定できるという利点がある。
【0100】
また、本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板100においては、図5を用いて説明したように、画素電極30が形成される画素表示領域には半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7が延在しないようにパターニングしたので、画素表示領域にまで延在するドレイン電極26の下部には半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7が存在していない。このため、画素表示領域にバックライト光が照射される透過型液晶表示装置においてTFTアクティブマトリックス基板100を使用する場合、a−Si膜である半導体膜6に光が照射されることがないので、光励起による電流の発生を抑えることができるので、TFTのオフ特性を劣化を防止することが可能となる。
【0101】
<A−4.変形例>
実施の形態1においては、図7および図8を用いて説明したように、二段階露光によりフォトレジストパターンRP1を形成する例を示したが、これに限定されるものではなく、1回の露光でフォトレジストパターンRP1を形成することもできる。
【0102】
すなわち、図22に示すように、ハーフ露光領域19に対応する部分が、露光光の透過量が約20〜40%となる半透過領域34となり、さらに露光光を完全に透過する透過領域33と、露光光を完全に遮光する遮光領域32とを有するフォトマスクR31を用いて、ノボラック樹脂系のポジ型フォトレジスト9を露光する方法を採ることもできる。
【0103】
半透過領域34を有するフォトマスクR31は、露光に用いる波長領域(通常350nm〜450nm)の光13の透過量を約20〜40%程度に減じるフィルター膜を半透過領域34に対応する位置に形成するか、または、半透過領域34をスリット開口形状のパターンとすることで光回折現象を利用して形成することができる。このような半透過領域34を有するフォトマスクR31を用いた場合は、1回の露光で、図9に示すような第1〜第3の厚さ部分20、21、22を有するフォトレジストパターンRP1を一括形成できるので、写真製版工程を簡略化することが可能となる。
【0104】
<B.実施の形態2>
<B−1.装置構成>
本発明に係る実施の形態2の電気光学表示装置として、TFTをスイッチング素子として用いた有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を備える自発光型の有機EL表示装置のTFTアクティブマトリックス基板200の平面構成を図23に、また、図23におけるB−O−B’線での断面構成を図24に示す。
【0105】
図23は、TFTアクティブマトリックス基板200上の画素の1つを示す平面図であり、TFTアクティブマトリックス基板200上には、このような画素がマトリックス状に複数配設されている。なお、図23および図24において、図1および図2に示したTFTアクティブマトリックス基板100と同様の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0106】
図23に示すように、ガラス基板などの透明絶縁性基板1上に、その一部がゲート電極2を構成するゲート配線4が配設されている。ゲート配線4は、透明絶縁性基板1上において一方向に直線的に延在するように配設されており、ここではその方向をX方向と呼称し、平面内においてX方向に直交する方向をY方向を呼称する。
【0107】
また、ゲート配線4の上方において、両者に直交するように直線状の半導体積層膜SLが設けられている。半導体積層膜SLは、半導体膜6の上にオーミックコンタクト膜7が積層されており、半導体積層膜SLは、Y方向に延在するように間隔を開けて複数配設され、隣り合う半導体積層膜SLによって画素領域40のX方向の大きさが規定される。
【0108】
半導体積層膜SLはY方向に延在するだけでなく、ゲート配線4との交差部において分岐し、ゲート配線4に沿って延在する部分を有するように設けられており、そのうちの半導体膜6の部分がTFTの活性領域層ARを構成する。
【0109】
また、半導体積層膜SLの上部には半導体積層膜SLに沿って直線状のソース配線25が設けられている。ソース配線25は、半導体積層膜SLと同様にゲート配線4との交差部において分岐し、ゲート配線4に沿って延在する部分を有しており、当該部分がTFTのソース電極24を構成する。なお、ソース電極24の下層にはオーミックコンタクト膜7が存在している。
【0110】
また、活性領域層AR上から、陽極電極38(画素電極)の下方の透明絶縁性基板1の上方にかけて延在するようにドレイン電極26Aが配設されている。
【0111】
ソース電極24およびソース配線25は、その端面が半導体膜6の何れの端面よりも後退した位置となるように配設され、活性領域層AR上のドレイン電極26Aの端面も、半導体膜6のほぼ平行な関係にある端面よりも後退した位置となるように配設されている。なお、上記においてほぼ平行としたのは、ドレイン電極26Aの端面が、必ずしも半導体膜6の端面と平行になるようにパターニングされるとは限らず、ドレイン電極26Aの端面が半導体膜6の端面に対して傾斜するように形成される場合もあることを想定してのことである。なお、ソース電極24およびソース配線25の端面においても同様の現象が起きることがある。
【0112】
なお、活性領域層AR上において、ソース電極24とドレイン電極26Aとは間隔を開けて設けられており、両者の間の半導体膜6がTFTチャネル部27となる。また、ドレイン電極26のTFTチャネル部27と平行する位置には、陽極電極38に達する陽極ドレインコンタクトホール29Aが設けられている。
【0113】
また、画素領域40を取り囲むように額縁41が設けられ、額縁41の端縁部より一回り広い領域を有するように電界発光層42が設けられ、電界発光層42の下部には電界発光層42よりも一回り広い領域を有する陽極電極38が設けられている。なお、画素がマトリックス状に複数配設された表示領域上には陰極電極が全面的に設けられ、また、Arのような不活性ガスまたは窒素ガス等を封じ込める封止材が設けられているが、それについては図示は省略している。
【0114】
次に、TFTアクティブマトリックス基板200の断面構成を図24を用いて説明する。
図24に示すように、透明絶縁性基板1上にゲート電極2(ゲート配線4)が配設され、ゲート電極2(ゲート配線4)上を含めて、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第1の絶縁膜5が配設されている。なお、第1の絶縁膜5はゲート電極2の直上の部分においてはゲート絶縁膜として機能する。
【0115】
第1の絶縁膜5上には半導体膜6が配設され、半導体膜6上にはオーミックコンタクト膜7が配設されている。なお、半導体膜6においてTFTチャネル部27となる部分には、オーミックコンタクト膜7は配設されていない。
【0116】
また、オーミックコンタクト膜7の上部にはソース配線25が配設されるが、活性領域層ARにおけるオーミックコンタクト膜7の上部は、TFTチャネル部27を間に挟んで、ソース電極24が配設される部分と、ドレイン電極26が配設される部分とに分かれている。
【0117】
なお、ドレイン電極26は、オーミックコンタクト膜7の上部から半導体膜6の側面および第1の絶縁膜5の上部にかけて延在している。
【0118】
そして、ソース配線25、ソース電極24およびドレイン電極26A上を含めて、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第2の絶縁膜28が配設されている。
【0119】
また、第2の絶縁膜28上全体を覆うように感光性の有機樹脂膜で構成される層間絶縁膜36が配設され、層間絶縁膜36および第2の絶縁膜28を貫通してドレイン電極26A上に達する陽極ドレインコンタクトホール29Aが設けられている。
【0120】
そして、層間絶縁膜36の画素領域40に対応する部分を覆うとともに、陽極ドレインコンタクトホール29Aの内面を覆ってドレイン電極26Aに接触するように反射膜38aが配設されている。さらに、反射膜38a上にはITO膜38bが配設され、反射膜38aとITO膜38bとで陽極電極38を構成している。
【0121】
また、画素領域40を取り囲むように有機樹脂で構成される額縁層41が設けられ、画素領域40に対応する部分が開口部50となっている。なお、額縁層41は隣り合う画素間の層間絶縁膜36上においては平坦面となるように設けられている。
【0122】
そして、開口部50の底面部に対応する陽極電極38の上部には電界発光層42が配設され、また、額縁層41の平坦面上を覆うとともに、開口部50の内面を覆って電界発光層42に接触するように陰極電極43が設けられている。
【0123】
そして、陰極電極43を含めて画素がマトリックス状に複数配設された表示領域上には、Arのような不活性ガスまたはN2ガス等が封じ込められるように封止材44によって覆われている。なお、封止材44は表示領域外において終端し、陰極電極43は表示領域外に設けられた外部からの信号を入力する端子接続部の接地端子に電気的に接続される構成となっている。
【0124】
<B−2.製造方法>
次に、製造工程を順に示す断面図である図25〜図39を用いて、TFTアクティブマトリックス基板200の製造方法について説明する。なお、図25〜図39に示す断面は、図1におけるB−O−B’線での断面に対応する。また、図40〜図46には、各工程における平面図を示している。
【0125】
まず、図25に示す工程において、ガラス基板などの透明絶縁性基板1上に第1の金属薄膜(図示せず)を成膜した後に、第1回目の写真製版工程を経て、少なくともゲート電極2およびゲート配線4をパターニングする。ここで、第1の金属薄膜としては電気的比抵抗値の低いAlやMoあるいはこれらを主成分とする合金を用いることが好ましい。なお、第1の金属薄膜の好適な製造方法については実施の形態1において説明した方法と同じであるので、説明は省略する。
【0126】
図40には、透明絶縁性基板1上に形成されたゲート電極2およびゲート配線4の平面図を示す。
【0127】
次に、図26に示す工程において、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第1の絶縁膜5を形成して、ゲート電極2(ゲート配線4)を覆った後、第1の絶縁膜5上に半導体膜6を成膜し、さらにその上にオーミックコンタクト膜7を成膜する。
【0128】
その後、第2回目の写真製版工程を経て、半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7をパターニングする。このとき、直線状の半導体積層膜SLとともに、TFTが形成される活性領域層ARも規定される。
【0129】
半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7の好適な製造方法については実施の形態1において説明した方法と同じであるので、説明は省略する。
【0130】
図41には、ゲート電極2およびゲート配線4上に一部重なるように半導体積層膜SLおよび活性領域層ARが形成された平面図を示す。
【0131】
半導体膜6は、基本的には活性領域層ARを構成するために設けるものであるが、後に形成されるソース配線の形成領域に合わせて形成される直線状の半導体積層膜SLの構成要素としても使用することで、ソース配線の冗長配線として利用することができ、ソース配線が断線したような場合でも電気信号の途絶を防止することが可能である。
【0132】
次に、図27に示す工程において、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第2の金属薄膜8を成膜する。なお、第2の金属薄膜8の好適な製造方法については実施の形態1において説明した方法と同じであるので、説明は省略する。
【0133】
次に、図28〜図30に示す工程において、第2の金属薄膜8上全体を覆うようにフォトレジスト9を形成し、第3回目の写真製版工程を経て、フォトレジスト9のパターニングを行いフォトレジストパターンRP1を形成する。なお、フォトレジストパターンRP1の形成方法については、図7〜図9を用いて説明した方法と同じであるので、説明は省略する。
【0134】
次に、図31に示す工程において、フォトレジストパターンRP1をマスクとして、第2の金属薄膜8のエッチングを行う。ここでは、SF6ガス+O2ガスの混合ガスを用いた公知のドライエッチング法を用いてエッチングを行った。
【0135】
図42には、半導体積層膜SL上および活性領域層AR上から後に陽極電極38(図24)が形成される領域上にかけて第2の金属薄膜8が形成された平面図を示す。なお、図42ではフォトレジストパターンRP1については記載を省略しているが、第2の金属薄膜8の上部にフォトレジストパターンRP1が存在することは言うまでもない。
【0136】
次に、図32に示す工程において、酸素プラズマを用いた公知のレジストアッシングにより、フォトレジストパターンRP1の第1の厚さ部分20を除去し、第2の厚さ部分21および第3の厚さ部分22については残存させるようにフォトレジストパターンRP1を全体的に薄くすることで、TFTのチャネル部27(図24)に対応する部分が開口部23となったフォトレジストパターンRP2を形成する。
【0137】
このとき、全体の薄膜化に伴って図32に示すようにフォトレジストパターンRP2の平面方向の大きさ(外形)がフォトレジストパターンRP1よりも一回り小さくなるようにレジストアッシングの条件を設定する。
【0138】
次に、図33に示す工程において、フォトレジストパターンRP2の開口部23を介して、第2の金属薄膜8、オーミックコンタクト膜7を順次エッチングにより除去する。これらの膜の好適なエッチング方法については、実施の形態1において説明した方法と同じであるので、説明は省略する。
【0139】
なお、エッチングによりパターニングされた第2の金属薄膜8は、半導体積層膜SL上ではソース配線25となり、活性領域層AR上ではソース電極24およびドレイン電極26Aとなる。なお、ドレイン電極26Aは活性領域層AR上から後に陽極電極38(図24)が形成される領域上にかけて延在するようにパターニングされる。
【0140】
その後、フォトレジストパターンRP2を除去することで、図34に示されるように、半導体積層膜SL上にはソース配線25が配設され、活性領域層AR上にはソース電極24およびドレイン電極26Aが配設されることになる。
【0141】
フォトレジストパターンRP2は、フォトレジストパターンRP1に比べて外形が一回り小さくなっているので、ソース電極24、ソース配線25およびドレイン電極26Aを形成する第2の金属薄膜8とオーミックコンタクト膜7の外形は、下層の半導体膜6の外形よりも小さくなり、上方から見ると、ソース配線25およびソース電極24の端面が半導体膜6の何れの端面よりも後退した位置となるように配設され、活性領域層AR上のドレイン電極26Aの端面も、半導体膜6のほぼ平行な関係にある端面よりも後退した位置となるように配設することができる。なお、上記においてほぼ平行としたのは、ドレイン電極26Aの端面が、必ずしも半導体膜6の端面と平行になるようにパターニングされるとは限らず、ドレイン電極26Aの端面が半導体膜6の端面に対して傾斜するように形成される場合もあることを想定してのことである。なお、ソース電極24およびソース配線25の端面においても同様の現象が起きることがある。
【0142】
図43には、ソース配線25、ソース電極24およびドレイン電極26Aの平面図を示す。図43に示すように、ソース電極24はソース配線25から分岐して活性領域層AR上に延在する直線状の形状を有している。
【0143】
次に、図35に示す工程において、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第2の絶縁膜28を形成した後、感光性の有機樹脂膜で構成される層間絶縁膜36を塗布し、第4回目の写真製版工程で、ドレイン電極26Aの表面まで貫通するコンタクトホール29Aを形成する。
【0144】
なお、第2の絶縁膜28の好適な製造方法については、実施の形態1において説明した方法と同じであるので説明は省略する。
【0145】
層間絶縁膜36の好適な製造方法としては、アクリル系の感光性樹脂膜、例えばJSR(株)製の製品名PC335を約2μmの膜厚となるようにスピンコート法を用いて塗布し、第4回目の写真製版工程により層間絶縁膜36を貫通して第2の絶縁膜28の表面に達するコンタクトホールを形成する。
【0146】
さらに公知の弗素系ガスを用いて、当該コンタクトホール底面の第2の絶縁膜28をエッチング除去することによって、ドレイン電極26Aの表面に達する陽極ドレインコンタクトホール29Aを得る。
【0147】
図44には、ドレイン電極26A上に陽極ドレインコンタクトホール29Aが形成された状態を平面図で示しているが、第2の絶縁膜28については便宜的に記載を省略している。
【0148】
次に、図36に示す工程において、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第3の金属薄膜(図示せず)を成膜し、第5回目の写真製版工程で画素領域40(図24)に陽極電極38を形成する。
【0149】
図45には、画素領域40に対応する部分に陽極電極38が形成された状態を平面図で示している。
【0150】
ここで、第3の金属薄膜の好適な製造方法としては、公知のスパッタリング法を用いてAl(アルミニウム)を主成分として含むAl合金で構成される反射膜38aを約300nmの厚さで成膜した後、スパッタリング法を用いてアモルファスのITO(a−ITO)膜38bを約10nmの厚さで成膜する。
【0151】
その後、上述した第5回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、エッチングを行うことによって陽極電極38をパターニングする。なお、このエッチングは、先に説明した第1および第2の金属薄膜と同様に、公知のドライエッチング法を用いても良いが、ITO膜38bは、公知のリン酸+硝酸+酢酸で構成されるAl合金用エッチング液でエッチングすることが可能であるので、リン酸+硝酸+酢酸を含む溶液を用いて下層のAl合金の反射膜38aと上層のITO膜38bを同時一括エッチングする方法を採っても良い。
【0152】
なお、ITO膜38bには下層の反射膜38aと同時一括エッチングができるという利点の他、仕事関数が、Al合金の4.0eV前後に比べて約5.0eVと高い値を有するので、有機EL材料等で構成される電界発光層に注入するホールキャリアの効率を高めることができ、有機EL表示素子の発光効率を高めることができるという利点も有する。
【0153】
さらに、ITO膜38bはアモルファス状態のため、多結晶質と異なり、結晶粒界の存在による表面の凹凸がほとんどないので、表面凹凸によるホールキャリア注入不良に起因した発光表示不良を防止することが可能である。
【0154】
このような利点を有するアモルファス状態のITO膜38は、例えばArガスに水(H2O)ガスを添加した混合ガス中でのスパッタリング法により形成することができる。
【0155】
また、ITO膜38bの代わりに、酸化インジウム(In2O3)と酸化亜鉛(ZnO)を混合させたIZO膜、あるいはITO膜に酸化亜鉛(ZnO)を混合させたITZO膜などを用いることも可能である。
【0156】
IZO膜やITZO膜は、シュウ酸系エッチング液でエッチングできるが、公知のリン酸+硝酸+酢酸を含むAl合金用エッチング液でもエッチングできるので、下層の反射膜38aと同時一括エッチングが可能である。
【0157】
次に、図37に示す工程において、電界発光層となる有機EL層を形成するための画素領域40(図24)を規定するために、まず、透明絶縁性基板1上全体を覆うようにポリイミド等で構成される有機樹脂層を塗布形成し、第6回目の写真製版工程で、画素領域40に対応する部分が開口部50となった額縁層41を形成する。
【0158】
額縁層41を形成する有機樹脂膜は、有機EL層の特性や信頼性に影響を及ぼす吸着水分の少ないポリイミド系の材料を用いるのが望ましい。
【0159】
額縁層41の好適な製造方法としては、東レ(株)製の製品名DL100を約2μmの膜厚で塗布し、上述した第6回目の写真製版工程を用いて、陽極電極38の表面に達する開口部50を有する額縁層41をパターニング形成する。
【0160】
図46には、画素領域40に対応する部分に開口部50を有する額縁層41が形成された状態を平面図で示している。
【0161】
次に、図38に示す工程において、開口部50の底面に露出する陽極電極38の表面に有機EL材料を形成して電界発光層42を得る。
【0162】
電界発光層42の好適な製造方法としては、公知の蒸着法を用いて、陽極電極38上にホール輸送層、有機EL層、電子輸送層をこの順に積層することで得ることができる。
【0163】
ここで、ホール輸送層としては公知のトリアリールアミン類、芳香族ヒドラゾン類、芳香族置換ピラゾリン類、スチルベン類等の有機系材料から幅広く選択することができ、例えばN,N−ジフェニル−N,N−ビス(3−メチルフェニル)−1,1‘−ジフェニル−4,4’ジアミン(TPD)等を1〜200nmの膜厚で形成する。
【0164】
また、有機EL層としては、公知のジシアノメチレンピラン誘導体(赤色発光)、クマリン系(緑色発光)、キナクリドン系(緑色発光)、テトラフェニルブタジエン系(青色発光)、ジスチリルベンゼン系(青色発光)等の材料を1〜200nmの厚さで形成する。
【0165】
電子輸送層としては公知のオキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、クマリン誘導体等から選ばれる材料を1〜200nmの膜厚で形成する。
【0166】
なお上記においては、電界発光層42をホール輸送層、有機EL層、電子輸送層を順次積層した構成としたが、さらに電界発光層の発光効率を上げるために、ホール輸送層をホール注入層とホール輸送層の2層構造とし、また電子輸送層を電子輸送層と電子注入層の2層構造としても良い。
【0167】
次に、図39に示す工程において、開口部50の内面を含む透明絶縁性基板1上全体を覆うように、ITO膜等の透明導電性膜を成膜し、第7回目の写真製版工程で陰極電極43を形成する。
【0168】
陰極電極43は、陽極電極38の対向電極として電界発光層42を挟むようにして形成され、画素領域40において下層の電界発光層42に接続されるように構成される。なお、陰極電極43は主面が高い平坦性を有していることが好ましい。
【0169】
陰極電極43の好適な製造方法としては、ArガスにH2Oガスを混合させたガス中でスパッタリングすることにより、アモルファス状のa−ITO膜を100nmの厚みで成膜することで得られる。
【0170】
その後、写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、公知のシュウ酸系のエッチング液を用いてエッチングした後に、フォトレジストパターンを除去して陰極電極43を得た。
【0171】
なお、陰極電極43としては、a−ITO膜の代わりにIZO膜あるいはITZO膜を用いることが可能である。
【0172】
最後に、水分や不純物による表示パネルの発光特性の低下を防止するために、電界発光層42を含む画素表示領域全体を、Arのような不活性ガスまたはN2ガス等が封じ込められた封止材44によって封止することで、図24に示されるような断面構成を有するTFTアクティブマトリックス基板200を得ることができる。
【0173】
なお、封止材44としては透明なガラス材を用い、TFTアクティブマトリックス基板200の表示パネルの外周部分にシール剤を形成し、圧着することにより封止を行った。
【0174】
<B−3.特徴的作用効果>
以上説明した本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板200においては、ゲート電極2、ゲート絶縁膜5、活性領域層AR、ソース電極24およびドレイン電極26Aで構成されるTFT構造部を3回の写真製版工程で形成可能であり、製造工程を簡略化できる。
【0175】
また、フォトレジストパターンRP1を用いて、比較的広い面積に渡る第2の金属薄膜8の不要な部分を除去し、フォトレジストパターンRP2の開口部23を介して第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7を順次エッチングにより除去してTFTチャネル部27を形成する。
【0176】
このため、第2の金属薄膜8を、a−Si膜である半導体膜6およびn+のa−Si膜であるオーミックコンタクト膜7とエッチング選択性の取れない金属膜で形成する場合、あるいはエッチング選択性のないエッチングプロセスを使用する場合でも、第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7を制御性良く除去することができ、TFTチャネル部27を構成する半導体膜6の膜厚を正確に制御し、かつそのバラツキを抑えることができるので、TFT特性のバラツキに起因する有機EL表示装置の表示ムラを防止することができる。
【0177】
また、フォトレジストパターンRP2を用いたエッチングにより、ソース電極24、ソース配線25およびドレイン電極26Aを形成する第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7の外形を、半導体膜パターン6の外形よりも小さくすることで、上方から見た場合に、ソース配線25およびソース電極24の端面が半導体膜6の何れの端面よりも後退した位置となるように配設され、活性領域層AR上のドレイン電極26の端面も、半導体膜6のほぼ平行な関係にある端面よりも後退した位置となるように配設することができるので、第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7のドライエッチング時に、これらを構成する物質がエッチング面に導電性物質として再付着した場合でも、これら導電性物質によってソース電極24とドレイン電極26Aとが電気的に導通することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の構成を示す平面図である。
【図2】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の構成を示す断面図である。
【図3】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板をマトリックス状に配設した状態を示す平面図である。
【図4】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図6】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図7】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図8】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図9】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図10】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図11】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図12】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図13】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図14】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図15】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図16】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図17】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図18】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図19】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図20】TFT構造部を示す斜視図である。
【図21】導電性再付着物が形成されたTFT構造部を示す斜視図である。
【図22】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程の変形例を示す断面図である。
【図23】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の構成を示す平面図である。
【図24】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の構成を示す断面図である。
【図25】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図26】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図27】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図28】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図29】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図30】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図31】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図32】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図33】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図34】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図35】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図36】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図37】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図38】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図39】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図40】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図41】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図42】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図43】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図44】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図45】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図46】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【符号の説明】
【0179】
4 ゲート配線、6 半導体膜、7 オーミックコンタクト膜、8 第2の金属薄膜、23 開口部、24 ソース電極、25 ソース配線、26 ドレイン電極、27 TFTチャネル部、30 画素電極、AR 活性領域層、RP1,RP2 フォトレジストパターン。
【技術分野】
【0001】
本発明は電気光学表示装置およびその製造方法に関し、特に、薄膜トランジスタ(TFT)をスイッチング素子として備えたアクティブマトリックス型の電気光学表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学素子として液晶や有機EL(エレクトロルミネッセンス)を用いた電気光学表示装置には、基板上に薄膜トランジスタ等のスイッチング素子をアレイ状に設けて各表示画素に独立した映像信号を印加するアクティブマトリックス型のTFTアレイ基板が広く用いられるようになっている。
【0003】
このような電気光学表示装置の生産性を向上させるためには、TFTアレイ基板の製造工程数を削減することが必要であり、例えば特許文献1には、図54〜図63を用いて、写真製版工程数を削減する技術が開示されており、TFTアレイ基板を5回の写真製版工程で製造する方法が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献1の図58、59に示すTFTのソース・ドレイン電極とチャネル部の製造工程において、ソース・ドレイン電極となるTi(チタン)等の金属膜を成膜した後に、写真製版工程を用いてレジストをパターニングし、HF+H2Oの組成のエッチング液を用いたウエットエッチングを行って、Ti膜と半導体層のオーミックコンタクト(n+のアモルファスシリコン(a−Si))膜をエッチングしてソース・ドレイン電極とチャネル部を形成するプロセスが開示されている。
【0005】
しかしながら、この場合は、まず第1のエッチング工程として厚さ約300nmのTi膜を除去した後、連続した第2のエッチング工程として厚さ約20nmのオーミックコンタクト膜が除去される。
【0006】
通常、第1のエッチング工程では、Ti膜が一通り除去された後にエッチング残りを防ぐ目的で、さらにオーバーエッチングが行われる。オーバーエッチングの時間は、エッチング残りの厚さのばらつきを考慮して、エッチングの基板面内分布に基づいてエッチング速度の最も遅い領域がエッチングされた時間を起点として決定される。
【0007】
この場合、第2のエッチング工程は、Ti膜が完全に除去された時点から始まるので、Ti膜のエッチング速度分布によってエッチング時間にバラツキが生じることになる。この第2のエッチング工程の時間のバラツキは、TFTチャネル部となるa−Si膜の膜厚のバラツキの原因となる。このバラツキはTFTのオンオフ特性のバラツキとなり、表示ムラ等の不良を生じさせる可能性を有している。
【0008】
また、上記プロセスにおいて、Ti膜とオーミックコンタクト膜(n+のa−Si膜)を、ウエットエッチングではなく、ガスを用いたドライエッチングにより除去することも考えられる。しかしながら、Ti膜の一般的なドライエッチングガスであるCl2(塩素)ガスを用いたドライエッチングでは、n+のa−Si膜のエッチング速度はTi膜とほぼ同等であるので、上述したTFTチャネル部となるa−Si膜の膜厚の制御が難しく、バラツキの問題は発生してしまう。
【0009】
このような問題を解決する方法として、ソース・ドレイン電極を、a−Si膜とエッチング選択性の取れる金属膜で形成する方法が考えられる。例えば、Cr(クロム)膜あるいはMo(モリブデン)膜を成膜した後に写真製版工程を用いてレジストをパターニングし、第1のエッチング工程として例えばCr膜の場合は硝酸セリウムアンモニウム+硝酸系の組成のエッチング液を、Mo膜の場合は、リン酸+硝酸+酢酸系の組成のエッチング液を用いてウエットエッチングを行い、Cr膜あるいはMo膜をパターニングしてソース・ドレイン電極を形成する。このウエットエッチング工程ではオーミックコンタクト膜(n+のa−Si膜)はエッチングされることはない。
【0010】
次に、第2のエッチング工程としてCl2ガス、またはCF4(あるいはSF6)+O2ガスを用いたドライエッチング法によりオーミックコンタクト膜(n+のa−Si膜)をエッチングしてTFTのチャネル部を露出させる。この場合、チャネル部のa−Si膜の膜厚のバラツキの制御は、第2のエッチング工程のプロセスのみで制御することが可能である。
【0011】
しかしながら、このような方法では、ソース・ドレイン電極として用いる金属膜の種類や、加工プロセスが著しく制限されてしまうという問題がある。
【0012】
例えばソース・ドレイン電極を精度良く微細な加工を行いたいときに、ウエットエッチング法よりも加工精度に優れるドライエッチング法を適用しようとすると、例えばCr膜の場合には公知のCl2ガスを、Mo膜の場合には公知の弗素系ガス(CF4あるいはSF6)を用いたドライエッチングが一般的なプロセスであるが、この場合はn+のa−Si膜のエッチング速度はCr膜やMo膜とほぼ同等であるので、上述のTi膜の場合と同様の問題を生じてしまう。
【0013】
また、ソース・ドレイン電極を、a−Si膜とエッチング選択性の取れる金属膜で形成する場合には、金属膜がCr膜、Mo膜あるいはAl(アルミニウム)膜に限られてしまうので、例えば、電気抵抗や耐熱性や耐食性等の要求に対して、金属膜を最適化したい場合にはその選択幅が非常に狭くなるため、電気光学表示装置として充分な特性が得られないという問題もあった。
【0014】
一方、特許文献2には、ソース・ドレイン層の半導体層を形成する際のレジストパターンにおいて、予め半導体層のチャネル形成部分上のレジスト膜厚が薄くなるようにしておき、ドライエッチングガスに酸素ガスを混合したドライエッチング法を用いてソース・ドレイン層となる半導体膜(a−Si膜)をエッチングすると同時に、上記膜厚の薄い部分のレジストをアッシング効果によってエッチングすることによって、時間差を設けてチャネル部となるn+のa−Si膜をエッチングする方法が開示されている。
【0015】
しかしながらこのような方法では、数百mm×数百mmに及ぶ広い領域の半導体膜をエッチングしながら、同時に数μm〜十数μmという非常に狭い領域のレジストのアッシングと、その下層のn+のa−Si膜をエッチングすることになるので、チャネル部となるa−Si膜の膜厚の制御が難しく、バラツキの問題は発生してしまう。
【0016】
さらに、この後にソース・ドレイン電極を形成するので、a−Si膜とのエッチング選択性を有する金属膜材料を使用せざるを得ず、ソース・ドレイン電極の材料の選択幅が非常に狭くなるという問題点は依然として残る。
【0017】
【特許文献1】特開平8−50308号公報
【特許文献2】特開平10−163174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
以上説明したように、特許文献1に開示の技術では、TFTチャネル部となるa−Si膜の膜厚にバラツキが生じ、それがTFTのオンオフ特性のバラツキとなって、表示ムラ等の不良を生じさせる可能性があった。
【0019】
また、ソース・ドレイン電極を、a−Si膜とエッチング選択性の取れる金属膜で形成する方法を採る場合には、ソース・ドレイン電極として用いる金属膜の種類や、加工プロセスが著しく制限されてしまうという問題があった。
【0020】
また、特許文献2に開示の技術では、ソース・ドレイン層の半導体パターンを形成する際のレジストパターンにおいて、予め半導体パターンのチャネル形成部分上のレジスト膜厚が薄くなるようにしておき、ドライエッチングガスに酸素ガスを混合したドライエッチング法を用いてソース・ドレイン層となる半導体膜(a−Si膜)をエッチングすると同時に、上記膜厚の薄い部分のレジストをアッシング効果によってエッチングすることになるが、数百mm×数百mmに及ぶ広い領域の半導体膜のエッチングと、数μm〜十数μmという非常に狭い領域のレジストのアッシングと、その下層のn+のa−Si膜のエッチングとを同時に行うことになるので、チャネル部となるa−Si膜の膜厚の制御が難しく、膜厚にバラツキが生じるという問題があった。
【0021】
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、アクティブマトリックス型の電気光学表示装置において、ゲート電極、ゲート絶縁膜、チャネル部、ソース・ドレイン層およびソース・ドレイン電極で構成されるTFT構造部の製造工程を簡略化するとともに、ソース・ドレイン電極の材質を限定せずとも、TFTチャネル部となる半導体層の膜厚を正確に制御し、そのバラツキを抑えてTFT特性のバラツキに起因する表示ムラを防止した電気光学表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明に係る請求項1記載の電気光学表示装置によれば、絶縁性基板と、前記絶縁性基板上にアレイ状に配設され、薄膜トランジスタが電気的に接続された画素電極を有する複数の表示画素と、前記薄膜トランジスタを順次的に走査選択するゲート配線と、前記画素電極に電気信号を与えるソース配線とを有し、前記ゲート配線と前記ソース配線とが平面視的に直交してマトリックス状をなすアクティブマトリックス基板を備えた電気光学表示装置であって、前記薄膜トランジスタは、前記ソース配線の下層に配設された半導体膜から分岐した活性領域層と、前記活性領域層上に間隔を開けて選択的に配設されたソース電極およびドレイン電極とを有し、前記活性領域層上において、少なくとも前記ソース電極は、その端面位置が前記活性領域層のいずれの端面位置よりも所定距離以上後退した位置となるように配設され、前記ドレイン電極は、前記活性領域層上から画素表示領域の前記絶縁性基板の上方にかけて延在するように配設され、前記画素表示領域における前記ドレイン電極の下層には前記活性領域層を有していない。
【0023】
本発明に係る請求項3記載の電気光学表示装置の製造方法によれば、絶縁性基板と、前記絶縁性基板上にアレイ状に配設され、薄膜トランジスタが電気的に接続された画素電極を有する複数の表示画素と、前記薄膜トランジスタを順次的に走査選択するゲート配線と、前記画素電極に電気信号を与えるソース配線とを有し、前記ゲート配線と前記ソース配線とが平面視的に直交してマトリックス状をなすアクティブマトリックス基板を備えた電気光学表示装置の製造方法であって、前記絶縁性基板上に第1の導電性薄膜を成膜した後に第1回目の写真製版を行って前記ゲート配線をパターニングする工程(a)と、前記ゲート配線の上方に、半導体膜およびオーミックコンタクト膜を順に成膜した後、第2回目の写真製版を行って、前記半導体膜および前記オーミックコンタクト膜をパターニングして、前記ソース配線の下層膜を形成するとともに、前記半導体膜から分岐した活性領域層を形成する工程(b)と、前記工程(b)の後に、前記絶縁性基板上の全面に渡って第2の導電性薄膜を成膜した後、前記第2の導電性薄膜をパターニングする工程(c)とを備え、前記工程(c)は、第3回目の写真製版を行って前記第2の導電性薄膜上に、前記下層膜上および前記活性領域層上から画素表示領域の前記絶縁性基板の上方にかけて延在するとともに、前記薄膜トランジスタのチャネル部に対応するチャネル対応部が、他の部分よりも薄くなった第1のレジストパターンを形成する工程(c−1)と、前記第1のレジストパターンに覆われない前記第2の導電性薄膜をエッチングにより除去する工程(c−2)と、前記工程(c−2)の後に、前記第1のレジストパターンをアッシングして薄膜化するとともに、前記チャネル対応部を除去して開口部となった第2のレジストパターンを形成する工程(c−3)と、前記第2のレジストパターンの前記開口部を介して、前記チャネル部に対応する前記第2の導電性薄膜および前記オーミックコンタクト膜を順次エッチングにより除去するとともに、前記第2のレジストパターンで覆われない前記第2の導電性薄膜および前記オーミックコンタクト膜を順次エッチングにより除去することで、前記活性領域層上に間隔を開けてソース電極およびドレイン電極をパターニングするとともに、前記ソース配線をパターニングする工程(c−4)とを有している。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る請求項1記載の電気光学表示装置によれば、前記活性領域層上において、少なくとも前記ソース電極は、その端面位置が前記活性領域層のいずれの端面位置よりも所定距離以上後退した位置となるように配設されるので、ソース電極およびドレイン電極のパターニング時に、これらを構成する物質が活性領域層の端面に導電性物質として再付着した場合でも、これら導電性物質によってソース電極とドレイン電極とが電気的に導通することを防止できる。また、画素表示領域におけるドレイン電極の下層には活性領域層を有していないので、画素表示領域にバックライト光が照射される透過型液晶表示装置に本発明を適用する場合には、活性領域層に光が照射されることがないので、光励起による電流の発生を抑えることができるので、薄膜トランジスタのオフ特性を劣化を防止することが可能となる。
【0025】
本発明に係る請求項3記載の電気光学表示装置の製造方法によれば、第2の導電性薄膜をパターニングする工程(c)において、第3回目の写真製版によって第1のレジストパターンを形成し、まず、第1のレジストパターンに覆われない第2の導電性薄膜の不要部分をエッチングで除去し、その後、第1のレジストパターンをアッシングして第2のレジストパターンを形成し、第2のレジストパターンの開口部を介して、チャネル部に対応する第2の導電性薄膜およびオーミックコンタクト膜を順次エッチングにより除去するとともに、第2のレジストパターンで覆われない第2の導電性薄膜およびオーミックコンタクト膜を順次エッチングにより除去することで、活性領域層上にソース電極およびドレイン電極をパターニングするとともに、ソース配線をパターニングするので、薄膜トランジスタを3回の写真製版工程で形成可能であり、製造工程を簡略化できる。また、第1のレジストパターンをアッシングして薄膜化するとともに、チャネル対応部を除去して開口部となった第2のレジストパターンを形成するので、第2のレジストパターンは、第1のレジストパターンよりも平面方向の大きさも小さくなり、当該第2のレジストパターンを用いたエッチングにより、少なくともソース電極は、その端面位置が活性領域層のいずれの端面位置よりも所定距離以上後退した位置となるように配設することができるので、第2の導電性薄膜およびオーミックコンタクト膜のドライエッチング時に、これらを構成する物質がエッチング面に導電性物質として再付着した場合でも、これら導電性物質によってソース電極とドレイン電極とが電気的に導通することを防止できる。また、第2のレジストパターンの開口部を介して、チャネル部に対応する第2の導電性薄膜およびオーミックコンタクト膜を順次エッチングにより除去するので、第2の導電性薄膜を、半導体膜およびオーミックコンタクト膜とエッチング選択性の取れない金属膜で形成する場合、あるいはエッチング選択性のないエッチングプロセスを使用する場合でも、第2の導電性薄膜およびオーミックコンタクト膜を制御性良く除去することができ、薄膜トランジスタのチャネル部を構成する半導体膜の膜厚を正確に制御し、かつそのバラツキを抑えることができるので、薄膜トランジスタ特性のバラツキに起因する表示装置の表示ムラを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
<A.実施の形態1>
<A−1.装置構成>
本発明に係る実施の形態1の電気光学表示装置として、TFTをスイッチング素子として用いた透過型液晶表示装置のTFTアクティブマトリックス基板100の平面構成を図1に、また、図1におけるA−O−A’線での断面構成を図2に示す。
【0027】
図1は、TFTアクティブマトリックス基板100上の画素の1つを示す平面図であり、TFTアクティブマトリックス基板100上には、このような画素がマトリックス状に複数配設されている。
【0028】
図1に示すように、ガラス基板などの透明絶縁性基板1上に、その一部がゲート電極2を構成するゲート配線4が配設されている。ゲート配線4は、透明絶縁性基板1上において一方向に直線的に延在するように配設されており、ここではその方向をX方向と呼称し、平面内においてX方向に直交する方向をY方向を呼称する。
【0029】
また、ゲート配線4と間隔を開けてゲート配線4に平行するように延在する補助容量電極3が配設され、ゲート配線4と補助容量電極3とによって画素電極30のY方向の大きさが規定される。
【0030】
補助容量電極3は、蓄積容量電極とも呼称され、各画素ごとに接続されるTFTがオフになった後もTFTから与えられた駆動電圧を保持するキャパシタを構成する電極であり、ゲート電極2とは独立した構成を採っている。なお、補助容量電極3は、容量を増やすために、画素電極30のY方向に沿った2つの端縁部の下方において、Y方向に延在する補助容量電極31を含んでいる。
【0031】
また、ゲート配線4および補助容量電極3の上方において、両者に直交するように直線状の半導体積層膜SLが設けられている。半導体積層膜SLは、半導体膜6の上にオーミックコンタクト膜7が積層されており、半導体積層膜SLは、Y方向に延在するように間隔を開けて複数配設され、隣り合う半導体積層膜SLによって画素電極30のX方向の大きさが規定される。なお、半導体積層膜SLは補助容量電極31の上方には重ならないように配設されている。
【0032】
半導体積層膜SLは、ゲート配線4との交差部において分岐し、ゲート配線4に沿って延在する部分を有するように設けられており、そのうちの半導体膜6の部分がTFTの活性領域層ARを構成する。
【0033】
また、半導体積層膜SLの上部には半導体積層膜SLに沿って直線状のソース配線25が設けられている。ソース配線25は、半導体積層膜SLと同様にゲート配線4との交差部において分岐し、ゲート配線4に沿って延在する部分を有しており、当該部分がTFTのソース電極24を構成する。なお、ソース電極24の下層にはオーミックコンタクト膜7が存在している。
【0034】
また、活性領域層AR上から、画素電極30の下方の透明絶縁性基板1の上方にかけて延在するようにドレイン電極26が配設されている。ドレイン電極26は、画素電極30のX方向に沿った端縁部の下方において、X方向に延在する部分も有している。
【0035】
ソース電極24およびソース配線25は、その端面が半導体膜6の何れの端面よりも後退した位置となるように配設され、活性領域層AR上のドレイン電極26の端面も、半導体膜6のほぼ平行な関係にある端面よりも後退した位置となるように配設されている。なお、上記においてほぼ平行としたのは、ドレイン電極26の端面が、必ずしも半導体膜6の端面と平行になるようにパターニングされるとは限らず、ドレイン電極26の端面が半導体膜6の端面に対して傾斜するように形成される場合もあることを想定してのことである。なお、ソース電極24およびソース配線25の端面においても同様の現象が起きることがある。
【0036】
なお、活性領域層AR上において、ソース電極24とドレイン電極26とは間隔を開けて設けられており、両者の間の半導体膜6がTFTチャネル部27となる。また、ドレイン電極26のTFTチャネル部27と平行する位置には、画素電極30に達する画素ドレインコンタクトホール29が設けられている。
【0037】
次に、TFTアクティブマトリックス基板100の断面構成を図2を用いて説明する。
図2に示すように、透明絶縁性基板1上にゲート電極2(ゲート配線4)および補助容量電極3が配設され、ゲート電極2(ゲート配線4)上および補助容量電極3上を含めて、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第1の絶縁膜5が配設されている。なお、第1の絶縁膜5はゲート電極2の直上の部分においてはゲート絶縁膜として機能する。
【0038】
第1の絶縁膜5上には半導体膜6が配設され、半導体膜6上にはオーミックコンタクト膜7が配設されている。なお、半導体膜6においてTFTチャネル部27となる部分には、オーミックコンタクト膜7は配設されていない。
【0039】
また、オーミックコンタクト膜7の上部にはソース配線25が配設されるが、活性領域層ARにおけるオーミックコンタクト膜7の上部は、TFTチャネル部27を間に挟んで、ソース電極24が配設される部分と、ドレイン電極26が配設される部分とに分かれている。
【0040】
なお、ドレイン電極26は、オーミックコンタクト膜7の上部から半導体膜6の側面および第1の絶縁膜5の上部にかけて延在している。
【0041】
そして、ソース配線25、ソース電極24およびドレイン電極26上を含めて、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第2の絶縁膜28が配設され、第2の絶縁膜28上には画素電極30が配設されている。
【0042】
画素電極30は、第2の絶縁膜28を貫通してドレイン電極26上に達する画素ドレインコンタクトホール29内にも埋め込まれ、画素電極30とドレイン電極26とが電気的に接続されている。
【0043】
図3は、マトリックス状に配設された複数の画素を表す平面図であり、Y方向において隣り合う画素のゲート配線4と補助容量電極3とは重なり合わないように間隔を開けて配設されている。
【0044】
<A−2.製造方法>
次に、製造工程を順に示す断面図である図4〜図14を用いて、TFTアクティブマトリックス基板100の製造方法について説明する。なお、図4〜図14に示す断面は、図1におけるA−O−A’線での断面に対応する。また、図15〜図19には、各工程における平面図を示している。
【0045】
まず、図4に示す工程において、ガラス基板などの透明絶縁性基板1上に第1の金属薄膜(図示せず)を成膜した後に、第1回目の写真製版工程を経て、少なくともゲート電極2、補助容量電極3、およびゲート配線4をパターニングする。
【0046】
ここで、第1の金属薄膜としては電気的比抵抗値の低いAl(アルミニウム)やMo(モリブデン)あるいはこれらを主成分とする合金を用いることが好ましい。
【0047】
第1の金属薄膜としてMoを用いる場合の好適な製造方法としては、アルゴン(Ar)ガスを用いた公知のスパッタリング法により、Mo膜を200nmの厚さで成膜する。
【0048】
この場合のスパッタリング条件は、DCマグネトロンスパッタリング方式を使用し、成膜パワー密度3W/cm2、Arガス流量40sccmとする。
【0049】
なお、上述した第1回目の写真製版工程では、フォトレジストパターンを形成し、六弗化硫黄(SF6)ガス+酸素(O2)ガスの混合ガスを用いた公知のドライエッチング法によりMo膜をエッチングする。このときのMo膜のエッチング速度は約200nm/分とする。
【0050】
その後、フォトレジストパターンを除去してゲート電極2、補助容量電極3、およびゲート配線4を得る。
【0051】
図15には、透明絶縁性基板1上に形成されたゲート電極2、補助容量電極3およびゲート配線4の平面図を示す。
【0052】
次に、図5に示す工程において、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第1の絶縁膜5を形成して、ゲート電極2(ゲート配線4)および補助容量電極3を覆った後、第1の絶縁膜5上に半導体膜6を成膜し、さらにその上にオーミックコンタクト膜7を成膜する。
【0053】
その後、第2回目の写真製版工程を経て、半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7をパターニングする。このとき、直線状の半導体積層膜SLとともに、TFTが形成される活性領域層ARも規定される。
【0054】
また、半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7のパターニングに際しては、後に画素電極30(図2)が形成される画素表示領域には半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7が延在しないようにパターニングを行う。
【0055】
半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7の好適な製造方法としては化学的気相成長(CVD)法を使用し、窒化シリコン膜(SiNx:xは正数)を約400nmの厚さに形成して第1の絶縁膜5とし、アモルファスシリコン(a−Si)膜を約150nmの厚さに形成して半導体膜6とし、リン(P)を不純物として添加したn+のアモルファスシリコン(n+のa−Si)膜を約50nmの厚さに形成してオーミックコンタクト膜7とする。
【0056】
なお、上述した第2回目の写真製版工程では、フォトレジストパターンを形成し、六弗化硫黄(SF6)ガス+塩素(HCl)ガス+ヘリウム(He)の混合ガスを用いた公知のドライエッチング法により、半導体膜6(a−Si膜)およびオーミックコンタクト膜7(n+のa−Si膜)をエッチングする。このときのエッチングレートは約300nm/分とする。
【0057】
その後、フォトレジストパターンを除去して、直線状の半導体積層膜SLを得るとともに、活性領域層ARを得る。図16には、ゲート電極2、ゲート配線4および補助容量電極3上に一部重なるように半導体積層膜SLおよび活性領域層ARが形成された平面図を示す。
【0058】
半導体膜6は、基本的には活性領域層ARを構成するために設けるものであるが、後に形成されるソース配線の形成領域に合わせて直線状の半導体積層膜SLの構成要素としても使用することで、ソース配線の冗長配線として利用することができ、ソース配線が断線したような場合でも電気信号の途絶を防止することが可能である。
【0059】
次に、図6に示す工程において、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第2の金属薄膜8を成膜する。
【0060】
ここで、第2の金属薄膜8としてMoを用いる場合の好適な製造方法としては、Arガスを用いた公知のスパッタリング法により、Mo膜を200nmの厚さで成膜する。
【0061】
この場合のスパッタリング条件は、DCマグネトロンスパッタリング方式を使用し、成膜パワー密度3W/cm2、Arガス流量40sccmとする。
【0062】
次に、図7〜図9に示す工程において、第2の金属薄膜8上全体を覆うようにフォトレジスト9を形成し、第3回目の写真製版工程を経て、フォトレジスト9のパターニングを行う。
【0063】
まず、図7に示す工程において、ノボラック樹脂系のポジ型フォトレジスト9をスピンコータにより約1.6μmの厚さで塗布し、120℃で約90秒のプリベークを行った後に、フォトマスクR10を用いて第1の露光を行う。
【0064】
フォトマスクR10は、露光光13を完全に透過する透過領域12と露光光13を完全に遮光する遮光領域11とを有するような構成とし、第1の露光によって、まずフォトレジスト9には完全に露光される露光領域15と、全く露光されない非露光領域14とを形成する。
【0065】
次に、図8に示す工程において、フォトマスクR16を用いて第2の露光を行う。フォトマスクR16は、TFTのチャネル部に対応する領域のみが露光光を透過する透過領域17となっており、これ以外の領域では露光光を全く透過しない遮光領域16となっている。
【0066】
そして、第2の露光においては、フォトレジスト9を完全に露光するのではなく、露光した部分が、現像後に薄い膜厚で残存するように、第1の露光の約20〜40%の強度の露光光18で露光を行う、いわゆるハーフ露光であり、フォトレジスト9にはハーフ露光領域19が形成される。
【0067】
以上のようにフォトレジスト9に対して二段階露光を行った後、有機アルカリ系の現像液で現像を行い、120℃で約180秒のポストベークを行うことで、図9に示すようにTFTのチャネル部に対応する第1の厚さ部分20(チャネル対応部)と、この第1の厚さ部分20よりも厚い第2の厚さ部分21と、第2の厚さ部分21よりも厚い第3の厚さ部分22の少なくとも3種類以上の異なる膜厚を有するフォトレジストパターンRP1が形成される。
【0068】
なお、各部分での厚さの一例は、第1の厚さ部分20の膜厚が約0.4μm、第2の厚さ部分21の膜厚が約1.4μm、第3の厚さ部分22の膜厚が約1.6μm(または1.6μm以上)である。
【0069】
なお、第2の厚さ部分21は、半導体積層膜SL上および活性領域層AR上に形成され、第3の厚さ部分22は、後に画素電極30(図2)が形成される領域上に形成される。
【0070】
次に、図10に示す工程において、フォトレジストパターンRP1をマスクとして、第2の金属薄膜8のエッチングを行う。ここでは、SF6ガス+O2ガスの混合ガスを用いた公知のドライエッチング法を用いてエッチングを行った。
【0071】
図17には、半導体積層膜SL上および活性領域層AR上から後に画素電極30(図2)が形成される領域上にかけて第2の金属薄膜8が形成された平面図を示す。なお、図17ではフォトレジストパターンRP1については記載を省略しているが、第2の金属薄膜8の上部にフォトレジストパターンRP1が存在することは言うまでもない。
【0072】
次に、図11に示す工程において、酸素プラズマを用いた公知のレジストアッシングにより、フォトレジストパターンRP1の第1の厚さ部分20を除去し、第2の厚さ部分21および第3の厚さ部分22については残存させるようにフォトレジストパターンRP1を全体的に薄くすることで、TFTのチャネル部27(図2)に対応する部分が開口部23となったフォトレジストパターンRP2を形成する。
【0073】
このとき、全体の薄膜化に伴って図11に示すようにフォトレジストパターンRP2の平面方向の大きさ(外形)がフォトレジストパターンRP1よりも一回り小さくなるようにレジストアッシングの条件を設定する。
【0074】
次に、図12に示す工程において、フォトレジストパターンRP2の開口部23を介して、第2の金属薄膜8、オーミックコンタクト膜7を順次エッチングにより除去する。
【0075】
ここで、これらの膜の好適なエッチング方法としては、SF6ガス+O2ガスの混合ガスを用いた公知のドライエッチング法を使用し、エッチングレートは何れの膜においても200〜300nm/分とする。このように、第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7の何れも、同じエッチングレートで除去することで、これらの膜をほぼ一様に一括してエッチングすることができる。
【0076】
なお、エッチングによりパターニングされた第2の金属薄膜8は、半導体積層膜SL上ではソース配線25となり、活性領域層AR上ではソース電極24およびドレイン電極26となる。なお、ドレイン電極26は活性領域層AR上から後に画素電極30(図2)が形成される領域上にかけて延在するようにパターニングされる。
【0077】
その後、フォトレジストパターンRP2を除去することで、図13に示されるように、半導体積層膜SL上にはソース配線25が配設され、活性領域層AR上にはソース電極24およびドレイン電極26が配設されることになる。ソース電極24とドレイン電極26との間には半導体膜6が露出した領域となり、当該領域がTFTのチャネル部27となる。
【0078】
なお、フォトレジストパターンRP2は、フォトレジストパターンRP1に比べて外形が一回り小さくなっているので、ソース電極24、ソース配線25およびドレイン電極26を形成する第2の金属薄膜8とオーミックコンタクト膜7の外形は、下層の半導体膜6の外形よりも小さくなり、上方から見ると、ソース配線25およびソース電極24の端面が半導体膜6の何れの端面よりも後退した位置となるように配設され、活性領域層AR上のドレイン電極26の端面も、半導体膜6のほぼ平行な関係にある端面よりも後退した位置となるように配設されている。なお、上記においてほぼ平行としたのは、ドレイン電極26の端面が、必ずしも半導体膜6の端面と平行になるようにパターニングされるとは限らず、ドレイン電極26の端面が半導体膜6の端面に対して傾斜するように形成される場合もあることを想定してのことである。なお、ソース電極24およびソース配線25の端面においても同様の現象が起きることがある。
【0079】
図18には、ソース配線25、ソース電極24およびドレイン電極26の平面図を示す。図18に示すように、ソース電極24はソース配線25から分岐して活性領域層AR上に延在する直線状の形状を有し、ドレイン電極26は、ゲート配線4に沿って延在する直線状の部分を有している。
【0080】
なお上記においては、第2の金属薄膜8としてMo膜を用い、弗素系ガス(SF6+O2混合ガス)を用いたドライエッチング法でエッチングするプロセスを説明したが、金属薄膜材料やエッチングプロセスはこれらに限定されるものではなく、例えば第2の金属薄膜8としてTiを用い、フッ酸+硝酸系のエッチング液を用いてエッチングする方法を採っても良い。
【0081】
次に、図14に示す工程において、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第2の絶縁膜28を形成した後、4回目の写真製版工程で、後に画素電極30(図2)が形成される領域において、少なくともドレイン電極26の表面に達する画素ドレインコンタクトホール29を形成する。
【0082】
より具体的には、化学的気相成長(CVD)法を使用し、窒化シリコン膜(SiNx:xは正数)を約300nmの厚さに形成して第2の絶縁膜28とした後に、上記第4回目の写真製版工程において、画素ドレインコンタクトホール29が形成される部分が開口部となったフォトレジストパターンを形成し、弗素系ガスを用いた公知のドライエッチング法で第2の絶縁膜28のエッチングを行って、ドレイン電極26の表面に達する画素ドレインコンタクトホール29を形成する。
【0083】
図19には、ドレイン電極26上に画素ドレインコンタクトホール29が形成された状態を平面図で示しているが、第2の絶縁膜28については便宜的に記載を省略している。
【0084】
最後に、透明絶縁性基板1上全体を覆うように透明導電性薄膜を成膜した後、第5回目の写真製版工程で、画素ドレインコンタクトホール29を介して下層のドレイン電極26と電気的に接続される画素電極30を形成することで、図2に示されるような断面構成を有するTFTアクティブマトリックス基板100を得ることができる。
【0085】
より具体的には、Arガスを用いた公知のスパッタリング法により、酸化インジウム(In2O3)と酸化スズ(SnO2)とを混合したITO膜を100nmの厚さに成膜した後に、上記第5回目の写真製版工程において、画素電極30が形成される部分がフォトレジストで覆われたフォトレジストパターンを形成し、塩酸+硝酸を含む溶液を用いた公知のウエットエッチングにより、露出したITO膜を除去することで、画素電極30を形成する。
【0086】
<A−3.特徴的作用効果>
以上説明した本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板100においては、ソース配線25、ソース電極24およびドレイン電極26の形成に際しては、まず、不要な部分の第2の金属薄膜8をフォトレジストパターンRP1を用いて除去した後に、フォトレジストパターンRP1をアッシングして薄膜化したフォトレジストパターンRP2を使用してソース配線25、ソース電極24およびドレイン電極26をパターニングするとともにTFTチャネル部をパターニングするので、ゲート電極2、ゲート絶縁膜5、活性領域層AR、ソース電極24およびドレイン電極26で構成されるTFT構造部を3回の写真製版工程で形成可能であり、製造工程を簡略化できる。
【0087】
また、フォトレジストパターンRP1を用いて、比較的広い面積に渡る第2の金属薄膜8の不要な部分を除去し、フォトレジストパターンRP2の開口部23を介して第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7を順次エッチングにより除去してTFTチャネル部27を形成する。
【0088】
このため、第2の金属薄膜8を、a−Si膜である半導体膜6およびn+のa−Si膜であるオーミックコンタクト膜7とエッチング選択性の取れない金属膜で形成する場合、あるいはエッチング選択性のないエッチングプロセスを使用する場合でも、第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7を制御性良く除去することができ、TFTチャネル部27を構成する半導体膜6の膜厚を正確に制御し、かつそのバラツキを抑えることができるので、TFT特性のバラツキに起因する液晶表示装置の表示ムラを防止することができる。なお、これは半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7にアモルファスのSi膜を用いる場合に限定されず、多結晶シリコンを用いる場合でも同様の効果を得ることができる。
【0089】
なお、フォトレジストパターンRP1の形成に際しては、ハーフ露光を行うことで、レジスト材を完全に除去しない領域を形成することができ、当該領域をTFTのチャネル部に対応する領域とすることで、アッシングにより当該部分を除去し、他の部分については薄膜化させるに止めて、フォトレジストパターンRP2の平面方向の大きさ(外形)をフォトレジストパターンRP1よりも一回り小さくすることができる。
【0090】
また、フォトレジストパターンRP2を用いたエッチングにより、ソース電極24、ソース配線25およびドレイン電極26を形成する第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7の外形を、半導体膜パターン6の外形よりも小さくすることで、上方から見た場合にソース配線25およびソース電極24の端面が半導体膜6の何れの端面よりも後退した位置となるように配設され、活性領域層AR上のドレイン電極26の端面も、半導体膜6のほぼ平行な関係にある端面よりも後退した位置となるように配設することができるので、第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7のドライエッチング時に、これらを構成する物質がエッチング面に導電性物質として再付着した場合でも、導電性物質によってソース電極24とドレイン電極26とが電気的に導通することを防止できる。なお、上記においてほぼ平行としたのは、ドレイン電極26の端面が、必ずしも半導体膜6の端面と平行になるようにパターニングされるとは限らず、ドレイン電極26の端面が半導体膜6の端面に対して傾斜するように形成される場合もあることを想定してのことである。なお、ソース電極24およびソース配線25の端面においても同様の現象が起きることがある。
【0091】
この効果について図20および図21を用いてさらに説明する。
図20および図21は。活性領域層ARを含むTFT構造部の構成を示す斜視図であり、図20においては導電性再付着物が形成されていない状態を示し、図21においては導電性再付着物CRが形成された状態を示している。
【0092】
図21に示すように、第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7のドライエッチング時に生成される導電性再付着物CRは、主として半導体膜6の端縁部に堆積され、半導体膜6の主面上での堆積領域は、半導体膜6の端面からの長さで0.2μm程度の幅を有し、半導体膜6端縁部に沿って堆積している。なお、上述した0.2μmは平均値であり、実際には0.1μm程度から最大で0.3μm程度である。
【0093】
なお、半導体膜6の厚さは約150nm(0.15μm)であり、半導体膜6の端面はほぼ全面的に導電性再付着物CRで覆われている。
【0094】
半導体膜6の端縁部にこのような導電性再付着物CRが堆積した場合、ソース電極24、ドレイン電極26およびそれらの下層のオーミックコンタクト膜7が、半導体膜6の端面近傍位置まで延在していると、導電性再付着物CRが電流リークパスとなってソース電極24とドレイン電極26とが電気的に導通し、TFTのオフ時のリーク電流が大きくなるという可能性がある。
【0095】
しかし、本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板100においては、フォトレジストパターンRP2の端面位置が平面方向で、フォトレジストパターンRP1の対応する端面より0.3μm以上後退するように上記アッシング条件を設定し、当該フォトレジストパターンRP2を用いて、第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7をパターニングするので、ソース電極24、ソース配線25、ドレイン電極26およびそれらの下層のオーミックコンタクト膜7の外形は、半導体膜6の外形よりも小さくできる。
【0096】
そのため、図21に示すように半導体膜6の端縁部に導電性再付着物CRが堆積された場合でも、ソース電極24、ドレイン電極26およびそれらの下層のオーミックコンタクト膜7が、導電性再付着物CRに接触することが防止され、導電性再付着物CRが電流リークパスとなってソース電極24とドレイン電極26とが電気的に導通することを防止できる。
【0097】
なお、先に説明したように、フォトレジストパターンRP1の第1の厚さ部分20の膜厚を約0.4μmとしたが、これはハーフ露光による制御性を考慮した値であると同時に、上述したフォトレジストパターンRP2の端面の後退距離を考慮した値である。
【0098】
すなわち、第1の厚さ部分20は酸素プラズマを用いたアッシングにより完全に除去されるが、このアッシングに際して、ほぼ等方的に、かつ、どの場所でもほぼ同じアッシング速度となるように条件を設定することで、フォトレジストパターンRP2の端面においても約0.4μmアッシングされ、その結果、フォトレジストパターンRP2の端面がフォトレジストパターンRP1よりも約0.4μm後退することになる。この値は、導電性再付着物CRの最大幅0.3μmよりも大きいので、導電性再付着物CRによる電流リークパスの形成を確実に防ぐことができる。
【0099】
このように、等方的なアッシングを行うことで、第1の厚さ部分20の厚さによって、フォトレジストパターンRP2の端面の後退距離を設定できるという利点がある。
【0100】
また、本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板100においては、図5を用いて説明したように、画素電極30が形成される画素表示領域には半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7が延在しないようにパターニングしたので、画素表示領域にまで延在するドレイン電極26の下部には半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7が存在していない。このため、画素表示領域にバックライト光が照射される透過型液晶表示装置においてTFTアクティブマトリックス基板100を使用する場合、a−Si膜である半導体膜6に光が照射されることがないので、光励起による電流の発生を抑えることができるので、TFTのオフ特性を劣化を防止することが可能となる。
【0101】
<A−4.変形例>
実施の形態1においては、図7および図8を用いて説明したように、二段階露光によりフォトレジストパターンRP1を形成する例を示したが、これに限定されるものではなく、1回の露光でフォトレジストパターンRP1を形成することもできる。
【0102】
すなわち、図22に示すように、ハーフ露光領域19に対応する部分が、露光光の透過量が約20〜40%となる半透過領域34となり、さらに露光光を完全に透過する透過領域33と、露光光を完全に遮光する遮光領域32とを有するフォトマスクR31を用いて、ノボラック樹脂系のポジ型フォトレジスト9を露光する方法を採ることもできる。
【0103】
半透過領域34を有するフォトマスクR31は、露光に用いる波長領域(通常350nm〜450nm)の光13の透過量を約20〜40%程度に減じるフィルター膜を半透過領域34に対応する位置に形成するか、または、半透過領域34をスリット開口形状のパターンとすることで光回折現象を利用して形成することができる。このような半透過領域34を有するフォトマスクR31を用いた場合は、1回の露光で、図9に示すような第1〜第3の厚さ部分20、21、22を有するフォトレジストパターンRP1を一括形成できるので、写真製版工程を簡略化することが可能となる。
【0104】
<B.実施の形態2>
<B−1.装置構成>
本発明に係る実施の形態2の電気光学表示装置として、TFTをスイッチング素子として用いた有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を備える自発光型の有機EL表示装置のTFTアクティブマトリックス基板200の平面構成を図23に、また、図23におけるB−O−B’線での断面構成を図24に示す。
【0105】
図23は、TFTアクティブマトリックス基板200上の画素の1つを示す平面図であり、TFTアクティブマトリックス基板200上には、このような画素がマトリックス状に複数配設されている。なお、図23および図24において、図1および図2に示したTFTアクティブマトリックス基板100と同様の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0106】
図23に示すように、ガラス基板などの透明絶縁性基板1上に、その一部がゲート電極2を構成するゲート配線4が配設されている。ゲート配線4は、透明絶縁性基板1上において一方向に直線的に延在するように配設されており、ここではその方向をX方向と呼称し、平面内においてX方向に直交する方向をY方向を呼称する。
【0107】
また、ゲート配線4の上方において、両者に直交するように直線状の半導体積層膜SLが設けられている。半導体積層膜SLは、半導体膜6の上にオーミックコンタクト膜7が積層されており、半導体積層膜SLは、Y方向に延在するように間隔を開けて複数配設され、隣り合う半導体積層膜SLによって画素領域40のX方向の大きさが規定される。
【0108】
半導体積層膜SLはY方向に延在するだけでなく、ゲート配線4との交差部において分岐し、ゲート配線4に沿って延在する部分を有するように設けられており、そのうちの半導体膜6の部分がTFTの活性領域層ARを構成する。
【0109】
また、半導体積層膜SLの上部には半導体積層膜SLに沿って直線状のソース配線25が設けられている。ソース配線25は、半導体積層膜SLと同様にゲート配線4との交差部において分岐し、ゲート配線4に沿って延在する部分を有しており、当該部分がTFTのソース電極24を構成する。なお、ソース電極24の下層にはオーミックコンタクト膜7が存在している。
【0110】
また、活性領域層AR上から、陽極電極38(画素電極)の下方の透明絶縁性基板1の上方にかけて延在するようにドレイン電極26Aが配設されている。
【0111】
ソース電極24およびソース配線25は、その端面が半導体膜6の何れの端面よりも後退した位置となるように配設され、活性領域層AR上のドレイン電極26Aの端面も、半導体膜6のほぼ平行な関係にある端面よりも後退した位置となるように配設されている。なお、上記においてほぼ平行としたのは、ドレイン電極26Aの端面が、必ずしも半導体膜6の端面と平行になるようにパターニングされるとは限らず、ドレイン電極26Aの端面が半導体膜6の端面に対して傾斜するように形成される場合もあることを想定してのことである。なお、ソース電極24およびソース配線25の端面においても同様の現象が起きることがある。
【0112】
なお、活性領域層AR上において、ソース電極24とドレイン電極26Aとは間隔を開けて設けられており、両者の間の半導体膜6がTFTチャネル部27となる。また、ドレイン電極26のTFTチャネル部27と平行する位置には、陽極電極38に達する陽極ドレインコンタクトホール29Aが設けられている。
【0113】
また、画素領域40を取り囲むように額縁41が設けられ、額縁41の端縁部より一回り広い領域を有するように電界発光層42が設けられ、電界発光層42の下部には電界発光層42よりも一回り広い領域を有する陽極電極38が設けられている。なお、画素がマトリックス状に複数配設された表示領域上には陰極電極が全面的に設けられ、また、Arのような不活性ガスまたは窒素ガス等を封じ込める封止材が設けられているが、それについては図示は省略している。
【0114】
次に、TFTアクティブマトリックス基板200の断面構成を図24を用いて説明する。
図24に示すように、透明絶縁性基板1上にゲート電極2(ゲート配線4)が配設され、ゲート電極2(ゲート配線4)上を含めて、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第1の絶縁膜5が配設されている。なお、第1の絶縁膜5はゲート電極2の直上の部分においてはゲート絶縁膜として機能する。
【0115】
第1の絶縁膜5上には半導体膜6が配設され、半導体膜6上にはオーミックコンタクト膜7が配設されている。なお、半導体膜6においてTFTチャネル部27となる部分には、オーミックコンタクト膜7は配設されていない。
【0116】
また、オーミックコンタクト膜7の上部にはソース配線25が配設されるが、活性領域層ARにおけるオーミックコンタクト膜7の上部は、TFTチャネル部27を間に挟んで、ソース電極24が配設される部分と、ドレイン電極26が配設される部分とに分かれている。
【0117】
なお、ドレイン電極26は、オーミックコンタクト膜7の上部から半導体膜6の側面および第1の絶縁膜5の上部にかけて延在している。
【0118】
そして、ソース配線25、ソース電極24およびドレイン電極26A上を含めて、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第2の絶縁膜28が配設されている。
【0119】
また、第2の絶縁膜28上全体を覆うように感光性の有機樹脂膜で構成される層間絶縁膜36が配設され、層間絶縁膜36および第2の絶縁膜28を貫通してドレイン電極26A上に達する陽極ドレインコンタクトホール29Aが設けられている。
【0120】
そして、層間絶縁膜36の画素領域40に対応する部分を覆うとともに、陽極ドレインコンタクトホール29Aの内面を覆ってドレイン電極26Aに接触するように反射膜38aが配設されている。さらに、反射膜38a上にはITO膜38bが配設され、反射膜38aとITO膜38bとで陽極電極38を構成している。
【0121】
また、画素領域40を取り囲むように有機樹脂で構成される額縁層41が設けられ、画素領域40に対応する部分が開口部50となっている。なお、額縁層41は隣り合う画素間の層間絶縁膜36上においては平坦面となるように設けられている。
【0122】
そして、開口部50の底面部に対応する陽極電極38の上部には電界発光層42が配設され、また、額縁層41の平坦面上を覆うとともに、開口部50の内面を覆って電界発光層42に接触するように陰極電極43が設けられている。
【0123】
そして、陰極電極43を含めて画素がマトリックス状に複数配設された表示領域上には、Arのような不活性ガスまたはN2ガス等が封じ込められるように封止材44によって覆われている。なお、封止材44は表示領域外において終端し、陰極電極43は表示領域外に設けられた外部からの信号を入力する端子接続部の接地端子に電気的に接続される構成となっている。
【0124】
<B−2.製造方法>
次に、製造工程を順に示す断面図である図25〜図39を用いて、TFTアクティブマトリックス基板200の製造方法について説明する。なお、図25〜図39に示す断面は、図1におけるB−O−B’線での断面に対応する。また、図40〜図46には、各工程における平面図を示している。
【0125】
まず、図25に示す工程において、ガラス基板などの透明絶縁性基板1上に第1の金属薄膜(図示せず)を成膜した後に、第1回目の写真製版工程を経て、少なくともゲート電極2およびゲート配線4をパターニングする。ここで、第1の金属薄膜としては電気的比抵抗値の低いAlやMoあるいはこれらを主成分とする合金を用いることが好ましい。なお、第1の金属薄膜の好適な製造方法については実施の形態1において説明した方法と同じであるので、説明は省略する。
【0126】
図40には、透明絶縁性基板1上に形成されたゲート電極2およびゲート配線4の平面図を示す。
【0127】
次に、図26に示す工程において、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第1の絶縁膜5を形成して、ゲート電極2(ゲート配線4)を覆った後、第1の絶縁膜5上に半導体膜6を成膜し、さらにその上にオーミックコンタクト膜7を成膜する。
【0128】
その後、第2回目の写真製版工程を経て、半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7をパターニングする。このとき、直線状の半導体積層膜SLとともに、TFTが形成される活性領域層ARも規定される。
【0129】
半導体膜6およびオーミックコンタクト膜7の好適な製造方法については実施の形態1において説明した方法と同じであるので、説明は省略する。
【0130】
図41には、ゲート電極2およびゲート配線4上に一部重なるように半導体積層膜SLおよび活性領域層ARが形成された平面図を示す。
【0131】
半導体膜6は、基本的には活性領域層ARを構成するために設けるものであるが、後に形成されるソース配線の形成領域に合わせて形成される直線状の半導体積層膜SLの構成要素としても使用することで、ソース配線の冗長配線として利用することができ、ソース配線が断線したような場合でも電気信号の途絶を防止することが可能である。
【0132】
次に、図27に示す工程において、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第2の金属薄膜8を成膜する。なお、第2の金属薄膜8の好適な製造方法については実施の形態1において説明した方法と同じであるので、説明は省略する。
【0133】
次に、図28〜図30に示す工程において、第2の金属薄膜8上全体を覆うようにフォトレジスト9を形成し、第3回目の写真製版工程を経て、フォトレジスト9のパターニングを行いフォトレジストパターンRP1を形成する。なお、フォトレジストパターンRP1の形成方法については、図7〜図9を用いて説明した方法と同じであるので、説明は省略する。
【0134】
次に、図31に示す工程において、フォトレジストパターンRP1をマスクとして、第2の金属薄膜8のエッチングを行う。ここでは、SF6ガス+O2ガスの混合ガスを用いた公知のドライエッチング法を用いてエッチングを行った。
【0135】
図42には、半導体積層膜SL上および活性領域層AR上から後に陽極電極38(図24)が形成される領域上にかけて第2の金属薄膜8が形成された平面図を示す。なお、図42ではフォトレジストパターンRP1については記載を省略しているが、第2の金属薄膜8の上部にフォトレジストパターンRP1が存在することは言うまでもない。
【0136】
次に、図32に示す工程において、酸素プラズマを用いた公知のレジストアッシングにより、フォトレジストパターンRP1の第1の厚さ部分20を除去し、第2の厚さ部分21および第3の厚さ部分22については残存させるようにフォトレジストパターンRP1を全体的に薄くすることで、TFTのチャネル部27(図24)に対応する部分が開口部23となったフォトレジストパターンRP2を形成する。
【0137】
このとき、全体の薄膜化に伴って図32に示すようにフォトレジストパターンRP2の平面方向の大きさ(外形)がフォトレジストパターンRP1よりも一回り小さくなるようにレジストアッシングの条件を設定する。
【0138】
次に、図33に示す工程において、フォトレジストパターンRP2の開口部23を介して、第2の金属薄膜8、オーミックコンタクト膜7を順次エッチングにより除去する。これらの膜の好適なエッチング方法については、実施の形態1において説明した方法と同じであるので、説明は省略する。
【0139】
なお、エッチングによりパターニングされた第2の金属薄膜8は、半導体積層膜SL上ではソース配線25となり、活性領域層AR上ではソース電極24およびドレイン電極26Aとなる。なお、ドレイン電極26Aは活性領域層AR上から後に陽極電極38(図24)が形成される領域上にかけて延在するようにパターニングされる。
【0140】
その後、フォトレジストパターンRP2を除去することで、図34に示されるように、半導体積層膜SL上にはソース配線25が配設され、活性領域層AR上にはソース電極24およびドレイン電極26Aが配設されることになる。
【0141】
フォトレジストパターンRP2は、フォトレジストパターンRP1に比べて外形が一回り小さくなっているので、ソース電極24、ソース配線25およびドレイン電極26Aを形成する第2の金属薄膜8とオーミックコンタクト膜7の外形は、下層の半導体膜6の外形よりも小さくなり、上方から見ると、ソース配線25およびソース電極24の端面が半導体膜6の何れの端面よりも後退した位置となるように配設され、活性領域層AR上のドレイン電極26Aの端面も、半導体膜6のほぼ平行な関係にある端面よりも後退した位置となるように配設することができる。なお、上記においてほぼ平行としたのは、ドレイン電極26Aの端面が、必ずしも半導体膜6の端面と平行になるようにパターニングされるとは限らず、ドレイン電極26Aの端面が半導体膜6の端面に対して傾斜するように形成される場合もあることを想定してのことである。なお、ソース電極24およびソース配線25の端面においても同様の現象が起きることがある。
【0142】
図43には、ソース配線25、ソース電極24およびドレイン電極26Aの平面図を示す。図43に示すように、ソース電極24はソース配線25から分岐して活性領域層AR上に延在する直線状の形状を有している。
【0143】
次に、図35に示す工程において、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第2の絶縁膜28を形成した後、感光性の有機樹脂膜で構成される層間絶縁膜36を塗布し、第4回目の写真製版工程で、ドレイン電極26Aの表面まで貫通するコンタクトホール29Aを形成する。
【0144】
なお、第2の絶縁膜28の好適な製造方法については、実施の形態1において説明した方法と同じであるので説明は省略する。
【0145】
層間絶縁膜36の好適な製造方法としては、アクリル系の感光性樹脂膜、例えばJSR(株)製の製品名PC335を約2μmの膜厚となるようにスピンコート法を用いて塗布し、第4回目の写真製版工程により層間絶縁膜36を貫通して第2の絶縁膜28の表面に達するコンタクトホールを形成する。
【0146】
さらに公知の弗素系ガスを用いて、当該コンタクトホール底面の第2の絶縁膜28をエッチング除去することによって、ドレイン電極26Aの表面に達する陽極ドレインコンタクトホール29Aを得る。
【0147】
図44には、ドレイン電極26A上に陽極ドレインコンタクトホール29Aが形成された状態を平面図で示しているが、第2の絶縁膜28については便宜的に記載を省略している。
【0148】
次に、図36に示す工程において、透明絶縁性基板1上全体を覆うように第3の金属薄膜(図示せず)を成膜し、第5回目の写真製版工程で画素領域40(図24)に陽極電極38を形成する。
【0149】
図45には、画素領域40に対応する部分に陽極電極38が形成された状態を平面図で示している。
【0150】
ここで、第3の金属薄膜の好適な製造方法としては、公知のスパッタリング法を用いてAl(アルミニウム)を主成分として含むAl合金で構成される反射膜38aを約300nmの厚さで成膜した後、スパッタリング法を用いてアモルファスのITO(a−ITO)膜38bを約10nmの厚さで成膜する。
【0151】
その後、上述した第5回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、エッチングを行うことによって陽極電極38をパターニングする。なお、このエッチングは、先に説明した第1および第2の金属薄膜と同様に、公知のドライエッチング法を用いても良いが、ITO膜38bは、公知のリン酸+硝酸+酢酸で構成されるAl合金用エッチング液でエッチングすることが可能であるので、リン酸+硝酸+酢酸を含む溶液を用いて下層のAl合金の反射膜38aと上層のITO膜38bを同時一括エッチングする方法を採っても良い。
【0152】
なお、ITO膜38bには下層の反射膜38aと同時一括エッチングができるという利点の他、仕事関数が、Al合金の4.0eV前後に比べて約5.0eVと高い値を有するので、有機EL材料等で構成される電界発光層に注入するホールキャリアの効率を高めることができ、有機EL表示素子の発光効率を高めることができるという利点も有する。
【0153】
さらに、ITO膜38bはアモルファス状態のため、多結晶質と異なり、結晶粒界の存在による表面の凹凸がほとんどないので、表面凹凸によるホールキャリア注入不良に起因した発光表示不良を防止することが可能である。
【0154】
このような利点を有するアモルファス状態のITO膜38は、例えばArガスに水(H2O)ガスを添加した混合ガス中でのスパッタリング法により形成することができる。
【0155】
また、ITO膜38bの代わりに、酸化インジウム(In2O3)と酸化亜鉛(ZnO)を混合させたIZO膜、あるいはITO膜に酸化亜鉛(ZnO)を混合させたITZO膜などを用いることも可能である。
【0156】
IZO膜やITZO膜は、シュウ酸系エッチング液でエッチングできるが、公知のリン酸+硝酸+酢酸を含むAl合金用エッチング液でもエッチングできるので、下層の反射膜38aと同時一括エッチングが可能である。
【0157】
次に、図37に示す工程において、電界発光層となる有機EL層を形成するための画素領域40(図24)を規定するために、まず、透明絶縁性基板1上全体を覆うようにポリイミド等で構成される有機樹脂層を塗布形成し、第6回目の写真製版工程で、画素領域40に対応する部分が開口部50となった額縁層41を形成する。
【0158】
額縁層41を形成する有機樹脂膜は、有機EL層の特性や信頼性に影響を及ぼす吸着水分の少ないポリイミド系の材料を用いるのが望ましい。
【0159】
額縁層41の好適な製造方法としては、東レ(株)製の製品名DL100を約2μmの膜厚で塗布し、上述した第6回目の写真製版工程を用いて、陽極電極38の表面に達する開口部50を有する額縁層41をパターニング形成する。
【0160】
図46には、画素領域40に対応する部分に開口部50を有する額縁層41が形成された状態を平面図で示している。
【0161】
次に、図38に示す工程において、開口部50の底面に露出する陽極電極38の表面に有機EL材料を形成して電界発光層42を得る。
【0162】
電界発光層42の好適な製造方法としては、公知の蒸着法を用いて、陽極電極38上にホール輸送層、有機EL層、電子輸送層をこの順に積層することで得ることができる。
【0163】
ここで、ホール輸送層としては公知のトリアリールアミン類、芳香族ヒドラゾン類、芳香族置換ピラゾリン類、スチルベン類等の有機系材料から幅広く選択することができ、例えばN,N−ジフェニル−N,N−ビス(3−メチルフェニル)−1,1‘−ジフェニル−4,4’ジアミン(TPD)等を1〜200nmの膜厚で形成する。
【0164】
また、有機EL層としては、公知のジシアノメチレンピラン誘導体(赤色発光)、クマリン系(緑色発光)、キナクリドン系(緑色発光)、テトラフェニルブタジエン系(青色発光)、ジスチリルベンゼン系(青色発光)等の材料を1〜200nmの厚さで形成する。
【0165】
電子輸送層としては公知のオキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、クマリン誘導体等から選ばれる材料を1〜200nmの膜厚で形成する。
【0166】
なお上記においては、電界発光層42をホール輸送層、有機EL層、電子輸送層を順次積層した構成としたが、さらに電界発光層の発光効率を上げるために、ホール輸送層をホール注入層とホール輸送層の2層構造とし、また電子輸送層を電子輸送層と電子注入層の2層構造としても良い。
【0167】
次に、図39に示す工程において、開口部50の内面を含む透明絶縁性基板1上全体を覆うように、ITO膜等の透明導電性膜を成膜し、第7回目の写真製版工程で陰極電極43を形成する。
【0168】
陰極電極43は、陽極電極38の対向電極として電界発光層42を挟むようにして形成され、画素領域40において下層の電界発光層42に接続されるように構成される。なお、陰極電極43は主面が高い平坦性を有していることが好ましい。
【0169】
陰極電極43の好適な製造方法としては、ArガスにH2Oガスを混合させたガス中でスパッタリングすることにより、アモルファス状のa−ITO膜を100nmの厚みで成膜することで得られる。
【0170】
その後、写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、公知のシュウ酸系のエッチング液を用いてエッチングした後に、フォトレジストパターンを除去して陰極電極43を得た。
【0171】
なお、陰極電極43としては、a−ITO膜の代わりにIZO膜あるいはITZO膜を用いることが可能である。
【0172】
最後に、水分や不純物による表示パネルの発光特性の低下を防止するために、電界発光層42を含む画素表示領域全体を、Arのような不活性ガスまたはN2ガス等が封じ込められた封止材44によって封止することで、図24に示されるような断面構成を有するTFTアクティブマトリックス基板200を得ることができる。
【0173】
なお、封止材44としては透明なガラス材を用い、TFTアクティブマトリックス基板200の表示パネルの外周部分にシール剤を形成し、圧着することにより封止を行った。
【0174】
<B−3.特徴的作用効果>
以上説明した本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板200においては、ゲート電極2、ゲート絶縁膜5、活性領域層AR、ソース電極24およびドレイン電極26Aで構成されるTFT構造部を3回の写真製版工程で形成可能であり、製造工程を簡略化できる。
【0175】
また、フォトレジストパターンRP1を用いて、比較的広い面積に渡る第2の金属薄膜8の不要な部分を除去し、フォトレジストパターンRP2の開口部23を介して第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7を順次エッチングにより除去してTFTチャネル部27を形成する。
【0176】
このため、第2の金属薄膜8を、a−Si膜である半導体膜6およびn+のa−Si膜であるオーミックコンタクト膜7とエッチング選択性の取れない金属膜で形成する場合、あるいはエッチング選択性のないエッチングプロセスを使用する場合でも、第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7を制御性良く除去することができ、TFTチャネル部27を構成する半導体膜6の膜厚を正確に制御し、かつそのバラツキを抑えることができるので、TFT特性のバラツキに起因する有機EL表示装置の表示ムラを防止することができる。
【0177】
また、フォトレジストパターンRP2を用いたエッチングにより、ソース電極24、ソース配線25およびドレイン電極26Aを形成する第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7の外形を、半導体膜パターン6の外形よりも小さくすることで、上方から見た場合に、ソース配線25およびソース電極24の端面が半導体膜6の何れの端面よりも後退した位置となるように配設され、活性領域層AR上のドレイン電極26の端面も、半導体膜6のほぼ平行な関係にある端面よりも後退した位置となるように配設することができるので、第2の金属薄膜8およびオーミックコンタクト膜7のドライエッチング時に、これらを構成する物質がエッチング面に導電性物質として再付着した場合でも、これら導電性物質によってソース電極24とドレイン電極26Aとが電気的に導通することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の構成を示す平面図である。
【図2】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の構成を示す断面図である。
【図3】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板をマトリックス状に配設した状態を示す平面図である。
【図4】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図6】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図7】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図8】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図9】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図10】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図11】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図12】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図13】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図14】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図15】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図16】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図17】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図18】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図19】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図20】TFT構造部を示す斜視図である。
【図21】導電性再付着物が形成されたTFT構造部を示す斜視図である。
【図22】本発明に係る実施の形態1のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程の変形例を示す断面図である。
【図23】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の構成を示す平面図である。
【図24】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の構成を示す断面図である。
【図25】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図26】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図27】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図28】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図29】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図30】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図31】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図32】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図33】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図34】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図35】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図36】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図37】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図38】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図39】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す断面図である。
【図40】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図41】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図42】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図43】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図44】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図45】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【図46】本発明に係る実施の形態2のTFTアクティブマトリックス基板の製造工程を示す平面図である。
【符号の説明】
【0179】
4 ゲート配線、6 半導体膜、7 オーミックコンタクト膜、8 第2の金属薄膜、23 開口部、24 ソース電極、25 ソース配線、26 ドレイン電極、27 TFTチャネル部、30 画素電極、AR 活性領域層、RP1,RP2 フォトレジストパターン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板と、
前記絶縁性基板上にアレイ状に配設され、薄膜トランジスタが電気的に接続された画素電極を有する複数の表示画素と、
前記薄膜トランジスタを順次的に走査選択するゲート配線と、
前記画素電極に電気信号を与えるソース配線と、を有し、
前記ゲート配線と前記ソース配線とが平面視的に直交してマトリックス状をなすアクティブマトリックス基板を備えた電気光学表示装置であって、
前記薄膜トランジスタは、
前記ソース配線の下層に配設された半導体膜から分岐した活性領域層と、 前記活性領域層上に間隔を開けて選択的に配設されたソース電極およびドレイン電極とを有し、
前記活性領域層上において、少なくとも前記ソース電極は、その端面位置が前記活性領域層のいずれの端面位置よりも所定距離以上後退した位置となるように配設され、
前記ドレイン電極は、前記活性領域層上から画素表示領域の前記絶縁性基板の上方にかけて延在するように配設され、
前記画素表示領域における前記ドレイン電極の下層には、前記活性領域層を有しない、電気光学表示装置。
【請求項2】
前記所定距離は0.3μmである、請求項1記載の電気光学表示装置。
【請求項3】
絶縁性基板と、前記絶縁性基板上にアレイ状に配設され、薄膜トランジスタが電気的に接続された画素電極を有する複数の表示画素と、前記薄膜トランジスタを順次的に走査選択するゲート配線と、前記画素電極に電気信号を与えるソース配線とを有し、前記ゲート配線と前記ソース配線とが平面視的に直交してマトリックス状をなすアクティブマトリックス基板を備えた電気光学表示装置の製造方法であって、
(a)前記絶縁性基板上に第1の導電性薄膜を成膜した後に第1回目の写真製版を行って前記ゲート配線をパターニングする工程と、
(b)前記ゲート配線の上方に、半導体膜およびオーミックコンタクト膜を順に成膜した後、第2回目の写真製版を行って、前記半導体膜および前記オーミックコンタクト膜をパターニングして、前記ソース配線の下層膜を形成するとともに、前記半導体膜から分岐した活性領域層を形成する工程と、
(c)前記工程(b)の後に、前記絶縁性基板上の全面に渡って第2の導電性薄膜を成膜した後、前記第2の導電性薄膜をパターニングする工程と、を備え、
前記工程(c)は、
(c−1)第3回目の写真製版を行って前記第2の導電性薄膜上に、前記下層膜上および前記活性領域層上から画素表示領域の前記絶縁性基板の上方にかけて延在するとともに、前記薄膜トランジスタのチャネル部に対応するチャネル対応部が、他の部分よりも薄くなった第1のレジストパターンを形成する工程と、
(c−2)前記第1のレジストパターンに覆われない前記第2の導電性薄膜をエッチングにより除去する工程と、
(c−3)前記工程(c−2)の後に、前記第1のレジストパターンをアッシングして薄膜化するとともに、前記チャネル対応部を除去して開口部となった第2のレジストパターンを形成する工程と、
(c−4)前記第2のレジストパターンの前記開口部を介して、前記チャネル部に対応する前記第2の導電性薄膜および前記オーミックコンタクト膜を順次エッチングにより除去するとともに、前記第2のレジストパターンで覆われない前記第2の導電性薄膜および前記オーミックコンタクト膜を順次エッチングにより除去することで、前記活性領域層上に間隔を開けてソース電極およびドレイン電極をパターニングするとともに、前記ソース配線をパターニングする工程とを有する、電気光学表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記工程(c−3)は、
前記チャネル対応部に残るレジストのアッシング速度と、前記第1のレジストパターンの側面のアッシング速度とが同程度となる条件でアッシングを行う工程を含む、請求項3記載の電気光学表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記工程(c−1)は、
前記第1のレジストパターンのレジスト材として、ポジ型レジストを使用し、
前記第1のレジストパターンの前記チャネル対応部に対する露光強度が、前記他の部分に対する露光強度の20〜40%となったハーフ露光を行う工程を含む、請求項3記載の電気光学表示装置の製造方法。
【請求項1】
絶縁性基板と、
前記絶縁性基板上にアレイ状に配設され、薄膜トランジスタが電気的に接続された画素電極を有する複数の表示画素と、
前記薄膜トランジスタを順次的に走査選択するゲート配線と、
前記画素電極に電気信号を与えるソース配線と、を有し、
前記ゲート配線と前記ソース配線とが平面視的に直交してマトリックス状をなすアクティブマトリックス基板を備えた電気光学表示装置であって、
前記薄膜トランジスタは、
前記ソース配線の下層に配設された半導体膜から分岐した活性領域層と、 前記活性領域層上に間隔を開けて選択的に配設されたソース電極およびドレイン電極とを有し、
前記活性領域層上において、少なくとも前記ソース電極は、その端面位置が前記活性領域層のいずれの端面位置よりも所定距離以上後退した位置となるように配設され、
前記ドレイン電極は、前記活性領域層上から画素表示領域の前記絶縁性基板の上方にかけて延在するように配設され、
前記画素表示領域における前記ドレイン電極の下層には、前記活性領域層を有しない、電気光学表示装置。
【請求項2】
前記所定距離は0.3μmである、請求項1記載の電気光学表示装置。
【請求項3】
絶縁性基板と、前記絶縁性基板上にアレイ状に配設され、薄膜トランジスタが電気的に接続された画素電極を有する複数の表示画素と、前記薄膜トランジスタを順次的に走査選択するゲート配線と、前記画素電極に電気信号を与えるソース配線とを有し、前記ゲート配線と前記ソース配線とが平面視的に直交してマトリックス状をなすアクティブマトリックス基板を備えた電気光学表示装置の製造方法であって、
(a)前記絶縁性基板上に第1の導電性薄膜を成膜した後に第1回目の写真製版を行って前記ゲート配線をパターニングする工程と、
(b)前記ゲート配線の上方に、半導体膜およびオーミックコンタクト膜を順に成膜した後、第2回目の写真製版を行って、前記半導体膜および前記オーミックコンタクト膜をパターニングして、前記ソース配線の下層膜を形成するとともに、前記半導体膜から分岐した活性領域層を形成する工程と、
(c)前記工程(b)の後に、前記絶縁性基板上の全面に渡って第2の導電性薄膜を成膜した後、前記第2の導電性薄膜をパターニングする工程と、を備え、
前記工程(c)は、
(c−1)第3回目の写真製版を行って前記第2の導電性薄膜上に、前記下層膜上および前記活性領域層上から画素表示領域の前記絶縁性基板の上方にかけて延在するとともに、前記薄膜トランジスタのチャネル部に対応するチャネル対応部が、他の部分よりも薄くなった第1のレジストパターンを形成する工程と、
(c−2)前記第1のレジストパターンに覆われない前記第2の導電性薄膜をエッチングにより除去する工程と、
(c−3)前記工程(c−2)の後に、前記第1のレジストパターンをアッシングして薄膜化するとともに、前記チャネル対応部を除去して開口部となった第2のレジストパターンを形成する工程と、
(c−4)前記第2のレジストパターンの前記開口部を介して、前記チャネル部に対応する前記第2の導電性薄膜および前記オーミックコンタクト膜を順次エッチングにより除去するとともに、前記第2のレジストパターンで覆われない前記第2の導電性薄膜および前記オーミックコンタクト膜を順次エッチングにより除去することで、前記活性領域層上に間隔を開けてソース電極およびドレイン電極をパターニングするとともに、前記ソース配線をパターニングする工程とを有する、電気光学表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記工程(c−3)は、
前記チャネル対応部に残るレジストのアッシング速度と、前記第1のレジストパターンの側面のアッシング速度とが同程度となる条件でアッシングを行う工程を含む、請求項3記載の電気光学表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記工程(c−1)は、
前記第1のレジストパターンのレジスト材として、ポジ型レジストを使用し、
前記第1のレジストパターンの前記チャネル対応部に対する露光強度が、前記他の部分に対する露光強度の20〜40%となったハーフ露光を行う工程を含む、請求項3記載の電気光学表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【公開番号】特開2006−351844(P2006−351844A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−176252(P2005−176252)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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