説明

面出射型レーザモジュールおよび面受光型モジュール

【課題】
光結合効率が高く、高密度実装された小型の光モジュールを提供する。
【解決手段】
光モジュールにおいて、半導体基板11の主表面に対して光を垂直方向に出射する発光素子が光出射領域に集積されたレンズ19と光出射領域を囲むように集積された保持部22とを有することにより、発光素子と発光素子からの光を導波する光ファイバ31との水平垂直方向の位置合わせの簡易性が向上し、光結合効率が高く、高密度実装された小型の光モジュールを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに係り、特に、面発光レーザ素子や面受光素子を搭載した、光送信モジュールやキャン(CAN)モジュール等の光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年情報通信分野において、光を用いて大容量のデータを高速でやりとりする通信トラフィックの整備が急速に行われつつあり、これまで基幹、メトロ、アクセス系といった数km以上の比較的長い距離について光ファイバ網が展開されてきた。今後はさらに、伝送装置間(数m〜数百m)或いは装置内(数cm〜数十cm)といった極めて近距離についても、大容量データを遅延なく処理するため、信号配線を光化することが有効である。また、ビデオカメラなどの映像機器やPC、携帯電話などの民生機器においても、今後画像高精細化にあたりモニタと端末間での映像信号伝送の高速・大容量化が求められるとともに、信号伝送線路の光化が有効である。従来の光モジュールに関しては、例えば特許文献1〜3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−85942号公報
【特許文献2】特開平10−039162号公報
【特許文献3】特開2008−277445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光モジュールのキーデバイスとなる半導体レーザ素子は、その共振器方向(垂直共振、水平共振)とレーザ光が出射する面(端面発光、面発光)の組み合わせ方により三種類に分類される。第1のタイプは水平共振器端面発光レーザ素子であり、第2のタイプは垂直共振器面発光レーザ素子、第3のタイプは水平共振器面発光レーザ素子である。光モジュールのさらなる小型、低コスト化のためにはこれらの半導体レーザ素子の実装形態や実装の際の光学的結合を得るためのアライメント簡易化が必要となる。
【0005】
現在最も普及している第1タイプの水平共振器端面発光レーザ素子を備えたCANパッケージの一例を図10に示す。本構成ではCANステム(STM)1001上に設置されたレーザ実装用の支柱(SUP)1007と水平共振器端面発光型のレーザ素子(LD)1003とレーザ素子(LD)1003を実装する光素子実装基板(サブマウント)(SM)1004とレーザ素子(LD)1003の後端面から出射されるレーザ光を受光しレーザ素子(LD)1003の動作状況をモニタリングするためのモニタ用受光素子(フォトダイオードPD)1002から構成される。
【0006】
上述した構成はレーザ光のモニタリング機能を有するモジュールパッケージの最も簡単な構成の一例である。符号1005はレンズ、符号1006は光ファイバ支持部、符号1008は光ファイバ、符号1009はレーザシグナル、受光素子のシグナル、グラウンド等のピン端子である。
【0007】
図10に示す構成ではステム1001上に光素子指示柱1007が形成され、該支柱1007にレーザダイオード1003が実装された光素子実装基板(サブマウント)1004が実装されている。しかしながら、この構成ではレーザ実装用の支柱1007という特殊なパッケージを必要とし、パッケージ全体の低コスト、低背化には限界があり、高密度実装には限界が生じている。また、レーザ素子と光ファイバ、レンズを個別にアライメントする必要があるため、製造工数の削減にも限界がある。従って、光モジュールの小型化、実装簡易化には支柱等の必要ない面実装可能な垂直共振器面発光レーザ素子、或いは水平共振器面発光レーザ素子を用いるのが有利である。
【0008】
第2タイプの垂直共振器面発光レーザ素子の実装例が特許文献1および特許文献2に記載されている。特許文献1に示される光モジュールは少なくとも水平共振器面発光レーザ素子と、前記面発光型レーザから垂直に出射した光の少なくとも一部を反射、屈折、または回折するハーフミラーや回折格子などの光学部材と、前記光学部材を固定させるためのパッケージ蓋と、前記面発光型半導体レーザに対し水平に実装された受光素子から構成されている。この構成ではレーザ素子は簡易に面実装可能であるものの、光モジュールの出力光量と受光でのモニタ光量とを安定化させるためには、前記面発光型半導体レーザの出射光を前記光学部材と前記パッケージ蓋で高精度に調節し前記受光素子へ導くことが必要である。従って、面発光レーザの位置とパッケージ蓋の位置関係に極めて高精度な組立が必要である。また、フィルタや回折格子といった光学部材や斜め形状のパッケージ蓋といった特殊パッケージ等が必要であり、部品点数の増加、組立工程の増加等でコストやタクトが増加する。
【0009】
また、特許文献2には、光ファイバ受光面のコア部分を凸状に突出するように特殊加工し、また、レーザ素子の出射面に前述のコア部の凸に対応する窪みを形成し、これらを勘合させることで光ファイバと、レーザ素子の水平方向のアライメント簡易化を図っている。しかしながら、この構成では、水平方向の実装簡易性は向上するものの、発光面と光ファイバ間の精密な距離制御ができないため、光結合効率が低下する。さらに、光ファイバを特殊な形状に加工する必要があり、製造コストの増大に繋がる。また、レーザ素子への反射戻り光を防止するために一般的に使用される端面斜めカットファイバを用いるモジュールの場合にコア部とレーザ素子基板それぞれを凸凹形状に形成困難であるという課題がある。
【0010】
また、第3タイプの水平共振器面発光レーザ素子を備えたCANパッケージの一例が特許文献3に開示されている。特許文献3に開示されている光モジュールでは水平共振器面発光レーザを用いているため、レーザ素子は簡易な面実装が可能である。このため、図10に示したような水平共振器端面発光レーザを用いたCANモジュールと比較してパッケージ全体の小型化と組立簡易化が可能である。しかしながら、この構成ではレーザ素子と光ファイバ、レンズの個別アライメントは必須であるため、製造工数と製造コストには依然として限界が生じている。
【0011】
民生機器までも含めたT(テラ)bit/s 以上への情報大容量化に伴い、安価な作製手段で高密度集積が可能であり、部品実装性や性能面で優れる小型の光モジュール、が必要となる。
【0012】
本発明の目的は、面発光レーザ素子に対する外部光導波路(光ファイバ)の位置合わせ(垂直方向位置を含む)簡易性を向上させることで、光結合効率が高く、高密度実装された小型の光モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための一形態として、半導体基板と、前記半導体基板に設けられた光出射領域と、前記光出射領域に集積されたレンズと、前記レンズが集積された前記光出射領域を囲むように集積された保持部とを有し、前記光出射領域から、前記半導体基板の主表面に対して垂直方向に光を出射する発光素子と、前記保持部に勘合、保持され、前記レンズを透過した前記発光素子からの光を導波する外部光導波路と、前記発光素子および前記外部光導波路が固定されるステムとを有することを特徴とする面出射型レーザモジュールとする。
【0014】
また、半導体基板と、前記半導体基板に形成された窪みと、前記窪み内部に設けられた光出射領域と、前記窪み内部の前記光出射領域に集積されたレンズと、前記窪みの外周部を囲むように集積された保持部とを有し、前記光出射領域から、前記半導体基板の主表面に対して垂直方向に光を出射する発光素子と、前記保持部に勘合、保持され、前記レンズを透過した前記発光素子からの光を導波する外部光導波路と、前記発光素子および前記外部光導波路が固定されるステムとを備えることを特徴とする面出射型レーザモジュールとする。
【0015】
また、半導体基板と、前記半導体基板に形成された窪みと、前記窪み内部に設けられた受光領域と、前記窪み内部の前記受光領域に集積されたレンズと、前記窪みの外周部を囲むように集積された保持部とを有し、前記半導体基板の主表面に対して垂直方向に光を受光する受光素子と、前記保持部に勘合、保持され、前記レンズを透過して前記受光素子へ光を出射する外部光導波路と、前記受光素子および前記外部光導波路が固定されるステムとを備えることを特徴とする面受光型モジュールとする。
【発明の効果】
【0016】
外部光導波路(光ファイバ)を保持する保持部が集積された発光素子や受光素子を用いることにより、光ファイバと発光素子等の簡易なセルフアラインが可能となり、また、光ファイバと発光素子等の距離も任意に自動精密制御が可能である。これにより、光結合効率が高く、高密度実装された小型の光モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1(a)】第1の実施例に係る光モジュールで用いる水平共振器垂直出射型レーザの実装断面図である。
【図1(b)】第1の実施例に係る光モジュールで用いる水平共振器垂直出射型レーザの上面図である。
【図2(a)】第2の実施例に係る光モジュールで用いる水平共振器垂直出射型レーザの実装断面図である。
【図2(b)】第2の実施例に係る光モジュールで用いる水平共振器垂直出射型レーザの上面図である。
【図3】第3の実施例に係る光モジュールで用いる水平共振器垂直出射型レーザの実装断面図である。
【図4】第4の実施例に係る光モジュールで用いる水平共振器垂直出射型レーザの実装断面図である。
【図5】第5の実施例に係る光モジュールで用いる垂直共振器垂直出射型レーザの実装断面図である。
【図6】第1の実施例に係る水平共振器垂直出射型レーザモジュールの実装断面図である。
【図7(a)】第1の実施例に係る光モジュールで用いる水平共振器垂直出射型レーザ素子の製造工程を示す断面図である。
【図7(b)】第1の実施例に係る光モジュールで用いる水平共振器垂直出射型レーザ素子の製造工程を示す断面図である。
【図7(c)】第1の実施例に係る光モジュールで用いる水平共振器垂直出射型レーザ素子の製造工程を示す断面図である。
【図7(d)】第1の実施例に係る光モジュールで用いる水平共振器垂直出射型レーザ素子の製造工程を示す断面図である。
【図7(e)】第1の実施例に係る光モジュールで用いる水平共振器垂直出射型レーザ素子の製造工程を示す断面図である。
【図7(f)】第1の実施例に係る光モジュールで用いる水平共振器垂直出射型レーザ素子の製造工程を示す断面図である。
【図7(g)】第1の実施例に係る光モジュールで用いる水平共振器垂直出射型レーザ素子の製造工程を示す断面図である。
【図8】第1の実施例に係る光モジュールで用いる水平共振器垂直出射型レーザ素子の俯瞰図である。
【図9】図8で示した水平共振器垂直出射型レーザ素子の俯瞰図のB−B断面図である。
【図10】従来例の水平共振器端面発光レーザ素子のCANパッケージを説明する図である。
【図11】第6の実施例に係る光モジュールで用いる水平共振器垂直出射型レーザの実装断面図である。
【図12】第7の実施例に係る面入射型フォトダイオードモジュールの実装断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
第1の実施例に係る光モジュールの構成を図1(a),図1(b)、図6を用いて説明する。本実施例は発光素子として水平共振器垂直出射型レーザ(第3のタイプ)を用いた例である。
【0020】
図1(a)はレーザ素子の共振器に水平な面の断面図であり、図1(b)はレーザ素子の光出射面である。当該実施例の水平共振器垂直出射型レーザはn型半導体基板11上に活性層12が積層成長され、更にその上に回折格子層13、p型クラッド層14、p電極15が形成されている。n型半導体基板11にはnドープInPが、活性層12には例えば、InGaAlAsの歪み量子井戸構造などが用いられ、回折格子層13としてはGaInAsPなどが用いられ、また、p型クラッド層14にはpドープInPが用いられる。また、半導体埋め込み層17をエッチングした反射鏡18を有する。この時、半導体埋め込み層17には半絶縁性のFeドープInPやp型クラッド層と同じ半導体材料を用いてもよい。符号16はn電極である。
【0021】
また、外部光導波路(光ファイバ)31を保持する保持部(凹形状段差)22がn型半導体基板11に集積されている。その保持部(凹形状段差)22の底部にはn型半導体基板11をエッチングして形成された集積レンズ19が集積されている。集積レンズ19の表面には、例えば厚さ200nmのアルミナ(酸化アルミニウム)の薄膜からなる無反射コーティング21が施されている。
【0022】
この時、凹形状段差22は図1(b)に示すように外周が円形で且つ、外周直径が外部光導波路(光ファイバ)31の直径に合致するように形成されており、集積レンズ19と凹形状段差22は同心円となるように形成されている。なお、集積レンズの光軸と光ファイバ31の中心軸の位置を考慮すると、凹形状段差部22の外周直径は光ファイバ31の直径よりも大きく、その直径に対して+2μm以内が好ましい。
【0023】
光ファイバ31は、図1(a)に示すように凹形状段差22にはめ込まれ、レーザ素子と光ファイバ31とが直接結合させることにより自動的にn型半導体基板11の水平方向のアライメントが完了する。さらに凹形状段差22の段の高さは集積レンズ19と光ファイバ31の受光許容角度を考慮して、レンズ面から出射されるレーザ光が損失無く光ファイバ31に入射するような高さに調整されているため、レーザ光出射面と光ファイバ31の間の距離も自動的に最適となる。
【0024】
また、レーザ素子と光ファイバ31の間に別体レンズ等の部品が必要ないため、モジュールをコンパクト化する効果も得られる。尚、本実施例では光ファイバ31は1.3μm帯の波長に対応した直径が125μmの石英シングルモード光ファイバを使用したが、プラスチック光ファイバ、あるいはフレキシブル光ファイバを用いた構成も可能である。
【0025】
図6は上記水平共振器垂直出射型レーザを用いた光モジュールのパッケージの一例である。ステム71上に、レーザダイオード77がジャンクションダウン実装された光素子実装基板75とフォトダイオード76が実装されている。当該実施例ではダイオード77は水平共振器垂直出射型レーザである。さらに、上述のように光ファイバ74が水平共振器垂直出射型レーザの基板に形成された凹みにはめ込まれて実装され、光ファイバを支持する、フェルールを用いた光ファイバ支持部73がキャップ72によりステムに固定されている。
【0026】
次に図7を用いて本発明を適用した水平共振器垂直出射型レーザの詳細な作製方法を説明する。図8は前記素子の俯瞰図であり、図7(a)から図7(g)は前記素子の作製工程を図8のAA’断面からみた説明図であり、図9は図8のBB’断面図である。本実施例の波長1.3μm帯のInGaAlAs量子井戸型水平共振器面発光レーザ素子は、図9に示すように、ストライプ状に加工された半導体のヘテロ構造が半絶縁性半導体からなる半導体埋め込み層87で埋め込まれた埋込みヘテロ型(BH:Burried Hetero)構造を有する。
【0027】
この例では、埋込みへテロ構造におけるストライプ状の光導波路部分の周囲は、Fe(鉄)をInPにドープした高抵抗の半絶縁性半導体からなる半導体埋め込み層(SI)87で埋め込まれている。n型半導体は不純物として硫黄(ulfur:元素記号S)を含み、p型半導体は不純物として亜鉛(Zinc:元素記号Zn)を含む。
【0028】
本実施例における加工前のウェハの積層構造の断面図は図7(a)に示す通りである。n型半導体基板81として、n型InPの半導体基板を用いる。n型半導体基板81の直径は2〜3インチ、厚さは450μm程度である。このn型半導体基板81の上に活性層82がある。図示しないが、この活性層82は、n型InGaAlAsで構成されたn型光閉じ込め層、p型InGaAlAsで構成されたp型光閉じ込め層の間に、アンドープのInGaAlAsで構成され、厚さ7nmのウェル層と厚さ8nmのバリア層を5周期積層した歪多重量子井戸構造を備えている。なお、ウェル層とバリア層は他の周期の積層(例えば、3〜4周期)とすることもできる。このような歪多重量子井戸構造は、レーザとして十分な特性を実現できるように設計される。
【0029】
活性層82の上には、InGaAsP系材料からなる回折格子層83がクラッド層として機能するp型InPで構成された第2半導体層(p型クラッド層)84に埋め込まれている。活性層82および回折格子層83の構造は、室温での分布帰還型(DFB;Distributed Feedback)レーザの発振波長が1310nmとなるように形成した。
【0030】
光導波機能は活性層82を、これより屈折率の低いクラッド層で挟み込むことによって生じるものであり、クラッド層/活性層/クラッド層の積層構造により光導波機能が実現されるものであるが、具体的形態では、活性層における光閉じ込めを強化するため、量子井戸層、を挟んで光閉じ込め層を設けているのである。当然、クラッド層の屈折率は光閉じ込め層の屈折率より低い値である。尚、本実施例ではクラッド層として機能する第1半導体層は半導体基板81がこの役割を担っているが、勿論、半導体基板上に別途クラッド層を設けてもよい。
【0031】
回折格子層83の極性はp型とした。このような構造は、光の伝播方向に屈折率のみが周期的に変化するので屈折率結合型DFBレーザと呼ばれる。なお、本実施例では、回折格子層(DG)83がDFBレーザの全領域で均一に形成されたものを説明したが、必要に応じて、領域の一部に回折格子の位相をずらして構成した、いわゆる位相シフト構造を設けても良い。また、本実施例では、DFBレーザで構成したが、分布ブラッグ反射型(DBR;Distributed Bragg Reflector)レーザでも構わない。
【0032】
次に、本実施例の製造プロセスを、図7の(b)から図7(g)を用いて説明する。まず、レーザ部分の構造を形成するために、n型InP基板で構成されたn型半導体基板81(クラッド層)上に、n型InGaAlAsで構成された光閉じ込め層、InGaAlAsで構成された歪多重量子井戸層、およびp型InGaAlAsで構成された光閉じ込め層からなるInGaAlAsで構成された活性層82を形成する。
【0033】
次に、その上方にInGaAsPで構成された回折格子層83を含む半導体多層体を形成する。さらに、その上方にp型InPで構成された第2半導体層84(クラッド層)を形成する。ドーピングによるキャリア濃度はn型、p型ともに単位立方センチメートル当たり10の18乗(1018/cm)とした。この多層構造を有するInPウェハ上に、二酸化珪素膜を被覆して保護マスク186とする(図7(b))。
【0034】
この二酸化珪素マスク186を用いて、p型クラッド層84、回折格子層83、活性層82、そしてn型半導体基板81の一部までをエッチングすることにより、光導波路層を形成する(図7(b))。このエッチングは活性層82の下まで行う。本実施例では約7μmのエッチングを行なった。エッチングには、例えば塩素系ガスによる反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)等のドライエッチング、あるいは臭素系溶液等によるウェットエッチング、さらには両者の併用、いずれの手法を用いても良い。
【0035】
次に、本試料を結晶成長炉に搬入してMOVPE法を用いて600℃にてFeをドープしたInPで構成された半絶縁性半導体からなる半導体埋め込み層87を埋め込み成長した(図7(c))。このエッチング工程と埋込み層を再成長させるプロセスにより、埋込みヘテロ構造を形成した。埋込みへテロ構造は、光導波路の光進行方向の両側を、光を閉じ込め得る材料で埋め込んだ構造である(図9)。閉じ込めに用いる材料は、通例高抵抗の材料とする。本例では、Feをドープした高抵抗のInPで構成した半絶縁層を用いた。
【0036】
なお、この埋込み構造形成工程においては図9に示すように光導波路の光進行方向に対して左右両側を半絶縁性半導体からなる半導体埋め込み層87で埋め込むと同時に、図7(c)に示すように光導波路の光出射側の端も半絶縁性半導体からなる半導体埋め込み層層87で埋め込んだ。光導波路の先端をInPで埋め込んだ理由は、こうすることにより45°傾斜ミラーをエッチング加工する部分がInP材料(Fe−InP)だけで構成されるようにすることができて、エッチングで形成するミラーを完全に平滑に加工することが容易になるからである。
【0037】
その後、埋込み成長のための選択成長マスクとして用いた二酸化珪素膜を用いた保護マスク186を除去して、エッチングマスク用の窒化珪素膜286を形成し、45°の傾斜角度にFeがドープされたInPで構成された半絶縁性半導体からなる半導体埋め込み層(SI)87をエッチングした(図7(d))。
【0038】
この傾斜エッチングには、塩素とアルゴンガスを用いた化学アシストイオンビームエッチング(CAIBE:Chemically Assisted Ion Beam Etching)を用い、ウェハを45°の角度に傾斜させてエッチングすることにより45°のエッチングを実現した。なお、本実施例ではCAIBEを用いたエッチング方法について記載したが、塩素系ガスの反応性イオンビームエッチング(RIBE:Reactive Ion Beam Ethching)や、ウェットエッチングを用いても良い。
【0039】
次に、窒化珪素膜286を除去した後、第2半導体層(p型クラッド層)84の上部に第2電極86(p型電極)を蒸着した。さらに、基板裏面を130μmの厚みまで研磨した後、基板裏面に窒化珪素マスク291を形成した。
【0040】
続いて、メタンと水素の混合ガスを用いた反応性イオンエッチングにより、直径125μm深さ20μmの円形状にエッチングし、保持部(凹形状段差)92を形成した。この時、円の中心位置が、活性層82の延長線と45度傾斜反射鏡88の交差する点の直下になるように前記窒化珪素マスク291を形成している(図7(e))。なお円の形状は用途によって楕円形状の場合もある。
【0041】
次に窒化珪素マスク291を除去し、再度、窒化珪素膜391を形成し、先ほど形成した直径125μmの円形状の保持部(凹部形状段差)92の内部にメタンと水素の混合ガスを用いた反応性イオンエッチングにより、レンズとなる周囲の部分をドーナツ状に直径約80μm、深さ約30μmにエッチングした(図7(f))。
【0042】
引き続いて、ドーナツ状に掘りこんだ部分に囲まれた柱状部分の上部の窒化珪素膜391を除去し、ウェットエッチングを行った。これにより柱状の部分表面から食刻されて角が取れ、裏面InPレンズ93が形成された(図7(g))。ビーム出射面において凸レンズ93が形成されているので、放射角の狭い平行性の高いビームを得ることが可能である。符号91はn電極、符号94は無反射コーティングを示す。
【0043】
本実施例で示した水平共振器面発光レーザ素子は、ビーム拡がり角は2°であり、一般的な通信用端面発光型レーザの広がり角30°に対して、約15分の1の極めて狭出射なビームを得た。尚、レンズとなる部分の直径を約100μmとすることで、出射されるレーザの広がり角を約10°程度にすることができた。このようにレンズとなる部分の直径を変化させることによって、レンズの曲率を制御すること、即ちレンズの焦点距離の制御が可能である。
【0044】
次に上記の工程で作製した水平共振器面発光レーザ素子を用いた光モジュールを作製した。図6は作製した光モジュールの構成の概略図である。まず、光素子実装基板75に上記の水平共振器面発光レーザ77をジャンクションダウン型に実装した。尚、本実施例では光素子実装基板75は厚さ200μmの窒化アルミニウム(AlN)基板上に金錫(AuSn)半田がパターニングされたレーザ用サブマウントである。
【0045】
次にこの水平共振器面発光型のレーザ素子(LD)77を搭載した光素子実装基板(レーザ用サブマウント)75をステム(STM)71上にAgエポキシにて固定した。次に、光ファイバ支持部73を実装した1.3μm帯対応の石英シングルモード光ファイバ74と水平共振器面発光レーザ77に具備された光ファイバ保持部(段差)を勘合することによりセルフアライメントを行った。光ファイバ保持部への光ファイバ31の勘合は、調芯器を用いて行なった。
【0046】
その後、キャップ72をステム71上に設置し、その後、光ファイバ支持部73とキャップ72を固定した。また、ステム71とキャップ72の接触部を接着し、光モジュールを作製した。これにより、レーザの光軸とレンズ光軸、光ファイバの中心とのズレを±1.5μm以内にすることができ、光結合効率の高い小型の光モジュールを得ることができた。符号78はレーザのシグナルや受光素子のシグナル、グランド等々用のピン端子である。
【0047】
このように、光ファイバ74をレーザ77に設けた保持部(凹部形状段差)92に勘合することで、簡易に水平方向・垂直方向のアライメントを行うことができ、作製コストを大幅に削減することができた。また、外部レンズを必要としないため、部品点数を削減することが可能であり、小型で低コストな光モジュールを作製することができた。
【0048】
なお、本実施例ではInP基板上に形成された波長帯1.3μmのInGaAlAs量子井戸型レーザに適用した例を示したが、基板材料や活性層材料、そして発振波長はこの例に限定されるものではない。本発明は例えば1.55μm帯InGaAsPレーザ等のその他の材料系にも同様に適用可能である。
【0049】
本実施例によれば、面発光レーザ素子に対する光ファイバの位置合わせ(垂直方向位置を含む)簡易性を向上させることで、光結合効率が高く、高密度実装された小型の光モジュールを提供することができる。
【実施例2】
【0050】
図2(a)、図2(b)を用いて、他の水平共振器垂直出射型レーザを用いた第2の実施例について説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項は実施例1と同様である。
【0051】
図2(a)は、本実施例に係る光モジュールに用いるレーザ素子の共振器に水平な面の断面図であり、図2(b)はレーザ素子の光出射面である。本実施例ではn型半導体基板11に窪みが形成され、その底部に集積レンズ19が実施例1と同様にn型半導体基板11をエッチングして形成されている。なお、レンズ19は基板11上に集積された他の材料を用いて形成してもよい。また他の材料を用いてレンズ19に加工してから基板11に集積してもよい。基板以外の材料を用いることにより、レンズ作製の自由度を増すことができる。他の材料を用いる場合には必ずしも上記窪みを形成する必要はない。
【0052】
更にその窪みの外周部を囲むように光ファイバの保持部(段差)24aを有する凹形状段差設置集積部材23aが集積されている。なお、上記窪みが形成されていない場合には光出射領域を囲むように保持部を有する凹形状段差設置集積部材を集積すればよい。この時、凹形状段差設置集積部材23aは、例えば、外周部に光ファイバの保持部(段差)24aを有する垂直穴パターンをSi基板等に加工して形成し、レーザ作製用ウェハ(半導体基板11)と該Si基板をウエハレベルで接合することにより集積することができる。
【0053】
ウェハプロセスの精度で形成されるため、Si基板に形成された穴とレーザ素子に集積されたレンズ19が図2に示すように同心円となるように高精度にアライメントすることが可能であり、また、量産性にも優れる。なお、半導体基板11とSi基板をウエハレベルで接合してからSi基板を加工して光ファイバの保持部(段差)24aを有する垂直穴パターンを形成することもできる。本明細書で、例えばレンズや保持部が集積されているとは、保持部が、光モジュールに用いる発光素子または受光素子に設けられていることを意味する。基板を加工して形成することもできるし、基板上に積層した膜を加工して形成してもよい。更に、他の材料を加工してからウエハレベルで接合することもできるし、接合してから加工することもできる。
【0054】
このようにして、形成した光ファイバの保持部(凹形状段差)24aに光ファイバ31をはめ込むことにより、光出射点と光ファイバ31のn型半導体基板11に水平な面内での自動アライメントが達成される。この時、光ファイバ受光面とレンズとの間の距離は窪みの深さと凹形状段差設置集積部材23aの厚さの合計によって最適に自動制御されている。また、本実施例では光ファイバ31は1.3μm帯の波長に対応した直径が125μmの石英シングルモード光ファイバを使用したが、プラスチック光ファイバ、あるいはフレキシブル光ファイバを用いた構成ももちろん可能である。
【0055】
本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、光ファイバ保持部を半導体基板11とは異なるSi基板等他の材料で形成できるため、より寸法精度の高い光ファイバ保持部を形成でき、より光結合効率の高い光モジュールを提供することができる。
【実施例3】
【0056】
図3を用いて、他の水平共振器垂直出射型レーザを用いた第3の実施例について説明する。なお、実施例1または2に記載され、本実施例に未記載の事項は実施例1または2と同様である。
【0057】
図3は、本実施例に係る光モジュールに用いるレーザ素子の共振器に水平な面の断面図である。実施例2と同様にn型半導体基板11に凹形状段差設置集積部材23bが集積されているが、実施例2と異なり、図2に示すように光ファイバの保持部(凹形状段差)24bに形成された凹みが傾斜を持って形成されている。この傾斜は反射防止斜めカット光ファイバの傾斜角度に合致するように形成されており、水平面に対して約8度傾いている。従って、図2に示すように斜めカット光ファイバを光ファイバ保持部(凹形状段差)24bにはめ込むことによって、水平位置並びに光ファイバと集積レンズの距離を最適にアライメントすることができた。なお、保持部を半導体基板に設け、この基板を加工して上記凹みに傾斜を持たせてもよい。
【0058】
本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。さらに、反射防止斜めカットの構成を有することにより、より光結合効率の高い光モジュールを提供することができる。
【実施例4】
【0059】
図4を用いて、他の水平共振器垂直出射型レーザを用いた第4の実施例について説明する。なお、実施例1乃至3のいずれかに記載され、本実施例に未記載の事項は実施例1乃至3のいずれかと同様である。
【0060】
図4は、本実施例に係る光モジュールに用いるレーザ素子の共振器に水平な面の断面図である。実施例2、3と同様にn型半導体基板11に凹形状段差設置集積部材23cが集積されているが、実施例2、3と異なり、図4に示すように光ファイバの保持部(凹形状段差)24cに形成された凹みが斜めテーパ形状に形成されている。このテーパは先端がレンズ上に形成された先球ファイバの曲率に合致するように形成されている。従って、図4に示すように先球ファイバを光ファイバの保持部(凹形状段差)24cにはめ込むことによって、水平位置並びにファイバと集積レンズの距離を最適にアライメントすることができた。保持部を半導体基板に設け、この基板を加工して上記凹みに傾斜を持たせてもよい。なお、光ファイバ保持部の斜めテーパ形状は、例えば凹形状段差設置集積部材23cを中心部が深くなるように同心円状にドライエッチングを行なった後、ウエットエッチングで角を落とすことにより形成することができる。
【0061】
本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。さらに、光ファイバ先端部と光ファイバ保持部とが合致するような曲率を有することにより、より光結合効率の高い光モジュールを提供することができる。
【実施例5】
【0062】
図5を用いて、裏面出射型垂直共振器垂直出射レーザを用いた第5の実施例について説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項は実施例1と同様である。
【0063】
本実施例に係る光モジュールに用いる垂直共振器垂直出射型レーザは、半絶縁性半導体基板51上にn型半導体DBR反射鏡56が形成され、続いてn型クラッド層52、活性層53、p型半導体DBR反射鏡55が形成されている。尚、注入電流を狭窄するための電流狭窄層54が活性層53とp型半導体DBR反射鏡55の間に挟みこまれるように形成されている。符号57はp電極、符号58はn電極である。
【0064】
また、半絶縁性半導体基板51には光ファイバの保持部(凹形状段差)61が形成され、更にその段差の底部には半絶縁性半導体基板51をエッチングして形成した集積レンズ59が集積されており、レンズ59の表面には例えばアルミナの薄膜からなる無反射コーティング60が施されている。この時、レンズ59と光ファイバの保持部(凹形状段差)61は同心円状に形成され、且つ段差の高さはレンズ59からの出射光が損失無く光ファイバに入射するように制御されている。従って、光ファイバ保持部をレーザ素子に集積することにより垂直共振器垂直出射型レーザにおいても高精度な自動アライメントが可能となる。
【0065】
典型的な基板側にn電極を有する垂直共振器垂直出射型レーザは光出射面を取り囲むようにp電極が形成される構造をとるため、出射面にレンズを集積する等の加工が困難であり、加工が可能な場合も設計に著しく制限を受けるため、本発明は適用できない。但し、図5に示すようにp、n電極を基板と反対の面に引き出した電極構造を有する、裏面出射型垂直共振器垂直出射型レーザにおいては本発明を用いた高精度自動アライメントが可能である。
【0066】
本実施例によれば、面発光レーザ素子に対する光ファイバの位置合わせ(垂直方向位置を含む)簡易性を向上させることで、光結合効率が高く、高密度実装された小型の光モジュールを提供することができる。
【実施例6】
【0067】
図11を用いて第6の実施例について説明する。本実施例は、水平共振器面発光レーザの出射部にボールレンズをセルフアライメント実装した光モジュールの例である。なお、実施例1,2或いは4のいずれかに記載された光ファイバ保持部の構成や製法は本実施例にも適用できる。
【0068】
図11は、図1(a)に示した水平共振器垂直出射型レーザの保持部22にボールレンズを実装したときの概略図である。本実施例ではボールレンズ3000は直径400μmの真球状の石英ボールレンズとしたが、場合によっては直径が500から1000μm程度のボールレンズや、高屈折ガラス材料からなるボールレンズを用いてもよい。また、保持部22は、ボールレンズの大きさや他の状況に応じてその外周や高さを変更することができる。なお、本実施例においては、エッチングにより薄膜化した半導体埋め込み層17の下部に補強部材を挿入してもよい。これにより光学系の狂いを低減できる。
【0069】
次に、ボールレンズ3000を水平共振器面発光レーザに実装する手順を説明する。まず、前記水平共振器面発光レーザに集積された保持部(段差部)22に樹脂系の接着剤を塗布した。次に、保持部(段差部)22にボールレンズをはめ込むことによりn型半導体基板11に集積された集積レンズ19とボールレンズを簡易にセルフアライメントできた。このように、発光素子に保持部を集積することにより、素子に集積されたレンズに対して、簡易且つ精密に外部レンズを組み合わせ実装することが可能となるため、光モジュールの組立自由度や設計自由度を大幅に拡大することが可能である。
【0070】
本実施例によれば、面発光レーザ素子に対するボールレンズの位置合わせ(垂直方向位置を含む)簡易性を向上させることで、光結合効率が高く、高密度実装された小型の光モジュールを提供することができる。
【実施例7】
【0071】
第7の実施例に係る光モジュールを、図12を用いて説明する。本実施例は受光素子として面入射型フォトダイオードを用いた例である。なお、実施例1乃至4のいずれかに記載された光ファイバや光ファイバ保持部の構成および製法は本実施例にも適用できる。
【0072】
図12は本実施例に係る面入射型フォトダイオードモジュールの概略図である。ステム2001上にフォトダイオード2007が実装された光素子搭載基板2005を実装した。フォトダイオード2007はInP基板上にGaInAs光吸収層を有する裏面入射型のフォトダイオードであり、受光面であるInP基板裏面側に光ファイバを勘合する光ファイバ保持部(段差構造)が集積されているものである。裏面入射型フォトダイオードへの前記段差構造の形成はレーザダイオード基板への段差構造形成と同じ方法で可能である。
【0073】
次に、1.3μm帯波長に対応した石英系のシングルモード光ファイバを前記フォトダイオード2007の前記段差構造に勘合することにより、前記光ファイバ2004と前記フォトダイオードの間の受光面水平面内の位置および距離のアライメントを行った。光ファイバ保持部への光ファイバ2004の勘合は、調芯器を用いて行なった。続いて、光ファイバ2004とフォトダイオード2007の位置がずれないように光ファイバ支持部2003とキャップ2002をステム2001に固定すると同時に光ファイバを固定した。符号2009は受光素子のシグナル、グランド等々用のピン端子である。このようにして光学的な動的アライメント工程なく作製した低コストの面受光型モジュールにおいて、光受光感度0.7W/Aを達成した。
【0074】
本実施例によれば、受光素子に対する光ファイバの位置合わせ(垂直方向位置を含む)簡易性を向上させることで、光結合効率が高く、高密度実装された小型の光モジュールを提供することができる。
【符号の説明】
【0075】
11、81…n型半導体基板、12、53、82…活性層、13、83…回折格子層、14、84…p型クラッド層、15、57、86…p電極、16、58、91…n電極、17、87…半導体埋め込み層、18、88…反射鏡、19、59、93…集積レンズ、21、60、94…無反射コーティング、22、24a、24b、24c、61、92…保持部(凹形状段差)、23a、23b、23c…凹形状段差設置集積部材、31、74、1008…光ファイバ、51…半絶縁性半導体基板、52…n型クラッド層、54…電流狭窄層、55…p型半導体DBR反射鏡、56…n型半導体DBR反射鏡、71、1001…ステム、72…キャップ、73,1006…光ファイバ支持部、75,1004…光素子実装基板、76、1002…フォトダイオード、77、1003…レーザダイオード、78,1009,2009…ピン端子、186…保護マスク(二酸化珪素膜)、286…エッチングマスク(窒化珪素膜)、291…窒化珪素マスク、391…窒化珪素膜、1005…レンズ、1007…光素子支持柱、3000…ボールレンズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、前記半導体基板に設けられた光出射領域と、前記光出射領域に集積されたレンズと、前記レンズが集積された前記光出射領域を囲むように集積された保持部とを有し、前記光出射領域から、前記半導体基板の主表面に対して垂直方向に光を出射する発光素子と、
前記保持部に勘合、保持され、前記レンズを透過した前記発光素子からの光を導波する外部光導波路と、
前記発光素子および前記外部光導波路が固定されるステムとを有することを特徴とする面出射型レーザモジュール。
【請求項2】
請求項1記載の面出射型レーザモジュールにおいて、
前記発光素子は、前記半導体基板上に設けられた光を発生する活性層と、
前記半導体基板上に設けられ、前記活性層から発生した光を導波する導波路層と、
前記半導体基板の少なくとも一部に設けられた、前記光を面内方向に反射もしくは共振させる共振器構造部と、
前記共振構造部から放射されるレーザ光を前記半導体基板の裏面から出射するための前記光導波路層の一部に設けられた反射鏡とを備える、水平共振器垂直出射型レーザであることを特徴とする面出射型レーザモジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の面出射型レーザモジュールにおいて、
前記外部光導波路は、受光面が前記半導体基板に対して所定の角度を有する、反射戻り光防止型光ファイバであり、
前記保持部は、前記反射戻り光防止型光ファイバが勘合できるように前記所定の角度に合致する角度を有することを特徴とする面出射型レーザモジュール。
【請求項4】
請求項1に記載の面出射型レーザモジュールにおいて、
前記レンズは、前記半導体基板を曲面状に加工して形成されたものであることを特徴とする面出射型レーザモジュール。
【請求項5】
半導体基板と、前記半導体基板に形成された窪みと、前記窪み内部に設けられた光出射領域と、前記窪み内部の前記光出射領域に集積されたレンズと、前記窪みの外周部を囲むように集積された保持部とを有し、前記光出射領域から、前記半導体基板の主表面に対して垂直方向に光を出射する発光素子と、
前記保持部に勘合、保持され、前記レンズを透過した前記発光素子からの光を導波する外部光導波路と、
前記発光素子および前記外部光導波路が固定されるステムとを備えることを特徴とする面出射型レーザモジュール。
【請求項6】
請求項5記載の面出射型レーザモジュールにおいて、
前記発光素子は、水平共振器垂直出射型レーザ或いは垂直共振器垂直出射型レーザであることを特徴とする面出射型レーザモジュール。
【請求項7】
請求項5に記載の面出射型レーザモジュールにおいて、
前記保持部は、前記半導体基板を加工して形成されたものであることを特徴とする面出射型レーザモジュール。
【請求項8】
請求項5に記載の面出射型レーザモジュールにおいて、
前記保持部は、前記半導体基板上に設けられ、前記半導体基板とは異なる材料で形成されたものであることを特徴とする面出射型レーザモジュール。
【請求項9】
請求項5に記載の面出射型レーザモジュールにおいて、
前記外部光導波路は先端が所定の曲率のレンズ形状を有し、前記保持部は前記外部光導波路が勘合できるように前記所定の曲率に合致する曲率を有することを特徴とする面出射型レーザモジュール。
【請求項10】
請求項5に記載の面出射型レーザモジュールにおいて、
前記外部光導波路は先端が前記半導体基板に対して所定の角度を有する、反射戻り光防止型光ファイバであり、
前記保持部は、前記反射戻り光防止型光ファイバが勘合できるように前記所定の角度に合致する角度を有することを特徴とする面出射型レーザモジュール。
【請求項11】
請求項5に記載の面出射型レーザモジュールにおいて、
前記レンズは、前記半導体基板を曲面状に加工して形成されたものであることを特徴とする面出射型レーザモジュール。
【請求項12】
半導体基板と、前記半導体基板に形成された窪みと、前記窪み内部に設けられた受光領域と、前記窪み内部の前記受光領域に集積されたレンズと、前記窪みの外周部を囲むように集積された保持部とを有し、前記半導体基板の主表面に対して垂直方向に光を受光する受光素子と、
前記保持部に勘合、保持され、前記レンズを透過して前記受光素子へ光を出射する外部光導波路と、
前記受光素子および前記外部光導波路が固定されるステムとを備えることを特徴とする面受光型モジュール。
【請求項13】
請求項12記載の面受光型モジュールにおいて、
前記保持部は、前記半導体基板を加工して形成されたものであることを特徴とする面受光型モジュール。
【請求項14】
請求項12記載の面受光型モジュールにおいて、
前記保持部は、前記半導体基板上に設けられ、前記半導体基板とは異なる材料で形成されたものであることを特徴とする面受光型モジュール。
【請求項15】
請求項12に記載の面受光型モジュールにおいて、
前記外部光導波路は先端が所定の曲率のレンズ形状を有し、前記保持部は前記外部光導波路が勘合できるように前記所定の曲率に合致する曲率を有することを特徴とする面受光型モジュール。
【請求項16】
請求項12に記載の面受光型モジュールにおいて、
前記外部光導波路は先端が前記半導体基板に対して所定の角度を有する、反射戻り光防止型光ファイバであり、
前記保持部は、前記反射戻り光防止型光ファイバが勘合できるように前記所定の角度に合致する角度を有することを特徴とする面受光型モジュール。
【請求項17】
請求項12に記載の面受光型モジュールにおいて、
前記レンズは、前記半導体基板を曲面状に加工して形成されたものであることを特徴とする面受光型モジュール。
【請求項18】
請求項1に記載の面型光モジュールにおいて、
前記外部光導波路は、石英系のシングルモード光ファイバ、プラスチック光ファイバ、フレキシブル性を有する光ファイバまたはポリマー光配線導波路であることを特徴とする面出射型レーザモジュール。
【請求項19】
請求項5に記載の面型光モジュールにおいて、
前記外部光導波路は、石英系のシングルモード光ファイバ、プラスチック光ファイバ、フレキシブル性を有する光ファイバまたはポリマー光配線導波路であることを特徴とする面出射型レーザモジュール。
【請求項20】
請求項12に記載の面型光モジュールにおいて、
前記外部光導波路は、石英系のシングルモード光ファイバ、プラスチック光ファイバ、フレキシブル性を有する光ファイバまたはポリマー光配線導波路であることを特徴とする面出射型レーザモジュール。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図7(c)】
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【図7(d)】
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【図7(e)】
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【図7(f)】
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【図7(g)】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−251649(P2010−251649A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101963(P2009−101963)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】