説明

ハイブリッド駆動装置の制御装置

【課題】 アシスト動力源のトルクを出力軸に付加する変速機構での変速の際のショックを防止することのできるハイブリッド駆動装置用制御装置を提供する。
【解決手段】 主動力源の出力したトルクが伝達される出力部材に、アシスト動力源が変速機構を介して連結されているハイブリッド駆動装置の制御装置であって、前記変速機構による変速中に前記主動力源から前記出力部材に伝達されるトルクを補正する第1トルク補正手段(ステップS7)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の走行のための動力源として二種類の動力源を備えているハイブリッド駆動装置に関し、特に主動力源からトルクが伝達される出力部材に、変速機構を介してアシスト動力源を連結したハイブリッド駆動装置を対象とした制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用のハイブリッド駆動装置は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関とモータもしくはモータ・ジェネレータなどの電動装置とを動力源とするものが一般的であるが、これらの内燃機関と電動装置との組合せの形態は多様であり、また電動装置の使用数も一台に限らず、複数台使用する例もある。その一例を挙げると、特許文献1には、エンジンと第1モータ・ジェネレータとを、シングルピニオン型遊星歯車機構からなる合成分配機構を介して相互に連結するとともに、その合成分配機構から出力部材にトルクを伝達し、さらにその出力部材に変速機構を介して第2モータ・ジェネレータを連結し、その第2モータ・ジェネレータの出力トルクを、いわゆるアシストトルクとして出力部材に付加するように構成されたハイブリッド駆動装置が記載されている。また、その変速機構が、直結状態と減速状態とに切り換えることのできる遊星歯車機構によって構成されており、直結状態では第2モータ・ジェネレータのトルクをそのまま出力部材に付加し、また減速状態では第2モータ・ジェネレータのトルクを増大させて出力部材に付加するように構成されている。
【0003】
上記のハイブリッド駆動装置では、第2モータ・ジェネレータを力行状態あるいは回生状態に制御することにより、正トルクを出力部材に付加し、あるいは負トルクを出力部材に付加することができる。また、変速機構によって減速状態を設定できるので、第2モータ・ジェネレータを低トルク型化あるいは小型化することができる。
【0004】
なお、特許文献2には、高低に切り換えることのできる変速機より上流側(エンジン側)に、第1および第2のモータ・ジェネレータを配置し、その変速機での変速時に、各モータ・ジェネレータのトルクを制御することにより、変速時間をほぼ一定にするように構成した装置が記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、エンジンの出力トルクを変速機の所定の入力部材に伝達する一方、その入力部材にモータ・ジェネレータを連結し、変速時に、出力トルクが平滑化するように、すなわちイナーシャトルクを吸収するように、モータ・ジェネレータを制御する装置が記載されている。
【0006】
さらに、特許文献4には、駆動状態か被駆動状態かを明瞭に判定できない状態では、動力発生源の出力を変更して駆動状態か被駆動状態に移行させ、その後に変速を実行するように構成した装置が記載されている。
【特許文献1】特開2002−225578号公報
【特許文献2】特開2000−295709号公報
【特許文献3】特開平6−319210号公報
【特許文献4】特許第2926959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1に記載された装置によれば、エンジンおよび第1モータ・ジェネレータからなる主動力源から出力されたトルクを出力部材に伝達する一方、第2モータ・ジェネレータの出力したトルクを出力部材に伝達できるので、主動力源を構成しているエンジンを、燃費が最適になるように運転し、その状態で要求されている駆動力に対して不足しているトルクもしくは過剰なトルクを第2モータ・ジェネレータによって補うことができる。また、変速機を備えているので、第2モータ・ジェネレータのトルクを増大させて出力部材に伝達でき、その結果、第2モータ・ジェネレータを小型化でき、あるいは低容量化できる。
【0008】
上記の装置には、このような利点がある半面、変速機で変速操作した場合にはショックが生じる可能性がある。すなわち、変速に伴っていずれかの回転部材の回転速度が変化するから、その回転速度の変化によって慣性トルクが生じ、これが出力トルクに影響するので、出力トルクの変化がショックとして現れることがある。また、摩擦係合装置の係合もしくは解放によって変速を実行する場合には、その摩擦係合装置のトルク容量が過渡的に低下するので、第2モータ・ジェネレータによってアシストできるトルクがそのトルク容量に制約され、その結果、ハイブリッド駆動装置の全体としての出力トルクあるいは車両の駆動トルクが変速中に変化するので、これがショックとなる可能性がある。
【0009】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、アシスト動力源を出力部材に連結している変速機構での変速によるショックを解消することのできるハイブリッド駆動装置用制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、上記の目的を達成するために、アシスト動力源と出力部材との間のトルクの伝達が変速によって制約される場合の出力トルクの過不足を、主動力源を制御して補完するように構成したことを特徴とするものである。すなわち、請求項1の発明は、主動力源の出力したトルクが伝達される出力部材に、アシスト動力源が変速機構を介して連結されているハイブリッド駆動装置の制御装置において、前記変速機構による変速中に前記主動力源から前記出力部材に伝達されるトルクを補正する第1トルク補正手段を備えていることを特徴とする制御装置である。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明における前記第1トルク補正手段が、前記主動力源から前記出力部材に伝達されるトルクを増大させるトルク増大手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【0012】
さらに、請求項3の発明は、上記の請求項1もしくは2の発明における前記主動力源が、三つの回転要素によって差動作用をなす歯車機構を介してトルクが合成もしくは分配される内燃機関と第1モータ・ジェネレータとを備えるとともに、前記アシスト動力源が第2モータ・ジェネレータによって構成され、前記第1トルク補正手段が、前記第1モータ・ジェネレータによるトルクを補正する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【0013】
またさらに、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記変速中に前記第1モータ・ジェネレータのトルクを補正する際に、前記内燃機関のトルクを補正する第2トルク補正手段を更に備えていることを特徴とする制御装置である。
【0014】
その第2トルク補正手段は、請求項5に記載されているように、内燃機関のトルクを増大させる手段とすることができる。
【0015】
そして、請求項6の発明は、前述した請求項3における前記第1トルク補正手段が、前記内燃機関の運転状態が、内燃機関の回転数が増大することに伴って内燃機関の出力トルクが低下する領域にある場合に前記第1モータ・ジェネレータのトルクを補正する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【0016】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記変速機構が、前記アシスト動力源のトルクを前記出力部材に伝達するとともに係合もしくは解放することにより変速を実行する摩擦係合装置を備え、前記第1トルク補正手段が、前記摩擦係合装置のトルク容量に基づいて前記主動力源から前記出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【0017】
またさらに、請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記摩擦係合装置が、前記アシスト動力源がトルクを出力しかつ変速比を小さくする変速の際に解放させられる低速側摩擦係合装置を含み、前記第1トルク補正手段が、前記アシスト動力源の回転数が前記低速側摩擦係合装置の所定の微少滑りによって設定される回転数となるように前記低速側摩擦係合装置の係合圧をフィードバック制御するフィードバック補正量に基づいて前記主動力源から出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【0018】
そしてまた、請求項9の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記変速機構が、前記アシスト動力源のトルクを前記出力部材に伝達するとともに係合もしくは解放することにより変速を実行する摩擦係合装置を備え、前記第1トルク補正手段は、変速中における前記摩擦係合装置のトルク容量に基づいて推定された前記出力部材のトルクと目標出力トルクとの偏差に基づいて、前記主動力源から前記出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【0019】
また一方、請求項10の発明は、請求項1または2の発明における前記第1トルク補正手段が、前記変速の際のイナーシャ相開始後の変速の進行度合いに基づいて前記主動力源から出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【0020】
さらにまた、請求項11の発明は、請求項1または2の発明における前記第1トルク補正手段が、前記アシスト動力源のトルクを出力している状態で前記変速機構の変速比を低下させる変速の際の変速開始からイナーシャ相開始までの時間の学習値に基づいて前記主動力源から前記出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【0021】
そして、請求項12の発明は、請求項1または2の発明における前記第1トルク補正手段が、前記アシスト動力源のトルクを出力している状態で前記変速機構の変速比を低下させる変速の際のイナーシャ相開始から変速終了までの時間の学習値に基づいて前記主動力源から出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【0022】
そしてまた、請求項13の発明は、請求項4,5,7,8,9のいずれかの発明における前記第2トルク補正手段が、前記変速中における前記第1モータ・ジェネレータのトルク補正量に基づいて前記内燃機関のトルクを補正する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【0023】
さらに、請求項14の発明は、請求項1ないし13のいずれかの発明において、前記変速機構が、歯車変速機構によって構成され、前記出力部材のトルクがほぼゼロの状態で、その歯車変速機構における歯車の歯面が互いに接触・離隔するトルク変化の生じる変速を禁止する変速禁止手段を更に備えていることを特徴とする制御装置である。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明あるいは請求項2の発明によれば、変速機構での変速がおこなわれる場合に、アシスト動力源と出力部材との間の伝達トルクが低下し、その伝達トルクの低下に応じて主動力源のトルクが補正されるので、変速に伴う出力部材のトルクの変動を抑制してショックを防止もしくは低減することができる。
【0025】
また、請求項3の発明によれば、前記変速機構で変速が実行される際に、第1モータ・ジェネレータのトルクが補正され、それに伴う回転変化による慣性トルクを含むトルク変化によって出力部材のトルクが補正されるので、第2モータ・ジェネレータと出力部材の間で伝達されるトルクが変化しても、出力部材のトルク変化が防止もしくは抑制され、その結果、変速に伴うショックを防止もしくは低減することができる。
【0026】
さらに、請求項4の発明あるいは請求項5の発明によれば、第1モータ・ジェネレータのトルクが前記変速中に補正された場合に、内燃機関のトルクが併せて補正されるため、前記歯車機構を介して内燃機関に作用する第1モータ・ジェネレータのトルクもしくはそのトルクに基づく反力が変化しても、内燃機関の回転数の変化を防止もしくは抑制することができる。
【0027】
そして、請求項6の発明によれば、アシスト動力源と出力部材との間の変速機構での変速に伴って第1モータ・ジェネレータのトルクを補正し、それに基づいて内燃機関の回転数が低下すると、その回転数変速に伴う慣性トルクが発生すると同時に内燃機関自体の出力するトルクが増大するので、変速機構での変速に伴う出力部材のトルク変化を防止もしくは抑制でき、制御が容易になる。
【0028】
また、請求項7の発明によれば、変速を実行する摩擦係合装置のトルク容量に基づいて主動力源から出力部材に伝達されるトルクが補正されるので、出力部材のトルクの変化が防止もしくは抑制され、その結果、変速ショックを防止もしくは低減することができる。
【0029】
またさらに、請求項8の発明によれば、変速機構でのいわゆるパワーオン・アップシフトの場合、アシスト動力源の回転数が変速に関与する摩擦係合装置の微少滑り状態で設定される回転数となるように前記摩擦係合装置の係合圧がフィードバック制御し、そのフィードバック補正量に基づいて主動力源から出力部材に伝達するトルクが補正されるので、摩擦係合装置の特性などのばらつきの影響を低減して、出力部材のトルク変動抑制制御すなわち変速ショックの抑制制御の精度が良好になる。
【0030】
そしてまた、請求項9の発明によれば、変速機構での変速を実行する摩擦係合装置のトルク容量に基づいて出力部材のトルクが推定され、その推定された出力トルクと目標とする出力トルクとの偏差が求められ、その偏差に基づいて主動力源から出力部材に伝達されるトルクが補正されるので、変速中の出力トルクが目標トルクに維持されて、変速機構での変速に伴うショックを有効に防止もしくは抑制することができる。
【0031】
また一方、請求項10の発明によれば、変速機構での変速によるイナーシャ相が開始した後では、回転変化の程度などの変速の進行状態に基づいて主動力源から出力部材に伝達するトルクが補正されるため、主動力源から出力部材に伝達するトルクが精度よく補正されてショックを防止もしくは低減することができる。また、変速がある程度進行して変速終期に到った場合には、その事実に基づいたトルク補正制御が可能になり、主動力源のトルク補正制御が容易になる。
【0032】
さらにまた、請求項11の発明によれば、いわゆるパワーオン・アップシフトの変速開始からイナーシャ相開始までの時間が学習され、その学習値に基づいて前記主動力源から出力部材に伝達するトルクが補正されるため、前記主動力源から出力部材に伝達するトルクの変速に伴う補正のタイミングおよび/または補正量が適正化され、前記変速に伴うショックを精度よく防止もしくは低減することができる。
【0033】
そして、請求項12の発明によれば、いわゆるパワーオン・アップシフトの変速におけるイナーシャ相開始から変速終了までの時間が学習され、その学習値に基づいて前記主動力源から出力部材に伝達するトルクが補正されるため、前記主動力源から出力部材に伝達するトルクの変速に伴う補正のタイミングおよび/または補正量が適正化され、前記変速に伴うショックを精度よく防止もしくは低減することができる。また、変速がある程度進行して変速終期に到った場合には、その事実に基づいたトルク補正制御が可能になり、主動力源のトルク補正制御が容易になる。
【0034】
そしてまた、請求項13の発明によれば、変速中における第1モータ・ジェネレータのトルク補正量に基づいて内燃機関のトルクが補正されるため、歯車機構を介して相互に連結されている内燃機関のトルクが、第1モータ・ジェネレータのトルクに応じた適正値に制御され、その結果、出力部材のトルクの補正制御の精度が良好になって、ショックを防止もしくは低減でき、さらには内燃機関の回転数の変化を抑制もしくは回避することができる。
【0035】
さらに、請求項14の発明によれば、出力部材に現れているトルクがほぼゼロの状態で、変速機構に作用するトルクが正負に変化する変速、すなわち歯車の歯面の接触・離隔が生じる変速が禁止されるので、変速機構でのいわゆるガタ打ち音を回避もしくは低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とするハイブリッド駆動装置について説明すると、この発明で対象とするハイブリッド駆動装置は、一例として車両に搭載されるものであって、図9に示すように、主動力源1のトルクが出力部材2に伝達され、その出力部材2からデファレンシャル3を介して駆動輪4にトルクが伝達される。一方、走行のための駆動力を出力する力行制御あるいはエネルギを回収する回生制御の可能なアシスト動力源5が設けられており、このアシスト動力源5が変速機6を介して出力部材2に連結されている。したがってアシスト動力源5と出力部材2との間で伝達トルクを変速機6で設定する変速比に応じて増減するようになっている。
【0037】
上記の変速機6は、設定する変速比が“1”以上となるように構成することができ、このように構成することにより、アシスト動力源5でトルクを出力する力行時に、アシスト動力源5で出力したトルクを増大させて出力部材2に伝達できるので、アシスト動力源5を低容量もしくは小型のものとすることができる。しかしながら、アシスト動力源5の運転効率を良好な状態に維持することが好ましいので、例えば車速に応じて出力部材2の回転数が増大した場合には、変速比を低下させてアシスト動力源5の回転数を低下させる。また、出力部材2の回転数が低下した場合には、変速比を増大させることがある。
【0038】
そのような変速の場合、変速機6での伝達トルク容量が低下したり、あるいは回転数の変化に伴う慣性トルクが生じたりし、これが出力部材2のトルクすなわち駆動トルクに影響する。そこでこの発明の制御装置は、変速機6による変速の際に主動力源1のトルクを補正して出力部材2のトルク変動を防止もしくは抑制する。
【0039】
より具体的に説明すると、主動力源1は図10に示すように、内燃機関10と、モータ・ジェネレータ(以下、仮に第1モータ・ジェネレータもしくはMG1と記す)11と、これら内燃機関10と第1モータ・ジェネレータ11との間でトルクを合成もしくは分配する遊星歯車機構12とを主体として構成されている。その内燃機関(以下、エンジンと記す)10は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料を燃焼させて動力を出力する公知の動力装置であって、スロットル開度(吸気量)や燃料供給量、点火時期などの運転状態を電気的に制御できるように構成されている。その制御は、例えば、マイクロコンピュータを主体とする電子制御装置(E−ECU)13によっておこなうように構成されている。
【0040】
また、第1モータ・ジェネレータ11は、一例として同期電動機であって、電動機としての機能と発電機としての機能とを生じるように構成され、インバータ14を介してバッテリーなどの蓄電装置15に接続されている。そして、そのインバータ14を制御することにより、第1モータ・ジェネレータ11の出力トルクあるいは回生トルクを適宜に設定するようになっている。その制御をおこなうために、マイクロコンピュータを主体とする電子制御装置(MG1−ECU)16が設けられている。
【0041】
さらに、遊星歯車機構12は、外歯歯車であるサンギヤ17と、そのサンギヤ17に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ18と、これらサンギヤ17とリングギヤ18とに噛合しているピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持しているキャリヤ19とを三つの回転要素として差動作用を生じる公知の歯車機構である。前記内燃機関10の出力軸がダンパー20を介してそのキャリヤ19に連結されている。言い換えれば、キャリヤ19が入力要素となっている。
【0042】
これに対してサンギヤ17に第1モータ・ジェネレータ11が連結されている。したがってサンギヤ17がいわゆる反力要素となっており、またリングギヤ18が出力要素となっている。そして、そのリングギヤ18が出力部材(すなわち出力軸)2に連結されている。
【0043】
一方、変速機6は、図10に示す例では、一組のラビニョ型遊星歯車機構によって構成されている。すなわちそれぞれ外歯歯車である第1サンギヤ21と第2サンギヤ22とが設けられており、その第1サンギヤ21にショートピニオン23が噛合するとともに、そのショートピニオン23がこれより軸長の長いロングピニオン24に噛合し、そのロングピニオン24が前記各サンギヤ21,22と同心円上に配置されたリングギヤ25に噛合している。なお、各ピニオン23,24は、キャリヤ26によって自転かつ公転自在に保持されている。また、第2サンギヤ22がロングピニオン24に噛合している。したがって第1サンギヤ21とリングギヤ25とは、各ピニオン23,24と共にダブルピニオン型遊星歯車機構に相当する機構を構成し、また第2サンギヤ22とリングギヤ25とは、ロングピニオン24と共にシングルピニオン型遊星歯車機構に相当する機構を構成している。
【0044】
そして、第1サンギヤ21を選択的に固定する第1ブレーキB1と、リングギヤ25を選択的に固定する第2ブレーキB2とが設けられている。これらのブレーキB1,B2は摩擦力によって制動力を生じるいわゆる摩擦係合装置であり、多板形式の係合装置あるいはバンド形式の係合装置を採用することができる。そして、これらのブレーキB1,B2は、油圧や電磁力などによる係合力に応じてそのトルク容量が連続的に変化するように構成されている。さらに、第2サンギヤ22に前述したアシスト動力源5が連結され、またキャリヤ26が前記出力軸2に連結されている。
【0045】
したがって、上記の変速機6は、第2サンギヤ22がいわゆる入力要素であり、またキャリヤ26が出力要素となっており、第1ブレーキB1を係合させることにより変速比が“1”より大きい高速段が設定され、第1ブレーキB1に替えて第2ブレーキB2を係合させることにより、高速段より変速比の大きい低速段が設定されるように構成されている。この各変速段の間での変速は、車速や要求駆動力(もしくはアクセル開度)などの走行状態に基づいて実行される。より具体的には、変速段領域を予めマップ(変速線図)として定めておき、検出された運転状態に応じていずれかの変速段を設定するように制御される。その制御をおこなうためのマイクロコンピュータを主体とした電子制御装置(T−ECU)27が設けられている。
【0046】
なお、図10に示す例では、アシスト動力源5として、トルクを出力する力行およびエネルギを回収する回生の可能なモータ・ジェネレータ(以下仮に、第2モータ・ジェネレータもしくはMG2と記す)が採用されている。この第2モータ・ジェネレータ5は、インバータ28を介してバッテリー29に接続されている。そして、マイクロコンピュータを主体とする電子制御装置(MG2−ECU)30によってそのインバータ28を制御することにより、力行および回生ならびにそれぞれの場合におけるトルクを制御するように構成されている。なお、そのバッテリー29および電子制御装置30は、前述した第1モータ・ジェネレータ11についてのインバータ14およびバッテリー(蓄電装置)15と統合することもできる。
【0047】
上述したトルク合成分配機構としてのシングルピニオン型遊星歯車機構12についての共線図を示せば、図11の(A)のとおりであり、キャリヤ19に入力されるエンジン10の出力するトルクに対して、第1モータ・ジェネレータ11による反力トルクをサンギヤ17に入力すると、出力要素となっているリングギヤ18には、エンジン10から入力されたトルクより大きいトルクが現れる。その場合、第1モータ・ジェネレータ11は、発電機として機能する。また、リングギヤ18の回転数(出力回転数)を一定とした場合、第1モータ・ジェネレータ11の回転数を大小に変化させることにより、エンジン10の回転数を連続的に(無段階に)変化させることができる。すなわち、エンジン10の回転数を例えば燃費が最もよい回転数に設定する制御を、第1モータ・ジェネレータ11を制御することによっておこなうことができる。なお、この種のハイブリッド形式は、機械分配式あるいはスプリットタイプと称されている。
【0048】
また、変速機6を構成しているラビニョ型遊星歯車機構についての共線図を示せば、図11の(B)のとおりである。すなわち第2ブレーキB2によってリングギヤ25を固定すれば、低速段Lが設定され、第2モータ・ジェネレータ5の出力したトルクが変速比に応じて増幅されて出力軸2に付加される。これに対して第1ブレーキB1によって第1サンギヤ21を固定すれば、低速段Lより変速比の小さい高速段Hが設定される。この高速段Hにおける変速比も“1”より大きいので、第2モータ・ジェネレータ5の出力したトルクがその変速比に応じて増大させられて出力軸2に付加される。
【0049】
なお、各変速段L,Hが定常的に設定されている状態では、出力軸2に付加されるトルクは、第2モータ・ジェネレータ5の出力トルクを変速比に応じて増大させたトルクとなるが、変速過渡状態では各ブレーキB1,B2でのトルク容量や回転数変化に伴う慣性トルクなどの影響を受けたトルクとなる。また、出力軸2に付加されるトルクは、第2モータ・ジェネレータ5の駆動状態では、正トルクとなり、被駆動状態では負トルクとなる。
【0050】
上述したハイブリッド駆動装置は、エンジン10を可及的に効率の良い状態で運転して排ガス量を低減すると同時に燃費を向上させ、またエネルギ回生をおこなってこの点でも燃費を改善することを主な目的としている。したがって大きい駆動力が要求されている場合には、主動力源1のトルクを出力軸2に伝達している状態で、第2モータ・ジェネレータ5を駆動してそのトルクを出力軸2に付加する。その場合、低車速の状態では、変速機6を低速段Lに設定して付加するトルクを大きくし、その後、車速が増大した場合には、変速機6を高速段Hに設定して、第2モータ・ジェネレータ5の回転数を低下させる。これは、第2モータ・ジェネレータ5の駆動効率を良好な状態に維持して燃費の悪化を防止するためである。
【0051】
したがって上記のハイブリッド駆動装置では、第2モータ・ジェネレータ5を動作させている走行中に変速機6による変速を実行する場合がある。その変速は、前述した各ブレーキB1,B2の係合・解放状態を切り換えることにより実行される。例えば低速段Lから高速段Hに切り換える場合には、第2ブレーキB2を係合させていた状態からこれを解放させ、同時に第1ブレーキB1を係合させることにより、低速段Lから高速段Hへの変速が実行される。
【0052】
この変速の過程では、各ブレーキB1,B2でのトルク容量が低下するので、第2モータ・ジェネレータ5から出力軸2に付加させるトルクが、各ブレーキB1,B2でのトルク容量に制限されて低下する。その状態を図12に模式的に示してあり、低速段Lから高速段Hへの変速開始後のトルク相では、出力軸トルクが次第に低下し、イナーシャ相が開始した後は出力軸トルクが次第に増大し、変速終了時に僅かに慣性トルク分のトルクの増減が生じて所期の出力軸トルクに安定する。なお、変速時のこのようなトルク変動は、いずれかのブレーキを一方向クラッチに置き換えて変速機6を構成した場合にも生じる。
【0053】
このように、アシスト動力源である第2モータ・ジェネレータ5を出力軸2に連結している変速機6で変速が生じると、出力軸2のトルクが変化し、これがショックの要因となる。出力トルクの変動の抑制は、いわゆるトルクアシストをおこなう駆動装置の出力トルクを制御することによりおこなうのが一般的であったが、この発明で対象とするハイブリッド駆動装置では、いわゆるトルクアシスト手段である第2モータ・ジェネレータ5から出力軸2に伝達されるトルクが制限されることにより生じるので、第2モータ・ジェネレータ5の出力トルクを制御しても上記のショックを解消もしくは低減できない。そこでこの発明に係る制御装置は、主動力源1から出力軸2に伝達されるトルクを制御することによりショックを解消もしくは低減する。具体的には、上述した低速段Lから高速段Hへの変速の場合には、主動力源1から出力軸2に伝達されるトルクを増大してトルクの落ち込みを緩和する。その状態を図12に破線で示してある。
【0054】
その制御の具体例を以下に説明する。先ず、全体的な制御について図1を参照して説明すると、図1に示す例では、シフト位置の検出がおこなわれる(ステップS1)。このシフト位置とは、車両を停止状態に維持するパーキングP、後進走行させるリバースR、ニュートラル状態とするニュートラルN、前進走行するためのドライブD、出力軸2の回転数に対してエンジン回転数を相対的に大きく維持して駆動トルクを大きくし、あるいはコースト時に制動力を増大させるエンジンブレーキSなどのシフト装置(図示せず)で選択されている各状態であり、ステップS1ではリバース、ドライブ、エンジンブレーキの各シフト位置を検出する。
【0055】
ついで、要求駆動力が決定される(ステップS2)。例えば、シフト位置やアクセル開度さらには車速などの車両の走行状態に関する情報ならびに駆動力マップなどの予め記憶している情報に基づいて要求駆動力が決定される。
【0056】
その決定された要求駆動力に基づいて変速段が決定される(ステップS3)。すなわち前述した変速機6で設定すべき変速段が低速段Lあるいは高速段Hに決定される。
【0057】
その変速機6で設定すべき変速段への変速中か否かが判断される(ステップS4)。この判断は、変速を実行すべきか否かの判断であり、ステップS3で決定された変速段が、その時点に設定されている変速段とは異なっている場合に、ステップS4で肯定的に判断される。
【0058】
ステップS4で肯定的に判断された場合には、ステップS3で決定された変速段を設定するための変速を実行するように油圧が制御される(ステップS5)。この油圧は、前述した各ブレーキB1,B2の油圧であり、例えば係合側のブレーキについては、係合直前の状態にするために油圧を一次的に増大させるファーストフィルの後に所定の低い油圧に維持する低圧待機の制御をおこない、これに対して解放側のブレーキについては、所定油圧までステップダウンさせた後、第2モータ・ジェネレータ5の回転数に応じて次第に解放させるように油圧を低下させる制御をおこなう。
【0059】
各ブレーキB1,B2の係合圧をこのように制御することにより第2モータ・ジェネレータ5と出力軸2との間で伝達されるトルクが制限されるので、パワーオン状態では、出力トルクが低下する。そのトルクの低下量は、変速機6におけるブレーキB1,B2のトルク容量に応じたものとなるので、ブレーキトルクが推定される(ステップS6)。これは、各ブレーキB1,B2の油圧指令値に基づいて推定することができる。
【0060】
推定されたブレーキトルクが出力トルクの低下量に対応しているので、出力トルクの低下を補うための主動力源1によるトルク補償制御量(MG1目標回転数)が求められる(ステップS7)。図10に示すハイブリッド駆動装置では、主動力源1がエンジン10と第1モータ・ジェネレータ11ならびに遊星歯車機構12によって構成されているので、第1モータ・ジェネレータ11のトルクを制御することにより、変速時のトルク補償をおこなうことができ、したがってステップS7では第1モータ・ジェネレータ11の補償制御量が求められる。その詳細は後述する。
【0061】
前述したように変速機6での変速は、各ブレーキB1,B2の係合・解放状態を変化させることにより実行され、その過程ではトルク容量が低下する。その結果、例えば第2モータ・ジェネレータ5がトルクを出力しているパワーオン状態では、第2モータ・ジェネレータ5に作用する反力が低下するので、第2モータ・ジェネレータ5の制御量を変更しないとすれば、その回転数が増大してしまう。そこで、第1モータ・ジェネレータ11の補正制御量の算出と併せて、第2モータ・ジェネレータ5のトルク補正量が求められる(ステップS8)。
【0062】
ついで、上記のようにして求められた各制御量もしくは補正量が出力される。すなわち上記のステップS5で求められたブレーキ油圧を制御するための指令信号が出力され(ステップS9)、ステップS7で求められたMG1目標回転数を設定する指令信号が出力され(ステップS10)、ステップS8で求められた第2モータ・ジェネレータ5のトルクを設定する指令信号が出力される(ステップS11)。
【0063】
一方、変速中ではないことによりステップS4で否定的に判断された場合には、定常走行時(非変速時)のブレーキ油圧が算出される(ステップS12)。そのブレーキ油圧は、第2モータ・ジェネレータ5と出力軸2との間で伝達するトルクに対応したトルク容量を設定するための油圧であり、したがって第2モータ・ジェネレータ5と出力軸2との間で伝達することが要求されているトルクに基づいて算出することができる。
【0064】
また、定常走行時の第2モータ・ジェネレータ5のトルクが算出される(ステップS13)。定常走行時には、エンジン10は燃費が良好になるように制御され、その状態での要求駆動力に対する主動力源1の出力の過不足分を第2モータ・ジェネレータ5で補うから、第2モータ・ジェネレータ5のトルクは、エンジン10および第1モータ・ジェネレータ11によって出力されるトルクと要求されているトルクとに基づいて算出することができる。
【0065】
前述したようにエンジン10の回転数は、第1モータ・ジェネレータ11によって制御することができ、定常走行状態では、最適燃費となるようにエンジン10を運転するので、第1モータ・ジェネレータ11の回転数として、エンジン10の燃費が最適となる回転数が目標として算出される(ステップS14)。
【0066】
その後、前述したステップS9ないしステップS11に進み、ステップS12で求められたブレーキ油圧を設定するための指令信号、ステップS13で求められた第2モータ・ジェネレータ5のトルクを設定するための指令信号、ステップS14で算出された第1モータ・ジェネレータ11の回転数を設定するための指令信号が、それぞれ出力される。
【0067】
つぎに上述した変速機6での変速中における主動力源1による出力トルクの補正制御について更に具体的に説明する。図2において、先ず変速中か否かが判断される(ステップS21)。このステップS21の判断は、実際に変速が実行されているか否かの判断ではなく、変速をおこなうべき走行状態となっているか否かの判断である。このステップS21で否定的に判断された場合には、出力トルクの補償をおこなう必要がないので、第1モータ・ジェネレータ11の目標回転数変化量dnesft およびエンジントルク補正量Teajdがそれぞれゼロリセットされる(ステップS22)。
【0068】
ここで、トルク補償のために第1モータ・ジェネレータ11の目標回転数変化量dnesft を採用しているのは、エンジン10の制御のために第1モータ・ジェネレータ11の目標回転数を常時フィードバック制御しているためである。そして、設定値がゼロとされた上記の目標回転数変化量dnesft およびエンジントルク補正量Teajdが出力される(ステップS23)。なお、この場合、これらの信号が出力されなくてもよく、要は、第1モータ・ジェネレータ11の目標回転数変化制御およびエンジントルク補正制御が実施されない。
【0069】
上記のステップS21で肯定的に判断された場合には、その変速を実行するための指令信号の出力があったか否かが判断される(ステップS24)。変速出力があったことによりステップS24で肯定的に判断された場合には、変速開始時の推定出力軸トルクTotg が記憶される(ステップS25)。すなわち変速中に維持すべき出力トルクを保持する。
【0070】
ついで、ガードタイマがゼロリセットされる(ステップS26)。このガードタイマは、変速出力からブレーキB1,B2の係合・解放状態を実際に切り換えるための制御開始時点までの時間であって、誤制御を防止するために設定されている。すなわちこのガードタイマの経過を待ってブレーキB1,B2の実際の係合・解放制御やトルク補償制御が開始される。
【0071】
上記のステップS26でガードタイマをゼロリセットした後、あるいは変速出力がないことによりステップS24で否定的に判断された場合、ガードタイマが成立したか否か、すなわちガードタイマとして設定した時間が経過したか否かが判断される(ステップS27)。なお、その場合、油温が所定温度以上であること、制御機器にフェールが生じていないことなどの他の前提条件の成立を併せて判断することとしてもよい。
【0072】
その時間が経過していない場合および変速出力がない場合には、このステップS27で否定的に判断され、その場合は、出力トルクの補償をおこなう必要がないので、第1モータ・ジェネレータ11の目標回転数変化量dnesft およびエンジントルク補正量Teajdがそれぞれゼロリセットされる(ステップS28)。これは、前述したステップS22での制御と同様である。したがってこの場合もステップS23に進んで、設定値がゼロとされた各信号dnesft ,Teajdが出力される。言い換えれば、第1モータ・ジェネレータ11の目標回転数変化制御およびエンジントルク補正制御が実施されない。
【0073】
これに対してステップS27で肯定的に判断された場合には、変速機6におけるブレーキB1,B2の係合・解放状態を実際に切り換える変速制御およびそれに伴うトルク補償制御が実行される。すなわち、先ず、ガードタイマが成立することに伴って解放側のブレーキ(アップシフトの場合は第2ブレーキ)B2が次第に解放させられ、それに先行して係合側のブレーキ(アップシフトの場合は第1ブレーキ)B1がパッククリアランスを詰めた係合直前の低圧待機状態になっている。したがってこれらのブレーキB1,B2のトルク容量(係合圧)に基づいて推定出力軸トルクTo が算出される(ステップS29)。すなわち変速中のトルク相においては、第2モータ・ジェネレータ5から出力軸2に付加されるトルクが、各ブレーキB1,B2のトルク容量に応じて制限され、その分、出力トルクが低下する。したがってその低下した出力トルクを前記記憶している出力軸トルクTotg から減算すれば、その時点の推定出力軸トルクTo を求めることができる。
【0074】
こうして求められた推定出力軸トルクTo と既に記憶している変速開始時の推定出力軸トルクTogt との差が、予め定めた所定を超えたか否かが判断される(ステップS30)。前記名ブレーキB1,B2のトルク容量が変化すると、出力軸2のトルクが低下して、事実上の変速が開始することになるので、ステップS30ではこの事実上の変速の開始を判断している。したがってステップS30で否定的に判断された場合には、前述したステップS28に進み、出力軸トルクのいわゆるトルク補償は実行しない。
【0075】
これとは反対にステップS30で肯定的に判断されれば、事実上の変速が開始して出力軸トルクが低下し始めているので、第1モータ・ジェネレータ11によるトルク補償をおこなうために第1モータ・ジェネレータ11の目標変化量dnesft が算出される(ステップS31)。前述した図11の(A)に破線で示すように、第1モータ・ジェネレータ11での反力を増大させて回転数を低下させると、エンジン10によるトルクがキャリヤ19に図11の(A)における上向きに作用しているので、リングギヤ18およびこれに連結されている出力軸2の回転数を維持するようにトルクが増大させることができる。
【0076】
なお、第1モータ・ジェネレータ11によるトルク補償は、出力軸トルクの落ち込み量すなわち変速開始時の推定出力軸トルクTogt と変速中の各時点での推定出力軸トルクTo との差(Togt −To )が小さくなるように実行され、したがって第1モータ・ジェネレータ11の目標回転数変化量dnesft は、前記トルク差(Togt −To )や変速出力からイナーシャ相の開始までの時点Tinr および変速出力から変速終了までの時間Tend などに基づいて決定される。すなわち変速の進行度合に応じて第1モータ・ジェネレータ11の目標回転数変化量dnesft が算出され、これは、一例として各ブレーキB1,B2のトルク容量の各時点の値や第1モータ・ジェネレータ11の回転数変化に伴う慣性トルクに基づく演算であり、あるいは各運転状態に合わせて予め定めたマップ値を変速の進行度合に応じて読み出し、その値に基づく演算である。
【0077】
また、図11の(A)に破線で示すように、第1モータ・ジェネレータ11による反力を増大させると、エンジン回転数を低下させるように荷重が作用する。そこで、そのエンジン回転数の低下を可及的に抑制し、ひいては出力軸トルクを維持するために、エンジントルクの補正量Teadjが算出される(ステップS32)。これは、前記遊星歯車機構12のギヤ比(サンギヤ17とリングギヤ18との歯数の比)および第1モータ・ジェネレータ11の出力するトルクに基づいて算出することができる。
【0078】
ついで、イナーシャ相の判定がおこなわれる(ステップS33)。イナーシャ相は、所定の回転部材の回転数が変速後の変速比に応じた回転数に向けて変化する状態であり、したがって上記の図10に示すハイブリッド駆動装置におけるアップシフトの場合には、第2モータ・ジェネレータ5の回転数の低下によってイナーシャ相の開始を判定することができる。
【0079】
このステップS33で否定的に判断された場合には、ステップS23に進む。すなわち、上記のステップS31で設定された第1モータ・ジェネレータ11の目標回転数変化量dnesft およびステップS32で設定されたエンジントルク補正量Teajdが出力され、第1モータ・ジェネレータ11の目標回転数変化制御およびエンジントルク補正制御が実行される。
【0080】
これに対してステップS33で最初に肯定的に判断された場合には、その判断の成立した時点にイナーシャ相が開始したことになるので、その時点のタイマ値(変速出力時点にカウントを開始したタイマの値)を記憶(保持)する(ステップS34)。すなわちイナーシャ相の開始時間を学習する。これは、変速中の第1モータ・ジェネレータ11の制御初期値を適正化するためであり、イナーシャ相の開始の遅速に応じて第1モータ・ジェネレータ11の制御初期値が増減される。
【0081】
さらに、変速の終了が判断される(ステップS35)。これは、第2モータ・ジェネレータ5の回転数と、変速後の回転数すなわち出力軸2の回転数に変速後の変速比を掛けた回転数との差が所定の基準値以下となったか否かを判断することによっておこなうことができる。このステップS35で否定的に判断された場合には、ステップS23に進み、ステップS31あるいはステップS32で算出されている目標回転数変化量dnesft およびエンジントルク補正量Teajdが出力される。すなわちイナーシャ相における第1モータ・ジェネレータ11の目標回転数変化制御とエンジントルク補正制御とが実行される。
【0082】
これに対して変速終了判定が成立してステップS35で肯定的に判断された場合には、目標回転数変化量dnesft およびエンジントルク補正量Teajdのそれぞれがゼロリセットされる(ステップS36)。ついで、その時点の変速出力からの経過時間Tend が保持(記憶)される(ステップS37)。その後、ステップS23に進み、ゼロリセットされた各信号dnesft ,Teajdが出力される。すなわち第1モータ・ジェネレータ11の目標回転数変化制御とエンジントルク補正制御とが終了する。
【0083】
上記の図2に示す制御を実行した場合の第2モータ・ジェネレータ5の回転数NMG2 ,推定出力軸トルクTo ,エンジントルク補正量dnesft の変化を図3にタイムチャートとして示してある。すなわち、変速機6での変速を実行するべき走行状態がt1 時点に成立してこれが検出されると、所定時間T1 の経過したt2 時点に変速信号が出力される。一例として、係合側の摩擦係合装置(上記の具体例ではブレーキ)に対する供給圧を一時的に高くして、パッククリアランスを詰め、その後に係合圧を低下させして低圧待機させるファーストフィルが実行される。
【0084】
変速出力後に所定のガードタイマが成立すると(t3 時点)、実質的な変速制御が開始される。一例として解放側の摩擦係合装置(上記の具体例ではブレーキ)の係合圧が所定圧力までステップ的に低下させられる。その結果、第2モータ・ジェネレータ5と出力軸2との間の伝達トルク容量が低下するので、推定出力軸トルクTo が次第に低下する。その推定出力軸トルクTo と変速開始時t2 の 推定出力軸トルクTotg との差すなわちトルク落ち込み量が所定の基準値TQNGCTST より大きくなると(t4 時点)、主動力源1の変速時制御が開始される。すなわち第1モータ・ジェネレータ11の目標回転数変化制御とエンジントルク補正制御とが開始される。なお、これらの制御がおこなわれていることを示す実行フラグxngadjex がオンとされる。
【0085】
この制御は、例えば前述したように第1モータ・ジェネレータ11による反力を増大させ、それに伴って第1モータ・ジェネレータ11やエンジン10の回転数を低下させる制御であり、したがってその回転数の変化に起因する慣性トルクが出力軸2に付加されるので、変速中の出力軸トルクの低下が抑制される。またその場合、前記のステップS32によるようにエンジントルクが補正されるので、第1モータ・ジェネレータ11による反力の増大に対抗する正トルクが増大してエンジン回転数の過度な低下が抑制もしくは防止される。なお、図3には、エンジントルク補正量Teajdに上限値を設定してある例を示している。
【0086】
解放側ブレーキの係合圧の低下と係合側ブレーキの係合圧の増大に伴って変速機6の内部でトルクの変化が生じ、その状態がある程度進行すると、第2モータ・ジェネレータ5などの回転部材の回転変化が生じる。すなわちイナーシャ相が開始する(t5 時点)。その回転変化に伴う慣性トルクが出力軸2に付加されるので、図3に示すように推定出力軸トルクが次第に増大する。
【0087】
また併せて第2モータ・ジェネレータ5の回転数が変速後の変速比に応じた回転数に向けて次第に低下し、その回転数の差が所定値NNGADJEDUにまで低下すると、終了条件が成立する(t6 時点)。その結果、第1モータ・ジェネレータ11の目標回転数変化量dnesft およびエンジントルク補正量Teajdがゼロに制倒される。また、特には図示していないが、係合側ブレーキの係合圧が変速後の通常状態での係合圧にまで急速に増大させられる。
【0088】
そして、その後のt7 時点に第2モータ・ジェネレータ5の回転数が変速後の変速比に応じた回転数すなわち出力軸2の回転数に一致し、また目標回転数変化量dnesft およびエンジントルク補正量Teajdがゼロになって制御が終了する。これに併せて前記実行フラグxngadjex がオフ(ゼロ)にリセットされる。
【0089】
上記のように、この発明に係る制御装置では、第2モータ・ジェネレータ5と出力軸2との間に配置されている変速機6での変速中に、主動力源1を構成している第1モータ・ジェネレータ11の回転数の変化によるトルクの制御を実行し、出力軸トルクの落ち込みを抑制するので、変速に伴う出力軸トルクの変化幅もしくは変化率が抑制されて変速ショックが防止もしくは回避される。
【0090】
上述した変速機6での変速は、各ブレーキB1,B2のうちの一方を解放させるとともに、他方を係合させて実行することになるので、少なくとも一方のブレーキの係合圧を変速の進行状態に応じて制御することが好ましい。その場合、その制御されている係合圧が、第2モータ・ジェネレータ5側から出力軸2に付加されているトルクもしくはその低下量に関連し、ひいては主動力源1側で補正するべきトルクに関連するので、そのブレーキの係合圧もしくはその制御量に基づいて主動力源1側でのトルク補正を行うことができる。
【0091】
図4はその制御例を示すタイムチャートであって、ここに示す例は、第2モータ・ジェネレータ5からトルクを出力している状態で低速段Lから高速段Hに変速するパワーオン・アップシフトの例を示している。すなわち、変速出力がおこなわれるt11時点は、図3におけるt2 時点に相当しており、高速段側の第1ブレーキB1に対して油圧が急速に供給され、いわゆるファーストフィルが実行される。これは、高速段側油圧Phiを一時的に増大させ、その後に所定の低圧に維持する制御である。
【0092】
その後にガードタイマが成立することにより、もしくはガードタイマ成立後に実質的に変速制御が開始され、低速段側の第2ブレーキB2の油圧Ploが所定圧までステップ的に低下させられる(t12時点)。その第2ブレーキB2の油圧を徐々に低下(スィープダウン)させると、第2モータ・ジェネレータ5に作用していた負のトルクが低下するので、第2モータ・ジェネレータ5の回転数NMG2 が上昇する。その回転数NMG2 と変速前の変速比に応じた回転数との差が所定の判断基準値より増大すると、第2モータ・ジェネレータ5の回転数が増大するいわゆる吹き上がりの判定が成立する(t13時点)。その場合、第2モータ・ジェネレータ5の回転数がそのまま増大してしまうことを回避するために、第2ブレーキB2の油圧を一時的に増大させてオーバーラップ傾向に制御する。
【0093】
そして、高速段側油圧Phiを次第に増大(スィープアップ)させつつ、低速段側油圧Ploを低下させる。その場合、第2モータ・ジェネレータ5の回転数が低速段の変速比に応じた回転数に対して所定量上回る回転数となるように、低速段側油圧Ploをフィードバック制御(FB制御)する。言い換えれば、第2モータ・ジェネレータ5の回転数が上記の回転数となるように、低速段側の第2ブレーキB2の滑り量を第2モータ・ジェネレータ5の回転数に基づいてフィードバック制御する。
【0094】
各油圧Phi,Ploを上記のように変化させることにより、推定出力軸トルクToが低下するので、その落ち込みを抑制するように第1モータ・ジェネレータ11の出力トルクが制御される。前述したように、第1モータ・ジェネレータ11の回転数制御によって慣性トルクを生じさせ、これをもって出力軸トルクを補完することもできるが、第1モータ・ジェネレータ11は遊星歯車機構12を介してエンジン10と共に出力軸2に連結されているから、第1モータ・ジェネレータ11の出力トルクを制御することによっても出力軸トルクの落ち込みを抑制することができる。したがって図4に示す例では、第1モータ・ジェネレータ11の出力トルクを制御することとしている。
【0095】
なお、その第1モータ・ジェネレータ11のトルク制御の開始タイミングあるいは制御開始時の初期制御量もしくはそのトルク増大の勾配などの初期の制御内容が、前記イナーシャ相の開始までの学習時間Tinr および/または終了条件成立までの学習時間Tend に基づいて補正される。こうすることにより、第1モータ・ジェネレータ11のトルク制御がより正確なものとなる。
【0096】
具体的には、第2モータ・ジェネレータ5の回転数偏差に基づく低速段側油圧Ploのフィードバック補正量に基づいて第1モータ・ジェネレータ11のトルク補正量(MG1トルク補正量)Tgadjが設定されている。なお、図4には、そのトルク補正量Tgadjにいわゆる上限値(上限ガード)を設定した例を示してある。
【0097】
変速に関与するブレーキのトルク容量は、係合圧のみならず摩擦係数によっても決まるので、その係合圧や摩擦係数のばらつきが第2モータ・ジェネレータ5の回転数として現れる。したがって上記のフィードバック制御をおこなうように構成した場合には、係合圧の制御のばらつきを低速段側油圧Ploの制御に反映させることができるので、各油圧の制御あるいはそれに基づく第2モータ・ジェネレータ5の回転数制御を安定させることができる。
【0098】
低速段側油圧Ploが次第に低下し、かつ高速段側油圧Phiが次第に増大することに伴って第2モータ・ジェネレータ5の回転数が、変速後の高速段Hでの変速比に応じた回転数に向けて次第に低下し始める。その結果、第2モータ・ジェネレータ5の回転数NMG2 が、低速段Lでの変速比に応じた回転数より所定値以上低下すると、イナーシャ相の開始の判定が成立する(t14時点)。
【0099】
なお、この時点では、低速側の第2ブレーキB2は完全に解放させられていて、低速段側油圧Ploはほぼゼロになっている。したがって第2モータ・ジェネレータ5の回転数および第2モータ・ジェネレータ5側から出力軸トルク2に付加されるトルクは、第1ブレーキB1の高速段側油圧Phiおよびそれに回転数変化に起因する慣性トルクによるものとなる。
【0100】
こうして第2モータ・ジェネレータ5の回転数が変速後の高速段Hでの回転数に向けて低下するとともに、推定出力軸トルクTo が次第に増大すると、その回転数に基づいて変速終了条件が成立する(t15時点)。その結果、高速段側油圧Phiが急速にライン圧もしくはその補正圧程度に急速に増大させられ、その直後に制御が終了する(t16時点)。なお、第2モータ・ジェネレータ5の出力トルクは、イナーシャ相の開始判定が成立(t14時点)することによって次第に増大させられる。
【0101】
ところで、上記の変速機6での変速も一般的な自動変速機での変速と同様に、車両の走行状態に基づいて判断され、実行される。そのために、車両の走行状態を正確に検出することが好ましく、また検出した走行状態に応じた変速を実行することになる。図5は上記の変速機6での変速制御の他の例を示しており、ここに示す例では、車両の走行状態の一つの要件として、先ず、車速が算出される。すなわち、出力軸2の回転数を検出する出力軸回転数センサSout で検出した出力軸回転数No が所定値より小さいか否かが判断される(ステップS41)。
【0102】
この種のセンサSout はパルスギヤおよび電磁ピックアップによるものが一般的であるが、このような出力軸回転数センサSout では、低回転数ほど検出精度が低下する。したがってステップS41で肯定的に判断された場合、すなわち出力軸2の回転数が低回転数の場合には、エンジン回転数Ne と第1モータ・ジェネレータ11の回転数Ng とから出力軸2の回転数が算出される(ステップS42)。すなわち、エンジン回転数Ne および第1モータ・ジェネレータ11の回転数Ng ならびに出力軸2の回転数との間には、前述した図11の(A)に示す関係があるから、エンジン回転数Ne と第1モータ・ジェネレータ11の回転数Ng とから出力軸2の回転数を算出することができる。
【0103】
上記のステップS41で否定的に判断された場合には、出力軸回転数センサSout による回転数No に基づいて車速が算出され、これとは反対にステップS41で肯定的に判断された場合には、ステップS42で算出された出力軸2の回転数に基づいて車速が算出される(ステップS43)。したがって車速が正確に求められる。
【0104】
ついで、要求駆動力が算出される(ステップS44)。その要求駆動力は、第2モータ・ジェネレータ5に対して要求されている駆動力であり、従来一般におこなわれている手法で算出することができる。例えば上記の車速とアクセル開度ならびに予め用意したマップに基づいて求めることができる。
【0105】
さらに、変速判断の有無が判断される(ステップS45)。その変速判断は、通常の自動変速機での変速の判断と同様にしておこなうことができる。具体的には、車速と要求駆動力とをパラメータとした変速線図(変速マップ)に、アップシフト線とダウンシフト線とを設けておき、車速や要求駆動力がこれらいずれかの変速線を横切るように変化した場合に、変速判断が成立する。例えば、アップシフト線より低車速側から高車速側に車速が変化した場合には、アップシフトの判断が成立し、また反対に高車速側から低車速側にダウンシフト線を横切るように車速が変化した場合には、ダウンシフトの判断が成立し、さらに車速が変化してもいずれの変速線を横切らない変化であれば、その時点の変速段が維持され、変速判断が成立しない。
【0106】
その変速線は、変速の前後で等パワーとなるように設定されている。すなわち出力軸にトルクを付加する第2モータ・ジェネレータ5の出力特性は、図6に示すようになっており、高速段Hで出力可能な領域Aに対して、低速段Lで出力可能な領域Bは、大駆動力側に拡がっている。したがって領域Aより大駆動力側で低速段Lを設定している状態で高速段Hにアップシフトすると、駆動力が領域A内に低下するので、このような駆動力の変化がショックとなる可能性がある。このような事態を避けるために、車両の走行状態が領域A内にある場合に変速が生じるように、すなわち変速前後で等パワーとなるように、変速線が設定されている。図6にアップシフト線の一例を模式的に示してある。
【0107】
ステップS45で否定的に判断された場合には、特に制御をおこなうことなくリターンする。これに対してステップS45で肯定的に判断された場合には、車両の走行状態が変速許可領域に入っているか否かが判断される(ステップS46)。この変速許可領域を定めている条件は、第2モータ・ジェネレータ5と出力軸2との間もしくはこれに関連する部分の駆動系に、いわゆるガタ打ち音が生じることである。具体的には、駆動力がゼロの付近では、例えば変速機6を構成している各歯車の噛み合い状態が反対になるなど、歯面の接触・離隔が生じるので、この状態では変速が禁止される。また、駆動力が負の状態で力行状態に変化する変速もしくはトルクアップ状態となる変速は禁止される。さらには、駆動力が正の状態で回生状態となる変速もしくはトルクダウン状態となる変速は禁止される。
【0108】
したがってステップS46で否定的に判断された場合には、変速を実行できないので、特に制御をおこなうことなくリターンする。これとは反対にステップS46で肯定的に判断された場合には、制御機器の異常の有無の判断、例えば油圧系のフェール状態の判断がおこなわれる(ステップS47)。これは、制御信号を出力したのにも関わらず所期の油圧が発生しないなどのことに基づいて判断することができる。
【0109】
フェールが生じていることによりステップS47で肯定的に判断された場合には、変速を実行できる状況にないことになるので、特に制御をおこなうことなくリターンする。したがってこの場合は、現在の変速段が維持される。これに対してステップS47で否定的に判断された場合には、変速出力が実行される(ステップS48)。なお、この変速出力には、高速段Hと低速段Lとの間の変速の他に、前進レンジ(ドライブレンジ)と後進レンジ(リバースレンジ)との間の変速を含む。
【0110】
さらに、その変速がパワーオン状態での変速か否かが判断される(ステップS49)。この判断は、第2モータ・ジェネレータ5の出力トルクに基づいて判断することができ、第2モータ・ジェネレータ5がトルクを出力している場合はパワーオン状態であってステップS49で肯定的に判断され、これとは反対に出力軸2から第2モータ・ジェネレータ5に向けてトルクが入力されている場合を含めて第2モータ・ジェネレータ5がトルクを出力していない場合はパワーオフであってステップS49で否定的に判断される。
【0111】
そして、ステップS49で肯定的に判断された場合には、変速機6における各ブレーキB1,B2の油圧が、パワーオン状態に応じて制御される(ステップS50)。前述した図4を参照して説明した変速制御が、このパワーオン状態での油圧制御の一例である。これに対してステップS49で否定的に判断された場合には、パワーオフ状態での油圧制御が実行される(ステップS51)。その一例としてアップシフトの例を図7にタイムチャートで示してある。
【0112】
アップシフトの場合、変速後の第2モータ・ジェネレータ5の回転数は変速前より低下させるから、パワーオフ状態であれば、第2モータ・ジェネレータ5を駆動系から切り離すことによりその回転数が自然に低下する。そこで、変速出力(t21時点)によって低速段側油圧指令値Pblを完全解放程度の低圧にステップダウンさせ、また高速段側油圧指令値Pbhを、第1ブレーキB1のパッククリアランスが詰まるファーストフィルを実行するように一時的に増大させる。
【0113】
各ブレーキB1,B2の油圧をこのように制御することにより、第2モータ・ジェネレータ5と出力軸2との間で伝達トルクが低下させられ、第2モータ・ジェネレータ5による回生トルクが減少する。したがってガードタイマの成立したt22時点から主動力源1側でのトルク補正制御が開始される。また一方、第2モータ・ジェネレータ5の回転数NMG2 とその目標回転数Nmtg との偏差が所定値以内となるように第2モータ・ジェネレータ5のトルクがフィードバック制御(FB制御)される。
【0114】
その間に第2モータ・ジェネレータ5の回転数NMG2 が次第に低下し、変速後の高速段Hでの変速比に応じた回転数との差が所定値以下になると回転数同期の判定が成立する(t23時点)。これと同時に、高速段側油圧指令値Pbhが増大させられ、かつ低速段側油圧指令値Pblがゼロまで低下させられる。
【0115】
第2モータ・ジェネレータ5の回転数NMG2 が同期回転数に近づくと、フィードバック制御トルクの絶対値が所定値より大きくなり(t24時点)、フィードバック制御を終了する。その後は、駆動力要求量に応じたモータトルクに復帰させる。その後に、制御が終了させられる(t25時点)。
【0116】
ところで、変速機6での変速中の出力軸トルクの落ち込みを、主動力源1側のトルクで抑制する場合、前述したように第1モータ・ジェネレータ11のトルクを補正することに伴ってエンジン回転数が変化することがある。一方、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの一般的な内燃機関の出力特性は、図8に模式的に示すように、回転数Ne が所定値以上の範囲では、回転数Ne の増大に従ってトルクTe が低下する特性(トルク勾配(Te /Ne )が負)となっている。
【0117】
したがって車両が全体としてパワーオン状態で走行している場合には、このトルク勾配が負の領域(図8のC領域)で前述した図1でのステップS7における第1モータ・ジェネレータ11によるトルク補償あるいは図2に示す制御での第1モータ・ジェネレータ11の回転数の補正制御を実行するように構成することが好ましい。このように構成すれば、変速時にエンジン回転数が低下しようとするとそれに応じてエンジントルクが増大するので、結局は、エンジン回転数の低下が抑制される。言い換えれば、変速時における出力軸トルクの主動力源1による補正制御に併せてエンジン回転数制御をおこなう必要性が低減されるので、制御が容易になる。
【0118】
ここで上述した具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、前述したステップS7あるいはステップS31の機能的手段が、この発明の第1トルク補正手段に相当し、またステップS32の機能的手段が、この発明の第2トルク補正手段に相当し、さらにステップS46の機能的手段が、この発明の変速禁止手段に相当する。
【0119】
なお、この発明は上述した具体例に限定されない。例えばこの発明の変速機構は、上述したラビニョ型遊星歯車機構からなるものに限られないのであって、要は、出力部材とこれに付加するトルクを出力する動力源との間の変速比を変更できる装置であればよい。また、上記の具体例では、いわゆるクラッチ・ツウ・クラッチ変速によって変速を実行する変速機を例に挙げたが、この発明では、クラッチ・ツウ・クラッチ変速以外の態様で変速を実行する変速機構を採用することができる。
【0120】
さらに、この発明における主動力源は、遊星歯車機構を介して互いに連結された内燃機関とモータ・ジェネレータとから構成された動力装置に限定されないのであって、要は、出力軸などの出力部材に動力を出力できる動力装置であればよい。そして、上記の具体例では、電動機と発電機との機能を備えたモータ・ジェネレータを例にして説明したが、この発明における主動力源を構成する一つの駆動装置は電動機および/または発電機であってもよく、同様に、アシスト動力源も電動機および/または発電機であってもよい。
【0121】
またさらに、上記の具体例では、主動力源あるいは第1モータ・ジェネレータによるトルク補正を各時点に検出した情報に基づいて実行するいわゆるリアルタイムでおこなうように構成したが、この発明では、変速の進行度合いに応じて所定値を出力してトルク補正をおこなうように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】この発明の制御装置による制御例を説明するための全体的なフローチャートである。
【図2】この発明の制御装置による制御例を説明するための更に具体的なフローチャートである。
【図3】図1あるいは図2に示す制御をおこなった場合のタイムチャートの一例を示す図である。
【図4】第1モータ・ジェネレータによるトルク補正量を係合圧のフィードバック補正量に応じて設定する場合のタイムチャートの一例を示す図である。
【図5】この発明に制御装置による他の制御例を説明するためのフローチャートである。
【図6】変速の前後で等パワーとなる領域を模式的に示す線図である。
【図7】パワーオフアップシフトの場合のタイムチャートを示す図である。
【図8】トルク勾配が負となる領域を模式的に示すエンジンの出力特性線図である。
【図9】この発明で対象とするハイブリッド駆動装置の一例を模式的に示すブロック図である。
【図10】そのハイブリッド駆動装置を更に具体的に示すスケルトン図である。
【図11】図10に示す各遊星歯車機構についての共線図である。
【図12】変速時の出力軸トルクの変化を主動力源側によるトルク補正の有る場合と無い場合とについて示す線図である。
【符号の説明】
【0123】
1…主動力源、 2…出力部材(出力軸)、 5…アシスト動力源(第2モータ・ジェネレータ)、 6…変速機、 10…エンジン、 11…第1モータ・ジェネレータ、 12…遊星歯車機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主動力源の出力したトルクが伝達される出力部材に、アシスト動力源が変速機構を介して連結されているハイブリッド駆動装置の制御装置において、
前記変速機構による変速中に前記主動力源から前記出力部材に伝達されるトルクを補正する第1トルク補正手段を備えていることを特徴とするハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項2】
前記第1トルク補正手段が、前記主動力源から前記出力部材に伝達されるトルクを増大させるトルク増大手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項3】
前記主動力源が、三つの回転要素によって差動作用をなす歯車機構を介してトルクが合成もしくは分配される内燃機関と第1モータ・ジェネレータとを備えるとともに、前記アシスト動力源が第2モータ・ジェネレータによって構成され、
前記第1トルク補正手段が、前記第1モータ・ジェネレータによるトルクを補正する手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項4】
前記変速中に前記第1モータ・ジェネレータのトルクを補正する際に、前記内燃機関のトルクを補正する第2トルク補正手段を更に備えていることを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項5】
前記第2トルク補正手段が、前記内燃機関のトルクを増大させる手段を含むことを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項6】
前記第1トルク補正手段は、前記内燃機関の運転状態が、内燃機関の回転数が増大することに伴って内燃機関の出力トルクが低下する領域にある場合に前記第1モータ・ジェネレータのトルクを補正する手段を含むことを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項7】
前記変速機構が、前記アシスト動力源のトルクを前記出力部材に伝達するとともに係合もしくは解放することにより変速を実行する摩擦係合装置を備え、
前記第1トルク補正手段は、前記摩擦係合装置のトルク容量に基づいて前記主動力源から前記出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項8】
前記摩擦係合装置は、前記アシスト動力源がトルクを出力しかつ変速比を小さくする変速の際に解放させられる低速側摩擦係合装置を含み、
前記第1トルク補正手段は、前記アシスト動力源の回転数が前記低速側摩擦係合装置の所定の微少滑りによって設定される回転数となるように前記低速側摩擦係合装置の係合圧をフィードバック制御するフィードバック補正量に基づいて前記主動力源から出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする請求項7に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項9】
前記変速機構が、前記アシスト動力源のトルクを前記出力部材に伝達するとともに係合もしくは解放することにより変速を実行する摩擦係合装置を備え、
前記第1トルク補正手段は、変速中における前記摩擦係合装置のトルク容量に基づいて推定された前記出力部材のトルクと目標出力トルクとの偏差に基づいて、前記主動力源から前記出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項10】
前記第1トルク補正手段は、前記変速の際のイナーシャ相開始後の変速の進行度合いに基づいて前記主動力源から出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項11】
前記第1トルク補正手段は、前記アシスト動力源のトルクを出力している状態で前記変速機構の変速比を低下させる変速の際の変速開始からイナーシャ相開始までの時間の学習値に基づいて前記主動力源から出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項12】
前記第1トルク補正手段は、前記アシスト動力源のトルクを出力している状態で前記変速機構の変速比を低下させる変速の際のイナーシャ相開始から変速終了までの時間の学習値に基づいて前記主動力源から出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項13】
前記第2トルク補正手段は、前記変速中における前記第1モータ・ジェネレータのトルク補正量に基づいて前記内燃機関のトルクを補正する手段を含むことを特徴とする請求項4,5,7,8,9のいずれかに記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項14】
前記変速機構が歯車変速機構によって構成されており、かっ前記出力部材のトルクがほぼゼロの状態でその歯車変速機構における歯車の歯面が互いに接触・離隔するトルク変化の生じる変速を禁止する変速禁止手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主動力源の出力したトルクが伝達される出力部材に、アシスト動力源が変速機構を介して連結されているハイブリッド駆動装置の制御装置において、
記主動力源が、内燃機関と、第1モータ・ジェネレータと、内燃機関に連結された第1の回転要素および前記第1モータ・ジェネレータに連結された第2の回転要素ならびに前記出力部材に連結された第3の回転要素を有しかつこれらの三つの回転要素が相互に差動作用をなす歯車機構とを備え、
前記アシスト動力源が第2のモータ・ジェネレータから構成され、
前記変速機構が、変速比を変更可能でかつ前記第2のモータ・ジェネレータが出力したトルクをその変速比に応じて増減して前記出力部材に伝達する機構によって構成され、
前記変速機構が前記第2のモータ・ジェネレータの出力したトルクを前記出力部材に伝達している状態での前記変速機構による変速中に前記第1モータ・ジェネレータのトルクを変化させて前記主動力源から前記出力部材に伝達されるトルクを補正する第1トルク補正手段を更に備えていることを特徴とするハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項2】
主動力源の出力したトルクが伝達される出力部材に、アシスト動力源が変速機構を介して連結されているハイブリッド駆動装置の制御装置において、
前記主動力源が、三つの回転要素によって差動作用をなす歯車機構を介してトルクが合成もしくは分配されかつその歯車機構から前記出力部材にトルクを出力する内燃機関と第1モータ・ジェネレータとを備えるとともに、前記アシスト動力源が第2モータ・ジェネレータによって構成され、
前記変速機構が、変速比を変更可能でかつ入力要素に前記第2のモータ・ジェネレータのみが連結された機構によって構成され、
前記変速機構による変速中に前記第1モータ・ジェネレータによるトルクを変化させて前記主動力源から前記出力部材に伝達されるトルクを補正する第1トルク補正手段を備えている
ことを特徴とするハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項3】
主動力源の出力したトルクが伝達される出力部材に、アシスト動力源が変速比を変更可能な変速機構を介して連結されているハイブリッド駆動装置の制御装置において、
前記変速機構による変速中に前記主動力源から前記出力部材に伝達されるトルクを補正する第1トルク補正手段を備え、
前記主動力源が、三つの回転要素によって差動作用をなす歯車機構を介してトルクが合成もしくは分配される内燃機関と第1モータ・ジェネレータとを備えるとともに、前記アシスト動力源が第2モータ・ジェネレータによって構成され、
前記第1トルク補正手段が、前記第1モータ・ジェネレータによるトルクを補正する手段を含むことを特徴とするハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項4】
主動力源の出力したトルクが伝達される出力部材に、アシスト動力源が変速機構を介して連結されているハイブリッド駆動装置の制御装置において、
前記変速機構による変速中に前記主動力源から前記出力部材に伝達されるトルクを補正する第1トルク補正手段を備え、
前記主動力源が、三つの回転要素によって差動作用をなす歯車機構を介してトルクが合成もしくは分配される内燃機関と第1モータ・ジェネレータとを備えるとともに、前記アシスト動力源が第2モータ・ジェネレータによって構成され、かつその第2モータ・ジェネレータのみが前記変速機構の入力要素に連結され、
前記第1トルク補正手段が、前記第1モータ・ジェネレータによるトルクを補正する手段を含むことを特徴とするハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項5】
主動力源の出力したトルクが伝達される出力部材に、アシスト動力源が変速比を変更可能な変速機構を介して連結されているハイブリッド駆動装置の制御装置において、
前記変速機構による変速中に前記主動力源から前記出力部材に伝達されるトルクを補正する第1トルク補正手段を備え、
前記主動力源が、三つの回転要素によって差動作用をなす歯車機構を介してトルクが合成もしくは分配される内燃機関と第1モータ・ジェネレータとを備えるとともに、前記アシスト動力源が第2モータ・ジェネレータによって構成され、かつその第2モータ・ジェネレータのみが前記変速機構の入力要素に連結され、
前記第1トルク補正手段が、前記第1モータ・ジェネレータによるトルクを補正する手段を含むことを特徴とするハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項6】
前記第1トルク補正手段は、前記主動力源から前記出力部材に伝達されるトルクを増大させるトルク増大手段を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項7】
前記変速中に前記第1モータ・ジェネレータのトルクを補正する際に、前記内燃機関のトルクを補正する第2トルク補正手段を更に備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項8】
前記第2トルク補正手段が、前記内燃機関のトルクを増大させる手段を含むことを特徴とする請求項7に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項9】
前記第1トルク補正手段は、前記内燃機関の運転状態が、内燃機関の回転数が増大することに伴って内燃機関の出力トルクが低下する領域にある場合に前記第1モータ・ジェネレータのトルクを補正する手段を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項10】
前記変速機構が、前記アシスト動力源のトルクを前記出力部材に伝達するとともに係合もしくは解放することにより変速を実行する摩擦係合装置を備え、
前記第1トルク補正手段は、前記摩擦係合装置のトルク容量に基づいて前記主動力源から前記出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項11】
前記摩擦係合装置は、前記アシスト動力源がトルクを出力しかつ変速比を小さくする変速の際に解放させられる低速側摩擦係合装置を含み、
前記第1トルク補正手段は、前記アシスト動力源の回転数が前記低速側摩擦係合装置の所定の微少滑りによって設定される回転数となるように前記低速側摩擦係合装置の係合圧をフィードバック制御するフィードバック補正量に基づいて前記主動力源から出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする請求項10に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項12】
前記変速機構が、前記アシスト動力源のトルクを前記出力部材に伝達するとともに係合もしくは解放することにより変速を実行する摩擦係合装置を備え、
前記第1トルク補正手段は、変速中における前記摩擦係合装置のトルク容量に基づいて推定された前記出力部材のトルクと目標出力トルクとの偏差に基づいて、前記主動力源から前記出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項13】
前記第1トルク補正手段は、前記変速の際のイナーシャ相開始後の変速の進行度合いに基づいて前記主動力源から出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項14】
前記第1トルク補正手段は、前記アシスト動力源のトルクを出力している状態で前記変速機構の変速比を低下させる変速の際の変速開始からイナーシャ相開始までの時間の学習値に基づいて前記主動力源から出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項15】
前記第1トルク補正手段は、前記アシスト動力源のトルクを出力している状態で前記変速機構の変速比を低下させる変速の際のイナーシャ相開始から変速終了までの時間の学習値に基づいて前記主動力源から出力部材に伝達するトルクを補正する手段を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項16】
前記第2トルク補正手段は、前記変速中における前記第1モータ・ジェネレータのトルク補正量に基づいて前記内燃機関のトルクを補正する手段を含むことを特徴とする請求項7,8,10,11,12のいずれかに記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項17】
前記変速機構が歯車変速機構によって構成されており、かつ前記出力部材のトルクがほぼゼロの状態でその歯車変速機構における歯車の歯面が互いに接触・離隔するトルク変化の生じる変速を禁止する変速禁止手段を更に備えていることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
【請求項18】
前記アシスト動力源から前記出力部材に伝達されるトルクを、前記変速機構の変速比に応じて増減させることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−51932(P2006−51932A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228683(P2005−228683)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【分割の表示】特願2002−374978(P2002−374978)の分割
【原出願日】平成14年12月25日(2002.12.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】