説明

不揮発性半導体記憶装置

【課題】スプリットゲート型の不揮発性半導体記憶装置のメモリセルを確実に形成できると共に、該メモリセルをMOSトランジスタと同一の半導体基板上に形成する際に、本発明のメモリセルがMOSトランジスタの動作特性に影響を与えないようにする。
【解決手段】シリコンからなる半導体基板11上に、ゲート酸化膜12を介して多結晶シリコンからなる制御ゲート電極13が形成されている。制御ゲート電極13の両側面上には、膜厚がそれぞれ7nm程度のシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の積層体が堆積されてなり、浮遊ゲート電極15が形成される際に制御ゲート電極13を保護する保護絶縁膜14が形成されている。制御ゲート電極13の一方の側面上には、保護絶縁膜14を介して対向し且つ制御ゲート電極13と容量結合する浮遊ゲート電極15が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置に関し、特に、記憶素子と該記憶素子と入出力等を行なう周辺回路とを同一の半導体基板上に形成する不揮発性半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、フラッシュ型EEPROM(Flash Electrically Erasable Programmable ROM)装置(以下、FEEPROM装置と略称する。)は、電気的な書き込み及び消去が可能な不揮発性半導体記憶装置として電子機器に広く用いられている。不揮発性半導体記憶装置におけるメモリセルの構造は、大きく2種類に分けることができる。第1は、半導体基板上に浮遊ゲート電極と制御ゲート電極とが順次積層された電極構造を持つスタックゲート型であり、第2は、浮遊ゲート電極と制御ゲート電極とが共に半導体基板のチャネル領域と対向する電極構造を持つスプリットゲート型である。
【0003】
スプリットゲート型の場合は、浮遊ゲート電極と制御ゲート電極とが基板上に隣接して配置されるため、メモリセルのサイズがスタックゲート型の場合よりも大きくなる。その上、互いに隣接する浮遊ゲート電極と制御ゲート電極とを形成するにはそれぞれ独立したリソグラフィ工程を行なうため、浮遊ゲート電極パターンと制御ゲート電極パターンとのそれぞれにマスクの位置合わせに必要なマージンが必要となる。このマージンによってもメモリセルのサイズが一層大型化する傾向にある。
【0004】
この問題を解決するため、スプリットゲート型の浮遊ゲート電極を自己整合的に形成する方法が提案されている。以下、図58を参照しながら、浮遊ゲート電極を自己整合的に形成できる従来のスプリットゲート型FEEPROM装置の製造方法を説明する。
【0005】
図58は従来のスプリットゲート型のFEEPROM装置の工程順の断面構成を示している。
【0006】
まず、図58(a)に示すように、シリコンからなる半導体基板201上に絶縁膜202を形成した後、該絶縁膜202上に制御ゲート電極203を選択的に形成する。
【0007】
次に、図58(b)に示すように、半導体基板201上のドレイン形成領域が開口した第1のマスクパターン251及びゲート電極203をマスクとして、ウェットエッチングによりドレイン形成領域上の絶縁膜202を除去し、その後、比較的に低ドーズ量のホウ素(B)イオンを半導体基板201に注入して、ドレイン形成領域に低濃度p型領域204を形成する
次に、図58(c)に示すように、半導体基板201上の全面に、膜厚が100nm程度のホウ素(B)及びリン(P)が添加された酸化シリコン(BPSG(Boron Phosphorus Silicate Glass))膜を堆積し、堆積したBPSG膜に対して異方性エッチングによりエッチバックを行なって、制御ゲート電極203の両側面上にBPSG膜からなるサイドウォール205を形成する。
【0008】
次に、図58(d)に示すように、半導体基板201上のドレイン形成領域が開口した第2のマスクパターン252、ゲート電極203及びサイドウォール205をマスクとして、半導体基板201に対してドライエッチングを行なって、半導体基板201におけるサイドウォール205の下側を上段とし、ドレイン形成領域を下段とする段差部を持つ凹部201aを形成する。
【0009】
次に、図58(e)に示すように、第2のマスクパターン252、ゲート電極203及びサイドウォール205をマスクとして、比較的に低ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板201に注入して、ドレイン形成領域に低濃度n型領域であるLDD領域206を形成する。
【0010】
次に、図58(f)に示すように、気相フッ酸を用いてサイドウォール205を除去した後、半導体基板201に対して酸素雰囲気で850℃程度の熱酸化を行なうことにより、半導体基板201上にゲート電極203を含む全面にわたって膜厚が約9nmの熱酸化膜207を形成する。このとき、熱酸化膜207におけるドレイン形成領域上の部分は、浮遊ゲート電極のトンネル酸化膜となる。
【0011】
次に、半導体基板201上の全面にリン(P)が添加された多結晶シリコン膜を堆積し、エッチバックにより制御ゲート電極203の両側面に多結晶シリコン膜からなるサイドウォールを形成する。その後、図58(g)に示すように、ソース形成領域側のサイドウォールを除去し、さらに、半導体基板201のドレイン形成領域側にメモリセルごとに分割することにより、多結晶シリコン膜からなる浮遊ゲート電極208を形成する。
【0012】
次に、図58(h)に示すように、ゲート電極203及び浮遊ゲート電極208をマスクとして、半導体基板201に高濃度のヒ素(As)イオンを注入することにより、ソース形成領域にソース領域209を形成し、ドレイン形成領域にドレイン領域210を形成して、FEEPROM装置のメモリセルが完成する。
【0013】
このように、容量絶縁膜となる熱酸化膜207を介して制御ゲート電極203と対向する浮遊ゲート電極208は、制御ゲート電極203に対して自己整合的に形成されるため、ゲート電極203を形成するためのリソグラフィ工程が一回で済む上に、リソグラフィ工程時における制御ゲート電極203及び浮遊ゲート電極208同士の互いの位置合わせによるずれが生じない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、前記従来のFEEPROM装置の製造方法において、図58(g)に示す浮遊ゲート電極208は多結晶シリコンからなり、熱酸化膜207は酸化シリコンからなり、さらに熱酸化膜207に覆われている制御ゲート電極203は一般に多結晶シリコンからなる場合が多い。従って、エッチングによって浮遊ゲート電極208を形成する際に、浮遊ゲート電極208を選択的に形成するには、エッチング速度を高精度に制御しなければ、浮遊ゲート電極208と同一の材料からなる制御ゲート電極203にまでダメージを与えてしまうという問題がある。
【0015】
また、図58(f)において、制御ゲート電極203と浮遊ゲート電極208と間で容量絶縁膜となり、浮遊ゲート電極208と半導体基板201との間でトンネル絶縁膜となる熱酸化膜207を同一の工程で形成しているが、トンネル絶縁膜を容量絶縁膜よりも後に形成するような場合には、制御ゲート電極203の容量絶縁膜との界面が酸化されたり、該界面にバーズビークが発生したりして、容量絶縁膜の膜厚が部分的に大きくなり、該容量絶縁膜に所定の容量値を得られなくなるという問題も生じる。
【0016】
ところで、スピリットゲート型FEEPROM装置又はスタックゲート型FEEPROM装置において、メモリセルだけでなく、他の素子、特にソース領域から注入されたキャリアを絶縁膜を介したゲート電極により制御する能動素子、例えばMOSトランジスタを1つの半導体基板上に形成する場合には、FEEPROM装置における制御ゲート電極とMOSトランジスタのゲート電極とを同時に形成するのが一般的である。
【0017】
しかしながら、メモリセルの制御ゲート電極と、例えばメモリセルを制御する周辺回路等に含まれるMOSトランジスタのゲート電極とを同時に形成する従来の製造方法は、製造工程を簡略化できる点で望ましいが、FEEPROM装置のメモリセルはスピリットゲート型又はスタックゲート型に限らず、MOSトランジスタと比べて素子のサイズが大きくなる。このような場合に、メモリセルとMOSトランジスタとを同時に形成したのでは、メモリセル及びMOSトランジスタのそれぞれの素子を共に最適な構造とすることができない。例えば、メモリセル及びMOSトランジスタの拡散領域にそれぞれLDD(Lightly Doped Drain)構造を設けるような場合には、不純物拡散の濃度等がそれぞれ異なるため、両素子を同時に形成して共に最適な構造を得るのは困難であるという問題がある。
【0018】
従って、既存のMOSトランジスタのみで構成される半導体装置の製造方法が確立している場合に、この既存のMOSトランジスタを含む半導体装置と図58に示したようなFEEPROM装置のメモリセルとを同一の半導体基板上に形成することは容易ではない。
【0019】
また、図58に示す構成と異なる他のメモリセルとMOSトランジスタとを同一の半導体基板上に形成する半導体装置の製造方法が確立している場合に、他のメモリセルを図58に示すメモリセルと置換して形成することも容易ではない。特に、FEEPROM装置のメモリセルの製造工程がMOSトランジスタの製造に悪影響を及ぼしてしまうからである。
【0020】
ところで、図58に示したスプリットゲート型FEEPROM装置の製造方法は、半導体基板201上に制御ゲート電極203を形成した後に浮遊ゲート電極208を形成するため、浮遊ゲート電極208を制御ゲート電極203に対して自己整合的に形成できるので、メモリセルのサイズを小型化することができる。
【0021】
このようなメモリセルとMOSトランジスタとを同一の半導体基板上に形成する製造方法としては、以下のような工程が考えられる。
【0022】
まず、図58(a)に示した制御ゲート電極203の形成時に、半導体基板201上の他の領域に形成されるMOSトランジスタのゲート電極をも同時にパターニングする。
【0023】
次に、図58(b)〜図58(g)においては、メモリセル製造工程を行なう。このとき、LDD領域206の注入条件とMOSトランジスタのLDD領域の注入条件が一致する場合には、MOSトランジスタのLDD領域の注入をも同時に行なう。
【0024】
次に、図58(h)において、メモリセルのソース領域209及びドレイン領域210の形成時に、MOSトランジスタのソース領域及びドレイン領域をも同時に形成する。
【0025】
この後、通常の製造プロセスに従って、半導体基板201上に所定の層間絶縁膜及び多層配線を形成することにより、メモリセルとMOSトランジスタとを同一の半導体基板201上に形成した半導体装置を実現できる。
【0026】
ところが、このような製造方法では、前述した問題に加え、図58(f)に示す熱酸化膜207の形成工程において、半導体基板201と浮遊ゲート電極208との間でトンネル酸化膜となる熱酸化膜207がMOSトランジスタのゲート電極の上面及び側面にも形成されてしまうため、該熱酸化膜207におけるゲート電極を覆う部分を除去する必要が生じる。
【0027】
ここで、MOSトランジスタのゲート電極は一般に多結晶シリコンからなり、ゲート酸化膜及びMOSトランジスタのソース領域及びドレイン領域を保護している膜はシリコン酸化膜である。従って、熱酸化膜207を多結晶シリコンからなるゲート電極から選択的に除去するには、MOSトランジスタに対してもエッチング速度を高精度に制御しなければならず、それだけ半導体装置の製造に困難さが増すことになる。
【0028】
例えば、フッ酸を用いたウェットエッチングにより、MOSトランジスタのゲート電極の熱酸化膜207を除去すると、メモリセル部における制御ゲート電極203の上面及び側面を覆う熱酸化膜207もエッチングされてしまい、さらには、制御ゲート電極203に対してもエッチングが進行することによって、制御ゲート電極203の性能が劣化する虞がある。
【0029】
その上、熱酸化膜207が除去された後、前工程で形成したMOSトランジスタのLDD領域やチャネル領域に対してもエッチングが進行する虞がある。これにより、例えば、チャネル領域の接合深さが浅くなってチャネル領域の抵抗が増加し、その結果、ソースドレイン間の電流量が少なくなるため、MOSトランジスタの駆動能力が低下する原因にもなる。
【0030】
また、従来のメモリセルとMOSトランジスタとが同一の半導体基板上に形成された半導体装置のうち、メモリセル部のみを図58に示すスプリットゲート型のメモリセルとする場合に、MOSトランジスタが従来にはない熱履歴の影響を受けることになり、半導体装置全体について設計変更を行なう必要が生じる。例えば、LDD領域206を形成した後に熱酸化膜207を形成するため、MOSトランジスタのLDD領域の注入プロファイルが変化することにより、MOSトランジスタの動作特性が変化してしまうため、LDD領域のイオン注入量等のプロセス条件を変更する必要が生じる。
【0031】
本発明は前記の問題に鑑み、スプリットゲート型の不揮発性半導体記憶装置のメモリセルを確実に形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
前記の目的を達成するため、本発明は、メモリセルを、制御ゲート電極の側面に設けられ且つ該制御ゲート電極をエッチングから保護する保護絶縁膜を有する構成とする。
【0033】
具体的に、本発明の第1の不揮発性半導体記憶装置は、半導体基板上に互いの側面を対向させるように設けられた制御ゲート電極及び浮遊ゲート電極を有する不揮発性半導体記憶装置を前提とし、半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成された制御ゲート電極と、制御ゲート電極の上に堆積されてなり、浮遊ゲート電極が形成される際に制御ゲート電極の上面を保護する第1の保護絶縁膜と、制御ゲート電極の両側面上に堆積されてなり、浮遊ゲート電極が形成される際に制御ゲート電極の両側面を保護する第2の保護絶縁膜と、制御ゲート電極の一方の側面と第2の保護絶縁膜を介して対向して制御ゲート電極と容量結合すると共に、第1の保護絶縁膜及び第2の保護絶縁膜により周囲を覆われた制御ゲート電極に対して自己整合的に形成された浮遊ゲート電極と、浮遊ゲート電極と半導体基板との間に形成されたトンネル絶縁膜と、半導体基板における浮遊ゲート電極の下側を含む領域に形成されたドレイン領域と、半導体基板における制御ゲート電極に対してドレイン領域と反対側の領域に形成されたソース領域とを備えていることを特徴とする。
【0034】
第1の不揮発性半導体記憶装置によると、制御ゲート電極の両側面上に堆積されてなり、浮遊ゲート電極が形成される際に制御ゲート電極を保護する保護絶縁膜を有しているため、浮遊ゲート電極のエッチング等による形成時に制御ゲート電極の形状が損なわれることがないので、不揮発性半導体記憶装置のメモリセルを確実に形成することができる。
【0035】
本発明に係る第2の不揮発性半導体記憶装置は、半導体基板上に互いの側面を対向させるように設けられた制御ゲート電極及び浮遊ゲート電極を有する不揮発性半導体記憶装置を前提とし、半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成された制御ゲート電極と、制御ゲート電極の上に堆積されてなり、浮遊ゲート電極が形成される際に制御ゲート電極の上面を保護する第1の保護絶縁膜と、制御ゲート電極における浮遊ゲート電極と対向する一方の側面上にのみ堆積されてなり、浮遊ゲート電極が形成される際に制御ゲート電極における一方の側面のみを保護する第2の保護絶縁膜と、浮遊ゲート電極と半導体基板との間においてトンネル絶縁膜となると共に、制御ゲート電極の他方の側面を保護する第1の絶縁膜と、制御ゲート電極の一方の側面と第2の保護絶縁膜を介して対向して制御ゲート電極と容量結合すると共に、第1の保護絶縁膜、第2の保護絶縁膜及び第1の絶縁膜により周囲を覆われた制御ゲート電極に対して自己整合的に形成された浮遊ゲート電極と、半導体基板における浮遊ゲート電極の下側を含む領域に形成されたドレイン領域と、半導体基板における制御ゲート電極に対してドレイン領域と反対側の領域に形成されたソース領域とを備えていることを特徴とする。
【0036】
第2の不揮発性半導体記憶装置によると、制御ゲート電極における浮遊ゲート電極と対向する側面上にのみ堆積されてなり、浮遊ゲート電極が形成される際に制御ゲート電極を保護する保護絶縁膜を有しているため、制御ゲート電極は浮遊ゲート電極の形成時にその形状が損なわれにくくなるので、不揮発性半導体記憶装置のメモリセルを確実に形成することができる。
【0037】
本発明に係る第3の不揮発性半導体記憶装置は、半導体基板上に互いの側面を対向させるように設けられた制御ゲート電極及び浮遊ゲート電極を有する不揮発性半導体記憶装置を前提とし、半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成された制御ゲート電極と、制御ゲート電極の上面上に堆積されてなり、浮遊ゲート電極が形成される際に制御ゲート電極の上面を保護する第1の保護絶縁膜と、制御ゲート電極における浮遊ゲート電極と対向する一方の側面と反対側の他方の側面上にのみ堆積されてなり、浮遊ゲート電極が形成される際に制御ゲート電極における他方の側面のみを保護する第2の保護絶縁膜と、制御ゲート電極における一方の側面上に形成された容量絶縁膜と、制御ゲート電極の一方の側面と容量絶縁膜を介して対向して制御ゲート電極と容量結合すると共に、第1の保護絶縁膜、第2の保護絶縁膜及び容量絶縁膜により周囲を覆われた制御ゲート電極に対して自己整合的に形成された浮遊ゲート電極と、浮遊ゲート電極と半導体基板との間に形成されたトンネル絶縁膜と、半導体基板における浮遊ゲート電極の下側を含む領域に形成されたドレイン領域と、半導体基板における制御ゲート電極に対してドレイン領域と反対側の領域に形成されたソース領域とを備えていることを特徴とする。
【0038】
第3の不揮発性半導体記憶装置によると、制御ゲート電極における浮遊ゲート電極と対向する側面と反対側の側面上に堆積されてなり、浮遊ゲート電極が形成される際に制御ゲート電極を保護する保護絶縁膜を有しているため、制御ゲート電極は浮遊ゲート電極の形成時にその形状が損なわれにくくなるので、不揮発性半導体記憶装置のメモリセルを確実に形成することができる。
【0039】
ここで、第3の不揮発性半導体記憶装置において、容量絶縁膜の膜厚が均一であることが好ましい。
【0040】
また、第1〜第3の不揮発性半導体記憶装置において、第2の保護絶縁膜の膜厚が均一であることが好ましい。
【0041】
また、第1〜第3の不揮発性半導体記憶装置において、ゲート絶縁膜の膜厚が均一であることが好ましい。
【0042】
また、第1〜第3の不揮発性半導体記憶装置において、トンネル絶縁膜の膜厚が均一であることが好ましい。
【0043】
第1〜第3の不揮発性半導体記憶装置は、制御ゲート電極と第2の保護絶縁膜との間に形成された第2の絶縁膜をさらに備えていることが好ましい。
【0044】
第1〜第3の不揮発性半導体記憶装置において、第2の保護絶縁膜は組成が互いに異なる複数の絶縁膜が積層された積層体からなることが好ましい。
【0045】
また、第1〜第3の不揮発性半導体記憶装置において、半導体基板が、浮遊ゲート電極が跨ぐように形成された段差部を有していることが好ましい。
【0046】
また、第1〜第3の不揮発性半導体記憶装置において、制御ゲート電極及び浮遊ゲート電極は、同一の材料からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0047】
本発明に係る不揮発性半導体記憶装置によると、浮遊ゲート電極が形成される際に制御ゲート電極を保護する保護絶縁膜を有しているため、制御ゲート電極は浮遊ゲート電極の形成時にその形状が損なわれにくくなるので、不揮発性半導体記憶装置のメモリセルを確実に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0049】
まず、不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子(メモリセル)について説明する。
【0050】
図1は第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図1に示すように、例えば、p型シリコンからなる半導体基板11上に、膜厚が約13.5nmのゲート酸化膜12を介して、n型多結晶シリコンからなる制御ゲート電極13が形成されている。制御ゲート電極13の両側面上には、膜厚が7nm程度のシリコン酸化膜若しくはシリコン窒化膜又はこれらの積層体が堆積されてなり、浮遊ゲート電極15が形成される際に制御ゲート電極13を保護する保護絶縁膜14が形成されている。制御ゲート電極13の一方の側面上には、保護絶縁膜14を介して対向し且つ制御ゲート電極13と容量結合する浮遊ゲート電極15が形成されている。ここで、保護絶縁膜14における浮遊ゲート電極15と対向する部分は容量絶縁膜として機能する。
【0051】
半導体基板11と浮遊ゲート電極15との間には、膜厚が9nm程度のトンネル絶縁膜16が形成されている。
【0052】
半導体基板11における浮遊ゲート電極15の下側を含む領域には、n型のドレイン領域11bが形成され、半導体基板11における制御ゲート電極13に対してドレイン領域11bと反対側の領域には、n型のソース領域11aが形成されている。
【0053】
以下、前記のように構成された一記憶素子と該記憶素子を駆動する周辺回路のMOSトランジスタ及び抵抗素子等とを含む不揮発性半導体記憶装置の製造方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0054】
図2〜図14は第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0055】
ここでは、例えば、p型不純物濃度が5×1015cm-3〜5×1016cm-3程度のp型半導体領域を含む単結晶シリコンからなる半導体基板21を用いる。
【0056】
(1)素子分離領域の形成
最初に、半導体基板21の上部に記憶素子やMOSトランジスタ等の素子同士を互いに絶縁分離する素子分離領域を形成する。
【0057】
具体的には、まず、温度が約900℃の酸素雰囲気で半導体基板21を熱酸化することにより、半導体基板21の主面上に膜厚が約10nmの第1の熱酸化膜22を形成する。続いて、プラズマ気相成長(プラズマCVD(plasma Chemical Vapor Deposition))法を用いて、モノシラン(SiH4 )、アンモニア(NH3 )及び窒素(N2 )を約760℃の温度で反応させて、第1の熱酸化膜22上に膜厚が約150nmの第1のシリコン窒化(Sixy)膜23を堆積する。
【0058】
続いて、図2(a)に示すように、堆積した第1のシリコン窒化膜23の上に、フォトリソグラフィ法により複数の素子分離領域がパターニングされたレジスト膜からなるマスクパターン101を形成し、形成したマスクパターン101を用いて、第1のシリコン窒化膜23、第1の熱酸化膜22及び半導体基板21に対して異方性のドライエッチングを行なうことにより、第1のシリコン窒化膜23の上面からの深さが約400nmの複数の素子分離溝21aを形成する。この複数の素子分離溝21aを形成することにより、記憶回路形成領域1には記憶素子部3を形成すると共に、周辺回路形成領域2には、低電圧n型チャネルトランジスタ部4、低電圧p型チャネルトランジスタ部5、高電圧n型チャネルトランジスタ部6、高電圧p型チャネルトランジスタ部7、抵抗素子部8及び容量素子部9がそれぞれ形成される。ここで、低電圧トランジスタ部4、5には駆動電圧が1.8V程度のロジック用トランジスタが形成され、高電圧トランジスタ部6、7には駆動電圧が6V程度の高耐圧のトランジスタが形成される。なお、図2(a)に示される領域は、記憶回路形成領域1と周辺回路形成領域2とが混在した領域である。続いて、マスクパターン101を除去した後、温度が約900℃の酸素雰囲気で半導体基板21を熱酸化することにより、素子分離溝21aの各露出面上に膜厚が約25nmの熱酸化膜(図示せず)を形成する。これにより、半導体基板21と素子分離溝21aとの界面が酸化膜のうちで最も良質な熱酸化膜により覆われるため、各素子の動作及び長期信頼性を向上させることができる。
【0059】
次に、図2(b)に示すように、減圧気相成長(減圧CVD)法を用いて、温度が約760℃で且つ圧力が約20×133.3mPaでモノシラン(SiH4 )を熱分解させることにより、第1のシリコン窒化膜23上に素子分離溝21aが充填されるように全面にわたって、膜厚が約700nmの第1のシリコン酸化膜24Aを堆積する。この際、図示はしていないが、第1のシリコン酸化膜24Aの上面における第1のシリコン窒化膜23の上方の領域が他の領域と比べて凸状に盛り上がる。続いて、堆積した第1のシリコン酸化膜24A上に各素子分離溝21aの上方の領域をマスクするマスクパターン102を形成し、形成したマスクパターン102を用いて、第1のシリコン酸化膜24Aに対してフッ酸による等方性エッチングを行なう。この等方性エッチングは、第1のシリコン酸化膜24Aの凸状部分が除去されて該第1のシリコン酸化膜24Aの上面がほぼ平坦となるまで行なう。
【0060】
次に、図2(c)に示すように、マスクパターン102を除去した後、化学機械研磨(CMP(Chemical Mechanical Polish))法により、第1のシリコン酸化膜24Aの上面を研磨して該第1のシリコン酸化膜24Aの素子分離溝21aに充填された部分を残すことにより、各素子分離溝21aに素子分離領域24Bを形成する。
【0061】
(2)ウェル領域の形成
次に、各素子のウェル領域を形成する。
【0062】
まず、記憶回路形成領域1の素子分離耐圧を向上するため、半導体基板21における記憶回路形成領域1の記憶素子部3及び周辺回路形成領域2の抵抗素子部8に深いn型ウェル領域25を形成する。具体的には、図3(a)に示すように、第1の熱酸化膜22上に、記憶素子部3及び抵抗素子部8の上に開口部を持つマスクパターン103を形成し、形成したマスクパターン103を用いて、注入エネルギーが約1200keVで注入ドーズ量が0.5×1013cm-2〜1×1013cm-2程度のヒ素(As)イオン又はリン(P)イオンを半導体基板21にイオン注入することにより、半導体基板21の記憶素子部3及び抵抗素子部8に深いn型ウェル領域25を形成する。
【0063】
次に、図3(b)に示すように、マスクパターン103を除去した後、第1の熱酸化膜22上に、低電圧p型チャネルトランジスタ部5、高電圧p型チャネルトランジスタ部7及び容量素子部9の上に開口部を持つマスクパターン104を形成し、形成したマスクパターン104を用いて、注入エネルギーが約300keVで注入ドーズ量が0.5×1013cm-2〜1×1014cm-2程度のリン(P)イオンを半導体基板21にイオン注入することにより、半導体基板21の低電圧p型チャネルトランジスタ部5、高電圧p型チャネルトランジスタ部7及び容量素子部9にn型ウェル領域26を形成する。
【0064】
次に、図3(c)に示すように、マスクパターン104を除去した後、第1の熱酸化膜22上に、記憶素子部3、低電圧n型チャネルトランジスタ部4、高電圧n型チャネルトランジスタ部6及び抵抗素子部8の上に開口部を持つマスクパターン105を形成し、形成したマスクパターン105を用いて、注入エネルギーが約300keVで注入ドーズ量が0.5×1013cm-2〜1×1014cm-2程度のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入して、半導体基板21の記憶素子部3、低電圧n型チャネルトランジスタ部4、高電圧n型チャネルトランジスタ部6及び抵抗素子部8にp型ウェル領域27を形成する。
【0065】
(3)ゲート酸化膜の形成
次に、記憶素子及びトランジスタの各素子ごとに耐圧が異なるゲート酸化膜を形成する。
【0066】
具体的には、まず、マスクパターン105を除去した後、半導体基板21の主面上の第1の熱酸化膜22をフッ酸のウェットエッチングにより除去する。続いて、温度が約850℃の酸素雰囲気で半導体基板21を熱酸化することにより、半導体基板21の主面上に膜厚が約15nmの第2の熱酸化膜28を形成する。
【0067】
続いて、図4(a)に示すように、第2の熱酸化膜28の記憶回路形成領域1をマスクするマスクパターン106を用いて、フッ酸のウェットエッチングにより半導体基板21上における周辺回路形成領域2の第2の熱酸化膜28を除去する。
【0068】
次に、図4(b)に示すように、マスクパターン106を用いて、温度が約850℃の酸素雰囲気で半導体基板21を熱酸化することにより、半導体基板21上の周辺回路形成領域2に膜厚が約7.5nmの第3の熱酸化膜29を形成する。
【0069】
次に、図4(c)に示すように、マスクパターン106を除去した後、第2の熱酸化膜28及び第3の熱酸化膜29上に、低電圧n型チャネルトランジスタ部4及び低電圧p型チャネルトランジスタ部5を開口するマスクパターン107を形成し、形成したマスクパターン107を用いて、フッ酸のウェットエッチングにより半導体基板21上の第3の熱酸化膜29を除去する。続いて、マスクパターン107を用いて、温度が約850℃の酸素雰囲気で半導体基板21を熱酸化することにより、半導体基板21上の低電圧n型チャネルトランジスタ部4及び低電圧p型チャネルトランジスタ部5に膜厚が約3.5nmの第4の熱酸化膜30を形成する。
【0070】
以上の工程により、半導体基板21上における記憶素子部3には膜厚が約13.5nmで耐圧が約10Vの記憶素子用ゲート酸化膜である第2の熱酸化膜28が形成され、半導体基板21上における高電圧n型チャネルトランジスタ部6及び高電圧p型チャネルトランジスタ部7には膜厚が約8.5nmで耐圧が約7Vの高耐圧用ゲート酸化膜である第3の熱酸化膜29が形成され、半導体基板21上における低電圧n型チャネルトランジスタ部4及び低電圧p型チャネルトランジスタ部5には膜厚が約3.5nmで耐圧が約4Vの低耐圧用ゲート酸化膜である第4の熱酸化膜30が形成される。
【0071】
(4)記憶素子の形成
まず、図5(a)に示すように、マスクパターン107を除去した後、例えばCVD法を用いて、第1の熱酸化膜28、第2の熱酸化膜29及び第3の熱酸化膜30の上に全面にわたって膜厚が約200nmのノンドープの多結晶シリコン膜31を堆積する。
【0072】
次に、図5(b)に示すように、多結晶シリコン膜31上に、記憶素子部3、低電圧n型チャネルトランジスタ部4、高電圧n型チャネルトランジスタ部6及び抵抗素子部8の上に開口部を持つマスクパターン108を形成し、形成したマスクパターン108を用いて、注入エネルギーが約10keVで注入ドーズ量が0.5×1015cm-2〜5×1015cm-2程度のリン(P)イオンを多結晶シリコン膜31にイオン注入して、多結晶シリコン膜31の記憶素子部3、低電圧n型チャネルトランジスタ部4、高電圧n型チャネルトランジスタ部6及び抵抗素子部8の導電型をn型にする。
【0073】
次に、図5(c)に示すように、マスクパターン108を除去した後、プラズマCVD法により、多結晶シリコン膜31上に全面にわたって膜厚が約100nmの第2のシリコン窒化膜32を堆積する。
【0074】
次に、図6(a)及び図6(b)に示すように、第2のシリコン窒化膜32の上に、記憶素子の制御ゲート電極形成用パターンであるマスクパターン109を用いて、第2のシリコン窒化膜32及び多結晶シリコン膜31に対してドライエッチングを順次行なって、上面が第2のシリコン窒化膜32により覆われたn型の多結晶シリコン膜からなる制御ゲート電極31Aを形成する。
【0075】
次に、図6(c)に示すように、マスクパターン109を除去した後、半導体基板21上に、記憶素子部3のドレイン形成領域及び制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の上に開口部を持つマスクパターン110を形成し、形成したマスクパターン110を用いて、例えば注入エネルギーが約5keV〜15keV程度で注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入することにより、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で且つ浅い接合を持つ第1の低濃度p型不純物拡散領域33を形成する。なお、第2の熱酸化膜28における第1の低濃度p型不純物拡散領域33の上側部分を、あらかじめフッ酸によるウェットエッチングで除去しておき、その後、前述した注入条件でホウ素(B)イオンの注入を行なってもよい。
【0076】
次に、図7(a)に示すように、マスクパターン110を除去した後、CVD法により半導体基板21上に第2のシリコン窒化膜32及び制御ゲート電極31Aを含む全面にわたって、膜厚がそれぞれ約5nm〜10nmの第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35を順次堆積する。
【0077】
次に、CVD法により、第3のシリコン窒化膜35の上に全面にわたって膜厚が40nm〜100nm程度のBPSGからなる絶縁膜を堆積する。その後、図7(b)に示すように、堆積した絶縁膜に対して異方性のエッチバックを行ない、さらに、第3のシリコン窒化膜35、第2のシリコン酸化膜34及び第2の熱酸化膜28を除去して半導体基板21を露出させることにより、制御ゲート電極31Aの側面上に、第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35からなる保護絶縁膜36を介在させたサイドウォール37を形成する。
【0078】
次に、図7(c)に示すように、半導体基板21上に、記憶回路形成領域1におけるドレイン領域及び制御ゲート電極31Aのドレイン領域側に開口部を持つマスクパターン111を形成し、形成したマスクパターン111、制御ゲート31A及びサイドウォール37を用いて、反応イオン性ドライエッチング(RIE)法により半導体基板21に対してエッチングを行なって、半導体基板21の上部に深さが25nm〜75nm程度の凹部21bを形成する。なお、このエッチングは、RIE法に代えてCDE(Chemical Dry Etching)法により行なってもよい。
【0079】
次に、図8(a)に示すように、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約10keV〜30keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的に低ドーズ量のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、第1の低濃度p型不純物拡散領域33よりもやや深い接合を持つ第2の低濃度p型不純物拡散領域(図示せず)を形成する。続いて、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約20keV〜50keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的に低ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、接合深さが約40nmの浅い低濃度n型不純物拡散領域38を形成する。
【0080】
次に、図8(b)に示すように、マスクパターン111を除去し、さらに気相フッ酸を用いてサイドウォール37を除去した後、図8(c)に示すように、半導体基板21を温度が約850℃の酸素雰囲気で熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が約9nmのトンネル絶縁膜39を形成する。
【0081】
次に、図9(a)に示すように、CVD法により、半導体基板21上にゲート電極31A及び保護絶縁膜36を含む全面にわたって膜厚が120nm〜200nm程度のリン(P)が添加された多結晶シリコン(以下、DP(Doped Poly Silicon)と略称する。)膜40を形成する。
【0082】
次に、図9(b)に示すように、半導体基板21上に、記憶回路形成領域1のドレイン領域及び制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の上に開口部を持つマスクパターン112を形成し、形成したマスクパターン112を用いて、DP膜40に対して異方性ドライエッチングによるエッチバックを行なって、制御ゲート電極31Aの側面上に保護絶縁膜36を介してサイドウォール状DP膜40Aを形成する。具体的には、トンネル絶縁膜39が露出した時点でエッチングを停止して、制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面上に高さが制御ゲート電極31Aの高さの約80%、ここでは約160nmのサイドウォール状DP膜40Aを半導体基板21の凹部21bの段差部を跨ぐように形成する。
【0083】
次に、図9(c)に示すように、マスクパターン112を除去した後、半導体基板21上に記憶回路形成領域1の各記憶素子ごとにサイドウォール状DP膜40Aをマスクするマスクパターン113を形成し、形成したマスクパターン113を用いたドライエッチングにより、サイドウォール状DP膜40Aから、記憶素子ごとに分離され、さらに制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面と保護絶縁膜36を介して容量結合し且つ半導体基板21の凹部21bとトンネル絶縁膜39を介して対向する浮遊ゲート電極40Bを自己整合的に形成する。
【0084】
次に、図10(a)に示すように、マスクパターン113を除去した後、浮遊ゲート電極40Bをマスクするマスクパターン114を形成し、CF4 ガス及び酸素ガスを用いたCDE法により、浮遊ゲート電極40Bを除くDP膜40を除去する。
【0085】
次に、図10(b)に示すように、半導体基板21上に制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bを含む全面にわたって、膜厚が20nm〜40nm程度の酸化シリコンからなり記憶素子を保護する保護酸化膜41を堆積する。
【0086】
次に、図10(c)に示すように、半導体基板21上に記憶回路形成領域1の上に開口部を持つマスクパターン115を形成し、形成したマスクパターン115、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bをマスクとして、注入エネルギーが約50keVで注入ドーズ量が5×1013〜1×1014cm-2程度の比較的に高ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入する。これにより、半導体基板21の記憶素子部3に、表面近傍のヒ素の不純物濃度が5×1019cm-3〜1×1021cm-3程度のソース領域42及びドレイン領域43が形成され、不揮発性半導体記憶素子が完成する。
【0087】
なお、第1の実施形態においては、半導体基板21における記憶素子部3の浮遊ゲート電極40Bの下側に、ホットエレクトロンが浮遊ゲート電極40Bに高効率で注入されるように浮遊ゲート電極40Bが跨ぐ段差部を設けているが、段差部を設けない構成であってもよい。
【0088】
(5)周辺回路形成領域の素子形成
次に、図11(a)に示すように、マスクパターン115を除去した後、図11(b)に示すように、半導体基板21上の記憶回路形成領域1をマスクしたマスクパターン116を用いて、ドライエッチングにより保護酸化膜41及び第2のシリコン窒化膜32を除去する。
【0089】
次に、図11(c)に示すように、マスクパターン116を除去した後、多結晶シリコン膜31上に、低電圧p型チャネルトランジスタ部5、高電圧p型チャネルトランジスタ部7及び容量素子部9の上に開口部を持つマスクパターン117を形成し、形成したマスクパターン117を用いて、注入エネルギーが約10keVで注入ドーズ量が0.5×1015cm-2〜5×1015cm-2程度のホウ素(B)イオンを多結晶シリコン膜31にイオン注入して、多結晶シリコン膜31の低電圧p型チャネルトランジスタ部5、高電圧p型チャネルトランジスタ部7及び容量素子部9の導電型をp型にする。
【0090】
次に、図12(a)に示すように、マスクパターン117を除去した後、多結晶シリコン膜31における記憶回路形成領域1並びに周辺回路形成領域2のゲート電極形成部及び容量素子の上部電極形成部をマスクしたマスクパターン118を用いて、多結晶シリコン膜31に対して異方性のドライエッチングを行なう。これにより、低電圧n型チャネルトランジスタ部4及び低電圧p型チャネルトランジスタ部5には第4の熱酸化膜30からなるゲート酸化膜を介してそれぞれがn型及びp型の多結晶シリコン膜31からなるゲート電極31Bが形成される。同様に、高電圧n型チャネルトランジスタ部6及び高電圧p型チャネルトランジスタ部7には第3の熱酸化膜29からなるゲート酸化膜を介してそれぞれがn型及びp型の多結晶シリコン膜31からなるゲート電極31Bが形成される。また、容量素子部9には、半導体基板21が下部電極となり、第3の熱酸化膜29が容量絶縁膜となり、n型の多結晶シリコン膜31が上部電極31Cとなる容量素子が形成される。
【0091】
次に、図12(b)に示すように、マスクパターン118を除去した後、半導体基板21上に、高電圧n型チャネルトランジスタ部6の上に開口部を持つマスクパターン119を形成し、形成したマスクパターン119及びゲート電極31Bをマスクとして、注入エネルギーが約20keVで注入ドーズ量が5×1012cm-2〜1×1014cm-2程度の比較的に低ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入して、半導体基板21の高電圧n型チャネルトランジスタ部6にn型LDD(Lightly Doped Drain)領域44を形成する。
【0092】
次に、図12(c)に示すように、マスクパターン119を除去した後、半導体基板21上に、低電圧p型チャネルトランジスタ部5、高電圧p型チャネルトランジスタ部7及び容量素子部9の上に開口部を持つマスクパターン120を形成し、形成したマスクパターン120及びゲート電極31Bをマスクとして、注入エネルギーが約20keVで注入ドーズ量が5×1012cm-2〜1×1014cm-2程度の比較的に低ドーズ量のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入して、半導体基板21の低電圧p型チャネルトランジスタ部5及び高電圧p型チャネルトランジスタ部7にp型LDD領域45を形成する。
【0093】
次に、図13(a)に示すように、マスクパターン120を除去した後、半導体基板21上に、低電圧n型チャネルトランジスタ部4の上に開口部を持つマスクパターン121を形成し、形成したマスクパターン121及びゲート電極31Bをマスクとして、注入エネルギーが約20keVで注入ドーズ量が5×1012cm-2〜1×1014cm-2程度の比較的に低ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入して、半導体基板21の低電圧n型チャネルトランジスタ部4にn型LDD領域44を形成する。
【0094】
次に、図13(b)に示すように、マスクパターン121を除去した後、CVD法を用いて半導体基板21上に各MOSトランジスタのゲート電極31B、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40B等を含む全面にわたって膜厚が約100nmのシリコン酸化膜を堆積し、堆積したシリコン酸化膜に対して異方性エッチングによるエッチバックを行なって、各ゲート電極31Bの側面上にシリコン酸化膜からなるサイドウォールスペーサ46を形成する。
【0095】
次に、図13(c)に示すように、半導体基板21上に、低電圧p型チャネルトランジスタ部5及び高電圧p型チャネルトランジスタ部7の上に開口部を持つマスクパターン122を形成し、形成したマスクパターン122及びゲート電極31Bをマスクとして、注入エネルギーが約100keVで注入ドーズ量が0.5×1013cm-2〜1×1014cm-2程度の比較的に高ドーズ量のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入することにより、半導体基板21の低電圧p型チャネルトランジスタ部5及び高電圧p型チャネルトランジスタ部7に、表面近傍のホウ素の不純物濃度が5×1019cm-3〜1×1021cm-3程度のp型ソースドレイン領域47を形成する。
【0096】
次に、図14(a)に示すように、マスクパターン122を除去した後、半導体基板21上に低電圧p型チャネルトランジスタ部5及び高電圧p型チャネルトランジスタ部7をマスクするマスクパターン123を形成し、形成したマスクパターン123、ゲート電極31B、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bをマスクとして、注入エネルギーが約100keVで注入ドーズ量が5×1013cm-2〜1×1014cm-2程度の比較的に高ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入することにより、半導体基板21の低電圧n型チャネルトランジスタ部4及び高電圧n型チャネルトランジスタ部6に、表面近傍のヒ素の不純物濃度が5×1019cm-3〜1×1021cm-3程度のn型ソースドレイン領域48を形成する。
【0097】
なお、記憶回路形成領域1に対してもイオン注入を行なっているが、該記憶回路形成領域1をマスクすることにより、ヒ素イオンの注入を行なわないようにしてもよい。
【0098】
次に、CVD法により、膜厚が30nmの第3のシリコン酸化膜49を半導体基板21上に各素子を含む全面にわたって堆積する。その後、図14(b)に示すように、第3のシリコン酸化膜49における記憶回路形成領域1及び周辺回路形成領域2の抵抗素子部8を選択的にマスクするマスクパターン124を用いて、第3のシリコン酸化膜49をエッチングにより除去する。
【0099】
次に、図14(c)に示すように、マスクパターン124を除去した後、スパッタ法等により、半導体基板21の上に第3のシリコン酸化膜49を含む全面にわたってコバルト膜を堆積させ、堆積したコバルト膜に対して熱処理を行なうことにより、半導体基板21及び上部電極31Cのコバルト膜との接合面に、コバルトシリサイド領域50を形成する。このとき、第3のシリコン酸化膜49により覆われた部分は、コバルト膜と反応しないため、容易に除去できる。
【0100】
最後に、図示はしていないが、記憶素子部3、各トランジスタ部4〜7、抵抗素子部8及び容量素子部9に対して所定の配線を設けることにより、不揮発性半導体記憶装置が完成する。
【0101】
以上説明したように、第1の実施形態によると、図8(c)に示すトンネル絶縁膜39を形成する工程において、制御ゲート電極31Aの側面が第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35からなる保護絶縁膜36に覆われているため、制御ゲート電極31Aの側面が酸化されることがない。
【0102】
また、図9(b)〜図10(a)に示す浮遊ゲート電極40Bを形成する工程において、制御ゲート電極31Aの両側面が保護絶縁膜36により覆われているため、制御ゲート電極31Aの側面がエッチングによるダメージを受けることを防止することができる。
【0103】
また、図7(b)に示すように、制御ゲート電極31AのBPSGからなるサイドウォール37は、その底面が保護絶縁膜36上にあり、直接に半導体基板21と接していないため、後工程で除去する際に半導体基板21の基板面がダメージを受けることがないので、記憶素子としての動作が安定する。
【0104】
その上、図11(b)〜図14(c)の周辺回路形成領域2の各素子を形成する工程において、記憶回路形成領域1はほとんどレジスト膜によるマスクパターンで覆われているため、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bがエッチングダメージを受けることがない。
【0105】
また、周辺回路形成領域2の各MOSトランジスタが、該MOSトランジスタの製造プロセスと異なる熱履歴を受けることがないので、周辺回路形成領域2に含まれる回路の設計変更を行なう必要がなくなり、その結果、既に設計されている回路(設計資産)の汎用性及び互換性が向上する。
【0106】
なお、図面の制約から、記憶回路形成領域1には1つの記憶素子しか図示していないが、実際には複数の記憶素子が設けられ、また、周辺回路形成領域2に対してもさらに多くのMOSトランジスタや抵抗素子が設けられていることはいうまでもない。
【0107】
また、第1の実施形態においては、低電圧トランジスタ部4、5及び高電圧トランジスタ部6、7の両方を設けたが、どちらか一方でもよく、また、他のMOSトランジスタを用いてもよい。
【0108】
(第1の実施形態の一変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の一変形例について図面を参照しながら説明する。
【0109】
図15は第1の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図15において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0110】
本変形例に係る保護絶縁膜14は、制御ゲート電極13の両側面上に該制御ゲート電極13側から順次形成されたシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の積層体により構成されている。
【0111】
また、トンネル絶縁膜16は内燃方式のパイロジェニック(水素燃焼)酸化により形成され、且つ、保護絶縁膜14におけるシリコン窒化膜の制御ゲート電極13と反対側の表面に、内燃方式のパイロジェニック酸化によりシリコン酸化膜14aが形成されていることを特徴とする。
【0112】
この、内燃方式のパイロジェニック酸化は、2000年1月21、22日開催の応用物理学会における研究報告資料「極薄シリコン酸化膜の形成・評価・信頼性」127〜132頁、標題「ISSG(in-situ steam generation)を用いた酸化膜形成技術とその反応機構」(東海他)にも記載されているように、水素ガスと酸素ガスとをチャンバ内に直接に導入し、加熱した半導体基板上で水素ガスと酸素ガスとを反応させて水蒸気を発生し、発生した水蒸気によりシリコンからなる部材にシリコン酸化膜を形成するウェット酸化である。
【0113】
以下、トンネル絶縁膜16及びシリコン酸化膜14aの成膜方法の具体例を説明する。
【0114】
例えば、図8(c)に示す第1の実施形態におけるトンネル絶縁膜39の成膜工程において、急速熱酸化装置を用いて、温度が900℃〜1100℃程度で圧力が1000Pa〜2000Pa程度に設定されたチャンバ内に水素ガスと酸素ガスとを導入し、加熱された半導体基板21上で導入された水素ガスと酸素ガスとが反応して水蒸気が生成される。この生成された水蒸気によって半導体基板21を熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が6nm〜15nmのトンネル絶縁膜39を形成する。この内燃方式による熱酸化は、前述の論文が示すように、シリコン窒化膜をも酸化するため、トンネル絶縁膜39を形成する際に、保護絶縁膜36における外側の第3のシリコン窒化膜35の露出面が酸化されて、図15に示すトンネル絶縁膜16及びシリコン酸化膜14aが形成される。
【0115】
本変形例によると、第1の実施形態の効果に加え、以下に示す種々の効果を得ることができる。
【0116】
まず、本願発明者らは、図8(c)に示す工程において、内燃方式の熱酸化によりトンネル絶縁膜39を形成すると、ヒ素(As)イオンが注入された低濃度n型不純物拡散領域38の増速酸化が抑制されて、トンネル絶縁膜39の膜厚をほぼ均一に形成できるという知見を得ている。これにより、トンネル絶縁膜39の膜厚の増大を防止できるので、記憶素子における消去速度の低下を抑制することができる。また、内燃方式の熱酸化によるトンネル絶縁膜39は、温度が850℃程度の酸素雰囲気で形成されたトンネル絶縁膜の膜質と比べて、同等かそれ以上の膜質を得られるため、記憶素子の信頼性が向上する。
【0117】
さらに、内燃方式の熱酸化によりトンネル絶縁膜39を形成すると、制御ゲート電極31Aのゲート酸化膜である第2の熱酸化膜28にバーズビークが発生しにくくなり、ゲート酸化膜の膜厚をほぼ均一に形成できるという知見をも得ている。これにより、記憶素子における書き込み速度の向上及び駆動電流が増加して、記憶素子の動作性能が向上する。
【0118】
また、駆動電流が増加すると、活性領域における制御ゲート電極31Aの幅方向の寸法を小さくすることが可能となり、さらなる微細化に対応できるようになる。
【0119】
また、内燃方式の熱酸化を用いると、制御ゲート電極31Aの側面の下部に発生するバーズビークをも抑制できるため、容量絶縁膜となる保護絶縁膜36の膜厚をもほぼ均一に形成できるので、制御ゲート電極31Aと浮遊ゲート電極40Bとの間の容量結合比が小さくなることがなく、記憶素子の書き込み速度及び消去速度が速くなる。
【0120】
さらに、内燃方式の熱酸化によりトンネル絶縁膜39を形成すると、図15に示したように、保護絶縁膜14の外側に位置するシリコン窒化膜の露出面が酸化されてシリコン酸化膜14aが形成されるため、浮遊ゲート電極15に蓄積された電子の放出を抑制する効果が向上するので、記憶素子の信頼性が向上する。
【0121】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0122】
図16は第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図16において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0123】
第2の実施形態に係る保護絶縁膜14Aは、シリコン酸化膜の単層により構成されていることを特徴とする。
【0124】
続いて、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を図17(a)〜図17(h)に基づいて説明する。なお、(1)素子分離領域の形成、(2)ウェル領域の形成、(3)ゲート酸化膜の形成及び(5)周辺回路形成領域の素子形成の各工程は第1の実施形態と同様である。また、図17において、第1の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0125】
まず、図17(a)に示すように、第2のシリコン窒化膜32の上に、記憶素子の制御ゲート電極形成用パターンであるマスクパターン109を用いて、第2のシリコン窒化膜32に対するドライエッチングと、多結晶シリコン膜31に対するドライエッチングとを行なって、上面が第2のシリコン窒化膜32により覆われたn型の多結晶シリコン膜からなる制御ゲート電極31Aを形成する。
【0126】
次に、図17(b)に示すように、マスクパターン109を除去した後、半導体基板21上に、ドレイン形成領域に開口部を持つマスクパターン110を形成し、形成したマスクパターン110を用いて、例えば注入エネルギーが約5keV〜15keV程度で注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入することにより、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で且つ浅い接合を持つ第1の低濃度p型不純物拡散領域33を形成する。なお、第2の熱酸化膜28における第1の低濃度p型不純物拡散領域33の上側部分を、あらかじめ、フッ酸によるウェットエッチングで除去しておき、その後、前述した注入条件でホウ素(B)イオンの注入を行なってもよい。
【0127】
次に、図17(c)に示すように、マスクパターン110を除去した後、CVD法を用いて半導体基板21上に第2のシリコン窒化膜32及び制御ゲート電極31Aを含む全面にわたって膜厚が約5nm〜15nmの第2のシリコン酸化膜34を堆積する。
【0128】
次に、図17(d)に示すように、CVD法により、第2のシリコン酸化膜34の上に全面にわたって膜厚が40nm〜100nm程度のBPSG膜37Aを堆積する。
【0129】
次に、図17(e)に示すように、堆積したBPSG膜37Aに対して異方性のエッチバックを行ない、さらに、第2のシリコン酸化膜34及び第2の熱酸化膜28を除去して半導体基板21を露出させることにより、制御ゲート電極31Aの側面上に、第2のシリコン酸化膜34からなる保護絶縁膜36を介在させたサイドウォール37を形成する。
【0130】
次に、図17(f)に示すように、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターン111を形成し、形成したマスクパターン111、制御ゲート31A及びサイドウォール37を用いて、反応イオン性ドライエッチング(RIE)法により、半導体基板21の上部に対してエッチングを行なって、深さが25nm〜75nm程度の凹部21bを形成する。なお、このエッチングはRIE法に代えてCDE法により行なってもよい。
【0131】
続いて、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約10keV〜30keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的に低ドーズ量のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、第1の低濃度p型不純物拡散領域33よりもやや深い接合を持つ第2の低濃度p型不純物拡散領域(図示せず)を形成する。さらに、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約20keV〜50keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的に低ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、接合深さが約40nmの浅い低濃度n型不純物拡散領域38を形成する。
【0132】
次に、図17(g)に示すように、マスクパターン111を除去し、さらに気相フッ酸を用いてサイドウォール37を除去した後、図17(h)に示すように、半導体基板21を温度が約850℃の酸素雰囲気で熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が約9nmのトンネル絶縁膜39を形成する。このとき、制御ゲート電極31Aの側面にも熱酸化膜が形成されて保護絶縁膜36の膜厚が大きくなる。なお、ここでは、保護絶縁膜36とトンネル絶縁膜39とが共にシリコン酸化膜であるため、両者間の熱的なストレスは小さい。
【0133】
次に、CVD法により、半導体基板21上にゲート電極31A及び保護絶縁膜36を含む全面にわたって膜厚が120nm〜200nm程度のリン(P)が添加された多結晶シリコン(DP)膜を形成する。続いて、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターンを用いて、DP膜に対して異方性ドライエッチングによるエッチバックを行なって、制御ゲート電極31Aの側面上に保護絶縁膜36を介してサイドウォール状DP膜を形成する。具体的には、トンネル絶縁膜39が露出した時点でエッチングを停止して、制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面上に高さが制御ゲート電極31Aの高さの約80%、ここでは約160nmのサイドウォール状DP膜を半導体基板21の凹部21bの段差部を跨ぐように形成する。その後、サイドウォール状DP膜をマスクするマスクパターンを用いたドライエッチングにより、サイドウォール状DP膜から、記憶素子ごとに分離され、さらに制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面と保護絶縁膜36を介して容量結合し且つ半導体基板21の凹部21bとトンネル絶縁膜39を介して対向する浮遊ゲート電極40Bを自己整合的に形成する。
【0134】
次に、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bをマスクとして、注入エネルギーが約50keVで注入ドーズ量が5×1013〜1×1014cm-2程度の比較的に高ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入し、これにより、半導体基板21の表面近傍のヒ素の不純物濃度が5×1019cm-3〜1×1021cm-3と程度のソース領域42及びドレイン領域43を形成する。
【0135】
なお、第2の実施形態においては、半導体基板21の浮遊ゲート電極40Bの下側に、ホットエレクトロンが浮遊ゲート電極40Bに高効率で注入されるように浮遊ゲート電極40Bが跨ぐ段差部を設けているが、段差部を設けない構成であってもよい。
【0136】
以上説明したように、第2の実施形態によると、制御ゲート電極31Aの両側面が保護絶縁膜36により覆われているため、浮遊ゲート電極40Bを形成する際に、制御ゲート電極31Aがエッチングによるダメージを防止できる。
【0137】
また、図17(e)に示すように、制御ゲート電極31AのBPSGからなるサイドウォール37は、その底面が保護絶縁膜36上にあり、直接に半導体基板21と接していないため、後工程で除去する際に半導体基板21の基板面がダメージを受けることがないので、記憶素子としての動作が安定する。
【0138】
その上、第2の実施形態においても、周辺回路形成領域の各素子は記憶素子の形成工程よりも後に形成されるため、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bがエッチングダメージを受けることがない。
【0139】
(第2の実施形態の一変形例)
以下、本発明の第2の実施形態の一変形例について図面を参照しながら説明する。
【0140】
図18は第2実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図18において、図16に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0141】
本変形例に係るトンネル絶縁膜16は内燃方式のパイロジェニック酸化により形成され、且つ、制御ゲート電極13の側部に、内燃方式のパイロジェニック酸化によるシリコン酸化膜13aが形成されていることを特徴とする。
【0142】
以下、トンネル絶縁膜16及びシリコン酸化膜13aの成膜方法の具体例を説明する。
【0143】
例えば、図17(h)に示す第2の実施形態におけるトンネル絶縁膜39の成膜工程において、急速熱酸化装置を用いて、温度が900℃〜1100℃程度で圧力が1000Pa〜2000Pa程度に設定されたチャンバ内に水素ガスと酸素ガスとを導入し、半導体基板21上で生成される水蒸気によって半導体基板21を熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が6nm〜15nmのトンネル絶縁膜39を形成する。このとき、制御ゲート電極31Aの側部も同時に熱酸化されて、図18に示すトンネル絶縁膜16及びシリコン酸化膜13aが形成される。
【0144】
本変形例によると、第2の実施形態と同様の効果を得られる上に、内燃方式の熱酸化によりトンネル絶縁膜39を形成するため、低濃度n型不純物拡散領域38における増速酸化が抑制されるので、該トンネル絶縁膜39の膜厚をほぼ均一に形成することができる。また、内燃方式の熱酸化によるトンネル絶縁膜39は、温度が850℃程度の通常の酸素雰囲気で形成されたトンネル絶縁膜の膜質と比べても、同等かそれ以上の膜質を得ることができる。
【0145】
その上、内燃方式の熱酸化法を用いると、ゲート酸化膜である第2の熱酸化膜28に対するバーズビークの発生、及び制御ゲート電極31Aの側面の下部に対するバーズビークの発生が抑制されるため、ゲート酸化膜の膜厚及び容量絶縁膜となる保護絶縁膜36の膜厚をほぼ均一に形成することができる。
【0146】
また、内燃方式の熱酸化によりトンネル絶縁膜39を形成するため、図18に示すように、制御ゲート電極13の側部に緻密なシリコン酸化膜13aが形成されるので、浮遊ゲート電極15に蓄積された電子の放出が抑制され、記憶素子の信頼性が向上する。
【0147】
なお、本変形例において、保護絶縁膜14Aの下部は基板面方向に張り出す張り出し部を有しているが、該張り出し部を有さない構造であっても良い。張り出し部を除去することにより、書き込み動作時及び消去動作時における張り出し部への電子又はホールのトラップが抑制されるため、書き込み動作又は消去動作の回数の増加による記憶素子の劣化を大幅に低減することができる。
【0148】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0149】
図19は第3の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図19において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0150】
第3の実施形態に係る保護絶縁膜14は、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の積層体からなり、制御ゲート電極13の浮遊ゲート電極15と対向する側面にのみ設けられていることを特徴とする。
【0151】
続いて、第3の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を図20(a)〜図20(h)に基づいて説明する。なお、(1)素子分離領域の形成、(2)ウェル領域の形成、(3)ゲート酸化膜の形成及び(5)周辺回路形成領域の素子形成の各工程は第1の実施形態と同様である。また、図20において、第1の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0152】
まず、図20(a)に示すように、第2のシリコン窒化膜32の上に、記憶素子の制御ゲート電極形成用パターンであるマスクパターン109を用いて、第2のシリコン窒化膜32に対するドライエッチングと、多結晶シリコン膜31に対するドライエッチングとを行なって、上面が第2のシリコン窒化膜32により覆われたn型の多結晶シリコン膜からなる制御ゲート電極31Aを形成する。
【0153】
次に、図20(b)に示すように、マスクパターン109を除去した後、半導体基板21上に、ドレイン形成領域に開口部を持つマスクパターン110を形成し、形成したマスクパターン110を用いて、例えば注入エネルギーが約5keV〜15keV程度で注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入することにより、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で且つ浅い接合を持つ第1の低濃度p型不純物拡散領域33を形成する。なお、第2の熱酸化膜28における第1の低濃度p型不純物拡散領域33の上側部分を、あらかじめ、フッ酸によるウェットエッチングで除去しておき、その後、前述した注入条件でホウ素(B)イオンの注入を行なってもよい。
【0154】
次に、図20(c)に示すように、マスクパターン110を除去した後、CVD法を用いて半導体基板21上に第2のシリコン窒化膜32及び制御ゲート電極31Aを含む全面にわたって、膜厚がそれぞれ約5nm〜15nmの第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35を順次堆積する。
【0155】
次に、図20(d)に示すように、CVD法により、第3のシリコン窒化膜35の上に全面にわたって膜厚が40nm〜100nm程度のBPSG膜37Aを堆積する。
【0156】
次に、図20(e)に示すように、堆積したBPSG膜37Aに対して異方性のエッチバックを行ない、さらに、第3のシリコン窒化膜35、第2のシリコン酸化膜34及び第2の熱酸化膜28を除去して半導体基板21を露出させることにより、制御ゲート電極31Aの側面上に、第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35からなる保護絶縁膜36を介在させたサイドウォール37を形成する。
【0157】
次に、図20(f)に示すように、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターン111を形成し、形成したマスクパターン111、制御ゲート31A及びサイドウォール37を用いて、反応イオン性ドライエッチング(RIE)法により、半導体基板21の上部に対してエッチングを行なって、深さが25nm〜75nm程度の凹部21bを形成する。なお、このエッチングは、RIE法に代えてCDE法により行なってもよい。
【0158】
続いて、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約10keV〜30keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的に低ドーズ量のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、第1の低濃度p型不純物拡散領域33よりもやや深い接合を持つ第2の低濃度p型不純物拡散領域(図示せず)を形成する。さらに、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約20keV〜50keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的に低ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、接合深さが約40nmの浅い低濃度n型不純物拡散領域38を形成する。
【0159】
次に、図20(g)に示すように、マスクパターン111を除去し、さらに気相フッ酸を用いてサイドウォール37を除去した後、制御ゲート電極31Aのソース領域側の上に開口部を有するマスクパターン131を用いて、保護絶縁膜36のうち第3のシリコン窒化膜35に対してはドライエッチングを行ない、第2のシリコン酸化膜34に対してはウェットエッチングを行なうことにより、保護絶縁膜36における制御ゲート電極31Aのソース領域側の側面部分を除去する。
【0160】
次に、図20(h)に示すように、マスクパターン131を除去した後、半導体基板21を温度が約850℃の酸素雰囲気で熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が約9nmのトンネル絶縁膜39を形成する。その後、CVD法により、半導体基板21上にゲート電極31A及び保護絶縁膜36を含む全面にわたって膜厚が120nm〜200nm程度のリン(P)が添加された多結晶シリコン(DP)膜を形成する。続いて、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターンを用いて、DP膜に対して異方性ドライエッチングによるエッチバックを行なって、制御ゲート電極31Aの側面上に保護絶縁膜36を介してサイドウォール状DP膜を形成する。具体的には、トンネル絶縁膜39が露出した時点でエッチングを停止して、制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面上に高さが制御ゲート電極31Aの高さの約80%、ここでは約160nmのサイドウォール状DP膜を半導体基板21の凹部21bの段差部を跨ぐように形成する。その後、サイドウォール状DP膜をマスクするマスクパターンを用いたドライエッチングにより、サイドウォール状DP膜から、記憶素子ごとに分離され、さらに制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面と保護絶縁膜36を介して容量結合し且つ半導体基板21の凹部21bとトンネル絶縁膜39を介して対向する浮遊ゲート電極40Bを自己整合的に形成する。
【0161】
次に、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bをマスクとして、注入エネルギーが約50keVで注入ドーズ量が5×1013〜1×1014cm-2程度の比較的に高ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入し、これにより、半導体基板21の表面近傍のヒ素の不純物濃度が5×1019cm-3〜1×1021cm-3と程度のソース領域42及びドレイン領域43を形成する。
【0162】
なお、第3の実施形態においては、半導体基板21の浮遊ゲート電極40Bの下側に、ホットエレクトロンが浮遊ゲート電極40Bに高効率で注入されるように浮遊ゲート電極40Bが跨ぐ段差部を設けているが、段差部を設けない構成であってもよい。
【0163】
以上説明したように、第3の実施形態によると、制御ゲート電極31Aにおける浮遊ゲート電極40Bと対向する側面が保護絶縁膜36により覆われているため、浮遊ゲート電極40Bを形成する際に、制御ゲート電極31Aがエッチングによるダメージを防止できる。また、トンネル絶縁膜39の形成工程において、制御ゲート電極31Aにおける浮遊ゲート電極40B側の側面が酸化されることがない。
【0164】
また、図20(e)に示すように、制御ゲート電極31AのBPSGからなるサイドウォール37は、その底面が保護絶縁膜36上にあり、直接に半導体基板21と接していないため、後工程で除去する際に半導体基板21の基板面がダメージを受けることがないので、記憶素子としての動作が安定する。
【0165】
その上、第3の実施形態においても、周辺回路形成領域の各素子は記憶素子の形成工程よりも後に形成されるため、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bがエッチングダメージを受けることがない。
【0166】
また、制御ゲート電極31Aにおける浮遊ゲート電極40Bの反対側の側面上には保護絶縁膜36が設けられていないため、不揮発性半導体記憶素子の実効チャネル長が短縮される。
【0167】
(第3の実施形態の一変形例)
以下、本発明の第3の実施形態の一変形例について図面を参照しながら説明する。
【0168】
図21は第3の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図21において、図19に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0169】
浮遊ゲート電極15との間に設けられた、本変形例に係る保護絶縁膜14は、制御ゲート電極13側から順次形成されたシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の積層体により構成されている。
【0170】
また、トンネル絶縁膜16は内燃方式のパイロジェニック酸化により形成され、且つ、保護絶縁膜14におけるシリコン窒化膜の浮遊ゲート電極15側の表面に、内燃方式のパイロジェニック酸化によるシリコン酸化膜14aが形成されていることを特徴とする。
【0171】
以下、トンネル絶縁膜16及びシリコン酸化膜14aの成膜方法の具体例を説明する。
【0172】
例えば、図20(h)に示す第3の実施形態におけるトンネル絶縁膜39の成膜工程において、急速熱酸化装置を用いて、温度が900℃〜1100℃程度で圧力が1000Pa〜2000Pa程度に設定されたチャンバ内に水素ガスと酸素ガスとを導入し、半導体基板21上で生成される水蒸気によって該半導体基板21を熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が6nm〜15nmのトンネル絶縁膜39を形成する。このとき、内燃方式による熱酸化は、シリコン窒化膜をも酸化するため、保護絶縁膜36における外側の第3のシリコン窒化膜35の露出面が酸化されて、図21に示すトンネル絶縁膜16及びシリコン酸化膜14aが形成される。
【0173】
本変形例によると、第3の実施形態と同様の効果を得られる上に、内燃方式の熱酸化によりトンネル絶縁膜39を形成するため、低濃度n型不純物拡散領域38における増速酸化が抑制されるので、該トンネル絶縁膜39の膜厚をほぼ均一に形成することができる。また、内燃方式の熱酸化によるトンネル絶縁膜39は、通常の酸素雰囲気で形成されたトンネル絶縁膜の膜質と比べても、同等かそれ以上の膜質を得ることができる。
【0174】
その上、ゲート酸化膜である第2の熱酸化膜28に対するバーズビークの発生、及び制御ゲート電極31Aの側面の下部に対するバーズビークの発生が抑制される。これにより、ゲート酸化膜及び容量絶縁膜の各膜厚がほぼ均一となる。
【0175】
さらに、内燃方式の熱酸化法を用いると、図21に示したように、保護絶縁膜14の外側の面が酸化されてシリコン酸化膜14aが形成されるため、浮遊ゲート電極15に蓄積された電子の放出を抑制する効果が向上するので、記憶素子の信頼性が向上する。
【0176】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0177】
図22は第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図22において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0178】
第4の実施形態に係る保護絶縁膜14Aはシリコン酸化膜の単層からなり、制御ゲート電極13の浮遊ゲート電極15と対向する側面にのみ設けられていることを特徴とする。
【0179】
続いて、第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を図23(a)〜図23(h)に基づいて説明する。なお、(1)素子分離領域の形成、(2)ウェル領域の形成、(3)ゲート酸化膜の形成及び(5)周辺回路形成領域の素子形成の各工程は第1の実施形態と同様である。また、図23において、第1の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0180】
まず、図23(a)に示すように、第2のシリコン窒化膜32の上に、記憶素子の制御ゲート電極形成用パターンであるマスクパターン109を用いて、第2のシリコン窒化膜32に対するドライエッチングと、多結晶シリコン膜31に対するドライエッチングとを行なって、上面が第2のシリコン窒化膜32により覆われたn型の多結晶シリコン膜からなる制御ゲート電極31Aを形成する。
【0181】
次に、図23(b)に示すように、マスクパターン109を除去した後、半導体基板21上に、ドレイン形成領域に開口部を持つマスクパターン110を形成し、形成したマスクパターン110を用いて、例えば注入エネルギーが約5keV〜15keV程度で注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入することにより、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で且つ浅い接合を持つ第1の低濃度p型不純物拡散領域33を形成する。なお、第2の熱酸化膜28における第1の低濃度p型不純物拡散領域33の上側部分を、あらかじめ、フッ酸によるウェットエッチングで除去しておき、その後、前述した注入条件でホウ素(B)イオンの注入を行なってもよい。
【0182】
次に、図23(c)に示すように、マスクパターン110を除去した後、CVD法を用いて半導体基板21上に第2のシリコン窒化膜32及び制御ゲート電極31Aを含む全面にわたって膜厚が約5nm〜15nmの第2のシリコン酸化膜34を堆積する。
【0183】
次に、図23(d)に示すように、CVD法により、第2のシリコン酸化膜34の上に全面にわたって膜厚が40nm〜100nm程度のBPSG膜37Aを堆積する。
【0184】
次に、図23(e)に示すように、堆積したBPSG膜37Aに対して異方性のエッチバックを行ない、さらに、第2のシリコン酸化膜34及び第2の熱酸化膜28を除去して半導体基板21を露出させることにより、制御ゲート電極31Aの側面上に、第2のシリコン酸化膜34からなる保護絶縁膜36を介在させたサイドウォール37を形成する。
【0185】
次に、図23(f)に示すように、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターン111を形成し、形成したマスクパターン111、制御ゲート31A及びサイドウォール37を用いて、反応イオン性ドライエッチング(RIE)法により、半導体基板21の上部に対してエッチングを行なって、深さが25nm〜75nm程度の凹部21bを形成する。なお、このエッチングは、RIE法に代えてCDE法により行なってもよい。
【0186】
続いて、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約10keV〜30keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的に低ドーズ量のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、第1の低濃度p型不純物拡散領域33よりもやや深い接合を持つ第2の低濃度p型不純物拡散領域(図示せず)を形成する。さらに、マスクパターン111を用いて、注入エネルギ続ーが約20keV〜50keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的に低ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、接合深さが約40nmの浅い低濃度n型不純物拡散領域38を形成する。
【0187】
次に、図23(g)に示すように、マスクパターン111を除去し、さらに気相フッ酸を用いてサイドウォール37を除去した後、制御ゲート電極31Aのソース領域側の上に開口部を有するマスクパターン131を用いて、保護絶縁膜36における制御ゲート電極31Aのソース領域側の側面部分を除去する。
【0188】
次に、図23(h)に示すように、マスクパターン131を除去した後、半導体基板21を温度が約850℃の酸素雰囲気で熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が約9nmのトンネル絶縁膜39を形成する。このとき、制御ゲート電極31Aの両側面に熱酸化膜が形成され、その結果、保護絶縁膜36の膜厚が大きくなる。なお、ここでは、保護絶縁膜36とトンネル絶縁膜39とが共にシリコン酸化膜であるため、両者間の熱的なストレスは小さい。
【0189】
次に、CVD法により、半導体基板21上にゲート電極31A及び保護絶縁膜36を含む全面にわたって膜厚が120nm〜200nm程度のリン(P)が添加された多結晶シリコン(DP)膜を形成する。続いて、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターンを用いて、DP膜に対して異方性ドライエッチングによるエッチバックを行なって、制御ゲート電極31Aの側面上に保護絶縁膜36を介してサイドウォール状DP膜を形成する。具体的には、トンネル絶縁膜39が露出した時点でエッチングを停止して、制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面上に高さが制御ゲート電極31Aの高さの約80%、ここでは約160nmのサイドウォール状DP膜を半導体基板21の凹部21bの段差部を跨ぐように形成する。その後、サイドウォール状DP膜をマスクするマスクパターンを用いたドライエッチングにより、サイドウォール状DP膜から、記憶素子ごとに分離され、さらに制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面と保護絶縁膜36を介して容量結合し且つ半導体基板21の凹部21bとトンネル絶縁膜39を介して対向する浮遊ゲート電極40Bを自己整合的に形成する。
【0190】
次に、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bをマスクとして、注入エネルギーが約50keVで注入ドーズ量が5×1013〜1×1014cm-2程度の比較的高ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入し、これにより、半導体基板21の表面近傍のヒ素の不純物濃度が5×1019cm-3〜1×1021cm-3と程度のソース領域42及びドレイン領域43を形成する。
【0191】
なお、第4の実施形態においては、半導体基板21の浮遊ゲート電極40Bの下側に、ホットエレクトロンが浮遊ゲート電極40Bに高効率で注入されるように浮遊ゲート電極40Bが跨ぐ段差部を設けているが、段差部を設けない構成であってもよい。
【0192】
以上説明したように、第4の実施形態によると、制御ゲート電極31Aにおける浮遊ゲート電極40Bと対向する側面が保護絶縁膜36により覆われているため、浮遊ゲート電極40Bを形成する際に、制御ゲート電極31Aがエッチングによるダメージを防止できる。
【0193】
また、図23(e)に示すように、制御ゲート電極31AのBPSGからなるサイドウォール37は、その底面が保護絶縁膜36上にあり、直接に半導体基板21と接していないため、後工程で除去する際に半導体基板21の基板面がダメージを受けることがないので、記憶素子としての動作が安定する。
【0194】
その上、第4の実施形態においても、周辺回路形成領域の各素子は記憶素子の形成工程よりも後に形成されるため、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bがエッチングダメージを受けることがない。
【0195】
また、制御ゲート電極31Aにおける浮遊ゲート電極40Bの反対側の側面上には保護絶縁膜36が設けられていないため、不揮発性半導体記憶素子の実効チャネル長を短縮できる。
【0196】
(第4の実施形態の一変形例)
以下、本発明の第4の実施形態の一変形例について図面を参照しながら説明する。
【0197】
図24は第4実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図24において、図22に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0198】
本変形例に係るトンネル絶縁膜16は内燃方式のパイロジェニック酸化により形成され、且つ、制御ゲート電極13の両側部に、内燃方式のパイロジェニック酸化によるシリコン酸化膜13aが形成されていることを特徴とする。
【0199】
以下、トンネル絶縁膜16及びシリコン酸化膜13aの成膜方法の具体例を説明する。
【0200】
例えば、図23(h)に示す第4の実施形態におけるトンネル絶縁膜39の成膜工程において、急速熱酸化装置を用いて、温度が900℃〜1100℃程度で圧力が1000Pa〜2000Pa程度に設定されたチャンバ内に水素ガスと酸素ガスとを導入し、半導体基板21上で生成される水蒸気によって該半導体基板21を熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が6nm〜15nmのトンネル絶縁膜39を形成する。このとき、制御ゲート電極31Aの側部も同時に熱酸化されて、図24に示すトンネル絶縁膜16及びシリコン酸化膜13aが形成される。
【0201】
本変形例によると、第4の実施形態と同様の効果を得られる上に、内燃方式の熱酸化によりトンネル絶縁膜39を形成するため、低濃度n型不純物拡散領域38における増速酸化が抑制されるので、該トンネル絶縁膜39の膜厚をほぼ均一に形成することができる。
【0202】
その上、ゲート酸化膜である第2の熱酸化膜28に対するバーズビークの発生、及び制御ゲート電極31Aの側面の下部に対するバーズビークの発生が抑制される。これにより、ゲート酸化膜及び容量絶縁膜の各膜厚がほぼ均一となる。
【0203】
また、内燃方式の熱酸化によりトンネル絶縁膜39を形成するため、図24に示すように、制御ゲート電極13の側部に緻密なシリコン酸化膜13aが形成されるので、浮遊ゲート電極15に蓄積された電子の放出が抑制され、記憶素子の信頼性が向上する。また、内燃方式の熱酸化によるトンネル絶縁膜39は、通常の酸素雰囲気で形成されたトンネル絶縁膜の膜質と比べても、同等かそれ以上の膜質を得ることができる。
【0204】
なお、本変形例において、保護絶縁膜14Aの下部は基板面方向に張り出す張り出し部を有しているが、該張り出し部を有さない構造であっても良い。張り出し部を除去することにより、書き込み動作時及び消去動作時における張り出し部への電子又はホールのトラップが抑制されるため、書き込み動作又は消去動作の回数の増加による記憶素子の劣化を大幅に低減することができる。
【0205】
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0206】
図25は第5の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図25において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0207】
第5の実施形態に係る保護絶縁膜14は、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の積層体からなり、制御ゲート電極13における浮遊ゲート電極15と反対側の側面にのみ設けられていることを特徴とする。
【0208】
また、制御ゲート電極13と浮遊ゲート電極15との間の容量絶縁膜16Bはトンネル絶縁膜16Aと同一の熱酸化膜から構成されている。
【0209】
続いて、第5の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を図26(a)〜図26(h)に基づいて説明する。なお、(1)素子分離領域の形成、(2)ウェル領域の形成、(3)ゲート酸化膜の形成及び(5)周辺回路形成領域の素子形成の各工程は第1の実施形態と同様である。また、図26において、第1の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0210】
まず、図26(a)に示すように、第2のシリコン窒化膜32の上に、記憶素子の制御ゲート電極形成用パターンであるマスクパターン109を用いて、第2のシリコン窒化膜32に対するドライエッチングと、多結晶シリコン膜31に対するドライエッチングとを行なって、上面が第2のシリコン窒化膜32により覆われたn型の多結晶シリコン膜からなる制御ゲート電極31Aを形成する。
【0211】
次に、図26(b)に示すように、マスクパターン109を除去した後、半導体基板21上に、ドレイン形成領域に開口部を持つマスクパターン110を形成し、形成したマスクパターン110を用いて、例えば注入エネルギーが約5keV〜15keV程度で注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入することにより、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で且つ浅い接合を持つ第1の低濃度p型不純物拡散領域33を形成する。なお、第2の熱酸化膜28における第1の低濃度p型不純物拡散領域33の上側部分を、あらかじめ、フッ酸によるウェットエッチングで除去しておき、その後、前述した注入条件でホウ素(B)イオンの注入を行なってもよい。
【0212】
次に、図26(c)に示すように、マスクパターン110を除去した後、CVD法を用いて半導体基板21上に第2のシリコン窒化膜32及び制御ゲート電極31Aを含む全面にわたって、膜厚がそれぞれ約5nm〜15nmの第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35を順次堆積する。
【0213】
次に、図26(d)に示すように、CVD法により、第3のシリコン窒化膜35の上に全面にわたって膜厚が40nm〜100nm程度のBPSG膜37Aを堆積する。
【0214】
次に、図26(e)に示すように、堆積したBPSG膜37Aに対して異方性のエッチバックを行ない、さらに、第3のシリコン窒化膜35、第2のシリコン酸化膜34及び第2の熱酸化膜28を除去して半導体基板21を露出させることにより、制御ゲート電極31Aの側面上に、第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35からなる保護絶縁膜36を介在させたサイドウォール37を形成する。
【0215】
次に、図26(f)に示すように、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターン111を形成し、形成したマスクパターン111、制御ゲート31A及びサイドウォール37を用いて、反応イオン性ドライエッチング(RIE)法により、半導体基板21の上部に対してエッチングを行なって、深さが25nm〜75nm程度の凹部21bを形成する。なお、このエッチングはRIE法に代えてCDE法により行なってもよい。
【0216】
続いて、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約10keV〜30keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的低ドーズ量のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、第1の低濃度p型不純物拡散領域33よりもやや深い接合を持つ第2の低濃度p型不純物拡散領域(図示せず)を形成する。さらに、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約20keV〜50keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的低ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、接合深さが約40nmの浅い低濃度n型不純物拡散領域38を形成する。
【0217】
次に、図26(g)に示すように、気相フッ酸を用いて、サイドウォール37を除去した後、マスクパターン111を用いて、保護絶縁膜36のうち第3のシリコン窒化膜35に対してはドライエッチングを行ない、第2のシリコン酸化膜34に対してはウェットエッチングを行なうことにより、保護絶縁膜36における制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面部分を除去する。
【0218】
次に、図26(h)に示すように、マスクパターン111を除去した後、半導体基板21を温度が約850℃の酸素雰囲気で熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上及び制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面上に膜厚が約9nmの熱酸化膜を形成する。この熱酸化膜は半導体基板21上では後工程で形成される浮遊ゲート電極との間ではトンネル絶縁膜39Aとなり、制御ゲート電極31Aと浮遊ゲート電極との間では容量絶縁膜39Bとなる。
【0219】
次に、CVD法により、半導体基板21上にゲート電極31A及び保護絶縁膜36を含む全面にわたって膜厚が120nm〜200nm程度のリン(P)が添加された多結晶シリコン(DP)膜を形成する。続いて、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターンを用いて、DP膜に対して異方性ドライエッチングによるエッチバックを行なって、制御ゲート電極31Aの側面上に保護絶縁膜36を介してサイドウォール状DP膜を形成する。具体的には、トンネル絶縁膜39Aが露出した時点でエッチングを停止して、制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面上に高さが制御ゲート電極31Aの高さの約80%、ここでは約160nmのサイドウォール状DP膜を半導体基板21の凹部21bの段差部を跨ぐように形成する。その後、サイドウォール状DP膜をマスクするマスクパターンを用いたドライエッチングにより、サイドウォール状DP膜から、記憶素子ごとに分離され、さらに制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面と容量絶縁膜39Bを介して容量結合し且つ半導体基板21の凹部21bとトンネル絶縁膜39Aを介して対向する浮遊ゲート電極40Bを自己整合的に形成する。
【0220】
次に、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bをマスクとして、注入エネルギーが約50keVで注入ドーズ量が5×1013〜1×1014cm-2程度の比較的高ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入し、これにより、半導体基板21の表面近傍のヒ素の不純物濃度が5×1019cm-3〜1×1021cm-3と程度のソース領域42及びドレイン領域43を形成する。
【0221】
なお、第5の実施形態においては、半導体基板21の浮遊ゲート電極40Bの下側に、ホットエレクトロンが浮遊ゲート電極40Bに高効率で注入されるように浮遊ゲート電極40Bが跨ぐ段差部を設けているが、段差部を設けない構成であってもよい。
【0222】
以上説明したように、第5の実施形態によると、制御ゲート電極31Aのソース領域側の側面が保護絶縁膜36により覆われているため、浮遊ゲート電極40Bを形成する際に、制御ゲート電極31Aがエッチングによるダメージを防止できる。
【0223】
また、第5の実施形態においても、周辺回路形成領域の各素子は記憶素子の形成工程よりも後に形成されるため、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bがエッチングダメージを受けることがない。
【0224】
また、図26(e)に示すように、制御ゲート電極31AのBPSGからなるサイドウォール37は、その底面が保護絶縁膜36上にあり、直接に半導体基板21と接していないため、後工程で除去する際に半導体基板21の基板面がダメージを受けることがないので、記憶素子としての動作が安定する。
【0225】
その上、トンネル絶縁膜39Aと容量絶縁膜39Bとは同一の工程で形成されるため工程を簡略化できる上に、両者にほぼ同等の膜厚を得られるため、制御ゲート電極31Aと浮遊ゲート電極40Bとの容量結合比を高くできるので、不揮発性半導体記憶素子の動作特性が向上する。
【0226】
(第5の実施形態の一変形例)
以下、本発明の第5の実施形態の一変形例について図面を参照しながら説明する。
【0227】
図27は第5の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図27において、図25に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0228】
浮遊ゲート電極15と反対側の側面上に設けられた、本変形例に係る保護絶縁膜14は、制御ゲート電極13側から順次形成されたシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の積層体により構成されている。
【0229】
また、トンネル絶縁膜16Aは内燃方式のパイロジェニック酸化により形成され、且つ、保護絶縁膜14のシリコン窒化膜におけるシリコン酸化膜と反対側の側面に、内燃方式のパイロジェニック酸化によるシリコン酸化膜14aが形成されていることを特徴とする。
【0230】
以下、トンネル絶縁膜16A及びシリコン酸化膜14aの成膜方法の具体例を説明する。
【0231】
例えば、図26(h)に示す第5の実施形態におけるトンネル絶縁膜39A及び容量絶縁膜39Bの成膜工程において、急速熱酸化装置を用いて、温度が900℃〜1100℃程度で圧力が1000Pa〜2000Pa程度に設定されたチャンバ内に水素ガスと酸素ガスとを導入し、半導体基板21上で生成される水蒸気によって該半導体基板21を熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が6nm〜15nmの熱酸化膜を形成する。この熱酸化膜は、半導体基板21と浮遊ゲート電極との間ではトンネル絶縁膜39Aとなり、制御ゲート電極31Aと浮遊ゲート電極との間では容量絶縁膜39Bとなる。このとき、内燃方式による熱酸化は、シリコン窒化膜をも酸化するため、保護絶縁膜36の外側の第3のシリコン窒化膜35の露出面が酸化されて、図27に示すトンネル絶縁膜16A及びシリコン酸化膜14aが形成される。
【0232】
本変形例によると、第5の実施形態と同様の効果を得られる上に、内燃方式の熱酸化によりトンネル絶縁膜39Aを形成するため、低濃度n型不純物拡散領域38における増速酸化が抑制されるので、該トンネル絶縁膜39Aの膜厚をほぼ均一に形成することができる。また、内燃方式の熱酸化によるトンネル絶縁膜39A及び容量絶縁膜39Bは、通常の酸素雰囲気で形成された熱酸化膜の膜質と比べても、同等かそれ以上の膜質を得ることができる。
【0233】
その上、ゲート酸化膜である第2の熱酸化膜28に対するバーズビークの発生、及び制御ゲート電極31Aの側面の下部に対するバーズビークの発生が抑制される。これにより、ゲート酸化膜及び容量絶縁膜39Bの各膜厚がほぼ均一となる。
【0234】
(第6の実施形態)
以下、本発明の第6の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0235】
図28は第6の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図28において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0236】
第6の実施形態に係る保護絶縁膜14Cは、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の積層体からなり、その下部が基板面方向に張り出さずに制御ゲート電極13の両側面にのみ設けられていることを特徴とする。
【0237】
続いて、第6の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を図29(a)〜図29(h)に基づいて説明する。なお、(1)素子分離領域の形成、(2)ウェル領域の形成、(3)ゲート酸化膜の形成及び(5)周辺回路形成領域の素子形成の各工程は第1の実施形態と同様である。また、図29において、第1の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0238】
まず、第2のシリコン窒化膜32の上に、記憶素子の制御ゲート電極形成用パターンであるマスクパターン109を用いて、第2のシリコン窒化膜32に対するドライエッチングと、多結晶シリコン膜31に対するドライエッチングとを行なって、上面が第2のシリコン窒化膜32により覆われたn型の多結晶シリコン膜からなる制御ゲート電極31Aを形成する。
【0239】
次に、図29(a)に示すように、マスクパターン109を除去した後、半導体基板21上に、ドレイン形成領域に開口部を持つマスクパターン110を形成し、形成したマスクパターン110を用いて、例えば注入エネルギーが約5keV〜15keV程度で注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入することにより、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で且つ浅い接合を持つ第1の低濃度p型不純物拡散領域33を形成する。なお、第2の熱酸化膜28における第1の低濃度p型不純物拡散領域33の上側部分を、あらかじめ、フッ酸によるウェットエッチングで除去しておき、その後、前述した注入条件でホウ素(B)イオンの注入を行なってもよい。
【0240】
次に、図29(b)に示すように、マスクパターン110を除去した後、CVD法を用いて半導体基板21上に第2のシリコン窒化膜32及び制御ゲート電極31Aを含む全面にわたって、膜厚がそれぞれ約5nm〜15nmの第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35を順次堆積する。続いて、CVD法により、第3のシリコン窒化膜35の上に全面にわたって膜厚が40nm〜100nm程度のBPSG膜37Aを堆積する。
【0241】
次に、図29(c)に示すように、堆積したBPSG膜37Aに対して異方性のエッチバックを行ない、さらに、第3のシリコン窒化膜35、第2のシリコン酸化膜34及び第2の熱酸化膜28を除去して半導体基板21を露出させることにより、制御ゲート電極31Aの側面上に、第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35からなる保護絶縁膜36を介在させたサイドウォール37を形成する。
【0242】
次に、図29(d)に示すように、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターン111を形成し、形成したマスクパターン111、制御ゲート31A及びサイドウォール37を用いて、反応イオン性ドライエッチング(RIE)法により、半導体基板21の上部に対してエッチングを行なって、深さが25nm〜75nm程度の凹部21bを形成する。なお、このエッチングはRIE法に代えてCDE法により行なってもよい。
【0243】
続いて、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約10keV〜30keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的低ドーズ量のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、第1の低濃度p型不純物拡散領域33よりもやや深い接合を持つ第2の低濃度p型不純物拡散領域(図示せず)を形成する。さらに、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約20keV〜50keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的低ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、接合深さが約40nmの浅い低濃度n型不純物拡散領域38を形成する。
【0244】
次に、図29(e)に示すように、マスクパターン111を除去し、さらに気相フッ酸を用いてサイドウォール37を除去した後、図29(f)に示すように、異方性エッチングにより、保護絶縁膜36におけるサイドウォール37の底面により覆われていた部分を除去する。続いて、図29(g)に示すように、第2の熱酸化膜28におけるサイドウォール37の底面により覆われていた部分をも異方性エッチングにより除去する。
【0245】
次に、図29(h)に示すように、半導体基板21を温度が約850℃の酸素雰囲気で熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が約9nmのトンネル絶縁膜39を形成する。
【0246】
次に、CVD法により、半導体基板21上にゲート電極31A及び保護絶縁膜36を含む全面にわたって膜厚が120nm〜200nm程度のリン(P)が添加された多結晶シリコン(DP)膜を形成する。続いて、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターンを用いて、DP膜に対して異方性ドライエッチングによるエッチバックを行なって、制御ゲート電極31Aの側面上に保護絶縁膜36を介してサイドウォール状DP膜を形成する。具体的には、トンネル絶縁膜39が露出した時点でエッチングを停止して、制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面上に高さが制御ゲート電極31Aの高さの約80%、ここでは約160nmのサイドウォール状DP膜を半導体基板21の凹部21bの段差部を跨ぐように形成する。その後、サイドウォール状DP膜をマスクするマスクパターンを用いたドライエッチングにより、サイドウォール状DP膜から、記憶素子ごとに分離され、さらに制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面と保護絶縁膜36を介して容量結合し且つ半導体基板21の凹部21bとトンネル絶縁膜39を介して対向する浮遊ゲート電極40Bを自己整合的に形成する。
【0247】
次に、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bをマスクとして、注入エネルギーが約50keVで注入ドーズ量が5×1013〜1×1014cm-2程度の比較的高ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入し、これにより、半導体基板21の表面近傍のヒ素の不純物濃度が5×1019cm-3〜1×1021cm-3と程度のソース領域42及びドレイン領域43を形成する。
【0248】
なお、第6の実施形態においては、半導体基板21の浮遊ゲート電極40Bの下側に、ホットエレクトロンが浮遊ゲート電極40Bに高効率で注入されるように浮遊ゲート電極40Bが跨ぐ段差部を設けているが、段差部を設けない構成であってもよい。
【0249】
以上説明したように、第6の実施形態によると、トンネル絶縁膜39を形成する工程において、制御ゲート電極31Aの側面が第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35からなる保護絶縁膜36に覆われているため、制御ゲート電極31Aの側面が酸化されることがない。
【0250】
また、制御ゲート電極31Aの両側面が保護絶縁膜36により覆われているため、浮遊ゲート電極40Bを形成する際に、制御ゲート電極31Aがエッチングによるダメージを防止できる。
【0251】
また、図29(c)に示すように、制御ゲート電極31AのBPSGからなるサイドウォール37は、その底面が保護絶縁膜36上にあり、直接に半導体基板21と接していないため、後工程で除去する際に半導体基板21の基板面がダメージを受けることがないので、記憶素子としての動作が安定する。
【0252】
また、第6の実施形態においても、周辺回路形成領域の各素子は記憶素子の形成工程よりも後に形成されるため、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bがエッチングダメージを受けることがない。
【0253】
(第6の実施形態の一変形例)
以下、本発明の第6の実施形態の一変形例について図面を参照しながら説明する。
【0254】
図30は第6の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図30において、図28に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0255】
制御ゲート電極13の両側面上に設けられた、本変形例に係る保護絶縁膜14Cは、制御ゲート電極13側から順次形成されたシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の積層体により構成されている。
【0256】
また、トンネル絶縁膜16は内燃方式のパイロジェニック酸化により形成され、且つ、保護絶縁膜14Cのシリコン窒化膜におけるシリコン酸化膜と反対側の側面に、内燃方式のパイロジェニック酸化によるシリコン酸化膜14aがそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0257】
以下、トンネル絶縁膜16及びシリコン酸化膜14aの成膜方法の具体例を説明する。
【0258】
例えば、図29(h)に示す第6の実施形態におけるトンネル絶縁膜39の成膜工程において、急速熱酸化装置を用いて、温度が900℃〜1100℃程度で圧力が1000Pa〜2000Pa程度に設定されたチャンバ内に水素ガスと酸素ガスとを導入し、半導体基板21上で生成される水蒸気によって該半導体基板21を熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が6nm〜15nmのトンネル絶縁膜39を形成する。このとき、内燃方式による熱酸化は、シリコン窒化膜をも酸化するため、保護絶縁膜36の外側の第3のシリコン窒化膜35の露出面が酸化されて、図30に示すンネル絶縁膜16及びシリコン酸化膜14aが形成される。
【0259】
本変形例によると、第6の実施形態と同様の効果を得られる上に、内燃方式の熱酸化によりトンネル絶縁膜39を形成するため、低濃度n型不純物拡散領域38における増速酸化が抑制されるので、該トンネル絶縁膜39の膜厚をほぼ均一に形成することができる。また、内燃方式の熱酸化によるトンネル絶縁膜39は、通常の酸素雰囲気で形成されたトンネル絶縁膜の膜質と比べても、同等かそれ以上の膜質を得ることができる。
【0260】
その上、ゲート酸化膜である第2の熱酸化膜28に対するバーズビークの発生、及び制御ゲート電極31Aの側面の下部に対するバーズビークの発生が抑制される。これにより、ゲート酸化膜及び容量絶縁膜の各膜厚がほぼ均一となる。
【0261】
さらに、内燃方式の熱酸化法を用いると、図30に示したように、保護絶縁膜14Cのシリコン窒化膜の外側の面が酸化されてシリコン酸化膜14aが形成されるため、浮遊ゲート電極15に蓄積された電子の放出を抑制する効果が向上するので、記憶素子の信頼性が向上する。
【0262】
(第7の実施形態)
以下、本発明の第7の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0263】
図31は第7の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図31において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0264】
第7の実施形態に係る保護絶縁膜14Cは、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の積層体からなり、制御ゲート電極13の浮遊ゲート電極15と対向する側面にのみ、その下部が基板面方向に張り出さないように設けられていることを特徴とする。
【0265】
続いて、第7の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を図32(a)〜図32(h)に基づいて説明する。なお、(1)素子分離領域の形成、(2)ウェル領域の形成、(3)ゲート酸化膜の形成及び(5)周辺回路形成領域の素子形成の各工程は第1の実施形態と同様である。また、図32において、第1の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0266】
まず、第2のシリコン窒化膜32の上に、記憶素子の制御ゲート電極形成用パターンであるマスクパターン109を用いて、第2のシリコン窒化膜32に対するドライエッチングと、多結晶シリコン膜31に対するドライエッチングとを行なって、上面が第2のシリコン窒化膜32により覆われたn型の多結晶シリコン膜からなる制御ゲート電極31Aを形成する。
【0267】
次に、図32(a)に示すように、マスクパターン109を除去した後、半導体基板21上に、ドレイン形成領域に開口部を持つマスクパターン110を形成し、形成したマスクパターン110を用いて、例えば注入エネルギーが約5keV〜15keV程度で注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入することにより、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で且つ浅い接合を持つ第1の低濃度p型不純物拡散領域33を形成する。なお、第2の熱酸化膜28における第1の低濃度p型不純物拡散領域33の上側部分を、あらかじめ、フッ酸によるウェットエッチングで除去しておき、その後、前述した注入条件でホウ素(B)イオンの注入を行なってもよい。
【0268】
次に、図32(b)に示すように、マスクパターン110を除去した後、CVD法を用いて半導体基板21上に第2のシリコン窒化膜32及び制御ゲート電極31Aを含む全面にわたって、膜厚がそれぞれ約5nm〜15nmの第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35を順次堆積する。続いて、CVD法により、第3のシリコン窒化膜35の上に全面にわたって膜厚が40nm〜100nm程度のBPSG膜37Aを堆積する。
【0269】
次に、図32(c)に示すように、堆積したBPSG膜37Aに対して異方性のエッチバックを行ない、さらに、第3のシリコン窒化膜35、第2のシリコン酸化膜34及び第2の熱酸化膜28を除去して半導体基板21を露出させることにより、制御ゲート電極31Aの側面上に、第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35からなる保護絶縁膜36を介在させたサイドウォール37を形成する。続いて、半導体基板21上に、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターン111を形成し、形成したマスクパターン111、制御ゲート31A及びサイドウォール37を用いて、反応イオン性ドライエッチング(RIE)法により、半導体基板21の上部に対してエッチングを行なって、深さが25nm〜75nm程度の凹部21bを形成する。なお、このエッチングはRIE法に代えてCDE法により行なってもよい。
【0270】
続いて、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約10keV〜30keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的低ドーズ量のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、第1の低濃度p型不純物拡散領域33よりもやや深い接合を持つ第2の低濃度p型不純物拡散領域(図示せず)を形成する。さらに、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約20keV〜50keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的低ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、接合深さが約40nmの浅い低濃度n型不純物拡散領域38を形成する。
【0271】
次に、図32(d)に示すように、マスクパターン111を除去し、さらに気相フッ酸を用いてサイドウォール37を除去した後、図32(e)に示すように、異方性エッチングにより、保護絶縁膜36におけるサイドウォール37の底面により覆われていた部分を除去する。続いて、図32(f)に示すように、第2の熱酸化膜28におけるサイドウォール37の底面により覆われていた部分をも異方性エッチングにより除去する。
【0272】
次に、図32(g)に示すように、ソース領域及び制御ゲート電極31Aのソース領域側の上に開口部を持つマスクパターン132を形成し、形成したマスクパターン132を用いて、保護絶縁膜36のうち、上層の第3のシリコン窒化膜35に対してはドライエッチングを行ない、下層の第2のシリコン酸化膜34に対してはウェットエッチングを行なうことにより、保護絶縁膜36における制御ゲート電極31Aのソース領域側の側面部分を除去する。
【0273】
次に、図32(h)に示すように、マスクパターン132を除去した後、半導体基板21を温度が約850℃の酸素雰囲気で熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が約9nmのトンネル絶縁膜39を形成する。このとき、制御ゲート電極31Aのソース領域側の側面に熱酸化膜が形成される。
【0274】
次に、CVD法により、半導体基板21上にゲート電極31A及び保護絶縁膜36を含む全面にわたって膜厚が120nm〜200nm程度のリン(P)が添加された多結晶シリコン(DP)膜を形成する。続いて、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターンを用いて、DP膜に対して異方性ドライエッチングによるエッチバックを行なって、制御ゲート電極31Aの側面上に保護絶縁膜36を介してサイドウォール状DP膜を形成する。具体的には、トンネル絶縁膜39が露出した時点でエッチングを停止して、制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面上に高さが制御ゲート電極31Aの高さの約80%、ここでは約160nmのサイドウォール状DP膜を半導体基板21の凹部21bの段差部を跨ぐように形成する。その後、サイドウォール状DP膜をマスクするマスクパターンを用いたドライエッチングにより、サイドウォール状DP膜から、記憶素子ごとに分離され、さらに制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面と保護絶縁膜36を介して容量結合し且つ半導体基板21の凹部21bとトンネル絶縁膜39を介して対向する浮遊ゲート電極40Bを自己整合的に形成する。
【0275】
次に、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bをマスクとして、注入エネルギーが約50keVで注入ドーズ量が5×1013〜1×1014cm-2程度の比較的高ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入し、これにより、半導体基板21の表面近傍のヒ素の不純物濃度が5×1019cm-3〜1×1021cm-3と程度のソース領域42及びドレイン領域43を形成する。
【0276】
なお、第7の実施形態においては、半導体基板21の浮遊ゲート電極40Bの下側に、ホットエレクトロンが浮遊ゲート電極40Bに高効率で注入されるように浮遊ゲート電極40Bが跨ぐ段差部を設けているが、段差部を設けない構成であってもよい。
【0277】
以上説明したように、第7の実施形態によると、トンネル絶縁膜39を形成する工程において、制御ゲート電極31Aの浮遊ゲート電極40Bと対向する側面が第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35からなる保護絶縁膜36に覆われているため、制御ゲート電極31Aの側面が酸化されることがない。
【0278】
また、制御ゲート電極31Aにおける浮遊ゲート電極40Bと対向する側面が保護絶縁膜36により覆われているため、浮遊ゲート電極40Bを形成する際に、制御ゲート電極31Aがエッチングによるダメージを防止できる。
【0279】
また、図32(c)に示すように、制御ゲート電極31AのBPSGからなるサイドウォール37は、その底面が保護絶縁膜36上にあり、直接に半導体基板21と接していないため、後工程で除去する際に半導体基板21の基板面がダメージを受けることがないので、記憶素子としての動作が安定する。
【0280】
また、第7の実施形態においても、周辺回路形成領域の各素子は記憶素子の形成工程よりも後に形成されるため、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bがエッチングダメージを受けることがない。
【0281】
また、制御ゲート電極31Aにおける浮遊ゲート電極40Bの反対側の側面上には保護絶縁膜36が設けられていないため、不揮発性半導体記憶素子の実効チャネル長を短縮できる。
【0282】
(第7の実施形態の一変形例)
以下、本発明の第7の実施形態の一変形例について図面を参照しながら説明する。
【0283】
図33は第7の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図33において、図31に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0284】
制御ゲート電極13との間に設けられた、本変形例に係る保護絶縁膜14Cは、制御ゲート電極13側から順次形成されたシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の積層体により形成されている。
【0285】
また、トンネル絶縁膜16は内燃方式のパイロジェニック酸化により形成され、且つ、保護絶縁膜14Cにおけるシリコン窒化膜の浮遊ゲート電極15側の側面に、内燃方式のパイロジェニック酸化によるシリコン酸化膜14aが形成されていることを特徴とする。
【0286】
以下、トンネル絶縁膜16及びシリコン酸化膜14aの成膜方法の具体例を説明する。
【0287】
例えば、図32(h)に示す第7の実施形態におけるトンネル絶縁膜39の成膜工程において、急速熱酸化装置を用いて、温度が900℃〜1100℃程度で圧力が1000Pa〜2000Pa程度に設定されたチャンバ内に水素ガスと酸素ガスとを導入し、半導体基板21上で生成される水蒸気によって該半導体基板21を熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が6nm〜15nmのトンネル絶縁膜39を形成する。このとき、内燃方式による熱酸化は、シリコン窒化膜をも酸化するため、保護絶縁膜36における外側の第3のシリコン窒化膜35の露出面が酸化されて、図33に示すトンネル絶縁膜16及びシリコン酸化膜14aが形成される。
【0288】
本変形例によると、第7の実施形態と同様の効果を得られる上に、内燃方式の熱酸化によりトンネル絶縁膜39を形成するため、低濃度n型不純物拡散領域38における増速酸化が抑制されるので、該トンネル絶縁膜39の膜厚をほぼ均一に形成することができる。また、内燃方式の熱酸化によるトンネル絶縁膜39は、通常の酸素雰囲気で形成されたトンネル絶縁膜の膜質と比べても、同等かそれ以上の膜質を得ることができる。
【0289】
その上、ゲート酸化膜である第2の熱酸化膜28に対するバーズビークの発生、及び制御ゲート電極31Aの側面の下部に対するバーズビークの発生が抑制される。これにより、ゲート酸化膜及び容量絶縁膜の各膜厚がほぼ均一となる。
【0290】
さらに、内燃方式の熱酸化法を用いると、図33に示したように、保護絶縁膜14Cの浮遊ゲート電極15側の面が酸化されてシリコン酸化膜14aが形成されるため、浮遊ゲート電極15に蓄積された電子の放出を抑制する効果が向上するので、記憶素子の信頼性が向上する。
【0291】
(第8の実施形態)
以下、本発明の第8の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0292】
図34は第8の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図34において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0293】
第8の実施形態に係る保護絶縁膜14Cは、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の積層体からなり、制御ゲート電極13における浮遊ゲート電極15の反対側の側面にのみ且つ基板面方向に張り出さないように設けられていることを特徴とする。
【0294】
続いて、第8の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を図35(a)〜図35(h)に基づいて説明する。なお、(1)素子分離領域の形成、(2)ウェル領域の形成、(3)ゲート酸化膜の形成及び(5)周辺回路形成領域の素子形成の各工程は第1の実施形態と同様である。また、図35において、第1の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0295】
まず、第2のシリコン窒化膜32の上に、記憶素子の制御ゲート電極形成用パターンであるマスクパターン109を用いて、第2のシリコン窒化膜32に対するドライエッチングと、多結晶シリコン膜31に対するドライエッチングとを行なって、上面が第2のシリコン窒化膜32により覆われたn型の多結晶シリコン膜からなる制御ゲート電極31Aを形成する。
【0296】
次に、図35(a)に示すように、マスクパターン109を除去した後、半導体基板21上に、ドレイン形成領域に開口部を持つマスクパターン110を形成し、形成したマスクパターン110を用いて、例えば注入エネルギーが約5keV〜15keV程度で注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入することにより、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で且つ浅い接合を持つ第1の低濃度p型不純物拡散領域33を形成する。なお、第2の熱酸化膜28における第1の低濃度p型不純物拡散領域33の上側部分を、あらかじめ、フッ酸によるウェットエッチングで除去しておき、その後、前述した注入条件でホウ素(B)イオンの注入を行なってもよい。
【0297】
次に、図35(b)に示すように、マスクパターン110を除去した後、CVD法を用いて半導体基板21上に第2のシリコン窒化膜32及び制御ゲート電極31Aを含む全面にわたって、膜厚がそれぞれ約5nm〜15nmの第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35を順次堆積する。続いて、CVD法により、第3のシリコン窒化膜35の上に全面にわたって膜厚が40nm〜100nm程度のBPSG膜37Aを堆積する。
【0298】
次に、図35(c)に示すように、堆積したBPSG膜37Aに対して異方性のエッチバックを行ない、さらに、第3のシリコン窒化膜35、第2のシリコン酸化膜34及び第2の熱酸化膜28を除去して半導体基板21を露出させることにより、制御ゲート電極31Aの側面上に、第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35からなる保護絶縁膜36を介在させたサイドウォール37を形成する。
【0299】
続いて、半導体基板21上に、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターン111を形成し、形成したマスクパターン111、制御ゲート31A及びサイドウォール37を用いて、反応イオン性ドライエッチング(RIE)法により、半導体基板21の上部に対してエッチングを行なって、深さが25nm〜75nm程度の凹部21bを形成する。なお、このエッチングはRIE法に代えてCDE法により行なってもよい。
【0300】
続いて、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約10keV〜30keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的低ドーズ量のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、第1の低濃度p型不純物拡散領域33よりもやや深い接合を持つ第2の低濃度p型不純物拡散領域(図示せず)を形成する。さらに、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約20keV〜50keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的低ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、接合深さが約40nmの浅い低濃度n型不純物拡散領域38を形成する。
【0301】
次に、図35(d)に示すように、マスクパターン111を除去し、さらに気相フッ酸を用いてサイドウォール37を除去した後、図35(e)に示すように、異方性エッチングにより、保護絶縁膜36におけるサイドウォール37の底面により覆われていた部分を除去する。続いて、図35(f)に示すように、第2の熱酸化膜28におけるサイドウォール37の底面により覆われていた部分をも異方性エッチングにより除去する。
【0302】
次に、図35(g)に示すように、ドレイン領域及び制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の上に開口部を持つマスクパターン133を形成し、形成したマスクパターン133を用いて、保護絶縁膜36のうち、上層の第3のシリコン窒化膜35に対してはドライエッチングを行ない、下層の第2のシリコン酸化膜34に対してはウェットエッチングを行なうことにより、保護絶縁膜36における制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面部分を除去する。
【0303】
次に、図35(h)に示すように、マスクパターン132を除去した後、半導体基板21を温度が約850℃の酸素雰囲気で熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上及び制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面上に膜厚が約9nmの熱酸化膜を形成する。この熱酸化膜は半導体基板21上では後工程で形成される浮遊ゲート電極との間ではトンネル絶縁膜39Aとなり、制御ゲート電極31Aと浮遊ゲート電極との間では容量絶縁膜39Bとなる。
【0304】
次に、CVD法により、半導体基板21上にゲート電極31A及び保護絶縁膜36を含む全面にわたって膜厚が120nm〜200nm程度のリン(P)が添加された多結晶シリコン(DP)膜を形成する。続いて、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターンを用いて、DP膜に対して異方性ドライエッチングによるエッチバックを行なって、制御ゲート電極31Aの側面上に保護絶縁膜36を介してサイドウォール状DP膜を形成する。具体的には、トンネル絶縁膜39Aが露出した時点でエッチングを停止して、制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面上に高さが制御ゲート電極31Aの高さの約80%、ここでは約160nmのサイドウォール状DP膜を半導体基板21の凹部21bの段差部を跨ぐように形成する。その後、サイドウォール状DP膜をマスクするマスクパターンを用いたドライエッチングにより、サイドウォール状DP膜から、記憶素子ごとに分離され、さらに制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面と容量絶縁膜39Bを介して容量結合し且つ半導体基板21の凹部21bとトンネル絶縁膜39Aを介して対向する浮遊ゲート電極40Bを自己整合的に形成する。
【0305】
次に、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bをマスクとして、注入エネルギーが約50keVで注入ドーズ量が5×1013〜1×1014cm-2程度の比較的高ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入し、これにより、半導体基板21の表面近傍のヒ素の不純物濃度が5×1019cm-3〜1×1021cm-3と程度のソース領域42及びドレイン領域43を形成する。
【0306】
なお、第8の実施形態においては、半導体基板21の浮遊ゲート電極40Bの下側に、ホットエレクトロンが浮遊ゲート電極40Bに高効率で注入されるように浮遊ゲート電極40Bが跨ぐ段差部を設けているが、段差部を設けない構成であってもよい。
【0307】
以上説明したように、第8の実施形態によると、制御ゲート電極31Aのソース領域側の側面が保護絶縁膜36により覆われているため、浮遊ゲート電極40Bを形成する際に、制御ゲート電極31Aがエッチングによるダメージを防止できる。
【0308】
また、図35(c)に示すように、制御ゲート電極31AのBPSGからなるサイドウォール37は、その底面が保護絶縁膜36上にあり、直接に半導体基板21と接していないため、後工程で除去する際に半導体基板21の基板面がダメージを受けることがないので、記憶素子としての動作が安定する。
【0309】
また、第8の実施形態においても、周辺回路形成領域の各素子は記憶素子の形成工程よりも後に形成されるため、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bがエッチングダメージを受けることがない。
【0310】
その上、トンネル絶縁膜39Aと容量絶縁膜39Bとは同一の工程で形成されるため工程を簡略化できる上に、両者にほぼ同等の膜厚を得られるため、制御ゲート電極31Aと浮遊ゲート電極40Bとの容量結合比を高くできるので、不揮発性半導体記憶素子の動作特性が向上する。
【0311】
(第8の実施形態の一変形例)
以下、本発明の第8の実施形態の一変形例について図面を参照しながら説明する。
【0312】
図36は第8の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図36において、図34に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0313】
浮遊ゲート電極15と反対側の側面上に設けられた、本変形例に係る保護絶縁膜14Cは、制御ゲート電極13側から順次形成されたシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の積層体により構成されている。
【0314】
また、トンネル絶縁膜16A及び容量絶縁膜16Bは内燃方式のパイロジェニック酸化により形成され、且つ、保護絶縁膜14Cのシリコン窒化膜におけるシリコン酸化膜と反対側の側面に、内燃方式のパイロジェニック酸化によるシリコン酸化膜14aが形成されていることを特徴とする。
【0315】
以下、トンネル絶縁膜16A及びシリコン酸化膜14aの成膜方法の具体例を説明する。
【0316】
例えば、図35(h)に示す第8の実施形態におけるトンネル絶縁膜39A及び容量絶縁膜39Bの成膜工程において、急速熱酸化装置を用いて、温度が900℃〜1100℃程度で圧力が1000Pa〜2000Pa程度に設定されたチャンバ内に水素ガスと酸素ガスとを導入し、半導体基板21上で生成される水蒸気によって半導体基板21を熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が6nm〜15nmの熱酸化膜を形成する。この熱酸化膜は、半導体基板21と浮遊ゲート電極との間ではトンネル絶縁膜39Aとなり、制御ゲート電極31Aと浮遊ゲート電極との間では容量絶縁膜39Bとなる。このとき、内燃方式による熱酸化は、シリコン窒化膜をも酸化するため、保護絶縁膜36の外側の第3のシリコン窒化膜35の露出面が酸化されて、図36に示すトンネル絶縁膜16A及びシリコン酸化膜14aが形成される。
【0317】
本変形例によると、第8の実施形態と同様の効果を得られる上に、内燃方式の熱酸化によりトンネル絶縁膜39Aを形成するため、低濃度n型不純物拡散領域38における増速酸化が抑制されるので、該トンネル絶縁膜39Aの膜厚をほぼ均一に形成することができる。また、内燃方式の熱酸化により一体に形成されたトンネル絶縁膜39A及び容量絶縁膜39Bは、通常の酸素雰囲気で形成された熱酸化膜の膜質と比べても、同等かそれ以上の膜質を得ることができる。
【0318】
その上、ゲート酸化膜である第2の熱酸化膜28に対するバーズビークの発生、及び制御ゲート電極31Aの側面の下部に対するバーズビークの発生が抑制される。これにより、ゲート酸化膜及び容量絶縁膜39Bの各膜厚がほぼ均一となる。
【0319】
(第9の実施形態)
以下、本発明の第9の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0320】
図37(a)は第9の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示し、図37(b)はその変形例を示している。ここで、図37(a)及び(b)において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0321】
図37(a)に示すように、第9の実施形態に係る記憶素子は、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の積層体から構成され、制御ゲート電極13における浮遊ゲート電極15と対向する側面にのみ形成された保護絶縁膜14Cと、制御ゲート電極13における浮遊ゲート電極15と反対側の側面にその下部に張出部を持つ保護絶縁膜14とを有している。
【0322】
また、図37(b)に示すように、一変形例に係る記憶素子は、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の積層体から構成され、制御ゲート電極13における浮遊ゲート電極15と対向する側面にその下部に張出部を持つ保護絶縁膜14と、制御ゲート電極13における浮遊ゲート電極15と反対側の側面にのみ形成された保護絶縁膜14Cとを有している。
【0323】
以下、第9の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を図38(a)〜図38(g)に基づいて説明する。なお、(1)素子分離領域の形成、(2)ウェル領域の形成、(3)ゲート酸化膜の形成及び(5)周辺回路形成領域の素子形成の各工程は第1の実施形態と同様である。また、図38において、第1の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0324】
まず、第2のシリコン窒化膜32の上に、記憶素子の制御ゲート電極形成用パターンであるマスクパターン109を用いて、第2のシリコン窒化膜32に対するドライエッチングと、多結晶シリコン膜31に対するドライエッチングとを行なって、上面が第2のシリコン窒化膜32により覆われたn型の多結晶シリコン膜からなる制御ゲート電極31Aを形成する。
【0325】
次に、図38(a)に示すように、マスクパターン109を除去した後、半導体基板21上に、ドレイン形成領域に開口部を持つマスクパターン110を形成し、形成したマスクパターン110を用いて、例えば注入エネルギーが約5keV〜15keV程度で注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入することにより、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で且つ浅い接合を持つ第1の低濃度p型不純物拡散領域33を形成する。なお、第2の熱酸化膜28における第1の低濃度p型不純物拡散領域33の上側部分を、あらかじめ、フッ酸によるウェットエッチングで除去しておき、その後、前述した注入条件でホウ素(B)イオンの注入を行なってもよい。
【0326】
次に、図38(b)に示すように、マスクパターン110を除去した後、CVD法を用いて半導体基板21上に第2のシリコン窒化膜32及び制御ゲート電極31Aを含む全面にわたって、膜厚がそれぞれ約5nm〜15nmの第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35を順次堆積する。続いて、CVD法により、第3のシリコン窒化膜35の上に全面にわたって膜厚が40nm〜100nm程度のBPSG膜37Aを堆積する。
【0327】
次に、図38(c)に示すように、堆積したBPSG膜37Aに対して異方性のエッチバックを行ない、さらに、第3のシリコン窒化膜35、第2のシリコン酸化膜34及び第2の熱酸化膜28を除去して半導体基板21を露出させることにより、制御ゲート電極31Aの側面上に、第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35からなる保護絶縁膜36を介在させたサイドウォール37を形成する。
【0328】
次に、図38(d)に示すように、気相フッ酸を用いて、サイドウォール37を除去した後、図38(e)に示すように、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターン111を形成し、形成したマスクパターン111、制御ゲート31A及び保護絶縁膜36を用いて、反応イオン性ドライエッチング(RIE)法により、半導体基板21の上部に対してエッチングを行なって、深さが25nm〜75nm程度の凹部21bを形成する。このとき、保護絶縁膜36におけるサイドウォール37の底面により覆われていた部分及び第2の熱酸化膜28におけるサイドウォール37の底面により覆われていた部分の上側部分が除去される。なお、このエッチングはRIE法に代えてCDE法により行なってもよい。
【0329】
続いて、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約10keV〜30keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的低ドーズ量のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、第1の低濃度p型不純物拡散領域33よりもやや深い接合を持つ第2の低濃度p型不純物拡散領域(図示せず)を形成する。さらに、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約20keV〜50keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的低ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、接合深さが約40nmの浅い低濃度n型不純物拡散領域38を形成する。ここでは、第2の熱酸化膜28におけるサイドウォール37の底面により覆われていた部分がヒ素(As)イオンのマスクとなる。
【0330】
次に、図38(f)に示すように、異方性エッチングにより、第2の熱酸化膜28におけるサイドウォール37の底面により覆われていた部分を除去する。
【0331】
次に、図38(g)に示すように、半導体基板21を温度が約850℃の酸素雰囲気で熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が約9nmのトンネル絶縁膜39を形成する。
【0332】
次に、CVD法により、半導体基板21上にゲート電極31A及び保護絶縁膜36を含む全面にわたって膜厚が120nm〜200nm程度のリン(P)が添加された多結晶シリコン(DP)膜を形成する。続いて、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターンを用いて、DP膜に対して異方性ドライエッチングによるエッチバックを行なって、制御ゲート電極31Aの側面上に保護絶縁膜36を介してサイドウォール状DP膜を形成する。具体的には、トンネル絶縁膜39が露出した時点でエッチングを停止して、制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面上に高さが制御ゲート電極31Aの高さの約80%、ここでは約160nmのサイドウォール状DP膜を半導体基板21の凹部21bの段差部を跨ぐように形成する。その後、サイドウォール状DP膜をマスクするマスクパターンを用いたドライエッチングにより、サイドウォール状DP膜から、記憶素子ごとに分離され、さらに制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面と保護絶縁膜36を介して容量結合し且つ半導体基板21の凹部21bとトンネル絶縁膜39を介して対向する浮遊ゲート電極40Bを自己整合的に形成する。
【0333】
次に、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bをマスクとして、注入エネルギーが約50keVで注入ドーズ量が5×1013〜1×1014cm-2程度の比較的高ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入し、これにより、半導体基板21の表面近傍のヒ素の不純物濃度が5×1019cm-3〜1×1021cm-3と程度のソース領域42及びドレイン領域43を形成する。
【0334】
なお、第3の実施形態においては、半導体基板21の浮遊ゲート電極40Bの下側に、ホットエレクトロンが浮遊ゲート電極40Bに高効率で注入されるように浮遊ゲート電極40Bが跨ぐ段差部を設けているが、段差部を設けない構成であってもよい。
【0335】
以上説明したように、第9の実施形態によると、トンネル絶縁膜39を形成する工程において、制御ゲート電極31Aの側面が第2のシリコン酸化膜34及び第3のシリコン窒化膜35からなる保護絶縁膜36に覆われているため、制御ゲート電極31Aの側面が酸化されることがない。
【0336】
また、制御ゲート電極31Aの両側面が保護絶縁膜36により覆われているため、浮遊ゲート電極40Bを形成する際に、制御ゲート電極31Aがエッチングによるダメージを防止できる。
【0337】
また、第9の実施形態においても、周辺回路形成領域の各素子は記憶素子の形成工程よりも後に形成されるため、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bがエッチングダメージを受けることがない。
【0338】
また、図38(c)に示すように、制御ゲート電極31AのBPSGからなるサイドウォール37は、その底面が保護絶縁膜36上にあり、直接に半導体基板21と接していないため、後工程で除去する際に半導体基板21の基板面がダメージを受けることがないので、記憶素子としての動作が安定する。
【0339】
なお、図37(b)に示す一変形例に係る記憶素子は、図38(c)に示す工程の後に、サイドウォール37を残して凹部21bを形成し、その後、ソース領域側の保護絶縁膜36の張出部及び熱酸化膜28の端部を除去すれば良い。
【0340】
また、図37(c)及び図37(d)に示すように、トンネル絶縁膜16を内燃方式のパイロジェニック酸化により形成し、且つ保護絶縁膜14、14Cの外側部分にも内燃方式のパイロジェニック酸化によるシリコン酸化膜14aを形成しても良い。
【0341】
以下、トンネル絶縁膜16及びシリコン酸化膜14aの成膜方法を具体的に説明する。例えば、図38(g)に示すトンネル絶縁膜形成工程において、急速熱酸化装置を用いて、温度が900℃〜1100℃程度で圧力が1000Pa〜2000Pa程度に設定されたチャンバ内に水素と酸素とを導入し、半導体基板21上で生成される水蒸気によって半導体基板21を熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が6nm〜15nmのトンネル絶縁膜39を形成する。このとき、内燃方式による熱酸化はシリコン窒化膜をも酸化するため、保護絶縁膜36における外側に位置する第3のシリコン窒化膜35の露出面が酸化されて、図37(c)又は図37(d)に示すトンネル絶縁膜16及びシリコン酸化膜14aが形成される。
(第10の実施形態)
以下、本発明の第10の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0342】
図39は第10の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図39において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0343】
第10の実施形態は、制御ゲート電極13の両側面上に設けられた単層の窒化シリコンからなる保護絶縁膜14Aを有し、制御ゲート電極13はその側部に内燃方式のパイロジェニック酸化により形成されたシリコン酸化膜13bを有していることを特徴とする。
【0344】
続いて、第10の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を図40(a)〜図40(h)に基づいて説明する。なお、(1)素子分離領域の形成、(2)ウェル領域の形成、(3)ゲート酸化膜の形成及び(5)周辺回路形成領域の素子形成の各工程は第1の実施形態と同様である。また、図40において、第1の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0345】
まず、図40(a)に示すように、第2のシリコン窒化膜32の上に、記憶素子の制御ゲート電極形成用パターンであるマスクパターン109を用いて、第2のシリコン窒化膜32に対するドライエッチングと、多結晶シリコン膜31に対するドライエッチングとを行なって、上面が第2のシリコン窒化膜32により覆われたn型の多結晶シリコン膜からなる制御ゲート電極31Aを形成する。
【0346】
次に、図40(b)に示すように、マスクパターン109を除去した後、急速熱酸化装置を用いて、温度が900℃〜1100℃程度で圧力が1000Pa〜2000Pa程度に設定されたチャンバ内に水素ガスと酸素ガスとを導入し、半導体基板21上で生成される水蒸気によって制御ゲート電極31Aを熱酸化することにより、制御ゲート電極31Aの側部に、膜厚が約5nm〜15nmのシリコン酸化膜31bを形成する。続いて、半導体基板21上に、ドレイン形成領域に開口部を持つマスクパターン110を形成し、形成したマスクパターン110を用いて、例えば注入エネルギーが約5keV〜15keV程度で注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入することにより、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で且つ浅い接合を持つ第1の低濃度p型不純物拡散領域33を形成する。なお、第2の熱酸化膜28における第1の低濃度p型不純物拡散領域33の上側部分を、あらかじめ、フッ酸によるウェットエッチングで除去しておき、その後、前述した注入条件でホウ素(B)イオンの注入を行なってもよい。
【0347】
次に、図40(c)に示すように、マスクパターン110を除去した後、CVD法を用いて半導体基板21上に第2のシリコン窒化膜32及び制御ゲート電極31Aを含む全面にわたって膜厚が約5nm〜15nmの第3のシリコン窒化膜35を堆積する。
【0348】
次に、図40(d)に示すように、CVD法により、第3のシリコン窒化膜35の上に全面にわたって膜厚が40nm〜100nm程度のBPSG膜37Aを堆積する。
【0349】
次に、図40(e)に示すように、堆積したBPSG膜37Aに対して異方性のエッチバックを行ない、さらに、第3のシリコン窒化膜35及び第2の熱酸化膜28を除去して半導体基板21を露出させることにより、制御ゲート電極31Aの側面上に、第3のシリコン窒化膜35からなる保護絶縁膜36を介在させたサイドウォール37を形成する。
【0350】
次に、図40(f)に示すように、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターン111を形成し、形成したマスクパターン111、制御ゲート31A及びサイドウォール37を用いて、反応イオン性ドライエッチング(RIE)法により、半導体基板21の上部に対してエッチングを行なって、深さが25nm〜75nm程度の凹部21bを形成する。なお、このエッチングはRIE法に代えてCDE法により行なってもよい。
【0351】
続いて、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約10keV〜30keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的低ドーズ量のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、第1の低濃度p型不純物拡散領域33よりもやや深い接合を持つ第2の低濃度p型不純物拡散領域(図示せず)を形成する。さらに、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約20keV〜50keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的低ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、接合深さが約40nmの浅い低濃度n型不純物拡散領域38を形成する。
【0352】
次に、図40(g)に示すように、マスクパターン111を除去し、さらに気相フッ酸を用いてサイドウォール37を除去した後、図40(h)に示すように、半導体基板21を温度が約850℃の酸素雰囲気で熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が約9nmのトンネル絶縁膜39を形成する。
【0353】
次に、CVD法により、半導体基板21上にゲート電極31A及び保護絶縁膜36を含む全面にわたって膜厚が120nm〜200nm程度のリン(P)が添加された多結晶シリコン(DP)膜を形成する。続いて、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターンを用いて、DP膜に対して異方性ドライエッチングによるエッチバックを行なって、制御ゲート電極31Aの側面上に保護絶縁膜36を介してサイドウォール状DP膜を形成する。具体的には、トンネル絶縁膜39が露出した時点でエッチングを停止して、制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面上に高さが制御ゲート電極31Aの高さの約80%、ここでは約160nmのサイドウォール状DP膜を半導体基板21の凹部21bの段差部を跨ぐように形成する。その後、サイドウォール状DP膜をマスクするマスクパターンを用いたドライエッチングにより、サイドウォール状DP膜から、記憶素子ごとに分離され、さらに制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面と保護絶縁膜36を介して容量結合し且つ半導体基板21の凹部21bとトンネル絶縁膜39を介して対向する浮遊ゲート電極40Bを自己整合的に形成する。
【0354】
次に、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bをマスクとして、注入エネルギーが約50keVで注入ドーズ量が5×1013〜1×1014cm-2程度の比較的高ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入し、これにより、半導体基板21の表面近傍のヒ素の不純物濃度が5×1019cm-3〜1×1021cm-3と程度のソース領域42及びドレイン領域43を形成する。
【0355】
なお、第10の実施形態においては、半導体基板21の浮遊ゲート電極40Bの下側に、ホットエレクトロンが浮遊ゲート電極40Bに高効率で注入されるように浮遊ゲート電極40Bが跨ぐ段差部を設けているが、段差部を設けない構成であってもよい。
【0356】
以上説明したように、第10の実施形態によると、制御ゲート電極31Aの両側面が保護絶縁膜36により覆われているため、浮遊ゲート電極40Bを形成する際に、制御ゲート電極31Aがエッチングによるダメージを防止できる。
【0357】
また、図40(e)に示すように、制御ゲート電極31AのBPSGからなるサイドウォール37は、その底面が保護絶縁膜36上にあり、直接に半導体基板21と接していないため、後工程で除去する際に半導体基板21の基板面がダメージを受けることがないので、記憶素子としての動作が安定する。
【0358】
その上、第10の実施形態においても、周辺回路形成領域の各素子は記憶素子の形成工程よりも後に形成されるため、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bがエッチングダメージを受けることがない。
【0359】
さらに、制御ゲート電極31Aの側部には、内燃方式のパイロジェニック酸化によりシリコン酸化膜31bを形成しているため、CVD法によるシリコン酸化膜よりも膜質が緻密となり、浮遊ゲート電極40Bに蓄積された電子の放出を抑制する効果が高くなり、記憶素子の信頼性が向上する。
【0360】
なお、第10の実施形態において、保護絶縁膜36は制御ゲート電極31Aの両側面上に設けられているが、図41(a)に示すように制御ゲート電極31Aの浮遊ゲート電極40Bと反対側に位置する保護絶縁膜36は設けなくても良い。また、図41(b)に示すように、制御ゲート電極31Aの浮遊ゲート電極40Bと反対側に位置する保護絶縁膜36の下部の張り出し部のみを除去しても良い。
【0361】
また、図40(g)において、サイドウォール37を除去した後、さらに、異方性エッチングにより、保護絶縁膜36及びゲート酸化膜となる第2の絶縁膜28におけるサイドウォール37の底面により覆われていた部分を除去して、図42(a)に示す構造としても良い。このとき、図42(b)に示すように、制御ゲート電極31Aの浮遊ゲート電極40Bと反対側に位置する保護絶縁膜36の下部の張り出し部は残しておいてもよい。
【0362】
さらには、図43に示すように、制御ゲート電極31Aの両側面上の保護絶縁膜36のうち浮遊ゲート電極40Bと反対側に位置する保護絶縁膜36を除去しても良い。
【0363】
図42(a)、(b)及び図43に示す構造とすると、保護絶縁膜36及び第2の絶縁膜28におけるサイドウォール37の底面に覆われていた部分が存在しないため、書き込み動作時及び消去動作時において、保護絶縁膜36及び第2の絶縁膜28に対して電子又はホールのトラップが抑制される。その結果、記憶素子に対して書き込み動作及び消去動作を繰り返すことによって該記憶素子の動作特性が劣化することを防止できる。
【0364】
(第10の実施形態の一変形例)
以下、本発明の第10の実施形態の一変形例について図面を参照しながら説明する。
【0365】
図44は第10の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図44において、図39に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0366】
本変形例に係るトンネル絶縁膜16は内燃方式のパイロジェニック酸化により形成され、且つ、保護絶縁膜14Aにおける制御ゲート電極13と反対側の表面に、内燃方式のパイロジェニック酸化によるシリコン酸化膜14aがそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0367】
以下、トンネル絶縁膜16及びシリコン酸化膜14aの成膜方法の具体例を説明する。
【0368】
例えば、図40(h)に示す第10の実施形態におけるトンネル絶縁膜39の成膜工程において、急速熱酸化装置を用いて、温度が900℃〜1100℃程度で圧力が1000Pa〜2000Pa程度に設定されたチャンバ内に水素ガスと酸素ガスとを導入し、半導体基板21上で生成される水蒸気によって該半導体基板21を熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が6nm〜15nmのトンネル絶縁膜39を形成する。このとき、窒化シリコンからなる保護絶縁膜36の露出面も同時に熱酸化されて、図44に示すトンネル絶縁膜16及びシリコン酸化膜14aが形成される。
【0369】
本変形例によると、第10の実施形態と同様の効果を得られる上に、内燃方式の熱酸化によりトンネル絶縁膜39を形成するため、低濃度n型不純物拡散領域38における増速酸化が抑制されるので、該トンネル絶縁膜39の膜厚をほぼ均一に形成することができる。また、内燃方式の熱酸化によるトンネル絶縁膜39は、通常の酸素雰囲気で形成されたトンネル絶縁膜の膜質と比べても、同等かそれ以上の膜質を得ることができる。
【0370】
その上、内燃方式の熱酸化法を用いると、ゲート酸化膜である第2の熱酸化膜28に対するバーズビークの発生、及び制御ゲート電極31Aの側面の下部に対するバーズビークの発生が抑制されるため、ゲート酸化膜の膜厚及び容量絶縁膜となる保護絶縁膜36の膜厚をほぼ均一に形成することができる。
【0371】
さらに、内燃方式の熱酸化法を用いると、図44に示したように、保護絶縁膜14Aのシリコン窒化膜における外側の面が酸化されてシリコン酸化膜14aが形成されるため、浮遊ゲート電極15に蓄積された電子の放出を抑制する効果が向上するので、記憶素子の信頼性が向上する。
【0372】
なお、本変形例において、保護絶縁膜36は制御ゲート電極31Aの両側面上に設けられているが、図45に示すように制御ゲート電極31Aの浮遊ゲート電極40Bと反対側に位置する保護絶縁膜36は設けなくてもよい。ここでは、保護絶縁膜36に形成されたシリコン酸化膜36aを図44のシリコン酸化膜14aと対応させている。
【0373】
また、保護絶縁膜36及び第2の絶縁膜28におけるサイドウォール37の底面により覆われていた部分を除去して、図46に示す構造としても良い。
【0374】
さらには、図47に示すように、制御ゲート電極31Aの両側面上の保護絶縁膜36のうち浮遊ゲート電極40Bと反対側に位置する保護絶縁膜36を除去しても良い。
【0375】
図46及び図47に示す構造とすると、保護絶縁膜36及び第2の絶縁膜28におけるサイドウォール37の底面に覆われていた部分が存在しないため、書き込み動作時及び消去動作時において、保護絶縁膜36及び第2の絶縁膜28に対して電子又はホールのトラップが抑制される。その結果、記憶素子に対して書き込み動作及び消去動作を繰り返すことによって該記憶素子の動作特性が劣化することを防止できる。
【0376】
なお、制御ゲート電極31Aの両側面上に設けられた保護絶縁膜36のうち浮遊ゲート電極40Bと反対側に位置する保護絶縁膜36の張り出し部のみを除去しても良く、逆に、浮遊ゲート電極40Bと対向する側に位置する保護絶縁膜36の張り出し部のみを除去しても良い。
【0377】
(第11の実施形態)
以下、本発明の第11の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0378】
図48は第11の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図48において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0379】
第11の実施形態に係る保護絶縁膜14は、制御ゲート電極13の両側面上に形成され、該制御ゲート電極13側から順次形成されたシリコン酸化膜、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜の3層の積層体により構成されていることを特徴とし、また、トンネル絶縁膜16が内燃方式によるパイロジェニック酸化により形成されていることを特徴とする。
【0380】
続いて、第11の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を図49(a)〜図49(h)に基づいて説明する。なお、(1)素子分離領域の形成、(2)ウェル領域の形成、(3)ゲート酸化膜の形成及び(5)周辺回路形成領域の素子形成の各工程は第1の実施形態と同様である。また、図49において、第1の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0381】
まず、図49(a)に示すように、第2のシリコン窒化膜32の上に、記憶素子の制御ゲート電極形成用パターンであるマスクパターン109を用いて、第2のシリコン窒化膜32に対するドライエッチングと、多結晶シリコン膜31に対するドライエッチングとを行なって、上面が第2のシリコン窒化膜32により覆われたn型の多結晶シリコン膜からなる制御ゲート電極31Aを形成する。
【0382】
次に、図49(b)に示すように、マスクパターン109を除去した後、半導体基板21上に、ドレイン形成領域に開口部を持つマスクパターン110を形成し、形成したマスクパターン110を用いて、例えば注入エネルギーが約5keV〜15keV程度で注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入することにより、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で且つ浅い接合を持つ第1の低濃度p型不純物拡散領域33を形成する。なお、第2の熱酸化膜28における第1の低濃度p型不純物拡散領域33の上側部分を、あらかじめ、フッ酸によるウェットエッチングで除去しておき、その後、前述した注入条件でホウ素(B)イオンの注入を行なってもよい。
【0383】
次に、図49(c)に示すように、マスクパターン110を除去した後、CVD法を用いて半導体基板21上に第2のシリコン窒化膜32及び制御ゲート電極31Aを含む全面にわたって、膜厚がそれぞれ約5nm〜15nmの第2のシリコン酸化膜34、第3のシリコン窒化膜35及び第4のシリコン酸化膜51を順次堆積する。
【0384】
次に、図49(d)に示すように、CVD法により、第4のシリコン酸化膜51の上に全面にわたって膜厚が40nm〜100nm程度のBPSG膜37Aを堆積する。
【0385】
次に、図49(e)に示すように、堆積したBPSG膜37Aに対して異方性のエッチバックを行ない、さらに、第4のシリコン酸化膜51、第3のシリコン窒化膜35、第2のシリコン酸化膜34及び第2の熱酸化膜28を除去して半導体基板21を露出させることにより、制御ゲート電極31Aの側面上に、第2のシリコン酸化膜34、第3のシリコン窒化膜35及び第4のシリコン酸化膜51からなる保護絶縁膜36を介在させたサイドウォール37を形成する。
【0386】
次に、図49(f)に示すように、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターン111を形成し、形成したマスクパターン111、制御ゲート31A及びサイドウォール37を用いて、反応イオン性ドライエッチング(RIE)法により、半導体基板21の上部に対してエッチングを行なって、深さが25nm〜75nm程度の凹部21bを形成する。なお、このエッチングは、RIE法に代えてCDE法により行なってもよい。
【0387】
続いて、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約10keV〜30keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的低ドーズ量のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、第1の低濃度p型不純物拡散領域33よりもやや深い接合を持つ第2の低濃度p型不純物拡散領域(図示せず)を形成する。さらに、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約20keV〜50keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的低ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、接合深さが約40nmの浅い低濃度n型不純物拡散領域38を形成する。
【0388】
次に、図49(g)に示すように、マスクパターン111を除去し、さらに気相フッ酸を用いてサイドウォール37を除去した後、図49(h)に示すように、急速熱酸化装置を用いて、温度が900℃〜1100℃程度で圧力が1000Pa〜2000Pa程度に設定されたチャンバ内に水素ガスと酸素ガスとを導入し、半導体基板21上で生成される水蒸気によって該半導体基板21を熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が6nm〜15nmのトンネル絶縁膜39を形成する。このとき、保護絶縁膜36の露出面は第4のシリコン酸化膜51により覆われているため、内燃方式の熱酸化による保護絶縁膜36の第3のシリコン窒化膜35の酸化を防止することができ、保護絶縁膜36のシリコン窒化膜をシリコン酸化膜で挟んでなるONO膜の膜構造が崩れることがない。
【0389】
その後、CVD法により、半導体基板21上にゲート電極31A及び保護絶縁膜36を含む全面にわたって膜厚が120nm〜200nm程度のリン(P)が添加された多結晶シリコン(DP)膜を形成する。続いて、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターンを用いて、DP膜に対して異方性ドライエッチングによるエッチバックを行なって、制御ゲート電極31Aの側面上に保護絶縁膜36を介してサイドウォール状DP膜を形成する。具体的には、トンネル絶縁膜39が露出した時点でエッチングを停止して、制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面上に高さが制御ゲート電極31Aの高さの約80%、ここでは約160nmのサイドウォール状DP膜を半導体基板21の凹部21bの段差部を跨ぐように形成する。その後、サイドウォール状DP膜をマスクするマスクパターンを用いたドライエッチングにより、サイドウォール状DP膜から、記憶素子ごとに分離され、さらに制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面と保護絶縁膜36を介して容量結合し且つ半導体基板21の凹部21bとトンネル絶縁膜39を介して対向する浮遊ゲート電極40Bを自己整合的に形成する。
【0390】
次に、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bをマスクとして、注入エネルギーが約50keVで注入ドーズ量が5×1013〜1×1014cm-2程度の比較的高ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入し、これにより、半導体基板21の表面近傍のヒ素の不純物濃度が5×1019cm-3〜1×1021cm-3と程度のソース領域42及びドレイン領域43を形成する。
【0391】
なお、第11の実施形態においては、半導体基板21の浮遊ゲート電極40Bの下側に、ホットエレクトロンが浮遊ゲート電極40Bに高効率で注入されるように浮遊ゲート電極40Bが跨ぐ段差部を設けているが、段差部を設けない構成であってもよい。
【0392】
以上説明したように、第11の実施形態によると、制御ゲート電極31Aの両側面が保護絶縁膜36により覆われているため、浮遊ゲート電極40Bを形成する際に、制御ゲート電極31Aがエッチングによるダメージを防止できる。また、トンネル絶縁膜39の形成工程において、制御ゲート電極31Aにおける浮遊ゲート電極40B側の側面が酸化されることがない。
【0393】
また、図49(e)に示すように、制御ゲート電極31AのBPSGからなるサイドウォール37は、その底面が保護絶縁膜36上にあり、直接に半導体基板21と接していないため、後工程で除去する際に半導体基板21の基板面がダメージを受けることがないので、記憶素子としての動作が安定する。
【0394】
また、第11の実施形態においても、周辺回路形成領域の各素子は記憶素子の形成工程よりも後に形成されるため、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bがエッチングダメージを受けることがない。
【0395】
また、内燃方式の熱酸化によりトンネル絶縁膜39を形成するため、低濃度n型不純物拡散領域38における増速酸化が抑制されるので、該トンネル絶縁膜39の膜厚をほぼ均一に形成することができる。また、内燃方式の熱酸化によるトンネル絶縁膜39は、通常の酸素雰囲気で形成されたトンネル絶縁膜の膜質と比べても、同等かそれ以上の膜質を得ることができる。
【0396】
また、ゲート酸化膜である第2の熱酸化膜28に対するバーズビークの発生、及び制御ゲート電極31Aの側面の下部に対するバーズビークの発生が抑制される。
【0397】
さらに、保護絶縁膜36の外側に第4のシリコン酸化膜51を設けているため、第3のシリコン窒化膜35の酸化が防止されるだけでなく、第4のシリコン酸化膜51を設けることにより、第3のシリコン窒化膜35の膜厚の制御性が向上する。その上、保護絶縁膜36が3層構造であるため、浮遊ゲート電極40Bに蓄積された電子の放出を抑制でき、記憶素子の信頼性が向上する。
【0398】
なお、第11の実施形態において、保護絶縁膜36は制御ゲート電極31Aの両側面上に設けられているが、図50に示すように制御ゲート電極31Aにおける浮遊ゲート電極40Bと反対側に位置する保護絶縁膜36は設けなくてもよい。この場合には、内燃方式の熱酸化によるトンネル絶縁膜39を形成する際に、制御ゲート電極31Aにおける浮遊ゲート電極40Bと反対側の側部にシリコン酸化膜31aが形成される。
【0399】
また、図49(g)において、サイドウォール37を除去した後、さらに、異方性エッチングにより、保護絶縁膜36及びゲート酸化膜となる第2の絶縁膜28におけるサイドウォール37の底面により覆われていた部分を除去して、図51に示す構造としても良い。
【0400】
さらには、図52に示すように、制御ゲート電極31Aの両側面上の保護絶縁膜36のうち浮遊ゲート電極40Bと反対側に位置する保護絶縁膜36を除去しても良い。
【0401】
図51及び図52に示す構造とすると、保護絶縁膜36及び第2の絶縁膜28におけるサイドウォール37の底面に覆われていた部分が存在しないため、書き込み動作時及び消去動作時において、保護絶縁膜36及び第2の絶縁膜28に対して電子又はホールのトラップが抑制される。その結果、記憶素子に対して書き込み動作及び消去動作を繰り返すことによって該記憶素子の動作特性が劣化することを防止できる。
【0402】
なお、制御ゲート電極31Aの両側面上に設けられた保護絶縁膜36のうち浮遊ゲート電極40Bと反対側に位置する保護絶縁膜36の張り出し部のみを除去しても良く、逆に、浮遊ゲート電極40Bと対向する側に位置する保護絶縁膜36の張り出し部のみを除去しても良い。
【0403】
(第12の実施形態)
以下、本発明の第12の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0404】
図53は第12の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の断面構成を示している。図53において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0405】
第12の実施形態に係る保護絶縁膜14は、制御ゲート電極13の両側面上に該制御ゲート電極13側から順次形成されたシリコン窒化膜及びシリコン酸化膜の積層体により構成されている。
【0406】
また、トンネル絶縁膜16は内燃方式のパイロジェニック酸化により形成され、且つ、制御ゲート電極13は、その側部に内燃方式のパイロジェニック酸化によるシリコン酸化膜13bが形成されていることを特徴とする。
【0407】
続いて、第12の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を図54(a)〜図54(h)に基づいて説明する。なお、(1)素子分離領域の形成、(2)ウェル領域の形成、(3)ゲート酸化膜の形成及び(5)周辺回路形成領域の素子形成の各工程は第1の実施形態と同様である。また、図54において、第1の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0408】
まず、図54(a)に示すように、第2のシリコン窒化膜32の上に、記憶素子の制御ゲート電極形成用パターンであるマスクパターン109を用いて、第2のシリコン窒化膜32に対するドライエッチングと、多結晶シリコン膜31に対するドライエッチングとを行なって、上面が第2のシリコン窒化膜32により覆われたn型の多結晶シリコン膜からなる制御ゲート電極31Aを形成する。
【0409】
次に、図54(b)に示すように、マスクパターン109を除去した後、急速熱酸化装置を用いて、温度が900℃〜1100℃程度で圧力が1000Pa〜2000Pa程度に設定されたチャンバ内に水素ガスと酸素ガスとを導入し、半導体基板21上で生成される水蒸気によって制御ゲート電極31Aを熱酸化することにより、制御ゲート電極31Aの側部に、膜厚が約5nm〜15nmのシリコン酸化膜31bを形成する。続いて、半導体基板21上に、ドレイン形成領域に開口部を持つマスクパターン110を形成し、形成したマスクパターン110を用いて、例えば注入エネルギーが約5keV〜15keV程度で注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入することにより、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で且つ浅い接合を持つ第1の低濃度p型不純物拡散領域33を形成する。なお、第2の熱酸化膜28における第1の低濃度p型不純物拡散領域33の上側部分を、あらかじめ、フッ酸によるウェットエッチングで除去しておき、その後、前述した注入条件でホウ素(B)イオンの注入を行なってもよい。
【0410】
次に、図54(c)に示すように、マスクパターン110を除去した後、CVD法を用いて半導体基板21上に第2のシリコン窒化膜32及び制御ゲート電極31Aを含む全面にわたって、膜厚がそれぞれ約5nm〜15nmの第3のシリコン窒化膜35と第4のシリコン酸化膜51とを順次堆積する。
【0411】
次に、図54(d)に示すように、CVD法により、第4のシリコン酸化膜51の上に全面にわたって膜厚が40nm〜100nm程度のBPSG膜37Aを堆積する。
【0412】
次に、図54(e)に示すように、堆積したBPSG膜37Aに対して異方性のエッチバックを行ない、さらに、第4のシリコン酸化膜51、第3のシリコン窒化膜35及び第2の熱酸化膜28を除去して半導体基板21を露出させることにより、制御ゲート電極31Aの側面上に、第3のシリコン窒化膜35及び第4のシリコン酸化膜51からなる保護絶縁膜36を介在させたサイドウォール37を形成する。
【0413】
次に、図54(f)に示すように、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターン111を形成し、形成したマスクパターン111、制御ゲート31A及びサイドウォール37を用いて、反応イオン性ドライエッチング(RIE)法により、半導体基板21の上部に対してエッチングを行なって、深さが25nm〜75nm程度の凹部21bを形成する。なお、このエッチングはRIE法に代えてCDE法により行なってもよい。
【0414】
続いて、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約10keV〜30keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的低ドーズ量のホウ素(B)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、第1の低濃度p型不純物拡散領域33よりもやや深い接合を持つ第2の低濃度p型不純物拡散領域(図示せず)を形成する。さらに、マスクパターン111を用いて、注入エネルギーが約20keV〜50keVで注入ドーズ量が5×1012〜1×1014cm-2程度の比較的低ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入して、表面近傍の不純物濃度が5×1016cm-3〜1×1019cm-3程度で、接合深さが約40nmの浅い低濃度n型不純物拡散領域38を形成する。
【0415】
次に、図54(g)に示すように、マスクパターン111を除去し、さらに気相フッ酸を用いてサイドウォール37を除去した後、図54(h)に示すように、急速熱酸化装置を用いて、温度が900℃〜1100℃程度で圧力が1000Pa〜2000Pa程度に設定されたチャンバ内に水素ガスと酸素ガスとを導入し、半導体基板21上で生成される水蒸気によって該半導体基板21を熱酸化することにより、半導体基板21の凹部21bの露出面上に膜厚が6nm〜15nmのトンネル絶縁膜39を形成する。このとき、保護絶縁膜36の露出面は第4のシリコン酸化膜51により覆われているため、内燃方式の熱酸化による保護絶縁膜36の第3のシリコン窒化膜35の酸化を防止することができ、制御ゲート電極31Aの側部のシリコン酸化膜31b、保護絶縁膜36の第3のシリコン窒化膜35及び第4のシリコン酸化膜51からなるONO膜の膜構造が崩れることがない。
【0416】
その後、CVD法により、半導体基板21上にゲート電極31A及び保護絶縁膜36を含む全面にわたって膜厚が120nm〜200nm程度のリン(P)が添加された多結晶シリコン(DP)膜を形成する。続いて、ドレイン領域の上に開口部を持つマスクパターンを用いて、DP膜に対して異方性ドライエッチングによるエッチバックを行なって、制御ゲート電極31Aの側面上に保護絶縁膜36を介してサイドウォール状DP膜を形成する。具体的には、トンネル絶縁膜39が露出した時点でエッチングを停止して、制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面上に高さが制御ゲート電極31Aの高さの約80%、ここでは約160nmのサイドウォール状DP膜を半導体基板21の凹部21bの段差部を跨ぐように形成する。その後、サイドウォール状DP膜をマスクするマスクパターンを用いたドライエッチングにより、サイドウォール状DP膜から、記憶素子ごとに分離され、さらに制御ゲート電極31Aのドレイン領域側の側面と保護絶縁膜36を介して容量結合し且つ半導体基板21の凹部21bとトンネル絶縁膜39を介して対向する浮遊ゲート電極40Bを自己整合的に形成する。
【0417】
次に、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bをマスクとして、注入エネルギーが約50keVで注入ドーズ量が5×1013〜1×1014cm-2程度の比較的高ドーズ量のヒ素(As)イオンを半導体基板21にイオン注入し、これにより、半導体基板21の表面近傍のヒ素の不純物濃度が5×1019cm-3〜1×1021cm-3と程度のソース領域42及びドレイン領域43を形成する。
【0418】
なお、第12の実施形態においては、半導体基板21の浮遊ゲート電極40Bの下側に、ホットエレクトロンが浮遊ゲート電極40Bに高効率で注入されるように浮遊ゲート電極40Bが跨ぐ段差部を設けているが、段差部を設けない構成であってもよい。
【0419】
以上説明したように、第12の実施形態によると、制御ゲート電極31Aの両側面が保護絶縁膜36により覆われているため、浮遊ゲート電極40Bを形成する際に、制御ゲート電極31Aがエッチングによるダメージを防止できる。また、トンネル絶縁膜39の形成工程において、制御ゲート電極31Aにおける浮遊ゲート電極40B側の側面が酸化されることがない。
【0420】
また、図54(e)に示すように、制御ゲート電極31AのBPSGからなるサイドウォール37は、その底面が保護絶縁膜36上にあり、直接に半導体基板21と接していないため、後工程で除去する際に半導体基板21の基板面がダメージを受けることがないので、記憶素子としての動作が安定する。
【0421】
また、第12の実施形態においても、周辺回路形成領域の各素子は記憶素子の形成工程よりも後に形成されるため、制御ゲート電極31A及び浮遊ゲート電極40Bがエッチングダメージを受けることがない。
【0422】
また、内燃方式の熱酸化によりトンネル絶縁膜39を形成するため、低濃度n型不純物拡散領域38における増速酸化が抑制されるので、該トンネル絶縁膜39の膜厚をほぼ均一に形成することができる。また、内燃方式の熱酸化によるトンネル絶縁膜39は、通常の酸素雰囲気で形成されたトンネル絶縁膜の膜質と比べても、同等かそれ以上の膜質を得ることができる。
【0423】
また、ゲート酸化膜である第2の熱酸化膜28に対するバーズビークの発生、及び制御ゲート電極31Aの側面の下部に対するバーズビークの発生が抑制される。
【0424】
さらに、保護絶縁膜36の外側に第4のシリコン酸化膜51を設けているため、第3のシリコン窒化膜35の酸化が防止されるだけでなく、第4のシリコン酸化膜51を設けることにより、第3のシリコン窒化膜35の膜厚の制御性が向上する。その上、保護絶縁膜36と制御ゲート電極31Aの側部のシリコン酸化膜31b、とを併せて3層構造であるため、浮遊ゲート電極40Bに蓄積された電子の放出を抑制でき、記憶素子の信頼性が向上する。
【0425】
なお、第12の実施形態において、保護絶縁膜36は制御ゲート電極31Aの両側面上に設けられているが、図55に示すように制御ゲート電極31Aにおける浮遊ゲート電極40Bと反対側に位置する保護絶縁膜36は設けなくてもよい。この場合には、内燃方式の熱酸化によるトンネル絶縁膜39を形成する際に、制御ゲート電極31Aにおける浮遊ゲート電極40Bと反対側の側部にシリコン酸化膜31aが形成される。
【0426】
また、図54(g)において、サイドウォール37を除去した後、さらに、異方性エッチングにより、保護絶縁膜36及びゲート酸化膜となる第2の絶縁膜28におけるサイドウォール37の底面により覆われていた部分を除去して、図56に示す構造としても良い。
【0427】
さらには、図57に示すように、制御ゲート電極31Aの両側面上の保護絶縁膜36のうち浮遊ゲート電極40Bと反対側に位置する保護絶縁膜36を除去しても良い。
【0428】
図56及び図57に示す構造とすると、保護絶縁膜36及び第2の絶縁膜28におけるサイドウォール37の底面に覆われていた部分が存在しないため、書き込み動作時及び消去動作時において、保護絶縁膜36及び第2の絶縁膜28に対して電子又はホールのトラップが抑制される。その結果、記憶素子に対して書き込み動作及び消去動作を繰り返すことによって該記憶素子の動作特性が劣化することを防止できる。
【0429】
なお、制御ゲート電極31Aの両側面上に設けられた保護絶縁膜36のうち浮遊ゲート電極40Bと反対側に位置する保護絶縁膜36の張り出し部のみを除去しても良く、逆に、浮遊ゲート電極40Bと対向する側に位置する保護絶縁膜36の張り出し部のみを除去しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0430】
本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、制御ゲート電極が浮遊ゲート電極の形成時にその形状が損なわれにくくなるため、不揮発性半導体記憶装置のメモリセルを確実に形成することができ、特に、記憶素子と該記憶素子と入出力等を行なう周辺回路とを同一の半導体基板上に形成する不揮発性半導体記憶装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0431】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図3】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図4】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図5】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図6】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図7】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図8】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図9】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図10】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図11】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図12】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図13】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図14】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図15】本発明の第1の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図17】(a)〜(h)は本発明の第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図18】本発明の第2の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図20】(a)〜(h)は本発明の第3の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図21】本発明の第3の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図22】本発明の第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図23】(a)〜(h)は本発明の第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図24】本発明の第4の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図25】本発明の第5の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図26】(a)〜(h)は本発明の第5の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図27】本発明の第5の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図28】本発明の第6の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図29】(a)〜(h)は本発明の第6の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図30】本発明の第6の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図31】本発明の第7の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図32】(a)〜(h)は本発明の第7の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図33】本発明の第7の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図34】本発明の第8の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図35】(a)〜(h)は本発明の第8の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図36】本発明の第8の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図37】(a)は本発明の第9の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【0432】
(b)〜(d)は本発明の第9の実施形態の変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図38】(a)〜(g)は本発明の第9の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図39】本発明の第10の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図40】(a)〜(h)は本発明の第10の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図41】(a)及び(b)は本発明の第10の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の他の例を示す構成断面図である。
【図42】(a)及び(b)は本発明の第10の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の他の例を示す構成断面図である。
【図43】本発明の第10の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の他の例を示す構成断面図である。
【図44】本発明の第10の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図45】本発明の第10の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の他の例を示す構成断面図である。
【図46】本発明の第10の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の他の例を示す構成断面図である。
【図47】本発明の第10の実施形態の一変形例に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の他の例を示す構成断面図である。
【図48】本発明の第11の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図49】(a)〜(h)は本発明の第11の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図50】本発明の第11の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の他の例を示す構成断面図である。
【図51】本発明の第11の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の他の例を示す構成断面図である。
【図52】本発明の第11の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の他の例を示す構成断面図である。
【図53】本発明の第12の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子を示す構成断面図である。
【図54】(a)〜(h)は本発明の第12の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図55】本発明の第12の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の他の例を示す構成断面図である。
【図56】本発明の第12の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の他の例を示す構成断面図である。
【図57】本発明の第12の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の一記憶素子の他の例を示す構成断面図である。
【図58】(a)〜(h)は従来のスプリットゲート型のFEEPROM装置の一記憶素子の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【符号の説明】
【0433】
1 記憶回路形成領域
2 周辺回路形成領域
3 記憶素子部
4 低電圧n型チャネルトランジスタ部
5 低電圧p型チャネルトランジスタ部
6 高電圧n型チャネルトランジスタ部
7 高電圧p型チャネルトランジスタ部
8 抵抗素子部
9 容量素子部
11 半導体基板
11a ソース領域
11b ドレイン領域
12 ゲート酸化膜
13 制御ゲート電極
13a シリコン酸化膜
13b シリコン酸化膜
14 保護絶縁膜(単層又は積層)
14A 保護絶縁膜(単層)
14C 保護絶縁膜(積層)
14a シリコン酸化膜
15 浮遊ゲート電極
16 トンネル絶縁膜
16A トンネル絶縁膜
16B 容量絶縁膜
21 半導体基板
21a 素子分離溝
21b 凹部
22 第1の熱酸化膜
23 第1のシリコン窒化膜
24A 第1のシリコン酸化膜
24B 素子分離領域
25 深いn型ウェル領域
26 n型ウェル領域
27 p型ウェル領域
28 第2の熱酸化膜
29 第3の熱酸化膜
30 第4の熱酸化膜
31 多結晶シリコン膜
31A 制御ゲート電極
31b シリコン酸化膜
31B ゲート電極
32 第2のシリコン窒化膜
33 第1の低濃度p型不純物拡散領域
34 第2のシリコン酸化膜
35 第3のシリコン窒化膜
36 保護絶縁膜
36a シリコン酸化膜
37 サイドウォール
37A BPSG膜
38 低濃度n型不純物拡散領域
39 トンネル絶縁膜
39A トンネル絶縁膜
39B 容量絶縁膜
40 多結晶シリコン(DP)膜
40A サイドウォール状DP膜
40B 浮遊ゲート電極
41 保護酸化膜
42 ソース領域
43 ドレイン領域
44 n型LDD領域
45 p型LDD領域
46 サイドウォールスペーサ
47 p型ソースドレイン領域
48 n型ソースドレイン領域
49 第3のシリコン酸化膜
50 コバルトシリサイド領域
51 第4のシリコン酸化膜
101〜124 マスクパターン
131 マスクパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に互いの側面を対向させるように設けられた制御ゲート電極及び浮遊ゲート電極を有する不揮発性半導体記憶装置において、
前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成された前記制御ゲート電極と、
前記制御ゲート電極の上に堆積されてなり、前記浮遊ゲート電極が形成される際に前記制御ゲート電極の上面を保護する第1の保護絶縁膜と、
前記制御ゲート電極の両側面上に堆積されてなり、前記浮遊ゲート電極が形成される際に前記制御ゲート電極の両側面を保護する第2の保護絶縁膜と、
前記制御ゲート電極の一方の側面と前記第2の保護絶縁膜を介して対向して前記制御ゲート電極と容量結合すると共に、前記第1の保護絶縁膜及び前記第2の保護絶縁膜により周囲を覆われた前記制御ゲート電極に対して自己整合的に形成された前記浮遊ゲート電極と、
前記浮遊ゲート電極と前記半導体基板との間に形成されたトンネル絶縁膜と、
前記半導体基板における前記浮遊ゲート電極の下側を含む領域に形成されたドレイン領域と、
前記半導体基板における前記制御ゲート電極に対して前記ドレイン領域と反対側の領域に形成されたソース領域とを備えていることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
半導体基板上に互いの側面を対向させるように設けられた制御ゲート電極及び浮遊ゲート電極を有する不揮発性半導体記憶装置において、
前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成された前記制御ゲート電極と、
前記制御ゲート電極の上に堆積されてなり、前記浮遊ゲート電極が形成される際に前記制御ゲート電極の上面を保護する第1の保護絶縁膜と、
前記制御ゲート電極における前記浮遊ゲート電極と対向する一方の側面上にのみ堆積されてなり、前記浮遊ゲート電極が形成される際に前記制御ゲート電極における前記一方の側面のみを保護する第2の保護絶縁膜と、
前記浮遊ゲート電極と前記半導体基板との間においてトンネル絶縁膜となると共に、前記制御ゲート電極の他方の側面を保護する第1の絶縁膜と、
前記制御ゲート電極の前記一方の側面と前記第2の保護絶縁膜を介して対向して前記制御ゲート電極と容量結合すると共に、前記第1の保護絶縁膜、前記第2の保護絶縁膜及び前記第1の絶縁膜により周囲を覆われた前記制御ゲート電極に対して自己整合的に形成された前記浮遊ゲート電極と、
前記半導体基板における前記浮遊ゲート電極の下側を含む領域に形成されたドレイン領域と、
前記半導体基板における前記制御ゲート電極に対して前記ドレイン領域と反対側の領域に形成されたソース領域とを備えていることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
半導体基板上に互いの側面を対向させるように設けられた制御ゲート電極及び浮遊ゲート電極を有する不揮発性半導体記憶装置において、
前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成された前記制御ゲート電極と、
前記制御ゲート電極の上面上に堆積されてなり、前記浮遊ゲート電極が形成される際に前記制御ゲート電極の上面を保護する第1の保護絶縁膜と、
前記制御ゲート電極における前記浮遊ゲート電極と対向する一方の側面と反対側の他方の側面上にのみ堆積されてなり、前記浮遊ゲート電極が形成される際に前記制御ゲート電極における前記他方の側面のみを保護する第2の保護絶縁膜と、
前記制御ゲート電極における前記一方の側面上に形成された容量絶縁膜と、
前記制御ゲート電極の前記一方の側面と前記容量絶縁膜を介して対向して前記制御ゲート電極と容量結合すると共に、前記第1の保護絶縁膜、前記第2の保護絶縁膜及び前記容量絶縁膜により周囲を覆われた前記制御ゲート電極に対して自己整合的に形成された前記浮遊ゲート電極と、
前記浮遊ゲート電極と前記半導体基板との間に形成されたトンネル絶縁膜と、
前記半導体基板における前記浮遊ゲート電極の下側を含む領域に形成されたドレイン領域と、
前記半導体基板における前記制御ゲート電極に対して前記ドレイン領域と反対側の領域に形成されたソース領域とを備えていることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記容量絶縁膜の膜厚は均一であることを特徴とする請求項3に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第2の保護絶縁膜の膜厚は均一であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】
前記ゲート絶縁膜の膜厚は均一であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項7】
前記トンネル絶縁膜の膜厚は均一であることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項8】
前記制御ゲート電極と前記第2の保護絶縁膜との間に形成された第2の絶縁膜をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第2の保護絶縁膜は、組成が互いに異なる複数の絶縁膜が積層された積層体からなることを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項10】
前記半導体基板は、前記浮遊ゲート電極が跨ぐように形成された段差部を有していることを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項11】
前記制御ゲート電極及び前記浮遊ゲート電極は、同一の材料からなることを特徴とする請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【公開番号】特開2006−140518(P2006−140518A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379053(P2005−379053)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【分割の表示】特願2001−150649(P2001−150649)の分割
【原出願日】平成13年5月21日(2001.5.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】