説明

中空導波路を組み込むモノリシック光送信及び受信装置

【課題】電気通信システムなどで使用される光送信及び受信装置を提供する。
【解決手段】1つ又はそれよりも多くのレーザ4と、この1つ又はそれよりも多くのレーザ4の各々によって出力された放射線を強度変調する変調手段10と、変調手段によって生成された変調放射線を例えば光ファイバ22の中に出力するための出力手段とを含む送信装置2。装置は、使用時に1つ又はそれよりも多くのレーザ4から変調手段10まで及び変調手段10から出力手段まで放射線を案内する基板に形成された中空コア光導波路20を含む。また、基板に形成された少なくとも1つの中空コア光導波路により、放射線が1つ又はそれよりも多くの光ファイバから1つ又はそれよりも多くの検出器まで案内されることを特徴とする受信器。組合せ受信器/送信器装置も示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送信及び受信装置に関するものであり、より詳細には、電気通信システムなどで使用されるそのような装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバベースの電気通信ネットワークで使用される光送受信システムは公知である。典型的な送信システムは、情報を運ぶように強度変調されたレーザビームを生成するように配置されたいくつかの光学構成要素(例えば、レーザ、光変調器、波長フィルタなど)を含む。変調されたレーザビームは、ある一定の長さの光ファイバの中に結合され、変調レーザ光によって搬送された情報を抽出するように配置されたいくつかの光学構成要素を一般的に含む遠隔受信システムまで搬送される。
【0003】
送受信回路は、以前は、所定の位置に固く保持された光学構成要素を使用し、光が自由空間内でその間に結合されるように実施されてきた。しかし、このような構成要素の必要なアラインメントを維持することは、特にその構成が機械的衝撃を受ける時には確実に困難になる可能性がある。また、短い長さの光ファイバを使用して必要な光学構成要素を互いに光学的に結合することも公知であり、当業技術ではより一般的である。このような実施では、堅牢性が増強した回路が得られるが、このような構成をコンパクトにすることは困難である。更に、様々な光ファイバインタフェースに付随する光損失により、素子性能が劇的に低減される可能性があり、自由空間又はファイバの中に結合した構成要素の積極的なアラインメントの複雑性/経費も高くなる。
本発明の目的は、公知の送受信システムの欠点の少なくとも一部を緩和することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】GB2003/000331
【特許文献2】GB2003/000370
【特許文献3】英国特許出願第0306634.7号
【特許文献4】US5410625
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】E.D.Palik著「光学定数のハンドブック」、アカデミック・プレス、ロンドン、1998年
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、送信装置は、1つ又はそれよりも多くのレーザと、この1つ又はそれよりも多くのレーザの各々によって出力された放射線を強度変調する変調手段と、変調手段によって生成された変調放射線を出力するための出力手段とを含み、装置が、使用時に1つ又はそれよりも多くのレーザから変調手段まで及び変調手段から出力手段まで放射線を案内する基板に形成された中空コア光導波路を含むことを特徴とする。
【0007】
従って、更に別の送信、例えば、光ファイバを下る又は自由空間を通る送信のための変調光信号を生成するのに使用することができる送信装置が提供される。基板に形成された中空コア導波路内で光が案内されることより、従来技術の自由空間又は光ファイバ結合システムよりもコンパクトかつ堅牢な光学的構成が得られる。中空コア導波路はまた、中実コア導波路よりも高い光パワーを送信することを可能にする。更に、ファイバ端反射の数は、従来技術のファイバ結合システムに比較して少なくなり、それによって装置に付随する光損失が低減される。
【0008】
中空コア光導波路構造を生成する時に、中空コアは、空気で満たされる可能性が高いことに注意すべきである。しかし、これは、いかなる点でも本発明の範囲を限定するように考えるべきではない。中空コアは、いずれかの流体(例えば液体、又は窒素のような不活性ガス)を収容するか又は真空とすることができる。中空コアという用語は、単に、いかなる中実材料もないコアを意味する。更に、「光」及び「光学的」という用語は、深紫外線から遠赤外線までの波長を有するあらゆる電磁放射線を意味するように本明細書で使用される。
【0009】
有利な態様では、1つ又はそれよりも多くのレーザ及び変調手段の少なくとも1つは、個別の構成要素であり、これは、基板に形成されたアラインメントスロットに好都合に位置することができる。すなわち、レーザ及び/又は変調手段の光変調器は、基板に形成されたアラインメントスロットに好ましく位置する混成光学構成要素である。アラインメントスロットは、構成要素を受け入れるように適切に成形され、従って、必要に応じて様々な中空コア光導波路よりも深く/浅く、及び/又は、幅広く/狭くすることができる。バネクリップ又はマイクログリッパを使用して、構成要素を所定の位置に固定することができる。
【0010】
更に、アラインメントスロットはまた、それが受け取る光学構成要素を整列させるのに十分な精度で作製することができる。従って、光学構成要素をこのようなアラインメントスロットに置けば、本質的に光学構成要素を整列させることになり、構成要素アラインメント又は調節段階が不要である。すなわち、本発明は、望ましいアラインメントが達成されるまで構成要素の位置が調節される(例えば、手で)能動的アラインメント段階を必要とするのではなく、光学構成要素の受動的アラインメントを提供することができる。電子回路などの製造で使用される種類の従来のピック・アンド・プレース技術を使用して、関連のアラインメントスロットに光学構成要素を入れることができるであろう。代替的に、ピック・アンド・プレース技術は、必要なアラインメントを提供する場合がある。例えば、構成要素は、置いた時に正確に整列させ、次にアラインメント状態のままにするために固定する(例えば、接着する)ことができると考えられる。また、表面張力アラインメント技術(例えば、半田リフロー)を用いて、レーザなどのような構成要素を整列させることもできる。
【0011】
アラインメントスロット及び(特に)光学構成要素は、ある一定のサイズ許容誤差で製造される。光学構成要素と関連の中空コア光導波路との間の結合効率は、中空コア導波路に対する光学構成要素のアラインメントの角度誤差が増大する時に減少することになる。
しかし、中空コア導波路の断面寸法を小さくすれば、減少したコア寸法及び増大した(より厳しい)横アラインメント許容誤差による光導波路内の損失の僅かな増大と引き替えであるにしても、満足できる角度アラインメント許容誤差が増大することになる。従って、ある一定の光学構成要素で達成されることになるアラインメント許容誤差の知識(例えば、光学構成要素の製造許容誤差の知識からのもの)は、高い結合効率を保証するための中空コア導波路の寸法を選択することを可能にすることになる。また、この種のアラインメントスロットを用いて、以下で説明する様々な光学構成要素(例えば、光アイソレータ、レンズ、ビーム合成手段、検出器、波長フィルタなど)を保持することもできる。
【0012】
有利な態様では、1つ又はそれよりも多くのレーザ及び1つ又はそれよりも多くの光変調器の少なくとも1つは、基板に形成されたモノリシック構成要素である。従って、適切な基板材料が使用された場合、1つ又はそれよりも多くのレーザ及び1つ又はそれよりも多くの光変調器のいずれか1つは、基板内に/基板からモノリシックに形成することができる。蓋/基部構成に関連して以下で説明するように、基板は、モノリシック構成要素を形成することができる材料(例えば、GaAs)から成る領域を含むことができる。混成及びモノリシック構成要素の組合せも可能である。
【0013】
有利な態様では、出力手段は、変調放射線を少なくとも1つの出力光ファイバの中に結合するように配置される。好ましくは、出力手段は、装置に対するファイバの光学的及び機械的取付けの両方を提供する少なくとも1つの光ファイバ取付け手段を含む。各光ファイバ取付け手段は、中実コア光ファイバを所定の位置に保持し、それによって装置に対して光学的入力/出力を行うことを可能にするように配置された、基板に形成されたアラインメントスロット又はV字形溝を含むことができる。また、段付き光ファイバアラインメントスロットを設けて、バッファ層及びクラッディングの両方を保持することもできる。
また、バネクリップ又はマイクログリッパを設けて、光ファイバを所定の位置に固定することができる。
【0014】
例えば光ファイバクラッディングをアラインメントスロットに固定することによって達成されるような、装置の中空コア導波路との中空コア光ファイバのコアのアラインメントも、空気コア対空気コア接続にはいかなる望ましくない反射もないと考えられるので有利であろう。しかし、当業者は、中空コア光ファイバの使用が単にマルチモード導波路用途だけに実際的である可能性が高いことを認識するであろう。
【0015】
光ファイバのコアと光回路の中空コア導波路との間の効率的な結合をもたらすために、中空コア導波路の断面は、光ファイバコアの断面に対して適切であるべきである。中実コアファイバの場合は、クラッディング内への漏れは、ファイバによって運ばれるモードの幅が実際にコア直径よりも大きいこと、例えば、典型的には、単一モードグラスファイバの10μm中実コアが、約14μm直径の全フィールド幅を有することを意味する。
【0016】
ファイバのモード幅が中空コア導波路のものに対して異なる場合は、上述の少なくとも1つの光ファイバ取付け手段は、有利な態様では、レンズ付き出力光ファイバを受け取るように配置することができる。レンズ付きファイバは、中空コア導波路のものと異なるサイズのコアを有するファイバに/ファイバから光を結合することができるように、光学フィールドを必要に応じて拡張又は縮小することを可能にするものである。
【0017】
上述の少なくとも1つの光ファイバ取付け手段はまた、有利な態様では、モード適合化手段を含むことができる。モード適合化手段は、基板内に位置して必要に応じてファイバ端からの光学フィールドを縮小/拡張するのに使用される個別のレンズ(例えば、ボール又はGRINロッドなど)を含むことができる。レンズは、反射防止コーティングを有することができる。モード適合化手段は、代替的に又は追加的に、光学フィールドが素子を通じて伝播する時に光学フィールドを拡張/縮小するためのテーパ付き中空導波路部分を含むことができる。
【0018】
便利な態様では、装置は1つのレーザを含む。単一の波長変調レーザ出力は、次に、例えば単一の光ファイバの中に結合することができる。この装置は、従って、個別の単一波長の送信モジュールを提供する。当業者は、このようなモジュールは、他の単一波長送信モジュール(場合によっては同じく本発明による)と同時配置することができ、その出力を光ファイバを通じてビーム合成器に送ることができることを認識するであろう。
【0019】
有利な態様では、複数のレーザを設けることができる。一般的に、各レーザは、別々のデータを各レーザによって生成された光によって搬送することができるように、1つの関連の光変調器を有することになる。この複数のレーザの各々は、便利な態様では、装置を使用して、単一の光ファイバを下って送信するための2つ又はそれよりも多くの波長チャンネルを生成することができるように、異なる出力波長を有することができる。
【0020】
また、有利な態様では、ビーム合成手段を設けることもできる。ビーム合成手段は、複数の変調ビームを合成ビームの中に合成するように配置することができ、この合成ビームは、単一出力光ファイバの中に結合される。このようにして、いくつかの波長チャンネルは、単一送信ファイバを下って送信することができる。
便利な態様では、上述の複数の変調ビームの各々は、複数の出力光ファイバの1つの中に結合される。装置の各別々の出力ファイバによって運ばれる複数の単一波長チャンネルを合成するために、別々の(例えば、ファイバ結合した)ビーム合成手段もまた設けることができる。
【0021】
有利な態様では、上述の1つ又はそれよりも多くのレーザの1つは半導体レーザであり、好ましくは、この半導体レーザは、波長可変半導体レーザである。少なくとも1つの波長可変レーザの使用により、装置によって提供される波長チャンネルにわたる柔軟性がもたらされる。電気通信用途に対しては、レーザによる波長出力は、典型的には、1.4μmから1.6μm電気通信波長帯域内である。
【0022】
有利な態様では、上述の1つ又はそれよりも多くのレーザによって出力された放射線の強度をモニタするために、1つ又はそれよりも多くの検出器が設けられる。光学タップを設けて、検出器に向けるために中空コア光導波路から光を抽出することができる。光学タップは、有利な態様では、ビームスプリッタ又はGB2003/000331及びGB2003/000370で説明される種類の中空コアマルチモード干渉(MMI)装置とすることができる。
便利な態様では、装置は、少なくとも1つの光アイソレータを更に含む。光アイソレータの設置は、装置内の反射がレーザ内に再度結合され、それらが更に増幅されないことを保証するものである。レーザと光アイソレータを組み合わせたパッケージを使用することもできる。
【0023】
いくつかの種類のレーザ、特に半導体レーザによってもたらされる出力は、レーザ構造によって決まるある一定のビーム形状を有する。従って、有利な態様では、1つ又はそれよりも多くのビーム成形手段を設けることができる。ビーム成形手段は、ビームの形状を関連の中空コア光導波路の中に結合することができる最適ビーム形状に合わせることを可能にすることになる。これによって、装置の光損失が更に低減される。
【0024】
有利な態様では、上述のレーザビーム成形手段の少なくとも1つは、1つ又はそれよりも多くのレンズを含む。例えば、円筒形又はボールレンズを使用することができるであろう。ビーム成形手段の少なくとも1つは、同じく又は代替的に、テーパ付き中空コア光導波路を含むことができる。テーパは、1次元又は2次元とすることができる。例えば、矩形断面を有する導波路の場合、導波路幅にはテーパを付けることができ、一方、導波路深さは不変である。
【0025】
また、装置の様々な構成要素の間にいくつかのビーム成形手段を設けることもできる。
例えば、半導体レーザは、3μmx10μmレーザビームを生成することができ、これは、光変調器を通過する最適送信が得られるように4μm半径のビームに成形し直される。
光変調器を通過した後に、ビームを改めて成形し直して光ファイバの中への結合効率を最適化することができる。
便利な態様では、上述の変調手段は、1つ又はそれよりも多くの電気光学変調器を含む。例えば、それは、「ガリウム砒素(GaAs)」電気光学変調器である。いくつかの代替的変調器、例えば、「ニオブ酸リチウム」バルク変調器又は電界吸収変調器(EAM)を使用することができると考えられる。一般的には、デジタル強度変調(すなわち、0又は1)が関連レーザの出力に印加されるように、デジタル制御信号が変調器に印加される。
【0026】
本発明の第2の態様によれば、送信装置は、強度変調放射線を発生することができる少なくとも1つのレーザと、レーザによって生成された放射線を少なくとも1つの出力光ファイバの中に結合するための出力手段とを含み、この装置が、使用時にこの少なくとも1つのレーザからの放射線をこの少なくとも1つの光ファイバに案内する基板に形成された中空コア光導波路を含むことを特徴とする。
従って、光ファイバを下る送信のための変調光信号を生成するのに変調レーザを使用する送信装置が提供される。基板に形成された中空コア導波路内で光が案内されることにより、従来技術の自由空間又は光ファイバ結合システムよりもコンパクトで堅牢な光学構成が得られる。
【0027】
中空コア導波路はまた、中実コア導波路よりも高い光パワーを送信することを可能にする。更に、ファイバ端反射の数は、従来技術のファイバ結合システムに比較すると少なくなり、それによって装置に付随する光損失が低減される。
出力手段は、少なくとも1つのファイバ取付け手段を含むことができる。この少なくとも1つの光ファイバ取付け手段は、有利な態様では、レンズ付き出力光ファイバを受け取るように配置することができ、及び/又は、上述のようにモード適合化手段を含むことができる。
【0028】
本発明の第3の態様によれば、受信装置は、1つ又はそれよりも多くの検出器と、1つ又はそれよりも多くの光ファイバを受け取るように配置された1つ又はそれよりも多くの光ファイバ取付け手段とを含み、放射線が、基板に形成された少なくとも1つの中空コア光導波路によってこの1つ又はそれよりも多くの光ファイバからこの1つ又はそれよりも多くの検出器に案内されることを特徴とする。
従って、光ファイバから受信した光変調信号を検出してこのような信号を電気的同等物に変換する受信器が提供される。基板に形成された中空コア導波路内で光が案内されることにより、従来技術の自由空間又は光ファイバ結合システムよりもコンパクトで堅牢な光学構成が得られる。中空コア導波路はまた、中実コア導波路よりも高い光パワーを受信することを可能にする。更に、ファイバ端反射の数は、従来技術のファイバ結合システムに比較すると少なくなり、それによって装置に付随する光損失が低減される。
ファイバ取付け手段は、送信装置に関して上述したファイバ取付け手段のいずれかを含むことができる。
【0029】
有利な態様では、装置は、多重光信号(例えば、異なる波長チャンネル)を検出することを可能にする複数の検出器を含む。装置は、複数の光ファイバを受け取るように配置された複数の光ファイバ取付け手段を含むことができ、次に、この複数の光ファイバの各々を複数の検出器の1つに案内することができる。
代替的に、便利な態様では、1つの光ファイバ取付け手段が設けられ、放射線を運ぶ1つの光ファイバを受け取るように配置されたこの光ファイバ取付け手段は、複数の異なる波長チャンネルを含む。装置は、有利な態様では、波長逆多重化手段を更に含み、この波長逆多重化手段は、この異なる波長チャンネルを分離して各波長チャンネルを複数の検出器の1つに向けるように配置される。すなわち、装置は、検出及び逆多重化機能を実行する。
【0030】
有利な態様では、少なくとも1つの可変光減衰器が設けられ、上述の少なくとも1つの光ファイバから受信した放射線の制御可能な減衰を可能にするように配置される。
便利な態様では、必要な波長の放射線のみを検出器に向けることを保証するために、少なくとも1つの波長選択フィルタも設けられる。
有利な態様では、上述の少なくとも1つの光ファイバ取付け手段は、モード適合化手段、例えば送信装置に関して上述した種類のものを含む。この少なくとも1つの光ファイバ取付け手段は、便利な態様では、レンズ付き光ファイバを受け取るように配置することができる。
【0031】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第1又は第2の態様による送信装置及び本発明の第3の態様による受信装置を含む送信/受信装置が提供される。有利な態様では、送信装置及び受信装置が共通の基板上に形成され、それによって一体化送信/受信装置が形成される。一体化送信/受信装置はまた、デマルチプレクサ及び/又はマルチプレクサを含むことができる。また、バイパス中空コア導波路を設けることもできる。
【0032】
有利な態様では、装置は、半導体材料を含む基板に形成される。シリコンのような半導体基板は、便利な態様では、微細加工技術を用いて高精度で中空コア導波路を設けるようにエッチングすることができる。基板は、有利な態様では、多層ウェーハ、例えば、SiGe、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、シリコン・オン・ガラス、又はGaAs・オン・シリコンを含むことができる。当業者は、微細加工技術が、一般的に、パターンを形成するためのリソグラフィ段階と、続いてパターンを基板材料上又は内の1つ又はそれよりも多くの層の中に移すエッチング段階とを伴うことを認識するであろう。リソグラフィ段階は、フォトリソグラフィ、X線又は電子ビームリソグラフィを含むことができる。エッチング段階は、イオンビームフライス加工、化学エッチング、又はドライプラズマエッチングを用いて行うことができる。有利な態様では、光回路は、ディープリアクティブ・イオンエッチング(ディープドライエッチング又はディープシリコンエッチングとも呼ばれる)によって形成される。この種の微細加工技術はまた、スパッタリング、CVD、及び電気メッキのような様々な層堆積技術に適合する。
【0033】
有利な態様では、半導体材料を含む基板を使用することができるが、様々な代替的基板上でも素子を形成することができるであろう。例えば、石英、シリカ、又はガラス基板を使用することができると考えられる。便利な態様では、本発明で使用する基板は、容易に半導体処理技術をそれに適用させることができる。半導体処理技術は、その定義により、半導体基板と共に使用されるように開発されるが、それらはまた、有利な態様では、基板の半導体特性が不要であるいくつかの非半導体基板にも適用することができることに注意すべきである。
【0034】
有利な態様では、装置の中空コア光導波路は、実質的に矩形(本明細書では正方形を含むものとする)断面を有する。正方形又はほぼ正方形断面中空コア導波路は、損失が実質的に偏光と無関係の導波路を提供し、光の偏光状態が未知又は変化している時に好ましいものである。導波路が幅よりも大きな深さを有するように寸法を決めることにより、偏光依存の損失は増大するが、導波路を通って伝播する光の偏光状態が既知である時に有利な場合がある。矩形断面導波路は便利であるが、多くの代替的導波路形状を使用することができるであろう。例えば、円形、楕円、又はv字形導波路を設けることができると考えられる。
【0035】
有利な態様では、中空コア光導波路は、基本モードで伝播する放射線を好ましく案内するような寸法を有する(すなわち、モードの次数が高くなるほど、導波路による減衰が大きい)。代替的に、中空コア光導波路は、複数のモードの伝播を支持するように配置することができるが、装置は、光が導波路で基本モードのみを励起する方法で導波路の中に結合されるように配置される。1.4μmから1.6μm電気通信帯域内の光に対しては、マルチモード中空コア光導波路は、50μmよりも大きく、より好ましくは100μmよりも大きく、より好ましくは150μmよりも大きい断面寸法を有することが好ましい。
【0036】
便利な態様では、中空コア光導波路の内面は、反射コーティングを有する。反射コーティングをもたらす材料は、金、銀、又は銅のような金属の層とすることができる。金属は、その金属の物理特性によって支配される波長範囲にわたる適切に低い屈折率を示すことになり、E.D.Palik著「光学定数のハンドブック」、アカデミック・プレス、ロンドン、1998年のような標準的な教科書は、様々な材料の波長依存の屈折率に関する正確なデータを提供している。特に、金は、約500nmから2.2μmの範囲内の波長で空気よりも小さい屈折率を有し、これは、1400nmから1600nmまでの重要な電気通信帯域内の波長を包含する。銅は、560nmから2200nmまでの波長範囲にわたって1よりも小さい屈折率を示し、一方、銀は、320nmから2480nmまでの波長範囲にわたって類似の屈折率特性を有する。
【0037】
金属の層は、当業者に公知の様々な技術を用いて堆積させることができる。これらの技術としては、スパッタリング、蒸発、化学気相蒸着(CVD)、及び(電解又は無電解)メッキがある。CVD及びメッキ技術により、金属層を有意な方向依存の厚み変動なしに堆積させることができる。回転するサンプル及び/又はソースを用いるスパッタリングも、より均一な被覆を提供すると考えられる。メッキ技術は、バッチ(すなわち、複数基板を並行に)処理を行うことができるので特に有利である。特に、無電解メッキは、絶縁保護を得る上で好ましいものである。
【0038】
当業者は、金属の層を堆積させる前に接着層及び/又は障壁拡散層を堆積させることができることを認識するであろう。例えば、金の堆積の前にクロム又はチタンの層を接着層として設けることができると考えられる。プラチナのような拡散隔壁層も、金の堆積の前に接着層上に堆積させることができる。代替的に、接着及び拡散を組み合わせた層(窒化チタン、チタンタングステン合金、又は絶縁層など)を用いることもできるであろう。
【0039】
反射コーティングまた、金属、誘電体、又は半導体のいずれか1つ又はそれよりも多くの層のスタックによって設けることができ、例えば、誘電体スタック又は金属誘電体スタックを設けることができる。また、いかなる多層スタックの反射特性も、ある程度はそれらが堆積する材料の特性に依存するであろう。従って、基板の材料はまた、基部層を形成し、あらゆるこのような多層スタックの一部とすることができる。
【0040】
誘電体スタックの場合、当業者は、誘電体層の光学的厚みがコーティングの反射特性を決めることになる干渉効果をもたらすことを認識するであろう。誘電体材料は、CVD又はスパッタリング又は反応性スパッタリングによって堆積させることができる。代替的に、誘電体層は、堆積した金属層との化学反応によって形成することができるであろう。例えば、銀の層は、ハロゲン化物と化学反応してハロゲン化銀の薄い表層を生成することができると考えられる。
【0041】
反射コーティングを設ける場合、基板を形成するのに使用することができる材料の数は、大幅に多くなる。例えば、プラスチック導波路装置は、熱間エンボス加工又は射出成形を含む技術によって作製することができる。この技術は、マスターを形成する段階を伴っている。マスターは、シリコンのような半導体材料にディープドライエッチングを用いて形成することができる。代替的に、マスターは、「LIGA」又は「UV LIGA」技術を用いて層の電着によって形成することができる。マスターが形成された状態で、打ち抜き(すなわち、プレス加工)又は熱間打ち抜きにより、中空コア導波路をプラスチック基板に形成することができる。また、中空コア導波路をプラスチック基板に形成するのに使用することができるサブマスターの形成に適するマスターも作製することができる。中空プラスチック導波路は、このように形成して反射コーティングで被覆することができる。また、反射コーティングを有するプラスチック中空コア導波路も、プラスチック又はポリマーから形成することができる。例えば、中空コア導波路は、リソグラフィ処理を用いて「スピン−オン」ポリマーコーティング(例えば、Microchem.コーポレーションから販売されているSU8)上に形成することができるであろう。
【0042】
便利な態様では、基板は、基部部分及び蓋部分を含む。すなわち、金属の2つの部分を組み合わせて装置の中空コア導波路構造体を形成することができる。基部部分は、蓋部分とは異なる材料で形成することができる。これによって、例えば、中空コア導波路及びいくつかの光学構成要素を基部部分(例えば、シリコンでできた)に形成し、一方、いくつかの電気及び/又は電気光学構成要素(例えば、フォトダイオード/レーザなど)をGaAs蓋部分に形成することが可能になるであろう。代替的に、全ての光学構成要素及びチャンネルを基部部分に形成することができ、一方、材料の実質的に平坦な部分は蓋部を形成し、この構成は、組立て中のいかなる蓋部/基部アラインメント段階も不要にすると考えられる。このような構成は、必要な中空コア導波路を生成する便利な手段を提供し、PCT特許出願GB2003/000331でより詳細に説明されている。
ここで、本発明を添付図面を参照して単に例示的に以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明による中空導波路送信モジュールを示す図である。
【図2】本発明による中空導波路受信モジュールを示す図である。
【図3】多重波長光通信システムで使用されるいくつかの送信モジュール及び受信モジュールを示す図である。
【図4】このような素子が多重波長光通信ネットワークで中間ノードとして使用することができる方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1を参照すると、本発明による送信モジュール2は、複数の光学構成要素、すなわち、半導体レーザ光源4、第1の検出器6、光アイソレータ8、GaAs電気光学変調器10、ビームスプリッタ12、第2の検出器14、及びボールレンズ16を含むことが分る。光学構成要素は、シリコン基板18の基部部分に形成されたアラインメントスロットに保持される。中空コア光導波路20も基板18の基部部分に形成され、様々な光学構成要素を光学的に連結するように配置される。
【0045】
使用時に、レーザ光源4は、中空コア光導波路を通じて第1の検出器6と光アイソレータ8にも結合される光を生成する。光アイソレータ8及び2つのボールレンズ16を通過した後、光は、GaAs電気光学変調器10によって変調される。変調光の小部分は、ビームスプリッタ12を通じて第2の検出器14にルーティングされ、一方、残りの変調光は、レンズ付き光ファイバ22に結合される。第1の検出器6は、未処理レーザ出力電力をモニタすることを可能にするものであり、一方、第2の検出器14は、変調レーザビームの強度をモニタするために設けられる。
【0046】
図2を参照すると、本発明による受信モジュール30が示されている。受信モジュール30は、いくつかの光学構成要素、すなわち、検出器32及びフィルタ34を含む。光学構成要素は、シリコン基板38の基部部分に形成されたアラインメントスロットに保持され、中空コア光導波路40は、様々な光学構成要素を光学的に連結するのに使用される。
使用時に、レンズ付き入力光ファイバ42からの変調光は、中空コア光導波路40に結合され、検出器32に案内され、そこで、光によって搬送された変調信号が電気信号に変換される。
【0047】
送信モジュール及び受信モジュールの中空コア導波路は、基部部分及び蓋部分、例えば、図2の受信器の断面図に示すように基部部分38a及び蓋部分38bを有する基板から形成される。一般的に、基部部分には、回路の様々な個別の光学構成要素を受け取るためのアラインメントスロットが設けられる。アラインメントスロットには、それぞれのスロットに入れられた時に構成要素が自己整列するのに十分な精度が設けられている。この受動的アラインメントにより、構成要素取付け前の能動的アラインメント段階の必要がなく、基板の中空導波路に対して光学構成要素が確実に整列する。当業者は、いくつかの光学的構造体を代替的に基板からモノリシック的に形成することができることを認めるであろう。
【0048】
蓋部分は、単に、中空コア導波路を完全に形成するために基部部分に取付けられた(例えば、エポキシの層を用いて接着された)実質的に平坦な材料部分を含むことができる。
代替的に、光学構成要素又は構造体(例えば、基部部分の構成要素に対応する空洞)を蓋部分に形成するか又は取付けることができる。蓋部分はまた、基部部分とは異なる材料で形成することができる。例えば、基部部分は、シリコンで形成することができ、一方、蓋部分は、GaAsで形成される。これは、アラインメントスロットがシリコン基部部分に形成されることを可能にし、一方、制御電子機器及び/又は電気光学構成要素(例えば、フォトダイオード、レーザなど)は、GaAs蓋部分に形成される。
様々な光学構成要素を結合するための中空コア導波路の区域の使用により、ファイバ結合システムに付随する光損失が低減され、かつ、自由空間システムに付随する分散効果が取り除かれる。更に、中空コア光導波路及びアラインメントスロットを共通の基板に形成することで、光学構成要素を中空コア光導波路と正確に整列させることが可能になり、それによって光学効率が最大限になる。
【0049】
図3を参照すると、図1を参照して説明した種類の複数の送信モジュール2a〜2d及び図2を参照して説明した種類の複数の受信モジュール30a〜30dを使用して多重波長光通信ネットワークを実行することができる方法が示されている。通信ネットワークは、送信器部分50と受信器部分52を含む。
送信器部分50は、波長λ1の放射線を発生するように配置された第1の送信モジュール2aと、波長λ2の放射線を発生するように配置された第2の送信モジュール2bと、波長λ3の放射線を発生するように配置された第3の送信モジュール2cと、波長λ4の放射線を発生するように配置された第4の送信モジュール2dとを含む。各光ビームは、情報を搬送するように強度変調される。
【0050】
4つの強度変調ビーム(λ1からλ4)は、それぞれの送信モジュールから光ファイバ54a〜54dの短い長さにわたってマルチプレクサ56に搬送される。マルチプレクサ56は、ビームを組み合わせてそれらを単一送信光ファイバ58の中に結合するように配置される。送信光ファイバ58は、長さが何キロメートルもあるものとすることができ、必要であれば、エルビウムドープ増幅器(図示せず)のような1つ又はそれよりも多くの増幅ノードをその長さに沿った点に設けることができる。代理人の参照番号QIP/P7294を有する現在特許出願中の英国特許出願に適切な中空コアEDFAが説明されている。
【0051】
受信器部分52は、合成(λ1からλ4)ビームを送信光ファイバ58から受信して4つ波長成分を分離するデマルチプレクサ60を含む。短い長さの光ファイバ62a〜62dを使用して、波長λ1の放射線を第1の受信モジュール30aに、波長λ2の放射線を第2の受信モジュール30bに、波長λ3の放射線を第3の受信モジュール30cに、及び波長λ4の放射線を第4の受信モジュール30dに結合する。各受信モジュールは、強度変調信号を電気信号に変換する。
【0052】
送信器部分及び受信器部分は、各々、シリコン基板を使用して作製され、一般的に、基板は、基部部分(光学構成要素及び波長チャンネルのためのアラインメントスロットが形成される)及び蓋部分を含む。この構成は、個別にパッケージされて光ファイバの長さによって連結されたいくつかの構成要素(例えば、レーザ、光アイソレータ、変調器など)を含む従来技術のシステムよりも各部分をかなり小さくすることを可能にするものである。本発明の送信器及び受信器の作製はまた、従来技術のファイバ結合システムほど複雑ではなく、自動化された「ピック・アンド・プレース」製造技術を用いて行うことができる。
【0053】
図3は、別々の送信/受信モジュールと共に使用される個別のファイバ結合マルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素を示すが、関連の送信又は受信モジュールと同じ基板上に形成/配置することも可能である。中空コア光導波路を使用して実施することができるマルチプレクサ及びデマルチプレクサは、出願中の英国特許出願第0306634.7号により詳細に説明されている。このような構成においては、光ファイバ54及び62は、基板に形成された中空コア光導波路と入れ替えることができる。この構成は、システムの光損失を更に低減するものである。
【0054】
4つの波長システムに関して上述したが、当業者は、必要に応じて使用する波長チャンネル数を加減することができることを認めるであろう。更に、図3に示すシステムは、単一の方向にデータを送信するように配置されるが、双方向データ送信/受信システムを実行することも可能であろう。例えば、組合せ送信/受信部分は、図1を参照して説明した種類の1つ又はそれよりも多くの送信モジュールと、図2を参照して説明した種類の1つ又はそれよりも多くの受信モジュールとを含むことができると考えられる。
【0055】
図4を参照すると、例えば波長が異なる(λ1からλ10)10個の信号ビームを搬送するように配置された多重波長光ファイバ送信ライン72に沿った点に含めるための組合せ送信/受信素子70が示されている。ドロップ・デマルチプレクサ74は、10個の信号ビームのうちの3個までを送信/受信素子70に向けるように配置され、アッド・デマルチプレクサ76は、3個までのビームをファイバ送信ラインに追加するように配置される。
【0056】
送信/受信素子は、受信ステージ78と送信ステージ80を含む。受信ステージ78は、図2を参照して説明した種類の3つの受信モジュール30a〜30cを含み、送信ステージ80は、図1を参照して説明した種類の3つの送信モジュール2a〜2cを含む。受信ステージ及び送信ステージは、シリコン基板82に形成され、従って、複数のファイバ結合光学構成要素を使用して可能なものよりもコンパクトな構成が得られる。
【0057】
使用時に、ドロップ・デマルチプレクサは、波長チャンネルのうちの3個まで(例えば、λ1、λ2、及びλ3)をファイバ送信ライン72から抽出し、各波長を光ファイバ73a〜73cを通じて関連の受信モジュール30a〜30cに向ける。この例においては、波長λ1は、第1の受信モジュール30aに方向付けられ、波長λ3は、第2の受信モジュール30bに方向付けられ、波長λ4は、第3の受信モジュール30cに方向付けられる。
【0058】
各受信モジュール30a〜30cは、変調光ビーム内で運ばれた情報を抽出し、この情報を搬送する電気信号(E1、E3、及びE4)を出力する。一般的に、このような情報は、デジタル的に符号化されたデータを含むであろう。受信モジュール30a〜30cは、各々、デジタル的に符号化された電気信号(例えば、E1’、E3’及びE4’)の形であるデータを受信して電気信号を光ビームλ1’、λ3’、及びλ4’に変換するように配置される。その後、これらのビームは、光ファイバ78a〜78cを通じてアッド・マルチプレクサ76によって送信光ファイバ送信ライン72の中に光学的に結合される。
このようにして、光ファイバ送信ライン72から波長λ1、λ3、及びλ4として搬送されたデータを抽出し、異なる情報を搬送する光ビームλ1’、λ3’、及びλ4’を挿入することが可能である。光ビームλ2及びλ5-10は、送信/受信素子70をまとめて迂回する。
【0059】
新たに発生した光ビームλ1’、λ3’、及びλ4’は、抽出されたビームλ1、λ3、及びλ4と同じ波長であるべきであり、又は、ファイバを通じてデータを送信するのにまだ使用されていない波長になるように構成されるべきである。すなわち、ファイバ送信ラインの中に再度結合されたどのビームも、ファイバを通って既に伝播した(かつ、それから抽出されていない)どのビームとも異なる波長でなければならない。従って、送信モジュール内のレーザの波長が固定である場合、対応する波長のビームが光ファイバから抽出されるか又はそもそもファイバを通って伝播していない場合に限り、そのモジュールを使用して送信ファイバにビームを追加することが可能であるだけである。送信モジュールがいくつかの異なる波長のいずれか1つを出力することができるように、必要であれば、送信ステージ80を形成する送信モジュールの1つ又はそれよりも多くで波長可変レーザを使用することができる。これによって、この構成の柔軟性が増大する。
【0060】
また、ドロップ・デマルチプレクサ74、アッド・マルチプレクサ76、及び送信/受信素子70は、全て、共通の基板上に形成することができることにも注意すべきである。
例えば、光学的アッド/ドロップ・マルチプレクサ(OADM)又は再設定可能光学的アッド/ドロップ・マルチプレクサ(ROADM)を使用することができる。このような構成においては、中空コア光導波路を基板に形成し、光ファイバ73及び78を置き換え、バイパスビームをドロップ・デマルチプレクサからアッド・マルチプレクサに搬送することができる。これによって、光損失が更に低減され、かつ構成のコンパクト性が増大する。
【0061】
装置はまた、マルチモード導波路に見られるいわゆる「再画像化」現象を利用するような寸法にすることができる。光学構成要素間の長さは、所定の断面寸法のマルチモード導波路に対して入力ビームプロフィールの画像が構成要素の近くで再生されるように、中空コア導波路の再画像化長さ(又は、その倍数)になるように選択することができる。
再画像化効果は、他所でより詳細に説明されている。例えば、PCT特許出願GB2003/000331を参照されたい。つまり、マルチモード導波路(特に矩形断面を有するもの)は、導波路の長さをその幅及び深さと適切な関係を有するように設計することにより、所定の波長の対称、反対称、又は非対称光学フィールドの再画像化をもたらすように設計することができることが見出されている。すなわち、入力ビームのガウス形入力プロフィールは、所定の導波路に沿ってある一定の距離を伝播した後に再画像化(すなわち、再生)される。この効果はまた、ビーム複製を発生させ、すなわち、ビームの複数の画像が再画像化の長さよりも短い距離で形成される。これらの効果に関しては、US5410625に以前に説明されており、マルチモード干渉(MMI)ビーム分割素子の基礎を提供している。
【0062】
一例として、正方形の断面を有する導波路における対称フィールドを考察する。これは、伝播放射線の波長にわたって導波路幅の2乗によって得られる再画像化長さを有することになる。対称フィールドの再画像化は、再画像化長さ及び再画像化長さの倍数で発生する。50.0μm幅の中空導波路及び1.55μm放射線の場合、再画像化長さは、従って1.613mmである。対称フィールドは、この長さで及びこの長さの整数倍でも、すなわち、3.23mm、4,84mmなどで再画像化されるであろう。例えば、単一モード光ファイバからのTEM00ガウス形入力ビームは、1.613mmの距離で再画像化することができると考えられる。
【0063】
代替的に、非対称光学フィールドの場合は、再画像化は、対称フィールドでの再画像化に必要とされる長さの8倍、すなわち、50.0μm幅の中空導波路に対して12.09mmで発生する。非対称フィールドの鏡像もこの距離の半分、すなわち、6.05mmで形成される。特に、入力をマルチモード領域の中心線からオフセットすると、中心線の両側で同等のオフセットでガイドに沿って所定の距離で再画像化された非対称入力がもたらされる。
【0064】
導波路の深さと幅が実質的に異なる矩形導波路の場合、2つの導波路断面寸法(例えば、深さ及び幅)に付随する再画像化長さは、それ自体が異なっている。しかし、特定の幅及び深さに対して同一長さで再画像化が生成されるようなものであるように矩形中空導波路の寸法間の関係を構成することにより、あらゆるフィールドを再画像化することができる。すなわち、対称フィールドは、幅w1及びw2の軸線に付随する再画像化の長さが同一になるように構成することにより、中空矩形導波路に再画像化することができる。テーパ付き導波路の使用もビーム拡張又は圧縮を可能にする。
再画像化の実施は、中空コア導波路と関連の光ファイバ間に光を結合するのに視準手段(例えば、レンズ)は不要であるという利点を有する。
【符号の説明】
【0065】
2 送信装置
4 レーザ
10 変調手段
20 中空コア光導波路
22 光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又はそれよりも多くのレーザと、該1つ又はそれよりも多くのレーザの各々によって出力された放射線を強度変調する変調手段と、該変調手段によって生成された該変調放射線を出力するための出力手段とを含む送信装置であって、
使用時に前記1つ又はそれよりも多くのレーザから前記変調手段まで及び該変調手段から前記出力手段まで放射線を案内する基板に形成された中空コア光導波路、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記1つ又はそれよりも多くのレーザ及び前記変調手段の少なくとも1つは、個別の構成要素であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記個別の構成要素は、前記基板に形成されたアラインメントスロットに位置することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記1つ又はそれよりも多くのレーザ及び前記変調手段の少なくとも1つは、前記基板に形成されたモノリシック構成要素であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記出力手段は、前記変調された放射線を少なくとも1つの出力光ファイバの中に結合するように配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記出力手段は、少なくとも1つのファイバ取付け手段を含むことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つの光ファイバ取付け手段は、レンズ付き出力光ファイバを受け取るように配置されていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも1つ光ファイバ取付け手段は、モード適合化手段を含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項9】
1つのレーザを含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
複数のレーザを含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記複数のレーザの各々は、異なる出力波長を有することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
ビーム合成手段が、前記複数の変調ビームを合成ビームに組み合わせるために更に設けられ、
前記出力手段は、前記合成ビームを単一の出力光ファイバの中に結合するように配置される、
ことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記出力手段は、前記複数の変調ビームの各々を複数の出力光ファイバの1つの中に結合するように配置されていることを特徴とする請求項10から請求項11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記1つ又はそれよりも多くのレーザの1つは、半導体レーザであることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記半導体レーザは、波長可変半導体レーザであることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
1つ又はそれよりも多くの検出器が、前記1つ又はそれよりも多くのレーザによって出力された放射線の強度をモニタするために設けられていることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
少なくとも1つの光アイソレータを更に含むことを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
1つ又はそれよりも多くのビーム成形手段が設けられることを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記ビーム成形手段の少なくとも1つは、1つ又はそれよりも多くのレンズを含むことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記ビーム成形手段の少なくとも1つは、テーパ付き中空コア光導波路を含むことを特徴とする請求項18から請求項19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記変調手段は、1つ又はそれよりも多くの電気光学変調器を含むことを特徴とする請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
強度変調放射線を生成することができる少なくとも1つのレーザと、該レーザによって生成された該放射線を少なくとも1つの出力光ファイバの中に結合するための出力手段と含む送信装置であって、
使用時に前記少なくとも1つのレーザから前記少なくとも1つの光ファイバまで放射線を案内する基板に形成された中空コア光導波路、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項23】
1つ又はそれよりも多くの検出器と、1つ又はそれよりも多くの光ファイバを受け取るように配置された1つ又はそれよりも多くの光ファイバ取付け手段とを含む受信装置であって、
放射線が、基板に形成された少なくとも1つの中空コア光導波路により、前記1つ又はそれよりも多くの光ファイバから前記1つ又はそれよりも多くの検出器まで案内される、 ことを特徴とする装置。
【請求項24】
複数の検出器を含むことを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
複数の光ファイバ取付け手段は、複数の光ファイバを受け取るために設けられていることを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
使用時に、前記複数の光ファイバの各々からの放射線は、前記複数の検出器の1つまで案内されることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
複数の異なる波長チャンネルを含む放射線を搬送する1つの光ファイバを受け取るように配置された1つの光ファイバ取付け手段が設けられていることを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記異なる波長チャンネルを分離して各波長チャンネルを前記複数の検出器の1つに向けるように配置された波長逆多重化手段を更に含むことを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記少なくとも1つの光ファイバから受け取った前記放射線の制御可能な減衰をもたらすように配置された少なくとも1つの可変光減衰器を更に含むことを特徴とする請求項23から請求項28のいずれか1項に記載の装置。
【請求項30】
少なくとも1つの波長選択フィルタを更に含むことを特徴とする請求項23から請求項29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
少なくとも1つの光ファイバ取付け手段は、モード適合化手段を含むことを特徴とする請求項23から請求項30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
少なくとも1つの光ファイバ取付け手段は、レンズ付き光ファイバを受け取るように配置されていることを特徴とする請求項23から請求項31のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
請求項1から請求項22のいずれか1項に記載の送信装置と請求項23から請求項32のいずれか1項に記載の受信装置とを含むことを特徴とする送信/受信装置。
【請求項34】
前記送信装置及び前記受信装置は、共通基板上に形成されていることを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記基板は、半導体材料を含むことを特徴とする請求項1から請求項34のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
前記基板は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェーハを含むことを特徴とする請求項35に記載の装置。
【請求項37】
微細加工技術によって形成されたことを特徴とする請求項1から請求項36のいずれか1項に記載の装置。
【請求項38】
前記微細加工技術は、ディープリアクティブ・イオンエッチングを含むことを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記中空コア光導波路は、実質的に矩形断面のものであることを特徴とする請求項1から請求項38のいずれか1項に記載の装置。
【請求項40】
前記中空コア光導波路は、基本モードで伝播する放射線を好ましく案内するような寸法を有することを特徴とする請求項1から請求項39のいずれか1項に記載の装置。
【請求項41】
前記中空コア光導波路は、複数の光学モードで伝播する放射線を好ましく案内するような寸法を有することを特徴とする請求項1から請求項39のいずれか1項に記載の装置。
【請求項42】
前記中空コア光導波路の内面は、反射コーティングを有することを特徴とする請求項1から請求項41のいずれか1項に記載の装置。
【請求項43】
前記基板は、基部部分と蓋部分を含むことを特徴とする請求項1から請求項42のいずれか1項に記載の装置。
【請求項44】
図1及び図3を参照して実質的に本明細書で説明されるような送信モジュール。
【請求項45】
図2及び図3を参照して実質的に本明細書で説明されるような受信モジュール。
【請求項46】
図4を参照して実質的に本明細書で説明されるような送信/受信モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−171744(P2011−171744A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33830(P2011−33830)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【分割の表示】特願2006−521651(P2006−521651)の分割
【原出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(501297550)キネティック リミテッド (57)
【Fターム(参考)】