説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】層間絶縁膜を除去するエッチング中に、異常エッチングを防止する。エッチング工程において加わる水圧や風圧によりガードリングの形状が変形して剥離し、欠陥が発生することを防止する。
【解決手段】半導体装置は、メモリセル領域を囲むように設けられたガードリングと、ガードリングの外側に設けられた周辺回路領域と、ガードリング及び周辺回路領域上に設けられた支持体膜と、周辺回路領域内に設けられたコンタクトプラグとを有する。ガードリングとコンタクトプラグは、同一の導電材料から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、情報を記憶させるメモリセル領域と、このメモリセル領域への情報の書き込み、読み出し等を制御する周辺回路領域と、を有するDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体装置が使用されている。この半導体装置では、機械的、熱的ストレスにより、メモリセル領域にクラックや剥離が発生することを防止する目的で、ガードリングが形成されている。
【0003】
特許文献1(特開2000−196038号公報)には、メモリセル領域を囲む環状の構造体から構成されるガードリングを備えた半導体装置が開示されている(請求項2、図5〜9、段落[0035]〜[0051])。
【0004】
特許文献2(特開2004−111626号公報)には、キャパシタ領域と、周辺領域とを備え、キャパシタ領域と周辺領域との間を遮るように延びるガードリングを備えた半導体装置が開示されている(請求項4、5、図35、段落[0064]〜[0066])。
【0005】
図9〜12は、関連する半導体装置の製造方法を説明する図である。図9に示すように、メモリセル領域においてトランジスタ、コンタクトプラグ、層間絶縁膜40及び支持体膜25等を形成した後、層間絶縁膜40及び支持体膜25を貫通するコンタクトホール41と、ガードリング溝42を同時に形成する。
【0006】
次に、図10に示すように、コンタクトホール41及びガードリング溝42内から支持体膜25上までを覆う第1キャパシタ電極材料を成膜する。CMP法を用いて、第1キャパシタ電極材料を研磨除去して、メモリセルコンタクトホール26内に第1キャパシタ電極材料を残存させる。この際、コンタクトホール41及びガードリング溝42は、第1キャパシタ電極材料によって完全に埋め込まないことにより、それぞれ凹状のキャパシタの下部電極28及びガードリング43を形成する。
【0007】
次に、図11に示すように、フォトリソグラフィー技術とドライエッチング技術を用いて、メモリセル領域の層間絶縁膜40の一部を露出させるように支持体膜25に開口部29を形成する。エッチング剤をこの開口部29から侵入させて層間絶縁膜40をエッチングすることにより、下部電極28の外壁を露出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−196038号公報
【特許文献2】特開2004−111626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、関連する半導体装置の製造方法では、ガードリングを凹状の下部電極と同時に形成するため、ガードリングの形状及び厚さは凹状の下部電極と同じものとなっていた。このため、ガードリングの機械的強度が小さく、図13に示すように、エッチング工程等において、ガードリングに加わる水圧や風圧により、ガードリングの形状が変形・剥離して欠陥が発生する場合があった。
【0010】
また、支持体膜25の成膜厚さの上限値には限界があった。例えば、支持体膜25としてシリコン窒化膜を用いた場合、下記のような問題点があるため、支持体膜の厚さは100nm以下とする必要があった。
(a)応力が大きい膜であるためウエハの反りが大きくなり、基板に欠陥を発生させる。
(b)クラックが入りやすい。
(c)エッチングしにくい膜であるため、高アスペクト比のコンタクトホールのエッチング形成が難しくなる。
【0011】
図12に示すように、関連する半導体装置の製造方法では、ガードリングと支持体膜の接触長さは支持体膜の膜厚と同程度となる。このため、上記のように支持体膜の厚さの上限値に限界があると、接触長さは該上限値以下に制限されることとなっていた。この結果、ガードリングと支持体膜の接触長さが短くなり、上記エッチング工程中等に、支持体膜とガードリングの接触部分からエッチング液が染み込んで周辺回路領域の層間絶縁膜をエッチングする、異常エッチングが発生する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態は、
キャパシタを有するメモリセル領域と、
前記メモリセル領域を囲むように設けられたガードリングと、
前記ガードリングの外側に設けられ、層間絶縁膜を有する周辺回路領域と、
前記ガードリング上及び前記周辺回路領域の少なくとも一部の層間絶縁膜上に設けられると共に、前記メモリセル領域内のキャパシタに接するように設けられた支持体膜と、
前記周辺回路領域内に設けられたコンタクトプラグと、
を有し、
前記ガードリングとコンタクトプラグは、同一の導電材料から構成される半導体装置に関する。
【0013】
他の実施形態は、
複数のキャパシタと、
前記複数のキャパシタを囲むように設けられたガードリングと、
前記ガードリング上に設けられると共に、前記複数のキャパシタに接するように設けられた支持体膜と、
前記ガードリングと同一の導電材料から構成されたコンタクトプラグと、
を有する半導体装置に関する。
【0014】
他の実施形態は、
半導体基板と、前記半導体基板の上方に層間絶縁膜とを有する構造体を準備する工程と、
前記構造体のメモリセル領域を囲むように前記層間絶縁膜内にガードリング溝、及び前記構造体のガードリング溝の外側に位置する周辺回路領域の前記層間絶縁膜内にコンタクトホールを形成する工程と、
前記ガードリング溝及びコンタクトホール内に導電材料を充填することにより、それぞれガードリング及びコンタクトプラグを形成する工程と、
前記ガードリング、並びに前記メモリセル領域及び周辺回路領域の前記層間絶縁膜上に支持体膜を形成する工程と、
前記メモリセル領域の前記層間絶縁膜及び支持体膜内に下部電極を形成する工程と、
前記メモリセル領域の前記支持体膜内に開口を設ける工程と、
前記支持体膜をマスクに用いたエッチングにより、前記メモリセル領域内の層間絶縁膜を除去する工程と、
前記下部電極上に順に、容量絶縁膜、上部電極を形成することによりキャパシタを得る工程と、
を有する半導体装置の製造方法に関する。
【0015】
他の実施形態は、
半導体基板と、前記半導体基板の上方に層間絶縁膜とを有する構造体を準備する工程と、
前記構造体のメモリセル領域を囲むように前記層間絶縁膜内にガードリング、及び前記構造体のガードリングの外側に位置する周辺回路領域の前記層間絶縁膜内にコンタクトプラグを形成する工程と、
前記ガードリング、並びに前記メモリセル領域及び周辺回路領域の前記層間絶縁膜上に支持体膜を形成する工程と、
前記メモリセル領域の層間絶縁膜及び支持体膜内に下部電極を形成する工程と、
前記メモリセル領域の前記支持体膜内に開口を設ける工程と、
前記支持体膜をマスクに用いたエッチングにより、前記メモリセル領域内の層間絶縁膜を除去する工程と、
前記下部電極上に順に、容量絶縁膜、上部電極を形成することによりキャパシタを得る工程と、
を有する半導体装置の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0016】
層間絶縁膜を除去するエッチング中に、エッチング液が支持体膜とガードリングの間の接触部分から染み出してエッチングを行う異常エッチングを効果的に防止できる。
【0017】
ガードリングの機械的強度を大きくすることにより、エッチング工程において加わる水圧や風圧によりガードリングの形状が変形して剥離し、欠陥が発生することを防止できる。
【0018】
コンタクトプラグとガードリングを同時に形成するため、工程数を減らすことができる。この結果、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一工程を表す図である。
【図2A】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一工程を表す図である。
【図2B】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一工程を表す図である。
【図3A】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一工程を表す図である。
【図3B】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一工程を表す図である。
【図4A】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一工程を表す図である。
【図4B】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一工程を表す図である。
【図5】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一工程を表す図である。
【図6A】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一工程を表す図である。
【図6B】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一工程を表す図である。
【図7】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一工程を表す図である。
【図8】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一工程を表す図である。
【図9】関連する半導体装置の製造方法の一例の一工程を表す図である。
【図10】関連する半導体装置の製造方法の一例の一工程を表す図である。
【図11】関連する半導体装置の製造方法の一例の一工程を表す図である。
【図12】関連する半導体装置の製造方法の一例の一工程を表す図である。
【図13】関連する半導体装置の製造方法の一例の一工程を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、実施例を用いて、本発明の具体的な態様を説明する。なお、下記実施例は、本発明のより一層の深い理解のために示される具体例であって、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0021】
まず、図1に示すように、半導体基板1に素子分離領域2と素子形成領域3を形成した。本実施例では、半導体基板1にはシリコン基板を用いた。半導体基板1はこれに限定されるわけではなく、ゲルマニウム材料、シリコンゲルマニウム材料等から成る基板や、SOI基板等を用いることができる。
【0022】
半導体基板1の素子形成領域3には、以下のように、メモリセル領域Xと、メモリセル領域Xの周りに形成される周辺回路領域Yを形成した。メモリセル領域Xと周辺回路領域Yの境界には後で説明するガードリング形成領域が位置している。メモリセル領域X及び周辺回路領域Yでは、半導体基板1に、ゲート絶縁膜4、ゲート電極膜5、マスク絶縁膜6を順次、形成した。この後、これらの膜のパターニングを行い、上部にマスク絶縁膜6を有するゲート電極5を形成した。このゲート電極5は、メモリセル領域のワード線となる。
【0023】
イオン注入を行うことにより、ゲート電極5に対して、自己整合的にセルソース/ドレイン領域7及び周辺ソース/ドレイン領域12を形成した。この後、ゲート電極5の側壁に、サイドウォール絶縁膜8を形成した。
【0024】
半導体基板上の全面に第1層間絶縁膜9を形成した。第1層間絶縁膜9を貫通して、セルソース/ドレイン領域7を露出させるようにコンタクトホールを開孔した。この後、コンタクトホール内に導電材料を充填することによって、セルソース/ドレイン領域7に接続するセルコンタクトプラグ10を形成した。導電材料としては、リンドープトシリコン膜を用いた。なお、導電材料には、チタン膜、窒化チタン膜、タングステン膜などの高融点金属から成るプラグを用いても良い。
【0025】
第1層間絶縁膜9上の全面に、第2層間絶縁膜11を形成した。次に、第2層間絶縁膜11を貫通してセルコンタクトプラグ10の一部を露出させると共に、第1層間絶縁膜9と第2層間絶縁膜11を貫通して周辺ソース/ドレイン領域12が露出するようにコンタクトホールを開孔した。
【0026】
セルコンタクトプラグ10の一部を露出させるように設けたコンタクトホール内に導電材料を充填することにより、セルコンタクトプラグ10と接続するビット線コンタクトプラグ13を形成した。また、これと同時に、周辺ソース/ドレイン領域12を露出させるように設けたコンタクトホール内に導電材料を充填することにより、周辺ソース/ドレイン領域12と接続する第1周辺コンタクトプラグ14を形成した。
【0027】
次に、ビット線コンタクトプラグ13に接続するビット線15と、第1周辺コンタクトプラグ14に接続する第1配線16をパターニング形成した。この際、ビット線15及び第1配線16の膜厚は100nmで形成した。
【0028】
ビット線15上に第3層間絶縁膜材料を成膜した。この材料は、プラズマ酸化膜であり、その膜厚は500nmとした。この第3層間絶縁膜材料をCMP法で研磨し、ビット線15上で200nm、第2層間絶縁膜11上で300nmの膜厚を有する第3層間絶縁膜17を形成した。
【0029】
次に、第2層間絶縁膜11及び第3層間絶縁膜17を貫通して、セルコンタクトプラグ10を露出させるようにコンタクトホールを開孔した後、コンタクトホール内に導電材料を充填することによって、キャパシタコンタクトプラグ18を形成した。
【0030】
次に、全面に導電材料を形成した後、リソグラフィー技術とドライエッチング法により、キャパシタコンタクトプラグ18に接続するキャパシタパッドaを形成した。キャパシタパッドaの形成と同時にガードリング溝形成領域にガードリングパッドb、周辺回路領域にコンタクトパッドcを形成した。これらのパッドa、b、cの膜厚は100nmとした。
【0031】
パッドa、b、cの材料には、タングステン膜を用いた。なお、パッドa、b、cの材料は窒化チタン膜に限定されず、リンや砒素などの不純物を導入したドープトシリコン膜や、窒化チタン膜あるいは窒化チタン膜とタングステン膜の積層膜などの高融点金属膜を用いることができる。
【0032】
次に、パッドa、b、cの表面を含む全面に、ストッパー絶縁膜19を形成した。ストッパー絶縁膜19の材料としては、シリコン窒化膜を用いた。なお、ストッパー絶縁膜19の材料はシリコン窒化膜に限定されず、後述する図6の第4層間絶縁膜を除去するエッチング工程においてエッチング速度が第4層間絶縁膜よりも遅い膜であれば用いることができる。ストッパー絶縁膜19の膜厚は100nmとした。
【0033】
次に、ストッパー絶縁膜19上の全面に、第4層間絶縁膜20を形成した。第4層間絶縁膜20の材料には、BPSG膜を用いた。なお、第4層間絶縁膜20の材料はBPSG膜に限定されず、SOG膜、プラズマ酸化膜などのシリコン酸化膜を用いてもよい。また、こららの材料を積層した積層膜としても良い。第4層間絶縁膜20の膜厚は、2000nmとして形成した。
【0034】
次に、図2Aの断面図に示すように、フォトリソグラフィー技術とドライエッチング技術を用いて、第4層間絶縁膜20とストッパー絶縁膜19を貫通してガードリングパッドbが露出するようにガードリング溝22を形成した。また、これと同時に、第4層間絶縁膜20とストッパー絶縁膜19を貫通してコンタクトパッドcを露出させる第2周辺コンタクトホール、及び第4層間絶縁膜20とストッパー絶縁膜19と第3層間絶縁膜17を貫通し第1配線16の一部を貫通して第1配線16を露出させる第2周辺コンタクトホールを形成した。以下、キャパシタパッドcを露出させるものを第2周辺コンタクトホール21b、第1配線を露出させるものを第1周辺コンタクトホール21aと呼ぶこととする。第1周辺コンタンクトホール21aおよび第2周辺コンタクトホール21bのトップ径D2(最上部の径)は200nm、ガードリング溝の幅D1は250nmとして形成した。
【0035】
ここで、マスク設計上では、第1および第2周辺コンタクトホール21a,21bの直径D2とガードリング溝幅D1は共に200nmとして設計した。しかし、溝状パターンを有するガードリング溝22は、ホール状のパターンを有する第1および第2周辺コンタクトホール部に比べて露光解像度が高くなる。このため、フォトリソグラフィー技術を用いたパターン形成では、ガードリング溝幅D1は各々の周辺コンタクトホール径D2よりも大きく形成された。
【0036】
第1周辺コンタクトホール21aの深さは2300nmあり、そのアスペクト比は約12と高アスペクト比を有した。
【0037】
図2Bは、メモリセル領域50と周辺回路領域51の位置関係を示す平面図である。図1および図2Aは、図2Bに示した2B−2B‘線の断面図に相当している。図1のX領域は図2Bにおけるメモリセル領域50の一部に相当し、図1のY領域は図2Bにおける周辺回路領域51の一部に相当している。図2Bにおいて、幅D1を有するガードリング溝22は、メモリセル領域50を囲む環状の形状を有している。図2Bでは、ガードリング溝22の4つのコーナーが湾曲しているが、実質的に四角形である。また、ガードリング溝22で囲まれていない、ガードリング溝22の外側の領域は、周辺回路領域51を構成する。D2の直径を有する第1および第2周辺コンタクトホール21a,21bは、ガードリング溝22に隣接して周辺回路領域に配置されている。環状形状を有するガードリング溝22の下には、図1に示したガードリングパッド21bがガードリング溝22と同じ環状形状で形成されている。なお、図2Bでは、一例として、第1および第2周辺コンタクトホール21a,21bがガードリング溝22の右側に位置された状態を示しているが、右側以外の位置に配置される場合もあり得る。
【0038】
ここで、図2Aは断面図、図2Bは図2Aの断面に相当する部分を含む平面図を示しているが、この関係は図3以降も同じである。
【0039】
次に、図3A及び図3Bに示すように、ガードリング溝22、第1および第2周辺コンタクトホール21a,21bを、第1導電膜プラグ材で埋め込んだ。第1導電膜プラグ材としては、窒化チタン膜とタングステン膜の積層膜を用いた。まず、ガードリング溝22、第1および第2周辺コンタクトホール21a,21bが埋まらないように膜厚10nmの窒化チタンを全面に形成した後、上記の溝やホールを埋め込むように膜厚190nmのタングステン膜を形成した。前述のように、ガードリング溝の幅D1は250nm、第1および第2周辺コンタクトホール21bのトップ径D2は200nmとなっているので、これらの溝やホールは厚さ10nmの窒化チタン膜と厚さ190nmのタングステン膜で完全に埋め込まれる。
【0040】
次に、第4層間絶縁膜20上に形成された第1導電膜プラグ材をCMP法により研磨除去し、第1導電膜プラグ材から成る第1周辺コンタクトプラグ23a、第2周辺コンタクトプラグ23b、ガードリング24を形成した。なお、この工程では、CMP法の代わりに、ドライエッチング技術を用いたエッチバックを行っても良い。上記の工程により、メモリセル領域50を囲むように、環状形状を有するガードリング24を形成した。ガードリング24の幅は、ガードリング溝の幅で規定されるが、100〜300nmの範囲とすることが好ましい。ガードリング溝の幅が100nm未満では、同時に形成する周辺コンタクトホールのアスペクト比が大きくなり、加工が困難となって非開口の問題が発生する場合がある。また、ガードリング溝の幅が300nmより大きくなるとガードリング材料の埋設が困難になると共に半導体チップ面積縮小の弊害となる場合がある。
【0041】
次に、図4A及びBに示すように、メモリセル領域50内にキャパシタホール26を形成した。
まず、第4層間絶縁膜20、ガードリング24、第2周辺コンタクトプラグ23a、23b上を覆うように、全面に支持体膜25を形成した。支持体膜25には、膜厚100nmのシリコン窒化膜を用いた。このシリコン窒化膜は、種々の方法で形成することが可能であるが、形成された膜のエッチング速度を抑制できる観点から、ジクロロシランとアンモニアを原料ガスとする低圧CVD法、あるいはモノシランとアンモニアを原料ガスとするHDP−CVD(高密度プラズマCVD)法で形成することが望ましい。なお、各々の成膜法においては、他のシリコン原料および窒素原料を用いることもできる。なお、支持体膜25の材料はこれに限定されず、後述する図6の工程において第4層間絶縁膜20の除去の際のエッチング速度が第4層間絶縁膜20よりも遅い材料であれば、何れの材料も用いることができる。支持体膜25の膜厚は100nmとして形成した。
【0042】
次に、リソグラフィー技術を用いて、図4Bに示すように、メモリセル領域50内に規則的に配置されたフォトレジストからなる複数のホールパターンを支持体膜25上に形成した(図には示していない)。次に、フォトレジストをマスクとして異方性ドライエッチングを施し、支持体膜25、第4層間絶縁膜20、及びストッパー絶縁膜19を貫通し、その底部にキャパシタパッドaが露出するキャパシタホール26を形成した。キャパシタホール26のトップ径(最上部の径)は150nmとした。キャパシタホール26の深さは約2000nmであり、アスペクト比は約13と、高アスペクト比のキャパシタホールを形成した。なお、この異方性ドライエッチングでは、マスクとしてフォトレジストを用いているが、フォトレジストの下層にハードマスクとして非晶質シリコン膜やシリコン膜を形成し、フォトレジストのマスクパターンをドライエッチングによりハードマスクに一旦、転写した後、そのハードマスクを用いて支持体膜25、第4層間絶縁膜20、及びストッパー絶縁膜19を異方性ドライエッチングする方法を用いることもできる。この方法を用いることにより高精度のキャパシタホール26を形成することができる。
【0043】
次に、フォトレジストを除去した後、キャパシタホール26内面から支持体膜25上面までを覆う第1キャパシタ電極材料を成膜した。第1キャパシタ電極材料の膜厚は30nmとし、その膜厚はキャパシタホール26内を完全に埋め込まないようにした。第1キャパシタ電極材料の材料には、窒化チタン膜を用いた。なお、第1キャパシタ電極材料の材料はこれに限定されるわけではなく、リンや砒素などの不純物を導入したドープトシリコン膜や、タングステンやルテニウムなどの高融点金属膜を用いることができる。
【0044】
次に、CMP法を用いて、第1キャパシタ電極材料を研磨除去して、支持体膜25の上面を露出させると共に、キャパシタホール26の内面に沿うように第1キャパシタ電極材料を残存させた。これにより、断面が凹状のキャパシタの下部電極28が形成された。なお、下部電極28の形成方法は、CMP法に限定されず、ドライエッチング技術を用いて形成することもできる。図5はこの状態を表す図である。
【0045】
次に、図6A及びBに示すように、リソグラフィー技術とドライエッチング技術を用いて、メモリセル領域50内の第4層間絶縁膜20の一部を露出させるように支持体膜25に開口部29を形成した(以後、この開口部29を「支持体膜開口部」と呼ぶ場合がある)。この支持体膜開口部29は、後述する図7の工程において、第4層間絶縁膜20をエッチングするエッチング剤を侵入させるための侵入口となる。支持体膜開口部29は、平面で見て、個々の下部電極の外縁のうちおよそ半分が取り除かれるように形成される。下部電極28の外縁のうち約半分の部分は、残存する支持体膜25に接続されている。この残存する支持体膜25は、下部電極28の倒れを抑制させる働きを持つ梁25aとなる。梁25aは、個々の下部電極28を相互に連結し、メモリセル領域50の外側、すなわち周辺回路領域51に位置する支持体膜25に接続されている。全ての下部電極28はいずれかの梁25aに接続されている。また、全ての梁25aは、メモリセル領域の外側に位置する広い領域の支持体膜25に接続されているので、機械的強度を維持することができ、したがって、梁25aに接続されている下部電極28の機械的強度を維持することができる。
【0046】
図6Bでは、支持体膜開口部29を縦に長い長方形として形成しているが、これに限るものではなく、横に長い長方形や斜めに延在する長方形とすることもできる。また、完全に全ての下部電極28の外縁の一部を露出させる必要はなく、孤立する楕円状の開口パターンとして形成しても良い。
【0047】
次に、図7に示すように、エッチング液を支持体膜開口部29から侵入させて、第4層間絶縁膜20をエッチングした。ここで、エッチング液には少なくともフッ酸を含有する溶液を用い、湿式エッチングによりエッチングを行った(以後、このエッチングを「第4層間絶縁膜除去エッチング」と呼ぶ場合がある)。このエッチングにより、ストッパー絶縁膜19及び下部電極28の外壁を露出させた。このエッチングの際、下部電極28の上部に形成された梁25aは残存した。この梁25aがない場合には、第4層間絶縁膜除去エッチング後に下部電極28を支持する支持体が消滅してしまい、エッチング後の純水洗浄時に発生する表面張力によって下部電極28は倒壊してしまう。しかし、本実施例では、梁25aを残存させることにより、第4層間絶縁膜除去エッチング後の下部電極28の倒れを防止することができる。また、この第4層間絶縁膜除去エッチング時には、メモリセル領域50と周辺回路領域51の境界に形成されたガードリング24がエッチング液浸透の壁として機能する。すなわち、メモリセル領域50中の第4層間絶縁膜20を除去するためのエッチング液は、ガードリング24が壁として機能するために、周辺回路領域51へ浸透することができず、周辺回路領域51に位置する第4層間絶縁膜20の側壁をエッチングすることがない。また、ガードリング24の上面および周辺回路領域51に位置する第4層間絶縁膜の上面は支持体膜25で被覆されているので、周辺回路領域51に位置する第4層間絶縁膜の上面方向からのエッチングも防止することができる。
【0048】
ガードリング24は、第1導電膜プラグ材で埋め込まれた構造として形成されている。本実施例では、ガードリング溝22の開口幅の長さLgは約250nmであり、この幅がガードリング24の厚さとなる。このように、厚い導電膜でガードリング24が形成される。また、ガードリング上に支持体膜が設けられるため、ガードリングの厚さ(ガードリング溝の幅Lg)が、実質的にガードリングと支持体膜の接触長さとなる。
【0049】
本実施例では、この接触部分の長さが250nmとなる。また、この接触部分の長さは、ガードリング幅を調製することによって、任意の長さに調整することができる。この結果、本実施例では、ガードリング24と支持体膜25の接触部分の長さを長くすることができ、第4層間絶縁膜除去エッチング中に、エッチング剤が支持体膜25とガードリング24の間の接触部分から染み出して周辺回路領域をエッチングして空洞を作る異常エッチングを効果的に防止できる。
【0050】
さらに、ガードリング24は第1導電膜プラグ材で埋め込まれた構造として形成されるため、図12及び13のような凹状のガードリングに比べて、エッチング液の浸透防止効果が増大すると共に、その機械的強度が増加する。この結果、第4層間絶縁膜除去エッチング工程中やその後の洗浄工程の際に加わる薬液の水圧や乾燥時の風圧によりガードリングが変形して、破壊することを抑制できる。
【0051】
本実施例においては、図6A、図6Bおよび図7に示されているように、支持体膜25は、ガードリング24の上面と、ガードリング24の外側に位置する周辺回路領域の第4層間絶縁膜20の上面と、第1周辺コンタクトプラグ23aおよび第2周辺コンタクトプラグ23bの上面を覆う構成を有すると共に、メモリセル領域において複数のキャパシタの下部電極を連結する梁25aとなる構成を有している。逆にいえば、ガードリング24の上面と、ガードリング24の外側に位置する周辺回路領域の第4層間絶縁膜20の上面と、第1周辺コンタクトプラグ23aおよび第2周辺コンタクトプラグ23bの上面を覆う支持体膜と、メモリセル領域において複数のキャパシタの下部電極を連結する梁25aとは、同じ支持体膜25で構成されている。
【0052】
次に、図8に示すように、メモリセル領域の全面に容量絶縁膜30を形成した。容量絶縁膜30の材料には、タンタル酸化膜を用いた。なお、容量絶縁膜30の材料はこれに限定されるわけではなく、アルミナ、ハフニウム酸化膜、ジルコニウム酸化膜などを用いることもできる。
【0053】
全面に、上部電極となる第2キャパシタ電極材料31を成膜した。第2キャパシタ電極材料31の材料は、窒化チタン膜とタングステン膜の積層膜を用いた。なお、第2キャパシタ電極材料31はこれに限定されず、ドープトシリコン膜や、窒化チタン膜とドープトシリコン膜の積層膜などを用いることができる。第2キャパシタ電極材料31の膜厚は、100nmとして形成した。
【0054】
第2キャパシタ電極材料31をリソグラフィー技術、ドライエッチング技術を用いてパターニングして、上部電極31を形成した。この際、第1周辺コンタクトホール上の領域の第2キャパシタ電極材料31は除去して、支持体膜25を露出させた。
【0055】
全面に第5層間絶縁膜材料を成膜した。第5層間絶縁膜材料としては、プラズマCVD法を用いて、シリコン酸化膜を600nm成膜した。CMP法を用いて、第5層間絶縁膜材料33を研磨して平坦化し、第5層間絶縁膜33を形成した。第5層間絶縁膜33の厚さは、支持体膜上で400nm、第2キャパシタ電極上で300nmとなるように形成した。
【0056】
第5層間絶縁膜33と支持体膜25を貫通して、第2周辺コンタクトプラグ23の上面が露出するように、深さ500nmの第3周辺コンタクトホールを形成した。第3周辺コンタクトホールのトップ径(最上部の径)は、第2周辺コンタクトプラグ23と同じ200nmとして形成した。この第3周辺コンタクトホールは、アスペクト比が2〜3と緩いので、ドライエッチング技術を用いたコンタクトホールの形成は容易であり、高性能で高価なエッチング装置は必要としない。
【0057】
第3周辺コンタクトホール内に第2導電膜プラグ材を埋め込み、第3周辺コンタクトプラグ36を形成した。第2導電膜プラグ材としては、窒化チタン材料とタングステン材料の積層膜を用いた。前述したように、第3周辺コンタクトホール36はアスペクトが緩いので、金属材料の埋設は容易であり、バリアメタルを製造コストが安価なスパッタ法などで形成することが可能である。第3周辺コンタクトプラグ36と接続する第2配線35を形成した。
【0058】
以上の工程を経て、半導体装置が完成した。本実施例の構造では、ガードリングは導電膜材料で埋め込まれた構造を有する。このため、上記のように、第4層間絶縁膜除去エッチング工程において、エッチング剤がガードリングを通り抜けて周辺回路領域の層間絶縁膜をエッチングすることを防止できる。さらに、エッチング工程や洗浄工程において加わる水圧や風圧により、ガードリングの形状が変形して剥離して欠陥が発生することを防止することができる。
【0059】
本実施例の製造方法では、周辺コンタクトプラグ形成工程において同時にガードリングを形成する方法をとるため、高アスペクト比のコンタクトホールエッチング及び導電膜埋め込みという難しい工程を新たに加えることなく、導電膜で埋め込まれたガードリングを形成することができる。この結果、製造コストの大幅な増大することなく、導電膜で埋め込まれたガードリングを形成することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 半導体基板
2 素子分離領域
3 素子形成領域
4 ゲート絶縁膜
5 ゲート電極膜
6 マスク絶縁膜
7 セルソース/ドレイン領域
8 サイドウォール絶縁膜
9 第1層間絶縁膜
10 セルコンタクトプラグ
11 第2層間絶縁膜
12 周辺ソース/ドレイン領域
13 ビット線コンタクトプラグ
14 第1周辺コンタクトプラグ
15 ビット線
16 第1配線
17 第3層間絶縁膜
18 キャパシタコンタクトプラグ
19 ストッパー絶縁膜
20 第4層間絶縁膜
21a、21b 第2周辺コンタクトホール
22 ガードリング溝
23a、23b 第2周辺コンタクトプラグ
24 ガードリング
25 支持体膜
26 メモリセルコンタクトホール
28 下部電極
29 開口部
30 容量絶縁膜
31 第2キャパシタ電極材料
33 第5層間絶縁膜
35 第2配線
36 第3周辺コンタクトプラグ
a キャパシタパッド
b ガードリングパッド
c コンタクトパッド
Lg ガードリング溝の幅
X メモリセル領域
Y 周辺回路領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャパシタを有するメモリセル領域と、
前記メモリセル領域を囲むように設けられたガードリングと、
前記ガードリングの外側に設けられ、層間絶縁膜を有する周辺回路領域と、
前記ガードリング上及び前記周辺回路領域の少なくとも一部の層間絶縁膜上に設けられると共に、前記メモリセル領域内のキャパシタに接するように設けられた支持体膜と、
前記周辺回路領域内に設けられたコンタクトプラグと、
を有し、
前記ガードリングとコンタクトプラグは、同一の導電材料から構成される半導体装置。
【請求項2】
複数のキャパシタと、
前記複数のキャパシタを囲むように設けられたガードリングと、
前記ガードリング上に設けられると共に、前記複数のキャパシタに接するように設けられた支持体膜と、
前記ガードリングと同一の導電材料から構成されたコンタクトプラグと、
を有する半導体装置。
【請求項3】
前記メモリセル領域は、
トランジスタと、
前記トランジスタのソース/ドレイン領域の一方に接続されたビット線と、
を有し、
前記キャパシタは凹状の下部電極と、容量絶縁膜と、上部電極と、をこの順に有すると共に、前記トランジスタのソース/ドレイン領域の他方に接続され、
前記半導体装置は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ガードリングの幅は、100〜300nmである請求項1〜3の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記導電材料は、窒化チタンとタングステンの積層膜である請求項1〜4の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体基板と、前記半導体基板の上方に層間絶縁膜とを有する構造体を準備する工程と、
前記構造体のメモリセル領域を囲むように前記層間絶縁膜内にガードリング溝、及び前記構造体のガードリング溝の外側に位置する周辺回路領域の前記層間絶縁膜内にコンタクトホールを形成する工程と、
前記ガードリング溝及びコンタクトホール内に導電材料を充填することにより、それぞれガードリング及びコンタクトプラグを形成する工程と、
前記ガードリング、並びに前記メモリセル領域及び周辺回路領域の前記層間絶縁膜上に支持体膜を形成する工程と、
前記メモリセル領域の前記層間絶縁膜及び支持体膜内に下部電極を形成する工程と、
前記メモリセル領域の前記支持体膜内に開口を設ける工程と、
前記支持体膜をマスクに用いたエッチングにより、前記メモリセル領域内の層間絶縁膜を除去する工程と、
前記下部電極上に順に、容量絶縁膜、上部電極を形成することによりキャパシタを得る工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項7】
半導体基板と、前記半導体基板の上方に層間絶縁膜とを有する構造体を準備する工程と、
前記構造体のメモリセル領域を囲むように前記層間絶縁膜内にガードリング、及び前記構造体のガードリングの外側に位置する周辺回路領域の前記層間絶縁膜内にコンタクトプラグを形成する工程と、
前記ガードリング、並びに前記メモリセル領域及び周辺回路領域の前記層間絶縁膜上に支持体膜を形成する工程と、
前記メモリセル領域の層間絶縁膜及び支持体膜内に下部電極を形成する工程と、
前記メモリセル領域の前記支持体膜内に開口を設ける工程と、
前記支持体膜をマスクに用いたエッチングにより、前記メモリセル領域内の層間絶縁膜を除去する工程と、
前記下部電極上に順に、容量絶縁膜、上部電極を形成することによりキャパシタを得る工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記ガードリングの幅は、100〜300nmである請求項6又は7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記ガードリング及びコンタクトプラグを形成する工程において、
窒化チタンとタングステンの積層膜を有するガードリング及びコンタクトプラグを形成する請求項6〜8の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−142214(P2011−142214A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2076(P2010−2076)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】