説明

半導体装置の製造方法および半導体装置

【課題】CVD法により上部電極を成膜する際の下地層へのダメージを防止する半導体装置の製造方法および半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体基板11上の層間絶縁膜16に設けられた凹部17の内壁を覆う状態で、層間絶縁膜16上にゲート絶縁膜18を形成する工程と、ゲート絶縁膜18上に、仕事関数を制御する第1ゲート電極層19aを形成する第1工程と、第1ゲート電極層19a上に、下地層へのバリア性を有する第2ゲート電極層19bを形成する第2工程と、第2ゲート電極層19bが設けられた凹部17を埋め込む状態で、第2ゲート電極層19b上に、化学的気相成長法により、第1ゲート電極層19aよりも抵抗の低い第3ゲート電極層19cを形成する第3工程とを行うことを特徴とする半導体装置の製造方法と半導体装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置に関し、さらに詳しくは、メタルゲート電極を有する半導体装置の製造方法および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メタルゲート電極は、従来の多結晶シリコン(Poly−Si)ゲート電極に代わる技術として研究が進められている。メタルゲート電極をインテグレーションする場合、NチャネルMOS型電界効果トランジスタ(NMOSFET)とPチャネルMOS型電界効果トランジスタ(PMOSFET)とで適正な閾値電圧を得るために、それぞれのゲート電極に適正な仕事関数を有する仕事関数制御金属を用いる必要がある。しかし、仕事関数制御金属は、必ずしも低抵抗な材料であるとは限らないため、仕事関数制御金属のみでゲート電極を構成すると、ゲート抵抗の高抵抗化に伴い、トランジスタの閾値電圧まで達する時間が長くなり、トランジスタのスピードが劣化することが予想される。
【0003】
この問題を避けるため、基板上にゲート絶縁膜を介して仕事関数制御金属を薄く成膜した後、タングステン(W)やルテニウム(Ru)等の低抵抗な金属を上部電極として厚く成膜し、ゲート電極全体のゲート抵抗を下げる方法が考えられている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】Y.Akasaka,et.al「Impact of Electrode-side Chemical Structure on Electron Mobility in Metal/HfO2 MISFETs with sub-1nm EOT」Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers,(米),2005年,p.228
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述したように、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して仕事関数制御金属を薄く成膜した後、上部電極として例えば化学的気相成長(Chemical Vapor Deposition(CVD))法によりWを積層させる場合、成膜ガスとして用いるフッ化タングステン(WF6)が、下地となる仕事関数制御金属と反応したり、フッ素がゲート絶縁膜まで入り込む等のダメージを与え、半導体装置の歩留まりを著しく損ねることが、我々の検討の結果明らかになった。
【0006】
そこで、本発明は、CVD法により上部電極を成膜する際の下地層へのダメージを防止する半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述したような目的を達成するために、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して金属を含むゲート電極を形成する工程を有する半導体装置の製造方法であって、ゲート電極を形成する工程では、次のような工程を順次行うことを特徴としている。まず、第1工程では、上記ゲート絶縁膜上に、ゲート電極の仕事関数を規定する第1ゲート電極層を形成する。次に、第2工程では、第1ゲート電極層上に、下地層へのバリア性を有する第2ゲート電極層を形成する。次いで、第3工程では、化学的気相成長(CVD)法により、第2ゲート電極層上に、第1ゲート電極層よりも抵抗の低い第3ゲート電極層を形成する。
【0008】
このような半導体装置の製造方法によれば、第2工程において、第1ゲート電極層上に、下地層へのバリア性を有する第2ゲート電極層を形成することから、第3工程において、第2ゲート電極層上に、CVD法により、第3ゲート電極層を形成する際に、CVD法に用いる成膜ガスによる第1ゲート電極層やゲート絶縁膜へのダメージが抑制される。また、第1ゲート電極層よりも抵抗の低い第3ゲート電極層を形成することで、ゲート電極が低抵抗化されるため、トランジスタの閾値電圧まで達する時間が短くなり、トランジスタのスピードが向上するだけでなく、消費電力が低減される。
【0009】
また、本発明の半導体装置は、基板上にゲート絶縁膜を介して金属を含むゲート電極が設けられた半導体装置であって、ゲート電極は、このゲート電極の仕事関数を規定する第1ゲート電極層と、下地層へのバリア性を有する第2ゲート電極層と、第1ゲート電極層よりも抵抗の低い第3ゲート電極層を順次積層してなることを特徴としている。
【0010】
このような半導体装置によれば、第1ゲート電極層よりも抵抗の低い第3ゲート電極層が形成されることで、トランジスタの閾値電圧まで達する時間が短くなり、スピードが向上するだけでなく、消費電力が低減される。
【発明の効果】
【0011】
以上、説明したように、本発明の半導体装置の製造方法および半導体装置によれば、第3ゲート電極層を形成する際に、CVD法に用いる成膜ガスによる第1ゲート電極層やゲート絶縁膜へのダメージが防止されることから、半導体装置の歩留まりを向上させることができる。また、トランジスタのスピードが向上するだけでなく、消費電力が低減されるため、トランジスタの高性能化と低消費電力化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、各実施形態においては、半導体装置の構成を製造工程順に説明する。
【0013】
(第1実施形態)
本発明の半導体装置の製造方法に係わる実施の形態の一例を、PMOSFETの製造方法を例にとり、図1〜図2の製造工程断面図によって説明する。本実施形態においては、ゲート電極を埋め込み形成する例について説明する。
【0014】
図1(a)に示すように、通常のPMOSFETの製造方法と同様の方法で、例えば、素子分離領域(図示省略)が形成されたシリコン基板からなる半導体基板11上に、酸化シリコンからなるゲート絶縁膜12を介して、Poly−Siからなるダミー電極13を形成する。次いで、例えばイオン注入法により、ダミー電極13をマスクとして、ダミー電極13の両側の半導体基板11にp型不純物を導入し、熱処理により不純物を活性化させることで、ソース・ドレイン領域14、15を形成する。その後、上記ダミー電極13を覆う状態で、半導体基板11上に、例えば酸化シリコン(SiO2)単層膜またはSiO2/窒化シリコン(SiN)積層膜からなる層間絶縁膜16を形成する。
【0015】
なお、ここでは、ダミー電極13の両側の半導体基板11にソース・ドレイン領域14,15を形成する例について説明するが、ダミー電極13の両側の半導体基板11にLDD(Lightly Doped Drain)領域(図示省略)を介してソース・ドレイン領域14、15を形成してもよい。この場合には、ダミー電極13の両側の半導体基板11に低濃度のp型不純物を導入してLDD領域を形成する。その後、ダミー電極13の両脇にサイドウォール(図示省略)を形成し、ダミー電極13とサイドウォールをマスクとして、高濃度のp型不純物を導入することで、ソース・ドレイン領域14、15を形成する。
【0016】
次に、図1(b)に示すように、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing(CMP))法により、ダミー電極13の表面が露出するまで、層間絶縁膜16を除去する。
【0017】
次いで、図1(c)に示すように、エッチングガスとして例えば六フッ化硫黄(SF6)、塩素(Cl2)、酸素(O2)の混合ガスを用いたドライエッチング法により、ダミー電極13を除去した後、希フッ酸(Diluted Hydrofluoric Acid(DHF))を用いたウェットエッチングにより、ゲート絶縁膜12を除去することで、半導体基板11に達する凹部17を形成する。ここで、凹部17内には、後述するようにゲート電極が形成されることから、ダミー電極13の幅で規定されるこの凹部17の幅が、ゲート長Lgとなる。ここでは、凹部17の幅が例えば50nmであることとする。
【0018】
続いて、図2(d)に示すように、凹部17の内壁を覆う状態で、層間絶縁膜16上に、例えば酸化ハフニウム(HfO2)からなるゲート絶縁膜18を例えば3nmの膜厚で形成する。ここでは、ゲート絶縁膜18として、HfO2を用いることとするが、ゲート絶縁膜18としては、HfO2の他にも酸化シリコン(SiO2)、酸窒化シリコン(SiON)、ハフニウムシリケート(HfSiO)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)、酸窒化ハフニウム(HfON)、酸化チタンハフニウム(HfTiO)等が用いられる。
【0019】
その後、凹部17に上記ゲート絶縁膜18を介してゲート電極を埋め込み形成する。ここで、ゲート電極は、後述するように、第1ゲート電極層、第2ゲート電極層、第3ゲート電極層を順次積層してなる。
【0020】
具体的には、上記ゲート絶縁膜18が設けられた凹部17の内壁を覆う状態で、第2ゲート絶縁膜18上に、ゲート電極の仕事関数を規定する第1ゲート電極層19aを形成する。この第1ゲート電極層19aは、PMOSFETにおける適正な閾値電圧を得るために、適正な仕事関数(例えば4.8eV〜5.2eV)を有する金属含有材料で構成される。ここでは、例えば物理的気相成長(Physical Vapor Deposition(PVD))法、CVD法、原子層蒸着(Atomic Layer Deposition(ALD))法などにより、Ruからなる第1ゲート電極層19aを5nmの膜厚で形成する。
【0021】
なお、上記第1ゲート電極層19aとしては、上記Ru以外に、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、W、レニウム(Re)などの純金属およびそれらの合金、シリサイド、窒化物、酸化物などを用いてもよい。
【0022】
次に、図2(e)に示すように、第1ゲート電極層19aが設けられた凹部17の内壁を覆う状態で、第1ゲート電極層19a上に下地層へのバリア性を有する第2ゲート電極層19bを形成する。ここでは、後工程で、例えば成膜ガスにWF6を用いたCVD法により、Wからなる第3ゲート電極層を形成することから、WF6に対してバリア性を有する材質で第2ゲート電極層19bを形成する。これにより、WF6が下地の第1ゲート電極層19aと反応したり、Fがゲート絶縁膜18に入り込んでダメージを与えることが防止される。ここで、第2ゲート電極層19bの膜厚は、第3ゲート電極層を凹部17に埋め込む際の埋め込み特性を悪化を防ぐため、下地層へのバリア性が発揮できる範囲で、できるだけ薄い方が好ましい。
【0023】
ここでは、例えばスパッタリング法からなる物理的気相成長(Physical Vapor Deposition(PVD))法により、例えばWからなる第2ゲート電極層19bを5nmの膜厚で形成する。この成膜条件の一例としては、例えばWターゲットが設置された指向性のマグネトロンスパッタリング装置を用いて、DCパワーを2000W、アルゴン(Ar)ガスをガス流量80ml/minに設定する。ただし、ガス流量は、標準状態における体積流量を示すこととする。
【0024】
なお、第2ゲート電極層19bとしては、上述したPVD法によるW以外に、W、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、モリブデン(Mo)を含む合金膜またはこれらの窒化膜を形成してもよく、成膜方法も上記PVD法に限らず、CVD法やその他の方法であってもよい。ただし、W等、CVD法による成膜の際にFを含む成膜ガスを用いる場合には、Fが下地層にダメージを与えることから、CVD法以外の方法で形成する必要がある。
【0025】
さらに、上記第1ゲート電極層19aの表面を窒化することで、下地層へのバリア性を有する第2ゲート電極層19bを形成してもよい。この場合には、第1ゲート電極層19aがゲート絶縁膜18との界面付近まで窒化されると、仕事関数が変動するため、第1ゲート電極層19aの表面側のみを窒化して、改質層を形成する。そして、この改質層が第2のゲート電極層19bとなる。ここで、表面窒化処理方法としては、第1ゲート電極層19aの表面に、プラズマ窒化処理または熱窒化処理を行うこととする。プラズマ窒化処理の処理条件の一例としては、窒素(N2)ガスを用い、処理雰囲気の圧力を2.67Pa、ソース電源のパワーを300Wに設定して行う。また、熱窒化処理の一例としては、アンモニア(NH3)ガスを用い、700℃で半導体基板11を加熱する。
【0026】
次いで、図2(f)に示すように、CVD法により、第2ゲート電極層19bが設けられた凹部17を埋め込む状態で、第2ゲート電極層19b上に、第1ゲート電極層19aよりも抵抗の低い第3ゲート電極層19cを形成する。これにより、凹部17が第1ゲート電極層19a、第2ゲート電極層19bおよび第3ゲート電極層19cで埋め込まれた状態となる。ここでは、第3ゲート電極層19cが、例えばWで形成されることとする。ここで、CVD法によるWの成膜は、埋め込み特性に優れているため、ボイドを生じさせることなく上記凹部17を第3ゲート電極層19cで埋め込むことが可能となる。
【0027】
第1ゲート電極層19aよりも抵抗の低い上記第3ゲート電極層19cとしては、Wに限定されるものではなく、第1ゲート電極層19aよりも抵抗が低い金属含有材料であれば、Ru等の他の金属含有材料を用いることが可能である。
【0028】
ここで、CVD法によるWの成膜条件としては、成膜ガスとして、WF6、N2、水素(H2)、Arを用い、ガス流量をWF6/N2/H2/Ar=75/300/500/2200(ml/min)、成膜温度を450℃に設定して行う。ただし、ガス流量は、標準状態における体積流量を示すこととする。
【0029】
その後、図2(g)に示すように、例えばCMP法により、層間絶縁膜16の表面が露出されるまで、凹部17以外の、第3ゲート電極層19c、第2ゲート電極層19b、第1ゲート電極層19a、ゲート絶縁膜18を除去する。これにより、凹部17内に、第2ゲート絶縁膜18を介して、第1ゲート電極層19a、第2ゲート電極層19b、第3ゲート電極層19cを順次積層してなるゲート電極19が形成される。なお、ここでは、層間絶縁膜16上のゲート絶縁膜18を除去したが、ゲート絶縁膜18は残存させてもよい。ただし、ゲート絶縁膜18が高誘電率(High−k)膜で形成される場合には、容量が高くなるため、除去することが好ましい。
【0030】
この後の工程は、通常のPMOSFETの製造方法と同様に、ゲート電極19上および層間絶縁膜16上に上層となる層間絶縁膜を形成し、配線形成等を行う。
【0031】
このような半導体装置の製造方法および半導体装置によれば、第1ゲート電極層19a上に、下地層へのバリア性を有する第2ゲート電極層19bを形成することから、第2ゲート電極層19b上に、CVD法により、Wからなる第3ゲート電極層19cを形成する際に、成膜ガスとして用いるWF6による第1ゲート電極層19aやゲート絶縁膜18へのダメージが防止される。したがって、半導体装置の歩留まりを向上させることができる。
【0032】
また、第1ゲート電極層19aよりも抵抗の低い第3ゲート電極層19cを形成することで、ゲート電極19が低抵抗化され、トランジスタの閾値電圧まで達する時間が短くなり、スピードが向上するだけでなく、消費電力が低減される。したがって、トランジスタの高性能化と低消費電力化が図れる。
【0033】
さらに、本実施形態によれば、CVD法により、第2ゲート電極層19bが設けられた凹部17に、Wからなる第3ゲート電極層19cを埋め込むことで、ボイドなく凹部17を埋め込むことが可能となる。これにより、ボイドによるゲート抵抗の上昇およびトランジスタ特性の不良を防止することができる。
【0034】
さらに、本実施形態によれば、ダミー電極13が除去された凹部17に、ゲート電極19を埋め込み形成するため、ソース・ドレイン領域14、15を形成した後に、ゲート絶縁膜18とゲート電極19が形成されることから、不純物の活性化の際の熱処理によるゲート絶縁膜18およびゲート電極19へのダメージを防止することができる。
【0035】
ここで、図3は、第1実施形態と同様の方法で、ゲート電極19を形成した場合の第2ゲート電極層19bの膜厚による半導体装置の歩留まりの変化を示すグラフである。ここでは、凹部17を70nm〜80nmの幅で形成し、HfO2からなるゲート絶縁膜18を3nm、Ruからなる第1ゲート電極層19aを5nm、PVD法によるWからなる第2ゲート電極層を15nmと100nmでそれぞれ形成した。続いて、CVD法により、第2ゲート電極層19bが設けられた凹部17を埋め込む状態で、Wからなる第3ゲート電極層19cを形成した。その後、CMP法により、層間絶縁膜16の表面が露出するまで、第3ゲート電極層19c、第2ゲート電極層19b、第1ゲート電極層19a、ゲート絶縁膜18を除去し、凹部17内にゲート電極19を形成した。
【0036】
このグラフに示すように、第2ゲート電極層19bを形成せずに、第1ゲート電極層19a上に直接第3ゲート電極層19cを形成した場合の歩留まりは0%であった。これに対し、本発明の製造方法が適用された場合には、第2ゲート電極層23bの膜厚が15nmである場合に歩留まりは80%まで上昇し、第2ゲート電極層23bの膜厚が100nmである場合に歩留まりは100%と、歩留まりが顕著に向上することが確認された。
【0037】
(第2実施形態)
上記第1実施形態においては、ゲート電極を埋め込み形成する例について説明したが、本発明は、半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極をパターン形成する場合であっても、適用可能である。ここで、本実施形態の製造方法について、図4の製造工程断面図を用いて説明する。なお、各構成要素に用いることが可能な材料等は、上記第1実施形態と同様であるため、一例のみを記載する。
【0038】
まず、図4(a)に示すように、半導体基板21上に、例えばHfO2からなるゲート絶縁膜22を形成する。その後、図4(b)に示すように、ゲート絶縁膜22上に、ゲート電極の仕事関数を規定する例えばRuからなる第1ゲート電極層23aを形成する。次いで、図4(c)に示すように、第1ゲート電極層23a上に、例えばPVD法により、Wを成膜することで、下地層へのバリア性を有する第2ゲート電極層23bを形成する。その後、図4(d)に示すように、第2ゲート電極層23b上に、CVD法により、例えばWからなる第3ゲート電極層23cを形成する。その後、第3ゲート電極層23c上にレジストパターン(図示省略)を形成し、このレジストパターンをマスクに用いてパターンニングすることで、第1ゲート電極層23a、第2ゲート電極層23b、第3ゲート電極層23cを順次積層してなる、ゲート電極23をパターン形成する。その後、ゲート電極23の両側の半導体基板21に、p型不純物を導入し、熱処理により不純物を活性化させて、ソース・ドレイン領域24、25を形成する。
【0039】
この後の工程は、通常のPMOSFETの製造方法と同様に行う。
【0040】
このような半導体装置の製造方法および半導体装置であっても、第1ゲート電極層23a上に、下地層へのバリア性を有する第2ゲート電極層23bを形成した後、CVD法により、第2ゲート電極層23b上に、第3ゲート電極層23cを形成することから、第1実施形態と同様に、半導体装置の歩留まりを向上させることができるとともに、トランジスタの高性能化と低消費電力化が図れる。
【0041】
なお、上述した第1実施形態および第2実施形態においては、PMOSFETの製造方法の例を用いて説明したが、本発明はNMOSFETでも適用可能である。この場合には、NMOSFETにおける適正な閾値電圧を得るために、適正な仕事関数(3.9eV〜4.3eV)を有する第1ゲート電極層19a(23a)として、HfまたはTaを含む金属含有材料が用いられる。Hf含有材料としては、Hfの他に、ハフニウムシリコン(HfSi)、窒化ハフニウムシリコン(HfSiN)、窒化ハフニウム(HfN)を用いることが可能である。また、Ta含有材料としては、Taの他に、タンタルシリコン(TaSi)、窒化タンタルシリコン(TaSiN)、窒化タンタル(TaN)を用いることが可能である。
【0042】
さらに、本発明は、PMOSFETとNMOSFETが同一半導体基板上に搭載されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)FETに好適に用いることが可能である。この場合には、半導体基板上にゲート絶縁膜を介してPMOSFETに用いられる例えばRuからなる第1ゲート電極層を形成した後、NMOS領域のRu膜を除去し、NMOS領域の半導体基板上にNMOSFETに用いられる例えばHfからなる第1ゲート電極層を形成する。その後、NMOS領域およびPMOS領域とで異なる第1ゲート電極層上に、NMOS領域およびPMOS領域で共通となる第2ゲート電極層と第3ゲート電極層を順次積層し、ゲート電極を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施形態を説明するための製造工程断面図(その1)である。
【図2】本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施形態を説明するための製造工程断面図(その2)である。
【図3】第2ゲート電極層の膜厚と歩留まりとの関係を示すグラフである。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法に係る第2実施形態を説明するための製造工程断面図である。
【符号の説明】
【0044】
11,21…半導体基板、17…凹部、18,22…ゲート絶縁膜、19,23…ゲート電極、19a,23a…第1ゲート電極層、19b,23b…第2ゲート電極層、19c,23c…第3ゲート電極層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して金属を含むゲート電極を形成する工程を有する半導体装置の製造方法であって、
前記ゲート電極を形成する工程では、
前記ゲート絶縁膜上に、前記ゲート電極の仕事関数を規定する第1ゲート電極層を形成する第1工程と、
前記第1ゲート電極層上に、下地層へのバリア性を有する第2ゲート電極層を形成する第2工程と、
化学的気相成長法により、前記第2ゲート電極層上に、前記第1ゲート電極層よりも抵抗の低い第3ゲート電極層を形成する第3工程とを行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板上の絶縁膜に設けられた当該半導体基板に達する状態の凹部に、当該凹部の内壁を覆う状態で設けられた前記ゲート絶縁膜を介して前記ゲート電極を埋め込み形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2工程では、前記第3工程の化学的気相成長法に用いる成膜ガスに対してバリア性を有する前記第2ゲート電極層を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3ゲート電極層はタングステンで形成されている
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して金属を含むゲート電極を備えた電界効果トランジスタからなる半導体装置であって、
前記ゲート電極は、当該ゲート電極の仕事関数を規定する第1ゲート電極層と、下地層へのバリア性を有する第2ゲート電極層と、前記第1ゲート電極層よりも抵抗の低い第3ゲート電極層とを順次積層してなる
ことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−4578(P2008−4578A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169560(P2006−169560)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】