説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】 ゲート絶縁膜とゲート電極の間の領域に導入するハフニウムを、pMOSFE
TとnMOSFETで、適した面密度とすることで、CMOSFETの性能向上を図る。
【解決手段】
シリコン基板2上にpMOSFET10とnMOSFET30を備えるCMOSFET
1において、pMOSFET10は、シリコン基板2上に形成されたゲート絶縁膜12と
、ゲート絶縁膜12上に形成されたハフニウム層14と、ハフニウム層14上に形成され
たゲート電極13とを備える。nMOSFET30は、シリコン基板2上に形成されたゲ
ート絶縁膜32と、ゲート絶縁膜32上に形成されたハフニウム層34と、ハフニウム層
34上に形成されたゲート電極33とを備える。ハフニウム層34の面密度は、ハフニウ
ム層14の面密度より低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に係り、特にCMOSFETを有する半導体装
置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFETにおいて、オン電流の向上を図るために、チャネル領域の不純物を低濃度
にする方法が用いられる。このとき、チャネル領域の不純物を低濃度にすることにより、
MOSFETの閾値電圧が低下する。このため、チャネル領域の不純物を低濃度にするこ
とでオン電流の向上を図る場合、閾値電圧の低下により、所望の閾値電圧が得られなくな
るという問題が起こる場合がある。
【0003】
この問題を解決する方法として、ゲート絶縁膜とゲート電極との間に微量のハフニウム
を導入したハフニウム層を形成することにより、閾値電圧を上昇させる技術が開示されて
いる(例えば、特許文献1。)。この方法によれば、チャネル領域の不純物を低濃度にす
るにしたがって起きる閾値電圧の低下を、ハフニウム層に導入するハフニウムの面密度を
大きくすることにより補うことが可能となる。これにより、所望の閾値電圧を得ながら、
オン電流の向上を図ることができる。
【0004】
しかし、CMOSFETの性能向上に適した、ハフニウムの導入量は知られていなかっ
た。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−332179号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、ゲート絶縁膜とゲート電極の間の領域に導入するハフニウムを、p
MOSFETとnMOSFETで、適した面密度とすることで、CMOSFETの性能向
上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の半導体装置は、半導体基板上にpMOSFETとnMOSFETを備
えるCMOSFETにおいて、pMOSFETは、前記半導体基板上に形成された第1ゲ
ート絶縁膜と、前記第1ゲート絶縁膜上に形成された第1ハフニウム層と、前記第1ハフ
ニウム層上に形成された第1ゲート電極とを備え、nMOSFETは、前記半導体基板上
に形成された第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ハフニウム
層と、前記第2ハフニウム層上に形成された第2ゲート電極とを備え、前記第2ハフニウ
ム層に導入されたハフニウムの面密度が、前記第1ハフニウム層に導入されたハフニウム
の面密度より低いことを特徴とする。
【0008】
本発明の別態様の半導体装置の製造方法は、半導体基板の主面にn型半導体領域及びp
型半導体領域を形成する工程と、前記n型半導体領域上及び前記p型半導体領域上に第1
絶縁膜を形成する工程と、前記第1絶縁膜上に第1ハフニウム層を形成する工程と、前記
n型半導体領域上の前記第1絶縁膜及び前記第1ハフニウム層を除去する工程と、前記n
型半導体領域の前記半導体基板上に第2絶縁膜を形成する工程と、前記第2絶縁膜上、及
び前記第1ハフニウム層上にハフニウムを堆積させることで、前記第2絶縁膜上に第2ハ
フニウム層を形成するとともに、前記第1ハフニウム層の面密度を高くする工程と、前記
前記第1ハフニウム層上及び前記第2ハフニウム層上にゲート電極材料を堆積させる工程
と、前記ゲート電極材料と前記第1ハフニウム層と前記第1絶縁膜をパターニングするこ
とにより、前記p型半導体領域に、第1ゲート電極と第3ハフニウム層と第1ゲート絶縁
膜を形成し、前記ゲート電極材料と前記第2ハフニウム層と前記第2絶縁膜をパターニン
グすることにより、前記n型半導体領域に、第2ゲート電極と第4ハフニウム層と第2ゲ
ート絶縁膜を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ゲート絶縁膜とゲート電極の間の領域に導入するハフニウムを、pM
OSFETとnMOSFETで、適した面密度とすることで、CMOSFETの性能向上
を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1に係る半導体装置の装置断面図である。
【図2】本発明の実施例1に係るnMOSFETのTDDB特性図である。
【図3A】本発明の実施例1に係る半導体装置を製造するプロセスを説明する装置断面図である。
【図3B】本発明の実施例1に係る半導体装置を製造するプロセスを説明する装置断面図である。
【図3C】本発明の実施例1に係る半導体装置を製造するプロセスを説明する装置断面図である。
【図3D】本発明の実施例1に係る半導体装置を製造するプロセスを説明する装置断面図である。
【図3E】本発明の実施例1に係る半導体装置を製造するプロセスを説明する装置断面図である。
【図3F】本発明の実施例1に係る半導体装置を製造するプロセスを説明する装置断面図である。
【図3G】本発明の実施例1に係る半導体装置を製造するプロセスを説明する装置断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の装置断面図である
【図5A】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置を製造するプロセスを説明する装置断面図である。
【図5B】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置を製造するプロセスを説明する装置断面図である。
【図5C】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置を製造するプロセスを説明する装置断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1に係るCMOSFETを含む半導体装置の断面図である。C
MOSFET1は、シリコン基板2内のn型拡散層11上に形成されたpMOSFET1
0と、シリコン基板2内のp型拡散層31上に形成されたnMOSFET30を備える。
シリコン基板2内のn型拡散層11と、p型拡散層31はSTI(Shallow Tr
ench Isolatino)構造の素子分離領域50により互いに分離されている。
【0013】
pMOSFET10は、n型拡散層11上にゲート絶縁膜12を介して形成されたゲー
ト電極13を備える。ゲート電極13は、例えば、不純物をドープしたポリシリコンから
構成される。ゲート絶縁膜12とゲート電極13の間には、ハフニウム層14が形成され
ている。なお、ハフニウム層14は、便宜上、層として表現しているが、実際には、ゲー
ト絶縁膜12上にハフニウム原子が散在する状態となっている。このため、ゲート絶縁膜
12は、全面がハフニウム層により覆われているとは限らない。ハフニウム層14に導入
されたハフニウムの面密度は、後述するハフニウム層34に導入されたハフニウムの面密
度より高い。ハフニウム層14の面密度は、例えば、3×1013(atoms/cm
)程度以上である。
【0014】
ゲート電極13の両側で、n型拡散層11内のゲート絶縁膜12と隣接した領域にはp
型エクステンション拡散層16が形成されている。さらに、p型エクステンション拡散層
16に隣接した領域で、ゲート電極13から遠い側には、p型エクステンション拡散層1
6より高濃度にp型不純物が導入された、p型ソース・ドレイン拡散層17が形成されて
いる。
【0015】
ゲート電極13の両側には、絶縁膜18を介してサイドウォール19が形成されている
。さらに、ゲート電極13上部、及びp型ソース・ドレイン型拡散層17上部には、それ
ぞれシリサイド層20a、20bが形成されている。
【0016】
nMOSFET30は、p型拡散層31上にゲート絶縁膜32を介して形成されたゲー
ト電極33を備える。ゲート電極33は、例えば、ポリシリコンから構成される。ゲート
絶縁膜32とゲート電極33の間には、ハフニウムが導入されたハフニウム層34が形成
されている。ハフニウム層34の面密度は、pMOSFET10に形成されたハフニウム
層14の面密度より低く形成されている。なお、ハフニウム層34は、便宜上、層として
表現しているが、実際には、ゲート絶縁膜32上にハフニウム原子が散在する状態となっ
ている。このため、ゲート絶縁膜32は、全面がハフニウム層により覆われているとは限
らない。ハフニウム層34に導入されたハフニウムの面密度は、3×1013(atom
s/cm)程度より低いことが好ましい。ここで、ハフニウム層34の面密度が、3×
1013(atoms/cm)程度より低いことが好ましい理由について、図2を参照
して説明する。図2は、nMOSFETの、TDDB(Time Dependent
Dielectric Breakdown)寿命Tbdのハフニウム層の面密度の依存
性を示した図である。TDDB寿命とは、トランジスタの装置の寿命を表す指標である。
図2縦軸のTbdは、同一サンプル内の複数のトランジスタのゲートに一定の電圧を加え
たとき、累積故障率が63%に達したときの時間である。図2に示すように、nMOSF
ETは、ハフニウム層の面密度が上昇すると、装置の寿命が劣化する。このため、nMO
SFETでは、装置の寿命の劣化が一定時間許容できる、3×1013(atoms/c
)程度より低いことが好ましい。しかし、ハフニウム層の面密度を上昇させることに
より、オン電流を向上することが可能であるため、寿命の劣化の抑制よりオン電流の特性
を優先する場合には、3×1013(atoms/cm)より高くなることもありえる

【0017】
ゲート電極33の両側で、p型拡散層31内のゲート絶縁膜32と隣接した領域にはn
型エクステンション拡散層36が形成されている。さらに、n型エクステンション拡散層
36に隣接した領域で、ゲート電極33から遠い側には、n型エクステンション拡散層3
6より高濃度にn型不純物が導入された、n型ソース・ドレイン拡散層37が形成されて
いる。
【0018】
ゲート電極33の両側には、絶縁膜38を介してサイドウォール39が形成されている
。さらに、ゲート電極33上部、及びp型ソース・ドレイン拡散層37の上部には、それ
ぞれシリサイド層40a、40bが形成されている。
【0019】
本実施形態のCMOSFET1の装置の特徴は、pMOSFET10のゲート絶縁膜1
2とゲート電極13の間にハフニウムが導入されたハフニウム層14を備え、nMOSF
ET30のゲート絶縁膜32とゲート電極33の間にハフニウムが導入されたハフニウム
層34を備え、ハフニウム層34の面密度が、ハフニウム層14の面密度より低く構成さ
れている点である。
【0020】
本実施形態のCMOSFET1の装置の特徴によれば、次のような効果が得られる。す
なわち、pMOSFET10のゲート絶縁膜12とゲート電極13の間の領域にハフニウ
ム層14を備え、nMOSFET30のゲート絶縁膜32とゲート電極33の間の領域に
ハフニウム層34を備えることにより、pMOSFET10及びnMOSFET30の閾
値電圧を、それぞれハフニウム層14、ハフニウム層34に導入されたハフニウムの面密
度により制御することができる。このため、ハフニウムの面密度を高くすることにより、
閾値電圧を上昇させることができる。これにより、所望の閾値電圧を得る場合に、ハフニ
ウム層14、ハフニウム層34により閾値電圧の上昇した分、チャネル領域の不純物濃度
を低減することができ、オン電流の向上が図れる。
【0021】
さらに、nMOSFET30のハフニウム層34の面密度を、pMOSFET10のハ
フニウム層14の面密度より低く構成されていることにより、nMOSFET30におい
て、ハフニウム層34の面密度が高い場合に、nMOSFET30の装置の寿命が劣化す
る問題を低減することができる。一方、pMOSFET10においては、ハフニウム層1
4の面密度を大きくすることにより、上述のようにオン電流の向上効果を図れる。このよ
うに、pMOSFETとnMOSFETで、ハフニウム層を適した面密度とすることで、
CMOSFETの性能向上を図ることができる。
【0022】
次に、本実施形態に係るCMOSFET1を含む半導体装置の製造方法について図3を
参照して説明する。図3Aから図3Gは、製造方法の一部を示したものである。
【0023】
まず、図3Aに示すように、シリコン基板2の主表面上に既知の方法でpMOSFET
を形成する領域(以下、単にpMOS領域と称す)、及びnMOSFETを形成する領域
(以下、単にnMOS領域と称す)を分離するためのSTI構造の素子分離領域50を形
成する。この素子分離領域50は、例えば、以下の方法を用いて形成する。まず、シリコ
ン基板2の主表面にバッファ膜を介してマスクとなるシリコン窒化膜を堆積させる。次い
で、レジストによるパターン転写法を用いてシリコン窒化膜、及びバッファ膜をパターニ
ングしてマスクを形成する。次いで、このマスクを用いてシリコン基板2を所定の深さま
でエッチングすることによりトレンチを形成する。次いで、レジストを除去した後、シリ
コン基板2の主面全面にシリコン酸化膜を堆積させた後、CMP(Chemical M
echanical Polishing)等で平坦化することにより、トレンチ内にシ
リコン酸化膜を埋め込む。次いで、マスクとして用いたシリコン窒化膜及びバッファ膜を
除去する。これにより、素子分離領域50が形成される。
【0024】
次いで、イオン注入等の既知の方法によって、pMOS領域のシリコン基板2内にn型
拡散層11、及びnMOS領域のシリコン基板2内にp型拡散層31を形成する。次いで
、酸素雰囲気中における加熱処理等によりシリコン基板2の主表面を酸化させ、n型拡散
層11上部及びp型拡散層31上部に、シリコン酸化膜60を形成する。
【0025】
次に、図3Bに示すように、シリコン酸化膜60上に、例えば、スパッタリング法を用
いてハフニウムを堆積させ、ハフニウム層61を形成する。
【0026】
次に、図3Cに示すように、nMOS領域に開口部を有するマスク(図示せず)を形成
し、このマスクを用いてDHF(希フッ酸)等により、nMOS領域のシリコン酸化膜6
0及びハフニウム層61をエッチングし、除去する。これにより、pMOS領域には、n
型拡散11上にシリコン酸化膜60、ハフニウム層61が順次形成され、nMOS領域は
、p型拡散層31が露出した構造となる。
【0027】
次に、図3Dに示すように、酸素雰囲気中における加熱処理等によりシリコン基板2の
主面を酸化させ、nMOS領域にシリコン酸化膜62を形成する。また、この加熱処理に
より、pMOS領域のシリコン基板2も酸化されることにより、シリコン酸化膜60の膜
厚がわずかに増加する。次いで、シリコン酸化膜62上及びハフニウム層61上に、例え
ば、スパッタリング法を用いてハフニウムを堆積させる。これにより、シリコン酸化膜6
2上にハフニウム層63を形成する。また、ハフニウム層61は、ハフニウムが堆積する
ことにより、ハフニウムの面密度が増加する。これにより、ハフニウム層63の面密度が
、ハフニウム層61の面密度より低くなる。このとき、ハフニウム層63に導入されたハ
フニウムの面密度は、3×1013(atoms/cm)程度以下であることが好まし
い。
【0028】
次に、図3Eに示すように、例えば、CVD(Chemical Vapor Dep
osition)を用いて、ハフニウム層61上及びハフニウム層63上にポリシリコン
を堆積させ、ポリシリコン層64形成する。
【0029】
次に、図3Fに示すように、フォトリソグラフィ技術及びRIE(Reactive
Ion Etching)を用いて、pMOS領域に、ポリシリコン層64、ハフニウム
層61、シリコン酸化膜60から、それぞれゲート電極13、ハフニウム層14、ゲート
絶縁膜12を形成し、nMOS領域に、ポリシリコン層64、ハフニウム層63、シリコ
ン酸化膜62から、それぞれゲート電極33、ハフニウム層34、ゲート絶縁膜32を形
成する。ハフニウム層63の面密度が、ハフニウム層61の面密度より低いため、ハフニ
ウム層34の面密度が、ハフニウム層14の面密度より低くなる。
【0030】
次に、図3Gに示すように、pMOS領域をマスク(図示せず)で覆った後、nMOS
領域にゲート電極33をマスクとしてイオン注入することによりn型エクステンション領
域36を形成し、続いて、マスクを除去する。次いで、nMOS領域をマスク(図示せず
)で覆った後、pMOS領域にゲート電極13をマスクとしてイオン注入することにより
p型エクステンション領域16を形成し、続いて、マスクを除去する。次いで、CVDを
用いて、ゲート電極13及びゲート電極33を含むシリコン基板2上面全面に絶縁膜18
及び絶縁膜38となるシリコン酸化膜、サイドウォール19及びサイドウォール39とな
るシリコン窒化膜を順次堆積する。次いで、RIEにより、このシリコン酸化膜及びシリ
コン窒化膜をエッチバックすることによりpMOS領域のゲート電極13に絶縁膜18と
、サイドウォール19を形成し、nMOS領域のゲート電極33に絶縁膜38と、サイド
ウォール39を形成する。
【0031】
次いで、pMOS領域をマスク(図示せず)で覆った後、nMOS領域にイオン注入す
ることにより、ゲート電極33へのイオン注入、及びn型ソース・ドレイン拡散層37の
形成をし、続いて、マスクを除去する。次いで、pMOS領域をマスク(図示せず)で覆
った後、nMOS領域にイオン注入することにより、ゲート電極13へのイオン注入、及
びp型ソース・ドレイン領域17の形成をし、続いて、マスクを除去する。
【0032】
次に、ゲート電極13及びp型ソース・ドレイン拡散層17に、それぞれシリサイド層
20a、20bを形成し、ゲート電極33及びn型ソース・ドレイン拡散層37に、それ
ぞれシリサイド層40a、40bを形成する。これにより、図1に示すCMOSFET1
が形成される。
【0033】
本実施形態によれば、前述したように、pMOSFET10とnMOSFET30の閾
値電圧をハフニウム層に導入するハフニウムの面密度で制御することにより、オン電流の
向上が図れる。さらに、nMOSFET30のハフニウム層34の面密度を、pMOSF
ET10のハフニウム層14の面密度より低くする。そうすることにより、nMOSFE
T30において、ハフニウム層34によりnMOSFET30の装置の寿命が劣化する問
題を低減することができる。これにより、CMOSFET1の性能向上を図ることができ
る。
【実施例2】
【0034】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るCMOSFET3を含む半導体装置の断面図で
ある。CMOSFET3は、pMOSFET70とnMOSFET80を備える。実施例
1と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0035】
本発明の第2の実施形態のCMOSFET3は、pMOSFET70が、実施例1のp
MOSFET10が備えるシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜12に代えて、シリコン
酸窒化膜からなるゲート絶縁膜72を備えている点で、実施例1と異なる。また、nMO
SFET80は、シリコン酸化膜、又はゲート絶縁膜72より窒素濃度が低いシリコン酸
窒化膜からなるゲート絶縁膜82を備えている。
【0036】
CMOSFET3の製造工程において、ゲート絶縁膜72をシリコン酸窒化膜により形
成し、かつ、ゲート絶縁膜82をシリコン酸化膜、又はゲート絶縁膜72より窒素濃度の
低いシリコン酸窒化膜で形成する工程と、ハフニウム層34の面密度を、ハフニウム層1
4の面密度より低く形成する工程とを合わせて行う。これにより、製造工程数の増加を抑
えつつ、ハフニウム層とシリコン酸窒化膜によりCMOSFETの性能向上を図ることが
できる。
【0037】
ここで、ゲート絶縁膜72をシリコン酸窒化膜で形成し、ゲート絶縁膜82をゲート絶
縁膜72より窒素濃度の低いゲート絶縁膜で形成する理由について説明する。ここで、ゲ
ート絶縁膜72より窒素濃度の低いゲート絶縁膜とは、シリコン酸化膜と、ゲート絶縁膜
72より窒素濃度の低いシリコン酸窒化膜が含まれる。
【0038】
pMOSFET70の製造工程において、ゲート電極の空乏化防止及びゲート抵抗低減
のため、イオン注入によりゲート電極13にp型不純物、例えばボロン(B)、が注入さ
れる。ゲート絶縁膜にシリコン酸化膜を用いる場合、ゲート電極にボロンを注入する際、
ゲート絶縁膜やシリコン基板(n型拡散層11)界面へのボロンの突き抜けが起きる場合
がある。ボロンの突き抜けが起きるとpMOSFETの電気特性等を劣化するため問題と
なる。このため、pMOSFET70においては、ゲート絶縁膜72としてボロンの突き
抜けを防止することのできるシリコン酸窒化膜を用いることが有効である。
【0039】
しかし、一方で、nMOSFET80においては、ゲート絶縁膜としてシリコン酸窒化
膜を用いると、ゲート絶縁膜とシリコン基板との界面特性を劣化させ、チャネル領域のキ
ャリアの移動度、装置の信頼性等を劣化させる等の問題がある。このため、nMOSFE
T80では、ゲート絶縁膜82として、シリコン酸化膜、又は窒素濃度が低いシリコン酸
窒化膜を用いることが好ましい。また、ゲート絶縁膜として、シリコン酸化膜だけとせず
に、窒素濃度の低いシリコン酸窒化膜も用いる理由は、nMOSFET80のゲート絶縁
膜として、窒素濃度の低いシリコン酸窒化膜を用いることにより、nMOSFET80の
ゲート電極とチャネル領域(p型拡散層31)間のリーク電流を低減できるためである。
このため、nMOSFET80のゲート絶縁膜82に、窒素濃度の低いシリコン酸窒化膜
を用いることも有効である。
【0040】
このため、ボロンを注入するpMOSFET70では、ゲート絶縁膜72にシリコン酸
窒化膜を用いることで、ボロン突き抜けによる電気特性等の劣化を抑制し、ボロンを注入
しないnMOSFET80では、ゲート絶縁膜72より窒素濃度が低いゲート絶縁膜82
を用いる。これにより、チャネル領域のキャリアの移動度、装置の信頼性の劣化を抑制す
ることができる。
【0041】
次に、本発明の第2の実施形態に係るCMOSFETを含む半導体装置の製造方法につ
いて図5を参照して説明する。図5Aから図5Cは、製造方法の一部を示したものである
まず、実施例1の図3Aの工程と同様にして、シリコン基板2に、素子分離領域50と
、n型拡散層11、p型拡散層31を形成し、さらに、n型拡散層11上部及びp型拡散
層31上部にシリコン酸化膜60を形成する。実施例1同様に、pMOSFETを形成す
る領域をpMOS領域と称し、nMOSFETを形成する領域をnMOS領域と称する。
【0042】
次に、図5Aに示すように、シリコン酸化膜60を窒化することにより、シリコン酸化
膜60をシリコン酸窒化膜65に置換する。次いで、シリコン酸化膜60上に、例えば、
スパッタリング法を用いてハフニウムを堆積させ、ハフニウム層61を形成する。
【0043】
次に、図5Bに示すように、nMOS領域に開口部を有するマスク(図示せず)を形成
し、このマスクを用いてDHF(希フッ酸)等により、nMOS領域のシリコン酸窒化膜
65及びハフニウム層61をエッチングし、除去する。これにより、pMOS領域は、n
型拡散11上にシリコン酸窒化膜65、ハフニウム層61が順次形成され、nMOS領域
は、p型拡散層31が露出した構造となる。
【0044】
次に、図5Cに示すように、酸化雰囲気中における加熱処理等によりシリコン基板2の
主面を酸化させ、nMOS領域にシリコン酸化膜62を堆積させる。ここで、シリコン酸
化膜62を窒化することにより、シリコン酸窒化膜に置換することも可能である。このと
き、シリコン酸化膜62を窒化することにより、シリコン酸窒化膜で置換する場合、この
シリコン酸窒化膜の窒素濃度は、ゲート絶縁膜72の窒素濃度より低濃度とする。シリコ
ン酸化膜62を窒化することで、nMOSFET80のゲート絶縁膜82をシリコン酸窒
化膜とすることができる。これにより、前述のように、nMOSFET80における、ゲ
ート電極33とチャネル領域(p型拡散層31)の間のリーク電流を低減することができ
る。以下、製造方法の説明では、シリコン酸化膜62が、シリコン酸窒化膜に置換されて
ない場合について説明するが、シリコン酸窒化膜に置換した場合でも、同様の製造方法を
用いることができる。
【0045】
次いで、シリコン酸化膜62上及びハフニウム層61上に、例えば、スパッタリング法
を用いてハフニウムを堆積させる。これにより、シリコン酸化膜62上にハフニウム層6
3が形成される。また、ハフニウム層61の面密度が増加する。これにより、ハフニウム
層63の面密度が、ハフニウム層61の面密度より低くなる。このとき、ハフニウム層6
3に導入されたハフニウムの面密度は、3×1013(atoms/cm)程度より低
いことが好ましい。
【0046】
次に、実施例1の図3Eから図3Gの工程と同様にしてpMOS領域にpMOSFET
70を形成し、nMOS領域にnMOSFET80を形成する。
【0047】
本実施形態によれば、pMOSFET70は、ゲート絶縁膜としてシリコン酸窒化膜を
用いることにより、ボロン突き抜け防止し、電気特性の劣化を抑制する。一方、ボロンを
注入しないnMOSFET80では、ゲート絶縁膜としてシリコン酸化膜pMOSFET
70のゲートで絶縁膜72より窒素濃度の低いゲート絶縁膜を用いることにより、ゲート
絶縁膜とシリコン基板における界面特性の劣化を防止し、チャネル領域でのキャリアの移
動度、装置の信頼性等の劣化を抑制することができる。
【0048】
ゲート絶縁膜72をシリコン酸窒化膜により形成し、かつ、ゲート絶縁膜82をシリコ
ン酸化膜、又はゲート絶縁膜72より窒素濃度の低いシリコン酸窒化膜で形成する工程と
、ハフニウム層34の面密度を、ハフニウム層14の面密度より低く形成する工程とを合
わせて行う。これにより、製造工程数の増加を抑えつつ、ハフニウム層とシリコン酸窒化
膜によりCMOSFETの性能向上を図ることができる。
【0049】
なお、前述した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を
限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/
改良されうると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1、3 CMOSFET
2 シリコン基板
10、70 pMOSFET
11 n型拡散層
12、32、72、82 ゲート絶縁膜
13、33 ゲート電極
14、34、61、63 ハフニウム層
16 p型エクステンション拡散層
17 p型ソース・ドレイン拡散層
18、38 絶縁膜
19、39 サイドウォール
20a、20b、40a、40b シリサイド層
30、80 nMOSFET
31 p型拡散層
36 n型エクステンション拡散層
37 n型ソース・ドレイン拡散層
50 素子分離領域
60、62 シリコン酸化膜
64 ポリシリコン層
65シリコン酸窒化膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上にpMOSFETとnMOSFETを備えるCMOSFETにおいて、
pMOSFETは、
前記半導体基板上に形成された第1ゲート絶縁膜と、
前記第1ゲート絶縁膜上に形成された第1ハフニウム層と、
前記第1ハフニウム層上に形成された第1ゲート電極と
を備え、
nMOSFETは、
前記半導体基板上に形成された第2ゲート絶縁膜と、
前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ハフニウム層と、
前記第2ハフニウム層上に形成された第2ゲート電極と
を備え、
前記第2ハフニウム層に導入されたハフニウムの面密度が、前記第1ハフニウム層に導
入されたハフニウムの面密度より低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2ハフニウム層に導入されるハフニウムの面密度が3×1013(atoms/
cm)より低いことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1ゲート絶縁膜がシリコン酸窒化膜であり、前記第2ゲート絶縁膜がシリコン酸
化膜、又は第1ゲート絶縁膜のシリコン酸窒化膜より窒素濃度の低いシリコン酸窒化膜で
あることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体基板の主面にn型半導体領域及びp型半導体領域を形成する工程と、
前記n型半導体領域上及び前記p型半導体領域上に第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜上に第1ハフニウム層を形成する工程と、
前記n型半導体領域上の前記第1絶縁膜及び前記第1ハフニウム層を除去する工程と、
前記n型半導体領域の前記半導体基板上に第2絶縁膜を形成する工程と、
前記第2絶縁膜上、及び前記第1ハフニウム層上にハフニウムを堆積させることで、前
記第2絶縁膜上に第2ハフニウム層を形成するとともに、前記第1ハフニウム層の面密度
を高くする工程と、
前記前記第1ハフニウム層上及び前記第2ハフニウム層上にゲート電極材料を堆積させ
る工程と、
前記ゲート電極材料と前記第1ハフニウム層と前記第1絶縁膜をパターニングすること
により、前記p型半導体領域に、第1ゲート電極と第3ハフニウム層と第1ゲート絶縁膜
を形成し、前記ゲート電極材料と前記第2ハフニウム層と前記第2絶縁膜をパターニング
することにより、前記n型半導体領域に、第2ゲート電極と第4ハフニウム層と第2ゲー
ト絶縁膜を形成する工程と
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1絶縁膜を形成する工程の後に、第1絶縁膜を窒化することを特徴とする請求項
4記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公開番号】特開2010−161299(P2010−161299A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3840(P2009−3840)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】