説明

半導体装置

【課題】半導体装置とリーダ/ライタとの通信方式にASK方式を用いる場合、リーダ/ライタから半導体装置へデータを送信していない場合に、半導体装置からリーダ/ライタへ送信したデータにより、無線信号の振幅が変化する。したがって、半導体装置が送信したデータを、リーダ/ライタから送信されたデータと誤って認識する場合がある。
【解決手段】半導体装置を、アンテナ回路と、送信回路と、受信回路と、演算処理回路と、から構成する。アンテナ回路において、無線信号を送受信する。また、送信回路は、アンテナ回路が無線信号を送信中か否かを示す信号を受信回路に出力する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信によりデータの送受信を行う半導体装置に関する。特に、データ伝送に振幅変調方式を用いる半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型ICチップと、無線通信用のアンテナを組み合わせた小型半導体装置(以下、半導体装置、RFチップともいう。また、RFIDタグ、無線タグ、IDタグ、ICタグ、RFタグともいわれる)が脚光を浴びている。この半導体装置は、無線通信装置(以下、リーダ/ライタともいう)を使った無線信号(動作磁界)の授受により、データを書き込む又はデータを読み出す等のデータの送受信を非接触で行うことができる。
【0003】
無線通信によりデータの送受信を行う半導体装置の応用分野として、例えば、流通業界における商品管理が挙げられる。現在では、バーコードなどを利用した商品管理が主流であるが、バーコードは光学的に読み取るため、遮蔽物があるとデータを読み取れない場合がある。一方、無線通信装置を用いて非接触でデータの送受信を行う方式では、半導体装置のデータを無線で読み取るため、遮蔽物があっても読み取ることができる。従って、商品管理の効率化、低コスト化などが期待されている。その他、乗車券、航空旅客券、料金の自動精算など、広範な応用が期待されている(例えば、特許文献1参照)。このように、無線通信によりデータの送受信を行う小型の半導体装置により人や物を識別、管理する仕組みはRFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれ、IT化社会の基盤技術として注目されている。
【特許文献1】特開2005−346622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RFIDにおける通信の規格として、例えば、ISO/IEC 15693などが規定されている。ISO/IEC 15693では、無線信号における搬送波の周波数として13.56MHz±7kHzを用い、リーダ/ライタと半導体装置の間のデータの送受信は、ASK(Amplitude Shift Keying 振幅変位キーイング)方式を用いる。
【0005】
図2に、ASK方式におけるリーダ/ライタと半導体装置の間のデータ送受信時の無線信号の一例を示す。図2において、無線信号201は、搬送波の周波数で振動する電磁波である。無線信号201により伝送されるデータは、無線信号201の振幅の包絡線202によって表される。以下、簡単のため、無線信号201の振幅が最大の場合を”W”、最小の場合を”N”とする。例えば、リーダ/ライタから送信されたデータを半導体装置が受信する場合は、無線信号201における”N”の出現の様子から、あらかじめ規定された符号化方式にしたがって、データの値を識別する。具体的には、無線信号201における”N”が出現するタイミング、期間、又は回数などから、あらかじめ規定された符号化方式にしたがって、データの値を識別することができる。また、リーダ/ライタに半導体装置からデータを送信する場合には、データの値に応じて、あらかじめ規定された符号化方式にしたがって、無線信号201を変調し、”N”の出現の様子、具体的には、”N”の出現のタイミング、期間、回数などを変更することができる。符号化方式としては、例えばISO/IEC 15693で規定されている4中1方式を用いることができる。
【0006】
なお、リーダ/ライタから半導体装置に送信されるデータには、半導体装置の回路リセットを示すリセット信号、リーダ/ライタから半導体装置へのデータ送信の開始/終了を示すSOF(Start of Frame)/EOF(End of Frame)信号、半導体装置に送信したいデータ信号、半導体装置内部におけるクロック信号の同期を取るための同期信号、リーダ/ライタから半導体装置へのデータの送信ミスが無いかを調べるために用いるパリティ信号、などが含まれる。また、半導体装置からリーダ/ライタに送信するデータには、半導体装置からリーダ/ライタへのデータ送信の開始/終了を示すSOF(Start of Frame)/EOF(End of Frame)信号、リーダ/ライタに送信したいデータ信号、などが含まれる。
【0007】
ところで、このようなデータ伝送方式では、リーダ/ライタから半導体装置へデータを送信していない場合でも、半導体装置からリーダ/ライタへ送信したデータにより、無線信号の振幅が変化する。そのため、半導体装置自身が送信したデータを、リーダ/ライタから送信されたデータと誤って認識することがある。
【0008】
本発明は、上記の問題を鑑みなされたもので、半導体装置の誤作動を抑制し、信頼性を向上した半導体装置を提供することを課題とする。特に、半導体装置自身がリーダ/ライタに送信したデータを、リーダ/ライタから送信されたデータと誤って認識することがない、信頼性を向上した半導体装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における半導体装置は、アンテナ回路と、送信回路と、受信回路と、演算処理回路と、を有する。本発明の半導体装置は、アンテナ回路において、無線信号を送受信する。また、アンテナ回路は、無線信号を整流化した信号を生成し、受信回路へ出力する機能を有する。さらに、アンテナ回路は、送信回路から入力された変調を掛けるための信号により無線信号に変調をかける機能を有する。送信回路は、演算処理回路から出力された送信データから変調を掛けるための信号を生成し、アンテナ回路へ出力する機能を有する。また、送信回路は、半導体装置からリーダ/ライタへデータ送信中か否かを示す信号、すなわちアンテナ回路からリーダ/ライタへ無線信号を送信中か否かを示す信号を受信回路へ出力する機能を有する。受信回路は、アンテナ回路から入力された無線信号を整流化した信号と、送信回路から入力されたデータ送信中か否かを示す信号と、から復調信号を生成し、演算処理回路へ出力する機能を有する。演算処理回路は、受信回路から入力された復調信号を用いて演算処理を行い、送信データを送信回路へ出力する機能を有する。本発明は、送信回路が、半導体装置からリーダ/ライタへデータ送信中か否かを示す信号を受信回路へ出力することを特徴としている。また、受信回路が、アンテナ回路から入力された整流化した信号と、送信回路から入力されたデータ送信中か否かを示す信号と、から、復調信号を生成することを特徴としている。受信回路は、半導体装置からリーダ/ライタへデータ送信中であることを示す状態信号が入力された場合は、整流信号に依らず、ある一定の信号を出力する。このような構成とすることで、半導体装置自身がリーダ/ライタに送信したデータを、リーダ/ライタから送信されたデータと誤って認識することを防ぐことができる。
【0010】
本明細書で開示する本発明の構成は、無線信号を送受信するアンテナ回路と、送信回路と、受信回路と、演算処理回路と、を有し、送信回路は、アンテナ回路が無線信号を送信中か否かを示す信号を受信回路に出力することを特徴とする。
【0011】
また、本明細書で開示する本発明の他の構成は、無線信号を送受信するアンテナ回路と、送信回路と、受信回路と、演算処理回路と、を有し、送信回路は、アンテナ回路が無線信号を送信中か否かを示す信号を受信回路に出力し、受信回路は、送信回路からアンテナ回路が無線信号を送信中であることを示す信号が入力された場合は、アンテナ回路からの信号に関わらず、アンテナ回路が無線信号を受信していないことを示す信号を演算処理回路に出力することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の構成は、アンテナ回路は、アンテナと、共振容量と、変調抵抗と、整流回路と、から構成することができる。
【0013】
また、アンテナは、コイルアンテナであっても良いし、ダイポールアンテナであっても良い。
【0014】
また、変調抵抗は、Nチャネルトランジスタから構成されていても良いし、Pチャネルトランジスタから構成されていても良い。
【0015】
また、整流回路は、全波整流回路であっても良いし、整流回路は、半波整流回路であっても良い。
【0016】
また、本発明における半導体装置は、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体膜を有する薄膜トランジスタを用いて構成していても良い。
【0017】
なお、絶縁表面を有する基板とは、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、SOI基板のいずれかであることが望ましい。
【0018】
本明細書において、「無線通信装置」とは、半導体装置と無線通信により情報の送受信を行う手段を有していればよく、例えば、情報を読み取る機能及び情報を書き込む機能の両方又はいずれか一方の機能を備えるものも範疇に含み、リーダ/ライタと表記するものとする。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、半導体装置の動作信頼性を向上することが可能となり、高性能な半導体装置を提供することができる。特に、半導体装置からリーダ/ライタへ送信したデータを、前記リーダ/ライタから前記半導体装置へ送信されたデータと、前記半導体装置が誤って認識することを防止することができる。よって、半導体装置の誤動作を抑制でき、信頼性を向上した半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
本実施の形態では、本発明における半導体装置について、図1及び図3を用いて説明する。図1は、本発明における半導体装置のハードウェア構成である。また、図3は、図1に示した本発明における半導体装置の各信号のタイミングチャートである。
【0022】
図1において、半導体装置101は、アンテナ回路102と、送信回路103と、受信回路104と、演算処理回路105と、から構成される。なお、図1では、説明の簡単化のため、受信信号106と、送信信号107と、を別の信号として示したが、実際には、両者は重ね合わされており、半導体装置101及びリーダ/ライタの間で同時に送受信される。また、本実施の形態では、受信信号106と送信信号107のどちらも無線信号108と記す場合がある。図1では、リーダ/ライタは省略している。
【0023】
アンテナ回路102は、無線信号108の送受信、すなわちリーダ/ライタから受信信号106を受信し、送信信号107をリーダ/ライタに送信する回路である。また、アンテナ回路102は、リーダ/ライタから受信する受信信号106を整流化し、平滑化した信号109(以下、整流信号109ともいう)を生成する機能を有する。また、アンテナ回路102は、リーダ/ライタへ送信する信号に変調をかけ、送信信号107を生成する機能を有する。このとき、アンテナ回路102は、送信回路103から入力される変調信号110によって、リーダ/ライタへ送信する信号に変調をかける。
【0024】
例えば、アンテナ回路102は、アンテナと、共振容量と、変調抵抗と、整流回路と、から構成することができる。また、アンテナと、共振容量と、で共振回路を構成することができる。この場合、アンテナ回路102を構成する共振回路により、リーダ/ライタから受信した受信信号106を交流電気信号に変換し、さらに整流回路により、交流電気信号を整流化し、平滑化して整流信号109に変換することができる。整流回路としては、全波整流回路を適用することができる。また、送信回路103から入力された変調信号110に従って変調抵抗の値を変更することで、リーダ/ライタへ送信する送信信号107を生成することができる。
【0025】
送信回路103は、演算処理回路105から入力される送信データ111から、リーダ/ライタへ送信する信号に変調をかけるための信号110(以下、変調信号110とする)を生成し、アンテナ回路102へ出力する機能を有する。なお、送信データ111は、演算処理回路105における演算処理結果である。例えば、送信回路103は、あらかじめ決められたデータ符号化方式にしたがって送信データ111を変調信号110に変換する。例えば、変調方式として、ISO/IEC 15693に規定されている単一副搬送波の高速モードを用いる場合、送信データ111が”L”ならば、変調信号110として、最初に423.75kHzのパルス信号を8パルス生成し、続いて18.88μsの間は”H”の期間を生成する。また、送信データ111が”H”ならば、変調信号110として、最初の18.88μsの間は”H”を生成し、続いて、423.75kHzのパルス信号を8パルス生成する。
【0026】
また、送信回路103は、半導体装置101がデータ送信中か否か、すなわちアンテナ回路102が送信信号107を送信中か否かを示す信号112(以下、状態信号112とする)を受信回路104へ出力する機能を有する。例えば、送信回路103は、半導体装置101がデータ送信中の場合は状態信号112として”H”を出力し、半導体装置101がデータ送信していない場合は状態信号112として”L”を出力するようにすることができる。
【0027】
ここで、信号が”L”とは、当該信号の電位が第1の電位、例えば低電位であることを意味するものとする。また、信号が”H”とは、当該信号の電位が第2の電位、例えば信号が”L”の場合よりも高電位であることを意味するものとする。
【0028】
受信回路104は、アンテナ回路102から入力された整流信号109と、送信回路103から入力された状態信号112と、から、リーダ/ライタから受信信号106を受信している場合には、整流信号109から受信信号106に含まれるデータを復調した信号113(以下、復調信号113とする)を生成する機能を有する。なお、リーダ/ライタから受信信号106を受信していない場合は、整流信号109に関わらず、復調されていない一定の信号が復調信号113として出力される。ここで、半導体装置101がデータ送信していない場合は送信回路103から状態信号112として”L”が入力され、半導体装置101がデータ送信中の場合は送信回路103から状態信号112として”H”が入力される場合を説明する。受信回路104に状態信号112として”L”が入力された場合は、整流信号109を復調した復調信号113を生成する。一方、受信回路104に状態信号112として”H”が入力された場合は、整流信号109に関わらず、復調されていない一定の復調信号113を生成する。
【0029】
なお、受信回路104は、例えば、ローパスフィルタと、論理和を演算する制御回路と、から構成することができる。この場合、受信回路104を構成するローパスフィルタにより、アンテナ回路102から入力された整流信号109から受信信号106又は送信信号107に含まれるデータを復調した信号(以下、第2の復調信号とする)に変換することができる。また、制御回路において、整流信号109が変換された第2の復調信号と、送信回路103から入力された状態信号112と、の論理和を演算することで、受信信号106に含まれたデータを復調した復調信号113、又は復調されていない一定の復調信号113を生成することができる。
【0030】
演算処理回路105は、受信回路104から入力された復調信号113により、半導体装置101が受信したデータがリーダ/ライタから送信されたデータか、半導体装置101自身が送信したデータか、を判別し、演算処理を行い、送信データ111を生成する機能を有する。例えば、演算処理回路105は、CPU、ROM、RAM、専用回路などから構成され、ID番号の取得、暗号処理などの演算処理を行い、演算処理結果を送信データ111として生成する。
【0031】
以下、図1に示す半導体装置101の動作の一例について、図3のタイミングチャートを用いて説明する。第1の信号308は、図1における無線信号108である。第2の信号309は、図1における整流信号109である。第3の信号310は、図1における変調信号110である。第4の信号311は、図1における送信データ111である。第5の信号312は、図1における状態信号112である。第6の信号313は、図1における復調信号113である。また、図3において、非送受信期間301、第1のデータ受信期間302、第2のデータ受信期間303、第1のデータ送信期間304、第2のデータ送信期間305を実線の矢印で示している。
【0032】
図3において、第1の信号308の振幅が常に最大、すなわち”W”の期間は、非送受信期間301である。第1の信号308の振幅が最小、すなわち”N”となる期間を有し、第5の信号312が”L”である期間は、第1のデータ受信期間302である。また、第1のデータ受信期間302とは異なるタイミングで第1の信号308が”N”となる期間を有し、第5の信号312が”L”である期間は、第2のデータ受信期間303である。第1の信号308が”N”となる期間を有し、第5の信号312が”H”である期間は、第1のデータ送信期間304である。また、第1のデータ送信期間304とは異なるタイミングで第1の信号308が”N”となる期間を有し、第5の信号312が”H”である期間は、第2のデータ送信期間305である。
【0033】
なお、本実施の形態では、リーダ/ライタから送信されたデータを識別する符号化方式として、ISO/IEC 15693で規定されている4中1方式を用いることにする。4中1方式とはパルス位置変調方式の1つであり、ある区間の中で変調をかける位置が4箇所あり、変調をかける位置で2進数を表現する方式である。
【0034】
非送受信期間301は、リーダ/ライタは半導体装置101へデータを送信しておらず、半導体装置101もリーダ/ライタへデータを送信していない期間である。したがって、図1の無線信号108は常に振幅が最大、すなわち”W”であり、図3の第1の信号308のようになる。このとき、図1のアンテナ回路102は無線信号108から整流信号109を生成して出力する。したがって、図1の整流信号109は、図3の第2の信号309のように常に振幅が最大、すなわち”W”の信号になる。図1の送信回路103は、半導体装置101がリーダ/ライタへデータ送信中でないため、状態信号112として”L”を出力する。したがって、図1の状態信号112は、図3の第5の信号312のようになる。また、図1の演算処理回路105は、半導体装置101がリーダ/ライタへデータ送信中でないため、送信データ111としても”L”を出力する。したがって、図1の送信データ111は、図3の第4の信号311のようになる。さらに、図1の送信回路103から出力される変調信号110も”L”となり、図3の第3の信号310のようになる。図1の受信回路104は、整流信号109と、状態信号112と、の論理和を演算して、復調信号113として”H”を出力する。したがって、図1の復調信号113は、図3の第6の信号313のようになる。なお、演算処理回路105は、復調信号113から、半導体装置101はリーダ/ライタからのデータを受信していないと判別し、特別な演算処理は行わない。なお、ここでいう「特別な演算処理」とは、リーダ/ライタから送信されたデータを用いた演算処理のことを意味する。
【0035】
次に、第1のデータ受信期間302は、リーダ/ライタが半導体装置101へデータを送信している期間である。図1における無線信号108は振幅が最小となる期間を有する。すなわち、図3の第1の信号308は、”N”となる期間を有する。このとき、図1のアンテナ回路102は、無線信号108から整流信号109を生成して出力する。したがって、図1の整流信号109は、図3の第2の信号309のように、第1の信号308(図1の無線信号108)に対応した”N”となる期間を有する。図1の送信回路103は、半導体装置101がリーダ/ライタへデータ送信中でないため状態信号112として”L”を出力する。したがって、図1の状態信号112は、図3の第5の信号312のようになる。また、図1の演算処理回路105は、半導体装置101がリーダ/ライタへデータ送信中でないため、送信データ111としても”L”を出力する。したがって、図1の送信データ111は、図3の第4の信号311のようになる。さらに、図1の送信回路103から出力される変調信号110も”L”となり、図3の第3の信号310のようになる。図1の受信回路104は、整流信号109と、状態信号112と、の論理和を演算して、復調信号113を出力する。図1の復調信号113は、図3の第6の信号313のようになる。ここで、図3の第6の信号313は、第2の信号309(図1の整流信号109)が”N”となる期間に対応して、”L”を出力する。図1の演算処理回路105では、復調信号113が”L”となるタイミングから、リーダ/ライタから送信されたデータは”HL”であると判別する。なお、演算処理回路105は、データ”HL”を用いて、適宜演算処理を行う。
【0036】
次に、第2のデータ受信期間303は、リーダ/ライタが半導体装置101へデータを送信している期間である。第2のデータ受信期間303において、図1における無線信号108は振幅が最小となる期間を有する。すなわち、図3の第1の信号308は、”N”となる期間を有する。なお、第2のデータ受信期間303は、第1のデータ受信期間302と同様に第1の信号308が”N”となる期間を有するが、”N”となるタイミングが異なっている。このとき、図1のアンテナ回路102は、無線信号108から整流信号109を生成して出力する。したがって、図1の整流信号109は、図3の第2の信号309のように、第1の信号308(図1の無線信号108)に対応した”N”となる期間を有する。図1の送信回路103は、半導体装置101がリーダ/ライタへデータ送信中でないため状態信号112として”L”を出力する。したがって、図1の状態信号112は、図3の第5の信号312のようになる。また、図1の演算処理回路105は、半導体装置101がリーダ/ライタへデータ送信中でないため、送信データ111としても”L”を出力する。したがって、図1の送信データ111は、図3の第4の信号311のようになる。さらに、図1の送信回路103から出力される変調信号110も”L”となり、図3の第3の信号310のようになる。図1の受信回路104は、整流信号109と、状態信号112と、の論理和を演算して、復調信号113を出力する。図1の復調信号113は、図3の第6の信号313のようになる。ここで、図3の第6の信号313は、第2の信号309(図1の整流信号109)が”N”となる期間に対応して、”L”を出力する。図1の演算処理回路105では、復調信号113が”L”となるタイミングから、リーダ/ライタから送信されたデータは”LL”であると判別する。なお、演算処理回路105は、データ”LL”を用いて、適宜演算処理を行う。
【0037】
次に、第1のデータ送信期間304は、半導体装置101がリーダ/ライタへデータを送信している期間である。このとき、送信回路103は、無線信号108を変調するための変調信号110を出力する。なお、変調信号110は、演算処理回路105から入力される送信データ111を、あらかじめ規定されたデータ符号化方式にしたがって変換することで生成される。図3の第1のデータ送信期間304においては、図1の送信データ111として”L”を出力し、当該送信データ111を変換することで、あるタイミングで”H”となる期間を有する変調信号110を出力する。したがって、図1の送信データ111は、図3の第4の信号311のようになる。また、図1の変調信号110は、図3の第3の信号310のようになる。
【0038】
ここで、図1のアンテナ回路102において、送信回路103から入力された変調信号110により、無線信号108が変調される。具体的には、図1の無線信号108は、変調信号110の”H”の出力に対応した”N”となる期間を有する。したがって、図3の第1の信号308は、第3の信号310の”H”の出力に対応した”N”となる期間を有する。また、図1のアンテナ回路102において、無線信号108から整流信号109が生成されるため、当該整流信号109は、図3の第2の信号309のように、第1の信号308(図1の無線信号108)に対応した”N”となる期間を有する。
【0039】
ところで、図1の送信回路103は、半導体装置101がリーダ/ライタへデータ送信中であるため、状態信号112として”H”を出力する。したがって、図1の状態信号112は、図3の第5の信号312のようになる。また、図1の受信回路104は、送信回路103から入力された状態信号112が”H”であるため、整流信号109と、状態信号112と、の論理和は、整流信号109に依らずに”H”となる。したがって、受信回路104は復調信号113として”H”を出力し、図3の第6の信号313のようになる。演算処理回路105は、非送受信期間301と同様の復調信号113を受け取ることになり、半導体装置101はリーダ/ライタからのデータを受信していないと判別し、特別な演算処理は行わない。つまり、無線信号108が”N”となる期間を有するものの、演算処理回路105の動作は、非送受信期間301と同様である。
【0040】
次に、第2のデータ送信期間305は、半導体装置101がリーダ/ライタへデータを送信している期間である。このとき、送信回路103は、無線信号108を変調するための変調信号110を出力する。なお、変調信号110は、演算処理回路105から入力される送信データ111を、あらかじめ規定されたデータ符号化方式にしたがって変換することで生成される。図3の第2のデータ送信期間305においては、図1の送信データ111として”H”を出力し、当該送信データ111を変換することで、上記第1のデータ送信期間304とは異なったタイミングで”H”となる期間を有する変調信号110を出力する。したがって、図1の送信データ111は、図3の第4の信号311のようになる。また、図1の変調信号110は、図3の第3の信号310のようになる。そして、図3の第3の信号310は、第1のデータ送信期間304とは異なるタイミングで”H”となる期間を有する。
【0041】
ここで、図1のアンテナ回路102において、送信回路103から入力された変調信号110により、無線信号108が変調される。具体的には、図1の無線信号108は、変調信号110の”H”の出力に対応した”N”となる期間を有する。したがって、図3の第1の信号308は、第3の信号310の”H”の出力に対応した”N”となる期間を有する。また、図1のアンテナ回路102において、無線信号108から整流信号109が生成されるため、当該整流信号109は、図3の第2の信号309のように、第1の信号308(図1の無線信号108)に対応した”N”となる期間を有する。
【0042】
ところで、図1の送信回路103は、半導体装置101がリーダ/ライタへデータ送信中であるため、状態信号112として”H”を出力する。したがって、図1の状態信号112は、図3の第5の信号312のようになる。また、図1の受信回路104は、送信回路103から入力された状態信号112が”H”であるため、整流信号109と、状態信号112と、の論理和は、整流信号109に依らずに”H”となる。したがって、受信回路104は、復調信号113として”H”を出力し、図3の第6の信号313のようになる。演算処理回路105は、非送受信期間301と同様の復調信号113を受け取ることになり、半導体装置101はリーダ/ライタからのデータを受信していないと判別し、特別な演算処理は行わない。つまり、無線信号108が”N”となる期間を有するものの、演算処理回路105の動作は、非送受信期間301と同様である。
【0043】
以上のような構成とすることで、半導体装置自らがリーダ/ライタに送信したデータを、リーダ/ライタから送信されたデータと誤って認識することがない半導体装置を提供することができる。すなわち、半導体装置の動作信頼性を向上することが可能であり、高性能の半導体装置を提供することができる。
【実施例1】
【0044】
本実施例では、実施の形態で説明した、本発明における半導体装置を構成する回路について、図4、図5、図6、図7を用いて、より詳しく説明する。図4は、本発明における半導体装置を構成するアンテナ回路102の回路図の一例である。図5は、本発明における半導体装置を構成する受信回路104の回路図の一例である。図6は、本発明における半導体装置を構成する送信回路103の回路図の一例である。また、図7は、本発明における半導体装置を構成する演算処理回路105の回路図の一例である。
【0045】
図4において、アンテナ回路102は、アンテナ401と、共振容量402と、変調抵抗403と、整流回路404と、から構成される。アンテナ401は、ここではコイルアンテナを示したが、ダイポールアンテナなど、無線信号の周波数帯に応じて、様々な態様をとることができる。共振容量402は、電気容量405から構成される。アンテナ401と、共振容量402と、で共振回路が構成され、当該共振回路により、受信信号(無線信号)を交流電気信号に変換することができる。
【0046】
変調抵抗403は、Nチャネルトランジスタ406から構成される。ここで、アンテナ回路102に入力される変調信号110を”H”とすると、Nチャネルトランジスタ406のゲート電極の電位が”H”となり、送信信号(無線信号)に変調をかけることができる。なお、変調抵抗403を、Pチャネルトランジスタから構成することも可能である。この場合、アンテナ回路102に入力される変調信号110を”L”とすると、Pチャネルトランジスタのゲート電極の電位が”L”となり、送信信号(無線信号)に変調をかけることができる。
【0047】
整流回路404は、第1のダイオード407、第2のダイオード408、第3のダイオード409、第4のダイオード410から構成される全波整流回路である。共振回路で生成された交流電気信号を、直流電気信号である整流信号109に変換する。なお、整流回路404は、半波整流回路とすることも容易に可能である。
【0048】
図5において、受信回路104は、ローパスフィルタ411と、制御回路412と、から構成される。ローパスフィルタ411は、電気抵抗413と、電気容量414と、から構成され、アンテナ回路102から入力された整流信号109の電位振幅に応じた電位を生成し、第2の復調信号114を出力する。制御回路412は、論理和回路415から構成される。制御回路412は、第2の復調信号114と、送信回路103から入力される状態信号112と、の論理和を演算し、復調信号113を生成する。ここで、状態信号112が”H”の場合、第2の復調信号114の電位に係わらず、復調信号113は”H”が出力される。
【0049】
図6において、送信回路103は、送信データレジスタ601と、タイミングコントローラ602と、変調信号生成回路603と、から構成される。
【0050】
送信データレジスタ601は、演算処理回路105から入力される全ての送信データ111もしくは当該送信データ111の一部を格納した後、半導体装置101からリーダ/ライタへ送信されるデータの順番に従って、送信データ111を並び替える機能を有する。また、送信データレジスタ601は、並び替えた送信データ111を変調データ604として、変調信号生成回路603に順次出力する機能を有する。さらに、送信データレジスタ601は、格納された全ての送信データ111を変調データ604として出力するまでの期間は、受信回路104へ状態信号112として”H”を出力する機能を有する。
【0051】
タイミングコントローラ602は、変調信号生成回路603に出力するタイミング信号605を生成する機能を有する。例えば、半導体装置101からリーダ/ライタへのデータ送信方式として、ISO/IEC 15693に規定されている単一副搬送波の高速モードを用いる場合は、タイミング信号605として、423.75kHzのパルス信号を生成する。
【0052】
変調信号生成回路603は、送信データレジスタ601から入力された変調データ604と、タイミングコントローラ602から入力されたタイミング信号605と、を用いて、変調信号110を生成する機能を有する。例えば、半導体装置101からリーダ/ライタへのデータ送信方式として、ISO/IEC 15693に規定されている単一副搬送波の高速モードを用いる場合について説明する。変調データ604が”L”を出力するときは、変調信号110として、最初に423.75kHzのパルス信号を8パルス生成し、続いて18.88μsの間は”H”を生成する。また、変調データ604が”H”を出力するときは、変調信号110として、最初の18.88μsの間は”H”を生成し、続いて423.75kHzのパルス信号を8パルス生成する。
【0053】
図7において、演算処理回路105は、CPU501と、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、コントローラ504と、から構成される。
【0054】
コントローラ504は、演算処理回路105に入力される復調信号113から、リーダ/ライタから送信されたデータを抽出し、RAM503に格納する。リーダ/ライタから送信されたデータとは、例えば、実行コマンドや暗号データである。また、コントローラ504は、リーダ/ライタから送信されたデータをRAM503に格納し終わると、CPU501のリセット信号を解除する。当該CPU501のリセット信号が解除されると、CPU501は、RAM503に格納されたデータを用いて、ROM502に格納されたプログラムに従い、処理を実行する。なお、CPU501は、プログラム実行時にRAM503を作業領域としても用いる。CPU501が実行する処理は、例えば、コマンド解析、暗号解読である。また、CPU501は、演算処理結果をRAM503に格納する。演算処理結果とは、例えば、復号データである。CPU501が処理の実行を終了すると、CPU501は、終了を示す信号をコントローラ504に送る。続いて、コントローラ504は、RAM503に格納された演算処理結果を読み出して、送信データ111として出力する。
【0055】
以上のような構成とすることで、半導体装置自らがリーダ/ライタに送信したデータを、誤ってリーダ/ライタから送信されたデータと認識することがない半導体装置を提供することができる。すなわち、半導体装置の動作信頼性を向上することが可能であり、高性能の半導体装置を提供することができる。
【実施例2】
【0056】
次に、本発明の半導体装置の構造の一例に関して図面を用いて説明する。本実施例の半導体装置700の上面図を図10(A)に、図10(A)における線分A−Bの断面図を図10(B)に示す。
【0057】
図10(A)に示すように、本実施例の半導体装置700は、集積回路706及びアンテナ704が、基板790、791で挟持されている。集積回路706は、図1に示すアンテナ回路102、送信回路103、受信回路104、演算処理回路105を示している。但し、集積回路706は、アンテナ回路102を構成するアンテナは除く。また、図10(B)に示すように、集積回路706とアンテナ704とは、接続端子714によって電気的に接続されている。
【0058】
なお、接続端子714とアンテナ704の接続については特に限定されない。例えばアンテナ704と接続端子714をワイヤボンディング接続やバンプ接続を用いて接続するという方法を取ることができる。さらには、接続端子714とアンテナ704との貼り付けにはACF(anisotropic conductive film;異方性導電性フィルム)を用いることができる。
【0059】
図10(B)では、集積回路706として、アンテナ回路の一部である容量部710(例えば、図4に示す電気容量405)及びその他の回路(受信回路、送信回路、演算処理回路等)を構成するトランジスタ部712を有する。なお、ここでは前記その他の回路を構成するトランジスタとして薄膜トランジスタを用いる例を示したが、前記その他の回路の求められる機能に応じて抵抗素子、容量素子、整流素子等を有していてもよい。また、集積回路706を構成するトランジスタとして、Siウエハーに形成されたMOSトランジスタを用いてもよい。さらに、ここでは容量部710は薄膜トランジスタ構造の容量素子を有するものとするが、当該容量素子の半導体膜部分は、全面にn型を付与する不純物元素又はp型を付与する不純物元素が添加されているものとする。不純物が添加された半導体膜部分は、容量素子の下部電極として機能する。もちろん、アンテナ回路は、容量素子の他、薄膜トランジスタ、抵抗素子、整流素子等を有していてもよい。
【0060】
また、図16に示すように、集積回路706とアンテナ704とを別々の基板に形成して、異方性導電接着材1036等を用いて電気的に接続することもできる。図16に示す半導体装置700は、基板1040に形成された集積回路706と、基板1050に形成されたアンテナ704とが、異方性導電接着材1036によって固着されている。異方性導電接着材1036は、有機樹脂1032及び導電性粒子1034で構成されている。また、接続端子714とアンテナ704とは、導電性粒子1034によって電気的に接続されている。
【0061】
ここで、本発明の半導体装置に用いることができるアンテナの形状について例を示す。半導体装置に用いることが可能なアンテナの形状として、例えば図10(A)に示すようなコイル状のアンテナ704(コイルアンテナともいう)を用いることができる。また、図8(A)のように基板上の集積回路706の周りに一面のアンテナ704を配した構造を取っても良い。また、図8(B)のように基板上の集積回路706に対して、高周波数の電磁波を受信するためのアンテナ704の形状をとってもよい。また、図8(C)のように基板上の集積回路706に対して、180度無指向性(どの方向からでも同じく受信可能)を有するアンテナ704の形状をとってもよい。また、図8(D)にように、基板上の集積回路706に対して、棒状に長く伸ばしたアンテナ704の形状(ダイポールアンテナともいう)をとってもよい。また、パッチアンテナやセラミックアンテナを用いてもよい。また、アンテナとして機能する導電膜の形状は線状に限られず、電磁波の波長を考慮して曲線状や蛇行形状またはこれらを組み合わせた形状で設けてもよい。
【0062】
また、アンテナの長さは受信に用いる周波数によって適正な長さが異なる。そのため、一般には波長の整数分の1の長さにすることが好ましい。
【0063】
アンテナ704とリーダ/ライタ間で送受信される信号の周波数は、規定されるISO規格などで異なる。上記実施の形態ではISO/IEC 15693に準拠した例を示したため、周波数として13.56MHz±7kHzを用いる場合を説明した。勿論、アンテナ704とリーダ/ライタ間で送受信される信号の周波数はこれに限定されず、他のISO規格を用いた場合などは、125kHz、915MHz、2.45GHzなどがある。その他、例えばサブミリ波である300GHz〜3THz、ミリ波である30GHz〜300GHz、マイクロ波である3GHz〜30GHz、極超短波である300MHz〜3GHz、超短波である30MHz〜300MHz、短波である3MHz〜30MHz、中波である300KHz〜3MHz、長波である30KHz〜300KHz、及び超長波である3KHz〜30KHzのいずれの周波数も用いることができる。
【0064】
また、上述した無線通信によりデータの送受信を行う半導体装置における信号の伝送方式は、電磁結合方式、電磁誘導方式またはマイクロ波方式等を用いることができる。伝送方式は、実施者が使用用途を考慮して適宜選択すればよく、伝送方式に伴って最適なアンテナを設ければよい。
【実施例3】
【0065】
本実施例では、上記実施の形態で示した本発明の半導体装置の作製方法の一例について、図11〜図14を用いて説明する。
【0066】
まず、基板701の一表面に剥離層702を形成し、続けて下地膜として機能する絶縁膜703と半導体膜705(例えば、非晶質シリコンを含む膜)を積層して形成する(図11(A)参照)。なお、剥離層702、絶縁膜703および非晶質半導体膜705は、連続して形成することができる。
【0067】
基板701は、絶縁表面を有する基板を用いることができる。例えば、ガラス基板、石英基板、金属基板(例えばステンレス基板など)、セラミック基板、Si基板等の半導体基板、などから選択することができる。他にもプラスチック基板として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、アクリルなどの基板を選択することもできる。なお、本工程では、剥離層702は、基板701の全面に設けているが、必要に応じて、基板701の全面に剥離層を設けた後に、フォトリソグラフィ法により選択的に設けてもよい。また、基板701と剥離層702との間に、ブロッキング層として機能する絶縁膜を設けてもよい。
【0068】
剥離層702は、金属膜や、金属膜と金属酸化膜の積層構造等を用いることができる。金属膜としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)から選択された元素、または当該元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる膜を単層又は積層して形成する。また、これらの材料は、スパッタ法、又はプラズマCVD法等の各種CVD法等を用いて形成することができる。金属膜と金属酸化膜の積層構造としては、上述した金属膜を形成した後に、酸素雰囲気下若しくはNO雰囲気下におけるプラズマ処理、又は酸素雰囲気下若しくはNO雰囲気下における加熱処理を行うことによって、金属膜表面に当該金属膜の酸化物または酸化窒化物を設けることができる。例えば、金属膜としてスパッタ法やCVD法等によりタングステン膜を設けた場合、タングステン膜にプラズマ処理を行うことによって、タングステン膜表面にタングステン酸化物からなる金属酸化膜を形成することができる。また、この場合、タングステンの酸化物はWOxで表され、Xは2〜3であり、Xが2の場合(WO)、Xが2.5の場合(W)、Xが2.75の場合(W11)、Xが3の場合(WO)などがある。タングステンの酸化物を形成するにあたり、上記に挙げたXの値に特に制約はなく、エッチングレート等を基に、どの酸化物を形成するかを決めるとよい。他にも、例えば、金属膜(例えば、タングステン)を形成した後に、当該金属膜上にスパッタ法で酸化シリコン(SiO)等の絶縁膜を設けることで、金属膜と絶縁膜との界面に前記金属膜の酸化物(例えば、タングステン上にタングステン酸化物)を形成することができる。また、プラズマ処理として、例えば高密度プラズマ処理を行ってもよい。ここで、高密度プラズマ処理とは、高周波を用いて電子密度が1×1011cm−3以上、且つ電子温度が1.5eV以下の条件で行うプラズマ処理を意味している。具体的には、マイクロ波(代表的には2.45GHz)等の高周波で励起され、電子密度が1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下、且つ電子温度が0.5eV以上1.5eV以下のプラズマを利用して行うことが好ましい。また、剥離層702は、金属酸化膜の他にも、金属窒化物や金属酸化窒化物を用いてもよい。この場合、金属膜に窒素雰囲気下または窒素と酸素雰囲気下でプラズマ処理や加熱処理を行えばよい。
【0069】
絶縁膜703は、CVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y>0)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y>0)等の絶縁材料を用いて形成する。例えば、絶縁膜703を2層構造とする場合、第1層目の絶縁膜として窒化酸化シリコン膜を形成し、第2層目の絶縁膜として酸化窒化シリコン膜を形成するとよい。また、第1層目の絶縁膜として窒化シリコン膜を形成し、第2層目の絶縁膜として酸化シリコン膜を形成してもよい。絶縁膜703は、基板701又は剥離層702から、当該剥離層702の上方に形成される素子に不純物元素が混入するのを防ぐブロッキング層として機能する。このように、ブロッキング層として機能する絶縁膜703を形成することによって、基板701からNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が、剥離層702から剥離層に含まれる不純物元素がこの上に形成する素子に悪影響を与えることを防ぐことができる。なお、基板701として石英を用いるような場合には絶縁膜703を省略してもよい。
【0070】
非晶質半導体膜705は、スパッタリング法、LPCVD法、プラズマCVD法等により、25nm〜200nm(好ましくは30nm〜150nm)の厚さで形成する。
【0071】
次に、非晶質半導体膜705にレーザービームを照射して結晶化を行う。なお、レーザービームの照射と、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とを組み合わせた方法等により非晶質半導体膜705の結晶化を行ってもよい。
【0072】
次に、得られた結晶質半導体膜に対して、p型を付与する不純物元素又はn型を付与する不純物元素を低濃度に添加するチャネルドープ工程を全面又は選択的に行う。p型を付与する不純物元素としては、ボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等を用いることができる。n型を付与する不純物元素としては、リン(P)やヒ素(As)等を用いることができる。ここでは、不純物元素として、ボロン(B)を用い、当該ボロンが1×1016/cm〜5×1017/cmの濃度で含まれるよう添加する。その後、得られた結晶質半導体膜を所望の形状にエッチングして、半導体膜732、半導体膜734、半導体膜736、半導体膜738、半導体膜740を形成する(図11(B)参照)。なお、チャネルドープ工程は、結晶質半導体膜を所望の形状にエッチングした後に行ってもよい。
【0073】
次に、半導体膜732、734、736、738、740を覆うようにゲート絶縁膜745を形成する(図11(C)参照)。
【0074】
ゲート絶縁膜745は、CVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y>0)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y>0)等の絶縁材料を用いて形成する。例えば、ゲート絶縁膜745を2層構造とする場合、第1層目の絶縁膜として酸化窒化シリコン膜を形成し、第2層目の絶縁膜として窒化酸化シリコン膜を形成するとよい。また、第1層目の絶縁膜として酸化シリコン膜を形成し、第2層目の絶縁膜として窒化シリコン膜を形成してもよい。
【0075】
結晶質半導体膜732、734、736、738、740の作製工程の一例を以下に簡単に説明する。まず、プラズマCVD法を用いて、膜厚50nm〜60nmの非晶質半導体膜を形成する。次に、結晶化を助長する金属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体膜上に保持させた後、非晶質半導体膜に脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、4時間)を行って結晶質半導体膜を形成する。その後、レーザービームを照射し、フォトリソグラフィ法を用いることによって結晶質半導体膜732、734、736、738、740を形成する。なお、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化を行わずに、レーザービームの照射だけで非晶質半導体膜の結晶化を行ってもよい。
【0076】
結晶化に用いるレーザー発振器としては、連続発振型のレーザー(以下、CWレーザーともいう)やパルス発振型のレーザー(以下、パルスレーザーともいう)を用いることができる。ここで用いることができるレーザーは、Arレーザー、Krレーザー、エキシマレーザーなどの気体レーザー、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Ti:サファイアレーザー、銅蒸気レーザーまたは金蒸気レーザーのうち一種または複数種を用いることができる。このようなレーザーから得られる基本波及び第2高調波から第4高調波のレーザービームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVOレーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このときレーザーのパワー密度は0.01MW/cm〜100MW/cm程度(好ましくは0.1MW/cm〜10MW/cm)が必要である。そして、走査速度を10cm/sec〜2000cm/sec程度として照射する。なお、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザー、Arイオンレーザー、またはTi:サファイアレーザーは、連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザービームを発振させると、半導体膜がレーザービームによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルス発振されたレーザービームが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザーを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。
【0077】
また、ゲート絶縁膜745は、半導体膜732、734、736、738、740に対し前述の高密度プラズマ処理を行い、表面を酸化又は窒化することで形成しても良い。例えば、He、Ar、Kr、Xeなどの希ガスと、酸素、酸化窒素、アンモニア、窒素、水素などの混合ガスを導入したプラズマ処理で形成する。この場合のプラズマの励起は、マイクロ波の導入により行うと、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。この高密度プラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体膜の表面を酸化又は窒化することができる。
【0078】
このような高密度プラズマを用いた処理により、1nm〜20nm、代表的には5nm〜10nmの絶縁膜が半導体膜に形成される。この場合の反応は、固相反応であるため、当該絶縁膜と半導体膜との界面準位密度はきわめて低くすることができる。このような高密度プラズマ処理は、半導体膜(結晶性シリコン、或いは多結晶シリコン)を直接酸化(若しくは窒化)するため、形成される絶縁膜の厚さは、理想的にはばらつきをきわめて小さくすることができる。加えて、結晶性シリコンの結晶粒界でも酸化が強くされることがないため、非常に好ましい状態となる。すなわち、ここで示す高密度プラズマ処理で半導体膜の表面を固相酸化することにより、結晶粒界において異常に酸化反応をさせることなく、均一性が良く、界面準位密度が低い絶縁膜を形成することができる。
【0079】
ゲート絶縁膜は、高密度プラズマ処理によって形成される絶縁膜のみを用いても良いし、さらにプラズマや熱反応を利用したCVD法で酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコンなどの絶縁膜を堆積し、積層させても良い。いずれにしても、高密度プラズマで形成した絶縁膜をゲート絶縁膜の一部又は全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを小さくすることができる。
【0080】
また、半導体膜に対し、連続発振レーザー若しくは10MHz以上の周波数で発振するレーザーから得られるレーザービームを照射しながら一方向に走査して結晶化させて得られた半導体膜732、734、736、738、740は、そのレーザービームの走査方向に結晶が成長する特性がある。その走査方向をチャネル長方向(チャネル形成領域が形成されたときにキャリアが流れる方向)に合わせてトランジスタを配置し、上記高密度プラズマ処理を利用して形成したゲート絶縁膜を組み合わせることで、特性ばらつきが小さく、しかも電界効果移動度が高い薄膜トランジスタ(TFT)を得ることができる。
【0081】
次に、半導体膜732、740にp型を付与する不純物元素又はn型を付与する不純物元素を添加し、半導体膜742、半導体膜744を形成する(図11(C)参照)。半導体膜742、744は、後に完成する容量素子の下部電極として機能する。p型を付与する不純物元素としては、ボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等を用いることができる。n型を付与する不純物元素としては、リン(P)やヒ素(As)等を用いることができる。ここでは、不純物元素として、リン(P)を用い、当該リンが1×1017/cm〜1×1020/cmの濃度で含まれるよう、添加する。このとき、半導体膜734、736、738は、不純物元素が添加されないようにマスク746で覆う。マスク746は、レジストマスクを用いることができる。
【0082】
次に、ゲート絶縁膜745上に、第1の導電膜と第2の導電膜とを積層して形成する。ここでは、第1の導電膜は、CVD法やスパッタリング法等により、20nm〜100nmの厚さで形成する。第2の導電膜は、100nm〜400nmの厚さで形成する。第1の導電膜と第2の導電膜は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成する。または、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体材料により形成する。第1の導電膜と第2の導電膜の組み合わせの例を挙げると、窒化タンタル膜とタングステン膜、窒化タングステン膜とタングステン膜、窒化モリブデン膜とモリブデン膜等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、第1の導電膜と第2の導電膜を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層構造ではなく、3層構造の場合は、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造を採用するとよい。ここでは、第1の導電膜として窒化タンタル膜を形成し、第2の導電膜としてタングステン膜を形成する。
【0083】
次に、第1の導電膜及び第2の導電膜をエッチングして選択的に除去することによって、当該第1の導電膜及び第2の導電膜を含む積層構造の一部を残存させ、ゲート電極748、ゲート電極750、ゲート電極752、ゲート電極754、ゲート電極756を形成する(図11(D)参照)。なお、ゲート電極748、ゲート電極756は、後に完成する容量素子の上部電極として機能する。
【0084】
次に、ゲート電極752、754をマスクとして、半導体膜736、738に、イオンドープ法またはイオン注入法により、n型を付与する不純物元素を低濃度に添加し、不純物領域758、不純物領域760を形成する。n型を付与する不純物元素としては、リン(P)やヒ素(As)等を用いることができる。ここでは、n型を付与する不純物元素としてリン(P)を用い、当該リンが5×1017/cm〜1×1019/cmの濃度で含まれるよう、半導体膜736、738に添加する。このとき、半導体膜742、734、744は、不純物元素が添加されないようにマスク762で覆う。マスク762は、レジストマスクを用いることができる(図12(A)参照)。
【0085】
次に、ゲート電極750をマスクとして、半導体膜734にp型を付与する不純物元素を高濃度に添加し、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域764と、チャネル形成領域765を形成する。p型を示す不純物元素としては、ボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等を用いることができる。ここでは、p型を付与する不純物元素としてボロン(B)を用い、当該ボロンが1×1019/cm〜1×1021/cmの濃度で含まれるように、半導体膜734に添加する。このとき、半導体膜742、736、738、744は、不純物元素が添加されないようにマスク766で覆う。マスク766は、レジストマスクを用いることができる((図12(B)参照)。
【0086】
次に、ゲート絶縁膜745とゲート電極748、750、752、754、756を覆うように、絶縁膜を形成する。絶縁膜は、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、シリコン、シリコンの酸化物又はシリコンの窒化物の無機材料を含む膜や、有機樹脂などの有機材料を含む膜を、単層又は積層して形成する。次に、絶縁膜を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、ゲート電極748、750、752、754、756の側面に接する絶縁膜768(サイドウォールともよばれる)を形成する。絶縁膜768は、LDD(Lightly Doped drain)領域を形成する際のドーピング用のマスクとして用いる。
【0087】
次に、ゲート電極752、754および絶縁膜768をマスクとして、半導体膜736、738にn型を付与する不純物元素を高濃度に添加する。半導体膜736には、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域770と、LDD領域を形成する低濃度不純物領域772と、チャネル形成領域773と、が形成される。半導体膜738には、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域774と、LDD領域を形成する低濃度不純物領域776と、チャネル形成領域777と、が形成される。ここでは、n型を付与する不純物元素としてリン(P)を用い、当該リンが1×1020/cm〜5×1021/cmの濃度で含まれるよう、半導体膜736、738に添加する。このとき、半導体膜742、半導体膜734、半導体膜744は、不純物元素が添加されないようにマスク778で覆う。マスク778は、レジストマスクを用いることができる(図12(C)参照)。
【0088】
以上の工程により、容量素子1310、pチャネル型薄膜トランジスタ1320、nチャネル型薄膜トランジスタ1330、nチャネル型薄膜トランジスタ1340、容量素子1350が形成される(図13(A)参照)。
【0089】
pチャネル型薄膜トランジスタ1320は、ゲート電極750と重なる半導体膜734の領域にチャネル形成領域765が形成され、ゲート電極750と重ならない半導体膜734の領域にソース領域又はドレイン領域を形成する不純物領域764が形成されている。なお、pチャネル型薄膜トランジスタ1320にLDD領域を設けてもよい。
【0090】
nチャネル型薄膜トランジスタ1330は、ゲート電極752と重なる半導体膜736の領域にチャネル形成領域773が形成され、ゲート電極752及び絶縁膜768と重ならない領域にソース領域又はドレイン領域を形成する不純物領域770が形成され、絶縁膜768と重なる領域であってチャネル形成領域773と不純物領域770の間に低濃度不純物領域772が形成されている。また、nチャネル型薄膜トランジスタ1340も同様にチャネル形成領域777、低濃度不純物領域776及び不純物領域774が形成されている。
【0091】
次に、ゲート絶縁膜745、絶縁膜768、ゲート電極748、750、752、754、756等を覆うように、絶縁膜780を単層または積層して形成する。絶縁膜は、CVD法、スパッタ法、SOG法、液滴吐出法、スクリーン印刷法等により、シリコンの酸化物やシリコンの窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料やシロキサン材料等により、単層または積層で形成する。
【0092】
次に、絶縁膜780に開口部を形成し、当該開口部及び絶縁膜780上に導電膜782、導電膜784、導電膜786、導電膜788、導電膜792を形成する。導電膜782は、容量素子1310の半導体膜742と電気的に接続する。同様に、導電膜792は、容量素子1350の半導体膜744と電気的に接続する。また、導電膜784、786、788は、半導体膜734、736、738に形成された不純物領域764、770、774とそれぞれ電気的に接続する。導電膜784、786、788は、薄膜トランジスタ1320、1330、1340のソース電極又はドレイン電極として機能する。なお、容量素子1310、1350、薄膜トランジスタ1320、1330、1340等を含む層を素子形成層720とする(図13(B)参照)。素子形成層720は、図10における集積回路に相当する。
【0093】
絶縁膜780を形成する前、または絶縁膜780を積層構造とする場合においては1層若しくは複数層形成した後に、半導体膜の結晶性の回復や半導体膜に添加された不純物元素の活性化、半導体膜の水素化を目的とした加熱処理を行うとよい。加熱処理には、熱アニール、レーザーアニール法またはRTA法などを適用するとよい。
【0094】
導電膜782、784、786、788、792は、CVD法やスパッタリング法等により、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジウム(Nd)、炭素(C)、シリコン(Si)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素とシリコンの一方又は両方とを含む合金材料に相当する。導電膜782、784、786、788、792は、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜と窒化チタン膜とバリア膜の積層構造を採用するとよい。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電膜782、784、786、788、792を形成する材料として最適である。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア膜を形成すると、結晶質半導体膜上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体膜と良好なコンタクトをとることができる。
【0095】
次に、導電膜782、784、786、788、792を覆うように絶縁膜709を形成し、当該絶縁膜709上に接続端子714を形成する。接続端子714は、素子形成層720と後に形成するアンテナとを電気的に接続する。具体的には、接続端子714は、容量素子1310、1350と電気的に接続する導電膜782、792と、後に形成するアンテナと、を電気的に接続する。接続端子714は、上述した導電膜782、784、786、788、792で示したいずれかの材料を用いて形成することができる。
【0096】
絶縁膜709は、CVD法やスパッタ法等により、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y)等の酸素または窒素を有する絶縁膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む膜、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル等の有機材料またはシロキサン樹脂等のシロキサン材料からなる単層または積層構造で設けることができる。なお、シロキサン材料とは、Si−O−Si結合を含む材料に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いることもできる。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
【0097】
次に、接続端子714、絶縁膜709上にアンテナ704を形成する。アンテナ704は、接続端子714を介して、素子形成層720と電気的に接続されるように形成する。アンテナ704は、CVD法、スパッタリング法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、メッキ法等を用いて、導電性材料により形成する。導電性材料は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層構造又は積層構造で形成する。
【0098】
例えば、スクリーン印刷法を用いてアンテナ704を形成する場合には、粒径が数nmから数十μmの導電体粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性のペーストを選択的に印刷することによって設けることができる。導電体粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子、または分散性ナノ粒子を用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤および被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、導電膜の形成にあたり、導電性のペーストを押し出した後に焼成することが好ましい。例えば、導電性のペーストの材料として、銀を主成分とする微粒子(例えば粒径1nm以上100nm以下)を用いる場合、150℃〜300℃の温度範囲で焼成することにより硬化させて導電膜を得ることができる。また、はんだや鉛フリーのはんだを主成分とする微粒子を用いてもよく、この場合は粒径20μm以下の微粒子を用いることが好ましい。はんだや鉛フリーのはんだは、低コストであるといった利点を有している。なお、図13(C)に示すアンテナ704は、上面から見るとコイル状になっているものとする。
【0099】
次に、アンテナ704を覆うように絶縁膜722を形成する(図13(C)参照)。絶縁膜722は、CVD法やスパッタ法等により、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y)等の酸素または窒素を有する絶縁膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む膜、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル等の有機材料またはシロキサン樹脂等のシロキサン材料からなる単層または積層構造で設けることができる。
【0100】
次に、剥離層702上に形成された絶縁膜703から絶縁膜722までを含む層(以下、層794とする)を、基板701から剥離する。例えば、レーザービーム(例えば、UV光)を照射することによって容量素子及び薄膜トランジスタを避けた領域に開口部796を形成後(図14(A)参照)、物理的な力を用いて基板701から層794を剥離する(図14(B)参照)。また、基板701から層794を剥離する前に、形成した開口部796にエッチング剤を導入して、剥離層702を選択的に除去してもよい。エッチング剤は、フッ化ハロゲンまたはハロゲン間化合物を含む気体又は液体を使用する。例えば、フッ化ハロゲンを含む気体として三フッ化塩素(ClF)を使用する。そうすると、層794は、基板701から剥離された状態となる。なお、剥離層702は、全て除去せず一部分を残存させてもよい。こうすることによって、エッチング剤の消費量を抑え剥離層の除去に要する処理時間を短縮することが可能となる。また、剥離層702の除去を行った後にも、基板701上に層794を保持しておくことが可能となる。また、層794が剥離された基板701を再利用することによって、コストを削減することができる。
【0101】
次に、層794の一方の面(絶縁膜722の露出した面)を第1の基体1510に接着させて、層794を基板701から完全に剥離する。続いて、層794の他方の面(絶縁膜703の露出した面)を、第2の基体1520に接着させ、加熱処理と加圧処理の一方又は両方を行って、層794を、第1の基体1510と第2の基体1520により封止する(図15参照)。第1の基体1510と第2の基体1520は、熱可塑性を示すフィルム(ポリオレフィン、フッ素を含むポリオレフィン、ポリエステル類など)、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)と接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルムなどに相当する。
【0102】
また、第1の基体1510、第2の基体1520として、静電気等を防止する帯電防止対策を施したフィルム(以下、帯電防止フィルムと記す)を用いることもできる。帯電防止フィルムとしては、帯電防止可能な材料を樹脂中に分散させたフィルム、及び帯電防止可能な材料が貼り付けられたフィルム等が挙げられる。帯電防止可能な材料が設けられたフィルムは、片面に帯電防止可能な材料を設けたフィルムであってもよいし、両面に帯電防止可能な材料を設けたフィルムであってもよい。さらに、片面に帯電防止可能な材料が設けられたフィルムは、帯電防止可能な材料が設けられた面をフィルムの内側になるように層に貼り付けてもよいし、フィルムの外側になるように貼り付けてもよい。なお、帯電防止可能な材料はフィルムの全面、あるいは一部に設けてあればよい。ここでの帯電防止可能な材料としては、金属、インジウムと錫の酸化物(ITO)、両性界面活性剤や陽イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤等の界面活性剤を用いることができる。また、他にも帯電防止材料として、側鎖にカルボキシル基および4級アンモニウム塩基をもつ架橋性共重合体高分子を含む樹脂材料等を用いることができる。これらの材料をフィルムに貼り付ける、練り込む、或いは塗布することによって帯電防止フィルムとすることができる。帯電防止フィルムで封止を行うことによって、商品として取り扱う際に、外部からの静電気等によって半導体素子に悪影響が及ぶことを抑制することができる。
【0103】
以上の工程により、本発明の半導体装置を作製することができる。さらに、上記工程により、動作信頼性が向上し、且つ可撓性(フレキシブル)を有する半導体装置を作製することができる。
【実施例4】
【0104】
本実施例では、上記実施例とは異なる半導体装置の作製方法の一例について、図17〜図19を用いて説明する。具体的には、半導体基板上にMOSトランジスタを形成する例について説明する。
【0105】
なお、本実施例では、集積回路を構成するトランジスタ部を代表的に示す。ここでは、Pチャネルトランジスタ及びNチャネルトランジスタの作製方法について説明する。
【0106】
まず、半導体基板2300に素子を分離した領域2304、領域2306(以下、領域2304、2306とも記す)を形成する(図17(A)参照)。半導体基板2300に設けられた領域2304、2306は、絶縁膜2302(フィールド酸化膜ともいう)によって分離されている。また、ここでは、半導体基板2300としてn型の導電型を有する単結晶Si基板を用い、半導体基板2300の領域2306にpウェル2307を設けた例を示している。
【0107】
また、半導体基板2300は、半導体基板であれば特に限定されず用いることができる。例えば、n型又はp型の導電型を有する単結晶Si基板、化合物半導体基板(GaAs基板、InP基板、GaN基板、SiC基板、サファイア基板、ZnSe基板等)、貼り合わせ法またはSIMOX(Separation by Implanted Oxygen)法を用いて作製されたSOI(Silicon on Insulator)基板等を用いることができる。
【0108】
素子分離領域2304、2306は、選択酸化法(LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法)又はトレンチ分離法等を適宜用いて形成することができる。
【0109】
また、半導体基板2300の領域2306に形成されたpウェル2307は、半導体基板2300にp型の導電型を有する不純物元素を選択的に導入することによって形成することができる。p型を示す不純物元素としては、ボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等を用いることができる。
【0110】
なお、本実施例では、半導体基板2300としてn型の導電型を有する半導体基板を用いているため、領域2304には不純物元素の導入を行っていないが、n型を示す不純物元素を導入することにより領域2304にnウェルを形成してもよい。n型を示す不純物元素としては、リン(P)やヒ素(As)等を用いることができる。一方、p型の導電型を有する半導体基板を用いる場合には、領域2304にn型を示す不純物元素を導入してnウェルを形成し、領域2306には不純物元素の導入を行わない構成としてもよい。
【0111】
次に、領域2304、2306を覆うように絶縁膜2332、2334をそれぞれ形成する(図17(B)参照)。
【0112】
絶縁膜2332、2334は、例えば、熱処理を行い半導体基板2300に設けられた領域2304、2306の表面を酸化させることにより酸化シリコン膜で形成することができる。また、熱酸化法により酸化シリコン膜を形成した後に、窒化処理を行うことによって酸化シリコン膜の表面を窒化させることにより、酸化シリコン膜と酸素と窒素を有する膜(以下、酸窒化シリコン膜ともいう)との積層構造で形成してもよい。
【0113】
他にも、上述したプラズマ処理を用いて絶縁膜2332、2334を形成してもよい。例えば、半導体基板2300に設けられた領域2304、2306の表面に高密度プラズマ処理により酸化処理又は窒化処理を行うことにより、絶縁膜2332、2334として酸化シリコン(SiOx)膜又は窒化シリコン(SiNx)膜を形成することができる。また、高密度プラズマ処理により領域2304、2306の表面に酸化処理を行った後に、再度高密度プラズマ処理を行うことによって窒化処理を行ってもよい。この場合、領域2304、2306の表面に接して酸化シリコン膜が形成され、当該酸化シリコン膜上に酸窒化シリコン膜が形成され、絶縁膜2332、2334は酸化シリコン膜と酸窒化シリコン膜とが積層された膜となる。また、熱酸化法により領域2304、2306の表面に酸化シリコン膜を形成した後に高密度プラズマ処理により酸化処理又は窒化処理を行ってもよい。
【0114】
また、半導体基板2300の領域2304、2306に形成された絶縁膜2332、2334は、後に完成するトランジスタにおいてゲート絶縁膜として機能する。
【0115】
次に、領域2304、2306の上方に形成された絶縁膜2332、2334を覆うように導電膜を形成する(図17(C)参照)。ここでは、導電膜として、導電膜2336と導電膜2338を順に積層して形成した例を示している。もちろん、導電膜は、単層又は3層以上の積層構造で形成してもよい。
【0116】
導電膜2336、2338としては、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された元素、またはこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成することができる。また、これらの元素を窒化した金属窒化膜で形成することもできる。他にも、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体材料により形成することもできる。
【0117】
ここでは、導電膜2336として窒化タンタルを用いて形成し、その上に導電膜2338としてタングステンを用いて積層構造で設ける。また、他にも、導電膜2336として、窒化タングステン、窒化モリブデン又は窒化チタンから選ばれた単層又は積層膜を用い、導電膜2338として、タンタル、モリブデン又はチタンから選ばれた単層又は積層膜を用いることができる。
【0118】
次に、積層して設けられた導電膜2336、2338を選択的にエッチングして除去することによって、領域2304、2306の上方の一部に導電膜2336、2338を残存させ、それぞれゲート電極2340、2342を形成する(図18(A)参照)。
【0119】
次に、領域2304を覆うようにレジストマスク2348を選択的に形成し、当該レジストマスク2348、ゲート電極2342をマスクとして領域2306に不純物元素を導入することによって不純物領域を形成する(図18(B)参照)。不純物元素としては、n型を付与する不純物元素又はp型を付与する不純物元素を用いる。n型を示す不純物元素としては、リン(P)やヒ素(As)等を用いることができる。p型を示す不純物元素としては、ボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等を用いることができる。ここでは、不純物元素として、リン(P)を用いる。
【0120】
図18(B)においては、不純物元素を導入することによって、領域2306にソース領域又はドレイン領域を形成する不純物領域2352とチャネル形成領域2350が形成される。
【0121】
次に、領域2306を覆うようにレジストマスク2366を選択的に形成し、当該レジストマスク2366、ゲート電極2340をマスクとして領域2304に不純物元素を導入することによって不純物領域を形成する(図18(C)参照)。不純物元素としては、n型を付与する不純物元素又はp型を付与する不純物元素を用いる。n型を示す不純物元素としては、リン(P)やヒ素(As)等を用いることができる。p型を示す不純物元素としては、ボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等を用いることができる。ここでは、図18(B)で領域2306に導入した不純物元素と異なる導電型を有する不純物元素(例えば、ボロン(B))を導入する。その結果、領域2304にソース領域又はドレイン領域を形成する不純物領域2370とチャネル形成領域2368が形成される。
【0122】
次に、絶縁膜2332、2334、ゲート電極2340、2342を覆うように第2の絶縁膜2372を形成し、当該第2の絶縁膜2372上に領域2304、2306にそれぞれ形成された不純物領域2352、2370と電気的に接続する導電膜2374を形成する(図19参照)。
【0123】
第2の絶縁膜2372は、CVD法やスパッタ法等により、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y)等の酸素または窒素を有する絶縁膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む膜、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル等の有機材料またはシロキサン樹脂等のシロキサン材料からなる単層または積層構造で設けることができる。なお、シロキサン材料とは、Si−O−Si結合を含む材料に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いることもできる。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
【0124】
導電膜2374は、CVD法やスパッタリング法等により、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジウム(Nd)、炭素(C)、シリコン(Si)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素とシリコンの一方又は両方とを含む合金材料に相当する。導電膜2374は、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜と窒化チタン膜とバリア膜の積層構造を採用するとよい。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電膜2374を形成する材料として最適である。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア膜を形成すると、結晶質半導体膜上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体膜と良好なコンタクトをとることができる。
【0125】
以上の工程により、半導体基板2300の領域2304に形成されたPチャネルトランジスタと、領域2306に形成されたNチャネルトランジスタとを具備し、動作信頼性が向上した半導体装置を得ることができる。
【0126】
なお本発明の半導体装置を構成するトランジスタの構造は図示した構造に限定されるものではないことを付記する。例えば、逆スタガ構造、フィンFET構造等の構造のトランジスタの構造を取り得る。フィンFET構造であることでトランジスタサイズの微細化に伴う短チャネル効果を抑制することができるため好適である。
【実施例5】
【0127】
本実施例では、上記実施例とは異なる半導体装置の作製方法について、図20〜図23を用いて説明する。具体的には、上記実施例4と異なる作製方法でMOSトランジスタを形成する例について説明する。
【0128】
まず、半導体基板2600上に絶縁膜を形成する。ここでは、n型の導電型を有する単結晶Si基板を半導体基板2600として用い、当該半導体基板2600上に絶縁膜2602と絶縁膜2604を形成する(図20(A)参照)。例えば、半導体基板2600に熱処理を行うことにより絶縁膜2602として酸化シリコン(SiOx)膜を形成し、当該絶縁膜2602上に絶縁膜2604としてCVD法を用いて窒化シリコン(SiNx)膜を形成する。
【0129】
また、半導体基板2600は、半導体基板であれば特に限定されず用いることができる。例えば、n型又はp型の導電型を有する単結晶Si基板、化合物半導体基板(GaAs基板、InP基板、GaN基板、SiC基板、サファイア基板、ZnSe基板等)、貼り合わせ法またはSIMOX(Separation by IMplanted OXygen)法を用いて作製されたSOI(Silicon on Insulator)基板等を用いることができる。
【0130】
また、絶縁膜2604は、絶縁膜2602を形成した後に上述した高密度プラズマ処理により当該絶縁膜2602を窒化することにより設けてもよい。なお、半導体基板2600上に設ける絶縁膜は単層又は3層以上の積層構造で設けてもよい。
【0131】
次に、絶縁膜2604上に選択的にレジストマスク2606のパターンを形成し、当該レジストマスク2606をマスクとして選択的にエッチングを行うことによって、半導体基板2600に選択的に凹部2608を形成する(図20(B)参照)。半導体基板2600、絶縁膜2602、2604のエッチングとしては、プラズマを利用したドライエッチングにより行うことができる。
【0132】
次に、レジストマスク2606のパターンを除去した後、半導体基板2600に形成された凹部2608を充填するように絶縁膜2610を形成する(図20(C)参照)。
【0133】
絶縁膜2610は、CVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y>0)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y>0)等の絶縁材料を用いて形成する。ここでは、絶縁膜2610として、常圧CVD法または減圧CVD法によりTEOS(テトラエチルオルソシリケート)ガスを用いて酸化シリコン膜を形成する。
【0134】
次に、研削処理、研磨処理又はCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を行うことによって、半導体基板2600の表面を露出させる。ここでは、半導体基板2600の表面を露出させることにより、半導体基板2600の凹部2608に形成された絶縁膜2611間に領域2612、領域2613が設けられる。なお、絶縁膜2611は、半導体基板2600の表面に形成された絶縁膜2610が研削処理、研磨処理又はCMP処理により除去されることにより得られたものである。続いて、p型の導電型を有する不純物元素を選択的に導入することによって、半導体基板2600の領域2613にpウェル2615を形成する(図21(A)参照)。
【0135】
p型を示す不純物元素としては、ボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等を用いることができる。ここでは、不純物元素として、ボロン(B)を領域2613に導入する。
【0136】
なお、本実施例では、半導体基板2600としてn型の導電型を有する半導体基板を用いているため、領域2612には不純物元素の導入を行っていないが、n型を示す不純物元素を導入することにより領域2612にnウェルを形成してもよい。n型を示す不純物元素としては、リン(P)やヒ素(As)等を用いることができる。
【0137】
一方、p型の導電型を有する半導体基板を用いる場合には、領域2612にn型を示す不純物元素を導入してnウェルを形成し、領域2613には不純物元素の導入を行わない構成としてもよい。
【0138】
次に、半導体基板2600の領域2612、2613の表面上に絶縁膜2632、絶縁膜2634をそれぞれ形成する(図21(B)参照)。
【0139】
絶縁膜2632、2634は、例えば、熱処理を行い半導体基板2600に設けられた領域2612、2613の表面を酸化させることにより酸化シリコン膜で形成することができる。また、絶縁膜2632、2634は、熱酸化法により酸化シリコン膜を形成した後に、窒化処理を行うことによって酸化シリコン膜の表面を窒化させることにより、酸窒化シリコン膜との積層構造で形成してもよい。
【0140】
他にも、上述したようなプラズマ処理を用いて絶縁膜2632、2634を形成してもよい。例えば、半導体基板2600に設けられた領域2612、2613の表面に、上述した高密度プラズマ処理により酸化処理又は窒化処理を行うことにより、絶縁膜2632、2634として酸化シリコン(SiOx)膜又は窒化シリコン(SiNx)膜を形成することができる。また、高密度プラズマ処理により領域2612、2613の表面に酸化処理を行った後に、再度高密度プラズマ処理を行うことによって窒化処理を行ってもよい。この場合、領域2612、2613の表面に接して酸化シリコン膜が形成され、当該酸化シリコン膜上に酸窒化シリコン膜が形成され、絶縁膜2632、2634は酸化シリコン膜と酸窒化シリコン膜とが積層された膜となる。また、熱酸化法により領域2612、2613の表面に酸化シリコン膜を形成した後に高密度プラズマ処理により酸化処理又は窒化処理を行ってもよい。
【0141】
なお、半導体基板2600の領域2612、2613に形成された絶縁膜2632、2634は、後に完成するトランジスタにおいてゲート絶縁膜として機能する。
【0142】
次に、半導体基板2600に設けられた領域2612、2613の上方に形成された絶縁膜2632、2634を覆うように導電膜を形成する(図21(C)参照)。ここでは、導電膜として、導電膜2636と導電膜2638を順に積層して形成した例を示している。もちろん、導電膜は、単層又は3層以上の積層構造で形成してもよい。
【0143】
導電膜2636、2638としては、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された元素またはこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成することができる。また、これらの元素を窒化した金属窒化膜で形成することもできる。他にも、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体材料により形成することもできる。
【0144】
ここでは、導電膜2636として窒化タンタルを用いて形成し、その上に導電膜2638としてタングステンを用いて積層構造で設ける。また、他にも、導電膜2636として、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化モリブデン又は窒化チタンから選ばれた単層又は積層膜を用い、導電膜2638として、タングステン、タンタル、モリブデン又はチタンから選ばれた単層又は積層膜を用いることができる。
【0145】
次に、積層して設けられた導電膜2636、2638を選択的にエッチングして除去することによって、半導体基板2600の領域2612、2613の上方の一部に導電膜2636、2638を残存させ、それぞれゲート電極として機能する導電膜2640、導電膜2642を形成する(図22(A)参照)。また、ここでは、半導体基板2600において、導電膜2640、2642と重ならない領域2612、2613の表面が露出するようにする。
【0146】
具体的には、半導体基板2600の領域2612において、導電膜2640の下方に形成された絶縁膜2632のうち当該導電膜2640と重ならない部分を選択的に除去し、導電膜2640と絶縁膜2632の端部が概略一致するように形成する。また、半導体基板2600の領域2613において、導電膜2642の下方に形成された絶縁膜2634のうち当該導電膜2642と重ならない部分を選択的に除去し、導電膜2642と絶縁膜2634の端部が概略一致するように形成する。
【0147】
この場合、導電膜2640、2642の形成と同時に重ならない部分の絶縁膜等を除去してもよいし、導電膜2640、2642を形成後、残存したレジストマスク又は当該導電膜2640、2642をマスクとして重ならない部分の絶縁膜等を除去してもよい。
【0148】
次に、半導体基板2600の領域2612、2613に不純物元素を選択的に導入し、不純物領域2648、不純物領域2650を形成する(図22(B)参照)。ここでは、領域2613に導電膜2642をマスクとしてn型を付与する低濃度の不純物元素を選択的に導入して不純物領域2650を形成し、領域2612に導電膜2640をマスクとしてp型を付与する低濃度の不純物元素を選択的に導入して不純物領域2648を形成する。n型を付与する不純物元素としては、リン(P)やヒ素(As)等を用いることができる。p型を付与する不純物元素としては、ボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等を用いることができる。ここで形成される不純物領域2648、2650の一部は、後に形成されるLDD(Lightly Doped drain)領域を構成する。
【0149】
次に、導電膜2640、2642の側面に接する絶縁膜2654を形成する。絶縁膜2654は、サイドウォールともいわれる。絶縁膜2654は、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、シリコン、シリコンの酸化物又はシリコンの窒化物の無機材料を含む膜や、有機樹脂などの有機材料を含む膜を、単層又は積層して形成する。そして、当該絶縁膜を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、導電膜2640、2642の側面に接するように形成することができる。なお、絶縁膜2654は、LDD(Lightly Doped drain)領域を形成する際のドーピング用のマスクとして用いる。また、ここでは、絶縁膜2654は、導電膜2640、2642の下方に形成された絶縁膜の側面にも接するように形成されている。
【0150】
続いて、当該絶縁膜2654、導電膜2640、2642をマスクとして半導体基板2600の領域2612、2613に不純物元素を導入することによって、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域を形成する(図22(C)参照)。ここでは、半導体基板2600の領域2613に絶縁膜2654と導電膜2642をマスクとして高濃度のn型を付与する不純物元素を導入し、領域2612に絶縁膜2654と導電膜2640をマスクとして高濃度のp型を付与する不純物元素を導入する。
【0151】
その結果、半導体基板2600の領域2612には、ソース領域又はドレイン領域を形成する不純物領域2658と、LDD領域を形成する低濃度不純物領域2660と、チャネル形成領域2656が形成される。また、半導体基板2600の領域2613には、ソース領域又はドレイン領域を形成する不純物領域2664と、LDD領域を形成する低濃度不純物領域2666と、チャネル形成領域2662が形成される。
【0152】
なお、本実施例では、導電膜2640、2642と重ならない半導体基板2600の領域2612、2613を露出させた状態で不純物元素の導入を行っている。従って、半導体基板2600の領域2612、2613にそれぞれ形成されるチャネル形成領域2656、チャネル形成領域2662は導電膜2640、2642と自己整合的に形成することができる。
【0153】
次に、半導体基板2600の領域2612、2613上に設けられた絶縁膜や導電膜等を覆うように第2の絶縁膜2677を形成し、当該絶縁膜2677に開口部2678を形成する(図23(A)参照)。
【0154】
第2の絶縁膜2677は、CVD法やスパッタ法等により、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y)等の酸素または窒素を有する絶縁膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む膜、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル等の有機材料またはシロキサン樹脂等のシロキサン材料からなる単層または積層構造で設けることができる。なお、シロキサン材料とは、Si−O−Si結合を含む材料に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いることもできる。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
【0155】
次に、CVD法を用いて開口部2678に導電膜2680を形成し、当該導電膜2680と電気的に接続するように絶縁膜2677上に導電膜2682a、導電膜2682b、導電膜2682c、導電膜2682dを選択的に形成する(図23(B)参照)。
【0156】
導電膜2680、2682a〜2682dは、CVD法やスパッタリング法等により、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジウム(Nd)、炭素(C)、シリコン(Si)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素とシリコンの一方又は両方とを含む合金材料に相当する。導電膜2680、2682a〜2682dは、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜と窒化チタン膜とバリア膜の積層構造を採用するとよい。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電膜を形成する材料として最適である。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア膜を形成すると、半導体基板に設けられた素子領域上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、半導体基板に設けられた素子領域と良好なコンタクトをとることができる。ここでは、導電膜2680はCVD法によりタングステン(W)を用いて形成することができる。
【0157】
以上の工程により、半導体基板2600の領域2612に形成されたPチャネルトランジスタと、領域2613に形成されたNチャネルトランジスタとを具備し、動作信頼性が向上した半導体装置を得ることができる。
【0158】
なお本発明の半導体装置を構成するトランジスタの構造は図示した構造に限定されるものではないことを付記する。例えば、逆スタガ構造、フィンFET構造等の構造のトランジスタの構造を取り得る。フィンFET構造であることでトランジスタサイズの微細化に伴う短チャネル効果を抑制することができるため好適である。
【実施例6】
【0159】
本実施例では、本発明の無線通信によりデータの送受信を行う半導体装置の用途について説明する。本発明の半導体装置は、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等)、包装用容器類(包装紙やボトル等)、記録媒体(DVDソフトやビデオテープ等)、乗物類(自転車等)、身の回り品(鞄や眼鏡等)、食品類、植物類、動物類、人体、衣類、生活用品類、電子機器等の商品や荷物の荷札等の物品に設けて使用することができる。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(単にテレビ、テレビ受像機、テレビジョン受像機とも呼ぶ)及び携帯電話等を指す。
【0160】
本実施例では、図9を参照して、本発明の応用例、及びそれらを付した商品の一例について説明する。
【0161】
図9(A)は、本発明に係る半導体装置の完成品の状態の一例である。ラベル台紙3001(セパレート紙)上に、本発明の半導体装置3002が形成されている。ラベル台紙3001上に形成された半導体装置3002は、ボックス3004内に収納されている。半導体装置3002上には、その商品や役務に関する情報(商品名、ブランド、商標、商標権者、販売者、製造者等)が記されている。また、当該半導体装置3002には、その商品(又は商品の種類)固有のIDナンバーが付されており、偽造や、商標権、特許権等の知的財産権侵害、不正競争等の不法行為を容易に把握することができる。また、半導体装置内には、商品の容器やラベルに明記しきれない多大な情報、例えば、商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状、価格、生産方法、使用方法、生産時期、使用時期、賞味期限、取扱説明、商品に関する知的財産情報等を入力しておくことができ、取引者や消費者は、リーダ等の読み取り機能を有する簡易な無線通信手段によって、それらの情報にアクセスすることができる。また、生産者側からは容易に書換え、消去等も可能であるが、取引者、消費者側からは書換え、消去等ができない仕組みになっている。
【0162】
図9(B)は、商品に本発明の半導体装置3012を備え付ける例を示している。本発明の半導体装置3012を商品に備え付けることで、当該商品の情報に容易にアクセスすることができ、商品管理が容易になる。例えば、商品が盗難された場合に、商品の経路を辿ることによって、その犯人を迅速に把握することができる。このように、本発明の半導体装置を備えることにより、所謂トレーサビリティに優れた商品を流通させることができる。また、信頼性の高い本発明の半導体装置を備えることによって、半導体装置の誤動作を抑制することができ、商品管理をより正確に行うことができる。
【0163】
図9(C)は、本発明の半導体装置3022を内包したIDカード3021の完成品の状態の一例である。上記IDカード3021としては、キャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、電子乗車券、電子マネー、テレフォンカード、会員カード等のあらゆるカード類が含まれる。このようなカード類に本発明の半導体装置を内包させることによって、カードの誤動作を防止することができる。よって、カード類の信頼性向上が実現する。
【0164】
図9(D)は、無記名債券3031の完成品の状態を示している。無記名債券3031には、半導体装置3032が埋め込まれており、その周囲は樹脂によって成形され、半導体装置を保護している。ここで、前記樹脂中にはフィラーが充填された構成となっている。なお、上記無記名債券類には、切手、切符、チケット、入場券、商品券、図書券、文具券、ビール券、おこめ券、各種ギフト券、各種サービス券等が含まれるが、勿論これらに限定されるものではない。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類等に本発明の半導体装置3032を設けることにより、認証機能を設けることができ、この認証機能を活用すれば、偽造を防止することができる。また、このような無記名債券に信頼性の向上した本発明の半導体装置を埋め込むことで、認証機能の信頼性も向上させることができる。
【0165】
図9(E)は、本発明の半導体装置3042を貼付した書籍3043を示している。本発明の半導体装置3042は、表面に貼ったり、埋め込んだりして、物品に固定される。図9(E)に示すように、本なら紙に埋め込んだり、有機樹脂からなるパッケージなら当該有機樹脂に埋め込んだりして、各物品に固定される。本発明の半導体装置3042は、小型、薄型、軽量を実現するため、物品に固定した後も、その物品自体のデザイン性を損なうことがない。また、誤動作を防止できる本発明の半導体装置を備えることで、書籍等の管理を正確に行うことができる。
【0166】
また、ここでは図示しないが、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に本発明の半導体装置を設けることにより、検品システム等のシステムの効率化を図ることができる。また、動物等の生き物に埋め込むことによって、個々の生き物の識別を容易に行うことができる。例えば、家畜等の生き物に無線信号でデータの送受信を行う本発明の半導体装置を埋め込むことによって、生まれた年や性別または種類等を容易に識別することが可能となる。また、本発明の半導体装置は誤動作を防止できるため、より正確に検品、識別等を実施することが可能になる。
【0167】
以上、本発明の半導体装置は物品(生き物を含む)であればどのようなものにでも設けて使用することができる。
【0168】
本実施例は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】本発明における半導体装置の概要図。
【図2】ASK方式によるデータ送受信時の無線信号の一例を示す図。
【図3】本発明における半導体装置のタイミングチャートの一例を示す図
【図4】本発明における半導体装置を構成する回路の一例を示す回路図。
【図5】本発明における半導体装置を構成する回路の一例を示す回路図。
【図6】本発明における半導体装置を構成する回路の一例を示す回路図。
【図7】本発明における半導体装置を構成する回路の一例を示す回路図。
【図8】本発明の半導体装置に適用可能なアンテナの構成例を示す図。
【図9】本発明の半導体装置の使用形態を示す図。
【図10】本発明の半導体装置の構成の一例を示す上面図及び断面図。
【図11】本発明の半導体装置の作製方法の一例を示す図。
【図12】本発明の半導体装置の作製方法の一例を示す図。
【図13】本発明の半導体装置の作製方法の一例を示す図。
【図14】本発明の半導体装置の作製方法の一例を示す図。
【図15】本発明の半導体装置の作製方法の一例を示す図。
【図16】本発明の半導体装置の構成の一例を示す断面図。
【図17】本発明の半導体装置の作製方法の一例を示す図。
【図18】本発明の半導体装置の作製方法の一例を示す図。
【図19】本発明の半導体装置の作製方法の一例を示す図。
【図20】本発明の半導体装置の作製方法の一例を示す図。
【図21】本発明の半導体装置の作製方法の一例を示す図。
【図22】本発明の半導体装置の作製方法の一例を示す図。
【図23】本発明の半導体装置の作製方法の一例を示す図。
【符号の説明】
【0170】
101 半導体装置
102 アンテナ回路
103 送信回路
104 受信回路
105 演算処理回路
106 受信信号
107 送信信号
108 無線信号
109 整流信号
110 変調信号
111 送信データ
112 状態信号
113 復調信号
114 第2の復調信号
201 無線信号
202 包絡線
301 非送受信期間
302 第1のデータ受信期間
303 第2のデータ受信期間
304 第1のデータ送信期間
305 第2のデータ送信期間
308 第1の信号
309 第2の信号
310 第3の信号
311 第4の信号
312 第5の信号
313 第6の信号
401 アンテナ
402 共振容量
403 変調抵抗
404 整流回路
405 電気容量
406 Nチャネルトランジスタ
407 第1のダイオード
408 第2のダイオード
409 第3のダイオード
410 第4のダイオード
411 ローパスフィルタ
412 制御回路
413 電気抵抗
414 電気容量
415 論理和回路
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 コントローラ
601 送信データレジスタ
602 タイミングコントローラ
603 変調信号生成回路
604 変調データ
605 タイミング信号
700 半導体装置
701 基板
702 剥離層
703 絶縁膜
704 アンテナ
705 半導体膜
706 集積回路
709 絶縁膜
710 容量部
712 トランジスタ部
714 接続端子
720 素子形成層
722 絶縁膜
732 半導体膜
734 半導体膜
736 半導体膜
738 半導体膜
740 半導体膜
742 半導体膜
744 半導体膜
745 ゲート絶縁膜
746 マスク
748 ゲート電極
750 ゲート電極
752 ゲート電極
754 ゲート電極
756 ゲート電極
758 不純物領域
760 不純物領域
762 マスク
764 不純物領域
765 チャネル形成領域
766 マスク
768 絶縁膜
770 不純物領域
772 低濃度不純物領域
773 チャネル形成領域
774 不純物領域
776 低濃度不純物領域
777 チャネル形成領域
778 マスク
780 絶縁膜
782 導電膜
784 導電膜
786 導電膜
788 導電膜
790 基板
792 導電膜
794 層
796 開口部
1032 有機樹脂
1034 導電性粒子
1036 異方性導電接着材
1040 基板
1050 基板
1310 容量素子
1320 pチャネル型薄膜トランジスタ
1330 nチャネル型薄膜トランジスタ
1340 nチャネル型薄膜トランジスタ
1350 容量素子
1510 基体
1520 基体
2300 半導体基板
2302 絶縁膜
2304 領域
2306 領域
2307 pウェル
2332 絶縁膜
2336 導電膜
2338 導電膜
2340 ゲート電極
2342 ゲート電極
2348 レジストマスク
2350 チャネル形成領域
2352 不純物領域
2366 レジストマスク
2368 チャネル形成領域
2370 不純物領域
2372 絶縁膜
2374 導電膜
2600 半導体基板
2602 絶縁膜
2604 絶縁膜
2606 レジストマスク
2608 凹部
2610 絶縁膜
2611 絶縁膜
2612 領域
2613 領域
2615 pウェル
2632 絶縁膜
2634 絶縁膜
2636 導電膜
2638 導電膜
2640 導電膜
2642 導電膜
2648 不純物領域
2650 不純物領域
2654 絶縁膜
2656 チャネル形成領域
2658 不純物領域
2660 低濃度不純物領域
2662 チャネル形成領域
2664 不純物領域
2666 低濃度不純物領域
2677 絶縁膜
2678 開口部
2680 導電膜
3001 ラベル台紙
3002 半導体装置
3004 ボックス
3012 半導体装置
3021 IDカード
3022 半導体装置
3031 無記名債券
3032 半導体装置
3042 半導体装置
3043 書籍
2682a 導電膜
2682b 導電膜
2682c 導電膜
2682d 導電膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を送受信するアンテナ回路と、送信回路と、受信回路と、を有し、
前記送信回路は、前記アンテナ回路が前記無線信号を送信中か否かを示す信号を前記受信回路に出力することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記アンテナ回路の一部、前記送信回路の一部又は前記受信回路の一部は、絶縁表面を有する基板上に形成された薄膜トランジスタを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
無線信号を送受信するアンテナ回路と、送信回路と、受信回路と、演算処理回路と、を有し、
前記送信回路は、前記アンテナ回路が前記無線信号を送信中か否かを示す信号を前記受信回路に出力し、
前記受信回路は、前記送信回路から前記アンテナ回路が前記無線信号を送信中であることを示す信号が入力された場合は、前記アンテナ回路からの信号に関わらず、前記アンテナ回路が前記無線信号を受信していないことを示す信号を前記演算処理回路に出力することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記アンテナ回路は、アンテナと、共振容量と、変調抵抗と、整流回路と、から構成されることを特徴とすることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記アンテナは、コイルアンテナ又はダイポールアンテナであることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5において、
前記変調抵抗は、Nチャネルトランジスタ又はPチャネルトランジスタから構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか一において、
前記整流回路は、全波整流回路又は半波整流回路であることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項3乃至請求項7のいずれか一において、
前記アンテナ回路の一部、前記送信回路の一部、前記受信回路の一部又は前記演算処理回路の一部は、絶縁表面を有する基板上に形成された薄膜トランジスタを含むことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−33905(P2008−33905A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160950(P2007−160950)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】