説明

成膜方法、半導体装置及びその製造方法、並びに基板処理装置

【課題】真空装置を使用せずに、トランジスタ等の半導体装置に適用できるMOS構造の積層膜を形成する。
【解決手段】成膜方法は、半導体膜3を有する基板に、ポリシラン溶液を塗布し、半導体膜3上にポリシラン膜5を形成する工程(STEP1)と、ポリシラン膜5上に、金属塩溶液を塗布し、金属イオン含有膜7を形成することにより、ポリシラン膜5をポリシロキサン膜5Aへ、金属イオン含有膜7を金属微粒子含有膜7Aへ、それぞれ改質する工程(STEP2)を備え、MOS構造の積層膜100を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜方法及びこの方法を利用した半導体装置の製造方法及び半導体装置、並びに、これらの方法に使用可能な基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタをはじめとする半導体装置の製造過程では、通常、半導体ウエハなどの基板上に絶縁膜や金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィー技術とエッチングによるパターン形成により、目的の形状に加工することが行われている。その過程では、CVD(Chemical Vapor Deposition)による成膜や、ドライエッチング、アッシングなどが繰り返されるが、これらの処理の多くは真空条件で行われる。そのため、半導体装置の製造過程では、耐圧容器、排気装置などを備えた真空装置が必須となっていた。成膜やエッチングなどに用いられる真空装置は、大掛かりな設備であるため、なるべく真空装置を使用せずに簡易な設備で半導体装置を製造できる手法の開発が望まれていた。
【0003】
ところで、高い還元性を有するポリシランを利用することで、ポリシラン膜を表面に形成させた基板を、標準酸化還元電位0.54V以上の金属からなる金属塩を含む溶液で処理して、基板表面に当該金属コロイドを析出させ、それをめっき核として無電解めっきを行うことにより金属膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。この提案の方法では、金属膜の下地は、ポリシランが酸化されて生成した絶縁性のポリシロキサンになるが、このような導体層と絶縁層を有する積層膜の具体的な用途について、これまで明確な提案はなされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−105656号公報(特許請求の範囲など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、真空装置を使用せずに、トランジスタ等の半導体装置に適用できるMOS構造の積層膜を形成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点の成膜方法は、膜状または基板状の半導体材料層上に設けられたゲート絶縁膜としての酸化物膜と、該酸化物膜上に設けられたゲート電極としての導体膜と、を有するMOS構造の積層膜を形成する成膜方法であって、
前記半導体材料層が表面に露出した基板にポリシラン溶液を塗布し、前記半導体材料層上にポリシラン膜を形成する工程と、
前記ポリシラン膜上に、金属塩溶液を塗布して金属イオン含有膜を形成することにより、前記ポリシラン膜をポリシロキサン膜へ、前記金属イオン含有膜を金属微粒子含有膜へ、それぞれ改質してMOS構造の積層膜を形成する工程と、
を備えている。
【0007】
また、本発明の第2の観点の成膜方法は、膜状または基板状の半導体材料層上に設けられた第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜からなるゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極としての導体膜と、を有するMOS構造の積層膜を形成する成膜方法であって、
前記半導体材料層上に前記第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜が表面に露出した基板にポリシラン溶液を塗布し、前記第1の絶縁膜上にポリシラン膜を形成する工程と、
前記ポリシラン膜上に、金属塩溶液を塗布して金属イオン含有膜を形成することにより、前記ポリシラン膜を前記第2の絶縁膜としてのポリシロキサン膜へ、前記金属イオン含有膜を金属微粒子含有膜へ、それぞれ改質してMOS構造の積層膜を形成する工程と、
を備えている。
【0008】
本発明の成膜方法は、前記金属微粒子含有膜をめっき触媒としてめっき法により金属膜を積層形成する工程をさらに備えていてもよい。
【0009】
また、本発明の成膜方法は、前記基板を加熱処理する工程をさらに備えていてもよい。
【0010】
本発明の半導体装置の製造方法は、膜状または基板状の半導体材料層上に設けられたゲート絶縁膜としての酸化物膜と、該酸化物膜上に設けられたゲート電極としての導体膜と、を有するMOS構造の半導体装置の製造方法であって、
前記半導体材料層が表面に露出した基板に、ポリシラン溶液を塗布し、前記半導体材料層上に第1のポリシラン膜を形成する工程と、
前記第1のポリシラン膜の上に、単分子膜を所定のパターンで形成する工程と、
前記第1のポリシラン膜及び前記単分子膜の上から金属塩溶液を塗布して金属イオン含有膜を形成することにより、前記金属イオン含有膜に接している部分の前記第1のポリシラン膜を第1のポリシロキサン膜へ、前記金属イオン含有膜を金属微粒子含有膜へ、それぞれ改質してMOS構造の積層膜を形成する工程と、
未改質の前記金属イオン含有膜と前記単分子膜と未改質の前記第1のポリシラン膜をエッチングによって除去する工程と、
を備えている。
【0011】
本発明の半導体装置の製造方法は、前記金属微粒子含有膜をめっき触媒としてめっき法により金属膜を積層形成する工程をさらに備えていてもよい。
【0012】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、前記基板を加熱処理する工程をさらに備えていてもよい。
【0013】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、前記第1のポリシロキサン膜と前記金属微粒子含有膜の上に、さらに、ポリシラン溶液を塗布し、前記金属微粒子含有膜と前記第1のポリシロキサン膜を覆うように第2のポリシラン膜を形成する工程と、
前記第2のポリシラン膜に部分的に紫外線を照射し、第2のポリシロキサン膜に改質する工程と、
未改質の前記第2のポリシラン膜をエッチングによって除去することにより、前記第2のポリシロキサン膜に前記半導体材料層または前記金属膜に達する開口を形成する工程と、
をさらに備えていてもよい。
【0014】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、前記開口の内部に露出した状態の前記半導体材料層又は前記金属膜の表面に形成された酸化膜を除去する工程をさらに備えていてもよい。
【0015】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、前記第2のポリシラン膜のエッチングをウエットエッチングにより行ってもよい。
【0016】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、前記単分子膜と前記第1のポリシラン膜のエッチングをウエットエッチングにより行ってもよい。
【0017】
本発明の基板処理装置は、膜状または基板状の半導体材料層が表面に露出した基板に、ポリシラン溶液を塗布し、前記半導体材料層上にポリシラン膜を形成する第1の塗布ユニットと、
前記ポリシラン膜上に、金属塩溶液を塗布し、金属イオン含有膜を形成する第2の塗布ユニットと、
を備え、
前記ポリシラン膜をポリシロキサン膜へ、前記金属イオン含有膜を金属微粒子含有膜へ、それぞれ改質してMOS構造の積層膜を形成するものである。
【0018】
本発明の基板処理装置は、前記金属微粒子含有膜をめっき触媒としてめっきを行うめっきユニットをさらに備えていてもよい。
【0019】
また、本発明の基板処理装置は、前記ポリシロキサン膜及び前記金属微粒子含有膜を有する基板を加熱処理するアニールユニットをさらに備えていてもよい。
【0020】
また、本発明の基板処理装置は、前記ポリシラン膜の上に、単分子膜を所定のパターンで形成する第3の塗布ユニットと、
未改質の前記金属イオン含有膜と前記単分子膜と未改質の前記ポリシラン膜をエッチングによって除去するエッチングユニットとを、さらに備えていてもよい。
【0021】
また、本発明の基板処理装置は、基板上のポリシラン膜に部分的に紫外線を照射し、ポリシロキサン膜に改質する紫外線照射ユニットをさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の成膜方法及び半導体装置の製造方法によれば、ポリシラン膜上に金属イオン含有膜を積層することにより、ポリシラン膜をポリシロキサン膜へ、金属イオン含有膜を金属微粒子含有膜へ、それぞれ改質してMOS構造の積層膜を形成する。従って、真空装置を用いずにゲート絶縁膜となるポリシロキサン膜及びゲート電極となる金属微粒子含有膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態の成膜方法の手順の概要を示すフローチャートである。
【図2】第1の実施の形態の成膜方法の被処理体となる基板表面の断面図である。
【図3】半導体膜上にポリシラン膜を形成した状態を示す基板表面の断面図である。
【図4】ポリシラン膜上に金属イオン含有膜を形成した状態を示す基板表面の断面図である。
【図5】改質によってポリシロキサン膜と金属微粒子含有膜を形成した状態を示す基板表面の断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の成膜方法の手順の概要を示すフローチャートである。
【図7】金属微粒子含有膜上に、無電解めっきによって金属膜を形成した状態を示す基板表面の断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態の半導体装置の製造方法の手順の概要を示すフローチャートである。
【図9】ポリシラン膜上に部分的に単分子膜を形成した状態を示す基板表面の断面図である。
【図10】ポリシラン膜上及び単分子膜上に金属イオン含有膜を形成した状態を示す基板表面の断面図である。
【図11】改質によってパターン状のポリシロキサン膜と金属微粒子含有膜を形成した状態を示す基板表面の断面図である。
【図12】金属微粒子含有膜上に、無電解めっきによって金属膜を形成した状態を示す基板表面の断面図である。
【図13】未改質の金属イオン含有膜、未改質のポリシラン膜及び単分子膜を除去した状態を示す基板表面の断面図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態の半導体装置の製造方法の手順の概要を示すフローチャートである。
【図15】パターン状の金属微粒子含有膜と金属膜の上にポリシラン膜を形成した状態を示す基板表面の断面図である。
【図16】ポリシラン膜に紫外線を照射している状態を説明する図面である。
【図17】未改質のポリシラン膜を除去した状態を示す基板表面の断面図である。
【図18】基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
【図19】半導体膜上に第1の絶縁膜を形成した状態を示す基板表面の断面図である。
【図20】第1の絶縁膜上に、ポリシラン膜及び金属イオン含有膜を形成した状態を示す基板表面の断面図である。
【図21】改質によって第2の絶縁膜としてのポリシロキサン膜と金属微粒子含有膜を形成した状態を示す基板表面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の第1〜第4の実施の形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
[第1の実施の形態]
図1から図5を参照しながら、本発明の第1の実施の形態に係る成膜方法について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる成膜方法の主な工程を示すフローチャートである。また、図2〜図5は、本実施の形態の成膜方法の工程図である。本実施の形態では、例えばトランジスタに利用可能なMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)構造の積層体を製造する。
【0026】
まず、図2は、本実施の形態で被処理体となる基板の表面付近の断面図を示している。基板の表面には、例えば絶縁膜である下地膜1と、その下地膜1に積層された半導体材料層としての半導体膜3が形成されている。ここで、半導体膜3の例としては、シリコン膜、炭化ケイ素膜、窒化ガリウム膜、酸化亜鉛膜、有機半導体膜が挙げられる。この半導体膜3は、例えばCVD法、塗布法等の任意の手法で成膜できるが、可溶性の有機半導体材料をスピンコート法等の塗布法により塗膜して有機半導体膜を低温で形成することが好ましい。可溶性の有機半導体材料の例としては、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセンなどが挙げられる。また、基板としては、例えば半導体ウエハ、ガラス基板、セラミックス基板、紙、合成樹脂フィルム等を挙げることができる。尚、下地膜1は必須ではなく、基板に直接半導体膜3が形成されていてもよい。あるいは、基板として半導体ウエハなどの半導体材料を使用すれば、下地膜1及び半導体膜3の形成を行わないようにすることもできる。つまり、半導体材料層としての半導体膜3は、半導体基板であってもよい。
【0027】
<STEP1;ポリシラン膜の形成>
STEP1では、図2に示す基板の半導体膜3上にポリシラン溶液を塗布し、図3に示すようにポリシラン膜5を形成する。ここで、ポリシラン溶液は、ポリシランを溶媒に溶かした溶液である。ポリシランとしては、有機溶媒に可溶なものを使用することができる。好ましくは下記式(1)
(Rm1m2m3Si) … (1)
で示されるポリシランが用いられる。
【0028】
式(1)において、R及びRはそれぞれ水素原子、置換もしくは非置換の1価の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基である。脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基は、炭素数1〜12のものが好ましく、炭素数1〜6のものがより好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜14のものが好ましく、炭素数6〜10のものがより好ましく、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基やベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。さらに、上記に例示した非置換の炭化水素基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アミノアルキル基などで置換したものも用いることができる。また、Rは、Rと同様に水素原子、置換もしくは非置換の1価の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基であるか、あるいはアルコキシ基、ハロゲン原子、酸素原子又は窒素原子である。アルコキシ基としては、炭素数1〜4のメトキシ基、エトキシ基等が挙げられ、ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子等が挙げられる。また、m1,m2はそれぞれ0.1以上1以下の数を意味し、m3は0以上0.5以下の数を意味し、かつ1≦m1+m2+m3≦2.5であることが好ましく、nは10以上100,000以下の数を意味する。
【0029】
また、ポリシラン溶液に用いる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエーテル系溶剤を好ましく用いることができる。
【0030】
ポリシラン膜5は、乾燥後の膜厚として、例えば2nm〜1000nmとなるように形成することが好ましく、10nm〜100nmがより好ましい。膜厚が2nmより小さいと、改質後のポリシロキサンをトランジスタのゲート絶縁膜とした場合に充分な絶縁性を有しなくなり、リーク電流が大きくなる可能性があり、1000nmより大きいと、膜厚方向にポリシランの酸化が完全に進行せず、ポリシランが残存してトランジスタの電気的特性が低下する場合がある。
【0031】
ポリシラン溶液の塗布は、例えば、スピンコート法、インクジェット法、キャスト法、浸漬法などの塗布法によってウエットプロセスで行うことができる。塗布後は、必要に応じて乾燥させることが好ましい。
【0032】
<STEP2:金属イオン含有膜の形成と改質>
次に、STEP2では、ポリシラン膜5の上に、金属塩溶液を塗布し、図4に示すように、金属イオン含有膜7を形成する。そして、図5に示すように、ポリシラン膜5中のポリシランが酸化されてポリシロキサンとなり、ポリシロキサン膜5Aに改質される。これに伴い、金属イオン含有膜7中の金属イオンが還元されて金属微粒子となり、金属微粒子どうしが凝集して導電性を有する金属微粒子含有膜7Aに改質される。このように、本実施の形態の成膜方法は、ポリシランからポリシロキサンへの酸化に伴う強い還元力を利用して金属イオン含有膜7中の金属イオンを還元し、導電性の金属に転換させるものである。
【0033】
ここで、金属塩溶液を構成する金属種は、ポリシランの標準酸化還元電位(0.34V〜0.54V)よりも高い酸化還元電位を有する金属であり、例えば、銀、パラジウム、金、白金などを挙げることができる。銀塩としては、例えばAgBF、AgClO、AgPF、AgBPh(Phはフェニル基を意味する。以下同様である)、Ag(CFSO)、AgNO等を用いることができる。パラジウム塩としては、例えば、PdCl、PdBr、PdI、Pd(CN)、PdSO、Pd(OCOCH、Pd(OCOCF、Pd(BF、Pd(ClO、Pd(PF、Pd(BPh、Pd(CFSO、Pd(NO等を用いることができる。金塩としては、例えばAuCl、AuBr、HAuCl、NaAuCl、KAuCl、LiAuCl、AuCNKAu(CN)等を挙げることができる。白金塩としては、例えば、PtCl、PtCl、HPtCl、NaPtCl、KPtCl等を挙げることができる。これらの金属塩から導電性膜を得るためには、ポリシラン上で還元させて金属微粒子どうしを凝集させる必要があるが、凝集が発生しやすいという観点から、AgBFなどの銀塩を特に好適に用いることができる。
【0034】
また、金属塩溶液に使用する溶媒としては、例えば水のほか、有機溶媒として、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル等)、アルコール類(メタノール、エタノール等)、非プロトン性極性溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等)等を挙げることができる。
【0035】
金属イオン含有膜7及び金属微粒子含有膜7Aは、乾燥後の膜厚として、例えば2nm〜1000nmとなるように形成することが好ましく、10nm〜100nmがより好ましい。膜厚が2nmより小さいと、金属微粒子含有膜7Aを形成後に大気中に放置することで表面の自然酸化が進行するため導電性が低下する懸念があり、1000nmより大きいと、金属イオンの還元が不十分となり、所望の導電性が得られない場合がある。
【0036】
金属塩溶液の塗布は、例えば、スピンコート法、インクジェット法、キャスト法などの塗布法によってウエットプロセスで行うことができる。塗布後は、必要に応じて乾燥させることが好ましい。
【0037】
このように、本実施の形態の成膜方法では、ウエットプロセスの塗布法で形成されたポリシラン膜5をポリシロキサン膜5Aへ、金属イオン含有膜7を金属微粒子含有膜7Aへ、それぞれ改質して図5に示すようなMOS構造の積層体100を形成することができる。従って、真空装置による成膜を行わずにゲート絶縁膜となるポリシロキサン膜5A及びゲート電極となる金属微粒子含有膜7Aを積層形成することができる。
【0038】
<STEP3;アニール>
次に、STEP3では、STEP2で形成された2層の膜、つまり、ポリシロキサン膜5A及び金属微粒子含有膜7Aを加熱(アニール)する。アニールによって、ポリシランからポリシロキサンへの酸化反応と、金属イオンから金属への還元反応とを完結させることができる。また、金属微粒子含有膜7A中の金属微粒子の凝集を促すことができる。従って、アニールによってポリシロキサン膜5Aの絶縁性と、金属微粒子含有膜7Aの導電性を向上させて、それぞれを良質な絶縁膜と導電性膜に改質することができる。
【0039】
このSTEP3のアニール工程は、任意工程であり、STEP2までの工程で必要充分な導電性を有する金属微粒子含有膜7Aが得られる場合には実施しなくてもよい。しかし、アニールによって金属微粒子含有膜7Aの抵抗率を下げることができるので、実施することが好ましい。
【0040】
アニール工程は、例えば窒素雰囲気で行うことが好ましい。アニール温度は、例えば、30℃以上500℃以下の範囲内が好ましく、望ましくは40℃以上150℃以下とすることができる。アニール温度が30℃より低いと、ポリシランからポリシロキサンへの酸化と、金属イオンの還元を完結させることができず、金属微粒子含有膜7Aの導電性が低下する。一方、アニール温度が500℃より高いと、サーマルバジェットが増大するとともに、金属元素の拡散などが生じる場合がある。このように、本実施の形態の成膜方法では、STEP3のアニール工程を行う場合でも、500℃以下の比較的低温での実施が可能であり、他に基板を加熱する工程を含まないため、サーマルバジェットをあまり増加させずに、成膜処理ができる。更に150℃以下の低温アニールを行うことで、耐熱温度の低い合成樹脂フィルム材料を基板として用いることもできるようになる。
【0041】
以上のSTEP1及びSTEP2、さらに必要な場合STEP3の工程を行うことによって、図5に示すように、半導体膜3上に、絶縁性のポリシロキサン膜5Aが形成され、さらにその上に導体膜としての金属微粒子含有膜7Aが形成されたMOS構造の積層体100が得られる。この積層体100を所定のパターンに加工することによって、金属微粒子含有膜7Aは例えばトランジスタ等の半導体装置のゲート電極として、ポリシロキサン膜5Aはゲート絶縁膜として、それぞれ利用できる。金属微粒子含有膜7Aとポリシロキサン膜5Aをパターン形成する方法は、第3の実施の形態において詳述するが、金属微粒子含有膜7Aとポリシロキサン膜5Aを、例えばフォトリソグラフィー技術とエッチングにより所定のパターンに加工することもできる。さらに、半導体膜3を、例えばスピンコート法等の塗布法により形成する場合には、すべての成膜工程をウエットプロセスで行うことが可能になる。
【0042】
[第2の実施の形態]
次に、図6及び図7を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係る成膜方法について説明する。図6は、第2の実施の形態にかかる成膜方法の主な工程を示すフローチャートである。また、図7は、本実施の形態の成膜方法の主要工程を示す工程図である。本実施の形態でも、例えばトランジスタに利用可能なMOS構造の積層体を製造する。
【0043】
<STEP11及びSTEP12>
本実施の形態のSTEP11及びSTEP12は、第1の実施の形態のSTEP1及びSTEP2と同様に実施できる。従って、第1の実施の形態における図2から図5の工程図を本実施の形態でも援用し、重複する説明を省略する。
【0044】
<STEP13;無電解めっき>
次に、STEP13では、図5に示す状態から、金属微粒子含有膜7Aをめっき触媒(めっき核)として無電解めっきを行い、図7に示すように金属膜9を成膜する。
【0045】
無電解めっき工程で用いるめっき浴としては、例えば、硫酸ニッケル、硫酸銅等の金属塩、次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤、酢酸ナトリウム等のpH調整剤、フェニレンジアミン、酒石酸ナトリウムカリウム等の錯化剤などの成分を含有するものを用いることができる。
【0046】
銅の無電解めっき液の組成の具体例としては、硫酸銅5水和物を1.25重量%、酒石酸ナトリウムカリウム5水和物を5.65重量%、水酸化カリウムを1.4重量%、37%ホルムアルデヒド液を3.5重量%、それぞれ含有する水溶液が挙げられる。この組成の無電解めっき液を使用すると、室温で銅膜を成膜できる。
【0047】
ニッケルの無電解めっき液の組成の具体例としては、硫酸ニッケル6水和物を12.5重量%、次亜リン酸ナトリウムを6.3重量%、酢酸ナトリウムを18.7重量%、それぞれ含有する水溶液が挙げられる。この組成の無電解めっき液を使用すると、例えば50℃以上100℃以下でニッケル膜を成膜できる。
【0048】
STEP13の無電解めっき工程により、金属微粒子含有膜7Aの上に、そのままゲート電極等として利用可能な低抵抗の金属膜9を成膜できる。従って、STEP13の無電解めっき工程を実施する場合は、金属微粒子含有膜7A自体は、導電性が低くても差し支えない。例えば、本実施の形態では、金属微粒子含有膜7Aはめっき核として機能すればよいので、金属微粒子含有膜7Aが導電性の低い金属コロイド状態であってもよい。また、例えば、無電解めっき液との相性の観点から、PdCl等のパラジウム塩を還元したパラジウムをめっき触媒金属として好適に用いることができる。
【0049】
以上のSTEP11〜STEP13の工程を行うことによって、図7に示すように、半導体膜3上に、絶縁性のポリシロキサン膜5Aが形成され、さらにその上に、金属微粒子含有膜7Aと金属膜9が導体膜として積層形成されたMOS構造の積層体100Aが得られる。この積層体100Aを所定のパターンに加工することによって、金属微粒子含有膜7A及び金属膜9は例えばトランジスタ等の半導体装置のゲート電極として、ポリシロキサン膜5Aはゲート絶縁膜として、それぞれ利用できる。さらに、半導体膜3を、例えばスピンコート法等の塗布法により形成する場合には、すべての成膜工程をウエットプロセスで行うことが可能になる。金属微粒子含有膜7Aと金属膜9、及びポリシロキサン膜5Aをパターン形成する方法は、第3の実施の形態において詳述するが、金属微粒子含有膜7Aと金属膜9、及びポリシロキサン膜5Aを、例えばフォトリソグラフィー技術とエッチングにより所定のパターンに加工することもできる。
【0050】
なお、図示は省略するが、本実施の形態においても、第1の実施の形態のSTEP3と同様のアニール工程を実施することが可能である。アニール工程は、STEP12の後STEP13の前、又はSTEP13の後に行うことができる。STEP13の前にアニール工程を行うことによって、ポリシロキサン膜5Aの絶縁性と金属微粒子含有膜7Aの導電性を共に向上させることができる。また、STEP13の後でアニール工程を行うことによって、ポリシロキサン膜5Aの絶縁性と、金属微粒子含有膜7A及び金属膜9の導電性をより向上させることができる。アニール工程を行う場合の条件は、第1の実施の形態のSTEP3と同様である。
【0051】
本実施の形態における他の構成及び効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0052】
[第3の実施の形態]
次に、図8から図13を参照しながら、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図8は、第3の実施の形態にかかる半導体装置の製造方法の主な工程を示すフローチャートである。また、図9〜図13は、本実施の形態の半導体装置の製造方法の主要工程を示す工程図である。本実施の形態では、例えばトランジスタに利用可能なMOS構造の積層体を製造する。
【0053】
<STEP21;ポリシラン膜の形成>
本実施の形態のSTEP21は、第1の実施の形態のSTEP1と同様に実施できる。従って、第1の実施の形態における図2及び図3の工程図を本実施の形態でも援用し、重複する説明を省略する。
【0054】
<STEP22>
次に、STEP22では、図3に示す状態から、図9に示すように、ポリシラン膜5の上に、単分子膜11を形成する。単分子膜11は、例えば末端官能性長鎖アルキル化合物がSAM(自己組織化膜)と呼ばれる単分子膜を形成する能力を利用して形成できる薄膜である。ここで、末端官能性長鎖アルキル化合物としては、例えばアルカンチオール類、ジアルキドジスルフィドのような有機イオウ化合物、有機シラン化合物、アルコール、アミン化合物等を用いることができる。これらの末端官能性長鎖アルキル化合物のなかで、ポリシラン膜5上に好適に単分子膜を形成できる化合物の例としては、R−Si(OR’)3[ここで、R,R’は、アルキル基等の炭化水素基を意味する]で表される有機シラン化合物が挙げられる。
【0055】
単分子膜11は、所定のパターンで形成する。単分子膜11を形成する方法としては、例えばスタンプ法、インクジェット法などにより行うことができる。スタンプ法は、例えば、凹凸パターンが形成されたシリコーンゴム製のスタンプに、末端官能性長鎖アルキル化合物を含む溶液を付着させ、該スタンプからポリシラン膜5の上に所定のパターンで末端官能性長鎖アルキル化合物を転写することにより行うことができる。末端官能性長鎖アルキル化合物を含む溶液に用いる好適な溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、エチルセルソルブ、メチルセルソルブ等のアルコキシエタノール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒、PEGMIA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)等のエーテルエステル系溶媒が挙げられる。
【0056】
単分子膜11の膜厚は、モノレイヤー程度であり、例えば0.5nm〜5nmとなるように形成することが好ましい。
【0057】
<STEP23:金属イオン含有膜の形成>
次に、STEP23では、ポリシラン膜5の上に、金属塩溶液を塗布し、図10に示すように、金属イオン含有膜7を形成する。本実施の形態における金属イオン含有膜7の形成は、第1の実施の形態のSTEP2と同様に実施できるが、第1の実施の形態と異なる点として、本実施の形態では、ポリシラン膜5上にパターン状の単分子膜11が存在しているため、金属イオン含有膜7は、単分子膜11上、及びポリシラン膜5上にそれぞれ形成される。そして、図11に示すように、ポリシラン膜5は部分的に酸化されてポリシロキサン膜5Aに改質される。これに伴い、金属イオン含有膜7中の金属イオンは部分的に還元されて金属微粒子となり、金属微粒子含有膜7Aに改質される。ここで、ポリシラン膜5と金属イオン含有膜7が積層されている部位のみ、ポリシラン膜5が酸化されてポリシロキサン膜5Aとなり、金属イオン含有膜7が還元されて金属微粒子含有膜7Aに改質される。金属イオン含有膜7とポリシラン膜5との間に単分子膜11がある部位は、金属イオン含有膜7が改質されずにそのまま残存する。従って、図11に示すように、ポリシロキサン膜5Aと金属微粒子含有膜7Aは同一のパターンに形成される。
【0058】
このように、本実施の形態の半導体装置の製造方法では、ウエットプロセスの塗布法でポリシラン膜5上に金属イオン含有膜7を成膜することにより、ポリシラン膜5をポリシロキサン膜5Aへ、金属イオン含有膜7を金属微粒子含有膜7Aへ、それぞれ改質してMOS構造の積層膜を形成する。また、ポリシラン膜5上に単分子膜11をパターン形成しておくことにより、エッチング工程を実施せずにポリシロキサン膜5Aと金属微粒子含有膜7Aを所定のパターンに形成できる。従って、本実施の形態の半導体装置の製造方法では、真空装置による成膜やドライエッチングを行わずにゲート絶縁膜となるポリシロキサン膜5A及びゲート電極となる金属微粒子含有膜7Aを積層形成することができる。
【0059】
<STEP24;無電解めっき>
次に、STEP24では、図11に示す状態から、金属微粒子含有膜7Aをめっき触媒(めっき核)として無電解めっきを行い、図12に示すように金属微粒子含有膜7A上に金属膜9を積層形成する。本実施の形態では、金属イオン含有膜7が残存している部位にはめっき触媒(めっき核)が無いため、金属イオン含有膜7上に金属膜9は析出しない。従って、金属膜9を金属微粒子含有膜7A上にパターン状に析出させることができる。
【0060】
本実施の形態では、STEP24の無電解めっき工程は、任意工程であり、STEP23で必要充分な導電性と膜厚を有する金属微粒子含有膜7Aが得られる場合には実施しなくてもよい。ただし、無電解めっきによって導電性に優れた金属膜9を所望の膜厚とパターン形状で形成できるので、実施することが好ましい。つまり、STEP24の無電解めっき工程により、金属微粒子含有膜7Aの上に、そのままゲート電極等として利用可能な低抵抗の金属膜9を成膜できる。なお、STEP24の無電解めっき工程を実施する場合は、金属微粒子含有膜7A自体の導電性が低くてもめっき核として機能すれば足りるので、金属微粒子含有膜7Aが金属コロイド状態であってもよい。
【0061】
このSTEP24の無電解めっき工程は、第2の実施の形態のSTEP13と同様に実施できるので、重複した説明を省略する。
【0062】
<STEP25;単分子膜とポリシラン膜の除去>
次に、金属微粒子含有膜7Aに改質されなかった金属イオン含有膜7と、単分子膜11と、ポリシロキサンに改質されなかったポリシラン膜5を除去する。これらの3種類の膜の除去は、例えば、溶媒を用いるウエットエッチングによって行うことができる。金属イオン含有膜7の除去に用いる溶媒としては、金属イオン含有膜7の形成に用いた金属塩溶液で使用した溶媒と同様の溶媒を好適に用いることができる。単分子膜11の除去に用いる溶媒としては、単分子膜11の形成に用いた末端官能性長鎖アルキル化合物を含む溶液で使用した溶媒と同様の溶媒を好適に用いることができる。ポリシラン膜5の除去に用いる溶媒としては、ポリシラン膜5の形成に用いたポリシラン溶液で使用した溶媒と同様の溶媒を好適に用いることができる。各膜除去用の溶媒を混合した液体を使用すれば、一度のウエットエッチングで3種類の膜を除去することもできる。ウエットエッチングは、例えばスピンコーターを利用して溶媒を基板の表面に適用する現像法や、浸漬法などによって行うことができる。
【0063】
以上のSTEP21から25の工程を実施することによって、図13に示すように、半導体膜3上に、所定のパターンで、絶縁性のポリシロキサン膜5Aと、導体膜としての金属微粒子含有膜7A及び金属膜9と、が積層形成されたMOS構造の積層体101が得られる。本実施の形態では、単分子膜11をマスクとして用いることによって、エッチング工程を経ずにポリシロキサン膜5A、金属微粒子含有膜7A及び金属膜9を所定のパターン状に形成できる。また、不要となった金属イオン含有膜7、単分子膜11やポリシラン膜5は、ウエットエッチングによって除去できる。従って、フォトリソグラフィー技術や、真空装置を用いる成膜、ドライエッチング等の工程を経ずに、トランジスタ等に利用可能なMOS構造の積層体101を製造できる。さらに、半導体膜3を、例えばスピンコート法等の塗布法により形成することによって、すべての成膜工程をウエットプロセスで行うことが可能になる。以降の工程は、常法に従い、例えばMOS構造のトランジスタを製造できる。
【0064】
なお、図示は省略するが、本実施の形態においても、第1の実施の形態のSTEP3と同様のアニール工程を実施することが可能である。アニール工程は、STEP23よりも後の任意のタイミングで実施できる。例えば、STEP23の後STEP24の前、STEP24の後STEP25の前もしくはSTEP25の後にアニール工程を行うことができる。STEP24の前にアニール工程を行うことによって、ポリシロキサン膜5Aの絶縁性と、金属微粒子含有膜7Aの導電性を共に向上させることができる。また、STEP24よりも後にアニール工程を行うことによって、ポリシロキサン膜5Aの絶縁性と、金属微粒子含有膜7A及び金属膜9の導電性をより向上させることができる。アニール工程を行う場合の条件は、第1の実施の形態のSTEP3と同様である。なお、本実施の形態では、アニール工程を複数回実施してもよい。本実施の形態の半導体装置の製造方法では、500℃以下の比較的低温でのアニール工程を行う場合でも、他に基板を加熱する工程を含まないため、サーマルバジェットをあまり増加させることがない。
【0065】
本実施の形態における他の構成及び効果は、第1及び第2の実施の形態と同様である。
【0066】
[第4の実施の形態]
次に図14から図17を参照しながら、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図14は、第4の実施の形態にかかる半導体装置の製造方法の主な工程を示すフローチャートである。また、図15〜図17は、本実施の形態の半導体装置の製造方法の主要工程を示す工程図である。本実施の形態では、トランジスタに利用可能なMOS構造の積層体と多層配線用の層間絶縁膜を製造する。
【0067】
<STEP31〜STEP35>
本実施の形態におけるSTEP31から35の各工程は、第3の実施の形態のSTEP21から25の各工程と同様に実施できるので、重複した内容の説明を省略する。STEP31〜STEP35を行うことによって、第3の実施の形態と同様に、半導体膜3上に、絶縁性のポリシロキサン膜5Aと金属微粒子含有膜7A及び金属膜9が所定のパターンで形成されたMOS構造の積層体101が得られる(図13参照)。
【0068】
<STEP36;ポリシラン膜の形成>
STEP36では、図13に示す状態から、半導体膜3上にポリシラン溶液を塗布し、図15に示すように金属微粒子含有膜7A、金属膜9を覆うように、ポリシラン膜21を形成する。ここで、STEP36は、ポリシラン膜21の膜厚を厚く形成する点以外は、第1の実施の形態のSTEP1と同様に実施できる。このポリシラン膜21は、後の工程で改質されて層間絶縁膜となるものであるため、乾燥後の膜厚として、例えば50nm〜10000nmとなるように形成することが好ましく、500nm〜3000nmがより好ましい。膜厚が50nmより小さいと、ポリシロキサン膜5Aと金属微粒子含有膜7A及び金属膜9を覆うためには不充分な膜厚となり、10000nmより大きいと、ポリシラン膜21にクラックが入りやすく、また次の工程での紫外線照射による改質が困難となる。
【0069】
<STEP37;紫外線照射>
次に、STEP37では、図16に示すように、所定パターンの開口を有する遮蔽部材30を用い、ポリシラン膜21に部分的に紫外線31を照射する。照射する紫外線としては、ポリシランの光吸収体の波長光、すなわち波長180nm〜400nmの紫外線を照射することが必要である。紫外線照射された部位では、ポリシラン膜21が酸化されてポリシロキサン膜23となる。一方、遮蔽部材30によって紫外線31の照射を受けなかった部位では、ポリシラン膜21がそのまま残存する。紫外線31の照射量は、吸収光に換算して0.1J/cm〜100J/cmが好ましく、1J/cm〜10J/cmがより好ましい。紫外線31の光源としては、例えば、水銀灯、ハロゲンランプ、水素放電管、希ガス放電管、タングステンランプ、各種レーザーなどを用いることができる。紫外線照射は、空気雰囲気下もしくは酸素ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
【0070】
<STEP38;ポリシラン膜の除去>
次に、STEP38では、ポリシロキサンに改質されなかったポリシラン膜21を除去する。ポリシラン膜21の除去は、ウエットエッチングによって行うことができる。その結果、図17に示すように、絶縁性のポリシロキサン膜23に、所定のパターンで半導体膜3又は金属膜9に達する開口21aが形成される。なお、ウエットエッチングは、第3の実施の形態のSTEP25と同様に実施できるので、重複する説明を省略する。
【0071】
STEP38で形成された開口21aは、例えばビアホールとして利用可能であり、例えばダマシン法によって開口21aにCu等の導体の埋め込みを行うことによって、ビア配線やプラグを形成することができる。
【0072】
このように、本実施の形態の半導体装置の製造方法では、ポリシラン膜21に紫外線照射を行って部分的にポリシロキサン膜23に改質した後、ポリシロキサンに改質されなかったポリシラン膜21をウエットエッチングにより除去して配線用の開口(例えばビアホール)を形成できる。従って、本実施の形態の半導体装置の製造方法では、真空装置による成膜やエッチングを行わずに、配線用の開口を有する層間絶縁膜としてのポリシロキサン膜23を形成できる。
【0073】
以上のSTEP31から38の工程を実施することによって、半導体膜3上に、所定のパターンで、絶縁性のポリシロキサン膜5Aと、導体膜としての金属微粒子含有膜7A及び金属膜9と、が積層形成されたMOS構造と、その周囲の絶縁性のポリシロキサン膜23とを有する積層体102が得られる。本実施の形態では、単分子膜11をマスクとして用いることによってエッチング工程を経ずにポリシロキサン膜5A、金属微粒子含有膜7A及び金属膜9を所定のパターン状に形成できる。また、不要となった単分子膜11やポリシラン膜5は、ウエットエッチングによって除去できる。さらに、ポリシラン膜21への紫外線照射による改質とウエットエッチングによって、ポリシロキサン膜23に開口21aを形成できる。従って、フォトリソグラフィー技術や、真空装置を用いる成膜、エッチング等の工程を経ずに、トランジスタ等に利用可能なMOS構造とビアホール等の配線用の開口を有する積層体102を製造できる。さらに、半導体膜3を、例えばスピンコート法等の塗布法により形成することによって、すべての成膜工程をウエットプロセスで行うことが可能になる。以降の工程は、常法に従い、例えばトランジスタを有する多層配線構造の半導体装置を製造できる。
【0074】
なお、図示は省略するが、本実施の形態においても、第1の実施の形態のSTEP3と同様のアニール工程を実施することが可能である。アニール工程は、STEP33よりも後の任意のタイミングで実施できる。例えば、STEP33の後STEP34の前、STEP34の後STEP35の前もしくはSTEP35の後に行うことができる。STEP34の前にアニール工程を行うことによって、ポリシロキサン膜5Aの絶縁性と金属微粒子含有膜7Aの導電性を向上させることができる。また、STEP34よりも後にアニール工程を行うことによって、ポリシロキサン膜5Aの絶縁性と、金属微粒子含有膜7A及び金属膜9の導電性をより向上させることができる。なお、本実施の形態では、アニール工程を複数回実施してもよい。アニール工程を行う場合の条件は、第1の実施の形態のSTEP3と同様である。本実施の形態の半導体装置の製造方法では、500℃以下の比較的低温でのアニール工程を行う場合でも、他に基板を加熱する工程を含まないため、サーマルバジェットをあまり増加させることがない。
【0075】
尚、STEP37でポリシラン膜21に紫外線を照射する際に、ポリシラン膜21が酸化されると同時に、ポリシラン膜21下地の金属膜9や半導体膜3の表面が酸化される場合がある。金属膜9や半導体膜3の酸化量が大きいと、導電性及び半導体特性がそれぞれ低下する懸念がある。このような場合は、STEP38で開口21aを形成後、還元性ガスが存在する雰囲気下でアニール処理を行うことで金属膜9あるいは半導体膜3の表面に形成された酸化膜を除去するようにしてもよい。還元性ガスとしては例えば水素を用いることができる。あるいは、ウエットエッチング等、アニール処理以外の方法で金属膜9あるいは半導体膜3の表面に形成された酸化膜を除去するようにしてもよい。
【0076】
本実施の形態における他の構成及び効果は、第1〜第3の実施の形態と同様である。
【0077】
[基板処理装置]
次に、図18を参照しながら、第1及び第2の実施の形態にかかる成膜方法、並びに第3及び第4の実施の形態にかかる半導体装置の製造方法に利用可能な基板処理装置について説明する。図18は、基板処理装置200の概要を示す平面図である。基板処理装置200は、インターフェィス部201、処理ステーション203及び制御部205を備えている。
【0078】
<インターフェイス部>
インターフェイス部201は、図示しない外部の処理装置と処理ステーション203との間で被処理体としての基板の受け渡しを行う。インターフェイス部201によって、他のシステムから基板処理装置200へ基板を搬入したり、基板処理装置200から他のシステムへ基板を搬出したりすることができる。インターフェイス部201は、搬送路211と、この搬送路211を図18中に示されるX方向に往復移動可能な第1の搬送装置RBT1を有している。第1の搬送装置RBT1は、θ方向に回転可能な図示しない搬送用アームを備えている。このような構成により、第1の搬送装置RBT1は、後述する処理ステーション203のエクステンションユニットEXTにアクセスできるようになっている。
【0079】
<処理ステーション>
処理ステーション203は、基板へ対して、ポリシラン溶液や金属塩溶液の塗布処理、アニール処理、冷却処理、無電解めっき処理、ポリシラン膜等のウエットエッチング処理、及び紫外線照射処理を行う際の一連の工程を実施するための複数の処理ユニットを備えている。
【0080】
処理ステーション203は、図18に示すように、中心部にY方向に設けられた搬送路221を有している。この搬送路221に、Y方向に移動可能な搬送装置RBT2が設けられている。搬送装置RBT2は、θ方向に回転可能な図示しない搬送用アームと基板保持部材を備え、各処理ユニット間での基板の受け渡しを行う。
【0081】
処理ステーション203では、搬送路221の両側に全ての処理ユニットが配置されている。処理ステーション203は、図18に示したように、基板にポリシラン溶液を塗布する第1の塗布ユニットCOT1、金属塩溶液を塗布する第2の塗布ユニットCOT2、単分子膜11を形成するための末端官能性長鎖アルキル化合物を塗布する第3の塗布ユニットCOT3を備えている。また、処理ステーション203は、膜をアニール処理するためのアニールユニットANL、アニール処理後の基板を冷却するためのクーリングユニットCOL、基板に無電解めっき処理を施すためのめっきユニットPLT、基板上のポリシラン膜5や単分子膜11をエッチングするためのエッチングユニットETCHを備えている。さらに、処理ステーション203は、ポリシラン膜21に紫外線を照射するための紫外線照射ユニットEXP、及び基板の搬入出を行うエクステンションユニットEXTを備えている。
【0082】
処理ステーション203における各処理ユニットには、いずれも既知の構成の装置を利用できる。例えば、第1の塗布ユニットCOT1及び第2の塗布ユニットCOT2は、いずれも、例えばスピンコート方式又はインクジェット方式の塗布膜形成装置(図示省略)を備えている。第3の塗布ユニットCOT3は、例えばスタンプ方式又はインクジェット方式の塗布膜形成装置(図示省略)を備えている。
【0083】
また、アニールユニットANLは、例えばホットプレート方式、熱風加熱方式等の加熱装置(図示省略)を備えている。クーリングユニットCOLは、例えば温度調節された気流を基板へ吹き付ける方式の冷却装置を備えている。めっきユニットPLTは、例えば無電解めっきを行うためのめっき槽を含むめっき装置を備えている。また、エッチングユニットETCHは、例えばポリシラン膜5、21や単分子膜11を処理液(溶媒)によりエッチングする液処理装置(図示省略)を備えている。この液処理装置には、例えば公知の現像装置と同様に、基板を回転可能に支持しながら処理液を基板上に滴下した後、遠心力によって振り切る方式を採用することができる。また、紫外線照射ユニットEXPは、例えば、ポリシラン膜21に紫外線を照射する紫外線ランプと遮蔽部材30を有する紫外線照射装置(図示省略)を備えている。エクステンションユニットEXTは、基板の受け渡しを行う際に一時的に基板を保持する載置台(図示省略)を備えている。
【0084】
<制御部>
基板処理装置200を構成する各構成部は、制御部(CTL)205に接続されて制御される構成となっている。コンピュータ機能を有する制御部205は、図示は省略するが、CPUを備えたコントローラと、このコントローラに接続されたユーザーインターフェースと記憶部を備えている。記憶部には、基板処理装置200で実行される各種処理をコントローラの制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウェア)や処理条件データ等が記録されたレシピが保存されている。そして、必要に応じて、ユーザーインターフェースからの指示等にて任意の制御プログラムやレシピを記憶部から呼び出してコントローラに実行させることで、制御部205の制御下で、基板処理装置200において所望の処理が行われる。なお、前記制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された状態のものを記憶部にインストールすることによっても利用できる。コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、特に制限はないが、例えばCD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリ、DVDなどを使用できる。また、前記レシピは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用したりすることも可能である。
【0085】
なお、基板処理装置200の処理ステーション203は、図示は省略するが、例えば、基板の位置合わせを行うアライメントユニット、塗布処理やエッチング処理などのウエットプロセス後の基板を乾燥させる乾燥ユニットなどを、さらに備えていてもよい。
【0086】
以上の構成を有する基板処理装置200における基板の処理の手順について、第4の実施の形態の半導体装置の製造方法を例に挙げて説明する。基板処理装置200では、インターフェイス部201において第1の搬送装置RBT1が、下地膜1及び半導体膜3が形成された基板を、処理ステーション203のエクステンションユニットEXTに搬送する。基板は、エクステンションユニットEXTから、第2の搬送装置RBT2により、第1の塗布ユニットCOT1に搬送され、そこで半導体膜3上にポリシラン溶液が塗布され、ポリシラン膜5が形成される(STEP31)。第1の塗布ユニットCOT1がスピンコート方式の場合は、基板の半導体膜3の全面に均一な膜厚でポリシラン膜5が形成される。第1の塗布ユニットCOT1がインクジェット方式の場合は、所定パターンにポリシラン膜5を形成することができる。
【0087】
次に、基板は、第2の搬送装置RBT2により、第3の塗布ユニットCOT3内に移送される。第3の塗布ユニットCOT3内では、基板のポリシラン膜5上に、所定のパターンで単分子膜11の形成が行われる(STEP32)。次に、基板は、第2の搬送装置RBT2により、第2の塗布ユニットCOT2内に移送される。第2の塗布ユニットCOT2内では、ポリシラン膜5及び単分子膜11上に金属塩溶液が塗布され、金属イオン含有膜7が形成される。これによって、ポリシラン膜5はポリシロキサン膜5Aへ改質され、金属イオン含有膜7は金属微粒子含有膜7Aに改質される(STEP33)。
【0088】
次に、基板は、第2の搬送装置RBT2により、めっきユニットPLTに移送される。めっきユニットPLTでは、金属微粒子含有膜7A上に選択的に皮膜形成が行われ、パターン状の金属膜9が形成される(STEP34)。
【0089】
次に、基板は、第2の搬送装置RBT2により、エッチングユニットETCHに移送される。エッチングユニットETCHでは、STEP33で改質されなかったポリシラン膜5及び金属イオン含有膜7並びに単分子膜11を溶解可能な処理液(溶媒)により、ウエットエッチングが行われ、ポリシラン膜5及び単分子膜11が除去される(STEP35)。次に、基板は、第2の搬送装置RBT2により、再び第1の塗布ユニットCOT1へ搬送される。第1の塗布ユニットCOT1では、基板上にポリシラン溶液が塗布され、金属微粒子含有膜7A及び金属膜9を覆うようにポリシラン膜21が厚膜に形成される(STEP36)。
【0090】
次に、基板は、第2の搬送装置RBT2により、紫外線照射ユニットEXPに搬送される。紫外線照射ユニットEXPでは、ポリシラン膜21に対して、遮蔽部材30を用いて部分的に紫外線31が照射される(STEP37)。紫外線31の照射によって、ポリシラン膜21は部分的にポリシロキサン膜23に改質(酸化)される。次に、基板は、第2の搬送装置RBT2により、再びエッチングユニットETCHに搬送される。エッチングユニットETCHでは、未改質のポリシラン膜21を溶解可能な処理液(溶媒)によりウエットエッチングが行われる。ウエットエッチングにより、未改質のポリシラン膜21が除去され、ポリシロキサン膜23に開口21aが形成される(STEP38)。次に、基板は第2の搬送装置RBT2によりエクステンションユニットEXTに搬送され、インターフェィス部201の第1の搬送装置RBT1に受け渡され、そこから図示しない外部の処理装置等へ搬出される。
【0091】
なお、アニール工程を行う場合には、例えばSTEP33より後の任意のタイミングで、第2の搬送装置RBT2により、基板をアニールユニットANLに移送する。アニールユニットANLでは、ポリシロキサン膜5A、金属微粒子含有膜7A、金属膜9等を加熱することにより、ポリシランからポリシロキサンへの酸化を完結させて絶縁性を向上させ、あるいは、金属イオンから金属への還元を完結させて導電性を向上させることができる。
【0092】
基板処理装置200における以上の処理は、制御部(CTL)205の制御のもとで行われる。
【0093】
以上、第4の実施の形態の半導体装置の製造方法を例に挙げて説明したが、基板処理装置200では、第1及び第2の実施の形態の成膜方法、第3の実施の形態の半導体装置の製造方法も実施できることが明らかである。基板処理装置200を用いることによって、各実施の形態の方法を高スループットで実施できる。なお、図18では、水平方向(Y方向)に移動可能な第2の搬送装置RBT2を用いて基板を各処理ユニットへ搬送する構成としたが、垂直方向に移動可能な搬送装置を用い、上下に多段に積層配置された処理ユニットへ基板を搬送する構成としてもよい。
【0094】
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。例えば上記実施の形態では無電解めっきで金属膜9を形成する構成としたが、電気めっきによって金属膜9を形成できる場合もある。
【0095】
また、上記各実施の形態では、ゲート絶縁膜を単層のポリシロキサン膜5Aによって形成したが、複数の絶縁膜によりゲート絶縁膜を形成してもよい。例えば図19に示すように、半導体膜3の上に、第1の絶縁膜51を形成した後、該第1の絶縁膜51上に、図20に示すようにポリシラン膜53及び金属イオン含有膜7を順次形成してもよい。これにより、図21に示すように、金属イオン含有膜7を金属微粒子含有膜7Aに改質するとともに、ポリシラン膜53を第2の絶縁膜53Aとしてのポリシロキサン膜に改質することが可能になる。このようにして、金属微粒子含有膜7Aと、第1及び第2の絶縁膜51,53Aと、半導体膜3と、を有するMOS構造の積層体100Bを得ることができる。この場合、第1の絶縁膜51と第2の絶縁膜53Aの積層膜がゲート絶縁膜55となる。第1の絶縁膜51としては、例えばポリシラン膜を紫外線照射してポリシロキサン膜に改質した膜を用いることもできる。
【0096】
また、上記実施の形態ではポリシラン膜上に単分子膜を所定のパターンで形成した後に金属塩溶液を塗布することで導体膜のパターニングを行っていたが、以下のような方法で金属膜のパターニングを行うこともできる。例えば図5に示す状態から、金属微粒子含有膜7Aの上に、単分子膜を所定のパターンで形成した後、単分子膜に覆われていない箇所の金属微粒子含有膜7Aをめっき触媒として無電解めっきを行うことで、単分子膜に覆われていない箇所に選択的にめっき金属膜を形成するようにしてもよい。この場合、好適な金属微粒子含有膜の金属材料としてパラジウム、好適な単分子膜の形成材料としてアルカンチオール、好適なめっき金属膜の金属材料として銅をそれぞれ挙げることができる。ここでアルカンチオールは、RSH(Rは置換もしくは非置換の脂肪族、脂環式又は芳香族の炭化水素基を示す。)の構造を有し、Rは長鎖アルキル基等の親油性基であることがよく、炭素数6〜25の置換もしくは非置換の脂肪族、脂環式あるいは芳香族の炭化水素基で、より具体的には、炭素数8の1−オクタンチオール、炭素数10の1−デカンチオール、炭素数16の1−ヘキサデカンチオール、炭素数18の1−オクタデカンチオールなどが好適に用いられる。また、アルカンチオールの好適な溶媒の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエーテル系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、エチルセルソルブ、メチルセルソルブ等のアルコキシエタノール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒、PEGMIA等のエーテルエステル系溶媒が挙げられる。
【0097】
また、上記実施の形態では加熱によるアニールを行うことで金属膜の低抵抗化を行っていたが、光照射などの方法で金属膜の低抵抗化を行ってもよい。
【0098】
また、基板処理装置200で、下地膜1や半導体膜3の成膜、あるいはエッチング開口部の導電膜埋め込み成膜を行うユニットを追加することで、下地膜形成から埋め込み成膜までを一つの装置で行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1…下地膜、3…半導体膜、5…ポリシラン膜、5A…ポリシロキサン膜、7…金属イオン含有膜、7A…金属微粒子含有膜、9…金属膜、11…単分子膜、21…ポリシラン膜、21a…開口、23…ポリシロキサン膜、100,101,102…積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜状または基板状の半導体材料層上に設けられたゲート絶縁膜としての酸化物膜と、該酸化物膜上に設けられたゲート電極としての導体膜と、を有するMOS構造の積層膜を形成する成膜方法であって、
前記半導体材料層が表面に露出した基板にポリシラン溶液を塗布し、前記半導体材料層上にポリシラン膜を形成する工程と、
前記ポリシラン膜上に、金属塩溶液を塗布して金属イオン含有膜を形成することにより、前記ポリシラン膜をポリシロキサン膜へ、前記金属イオン含有膜を金属微粒子含有膜へ、それぞれ改質してMOS構造の積層膜を形成する工程と、
を備えた成膜方法。
【請求項2】
膜状または基板状の半導体材料層上に設けられた第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜からなるゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極としての導体膜と、を有するMOS構造の積層膜を形成する成膜方法であって、
前記半導体材料層上に前記第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜が表面に露出した基板にポリシラン溶液を塗布し、前記第1の絶縁膜上にポリシラン膜を形成する工程と、
前記ポリシラン膜上に、金属塩溶液を塗布して金属イオン含有膜を形成することにより、前記ポリシラン膜を前記第2の絶縁膜としてのポリシロキサン膜へ、前記金属イオン含有膜を金属微粒子含有膜へ、それぞれ改質してMOS構造の積層膜を形成する工程と、
を備えた成膜方法。
【請求項3】
前記金属微粒子含有膜をめっき触媒としてめっき法により金属膜を積層形成する工程をさらに備えた請求項1又は2に記載の成膜方法。
【請求項4】
前記基板を加熱処理する工程をさらに備えた請求項1から3のいずれか1項に記載の成膜方法。
【請求項5】
膜状または基板状の半導体材料層上に設けられたゲート絶縁膜としての酸化物膜と、該酸化物膜上に設けられたゲート電極としての導体膜と、を有するMOS構造の半導体装置の製造方法であって、
前記半導体材料層が表面に露出した基板に、ポリシラン溶液を塗布し、前記半導体材料層上に第1のポリシラン膜を形成する工程と、
前記第1のポリシラン膜の上に、単分子膜を所定のパターンで形成する工程と、
前記第1のポリシラン膜及び前記単分子膜の上から金属塩溶液を塗布して金属イオン含有膜を形成することにより、前記金属イオン含有膜に接している部分の前記第1のポリシラン膜を第1のポリシロキサン膜へ、前記金属イオン含有膜を金属微粒子含有膜へ、それぞれ改質してMOS構造の積層膜を形成する工程と、
未改質の前記金属イオン含有膜と前記単分子膜と未改質の前記第1のポリシラン膜をエッチングによって除去する工程と、
を備えた半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記金属微粒子含有膜をめっき触媒としてめっき法により金属膜を積層形成する工程をさらに備えた請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記基板を加熱処理する工程をさらに備えた請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1のポリシロキサン膜と前記金属微粒子含有膜の上に、さらに、ポリシラン溶液を塗布し、前記金属微粒子含有膜と前記第1のポリシロキサン膜を覆うように第2のポリシラン膜を形成する工程と、
前記第2のポリシラン膜に部分的に紫外線を照射し、第2のポリシロキサン膜に改質する工程と、
未改質の前記第2のポリシラン膜をエッチングによって除去することにより、前記第2のポリシロキサン膜に前記半導体材料層または前記金属膜に達する開口を形成する工程と、
を備えた請求項6又は7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記開口の内部に露出した状態の前記半導体材料層又は前記金属膜の表面に形成された酸化膜を除去する工程をさらに備えた請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2のポリシラン膜のエッチングをウエットエッチングにより行う請求項8又は9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記単分子膜と前記第1のポリシラン膜のエッチングをウエットエッチングにより行う請求項5から10のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
膜状または基板状の半導体材料層が表面に露出した基板に、ポリシラン溶液を塗布し、前記半導体材料層上にポリシラン膜を形成する第1の塗布ユニットと、
前記ポリシラン膜上に、金属塩溶液を塗布し、金属イオン含有膜を形成する第2の塗布ユニットと、
を備え、
前記ポリシラン膜をポリシロキサン膜へ、前記金属イオン含有膜を金属微粒子含有膜へ、それぞれ改質してMOS構造の積層膜を形成する基板処理装置。
【請求項13】
前記金属微粒子含有膜をめっき触媒としてめっきを行うめっきユニットをさらに備えた請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記ポリシロキサン膜及び前記金属微粒子含有膜を有する基板を加熱処理するアニールユニットをさらに備えた請求項12又は13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記ポリシラン膜の上に、単分子膜を所定のパターンで形成する第3の塗布ユニットと、
未改質の前記金属イオン含有膜と前記単分子膜と未改質の前記ポリシラン膜をエッチングによって除去するエッチングユニットとを、さらに備えた請求項12から14のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項16】
基板上のポリシラン膜に部分的に紫外線を照射し、ポリシロキサン膜に改質する紫外線照射ユニットをさらに備えた請求項12から15のいずれか1項に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−60042(P2012−60042A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203923(P2010−203923)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】