色ずれ検査用画像及びこれを用いる画像形成装置
【課題】記録材の搬送挙動影響による色ずれを容易に目視する。
【解決手段】複数の作像部1と記録材搬送体2とを備えた画像形成装置の画像の色ずれ検査に用いられ、各作像部1により記録材3上に形成される色ずれ検査用画像10であって、記録材3の搬送方向に延びる直線要素が記録材3の搬送方向に交差する方向に等間隔に配置される第1の色線像11と、前記第1の色線像11に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素が配置される第2の色線像12と、前記第1の色線像11及び第2の色線像12が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部13とを有する。これを用いた画像形成装置をも対象とする。
【解決手段】複数の作像部1と記録材搬送体2とを備えた画像形成装置の画像の色ずれ検査に用いられ、各作像部1により記録材3上に形成される色ずれ検査用画像10であって、記録材3の搬送方向に延びる直線要素が記録材3の搬送方向に交差する方向に等間隔に配置される第1の色線像11と、前記第1の色線像11に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素が配置される第2の色線像12と、前記第1の色線像11及び第2の色線像12が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部13とを有する。これを用いた画像形成装置をも対象とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色ずれ検査用画像及びこれを用いる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置としては、複数の作像部とこれに対向して記録材(用紙、シート)を搬送する記録材転写ベルトとを備え、各作像部にて形成された各色成分画像を記録材に順次転写するようにしたものが既に提供されている。
この種の画像形成装置にあっては、用紙上に対比色と他の一色とについて主走査方向に並行な複数のライン群からなるテストパターンを形成し、主走査方向の傾きによる位置ずれをモアレ縞の発生頻度にてチェックする技術が提供されている(例えば特許文献1参照)。
また、この種の画像形成装置にあっては、転写ベルト上に各色成分の画像位置読取パターンを形成し、CCDセンサでパターンを読み込み、その色ずれを補正すると共に、シート上に形成された画像情報を同じくCCDセンサで読み込み、レジストローラ部の斜行補正や書込光学系にて書き込まれる画像の傾斜を補正する技術が提供されている(例えば特許文献2参照)。
更に、画像形成手段の画像形成シーケンスに伴って発生手段より発生された基準信号に応じて動作し、各画像形成手段で搬送体上に形成された複数のレジストマーク画像を読み取ってその位置を検出手段が検出し、この検出出力に基づいて補正手段が画像形成手段により形成される各画像の所定の基準信号に基づく基準に対する複数の位置ずれを補正する技術(例えば画像形成手段の像担持体への光ビームの光路長補正や、光学系を移動させるアクチュエータを制御するなど)が提供されている(例えば特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−115955号公報(発明の実施の形態,図7)
【特許文献2】特開2003−177581号公報(発明の実施の形態,図2,図3〜図6)
【特許文献3】特許第2907337号(実施例,第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の技術的課題は、記録材の搬送挙動影響(記録材インタラクション/interaction)による色ずれを容易に目視することが可能な色ずれ検査用画像及びこれを用いる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置の画像の色ずれ検査に用いられ、各作像部により記録材上に形成される色ずれ検査用画像であって、記録材の搬送方向に延びる直線要素が記録材の搬送方向と交差する方向に等間隔に配置される第1の色線像と、前記第1の色線像に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素が配置される第2の色線像と、前記第1の色線像及び第2の色線像が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部とを有することを特徴とする色ずれ検査用画像である。
【0006】
請求項2に係る発明は、複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置の画像の色ずれ検査に用いられ、各作像部により記録材上に形成される色ずれ検査用画像であって、第1の色に対応する作像部にて記録材上に形成され、記録材の搬送方向に延びる直線要素が記録材の搬送方向と交差する方向に等間隔に配置される第1の色線像と、第2の色に対応する作像部にて記録材上に形成され、前記第1の色線像に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素が配置される第2の色線像と、前記第1の色線像及び第2の色線像が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部とを有することを特徴とする色ずれ検査用画像である。
【0007】
請求項3に係る発明は、複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置の画像の色ずれ検査に用いられ、各作像部により記録材上に形成される色ずれ検査用画像であって、第1の色に対応する作像部にて記録材上に形成され、記録材の搬送方向に延びる直線要素が記録材の搬送方向と交差する方向に等間隔に配置される第1の色線像と、第2の色に対応する作像部にて記録材上に形成され、前記第1の色線像と平行な位置関係の直線要素からなる基準線像及び前記第1の色線像に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素からなる傾斜線像を有し、この傾斜線像は複数の傾斜角度が与えられた傾斜直線要素からなり且つ各傾斜角度の傾斜直線要素間が段階的な傾斜角度変化をもって配置される第2の色線像と、前記第1の色線像及び第2の色線像が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部とを有することを特徴とする色ずれ検査用画像である。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3いずれかに係る色ずれ検査用画像において、第2の色線像が、記録材の搬送方向に相当する副走査方向複数画素に対して主走査方向最小画素単位の矩形状単位像を連なるように順次変位配置したことを特徴とする色ずれ検査用画像である。
請求項5に係る発明は、請求項3に係る色ずれ検査用画像において、第2の色線像が、記録材の搬送方向に直交する幅方向中央に基準線像を配置し、この基準線像を中心として複数の傾斜角度の傾斜直線要素からなる傾斜線像を記録材の幅方向に沿って対称配置したものであることを特徴とする色ずれ検査用画像である。
請求項6に係る発明は、請求項2又は3に係る色ずれ検査用画像において、記録材の搬送方向に直交する幅方向の中央を挟んで左右の領域に設けられることを特徴とする色ずれ検査用画像である。
【0009】
請求項7に係る発明は、複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置において、記録材上に請求項1ないし3いずれかに係る色ずれ検査用画像を作成する検査用画像作成手段と、この検査用画像作成手段に対して色ずれ検査用画像について作成要求する作成要求手段とを備えた画像形成装置である。
請求項8に係る発明は、複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置において、記録材上に請求項1ないし3いずれかに係る色ずれ検査用画像を作成する検査用画像作成手段と、この検査用画像作成手段にて記録材上に形成された色ずれ検査用画像に基づいて記録材の搬送挙動に伴う色ずれを補正する記録材色ずれ補正手段とを備えていることを特徴とする画像形成装置である。
請求項9に係る発明は、請求項8に係る画像形成装置において、記録材色ずれ補正手段が、記録材上に形成された色ずれ検査用画像に基づいて記録材内の位置に応じて色ずれ補正することを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
請求項10に係る発明は、請求項8に係る画像形成装置において、記録材色ずれ補正手段が、記録材上に形成された色ずれ検査用画像に基づく色ずれ量を打ち消すように補正対象物の位置を手動調整可能に補正するものであることを特徴とする画像形成装置である。
請求項11に係る発明は、請求項8に係る画像形成装置において、記録材色ずれ補正手段が、記録材上に形成された色ずれ検査用画像に基づく色ずれ量を打ち消すように補正対象物に対する色ずれ補正量を指定する補正量指定手段と、この補正量指定手段にて指定された色ずれ補正量に基づいて補正対象物に対して補正信号を送出する色ずれ補正制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置である。
請求項12に係る発明は、請求項8に係る画像形成装置において、各作像部にて記録材搬送体上に色ずれ検知画像を形成する色ずれ検知画像作成手段と、この色ずれ検知画像作成手段にて記録材搬送体上に形成された色ずれ検知画像に基づく色ずれを検知する色ずれ検知器と、この色ずれ検知器による記録材搬送体上の色ずれ検知情報に基づいて色ずれ補正する搬送体色ずれ補正手段とを備え、前記記録材色ずれ補正手段が、前記搬送体色ずれ補正手段による色ずれ補正結果を参照して色ずれ補正することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、記録材の搬送挙動影響による色ずれを容易に目視することができる。
請求項2に係る発明によれば、記録材の搬送挙動に応じて線像重合部の位置が記録材の搬送方向に対して変化し、この線像重合部の位置ずれの状態を見て記録材の搬送挙動に伴う色ずれを把握することができる。
請求項3に係る発明によれば、記録材の搬送挙動に応じて第2の色線像の基準線像、傾斜線像のいずれかが第1の色線像に合致して線像重合部になり、この線像重合部の位置を見て記録材の搬送挙動に伴う色ずれを把握することができる。
請求項4に係る発明によれば、第2の色線像を細かく形成することができる。
請求項5に係る発明によれば、記録材の搬送方向に直交する幅方向での色ずれを正確に把握することができる。
請求項6に係る発明によれば、記録材の搬送方向に直交する幅方向で第2の色線像を対称にすることができ、記録材の幅方向での色ずれ差をより正確に把握することができる。
【0012】
請求項7に係る発明によれば、色ずれ検査用画像を必要時に簡単に形成することができる。
請求項8に係る発明によれば、記録材上の色ずれ検査用画像を目視し、その色ずれ量に基づいて簡単に色ずれを補正することができる。
請求項9に係る発明によれば、記録材内の位置に応じて色ずれ補正を細かく行うことができ、色ずれの要因を判別することができる。
請求項10に係る発明によれば、色ずれ検査用画像を目視し、手動にて色ずれを簡単に補正することができる。
請求項11に係る発明によれば、色ずれ検査用画像を目視し、簡単な指定操作による色ずれ補正を実現することができる。
請求項12に係る発明によれば、記録材の消費を抑えながら、記録材の搬送挙動影響によらず色ずれを良好に補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
先ず、本発明が適用される実施の形態モデルの概要について説明する。
◎実施の形態モデルの概要
図1(a)は本発明が適用される実施の形態モデルに係る画像形成装置の概要を示す。
同図において、画像形成装置は、複数の色成分画像を形成する複数の作像部1(例えば1a〜1d)と、各作像部1に対応した部位に記録材3を搬送する記録材搬送体2とを備えている。
尚、図1(a)では記録材搬送体2はベルト状のものを想定するが、ドラム状のものにも適用できる。また、図1(a)中、符号4は記録材搬送体2の上流側に設けられて記録材3を搬送する搬送部材、5は記録材搬送体2の下流側に設けられて記録材3上の未定着画像を定着する定着器である。
本実施の形態モデルでは、記録材3上に形成される各作像部1の画像の色ずれを検査するために色ずれ検査用画像10が用いられる。
この色ずれ検査用画像10は、図1(a)(b)に示すように、記録材3の搬送方向に延びる直線要素が記録材3の搬送方向(x方向)に交差する方向(y方向)に等間隔に配置される第1の色線像11と、前記第1の色線像11に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素が配置される第2の色線像12と、前記第1の色線像11及び第2の色線像12が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部13とを有するものである。
【0014】
ここで、第1の色線像11、第2の色線像12は第1の色線像11を色ずれ対比用の対比線像とし、第2の色線像12を検査線像としてもよいし、逆に、第2の色線像12を対比線像とし、第1の色線像11を検査線像としてもよい。
本実施の形態モデルにおいて、第1の色線像11は、記録材3の搬送方向に延びる直線要素が記録材3の搬送方向に交差する方向に等間隔に配置されるものであればよい。このとき、第1の色線像11は記録材3の搬送方向長全体に形成しなくてもよいが、記録材3各部の色ずれを検査するという観点からすれば、記録材3の搬送方向長全体に及ぶものが好ましい。
また、‘記録材3の搬送方向に延びる直線要素’は厳密な意味で記録材3の搬送方向に一致して延びる態様に限定する趣旨ではなく、記録材3の搬送方向のばらつきに伴って生ずる搬送方向ずれ量分のずれは少なくとも含み、更に、記録材3の搬送方向に対して僅かに傾斜配置されているとしても、一般ユーザが記録材3の搬送方向に延びると目視確認してしまう程度の直線要素については含むものである。
更にまた、記録材3の搬送方向に交差する方向とは、代表的には記録材3の搬送方向に直交する方向を挙げることができるが、これに限定されるものではなく、略直交する方向は勿論、所定の傾斜角度にて交差する方向をも広く含む趣旨である。
また、第2の色線像12は、少なくとも第1の色線像11に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素を含むものであればよい。ここで、傾斜直線要素は少なくとも一つあればよく、複数存在しても構わない。
更に、線像重合部13は両線像が一部で重なり合う位置関係が複数存在するものであることを特定するものであり、記録材3の搬送挙動に応じて変化するものであることを要し、この線像重合部13の位置関係にて記録材3の搬送挙動に基づく色ずれを想定することが可能であれば適宜選定して差し支えない。
【0015】
また、色ずれ検査用画像10の代表的態様としては、図1(b)に示すように、前記第1の色線像11と、前記第1の色線像11に対して交差するように傾斜する位置関係の傾斜直線要素が配置される第2の色線像12と、前記第1の色線像11及び第2の色線像12が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部13とを有するものが挙げられる。
また、他の代表的態様としては、図1(c)に示すように、前記第1の色線像11と、前記第1の色線像11と平行な位置関係の直線要素からなる基準線像12a及び前記第1の色線像11に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素からなる傾斜線像12bを有し、この傾斜線像12bは複数の傾斜角度が与えられた傾斜直線要素からなり且つ各傾斜角度の傾斜直線要素間が段階的な傾斜角度変化(θ1<θ2……)をもって配置される第2の色線像12と、前記第1の色線像11及び第2の色線像12が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部13とを有するものが挙げられる。
【0016】
ここで、図1(b)又は図1(c)に示す態様の色ずれ検査用画像10としては、第2の色線像12を細かく形成するという観点からすれば、記録材3の搬送方向に相当する副走査方向複数画素に対して主走査方向最小画素単位の矩形状単位像を連なるように順次変位配置する態様が好ましい。
また、図1(c)に示す態様の色ずれ検査用画像10としては、記録材3の幅方向での色ずれを正確に把握するという観点からすれば、第2の色線像12は、記録材3の搬送方向に直交する幅方向中央に基準線像12aを配置し、この基準線像12aを中心として複数の傾斜角度の傾斜直線要素からなる傾斜線像12bを記録材3の幅方向に沿って対称配置したものであることが好ましい。
更に、図1(b)又は(c)に示す態様の色ずれ検査用画像10としては、記録材3の幅方向での色ずれ差をより正確に把握するという観点からすれば、記録材3の搬送方向に直交する幅方向の中央を挟んで左右の領域に設けられることが好ましい。
【0017】
また、本実施の形態モデルの画像形成装置の好ましい態様としては、図2に示すように、複数の色成分画像を形成する複数の作像部1(1a〜1d)と、各作像部1に対応した部位に記録材3を搬送する記録材搬送体2とを備えた画像形成装置において、記録材3上に図1(a)〜(c)に示すような色ずれ検査用画像10を作成する検査用画像作成手段6と、この検査用画像作成手段6に対して色ずれ検査用画像10について作成要求する作成要求手段7とを備えたものが挙げられる。
本態様において、検査用画像作成手段6としては、第1の色による作像部1(例えば1a)、第2の色による作像部1(例えば1c)を用いて上述した第1の色線像11、第2の色線像12を形成し、両線像11,12にて線像重合部13を形成するものであれば適宜選定して差し支えない。
また、作成要求手段7としては、ユーザが任意に指定可能な指定手段であってもよいし、使用環境が大きく変化するなど作成要求条件(環境温度変化、部品交換、記録材の使用枚数など)を予め決めておき、作成要求条件を満たしたときに色ずれ検査用画像10を作成するものであればよい。
【0018】
また、本実施の形態モデルの更に別の代表的態様としては、記録材3上に上述した色ずれ検査用画像10を作成する検査用画像作成手段6と、この検査用画像作成手段6にて記録材3上に形成された色ずれ検査用画像10に基づいて記録材3の搬送挙動に伴う色ずれを補正する記録材色ずれ補正手段8とを備えるものが挙げられる。
本態様において、記録材色ずれ補正手段8には、手動調整可能な態様でもよいし、色ずれ補正量を入力して補正対象物(記録材搬送速度、作像部の作像開始タイミングや画像情報の変換による出力タイミング)につき色ずれ補正するようにしてもよい。
ここで、記録材色ずれ補正手段8としては、色ずれ補正を細かく行うという観点からすれば、記録材3上に形成された色ずれ検査用画像10に基づいて記録材3内の位置に応じて色ずれ補正するものが好ましい。
また、記録材色ずれ補正手段8としては、色ずれ補正を簡単に行うという観点からすれば、記録材3上に形成された色ずれ検査用画像10に基づく色ずれ量を打ち消すように補正対象物の位置を手動調整可能に補正するものが好ましい。
【0019】
更に、記録材色ずれ補正手段8としては、簡単な指定操作にて実現するという観点からすれば、記録材3上に形成された色ずれ検査用画像10に基づく色ずれ量を打ち消すように補正対象物に対する色ずれ補正量を指定する補正量指定手段と、この補正量指定手段にて指定された色ずれ補正量に基づいて補正対象物に対して補正信号を送出する色ずれ補正制御手段とを有する態様が好ましい。
更にまた、色ずれ補正をより正確に行うという観点からすれば、各作像部1にて記録材搬送体2上に色ずれ検知画像を形成する色ずれ検知画像作成手段15と、この色ずれ検知画像作成手段15にて記録材搬送体2上に形成された色ずれ検知画像に基づく色ずれを検知する色ずれ検知器16と、この色ずれ検知器16による記録材搬送体2上の色ずれ検知情報に基づいて色ずれ補正する搬送体色ずれ補正手段17とを備え、前記記録材色ずれ補正手段8が、前記搬送体色ずれ補正手段17による色ずれ補正結果を参照して色ずれ補正するものであることが好ましい。
【0020】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
図3は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1の全体構成を示す説明図である。
同図において、画像形成装置は、例えば鉛直方向に沿って配設され且つ複数の色成分画像が形成可能な複数の作像部20(例えば20a〜20d)と、各作像部20に対向して設けられ且つ記録材Sが搬送させられる記録材搬送ベルト30とを備えている。
複数の作像部20は、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の各色成分画像を電子写真方式にて形成するものであり、所定方向に回転する感光体ドラム21を有し、この感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21が帯電させられる例えば帯電ロールなどの帯電器22と、前記感光体ドラム21上に形成された静電潜像を所定の色の現像剤にて可視像化される現像器23と、前記感光体ドラム21上の残留物を清掃する清掃器24とを備えている。
【0021】
特に、本実施の形態では、各作像部20は感光体ドラム21、帯電器22、現像器23及び清掃器24を一体化したカートリッジ構成で、画像形成装置筐体の所定部位に着脱自在に装着されている。また、現像器23は例えばトナー及びキャリアを含む二成分現像剤が用いられる二成分現像方式を採用したものであり、現像剤が収容される現像容器23aに現像ロール23b、現像剤攪拌部材23cを配設すると共に、前記現像容器23aに隣接した部位に補給用トナーが収容されるトナー補給容器23dを設け、このトナー補給容器23d内のトナーをトナー搬送部材23eを介して現像容器23a内に適宜補給するようになっている。
また、本実施の形態において、各作像部20の記録材搬送ベルト30の反対側には例えばレーザ走査装置などの露光装置25が配設されており、この露光装置25は各作像部20に共通のものであって、各作像部20(20a〜20d)に対応した色成分の光照射部25a〜25dを有し、図示外の偏向ミラー、結像レンズなどを経て各作像部20に対応する色成分光を照射するようにしたものである。
【0022】
更に、記録材搬送ベルト30は、例えば張架ロール31,32間に掛け渡されており、例えば張架ロール32を駆動ロール、張架ロール31を従動ロールとして下から上に向かって記録材Sを搬送可能に循環移動するようになっている。
そして、この記録材搬送ベルト30は、図示外の装置筐体の側方に設けられた開閉扉33側に設けられており、この開閉扉33の開閉動作に合わせて移動するものである。
更にまた、本実施の形態では、記録材搬送ベルト30は、例えば体積抵抗率が109〜1012Ω・cm程度のゴム又は樹脂製のベルト素材(例えばポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタンゴムなど)を使用しており、張架ロール31に対応する記録材搬送ベルト30の記録材受入部位には吸着部材としての吸着ロール34が配設されると共に、この吸着ロール34には所定の吸着バイアスが印加されて記録材Sを静電吸着させるようになっている。
更に、記録材搬送ベルト30の張架ロール32に対応した部位にはベルト清掃器35が接離自在に配設されており、記録材搬送ベルト30上の色ずれ検知画像や紙粉などの残留物を清掃するようになっている。
更にまた、各作像部20に対向する記録材搬送ベルト30の背面側には例えば転写ロールなどの転写器26が設けられており、この転写器26に所定の転写バイアスが印加されて感光体ドラム21上の画像を記録材S側に転移させるようになっている。
尚、記録材搬送ベルト30の一部には図示外の除電器が設けられ、吸着ロール34や転写器26にて帯電された記録材搬送ベルト30を適宜除電するようになっている。
【0023】
また、各作像部20の下方には記録材Sを収容する記録材収容器40が配設されており、この記録材収容器40の記録材送出側には送出搬送ロール41が設けられると共に、この送出搬送ロール41と記録材搬送ベルト30との間には位置合わせロール(レジストロール)42が配設され、記録材Sの先端を一旦位置合わせした後に記録材搬送ベルト30側に送り込むようになっている。
更に、記録材搬送ベルト30の下流側には記録材S上の画像を定着する定着器50が設けられている。本実施の形態では、定着器50は、加熱源にて加熱される定着ロール51と、この定着ロール51に圧接して定着ロール51に追従して移動する定着ベルト52とを備えている。
更にまた、記録材搬送ベルト30の記録材搬送面のうち最下流作像部20aの下流側に位置する部位には色ずれ検知器55が配設されている。この色ずれ検知器55は記録材搬送ベルト30上に形成される後述する色ずれ検知画像を検知するものであり、記録材搬送ベルト30への照射光の反射光レベルを検知し、色ずれ検知画像の状態を検知するものである。
【0024】
また、本実施の形態において、図4は画像形成装置の制御系を示す。
同図において、符号60は作像プロセス処理、色ずれ補正処理を実行するための制御部であり、例えばマイクロコンピュータにて構成されている。
この制御部60は、図示外の操作部や色ずれ検知器55を始めとする各種検知器(記録材の位置検知器や温度検知器など)からの信号を入力し、予め記憶部に格納されている作像プロセス処理プログラムや色ずれ補正処理プログラム(図7〜図9参照)を実行し、露光装置25などの各種作像デバイスに制御信号を送出すると共に、レジストロール42、記録材搬送ベルト30及び定着器50の定着ロール51の駆動源である駆動モータ61〜63(図中Mr,Mb,Mfで示す)に所定の制御信号を送出し、レジストロール42、記録材搬送ベルト30及び定着器50による記録材搬送速度を所定速度に制御するようになっている。
【0025】
特に、本実施の形態では、画像形成装置は、色ずれを検査するための色ずれ検査用画像パターンが示されるテストチャート200を出力するようになっている。
本実施の形態では、テストチャート200は、図5(a)に示すように、記録材Sの搬送方向に直交する幅方向中央及びこの中央を挟んで幅方向の左右の三箇所にて記録材Sの搬送方向に沿って延びる矩形領域に形成されている。尚、図5(a)中、符号Scは記録材Sの幅方向中央ラインを示す。
そして、本例のテストチャート200は、図5(b)に示すように、色ずれ対比用の対比色に対応する作像部20(例えば作像部20a)にて形成され、記録材Sの搬送方向に延びる直線要素211が記録材Sの幅方向に沿って平行且つ等間隔に配置される対比線像210と、検査対象色に対応する作像部20(例えば20c)にて形成され、前記対比線像210に対して所定の傾斜角度θで交差するように傾斜する位置関係の傾斜直線要素221が平行且つ等間隔に配置される検査線像220と、前記対比線像210及び検査線像220が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部230(図6参照)とを有するものである。
ここで、対比線像210における直線要素211の幅寸法及び間隔は適宜選定して差し支えない。一方、検査線像220における傾斜直線要素221の幅寸法及び間隔も適宜選定して差し支えないが、対比線像210との相対位置関係に着目するため、対比線像210における直線要素211の幅寸法及び間隔寸法に合わせて設定することが好ましい。
【0026】
図6はテストチャート200の構成をより詳細に示す。
同図において、対比線像210は、記録材Sの搬送方向に相当する副走査方向に沿って延びる所定幅w(例えば1画素(ドット)幅)の直線要素211を有し、前記副走査方向に直交する主走査方向に沿って各直線要素211を所定間隔m(例えば9画素単位)毎に配置するようにしたものである。
一方、検査線像220は、対比線像210に対して所定角度θ(図5参照)で傾斜される所定幅w(例えば1画素幅)の傾斜直線要素221を備えたものであり、この傾斜直線要素221を所定間隔m(例えば9画素単位)毎に配置するようにしたものである。
特に、本実施の形態では、傾斜直線要素221は、記録材Sの搬送方向に相当する副走査方向複数画像d(例えば100画素)に対して所定幅w(例えば1画素幅)の矩形状単位線像222を連なるように順次偏位配置したものである。
尚、図6に示すテストチャート200にあっては、仮に記録材Sの搬送挙動による色ずれがない場合を想定すれば、対比線像210及び検査線像220の線像重合部230は副走査方向に対して矩形状単位線像222のブロック毎に形成されるようになっている。
【0027】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
―作像プロセス処理―
図3において、図示外の操作部を操作して所定の作像ジョブを開始すると、各作像部20(20a〜20d)は感光体ドラム21上に各色成分に対応する静電潜像を形成した後、対応する現像剤にて可視像化する。
一方、記録材収容器40からは所定のタイミングにて記録材Sが送出搬送ロール41にて送出され、レジストロール42にて一旦位置合わせされた後に記録材搬送ベルト30へと搬送され、吸着ロール34にて記録材搬送ベルト30に吸着保持して搬送されていく。
この状態において、各作像部20の感光体ドラム21上の各色成分画像は夫々転写器26を介して記録材搬送ベルト30上の記録材Sに順次転写され、各色成分画像が転写された記録材Sは記録材搬送ベルト30の下流端から剥離されて定着器50へと搬送され、定着器50にて未定着画像を加熱加圧定着した後に図示外の記録材排出受けに排出される。
【0028】
―色ずれ補正処理―
また、本実施の形態では、制御部60は図7に示すような色ずれ補正処理を実施する。
同図において、色ずれ補正処理は、先ずテストチャート200の出力要求があるか否かをチェックし、テストチャート200の出力要求があれば、通常色ずれ補正の実施タイミングであるか否かをチェックし、通常色ずれ補正の実施タイミングでなければテストチャート200の出力処理を実施し、通常色ずれ補正の実施タイミングであれば、通常色ずれ補正を実施した後にテストチャート200の出力処理を実施する。
ここで、‘テストチャート200の出力要求’については、画像形成装置の操作部や画像形成装置にネットワーク接続されるクライアント(例えばPC:パーソナルコンピュータ)からの指示要求(コマンド送信)が挙げられるが、例えば画像形成装置の使用環境が大きく変わる条件下ではテストチャート200の出力要求を行うようにすることも可能である。
また、‘通常色ずれ補正の実施タイミング’についても適宜選定して差し支えなく、例えば記録材Sの作像枚数が規定枚数(例えば100〜300枚)に達する毎に定期的に行うようにしたり、あるいは、使用環境が大きく変わる条件下(例えば使用環境温度が所定温度以上変化したり、使用環境湿度が所定湿度以上変化したような場合や、部品を交換したような場合)にて行うようにする態様が挙げられる。
【0029】
―通常色ずれ補正処理―
図8は本実施の形態で行われる通常色ずれ補正の一例を示すフローチャートを示す。
同図において、通常色ずれ補正処理は、先ず、記録材搬送ベルト30上に主走査方向及び副走査方向に色ずれ検知画像を作成する。
しかる後、色ずれ検知器55にて色ずれ検知画像を読み込み、主走査方向及び副走査方向の色ずれ量を算出する。
この後、主走査方向及び副走査方向の色ずれ補正量を決定し、この色ずれ補正量に基づいて色ずれ補正、具体的には、各作像部20の作像開始タイミング又は画像情報の変換による出力タイミングを補正する。
尚、記録材搬送ベルト30上に形成された色ずれ検知画像はベルト清掃器35にて清掃される。
【0030】
―テストチャート出力後の処理例―
(1)定着器の調整処理
図9(a)に示すように、テストチャート200が出力されると、テストチャート200の出力結果からユーザが色ずれ量を判別する。しかる後、ユーザは色ずれ量を打ち消すように定着器50を手動調整すればよい。
定着器50の手動調整の一例を図10に示す。
図10において、定着器50は図示外の画像形成装置筐体の設置部位に対し傾き調整可能な傾き調整器56を有している。
この傾き調整器56は、定着器50のカバー50aの長手方向一端側に可動支持脚57を設け、この可動支持脚57の下方への突出量を調整具58にて調整することにより定着器50の設置時における長手方向の姿勢を調整するものである。
尚、このような傾き調整器56を用いなくても、定着器50と画像形成装置筐体との間に所定厚のスペーサ(図示せず)を介在させるようにしてもよい。
【0031】
(2)色ずれ補正を実施
図9(b)に示すように、テストチャート200が出力されると、テストチャート200の出力結果からユーザが色ずれ量を判別する。しかる後、ユーザは判別した色ずれ量を制御部60に入力し、色ずれ補正量を演算させた後に色ずれ補正を実施するようにすればよい。
この色ずれ補正を実施する場合には、通常色ずれ補正結果を参照して通常色ずれ補正結果に前記色ずれ補正量を足し込み演算するようにすればよい。
ここでいう色ずれ補正としては、各作像部20の作像開始タイミングを補正したり、画像情報の変換による出力タイミングを補正したり、あるいは、記録材搬送速度を補正するものが挙げられる。
図11はこのような色ずれ補正のうち、各作像部20の作像開始タイミングを補正するための制御部60の詳細を示す。
同図において、符号25は露光装置であり、251は露光装置25のレーザ等の光源、252は走査開始信号(SOS:Start Of Scan)を検知するための走査開始位置検知器である。
また、符号610は走査開始信号を受けて所定パルス計数し、画像形成タイミング(作像タイミング)を制御するタイミング制御部、また、入力部620(画像形成装置の操作部やクライアント)から入力された色ずれ量はコントローラ630(色変換部、スクリーン処理部、パルス幅変調部などを具備)に入力され、色ずれ量演算/記憶部640にて演算されると共に記憶される。尚、色ずれ検知器55からの色ずれ検知画像も色ずれ量演算/記憶部640にて演算、記憶される。
そして、色ずれ量演算/記憶部640にて演算された色ずれ量(色ずれ補正量に相当)はタイミング制御部610に送られ、タイミング制御部610はこの色ずれ量(色ずれ補正量)に基づき、主走査同期信号HSYNC(SOS)から画像書き出しまでの遅延量(色ずれ補正量)をコントローラ630に送る。
この後、コントローラ630は前記主走査同期信号(HSYNC)に従って画像データ(Videoデータ)を露光装置25の光源251へ供給するようになっている。
【0032】
(3)レジストロールの調整処理
図12はレジストロールの搬送圧調整器の一例を示す。
同図において、レジストロール42は例えば金属製ロール421と弾性ロール422とを圧接配置したものであり、両ロール421,422に所定の搬送圧を付与する搬送圧調整器90が設けられている。
この搬送圧調整器90は、図12(a)(b)に示すように、例えばレジストロール42の軸方向両側に夫々設けられており、例えば一方の弾性ロール422の軸部を他方の金属製ロール421側に付勢する付勢バネ91と、この付勢バネ91の圧縮長を調整する押圧部材92と、この押圧部材92の位置を変更する回転可能な圧力調整ノブ93とを備えており、例えば圧力調整ノブ93をa方向又はb方向に回転させることで付勢バネ91の圧縮長さを伸縮可能にしたものである。尚、本例では、搬送圧調整器90はレジストロール42の軸方向両側に一対設けられているが、これに限られるものではなく、少なくともいずれか一方側に設けるようにしてもよい。
本例において、例えば図13(a)に示すように、テストチャート200が出力されると、テストチャート200の出力結果からユーザが色ずれを判別し、しかる後に、ユーザは色ずれを打ち消すように搬送圧調整器90を手動調整するようにすればよい。
具体的には、図13(a)に示すように、テストチャート結果からユーザがレジストロール42の速度低下左右差(軸方向差)を判別し、速度低下した側の圧力調整ノブ93を例えばa方向に回して調整値を合わせるようにすればよい。
また、図13(b)に示すように、テストチャート出力から、ユーザがレジストロール42につき全体速度低下ずれを判別した場合には、左右両方の搬送圧調整器90について圧力調整ノブ93を例えばa方向に回して調整する。この後、再度テストチャート200の出力結果から、ユーザがレジストロール42の速度低下左右差(軸方向差)を判別し、速度低下した側の圧力調整ノブ93を例えばa方向に回して調整するようにすればよい。
【0033】
―記録材の搬送挙動について―
このような色ずれ補正処理を行う理由は、以下に述べるような記録材の搬送挙動に起因する影響を取り除くためである。
つまり、記録材Sの搬送系は、図14に示すように、レジストロール42、記録材搬送ベルト30及び定着器50へと記録材Sを順次受け渡すようになっている。
この場合において、レジストロール42、記録材搬送ベルト30及び定着器50の記録材搬送速度を夫々vr、vb、vfとすると、これらの各速度は完全に一致することはなく、夫々異なるように設定されることが多い。
従って、例えばレジストロール42と記録材搬送ベルト30との間にはΔvrb=vr−vbの速度差があるため、例えばレジストロール42と記録材搬送ベルト30との間に跨る記録材S1には前記速度差Δvrbによる押し引きが生じ、また、記録材搬送ベルト30と定着器50との間にはΔvfb=vf−vbの速度差があるため、例えば定着器50と記録材搬送ベルト30との間に跨る記録材S3には前記速度差Δvfbによる押し引きが生ずる。
尚、レジストロール42や定着器50と跨らないで記録材搬送ベルト30だけで搬送される記録材S2は記録材搬送ベルト30の搬送速度vbに依存するため、上述した記録材Sの押し引きは生じない。
このように、レジストロール42、記録材搬送ベルト30及び定着器50にて記録材Sが受け渡し搬送されていくと、上述したような押し引き現象が生じ、記録材搬送速度vr、vb、vfが各作像部20による転写部位を通過する箇所で変化することになり、この記録材Sの搬送挙動影響により色ずれが生ずる懸念が残る。
このような記録材Sの搬送挙動に着目すると、図5(a)に示すように、記録材Sの搬送方向下流側領域A1はレジストロール42の影響を大きく受け、一方、記録材Sの搬送方向上流側領域A3は定着器50の影響を大きく受け、記録材Sの搬送方向中央領域A2はレジストロール42,定着器50の影響を受けない領域である。
【0034】
このため、例えば記録材搬送ベルト30上に色ずれ検知画像を形成し、これを検知することで色ずれ補正を行ったとしても、上述したような記録材Sの搬送挙動が起因し、例えば記録材S上には、図15に示すようなイエロ、マゼンタ、シアン、ブラックの各色成分画像(所定間隔毎の格子パターン画像)に色ずれが見られる。
このような色ずれを定量的に測定したところ、主走査方向位置の各色成分画像のレジずれ量(色ずれ量)は、例えば図16に示すように、記録材Sの搬送方向に直交する幅方向の左部分(Left)、中央部分(Center)、右部分(Right)で変化していることが理解される。
また、副走査方向位置の各色成分画像のレジずれ量(色ずれ量)は、例えば図17に示すように、記録材Sの搬送方向に直交する幅方向の左部分(Left)、中央部分(Center)、右部分(Right)で変化していることが理解される。特に、図17に示す副走査方向位置のレジずれ量では、副走査方向下流側にて最下流作像部20a(ブラック)による画像のずれ量が大きく、定着器50と記録材搬送ベルト30との間の速度差が色ずれに大きく影響していることが確認される。
尚、図17に示す副走査方向位置のレジずれ量では、副走査方向上流側の最上流作像部20d(イエロ)による画像のレジずれ量は小さいが、レジストロール42と記録材搬送ベルト30との間の速度差が大きいような場合には、前記最上流作像部20d(イエロ)による画像のレジずれ量が大きくなる懸念がある。
更に、同様に記録材Sの搬送方向に直交する幅方向に沿って、レジずれ量(色ずれ量)が左部分(Left)、中央部分(Center)、右部分(Right)で変化しているもう一つの例を挙げる。
この例は、例えばレジストロール42が軸方向に沿って偏摩耗し、記録材Sを搬送する際にスキューが発生している場合に相当する。
この場合において、主走査方向位置の各色成分画像のレジずれ量(色ずれ量)及び副走査方向位置の各色成分画像のレジずれ量(色ずれ量)は、例えば図18(a)に示すように変化し、副走査方向上流側にて最上流作像部(イエロ)による画像のずれ量が大きく、レジストロール42と記録材搬送ベルト30との間の搬送速度左右差が色ずれに大きく影響していることが確認される。
更にまた、レジストロール42が全体摩耗したような場合には、図19(a)に示すように、副走査方向上流側にて最上流作像部(イエロ)による画像のずれ量が大きく、レジストロール42と記録材搬送ベルト30との間の搬送速度の全体的な低下が色ずれに大きく影響していることが確認される。
また、本実施の形態では、図20(a)に示すように、記録材Sが記録材搬送ベルト30に沿って真っ直ぐ搬送される場合には、記録材Sの搬送姿勢が正規姿勢のまま搬送されるため、記録材Sの搬送方向に沿って延びる各色成分の直線画像は相互に重なり合って配置されることになるが、例えば図20(b)に示すように、記録材Sが記録材搬送ベルト30上を斜行した状態で搬送されてしまうと、記録材Sの搬送方向に沿って延びる各色成分の直線画像は相互に重なり合って配置されるにも拘わらず、記録材Sの斜行姿勢に伴って傾斜した状態で色ずれする。
【0035】
―テストチャートの見方―
図7に示す色ずれ補正処理を行い、テストチャート200が出力されたとする。
図21は出力されたテストチャート200を模式的に示すものであり、今、検査対象色による検査線像220が色ずれしていない場合には、記録材S上に形成される検査線像220は対比色による対比線像210に対して画像データのままの位置関係をもって描かれる。このため、本実施の形態では、対比線像210と検査線像220とが重なり合う線像重合部230は記録材Sの搬送方向に沿って所定の位置(例えば図21の実線で囲む部位)に形成されることになる。
この線像重合部230では両線像が重なり合っているため、他の部分に比べて、一方の色成分が生じ難く、この線像重合部230の位置は非線像重合部240に比べて目立つ。
一方、記録材Sの搬送挙動に応じて記録材Sの搬送速度が変化したり、あるいは、斜行したりすると、検査線像220の対比線像210に対する相対位置関係が変化することになり、これに伴って、線像重合部230が例えば図21に点線で示す領域又は一点鎖線で示す領域に移動してしまう。
このとき、線像重合部230は他の非線像重合部240に比べて目立つため、テストチャート200を目視すれば、線像重合部230が予め決められた色ずれなしのパターンと一致するか否か、不一致の場合に、線像重合部230の位置は記録材Sの搬送方向に沿ってどれだけ変位しているかを容易に把握することができる。
このように、線像重合部230の位置を目視することにより、検査対象色による検査線像220がどの程度色ずれしているかを把握することが可能である。
【0036】
―テストチャート結果による色ずれ補正処理―
テストチャート200の出力結果に基づいて図9(b)に示す色ずれ補正処理を行ったところ、以下のような処理が行われる。
今、通常色ずれ補正を実施したときに色ずれ補正がない場合における画像形成タイミング(作像開始タイミング)が図22(a)に示すものであると仮定する。
このとき、例えば対比色をブラック(K)とした検査色イエロ(Y)のテストチャート200の出力結果に基づいて色ずれ量を入力したところ、例えば記録材Sの斜行により基準位置から所定量色ずれしていたとしても、これを打ち消すように、作像開始タイミング、具体的には走査開始信号SOS(HSYNC)から、画像形成開始までのタイミングを所定ドット分補正する。
例えば図22(b)は色ずれなしの場合の画像形成タイミングを示し、図22(c)は図22(b)のSOS(HSYNC)から画像書き出しまでのタイミングを1ドット遅らせるように調整したものであり、図22(d)(e)は夫々図22(b)の画像形成タイミングに比べてSOS(HSYNC)から画像書き出しまでのタイミングを2ドット、3ドット遅らせるように調整したものである。
【0037】
―色ずれ補正の具体例1―
今、色ずれ補正前の直線画像Gが図23に示すように描かれると仮定する。
同図において、G0は対比色による直線画像、G1は検査対象色による直線画像とし、検査対象色による直線画像G1が定着器50を通過するラインLの前後で屈曲し、記録材Sの搬送方向上流側にて図中左側に傾斜配置されている。
このような状況において、テストチャート200による色ずれ補正を実施する場合には、例えば図24に示すように、前記検査対象色による直線画像G1を打ち消すための画像300(図中右側に傾斜)を作成するように補正すればよい。
このような直線画像300を形成するには、図24及び図25に示すように、先ず、傾斜した直線画像300を記録材搬送方向に延びる矩形状単位画像310を連なるように変位配置するように、矩形状単位画像310に関する画像データを1ドットずつ順次変位配置するようにすればよい。
【0038】
―色ずれ補正の具体例2―
今、図26に示すように、記録材Sの搬送挙動により記録材Sの搬送方向上流側部分(後半部分)が斜行してしまい、記録材Sの幅方向(主走査方向)に延びるべき直線画像G2が斜め方向に傾斜配置されるように描かれるものと仮定する。
このような状況において、テストチャート200による色ずれ補正を行うようにすればよく、このような色ずれ補正後にあっては、図27に示すように、例えば傾斜配置された1ラインの直線画像G2を複数のブロックに分割し、前記直線画像G2を打ち消すように、例えば各ブロックの画像データの出力タイミングを所定ドット(例えば1ドット)単位でずらすようにすればよい。
このような補正処理を行うようにすれば、補正なしの場合には主走査方向に延びる直線画像が傾斜していたとしても、図27中の点線で囲む理想領域内に画像データを略配置することが可能になり、前述した直線画像の斜行は有効に補正される。
【0039】
―色ずれ補正としての記録材搬送速度の補正―
また、本実施の形態では、色ずれ補正処理として、色ずれ補正量に基づいて作像開始タイミングや画像情報の変換による出力タイミングを補正することに代えて、色ずれ補正量に基づいて記録材搬送速度を補正するようにすることも可能である。
例えば図5に示すように、記録材A1領域では、記録材搬送速度はレジストロール42の影響が大きいため、記録材A1領域の色ずれ補正量をチェックし、記録材Sを搬送する上で適正なループ量が得られるようにレジストロール42の搬送速度を補正するようにすればよく、また、記録材A3領域では、記録材搬送速度は定着器50の影響が大きいため、記録材A3領域の色ずれ補正量をチェックし、定着器50の搬送速度を補正するようにしてもよい。
このようにすれば、レジストロール42及び定着器50の搬送速度を補正することで記録材搬送ベルト30との間の速度差を調整することができ、記録材Sの搬送挙動に影響する色ずれは有効に補正される。
【0040】
―通常色ずれ補正での色ずれ検知画像―
本実施の形態においては、色ずれ補正処理として、通常色ずれ補正処理が行われ、この通常色ずれ補正処理では色ずれ検知画像が記録材搬送ベルト30上に形成される。
この色ずれ検知画像としては、図28(a)に示すように、副走査用色ずれ検知パターンTG(副)及び主走査用色ずれ検知パターンTG(主)が用いられる。
ここで、副走査用色ずれ検知パターンTG(副)は、対比色であるブラック(K)の矩形状パッチ71に対してシアン(C)の矩形状パッチ72、マゼンタ(M)の矩形状パッチ73、イエロ(Y)の矩形状パッチ74を夫々所定のピッチ間隔(規定値)にて配置するものが用いられる。
このとき、図28(b)に示すように、対比色の矩形状パッチ71に対して補正対象色(例えばシアン(C))の矩形状パッチ72は規定値であれば色ずれはなく、規定値よりも小さい場合には−側に色ずれしていることを意味し、更に、規定値よりも大きい場合には+側に色ずれしていることを意味する。
また、主走査用色ずれ検知パターンTG(主)は、副走査方向に対して傾斜する傾斜状パッチ75〜78を用い、対比色であるブラック(K)の傾斜状パッチ75に対してシアン(C)の傾斜状パッチ76、マゼンタ(M)の傾斜状パッチ77、イエロ(Y)の傾斜状パッチ78を夫々所定のピッチ間隔(規定値)にて配置するものが用いられる。
このとき、例えば対比色であるブラック(K)の傾斜状パッチ75に対して補正対象色(例えばイエロ(Y))の傾斜状パッチ78の位置が主走査方向にずれていなければ色ずれはなく、前記傾斜状パッチ78が対比色の傾斜状パッチ75に対して主走査方向にずれた場合には−側若しくは+側に色ずれしていることを意味する。
このような色ずれ検知パターンは、交流成分変動要因の部材(感光体ドラム、記録材搬送ベルトなど)による周期的に発生する色ずれを考慮し、通常数サイクル分のパターンを形成し、後述する演算時に複数回分の平均により色ずれ量を演算するようになっている。
【0041】
―通常色ずれ補正での色ずれ検知パターンの検知原理―
図29は副走査方向の色ずれ検知パターンの検知原理を示す説明図である。
同図において、記録材搬送ベルト30上に副走査用色ずれ検知パターンTG(副)を形成し、これを色ずれ検知器55にて検知し、この検知出力を基準電圧にて二値化し、色ずれ検知パターンTG(副)に対応する色ずれ量が示されるコンパレート電圧(gc:ブラック矩形状パッチとシアン矩形状パッチとのギャップ、gm:ブラック矩形状パッチとマゼンタ矩形状パッチとのギャップ、gy:ブラック矩形状パッチとイエロ矩形状パッチとのギャップ、gk:ブラック矩形状パッチ間のギャップ)を得る。
また、図30(a)は主走査方向の色ずれ検知パターンの検知原理を示す説明図である。
同図において、記録材搬送ベルト30上に主走査方向の色ずれ検知パターンTG(主)を形成し、これを色ずれ検知器55にて検知し、この検知出力を基準電圧にて二値化し、色ずれ検知パターンTG(主)に対応する色ずれ量が示されるコンパレート電圧(hc:ブラック傾斜状パッチとシアン傾斜状パッチとのギャップ、hm:ブラック傾斜状パッチとマゼンタ傾斜状パッチとのギャップ、hy:ブラック傾斜状パッチとイエロ傾斜状パッチとのギャップ、hk:ブラック傾斜状パッチ間のギャップ)を得る。
また、主走査方向の色ずれ検知パターンTG(主)については傾斜状パッチ75〜78を配列する態様に限られるものではなく、例えば図30(b)に示すように、色成分毎にV字状パッチ81〜84としてもよい。
【0042】
◎実施の形態2
図31は実施の形態2で用いられる色ずれ検査用画像パターンを示すテストチャートである。尚、図32は図31の要部拡大図、図33は基準位置Sb付近の要部拡大図である。
同図において、テストチャート200は、図31(a)(b)及び図32に示すように、記録材Sの略全面に描かれるものであり、色ずれ対比用の対比色に対応する作像部20(例えば作像部20a)にて形成され、記録材Sの搬送方向に延びる直線要素211が記録材Sの幅方向に沿って等間隔に配置される対比線像210と、検査対象色に対応する作像部20(例えば20c)にて形成され、前記対比線像210と平行な位置関係の直線要素225が平行且つ等間隔にて配置される基準線像としての基準直線群226およびこの基準直線群226に対して交差するように傾斜する位置関係の傾斜直線要素227からなる傾斜線像としての傾斜直線群228を有し、この傾斜直線群228は複数の傾斜角度θが与えられた傾斜直線要素227からなり且つ各傾斜角度θの傾斜直線要素227間が段階的な傾斜角度変化をもって配置される検査線像220とを備えている。
これらの対比線像210は、所定幅(例えば1画素単位)の直線要素211を微小等間隔(例えば2画素単位以上)毎に配列したものである。
【0043】
一方、検査線像220の基準直線群226は、所定幅(例えば1画素単位)の基準直線要素225を微小等間隔(例えば1画素単位)毎に所定本数(例えば30〜100)配列したものである。
また、検査線像220の傾斜直線群228は、所定角度(θ:θ1〜θn)に傾斜した所定幅(例えば1画素単位)の傾斜直線要素227を微小等間隔(例えば1画素単位)毎に所定本数(例えば30〜100)配列したものである。
特に、本実施の形態では、検査線像220は、記録材Sの幅方向中央ラインScを境に一対の基準直線群226を配置し、前記記録材Sの幅方向中央ラインScを中心として複数の傾斜角度θの傾斜直線群228を記録材Sの幅方向に沿って対称配置したものである。
また、本実施の形態では、検査線像220は、図31(b)及び図33に示すように、記録材Sの搬送方向中央領域の所定位置を基準位置Sbとし、この基準位置Sbを境に記録材Sの搬送方向先端側Sfと後端側Srとで鏡像関係となるように配置されている。
ここで、前記基準位置Sbは、記録材Sの搬送挙動にあたり、記録材Sの搬送方向中央領域には定着器50やレジストロール42の影響を受けない領域(図5(a)A2参照)があり、この領域中から適宜選定された位置を指す。
このような対比線像210及び検査線像220は記録材Sの略全域に対し夫々形成されていることから、例えば図33に示すように、対比線像210の直線要素211に対して検査線像220の基準直線群226、傾斜直線群228の各直線要素225、227が描かれる。この状態において、対比線像210及び検査線像220の一部は相互に重なり合う線像重合部(図示せず)になり、この線像重合部は記録材Sの搬送挙動に応じて変化するものである。
【0044】
本実施の形態で用いられるテストチャート200においては、今、検査対象色による検査線像220が色ずれしていない場合には、記録材S上に形成される検査線像220は対比色による対比線像210に対して画像データのままの位置関係をもって描かれる。このとき、本実施の形態では、図34(a)に示すように、検査線像220の基準直線群226が対比線像210に一致するように重なり合う完全一致線像重合部231となり、この完全一致線像重合部231は対比線像210の幅方向中央ラインScを挟んだ箇所に形成される。
この完全一致線像重合部231では両線像が完全に一致するように重なり合っているため、他の部分に比べて、一方の色成分が生じ難く、この完全一致線像重合部231の位置は他の部分に比べて目立つ。
また、この完全一致線像重合部231の両側に位置する検査線像220の傾斜直線群228も対比線像210に対して不完全に一致する不完全線像重合部232であるが、この不完全線像重合部232については完全一致線像重合部231に近い側の方が両線像の重なり割合が多く、完全一致線像重合部231から離れる側の方が両線像の重なり割合が少なくなり、その分、線像重合部231,232による表示状態は目視可能に変化する。
【0045】
一方、記録材Sの搬送挙動に応じて記録材Sの搬送速度が変化したり、あるいは、斜行したりすると、図34(b)に示すように、検査線像220の対比線像210に対する相対位置関係が変化することになり、これに伴って、完全一致線像重合部231の位置が移動してしまう。
つまり、記録材Sが斜行するなどして、検査対象色による検査線像220が全体として所定角度αだけ傾いた状態で形成されたとすると、検査線像220のうち前記傾きαに対応して傾斜配置された傾斜直線群228が対比線像210に一致するように重なり合う完全一致線像重合部231となる。
この結果、完全一致線像重合部231は記録材Sの幅方向中央ラインScから所定数ずれた傾斜直線群228に対応する位置となり、この完全一致線像重合部231の両側には不完全線像重合部232が両側に行くに従って次第に重なり割合を小さくした状態で形成される。
このため、本実施の形態では、完全一致線像重合部231の位置がどちらの方向にどの程度移動したかということを調べるようにすれば、検査対象色の色ずれ量が正確に把握される。
尚、不完全線像重合部232の表示パターン変化によって記録材Sの幅方向左右での色ずれ差についても把握することが可能である。
【0046】
また、本実施の形態において、色ずれ検査用画像パターンを示すテストチャートとしては、図31に示す態様が用いられているが、これに限られるものではなく、例えば図35、図36に示す態様のものを用いても差し支えない。
同図において、このテストチャートは、図31に示す態様と異なる検査線像220を有している。この検査線像220は、記録材Sの略全面に描かれるものであり、図31に示す態様と同様に、記録材Sの幅方向中央ラインScを境に一対の基準直線群226を配置し、前記記録材Sの幅方向中央ラインScを中心として複数の傾斜角度θの傾斜直線群228を記録材Sの幅方向に沿って対称配置したものであるが、図31に示す態様と異なり、上述した基準位置Sbを境として、記録材Sの搬送方向後端側Srから先端側Sfに向かって基準直線群226、傾斜直線群228が連なるように配置されている。
本態様においても、例えば図36に示すように、対比線像210の直線要素211に対して検査線像220の基準直線群226、傾斜直線群228の各直線要素225、227が描かれる。この状態において、対比線像210及び検査線像220の一部は相互に重なり合う線像重合部(図示せず)になり、この線像重合部は記録材Sの搬送挙動に応じて変化するものである。
【実施例】
【0047】
◎実施例1
実施の形態1のテストチャート(図6参照)を用い、例えば600dpi(dot per inch)、1ドット線、9ドット間隔で対比色による対比線像210、同じ条件にて検査対象色による検査線像220を所定角度θだけ傾斜配置した場合、検査対象色の検査線像220の矩形状単位像222の線長が100ドットとすると、色ずれがない場合には、線像重合部230は、基準位置から100×10=1000ドット(42.3mm)の位置P1、2000ドット(82.7mm)の位置P4、3000ドット(127mm)の位置、4000ドット(169mm)の位置に形成される。
図7において、本来、色ずれがない場合にはP1の位置で線像重合部230が形成されるはずであるが、例えばP2、P3の位置に線像重合部230が形成されたと仮定すると、例えば1000ドットに対して±1ドットの傾きで記録材が斜行したことに相当する。つまり、定着器突入後の記録材の傾きβとしてはβ=atan(1/1000)=0.057°の傾きが発生していることが理解される。
また、前記P2、P3の位置に線像重合部230がなく、例えばP5、P6の位置に線像重合部230が形成されたとすると、β=atan(1/2000)=0.029°の傾きが発生していることが理解される。
このように、テストチャートを見ると、色ずれの状態から、例えば定着器の傾き度合が理解される。
このようなテストチャートの結果から、定着器の傾き度合を補正するように定着器の傾き姿勢を調整するようにすればよい。
図37にテストチャートの線像重合部230のズレ発生位置、定着器の傾き度合及び定着器を調整するための変位量の一例を示す。
【0048】
また、実施例1のテストチャートの一例を図35に示す。
図38においては、対比色としてブラック、試験対象色としてマゼンタを用い、記録材の幅方向中央、幅方向左右三箇所にて夫々30〜40mm程度の幅のテストチャートを出力したものである。
尚、実施例1において、テストチャートの作成条件は以下の通りである。
対比色:2画素幅の縦線を、8画素間隔で幅方向に複数配置する。
試験対象色:2画素幅の縦線を、8画素間隔、縦100画素置きに1画素ずつ幅方向にずらせて配置する。
同テストチャートによれば、図中薄い箇所が線像重合部であり、濃い箇所が非線像重合部であり、線像重合部の位置を目視することで色ずれ量を容易に把握可能であることが理解される。
【0049】
◎実施例2
実施例1と同様に、実施の形態1のテストチャート(図6参照)を用い、その色ずれ状態から、例えばレジストロール42の搬送速度の様子が理解される。その結果から、レジストロール42の搬送速度左右差を補正するように、図12に示す搬送圧調整器90の付勢バネ91の圧縮長を変化するように調整すればよい。
尚、実施例2のテストチャートは、実施例1のテストチャートと異なり、対比色としてブラック、試験対象色としてイエロを用いて作成されている。
具体的には、テストチャートの結果から、例えば記録材の幅方向に沿って全体的にイエロ色が縮んでいる場合は、図12に示すように、左右両方の搬送圧調整器90の圧力調整ノブ93を例えばa方向に回転、調整すればよい。また、例えば記録材の幅方向に沿ってイエロ色の左右差が大きいときには、縮んでいる側の圧力調整ノブ93を例えばa方向に、若しくは、伸びている側の圧力調整ノブ93を例えばb方向に回転、調整すればよい。
尚、図18(b)は図18(a)のスキューによる色ずれに対する改善例を示し、図19(b)は図19(a)の速度低下による色ずれに対する改善例を示す。
【0050】
◎実施例3
実施の形態2のテストチャートを用い、色ずれのない場合、及び、色ずれのある場合の出力例を示す。
尚、実施例3において、テストチャートの作成条件は以下の通りである。
対比色:1ブロック毎に、1画素幅の縦線を、3画素間隔で幅方向に複数配置する。
試験対象色:1画素幅の縦線を3画素間隔で複数配置した直線群ブロックを、基準位置から記録材後端の範囲で−10ドット〜+10ドットの傾きを持つように配置し、記録材の幅方向中央にて前記直線群ブロックの傾きを0とし、これを基準に記録材の幅方向に離れるにつれて各直線群ブロックを±1ドットずつ傾きを大きくしながら配置する。
図39は色ずれがない場合のテストチャートの出力例であり、記録材Sの幅方向中央ラインSc付近に完全一致線像重合部が見られる。
図40は色ずれがある場合のテストチャートの出力例であり、記録材Sの幅方向中央ラインScから離間した部位に完全一致線像重合部が見られる。
尚、図39、40は記録材Sの基準位置Sbより記録材搬送方向後端側におけるテストチャートの出力例を示す。
この場合、完全一致線像重合部が記録材の幅方向中央ラインScからどの程度離間しているかにより、検査線像の傾斜直線群が対比線像に重なり合っているかが把握されるため、色ずれ量及びその色ずれの方向が容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】(a)は本発明が適用される実施の形態モデルに係る画像形成装置の概要を示す説明図、(b)は(a)の色ずれ検査用画像の一例を示す説明図、(c)は色ずれ検査用画像の他の例を示す説明図である。
【図2】図1に示す実施の形態モデルで用いられる画像形成装置の詳細を示す説明図である。
【図3】実施の形態1に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図4】実施の形態1に係る画像形成装置の駆動制御系を示す説明図である。
【図5】(a)は実施の形態1で用いられるテストチャートの作成箇所を示す説明図、(b)はテストチャートの基本的構成を示す説明図である。
【図6】実施の形態1で用いられるテストチャートの詳細を示す説明図である。
【図7】実施の形態1で用いられる色ずれ補正処理内容の一例を示すフローチャートである。
【図8】図7の通常色ずれ補正処理内容を示すフローチャートである。
【図9】(a)(b)はテストチャート出力後の処理内容を示す説明図である。
【図10】図9(a)における定着器の手動調整方法の一例を示す説明図である。
【図11】図9(b)を実現するための制御部の詳細を示す説明図である。
【図12】(a)はレジストロールの搬送圧調整手法の一例を示す説明図、(b)はレジストロールの搬送圧調整器の具体例を示す説明図である。
【図13】(a)(b)はテストチャート出力後のレジストロールの搬送圧調整方法の処理内容を示す説明図である。
【図14】記録材の搬送挙動影響の要因を示す説明図である。
【図15】記録材の搬送挙動影響による色ずれ状態を模式的に示す説明図である。
【図16】記録材の搬送挙動影響による主走査方向位置における色ずれ状態(レジずれ量)の一例を記録材の幅方向左(Left)、中央(Center)、右(Right)の各部にて示す説明図である。
【図17】記録材の搬送挙動影響による副走査方向位置における色ずれ状態の一例を記録材の幅方向左(Left)、中央(Center)、右(Right)の各部にて示す説明図である。
【図18】(a)は記録材の搬送挙動影響による色ずれ状態の他の例を模式的に示す説明図、(b)はその改善例を示す説明図である。
【図19】(a)は記録材の搬送挙動影響による色ずれ状態の更に別の例を模式的に示す説明図、(b)はその改善例を示す説明図である。
【図20】(a)は記録材の搬送状態が理想状態にある場合の記録材の搬送動作過程を模式的に示す説明図、(b)は記録材の搬送状態がスキュー状態にある場合の記録材の搬送動作過程を模式的に示す説明図である。
【図21】実施の形態1で用いられるテストチャートの見方を模式的に示す説明図である。
【図22】(a)は実施の形態1における色ずれ補正なしの場合の作像開始タイミングを示す説明図、(b)〜(e)は実施の形態1で用いられる色ずれ補正した場合の作像開始タイミングの一例を示す説明図である。
【図23】色ずれ補正なしの場合の直線画像例を示す説明図である。
【図24】図23の画像に対して色ずれ補正する原理を示す説明図である。
【図25】図24の色ずれ補正する場合の画像データに対する処理内容を模式的に示す説明図である。
【図26】色ずれ補正なしの場合の斜行直線画像例を示す説明図である。
【図27】色ずれ補正時の画像データに対する処理内容を模式的に示す説明図である。
【図28】(a)は実施の形態1の通常色ずれ補正処理で記録材搬送ベルトに作成される色ずれ検知パターンの一例を示す説明図、(b)は副走査方向の色ずれを示す説明図、(c)は主走査方向の色ずれを示す説明図である。
【図29】実施の形態1における副走査用色ずれ検知パターンの検知動作原理を示す説明図である。
【図30】(a)は実施の形態1における主走査用色ずれ検知パターンの検知動作原理を示す説明図、(b)は他の主走査用色ずれ検知パターンを示す説明図である。
【図31】(a)は実施の形態2で用いられるテストチャートの対比線像パターンを示す説明図、(b)は実施の形態2で用いられるテストチャートの検査線像パターンを示す説明図である。
【図32】図31のテストチャートの要部拡大説明図である。
【図33】図31の基準位置付近の要部拡大説明図である。
【図34】(a)は実施の形態2におけるテストチャートで検査対象色が色ずれしていない場合の出力原理を示す説明図、(b)は同テストチャートで検査対象色が色ずれしている場合の出力原理を示す説明図である。
【図35】(a)は実施の形態2の変形形態で用いられるテストチャートの対比線像パターンを示す説明図、(b)は同変形形態で用いられるテストチャートの検査線像パターンを示す説明図である。
【図36】図35の基準位置付近の要部拡大説明図である。
【図37】実施例1におけるテストチャートの色ずれ量と定着器の調整代との関係を示す説明図である。
【図38】実施例1で用いられるテストチャートの出力例を示す説明図である。
【図39】実施例3で用いられるテストチャートの色ずれなしの場合の出力例を示す説明図である。
【図40】実施例3で用いられるテストチャートの色ずれありの場合の出力例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1(1a〜1d)…作像部,2…記録材搬送体,3…記録材,4…搬送部材,5…定着器,6…検査用画像作成手段,7…作成要求手段,8…記録材色ずれ補正手段,10…色ずれ検査用画像,11…第1の色線像,12…第2の色線像,12a…基準線像,12b…傾斜線像,13…線像重合部,15…色ずれ検知画像作成手段,16…色ずれ検知器,17…搬送体色ずれ補正手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、色ずれ検査用画像及びこれを用いる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置としては、複数の作像部とこれに対向して記録材(用紙、シート)を搬送する記録材転写ベルトとを備え、各作像部にて形成された各色成分画像を記録材に順次転写するようにしたものが既に提供されている。
この種の画像形成装置にあっては、用紙上に対比色と他の一色とについて主走査方向に並行な複数のライン群からなるテストパターンを形成し、主走査方向の傾きによる位置ずれをモアレ縞の発生頻度にてチェックする技術が提供されている(例えば特許文献1参照)。
また、この種の画像形成装置にあっては、転写ベルト上に各色成分の画像位置読取パターンを形成し、CCDセンサでパターンを読み込み、その色ずれを補正すると共に、シート上に形成された画像情報を同じくCCDセンサで読み込み、レジストローラ部の斜行補正や書込光学系にて書き込まれる画像の傾斜を補正する技術が提供されている(例えば特許文献2参照)。
更に、画像形成手段の画像形成シーケンスに伴って発生手段より発生された基準信号に応じて動作し、各画像形成手段で搬送体上に形成された複数のレジストマーク画像を読み取ってその位置を検出手段が検出し、この検出出力に基づいて補正手段が画像形成手段により形成される各画像の所定の基準信号に基づく基準に対する複数の位置ずれを補正する技術(例えば画像形成手段の像担持体への光ビームの光路長補正や、光学系を移動させるアクチュエータを制御するなど)が提供されている(例えば特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−115955号公報(発明の実施の形態,図7)
【特許文献2】特開2003−177581号公報(発明の実施の形態,図2,図3〜図6)
【特許文献3】特許第2907337号(実施例,第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の技術的課題は、記録材の搬送挙動影響(記録材インタラクション/interaction)による色ずれを容易に目視することが可能な色ずれ検査用画像及びこれを用いる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置の画像の色ずれ検査に用いられ、各作像部により記録材上に形成される色ずれ検査用画像であって、記録材の搬送方向に延びる直線要素が記録材の搬送方向と交差する方向に等間隔に配置される第1の色線像と、前記第1の色線像に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素が配置される第2の色線像と、前記第1の色線像及び第2の色線像が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部とを有することを特徴とする色ずれ検査用画像である。
【0006】
請求項2に係る発明は、複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置の画像の色ずれ検査に用いられ、各作像部により記録材上に形成される色ずれ検査用画像であって、第1の色に対応する作像部にて記録材上に形成され、記録材の搬送方向に延びる直線要素が記録材の搬送方向と交差する方向に等間隔に配置される第1の色線像と、第2の色に対応する作像部にて記録材上に形成され、前記第1の色線像に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素が配置される第2の色線像と、前記第1の色線像及び第2の色線像が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部とを有することを特徴とする色ずれ検査用画像である。
【0007】
請求項3に係る発明は、複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置の画像の色ずれ検査に用いられ、各作像部により記録材上に形成される色ずれ検査用画像であって、第1の色に対応する作像部にて記録材上に形成され、記録材の搬送方向に延びる直線要素が記録材の搬送方向と交差する方向に等間隔に配置される第1の色線像と、第2の色に対応する作像部にて記録材上に形成され、前記第1の色線像と平行な位置関係の直線要素からなる基準線像及び前記第1の色線像に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素からなる傾斜線像を有し、この傾斜線像は複数の傾斜角度が与えられた傾斜直線要素からなり且つ各傾斜角度の傾斜直線要素間が段階的な傾斜角度変化をもって配置される第2の色線像と、前記第1の色線像及び第2の色線像が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部とを有することを特徴とする色ずれ検査用画像である。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3いずれかに係る色ずれ検査用画像において、第2の色線像が、記録材の搬送方向に相当する副走査方向複数画素に対して主走査方向最小画素単位の矩形状単位像を連なるように順次変位配置したことを特徴とする色ずれ検査用画像である。
請求項5に係る発明は、請求項3に係る色ずれ検査用画像において、第2の色線像が、記録材の搬送方向に直交する幅方向中央に基準線像を配置し、この基準線像を中心として複数の傾斜角度の傾斜直線要素からなる傾斜線像を記録材の幅方向に沿って対称配置したものであることを特徴とする色ずれ検査用画像である。
請求項6に係る発明は、請求項2又は3に係る色ずれ検査用画像において、記録材の搬送方向に直交する幅方向の中央を挟んで左右の領域に設けられることを特徴とする色ずれ検査用画像である。
【0009】
請求項7に係る発明は、複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置において、記録材上に請求項1ないし3いずれかに係る色ずれ検査用画像を作成する検査用画像作成手段と、この検査用画像作成手段に対して色ずれ検査用画像について作成要求する作成要求手段とを備えた画像形成装置である。
請求項8に係る発明は、複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置において、記録材上に請求項1ないし3いずれかに係る色ずれ検査用画像を作成する検査用画像作成手段と、この検査用画像作成手段にて記録材上に形成された色ずれ検査用画像に基づいて記録材の搬送挙動に伴う色ずれを補正する記録材色ずれ補正手段とを備えていることを特徴とする画像形成装置である。
請求項9に係る発明は、請求項8に係る画像形成装置において、記録材色ずれ補正手段が、記録材上に形成された色ずれ検査用画像に基づいて記録材内の位置に応じて色ずれ補正することを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
請求項10に係る発明は、請求項8に係る画像形成装置において、記録材色ずれ補正手段が、記録材上に形成された色ずれ検査用画像に基づく色ずれ量を打ち消すように補正対象物の位置を手動調整可能に補正するものであることを特徴とする画像形成装置である。
請求項11に係る発明は、請求項8に係る画像形成装置において、記録材色ずれ補正手段が、記録材上に形成された色ずれ検査用画像に基づく色ずれ量を打ち消すように補正対象物に対する色ずれ補正量を指定する補正量指定手段と、この補正量指定手段にて指定された色ずれ補正量に基づいて補正対象物に対して補正信号を送出する色ずれ補正制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置である。
請求項12に係る発明は、請求項8に係る画像形成装置において、各作像部にて記録材搬送体上に色ずれ検知画像を形成する色ずれ検知画像作成手段と、この色ずれ検知画像作成手段にて記録材搬送体上に形成された色ずれ検知画像に基づく色ずれを検知する色ずれ検知器と、この色ずれ検知器による記録材搬送体上の色ずれ検知情報に基づいて色ずれ補正する搬送体色ずれ補正手段とを備え、前記記録材色ずれ補正手段が、前記搬送体色ずれ補正手段による色ずれ補正結果を参照して色ずれ補正することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、記録材の搬送挙動影響による色ずれを容易に目視することができる。
請求項2に係る発明によれば、記録材の搬送挙動に応じて線像重合部の位置が記録材の搬送方向に対して変化し、この線像重合部の位置ずれの状態を見て記録材の搬送挙動に伴う色ずれを把握することができる。
請求項3に係る発明によれば、記録材の搬送挙動に応じて第2の色線像の基準線像、傾斜線像のいずれかが第1の色線像に合致して線像重合部になり、この線像重合部の位置を見て記録材の搬送挙動に伴う色ずれを把握することができる。
請求項4に係る発明によれば、第2の色線像を細かく形成することができる。
請求項5に係る発明によれば、記録材の搬送方向に直交する幅方向での色ずれを正確に把握することができる。
請求項6に係る発明によれば、記録材の搬送方向に直交する幅方向で第2の色線像を対称にすることができ、記録材の幅方向での色ずれ差をより正確に把握することができる。
【0012】
請求項7に係る発明によれば、色ずれ検査用画像を必要時に簡単に形成することができる。
請求項8に係る発明によれば、記録材上の色ずれ検査用画像を目視し、その色ずれ量に基づいて簡単に色ずれを補正することができる。
請求項9に係る発明によれば、記録材内の位置に応じて色ずれ補正を細かく行うことができ、色ずれの要因を判別することができる。
請求項10に係る発明によれば、色ずれ検査用画像を目視し、手動にて色ずれを簡単に補正することができる。
請求項11に係る発明によれば、色ずれ検査用画像を目視し、簡単な指定操作による色ずれ補正を実現することができる。
請求項12に係る発明によれば、記録材の消費を抑えながら、記録材の搬送挙動影響によらず色ずれを良好に補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
先ず、本発明が適用される実施の形態モデルの概要について説明する。
◎実施の形態モデルの概要
図1(a)は本発明が適用される実施の形態モデルに係る画像形成装置の概要を示す。
同図において、画像形成装置は、複数の色成分画像を形成する複数の作像部1(例えば1a〜1d)と、各作像部1に対応した部位に記録材3を搬送する記録材搬送体2とを備えている。
尚、図1(a)では記録材搬送体2はベルト状のものを想定するが、ドラム状のものにも適用できる。また、図1(a)中、符号4は記録材搬送体2の上流側に設けられて記録材3を搬送する搬送部材、5は記録材搬送体2の下流側に設けられて記録材3上の未定着画像を定着する定着器である。
本実施の形態モデルでは、記録材3上に形成される各作像部1の画像の色ずれを検査するために色ずれ検査用画像10が用いられる。
この色ずれ検査用画像10は、図1(a)(b)に示すように、記録材3の搬送方向に延びる直線要素が記録材3の搬送方向(x方向)に交差する方向(y方向)に等間隔に配置される第1の色線像11と、前記第1の色線像11に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素が配置される第2の色線像12と、前記第1の色線像11及び第2の色線像12が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部13とを有するものである。
【0014】
ここで、第1の色線像11、第2の色線像12は第1の色線像11を色ずれ対比用の対比線像とし、第2の色線像12を検査線像としてもよいし、逆に、第2の色線像12を対比線像とし、第1の色線像11を検査線像としてもよい。
本実施の形態モデルにおいて、第1の色線像11は、記録材3の搬送方向に延びる直線要素が記録材3の搬送方向に交差する方向に等間隔に配置されるものであればよい。このとき、第1の色線像11は記録材3の搬送方向長全体に形成しなくてもよいが、記録材3各部の色ずれを検査するという観点からすれば、記録材3の搬送方向長全体に及ぶものが好ましい。
また、‘記録材3の搬送方向に延びる直線要素’は厳密な意味で記録材3の搬送方向に一致して延びる態様に限定する趣旨ではなく、記録材3の搬送方向のばらつきに伴って生ずる搬送方向ずれ量分のずれは少なくとも含み、更に、記録材3の搬送方向に対して僅かに傾斜配置されているとしても、一般ユーザが記録材3の搬送方向に延びると目視確認してしまう程度の直線要素については含むものである。
更にまた、記録材3の搬送方向に交差する方向とは、代表的には記録材3の搬送方向に直交する方向を挙げることができるが、これに限定されるものではなく、略直交する方向は勿論、所定の傾斜角度にて交差する方向をも広く含む趣旨である。
また、第2の色線像12は、少なくとも第1の色線像11に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素を含むものであればよい。ここで、傾斜直線要素は少なくとも一つあればよく、複数存在しても構わない。
更に、線像重合部13は両線像が一部で重なり合う位置関係が複数存在するものであることを特定するものであり、記録材3の搬送挙動に応じて変化するものであることを要し、この線像重合部13の位置関係にて記録材3の搬送挙動に基づく色ずれを想定することが可能であれば適宜選定して差し支えない。
【0015】
また、色ずれ検査用画像10の代表的態様としては、図1(b)に示すように、前記第1の色線像11と、前記第1の色線像11に対して交差するように傾斜する位置関係の傾斜直線要素が配置される第2の色線像12と、前記第1の色線像11及び第2の色線像12が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部13とを有するものが挙げられる。
また、他の代表的態様としては、図1(c)に示すように、前記第1の色線像11と、前記第1の色線像11と平行な位置関係の直線要素からなる基準線像12a及び前記第1の色線像11に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素からなる傾斜線像12bを有し、この傾斜線像12bは複数の傾斜角度が与えられた傾斜直線要素からなり且つ各傾斜角度の傾斜直線要素間が段階的な傾斜角度変化(θ1<θ2……)をもって配置される第2の色線像12と、前記第1の色線像11及び第2の色線像12が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部13とを有するものが挙げられる。
【0016】
ここで、図1(b)又は図1(c)に示す態様の色ずれ検査用画像10としては、第2の色線像12を細かく形成するという観点からすれば、記録材3の搬送方向に相当する副走査方向複数画素に対して主走査方向最小画素単位の矩形状単位像を連なるように順次変位配置する態様が好ましい。
また、図1(c)に示す態様の色ずれ検査用画像10としては、記録材3の幅方向での色ずれを正確に把握するという観点からすれば、第2の色線像12は、記録材3の搬送方向に直交する幅方向中央に基準線像12aを配置し、この基準線像12aを中心として複数の傾斜角度の傾斜直線要素からなる傾斜線像12bを記録材3の幅方向に沿って対称配置したものであることが好ましい。
更に、図1(b)又は(c)に示す態様の色ずれ検査用画像10としては、記録材3の幅方向での色ずれ差をより正確に把握するという観点からすれば、記録材3の搬送方向に直交する幅方向の中央を挟んで左右の領域に設けられることが好ましい。
【0017】
また、本実施の形態モデルの画像形成装置の好ましい態様としては、図2に示すように、複数の色成分画像を形成する複数の作像部1(1a〜1d)と、各作像部1に対応した部位に記録材3を搬送する記録材搬送体2とを備えた画像形成装置において、記録材3上に図1(a)〜(c)に示すような色ずれ検査用画像10を作成する検査用画像作成手段6と、この検査用画像作成手段6に対して色ずれ検査用画像10について作成要求する作成要求手段7とを備えたものが挙げられる。
本態様において、検査用画像作成手段6としては、第1の色による作像部1(例えば1a)、第2の色による作像部1(例えば1c)を用いて上述した第1の色線像11、第2の色線像12を形成し、両線像11,12にて線像重合部13を形成するものであれば適宜選定して差し支えない。
また、作成要求手段7としては、ユーザが任意に指定可能な指定手段であってもよいし、使用環境が大きく変化するなど作成要求条件(環境温度変化、部品交換、記録材の使用枚数など)を予め決めておき、作成要求条件を満たしたときに色ずれ検査用画像10を作成するものであればよい。
【0018】
また、本実施の形態モデルの更に別の代表的態様としては、記録材3上に上述した色ずれ検査用画像10を作成する検査用画像作成手段6と、この検査用画像作成手段6にて記録材3上に形成された色ずれ検査用画像10に基づいて記録材3の搬送挙動に伴う色ずれを補正する記録材色ずれ補正手段8とを備えるものが挙げられる。
本態様において、記録材色ずれ補正手段8には、手動調整可能な態様でもよいし、色ずれ補正量を入力して補正対象物(記録材搬送速度、作像部の作像開始タイミングや画像情報の変換による出力タイミング)につき色ずれ補正するようにしてもよい。
ここで、記録材色ずれ補正手段8としては、色ずれ補正を細かく行うという観点からすれば、記録材3上に形成された色ずれ検査用画像10に基づいて記録材3内の位置に応じて色ずれ補正するものが好ましい。
また、記録材色ずれ補正手段8としては、色ずれ補正を簡単に行うという観点からすれば、記録材3上に形成された色ずれ検査用画像10に基づく色ずれ量を打ち消すように補正対象物の位置を手動調整可能に補正するものが好ましい。
【0019】
更に、記録材色ずれ補正手段8としては、簡単な指定操作にて実現するという観点からすれば、記録材3上に形成された色ずれ検査用画像10に基づく色ずれ量を打ち消すように補正対象物に対する色ずれ補正量を指定する補正量指定手段と、この補正量指定手段にて指定された色ずれ補正量に基づいて補正対象物に対して補正信号を送出する色ずれ補正制御手段とを有する態様が好ましい。
更にまた、色ずれ補正をより正確に行うという観点からすれば、各作像部1にて記録材搬送体2上に色ずれ検知画像を形成する色ずれ検知画像作成手段15と、この色ずれ検知画像作成手段15にて記録材搬送体2上に形成された色ずれ検知画像に基づく色ずれを検知する色ずれ検知器16と、この色ずれ検知器16による記録材搬送体2上の色ずれ検知情報に基づいて色ずれ補正する搬送体色ずれ補正手段17とを備え、前記記録材色ずれ補正手段8が、前記搬送体色ずれ補正手段17による色ずれ補正結果を参照して色ずれ補正するものであることが好ましい。
【0020】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
図3は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1の全体構成を示す説明図である。
同図において、画像形成装置は、例えば鉛直方向に沿って配設され且つ複数の色成分画像が形成可能な複数の作像部20(例えば20a〜20d)と、各作像部20に対向して設けられ且つ記録材Sが搬送させられる記録材搬送ベルト30とを備えている。
複数の作像部20は、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の各色成分画像を電子写真方式にて形成するものであり、所定方向に回転する感光体ドラム21を有し、この感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21が帯電させられる例えば帯電ロールなどの帯電器22と、前記感光体ドラム21上に形成された静電潜像を所定の色の現像剤にて可視像化される現像器23と、前記感光体ドラム21上の残留物を清掃する清掃器24とを備えている。
【0021】
特に、本実施の形態では、各作像部20は感光体ドラム21、帯電器22、現像器23及び清掃器24を一体化したカートリッジ構成で、画像形成装置筐体の所定部位に着脱自在に装着されている。また、現像器23は例えばトナー及びキャリアを含む二成分現像剤が用いられる二成分現像方式を採用したものであり、現像剤が収容される現像容器23aに現像ロール23b、現像剤攪拌部材23cを配設すると共に、前記現像容器23aに隣接した部位に補給用トナーが収容されるトナー補給容器23dを設け、このトナー補給容器23d内のトナーをトナー搬送部材23eを介して現像容器23a内に適宜補給するようになっている。
また、本実施の形態において、各作像部20の記録材搬送ベルト30の反対側には例えばレーザ走査装置などの露光装置25が配設されており、この露光装置25は各作像部20に共通のものであって、各作像部20(20a〜20d)に対応した色成分の光照射部25a〜25dを有し、図示外の偏向ミラー、結像レンズなどを経て各作像部20に対応する色成分光を照射するようにしたものである。
【0022】
更に、記録材搬送ベルト30は、例えば張架ロール31,32間に掛け渡されており、例えば張架ロール32を駆動ロール、張架ロール31を従動ロールとして下から上に向かって記録材Sを搬送可能に循環移動するようになっている。
そして、この記録材搬送ベルト30は、図示外の装置筐体の側方に設けられた開閉扉33側に設けられており、この開閉扉33の開閉動作に合わせて移動するものである。
更にまた、本実施の形態では、記録材搬送ベルト30は、例えば体積抵抗率が109〜1012Ω・cm程度のゴム又は樹脂製のベルト素材(例えばポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタンゴムなど)を使用しており、張架ロール31に対応する記録材搬送ベルト30の記録材受入部位には吸着部材としての吸着ロール34が配設されると共に、この吸着ロール34には所定の吸着バイアスが印加されて記録材Sを静電吸着させるようになっている。
更に、記録材搬送ベルト30の張架ロール32に対応した部位にはベルト清掃器35が接離自在に配設されており、記録材搬送ベルト30上の色ずれ検知画像や紙粉などの残留物を清掃するようになっている。
更にまた、各作像部20に対向する記録材搬送ベルト30の背面側には例えば転写ロールなどの転写器26が設けられており、この転写器26に所定の転写バイアスが印加されて感光体ドラム21上の画像を記録材S側に転移させるようになっている。
尚、記録材搬送ベルト30の一部には図示外の除電器が設けられ、吸着ロール34や転写器26にて帯電された記録材搬送ベルト30を適宜除電するようになっている。
【0023】
また、各作像部20の下方には記録材Sを収容する記録材収容器40が配設されており、この記録材収容器40の記録材送出側には送出搬送ロール41が設けられると共に、この送出搬送ロール41と記録材搬送ベルト30との間には位置合わせロール(レジストロール)42が配設され、記録材Sの先端を一旦位置合わせした後に記録材搬送ベルト30側に送り込むようになっている。
更に、記録材搬送ベルト30の下流側には記録材S上の画像を定着する定着器50が設けられている。本実施の形態では、定着器50は、加熱源にて加熱される定着ロール51と、この定着ロール51に圧接して定着ロール51に追従して移動する定着ベルト52とを備えている。
更にまた、記録材搬送ベルト30の記録材搬送面のうち最下流作像部20aの下流側に位置する部位には色ずれ検知器55が配設されている。この色ずれ検知器55は記録材搬送ベルト30上に形成される後述する色ずれ検知画像を検知するものであり、記録材搬送ベルト30への照射光の反射光レベルを検知し、色ずれ検知画像の状態を検知するものである。
【0024】
また、本実施の形態において、図4は画像形成装置の制御系を示す。
同図において、符号60は作像プロセス処理、色ずれ補正処理を実行するための制御部であり、例えばマイクロコンピュータにて構成されている。
この制御部60は、図示外の操作部や色ずれ検知器55を始めとする各種検知器(記録材の位置検知器や温度検知器など)からの信号を入力し、予め記憶部に格納されている作像プロセス処理プログラムや色ずれ補正処理プログラム(図7〜図9参照)を実行し、露光装置25などの各種作像デバイスに制御信号を送出すると共に、レジストロール42、記録材搬送ベルト30及び定着器50の定着ロール51の駆動源である駆動モータ61〜63(図中Mr,Mb,Mfで示す)に所定の制御信号を送出し、レジストロール42、記録材搬送ベルト30及び定着器50による記録材搬送速度を所定速度に制御するようになっている。
【0025】
特に、本実施の形態では、画像形成装置は、色ずれを検査するための色ずれ検査用画像パターンが示されるテストチャート200を出力するようになっている。
本実施の形態では、テストチャート200は、図5(a)に示すように、記録材Sの搬送方向に直交する幅方向中央及びこの中央を挟んで幅方向の左右の三箇所にて記録材Sの搬送方向に沿って延びる矩形領域に形成されている。尚、図5(a)中、符号Scは記録材Sの幅方向中央ラインを示す。
そして、本例のテストチャート200は、図5(b)に示すように、色ずれ対比用の対比色に対応する作像部20(例えば作像部20a)にて形成され、記録材Sの搬送方向に延びる直線要素211が記録材Sの幅方向に沿って平行且つ等間隔に配置される対比線像210と、検査対象色に対応する作像部20(例えば20c)にて形成され、前記対比線像210に対して所定の傾斜角度θで交差するように傾斜する位置関係の傾斜直線要素221が平行且つ等間隔に配置される検査線像220と、前記対比線像210及び検査線像220が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部230(図6参照)とを有するものである。
ここで、対比線像210における直線要素211の幅寸法及び間隔は適宜選定して差し支えない。一方、検査線像220における傾斜直線要素221の幅寸法及び間隔も適宜選定して差し支えないが、対比線像210との相対位置関係に着目するため、対比線像210における直線要素211の幅寸法及び間隔寸法に合わせて設定することが好ましい。
【0026】
図6はテストチャート200の構成をより詳細に示す。
同図において、対比線像210は、記録材Sの搬送方向に相当する副走査方向に沿って延びる所定幅w(例えば1画素(ドット)幅)の直線要素211を有し、前記副走査方向に直交する主走査方向に沿って各直線要素211を所定間隔m(例えば9画素単位)毎に配置するようにしたものである。
一方、検査線像220は、対比線像210に対して所定角度θ(図5参照)で傾斜される所定幅w(例えば1画素幅)の傾斜直線要素221を備えたものであり、この傾斜直線要素221を所定間隔m(例えば9画素単位)毎に配置するようにしたものである。
特に、本実施の形態では、傾斜直線要素221は、記録材Sの搬送方向に相当する副走査方向複数画像d(例えば100画素)に対して所定幅w(例えば1画素幅)の矩形状単位線像222を連なるように順次偏位配置したものである。
尚、図6に示すテストチャート200にあっては、仮に記録材Sの搬送挙動による色ずれがない場合を想定すれば、対比線像210及び検査線像220の線像重合部230は副走査方向に対して矩形状単位線像222のブロック毎に形成されるようになっている。
【0027】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
―作像プロセス処理―
図3において、図示外の操作部を操作して所定の作像ジョブを開始すると、各作像部20(20a〜20d)は感光体ドラム21上に各色成分に対応する静電潜像を形成した後、対応する現像剤にて可視像化する。
一方、記録材収容器40からは所定のタイミングにて記録材Sが送出搬送ロール41にて送出され、レジストロール42にて一旦位置合わせされた後に記録材搬送ベルト30へと搬送され、吸着ロール34にて記録材搬送ベルト30に吸着保持して搬送されていく。
この状態において、各作像部20の感光体ドラム21上の各色成分画像は夫々転写器26を介して記録材搬送ベルト30上の記録材Sに順次転写され、各色成分画像が転写された記録材Sは記録材搬送ベルト30の下流端から剥離されて定着器50へと搬送され、定着器50にて未定着画像を加熱加圧定着した後に図示外の記録材排出受けに排出される。
【0028】
―色ずれ補正処理―
また、本実施の形態では、制御部60は図7に示すような色ずれ補正処理を実施する。
同図において、色ずれ補正処理は、先ずテストチャート200の出力要求があるか否かをチェックし、テストチャート200の出力要求があれば、通常色ずれ補正の実施タイミングであるか否かをチェックし、通常色ずれ補正の実施タイミングでなければテストチャート200の出力処理を実施し、通常色ずれ補正の実施タイミングであれば、通常色ずれ補正を実施した後にテストチャート200の出力処理を実施する。
ここで、‘テストチャート200の出力要求’については、画像形成装置の操作部や画像形成装置にネットワーク接続されるクライアント(例えばPC:パーソナルコンピュータ)からの指示要求(コマンド送信)が挙げられるが、例えば画像形成装置の使用環境が大きく変わる条件下ではテストチャート200の出力要求を行うようにすることも可能である。
また、‘通常色ずれ補正の実施タイミング’についても適宜選定して差し支えなく、例えば記録材Sの作像枚数が規定枚数(例えば100〜300枚)に達する毎に定期的に行うようにしたり、あるいは、使用環境が大きく変わる条件下(例えば使用環境温度が所定温度以上変化したり、使用環境湿度が所定湿度以上変化したような場合や、部品を交換したような場合)にて行うようにする態様が挙げられる。
【0029】
―通常色ずれ補正処理―
図8は本実施の形態で行われる通常色ずれ補正の一例を示すフローチャートを示す。
同図において、通常色ずれ補正処理は、先ず、記録材搬送ベルト30上に主走査方向及び副走査方向に色ずれ検知画像を作成する。
しかる後、色ずれ検知器55にて色ずれ検知画像を読み込み、主走査方向及び副走査方向の色ずれ量を算出する。
この後、主走査方向及び副走査方向の色ずれ補正量を決定し、この色ずれ補正量に基づいて色ずれ補正、具体的には、各作像部20の作像開始タイミング又は画像情報の変換による出力タイミングを補正する。
尚、記録材搬送ベルト30上に形成された色ずれ検知画像はベルト清掃器35にて清掃される。
【0030】
―テストチャート出力後の処理例―
(1)定着器の調整処理
図9(a)に示すように、テストチャート200が出力されると、テストチャート200の出力結果からユーザが色ずれ量を判別する。しかる後、ユーザは色ずれ量を打ち消すように定着器50を手動調整すればよい。
定着器50の手動調整の一例を図10に示す。
図10において、定着器50は図示外の画像形成装置筐体の設置部位に対し傾き調整可能な傾き調整器56を有している。
この傾き調整器56は、定着器50のカバー50aの長手方向一端側に可動支持脚57を設け、この可動支持脚57の下方への突出量を調整具58にて調整することにより定着器50の設置時における長手方向の姿勢を調整するものである。
尚、このような傾き調整器56を用いなくても、定着器50と画像形成装置筐体との間に所定厚のスペーサ(図示せず)を介在させるようにしてもよい。
【0031】
(2)色ずれ補正を実施
図9(b)に示すように、テストチャート200が出力されると、テストチャート200の出力結果からユーザが色ずれ量を判別する。しかる後、ユーザは判別した色ずれ量を制御部60に入力し、色ずれ補正量を演算させた後に色ずれ補正を実施するようにすればよい。
この色ずれ補正を実施する場合には、通常色ずれ補正結果を参照して通常色ずれ補正結果に前記色ずれ補正量を足し込み演算するようにすればよい。
ここでいう色ずれ補正としては、各作像部20の作像開始タイミングを補正したり、画像情報の変換による出力タイミングを補正したり、あるいは、記録材搬送速度を補正するものが挙げられる。
図11はこのような色ずれ補正のうち、各作像部20の作像開始タイミングを補正するための制御部60の詳細を示す。
同図において、符号25は露光装置であり、251は露光装置25のレーザ等の光源、252は走査開始信号(SOS:Start Of Scan)を検知するための走査開始位置検知器である。
また、符号610は走査開始信号を受けて所定パルス計数し、画像形成タイミング(作像タイミング)を制御するタイミング制御部、また、入力部620(画像形成装置の操作部やクライアント)から入力された色ずれ量はコントローラ630(色変換部、スクリーン処理部、パルス幅変調部などを具備)に入力され、色ずれ量演算/記憶部640にて演算されると共に記憶される。尚、色ずれ検知器55からの色ずれ検知画像も色ずれ量演算/記憶部640にて演算、記憶される。
そして、色ずれ量演算/記憶部640にて演算された色ずれ量(色ずれ補正量に相当)はタイミング制御部610に送られ、タイミング制御部610はこの色ずれ量(色ずれ補正量)に基づき、主走査同期信号HSYNC(SOS)から画像書き出しまでの遅延量(色ずれ補正量)をコントローラ630に送る。
この後、コントローラ630は前記主走査同期信号(HSYNC)に従って画像データ(Videoデータ)を露光装置25の光源251へ供給するようになっている。
【0032】
(3)レジストロールの調整処理
図12はレジストロールの搬送圧調整器の一例を示す。
同図において、レジストロール42は例えば金属製ロール421と弾性ロール422とを圧接配置したものであり、両ロール421,422に所定の搬送圧を付与する搬送圧調整器90が設けられている。
この搬送圧調整器90は、図12(a)(b)に示すように、例えばレジストロール42の軸方向両側に夫々設けられており、例えば一方の弾性ロール422の軸部を他方の金属製ロール421側に付勢する付勢バネ91と、この付勢バネ91の圧縮長を調整する押圧部材92と、この押圧部材92の位置を変更する回転可能な圧力調整ノブ93とを備えており、例えば圧力調整ノブ93をa方向又はb方向に回転させることで付勢バネ91の圧縮長さを伸縮可能にしたものである。尚、本例では、搬送圧調整器90はレジストロール42の軸方向両側に一対設けられているが、これに限られるものではなく、少なくともいずれか一方側に設けるようにしてもよい。
本例において、例えば図13(a)に示すように、テストチャート200が出力されると、テストチャート200の出力結果からユーザが色ずれを判別し、しかる後に、ユーザは色ずれを打ち消すように搬送圧調整器90を手動調整するようにすればよい。
具体的には、図13(a)に示すように、テストチャート結果からユーザがレジストロール42の速度低下左右差(軸方向差)を判別し、速度低下した側の圧力調整ノブ93を例えばa方向に回して調整値を合わせるようにすればよい。
また、図13(b)に示すように、テストチャート出力から、ユーザがレジストロール42につき全体速度低下ずれを判別した場合には、左右両方の搬送圧調整器90について圧力調整ノブ93を例えばa方向に回して調整する。この後、再度テストチャート200の出力結果から、ユーザがレジストロール42の速度低下左右差(軸方向差)を判別し、速度低下した側の圧力調整ノブ93を例えばa方向に回して調整するようにすればよい。
【0033】
―記録材の搬送挙動について―
このような色ずれ補正処理を行う理由は、以下に述べるような記録材の搬送挙動に起因する影響を取り除くためである。
つまり、記録材Sの搬送系は、図14に示すように、レジストロール42、記録材搬送ベルト30及び定着器50へと記録材Sを順次受け渡すようになっている。
この場合において、レジストロール42、記録材搬送ベルト30及び定着器50の記録材搬送速度を夫々vr、vb、vfとすると、これらの各速度は完全に一致することはなく、夫々異なるように設定されることが多い。
従って、例えばレジストロール42と記録材搬送ベルト30との間にはΔvrb=vr−vbの速度差があるため、例えばレジストロール42と記録材搬送ベルト30との間に跨る記録材S1には前記速度差Δvrbによる押し引きが生じ、また、記録材搬送ベルト30と定着器50との間にはΔvfb=vf−vbの速度差があるため、例えば定着器50と記録材搬送ベルト30との間に跨る記録材S3には前記速度差Δvfbによる押し引きが生ずる。
尚、レジストロール42や定着器50と跨らないで記録材搬送ベルト30だけで搬送される記録材S2は記録材搬送ベルト30の搬送速度vbに依存するため、上述した記録材Sの押し引きは生じない。
このように、レジストロール42、記録材搬送ベルト30及び定着器50にて記録材Sが受け渡し搬送されていくと、上述したような押し引き現象が生じ、記録材搬送速度vr、vb、vfが各作像部20による転写部位を通過する箇所で変化することになり、この記録材Sの搬送挙動影響により色ずれが生ずる懸念が残る。
このような記録材Sの搬送挙動に着目すると、図5(a)に示すように、記録材Sの搬送方向下流側領域A1はレジストロール42の影響を大きく受け、一方、記録材Sの搬送方向上流側領域A3は定着器50の影響を大きく受け、記録材Sの搬送方向中央領域A2はレジストロール42,定着器50の影響を受けない領域である。
【0034】
このため、例えば記録材搬送ベルト30上に色ずれ検知画像を形成し、これを検知することで色ずれ補正を行ったとしても、上述したような記録材Sの搬送挙動が起因し、例えば記録材S上には、図15に示すようなイエロ、マゼンタ、シアン、ブラックの各色成分画像(所定間隔毎の格子パターン画像)に色ずれが見られる。
このような色ずれを定量的に測定したところ、主走査方向位置の各色成分画像のレジずれ量(色ずれ量)は、例えば図16に示すように、記録材Sの搬送方向に直交する幅方向の左部分(Left)、中央部分(Center)、右部分(Right)で変化していることが理解される。
また、副走査方向位置の各色成分画像のレジずれ量(色ずれ量)は、例えば図17に示すように、記録材Sの搬送方向に直交する幅方向の左部分(Left)、中央部分(Center)、右部分(Right)で変化していることが理解される。特に、図17に示す副走査方向位置のレジずれ量では、副走査方向下流側にて最下流作像部20a(ブラック)による画像のずれ量が大きく、定着器50と記録材搬送ベルト30との間の速度差が色ずれに大きく影響していることが確認される。
尚、図17に示す副走査方向位置のレジずれ量では、副走査方向上流側の最上流作像部20d(イエロ)による画像のレジずれ量は小さいが、レジストロール42と記録材搬送ベルト30との間の速度差が大きいような場合には、前記最上流作像部20d(イエロ)による画像のレジずれ量が大きくなる懸念がある。
更に、同様に記録材Sの搬送方向に直交する幅方向に沿って、レジずれ量(色ずれ量)が左部分(Left)、中央部分(Center)、右部分(Right)で変化しているもう一つの例を挙げる。
この例は、例えばレジストロール42が軸方向に沿って偏摩耗し、記録材Sを搬送する際にスキューが発生している場合に相当する。
この場合において、主走査方向位置の各色成分画像のレジずれ量(色ずれ量)及び副走査方向位置の各色成分画像のレジずれ量(色ずれ量)は、例えば図18(a)に示すように変化し、副走査方向上流側にて最上流作像部(イエロ)による画像のずれ量が大きく、レジストロール42と記録材搬送ベルト30との間の搬送速度左右差が色ずれに大きく影響していることが確認される。
更にまた、レジストロール42が全体摩耗したような場合には、図19(a)に示すように、副走査方向上流側にて最上流作像部(イエロ)による画像のずれ量が大きく、レジストロール42と記録材搬送ベルト30との間の搬送速度の全体的な低下が色ずれに大きく影響していることが確認される。
また、本実施の形態では、図20(a)に示すように、記録材Sが記録材搬送ベルト30に沿って真っ直ぐ搬送される場合には、記録材Sの搬送姿勢が正規姿勢のまま搬送されるため、記録材Sの搬送方向に沿って延びる各色成分の直線画像は相互に重なり合って配置されることになるが、例えば図20(b)に示すように、記録材Sが記録材搬送ベルト30上を斜行した状態で搬送されてしまうと、記録材Sの搬送方向に沿って延びる各色成分の直線画像は相互に重なり合って配置されるにも拘わらず、記録材Sの斜行姿勢に伴って傾斜した状態で色ずれする。
【0035】
―テストチャートの見方―
図7に示す色ずれ補正処理を行い、テストチャート200が出力されたとする。
図21は出力されたテストチャート200を模式的に示すものであり、今、検査対象色による検査線像220が色ずれしていない場合には、記録材S上に形成される検査線像220は対比色による対比線像210に対して画像データのままの位置関係をもって描かれる。このため、本実施の形態では、対比線像210と検査線像220とが重なり合う線像重合部230は記録材Sの搬送方向に沿って所定の位置(例えば図21の実線で囲む部位)に形成されることになる。
この線像重合部230では両線像が重なり合っているため、他の部分に比べて、一方の色成分が生じ難く、この線像重合部230の位置は非線像重合部240に比べて目立つ。
一方、記録材Sの搬送挙動に応じて記録材Sの搬送速度が変化したり、あるいは、斜行したりすると、検査線像220の対比線像210に対する相対位置関係が変化することになり、これに伴って、線像重合部230が例えば図21に点線で示す領域又は一点鎖線で示す領域に移動してしまう。
このとき、線像重合部230は他の非線像重合部240に比べて目立つため、テストチャート200を目視すれば、線像重合部230が予め決められた色ずれなしのパターンと一致するか否か、不一致の場合に、線像重合部230の位置は記録材Sの搬送方向に沿ってどれだけ変位しているかを容易に把握することができる。
このように、線像重合部230の位置を目視することにより、検査対象色による検査線像220がどの程度色ずれしているかを把握することが可能である。
【0036】
―テストチャート結果による色ずれ補正処理―
テストチャート200の出力結果に基づいて図9(b)に示す色ずれ補正処理を行ったところ、以下のような処理が行われる。
今、通常色ずれ補正を実施したときに色ずれ補正がない場合における画像形成タイミング(作像開始タイミング)が図22(a)に示すものであると仮定する。
このとき、例えば対比色をブラック(K)とした検査色イエロ(Y)のテストチャート200の出力結果に基づいて色ずれ量を入力したところ、例えば記録材Sの斜行により基準位置から所定量色ずれしていたとしても、これを打ち消すように、作像開始タイミング、具体的には走査開始信号SOS(HSYNC)から、画像形成開始までのタイミングを所定ドット分補正する。
例えば図22(b)は色ずれなしの場合の画像形成タイミングを示し、図22(c)は図22(b)のSOS(HSYNC)から画像書き出しまでのタイミングを1ドット遅らせるように調整したものであり、図22(d)(e)は夫々図22(b)の画像形成タイミングに比べてSOS(HSYNC)から画像書き出しまでのタイミングを2ドット、3ドット遅らせるように調整したものである。
【0037】
―色ずれ補正の具体例1―
今、色ずれ補正前の直線画像Gが図23に示すように描かれると仮定する。
同図において、G0は対比色による直線画像、G1は検査対象色による直線画像とし、検査対象色による直線画像G1が定着器50を通過するラインLの前後で屈曲し、記録材Sの搬送方向上流側にて図中左側に傾斜配置されている。
このような状況において、テストチャート200による色ずれ補正を実施する場合には、例えば図24に示すように、前記検査対象色による直線画像G1を打ち消すための画像300(図中右側に傾斜)を作成するように補正すればよい。
このような直線画像300を形成するには、図24及び図25に示すように、先ず、傾斜した直線画像300を記録材搬送方向に延びる矩形状単位画像310を連なるように変位配置するように、矩形状単位画像310に関する画像データを1ドットずつ順次変位配置するようにすればよい。
【0038】
―色ずれ補正の具体例2―
今、図26に示すように、記録材Sの搬送挙動により記録材Sの搬送方向上流側部分(後半部分)が斜行してしまい、記録材Sの幅方向(主走査方向)に延びるべき直線画像G2が斜め方向に傾斜配置されるように描かれるものと仮定する。
このような状況において、テストチャート200による色ずれ補正を行うようにすればよく、このような色ずれ補正後にあっては、図27に示すように、例えば傾斜配置された1ラインの直線画像G2を複数のブロックに分割し、前記直線画像G2を打ち消すように、例えば各ブロックの画像データの出力タイミングを所定ドット(例えば1ドット)単位でずらすようにすればよい。
このような補正処理を行うようにすれば、補正なしの場合には主走査方向に延びる直線画像が傾斜していたとしても、図27中の点線で囲む理想領域内に画像データを略配置することが可能になり、前述した直線画像の斜行は有効に補正される。
【0039】
―色ずれ補正としての記録材搬送速度の補正―
また、本実施の形態では、色ずれ補正処理として、色ずれ補正量に基づいて作像開始タイミングや画像情報の変換による出力タイミングを補正することに代えて、色ずれ補正量に基づいて記録材搬送速度を補正するようにすることも可能である。
例えば図5に示すように、記録材A1領域では、記録材搬送速度はレジストロール42の影響が大きいため、記録材A1領域の色ずれ補正量をチェックし、記録材Sを搬送する上で適正なループ量が得られるようにレジストロール42の搬送速度を補正するようにすればよく、また、記録材A3領域では、記録材搬送速度は定着器50の影響が大きいため、記録材A3領域の色ずれ補正量をチェックし、定着器50の搬送速度を補正するようにしてもよい。
このようにすれば、レジストロール42及び定着器50の搬送速度を補正することで記録材搬送ベルト30との間の速度差を調整することができ、記録材Sの搬送挙動に影響する色ずれは有効に補正される。
【0040】
―通常色ずれ補正での色ずれ検知画像―
本実施の形態においては、色ずれ補正処理として、通常色ずれ補正処理が行われ、この通常色ずれ補正処理では色ずれ検知画像が記録材搬送ベルト30上に形成される。
この色ずれ検知画像としては、図28(a)に示すように、副走査用色ずれ検知パターンTG(副)及び主走査用色ずれ検知パターンTG(主)が用いられる。
ここで、副走査用色ずれ検知パターンTG(副)は、対比色であるブラック(K)の矩形状パッチ71に対してシアン(C)の矩形状パッチ72、マゼンタ(M)の矩形状パッチ73、イエロ(Y)の矩形状パッチ74を夫々所定のピッチ間隔(規定値)にて配置するものが用いられる。
このとき、図28(b)に示すように、対比色の矩形状パッチ71に対して補正対象色(例えばシアン(C))の矩形状パッチ72は規定値であれば色ずれはなく、規定値よりも小さい場合には−側に色ずれしていることを意味し、更に、規定値よりも大きい場合には+側に色ずれしていることを意味する。
また、主走査用色ずれ検知パターンTG(主)は、副走査方向に対して傾斜する傾斜状パッチ75〜78を用い、対比色であるブラック(K)の傾斜状パッチ75に対してシアン(C)の傾斜状パッチ76、マゼンタ(M)の傾斜状パッチ77、イエロ(Y)の傾斜状パッチ78を夫々所定のピッチ間隔(規定値)にて配置するものが用いられる。
このとき、例えば対比色であるブラック(K)の傾斜状パッチ75に対して補正対象色(例えばイエロ(Y))の傾斜状パッチ78の位置が主走査方向にずれていなければ色ずれはなく、前記傾斜状パッチ78が対比色の傾斜状パッチ75に対して主走査方向にずれた場合には−側若しくは+側に色ずれしていることを意味する。
このような色ずれ検知パターンは、交流成分変動要因の部材(感光体ドラム、記録材搬送ベルトなど)による周期的に発生する色ずれを考慮し、通常数サイクル分のパターンを形成し、後述する演算時に複数回分の平均により色ずれ量を演算するようになっている。
【0041】
―通常色ずれ補正での色ずれ検知パターンの検知原理―
図29は副走査方向の色ずれ検知パターンの検知原理を示す説明図である。
同図において、記録材搬送ベルト30上に副走査用色ずれ検知パターンTG(副)を形成し、これを色ずれ検知器55にて検知し、この検知出力を基準電圧にて二値化し、色ずれ検知パターンTG(副)に対応する色ずれ量が示されるコンパレート電圧(gc:ブラック矩形状パッチとシアン矩形状パッチとのギャップ、gm:ブラック矩形状パッチとマゼンタ矩形状パッチとのギャップ、gy:ブラック矩形状パッチとイエロ矩形状パッチとのギャップ、gk:ブラック矩形状パッチ間のギャップ)を得る。
また、図30(a)は主走査方向の色ずれ検知パターンの検知原理を示す説明図である。
同図において、記録材搬送ベルト30上に主走査方向の色ずれ検知パターンTG(主)を形成し、これを色ずれ検知器55にて検知し、この検知出力を基準電圧にて二値化し、色ずれ検知パターンTG(主)に対応する色ずれ量が示されるコンパレート電圧(hc:ブラック傾斜状パッチとシアン傾斜状パッチとのギャップ、hm:ブラック傾斜状パッチとマゼンタ傾斜状パッチとのギャップ、hy:ブラック傾斜状パッチとイエロ傾斜状パッチとのギャップ、hk:ブラック傾斜状パッチ間のギャップ)を得る。
また、主走査方向の色ずれ検知パターンTG(主)については傾斜状パッチ75〜78を配列する態様に限られるものではなく、例えば図30(b)に示すように、色成分毎にV字状パッチ81〜84としてもよい。
【0042】
◎実施の形態2
図31は実施の形態2で用いられる色ずれ検査用画像パターンを示すテストチャートである。尚、図32は図31の要部拡大図、図33は基準位置Sb付近の要部拡大図である。
同図において、テストチャート200は、図31(a)(b)及び図32に示すように、記録材Sの略全面に描かれるものであり、色ずれ対比用の対比色に対応する作像部20(例えば作像部20a)にて形成され、記録材Sの搬送方向に延びる直線要素211が記録材Sの幅方向に沿って等間隔に配置される対比線像210と、検査対象色に対応する作像部20(例えば20c)にて形成され、前記対比線像210と平行な位置関係の直線要素225が平行且つ等間隔にて配置される基準線像としての基準直線群226およびこの基準直線群226に対して交差するように傾斜する位置関係の傾斜直線要素227からなる傾斜線像としての傾斜直線群228を有し、この傾斜直線群228は複数の傾斜角度θが与えられた傾斜直線要素227からなり且つ各傾斜角度θの傾斜直線要素227間が段階的な傾斜角度変化をもって配置される検査線像220とを備えている。
これらの対比線像210は、所定幅(例えば1画素単位)の直線要素211を微小等間隔(例えば2画素単位以上)毎に配列したものである。
【0043】
一方、検査線像220の基準直線群226は、所定幅(例えば1画素単位)の基準直線要素225を微小等間隔(例えば1画素単位)毎に所定本数(例えば30〜100)配列したものである。
また、検査線像220の傾斜直線群228は、所定角度(θ:θ1〜θn)に傾斜した所定幅(例えば1画素単位)の傾斜直線要素227を微小等間隔(例えば1画素単位)毎に所定本数(例えば30〜100)配列したものである。
特に、本実施の形態では、検査線像220は、記録材Sの幅方向中央ラインScを境に一対の基準直線群226を配置し、前記記録材Sの幅方向中央ラインScを中心として複数の傾斜角度θの傾斜直線群228を記録材Sの幅方向に沿って対称配置したものである。
また、本実施の形態では、検査線像220は、図31(b)及び図33に示すように、記録材Sの搬送方向中央領域の所定位置を基準位置Sbとし、この基準位置Sbを境に記録材Sの搬送方向先端側Sfと後端側Srとで鏡像関係となるように配置されている。
ここで、前記基準位置Sbは、記録材Sの搬送挙動にあたり、記録材Sの搬送方向中央領域には定着器50やレジストロール42の影響を受けない領域(図5(a)A2参照)があり、この領域中から適宜選定された位置を指す。
このような対比線像210及び検査線像220は記録材Sの略全域に対し夫々形成されていることから、例えば図33に示すように、対比線像210の直線要素211に対して検査線像220の基準直線群226、傾斜直線群228の各直線要素225、227が描かれる。この状態において、対比線像210及び検査線像220の一部は相互に重なり合う線像重合部(図示せず)になり、この線像重合部は記録材Sの搬送挙動に応じて変化するものである。
【0044】
本実施の形態で用いられるテストチャート200においては、今、検査対象色による検査線像220が色ずれしていない場合には、記録材S上に形成される検査線像220は対比色による対比線像210に対して画像データのままの位置関係をもって描かれる。このとき、本実施の形態では、図34(a)に示すように、検査線像220の基準直線群226が対比線像210に一致するように重なり合う完全一致線像重合部231となり、この完全一致線像重合部231は対比線像210の幅方向中央ラインScを挟んだ箇所に形成される。
この完全一致線像重合部231では両線像が完全に一致するように重なり合っているため、他の部分に比べて、一方の色成分が生じ難く、この完全一致線像重合部231の位置は他の部分に比べて目立つ。
また、この完全一致線像重合部231の両側に位置する検査線像220の傾斜直線群228も対比線像210に対して不完全に一致する不完全線像重合部232であるが、この不完全線像重合部232については完全一致線像重合部231に近い側の方が両線像の重なり割合が多く、完全一致線像重合部231から離れる側の方が両線像の重なり割合が少なくなり、その分、線像重合部231,232による表示状態は目視可能に変化する。
【0045】
一方、記録材Sの搬送挙動に応じて記録材Sの搬送速度が変化したり、あるいは、斜行したりすると、図34(b)に示すように、検査線像220の対比線像210に対する相対位置関係が変化することになり、これに伴って、完全一致線像重合部231の位置が移動してしまう。
つまり、記録材Sが斜行するなどして、検査対象色による検査線像220が全体として所定角度αだけ傾いた状態で形成されたとすると、検査線像220のうち前記傾きαに対応して傾斜配置された傾斜直線群228が対比線像210に一致するように重なり合う完全一致線像重合部231となる。
この結果、完全一致線像重合部231は記録材Sの幅方向中央ラインScから所定数ずれた傾斜直線群228に対応する位置となり、この完全一致線像重合部231の両側には不完全線像重合部232が両側に行くに従って次第に重なり割合を小さくした状態で形成される。
このため、本実施の形態では、完全一致線像重合部231の位置がどちらの方向にどの程度移動したかということを調べるようにすれば、検査対象色の色ずれ量が正確に把握される。
尚、不完全線像重合部232の表示パターン変化によって記録材Sの幅方向左右での色ずれ差についても把握することが可能である。
【0046】
また、本実施の形態において、色ずれ検査用画像パターンを示すテストチャートとしては、図31に示す態様が用いられているが、これに限られるものではなく、例えば図35、図36に示す態様のものを用いても差し支えない。
同図において、このテストチャートは、図31に示す態様と異なる検査線像220を有している。この検査線像220は、記録材Sの略全面に描かれるものであり、図31に示す態様と同様に、記録材Sの幅方向中央ラインScを境に一対の基準直線群226を配置し、前記記録材Sの幅方向中央ラインScを中心として複数の傾斜角度θの傾斜直線群228を記録材Sの幅方向に沿って対称配置したものであるが、図31に示す態様と異なり、上述した基準位置Sbを境として、記録材Sの搬送方向後端側Srから先端側Sfに向かって基準直線群226、傾斜直線群228が連なるように配置されている。
本態様においても、例えば図36に示すように、対比線像210の直線要素211に対して検査線像220の基準直線群226、傾斜直線群228の各直線要素225、227が描かれる。この状態において、対比線像210及び検査線像220の一部は相互に重なり合う線像重合部(図示せず)になり、この線像重合部は記録材Sの搬送挙動に応じて変化するものである。
【実施例】
【0047】
◎実施例1
実施の形態1のテストチャート(図6参照)を用い、例えば600dpi(dot per inch)、1ドット線、9ドット間隔で対比色による対比線像210、同じ条件にて検査対象色による検査線像220を所定角度θだけ傾斜配置した場合、検査対象色の検査線像220の矩形状単位像222の線長が100ドットとすると、色ずれがない場合には、線像重合部230は、基準位置から100×10=1000ドット(42.3mm)の位置P1、2000ドット(82.7mm)の位置P4、3000ドット(127mm)の位置、4000ドット(169mm)の位置に形成される。
図7において、本来、色ずれがない場合にはP1の位置で線像重合部230が形成されるはずであるが、例えばP2、P3の位置に線像重合部230が形成されたと仮定すると、例えば1000ドットに対して±1ドットの傾きで記録材が斜行したことに相当する。つまり、定着器突入後の記録材の傾きβとしてはβ=atan(1/1000)=0.057°の傾きが発生していることが理解される。
また、前記P2、P3の位置に線像重合部230がなく、例えばP5、P6の位置に線像重合部230が形成されたとすると、β=atan(1/2000)=0.029°の傾きが発生していることが理解される。
このように、テストチャートを見ると、色ずれの状態から、例えば定着器の傾き度合が理解される。
このようなテストチャートの結果から、定着器の傾き度合を補正するように定着器の傾き姿勢を調整するようにすればよい。
図37にテストチャートの線像重合部230のズレ発生位置、定着器の傾き度合及び定着器を調整するための変位量の一例を示す。
【0048】
また、実施例1のテストチャートの一例を図35に示す。
図38においては、対比色としてブラック、試験対象色としてマゼンタを用い、記録材の幅方向中央、幅方向左右三箇所にて夫々30〜40mm程度の幅のテストチャートを出力したものである。
尚、実施例1において、テストチャートの作成条件は以下の通りである。
対比色:2画素幅の縦線を、8画素間隔で幅方向に複数配置する。
試験対象色:2画素幅の縦線を、8画素間隔、縦100画素置きに1画素ずつ幅方向にずらせて配置する。
同テストチャートによれば、図中薄い箇所が線像重合部であり、濃い箇所が非線像重合部であり、線像重合部の位置を目視することで色ずれ量を容易に把握可能であることが理解される。
【0049】
◎実施例2
実施例1と同様に、実施の形態1のテストチャート(図6参照)を用い、その色ずれ状態から、例えばレジストロール42の搬送速度の様子が理解される。その結果から、レジストロール42の搬送速度左右差を補正するように、図12に示す搬送圧調整器90の付勢バネ91の圧縮長を変化するように調整すればよい。
尚、実施例2のテストチャートは、実施例1のテストチャートと異なり、対比色としてブラック、試験対象色としてイエロを用いて作成されている。
具体的には、テストチャートの結果から、例えば記録材の幅方向に沿って全体的にイエロ色が縮んでいる場合は、図12に示すように、左右両方の搬送圧調整器90の圧力調整ノブ93を例えばa方向に回転、調整すればよい。また、例えば記録材の幅方向に沿ってイエロ色の左右差が大きいときには、縮んでいる側の圧力調整ノブ93を例えばa方向に、若しくは、伸びている側の圧力調整ノブ93を例えばb方向に回転、調整すればよい。
尚、図18(b)は図18(a)のスキューによる色ずれに対する改善例を示し、図19(b)は図19(a)の速度低下による色ずれに対する改善例を示す。
【0050】
◎実施例3
実施の形態2のテストチャートを用い、色ずれのない場合、及び、色ずれのある場合の出力例を示す。
尚、実施例3において、テストチャートの作成条件は以下の通りである。
対比色:1ブロック毎に、1画素幅の縦線を、3画素間隔で幅方向に複数配置する。
試験対象色:1画素幅の縦線を3画素間隔で複数配置した直線群ブロックを、基準位置から記録材後端の範囲で−10ドット〜+10ドットの傾きを持つように配置し、記録材の幅方向中央にて前記直線群ブロックの傾きを0とし、これを基準に記録材の幅方向に離れるにつれて各直線群ブロックを±1ドットずつ傾きを大きくしながら配置する。
図39は色ずれがない場合のテストチャートの出力例であり、記録材Sの幅方向中央ラインSc付近に完全一致線像重合部が見られる。
図40は色ずれがある場合のテストチャートの出力例であり、記録材Sの幅方向中央ラインScから離間した部位に完全一致線像重合部が見られる。
尚、図39、40は記録材Sの基準位置Sbより記録材搬送方向後端側におけるテストチャートの出力例を示す。
この場合、完全一致線像重合部が記録材の幅方向中央ラインScからどの程度離間しているかにより、検査線像の傾斜直線群が対比線像に重なり合っているかが把握されるため、色ずれ量及びその色ずれの方向が容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】(a)は本発明が適用される実施の形態モデルに係る画像形成装置の概要を示す説明図、(b)は(a)の色ずれ検査用画像の一例を示す説明図、(c)は色ずれ検査用画像の他の例を示す説明図である。
【図2】図1に示す実施の形態モデルで用いられる画像形成装置の詳細を示す説明図である。
【図3】実施の形態1に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図4】実施の形態1に係る画像形成装置の駆動制御系を示す説明図である。
【図5】(a)は実施の形態1で用いられるテストチャートの作成箇所を示す説明図、(b)はテストチャートの基本的構成を示す説明図である。
【図6】実施の形態1で用いられるテストチャートの詳細を示す説明図である。
【図7】実施の形態1で用いられる色ずれ補正処理内容の一例を示すフローチャートである。
【図8】図7の通常色ずれ補正処理内容を示すフローチャートである。
【図9】(a)(b)はテストチャート出力後の処理内容を示す説明図である。
【図10】図9(a)における定着器の手動調整方法の一例を示す説明図である。
【図11】図9(b)を実現するための制御部の詳細を示す説明図である。
【図12】(a)はレジストロールの搬送圧調整手法の一例を示す説明図、(b)はレジストロールの搬送圧調整器の具体例を示す説明図である。
【図13】(a)(b)はテストチャート出力後のレジストロールの搬送圧調整方法の処理内容を示す説明図である。
【図14】記録材の搬送挙動影響の要因を示す説明図である。
【図15】記録材の搬送挙動影響による色ずれ状態を模式的に示す説明図である。
【図16】記録材の搬送挙動影響による主走査方向位置における色ずれ状態(レジずれ量)の一例を記録材の幅方向左(Left)、中央(Center)、右(Right)の各部にて示す説明図である。
【図17】記録材の搬送挙動影響による副走査方向位置における色ずれ状態の一例を記録材の幅方向左(Left)、中央(Center)、右(Right)の各部にて示す説明図である。
【図18】(a)は記録材の搬送挙動影響による色ずれ状態の他の例を模式的に示す説明図、(b)はその改善例を示す説明図である。
【図19】(a)は記録材の搬送挙動影響による色ずれ状態の更に別の例を模式的に示す説明図、(b)はその改善例を示す説明図である。
【図20】(a)は記録材の搬送状態が理想状態にある場合の記録材の搬送動作過程を模式的に示す説明図、(b)は記録材の搬送状態がスキュー状態にある場合の記録材の搬送動作過程を模式的に示す説明図である。
【図21】実施の形態1で用いられるテストチャートの見方を模式的に示す説明図である。
【図22】(a)は実施の形態1における色ずれ補正なしの場合の作像開始タイミングを示す説明図、(b)〜(e)は実施の形態1で用いられる色ずれ補正した場合の作像開始タイミングの一例を示す説明図である。
【図23】色ずれ補正なしの場合の直線画像例を示す説明図である。
【図24】図23の画像に対して色ずれ補正する原理を示す説明図である。
【図25】図24の色ずれ補正する場合の画像データに対する処理内容を模式的に示す説明図である。
【図26】色ずれ補正なしの場合の斜行直線画像例を示す説明図である。
【図27】色ずれ補正時の画像データに対する処理内容を模式的に示す説明図である。
【図28】(a)は実施の形態1の通常色ずれ補正処理で記録材搬送ベルトに作成される色ずれ検知パターンの一例を示す説明図、(b)は副走査方向の色ずれを示す説明図、(c)は主走査方向の色ずれを示す説明図である。
【図29】実施の形態1における副走査用色ずれ検知パターンの検知動作原理を示す説明図である。
【図30】(a)は実施の形態1における主走査用色ずれ検知パターンの検知動作原理を示す説明図、(b)は他の主走査用色ずれ検知パターンを示す説明図である。
【図31】(a)は実施の形態2で用いられるテストチャートの対比線像パターンを示す説明図、(b)は実施の形態2で用いられるテストチャートの検査線像パターンを示す説明図である。
【図32】図31のテストチャートの要部拡大説明図である。
【図33】図31の基準位置付近の要部拡大説明図である。
【図34】(a)は実施の形態2におけるテストチャートで検査対象色が色ずれしていない場合の出力原理を示す説明図、(b)は同テストチャートで検査対象色が色ずれしている場合の出力原理を示す説明図である。
【図35】(a)は実施の形態2の変形形態で用いられるテストチャートの対比線像パターンを示す説明図、(b)は同変形形態で用いられるテストチャートの検査線像パターンを示す説明図である。
【図36】図35の基準位置付近の要部拡大説明図である。
【図37】実施例1におけるテストチャートの色ずれ量と定着器の調整代との関係を示す説明図である。
【図38】実施例1で用いられるテストチャートの出力例を示す説明図である。
【図39】実施例3で用いられるテストチャートの色ずれなしの場合の出力例を示す説明図である。
【図40】実施例3で用いられるテストチャートの色ずれありの場合の出力例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1(1a〜1d)…作像部,2…記録材搬送体,3…記録材,4…搬送部材,5…定着器,6…検査用画像作成手段,7…作成要求手段,8…記録材色ずれ補正手段,10…色ずれ検査用画像,11…第1の色線像,12…第2の色線像,12a…基準線像,12b…傾斜線像,13…線像重合部,15…色ずれ検知画像作成手段,16…色ずれ検知器,17…搬送体色ずれ補正手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置の画像の色ずれ検査に用いられ、各作像部により記録材上に形成される色ずれ検査用画像であって、
記録材の搬送方向に延びる直線要素が記録材の搬送方向と交差する方向に等間隔に配置される第1の色線像と、
前記第1の色線像に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素が配置される第2の色線像と、
前記第1の色線像及び第2の色線像が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部とを有することを特徴とする色ずれ検査用画像。
【請求項2】
複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置の画像の色ずれ検査に用いられ、各作像部により記録材上に形成される色ずれ検査用画像であって、
第1の色に対応する作像部にて記録材上に形成され、記録材の搬送方向に延びる直線要素が記録材の搬送方向と交差する方向に等間隔に配置される第1の色線像と、
第2の色に対応する作像部にて記録材上に形成され、前記第1の色線像に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素が配置される第2の色線像と、
前記第1の色線像及び第2の色線像が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部とを有することを特徴とする色ずれ検査用画像。
【請求項3】
複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置の画像の色ずれ検査に用いられ、各作像部により記録材上に形成される色ずれ検査用画像であって、
第1の色に対応する作像部にて記録材上に形成され、記録材の搬送方向に延びる直線要素が記録材の搬送方向と交差する方向に等間隔に配置される第1の色線像と、
第2の色に対応する作像部にて記録材上に形成され、前記第1の色線像と平行な位置関係の直線要素からなる基準線像及び前記第1の色線像に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素からなる傾斜線像を有し、この傾斜線像は複数の傾斜角度が与えられた傾斜直線要素からなり且つ各傾斜角度の傾斜直線要素間が段階的な傾斜角度変化をもって配置される第2の色線像と、
前記第1の色線像及び第2の色線像が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部とを有することを特徴とする色ずれ検査用画像。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかに記載の色ずれ検査用画像において、
第2の色線像は、記録材の搬送方向に相当する副走査方向複数画素に対して主走査方向最小画素単位の矩形状単位像を連なるように順次変位配置したことを特徴とする色ずれ検査用画像。
【請求項5】
請求項3記載の色ずれ検査用画像において、
第2の色線像は、記録材の搬送方向に直交する幅方向中央に基準線像を配置し、この基準線像を中心として複数の傾斜角度の傾斜直線要素からなる傾斜線像を記録材の幅方向に沿って対称配置したものであることを特徴とする色ずれ検査用画像。
【請求項6】
請求項2又は3記載の色ずれ検査用画像において、
記録材の搬送方向に直交する幅方向の中央を挟んで左右の領域に設けられることを特徴とする色ずれ検査用画像。
【請求項7】
複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置において、
記録材上に請求項1ないし3いずれかに記載の色ずれ検査用画像を作成する検査用画像作成手段と、
この検査用画像作成手段に対して色ずれ検査用画像について作成要求する作成要求手段とを備えた画像形成装置。
【請求項8】
複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置において、
記録材上に請求項1ないし3いずれかに記載の色ずれ検査用画像を作成する検査用画像作成手段と、
この検査用画像作成手段にて記録材上に形成された色ずれ検査用画像に基づいて記録材の搬送挙動に伴う色ずれを補正する記録材色ずれ補正手段とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像形成装置において、
記録材色ずれ補正手段は、記録材上に形成された色ずれ検査用画像に基づいて記録材内の位置に応じて色ずれ補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8記載の画像形成装置において、
記録材色ずれ補正手段は、記録材上に形成された色ずれ検査用画像に基づく色ずれ量を打ち消すように補正対象物の位置を手動調整可能に補正するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項8記載の画像形成装置において、
記録材色ずれ補正手段は、記録材上に形成された色ずれ検査用画像に基づく色ずれ量を打ち消すように補正対象物に対する色ずれ補正量を指定する補正量指定手段と、
この補正量指定手段にて指定された色ずれ補正量に基づいて補正対象物に対して補正信号を送出する色ずれ補正制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項8記載の画像形成装置において、
各作像部にて記録材搬送体上に色ずれ検知画像を形成する色ずれ検知画像作成手段と、
この色ずれ検知画像作成手段にて記録材搬送体上に形成された色ずれ検知画像に基づく色ずれを検知する色ずれ検知器と、
この色ずれ検知器による記録材搬送体上の色ずれ検知情報に基づいて色ずれ補正する搬送体色ずれ補正手段とを備え、
前記記録材色ずれ補正手段は、前記搬送体色ずれ補正手段による色ずれ補正結果を参照して色ずれ補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置の画像の色ずれ検査に用いられ、各作像部により記録材上に形成される色ずれ検査用画像であって、
記録材の搬送方向に延びる直線要素が記録材の搬送方向と交差する方向に等間隔に配置される第1の色線像と、
前記第1の色線像に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素が配置される第2の色線像と、
前記第1の色線像及び第2の色線像が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部とを有することを特徴とする色ずれ検査用画像。
【請求項2】
複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置の画像の色ずれ検査に用いられ、各作像部により記録材上に形成される色ずれ検査用画像であって、
第1の色に対応する作像部にて記録材上に形成され、記録材の搬送方向に延びる直線要素が記録材の搬送方向と交差する方向に等間隔に配置される第1の色線像と、
第2の色に対応する作像部にて記録材上に形成され、前記第1の色線像に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素が配置される第2の色線像と、
前記第1の色線像及び第2の色線像が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部とを有することを特徴とする色ずれ検査用画像。
【請求項3】
複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置の画像の色ずれ検査に用いられ、各作像部により記録材上に形成される色ずれ検査用画像であって、
第1の色に対応する作像部にて記録材上に形成され、記録材の搬送方向に延びる直線要素が記録材の搬送方向と交差する方向に等間隔に配置される第1の色線像と、
第2の色に対応する作像部にて記録材上に形成され、前記第1の色線像と平行な位置関係の直線要素からなる基準線像及び前記第1の色線像に対して交差する方向に傾斜する位置関係の傾斜直線要素からなる傾斜線像を有し、この傾斜線像は複数の傾斜角度が与えられた傾斜直線要素からなり且つ各傾斜角度の傾斜直線要素間が段階的な傾斜角度変化をもって配置される第2の色線像と、
前記第1の色線像及び第2の色線像が一部で重なり合い且つ重なり合う線像位置が複数存在する線像重合部とを有することを特徴とする色ずれ検査用画像。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかに記載の色ずれ検査用画像において、
第2の色線像は、記録材の搬送方向に相当する副走査方向複数画素に対して主走査方向最小画素単位の矩形状単位像を連なるように順次変位配置したことを特徴とする色ずれ検査用画像。
【請求項5】
請求項3記載の色ずれ検査用画像において、
第2の色線像は、記録材の搬送方向に直交する幅方向中央に基準線像を配置し、この基準線像を中心として複数の傾斜角度の傾斜直線要素からなる傾斜線像を記録材の幅方向に沿って対称配置したものであることを特徴とする色ずれ検査用画像。
【請求項6】
請求項2又は3記載の色ずれ検査用画像において、
記録材の搬送方向に直交する幅方向の中央を挟んで左右の領域に設けられることを特徴とする色ずれ検査用画像。
【請求項7】
複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置において、
記録材上に請求項1ないし3いずれかに記載の色ずれ検査用画像を作成する検査用画像作成手段と、
この検査用画像作成手段に対して色ずれ検査用画像について作成要求する作成要求手段とを備えた画像形成装置。
【請求項8】
複数の色成分画像を形成する複数の作像部と、各作像部に対応した部位に記録材を搬送する記録材搬送体とを備えた画像形成装置において、
記録材上に請求項1ないし3いずれかに記載の色ずれ検査用画像を作成する検査用画像作成手段と、
この検査用画像作成手段にて記録材上に形成された色ずれ検査用画像に基づいて記録材の搬送挙動に伴う色ずれを補正する記録材色ずれ補正手段とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像形成装置において、
記録材色ずれ補正手段は、記録材上に形成された色ずれ検査用画像に基づいて記録材内の位置に応じて色ずれ補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8記載の画像形成装置において、
記録材色ずれ補正手段は、記録材上に形成された色ずれ検査用画像に基づく色ずれ量を打ち消すように補正対象物の位置を手動調整可能に補正するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項8記載の画像形成装置において、
記録材色ずれ補正手段は、記録材上に形成された色ずれ検査用画像に基づく色ずれ量を打ち消すように補正対象物に対する色ずれ補正量を指定する補正量指定手段と、
この補正量指定手段にて指定された色ずれ補正量に基づいて補正対象物に対して補正信号を送出する色ずれ補正制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項8記載の画像形成装置において、
各作像部にて記録材搬送体上に色ずれ検知画像を形成する色ずれ検知画像作成手段と、
この色ずれ検知画像作成手段にて記録材搬送体上に形成された色ずれ検知画像に基づく色ずれを検知する色ずれ検知器と、
この色ずれ検知器による記録材搬送体上の色ずれ検知情報に基づいて色ずれ補正する搬送体色ずれ補正手段とを備え、
前記記録材色ずれ補正手段は、前記搬送体色ずれ補正手段による色ずれ補正結果を参照して色ずれ補正することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図25】
【図38】
【図39】
【図40】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図25】
【図38】
【図39】
【図40】
【公開番号】特開2009−37224(P2009−37224A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165912(P2008−165912)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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