車両の走行制御装置
【課題】実際の車両の運転を考慮して確実に自動運転可能で既存の走行制御ルートから自然に移行できる走行制御ルートをドライバが任意に編集でき汎用性を大きく向上する。
【解決手段】走行制御ルートを編集する際に実行される編集モードでは、選択したルートAとルートBとが交差していない場合、ルートAからルートBにかけて最接近するノード近傍に接線を追加し、追加ルートCとして設定する。追加ルートCの速度はルートAとルートBの最接近するノード同士の速度の平均を求め取得する。また、ルートA、Bが交差している場合は、追加ルートCの速度を、ルートAとルートBとの交点に最も近いルートA、Bの各ノードに設定された速度の平均を求めて演算し、ルートAからルートBへの乗換カーブの半径を許容遠心力を考慮して演算して、交点から乗換カーブへの垂線の長さを演算し、垂線の長さが閾値以下となるように速度を調整して追加ルートCを設定する。
【解決手段】走行制御ルートを編集する際に実行される編集モードでは、選択したルートAとルートBとが交差していない場合、ルートAからルートBにかけて最接近するノード近傍に接線を追加し、追加ルートCとして設定する。追加ルートCの速度はルートAとルートBの最接近するノード同士の速度の平均を求め取得する。また、ルートA、Bが交差している場合は、追加ルートCの速度を、ルートAとルートBとの交点に最も近いルートA、Bの各ノードに設定された速度の平均を求めて演算し、ルートAからルートBへの乗換カーブの半径を許容遠心力を考慮して演算して、交点から乗換カーブへの垂線の長さを演算し、垂線の長さが閾値以下となるように速度を調整して追加ルートCを設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つ、或いは、複数の基準局と車載された移動局との間で通信を行いながら走行制御ルートを学習して作成し、該走行制御ルートの中から目標進行路を選択して、自動操舵や自動加減速により自車両を目標進行路に沿って自動運転制御する車両の走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人工衛星から得られる位置データに基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)が、車両用のナビゲーション装置において広く用いられており、このGPSで検出した自車位置情報や、カメラ等により検出した前方の道路情報を基に走行制御する様々な技術が提案され、実用化されている。
【0003】
例えば、特開2001−255937号公報には、車載用ナビゲーションシステムで、ドライバが目的地を設定し、このナビゲーションシステムにより生成される目的地までの経路を目標進行路として自動操舵や自動加減速により自動運転制御を行う技術が開示されている。また、特開2004−245654号公報では、ドライバが経路を変更したり追加可能な編集機能を備えたナビゲーションシステムが開示されている。
【特許文献1】特開平2001−255937号公報
【特許文献2】特開平2004−245654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示される技術に特許文献2に開示される技術を適用すれば、ドライバが編集した経路を目標進行路として自動運転制御を行うことが可能となり、自動運転制御の汎用性が大きく向上することが考えられる。しかしながら、上述の特許文献2に開示される編集機能は、単に電子地図データ上に存在する道路を幾何学的に変更したり追加したりするのみであるため、実際に編集して作成された経路に沿って自動運転しようとすると、運転が困難であったり、また、ドライバに不自然な感覚を与えてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、実際の車両の運転を考慮して確実に自動運転可能で、既存の走行制御ルートから自然に移行できる走行制御ルートをドライバが任意に編集でき、汎用性を大きく向上することが可能な車両の走行制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、予め位置が求められた基準点に設置し、衛星からの情報を基に補正情報を求めて予め設定する領域内に送信する基準局と、車両に搭載され、上記衛星からの情報に基づき車両位置を演算する移動局と、上記基準局と上記移動局との通信が確立した際に、上記基準局の情報と上記車両位置とから該車両位置を補正演算する車両位置演算手段と、上記車両位置と送信される車両の運転状態を基に上記車両が走行する走行ルートを運転状態と共に取得して学習し、車両が自動運転自在な走行制御ルートを作成する走行制御ルート作成手段と、上記走行制御ルート作成手段で作成した走行制御ルートから選択された走行制御ルート同士を上記各走行制御ルートの位置と上記各走行制御ルートを走行する際の運転状態に応じて編集し走行制御ルートを作成自在な走行制御ルート編集手段と、上記基準局と上記移動局との通信が確立した際に、上記走行制御ルート作成手段により作成した走行制御ルートと上記走行制御ルート編集手段で編集して作成した走行制御ルートから利用可能な走行制御ルートを選択して目標進行路として設定し、上記車両を上記目標進行路に沿って自動運転制御する自動運転制御手段とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明による車両の走行制御装置によれば、実際の車両の運転を考慮して確実に自動運転可能で、既存の走行制御ルートから自然に移行できる走行制御ルートをドライバが任意に編集でき、汎用性を大きく向上することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図9は本発明の実施の一形態を示し、図1は車両の走行制御装置の全体を示す概略構成図、図2は走行制御ルーチンのフローチャート、図3は図2から続くフローチャート、図4は図2から続くフローチャート、図5は自動学習モードルーチンのフローチャート、図6は編集モードルーチンのフローチャート、図7は自動運転制御の自動操舵制御ルーチンのフローチャート、図8は走行制御装置により作成される各種ルートの一例を示す説明図、図9は交差のない走行制御ルート同士を連結して編集する一例を示す説明図、図10は交差を有する走行制御ルート同士を連結して編集する一例を示す説明図、図11は自動操舵の原理の説明図である。
【0009】
図1において、符号1は、移動局としての機能を備えた自動車等の車両(自車両)を示し、この自車両1には、RTK(Real-Time Kinematic)−GPSを用いて走行制御を行う車両制御装置2が搭載されている。
【0010】
すなわち、本実施形態におけるRTK−GPSでは、地球を周回する人工衛星(GPS衛星)3からの情報(測位計算等に必要な衛星と軌道情報をはじめとするデータ等)は、選択的に設定される基準局4と、自車両1に搭載される移動局により受信される。尚、本形態においては、自車両を移動局として説明する。また、基準局4は1つではなく複数地点に設定されている。
【0011】
基準局4は、予め位置が正確に求められている自宅やディーラ、本車両制御装置2を共有し合う複数の所有者宅等の地点に設けられており、GPSアンテナ4a、GPS受信機4b、無線機4cを備えて主要に構成されている。そして、基準局4は、当該基準局4で観測したGPS衛星3からの電波の位相情報、疑似距離、及び、基準局4の位置座標を、測位する地点、すなわち、移動局である自車両1に無線機4cにより送信する。基準局4からは、具体的には、誤差補正量、疑似距離補正量、座標値等のデータ等が自車両1に対して送信される。
【0012】
ここで、無線機4cは、例えば、IEEE802.11a/b/g等の規格による無線LAN(Local Area Network)に基づき送受信するアクセスポイントであり、通信のセキュリティを維持するためSSID(Service Set ID)、WEP(Wired Equivalent Privacy)キー、MAC(Media Access Control)アドレス認証の設定が特有になされている。そして、例えば、図8に示すように、この無線機4cを中心として、半径約50〜100m以内の領域M0、M1、M2・・・が、それぞれの略中心に配設される基準局4からの通信可能領域として設定されている。
【0013】
自車両1には、移動局としての機能を実現するため、GPSアンテナ5a、GPS受信機5b、無線機5cが搭載されている。そして、自車両1が上述の基準局4と通信可能領域に入り、基準局4との通信が確立された際に、基準局4からの誤差補正量、疑似距離補正量、座標値等のデータ(無線機5cで受信されるデータ)や、自車両1で受信したGPS衛星3からの情報をGPS受信機5b内で比較解析して、自車位置(座標値)を即座に精度良く(例えば、誤差1〜5cm)得られるようになっている。
【0014】
また、自車両1には制御装置8が搭載され、制御装置8には、上述のGPS受信機5bが接続されて自車位置が入力される。また、制御装置8には、ステレオカメラ6で撮像した画像を基に前方の道路環境を認識して前方障害物を認識する障害物認識部7が接続されている。
【0015】
ステレオカメラ6は、ステレオ光学系として例えば電荷結合素子(CCD)等の固体撮像素子を用いた1組の(左右の)CCDカメラで構成され、車外の対象を異なる視点からステレオ撮像し、障害物認識部7に入力する。
【0016】
障害物認識部7における、ステレオカメラ6からの画像の処理は、例えば以下のように行われる。先ず、障害物認識部7は、ステレオカメラ6のCCDカメラで撮像した自車両の進入方向の環境を示す1組のステレオ画像に対し、対応する位置のずれ量から三角測量の原理によって距離情報を求める処理を行って、三次元の距離分布を表す距離画像を生成する。次に、障害物認識部7は、距離画像データに周知のグルーピング処理等を行い、予め記憶しておいた3次元的な道路形状データ、側壁データ、立体物データ等と比較することで、白線データ、道路に沿って存在するガードレール、縁石等の側壁データ、車両等の立体物データを抽出する。そして、障害物認識部7は、抽出した立体物データの中から、自車進行路の領域(例えば、自車進行方向に予め設定した幅で延長した領域や前方白線・側壁間に挟まれる領域)上に存在する立体物データを障害物として検出し、制御装置8に出力する。
【0017】
制御装置8には、上述のGPS受信機5b、障害物認識部7の他、車速Vを検出する車速センサ9、ハンドル角θHを検出するハンドル角センサ10等のセンサ類と、走行制御に係る各種ユーザ設定等を行うための操作スイッチ11(後述する走行制御に関するメインスイッチ機能、自動運転制御スイッチ機能、自動学習モード選択機能、手動学習モード選択機能を有する)、ブレーキペダルスイッチ12、アクセルペダルスイッチ13等のスイッチ類が接続されている。
【0018】
また、制御装置8には、図示しないハードディスク、内蔵メモリ、或いは、CD、DVD等の読み込み書き込み自在な記憶メディアが搭載されており、そのデータベース上に、自車両1に対して自動運転制御(後で詳述する)を行う際の走行制御ルートが格納されている。
【0019】
具体的に説明すると、制御装置8は、基準局4との通信が確立した際に、測位される自車位置に基づいて自車両1の走行ルートを運転状態(速度ベクトル)と共に取得し、取得した走行ルートに基づいて走行制御ルートを学習することが可能となっている。そして、制御装置8は、走行制御ルートを学習すると、データベースを更新する。また、制御装置8は、データベースに格納された各走行制御ルートを、学習中の走行ルートや単なる地図上の道路とは区別して、例えば、ダッシュボード上に設けられた液晶ディスプレイ14を通じて、適宜表示することが可能となっている。尚、走行ルートは、電子地図データ上に、位置座標を有する連続したノードとして記録され、そのノードを通過した際の速度ベクトルの情報が運転状態として記録される。
【0020】
また、制御装置8は、作成した走行制御ルートから選択された走行制御ルート同士を各走行制御ルートの位置と各走行制御ルートを走行する際の運転状態(速度ベクトル)に応じて編集し走行制御ルートを作成自在に構成されている。
【0021】
更に、制御装置8は、基準局4との通信が確立した際に、過去に学習されデータベース上に格納されている走行制御ルートの中から利用可能な所定の走行制御ルートを選択して目標進行路に設定し、測位される自車位置に基づき、自車両1を目標進行路に沿って自動操縦することが可能となっている。すなわち、制御装置8は、操作スイッチ11を通じてユーザ入力等により設定された目標車速を維持するように、電動スロットル弁制御装置15に信号を出力してスロットル弁18を駆動させ、加速、或いは、減速を実行させる。また、所定以上の大きな減速を行わせる際には、ブレーキ制御装置16に信号を出力して自動ブレーキを作動させる。また、進行方向を変える場合には、電動パワーステアリング制御装置17に信号出力して自動操舵を実行する。
【0022】
このように、本実施形態において、制御装置8は、車両位置演算手段、走行制御ルート作成手段、走行制御ルート編集手段、及び、自動運転制御手段としての各機能を実現する。
【0023】
次に、制御装置8で実行される自車両1の走行制御について、図2〜図4に示す走行制御ルーチンのフローチャートに従って説明する。
このルーチンがスタートすると、制御装置8は、先ず、ステップ(以下、「S」と略称)101において、移動局である自車両1と基準局4との間で通信が確立されているか否かを判定し、通信が確立されていないと判定した場合には、そのまま待機する。
【0024】
一方、S101において、通信が確立されていると判定した場合、制御装置8は、S102に進み、基準局4からの情報、具体的には、取得先の基準局のID番号(どの基準局かを示す番号)、この基準局の位置座標(例えば、(X、Y、Z)の3次元座標であり、移動局の過去位置からの移動量が判断可能な座標)、その基準局との通信可能領域内における学習中ルート、走行制御ルート等の有無が取得される。
【0025】
次いで、S103に進むと、操作スイッチ11のメインスイッチ機能がONか否か判定される。そして、この判定の結果、メインスイッチ機能がOFFの場合は、S119にジャンプして、手動学習モードが選択(ON)されているか否か判定され、手動学習モードが選択(ON)されている場合は、S120に進み、現在の走行ルートを、手動学習モードを選択中のみノードをプロットしていくことにより学習する手動学習モードを実行してプログラムを抜ける。また、手動学習モードが選択されていないのであれば、そのままプログラムを抜ける。
【0026】
一方、上述のS103でメインスイッチ機能がONの場合は、S104に進み、自車位置の近傍に過去に学習した走行制御ルートが存在するか否かを調べる。具体的には、制御装置8は、例えば、自車両1の現在位置の近傍に、過去に学習したデータベース上の走行制御ルートのノードが存在するか否か(例えば、自車位置から±Dm以内に過去のノードが存在するか否か)を判定する。
【0027】
この判定の結果、自車位置近傍に走行制御ルートが存在しないのであれば、S115にジャンプして、現在手動運転中か否か判定する。そして、現在手動運転中である場合は、S116に進み、自動学習モード開始案内、例えば、「自動学習モードができるエリアに入りました」等の音声を発してS114に進み、後述する図5に示す自動学習モードルーチンを実行して、再びS104の判定を実行する。
【0028】
また、S115の判定の結果、手動運転中ではないと判定した場合は、S117に進み、自動運転制御不可案内、例えば、「自動運転可能なルートはありません。自動学習モードを選択しますか?」の音声を発してS118に進む。
【0029】
S118では、自動学習モードが選択されるか否か判定し、一定時間(例えば、10秒)以内に自動学習モードを選択する入力があった場合には、S114に進み、後述する図5に示す自動学習モードルーチンを実行して、再びS104の判定を実行する。
【0030】
また、一定時間(例えば、10秒)以内に自動学習モードを選択する入力が行われなかった場合や、自動学習モードを非選択(OFF)とするスイッチ入力があった場合にはS119に進み、手動学習モードが選択(ON)されているか否か判定され、手動学習モードが選択(ON)されている場合は、S120に進み、手動学習モードを実行してプログラムを抜ける。また、手動学習モードが選択されていないのであれば、そのままプログラムを抜ける。
【0031】
一方、上述のS104の判定で、自車位置近傍に走行制御ルートが存在すると判定された場合は、S105に進み、その自車位置近傍の走行制御ルートを液晶ディスプレイ14に表示して、選択可能な走行制御ルート案内、例えば、「以下のルートから選択して下さい」等の音声を発してS106に進む。
【0032】
そして、S106では走行制御ルートが一定時間(例えば、10秒)以内に選択されたか否か判定し、走行制御ルートの選択が行われなかった場合は、S114に進み、後述する図5に示す自動学習モードルーチンを実行して、再びS104の判定を実行する。
【0033】
また、走行制御ルートが一定時間(例えば、10秒)以内に選択された場合は、S107に進み、自動運転制御スイッチ案内、例えば、「自動運転制御スイッチをONして下さい」等の音声を発してS108に進む。
【0034】
S108では自動運転制御スイッチがONされたか否か判定し、一定時間(例えば、10秒)経過しても自動運転制御スイッチがONされない場合や、自動運転制御スイッチをOFFする操作が行われた場合は、そのままプログラムを抜ける。
【0035】
逆に、一定時間以内に自動運転制御スイッチがONされた場合は、S109に進み、選択された走行制御ルートまで一定距離以上離間しているか否か判定する。
【0036】
この判定の結果、一定距離以上離間している場合は、S110に進み、選択された走行制御ルートまで手動運転案内、例えば、「選択したルートまで手動運転して下さい」等の音声を発してS111に進み、選択された走行制御ルートまでの走行ルートを学習する。
【0037】
先のS109で、選択された走行制御ルートまで一定距離以上離間していない、つまり、選択された走行制御ルート上にあると判定された場合、或いは、上述のS111で選択された走行制御ルートまでの走行ルートを学習した後は、S112に進み、選択された走行制御ルート(目標進行路)に沿って自動運転制御を実行する。この自動運転制御の自動操舵制御については、後に図7のフローチャートで説明する。
【0038】
そして、S113に進み、キャンセル条件、例えば、途中でハンドルを強く転舵する等のコースアウト指示が発生したか否か判定し、キャンセル条件が発生していないのであれば、S112の自動運転制御を続行し、キャンセル条件が発生した場合は、S114に進んで、後述する図5に示す自動学習モードルーチンを実行して、再びS104の判定を実行する。
【0039】
次に、上述のS114で実行される自動学習モードルーチンを、図5のフローチャートで説明する。
まず、S201で基準局4からの電波が正常か否か判定し、異常である場合は、そのままルーチンを抜け、正常である場合は、S202に進む。
【0040】
基準局4からの電波が正常でありS202に進むと、そのルート固有のIDを有するノードを敷設する。
【0041】
そして、S203に進み、敷設したノード近傍に学習中のノードが存在するか否か判定する。
【0042】
S203の判定の結果、学習中のノードが存在する場合は、S204に進み、これら両ノードの方向性(具体的には速度ベクトルの方向)が一致しているか否か判定する。
【0043】
そして、両ノードの方向性が一致している場合は、S205に進み、両ノードの学習処理を実行する。具体的には、両ノードの位置の平均、速度ベクトルの平均を求める学習を実行する。
【0044】
その後、S206に進み、学習回数が予め設定しておいた閾値以上か否か判定し、閾値以上となった場合は、S207に進んで、学習中のルートを走行制御ルートとして登録し、表示してルーチンを抜ける。
【0045】
一方、上述のS203で敷設したノード近傍に学習中のノードが存在しないと判定した場合、或いは、上述のS204で両ノードの方向性が一致しないと判定した場合、或いは、上述のS206で学習回数が予め設定しておいた閾値未満と判定した場合は、S208に進み、現在の学習中のルートをそのまま表示させ、ルーチンを抜ける。
【0046】
次に、ドライバが、上述の自動学習モードで作成した走行制御ルートを編集する際に実行される編集モードを、図6のフローチャートで説明する。尚、この図6のフローチャートの説明では、理解が容易なように、ルート編集の例を、図8〜図10を用いて説明する。作成される各種ルートが図8に示すように液晶ディスプレイ14上に表示され、これらルートの内、基準局の領域がM0で表示される領域内の交差の無いルートAとルートB(ルートAが先に選択されたルートとする)とを編集する場合、この拡大図が図9となっている。また、基準局の領域がM2で表示される領域M0、M1とは異なる基準局により設定される領域内の交差するルートAとルートB(ルートAが先に選択されたルートとする)とを編集する場合、この拡大図が図10となっている。尚、図8中、領域M0内のSt0は、自宅等の領域M0自体を形成する基準点であり、この領域M0内には、ルートA、B以外にも実線で示される走行制御ルートが形成されると共に、2点鎖線で示される学習中のルートRG0が表示されている。また、領域M0とは異なる基準局により設定される領域M1にも実線で示される走行制御ルートと2点鎖線で示される学習中のルートRG1が表示されている。
【0047】
まず、S301で、ドライバが編集するのに選択した2つのルートを、ルートA、ルートBとし、この両ルートの情報、すなわち、これらルートを構成する各ノードの位置座標と、各ノードに記憶されている速度ベクトルを取得する。
【0048】
次いで、ルートAとルートBとが交差しているか否か判定し、交差していないのであれば、S303へと進み、ルートAからルートBにかけて最接近するノード近傍に接線を追加し、連結ルートとしての追加ルートCとして設定する。
【0049】
すなわち、図9において、ルートA、Bのそれぞれの最接近するノードは、PA、PBであり、これらPA、PBの間に、ルートAからルートBに対して、速度ベクトルの方向を考慮した接線が、追加ルートCとして設定される。その際、追加ルートCは、予め設定しておいた一定間隔毎にノードを配列して形成される。尚、ノードPA、PBの間が、予め設定しておいた閾値以上離間している場合には、編集作業を実行せず、編集ができないことを、例えば、「これらのルートは編集できません」等の音声を発して、ドライバに報知し、ドライバのルート選択の再実行やルート編集の中止を促すようにしても良い。また、ノードPA、PBの間に明らかに地図上の障害物(中央分離帯や建造物等)が存在する場合にも、同様に、ドライバのルート選択の再実行やルート編集の中止を促すようにしても良い。
【0050】
そして、S304に進み、追加ルートCの速度Vcの情報を、ルートAとルートBの最接近するノード同士の速度の平均を求めることにより取得し、ルーチンを抜ける。
【0051】
すなわち、ノードPA、PBの速度の平均を求め、その値を追加ルートCを構成する各ノードの速度に設定する。尚、この速度のベクトルとしての方向は、当然、接線に沿った方向に設定される。
【0052】
上述のS303、及び、S304の作業により、ルートAからルートBに追加ルートCにより乗り換える運転状態をも考慮した新たな走行制御ルートが編集でき、この走行制御ルートに沿った自動運転制御も可能となっている。
【0053】
一方、上述のS302で、ルートA、Bが交差していると判定された場合は、S305に進み、追加ルートCの速度Vcを演算する。具体的には、図10に示すように、ルートAとルートBとの交点P0に最も近いルートAのノードPAとルートBのノードPBに設定されている速度の平均を求めることにより演算する。
【0054】
次いで、S306に進み、ルートAからルートBへの乗換カーブCAの半径Rcを、例えば、以下の(1)式により演算する。
Rc=m・Vc2/G …(1)
ここで、mは車両質量、Gは予め設定しておいた許容遠心力の閾値である。
【0055】
次に、S307に進み、ルートAとルートBとの交点P0から乗換カーブCAへの垂線の長さLDを演算する。
【0056】
そして、S308に進み、垂線の長さLDと、予め設定しておいた閾値LDCとを比較して、垂線の長さLDが閾値LDC以下であり、ルートAとルートBとの交点P0から乗換カーブCAの離間が少ないのであれば、S309に進み、その乗換カーブCAを追加ルートCとして設定してルーチンを抜ける。
【0057】
逆に、垂線の長さLDが閾値LDCよりも大きく、ルートAとルートBとの交点P0から乗換カーブCAの離間が大きい場合は、S310に進み、上述の(1)式で演算される乗換カーブCAの半径Rcを小さくするべく速度Vcを減少させ(例えば、Vc=Vc−1)、再びS306へと戻る。これを繰り返すことにより、乗換カーブCAを走行する際に発生する遠心力が予め設定しておいた許容遠心力の閾値G以下となり、且つ、ルートAとルートBとの交点P0から乗換カーブCAまでの垂線の長さLDが予め設定した閾値LDC以下となるように演算されて、この経路が追加ルートCとして設定される。このため、ルートAからルートBに追加ルートCにより乗り換える運転状態をも考慮した新たな走行制御ルートが編集でき、この走行制御ルートに沿った自動運転制御も可能となっている。
【0058】
上述のように学習された走行制御ルート、或いは、編集された走行制御ルートに沿って行われる、上述のS112の自動運転制御時の自動操舵について、図7のフローチャート、及び、図11の自動操舵の原理の説明図で説明する。ここで、本実施形態において、制御装置8は、例えば、障害物認識部7により前方10m以内に障害物が検出されたとき、ドライバが大きくステアリング操作した場合、ブレーキペダル、アクセルペダルを踏んだとき、或いは、ユーザ等によって自動運転制御がOFFされた場合には、自動運転制御をキャンセルする。
【0059】
このルーチンがスタートすると、制御装置8は、先ず、S401で必要なパラメータを読み込み、続くS402で、自車位置の過去の履歴の中から、例えば、現在位置より略車両長さ(例えば、5m)手前の自車測位点履歴を抽出し、この5m手前の自車測位点と現在の自車位置とを結んで得られる前方への直線方向を自車進行路として推定する。
【0060】
次いで、S403に進み、制御装置8は、現在の自車位置から最も近い、目標進行路のノードを抽出する。
【0061】
その後、S404に進み、現在の自車速と、予め設定しておいた前方注視時間(例えば、1.5秒)より、前方注視距離を求める。例えば、現在の自車速が20Km/hの場合は、前方注視距離は、5.6m/秒・1.5秒(=8.34m)となる。
【0062】
次いで、S405に進み、制御装置8は、S404で求めた前方注視距離近傍の目標進行路上のノードを誘導目標モードとして設定する。
【0063】
次に、S406に進み、制御装置8は、誘導目標ノードと自車進行路からの横方向のずれ量を目標ノード偏差ΔDとして演算する。
【0064】
次いで、S407に進み、目標ノード偏差ΔDをゼロにするように目標ハンドル角δhを以下の(2)式により算出する。
δh=GP・ΔD+Gd・(d(ΔD)/dt) …(2)
ここで、GPは比例項ゲインであり、Gdは微分項ゲインである。
【0065】
次に、S408に進み、制御装置8は、目標ハンドル角δhとハンドル角センサ20で検出した実際のハンドル角θHとからハンドル角偏差Δδ(=δh−θH)を演算する。
【0066】
次いで、S409に進み、以下の(3)式によりハンドル角偏差Δδをゼロにするように、電流Iδを演算し、S410で、この指示電流値Iδを出力してルーチンを抜ける。
Iδ=KP・Δδ+Kd・(d(Δδ)/dt)+Ki・∫Δδdt …(3)
ここで、KPは比例項ゲイン、Kdは微分項ゲイン、Kiは積分項ゲインである。
【0067】
このように本発明の実施形態によれば、ルートAからルートBに追加ルートCにより乗り換える運転状態をも考慮した新たな走行制御ルートが編集でき、この走行制御ルートに沿った自動運転制御が可能となっているので、実際の車両の運転を考慮して確実に自動運転可能で、既存の走行制御ルートから自然に移行できる走行制御ルートをドライバが任意に編集でき、汎用性を大きく向上することが可能となる。
【0068】
尚、本実施形態では、ステレオカメラ6にて撮像した画像を基に障害物等を認識する構成となっているが、他の装置、例えば、超音波センサ等で障害物等を検出するよう構成してもよい。
【0069】
また、本実施形態では、基準局4からは、一般的な無線LANの規格により自車両1に各情報を送信する構成となっているが、情報を無線送信できるものであれば、これに限ることなく、所謂、Bluetooth規格による無線で実現し、公知の携帯電話、携帯端末、PDA(Personal Digital Assistant)等の無線装置で情報伝達を行えるよう構成してもよい。
【0070】
更に、本実施形態では、制御装置8により測位される自車位置に基づいて走行ルートを取得する構成について説明したが、これに限定されず、移動局による衛星からの情報に基づく車両位置を基準局側に送信し、基準局4にて、基準局の情報と車両位置とに基づいて車両位置を演算する構成とすることができる。すなわち、基準局4側に車両位置演算手段を設けても良い。この場合には、走行ルート等の情報を基準局側にて蓄積することが可能となる。
【0071】
また、本実施の形態では、基準局4が複数存在する例で説明しているが、1つの場合であっても適用できることは云うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】車両の走行制御装置の全体を示す概略構成図
【図2】走行制御ルーチンのフローチャート
【図3】図2から続くフローチャート
【図4】図2から続くフローチャート
【図5】自動学習モードルーチンのフローチャート
【図6】編集モードルーチンのフローチャート
【図7】自動運転制御の自動操舵制御ルーチンのフローチャート
【図8】走行制御装置により作成される各種ルートの一例を示す説明図
【図9】交差のない走行制御ルート同士を連結して編集する一例を示す説明図
【図10】交差を有する走行制御ルート同士を連結して編集する一例を示す説明図
【図11】自動操舵の原理の説明図
【符号の説明】
【0073】
1 車両(自車両、移動局)
2 車両制御装置
3 人工衛星
4 基準局
8 制御装置(車両位置演算手段、走行制御ルート作成手段、走行制御ルート編集手段、自動運転制御手段)
9 車速センサ
10 ハンドル角センサ
11 操作スイッチ
12 ブレーキペダルスイッチ
13 アクセルペダルスイッチ
14 液晶ディスプレイ
15 電動スロットル弁制御装置
16 ブレーキ制御装置
17 電動パワーステアリング制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つ、或いは、複数の基準局と車載された移動局との間で通信を行いながら走行制御ルートを学習して作成し、該走行制御ルートの中から目標進行路を選択して、自動操舵や自動加減速により自車両を目標進行路に沿って自動運転制御する車両の走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人工衛星から得られる位置データに基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)が、車両用のナビゲーション装置において広く用いられており、このGPSで検出した自車位置情報や、カメラ等により検出した前方の道路情報を基に走行制御する様々な技術が提案され、実用化されている。
【0003】
例えば、特開2001−255937号公報には、車載用ナビゲーションシステムで、ドライバが目的地を設定し、このナビゲーションシステムにより生成される目的地までの経路を目標進行路として自動操舵や自動加減速により自動運転制御を行う技術が開示されている。また、特開2004−245654号公報では、ドライバが経路を変更したり追加可能な編集機能を備えたナビゲーションシステムが開示されている。
【特許文献1】特開平2001−255937号公報
【特許文献2】特開平2004−245654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示される技術に特許文献2に開示される技術を適用すれば、ドライバが編集した経路を目標進行路として自動運転制御を行うことが可能となり、自動運転制御の汎用性が大きく向上することが考えられる。しかしながら、上述の特許文献2に開示される編集機能は、単に電子地図データ上に存在する道路を幾何学的に変更したり追加したりするのみであるため、実際に編集して作成された経路に沿って自動運転しようとすると、運転が困難であったり、また、ドライバに不自然な感覚を与えてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、実際の車両の運転を考慮して確実に自動運転可能で、既存の走行制御ルートから自然に移行できる走行制御ルートをドライバが任意に編集でき、汎用性を大きく向上することが可能な車両の走行制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、予め位置が求められた基準点に設置し、衛星からの情報を基に補正情報を求めて予め設定する領域内に送信する基準局と、車両に搭載され、上記衛星からの情報に基づき車両位置を演算する移動局と、上記基準局と上記移動局との通信が確立した際に、上記基準局の情報と上記車両位置とから該車両位置を補正演算する車両位置演算手段と、上記車両位置と送信される車両の運転状態を基に上記車両が走行する走行ルートを運転状態と共に取得して学習し、車両が自動運転自在な走行制御ルートを作成する走行制御ルート作成手段と、上記走行制御ルート作成手段で作成した走行制御ルートから選択された走行制御ルート同士を上記各走行制御ルートの位置と上記各走行制御ルートを走行する際の運転状態に応じて編集し走行制御ルートを作成自在な走行制御ルート編集手段と、上記基準局と上記移動局との通信が確立した際に、上記走行制御ルート作成手段により作成した走行制御ルートと上記走行制御ルート編集手段で編集して作成した走行制御ルートから利用可能な走行制御ルートを選択して目標進行路として設定し、上記車両を上記目標進行路に沿って自動運転制御する自動運転制御手段とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明による車両の走行制御装置によれば、実際の車両の運転を考慮して確実に自動運転可能で、既存の走行制御ルートから自然に移行できる走行制御ルートをドライバが任意に編集でき、汎用性を大きく向上することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図9は本発明の実施の一形態を示し、図1は車両の走行制御装置の全体を示す概略構成図、図2は走行制御ルーチンのフローチャート、図3は図2から続くフローチャート、図4は図2から続くフローチャート、図5は自動学習モードルーチンのフローチャート、図6は編集モードルーチンのフローチャート、図7は自動運転制御の自動操舵制御ルーチンのフローチャート、図8は走行制御装置により作成される各種ルートの一例を示す説明図、図9は交差のない走行制御ルート同士を連結して編集する一例を示す説明図、図10は交差を有する走行制御ルート同士を連結して編集する一例を示す説明図、図11は自動操舵の原理の説明図である。
【0009】
図1において、符号1は、移動局としての機能を備えた自動車等の車両(自車両)を示し、この自車両1には、RTK(Real-Time Kinematic)−GPSを用いて走行制御を行う車両制御装置2が搭載されている。
【0010】
すなわち、本実施形態におけるRTK−GPSでは、地球を周回する人工衛星(GPS衛星)3からの情報(測位計算等に必要な衛星と軌道情報をはじめとするデータ等)は、選択的に設定される基準局4と、自車両1に搭載される移動局により受信される。尚、本形態においては、自車両を移動局として説明する。また、基準局4は1つではなく複数地点に設定されている。
【0011】
基準局4は、予め位置が正確に求められている自宅やディーラ、本車両制御装置2を共有し合う複数の所有者宅等の地点に設けられており、GPSアンテナ4a、GPS受信機4b、無線機4cを備えて主要に構成されている。そして、基準局4は、当該基準局4で観測したGPS衛星3からの電波の位相情報、疑似距離、及び、基準局4の位置座標を、測位する地点、すなわち、移動局である自車両1に無線機4cにより送信する。基準局4からは、具体的には、誤差補正量、疑似距離補正量、座標値等のデータ等が自車両1に対して送信される。
【0012】
ここで、無線機4cは、例えば、IEEE802.11a/b/g等の規格による無線LAN(Local Area Network)に基づき送受信するアクセスポイントであり、通信のセキュリティを維持するためSSID(Service Set ID)、WEP(Wired Equivalent Privacy)キー、MAC(Media Access Control)アドレス認証の設定が特有になされている。そして、例えば、図8に示すように、この無線機4cを中心として、半径約50〜100m以内の領域M0、M1、M2・・・が、それぞれの略中心に配設される基準局4からの通信可能領域として設定されている。
【0013】
自車両1には、移動局としての機能を実現するため、GPSアンテナ5a、GPS受信機5b、無線機5cが搭載されている。そして、自車両1が上述の基準局4と通信可能領域に入り、基準局4との通信が確立された際に、基準局4からの誤差補正量、疑似距離補正量、座標値等のデータ(無線機5cで受信されるデータ)や、自車両1で受信したGPS衛星3からの情報をGPS受信機5b内で比較解析して、自車位置(座標値)を即座に精度良く(例えば、誤差1〜5cm)得られるようになっている。
【0014】
また、自車両1には制御装置8が搭載され、制御装置8には、上述のGPS受信機5bが接続されて自車位置が入力される。また、制御装置8には、ステレオカメラ6で撮像した画像を基に前方の道路環境を認識して前方障害物を認識する障害物認識部7が接続されている。
【0015】
ステレオカメラ6は、ステレオ光学系として例えば電荷結合素子(CCD)等の固体撮像素子を用いた1組の(左右の)CCDカメラで構成され、車外の対象を異なる視点からステレオ撮像し、障害物認識部7に入力する。
【0016】
障害物認識部7における、ステレオカメラ6からの画像の処理は、例えば以下のように行われる。先ず、障害物認識部7は、ステレオカメラ6のCCDカメラで撮像した自車両の進入方向の環境を示す1組のステレオ画像に対し、対応する位置のずれ量から三角測量の原理によって距離情報を求める処理を行って、三次元の距離分布を表す距離画像を生成する。次に、障害物認識部7は、距離画像データに周知のグルーピング処理等を行い、予め記憶しておいた3次元的な道路形状データ、側壁データ、立体物データ等と比較することで、白線データ、道路に沿って存在するガードレール、縁石等の側壁データ、車両等の立体物データを抽出する。そして、障害物認識部7は、抽出した立体物データの中から、自車進行路の領域(例えば、自車進行方向に予め設定した幅で延長した領域や前方白線・側壁間に挟まれる領域)上に存在する立体物データを障害物として検出し、制御装置8に出力する。
【0017】
制御装置8には、上述のGPS受信機5b、障害物認識部7の他、車速Vを検出する車速センサ9、ハンドル角θHを検出するハンドル角センサ10等のセンサ類と、走行制御に係る各種ユーザ設定等を行うための操作スイッチ11(後述する走行制御に関するメインスイッチ機能、自動運転制御スイッチ機能、自動学習モード選択機能、手動学習モード選択機能を有する)、ブレーキペダルスイッチ12、アクセルペダルスイッチ13等のスイッチ類が接続されている。
【0018】
また、制御装置8には、図示しないハードディスク、内蔵メモリ、或いは、CD、DVD等の読み込み書き込み自在な記憶メディアが搭載されており、そのデータベース上に、自車両1に対して自動運転制御(後で詳述する)を行う際の走行制御ルートが格納されている。
【0019】
具体的に説明すると、制御装置8は、基準局4との通信が確立した際に、測位される自車位置に基づいて自車両1の走行ルートを運転状態(速度ベクトル)と共に取得し、取得した走行ルートに基づいて走行制御ルートを学習することが可能となっている。そして、制御装置8は、走行制御ルートを学習すると、データベースを更新する。また、制御装置8は、データベースに格納された各走行制御ルートを、学習中の走行ルートや単なる地図上の道路とは区別して、例えば、ダッシュボード上に設けられた液晶ディスプレイ14を通じて、適宜表示することが可能となっている。尚、走行ルートは、電子地図データ上に、位置座標を有する連続したノードとして記録され、そのノードを通過した際の速度ベクトルの情報が運転状態として記録される。
【0020】
また、制御装置8は、作成した走行制御ルートから選択された走行制御ルート同士を各走行制御ルートの位置と各走行制御ルートを走行する際の運転状態(速度ベクトル)に応じて編集し走行制御ルートを作成自在に構成されている。
【0021】
更に、制御装置8は、基準局4との通信が確立した際に、過去に学習されデータベース上に格納されている走行制御ルートの中から利用可能な所定の走行制御ルートを選択して目標進行路に設定し、測位される自車位置に基づき、自車両1を目標進行路に沿って自動操縦することが可能となっている。すなわち、制御装置8は、操作スイッチ11を通じてユーザ入力等により設定された目標車速を維持するように、電動スロットル弁制御装置15に信号を出力してスロットル弁18を駆動させ、加速、或いは、減速を実行させる。また、所定以上の大きな減速を行わせる際には、ブレーキ制御装置16に信号を出力して自動ブレーキを作動させる。また、進行方向を変える場合には、電動パワーステアリング制御装置17に信号出力して自動操舵を実行する。
【0022】
このように、本実施形態において、制御装置8は、車両位置演算手段、走行制御ルート作成手段、走行制御ルート編集手段、及び、自動運転制御手段としての各機能を実現する。
【0023】
次に、制御装置8で実行される自車両1の走行制御について、図2〜図4に示す走行制御ルーチンのフローチャートに従って説明する。
このルーチンがスタートすると、制御装置8は、先ず、ステップ(以下、「S」と略称)101において、移動局である自車両1と基準局4との間で通信が確立されているか否かを判定し、通信が確立されていないと判定した場合には、そのまま待機する。
【0024】
一方、S101において、通信が確立されていると判定した場合、制御装置8は、S102に進み、基準局4からの情報、具体的には、取得先の基準局のID番号(どの基準局かを示す番号)、この基準局の位置座標(例えば、(X、Y、Z)の3次元座標であり、移動局の過去位置からの移動量が判断可能な座標)、その基準局との通信可能領域内における学習中ルート、走行制御ルート等の有無が取得される。
【0025】
次いで、S103に進むと、操作スイッチ11のメインスイッチ機能がONか否か判定される。そして、この判定の結果、メインスイッチ機能がOFFの場合は、S119にジャンプして、手動学習モードが選択(ON)されているか否か判定され、手動学習モードが選択(ON)されている場合は、S120に進み、現在の走行ルートを、手動学習モードを選択中のみノードをプロットしていくことにより学習する手動学習モードを実行してプログラムを抜ける。また、手動学習モードが選択されていないのであれば、そのままプログラムを抜ける。
【0026】
一方、上述のS103でメインスイッチ機能がONの場合は、S104に進み、自車位置の近傍に過去に学習した走行制御ルートが存在するか否かを調べる。具体的には、制御装置8は、例えば、自車両1の現在位置の近傍に、過去に学習したデータベース上の走行制御ルートのノードが存在するか否か(例えば、自車位置から±Dm以内に過去のノードが存在するか否か)を判定する。
【0027】
この判定の結果、自車位置近傍に走行制御ルートが存在しないのであれば、S115にジャンプして、現在手動運転中か否か判定する。そして、現在手動運転中である場合は、S116に進み、自動学習モード開始案内、例えば、「自動学習モードができるエリアに入りました」等の音声を発してS114に進み、後述する図5に示す自動学習モードルーチンを実行して、再びS104の判定を実行する。
【0028】
また、S115の判定の結果、手動運転中ではないと判定した場合は、S117に進み、自動運転制御不可案内、例えば、「自動運転可能なルートはありません。自動学習モードを選択しますか?」の音声を発してS118に進む。
【0029】
S118では、自動学習モードが選択されるか否か判定し、一定時間(例えば、10秒)以内に自動学習モードを選択する入力があった場合には、S114に進み、後述する図5に示す自動学習モードルーチンを実行して、再びS104の判定を実行する。
【0030】
また、一定時間(例えば、10秒)以内に自動学習モードを選択する入力が行われなかった場合や、自動学習モードを非選択(OFF)とするスイッチ入力があった場合にはS119に進み、手動学習モードが選択(ON)されているか否か判定され、手動学習モードが選択(ON)されている場合は、S120に進み、手動学習モードを実行してプログラムを抜ける。また、手動学習モードが選択されていないのであれば、そのままプログラムを抜ける。
【0031】
一方、上述のS104の判定で、自車位置近傍に走行制御ルートが存在すると判定された場合は、S105に進み、その自車位置近傍の走行制御ルートを液晶ディスプレイ14に表示して、選択可能な走行制御ルート案内、例えば、「以下のルートから選択して下さい」等の音声を発してS106に進む。
【0032】
そして、S106では走行制御ルートが一定時間(例えば、10秒)以内に選択されたか否か判定し、走行制御ルートの選択が行われなかった場合は、S114に進み、後述する図5に示す自動学習モードルーチンを実行して、再びS104の判定を実行する。
【0033】
また、走行制御ルートが一定時間(例えば、10秒)以内に選択された場合は、S107に進み、自動運転制御スイッチ案内、例えば、「自動運転制御スイッチをONして下さい」等の音声を発してS108に進む。
【0034】
S108では自動運転制御スイッチがONされたか否か判定し、一定時間(例えば、10秒)経過しても自動運転制御スイッチがONされない場合や、自動運転制御スイッチをOFFする操作が行われた場合は、そのままプログラムを抜ける。
【0035】
逆に、一定時間以内に自動運転制御スイッチがONされた場合は、S109に進み、選択された走行制御ルートまで一定距離以上離間しているか否か判定する。
【0036】
この判定の結果、一定距離以上離間している場合は、S110に進み、選択された走行制御ルートまで手動運転案内、例えば、「選択したルートまで手動運転して下さい」等の音声を発してS111に進み、選択された走行制御ルートまでの走行ルートを学習する。
【0037】
先のS109で、選択された走行制御ルートまで一定距離以上離間していない、つまり、選択された走行制御ルート上にあると判定された場合、或いは、上述のS111で選択された走行制御ルートまでの走行ルートを学習した後は、S112に進み、選択された走行制御ルート(目標進行路)に沿って自動運転制御を実行する。この自動運転制御の自動操舵制御については、後に図7のフローチャートで説明する。
【0038】
そして、S113に進み、キャンセル条件、例えば、途中でハンドルを強く転舵する等のコースアウト指示が発生したか否か判定し、キャンセル条件が発生していないのであれば、S112の自動運転制御を続行し、キャンセル条件が発生した場合は、S114に進んで、後述する図5に示す自動学習モードルーチンを実行して、再びS104の判定を実行する。
【0039】
次に、上述のS114で実行される自動学習モードルーチンを、図5のフローチャートで説明する。
まず、S201で基準局4からの電波が正常か否か判定し、異常である場合は、そのままルーチンを抜け、正常である場合は、S202に進む。
【0040】
基準局4からの電波が正常でありS202に進むと、そのルート固有のIDを有するノードを敷設する。
【0041】
そして、S203に進み、敷設したノード近傍に学習中のノードが存在するか否か判定する。
【0042】
S203の判定の結果、学習中のノードが存在する場合は、S204に進み、これら両ノードの方向性(具体的には速度ベクトルの方向)が一致しているか否か判定する。
【0043】
そして、両ノードの方向性が一致している場合は、S205に進み、両ノードの学習処理を実行する。具体的には、両ノードの位置の平均、速度ベクトルの平均を求める学習を実行する。
【0044】
その後、S206に進み、学習回数が予め設定しておいた閾値以上か否か判定し、閾値以上となった場合は、S207に進んで、学習中のルートを走行制御ルートとして登録し、表示してルーチンを抜ける。
【0045】
一方、上述のS203で敷設したノード近傍に学習中のノードが存在しないと判定した場合、或いは、上述のS204で両ノードの方向性が一致しないと判定した場合、或いは、上述のS206で学習回数が予め設定しておいた閾値未満と判定した場合は、S208に進み、現在の学習中のルートをそのまま表示させ、ルーチンを抜ける。
【0046】
次に、ドライバが、上述の自動学習モードで作成した走行制御ルートを編集する際に実行される編集モードを、図6のフローチャートで説明する。尚、この図6のフローチャートの説明では、理解が容易なように、ルート編集の例を、図8〜図10を用いて説明する。作成される各種ルートが図8に示すように液晶ディスプレイ14上に表示され、これらルートの内、基準局の領域がM0で表示される領域内の交差の無いルートAとルートB(ルートAが先に選択されたルートとする)とを編集する場合、この拡大図が図9となっている。また、基準局の領域がM2で表示される領域M0、M1とは異なる基準局により設定される領域内の交差するルートAとルートB(ルートAが先に選択されたルートとする)とを編集する場合、この拡大図が図10となっている。尚、図8中、領域M0内のSt0は、自宅等の領域M0自体を形成する基準点であり、この領域M0内には、ルートA、B以外にも実線で示される走行制御ルートが形成されると共に、2点鎖線で示される学習中のルートRG0が表示されている。また、領域M0とは異なる基準局により設定される領域M1にも実線で示される走行制御ルートと2点鎖線で示される学習中のルートRG1が表示されている。
【0047】
まず、S301で、ドライバが編集するのに選択した2つのルートを、ルートA、ルートBとし、この両ルートの情報、すなわち、これらルートを構成する各ノードの位置座標と、各ノードに記憶されている速度ベクトルを取得する。
【0048】
次いで、ルートAとルートBとが交差しているか否か判定し、交差していないのであれば、S303へと進み、ルートAからルートBにかけて最接近するノード近傍に接線を追加し、連結ルートとしての追加ルートCとして設定する。
【0049】
すなわち、図9において、ルートA、Bのそれぞれの最接近するノードは、PA、PBであり、これらPA、PBの間に、ルートAからルートBに対して、速度ベクトルの方向を考慮した接線が、追加ルートCとして設定される。その際、追加ルートCは、予め設定しておいた一定間隔毎にノードを配列して形成される。尚、ノードPA、PBの間が、予め設定しておいた閾値以上離間している場合には、編集作業を実行せず、編集ができないことを、例えば、「これらのルートは編集できません」等の音声を発して、ドライバに報知し、ドライバのルート選択の再実行やルート編集の中止を促すようにしても良い。また、ノードPA、PBの間に明らかに地図上の障害物(中央分離帯や建造物等)が存在する場合にも、同様に、ドライバのルート選択の再実行やルート編集の中止を促すようにしても良い。
【0050】
そして、S304に進み、追加ルートCの速度Vcの情報を、ルートAとルートBの最接近するノード同士の速度の平均を求めることにより取得し、ルーチンを抜ける。
【0051】
すなわち、ノードPA、PBの速度の平均を求め、その値を追加ルートCを構成する各ノードの速度に設定する。尚、この速度のベクトルとしての方向は、当然、接線に沿った方向に設定される。
【0052】
上述のS303、及び、S304の作業により、ルートAからルートBに追加ルートCにより乗り換える運転状態をも考慮した新たな走行制御ルートが編集でき、この走行制御ルートに沿った自動運転制御も可能となっている。
【0053】
一方、上述のS302で、ルートA、Bが交差していると判定された場合は、S305に進み、追加ルートCの速度Vcを演算する。具体的には、図10に示すように、ルートAとルートBとの交点P0に最も近いルートAのノードPAとルートBのノードPBに設定されている速度の平均を求めることにより演算する。
【0054】
次いで、S306に進み、ルートAからルートBへの乗換カーブCAの半径Rcを、例えば、以下の(1)式により演算する。
Rc=m・Vc2/G …(1)
ここで、mは車両質量、Gは予め設定しておいた許容遠心力の閾値である。
【0055】
次に、S307に進み、ルートAとルートBとの交点P0から乗換カーブCAへの垂線の長さLDを演算する。
【0056】
そして、S308に進み、垂線の長さLDと、予め設定しておいた閾値LDCとを比較して、垂線の長さLDが閾値LDC以下であり、ルートAとルートBとの交点P0から乗換カーブCAの離間が少ないのであれば、S309に進み、その乗換カーブCAを追加ルートCとして設定してルーチンを抜ける。
【0057】
逆に、垂線の長さLDが閾値LDCよりも大きく、ルートAとルートBとの交点P0から乗換カーブCAの離間が大きい場合は、S310に進み、上述の(1)式で演算される乗換カーブCAの半径Rcを小さくするべく速度Vcを減少させ(例えば、Vc=Vc−1)、再びS306へと戻る。これを繰り返すことにより、乗換カーブCAを走行する際に発生する遠心力が予め設定しておいた許容遠心力の閾値G以下となり、且つ、ルートAとルートBとの交点P0から乗換カーブCAまでの垂線の長さLDが予め設定した閾値LDC以下となるように演算されて、この経路が追加ルートCとして設定される。このため、ルートAからルートBに追加ルートCにより乗り換える運転状態をも考慮した新たな走行制御ルートが編集でき、この走行制御ルートに沿った自動運転制御も可能となっている。
【0058】
上述のように学習された走行制御ルート、或いは、編集された走行制御ルートに沿って行われる、上述のS112の自動運転制御時の自動操舵について、図7のフローチャート、及び、図11の自動操舵の原理の説明図で説明する。ここで、本実施形態において、制御装置8は、例えば、障害物認識部7により前方10m以内に障害物が検出されたとき、ドライバが大きくステアリング操作した場合、ブレーキペダル、アクセルペダルを踏んだとき、或いは、ユーザ等によって自動運転制御がOFFされた場合には、自動運転制御をキャンセルする。
【0059】
このルーチンがスタートすると、制御装置8は、先ず、S401で必要なパラメータを読み込み、続くS402で、自車位置の過去の履歴の中から、例えば、現在位置より略車両長さ(例えば、5m)手前の自車測位点履歴を抽出し、この5m手前の自車測位点と現在の自車位置とを結んで得られる前方への直線方向を自車進行路として推定する。
【0060】
次いで、S403に進み、制御装置8は、現在の自車位置から最も近い、目標進行路のノードを抽出する。
【0061】
その後、S404に進み、現在の自車速と、予め設定しておいた前方注視時間(例えば、1.5秒)より、前方注視距離を求める。例えば、現在の自車速が20Km/hの場合は、前方注視距離は、5.6m/秒・1.5秒(=8.34m)となる。
【0062】
次いで、S405に進み、制御装置8は、S404で求めた前方注視距離近傍の目標進行路上のノードを誘導目標モードとして設定する。
【0063】
次に、S406に進み、制御装置8は、誘導目標ノードと自車進行路からの横方向のずれ量を目標ノード偏差ΔDとして演算する。
【0064】
次いで、S407に進み、目標ノード偏差ΔDをゼロにするように目標ハンドル角δhを以下の(2)式により算出する。
δh=GP・ΔD+Gd・(d(ΔD)/dt) …(2)
ここで、GPは比例項ゲインであり、Gdは微分項ゲインである。
【0065】
次に、S408に進み、制御装置8は、目標ハンドル角δhとハンドル角センサ20で検出した実際のハンドル角θHとからハンドル角偏差Δδ(=δh−θH)を演算する。
【0066】
次いで、S409に進み、以下の(3)式によりハンドル角偏差Δδをゼロにするように、電流Iδを演算し、S410で、この指示電流値Iδを出力してルーチンを抜ける。
Iδ=KP・Δδ+Kd・(d(Δδ)/dt)+Ki・∫Δδdt …(3)
ここで、KPは比例項ゲイン、Kdは微分項ゲイン、Kiは積分項ゲインである。
【0067】
このように本発明の実施形態によれば、ルートAからルートBに追加ルートCにより乗り換える運転状態をも考慮した新たな走行制御ルートが編集でき、この走行制御ルートに沿った自動運転制御が可能となっているので、実際の車両の運転を考慮して確実に自動運転可能で、既存の走行制御ルートから自然に移行できる走行制御ルートをドライバが任意に編集でき、汎用性を大きく向上することが可能となる。
【0068】
尚、本実施形態では、ステレオカメラ6にて撮像した画像を基に障害物等を認識する構成となっているが、他の装置、例えば、超音波センサ等で障害物等を検出するよう構成してもよい。
【0069】
また、本実施形態では、基準局4からは、一般的な無線LANの規格により自車両1に各情報を送信する構成となっているが、情報を無線送信できるものであれば、これに限ることなく、所謂、Bluetooth規格による無線で実現し、公知の携帯電話、携帯端末、PDA(Personal Digital Assistant)等の無線装置で情報伝達を行えるよう構成してもよい。
【0070】
更に、本実施形態では、制御装置8により測位される自車位置に基づいて走行ルートを取得する構成について説明したが、これに限定されず、移動局による衛星からの情報に基づく車両位置を基準局側に送信し、基準局4にて、基準局の情報と車両位置とに基づいて車両位置を演算する構成とすることができる。すなわち、基準局4側に車両位置演算手段を設けても良い。この場合には、走行ルート等の情報を基準局側にて蓄積することが可能となる。
【0071】
また、本実施の形態では、基準局4が複数存在する例で説明しているが、1つの場合であっても適用できることは云うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】車両の走行制御装置の全体を示す概略構成図
【図2】走行制御ルーチンのフローチャート
【図3】図2から続くフローチャート
【図4】図2から続くフローチャート
【図5】自動学習モードルーチンのフローチャート
【図6】編集モードルーチンのフローチャート
【図7】自動運転制御の自動操舵制御ルーチンのフローチャート
【図8】走行制御装置により作成される各種ルートの一例を示す説明図
【図9】交差のない走行制御ルート同士を連結して編集する一例を示す説明図
【図10】交差を有する走行制御ルート同士を連結して編集する一例を示す説明図
【図11】自動操舵の原理の説明図
【符号の説明】
【0073】
1 車両(自車両、移動局)
2 車両制御装置
3 人工衛星
4 基準局
8 制御装置(車両位置演算手段、走行制御ルート作成手段、走行制御ルート編集手段、自動運転制御手段)
9 車速センサ
10 ハンドル角センサ
11 操作スイッチ
12 ブレーキペダルスイッチ
13 アクセルペダルスイッチ
14 液晶ディスプレイ
15 電動スロットル弁制御装置
16 ブレーキ制御装置
17 電動パワーステアリング制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め位置が求められた基準点に設置し、衛星からの情報を基に補正情報を求めて予め設定する領域内に送信する基準局と、
車両に搭載され、上記衛星からの情報に基づき車両位置を演算する移動局と、
上記基準局と上記移動局との通信が確立した際に、上記基準局の情報と上記車両位置とから該車両位置を補正演算する車両位置演算手段と、
上記車両位置と送信される車両の運転状態を基に上記車両が走行する走行ルートを運転状態と共に取得して学習し、車両が自動運転自在な走行制御ルートを作成する走行制御ルート作成手段と、
上記走行制御ルート作成手段で作成した走行制御ルートから選択された走行制御ルート同士を上記各走行制御ルートの位置と上記各走行制御ルートを走行する際の運転状態に応じて編集し走行制御ルートを作成自在な走行制御ルート編集手段と、
上記基準局と上記移動局との通信が確立した際に、上記走行制御ルート作成手段により作成した走行制御ルートと上記走行制御ルート編集手段で編集して作成した走行制御ルートから利用可能な走行制御ルートを選択して目標進行路として設定し、上記車両を上記目標進行路に沿って自動運転制御する自動運転制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項2】
上記走行制御ルート編集手段は、上記走行制御ルート作成手段で作成した走行制御ルートから第1の走行制御ルートと該第1の走行制御ルートとは異なる第2の走行制御ルートとが選択されて、上記第1の走行制御ルートの位置と該第1の走行制御ルートを走行する際の運転状態と上記第2の走行制御ルートの位置と該第2の走行制御ルートを走行する際の運転状態に基づいて上記第1の走行制御ルートと上記第2の走行制御ルートとを連結する連結ルートを作成することを特徴とする請求項1記載の車両の走行制御装置。
【請求項3】
上記第1の走行制御ルートと上記第2の走行制御ルートとが交差している場合には、上記連結ルートを上記第1の走行制御ルートと上記第2の走行制御ルートとに接する部分円の形状に設定し、上記第1の走行制御ルートと上記第2の走行制御ルートとの交差点近傍のそれぞれの走行制御ルートの車速を基に上記連結ルートを走行する際の車速を推定し、上記連結ルートを走行する際に発生する遠心力が予め設定した値以下となり、且つ、上記交差点から上記連結ルートまでの距離が予め設定した値以下となるように上記連結ルートを走行する際の車速を補正して上記連結ルートの半径を決定することを特徴とする請求項2記載の車両の走行制御装置。
【請求項1】
予め位置が求められた基準点に設置し、衛星からの情報を基に補正情報を求めて予め設定する領域内に送信する基準局と、
車両に搭載され、上記衛星からの情報に基づき車両位置を演算する移動局と、
上記基準局と上記移動局との通信が確立した際に、上記基準局の情報と上記車両位置とから該車両位置を補正演算する車両位置演算手段と、
上記車両位置と送信される車両の運転状態を基に上記車両が走行する走行ルートを運転状態と共に取得して学習し、車両が自動運転自在な走行制御ルートを作成する走行制御ルート作成手段と、
上記走行制御ルート作成手段で作成した走行制御ルートから選択された走行制御ルート同士を上記各走行制御ルートの位置と上記各走行制御ルートを走行する際の運転状態に応じて編集し走行制御ルートを作成自在な走行制御ルート編集手段と、
上記基準局と上記移動局との通信が確立した際に、上記走行制御ルート作成手段により作成した走行制御ルートと上記走行制御ルート編集手段で編集して作成した走行制御ルートから利用可能な走行制御ルートを選択して目標進行路として設定し、上記車両を上記目標進行路に沿って自動運転制御する自動運転制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項2】
上記走行制御ルート編集手段は、上記走行制御ルート作成手段で作成した走行制御ルートから第1の走行制御ルートと該第1の走行制御ルートとは異なる第2の走行制御ルートとが選択されて、上記第1の走行制御ルートの位置と該第1の走行制御ルートを走行する際の運転状態と上記第2の走行制御ルートの位置と該第2の走行制御ルートを走行する際の運転状態に基づいて上記第1の走行制御ルートと上記第2の走行制御ルートとを連結する連結ルートを作成することを特徴とする請求項1記載の車両の走行制御装置。
【請求項3】
上記第1の走行制御ルートと上記第2の走行制御ルートとが交差している場合には、上記連結ルートを上記第1の走行制御ルートと上記第2の走行制御ルートとに接する部分円の形状に設定し、上記第1の走行制御ルートと上記第2の走行制御ルートとの交差点近傍のそれぞれの走行制御ルートの車速を基に上記連結ルートを走行する際の車速を推定し、上記連結ルートを走行する際に発生する遠心力が予め設定した値以下となり、且つ、上記交差点から上記連結ルートまでの距離が予め設定した値以下となるように上記連結ルートを走行する際の車速を補正して上記連結ルートの半径を決定することを特徴とする請求項2記載の車両の走行制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−170404(P2008−170404A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6443(P2007−6443)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】
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