説明

開閉制御装置、開閉制御システム、及びプログラム

【課題】雨等の車室内や乗員に対して不都合を生じさせる天気を予測し、予めウィンドウやルーフ類といった遮蔽手段を自動的に閉じるための技術を提供する。
【解決手段】開閉制御装置1は、通信装置30を介して情報センタ5から天気情報を受信する。また、ナビゲーション装置20において、車両2の現在位置、速度、走行経路を特定する。そして、この特定した現在位置、速度、及び走行経路と、情報センタ5から受信した天気情報とに基づいて、走行経路上に沿った所定の範囲において、現在位置から走行経路に沿って進行した際に到達する位置で降水が予測される降水予測領域を算出する。そして、この算出した降水予測領域に車両2が近接したか否かを判定し、降水予測領域に車両2が近接したと判定した場合、ボディECU40を介して開いているウィンドウやルーフ類を閉じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天気状況を考慮して車両のウィンドウやオープンカーのルーフ、ほろといった遮蔽手段を自動的に開閉させる開閉制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のウィンドウの開閉は、乗員がパワーウィンドウ開閉スイッチを操作することで自動的に行われている。また、近年、オープンカーにおける開閉式のルーフやほろ(以下、ルーフ及びほろを併せてルーフ類と表記する。)の開閉も、乗員が開閉スイッチを操作することで自動的に行われている。これらのウィンドウ、ルーフ類といった開閉式の遮蔽手段は、必要に応じて自由に開閉可能である。特に、過ごし易い季節にウィンドウやルーフ類を開放して走行することで爽快な気分を堪能できる。しかし、これらの遮蔽手段を開放しているときに雨が降ってきた場合には、車室内に雨が降り込まないように速やかに閉める必要がある。
【0003】
一方、天気を考慮した作動をする車載装置として、特許文献1に記載のようなナビゲーション装置が知られている。特許文献1に記載のナビゲーション装置は、外部から気象情報を取得し、この取得した気象情報に基づいて気象予測値を表示したり、目的地や経路上の気象予測値に基づいて最適な経路を選択する。
【特許文献1】特開2000−258174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のようなナビゲーション装置では、気象予測値を表示したり、目的地や経路上の気象予測値に基づいて最適な経路を選択するのみであり、例えば、雨が降ってきときに自動的にウィンドウやルーフ類を閉めるといった作動には対応していない。
【0005】
一方、車両に降水を検知するセンサを設けて、センサにより降水を検知した場合に自動的にウィンドウやルーフ類を閉めるように構成する方法等も考えられる。しかしながら、このような方法では、雨が降り始めてからセンサがそれを検知し、それからウィンドウやルーフ類を閉め始めることになる。これでは閉め始めるタイミングとしては遅く、ウィンドウやルーフ類を閉め終わるまでの間に車室内に雨が降り込んでしまう。
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、雨等の車室内や乗員に対して不都合を生じさせる天気を予測し、予めウィンドウやルーフ類といった遮蔽手段を自動的に閉じるための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の開閉制御装置は、外部装置との通信により得た天気情報に基づいて走行経路上の天気を予測し、車室内や乗員に対して不都合を生じる特定の天気になっていると予測される領域に入る前に車両の室内を外部から遮蔽する遮蔽手段を自動的に閉めることを特徴とする。
【0008】
具体的には、上記の開閉制御装置は次のような特徴を有する。通信手段を介して外部装置から天気情報を受信する(情報受信手段)。また、車両の現在位置、速度、走行経路を特定する(走行状況特定手段)。そして、走行状況特定手段によって特定された現在位置、速度、及び走行経路と、情報受信手段によって受信された天気情報とに基づいて、走行経路上に沿った所定の範囲において、現在位置から走行経路に沿って進行した際に到達する位置で特定の天気になっていると予測される予測領域を算出する(予測領域算出手段)。そして、予測領域算出手段によって算出された予測領域に車両が近接したか否かを判定し(判定手段)、予測領域に車両が近接したと判定された場合、開いている遮蔽手段を閉じる(開閉制御装置)。
【0009】
ここで、遮蔽手段とは、具体的にはパワーウィンドウやオープンカー等における自動開閉式のルーフ類等を指す。
また、通信手段及び情報受信手段は、情報配信基地等からFM多重放送、電波・光ビーコン等によって配信される天気情報を受信する構成であってもよいし、天気情報を格納した情報提供サーバからインターネット等の電話回線網を介して天気情報を受信するような構成であってもよい。また、天気情報には、例えば気温、風向、風量、雲量、降水量、気圧等の天気の実況情報が含まれる。なお、外部装置が記憶するこれらの天気情報は、例えば天気の観測情報を提供する機関等から収集した情報に基づいて蓄積したもの等を用いることが考えられる。
【0010】
このように構成された開閉制御装置によれば、情報センタ等の外部装置から受信した天気情報に基づいて、車室内や乗員に対して不都合を生じる特定の天気(例えば、雨)になっていると予測される領域に到達する前に自動的にウィンドウやルーフ類等の遮蔽手段を閉めることで、天気の変化によってもたらされる不具合(車室内に雨が降り込む等)を事前に回避することができる。
【0011】
一方、天気の予測結果に応じて遮蔽手段を自動的に閉じる制御を行った場合、何ら報知もなくウィンドウやルーフ類を閉じてしまうと乗員が不審に感じるおそれがある。そこで、請求項2に記載の開閉制御装置のように構成すればよい。具体的には、車両の乗員に対してメッセージを報知するための報知手段と、判定手段によって予測領域に車両が近接したと判定された場合、その旨を報知手段を介して車両の乗員に報知する報知制御手段とを備える。
【0012】
ここで、報知手段とは、画面にメッセージを表示するモニタ等の表示装置や音声によってメッセージを出力する音声出力装置等の何れでもよい。
このように構成された開閉制御装置によれば、予測領域に近接したときに、自動的に遮蔽手段を自動的に閉めると共にその旨を車両の乗員に対して報知することができる。これにより、天気の変化によって遮蔽手段が閉じられることを車両の乗員が把握することができ、不審に感じるおそれを回避できる。
【0013】
ところで、天気が良いときや夏の暑い時期には、駐車したときに車室内の換気や過熱防止のためにウィンドウやルーフ類を開放したままで乗員が車両から離れる場合が考えられる。あるいは、単に駐車の度にいちいちウィンドウやルーフ類を閉めるのが面倒であるといった理由で、駐車時にウィンドウやルーフ類を開放したままで乗員が車両から離れる場合も考えられる。しかし、このような乗員不在時に天気が変化して雨が降ると、直ちにウィンドウやルーフ類を閉じることができないため、車室内に大きな不具合を生じるおそれがある。
【0014】
そこで、請求項3に記載の開閉制御装置のように構成するとよい。つまり、予測領域算出手段は、車両が駐車中の場合、情報受信手段によって受信された天気情報に基づいて、駐車位置周辺の所定範囲において所定時間内に特定の天気になると予測される予測領域を算出する。判定手段は、予測領域算出手段によって算出された予測領域が駐車位置に近接しているか否かを判定する。そして、開閉制御手段は、判定手段によって予測領域が駐車位置に近接していると判定された場合、開いている遮蔽手段を閉じる。
【0015】
このように構成された開閉制御装置によれば、駐車中において、その駐車位置の天気が車室内に対して不都合を生じる特定の天気(例えば、雨)に変化すると予測される場合に、自動的にウィンドウやルーフ類等の遮蔽手段を閉めることができる。これにより、駐車中に乗員が不在であっても、天気の変化によってもたらされる不具合(車室内に雨が降り込む等)を事前に回避することができる。
【0016】
なお、車室内や乗員に対して不都合を生じさせる可能性がある気象現象としては、降水と風とが挙げられる。車室内に水が浸入すれば、乗員が濡れてしまうだけでなく、車室内の内装が傷んだり電子機器が故障したりするおそれがある。また、車室内が強風に晒されれば、車室内に塵埃が侵入したり、車室内にある物が吹き飛ばされたりするおそれがある。
【0017】
そこで、ウィンドウやルーフ類の遮蔽手段を閉じるべき対象となる特定の天気は、請求項4に記載のように、雨、霧、霧雨、みぞれ、雪、あられ、ひょう、強風の少なくとも何れかにすることが考えられる。
【0018】
具体的には、天気情報として雨、霧、霧雨、みぞれ、雪、あられ、ひょうといった降水状況あるいは降水をもたらす雲に関する情報や、風の強さ、向きといった風の状況に関する情報、あるいは気圧に関する情報等を受信し、この受信した天気情報に基づいて降水が予測される領域や所定の強さ以上の強風が予測される領域を算出することが考えられる。これにより、降水や強風によって車室内にもたらされる被害を未然に防ぐことができる。
【0019】
つぎに、請求項5に記載の開閉制御システムは、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の開閉制御装置と、天気情報を記憶し、この天気情報を車両に搭載された開閉制御装置に対して送信する天気情報送信装置とを備えることを特徴とする。すなわち、外部装置から天気情報を受信し、この受信した天気情報に基づいて車両の遮蔽手段を制御する車両側の装置である開閉制御装置と、この開閉制御装置に対して天気情報を配信する側の装置である天気情報送信装置とを備えるシステムを構成することで、上述のような効果を得ることができる。
【0020】
なお、天気情報送信装置が送信する天気情報としては、天気の観測情報を提供する機関等から収集した情報に基づいて蓄積された情報を用いる他に、請求項6に記載のように、自車両の現在位置における天気を検知し、検知した天気と自車両の位置に関する情報を天気情報送信装置に対して送信する、いわゆるプローブカーから送信された情報に基づいて蓄積された情報を用いることが考えられる。
【0021】
自車両の現在位置における天気に関する情報を送信するプローブカーは、現在位置及び降水等を検知するセンサ類、及び検知した情報をホスト装置である天気情報送信装置へ送信するための通信装置等を備えることにより構成される。このようなプローブカーが多数運用されるようになれば、各プローブカーから送信された情報に基づいて、天気に関するより精密な地点情報を多数得ることができる。したがって、車両が搭載する開閉制御装置へ送信する天気情報としてプローブカーから送信された情報を利用することで、この天気情報を受信する車両側において、より精度よく天気を予測することができる。そして、精度のよい天気予測に基づいて、効果的にウィンドウやルーフ類等の遮蔽手段の開閉を制御することができる。
【0022】
以上で説明したような開閉制御装置における開閉制御手段、情報受信手段、走行状況特定手段、予測領域算出手段、及び判定手段の各手段の機能をコンピュータシステムにて実現するには、請求項7に記載のようにコンピュータシステム側で起動するプログラムとして備えればよい。このようなプログラムは、例えば光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク、ROM、RAM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応じてコンピュータにロードすることにより、上述の各手段としての機能を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[開閉制御システムの構成の説明]
図1は、実施形態の開閉制御システムの概略構成を示す説明図である。
【0024】
図1に示すように、開閉制御システムは、車両2に装備されている自動開閉式のウィンドウやルーフの開閉を制御するための車載装置である開閉制御装置1と、この開閉制御装置1へ天気情報を送信する情報センタ5から構成されている。
【0025】
このうち、開閉制御装置1は、経路案内等のいわゆるナビゲーション機能を有するナビゲーション装置20、通信装置30、ボディECU40等から構成されている。なお、この開閉制御装置1の詳細な説明については後述する。
【0026】
情報センタ5は、各車両と交信可能な無線基地局に通信回線を通じて接続されており、その無線基地局を介して開閉制御装置1との間で無線通信を行い、天気情報を開閉制御装置1へ送信する。具体的には、情報センタ5は、開閉制御装置1へ送信するための天気情報を蓄積しておく天気情報データベース51及び天気情報(プローブカー)データベース52(以下、単にデータベースとも称する。)と、通信回線を介して通信を行う回線端末装置(図示なし)と、データを管理するサーバ(図示なし)等を備えている。
【0027】
天気情報データベース51には、天気の観測情報を提供する機関等から随時収集した情報に基づいて蓄積した比較的広域の天気情報が蓄積されている。天気情報データベース51に蓄積されている天気情報には、雨、霧、霧雨、みぞれ、雪、あられ、ひょうといった降水状況及び降水をもたらす雲の状況に関する情報や、風の強さ、向きといった風の状況に関する情報、あるいは気圧に関する情報等が含まれている。
【0028】
一方、天気情報(プローブカー)データベース52には、各地を走行中のプローブカー6から随時送信されてくる天気の観測情報に基づいて蓄積された、地点ごとの天気情報が蓄積されている。プローブカー6は、自車両の現在位置における天気の観測情報を送信するための手段として、現在位置及び降水等を検知するセンサ類、及び検知した情報をホスト装置である情報センタ5へ送信するための通信装置等を備えている。
【0029】
[開閉制御装置1の構成の説明]
図2は、車両2に搭載される開閉制御装置1の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、開閉制御装置1は、経路案内等のいわゆるナビゲーション機能を有するナビゲーション装置20、情報センタ5との間で無線通信を行う通信装置30、ナビゲーション装置20と車内LAN等を介して通信可能に接続されるボディECU40等から構成されている。
【0030】
このうち、ナビゲーション装置20は、車両の位置、速度、進行方向等を検出する位置検出器21と、利用者から各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、操作スイッチ群22と同様に各種指示を入力可能なリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)23aと、リモコン23aからの信号を入力するリモコンセンサ23bと、車両の各種センサ等から出力される検出信号を入力するための車両情報入力器24と、地図データや各種の情報を記録した外部記録媒体から地図データ等を入力する地図データ入力器25と、地図表示画面等の各種表示を行うための表示装置26と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力装置27と、制御回路29に接続され、各種情報を記憶する外部メモリ28と、制御回路29とを備えている。
【0031】
位置検出器21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを介して受信し、車両の位置、速度、進行方向等を検出するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ21bと、車両の走行した距離を検出するための距離センサ21cとを備えている。そして、これら各センサ等21a〜21cは、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては、上述したうちの一部のセンサで構成してもよく、またステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0032】
操作スイッチ群22は、表示装置26と一体に構成され表示画面上に設置されるタッチパネル及び表示装置26の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等が用いられる。なお、タッチパネルと表示装置26とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式、電磁誘導方式、静電容量方式、あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。
【0033】
地図データ入力器25は、位置検出精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データや経路案内用データ等を含む各種のデータを入力するための装置である。これらのデータの記録媒体としては、ハードディスク、DVD−ROM、CD−ROM、メモリ、メモリカード等を用いることができる。
【0034】
表示装置26は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRT等の何れを用いてもよい。表示装置26の表示画面には、位置検出器21にて検出した車両の現在位置と地図データ入力器25より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のシンボルマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。そして、音声出力装置27は、走行案内等の各種案内の音声を出力することができる。
【0035】
制御回路29は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、上述した各部構成及びナビゲーション装置20に接続されている通信装置30、ボディECU40等の各部を制御する。この制御回路29は、ROM等に記憶されたプログラムに従って、各種処理を実行する。
【0036】
例えば、ナビゲーション関係の処理としては、地図表示処理や経路案内処理等が挙げられる。地図表示処理は、位置検出器21からの各検出信号に基づいて座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出し、地図データ入力器25を介して読込んだ現在位置付近の地図等を表示装置26に表示する処理である。また、経路案内処理は、地図データ入力器25に格納された地点データと、操作スイッチ群22やリモコン23a等の操作に従って設定された目的地とに基づいて、現在位置から目的地までの最適な経路を算出し、その算出した経路に対する走行案内を行う処理である。このように自動的に最適な経路を設定する手法として、ダイクストラ法によるコスト計算等の手法が知られている。
【0037】
また、制御回路29は、上述の経路案内処理等に並行して雨等の車室内や乗員に対して不都合を生じさせる天気を予測し、遮蔽手段であるウィンドウ42及びルーフ44を予め閉じるための処理も行う。なお、この処理の詳細な説明については後述する。
【0038】
通信装置30は、外部の情報センタ5との間で情報通信を行うことで、情報センタ5からFM多重放送、電波・光ビーコン等によって配信される天気情報を受信し、この受信した天気情報をナビゲーション装置20へ入力する。あるいは、情報センタ5のからインターネット等の電話回線網を介して天気情報を受信するような構成であってもよい。
【0039】
ボディECU40は、図示しない開閉スイッチの操作により、モータ等から構成されるウィンドウ駆動機構41及びルーフ駆動機構43を制御して、ウィンドウ42(図5(a)参照)や自動開閉式のルーフ44(図5(b)参照)を開閉させるものである。また、ボディECU40は、ナビゲーション装置20の制御回路29から出力される開閉指示によりウィンドウ42及びルーフ44の開閉を行う。
【0040】
以上、実施形態の開閉制御システム及び開閉制御装置1の概略構成について説明したが、本実施形態における各構成と特許請求の範囲に記載した構成との対応は次のとおりである。本実施形態におけるナビゲーション装置20の制御回路29が、特許請求の範囲における開閉制御手段、情報受信手段、走行状況特定手段、予測領域算出手段、判定手段、及び報知制御手段に相当する。また、通信装置30が通信手段に相当する。また、表示装置26及び音声出力装置27が報知手段に相当する。また、情報センタ5が天気情報送信装置に相当する。
【0041】
以下、実施形態の開閉制御装置1において車室内や乗員に対して不都合を生じさせる天気を予測し、ウィンドウ42及びルーフ44を自動的の閉じるための処理について、図3のフローチャート及び図4、図5の説明図に基づいて説明する。
【0042】
[開閉制御処理の説明]
図3は、ナビゲーション装置20の制御回路29が実行する開閉制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0043】
まず、操作スイッチ群22又はリモコン23aを介してユーザから天気予測モードを開始する旨の指示が入力されることで、ナビゲーション装置20の動作モードを天気予測モードに設定する(ステップ10。以下、ステップを単に記号Sで表記する)。このS10で天気予測モードに設定されることで、車両2の走行中及び駐車中において、S20以降の各処理を実行する。
【0044】
S20では、通信装置30を介して情報センタ5との間で通信を行い、情報センタ5に対して車両2の現在位置周辺における天気情報の送信を要求して、この要求に応じて情報センタ5から送信されてきた天気情報を受信する。このとき、情報センタ5は、開閉制御装置1からの要求に応じて、天気情報データベース51及び天気情報(プローブカー)データベース51に蓄積されている現時点の天気情報を開閉制御装置1へ送信する。
【0045】
つぎに、車両情報入力器24からの入力情報に基づいて、車両2が走行中であるか駐車中であるかを判定する(S30)。具体的には、車両2のエンジンのON/OFF状態やシフトポジション(ドライブ/パーキング)等に基づいて、車両2が走行中であるか駐車中であるかを判定する。
【0046】
S30で車両2が走行中であると判定した場合(S30:走行中)、位置検出器21及び地図データ入力器25等からの入力情報に基づいて車両2の現在位置、速度、走行経路を特定し、この特定した現在位置、速度、走行経路、及び情報センタ5から受信した天気情報に基づいて、現在位置から走行経路に沿って進行した際に到達する位置で降水が予測される降水予測領域を算出する(S40)。
【0047】
ここで、S40の走行中における降水予測領域の算出方法について、図4(a)に基づき模式的に説明する。図4(a)に示す例では、ナビゲーション装置20の経路案内機能によって予め目的地までの経路(設定経路)が設定されており、その経路に沿って車両2が走行している状況を想定している。この場合、目的地までの設定経路の進行方向前方を走行経路とし、車両2の現在位置と速度から今後の走行経路上における車両2の位置の予測推移を算出する。一方、情報センタ5から受信した天気情報に基づく現在位置周辺の現在の降水領域71及び降水をもたらす雲の動き72から、走行経路に沿った所定幅の降水予測範囲73内で今後の降水領域の予測推移を算出する。そして、車両2の位置の予測推移と、降水領域の予測推移とが重なる範囲を算出し、これを降水予測領域74とする。なお、目的地までの経路が設定されていない場合、地図データに基づいて、車両2が現在走行中の道路に沿った進行方向前方を走行経路として特定すればよい。
【0048】
図3のフローチャートの説明に戻る。S30で車両2が駐車中であると判定した場合(S30:駐車中)、位置検出器21及び地図データ入力器25等からの入力情報に基づいて車両2の現在位置(駐車位置)を特定し、この特定した現在位置及び情報センタ5から受信した天気情報に基づいて、駐車位置を中心とした所定範囲内で所定時間後おいて降水が予測される降水予測領域を算出する(S50)。
【0049】
ここで、S50の駐車中における降水予測領域の算出方法について、図4(b)に基づき模式的に説明する。図4(b)に示すように、情報センタ5から受信した天気情報に基づく駐車位置を中心とした所定範囲における降水領域71及び降水をもたらす雲の動き72から、所定時間後(例えば、数十分〜数時間後)までの降水領域の予測推移を算出し、これを降水予測領域75とする。
【0050】
図3のフローチャートの説明に戻る。S60では、車両2の現在位置がS40又はS50で算出した降水予測領域に所定の範囲まで近接しているか否かを判定する。ここで、車両2の現在位置がS40又はS50で算出した降水予測領域に所定の範囲まで近接していないと判定した場合(S60:NO)、S20の処理へ戻る。
【0051】
一方、車両2の現在位置がS40又はS50で算出した降水予測領域に所定の範囲まで近接していると判定した場合(S60:YES)、表示装置26を用いた画面表示及び音声出力装置27を用いた音声出力によって、降水領域に近接した旨のメッセージ及び開いているウィンドウ42及びルーフ44を自動的に閉める旨の予告メッセージ等を報知する。
【0052】
そして、開いているウィンドウ42及びルーフ44を閉めるための指示(閉鎖指示)をボディECU40へ出力する(S80)。
ボディECU40は、ナビゲーション装置20から出力された閉鎖指示に基づいて、ウィンドウ駆動機構41及びルーフ駆動機構43を制御する。具体的には、図5(a)に示すように、ウィンドウ42が開放状態であれば、このウィンドウ42を閉鎖し、図5(b)に示すように、ルーフ44が開放状態であれば、このルーフ44を閉鎖する。
【0053】
[効果]
本実施形態の開閉制御システムによれば、以下のような効果を奏する。
開閉制御装置1が情報センタ5から受信した雨、霧、霧雨、みぞれ、雪、あられ、ひょうといった降水状況あるいは降水をもたらす雲に関する天気情報に基づいて降水予測領域を算出し、この降水予測領域に到達する前に自動的にウィンドウ42やルーフ44を閉めることで降水等によってもたらされる不具合を事前に回避することができる。
【0054】
また、降雨予測領域に近接したことで自動的にウィンドウ42やルーフ44を自動的に閉める際に、その旨を表示装置26及び音声出力装置27によって車両2の乗員に対して報知することができる。これにより、天気の変化によってウィンドウ42やルーフ44が閉じられることを車両2の乗員が把握することができ、不審に感じるおそれを回避できる。
【0055】
また、駐車中においても、その駐車位置に降水予測領域が所定の範囲にまで近接した際に自動的にウィンドウ42やルーフ44を閉めることができる。これにより、駐車中に乗員が不在であっても、降水等によってもたらされる不具合を事前に回避することができる。
【0056】
なお、情報センタ5が送信する天気情報として、天気の観測情報を提供する機関等から収集した情報に基づいて蓄積された情報(天気情報データベース51)を用いる共に、各地を走行中のプローブカー6から随時送信されてくる地点情報に基づいて蓄積された情報(天気情報(プローブカー)データベース52)を用いることが可能である。このように、車両2が搭載する開閉制御装置1へ送信する天気情報としてプローブカー6から送信された精密な地点情報を利用することで、この天気情報を受信する車両2側において、より精度よく天気を予測することができる。そして、精度のよい天気予測に基づいて、効果的にウィンドウ42やルーフ44の開閉を制御することができる。
【0057】
[別実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り様々な態様にて実施することが可能である。
【0058】
例えば、上記実施形態では、開閉制御装置1が、情報センタ5から受信した天気情報から雨、霧、霧雨、みぞれ、雪、あられ、ひょう等の降水範囲を予測し、この降水予測範囲に基づいてウィンドウ42及びルーフ44の開閉の制御を行うが、情報センタ5から受信した天気情報における風の強さ、向きといった風の状況に関する情報や気圧に関する情報から、所定の強さ以上の強風が予測される範囲(強風予測範囲)を算出し、この予測した強風予測範囲に基づいてウィンドウ42及びルーフ44の開閉の制御を行うような構成であってもよい。これにより、強風によってもたらされる不具合を事前に回避することができる。
【0059】
また、情報センタ5では、天気の観測情報を提供する機関等から収集した情報に基づく天気情報を蓄積する天気情報データベース51と、各地を走行中のプローブカー6から随時送信されてくる地点情報に基づく天気情報を蓄積する天気情報(プローブカー)データベース52との両方のデータベースを用いて開閉制御装置1へ天気情報を送信する構成となっているが、何れか一方のデータベースを用いるような構成であってもよい。
【0060】
例えば、天気の観測情報を提供する機関等からの情報が非常に精度の高いものであれば、これに基づく天気情報(即ち、天気情報データベース51の天気情報)のみであっても、開閉制御装置1側で、精度の高い天気の予測を行うことができる。
【0061】
逆に、プローブカー6が数多く実用化されれば、各プローブカー6から送信された情報に基づいて、天気に関するより精密な地点情報を多数得ることができる。したがって、これに基づく天気情報(即ち、天気情報(プローブカー)データベース52の天気情報)のみであっても、開閉制御装置1側で、精度の高い天気の予測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施形態の開閉制御システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】車両2に搭載される開閉制御装置1の概略構成を示すブロック図である。
【図3】ナビゲーション装置20の制御回路29が実行する開閉制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】(a)は走行中における降水予測領域の算出方法を模式的に説明するための図であり、(b)は駐車中における降水予測領域の算出方法を模式的に説明するための図である。
【図5】(a)は車両2aのウィンドウ42の開閉の様子を示す説明図であり、(b)は車両(オープンカー)2bのルーフ44の開閉の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1…開閉制御装置、2…車両、5…情報センタ、6…プローブカー、20…ナビゲーション装置、21…位置検出器、21a…GPS受信機、21b…ジャイロスコープ、21c…距離センサ、22…操作スイッチ群、23a…リモコン、23b…リモコンセンサ、24…車両情報入力器、25…地図データ入力器、26…表示装置、27…音声出力装置、28…外部メモリ、29…制御回路、30…通信装置、40…ボディECU40、41…ウィンドウ駆動機構、42…ウィンドウ、43…ルーフ駆動機構、44ルーフ、51…天気情報データベース、52…天気情報(プローブカー)データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内を外部から遮蔽する自動開閉式の遮蔽手段の開閉を制御する開閉制御手段と、
天気情報を記憶する外部装置と通信可能な通信手段と、
前記通信手段を介して前記外部装置から前記天気情報を受信する情報受信手段と、
車両の現在位置、速度、走行経路を特定する走行状況特定手段と、
前記走行状況特定手段によって特定された現在位置、速度、及び走行経路と、前記情報受信手段によって受信された天気情報とに基づいて、前記走行経路上に沿った所定の範囲において、現在位置から前記走行経路に沿って進行した際に到達する位置で特定の天気になっていると予測される予測領域を算出する予測領域算出手段と、
前記予測領域算出手段によって算出された予測領域に車両が近接したか否かを判定する判定手段とを備え、
前記開閉制御手段は、前記判定手段によって前記予測領域に車両が近接したと判定された場合、開いている前記遮蔽手段を閉じること
を特徴とする開閉制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉制御装置において、
車両の乗員に対してメッセージを報知するための報知手段と、
前記判定手段によって前記予測領域に車両が近接したと判定された場合、その旨を前記報知手段を介して車両の乗員に報知する報知制御手段とを備えること
を特徴とする開閉制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の開閉制御装置において、
前記予測領域算出手段は、車両が駐車中の場合、前記情報受信手段によって受信された天気情報に基づいて、駐車位置周辺の所定範囲において所定時間内に特定の天気になると予測される予測領域を算出し、
前記判定手段は、前記予測領域算出手段によって算出された予測領域が駐車位置に近接している否かを判定し、
前記開閉制御手段は、前記判定手段によって前記予測領域が駐車位置に近接していると判定された場合、開いている前記遮蔽手段を閉じること
を特徴とする開閉制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の開閉制御装置において、
前記特定の天気は、雨、霧、霧雨、みぞれ、雪、あられ、ひょう、強風の少なくとも何れかであること
を特徴とする開閉制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の開閉制御装置と、
天気情報を記憶し、この天気情報を車両に搭載された前記開閉制御装置に対して送信する天気情報送信装置とを備えること
を特徴とする開閉制御システム。
【請求項6】
請求項5に記載の開閉制御システムにおいて、
前記天気情報送信装置が記憶する天気情報は、自車両の現在位置における天気を検知し、検知した天気と自車両の位置に関する情報を前記天気情報送信装置に対して送信するプローブカーから送信された情報に基づいて蓄積された情報を含むこと
を特徴とする開閉制御システム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の開閉制御装置における開閉制御手段、情報受信手段、走行状況特定手段、予測領域算出手段、及び判定手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−237789(P2007−237789A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−59678(P2006−59678)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】