説明

キナーゼ阻害活性を有するジアリール尿素

本発明はraf,VEGFR,PDGFR,p38および/またはFLT−3の少なくとも一つを含む信号形質導入経路に関連した病気および状態を処置するためアリール尿素を使用する方法を提供する。本発明はまた、本発明の化合物によって変調することができる状態および病気を同定するための組成物および方法を提供する。これらの方法は本発明の化合物によって効果的に処置することができる対象の選択を容易化する。加えて、本発明は本発明の化合物を投与された対象をモニターするための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ras信号形質導入経路の活性化は、細胞増殖、分化および形質転換に対し深いインパクトを有する出来事のカスケードを指示する。rasの下流エフェクターであるRafキナーゼは、細胞表面レセプターから細胞核へのこれら信号のキーメディエーターとして認められている(Lowy,D.R.;Willumsen,B.W.Ann.Rev.Biochem.1993,62,851;Bos.J.L.Cancer Res.1989,49,4682)。rafキナーゼに対する非活性抗体の投与により、または優生ネガティブrafキナーゼもしくはrafキナーゼの基質である優生ネガティブMEKの同時発現によりrafキナーゼ信号経路を阻害することにより、活性rasの効果を阻害することは、形質転換された細胞の正常表現型への逆転へ導くことが示された(Daum et al.Trends Biochem.Sci.1994,19,474−80;Fridman et al.J.Biol.Chem.1994,269,30105−8を見よ)。Kolch et al(Nature 1991,349,426−428)は、アンチセンスRNAによるrafキナーゼ発現の阻害は膜関連癌遺伝子において細胞増殖をブロックすることをさらに指示した。同様に、rafキナーゼの阻害(アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドによる)は、種々のヒト腫瘍タイプとインビボおよびインビトロにおいて相関した。(Monia et al.Nat.Med.1996,2,685−75)。Rafキナーゼ活性の小分子阻害剤は癌の処置のための重要な剤である(Nauman,U.;Eisnmann−Tappe,I.;Rapp,U.R.Recent Results Cancer Res.1997,143,237;Mania,B.P.;J.F.;Geiger,T.;Muller,M.;Fabbro,D.Nature Medicine 1996,2,663)。
【0002】
1−2mmのサイズをこえて進行性腫瘍の成長を支持するためには、線維芽細胞、平滑筋細胞、内皮細胞、細胞外マトリックスタンパク、および可溶性因子よりなる支持構造である機能的ストローマを必要とする(Folkman,J.,Semin Oncol.2002,29(6 suppl16),15−8)。腫瘍はPDGFのような可溶性成長因子および形質転換成長因子β(TGT−β)のような可溶性成長因子の分泌を通じてストローマ組織の形成を誘発し、このことが次に線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮細胞成長因子(EGF)および脈管内皮細胞成長因子(VEGF)のようなホスト細胞による相補因子の分泌を刺激する。これらの刺激因子は、腫瘍へ酸素および栄養を運び、そしてそれが成長しそして転移のためのルートを提供することを許容する、新しい血管の形成または脈管形成を誘発する。宿主ストローマ中で血管形成を誘発するため腫瘍によって利用される多数のキー信号経路に対して多能性活性を有する新規な剤の開発の需要が存在する。これらはストローマ形成の強力なスティミュレーターであるPDGF(Ostman,A.and C.H.Heldin,Adv.Cancer Res.2001,80,1−38)、線維芽細胞および内皮細胞に対するケモアトラクタントおよびミトゲンであるTGF、および脈管化の強化なレギュレーターであるVEGFを含む。
【0003】
PDGFは、パラクリン態様で多数の腫瘍によって分泌され、そして線維芽細胞、平滑筋および内皮細胞の成長を促進し、ストローマ形成および脈管形成を促進するストローマ形成の他のレギュレーターである。PDGFは当初サル内腫ウイルスのv−sis癌遺伝子生産物として同定された(Heldin,C.H.et al.,J.cell Sci suppl,1985,3,65−76)。この成長因子はA鎖およびB鎖と呼ばれる二つのペプチド鎖からできており、両者はそれらの主アミノ酸配列において60%相同性を占める。これらの鎖はAA,BBまたはABホモまたはヘテロダイマーのいずれかよりなる30kDa成熟タンパクを形成するように架橋したジサルファイドである。PDGFは血小板中に高いレベルで発見され、そして内皮細胞および脈管平滑筋細胞によって発現される。加えて、PDGFの生産は貧弱に脈管化された腫瘍組織に見られるような低酸素条件下で上方へ調節される(Kourembanas S.et al.,Kidney Int.1997,51(2),438−43)。PDGFは高い親和性をもって1106アミノ酸124kDa膜横断チロシンキナーゼレセプターであるPDGFレセプターへ結合する(Heldin,C.H.,A.Ostman,and L.Ronnstrand,Biochim Biophys Acta,1998,1378(1),79−113)。PDGFRはアミノ酸配列において全体として30%相同性とそしてそれらのキナーゼドメインの間で64%相同性を有するホモまたはヘテロダイマー鎖として見出される(Heldin,C.H.et al,Embo J.1988,7(5),1387−93)。PDGFRはVEGFR2(KDR),VEGFR3(Flt4),c−kitおよびFLT3を含むキナーゼドメインに分かれるチロシンキナゼレセプターのファミリーメンバーである。これらすべては腫瘍血管形成、成長および生存を促進する役目を持っている。PDGFレセプターは主として線維芽細胞、平滑筋細胞および周皮細胞上に、そして少ない程度でニューロン、腎臓メサンギウムおよび中枢神経系のLeydigおよびSchwann細胞上に発現される。
【0004】
そのレセプターへ結合する時、PDGFはレセプター二量化を誘発し、そしてチロシン残基の自家およびトランスホスフォリル化を受け、これがレセプターのキナーゼ活性を増強し、そしてSH2タンパク結合ドメインの活性化を通じて下流エフェクターの補充を促進する。PI−3−キナーゼ、ホスフォリパーゼC−ガンマ、srcおよびGAP(p21−rasのためのGTPファーゼ活性化タンパク)を含む多数の信号分子が活性化されたPDGFRと複合体を形成する(Soskic,V.et al.Biochemistry 1999,38(6),1757−64)。PI−3−キナーゼの活性化を通じて、PDGFはRho信号経路を活性化し、細胞生存性および移動性を誘発し、GAPの活性化を通じてp21−rasおよびMAPK信号経路の活性化によりミトゲン形成を誘発する。
【0005】
成人において、PDGFの主要な機能は創傷治癒の容易化と速度増大と、そして血管ホメオスタシスの維持であると信じられる(Baker,E.A.and D.J.Leaper,Wound Repair Regen,2000,865),392−8;Yn,J.A.Moon And H.R.kim,Biochem Biophys Res Commun,2001,282(3),697−700)。PDGFは血小板中に高濃度に見出され、そして線維芽細胞、平滑筋細胞、好中球およびマクロファージのための強力なケモアトラクタントである。創傷治癒における役割に加えて、PDGFは脈管ホモオスタシスの維持を助けることが知られている。新しい血管の発達の間、PDGFは血管の構造的一体性のために必要な周皮細胞および平滑筋細胞を補給する。PDGFは腫瘍新生脈管化の間も同様な役割を果すものと考えられる。脈管形成におけるその役割の一部として、PDGFは間隙流体圧力をコントロールし、結合組織細胞と細胞外マトリックス間の相互作用の調節を通じて脈管の透過性を調節する。PDGFR活性の阻害は間隙圧力を低下させ、腫瘍への細胞毒剤の流入を容易化し、これらの剤の抗腫瘍効果を改善することができる(Pietras,K.et al.Cancer Res,2002,62(19),5476−84;Pietras,K.et al,Cancer Res,2001,61(7),2929−34)。
【0006】
PDGFはストローマ細胞または腫瘍細胞上のPDGFRを直接オートクリンまたはパラクリン刺激することにより、または該レセプターの増幅または組換えによる該レセプターの活性化により、腫瘍成長を促進することができる。PDGFの過度の発現は、恐らくストローマ形成および血管形成の誘発に対するPDGFの直接効果によってPDGFを発現しない二つの細胞タイプ、ヒトメラノーマ細胞およびケラチノサイトを形質転換し得る(Forsberg,K.et al.Proc Natl Acad Sci USA,1993,90(2),293−7;Skobe,M.and N.E.Fusenig,Proc Natl Acad Sci USA,1998,95(3),1050−5)。この腫瘍ストローマのパラクリン刺激は、腫瘍がレセプターではなくPDGFを発現する、大腸、肺、乳房および前立腺のカルチノーマにも観察される(Bhardwaj,B.et al,Clin Caner Res,1996,2(4),773−82;Nakanishi,K.et al,Mod Pathol,1997,10(4),341−7;Sundberg,C.et al,Am J Pathol,1997,151(2),479−92;Lindmark,G.et al,Lab Invest,1993,69(6),682−9;Vigfnaud,J.M.et al,Cancer Res,1994,54(20),5455−63)。分析した腫瘍の大部分がリガンドPDGFとそのレセプターを発現する腫瘍細胞成長のオートクリン刺激は、膠芽腫(Fleming,T.P.et al,Cancer Res,1992,52(16),4550−3)、軟組織内腫(Wang,J.,M.D.Coltrera and A.M.Gown,Cancer Res,1994,54(2),560−4)、および卵巣癌(Henriksen,R.et al,Cencer Res,1993,53(19),4550−4)、前立腺(Fudge,K.,C.Y.Wang,and M.E.Stearns,Mod Pathol,1994,7(5),549−54)、膵臓(Funa,K.et al,Proc Natl Acad Sci USA,1992,89(9),3942−6)、および肺(Antoniades,H.N.et al,Proc Natl Acad Sci USA,1992,89(9),3942−6)において報告されている。このレセプターのリガンド非依存性活性化は少ない程度で見出され、しかし染色体配座イベントがEts様転写因子TELとPDGFレセプターの間の融合タンパクを生成する慢性骨髄単細胞白血病(CMML)中に報告されている。加えてPDGFRにおける突然変異の活性化は、c−kit活性化が含まれない胃腸ストローマ腫瘍中に報告されている(Heinrich,M.C.et al,Science,2003,9,9)。
【0007】
PDGFR阻害剤は腫瘍ストローマ発達を妨害し、そして過度の副作用なしで腫瘍成長および転移を阻害するであろう。腫瘍分泌PDGFに応答してストローマ細胞によって分泌されるVEGFおよびFGFのような追加因子がストローマ形成、血管形成および腫瘍発達において決定的役割を果す。
【0008】
胚芽発達およびある種の血管形成依存性疾病の両方における血管形成および脈管形成の他の主要なレギュレーターは脈管内皮細胞成長因子(VEGF,脈管透過性因子VPFとも呼ばれる)である。VEGFは代替RNAスプライシングによるホモダイマー形に存在するミトゲンのアイソフォームのファミリーを代表する。VEGFアイソフォームは脈管内皮細胞に対して高度に特異性であることが報告されている(レビューについて、Farrata et al,Endocr.Rev.1992,13,18;Neufield et al,FASEB J.1999,13,9を見よ)。
【0009】
VEGF発現は低酸素症(Shweiki et al,Nature 1992,359,843)により、そしてインターロイキン−1、インターロイキン−6、上皮細胞成長因子および形質転換成長因子のような種々のサイトカインおよび成長因子によって誘発される。今日までVEGFおよびVEGFファミリーメンバーは一以上の三つの膜横断レセプターチロシンキナーゼ(Mustonen et al,J Cell Biol,1995,129,895)へ、VEGFレセプター1(fit−1(fms様チロシンキナーゼ−1)としても知られる)、VEGFR−2(キナーゼドメイン含有レセプター(KDR)としても知られ、KDRのネズミ類縁体は胎児肝臓キナーゼ−1(f1k−1)として知られる)、およびVEGFR−3(f1t−4として知られる)と結合することが報告されている。KDRおよびf1t−1は異なる信号形質導入性質を持つことが示された(Waltenberger et al,J.Biol Chem,1994,269,26988;Park et al,Oncogene 1995,10,135)。このようにKDRはインタクトな細胞中で強いリガンド依存性チロシンホスフォリール化を受けるが、f1t−1は弱い応答を示す。このためKDRへの結合はVEGF仲介生物学的応答の全スペクトルの誘発のための決定的必要性である。
【0010】
インビボにおいてVEGFは脈管形性において中心的役割を果し、そして血管形成および血管の透過性化を誘発する。規制されないVEGF発現は、異常な血管形成および/または高透過性プロセスを特徴とする多数の病気の発展へ寄与する。VEGF仲介信号形質導入の規制は異常な血管形成および/または高透過性プロセスのコントロールのための有用なモードを提供するであろう。
【0011】
血管形成は腫瘍が約1−2mmをこえて成長するための重要な必須要件であると考えられる。酸素および栄養はこの限界より小さい腫瘍中の細胞へ拡散によって供給されることができる。しかしながらすべての腫瘍はそれが一定のサイズに達した後は継続して成長するためには血管形成に依存する。腫瘍の低酸素領域内の腫瘍形成性細胞は、新しい血管の形成を刺激するように無活動内皮細胞の活性化を引金するVEGF生産の刺激によって応答する(Shweiki et al,Proc Nat1 Acad Sci,1995,92,768)。加えて、血管形成がない腫瘍領域におけるVEGF生産はras信号形質導入経路を通って進行し得る(Grugel et al,J.Biol.Chem.1995,270,259 15;Rak et al,Cancer Res.1995,55,4575)。その場のハイブリダイゼーション研究は、VEGFmRNAが肺(Mattern et al,Br.J.Caner Res.1993,53,4727;Suzuki et al,Cancer Res.1995,56,3004),腎臓および膀こう(Brown et al,Am.J.Pathl.1993,1431,1255);卵巣(Olson et al,Cancer Res.1994,54,1255);および頸部(Guidi et al,J.Natl.Cancer Inst.1995,87,12137)カルチノーマ、それに血管肉腫(Hashimoto et al,Lab.Invest.1995,73,859)およびいくつかの頸蓋内腫瘍(Plate et al,Nature 1992,359,845;Phillips et al,Int.J.Oncol 1993,2,913;Berkman et al,J.Clin.Invest.1993,91,153)を含む、多種類のヒト腫瘍において強い上方調節されることが示された。KDRに対する中和モノクローナル抗体は腫瘍血管形成をブロックするに有効であることが示された(Kim et al,Nature 1993,362,841;Rockwell et al,Mol.Cell.Differ.1995,3,315)。
【0012】
例えば極端な低酸素症の条件下でのVEGFの過剰発現は眼内血管形成へ導き、最終的には失明へ導く血管の高増殖をもたらし得る。そのような出来事のカスケートは、糖尿病、網膜症、虚血性網膜静脈塞栓、および未熟網膜症を含む多数の網膜症について(Aiello et al,New Engl.J.Med.1994,331,1480;Peer et al,Lab.Invest.1995,72,638)および年令関連班退化(AMD,Lopez et al.Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.1995,37,855)について観察された。
【0013】
リュウマチ性関節炎(RA)においては、脈管パンヌスの内方成長は血管形成因子の生産によって仲介され得る。RA患者の滑液中では免疫反応性VEGFのレベルが高く、退化的関節症を有する関節炎の他の形の患者の滑液においてはVEGFレベルは低い(Koch et al,J.Immunol.1994,152,4149)。血管形成阻害剤AGM−170はラットコラーゲン関節炎モデルにおいて関節の新脈管化を阻止することが示された(Peacock et al,J.Exper.Med.1992,175,1135)。
【0014】
増加したVEGF発現は乾癬皮膚、それに水疱性天疱瘡、多形紅斑、疱疹状皮膚炎のような上皮下水疱形成に関連した水疱性障害にも示された(Brown et al,J.Invest.Dermatol.1995,104,744)。
【0015】
脈管内皮成長因子(VEGF,VEGF−C,VEGF−D)およびそれらのレセプター(VEGFR2,VEGFR3)は腫瘍血管形成ばかりでなく、リンパ管形成キーレギュレーターである。VEGF,VEGF−CおよびVEGF−Dは主として腫瘍成長の間、そしてしばしば実質的に増大したレベルにおいて大部分の腫瘍において発現される。VEGF発現は低酸素症、サイトカイン、rasのような癌遺伝子により、または癌抑制遺伝子の不活性化によって刺激される(McMahon,G.Oncologist 2000,5(Suppl.1),3−10;McDonald,N.Q;Hendrickson W.A.Cell 1993,73,421−424)。
【0016】
VEGFの生物学活性はそれらのレセプターへの結合を通じて仲介される。VEGFR3(F1t−4とも呼ばれる)は正常成人組織中のリンパ管内皮に発現される。VEGFR3機能は新しいリンパ管形成に必要であるが、しかし既存のリンパ管の維持には必要でない。VEGFR3は腫瘍中の血管内皮においても上方調節される。VEGFR3のリガンドであるVEGF−CおよびVEGF−Dは哺乳類のリンパ管形成のレギュレーターとして同定された。腫瘍関連リンパ管形成因子によって誘発されるリンパ管形成は腫瘍中へ新しい脈管の成長を促進し、全身循環への腫瘍細胞のアクセスを提供し得る。リンパ管へ侵入した細胞は胸管を経由して血流中へのそれらの進路を見出すことができる。腫瘍発現研究は、一次腫瘍が拡がる能力に直接関係する臨床病理学的要因(例えばリンパ節関与、リンパ管侵襲、二次的転移、および無病生存率)とのVEGF−C、VEGF−DおよびVEGFR−3の直接の比較を許容した。多くの場合、これら研究はリンパ球形成因子と一次固形腫瘍が転移する能力との間に統計学的相関性を証明した(Skobe,M.et al,Nature Med.2001,7(2),192−198;Sacker,S.A.et al,Nature Med.2001,7(2),186−191;Makinen,T.et al,Nature Med.2001,7(2),199−205;Mandriota,S.J.et al,EMBO J.2001,20(4),672−82;Karpanen,T.et al,Cancer Res.2001,61(5),1786−90;Kubo,H.et al,Blood 2000,96(2),546−53)。
【0017】
低酸素症は癌細胞におけるVEGF生産のための重要な刺激であるらしい。p38MAPキナーゼの活性化が低酸素症に応答して腫瘍細胞によるVEGF誘発のために必要である(Blaschke,F.et al,Oral Oncology 2002,38,251−257)。VEGF分泌の調節を通ずる血管形成長への関与に加えて、p38MAPキナーゼは、癌細胞侵入、およびコラゲナーゼ活性の調節およびウロキナーゼプラスミノゲンアクチベーター発現を通じて異なるタイプの腫瘍の移動を促進する(Lafferriere,J.et al.Biol.Chem.2001,276,33762−33772;Westermarck,J.et al,Cancer Res.2000,60,7156−7162;Huang,S.et al,J.Biol.Chem,2000,275,12266−12272;Simon,C.et al,Exp.Cell Res,2001,271,344−355)。それ故p38キナーゼの阻害は血管形成および癌細胞侵入に関連する信号カスケードを妨害することにより、腫瘍成長にインパクトを与えることが期待される。
【0018】
いくつかのジアリール尿素は、セリン−スレオニンキナーゼおよびチロシンキナーゼ阻害剤としての活性を有するとして記載されている。癌、血管形成障害および炎症性障害のための医薬組成物の活性成分としての有用性が示されている。以下の文献を参照。Redfman et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.2001,11,9−12;Smith et al.,Bioorg,med.Chem.Lett.2001,11,2775−2778;Dumas et al,Bioorg,Med.Chem.Lett.2000,10,2047−2050;Dumas et al.,Bioorg,Med.Chem.Lett.2000,10,2051−2054;Ranger et al.,Book of Abstracts,220th ACS National Meeting,Washington,DC,USA,MEDI 149;Dumas et al.,Bioorg,Med.Chem.Lett.2002,12,1559−1562;Lowinger et al.,Clin Cancer Res.2000,6(suppl.),335;Lyons et al.,Endocr−Relat.Cancer 2001,8,219−225,Riedl et al.,Book of Abstracts,92nd AACR Meeting,New Orleans,LA,USA,abstract 4956;Khire et al.,Book of Abstracts,93rd AACR Meeting,San Francisco,CA,USA,abstract 4211;Lowinger et al.,Curr.Pharm.Design 2002,8,99−110;Regan et al.,J.Med.Chem.2002,45,2994−3008;Pargellis et al.,Nature Struct.Biol.2002,9(4),268−272;Carter et al.,Book of Abstracts,92nd AACR Meeting,New Orleans,LA,USA,abstract 4954;Vincent et al.,Book of Abstracts,38th ASCO Meeting,Orlando,FL,USA,abstract 1900;Hilger et al.,Book of Abstracts,38th ASCO Meeting,Orlando,FL,USA,abstract 1916;Moore et al.,Book of Abstracts,38th ASCO Meeting,Orjlando,FL,USA,abstract 1816;Strumberg et al.,Book of Abstracts,38th ASCO Meeting,Orjlando,FL,USA,abstract 121;Madwed JB;Book of Abstracts,Protein Kinases;Novel Target Identification and Validation for Therapeutic Development,San Diego,CA,USA,March 2002;Roberts et al.,Book of Abstracts,38th ASCO Meeting,Orlando,Fl,USA,abstract 473;Tolcher et al.,Book of Abstracts, 38th ASCO Meeting,Orjlando,abstract 334;and Karp et al.,Book of Abstracts,38th AACR Meetingt,San Francisco,CA,USA,abstract 2753.
技術の進歩にも拘らず、追加の処理に対する需要があり続ける。
【発明の開示】
【0019】
本発明は、raf,VEGFR2,VEGFR3および/またはPDGFR−ベータを含むがこれに限らない信号形質導入経路に関連した、ヒトおよび他の哺乳類の状態および病気を処置、緩和、予防、変調等のための方法を提供する。本発明の好ましい方法は、raf,VEGFR2,VEGFR3および/またはPDGFR−ベータに関連した病気および状態の変調を提供する。該方法は、例えば以下に記載するアリール尿素化合物、その薬学的に許容し得る塩、その誘導体等を投与することを含むことができる。
【0020】
本発明はまた、本発明の化合物によって変調することができる状態および病気を同定するための方法を提供する。これらの方法は、本発明の化合物で効果的に処置することができる対象の選定を容易化する。加えて本発明は、本発明の化合物を投与した対象をモニターする方法を提供する。これは、例えば、種々の病気および状態の処置において本発明の化合物の有効性を決定し、そして処置養生法を決定することを含む。
【0021】
本発明の方法に使用されるアリール尿素化合物は、ここでは「本発明の化合物」と集合的に呼ぶ、式Iの化合物、その薬学的に許容し得る塩、そのエステル、その立体異性体(単離したものおよび混合物)、そのプロドラッグ、およびその任意の活性誘導体を含む。
【0022】
式Iは以下のとおりである。
B−NH−C(O)−NH−L−M−L’−(Q)1−3 (I)
【0023】
式中、Bは、次の(i)ないし(iv)よりなる群から選ばれる。
(i)任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換されたフェニル;
(ii)任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換されたナフチル;
(iii)任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換された、O,NおよびSよりなる群から独立に選ばれた1〜3のヘテロ原子を持っている5および6員単環ヘテロアリール基;および
(iv) 8ないし10員の2環ヘテロアリール基であって、第1の環は式IのNHへ結合し、そしてO,NおよびSよりなる群から独立に選ばれた1〜3のヘテロ原子を含み、第2の環は3ないし4個の炭素原子を使用して第1の環へ縮合している2環ヘテロアリールである。この2環ヘテロアリール基は任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換されている。
【0024】
Lは次の(i)ないし(iv) よりなる群から選ばれる。
(i)任意にC1 −C5 直鎖もしくは分岐アルキル、C1 −C5 直鎖もしくは分岐ハロアルキル、C1 −C3 アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1 −C3 アルキルアミノ、C1 −C6 ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換されたフェニル;
(ii) 任意にC1 −C5 直鎖もしくは分岐アルキル、C1 −C5 直鎖もしくは分岐ハロアルキル、C1 −C3 アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1 −C3 アルキルアミノ、C1 −C6 ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換されたナフチル;
(iii)任意にC1 −C5 直鎖もしくは分岐アルキル、C1 −C5 直鎖もしくは分岐ハロアルキル、C1 −C3 アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1 −C3 アルキルアミノ、C1 −C6 ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換された、O,NおよびSよりなる群から独立に選ばれた1〜3のヘテロ原子を有する5および6員単環ヘテロアリール基;
(iv) 任意にC1 −C5 直鎖もしくは分岐アルキル、C1 −C5 直鎖もしくは分岐ハロアルキル、C1 −C3 アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1 −C3 アルキルアミノ、C1 −C6 ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換された、O,NおよびSよりなる群から独立に選ばれた1〜3のヘテロ原子を有する8ないし10員の2環ヘテロアリール基。
【0025】
Mは、
(a)−(CH2 m −O−(CH2 1 −、
(b)−(CH2 m −(CH2 1 −、
(c)−(CH2 m −C(O)−(CH2 1 −、
(d)−(CH2 m −NR3 −(CH2 1 −、
(e)−(CH2 m −NR3 C(O)−(CH2 1 −、
(f)−(CH2 m −S−(CH2 1 −、
(g)−(CH2 m −C(O)NR3 −(CH2 1 −、
(h)−(CH2 m −CF2 −(CH2 1 −、
(i)−(CH2 m −CCl2 −(CH2 1 −、
(j)−(CH2 m −CHF−(CH2 1 −、
(k)−(CH2 m −CH(OH)−(CH2 1 −、
(l)−(CH2 m −C≡C−(CH2 1 −、
(m)−(CH2 m −C≡C−(CH2 1 −、
(n)−(CH2 m −CR−(CH2 1 −、
(o)mおよびlが0の場合の単結合、
よりなる群から選ばれ、ここで変数mおよび1は独立に0〜4から選ばれた整数である。
【0026】
L'は次の(i)ないし(viii)よりなる群から選ばれる。
(i)任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれたQ以外の追加の1〜2の置換基で置換されたフェニル;
(ii) 任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれたQ以外の追加の1〜2の置換基で置換されたナフチル、
(iii)任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノ、ニトロおよびオキサイド(例えば=O,−O- または−OH)よりなる群から独立に選ばれたQ以外の追加の1〜2の置換基で置換された、O,NおよびSよりなる群から独立に選ばれた1〜3のヘテロ原子を持っている5および6員単環ヘテロアリール基;
(iv) 任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノ、ニトロおよびオキサイド(例えば=O,−O- または−OH)よりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換された、O,NおよびSよりなる群から独立に選ばれたQ以外の追加の1〜2のヘテロ原子を持っている8ないし10員2環ヘテロアリール基;
(v)任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノ、ニトロおよびオキサイド(例えば=O,−O- または−OH)よりなる群から独立に選ばれたQ以外の追加の1〜2の置換基で置換された、飽和および部分的飽和C3 −C6 単環炭素環基;
(vi) 任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれたQ以外の追加の1〜2の置換基で置換された飽和および部分的飽和C8 −C102環炭素環基;
(vii)任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノ、ニトロおよびオキサイド(例えば=O,−O- または−OH)よりなる群から独立に選ばれたQ以外の追加の1〜2の置換基で置換された、O,NおよびSよりなる群から独立に選ばれた1〜3のヘテロ原子を持っている飽和および部分的飽和5および6員単環複素環基;
(viii) 任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノ、ニトロおよびオキサイド(例えば=O,−O- または−OH)よりなる群から独立に選ばれたQ以外の追加の1〜2の置換基で置換された、O,NおよびSよりなる群から独立に選ばれた1〜3のヘテロ原子を持っている飽和および部分的飽和8ないし10員2環複素環基。
【0027】
ここで各Qは独立に、C(O)R,C(O)ORおよびC(O)NRであり;RないしRは独立に、
(a)水素、
(b)C−C直鎖、分岐または環状アルキル、
(c)フェニル、
(d)アルキル部分が任意にペルハロまでハロゲンで任意に置換されたC−Cアルキル−フェニル、
(e)ペルハロまで置換されたC−C直鎖、分岐アルキル、
(f)−(CH−Xであって、ここでXは飽和、部分飽和もしくは芳香性のO,NおよびSから選ばれた1〜4原子を含んでいる5または6員単環複素環か、またはO,NおよびSからなるヘテロ原子1〜4を有する8ないし10員2環ヘテロアリールであり、そしてここで前記アルキル部分は任意にペルハロまでハロゲン
置換されて
おり;
ここでペルハロ置換C−C直鎖、分岐アルキル以外のR−Rの各自は、任意にC−C直鎖または分岐アルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から選ばれた1−3の置換基で置換されており;
ここで変数pは0,1または2から選ばれた整数であり、変数qは0,1,2,3または4から選ばれた整数である。
【0028】
式Iにおいて、好適なヘテロアリール基は限定でなく、一以上の環の1−4の炭素原子が酸素、窒素またはイオウによって置換されることができる単環および少なくとも環の一つが芳香環である2環を含んでいる5−10員環系を含む。2環系においては各環は3−7原子を持つことができる。
【0029】
「単環ヘテロアリール」とは、5ないし6の環原子を有し、少なくともその一つはN,OおよびSよりなる群から選ばれたヘテロ原子であり、残りは炭素である芳香単環を意味する。この基に2以上のヘテロ原子が存在する時、それらは他のものと独立に選ばれ、そのためそれは同じかまたは異なることができる。単環ヘテロアリール基は、限定でなくピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジンおよびトリアジンを含む。
【0030】
「2環ヘテロアリール」は、環の一つが上に記載した単環ヘテロアリール環であり、第2の環がベンゼンか、または上に記載した単環ヘテロアリール環である縮合双環基を意味する。2環基中の両方の環がヘテロアリール環である時、それらは、この分野で既知の手段により化学的にアクセス可能である限り、同じでも異なっても良い。2環ヘテロアリール環は、例えば限定でなくベンゾオキサゾール(縮合フェニルおよびオキサゾール)、キノリン(縮合フェニルおよびピリジン)、イミダゾピリミジン(縮合イミダゾールおよびピリミジン)等を含む、合成可能な5−5,と6−6縮合2環芳香環構造を含む。
【0031】
語句「酸素、窒素およびイオウより選ばれた少なくとも1個を含み、飽和、部分飽和または芳香環である5員または6員複素環」とは、限定でなく、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピペリジノン、テトラヒドロピリミドン、ペンタメチレンサンファイド、テトラメチレンサルファイド、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン、ジヒドロチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン等を含む。
【0032】
用語「C−Cアルキルフェニル」は、限定でなく、3−フェニルプロピル、2−フェニル−1−メチルエチルを含む。置換した例は、2−〔2−クロロフェニル〕エチル、3,4−ジメチルフェニルメチル等を含む。
【0033】
式IのB,LおよびL’のような本発明の化合物のための好適な置換および未置換ヘテロアリール基は、限定でなく以下の単環ヘテロアリール基を含む。
【0034】
2−および3−フリル、2−および3−チエニル、2−および4−トリアジニル、1−,2−および3−ピロリル、1−,2−,4−および5−イミダゾリル、1−,3−,4−および5−ピラゾリル、2−,4−および5−オキサゾリル、3−,4−および5−イソオキサゾリル、2−,4−および5−チアゾリル、3−,4−および5−イソチアゾリル、2−,3−および4−ピリジル、2−,4−,5−および6−ピリミジル、1,2,3−トリアゾール−1−,4−および5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−,3−および5−イル、1−および5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾル−4−および5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−および5−イル、1,3,4−チアジアゾル−2−および5−イル、1,3,4−チアジアゾル−2−および5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−および5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−および5−イル、2−,3−,4−,5−および6−2H−チオピラニル、2−, 3−および4−4H−チオピラニル、3−および4−ピリダジニル、2−および3−ピラジニル。
【0035】
該基は以下のような2環複素環基を含む。
ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンズ−1,3−オキサジアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ピラゾロ〔3,4−b〕ピリミジニル、プリニル、ベンゾジアジン、プラリジニル、ピロロ〔2,3−b〕ピリジニル、ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジニル、オキサゾ〔4,5−b〕ピリジニル、イミダゾ〔4,5−b〕ピリジニル、ヘクロペンテノピリジン、シクロヘキサノピリジン、シクロペンタノピリミジン、シクロヘキサノピリミジン、シクロペンタノピラジン、シクロヘキサノピラジン、シクロペンタノピリダジン、シクロヘキサノピリダジン、シクロペンタノイミダゾール、シクロヘキサノイミダゾール、シクロペンタノチオフエンおよびシクロキサノチオフエン。
【0036】
ヘテロ原子を含まない好適なアリール基は、例えばフェニル、1−および2−ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニル、ベンゾシクロブタニル、ベンゾシクロヘプタニルおよびベンゾシクロヘプテニルを含む。
【0037】
好適な直鎖アルキル基および例えばアルコキシ、アルキルフェニルおよびアルキルヘテロアリール等の基のアルキル部分は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル等を含む。好適な分岐アルキル基はイソプロチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル等のようなすべての分岐異性体を含む。
【0038】
用語「アルコキシ」は、直鎖または1回もしくは多数回分岐の分岐飽和炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルコキシ基を意味し、そしてメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ等を含む。それは2,2−ジクロロエトキシ、トリフルオロメトキシ等のハロゲン化基をも含む。
【0039】
「C−Cアルキルミノ」は、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノまたはイソプロピルアミノを意味する。C−Cジアルキルミアノ基の例は、限定でなく、ジエチルアミノ、エチルイソプロピルアミノ、メチルイソブチルアミノ、ジヘキシルアミノを含む。
【0040】
好適なハロゲン基はF,C1および/またはIを含み、アルキル基がハロゲンで置換される場合は1からペル置換(すなわち基上のすべてのHがハロゲンで置換される)が可能であり、与えられた基に対してハロゲンの混合置換も可能である。好ましいハロゲンはCl,BrおよびFである。
【0041】
用語「ペルハロまで置換された直鎖および分岐アルキル」は、1つのアルキル水素がハロゲンで置換されたアルキル基、すべての水素がハロゲンで置換されたアルキル基、2以上であるがしかし全部より少ないアルキル水素がハロゲンで置換されたアルキル基、およびハロゲンと他の置換基で置換された水素を有するアルキル基を含む。その例はクロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル等を含む。
【0042】
用語「シクロアルキル」とは、ここではシクロプロピル、シクロブチルおよびシクロペンチルのような環中に3〜8員を有する環状構造と、そして例えば「C3 シクロアルキルはメチル置換シクロプロピルを含むように、アルキル置換基を有する3〜8員を有する環状構造をいう。
【0043】
用語「飽和炭素環基」は、環状構造のみ、すなわちシクロペンチル、シクロヘキシル等を定義する。これらの環状構造上のどのようなアルキル置換も特定的に同定される。
【0044】
飽和単環および2環炭素環基はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびデカヒドロナフタレンを含む。
【0045】
部分的飽和単環および2環炭素環基は、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、およびテトラヒドロナフタレンを含む。
【0046】
飽和単環および2環複素環基は、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサニル、モルホリニル、チオモルホニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジノニル、テトラヒドロピリミドニル、ペンタメチレンサルファイド、およびテトラメチレンサルファイドを含む。
【0047】
部分的飽和単環および2環複素環基は、ジヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロピペリジニル、およびジヒドロピリミドニルを含む。
【0048】
どれかの基が置換されている時は、指示した置換基の最大数まで可能であり、そして各置換基は該基上のどの利用し得る位置に位置することができ、そして置換基上のどの利用できる原子を介して結合することができる。「どの利用し得る位置」とは、この分野で既知の手段またはここに教示した手段によって化学的に可能であり、そして不当に不安定な分子を生成しない該基上の任意の位置を意味する。どれかの基上に二以上の置換基が存在する時は、各置換基は他の置換基と独立して定義され、従って同一又は異なることができる。
【0049】
用語「任意に置換された」とは、該基は未置換か、または同定した置換基で置換されても良いことを意味する。
【0050】
L’がピリジンである場合、ピリジン置換基としての用語「ヒドロキシ」は、2−,3−および4−ヒドロキシピリジンを含むのみならず、この分野で1−オキソピリジンおよび1−ヒドロキシピリジンと呼ばれる構造を含むことを理解すべきである。
【0051】
化合物、塩等の用語の複数形がここで使用される場合、単一の化合物、塩等をも意味する。
【0052】
BおよびL’の置換構造は、好ましくは各自独立にメチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、Cl,BrおよびF、シアノ、ニトロ、シドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノよりなる群から選ばれる。
【0053】
BおよびL’のための他の置換基は、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、ブロモフェニル、ジブロモフェニル、クロロピリジニル, ブロモピリジニル、ジクロロピリジニル、ジブロモピリジニル、メチルフェニル、メチルピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、イソインドリニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリニル、イミダゾリニル、チエニル、フリル、イソオキサゾリニル、イソチアゾリニル、ベンゾピリジニル、ベンゾチアゾリル、
1 −C5 アシル;
アミノフェニルのようなNH(C1 −C5 アルキル、フェニルまたはピリジニル);
ジエチルアミノおよびジメチルアミノのようなN(C1 −C5 アルキル)(C1 −C5 アルキル、フェニルまたはピリジニル);
メタンスルホニルのようなS(O)q (C1 −C5 アルキル;S(O)q H;
SO2 NH2
SO2 NH(C1 −C5 アルキル);
SO2 N(C1 −C5 アルキル)(C1 −C5 アルキル);
NHSO2 (C1 −C5 アルキル);
N(C1 −C5 アルキル)SO2 (C1 −C5 アルキル);
C(O)(C1 −C6 アルキルまたはフェニル);
C(O)H;
C(O)OCH3 ,C(O)OCH2 CH3 のようなC(O)O(C1 −C6 アルキルまたはフェニル);
C(O)OCH2 CH2 CH3
C(O)OH;
C(O)NH2 (カルバモイル);
N−メチルエチルカルバモイル、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、またはN−ジメチルアミノエチルカルバモイルのようなC(O)NH(C1 −C6 アルキルまたはフェニル);
N−ジメチルカルバモイルのようなC(O)NH(C1 −C6 アルキルまたはフェニル)(C1 −C6 アルキルまたはフェニルまたはピリジニル);
ジメチルカルバモイル;
C(N(C1 −C5 アルキル)(C1 −C5 アルキル);
NHC(O)(C1 −C6 アルキルまたはフェニル);および
N(C1 −C5 アルキル)C(O)(C1 −C5 アルキル);
を含む。上の置換基の各自は、ジフルオロメチルスルホニルのように任意に部分的または完全にハロゲン化される。
【0054】
本発明の一具体例は、式I,L,BおよびL’が以下の組合わせに従う本発明の化合物の投与を含む。
【0055】
B=フェニル、L=フェニル、L’=フェニル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、または存在しない;
B=フェニル、L=ピリジニル、L’=フェニル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、または存在しない;
B=フェニル、L=ナフチル、L’=フェニル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、または存在しない;
B=ピリジニル、L=フェニル、L’=フェニル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、または存在しない;
B=ピリジニル、L=ピリジニル、L’=フェニル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、または存在しない;
B=ピリジニル、L=ナフチル、L’=フェニル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、または存在しない;
B=イソキノリニル、L=フェニル、L’=フェニル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、または存在しない;
B=イソキノリニル、L=ピリジニル、L’=フェニル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、または存在しない;
B=イソキノリニル、L=ナフチル、L’=フェニル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、または存在しない;
B=キノリニル、L=フェニル、L’=フェニル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、または存在しない;
B=キノリニル、L=ピリジニル、L’=フェニル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、または存在しない;
B=キノリニル、L=ナフチル、L’=フェニル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、または存在しない。
【0056】
式Iの構造Mは、好ましくは−O−,単結合、−S−,−NH−,−N(CH3 )−,−NHCH2 −,−NC2 4 −,−CH2 −,−C(O)−,−CH(OH)−,−NHC(O)N(CH3 )CH2 −,−N(CH3 )C(O)N(CH3 )CH2 −,−CH2 C(O)N(CH3 )−,−C(O)N(CH3 )CH2 −,−NHC(O)−,−N(CH3 )C(O)−,−C(O)N(CH3 )−,−C(O)NH−,−CH2 O−,−CH2 S−,−CH2 N(CH3 )−,−OCH2 −,−CHF−,−CF2 −,−CCl2 −,−S−CH2 −,およびN(CH3 )CH2 −である。
【0057】
特に関心ある本発明の化合物はL’,L,MおよびQが上で定義したとおりであり、そしてBが任意に1−4のハロゲンで置換されたフェニルである式Iの化合物を含む。
【0058】
特に関心ある本発明の化合物はL,L’およびQが上で定義したとおりであり、Mが−O−であり、そしてBが任意に1−4のハロゲンで置換されたフェニルである式Iの化合物を含む。
【0059】
特に関心ある本発明は、Bが任意にRおよびハロゲンから独立して選ばれた1−6の置換基で置換されたフェニルまたはピリジンルであり、L’およびQが上で規定したとおりであり、Mが−O−であり、そしてLが任意に1−4のハロゲンで置換されたフェニルである式Iの化合物を含む。
【0060】
特に関心ある本発明の化合物は、Bが任意にRおよびハロゲンよりなる群から独立して選ばれた1−6の置換基で置換されたフェニルであり、L’およびQが上で規定したとおりであり、Mが−O−であり、そしてLが任意に1−4のハロゲンで置換されたフェニルである式Iの化合物を含む。
【0061】
特に関心ある本発明の化合物は、Bが任意にRおよびハロゲンよりなる群から選ばれた基によって置換された4−クロロ(2−トリフルオロメチル)フェニルであり、L’およびQが上で定義したとおりであり、Mが−O−であり、そしてLが任意に1−4のハロゲンで置換されたフェニルである式Iの化合物を含む。
【0062】
当業者は、式Iの化合物のあるものは異なる幾何異性体形で存在できることを認識するであろう。すべてのそのような構造(エナンチオマーおよびジアステレオマーを含む)が本発明の範囲内に含まれることが意図される。式Iの化合物の多数が種々の置換基の位置および性格に応じて不斉中心を有し、それ故ラセミおよび光学活性形で、それにそれらのラセミまたは非ラセミ混合物の形で、そしてジアステレオマーおよびジアステレオマー混合物の形で存在し得る。不斉炭素原子は(R)または(S)構造、または(R,S)構造において存在し得る。ある場合には、不斉は与えられた結合、例えば特定の化合物の二つの置換芳香環と隣接する中心結合手のまわりの制限された回転によっても存在することができる。シス異性体、トランス異性体、ジアステレオマー混合物、ラセミ体、エナンチオマーの非ラセミ混合物、実質上純粋および純粋エナンチオマーを含む。これらすべての混合物が本発明の化合物の範囲内であると考えられ、そして本発明の化合物を参照する時集合物にそのように呼ばれる。それ故本発明の方法は、c−raf,b−raf,p38,VEGFR,PDGFRおよび/またはFLT−3活性を有する、式Iに記載された化合物の任意の単離されたラセミまたは光学活性形の使用を包含する。
【0063】
エナンチオマーおよびジアステレオマー混合物の分離方法は当業者に良く知られている。光学異性体は、慣用のプロセスに従って、例えば光学活性酸または塩基を使用してジアスステレオマー塩の形成によって、ラセミ体混合物の分割により得ることができる。適切な酸の例は酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、およびカンファースルホン酸である。ジアステレオマーの混合物は、それらの物理学的相違を基にして当業者に既知の方法により、例えばクロマトグラフィーまたは分別結晶によってそれらの個々のジアステレオマーに分離することができる。光学活性塩基または酸は分離されたジアステレオマー塩から遊離される。
【0064】
光学異性体の分離のための他のプロセスは、エナンチオマーの分離を最大にするように最適に選んだキラールクロマトグラフィーカラム(例えばキラールHPLCカラム)の使用を含む。好適なキラールHPLCカラムはダイセルによって製造されたChiracel OBおよびOJである。式Iの光学活性化合物は光学活性出発物質を利用して同様に得ることができる。
【0065】
本発明は、Raf,VEGFR,PDGFR,p38および/またはFLT−3活性、および/またはここで述べる病気および/または状態のどれかの変調に有効性を有する、式Iの化合物のどのような分離された、単離された、純粋または部分的精製した異性体またはラセミ混合物を包含する。用語「立体異性体」は、ジアステレオマー、エナンチオマー、幾何異性体等を包含するものと理解される。
【0066】
好ましい化合物は、一層望ましい活性を誘発する式Iの化合物の絶対配位を持つ化合物であり、やはり本発明の範囲内に含まれる。前記異性体の精製および前記異性体混合物の分離は当分野で知られた標準的技術によって達成することができる。ここでは実質的に純粋なエナンチオマーは対応する反対のエナンチオマーの5%w/wが存在しないことを意味する。
【0067】
これらの化合物の薬学的に許容し得る塩およびこれらの化合物の普通に使用されるプロドラッグも本発明の範囲内である。用語「薬学的に許容し得る塩」は、本発明の化合物の比較的無毒性の無機または有機酸付加塩をいう。例えば、S.M.Berge et al.“Phamaceutical Salts,”J.Pharm.Sci.1977,66,1−19を参照。
【0068】
好適な塩は、特に式Iの化合物の薬学的に許容し得る塩、または例えば式Iの化合物の有機または無機酸付加塩のような塩である。好適な酸付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、ケイ皮酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、イタコン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩を含む。好適な無機酸は、限定でなく、ハロゲン酸(塩酸および臭化水素酸のような)、硫酸またはリン酸を含む。好適な有機酸は、限定でなく、カルボン酸、スルフォン酸またはスルファミン酸を含み、その例は酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、デカン酸、トリフルオロ酢酸、ドデカン酸、グリコール酸、乳酸、2−または3−ヒドロキシ酪酸、γ−アミノ酪酸(GABA)、グルコン酸、グルコースモノカルボン酸、安息香酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、グルタル酸、ガラクタリン酸、アミノ酸(グルタミン酸、アスパラギン酸、N−メチルグリシン、アセチルアミノ酢酸、N−アセチルアスパラギン、またはN−アセチルシスティンのような)、ピルビン酸、アセト酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、ホスフォセリン、および2−または3−グリセロリン酸を含む。
【0069】
加えて、薬学的に許容し得る塩は、アルカリカチオン(例えばLi+ ,Na+ またはK+ )、アルカリ土類カチオン(例えばMg+2,Ca+2またはBa+2)、アンモニウムカチオンのような無機塩基の酸塩、それにトリエチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミン、リジン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4ージアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネンー5(DBN)、および1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7(DBU)のプロトン化またはペルアルキル化から生ずるような脂肪族および芳香族置換アンモニウムおよび4級アンモニウムカチオンを含む有機塩基の酸塩を含む。
【0070】
塩基塩は、カリウムおよびナトリウムのようなアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウムのようなアルカリ土類金属塩、およびジシクロヘキシルアミンおよびN−メチル−D−グルカミンのような有機塩基のアンモニウム塩を含む。加えて、塩基性窒素含有基は、メチル、エチル、プロピルおよびブチルクロライド、ブロマイドおよびヨーダイドのような低級アルキルハライド、ジメチル、ジエチルおよびジブチルサルフェートのようなジアルキルサルフェート、およびジアミルサルフェート、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルクロライド、ブロマイドおよびヨーダイドのような長鎖ハライド、ベンジルおよびフェネチルブロマイド等のようなアラルキルハライドで4級化することができる。
【0071】
本発明の適切な化合物のエステルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルまたはペンチルエステルのようなよく耐えられる薬学的に許容し得るエステルである。フェニルC−Cアルキルのような追加のエステルも使用し得るが、メチルエステルが好ましい。
【0072】
プロドラッグの形成は親化合物の性質を増強するためのこの分野では良く知られている。そのような性質は、溶解度、吸収、バイオアベイラビリティおよび放出時間を含む(Phamacecctical Dosage Form and Drug Delivery Systems(Sixth Edition),edited by Ancel et al.,pubished by Williams & Wilkins,pages 27−29(1955)参照。これは参照としてここに取り入れる)。開示されたオキサゾリル−フェニル−2,4−ジアミノピリミジン化合物の普通に使用されるプロドラッグは、主要な薬物バイオトランスフォーメーション反応の利益を得るために設計され、そして本発明の範囲内であると考えるべきである。主要な薬物バイオトランスフォーメーション反応は、N−デアルキル化、Oーデアルキル化、脂肪族ヒドロキシル化、芳香族ヒドロキシル化、N−酸化、S−酸化、デアミノ化、加水分解反応、グルクロナイド化、サルフェート化およびアセチル化を含む(Goodman and Gilman’s The Phamacological Basis of Therapeutics(Ninth Edition),edited Molinoff et al.,published by McGraw−Hill,pages 11−13(1996)を見よ。これを参照としてここに取れ入れる)。
【0073】
本発明は、限定でなく、raf,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGFR−β,および/またはFlt−3を含む一以上の信号形質導入経路を変調することができる化合物を提供する。Rafは、細胞生育、細胞生存および侵入を含む、多数のキー細胞プロセスの調節に関与する重要な信号分子である。それはRas/Raf/MEK/ERK経路の一員である。この経路は大多数の腫瘍細胞内に存在する。VEGFR−2,VEGFR−3,PDGFR−βおよびFlt−3は膜横断レセプター分子であり、それは適切なリガンドによって刺激される時、Ras/Raf/MEK/ERK細胞信号経路を引金し、細胞出来事のカスケードへ導びく。これらレセプター分子の各自はチロシンキナーゼ活性を持っている。
【0074】
VEGFRレセプターは脈管内皮成長因子(VEGF)によって刺激され、そして内皮細胞発達および機能の調節において重要なコントロールポイントである。VEGF−βレセプターは、間葉細胞を含む多数の細胞タイプにおける細胞増殖および生存を規制する。Flt−3はFLリガンドのためのレセプターである。これはc−kitに構造的に似ており、そして多能性造血細胞の成長を変調し、T−細胞、B−細胞および樹状細胞の発達に影響する。
【0075】
野生タイプおよび変異性を含む、raf,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGF−β、および/またはFit−3の任意の遺伝子またはイソフォームが本発明に従って変調されることができる。Rafまたはraf−1キナーゼは少なくとも3種のファミリーメンバー、すなわちA−Raf,B−RafおよびC−RafまたはRaf−1よりなるセリン/スレオニンキナーゼのファミリーである。例えば、Dhillcn and Kolch,Arch.Biochem.Biophys,404:3−9,2002を見よ。C−RafおよびB−Rafが本発明の化合物のための好ましい標的である。活性化するB−Raf突然変異(例えばV−599E変異株)は、メラノーマを含む各種の癌において同定されており、ここに記載する化合物はそれらの活性を阻害するために使用することができる。
【0076】
用語「変調」とは、経路(またはその成分)の機能的活性が該化合物の不存在下での正常な活性に比較して変化することを意味する。この効果は、増大、アゴナイジング、増大、増強、容易化、刺激、減少、ブロッキング、阻害、消失、拮抗化等を含む。変調のどのような品質または程度をも含む。
【0077】
表16および17は、それぞれインビトロ(生化学的)およびインビボ(細胞)アッセイにおける本発明の化合物N−〔4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル〕−N’−{4−〔2−N−メチルカルバモイル−4−ピリジルオキシ〕フェニル}尿素の活性を示す。その生化学的活性プロフィル(表16)によって示されるように、この化合物は多数の異なる細胞キナーゼの強力な阻害剤である。さらにそれはキナーゼ活性、細胞成長、および全細胞における他の細胞プロセスに影響を及ぼす能力を持っている。表17は全細胞において、標的ホスフォリル化を50%(IC50)した化合物の濃度を示す。この活性プロフィルは本発明の活性化合物の代表であるが、すべての化合物が本発明において有用であるために同じランクのオーダーの強さを持つ必要はない。生化学的および細胞活性のためのアッセイは慣用であり、そして後の実施例に記載する方法を含む任意の適切なフォーマットを使用して実施することができる。VEGFR−3キナーゼアッセイ(例えばManley et al,J.Med.Chem.45(26):5687−93,2002;Stahl et al,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,41(7):1174−8,2002);FLT3キナーゼアッセイ(Yee,et al,Blood,100(8):2941−9,2002;Kelly,et al,Cancer Cell,1(5):421−32,2002)をも見よ。
【0078】
本発明の化合物はまた、限定でなく以下のプロセスの一以上を変調することができる。細胞成長(例えば分化、細胞生存、および/または増殖)、腫瘍細胞成長(例えば分化、細胞生存、および/または増殖)、腫瘍退行、内皮細胞成長(例えば分化、細胞生存、および/または増殖)、血管形成(血管成長)、リンパ管形成(リンパ管成長)、および/または造血(例えばT−およびB−細胞発達、樹状細胞発達等)。
【0079】
特定の作用の理論またはメカニズムに拘束されることを欲するものではないが、本発明の化合物はキナーゼ活性を変調する能力を有していることが発見された。しかしながら本発明の方法は特定のメカニズムまたは如何に本発明の化合物がそれぞれの効果を達成するかに制限されない。用語「キナーゼ活性」とは、アデノシントリリン酸(ATP)からのガンマリン酸エステルがアミノ酸残基(例えばセリン、スレオニンまたはチロシン)に変換される触媒活性を意味する。ある化合物は、例えばキナーゼのATP結合ポケットに対してATPと直接競合することにより、活性に影響する酵素のコンフォメーション変化を生じさせることにより(例えば生物学的に活性な三次元構造の破壊により)等によってキナーゼ活性を阻害することができる。
【0080】
キナーゼ活性は慣用のアッセイ方法を使用して日常的に決定することができる。キナーゼアッセイは、典型的にはキナーゼ酵素、基質および検出系の成分を含む。典型的なキナーゼアッセイは、ホスフォリル化最終生成物(例えばペプチド基質を使用する時ホスフォタンパク)を生成するように、タンパクキナーゼのペプチド基質およびATPとの反応を含む。生成した最終生成物は適当な方法を使用して検出することができる。放射活性ATPが使用される時、放射活性標識ホスフォタンパクはアフィニティメンブレンまたはゲル電気泳動を使用して未反応ガンマ−32P−ATPから分離することができ、次にオートラジオグラフィーを用いてゲル上で可視化されるか、またはシンチレーションカウンターで検出することができる。非放射活性方法も使用できる。これら方法はホスフォリル化された基質を認識する抗体、例えば抗ホスフォチロシン抗体を利用する。例えば、キナーゼ酵素は、酵素が基質をホスフォリル化するのに有効な条件下、ATPとバッファーの存在下で基質とインキュベートされる。反応混合物は例えば電気泳動によって分離することができ、次に基質のホスフォリル化を例えば抗ホスフォチロシン抗体を用いてウエスタンブロックにより測定することができる。抗体は検出可能な標識、例えばHRPのような酵素、アビジンまたはビオチン、ケミルミネセント試薬で標識することができる。他の方法はELISAフォーマット、アフィニティメンブレン分離、蛍光分極アッセイ、ルミネッセントアッセイ等を使用することができる。
【0081】
放射活性フォーマットの代替法は、時間解像蛍光共鳴エネルギー移動(TR−TRET)である。この方法は標準的キナーゼ反応に従い、ここでは基質、例えばビオチニル化ポリ(GluTyr)がATPの存在下タンパクキナーゼによってホスフォリル化される。次に最終生成物はユウロピウムキレートホスフォ特異性抗体(抗ホスフォチロシンまたはホスフォセリン/スレオニン)と、そしてビオチニル化基質と結合するストレプトアビジンAPCで検出することができる。これら2成分は結合において空間的に一緒にされ、そしてホスフォ特異性抗体からアクセプター(SA−APC)へのエネルギー移動が均質フォーマットによって蛍光読みを発生させる。
【0082】
本発明の化合物は、raf,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGFR−β,および/またはFlt−3を含む、細胞信号形質導入経路の1以上が関与するどれかの病気または状態を処置および/または予防するために使用することができる。用語「処置」は慣用的に、例えば病気または障害状態の闘争、緩和、減少、寛解、改善を目的として対象の管理またはケアを意味する。処置することができる病気および状態は上で述べたもののほか、以下のものを含む。
【0083】
Raf関連病は、例えば細胞増殖障害、癌、腫瘍等を含む。
【0084】
VEGFR−2関連病は、例えば癌、腫瘍成長、炎症病、リュウマチ性関節炎、網膜症、乾癬、糸球体腎炎、喘息、慢性気管支炎、アテローム性動脈硬化症、移植拒絶、血管形成が関与する状態等を含む。
【0085】
VEGFR−3関連病は、例えば癌、角膜病、炎症角膜(例えば、Hamrah,Am.J.Path,163:57−68,2003)、角膜移植(Cursiefen et al,Cornea,22:271−8,2003)、リンパ管過形成、リンパ管形成が関与する状態等を含む。
【0086】
PDGFR−β関連病は、例えば細胞増殖、細胞マトリッス生産、細胞運動、および/または細胞外マトリッス生産によって特徴付けられる病気または状態である。特定の例は、例えば腫瘍、悪性腫瘍、癌、転移、慢性骨髄白血病、炎症、腎臓病、糖尿性ネフロパシー、糸状体増殖性糸状体腎炎、線維症状態、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧関連動脈硬化、静脈パイパス移植動脈硬化、硬皮症、間隙性呼吸器病、滑液障害、関節炎、白血病、リンパ腫等を含む。
【0087】
Flt−3関連病は、例えば免疫関連障害、血球障害、造血細胞発達が関与する状態(例えばT−細胞、B−細胞、樹状細胞)、癌、貧血、HIV,AIDS症候群等を含む。
【0088】
加えて本発明の化合物は、米国特許No.6,316,479に開示されている状態または障害、例えば糸状体硬化症、間隙性腎炎、間隙性呼吸器病、アテローム性動脈硬化症、創傷瘢痕および硬皮症を処置するために使用することができる。
【0089】
本発明の化合物は、炎症状態、冠再狭窄、腫瘍関連血管形成、アテローム性硬化症、自家免疫病、炎症、糸状体または糸状体細胞の増殖に関連した腎臓病、網膜脈管増殖に関連した眼病、乾癬、肝硬変、糖尿病、アテローム性硬化症、再狭窄、血管移植再狭窄、ステント内再狭窄、血管形成、眼病、呼吸器線維症、閉塞性気管支炎、糸状体腎炎、リュウマチ性関節炎のような広い範囲の病気の進行を処置または防止する広い治療活性を有する。
【0090】
本発明は、ヒトおよび/または他の哺乳類における以下の状態の一つ以上を処置、防止、変調等を提供する。糖尿性網膜症、虚血性網膜静膜塞栓、未熟児および年令関連斑退化網膜症を含む網膜症;リュウマチ性関節炎;水疱性類天疱瘡、多形性紅斑、疱瘡状皮膚炎を含む皮下水疱形成に関連する水疱性障害または乾癬;
リウマチ熱、骨吸収、閉経後骨粗しょう症、敗血症、グラム陰性敗血症、敗血症ショック、エンドトキシンショック、毒性ショック症候群、炎症応答症候群、炎症性腸病(クローン病および潰瘍性大腸炎)、ジャリッシューヘルクスハイマー反応、肺サルコイド−シス、アレルギー性呼吸器病、ケイ肺病、炭鉱労働者じん肺症、肺胞傷害、肝不全、急性炎症中の肝臓病、重症アルコール性肝炎、マラリア(Plasmodium falciparum マラリアおよび脳性マラリア)、非インスリン依存性真性糖尿病(NIDDM)、うつ血性心不全、心臓病後障害、動脈硬化、アルツハイマー病、急性脳炎、脳傷害、多発性硬化症(多発性硬化症における脱髄および稀突起細胞損失)、進行がん、悪性リンパ腫、膵臓炎、感染炎症およびがんにおける創傷治癒傷害、骨髄形成異常症候群、全身円板状エリテマトーデス、胆管硬変、腸壊死、放射線傷害/モノクローナル抗体投与後の毒性、ホスト対グラフト反応(虚血性灌流傷害および腎臓、肝臓、心臓および皮膚のアログラフト反応)、肺アログラフト拒絶反応(閉塞性気管支炎)、または股関節全置換による合併症;結核、消化器潰瘍病中のヘリコバクター・ピロリ感染、Tripanosoma cruzi感染から発生するチャガ病、大腸菌感染から生ずるシガ様トキシンの影響、スタフィロコッカス感染、メミンゴコッカス感染およびBorrelia burgdorferi,Treponema pallidum,サイトメガロウイルス、インフルエンザウイルス、Theiler’s脳脊髄炎ウイルス、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)からの感染よりなる群から選ばれた感染病;
乳頭腫、杯神経膠腫、カポジ肉腫、黒色腫、肺癌、頸部癌、膀こう癌、乳癌、大腸癌、甲状腺癌、胃癌、肝細胞カルチノーマ、白血病、リンパ腫、ホジキンス病、バーキッツ病、関節炎、リュウマチ性関節炎、糖尿性網膜炎、血管形成、狭窄、ステント内狭窄、血管移植狭窄、肺線維症、肝硬変、動脈硬化、糸状体腎炎、糖尿性腎炎、血栓性ミュアンギオパシー症候群、移植拒絶反応、乾癬、糖尿病、創傷治癒、炎症、神経退化病、高免疫障害、血管腫、筋心臓血管形成、冠および能併発脈管化、虚血症、角膜病、ルベオーシス、新脈管緑内障、未熟児斑退化網膜症、創傷治癒、潰瘍ヘリコバクター関連病、骨折、子宮内膜炎、糖尿状態、ネコ掻傷熱、甲状腺肥大、熱傷後の喘息または浮腫、外傷、慢性肺病、発作、ポリープ、嚢、滑膜炎、慢性およびアレルギー性炎症、卵巣高刺激症候群、肺および脳浮腫、ケロイド、線維症、硬変、手根トンネル症候群、成人呼吸窮迫症候群、腹水炎、眼状態、心脈管状態、クロウーフカセ(POEMS)病、クローン病、糸状体腎炎、変形性関節症、多発性硬化症、移植拒絶、ライム病、敗血症、フオンリツペルリンダウ病、天疱瘡、ページェト病、ポリ嚢腎臓病、ザルコイドーシス、咽頭炎、高粘度症候群、オスラー、ウエーバーレンジュ病、慢性閉塞性肺病、放射、低酸素症、前子かん、子宮内膜炎、ヘルペスシンプレックスによる感染、虚血性網膜炎、角膜血管形成、ヘルペスゾスター、ヒト免疫不全ウイルス、パラポツクスウイルス、プロトゾア、トキソプラスモシス、および腫瘍関連惨出および浮腫。
【0091】
化合物は述べた活性の2以上を持つことができ、それ故複数の信号形質導入経路を標的とすることができる。このためこれら化合物は異なる化合物の組合わせを使用する時のみ通常得られる治療および予防効果を達成することができる。例えば、単一の化合物を使用する新しい脈管形成(例えばVEGFR−2および3の機能に関連した)(例えば血管および/またはリンパ管)および細胞増殖(例えばrafおよびPDGFR−β機能に関連した)の両方を阻害する能力は、癌および新しい脈管化を容易化する他の細胞増殖障害の処置において特に有益である。このため本発明は、特に少なくとも抗細胞増殖および抗血管形成(すなわち血管形成を阻害する)活性を有する化合物に関する。脈管成長および細胞増殖から利益を受けるとの障害または状態も本発明に従って処置することができる。単一化合物の使用は、その活性範囲が一層精密に規定されることができるために有益である。
【0092】
上に示したとおり、本発明はraf,VEGFR−2,VEGFR−3,PDGFR−βおよび/またはFlt−3に関連した病気および状態を処置および/または防止するための、および/または一以上の経路、ポリペプチド、遺伝子、病気、状態等を変調するための方法に関する。これらの方法は一般に本発明の化合物の有効量を投与することを含み、ここで有効量とは所望の結果を達成するのに有用な該化合物の量である。化合物は、後で詳しく論ずるように、どのような有効なルートによってもどのような形においても投与することができる。
【0093】
該方法は、細胞増殖の阻害を含む、腫瘍細胞増殖の変調を含む。細胞増殖の変調は腫瘍細胞の成長および/または分化が減少、消失、遅延化されること等を意味する。用語「増殖」は、細胞成長および分裂に関するいかなるプロセスを含み、そして分化およびアポプトシスを含む。上で論じたように、rafキナーゼは細胞増殖、分化およびアポトシスに含まれる細胞形質信号カスケードの活性化においてキーとなる役目を果す。例えば、研究はアンチセンスオリゴヌクレオチドによるc−raf−1の阻害は細胞増殖をブロックできることを発見した(上を参照)。阻害のどのような量も治療的であると考えられる。
【0094】
限定でなく、raf,VEGFR−2,VEGFR−3,PDGFR−βおよび/またはFlt−3、および/またはras、それにそれらが一部である信号経路のどれかの上流または下流メンバーの一以上の突然変異を有する癌を含む、いかなる腫瘍または癌も処置することができる。以前に論じたように、癌はそれが責任あるメカニズムに関係なく本発明の化合物で処置することができる。限定でなく、例えば結腸、膵臓、乳房、前立腺、骨、肝臓、腎臓、肺、睾丸、皮膚、胃、結腸直腸、腎細胞カルチノーマ、肝細胞カルチノーマ、黒色腫等を含むどの器官の癌も処置することができる。
【0095】
乳がんの例は、限定でなく、侵襲性管悪性腫瘍、侵襲性小葉悪性腫瘍、その場の管悪性腫瘍およびその場の小葉悪性腫瘍を含む。
【0096】
脳がんの例は、限定でなく、脳幹および視床下部グリオーマ、小脳および大脳マストロサイトーマ、髄質プラストーマ、脳室上衣腫、それに神経外胚葉および松果体腫瘍を含む。
【0097】
男性生殖器の腫瘍は、限定でなく、前立腺および睾丸がんを含む。
【0098】
女性生殖器の腫瘍は、限定でなく、子宮内膜、頸管、卵巣、膣、外陰部がん、それに子宮筋腫を含む。
【0099】
消化器官の腫瘍は、限定でなく、肛門、結腸、結直腸、食道、胆のう、胃、膵臓、直腸、小腸、および唾液腺がんを含む。
【0100】
泌尿器の腫瘍は、限定でなく、膀胱、陰茎、腎臓、腎孟、尿管および尿道がんを含む。
【0101】
眼のがんは、限定でなく、眼内メラノーマおよび網膜芽腫を含む。
【0102】
肝臓がんの例は、限定でなく、肝細胞悪性腫瘍(線維層状変種ありなし)、胆管がん(肝内胆管がん)、および混合肝細胞および胆管がんを含む。
【0103】
皮膚がん、限定でなく、鱗細胞がん、カポジ肉腫、悪性メラノーマ、メルケル皮膚がん、および非メラノーマ皮膚がんを含む。
【0104】
頭頸部がんは、限定でなく、上顎/下顎/咽頭下部/鼻咽頭/口腔咽頭がん、および唇と口腔がんを含む。リンパ腫は、限定でなく、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキン病、および中枢神経系のリンパ腫を含む。
【0105】
肉腫は、限定でなく、軟組織の肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織腫瘍、リンパ肉腫、および横紋筋肉腫を含む。白血病は、限定でなく、急性骨髄白血病、急性リンパ芽白血病、慢性リンパ細胞白血病、慢性骨髄白血病、および毛状細胞白血病を含む。
【0106】
腫瘍細胞増殖の阻害に加えて、本発明の化合物は腫瘍退行、例えば腫瘍のサイズまたは体内の癌の範囲の減少を生じさせることができる。
【0107】
本発明は、細胞を含むシステムにおいて血管形成および/またはリンパ管形成を変調する方法に関し、該方法はここに記載した化合物の有効量をシステムへ投与することを含む。細胞を含む系は、患者の腫瘍、単離した器官、細胞または細胞のようなインビボシステム、インビトロアッセイシステム(CAM,BCE等)、動物モデル(例えばインビボ、皮下、癌モデル)、処置を必要とする宿主(例えば癌のような血管形成および/またはリンパ管形成成分を有する病気にかかっている宿主)等であることができる。本発明の好ましい化合物は血管形成および/またはリンパ形成、例えば新しい血管の形成を阻害する。
【0108】
血管形の不適切なそして異所性の発現は生物にとって有害であり得る。多数の病現学的状態は余分の血管形成に関連する。これらは限定でなく、糖尿性網膜症、新生脈管緑内障、乾癬、退行性線維増殖、血管線維腫、炎症等を含む。加えて癌および新生組織に関連した増加した血液供給は成長を促進し、急速な腫瘍拡大および転移へ導く。さらに腫瘍内の新しい血管およびリンパ管の成長は変節した細胞の逃げ道を提供し、転移およびその結果の癌のひろがりを促進する。
【0109】
血管形成変調のための有用なシステムは、例えば腫瘍外科植片の新生脈管化(例えば米国特許Nos.5,192,744;6,024,688)、ニワトリ奨尿膜(CAM)アッセイ(例えばTayler and Folkman,Nature,297:307−312,1982;Eliceiri et al,J.Cell Biol.,140:1255−1263,1998),ウシ毛細管内皮(BCE)細胞アッセイ(例えば米国特許No.6,024,688;Polverini;P.J.et al,Methods Enzymol., 198:440−450,1991),ミグレーションアッセイ,およびHUVEC(ヒト臍帯脈管内皮)成長阻害アッセイ(例えば米国特許No.6,060,449)を含む。加えて、リンパ管形成変調のための有用なシステムは、例えばウサギ耳モデル(例えばSzuba et al,FASEB J.,16(14):1985−7,2002)を含む。
【0110】
血管形成の変調は任意の適当な方法によって決定することができる。例えば、組織脈管化の程度は典型的には与えられたサンプル中に存在する脈管の数および密度を評価することによって決定される。例えば微小脈管密度(MVD)は他出力顕微鏡フィールドにおいて皮内細胞クラスターの数を計数することにより、または微小脈管皮内細胞に対して特異的なマーカーもしくはCD31(血小板皮内細胞接着分子もしくはPECAMとしても知られる)のような確立された脈管の成長の他のマーカーを検出することによって決定することができる。CD31抗体は、例えばPenfold et al,Br.J.Oral and Maxill.Surg.34:37−41;米国特許No.6,017,949;Dellas et al,Gyn.Oncol.67:27−33,1977等に記載されているような、免疫ステイン組織片に対する慣用の免疫細胞学的方法に使用することができる。血管形成に対する他のマーカーは、例えばVezfl(例えばXiang et al,Dev.Bio.206:123−141,1999),アンギオポイエチンTie−1およびTie−2(例えばSato et al,Nature,376:70−74,1995)を含む。加えてVEGF−165,VEGF−C,VEGF−Dのような循環VEGFのレベルは、それが体内の血管形成活性を示す閾値以上かどうかを決定するためにELISAで測定することができる。
【0111】
加えて、本発明は本発明の化合物に対する感受性を決定するため患者をスクリーニングする方法に関する。例えば、本発明は式Iの化合物で処置するための病気を有する対象を選択する方法に関し、該方法は以下のステップの一以上、例えば病気を有する対象から得たサンプル中のRaf,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGFR−βおよび/またはFlt−3の発現または活性を測定し、そして発現または活性の高レベルを有すると同定された対象に式Iの化合物を投与することよりなる一以上のステップを含む。
【0112】
用語「感受性」は、例えば応答する能力、毒性または他の副作用を示すように広い意味で使用される。例えば、本発明はここに開示した化合物によって状態が変調できるかどうかを決定する方法に関し、該方法はそのような状態を有する細胞中のRef,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGFR−βおよびFlt−3の発現または活性を測定することよりなる。結果は対象が本発明の化合物に応答するかどうかを決定または予測するために使用できる。例えば状態が腫瘍の場合、この方法はその腫瘍が本発明の化合物に対して感受性であるかどうかを予測するために使用することができる。用語「感受性」は、例えば腫瘍退化または細胞死滅、細胞増殖阻害、腫瘍成長阻害、腫瘍転移阻害等を発生させることによってそれを処置できることを意味する。
【0113】
腫瘍のような状態が本発明の化合物に対して感受性であるかどうかは日常的に決定することができる。例えばこの状態を示す細胞または組織(例えば腫瘍細胞、生検サンプル等)は、Raf,VEGFR−2,VEGFR−3,p−38,PDGFR−βおよび/またはFlt−3の存在および/または活性についてアッセイすることができる。高レベルの発現および/または活性が同定される時、これは対象は本発明の化合物に対して応答し、それから利益を受けることを示し得る。遺伝子発現レベル(例えばmRNAレベル)、遺伝子増幅、および遺伝子生産物活性(例えばチロシンキナーゼ活性)は、対応する遺伝子および信号経路に関して細胞の状態を特徴化するために使用することができる。例えば、本発明の標的遺伝子はチロシンキナーゼ活性を持っており、それ故キナーゼ活性を細胞または組織状態の評価のために使用することができる。後記実施例においては、ホスフォリル化された基質のレベルを見ることによって活性が測定された。これは定量的に(例えばアイソトープ、分光分析等の使用)、または実施例のように半定量的に実施することができ、そこではレベルは肉眼で評価され、+1から+4までの強度のレベルを割当てられた。高レベルのホスフォリル化基質を持つ細胞または組織は高レベルのキナーゼ活性を持つと考えられ、それ故本発明の化合物での治療の候補と考えられる。二以上の活性を評価することができ、そしていくつかの標的からの結果は、対象の状態(例えば腫瘍が本発明の化合物に対して応答するかどうかを決定するため)に使用できる。
【0114】
高レベルの標的活性は対照または標準との比較とすることができる。例えば後記実施例においては、高レベル活性は通常は標的遺伝子の実質的レベルを発現しない組織部分中の細胞タイプ(ストローマ)に対してである。それ故高レベルは細胞が比較のために用いた標準または対照よりも満足的に高い量の測定した活性またはホスフォリル化基質を発現した場合である。高レベルは25%以上の細胞が標的活性(例えばホスフォERK)を発現する場合とすることもできる。
【0115】
この方法はサンプル中の発現を正常な対照の発現と比較するか、または正常または無影響の組織から得たサンプル中の発現と比較するステップをさらに含むことができる。比較は電子形の標準(例えばデータベースに対して)に対してマニアルで実施することができる。正常対照はアッセイに提供された標準サンプルとすることができ、それは同じ患者からの隣接するがしかし無影響の組織から得ることができ、またはそれはあらかじめ定めた値等とすることができる。遺伝子発現、タンパク発現(例えば細胞中の豊富度)、タンパク活性(例えばキナーゼ活性)等を決定することができる。
【0116】
例えば、癌患者からの生検は、Raf,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGFR−βおよびFlt−3の存在、量、および/または活性についてアッセイすることができる。これらの一つ以上の発現または活性の増大は癌が本発明の化合物による処理の標的となり得ることを指示し得る。例えば、実施例に記載するように、raf活性はホスフォERKを生ずるERKホスフォリル化へ導くカスケード(すなわちraf/MEK/ERK)を開始させる能力によってモニターすることができる。癌中の増加したホスフォERKレベルはそのraf活性が上昇したことを示し、それを処置するため本発明の化合物の使用を示唆する。生検サンプルに加え、ホスフォERK(他のマーカー)が血清、血液、脳髄液、尿、末梢血リンパ球(PBLs)中で測定できる。後者の場合、ERKホスフォリルの阻害が、後記実施例に記載した抗体を使用してホルボールミリステートアセテートによる活性化に続いて測定できる。
【0117】
加えて、癌を有する患者は組織が脈管新生を経験しているかどうかおよびどの程度かに基づいて選択し、モニターすることができる。これは上で論じたように、例えば循環しているVGFRリガンド等のレベルである脈管マーカー(例えばCD31)について免疫組織化学を使用して評価できる。
【0118】
患者の選択およびモニタリングは、VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGFR−βおよびFlt−3の細胞外部分を含む、種々のレセプターから得た脱皮させた表面ドメインの体液(血液のような)中の正常値以上のレベルの出現に基づいて行うこともできる。検出方法は、例えば細胞外ドメインへ特異的に結合する抗体を使用して日常的に実施することができる。
【0119】
発現の特定は、細胞またはその表面中に存在するポリペプチドの量を決定もしくは検出すること、および根原的なmRNAを測定することを含み、後者の場合は存在するmRNAの量は細胞によって生産されるポリペプチドの量と考えられる。さらに、Raf,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGFR−βおよび/またはFlt−3のための遺伝子は、異常発現またはポリペプチド活性に責任ある遺伝子欠陷があるかどうかを決定するために分析することができる。遺伝子配列は、例えばNM−004333ホモサピエンスv−rafネズミ肉腫オンコジーンホモログB1(BRAF);NM−00225ホモサピエンスVEGFR−2;NML−182925ホモサピエンスfms−関連チロシンキナーゼ4(FLT4);L35253ホモサピエンスp38ミトゲン活性化タンパク(MAP)キナーゼが公に利用可能である。
【0120】
ポリペプチド検出は、例えばウエスタンブロット、ELISA,ドットブロット、免疫沈澱、RIA,免疫組織化学等の任意の利用可能な方法によって実施できる。例えば、組織片を調製し、特異性抗体で標識することができる(間接また直接および顕微鏡で可視化)。ポリペプチドの量は、例えば関心あるサンプルを溶解し、次にELISAまたはウエスタンによって組織量あたりのポリペプチド量を決定することにより可視化せずに定量できる。抗体または他の特異性結合試薬を使用できる。検出をどのように実施するかは限定しない。
【0121】
サンプル中の標的核酸(例えばraf,VEGFR,PDGFR,Flt−3等のための遺伝子、mRNA等)の定量、存在/不存在検出を許容するアッセイが使用できる。アッセイは単一細胞レベルでも、またはサンプル中の細胞および組織の全体のコレクションの「平均した発現」のアッセイである多数の細胞を含むサンプルで実施することができる。限定でなく、例えばサザンブロット分析、ノーザンブロット分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えばSaiki et al,Science,241:53,1988;米国特許Nos.4,683,195;4,683,202;6,040,166;PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Innis et al,ads,Academic Press,New York,1990),逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR),アンカードPCR,cDNA末端の急速増幅(RACE)(例えばChaefer in Gene Cloning and Analysis:Current Innovation,Pages 99−115,1997),リガーゼ連鎖反応(LCR)(EP320308),片側PCR(Ohara et al,Proc.Nat1.Acad.Sci,86:5673−5677,1989),インデキシング法(例えばLiang et al,Nucl.Acid Res.21:3269−3275,1993;米国特許Nos.5,262,311;5,599,072;5,965,409,WO97/18454,Prashar and Weissman,Proc.Nat1.Acad.Sci.93:659−663,米国特許Nos.6,010,850;5,712,126;Welsh et al,Nucleic Acid Res.20:4965−4970,1992,および米国特許No.5,487,985)、および他のRNA指紋技術、核酸配列増幅(NASBA)および他の転写酵素増幅システム(例えば米国特許Nos.5,409,818;5,554,527;WO88/10315)、ポリヌクレオチドアッセイ(例えば米国特許Nos.5,143,854;5,424,186;5,700,637;5,874,219;6,054,270;WO92/10092,WO90/15070),ケベックレプリカーゼ(PCT/US87/00880),ストランド移動増幅(SDA),修復連鎖反応(RCR),ヌクレアーゼ保護アッセイ、サブストラクション方法、急速スキャン等を含む、任意の好適なアッセイフォーマットを使用できる。追加の有用な方法は、限定でなく、例えば鋳型増幅法、競合PCR(例えば米国特許No.5,747,251)、レドックス法(例えば米国特許No.5,871,918)、Taqmanアッセイ(例えばHolland et al,Natl.Acd.Sci.88:7276−7280,1991;米国特許Nos.5,210,015および5,994,063)、リアルタイム蛍光モニタリング(例えば米国特許No.5,928,907),分子エネルギー移動標識(例えば米国特許Nos.5,348,853;5,532,129;5,563,322;6,030,787;6,117,635;Tyagi and Kramer,Nature Biotech.14:303−309,1996)を含む。遺伝子またはタンパク発現の単一細胞分析に適したどの方法も使用することができ、そしてその場のハイブリダイゼーション、免疫組織化学、MACS,FACS,フローサイトメトリー等を含む。単一細胞アッセイについては、発現生産物は、抗体、PCRまたは他のタイプの核酸増幅(例えばBrady et al,Methods Mol.& Cell.Biol,2,17−25,1990;Eberwine et al,Proc,Nat1.Acad.Sci.89:3010−3014,1992;米国特許No.5,723,290)を用いて測定できる。これらおよび他の方法は、例えば引用した刊行物に記載されているように慣用的に実施できる。
【0122】
raf,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGFR−βおよびFlt−3の活性は、例えば後記実施例に記載されているように、またはキナーゼのための標準的アッセイ(上を見よ)を使用して日常的に評価できる。
【0123】
発現の測定は、遺伝子の転写および翻訳機械のすべての局面を評価することを含む。例えば、もしプロモーター欠陥が障害の原因であるかまたはその疑いがあれば、サンプルは遺伝子のプロモーター配列を観察により(例えば配列もしくは制限マッピング)、転写産物(例えばRNA)の検出により、翻訳産物(例えばポリペプチド)の検出によって評価(すなわちアッセイ)できる。ポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび遺伝子活性のための機能的アッセイを含む、遺伝子が機能性であるかどうかの測定を使用できる。
【0124】
この評価の実施において、結果を障害に関連しない遺伝子と、または影響されていない組織の同じ組織の影響されていない区域の同じ遺伝子と比較することが有用であり得る。この比較の性格は評価をどのように達成するかによって日常的に決定できる。例えばもしサンプルのmRNAレベルを決定するのであれば、正常のmRNAレベル、または障害によって、影響されなかったことが知られている遺伝子が比較として役立ち得る。mRNAの検出方法は良く知られており、そして上で論じられ、例えば限定でなくノーザンブロット分析、PCR,逆転写酵素PCR,RACE PCR等である。同様に、もしポリペプチド生産を遺伝子評価に使用するならば、正常組織中のポリペプチドを比較として使用するか、またはその発現障害に影響されていないことが知られた異なる遺伝子からのポリペプチドを使用できる。これらはどのようにそのような方法を実施できるかの例示に過ぎない。
【0125】
患者は、癌に関連することが既知のゲノタイプ、特にBRAF,KRASまたはMEK遺伝子の突然変異のようなRaf/Mek/Erk経路に影響するゲノタイプを持っているかによって処置のため選択できる。この線に沿って、本発明は対象から得たサンプル中の病気に関連したRaf,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGFR−βおよび/またはFlt−3遺伝子突然変異の存在を決定し、そしてそのような突然変異を持っていると同定された対象へ式Iの化合物を投与することを含む、処置のため患者を選択する方法に関する。
【0126】
突然変異の存在は、例えば対照から細胞または組織のサンプルを採取し、それから核酸を抽出し、標的遺伝子の遺伝子配列または構造を決定し(例えばmRNA,cDNA,ゲノムDNA等)、標的遺伝子の配列または構造は正常な遺伝子の配列または構造と比較し、それにより配列または構造の差異は対象の遺伝子の突然変異を指示することによって日常的に決定できる。突然変異は任意の効果的方法、例えば標準遺伝子と対象の遺伝子の間の制限マップ、ヌクレオチド配列、アミノ酸配列、RFLP,DNAアーゼ部位、DNAメチル化指紋(例えば米国特許No.6,214,556)、タンパク開裂部位、分子量、電気泳動度、電荷、イオン移動度等を比較することによって決定することができる。そのような方法を実施するため、遺伝子またはポリペプチドの全体または部分を比較することができる。例えばもしヌクレオチド配列を用いるならば、プロモーター、イントロンおよびエクソンを含む遺伝子で全体、または例えばエクソン1、エクソン2等の一部だけを配列決定し、比較することができる。
【0127】
本発明は、病気の処置における本発明の化合物の有効性を評価する方法にも関し、該方法は、例えば本発明の化合物で処置された対象から得たサンプル中のRaf,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,POGFR−βおよび/またはFlt−3の発現または活性を測定し、そして前記発現または活性に対する本発明の化合物の効果を決定することを含む。
【0128】
例えば、本発明の化合物で処置された患者から生検サンプルを採取し、前記信号分子の存在および/または活性をアッセイすることができる。上で論じたように、癌組織中のホスフォERKの減少したレベル(例えば正常組織または処置前と比較して)は、化合物がインビボで有効性を発揮しそして治療有効性であることを指示する。
【0129】
発現または活性に対する化合物の効果の決定は、組織サンプルと対照または他のタイプの標準との間の比較を実施することを含む。使用できる標準は、限定でなく処置前の組織、影響されない組織からのまたは影響された組織の影響されない区域(例えば癌に形質転換されない組織の区域)からの組織サンプルを含む。標準はそのマーカーのために確立された発現の正常レベルを代表する値または範囲であることもできる。比較は本発明の化合物による処置療法の間少なくとも二つの異なる時点で採取したサンプル間で行うこともできる。例えば、薬物処置の開始後種々の時点でサンプルを集めることができ、そして発現および/または活性レベルの分析を対象の発展/予後、例えば対象がどのように薬物療法に応答しているかをモニターするために使用できる。例えば毎日、週2回、毎週、2週間毎、毎月、毎年、複数時点(少なくとも2,3,4,8,12等)のような任意の時点を使用できる。
【0130】
用語「効果の決定」は、化合物によって生じた結果を分析しおよび/または同定することを指示する。例えば実施例3において、データは化合物がホスフォERKのレベルを減少(すなわちraf活性に対する化合物の効果がホスフォERKを測定することによって決定された)したことを示している。どのようなタイプの効果、例えば発現および/または活性が減少する場合、下方調節、阻害、ブロック、増加、上方調節、無変化等が同定できる。
【0131】
この方法は適切な投与量および投与計画、例えばどの位の量の化合物をそしてどのような頻度で投与するかを決定するために使用できる。組織中の信号分子に対する効果をモニターすることにより、臨床医は適切な処置プロトコールを決定し、そして望む効果、例えば形質導入経路の変調および阻害に対する効果が達成つつあるかを決定することができる。例えばもし化合物がホスフォERKのようなマーカーのノックダウンに効果的でなければ、患者において投与量を増すかまたはもっと頻繁に与えることができる。同様に化合物がホスフォERKまたは病的状態のための他のマーカーのレベルのノックダウンに有効であることが示された時、投与量および/または投与回数を減らすことができる。化合物は他の処置、例えば放射線、化学療法、および他の剤と併用して投与できるので、対象のモニターは病気の進行に対する処置の併用効果を評価するために使用できる。
【0132】
突然変異の例は、黒色腫のような癌に関連するK−RASの突然変位、位置599の突然変異のような、V599Eおよび位置461,462,463,465,468,593,596,60等における突然変異のようなBRAFの突然変異を含む。
【0133】
本発明の化合物はサンプル中のraf,VEGFR−2,VEGFR−3,PDGFR−βおよび/またはFlt−3の存在および量を決定するためのマーカーとして使用することができる。該方法は、生物学的材料よりなるサンプルを本発明の化合物と接触させ、そして該化合物が該材料と結合するかどうかを決定することを含む。化合物は標識するか、または標識ATPのような標識化合物に対する競合試薬として使用することができる。
【0134】
本発明はまた、限定でなく、raf,VEGFR,PDGFRおよび/またはFlt−3よりなる信号形質導入経路の他の変調剤と共に本発明の化合物を投与することを含む、哺乳類の病気および状態を処置、防止、変調等のための方法を提供する。これらは同じ組成物内に、または別の製剤もしくは投与単位中に存在し得る。投与は同じまたは異なるルートであることができ、そして同時、逐次的等であることができる。
【0135】
本発明はまた、他の活性剤と共に本発明の化合物を、例えば同じトータル時間にわたって他の活性剤の同時または間歇投与により28連続日まで1日1回以上投与することを含む、病気および状態の処置、防止、変調等の方法に関する。
【0136】
組成物へ加えることができる任意的抗増殖剤は、限定ではないが、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、コラスパーゼ、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン、エポトシド、5−フロロウラシル、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシ尿素、イフオスファミド、イリノテカン、リユーコボリン、ロムスチン、メクロレサミン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、マイトマイシンC、ミトキサントロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、ラロキシフェン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、チオグアニン、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビンデシンのような、メルクインデックス第12版(1996)(ここに参照として取入れる)にがん化学療法薬物療法に掲げられている化合物を含んでいる。
【0137】
本発明の組成物と共に使用するのに適した他の抗増殖剤は、限定でなく、アミノグルテチミド、L−アスパラギナーゼ、アザチオプリン、5−アザシチジン、クラドリビン、ブスルファン、ジエチルスチルベストロール、2’−2’−ジフロロデオキシシチジン、ドセタクセル、エリスロヒドロキシノニルアデニン、エチニルエストラジオール、5−フロロデオキシウリジン、5−クロロデオキシウリジンモノリン酸、フルダラビンホスフェート、フルオキシメステロン、フルタミド、ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、イダルビシン、インターフェロン、メドロキシプロゲステロンアセテート、メゲステロールアセテート、メルファラン、ミトタン、パクリタクセル、ペントスタチン、N−ホスフォノアセチル−L−アスパルテート(PALA)、プリカマイシン、セムスチン、テニポシド、テストステロンプロピオネート、チオテパ、トリメチルメラミン、ウリジン、およびビノレルビンのような、Goodnan and Gilman’s The Pharmacologial Basis of Therapentis(Ninth Ed.),edited Molinoff et al.,pubished by McGraw−Hill,pages 1225−1287(1996)(ここに参照として取入れる)において腫瘍性病に使用するために認知された化合物を含む。
【0138】
本発明の化合物は、任意の形で、例えば経口、非経口、経腸、静脈内、腹腔内、局所、経皮(例えば標準パッチを使用して)、眼内、鼻内、局所、アエロゾル、吸入、皮下、筋肉内、バッカル、舌下、肛門内、経膣、動脈内および硬膜下腔内等のような非経口を含む任意の効果的ルートによって投与できる。それらは単独で、または活性または非活性の任意の成分と組合わせて投与できる。それらは任意の有効投与量、例えば全体重kgあたり約0.1ないし約200mgで投与することができる。
【0139】
本発明は、塩およびエステルおよび組成物を含む上に記載した化合物(式Iの化合物)を哺乳類の高増殖障害を処置するために使用する方法に関する。この方法は、障害の処置に有効な量の本発明の化合物、または薬学的に許容し得るその塩もしくはエステルをヒトを含むそれを必要する哺乳類に投与することを含む。高増殖障害は、限定でなく、乳房、呼吸管、脳、生殖器、消化管、尿管、眼、肝臓、皮膚、頭頸部、甲状腺、副甲状腺、およびそれらの転移を含む。これらの障害はリンパ腫、内腫および白血病を含む。
【0140】
式Iの化合物の合成および式Iの化合物の合成に含まれる中間体の合成に使用できる合成変換は当業者に既知であるかまたはアクセスし得る。
【0141】
合成変換のコレクションは以下の編集物に見られる。
【0142】
J.March.Advanced Organic Chemistry,4th ed.;John Wiley,New York(1992);
R.C.Larock.Comprehensive Organic Transfomations,2nd ed.;Wiley−VCH:New York(1999);
F.A.Carey;R.J.Sundberg.Advanced Organic Chemistry,2nd ed.;Plenum Press:New York(1984);
T.W.Greene;P.G.M.Wuts.Protective Groups in Organic Synthesis,3rd ed.;John Wiley,New York(1999);
L.S.Hegedus.Transition Metals in the Synthesis of Complex Organic Molecules,2nd ed.;University Science Books:Mill Valley,CA(1994);
L.A.Paquette,Ed.The Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis;John Wiley;New York(1994);
A.R.Katrizky;O.Meth−Cohn;C.W.Rees,Eds.Comprehensive Organic Functijonal Group Transfomations;Pergemon Press:Oxford,UK(1995);
G.Wikinson;F.G A.Stone;E.W.Abel,Eds.Comprehensive Organometallic Chemistry;Pergamon Press;Oxford,UK(1982);
B.M.Trost;I.Fleming.Comprehensive Organic Synthesis;Pergamon Press:Oxford,UK(1991);
A.R.Katrizky;C.W.Rees Eds.Comprehensive Heterocylic Chemistry;Pergamon Press;Oxford,UK 1984);
A.R.Katrizky;C.W.Rees;E.F.V.Scriven,Eds,Comprehensive Heterocylic Chemistry //;Pergamon Press;Oxford,UK(1996);
C.Hansch;P.G.Sammes;J.B.Taylor,Eds.Comprehensive Medicinal Chemistry;Pergamon Press;Oxford,UK(1990);
【0143】
加えて、合成方法論および関係するトピックの評論は、Organic Reactions,John Wiley,New York;Organic Syntheses,John Wiley,New York;The Total Synthesis Natural Products,John Wiley,New York;Reagents for Organic Synthesis,John Wiley,New York;The Organic Chemistry of Drug Synthesis,John Wiley,New York;Annual Reports in Organic Syntheses,Academic Press,San Diego Ca;Methodender Orannischon Chemie,(Houben−Weyl),Thieme,Stuttgart,Germanyに見られる。さらに合成変換のデータベースは、CAS OnLineまたはSciFinderを用いて検索し得るChemical Abstracts,SpotFireを用いて検索し得るHandbuch der Organischen Chemie(Beilstein)、およびREACCSを含む。
【0144】
一般的製造方法
式Iの化合物は既知の化学反応および操作の使用により製造することができ、あるものは商業的に入手し得る出発原料から出発する。それにもかかわらず一般的製造方法が当業者がこれら化合物の合成を助けるために以下に提供され、さらに詳細な実施例が後の実験の部に提供される。
【0145】
置換アニリンは一般に標準的方法(March,Advanced Organic Chemistry,3rd Ed.John Wiley:New York(1985),Larock,Comprehensive Organic Transformations;VCH Publishers:New York(1989))によって生成させることができる。スキームIIに示すように、アリールアミンは普通Ni,PdまたはPtのような触媒とH2 を使用して、またはホルメート,シクロヘキサジエンまたはボロハイドライドのような水素化物変換剤を使用してニトロアリールの還元によって合成される(Rylander,Hydrogenation Methods:Academic Press:London,UK(1985))。ニトロアリールはLiAlH4 のような強いハイドライドソースを使用して(Seyden−Penne,Reduction Dy the Alumino−and Brohydrides in
Organic Synthesis;VCH Publishers:New York(1991))またはしばしば酸性媒体中でFe,SnまたはCaのようなゼロ価金属を使用して直接還元することもできる。ニトロアリールの合成のために多数の方法が存在する(March,Advanced Organic Chemistry,3rd
Ed.John Wiley:New York(1985),Larock,Comprehensive Organic Transformations;VCH Publishers:New York(1989))。
【0146】
【化1】

【0147】
スキームI.ニトロアリールのアリールアミンへの還元
ニトロアリールは共通してHNO3 または代りのNO2 + 源を使用して求電子性芳香族ニトロ化によって生成される。ニトロアリールは還元前にさらに手を加えてもよい。このためニトロアリールは、
【0148】
【化2】

【0149】
により置換され、可能性ある脱離基(例えばF,Cl,Br等)はチオレート(スキームIIに例示)またはフエノキサイドのような求核試薬との処理において置換反応を受けることができる。ニトロアリールはウルマンタイプのカップリング反応(スキームII)を受けることもできる。
【0150】
【化3】

【0151】
スキームII.ニトロアリール使用する選択した求核芳香族置換
ニトロアリールは遷移金属仲介クロスカップリング反応を受けることもできる。例えば、ニトロアリールブロマイド、ヨウダイドまたはトリフレートのようなニトロアリール求核試薬は、アリールボロン酸(鈴木反応、以下に例示)、アリールスズ(still反応)またはアリール亜鉛(根岸反応)のようなアリール求核試験とパラジウム仲介クロス反応を受け、ビアリール(5)を与える。
【0152】
【化4】

【0153】
スキームIII .非対称尿素生成の選択された方法
スキームIVに示すように、非対称尿素生成はアリールイソシアネート(14)とアリールアミン(13)との反応を含むことができる。ヘテロアリールイソシアネートは、ホスゲン、またはトリクロロメチルクロロホルメート(ジホスゲン)、ビス(トリクロロメチル)カーボネート(トリホスゲン)、もしくはN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)のようなホスゲン均等物での処理によってヘテロアリールアミンから合成することができる。イソシアネートは、エステル、酸ハライドまたは無水物のような複素環カルボキシル酸誘導体からクルチウスタイプ転位によって得ることもできる。このように酸誘導体(16)のアジト源との反応および続いての転位はイソシアネートを与える。対応するカルボキシル酸(17)はジフェニルフォスフォリルアジト(OPPA)または類似の試薬を使用してクルチウムタイプ転位へかけることもできる。
【0154】
【化5】

【0155】
最後に尿素は当業者に親密な方法を使用してさらに処理することができる。
【0156】
化合物は、経口的、局所的、非経口的、吸入もしくはスプレーにより、経直腸的に投与単位製剤において投与することができる。注射による投与は、静脈内、筋肉内、皮下および非経口注射、および注入技術の使用を含む。一以上の化合物は一以上の薬学的に許容し得る担体およびもし望むならば他の活性成分と組合せて存在することができる。
【0157】
経口使用を意図する組成物は、薬剤組成物の製造のための当業者に知られた適当な方法に従って調製することができる。そのような組成物は希釈剤、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤よりなる群から選ばれた一以上の剤を服用可能な製剤を調製するために含むことができる。錠剤は錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容し得る補助剤との混合物中の活性成分を含有する。これら補助剤は、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムもしくはリン酸ナトリウムのような不活性希釈剤;例えばコーンスターチまたはアルギン酸のような顆粒化および崩壊剤;および例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクのような結合剤であることができる。錠剤は未被覆か、またはそれらは胃腸管において崩壊および吸収を遅らせ、それにより長期間にわたって持続作用を提供するため公知技術によって被覆されることができる。例えばグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートのような時間遅延材料を使用することができる。これらの化合物は固形の速放形に調製することもできる。
【0158】
経口使用のための製剤は、活性成分が例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンのような不活性個体希釈剤と混合された硬ゼラチンカプセルとして、または活性成分が水または油性媒体、例えばピーナッツオイル、流状パラフィンもしくはオリーブ油と混合された軟ゼラチンカプセルとして提供することもできる。
【0159】
水性懸濁液の製造に適した補助剤との混合物中の活性成分を含有する水性懸濁液も使用し得る。そのような補助剤は懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガントガム、アカシアガムであり、分散または湿潤剤は天然に存在するフォスファチド、例えばレシチン、または長鎖脂肪族アルコールとのエチレンオキシドの縮合物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのような脂肪酸とヘキシトールから得られた部分エステルとのエチレンオキシドの縮合生成物、または脂肪酸と無水ヘキシトールから得られた部分エステルとのエチレンオキシドの縮合生成物例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであることができる。水性懸濁液は一以上の保存剤、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチルもしくはn−プロピル;一以上の着色剤;一以上の香味剤、およびショ糖もしくはサッカリンのような一以上の甘味剤を含むことができる。
【0160】
水の添加により水性懸濁液の調製に適した分散し得る粉末および顆粒は、分散または湿潤剤、懸濁剤および一以上の保存剤との混合物の活性成分を提供する。適切な分散もしくは湿潤剤および分散剤は既に上述したものによって例示されている。追加の補助剤、例えば甘味剤、香味剤および着色剤も存在することができる。
【0161】
化合物は非水性液体製剤の形、例えば活性成分を植物油、例えばアラキス油、オリーブ油もしくはピーナッツ油中に、または液状パラフィンのような鉱油中に分散することによって製剤化することができる油性懸濁液の形であってもよい。油性懸濁液は増粘剤、例えば蜜ロウ、硬パラフィンまたはセチルアルコールを含有することができる。服用し得る経口製剤を提供するため、上で述べたような甘味剤および香味剤を加えることができる。これら組成物はアスコルビン酸のような抗酸化剤の添加によって保存することができる。
【0162】
本発明の薬剤組成物は水中油型のエマルジョンの形にあることができる。油相は植物油例えばオリーブ油もしくはアラキス油、または鉱油例えば液状パラフィン、またはこれらの混合物でよい。好適な乳化剤は天然ガム例えばアカシアガムもしくはトラガントガム、天然フォスファチド例えば大豆レシチン、および脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導されたエステルもしくは部分エステル例えばソルビタンモノオレエート、および前記エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを含む。エマルジョンは甘味剤および香味剤を含むことができる。
【0163】
シロップおよびエリキサーは甘味剤例えばグリセロース、プロピレングリコール、ソクビトールもしくはショ糖で処方することができる。そのような処方は緩和剤、保存剤、香味剤および着色剤を含有することができる。
【0164】
化合物は薬物の直腸投与のための坐剤の形で投与することもできる。これらの組成物は、薬物を常温で固体であるがしかし直腸または膣温度では液体であり、そして直腸または膣内で溶融して薬物を放出する適当な非刺激性補助剤と混合することによって調製することができる。そのような材料はココアバターおよびポリエチレングリコールを含む。
【0165】
本発明の化合物は、水、食塩水、デキストロース水溶液および関連する糖溶液、エタノール、イソプロパノールまたはヘキサデシルアルコールのようなアルコール類、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのようなグリコール類、2,2−ジメチル−1,4−ジオキソラン−4−メタノールのようなグリセロールケタール、ポリエチレングリコール400のようなエーテル類、油、脂肪酸、脂肪酸エステルまたは脂肪酸グリセライドまたはアセチル化脂肪酸グリセライドのような無菌液体または液体混合物であることができる、薬剤担体を有する生理学的に許容し得る希釈剤中の、石鹸または洗剤のような界面活性剤、ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースのような懸濁剤、または乳化剤および他の薬学的アジュバントの添加ありなしで化合物の注射可能な投与形として、非経口的に、すなわち皮下、静脈内、眼内、滑液内、筋内または腹腔内投与することができる。
【0166】
本発明の非経口製剤に使用できる油の例は、石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば落花生油、大豆油、ゴマ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、ペトロラタムおよび鉱油である。好適な脂肪酸はオレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸およびミリスチン酸を含む。好適な脂肪酸エステルは、例えばオレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルである。好適な石鹸は脂肪酸アルカリ金属塩、アンモニウム塩およびトリエタノールアミン塩であり、そして好適な洗剤はカチオン性洗剤、例えばジメチルジアルキルアンモニウムハライド、アルキルピリジニウムハライド、アルキルアミンアセテート;アニオン性洗剤、例えばアルキル、アリールおよびオレフィンスルホネート、アルキル、オレフィン、エーテルおよびモノグリセライドサルフェートおよびスルホサクシネート;非イオン洗剤、例えば脂肪アミンオキサイド、脂肪酸アルカノールアミド、およびポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)、またはエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体;および両性洗浄剤、例えばアルキル−β−アミノプロピオネートおよび2−アルキルイミダゾリン4級アンモニウム塩、および混合物を含む。
【0167】
本発明の非経口組成物は、典型的には溶液中約0.5%ないし約25%の活性成分を含むであろう。保存剤およびバッファーも有利に使用し得る。注射部位での刺激を最小化またはなくすために、そのような組成物は、好ましくは約12ないし約17のHLBを有する非イオン界面活性剤を含むことができる。そのような製剤中の界面活性剤の量は好ましくは約5ないし約15重量%の範囲である。界面活性剤は上のHLBを有する単一成分か、または所望のHLBを有する2以上の成分の混合物であることができる。
【0168】
非経口製剤に使用される界面活性剤の例は、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステルクラス、例えばソルビタンモノオレエートおよびポリエチレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって生成したエチレンオキシドと疎水性ベースの高分子量付加物である。
【0169】
医薬組成物は無菌の注射可能水性懸濁液の形でもよい。そのような懸濁液は、既知の方法に従って、適当な分散または湿潤剤および、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トランガントガムおよびアカシアガムのような懸濁剤;レシチンのような天然ホスファチド、エチレンオキシドと脂肪酸との縮合物、例えばポリオキシエチレンステアレート、エチレンオキシドと長鎖脂肪酸との縮合生成物例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのような脂肪酸およびヘキシトールから誘導された部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、または脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導された部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであることができる分散または湿潤剤を使用して処方することができる。
【0170】
無菌の注射可能な製剤は、非毒性の非経口的に許容し得る希釈剤または溶媒中の無菌の注射溶液または懸濁液であることもできる。
【0171】
採用し得る希釈剤または溶媒は、例えば水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液または等張グルコース溶液である。加えて、無菌の固定油を溶媒または懸濁媒として慣用的に採用し得る。この目的のため合成モノまたはジグリセライドを含む任意のブランドの固定油を採用することができる。加えてオレイン酸のような脂肪酸を注射製剤に使用することができる。
【0172】
本発明の化合物は当業者に既知の方法(パッチ)を使用して経皮的に投与することもできる(例えば、Chien;“Transdermal Contrall Systemic Medications”;Marcel Deckker,Inc.;1987,Cipp et al,WO94/04157,3Mar94を見よ)。そのような経皮パッチは、本発明の化合物を制御された量で連続または非連続注入することを提供するために使用し得る。薬物の送達のための経皮パッチの構造および使用はこの分野では良く知られている(例えば米国特許No.5,023,252、1991年6月1日発行を見よ。参照としてここに取入れる)。そのようなパッチは薬剤の連続的脈動的またはオンデマンド送達のために構成することができる。例えば、任意に浸透促進剤を含んでいる適当な揮発性溶媒中の式Iの化合物の溶液または懸濁液は、マトリックス材料および殺バクテリア剤のような当業者に既知の追加の添加剤と組合せることができる。滅菌後、得られる混合物は既知の操作に従って投与形態に製剤化することができる。加えて、乳化剤および水との処理により、式Iの化合物の溶剤もしくは懸濁液はローションまたはザルベに製剤化することができる。
【0173】
経皮放出システムを処理するための適切な溶剤は当業者に既知であり、そしてエタノールまたはイソプロピルアルコールのような低級アルコール、アセトンのような低級ケトン、酢酸エチルのような低級カルボキシル酸エステル、テトラヒドロフランのような極性エーテル、ヘキサン、シクロヘキサンまたはベンゼンのような低級炭化水素、またはジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロトリフロロエタンもしくはトリクロロフロロエタンのようなハロゲン化炭化水素を含む。好適な溶媒はまた、低級アルコール、低級ケトン、低級カルボキシル酸エステル、極性エーテル、低級炭化水素、ハロゲン化炭化水素から選ばれた一以上の物質の混合物を含むことができる。
【0174】
経皮放出システムのための好適な浸透促進剤は当業者に既知であり、そして例えばエタノール、プロピレングリコールもしくはベンジルアルコールのようなモノヒドロキシまたはポリヒドロキシアルコール;ラウリルアルコールまたはセチルアルコールのような飽和もしくは不飽和C8-18脂肪アルコール;ステアリン酸のような飽和もしくは不飽和C8-18脂肪酸;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチルのような24炭素までの飽和もしくは不飽和脂肪エステル;酢酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸またはパルミチン酸のモノグリセリンエステル;またはジイソプロピルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソプロピルセバケート、ジイソプロピルマレエートもしくはジイソプロピルフマレートのようなトータルで24炭素までの飽和もしくは不飽和ジカルボン酸のジエステルを含む。追加の浸透促進剤は、レシチンもしくはセファリンのようなフォスファチジル誘導体、テルペン、アミド、ケトン、尿素およびその誘導体、およびジメチルイソソルビットおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルのようなエーテルを含む。好適な浸透促進製剤はまた、モノヒドロキシもしくはポリヒドロキアルコール、飽和もしくは不飽和C8-18脂肪アルコール、飽和もしくは不飽和C8-18脂肪酸、24炭素までの飽和もしくは不飽和脂肪エステル、トータルで24炭素までの飽和もしくは不飽和ジカルボン酸のジエステル、フォスファチジル誘導体、テルペン、アミド、ケトン、尿素およびその誘導体およびエーテルから選ばれた一以上の物質の混合物を含むことができる。
【0175】
経皮放出システムに適した結合剤は当業者に既知であり、そしてポリアクリレート、シリコーン、ポリウレタン、ブロック共重合体、スチレンブタジエン共重合体および天然および合成ゴムを含む。セルロースエーテル、誘導体化ポリエチレンおよびシリケートもマトリックス成分として使用し得る。粘性樹脂もしくはオイルのような追加の添加剤はマトリックスの粘度を増すために添加することができる。
【0176】
本発明の方法において採用し得る他の製剤は経皮送達デバイス(パッチ)を採用する。そのような経皮パッチは、本発明の化合物を制御された量で連続または非連続注入することを提供するために使用し得る。薬剤の送達のための経皮パッチの構造および使用はこの分野では良く知られている(例えば米国特許第5,023,252号、1991年6月11日発行を見よ。参考としてここに取り入れる)。
【0177】
非経口投与のための制御された放出製剤は、この分野で既知のリポソーム、ポリマーマイクロスフェアおよびポリマーゲル製剤を含む。
【0178】
医薬組成物は機械的送達器具を用いて患者へ導入することが望ましいか必要である。薬剤の送達のための機械的送達器の構造および使用は当分野で良く知られている。例えば薬物を脳へ直接投与するための直接の技術は、通常血液−脳バリヤーをパイパスするため患者の心室系に配置された薬物送達カテーテルを含む。薬剤を体の特定の解剖学的区域へ輸送するため内植し得る送達システムの一例は、1991年4月30日発行の米国特許第5,011,472号記載されている。
【0179】
本発明の組成物は、必要または所望に応じ、一般に担体または希釈剤と呼ばれる他の慣用の薬学的に許容し得る配合成分を含むことができる。適切な投与形のそのような組成物を調製するための慣用操作を利用することができる。そのような成分および操作はここに参照として取り入れる以下の参考文献に記載されているものを含む。Powell,M.F.et al,Compendium of Excipients for Parenteral Formulations,PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 1993,52(5),238−311;Strickey,R.G.,Parenteral Formulations of Small Molecule Therapeutics Marketed in the Vnited States(1999)Part−1,PDA Jounal of Pharmacentical Science &
Technology 1999,53(6),324−348;Nema,S.et al,Excipients and Their Use in injjectable Products,PDA Jounal of Pharmacentical Science & Technology 1997,51(4),166−171。
【0180】
本発明は、1以上の本発明の化合物を含む医薬組成物の投与にも関する。これらの組成物はそれを必要とする患者へ投与することによって所望の薬理効果を達成するために利用される。本発明の目的のための患者は特定の状態および疾病のための処置を含むヒトを含む哺乳類である。それ故本発明は、薬学的に許容し得る担体と、有効量の本発明の化合物、それらの塩よりなる医薬組成物を含む。薬学的に許容し得る担体は、好ましくは担体に帰すべき副作用が活性成分の有益な効果を損なわないように、活性成分の有効活性と矛盾しない濃度において無毒性でありかつ患者に対して無害の担体である。化合物の薬学的に有効量は、処置されている特定の状態に結果を産むまたは影響する量である。本発明の化合物は、薬学的に許容し得る担体と共に、即時、遅延および時間放出製剤を含む有効な慣用の投与単位形において経口、非経口、局所、経鼻、経眼、経耳的、舌下、経直腸、経膣等により投与することができる。
【0181】
経口投与のため、化合物はカプセル、ピル、錠剤、トローチ、ひし形錠、溶融物、粉末、溶液、サスペンジョン、またはエマルジョンのような固形または液状製剤に製剤することができ、そして医薬製剤の分野において知られた方法によって製造することができる。固形単位投与形は、例えば界面活性剤、滑沢剤、および乳糖、ショ糖、リン酸カルシウムおよびコーンスターチのような不活性フィラーを含んでいる通常の硬また軟ゼラチンシェルのカプセルであることができる。
【0182】
他の具体例において、本発明の化合物は、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンのようなバインダー、バレイショデンプン、アルギン酸、コーンスターチ、グアーガム、トラガントガム、アカシアのような投与後錠剤の崩壊を助けることを意図した崩壊剤、錠剤顆粒の流動を改善し、そして錠剤臼および杵の表面への錠剤原料の付着を防止することを意図した滑沢剤例えばタルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、カルシウムまたは亜鉛、染料、着色剤および錠剤の美的品質を増強しそしてそれらの患者に対して受入れ易くすることを意図した、染料着色料、およびペパーミント、ウインターグリーンまたはチェリー香料のような香料と組合せて乳糖、ショ糖およびコーンスターチのような錠剤ベースと共に打錠することができる。経口液体形に使用するための好適な補助剤は、リン酸ジカルシウム、および薬学的に許容し得る界面活性剤、懸濁剤または乳化剤の添加ありなしの水およびアルコール、例えばエタノール、ベンジルアルコールおよびポリエチレンアルコールのような希釈剤を含む。コーティングとして、または他のように投与単位の物理的形状を修飾するための種々の他の材料が存在し得る。例えば錠、ピルまたはカプセルはシェラック、糖または両者でコーティングし得る。
【0183】
本発明の組成物は、必要または所望に応じ、一般に担体または希釈剤と呼ばれる他の慣用の薬学的に許容し得る配合成分を含むことができる。適切な投与形のそのような組成物を調製するための慣用操作を利用することができる。そのような成分および操作はここに参照として取り入れる以下の参考文献に記載されているものを含む。Powell,M.F.et al,Compendium of Excipients for Parenteral Formulations,PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 1993,52(5),238−311;Strickey,R.G.,Parenteral Formulations of Small Molecule Therapeutics Marketed in the Vnited States(1999)Part−1,PDA Jounal of Pharmacentical Science & Technology 1999,53(6),324−348;Nema,S.et al,Excipients and Their Use in injjectable Products,PDA Jounal of Pharmacentical Science & Technology 1997,51(4),166−171。
【0184】
意図した投与ルートのための組成物を処方するために適切として使用することができる普通に使用される薬剤成分は以下のものを含む。
【0185】
酸性化剤(非限定的な例は、酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、硝酸を含む);
アルカリ化剤(非限定的な例は、アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロールアミンを含む);
吸着剤(非限定的な例は、粉末セルロースおよび活性炭を含む);
エアゾル噴射剤(非限定的な例は、二酸化炭素、CCl,FClC−CClFおよびCClF);
空気置換剤(非限定的な例は、窒素およびアルゴンを含む);
抗カビ保存剤(非限定な例は、安息香酸、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウムを含む);
抗微生物保存剤(非限定的な例は、塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、およびメチロサールを含む);
抗酸化剤(非限定的な例は、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、メタ重亜硫酸ナトリウムを含む);
結合物質(非限定的な例は、ブロック共重合体、天然および合成ゴム、ポリアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、ポリシロキサン、スチレンブタジエン共重合体を含む);
緩衝剤(非限定な例は、メタリン酸カリウム、リン酸二カリウム、酢酸ナトリウム、無水クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物を含む);
担持剤(非限定的な例は、アカシアシロップ、芳香シロップ、芳香エリキサー、チェリーシロップ、ココアシロップ、オレンジシロップ、シロップ、コーンオイル、鉱油、落花生油、ゴマ油、静菌塩化ナトリウム注射液、注射用静菌水を含む);
キレート剤(非限定的な例は、エデト酸ジナトリウムおよびエデト酸を含む);
着色剤(非限定的な例は、FD & CレッドNo.3,FD & CレッドNo.20,FD & CイエローNo.6,FD & CブルーNo.2,D & CグリーンNo.5,D & CオレンジNo.5,D & CレッドNo.8,カラメル、赤色酸化鉄を含む);
清澄化剤(非限定な例はベントナイト);
乳化剤(非限定的な例は、アカシア、セトマクロゴール、セチルアルコール、グリセリルモノステアレート、レシチン、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン50モノステアレートを含む);
カプセル化剤(非限定的な例は、ゼラチンおよびセルロースアセテートフタレートを含む);
香味剤(非限定的な例は、アニス油、シナモン油、ココア、メンソール、オレンジ油、ペパーミント油、バニリンを含む);
調湿剤(非限定的な例は、グリセロール、プロピレン、グリコール、ソルビトールを含む);
滑剤(非限定な例は鉱油およびグリセリン);
オイル(非限定的な例は、アラキス油、鉱油、オリーブ油、グリセリンを含む);
軟膏基剤(非限定的な例は、ラノリン、親水性軟膏、ポリエチレングリコール軟膏、ペテロラタム、親水性ペトロラタム、白色軟膏、黄色軟膏、ローズウォーター軟膏を含む);
浸透促進剤(経皮送達)(非限定的な例は、モノまたはポリヒドロキシアルコール、モノまたは多価アルコール、飽和または不飽和脂肪アルコール、飽和または不飽和脂肪エステル、飽和または不飽和ジカルボン酸、精油、ホスフェチジル誘導体、セファリン、テルペン、アミド、エーテル、ケトンおよび尿素を含む);
可塑剤(非限定的な例は、フタル酸ジエチルおよびグリセロールを含む);
溶媒(非限定的な例は、エタノール、コーンオイル、綿実油、グリセロール、イソプロパノール、鉱油、オレイン酸、落花生油、精製水、注射用水、注射用無菌水、洗浄のための無菌水を含む);
硬化剤(非限定的な例は、セチルアルコール、セチルエステルワックス、微結晶ワックス、パラフィン、ステアリルアルコール、白ロウ、黄色ロウを含む);
坐薬基剤(非限定な例はカカオバターおよびポリエチレングリコール);
界面活性剤(非限定的な例は、塩化ベンゼトニウム、ノノキシノール10、オキシトキシリノール9、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノパルミテートを含む);
懸濁剤(非限定的な例は、寒天、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カオリン、メチルセルロース、トラガントガム、ビーガムを含む);
甘味剤(非限定的な例は、アスパルテーム、デキストロース、グリセロール、マンニトール、プロピレングリコール、サッカリンナトリウム、ソルビトール、ショ糖を含む);
錠剤抗粘着剤(非限定的な例は、ステアリン酸マグネシウム、タルクを含む);
錠剤バインダー(非限定的な例は、アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、圧縮性糖、エチルセルロース、ゼラチン、液体グルコース、メチルセルロース、非架橋ポリビニルピロリドン、プレゼラチン化デンプンを含む);
錠剤およびカプセル希釈剤(非限定的な例は、二塩基性リン酸カルシウム、カオリン、乳糖、マンニトール、微結晶セルロース、粉末セルロース、沈降性炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ソルビトール、デンプンを含む);
錠剤コーティング剤(非限定的な例は、液体グルコース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、シエラックを含む);
錠剤直打賦形剤(非限定的な例は、二塩基性リン酸カルシムウムを含む);
錠剤崩壊剤(非限定的な例は、アルギン酸、カルボキメチルセルロースカルシウム、微結晶セルロース、ポラクリンカリウム、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンを含む);
錠剤滑剤(非限定的な例は、コロイド状シリカ、コーンスターチおよびタルクを含む);
錠剤滑沢剤(非限定的な例は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛を含む);
錠剤/カプセル不透明化剤(非限定な例は、二酸化チタンを含む);
錠剤研磨剤(非限定的な例は、カルナウバロウ、シロロウを含む);
濃化剤(非限定的な例は、蜜ロウ、セチルアルコール、パラフィンを含む);
浸透圧調節剤(非限定的な例は、デキストロース、塩化ナトリウムを含む);
増粘剤(非限定的な例は、アルギン酸、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、トラガントガムを含む);そして
湿潤剤(非限定的な例は、ペプタデカエチレンオキシセタノール、レシチン、ソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートを含む)
【0186】
投与すべき活性成分の総量は1日体重kgあたり、一般に約0.001mg/kgないし約200mg/kg、好ましくは約0.01mg/kgないし約20mg/kgの範囲であろう。単位投与量は活性成分約0.5mgないし約1500mgを含有することができ、例えば1日1回以上投与することができる。式Iの化合物のためここに記載したすべての療法のため、1日当りの経口投与療法は好ましくは0.01ないし200mg/kg全体重であろう。静脈内、筋肉内、皮下および非経口的、および注入技術の使用を含む注射投与のための1日当りの投与量は0.01ないし200mg/kg全体重であろう。1日当りの経膣投与療法は好ましくは0.01ないし200mg/kg全体重であろう。1日当りの経直腸投与療法は好ましくは0.01ないし200mg/kg全体重であろう。1日当りの局所投与療法は好ましくは1日1ないし4回投与される0.1ないし200mgであろう。経皮濃度は、好ましくは1日当り0.01ないし200mg/kgの投与量を維持するのに要する濃度であろう。1日当りの吸入投与量は好ましくは0.01ないし10mg/kg全体重であろう。これらの投与療法は1日で、または週または月ベースのような延長投与において多数回投与によって達成することができる。
【0187】
高増殖障害の処置に有用な化合物を評価する既知の標準的研究室技術に基づいて、標準的毒性試験により、そして哺乳類における上で同定した状態の処置の決定のための標準的薬理学的アッセイにより、そしてこれらの結果をこれらの状態を処置するために使用される既知の薬剤の結果と比較することにより、本発明の化合物の有効投与量は各所望の適応症の処置のために容易に決定できる。これら状態の一つの処置において投与すべき活性成分の量は、使用される特定の化合物および投与単位、投与モード、処置期間、処置される患者の年令および性別、および処置される状態の性格および程度のような配慮に応じて広く変化し得る。
【0188】
当業者には、特定の投与方法は種々のファクターに依存し、そのすべての治療剤を投与する時日常的に考慮されるものであることが認められるであろう。しかしながら、与えられた患者に対する特定の投与量レベルは、投与される化合物の特定の活性、患者の年令、患者の体重、患者の一般的健康、患者の性別、患者の食事、投与時間、投与ルート、排泄速度、薬物併用、および治療を受ける症状の重篤度等を含む、種々のファクターに依存することが理解されるであろう。さらに当業者には、最適の治療コース、すなわち処置モードおよび限られた日数について式Iの化合物または薬学的に許容し得るその塩の日毎の投与回数は慣用の処置テストコースを使用して当業者により確かめることができることが認められるであろう。
【0189】
しかしながら、特定の患者に対する特定の投与量レベルは、投与される特定の化合物の活性、年令、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、投与ルート、排泄速度、薬物併用、および治療を受ける症状の重篤度を含む、種々のファクターに依存することが理解されるであろう。
【0190】
当業者には、最適の処置コース、すなわち処置モードおよび限られた日数のために与えられる本発明の化合物の1日の投与回数は、慣用の処置テストを使用して当業者によって確かめることができることが認められるであろう。
【0191】
本発明の化合物の特定の製造法は既に特許文献に記載されており、そして本発明の化合物に適応させることができる。例えばリードルら、“rafキナーゼ阻害剤としてのO−カルボキシアリール置換ジフェニル尿素”,WO00/42012;リードら、“p38キナーゼ阻害剤としてのO−カルボキシアリール置換ジフェニル尿素”、WO00/41698。
【0192】
本発明に従って医薬組成物は以下に例示することができる。
【0193】
無菌IV溶液:本発明の所望の化合物の5mg/ml溶液は、無菌の注射用水を使用して製造することができ、そしてもし必要ならpHが調節される。この溶液は無菌5%デキストロースで投与のため1−2mg/mlに希釈され、そして60分にわたるIV注入液として投与される。
【0194】
IV投与のための凍結乾燥粉末:無菌製剤は、(i)凍結乾燥粉末として本発明の所望の化合物100−1000mgと、(ii)32−327mg/mlクエン酸ナトリウムと、そして(iii)300−3000mgのデキストラン40とで調製することができる。この処方は無菌注射用食塩水またはデキストロースで10−20mg/mlの濃度で復元され、これはさらに食塩または5%デキストロースで0.2−0.4mg/mlへ希釈され、ボーラスIVとしてまたは15−60分にわたるIV注入によって投与される。
【0195】
筋肉内懸濁液:筋肉内注射のため以下の溶液または懸濁液を調製することができる。
本発明の所望の水不溶性化合物 50mg/ml
カルボキシメチルセルロースナトリウム 5mg/ml
TWEEN80 4mg/ml
塩化ナトリウム 9mg/ml
ベンジルアルコール 9mg/ml
【0196】
硬カプセル:多数の単位カプセルは、標準2片硬ゼラチンカプセルへ、各自活性成分粉末100mgと、乳糖150mgと、セルロース50mgと、そしてステアリン酸マグネシウム6mgを充填することによって調製することができる。
【0197】
軟ゼラチンカプセル:大豆油、綿実油またはオリーブ油のような消化し得る油中の活性成分の混合物が調製され、そして積極移動ポンプにより溶融ゼラチン中へ注入され、活性成分100mgを含有する軟ゼラチンカプセルに形成される。活性成分は、水混和性薬物ミックスを調製するためポリエチレングリコールと、グリセリンと、ソルビトールの混合物中に溶かすことができる。
【0198】
錠剤:投与単位が活性成分100mg、コロイド状二酸化ケイ素0.2mg、ステアリン酸マグネシウム5mg、微結晶セルロース275mg、デンプン11mg、および乳糖98.8mgであるように、慣用の操作に従って多類の錠剤が調製される。服用性を増大し、エレガンスおよび安定性を改良し、また遅延吸収のため、適切な水性および非水性コーティングを適用することができる。
【0199】
即時放出錠剤/カプセル:これらは慣用および新しいプロセスによって製造された固形経口投与形である。これらの単位は即時溶解および投薬の送達のため水なしで服用される。活性成分は糖、ゼラチン、ペクチンおよび甘味剤のような液体含有成分中に混合される。これらの液体は凍結乾燥および固相抽出技術によって固体錠剤またはカプセルに固化される。薬物化合物は、水なしで即時放出を意図した多孔質マトリックスを製造する粘弾性および熱弾性糖およびポリマーまたは発泡成分と共に圧縮することができる。
【0200】
本発明の化合物の製造法は以下の米国出願にも記載されている。
09/425,228,1999年10月22日出願
09/722,418,2000年11月28日出願
09/758,547,2001年1月12日出願
09/838,285,2001年4月20日出願
09/838,286,2001年4月20日出願
【0201】
上記および下記において引用したすべての出願、特許および発表の全体の開示をここに参照として取入れる。
【0202】
本発明の化合物は、既知の化合物から(または既知の化合物から製造し得る出発原料から)、例えば以下に示した一般的調製方法によって製造し得る。与えられた化合物の脈管形成を阻害する活性は、例えば後記の操作に従って日常的にアッセイすることができる。
【0203】
以下の実施例は単に例証と考えるべきであり、開示の残部の限定と考えるべきではない。以下の実施例は例証目的であって、本発明をいかなる態様において限定を意図せず、またはそのように解すべきではない。
【実施例】
【0204】
すべての反応は乾燥アルゴンまたは乾燥窒素の陽圧のもとで炎乾燥またはオーブン乾燥されたガラス器具内で実施され、そして特記しない限り磁気的に攪拌された。敏感な液体および溶液はシリンジまたはカニューレにより移され、そしてゴム栓を通って反応容器へ導入された。特記しない限り、「減圧下の濃縮」の用語は約15mmHgにおけるBuchiロータリエバポレーターの使用を指す。特記しない限り、用語「高真空下」とは、特記しない限り0.4〜1.0mmHgの真空を指す。
【0205】
すべての温度は未補正の摂氏(℃)で報告される。特記しない限り、すべての部およびパーセントは重量による。
【0206】
市販のグレードの試薬および溶媒をさらに精製することなく使用された。N−シクロヘキシル−N’−シクロヘキシル−N’−(メチルポリスチレン)カルボジイミドはCalbiochem−Novabiochem Corpから購入した。3−t−ブチルアニリン、5−t−ブチル−2−メトキシアニリン、4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン、2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)アニリン、4−ブチル−2−ニトロアニリン、3−アミノ−2−ナフトール、4−イソシアナート安息香酸エチル、N−アセチル−4−クロロ−2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)アニリン、および4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネートは購入し、さらに精製することなく使用した。3−アミノ−2−メトキシキノリン(E.Chao et al,WO99/00402;A.Cordi et al,EP542,609;IBID Bioorg.Med.Chem,3,1995,129),4−(3−カルバモイルフェノキシ)−1−ニトロベンゼン(K.Ikawa,薬学雑誌79,1959,760;Chem.Abstr.53,1959,12761b),3−t−ブチルフェニルイソシアネート(O.Rohr et al,DE2,436,108),および2−メトキシフェニルイソシアネート(K.Inukai et al,JP42,025,067;IBID工業化学雑誌70,1967,491)は以前に記載されている。
【0207】
薄層クロマトグラフィー(TLC)はWhatmanプレコートガラスバックシリカゲル60A F−254の250μmプレートを使用して実施した。プレートの可視化は次の技術の一以上によって実施された。(a)紫外線照射、(b)ヨウ素蒸気へ曝露、(c)エタノール中リンモリブデン酸10%溶液中プレートの浸漬および続いて加熱、(d)硫酸セリウム溶液中プレートの浸漬および続いて加熱、(e)2,4−ジニトロフェニルヒドラジンの酸性エタノール溶液中プレートの浸漬および続いて加熱。カラムクロマトグラフィー(フラッシュクロマトグラフィー)は230−400メッシュEMサイエンスシリカゲルを使用して実施された。
【0208】
融点(mp)は、Thomas−Hoover融点装置またはMettlerFP66自動融点装置を使用して決定され、補正しなかった。プロトン( 1H)核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、General Electric GN−オメガ300(300MHz)スペクトロメータにより、標準としてMe4 Si(δ0.00)またはプロトン化溶媒(CHCl3 δ7.26;MeOH δ3.30;DMSO δ2.49)で測定された。炭素(13C)NMRスペクトルはGeneral Electric GN−オメガ300(75MHz)スペクトロメータと、標準として溶媒(CDCl3 δ77.0;MeOD−d3 ;δ49.0;DMSO−d6 δ39.5)で測定された。低解像質量スペクトル(MS)および高解像質量スペクトル(HRMS)は、電子インパクト(EI)質量スペクトルとして、または高速原子衝撃(FAB)質量スペクトルとして得られた。電子インパクト質量スペクトル(EI−MS)はサンプル導入のためVacumetric脱着化学的イオン化プローブを備えたヒューレット−パッカード5989A質量スペクトル計で得られた。イオン源は250℃に維持された。電子インパクトイオン化は電子エネルギー70eVおよびトラップ電流300μAで実施された。液体セシウム二次イオン質量スペクトル(FAB−MS)すなわち高速原子衝撃の最新型はKratos Concept 1−Hスペクトル計を用いて得られた。化学的イオン化質量スペクトル(CI−MS)は試薬ガスとして(1×10-4トルないし2.5×10-4トル)メタンまたはアンモニアを使用し、ヒューレット−パッカードMS−エンジン(5989A)を使用して得られた。直接挿入脱着化学的イオン化(DCI)プローブ(Vacumetrics,Inc)は10秒で0〜15Aから立ち上げられ、サンプルの痕跡すべてが消失するまで(〜1〜2分)10Aに保たれた。スペクトルは2秒/走査において50〜800amuから走査された。HPLCエレクトロスプレー質量スペクトル(HPLC ES−MS)は、四級ポンプ、可変波長検出器、C−18カラム、およびエレクトロスプレーイオン化を有するFinnigan LCQイオントラップ質量スペクトル計を備えたヒューレット−パッカード1100HPLCを使用して得られた。スペクトルはソースのイオンの数に従って可変イオン時間を使用して120〜800amuから走査された。ガスクロマトグラフィー/イオン選択性質量スペクトル(GC−MS)は、HP−1メチルシリコーンカラム(0.33mMコーティング;25m×0.2mm)を備えたヒューレット−パッカード5890ガスクロマトグラフ、およびヒューレット−パッカード5971質量選択性検出器(イオン化エネルギー70eV)で得られた。元素分析はRobertson Microlit Labs.Madison MJによって実施された。
【0209】
略号のリスト
AcOH 酢酸
anh 無水
atm 気圧
BOC t−ブトキシカルボニル
CDI 1,1’−カルボニルジイミダゾール
conc 濃縮
d 日
dec 分解
DMAC N,N−ジメチルアセタミド
DMPU 1,3−ジメチルー3,4,5,6−テトラヒドロ− 2(1H)ピリミジン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DPPA ジフェニルフォスフォリルアシド
EDCI 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール(100%)
Et2 O ジエチルエーテル
Et3 N トリエチルアミン
h 時間
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
m−CPBA 3−クロロペルオキシ安息香酸
MeOH メタノール
pet.ether 石油エーテル
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフロロ酢酸
Tf トリフロロメタンスルホニル
【0210】
以下の一般的方法は米国特許出願No.09/948,915,2001年9月10日出願に記載されており、参照としてここに取入れる。
A.置換アニリンの合成のための一般的方法,18−43ページ
B.尿素前駆体の合成,43ページ
C.尿素生成方法,44−51ページ
D.尿素の相互変換,52−56ページ
【0211】
実施例A
N−〔4−クロロ−3−(トリフロロメチル)フェニル〕−N’−{4−〔2−カルバモイルー(4−ピリジル)〕フェニル}尿素:
ステップ1:4−クロロ−2−ピリジンカルボキサマイドの製造
【0212】
【化6】

【0213】
濃アンモニア水(32ml)に溶かした4−クロロ−2−ピリジンカルボン酸メチル(1.0g,4.81mmol)のかきまぜた混合物へ、塩化アンモニウム(96.3mg,0.37当量)を加え、この不均質反応混合物を環境温度で16時間攪拌した。反応混合物をEtOAc(500ml)と水(300ml)へ注いだ。有機層を水(2×300ml)および飽和食塩水(1×300ml)で洗い、乾燥(MgSO4 )し、減圧濃縮し、ベージュ色の固体として4−クロロ−2−ピリジンカルボキサマイド(604.3mg,80.3%)を得た。TLC(50%EtOAc/ヘキサン)Rf0.20; 1H−NMR(DMSO−d8 )δ8.61(d,J=5.4Hz,1H),8.20(br,s,1H),8.02(d,J=1.8Hz,1H),7.81(br,s,1H),7.76−7.73(m,1H)
【0214】
ステップ2:4−(4−アミノフェノキシ)−2−ピリジンカルボキサマイドの製造
【化7】

【0215】
無水DMF(7.7ml)中の4−アミノフェノール(418mg,3.83mmol)へ、カリウムt−ブトキサイド(447mg,3.98mmol,1.04当量)を1度に加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、次に無水DMF(4ml)中の4−クロロ−2−ピリジンカルボキサマイド(600mg,3.83mmol,1.0当量の溶液を加えた。反応混合物を80℃で3日間攪拌し、EtOAcと飽和食塩水の混合物中へ注いだ。有機層を飽和NH4 Cl溶液および飽和食塩水で順次洗い、乾燥(MgSO4 )し、そして減圧濃縮した。粗生成物をMPLCクロマトグラフィー(Biotage,100%EtOAcから10%MeOH/50%EtOAc/40%ヘキサンまでの勾配)を使用して精製し、褐色固体として4−クロロ−5−トリフロロメチルアニリン(510mg,58%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6 )δ8.43(d,J=5.7Hz,1H),8.07(br,s,1H),7.66(br,s,1H),7.31(d,J=2.7Hz,1H),7.07(dd,J=5.7Hz,2.7Hz,1H),6.85(d,J=9.0Hz,2H),6.62(d,J=8.7Hz,2H),5.17(br,s,2H);HPLC EI−MS m/z230((M+H)+
【0216】
ステップ3:N−〔4−クロロ−3−(トリフロロメチル)フェニル〕−N’−{4−〔2−カルバモイル−(4−ピリジルオキシ)〕フェニル}尿素の製造
【化8】

【0217】
無水ジクロロエタン(5.5ml)中の4−クロロ−5−トリフロロメチルアニリン(451mg,2.31mmol,1.1当量)と1,1’−カルボニルジイミダゾール(419mg,2.54mmol,1.2当量)の混合物物をアルゴン下65℃で16時間攪拌した。一旦室温へ冷却し、無水THF(4.0ml)中の4−(4−アミノフェノキシ)−2−ピリジンカルボキサマイド(480mg,2.09mmol)の溶液を加え、反応混合物を60℃で4時間攪拌した。反応混合物をEtOAc中へ加え、有機層を水(2×)および飽和食塩水(1×)で洗い、乾燥(MgSO4 )し、濾過し、そして減圧濃縮した。MPLCクロマトグラフィー(Biotage,100%EtOAcから2%MeOH/EtOAcまでの勾配)を使用した精製は、白色固体としてN−〔4−クロロ−3−(トリフロロメチル)フェニル〕−N’−{4−〔2−カルバモイルー(4−ピリジルオキシ)〕フェニル}尿素(770mg,82%)を与えた。TLC(EtOAc)Rf0.11,100%EtOAc;1H−NMR(DMSO−d6 )δ8.21(s,1H),8.99(s,1H),8.50(d,J=5.6Hz,1H),8.11(s,1H),7.69(br,s,1H),7.64(dd,J=8.2Hz,2.1Hz,1H),7.61(s,1H),7.59(d,J=8.8Hz,2H),7.39(d,J=2.5Hz,1H),7.15(d,J=8.9Hz,2H),7.14(m,1H);MS LC−MS((MH+ =451);元素分析C2014ClF3 4 3 に対する計算値:C53,29%,H3.13%,N12.43%;実験値:C53.33%,H3.21%,N12.60%
【0218】
実施例B
N−〔4−クロロ−3−(トリフロロメチル)フェニル〕−N’−{4−〔2−N−メチルカルバモイル−4−ピリジルオキシ〕フェニル}尿素
【化9】

【0219】
ステップ1:4−クロロ−N−メチル−2−ピリジンカルボキサマイドは、4−クロロピリジン−2−カルボニルクロライドHCl塩(7.0g,32.95mmol)をTHF(100ml)とMeOH(20ml)中の2.0Mメチルアミン溶液の混合物へ0℃で少しずつ加えることにより、4−クロロピリジン−2−カルボニルクロライドから最初に合成される。生成する反応混合物を3℃において4時間貯蔵し、次に減圧濃縮する。生成した殆んど乾燥した固体をEtOAc(100ml)に懸濁し、濾過する。濾液を飽和食塩水(2×100ml)で洗い、乾燥(MgSO4 )し、減圧濃縮すると黄色結晶性固体として4−クロロ−N−メチル−2−ピリジンカルボキサマイドを与える。
【0220】
ステップ2:無水DMF(150ml)中の4−アミノフェノール(9.60g,88.0mmol)をカリウムt−ブトキサイド( 10.29g,91.7mmol)で処置し、赤褐色混合物を室温で2時間攪拌する。内容物をステップ1からの4−クロロ−N−メチル−2−ピリジンカルボキサマイド(15.0g,87.9mmol)とK2 CO3 (6.50g,47.0mmol)で処理し、次に80℃で8時間加熱する。混合物を室温へ冷やし、EtOAc(500ml)と飽和食塩水(500mlの間に分配する。水相をEtOAc(300ml)で逆抽出し、合併した有機層を飽和食塩水(4×100ml)で洗い、乾燥(Na2 SO4 )し、減圧濃縮する。生成した固体を35℃で3時間減圧乾燥すると明るい褐色の固体として4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)アニリンを与える。1H−NMR(DMSO−d6 )δ2.77(d,J=4.8Hz,3H),5.17(br,s,2H),6.64,6.86(AA’BB’q,J=8.4Hz,4H),7.06(dd,J=5.5,2.5Hz,1H),7.33(d,J=2.5Hz,1H),8.44(d,J=5.5Hz,1H),8.73(br.d,1H);HPLC ES−MS m/z244((M+ H)+
【0221】
ステッス3:CH2 Cl2 (35ml)中の4−クロロ−3−(トリフロロメチル)フェニルイソシアネート(14.60g,65.90mmol)溶液をCH2 Cl2 (35ml)中のステップ2からの4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)アニリン(16.0g,65.77mmol)の懸濁液へ0℃において滴下する。生成する混合物を室温で22時間攪拌する。生成する黄色固体を濾過により除去し、次にCH2 Cl2 (2×30ml)で洗い、減圧下(約1mmHg)で乾燥し、N−(4−クロロ−3−(トリフロロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素を灰白色固体として得る。mp207−209℃;1H−NMR(DMSO−d6 )δ2.77(d,J=4.8Hz,3H),7.16(m,3H),7.37(d,J=2.5Hz,1H),7.62(m,4H),8.11(d,J=2.5Hz,1H),8.49(d,J=5.5Hz,1H),8.77(br.d,1H),8.99(s,1H),9.21(s,1H);HPLC ES−MS m/z465((M+ H)+
【0222】
実施例C
N−〔2−メトキシ−5−(トリフロロメチル)フェニル〕−N’−{4−〔2−N−メチルカルボモイル−4−ピリジルオキシ〕フェニル}尿素
【化10】

【0223】
ステップ1:4−クロロ−N−メチル−2−ピリジンカルボキサマイドは、4−クロロピリジン−2−カルボニルクロライドHCl塩(7.0g,32.95mmol)をTHF(100ml)とMeOH(20ml)中の2.0Mメチルアミン溶液の混合物へ0℃で少しずつ加えることにより、4−クロロピリジン−2−カルボニルクロライドから最初に合成される。生成する反応混合物を3℃において4時間貯蔵し、次に減圧濃縮する。生成した殆んど乾燥した固体をEtOAc(100ml)に懸濁し、濾過する。濾液を飽和食塩水(2×100ml)で洗い、乾燥(MgSO4 )し、減圧濃縮すると黄色結晶性固体として4−クロロ−N−メチル−2−ピリジンカルボキサマイドを与える。
【0224】
ステップ2:無水DMF(150ml)中の4−アミノフェノール(9.60g,88.0mmol)をカリウムt−ブトキサイド( 10.29g,91.7mmol)で処置し、赤褐色混合物を室温で2時間攪拌する。内容物をステップ1からの4−クロロ−N−メチル−2−ピリジンカルボキサマイド(15.0g,87.9mmol)とK2 CO3 (6.50g,47.0mmol)で処理し、次に80℃で8時間加熱する。混合物を室温へ冷やし、EtOAc(500ml)と飽和食塩水(500mlの間に分配する。水相をEtOAc(300ml)で逆抽出し、合併した有機層を飽和食塩水(4×100ml)で洗い、乾燥(Na2 SO4 )し、減圧濃縮する。生成した固体を35℃で3時間減圧乾燥すると明るい褐色の固体として4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)アニリンを与える。1H−NMR(DMSO−d6 )δ2.77(d,J=4.8Hz,3H),5.17(br,s,2H),6.64,6.86(AA’BB’q,J=8.4Hz,4H),7/06(dd,J=5.5,2.5Hz,1H),7.33(d,J=2.5Hz,1H),8.44(d,J=5.5Hz,1H),8.73(br.d,1H);HPLC ES−MS m/z244((M+ H)+
【0225】
ステップ3:無水CH2 Cl2 (15ml)中の2−メトキシ−5−(トリフロロメチル)アニリン(0.15g)の溶液へ0℃においてCDI(0.13g)を加える。生成する溶液を1時間で室温へ暖めることを許容し、室温で16時間攪拌し、次にステップ2からの4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)アニリン(0.18g)で処理する。生成する黄色溶液を室温で72時間攪拌し、水(125ml)で処理する。生成する水性混合物をEtOAc(2×150ml)で抽出する。合併した有機層を飽和食塩水(100ml)で洗い、乾燥(MgSO4 )し、減圧濃縮する。残渣をこねる(90%EtOAc/10%ヘキサン)。生成する白色固体を濾過し集め、EtOAcで洗う。濾液を減圧下で濃縮し、残渣のオイルをカラムクロマトグラフィー(33%EtOAc/67%ヘキサンから50%EtOAc/50%ヘキサンまでの勾配)で精製し、明るい褐色固体としてN−(2−メトキシ−5−(トリフロロメチル)フェニル)−N’−(4−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素を得る。TLC(100%EtOAc)Rf0.62;1H−NMR(DMSO−d6 )δ2.76(d,J=4.8Hz,3H),3.96(s,3H),7.1−7.6および8.4−8.6(d,J=4.8Hz,1H),9.55(s,1H);FAB−MS m/z461((M+ H)+
【0226】
以下の表に上の詳細な実験操作に従って合成された化合物を掲げる。
【0227】
実施例化合物の合成
実施例化合物の合成は2002年4月11日に発行された米国特許出願No.20020042517により詳しく記載されている。

以下の表1−7に掲げた化合物は、上に示した一般的方法、および2002年4月11日に発行された米国特許No.20020042517に記載されているさらに詳細な実験操作に従って合成された。
【0228】
【表1】

【0229】
【表2】

【0230】
【表3】







【0231】
【表4】







【0232】
【表5】


【0233】
【表6】


【0234】
【表7】

【0235】
選ばれた化合物は以下のように命名される。
【0236】
【表8】



【0237】
【表9】

【0238】
【表10】

【0239】
以下の刊行物はVEGFR−3の阻害に関し、そしてVEGFR−3により仲介される病的状態およびそのような活性を決定するためのアッセイの説明のためここに参照として取入れる。
【表11】

【0240】
以下の刊行物はVEGFR−2の阻害に関し、そしてVEGFR−2により仲介される病的状態およびそのような活性を決定するためのアッセイの説明のためここに参照として取入れる。
【表12】

【0241】
以下の刊行物はFLT−3の阻害に関し、そしてFLT−3により仲介される病的状態およびそのような活性を決定するためのアッセイの説明のためここに参照として取入れる。
【表13】


【0242】
以下の刊行物はPDGF/PDGFRの阻害に関し、そしてPDGFR−βにより仲介される病的状態およびそのような活性を決定するためのアッセイの説明のためここに参照として取入れる。
【表14】



【0243】
以下の刊行物はPDGF/PDGFRの阻害に関し、そしてFGFRにより仲介される病的状態およびそのような活性を決定するためのアッセイの説明のためここに参照として取入れる。
【表15】

【0244】
生化学および細胞実施例
1.c−RAF(Raf−1)生化学アッセイ
c−RAF生化学アッセイは、Lckキナーゼによって活性化(ホスホリル化)したc−Raf酵素で実施された。Lck−活性化c−Raf(Lck−Raf)は、Sf9昆虫細胞中にポリヘドリンプロモーターのコントロール下にGST−c−Raf(アミノ酸302からアミノ酸684まで)とLck(全長)を発現するバキュロウイルスで同時感染させることによって生産した。両方のバキュロウイルスは2.5の感染倍数で使用し、そして細胞は感染後48時間で収穫した。
【0245】
MEK−1タンパクは、Sf9昆虫細胞中に感染倍数5においてGST−MEK−1(全長)融合タンパクを発現するバキュロウイルスで細胞を感染させ、そして細胞を感染48時間後に収穫することによって生産した。GST−C−Raf302−648およびGST−MEK−1のために同様な精製操作が使用された。
【0246】
形質転換した細胞は、10mMリン酸ナトリウム、140mM塩化ナトリウムpH7.3,0.5%トリトンX−100、およびプロテアーゼ阻害剤カクテルを含んでいるバッファー中mLあたり湿った細胞バイオマス100mg懸濁した。細胞をポリトロンホモナイザーで破壊し、30,000gで30分遠心した。30,000g上清をGSH−セファローズへ適用した。樹脂を50mgトリス,pH8.0,150mM NaClおよび0.01%トリトンX−100を含んでいるバッファーで洗った。GST−標識タンパクをグルタチオン100mM、50mMトリス、pH8.0、150mM NaClおよび0.01%トリトンX−100を含む溶液で溶出した。精製したタンパクは、20mMトリス、pH7.5、150mM NaClおよび20%グリセロールを含むバッファー中へ透析した。
【0247】
テスト化合物は3倍希釈液を用いて典型的には50μMないし20nMの範囲ストック濃度へ(1μMないし0.4nMのアッセイ範囲の最終濃度)DMSO中に段階希釈した。c−Raf生化学アッセイは96ウエルコスターポリプロピレンプレート(コスタ336)中で放射活性フィルターマットアッセイとして行われた。プレートへ50mM HEPES,pH7.5、70mM NaCl、80ngのLck/c−Rafおよび1μg MEK−1を含む溶液75μLを負荷した。次に段階希釈した個々の化合物の2μLをATP添加の前に反応へ加えた。反応は5μM ATPおよび0.3uCi〔33P〕−ATPを含む25μL ATP溶液によって開始された。プレートはシールされ、32℃で1時間インキュベートされた。反応は4%リン酸50μLの添加により停止され、そしてWallac Tomtecハーベスターを用いてP30フィルターマット(パーキンエルマー)上に収穫された。フィルターマットは最初1%リン酸で、2番目に脱イオン水で洗った。フィルターをマイクロウェーブで乾燥し、シンチレーション液に浸し、そしてWallac1205ベータープレートカウンター(Wallac Inc.,Atlanta,GA,U.S.A.)中で読取られた。結果はパーセント阻害として表される。
【0248】
%阻害=〔100−(Tib/Ti)〕×100
ここでTib=(阻害剤ありのカウント/分)−(バックグラント)
Ti=(阻害剤なしのカウント/分)−(バックグラント)
【0249】
2.Bio−PLex Phospho−ERK1/2イムノアッセイ
レーザーフローサイトメトリープラットフォームを使用する96−ウエルホスホ−ERK(pERK)イムノアッセイは、細胞ライン中のベーサルpERKの阻害を測定するために確立された。MDA−MB−231細胞を完全成育培地中、96−ウエルマイクロタイタープレート中で50,000細胞/ウエルにおいてプレートした。ベーサルpERK1/2阻害に対するテスト化合物の効果のため、プレート翌日にMDA−MB−231細胞を0.1%BSAを有するDMEMへ移し、0.1%DMSO中3μMないし12nMの最終濃度へ1:3希釈した。細胞をテスト化合物と2時間インキュベートし、洗浄し、Bio−Plex全細胞溶解バッファーAに溶解した。サンプルはバッファーB1:1(v/v)で希釈し、アッセイプレートへ直接移すか、または処理するまで−80℃で凍結した。希釈したMDA−MB−231溶解物の50μLを抗ERK1/2抗体を接合した5ミクロンBio−Plexビーズ約2000と一夜シエカー上で室温でインキュベートした。翌日、ビオチニル化ホスホERK1/2サンドイッチイノムアッセイを実施し、ビーズを各インキュベーションの間3回洗い、次に現像剤としてPE−ストレプトアビジン50μLを使用した。pERK1/2の相対的蛍光単位が高感度において25ビーズをBio−Plexフローセル(プローブ)でカウントすることによって検出された。IC50が最大として未処理細胞をそしてバックグランドとして細胞なし(ビーズのみ)を用いて計算された。
【0250】
3.抗−pERK抗体による腫瘍セクションの免疫細胞化学的染色
活性化Rafキナーゼは、MEK(ミトゲン活性化タンパクキナーゼ)をホスホリル化し、そして活性化する。これは代ってERK(細胞外信号調節されたキナーゼ)をホスホリル化および活性化し、このことは次に核へ転送されそして遺伝子発現を修飾する。この経路は活性ras,突然変異BRAFの存在、または成長因子レセプターのために、しばしば腫瘍細胞において異常に活性化される。ある患者が本発明の化合物に応答するかどうかを決定し、そしてその効力を評価するため、患者選択バイオマーカーとしてヒト腫瘍生検サンプル中のホスホリル化ERK(pERK)を検出するための半定量的免疫組織化学的方法が開発された、使用される抗体は、p44およびp42(ホスホP44/42MAPK(Thr200/Tyr204))MAPキナーゼ(FRK1およびERK2)のホスホリル化状態を検出するポリクローナル抗体(ウサギ)であった。この操作は以下のように実施される。
【0251】
1.患者から腫瘍サンプルが採取される。サンプルはパラフィン中に埋め込まれ、断片化される。
2.腫瘍断片スライドから脱パラフィン化され、スライドが950Cクエン酸バッファー中35分間インキュベートされる。
3.スライド(バッファー中)を予熱したスチーマー中に30分間入れる。
4.終了した時、加熱したバッファー中のスライドを30分で室温へ冷やす。5.スライドを洗浄バッファーで洗い、染色装置内の染色ラック上へ負荷する。この時すべてのスライドが常時バッファーで濡れていることを確実にする。
6.スライドを1.5%過酸化水素溶液で10分ブロックし、次に正常ブロッキング血清(ヤギ)で20分間ブロックする。
7.スライドをバッファー中で洗う。
8.スライドを一次抗pERK抗体〔ホスホ−p44/42MAKR(Thr202/Tyr204)〕と1:50希釈度において30分間インキュベートする。
9.スライドをバッファーでリンスする。
10.スライドをビオチニル化二次抗体溶液中30分間インキュベートする。
11.スライドをバッファーでリンスする。
12.スライドをアビジンへ接合した西洋のサビペルオキシターゼよりなる予製した複合体へ30分間露出する。
13.スライドをバッファーでリンスする。
14.DAB基質クロモゲンをスライドへ1分間適用する。
15.スライドを蒸留水でリンスする。
16.スライドをヘマトキシリンで1分間逆染色する。
17.スライドをバッファーでリンスする。
18.スライドを蒸留水でリンスする。
19.スライドを再び水和し、マウントカバーする。
20.Bioquant TCW98イメージ分析システムを用いて各組織断片を評価する。5個の非オーバーラップフィールド/組織を選び、そしてオリンパスBX−60顕微鏡およびBioquantソフトウエアで稼動するPCコンピューターへ接続したOptronic DEI−750カラーデジタルカメラを用いて電子的に捕捉する。
【0252】
黒色腫を有する患者が本発明の化合物で処理され、そして上に記載したアッセイを使用して評価された。図1は組織断片を分析するために使用した半定量的操作を示す。
【0253】
図2は、化合物の投与前、黒色腫を有する患者はストローマ細胞に比較して腫瘍組織中に高レベルのホスホERKを有し、この対象は本発明の化合物での処置のための候補であることを指示した。対象は次に化合物の600mgBID投与量を投与された。
【0254】
化合物に対する応答はベースライン対第2サイクルで取ったPETスキャンを比較することによって観察された。ベースラインにおいて有意な代謝活性を示したPETスキャンは、処置後完全に沈静化したと報告された。この対応は処置後生検において核発現pERKの%の減少に対応する。この対象は処置の6サイクルを通じRECISTによってCTスキャン測定を基にして安定し続けた。このようにホスホERK(raf活性)が対象は化合物に測定可能な改善を示すことによって応答することを予見させたばかりでなく、細胞内raf活性のレベル(ホスホERKによって測定する時)を化合物が減少させた。使用した化合物は、N−〔4−クロロ−3−(トリフロロメチル)フェニル〕−N’−{4−〔2−N−メチルカルバモイル−4−ピリジルオキシ〕フェニル}尿素であった。
【0255】
4.Flk−1(ネズミVEGFR−2)生化学アッセイ
このアッセイは、TR−FRETフォーマット中の96ウエルオパックプレート(Costar3915)中で実施された。反応条件は以下のとおり。10μM ATP,25nMポリGT−ビオチン、2nM En標識ホスホ−Try Ab,10nM APC,7nM Flk−1(キナーゼドメイン)、1%DMSO,30mM HEPES pH7.5,10mM MgCl,0.1mM EDTA,0.015%BRU,0.1mg/ml BSA,0.1%メルカプトエタノール。反応は酵素の添加により開始される。各ウエル中の最終容積は100μLである。プレートは、反応開始後約1.5ないし2.0時間においてパーキンエルマービクターVマルチラベルカウンター上で615および665nmの両方において読まれる。信号は各ウエルあたり比:(665nm/615nm)*10000として計算される。
【0256】
5.ネズミPDGFR FRET生化学アッセイ
このアッセイは96ウエルブラックプレート(Costar3915)中にフォーマット化された。以下の試薬(およびそれらのソース)が使用された。ユーロピウム標識抗ホスフォチロシン抗体pY20およびストレプトアビジン−APC;ポリGT−ビオチン、およびDRT中のマウスPDGFR。反応条件は以下のとおり。1nMマウスPDGFRがアッセイバッファー(50mM HEPES pH7.5,10mM MgCl,0.1mM EDTA,0.015% BRIJ 35,0.1mg/mL BSA,0.1%メルカプトエタノール)中、20μM ATP,7nMポリGT−ビオチン、1nM pY20抗体、5nMストレプトアビジン−APCおよび1% DMSOと混合される。各ウエル中の最終反応容積は100μLである。90分後10μL/ウエルの5μMスタウロスポリンを添加して反応を停止する。反応停止約1時間後、プレートはPerkin Elmer VictorVマルチラベルカウンター上615および665nmにおいて読取られる。信号は各ウエルについて比:(665nm/615nm)×1000として計算される。
【0257】
PDGFR−βのためのIC50の発生のため、酵素開始前に化合物が加えられた。50倍ストックプレートは50%DMSO/50%dHO溶液中段階的に1:3希釈した化合物でつくられた。ストックの2μL添加は1%DMSO中10μMないし4.56nMの範囲の化合物最終濃度を与えた。データは%阻害として表わされた。%阻害=100−(阻害剤あり信号−バックグランド)/(阻害なしの信号−パックグランド)×100
【0258】
6.AoSMC細胞中のpPDGFRサンドイッチELISA
100K P3−P6大動脈SMCが標準的細胞技術を用いて12ウエルクラスターの各ウエルへSGM−2の100μL/ウエルにおいてプレートされた。翌日細胞を100μL D−PBS(Gibco)で1回リンスし、0.1%BSA(シグマ、CatA9576)で500μL SBM(平滑筋細胞ベーサル培地)中で一夜餓えさせた。化合物はDMSO中に10μMないし1nMまで10倍希釈ステップにおいて希釈された。流し中で急速に反転することによって古い培地を除去し、次に各希釈液の100μLを細胞の対応するウエルへ37℃において1時間加えた。次に細胞を10ng/mLのPDGF BBリガンドで37℃において7分間刺激した。培地を傾斜し、プロテアーゼ阻害剤錠(完全、EDTAなし)と0.2mM Naバナデートを含む等張溶解バッファーを加えた。細胞は冷室内で−4℃において15分間溶解される。溶解物をエッペンドルフ管へ入れ、それへアガロース接合抗PDGFR−β抗体15μLを加え(Santa Cruz,sc−339)、4℃で一夜インキュベートする。翌日ビーズをPBSの50ボリュームで3回リンスし、1×LDSサンプルバッファー(Invitrogen)中5分間沸騰する。サンプルを3−8%勾配トリス−アセテートゲル(Invitrogen)を通し、ニトロセルロース上へ移した。膜は、ブロッキングバッファー(1:1000希釈)中抗ホスホPDGFR−β中1時間インキュベートする前に、1%BSA/TBS−T中で1時間ブロックした。TBS−T中で3回洗った後、膜をヤギ抗ウサギHRP IgG(Amersham,1:25000希釈)中で1時間インキュベートした。ECL基質の添加前にもう3回の洗浄が続いた。膜をハイパーフィルムECLへ露出した。その後膜を剥がし、トータルPDGFR−βについて抗PDGFR−β(Santa Cruz)で再プローブした。
【0259】
7.MDA−ME231増殖アッセイ
ヒト乳癌細胞(MDA MB−231,NCI)が10%熱不活性化FBSを補給した標準成長培地(DMEM)中で加湿インキュベーター中5%CO(vol/vol)中37℃で培養された。細胞は96ウエル培養皿中90μL成長培地中3000細胞/ウエルの密度にプレートされた。Toh CTG値を決定するため、プレート24時間後CellTiter−Gloルミネセント試薬の100μLが各ウエルへ加えられ、室温で30分インキュベートされた。Wallac Victor II機器上で発光が記録された。CellTiter−Glo試薬は細胞溶解をもたらし、存在する細胞の数に正比例する、存在するATPの量に比例するルミネセント信号を発生した。
【0260】
テスト化合物は10mMストックを調製するため100DMSOに溶解した。ストックは成長培地中1:400へさらに希釈され、0.25%DMSO中25μMの作業ストックとした。テスト化合物はすべてウエルについてコンスタントなDMSO濃度を維持するように成長培地中に段階的に希釈された。希釈したテスト化合物の60μLが各培養ウエルへ加えられ、180μLの最終ボリュームとした。個々のテスト化合物ありなしの細胞は72時間インキュベートされ、その時点でATP依存性ATPが前に記載したように測定され、T72h値を得る。場合により、化合物濃度対%阻害を使用して最小自乗分析プログラムでIC50値が決定される。
【0261】
%阻害=〔1−(T72h test−Toh)/(T72h ctr1−Toh)〕×100
ここで、T72h test=テスト化合物の存在下72時間におけるATP依存ルミネセンス
72h ctr1=テスト化合物なしの72時間におけるATP依存ルミネセンス
Toh=時間ゼロにおけるATP依存ルミネセンス
【0262】
8.腫瘍処理
癌に対する本発明化合物の有効性をテストするため、N−〔4−クロロ−3−(トリフロロメチル)フェニル〕−N’−{4−〔2−N−メチルカルバモイル−4−ピリジオキシ〕フェニル}尿素塩がHCT116結腸(突然変異k−Ras)、MIA Pa−Ca膵臓(突然変異k−Ras)、NCI−H460肺(突然変異k−Ras)、およびSK−OV−3卵巣(wt k−Ras)異種グラフトモデルへ投与された。すべての処理はqd×14スケジュールで経口投与された。10.30および100mg/kg/投与の投与量は45%ないし68%範囲のHCT−116種用の投与量依存性阻害を生じた。同様に、MIA Pa−Ca−2腫瘍はそれぞれ10,30および100mg/kg/投与の投与量において44%、66%および73%阻害された。NCI−H460腫瘍はこのRafキナーゼ阻害剤の10および30mg/kg/投与量において27%および56%阻害された。SK−OV−3モデルは僅かに一層感受性であり、3ないし100mg/kg/投与の投与量において45%および81%腫瘍成長阻害を発生した。
【0263】
長期間の抗腫瘍有効性がHCT116モデルにおいて評価された。本化合物は、処置を30日間に延長した時30および100mg/kg/投与の投与において正味の腫瘍停止を生じた。
【0264】
HCT116,SK−OV−3およびMIA PaCa−2ストック腫瘍は、CD−1 Nu/Nu雌マウス(HCT116およびSK−OV−3)またはCB17 SCID雄マウス(MIA−PaCa−2)中の断片の段階的s.c.通過として維持された。処理は経口投与され、そして確立された腫瘍に対して開始された。腫瘍寸法が週2〜3回カリパーにより測定され、式〔L×CW2〕2によって腫瘍塊へ変換された。ここでLおよびWはそれぞれ最大および最小寸法を指す。
【0265】
9.p38キナーゼアッセイ
化合物のインビトロ阻害性はp38キナーゼ阻害アッセイを使用して決定された。p38活性は96ウエルマイクロタイタープレート中のインビトロアッセイを使用して検出された。組換えヒトp38(0.5ng/mL)がキナーゼバッファー(25mM HEPES,20mM MgClおよび150mM NaCl)中の基準(ミエリン塩基性タンパク、5ng/mL)とそして化合物と混合された。33P標識ATPの1uCi/ウエル(10uM)が最終ボリューム100mLに加えられた。反応は32℃で30分間行われ、そして1M HCl溶液で停止された。基質に取り込まれた放射活性の量は、1%リン酸溶液を用いて負に帯電したガラス繊維濾紙上にトラッピングし、そしてシンチレーションカウンターで読取ることによって決定された。陰性対照は基質プラスATP単独を含んでいた。
【0266】
さらに考究することなく、当業者は以上の説明を使用して本発明を最大限に利用できるものと信じられる。それ故特定の好ましい具体例は単に例証であって、開示の残部の限定ではないと考えるべきである。2004年3月25日出願の米国特許仮出願Nos.60/556,062;2003年11月17日出願の60/520,399および2003年5月20日出願の60/471,735を含む、上で引用した出願、特許および刊行物全体をここに参照として取入れる。
【0267】
生化学アッセイ
【表16】

【0268】
細胞アッセイ
【表17】

【図面の簡単な説明】
【0269】
【図1】染色強度を評価し、陽性に染色された細胞および染色に含まれた細胞内コンパートメントを同定し、そして全体のスライド品質を評価することよりなる定性的評価である。別々の評価が腫瘍細胞および腫瘍細胞ストローマに実施された。染色の強さは以下のスケールに基づいてグレード化された。陰性;±(不確実);1+(弱い);2+(中程度);3+(強い);4+(もっと強い)。染色の強さは、標本全体の評価によって決定した。標的抗原発現の半定量的評価は各標的抗原を発現する標本全体を通じて細胞のパーセントを基にする以下の階級化システムを使用して行なわれた。陽性標的抗原発現0−5%=<5%;6−25%=1番目の四分位(1Q);26−50%=2番目の四分位(2Q);51−75%=3番目の四分位(3Q);76−100%=4番目の四分位(4Q)。
【図2】処理前および処理後のヒト黒色腫のホスホERKのための免疫組織化学染色である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iの化合物で処置された対象から得られたサンプル中のRaf,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGFR−βおよび/またはFlt−3の発現または活性を測定することよりなる、哺乳類対象の病気またはそれから誘導される細胞の処置において式Iの化合物の有効性を評価する方法:
B−NH−C(O)−NH−L−M−L’−(Q)1−3 (I)
式中、Bは、次の(i)ないし(iv)よりなる群から選ばれる。
(i)任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換されたフェニル;
(ii)任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換されたナフチル;
(iii)任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換された、O,NおよびSよりなる群から独立に選ばれた1〜3のヘテロ原子を持っている5および6員単環ヘテロアリール基;および
(iv) 8ないし10員の2環ヘテロアリール基であって、第1の環は式IのNHへ結合し、そしてO,NおよびSよりなる群から独立に選ばれた1〜3のヘテロ原子を含み、第2の環は3ないし4個の炭素原子を使用して第1の環へ縮合している2環ヘテロアリールである。この2環ヘテロアリール基は任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換されている。
Lは次の(i)ないし(iv) よりなる群から選ばれる。
(i)任意にC1 −C5 直鎖もしくは分岐アルキル、C1 −C5 直鎖もしくは分岐ハロアルキル、C1 −C3 アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1 −C3 アルキルアミノ、C1 −C6 ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換されたフェニル;
(ii) 任意にC1 −C5 直鎖もしくは分岐アルキル、C1 −C5 直鎖もしくは分岐ハロアルキル、C1 −C3 アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1 −C3 アルキルアミノ、C1 −C6 ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換されたナフチル;
(iii)任意にC1 −C5 直鎖もしくは分岐アルキル、C1 −C5 直鎖もしくは分岐ハロアルキル、C1 −C3 アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1 −C3 アルキルアミノ、C1 −C6 ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換された、O,NおよびSよりなる群から独立に選ばれた1〜3のヘテロ原子を有する5および6員単環ヘテロアリール基;
(iv) 任意にC1 −C5 直鎖もしくは分岐アルキル、C1 −C5 直鎖もしくは分岐ハロアルキル、C1 −C3 アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1 −C3 アルキルアミノ、C1 −C6 ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換された、O,NおよびSよりなる群から独立に選ばれた1〜3のヘテロ原子を有する8ないし10員の2環ヘテロアリール基。
Mは、
(a)−(CH2 m −O−(CH2 1 −、
(b)−(CH2 m −(CH2 1 −、
(c)−(CH2 m −C(O)−(CH2 1 −、
(d)−(CH2 m −NR3 −(CH2 1 −、
(e)−(CH2 m −NR3 C(O)−(CH2 1 −、
(f)−(CH2 m −S−(CH2 1 −、
(g)−(CH2 m −C(O)NR3 −(CH2 1 −、
(h)−(CH2 m −CF2 −(CH2 1 −、
(i)−(CH2 m −CCl2 −(CH2 1 −、
(j)−(CH2 m −CHF−(CH2 1 −、
(k)−(CH2 m −CH(OH)−(CH2 1 −、
(l)−(CH2 m −C≡C−(CH2 1 −、
(m)−(CH2 m −C=C−(CH2 1 −、 (o)−(CH2 m −CR4 5 −(CH2 1 −、 (n)mおよびlが0の場合の単結合、
よりなる群から選ばれ、ここで変数mおよび1は独立に0〜4から選ばれた整数である。
L’は次の(i)ないし(viii)よりなる群から選ばれる。
(i)任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれたQ以外の追加の1〜2の置換基で置換されたフェニル;
(ii) 任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれたQ以外の追加の1〜2の置換基で置換されたナフチル、
(iii)任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノ、ニトロおよびオキサイド(例えば=O,−O- または−OH)よりなる群から独立に選ばれたQ以外の追加の1〜2の置換基で置換された、O,NおよびSよりなる群から独立に選ばれた1〜3のヘテロ原子を持っている5および6員単環ヘテロアリール基;
(iv) 任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノ、ニトロおよびオキサイド(例えば=O,−O- または−OH)よりなる群から独立に選ばれたQ以外の追加の1〜2の置換基で置換された、O,NおよびSよりなる群から独立に選ばれた1〜3のヘテロ原子を持っている8ないし10員2環ヘテロアリール基;
(v)任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノ、ニトロおよびオキサイド(例えば=O,−O- または−OH)よりなる群から独立に選ばれたQ以外の追加の1〜2の置換基で置換された、飽和および部分的飽和C3 −C6 単環炭素環基;
(vi) 任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれたQ以外の追加の1〜2の置換基で置換された飽和および部分的飽和C8 −C102環炭素環基;
(vii)任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノ、ニトロおよびオキサイド(例えば=O,−O- または−OH)よりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換された、O,NおよびSよりなる群から独立に選ばれたQ以外の追加の1〜2のヘテロ原子を持っている飽和および部分的飽和5および6員単環複素環基;
(viii) 任意にR1 ,OR1 ,NR1 2 ,S(O)q 1 ,SO2 NR1 2 ,NR1 SO2 2 ,C(O)R1 ,C(O)OR1 ,C(O)NR1 2 ,NR1 C(O)R2 ,NR1 C(O)OR2 ,ハロゲン、シアノ、ニトロおよびオキサイド(例えば=O,−O- または−OH)よりなる群から独立に選ばれたQ以外の追加の1〜2の置換基で置換された、O,NおよびSよりなる群から独立に選ばれた1〜3のヘテロ原子を持っている飽和および部分的飽和8ないし10員2環複素環基。
ここで各Qは独立に、C(O)R,C(O)ORおよびC(O)NRであり;RないしRは独立に、
(a)水素、
(b)C−C直鎖、分岐または環状アルキル、
(c)フェニル、
(d)アルキル部分が任意にペルハロまでハロゲンで任意に置換されたC−Cアルキル−フェニル、
(e)ペルハロまで置換されたC−C直鎖、分岐アルキル、
(f)−(CH−Xであって、ここでXは飽和、部分飽和もしくは芳香性のO,NおよびSから選ばれた1〜4原子を含んでいる5または6員単環複素環か、またはO,NおよびSからなるヘテロ原子1〜4を有する8ないし10員2環ヘテロアリールであり、そしてここで前記アルキル部分は任意にペルハロまでハロゲン置換されており;
ここでペルハロ置換C−C直鎖、分岐アルキル以外のR−Rの各自は、任意にC−C直鎖または分岐アルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から選ばれた1−3の置換基で置換されており;
ここで変数pは0,1または2から選ばれた整数であり、変数qは0,1,2,3または4から選ばれた整数である。
【請求項2】
前記発現の測定は、Raf,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGFR−β,および/またはFlt−3に対応するmRNAの量を決定することである請求項1の方法。
【請求項3】
前記発現の測定は、Raf,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGFR−β,および/またはFlt−3に対応するポリペプチドの量を決定することである請求項1の方法。
【請求項4】
前記活性の測定は、ホスフォ−ERKの測定である請求項1の方法。
【請求項5】
前記対象は癌を有し、そして前記活性の測定は末梢血液リンパ球かまたは癌の組織生検サンプル中のホスフォ−ERKの測定である請求項1の方法。
【請求項6】
前記サンプル中の発現または活性を正常対照と比較することを含む請求項1ないし5のいずれかの方法。
【請求項7】
前記化合物による処置する前の少なくとも一つのサンプル中、および前記化合物による処置後の少なくとも一つのサンプル中の発現または活性を比較することをさらに含む請求項1ないし6のいずれかの方法。
【請求項8】
前記化合物による処置療法中の異なる時点で採取した少なくとも二つのサンプル中の発現を測定することをさらに含む請求項1ないし7のいずれかの方法。
【請求項9】
発現または活性の減少は前記化合物が前記病気の処置において有効であることを指示する請求項1ないし8のいずれかの方法。
【請求項10】
前記病気は腎細胞カルチノーマまたは黒色腫である請求項1ないし9のいずれかの方法。
【請求項11】
前記サンプルは腫瘍細胞からなる請求項1ないし10のいずれかの方法。
【請求項12】
前記サンプルは末梢血液細胞よりなる請求項1ないし11のいずれかの方法。
【請求項13】
式Iの化合物を複数の時点で投与することをさらに含む請求項1ないし11のいずれかの方法。
【請求項14】
病気を有する対象から得たサンプル中のRaf,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGFR−β,および/またはFlt−3の発現または活性を測定し、そして高レベルの発現または活性を有するとして同定された対象に対して請求項1の式Iの化合物を投与することよりなる、式Iの化合物による処置のための病気を有する対象を選択する方法。
【請求項15】
対象から得たサンプル中の病気に関連したRaf,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGFR−β、および/またはFlt−3遺伝子突然変異の存在を決定し、そして前記突然変異を有するとして同定された対象に対して請求項1の式Iの化合物を投与することよりなる、式Iの化合物による処置のための病気を有する対象を選択する方法。
【請求項16】
前記突然変異はBRAF遺伝子中である請求項15の方法。
【請求項17】
前記BRAF突然変異は前記遺伝子がコードする配列のアミノ酸位置599である請求項16の方法。
【請求項18】
前記BRAF突然変異はV599Eである請求項17の方法。
【請求項19】
前記病気は黒色腫である請求項15ないし18のいずれかの方法。
【請求項20】
それを必要とする対象へ、請求項1の式Iのアリール尿素化合物、式Iの化合物の塩、式Iの化合物の単離したまたは混合立体異性体、式Iの化合物のエステル、式Iの化合物の代謝物、または式Iの化合物のプロドラッグの有効量を投与することよりなる、哺乳類または哺乳類細胞の病気または状態を処置または防止する方法。
【請求項21】
前記方法は腫瘍細胞増殖阻害のためである請求項20の方法。
【請求項22】
前記有効量は腫瘍退行をもたらす請求項21の方法。
【請求項23】
前記方法は癌を有する対象またはそれからの細胞の腫瘍退行をもたらす請求項20ないし22のいずもかの方法。
【請求項24】
前記方法はリンパ管形成を阻害する請求項20の方法。
【請求項25】
前記方法は血管形成を阻害する請求項20の方法。
【請求項26】
前記方法は、Raf,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGFR−β,および/またはFlt−3によって仲介される哺乳類対象の障害を処置する請求項20の方法。
【請求項27】
前記方法はそれを必要とする対象の腫瘍を処置することよりなり、該方法は腫瘍増殖および新脈管化を阻害するための有効量の前記化合物を投与することよりなる請求項20の方法。
【請求項28】
式Iの化合物において、
Lは任意に1−4のハロゲンで置換されたフェニル;
Mは−O−;
BはRおよびハロゲンよりなる群から独立に選ばれた1−6の置換基で任意に置換されたフェニルまたはピリジル;
L’は任意に置換されたフェニルまたはピリジル;
である請求項1の方法。
【請求項29】
BおよびL’のための置換基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、sec−ブチル、メトキシ、エトキシ、F,Cl,BrおよびIよりなる群から選ばれる請求項28の方法。
【請求項30】
式Iの化合物の薬学的に許容し得る塩は、
a)塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロスルホン酸、ベンゼンスルホルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、フェニル酢酸、およびマンデル酸よりなる群から選ばれた有機酸および無機酸の塩基塩;および
b)アルカリ金属カチオン、アルカリ土類、金属カチオン、アンモニウムカチオン、脂肪族置換アンモニウムカチオン、および芳香族置換アンモニウムカチオンよりなる群から選ばれたカチオンを含んでいる有機および無機塩基の酸塩;
よりなる群から選ばれる請求項1の方法。
【請求項31】
ある化合物で処置された対象から得たサンプル中のRaf,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGFR−β,および/またはFlt−3の発現または活性を測定し、前記発現または活性に対する前記化合物の効果を決定することよりなる、哺乳類対象またはそれから誘導された細胞の病気の処置において前記化合物の有効性を評価する方法であって、
前記化合物は、
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−クロロフェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−カルバモイル−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(1−ヒドロキシ−2−カルバモイル−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(1−ヒドロキシ−2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−フルオロフェニル)尿素;
N−(4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−フルオロフェニル)尿素;
N−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−フルオロフェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−クロロフェニル)尿素;
N−(6−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−ベンゾ〔1,3〕ジオキシニル))−N’−(4−(2−シアノ−4−ピリジルキシ)フェニル)尿素;または
N−(6−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−ベンゾ〔1,3〕ジオキシニル))−N’−(4−(2−シアノ−4−ピリジルキシ)−2−フルオロフェニル)尿素;
である方法。
【請求項32】
式Iの化合物は以下の式Xである請求項1の方法:
【化1】

式中、
Aは、任意にRによって3回まで置換されたフェニルであり、各Rは独立にC−Cアルキル、ペルハロまでのC−Cハロアルキル、ハロゲン、シアノまたはニトロ、または
Aは、任意に6回までRによって置換され、各Rは独立にC−Cアルコキシかハロゲンである下記式の基であり;
【化2】

Bは、任意に3回までRによって置換され、各Rは独立にC−Cアルキル、ペルハロまでのC−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロであるフェニレンまたはナフチレンであり;
Qは、シアノ、−C(O)Rまたは−C(O)Rであり、ここでR,RおよびRは独立にHまたはC−Cアルキルであり;
Lは−O−または−S−であり;
mは0,1,2または3であり;そして
各Rは独立にハロゲン、C−Cアルキル、ペルハロまでのC−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、N−オキソまたはN−ヒドロキシである。
【請求項33】
式Xの化合物において、各Rは独立にフッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、トリフルオロメチル、メトキシ、CNまたはNOである請求項32の方法。
【請求項34】
式Xの化合物において、各Rは独立にフッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、トリフルオロメチル、メトキシ、CNまたはNOであり、各Rは独立にフッ素、塩素、臭素またはメチルである請求項32または33の方法。
【請求項35】
式Xの化合物において、各Rは独立にメチル、エチル、プロピル、酸素、シアノ、N−オキソまたはN−ヒドロキシであり、そして各R,RおよびRは独立にHまたはメチルである請求項32ないし34のいずれかの方法。
【請求項36】
式Xの化合物において、Aは置換フェニルである請求項32ないし35のいずれかの方法。
【請求項37】
式Xの化合物において、Aは任意に4回までRによって置換され、各Rは独立に塩素またはフッ素である下記式の基である請求項32ないし35のいずれかの方法:
【化3】

【請求項38】
式Xの化合物において、Bはフェニレンである請求項32ないし37のいずれかの方法。
【請求項39】
式Xの化合物において、Bはナフチレンである請求項32ないし37のいずれかの方法。
【請求項40】
式Xの化合物において、Bは少なくとも一つのフッ素原子によって置換されたフェニレンである請求項32ないし37のいずれかの方法。
【請求項41】
式Xの化合物において、Lは酸素である請求項32ないし40のいずれかの方法。
【請求項42】
式Xの化合物において、各Rは塩素、臭素、t−ブチル、トリフルオロメチル、またはメトキシである請求項32ないし41のいずれかの方法。
【請求項43】
式Xの化合物において、
Aは4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニル、4−ブロモ−3−トリフルオロメチルフェニル、または2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−ベンゾ〔1,3〕ジオキシン−6−イルであり;
Bはフェニレン、クロロフェニレンまたはフルオロフェニレンであり;
Lは−O−であり;そして
Qはシアノ、C(O)−NH、またはC(O)−NHCHである、請求項32の方法。
【請求項44】
式(X)の化合物の薬学的に許容し得る有機酸の塩基塩が使用される請求項32ないし43のいずれかの方法。
【請求項45】
塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、フェニル酢酸またはマンデル酸から選ばれた有機酸の式Xの化合物の薬学的に許容し得る塩基塩が投与される請求項32ないし43のいずれかの方法。
【請求項46】
式Xの化合物は、
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−2−フルオロ−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素、または
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素、
の薬学的に許容し得る塩酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、またはメタンスルホン酸である請求項32の方法。
【請求項47】
ある化合物処置された対象から得たサンプル中のRaf,VEGFR−2,VEGFR−3,p38,PDGFR−β、および/またはFlt−3の発現または活性を測定し、前記発現または活性に対する前記化合物の効果を決定することよりなる、哺乳類対象またはそれから誘導された細胞の病気の処置において前記化合物の有効性を評価する方法であって、
前記化合物は、
式X,Y,ZA、ZB,ZCまたはZDのアリール尿素;
式X,Y,ZA、ZB,ZCまたはZDの化合物の塩;
式X,Y,ZA、ZB,ZCまたはZDの化合物の単離された立体異性退またはその混合物;
式X,Y,ZA、ZB,ZCまたはZDの化合物のエステル;
式X,Y,ZA、ZB,ZCまたはZDの化合物の代謝物;
式X,Y,ZA、ZB,ZCまたはZDの化合物のプロドラッグ;
であり、
【化4】

式中、
各Rは独立にハロゲンまたはトリフルオロメチル;
各Rは独立にフッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、CNまたはCN;
変数nは0,1,2,3または4;そして
変数pは0,1または2;
である、方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−511203(P2007−511203A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533211(P2006−533211)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/015655
【国際公開番号】WO2004/113274
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(504210617)バイエル、ファーマシューテイカルズ、コーポレイション (11)
【Fターム(参考)】