説明

ハイブリッド車両

【課題】道路地図データ上で走行モードが設定されていない場所を走行する場合でも、その場所に応じて適切な走行モードに切り換えることが可能なハイブリッド車両を提供する。
【解決手段】施設ないし敷地を示す道路外エリアデータおよび道路地図データに基づき、道路地図上において車両の走行エリアを特定し、車両が道路外エリアを走行中であると特定した場合に、車両の走行動力源として走行駆動用モータを用いるモータ走行モードと、同じく内燃機関エンジンを用いるエンジン走行モードとのいずれを採用するかを決定するための走行モード決定参照情報を、車両上に設けられた道路地図データとは別の参照情報源より取得し、その走行モード決定参照情報に基づいて走行モードを切り換える構成により提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行動力源として切換使用される走行駆動用モータおよび内燃機関エンジンを含むハイブリッド車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から車両の排出ガス量を抑制するため、燃料の供給が容易な従来の内燃機関エンジンと、クリーンな電力を使用する走行駆動用モータとを組み合わせ、両者によって直接駆動輪を回転させるハイブリッド車両が開発されている。
【0003】
ハイブリッド車両では、走行速度やアクセル踏み込み量といった各種条件に応じて、車両の走行動力源(走行駆動用モータ,内燃機関エンジン)を適宜切り換えて走行するようになっている。さらに、予め定められた走行経路を走行する場合に、走行環境に応じて走行動力源を切り換えて走行するハイブリッド車両が考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平07−107617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、道路地図データから得られる情報によって走行駆動用モータを用いるモータ走行モードと、内燃機関エンジンを用いるエンジン走行モードのいずれを用いるかを制御するため、走行駆動用モータによる走行が必要なエリアを特定する必要がある。このためには、各エリア、建物毎に走行モードを決定するデータを持つ必要があり、地図データが肥大化するため、詳細なデータを持つことが困難である。
【0006】
また、公園や工場などの広い敷地内を走行する場合、排出ガスが滞留するのを抑制するために、屋内では走行駆動用モータによる走行が望ましいが、道路ではないため、建物のデータを持つことができず、内燃機関エンジンによる走行が可能と判断してしまう場合もある。逆に、立体駐車場内を走行する場合、屋根のない屋上では内燃機関エンジンによる走行、屋根のある屋内では走行駆動用モータによる走行が望ましいが、立体駐車場の位置情報としては同じ位置になるため、屋根の有無に関係なく、地図データの施設情報として設定されたどちらか一方の走行方法になってしまうという問題もある。
【0007】
上記問題を背景として、本発明の課題は、道路地図データ上で走行モードが設定されていない場所を走行する場合でも、その場所に応じて適切な走行モードに切り換えることが可能なハイブリッド車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するためのハイブリッド車両は、車両の走行動力源として切換使用される走行駆動用モータおよび内燃機関エンジンと、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、道路地図データを、施設ないし敷地を示す道路外エリアデータとともに記憶する道路地図データ記憶手段と、車両の現在位置と、道路外エリアデータおよび道路地図データに基づき、道路地図上において車両の走行エリアを特定する走行エリア特定手段と、走行エリア特定手段により車両が道路外エリアを走行中であると特定した場合に、車両の走行動力源として走行駆動用モータを用いるモータ走行モードと、同じく内燃機関エンジンを用いるエンジン走行モードとのいずれを採用するかを決定するための走行モード決定参照情報を、車両上に設けられた道路地図データとは別の参照情報源より取得する走行モード決定参照情報取得手段と、取得された走行モード決定参照情報に基づいて走行モードを切り換える走行モード切換手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成によって、道路地図データ内に、建物等の道路外エリア毎に走行モードを決定するデータを持つ必要がなくなり、地図データが肥大化することなく、走行モード決定参照情報を持つことが可能となる。
【0010】
また、本発明のハイブリッド車両は、車両が、道路外エリアにおいてエンジン走行モードで走行している場合に、屋内を走行しているか否かを判定する屋内走行判定手段を備え、走行モード切換手段は、車両が屋内を走行していると判定された場合に、モータ走行モードに切り換えるように構成することもできる。
【0011】
上記構成によって、内燃機関エンジンによる走行が可能なエリアであっても、屋内では走行駆動用モータによる走行に切り換るので、排出ガスの滞留を防止することができる。
【0012】
また、本発明のハイブリッド車両は、車両の上方に遮蔽物が存在するか否かを特定する遮蔽物特定手段を参照情報源として備え、屋内走行判定手段は、遮蔽物の検出結果に基づいて、車両が屋内を走行しているか否かを判定するように構成することもできる。
【0013】
屋内かどうかは、車両の上方に屋根などの遮蔽物が存在するか否かによって判定することができる。上記構成によって、車両が屋内を走行しているか否かを判定することが可能となる。
【0014】
また、本発明のハイブリッド車両における遮蔽物特定手段は、車外電波を受信する車外電波受信手段を含み、車外電波の受信状態に基づいて遮蔽物の存在を特定するように構成することもできる。
【0015】
屋内での車外電波の受信状態は、屋外に比べて悪くなる。上記構成によって、車両が屋内を走行しているか否かを判定することが可能となる。
【0016】
また、本発明のハイブリッド車両における遮蔽物特定手段は、車外光量を検出する車外光量検出手段を含み、該車外光量の検出結果に基づいて遮蔽物の存在を特定するように構成することもできる。
【0017】
屋内での車外光量は、屋外に比べて少なくなる。上記構成によっても、車両が屋内を走行しているか否かを判定することが可能となる。
【0018】
また、本発明のハイブリッド車両における遮蔽物特定手段は、車両の周囲を画像撮影する撮影手段を含み、撮影された画像に基づいて遮蔽物の存在を特定するように構成することもできる。
【0019】
車両の情報を撮影すれば、天井の有無を特定できる。上記構成によっても、車両が屋内を走行しているか否かを判定することが可能となる。
【0020】
また、本発明のハイブリッド車両における遮蔽物特定手段は、車両上方に探知プローブを出力する非接触式物体探知手段を含み、その探知結果に基づいて遮蔽物の存在を特定するように構成することもできる。
【0021】
車両が屋内を走行していれば、レーダ等の非接触式物体探知手段によって上方に物体(天井または屋根)を探知することができる。上記構成によっても、車両が屋内を走行しているか否かを判定することが可能となる。
【0022】
また、本発明のハイブリッド車両は、道路外エリアは屋内駐車場であり、車両が屋根のない屋上駐車スペースに進入したことが遮蔽物特定手段により特定された場合に、走行モード切換手段は、走行モードをエンジン走行モードに切り換え、車両が屋根または天井を有する屋内駐車スペースに進入したことが遮蔽物特定手段により特定された場合に、走行モード切換手段は、走行モードをモータ走行モードに切り換えるように構成することもできる。
【0023】
上記構成によって、屋根のない屋外駐車スペースと屋根のある屋内駐車スペースとが混在する屋内駐車場においても、駐車スペースの状態に応じて適切な走行モードに切り換えることが可能となる。また、モータ走行モードに固定されないため、バッテリ負荷を低減することも可能となる。
【0024】
また、本発明のハイブリッド車両は、道路地図データ上において、建物を示す道路外エリアの一部のものに随伴して、走行モードとしてモータ走行モードを一義的に指定するモータ走行モード指定情報が記憶され、走行モード切換手段は、道路地図データから該モータ走行モード指定情報を取得した場合、対応する道路外エリアに進入したときの走行モードを、参照情報源から取得する走行モード決定参照情報の内容とは無関係にモータ走行モードに切り換えるように構成することもできる。
【0025】
例えば、道路外エリアを公園,駐車場等のカテゴリ毎に分類してモータ走行モード指定情報を記憶することができる。上記構成によって、道路地図データの肥大化を抑制しつつモータ走行モード指定情報を記憶することができる。また、該道路外エリアに屋根のない場所が含まれていても、モータ走行モード指定情報が優先され、エンジン走行モードには切り換らないことで、排出ガスの拡散・滞留を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明のハイブリッド車両を、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、ハイブリッド車両(以下、単に車両と称することもある)200は、内燃機関エンジン209と走行駆動用モータ207との双方を走行動力源としている。内燃機関エンジン209からの駆動力は、周知の動力分割装置208により分割され、その一方が発電機202側に、他方が動力軸210側にそれぞれ出力される。また、走行駆動用モータ207の出力も動力軸210に入力され、その回転出力がギア機構206を介して車軸205に伝達されて、車輪204に駆動力が与えられる。これらの制御は、走行駆動制御部203において行われる。
【0027】
走行駆動用モータ207の電源となるバッテリ203dは、発電機202の発電出力により充電される。具体的には、発電機202の発電出力を直流化するAC−DCコンバータ(図1では、単にコンバータと表記)203bの出力電圧がバッテリ203dの充電電圧として使用される。バッテリ203dの直流出力は、インバータ203cによりスイッチングされ、走行駆動用モータ207の走行駆動交流電圧に変換される。
【0028】
制御回路203aは、図示しない周知のCPU,CPUにおける動作を規定するための各種プログラムが格納されたROMやRAM等を含むコンピュータとして構成される。制御回路203aは、図示しないアクセルペダルの踏み込み量等に基づいて、内燃機関エンジン209,走行駆動用モータ207の駆動制御や、動力分割装置208における動力の分配制御を行う。すなわち、走行駆動用モータ207を用いるモータ走行モードと、内燃機関エンジン209を用いるエンジン走行モードの切換制御を行う。なお、制御回路203aが本発明の走行モード切換手段に相当する。
【0029】
また、制御回路203aは、通信インターフェースを含み、車内LAN27(Local Area Network,後述)を介して車両用ナビゲーション装置100(図2参照)と通信可能に接続されている。
【0030】
図2に車両用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)100の構成を示す。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行う音声合成回路24,スピーカ15,メモリ9,表示器10,送受信機13,ハードディスク装置(HDD)21,LAN I/F(インターフェース)26,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12等を備えている。
【0031】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,車両200の回転角速度を検出するジャイロスコープ3,車両200の走行距離を検出する距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両200の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリング35(図3参照)の回転センサ(図示せず)や各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。なお、位置検出器1が本発明の位置検出手段に相当する。
【0032】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、周知のいわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。
【0033】
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行い、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル22,およびマイク31により、種々の指示を入力することが可能である。
【0034】
送受信機13は、例えば道路に沿って設けられた送信機(図示せず)から出力される光ビーコン、または電波ビーコンによってVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム,登録商標)センタ14から道路交通情報を受信、あるいはFM多重放送を受信するための装置である。また、送受信機13を用いてインターネット等の外部ネットワークに接続可能な構成としてもよい。
【0035】
また、ETC車載器17と通信することにより、ETC車載器17が路側器(図示せず)から受信した料金情報などをナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器17によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14等との通信を行う構成をとってもよい。
【0036】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84,A/D変換部86,描画部87,時計IC88,画像処理部89,およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行う。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行われる。また、CPU81からHDD21に対してデータの読み書きの制御ができなくなった場合のために、ROM82にナビゲーション装置100として必要最低限の動作を行うためのプログラムを記憶しておいてもよい。なお、制御回路8が本発明の走行エリア特定手段,走行モード決定参照情報取得手段,屋内走行判定手段に相当する。
【0037】
A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【0038】
描画部87は、HDD21等に記憶された道路地図データ21m(後述),表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための表示画面データを生成する。
【0039】
時計IC88はリアルタイムクロックICとも呼ばれ、CPU81からの要求に応じて時計・カレンダーのデータを送出あるいは設定するものである。CPU81は時計IC88から日時情報を取得する。また、GPS受信機5で受信したGPS信号に含まれる日時情報を用いてもよい。また、CPU81に含まれるリアルタイムカウンタを基にして日時情報を生成してもよい。
【0040】
画像処理部89は、公知のパターン認識などの技術によってカメラ(後述)等によって撮影された画像の解析を行う画像処理回路を含んで構成される。画像処理部89では、例えば、カメラにより撮影された映像信号に一般的な2値化処理を施すことにより、ピクセル毎のデジタル多値画像データに変換する。そして、得られた多値画像データから、一般的な画像処理手法を用いて所望の画像部分を抽出する。なお、画像処理部89が本発明の遮蔽物特定手段に相当する。
【0041】
HDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データベースである道路地図データ21mが記憶される。道路地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標,距離,所要時間,道幅,車線数,制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標,右左折車線数,接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。また、リンク毎に、モータあるいはエンジンのいずれかの走行モードが規定されている。さらに、道路地図データ21mには、施設ないし敷地を示す道路外エリアデータも、それらの名称,位置座標として含まれている。なお、道路地図データ21mが本発明の道路地図データ記憶手段に相当する。
【0042】
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報はデータベース21dとしても記憶される。なお、データベース21dが本発明の参照情報源に相当する。
【0043】
ナビプログラム21p,道路地図データ21m,ユーザデータ21u,およびデータベース21dは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行うことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークを介してデータをダウンロードする構成を用いてもよい。
【0044】
メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能なデバイスによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、メモリ9は、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても記憶内容が保持されるようになっている。また、メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをメモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0045】
表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8(描画部87)から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。また、表示器10として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。
【0046】
スピーカ15は周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によってメモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データが音声合成回路24においてアナログ音声に変換されたものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき必要に応じて繋ぎ合わせる録音編集方式、文字入力情報からそれに対応する音声を合成するテキスト合成方式などがある。
【0047】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両200の速度に換算して、車両200の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両200の走行区間毎の平均車速を算出する。
【0048】
通信ユニット25は周知の無線送受信機として構成され、インターネット等の公衆通信網と接続するために用いる。また、通信ユニット25を携帯電話機等の携帯通信端末(図示せず)を接続してデータ通信を行うための、携帯通信端末と制御回路8との間のインターフェース回路として構成してもよい。
【0049】
LAN I/F26は車内LAN27を介して他の車載機器やセンサとのデータの遣り取りを行うためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器17との接続を行ってもよい。
【0050】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22,リモコン端末12の操作、あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニューから目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0051】
すなわち、まず、ユーザは目的地を探索する。目的地の探索方法は、例えば、地図上の任意の地点を指定する方法,目的地の所在する地域から探索する方法,目的地の電話番号から探索する方法,五十音表から目的地の名称を入力して探索する方法,あるいはユーザがよく利用する施設としてメモリ9に記憶されているものから探索する方法などがある。目的地が設定されると、位置検出器1により車両200の現在位置が求められ、該現在位置を出発地として目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行う。
【0052】
遮蔽物特定手段36は、車両の上方に屋根等の遮蔽物が存在するか否かを特定するためのもので、以下のうちの少なくとも一つあるいは複数の組み合わせを用いる。なお、遮蔽物特定手段36が本発明の遮蔽物特定手段,参照情報源,車外電波受信手段,車外光量検出手段,撮影手段,非接触式物体探知手段に相当する。
【0053】
(1)電波受信機(車外電波受信手段):例えば、車内では車両のダッシュパネル上部(図3の36aの位置),車外では天井中央部(図3の36bの位置),あるいはガラス面に取り付けられ、GPS衛星等の人工衛星あるいはテレビ,ラジオ局からの電波(本発明の車外電波)を受信し、その電波の受信状態により遮蔽物の存在を特定する。例えば、S/N(Signal:信号/Noise:雑音)比が予め定められた閾値を下回る場合、遮蔽物の存在を特定する。また、ノイズを除去するためのフィルタ回路や、時間差をもって到達した電波の波長が干渉し合うことによって電波レベルの強弱に影響を与える現象であるフェージングを除去するためのダイバーシティ回路の動作状況をモニタし、これら回路の動作が予め定められた継続時間閾値を超えて継続した場合に、遮蔽物の存在を特定する。
【0054】
(2)光センサ(車外光量検出手段):例えば、硫化カドミウムを主成分とした光導電素子で、一般にCdSe(カドミウムセレン)セルを含めてCdSセルと総称される。取り付け位置は、車外の光量を検出可能であれば、図2の36a,36bのいずれでもよい。光センサで検出された車外光量が予め定められた光量閾値を下回る状態が、予め定められた光量低下継続時間閾値を超えて継続した場合に、遮蔽物の存在を特定する。
【0055】
(3)カメラ(撮影手段):周知のCCDビデオカメラ等で構成され、車両の前上方あるいは上方を撮影可能なように、例えば、図2の36aあるいは36bの位置に取り付けられる。撮影された画像は画像処理部89(図2参照)において解析処理される。データベース21dには、天井あるいは屋根を特定するための、天井,屋根自体、および梁,照明器具等を含む基準画像データが記憶されている。そして、基準画像データに撮影された画像と一致するものがあり、その一致状態が予め定められた画像一致継続時間閾値を超えて継続した場合に、遮蔽物の存在を特定する。また、晴天,曇天,雨天等の空(そら)の画像データを基準画像データとして記憶し、空が撮影されない時間が予め定められた閾値を超えて継続した場合に、遮蔽物の存在を特定してもよい。
【0056】
(4)非接触式物体探知手段:周知のフェーズドアレイレーダのようなレーダ,車両周囲の障害物を検知するために用いられるソナー,あるいは発光部と受光部を一体化した光反射型フォトインタラプタが、探知プローブとして車両の前上方あるいは上方の物体を探知可能なように、例えば、図2の36bの位置に取り付けられる。そして、予め定められた距離範囲内で物体を探知し、その探知時間が予め定められた探知継続時間閾値を超えて継続した場合に、遮蔽物の存在を特定する。
【0057】
図4のように、データベース21dには、走行モード決定参照情報21d1,モータ走行モード指定情報21d2が記憶されている。図5に、走行モード決定参照情報21d1の一例を示す。走行モード決定参照情報21d1は、道路地図データ21mとは別に記憶され、施設,店舗,公園等の道路外エリア毎に走行モードが指定されている。
【0058】
図6に、モータ走行モード指定情報21d2の一例を示す。モータ走行モード指定情報21d2は、道路地図データ21mとは別に記憶され、道路外エリア毎に走行モードが指定されるのではなく、その道路外エリアが含まれるカテゴリ毎に、走行モードがモータ走行モードに一義的に指定される。モータ走行モードに指定されるカテゴリとしては、公園等の不特定多数が集まる場所(官公庁等の公共施設でもよい),健康に影響を及ぼしやすい病院,屋内/屋外を問わず周囲の排出ガス濃度が高くなりがちな駐車場等が挙げられる。
【0059】
図7,図8を用いて、走行モード切換処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、位置検出器1から車両200の現在位置情報を取得する(S11)。次いで、車両200の現在位置と、道路外エリアデータおよび道路地図データ(21m)に基づき、道路地図上において車両200の走行エリアを特定する(S12)。
【0060】
車両200の走行エリアが道路上である場合(S13:Yes)、車両200の現在位置が含まれる道路地図データを取得する。そして、その道路の走行モードを参照し(S23)、モータ走行モードが指定されている場合(S24:Yes)、走行モードをモータ走行モードに切り換える(S26)。一方、エンジン走行モードが指定されている場合(S24:No)、走行モードをエンジン走行モードに切り換える(S25)。これらステップS23〜S26の処理が、図8の「A」の場合に相当する。
【0061】
一方、車両200の走行エリアが道路外エリア上である場合(S13:No)、モータ走行モード指定情報21d2を取得する(S14)。そして、車両200が走行中の道路外エリアのカテゴリがモータ走行モードに指定されている場合(S15:Yes)、走行モードをモータ走行モードに切り換える(S22)。
【0062】
一方、車両200が走行中の道路外エリアのカテゴリがモータ走行モードに指定されていない場合(S15:No)、走行モード決定参照情報21d1を取得する(S16)。車両200が走行中の道路外エリアがモータ走行モードに指定されている場合(S17:Yes)、走行モードをモータ走行モードに切り換える(S22)。ステップS15〜S17,S22の処理が、図8の道路外エリアで屋外を走行している「B」の場合に相当する。
【0063】
一方、車両200が走行中の道路外エリアがモータ走行モードに指定されていない場合(S17:No)、遮蔽物特定情報を取得する(S18)。遮蔽物特定情報は、上述の遮蔽物特定手段36から取得される情報である。遮蔽物特定情報により、車両200が屋内を走行していると判定された場合(S19:No)、走行モードをモータ走行モードに切り換える(S22)。一方、車両が屋外を走行していると判定された場合(S19:Yes)、走行モードをエンジン走行モードに切り換える(S20)。ステップS18〜S20,S22の処理が、図8の「C」の場合に相当する。
【0064】
すなわち、道路外エリアがスーパーマーケットで、モータ走行モードに指定されていないとする。この場合、スーパーマーケットの屋外の敷地を走行するときには、エンジン走行モードに切り換えられる(図8の「A」)。車両200が屋内駐車場に入った場合、モータ走行モードに切り換えられ(図8の「B」)、屋根のない屋上駐車スペース走行中のときはエンジン走行モードに切り換えられる(図8の「C」)。
【0065】
最後に、上記で決定された走行モードを、車内LAN27を介して制御回路203aに送る(S21)。制御回路203aでは、送られてきた走行モードに基づいて、車両の走行動力源を切り換える。
【0066】
なお、ステップS14およびステップS15の処理を行わない構成としてもよい。
【0067】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】ハイブリッド車両の構成を示すブロック図。
【図2】車両用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図3】遮蔽物特定手段の搭載例を示す図。
【図4】データベースの記憶内容の一例を示す図。
【図5】走行モード決定参照情報の一例を示す図。
【図6】モータ走行モード指定情報の一例を示す図。
【図7】走行モード切換処理を説明するフロー図。
【図8】走行モード切換処理の概念を説明する図。
【符号の説明】
【0069】
1 位置検出器(位置検出手段)
7 操作スイッチ群
8 制御回路(走行エリア特定手段,走行モード決定参照情報取得手段,屋内走行判定手段)
10 表示器
12 リモコン端末
15 スピーカ
21 ハードディスク装置(HDD)
21d データベース(参照情報源)
21d1 走行モード決定参照情報
21d2 モータ走行モード指定情報
21m 道路地図データ(道路地図データ記憶手段)
22 タッチパネル
31 マイク
36 遮蔽物特定手段(遮蔽物特定手段,参照情報源,車外電波受信手段,車外光量検出手段,撮影手段,非接触式物体探知手段)
89 画像処理部(遮蔽物特定手段)
100 車載用ナビゲーション装置
200 ハイブリッド車両
203 走行駆動制御部
203a 制御回路(走行モード切換手段)
207 走行駆動用モータ
209 内燃機関エンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行動力源として切換使用される走行駆動用モータおよび内燃機関エンジンと、
前記車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
道路地図データを、施設ないし敷地を示す道路外エリアデータとともに記憶する道路地図データ記憶手段と、
前記車両の現在位置と、前記道路外エリアデータおよび前記道路地図データに基づき、前記道路地図上において前記車両の走行エリアを特定する走行エリア特定手段と、
前記走行エリア特定手段により前記車両が前記道路外エリアを走行中であると特定した場合に、前記車両の走行動力源として前記走行駆動用モータを用いるモータ走行モードと、同じく前記内燃機関エンジンを用いるエンジン走行モードとのいずれを採用するかを決定するための走行モード決定参照情報を、前記車両上に設けられた前記道路地図データとは別の参照情報源より取得する走行モード決定参照情報取得手段と、
取得された前記走行モード決定参照情報に基づいて前記走行モードを切り換える走行モード切換手段と、
を備えることを特徴とするハイブリッド車両。
【請求項2】
前記車両が、前記道路外エリアにおいて前記エンジン走行モードで走行している場合に、屋内を走行しているか否かを判定する屋内走行判定手段を備え、
前記走行モード切換手段は、前記車両が屋内を走行していると判定された場合に、前記モータ走行モードに切り換える請求項1に記載のハイブリッド車両。
【請求項3】
前記車両の上方に遮蔽物が存在するか否かを特定する遮蔽物特定手段を前記参照情報源として備え、
前記屋内走行判定手段は、前記遮蔽物の検出結果に基づいて、前記車両が屋内を走行しているか否かを判定する請求項2に記載のハイブリッド車両。
【請求項4】
前記遮蔽物特定手段は、車外電波を受信する車外電波受信手段を含み、前記車外電波の受信状態に基づいて前記遮蔽物の存在を特定する請求項3に記載のハイブリッド車両。
【請求項5】
前記遮蔽物特定手段は、車外光量を検出する車外光量検出手段を含み、該車外光量の検出結果に基づいて前記遮蔽物の存在を特定する請求項3または請求項4に記載のハイブリッド車両。
【請求項6】
前記遮蔽物特定手段は、前記車両の周囲を画像撮影する撮影手段を含み、撮影された画像に基づいて前記遮蔽物の存在を特定する請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。
【請求項7】
前記遮蔽物特定手段は、車両上方に探知プローブを出力する非接触式物体探知手段を含み、その探知結果に基づいて前記遮蔽物の存在を特定する請求項3ないし請求項6のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。
【請求項8】
前記道路外エリアは屋内駐車場であり、前記車両が屋根のない屋上駐車スペースに進入したことが前記遮蔽物特定手段により特定された場合に、前記走行モード切換手段は、前記走行モードを前記エンジン走行モードに切り換え、前記車両が屋根または天井を有する屋内駐車スペースに進入したことが前記遮蔽物特定手段により特定された場合に、前記走行モード切換手段は、前記走行モードを前記モータ走行モードに切り換える請求項3ないし請求項7のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。
【請求項9】
前記道路地図データ上において、建物を示す前記道路外エリアの一部のものに随伴して、前記走行モードとして前記モータ走行モードを一義的に指定するモータ走行モード指定情報が記憶され、
前記走行モード切換手段は、前記道路地図データから該モータ走行モード指定情報を取得した場合、対応する道路外エリアに進入したときの走行モードを、前記参照情報源から取得する前記走行モード決定参照情報の内容とは無関係に前記モータ走行モードに切り換えるものである請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−201362(P2008−201362A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−42487(P2007−42487)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】