光配線モジュール
【課題】 光半導体素子に設けられる光素子に、不所望に光が入射することを防止すること。
【解決手段】 光導波路部材2を含む光配線基板20と、この光配線基板20に対してフリップチップ実装される第1及び第2の光半導体素子3とを有する光配線モジュール1であって、光導波路部材2は、クラッド層6,8と、クラッド層6,8上に積層され、光路変換手段40を有する複数のコア層7と、を含んで構成され、光配線基板20上には、第1の光半導体素子3に設けられる光素子4と、第2の光半導体素子3の光素子4との間に設けられ、非光透過性の樹脂から成る遮光部材62が配置されていることを特徴とする光配線モジュール1。
【解決手段】 光導波路部材2を含む光配線基板20と、この光配線基板20に対してフリップチップ実装される第1及び第2の光半導体素子3とを有する光配線モジュール1であって、光導波路部材2は、クラッド層6,8と、クラッド層6,8上に積層され、光路変換手段40を有する複数のコア層7と、を含んで構成され、光配線基板20上には、第1の光半導体素子3に設けられる光素子4と、第2の光半導体素子3の光素子4との間に設けられ、非光透過性の樹脂から成る遮光部材62が配置されていることを特徴とする光配線モジュール1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光配線モジュールに関し、たとえば電気配線またはその一部を光配線に適用し得る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
企業、家庭で取り扱う通信情報量が膨大になり、電気信号で配信できない量になりつつある。つまり電気で高速信号(高周波デジタル信号)の送受信をするためには、プリエンファシスおよびイコライジングの技術が必要であり、このための回路を付加しなければならない。この回路のため消費電力が増大し、シリコンチップの発熱が増え、冷却システムが膨大になる。このような問題を解決するために、多量の情報の配信に適した光信号を用いた技術が開示されており、光信号を装置間の通信に用いる技術、さらにバックプレーンおよびボードなどシリコンチップにより近いところまで光信号を用いる技術が種々開示されている。
【0003】
光信号をシリコンチップ付近まで到達させるためには、シリコンチップが実装される基板内の光導波路を導光する光を、シリコンチップに設けられる受光素子に導く必要がある。したがってシリコンチップに設けられる発光素子または受光素子と、シリコンチップが実装される基板内の光導波路との位置合わせ精度を高精度にする必要がある。簡単に高精度に位置合わせするための技術として、基板の予め定める位置に凹部を形成し、この凹部に発光素子などを実装して、発光素子の位置決めを容易にする技術が開示されている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−265885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光配線基板に複数の光半導体素子を実装して、光配線モジュールの全体として小形化する技術が望まれているが、複数の光半導体素子を高密度に実装する場合、隣接する光半導体素子までの距離が小さくなる。これによって複数の光半導体素子が光配線基板に実装されて構成される光配線モジュールの場合、各光半導体素子に設けられる発光素子から出射する光、または受光素子に入射する光が、隣接する光半導体素子へ不所望に光が入射し、クロストークが発生するおそれがある。このクロストークの発生を防止するために、従来の技術の基板に形成される凹部を用いて、光が周囲に不所望に外周に出射することをある程度防止することはできるが、凹部を基板の所望の位置に高精度に形成することは困難である。したがってこのような従来の技術では、クロストークの発生を確実に防止することができない。
【0006】
したがって本発明の目的は、隣接する光半導体素子に設けられる受光素子または発光素子に、不所望に光が入射することを防止する光配線モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光導波路部材を含む光配線基板と、この光配線基板に対してフリップチップ実装される第1及び第2の光半導体素子とを有する第1の光配線モジュールであって、前記光導波路部材は、クラッド層と、クラッド層上に積層され、光路変換手段を有する複数のコア層と、を含んで構成され、前記光配線基板上には、第1の光半導体素子に設けられる光素子と、第2の光半導体素子の光素子との間に設けられ、非光透過性の樹脂から成る遮光部材が配置されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、光導波路部材を含む光配線基板と、該光配線基板に対してフリップチップ実装され、前記光配線基板との対向面上に複数の光素子を備えた光半導体素子と、を有する第2の光配線モジュールであって、前記光導波路部材は、クラッド層と、クラッド層上に積層され、光路変換手段を有する複数のコア層と、を含んで構成され、前記光半導体素子の前記対向面上で、且つ隣り合う前記光素子間に、非光透過性の樹脂から成る遮光部材が配置されることを特徴とする。
【0009】
さらに本発明は、光導波路部材を含む光配線基板と、該光配線基板の上面に対してフリップチップ実装され、前記光配線基板との対向面上に複数の光素子を備えた光半導体素子と、を有する第3の光配線モジュールであって、前記光導波路部材は、クラッド層と、クラッド層上に積層され、光路変換手段を有する複数のコア層と、を含んで構成され、前記光配線基板の上面で、且つ前記隣接する光素子間に、非光透過性の樹脂から成る遮光部材が配置されていることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記第2の光配線モジュールにおいて、前記遮光部材の表面は、前記光素子の表面よりも前記光配線基板側に位置していることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記第3の光配線モジュールにおいて、前記遮光部材の表面は、前記光素子の表面よりも前記光半導体素子側に位置していることを特徴とする。
【0012】
さらに本発明は、上記第2または第3の光配線モジュールにおいて、前記遮光部材は、前記光素子の外周を囲繞することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、上記第1〜第3の光配線モジュールにおいて、前記光素子は、発光素子または受光素子であることを特徴とする。
【0014】
さらに本発明は、上記第1の光配線モジュールにおいて、前記遮光部材は、前記第1および第2の光半導体素子を、その外周に沿って囲繞することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記遮光部材は、前記第1および/または第2の光半導体素子と前記光配線基板との間隙に設けられていることを特徴とする。
【0016】
さらに本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記光路変換手段は、光を反射する反射手段であることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記反射手段は、前記光素子より前記反射手段に対して入射した光を前記コア層に沿った方向に向けて反射する機能、または前記コア層より前記反射手段に対して入射した光を前記光素子に向けて反射する機能を有することを特徴とする。
【0018】
さらに本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記反射手段が設けられる前記コア層の表面及び前記反射手段の表面は、前記クラッド層の表面に対して傾斜していることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記反射手段が設けられる前記コア層の表面及び前記反射手段の表面は、前記反射手段によって反射された光の進行方向とは逆方向に突出する凸曲面形状に形成されていることを特徴とする。
【0020】
さらに本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記反射手段が設けられる前記コア層の表面の前記クラッド層の表面に対する傾斜角度が41度以上49度以下に規定されることを特徴とする。
【0021】
また本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記光素子と、前記光導波路部材の前記クラッド層とが非接触の状態に保持されていることを特徴とする。
【0022】
さらに本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、少なくとも前記光素子と前記光路変換手段との間には、光透過性の樹脂から成る透光部材が設けられていることを特徴とする。
【0023】
また本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記透光部材は、前記第1および/または第2の光半導体素子と前記光配線基板とを機械的に接続することを特徴とする。
【0024】
さらに本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記クラッド層は、前記光素子と対向する位置に、前記光素子からの光、または前記光素子に向かう光を集光する集光手段を含むことを特徴とする。
【0025】
また本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記集光手段は、前記クラッド層と一体に形成されることを特徴とする。
【0026】
さらに本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記光素子と、前記光路変換手段上に位置する前記光導波路部材の前記クラッド層とが接触している状態に保持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、隣り合う光素子間の領域または隣接する光半導体素子間の領域に遮光部材を設けることにより、隣接する光半導体素子に関して、第1の光半導体素子の光素子から出射される光が、第2の光半導体素子またはその光素子に不所望に光が入射したり、あるいは、第1の光半導体素子の光素子に対して入射される光が、第2の光半導体素子またはその光素子に不所望に入射したりすることを良好に防ぎ、クロストークの発生を防止することができる。これによって光配線基板に接続される光半導体素子の単位面積あたりの個数を増加させて、隣接する光半導体素子までの距離が小さくなった場合であっても、隣接する光半導体素子の光素子の入出光に起因してクロストークが発生することを防止することができる。したがって光半導体素子を高密度に光配線基板に実装することができ、光配線モジュールを小形化することができる。
【0028】
また本発明によれば、遮光部材は、各光半導体素子または各光素子の外周を囲繞するものであるから、クロストークの発生をより一層抑制することが可能となる。遮光部材を光半導体素子または各光素子の外周に沿って囲繞するだけで、クロストークを抑制する条件を満たすので、遮光部材の製造工程を簡単化することができる。
【0029】
さらに本発明によれば、各光半導体素子と光配線基板との間隙には、発光部および受光部を除き、遮光部材が設けられているので、クロストークの発生を簡単に抑制することが可能となる。たとえば複数のミラー片および回折格子を用いてクロストークの発生を抑制する先行技術に比べて、光配線モジュールの製造を簡単化でき、製造コストの低減を図ることができる。
【0030】
さらに本発明によれば、反射手段が設けられるコア層の表面(反射面)及び前記反射手段の表面は、前記反射手段によって反射された光の進行方向とは逆方向に突出する凸曲面形状に形成されているので、前記反射手段の表面及び前記コア層の前記反射面を平坦状に形成するものに比べて集光特性を高めることができる。したがって、光半導体素子の光素子に対する反射手段の位置決め精度を、従来技術のものより高めることなく光路変換を実現できる。それ故、光配線基板の製造を一層簡単化でき、製造コストの低減を一層図ることができる。
【0031】
さらに本発明によれば、前記反射手段が設けられる前記コア層の表面及び前記反射手段の表面は、前記クラッド層の表面に対して傾斜しており、該傾斜角度が41度以上49度以下に規定されることで、光導波路部材を薄肉化しつつ光を直線状に伝播することが可能となる。その結果、光配線基板を多層化する際に、基板の厚み方向寸法を低減することができ、該光配線基板を搭載する装置への汎用性を高めることが可能となる。
【0032】
さらに本発明によれば、前記光半導体素子の前記光素子と、前記光配線基板の前記クラッド層とが非接触の状態に保持されているので、熱膨張などに起因して前記光半導体素子と前記光配線基板との間に熱応力が印加されても、前記光素子が前記光配線基板の表面に接触して前記光素子が損傷することが抑制される。
【0033】
さらに本発明によれば、前記光半導体素子の前記光素子と前記光路変換手段との間には、透光性の樹脂から成る透光部材が設けられているので、光半導体素子と光配線基板とが非接触の状態に保持することが容易になる。
【0034】
さらに本発明によれば、前記透光部材は、前記光半導体素子と前記光配線基板とを機械的に接続するので、前記光半導体素子の前記光配線基板に対する実装強度が大きくなり、前記光半導体素子と前記光配線基板との間に熱応力が印加されても、不所望に前記光半導体素子の前記光配線基板に対する相対位置が変位することを防ぐことができる。
【0035】
さらに本発明によれば、前記クラッド層は、前記光素子と対向する位置に、前記光素子からの光、または前記光素子に向かう光を集光する集光手段を含む。したがって集光特性を高めることができ、光素子に対する光路変換手段の位置決めに求められる精度を緩和することができ、光配線基板の生産性の向上に寄与することが可能となる。
【0036】
さらに本発明によれば、集光手段は、クラッド層と一体に形成されるので、集光手段を別体で設けるよりも、集光手段を容易に製造することができる。それ故、光配線基板の製造を一層簡単化でき、製造コストの低減を一層図ることができる。
【0037】
さらに本発明によれば、前記光半導体素子に設けられる前記光素子と、前記光路変換手段上に位置する前記光導波路部材の前記クラッド層とが接触している状態に保持することにより、光素子と光路変換手段との距離を短くすることができる。したがって、光素子と光路変換手段との光の結合効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光配線モジュール1を示す斜視図であって、一部を断面で示す。
【図2】図1に示す光配線モジュール1の平面図である。
【図3】図1に示す光配線モジュール1の部分拡大断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る光配線モジュール1Aの断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る光配線モジュール1Bの断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る光配線モジュール1Cの断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る光配線モジュール1Dの断面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る光配線モジュール1Dの変形例を示す断面図である。
【図9】本発明の第6の実施形態に係る光配線モジュール1Eの断面図である。
【図10】本発明の第7の実施形態に係る光配線モジュール1Fの断面図である。
【図11】図10に示す光配線モジュール1Fを構成する光半導体素子3Fの平面図である。
【図12】本発明の第7の実施形態に係る光配線モジュール1Fの第1変形例を示す断面図である。
【図13】本発明の第7の実施形態に係る光配線モジュール1Fの第2変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0040】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光配線モジュール1を示す斜視図であって、一部を断面で示す。図2は、光配線モジュール1を示す平面図である。図3は、図2の部分拡大断面図である。
【0041】
光配線モジュール1は、大略的に、光配線基板20と、光配線基板20に対してAu等のバンプ24を介してフリップチップ実装される複数(本実施の形態では4個)の光半導体素子3と、光半導体素子3の周囲を取り囲むように光配線基板20上に形成される遮光部材62と、を備えた構成を有する。かかる光配線モジュール1は、光半導体素子3から発せられる光素子4(例えば、発光素子)の光を、光配線基板20を介して他の光半導体素子3の光素子4(例えば、受光素子)に入射させることにより、異なる光半導体素子3間で光信号を伝送する機能を有する。
【0042】
光配線モジュール1を構成する光配線基板20は、支持基板5と、該支持基板5に固着される光導波路部材2とを含んで構成される。
【0043】
支持基板5は、その上面に光導波路部材2や、図示しないプリント基板などが実装される。また支持基板5は、絶縁材料、例えば合成樹脂、アルミナ系セラミックおよびガラスセラミック等により形成され、例えば平板状や直方体状等の種々の形状に形成される。
【0044】
光導波路部材2は、第1及び第2クラッド層6,8と、第1クラッド層6と第2クラッド層8との間に介在される複数のコア層7と、光半導体素子3に電気的に接続される複数の貫通電極10とを有し、この光導波路部材2の厚みh1が、たとえば50μm以上100μm以下に形成されている。
【0045】
第1及び第2クラッド層6,8のうち、第2クラッド層8がコア層7と支持基板5との間に介在され、第1クラッド層6が第2クラッド層8よりも光半導体素子3側に位置するように配置されている。
【0046】
また、コア層7及び貫通電極10の周辺に位置する光配線基板の領域(周辺部9)は、透光性材料、たとえばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリシラノール樹脂、ポリシラン、およびガラス(石英を含む)の少なくともいずれか一つによって形成されており、互いに同質材料で形成されている。一方、第1および第2クラッド層6,8は、コア層7および周辺部9とは屈折率が小さい透光性材料から成り、たとえばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリシラノール樹脂、ポリシラン、およびガラス(石英を含む)の少なくともいずれか一つによって形成される。一方、貫通電極10は、銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、クロム、鉄、タングステンまたはモリブデン等の導電材料により形成される。
【0047】
各コア層7は、光を進行させるべき方向(例えば、X方向)に沿ってたとえば長尺に形成され、基板厚み方向(Z方向と表記する)およびX方向にそれぞれ直交するY方向に沿った方向に所定のピッチで間隔を空けて配列されている。ここでXおよびY方向を含む仮想平面をXY平面と称す。
【0048】
各コア層7は、そのX方向の端部に光路変換手段40を有している。光路変換手段40は、コア層7の端面である傾斜部13と、該傾斜部13に対して被着される反射手段としての反射膜14とを有している。
【0049】
反射膜14は、光半導体素子3に設けられる光素子4(例えば、発光素子)から発せられる光をコア層7に向かって反射する機能、コア層7を伝播した光を光半導体素子3に設けられる光素子4(例えば、受光素子)に向かって反射する機能を有する。このような反射膜14は、たとえばアルミニウムなどの反射材料を蒸着法等の薄膜形成技術を用いて傾斜部13に被着させることにより形成される。なお、本実施形態においては、コア層7の傾斜部13は、第1クラッド層6の表面に対する傾斜角度αが、例えば41度以上49度以下に規定されている。
【0050】
また、貫通電極10の表面には接続パッド11が形成されており、該接続パッド11がバンプ24を介して光半導体素子3に接続されている。この接続パッド11は、第1クラッド層6の表面と同一平面、つまりXY平面上に配設される。
【0051】
なお、以上のような光配線基板20は、次のように形成される。まず、転写シートを準備し、該転写シート上に第1クラッド層6の構成材料(例えば、感光性樹脂)を塗布し、これをフォトリソグラフィ技術やエッチング技術等によって加工して第1クラッド層6を形成する。次に、第1クラッド層6上にコア層の構成材料(例えば、感光性樹脂)を塗布し、これをフォトリソグラフィ技術やエッチング技術等によって加工するとともに、工具等による押圧加工により傾斜部13に相当する斜面を形成した上、該斜面にアルミニウム等の反射材料を物理蒸着法等を用いて被着させて反射膜14を形成することによりコア層7が形成される。続いて、第2クラッド層8の構成材料(例えば、感光性樹脂)をコア層7や第1クラッド層8上に塗布し、必要であればこれをフォトリソグラフィ技術やエッチング等によって加工して第2クラッド層8を形成する。次に、レーザ加工等を用いて貫通電極10が設けられる貫通孔を形成し、該貫通孔内に銅ペースト等の導電ペーストを充填し、これを加熱することによって貫通電極10が形成され、光導波路部材2が転写シート上に形成される。最後に、光導波路部材2を別途準備した支持基板5に対して転写し、転写シートを光導波路部材2より引き剥がすことにより光配線基板20が形成される。
【0052】
そして、上述した光配線基板20上には遮光部材62が被着されている。遮光部材62は、光半導体素子3に設けられる発光素子や受光素子等の光素子4と、隣接する光半導体素子3の光素子4との間に設けられており、光半導体素子3側に突出するように形成されている。
【0053】
また、遮光部材62は、非光透過性の樹脂により形成されている。非光透過性の樹脂とは、たとえばエポキシ樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂などにカーボン粉末、グラファイト粉末などを混合した樹脂が一例として考えられる。また、非光透過性の樹脂としては、染色剤や着色剤を用いて黒くした樹脂材料や、エポキシ系樹脂にシリカ系フィラーおよびカーボン粉末を混合した樹脂が他の例として考えられる。
【0054】
このような非光透過性樹脂は、使用する波長の光(たとえば850nm)に対する樹脂1cmあたりの光投入量に対する光透過量の割合が−30dB以下のものであることが好ましく、さらに望ましくは−40dB以下のものが良い。
【0055】
樹脂の光投入量は、例えば、第1及び第2の光ファイバを準備し、両光ファイバ間に樹脂を介在させ、第1光ファイバから第2光ファイバにレーザやLED等の光を伝送させ、第2光ファイバからの出射光の光量をパワーメータにて測定することにより求められる。他方、樹脂の光透過量の測定方法としては、例えば、第1及び第2の光ファイバ間に樹脂を介在させない状態で第1光ファイバから第2光ファイバに光を伝送させて第2光ファイバからの出射光の光量を測定することにより求められる。そして、この測定によって得られた2つの光量を用いて樹脂の光投入量に対する光透過量の割合が求められる。
【0056】
このような非光透過性樹脂により形成された遮光部材62は、上述した如く、隣接する光半導体素子3の光素子との間に設けられていることから、光素子4(例えば、発光素子)から発せられる光、光素子4(例えば、受光素子)に向かう光が良好に外部と遮光される。その結果、光半導体素子3の光素子4の光が不所望に他の光半導体素子3や他の光素子4に向かって出射されたり、あるいは、光半導体素子3の光素子4に対して他の光素子4からの光が不所望に入射したりすることが良好に防止される。
【0057】
本実施の形態では、遮光部材62は、光半導体素子3の外周を囲繞するように形成されており、図2に示すように、XY平面において、光半導体素子3の外周から所定距離δ離間して配置されている。所定距離δ(図2参照)は、各光半導体素子3から出射する光が不所望に外方に散乱することを防ぐ距離に設定され、たとえば0.3μm以上10μm以下に設定される。なお、光を良好に遮光する観点から、遮光部材62の突出寸法h2(図3参照)は、第1クラッド層6の表面から光半導体素子3までの高さ寸法h3よりも大きくなるように設定される。
【0058】
このような遮光部材62は、各光半導体素子3を光配線基板20に実装する前に、光配線基板20に設けてもよいし、各光半導体素子3を光配線基板20に実装した後に、光配線基板20に設けてもよい。
【0059】
各光半導体素子3を光配線基板20に実装する前に、遮光部材62を光配線基板20に設ける加工方法としては、たとえば感光性を有する樹脂材料(たとえばドライフィルムレジスト)を基板に貼り合わせ、フォトリソグラフィ技術を用いて露光現像して所望の空隙部を形成する。次に、遮光部材62の前駆体、または液状樹脂から成る遮光部材62の前駆体を形成した空隙部に充填する。充填は表面に塗布してもよいし、スクリーン印刷してもよく、ディスペンサーを用いて所定量の樹脂を注入してもよい。次に充填した遮光部材62の前駆体を乾燥あるいは硬化させ、遮光部材62を構成し、全体をアルカリ溶液に浸漬してドライフイルムレジストを剥離除去する。これによって遮光部材62を形成する。また、遮光部材62はシート状の樹脂を金型などで打ち抜き加工して光配線基板20に接着することによって形成することも可能である。
【0060】
一方、光半導体素子3を光配線基板20に実装した後に遮光部材62を光配線基板20に設ける方法としては、遮光部材62を構成する樹脂の前駆体を光配線基板20の所定箇所にディスペンサーを用いて塗布し、これを熱硬化させる方法が一例として考えられる。
【0061】
光配線基板20に配置される光半導体素子3は、半導体基板の一主面上に光素子4(発光素子及び/または受光素子)を備えた構成を有しており、光素子4を光配線基板20に対向させるように光配線基板20に対してフリップチップ実装されている。かかる光半導体素子3は、半導体基板の一主面上に、Auや半田等の導電材料からなるバンプ24を介して光配線基板20の貫通電極10に接続される図示しない電極パッドが形成されている。さらに光半導体素子3の半導体基板の一主面上には、複数のダミーパッドが設けられており、該ダミーパッドと光配線基板20との間にダミーバンプ25が介在されている。各ダミーバンプ25は、たとえばAuや半田等から成っており、各バンプ24と間隔をあけて配設されている。このようなバンプ24およびダミーバンプ25によって、光半導体素子3は下方より支持された形となっている。
【0062】
このような光半導体素子3は、光素子4の直下領域がコア層7の傾斜部13及び反射膜14に位置するように光配線基板20に対して位置合わせされている。
【0063】
なお、光素子4の一例である発光素子としては、たとえば面発光型半導体レーザ
(Vertical Cavity Surface-Emitting Laser:略称VCSEL)や端面発光型レーザダイオード等のレーザが挙げられる。また光素子4の一例である受光素子としては、たとえばフォトダイオードがある。
【0064】
本実施形態によれば、上述したような遮光部材62を設けることによって、隣接する光半導体素子3の光素子4に不所望に光が入射したり、光素子4から不所望に光が漏れたりすることを良好に防ぎ、クロストークの発生を防止することができる。これによって光配線基板20に接続される光半導体素子3の単位面積あたりの個数を増加させて、隣接する光半導体素子3までの距離が小さくなった場合であっても、隣接する光半導体素子3の光素子の入出光に起因してクロストークが発生することを防止することができる。したがって光半導体素子3を高密度に光配線基板20に実装することができ、光配線モジュール1を小形化することができる。
【0065】
また本実施の形態では、遮光部材62は、各光半導体素子3をその外周に沿って囲繞するものであるから、クロストークの発生をより一層抑制することが可能となる。この場合、隣接して他の光配線モジュール1が実装されている場合であっても、遮光部材62によってクロストークの発生を極めて良好に防止することができる。
【0066】
また本実施の形態では、コア層7の端部に傾斜部13が形成され、該傾斜部13に光を反射する反射膜14が形成され、傾斜部13と反射膜14とでコア層7の光路変換手段40を構成している。傾斜部13は、第1クラッド層6の表面に対する傾斜角度が41度以上49度以下に規定されるので、光導波路部材2を薄肉化しても光路変換手段40に入射した光をコア層7に良好に伝播することが可能となる。したがって、光配線基板20を多層化する際に、その厚みを低減することができる。
【0067】
また本実施の形態では、光半導体素子3に設けられる光素子4がフリップチップ実装されているので、光素子4と第1クラッド層6の表面との距離が近接しており、この間の光の減衰量がわずかである。それ故、光素子4に対しマイクロレンズを設ける場合であっても、その位置決めに求められる精度が緩和される。用途によってはマイクロレンズを設置しなくても使用できる。このように光配線モジュール1の製造を簡単化でき、製造コストの低減を図ることができる。
【0068】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態に係る光配線モジュール1Aに関して説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については説明を省略し、第1の実施形態と共通する構成については同一の参照符号を用いる。図4は、光配線モジュール1Aの一部を拡大して示す断面図である。
【0069】
本実施の形態の光配線モジュール1Aは、第1の実施形態とは異なり、光路変換手段40Aを構成するコア層7Aの傾斜部13A及び該傾斜部13Aに被着される反射膜14Aが凸曲面状に形成されている。
【0070】
傾斜部13Aは、反射膜14Aによって反射する光の進行方向とは逆方向に突出する凸曲面形状に形成される。これによって第1の実施形態の傾斜部13に比べて、集光特性を高めることができる。したがって、第1の実施形態に求められる光素子4と反射膜14Aとの位置決め精度を緩和することができる。それ故、光配線基板20Aの生産性を向上させ、製造コストの低減を図ることができる。
【0071】
(第3の実施形態)
次に本発明の第3の実施形態に係る光配線モジュール1Bに関して説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については説明を省略し、第1の実施形態と共通する構成については同一の参照符号を用いる。図5は、光配線モジュール1Bの部分拡大断面図である。
【0072】
本実施形態の光配線モジュール1Bは、前述の第1の実施の形態と異なり、光半導体素子3と光配線基板20との空隙に光透過性を有する透明な樹脂から成る透光部材101Bが設けられている。
【0073】
透光部材101Bとは、使用する波長の光(たとえば850nm)に対する透光部材1cmあたりの光投入量に対する光の減衰量(損失)の割合が6dB以下のものである。望ましくは3dB以下のものが好適に用いられ、最適には0.5dB以下がよい。さらに、この光投入量は、例えば、第1及び第2の光ファイバを準備し、両光ファイバ間に樹脂を介在させ、第1光ファイバから第2光ファイバにレーザやLED等の光を伝送させ、第2光ファイバからの出射光の光量をパワーメータにて測定することにより求められる。光減衰量は、第1及び第2の光ファイバ間に樹脂を介在させない状態で第1光ファイバから第2光ファイバに光を伝送させて第2光ファイバからの出射光の光量を測定することにより、光透過量を求め、上述した光投入量から光透過量を減じることによって求められる。そして、この測定によって得られた2つの光量の比によって光投入量に対する光の減衰量(損失)の割合が求められる。
【0074】
このような透光部材101Bは、たとえばエポキシ樹脂、アクリル樹脂およびシリコン樹脂などをディスペンサーなどで所定量注入して硬化させることにより形成される。透光部材101Bは、各光半導体素子3と光配線基板20との両方に当接するように設けられる。したがって各光半導体素子3と光配線基板20とが、透光部材101Bによって機械的に接続される。
【0075】
透光部材101Bを設けることによって、光半導体素子3と第1クラッド層6とが非接触の状態に保持することが容易になる。したがって、熱膨張などに起因して光素子4が光配線基板20に接触して損傷することを良好に防止することができる。
【0076】
(第4の実施形態)
次に本発明の第4の実施形態に係る光配線モジュール1Cに関して説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については説明を省略し、第1の実施形態と共通する構成については同一の参照符号を用いる。図6は、光配線モジュール1Cの一部を拡大して示す断面図である。
【0077】
本実施の形態の光配線モジュール1Cは、第1の実施形態とは異なり、光半導体素子3の光素子4に対向する第1クラッド層6Cとコア層7C位置に、光素子4に入射する光または光素子4から出射される光を集光するマイクロレンズ100Cが設けられている。
【0078】
マイクロレンズ100Cは、第1クラッド層6Cとコア層7Cとの界面を支持基板5側に突出させて構成されている。
【0079】
このようにマイクロレンズ100Cを第1クラッド層6Cに設けることによって集光特性を高めることができ、光素子4と反射膜14との位置決めに求められる精度を緩和でき、光配線モジュール1Cの生産性が向上する。
【0080】
またマイクロレンズ100Cは、第1クラッド層6Cと一体に形成されるので、マイクロレンズ100Cを別体で設けるよりも、部品点数を少なくすることができ、光配線モジュール1Cの構成を簡素に維持することができる。それ故、製造コストを低く抑えることができる。
【0081】
(第5の実施形態)
次に本発明の第5の実施形態に係る光配線モジュール1Dに関して説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については説明を省略し、第1の実施形態と共通する構成については同一の参照符号を用いる。図7は、光配線モジュール1Dの一部を拡大して示す断面図である。
【0082】
本実施の形態の光配線モジュール1Dは、第1の実施形態と異なり、遮光部材62Dが光半導体素子3と光配線基板20との間隙に設けられ、さらに遮光部材62Dは光素子4の収容する孔部61Dを有し、該孔部61Dと光素子4との間に透光部材101Dが充填されている。これによって、各光半導体素子3の光素子4からの出射光または光素子4への入射光の光路を確保しつつ、光素子4と第1クラッド層6とを常に非接触状態に保持できる。
【0083】
この遮光部材62Dは、非透光性を有するアンダーフィル樹脂から成っている。また、透光部材101Dは、光半導体素子3と光配線基板20との両方に当接するように設けられる。したがって、各光半導体素子3と光配線基板20とが、透光部材101Dによって機械的に接続される。換言すると、透光部材101Dは、各光半導体素子3と第1クラッド層6の表面との相対的な変位を規制するように設けられる。したがって、線膨張係数の差に起因した光半導体素子3と光配線基板20との間の熱応力によって光半導体素子3の光配線基板20に対する位置関係が変動することが良好に抑制される。
【0084】
透光部材101Dの材料は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂およびシリコン樹脂など透光性の樹脂であれば、いずれも使用可能である。また、透光部材101Dの樹脂は、固体であっても液体であっても良く、またゴム状であっても良い。この樹脂は、光半導体素子3の光素子4あるいは対応する光配線基板20の表面、あるいはその両方に塗布する。その後、光半導体素子3を実装する。透光部材101D以外の部分は通常のアンダーフィル剤を塗布してもよい。
【0085】
以上のような光配線モジュール1Dは、光素子4からの出射光または光素子4への入射光は、遮光部材62Dの存在により、光半導体素子3の外部に漏れることが抑制されるとともに、遮光部材62Dの孔部61D及び透光部材101Dの存在により、前記入射光及び出射光の光量が低減されることが抑制される。その結果、クロストークの発生を簡単に抑制することが可能となる。たとえば複数のミラー片および回折格子を用いてクロストークの発生を抑制する先行技術に比べて、光配線モジュール1Dの製造を簡単化でき、製造コストの低減を図ることができる。
【0086】
本実施の形態では、孔部61Dに透光部材101Dを配置したが、図8に示すように、透光部材101Dを孔部61Dに配置せず、孔部61Dの内部を空間としても良い。
【0087】
また本実施の形態において、遮光部材62Dを隣接する光半導体素子3間の間隙に当接するように設けてもよい。これによって隣接する光半導体素子3までの距離が微小の場合であっても、確実に隣接する光半導体素子3間で遮光することができる。
【0088】
(第6の実施形態)
次に本発明の第6の実施形態に係る光配線モジュール1Eに関して説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については説明を省略し、第1の実施形態と共通する構成については同一の参照符号を用いる。図9は、光配線モジュール1Eの一部を拡大して示す断面図である。
【0089】
本実施の形態の光配線モジュール1Eは、第1の実施形態とは異なり、光半導体素子3に設けられる光素子4Eと、第1クラッド層6の表面とが接触している状態(以下、「接触状態」ということがある)に保持されている。
【0090】
このような接触状態であれば、光素子4Eと、第1クラッド層6の表面とが非接触である状態の場合と比較して、遮光部材62Eの突出寸法h2を小さくしたとしても、遮光部材62Eによって光素子4Eへの入射光あるいは光素子4Eからの出射光が良好に遮蔽され、その結果、クロストークを良好に防止できる。
【0091】
しかも、この場合、非接触状態の場合と比較して、光素子4Eと反射膜14との距離を短くすることができる。したがって、光素子4Eへの入射光、光素子4Eからの出射光が周囲に漏れることを防ぐことが可能となり、光の結合効率を向上させることができる。
【0092】
(第7の実施形態)
次に本発明の第7の実施形態に係る光配線モジュール1Fに関して説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については説明を省略し、第1の実施形態と共通する構成については同一の参照符号を用いる。図10は、光配線モジュール1Fの一部を拡大して示す断面図であり、図11は図10の光配線モジュール1Fを構成する光半導体素子3Fの平面図である。
【0093】
本実施の形態の光配線モジュール1Fは、第1の実施形態とは異なり、光半導体素子3Fに設けられる光素子4Fは複数個直線状に配列されており、更に、平面視した時に遮光部材62Fが各光素子4Fの外周を取り囲むように遮光部材62Fを光配線基板20上に被着させている。
【0094】
それ故、光半導体素子3Fが複数の光素子4Fを有している場合であっても、個々の光素子4Fからの出射光や光素子4Fへの入射光が他の光素子4Fに対して干渉することが遮光部材62Fによって良好に抑制される。
【0095】
なお、遮光部材62Fの表面は、光素子4Fの表面よりも光半導体素子3F側に位置していることが好ましい。この場合、光素子4Fに対する光の光路を遮光部材62Fで良好に取り囲むことができるため、光の干渉がより生じにくい。
【0096】
第7の実施形態においては、遮光部材62Fで個々の光素子4Fを取り囲むようにしたが、必ずしも取り囲んでいる必要はなく、隣接する光素子4F間に遮光部材62Fが介在されていれば良い。
【0097】
また、第7の実施形態において、個々の光素子4Fを取り囲む遮光部材62Fを連続的に繋げるように形成しても良い。
【0098】
さらに、第7の実施形態においては、遮光部材62Fを光配線基板20上に形成するようにしたが、これに代えて、図12に示すように、光半導体素子3Fの一主面上に形成するようにしても良い。この場合、遮光部材62Fの表面が光素子4Fの表面よりも光配線基板20側に位置していることが光を遮光する観点から好ましい。
【0099】
さらに、第7の実施形態において、図13に示すように、遮光部材62Fを光半導体素子3Fと光配線基板20の双方に機械的に接続するようにすれば、光素子4Fに対する光の光路を極めて良好に確保することができ、隣接する光素子4F間で光の干渉が極めて起こりにくい状態となる。
【符号の説明】
【0100】
1、1A〜1F 光配線モジュール
2 光導波路部材
20 光配線基板
3、3F 光半導体素子
4、4E、4F 光素子
5 支持基板
6 第1クラッド層
7 コア層
8 第2クラッド層
9 周辺部
10 貫通電極
11 接続パッド
13、13A 傾斜部
14、14A 反射膜
24 バンプ
25 ダミーバンプ
40、40A 光路変換手段
61D 孔部
62、62D〜62F 遮光部材
100C マイクロレンズ
101B、101D 透光部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、光配線モジュールに関し、たとえば電気配線またはその一部を光配線に適用し得る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
企業、家庭で取り扱う通信情報量が膨大になり、電気信号で配信できない量になりつつある。つまり電気で高速信号(高周波デジタル信号)の送受信をするためには、プリエンファシスおよびイコライジングの技術が必要であり、このための回路を付加しなければならない。この回路のため消費電力が増大し、シリコンチップの発熱が増え、冷却システムが膨大になる。このような問題を解決するために、多量の情報の配信に適した光信号を用いた技術が開示されており、光信号を装置間の通信に用いる技術、さらにバックプレーンおよびボードなどシリコンチップにより近いところまで光信号を用いる技術が種々開示されている。
【0003】
光信号をシリコンチップ付近まで到達させるためには、シリコンチップが実装される基板内の光導波路を導光する光を、シリコンチップに設けられる受光素子に導く必要がある。したがってシリコンチップに設けられる発光素子または受光素子と、シリコンチップが実装される基板内の光導波路との位置合わせ精度を高精度にする必要がある。簡単に高精度に位置合わせするための技術として、基板の予め定める位置に凹部を形成し、この凹部に発光素子などを実装して、発光素子の位置決めを容易にする技術が開示されている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−265885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光配線基板に複数の光半導体素子を実装して、光配線モジュールの全体として小形化する技術が望まれているが、複数の光半導体素子を高密度に実装する場合、隣接する光半導体素子までの距離が小さくなる。これによって複数の光半導体素子が光配線基板に実装されて構成される光配線モジュールの場合、各光半導体素子に設けられる発光素子から出射する光、または受光素子に入射する光が、隣接する光半導体素子へ不所望に光が入射し、クロストークが発生するおそれがある。このクロストークの発生を防止するために、従来の技術の基板に形成される凹部を用いて、光が周囲に不所望に外周に出射することをある程度防止することはできるが、凹部を基板の所望の位置に高精度に形成することは困難である。したがってこのような従来の技術では、クロストークの発生を確実に防止することができない。
【0006】
したがって本発明の目的は、隣接する光半導体素子に設けられる受光素子または発光素子に、不所望に光が入射することを防止する光配線モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光導波路部材を含む光配線基板と、この光配線基板に対してフリップチップ実装される第1及び第2の光半導体素子とを有する第1の光配線モジュールであって、前記光導波路部材は、クラッド層と、クラッド層上に積層され、光路変換手段を有する複数のコア層と、を含んで構成され、前記光配線基板上には、第1の光半導体素子に設けられる光素子と、第2の光半導体素子の光素子との間に設けられ、非光透過性の樹脂から成る遮光部材が配置されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、光導波路部材を含む光配線基板と、該光配線基板に対してフリップチップ実装され、前記光配線基板との対向面上に複数の光素子を備えた光半導体素子と、を有する第2の光配線モジュールであって、前記光導波路部材は、クラッド層と、クラッド層上に積層され、光路変換手段を有する複数のコア層と、を含んで構成され、前記光半導体素子の前記対向面上で、且つ隣り合う前記光素子間に、非光透過性の樹脂から成る遮光部材が配置されることを特徴とする。
【0009】
さらに本発明は、光導波路部材を含む光配線基板と、該光配線基板の上面に対してフリップチップ実装され、前記光配線基板との対向面上に複数の光素子を備えた光半導体素子と、を有する第3の光配線モジュールであって、前記光導波路部材は、クラッド層と、クラッド層上に積層され、光路変換手段を有する複数のコア層と、を含んで構成され、前記光配線基板の上面で、且つ前記隣接する光素子間に、非光透過性の樹脂から成る遮光部材が配置されていることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記第2の光配線モジュールにおいて、前記遮光部材の表面は、前記光素子の表面よりも前記光配線基板側に位置していることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記第3の光配線モジュールにおいて、前記遮光部材の表面は、前記光素子の表面よりも前記光半導体素子側に位置していることを特徴とする。
【0012】
さらに本発明は、上記第2または第3の光配線モジュールにおいて、前記遮光部材は、前記光素子の外周を囲繞することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、上記第1〜第3の光配線モジュールにおいて、前記光素子は、発光素子または受光素子であることを特徴とする。
【0014】
さらに本発明は、上記第1の光配線モジュールにおいて、前記遮光部材は、前記第1および第2の光半導体素子を、その外周に沿って囲繞することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記遮光部材は、前記第1および/または第2の光半導体素子と前記光配線基板との間隙に設けられていることを特徴とする。
【0016】
さらに本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記光路変換手段は、光を反射する反射手段であることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記反射手段は、前記光素子より前記反射手段に対して入射した光を前記コア層に沿った方向に向けて反射する機能、または前記コア層より前記反射手段に対して入射した光を前記光素子に向けて反射する機能を有することを特徴とする。
【0018】
さらに本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記反射手段が設けられる前記コア層の表面及び前記反射手段の表面は、前記クラッド層の表面に対して傾斜していることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記反射手段が設けられる前記コア層の表面及び前記反射手段の表面は、前記反射手段によって反射された光の進行方向とは逆方向に突出する凸曲面形状に形成されていることを特徴とする。
【0020】
さらに本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記反射手段が設けられる前記コア層の表面の前記クラッド層の表面に対する傾斜角度が41度以上49度以下に規定されることを特徴とする。
【0021】
また本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記光素子と、前記光導波路部材の前記クラッド層とが非接触の状態に保持されていることを特徴とする。
【0022】
さらに本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、少なくとも前記光素子と前記光路変換手段との間には、光透過性の樹脂から成る透光部材が設けられていることを特徴とする。
【0023】
また本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記透光部材は、前記第1および/または第2の光半導体素子と前記光配線基板とを機械的に接続することを特徴とする。
【0024】
さらに本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記クラッド層は、前記光素子と対向する位置に、前記光素子からの光、または前記光素子に向かう光を集光する集光手段を含むことを特徴とする。
【0025】
また本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記集光手段は、前記クラッド層と一体に形成されることを特徴とする。
【0026】
さらに本発明は、上記第1乃至第3の光配線モジュールのいずれかにおいて、前記光素子と、前記光路変換手段上に位置する前記光導波路部材の前記クラッド層とが接触している状態に保持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、隣り合う光素子間の領域または隣接する光半導体素子間の領域に遮光部材を設けることにより、隣接する光半導体素子に関して、第1の光半導体素子の光素子から出射される光が、第2の光半導体素子またはその光素子に不所望に光が入射したり、あるいは、第1の光半導体素子の光素子に対して入射される光が、第2の光半導体素子またはその光素子に不所望に入射したりすることを良好に防ぎ、クロストークの発生を防止することができる。これによって光配線基板に接続される光半導体素子の単位面積あたりの個数を増加させて、隣接する光半導体素子までの距離が小さくなった場合であっても、隣接する光半導体素子の光素子の入出光に起因してクロストークが発生することを防止することができる。したがって光半導体素子を高密度に光配線基板に実装することができ、光配線モジュールを小形化することができる。
【0028】
また本発明によれば、遮光部材は、各光半導体素子または各光素子の外周を囲繞するものであるから、クロストークの発生をより一層抑制することが可能となる。遮光部材を光半導体素子または各光素子の外周に沿って囲繞するだけで、クロストークを抑制する条件を満たすので、遮光部材の製造工程を簡単化することができる。
【0029】
さらに本発明によれば、各光半導体素子と光配線基板との間隙には、発光部および受光部を除き、遮光部材が設けられているので、クロストークの発生を簡単に抑制することが可能となる。たとえば複数のミラー片および回折格子を用いてクロストークの発生を抑制する先行技術に比べて、光配線モジュールの製造を簡単化でき、製造コストの低減を図ることができる。
【0030】
さらに本発明によれば、反射手段が設けられるコア層の表面(反射面)及び前記反射手段の表面は、前記反射手段によって反射された光の進行方向とは逆方向に突出する凸曲面形状に形成されているので、前記反射手段の表面及び前記コア層の前記反射面を平坦状に形成するものに比べて集光特性を高めることができる。したがって、光半導体素子の光素子に対する反射手段の位置決め精度を、従来技術のものより高めることなく光路変換を実現できる。それ故、光配線基板の製造を一層簡単化でき、製造コストの低減を一層図ることができる。
【0031】
さらに本発明によれば、前記反射手段が設けられる前記コア層の表面及び前記反射手段の表面は、前記クラッド層の表面に対して傾斜しており、該傾斜角度が41度以上49度以下に規定されることで、光導波路部材を薄肉化しつつ光を直線状に伝播することが可能となる。その結果、光配線基板を多層化する際に、基板の厚み方向寸法を低減することができ、該光配線基板を搭載する装置への汎用性を高めることが可能となる。
【0032】
さらに本発明によれば、前記光半導体素子の前記光素子と、前記光配線基板の前記クラッド層とが非接触の状態に保持されているので、熱膨張などに起因して前記光半導体素子と前記光配線基板との間に熱応力が印加されても、前記光素子が前記光配線基板の表面に接触して前記光素子が損傷することが抑制される。
【0033】
さらに本発明によれば、前記光半導体素子の前記光素子と前記光路変換手段との間には、透光性の樹脂から成る透光部材が設けられているので、光半導体素子と光配線基板とが非接触の状態に保持することが容易になる。
【0034】
さらに本発明によれば、前記透光部材は、前記光半導体素子と前記光配線基板とを機械的に接続するので、前記光半導体素子の前記光配線基板に対する実装強度が大きくなり、前記光半導体素子と前記光配線基板との間に熱応力が印加されても、不所望に前記光半導体素子の前記光配線基板に対する相対位置が変位することを防ぐことができる。
【0035】
さらに本発明によれば、前記クラッド層は、前記光素子と対向する位置に、前記光素子からの光、または前記光素子に向かう光を集光する集光手段を含む。したがって集光特性を高めることができ、光素子に対する光路変換手段の位置決めに求められる精度を緩和することができ、光配線基板の生産性の向上に寄与することが可能となる。
【0036】
さらに本発明によれば、集光手段は、クラッド層と一体に形成されるので、集光手段を別体で設けるよりも、集光手段を容易に製造することができる。それ故、光配線基板の製造を一層簡単化でき、製造コストの低減を一層図ることができる。
【0037】
さらに本発明によれば、前記光半導体素子に設けられる前記光素子と、前記光路変換手段上に位置する前記光導波路部材の前記クラッド層とが接触している状態に保持することにより、光素子と光路変換手段との距離を短くすることができる。したがって、光素子と光路変換手段との光の結合効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光配線モジュール1を示す斜視図であって、一部を断面で示す。
【図2】図1に示す光配線モジュール1の平面図である。
【図3】図1に示す光配線モジュール1の部分拡大断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る光配線モジュール1Aの断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る光配線モジュール1Bの断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る光配線モジュール1Cの断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る光配線モジュール1Dの断面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る光配線モジュール1Dの変形例を示す断面図である。
【図9】本発明の第6の実施形態に係る光配線モジュール1Eの断面図である。
【図10】本発明の第7の実施形態に係る光配線モジュール1Fの断面図である。
【図11】図10に示す光配線モジュール1Fを構成する光半導体素子3Fの平面図である。
【図12】本発明の第7の実施形態に係る光配線モジュール1Fの第1変形例を示す断面図である。
【図13】本発明の第7の実施形態に係る光配線モジュール1Fの第2変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0040】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光配線モジュール1を示す斜視図であって、一部を断面で示す。図2は、光配線モジュール1を示す平面図である。図3は、図2の部分拡大断面図である。
【0041】
光配線モジュール1は、大略的に、光配線基板20と、光配線基板20に対してAu等のバンプ24を介してフリップチップ実装される複数(本実施の形態では4個)の光半導体素子3と、光半導体素子3の周囲を取り囲むように光配線基板20上に形成される遮光部材62と、を備えた構成を有する。かかる光配線モジュール1は、光半導体素子3から発せられる光素子4(例えば、発光素子)の光を、光配線基板20を介して他の光半導体素子3の光素子4(例えば、受光素子)に入射させることにより、異なる光半導体素子3間で光信号を伝送する機能を有する。
【0042】
光配線モジュール1を構成する光配線基板20は、支持基板5と、該支持基板5に固着される光導波路部材2とを含んで構成される。
【0043】
支持基板5は、その上面に光導波路部材2や、図示しないプリント基板などが実装される。また支持基板5は、絶縁材料、例えば合成樹脂、アルミナ系セラミックおよびガラスセラミック等により形成され、例えば平板状や直方体状等の種々の形状に形成される。
【0044】
光導波路部材2は、第1及び第2クラッド層6,8と、第1クラッド層6と第2クラッド層8との間に介在される複数のコア層7と、光半導体素子3に電気的に接続される複数の貫通電極10とを有し、この光導波路部材2の厚みh1が、たとえば50μm以上100μm以下に形成されている。
【0045】
第1及び第2クラッド層6,8のうち、第2クラッド層8がコア層7と支持基板5との間に介在され、第1クラッド層6が第2クラッド層8よりも光半導体素子3側に位置するように配置されている。
【0046】
また、コア層7及び貫通電極10の周辺に位置する光配線基板の領域(周辺部9)は、透光性材料、たとえばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリシラノール樹脂、ポリシラン、およびガラス(石英を含む)の少なくともいずれか一つによって形成されており、互いに同質材料で形成されている。一方、第1および第2クラッド層6,8は、コア層7および周辺部9とは屈折率が小さい透光性材料から成り、たとえばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリシラノール樹脂、ポリシラン、およびガラス(石英を含む)の少なくともいずれか一つによって形成される。一方、貫通電極10は、銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、クロム、鉄、タングステンまたはモリブデン等の導電材料により形成される。
【0047】
各コア層7は、光を進行させるべき方向(例えば、X方向)に沿ってたとえば長尺に形成され、基板厚み方向(Z方向と表記する)およびX方向にそれぞれ直交するY方向に沿った方向に所定のピッチで間隔を空けて配列されている。ここでXおよびY方向を含む仮想平面をXY平面と称す。
【0048】
各コア層7は、そのX方向の端部に光路変換手段40を有している。光路変換手段40は、コア層7の端面である傾斜部13と、該傾斜部13に対して被着される反射手段としての反射膜14とを有している。
【0049】
反射膜14は、光半導体素子3に設けられる光素子4(例えば、発光素子)から発せられる光をコア層7に向かって反射する機能、コア層7を伝播した光を光半導体素子3に設けられる光素子4(例えば、受光素子)に向かって反射する機能を有する。このような反射膜14は、たとえばアルミニウムなどの反射材料を蒸着法等の薄膜形成技術を用いて傾斜部13に被着させることにより形成される。なお、本実施形態においては、コア層7の傾斜部13は、第1クラッド層6の表面に対する傾斜角度αが、例えば41度以上49度以下に規定されている。
【0050】
また、貫通電極10の表面には接続パッド11が形成されており、該接続パッド11がバンプ24を介して光半導体素子3に接続されている。この接続パッド11は、第1クラッド層6の表面と同一平面、つまりXY平面上に配設される。
【0051】
なお、以上のような光配線基板20は、次のように形成される。まず、転写シートを準備し、該転写シート上に第1クラッド層6の構成材料(例えば、感光性樹脂)を塗布し、これをフォトリソグラフィ技術やエッチング技術等によって加工して第1クラッド層6を形成する。次に、第1クラッド層6上にコア層の構成材料(例えば、感光性樹脂)を塗布し、これをフォトリソグラフィ技術やエッチング技術等によって加工するとともに、工具等による押圧加工により傾斜部13に相当する斜面を形成した上、該斜面にアルミニウム等の反射材料を物理蒸着法等を用いて被着させて反射膜14を形成することによりコア層7が形成される。続いて、第2クラッド層8の構成材料(例えば、感光性樹脂)をコア層7や第1クラッド層8上に塗布し、必要であればこれをフォトリソグラフィ技術やエッチング等によって加工して第2クラッド層8を形成する。次に、レーザ加工等を用いて貫通電極10が設けられる貫通孔を形成し、該貫通孔内に銅ペースト等の導電ペーストを充填し、これを加熱することによって貫通電極10が形成され、光導波路部材2が転写シート上に形成される。最後に、光導波路部材2を別途準備した支持基板5に対して転写し、転写シートを光導波路部材2より引き剥がすことにより光配線基板20が形成される。
【0052】
そして、上述した光配線基板20上には遮光部材62が被着されている。遮光部材62は、光半導体素子3に設けられる発光素子や受光素子等の光素子4と、隣接する光半導体素子3の光素子4との間に設けられており、光半導体素子3側に突出するように形成されている。
【0053】
また、遮光部材62は、非光透過性の樹脂により形成されている。非光透過性の樹脂とは、たとえばエポキシ樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂などにカーボン粉末、グラファイト粉末などを混合した樹脂が一例として考えられる。また、非光透過性の樹脂としては、染色剤や着色剤を用いて黒くした樹脂材料や、エポキシ系樹脂にシリカ系フィラーおよびカーボン粉末を混合した樹脂が他の例として考えられる。
【0054】
このような非光透過性樹脂は、使用する波長の光(たとえば850nm)に対する樹脂1cmあたりの光投入量に対する光透過量の割合が−30dB以下のものであることが好ましく、さらに望ましくは−40dB以下のものが良い。
【0055】
樹脂の光投入量は、例えば、第1及び第2の光ファイバを準備し、両光ファイバ間に樹脂を介在させ、第1光ファイバから第2光ファイバにレーザやLED等の光を伝送させ、第2光ファイバからの出射光の光量をパワーメータにて測定することにより求められる。他方、樹脂の光透過量の測定方法としては、例えば、第1及び第2の光ファイバ間に樹脂を介在させない状態で第1光ファイバから第2光ファイバに光を伝送させて第2光ファイバからの出射光の光量を測定することにより求められる。そして、この測定によって得られた2つの光量を用いて樹脂の光投入量に対する光透過量の割合が求められる。
【0056】
このような非光透過性樹脂により形成された遮光部材62は、上述した如く、隣接する光半導体素子3の光素子との間に設けられていることから、光素子4(例えば、発光素子)から発せられる光、光素子4(例えば、受光素子)に向かう光が良好に外部と遮光される。その結果、光半導体素子3の光素子4の光が不所望に他の光半導体素子3や他の光素子4に向かって出射されたり、あるいは、光半導体素子3の光素子4に対して他の光素子4からの光が不所望に入射したりすることが良好に防止される。
【0057】
本実施の形態では、遮光部材62は、光半導体素子3の外周を囲繞するように形成されており、図2に示すように、XY平面において、光半導体素子3の外周から所定距離δ離間して配置されている。所定距離δ(図2参照)は、各光半導体素子3から出射する光が不所望に外方に散乱することを防ぐ距離に設定され、たとえば0.3μm以上10μm以下に設定される。なお、光を良好に遮光する観点から、遮光部材62の突出寸法h2(図3参照)は、第1クラッド層6の表面から光半導体素子3までの高さ寸法h3よりも大きくなるように設定される。
【0058】
このような遮光部材62は、各光半導体素子3を光配線基板20に実装する前に、光配線基板20に設けてもよいし、各光半導体素子3を光配線基板20に実装した後に、光配線基板20に設けてもよい。
【0059】
各光半導体素子3を光配線基板20に実装する前に、遮光部材62を光配線基板20に設ける加工方法としては、たとえば感光性を有する樹脂材料(たとえばドライフィルムレジスト)を基板に貼り合わせ、フォトリソグラフィ技術を用いて露光現像して所望の空隙部を形成する。次に、遮光部材62の前駆体、または液状樹脂から成る遮光部材62の前駆体を形成した空隙部に充填する。充填は表面に塗布してもよいし、スクリーン印刷してもよく、ディスペンサーを用いて所定量の樹脂を注入してもよい。次に充填した遮光部材62の前駆体を乾燥あるいは硬化させ、遮光部材62を構成し、全体をアルカリ溶液に浸漬してドライフイルムレジストを剥離除去する。これによって遮光部材62を形成する。また、遮光部材62はシート状の樹脂を金型などで打ち抜き加工して光配線基板20に接着することによって形成することも可能である。
【0060】
一方、光半導体素子3を光配線基板20に実装した後に遮光部材62を光配線基板20に設ける方法としては、遮光部材62を構成する樹脂の前駆体を光配線基板20の所定箇所にディスペンサーを用いて塗布し、これを熱硬化させる方法が一例として考えられる。
【0061】
光配線基板20に配置される光半導体素子3は、半導体基板の一主面上に光素子4(発光素子及び/または受光素子)を備えた構成を有しており、光素子4を光配線基板20に対向させるように光配線基板20に対してフリップチップ実装されている。かかる光半導体素子3は、半導体基板の一主面上に、Auや半田等の導電材料からなるバンプ24を介して光配線基板20の貫通電極10に接続される図示しない電極パッドが形成されている。さらに光半導体素子3の半導体基板の一主面上には、複数のダミーパッドが設けられており、該ダミーパッドと光配線基板20との間にダミーバンプ25が介在されている。各ダミーバンプ25は、たとえばAuや半田等から成っており、各バンプ24と間隔をあけて配設されている。このようなバンプ24およびダミーバンプ25によって、光半導体素子3は下方より支持された形となっている。
【0062】
このような光半導体素子3は、光素子4の直下領域がコア層7の傾斜部13及び反射膜14に位置するように光配線基板20に対して位置合わせされている。
【0063】
なお、光素子4の一例である発光素子としては、たとえば面発光型半導体レーザ
(Vertical Cavity Surface-Emitting Laser:略称VCSEL)や端面発光型レーザダイオード等のレーザが挙げられる。また光素子4の一例である受光素子としては、たとえばフォトダイオードがある。
【0064】
本実施形態によれば、上述したような遮光部材62を設けることによって、隣接する光半導体素子3の光素子4に不所望に光が入射したり、光素子4から不所望に光が漏れたりすることを良好に防ぎ、クロストークの発生を防止することができる。これによって光配線基板20に接続される光半導体素子3の単位面積あたりの個数を増加させて、隣接する光半導体素子3までの距離が小さくなった場合であっても、隣接する光半導体素子3の光素子の入出光に起因してクロストークが発生することを防止することができる。したがって光半導体素子3を高密度に光配線基板20に実装することができ、光配線モジュール1を小形化することができる。
【0065】
また本実施の形態では、遮光部材62は、各光半導体素子3をその外周に沿って囲繞するものであるから、クロストークの発生をより一層抑制することが可能となる。この場合、隣接して他の光配線モジュール1が実装されている場合であっても、遮光部材62によってクロストークの発生を極めて良好に防止することができる。
【0066】
また本実施の形態では、コア層7の端部に傾斜部13が形成され、該傾斜部13に光を反射する反射膜14が形成され、傾斜部13と反射膜14とでコア層7の光路変換手段40を構成している。傾斜部13は、第1クラッド層6の表面に対する傾斜角度が41度以上49度以下に規定されるので、光導波路部材2を薄肉化しても光路変換手段40に入射した光をコア層7に良好に伝播することが可能となる。したがって、光配線基板20を多層化する際に、その厚みを低減することができる。
【0067】
また本実施の形態では、光半導体素子3に設けられる光素子4がフリップチップ実装されているので、光素子4と第1クラッド層6の表面との距離が近接しており、この間の光の減衰量がわずかである。それ故、光素子4に対しマイクロレンズを設ける場合であっても、その位置決めに求められる精度が緩和される。用途によってはマイクロレンズを設置しなくても使用できる。このように光配線モジュール1の製造を簡単化でき、製造コストの低減を図ることができる。
【0068】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態に係る光配線モジュール1Aに関して説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については説明を省略し、第1の実施形態と共通する構成については同一の参照符号を用いる。図4は、光配線モジュール1Aの一部を拡大して示す断面図である。
【0069】
本実施の形態の光配線モジュール1Aは、第1の実施形態とは異なり、光路変換手段40Aを構成するコア層7Aの傾斜部13A及び該傾斜部13Aに被着される反射膜14Aが凸曲面状に形成されている。
【0070】
傾斜部13Aは、反射膜14Aによって反射する光の進行方向とは逆方向に突出する凸曲面形状に形成される。これによって第1の実施形態の傾斜部13に比べて、集光特性を高めることができる。したがって、第1の実施形態に求められる光素子4と反射膜14Aとの位置決め精度を緩和することができる。それ故、光配線基板20Aの生産性を向上させ、製造コストの低減を図ることができる。
【0071】
(第3の実施形態)
次に本発明の第3の実施形態に係る光配線モジュール1Bに関して説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については説明を省略し、第1の実施形態と共通する構成については同一の参照符号を用いる。図5は、光配線モジュール1Bの部分拡大断面図である。
【0072】
本実施形態の光配線モジュール1Bは、前述の第1の実施の形態と異なり、光半導体素子3と光配線基板20との空隙に光透過性を有する透明な樹脂から成る透光部材101Bが設けられている。
【0073】
透光部材101Bとは、使用する波長の光(たとえば850nm)に対する透光部材1cmあたりの光投入量に対する光の減衰量(損失)の割合が6dB以下のものである。望ましくは3dB以下のものが好適に用いられ、最適には0.5dB以下がよい。さらに、この光投入量は、例えば、第1及び第2の光ファイバを準備し、両光ファイバ間に樹脂を介在させ、第1光ファイバから第2光ファイバにレーザやLED等の光を伝送させ、第2光ファイバからの出射光の光量をパワーメータにて測定することにより求められる。光減衰量は、第1及び第2の光ファイバ間に樹脂を介在させない状態で第1光ファイバから第2光ファイバに光を伝送させて第2光ファイバからの出射光の光量を測定することにより、光透過量を求め、上述した光投入量から光透過量を減じることによって求められる。そして、この測定によって得られた2つの光量の比によって光投入量に対する光の減衰量(損失)の割合が求められる。
【0074】
このような透光部材101Bは、たとえばエポキシ樹脂、アクリル樹脂およびシリコン樹脂などをディスペンサーなどで所定量注入して硬化させることにより形成される。透光部材101Bは、各光半導体素子3と光配線基板20との両方に当接するように設けられる。したがって各光半導体素子3と光配線基板20とが、透光部材101Bによって機械的に接続される。
【0075】
透光部材101Bを設けることによって、光半導体素子3と第1クラッド層6とが非接触の状態に保持することが容易になる。したがって、熱膨張などに起因して光素子4が光配線基板20に接触して損傷することを良好に防止することができる。
【0076】
(第4の実施形態)
次に本発明の第4の実施形態に係る光配線モジュール1Cに関して説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については説明を省略し、第1の実施形態と共通する構成については同一の参照符号を用いる。図6は、光配線モジュール1Cの一部を拡大して示す断面図である。
【0077】
本実施の形態の光配線モジュール1Cは、第1の実施形態とは異なり、光半導体素子3の光素子4に対向する第1クラッド層6Cとコア層7C位置に、光素子4に入射する光または光素子4から出射される光を集光するマイクロレンズ100Cが設けられている。
【0078】
マイクロレンズ100Cは、第1クラッド層6Cとコア層7Cとの界面を支持基板5側に突出させて構成されている。
【0079】
このようにマイクロレンズ100Cを第1クラッド層6Cに設けることによって集光特性を高めることができ、光素子4と反射膜14との位置決めに求められる精度を緩和でき、光配線モジュール1Cの生産性が向上する。
【0080】
またマイクロレンズ100Cは、第1クラッド層6Cと一体に形成されるので、マイクロレンズ100Cを別体で設けるよりも、部品点数を少なくすることができ、光配線モジュール1Cの構成を簡素に維持することができる。それ故、製造コストを低く抑えることができる。
【0081】
(第5の実施形態)
次に本発明の第5の実施形態に係る光配線モジュール1Dに関して説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については説明を省略し、第1の実施形態と共通する構成については同一の参照符号を用いる。図7は、光配線モジュール1Dの一部を拡大して示す断面図である。
【0082】
本実施の形態の光配線モジュール1Dは、第1の実施形態と異なり、遮光部材62Dが光半導体素子3と光配線基板20との間隙に設けられ、さらに遮光部材62Dは光素子4の収容する孔部61Dを有し、該孔部61Dと光素子4との間に透光部材101Dが充填されている。これによって、各光半導体素子3の光素子4からの出射光または光素子4への入射光の光路を確保しつつ、光素子4と第1クラッド層6とを常に非接触状態に保持できる。
【0083】
この遮光部材62Dは、非透光性を有するアンダーフィル樹脂から成っている。また、透光部材101Dは、光半導体素子3と光配線基板20との両方に当接するように設けられる。したがって、各光半導体素子3と光配線基板20とが、透光部材101Dによって機械的に接続される。換言すると、透光部材101Dは、各光半導体素子3と第1クラッド層6の表面との相対的な変位を規制するように設けられる。したがって、線膨張係数の差に起因した光半導体素子3と光配線基板20との間の熱応力によって光半導体素子3の光配線基板20に対する位置関係が変動することが良好に抑制される。
【0084】
透光部材101Dの材料は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂およびシリコン樹脂など透光性の樹脂であれば、いずれも使用可能である。また、透光部材101Dの樹脂は、固体であっても液体であっても良く、またゴム状であっても良い。この樹脂は、光半導体素子3の光素子4あるいは対応する光配線基板20の表面、あるいはその両方に塗布する。その後、光半導体素子3を実装する。透光部材101D以外の部分は通常のアンダーフィル剤を塗布してもよい。
【0085】
以上のような光配線モジュール1Dは、光素子4からの出射光または光素子4への入射光は、遮光部材62Dの存在により、光半導体素子3の外部に漏れることが抑制されるとともに、遮光部材62Dの孔部61D及び透光部材101Dの存在により、前記入射光及び出射光の光量が低減されることが抑制される。その結果、クロストークの発生を簡単に抑制することが可能となる。たとえば複数のミラー片および回折格子を用いてクロストークの発生を抑制する先行技術に比べて、光配線モジュール1Dの製造を簡単化でき、製造コストの低減を図ることができる。
【0086】
本実施の形態では、孔部61Dに透光部材101Dを配置したが、図8に示すように、透光部材101Dを孔部61Dに配置せず、孔部61Dの内部を空間としても良い。
【0087】
また本実施の形態において、遮光部材62Dを隣接する光半導体素子3間の間隙に当接するように設けてもよい。これによって隣接する光半導体素子3までの距離が微小の場合であっても、確実に隣接する光半導体素子3間で遮光することができる。
【0088】
(第6の実施形態)
次に本発明の第6の実施形態に係る光配線モジュール1Eに関して説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については説明を省略し、第1の実施形態と共通する構成については同一の参照符号を用いる。図9は、光配線モジュール1Eの一部を拡大して示す断面図である。
【0089】
本実施の形態の光配線モジュール1Eは、第1の実施形態とは異なり、光半導体素子3に設けられる光素子4Eと、第1クラッド層6の表面とが接触している状態(以下、「接触状態」ということがある)に保持されている。
【0090】
このような接触状態であれば、光素子4Eと、第1クラッド層6の表面とが非接触である状態の場合と比較して、遮光部材62Eの突出寸法h2を小さくしたとしても、遮光部材62Eによって光素子4Eへの入射光あるいは光素子4Eからの出射光が良好に遮蔽され、その結果、クロストークを良好に防止できる。
【0091】
しかも、この場合、非接触状態の場合と比較して、光素子4Eと反射膜14との距離を短くすることができる。したがって、光素子4Eへの入射光、光素子4Eからの出射光が周囲に漏れることを防ぐことが可能となり、光の結合効率を向上させることができる。
【0092】
(第7の実施形態)
次に本発明の第7の実施形態に係る光配線モジュール1Fに関して説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については説明を省略し、第1の実施形態と共通する構成については同一の参照符号を用いる。図10は、光配線モジュール1Fの一部を拡大して示す断面図であり、図11は図10の光配線モジュール1Fを構成する光半導体素子3Fの平面図である。
【0093】
本実施の形態の光配線モジュール1Fは、第1の実施形態とは異なり、光半導体素子3Fに設けられる光素子4Fは複数個直線状に配列されており、更に、平面視した時に遮光部材62Fが各光素子4Fの外周を取り囲むように遮光部材62Fを光配線基板20上に被着させている。
【0094】
それ故、光半導体素子3Fが複数の光素子4Fを有している場合であっても、個々の光素子4Fからの出射光や光素子4Fへの入射光が他の光素子4Fに対して干渉することが遮光部材62Fによって良好に抑制される。
【0095】
なお、遮光部材62Fの表面は、光素子4Fの表面よりも光半導体素子3F側に位置していることが好ましい。この場合、光素子4Fに対する光の光路を遮光部材62Fで良好に取り囲むことができるため、光の干渉がより生じにくい。
【0096】
第7の実施形態においては、遮光部材62Fで個々の光素子4Fを取り囲むようにしたが、必ずしも取り囲んでいる必要はなく、隣接する光素子4F間に遮光部材62Fが介在されていれば良い。
【0097】
また、第7の実施形態において、個々の光素子4Fを取り囲む遮光部材62Fを連続的に繋げるように形成しても良い。
【0098】
さらに、第7の実施形態においては、遮光部材62Fを光配線基板20上に形成するようにしたが、これに代えて、図12に示すように、光半導体素子3Fの一主面上に形成するようにしても良い。この場合、遮光部材62Fの表面が光素子4Fの表面よりも光配線基板20側に位置していることが光を遮光する観点から好ましい。
【0099】
さらに、第7の実施形態において、図13に示すように、遮光部材62Fを光半導体素子3Fと光配線基板20の双方に機械的に接続するようにすれば、光素子4Fに対する光の光路を極めて良好に確保することができ、隣接する光素子4F間で光の干渉が極めて起こりにくい状態となる。
【符号の説明】
【0100】
1、1A〜1F 光配線モジュール
2 光導波路部材
20 光配線基板
3、3F 光半導体素子
4、4E、4F 光素子
5 支持基板
6 第1クラッド層
7 コア層
8 第2クラッド層
9 周辺部
10 貫通電極
11 接続パッド
13、13A 傾斜部
14、14A 反射膜
24 バンプ
25 ダミーバンプ
40、40A 光路変換手段
61D 孔部
62、62D〜62F 遮光部材
100C マイクロレンズ
101B、101D 透光部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路部材を含む光配線基板と、この光配線基板に対してフリップチップ実装される第1及び第2の光半導体素子とを有する光配線モジュールであって、
前記光導波路部材は、クラッド層と、クラッド層上に積層され、光路変換手段を有する複数のコア層と、を含んで構成され、
前記光配線基板上には、第1の光半導体素子に設けられる光素子と、第2の光半導体素子の光素子との間に設けられ、非光透過性の樹脂から成る遮光部材が配置されていることを特徴とする光配線モジュール。
【請求項2】
光導波路部材を含む光配線基板と、
該光配線基板に対してフリップチップ実装され、前記光配線基板との対向面上に複数の光素子を備えた光半導体素子と、を有する光配線モジュールであって、
前記光導波路部材は、クラッド層と、クラッド層上に積層され、光路変換手段を有する複数のコア層と、を含んで構成され、
前記光半導体素子の前記対向面上で、且つ隣り合う前記光素子間に、非光透過性の樹脂から成る遮光部材が配置されていることを特徴とする光配線モジュール。
【請求項3】
光導波路部材を含む光配線基板と、
該光配線基板の上面に対してフリップチップ実装され、前記光配線基板との対向面上に複数の光素子を備えた光半導体素子と、を有する光配線モジュールであって、
前記光導波路部材は、クラッド層と、クラッド層上に積層され、光路変換手段を有する複数のコア層と、を含んで構成され、
前記光配線基板の上面で、且つ前記隣接する光素子間に、非光透過性の樹脂から成る遮光部材が配置されていることを特徴とする光配線モジュール。
【請求項4】
前記遮光部材の表面は、前記光素子の表面よりも前記光配線基板側に位置していることを特徴とする請求項2に記載の光配線モジュール。
【請求項5】
前記遮光部材の表面は、前記光素子の表面よりも前記光半導体素子側に位置していることを特徴とする請求項3に記載の光配線モジュール。
【請求項6】
前記遮光部材は、前記光素子の外周を囲繞することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【請求項7】
前記光素子は、発光素子または受光素子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【請求項8】
前記遮光部材は、前記第1および第2の光半導体素子を、その外周に沿って囲繞することを特徴とする請求項1記載の光配線モジュール。
【請求項9】
前記遮光部材は、前記第1および/または第2の光半導体素子と前記光配線基板との間隙に設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【請求項10】
前記光路変換手段は、光を反射する反射手段であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【請求項11】
前記反射手段は、前記光素子より前記反射手段に対して入射した光を前記コア層に沿った方向に向けて反射する機能、または前記コア層より前記反射手段に対して入射した光を前記光素子に向けて反射する機能を有することを特徴とする請求項10に記載の光配線モジュール。
【請求項12】
前記反射手段が設けられる前記コア層の表面及び前記反射手段の表面は、前記クラッド層の表面に対して傾斜していることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の光配線モジュール。
【請求項13】
前記反射手段が設けられる前記コア層の表面及び前記反射手段の表面は、前記反射手段によって反射された光の進行方向とは逆方向に突出する凸曲面形状に形成されていることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【請求項14】
前記反射手段が設けられる前記コア層の表面の前記クラッド層の表面に対する傾斜角度が41度以上49度以下に規定されることを特徴とする請求項12記載の光配線モジュール。
【請求項15】
前記光素子と、前記光導波路部材の前記クラッド層とが非接触の状態に保持されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【請求項16】
少なくとも前記光素子と前記光路変換手段との間には、光透過性の樹脂から成る透光部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【請求項17】
前記透光部材は、前記第1および/または第2の光半導体素子と前記光配線基板とを機械的に接続することを特徴とする請求項16に記載の光配線モジュール。
【請求項18】
前記クラッド層は、前記光素子と対向する位置に、前記光素子からの光、または前記光素子に向かう光を集光する集光手段を含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【請求項19】
前記集光手段は、前記クラッド層と一体に形成されることを特徴とする請求項18に記載の光配線モジュール。
【請求項20】
前記光素子と、前記光路変換手段上に位置する前記光導波路部材の前記クラッド層とが接触している状態に保持されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【請求項1】
光導波路部材を含む光配線基板と、この光配線基板に対してフリップチップ実装される第1及び第2の光半導体素子とを有する光配線モジュールであって、
前記光導波路部材は、クラッド層と、クラッド層上に積層され、光路変換手段を有する複数のコア層と、を含んで構成され、
前記光配線基板上には、第1の光半導体素子に設けられる光素子と、第2の光半導体素子の光素子との間に設けられ、非光透過性の樹脂から成る遮光部材が配置されていることを特徴とする光配線モジュール。
【請求項2】
光導波路部材を含む光配線基板と、
該光配線基板に対してフリップチップ実装され、前記光配線基板との対向面上に複数の光素子を備えた光半導体素子と、を有する光配線モジュールであって、
前記光導波路部材は、クラッド層と、クラッド層上に積層され、光路変換手段を有する複数のコア層と、を含んで構成され、
前記光半導体素子の前記対向面上で、且つ隣り合う前記光素子間に、非光透過性の樹脂から成る遮光部材が配置されていることを特徴とする光配線モジュール。
【請求項3】
光導波路部材を含む光配線基板と、
該光配線基板の上面に対してフリップチップ実装され、前記光配線基板との対向面上に複数の光素子を備えた光半導体素子と、を有する光配線モジュールであって、
前記光導波路部材は、クラッド層と、クラッド層上に積層され、光路変換手段を有する複数のコア層と、を含んで構成され、
前記光配線基板の上面で、且つ前記隣接する光素子間に、非光透過性の樹脂から成る遮光部材が配置されていることを特徴とする光配線モジュール。
【請求項4】
前記遮光部材の表面は、前記光素子の表面よりも前記光配線基板側に位置していることを特徴とする請求項2に記載の光配線モジュール。
【請求項5】
前記遮光部材の表面は、前記光素子の表面よりも前記光半導体素子側に位置していることを特徴とする請求項3に記載の光配線モジュール。
【請求項6】
前記遮光部材は、前記光素子の外周を囲繞することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【請求項7】
前記光素子は、発光素子または受光素子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【請求項8】
前記遮光部材は、前記第1および第2の光半導体素子を、その外周に沿って囲繞することを特徴とする請求項1記載の光配線モジュール。
【請求項9】
前記遮光部材は、前記第1および/または第2の光半導体素子と前記光配線基板との間隙に設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【請求項10】
前記光路変換手段は、光を反射する反射手段であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【請求項11】
前記反射手段は、前記光素子より前記反射手段に対して入射した光を前記コア層に沿った方向に向けて反射する機能、または前記コア層より前記反射手段に対して入射した光を前記光素子に向けて反射する機能を有することを特徴とする請求項10に記載の光配線モジュール。
【請求項12】
前記反射手段が設けられる前記コア層の表面及び前記反射手段の表面は、前記クラッド層の表面に対して傾斜していることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の光配線モジュール。
【請求項13】
前記反射手段が設けられる前記コア層の表面及び前記反射手段の表面は、前記反射手段によって反射された光の進行方向とは逆方向に突出する凸曲面形状に形成されていることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【請求項14】
前記反射手段が設けられる前記コア層の表面の前記クラッド層の表面に対する傾斜角度が41度以上49度以下に規定されることを特徴とする請求項12記載の光配線モジュール。
【請求項15】
前記光素子と、前記光導波路部材の前記クラッド層とが非接触の状態に保持されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【請求項16】
少なくとも前記光素子と前記光路変換手段との間には、光透過性の樹脂から成る透光部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【請求項17】
前記透光部材は、前記第1および/または第2の光半導体素子と前記光配線基板とを機械的に接続することを特徴とする請求項16に記載の光配線モジュール。
【請求項18】
前記クラッド層は、前記光素子と対向する位置に、前記光素子からの光、または前記光素子に向かう光を集光する集光手段を含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【請求項19】
前記集光手段は、前記クラッド層と一体に形成されることを特徴とする請求項18に記載の光配線モジュール。
【請求項20】
前記光素子と、前記光路変換手段上に位置する前記光導波路部材の前記クラッド層とが接触している状態に保持されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の光配線モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−44737(P2011−44737A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255414(P2010−255414)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【分割の表示】特願2006−182551(P2006−182551)の分割
【原出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【分割の表示】特願2006−182551(P2006−182551)の分割
【原出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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