説明

処理装置及び処理方法

【課題】リードタイムを短くし、処理性能において従来よりも信頼性のある処理装置及び処理方法を提供する。
【解決手段】チャンバー1と、チャンバー内に設けられ、被処理物2を保持する保持手段3と、チャンバー内に活性原子を供給する活性原子供給手段4と、チャンバー内に薬液を供給する薬液供給手段5とを有し、被処理物の表面に対し、活性原子供給手段から供給される活性原子によるドライ処理及び薬液供給手段から供給される薬液によるウェット処理を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物の表面を処理する処理装置及び処理方法に関し、特に、シリコン等の半導体基板、半導体基板を用いた半導体メモリや集積回路又はガラス基板の上に形成された表示装置を被処理物として、それらの製造工程に使用される処理装置及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェハを用いた半導体メモリや集積回路の製造工程では、ウェット処理によって、基板表面の洗浄、レジストの除去、被膜のエッチング等の表面処理が多数行なわれる。
【0003】
基板表面のウェット洗浄は、RCA洗浄を基礎として、次のような薬液による洗浄工程を組み合わせて行なわれることが多い。NHOH/HO/HOの混合液(Ammonium hydroxide/hydrogen Peroxide/water Mixture、以下「APM」と略す)は、過酸化水素水で表面を酸化し、その酸化膜をアンモニアで除去することにより、表面のパーティクルを除去することができる。HCl/HO/HOの混合液(Hydrochloric acid/hydrogen Peroxide/water Mixture、以下「HPM」と略す)は、表面に付着した重金属(Fe、Ni、Cr、Cu etc.)等をHClで溶解して除去することができる。HSO/HO/HOの混合液(Sulfuric acid/hydrogen Peroxide/water Mixture、以下「SPM」と略す)は、基板表面に付着した有機物を硫酸と過酸化水素水の強力な酸化力により除去することができる。HF/HO/HOの混合液(hydroFluoric acid/hydrogen Peroxide/water Mixture、以下「FPM」と略す)又はHF/HO(Diluted HydroFluoric acid、以下「DHF」と略す)は、シリコン表面の不要な自然酸化膜を除去することができる。例えば、シリコン表面に対し、75〜85度に加温したAPMによる洗浄工程を行なって表面のパーティクルを除去し、その後、DHFによる洗浄工程を行なって表面の不要な自然酸化膜を除去する洗浄が行なわれる。
【0004】
レジストは、最初に酸素プラズマまたは酸素原子を用いたドライ洗浄が行なわれ、その後、上記SPMによるウェット洗浄によって除去される。一部では、HSO溶液にオゾンガスOを溶存させた溶液を用いてレジストを除去することもある。
【0005】
また、基板表面に形成された被膜をウェットエッチングする場合としては、例えば、シリコン窒化膜を除去する工程がある。半導体集積回路装置の製造では、MOSトランジスタ間を分離するために、シリコン窒化膜をマスクとして、選択酸化する方法を用いており、この酸化工程の後、シリコン窒化膜は、不要であるために除去される。しかし、シリコン窒化膜の表面は、酸化工程において僅かに酸化されており、そのエッチング処理は多少煩雑なものであった。まず、シリコン窒化膜上の酸化膜をフッ化水素酸水溶液でウェットエッチングし、次に、160度の熱リン酸(HPO水溶液)が入った洗浄槽に約40分間浸漬させてシリコン窒化膜を除去し、最後に、シリコン窒化膜の下地である酸化膜をフッ化水素酸水溶液でウェットエッチングしていた。
【0006】
【特許文献1】特開2005−31020号公報
【特許文献2】特開2003−194723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、レジスト除去工程では、酸素を用いたドライ洗浄とSPMによるウェット洗浄の二工程が必要であったが、まずSPMによるウェット洗浄に長時間必要であり、リードタイムが長くなっていた。特に、半導体装置の製造工程において、レジストを用いたドーピング処理が行なわれると、レジスト表面が硬化してしまい除去するために数十分もの時間を必要としていた。さらに、ドライ洗浄装置からウェット洗浄装置に被処理物を搬送する間に、被処理物の表面に金属原子や分子性汚染物が付着し汚染される虞があった。
【0008】
また、洗浄工程に使用されるAPM、HPM、SPM及びFPMには、いずれも過酸化水素(HO)が混合されている。過酸化水素は、水溶液中で酸化剤として機能して、酸又はアルカリによる洗浄効果を高めている。しかしながら、過酸化水素は、非常に不安定であるため容易に分解してしまい薬液中の濃度を制御するのが困難であった。特に、これらの薬液は、加温して用いられることが多く、温度が高くなれば過酸化水素の分解速度が速くなるので、濃度の制御がより困難であり、洗浄能力の精度が不安定なものとなってしまう。
【0009】
本発明は、これらの課題に鑑みてなされたものであり、リードタイムを短くし、処理性能において従来よりも信頼性のある処理装置及び処理方法を提供することを目的とする。また、本発明は、半導体装置の性能又は信頼性を高めることができる処理装置及び処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の処理装置は、チャンバーと、前記チャンバー内に設けられ、被処理物を保持する保持手段と、前記チャンバー内に活性原子を供給する活性原子供給手段と、前記チャンバー内に薬液を供給する薬液供給手段とを有し、前記被処理物の表面に対し、前記活性原子供給手段から供給される活性原子によるドライ処理及び前記薬液供給手段から供給される薬液によるウェット処理を行なうことを特徴とする。
【0011】
更に、上記処理装置において、前記活性原子供給手段は、大気圧下で前記活性原子を前記チャンバー内に供給することが好ましい。
【0012】
更に、上記処理装置において、前記保持手段は、保持した被処理物を回転可能であり、前記活性原子供給手段の供給口は、前記被処理物の表面に対向するように配置され、前記被処理物の回転中心から半径方向に移動可能に設けられていてもよい。この場合、前記活性原子供給手段の供給口と前記薬液供給手段の供給口とが一体化されていてもよい。
【0013】
更に、上記処理装置において、前記活性原子供給手段の供給口は、前記被処理物の表面に対向し、前記被処理物の大きさと同じかそれ以上の面積であってもよい。または、前記保持手段は、複数の前記被処理物を保持可能に設けられ、前記薬液中に複数の前記被処理物を浸漬可能に設けられていてもよい。
【0014】
更に、上記処理装置において、前記薬液は硫酸を含み、前記活性原子は水素原子または酸素原子を含んでいてもよく、前記薬液は水酸化アンモニウム、塩化水素酸、硫酸又は弗化水素酸を含み、前記活性原子は酸素原子を含んでいてもよく、 前記被処理物は処理表面に半導体を含み、前記活性原子は水素原子を含んでいてもよく、前記薬液はリン酸を含み、前記活性原子はフッ素原子を含んでいてもよく、前記被処理物は処理表面にレジスト膜を有し、前記活性原子は水素原子または酸素原子を含み、前記被処理物のレジスト膜を除去するものであってもよい。
【0015】
更に、上記処理装置において、前記活性原子供給手段は、誘導結合プラズマ法又はマイクロ波プラズマ法を用いて前記活性原子を生成することが好ましい。
【0016】
また、本発明の処理方法は、チャンバー内に保持された被処理物の表面に対し、活性原子供給手段から供給される活性原子によるドライ処理及び薬液供給手段から供給される薬液によるウェット処理を同時に又は連続して行なうことを特徴とする。
【0017】
更に、上記処理方法において、前記ドライ処理は、大気圧下で行なわれることが好ましい。
【0018】
更に、上記処理方法において、前記被処理物の表面の全体に、前記薬液供給手段から供給される薬液を供給しつつ、前記被処理物の表面の一部に対し前記活性原子供給手段から供給される活性原子を供給してもよい。
【0019】
更に、上記処理方法において、前記被処理物を回転させながら、前記活性原子供給手段の供給口を前記被処理物の回転中心から半径方向に移動させつつ前記活性原子を供給してもよい。
【0020】
更に、上記処理方法において、前記チャンバー内において前記被処理物を前記薬液供給手段から供給される薬液に浸漬させ、前記薬液を排出しつつ、前記チャンバー内の雰囲気中に前記活性原子を供給してもよい。
【0021】
更に、上記処理方法において、前記薬液は硫酸を含み、前記活性原子は水素原子または酸素原子を含んでいてもよく、前記薬液は水酸化アンモニウム、塩化水素酸、硫酸又は弗化水素酸を含み、前記活性原子は酸素原子を含んでいてもよく、前記被処理物は処理表面に半導体を含み、前記活性原子は水素原子を含んでいてもよく、前記薬液はリン酸を含み、前記活性原子はフッ素原子を含んでいてもよく、前記被処理物は処理表面にレジスト膜を有し、前記活性原子は水素原子または酸素原子を含み、前記被処理物のレジスト膜を除去するものであってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ドライ処理とウェット処理を同時におこなうことができるので、リードタイムを短縮することができる。また、被処理物上の汚染を低減して半導体装置の性能又は信頼性を向上させることができる。さらに、被処理物の表面を精度良く制御できるので、製造精度を高めることにより、信頼性の向上および製造歩留りを向上することができる。その他、本発明は、以下に述べるような効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1に示す処理装置は、チャンバー1と、被処理物2を保持する保持手段3と、活性原子供給手段4と、薬液供給手段5とを有しており、活性原子供給手段4から活性原子をチャンバー1内に供給することで、被処理物2の表面に対しドライ処理を行ない、薬液供給手段5から薬液をチャンバー1内に供給することで、被処理物2の表面に対しウェット処理を行なうことができる。更に、処理装置は、排気手段や薬液排出手段を有していることが好ましい。
【0024】
チャンバー1は、その中でドライ処理及びウェット処理を行なうものであり、図示しない被処理物2の搬入口及び搬出口を有している。チャンバー1は、活性原子やドライ処理又はウェット処理によって発生する気体の外部への流出や外部からの汚染物質の混入を防ぐために、少なくとも処理中はチャンバー内の空間を外部と隔離することが好ましいが、処理の内容によっては開放されていてもよい。
【0025】
また、チャンバー1は、チャンバー1内に供給された気体や処理によって発生した気体が、外部へ流出することを防止するために、排気手段によって排気されることが好ましい。チャンバー1内の圧力としては、大気圧(常圧)から低真空(100Pa以上)の間であることが好ましく、特に好ましくは大気圧であることが好ましい。ドライ処理としては、一般的に圧力が低い方が低電力で安定してプラズマを生成することができるが、ウェット処理としては、圧力を低くすると、薬液の蒸発量が増加し、薬液の組成比を変化させたり、薬液の消費量を増やすことになる。また、ドライ処理及びウェット処理のリードタイムとしては、圧力を低くすると、減圧や減圧状態から大気圧に戻すのに時間が必要となり、処理に時間がかかる。このため、本発明の処理装置は、大気圧から低真空(100Pa以上)、特に好ましくは大気圧(常圧)下で処理を行うことが好ましい。
【0026】
被処理物2は、活性原子供給手段4から供給された活性原子によるドライ処理と薬液供給手段5から供給された薬液によるウェット処理が行われるものである。被処理物2として、例えば、シリコン等の半導体基板それ自体、各種の膜が積層形成された半導体基板又はガラス基板の上に形成された表示装置が挙げられる。
【0027】
保持手段3は、被処理物2をチャンバー1内において保持するものであり、被処理物2と接触していてもよいし、浮上させていてもよい。また、被処理物2をその上に載置する構成だけではなく、複数の被処理物2をバッチ式に保持できる構成であってもよい。保持手段3として、その上に載置された被処理物2を回転可能なものであれば、被処理物2の表面に均一な処理を行なうことができる。
【0028】
図2及び図3は、それぞれ保持手段3の他の実施態様における平面図である。図2では、保持手段3の位置3a、3bに2枚の被処理物2を載置することができ、各被処理物2を自転させ、さらに全体としては公転させることができる。図3では、保持手段3の位置3a、3b、3cに3枚の被処理物2を載置することができ、各被処理物2を自転させ、さらに全体として公転させることができる。各位置3a〜cにおいて同じ処理を行って生産性を向上させてもよいし、異なる処理を行って多工程に対応可能な構成としてもよい。なお、公転させずに被処理物2を自転させるだけでもよいし、図9に示すように受け冶具タイプの保持手段であってもよい。
【0029】
活性原子供給手段4は、活性原子を供給するものであり、プラズマによって活性原子を生成する手段が好ましく、大気圧から低真空(100Pa以上)において活性原子を生成する手段であることが好ましく、特に好ましくは大気圧下で活性原子を生成できることが好ましい。例えば、誘導結合プラズマ法、マイクロ波プラズマ法又はプラズマジェット生成法を用いて大気圧下で活性原子を生成することができる。誘導結合プラズマ法やマイクロ波プラズマ法は、無電極放電を利用してプラズマを生成するので、電極から発生する金属による汚染の発生を防止することができるので、処理の信頼性を高めることができる。
【0030】
プラズマ中の電荷粒子を使用するのではなく、プラズマで発生した活性原子を使用しているので、被処理物表面に対し、電荷によるダメージを与えることなく処理することができる。
【0031】
図1において、活性原子供給手段4の供給口は、被処理物2の表面に対向するように配置され、被処理物2の回転中心から半径方向に移動可能に設けられている。このため、被処理物2を回転させ、活性原子供給手段4の供給口を回転中心から半径方向に移動させながら、活性原子を供給することにより、被処理物2の全面に対して活性原子を供給できる。
【0032】
薬液供給手段5は、薬液を供給するものであり、図1においては、移動可能に設けられている。但し、被処理物2の表面全体に薬液を供給可能であれば、移動可能に設ける必要はない。薬液として、各種の酸、アルカリ、中性溶液、アルコール類若しくは純水又はこれらの混合液を使用することができる。薬液供給手段は、加温して薬液を供給するための加熱手段を有していてもよい。
【0033】
また、図1の活性原子供給手段4は、薬液供給手段5と一体化されており、その周囲に薬液供給手段5の薬液噴出口が配置されている。このため、活性原子供給手段4と薬液供給手段5とを同時に移動させることができる。さらに、薬液によって、プラズマトーチを冷却することもできる。
【0034】
図4は、活性原子供給手段4の一実施形態である誘導結合プラズマ法によりプラズマを生成し、活性原子を放出するプラズマトーチの概略図である。プラズマトーチは、ノズル11の周囲にコイル12を配置し、ノズル11を冷却する冷却ガス配管13と、第一ガス配管14と、第二ガス配管15と、第三ガス配管16を有している。さらに、ノズル11の周囲には、薬液供給手段5が配置されており、薬液入口17から薬液が供給される。
【0035】
プラズマトーチは、コイル12に高周波を印加することにより、第一乃至第三ガス配管14、15、16の一つ又は複数からノズル内に供給されたプラズマガスやキャリアガスをプラズマ化させることができ、ノズル11の先端の供給口からプラズマによって活性化された活性原子を放出できる。特許文献1及び2には、誘導結合プラズマ法のプラズマトーチについての記載がある。誘導結合プラズマ法により、高純度の活性原子を大気圧下でも安定的に供給することができた。なお、図2のコイル12に代えてマイクロ波供給手段を設け、マイクロ波によってプラズマを発生させれば、マイクロ波プラズマ法による活性原子供給手段4を構成できる。
【0036】
図5は、活性原子供給手段4の他の実施形態である電極放電を用いるプラズマジェット法によりプラズマを生成し、活性原子を放出するプラズマトーチの概略図である。プラズマトーチは、ノズル21の中心に電極22を配置し、ガス配管23を有している。さらに、ノズル21の周囲には、薬液供給手段5が配置されており、薬液入口24から薬液が供給される。電極22に高電圧を印加することにより、ガス配管23から供給されるプラズマガスをプラズマ化させることができ、ノズル21の先端の供給口からプラズマによって活性化された活性原子を放出できる。
【0037】
図1の処理装置は、活性原子によるドライ処理と薬液によるウェット処理を同時に行なうこともできるし、ドライ処理の後、続けてウェット処理を行ってもよいし、ウェット処理の後、続けてドライ処理を行ってもよい。ドライ処理とウェット処理を同時に行なう場合、薬液供給手段5から供給される薬液は、被処理物2が回転しているため、遠心力によって、被処理物2の表面全体を薄く覆ってウェット処理が行われる。活性原子供給手段4の供給口から供給される活性原子は、供給口近傍の薄い薬液の層を部分的に蒸発させて被処理物2の表面の一部に対してドライ処理を行なう。そして、活性原子供給手段4の供給口を被処理物2の表面を走査することで、被処理物2の表面全体に対してドライ処理することができる。
【0038】
更に、他の実施形態の処理装置について、図6乃至図9を用いて説明する。図6乃至図9において、図1と同じ構成には、同じ符号を付す。
【0039】
図6に示す処理装置は、図1の処理装置において、活性原子供給手段4と薬液供給手段5とを別々に設け、それぞれ移動可能に構成されている。なお、薬液供給手段5から被処理物の表面全体に薬液を供給できるように構成すれば、薬液供給手段5を固定させた構成としてもよい。例えば、被処理物の回転中心付近に薬液を供給すれば、薬液は遠心力で被処理物の表面全体に供給される。
【0040】
図7に示す処理装置は、大面積用の活性原子供給手段4と、活性原子供給手段4と被処理物2と間隙から薬液を供給する薬液供給手段5とを設けたものである。大面積用の活性原子供給手段4は、例えばマイクロ波や電極を用いた大面積のプラズマ発生源を有しており、その供給口は、被処理物2の表面に対向し、被処理物2の大きさと同じかそれ以上の面積を有し、活性原子を均一な流れとして供給することができる。薬液供給手段5は、活性原子供給手段4の供給口とは異なる向きに配置されている。大面積用の活性原子供給手段4によって、被処理物2の表面全体を一度に処理できるので、リードタイムを大幅に短縮できる。なお、薬液供給手段5を複数個設けて、ウェット処理の均一性を向上させてもよい。また、活性原子供給手段4として、供給口を被処理物2の一辺よりも長い線状に設け、被処理物2を線状の供給口に直交するように移動させる構成であってもよい。
【0041】
図8に示す処理装置は、チャンバー1内に、ドライ処理を行なう被処理物2を保持する保持手段3aと、ウェット処理を行なう被処理物2を保持する保持手段3bとを有し、保持手段3aの上方に活性原子供給手段4を配置し、保持手段3bの上方に薬液供給手段5を配置した構成である。更に、図8の処理装置には、保持手段3a及び3b間で被処理物2を搬送する搬送手段を設けてもよい。図8の処理装置においては、ドライ処理とウェット処理を同一チャンバー1内で連続して行なうことができる。
【0042】
図9に示す処理装置は、バッチ方式で同時に複数枚の被処理物2を処理することができる装置であり、(A)に概略断面図を(B)に概略平面図を示す。処理装置は、チャンバー1内に洗浄槽31と、保持手段3と、洗浄槽31の上方に活性原子供給手段4と、洗浄槽31の下方に薬液排出管32と、拡散板33と、図示しない薬液供給手段とを有している。
【0043】
洗浄槽31は、図示しない薬液供給手段から供給される薬液を溜め、薬液に被処理物2を浸漬させることで、ウェット処理を行なうものであり、ウェット処理後、薬液は、薬液排出管32から排出される。保持手段3は、複数の被処理物2を直立させて保持しており、洗浄槽31の薬液に複数の被処理物2を浸漬可能に設けられている。薬液を薬液排出管32から排出しつつ、又は排出した後に、チャンバー1内に活性原子供給手段4から活性原子を供給することにより、ウェット処理された被処理物2の清浄な表面に対し、活性原子による処理を行なうことができる。
【0044】
活性原子供給手段4は、被処理物2に対して、上方から活性原子を供給することが好ましい。図9においては、洗浄槽31の真上方向にトーチ34とマッチングボックス35を一体化させて配置している。薬液の排出に伴って、洗浄槽31における液面が下降し、被処理物2の上側から露出するが、上方から供給された活性原子は、下方に向かって進み、液面又は洗浄槽底面と衝突し反射しながら、対流循環し、洗浄槽内部に活性原子の気流を作る。その過程で被処理物2の表面に対し活性原子が反応し、ドライ処理を被処理物の全体に均一に行なうことができる。なお、拡散板33は、この活性原子による気流の形成を補助するものである。
【0045】
また、薬液排出管32にポンプなどによる排気手段36を設け、ウェット処理後、薬液を排出させると共に、減圧下において乾燥させることを可能にしてもよい。この場合は、真空排気をおこなっている最中、または真空排気をおこなった後、真空排気をいったん停止し、水素原子等の活性原子を上方から、または斜め上方から供給してもよい。なお、大気圧下でプラズマを形成できれば、減圧下においてもプラズマを発生させることが可能であり、上述した誘導結合プラズマ法等による活性原子供給手段を利用することが可能である。
【0046】
図9の装置においては、特に、活性原子として水素を利用することで、半導体表面に形成されたダングリングボンド等を水素原子によって不活性化することができる。この結果、被処理物上の汚染を低減し、表面を不活性化させることにより半導体装置の信頼性を向上することができ、さらに製造精度を高めることができ、製造歩留りを向上させることができた。なお、マランゴニ洗浄乾燥槽の場合は、洗浄した後、被処理物を引き上げながら、又は引き上げた直後に、活性原子を供給することが好ましい。
【0047】
以上のとおり、本発明の処理装置は、大気圧下で活性原子を供給できる活性原子供給手段を使用するものであるから、ドライ処理と同じチャンバー内でウェット処理を行なうという発想に到達した。つまり、真空状態でプラズマを生成し活性原子を供給するようなドライ処理の場合、チャンバー自体の気密性や汚染が問題となるので、通常、同じチャンバーでウェット処理を行なうという発想をしないのである。本発明の処理装置において活性原子供給手段は、大気圧下で活性原子を供給できるものに限定されないが、大気圧下で活性原子を供給できることが好ましい。
【0048】
次に、本発明の処理装置による処理方法を説明する。第一の処理方法として、レジストの除去工程に使用する場合を説明する。レジストの除去工程では、酸素原子又は水素原子を含む活性原子を使用し、加温した硫酸を含む薬液を使用した。
【0049】
図10(a)は、レジストが付着した状態のシリコンウェハの光学顕微鏡写真である。図10(a)のシリコンウェハは、1μmのレジストを形成した後、5×1015個/cm2の燐イオンを注入しており、レジスト表面が熱硬化していた。この熱硬化したレジストは、従来のドライ処理で除去するためには約30分必要であった。
【0050】
図10(b)は、図10(a)のウェハに対し、大気圧下において、誘導結合プラズマ法を用いて、10リットル毎分の流量で供給される100%の酸素ガスに対し、コイルに40MHz、900Wの高周波を印加してプラズマ化することで供給された活性酸素原子によって処理した後のシリコンウェハの光学顕微鏡写真である。活性原子供給手段の供給口からウェハまでの距離は2cmであり、照射時間は1秒であった。図10(b)から、シリコンに加工されたパターンが観察され、レジストを除去できたことが確認できた。
【0051】
図11(a)、(b)、(c)は、プラズマガスの種類を変更して活性酸素原子を生成し、処理した後のシリコンウェハの光学顕微鏡写真である。図11(a)は、図10(b)と同じ条件で100%の酸素ガスを使用した場合、1秒の処理でレジストを除去できた。図11(b)は、3リットル毎分の流量で供給される酸素ガスと12リットル毎分の流量で供給されるヘリウムガスの混合ガスを使用した場合、5秒の処理でレジストを除去できた。図11(c)は、3リットル毎分の流量で供給される酸素ガスと12リットル毎分の流量で供給されるアルゴンガスの混合ガスを使用した場合、8秒の処理でレジストを除去できた。いずれも、活性原子供給手段の供給口からウェハまでの距離は2cmであり、コイルに40MHz、900Wの高周波を印加してプラズマ化した。
【0052】
図12(a)、(b)、(c)は、図11(b)と同様、3リットル毎分の流量で供給される酸素ガスと12リットル毎分の流量で供給されるヘリウムガスの混合ガスを使用し、コイルに40MHz、900Wの高周波を印加してプラズマ化した場合において、供給口からウェハまでの距離を変えて処理した後のシリコンウェハの光学顕微鏡写真である。図12(a)は、7cmの距離で処理した場合であり、レジスト表面の一部が除去されるまでに60秒かかった。図12(b)は、5cmの距離で処理した場合であり、レジスト表面が十分に除去されるまでに15秒かかった。図12(c)は、2cmの距離で処理した場合であり、レジスト表面が十分に除去されるまでに5秒かかった。図12から、距離が離れると活性原子の反応力が低下してくる傾向を確認できた。しかし、距離が7cmと離れている場合でも、十分な反応力を有することが示された。これは、大気圧での誘導結合プラズマ法により、高密度プラズマが生成されたためであると推定される。
【0053】
図13(a)、(b)、(c)は、2リットル毎分の流量で供給される水素ガスと12リットル毎分の流量で供給されるヘリウムガスの混合ガスを使用し、供給口からウェハまでの距離を変えて処理した後のシリコンウェハの光学顕微鏡写真である。図13(a)は、7cmの距離で処理した場合であり、レジストを除去することができなかった。図13(b)は、5cmの距離で処理した場合であり、レジスト表面が十分に除去されるまでに30秒かかった。図13(c)は、3cmの距離で処理した場合であり、レジスト表面が十分に除去されるまでに10秒かかった。図13から、活性水素原子の方が活性酸素原子よりも反応力は劣っているが、活性水素原子でもレジストを除去できることが確認できた。
【0054】
これらの実験結果に基づいて、図1の処理装置において、ドライ処理とウェット処理を同時に行なってレジストを除去した。保持手段3上にウェハを載置して回転させ、活性原子供給手段4の供給口(トーチの出口)から酸素原子又は水素原子を含む活性原子を供給し、薬液供給手段5から120℃の硫酸を薬液として供給した。ウェハを回転させ、活性原子供給手段4の供給口を回転中心から半径方向に定加速度運動により移動させながら、活性原子を供給することにより、被処理物2の全面に対して活性原子を供給できる。なお、回転の中心付近から半径方向に進むにつれて、ウェハの線速度が速くなるので、活性原子供給手段4の供給口の移動速度を遅くして、ウェハの表面全体に均一に活性原子が供給されるようにすることが好ましい。上述したとおり、活性原子を用いたドライ処理によって、レジストの熱硬化した表面部分を素早く除去することができ、残りのレジストについては、硫酸を用いたウェット処理によって除去することができる。こうして、活性酸素原子によるドライ洗浄と硫酸によるウェット洗浄によってレジストが除去され、表面が洗浄されることを確認できた。なお、従来のSPMでは、硫酸に過酸化水素を混合していたが、本発明では、活性酸素原子が酸化剤として機能するため、過酸化水素を混合させなくても十分な洗浄効果を得ることができた。
【0055】
以上のとおり、従来、別々に分離した装置で行なっていたドライ洗浄とウェット洗浄を同一の装置で、且つ、同時に洗浄することができたので、リードタイムを短くすることができた。また、装置間を搬送する間に付着する汚染物質の付着を防止することができ、ウェハ上の汚染を低減して半導体集積回路装置の信頼性を向上することができた。加えて、大気圧下の誘電結合プラズマ法によって供給された高密度の活性原子を使用すれば、レジストの除去に必要な時間も大幅に短縮することができ、リードタイムを縮めることができる。
【0056】
また、酸素原子又は水素原子を含む活性原子を用いたドライ処理によってレジストを除去した後に、硫酸を用いたウェット処理によって仕上げのエッチングを行なうこともできた。さらに、図2の処理装置を用いても、ドライ処理とウェット処理を同時に、または連続して行うことにより、レジストを除去することができた。
【0057】
図14(a)及び(b)は、横軸が処理時間(秒)、縦軸がエッチング膜厚(μm)を示しており、図中の黒丸のグラフは通常のレジスト膜を処理した結果であり、図中の黒い四角のグラフはイオン注入によって熱硬化したレジスト膜を処理した結果である。図14(a)は活性水素原子を使用した場合であり、(b)は活性酸素原子を使用した場合である。
【0058】
図14(a)は、1リットル毎分の流量で供給される水素ガスと15リットル毎分の流量で供給されるヘリウムガスの混合ガスを使用し、活性原子供給手段の供給口からウェハまでの距離を8cmとした条件における単位時間当たりのエッチング量、すなわちエッチング速度を示している。図14(a)から、活性水素原子を用いると、通常のレジスト膜の場合(図中の黒丸のグラフ)も硬化したレジスト膜の場合(図中の黒い四角のグラフ)も、約0.1μm/60秒のエッチング速度でエッチングできることが確認できた。
【0059】
図14(b)では、6リットル毎分の流量で供給される酸素ガスを使用し、活性原子供給手段の供給口からウェハまでの距離を6cmとした条件におけるエッチング速度を示している。図14(b)から、活性酸素原子を用いると、通常のレジスト膜の場合(図中の黒丸のグラフ)は、約1μm/60秒のエッチング速度でエッチングできるが、硬化したレジスト膜の場合(図中の黒い四角のグラフ)は、約0.02〜0.03μm/60秒のエッチング速度であることが確認できた。
【0060】
図14(a)及び(b)の結果から、活性水素原子は、通常のレジスト膜も硬化したレジスト膜もエッチング速度がほぼ同じであり、レジスト膜の違いによる選択性がないのに対し、活性酸素原子は、硬化したレジスト膜に比べて通常のレジスト膜のエッチング速度が大きく、レジスト膜の違いによる選択性を有していた。このため、選択性を有する活性酸素原子によって、表面が硬化したレジスト膜をエッチングすると、表面の硬化したレジストよりも、下地の通常のレジストの方が回り込んだ活性酸素原子によって先に除去されることにより、硬化したレジストが残存してパーティクルとなる虞がある。ウェット処理によってパーティクルを除去することは可能であるが、選択性のない活性水素原子によってレジストを除去すれば、硬化したレジストが残存することによるパーティクルの問題は低減する。
【0061】
また、通常のレジスト膜に対しては、活性酸素原子の方がエッチング速度が大きかったが、硬化したレジスト膜に対しては、活性水素原子の方がエッチング速度が大きかったので、硬化したレジスト膜を除去する目的でドライ処理を行う場合は、活性水素原子を用いることが好ましい。例えば、表面の硬化したレジスト膜を活性水素原子を用いたドライ処理でエッチングし、その下の通常のレジストは活性酸素原子を用いたドライ処理や薬液によるウェット処理でエッチングしてもよい。なお、図12の説明で述べたとおり、エッチング速度自体は、活性原子供給手段の供給口からウェハまでの距離を変化させることによって変更させることができ、活性酸素原子を用いたドライ処理でもより速く硬化したレジストを除去することや、活性水素原子を用いたドライ処理でより速くレジストを除去することも可能である。
【0062】
第二の処理方法として、従来のAPM、HPM、SPM、FPM又はDHFを使用した洗浄工程に対して、本発明の処理方法を使用する場合、酸素原子を含む活性原子を使用し、水酸化アンモニウム、塩化水素酸又は弗化水素酸を含む薬液を使用した。この場合は、活性酸素原子が酸化剤として機能し、酸又はアルカリによる洗浄効果を高めることができる。また、ガスの流量を制御することで活性酸素原子の供給量を制御することができるので、精度の高い洗浄効果を得ることができる。
【0063】
例えば、図2のような保持手段3を使用して2段階の洗浄工程を行なう。まず、第一の被処理位置3aにおいて、被処理物2に対し、活性原子供給手段4から活性酸素原子を供給し、薬液供給手段5から水酸化アンモニウム水溶液を供給することにより、活性酸素原子で表面を酸化し、その酸化膜を水酸化アンモニウム水溶液で除去することにより、表面のパーティクルを除去した。その後、保持手段3全体を180°回転させて第二の被処理位置3bにおいて、被処理物2に対し、活性原子供給手段4から活性酸素原子を供給し、薬液供給手段5から弗化水素酸を供給することにより、活性酸素原子で表面を酸化し、その酸化膜を弗化水素酸で除去することにより、表面の汚染物を除去することができる。
【0064】
第三の処理方法として、被処理物として半導体基板を使用し、水素原子を含む活性原子を使用すると、半導体の表面の原子が水素原子と結合して、安定な界面状態を得ることができる。例えば、シリコンに対し、水素原子を含む活性原子を供給すると、シリコンの表面に形成された自然酸化膜を活性水素原子が還元させることができる。薬液として超純水を使用すれば、超純水による洗い流し作用によって、シリコン表面が露出し、水素原子により自然酸化膜が還元された表面には、余剰な水素原子がシリコン表面と結合し、シリコン表面が水素原子に覆われることにより表面が不活性化される。この結果、洗浄後、きわめて精度の高い水素原子で覆われた高品質なシリコン表面を実現することができた。また、シリコンの表面の酸化膜を弗化水素酸等で除去した後、露出したシリコンの表面に対し、活性水素原子が結合して高品質なシリコン表面を得ることができる。つまり、水素原子を含む活性原子と弗化水素酸を含む薬液で処理する。
【0065】
更に、図9に示す処理装置を用いて、複数の被処理物に対し、バッチ方式で処理することもできる。例えば、図9の洗浄槽31にDHFを充たし、複数の被処理物2を保持した保持手段3を浸漬してウェット処理を行なう。その後、DHFを薬液排出管32から排気手段34によって吸引排出しつつ、活性原子供給手段4から水素原子を含む活性原子をチャンバー1内に供給する。洗浄槽31の液面が下降することによって露出した被処理物2の表面に活性水素原子が供給され、表面を不活性化させることができる。
【0066】
第四の処理方法として、シリコンに対し、薬液としてHF/HNO3(1/20)混合液を使用すれば、HNO3でシリコン表面を酸化し、HFで酸化膜をエッチングするため、等方的なウェットエッチング処理を行なうことができる。しかし、HNO3は強力な酸化剤であるが、薬品としての取り扱いが困難であった。そこで、HNO3の代替として、活性酸素原子を供給し、薬液としてHFを供給すると、酸素原子が酸化剤として作用し、シリコンエッチング処理をすることができた。
【0067】
その他、薬液として、ヒドラジン水溶液又は水酸化カリウム水溶液を使用した異方性ウェットエッチング処理において、酸化剤である酸素原子を活性原子として供給すると、エッチングを抑制することができた。
【0068】
第五の処理方法として、シリコン窒化膜を除去する工程に適用することもできる。図3に示す保持手段3を使用して、まず、第一の被処理位置3aにおいて、被処理物に対し薬液としてフッ化水素酸水溶液を供給し、シリコン窒化膜上の酸化膜を除去するウェット洗浄工程を行なう。次に、保持手段3を公転させて、被処理物を第二の被処理位置3bに移動し、CF4/CHF3ガスを含むプラズマガスからプラズマを生成し、フッ素原子及び水素原子を含む活性原子を供給し、加温したリン酸を含む薬液を供給し、シリコン窒化膜を除去した。なお、シリコン窒化膜と酸化膜のエッチング選択比は20:1の比が得られている。処理後、保持手段3を公転させて、被処理物を第三の被処理位置3cに移動し、薬液としてフッ化水素酸水溶液を供給し、活性原子として水素原子を供給することにより、シリコン窒化膜の下地である酸化膜を除去すると同時に、活性水素原子によってシリコン表面を水素原子で覆うことができた。
【0069】
この結果、半導体集積回路装置の製造に要する時間として、従来4時間(25枚単位)費やしていた時間を、1時間(25枚単位)へと短縮することができた。また、工程終了後のシリコン表面を水素原子で覆うことにより、半導体集積回路装置の信頼性を高めることができた。
【0070】
このように、半導体ウェハ洗浄および表面処理に酸素原子を供給することにより、酸系の酸化剤を代替することが可能となり、薬剤使用量を減らすことが可能になった。しかも、取り扱いが危険な強酸化剤を酸素原子により代替することができる。さらに、酸化剤に、水素原子を供給すると、薬品による洗浄効果と表面安定化の両方が促進される。これらのドライ・ウェット混合洗浄は、新しい洗浄機能をもたらし、従来、化学薬品のみの洗浄工程に比べ、洗浄方法の自由度を大きく増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の処理装置の一実施形態を示す図
【図2】保持手段の一実施形態を示す図
【図3】保持手段の他の実施形態を示す図
【図4】活性原子供給手段及び薬液供給手段の一実施形態を示す図
【図5】活性原子供給手段及び薬液供給手段の他の実施形態を示す図
【図6】本発明の処理装置の他の実施形態を示す図
【図7】本発明の処理装置の他の実施形態を示す図
【図8】本発明の処理装置の他の実施形態を示す図
【図9】本発明の処理装置の他の実施形態を示す図
【図10】活性酸素原子によるレジスト除去効果を説明する図
【図11】活性酸素原子によるレジスト除去効果を説明する図
【図12】活性酸素原子によるレジスト除去効果を説明する図
【図13】活性水素原子によるレジスト除去効果を説明する図
【図14】(a)は活性水素原子を使用した場合のレジストのエッチング速度を示す図であり、(b)は活性酸素原子を使用した場合のレジストのエッチング速度を示す図
【符号の説明】
【0072】
1 チャンバー
2 被処理物
3 保持手段
4 活性原子供給手段
5 薬液供給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバーと、
前記チャンバー内に設けられ、被処理物を保持する保持手段と、
前記チャンバー内に活性原子を供給する活性原子供給手段と、
前記チャンバー内に薬液を供給する薬液供給手段とを有し、
前記被処理物の表面に対し、前記活性原子供給手段から供給される活性原子によるドライ処理及び前記薬液供給手段から供給される薬液によるウェット処理を行なうことを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記活性原子供給手段は、大気圧下で前記活性原子を前記チャンバー内に供給することを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記保持手段は、保持した被処理物を回転可能であり、
前記活性原子供給手段の供給口は、前記被処理物の表面に対向するように配置され、前記被処理物の回転中心から半径方向に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記活性原子供給手段の供給口と前記薬液供給手段の供給口とが一体化されていることを特徴とする請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記活性原子供給手段の供給口は、前記被処理物の表面に対向し、前記被処理物の大きさと同じかそれ以上の面積であることを特徴とする請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項6】
前記保持手段は、複数の前記被処理物を保持可能に設けられ、前記薬液中に複数の前記被処理物を浸漬可能に設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項7】
前記薬液は硫酸を含み、前記活性原子は水素原子または酸素原子を含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項8】
前記薬液は水酸化アンモニウム、塩化水素酸、硫酸又は弗化水素酸を含み、前記活性原子は酸素原子を含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項9】
前記被処理物は処理表面に半導体を含み、前記活性原子は水素原子を含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項10】
前記薬液はリン酸を含み、前記活性原子はフッ素原子を含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項11】
前記被処理物は処理表面にレジスト膜を有し、前記活性原子は水素原子または酸素原子を含み、前記被処理物のレジスト膜を除去することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項12】
前記活性原子供給手段は、誘導結合プラズマ法又はマイクロ波プラズマ法を用いて前記活性原子を生成することを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項13】
チャンバー内に保持された被処理物の表面に対し、活性原子供給手段から供給される活性原子によるドライ処理及び薬液供給手段から供給される薬液によるウェット処理を同時に又は連続して行なうことを特徴とする処理方法。
【請求項14】
前記ドライ処理は、大気圧下で行なわれることを特徴とする請求項13に記載の処理方法。
【請求項15】
前記被処理物の表面の全体に、前記薬液供給手段から供給される薬液を供給しつつ、前記被処理物の表面の一部に対し前記活性原子供給手段から供給される活性原子を供給することを特徴とする請求項13又は14に記載の処理方法。
【請求項16】
前記被処理物を回転させながら、前記活性原子供給手段の供給口を前記被処理物の回転中心から半径方向に移動させつつ前記活性原子を供給することを特徴とする請求項13乃至15の何れか1項に記載の処理方法。
【請求項17】
前記チャンバー内において前記被処理物を前記薬液供給手段から供給される薬液に浸漬させ、
前記薬液を排出しつつ、前記チャンバー内の雰囲気中に前記活性原子を供給することを特徴とする請求項13又は14に記載の処理方法。
【請求項18】
前記薬液は硫酸を含み、前記活性原子は水素原子または酸素原子を含むことを特徴とする請求項13乃至17の何れか1項に記載の処理方法。
【請求項19】
前記薬液は水酸化アンモニウム、塩化水素酸、硫酸又は弗化水素酸を含み、前記活性原子は酸素原子を含むことを特徴とする請求項13乃至17の何れか1項に記載の処理方法。
【請求項20】
前記被処理物は処理表面に半導体を含み、前記活性原子は水素原子を含むことを特徴とする請求項13乃至17の何れか1項に記載の処理方法。
【請求項21】
前記薬液はリン酸を含み、前記活性原子はフッ素原子を含むことを特徴とする請求項13乃至17の何れか1項に記載の処理方法。
【請求項22】
前記被処理物は処理表面にレジスト膜を有し、前記活性原子は水素原子または酸素原子を含み、前記被処理物のレジスト膜を除去することを特徴とする請求項13乃至17の何れか1項に記載の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図14】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−28365(P2008−28365A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92044(P2007−92044)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(503421128)リバーベル株式会社 (10)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】