説明

半導体膜の製造方法、薄膜トランジスタの製造方法および表示装置の製造方法

【課題】半導体薄膜の結晶の不均一性を緩和し、薄膜トランジスタの動作特性を向上させることが可能な半導体膜の製造方法を提供する。
【解決手段】
基板10上に非晶質シリコン膜15Aおよび光熱変換層16をこの順に形成する。光熱変換層16を介して非晶質シリコン膜15Aに第1ビームL1を照射することにより非晶質シリコン膜15Aに高温過熱領域11を形成する。同時に、第2ビームL2を照射することにより高温過熱領域11の走査方向の前後に低温過熱領域12(昇温領域12Aおよび徐冷領域12B)を形成する。非晶質シリコン15Aでは、第1レーザL1の照射により結晶成長が始まり、第2レーザL2の照射により昇温、徐冷されるため、非晶質シリコン15Aの結晶化が緩やかに進行し、結晶粒径の不均一性が緩和される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギービームによる加熱処理を利用して非晶質シリコンなどの非晶質半導体膜の結晶化を行う半導体膜の製造方法、およびこの方法を利用した薄膜トランジスタの製造方法並びに表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス液晶表示装置や有機EL素子を用いた有機EL表示装置においては、薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)基板が用いられる。このTFT基板は、基板に非晶質または比較的粒径の小さな多結晶の半導体膜を形成し、この半導体膜にレーザビームを照射してアニールしたのち駆動素子としてのTFTを形成したものである。
【0003】
レーザアニール装置の光源としては、従来より半導体膜の吸収率が高く、大きなパルス高出力が得られるエキシマレーザが用いられている。しかし、エキシマレーザはガスレーザであるためパルス毎の出力強度にばらつきがあり、このエキシマレーザを用いて作製したTFTの特性にもばらつきが生じるため、表示むらが発生し易いという欠点がある。このようなガスレーザのパルスのばらつきによる画質の低下を回避することを目的に、出力の安定性が高い半導体レーザを光源に用いたアニール装置が提案されている。
【0004】
しかし、半導体レーザを光源に用いた場合には1つの光源から得られる光出力はエキシマレーザ等と比べると非常に小さく、アニール処理をするビームの大きさも小さくなる。このため、TFT基板の単位面積当たりの処理時間が増加し、生産性の低下や製造コストの増大が課題となっている。
【0005】
そこで、アニール処理の高スループット化のために、複数のレーザを互いに近接して配置し、複数のレーザビームを非晶質半導体膜の複数の部分に同時に照射し、操作時間を短縮して生産性を上げる方法が提案されている(例えば特許文献1)。
【0006】
レーザアニール装置には、基板上の非晶質半導体膜、特に非晶質シリコン膜にレーザビームを照射しながら照射部位を走査して照射ビーム幅に対応する帯域を結晶化する方法が利用されている。このように所要領域を照射ビームで繰り返して走査を行うことによって大きな面域が結晶化される。このようなレーザアニールは、照射ビーム幅を大きくすれば処理面積速度が高くなり、生産性を向上させることができるが、単一のレーザ光学系で均一に調整できるビーム幅には限度がある。
【0007】
そこで、複数のレーザ発振器と対応するレーザ光学系とから複数の組の照射系を配列して、各光学系からの照射ビームを互いに近接するように並べて、同時に半導体膜面を掃引する方法が利用されている。従来の複数のレーザビームを用いたレーザアニール装置は、基板に複数のレーザ発振器からのレーザビームを並列に照射して走査することにより、1回のパスで通常、単一ビーム幅の複数倍の照射幅を結晶化することができる(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−153150号公報
【特許文献2】特開2003−332235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、このようなレーザアニール法においては、照射幅全域にわたって均一な結晶粒径を作製することは困難であった。その原因としては、複数の照射レーザビームの出力が相互に変動するということ、さらに単一の照射レーザビームにおいても2次元的に均一な照射幅、または同じ傾向を持つ強度密度(分布)を得ることが困難であるということなどがある。そのため結晶領域は結晶粒径の大きい領域と小さい領域とに分かれて形成される。このように結晶粒の細粒と粗粒との混在領域にわたって形成された薄膜トランジスタでは、形成場所によってその動作特性に変動が生じるという問題がある。
【0010】
また、レーザアニール処理により、非晶質シリコン膜に伝わるはずの熱が、基板側に設けられたゲート電極等に吸収または拡散され、非晶質シリコンの温度が上がり難い、あるいは急冷しやすくなり、結晶化が進行し辛く、高結晶化が困難になるという問題があった。また、熱の伝わり方が下地パターンの影響を受けてしまうことで、結晶化率の均一性が低下し、チャネルの左右(レーザビームの入口出口)領域の結晶粒径および結晶分布が不均一になるという問題もあった。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、半導体膜の結晶の不均一性を緩和し、薄膜トランジスタの動作特性を向上させることが可能な半導体膜の製造方法、薄膜トランジスタの製造方法および表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の半導体膜の製造方法は以下の工程を含むものである。
(A1)基板上に非晶質半導体膜を形成すると共に非晶質半導体膜上に光熱変換層を形成する工程
(B1)基板に対して第1および第2ビームを照射可能なレーザ光源を相対的に移動させつつ、光熱変換層を介して非晶質半導体膜に第1ビームを照射することにより非晶質半導体膜に高温過熱領域を形成すると共に、第2ビームを照射することにより高温過熱領域の少なくとも走査方向の前後に低温過熱領域を形成し、非晶質半導体膜を結晶成長させる工程
【0013】
本発明の第1の薄膜トランジスタの製造方法は以下の工程を含んでいる。
(A2)基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、非晶質半導体膜をこの順に形成する工程
(B2)非晶質半導体膜上に光熱変換層を形成する工程
(C2)基板に対して第1および第2ビームを照射可能なレーザ光源を相対的に移動させつつ、光熱変換層を介して非晶質半導体膜に第1ビームを照射することにより非晶質半導体膜に高温過熱領域を形成すると共に、第2ビームを照射することにより高温過熱領域の少なくとも走査方向の前後に低温過熱領域を形成し、非晶質半導体膜を結晶成長させる工程
(D2)非晶質半導体膜を結晶成長させたのち、光熱変換層を除去する工程
(E2)結晶成長させた結晶性半導体膜上にソース電極およびドレイン電極を形成する工程
本発明の第2の薄膜トランジスタの製造方法は以下の工程を含んでいる。
(A3)基板上に非晶質半導体膜を形成する工程
(B3)非晶質半導体膜上に光熱変換層を形成する工程
(C3)基板に対して第1および第2ビームを照射可能なレーザ光源を相対的に移動させつつ、光熱変換層を介して非晶質半導体膜に第1ビームを照射することにより非晶質半導体膜に高温過熱領域を形成すると共に、第2ビームを照射することにより高温過熱領域の少なくとも走査方向の前後に低温過熱領域を形成し、非晶質半導体膜を結晶成長させる工程
(D3)非晶質半導体膜を結晶成長させたのち、光熱変換層を除去する工程
(E3)結晶成長させた結晶性半導体膜上にゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成すると共に、結晶性半導体膜と電気的に接続されたソース電極およびドレイン電極を形成する工程
【0014】
本発明の表示装置の製造方法は、基板上に薄膜トランジスタを形成する工程と、薄膜トランジスタを形成した基板に表示素子を形成する工程とを含み、薄膜トランジスタを上記本発明の薄膜トランジスタの製造工程により形成する。
【0015】
本発明の半導体膜の製造方法では、基板に対してレーザ光源を相対的に移動させつつ、基板上に形成した非晶質半導体膜に光熱変換層を介して第1ビームが照射されることにより非晶質半導体膜が結晶成長する。更に、この第1ビームの近傍に第2ビームが照射され、第1ビームの近傍に低温過熱領域が形成されることにより、第1ビームの強度の偏差が吸収されると共に、非晶質半導体膜における第1ビームの照射領域の急激な加熱および冷却が緩和され、結晶粒径が緩やかに成長する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の半導体膜の製造方法によれば、第1ビームの照射により非晶質半導体膜に高温過熱領域を形成すると共に、第2ビームの照射により高温過熱領域の近傍に低温過熱領域を形成するようにしたので、第1ビームの強度の偏差を吸収すると共に、非晶質半導体膜における第1ビームの照射領域の急激な加熱および冷却を緩和し、結晶粒径の成長を緩やかにすることが可能となる。これにより半導体膜中に含まれる結晶粒径の不均一性が緩和され、均一な結晶を有する結晶性半導体膜を得ることができる。よって、この方法を薄膜トランジスタあるいは表示装置の製造に適用することにより、薄膜トランジスタの動作特性およびその均一性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係るレーザビーム照射装置の概略図である。
【図2】レーザビーム照射装置の照射領域の例を表す模式図である。
【図3】レーザビーム照射装置の光学系を表す模式図である。
【図4】薄膜トランジスタの製造工程の一例を表す断面図である。
【図5】メインビームとサブビームの相関関係を表すものである。
【図6】走査時間に対するレーザ照射点の温度推移を表す模式図である。
【図7】図4に続く工程を表した断面図である。
【図8】図7に続く工程を表した断面図である。
【図9】図8に続く工程を表した断面図である。
【図10】図9に続く工程を表した断面図である。
【図11】トップゲート型薄膜トランジスタの構成を表す断面図である。
【図12】表示装置の構成を表す断面図である。
【図13】各実施例における結晶化の分布を表す特性図である。
【図14】各実施例におけるラマン結晶化率を表した特性図である。
【図15】各実施例におけるラマン結晶化率の差を表した特性図である。
【図16】各実施例における薄膜トランジスタの移動度の特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
(1)結晶化の概要
(2)レーザビーム照射装置の構成
(3)薄膜トランジスタの製造方法1
(4)薄膜トランジスタの製造方法2
(5)実施例
(6)表示装置
【0019】
[結晶化の概要]
図1は本発明の一実施の形態に係るレーザビーム照射装置1の概略を表したものである。このレーザビーム照射装置1は、非晶質半導体膜例えば非晶質シリコン膜が形成された基板10に高出力のメインビームL1(第1ビーム)を照射し、局所的に高温過熱領域11を形成すると共に、この高温過熱領域L1の近傍(走査方向の前後)にメインビームL1よりも低出力のサブビームL2(第2ビーム)を照射し、低温過熱領域12(昇温領域および徐冷領域)を形成するものである。メインビームL1はサブビームL2と比較して、パワー密度において、例えば100倍以上の出力強度を有している。なお、基板10の表面の非晶質シリコン膜上には後述のように光熱変換層が形成されている。
【0020】
本実施の形態では、レーザビーム照射装置1に対して基板10が相対的に移動することにより、メインビームL1およびサブビームL2による非晶質シリコン膜の走査がなされる。これによりメインビームL1によってアニールされた領域の非晶質シリコンが溶融による再結晶、または固相成長し、結晶化が進行する。メインビームL1は例えば波長800nmの赤外光である。このメインビームL1はここではマルチビームを用いているが、シングルビームとしてもよい。
【0021】
サブビームL2は、メインビームL1よりも広域を照射することが好ましいが、その大きさおよび形状は特に問わない。また、サブビームL2の照射領域低温過熱領域12)は、ここではメインビームL1による照射領域(高温過熱領域11)を含んでいるが、必ずしもこれに限らない。サブビームL2による低温過熱領域12は、基板10の走査方向に対して高温過熱領域11の前後に形成されていればよい。すなわちサブビームL2は1本に限らず、2本以上を用いてもよい。
【0022】
図2は、基板10上に形成されたメインビームL1による高温過熱領域11とサブビームL2による低温過熱領域12との分布状態を表したものである。図2(A)はメインビームL1とサブビームL2を同軸的に照射した場合の結果を示している。メインビーム11による高温過熱領域11の下方、すなわち、基板走査方向Sの上流側にはメインビームL1の照射前に基板10を昇温するための昇温領域12Aが形成されており、高温過熱領域11の上方、すなわち、基板走査方向Sの下流側にはメインビームL1照射後の基板10を徐冷するための徐冷領域12Bが形成されている。ここでは昇温領域12Aと徐冷領域12Bの面積は同じである。図2(B)は、サブビームL2の照射軸に対してメインビームL1の照射軸が基板走査方向の上流側にずれたものである。こうすることによって昇温領域12Aに対して徐冷領域12Bが広くなり、基板10はより緩やかに徐冷される。図2(C)は、サブビームL2の照射軸に対してメインビームL1の照射軸が基板走査方向の下流側にずれたものである。これにより徐冷領域12Bに対して昇温領域12Aが広くなる。
【0023】
中でも、高温過熱領域11と低温過熱領域12との分布状態は、図2(B)に示したように、昇温領域12Aに対して徐冷領域12Bが広くなるようにすることが好ましい。非晶質シリコン膜15Aの結晶成長が緩やかになるため、生成された結晶粒径が大きくなりやすく、結晶粒径の不均一性が緩和されやすくなる。但し、レーザビーム照射装置1のメインビームL1とサブビームL2との光学系の照射軸をずらすことは、走査毎の照射軸のずれを一定にすることは難しいので、照射軸が同じになるようにした方が光学系の設計および再現性の観点からは好ましい。
【0024】
また、図2(A)〜(C)に示したいずれかの場合においても、基板走査方向における低温過熱領域12の外縁と高温過熱領域11の外縁との距離は、一定になるようにサブビームL2を照射することが好ましい。これにより基板面内方向の基板走査方向に対して垂直方向における非晶質シリコン膜15Aの結晶性が均一になりやすくなる。このため、図2に示したように高温過熱領域11の平面形状が矩形上である場合には、低温過熱領域12の平面形状も矩形状として、基板走査方向における低温過熱領域12の外縁と高温過熱領域11の外縁との距離が、一定になるようにサブビームL2を照射することが好ましい。
【0025】
本実施の形態においては、メインビームL1による高温過熱領域11の前後に、サブビームL2による昇温領域12Aおよび徐冷領域12Bを形成するようにしたので、非晶質シリコン膜の急激な加熱および冷却が緩和される。すなわち基板10上の非晶質シリコン膜は昇温過程を経て徐々に高温になることにより結晶成長が始まり、そののちは徐冷されるため結晶粒径が緩やかに成長する。これにより結晶化率の不均一分布が緩和された結晶性シリコン膜を得ることができる。
【0026】
[レーザビーム照射装置の構成]
本実施の形態において用いられるレーザビーム照射装置1は図3に示したように、メインビームL1用の第1レーザ21およびサブビームL2用の第2レーザ22を備えている。第1レーザ21は半導体マルチビームレーザであり、この第1レーザ21と基板10との間には第1光学系23、偏光ビームスプリッタ(PBS)24および結像光学系25が配置されている。第1光学系23は例えばビーム分割を行うスリットマスク23Aを含み、メインビームL1の拡大、均一化を行うものである。第2レーザ22は例えばファイバカップルドLD(Laser diode)であり、この第2レーザ22と基板10との間には第2光学系26、偏光ビームスプリッタ(PBS)24および結像光学系25が配置されている。第2光学系26は例えばビーム整形を行う絞り26Aなどを含み、サブビームL2の拡大、均一化を行うものである。
【0027】
このレーザビーム照射装置1では、第1レーザ21から射出されたメインビームL1は、第1光学系23によりビーム分割等がなされたのち偏光ビームスプリッタ24および結像光学系25を経て基板10に照射される。これにより非晶質シリコン膜には局所的に(横一列に)高温過熱領域11が形成される。一方、第2レーザ22から射出されたサブビームL2は、第2光学系26によりビーム整形等がなされたのち偏光ビームスプリッタ24および結像光学系25を経て基板10に照射される。これにより非晶質シリコン膜には高温過熱領域11の前後にそれぞれ低温過熱領域12(昇温領域12Aおよび徐冷領域12B)が形成される。
【0028】
[薄膜トランジスタの製造方法1]
次に、このレーザビーム照射装置1を用いた半導体膜の製造方法の具体例として図4および図7〜図10を参照しつつ薄膜トランジスタ2の製造方法を説明する。
【0029】
まず、図4(A)に示したように、ガラス材料やプラスチック材料などからなる絶縁性の基板10上に、ゲート電極13、ゲート絶縁膜14、非晶質シリコン膜15Aおよび光熱変換層16をこの順に形成する。
【0030】
具体的には、ゲート電極13は、基板10上に例えばスパッタ法により厚さが100nm程度のモリブデン(Mo)膜を一様に形成した後、エッチングにより所定の形状にパターニングすることによって形成する。このゲート電極13はMoに限らず、後に非晶質シリコン膜15Aを結晶化する際(図4(B)参照)に生じる熱によっても変質しにくい高融点の金属であればよい。ゲート絶縁膜14は、ゲート電極13を含む基板10上に、例えばプラズマCVD法により厚さが160nm程度の酸化シリコン(SiO2)を一様に堆積させることにより形成する。ゲート絶縁膜14としては、その他の絶縁材料、例えば、窒化シリコン(SiN)や酸化窒化シリコン(SiON)などにより形成するようにしてもよい。非晶質シリコン膜15Aは、ゲート絶縁膜14上に例えばプラズマCVD法により厚さが30nm程度、一様に形成する。
【0031】
光熱変換層16は、非晶質シリコン膜15A上に例えばスパッタ法により厚さが100nm程度のMoを一様に堆積させることによって形成する。この光熱変換層16は、後述するレーザビームなどを吸収し、光エネルギーを熱エネルギーに変換するためのものである。この光熱変換層16としては、後の結晶化の際(図4(B))に使用するレーザビームの吸収率が高いこと、非晶質シリコン膜15Aへの熱拡散速度が低いこと、後の結晶化の際に生じる熱によっても変質しにくい高融点の材料であること、などの条件を満たせばどのような材料であってもよく、例えば他に炭素(C)などを用いるようにしてもよい。
【0032】
続いて、図4(B)に示したように、光熱変換層16に対してレーザビーム照射装置1を用いてメインビームL1およびサブビームL2を照射し、光熱変換層16を介して非晶質シリコン膜15Aに間接的に加熱処理を施す。このとき図4(C)に示したように、光熱変換層16などを積層した基板10をレーザビーム照射装置1に対して移動させる。メインビームL1を照射することにより非晶質シリコン膜15Aは結晶成長し、結晶性シリコン膜(多結晶シリコン膜)15Pとなる。なお、光源のレーザとしては、連続波であり、光熱変換層16を全透過さえしなければ、どのような波長領域のレーザビームでもよいが、光熱変換層16での吸収率が多いものが望ましい。また、光熱変換層16での反射率が高くなってしまうような場合には、例えば光熱変換層16上に適度な膜厚の酸化膜(SiO2)などを形成し、メインビームL1の反射抑止膜として用いるようにしてもよい。
【0033】
図5は、光熱変換層16などが積層された基板10に対するメインビームL1およびサブビームL2の照射領域を表したものである。図6は走査時間に対する任意の加熱点の温度推移を表すものである。このようにサブビームL2の照射による低温過熱領域12を、メインビームL1による高温過熱領域11を取り囲むように形成することにより、基板10は走査方向に向かってメインビームL1の照射前に昇温され、メインビームL1の照射後に徐冷される。
【0034】
続いて、図7(A)に示したように非晶質シリコン膜15Aの結晶化後は不要となる光熱変換層16をエッチングにより除去する。
【0035】
次に、図7(B)に示したように、結晶質シリコン膜15P上に例えばプラズマCVD法により厚さが200nm程度のSiO2膜からなる絶縁膜17Aを一様に形成する。絶縁膜17Aとしては、その他SiNあるいはSiONなどにより形成してもよい。
【0036】
この後、図7(C)に示したように、絶縁膜17A上にフォトレジスト膜18Aを形成し、所定形状にパターニングする。具体的には、結晶質シリコン膜15Pのチャネル領域となる部分に対応する領域に選択的にフォトレジスト膜18Aを形成する。
【0037】
続いて、図8(A)に示したように絶縁膜17Aにおけるフォトレジスト膜18Aが残存していない部分、すなわち結晶質シリコン膜15Pのチャネル領域となる部分に対応する領域以外を、フッ化水素酸からなる溶液を用いたウェットエッチングにより除去し、絶縁膜17Aからなるチャネル保護膜を形成する。その際、結晶質シリコン膜15Pのチャネル領域となる部分は、チャネル保護膜によってマスクされることで保護され、エッチングによりダメージを受けることはない。
【0038】
次に、図8(B)に示したように、フォトレジスト膜18Aを除去した後、チャネル保護膜を含む結晶質シリコン膜15P上に、後述するソース領域およびゲート領域を形成するためのn+シリコン膜19を、例えばプラズマCVD法により、厚さ50nm程度で一様に形成する。
【0039】
この後、図8(C)に示したように、n+シリコン膜19上にフォトレジスト膜18Bを形成し、所定形状にパターニングする。具体的には、ゲート電極13に対応する領域に選択的にフォトレジスト膜18Bを形成する。続いて、図9(A)に示したように、結晶質シリコン膜15Pおよびn+シリコン膜19におけるフォトレジスト膜18Bが残存していない部分、すなわちゲート電極13に対応する領域以外をエッチングにより除去し、結晶質シリコン膜15Pおよびn+シリコン膜19からなる島状パターンを形成する。
【0040】
次に、図9(B)に示したように、n+シリコン膜19を含むゲート絶縁膜14上に、例えばスパッタ法により、3層構造の金属層20をそれぞれ一様に形成する。具体的には、例えば厚さが50nm程度のチタン(Ti)層20A、厚さが250nm程度のアルミニウム(Al)層20B、および厚さが50nm程度のTi層20Cを、この順に積層させる。金属層20としては、これらの材料の他に、モリブデン(Mo)やクロム(Cr)、あるいはMo/Al/Moを用いた積層構造としてもよい。
【0041】
続いて、図10(A)に示したように、n+シリコン膜19および金属層20を所定形状にパターニングすることにより、n+シリコン膜19からソース領域19Sおよびドレイン領域19Sをそれぞれ形成すると共に、金属層20からソース電極20Sおよびドレイン電極20Dをそれぞれ形成する。具体的には、n+シリコン膜19および金属層20の両端部分、およびこれらの層における結晶質シリコン膜15Pのチャネル領域となる部分に対応する領域を、エッチングにより選択的に除去する。その際、これらの層によるエッチング残渣を回避するため、図中の符号P1で示したようにオーバーエッチングを行うが、絶縁膜17Aにより十分な膜厚を有するチャネル保護膜がエッチングストッパとして機能するため、結晶質シリコン膜15Pのチャネル領域は保護され、ダメージを受けることはない。
【0042】
最後に、図10(B)に示したように、ソース電極20S、ドレイン電極20Dおよびチャネル保護膜を含むゲート絶縁膜14上に、例えばプラズマCVD法により厚さが200nm程度の保護膜17Bを一様に形成する。これにより本実施の形態の薄膜トランジスタ1が完成する。なお、この保護膜17Bも、例えばSiO2、SiNあるいはSiONなどの絶縁材料により形成される。
【0043】
この薄膜トランジスタ2では、図示しない配線層を通じてゲート電極13とソース電極20Sとの間に所定のしきい値電圧以上のゲート電圧Vgが印加されると、結晶質シリコン膜15Pにチャネルが形成され、ソース領域19Sおよびドレイン領域19Dを介してソース電極20Sとドレイン電極20Dとの間に電流(ドレイン電流Id)が流れ、トランジスタとして機能する。
【0044】
ここで、結晶質シリコン膜15Pは、上述のように光熱変換層16を介した間接的な加熱処理によって結晶化されたものであるため、結晶化の際に均一に熱が供給された上で結晶成長により形成される。
【0045】
また、この加熱時に、非晶質シリコン膜15Aを結晶成長させるためのメインビームL1を照射すると共に、メインビームL1による高温過熱領域11の周囲にサブビームL2を照射することにより低温過熱領域12を形成している。これによりレーザ光学系の熱的不安定さに起因して生じるレーザビーム間の強度の偏差が吸収される。更に、複数の照射レーザビームの出力および照射幅を均一化できるため、ヘッド間差を低減することが可能となる。また、メインビームL1の照射による照射点の急激な温度変化も緩和され、緩やかな昇温および徐冷が行われる。従って、メインビームL1の照射による非晶質シリコン膜15Aの結晶成長は緩やかに結晶化が進行するため、大きな且つ、均一な結晶粒径を有する結晶が得られる。
【0046】
以上は本発明をボトムゲート型TFTに適用した例であるが、本発明はトップゲート型TFTにも適用可能である。図11はトップゲート型の薄膜トランジスタ3の断面構成を表したものである。以下に、この薄膜トランジスタ3の製造方法について簡単に説明する。なお、薄膜トランジスタ2と同一構成部分については同一符号を付してその説明は省略する。
【0047】
[薄膜トランジスタの製造方法2]
まず、基板10上に汚染防止膜27を形成する。この汚染防止膜27は基板10に含まれる不純物のチャネルへの拡散を防止するものであり、例えばSiO2あるいはSiNなどの絶縁材料により形成する。次に、この汚染防止膜27上にここでは図示しないが、前述の非晶質シリコン膜15Aおよび光熱変換層16をこの順に形成する。続いて、薄膜トランジスタの製造方法1と同様に、光熱変換層16に対してレーザビーム照射装置1を用いてメインビームL1およびサブビームL2を照射し、光熱変換層16を介して非晶質シリコン膜15Aに間接的に加熱処理を施す。これにより非晶質シリコン膜15Aは結晶成長し、結晶性シリコン膜15Pとなる。次に、光熱変換層16を除去したのち、結晶性シリコン膜15P上にn+シリコン膜19を形成する。続いて結晶性シリコン膜15P上にソース電極20Sおよびドレイン電極20Dをそれぞれ形成したのち、ゲート絶縁膜14を形成する。続いて、ゲート電極13を形成し、最後に保護膜17Bを形成することにより薄膜トランジスタ3が完成する。
【0048】
以上のように本実施の形態では、非晶質シリコン膜15Aに光熱変換層16を介してメインビームL1を照射して局所的に加熱することにより高温過熱領域11を形成すると共に、サブビームL2を照射することにより高温過熱領域11を囲む領域に低温過熱領域12を形成するようにした。これによりレーザ光学系の熱的不安定さに起因して生じるレーザビーム間の強度の偏差が吸収され、よって結晶のばらつきを抑えることが可能となる。更に、非晶質シリコン膜15AはメインビームL1による結晶化加熱の前に昇温されるため、より結晶化温度上昇を補助すると共に、メインビームL1の照射後に緩やかに徐冷されるため、緩やかな結晶成長が行われる。これにより非晶質シリコン膜13Aの結晶化が緩やかに進行し、大きな且つ均一な結晶粒径を有する結晶が形成される。すなわち、結晶質シリコン膜15P中の結晶の不均一さが緩和されるため、動作特性および均一性の極めて高い薄膜トランジスタを得ることが可能となる。
【0049】
また、特性が向上することにより、薄膜トランジスタ2,3の大きさを大幅に小さくすることができるため、従来では困難であった薄膜トランジスタ2の縦置き配置によるレイアウト設計が可能になると共に、微小ダストによる欠陥数が減少するため歩留まりを大幅に改善することが可能となる。
【0050】
上記薄膜トランジスタ2,3は、例えば図12に示したように、表示素子として有機EL素子(有機EL素子42)を備えた有機EL表示装置に適用することが可能である。その場合、薄膜トランジスタ2(2A〜2C)を複数個設け、これら複数の薄膜トランジスタ2をそれぞれ、有機EL素子42の駆動素子として機能させるようにする。この有機EL表示装置の具体的な構成としては、例えば基板10上の薄膜トランジスタ2上に絶縁性の平坦化膜31を一様に形成し、その上に反射電極32A、有機発光層32Bおよび透明電極42Cからなる複数の有機EL素子42を形成し、各有機EL素子42間を電極間絶縁膜44によって隔離するようにし、その上に再び絶縁性の平坦化層44を形成し、これらを透過性の基板40で挟み込むようにしたものが挙げられる。このような構成の有機EL表示装置では、反射電極42Aと透明電極42Cとの間に所定の電圧が印加されると有機発光層42Bが発光し、これが発光光として図の上方へ射出される。なお、図12では、いわゆる上面発光(トップエミッション)型の有機EL表示装置について説明したが、この他にも例えば、いわゆる下面発光(ボトムエミッション)型の有機EL表示装置や、両面発光(デュアルエミッション)型の有機EL表示装置にも適用することが可能である。
[実施例]
【0051】
次に、上記製造方法による効果を説明するために具体的な実施例について説明する。
【0052】
上述した薄膜トランジスタ2の製造方法を用いて、基板上10にゲート電極13、ゲート絶縁膜14、非晶質シリコン膜15A、光熱変換層16を積層した。アニール処理は、共に赤外光以上の発振波長を有するメインビームL1である半導体レーザと、サブビームL2であるファイバーカップルドレーザを用いて行った。このときのアニール条件は、メインビームL1の電流を一定にしてサブビームL2の電流を0A,20A,40Aに変化させ、走査速度は125mm/secとした。サブビームL2の電流を0Aとしたものを実験例1、20Aとしたものを実験例2、40Aとしたものを実験例3とする。
【0053】
まず、光学的測定法を用いて実験例1〜3のゲート電極13上における非晶質シリコン膜15Aの結晶化率の分布を測定した。図13はその結果を表すものである。ここで用いた光学的測定法とは、光の干渉を利用してトランジスタ上の光学的位相差を段差情報として計測し、トランジスタの結晶化度合を求める測定方法である。この結果から、サブビームL2の電流が0Aの場合、すなわちサブビームL2を用いない実施例1と比較して、サブビームL2を用いた実施例2,3は明らかに非晶質半導体15Aの結晶化率が向上していることが分かる。
【0054】
次にラマン測定法により、実験例1〜3のそれぞれの結晶化率を測定した。ラマン結晶化率は1に近づくほど結晶性が高くなる。従来、結晶性とTFTの特性を示す移動度とは相関がとれており、ラマン結晶性が高いとTFTの移動度が高くなる傾向にある。図14は、長軸30μm、短軸12μmのゲート電極13の複数の位置における、それぞれの結晶化率を測定した結果である。各位置は、基板走査方向(短軸)に対して順に入口(2μm)、中央(6μm)、出口(9.5μm)、さらにガラス部としてゲート電極13から充分に離れ、ゲート電極13の影響を受けない位置(約30μm)である。図14から、実験例1と比較して実験例2および実験例3の結晶化率が明らかに向上していることが分かる。特に、ゲート電極の中央部の改善が大きく、これはTFT特性の向上に大きな影響を与えると考えられる。また、上述したように、ラマン測定法と上記光学的測定法は相関関係があり、図13のI−I線の断面図が図14の入口から出口の間の特性図に一致している。
【0055】
図15は、図14における実施例1〜3の最大結晶化率と最小結晶化率の差を表したものである。この図から、メインビームL1のみを照射した実施例1よりも、メインビームL1およびサブビームL2を照射して製造した実施例2,3の方が各部における結晶化率の差が小さいことが分かる。すなわち、メインビームL1とサブビームL2を用いることにより、ゲート上の結晶化の均一性が改善されていることが分かる。また、図13〜図15の結果から、サブビームL2の電流は20Aよりも40Aとすることにより、非晶質シリコン膜15Aの結晶化をより促進させることができることが分かる。
【0056】
また、従来では、往復アニールをした場合、走査方向により最左右差が反転するため、往路アニールと復路アニールでトランジスタの特性が異なってしまうという問題があった。これに対して、上記薄膜トランジスタ1の製造方法を用いることにより、走査方向による最左右差が改善された往復アニールが可能となり、タクトが改善される。
【0057】
図16は、実験例1と実験例3の薄膜トランジスタの移動度を測定したものである。実験例3は実験例1と比較して1.2倍以上、移動度が改善している。
【0058】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記した実施の形態等では、半導体膜の製造方法の適用例として、ボトムゲート型の薄膜トランジスタの製造方法について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、太陽電池の製造に適用することも可能である。
【0059】
例えば、上記実施の形態では、メインビームL1とサブビームL2を同軸照射していたが、図2(B),(C)に示したように、メインビームL1の照射軸とサブビームL2の照射軸は異なっていてもよい。本発明の半導体膜の製造方法は、メインビームL1の照射前の昇温よりも照射後の徐冷が重要であるため、メインビームL1とサブビームL2が異軸である場合には、徐冷領域12Bを広くするようにした方がよい。
【0060】
また、本発明の薄膜トランジスタの製造方法によって製造した薄膜トランジスタは、図12で示したような有機EL表示装置の他に、例えば液晶表示装置にも適用することが可能である。
【0061】
また、上記実施の形態において説明した各構成要素の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、また他の成膜方法および成膜条件としてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…レーザビーム照射装置、2,3…薄膜トランジスタ、4…表示装置、L1…メインビーム、L2…サブビーム、10…基板、11…高温過熱領域、12…低温過熱領域、12A…昇温領域、12B…徐冷領域、13…ゲート電極、14…ゲート絶縁膜、15A…非晶質シリコン膜、15P…結晶質シリコン膜、16…光熱変換層、17A…絶縁膜、17B…保護膜、18(18A,18B)…フォトレジスト膜、19…n+シリコン膜、20…金属層、20S…ソース電極、20D…ドレイン電極、21…第1レーザ、22…第2レーザ、23…第1光学系、23A…スリットマスク、24…偏光ビームスプリッタ(PBS)、25…結像光学系、26…第2光学系、26A…絞り、27…汚染防止膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に非晶質半導体膜を形成すると共に前記非晶質半導体膜上に光熱変換層を形成する工程と、
前記基板に対して第1および第2ビームを照射可能なレーザ光源を相対的に移動させつつ、前記光熱変換層を介して前記非晶質半導体膜に第1ビームを照射することにより前記非晶質半導体膜に高温過熱領域を形成すると共に、第2ビームを照射することにより前記高温過熱領域の少なくとも走査方向の前後に低温過熱領域を形成し、前記非晶質半導体膜を結晶成長させる工程と
を含む半導体膜の製造方法。
【請求項2】
前記第1ビームおよび第2ビームは連続発振レーザ光である、請求項1に記載の半導体膜の製造方法。
【請求項3】
前記第1ビームおよび第2ビームを同軸照射する、請求項1に記載の半導体膜の製造方法。
【請求項4】
前記第1ビームおよび第2ビームをずらした状態で照射する、請求項1に記載の半導体膜の製造方法。
【請求項5】
前記第1ビームおよび第2ビームは同一波長を有する、請求項1に記載の半導体膜の製造方法。
【請求項6】
前記第1ビームおよび第2ビームは波長が互いに異なる、請求項1に記載の半導体膜の製造方法。
【請求項7】
基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、非晶質半導体膜をこの順に形成する工程と、
前記非晶質半導体膜上に光熱変換層を形成する工程と、
前記基板に対して第1および第2ビームを照射可能なレーザ光源を相対的に移動させつつ、前記光熱変換層を介して前記非晶質半導体膜に第1ビームを照射することにより前記非晶質半導体膜に高温過熱領域を形成すると共に、第2ビームを照射することにより前記高温過熱領域の少なくとも走査方向の前後に低温過熱領域を形成し、前記非晶質半導体膜を結晶成長させる工程と、
前記非晶質半導体膜を結晶成長させたのち、前記光熱変換層を除去する工程と、
前記結晶成長させた結晶性半導体膜上にソース電極およびドレイン電極を形成する工程と
を含む薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項8】
基板上に非晶質半導体膜を形成する工程と、
前記非晶質半導体膜上に光熱変換層を形成する工程と、
前記基板に対して第1および第2ビームを照射可能なレーザ光源を相対的に移動させつつ、前記光熱変換層を介して前記非晶質半導体膜に第1ビームを照射することにより前記非晶質半導体膜に高温過熱領域を形成すると共に、第2ビームを照射することにより前記高温過熱領域の少なくとも走査方向の前後に低温過熱領域を形成し、前記非晶質半導体膜を結晶成長させる工程と、
前記非晶質半導体膜を結晶成長させたのち、前記光熱変換層を除去する工程と、
前記結晶成長させた結晶性半導体膜上にゲート絶縁膜を形成し、前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成すると共に、前記結晶性半導体膜と電気的に接続されたソース電極およびドレイン電極を形成する工程と
を含む薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項9】
前記基板と非晶質半導体膜との間に汚染防止膜を形成する、請求項8に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項10】
基板上に薄膜トランジスタを形成する工程と、前記薄膜トランジスタを形成した基板に表示素子を形成する工程とを含み、
前記薄膜トランジスタを形成する工程は、
基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、非晶質半導体膜をこの順に形成する工程と、
前記非晶質半導体膜上に光熱変換層を形成する工程と、
前記基板に対して第1および第2ビームを照射可能なレーザ光源を相対的に移動させつつ、前記光熱変換層を介して前記非晶質半導体膜に第1ビームを照射することにより前記非晶質半導体膜に高温過熱領域を形成すると共に、第2ビームを照射することにより前記高温過熱領域の少なくとも走査方向の前後に低温過熱領域を形成し、前記非晶質半導体膜を結晶成長させる工程と、
前記非晶質半導体膜を結晶成長させたのち、前記光熱変換層を除去する工程と、
前記結晶成長させた結晶性半導体膜上にソース電極およびドレイン電極を形成する工程と
を含む表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−108944(P2011−108944A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264200(P2009−264200)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】