説明

半導体装置の製造装置および配線パターンの形成方法

【課題】大量生産上、大型の基板に適している液滴吐出法を用いたパターン形成装置を
備えた半導体装置の製造装置を提供する。
【解決手段】本発明では、液滴吐出法を用いたパターン形成装置と、加熱処理室をそれぞ
れ複数設置し、それぞれを一つの搬送室と連結させたマルチチャンバー方式とし、吐出と
焼成とを効率よく行って生産性を向上させる。パターン形成装置にブロー手段を設け、着
弾直後にガスの吹きつけを基板の走査方向(或いは吐出ヘッドの走査方向)と同じ方向に
行い、ガス流路中に加熱ヒータを設けて局所的に焼成を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形成対象の材料が混入された組成物を滴下することによるパターン形成方法
(代表的には配線の形成方法)、及び薄膜トランジスタ(以下、TFTともいう)で構成
された回路を有する半導体装置の製造装置に関する。
【0002】
具体的には、液滴吐出(インクジェット)法による配線のパターン形成方法及びTFTを
有する半導体装置の製造装置に関する。
【0003】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装
置全般を指し、電気光学装置、発光装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置で
ある。
【背景技術】
【0004】
現状では、製造プロセスにスピンコート法を用いる成膜方法が多く用いられている。
【0005】
また、ピエゾ方式やサーマルジェット方式に代表される液滴吐出技術、あるいは連続式
の液滴吐出技術が注目を集めている。この液滴吐出技術は活字、画像の描画に使われてき
たが、近年、微細パターン形成などの半導体分野へ応用する試みが始まっている。
【0006】
また、本出願人は、特許文献1にEL素子を作製するため、マルチチャンバーの処理室
の一つにインクジェット法を用いることを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−345174
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
半導体回路を有する電子機器の製造においては、大量生産を効率良く行うため、ウェハ
ー基板ではなくマザーガラス基板を用い、一枚のマザーガラス基板から複数のデバイスを
切り出す多面取りがよく行われている。マザーガラス基板のサイズは、1990年初頭に
おける第1世代の300×400mmから、2000年には第4世代となり680×88
0mm、若しくは730×920mmへと大型化して、一枚の基板から多数のデバイス、
代表的には表示パネルが取れるように生産技術が進歩してきた。
【0009】
今後、さらに基板が大型化すると、スピンコート法を用いる成膜方法では、大型の基板を
回転させる機構が大規模となる点、材料液のロスおよび廃液量が多い点で大量生産上、不
利と考えられる。また、矩形の基板をスピンコートさせると回転軸を中心とする円形のム
ラが塗布膜に生じやすい。
【0010】
本発明は、大量生産上、大型の基板に適している液滴吐出法を用いたパターン形成装置を
備えた半導体装置の製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、液滴吐出法を用いたパターン形成装置と、加熱処理室をそれぞれ複数設置し
、それぞれを一つの搬送室と連結させたマルチチャンバー方式とし、吐出と焼成とを効率
よく行って生産性を向上させる。大量生産を行う上で、インライン方式とした場合、一つ
の処理室として液滴吐出法を用いたパターン形成装置を用いると、液滴吐出法で材料液を
選択的に吐出した後にベークを行う処理を複数回行うことが必要とされるため、マルチチ
ャンバー方式に比べて生産性が低下してしまう恐れがある。
【0012】
また、X方向およびY方向に移動するステージ、或いはX方向およびY方向に移動する
液滴吐出ヘッドとすると、一方向のみに移動するステージや液滴吐出ヘッドに比べて、正
確なアライメント調整が困難になりやすく、装置自体が高価なものになる。そこで、本発
明においては、大型の基板の一方向(X方向、或いはY方向)のみ走査させる液滴吐出法
を用いたパターン形成装置とすることで装置構成の簡略化を図る。例えば、枝分かれした
配線パターンや折れ曲がった配線パターンは、X方向の走査を行う第1のパターン形成装
置と、Y方向の走査を行う第2のパターン形成装置とを用いて形成する。こうすることに
よって量産性を向上させることができる。
【0013】
加えて、大型の基板の向きを固定させたまま処理が行えるように第1のパターン形成装
置と第2のパターン形成装置の配置を行えば、搬送手段の単純化、および搬送時間の短縮
を図ることもできる。また、搬送経路においても大型の基板の回転を行わずにパターン形
成を行うことが好ましい。
【0014】
また、液滴吐出法を用いたパターン形成装置では、基板のサイズが大きくなればなるほ
ど、最初に吐出してパターン形成した箇所と、最後に吐出してパターン形成した箇所とで
大気に曝される時間差が大きくなる問題がある。時間差が大きくなりすぎると、焼成の具
合が異なってしまう恐れがあり、均一なパターン形成が困難になる。
【0015】
また、液滴吐出法を用いたパターン形成装置は、処理室内のステージの移動による気流
やヘッドの移動による気流が生じて、吐出位置制御が不安定になる恐れがある。
【0016】
そこで、本発明では、ブロー手段を設け、着弾直後にガスの吹きつけを基板の走査方向
(或いは吐出ヘッドの走査方向)と同じ方向に行い、ガス流路中に加熱ヒータを設けて局
所的に焼成を行う。
【0017】
本明細書で開示する発明の構成の一つは、被処理基板にパターン形成材料を含む液滴(ド
ットとも呼ぶ)を吐出して選択的にパターンを形成する液滴吐出手段と、吐出された液滴
の飛翔軌道を制御するブロー手段と、該ブロー手段のガス流出口から吹き出されて生じた
ガス気流の流路中に設けられた加熱手段と、
前記液滴吐出手段、前記ブロー手段、および前記加熱手段を制御する制御手段と、を有す
る処理室を有することを特徴とする半導体装置の製造装置である。
【0018】
上記構成において、前記加熱手段は、糸状、ワイヤ状、コイル状、棒状、または面状の
抵抗発熱体からなるヒータであることを特徴としている。
【0019】
上記構成とすることによって着弾後に一定の時間を保って仮焼成を行い、最初に吐出し
てパターン形成した箇所と、最後に吐出してパターン形成した箇所とで大気に曝される時
間差が大きくなっても均一なパターン形成を得ることができる。例えば、基板サイズが、
600mm×720mm、680mm×880mm、1000mm×1200mm、11
00mm×1250mm、1150mm×1300mmのような大面積基板に対して、効
率よくパターン形成できる。また、ガス流路中に加熱ヒータが設けられているため、着弾
された材料パターンに対して急激な加熱や急激な冷却を防ぐことができる。なお、吹きつ
けるガスが吐出ヘッドに当たらないように、斜めから基板の走査方向と同じ方向に吹きつ
けることが好ましい。また、吐出後に処理室内で加熱することによって、トータルの焼成
時間を短縮することもできる。
【0020】
また、トータルの焼成時間を短縮するため、ステージにヒータを設け、被処理基板を加
熱してもよい。
【0021】
液滴吐出法を用いたパターン形成装置においては、吐出ヘッド近傍の雰囲気の温度や湿度
にも敏感であるため、加熱ヒータと吐出ヘッドは一定の間隔を保つことが好ましい。高温
のガスをノズルから吹きつける場合には、ノズルも加熱されてしまい、吐出ヘッド近傍の
雰囲気の温度上昇を招き、目詰まりが生じる恐れがある。また、吐出ヘッドとノズルを一
体化させる場合、吐出ヘッドにノズルの熱が伝導したり、吐出ヘッドの熱がノズルに伝導
したりすることを防ぐため、吐出ヘッドとノズルの間に断熱材を設けることが好ましい。
ノズルのガス流出口は線状とすることが好ましい。
【0022】
また、複雑な気流(処理室内のステージの移動による気流やヘッドの移動による気流)を
制御するため、ブロー手段によって処理室内全体に一定の気流を発生させ、走査方向と同
じ方向に気流を制御することが好ましい。ステージの移動による気流やヘッドの移動によ
る気流を打ち消す一定の気流を処理室内に発生させることによってパターン形成をより安
定にすることができる。
【0023】
また、上記構成において、前記ブロー手段のガス流出口から吹き出されて生じたガス気
流の下流に排気手段が設けられていることを特徴としている。排気手段を設けることで処
理室内の圧力を制御するとともに、処理室内全体に一定の気流を発生させる。
【0024】
また、処理室内全体に一定の気流を発生させるために複数のブロー手段を設けてもよい
し、気流をコントロールするガイドを処理室内に設けてもよい。
【0025】
本明細書で開示する発明の一つの構成は、被処理基板にパターン形成材料を含む液滴を吐
出して選択的にパターンを形成する液滴吐出手段と、吐出された液滴の飛翔軌道を制御す
るブロー手段と、前記液滴吐出手段および前記ブロー手段を制御する制御手段と、を有す
る第1の処理室と、加熱手段を有する第2の処理室と、前記第1の処理室および前記第2
の処理室と連結された搬送室と、を有することを特徴とする半導体装置の製造装置である

【0026】
上記構成において、前記搬送室には複数の第1の処理室と、複数の第2の処理室とが連
結されているマルチチャンバー方式とすることを特徴としている。
【0027】
また、ブロー手段によって処理室内全体に一定の気流を発生させる上でも大型の基板の
一方向(X方向、或いはY方向)のみ走査させる液滴吐出法を用いたパターン形成装置を
複数設けることが好ましく、他の発明の一つの構成は、
被処理基板にパターン形成材料を含む液滴を吐出して被処理基板のX方向にパターンを形
成する第1の液滴吐出手段と、吐出された液滴の飛翔軌道を被処理基板のX方向に制御す
る第1のブロー手段と、前記第1の液滴吐出手段および前記第1のブロー手段を制御する
第1の制御手段と、を有する第1の処理室と、
被処理基板にパターン形成材料を含む液滴を吐出して被処理基板のY方向にパターンを形
成する第2の液滴吐出手段と、吐出された液滴の飛翔軌道を被処理基板のY方向に制御す
る第2のブロー手段と、前記第2の液滴吐出手段および前記第2のブロー手段を制御する
第2の制御手段と、を有する第2の処理室と、
前記第1の処理室および前記第2の処理室と連結された搬送室と、を有することを特徴と
する半導体装置の製造装置である。
【0028】
上記構成において、前記第1の処理室内、前記第1の処理室から前記第2の処理室への
搬送経路、および前記第2の処理室内において、被処理基板の向きは固定することを特徴
としている。液滴吐出法によるパターンが十分乾燥していない状態で大型の基板を回転さ
せてしまうと、基板周縁部においては遠心力がかかり、パターン形状の変形を招く恐れが
あるため、処理および搬送の全てを通じて基板の向きは固定することが好ましい。
【0029】
また、上記構成において、前記液滴吐出手段から吐出された液滴量を測定する測定手段
が設けられていることを特徴としている。液滴量を測定し、吐出条件を制御することによ
って、より精密なパターン形成を行うことができる。
【0030】
また、パターン形成方法も本発明の一つであり、その構成は、
液滴吐出手段により、被処理基板にパターン形成材料を含む液滴を吐出して選択的にパタ
ーンを形成する際、
ブロー手段により、液滴吐出手段から吐出された液滴の飛翔軌道を変化させ、
前記ブロー手段により、液滴吐出した直後にガスを吹きつけて乾燥を行い、
吹き出されたガス流路の一部に設けられた加熱手段により、ガスを加熱し、
加熱されたガス流路の下方領域の加熱焼成を行うことを特徴とするパターン形成方法であ
る。
【0031】
また、ガスによる気流を調節して、吐出ヘッドからの液滴をブロー手段側に引き込んで液
滴の飛翔軌道を変え、パターン形状を制御することができる。本発明のパターン形成方法
の他の構成は、
液滴吐出手段により、被処理基板にパターン形成材料を含む液滴を吐出して選択的にパタ
ーンを形成する際、
液滴を吐出すると同時にブロー手段の流量を増減させて、液滴吐出手段から吐出された液
滴の飛翔軌道を変化させてパターン形状を制御することを特徴とするパターン形成方法で
ある。
【0032】
例えば、線状のパターン描画始点において液だまりが生じるのを防ぐため、ガス流量をゼ
ロから増加させて走査を行えば、余分な液滴は、走査方向に延ばされる。また、走査を行
い、線状のパターン描画終点に向かうにつれてガス流量を減少させてゼロにすると均一の
幅の線状パターンが得られる。即ち、本発明は、吐出ヘッドやステージを移動させるので
はなく、ブロー手段のガス流量増減調節によって液滴の飛翔軌道を変えてパターンの一部
形成を行うものである。
【0033】
また、気流により液滴の飛翔軌道を変えることによって、液滴の飛翔像を撮影することが
可能となり、吐出液滴量を測定しながら吐出を行うことができる。本発明のパターン形成
方法の他の構成は、液滴吐出手段により、被処理基板にパターン形成材料を含む液滴を吐
出して選択的にパターンを形成する際、ブロー手段により液滴吐出手段から吐出された液
滴の飛翔軌道を変化させ、飛翔している(落下している)液滴を撮像して液滴量を測定し
ながら、液滴吐出手段及びブロー手段を調整することを特徴とするパターン形成方法であ
る。
【0034】
なお、液滴量を測定する撮像手段とは、別途にアライメント用の撮像手段を設けておく

【0035】
ヘッド近傍に設けた撮像手段を設ければ、ヘッド側(基板上方)からの液滴の飛翔像を
撮影でき、撮影画像を画像処理し、その画像の大きさから液滴体積を算出することができ
る。従来では、液滴は吐出ヘッドの吐出口から基板に向かって真下に吐出されていたため
、吐出ヘッドに隣接して撮像手段を設けたとしても撮像が困難であった。本発明では、液
滴は吐出ヘッドの吐出口から基板に向かって斜め下に吐出されるため、吐出ヘッドに隣接
して撮像手段を設ければ、飛翔中(落下中)の液滴を上から撮像することが可能である。
【0036】
なお、ブロー手段から放出されるガスとしては、窒素で代表される不活性ガスや、空気
、またはそれらの乾燥ガスを用いる。ブロー手段から放出されるガスの温度は、吐出口で
の温度と比べて加熱ヒータ付近での温度が高くなるようにする。例えば、吐出口でのガス
の温度を室温もしくは100℃未満の一定温度に保ち、ガス流路中に配置された加熱ヒー
タでガスの温度を焼成温度(100℃〜300℃)とすることが好ましい。また、処理室
内には、湿度または温度を制御する制御手段を設けてもよい。
【0037】
また、乾燥しやすいパターン材料液を用いてパターンを形成する場合、急激な乾燥を抑
えるためにブロー手段で低温ガス(0℃〜−50℃)や湿気や溶媒揮発成分を多く含んだ
ガスを吹きつけてもよいし、ガス流路中に冷却素子(ペルチェ素子など)を配置して低温
ガス(0℃〜−50℃)を吹きつけてもよい。圧縮ボンベに収納された不活性ガスは、冷
却しなくとも常温よりも低い温度であるため、そのまま導入することもできる。
【0038】
また、ブロー手段に加えて、基板表面の洗浄および表面改質のための大気圧プラズマ手
段や、UVランプやハロゲンランプ、フラッシュランプなどの光照射手段を処理室内に設
けてもよい。また、吐出前に基板上の微少なゴミを除去するブロー手段や排気手段を処理
室内に設けてもよい。
【0039】
また、パターン形成材料は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、パ
ラジウム(Pd)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、ビスマ
ス(Bi)、鉛(Pb)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、チタン(T
i)、若しくはアルミニウム(Al)、これらからなる合金、これらの分散性ナノ粒子、
又はハロゲン化銀の微粒子を用いることができる。特に低抵抗な銀、銅を用いるとよい。
また、他のパターン形成材料として、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに
2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO、酸化インジウムに2〜20%の酸化
珪素(SiO2)を混合したITSO、有機インジウム、有機スズ、窒化チタン(TiN
)等を用いることもできる。本発明は、枝分かれした形状、T字形、L字形などの配線パ
ターン形成に適している。
【0040】
例えば、有機インジウムと有機スズとがキシロール中に、99:1の比率から90:1
0の比率の範囲内で配合された液状材料を液滴吐出法で基板上に吐出し、加熱することで
ITOからなるパターンが形成できる。
【0041】
本発明では、半導体装置を構成する導電層を液滴吐出法によって形成することができる。
本発明は、インクジェット法を代表とする滴下法により配線パターンを形成することを特
徴としており、代表的には、薄膜トランジスタが有する、ゲート電極、ソース電極、ドレ
イン電極、及びそれら電極に接続される配線のいずれにおいても、インクジェット法を代
表とする滴下法により形成する。
【0042】
なお、滴下法により配線を形成した薄膜トランジスタの構造等は限定されない。すなわ
ち、結晶性半導体膜及び非結晶性半導体膜のいずれを有する薄膜トランジスタであっても
よく、半導体膜より下方にゲート電極が設けられる所謂ボトムゲート型(チャネルエッチ
型やチャネル保護型)、及び半導体膜より上方にゲート電極が設けられる所謂トップゲー
ト型のいずれの構造を有する薄膜トランジスタであってもよい。
【0043】
また、本発明はインクジェット法により、溶媒に導電体(配線を構成する材料)が混入さ
れた組成物(溶媒に導電体が溶解又は分散させた組成物を含む)を吐出して配線を形成し
ている。特に、インクジェット法により配線を形成する場合、該配線をパターニングする
ためのマスクの露光、現像といったフォトリソグラフィー工程、配線パターニングするエ
ッチング工程を省略することができる。
【0044】
また、本発明は、導電材料に特に限定されず、パターン形成材料として、絶縁材料を用
いることもでき、絶縁体パターン形成を行うこともできる。
【0045】
また、パターン形成材料はドット(液滴)状に吐出されたり、ドットが連なった柱状に吐
出されたりする。また組成物がドット状又は柱状に吐出されることを単にドット(液滴)
を滴下するとも表記する。すなわち、複数のドットが連続して吐出されるため、ドットと
して認識されず線状に吐出されることもあるが、合わせて滴下と表記する。
【発明の効果】
【0046】
本発明により、大型の基板に対しても液滴吐出法を用いたパターン形成装置で均一なパ
ターン形成を行うことができるとともに半導体装置の製造におけるタクトタイムを短縮す
ることができる。
【0047】
また、1000mm×1300mm、1000mm×1500mm、1800mm×2
200mm以上とメータを超える第5世代以降のガラス基板から多数のデバイスを作製す
ることができ、デバイスの価格が下がることが期待できる。この場合でも、インクジェッ
ト法を代表とする滴下法を用いることにより、採算を維持できる製造ラインを構築するこ
とができる。それは、インクジェット法を代表とする滴下法により配線等を形成すると、
フォトプロセスの簡略化を行うことができるからである。その結果、フォトマスクが不要
となり、設備投資コストの削減、コストの削減を達成することができる。
【0048】
さらにフォトリソグラフィー工程が不要となるため、製造時間を短縮することができる
。またインクジェット法を代表とする滴下法により形成すると、材料の利用効率が向上し
、コストの削減、廃液処理量の削減が可能となる。このようにインクジェット法を代表と
する滴下法を大面積基板への適用することは非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の製造装置の一例を示す上面図である。(実施の形態1)
【図2】パターン形成処理室の断面図である。(実施の形態1)
【図3】本発明のパターン形成方法を示す図である。(実施の形態2)
【図4】パターン形成処理室の断面図である。(実施の形態3)
【図5】パターン形成処理システムの斜視図である。(実施の形態3)
【図6】薄膜トランジスタの工程断面を示す図である。(実施の形態4)
【図7】薄膜トランジスタおよび画素電極の断面図である。(実施の形態5)
【図8】液晶モジュールの断面図である。(実施の形態6)
【図9】発光装置の等価回路図および上面図である。(実施の形態7)
【図10】発光装置の画素断面図である。(実施の形態7)
【図11】表示パネルの構成の一例を示す上面図を示す図。(実施の形態8)
【図12】電子機器の一例を示す図。(実施の形態9)
【図13】電子機器の一例を示す図。(実施の形態9)
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の実施形態について、以下に説明する。
【0051】
(実施の形態1)
本実施の形態では、ブロー手段を有するインクジェット装置(液滴吐出装置)をマルチチ
ャンバー式の一室とした製造装置について図1を用いて説明する。
【0052】
図1に示す製造装置は、搬送路100に連結される基板ロード室101と、基板ロード
室101に連結される搬送室102と、搬送室102に連結されるパターン形成処理室1
03、104、106と、搬送室102に連結される多段加熱室107、108と、搬送
室102に連結される基板アンロード室109が設けられている。
【0053】
以下に基板処理および基板搬送の流れを示す。なお、ここでは、ゲート配線と、ゲート
配線から枝分かれしているゲート電極のパターンを形成する例を示す。
【0054】
搬送路100から搬送されてきた大型基板は、まず、基板ロード室101に複数枚の基
板が収納可能なカセットごと一緒にセットされる。セットされた大型基板は全て同一方向
に収納されている。
【0055】
そして、搬送室102に設けられた搬送ロボット105により、基板202を基板ロー
ド室101から搬送室102を経由してパターン形成処理室103に導入する。なお、搬
送ロボット105は搬送室102内を自由自在に移動できる。パターン形成処理室103
には液滴吐出手段201とブロー手段210とを示している。
【0056】
また、パターン形成処理室103に導入された基板は、一方向に移動可能なステージに
保持して液滴吐出手段の下方を通過させる。液滴吐出手段の下方を通過させながら、基板
202のX方向に導電材料を含む液滴吐出およびブローを行う。この段階で基板上にX方
向に延びるゲート配線を形成する。ステージは、ブロー手段により形成される気流の方向
214と同じ方向に移動させてパターン形成を行う。ここではステージを移動させる例を
示したが、ステージを固定して、吐出ヘッド及びブロー手段を移動させる装置としてもよ
い。
【0057】
また、ステージに加熱ヒータを内蔵させて、液滴吐出中に基板を加熱し、焼成にかかる
時間短縮を図ってもよい。
【0058】
ここでは一つの処理室103に3つの液滴吐出手段及び3つのブロー手段を設け、複数
の液滴吐出手段の合計幅が基板の幅と同一、もしくは基板の幅よりも広くなるようにして
いるが、特に限定されず、基板の幅もしくは基板の幅よりも広い一つの液滴吐出手段を用
いてもよい。大型の基板になれば、3つ以上の液滴吐出手段を設置することが好ましい。
【0059】
そして、X方向のパターン形成が終了したら、基板の向きを変えずにパターン形成処理
室103から基板搬出、およびパターン形成処理室106への基板導入を行う。パターン
形成処理室106ではY方向のパターンを行う。パターン形成処理室106に導入された
基板は、Y方向に移動可能なステージに保持して液滴吐出手段の下方を通過させる。液滴
吐出手段の下方を通過させながら、基板のY方向に導電材料を含む液滴吐出およびブロー
を行う。この段階で基板上にY方向にゲート電極を形成し、ゲート電極が一体化されたゲ
ート配線が形成される。
【0060】
また、パターン形成処理室103のブロー手段により配線パターンを冷却して乾燥を抑
え、基板の向きを変えずにパターン形成処理室106への基板導入を行い、液滴吐出後、
パターン形成処理室106のブロー手段により一体化された配線パターンを加熱して乾燥
させてもよい。この方法は、乾燥すると重なりにくくなる同一材料を用い、液滴吐出を複
数の処理室で行って、枝分かれ、或いは交差させた配線を形成する場合に有効である。
【0061】
ゲート配線は、ゲート電極よりも幅が広く設計されることが多く、幅が異なれば液滴吐
出手段の条件(吐出量やノズル径など)も異なるため、複数のパターン形成処理室を用い
てゲート電極およびゲート配線を形成することは有用である。また、一方向のみのパター
ン形成処理室とすることで装置構成を単純化することができる。
【0062】
そして、基板の向きを変えずに多段加熱室107に搬入して焼成を行う。多段加熱室1
07では平板ヒータ(代表的にはシースヒータ)を用いて、複数の基板を均一に加熱する
。この平板ヒータは複数設置され、平板ヒータで基板を挟むように両面から加熱すること
もでき、勿論、片面から加熱することもできる。
【0063】
焼成が終了したら、搬送室102を経由して基板アンロード室109に導入する。この
段階で搬送路100を経由して次に行う処理室に搬送可能となる。
【0064】
また、搬送室102には多段加熱室108と、パターン形成処理室104とが連結され
ている。複数のパターン形成処理室を用い、且つ、複数の多段加熱室を用いることでタク
トタイムを短縮することができる。多段加熱室108は多段加熱室107と加熱温度を異
ならせてもよい。また、パターン形成処理室104は基板のX方向に導電材料を含む液滴
吐出およびブローを行うものである。なお、搬送室102に連結する多段加熱室の数とパ
ターン形成処理室の数は、図1に示す構成に特に限定されない。
【0065】
また、図1では、搬送路100に連結されたもう一つのマルチチャンバー式の製造装置
を示している。もう一つのマルチチャンバー式の製造装置も同様の処理を行うことが可能
である。搬送路100に連結される基板ロード室111と、基板ロード室111に連結さ
れる搬送室112と、搬送室112に連結されるパターン形成処理室113、114、1
16と、搬送室112に連結される多段加熱室117、118と、搬送室112に連結さ
れる基板アンロード室119が設けられている。また、搬送室112には搬送ロボット1
15が設けられている。
【0066】
図1に示すように、気流を制御するため、多段加熱室が隣合うようにマルチチャンバー
式の製造装置が並べられており、装置全体の気流が外側に向かうように配置している。パ
ターン形成処理室の気流の下流側に加熱室があると、加熱室による温度上昇の影響を受け
てパターン形成処理室内の気流が変化する恐れがある。
【0067】
なお、図1では基板の向きが分かりやすいように、基板の角を一部切り取った形として
図示している。
【0068】
また、図2にパターン形成処理室103の断面図の一例を示す。なお、図2において図
1と対応する箇所には同じ符号を用いて説明する。
【0069】
図2に示すパターン形成処理室103内には、液滴吐出手段201、ブロー手段210
、基板202を配置するステージ(搬送台)208、CCDカメラ212、221、排気
ダクト205、基板搬入扉203が設けられている。ブロー手段210として、ガス導入
ユニット209およびガスラインおよびブローノズルが設けられ、ブローノズル先端のガ
ス流出口からガスが吹き出される。
【0070】
ここでは、ステージを移動させることによってパターン形成を行う例を示しているので、
液滴吐出手段201、ブロー手段210、CCDカメラ212、221、をX―Y平面内
においては固定させた例を示しているが、特に限定されず、ステージを固定して、液滴吐
出手段201、ブロー手段210、CCDカメラ212、221をX―Y平面内において
移動可能としてもよい。ガスラインおよびブローノズルは可撓性を有する有機樹脂材料を
用いると、移動させることができる。
【0071】
また、CCDカメラ221とブロー手段210とを一体化させ、ブロー手段210と液
滴吐出手段201とを離間させているが、特に限定されず、全て離間させても、全て一体
化させてもよく、共に移動可能としてもよい。
【0072】
そして、ガス導入ユニット209、CCDカメラ212、221、液滴吐出手段201
、ステージ208、排気ユニット211を制御するための中央処理装置215が設けられ
ている。更に中央処理装置をLANケーブル、無線LAN、光ファイバ等で生産管理シス
テム等に接続すれば、工程を外部から一律管理することが可能となり、生産性を向上させ
ることにつながる。
【0073】
パターン形成処理室103の内壁に用いる材料としては、その表面積を小さくすることで
酸素や水等の不純物の吸着性を小さくすることができるので、電解研磨を施して鏡面化さ
せたアルミニウムやステンレス(SUS)等を内部壁面に用いることが好ましい。また、
気孔がきわめて少なくなるように処理されたセラミックス等の材料を内部部材に用いても
よい。なお、これらは、中心線平均粗さが3nm以下となる表面平滑性を有するものが好
ましい。また、気流を制御するため、パターン形成処理室103は外部からの温度影響が
極力抑える構造とすることが好ましい。
【0074】
また、液滴吐出手段201とは、組成物の吐出口を有するノズルや、1つ又は複数のノ
ズルを具備したヘッド220等の液滴を吐出する手段を有するものの総称とする。液滴吐
出手段が具備するノズルの径は、0.02〜100μm(好適には30μm以下)に設定
し、該ノズルから吐出される組成物の吐出量は0.001pl〜100pl(好適には0
.1pl以上40pl以下、より好ましくは10pl以下)に設定する。吐出量は、ノズ
ルの径の大きさに比例して増加する。また、被処理物(例えば基板)とノズルの吐出口と
の距離は、所望の箇所に滴下するために、出来る限り近づけておくことが好ましく、好適
には0.1〜3mm(好適には1mm以下)程度に設定する。
【0075】
本実施の形態では液滴吐出を、圧電素子を用いたいわゆるピエゾ方式で行うが、溶液の材
料によっては、発熱体を発熱させ気泡を生じさせ溶液を押し出す、いわゆるサーマルイン
クジェット方式を用いてもよい。この場合、圧電素子を発熱体に置き換える構造となる。
また液滴吐出のためには、溶液と、液室流路、予備液室、流体抵抗部、加圧室、溶液吐出
口(ノズル、ヘッド)との濡れ性が重要となる。そのため材質との濡れ性を調整するため
の炭素膜、樹脂膜等をそれぞれの流路に形成する。
【0076】
また、図示していないが、液滴吐出手段201には液滴吐出を行う為のノズル駆動電源
とノズルヒータが内蔵され、また液滴吐出手段の位置を調節する為の移動手段を備えてい
る。また図示していないが、温度、湿度、流量、圧力等、種々の物性値を測定する手段を
、必要に応じて設置してもよい。
【0077】
このようなパターン形成処理室103において、基板202を一方向への移動手段を備
えたステージ208に設置する。ステージ208に加熱ヒータを備えてもよい。本実施の
形態では、ステージにより基板をX―Y平面内の任意の箇所に移動させる際、CCDカメ
ラ212により位置制御を行う。
【0078】
また、パターン形成処理室103内は、ガス導入ユニット209および排気ユニット2
11を中央処理装置215で制御して気流の向き214を一定に保つ。パターン形成処理
室内のスペース206における気流の向き214はステージの移動方向と同じ向きとする

【0079】
そして、本実施の形態では、気流の向き214を一定に保ちながら、液滴吐出手段20
1から液滴を滴下する。気流の向き214の影響を受け、液滴の飛翔軌道は、弧を描く。
弧を描いてCCDカメラ221の真下を通過した液滴はCCDカメラ221で撮像され、
中央処理装置215で液滴像から液滴量を算出し、液滴吐出手段201を制御して均一な
液滴量としてパターン形成を行う。また、ブロー手段によって配線パターン213の乾燥
または焼成が行われる。
【0080】
上記の装置構成によって、液滴吐出を行いながら液滴量を均一に保ち、処理室内のスペー
ス206にて液滴の着弾後にパターンの乾燥または焼成を行うことができ、基板上に効率
よく 且つ精度よく微細なパターン形成を行うことができる。
【0081】
また、液滴吐出方式には、溶液を連続して吐出させ連続した線状のパターンを形成するい
わゆるシーケンシャル方式と、溶液をドット状に吐出するいわゆるオンデマンド方式があ
るが、どちらを用いても構わない。
【0082】
(実施の形態2)
本実施の形態では、液滴吐出法を用いて配線パターンを形成する場合、配線の始点と終点
にドットの固まりが形成されることを防止する方法を図3(A)、図3(B)、図3(C
)を用いて示す。
【0083】
本実施の形態では、ブロー手段のガス流量を調節することによって配線の終点にドット
の固まりを防止する例を以下に示す。
【0084】
まず、基板300上には、下地層301を形成(または下地前処理)を全面または選択
的に行うことが好ましい。下地層の形成としては、スプレー法またはスパッタ法によって
光触媒物質(酸化チタン(TiOX)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、セレン
化カドミウム(CdSe)、タンタル酸カリウム(KTaO3)、硫化カドミウム(Cd
S)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb25)、酸化亜鉛(ZnO)、
酸化鉄(Fe23)、酸化タングステン(WO3))を全面に滴下する処理、またはイン
クジェット法やゾルゲル法を用いて有機材料(ポリイミド、アクリル、或いは、シリコン
(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に水素を含む有機基(例え
ばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。また、置換基としてフルオロ基を用いて
もよい。また、置換基として少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよ
い。
【0085】
また、被形成面に対してぬれ性を低める処理を行い、ぬれ性を低める処理を行った面に
対して、選択的にぬれ性を高める処理を行った後に、ぬれ性を高める処理処理を行った面
に滴下法により配線等を形成してもよい。ぬれ性を高める処理処理としては、選択的にフ
ッ素樹脂又はシランカップリング剤を有する膜を形成すればよい。パターン形成材料を含
む組成物の接触角が大きい領域はよりぬれ性が低い領域(以下、低ぬれ性領域ともいう)
となり、接触角が小さい領域はぬれ性の高い領域(以下、高ぬれ性領域ともいう)となる
。接触角が大きいと、流動性を有する液状の組成物は、領域表面上で広がらず、組成物を
はじくので、表面をぬらさないが、接触角が小さいと、表面上で流動性を有する組成物は
広がり、よく表面をぬらすからである。よって、ぬれ性が異なる領域は、表面エネルギー
も異なる。ぬれ性が低い領域における表面の、表面エネルギーは小さく、ぬれ性の高い領
域表面における表面エネルギーは大きい。
【0086】
光触媒物質は、光触媒機能を有する物質を指し、紫外光領域の光(波長400nm以下
、好ましくは380nm以下)を照射し、光触媒活性を生じさせるものである。光触媒物
質上に、インクジェット法で代表される液滴吐出法により、溶媒に混入された導電体を吐
出すると、微細な描画を行うことができる。
【0087】
例えば、TiOXに光照射する前、親油性はあるが、親水性はない、つまり撥水性の状
態にある。光照射を行うことにより、光触媒活性が起こり、親水性にかわり、逆に親油性
がない状態となる。なお光照射時間により、親水性と親油性を共に有する状態にもなりう
る。
【0088】
更に光触媒物質へ遷移金属(Pd、Pt、Cr、Ni、V、Mn、Fe、Ce、Mo、
W等)をドーピングすることにより、光触媒活性を向上させたり、可視光領域(波長40
0nm〜800nm)の光により光触媒活性を起こすことができる。このように光の波長
は光触媒物質によって決定することができるため、光照射とは光触媒物質の光触媒活性化
させる波長の光を照射することを指す。
【0089】
図3(A)では、基板300が設置されたステージまたは液滴吐出手段303を相対的
に移動させながらパターン304の形成を行っている途中を示しており、ブロー手段30
2によって液滴の飛翔軌道は、着弾する手前で弧を描いている様子が示されている。
【0090】
図3(B)は、基板300が設置されたステージおよび液滴吐出手段を固定し、図3(
A)よりもブロー手段からのガス流量を減少させており、液滴の飛翔軌道が変化している
様子が示されている。
【0091】
図3(C)は、基板300が設置されたステージおよび液滴吐出手段を固定し、且つ、
ブロー手段からのガス流量をゼロとしており、液滴が自由落下により真下に滴下されてい
る様子が示されている。
【0092】
このように、配線の終点付近において、ブロー手段からのガス流量を徐々に減少させる
ことによって、ステージおよび液滴吐出手段を固定したままパターン形成を行うことがで
きる。また、ブロー手段からのガス流量をゼロにした時に液滴吐出も停止すれば、配線の
終点にドットの固まり、即ち、多数の液滴が終点の一箇所に滴下され比較的大きなサイズ
のパターンが形成されることを防止することもできる。
【0093】
また、配線の始点においては、ブロー手段からのガス流量を徐々に増加させることによ
って、ステージおよび液滴吐出手段を固定したままパターン形成を行うことができる。ガ
ス流量を徐々に増加させることによって、また、配線の始点にドットの固まりが形成され
ることを防止することもできる。
【0094】
また、配線の始点において、液滴吐出を行ないながらガス流量を減少させてブロー手段
からのガス流量をゼロになった時に、ステージまたは液滴吐出手段を移動させて液滴吐出
を行ってパターン形成を行ってもよい。この場合、配線の始点または終点付近以外は、ブ
ロー手段からのガス流量をゼロのまま、パターン形成を行うこととなる。
【0095】
また、本実施の形態は実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0096】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1に示した図2の構成に加え、パターン形成処理室10
3内に加熱手段を設けた例を図4に示す。なお、図4において図2と対応する箇所には同
じ符号を用いて説明する。また、図2と同一の部分は簡略化のため、ここでは詳細な説明
を省略することとする。
【0097】
ブロー手段により高温に加熱したガスを吹きつけようとすると、液滴吐出手段201に
影響を与え、吐出が不安定になる恐れがある。また、ガスラインおよびブローノズルとし
て、可撓性を有する有機樹脂材料を用いると、高温に加熱したガスを吹きつけることは困
難となる。そこで、ブロー手段により形成される気流の下流位置に液滴吐出手段から間隔
を離して加熱手段を配置する。
【0098】
加熱手段として、発熱電源ユニット400およびリード線およびニクロム線などの抵抗発
熱体401を用いている。また、発熱電源ユニット400も中央処理装置215で制御を
行うことが好ましい。なお、抵抗発熱体401は、糸状、ワイヤ状、コイル状、棒状、ま
たは面状であってもよい。また、抵抗発熱体401は、セラミック材質、例えばシリコン
カーバイド(SiC)、クロム酸ランタン(LaCrO3)、二酸化ジルコン(ZrO2
、またはこれらのセラミック材質に金属粉末を混合した材料を用いてもよい。
【0099】
また、加熱手段は、抵抗発熱体に限定されず、ゼーベック効果やトムソン効果を用いた
熱電変換素子を用いてもよい。
【0100】
加熱手段により、ブロー手段から吹き出された気体を加熱することによって配線パター
ン213の乾燥または焼成が行われる。着弾後に一定の時間を保って仮焼成を行い、最初
に吐出してパターン形成した箇所と、最後に吐出してパターン形成した箇所とで大気に曝
される時間差が大きくなっても均一なパターン形成を得ることができる。また、ガス流路
中に加熱ヒータが設けられているため、着弾された材料パターンに対して急激な加熱を防
ぐことができる。また、吐出後に処理室内で加熱することによって、トータルの焼成時間
を短縮することもできる。
【0101】
また、大型の基板にパターン形成可能な装置システムの斜視図の一例を図5に示す。
【0102】
図5において、大型の基板500上において、1つのパネルが形成される領域530を点
線で示す。
【0103】
図5には、配線等のパターンの形成に用いる液滴吐出装置の一態様を示す。液滴吐出手
段は、ヘッドを有し、ヘッドは複数のノズル503を有する。本実施の形態では、多数の
ノズルが設けられたヘッドを一つ有する場合で説明するが、ノズルの数や、ヘッドの数は
処理面積や工程等により設定することができる。
【0104】
ヘッドの幅は、大型マザーガラスから複数のパネルを形成する場合、ヘッドの幅は1つの
パネルの幅と同程度とすると好ましい。1つのパネルが形成される領域530に対して一
回の走査でパターン形成することができ、高いスループットが期待できるからである。
【0105】
ヘッドは、吐出制御手段507に接続され、吐出制御手段をコンピュータ510により制
御することにより、予め設定されたパターンを描画することができる。描画するタイミン
グは、例えば、ステージ531上に固定された基板500等に形成されたマーカーを基準
点として決定すればよい。また、基板500の縁を基準点として行ってもよい。これら基
準点をCCDなどの撮像手段504で検出し、画像処理手段509にてデジタル信号に変
換させる。デジタル変化された信号をコンピュータ510で認識して、制御信号を発生さ
せて吐出制御手段507に送る。このようにパターンを描画するとき、パターン形成面と
、ノズルの先端との間隔は、0.1cm〜5cm、好ましくは0.1cm〜2cm、さら
に好ましくは0.1mm前後とするとよい。このように間隔を短くすることにより、液滴
の着弾精度が向上する。
【0106】
このとき、基板500上に形成されるパターンの情報は記憶媒体508に格納されており
、この情報を基にして吐出制御手段507に制御信号を送り、ノズルを個別に制御するこ
とができる。
【0107】
また、ブロー手段513が設けられており、ガスを基板に吹きつけることによって点線
で示す矢印の方向に気流を形成する。気流の方向とステージの移動方向を同じにすること
が好ましい。ブロー手段513もブロー制御手段511に接続され、ブロー制御手段もコ
ンピュータ510により制御する。
【0108】
また、加熱手段(ヒーター)502が設けられており、吹きつけているガスを加熱して
パターンの乾燥を行う。加熱手段502も加熱制御手段506に接続され、加熱制御手段
もコンピュータ510により制御する。
【0109】
また、加熱手段502に代えて冷却手段を設けてもよい。冷却手段およびブロー手段に
より配線パターンを冷却して乾燥を抑えることができる。冷却手段としてはペルチェ効果
を利用した熱電変換素子を用いればよい。また、ガス流路中に冷却手段を設けるため、着
弾された材料パターンに対して急激な冷却を防ぐことができる。
【0110】
また、本実施の形態は実施の形態1または実施の形態2と自由に組み合わせることがで
きる。
【0111】
(実施の形態4)
本実施の形態では、薄膜トランジスタの作製方法の一例について説明する。
【0112】
まず、図6(A)に示すように、絶縁表面を有する基板600を用意する。基板600に
は、例えばバリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、
石英基板、ステンレス基板等を用いることができる。また、ポリエチレン-テレフタレー
ト(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES
)に代表されるプラスチックや、アクリル等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板は、
一般的に他の基板と比較して耐熱温度が低い傾向にあるが、作製工程における処理温度に
耐え得るのであれば用いることが可能である。特に、半導体膜を結晶化するための加熱工
程を要しない非晶質半導体膜を有する薄膜トランジスタを形成する場合、可撓性を有する
合成樹脂からなる基板を用いやすい。
【0113】
次いで、基板600上に必要に応じて下地膜を形成する。下地膜は基板600中に含まれ
るNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が、半導体膜中に拡散し、半導体素子の特
性に悪影響を及ぼすのを防ぐためと、平坦性向上のために設ける。よってアルカリ金属や
アルカリ土類金属の半導体膜への拡散を抑えることができる酸化珪素、窒化珪素、窒化酸
化珪素、酸化チタン、窒化チタンなどの絶縁膜を用いて下地膜を形成することができる。
また、チタン等の導電膜を用いて下地膜を形成することもできる。この場合、導電膜は、
作製工程における加熱処理等により、酸化されることがある。特に、下地膜の材料は、ゲ
ート電極材料と密着性の高いものを選択するとよい。例えば、ゲート電極にAgを用いる
場合、酸化チタン(TiOx)からなる下地膜を形成すると好ましい。なお下地膜は単層
構造又は積層構造を有してもよい。
【0114】
また、下地膜は、不純物が半導体膜へ拡散することが防止できれば、必ずしも設ける必要
はない。そのため本実施の形態のように、ゲート電極上にゲート絶縁膜を介して半導体膜
を形成する場合、ゲート絶縁膜が半導体膜へ不純物の拡散を防止する機能を果たすことが
できるため、下地膜を設ける必要は特にない。
【0115】
また、基板材料により下地膜を設けると好ましい場合がある。ガラス基板、ステンレス基
板またはプラスチック基板のように、アルカリ金属やアルカリ土類金属が多少なりとも含
まれている基板を用いる場合、不純物の拡散を防ぐという観点から下地膜を設けることは
有効である。一方、石英基板など不純物の拡散がさして問題とならない場合は、必ずしも
下地膜を設ける必要はない。
【0116】
次いで、インクジェット法を用いた図1および図2に示す製造装置によって、溶媒中に導
電体が混入したドットを滴下して、ブロー手段によりガスを吹きつけてゲート電極603
およびゲート配線として機能する導電パターンを形成する。(図6(A))本実施の形態
では、X方向のパターンとY方向のパターンを異なるパターン形成処理室で行うことで生
産性を向上させている。ゲート配線から枝分かれしたゲート電極は、異なるパターン形成
処理室で行い、一つのパターンにする。本実施の形態では、テトラデカンの溶媒中に銀(
Ag)の導電体が分散しているドットを滴下する。
【0117】
次いで、ドットの溶媒を除去する必要があるとき、焼成したり、乾燥させるため加熱処
理を施す。具体的には、所定の温度、例えば、200℃〜300℃で加熱すればよく、好
ましくは酸素を有する雰囲気で加熱処理を行う。このときゲート電極表面に凹凸が生じな
いように加熱温度を設定する。本実施の形態のように銀(Ag)を有するドットを用いる
場合、酸素及び窒素を有する雰囲気で加熱処理を行うと、溶媒中に含まれる接着剤等の熱
硬化性樹脂などの有機物が分解されるため、有機物を含まない銀(Ag)を得ることがで
きる。その結果、ゲート電極表面の平坦性を高め、比抵抗値を低くすることができる。
【0118】
また、本実施の形態では、ブロー手段によりガスを吹きつけるため、後の加熱処理に要
する時間を短縮することができる。
【0119】
次いで、ゲート電極を覆ってゲート絶縁膜604として機能する絶縁膜を形成する。絶
縁膜は積層構造又は単層構造を有することができる。絶縁膜として、プラズマCVD法に
より酸化珪素、窒化珪素又は窒化酸化珪素等の絶縁体を形成することができる。なお、イ
ンクジェット法により絶縁膜の材料が混入されたドットを吐出してゲート絶縁膜を形成し
てもよい。本実施の形態のように、銀(Ag)をゲート電極として用いる場合、ゲート電
極を覆う絶縁膜には窒化珪素膜を用いると好ましい。酸素を有する絶縁膜を用いると、銀
(Ag)と反応し、酸化銀が形成されゲート電極表面が荒れる恐れがあるからである。
【0120】
次いで、ゲート絶縁膜上に、半導体膜605を形成する。半導体膜は、プラズマCVD
法、スパッタリング法、インクジェット法等により形成することができる。半導体膜の膜
厚は25〜200nm(好ましくは30〜60nm)とする。また半導体膜の材料は珪素
だけではなくシリコンゲルマニウムも用いることができる。シリコンゲルマニウムを用い
る場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好まし
い。また、半導体膜は、非晶質半導体、非晶質半導体の中に結晶粒が分散するように存在
しているセミアモルファス半導体、及び非晶質半導体中に0.5nm〜20nmの結晶粒
を観察することができる微結晶半導体、から選ばれたいずれの状態を有してもよい。特に
、0.5nm〜20nmの結晶を粒観察することができる微結晶状態は所謂マイクロクリ
スタル(μc)と呼ばれている。
【0121】
セミアモルファス半導体の材料としてシリコンを用いたセミアモルファスシリコン(SA
Sとも表記する)は、珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代
表的な珪化物気体としては、SiH4であり、その他にもSi26、SiH2Cl2、Si
HCl3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。珪化物気体を水素、水素とヘ
リウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希
釈して用いることによりSASの形成を容易なものとすることができる。このとき希釈率
が10倍〜1000倍の範囲となるように、珪化物気体を希釈すると好ましい。またSi
26及びGeF4を用い、ヘリウムガスで希釈する方法を用いてSASを形成することが
できる。グロー放電分解による被膜の反応生成は減圧下で行うと好ましく、圧力は概略0
.1Pa〜133Paの範囲で行えばよい。グロー放電を形成するための電力は1MHz
〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzの高周波電力を供給すればよい。基
板加熱温度は300度以下が好ましく、100〜250度の基板加熱温度が推奨される。
【0122】
本実施の形態では、プラズマCVD法を用いて、珪素を主成分とする非晶質半導体膜(非
晶質珪素膜、アモルファスシリコンとも表記する)を形成する。
【0123】
次いで、一導電型を有する半導体膜を形成する。一導電型を有する半導体膜は、プラズ
マCVD法、スパッタリング法、インクジェット法等を用いて形成することができる。な
お一導電型を有する半導体膜を設ける場合、半導体膜と電極とのコンタクト抵抗が低くな
り好ましいが、必要に応じて設ければよい。本実施の形態では、プラズマCVD法を用い
てN型を有する半導体膜606を形成する。(図6(B))このように半導体とN型を有
する半導体膜をプラズマCVD法により形成する場合、半導体膜605と、N型を有する
半導体膜606、更にはゲート絶縁膜を連続形成すると好ましく、原料ガスの供給を変化
させることにより大気開放せず、連続形成することができる。
【0124】
次いで、図6(C)に示すように、半導体膜605及びN型を有する半導体膜606を所
望の形状にパターニングする。図示しないが所望箇所にマスクを形成し、マスクを用いて
エッチングすればよい。マスクは、材料の利用効率が向上し、コストの削減、廃液処理量
の削減が可能となるためインクジェット法を用いて形成すると好ましいが、フォトリソグ
ラフィー法により形成してもよい。更にインクジェット法によりマスクを形成すると、フ
ォトリソグラフィー工程の簡略化を行うことができる。すなわち、フォトマスク形成、露
光等が不要となり、設備投資コストの削減を達成でき、製造時間を短縮することができる

【0125】
また、マスク材料として、無機材料(酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン
など)、感光性または非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイ
ミドアミド、ポリビニルアルコール、レジストまたはベンゾシクロブテン)を用いること
ができる。例えばポリイミドを用いてインクジェット法によりマスクを形成する場合、所
望箇所にインクジェット法によりポリイミドを吐出した後、焼成するため150〜300
℃で加熱処理を行うとよい。
【0126】
次いで、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜を形成する。導電膜は、単層
構造及び積層構造のいずれを有してもよい。導電膜として、金、銀、銅、アルミニウム、
チタン、モリブデン、タングステンもしくはシリコンの元素からなる膜又はこれらの元素
を用いた合金膜を用いることができる。また導電膜はインクジェット法、CVD法及びス
パッタリング法のいずれかを用いて形成することができる。
【0127】
本実施の形態では、インクジェット法により銀(Ag)が混入されたドットを用いてソ
ース電極及びドレイン電極608を形成する。(図6(D))具体的には、ゲート電極の
形成と同様に行えばよい。プラズマ処理を行った領域にドットを滴下するため、インクジ
ェット法により形成されたソース電極及びドレイン電極を微細化することができる。
【0128】
次いで、ソース電極及びドレイン電極608をマスクとして、N型を有する半導体膜を選
択的にエッチングする。N型を有する半導体膜により、ソース電極とドレイン電極とが短
絡することを防止するためである。このとき、半導体膜605の上層が多少エッチングさ
れる。
【0129】
次いで、無機絶縁膜からなる保護膜613を形成する。(図6(E))保護膜613は、
酸化珪素や、窒化珪素、窒化酸化珪素などの絶縁膜をインクジェット法、プラズマCVD
法、スパッタリング法等により形成する。
【0130】
以上のように、ソース電極及びドレイン電極まで設けられた薄膜トランジスタ620が完
成する。本実施の形態の薄膜トランジスタは、半導体膜より下方にゲート電極が設けられ
る、所謂ボトムゲート型の薄膜トランジスタである。より詳細には、半導体膜が多少エッ
チングされている、所謂チャネルエッチ型である。このような薄膜トランジスタが複数設
けられた基板をTFT基板と表記する。
【0131】
インクジェット法により配線やマスク等を形成すると、材料の利用効率が向上し、コス
トの削減、廃液処理量の削減が可能となる。特にインクジェット法によりマスクを形成す
ると、フォトリソグラフィー工程と比較して工程の簡略化を行うことができる。その結果
、設備投資コストの削減、コストの削減、製造時間を短縮することができる。
【0132】
また、本実施の形態は実施の形態1、実施の形態2、または実施の形態3と自由に組み
合わせることができる。
【0133】
(実施の形態5)
本実施の形態では、薄膜トランジスタに接続する画素電極の形成方法について説明する。
なお、図7において図6と対応する箇所には同じ符号を用いて説明する。
【0134】
図7(A)に示すように、上記実施の形態4に基づき絶縁表面を有する基板600上に保
護膜613を有する薄膜トランジスタ(TFT)620を形成する。本実施の形態は、実
施の形態4に記載のTFTを用いて説明するが、他のTFT構造を用いても構わない。ま
た、ソース電極またはドレイン電極と接続するように、該電極の下方に画素電極となる電
極625を形成する場合を説明する。
【0135】
まず、ゲート絶縁膜形成後、半導体膜及びN型を有する半導体膜をパターニングし、ソー
ス電極又はドレイン電極を形成する領域に画素電極を形成する。画素電極は、スパッタリ
ング法やインクジェット法により形成することができる。画素電極は透光性又は非透光性
を有する材料から形成する。例えば、透光性を有する場合、ITO等を用いることができ
、非透光性を有する場合、金属膜を用いることができる。具体的な画素電極の材料として
、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を
混合したIZO、酸化インジウムに2〜20%の酸化珪素(SiO2)を混合したITO
−SiOx(便宜上ITSOと表記する)、有機インジウム、有機スズ、窒化チタン(T
iN)等を用いることもできる。
【0136】
図7(A)では、画素電極となる電極625としてインクジェット法を用いてITOの導
電体が分散しているドットを滴下する。その後、ドットの溶媒を除去する必要があるとき
、焼成したり、乾燥させるため加熱処理を施す。
【0137】
図7(B)には、図7(A)と異なり、ソース電極又はドレイン電極の上に画素電極62
7を形成する場合を図示している。画素電極627は、上記と同様にスパッタリング法や
インクジェット法により形成することができる。
【0138】
図7(C)には、図7(A)および図7(B)と異なり、層間絶縁膜621を形成して平
坦化した後に、配線623を形成し、配線623と画素電極628とを接続する。
【0139】
層間絶縁膜621には、無機材料(酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンなど
)、感光性又は非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドア
ミド、レジスト又はベンゾシクロブテン)、シロキサン、ポリシラザン、及びそれらの積
層構造を用いることができる。有機材料として、ポジ型感光性有機樹脂又はネガ型感光性
有機樹脂を用いることができる。中でも、層間絶縁膜621としてシロキサンを用いると
よい。さらにシロキサンの層間絶縁膜上に窒素を有する絶縁膜、例えば窒化珪素、又は酸
化窒化珪素を形成するとよい。このような構成を有する発光素子を形成すると、発光輝度
や寿命を向上することができる。また層間絶縁膜621にアクリルやポリイミドを用いる
場合、窒素を有する絶縁膜626は省略することができる。このような構成を有する場合
、液晶素子を形成するとよい。
【0140】
また、配線623および画素電極628は、上記と同様にスパッタリング法やインクジェ
ット法により形成することができる。
【0141】
図7(C)では、画素電極628としてITSOを用いる。ITSOは、インクジェッ
ト法を用いてITOの導電膜と珪素が分散しているドットを滴下して形成することができ
る。または、珪素を有するITOのターゲットを用いたスパッタリング法により形成する
ことができる。
【0142】
画素電極まで設けられた状態のTFT基板をモジュール用TFT基板と表記する。
【0143】
また、本実施の形態は実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、または実施の形態
4と自由に組み合わせることができる。
【0144】
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態4または実施の形態5で示した薄膜トランジスタを有す
る液晶モジュールを有する表示装置(液晶表示装置)について、図8を用いて説明する。
なお、図8において図6、または図7と対応する箇所には同じ符号を用いて説明する。
【0145】
図8には、上記実施の形態5で示したようなTFT基板に形成された薄膜トランジスタ
620と、画素電極となる電極625とを有する液晶表示装置の断面を示す。まず、上記
実施の形態5に従って、画素電極となる電極625を有する薄膜トランジスタ620を形
成する。画素電極となる電極625に透光性を有する導電膜(例えば、ITOやITSO
)を用いると透過型液晶表示装置となり、非透過性、つまり反射性の高い導電膜(例えア
ルミニウム)を用いると反射型液晶表示装置を形成することができる。本実施の形態のよ
うに液晶表示装置に用いられるモジュール用TFT基板を、液晶モジュール用TFT基板
と表記する。
【0146】
次いで、薄膜トランジスタ620、保護膜、画素電極となる電極625を覆うように、
配向膜631を形成する。
【0147】
次いで、基板600と対向基板635とを、シール材を用いて張り合わせ、その間に液晶
を注入して液晶層636を形成し、液晶モジュールを形成する。
【0148】
また、対向基板635には、カラーフィルター634、対向電極633、配向膜631を
順に形成する。カラーフィルター、対向電極、又は配向膜はインクジェット法により形成
することができる。図示していないが、ブラックマトリクスを形成してもよく、ブラック
マトリクスもインクジェット法により形成することができる。
【0149】
また、液晶の注入を行う場合、真空状態となる処理室が必要となる。液晶は、滴下して形
成してもよく、液晶を滴下する手段にインクジェット法を用いてもよい。特に大型の基板
の場合、滴下して液晶を形成すると好ましい。液晶注入法を用いると、大型の基板になる
につれ処理室が拡大し、基板の重量が重くなり、困難をきたすためである。
【0150】
液晶を滴下する方法を用いる場合、まず一方の基板の周囲へシール材を形成する。一方の
基板と記載するのは、基板600及び対向基板635のいずれにシール材を形成してもよ
いからである。このとき、シール材の始点と終点が一致した、閉じられた領域にシール材
を形成する。その後、一滴又は複数滴の液晶を滴下する。大型基板の場合、複数箇所に、
複数滴の液晶を滴下する。そして減圧状態とし、他方の基板と張り合わせる。減圧状態と
すると、不要な空気を取り除くことができ、空気に起因するシール材の破損や膨張を防止
することができるからである。
【0151】
そして、仮止めを行うためにシール材が形成された領域の2点以上を固化し、接着させる
。シール材に紫外線硬化樹脂を用いる場合、シール材が形成された領域の2点以上に紫外
線を照射すればよい。その後、処理室から基板を取り出し、本止めを行うため、シール材
全体を固化し、接着させる。このとき、薄膜トランジスタや液晶に紫外線が照射されない
ように遮光材を配置するとよい。
【0152】
なお、基板間のギャップを保持するため、シール材以外に、柱状又は球状のスペーサを用
いるとよい。
【0153】
このようにして図8に示す液晶モジュールが完成する。
【0154】
その後、異方性導電膜を用いてFPC(フレキシブルプリントサーキット)を接着して外
部端子と、信号線駆動回路又は走査線駆動回路とを接続すればよい。また信号線駆動回路
又は走査線駆動回路を外部回路として形成してもよい。
【0155】
ここまでの段階で、液滴吐出法で形成した配線を有する薄膜トランジスタを具備し、外部
端子が接続された液晶表示装置を形成することができる。
【0156】
また、本実施の形態は実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4、ま
たは実施の形態5と自由に組み合わせることができる。
【0157】
本実施の形態においては実施の形態5の図7(A)に示す構造を用いて説明したが、実施
の形態5の図7(C)に示す構造とし、層間絶縁膜を形成して平坦性を高めてもよい。平
坦性を高めると、配向膜を均一に形成することができ、液晶層へ均一に電圧を印加するこ
とができるため好ましい。
【0158】
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態4または実施の形態5で示した薄膜トランジスタを有する
発光モジュールを有する表示装置(発光装置)について、図9および図10を用いて説明
する。なお、図10において図6、または図7と対応する箇所には同じ符号を用いて説明
する。
【0159】
図10には、上記実施の形態5で示したようなTFT基板に形成された薄膜トランジスタ
620と、第1電極625とを有する発光装置の断面を示す。まず、上記実施の形態5に
従って、第1電極625を有する薄膜トランジスタ620を形成する。なお、第1電極6
25は、発光素子の第1の電極として機能する。
【0160】
次いで、土手又は隔壁として機能する絶縁膜643を選択的に形成する。絶縁膜643は
、第1電極625の周縁部を覆うように形成し、互いに隣り合う第1電極間を埋める。絶
縁膜643には、無機材料(酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンなど)、感
光性又は非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、
レジスト又はベンゾシクロブテン)、シロキサン、ポリシラザン、及びそれらの積層構造
を用いることができる。有機材料として、ポジ型感光性有機樹脂又はネガ型感光性有機樹
脂を用いることができる。例えば、有機材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合
、露光処理により感光性有機樹脂をエッチングすると上端部に曲率を有する開口部を形成
することができる。そのため、後に形成する電界発光層等の段切れを防止することができ
る。この状態のTFT基板を発光モジュール用TFT基板と表記する。
【0161】
第1電極上に設けられた絶縁膜643の開口部に、電界発光層641を形成する。電界発
光層を形成する前に真空加熱処理を行ってもよい。本実施の形態では、真空加熱処理を行
い、インクジェット法により高分子材料を有する電界発光層を絶縁膜643の開口部に対
して形成する。
【0162】
次いで、電界発光層641及び絶縁膜643を覆うように発光素子の第2の電極642を
形成する。
【0163】
なお、電界発光層641を構成する分子励起子の種類としては一重項励起状態と三重項励
起状態が可能である。基底状態は通常一重項状態であり、一重項励起状態からの発光は蛍
光と呼ばれる。また、三重項励起状態からの発光は燐光と呼ばれる。電界発光層からの発
光とは、どちらの励起状態が寄与する場合も含まれる。更には、蛍光と燐光を組み合わせ
て用いてもよく、各RGBの発光特性(発光輝度や寿命等)により蛍光及び燐光のいずれ
かを選択することができる。
【0164】
電界発光層641は、第1の電極となる電極625側から順に、HIL(ホール注入層)
、HTL(ホール輸送層)、EML(発光層)、ETL(電子輸送層)、EIL(電子注
入層)の順に積層されている。なお電界発光層は、積層構造以外に単層構造、又は混合構
造をとることができる。
【0165】
また、電界発光層641として、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料
を、それぞれ蒸着マスクを用いた蒸着法等によって選択的に形成する。赤色(R)、緑色
(G)、青色(B)の発光を示す材料はインクジェット法により形成することもでき、こ
の場合マスクを用いずとも、RGBの塗り分けを行うことができるため好ましい。
【0166】
具体的には、HILとしてCuPcやPEDOT、HTLとしてα−NPD、ETLとし
てBCPやAlq3、EILとしてBCP:LiやCaF2をそれぞれ用いる。また例えば
EMLは、R、G、Bのそれぞれの発光色に対応したドーパント(Rの場合DCM等、G
の場合DMQD等)をドープしたAlq3を用いればよい。
【0167】
また、電界発光層641は上記材料に限定されない。例えば、CuPcやPEDOTの代
わりに酸化モリブデン(MoOx:x=2〜3)等の酸化物とα−NPDやルブレンを共
蒸着して膜を形成し、ホール注入性を向上させることもできる。また電界発光層の材料は
、有機材料(低分子又は高分子を含む)、又は有機材料と無機材料の複合材料として用い
ることができる。
【0168】
以上、各RGBの発光を示す材料を形成する場合を説明したが、単色の発光を示す材料を
形成し、カラーフィルターや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うこ
とができる。例えば、白色又は橙色の発光を示す電界発光層を形成する場合、カラーフィ
ルター、又はカラーフィルター、色変換層、カラーフィルターと色変換層とを組み合わせ
たものを別途設けることによってフルカラー表示ができる。カラーフィルターや色変換層
は、例えば第2の基板(封止基板)に形成し、基板へ貼り合わせればよい。単色の発光を
示す材料、カラーフィルター、及び色変換層のいずれもインクジェット法により形成する
ことができる。
【0169】
また、フルカラー表示に限定されず、単色発光の表示を行ってもよい。例えば、単色発光
を用いてエリアカラータイプの表示装置を形成し、主に文字や記号を表示してもよい。
【0170】
また、第1の電極となる電極625及び第2の電極642は仕事関数を考慮して材料を選
択する必要がある。そして第1の電極及び第2の電極は、画素構成によりいずれも陽極、
又は陰極となりうる。本実施の形態では、駆動用TFTの極性がNチャネル型であるため
、第1の電極を陰極、第2の電極を陽極とすると好ましい。また駆動用TFTの極性がp
チャネル型である場合、第1の電極を陽極、第2の電極を陰極とするとよい。
【0171】
以下に、陽極及び陰極に用いる電極材料について説明する。
【0172】
陽極として用いる電極材料としては、仕事関数の大きい(仕事関数4.0eV以上)金属
、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体例な
材料としては、ITO、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したI
ZO、酸化インジウムに2〜20%の酸化珪素(SiO2)を混合したITSO、金、白
金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、又
は金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン等)を用いることができる。
【0173】
また、陰極として用いる電極材料としては、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以
下)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いることが好ましい。
具体的な材料としては、元素周期律の1族又は2族に属する元素、すなわちリチウムやセ
シウム等のアルカリ金属、及びマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ
土類金属、及びこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li)や化合物(LiF、CsF
、CaF2)の他、希土類金属を含む遷移金属を用いて形成することができる。
【0174】
これら第1の電極及び第2の電極は蒸着法、スパッタリング法、又はインクジェット法等
により形成することができる。
【0175】
特に第2の電極としてスパッタリング法による導電膜、ITO若しくはITSO、又はそ
れらの積層体を形成する場合、スパッタリング時、電界発光層にダメージが入る恐れがあ
る。スパッタリングによるダメージを低減するため、酸化モリブデン(MoOx:x=2
〜3)等の酸化物が電界発光層の最上面に形成されると好ましい。そのため、HIL等と
して機能する酸化モリブデン(MoOx:x=2〜3)等の酸化物を電界発光層の最上面
に形成し、第1の電極側から順に、EIL(電子注入層)、ETL(電子輸送層)、EM
L(発光層)、HTL(ホール輸送層)、HIL(ホール注入層)、第2の電極の順に積
層するとよい。このとき第1の電極は陰極として機能し、第2の電極は陽極として機能す
る。
【0176】
また、本実施の形態では、駆動用TFTの極性がNチャネル型であるため、電子の移動
方向を考慮すると、第1の電極を陰極、EIL(電子注入層)、ETL(電子輸送層)、
EML(発光層)、HTL(ホール輸送層)、HIL(ホール注入層)、第2の電極を陽
極とすると好ましい。
【0177】
次いで、第2の電極を覆って、窒素を含むパッシベーション膜又はDLC等をスパッタ
リング法やCVD法により形成するとよい。その結果、水分や酸素の侵入を防止すること
ができる。また、第1の電極、第2の電極、その他の電極により、表示手段の側面を覆っ
て酸素や水分の侵入を防ぐこともできる。次いで、封止基板を貼り合わせる。封止基板に
より形成される空間には、不活性ガスを封入したり、乾燥剤を配置してもよい。また透光
性を有し、吸水性の高い樹脂を充填してもよい。
【0178】
このようにして図10に示す発光モジュールが完成する。
【0179】
なお、発光モジュールにおいて、第1の電極及び第2の電極が透光性を有するように形成
すると、信号線から入力されるビデオ信号に応じた輝度で電界発光層から光が両矢印方向
645、646に出射する。また第1の電極が透光性を有し、第2の電極が非透光性を有
するように形成すると、矢印方向646のみに射出する。また第1の電極が非透光性を有
し、第2の電極が透光性を有するように形成すると、矢印方向645のみに射出する。こ
のとき、光の出射方向とならない側に設けられた非透光性の電極に、反射性の高い導電膜
を用いることにより光を有効利用することができる。
【0180】
次いで、異方性導電膜を用いてFPCを接着して外部端子と、信号線駆動回路又は走査線
駆動回路とを接続すればよい。また信号線駆動回路又は走査線駆動回路を外部回路として
形成してもよい。
【0181】
ここまでの段階で、液滴吐出法で形成した配線を有する薄膜トランジスタを具備し、外部
端子が接続された発光装置を形成することができる。
【0182】
図9(A)には、発光装置の画素部の等価回路図の一例を示す。一画素は、スイッチング
用のTFT(スイッチ用TFT)800、駆動用のTFT(駆動用TFT)801、電流
制御用のTFT(電流制御用TFT)802を有し、これらTFTはNチャネル型を有す
る。スイッチング用TFT800の一方の電極及びゲート電極は、それぞれ信号線803
及び走査線805に接続されている。電流制御用TFT802の一方の電極は第1の電源
線804に接続され、ゲート電極はスイッチング用TFTの他方の電極に接続されている

【0183】
容量素子808は、電流制御用TFTのゲートとソース間の電圧を保持するように設けれ
ばよい。本実施の形態において、例えば第1の電源線の電位を低電位とし、発光素子を高
電位とすると、電流制御用TFTはNチャネル型を有するため、ソース電極と第1の電源
線とが接続する。そのため、容量素子は電流制御用TFTのゲート電極と、ソース電極、
つまり第1の電源線との間に設けることができる。なお、スイッチング用TFT、駆動用
TFT、又は電流制御用TFTのゲート容量が大きく、各TFTからのリーク電流が許容
範囲である場合、容量素子808は設ける必要はない。
【0184】
駆動用TFT801の一方の電極は、電流制御用TFTの他方の電極に接続され、ゲート
電極は第2の電源線806に接続されている。第2の電源線806は、固定電位を有する
。そのため、駆動用TFTのゲート電位を固定電位とすることができ、寄生容量や配線容
量によるゲートとソース間の電圧Vgsが変化しないように動作させることができる。
【0185】
そして、駆動用TFTの他方の電極に発光素子807が接続されている。本実施の形態に
おいて、例えば第1の電源線の電位を低電位とし、発光素子を高電位とすると、駆動用T
FTのドレイン電極に発光素子の陰極が接続される。そのため、陰極、電界発光層、陽極
の順に積層すると好ましい。このように、非晶質半導体膜を有するTFTであって、Nチ
ャネル型を有する場合、TFTのドレイン電極と陰極とを接続し、EIL、ETL、EM
L、HTL、HIL、陽極の順に積層すると好適である。
【0186】
以下に、このような画素回路の動作について説明する。
【0187】
走査線805が選択されるとき、スイッチング用TFTがオンとなると、容量素子808
に電荷が蓄積されはじめる。容量素子808の電荷は、電流制御用TFTのゲートとソー
ス間電圧と等しくなるまで蓄積される。等しくなると、電流制御用TFTがオンとなり、
直列に接続された駆動用TFTがオンとなる。このとき、駆動用TFTのゲート電位が固
定電位となっているため、発光素子へ寄生容量や配線容量によらない一定のゲートとソー
ス間電圧Vgsを印加する、つまり一定のゲートとソース間電圧Vgs分の電流を供給す
ることができる。
【0188】
このように、発光素子は電流駆動型の素子であるため、画素内のTFTの特性バラツキ、
特にVthバラツキが少ない場合アナログ駆動を用いることが好適である。本実施の形態
のように、非晶質半導体膜を有するTFTは、特性バラツキが低いため、アナログ駆動を
用いることができる。一方デジタル駆動でも、駆動用TFTを飽和領域(|Vgs−Vt
h|<|Vds|を満たす領域)で動作させることで、一定の電流値を発光素子に供給す
ることができる。
【0189】
図9(B)には、上記等価回路を有する画素部の上面図の一例を示す。なお、図9(B)
のC−C’の断面図は、図10に記載の断面図に相当する。
【0190】
インクジェット法又はスパッタリング法により、各TFTのゲート電極、走査線(ゲート
配線とも呼ぶ)、及び第2の電源線を形成している。これらの配線を図1または図2に示
す製造装置を用いて形成すると、生産性が向上するため好ましい。
【0191】
また、発光素子807の第1の電極810は、ゲート絶縁膜上に形成されている。また
、インクジェット法又はスパッタリング法により、ソース配線及びドレイン配線、信号線
並びに第1の電源線を形成する。これらの配線も図1または図2に示す製造装置を用いて
形成すると、生産性が向上するため好ましい。
【0192】
また、容量素子808は、ゲート絶縁膜を介して設けられたゲート配線、ソース配線、
及びドレイン配線により形成されている。なお、駆動用TFTは非晶質半導体膜を有する
ため、駆動用TFTのチャネル幅(W)が広くなるように設計するとよい。
【0193】
このようなアクティブマトリクス型の発光装置は、単位面積あたりの画素密度が増えた場
合、各画素にTFTが設けられているため低電圧駆動でき、有利であると考えられている

【0194】
また、本実施の形態は実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4、ま
たは実施の形態5と自由に組み合わせることができる。
【0195】
本実施の形態においては実施の形態5の図7(A)に示す構造を用いて説明したが、実施
の形態5の図7(C)に示す構造とし、層間絶縁膜を形成して平坦性を高めてもよい。平
坦性を高めると、電界発光層へ均一に電圧を印加することができるため好ましい。
【0196】
(実施の形態8)
本実施の形態は、実施の形態6または実施の形態7で得られる表示パネルの構成を示す

【0197】
図11(A)は、表示パネルの構成の一例を示す上面図であり、絶縁表面を有する基板
1700上に画素1702をマトリクス上に配列させた画素部1701、走査線側入力端
子1703、信号線側入力端子1704が形成されている。画素数は種々の規格に従って
設ければ良く、XGAであれば1024×768×3(RGB)、UXGAであれば16
00×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させるのであれば19
20×1080×3(RGB)とすれば良い。
【0198】
画素1702は、走査線側入力端子1703から延在する走査線と、信号線側入力端子
1704から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素17
02のそれぞれには、スイッチング素子とそれに接続する画素電極が備えられている。ス
イッチング素子の代表的な一例はTFTであり、TFTのゲート電極側が走査線と、ソー
ス若しくはドレイン側が信号線と接続されることにより、個々の画素を外部から入力する
信号によって独立して制御可能としている。
【0199】
TFTは、その主要な構成要素として、半導体層、ゲート絶縁膜及びゲート電極が挙げ
られ、半導体層に形成されるソース及びドレイン領域に接続する配線層がそれに付随する

【0200】
本実施の形態では、液滴吐出法を用いた図1および図2に示す製造装置によって、溶媒
中に導電体が混入したドットを滴下して、ブロー手段によりガスを吹きつけてゲート電極
、または走査線の形成を行う。加えて、走査線側入力端子1703、信号線側入力端子1
704と接続する引き回し配線や端子電極も液滴吐出法を用いた図1および図2に示す製
造装置によって形成する。また、始めに導電性材料として銀を用いて、液滴吐出法で導電
層を形成した後、銅などでめっきを行ってもよい。めっきは電気めっきや化学(無電界)
めっき法で行えばよい。
【0201】
図11(A)は、走査線及び信号線へ入力する信号を、外付けの駆動回路により制御す
る表示パネルの構成を示しているが、COG方式によりドライバICを基板上に実装して
も良い。また他の実装形態として、TAB(Tape Automated Bondi
ng)方式を用いてもよい。ドライバICは単結晶半導体基板に形成されたものでも良い
し、ガラス基板上にTFTで回路を形成したものであっても良い。
【0202】
また、画素に設けるTFTをSASで形成する場合には、図11(B)に示すように走査
線側駆動回路3702を基板3700上に形成し一体化することもできる。図11(B)
において、画素部3701は、信号線側入力端子3704と接続した図11(A)と同様
に外付けの駆動回路により制御する。
【0203】
また、画素に設けるTFTを移動度の高い、多結晶(微結晶)半導体、単結晶半導体な
どで形成する場合は、図11(C)は、画素部4701、走査線駆動回路4702と、信
号線駆動回路4704を基板4700上に一体形成することもできる。
【0204】
また、本実施の形態は実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4、実
施の形態5、実施の形態6または実施の形態7と自由に組み合わせることができる。
【0205】
(実施の形態9)
本発明の半導体装置、及び電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル
型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオ
コンポ等)、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュー
タ、携帯電話、携帯型ゲーム機又は電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体
的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し
、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それら電子機器
の具体例を図12、図13に示す。
【0206】
図12(A)は22インチ〜50インチの大画面を有する大型の表示装置であり、筐体2
001、支持台2002、表示部2003、スピーカ部2004、撮像部2005、ビデ
オ入力端子2006等を含む。なお、表示装置は、パーソナルコンピュータ用、TV放送
受信用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。表示装置は、上記実施の形態で示し
た液滴吐出法より形成された電極、または配線を有する。また、表示部2003を多面取
りにより形成することにより、大型の表示装置の製造コストを低減することができる。
【0207】
図12(B)はパーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2
203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206
等を含む。パーソナルコンピュータは、上記実施の形態で示した液滴吐出法より形成され
た電極、または配線を有する。また、表示部2203を多面取りにより形成することによ
り、パーソナルコンピュータの製造コストを低減することができる。
【0208】
図12(C)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)で
あり、本体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部B2404、記録媒体(
DVD等)読込部2405、操作キー2406、スピーカー部2407等を含む。表示部
A2403は主として画像情報を表示し、表示部B2404は主として文字情報を表示す
る。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。画像再
生装置は、上記実施の形態で示した液滴吐出法より形成された電極、または配線を有する
。また、表示部A2403、または表示部B2404を多面取りにより形成することによ
り、画像再生装置の製造コストを低減することができる。
【0209】
また、図12(D)は携帯情報端末の斜視図であり、図12(E)は折りたたんで携帯電
話として使用する状態を示す斜視図である。図12(D)において、使用者はキーボード
のように右手指で操作キー2706aを操作し、左手指で操作キー2706bを操作する
。携帯情報端末は、上記実施の形態で示した液滴吐出法より形成された電極、または配線
を有する。また、表示部2703aを多面取りにより形成することにより、携帯情報端末
の製造コストを低減することができる。
【0210】
図12(E)に示すように、折りたたんだ場合には、片手で本体2701、および筐体2
702を持ち、音声入力部2704、音声出力部2705、操作キー2706c、アンテ
ナ2708等を使用する。なお、図12(D)および図12(E)に示した携帯情報端末
は、主に画像および文字を横表示する表示部2703aと、縦表示する表示部2703b
とを備えている。
【0211】
また、図13は、記録媒体を備えた携帯型の音楽再生装置であり、本体2901、表示
部2903、記録媒体(カード型メモリ等)読み込み部、操作キー2902、2906、
接続コード2904に接続されたヘッドフォンのスピーカー部2905等を含む。携帯型
の音楽再生装置は、上記実施の形態で示した液滴吐出法より形成された電極、または配線
を有する。また、表示部2903を多面取りにより形成することにより、携帯型の音楽再
生装置の製造コストを低減することができる。
【0212】
また、本実施の形態は実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4、実
施の形態5、実施の形態6、実施の形態7、または実施の形態8と自由に組み合わせるこ
とができる。
【産業上の利用可能性】
【0213】
本発明により、大量生産を行う上で大型の基板に適したパターン形成装置を実現すること
ができる。また、液滴吐出法を用いた本発明のパターン形成装置によって、半導体装置の
製造におけるタクトタイムを短縮することができる。
【符号の説明】
【0214】
100:搬送路
103:パターン形成処理室
201:液滴吐出手段
210:ブロー手段
214:気流の方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板にパターン形成材料を含む液滴を吐出して選択的にパターンを形成する液滴吐出手段と、吐出された液滴の飛翔軌道を制御するブロー手段と、前記液滴吐出手段および前記ブロー手段を制御する制御手段と、を有する第1の処理室と、
加熱手段を有する第2の処理室と、
前記第1の処理室および前記第2の処理室と連結された搬送室と、を有することを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記パターン形成材料は、銀、金、銅、又はインジウム錫酸化物を含む材料であることを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記パターン形成材料は、インジウムを含む有機材料、または錫を含む有機材料であることを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項4】
液滴吐出手段により、被処理基板にパターン形成材料を含む液滴を吐出して選択的にパターンを形成する際、液滴を吐出すると同時にブロー手段の流量を増減させて、液滴吐出手段から吐出された液滴の飛翔軌道を変化させてパターン形状を制御することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記パターン形成材料は、銀、金、銅、又はインジウム錫酸化物を含む材料であることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5において、
前記パターン形成材料は、インジウムを含む有機材料、または錫を含む有機材料であることを特徴とするパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−35417(P2011−35417A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236701(P2010−236701)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【分割の表示】特願2005−144654(P2005−144654)の分割
【原出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】