説明

半導体装置

【課題】増幅器としての高周波特性を損ねることなく、バイポーラトランジスタの過電流による熱的な粗密を緩和することができ、半導体素子の破壊を小規模な回路構成で防ぐことができる半導体装置を提供する。
【解決手段】複数のHBTを並列接続した高出力トランジスタの各ベースごとにバイアス電流の印加を制御し、また、エミッタ数が、ベースの数nに対して2の(n−1)乗倍で増大するマルチエミッタ素子を使うことにより、2進数により表せる値で各ベースごとのバイアス電流の印加を制御し、また、非常に大きな構造を有する方向性結合器の代わりに、高出力トランジスタのエミッタをマルチエミッタ構造にし、そのエミッタの一つの電流をモニタする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の移動体通信装置に用いられる送信部が形成され、その負荷変動に対して自動的に出力電力を制御する半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話等の移動体通信装置に用いられる送信部を成す増幅器においては、通常2〜3個の高周波増幅用の化合物半導体トランジスタを多段接続した構成が用いられており、化合物半導体トランジスタとして、近年では、単一正電源動作等の点からヘテロバイポーラトランジスタ(Heterojunction Bipolar Transistor:以下、HBTと称す)が主に用いられている。
【0003】
通常、携帯電話用の出力電力1〜3W程度の送信部を成す増幅器として、高周波増幅用の電流駆動型バイポーラトランジスタを用いる場合、そのベースに対して、バイアス供給用電源からエミッタフォロアによりバイアス供給するために、もう一つ別のバイポーラトランジスタを含むバイアス回路が用いられている。
【0004】
また、送信部の負荷変動に対して自動的に出力電力を制御するためには、増幅器の出力電力を検出し、その出力電力に応じて増幅器のバイアス供給の増減を制御する必要があり、増幅器の出力電力を検出するために方向性結合器とディテクタを用いた方式が、一般的に広く用いられている。
【0005】
以上のような携帯電話等の移動体通信装置を構成する場合、送信部を成す高周波増幅器が形成され、その負荷変動に対して自動的に出力電力を制御するように機能する半導体装置が用いられている。
【0006】
この半導体装置は、送信部を成しRF入力信号を増幅する高周波増幅器を形成する出力トランジスタの出力電力から、その一部を検出した検出信号の電圧と、必要とする出力電力を基に予め設定された基準電圧とを比較し、その比較結果に応じて、制御回路により出力トランジスタへのバイアス供給を増減させて、出力トランジスタからの出力電力を制御するように構成される。
【0007】
以上のような携帯電話等の移動体通信装置における送信部に用いられる従来の半導体装置(例えば、特許文献1を参照)について、図面を用いて以下に説明する。
図9は従来の半導体装置の一構成例を示すブロック図である。図9に示すように、RF入力1である高周波信号が入力され、整合回路2aでインピーダンス変換された後、DCカットのためのコンデンサ14a、14b、14cを介して、高出力トランジスタ13の各ベース(入力側端子)に入り、増幅されて各コレクタ(出力側第1端子)から出力され、整合回路2bでインピーダンス変換された後、方向性結合器3を介してアンテナ4より基地局(図示せず)へ向けて送信される。
【0008】
ここで、高出力トランジスタ13の入力側に設けられた整合回路2aは、50Ωに対し高出力トランジスタ13の入力インピーダンスを変換し、高出力トランジスタ13の出力側に設けられた整合回路2bは、50Ω負荷に対し所望のパワーを取り出すように高出力トランジスタ13の出力側からみたインピーダンスを設定する。また、コレクタ電源5により、λ/4波長線路等のコレクタ電源供給回路を通して、高出力トランジスタ13のコレクタにバイアス供給している。また、抵抗15a、15b、15cは、高出力トランジスタ13の過剰ベース電流を抑制するものである。
【0009】
一方、高出力トランジスタ13からの出力は方向性結合器3を通りアンテナ4より出力されるが、その一部は方向性結合器3によりディテクタ10に入力される。ディテクタ10で検出され直流信号に変換された検出信号は、比較器8において、必要とする出力電力を基に予め設定された基準電圧9と比較され、その比較出力が増幅器7で増幅され、その増幅信号を基に、出力電力レベルの大小に応じて、制御回路6からの出力電流が所望の特性に制御され、抵抗15a、15b、15cを介して同一信号が高出力トランジスタ13の各ベースに供給される。
【特許文献1】特開2004−134823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら上記のような従来の半導体装置では、高出力トランジスタ13として、例えばバイポーラトランジスタを用いた高周波増幅器においては、その出力負荷に変動等が生じた場合、バイポーラトランジスタのコレクタ電流が急激に増加するため、バイポーラトランジスタが破壊するという問題がある。
【0011】
このようなバイポーラトランジスタの破壊を防ぐ方法としては、
(1)高周波バイポーラトランジスタのコレクタまたはエミッタに抵抗を入れる
(2)高周波バイポーラトランジスタのベースに抵抗をいれる
(3)高周波増幅器の出力電力を検出し、高出力電力時に高周波増幅器が破壊しないように、バイアス電圧を制御する
等の方法が一般的に用いられる。
【0012】
しかし、上記(1)の場合、高出力の増幅器では、抵抗損失により増幅器の電力付加効率が大きく低下してしまう。また、上記(2)の方法は、最も一般的ではあるが、抵抗での電圧降下はベース電流の増加に比例するため、出力負荷変動時の破壊を防ぐために十分な抵抗値を用いた場合、実使用領域での高周波特性が劣化してしまう。
【0013】
また、上記(3)の場合では、方向性結合器3が必要になり、方向性結合器3での損失による特性劣化や高周波増幅器のサイズが大型化してしまう。また、この方法では、高出力を出すために半導体チップ上で複数のHBTを並列接続しているため、電源として投入された直流電力の一部、あるいは信号としての高周波電力の一部が電力損失として熱に変換される際、隣接するHBTの熱的干渉により熱的粗密分布が生じて、熱が集中したHBTにコレクタ電流が集中するようになる、ということを防ぐことができないという問題点を有していた。
【0014】
このような現象をコラプス現象と呼ぶが、これにより、全HBTの均一な動作ができなくなり、利得の低下および電力効率の低下が生じ、場合によっては、素子の劣化、さらに破壊の原因にもなるものである。これに対し、通常は、上記(2)と(3)を組み合わせているのが実情であるが、上記に示したような問題点が同時に起こるという不具合が生じる。
【0015】
本発明は、上記従来の問題点を解決するもので、高周波特性を損ねることなく熱的集中を緩和し、出力トランジスタの過電流による破壊を、数少ない素子構成で防ぎ、出力トランジスタの能力を向上することができ、また、方向性結合器での挿入損失による特性劣化や装置サイズの大型化を抑えることができる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1記載の半導体装置は、RF入力信号を増幅する出力トランジスタからの検出信号の電圧と基準電圧とを比較し、その比較結果に応じて、制御回路により前記出力トランジスタへのバイアス供給を増減させて前記出力トランジスタからの出力電力を制御する半導体装置であって、前記出力トランジスタは、複数のトランジスタからなり、前記複数のトランジスタは、それらの出力側第1端子が全て共通接続され、出力側第2端子が全て接地され、入力側端子がそれらに対して個別に前記バイアス供給をオンオフ制御して前記出力トランジスタへのバイアス供給を増減するためのバイアス回路に接続され、前記出力側第1端子から前記出力電力を取り出すように形成され、前記バイアス回路は、複数のバイアス供給制御用トランジスタからなり、それらの出力側第1端子が全てバイアス供給電源に共通接続され、出力側第2端子が個別に前記複数のトランジスタの任意の入力側端子に接続され、入力側端子が個別に駆動制御されるように前記制御回路に接続され、前記複数のバイアス供給制御用トランジスタの少なくとも一つ以上は、前記複数のトランジスタの入力側端子に接続された出力側第2端子が複数形成され、前記制御回路は、前記比較結果に応じて、前記複数のバイアス供給制御用トランジスタが前記複数のトランジスタの入力側端子に対して個別に前記バイアス供給をオンオフ制御するように、前記複数のバイアス供給制御用トランジスタの入力側端子を個別に駆動制御する構成としたことを特徴とする。
【0017】
以上により、複数のトランジスタを並列接続して形成した出力トランジスタの一つ一つの入力側端子に対するバイアス供給の増減を制御することにより、出力トランジスタにおける熱的な粗密の発生を緩和することができる。
【0018】
また、本発明の請求項2記載の半導体装置は、請求項1記載の半導体装置であって、前記複数のバイアス供給制御用トランジスタは、その数をn個とした場合、1〜nのそれぞれの出力側第2端子が、前記1〜nに対して順次、2進数を基にして得られる2の(n−1)乗倍で示される数だけ設けられている構成としたことを特徴とする。
【0019】
以上により、出力トランジスタの一つ一つの入力側端子に対するバイアス供給の増減を、2進数単位で制御することにより、少数の素子の組み合わせで実現することができる。
また、本発明の請求項3記載の半導体装置は、請求項2記載の半導体装置であって、前記出力トランジスタからの検出信号として、前記複数のトランジスタの出力側第2端子における電流の一部を用い、前記制御回路は、前記複数のバイアス供給制御用トランジスタの各入力側端子を、前記複数のトランジスタの出力側第2端子における電流量に応じて個別に駆動制御して、前記出力トランジスタへのバイアス供給を増減させる構成としたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項4記載の半導体装置は、請求項1または請求項2または請求項3記載の半導体装置であって、前記複数のトランジスタは、それぞれ出力側第2端子を複数有し、そのうちの少なくとも一つに流れる電流を前記出力トランジスタからの検出信号とする構成としたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項5記載の半導体装置は、請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の半導体装置であって、前記出力トランジスタからなる増幅部を後段増幅部として、その前部に複数段の増幅部を設け、前記制御回路により、前記出力トランジスタからの検出信号に基づく前記比較結果に応じて、前記出力トランジスタを含む全ての増幅部へのバイアス供給を制御する構成としたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項6記載の半導体装置は、請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の半導体装置であって、前記出力トランジスタからなる増幅部を後段増幅部として、その前部に複数段の増幅部を設け、前記制御回路は、前記出力トランジスタを含む複数段の増幅部の各段ごとに対応させて設けられ、それぞれ、対応する前記増幅部からの検出信号に基づく前記比較結果に応じて、前記対応する増幅部へのバイアス供給を個別に制御する構成としたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の請求項7記載の半導体装置は、請求項6記載の半導体装置であって、前記出力トランジスタの前部に設けられた複数段の増幅部は、それぞれ出力側第2端子を複数有し、そのうちの少なくとも一つに流れる電流を、前記対応する増幅部からの検出信号とする構成としたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明の請求項8記載の半導体装置は、請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の半導体装置であって、前記出力トランジスタからなる増幅部を後段増幅部として、その前部に複数段の増幅部を設け、前記制御回路により、それぞれの前記増幅部からの検出信号に基づく前記比較結果に応じて、対応する増幅部へのバイアス供給を個別に制御する構成としたことを特徴とする。
【0025】
また、本発明の請求項9記載の半導体装置は、請求項8記載の半導体装置であって、前記出力トランジスタの前部に設けられた複数段の増幅部は、それぞれ出力側第2端子を複数有し、そのうちの少なくとも一つに流れる電流を、前記対応する増幅部からの検出信号とする構成としたことを特徴とする。
【0026】
また、本発明の請求項10記載の半導体装置は、請求項1または請求項2記載の半導体装置であって、前記出力トランジスタからなる増幅部を後段増幅部として、その前部に複数段の増幅部を設け、前記出力トランジスタからの検出信号として、前記出力トランジスタからの出力電力の一部を用い、前記制御回路により、前記出力トランジスタからの検出信号に基づく前記比較結果に応じて、前記出力トランジスタを含む全ての増幅部へのバイアス供給を制御する構成としたことを特徴とする。
【0027】
また、本発明の請求項11記載の半導体装置は、請求項5記載の半導体装置であって、前記出力トランジスタの前部に設けられた複数段の増幅部は、それぞれ出力側第2端子を複数有し、そのうちの少なくとも一つに流れる電流を、前記対応する増幅部からの検出信号とする構成としたことを特徴とする。
【0028】
また、本発明の請求項12記載の半導体装置は、請求項2記載の半導体装置であって、前記複数のトランジスタは、それぞれ出力側第2端子を複数有し、そのうちの少なくとも一つに流れる電流を前記出力トランジスタからの検出信号とし、前記制御回路は、前記複数のバイアス供給制御用トランジスタの各入力側端子を、前記複数のトランジスタの出力側第2端子における電流量に応じて個別に駆動制御して、前記出力トランジスタへのベース電流を制御する構成としたことを特徴とする。
【0029】
以上により、複数のトランジスタを並列接続して形成した出力トランジスタの一つ一つの入力側端子に対するバイアス供給の増減を制御することにより、出力トランジスタにおける熱的な粗密の発生を緩和するとともに、出力トランジスタの一つ一つの入力側端子に対するバイアス供給の増減を、2進数単位で制御することにより、少数の素子の組み合わせで実現し、かつ、出力トランジスタに含まれる複数のトランジスタの一つ一つに形成された複数の出力側第2端子のうち、1つの端子電流を基に、トランジスタごとの動作状態を検出して、その動作電流に応じて出力トランジスタにおける熱分布をモニターし、出力トランジスタの一つ一つの入力側端子に対するバイアス供給の増減を制御することができる。
【発明の効果】
【0030】
以上のように本発明によれば、複数のトランジスタを並列接続して形成した出力トランジスタの一つ一つの入力側端子に対するバイアス供給の増減を制御することにより、出力トランジスタにおける熱的な粗密の発生を緩和することができる。
【0031】
また、出力トランジスタの一つ一つの入力側端子に対するバイアス供給の増減を、2進数単位で制御することにより、少数の素子の組み合わせで実現することができる。
以上のため、高周波特性を損ねることなく熱的集中を緩和し、出力トランジスタの過電流による破壊を、数少ない素子構成で防ぎ、出力トランジスタの能力を向上することができる。
【0032】
また、出力トランジスタに含まれる複数のトランジスタの一つ一つに形成された複数の出力側第2端子のうち、1つの端子電流を基に、トランジスタごとの動作状態を検出して、その動作電流に応じて出力トランジスタにおける熱分布をモニターし、出力トランジスタの一つ一つの入力側端子に対するバイアス供給の増減を制御することができる。
【0033】
以上のため、従来検出信号を得るために用いていた方向性結合器での挿入損失による特性劣化や装置サイズの大型化を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を示す半導体装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の半導体装置を説明する。
【0035】
図1は本実施の形態1の半導体装置の構成を示す回路ブロック図であり、その動作原理を以下に説明する。図1に示すように、RF入力信号1である高周波信号が入力され、整合回路2aでインピーダンス変換された後、DCカットのためのコンデンサ14a、14b、14cを介して、高出力トランジスタ13の各ベースに入り、増幅されて各コレクタから出力され、整合回路2bでインピーダンス変換された後、方向性結合器3を介してアンテナ4より基地局(図示せず)へ向けて送信される。
【0036】
なお、高出力トランジスタ13は複数(ここでは3個)のトランジスタからなり、これら複数のトランジスタは、それらのコレクタ(出力側第1端子)が全て共通接続され、エミッタ(出力側第2端子)が全て接地され、ベース(入力側端子)が、それらに対して個別にバイアス供給をオンオフ制御して高出力トランジスタ13へのバイアス供給を増減するために、抵抗15a、15b、15cを通じて、トランジスタ(1)11、マルチエミッタトランジスタ(2)12(複数のバイアス供給制御用トランジスタ)からなるバイアス回路に接続され、コレクタから出力電力を取り出すように形成されている。
【0037】
また、高出力トランジスタ13の入力側の整合回路2aは、50Ωに対し高出力トランジスタ13の入力インピーダンスを変換し、高出力トランジスタ13の出力側の整合回路2bは、50Ω負荷に対し所望の出力電力(パワー)を取り出すように、高出力トランジスタ13の出力側からみたインピーダンスを設定する。また、高出力トランジスタ13のベースに入力される高周波信号を基に、増幅されたコレクタ電流が出力されるが、アンテナ4と整合回路2bの間に接続されている方向性結合器3において、その一部の高周波信号が分岐されてディテクタ10に入力される。
【0038】
ここで、高出力トランジスタ13の出力電力が増加するに伴い、方向性結合器3で分岐される信号が大きくなり、ディテクタ10で高周波信号からDC信号へ変換された信号が、比較器8で基準電圧9と比較された後に、増幅器7で増幅されて、制御回路6に入力される。
【0039】
また、トランジスタ(1)11、トランジスタ(2)12は、それらのコレクタ(出力側第1端子)が全てバイアス供給電源であるベース電源16に共通接続され、エミッタ(出力側第2端子)が、個別に抵抗15a、15b、15cを通じて複数のトランジスタの任意のベース(入力側端子)に接続され、ベースが個別に駆動制御されるように制御回路6に接続されている。
【0040】
本実施の形態1の半導体装置においては、制御回路6で、高出力トランジスタ13の出力電力の増減に応じて、トランジスタ(1)11、トランジスタ(2)12の各ベース電流を個別に変化させることにより、トランジスタ(1)11、トランジスタ(2)12を個別にオンオフ制御する。例えば、高出力トランジスタ13からの出力信号の電力が小さい場合には、トランジスタ(1)11のみをONして、トランジスタ(2)12をOFFし、出力信号が大きくなると、トランジスタ(2)12をONし、トランジスタ(1)11をOFFし、さらに大きな出力信号の場合は、トランジスタ(1)11とトランジスタ(2)12を同時にONする。
【0041】
以上のようにして、高出力トランジスタ13からの出力電力に応じて、同時にかつ個別にトランジスタ(1)11とトランジスタ(2)12のベース電流の値をアナログ的に増減することで、高出力トランジスタ13からの出力電力に応じて、高出力トランジスタ13を成す複数(ここでは3個)のトランジスタに対して、1、2、4・・・というようにデジタル(2進数)的に動作しているトランジスタ数とアナログ的に動作ポイントを制御することにより、従来よりもさらにきめ細かく制御することが可能である。
【0042】
その結果、高出力トランジスタ13に対する負荷インピーダンスが、なんらかの原因(例えば、アンテナに金属体が接触した場合等)により大きく変動し、出力電力が急激に増大したり、熱的不安定(例えば、外気が高温である場合や、高出力トランジスタ13の個々のトランジスタの微妙な熱分布の粗密から生じるコラプス現象等)により急激に出力電力が増大した場合は、制御回路6によって、トランジスタ(1)11とトランジスタ(2)12を介して、デジタル的またはアナログ的に高出力トランジスタ13のベース電流を制御して、高出力トランジスタ13の破壊を防ぐことができる。
【0043】
次に、本実施の形態1の半導体装置に用いられているマルチエミッタトランジスタの構造について、図面を用いて説明する。
図2は本実施の形態1の半導体装置に用いられているマルチエミッタトランジスタの一構造例の説明図である。図2(a)は、図1におけるトランジスタ(2)12に対応するマルチエミッタトランジスタ17の回路図に用いるシンボルを表しており、それぞれ、ベース電極18、コレクタ電極19、エミッタ電極(1)20、エミッタ電極(2)21が、それぞれ図2(b)平面図および図2(c)A−A’断面図と対応している。図2では、エミッタ電極が2つの場合を例として上げたが、二つ以上の本数のエミッタ電極においても、同様であるのは言うまでもない。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の半導体装置を説明する。
【0044】
図3は本実施の形態2の半導体装置の構成を示す回路ブロック図である。本実施の形態2では、実施の形態1の場合の構成と比べて、高出力トランジスタ13のベースバイアス電流の供給を行うバイアス回路のトランジスタ(1)11とトランジスタ(2)12のエミッタ接続の仕方が異なっており、その他は同じである。
【0045】
すなわち、本実施の形態2では、トランジスタ(1)11のエミッタが高出力トランジスタ13の真ん中に配置されたトランジスタのベースに接続され、トランジスタ(2)12の2本のエミッタが高出力トランジスタ13の両端に配置されたトランジスタのベースに接続されている。
【0046】
一般に高出力動作時等には、高出力トランジスタ13の熱的分布は、真ん中のトランジスタに熱がこもる傾向にある。したがって、より熱的に破壊しやすい真ん中のトランジスタのベースバイアスの制御を他のトランジスタとは別にして、高出力トランジスタ13のバイアス電流を補償することで、耐破壊性を改善することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の半導体装置を説明する。
【0047】
図4は本実施の形態3の半導体装置の部分構成を示す回路ブロック図である。本図は、実施の形態1の場合の構成に対して、制御回路6、ベース電源16、トランジスタ(1)11、トランジスタ(2)12、トランジスタ(3)22、コンデンサ14(a、b、c、d、e、f、g)、抵抗15(a、b、c、d、e、f、g)、高出力トランジスタ13、コレクタ電源5のみを記載しており、他の部分は実施の形態1の場合の構成と同じであり省略した図となっている。
【0048】
一般に、エミッタ接地のトランジスタを並列接続して最大出力可能電力の増大を図るが、本実施の形態3では、高出力トランジスタ13を構成するトランジスタが実施の形態1の3個から7個になっている。それに対応して、制御回路6に接続されたトランジスタとして、トランジスタ(1)11、トランジスタ(2)12に加えて、トランジスタ(3)22が接続されている。トランジスタ(3)22のエミッタ電極の数は4個ある。即ち、エミッタ電極の数が、1、2、4個とデジタル的に2進数で増えていることを特徴としている。
【0049】
このように2進数で増やすことで、バイアス回路として三つのトランジスタ(トランジスタ(1)11、トランジスタ(2)12、トランジスタ(3)22)を設けることにより、高出力トランジスタ13の7個全てのトランジスタをデジタル的に制御することが可能である。
【0050】
即ち、トランジスタ(1)11がON,トランジスタ(2)12がOFF,トランジスタ(3)22がOFFで、高出力トランジスタ13の動作トランジスタ数が1個、トランジスタ(1)11がOFF,トランジスタ(2)12がON,トランジスタ(3)22がOFFで、高出力トランジスタ13の動作トランジスタ数が2個、トランジスタ(1)11がON,トランジスタ(2)12がON,トランジスタ(3)22がOFFで、高出力トランジスタ13の動作トランジスタ数が3個、トランジスタ(1)11がOFF,トランジスタ(2)12がOFF,トランジスタ(3)22がONで、高出力トランジスタ13の動作トランジスタ数が4個、トランジスタ(1)11がON,トランジスタ(2)12がOFF,トランジスタ(3)22がONで、高出力トランジスタ13の動作トランジスタ数が5個、トランジスタ(1)11がOFF,トランジスタ(2)12がON,トランジスタ(3)22がONで、高出力トランジスタ13の動作トランジスタ数が6個、トランジスタ(1)11がON,トランジスタ(2)12がON,トランジスタ(3)22がONで、高出力トランジスタ13の動作トランジスタ数が7個となり全てを動作させることができる。
【0051】
なお、本実施の形態3においても、実施の形態2と同様に、高出力トランジスタ13の熱的分布を緩和する組み合わせによって、高出力トランジスタ13の各々のトランジスタのバイアス電流を補償することで、耐破壊性を改善することができることは言うまでもない。
【0052】
また、本実施の形態3では、高出力トランジスタ13を構成するトランジスタ数が7個であるが、7個以上の数でも同様の構成で同様の効果が得られることは言うまでもない。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4の半導体装置を説明する。
【0053】
図5は本実施の形態4の半導体装置の構成を示す回路ブロック図である。本実施の形態4では、実施の形態1の場合の構成と比べて、方向性結合器およびディテクタを設けずに、高出力トランジスタ13を成す各トランジスタを複数のエミッタを有するマルチエミッタ構造として、接地されていない側のエミッタ端子を全て共通接続とし、比較器8に直接入力するように構成されている点が異なっており、その他は同じである。
【0054】
一般に、実施の形態1等で使用される方向性結合器3は、動作可能波長に正比例した長さの結合長が必要なため、半導体素子に比較して非常に大きな面積が必要であり、このため、例えば携帯電話の送信装置に本回路を搭載する際等において小型化の障害になっていたが、本実施の形態4を用いると、高出力トランジスタ13の動作電流の一部を直接モニタすることができるので、方向性結合器が不要であり、回路の小型化が可能になる。
【0055】
なお、本実施の形態4においても、実施の形態2と同様に、高出力トランジスタ13の熱的分布を緩和する組み合わせによって、高出力トランジスタ13の各々のトランジスタのバイアス電流を補償することで、耐破壊性が改善することができることは言うまでもない。
【0056】
また、本実施の形態4では、高出力トランジスタ13を構成するトランジスタ数が3個であるが、3個以上の数でも同様の構成で同様の効果が得られることは言うまでもない。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5の半導体装置を説明する。
【0057】
図6は本実施の形態5の半導体装置の構成を示す回路ブロック図である。本実施の形態5では、実施の形態4の場合の構成と比べて、高出力トランジスタ13による増幅部を後段増幅部として、その前部にトランジスタ23によりなる前段増幅部が設けられ、そのコレクタにコレクタ電源5bが供給されるとともに、RF入力信号1が整合回路2cを介してトランジスタ23からなる前段増幅部に入力されるように構成されており、かつ、制御回路6により、トランジスタ23のベースにも直接バイアス供給が行われている点が異なっており、その他は同じである。
【0058】
本実施の形態5の構成は、送信部全体の電力利得を稼ぐために増幅部を2段構成にした例であるが、前段のトランジスタ23の電力制御も、後段の高出力トランジスタ13の動作電流をモニタして行うことにより、例えば、高出力トランジスタ13が急激に発熱した場合に、トランジスタ23のバイアスをOFFするなどすることで、より確実に高出力トランジスタ13等の破壊を防ぐことができる構成になっている。
【0059】
本実施の形態5では、2段の増幅部をもった半導体装置であるが、2段以上の段数をもった半導体装置であっても、同様な効果が得られることは言うまでもない。
なお、本実施の形態5においても、実施の形態2と同様に、高出力トランジスタ13の熱的分布を緩和する組み合わせによって、高出力トランジスタ13の各々のトランジスタのバイアス電流を補償することで、耐破壊性が改善することができることは言うまでもない。
【0060】
また、本実施の形態5では、高出力トランジスタ13を構成するトランジスタ数が3個であるが、3個以上の数でも同様の構成で同様の効果が得られることは言うまでもない。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6の半導体装置を説明する。
【0061】
図7は本実施の形態6の半導体装置の構成を示す回路ブロック図である。本実施の形態6では、実施の形態5の場合の構成と比べて、前段増幅部のトランジスタ23を複数のエミッタを設けたマルチエミッタ構造にして、後段増幅部の高出力トランジスタ13の出力電力を制御するための構成と同様に、比較器8b、増幅器7b、制御回路6bを設け、比較器8bでトランジスタ23からの検出信号を基準電圧9bと比較するように構成した点が異なっており、その他は同じである。
【0062】
本実施の形態6の構成は、電力利得を稼ぐために増幅部を2段構成にした例であるが、前段増幅部のトランジスタ23の電力を、後段増幅部の高出力トランジスタ13の電力制御とは別に、トランジスタ23のマルチエミッタの一方からその電流をモニタして制御することにより、例えば、前段増幅部のトランジスタ等の半導体に関しても、高出力トランジスタ13と同様に、かつ高出力トランジスタ13とは独立させて、出力電力に対してベース電流を制御することができる構成になっている。
【0063】
図10に示す従来の半導体装置のような2段構成の増幅器にした場合、後段増幅部と同様に前段増幅部の出力電力をモニタするためには、大きな面積を有する方向性結合器を前段増幅部と後段増幅部との間に接続しなくてはならず、非常に大きな面積が占有されるため、実際に実現することが極めて困難であったが、本実施の形態6の構成では、容易に実現することができる。
【0064】
なお、本実施の形態6では、2段の増幅部をもった半導体装置であるが、2段以上の段数をもった半導体装置であっても、同様な効果が得られることは言うまでもない。
また、本実施の形態6においても、実施の形態2と同様に、高出力トランジスタ13の熱的分布を緩和する組み合わせによって、高出力トランジスタ13の各々のトランジスタのバイアス電流を補償することで、耐破壊性が改善することができることは言うまでもない。
【0065】
また、本実施の形態6では、高出力トランジスタ13を構成するトランジスタ数が3個であるが、3個以上の数でも同様の構成で同様の効果が得られることは言うまでもない。
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7の半導体装置を説明する。
【0066】
図8は本実施の形態7の半導体装置の構成を示す回路ブロック図である。本実施の形態7では、実施の形態6の場合の構成と比べて、前段増幅部のトランジスタ23からのエミッタ電流モニタによる基準電圧9bとの比較出力と、後段増幅部の高出力トランジスタ13からのエミッタ電流モニタによる基準電圧9aとの比較出力とを、同一の制御回路6に入力している点が異なっており、その他は同じである。
【0067】
本実施の形態7の構成では、前段増幅部と後段増幅部の動作電流を、一つの制御回路内で制御するため、前段増幅部と後段増幅部に対して、相互に最適な熱的分布を持たせることが容易に実現することができる。
【0068】
なお、本実施の形態7では、2段の増幅部をもった半導体装置であるが、2段以上の段数をもった半導体装置であっても、同様な効果が得られることは言うまでもない。
また、本実施の形態7においても、実施の形態2と同様に、高出力トランジスタ13の熱的分布を緩和する組み合わせによって、高出力トランジスタ13の各々のトランジスタのバイアス電流を補償することで、耐破壊性が改善することができることは言うまでもない。
【0069】
また、本実施の形態7では、高出力トランジスタ13を構成するトランジスタ数が3個であるが、3個以上の数でも同様の構成で同様の効果が得られることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の半導体装置は、電力増幅器及び電力増幅器用バイアス回路に関し、特にHBTからなる増幅段を備えた電力増幅器及び電力増幅器用バイアス回路に関するもので、バイポーラトランジスタに過電流が流れた場合、個々のトランジスタのベース電圧を別々に制御して、増幅器の高周波特性を損ねることなくバイポーラトランジスタの過電流による破壊を防ぐことができるもので、アンテナのインピーダンス変動の大きい無線端末用の増幅器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態1の半導体装置の構成を示す回路ブロック図
【図2】同実施の形態1の半導体装置に用いるマルチエミッタトランジスタの構造図
【図3】本発明の実施の形態2の半導体装置の構成を示す回路ブロック図
【図4】本発明の実施の形態3の半導体装置の構成を示す回路ブロック図
【図5】本発明の実施の形態4の半導体装置の構成を示す回路ブロック図
【図6】本発明の実施の形態5の半導体装置の構成を示す回路ブロック図
【図7】本発明の実施の形態6の半導体装置の構成を示す回路ブロック図
【図8】本発明の実施の形態7の半導体装置の構成を示す回路ブロック図
【図9】従来の半導体装置の一構成例を示す回路ブロック図
【図10】従来の半導体装置の他の構成例を示す回路ブロック図
【符号の説明】
【0072】
1 RF入力信号
2a、2b、2c 整合回路
3 方向性結合器
4 アンテナ
5、5a、5b コレクタ電源
6、6a、6b 制御回路
7、7a、7b 増幅器
8、8a、8b 比較器
9、9a、9b 基準電圧
10 ディテクタ
11 トランジスタ(1)
12 トランジスタ(2)
13 高出力トランジスタ
14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g コンデンサ
15a、15b、15c、15d、15e、15f、15g 抵抗
16 ベース電源
17 マルチエミッタトランジスタ
18 ベース電極
19 コレクタ電極
20 エミッタ電極(1)
21 エミッタ電極(2)
22 トランジスタ(3)
23 トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF入力信号を増幅する出力トランジスタからの検出信号の電圧と基準電圧とを比較し、その比較結果に応じて、制御回路により前記出力トランジスタへのバイアス供給を増減させて前記出力トランジスタからの出力電力を制御する半導体装置であって、前記出力トランジスタは、複数のトランジスタからなり、前記複数のトランジスタは、それらの出力側第1端子が全て共通接続され、出力側第2端子が全て接地され、入力側端子がそれらに対して個別に前記バイアス供給をオンオフ制御して前記出力トランジスタへのバイアス供給を増減するためのバイアス回路に接続され、前記出力側第1端子から前記出力電力を取り出すように形成され、前記バイアス回路は、複数のバイアス供給制御用トランジスタからなり、それらの出力側第1端子が全てバイアス供給電源に共通接続され、出力側第2端子が個別に前記複数のトランジスタの任意の入力側端子に接続され、入力側端子が個別に駆動制御されるように前記制御回路に接続され、前記複数のバイアス供給制御用トランジスタの少なくとも一つ以上は、前記複数のトランジスタの入力側端子に接続された出力側第2端子が複数形成され、前記制御回路は、前記比較結果に応じて、前記複数のバイアス供給制御用トランジスタが前記複数のトランジスタの入力側端子に対して個別に前記バイアス供給をオンオフ制御するように、前記複数のバイアス供給制御用トランジスタの入力側端子を個別に駆動制御することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置であって、前記複数のバイアス供給制御用トランジスタは、その数をn個とした場合、1〜nのそれぞれの出力側第2端子が、前記1〜nに対して順次、2進数を基にして得られる2の(n−1)乗倍で示される数だけ設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置であって、前記出力トランジスタからの検出信号として、前記複数のトランジスタの出力側第2端子における電流の一部を用い、前記制御回路は、前記複数のバイアス供給制御用トランジスタの各入力側端子を、前記複数のトランジスタの出力側第2端子における電流量に応じて個別に駆動制御して、前記出力トランジスタへのバイアス供給を増減させることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3記載の半導体装置であって、前記複数のトランジスタは、それぞれ出力側第2端子を複数有し、そのうちの少なくとも一つに流れる電流を前記出力トランジスタからの検出信号とすることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の半導体装置であって、前記出力トランジスタからなる増幅部を後段増幅部として、その前部に複数段の増幅部を設け、前記制御回路により、前記出力トランジスタからの検出信号に基づく前記比較結果に応じて、前記出力トランジスタを含む全ての増幅部へのバイアス供給を制御することを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の半導体装置であって、前記出力トランジスタからなる増幅部を後段増幅部として、その前部に複数段の増幅部を設け、前記制御回路は、前記出力トランジスタを含む複数段の増幅部の各段ごとに対応させて設けられ、それぞれ、対応する前記増幅部からの検出信号に基づく前記比較結果に応じて、前記対応する増幅部へのバイアス供給を個別に制御することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置であって、前記出力トランジスタの前部に設けられた複数段の増幅部は、それぞれ出力側第2端子を複数有し、そのうちの少なくとも一つに流れる電流を、前記対応する増幅部からの検出信号とすることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の半導体装置であって、前記出力トランジスタからなる増幅部を後段増幅部として、その前部に複数段の増幅部を設け、前記制御回路により、それぞれの前記増幅部からの検出信号に基づく前記比較結果に応じて、対応する増幅部へのバイアス供給を個別に制御することを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置であって、前記出力トランジスタの前部に設けられた複数段の増幅部は、それぞれ出力側第2端子を複数有し、そのうちの少なくとも一つに流れる電流を、前記対応する増幅部からの検出信号とすることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1または請求項2記載の半導体装置であって、前記出力トランジスタからなる増幅部を後段増幅部として、その前部に複数段の増幅部を設け、前記出力トランジスタからの検出信号として、前記出力トランジスタからの出力電力の一部を用い、前記制御回路により、前記出力トランジスタからの検出信号に基づく前記比較結果に応じて、前記出力トランジスタを含む全ての増幅部へのバイアス供給を制御することを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項5記載の半導体装置であって、前記出力トランジスタの前部に設けられた複数段の増幅部は、それぞれ出力側第2端子を複数有し、そのうちの少なくとも一つに流れる電流を、前記対応する増幅部からの検出信号とすることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項2記載の半導体装置であって、前記複数のトランジスタは、それぞれ出力側第2端子を複数有し、そのうちの少なくとも一つに流れる電流を前記出力トランジスタからの検出信号とし、前記制御回路は、前記複数のバイアス供給制御用トランジスタの各入力側端子を、前記複数のトランジスタの出力側第2端子における電流量に応じて個別に駆動制御して、前記出力トランジスタへのベース電流を制御することを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−121123(P2006−121123A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−303611(P2004−303611)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】