説明

半導体装置

【課題】キャパシタを形成する領域の占有面積を縮小する。
【解決手段】本実施形態の半導体装置は、半導体基板10内に設けられた半導体領域AACと、半導体領域AAC内に設けられる複数のキャパシタCm,Cnを含むキャパシタ群と、を具備し、キャパシタCm,Cnのそれぞれは、半導体領域AAC上のキャパシタ絶縁膜42Aと、キャパシタ絶縁膜42A上のキャパシタ電極34Am,34Amと、キャパシタ電極34Am,34Amに隣接する拡散層32Aとを有し、を有し、キャパシタ電極34Am,34Anに接続される配線29m,29nのそれぞれは、キャパシタCm,Cn毎に電気的に分離され、キャパシタ電極Cm,Cnのそれぞれに異なる電位Vm,Vnが印加されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置としての不揮発性半導体メモリ、例えば、フラッシュメモリは、様々な電子機器に搭載されている。
【0003】
フラッシュメモリにおけるデータの書き込み時、10V〜20V程度の電圧がメモリセルトランジスタのゲート電極に印加される。フラッシュメモリは、10V以上の高電圧を生成するために、いわゆるチャージポンプ回路が周辺回路内に配置されている。
【0004】
チャージポンプ回路は、例えば、ドレインとゲートとが接続された複数のMOSトランジスタと複数のキャパシタとによって、形成される。チャージポンプ回路のキャパシタには、例えば、MOSキャパシタが用いられている。各MOSキャパシタは、素子分離領域に囲まれた1つの半導体領域(素子領域)内に、それぞれ設けられている。
【0005】
チャージポンプ回路は、電源電圧(3V程度)を20V程度まで昇圧するために複数段のMOSトランジスタ及びMOSキャパシタが必要である。そのため、チャージポンプ回路の占有面積は大きくなる傾向がある。
【0006】
この結果として、フラッシュメモリのチップにおいて、チャージポンプ回路の占有面積が、メモリセルアレイや他の周辺回路の占有面積を圧迫する。このため、フラッシュメモリの記憶容量の増大、チップサイズの縮小、ビットコストの低減などが、困難になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−217304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、キャパシタが形成される領域の面積を縮小する技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態の半導体装置は、半導体基板内に設けられた少なくとも1つの半導体領域と、前記1つの半導体領域内に設けられる複数のキャパシタを含むキャパシタ群と、を具備し、前記キャパシタのそれぞれは、前記半導体領域上のキャパシタ絶縁膜と、前記キャパシタ絶縁膜上のキャパシタ電極と、前記キャパシタ電極に隣接する拡散層とを有し、前記キャパシタ電極に接続される配線のそれぞれは、前記キャパシタ毎に電気的に分離され、前記キャパシタ電極のそれぞれに異なる電位が印加されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】フラッシュメモリの構成を示すブロック図。
【図2】フラッシュメモリの断面構造を模式的に示す図。
【図3】メモリセルアレイの断面構造を示す断面図。
【図4】第1の実施形態の半導体装置の構造を説明するための平面図。
【図5】第1の実施形態の半導体装置の構造を説明するための断面図。
【図6】第1の実施形態の半導体装置の構造を説明するための断面図。
【図7】チャージポンプ回路の構成例を示す等価回路図。
【図8】チャージポンプ回路の制御信号を示す波形図。
【図9】チャージポンプ回路のキャパシタのレイアウトを示す平面図。
【図10】チャージポンプ回路のキャパシタの構造を説明するための図。
【図11】チャージポンプ回路のキャパシタの構造及び動作を説明するための図。
【図12】チャージポンプ回路のキャパシタの構造及び動作を説明するための図。
【図13】第2の実施形態の半導体装置の構造を説明するための断面図。
【図14】第3の実施形態におけるチャージポンプ回路の構成例を示す等価回路図。
【図15】チャージポンプ回路の制御信号を示す波形図。
【図16】チャージポンプ回路のキャパシタのレイアウトを示す平面図。
【図17】チャージポンプ回路のキャパシタの構造を説明するための図。
【図18】第4の実施形態におけるチャージポンプ回路の構成例を示す等価回路図。
【図19】チャージポンプ回路の制御信号を示す波形図。
【図20】チャージポンプ回路のキャパシタのレイアウトを示す平面図。
【図21】第1乃至第4の半導体装置の変形例を説明するための平面図。
【図22】第1乃至第4の半導体装置の変形例を説明するための断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、同一符号を付し、重複する説明は必要に応じて行う。
【0012】
[実施形態]
(1) 第1の実施形態
図1乃至図12を参照して、第1の実施形態の半導体装置について説明する。本実施形態において、半導体装置として、フラッシュメモリが例示される。
【0013】
(a) フラッシュメモリの構成
図1は、第1の実施形態の半導体装置としてのフラッシュメモリの構成を示している。
【0014】
図1に示されるように、フラッシュメモリ1は、メモリセルアレイ2、ロウデコーダ3、電圧発生回路4、及び制御回路5を有している。
【0015】
メモリセルアレイ2は、各々がデータ保持可能な複数のメモリセルトランジスタMTを含んでいる。メモリセルトランジスタMTの各々は、電荷を保持可能な電荷蓄積層と、電荷蓄積層上に形成された制御ゲートとを含む積層ゲートを有している。各々のメモリセルトランジスタMTの制御ゲートはワード線WLに接続されている。メモリセルトランジスタMTのドレインはビット線BLに電気的に接続され、メモリセルトランジスタMTのソースはソース線SLに電気的に接続されている。
【0016】
データの書き込み時、アドレスに対応するワード線WLが選択され、選択されたワード線にプログラム電圧VPGM(例えば、20V)が印加される。非選択のワード線に中間電圧VPASS等が印加される。データの読み出し時、アドレスに対応するワード線WLが選択され、選択されたワード線に読み出し電圧VCGRが印加される。非選択のワード線に電圧VREADが印加される。電圧VPASS、VREADは、共にメモリセルトランジスタMTをオン状態とする電圧である。データの消去時には、全ワード線WLに0Vが印加され、メモリセルアレイ2が形成されているウェル領域に高電圧(例えば20V)が印加される。
【0017】
メモリセルアレイ2の内部構成の詳細について説明する。本実施形態のフラッシュメモリは、例えば、NAND型フラッシュメモリである。それゆえ、図1に示されるように、メモリセルアレイ2は、複数のNANDセルNCを含んでいる。
【0018】
NANDセルNCの各々は、32個のメモリセルトランジスタMT0〜MT31と、2つの選択トランジスタST1,ST2とを含んでいる。なお、メモリセルトランジスタMTの個数は32個に限られず、8個や16個、64個、128個、256個等であってもよく、その数は限定されるものではない。以下では、説明の簡潔化のために、メモリセルトランジスタMT0〜MT31を単にメモリセルトランジスタMTとよぶことがある。
【0019】
メモリセルトランジスタMTは、半導体基板上にゲート絶縁膜を介在して形成された電荷蓄積層と、電荷蓄積層上にゲート間絶縁膜を介在して形成された制御ゲート電極とを有する積層ゲート構造を有している。メモリセルトランジスタMTは、隣接するもの同士でソース、ドレインを共有している。そして、選択トランジスタST1,ST2間に、その電流経路が直列接続されるようにして配置されている。直列接続されたメモリセルトランジスタMTの一端のドレイン領域は選択トランジスタST1のソース領域に接続され、他端のソース領域は選択トランジスタST2のドレイン領域に接続されている。
【0020】
同一のロウに配列されたメモリセルトランジスタMTの制御ゲート電極は、ワード線WL0〜WL31のいずれかに共通接続される。同一のロウに配列された選択トランジスタST1,ST2のゲートは、それぞれセレクトゲート線SGD,SGSに共通接続されている。また、メモリセルアレイにおいて同一のカラムに配列された選択トランジスタST1のドレインは、ビット線BL0〜BLn(nは自然数)のいずれかに共通接続される。なお説明の簡単化のため、以下では、ワード線WL0〜WL31及びビット線BL0〜BLnを、それぞれ単にワード線WL及びビット線BLとよぶことがある。選択トランジスタST2のソースはソース線SLに共通接続される。
【0021】
図1では、1つのNANDセルのみ図示されているが、メモリセルアレイ2内には複数のNANDセルがアレイ状に配置される。同一のカラムに配列されたNANDセルは、同一のビット線BLに接続される。また、同一のワード線WLに接続されたメモリセルトランジスタMTは、一括してデータが書き込まれ、この単位は1ページとよばれる。更に複数のNANDセルは、一括してデータが消去され、この単位はブロックとよばれる。
【0022】
ロウデコーダ3は、外部から入力されたアドレスに応じて、メモリセルアレイ2のロウ方向を選択する。
【0023】
電圧発生回路4は、ロウデコーダ3に対して、電圧を供給する。電圧発生回路4は、複数のチャージポンプ回路6を含んでいる。チャージポンプ回路6は、例えば、ワード線WL及びセレクトゲート線SGD,SGSのそれぞれに対して、1つずつ設けられている。電圧発生回路4は、チャージポンプ回路6で生成された電圧を、上記の電圧VPGMや電圧VPASSとして、ロウデコーダ3へ供給する。チャージポンプ回路6は、複数のキャパシタCを有する。
【0024】
制御回路5は、外部からアドレス及びコマンドを受け取る。そして、受け取ったコマンドやアドレスに応じて、フラッシュメモリ1内の回路の動作を制御する。制御回路5は、例えば、電圧制御回路4を制御し、電圧制御回路4に対して必要な電圧を発生するよう命令する。
【0025】
本実施形態において、ロウデコーダ3、電圧生成回路4及び制御回路5のように、フラッシュメモリ1に含まれるメモリセルアレイ2以外の回路のことを、周辺回路とよぶ。
【0026】
メモリセルアレイ2と周辺回路の断面関係について、図2を用いて説明する。図2は、
フラッシュメモリ1の断面図であり、特に、メモリセルアレイ2の一部の領域と周辺回路の一部の領域とを抽出している。図2において、MOSトランジスタのゲート長方向に沿った断面が示されている。しかし、必ずしも全ての素子が、図2の断面を得られるように、配置される必要は無い。
【0027】
図2に示すように、メモリセルアレイ2内において、半導体基板(例えば、p型シリコン基板)10の表面領域内に、p型ウェル領域12が形成されている。p型ウェル領域12内には、例えば、ボロンがドープされ、ウェル領域12の不純物濃度は、例えば1014cm−3〜1019cm−3の間に設定される。ウェル領域12の側面に、ウェル領域12に接するようにしてn型ウェル領域50が形成される。ウェル領域12の下部には、ウェル領域12,50に接するようにしてn型ウェル領域11が形成されている。これにより、p型ウェル領域12の周囲はn型ウェル領域11,50によって囲まれることになり、ウェル領域12は、半導体基板10から電気的に分離される。ウェル領域12が半導体基板10から電気的に分離されることによって、ウェル領域12の電位を、メモリセルアレイ2の動作に応じて、半導体基板10から独立して制御できる。このような二重ウェル構造を用いることで、チャージポンプ回路6の負荷を低減し、消費電力を削減できる。
【0028】
メモリセルトランジスタMTは、p型ウェル領域12上に形成される。これらのメモリセルトランジスタMTは、ワード線に沿った方向において、素子分離領域STIによって分離される。素子分離領域STIの深さは、例えば0.1μm〜0.5μm程度である。素子分離領域STIは、半導体基板10内のトレンチに、例えば、シリコン酸化膜等を埋め込むことによって、形成される。
【0029】
ウェル領域12の電位は、複数のメモリセルトランジスタMTにおいて均一な消去を実現するために、ウェル領域12内に均一に印加される必要がある。このため、ウェル領域12の深さ、つまり、ウェル領域12とウェル領域11との境界は、素子分離領域STIの底面よりも十分に深い位置に設定される。ウェル領域12の深さは、例えば、半導体基板10表面から0.4μm以上且つ0.9μm以下である。
【0030】
NAND型フラッシュメモリは、電荷蓄積層14に対する電荷の注入、又は、電荷蓄積層14からの電荷の放出に、トンネル絶縁膜13を介したトンネル電流を利用する。
【0031】
データの消去は、例えば、単位時間当たりに消去されるメモリセルの数を増やすために、複数のメモリセルトランジスタで同時に行われる。つまり、複数のメモリセルトランジスタは、データを一括して消去することを可能とする。このために、消去の際に、ウェル領域12に半導体基板10に対して15V以上の正の電圧を印加する。これにより、電荷蓄積層14中の電荷が、電荷蓄積層14からウェル領域12に引き抜かれる。
【0032】
一方、データの読み出し及び書き込みにおいては、ウェル領域12の電圧を0Vに保ち、拡散層17に印加する電圧を低下させる。これにより、ウェル領域12を充放電するための電力を削減し、動作速度を高速化することができる。さらに、本実施形態に係るNAND型フラッシュメモリは、ウェル領域12または制御ゲート16(ワード線WL)に、チャージポンプ回路6の出力ノードを選択的に接続することで、データの消去及び書き込みが行われる。
【0033】
図3を用いて、NANDセルの断面構造について、詳細に説明する。図3は、NANDセルのビット線方向に沿った断面図である。
【0034】
図3に示されるように、p型半導体基板10の表面領域内にはn型ウェル領域11が形成され、ウェル領域11の表面領域内にはp型ウェル領域12が形成されている。ウェル領域12上には、ゲート絶縁膜13が形成されている。ゲート絶縁膜13は、4nmから12nmの範囲の膜厚を有するシリコン酸化膜、または、シリコン酸窒化膜を用いて形成される。ゲート絶縁膜13は、メモリセルトランジスタに対してトンネル絶縁膜として機能する。
【0035】
ゲート絶縁膜13上に、メモリセルトランジスタMT及び選択トランジスタST1,ST2のゲート電極が形成されている。
【0036】
メモリセルトランジスタMT及び選択トランジスタST1,ST2のゲート電極は、ゲート絶縁膜13上に形成された電荷蓄積層14、電荷蓄積層14上に形成されたゲート間絶縁膜15、ゲート間絶縁膜15上に形成された導電層16を有している。
【0037】
電荷蓄積層14は、例えば、導電性のポリシリコン層、又は、シリコン窒化層である。
【0038】
ゲート間絶縁膜15は、例えば、シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、またはシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層構造であるON膜、NO膜、またはONO膜、またはそれらを含む積層構造、またはAl、HfSi、AlSi、HfO、TiO単層膜、またはAl、HfSi、AlSi、HfO、TiOの少なくともいずれかとシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜との積層膜で形成される。
【0039】
導電層16は、導電性のシリコン層や、シリサイド層、シリコン層とシリサイド層の積層体を用いて形成される。シリサイド層として、WSi、NiSi、MoSi、TiSi、及びCoSiが用いられる。導電層16は、ビット線BLに直交する方向において、隣接するメモリセルトランジスタ同士で共通接続されており、ワード線WLとして機能する。
【0040】
選択トランジスタST1,ST2において、ゲート間絶縁膜15内に、貫通孔が形成されている。導電層16の底面は、電荷蓄積層14の上面に接触する。選択トランジスタST1,ST2において、導電層16はワード線の延在方向で隣接するもの同士で共通接続されている。そして、導電層16は、セレクトゲート線SGS,SGDとして機能する。
【0041】
互いに隣接するゲート電極間に位置する半導体基板10表面内には、n型不純物拡散層17が形成されている。不純物拡散層17は隣接するトランジスタ同士で共用されている。不純物拡散層17は、トランジスタのソース(S)またはドレイン(D)として用いられる。ソース又はドレインとしての拡散層17のことを、ソース/ドレイン拡散層17とよぶ。ソース/ドレイン拡散層17は、例えばリン、砒素、又はアンチモンを含み、その表面濃度は1017cm−3〜1020cm−3である。また、隣接するソースとドレインとの間の領域は、電子の移動領域となるチャネル領域として機能する。
【0042】
半導体基板10上には、メモリセルトランジスタMT及び選択トランジスタST1,ST2を覆うように、層間絶縁膜19が形成されている。層間絶縁膜19は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0043】
層間絶縁膜19内には、コンタクトプラグCP1が形成される。コンタクトプラグCP1は、ソース側の選択トランジスタST2の不純物拡散層(ソースS)17に達する。層間絶縁膜19の表面内には、金属配線層20が形成されている。金属配線層20は、コンタクトプラグCP1に接続される。金属配線層20はソース線SLとして機能する。
【0044】
層間絶縁膜19内には、コンタクトプラグCP2が形成されている。コンタクトプラグCP2は、ドレイン側の選択トランジスタST1の不純物拡散層(ドレインD)17に達する。そして、層間絶縁膜19の表面内に、金属配線層21が形成されている。金属配線層21は、コンタクトプラグCP2に接続される。
【0045】
層間絶縁膜19上には、金属配線層21を覆うに、層間絶縁膜22が形成されている。層間絶縁膜22内に、金属配線層21に達するコンタクトプラグCP3が形成されている。層間絶縁膜22上には、コンタクトプラグCP3に接続された金属配線層23が形成されている。金属配線層23は、ビット線BLとして機能する。
【0046】
図2に示されるように、例えば、周辺回路の構成素子が、メモリセルアレイ2に隣接して、メモリセルと同じ半導体基板上に形成されている。
【0047】
メモリセルトランジスタMTよりも高い耐圧(高いしきい値)のMOSトランジスタQ1が、メモリセルアレイ2に隣接して、半導体基板1上に配置されている。
【0048】
MOSトランジスタQ1は、例えば、ロウデコーダ3や電圧発生回路4などに含まれる。MOSトランジスタQ1のゲート絶縁膜42は、メモリセルトランジスタMTのゲート絶縁膜(トンネル絶縁膜)13よりも厚い。
【0049】
MOSトランジスタQ1は、メモリセルトランジスタと実質的に同じ積層構造のゲート電極34を、ゲート絶縁膜42上に有する。MOSトランジスタQ1のゲート電極34は、ゲート絶縁膜42上に形成された第1導電層43と、導電層43上に形成されたゲート間絶縁膜44と、ゲート間絶縁膜44上に形成された第2導電層45とを有している。ソース/ドレイン拡散層32は、ウェル領域51内に形成されている。ゲート間絶縁膜44内には、貫通孔が形成され、第2導電層45の底部は、第1導電層43の上部に接触する。MOSトランジスタQ1は、メモリセルアレイMTと共有の製造工程を用いて、実質的に同時に形成される。
【0050】
フラッシュメモリ1は、低電圧から高電圧を発生する電圧発生回路4が必要である。電圧発生回路4は、例えば、半導体基板10に対して、例えば、10Vから15V以上の電位差を発生する。このため、電圧発生回路4は、昇圧回路(例えば、チャージポンプ回路6)を有する。
【0051】
チャージポンプ回路6は、電荷を蓄積する複数のキャパシタCと電荷の蓄積を制御する複数のトランジスタを含む。図2において、チャージポンプ回路6内のトランジスタの例として、MOSトランジスタQ3が示されている。MOSトランジスタQ3は、MOSトランジスタQ1と同様に、メモリセルトランジスタMTと実質的に同じ製造工程で形成される。
【0052】
MOSトランジスタQ3は、高耐圧用トランジスタである。高耐圧用トランジスタは、例えば、半導体基板10の電位に対して、15V以上の電位差に耐えられるように、メモリセルトランジスタMTのゲート絶縁膜よりも厚いゲート絶縁膜42を有する。
【0053】
MOSトランジスタQ3のゲート電極34は、ゲート絶縁膜42上に形成された第1導電層43と、導電層43上に形成されたゲート間絶縁膜44と、ゲート間絶縁膜44上に形成された第2導電層45とを有している。ソース/ドレイン拡散層32は、ウェル領域51内に形成されている。
【0054】
ゲート間絶縁膜44内には、貫通孔が形成され、第2導電層45の底部は、第1導電層43の上部に接触する。
【0055】
尚、高耐圧MOSトランジスタQ1,Q3以外に、MOSトランジスタQ1,Q3よりも耐圧の小さいMOSトランジスタ(低耐圧MOSトランジスタとよぶ)が、メモリセルトランジスタMTと同じ基板10上に、設けられている。低耐圧MOSトランジスタは、高耐圧トランジスタQ1と実質的に同じ構成の積層構造のゲート電極を有する。低耐圧MOSトランジスタのゲート絶縁膜の膜厚は、MOSトランジスタMTのゲート絶縁膜13の膜厚以上で、高耐圧MOSトランジスタQ1のゲート絶縁膜42の膜厚より小さい。
【0056】
キャパシタCは、半導体基板10中に設けられた素子領域AA上に形成される。キャパシタCは、ゲート絶縁膜42とほぼ同じ膜厚を有する絶縁膜42A、ゲート電極34とほぼ同じ構成を有する電極34A及び不純物拡散層32Aを有している。キャパシタCの電極34Aは、絶縁膜34Aを挟んで、例えば、半導体基板10(素子領域AA)の表面内に形成されたウェル領域51上に形成される。なお、図2に示される例では、キャパシタCは、p型ウェル領域51内に設けられているが、ウェル領域が形成されていないp型半導体基板10内に、設けられてもよい。
【0057】
メモリセルアレイ2、MOSトランジスタQ1、MOSトランジスタQ3、及びキャパシタCがそれぞれ形成される領域の境界部分には、素子分離領域STIが形成されている。そして、素子分離領域STIの直下には、チャネルストッパとして、半導体基板10と同じ伝導型(ここでは、p型)のウェル領域36が形成されている。さらに、素子分離領域STI底部におけるパンチスルーリーク電流を防止するために、p型領域37が形成される。なお、チャネルストッパとしてのウェル領域36及びp型領域37は、形成されない場合もある。
【0058】
n型ウェル領域(図示せず)は、半導体基板10の表面に達するように形成される。これは、nチャネルMOSトランジスタの形成領域として使用される。
【0059】
図4乃至図6を用いて、本実施形態の半導体装置(例えば、フラッシュメモリ)に含まれるキャパシタの構造の基本構成について、説明する。
【0060】
図4は、本実施形態の半導体装置に含まれるキャパシタCm,Cnの平面図を示している。図5は図4のV−V線に沿うキャパシタCm,Cnの断面構造を示し、図6は図4のVI−VI線に沿うキャパシタCm,Cnの断面構造を示している。なお、図5において、図中奥行き方向又は手前方向の部材に関しては、破線で示している。
【0061】
図4乃至図6に示されるように、半導体基板10内に、素子分離領域STIが設けられている。素子分離領域STI内に、素子分離絶縁膜が埋め込まれている。素子分離領域STIによって、1つの半導体領域(アクティブ領域)AACが、半導体基板10内に定義される。
【0062】
半導体領域AACは、所定の不純物濃度に設定されたp型又はn型のウェル領域、或いは、ウェル領域が設けられていない半導体基板(例えば、p型シリコン基板)である。
【0063】
本実施形態の半導体装置において、1つの半導体領域AAC内に、2以上のキャパシタCm,Cnが設けられている。共通の半導体領域AAC内の複数のキャパシタCm,Cnは、1つのキャパシタ群GAを形成している。以下では、キャパシタ群GAが設けられる半導体領域のことを、キャパシタ形成領域ともよぶこともある。
【0064】
キャパシタCm,Cnは、MOSキャパシタである。各キャパシタCm,Cnは、半導体領域AAC表面上のゲート絶縁膜42A、絶縁膜42A上のゲート電極34An,34Amを有する。以下では、キャパシタCm,Cnの構成部材としてのゲート絶縁膜42Aのことを、キャパシタ絶縁膜42Aとよぶ。また、キャパシタCm,Cnの構成要素としてのゲート電極34Am,34Anのことを、キャパシタ電極34Am,34Anとよぶ。MOSキャパシタCm,Cnがp型ウェル領域又はp型半導体基板上に形成される場合、MOSキャパシタの駆動時(キャパシタ電極34Am,34Anに正の電圧が印加された時)に、キャパシタ電極34An,34Amの下方に、チャネルが形成される。
【0065】
キャパシタCのキャパシタ絶縁膜42Aは、例えば、半導体領域AACの電位に対して15V以上の電位差に耐えられるように、メモリセルトランジスタMTよりも大きい膜厚を有する。キャパシタ絶縁膜42Aは、例えば、MOSトランジスタQ3のゲート絶縁膜42と同時に形成される。この場合、キャパシタ絶縁膜42Aは、MOSトランジスタQ3のゲート絶縁膜42の膜厚と同じ厚さを有する。また、キャパシタ絶縁膜42Aの材料は、例えば、MOSトランジスタQ3のゲート絶縁膜42の材料と同じである。但し、キャパシタ絶縁膜42Aは、ゲート絶縁膜42と異なる工程で形成されてもよい。それゆえ、キャパシタ絶縁膜42Aの膜厚又は材料は、トランジスタのゲート絶縁膜42Aの膜厚材料と異なってもよい。また、キャパシタ絶縁膜42Aは、積層構造を有していてもよい。
【0066】
キャパシタCm,Cnのキャパシタ電極34Am,34Anは、例えば、メモリセルトランジスタMTの積層構造のゲート電極と実質的に同時に形成される。それゆえ、各キャパシタCm,Cnの電極34Am,34Anは、第1導電層43A、第2導電層45A、及び、2つの導電層43A,45Aに挟まれたゲート間絶縁膜44Aを有している。そして、MOSトランジスタQ3と同様に、ゲート間絶縁膜44Aは、例えば、貫通孔を有し、第2導電層45Aの底部は、その貫通孔を経由して第1導電層43Aの上部に接触している。
【0067】
キャパシタ電極34Am,34Anは、1つの半導体領域(キャパシタ形成領域)AAC内で、互いに隣接している。
【0068】
各キャパシタ電極34Am,34An上に、コンタクトプラグCPEn,CPEmが設けられる。1つのキャパシタ電極34Am,34Anに接続されるコンタクトプラグCPEm,CPEnの個数は、1つ以上であればよい。
【0069】
コンタクトプラグCPEm,CPEnを介して、金属配線層29m,29nがキャパシタ電極34Am,34Anに接続される。金属配線層29m,29nは、キャパシタCm,Cn毎に電気的に分離して設けられている。それゆえ、各キャパシタCm,Cnのキャパシタ電極34Am,34Anの電位は、それぞれ個別に制御される。例えば、キャパシタ群GAを含む回路が動作している間において、異なる大きさの電位Vm,Vnが、各金属配線層29m,29nから各キャパシタ電極34Am,34Anに、それぞれ印加される。
【0070】
半導体領域AACの表層に、拡散層32Aが設けられる。拡散層32Aは、例えば、キャパシタ電極34Am,34Anの周囲を取り囲むように、半導体領域(キャパシタ形成領域)AAC内に設けられている。拡散層32Aは、キャパシタ形成領域AAC内で連続している。拡散層32Aは、共通の半導体領域AAC内の複数のキャパシタCm,Cnによって、共有されている。拡散層32Aは、例えば、トランジスタMT,Q1,Q3のソース/ドレイン拡散層32と同時に形成される。この場合、キャパシタ形成領域AAC内の拡散層32Aの不純物濃度は、例えば、ソース/ドレイン拡散層32の不純物濃度と同じである。
【0071】
キャパシタ形成領域AAC内の拡散層32上に、少なくとも1つのコンタクトプラグCPAが設けられる。コンタクトプラグCPAを介して、拡散層32Aに電位Vaaが印加される。
【0072】
本実施形態において、1つの半導体領域AAC内に設けられた複数のキャパシタCm,Cnにおいて、複数のキャパシタCm,Cnの一端(基板又はウェル)の電位レベルは、拡散層32Aに印加された電位Vaaによって、共通に制御される。すなわち、MOSキャパシタの駆動時に、キャパシタ電極34m,34nの下方に、チャネルが形成されるため、このチャネルを介して、複数のキャパシタCm,Cnの一端の電位レベルが共通に制御される。また、半導体領域AAC内に設けられた複数のキャパシタCm,Cnにおいて、複数のキャパシタCm,Cnの他端(キャパシタ電極)の電位レベルは、互いに分離されている金属配線層29A,29Bに印加された電位Vm,Vnによって、それぞれ独立して制御される。なお、半導体領域AACには、動作の安定化のため、例えば、グランド電位(0V)が印加される。
【0073】
例えば、キャパシタCm,Cnは、メモリセルトランジスタ及びMOSトランジスタと共通の製造工程で、実質的に同時に形成される。これによって、製造工程を増加させることなく、キャパシタCm,Cnを形成できる。
【0074】
図3乃至図5に示されるキャパシタCm,Cnは、例えば、チャージポンプ回路6に用いられる。
【0075】
以上のように、本実施形態の半導体装置において、共通の半導体領域AAC内に、複数のキャパシタCm,Cnが設けられている。本実施形態において、共通の半導体領域AAC内に設けられる複数のキャパシタCn,Cmは、キャパシタの一端としての拡散層32Aの電位が共通に制御される。
【0076】
キャパシタの一端としての拡散層32Aの電位レベルが、キャパシタ群GA毎に異なる電位で制御される場合、動作の安定化のため、各キャパシタ群GAがそれぞれ電気的に分離される必要がある。そのため、素子分離絶縁膜に囲まれた1つの半導体領域内に、1つのキャパシタ群GAが設けられる。
【0077】
さらに、あるキャパシタ(MOSキャパシタ)の駆動時に、キャパシタ電極の下方に形成されるチャネルが、素子分離絶縁膜の底部を経由して、隣接するキャパシタの半導体領域に延在する場合がある。このチャネルの広がりは、隣接するキャパシタの駆動状態に応じて、隣接するキャパシタの動作不良を引き起こす可能性がある。これを抑制するために、互いに隣接するキャパシタの形成領域において、半導体基板表面に対して平行方向における素子分離領域の寸法が大きくされる。さらに、素子分離領域内の素子分離絶縁膜の底部に、チャネルストッパ(ウェル領域36,37)が形成される。このチャネルストッパを形成するためのマージンを確保するために、素子分離絶縁領域(素子分離絶縁膜)の寸法がさらに大きくなってしまう。
【0078】
本実施形態の半導体装置は、複数のキャパシタCm,Cnが、共通の半導体領域AAC内に設けられている。共通の半導体領域AACに設けられた複数のキャパシタCm,Cnは、拡散層32Aに電位が印加されることによって、複数のキャパシタCm,Cnの一端の電位レベルが共通に制御される。
【0079】
1つの半導体領域AACに設けられた複数のキャパシタCm,Cnにおいて、各キャパシタCm,Cnの駆動時、すなわち、キャパシタ電極34Am,34An下方にチャネル(反転層)が形成されている時、キャパシタCm,Cnの一端としての拡散層32Aは、チャネルによって共通の電位レベルで制御されることになる。半導体領域AACにおいて、チャネルはキャパシタ絶縁膜42Aの直下に形成され、このチャネルの下方に空乏層が形成される。しかし、空乏層の容量は、キャパシタ絶縁膜42の容量(キャパシタ電極34A、キャパシタ絶縁膜42A及びチャネルによって形成されるキャパシタの容量)に比較して、無視できるほど小さい。その結果として、1つの半導体領域AAC内に複数のキャパシタCm,Cnが設けられたとしても、1つの半導体領域AAC内で互いに隣接するキャパシタCm,Cnに対する空乏層の悪影響は、ほとんど生じない。
【0080】
このように、本実施形態の半導体装置のように、一端の電位レベルが共通に制御される複数のキャパシタCm,Cnが、共通の半導体領域AAC内に設けられたとしても、キャパシタCm,Cn及びそれらのキャパシタを含むキャパシタ群GAの動作特性の劣化は、実質的に生じない。
【0081】
一方、1つの半導体領域AAC内に形成されたキャパシタCm,Cnのキャパシタ電極34m,34nの電位は、それぞれ個別に制御される。すなわち、キャパシタCm,Cn毎に、キャパシタ電極34m,34nを電気的に分離して設ける必要がある。しかし、各キャパシタCm,Cnの駆動時において、それぞれのキャパシタ電極34Am,34Anに、異なる電位が印加されているものの、キャパシタ電極34Am,34An間の電位差(最大で5V程度にすることが可能)は、キャパシタCm,Cnの配列によって比較的小さくできる。つまり、それぞれのキャパシタ電極34Am,34Anの距離(0.2〜1.0μm程度)は、2つの半導体領域AAC間を分離する素子分離領域の幅(2〜5μm程度)よりもかなり小さくできる。
【0082】
それゆえ、一端(半導体領域)の電位レベルの制御が共通なキャパシタCm,Cnであれば、動作特性の劣化なしに、かつ、素子分離領域による電気的な分離なしに、複数のキャパシタCm,Cnを共通の半導体領域AAC内に設けることができる。
したがって、キャパシタを電気的に分離するための素子分離領域の占有面積を削減できる。
【0083】
以上のように、第1の実施形態の半導体装置によれば、キャパシタが形成される領域の占有面積を縮小できる。
【0084】
(b) 電圧発生回路内のチャージポンプ回路の構成
図7乃至図12を用いて、1つの半導体領域AAC内に設けられる複数のキャパシタが電圧発生回路4のチャージポンプ回路6に適用された例について説明する。
【0085】
<回路構成>
図7を用いて、電圧発生回路4のチャージポンプ回路6の回路構成について説明する。図7は、チャージポンプ回路6の一例を示す等価回路図である。
【0086】
図7に示されるように、チャージポンプ回路6は、9個のnチャネルMOSトランジスタTR1〜TR9と、8個のキャパシタC1〜C8を有している。なお、MOSトランジスタ及びキャパシタの個数は本例に限定されるものでは無く、キャパシタが3個以上あればよい。また以下では、MOSトランジスタTR1〜TR9及びキャパシタC1〜C8を区別しない場合には、単にMOSトランジスタTR及びキャパシタCとよぶことがある。
【0087】
MOSトランジスタTR1は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され、さらに電源電位Vddに接続されている。
【0088】
MOSトランジスタTR2は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され(以下では、この接続ノードをノードN1とよぶ)、さらにMOSトランジスタTR1のソース及びドレインのいずれか他方に接続されている。
【0089】
MOSトランジスタTR3は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され(以下では、この接続ノードをノードN2とよぶ)、さらにMOSトランジスタTR2のソース及びドレインのいずれか他方に接続されている。
【0090】
MOSトランジスタTR4は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され(以下では、この接続ノードをノードN4とよぶ)、さらにMOSトランジスタTR3のソース及びドレインのいずれか他方に接続されている。
【0091】
MOSトランジスタTR5は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され(以下では、この接続ノードをノードN5とよぶ)、さらにMOSトランジスタTR4のソース及びドレインのいずれか他方に接続されている。
【0092】
MOSトランジスタTR6は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され(以下では、この接続ノードをノードN6とよぶ)、さらにMOSトランジスタTR5のソース及びドレインのいずれか他方に接続されている。
【0093】
MOSトランジスタTR7は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され(以下では、この接続ノードをノードN7とよぶ)、さらにMOSトランジスタTR6のソース及びドレインのいずれか他方に接続されている。
【0094】
MOSトランジスタTR8は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され(以下では、接続ノードをノードN8とよぶ)、さらにMOSトランジスタTR7のソース及びドレインのいずれか他方に接続されている。
【0095】
MOSトランジスタTR9は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され(以下では、この接続ノードを以下ノードN8とよぶ)、さらにMOSトランジスタTR8のソース及びドレインのいずれか他方に接続されている。
【0096】
そして、MOSトランジスタTR9のソース及びドレインのいずれか他方のノード(以下では、この接続ノードをノードN9とよぶ)が、出力電圧Voutの出力ノードとなる。
【0097】
以上のように、MOSトランジスタTRは、ソース及びドレインのいずれか一方がアノードとして機能し、いずれか他方がカソードとして機能する整流素子として動作する。即ち、チャージポンプ回路6内のMOSトランジスタTRは、ダイオード接続されたMOSトランジスタである。
【0098】
キャパシタC1,C3,C5,C7の一方の電極(半導体領域)は制御信号(クロック)φ2の信号線に共通に接続される。キャパシタC1,C3,C5,C7の他方の電極(キャパシタ電極)はノードN1,N3,N5,N7にそれぞれ接続される。キャパシタC2,C4,C6,C8の一方の電極(半導体領域)は制御信号(クロック)/φ2の信号線に接続される。キャパシタC2,C4,C6,C8の他方の電極(キャパシタ電極)はノードN2,N4,N6,N8にそれぞれ接続される。図8に示されるように、クロック/φ2は、クロックφ2の反転信号である。
【0099】
チャージポンプ回路6は、直列接続された複数の整流素子を含み、偶数段の整流素子(MOSトランジスタTR2、TR4、TR6、…)の入力ノードには、キャパシタCj(j=1、3、5、…)を介してクロックφ2が入力される。他方、3段目以降の奇数段の整流素子(MOSトランジスタTR3、TR5、…)の入力ノードには、キャパシタC(j+1)を介してクロック/φ2が入力される。
【0100】
図8に示されるように、クロックφ2とクロック/φ2とは、共に電圧VccとGNDを取り得るクロック信号である。そして、制御信号としてのクロックφ2,/φ2は、互いに発生タイミングが重ならないように電圧Vccが発生される2相クロックである。これは、直列接続されたMOSトランジスタTR1〜TR9において、隣接するMOSトランジスタTR間の導通状態を遮断する時間を設けるためである。これにより、ノードN9からノードN1へ向かって電荷が逆流することを防止できる。
【0101】
電圧Vccとして3V〜10Vの電圧を使用することにより、出力電圧Voutとして10V以上の高電圧が得られる。この出力電圧Voutが、例えば、電圧VPGMや電圧VPASSとして用いられる。なお、以下において、Vth1、Vth2、…Vthi(iは1〜9の整数)は、それぞれMOSトランジスタTRiのしきい値電圧である。また電源電圧Vddは、例えば、1V〜5Vである。電源インピーダンスを低減し、出力電圧の変動を抑制するため、チャージポンプ回路の電源電圧Vddは、NAND型フラッシュメモリ1における電源電圧と一致させることが望ましい。
【0102】
図7に示されるチャージポンプ回路6において、クロックφ2が入力される複数のキャパシタCj(j=1、3、5、…)のことを、奇数段目のキャパシタ群Goddとよび、クロック/φ2が入力されるキャパシタC(j+1)のことを、偶数段目のキャパシタ群Gevenとよぶ。
【0103】
図9乃至図11を用いて、図7に示されるチャージポンプ回路6内のキャパシタCの構造について説明する。図9は、キャパシタ形成領域の平面レイアウトを示している。図10は、図9のX−X線に沿う断面を模式的に示している。図11は、図9のXIA−XIA線及び図9のXIB−XIB線に沿う断面を模式的に示している。尚、図10及び図11において、層間絶縁膜の図示は省略する。また、図11において、コンタクトプラグ及び配線層の詳細な図示は、省略している。
【0104】
図9乃至図11に示されるように、奇数段目のキャパシタ群Goddと偶数段目のキャパシタ群Gevenは、例えば、半導体基板(例えば、p型シリコン基板)10内の半導体領域AAC−o,AAC−e内に設けられる。半導体領域AAC−o,AAC−e内に、例えば、p型ウェル領域51p−e,51p−oが設けられている。なお、p型ウェル領域51p−e,51p−oは、図5及び図6に示されるように、省略されてもよい。
【0105】
拡散層32A−A,32A−Bは、各キャパシタ群Godd,Gevenの複数のキャパシタ電極34A〜34Aをそれぞれ取り囲むように、半導体領域AAC−o,AAC−e内に設けられている。各半導体領域AAC−o,AAC−e内の拡散層32A−A,32A−Bは、各キャパシタ群Godd,GevenのキャパシタC1〜C8によって、それぞれ共有される。拡散層32A−Aは、半導体領域AAC−o内で連続している。拡散層32A−Bは、半導体領域AAC−e内で連続している。
【0106】
クロックφ2,/φ2は、それぞれ半導体領域AAC−o,AAC−e内に設けられたコンタクトプラグCPA−o,CPA−eを経由して、奇数段目のキャパシタ群Godd及び偶数段目のキャパシタ群Gevenの拡散層32A−A,32A−Bにそれぞれ印加される。
【0107】
クロックφ2,/φ2は、図8に示されるような電圧Vccの発生タイミングが互いに異なる制御信号である。つまり、2つのウェル領域51p−e,51p−oの電位レベルは、それぞれ異なったタイミングで制御される。それゆえ、2つの拡散層32A−A,32A−Bは、素子分離領域STIによって互いに電気的に分離されている。
【0108】
奇数段目のキャパシタ群Godd(C1,C3,C5,C7)は、拡散層32A−Aにクロックφ2が印加されるp型ウェル領域51p−o内に、配置されている。偶数段目のキャパシタ群Geven(C2,C4,C6,C8)は、拡散層32A−Bにクロック/φ2が印加されるp型ウェル領域51p−e内に、配置されている。このように、各キャパシタ群Godd,Gevenは、互いに電気的に分離された半導体領域(ウェル領域)AAC−o,AAC−e内に、それぞれ設けられている。
【0109】
奇数段目のキャパシタ群Goddは、キャパシタC1,C3,C5,C7の駆動時に、それぞれのキャパシタ電極34A,34A,34A,34Aの下方にチャネルが形成される。また、偶数段目のキャパシタ群Gevenは、キャパシタC2,C4,C6,C8の駆動時に、それぞれのキャパシタ電極34A,34A,34A,34Aの下方にチャネルが形成される。
【0110】
図9に示される平面図において、それぞれのキャパシタC1,C3,C5,C7の拡散層32A−Aは、キャパシタ電極34A,34A,34A,34Aの周囲に連続して形成されているため、奇数段目のキャパシタ群Goddの駆動時以外においても、拡散層32A−Aは電気的に共通に接続されている。これと同様に、キャパシタC2,C4,C6,C8の拡散層32A−Bは、キャパシタ電極34A,34A,34A,34Aの周囲に連続して形成されているため、偶数段目のキャパシタ群の駆動時以外においても、拡散層32A−Bは電気的に共通に接続されている。しかし、それぞれのキャパシタC1〜C8の拡散層32A−A,32A−Bは、半導体領域AAC−o,AAC−e内において連続せずに、キャパシタ電極34A〜34Aによって、分離されていてもよい。これは、奇数段目のキャパシタ群GoddのキャパシタC1,C3,C5,C7の駆動時において、分離された(連続していない)拡散層32A−Aが、チャネルによって電気的に接続されるからである。これと同様に、偶数段目のキャパシタ群GevenのキャパシタC2,C4,C6,C8において、分離された複数の拡散層32A−Bは、形成されたチャネルによって、共通接続される。
【0111】
コンタクトプラグCPA−o,CPA−eは、p型ウェル領域51p−o,51p−e内の拡散層32A−A,32A−Bに、それぞれ電気的に接続されている。これによって、コンタクトプラグCPA−oを経由して、キャパシタ群Godd内の複数のキャパシタC1,C3,C5,C7の一端に、クロックφ2が共通に印加される。また、コンタクトプラグCPA−eを経由して、キャパシタ群Geven内の複数のキャパシタC2,C4,C6,C8の一端に、クロック/φ2が共通に印加される。
【0112】
図9において、2つのコンタクトプラグCPA−o,CPA−eが、1つの半導体領域AAC−o,AAC−e内にそれぞれ設けられている。そして、コンタクトプラグCPA−o,CPA−eは、1つのキャパシタ群のキャパシタが隣接する方向の一端及び他端に、1つずつ配置されている。しかし、半導体領域AAC−o,AAC−eに対するコンタクトプラグCPA−o,CPA−eの個数及びレイアウトは、これに限定されない。
【0113】
キャパシタC1のキャパシタ電極34A上に、コンタクトプラグCPEが設けられる。コンタクトプラグCPEは、上層の金属配線層29に接続される。キャパシタ電極34Aは、配線層29を経由して、トランジスタTR2のノードN1に接続される。
【0114】
キャパシタC2のキャパシタ電極34A上に、コンタクトプラグCPEが設けられる。コンタクトプラグCPEは、上層の配線層29に接続される。キャパシタ電極34Aは、配線層29を経由して、トランジスタTR2のノードN2に接続される。
【0115】
キャパシタC3のキャパシタ電極34A上に、コンタクトプラグCPEが設けられる。コンタクトプラグCPEは、上層の配線層29に接続される。キャパシタ電極34Aは、配線層29を経由して、トランジスタTR3のノードN3に接続される。
【0116】
キャパシタC4のキャパシタ電極34A上に、コンタクトプラグCPEが設けられる。コンタクトプラグCPEは、上層の配線層29に接続される。キャパシタ電極34Aは、配線層29を経由して、トランジスタTR4のノードN4に接続される。
【0117】
キャパシタC5のキャパシタ電極34A上に、コンタクトプラグCPEが設けられる。コンタクトプラグCPEは、上層の配線層29に接続される。キャパシタ電極34Aは、配線層29を経由して、トランジスタTR5のノードN5に接続される。
【0118】
キャパシタC6のキャパシタ電極34A上に、コンタクトプラグCPEが設けられる。コンタクトプラグCPEは、上層の配線層29に接続される。キャパシタ電極34Aは、配線層29を経由して、トランジスタTR6のノードN6に接続される。
【0119】
キャパシタC7のキャパシタ電極34A上に、コンタクトプラグCPEが設けられる。コンタクトプラグCPEは、上層の配線層29に接続される。キャパシタ電極34Aは、配線層29を経由して、トランジスタTR7のノードN7に接続される。
【0120】
キャパシタC8のキャパシタ電極34A上に、コンタクトプラグCPEが設けられる。コンタクトプラグCPEは、上層の配線層29に接続される。キャパシタ電極34Aは、配線層29を経由して、トランジスタTR8のノードN8に接続される。
【0121】
このように、各キャパシタC1〜C8の他端は、トランジスタTR1〜TR8のノードN1〜N8に、それぞれ接続される。
【0122】
キャパシタ電極34A〜34Aに接続された金属配線層29〜29のそれぞれは、互いに電気的に分離されている。そして、各キャパシタC1〜C8のキャパシタ電極34A〜34Aは、異なるトランジスタTR2〜TR9のノードN1〜N8にそれぞれ接続される。
【0123】
後述のように、ノードN1〜N8の電位レベルは、あるトランジスタより1つ前段のトランジスタ及びキャパシタによって昇圧された大きさを有する。すなわち、各ノードN1〜N9の電位レベルは、前段と後段とでそれぞれ異なる値を示し、出力側(トランジスタTR9側)になるほど大きな電圧(電位)になる。それゆえ、キャパシタ電極34A〜34Aには、互いに電気的に分離されている配線29〜29を経由して、異なる大きさの電位V〜Vが印加される。キャパシタ電極34A〜34Aに印加される電位V〜Vも、出力側になるにしたがって、大きくなる。
【0124】
ノードN1〜N8にそれぞれ接続されたキャパシタC1〜C8において、ノードN1〜N8に電位V〜Vが印加されている間、キャパシタ電極34A〜34Aの下方のウェル領域51p−o,51p−e内に、チャネル90がそれぞれ形成される。
【0125】
キャパシタ群Godd,Gevenのそれぞれにおいて、互いに隣接するキャパシタ電極34A〜34A間の間隔は、素子分離領域STIの幅方向の寸法よりも小さい。
【0126】
素子分離絶縁膜STIの底部には、チャネルストッパ37,36が設けられている。これによって、チャネルが、素子分離絶縁膜STIの底部を経由して、クロックφ2が印加される半導体領域AAC−oとクロック/φ2が印加される半導体領域AAC−eとの間にまたがって形成されることが、防止される。
【0127】
<動作>
図7乃至図12を参照して、チャージポンプ回路6の動作について、説明する。図11及び図12は、図7のチャージポンプ回路6の動作時におけるキャパシタC1〜C8の状態を模式的に示す断面図である。
【0128】
まず、クロックφ2の電位がGND(例えば、0V)で、MOSトランジスタTR2が非導通状態の場合を考える。この状態は、図11に示される。この時、MOSトランジスタTR1が導通状態とすることにより、ノードN1は、電源電圧VddからMOSトランジスタTR1のしきい値電圧Vth1の低下分、すなわち、(Vdd−Vth1)まで充電される。この際、ノードN1に接続されたキャパシタC1において、そのキャパシタ電極34Aに、ノードN1の電位(Vdd−Vth1)(=V)が印加され、拡散層32A−Aに、0Vが印加されている。図11に示されるように、第1段目(奇数段目)のキャパシタC1のキャパシタ電極34Aの下方に、チャネル90が形成される。
【0129】
クロックφ2がGNDからVcc(例えば、4V)まで上昇する、即ち、ウェル領域59p−oの電位レベルが0Vから4Vになる。クロックφ2は、奇数段目のキャパシタ群Godd内のキャパシタC1,C3,C5,C7の一端の電位レベルを制御する信号である。本実施形態のチャージポンプ回路6のキャパシタC1〜C8において、奇数段目の複数のキャパシタC1,C3,C5,C7は、共通の拡散層32A−Aを有している。そのため、複数のキャパシタC1,C3,C5,C7の一端に、4Vの電位が共通に印加される。
【0130】
Vccの印加に起因するキャパシタC1の容量結合によって、ノードN1の電位VはαVcc(〜4V程度)だけ上昇する。その結果、ノードN1の電位Vは最大で(Vdd−Vth1+αVcc)(=V)まで上昇する。例えば、ノードN1における電圧の振幅は、キャパシタC1とMOSトランジスタTR1,TR2との容量分配によって、αVccに低下する。なお、αはブートストラップ比に相当する値であり、例えば、0.7〜1の値である。
【0131】
この期間においても、奇数段目のキャパシタ群GoddのキャパシタC1のキャパシタ電極34Aの下方に、チャネル90が形成される。チャネル90の形成に伴って、キャパシタC1のキャパシタ電極34Aの下方(チャネル90の直下の領域)において、ウェル領域(半導体領域)51p−o内に空乏層が形成される。そのため、空乏層容量と酸化膜容量との直列容量が、キャパシタC1の特性(例えば、静電容量)を劣化させることはない。
【0132】
また、奇数段目のキャパシタ群Godd及び偶数段目のキャパシタ群Gevenは素子分離領域STIによって電気的に分離されているため、キャパシタC1の空乏層が、偶数段目のキャパシタ群GevenのキャパシタC2,C4,C6,C8に悪影響を及ぼすこともない。
【0133】
なお、クロックφ2がGNDからVccまで上昇する間、クロック/φ2は、VccからGNDへ降下する。偶数段目のキャパシタ群Gevenが設けられたウェル領域59p−oの電位レベルが、4Vから0Vになる。ノードN1の電位Vが上昇している間、偶数段目の複数のキャパシタC2,C4,C6,C8の一端のそれぞれに、0Vが印加されている。
【0134】
チャージポンプ回路の駆動時において、キャパシタC1の空乏層容量が、偶数段目のキャパシタ群GevenのキャパシタC2,C4,C6,C8の動作(ウェル領域51p−eの電位)に、悪影響を及ぼす可能性がある。また、奇数段目のキャパシタ群Goddの拡散層32A−Aと偶数段目のキャパシタ群Gevenの拡散層32A−Bとが、素子分離絶縁膜を用いずに、不純物領域(例えば、高濃度のp型不純物層)によって電気的に分離された場合を想定する。この場合、動作の安定化のため、高濃度の不純物層にグランド電位が印加されるので、拡散層32A−Aと不純物層との電位差、又は、拡散層32A−Bと不純物層との電位差によって、パンチスルーによるリーク電流が発生してしまう。さらに、高濃度のp型不純物層の影響によって、MOSキャパシタにチャネルが形成されにくくなる。これらの結果として、チャージポンプ回路6が、所定の動作を実行できないおそれがある。
そのため、例えば、高濃度のp型不純物層の形成などの不純物領域による電気的な分離ではなく、奇数段目のキャパシタ群Goddと偶数段目のキャパシタ群Gevenとがそれぞれ設けられたウェル領域(拡散層32A−A,32A−B)は、素子分離領域STIによって電気的に分離される必要がある。
【0135】
次に、クロックφ2がVccである期間内に、MOSトランジスタTR2が導通状態となる。クロック/φ2はGNDであるため、キャパシタC1の次段(偶数段目)のキャパシタC2の一端に、0Vが印加されている。この場合、奇数段目のキャパシタC1が高電位側、偶数段目のキャパシタC2が低電位側になる。これによって、導通状態のMOSトランジスタTR2を経由して、電荷の移動が、2つのキャパシタC1,C2間で生じる。その結果として、ノードN2の電位Vが{(ノードN1の電位V)−Vth2}に上昇するまで、ノードN1の電位VがノードN2へ転送される。そして、ノードN2の電位Vは、ほぼ{(Vdd−Vth1+αVcc)−Vth2}まで上昇する。ノードN2に接続されたキャパシタC2において、そのキャパシタ電極34Aに、{(Vdd−Vth1+αVcc)−Vth2}が印加される。図11に示されるように、ノードN2の電位Vによって、キャパシタ電極34Aの下方に、チャネル90が形成される。
【0136】
次に、図12に示されるように、φ2がGNDとなり、MOSトランジスタTR2が非導通状態となる。さらに、/φ2がGND(0V)からVcc(4V)に上昇する。この際、奇数段目のキャパシタ群Goddの拡散層32A−Aの電位レベルは0Vになり、偶数段目のキャパシタ群Gevenの拡散層32A−Bの電位レベルは、0Vから4Vになる。
【0137】
ノードN1の場合と同様に、キャパシタC2の容量結合によって、ノードN2の電位VがαVccだけ上昇する。その結果、ノードN2の電位Vは、ほぼ{(Vdd−Vth1+αVcc)−Vth2}+αVccまで上昇する。
【0138】
なお、奇数段目のキャパシタ群Godd及び偶数段目のキャパシタ群Gevenは素子分離領域STIによって電気的に分離されているため、キャパシタC2の空乏層が、奇数段目のキャパシタ群GoddのキャパシタC1,C3,C5,C7に悪影響を及ぼすことはない。
【0139】
引き続き、クロック/φ2が4Vである期間内に、MOSトランジスタTR3が導通状態となる。クロック/φ2が4Vである期間において、クロックφ2は0Vである。それゆえ、奇数段目の複数のキャパシタC1,C3,C5,C7の一端(ウェル領域51p−o)に、0Vが印加されている。トランジスタTR3を経由したキャパシタC2とキャパシタC3との間の電荷の移動によって、ノードN3の電位Vが{(ノードN2の電位)−Vth3}に上昇するまで、ノードN2の電圧VがノードN3へ転送される。ノードN3に接続されたキャパシタC3において、そのキャパシタ電極34Aに、ノードN3の電位Vが印加される。ノードN3の電位Vの大きさに応じて、キャパシタC3のキャパシタ電極34A下に、チャネル90が形成される。
【0140】
以上の電荷転送が交互に繰り返されることにより、ノードN9まで昇圧が行われる。
【0141】
すなわち、クロック/φ2がVccである期間において、奇数段目のMOSトランジスタTR1,TR3,TR5,TR7,TR9が導通状態となり、偶数段目のMOSトランジスタTR2,TR4,TR6,TR8が非導通状態となる。
【0142】
これによって、電源電位VddのノードからノードN1へ、ノードN2からノードN3へ、ノードN4からノードN5へ、ノードN6からノードN7へ、ノードN8からノードN9へ、それぞれ電流が流れ、電荷が転送される。
【0143】
また、クロックφ2がVccである期間において、MOSトランジスタTR2,TR4,TR6,TR8が導通状態となり、MOSトランジスタTR1,TR3,TR5,TR7,TR9が非導通状態となる。これにより、ノードN1からノードN2へ、ノードN3からノードN4へ、ノードN5からノードN6へ、ノードN7からノードN8へ、それぞれ電流が流れ、電荷が転送される。
【0144】
なお、ノードN9に、例えば、ワード線等の容量性負荷が電気的に接続されている場合には、その容量によって、出力電圧Voutが平滑化される。
【0145】
チャージポンプ回路6が動作している間、各ノードN1〜N8の電位レベルは、前段のノードの電位より大きい電位になっている。それゆえ、各ノードN1〜N8に接続されたキャパシタのキャパシタ電極34A〜34Aには、互いに電気的に分離された配線層29〜29を経由して、それぞれ異なる大きさの電位が印加されている。
【0146】
図7に示したチャージポンプ回路6は、ある供給電圧(例えば、Vdd)をメモリセルアレイの駆動電圧(例えば、20V以上)までに昇圧するために、複数のキャパシタC1〜C8が必要になる。
本実施形態の半導体装置は、半導体領域(ウェル領域)51p−o,51p−eの電位レベルが共通に制御される複数のキャパシタ(MOSキャパシタ)が、素子分離領域によって電気的に分離されることなしに、共通の半導体領域(ウェル領域)内に設けられる。このように、素子分離領域の占有面積が削減されることによって、複数のキャパシタC1〜C8及びそれらのキャパシタを用いた回路6の占有面積を小さくできる。また、1つの半導体領域51p−o,51p−e内に、複数のキャパシタC1〜C8が設けられたとしても、それらの共通な一端としての半導体領域51p−o,51p−eの電位レベルが共通に制御される1つのキャパシタ群Godd,Gevenであれば、それらのキャパシタの動作特性は、ほとんど劣化しない。
【0147】
ここで、チャージポンプ回路において、初段のノードN1から最終段のノードN8になるにしたがって、印加される電圧が大きくなっている。但し、近接するノードであれば、ノード間の電圧差は比較的小さい。それゆえ、共通の半導体領域内に配置される複数のキャパシC1〜C8において、キャパシタ電極間の電位差が小さいキャパシタが隣接されることによって、電極間の間隔を大きくしなくとも、2つのキャパシタ電極間に埋め込まれた層間絶縁膜の絶縁破壊や相互干渉を抑制できる。その結果として、キャパシタが形成される領域の占有面積を小さくできる。
【0148】
例えば、図9に示されるように、キャパシタC1とキャパシタC3とが隣接するように配置されることによって、キャパシタ電極34Aとキャパシタ電極34Aとが隣接している。キャパシタ電極34Aとキャパシタ電極34との電位差は比較的小さいため、キャパシタ電極34Aとキャパシタ電極34との間隔を、小さくできる。
【0149】
また、素子分離絶縁膜を挟んだキャパシタも近接するノードに接続されるキャパシタを配置することが好ましい。その結果として、キャパシタ電極に接続される配線間の電位差が小さくなり、配線間のリークを減らすことができる。
【0150】
以上のように、第1の実施形態の半導体装置によれば、キャパシタが形成される領域の占有面積を縮小できる。
【0151】
(2) 第2の実施形態
図13を用いて、第2の実施形態の半導体装置(例えば、フラッシュメモリ)について、説明する。
【0152】
第1の実施形態において、複数のキャパシタが設けられる半導体領域が、p型ウェル領域又はp型半導体基板である場合について、説明した。
【0153】
図13に示すように、第2の実施形態において、複数のキャパシタC1〜C8は、n型ウェル領域51n−o,51n−e内に、それぞれ設けられてもよい。
【0154】
1つのn型ウェル領域51n−o内の複数のキャパシタC1,C3,C5,C7の一端(拡散層32A−A)の電位が、共通の電位レベル(制御信号)φ2で制御される。
【0155】
これと同様に、1つのn型ウェル領域51n−e内の複数のキャパシタC2,C4,C6,C8の一端(拡散層32A−B)の電位が、共通の電位レベル(制御信号)/φ2で制御される。
【0156】
一端が共通の電位レベルでそれぞれ制御されるキャパシタC1〜C8が、n型ウェル領域51n−o,51n−e内にそれぞれ設けられた場合においても、第1の実施形態と同様に、チップ内におけるキャパシタが形成される領域の占有面積を縮小できる。
【0157】
キャパシタC1〜C8がp型ウェル領域又はp型半導体基板上に設けられた場合、上述のように、キャパシタ電極34下におけるチャネル(反転層)の形成に伴って、空乏層容量が生じる。
【0158】
本実施形態のように、n型ウェル領域51n−o内に形成される奇数段目のキャパシタC1,C3,C5,C7は、n型ウェル領域51n−oの電位レベルが共通に制御されていれば、キャパシタの駆動時に、キャパシタ電極34A,34A,34A,34A下方にチャネルが形成されなくともよい。n型ウェル領域51n−o内に形成される偶数段目のキャパシタC2,C4,C6,C8も、これと同様である。また、キャパシタC1〜C8は、n型ウェル51n、キャパシタ電極34A及びキャパシタ絶縁膜42Aとから形成されるともいうことができる。
【0159】
それゆえ、第2の実施形態のように、キャパシタC1〜C8がn型ウェル領域51n−o,51n−e内に形成されることによって、空乏層容量に起因するチャージポンプ回路の動作特性の劣化を回避できる。
【0160】
なお、キャパシタC1〜C8がn型ウェル領域51n−o,51p−e上に形成される場合、キャパシタ電極C1〜C8下にチャネルが形成されなくともよいので、拡散層32A−A,32A−Bは、キャパシタ電極34A〜34Aのそれぞれ取り囲むようにウェル領域51n−o,51p−e内に設けられなくともよい。但し、コンタクトプラグCPA−o,CPA−eとn型ウェル領域51n−o,51n−eとの接触抵抗を低減するために、拡散層がコンタクトプラグCPA−o,CPA−eとウェル領域51n−o,51n−eとの接合部において設けられていることが好ましい。
【0161】
図13において、奇数段目のキャパシタ群Goddと偶数段目のキャパシタ群Gevenの両方が、n型ウェル領域内に設けられている。但し、いずれか一方のキャパシタ群がn型ウェル領域内に設けられ、他方のキャパシタ群がp型ウェル領域内に設けられてもよい。
【0162】
以上のように、第2の実施形態の半導体装置によれば、第1の実施形態と同様に、キャパシタが形成される領域の占有面積を縮小できる。加えて、第2の実施形態の半導体装置によれば、複数のキャパシタ及びそれらを用いた回路の動作特性を向上できる。
【0163】
(3) 第3の実施形態
図14乃至図17を参照して、第3の実施形態に係る半導体装置について、説明する。本実施形態において、チャージポンプ回路のキャパシタに入力されるクロックが、3相クロックが使用される。以下では、第1及び第2の実施形態と異なる点について、主に説明する。
【0164】
図14は、第3の実施形態のチャージポンプ回路6の等価回路図である。
図14に示されるように、本実施形態のチャージポンプ回路6は、ノードNj(j=1、4、7)に接続されたキャパシタCjの一端(半導体領域)に、クロックφ3−1が入力される。また、ノードN(j+1)に接続されたキャパシタC(j+1)の一端(半導体領域)に、クロックφ3−2が入力される。さらに、ノードN(j+2)に接続されたキャパシタC(j+2)の一端(半導体領域)に、クロックφ3−3が入力される。
【0165】
図15は、チャージポンプ回路6に用いられる制御信号(クロック)の波形図を示している。図15に示されるように、クロックφ3−1〜φ3−3は、互いに位相がずれた波形を有しており、例えば、120度ずつ位相がずれている。また、クロックφ3−1〜φ3−3は、立ち上がりエッジにおける傾き(スルーレート)が、立ち下がりエッジにおける傾きよりも小さくされている。つまり、クロックφ3−1〜φ3−3の立ち上がりは立ち下がりよりも遅くされている。
【0166】
図16及び図17を用いて、第3の実施形態のチャージポンプ回路6内の複数のキャパシタC1〜C8の構造について、説明する。図16は、チャージポンプ回路6内の複数のキャパシタC1〜C8のレイアウトを示す平面図である。図17は、図16の各キャパシタ形成領域AAC−1,AAC−2,AAC−3の断面構造を示している。
【0167】
図16に示されるように、互いに位相のずれた3つのクロックφ3−1〜φ3−3に対応するように、3つの半導体領域AAC−1,AAC−2,AAC−3が、半導体基板10内に設けられている。半導体領域AAC−1,AAC−2,AAC−3は、素子分離領域STIによってそれぞれ取り囲まれ、素子分離絶縁膜STIによって、互いに電気的に分離されている。半導体領域AAC−1内には、キャパシタ群G1が設けられる。半導体領域AAC−2内には、キャパシタ群G2が設けられる。半導体領域AAC−3内には、キャパシタ群G3が設けられている。
【0168】
図16及び図17に示されるように、クロックφ3−1は、コンタクトプラグCPA−1を経由して、半導体領域AAC−1内の拡散層32A−Aに印加される。クロックφ3−2は、コンタクトプラグCPA−2を経由して、半導体領域AAC−2内の拡散層32A−Bに印加される。これらと同様に、クロックφ3−3は、コンタクトプラグCPA−3を経由して、半導体領域AAC−3内の拡散層32A−Cに印加される。これによって、各キャパシタ群G1〜G3のキャパシタC1〜C8の一端に、クロック(電位)φ3−1〜φ3−3がそれぞれ印加される。
【0169】
図16及び図17に示されるように、クロックφ3−1が入力されるキャパシタ群G1は、3つキャパシタC1,C4,C7を含む。キャパシタ群G1内の3つキャパシタC1,C4,C7は、1つの半導体領域AAC−1内に、設けられる。これによって、3つのキャパシタC1,C4,C7の一端(拡散層32A−A)に、クロックφ3−1が供給される。
【0170】
クロックφ3−2が入力されるキャパシタ群G2は、3つキャパシタC2,C5,C8を含む。キャパシタ群G2内の3つキャパシタC2,C5,C8は、1つの半導体領域AAC−2内に、設けられる。これによって、3つのキャパシタC2,C5,C8の一端(拡散層32A−B)に、クロックφ3−2が供給される。
【0171】
クロックφ3−3が入力されるキャパシタ群G3は、2つキャパシタC3,C6を含む。キャパシタ群G3内の3つキャパシタC3,C6は、1つの半導体領域AAC−3内に、設けられる。これによって、2つのキャパシタC3,C6の一端(拡散層32A−C)に、クロックφ3−3が供給される。
【0172】
このように、本実施形態においても、半導体領域に印加されるクロック(制御信号)が共通なキャパシタ毎に、複数のキャパシタC1〜C8が、共通の半導体領域AAC−1〜AAC−3内にそれぞれ設けられている。
【0173】
なお、3つの半導体領域AAC−1,AAC−2,AAC−3のレイアウトは、図16のレイアウトに限定されない。また、図16及び図17において、各キャパシタ群G1〜G3が設けられるウェル領域51−1,51−2,51−3は、p型のウェル領域でもよいし、n型のウェル領域でもよい。各キャパシタ群G1〜G3は、ウェル領域が形成されない半導体領域(例えば、p型半導体基板)内に設けられてもよい。
【0174】
上述の2相クロックで駆動するチャージポンプ回路と実質的に同様の動作原理によって、3相クロックのチャージポンプ回路において、3相クロックφ3−1〜φ3−3の電位レベルが変動するのに伴って、キャパシタC1〜C8の容量結合により、前段のノードN1〜N8の電位が昇圧され、昇圧された電圧が、導通状態のトランジスタTR1〜TR9を経由して、後段のノードN2〜N9へ順次転送される。
【0175】
また、図16に示される3相クロックを使用することで、リバース電流の大きいMOSトランジスタを整流素子として用いた場合であっても、電荷を効率的に転送できる。なぜなら、図16に示されるように、例えば、クロックφ3−2がGNDからVccに上昇するタイミングt1では、クロックφ3−1はVccまで上昇しているため、接合の逆方向に電流が流れにくくなっている。さらに、タイミングt1において、クロックφ3−3は速やかにGNDに立ち下がるため、例えば、キャパシタC2からキャパシタC3への方向に選択的に電流が流れやすいためである。
【0176】
逆バイアス状態からの回復時間(逆方向回復時間とよぶ)を、電圧が上昇する側のスルーレートが遅いランプ部分で確保することができる。したがって、昇圧された高電位側から低電位側への電流の逆流がより小さいチャージポンプ回路が実現できる。
【0177】
以上のように、本実施形態のように、3相クロックを用いたチャージポンプ回路6に対しても、第1の実施形態を適用することができ、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
したがって、第3の実施形態の半導体装置においても、第1及び第2の実施形態と同様に、キャパシタが形成される領域の占有面積を縮小できる。
【0178】
(4) 第4の実施形態
図18乃至図20を用いて、第4の実施形態に係る半導体装置(例えば、フラッシュメモリ)について説明する。
【0179】
チャージポンプ回路のキャパシタに入力されるクロックが、4相クロックが使用される。以下では、第1乃至第3の実施形態と異なる点について、主に説明する。
【0180】
図18は、本実施形態のチャージポンプ回路6の等価回路図である。
【0181】
図18に示されるチャージポンプ回路6は、以下の点で、図7及び図14に示されるチャージポンプ回路の構成と異なる。
【0182】
ノードNj(j=1、5)に接続されたキャパシタCjの他方の電極(半導体領域)にはクロックφ4−1が入力される。ノードN(j+1)に接続されたキャパシタC(j+1)の他方の電極(半導体領域)にはクロックφ4−2が入力される。ノードN(j+2)に接続されたキャパシタC(j+2)の他方の電極(半導体領域)には、クロックφ4−3が入力される。ノードN(j+3)に接続されたキャパシタC(j+3)の他方の電極(半導体領域)には、クロックφ4−4が入力される。
【0183】
図19は、チャージポンプ回路6に用いられる制御信号(クロック)の波形図を示している。図19に示されるように、クロックφ4−1〜φ4−4は、互いに位相がずれた波形を有しており、例えば、90度ずつ位相がずれている。なお、第3の実施形態と異なり、4相クロックφ4−1〜φ4−4は、立ち上がりエッジにおける傾きと立ち下がりエッジにおける傾きとは、同じ大きさにされている。
【0184】
図20は、4相クロックを用いたチャージポンプ回路6に用いられる複数のキャパシタのレイアウトを示している。なお、本実施形態において、1つの半導体領域内に設けられるキャパシタの個数が異なるのみで、キャパシタの断面構造は上述の実施形態と同じであるため、キャパシタの断面構造の説明及び図示は省略する。
【0185】
図20に示されるように、4つのクロックφ4−1〜φ4−4のそれぞれに対応するように、4つの半導体領域AAC−1〜AAC−4が、半導体基板10内に設けられる。
【0186】
4つの半導体領域AAC−1〜AAC−4は、それぞれ素子分離領域STIに取り囲まれ、互いに電気的に分離されている。半導体領域AAC−1〜AAC−4は、p型又はn型のウェル領域であってもよいし、ウェル領域が設けられていないp型又はn型半導体基板であってもよい。
【0187】
キャパシタC1〜C8に入力されるクロックφ4−1〜φ4−4に応じて、各キャパシタC1〜C8は、4つの半導体領域AAC−1〜AAC−4のうち所定の半導体領域内に、それぞれ設けられている。
【0188】
クロックφ4−1は、コンタクトプラグCPA−1を介して、半導体領域AAC−1内の拡散層32A−Aに供給される。半導体領域AAC−1内には、クロックφ4−1が入力される2つのキャパシタC1,C5が、設けられる。
【0189】
クロックφ4−2は、コンタクトプラグCPA−2を介して、半導体領域AAC−2内の拡散層32A−Bに供給される。半導体領域AAC−2内には、クロックφ4−2が入力される2つのキャパシタC2,C6が、設けられる。
【0190】
クロックφ4−3は、コンタクトプラグCPA−3を介して、半導体領域AAC−3内の拡散層32A−Cに供給される。半導体領域AAC−3内には、クロックφ4−3が入力される2つのキャパシタC3,C7が、設けられる。
【0191】
クロックφ4−4は、コンタクトプラグCPA−4を介して、半導体領域AAC−4内の拡散層32A−Dに供給される。半導体領域AAC−4内には、クロックφ4−4が入力される2つのキャパシタC4,C8が、設けられる。
【0192】
4相クロックを使用することによって、図18のチャージポンプ回路6は、第3の実施形態と同様に、電荷を効率的に転送できる。なぜなら、図19に示されるように、例えば、クロックφ4−2がGNDからVccに上昇するタイミングt2では、クロックφ4−1はVccまで上昇しているため、接合の逆方向に電流が流れにくくなっている。さらに、タイミングt2においてクロックφ4−3はGNDとなっているため、例えば、キャパシタC2からキャパシタC3への方向に選択的に電流が流れやすいためである。さらに、第3の実施形態と同様に、逆方向回復時間をクロックの立ち上がりのランプ部分で確保することができる。したがって、昇圧電位側から低電位側への逆流がより小さいチャージポンプ回路が実現できる。
【0193】
また、本実施形態のように、4相クロックを用いたチャージポンプ回路6においても、共通のクロックφ4−1〜φ4−2で駆動する2以上のキャパシタC1〜C8は、共通の半導体領域AAC−1〜AAC−4内にそれぞれ設けられる。これによって、第1の実施形態のフラッシュメモリと同様の効果が得られる。
【0194】
したがって、第4の実施形態の半導体装置においても、第1乃至第3の実施形態と同様に、キャパシタが形成される領域の占有面積を縮小できる。
【0195】
(5) 変形例
図21及び図22を用いて、第1乃至第4の実施形態の半導体装置の変形例について、説明する。図21は、本変形例におけるキャパシタのレイアウトを示している。図22は、図21のXXII−XXII線に沿う断面構造を示している。
【0196】
半導体装置において、配線レベルのそれぞれにおいて所定の面積に対する素子/配線パターンの占有面積(以下、被覆率とよぶ)が、設定されている。すなわち、1つの半導体領域(素子領域)内のキャパシタ電極(或いは、ゲート電極)の占有面積に関して、所定の被覆率が設定されている。
【0197】
第1乃至第4の実施形態において、キャパシタのキャパシタ電極は、半導体領域上にのみ形成された例が示されている。ただし、所定の被覆率を満たす範囲内であれば、半導体領域に対するキャパシタ電極のレイアウトは、上述の例に限定されない。
【0198】
例えば、図21及び図22に示されるように、キャパシタ電極34A〜34Aは、半導体領域AAC−o,AAC−e上から素子分離領域(素子分離絶縁膜)STI上まで、延在してもよい。
【0199】
半導体領域AAC−o,AAC−e内の拡散層32Bは、キャパシタ電極34A〜34Aをマスクとして、自己整合的に形成される。それゆえ、図21に示されるレイアウトにおいて、1つキャパシタ電極34〜34Aが、2つの拡散層32A〜32Aに挟まれたレイアウトになる。つまり、本変形例において、キャパシタC1,C3,C5,C7の拡散層32A〜32Aは、半導体領域AAC−oで連続せずに、互いに分断されている。図21に示される例では、5つの拡散層32A,32A,32A,32A,32Aが、1つの半導体領域AAC−o内に形成される。
【0200】
このように、拡散層32A〜32Aが1つの半導体領域AAC−o内で連続していなくても、キャパシタC1,C3,C5,C7の駆動時に、キャパシタ電極34A,34A,34A,34Aの下方にチャネルが形成されるので、印加された電位(クロック)φ2,/φ2は、形成されたチャネルを経由して、隣接するキャパシタC1,C3,C5,C7に転送される。
【0201】
すなわち、コンタクトプラグCPAは、キャパシタ形成領域AAC内の複数の拡散層32A,32A,32A,32A,32Aのうち1つの拡散層上に、少なくとも1つ形成されていればよい。その結果として、キャパシタが形成される領域の占有面積を縮小できる。
【0202】
また、キャパシタ電極34A〜34Aに接続されるコンタクトCPE〜CPEは、素子分離絶縁膜STI上方に配置されてもよい。
【0203】
図21及び図22に示される変形例においても、第1乃至第4の実施形態と同様に、キャパシタが形成される領域の占有面積を縮小できる。
【0204】
[その他]
第1乃至第4の実施形態の半導体装置として、フラッシュメモリが例示されている。しかし、本実施形態の不揮発性半導体メモリは、フラッシュメモリに限定されず、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、ReRAM(Resistive Random Access Memory)又はPCRAM(Phase Change Random Access Memory)でもよい。これらのメモリに対して、上述の1つの半導体領域内に設けられた複数のキャパシタ、及びその複数のキャパシタを用いた回路(例えば、チャージポンプ回路)が適用されてもよい。さらには、本実施形態の半導体装置は、半導体メモリに限定されず、混載メモリやロジックLSIでもよい。
【0205】
第1乃至第4の実施形態において、1つの半導体領域内に設けられた複数のキャパシタは、チャージポンプ回路に用いられている。しかし、これに限定されず、複数のキャパシタの一端(ウェル領域又は基板)が共通の電位レベル(共通の制御信号)で制御される回路であれば、1つの半導体領域内に設けられた複数のキャパシタを用いてチャージポンプ回路以外の回路が形成されてもよい。
【0206】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0207】
1:半導体装置、6:チャージポンプ回路、Cn,Cm,C1〜C8:キャパシタ、AAC,AAC−o,AAC−e:半導体領域(キャパシタ形成領域)、STI:素子分離領域、34Am、34An,34A〜34A:キャパシタ電極、29m、29n,29A〜29A:金属配線層、42A:キャパシタ絶縁膜、51p−o,51p−e,51n:ウェル領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板内に設けられた少なくとも1つの半導体領域と、
前記1つの半導体領域内に設けられる複数のキャパシタを含むキャパシタ群と、
を具備し、
前記キャパシタのそれぞれは、前記半導体領域上のキャパシタ絶縁膜と、前記キャパシタ絶縁膜上のキャパシタ電極と、前記キャパシタ電極に隣接する拡散層とを有し、
前記キャパシタ電極に接続される配線のそれぞれは、前記キャパシタ毎に電気的に分離され、前記キャパシタ電極のそれぞれに異なる電位が印加されている、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記拡散層は、少なくとも2つの前記キャパシタに共有されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
素子分離領域によって互いに分離された2以上の半導体領域が設けられ、
前記2つの半導体領域間の間隔は、互いに隣接する前記キャパシタ電極間の間隔より広いことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記キャパシタ群は、チャージポンプ回路の構成要素であり、
前記チャージポンプ回路が駆動している間、1つの前記キャパシタ群の前記拡散層に印加されている電位は、他の前記キャパシタ群の前記拡散層に印加されている電位と異なっていることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体領域は、n型の伝導型であることを特徴等する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−38818(P2012−38818A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175693(P2010−175693)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】