説明

結晶化用光マスク及びこれを利用した薄膜トランジスタ表示板の製造方法

【課題】薄膜トランジスタの特性を均一に確保できる結晶化用光マスク及びそれを利用した薄膜トランジスタ表示板の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による結晶化用光マスクは、スリットが一定に配列されている一つ以上のスリット領域を含み、前記スリットはマスクの移動方向に対し一定角度で傾斜して設けられ、スリット領域は、第1の長さを有する第1部分と第1の長さよりも長い第2の長さを有する第2部分とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質シリコンを多結晶シリコンに結晶化する結晶化用光マスク及びこれを利用した薄膜トランジスタ表示板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ケイ素は結晶状態によって非晶質シリコン(amorphous silicon)と結晶質シリコン(crystalline silicon)に分けられる。非晶質シリコンは低い温度で蒸着して薄膜(thin film)を形成することが可能であり、主に、低い融点を有するガラスを基板として用いる表示装置のスイッチング素子の半導体層に多く使われる。
【0003】
しかし、非晶質シリコン薄膜は、低い電界効果移動度などの問題で表示素子の駆動回路に適用するには困難さがあった。このため、高い電界効果移動度と高周波動作特性及び低い漏洩電流(leakage current)の電気的特性を有する多結晶シリコン(poly crystalline silicon)の応用が要求されている。
【0004】
このような多結晶シリコンを形成する方法は、ELA(eximer laser anneal;以下、ELAと言う)、炉熱処理(chamber anneal)などがあり、近来、レーザーでケイ素結晶の側面成長を誘導して多結晶シリコンを製造するSLS(sequential lateral solidification:以下、SLSと言う)方法が提案された。
【0005】
SLS方法は、ケイ素粒子が液状領域と固形状領域の境界面においてその境界面に対し垂直方向に成長するという特性を利用するものである。即ち、ケイ素を液状に溶かすためのエネルギーを有するレーザービームをマスクに形成されているスリットの透過領域を通過させ、ケイ素粒子を所定長さの分だけ側面成長させることによって非晶質シリコンを結晶化するものである。
【0006】
このような多結晶化工程において、結晶粒の成長方向によって薄膜トランジスタの特性が変わるため、結晶粒の成長方向が均一であることが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、スリットが光マスクの移動方向に対し任意の角度で設けられているときには、ショット(shot)の境界部分において非晶質シリコンが結晶化されない部分が生じることがあり、このことは、マスクの整列誤差が発生する場合は著しく現れる。前記部分に薄膜トランジスタの半導体層などが位置する場合には、画素不良などが生じ、表示特性を低下させる問題点が発生する。
【0008】
本発明は、前記問題点を解決するためのものであって、薄膜トランジスタの特性を均一に確保できる結晶化用光マスク及びそれを利用した薄膜トランジスタ表示板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
結晶化工程においてレーザービームを局部的に透過させるために透過領域を定義するスリットを有する結晶化用マスクであって、前記スリットの境界は曲線からなる結晶化用マスクを提供する。
【0010】
ここで、前記スリットは弧状である。
【0011】
また、
絶縁基板の上部に非晶質シリコン薄膜を形成する段階、
前記非晶質シリコン薄膜を多結晶シリコン薄膜に結晶化する段階、
前記多結晶シリコン薄膜をパターニングして半導体層を形成する段階、
前記半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成する段階、
前記半導体層の前記ゲート絶縁膜の上部にゲート電極を形成する段階、
前記半導体層に不純物を注入して前記ゲート電極を中心に両側にソース及びドレイン領域を形成しながらチャンネル領域を定義する段階、
前記ゲート電極を覆う第1層間絶縁膜を形成する段階、
前記ソース及びドレイン領域とそれぞれ電気的に連結されるソース及びドレイン電極を各々形成する段階、
前記ソース及びドレイン電極を覆う第2層間絶縁膜を形成する段階、
前記ドレイン電極と連結されている画素電極を形成する段階を含み、
前記多結晶シリコン薄膜結晶化段階は、結晶化工程においてレーザービームを局部的に透過させるために透過領域を定義するスリットを有し、前記スリットの境界が曲線からなるマスクを利用した順次的固状結晶化工程で実施し、前記順次的固状結晶化工程において前記多結晶シリコンの主結晶粒は、前記チャンネル領域の境界と平行ではないように形成する薄膜トランジスタの製造方法を提供する。
【0012】
ここで、前記マスクは、レーザービームを局部的に透過させる透過領域を定義し、曲線の境界を有するスリットを有する。
【0013】
ここで、前記スリットは弧状の境界を有する。
【0014】
ここで、前記マスクは第1領域及び第2領域を含み、前記第1領域及び第2領域の前記スリットは交互に配置されている。
【0015】
ここで、前記ソース領域及びドレイン領域と前記チャンネル領域との間に、低濃度のドーピング領域を形成する段階をさらに含む。
【発明の効果】
【0016】
スリットの長さを異ならせることで光マスクの移動時に整列誤差が生じても非晶質シリコンを全て結晶化できるので、薄膜トランジスタの特性が向上し、薄膜トランジスタの信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施例による薄膜トランジスタ表示板の配置図である。
【図2】図1に示すII-II´線による断面図である。
【図3a】本発明の第1実施例による薄膜トランジスタ表示板を製造する中間工程の配置図である。
【図3b】図3aに示すIIIB-IIIB´線による断面図である。
【図4】本発明による光マスクパターンを用いて結晶化することに関する図面である。
【図5】本発明による光マスクパターンを用いて結晶化することに関する図面である。
【図6a】本発明の第1実施例による薄膜トランジスタ表示板を製造する中間工程の配置図である。
【図6b】図6aに示すVIB-VIB´線による断面図である。
【図7】図6bの次の工程における断面図である。
【図8a】本発明の第1実施例による薄膜トランジスタ表示板を製造する中間工程の配置図である。
【図8b】図8aに示すVIIIB-VIIIB´線による断面図である。
【図9a】本発明の第1実施例による薄膜トランジスタ表示板を製造する中間工程の配置図である。
【図9b】図9aに示すIXB-IXB´線による断面図である。
【図10】本発明の第2実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ表示板の配置図である。
【図11】図10に示すXI-XI´-XI"線による断面図である。
【図12a】本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ表示板を製造する中間工程の配置図である。
【図12b】図12aに示すXIIB-XIIB´-XIIB"線による断面図である。
【図13a】本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ表示板を製造する中間工程の配置図である。
【図13b】図13aに示すXIIIB-XIIIB´-XIIIB"線による断面図である。
【図14】図13bに示す次の工程の断面図である。
【図15a】本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ表示板を製造する中間工程の配置図である。
【図15b】図15aに示すXVB-XVB´-XVB"線による断面図である。
【図16】マスクのスリットにレーザーを通過させて非晶質シリコンを多結晶シリコンに結晶化する工程を概略的に示した概略図である。
【図17】本発明の実施例によるマスクの構造を示した平面図である。
【図18】本発明の実施例によるマスクを利用した順次的側面固状結晶化工程を示した工程図である。
【図19】本発明の実施例による順次的側面固状結晶化工程で結晶化された多結晶シリコンの結晶粒の形状を示した図面である。
【図20】本発明の実施例による多結晶シリコン薄膜トランジスタの構造を概略的に示した断面図である。
【図21】本発明の実施例による薄膜トランジスタの製造工程におけるゲート電極と多結晶シリコンの主結晶粒の構造を示した配置図である。
【図22A】本発明の実施例による多結晶シリコン薄膜トランジスタの製造方法をその工程順序に基づいて示した断面図である。
【図22B】本発明の実施例による多結晶シリコン薄膜トランジスタの製造方法をその工程順序に基づいて示した断面図である。
【図22C】本発明の実施例による多結晶シリコン薄膜トランジスタの製造方法をその工程順序に基づいて示した断面図である。
【図22D】本発明の実施例による多結晶シリコン薄膜トランジスタの製造方法をその工程順序に基づいて示した断面図である。
【図22E】本発明の実施例による多結晶シリコン薄膜トランジスタの製造方法をその工程順序に基づいて示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例に対して、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。しかし、本発明は、多様な形態で実現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0019】
図面は、各種層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示している。明細書全体を通じて類似した部分については同一な図面符号を付けている。層、膜、領域、板などの部分が、他の部分の“上に”あるとする時、これは他の部分の“すぐ上に”ある場合に限らず、その中間に更に他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の“すぐ上に”あるとする時、これは中間に他の部分がない場合を意味する。
【0020】
以下、添付した図面を参考にして、本発明の実施例による薄膜トランジスタ表示板及びその製造方法に関して詳細に説明する。
【0021】
本発明の実施例による結晶化用光マスクは、第1の長さを有するスリット及び第2の長さを有するスリットを含む。これに関して、薄膜トランジスタ表示板を製造する方法を通じて詳細に説明する。
<第1実施例>
図1は本発明の一実施例を説明するための薄膜トランジスタ表示板の配置図であり、図2は図1に示すII-II’線による断面図である。
【0022】
図示したように、透明な絶縁基板110上に酸化ケイ素などからなる遮断膜111が形成されている。遮断膜111上には不純物がドーピングされているソース領域153、ドレイン領域155、及びこれらの間に形成され、真性半導体(intrinsic semiconductor)からなるチャンネル領域154を含む半導体層150が形成されている。そして、半導体層150のソース領域153とチャンネル領域154の間、ドレイン領域155とチャンネル領域154の間には、低濃度ドーピング領域(lightly doped drain)152が形成されている。
【0023】
低濃度ドーピング領域152は、漏洩電流やパンチスルー(punch through)現象の発生を防止する。ソース領域153及びドレイン領域155に導電型不純物が高濃度にドーピングされており、低濃度ドーピング領域152には導電型不純物がソース領域153及びドレイン領域155よりも低濃度にドーピングされている。
【0024】
ここで、導電型不純物はP型またはN型導電型不純物であって、P型導電型不純物にはホウ素(B)、ガリウム(Ga)などが用いられ、N型不純物にはリン(P)、砒素(As)などが用いられる。
【0025】
半導体層150上には窒化ケイ素または酸化ケイ素などからなるゲート絶縁膜140が形成されている。そして、ゲート絶縁膜140上には一方向に長いゲート線121が形成され、ゲート線121の一部がのびて半導体層150のチャンネル領域154と重なっている。低濃度ドーピング領域152は、ゲート線121と重畳(図示せず)して形成することもできる。チャンネル領域154と重なった部分は、薄膜トランジスタのゲート電極124として用いられる。
【0026】
また、画素の保持容量を増加させるための維持電極線131がゲート線121と平行であり、同一物質で同一層に形成されている。半導体層150と重なる維持電極線131の一部分は維持電極133となり、維持電極133と重なる半導体層150は維持電極領域157となる。ゲート線121の一端部は、外部回路と連結するためにゲート線121の幅よりも広く形成(図示せず)することができる。
【0027】
ゲート線121及び維持電極線131を含むゲート絶縁膜140上に第1層間絶縁膜601が形成されている。第1層間絶縁膜601は、ソース領域153とドレイン領域155を各々露出する第1及び第2接触孔161、162を含む。
【0028】
第1層間絶縁膜601上にゲート線121と交差して画素領域を定義するデータ線171が形成されている。データ線171の一部分または分枝型部分は、第1接触孔161を通じてソース領域153と連結されており、ソース領域153と連結されている部分173は、薄膜トランジスタのソース電極173として使われる。データ線171の一端部は、外部回路と連結するためにデータ線171の幅よりも広く形成することができる。
【0029】
そして、データ線171と同一層にはソース電極173と一定距離を離れて形成され、第2接触孔162を通じてドレイン領域155と連結されているドレイン電極175が形成されている。
【0030】
ドレイン電極175及びデータ線171を含む第1層間絶縁膜601上に第2層間絶縁膜602が形成されている。第2層間絶縁膜602は、ドレイン電極175を露出する第3接触孔163を有する。
【0031】
第2層間絶縁膜602上には第3接触孔163を通じてドレイン電極175と連結される画素電極190が形成されている。
【0032】
前記のような本発明の第1実施例によって薄膜トランジスタ表示板を製造する方法について、図3a乃至図9bと共に既に説明した図1及び図2を参照して詳細に説明する。
【0033】
図3a、図6a、図8a、図9aは本発明の第1実施例による薄膜トランジスタ表示板を製造する中間工程の配置図であり、図3bは図3aに示すIIIB-IIIB’線による断面図であり、図4及び図5は本発明による光マスクパターンを利用して結晶化することに関する図面であり、図6bは図6aに示すVIB-VIB’線による断面図であり、図7は図6bに続く工程の断面図であり、図8bは図8aに示すVIIIB-VIIIB’線による断面図であり、図9bは図9aに示すIXB-IXB’線による断面図である。
【0034】
まず、図3a及び図3bに示すように、透明な絶縁基板110上に遮断膜111を形成する。この時に用いられる透明絶縁基板110には、ガラス、石英またはサファイアなどがある。そして、遮断膜は酸化ケイ素(SiO2)または窒化ケイ素(SiNx)を約1,000Åの厚さで蒸着して形成する。その後、洗浄によって遮断膜111上の自然酸化膜のような不純物を除去する。
【0035】
次に、化学気相蒸着などの方法で不純物がドーピングされない非晶質シリコン膜を400〜1,200Åの厚さで形成する。
【0036】
次いで、非晶質シリコン膜を順次的側方向固状結晶化方法で結晶化して多結晶シリコン膜を形成する。そして、多結晶シリコン膜を光マスクを用いる写真エッチング工程でパターニングして、多結晶シリコンからなる半導体層150を形成する。
【0037】
図4及び図5を参照して順次的側方向固状結晶化方法で結晶化する方法をより詳細に説明する。図4は本発明の実施例による光マスクのスリットを示す配置図であり、図5は本発明の実施例による光マスクの移動状態を示す図面である。
【0038】
非晶質シリコンを多結晶化するために、非晶質シリコン膜10上に図4に示されるように、一定パターンを有する光マスク(MP)を整列させる。
【0039】
図4に示す光マスク(MP)は、同一のパターンを有するA領域(A)とB領域(B)に分けられ、それぞれの領域(A、B)は、各々レーザービームが透過するスリット(S1、S2)が一定間隔で配列されてスリット列をなしている。この時、A領域(A)とB領域(B)に配置されているスリットは互いにずらして配置されており、結晶化工程時に光マスク(MP)の移動方向に対し所定角度ほど傾斜(tilt)している。
【0040】
また、それぞれの領域において一端部に位置するスリット(S1)は他の部分に位置するスリット(S2)に比べて長さが長く形成されている。他のスリットよりも長いスリット(S1)は少なくとも一つ以上であり、光マスク(MP)の移動方向に対しスリットがなす角度が大きいほど、長いスリットの数を増やして配置することが好ましい。
【0041】
次に、整列した光マスクのスリット(S1、S2)を通じて非晶質シリコン膜10にレーザーを照射すれば、スリット(S1、S2)を通じてレーザーが照射された非晶質シリコンは液状に変化し、レーザーが照射されない部分の非晶質シリコンは固状のままである。これにより、液状及び固状が境界面で結晶化が進み、固状の境界面に対し垂直に結晶粒が成長する。
【0042】
次に、図5のように、光マスク(MP)を水平(矢印方向)に移動した後、レーザーを照射して非晶質シリコンを結晶化する。ここで、固状の境界面に対し垂直に成長する結晶粒が互いに出会い成長が停止する。この時、レーザーを照射し移動する過程は非晶質シリコン膜の全体に対して実施され、水平方向への移動を終えれば、垂直に移動した後反対方向に水平移動しつつ非晶質シリコン膜を結晶化する。即ち、光マスク(MP)をジグザグ移動しながら非晶質シリコン膜を多結晶シリコンに結晶化する。例えば、図5中矢印方向1に移動した後、矢印方向2への移動を行う。
【0043】
この時、本発明のように、周縁に配置されている少なくとも一つのスリット(S1)を他のスリット(S2)よりも長く形成するときには、光学系または光マスクにおいて整列誤差が生じても、ショットの境界部分(Q)に位置する非晶質シリコンを完全に結晶化することができる。
【0044】
ここで、周縁に位置するスリット(S1)の長さは他の部分(S2)に比べてマスクの整列誤差ほど長いのが好ましく、本発明の実施例では3〜4μmほど長い。なお、スリット(S1、S2)が傾斜する角度によって長いスリット(S1)の個数を複数個形成することができる。
【0045】
図6a及び図6bに示すように、半導体層150上に化学気相蒸着方法で、窒化ケイ素または酸化ケイ素などの絶縁物質を蒸着してゲート絶縁膜140を形成する。その後、ゲート絶縁膜140上に銀(Ag)、銅(Cu)、チタニウム(Ti)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、またはこれらの合金を短層または複数層で蒸着して金属膜を形成する。
【0046】
そして、金属膜上に感光膜を塗布した後、光マスクを用いる写真工程で感光膜パターン(PR)を形成する。エッチング工程によって金属膜を湿式または乾式エッチングして、ゲート線121及び維持電極線131を形成する。この時、金属膜を過エッチングすることで、ゲート線121及び維持電極線131の幅が感光膜パターン(PR)の幅よりも少なく形成する。
【0047】
ゲート線121及び維持電極線131の側面をテーパ状に形成して上部層との密着性を増加させる。そして、保持容量が充分なときには維持電極線131を形成しない。
【0048】
次に、感光膜パターン(PR)をマスクに半導体層150に導電型不純物を高濃度にドーピングしてソース及びドレイン領域153、155を形成する。
【0049】
次に、図7に示すように、感光膜パターン(PR)を除去した後、ゲート線121及び維持電極線131をマスクに半導体層150に導電型不純物を低濃度にドーピングして低濃度ドーピング領域152を有する半導体層150を完成する。そして、ゲート線121をチタニウムのような高耐熱、高化学性物質で形成しないときには、配線の損傷を減らすために感光膜パターン(PR)を形成してから不純物をドーピングすることもできる。
【0050】
低濃度ドーピング領域152は、前記のように、感光膜パターン(PR)の他に互いに異なるエッチング比を有する金属層を利用したり、ゲート線121の側壁にスペーサなどを設けて形成することができる。
【0051】
また、半導体層150と維持電極線131、133の長さ及び幅の差のため、維持電極線131、133の外側に露出される半導体層150Aが生じ得る。これらの領域もドーピングされており、維持電極領域157に隣接し、ドレイン領域155とは分離されている。
【0052】
次に図8a及び図8bのように、基板110全面に第1層間絶縁膜601を形成し、写真エッチング工程でエッチングして、ソース領域及びドレイン領域153、155を露出する第1及び第2接触孔161、162を形成する。
【0053】
第1層間絶縁膜601は、平坦化特性が優れて感光性を有する有機物質、プラズマ化学気相蒸着(PECVD)で形成されるa-Si:C:O、a-Si:O:Fなどの低誘電率絶縁物質、または無機物質である窒化ケイ素などで形成することができる。
【0054】
次に、第1層間絶縁膜601上にタングステン、チタニウム、アルミニウムまたはこれらの合金を短層または複数層で蒸着して金属膜を形成する。その後、金属膜を写真エッチング工程でパターニングして、接触孔161、162を通じて各々ソース領域153及びドレイン領域155と連結されるソース電極173を有するデータ線171及びドレイン電極175を形成する。
【0055】
データ線171及びドレイン電極175の側壁をテーパ状に形成して上部層との密着性を向上させることができる。
【0056】
図9a及び図9bに示すように、データ線171及びドレイン電極175を覆う第2層間絶縁膜602を形成する。その後、第2層間絶縁膜602を写真エッチング工程でパターニングして、ドレイン電極175を露出する第3接触孔163を形成する。第2層間絶縁膜602も第1層間絶縁膜601と同一物質で形成することができる。
【0057】
次に、図1及び図2に示すように、第2層間絶縁膜上にIZO(indium zinc oxide)、ITO(indium tin oxide)のような透明な導電膜を形成し、パターニングして、第3接触孔163を通じてドレイン電極175と連結される画素電極190を形成する。
【0058】
第2層間絶縁膜602を低誘電率の有機物質で形成するときには、画素電極190をデータ線及びゲート線と重畳させて画素領域の開口率を向上させることができる。
【0059】
<第2実施例>
図10は本発明の第2実施例による液晶表示装置用薄膜トランジスタ表示板の配置図であり、図11は図10に示す切断線XI−XI’−XI”線による断面図である。
【0060】
実施例2では、同一物質でデータ連結部171b及び画素電極190を同一層に形成し、画素電極190及びデータ連結部171bを半導体層150のソース及びドレイン領域153、155に各々連結するための接触孔161、162を同時に形成するため、第1実施例に比べてマスク数を減らすことができる。
【0061】
より詳細に説明すれば、図10及び図11に示されるように、透明な絶縁基板110上に遮断膜111が形成されている。遮断膜111上には、導電型不純物が高濃度にドーピングされているソース領域153、ドレイン領域155及びこれらの間に形成され真性半導体からなるチャンネル領域154を含む半導体層150が形成されている。そして、半導体層150のソース領域153とチャンネル領域154の間、ドレイン領域155とチャンネル領域154の間には、導電型不純物がソース及びドレイン領域よりも低濃度にドーピングされている低濃度ドーピング領域152が形成されている。
【0062】
半導体層150を含めて基板110上にはゲート絶縁膜140が形成されている。ゲート絶縁膜140上には、横方向に長いゲート線121が形成され、ゲート線121の一部が縦方向にのびて半導体層150と一部が重なり、半導体層150と重なっているゲート線121の一部はゲート電極124として使われる。
【0063】
ゲート線121の一端部は、外部回路(図示せず)から走査信号の印加を受けるために、ゲート線121の幅よりも拡大して形成することができる。
【0064】
また、維持電極線131がゲート線121と一定距離を離れて形成され、平行に位置するように、ゲート線121と同一物質で同一層に形成されている。半導体層150と重なる維持電極線131の一部は維持電極133となり、維持電極133の下に位置する半導体層150は維持電極領域157となる。
【0065】
そして、ゲート線121と一定距離を離れて形成され、ゲート線121と垂直方向に延長され、ゲート線121と同一層にデータ金属片171aが形成されている。データ金属片171aは、隣接する二つのゲート線121の間にゲート線121と連結されないように形成されている。なお、データ金属片171aは、外部回路(図示せず)から画像信号の印加を受けるために最も外側に位置する一行のデータ金属片171aの一端部を拡大して形成できる。
【0066】
ゲート線121及び維持電極線131を含むゲート絶縁膜140上には層間絶縁膜160が形成されている。
【0067】
層間絶縁膜160上にはデータ連結部171b、画素電極190、接触補助部材82が形成されている。データ連結部171bは、縦方向にゲート線121及び維持電極線131と交差するように形成されている。
【0068】
データ金属片171aは、層間絶縁膜160に形成されている第3接触孔163を通じてデータ連結部171bと連結され、データ連結部171bは第1接触孔161を通じてソース領域153と連結されている。即ち、データ連結部171bによって分離されているデータ金属片171aがゲート線121及び維持電極線131を隔てて連結される。そして、画素電極190は、層間絶縁膜160とゲート絶縁膜140にわたって形成されている第2接触孔162を通じてドレイン領域155と連結され、接触補助部材82は、層間絶縁膜160に形成されている第4接触孔164を通じて各々ゲート線121及びデータ金属片171aの一端部と連結されている。
【0069】
接触補助部材82は、データ線171aの端部と外部装置との接着性を補完し、これらを保護する役割をするものであって、必須ではなくこれらの適用の要否は選択的である。特に、駆動回路を表示領域の薄膜トランジスタと共に形成するときには形成しない。
【0070】
前記本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ表示板を製造する方法を図12a乃至図15bと共に、既に説明した図10及び図11を参照して詳細に説明する。
【0071】
図12a、図13a、図15aは本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ表示板を製造する中間工程の配置図であり、図12bは図12aに示すXIIB-XIIB’-XIIB”線による断面図であり、図13bは12aに示すXIIIB-XIIIB’-XIIIB”線による断面図であり、図14は図13bに続く工程の断面図であり、図15bは図15aに示すXVB−XVB’−XVB”線による断面図である。
【0072】
まず、図12a及び図12bに示すように、透明な絶縁基板110上に遮断膜111を形成する。この時に用いられる透明絶縁基板110としてガラス、石英またはサファイアなどを用いることができ、遮断膜は、酸化ケイ素(SiO2)または窒化ケイ素(SiNx)を約1,000Åの厚さに蒸着して形成する。次に、洗浄で遮断膜111上の自然酸化膜のような不純物を除去する。
【0073】
次に、化学気相蒸着などの方法で不純物がドーピングされない非晶質シリコン膜を400〜1,200Åの厚さで形成する。
【0074】
その後、非晶質シリコン膜をSLS方法で結晶化して多結晶シリコン膜を形成する。結晶化する方法は、第1実施例の図4及び図5で説明した方法と同じである。
【0075】
そして、多結晶シリコン膜を光マスクを用いる写真エッチング工程でパターニングして、多結晶シリコンからなる半導体層150を形成する。このため、半導体層150は第1実施例と同一の結晶パターンを有する。
【0076】
その後、図13a及び図13bに示すように、多結晶シリコン膜を光マスクを用いる写真エッチング工程でパターニングして、多結晶シリコンからなる半導体層150を形成する。
【0077】
半導体層150上に化学気相蒸着方法で窒化ケイ素または酸化ケイ素などの絶縁物質を蒸着してゲート絶縁膜140を形成する。次に、ゲート絶縁膜140上に銅(Cu)、銀(Ag)、チタニウム(Ti)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)またはこれらの合金を単層または複数層に蒸着して金属膜を形成する。
【0078】
そして、金属膜上に感光膜を塗布した後、光マスクを用いる写真工程で感光膜パターン(PR)を形成する。エッチング工程で金属膜を湿式または乾式エッチングして、ゲート線121、維持電極線131及びデータ金属片171aを形成する。この時、金属膜を過エッチングし、ゲート線121及び維持電極線131の幅が感光膜パターン(PR)の幅よりも少なく形成する。
【0079】
ゲート線121、維持電極線131及びデータ金属片171aの側面をテーパ状に形成して上部層との密着性を増加させる。そして、保持容量が充分なときには維持電極線131を形成しない。
【0080】
次に、感光膜パターン(PR)をマスクに半導体層150に導電型不純物を高濃度にドーピングしてソース及びドレイン領域153、155を形成する。
【0081】
そして、図14に示すように、感光膜パターン(PR)を除去した後、ゲート線121、維持電極線131をマスクに半導体層150に導電型不純物を低濃度にドーピングして低濃度ドーピング領域152を有する半導体層150を完成する。そして、ゲート線121をチタニウムのような高耐熱、高化学性物質で形成しないときには、配線の損傷を減らすために、感光膜パターン(PR)を形成してから不純物をドーピングすることができる。
【0082】
低濃度ドーピング領域152は、前記したように、感光膜パターン(PR)の他に互いに異なるエッチング比を有する金属層を用いたり、ゲート線121の側壁にスペーサなどを設けて形成することができる。
【0083】
また、半導体層150と維持電極線131、133の長さ及び幅の差のために、維持電極線131、133の外側に露出される半導体層150Aが生じ得る。これらの領域もドーピングされ、維持電極領域157に隣接し、ドレイン領域155とは分離されている。
【0084】
図15a及び図15bに示すように、ソース領域153、ドレイン領域155及びチャンネル領域154が形成された基板全面に絶縁物質で層間絶縁膜160を形成する。層間絶縁膜160は、平坦化特性が優れて感光性を有する有機物質、プラズマ化学気相蒸着で形成されるa-Si:C:O、a-Si:O:Fなどの低誘電率絶縁物質、または無機物質である窒化ケイ素などで形成することができる。
【0085】
次に、層間絶縁膜160に写真エッチング方法でソース領域153を露出する第1接触孔161、ドレイン領域155を露出する第2接触孔162、データ金属片171aを露出する第3接触孔163、データ金属片171aの一端部を露出する第4接触孔164を形成する。
【0086】
感光性を有する有機物質で層間絶縁膜を形成する場合には、写真工程のみで接触孔を形成することができる。
【0087】
図10及び図11に示すように、第1乃至第4接触孔161〜164の内部を含む層間絶縁膜160上に透明な導電物質で導電層を形成しパターニングして、データ連結部171b及び画素電極190、接触補助部材82を形成する。
【0088】
ここで、データ金属片171aは第3接触孔163を通じてデータ連結部171bと連結し、データ連結部171bは第1接触孔161を通じてソース領域153と連結する。そして、画素電極190は第2接触孔162を通じてドレイン領域155と連結し、接触補助部材は82は第4接触孔164を通じてデータ金属片171aと連結する。
【0089】
この時、層間絶縁膜160を低誘電率の有機物質で形成する場合には、画素電極190をゲート線121及びデータ金属片171bと重畳させて画素領域の開口率を向上させることができる。
【0090】
前記本発明のように、スリットの長さを異ならせることで光マスクの移動時に整列誤差が生じても非晶質シリコンを全て結晶化できるので、薄膜トランジスタの特性が向上し、薄膜トランジスタの信頼性が向上する。
【0091】
次に、本発明の他の実施例による結晶化用マスク、及びこれを利用した薄膜トランジスタの製造方法について、図面を参考として詳細に説明する。
<第3実施例>
順次的側面固状結晶工程では、スリットで透過領域を定義するマスクを利用してレーザービームを透過領域を通過させることによって、局部的に非晶質シリコンを完全に溶かして非晶質シリコン層に液状領域を形成した後、固状領域の境界面に垂直にグレーン(grain:結晶粒)を成長させて非晶質シリコンを多結晶シリコンに結晶化する。本発明の実施例ではレーザービームが透過する透過領域を定義するスリットは曲線の境界線を有する。このようなマスクを利用した順次的固状結晶化方法では、多結晶シリコンの主結晶粒はスリットの境界形状に沿った曲線状に形成される。これについて、具体的に図面を参照して説明する。
【0092】
図16はマスクのスリットにレーザーを通過させて非晶質シリコンを多結晶シリコンに結晶化する工程を概略的に示した概略図であり、図17は本発明の実施例によるマスクの構造を示した平面図であり、図18は本発明の実施例によるマスクを利用した順次的側面固状結晶化工程を示した工程図であり、図19は本発明の実施例による順次的側面固状結晶化工程で結晶化された多結晶シリコンの結晶粒の形状を示した図面である。
【0093】
図16に示すように、本発明の実施例による順次的側面固状結晶工程では、スリット310で形成されているマスク300の透過領域にレーザービームを透過させ、絶縁基板の上部に形成されている非晶質シリコン層200を局部的に完全に溶かして、スリット310に対応する非晶質シリコン層200に液状領域210を形成する。この時、本発明の実施例によるマスク300のスリット310は、曲線からなる境界312を有し、スリットは弧状に連結される。これは、主結晶粒212(図19参照)を曲線で形成することによって、薄膜トランジスタの特性を均一に確保するためであり、これについては、以下に具体的に説明する。
【0094】
このような順次的側面固状結晶化工程において、液状の非晶質シリコンは徐々に冷却されながら多結晶シリコンに結晶化され、多結晶シリコンの結晶粒211は、レーザーが照射された液状領域210とレーザーが照射されない固状領域220のと境界で、その境界面に対し垂直方向に成長する。結晶粒211(図19参照)の成長は液状領域の中央で互いに会えば止まるようになって主結晶粒212(図19参照)が形成される。このような順次的側面固状結晶化工程で、マスク300を結晶粒211の成長方向に移動させながら結晶粒211を所望するだけ成長させることによって、様々な大きさで主結晶粒212を形成することができる。
【0095】
一例として、主結晶粒212の大きさをマスク300のスリット310の幅だけ成長させるために、順次的側面固状結晶工程では、図17のように、透過領域を定義するスリット310は二つの領域301、302に分れて配置されており、互いに異なる二つの領域301、302で交差するように配置されている。
【0096】
図18に示すように本発明の実施例による順次的側面固状結晶工程では、マスク300を基板に対し横(x軸)方向に領域301、302の幅だけ移動しながら、ショット(shot)単位でレーザービームを照射し、二つの領域301、302で互いに交差するように配置されているスリット310を通じてレーザービームはy軸方向に連続的に照射される。ここで、例えば、第1スキャニング方向に移動してレーザーを順次照した後、パターンをY方向にずらして第2スキャニング方向にレーザーを順次照射する。
【0097】
この時、図19に示すように、結晶粒211は液状領域と固状領域との境界に対し垂直に成長し、液状領域の中央で互いに会えば止まるようになって主結晶粒212が形成される。主結晶粒212もまた、スリット310の境界のように曲線で形成される。このようなマスクを利用した順次的固状結晶工程を利用した本発明の実施例による薄膜トランジスタの製造方法では、主結晶粒212を曲線で形成することによって、薄膜トランジスタの特性を均一に確保することができ、これについて、図面を参照して具体的に説明する。
【0098】
図20は本発明の実施例による多結晶シリコン薄膜トランジスタの構造を概略的に示した断面図であり、図21は本発明の実施例による薄膜トランジスタの製造工程でゲート電極と多結晶シリコンの主結晶粒の構造を示した配置図であり、図22A乃至図22Eは本発明の実施例による多結晶シリコン薄膜トランジスタの製造方法をその工程順序に基づいて示した断面図である。
【0099】
図20に示すように、絶縁基板110のチャンネル領域154とチャンネル領域154を中心に両側に各々形成されているソース及びドレイン領域153、155を有し、多結晶シリコンからなる半導体層150が形成されている。この時、図21に示すように、ゲート電極124はマスクの移動方向にほぼ平行に配置することによって、薄膜トランジスタの特性を極大化することができる。つまり、ソース領域153とドレイン領域155との間に形成されるチャンネル領域154に最少の主結晶粒212が通過するように配置することによって、チャネル方向と結晶粒方向とがほぼ平行となり、電荷キャリア方向に対する結晶粒境界のバリアー効果が最小になり、薄膜トランジスタの移動度を極大化することができる。この時、多結晶シリコンの主結晶粒212は、前述したように曲線で形成されているので、ゲート電極124の境界、つまり、チャンネル領域154の境界と平行しないことから、様々な間隔を有している。
【0100】
したがって、複数の薄膜トランジスタが様々な位置に配置されても、各薄膜トランジスタの主結晶粒212とソース及びドレイン領域153、155によって定義されるチャンネル領域154の境界との間の距離により、薄膜トランジスタの特性は変化しない。したがって、複数の薄膜トランジスタの特性を均一に確保することができる。具体的に説明すると、主結晶粒が弧状になっていることによって、薄膜トランジスタのチャネルが基板のどの位置に形成されるかに関係なく、長方形のチャネル領域内に含まれる主結晶粒の片の分布が類似することになる。例えば、主結晶粒が長方形であれば、あるチャネルには2つの主結晶粒が完全に含まれる反面、他のチャネルには完全な主結晶粒1つと半分の主結晶粒2つが含まれるなど、チャネル領域別に主結晶粒の分布が大きな差を示すようになる。しかし、主結晶粒が弧(arc)状を有することによって、全てのチャネルが主結晶粒の片を含むようになり、主結晶粒の片の分布が全般的に類似することになる。したがって、薄膜トランジスタの特性も類似することになる。ここで、ソース及びドレイン領域153、155は、n型またはp型の不純物がドーピングされており、シリサイド層を含むことができ、チャンネル領域154とソース及びドレイン領域153、155との間には、不純物が低濃度にドーピングされている低濃度領域が形成されることができる。
【0101】
基板110の上部には半導体層150を覆う酸化ケイ素(SiO2)や窒化ケイ素(SiNx)からなるゲート絶縁膜140が形成されており、チャンネル領域154の上部のゲート絶縁膜140の上部には、走査信号またはスキャニング信号などを伝達するゲート線(図示せず)の一部であるゲート電極124が形成されている。
【0102】
ゲート絶縁膜140の上部にはゲート電極124を覆う層間絶縁膜130が形成されており、ゲート絶縁膜140と層間絶縁膜130は半導体層150のソース及びドレイン領域153、155を露出する接触孔143、145を有している。
【0103】
層間絶縁膜130の上部には、接触孔143を通じてソース領域153と連結されているソース電極173とゲート電極124を中心にソース電極173と対向して接触孔145を通じてドレイン領域155と連結されているドレイン電極175が形成されている。
【0104】
層間絶縁膜130は保護絶縁膜180で覆われており、保護絶縁膜180にはドレイン電極175を露出する接触孔185が形成されており、保護絶縁膜180の上部にはITO(indium tin oxide)またはIZO(indium zinc oxide)または反射率を有する導電物質からなる画素電極190が形成され、接触孔185を通じてドレイン電極175と連結されている。
【0105】
このような本発明の実施例による薄膜トランジスタは、液晶表示装置または有機発光表示装置などの表示装置において、それぞれの画素を駆動するスイッチング薄膜トランジスタとして用いられることができ、電流を制御する駆動薄膜トランジスタなどとして用いられることができる。
【0106】
このような本発明の実施例による薄膜トランジスタの製造方法では、まず、図22Aに示すように、基板110の上部に非晶質シリコンを低圧化学気相蒸着またはプラズマ化学気相蒸着またはスパッタリング方法で積層し、非晶質シリコン薄膜50を形成する。次に、曲線の境界を有するスリットを有するマスクを利用した順次的固状結晶工程を実施して非晶質シリコン薄膜を決定化し、曲線の主結晶粒を有する多結晶シリコン層を形成する。この時、一例として、図17に示すように同じマスクを利用して結晶化することによって、薄膜トランジスタの特性を均一に確保する。
【0107】
次に、図22Bに示すように、マスクを利用したフォトエッチング工程で多結晶シリコン層をパターニングし、多結晶シリコンの半導体層150を形成する。
【0108】
次に、図22Cに示すように、酸化ケイ素や窒化ケイ素を蒸着してゲート絶縁膜140を形成する。次に、アルミニウムまたはアルミニウム合金などのように低抵抗導電物質を含むゲート配線用伝導性物質を蒸着した後、パターニングしてゲート電極124を形成する。
【0109】
次に、図22Cに示すように、ゲート電極124をマスクとし、半導体層150にn型またはp型の不純物をイオン注入して活性化して、ソース及びドレイン領域153、155を形成する。この時、ソース及びドレイン領域153、155の間はチャンネル領域154と定義され、ソース及びドレイン領域153、155とチャンネル領域154との間に低濃度ドーピング領域を追加的に形成することができる。
【0110】
次に、図22Dに示すように、ゲート絶縁膜140の上部にゲート電極124を覆う層間絶縁膜130を形成した後、ゲート絶縁膜140と共にパターニングして半導体層150のソース領域及びドレイン領域153、155を露出する接触孔143、145を形成する。
【0111】
次に、図22Eに示すように、絶縁基板110の上部にデータ配線用金属を蒸着してパターニングし、接触孔143、145を通じてソース及びドレイン領域153、155とそれぞれ連結されるソース及びドレイン電極173、175を形成する。この時、ソース電極173と連結されて画像信号を伝達するデータ線を追加的に形成することができる。
【0112】
次に、図21に示すように、その上部に保護絶縁膜180を塗布した後、パターニングしてドレイン電極175を露出する接触孔185を形成する。次に、ITOまたはIZOのような透明導電物質または優れた反射度を有する導電物質を積層しパターニングして画素電極190を形成する。
【0113】
このように、第3実施例では、曲線の境界を有するスリットを利用して多結晶シリコンの主結晶粒を曲線で形成して、それぞれの薄膜トランジスタのチャンネル領域境界との距離を平行しないように形成することによって、薄膜トランジスタの特性を均一に確保することができる。以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0114】
110 絶縁基板
121 ゲート線
124 ゲート電極
131 維持電極線
133 維持電極
140 ゲート絶縁膜
150 半導体層
153 ソース領域
154 チャンネル領域
155 ドレイン領域
171 データ線
173 ソース電極
175 ドレイン電極
190 画素電極
161〜164 第1〜第4接触孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶化工程においてレーザービームを局部的に透過させるために透過領域を定義するスリットを有する結晶化用マスクであって、
前記スリットの境界は曲線からなる結晶化用マスク。
【請求項2】
前記スリットは弧状である、請求項1に記載の結晶用マスク。
【請求項3】
絶縁基板の上部に非晶質シリコン薄膜を形成する段階、
前記非晶質シリコン薄膜を多結晶シリコン薄膜に結晶化する段階、
前記多結晶シリコン薄膜をパターニングして半導体層を形成する段階、
前記半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成する段階、
前記半導体層の前記ゲート絶縁膜の上部にゲート電極を形成する段階、
前記半導体層に不純物を注入して前記ゲート電極を中心に両側にソース及びドレイン領域を形成しながらチャンネル領域を定義する段階、
前記ゲート電極を覆う第1層間絶縁膜を形成する段階、
前記ソース及びドレイン領域とそれぞれ電気的に連結されるソース及びドレイン電極を各々形成する段階、
前記ソース及びドレイン電極を覆う第2層間絶縁膜を形成する段階、
前記ドレイン電極と連結されている画素電極を形成する段階を含み、
前記多結晶シリコン薄膜結晶化段階は、結晶化工程においてレーザービームを局部的に透過させるために透過領域を定義するスリットを有し、前記スリットの境界が曲線からなるマスクを利用した順次的固状結晶化工程で実施し、前記順次的固状結晶化工程において前記多結晶シリコンの主結晶粒は、前記チャンネル領域の境界と平行ではないように形成する薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項4】
前記マスクは、レーザービームを局部的に透過させる透過領域を定義し、曲線の境界を有するスリットを有する、請求項3に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項5】
前記スリットは弧状の境界を有する、請求項4に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項6】
前記マスクは第1領域及び第2領域を含み、前記第1領域及び第2領域の前記スリットは交互に配置されている、請求項5に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項7】
前記ソース領域及びドレイン領域と前記チャンネル領域との間に、低濃度のドーピング領域を形成する段階をさらに含む、請求項4に記載の薄膜トランジスタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14】
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【図15a】
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【図15b】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図22D】
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【図22E】
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【公開番号】特開2012−64954(P2012−64954A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231545(P2011−231545)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【分割の表示】特願2005−1267(P2005−1267)の分割
【原出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】