説明

車両駆動システムの制御装置

【課題】モータジェネレータとエンジンとを含む車両システムにおいて、燃費効率の悪化を招くことなく、変速時のショックも緩和することができる車両駆動システムの制御装置を提供すること。
【解決手段】バッテリ、エンジン、モータジェネレータ、変速機およびクラッチを備え、変速時に、バッテリの充電状態を示す充電状態情報(SOC)が、バッテリの充放電限界範囲に相当するバッテリ管理範囲の下限値未満の場合にモータジェネレータの力行動作が禁止され バッテリ管理範囲の上限値を超える場合にモータジェネレータの電力回生が禁止され、変速する場合に、SOCがバッテリ管理範囲内にある場合は、モータジェネレータを利用して変速し、SOCがバッテリ管理範囲外にある場合は、エンジンを利用して変速する車両駆動システムの制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両駆動システムの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関、モータジェネレータ、変速機およびバッテリを備え、変速中でない通常走行中は、バッテリ余力が確保できるようにモータジェネレータを制御し、変速中は、バッテリの充電状態に係わらずモータジェネレータに、トルクの追加/吸収作用を行わせることで、変速ショックを和らげる車両システムが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−261423号公報(請求項1、段落番号0025)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この車両システムでは、モータジェネレータによる変速ショックの緩和に必要な電気エネルギーを確実に確保できるように、通常走行中は、バッテリが本来有する充放電限界よりも狭い範囲で、バッテリの充電状態を管理している。すなわち、この車両システムでは、本来力行動作や電力回生に利用可能なバッテリが有する充放電限界を最大限利用していないため、バッテリが本来有する充放電限界を最大限利用している場合と比べて、燃費効率が悪い。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、モータジェネレータと内燃機関とを含む車両システムにおいて、燃費効率の悪化を招くことなく、変速時のショックも緩和することができる車両駆動システムの制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明の車両駆動システムの制御装置は、バッテリと、内燃機関と、モータジェネレータと、上記モータジェネレータ側からの駆動力により回転する入力軸及び該入力軸からの入力回転を車輪に伝達する出力軸を備え、上記入力軸の入力回転を所定の変速比で変速して上記出力軸に伝達すると共に、変速時に上記入力軸と上記出力軸との間の駆動力伝達を切断する機構を備えた変速機と、上記内燃機関と上記モータジェネレータとを接続又は断接するクラッチと、を備え、車両の走行状態に応じて、上記モータジェネレータのモータ駆動力による力行動作と、上記内燃機関の駆動力による上記モータジェネレータの電力回生とが制御されると共に、変速時において、上記バッテリの充電状態を示す充電状態情報が、上記バッテリの充放電限界範囲に相当するバッテリ管理範囲の下限値未満の場合に、上記力行動作が禁止されるように制御され、上記バッテリ管理範囲の上限値を超える場合に、上記電力回生が禁止されるように制御され、上記変速機による変速が、(1A)上記充電状態情報が上記バッテリ管理範囲内にある場合は、上記クラッチを断接し且つ上記入力軸と上記出力軸との間の駆動力伝達を切断した状態で、上記モータジェネレータの力行動作又は電力回生を行うことで、上記入力軸の回転数を上記出力軸の回転数に近づけ、(1B)上記充電状態情報が上記バッテリ管理範囲外にある場合は、上記クラッチを接続し且つ上記入力軸と上記出力軸との間の駆動力伝達を切断した状態で、上記内燃機関により、上記入力軸の回転数を上記出力軸の回転数に近づけ、(2)その後、上記入力軸と上記出力軸とを接続することにより、実施されることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の車両駆動システムの一実施態様は、車両走行中に、前記内燃機関の停止および始動が可能であり、前記バッテリのバッテリ管理範囲と同等の範囲、又は、前記バッテリのバッテリ管理範囲よりも内側の範囲に、内燃機関停止許容範囲が設定され、(1)前記充電状態情報が、上記内燃機関停止許容範囲内にある場合には、前記内燃機関の車両走行中の停止を許容し、(2)前記充電状態情報が、上記内燃機関停止許容範囲外にある場合には、(2A)前記内燃機関の車両走行中の停止を禁止し、(2B)更に、前記内燃機関が既に停止している場合には直ちに前記内燃機関を始動させる、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、モータジェネレータと内燃機関とを含む車両システムにおいて、燃費効率の悪化を招くことなく、変速時のショックも緩和することができる車両駆動システムの制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本実施形態の車両駆動システムの制御装置について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の車両駆動システムの制御装置を適用可能な車両システムの一例を示す概略模式図である。図1に示す車両システムは、エンジン(内燃機関)10と、モータジェネレータ20と、トルクコンバータ30を介して入力された駆動力を所定の変速比にてプロペラシャフト52に伝達する変速機40と、を備えて構成されている。
【0009】
エンジン10のクランク軸は、エンジン10とモータジェネレータ20とを接続又は断接するクラッチ50を介して、モータジェネレータ20の回転軸と接続されている。そして本実施形態の車両駆動システムは、クラッチ50を断接して、エンジン10を切離した状態としモータジェネレータ20の力行動作により走行するモータモードと、クラッチ50を接続して、エンジン10の駆動を主としてモータジェネレータ20によりトルク吸収(電力回生)又はトルク追加(力行動作)を適宜行うハイブリッドモードと、を切替可能となっている。また、変速機40は、モータジェネレータ20側からの駆動力により回転する入力軸及び入力軸からの入力回転を車輪に伝達する出力軸を備え、入力軸の入力回転を所定の変速比で変速して出力軸に伝達すると共に、変速時に入力軸と出力軸との間の駆動力伝達を切断する機構を備えている。
【0010】
図2は、本実施形態に係る車両駆動システムの制御装置の詳細な構成の一例を示す模式図である。図2中の太線はパワー線を表し、細矢線は信号線を表している。図2を参照すると、エンジン10を制御するエンジン制御部60と、充電状態情報(State Of Charge;以下、「SOC」と称す場合がある)を読み出すバッテリ制御部62と、インバータ72を介してモータジェネレータ20の力行動作/電力回生を制御するMG制御部66と、変速機(AT)40及びクラッチ50を制御するAT制御部68と、これら制御部群を制御するHV制御部64とが示されている。
【0011】
図3は、変速時において、HV制御部64にて管理されるバッテリ管理範囲の一例を説明するための図である。図3中の2つの実線で表された範囲(図3中の斜線で示す領域)が、バッテリ管理範囲である。当該範囲は、図1に示すようなエンジン10とモータジェネレータ20とを併用して走行する車両システムにおいて、バッテリ70の著しい劣化を抑制して実用上必要なバッテリ寿命が確保できるバッテリの充放電限界範囲に相当し、一般的には、下限値がバッテリの最大充電値の25〜30%の範囲内に設定され、上限値がバッテリの最大充電値の70〜80%の範囲内に設定される。ここで、SOCが、バッテリ管理範囲の下限値未満の場合、モータジェネレータ20の力行動作が禁止されるように制御され、バッテリ管理範囲の上限値を超える場合、モータジェネレータ20の電力回生が禁止されるように制御される(以下、下限値を「力行禁止SOC」、上限値を「回生禁止SOC」と称す場合がある)。
【0012】
また、AT制御部68は、所定の変速条件が成立すると変速制御を遂行するとともに、HV制御部64を介してエンジン制御部60、又は、MG制御部66に対し、トルク吸収又はトルク追加を指令して変速ショックを緩和する。その際、HV制御部64は、バッテリ制御部62を介してバッテリのSOCを参照して、エンジン10を利用して変速制御を遂行するのか、モータジェネレータ20を利用して変速制御を遂行するのかを判断し、エンジン制御部60、又は、MG制御部66等に変速指令を与える。
【0013】
この場合、変速機40による変速は、以下のように実施される。まず、(1)SOCがバッテリ管理範囲内にある場合は、クラッチ50を断接し且つ入力軸と出力軸との間の駆動力伝達を切断した状態で、モータジェネレータ20の力行動作又は電力回生を行うことで、入力軸の回転数を出力軸の回転数に近づける。また、(2)SOCがバッテリ管理範囲外にある場合は、クラッチ50を接続し且つ入力軸と出力軸との間の駆動力伝達を切断した状態で、エンジン10により、入力軸の回転数を出力軸の回転数に近づける。そして、(1)又は(2)を終えた後に、変速機40中で、入力軸と出力軸とを接続する。
【0014】
次に、本実施形態における変速時の動作について図面を参照して詳細に説明する。図4は、変速時に、エンジン10およびモータジェネレータ20のいずれを利用して変速制御を遂行するのかを判断する判定フローの一例を表した流れ図である。
【0015】
図4に示されるように、まず、ST1において変速中か否かが判断され、変速中の場合は、ST2に進み、変速中でない場合は、ST1に戻る。次にST2において、モータジェネレータ20の力行運動又は回生運動(以下、「MG力行/回生」と略す場合がある)が禁止されていないか否かを判断する。このMG力行/回生禁止の判断は、具体的には、図2に例示する車両駆動システム中において、モータジェネレータ20やバッテリ70などの車両駆動システムの失陥(故障)によりモータジェネレータ20の力行運動又は回生運動が禁止されていないか否かを判断するものである。ここで、MG力行/回生が禁止される場合は、ST5E(ENG変速モード)に進む。そして、ST5Eにおいて、HV制御部64は、AT制御部68が変速制御を遂行するとともに、エンジン制御部60に対し、トルク吸収又はトルク追加を指令して変速ショックを緩和する。一方、MG力行/回生が禁止され無い場合は、ST3に進み、変速がシフトアップか否かを判断する。そして、変速がシフトアップでない場合(すなわち、シフトダウンである場合)は、ST4Aに進み、シフトアップの場合は、ST4Bに進む。
【0016】
ST4Aにおいて、HV制御部64は、バッテリ制御部62を介してSOCの検出を行い、図3に示すバッテリ管理範囲の下限値(力行禁止SOC)との比較を行う。
【0017】
ST4Aにおいて、SOCが力行禁止SOCよりも小さい場合は、ST5A(ENG変速モード)に進む。そして、ST5Aにおいて、HV制御部64は、AT制御部68が変速制御を遂行するとともに、エンジン制御部60に対し、トルク追加を指令して変速ショックを緩和する。
【0018】
ST4Aにおいて、SOCが力行禁止SOC以上である場合は、ST5B(MG変速モード)に進む。そして、ST5Bにおいて、HV制御部64は、AT制御部68が変速制御を遂行するとともに、MG制御部62に対し、トルク追加(力行動作)を指令して変速ショックを緩和する。
【0019】
また、ST4Bにおいて、HV制御部64は、バッテリ制御部62を介してSOCの検出を行い、図3に示すバッテリ管理範囲の上限値(回生禁止SOC)との比較を行う。
【0020】
ST4Bにおいて、SOCが回生禁止SOCよりも大きい場合は、ST5C(ENG変速モード)に進む。そして、ST5Cにおいて、HV制御部64は、AT制御部68が変速制御を遂行するとともに、エンジン制御部60に対し、トルク吸収を指令して変速ショックを緩和する。
【0021】
ST4Bにおいて、SOCが回生禁止SOC以下である場合は、ST5D(MG変速モード)に進む。そして、ST5Dにおいて、HV制御部64は、AT制御部68が変速制御を遂行するとともに、MG制御部62に対し、トルク吸収(電力回生)を指令して変速ショックを緩和する。
【0022】
このように、HV制御部64は、変速時に、SOCが、バッテリの充放電限界範囲に相当するバッテリ管理範囲内である場合に、モータジェネレータ20を利用してトルクの追加/吸収作用を行わせ、変速ショックを和らげる。すなわち、モータジェネレータ20のみを利用した変速モード(MG変速モード)では、SOCがバッテリ管理範囲内にある限り、バッテリ70の余力に関係なくモータジェネレータ20の制御を行う。一方、SOCが、バッテリの充放電限界範囲に相当するバッテリ管理範囲外であり、MG変速モードを実施する上で、バッテリ70の余力が不足している場合は、エンジン10のみを利用した変速モード(ENG変速モード)を実施する。
【0023】
すなわち、本実施形態では、変速する場合にバッテリ70の余力が乏しくても、モータジェネレータ20を利用して変速する場合にバッテリ70の余力が全く無い場合は、エンジン10のみを利用して変速するため、バッテリ70に負荷がかからず、バッテリ寿命にも悪影響を与えない。それゆえ、変速時のショックのために予めバッテリの充放電利用範囲をバッテリの充放電限界範囲よりも狭い範囲にする必要が無い為、燃費効率の悪化を招くこと無く変速時のショックも緩和することができる。
【0024】
本実施形態では、上述したように変速時の制御を行うが、これに加えて、変速を伴わない通常の車両走行状態において、下記に説明するように走行状態を制御することが好ましい。
【0025】
図5は、通常の車両走行時において、HV制御部64にて管理される内燃機関停止許容範囲の一例を説明するための図である。図5中の2つの実線で表された範囲(図5中の斜線で示す領域)が、内燃機関停止許容範囲であり、当該範囲は、図3に示すバッテリ管理範囲(図5中の2本の点線の間の領域)に同等の範囲であってもよいが、図5に一例として示すようにバッテリ管理範囲よりも内側の範囲に設定されることが好ましい。このような範囲でバッテリ70を管理することで、走行中にエンジン10が停止する可能性のある車両駆動システムにおいて、ENG変速モード時にエンジン10が停止しているために直ぐに変速が行えないという事態を確実に防止できる。
【0026】
ここで、SOCが、内燃機関停止許容範囲外の場合、HV制御部64は、エンジン10が停止している場合はエンジン10を再起動させ、エンジン10が駆動している場合はその状態を維持する(停止を禁止する)。それ故、次の変速時にSOCがバッテリ管理範囲外となった場合でも、エンジン10が既に駆動状態であるため、スムーズに変速を行うことができる(以下、内燃機関停止許容範囲の下限値を、「下限側ENG停止許容SOC」、上限値を、「上限側ENG停止許容SOC」と称す場合がある)。
【0027】
また、SOCが、内燃機関停止許容範囲内の場合、HV制御部64は、エンジン10が駆動している場合は走行状態に応じて停止させることを許容する。そして、エンジン10が停止している場合は走行状態に応じてその状態を維持することを許容するようにエンジン制御部60に指令を与える。これに加えて、HV制御部64は、エンジン10が停止した場合は、クラッチ50を断接し、モータジェネレータ20の力行動作又は電力回生を行いつつ走行するモータモードで走行するように、MG制御部66およびAT制御部68に指令を与える。さらに、HV制御部64は、エンジン10を停止させずに駆動させ続ける場合は、クラッチ50も接続したままとし、エンジン10の駆動を主としてモータジェネレータ20によりトルク追加(力行動作)又はトルク吸収(電力回生)を適宜行うハイブリッドモードで走行するように、エンジン制御部60、MG制御部66およびAT制御部68に指令を与える。すなわち、エンジン10の停止が許容されると共に、走行状態に応じてモータモード又はハイブリッドモードで走行するように制御される。
【0028】
次に、本実施形態における通常の走行時の動作について図面を参照して詳細に説明する。図6は、通常の走行時に、エンジン10の停止を許可するか禁止するかを判断する判定フローの一例を表した流れ図である。
【0029】
図6に示されるように、まず、ST1において通常の走行中か否か(変速中でないか否か)が判断され、通常の走行中である場合は、ST2に進み、通常の走行中でない場合(すなわち、変速中の場合)は、ST1に戻る。次に、ST2において、図4に示した場合と同様にモータジェネレータ20の力行運動又は回生運動(MG力行/回生)が禁止されていないか否かを判断する。ここで、MG力行/回生が禁止される場合は、ST4C(ENG停止禁止モード)に進む。そして、ST4Cにおいて、HV制御部64は、エンジン制御部60等に指令を与え、エンジン10の停止を禁止(すなわち常に駆動)する状態に制御すると共に、MG力行/回生が禁止されている為、エンジン10のみで走行できるようにクラッチ50や、モータジェネレータ20を適宜制御する。一方、MG力行/回生が禁止され無い場合は、ST3に進む。そして、ST3において、HV制御部64は、バッテリ制御部62を介してSOCの検出を行い、図5に示した内燃機関停止許容範囲との比較を行う。
【0030】
ST3において、SOCが、内燃機関停止許容範囲内にある場合は、ST4A(ENG停止許可モード)に進む。そして、ST4Aにおいて、HV制御部64は、エンジン制御部60等に指令を与え、走行状態に応じて、エンジン10を停止させた状態、又は、エンジン10を駆動させた状態、に制御すると共に、モータモード又はハイブリッドモードで走行できるようにクラッチ50や、モータジェネレータ20を適宜制御する。
【0031】
ST3において、SOCが、内燃機関停止許容範囲外にある場合は、ST4B(ENG停止禁止モード)に進む。そして、ST4Bにおいて、HV制御部64は、エンジン制御部60等に指令を与え、エンジン10の停止を禁止(すなわち常に駆動)する状態に制御すると共に、モータモード又はハイブリッドモードで走行できるようにクラッチ50や、モータジェネレータ20を適宜制御する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施形態の車両駆動システムの制御装置を適用可能な車両システムの一例を示す概略模式図である。
【図2】本実施形態に係る車両駆動システムの制御装置の詳細な構成の一例を示す模式図である。
【図3】変速時において、HV制御部64にて管理されるバッテリ管理範囲の一例を説明するための図である。
【図4】変速時に、エンジン10およびモータジェネレータ20のいずれを利用して変速制御を遂行するのかを判断する判定フローの一例を表した流れ図である。
【図5】通常の車両走行時において、HV制御部64にて管理される内燃機関停止許容範囲の一例を説明するための図である。
【図6】通常の走行時に、エンジン10の停止を許可するか禁止するかを判断する判定フローの一例を表した流れ図である。
【符号の説明】
【0033】
10 エンジン(内燃機関)
20 モータジェネレータ
30 トルクコンバータ
40 変速機
50 クラッチ
52 プロペラシャフト
60 エンジン制御部
62 バッテリ制御部
64 HV制御部
66 MG制御部
68 AT制御部
72 インバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
内燃機関と、
モータジェネレータと、
上記モータジェネレータ側からの駆動力により回転する入力軸及び該入力軸からの入力回転を車輪に伝達する出力軸を備え、上記入力軸の入力回転を所定の変速比で変速して上記出力軸に伝達すると共に、変速時に上記入力軸と上記出力軸との間の駆動力伝達を切断する機構を備えた変速機と、
上記内燃機関と上記モータジェネレータとを接続又は断接するクラッチと、を備え、
車両の走行状態に応じて、上記モータジェネレータのモータ駆動力による力行動作と、上記内燃機関の駆動力による上記モータジェネレータの電力回生とが制御されると共に、
変速時において、上記バッテリの充電状態を示す充電状態情報が、上記バッテリの充放電限界範囲に相当するバッテリ管理範囲の下限値未満の場合に、上記力行動作が禁止されるように制御され、上記バッテリ管理範囲の上限値を超える場合に、上記電力回生が禁止されるように制御され、
上記変速機による変速が、
(1A)上記充電状態情報が上記バッテリ管理範囲内にある場合は、上記クラッチを断接し且つ上記入力軸と上記出力軸との間の駆動力伝達を切断した状態で、上記モータジェネレータの力行動作又は電力回生を行うことで、上記入力軸の回転数を上記出力軸の回転数に近づけ、
(1B)上記充電状態情報が上記バッテリ管理範囲外にある場合は、上記クラッチを接続し且つ上記入力軸と上記出力軸との間の駆動力伝達を切断した状態で、上記内燃機関により、上記入力軸の回転数を上記出力軸の回転数に近づけ、
(2)その後、上記入力軸と上記出力軸とを接続することにより、
実施されることを特徴とする車両駆動システムの制御装置。
【請求項2】
車両走行中に、前記内燃機関の停止および始動が可能であり、
前記バッテリのバッテリ管理範囲と同等の範囲、又は、前記バッテリのバッテリ管理範囲よりも内側の範囲に、内燃機関停止許容範囲が設定され、
(1)前記充電状態情報が、上記内燃機関停止許容範囲内にある場合には、前記内燃機関の車両走行中の停止を許容し、
(2)前記充電状態情報が、上記内燃機関停止許容範囲外にある場合には、
(2A)前記内燃機関の車両走行中の停止を禁止し、
(2B)更に、前記内燃機関が既に停止している場合には直ちに前記内燃機関を始動させることを特徴とする請求項1に記載の車両駆動システムの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−120523(P2010−120523A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296211(P2008−296211)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】