エピタキシャル被覆されたシリコンウェハ及びエピタキシャル被覆されたシリコンウェハの製造方法
【課題】改善されたイメージ品質を有するエピタキシャル被覆されたシリコンウェハ並びにエピタキシャル被覆されたシリコンウェハの適切な製造方法の提供
【解決手段】丸められたエッジを備えたシリコンウェハのグループを準備する工程、前記シリコンウェハのエッジをポリシングする工程、前記シリコンウェハを洗浄する工程、欠陥及びエッジラフネスに関してシリコンウェハのグループのエッジ領域を調査し、前記シリコンウェハのグループから、10〜80μmの空間波長領域に関して1nm RMSよりも低い表面粗さを有するシリコンウェハを選択する工程、選択されたシリコンウェハを枚葉型エピタキシー反応器中で前処理し、その際、第1の工程で水素雰囲気中で1〜100slmの流量で処理を行い、更に第2の工程でエッチング媒体を0.5〜5slmの流量で前記水素雰囲気に添加し、ガス分配装置を用いて反応室中で分配する工程、前記シリコンウェハをエピタキシャル被覆する工程を有するエピタキシャル被覆されたシリコンウェハの製造方法
【解決手段】丸められたエッジを備えたシリコンウェハのグループを準備する工程、前記シリコンウェハのエッジをポリシングする工程、前記シリコンウェハを洗浄する工程、欠陥及びエッジラフネスに関してシリコンウェハのグループのエッジ領域を調査し、前記シリコンウェハのグループから、10〜80μmの空間波長領域に関して1nm RMSよりも低い表面粗さを有するシリコンウェハを選択する工程、選択されたシリコンウェハを枚葉型エピタキシー反応器中で前処理し、その際、第1の工程で水素雰囲気中で1〜100slmの流量で処理を行い、更に第2の工程でエッチング媒体を0.5〜5slmの流量で前記水素雰囲気に添加し、ガス分配装置を用いて反応室中で分配する工程、前記シリコンウェハをエピタキシャル被覆する工程を有するエピタキシャル被覆されたシリコンウェハの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピタキシャル被覆されたシリコンウェハ及びエピタキシャル被覆されたシリコンウェハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェハ(ウェハ)のエッジに関する品質要求は、特にシリコンウェハの大きな直径(直径≧300mm)の場合に常に高くなっている。特に、前記シリコンウェハのエッジはできるだけ汚染がなくかつ低いラフネスを有するべきである。更に、前記エッジは取り扱いの際に高められた機械的応力に対して耐性であるべきである。単結晶からスライスしたシリコンウェハのこの未処理のエッジは比較的粗くかつ不均一な表面を有する。前記エッジは機械的負荷の際にしばしば割れ、有害なパーティクルの根源である。従って、結晶中の割れ及びダメージを除去しかつ前記エッジに所定のプロファイルを付与するために、前記エッジを再研削することが通常である。
【0003】
適当な研削装置は先行技術から公知である。前記シリコンウェハは、回転テーブル上に固定され、前記ウェハのエッジは加工工具の同様に回転する作業面に接するように動かされるのが通常である。この場合に使用される加工工具は、たいていの場合にディスクの形であり、前記ディスクは主軸に固定され、かつ前記シリコンウェハのエッジの加工のための作業面として機能する円周面を有する。前記材料を除去する砥粒は、通常では加工工具の作業面内に固定されている。
【0004】
この加工工具は、丸めたエッジを備えたシリコンウェハを提供するために適している。通常では、このエッジ丸めの後に、前記エッジ表面上の所定の最小ラフネスが残る。
【0005】
後の加工工程において、前記シリコンウェハの研削されかつエッチング媒体で処理されたエッジは通常ではポリシングされる。
【0006】
この場合、中心で回転するシリコンウェハの前記エッジは、中心で回転するポリシングドラムに所定の力(接触圧)で押し付けられる。US 5,989,105はこの種のエッジポリシング方法を開示し、この場合、前記ポリシングドラムはアルミニウム合金からなり、かつ研磨布で被覆されている。前記シリコンウェハは、通常では平坦なウェハホルダ、いわゆるチャック上に固定されている。前記シリコンウェハのエッジは前記チャックから突き出ているので、前記エッジはポリシングドラムが自由に到達できる。
【0007】
プロセス監視のために、前記エッジポリシングの後に、通常では顕微鏡の下での前記シリコンウェハのエッジの視覚検査がサンプルに基づいて実施される。この検査は、シリコンウェハのエッジについてのパーティクル、ラフネス及び欠陥に関して行われる。特に、前記シリコンウェハのエッジは、場合による非平坦性により引き起こされる光反射に関して検査される。
【0008】
しかしながら、この視覚検査は信頼できず、全てのシリコンウェハに対して同じエッジ品質を保証することはできない。更に、この視覚検査は、可能な限り欠点のある手順についての推定を導き出すために、シリコンウェハのエッジ領域中の小さな欠陥を完全にかつ確実に確認するために不適当である。
【0009】
更に、しかしながら一般にウェハエッジから3mmの周辺部除外領域までのシリコンウェハの検査を行うことができるだけの検査装置が利用できる。全体のエッジ領域、つまりシリコンウェハのエッジ及び前記の周辺部除外領域の両方を、大抵の公知の検査装置を調査のため用いることはできない。
【0010】
例えば、EP 1348947 A1は、シリコンウェハのエッジを検査するために使用できるが、全体のエッジ領域(周辺部除外領域)を検査することはできない検査装置を開示している。それに対して、DE 10352936 A1は、シリコンウェハの周辺部除外領域を含めた全体のエッジ領域中の所定のサイズからの欠陥を自動的に検出することができる検査装置を記載している。
【0011】
今までのエッジ検査の方法は、作製プロセスを適宜に最適化するために十分な情報を提供しない。特に、欠陥を明確に区別し、それにより重大な欠陥の発生を監視しかつ回避することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】US 5,989,105
【特許文献2】EP 1348947 A1
【特許文献3】DE 10352936 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この目的は、従って、自動的に高解像度の欠陥特性決定を内容とする自動的エッジ監視を用いて、エピタキシャル被覆されたウェハの作製プロセスを最適化し、監視し、場合により、不所望であると同定された欠陥なしのシリコンウェハだけを提供するために、個々の欠陥タイプ及び欠陥クラスに関する分類を実施することである。本発明の課題は、改善されたイメージ品質を有するエピタキシャル被覆されたシリコンウェハ並びにエピタキシャル被覆されたシリコンウェハの適切な製造方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題は、前面、背面及びエッジ領域を有し、前記エッジ領域はシリコンウェハの丸められかつポリシングされたエッジ及び前記エッジに隣接しかつ前記前面及び前記背面のそれぞれ3mmの幅の領域を有するエピタキシャル被覆されたシリコンウェハにおいて、10〜80μmの空間波長領域に関して0.1〜1.5nm RMSの前記エッジ領域中の表面粗さ及び前記表面粗さの1〜10%の変動率を特徴とする、エピタキシャル被覆されたシリコンウェハにより達成される。
【0015】
本発明において、前記エッジ領域は、全ての傾斜面及び丸められた面を含むシリコンウェハのエッジだけでなく、前面及び背面上の3mmのエッジ領域も含み、つまり前記シリコンウェハのエッジに隣接しかつ3mmの幅を有するリング状の範囲を含む。
【0016】
本発明の課題は、次のプロセス順序:
(a) 丸められたエッジを備えたシリコンウェハのグループを準備する工程;
(b) 前記シリコンウェハのエッジをポリシングする工程;
(c) 前記シリコンウェハを洗浄する工程;
(d) 欠陥及びエッジラフネスに関してシリコンウェハのグループの、それぞれ前記シリコンウェハの丸められかつポリシングされたエッジ並びに前記エッジに隣接しかつ前面及び背面上のそれぞれ3っmの幅を有する領域を有するエッジ領域を調査し、かつ前記シリコンウェハのグループから、10〜80μmの空間波長領域に関して1nm RMSよりも低い表面粗さを有するシリコンウェハを選択する工程;
(e) 選択されたシリコンウェハを枚葉型エピタキシー反応器の反応室中で前処理し、その際、第1の工程で水素雰囲気中で1〜100slmの流量で処理を行い、更に第2の工程でエッチング媒体を0.5〜5slmの流量で前記水素雰囲気に添加し、ガス分配装置を用いて反応室中に分配する工程;
(f) 前記シリコンウェハをエピタキシャル被覆する工程
を有する、エピタキシャル被覆されたシリコンウェハの製造方法によっても達成される。
【0017】
本発明による方法の有利な実施態様は従属請求項に請求されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】角度の関数としてのいわゆるP4パラメータである。
【図2】異なるP4値を生じるウェハ上の領域の顕微鏡写真を示す。
【図3】P4値とラフネスとの相関関係を示す。
【図4a】ローラクリーニングの原理を図式的に示す。
【図4b】ローラクリーニングの原理を図式的に示す。
【図5】サセプタ/ウェハサポート上のウェハを示す。
【図6】サセプタ/ウェハサポート上のウェハを示す。
【図7a】多様な欠陥タイプの顕微鏡写真を示す。
【図7b】多様な欠陥タイプの顕微鏡写真を示す。
【図7c】多様な欠陥タイプの顕微鏡写真を示す。
【図7d】多様な欠陥タイプの顕微鏡写真を示す。
【図7e】多様な欠陥タイプの顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明による方法の場合に、まず丸められたエッジを有するシリコンウェハのグループを準備する。このために、有利にシリコンウェハを先行技術により単結晶からスライスし、このウェハのエッジを丸め、前記ウェハの前面及び背面を研削法及び/又はラッピング法で平坦にし、場合により湿式化学的にエッチング処理を行う。
【0020】
前記シリコンウェハのこの丸められたエッジは、引き続き(b)によりポリシングされる。
【0021】
市販の自動エッジポリシングユニットがこのために使用される。この場合、前記シリコンウェハは中心で回転するチャックに固定され、その際、前記シリコンウェハは前記チャックから突き出ている。研磨布で被覆されかつ前記チャックに対して所定の角度分が傾斜された中心で回転するポリシングドラムと、前記シリコンウェハを有する前記チャックとは相互に近づけられ、かつ所定の接触圧で研磨剤を連続的に供給しながら相互に押し付けられる。
【0022】
エッジポリシングの場合に、前記チャックはその上に保持されたシリコンウェハと共に中心で回転される。有利に、前記チャックの回転は、20〜300s、特に有利に50〜150s(回転時間)続けされる。
【0023】
研磨布で被覆されかつ有利に300〜1500min-1、特に有利に500〜1000min-1の回転数で中心で回転するポリシングドラムと、前記チャックとは相互に近づけられ、その際、前記ポリシングドラムは前記シリコンウェハに対して一定の取り付け角のもとで斜めに置かれ、かつ前記シリコンウェハは前記チャック上に、前記シリコンウェハが前記チャックからわずかに突き出し、それにより前記ポリシングドラムが到達できるように固定されている。前記取り付け角は有利に30〜50゜である。
【0024】
シリコンウェハとポリシングドラムとは、所定の接触圧で研磨剤を連続して供給しながら、有利に0.1〜1リットル/min、特に有利に0.15〜0.40リットル/minの研磨剤流量で相互に押し付けられ、その際、前記接触圧は、ローラに取り付けられた重りにより調節することができ、有利に1〜5kg、特に有利に2〜4kgである。前記ポリシングドラムと前記シリコンウェハとは、有利に、前記シリコンウェハ又は前記シリコンウェハを保持するチャックが2〜20回、特に有利に2〜8回回転した後に相互に離される。
【0025】
エッジポリシングの実施例:
Speedfam EP300-IVタイプのエッジポリシング装置について、例示的に次の設定パラメータが、本発明による方法の実施のため、つまり所定のエッジラフネスの達成のために適している(有利な範囲を括弧内に表す):
− ポリシングの間の接触圧:3.0kg(1.0〜5.0kg)
− ポリシングドラムの回転数:800rpm(300〜1500rpm)
− ウェハの回転数:85sec/回転(20〜300sec/回転)。
【0026】
− ウェハの回転:4(2〜20回転)
− 研磨剤流量:300ml/min(100〜1000ml/min)
− 研磨剤濃度:例えばK2CO3 0.8%(重要でない、任意の他の濃度も可能)
− 研磨剤種類:例えばSiO2 5% Bayer社のLevasilTM 200、多くの他のものも考えられる
− ウェハに対するポリシングドラムの取り付け角:40゜(30〜50゜)
− 研磨布:例えばRohm und Haas Co.社のSuba TM 400等(3M Inc.社、Nihon Micro Coating社等の研磨布)
− ポリシング時間:340sec(150〜600sec)
有利に、このように加工されたシリコンウェハはエッジポリシング後に、丸められた、場合によりエッチングされた(酸性又はアルカリ性)及びポリシングされ、欠陥がなく、均一なエッジを有する。
【0027】
前記エッジポリシング後に、前記シリコンウェハは工程c)により洗浄される。前記洗浄は、バッチ法として浴中で又は噴霧法を用いて多数のシリコンウェハを同時に洗浄しながら又は枚葉式プロセスとして行うことができる。
【0028】
本発明の範囲内で、工程c)において、多数のシリコンウェハ、例えばエッジポリシング操作からの全てのウェハを同時に洗浄しながら浴洗浄を、例えば水性のフッ酸(HF)を用いた洗浄−超純水を用いたリンス−TMAH/H2O2(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド/過酸化水素)を用いた洗浄−超純水を用いたリンスの順序で、実施するのが有利である。引き続き、シリコンウェハは通常のように乾燥され、前記乾燥は遠心乾燥原理、熱水原理又はHF/オゾン原理により運転される市販の装置を用いて行うことができる。洗浄工程及び乾燥工程の後に得られた、エッジポリシングされたシリコンウェハは乾燥していてかつ親水性である。
【0029】
HFを用いた洗浄の際に、有利に酸性の洗浄剤、例えば ICB GmbH&Co. KG社から入手可能なSilapur-50TMが添加され、前記洗浄剤は低いppb範囲内の金属不純物の極端にわずかな濃度により優れていてかつ特にシリコン表面から金属不純物を除去するために適している。
【0030】
実施例:1500リットル/hの流量で、180secで、Silapur(200ml)0.012%+HF(3100ml)1.25%。
【0031】
超純水を用いたリンスを、有利に1500〜2000リットル/hの流量で、60〜300secで行う。
【0032】
TMAH/H2O2を用いる洗浄の場合、例えば、60℃で、1500リットル/hの流量で、約300secでのTMAH(4710ml)0.65%+H2O2(4610ml)1.05%が適している。
【0033】
前記ウェハの取り扱い工程及び生産ラインへの輸送により、前記ウェハエッジは特に接触点(例えば、輸送カセット中での接触箇所)で汚染されかねない。このような汚染は、エピタキシープロセスにおいて不正確な成長及び欠陥を引き起こしかねない。
【0034】
この汚染を避けるために、前記シリコンウェハの前記エッジに特別に合わせた洗浄が開発された。
【0035】
特に良好な結果は、ローラクリーニングを用いて達成することができた。
【0036】
適当な装置の略図は図4に示されている。
【0037】
この場合、ウェハ3は洗浄ローラ4に対して相対的に動き、その際、前記ウェハ3及び/又にローラ4は洗浄液で洗われる。
【0038】
この使用した洗浄ローラ4は、有利に合成スポンジ、例えば更に特に有利にポリビニルアルコール(PVA)をベースとする合成スポンジである。
【0039】
ウェハエッジ(頂端(Apex)32、エッジ前面31及びエッジ背面33)と洗浄ローラ4との間の相対速度は、有利に100〜500cm/min、更に特に有利に200〜300cm/minである。ウェハ面に対してほぼ垂直に向いているウェハエッジの最も外側の部分が、頂端32と言われる(図4Bも参照)。
【0040】
洗浄ローラ4が使用され、前記洗浄ローラは
− 頂端32と接触する42、
− エッジ前面31と接触する41及び
− エッジ背面33と接触する43である。
【0041】
有利に、シリコン技術において通常使用される洗浄剤が使用される。
【0042】
特に、超純粋、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)及び過酸化水素(H2O2)からなる溶液、例えばTMAH 0.3%+H2O2 0.7%の濃度の溶液が良好に適している。
【0043】
浴洗浄の後に、(d)に従って、欠陥及びエッジラフネスに関してシリコンウェハのグループのエッジ領域を調査し、シリコンウェハのグループから、10〜80μmの空間波長領域に関して1nm RMSよりも低い表面粗さを有するシリコンウェハが選択される。
【0044】
有利に、前面、背面、並びに、シリコンウェハの丸められかつポリシングされたエッジ及び前記エッジに隣接しかつ前記前面及び前記背面のそれぞれ3っmの幅の領域を有するエッジ領域を有し、10〜80μmの空間波長領域に関して0.1〜0.8nm RMSの前記エッジ領域中での表面粗さ及び前記表面粗さの1〜3%の変動率を特徴とするシリコンウェハが選択される。
【0045】
有利に、前記の選択されたシリコンウェハは、さらにエッジ領域において1μmよりも大きな長さ/サイズ/大きさの欠陥を有していない。
【0046】
前記シリコンウェハのグループからのシリコンウェハが、前記エッジラフネスに関して課せられた要求を満たさない場合に、このシリコンウェハは取り除かれるか又は後加工される、つまり新たなエッジポリシングにさらされる。この場合、10〜80μmの空間波長領域に関して1nm RMSよりも低い必要なエッジラフネス、特に有利に10〜80μmの空間波長領域に関して0.1〜0.9nm RMSのエッジラフネスを満たすために、プロセスパラメータは試験結果に基づき相応して変更される。
【0047】
例えば、シリコンウェハのグループからの個々のシリコンウェハは、プロセス変動に基づき、エッジラフネスについて要求された範囲の外側にあることが考えられる。このようなウェハは、相応して安定したプロセス条件下で後加工される。
【0048】
自動化されたエッジ検査ユニットが、シリコンウェハのエッジ領域の調査のために使用される。例えば、欠陥検出を行うだけではなくエッジラフネスに関する情報も提供するNanophotonics AG社の装置EBI又はRaytex Corp.社のRSW1200が適している、図3参照。
【0049】
このタイプの検査ユニットの機能は、暗領域での光の検出及び/又は明領域での画像の撮影に基づく。暗領域モードでは、光がいわゆる輝点欠陥(LPD)、つまり例えば結晶欠陥、損傷、スクラッチ、不純物又はパーティクルで散乱する。この場合、それぞれの欠陥には、その光散乱挙動と同等のサイズが、つまり「ラテックス球状粒子径等価(Latex Sphere Equivalent(LSE))」が割り当てられる。明領域モードでは、それに対して、前記エッジの画像を撮影される。
【0050】
先行技術の場合には、それに対して、前記ウェハエッジは通常では視覚的に又はイメージング測定システムにより調査され、その際、イメージング法の場合でも前記画像の評価は人によって行われていた。この場合でも、前記欠陥の分解能は人の目の能力に制限される。高解像度の、特に客観的な基準に基づく欠陥分析及び分類は、それにより行うことはできない。従って、前記エッジの最適化された加工方法に、公知の検査方法を提供することはできない。
【0051】
本発明による方法の工程e)は、枚葉型エピタキシー反応器中での選択されたシリコンウェハの前処理を含み、その際、第1の工程では水素雰囲気中で1〜100slmの流量での処理が行われ、更に第2の工程ではエッチング媒体が0.5〜5slmの流量で水素雰囲気に添加され、かつガス分配装置を用いて反応室に分配される。
【0052】
本来のエピタキシャル工程前のウェハエッジの状態は、欠陥のないことが重要である。パーティクルの他に、最小の損傷からもエピタキシープロセスにより成長欠陥が生じることがある。
【0053】
パーティクル汚染を更に減少させるためにも、場合により存在する小さな損傷を除去するためにも、特に前記ウェハエッジはエピタキシー操作の開始前にエッチング処理にさらされる。これは、しかしながら、ポリシングされたエッジと比べてフラットネス/ラフネスの悪化を伴いかねず、これはしかしながら本発明の範囲内で比較的低く保つことができた。
【0054】
このエッチング処理は、エピタキシー反応器中に提供された前処理工程の範囲内で行われる。通常では、ポリシングされ、エピタキシャル被覆されるべきシリコンウェハは、前記シリコンウェハから自然酸化膜を除去するために水素雰囲気にさらされる。第2の工程で、通常では、エッチング媒体が水素雰囲気に添加される。
【0055】
この第2の工程において、次のプロセスパラメータが先行技術では通常に使用される:
ガス流量:
HCl:0.9slm(標準リットル/分)
H2:典型的に50slm。
【0056】
場合により、前記ガス流量は、いわゆるAMVによって前記反応室内へ分配される。自動計量バルブ:I/O=150/150(先行技術:前記ガス流量の均質な分配)。
【0057】
前記の値は、本発明による方法の場合に、次のように変えられる:
ガス流量:
HCl:0.5〜5slm、有利に1.5〜5slm、更に特に有利に3〜5slm;
H2:1〜100slm、有利に1〜10slm、更に特に有利に5〜10slm。
【0058】
この選択されたプロセスパラメータが、前記シリコンウェハのエッジ領域中で高められたエッチング速度を生じさせることが明らかとなった。
【0059】
更に、有利に前記I/O値(I=内側区域、O=外側区域)、つまり前記ガス流量の分配は次のように変更される:
自動計量バルブ:I/O=0/300〜100/200=0〜0.5。前記反応室内への前記ガス流量の分配は、自動計量バルブ(AMV)によって制御される。Applied Materials社のEpi Centura反応器について、前記分配が可能であるバルブ(「計量バルブ」)を有するAccusettTMの名称の装置が入手可能である。エッチング媒体の流れは、反応室の内側区域及び外側区域に分配される。この制御は、有利に適当なソフトウェアを用いて行われる。
【0060】
前記内側区域中へ分配されるエッチング媒体は、サセプタ上に存在するシリコンウェハの中心の周りの領域に作用させる。前記反応室の外側区域内へ分配されたエッチング媒体の部分は、前記シリコンウェハの外側の領域、つまり特にエッジ領域に作用させる。全般的に、内側区域及び外側区域は、全般的に処理されるべきシリコンウェハのサイズにほぼ一致する。
【0061】
内側区域及び外側区域の間のエッチング媒体の分配は、有利に0〜最大0.5である。この比率は、内側区域中のエッチング媒体の量対外側区域中のエッチング媒体の量から生じる。前記エッチング媒体は大部分がエッジ領域に案内される。
【0062】
前記シリコンウェハに対して内側区域及び外側区域のサイズは同様に、最も簡単には、ガスを反応室内へ導通させるガス導入装置(インジェクタ)の相応する配置及び構成によって制御することができる。例えば、前記内側区域は、既にUS 2008/0182397 A1に記載されているように、ウェハ直径300mmでシリコンウェハの中央部に75mmの直径を有する円形の領域であることができる。
【0063】
本発明による方法において、前記内側区域は有利に前記シリコンウェハの中心で100mmの直径の円であり、外側区域は、前記シリコンウェハのエッジを有する100mmの幅の環に相当する。直径300mmを有するシリコンウェハも同様に、この値に基づいて選ばれる。450mmの基板直径を有する次の今開発中の世代のシリコンウェハを使用する場合、内側区域及び外側区域はこれと同様に選択され、小さなウェハ、例えば200mmウェハ又は150mmウェハの場合にも同様である。
【0064】
エッチング媒体の量は、有利に内側区域及び外側区域のためのガス導管の直径の変更により達成される。前記エッチング媒体の量は前記導管の直径を低減することにより減少する。
【0065】
基本的に次の構造が有利である:
前記ガス量は、1slm〜5slmの流量を調節することができるマスフローコントローラ(MFC)を用いて調節される。先行技術において利用されたMFCは0.9slmに限定されていたので、このことは新規である。このガス量は、次いでメインガス導管を介して2つのニードルバルブに案内され(内側区域及び外側区域)及びそこに分配される。この調整は前記バルブの調節によって行われる(内側区域及び外側区域についての前記導管直径の調整は相互に無関係)。この分配されたガス量は、次いでインジェクタを介して前記反応室内へ導入される。この構造は、適当なソフトウェアによる自動制御を可能にするという利点を有する。
【0066】
前記前処理工程の後に、f)によるエピタキシー工程が行われる。エピタキシャル堆積自体は、例えばDE 102 005 045 337 A1に記載されているように先行技術により行われる。生じるエピタキシャル被覆されたシリコンウェハは、10〜80μmの空間波長領域に関して0.1〜1.5nm RMSのエッジ領域における表面ラフネス並びに1〜10%の前記表面ラフネスの変動率により特徴付けられる。
【0067】
更に、有利に、サセプタ痕(susceptor impression)を明らかに低減するために、最適化されたサセプタ支持体が使用される。これは図5及び6に具体的に説明されている。
【0068】
前記ウェハ支持体5は、ウェハ3がエッジ領域34の背面が支えられておらず、サセプタ痕を完全に回避されるように構成されている。前記支持自体の他に、前記ウェハの取り扱いが自動エッジ検査及び欠陥分類により監視される。前記ウェハ3が前記サセプタ6の中心に配置されておらず、エッジ6に接触している場合、これは前記測定により識別され、即座に取り扱いロボットの積載位置の修正が行われる。
【0069】
有利に、エピタキシャル被覆の後に、欠陥及びエッジラフネスに関して前記シリコンウェハのエッジ領域の新たな試験が行われる。
【0070】
エピタキシャル被覆されたシリコンウェハの欠陥に関して、多様な欠陥タイプが公知である。欠陥は、最終的に特定の欠陥クラスに分類することができる。例えば、一つのタイプの欠陥をサイズクラスに分類し、これを付加的な品質及び規格特徴として利用する可能性が存在する。
【0071】
本発明の方法による自動エッジ観察により検知される欠陥タイプの例及び関連するサイズクラスの例を次に表1に示す。>1μmの長さ/サイズ/大きさを有する欠陥が検出される。この種の欠陥タイプがウェハ作製において生じることがある場所も示されている。
【表1】
【0072】
図7a)〜e)は、顕微鏡写真の形での、表1からの欠陥タイプの例を示す:図7a)は割れ、図7b)は斑点、図7c)は構造的エピタキシー欠陥、図7d)はスクラッチ、図7e)はクラック。
【0073】
欠陥タイプ及び欠陥クラスの他に、欠陥の位置も品質情報として提供される。
【0074】
相応する特徴において、例えば頂端、上側又は下側の研磨面及びシリコンウェハの上側又は下側の3mmのエッジ領域に関する欠陥について区別され、頂端(図4参照)に関する欠陥を有するウェハを選び出し、場合により後処理することができる。従って、もっぱら無欠陥の頂端を有するウェアを得るという顧客の希望に応じることができる。
【0075】
エピタキシー反応器中での前処理の際の適当なプロセスパラメータを見つけ出すことが、本発明による方法の成就のために重要であった。他の利点は、エピタキシー反応器中でのシリコンウェハの改善された取り扱い(図5及び図6参照)、特別な洗浄方法によるエピタキシー工程の前のシリコンウェハの汚染のないことの保証(図4参照)により生じる。従って、次に説明するエッジ検査のデータの評価との関連で、エッジ領域において極端に低いラフネスを有するエピタキシャル被覆されたシリコンウェハを準備し、同時に、シリコンウェハのエッジ領域において欠陥を有するウェハを決して顧客に提供しないことを保証することができる。
【0076】
自動エッジ検査のための測定系の生データからウェハエッジのラフネスに関する情報を生成する方法も開発された。このために、CCDカメラにより記録されたデータを検査した材料から生じるバックグラウンド信号に関してフィルタリングし、基準化し、分析した。このCCD生信号の処理は、GV(グレー値)パラメータ(以後P4という)で止め、これを用いて前記エッジのラフネス特性を表すことができる。このP4パラメータは、最終的にカメラピクセル中に検出された光強度を表す。一般に、カメラ技術において通常のように、256グレー値段階が前記強度の分類のために提供される。この光強度は、それぞれの位置でのウェハエッジのラフネスに比例する。
【0077】
図1は、シリコンウェハ上の角度(位置)の関数としてのグレー値段階P4を示す。2つのピークが見られる。異なる信号高さが、位置11及び12では観察される。
【0078】
図2は、図1における異なるP4信号高さ11及び12を引き起こした領域の顕微鏡写真を示す。
【0079】
このP4パラメータは、ラフネスの絶対値及びウェハのエッジにわたるラフネスの均質性の両方を記述するのに適している。
【0080】
図3は、P4値22と、本発明の場合にNormaski干渉の標準方法を用いて測定されたラフネス値21(光学的ラフネス測定)との相関関係を示す。
【0081】
前記P4信号の評価及びそれと相関するラフネス値に基づき、エッジラフネスの均質性(<3%の変化)及び<1nm RMS10/80μmのラフネスの絶対値に関して、エッジポリシングの際のプロセスの最適化を行い、エッジポリシングプロセスを監視し、必要な場合に前記エッジポリシング装置を再調整し並びに後続プロセスのために適当でないウェハを選び出し/後処理することが可能である。
【0082】
この開示されたプロセスパラメータは、試験マトリックス中で検証され、加工されたウェハは完全に自動化されたエッジ検査システムで測定される。生じたデータに基づいて、加工されたウェハの95%以上について、全体のエッジ領域は、例えば1μmLSE未満のサイズを有する100個未満の欠陥を有し、かつ表1に記載された欠陥タイプを除去することができることが確認できた。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピタキシャル被覆されたシリコンウェハ及びエピタキシャル被覆されたシリコンウェハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェハ(ウェハ)のエッジに関する品質要求は、特にシリコンウェハの大きな直径(直径≧300mm)の場合に常に高くなっている。特に、前記シリコンウェハのエッジはできるだけ汚染がなくかつ低いラフネスを有するべきである。更に、前記エッジは取り扱いの際に高められた機械的応力に対して耐性であるべきである。単結晶からスライスしたシリコンウェハのこの未処理のエッジは比較的粗くかつ不均一な表面を有する。前記エッジは機械的負荷の際にしばしば割れ、有害なパーティクルの根源である。従って、結晶中の割れ及びダメージを除去しかつ前記エッジに所定のプロファイルを付与するために、前記エッジを再研削することが通常である。
【0003】
適当な研削装置は先行技術から公知である。前記シリコンウェハは、回転テーブル上に固定され、前記ウェハのエッジは加工工具の同様に回転する作業面に接するように動かされるのが通常である。この場合に使用される加工工具は、たいていの場合にディスクの形であり、前記ディスクは主軸に固定され、かつ前記シリコンウェハのエッジの加工のための作業面として機能する円周面を有する。前記材料を除去する砥粒は、通常では加工工具の作業面内に固定されている。
【0004】
この加工工具は、丸めたエッジを備えたシリコンウェハを提供するために適している。通常では、このエッジ丸めの後に、前記エッジ表面上の所定の最小ラフネスが残る。
【0005】
後の加工工程において、前記シリコンウェハの研削されかつエッチング媒体で処理されたエッジは通常ではポリシングされる。
【0006】
この場合、中心で回転するシリコンウェハの前記エッジは、中心で回転するポリシングドラムに所定の力(接触圧)で押し付けられる。US 5,989,105はこの種のエッジポリシング方法を開示し、この場合、前記ポリシングドラムはアルミニウム合金からなり、かつ研磨布で被覆されている。前記シリコンウェハは、通常では平坦なウェハホルダ、いわゆるチャック上に固定されている。前記シリコンウェハのエッジは前記チャックから突き出ているので、前記エッジはポリシングドラムが自由に到達できる。
【0007】
プロセス監視のために、前記エッジポリシングの後に、通常では顕微鏡の下での前記シリコンウェハのエッジの視覚検査がサンプルに基づいて実施される。この検査は、シリコンウェハのエッジについてのパーティクル、ラフネス及び欠陥に関して行われる。特に、前記シリコンウェハのエッジは、場合による非平坦性により引き起こされる光反射に関して検査される。
【0008】
しかしながら、この視覚検査は信頼できず、全てのシリコンウェハに対して同じエッジ品質を保証することはできない。更に、この視覚検査は、可能な限り欠点のある手順についての推定を導き出すために、シリコンウェハのエッジ領域中の小さな欠陥を完全にかつ確実に確認するために不適当である。
【0009】
更に、しかしながら一般にウェハエッジから3mmの周辺部除外領域までのシリコンウェハの検査を行うことができるだけの検査装置が利用できる。全体のエッジ領域、つまりシリコンウェハのエッジ及び前記の周辺部除外領域の両方を、大抵の公知の検査装置を調査のため用いることはできない。
【0010】
例えば、EP 1348947 A1は、シリコンウェハのエッジを検査するために使用できるが、全体のエッジ領域(周辺部除外領域)を検査することはできない検査装置を開示している。それに対して、DE 10352936 A1は、シリコンウェハの周辺部除外領域を含めた全体のエッジ領域中の所定のサイズからの欠陥を自動的に検出することができる検査装置を記載している。
【0011】
今までのエッジ検査の方法は、作製プロセスを適宜に最適化するために十分な情報を提供しない。特に、欠陥を明確に区別し、それにより重大な欠陥の発生を監視しかつ回避することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】US 5,989,105
【特許文献2】EP 1348947 A1
【特許文献3】DE 10352936 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この目的は、従って、自動的に高解像度の欠陥特性決定を内容とする自動的エッジ監視を用いて、エピタキシャル被覆されたウェハの作製プロセスを最適化し、監視し、場合により、不所望であると同定された欠陥なしのシリコンウェハだけを提供するために、個々の欠陥タイプ及び欠陥クラスに関する分類を実施することである。本発明の課題は、改善されたイメージ品質を有するエピタキシャル被覆されたシリコンウェハ並びにエピタキシャル被覆されたシリコンウェハの適切な製造方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題は、前面、背面及びエッジ領域を有し、前記エッジ領域はシリコンウェハの丸められかつポリシングされたエッジ及び前記エッジに隣接しかつ前記前面及び前記背面のそれぞれ3mmの幅の領域を有するエピタキシャル被覆されたシリコンウェハにおいて、10〜80μmの空間波長領域に関して0.1〜1.5nm RMSの前記エッジ領域中の表面粗さ及び前記表面粗さの1〜10%の変動率を特徴とする、エピタキシャル被覆されたシリコンウェハにより達成される。
【0015】
本発明において、前記エッジ領域は、全ての傾斜面及び丸められた面を含むシリコンウェハのエッジだけでなく、前面及び背面上の3mmのエッジ領域も含み、つまり前記シリコンウェハのエッジに隣接しかつ3mmの幅を有するリング状の範囲を含む。
【0016】
本発明の課題は、次のプロセス順序:
(a) 丸められたエッジを備えたシリコンウェハのグループを準備する工程;
(b) 前記シリコンウェハのエッジをポリシングする工程;
(c) 前記シリコンウェハを洗浄する工程;
(d) 欠陥及びエッジラフネスに関してシリコンウェハのグループの、それぞれ前記シリコンウェハの丸められかつポリシングされたエッジ並びに前記エッジに隣接しかつ前面及び背面上のそれぞれ3っmの幅を有する領域を有するエッジ領域を調査し、かつ前記シリコンウェハのグループから、10〜80μmの空間波長領域に関して1nm RMSよりも低い表面粗さを有するシリコンウェハを選択する工程;
(e) 選択されたシリコンウェハを枚葉型エピタキシー反応器の反応室中で前処理し、その際、第1の工程で水素雰囲気中で1〜100slmの流量で処理を行い、更に第2の工程でエッチング媒体を0.5〜5slmの流量で前記水素雰囲気に添加し、ガス分配装置を用いて反応室中に分配する工程;
(f) 前記シリコンウェハをエピタキシャル被覆する工程
を有する、エピタキシャル被覆されたシリコンウェハの製造方法によっても達成される。
【0017】
本発明による方法の有利な実施態様は従属請求項に請求されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】角度の関数としてのいわゆるP4パラメータである。
【図2】異なるP4値を生じるウェハ上の領域の顕微鏡写真を示す。
【図3】P4値とラフネスとの相関関係を示す。
【図4a】ローラクリーニングの原理を図式的に示す。
【図4b】ローラクリーニングの原理を図式的に示す。
【図5】サセプタ/ウェハサポート上のウェハを示す。
【図6】サセプタ/ウェハサポート上のウェハを示す。
【図7a】多様な欠陥タイプの顕微鏡写真を示す。
【図7b】多様な欠陥タイプの顕微鏡写真を示す。
【図7c】多様な欠陥タイプの顕微鏡写真を示す。
【図7d】多様な欠陥タイプの顕微鏡写真を示す。
【図7e】多様な欠陥タイプの顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明による方法の場合に、まず丸められたエッジを有するシリコンウェハのグループを準備する。このために、有利にシリコンウェハを先行技術により単結晶からスライスし、このウェハのエッジを丸め、前記ウェハの前面及び背面を研削法及び/又はラッピング法で平坦にし、場合により湿式化学的にエッチング処理を行う。
【0020】
前記シリコンウェハのこの丸められたエッジは、引き続き(b)によりポリシングされる。
【0021】
市販の自動エッジポリシングユニットがこのために使用される。この場合、前記シリコンウェハは中心で回転するチャックに固定され、その際、前記シリコンウェハは前記チャックから突き出ている。研磨布で被覆されかつ前記チャックに対して所定の角度分が傾斜された中心で回転するポリシングドラムと、前記シリコンウェハを有する前記チャックとは相互に近づけられ、かつ所定の接触圧で研磨剤を連続的に供給しながら相互に押し付けられる。
【0022】
エッジポリシングの場合に、前記チャックはその上に保持されたシリコンウェハと共に中心で回転される。有利に、前記チャックの回転は、20〜300s、特に有利に50〜150s(回転時間)続けされる。
【0023】
研磨布で被覆されかつ有利に300〜1500min-1、特に有利に500〜1000min-1の回転数で中心で回転するポリシングドラムと、前記チャックとは相互に近づけられ、その際、前記ポリシングドラムは前記シリコンウェハに対して一定の取り付け角のもとで斜めに置かれ、かつ前記シリコンウェハは前記チャック上に、前記シリコンウェハが前記チャックからわずかに突き出し、それにより前記ポリシングドラムが到達できるように固定されている。前記取り付け角は有利に30〜50゜である。
【0024】
シリコンウェハとポリシングドラムとは、所定の接触圧で研磨剤を連続して供給しながら、有利に0.1〜1リットル/min、特に有利に0.15〜0.40リットル/minの研磨剤流量で相互に押し付けられ、その際、前記接触圧は、ローラに取り付けられた重りにより調節することができ、有利に1〜5kg、特に有利に2〜4kgである。前記ポリシングドラムと前記シリコンウェハとは、有利に、前記シリコンウェハ又は前記シリコンウェハを保持するチャックが2〜20回、特に有利に2〜8回回転した後に相互に離される。
【0025】
エッジポリシングの実施例:
Speedfam EP300-IVタイプのエッジポリシング装置について、例示的に次の設定パラメータが、本発明による方法の実施のため、つまり所定のエッジラフネスの達成のために適している(有利な範囲を括弧内に表す):
− ポリシングの間の接触圧:3.0kg(1.0〜5.0kg)
− ポリシングドラムの回転数:800rpm(300〜1500rpm)
− ウェハの回転数:85sec/回転(20〜300sec/回転)。
【0026】
− ウェハの回転:4(2〜20回転)
− 研磨剤流量:300ml/min(100〜1000ml/min)
− 研磨剤濃度:例えばK2CO3 0.8%(重要でない、任意の他の濃度も可能)
− 研磨剤種類:例えばSiO2 5% Bayer社のLevasilTM 200、多くの他のものも考えられる
− ウェハに対するポリシングドラムの取り付け角:40゜(30〜50゜)
− 研磨布:例えばRohm und Haas Co.社のSuba TM 400等(3M Inc.社、Nihon Micro Coating社等の研磨布)
− ポリシング時間:340sec(150〜600sec)
有利に、このように加工されたシリコンウェハはエッジポリシング後に、丸められた、場合によりエッチングされた(酸性又はアルカリ性)及びポリシングされ、欠陥がなく、均一なエッジを有する。
【0027】
前記エッジポリシング後に、前記シリコンウェハは工程c)により洗浄される。前記洗浄は、バッチ法として浴中で又は噴霧法を用いて多数のシリコンウェハを同時に洗浄しながら又は枚葉式プロセスとして行うことができる。
【0028】
本発明の範囲内で、工程c)において、多数のシリコンウェハ、例えばエッジポリシング操作からの全てのウェハを同時に洗浄しながら浴洗浄を、例えば水性のフッ酸(HF)を用いた洗浄−超純水を用いたリンス−TMAH/H2O2(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド/過酸化水素)を用いた洗浄−超純水を用いたリンスの順序で、実施するのが有利である。引き続き、シリコンウェハは通常のように乾燥され、前記乾燥は遠心乾燥原理、熱水原理又はHF/オゾン原理により運転される市販の装置を用いて行うことができる。洗浄工程及び乾燥工程の後に得られた、エッジポリシングされたシリコンウェハは乾燥していてかつ親水性である。
【0029】
HFを用いた洗浄の際に、有利に酸性の洗浄剤、例えば ICB GmbH&Co. KG社から入手可能なSilapur-50TMが添加され、前記洗浄剤は低いppb範囲内の金属不純物の極端にわずかな濃度により優れていてかつ特にシリコン表面から金属不純物を除去するために適している。
【0030】
実施例:1500リットル/hの流量で、180secで、Silapur(200ml)0.012%+HF(3100ml)1.25%。
【0031】
超純水を用いたリンスを、有利に1500〜2000リットル/hの流量で、60〜300secで行う。
【0032】
TMAH/H2O2を用いる洗浄の場合、例えば、60℃で、1500リットル/hの流量で、約300secでのTMAH(4710ml)0.65%+H2O2(4610ml)1.05%が適している。
【0033】
前記ウェハの取り扱い工程及び生産ラインへの輸送により、前記ウェハエッジは特に接触点(例えば、輸送カセット中での接触箇所)で汚染されかねない。このような汚染は、エピタキシープロセスにおいて不正確な成長及び欠陥を引き起こしかねない。
【0034】
この汚染を避けるために、前記シリコンウェハの前記エッジに特別に合わせた洗浄が開発された。
【0035】
特に良好な結果は、ローラクリーニングを用いて達成することができた。
【0036】
適当な装置の略図は図4に示されている。
【0037】
この場合、ウェハ3は洗浄ローラ4に対して相対的に動き、その際、前記ウェハ3及び/又にローラ4は洗浄液で洗われる。
【0038】
この使用した洗浄ローラ4は、有利に合成スポンジ、例えば更に特に有利にポリビニルアルコール(PVA)をベースとする合成スポンジである。
【0039】
ウェハエッジ(頂端(Apex)32、エッジ前面31及びエッジ背面33)と洗浄ローラ4との間の相対速度は、有利に100〜500cm/min、更に特に有利に200〜300cm/minである。ウェハ面に対してほぼ垂直に向いているウェハエッジの最も外側の部分が、頂端32と言われる(図4Bも参照)。
【0040】
洗浄ローラ4が使用され、前記洗浄ローラは
− 頂端32と接触する42、
− エッジ前面31と接触する41及び
− エッジ背面33と接触する43である。
【0041】
有利に、シリコン技術において通常使用される洗浄剤が使用される。
【0042】
特に、超純粋、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)及び過酸化水素(H2O2)からなる溶液、例えばTMAH 0.3%+H2O2 0.7%の濃度の溶液が良好に適している。
【0043】
浴洗浄の後に、(d)に従って、欠陥及びエッジラフネスに関してシリコンウェハのグループのエッジ領域を調査し、シリコンウェハのグループから、10〜80μmの空間波長領域に関して1nm RMSよりも低い表面粗さを有するシリコンウェハが選択される。
【0044】
有利に、前面、背面、並びに、シリコンウェハの丸められかつポリシングされたエッジ及び前記エッジに隣接しかつ前記前面及び前記背面のそれぞれ3っmの幅の領域を有するエッジ領域を有し、10〜80μmの空間波長領域に関して0.1〜0.8nm RMSの前記エッジ領域中での表面粗さ及び前記表面粗さの1〜3%の変動率を特徴とするシリコンウェハが選択される。
【0045】
有利に、前記の選択されたシリコンウェハは、さらにエッジ領域において1μmよりも大きな長さ/サイズ/大きさの欠陥を有していない。
【0046】
前記シリコンウェハのグループからのシリコンウェハが、前記エッジラフネスに関して課せられた要求を満たさない場合に、このシリコンウェハは取り除かれるか又は後加工される、つまり新たなエッジポリシングにさらされる。この場合、10〜80μmの空間波長領域に関して1nm RMSよりも低い必要なエッジラフネス、特に有利に10〜80μmの空間波長領域に関して0.1〜0.9nm RMSのエッジラフネスを満たすために、プロセスパラメータは試験結果に基づき相応して変更される。
【0047】
例えば、シリコンウェハのグループからの個々のシリコンウェハは、プロセス変動に基づき、エッジラフネスについて要求された範囲の外側にあることが考えられる。このようなウェハは、相応して安定したプロセス条件下で後加工される。
【0048】
自動化されたエッジ検査ユニットが、シリコンウェハのエッジ領域の調査のために使用される。例えば、欠陥検出を行うだけではなくエッジラフネスに関する情報も提供するNanophotonics AG社の装置EBI又はRaytex Corp.社のRSW1200が適している、図3参照。
【0049】
このタイプの検査ユニットの機能は、暗領域での光の検出及び/又は明領域での画像の撮影に基づく。暗領域モードでは、光がいわゆる輝点欠陥(LPD)、つまり例えば結晶欠陥、損傷、スクラッチ、不純物又はパーティクルで散乱する。この場合、それぞれの欠陥には、その光散乱挙動と同等のサイズが、つまり「ラテックス球状粒子径等価(Latex Sphere Equivalent(LSE))」が割り当てられる。明領域モードでは、それに対して、前記エッジの画像を撮影される。
【0050】
先行技術の場合には、それに対して、前記ウェハエッジは通常では視覚的に又はイメージング測定システムにより調査され、その際、イメージング法の場合でも前記画像の評価は人によって行われていた。この場合でも、前記欠陥の分解能は人の目の能力に制限される。高解像度の、特に客観的な基準に基づく欠陥分析及び分類は、それにより行うことはできない。従って、前記エッジの最適化された加工方法に、公知の検査方法を提供することはできない。
【0051】
本発明による方法の工程e)は、枚葉型エピタキシー反応器中での選択されたシリコンウェハの前処理を含み、その際、第1の工程では水素雰囲気中で1〜100slmの流量での処理が行われ、更に第2の工程ではエッチング媒体が0.5〜5slmの流量で水素雰囲気に添加され、かつガス分配装置を用いて反応室に分配される。
【0052】
本来のエピタキシャル工程前のウェハエッジの状態は、欠陥のないことが重要である。パーティクルの他に、最小の損傷からもエピタキシープロセスにより成長欠陥が生じることがある。
【0053】
パーティクル汚染を更に減少させるためにも、場合により存在する小さな損傷を除去するためにも、特に前記ウェハエッジはエピタキシー操作の開始前にエッチング処理にさらされる。これは、しかしながら、ポリシングされたエッジと比べてフラットネス/ラフネスの悪化を伴いかねず、これはしかしながら本発明の範囲内で比較的低く保つことができた。
【0054】
このエッチング処理は、エピタキシー反応器中に提供された前処理工程の範囲内で行われる。通常では、ポリシングされ、エピタキシャル被覆されるべきシリコンウェハは、前記シリコンウェハから自然酸化膜を除去するために水素雰囲気にさらされる。第2の工程で、通常では、エッチング媒体が水素雰囲気に添加される。
【0055】
この第2の工程において、次のプロセスパラメータが先行技術では通常に使用される:
ガス流量:
HCl:0.9slm(標準リットル/分)
H2:典型的に50slm。
【0056】
場合により、前記ガス流量は、いわゆるAMVによって前記反応室内へ分配される。自動計量バルブ:I/O=150/150(先行技術:前記ガス流量の均質な分配)。
【0057】
前記の値は、本発明による方法の場合に、次のように変えられる:
ガス流量:
HCl:0.5〜5slm、有利に1.5〜5slm、更に特に有利に3〜5slm;
H2:1〜100slm、有利に1〜10slm、更に特に有利に5〜10slm。
【0058】
この選択されたプロセスパラメータが、前記シリコンウェハのエッジ領域中で高められたエッチング速度を生じさせることが明らかとなった。
【0059】
更に、有利に前記I/O値(I=内側区域、O=外側区域)、つまり前記ガス流量の分配は次のように変更される:
自動計量バルブ:I/O=0/300〜100/200=0〜0.5。前記反応室内への前記ガス流量の分配は、自動計量バルブ(AMV)によって制御される。Applied Materials社のEpi Centura反応器について、前記分配が可能であるバルブ(「計量バルブ」)を有するAccusettTMの名称の装置が入手可能である。エッチング媒体の流れは、反応室の内側区域及び外側区域に分配される。この制御は、有利に適当なソフトウェアを用いて行われる。
【0060】
前記内側区域中へ分配されるエッチング媒体は、サセプタ上に存在するシリコンウェハの中心の周りの領域に作用させる。前記反応室の外側区域内へ分配されたエッチング媒体の部分は、前記シリコンウェハの外側の領域、つまり特にエッジ領域に作用させる。全般的に、内側区域及び外側区域は、全般的に処理されるべきシリコンウェハのサイズにほぼ一致する。
【0061】
内側区域及び外側区域の間のエッチング媒体の分配は、有利に0〜最大0.5である。この比率は、内側区域中のエッチング媒体の量対外側区域中のエッチング媒体の量から生じる。前記エッチング媒体は大部分がエッジ領域に案内される。
【0062】
前記シリコンウェハに対して内側区域及び外側区域のサイズは同様に、最も簡単には、ガスを反応室内へ導通させるガス導入装置(インジェクタ)の相応する配置及び構成によって制御することができる。例えば、前記内側区域は、既にUS 2008/0182397 A1に記載されているように、ウェハ直径300mmでシリコンウェハの中央部に75mmの直径を有する円形の領域であることができる。
【0063】
本発明による方法において、前記内側区域は有利に前記シリコンウェハの中心で100mmの直径の円であり、外側区域は、前記シリコンウェハのエッジを有する100mmの幅の環に相当する。直径300mmを有するシリコンウェハも同様に、この値に基づいて選ばれる。450mmの基板直径を有する次の今開発中の世代のシリコンウェハを使用する場合、内側区域及び外側区域はこれと同様に選択され、小さなウェハ、例えば200mmウェハ又は150mmウェハの場合にも同様である。
【0064】
エッチング媒体の量は、有利に内側区域及び外側区域のためのガス導管の直径の変更により達成される。前記エッチング媒体の量は前記導管の直径を低減することにより減少する。
【0065】
基本的に次の構造が有利である:
前記ガス量は、1slm〜5slmの流量を調節することができるマスフローコントローラ(MFC)を用いて調節される。先行技術において利用されたMFCは0.9slmに限定されていたので、このことは新規である。このガス量は、次いでメインガス導管を介して2つのニードルバルブに案内され(内側区域及び外側区域)及びそこに分配される。この調整は前記バルブの調節によって行われる(内側区域及び外側区域についての前記導管直径の調整は相互に無関係)。この分配されたガス量は、次いでインジェクタを介して前記反応室内へ導入される。この構造は、適当なソフトウェアによる自動制御を可能にするという利点を有する。
【0066】
前記前処理工程の後に、f)によるエピタキシー工程が行われる。エピタキシャル堆積自体は、例えばDE 102 005 045 337 A1に記載されているように先行技術により行われる。生じるエピタキシャル被覆されたシリコンウェハは、10〜80μmの空間波長領域に関して0.1〜1.5nm RMSのエッジ領域における表面ラフネス並びに1〜10%の前記表面ラフネスの変動率により特徴付けられる。
【0067】
更に、有利に、サセプタ痕(susceptor impression)を明らかに低減するために、最適化されたサセプタ支持体が使用される。これは図5及び6に具体的に説明されている。
【0068】
前記ウェハ支持体5は、ウェハ3がエッジ領域34の背面が支えられておらず、サセプタ痕を完全に回避されるように構成されている。前記支持自体の他に、前記ウェハの取り扱いが自動エッジ検査及び欠陥分類により監視される。前記ウェハ3が前記サセプタ6の中心に配置されておらず、エッジ6に接触している場合、これは前記測定により識別され、即座に取り扱いロボットの積載位置の修正が行われる。
【0069】
有利に、エピタキシャル被覆の後に、欠陥及びエッジラフネスに関して前記シリコンウェハのエッジ領域の新たな試験が行われる。
【0070】
エピタキシャル被覆されたシリコンウェハの欠陥に関して、多様な欠陥タイプが公知である。欠陥は、最終的に特定の欠陥クラスに分類することができる。例えば、一つのタイプの欠陥をサイズクラスに分類し、これを付加的な品質及び規格特徴として利用する可能性が存在する。
【0071】
本発明の方法による自動エッジ観察により検知される欠陥タイプの例及び関連するサイズクラスの例を次に表1に示す。>1μmの長さ/サイズ/大きさを有する欠陥が検出される。この種の欠陥タイプがウェハ作製において生じることがある場所も示されている。
【表1】
【0072】
図7a)〜e)は、顕微鏡写真の形での、表1からの欠陥タイプの例を示す:図7a)は割れ、図7b)は斑点、図7c)は構造的エピタキシー欠陥、図7d)はスクラッチ、図7e)はクラック。
【0073】
欠陥タイプ及び欠陥クラスの他に、欠陥の位置も品質情報として提供される。
【0074】
相応する特徴において、例えば頂端、上側又は下側の研磨面及びシリコンウェハの上側又は下側の3mmのエッジ領域に関する欠陥について区別され、頂端(図4参照)に関する欠陥を有するウェハを選び出し、場合により後処理することができる。従って、もっぱら無欠陥の頂端を有するウェアを得るという顧客の希望に応じることができる。
【0075】
エピタキシー反応器中での前処理の際の適当なプロセスパラメータを見つけ出すことが、本発明による方法の成就のために重要であった。他の利点は、エピタキシー反応器中でのシリコンウェハの改善された取り扱い(図5及び図6参照)、特別な洗浄方法によるエピタキシー工程の前のシリコンウェハの汚染のないことの保証(図4参照)により生じる。従って、次に説明するエッジ検査のデータの評価との関連で、エッジ領域において極端に低いラフネスを有するエピタキシャル被覆されたシリコンウェハを準備し、同時に、シリコンウェハのエッジ領域において欠陥を有するウェハを決して顧客に提供しないことを保証することができる。
【0076】
自動エッジ検査のための測定系の生データからウェハエッジのラフネスに関する情報を生成する方法も開発された。このために、CCDカメラにより記録されたデータを検査した材料から生じるバックグラウンド信号に関してフィルタリングし、基準化し、分析した。このCCD生信号の処理は、GV(グレー値)パラメータ(以後P4という)で止め、これを用いて前記エッジのラフネス特性を表すことができる。このP4パラメータは、最終的にカメラピクセル中に検出された光強度を表す。一般に、カメラ技術において通常のように、256グレー値段階が前記強度の分類のために提供される。この光強度は、それぞれの位置でのウェハエッジのラフネスに比例する。
【0077】
図1は、シリコンウェハ上の角度(位置)の関数としてのグレー値段階P4を示す。2つのピークが見られる。異なる信号高さが、位置11及び12では観察される。
【0078】
図2は、図1における異なるP4信号高さ11及び12を引き起こした領域の顕微鏡写真を示す。
【0079】
このP4パラメータは、ラフネスの絶対値及びウェハのエッジにわたるラフネスの均質性の両方を記述するのに適している。
【0080】
図3は、P4値22と、本発明の場合にNormaski干渉の標準方法を用いて測定されたラフネス値21(光学的ラフネス測定)との相関関係を示す。
【0081】
前記P4信号の評価及びそれと相関するラフネス値に基づき、エッジラフネスの均質性(<3%の変化)及び<1nm RMS10/80μmのラフネスの絶対値に関して、エッジポリシングの際のプロセスの最適化を行い、エッジポリシングプロセスを監視し、必要な場合に前記エッジポリシング装置を再調整し並びに後続プロセスのために適当でないウェハを選び出し/後処理することが可能である。
【0082】
この開示されたプロセスパラメータは、試験マトリックス中で検証され、加工されたウェハは完全に自動化されたエッジ検査システムで測定される。生じたデータに基づいて、加工されたウェハの95%以上について、全体のエッジ領域は、例えば1μmLSE未満のサイズを有する100個未満の欠陥を有し、かつ表1に記載された欠陥タイプを除去することができることが確認できた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面、背面、並びに、シリコンウェハの丸められかつポリシングされたエッジ及び前記エッジに隣接しかつ前記前面及び前記背面のそれぞれ3mmの幅の領域を有するエッジ領域を有する、エピタキシャル被覆されたシリコンウェハにおいて、10〜80μmの空間波長範囲に関して0.1〜1.5nm RMSの前記エッジ領域中の表面粗さ及び前記表面粗さの1〜10%の変動率を特徴とする、エピタキシャル被覆されたシリコンウェハ。
【請求項2】
前面、背面、並びに、シリコンウェハの丸められかつポリシングされたエッジ及び前記エッジに隣接しかつ前記前面及び前記背面のそれぞれ3mmの幅の領域を有するエッジ領域を有するシリコンウェハにおいて、10〜80μmの空間波長範囲に関して0.1〜0.8nm RMSの前記エッジ領域中の表面粗さ及び前記表面粗さの1〜3%の変動率を特徴とする、シリコンウェハ。
【請求項3】
次のプロセス順序:(a)丸められたエッジを備えたシリコンウェハのグループを準備する工程;(b)前記シリコンウェハのエッジをポリシングする工程;(c)前記シリコンウェハを洗浄する工程;(d)欠陥及びエッジラフネスに関してシリコンウェハのグループのエッジ領域を調査し、前記シリコンウェハのグループから、10〜80μmの空間波長領域に関して1nm RMSよりも低い表面粗さを有するシリコンウェハを選択する工程;(e)選択されたシリコンウェハを枚葉型エピタキシー反応器中で前処理し、その際、第1の工程で水素雰囲気中で1〜100slmの流量で処理を行い、更に第2の工程でエッチング媒体を0.5〜5slmの流量で前記水素雰囲気に添加し、ガス分配装置を用いて反応室中で分配する工程;(f)前記シリコンウェハをエピタキシャル被覆する工程を有する、エピタキシャル被覆されたシリコンウェハの製造方法。
【請求項4】
工程a)によるシリコンウェハのグループの準備を、主に、シリコン単結晶からウェハをスライスし、前記シリコンウェハのエッジを丸め、その前面及び背面を研削又はラッピングすることにより行う、請求項3記載の方法。
【請求項5】
工程d)において選択されたシリコンウェハは、前面、背面、並びに、シリコンウェハの丸められかつポリシングされたエッジ及び前記エッジに隣接しかつ前記前面及び前記背面のそれぞれ3mmの幅の領域を有するエッジ領域を有し、かつ10〜80μmの空間波長領域に関して0.1〜0.8nm RMSの前記エッジ領域中の表面粗さ及び前記表面粗さの1〜3%の変動率を有する、請求項3又は請求項4記載の方法。
【請求項6】
選択されたシリコンウェハは、前記エッジ領域において1μmより大きな大きさを有する欠陥を有しない、請求項5記載の方法。
【請求項7】
工程c)による洗浄は、水性フッ酸(HF)を用いた洗浄、TMAH/H2O2(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド/過酸化水素)を用いた洗浄及び超純水を用いたリンスを含む、請求項3から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
シリコンウェハを、超純水、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)及び過酸化水素(H2O2)を有する洗浄溶液を用いて洗浄する、請求項3から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
工程c)による洗浄を、前記ウェハを洗浄ローラに対して相対的に動かし、ウェハ及び/又は洗浄ローラは前記洗浄溶液で洗われる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
洗浄ローラが合成スポンジである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
エピタキシー反応器中での前処理の際に、インジェクタにより反応室中へ導入されたガス流をバルブを用いて前記反応室の外側区域及び内側区域に分配することで、前記内側区域中のガス流を前記シリコンウェハの中心の周りの領域に作用させ、かつ外側区域中のガス流を前記シリコンウェハのエッジ領域に作用させ、第2の前処理工程の際に、水素雰囲気へのエッチング媒体の添加下での前記エッチング媒体の内側区域と外側区域への分配はI/O=0〜0.5である、請求項3から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
工程e)による両方の前処理工程をそれぞれ950〜1200℃の温度範囲で行う、請求項3から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
水素雰囲気に添加されたエッチング媒体は塩化水素である、請求項3から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
第1の前処理工程において、水素流量は40〜60slmである、請求項3から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
e)による両方の前処理において、前記前処理の時間は10〜120sである、請求項3から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
両方の前処理工程において、前記前処理の時間は、20〜60sである、請求項15記載の方法。
【請求項17】
e)による前処理の第2工程における前記エッチング媒体の流量は、1.5〜5slmである、請求項3から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
e)による前処理の第2工程における前記エッチング媒体の流量は、3〜5slmである、請求項3から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
e)による前処理の第2工程における水素流量は、1〜10slmである、請求項3から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
e)による前処理の第2工程における水素流量は、5〜10slmである、請求項3から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項1】
前面、背面、並びに、シリコンウェハの丸められかつポリシングされたエッジ及び前記エッジに隣接しかつ前記前面及び前記背面のそれぞれ3mmの幅の領域を有するエッジ領域を有する、エピタキシャル被覆されたシリコンウェハにおいて、10〜80μmの空間波長範囲に関して0.1〜1.5nm RMSの前記エッジ領域中の表面粗さ及び前記表面粗さの1〜10%の変動率を特徴とする、エピタキシャル被覆されたシリコンウェハ。
【請求項2】
前面、背面、並びに、シリコンウェハの丸められかつポリシングされたエッジ及び前記エッジに隣接しかつ前記前面及び前記背面のそれぞれ3mmの幅の領域を有するエッジ領域を有するシリコンウェハにおいて、10〜80μmの空間波長範囲に関して0.1〜0.8nm RMSの前記エッジ領域中の表面粗さ及び前記表面粗さの1〜3%の変動率を特徴とする、シリコンウェハ。
【請求項3】
次のプロセス順序:(a)丸められたエッジを備えたシリコンウェハのグループを準備する工程;(b)前記シリコンウェハのエッジをポリシングする工程;(c)前記シリコンウェハを洗浄する工程;(d)欠陥及びエッジラフネスに関してシリコンウェハのグループのエッジ領域を調査し、前記シリコンウェハのグループから、10〜80μmの空間波長領域に関して1nm RMSよりも低い表面粗さを有するシリコンウェハを選択する工程;(e)選択されたシリコンウェハを枚葉型エピタキシー反応器中で前処理し、その際、第1の工程で水素雰囲気中で1〜100slmの流量で処理を行い、更に第2の工程でエッチング媒体を0.5〜5slmの流量で前記水素雰囲気に添加し、ガス分配装置を用いて反応室中で分配する工程;(f)前記シリコンウェハをエピタキシャル被覆する工程を有する、エピタキシャル被覆されたシリコンウェハの製造方法。
【請求項4】
工程a)によるシリコンウェハのグループの準備を、主に、シリコン単結晶からウェハをスライスし、前記シリコンウェハのエッジを丸め、その前面及び背面を研削又はラッピングすることにより行う、請求項3記載の方法。
【請求項5】
工程d)において選択されたシリコンウェハは、前面、背面、並びに、シリコンウェハの丸められかつポリシングされたエッジ及び前記エッジに隣接しかつ前記前面及び前記背面のそれぞれ3mmの幅の領域を有するエッジ領域を有し、かつ10〜80μmの空間波長領域に関して0.1〜0.8nm RMSの前記エッジ領域中の表面粗さ及び前記表面粗さの1〜3%の変動率を有する、請求項3又は請求項4記載の方法。
【請求項6】
選択されたシリコンウェハは、前記エッジ領域において1μmより大きな大きさを有する欠陥を有しない、請求項5記載の方法。
【請求項7】
工程c)による洗浄は、水性フッ酸(HF)を用いた洗浄、TMAH/H2O2(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド/過酸化水素)を用いた洗浄及び超純水を用いたリンスを含む、請求項3から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
シリコンウェハを、超純水、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)及び過酸化水素(H2O2)を有する洗浄溶液を用いて洗浄する、請求項3から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
工程c)による洗浄を、前記ウェハを洗浄ローラに対して相対的に動かし、ウェハ及び/又は洗浄ローラは前記洗浄溶液で洗われる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
洗浄ローラが合成スポンジである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
エピタキシー反応器中での前処理の際に、インジェクタにより反応室中へ導入されたガス流をバルブを用いて前記反応室の外側区域及び内側区域に分配することで、前記内側区域中のガス流を前記シリコンウェハの中心の周りの領域に作用させ、かつ外側区域中のガス流を前記シリコンウェハのエッジ領域に作用させ、第2の前処理工程の際に、水素雰囲気へのエッチング媒体の添加下での前記エッチング媒体の内側区域と外側区域への分配はI/O=0〜0.5である、請求項3から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
工程e)による両方の前処理工程をそれぞれ950〜1200℃の温度範囲で行う、請求項3から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
水素雰囲気に添加されたエッチング媒体は塩化水素である、請求項3から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
第1の前処理工程において、水素流量は40〜60slmである、請求項3から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
e)による両方の前処理において、前記前処理の時間は10〜120sである、請求項3から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
両方の前処理工程において、前記前処理の時間は、20〜60sである、請求項15記載の方法。
【請求項17】
e)による前処理の第2工程における前記エッチング媒体の流量は、1.5〜5slmである、請求項3から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
e)による前処理の第2工程における前記エッチング媒体の流量は、3〜5slmである、請求項3から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
e)による前処理の第2工程における水素流量は、1〜10slmである、請求項3から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
e)による前処理の第2工程における水素流量は、5〜10slmである、請求項3から19までのいずれか1項記載の方法。
【図1】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図2】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図7e】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図2】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図7e】
【公開番号】特開2010−254550(P2010−254550A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−46503(P2010−46503)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(599119503)ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト (223)
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46503(P2010−46503)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(599119503)ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト (223)
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
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